(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023134458
(43)【公開日】2023-09-27
(54)【発明の名称】活性化可能抗体ならびにその作製及び使用方法
(51)【国際特許分類】
C12N 15/13 20060101AFI20230920BHJP
C07K 16/28 20060101ALI20230920BHJP
C07K 19/00 20060101ALI20230920BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20230920BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20230920BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20230920BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20230920BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20230920BHJP
C12P 21/02 20060101ALI20230920BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20230920BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230920BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20230920BHJP
【FI】
C12N15/13
C07K16/28 ZNA
C07K19/00
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12P21/02 C
A61K39/395 T
A61P35/00
A61K45/00
【審査請求】有
【請求項の数】97
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023099859
(22)【出願日】2023-06-19
(62)【分割の表示】P 2020541957の分割
【原出願日】2019-02-02
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2018/075065
(32)【優先日】2018-02-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】520053809
【氏名又は名称】アダジーン インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ルオ, ピーター ペイチー
(72)【発明者】
【氏名】トゥー, ファンヨン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ある特定の状況において(例えば、プロテアーゼリッチ腫瘍微小環境において)それらの標的に結合することだけが可能である活性化可能結合ポリペプチドである抗原特異的結合タンパク質を提供する。
【解決手段】活性化可能抗体であって、N末端からC末端にかけて、マスキング部分(MM)、切断可能部分(CM)、及び標的結合部分(TBM)を含み、前記MMが、前記CMが切断されていない場合、前記活性化可能抗体のヒトCD137への結合を阻害し、前記TBMが、抗体軽鎖可変領域(VL)及び/又は抗体重鎖可変領域(VH)を含み、且つ、前記活性化可能抗体は、前記CMが切断されている場合、前記VH及びVLを介してヒトCD137に結合する、活性化可能抗体である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリヌクレオチドを含むライブラリーであって、前記ポリヌクレオチドのうちの少なくとも1つが、N末端からC末端にかけて、第1のペプチド(FP)、切断可能部分(CM)、及び標的結合部分(TBM)を含むポリペプチドをコードし、
前記FPが、式(XIII):XmCXnCXo(配列番号86)に従うアミノ酸配列を含み、式中、mが2~10であり、nが3~10であり、oが1~10であり、各Xが独立して、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、及びYからなる群から選択されるアミノ酸であり、
前記CMが、少なくとも第1の切断部位を含み、
前記TBMが、抗体軽鎖可変領域及び/または抗体重鎖可変領域を含む、前記ライブラリー。
【請求項2】
前記ライブラリー中の前記ポリヌクレオチドが、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、または少なくとも10個の固有のポリペプチドをコードし、各固有のポリペプチドが、N末端からC末端にかけて、第1のペプチド(FP)、切断可能部分(CM)、及び標的結合部分(TBM)を含み、
前記FPが、式(XIII):XmCXnCXo(配列番号86)に従うアミノ酸配列を含み、式中、mが2~10であり、nが3~10であり、oが1~10であり、各Xが独立して、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、及びYからなる群から選択されるアミノ酸であり、
前記CMが、少なくとも第1の切断部位を含み、
前記TBMが、抗体軽鎖可変領域及び/または抗体重鎖可変領域を含む、請求項1に記載のライブラリー。
【請求項3】
前記ライブラリー中の前記ポリヌクレオチドのそれぞれが、N末端からC末端にかけて、第1のペプチド(FP)、切断可能部分(CM)、及び標的結合部分(TBM)を含むポリペプチドをコードし、
前記FPが、式(XIII):XmCXnCXo(配列番号86)に従うアミノ酸配列を含み、式中、mが2~10であり、nが3~10であり、oが1~10であり、各Xが独立して、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、及びYからなる群から選択されるアミノ酸であり、
前記CMが、少なくとも第1の切断部位を含み、
前記TBMが、抗体軽鎖可変領域及び/または抗体重鎖可変領域を含む、請求項1または請求項2に記載のライブラリー。
【請求項4】
前記FPが、式(XIV):(NNK)mTGY(NNK)nTGY(NNK)o(配列番号87)に従う核酸配列を含むポリヌクレオチド配列によってコードされ、式中、各Nが独立して、A、G、T、またはCであり、各Kが独立して、TまたはGであり、各Yが独立して、TまたはCである、請求項1~3のいずれか一項に記載のライブラリー。
【請求項5】
各Xが、M、W、またはCではない、請求項1~4のいずれか一項に記載のライブラリー。
【請求項6】
式(XIII)のXmにおける各Xが独立して、D、A、Y、S、T、N、I、L、F、V、H、及びPからなる群から選択されるアミノ酸である、請求項1~5のいずれか一項に記載のライブラリー。
【請求項7】
式(XIII)のXnにおける各Xが独立して、D、A、Y、S、T、N、I、L、F、V、H、及びPからなる群から選択されるアミノ酸である、請求項1~6のいずれか一項に記載のライブラリー。
【請求項8】
式(XIII)のXoにおける各Xが独立して、D、A、Y、S、T、N、I、L、F、V、H、及びPからなる群から選択されるアミノ酸である、請求項1~7のいずれか一項に記載のライブラリー。
【請求項9】
mが2または3~6である、請求項1~8のいずれか一項に記載のライブラリー。
【請求項10】
nが6~8である、請求項1~9のいずれか一項に記載のライブラリー。
【請求項11】
nが6である、請求項1~9のいずれか一項に記載のライブラリー。
【請求項12】
oが1~2である、請求項1~11のいずれか一項に記載のライブラリー。
【請求項13】
oが2である、請求項1~11のいずれか一項に記載のライブラリー。
【請求項14】
前記FPが、そのN末端に追加のアミノ酸配列をさらに含む、請求項1~13のいずれか一項に記載のライブラリー。
【請求項15】
前記追加のアミノ酸配列が、配列番号16のアミノ酸配列を含む、請求項14に記載のライブラリー。
【請求項16】
前記第1の切断部位が、ウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子(uPA)、マトリックスメタロプロテイナーゼ-1(MMP-1)、MMP-2、MMP-3、MMP-8、MMP-9、MMP-14、タバコエッチウイルス(TEV)プロテアーゼ、プラスミン、トロンビン、第X因子、PSA、PSMA、カテプシンD、カテプシンK、カテプシンS、ADAM10、ADAM12、ADAMTS、カスパーゼ-1、カスパーゼ-2、カスパーゼ-3、カスパーゼ-4、カスパーゼ-5、カスパーゼ-6、カスパーゼ-7、カスパーゼ-8、カスパーゼ-9、カスパーゼ-10、カスパーゼ-11、カスパーゼ-12、カスパーゼ-13、カスパーゼ-14、及びTACEからなる群から選択されるプロテアーゼのプロテアーゼ切断部位である、請求項1~15のいずれか一項に記載のライブラリー。
【請求項17】
前記CMが、前記第1の切断部位のC末端に第1のリンカー(L1)をさらに含む、請求項1~16のいずれか一項に記載のライブラリー。
【請求項18】
前記L1が、配列番号17~24からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項17に記載のライブラリー。
【請求項19】
前記CMが、第2の切断部位をさらに含む、請求項1~18のいずれか一項に記載のライブラリー。
【請求項20】
前記第2の切断部位が、前記L1のC末端にある、請求項19に記載のライブラリー。
【請求項21】
前記第2の切断部位が、ウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子(uPA)、マトリックスメタロプロテイナーゼ-1(MMP-1)、MMP-2、MMP-3、MMP-8、MMP-9、MMP-14、タバコエッチウイルス(TEV)プロテアーゼ、プラスミン、トロンビン、第X因子、PSA、PSMA、カテプシンD、カテプシンK、カテプシンS、ADAM10、ADAM12、ADAMTS、カスパーゼ-1、カスパーゼ-2、カスパーゼ-3、カスパーゼ-4、カスパーゼ-5、カスパーゼ-6、カスパーゼ-7、カスパーゼ-8、カスパーゼ-9、カスパーゼ-10、カスパーゼ-11、カスパーゼ-12、カスパーゼ-13、カスパーゼ-14、及びTACEからなる群から選択されるプロテアーゼのプロテアーゼ切断部位である、請求項19または請求項20に記載のライブラリー。
【請求項22】
前記第1及び第2の切断部位が異なる、請求項19~21のいずれか一項に記載のライブラリー。
【請求項23】
前記CMが、前記第2の切断部位のC末端に第2のリンカー(L2)をさらに含む、請求項19~22のいずれか一項に記載のライブラリー。
【請求項24】
前記L2が、配列番号17~24からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項23に記載のライブラリー。
【請求項25】
前記ポリペプチドが、式(III):EVGSYX1X2X3X4X5X6CX7X8X9X10X11X12CX13X14SGRSAGGGGTENLYFQGSGGS(配列番号3)に従うアミノ酸配列を含み、式中、X1が、A、D、I、N、P、またはYであり、X2が、A、F、N、S、またはVであり、X3が、A、H、L、P、S、V、またはYであり、X4が、A、H、S、またはYであり、X5が、A、D、P、S、V、またはYであり、X6が、A、D、L、S、またはYであり、X7が、D、P、またはVであり、X8が、A、D、H、P、S、またはTであり、X9が、A、D、F、H、P、またはYであり、X10が、L、P、またはYであり、X11が、F、P、またはYであり、X12が、A、P、S、またはYであり、X13が、A、D、N、S、T、またはYであり、X14が、A、S、またはYである、請求項1~24のいずれか一項に記載のライブラリー。
【請求項26】
前記ライブラリー中の前記ポリヌクレオチドのそれぞれが、式(III)に従うアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする、請求項25に記載のライブラリー。
【請求項27】
前記ポリペプチドが、配列番号25~46からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項1~26のいずれか一項に記載のライブラリー。
【請求項28】
前記TBMが、抗体軽鎖可変領域を含む、請求項1~27のいずれか一項に記載のライブラリー。
【請求項29】
前記ポリペプチドが、前記軽鎖可変領域のC末端に重鎖可変領域をさらに含む、請求項28に記載のライブラリー。
【請求項30】
1つ以上の抗体重鎖可変領域をコードするポリヌクレオチドをさらに含む、請求項28に記載のライブラリー。
【請求項31】
前記TBMが、抗体重鎖可変領域を含む、請求項1~27のいずれか一項に記載のライブラリー。
【請求項32】
前記ポリペプチドが、前記重鎖可変領域のC末端に軽鎖可変領域をさらに含む、請求項31に記載のライブラリー。
【請求項33】
1つ以上の抗体軽鎖可変領域をコードするポリヌクレオチドをさらに含む、請求項31に記載のライブラリー。
【請求項34】
前記ポリペプチドをコードする前記ポリヌクレオチドのうちの少なくとも1つが、ベクター中にある、請求項1~33のいずれか一項に記載のライブラリー。
【請求項35】
前記ベクターが、発現ベクターまたは提示ベクターである、請求項34に記載のライブラリー。
【請求項36】
前記ポリペプチドをコードする前記ポリヌクレオチドのうちの少なくとも1つが、細胞中にある、請求項1~35のいずれか一項に記載のライブラリー。
【請求項37】
前記細胞が、細菌細胞、酵母細胞、昆虫細胞、または哺乳動物細胞である、請求項36に記載のライブラリー。
【請求項38】
活性化可能抗体の産生方法であって、請求項36または請求項37に記載の細胞を前記活性化可能抗体の産生に好適な条件下で培養することを含む、前記方法。
【請求項39】
前記細胞によって産生された前記活性化可能抗体を回収することをさらに含む、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記活性化可能抗体を、可溶性でありながら活性化可能表現型を維持する能力について試験することをさらに含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
請求項1~37のいずれか一項に記載のライブラリーを使用して、標的に結合する活性化可能抗体をスクリーニングする方法であって、
a)前記ライブラリーの発現産物を、前記CMが切断される前に、前記標的と接触させることと、
b)前記ライブラリーの前記発現産物を、前記CMが切断された後に、前記標的と接触させることと、
c)前記CMが切断された後に、前記標的に結合するが、前記CMが切断される前には、前記標的に対して低減された結合を有する、前記発現産物のうちの1つ以上を単離することと、を含む、前記方法。
【請求項42】
発現産物は、前記CMが切断された後の前記発現産物の結合親和性が、前記CMが切断される前の前記発現産物の前記結合親和性の少なくとも2倍である場合、単離される、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記CMが、ウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子(uPA)、マトリックスメタロプロテイナーゼ-1(MMP-1)、MMP-2、MMP-3、MMP-8、MMP-9、MMP-14、タバコエッチウイルス(TEV)プロテアーゼ、プラスミン、トロンビン、第X因子、PSA、PSMA、カテプシンD、カテプシンK、カテプシンS、ADAM10、ADAM12、ADAMTS、カスパーゼ-1、カスパーゼ-2、カスパーゼ-3、カスパーゼ-4、カスパーゼ-5、カスパーゼ-6、カスパーゼ-7、カスパーゼ-8、カスパーゼ-9、カスパーゼ-10、カスパーゼ-11、カスパーゼ-12、カスパーゼ-13、カスパーゼ-14、及びTACEからなる群から選択されるプロテアーゼの少なくとも1つの第1のプロテアーゼ切断部位を含む、請求項41または42に記載の方法。
【請求項44】
前記標的が、CTLA4またはCD137である、請求項41~43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
請求項1~37のいずれか一項に記載のライブラリーからの1つ以上のポリヌクレオチドによってコードされる、ポリペプチド。
【請求項46】
請求項1~37のいずれか一項に記載のライブラリーを含む、キット。
【請求項47】
抗原結合ドメインを含むライブラリーであって、前記抗原結合ドメインのうちの少なくとも1つが、N末端からC末端にかけて、第1のペプチド(FP)、切断可能部分(CM)、及び標的結合部分(TBM)を含むポリペプチドを含み、
前記FPが、式(XIII):XmCXnCXo(配列番号86)に従うアミノ酸配列を含み、式中、mが2~10であり、nが3~10であり、oが1~10であり、各Xが独立して、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、及びYからなる群から選択されるアミノ酸であり、
前記CMが、少なくとも第1の切断部位を含み、
前記TBMが、抗体軽鎖可変領域及び/または抗体重鎖可変領域を含む、前記ライブラリー。
【請求項48】
前記抗原結合ドメインのうちの少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、または少なくとも10個が、N末端からC末端にかけて、第1のペプチド(FP)、切断可能部分(CM)、及び標的結合部分(TBM)を含む固有のポリペプチドを含み、
前記FPが、式(XIII):XmCXnCXo(配列番号86)に従うアミノ酸配列を含み、式中、mが2~10であり、nが3~10であり、oが1~10であり、各Xが独立して、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、及びYからなる群から選択されるアミノ酸であり、
前記CMが、少なくとも第1の切断部位を含み、
前記TBMが、抗体軽鎖可変領域及び/または抗体重鎖可変領域を含む、請求項47に記載のライブラリー。
【請求項49】
前記抗原結合ドメインのそれぞれが、N末端からC末端にかけて、第1のペプチド(FP)、切断可能部分(CM)、及び標的結合部分(TBM)を含み、
前記FPが、式(XIII):XmCXnCXo(配列番号86)に従うアミノ酸配列を含み、式中、mが2~10であり、nが3~10であり、oが1~10であり、各Xが独立して、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、及びYからなる群から選択されるアミノ酸であり、
前記CMが、少なくとも第1の切断部位を含み、
前記TBMが、抗体軽鎖可変領域及び/または抗体重鎖可変領域を含む、請求項47または請求項48に記載のライブラリー。
【請求項50】
前記TBMが、抗体軽鎖可変領域を含み、前記抗原結合ドメインが、抗体重鎖可変領域をさらに含む、請求項47~49のいずれか一項に記載のライブラリー。
【請求項51】
前記TBMが、抗体重鎖可変領域を含み、前記抗原結合ドメインが、抗体軽鎖可変領域をさらに含む、請求項47~49のいずれか一項に記載のライブラリー。
【請求項52】
各Xが、M、W、またはCではない、請求項47~51のいずれか一項に記載のライブラリー。
【請求項53】
式(XIII)のXmにおける各Xが独立して、D、A、Y、S、T、N、I、L、F、V、H、及びPからなる群から選択されるアミノ酸である、請求項47~52のいずれか一項に記載のライブラリー。
【請求項54】
式(XIII)のXnにおける各Xが独立して、D、A、Y、S、T、N、I、L、F、V、H、及びPからなる群から選択されるアミノ酸である、請求項47~53のいずれか一項に記載のライブラリー。
【請求項55】
式(XIII)のXoにおける各Xが独立して、D、A、Y、S、T、N、I、L、F、V、H、及びPからなる群から選択されるアミノ酸である、請求項47~54のいずれか一項に記載のライブラリー。
【請求項56】
前記抗原結合ドメインのそれぞれが、細胞表面上またはファージ上に提示される、請求項47~55のいずれか一項に記載のライブラリー。
【請求項57】
N末端からC末端にかけて、第1のペプチド(FP)、切断可能部分(CM)、及び標的結合部分(TBM)を含むポリペプチドを含む、抗体軽鎖であって、
前記FPが、式(I):XmCXnCZo(配列番号1)に従うアミノ酸配列を含み、式中、mが2~10であり、nが3~10であり、oが1~10であり、各Xが独立して、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、及びYからなる群から選択されるアミノ酸であり、各Zが独立して、D、A、Y、S、T、N、I、L、F、V、H、及びPからなる群から選択されるアミノ酸であり、
前記CMが、少なくとも第1の切断部位を含み、
前記TBMが、抗体軽鎖可変領域を含む、前記抗体軽鎖。
【請求項58】
重鎖及び軽鎖を含む抗体であって、前記軽鎖が、請求項57に記載の軽鎖である、前記抗体。
【請求項59】
N末端からC末端にかけて、第1のペプチド(FP)、切断可能部分(CM)、及び標的結合部分(TBM)を含むポリペプチドを含む、抗体重鎖であって、
前記FPが、式(I):XmCXnCZo(配列番号1)に従うアミノ酸配列を含み、式中、mが2~10であり、nが3~10であり、oが1~10であり、各Xが独立して、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、及びYからなる群から選択されるアミノ酸であり、各Zが独立して、D、A、Y、S、T、N、I、L、F、V、H、及びPからなる群から選択されるアミノ酸であり、
前記CMが、少なくとも第1の切断部位を含み、
前記TBMが、抗体重鎖可変領域を含む、前記抗体重鎖。
【請求項60】
重鎖及び軽鎖を含む抗体であって、前記重鎖が、請求項59に記載の重鎖である、前記抗体。
【請求項61】
表面上で提示された少なくとも1つのポリペプチドを含む細胞であって、前記少なくともポリペプチドが、N末端からC末端にかけて、第1のペプチド(FP)、切断可能部分(CM)、及び標的結合部分(TBM)を含み、
前記FPが、式(I):XmCXnCZo(配列番号1)に従うアミノ酸配列を含み、式中、mが2~10であり、nが3~10であり、oが1~10であり、各Xが独立して、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、及びYからなる群から選択されるアミノ酸であり、各Zが独立して、D、A、Y、S、T、N、I、L、F、V、H、及びPからなる群から選択されるアミノ酸であり、
前記CMが、少なくとも第1の切断部位を含み、
前記TBMが、抗体軽鎖可変領域及び/または抗体重鎖可変領域を含む、前記細胞。
【請求項62】
前記細胞が、細菌細胞、酵母細胞、昆虫細胞、または哺乳動物細胞である、請求項61に記載の細胞。
【請求項63】
各Xが、M、W、またはCではない、請求項61または請求項62に記載の細胞。
【請求項64】
式(I)のXmにおける各Xが独立して、D、A、Y、S、T、N、I、L、F、V、H、及びPからなる群から選択されるアミノ酸である、請求項61~63のいずれか一項に記載の細胞。
【請求項65】
式(I)のXnにおける各Xが独立して、D、A、Y、S、T、N、I、L、F、V、H、及びPからなる群から選択されるアミノ酸である、請求項61~64のいずれか一項に記載の細胞。
【請求項66】
活性化可能抗体であって、
N末端からC末端にかけて、マスキング部分(MM)、切断可能部分(CM)、及び標的結合部分(TBM)を含む第1のポリペプチドを含み、
前記MMが、式(I):XmCXnCZo(配列番号1)に従うアミノ酸配列を含み、式中、mが2~10であり、nが3~10であり、oが1~10であり、各Xが独立して、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、及びYからなる群から選択されるアミノ酸であり、各Zが独立して、D、A、Y、S、T、N、I、L、F、V、H、及びPからなる群から選択されるアミノ酸であり、前記MMは、前記CMが切断されていない場合、前記活性化可能抗体のヒトCD137への結合を阻害し、
前記CMが、少なくとも第1の切断部位を含み、
a)前記TBMが、抗体軽鎖可変領域(VL)を含み、前記活性化可能抗体が、抗体重鎖可変領域(VH)を含む第2のポリペプチドをさらに含むか、
b)前記TBMが、抗体重鎖可変領域(VH)を含み、前記活性化可能抗体が、抗体軽鎖可変領域(VL)を含む第2のポリペプチドをさらに含むか、
c)前記TBMが、N末端からC末端にかけて、抗体軽鎖可変領域(VL)及び抗体重鎖可変領域(VH)を含むか、または
d)前記TBMが、N末端からC末端にかけて、抗体重鎖可変領域(VH)及び抗体軽鎖可変領域(VL)を含み、
前記活性化可能抗体は、前記CMが切断されている場合、前記VH及びVLを介してヒトCD137に結合する、前記活性化可能抗体。
【請求項67】
前記TBMが、抗体軽鎖可変領域(VL)を含み、前記活性化可能抗体が、抗体重鎖可変領域(VH)を含む第2のポリペプチドをさらに含む、請求項66に記載の活性化可能抗体。
【請求項68】
mが2または3~6である、請求項66または請求項67に記載の活性化可能抗体。
【請求項69】
nが6~8である、請求項66~68のいずれか一項に記載の活性化可能抗体。
【請求項70】
nが6である、請求項69に記載の活性化可能抗体。
【請求項71】
oが1または2である、請求項66~69のいずれか一項に記載の活性化可能抗体。
【請求項72】
各XがM、W、またはCではない、請求項66~71のいずれか一項に記載の活性化可能抗体。
【請求項73】
式(I)のXmにおける各Xが独立して、D、A、Y、S、T、N、I、L、F、V、H、及びPからなる群から選択されるアミノ酸である、請求項66~72のいずれか一項に記載の活性化可能抗体。
【請求項74】
式(I)のXnにおける各Xが独立して、D、A、Y、S、T、N、I、L、F、V、H、及びPからなる群から選択されるアミノ酸である、請求項66~73のいずれか一項に記載の活性化可能抗体。
【請求項75】
前記MMが、配列番号79~85、ならびにXmCADAPNHCXX(配列番号88)、XmCHHSPANCXX(配列番号89)、XmCPILRHRCXX(配列番号90)、XmCKWRPSRCXX(配列番号91)、XmCRVLPRRCXX(配列番号92)、XmCLWRHRSCXX(配列番号93)、及びXmCPRLRRKCXX(配列番号94)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、式中、mが2~10であり、各Xが独立して、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、及びYからなる群から選択されるアミノ酸である、請求項66~74のいずれか一項に記載の活性化可能抗体。
【請求項76】
前記MMが、そのN末端に追加のアミノ酸配列をさらに含む、請求項66~75のいずれか一項に記載の活性化可能抗体。
【請求項77】
前記追加のアミノ酸配列が、配列番号16のアミノ酸配列を含む、請求項76に記載の活性化可能抗体。
【請求項78】
前記第1の切断部位が、ウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子(uPA)、マトリックスメタロプロテイナーゼ-1(MMP-1)、MMP-2、MMP-3、MMP-8、MMP-9、MMP-14、タバコエッチウイルス(TEV)プロテアーゼ、プラスミン、トロンビン、第X因子、PSA、PSMA、カテプシンD、カテプシンK、カテプシンS、ADAM10、ADAM12、ADAMTS、カスパーゼ-1、カスパーゼ-2、カスパーゼ-3、カスパーゼ-4、カスパーゼ-5、カスパーゼ-6、カスパーゼ-7、カスパーゼ-8、カスパーゼ-9、カスパーゼ-10、カスパーゼ-11、カスパーゼ-12、カスパーゼ-13、カスパーゼ-14、及びTACEからなる群から選択されるプロテアーゼのプロテアーゼ切断部位である、請求項66~77のいずれか一項に記載の活性化可能抗体。
【請求項79】
前記CMが、前記第1の切断部位のC末端に第1のリンカー(L1)をさらに含む、請求項66~78のいずれか一項に記載の活性化可能抗体。
【請求項80】
前記L1が、配列番号17~24からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項79に記載の活性化可能抗体。
【請求項81】
前記CMが、第2の切断部位をさらに含む、請求項66~80のいずれか一項に記載の活性化可能抗体。
【請求項82】
前記第2の切断部位が、前記L1のC末端にある、請求項81に記載の活性化可能抗体。
【請求項83】
前記第2の切断部位が、ウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子(uPA)、マトリックスメタロプロテイナーゼ-1(MMP-1)、MMP-2、MMP-3、MMP-8、MMP-9、MMP-14、タバコエッチウイルス(TEV)プロテアーゼ、プラスミン、トロンビン、第X因子、PSA、PSMA、カテプシンD、カテプシンK、カテプシンS、ADAM10、ADAM12、ADAMTS、カスパーゼ-1、カスパーゼ-2、カスパーゼ-3、カスパーゼ-4、カスパーゼ-5、カスパーゼ-6、カスパーゼ-7、カスパーゼ-8、カスパーゼ-9、カスパーゼ-10、カスパーゼ-11、カスパーゼ-12、カスパーゼ-13、カスパーゼ-14、及びTACEからなる群から選択されるプロテアーゼのプロテアーゼ切断部位である、請求項81または請求項82に記載の活性化可能抗体。
【請求項84】
前記第1及び第2の切断部位が異なる、請求項81~83のいずれか一項に記載の活性化可能抗体。
【請求項85】
前記CMが、前記第2の切断部位のC末端に第2のリンカー(L2)をさらに含む、請求項81~84のいずれか一項に記載の活性化可能抗体。
【請求項86】
前記L2が、配列番号17~24からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項85に記載の活性化可能抗体。
【請求項87】
前記CMが、少なくとも第1のプロテアーゼ切断部位を含み、ウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子(uPA)、マトリックスメタロプロテイナーゼ-1(MMP-1)、MMP-2、MMP-3、MMP-8、MMP-9、MMP-14、タバコエッチウイルス(TEV)プロテアーゼ、プラスミン、トロンビン、第X因子、PSA、PSMA、カテプシンD、カテプシンK、カテプシンS、ADAM10、ADAM12、ADAMTS、カスパーゼ-1、カスパーゼ-2、カスパーゼ-3、カスパーゼ-4、カスパーゼ-5、カスパーゼ-6、カスパーゼ-7、カスパーゼ-8、カスパーゼ-9、カスパーゼ-10、カスパーゼ-11、カスパーゼ-12、カスパーゼ-13、カスパーゼ-14、及びTACEからなる群から選択される1つ以上のプロテアーゼで切断される、請求項66~86のいずれか一項に記載の活性化可能抗体。
【請求項88】
前記活性化可能抗体が、式(III):EVGSYX1X2X3X4X5X6CX7X8X9X10X11X12CX13X14SGRSAGGGGTENLYFQGSGGS(配列番号3)に従うアミノ酸配列を含み、式中、X1が、A、D、I、N、P、またはYであり、X2が、A、F、N、S、またはVであり、X3が、A、H、L、P、S、V、またはYであり、X4が、A、H、S、またはYであり、X5が、A、D、P、S、V、またはYであり、X6が、A、D、L、S、またはYであり、X7が、D、P、またはVであり、X8が、A、D、H、P、S、またはTであり、X9が、A、D、F、H、P、またはYであり、X10が、L、P、またはYであり、X11が、F、P、またはYであり、X12が、A、P、S、またはYであり、X13が、A、D、N、S、T、またはYであり、X14が、A、S、またはYである、請求項66~87のいずれか一項に記載の活性化可能抗体。
【請求項89】
前記活性化可能抗体が、配列番号40~46からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項66~88のいずれか一項に記載の活性化可能抗体。
【請求項90】
前記VLが、配列番号68のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号69のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び配列番号70のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む、請求項66~89のいずれか一項に記載の活性化可能抗体。
【請求項91】
前記VLが、配列番号50のアミノ酸配列を含む、請求項66~90のいずれか一項に記載の活性化可能抗体。
【請求項92】
前記VHが、配列番号65のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号66のアミノ酸配列を含むHVR-H2、及び配列番号67のアミノ酸配列を含むHVR-H3を含む、請求項66~91のいずれか一項に記載の活性化可能抗体。
【請求項93】
前記VHが、配列番号49のアミノ酸配列を含む、請求項66~92のいずれか一項に記載の活性化可能抗体。
【請求項94】
がんの治療またはがんの進行の遅延を必要とする対象においてそれを行う方法であって、前記方法が、前記対象に有効量の、請求項1~37のいずれか一項に記載のライブラリーからの1つ以上のポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチド、または請求項66~93のいずれか一項に記載の活性化可能抗体を投与することを含む、前記方法。
【請求項95】
前記対象に有効量の少なくとも1つの追加の治療剤を投与することをさらに含む、請求項94に記載の方法。
【請求項96】
前記少なくとも1つの追加の治療剤が、ウイルス遺伝子治療、免疫チェックポイント阻害剤、標的療法、放射線療法、及び化学療法からなる群から選択される、請求項95に記載の方法。
【請求項97】
前記少なくとも1つの追加の治療剤が、ポマリスト、レブラミド、レナリドミド、ポマリドミド、サリドマイド、DNAアルキル化白金含有誘導体、シスプラチン、5-フルオロウラシル、シクロホスファミド、抗CD137抗体、抗CTLA4抗体、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体、抗CD20抗体、抗CD40抗体、抗DR5抗体、抗CD1d抗体、抗TIM3抗体、抗SLAMF7抗体、抗KIR受容体抗体、抗OX40抗体、抗HER2抗体、抗ErbB-2抗体、抗EGFR抗体、セツキシマブ、リツキシマブ、トラスツズマブ、ペムブロリズマブ、放射線療法、単回放射線、分割放射線、焦点放射線、全臓器放射線、IL-12、IFNα、GM-CSF、キメラ抗原受容体、養子移入T細胞、抗がんワクチン、及び腫瘍溶解性ウイルスからなる群から選択される、請求項95または請求項96に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年2月2日に出願された国際特許出願第PCT/CN2018/075065号の優先権の利益を主張するものであり、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
ASCIIテキストファイルでの配列表の提出
ASCIIテキストファイルでの以下の提出内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる:コンピュータ可読形態(CRF)の配列表(ファイル名:695402000641SEQLIST.TXT、記録日:2019年1月31日、サイズ:54KB)。
【0003】
本開示は、1つ以上の精度/状況依存性活性化可能結合ポリペプチド(例えば、活性化可能抗体)をスクリーニングするために、及び/または特定するために有用なポリヌクレオチド及びポリヌクレオチドライブラリー、ならびに精度/状況依存性活性化可能結合ポリペプチド(例えば、活性型であるとき、CTLA4またはCD137に結合することができる活性化可能抗体)をスクリーニングするために、及び/または特定するために有用なポリペプチド及びポリペプチドライブラリー、それに関連する細胞、方法、ならびにキットに関する。
【背景技術】
【0004】
活性化可能結合ポリペプチドは、その中に含まれる抗原結合部分が、1つ以上の特異的プロテアーゼの存在下での切断後よりも切断されていないときに、その標的へ結合しにくい。したがって、これらの活性化可能結合ポリペプチドは、ある特定の状況において(例えば、プロテアーゼリッチ腫瘍微小環境において)それらの標的に結合するだけが可能である抗原特異的結合タンパク質を提供する。数多くの興味深い活性化可能結合ポリペプチドが開発されているが、このようなタンパク質の開発過程は、ゆっくりであり、労働集約的であり、費用がかかる。したがって、活性化可能結合ポリペプチドに対する自己遮断ペプチドを特定するために有用な改善された方法及び生産物の必要性が存在する。
【0005】
特許出願、特許公報、非特許文献、及びUniProtKB/Swiss-Prot/GenBank受託番号を含む、本明細書に引用されるすべての参考文献は、各個々の参考文献が参照により組み込まれるように具体的かつ個別に示されているかのように、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【発明の概要】
【0006】
上記及び他の必要性を満たすために、例えば、活性化可能結合ポリペプチド(すなわち、活性化可能抗体)をスクリーニングするために、及び/または特定するために有用であるポリヌクレオチドのライブラリーが、本明細書で開示される。本開示は、本明細書に記載のポリペプチドが、優れた治療指数及び安全性プロファイルを有する活性化可能結合ポリペプチド(すなわち、活性化可能抗体)のより良好な設計、スクリーニング及び/または特定を可能にする、活性化の前に有意に改善されたマスキング効率を示すという発見に少なくとも部分的に基づいている。本開示は、本明細書に記載のポリヌクレオチドライブラリーが、活性化可能結合ポリペプチドを特定するために成功裏に構築及びスクリーニングされ得る(以下の実施例1及び2を参照されたい)という驚くべき発見に少なくとも部分的にさらに基づいている。活性型であるとき、ヒトCTLA4に結合する(実施例3を参照)か、またはヒトCD137に結合する(実施例5を参照)が、不活性型であるとき、結合せず、すなわち、これらは、切断可能部分(CM)の切断後にだけ、それらの標的に結合して(活性型であるとき)、第1のペプチド(FP)(すなわち、マスキング部分(MM)または自己遮断ペプチド)を除去する、精度/状況依存性活性化可能結合ポリペプチドが、本明細書に開示される。本明細書に開示の発見された第1のペプチド(FP)(例えば、マスキング部分)は、抗体活性を効率的にマスキングする、及び/または抗原結合を減少または完全に阻害することができる一方、いくつかの実施形態では、化学的に不安定な残基であるメチオニン及び/またはトリプトファンを欠いている。さらに、本明細書に記載のポリヌクレオチドライブラリーを使用する特定された活性化可能抗体は、それらの親抗体と同様に複数のがんの種類を治療するのに効率的であり、感受性動物(NODマウス、実施例4を参照)における細胞傷害性を有意に低減する。
【0007】
したがって、一態様では、ポリヌクレオチドを含むライブラリーが本明細書に提供され、ポリヌクレオチドのうちの少なくとも1つが、N末端からC末端にかけて、第1のペプチド(FP)、切断可能部分(CM)、及び標的結合部分(TBM)を含むポリペプチドをコードし、FPは、式(XIII):XmCXnCXo(配列番号86)に従うアミノ酸配列を含み、式中、mは2~10(例えば、3~10)であり、nは3~10であり、oは1~10であり、各Xは独立して、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、及びYからなる群から選択されるアミノ酸であり、CMは、少なくとも第1の切断部位を含み、TBMは、抗体軽鎖可変領域及び/または抗体重鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、ライブラリー中のポリヌクレオチドは、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも10個、少なくとも50個、少なくとも100個、少なくとも500個、少なくとも1000個の固有のポリペプチドをコードし、各固有のポリペプチドは、N末端からC末端にかけて、第1のペプチド(FP)、切断可能部分(CM)、及び標的結合部分(TBM)を含み、FPは、式(XIII):XmCXnCXo(配列番号86)に従うアミノ酸配列を含み、式中、mは2~10(例えば、3~10)であり、nは3~10であり、oは1~10であり、各Xは独立して、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、及びYからなる群から選択されるアミノ酸であり、CMは、少なくとも第1の切断部位を含み、TBMは、抗体軽鎖可変領域及び/または抗体重鎖可変領域を含む。先行する実施形態のいずれかと組み合わせることができるいくつかの実施形態では、ライブラリー中のポリヌクレオチドのそれぞれは、N末端からC末端にかけて、第1のペプチド(FP)、切断可能部分(CM)、及び標的結合部分(TBM)を含むポリペプチドコードし、FPは、式(XIII):XmCXnCXo(配列番号86)に従うアミノ酸配列を含み、式中、mは2~10(例えば、3~10)であり、nは3~10であり、oは1~10であり、各Xは独立して、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、及びYからなる群から選択されるアミノ酸であり、CMは、少なくとも第1の切断部位を含み、TBMは、抗体軽鎖可変領域及び/または抗体重鎖可変領域を含む。先行する実施形態のいずれかと組み合わせることができるいくつかの実施形態では、FPは、式(XIV):(NNK)mTGY(NNK)nTGY(NNK)o(配列番号87)に従う核酸配列を含むポリヌクレオチド配列によってコードされ、式中、各Nは独立して、A、G、T、またはCであり、各Kは独立して、TまたはGであり、各Yは独立して、TまたはCである。
【0008】
先行する実施形態のいずれかと組み合わせることができるいくつかの実施形態では、各Xは、M、W、またはCではない。先行する実施形態のいずれかと組み合わせることができるいくつかの実施形態では、式(XIII)のXmにおける各Xは独立して、D、A、Y、S、T、N、I、L、F、V、H、及びPからなる群から選択されるアミノ酸である。先行する実施形態のいずれかと組み合わせることができるいくつかの実施形態では、式(XIII)のXnにおける各Xは独立して、D、A、Y、S、T、N、I、L、F、V、H、及びPからなる群から選択されるアミノ酸である。先行する実施形態のいずれかと組み合わせることができるいくつかの実施形態では、式(XIII)のXoにおける各Xは独立して、D、A、Y、S、T、N、I、L、F、V、H、及びPからなる群から選択されるアミノ酸である。先行する実施形態のいずれかと組み合わせることができるいくつかの実施形態では、mは6である。先行する実施形態のいずれかと組み合わせることができるいくつかの実施形態では、mは、2~5、例えば、2、3、4、または5である。先行する実施形態のいずれかと組み合わせることができるいくつかの実施形態では、nは、6~8である。先行する実施形態のいずれかと組み合わせることができるいくつかの実施形態では、nは6である。先行する実施形態のいずれかと組み合わせることができるいくつかの実施形態では、oは、1~2である。先行する実施形態のいずれかと組み合わせることができるいくつかの実施形態では、oは2である。先行する実施形態のいずれかと組み合わせることができるいくつかの実施形態では、FPは、そのN末端に、追加のアミノ酸配列をさらに含む。いくつかの実施形態では、追加のアミノ酸配列は、配列番号16のアミノ酸配列を含む。
【0009】
先行する実施形態のいずれかと組み合わせることができるいくつかの実施形態では、第1の切断部位は、ウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子(uPA)、マトリックスメタロプロテイナーゼ-1(MMP-1)、MMP-2、MMP-3、MMP-8、MMP-9、MMP-14、タバコエッチウイルス(TEV)プロテアーゼ、プラスミン、トロンビン、第X因子、PSA、PSMA、カテプシンD、カテプシンK、カテプシンS、ADAM10、ADAM12、ADAMTS、カスパーゼ-1、カスパーゼ-2、カスパーゼ-3、カスパーゼ-4、カスパーゼ-5、カスパーゼ-6、カスパーゼ-7、カスパーゼ-8、カスパーゼ-9、カスパーゼ-10、カスパーゼ-11、カスパーゼ-12、カスパーゼ-13、カスパーゼ-14、及びTACEからなる群から選択されるプロテアーゼのプロテアーゼ切断部位である。先行する実施形態のいずれかと組み合わせることができるいくつかの実施形態では、CMは、第1の切断部位のC末端に第1のリンカー(L1)をさらに含む。いくつかの実施形態では、L1は、配列番号17~24からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。先行する実施形態のいずれかと組み合わせることができるいくつかの実施形態では、CMは、第2の切断部位をさらに含む。いくつかの実施形態では、第2の切断部位は、L1のC末端にある。いくつかの実施形態では、第2の切断部位は、ウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子(uPA)、マトリックスメタロプロテイナーゼ-1(MMP-1)、MMP-2、MMP-3、MMP-8、MMP-9、MMP-14、タバコエッチウイルス(TEV)プロテアーゼ、プラスミン、トロンビン、第X因子、PSA、PSMA、カテプシンD、カテプシンK、カテプシンS、ADAM10、ADAM12、ADAMTS、カスパーゼ-1、カスパーゼ-2、カスパーゼ-3、カスパーゼ-4、カスパーゼ-5、カスパーゼ-6、カスパーゼ-7、カスパーゼ-8、カスパーゼ-9、カスパーゼ-10、カスパーゼ-11、カスパーゼ-12、カスパーゼ-13、カスパーゼ-14、及びTACEからなる群から選択されるプロテアーゼのプロテアーゼ切断部位である。いくつかの実施形態では、第1及び第2の切断部位は異なる。先行する実施形態のいずれかと組み合わせることができるいくつかの実施形態では、CMは、第2の切断部位のC末端に第2のリンカー(L2)をさらに含む。いくつかの実施形態では、L2は、配列番号17~24からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。先行する実施形態のいずれかと組み合わせることができるいくつかの実施形態では、CMは、第1の切断部位のN末端にリンカーをさらに含む。
【0010】
先行する実施形態のいずれかと組み合わせることができるいくつかの実施形態では、ライブラリー中の1つ以上のポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドは、第1のペプチド(FP)と、式(III):EVGSYX1X2X3X4X5X6CX7X8X9X10X11X12CX13X14SGRSAGGGGTENLYFQGSGGS(配列番号3)に従うアミノ酸配列を含む切断可能部分(CM)と、を含み、式中、X1は、A、D、I、N、P、またはYであり、X2は、A、F、N、S、またはVであり、X3は、A、H、L、P、S、V、またはYであり、X4は、A、H、S、またはYであり、X5は、A、D、P、S、V、またはYであり、X6は、A、D、L、S、またはYであり、X7は、D、P、またはVであり、X8は、A、D、H、P、S、またはTであり、X9は、A、D、F、H、P、またはYであり、X10は、L、P、またはYであり、X11は、F、P、またはYであり、X12は、A、P、S、またはYであり、X13は、A、D、N、S、T、またはYであり、X14は、A、S、またはYである。いくつかの実施形態では、ライブラリー中のポリヌクレオチドのそれぞれは、式(III)に従うアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする。先行する実施形態のいずれかと組み合わせることができるいくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号25~46からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0011】
先行する実施形態のいずれかと組み合わせることができるいくつかの実施形態では、TBMは、抗体軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、TBMは、軽鎖可変領域のC末端に重鎖可変領域をさらに含む。いくつかの実施形態では、ライブラリーは、1つ以上の抗体重鎖可変領域をコードするポリヌクレオチドをさらに含む。いくつかの実施形態では、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域は、マスキング部分(MM)の不在下で標的に結合することができる抗原結合部位を形成する。
【0012】
先行する実施形態のいずれかと組み合わせることができるいくつかの実施形態では、TBMは、抗体重鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、TBMは、重鎖可変領域のC末端に軽鎖可変領域をさらに含む。いくつかの実施形態では、ライブラリーは、1つ以上の抗体軽鎖可変領域をコードするポリヌクレオチドをさらに含む。いくつかの実施形態では、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域は、マスキング部分(MM)の不在下で標的に結合することができる抗原結合部位を形成する。
【0013】
先行する実施形態のいずれかと組み合わせることができるいくつかの実施形態では、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドのうちの少なくとも1つがベクター中にある。いくつかの実施形態では、ベクターは、発現ベクターまたは提示ベクターである。先行する実施形態のいずれかと組み合わせることができるいくつかの実施形態では、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドのうちの少なくとも1つが細胞中にある。いくつかの実施形態では、細胞は、細菌細胞、酵母細胞、昆虫細胞、または哺乳動物細胞である。
【0014】
本開示の他の態様は、本明細書に記載の細胞のいずれかを、活性化可能抗体の産生に好適な条件下で培養することを含む、活性化可能抗体の産生方法に関する。いくつかの実施形態では、方法は、細胞によって産生された活性化可能抗体を回収することをさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、活性化可能抗体を、可溶性でありながら活性化可能表現型を維持する能力について試験することをさらに含む。
【0015】
本開示の他の態様は、a)CMが切断される前に、ライブラリーの発現産物を標的と接触させる工程と、b)CMが切断された後、ライブラリーの発現産物を標的と接触させる工程と、c)CMが切断された後、標的に結合するが、CMが切断される前には標的に結合しない1つ以上の発現産物を単離する工程とを含む、本明細書に記載されるライブラリーのいずれかを使用して、標的に結合する活性化可能抗体をスクリーニングする方法に関する。また、a)CMが切断される前に、ライブラリーの発現産物を標的と接触させる工程と、b)CMが切断された後、ライブラリーの発現産物を標的と接触させる工程と、c)CMが切断された後、標的に結合するが、CMが切断される前には、CMが切断された後の結合親和性と比べて、低減した標的への結合親和性を有する1つ以上の発現産物を単離する工程とを含む、本明細書に記載されるライブラリーのいずれかを使用して、標的に結合する活性化可能抗体をスクリーニングする方法が、本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、発現産物は、CMが切断される前の発現産物のKDが、CMが切断された後の発現産物のKDの少なくとも2倍(例えば、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍、またはそれ以上)である場合に単離される。いくつかの実施形態では、CMは、ウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子(uPA)、マトリックスメタロプロテイナーゼ-1(MMP-1)、MMP-2、MMP-3、MMP-8、MMP-9、MMP-14、タバコエッチウイルス(TEV)プロテアーゼ、プラスミン、トロンビン、第X因子、PSA、PSMA、カテプシンD、カテプシンK、カテプシンS、ADAM10、ADAM12、ADAMTS、カスパーゼ-1、カスパーゼ-2、カスパーゼ-3、カスパーゼ-4、カスパーゼ-5、カスパーゼ-6、カスパーゼ-7、カスパーゼ-8、カスパーゼ-9、カスパーゼ-10、カスパーゼ-11、カスパーゼ-12、カスパーゼ-13、カスパーゼ-14、及びTACEからなる群から選択されるプロテアーゼの少なくとも第1のプロテアーゼ切断部位を含む。いくつかの実施形態では、標的はCTLA4、CD137、PD-1、PD-L1、PD-L2、LAG3、TIM3、B7-H3、OX40、CD3、CD19、CD20、CD40、CD95、CD120a、BTLA、VISTA、ICOS、BCMA、Her1、Her2、Her3、及び/またはB7-H4である。いくつかの実施形態では、標的は、CTLA4またはCD137である。
【0016】
本開示の他の態様は、本明細書に記載のライブラリーのいずれかの1つ以上のポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチド、または本明細書に記載のライブラリーのいずれかの1つ以上のポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドのライブラリーに関する。
【0017】
本開示の他の態様は、本明細書に記載のライブラリーのいずれかを含むキットに関する。
【0018】
本開示の他の態様は、抗原結合ドメインを含むライブラリーに関し、抗原結合ドメインのうちの少なくとも1つは、N末端からC末端にかけて、第1のペプチド(FP)、切断可能部分(CM)、及び標的結合部分(TBM)を含むポリペプチドを含み、FPは、式(XIII):XmCXnCXo(配列番号86)に従うアミノ酸配列を含み、式中、mは2~10(例えば、3~10)であり、nは3~10であり、oは1~10であり、各Xは独立して、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、及びYからなる群から選択されるアミノ酸であり、CMは、少なくとも第1の切断部位を含み、TBMは、抗体軽鎖可変領域及び/または抗体重鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、抗原結合ドメインのうちの少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも10個、少なくとも50個、少なくとも100個、少なくとも1000個は、N末端からC末端にかけて、第1のペプチド(FP)、切断可能部分(CM)、及び標的結合部分(TBM)を含む固有のポリペプチドを含み、FPは、式(XIII):XmCXnCXo(配列番号86)に従うアミノ酸配列を含み、式中、mは2~10(例えば、3~10)であり、nは3~10であり、oは1~10であり、各Xは独立して、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、及びYからなる群から選択されるアミノ酸であり、CMは、少なくとも第1の切断部位を含み、TBMは、抗体軽鎖可変領域及び/または抗体重鎖可変領域を含む。先行する実施形態のいずれかと組み合わせることができるいくつかの実施形態では、抗原結合ドメインのそれぞれは、N末端からC末端にかけて、第1のペプチド(FP)、切断可能部分(CM)、及び標的結合部分(TBM)を含む固有のポリペプチドコードし、FPは、式(XIII):XmCXnCXo(配列番号86)に従うアミノ酸配列を含み、式中、mは2~10(例えば、3~10)であり、nは3~10であり、oは1~10であり、各Xは独立して、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、及びYからなる群から選択されるアミノ酸であり、CMは、少なくとも第1の切断部位を含み、TBMは、抗体軽鎖可変領域及び/または抗体重鎖可変領域を含む。先行する実施形態のいずれかと組み合わせることができるいくつかの実施形態では、TBMは、抗体軽鎖可変領域を含み、抗原結合ドメインが、抗体重鎖可変領域をさらに含む。先行する実施形態のいずれかと組み合わせることができるいくつかの実施形態では、TBMは、抗体重鎖可変領域を含み、抗原結合ドメインが、抗体軽鎖可変領域をさらに含む。先行する実施形態のいずれかと組み合わせることができるいくつかの実施形態では、各Xは、M、W、またはCではない。先行する実施形態のいずれかと組み合わせることができるいくつかの実施形態では、式(XIII)のXmにおける各Xは独立して、D、A、Y、S、T、N、I、L、F、V、H、及びPからなる群から選択されるアミノ酸である。先行する実施形態のいずれかと組み合わせることができるいくつかの実施形態では、式(XIII)のXnにおける各Xは独立して、D、A、Y、S、T、N、I、L、F、V、H、及びPからなる群から選択されるアミノ酸である。先行する実施形態のいずれかと組み合わせることができるいくつかの実施形態では、式(XIII)のXoにおける各Xは独立して、D、A、Y、S、T、N、I、L、F、V、H、及びPからなる群から選択されるアミノ酸である。いくつかの実施形態では、ライブラリー中の抗原結合ドメインのそれぞれは、ファージまたは細胞(例えば、酵母細胞)上で表示される。
【0019】
本開示の他の態様は、N末端からC末端にかけて、第1のペプチド(FP)、切断可能部分(CM)、及び標的結合部分(TBM)を含むポリペプチドを含む抗体軽鎖に関し、FPは、式(I):XmCXnCZo(配列番号1)に従うアミノ酸配列を含み、式中、mは2~10(例えば、3~10)であり、nは3~10であり、oは1~10であり、各Xは独立して、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、及びYからなる群から選択されるアミノ酸であり、各Zは独立して、D、A、Y、S、T、N、I、L、F、V、H、及びPからなる群から選択されるアミノ酸であり、CMは、少なくとも第1の切断部位を含み、TBMは、抗体軽鎖可変領域を含む。本開示の他の態様は、重鎖及び軽鎖を含む抗体に関し、この軽鎖は、本明細書に記載の抗体軽鎖のいずれかである。先行する実施形態のいずれかと組み合わせることができるいくつかの実施形態では、各Xは、M、W、またはCではない。先行する実施形態のいずれかと組み合わせることができるいくつかの実施形態では、式(XIII)のXmにおける各Xは独立して、D、A、Y、S、T、N、I、L、F、V、H、及びPからなる群から選択されるアミノ酸である。
【0020】
本開示の他の態様は、N末端からC末端にかけて、第1のペプチド(FP)、切断可能部分(CM)、及び標的結合部分(TBM)を含むポリペプチドを含む抗体重鎖に関し、FPは、式(I):XmCXnCZo(配列番号1)に従うアミノ酸配列を含み、式中、mは2~10(例えば、3~10)であり、nは3~10であり、oは1~10であり、各Xは独立して、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、及びYからなる群から選択されるアミノ酸であり、各Zは独立して、D、A、Y、S、T、N、I、L、F、V、H、及びPからなる群から選択されるアミノ酸であり、CMは、少なくとも第1の切断部位を含み、TBMは、抗体重鎖可変領域を含む。本開示の他の態様は、重鎖及び軽鎖を含む抗体に関し、この重鎖は、本明細書に記載の抗体重鎖のいずれかである。先行する実施形態のいずれかと組み合わせることができるいくつかの実施形態では、各Xは、M、W、またはCではない。先行する実施形態のいずれかと組み合わせることができるいくつかの実施形態では、式(XIII)のXmにおける各Xは独立して、D、A、Y、S、T、N、I、L、F、V、H、及びPからなる群から選択されるアミノ酸である。
【0021】
本開示の他の態様は、表面上で提示された少なくとも1つのポリペプチドを含む細胞に関し、その少なくともポリペプチドが、N末端からC末端にかけて、第1のペプチド(FP)、切断可能部分(CM)、及び標的結合部分(TBM)を含み、FPは、式(I):XmCXnCZo(配列番号1)に従うアミノ酸配列を含み、式中、mは2~10(例えば、3~10)であり、nは3~10であり、oは1~10であり、各Xは独立して、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、及びYからなる群から選択されるアミノ酸であり、各Zは独立して、D、A、Y、S、T、N、I、L、F、V、H、及びPからなる群から選択されるアミノ酸であり、CMは、少なくとも第1の切断部位を含み、TBMは、抗体軽鎖可変領域及び/または抗体重鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、細胞は、細菌細胞、酵母細胞、昆虫細胞、または哺乳動物細胞である。先行する実施形態のいずれかと組み合わせることができるいくつかの実施形態では、各Xは、M、W、またはCではない。先行する実施形態のいずれかと組み合わせることができるいくつかの実施形態では、式(I)のXm中の各Xは独立して、D、A、Y、S、T、N、I、L、F、V、H、及びPからなる群から選択されるアミノ酸である。先行する実施形態のいずれかと組み合わせることができるいくつかの実施形態では、式(I)のXn中の各Xは独立して、D、A、Y、S、T、N、I、L、F、V、H、及びPからなる群から選択されるアミノ酸である。
【0022】
本開示の他の態様は、N末端からC末端にかけて、マスキング部分(MM)、切断可能部分(CM)、及び標的結合部分(TBM)を含むポリペプチドを含む活性化可能抗体に関し、MMは、式(I):XmCXnCZo(配列番号1)に従うアミノ酸配列を含み、式中、mは2~10(例えば、3~10)であり、nは3~10であり、oは1~10であり、各Xは独立して、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、及びYからなる群から選択されるアミノ酸であり、各Zは独立して、D、A、Y、S、T、N、I、L、F、V、H、及びPからなる群から選択されるアミノ酸であり、MMは、CMが切断されていない場合、活性化可能抗体のヒトCTLA4への結合を阻害し、CMは、少なくとも第1の切断部位を含み、TBMは、抗体軽鎖可変領域(VL)及び/または抗体重鎖可変領域(VH)を含み、活性化可能抗体は、CMが切断される場合に、VH及びVLを介してヒトCTLA4に結合する。いくつかの実施形態では、TBMは、VLを含み、活性化可能抗体は、VHをさらに含む。いくつかの実施形態では、TBMは、VHを含み、活性化可能抗体は、VLをさらに含む。いくつか実施形態では、TBMは、N末端からC末端にかけて、VH及びVL、またはVL及びVHを含む。いくつかの実施形態では、CMは少なくとも第1のプロテアーゼ切断部位を含み、ウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子(uPA)、マトリックスメタロプロテイナーゼ-1(MMP-1)、MMP-2、MMP-3、MMP-8、MMP-9、MMP-14、タバコエッチウイルス(TEV)プロテアーゼ、プラスミン、トロンビン、第X因子、PSA、PSMA、カテプシンD、カテプシンK、カテプシンS、ADAM10、ADAM12、ADAMTS、カスパーゼ-1、カスパーゼ-2、カスパーゼ-3、カスパーゼ-4、カスパーゼ-5、カスパーゼ-6、カスパーゼ-7、カスパーゼ-8、カスパーゼ-9、カスパーゼ-10、カスパーゼ-11、カスパーゼ-12、カスパーゼ-13、カスパーゼ-14、及びTACEからなる群から選択される1つ以上のプロテアーゼで切断される。先行する実施形態のいずれかと組み合わせることができるいくつかの実施形態では、各Xは、M、W、またはCではない。先行する実施形態のいずれかと組み合わせることができるいくつかの実施形態では、式(I)のXm中の各Xは独立して、D、A、Y、S、T、N、I、L、F、V、H、及びPからなる群から選択されるアミノ酸である。先行する実施形態のいずれかと組み合わせることができるいくつかの実施形態では、式(I)のXn中の各Xは独立して、D、A、Y、S、T、N、I、L、F、V、H、及びPからなる群から選択されるアミノ酸である。先行する実施形態のいずれかと組み合わせることができるいくつかの実施形態では、MMは、配列番号72~78からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。先行する実施形態のいずれかと組み合わせることができるいくつかの実施形態では、VLは配列番号62のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号63のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び配列番号64のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。先行する実施形態のいずれかと組み合わせることができるいくつかの実施形態では、VLは、配列番号48のアミノ酸配列を含む。先行する実施形態のいずれかと組み合わせることができるいくつかの実施形態では、VHは配列番号59のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号60のアミノ酸配列を含むHVR-H2、及び配列番号61のアミノ酸配列を含むHVR-H3を含む。先行する実施形態のいずれかと組み合わせることができるいくつかの実施形態では、VHは、配列番号47のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、mは3~10である。
【0023】
本開示の他の態様は、N末端からC末端にかけて、マスキング部分(MM)、切断可能部分(CM)、及び標的結合部分(TBM)を含むポリペプチドを含む活性化可能抗体に関し、MMは、式(I):XmCXnCZo(配列番号1)に従うアミノ酸配列を含み、式中、mは2~10(例えば、3~10)であり、nは3~10であり、oは1~10であり、各Xは独立して、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、及びYからなる群から選択されるアミノ酸であり、各Zは独立して、D、A、Y、S、T、N、I、L、F、V、H、及びPからなる群から選択されるアミノ酸であり、MMは、CMが切断されていない場合、活性化可能抗体のヒトCD137への結合を阻害し、CMは、少なくとも第1の切断部位を含み、TBMは、抗体軽鎖可変領域(VL)及び/または抗体重鎖可変領域(VH)を含み、活性化可能抗体は、CMが切断される場合に、VH及びVLを介してヒトCD137に結合する。いくつかの実施形態では、TBMは、VLを含み、活性化可能抗体は、VHをさらに含む。いくつかの実施形態では、TBMは、VHを含み、活性化可能抗体は、VLをさらに含む。いくつか実施形態では、TBMは、N末端からC末端にかけて、VH及びVL、またはVL及びVHを含む。いくつかの実施形態では、CMは少なくとも第1のプロテアーゼ切断部位を含み、ウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子(uPA)、マトリックスメタロプロテイナーゼ-1(MMP-1)、MMP-2、MMP-3、MMP-8、MMP-9、MMP-14、タバコエッチウイルス(TEV)プロテアーゼ、プラスミン、トロンビン、第X因子、PSA、PSMA、カテプシンD、カテプシンK、カテプシンS、ADAM10、ADAM12、ADAMTS、カスパーゼ-1、カスパーゼ-2、カスパーゼ-3、カスパーゼ-4、カスパーゼ-5、カスパーゼ-6、カスパーゼ-7、カスパーゼ-8、カスパーゼ-9、カスパーゼ-10、カスパーゼ-11、カスパーゼ-12、カスパーゼ-13、カスパーゼ-14、及びTACEからなる群から選択される1つ以上のプロテアーゼで切断される。先行する実施形態のいずれかと組み合わせることができるいくつかの実施形態では、各Xは、M、W、またはCではない。先行する実施形態のいずれかと組み合わせることができるいくつかの実施形態では、式(I)のXm中の各Xは独立して、D、A、Y、S、T、N、I、L、F、V、H、及びPからなる群から選択されるアミノ酸である。先行する実施形態のいずれかと組み合わせることができるいくつかの実施形態では、式(I)のXn中の各Xは独立して、D、A、Y、S、T、N、I、L、F、V、H、及びPからなる群から選択されるアミノ酸である。先行する実施形態のいずれかと組み合わせることができるいくつかの実施形態では、MMは、配列番号79~85及び88~94からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。先行する実施形態のいずれかと組み合わせることができるいくつかの実施形態では、VLは配列番号68のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号69のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び配列番号70のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。先行する実施形態のいずれかと組み合わせることができるいくつかの実施形態では、VLは、配列番号50のアミノ酸配列を含む。先行する実施形態のいずれかと組み合わせることができるいくつかの実施形態では、VHは配列番号65のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号66のアミノ酸配列を含むHVR-H2、及び配列番号67のアミノ酸配列を含むHVR-H3を含む。先行する実施形態のいずれかと組み合わせることができるいくつかの実施形態では、VHは、配列番号49のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、mは3~10である。
【0024】
本開示の他の態様は、本明細書に記載の活性化可能抗体のいずれかをコードするポリヌクレオチドに関する。他の態様では、本開示は、本明細書に記載のポリヌクレオチド(例えば、活性化可能抗体をコードするポリヌクレオチド)のいずれかを含むベクターに関する。いくつかの実施形態では、ベクターは、発現ベクター及び/または提示ベクターである。他の態様では、本開示は、本明細書に記載のポリヌクレオチド及び/またはベクター(例えば、活性化可能抗体をコードするポリヌクレオチド及び/またはベクター)のいずれかを含む宿主細胞に関する。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、真核細胞である。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞である。他の態様では、本開示は、本明細書に記載の宿主細胞のいずれかを、抗体または活性化可能抗体の産生に好適な条件下で培養することを含む、活性化可能抗体の作製方法に関する。いくつかの実施形態では、方法は、細胞によって抗体または活性化可能抗体を回収することをさらに含む。
【0025】
本開示の他の態様は、がんの治療またはその進行の遅延を、それを必要とする対象において行う方法に関し、本方法は、本明細書に記載のライブラリーのいずれか及び/または本明細書に記載の活性化可能抗体のいずれか(例えば、ヒトCTLA4に対する活性化可能抗体またはヒトCD137に対する活性化可能抗体)からの1つ以上のポリヌクレオチドによってコードされる、有効量のポリペプチドを対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、対象に有効量の少なくとも1つの追加の治療剤を投与することをさらに含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの追加の治療剤は、ウイルス遺伝子治療、免疫チェックポイント阻害剤、標的療法、放射線療法、及び化学療法からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの追加の治療剤は、ポマリスト、レブラミド、レナリドミド、ポマリドミド、サリドマイド、DNAアルキル化白金含有誘導体、シスプラチン、5-フルオロウラシル、シクロホスファミド、抗CD137抗体、抗CTLA4抗体、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体、抗CD20抗体、抗CD40抗体、抗DR5抗体、抗CD1d抗体、抗TIM3抗体、抗SLAMF7抗体、抗KIR受容体抗体、抗OX40抗体、抗HER2抗体、抗ErbB-2抗体、抗EGFR抗体、セツキシマブ、リツキシマブ、トラスツズマブ、ペムブロリズマブ、放射線療法、単回放射線、分割放射線、焦点放射線、全臓器放射線、IL-12、IFNα、GM-CSF、キメラ抗原受容体、養子移入T細胞、抗がんワクチン、及び腫瘍溶解性ウイルスからなる群から選択される。
【0026】
上記及び本明細書において説明される様々な実施形態の特性のうちの1つ、いくつか、またはすべては、組み合わされて本開示の他の実施形態を形成し得ることが理解されるべきである。本開示のこれらの及び他の態様は、当業者に明らかになるであろう。本開示のこれらの及び他の実施形態は、後続の発明を実施するための形態によってさらに説明される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】酵母表面上に提示された標的抗体のFab断片を使用する自己遮断ペプチドの例示的選択プロセスの概略図を示す。
【
図2】酵母表面上に提示された標的抗体のscFv断片を使用する自己遮断ペプチドの例示的選択プロセスの概略図を示す。
【
図3】フローサイトメトリーによって決定された、酵母上のCTLA4を標的化するFab及びscFvの機能的提示を示す。Aは、酵母の表面上のCTLA4を標的化するFabの機能的提示を示す。Bは、酵母の表面上のCTLA4を標的化するscFvの機能的提示を示す。
【
図4】ヒトCTLA4を標的化する活性化可能抗体の例示的な選択プロセスを示す。融合タンパク質を提示する酵母ライブラリーを、数ラウンドのFACSベースのスクリーニングに供した。
【
図5】フローサイトメトリーによって決定された、例示的なCTLA4活性化可能抗体クローンのCTLA4結合親和性を示す。Aは、マスキングペプチドを有しない標的抗体のscFv断片と比較した、無傷のマスキングペプチドを有するか、またはTEVプロテアーゼによって切断されたマスキングペプチドを有するCTLA4活性化可能抗体クローンB13287を含むscFvフォーマットにおける、CTLA4活性化可能抗体クローンの結合親和性を示す。Bは、マスキングペプチドを有しない標的抗体のFab断片と比較した、無傷のマスキングペプチドを有するか、またはTEVプロテアーゼによって切断されたマスキングペプチドを有するCTLA4活性化可能抗体クローンB13189を含むFabフォーマットにおける、CTLA4活性化可能抗体クローンのCTLA4結合親和性を示す。
【
図6】親抗体TY21580と比較した、例示的なCTLA4活性化可能抗体TY22401、TY22403、TY22402、及びTY22404のマスキング効率を示す。Aは、ForteBioシステムによって決定された、親抗体TY21580と比較した、示された活性化可能抗体の会合及び解離曲線を示す。Bは、親抗体TY21580と比較した、結合された活性化可能抗体の相対比のグラフを示す。
【
図7】ELISAによって決定された、組換えヒトCTLA4-Fcに対する例示的なCTLA4活性化可能抗体のマスキング効率を示す。Aは、親抗体TY21580と比較した、CTLA4活性化可能抗体TY22401、TY22402、TY22403、TY22404の組換えヒトCTLA4-Fcへの結合を示すELISAデータの第1のバッチを示す。Bは、親抗体TY21580と比較した、CTLA4活性化可能抗体TY22401、TY22402、TY22403、TY22404の組換えヒトCTLA4-Fcへの結合を示すELISAデータの第2のバッチを示す。Cは、親抗体TY21580と比較した、CTLA4活性化可能抗体TY22563、TY22564、TY22565、TY22566の組換えヒトCTLA4-Fcへの結合を示す。
【
図8】マスキングペプチドを除去した際のCTLA4活性化可能抗体TY22404の活性を示す。Aは、無処理、プロテアーゼuPAで処理された、または5もしくは10単位のプロテアーゼMMP-9で処理された活性化可能抗体TY22404のSDS-PAGE結果を示す。Bは、ELISAによって決定された、親抗体TY21580と比較した、無処理、プロテアーゼuPAで処理された、またはプロテアーゼMMP-9で処理された活性化可能抗体TY22404の結合を示す。
【
図9A】加速ストレス条件下での例示的な活性化可能抗体のサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)プロファイルを示す。対照条件と比較した、6サイクルの凍結融解後の活性化可能抗体TY22402のSECプロファイルを示す。
【
図9B】加速ストレス条件下での例示的な活性化可能抗体のサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)プロファイルを示す。対照条件と比較した、50℃で7日後の活性化可能抗体TY22402のSECプロファイルを示す。
【
図9C】加速ストレス条件下での例示的な活性化可能抗体のサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)プロファイルを示す。対照条件と比較した、50℃で7日後、40℃で最長28日間の保存後、または6サイクルの凍結融解後の例示的な活性化可能抗体のSECメインピーク面積のパーセンテージを示す。
【
図10】約8mg/mLまたは150mg/mL超で保存した後の活性化可能抗体TY22401及びTY22402のSECメインピーク面積のパーセンテージを示す。
【
図11】ForteBioシステムによって決定された、pH3.7で30分間インキュベートされた、またはpH3.7で1時間インキュベートされた、未処理の活性化可能抗体TY21580、TY22401、TY22402、及びTY22566のマスキング効率を示す。
【
図12A】ELISAによって測定された、アイソタイプ対照抗体、親抗体TY21580、または例示的なCTLA4活性化可能抗体TY22401、TY22402、もしくはTY22404によるヒト末梢血単核細胞(PBMC)活性化を示す。アイソタイプ対照抗体、親抗体TY21580、及び例示的なCTLA4活性化可能抗体TY22401、TY22402、またはTY22404で刺激された、CD3で初回刺激を受けたヒトPBMCからのIL-2分泌に対する効果を示す。
【
図12B】ELISAによって測定された、アイソタイプ対照抗体、親抗体TY21580、または例示的なCTLA4活性化可能抗体TY22401、TY22402、もしくはTY22404によるヒト末梢血単核細胞(PBMC)活性化を示す。アイソタイプ対照抗体、親抗体TY21580、及び例示的なCTLA4活性化可能抗体TY22401、TY22402、またはTY22404で刺激された、CD3で初回刺激を受けたヒトPBMCからのIFNγ分泌に対する効果を示す。
【
図13】ADCCレポーター遺伝子アッセイによって決定された、アイソタイプ対照抗体、親抗体TY21580、または例示的な活性化可能抗体TY22401、TY21580、もしくはTY22404の、ヒトCTLA4を一時的に過剰発現するHEK293F細胞に対する抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)活性を示す。
【
図14A】MC38同系マウス結腸直腸腫瘍モデルにおける親抗体TY21580、アイソタイプ対照抗体、または例示的なCTLA4活性化可能抗体TY22401、TY22402、もしくはTY22566のインビボ抗腫瘍効果を示す。異なる治療群の雌のMC38型腫瘍担持C57BL/6マウスの腫瘍増殖曲線を示す。データポイントは群平均値を表し、エラーバーはSEMを表す。
【
図14B】MC38同系マウス結腸直腸腫瘍モデルにおける親抗体TY21580、アイソタイプ対照抗体、または例示的なCTLA4活性化可能抗体TY22401、TY22402、もしくはTY22566のインビボ抗腫瘍効果を示す。TY21580、TY22401、TY22402、及びTY22566で治療された群の個々の腫瘍増殖曲線を示す。
【
図15】CT26同系マウス結腸直腸腫瘍モデルにおけるアイソタイプ対照抗体、親抗体TY21580、または3つの活性化可能抗体のうちの1つのインビボ抗腫瘍効果を示す。異なる治療群の雌のCT26型腫瘍担持C57BL/6マウスの腫瘍増殖曲線を示す。データポイントは群平均値を表し、エラーバーはSEMを表す。
【
図16】H22同系マウス肝臓腫瘍モデルにおけるアイソタイプ対照抗体、親抗体TY21580、または3つの活性化可能抗体のうちの1つのインビボ抗腫瘍効果を示す。異なる治療群の雌のH22型腫瘍担持C57BL/6マウスの腫瘍増殖曲線を示す。データポイントは群平均値を表し、エラーバーはSEMを表す。
【
図17A】3LL同系マウス肺腫瘍モデルにおける親抗体TY21580、アイソタイプ対照抗体、及び例示的な活性化可能抗体TY22401、TY22402、またはTY22566のインビボ抗腫瘍効果を示す。異なる治療群の雌の3LL型腫瘍担持C57BL/6マウスの腫瘍増殖曲線を示す。データポイントは群平均値を表し、エラーバーはSEMを表す。
【
図17B】3LL同系マウス肺腫瘍モデルにおける親抗体TY21580、アイソタイプ対照抗体、及び例示的な活性化可能抗体TY22401、TY22402、またはTY22566のインビボ抗腫瘍効果を示す。TY21580、TY22401、TY22402、及びTY22566で治療された群の個々の腫瘍増殖曲線を示す。
【
図18】雌のBALB/cマウスに10mg/kgの濃度で静脈内投与された試験品(TA)の、ELISAによって決定された血中濃度のタイムコースを示す。Aは、雌のBALB/cマウスに10mg/kgの濃度で静脈内投与された活性化可能抗体TY22401の、親抗体TY21580と比較した血中濃度のタイムコースを示す。Bは、雌のBALB/cマウスに10mg/kgの濃度で静脈内投与された活性化可能抗体TY22402の、親抗体TY21580と比較した血中濃度のタイムコースを示す。Cは、雌のBALB/cマウスに10mg/kgの濃度で静脈内投与された活性化可能抗体TY22404の、親抗体TY21580と比較した血中濃度のタイムコースを示す。
【
図19】NODマウスモデルを使用した、アイソタイプ対照抗体、親抗体TY21580、ならびに例示的な活性化可能抗体TY22566、TY22401、及びTY22402の反復投与毒性を示す。20日間の生存率のパーセントを、各治療群について示した。
【
図20】フローサイトメトリーによって決定された、酵母上のヒトCD137を標的化するFab及びscFvの機能的提示を示す。Aは、酵母の表面上のCD137を標的化するscFvを示す。Bは、酵母の表面上のCD137を標的化するFabを示す。
【
図21】ヒトCD137を標的化する活性化可能抗体の例示的な選択プロセスを示す。融合タンパク質を提示する酵母ライブラリーを、数ラウンドのFACSベースのスクリーニングに供した。
【
図22A】フローサイトメトリーによって決定された、例示的なCD137活性化可能抗体クローンのCD137結合親和性を示す。マスキングペプチドを有しない標的抗体のscFv断片と比較した、無傷のマスキングペプチドを有するか、またはTEVプロテアーゼによって切断されたマスキングペプチドを有するCD137活性化可能抗体クローンB13428を含むscFvフォーマットにおける、CD137活性化可能抗体クローンの結合親和性を示す。
【
図22B】フローサイトメトリーによって決定された、例示的なCD137活性化可能抗体クローンのCD137結合親和性を示す。マスキングペプチドを有しない標的抗体のscFv断片と比較した、無傷のマスキングペプチドを有するか、またはTEVプロテアーゼによって切断されたマスキングペプチドを有するCD137活性化可能抗体クローンB13439を含むscFvフォーマットにおける、CD137活性化可能抗体クローンのCD137の結合親和性を示す。
【
図23】フローサイトメトリーによって決定された、親抗体TY21242と比較した、ヒトCD137に対する例示的活性化可能抗体のマスキング効率を示す。
【
図24】親抗体TY21580と比較した場合の、可変長のマスキングペプチドを含有する例示的な活性化可能抗体のマスキング効率を示す。マスキング効率は、ELISAベースの方法を使用して決定した。A及びBは、様々な活性化可能抗CTLA4抗体を試験するために同じ実験方法を使用して設定された2つの実験を表す。
【
図25】親抗体TY21580と比較した場合の、異なる長さの切断ペプチドを含有する例示的な活性化可能抗体のマスキング効率を示す。マスキング効率は、ELISAベースの方法を使用して決定した。
【発明を実施するための形態】
【0028】
I.一般的技法
本明細書に記載または参照される技法及び手順は、一般的に、当業者によってよく理解され、従来の方法論、例えば、Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual 3d edition(2001)Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.、Current Protocols in Molecular Biology(F.M.Ausubel,et al.eds.,(2003))、the series Methods in Enzymology(Academic Press,Inc.):PCR 2:A Practical Approach(M.J.MacPherson,B.D.Hames and G.R.Taylor eds.(1995)),Harlow and Lane,eds.(1988)Antibodies,A Laboratory Manual,and Animal Cell Culture(R.I.Freshney,ed.(1987));Oligonucleotide Synthesis(M.J.Gait,ed.,1984)、Methods in Molecular Biology,Humana Press、Cell Biology:A Laboratory Notebook(J.E.Cellis,ed.,1998)Academic Press;Animal Cell Culture(R.I.Freshney),ed.,1987);Introduction to Cell and Tissue Culture(J.P.Mather and P.E.Roberts,1998)Plenum Press;Cell and Tissue Culture:Laboratory Procedures(A.Doyle,J.B.Griffiths,and D.G.Newell,eds.,1993-8)J.Wiley and Sons;Handbook of Experimental Immunology(D.M.Weir and C.C.Blackwell,eds.);Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells(J.M.Miller and M.P.Calos,eds.,1987);PCR:The Polymerase Chain Reaction,(Mullis et al.,eds.,1994);Current Protocols in Immunology(J.E.Coligan et al.,eds.,1991);Short Protocols in Molecular Biology(Wiley and Sons,1999);Immunobiology(C.A.Janeway and P.Travers,1997);Antibodies(P.Finch,1997);Antibodies:A Practical Approach(D.Catty.,ed.,IRL Press,1988-1989)、Monoclonal Antibodies:A Practical Approach(P.Shepherd and C.Dean,eds.,Oxford University Press,2000)、Using Antibodies:A Laboratory Manual(E.Harlow and D.Lane(Cold Spring Harbor Laboratory Press,1999)、The Antibodies(M.Zanetti andJ.D.Capra,eds.,Harwood Academic Publishers,1995)、及びCancer:Principles and Practice of Oncology(V.T.DeVita et al.,eds.,J.B.Lippincott Company,1993)に記載される広く利用される方法論を用いて一般に行われる。
【0029】
II.定義
本開示を詳細に説明する前に、本開示は、特定の組成物または生体系に限定されず、言うまでもなく多様であり得ることを理解されたい。また、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、限定するようには意図されていないことも理解されたい。
【0030】
本明細書で使用される場合、文脈上明らかに示されない限り、「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」という単数形は、複数の言及物を含む。したがって、例えば、「分子」への言及は、2つ以上のそのような分子の組み合わせなどを任意に含む。
【0031】
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、当業者であれば容易に理解するそれぞれの値の通常の誤差範囲を指す。本明細書における「約」値またはパラメータへの言及は、その値またはパラメータ自体を対象とする実施形態を含む(かつ説明する)。
【0032】
本明細書に記載される本開示の態様及び実施形態は、態様及び実施形態「を含む」、「からなる」、及び「から本質的になる」を含むことを理解されたい。
【0033】
本明細書で使用される場合、「及び/または」という用語は、「A及び/またはB」などの語句がA及びBの両方、AまたはB、A(単独)、及びB(単独)を含むことを意図している。同様に、本明細書で使用される場合、「及び/または」という用語は、「A、B、及び/またはC」などの語句が以下の実施形態:A、B、及びC;A、B、またはC;AまたはC;AまたはB;BまたはC;A及びC;A及びB;B及びC;A(単独);B(単独);及びC(単独)の各々を包含することを意図している。
【0034】
「アミノ酸」という用語は、天然アミノ酸及び合成アミノ酸、ならびに天然アミノ酸と同様に機能するアミノ酸類似体及びアミノ酸模倣体を指す。天然アミノ酸は、遺伝暗号によってコードされるもの、ならびにそれらのアミノ酸が後で修飾されたもの、例えば、ヒドロキシプロリン、ガンマ-カルボキシグルタメート、及びO-ホスホセリンである。「アミノ酸類似体」という用語は、天然アミノ酸と同じ基本的な化学構造を有する化合物を指すが、C末端のカルボキシ基、N末端のアミノ基、または側鎖の官能基は、別の官能基に化学的に修飾されている。「アミノ酸模倣体」という用語は、アミノ酸の一般的な化学構造とは異なる構造を有するが、天然アミノ酸と同様に機能する化学化合物を指す。
【0035】
本明細書で使用される場合、20個の従来のアミノ酸及びそれらの略称は、従来の使用法に従う。例えば、Immunology-A Synthesis(2nd Edition,E.S.Golub and D.R.Gren,Eds.,Sinauer Associates,Sunderland,Mass.(1991))を参照されたい。
【0036】
「ポリペプチド」、「タンパク質」、及び「ペプチド」という用語は、本明細書において互換的に使用され、2つ以上のアミノ酸のポリマーを指し得る。
【0037】
本明細書で互換的に使用される「ポリヌクレオチド」または「核酸」は、任意の長さのヌクレオチドのポリマーを指し、DNA及びRNAを含む。ヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、修飾ヌクレオチドもしくは塩基、及び/またはそれらの類似体、あるいはDNAもしくRNAポリメラーゼにより、または合成反応によりポリマーに組み込むことができる任意の基質であり得る。ポリヌクレオチドは、メチル化ヌクレオチド及びそれらの類似体などの修飾ヌクレオチドを含み得る。存在する場合、ヌクレオチド構造への修飾は、ポリマーの組み立て前または組み立て後に付与され得る。ヌクレオチドの配列は、非ヌクレオチド成分によって中断され得る。ポリヌクレオチドは、標識へのコンジュゲートなどの、合成後になされる修飾(複数可)を含み得る。他のタイプの修飾としては、例えば、天然に存在するヌクレオチドのうちの1つ以上を類似体と置換する「キャップ」、ヌクレオチド間修飾、例えば、非電荷性結合(例えば、メチルホスホン酸塩、ホスホトリエステル、ホスホアミデート、カルバメートなど)によるもの、及び電荷性結合(例えば、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエートなど)によるもの、例えば、タンパク質(例えば、ヌクレアーゼ、毒素、抗体、シグナルペプチド、ポリ-L-リジンなど)の懸垂部分を含むもの、挿入剤(例えば、アクリジン、ソラーレンなど)によるもの、キレート剤(例えば、金属、放射活性金属、ホウ素、酸化金属など)を含むもの、アルキル化剤を含むもの、修飾結合(例えば、アルファアノマー核酸など)によるもの、ならびにポリヌクレオチド(複数可)の未修飾形態が挙げられる。さらに、糖内に通常存在するヒドロキシル基のうちのいずれかは、例えば、ホスホン酸基、リン酸基によって置換されるか、標準保護基によって保護されるか、もしくは活性化されて追加のヌクレオチドへの追加の結合を調製してもよく、または固体もしくは半固体支持体にコンジュゲートされてもよい。5’及び3’末端OHをリン酸化するか、またはアミンもしくは1~20個の炭素原子の有機キャッピング基部分で置換することができる。他のヒドロキシルは、標準保護基に誘導体化され得る。ポリヌクレオチドは、例えば、2’-O-メチル-、2’-O-アリル、2’-フルオロ-、または2’-アジド-リボース、炭素環糖類似体、α-アノマー糖、アラビノース、キシロースまたはリキソースなどのエピマー糖、ピラノース糖、フラノース糖、セドヘプツロース、アクリル酸類似体、及びメチルリボシドなどの塩基性ヌクレオシド類似体を含む、当該技術分野において一般的に既知であるリボース糖またはデオキシリボース糖の類似形態も含有することができる。1つ以上のホスホジエステル結合は、代替連結基に置き換えられ得る。これらの代替連結基としては、限定されないが、リン酸塩がP(O)S(「チオエート」)、P(S)S(「ジチオエート」)、(O)NR2(「アミデート」)、P(O)R、P(O)OR’、CO、またはCH2(「ホルムアセタール」)に置き換えられる実施形態を含み、式中、各RまたはR’は独立して、Hであるか、または置換もしくは非置換アルキル(1~20C)(任意にエーテル(-O-)結合を含む)、アリール、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、またはアラルジルである。ポリヌクレオチドにおけるすべての結合が同一である必要はない。先行する説明は、RNA及びDNAを含む、本明細書において言及されるすべてのポリヌクレオチドに適用する。
【0038】
「単離された核酸」という用語は、核酸の天然源に存在する他の核酸分子から分離された、ゲノム、cDNA、もしくは合成起源の核酸分子、またはそれらの組み合わせを指す。例えば、ゲノムDNAに関して、「単離された」という用語は、ゲノムDNAが天然に結合している染色体から分離されている核酸分子を含む。好ましくは、「単離された」核酸は、天然に核酸に隣接する配列(すなわち、目的の核酸の5′及び3′末端に位置する配列)を含まない。
【0039】
本明細書で使用される場合、「ライブラリー」は、共有されたクラスを有する2つ以上の実体のセットを指す。例えば、ポリヌクレオチドを含有するライブラリーは、2つ以上のポリヌクレオチドのセットを指してもよい。「ライブラリー」という用語は、本明細書で最も広義に使用され、具体的には、組み合わせられても、または組み合わされなくてもよいサブライブラリーを網羅する。
【0040】
本明細書で使用される場合、「固有の」とは、セットの他のメンバーとは異なるセットのメンバーを指す。例えば、ライブラリー中の固有の活性化可能抗体は、ライブラリー中の他の活性化可能抗体によって共有されない特定の配列を有する活性化可能抗体を指してもよい。実際には、ライブラリーの物理的実現の「固有の」メンバーが、2つ以上のコピー中に存在し得ることが理解されるべきである。例えば、ライブラリーは、「固有の」活性可能抗体分子のうちの1つ以上が2つ以上のコピーで発生する状態で、複数の「固有の」活性化可能抗体を含有してもよい。
【0041】
本明細書で使用される場合、「多様性」とは、多種性(variety)及び/または異種性(heterogeneity)を指す。例えば、ライブラリーにおける抗体の多様性は、ライブラリー中に存在する、固有の配列を有する多種多様な抗体を指す。
【0042】
「抗体」という用語は、本明細書において最も広義に使用され、具体的には、それらが所望の生物学的活性を示す限り、モノクローナル抗体(完全長モノクローナル抗体を含む)、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体、三重特異的抗体)、及び抗体断片(例えば、Fab、Fab’、Fab’-SH、F(ab’)2、Fv及び/または一本鎖可変断片またはscFv)を網羅する。
【0043】
いくつかの実施形態では、「抗体」という用語は、2つの同一の重(H)鎖及び2つの同一の軽(L)鎖からなる基本的な4ポリペプチド鎖構造を有する抗原結合タンパク質(すなわち、免疫グロブリン)を指す。各L鎖は、1つのジスルフィド共有結合によってH鎖に連結されているが、一方で2本のH鎖は、H鎖アイソタイプに応じて1つ以上のジスルフィド結合によって互いに連結されている。各重鎖は、N末端に可変領域(本明細書ではVHと略される)、続いて定常領域を有する。重鎖定常領域は、3つのドメインCH1、CH2及びCH3からなる。各軽鎖は、N末端に可変領域(本明細書ではVIと略される)、続いてその反対側の端部に定常領域を有する。軽鎖定常領域は、1つのドメインCLからなる。VLはVHと整列し、CLは重鎖の第1の定常ドメイン(CH1)と整列する。VH及びVLの対合は、一緒になって単一抗原結合部位を形成する。IgM抗体は、5つの基本的なヘテロ四量体の単位ならびにJ鎖と呼ばれる追加のポリペプチドからなり、ひいては10個の抗原結合部位を含有しているが、分泌されたIgA抗体は重合して、2~5つの基本的な4鎖単位ならびにJ鎖を含む多価集合体を形成することができる。
【0044】
VH及びVL領域は、構造及び配列分析に基づいて、超可変領域(HVR)と呼ばれる超可変性の領域にさらに細分化できる。HVRには、フレームワーク領域(FW)と呼ばれる、より保存された領域が散在している(例えば、Chen et al.(1999)J.Mol.Biol.(1999)293,865-881を参照)。各VH及びVLは、3つのHVR及び4つのFWから構成され、アミノ末端からカルボキシ末端にかけて、以下の順序:FW-1_HVR-1_FW-2_HVR-2_FW-3_HVR-3_FW4で配列される。本開示全体を通して、重鎖の3つのHVRは、HVR-H1、HVR-H2、及びHVR-H3と呼ばれる。同様に、軽鎖の3つのHVRは、HVR-L1、HVR-L2、及びHVR-L3と呼ばれる。
【0045】
重鎖及び軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含有する。抗体の定常領域は、免疫系の様々な細胞(例えば、エフェクター細胞)及び古典的補体系の第1の成分(C1q)を含む宿主組織または因子への免疫グロブリンの結合を媒介し得る。軽鎖及び重鎖の中で、可変領域及び定常領域は約12個以上のアミノ酸の「J」領域によって結合され、重鎖は約10個以上のアミノ酸の「D」領域も含む(例えば、Fundamental Immunology Ch.7(Paul,W.,ed.,2nd ed.Raven Press,N.Y)(1989)を参照)。
【0046】
任意の脊椎動物種に由来するL鎖は、それらの定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ及びラムダと呼ばれる2つの明確に異なる種類のうちの1つに割り当てることができる。抗体は、それらの重鎖(CH)の定常ドメインのアミノ酸配列に応じて、異なるクラスまたはアイソタイプに割り当てることができる。5つのクラスの抗体:IgA、IgD、IgE、IgG、及びIgMがあり、それぞれ、α(アルファ)、δ(デルタ)、ε(エプシロン)、γ(ガンマ)、及びμ(ミュー)と命名された重鎖を有する。抗体のIgGクラスは、ガンマ重鎖Y1~Y4によって、それぞれ4つのサブクラス、IgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4にさらに分類することができる。
【0047】
抗体の「抗原結合断片」または「抗原結合部分」という用語は、抗体が結合する抗原に結合する能力を保持する抗体の1つ以上の部分を指す。抗体の「抗原結合断片」の例としては、(i)VL、VH、CL、及びCH1ドメインからなる一価の断片であるFab断片、(ii)ヒンジ領域でジスルフィド架橋によって連結された2つのFab断片を含む二価の断片であるF(ab′)2断片、(iii)VH及びCH1ドメインからなるFd断片、(iv)抗体の単一アームのVL及びVHドメインからなるFv断片、(v)VHドメインからなるdAb断片(Ward et al.,Nature 341:544-546(1989))、ならびに(vi)単離された相補性決定領域(CDR)が挙げられる。
【0048】
「CTLA4」という用語は、本出願で使用され、ヒトCTLA4(例えば、UniProt受託番号P16410)、ならびにそのバリアント、アイソフォーム、及び種相同体(例えば、マウスCTLA4(UniProt受託番号P09793)、ラットCTLA4(UniProt受託番号Q9Z1A7)、イヌCTLA4(UniProt受託番号Q9XSI1)、カニクイザルCTLA4(UniProt受託番号G7PL88)など)を含む。したがって、結合分子(例えば、活性化可能抗体)はまた、ヒト以外の種からのCTLA4にも結合し得る。他の場合では、結合分子はヒトCTLA4に対して完全に特異的であり得、種または他の種類の交差反応性を示さない場合がある。
【0049】
「CD137」という用語が本出願で使用され、ヒトCD137(例えば、GenBank受託番号NM001561、NP001552)、ならびにそのバリアント、アイソフォーム、及び種相同体(例えば、マウスCD137(GenBank Gene ID 21942)、ラットCD137(GenBank Gene ID 500590)、イヌCD137(GenBank Gene ID 608274)、カニクイザルCTLA4(GenBank Gene ID 102127961)など)が挙げられる。したがって、結合分子(例えば、活性化可能抗体)はまた、ヒト以外の種からのCD137にも結合し得る。他の場合では、結合分子はヒトCD137に対して完全に特異的であり得、種または他の種類の交差反応性を示さない場合がある。
【0050】
「キメラ抗体」という用語は、ヒト抗体に由来する可変領域及びマウス免疫グロブリン定常領域を有するものなど、異なる動物種に由来するアミノ酸配列を含む抗体を指す。
【0051】
「結合に関して競合する」という用語は、結合標的への結合における2つの抗体の相互作用を指す。第2の抗体の非存在下での第1の抗体の結合と比較して、第2の抗体の存在下で第1の抗体のその同族エピトープとの結合が検出可能に減少する場合、第1の抗体は結合に関して第2の抗体と競合する。第2の抗体のそのエピトープへの結合も第1の抗体の存在下で検出可能に減少する代替案は、事実であり得るが、そうである必要はない。すなわち、第1の抗体は、第2の抗体が第1の抗体のそのそれぞれのエピトープへの結合を阻害することなく、第2の抗体のそのエピトープへの結合を阻害することができる。しかしながら、各抗体が他の抗体のその同族エピトープとの結合を検出可能に阻害する場合、それが同じ程度か、多いか少ないかにかかわらず、抗体はそれらのそれぞれのエピトープ(複数可)の結合に関して互いに「交差競合する」と言われる。
【0052】
「エピトープ」という用語は、抗体(またはその抗原結合断片)が結合する抗原の一部を指す。エピトープは、隣接アミノ酸、またはタンパク質の三次折りたたみによって並列した非隣接アミノ酸の両方から形成することができる。隣接アミノ酸から形成されたエピトープは、典型的には、変性溶媒への曝露の際に保持されるが、三次折りたたみによって形成されたエピトープは、典型的には、変性溶媒での治療の際に失われる。エピトープは、固有の空間的立体配座において様々な数のアミノ酸を含むことができる。エピトープの空間的立体配座を決定する方法としては、例えば、X線結晶学、2次元核磁気共鳴、質量分析法と組み合わせた重水素及び水素交換、または部位特異的変異誘発、または抗原ならびにその結合抗体及びそのバリアントとのその複合体構造の計算論的モデルと組み合わせて使用されるすべての方法が挙げられる(例えば、Epitope Mapping Protocols in Methods in Molecular Biology,Vol.66,G.E.Morris,Ed.(1996)を参照)。抗原の所望のエピトープが決定されると、例えば、本明細書に記載される技術を使用して、そのエピトープに対する抗体を生成することができる。また、抗体の生成及び特性評価は、望ましいエピトープについての情報を解明し得る。この情報から、同じエピトープへの結合について抗体を競合的にスクリーニングすることが可能である。これを達成するためのアプローチは、交差競合研究を実施して、互いに競合的に結合する抗体を発見することであり、すなわち、抗体は抗原への結合に関して競合する。それらの交差競合に基づいて抗体を「ビニングする」ためのハイスループットプロセスは、PCT公開第WO03/48731号に記載されている。
【0053】
「生殖系列」という用語は、生殖細胞を介して親から子孫に受け継がれるような抗体遺伝子及び遺伝子セグメントのヌクレオチド配列を指す。生殖系列配列は、B細胞の成熟過程中に組換え及び高頻度変異事象によって変化された成熟B細胞の抗体をコードするヌクレオチド配列とは区別される。
【0054】
「グリコシル化部位」という用語は、糖残基の付着のための位置として真核細胞によって認識されるアミノ酸残基を指す。オリゴ糖などの炭水化物が付着するアミノ酸は、典型的には、アスパラギン(N結合)、セリン(O結合)、及びスレオニン(O結合)残基である。特定の付着部位は、典型的には、本明細書で「グリコシル化部位配列」と呼ばれるアミノ酸の配列によってシグナル伝達される。N結合型グリコシル化のグリコシル化部位配列は、-Asn-X-Ser-または-Asn-X-Thr-であり、Xはプロリン以外の従来のアミノ酸のいずれかであり得る。「N結合型」及び「O結合型」という用語は、糖分子とアミノ酸残基との間の付着部位として機能する化学基を指す。N結合型糖はアミノ基を介して付着される。O結合型糖はヒドロキシル基を介して付着される。「グリカン占有率」という用語は、グリコシル化部位に連結された(すなわち、グリカン部位が占有されている)炭水化物部分の存在を指す。ポリペプチド上に少なくとも2つの潜在的なグリコシル化部位が存在する場合、ゼロ(0-グリカン部位の占有)、1つ(1-グリカン部位の占有)、または両方(2-グリカン部位の占有)の部位のいずれかが炭水化物部分によって占有され得る。
【0055】
「宿主細胞」という用語は、目的のタンパク質、タンパク質断片、またはペプチドを生成するように操作することができる細胞系を指す。宿主細胞としては、培養細胞、例えば、CHO、BHK、NSO、SP2/0、YB2/0などのげっ歯類(ラット、マウス、モルモット、またはハムスター)に由来する哺乳動物培養細胞;ヒト細胞(例えば、HEK293F細胞、HEK293T細胞;またはヒト組織もしくはハイブリドーマ細胞、酵母細胞、昆虫細胞(例えば、S2細胞)、細菌細胞(例えば、E.coli細胞)、ならびにトランスジェニック動物または培養組織内に含まれる細胞が挙げられるが、これらに限定されない。この用語は、特定の対象細胞だけでなく、そのような細胞の子孫も包含する。ある特定の修飾は、変異または環境的影響のいずれかに起因して後続の世代において起こり得るため、そのような子孫は親細胞と同一でない場合があるが、「宿主細胞」という用語の範囲内に依然として含まれる。
【0056】
「ヒト抗体」は、ヒトもしくはヒト細胞によって産生されたか、またはヒト抗体レパートリーを利用する非ヒト源に由来する抗体のアミノ酸配列、あるいは他のヒト抗体コード配列に対応するアミノ酸配列を保有するものである。ヒト抗体のこの定義は、非ヒト抗原結合残基を含むヒト化抗体を特異的に除外する。
【0057】
「ヒト化抗体」という用語は、ヒト抗体配列に由来するアミノ酸残基を含有するキメラ抗体を指す。ヒト化抗体は、非ヒト動物または合成抗体からのCDRまたはHVRのいくつかまたはすべてを含有し得るが、抗体のフレームワーク及び定常領域は、ヒト抗体配列に由来するアミノ酸残基を含有する。
【0058】
「例示的抗体」という用語は、本明細書に記載の抗体のいずれか1つを指す。これらの抗体は、任意のクラス(例えば、IgA、IgD、IgE、IgG、及びIgM)であってよい。したがって、上記で特定された各抗体は、VL及びVH領域について同じアミノ酸配列を有する5つのクラスすべての抗体を包含する。さらに、IgGクラスの抗体は、任意のサブクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4)であり得る。したがって、IgGサブクラスの上記で特定された各抗体は、VL及びVH領域について同じアミノ酸配列を有する4つのサブクラスすべての抗体を包含する。5つのクラスならびに4つのIgGサブクラスにおけるヒト抗体の重鎖定常領域のアミノ酸配列が当該技術分野で知られている。表1bに示される例示的な抗体のそれぞれのIgG4サブクラスについての完全長重鎖及び軽鎖のアミノ酸配列が、本開示において提供される。
【0059】
「単離された」抗体または結合分子は、その天然環境の構成成分から単離されているものである。いくつかの実施形態では、抗体は、例えば、電気泳動(例えば、SDS-PAGE、等電点電気泳動法(IEF)、キャピラリー電気泳動法)、またはクロマトグラフィー(例えば、イオン交換または逆相HPLC)によって決定される、95%または99%を超える純度に精製される。抗体の純度を評価するための方法の概説については、例えば、Flatman et al.,J.Chromatogr.B 848:79-87(2007)を参照されたい。
【0060】
「ka」という用語は、特定の抗体と抗原の相互作用の会合速度定数を指し、一方、「kd」という用語は、特定の抗体-抗原の相互作用の解離速度定数を指す。
【0061】
「KD」という用語は、特定の抗体-抗原相互作用の平行解離定数を指す。これは、kd対kaの比(すなわち、kd/ka)から得られ、モル濃度(M)として表される。KDは、抗体の結合パートナーへの結合の親和性の尺度として使用される。KDが小さいほど、抗体はより強く結合するか、または抗体と抗原との間の親和性がより高くなる。例えば、ナノモル(nM)の解離定数を有する抗体は、マイクロモル(μM)の解離定数を有する抗体よりも強く特定の抗原に結合する。抗体のKD値は、当該技術分野で十分に確立されている方法を使用して決定することができる。抗体のKDを決定するための1つの方法は、ELISAを使用することによる。例えば、ELISAを使用するアッセイ手順は、本開示の少なくとも実施例3に記載されている。
【0062】
「哺乳動物」という用語は、哺乳動物クラスのあらゆる動物種を指す。哺乳動物の例としては、ヒト;ラット、マウス、ハムスター、ウサギ、非ヒト霊長類、及びモルモットなどの実験動物;ネコ、イヌ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、及びブタなどの家畜;ならびにライオン、トラ、ゾウなどの捕獲された野生動物などが挙げられる。
【0063】
哺乳動物における特定の疾患状態に関する「予防する」または「予防」という用語は、疾患の発症を防止もしくは遅延させること、またはその臨床的もしくは無症候性症状の発現を防止することを指す。
【0064】
本明細書で使用される場合、2つのポリペプチド配列間の「配列同一性」は、配列間で同一であるアミノ酸のパーセンテージを示す。ポリペプチドのアミノ酸配列同一性は、Bestfit、FASTA、またはBLASTなどの既知のコンピュータプログラムを使用して従来通りに決定することができる(例えば、Pearson,Methods Enzymol.183:63-98(1990);Pearson,Methods Mol.Biol.132:185-219(2000);Altschul et al.,J.Mol.Biol.215:403-410(1990);Altschul et al.,Nucleic Acids Res.25:3389-3402(1997)を参照されたい)。Bestfitまたは任意の他の配列アラインメントプログラムを使用して、特定の配列が、例えば、参照アミノ酸配列と95%同一であるかどうかを決定する場合、パラメータは、同一性の割合が参照アミノ酸配列の全長にわたって計算され、参照配列内のアミノ酸残基の総数の最大5%の相同性における差が許容されるように設定される。ポリペプチド間の同一性の割合の決定におけるこの前述の方法は、本明細書に開示されるすべてのタンパク質、断片、またはそれらのバリアントに適用可能である。
【0065】
本明細書で使用される場合、「結合する」、「に結合する」、「に特異的に結合する」、または「に特異的な」という用語は、生物学的分子を含む異種分子集団の存在下で標的の存在を決定する標的と抗体との間の結合などの測定可能かつ再現可能な相互作用を指す。例えば、標的(エピトープであり得る)に結合するか、またはそれに特異的に結合する抗体は、この標的に、他の標的に結合するよりも高い親和性、結合力で、より容易に、かつ/またはより長期間結合する抗体である。一実施形態では、無関係の標的への抗体の結合の程度は、例えば、放射免疫測定法(RIA)によって測定された、標的への抗体の結合の約10%未満である。ある特定の実施形態では、標的に特異的に結合する抗体は、1μM以下、100nM以下、10nM以下、1nM以下、または0.1nM以下の解離定数(Kd)を有する。ある特定の実施形態では、抗体は、異なる種由来のタンパク質間で保存されるタンパク質上のエピトープに特異的に結合する。別の実施形態では、特異的結合は、排他的結合を含み得るが、それを必要としない。
【0066】
「治療する」、「治療すること」、または「治療」という用語は、哺乳動物における特定の疾患状態に関して、疾患状態を有する哺乳動物において望ましいまたは有益な効果を引き起こすことを指す。望ましいまたは有益な効果には、疾患の1つ以上の症状(すなわち、腫瘍増殖及び/または転移、あるいは免疫細胞の数及び/または活性によって媒介される他の効果など)の頻度または重篤度の低下、あるいは疾患、状態、または障害のさらなる進行の阻止または阻害を含み得る。哺乳動物においてがんを治療する文脈において、望ましいまたは有益な効果には、がん細胞のさらなる増殖もしくは転移の阻害、がん細胞の死滅、がんの再発の阻害、がんに関連する疼痛の低減、または哺乳動物の生存能の改善が含まれ得る。効果は主観的または客観的のいずれかであり得る。例えば、動物がヒトである場合、ヒトは、改善または治療応答の自覚症状として、活力もしくは生存能の向上、または疼痛の低減を認め得る。あるいは、臨床医は、理学的検査、臨床検査値、腫瘍マーカー、またはX線所見に基づく、腫瘍サイズまたは負荷の減少を認め得る。治療応答に関して臨床医が観察し得るいくつかの臨床徴候には、白血球数、赤血球数、血小板数、赤血球沈降速度、及び種々の酵素レベルなどの検査値の正常化が含まれる。さらに、臨床医は、検出可能な腫瘍マーカーの減少を観察し得る。あるいは、他の検査、例えば、超音波画像法、核磁気共鳴検査、及び陽電子放出検査を使用して客観的改善を評価することができる。
【0067】
「ベクター」という用語は、外来核酸分子を輸送することができる核酸分子を指す。外来核酸分子は、ライゲーションまたは組換えなどの組換え技術によってベクター核酸分子に連結される。これにより、外来核酸分子を増殖させ、選択し、さらに操作するか、または宿主細胞もしくは生物中で発現させることができる。ベクターは、プラスミド、ファージ、トランスポゾン、コスミド、染色体、ウイルス、またはビリオンであり得る。ある種類のベクターは、宿主細胞への導入時に宿主細胞のゲノムに組み込まれ得、それにより、宿主ゲノムとともに複製される(例えば、非エピソーム性哺乳動物ベクター)。別の種類のベクターは、それらが導入される宿主細胞において自律増殖が可能である(例えば、細菌起源の複製を有する細菌ベクター及びエピソーム性哺乳動物ベクター)。それらが作動可能に連結されている発現可能な外来核酸の発現を指示することができる別の特定の種類のベクターは、通常「発現ベクター」と称される。発現ベクターは、一般的に、発現可能な外来核酸の発現を駆動する制御配列を有する。「転写ベクター」として既知のより単純なベクターは、転写のみ可能であるが翻訳は不可能であり、これらは、標的細胞内で複製できるが発現はできない。「ベクター」という用語は、すべての種類のベクターをそれらの機能に関係なく包含する。それらが動作可能に連結されている発現可能な核酸の発現を指示することができるベクターは、通常「発現ベクター」と称される。「ベクター」の他の例は、提示ベクター(例えば、ウイルスまたは細胞(細菌細胞、酵母細胞、昆虫細胞、及び/または哺乳動物細胞など)の表面上でコードされたポリペプチドの発現及び提示を指示するベクター)を含み得る。
【0068】
本明細書で使用される場合、「対象」、「患者」、または「個体」は、ヒトまたは非ヒト動物を指し得る。「非ヒト動物」は、ヒトとして分類されないあらゆる動物、例えば、飼育動物、家畜、または動物園の動物、競技用動物、ペットの動物(例えば、イヌ、ウマ、ネコ、ウシなど)、ならびに研究において使用される動物を指し得る。研究動物とは、線虫、節足動物、脊椎動物、哺乳動物、カエル、げっ歯類(例えば、マウスまたはラット)、魚類(例えば、ゼブラフィッシュまたはフグ)、鳥類(例えば、ニワトリ)、イヌ、ネコ、及び非ヒト霊長類(例えば、アカゲザル、カニクイザル、チンパンジーなど)を指し得るが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、対象、患者、または個体は、ヒトである。
【0069】
「有効量」とは、治療結果または予防結果を含む、1つ以上の所望のまたは示された効果を達成するために必要な投薬量及び期間で少なくとも有効な量を指す。有効量は、1回以上の投与で提供され得る。本開示の目的のための、薬物、化合物、または医薬組成物の有効量は、予防的または治療的治療を直接的または間接的に達成するのに十分な量である。臨床的状況において理解されるように、薬物、化合物、または医薬組成物の有効量は、別の薬物、化合物、または医薬組成物と併せて達成されても、されなくてもよい(例えば、単剤療法または併用療法として投与される場合の有効量)。したがって、「有効量」は、1つ以上の治療剤の投与の状況において考慮され得、単一の薬剤は、1つ以上の他の薬剤と併せると望ましい結果が達成され得るか、または達成される場合、有効量で与えられるとみなされ得る。
【0070】
III.活性化可能結合ポリペプチド及びライブラリーの生成
本開示のある特定の態様は、ポリヌクレオチド(例えば、本明細書に記載のポリペプチドのいずれかをコードする)及び/または、例えば、活性化可能抗体、その活性化可能抗原結合断片、または活性化可能抗体の誘導体を含む、1つ以上の活性化可能結合ポリペプチド(すなわち、1つ以上の活性化可能抗体)のスクリーニング及び/または特定に有用なポリペプチドをコードするポリヌクレオチドのライブラリーに関する。
【0071】
「活性化可能結合ポリペプチド」、「ABP」、または「活性化可能抗体」という用語は、標的結合部分(TBM)、切断可能部分(CM)、及びマスキング部分(MM)を含むポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、TBMは、標的に結合するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、TBMは、抗体またはその抗体断片の抗原結合ドメイン(ABD)を含む。いくつかの実施形態では、TBMは、抗体軽鎖可変領域(VL)及び抗体重鎖可変領域(VH)を含み、VH及びVLは、MMの非存在下で標的に結合する結合ドメインを形成する。いくつかの実施形態では、VH及びVLは、例えば、scFvにおいて共有結合される。いくつかの実施形態では、VH及びVLは、Fab断片を形成する。いくつかの実施形態では、VHは抗体重鎖定常領域に連結され、VLは抗体軽鎖定常領域に連結される。
【0072】
いくつかの実施形態では、活性化可能抗体は、N末端からC末端にかけて、マスキング部分(MM)-切断可能部分(CM)-VLの構造を含むポリペプチドを含み、活性化可能抗体は、VHを含む第2のポリペプチドをさらに含む(例えば、Fab断片)。いくつかの実施形態では、活性化可能抗体は、N末端からC末端にかけて、マスキング部分(MM)-切断可能部分(CM)-VL-VHの構造を含むポリペプチドを含む(例えば、scFv)。いくつかの実施形態では、活性化可能抗体は、N末端からC末端にかけて、マスキング部分(MM)-切断可能部分(CM)-VHの構造を含むポリペプチドを含み、活性化可能抗体は、VLを含む第2のポリペプチドをさらに含む(例えば、Fab断片)。いくつかの実施形態では、活性化可能抗体は、N末端からC末端にかけて、マスキング部分(MM)-切断可能部分(CM)-VH-VLの構造を含むポリペプチドを含む(例えば、scFv)。
【0073】
いくつかの実施形態では、活性化可能抗体は、N末端からC末端にかけて、マスキング部分(MM)-L1-切断可能部分(CM)-L2-VLの構造を含むポリペプチドを含み、活性化可能抗体は、VHを含む第2のポリペプチドをさらに含む(例えば、Fab断片)。いくつかの実施形態では、活性化可能抗体は、N末端からC末端にかけて、マスキング部分(MM)-L1-切断可能部分(CM)-L2-VLーL3-VHの構造を含むポリペプチドを含む(例えば、scFv)。いくつかの実施形態では、活性化可能抗体は、N末端からC末端にかけて、マスキング部分(MM)-切断可能部分(CM)-L1-VHの構造を含むポリペプチドを含み、活性化可能抗体は、VLを含む第2のポリペプチドをさらに含む(例えば、Fab断片)。いくつかの実施形態では、活性化可能抗体は、N末端からC末端にかけて、マスキング部分(MM)-L1-切断可能部分(CM)-L2-VH-L3-VLの構造を含むポリペプチドを含む(例えば、scFv)。いくつかの実施形態では、L1、L2、及び/またはL3は、リンカーである。いくつかの実施形態では、L1、L2、及びL3のそれぞれは、0個のアミノ酸、または1個以上、2個以上、3個以上、4個以上、5個以上、6個以上、7個以上、8個以上、9個以上、または10個以上のアミノ酸のいずれかである独立して選択された長さを有することができるリンカーである。
【0074】
CMは、一般的に、切断可能な、例えば、酵素の基質として機能するアミノ酸配列、及び/または還元可能なジスルフィド結合を形成することができるシステイン-システイン対を含む。したがって、「切断」、「切断可能」、「切断された」などの用語がCMに関連して使用される場合、この用語は、例えば、プロテアーゼによる酵素的切断、ならびに還元剤への曝露から生じる得るジスルフィド結合の還元によるシステイン-システイン対間のジスルフィド結合の破壊を包含する。
【0075】
MMは、活性化可能抗体のCMが無傷である(例えば、対応する酵素によって切断されない、及び/または未還元システイン-システインジスルフィド結合を含有する)場合、アミノ酸配列を指し、MMは、TBMのその標的への結合を妨害または阻害する。いくつかの実施形態では、MMは、TBMのその標的への結合を非常に効率的に妨害または阻害するので、TBMのその標的への結合は極めて低い、及び/または検出限界より低い(例えば、結合は、ELISAまたはフローサイトメトリーアッセイでは検出することができない)。CMのアミノ酸配列は、MMと重複しても、MM内に含まれてもよい。便宜上、「ABP」または「活性化可能抗体」は、それらの非切断(または「天然」)状態、ならびにそれらの切断状態の両方におけるABPまたは活性化可能抗体を指すために本明細書で使用されることが留意されるべきである。いくつかの実施形態では、切断されたABPは、(例えば、MMが共有結合(例えば、システイン残基間のジスルフィド結合)によってABPに結合されていない場合、)例えば、プロテアーゼによるCMの切断に起因してMMを欠き、少なくともMMの放出をもたらす可能性があることが当業者には明らかであろう。例示的なABPは、以下にさらに詳細に記載される。
【0076】
本開示のライブラリーは、本明細書に記載のポリペプチドのいずれか(例えば、本明細書に記載の活性化可能結合ポリペプチドのうちの1つ以上)をコードする1つ以上のポリヌクレオチドを含有し得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のライブラリーのポリヌクレオチドのうちの1つ以上(すなわち、1つ、いくつか、またはすべて)は、完全長抗体軽鎖及び/または完全長抗体重鎖(複数可)を含むポリペプチドをコードする。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のライブラリーのポリヌクレオチドのうちの1つ以上(すなわち、1つ、いくつか、またはすべて)は、軽鎖及び/または重鎖Fab断片(複数可)を含むポリペプチドをコードする。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のライブラリーのポリヌクレオチドのうちの1つ以上(すなわち、1つ、いくつか、またはすべて)は、単鎖可変断片(複数可)(scFv)を含むポリペプチドをコードする。
【0077】
本開示の他の態様は、ポリヌクレオチド(例えば、本明細書に記載のポリペプチドのいずれか)及び/または、活性化可能抗体、その活性化可能抗原結合断片、もしくは活性化可能抗体の誘導体を含む、1つ以上の活性化可能結合ポリペプチド(すなわち、1つ以上の活性化可能抗体)のスクリーニング及び/または特定に有用なポリペプチドのライブラリーに関する。本開示のライブラリーは、本明細書に記載のポリペプチドのうちの1つ以上(例えば、1つ以上の活性化可能結合ポリペプチド)を含有し得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のライブラリーのポリペプチドのうちの1つ以上(すなわち、1つ、いくつか、またはすべて)は、完全長抗体軽鎖及び/または重鎖(複数可)を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のライブラリーのポリペプチドのうちの1つ以上(すなわち、1つ、いくつか、またはすべて)は、軽鎖及び/または重鎖Fab断片(複数可)を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のライブラリーのポリペプチドのうちの1つ以上(すなわち、1つ、いくつか、またはすべて)は、単鎖可変断片(複数可)(scFv)を含む。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、細胞表面(例えば、酵母または哺乳動物細胞提示)上で発現される。
【0078】
いくつかの実施形態では、本開示のポリペプチドは、(a)第1のペプチド(FP)と、(b)切断可能部分(CM)と、(c)標的結合部分(TBM)と、を含む。いくつかの実施形態では、FPは、本明細書に記載の第1のペプチドのいずれか(例えば、式(XIII):XmCXnCXo(配列番号86)に従うアミノ酸配列を含み、式中、mは2~10であり、nは3~10であり、oは1~10であり、各Xは独立して、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、及びYからなる群から選択されるアミノ酸である、第1のペプチド(FP))である。いくつかの実施形態では、各Xは、W、M、及び/またはCではない。いくつかの実施形態では、式(XIII)のXmにおける各Xは独立して、D、A、Y、S、T、N、I、L、F、V、H、及びPからなる群から選択されるアミノ酸であり、式(XIII)のXnにおける各Xは独立して、D、A、Y、S、T、N、I、L、F、V、H、及びPからなる群から選択されるアミノ酸であり、ならびに/または式(XIII)のXoにおける各Xは独立して、D、A、Y、S、T、N、I、L、F、V、H、及びPからなる群から選択されるアミノ酸である。いくつかの実施形態では、mは3~10である。いくつかの実施形態では、FPは、本明細書に記載の第1のペプチドのいずれか(例えば、式(I):XmCXnCZo(配列番号1)に従うアミノ酸配列を含み、式中、mは2~10であり、nは3~10であり、oは1~10であり、各Xは独立して、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、及びYから選択されるアミノ酸であり、各Zは独立して、D、A、Y、S、T、N、I、L、F、V、H、及びPからなる群から選択されるアミノ酸である、第1のペプチド(FP))である。いくつかの実施形態では、mは3~10である。いくつかの実施形態では、Xは、W、M、及び/またはCではない。いくつかの実施形態では、式(I)のXmにおける各Xは独立して、D、A、Y、S、T、N、I、L、F、V、H、及びPからなる群から選択されるアミノ酸であり、式(I)のXnにおける各Xは独立して、D、A、Y、S、T、N、I、L、F、V、H、及びPからなる群から選択されるアミノ酸である。いくつかの実施形態では、FPは、本明細書に記載の第1のペプチドのいずれか(例えば、式(XII):ZmCZnCZo(配列番号71)に従うアミノ酸配列を含む第1のペプチド(FP)であり、式中、mは2~10であり、nは3~10であり、oは1~10であり、各Zは独立して、D、A、Y、S、T、N、I、L、F、V、H、及びPからなる群から選択されるアミノ酸である)。いくつかの実施形態では、mは3~10である。いくつかの実施形態では、CMは、本明細書に記載の切断可能部分のいずれか(例えば、少なくとも第1のプロテアーゼ切断部位を含む切断可能部分(CM))である。いくつかの実施形態では、CMは、本明細書に記載の切断可能部分のいずれか(例えば、少なくとも第1のプロテアーゼ切断部位を含む切断可能部分(CM))である。いくつかの実施形態では、TBMは、本明細書に記載の標的結合部分のいずれか(例えば、抗体軽鎖可変領域及び/または抗体重鎖可変領域を含む、標的結合部分(TBM))である。
【0079】
いくつかの実施形態では、第1のペプチド(FP)は、その標的(例えば、不活性な活性化可能抗体)への結合に関して、標的結合部分を妨害、閉塞、その能力を低下、防止、阻害、または競合する。いくつかの実施形態では、第1のペプチド(FP)は、ポリペプチドが活性化(例えば、pHの変化(上昇または低下)によって活性化、温度変化(上昇または低下)によって活性化、第2の分子(小分子またはタンパク質リガンドなど)と接触した後に活性化など)されていない場合にのみ、その標的への結合に関して、標的結合部分を妨害、閉塞、低下、防止、阻害、または競合する。いくつかの実施形態では、活性化は、切断部分内のポリペプチドの切断を誘導する。いくつかの実施形態では、活性化がポリペプチドの立体配座変化(例えば、第1のペプチド(FP)の転置)を誘導することにより、第1のペプチドが活性化可能抗体のその標的への結合をそれ以上妨げないようにする。いくつかの実施形態では、第1のペプチド(FP)は、切断可能部分(CM)内で切断する1つ以上のプロテアーゼによって切断可能部分(CM)が切断されていない場合にのみ、その標的への結合に関して、標的結合部分を妨害、閉塞、その能力を低下、防止、阻害、または競合する。いくつかの実施形態では、第1のペプチド(FP)は、活性化前に少なくとも約2.0(例えば、少なくとも約2.0、少なくとも約3.0、少なくとも約4.0、少なくとも約5.0、少なくとも約6.0、少なくとも約7.0、少なくとも約8.0、少なくとも約9.0、少なくとも約10、少なくとも約25、少なくとも約50、少なくとも約75、少なくとも約100、少なくとも約150、少なくとも約200、少なくとも約300、少なくとも約400、少なくとも約500など)のマスキング効率を有する。いくつかの実施形態では、マスキング効率は、第1のペプチド(FP)を欠くポリペプチドのその標的への結合に対する親和性と比較した、(活性化前の)マスキング部分を含む活性化可能抗体のその標的への結合に対する親和性における差異(例えば、第1のペプチド(FP)を欠く親抗体と比較した、(活性化前の)第1のペプチド(FP)を含む活性化可能抗体の標的抗原(CTLA4など)に対する親和性における差異、または活性化後の活性化可能抗体の標的抗原に対する親和性と比較した、(活性化前の)第1のペプチド(FP)を含む活性化可能抗体の標的抗原(CTLA4など)に対する親和性における差異)によって測定される。いくつかの実施形態では、マスキング効率は、(活性化前の)第1のペプチド(FP)を含む活性化可能抗体の結合のEC50を、親抗体のEC50で除算することによって測定される(例えば、ELISAによってEC50を測定することによって、例えば、実施例3の方法を参照)。いくつかの実施形態では、マスキング効率は、活性化後の第1のペプチド(FP)を含む活性化可能抗体のその標的への結合に対する親和性と比較した、活性化前の第1のペプチド(FP)を含む活性化可能抗体のその標的への結合に対する親和性における差異(例えば、活性化後の活性化可能抗体と比較した、活性化前の活性化可能抗体の標的抗原(CTLA4など)に対する親和性における差異)によって測定される。いくつかの実施形態では、第1のペプチド(FP)は標的結合部分(TBM)に結合し、活性化可能抗体がその標的(例えば、「不活性な」活性化可能抗体)に結合するのを防ぐ。いくつかの実施形態では、第1のペプチド(FP)は、その標的に対する標的結合部分(TBM)の解離定数よりも大きい、標的結合部分(TBM)への結合についての解離定数を有する。いくつかの実施形態では、第1のペプチド(FP)はマスキング部分(MM)である。解離定数は、例えば、ELISA、表面プラズモン共鳴もしくはバイオレイヤー干渉法(BLI)、またはフローサイトメトリーなどの手法によって測定することができる。
【0080】
いくつかの実施形態では、第1のペプチド(FP)は、ポリペプチドが活性化(例えば、切断可能部分(CM)内を切断する1つ以上のプロテアーゼでの処理によって活性化、pHの変化(上昇または低下)によって活性化、温度変化(上昇または低下)によって活性化、第2の分子(酵素など)と接触した後に活性化など)された後、その標的への結合に関して、標的結合部分(TBM)を妨害、閉塞、その能力を低下、防止、阻害、または競合しない。いくつかの実施形態では、第1のペプチド(FP)は、切断可能部分(CM)が、切断可能部分(CM)内を切断する1つ以上のプロテアーゼによって切断された後、その標的への結合に関して、標的結合部分(TBM)を妨害、閉塞、その能力を低下、防止、阻害、または競合しない。いくつかの実施形態では、第1のペプチド(FP)は、活性化後、最大で約1.75(例えば、最大で約1.75、最大で約1.5、最大で約1.4、最大で約1.3、最大で約1.2、最大で約1.1、最大で約1.0、最大で約0.9、最大で約0.8、最大で約0.7、最大で約0.6、または最大で約0.5など)のマスキング効率を有する(例えば、親抗体の親和性と比較した、活性化後の活性化可能抗体の相対親和性)。
【0081】
いくつかの実施形態では、本開示のポリペプチドは、N末端からC末端にかけて、第1のペプチド(FP)-切断可能部分(CM)-標的結合部分(TBM)の構造を含む。本開示のライブラリーは、活性型である場合、例えば、CTLA4、CD137、PD-1、PD-L1、PD-L2、LAG3、TIM3、B7-H3、OX40、CD3、CD19、CD20、CD40、CD95、CD120a、BTLA、VISTA、ICOS、BCMA、Her1、Her2、Her3、及び/またはB7-H4を含む、目的のいずれかの標的に結合する1つ以上の活性化可能結合ポリペプチド(すなわち、活性化可能抗体)をスクリーニングするために使用され得る。
【0082】
いくつかの実施形態では、本開示のライブラリーは、本明細書に記載されるような、(a)第1のペプチド(FP)と、(b)切断可能部分(CM)と、(c)標的結合部分(TBM)と、を含む、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、少なくとも8つ、少なくとも9つ、少なくとも10個、少なくとも20個、少なくとも30個、少なくとも40個、少なくとも50個、少なくとも100個、少なくとも250個、少なくとも500個、少なくとも103個、少なくとも104個、少なくとも105個、少なくとも106個、少なくとも107個、少なくとも108個、少なくとも109個、少なくとも1010個、少なくとも1011個、少なくとも1012個、少なくとも1013個、少なくとも1014個、少なくとも1015個、少なくとも1016個、少なくとも1017個、少なくとも1018個、または少なくとも1019個の固有のポリペプチドをコードする複数のポリヌクレオチドを含有する。
【0083】
いくつかの実施形態では、本開示のライブラリーは、本明細書に記載されるような、(a)固有の第1のペプチド(FP)と、(b)切断可能部分(CM)と、(c)標的結合部分(TBM)と、を含む、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、少なくとも8つ、少なくとも9つ、少なくとも10個、少なくとも20個、少なくとも30個、少なくとも40個、少なくとも50個、少なくとも100個、少なくとも250個、少なくとも500個、少なくとも103個、少なくとも104個、少なくとも105個、少なくとも106個、少なくとも107個、少なくとも108個、少なくとも109個、少なくとも1010個、少なくとも1011個、少なくとも1012個、少なくとも1013個、少なくとも1014個、少なくとも1015個、少なくとも1016個、少なくとも1017個、少なくとも1018個、または少なくとも1019個のポリペプチドをコードする複数のポリヌクレオチドを含有する。
【0084】
いくつかの実施形態では、本開示のライブラリーは、1)典型的なランダムペプチドライブラリーに見られるよりも少ない数の固有のペプチド(例えば、式(XIII):XmCXnCXo(配列番号86)もしくは式(I):XmCXnCZo(配列番号1)に従うアミノ酸配列を含むFP)をコード及び/もしくは含有し、2)提示ペプチドが制約付き立体配座を有したことを確実にするために、固定位置において1対のシステイン残基を含むペプチド(例えば、式(XIII):XmCXnCXo(配列番号86)もしくは式(I):XmCXnCZo(配列番号1)に従うアミノ酸配列を含むFP)をコード及び/もしくは含有し、ならびに/または3)化学的に不安定な残基(メチオニンまたはトリプトファン)をほとんどもしくは全く保有しないペプチド(例えば、式(XIII):XmCXnCXo(配列番号86)もしくは式(I):XmCXnCZo(配列番号1)に従うアミノ酸配列を含むFP)をコード及び/もしくは含有する。有利には、本開示のライブラリーは、ランダムペプチドライブラリーと比較してライブラリーサイズを劇的に減少させ、ペプチド(例えば、式(XIII):XmCXnCXo(配列番号86)または式(I):XmCXnCZo(配列番号1)に従うアミノ酸配列を含むFP)の非常に良好な網羅する範囲を有するライブラリーの構築を可能にする。さらに、固定位置に一対のシステイン残基を含めることは、提示ペプチドが制約付き立体配座を有することを確実にし、結合親和性及び/または特異性の増加を示す傾向がある。さらに、本開示のライブラリーは、メチオニンまたはトリプトファンなどの製造プロセスに好ましくない残基をほとんどまたは全く含まないペプチド(例えば、式(XIII):XmCXnCXo(配列番号86)または式(I):XmCXnCZo(配列番号1)に従うアミノ酸配列を含むFP)を有する。
【0085】
いくつかの実施形態では、本開示のライブラリーは、複数のポリヌクレオチドを含有し、ライブラリー中のポリヌクレオチドのうちの少なくとも1つは、(a)式(XIII):XmCXnCXo(配列番号86)に従うアミノ酸配列を含み、式中、mは2~10であり、nは3~10であり、oは1~10であり、各Xは独立して、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、及びYから選択されるアミノ酸である、第1のペプチド(FP)と、(b)少なくとも第1の切断部位(例えば、少なくとも第1のプロテアーゼ切断部位)を含む切断可能部分(CM)と、c)抗体軽鎖可変領域及び/または抗体重鎖可変領域を含む標的結合部分(TBM)と、を含むポリペプチドをコードする。いくつかの実施形態では、mは3~10である。いくつかの実施形態では、ライブラリー中のポリヌクレオチドのうちの少なくとも1つは、活性化可能結合ポリペプチド(すなわち、活性化可能抗体)をコードする。いくつかの実施形態では、ライブラリーの1つ以上のポリヌクレオチドは、ベクター(例えば、発現ベクターまたは提示ベクター)内にある。いくつかの実施形態では、本開示のライブラリーは、複数のポリヌクレオチドを含有し、ライブラリー中のポリヌクレオチドのうちの少なくとも1つは、(a)式(I):XmCXnCZo(配列番号1)に従うアミノ酸配列を含み、式中、mは2~10であり、nは3~10であり、oは1~10であり、各Xは独立して、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、及びYから選択されるアミノ酸であり、各Zは独立して、D、A、Y、S、T、N、I、L、F、V、H、及びPから選択されるアミノ酸である、第1のペプチド(FP)と、(b)少なくとも第1の切断部位(例えば、少なくとも第1のプロテアーゼ切断部位)を含む切断可能部分(CM)と、c)抗体軽鎖可変領域及び/または抗体重鎖可変領域を含む標的結合部分(TBM)と、を含むポリペプチドをコードする。いくつかの実施形態では、mは3~10である。いくつかの実施形態では、ライブラリー中のポリヌクレオチドのうちの少なくとも1つは、活性化可能結合ポリペプチド(すなわち、活性化可能抗体)をコードする。いくつかの実施形態では、ライブラリーの1つ以上のポリヌクレオチドは、ベクター(例えば、発現ベクターまたは提示ベクター)内にある。
【0086】
いくつかの実施形態では、ライブラリー中のポリヌクレオチドのうちの少なくとも1つは、式(III)、EVGSYX1X2X3X4X5X6CX7X8X9X10X11X12CX13X14SGRSAGGGGTENLYFQGSGGS(配列番号3)に従うアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードし、式中、X1は、A、D、I、N、P、またはYであり、X2は、A、F、N、S、またはVであり、X3は、A、H、L、P、S、V、またはYであり、X4は、A、H、S、またはYであり、X5は、A、D、P、S、V、またはYであり、X6は、A、D、L、S、またはYであり、X7は、D、P、またはVであり、X8は、A、D、H、P、S、またはTであり、X9は、A、D、F、H、P、またはYであり、X10は、L、P、またはYであり、X11は、F、P、またはYであり、X12は、A、P、S、またはYであり、X13は、A、D、N、S、T、またはYであり、X14は、A、S、またはYである。いくつかの実施形態では、ライブラリー中のポリヌクレオチドのうちの少なくとも1つは、活性化可能結合ポリペプチド(すなわち、活性化可能抗体)をコードする。いくつかの実施形態では、ライブラリーの1つ以上のポリヌクレオチドは、ベクター(例えば、発現ベクターまたは提示ベクター)内にある。
【0087】
いくつかの実施形態では、ライブラリー中のポリヌクレオチドのうちの少なくとも1つは、配列番号25~46から選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする。いくつかの実施形態では、ライブラリー中のポリヌクレオチドのうちの少なくとも1つは、活性化可能結合ポリペプチド(すなわち、活性化可能抗体)をコードする。いくつかの実施形態では、ライブラリーの1つ以上のポリヌクレオチドは、ベクター(例えば、発現ベクターまたは提示ベクター)内にある。
【0088】
いくつかの実施形態では、ライブラリー中のポリヌクレオチドのうちの少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、少なくとも8つ、少なくとも9つ、少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも25個、少なくとも30個、少なくとも35個、少なくとも40個、少なくとも45個、少なくとも50個、少なくとも55個、少なくとも60個、少なくとも65個、少なくとも70個、少なくとも75個、少なくとも80個、少なくとも85個、少なくとも90個、少なくとも95個、少なくとも100個、少なくとも250個、少なくとも500個、少なくとも103個、少なくとも104個、少なくとも105個、少なくとも106個、少なくとも107個、少なくとも108個、少なくとも109個、少なくとも1010個、少なくとも1011個、少なくとも1012個、少なくとも1013個、少なくとも1014個、少なくとも1015個、少なくとも1016個、少なくとも1017個、少なくとも1018個、または少なくとも1019個は、(a)式(XIII):XmCXnCXo(配列番号86)に従うアミノ酸配列を含み、式中、mは2~10であり、nは3~10であり、oは1~10であり、各Xは独立して、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、及びYから選択されるアミノ酸である、第1のペプチド(FP)と、(b)少なくとも第1の切断部位(例えば、少なくとも第1のプロテアーゼ切断部位)を含む切断可能部分(CM)と、c)抗体軽鎖可変領域及び/または抗体重鎖可変領域を含む標的結合部分(TBM)と、を含むポリペプチドをコードする。いくつかの実施形態では、mは3~10である。いくつかの実施形態では、ライブラリー中のポリヌクレオチドのうちの少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、少なくとも8つ、少なくとも9つ、少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも25個、少なくとも30個、少なくとも35個、少なくとも40個、少なくとも45個、少なくとも50個、少なくとも55個、少なくとも60個、少なくとも65個、少なくとも70個、少なくとも75個、少なくとも80個、少なくとも85個、少なくとも90個、少なくとも95個、少なくとも100個、少なくとも250個、少なくとも500個、少なくとも103個、少なくとも104個、少なくとも105個、少なくとも106個、少なくとも107個、少なくとも108個、少なくとも109個、少なくとも1010個、少なくとも1011個、少なくとも1012個、少なくとも1013個、少なくとも1014個、少なくとも1015個、少なくとも1016個、少なくとも1017個、少なくとも1018個、または少なくとも1019個は、(a)式(I):XmCXnCZo(配列番号1)に従うアミノ酸配列を含み、式中、mは2~10であり、nは3~10であり、oは1~10であり、各Xは独立して、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、及びYから選択されるアミノ酸であり、各Zは独立して、D、A、Y、S、T、N、I、L、F、V、H、及びPから選択されるアミノ酸である、第1のペプチド(FP)と、(b)少なくとも第1の切断部位(例えば、少なくとも第1のプロテアーゼ切断部位)を含む切断可能部分(CM)と、c)抗体軽鎖可変領域及び/または抗体重鎖可変領域を含む標的結合部分(TBM)と、を含むポリペプチドをコードする。いくつかの実施形態では、mは3~10である。いくつかの実施形態では、ライブラリー中のポリヌクレオチドのうちの少なくとも1つは、活性化可能結合ポリペプチド(すなわち、活性化可能抗体)をコードする。いくつかの実施形態では、ライブラリーの1つ以上のポリヌクレオチドは、ベクター(例えば、発現ベクターまたは提示ベクター)内にある。
【0089】
いくつかの実施形態では、ライブラリー中のポリヌクレオチドのうちの少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、少なくとも8つ、少なくとも9つ、少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも25個、少なくとも30個、少なくとも35個、少なくとも40個、少なくとも45個、少なくとも50個、少なくとも55個、少なくとも60個、少なくとも65個、少なくとも70個、少なくとも75個、少なくとも80個、少なくとも85個、少なくとも90個、少なくとも95個、少なくとも100個、少なくとも250個、少なくとも500個、少なくとも103個、少なくとも104個、少なくとも105個、少なくとも106個、少なくとも107個、少なくとも108個、少なくとも109個、少なくとも1010個、少なくとも1011個、少なくとも1012個、少なくとも1013個、少なくとも1014個、少なくとも1015個、少なくとも1016個、少なくとも1017個、少なくとも1018個、または少なくとも1019個は、式(III)、EVGSYX1X2X3X4X5X6CX7X8X9X10X11X12CX13X14SGRSAGGGGTENLYFQGSGGS(配列番号3)に従うアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードし、式中、X1は、A、D、I、N、P、またはYであり、X2は、A、F、N、S、またはVであり、X3は、A、H、L、P、S、V、またはYであり、X4は、A、H、S、またはYであり、X5は、A、D、P、S、V、またはYであり、X6は、A、D、L、S、またはYであり、X7は、D、P、またはVであり、X8は、A、D、H、P、S、またはTであり、X9は、A、D、F、H、P、またはYであり、X10は、L、P、またはYであり、X11は、F、P、またはYであり、X12は、A、P、S、またはYであり、X13は、A、D、N、S、T、またはYであり、X14は、A、S、またはYである。いくつかの実施形態では、ライブラリー中のポリヌクレオチドのうちの少なくとも1つは、活性化可能結合ポリペプチド(すなわち、活性化可能抗体)をコードする。いくつかの実施形態では、ライブラリーの1つ以上のポリヌクレオチドは、ベクター(例えば、発現ベクターまたは提示ベクター)内にある。
【0090】
いくつかの実施形態では、ライブラリー中のポリヌクレオチドのうちの少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、少なくとも8つ、少なくとも9つ、少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも25個、少なくとも30個、少なくとも35個、少なくとも40個、少なくとも45個、少なくとも50個、少なくとも55個、少なくとも60個、少なくとも65個、少なくとも70個、少なくとも75個、少なくとも80個、少なくとも85個、少なくとも90個、少なくとも95個、少なくとも100個、少なくとも250個、少なくとも500個、少なくとも103個、少なくとも104個、少なくとも105個、少なくとも106個、少なくとも107個、少なくとも108個、少なくとも109個、少なくとも1010個、少なくとも1011個、少なくとも1012個、少なくとも1013個、少なくとも1014個、少なくとも1015個、少なくとも1016個、少なくとも1017個、少なくとも1018個、または少なくとも1019個は、配列番号25~46から選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする。いくつかの実施形態では、ライブラリー中のポリヌクレオチドのうちの少なくとも1つは、活性化可能結合ポリペプチド(すなわち、活性化可能抗体)をコードする。いくつかの実施形態では、ライブラリーの1つ以上のポリヌクレオチドは、ベクター(例えば、発現ベクターまたは提示ベクター)内にある。
【0091】
いくつかの実施形態では、ライブラリー中のポリヌクレオチドのそれぞれは、(a)式(XIII):XmCXnCXo(配列番号86)に従うアミノ酸配列を含み、式中、mは2~10であり、nは3~10であり、oは1~10であり、各Xは独立して、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、及びYから選択されるアミノ酸である、第1のペプチド(FP)と、(b)少なくとも第1の切断部位(例えば、少なくとも第1のプロテアーゼ切断部位)を含む切断可能部分(CM)と、c)抗体軽鎖可変領域及び/または抗体重鎖可変領域を含む標的結合部分(TBM)と、を含むポリペプチドをコードする。いくつかの実施形態では、mは3~10である。いくつかの実施形態では、ライブラリー中のポリヌクレオチドのそれぞれは、(a)式(I):XmCXnCZo(配列番号1)に従うアミノ酸配列を含み、式中、mは2~10であり、nは3~10であり、oは1~10であり、各Xは独立して、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、及びYから選択されるアミノ酸であり、各Zは独立して、D、A、Y、S、T、N、I、L、F、V、H、及びPから選択されるアミノ酸である、第1のペプチド(FP)と、(b)少なくとも第1の切断部位(例えば、少なくとも第1のプロテアーゼ切断部位)を含む切断可能部分(CM)と、c)抗体軽鎖可変領域及び/または抗体重鎖可変領域を含む標的結合部分(TBM)と、を含むポリペプチドをコードする。いくつかの実施形態では、mは3~10である。いくつかの実施形態では、ライブラリー中のポリヌクレオチドのうちの少なくとも1つは、活性化可能結合ポリペプチド(すなわち、活性化可能抗体)をコードする。いくつかの実施形態では、ライブラリーの1つ以上のポリヌクレオチドは、ベクター(例えば、発現ベクターまたは提示ベクター)内にある。
【0092】
いくつかの実施形態では、ライブラリー中のポリヌクレオチドのそれぞれは、式(III)、EVGSYX1X2X3X4X5X6CX7X8X9X10X11X12CX13X14SGRSAGGGGTENLYFQGSGGS(配列番号3)に従うアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードし、式中、X1は、A、D、I、N、P、またはYであり、X2は、A、F、N、S、またはVであり、X3は、A、H、L、P、S、V、またはYであり、X4は、A、H、S、またはYであり、X5は、A、D、P、S、V、またはYであり、X6は、A、D、L、S、またはYであり、X7は、D、P、またはVであり、X8は、A、D、H、P、S、またはTであり、X9は、A、D、F、H、P、またはYであり、X10は、L、P、またはYであり、X11は、F、P、またはYであり、X12は、A、P、S、またはYであり、X13は、A、D、N、S、T、またはYであり、X14は、A、S、またはYである。いくつかの実施形態では、ライブラリー中のポリヌクレオチドのうちの少なくとも1つは、活性化可能結合ポリペプチド(すなわち、活性化可能抗体)をコードする。いくつかの実施形態では、ライブラリーの1つ以上のポリヌクレオチドは、ベクター(例えば、発現ベクターまたは提示ベクター)内にある。
【0093】
いくつかの実施形態では、ライブラリー中のポリヌクレオチドのそれぞれは、配列番号25~46から選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする。いくつかの実施形態では、ライブラリー中のポリヌクレオチドのうちの少なくとも1つは、活性化可能結合ポリペプチド(すなわち、活性化可能抗体)をコードする。いくつかの実施形態では、ライブラリーの1つ以上のポリヌクレオチドは、ベクター(例えば、発現ベクターまたは提示ベクター)内にある。
【0094】
いくつかの実施形態では、本開示のライブラリーは、(a)式(XIII):XmCXnCXo(配列番号86)に従うアミノ酸配列を含み、式中、mは2~10であり、nは3~10であり、oは1~10であり、各Xは独立して、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、及びYから選択されるアミノ酸である、第1のペプチド(FP)と、(b)少なくとも第1の切断部位(例えば、少なくとも第1のプロテアーゼ切断部位)を含む切断可能部分(CM)と、c)抗体軽鎖可変領域含む標的結合部分(TBM)と、d)抗体重鎖可変領域と、を含むポリペプチドをコードする、少なくとも1つ(例えば、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも5つ、少なくとも10個、少なくとも100個、少なくとも103個、少なくとも104個、少なくとも105個、少なくとも106個、少なくとも107個、少なくとも108個、少なくとも109個、少なくとも1010個、少なくとも1011個、少なくとも1012個、少なくとも1013個、少なくとも1014個、少なくとも1015個、少なくとも1016個、少なくとも1017個、少なくとも1018個、または少なくとも1019個)のポリヌクレオチドを含有する。いくつかの実施形態では、mは3~10である。いくつかの実施形態では、本開示のライブラリーは、(a)式(I):XmCXnCZo(配列番号1)に従うアミノ酸配列を含み、式中、mは2~10であり、nは3~10であり、oは1~10であり、各Xは独立して、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、及びYから選択されるアミノ酸であり、各Zは独立して、D、A、Y、S、T、N、I、L、F、V、H、及びPから選択されるアミノ酸である、第1のペプチド(FP)と、(b)少なくとも第1の切断部位(例えば、少なくとも第1のプロテアーゼ切断部位)を含む切断可能部分(CM)と、c)抗体軽鎖可変領域含む標的結合部分(TBM)と、d)抗体重鎖可変領域と、を含むポリペプチドをコードする、少なくとも1つ(例えば、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも5つ、少なくとも10個、少なくとも100個、少なくとも103個、少なくとも104個、少なくとも105個、少なくとも106個、少なくとも107個、少なくとも108個、少なくとも109個、少なくとも1010個、少なくとも1011個、少なくとも1012個、少なくとも1013個、少なくとも1014個、少なくとも1015個、少なくとも1016個、少なくとも1017個、少なくとも1018個、または少なくとも1019個)のポリヌクレオチドを含有する。いくつかの実施形態では、mは3~10である。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、N末端からC末端にかけて、第1のペプチド(FP)-切断可能部分(CM)-VL-VHの構造を含む。いくつかの実施形態では、ポリペプチドのうちの少なくとも1つは、活性化可能結合ポリペプチド(すなわち、活性化可能抗体)である。いくつかの実施形態ではリンカー配列は、VLとVHとを分離する(すなわち、構造VL-リンカー-VH)。リンカーは、当該技術分野において既知の任意のリンカー配列、例えば、本明細書に記載のリンカー配列のいずれかであり得る。いくつかの実施形態では、リンカー配列は、GGGGS(配列番号17)の任意のコピー数である(例えば、2回繰り返される、3回繰り返されるなど)。
【0095】
いくつかの実施形態では、本開示のライブラリーは、(a)式(XIII):XmCXnCXo(配列番号86)に従うアミノ酸配列を含み、式中、mは2~10であり、nは3~10であり、oは1~10であり、各Xは独立して、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、及びYから選択されるアミノ酸である、第1のペプチド(FP)と、(b)少なくとも第1の切断部位(例えば、少なくとも第1のプロテアーゼ切断部位)を含む切断可能部分(CM)と、c)抗体軽鎖可変領域含む標的結合部分(TBM)と、を含むポリペプチドをコードする、少なくとも1つ(例えば、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも5つ、少なくとも10個、少なくとも100個、少なくとも103個、少なくとも104個、少なくとも105個、少なくとも106個、少なくとも107個、少なくとも108個、少なくとも109個、少なくとも1010個、少なくとも1011個、少なくとも1012個、少なくとも1013個、少なくとも1014個、少なくとも1015個、少なくとも1016個、少なくとも1017個、少なくとも1018個、または少なくとも1019個)のポリヌクレオチドを含有し、ライブラリーは、抗体重鎖可変領域をコードする1つ以上のポリヌクレオチドをさらに含む。いくつかの実施形態では、mは3~10である。いくつかの実施形態では、本開示のライブラリーは、(a)式(I):XmCXnCZo(配列番号1)に従うアミノ酸配列を含み、式中、mは2~10であり、nは3~10であり、oは1~10であり、各Xは独立して、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、及びYから選択されるアミノ酸であり、各Zは独立して、D、A、Y、S、T、N、I、L、F、V、H、及びPから選択されるアミノ酸である、第1のペプチド(FP)と、(b)少なくとも第1の切断部位(例えば、少なくとも第1のプロテアーゼ切断部位)を含む切断可能部分(CM)と、c)抗体軽鎖可変領域含む標的結合部分(TBM)と、を含むポリペプチドをコードする、少なくとも1つ(例えば、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも5つ、少なくとも10個、少なくとも100個、少なくとも103個、少なくとも104個、少なくとも105個、少なくとも106個、少なくとも107個、少なくとも108個、少なくとも109個、少なくとも1010個、少なくとも1011個、少なくとも1012個、少なくとも1013個、少なくとも1014個、少なくとも1015個、少なくとも1016個、少なくとも1017個、少なくとも1018個、または少なくとも1019個)のポリヌクレオチドを含有し、ライブラリーは、抗体重鎖可変領域をコードする1つ以上のポリヌクレオチドをさらに含む。いくつかの実施形態では、mは3~10である。いくつかの実施形態では、抗体軽鎖可変領域を含む標的結合部分(TBM)を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、及び抗体重鎖可変領域をコードするポリヌクレオチドは、同じベクター上にある(例えば、それら自体のプロモーターから発現される)か、または異なるベクター上にある。いくつかの実施形態では、ポリペプチドのうちの少なくとも1つは、抗体重鎖可変領域と結合する場合に、活性化可能結合ポリペプチド(すなわち、活性化可能抗体)を形成する。
【0096】
いくつかの実施形態では、本開示のライブラリーは、(a)式(XIII):XmCXnCXo(配列番号86)に従うアミノ酸配列を含み、式中、mは2~10であり、nは3~10であり、oは1~10であり、各Xは独立して、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、及びYから選択されるアミノ酸である、第1のペプチド(FP)と、(b)少なくとも第1の切断部位(例えば、少なくとも第1のプロテアーゼ切断部位)を含む切断可能部分(CM)と、c)抗体重鎖可変領域含む標的結合部分(TBM)と、d)抗体軽鎖可変領域と、を含むポリペプチドをコードする、少なくとも1つ(例えば、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも5つ、少なくとも10個、少なくとも100個、少なくとも103個、少なくとも104個、少なくとも105個、少なくとも106個、少なくとも107個、少なくとも108個、少なくとも109個、少なくとも1010個、少なくとも1011個、少なくとも1012個、少なくとも1013個、少なくとも1014個、少なくとも1015個、少なくとも1016個、少なくとも1017個、少なくとも1018個、または少なくとも1019個)のポリヌクレオチドを含有する。いくつかの実施形態では、mは3~10である。いくつかの実施形態では、活性化可能結合ポリペプチドは、N末端からC末端にわたり、第1ペプチド(FP)切断可能部分(CM)-VH-VLの構造を含むポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、本開示のライブラリーは、(a)式(I):XmCXnCZo(配列番号1)に従うアミノ酸配列を含み、式中、mは2~10であり、nは3~10であり、oは1~10であり、各Xは独立して、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、及びYから選択されるアミノ酸であり、各Zは独立して、D、A、Y、S、T、N、I、L、F、V、H、及びPから選択されるアミノ酸である、第1のペプチド(FP)と、(b)少なくとも第1の切断部位(例えば、少なくとも第1のプロテアーゼ切断部位)を含む切断可能部分(CM)と、c)抗体重鎖可変領域含む標的結合部分(TBM)と、d)抗体軽鎖可変領域と、を含むポリペプチドをコードする、少なくとも1つ(例えば、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも5つ、少なくとも10個、少なくとも100個、少なくとも103個、少なくとも104個、少なくとも105個、少なくとも106個、少なくとも107個、少なくとも108個、少なくとも109個、少なくとも1010個、少なくとも1011個、少なくとも1012個、少なくとも1013個、少なくとも1014個、少なくとも1015個、少なくとも1016個、少なくとも1017個、少なくとも1018個、または少なくとも1019個)のポリヌクレオチドを含有する。いくつかの実施形態では、mは3~10である。いくつかの実施形態では、活性化可能結合ポリペプチドは、N末端からC末端にかけて、第1のペプチド(FP)-切断可能部分(CM)-VH-VLの構造を含むポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、ポリペプチドのうちの少なくとも1つは、活性化可能結合ポリペプチド(すなわち、活性化可能抗体)である。いくつかの実施形態ではリンカー配列は、VHとVLとを分離する(すなわち、構造VH-リンカー-VL)。リンカーは、当該技術分野において既知の任意のリンカー配列、例えば、本明細書に記載のリンカー配列のいずれかであり得る。いくつかの実施形態では、リンカー配列は、GGGGS(配列番号17)の任意のコピー数である(例えば、2回繰り返される、3回繰り返されるなど)。
【0097】
いくつかの実施形態では、本開示のライブラリーは、(a)式(XIII):XmCXnCXo(配列番号86)に従うアミノ酸配列を含み、式中、mは2~10であり、nは3~10であり、oは1~10であり、各Xは独立して、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、及びYから選択されるアミノ酸である、第1のペプチド(FP)と、(b)少なくとも第1の切断部位(例えば、少なくとも第1のプロテアーゼ切断部位)を含む切断可能部分(CM)と、c)抗体重鎖可変領域含む標的結合部分(TBM)と、を含むポリペプチドをコードする、少なくとも1つ(例えば、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも5つ、少なくとも10個、少なくとも100個、少なくとも103個、少なくとも104個、少なくとも105個、少なくとも106個、少なくとも107個、少なくとも108個、少なくとも109個、少なくとも1010個、少なくとも1011個、少なくとも1012個、少なくとも1013個、少なくとも1014個、少なくとも1015個、少なくとも1016個、少なくとも1017個、少なくとも1018個、または少なくとも1019個)のポリヌクレオチドを含有し、ライブラリーは、抗体軽鎖可変領域をコードする1つ以上のポリヌクレオチドをさらに含む。いくつかの実施形態では、mは3~10である。いくつかの実施形態では、本開示のライブラリーは、(a)式(I):XmCXnCZo(配列番号1)に従うアミノ酸配列を含み、式中、mは2~10であり、nは3~10であり、oは1~10であり、各Xは独立して、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、及びYから選択されるアミノ酸であり、各Zは独立して、D、A、Y、S、T、N、I、L、F、V、H、及びPから選択されるアミノ酸である、第1のペプチド(FP)と、(b)少なくとも第1の切断部位(例えば、少なくとも第1のプロテアーゼ切断部位)を含む切断可能部分(CM)と、c)抗体重鎖可変領域含む標的結合部分(TBM)と、を含むポリペプチドをコードする、少なくとも1つ(例えば、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも5つ、少なくとも10個、少なくとも100個、少なくとも103個、少なくとも104個、少なくとも105個、少なくとも106個、少なくとも107個、少なくとも108個、少なくとも109個、少なくとも1010個、少なくとも1011個、少なくとも1012個、少なくとも1013個、少なくとも1014個、少なくとも1015個、少なくとも1016個、少なくとも1017個、少なくとも1018個、または少なくとも1019個)のポリヌクレオチドを含有し、ライブラリーは、抗体軽鎖可変領域をコードする1つ以上のポリヌクレオチドをさらに含む。いくつかの実施形態では、mは3~10である。いくつかの実施形態では、抗体重鎖可変領域を含む標的結合部分(TBM)を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、及び抗体軽鎖可変領域をコードするポリヌクレオチドは、同じベクター上にある(例えば、それら自体のプロモーターから発現される)か、または異なるベクター上にある。いくつかの実施形態では、ポリペプチドのうちの少なくとも1つは、抗体軽鎖可変領域と結合する場合に、活性化可能結合ポリペプチド(すなわち、活性化可能抗体)を形成する。
【0098】
本明細書に記載のポリヌクレオチド及び/またはポリヌクレオチドライブラリーは、HVR配列(例えば、重鎖可変領域HVR配列のうちの1つ、2つ、または3つ、及び/もしくは軽鎖可変領域HVR配列のうちの1つ、2つ、または3つ)、重鎖可変領域配列、及び/または本明細書に記載の抗体のいずれか(例えば、抗CTLA4抗体、抗CD137抗体)の軽鎖可変領域配列のいずれかを組み込んでもよい。本明細書に記載のポリヌクレオチド及び/またはポリヌクレオチドライブラリーはまた、HVR配列(例えば、重鎖可変領域HVR配列のうちの1つ、2つ、または3つ、及び/もしくは軽鎖可変領域HVR配列のうちの1つ、2つ、または3つ)、重鎖可変領域配列、軽鎖可変領域配列、ならびに/またはPCT出願第PCT/CN2017/098333号(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)、及び/もしくはPCT出願第PCT/CN2017/098299号(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載される重鎖、及び/または軽鎖を組み込んでもよい。
【0099】
いくつかの実施形態では、本開示のライブラリーは、本開示の1つ以上のポリヌクレオチド(例えば、合成ポリヌクレオチド)をコードする1つ以上のベクター(例えば、発現ベクター及び/または提示ベクター)を含む。
【0100】
例えば、本開示のライブラリーのポリヌクレオチド配列(例えば、合成ポリヌクレオチド(複数可))を提供及び組み立てることによって、ライブラリーを調製する方法が、本明細書にさらに提供される。例えば、複数の(例えば、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも5つ、少なくとも10個、少なくとも100個、少なくとも103個、少なくとも104個、少なくとも105個、少なくとも106個、少なくとも107個、少なくとも108個、少なくとも109個、少なくとも1010個、少なくとも1011個、少なくとも1012個、少なくとも1013個、少なくとも1014個、少なくとも1015個、少なくとも1016個、少なくとも1017個、少なくとも1018個、または少なくとも1019個)の第1のペプチド(FP)配列切断可能部分(CM)配列、及び/または標的結合部分(TBM)配列(例えば、本明細書に記載のFP、CM、及びTBM配列のうちのいずれか1つ以上)を選択し、これらの配列をコードするポリヌクレオチド配列を組み立てて、複数のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド(例えば、合成ポリヌクレオチド)のライブラリーを作成することにより、ライブラリーを作製する方法も、本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、組み立てられたライブラリーによってコードされるポリペプチドのうちの少なくとも1つは、活性化可能結合ポリペプチド(すなわち、活性化可能抗体)である。
【0101】
本明細書に記載のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、ポリペプチド配列の一部または全体の発現に好適な任意のベクターにクローニングすることができる。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、タンパク質(例えば、ウイルスコートタンパク質、細菌表面タンパク質、酵母表面タンパク質、昆虫細胞表面タンパク質、哺乳動物細胞表面タンパク質)のすべてまたは一部に融合したポリペプチドの一部または全体の産生(すなわち、融合タンパク質の作成)を可能にするベクターにクリーニングされ、粒子または細胞の表面に提示される。いくつかのタイプのベクターが利用可能であり、例えばファージミドベクターを、本開示を実施するために使用してもよい。ファージミドベクターは、当業者に既知であるように、一般的に、プロモーター、シグナル配列、表現型選択遺伝子、複製開始点、及び他の必要な構成要素を含む様々な構成要素を含有する。いくつかの実施形態では、ポリペプチド領域をコードするポリヌクレオチドは、細菌提示のために細菌細胞で、または酵母提示のために酵母細胞で発現させるためにベクターにクローニングすることができる。例示的なベクターは、米国PG公開第US20160145604号に記載されている。いくつかの実施形態では、ベクターは、5’から3’にわたり、表面(例えば、ファージ、細菌、酵母、昆虫、または哺乳動物細胞の表面)上に提示されるアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチド、制限部位、表面上に提示することができる表面ペプチドをコードする第2のポリヌクレオチド、及び第2の制限部位を含む提示ベクターである。いくつかの実施形態では、第2のポリヌクレオチドは、ファージコートタンパク質、酵母外壁タンパク質(Aga2など)、細菌外膜タンパク質、細胞表面テザードメイン、またはアダプター、またはその短縮型もしくは誘導体をコードする。いくつかの実施形態では、表面ペプチドは、ファージ提示、酵母提示、細菌提示、昆虫提示、または哺乳動物提示、またはそれらの間のシャトル提示のためのものである。いくつかの実施形態では、発現される場合、アミノ酸配列及び表面ペプチドは、表面上の融合タンパク質として提示される。いくつかの実施形態では、ベクターは、第1の制限部位の5’側または第2の制限部位の3’側に融合タグをさらに含む。
【0102】
本開示のある特定の態様は、本明細書に記載のベクター(複数可)を含有する細胞の集団に関する。本明細書に記載の手法のいずれか、または他の好適な手法によって生成されたポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドは、発現及びスクリーニングされて、所望の構造及び/または活性を有する活性化可能結合ポリペプチドを特定することができる。ポリペプチドの発現は、例えば、無細胞抽出物(例えば、リボソーム提示)、ファージ提示、原核細胞(例えば、細菌提示)、または真核細胞(例えば、酵母提示)を使用して実行することができる。いくつかの実施形態では、細胞は、細菌細胞、酵母細胞、昆虫細胞、または哺乳動物細胞(チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞など)である。細菌細胞、酵母細胞、または哺乳動物細胞をトランスフェクトするための方法は、当技術分野において既知であり、本明細書で引用される参考文献に記載されている。これらの細胞型におけるポリペプチド(例えば、1つ以上の活性化可能結合ポリペプチド)の(例えば、本開示のライブラリーからの)発現、ならびに目的の活性化可能結合ポリペプチドのスクリーニングは、以下により詳細に記載されている。
【0103】
あるいは、ポリヌクレオチドは、Pluckthun and Skerra.(Meth.Enzymol.,1989,178:476;Biotechnology,1991,9:(273)に記載されているものなどの、E.coli発現系で発現され得る。変異体タンパク質は、Better and Horwitz,Meth.Enzymol.,1989,178:476によって記載されているように、培地及び/または細菌の細胞質における分泌のために発現させることができる。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、ompA、phoAまたはpelBシグナル配列などの、シグナル配列をコードする配列の3’末端に結合している(Lei et al.,J.Bacteriol.,1987,169:4379)。これらの遺伝子融合は、それらが単一のベクターから発現され、E.coliのペリプラズム領域に分泌され、ここでそれらが再折りたたみされ、活性型で回収され得るように、ジシストロニック構築物に組み立てられる。(Skerra et al.,Biotechnology,1991,9:273)。例えば、第1のペプチド(FP)、切断可能部分(CM)、及び抗体軽鎖を含む標的結合部分(TBM)を含むポリペプチドをコードする遺伝子を、抗体重鎖遺伝子と同時に発現させて、目的のポリペプチドを産生することができる。
【0104】
他の実施形態では、本開示のポリペプチド配列は、例えば、US20040072740、US20030100023、及びUS20030036092に記載の分泌シグナル及び脂質化部分を使用して、原核生物、例えば、E.coliの膜表面上で発現される。
【0105】
あるいは、本開示のポリペプチド配列は、例えば、Jeong et al.,PNAS,2007,104:8247に記載のような、固定したペリプラズム発現(APEx2-ハイブリッド表面提示)によって、または、例えば、Mazor et al.,Nature Biotechnology,2007,25:563によって記載されているように、他の固定方法によって、発現及びスクリーニングされ得る。
【0106】
哺乳動物細胞、例えば、骨髄腫細胞(例えば、NS/0細胞)、ハイブリドーマ細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、及びヒト胎児腎(HEK)細胞などの高等真核細胞も、本開示のポリペプチドの発現のために使用され得る。哺乳動物細胞において発現されるポリペプチド(例えば、活性化可能結合ポリペプチド)は、培養培地中に分泌されるように、または細胞の表面上で発現されるように設計され得る。
【0107】
他の実施形態では、ポリペプチド(例えば、活性化可能結合ポリペプチド)は、哺乳動物細胞提示を使用して選択することができる(Ho et al.,PNAS,2006,103:9637)。いくつかの実施形態では、上述されかつ以下に例示されるように、ポリペプチド(例えば、活性化可能結合ポリペプチド)は、ウイルスコートタンパク質のすべてまたは一部に融合された(すなわち、融合タンパク質を作成する)一部またはすべてのポリペプチド配列の産生後に選択され、例えば、ファージ提示を使用して、粒子または細胞の表面に提示することができる。
【0108】
本開示のある特定の態様は、本開示のポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドライブラリーを含む非ヒト動物に関する。例えば、本開示の非ヒト動物は、そのゲノムが本開示のポリペプチド(例えば、活性化可能結合ポリペプチド)をコードするポリヌクレオチドを含むように改変され得る。いくつかの実施形態では、トランスジェニック動物(例えば、マウス)は、ポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドを発現する。非ヒト動物のゲノムを改変するための手法は、当該分野において既知である(例えば、Xenomouse(商標)を生成するために使用される方法)。
【0109】
本開示のライブラリーに由来する活性化可能結合ポリペプチドのスクリーニングは、任意の適切な手段(例えば、活性化の前後の標的結合の決定(切断可能部分(CM)内の配列を切断する1つ以上のプロテアーゼによるポリペプチドの処理など))によって実行することができる。例えば、結合活性は、標準的なイムノアッセイ及び/または親和性クロマトグラフィーによって評価することができる。触媒機能、例えば、タンパク質分解機能についての本開示のポリペプチドのスクリーニングは、標準的なアッセイ、例えば、ヘモグロビンプラークアッセイを使用して達成することができる。標的に対するポリペプチド(例えば、活性化可能結合ポリペプチド)の結合親和性を決定することは、以下のForteBioOctet(登録商標)RED96プラットフォーム(Pall Life Sciences)を使用して例示されるように、表面プラズモン共鳴またはバイオレイヤー干渉法(BLI)に基づいて、タンパク質の特定の標的への結合率を測定する、ELISA、BIACORE(商標)機器などの様々な既知の手法を使用して、インビトロでアッセイすることができる。インビボアッセイは、多数の動物モデルを使用して実施し、次いで、必要に応じて、その後ヒトで試験することができる。細胞ベースの生物学的アッセイも企図される。ポリペプチド(例えば、活性化可能結合ポリペプチド)は、機能的活性、例えば、アンタゴニストまたはアゴニスト活性についてさらに選択することができる。例えば、いくつかの実施形態では、fab断片(複数可)を含むポリペプチドと1つ以上の標的(複数可)との間の結合の親和性は、抗原をヒトIgG1-Fcタグでタグ付けし、抗hIgG-Fc捕捉(AHC)バイオセンサーで捕捉することにより、BLIを使用して測定する(例えば、活性化の前後に)。ポリペプチドは、CH1ドメインのC末端にHis6タグでタグ付けし、E.coliなどの宿主細胞で過剰発現させ、Ni-NTA樹脂などを使用して精製することができる。親和性は、AHCセンサー(抗ヒトIgG-Fc捕捉浸漬及び読み取りバイオセンサー)を使用して、例えば、速度論的緩衝液で5~10μg/mLに、希釈されたFabを含む精製されたポリペプチドを含有するウェルに浸漬して測定することができる(例えば、活性化の前後)。
【0110】
結合剤が特定された後(例えば、ポリペプチドが、「活性」の場合(例えば、プロテアーゼ処理後)に標的または抗原に結合することができるが、「非活性」の場合(例えば、プロテアーゼ処理前)には結合することができないことを決定することによって)、核酸が抽出され得る。次いで、抽出したDNAを使用して、E.coli宿主細胞を直接形質転換するか、あるいはコード化配列を、例えば、好適なプライマーを用いたPCRを使用して増幅し、任意の典型的な配列決定法によって配列決定することができる。結合剤のDNA配列は、制限酵素消化され、タンパク質発現のためにベクターに挿入され得る。
【0111】
第1のペプチド(FP)
いくつかの実施形態では、本開示は、第1のペプチド(FP)を含む1つ以上のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド及び/またはポリヌクレオチドライブラリーに関する。いくつかの実施形態では、本開示は、第1のペプチド(FP)を含む少なくとも1つのポリペプチドを含むポリペプチド及び/またはポリペプチドライブラリーに関する。いくつかの実施形態では、第1のペプチド(FP)は、式(XIII):XmCXnCXo(配列番号86)に従うアミノ酸配列を含み、式中、mは2~10(例えば、3~10)であり、nは3~10であり、oは1~10であり、各Xは独立して、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、及びYからなる群から選択されるアミノ酸である。いくつかの実施形態では、mは3~10である。いくつかの実施形態では、各Xは、W、M、及び/またはCではない。いくつかの実施形態では、式(XIII)のXmにおける各Xは独立して、D、A、Y、S、T、N、I、L、F、V、H、及びPからなる群から選択されるアミノ酸であり、式(XIII)のXnにおける各Xは独立して、D、A、Y、S、T、N、I、L、F、V、H、及びPからなる群から選択されるアミノ酸であり、ならびに/または式(XIII)のXoにおける各Xは独立して、D、A、Y、S、T、N、I、L、F、V、H、及びPからなる群から選択されるアミノ酸である。いくつかの実施形態では、FPは、式(XIV):(NNK)mTGY(NNK)nTGY(NNK)o(配列番号87)に従うポリヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチドを含み、式中、各Nは独立して、A、G、T、またはCであり、各Kは独立して、TまたはGであり、各Yは独立して、TまたはCであり、各Hは独立して、A、T、またはCである。
【0112】
いくつかの実施形態では、第1のペプチド(FP)は、式(I):XmCXnCZo(配列番号1)に従うアミノ酸配列を含み、式中、mは2~10(例えば、3~10)であり、nは3~10であり、oは1~10であり、各Xは独立して、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、及びYからなる群から選択されるアミノ酸であり、各Zは独立して、D、A、Y、S、T、N、I、L、F、V、H、及びPからなる群から選択されるアミノ酸である。いくつかの実施形態では、mは3~10である。いくつかの実施形態では、Xは、W、M、及び/またはCではない。いくつかの実施形態では、式(I)のXmにおける各Xは独立して、D、A、Y、S、T、N、I、L、F、V、H、及びPからなる群から選択されるアミノ酸であり、式(I)のXnにおける各Xは独立して、D、A、Y、S、T、N、I、L、F、V、H、及びPからなる群から選択されるアミノ酸である。いくつかの実施形態では、FPは、式(II):(NNK)mTGY(NNK)nTGY(NHC)o(配列番号2)に従うポリヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチドを含み、式中、各Nは独立して、A、G、T、またはCであり、各Kは独立して、TまたはGであり、各Yは独立して、TまたはCであり、各Hは独立して、A、T、またはCである。
【0113】
いくつかの実施形態では、第1のペプチド(FP)は、式(XII):ZmCZnCZo(配列番号71)に従うアミノ酸配列を含み、式中、mは2~10(例えば、3~10)であり、nは3~10であり、oは1~10であり、各Zは独立して、D、A、Y、S、T、N、I、L、F、V、H、及びPからなる群から選択されるアミノ酸である。いくつかの実施形態では、mは3~10である。
【0114】
いくつかの実施形態では、mは、2~5、3~10、3~9、3~8、3~7、3~6、3~5、3~4、4~10、4~9、4~8、4~7、4~6、4~5、5~10、5~9、5~8、5~7、5~6、6~10、6~9、6~8、6~7、7~10、7~9、7~8、8~10、8~9、または9~10である。いくつかの実施形態では、mは6~8である。いくつかの実施形態では、mは2、3、4、5、6、7、8、9、または10である。いくつかの実施形態では、mは6である。
【0115】
いくつかの実施形態では、nは、3~10、3~9、3~8、3~7、3~6、3~5、3~4、4~10、4~9、4~8、4~7、4~6、4~5、5~10、5~9、5~8、5~7、5~6、6~10、6~9、6~8、6~7、7~10、7~9、7~8、8~10、8~9、または9~10である。いくつかの実施形態では、nは6~8である。いくつかの実施形態では、nは3、4、5、6、7、8、9、または10である。いくつかの実施形態では、nは6である。いくつかの実施形態では、nは8である。
【0116】
いくつかの実施形態では、oは、1~10、1~9、1~8、1~7、1~6、1~5、1~4、1~3、1~2、2~10、2~9、2~8、2~7、2~6、2~5、2~4、2~3、3~10、3~9、3~8、3~7、3~6、3~5、3~4、4~10、4~9、4~8、4~7、4~6、4~5、5~10、5~9、5~8、5~7、5~6、6~10、6~9、6~8、6~7、7~10、7~9、7~8、8~10、8~9、または9~10である。いくつかの実施形態では、oは1~2である。いくつかの実施形態では、oは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10である。いくつかの実施形態では、oは2である。
【0117】
いくつかの実施形態では、第1のペプチド(FP)は、式(IV):Z6CX6CZ2(配列番号55)に従うアミノ酸配列を含み、式中、各Xは独立して、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、及びYからなる群から選択されるアミノ酸であり、各Zは独立して、D、A、Y、S、T、N、I、L、F、V、H、及びPからなる群から選択されるアミノ酸である。
【0118】
いくつかの実施形態では、第1のペプチド(FP)は、式(V):Z6CX8CZ2(配列番号56)に従うアミノ酸配列を含み、式中、各Xは独立して、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、及びYからなる群から選択されるアミノ酸であり、各Zは独立して、D、A、Y、S、T、N、I、L、F、V、H、及びPからなる群から選択されるアミノ酸である。
【0119】
いくつかの実施形態では、第1のペプチド(FP)は、式(VI):(Z6)C(Z6)C(Z2)(配列番号57)に従うアミノ酸配列を含み、式中、各Zは独立して、D、A、Y、S、T、N、I、L、F、V、H、及びPからなる群から選択されるアミノ酸である。
【0120】
いくつかの実施形態では、第1のペプチド(FP)は、式(VII):(Z6)C(Z8)C(Z2)(配列番号58)に従うアミノ酸配列を含み、式中、各Zは独立して、D、A、Y、S、T、N、I、L、F、V、H、及びPからなる群から選択されるアミノ酸である。
【0121】
いくつかの実施形態では、第1のペプチド(FP)は、XmCADAPNHCXX(配列番号88)、XmCHHSPANCXX(配列番号89)、XmCPILRHRCXX(配列番号90)、XmCKWRPSRCXX(配列番号91)、XmCRVLPRRCXX、(配列番号92)、XmCLWRHRSCXX(配列番号93)、及びXmCPRLRRKCXX(配列番号94)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、式中、mは2~10であり、各Xは独立して、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、及びYからなる群から選択されるアミノ酸である。いくつかの実施形態では、各Xは、M、W、またはCではない。いくつかの実施形態では、各Xは独立して、D、A、Y、S、T、N、I、L、F、V、H、及びPからなる群から選択されるアミノ酸である。いくつかの実施形態では、mは2である。いくつかの実施形態では、第1のペプチド(FP)は、アミノ酸配列EVGSYPTDLDACADAPNHCHF(配列番号95)、EVGSYSSTHAHCHHSPANCIS(配列番号96)、EVGSYDTDYDFCPILRHRCDS(配列番号97)、EVGSYNDYNYHCKWRPSRCHN(配列番号98)、EVGSYYHDYDDCRVLPRRCFN(配列番号99)、EVGSYSNNFASCLWRHRSCAD(配列番号100)、またはEVGSYTDNYDYCPRLRRKCYH(配列番号101)を含む。いくつかの実施形態では、標的結合部分(TBM)は、HVR、可変領域(VL、VH)、及び/または軽鎖及び重鎖(例えば、IgG1、IgG2、IgG4)の特定のアミノ酸配列に関して記載される抗体を含む、本明細書に記載される抗CD137抗体のうちの1つ以上の配列を含む。いくつかの実施形態では、標的結合部分(TBM)は、本明細書に記載の抗CD137抗体のうちの1つ以上の完全長抗体軽鎖を含む。
【0122】
いくつかの実施形態では、第1のペプチド(FP)は、XmCPDHPYPCXX(配列番号102)、XnCDAFYPYCXX(配列番号103)、XmCDSHYPYCXX(配列番号104)、及びXmCVPYYYACXX(配列番号105)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、式中、mは2~10であり、各Xは独立して、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、及びYからなる群から選択されるアミノ酸である。いくつかの実施形態では、第1のペプチド(FP)は、アミノ酸配列 EVGSYNFVADSCPDHPYPCSA(配列番号110)、EVGSYIVHHSDCDAFYPYCDS(配列番号111)、EVGSYYSAYPACDSHYPYCNS(配列番号112)、EVGSYPNPSSDCVPYYYACAY(配列番号113)、EVGSYYSAYPACDSHYPYCQS(配列番号114)、EVGSYYSAYPACDSHYPYCNS(配列番号115)、EVGSYPQPSSDCVPYYYACAY(配列番号116)、またはEVGSYPNPASDCVPYYYACAY(配列番号117)を含む。いくつかの実施形態では、標的結合部分(TBM)は、HVR、可変領域(VL、VH)、及び/または軽鎖及び重鎖(例えば、IgG1、IgG2、IgG4)の特定のアミノ酸配列に関して記載される抗体を含む、本明細書に記載される抗CTLA4抗体のうちの1つ以上の配列を含む。いくつかの実施形態では、標的結合部分(TBM)は、本明細書に記載の抗CTLA4抗体のうちの1つ以上の完全長抗体軽鎖を含む。
【0123】
いくつかの実施形態では、第1のペプチド(FP)は、配列番号72~85から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0124】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される第1のペプチド(FP)のいずれかは、1つ以上の追加のアミノ酸配列(例えば、1つ以上のポリペプチドタグ)をさらに含み得る。好適な追加のアミノ酸配列の例としては、精製タグ(例えば、hisタグ、flagタグ、マルトース結合タンパク質、及びグルタチオン-S-トランスフェラーゼタグ)、検出タグ(例えば、測光的に検出され得るタグ(例えば、赤色または緑色蛍光タンパク質など))、検出可能な酵素活性を有するタグ(例えば、アルカリホスファターゼなど)、分泌配列、リーダー配列、及び/また安定化配列を含有するタグ、プロテアーゼ切断部位(例えば、フリン切断部位、TEV切断部位、トロンビン切断部位)などが含まれ得るが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、1つ以上の追加のアミノ酸配列は、第1のペプチド(FP)のN末端にある。いくつかの実施形態では、追加のアミノ酸配列は、配列EVGSY(配列番号16)を含むかまたはそれからなる。
【0125】
いくつかの実施形態では、第1のペプチドは、活性化前に(例えば、切断可能部分(CM)内で切断する1つ以上のプロテアーゼで処理する前に、pHの(局所的な)変化(上昇または低下)を受ける前に、温度変化(上昇または低下)の前に、第2の分子(小分子またはタンパク質リガンドなど)と接触する前になど)標的結合部分(TBM)に結合し、ポリペプチドがその標的に結合するのを阻害するが、活性化後に(例えば、切断可能部分(CM)内で切断する1つ以上のプロテアーゼで処理した後に、pHの(局所的な)変化(上昇または低下)を受けた後に、温度変化(上昇または低下)の後に、第2の分子(小分子またはタンパク質リガンドなど)と接触した後になど)TBMに結合しない、及び/またはポリペプチドがその標的に結合するのを阻害しない。いくつかの実施形態では、第1のペプチド(FP)(例えば、マスキング部分)は、CMが切断されていない場合、ポリペプチド(例えば、活性化可能結合ポリペプチド)のその標的への結合を阻害するが、CMが切断されている場合、ポリペプチド(例えば、活性化可能結合ポリペプチド(すなわち、活性化可能抗体))のその標的への結合を阻害しない。いくつかの実施形態では、第1のペプチド(FP)(例えば、マスキング部分)は、ポリペプチド(例えば、活性化可能結合ポリペプチド(すなわち、活性化可能抗体))のその標的に対する解離定数より大きい(例えば、少なくとも約1.5倍大きい、少なくとも約2倍大きい、少なくとも約2.5倍大きい、少なくとも約3倍大きい、少なくとも約3.5倍大きい、少なくとも約4倍大きい、少なくとも約4.5倍大きい、少なくとも約5倍大きい、少なくとも約10倍大きい、少なくとも約100倍大きい、少なくとも約500倍大きいなど)TBMへの結合に対する解離定数を有する。
【0126】
切断可能部分(CM)
いくつかの実施形態では、本開示は、切断可能部分(CM)を含む1つ以上のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド及び/またはポリヌクレオチドライブラリーに関する。いくつかの実施形態では、本開示は、切断可能部分(CM)を含む少なくとも1つのポリペプチドを含むポリペプチド及び/またはポリペプチドライブラリーに関する。
【0127】
いくつかの実施形態では、切断可能部分(CM)は、少なくとも第1の切断部位(CS1)(例えば、第1のプロテアーゼ切断部位)を含む。いくつかの実施形態では、第1の切断部位は、第1のプロテアーゼ切断部位である。当該技術分野で既知の任意のプロテアーゼ(例えば、CMを含む活性化可能抗体の標的と共存していることが知られているプロテアーゼ)によって認識及び/または切断される任意の好適なプロテアーゼ切断部位が使用され得、それには、例えば、ウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子(uPA)、マトリックスメタロプロテイナーゼ(例えば、MMP-1、MMP-2、MMP-3、MMP-7、MMP-8、MMP-9、MMP-10、MMP-11、MMP-12、MMP-13、MMP-14、MMP-15、MMP-16、MMP-17、MMP-19、MMP-20、MMP-23、MMP-24、MMP-26、及び/またはMMP-27)、タバコエッチウイルス(TEV)プロテアーゼ、プラスミン、トロンビン、PSA、PSMA、ADAMS/ADAMTS(例えば、ADAM8、ADAM9、ADAM10、ADAM12、ADAM15、ADAM17/TACE、ADAMDEC1、ADAMTS1、ADAMTS4、及び/またはADAMTS5)、カスパーゼ(例えば、カスパーゼ-1、カスパーゼ-2、カスパーゼ-3、カスパーゼ-4、カスパーゼ-5、カスパーゼ-6、カスパーゼ-7、カスパーゼ-8、カスパーゼ-9、カスパーゼ-10、カスパーゼ-11、カスパーゼ-12、カスパーゼ-13、及び/またはカスパーゼ-14)、アスパラギン酸プロテアーゼ(例えば、RACE及び/またはレニン)、アスパラギン酸カテプシン(例えば、カテプシンD及び/またはカテプシンE)、システインカテプシン(例えば、カテプシンB、カテプシンC、カテプシンK、カテプシンL、カテプシンS、カテプシンV/L2、及び/またはカテプシンX/Z/P)、システインプロテイナーゼ(例えば、クルジパイン、レグマイン、及び/またはOtubain-2)、KLK(例えば、KLK4、KLK5、KLK6、KLK7、KLK8、KLK10、KLK11、KLK13、及び/またはKLK14)、メタロプロテイナーゼ(例えば、メプリン、ネプリライシン、PSMA、及び/またはBMP-1)、セリンプロテアーゼ(例えば、活性化されたタンパク質C、カテプシンA、カテプシンG、キマーゼ、及び/または凝固因子プロテアーゼ(例えば、FVIIa、FIXa、FXa、FXIa、FXIIa))、エラスターゼ、グランザイムB、グアニジノベンゾアターゼ、HtrA1、ヒト好中球エラスターゼ、ラクトフェリン、マラプシン、NS3/4A、PACE4、tPA、トリプターゼ、II型膜貫通型セリンプロテアーゼ(TTSP)(例えば、DESC1、DPP-4、FAP、ヘプシン、マトリプターゼ-2、MT-SP1/マトリプターゼ、TMPRSS2、TMPRSS3、及び/またはTMPRSS4)などによって認識及び/または切断されたプロテアーゼ切断部位が含まれる。いくつかの実施形態では、第1のプロテアーゼ切断部位は、uPA、MMP-1、MMP-2、MMP-3、MMP-8、MMP-9、MMP-14、TEVプロテアーゼ、プラスミン、トロンビン、第X因子、PSA、PSMA、カテプシンD、カテプシンK、カテプシンS、ADAM10、ADAM12、ADAMTS、カスパーゼ-1、カスパーゼ-2、カスパーゼ-3、カスパーゼ-4、カスパーゼ-5、カスパーゼ-6、カスパーゼ-7、カスパーゼ-8、カスパーゼ-9、カスパーゼ-10、カスパーゼ-11、カスパーゼ-12、カスパーゼ-13、カスパーゼ-14、及びTACEから選択されるプロテアーゼの切断部位である。いくつかの実施形態では、第1のプロテアーゼ切断部位は、uPA、MMP-2、MMP-9、及び/またはTEVプロテアーゼから選択されるプロテアーゼの切断部位である。いくつかの実施形態では、プロテアーゼ切断は、SGRSA(配列番号13)、PLGLAG(配列番号14)、及びENLYFQG(配列番号15)から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0128】
いくつかの実施形態では、第1のペプチド(FP)と切断可能部分(CM)とを含むポリペプチドは、式(VIII):EVGSY(Z6)C(Z6)C(Z2)SGRSA(配列番号4)に従うアミノ酸配列を含み、式中、各Zは独立して、D、A、Y、S、T、N、I、L、F、V、H、及びPから選択されるアミノ酸である。
【0129】
いくつかの実施形態では、第1のペプチド(FP)と切断可能部分(CM)とを含むポリペプチドは、式(IX):EVGSY(Z6)C(X6)C(Z2)SGRSA(配列番号5)に従うアミノ酸配列を含み、式中、各Xは独立して、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、及びYから選択されるアミノ酸であり、各Zは独立して、D、A、Y、S、T、N、I、L、F、V、H、及びPからなる群から選択されるアミノ酸である。
【0130】
いくつかの実施形態では、第1のペプチド(FP)と切断可能部分(CM)とを含むポリペプチドは、式(X):EVGSY(Z6)C(Z8)C(Z2)SGRSA(配列番号6)に従うアミノ酸配列を含み、式中、各Zは独立して、D、A、Y、S、T、N、I、L、F、V、H、及びPから選択されるアミノ酸である。
【0131】
いくつかの実施形態では、第1のペプチド(FP)と切断可能部分(CM)とを含むポリペプチドは、式(XI):EVGSY(Z6)C(X8)C(Z2)SGRSA(配列番号7)に従うアミノ酸配列を含み、式中、各Xは独立して、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、及びYからなる群から選択されるアミノ酸であり、各Zは独立して、D、A、Y、S、T、N、I、L、F、V、H、及びPからなる群から選択されるアミノ酸である。
【0132】
いくつかの実施形態では、切断可能部分(CM)は、第1のリンカー(L1)をさらに含む。いくつかの実施形態では、第1のリンカー(L1)は、第1の切断部位(CS1)(例えば、第1のプロテアーゼ切断部位)のC末端にある。いくつかの実施形態では、切断可能部分(CM)は、N末端からC末端にかけて、(CS1)-L1の構造を含む。
【0133】
例えば、グリシンポリマー(G)n(式中、nは少なくとも1(例えば、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10など)の整数である);GGGGS(配列番号17)、SGGS(配列番号18)、GGSG(配列番号19)、GGSGG(配列番号20)、GSGSG(配列番号21)、GSGGG(配列番号22)、GGGSG(配列番号23)、及び/またはGSSSG(配列番号24)などのグリシン-セリンポリマー(GS)n(式中、nは少なくとも1(例えば、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10など)の整数である);グリシンアラニンポリマー;アラニン-セリンポリマーなどを含む、当該技術分野で既知の任意の好適なリンカー(例えば、可撓性リンカー)を使用し得る。リンカー配列は、例えば、約1アミノ酸(例えば、グリシンまたはセリン)~約20アミノ酸(例えば、20アミノ酸のグリシンポリマーまたはグリシン-セリンポリマー)、約1アミノ酸~約15アミノ酸、約3アミノ酸~約12アミノ酸、約4アミノ酸~約10アミノ酸、約5アミノ酸~約9アミノ酸、約6アミノ酸~約8アミノ酸などの任意の長さであり得る。いくつかの実施形態では、リンカーは、約1、2、3、4、5,6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20アミノ酸のいずれかの長さである。いくつかの実施形態では、リンカーは、配列番号17~24から選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、リンカーは、配列番号17または18のアミノ酸配列を含む。
【0134】
いくつかの実施形態では、切断可能部分(CM)は、少なくとも第2の切断部位(例えば、少なくとも第2、少なくとも第3、少なくとも第4、少なくとも第5など)をさらに含む。いくつかの実施形態では、切断可能部分(CM)は、第2の切断部位(CS2)をさらに含む。いくつかの実施形態では、第2の切断部位は、第2のプロテアーゼ切断部位である。第2のプロテアーゼ切断部位は、上記のプロテアーゼのいずれかによって認識及び/または切断される任意の好適なプロテアーゼ切断部位であり得る。いくつかの実施形態では、第1(CS1)及び第2(CS2)の切断部位は、同じプロテアーゼによって認識及び/または切断されるプロテアーゼ切断部位である。いくつかの実施形態では、第1(CS1)及び第2(CS2)の切断部位は、異なるプロテアーゼによって認識及び/または切断されるプロテアーゼ切断部位である(例えば、第1のプロテアーゼ切断部位はuPAによって認識及び/または切断され、第2のプロテアーゼ切断部位はMMP-2によって認識及び/または切断される;第1のプロテアーゼ切断部位はuPAによって認識及び/または切断され、第2のプロテアーゼ切断部位はMMP-9によって認識及び/または切断される;第1のプロテアーゼ切断部位はuPAによって認識及び/または切断され、第2のプロテアーゼ切断部位はTEVプロテアーゼによって認識及び/または切断されるなど)。いくつかの実施形態では、少なくとも第2の切断部位(CS2)は、第1のリンカー(L1)のC末端にある。いくつかの実施形態では、切断可能部分(CM)は、N末端からC末端にかけて、(CS1)-L1-(CS2)の構造を含む。
【0135】
いくつかの実施形態では、切断可能部分(CM)は、少なくとも第2のリンカー(例えば、少なくとも第2、少なくとも第3、少なくとも第4、少なくとも第5など)をさらに含む。いくつかの実施形態では、切断可能部分(CM)は、第2のリンカー(L2)をさらに含む。第2のリンカー(L2)は、上記の任意の好適なリンカーであり得る。いくつかの実施形態では、第2のリンカーは、配列番号17~24から選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、第1(L1)及び第2(L2)のリンカーは同じである(例えば、両方のリンカーが配列番号17または18の配列を含む)。いくつかの実施形態では、第1(L1)及び第2(L2)のリンカーは異なる(例えば、第1のリンカー(L1)は配列番号17のアミノ酸配列を含み、第2のリンカー(L2)は配列番号18のアミノ酸配列を含むなど)。いくつかの実施形態では、少なくとも第2のリンカー(L2)は、第2の切断部位(CS2)のC末端にある。いくつかの実施形態では、切断可能部分(CM)は、N末端からC末端にかけて、(CS1)-L1-(CS2)-L2の構造を含む。
【0136】
例示的なFP-CM配列
いくつかの実施形態では、本開示のポリペプチドは、N末端からC末端にかけて、(FP)-(PCS1)-L1-(PCS2)-L2の構造を含む。いくつかの実施形態では、本開示のポリペプチドは、EVGSYDALHYACPPDYYACYYSGRSAGGGGTENLYFQGSGGS(配列番号25)、EVGSYNSYHAYCPHPLYPCTASGRSAGGGGTENLYFQGSGGS(配列番号26)、EVGSYASSAVLCVTAYFSCNSSGRSAGGGGTENLYFQGSGGS(配列番号27)、EVGSYNFVADSCPDHPYPCSASGRSAGGGGSPLGLAGSGGS(配列番号28)、EVGSYNFVADSCPDHPYPCSASGRSAGGGGTENLYFQGSGGS(配列番号29)、EVGSYIVHHSDCDAFYPYCDSSGRSAGGGGSPLGLAGSGGS(配列番号30)、EVGSYIVHHSDCDAFYPYCDSSGRSAGGGGTENLYFQGSGGS(配列番号31)、EVGSYYSAYPACDSHYPYCNSSGRSAGGGGSPLGLAGSGGS(配列番号32)、EVGSYYSAYPACDSHYPYCNSSGRSAGGGGTENLYFQGSGGS(配列番号33)、EVGSYPNPSSDCVPYYYACAYSGRSAGGGGSPLGLAGSGGS(配列番号34)、EVGSYPNPSSDCVPYYYACAYSGRSAGGGGTENLYFQGSGGS(配列番号35)、EVGSYYSAYPACDSHYPYCQSSGRSAGGGGSPLGLAGSGGS(配列番号36)、EVGSYYSAYPACDSHYPYCNSAGRSAGGGGSPLGLAGSGGS(配列番号37)、EVGSYPQPSSDCVPYYYACAYSGRSAGGGGSPLGLAGSGGS(配列番号38)、EVGSYPNPASDCVPYYYACAYSGRSAGGGGSPLGLAGSGGS(配列番号39)、EVGSYPTDLDACADAPNHCHFSGRSAGGGGSPLGLAGSGGS(配列番号40)、EVGSYSSTHAHCHHSPANCISSGRSAGGGGSPLGLAGSGGS(配列番号41)、EVGSYDTDYDFCPILRHRCDSSGRSAGGGGSPLGLAGSGGS(配列番号42)、EVGSYNDYNYHCKWRPSRCHNSGRSAGGGGSPLGLAGSGGS(配列番号43)、EVGSYYHDYDDCRVLPRRCFNSGRSAGGGGSPLGLAGSGGS(配列番号44)、EVGSYSNNFASCLWRHRSCADSGRSAGGGGSPLGLAGSGGS(配列番号45)、及び/またはEVGSYTDNYDYCPRLRRKCYHSGRSAGGGGSPLGLAGSGGS(配列番号46)のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、本開示のポリペプチドは、N末端からC末端にかけて、(FP)-(PCS1)-L1-(PCS2)-L2-(TBM)の構造を含む。
【0137】
標的結合部分(TBM)
いくつかの実施形態では、本開示は、標的結合部分(TBM)を含む1つ以上のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド及び/またはポリヌクレオチドライブラリーに関する。いくつかの実施形態では、本開示は、標的結合部分(TBM)を含む少なくとも1つのポリペプチドを含むポリペプチド及び/またはポリペプチドライブラリーに関する。いくつかの実施形態では、標的結合部分(TBM)は、抗体軽鎖可変領域及び/または抗体重鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、標的結合部分(TBM)は、抗体軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、標的結合部分(TBM)は、抗体重鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、標的結合部分(TBM)は、抗体軽鎖可変領域及び抗体重鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、抗体重鎖可変領域は、抗体軽鎖可変領域のC末端にある。いくつかの実施形態では、抗体軽鎖可変領域は、抗体重鎖可変領域のC末端にある。いくつかの実施形態では、本開示の標的結合部分(TBM)は、例えば、CTLA4、CD137、PD-1、PD-L1、PD-L2、LAG3、TIM3、B7-H3、OX40、CD3、CD19、CD20、CD40、CD95、CD120a、BTLA、VISTA、ICOS、BCMA、Her1、Her2、Her3、B7-H4を含む、任意の目的の標的に対する特異性を有する抗体軽鎖可変領域及び/または抗体重鎖可変領域を含む。
【0138】
いくつかの実施形態では、標的結合部分(TBM)は、完全長抗体軽鎖及び完全長抗体重鎖を含む。抗体軽鎖は、カッパまたはラムダ軽鎖であり得る。抗体重鎖は、IgG、IgM、IgE、IgA、またはIgDなどの任意のクラスであり得る。いくつかの実施形態では、抗体重鎖は、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4サブクラスなどのIgGクラスである。本明細書に記載の抗体重鎖は、当該技術分野で既知の方法を使用して、あるクラスまたはサブクラスから別のクラスまたはサブクラスに変換し得る。
【0139】
本明細書に記載の標的結合部分(TBM)のうちのいずれか1つ以上は、HVR配列(例えば、1つ、2つ、または3つの重鎖可変領域HVR配列、及び/または1つ、2つ、または3つの軽鎖可変領域HVR配列)、PCT出願第PCT/CN2017/098333号(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)、PCT出願第PCT/CN2017/098299号(その全体を参照により本明細書に組み込まれる)、PCT出願第PCT/CN2017/098332号(その全体を参照により本明細書に組み込まれる)、及び/または同時に、代理人整理番号69540-2000540(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)として出願された、「Compositions Comprising Cross-reactive Anti-CTLA4 Antibodies,and Methods of Making and Using the Same」と題するPCT出願に記載の抗体のいずれかの重鎖可変領域配列、及び/または軽鎖可変領域配列のいずれかを組み込んでもよい。
【0140】
本明細書に記載の標的結合部分(TBM)のうちのいずれか1つ以上は、HVR配列(例えば、重鎖可変領域HVR配列のうちの1つ、2つ、または3つ、及び/もしくは軽鎖可変領域HVR配列のうちの1つ、2つ、または3つ)、重鎖可変領域配列、及び/または本明細書に記載の抗体のいずれか(例えば、抗CTLA4抗体、抗CD137抗体)の軽鎖可変領域配列のいずれかを組み込んでもよい。
【0141】
いくつかの実施形態では、標的結合部分(TBM)は、HVR、可変領域(VL、VH)、及び/または軽鎖及び重鎖(例えば、IgG1、IgG2、IgG4)の特定のアミノ酸配列に関して記載される抗体を含む、本明細書に記載される抗CTLA4抗体のうちの1つ以上の配列を含む。いくつかの実施形態では、標的結合部分(TBM)は、アミノ酸配列RASQSVRGRFLA(配列番号62)を含むHVR-L1、アミノ酸配列DASNRATGI(配列番号63)を含むHVR-L2、及び/またはアミノ酸配列YCQQSSSWPPT(配列番号64)を含むHVR-L3を含む、抗体軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、標的結合部分(TBM)は、配列番号48のアミノ酸配列を含む抗体軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、標的結合部分(TBM)は、アミノ酸配列YSISSGYHWSWI(配列番号59)を含むHVR-H1、アミノ酸配列LARIDWDDDKYYSTSLKSRL(配列番号60)を含むHVR-H2、及び/またはアミノ酸配列ARSYVYFDY(配列番号61)を含むHVR-H3を含む、抗体重鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、標的結合部分(TBM)は、配列番号47のアミノ酸配列を含む抗体重鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、標的結合部分(TBM)は、a)アミノ酸配列RASQSVRGRFLA(配列番号62)を含むHVR-L1、アミノ酸配列DASNRATGI(配列番号63)を含むHVR-L2、及び/またはアミノ酸配列YCQQSSSWPPT(配列番号64)を含むHVR-L3を含む、抗体軽鎖可変領域、ならびにb)アミノ酸配列YSISSGYHWSWI(配列番号59)を含むHVR-H1、アミノ酸配列LARIDWDDDKYYSTSLKSRL(配列番号60)を含むHVR-H2、及び/またはアミノ酸配列ARSYVYFDY(配列番号61)を含むHVR-H3を含む、抗体重鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、標的結合部分(TBM)は、配列番号48のアミノ酸配列を含む抗体軽鎖可変領域、及び配列番号47のアミノ酸配列を含む抗体重鎖可変領域を含む。
【0142】
いくつかの実施形態では、標的結合部分(TBM)は、HVR、可変領域(VL、VH)、及び/または軽鎖及び重鎖(例えば、IgG1、IgG2、IgG4)の特定のアミノ酸配列に関して記載される抗体を含む、本明細書に記載される抗CD137抗体のうちの1つ以上の配列を含む。いくつかの実施形態では、標的結合部分(TBM)は、アミノ酸配列RASQSIGSYLA(配列番号68)を含むHVR-L1、アミノ酸配列DASNLETGV(配列番号69)を含むHVR-L2、及び/またはアミノ酸配列YCQQGYYLWT(配列番号70)を含むHVR-L3を含む、抗体軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、標的結合部分(TBM)は、配列番号50のアミノ酸配列を含む抗体軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、標的結合部分(TBM)は、アミノ酸配列FSLSTGGVGVGWI(配列番号65)を含むHVR-H1、アミノ酸配列LALIDWADDKYYSPSLKSRL(配列番号66)を含むHVR-H2、及び/またはアミノ酸配列ARGGSDTVIGDWFAY(配列番号67)を含むHVR-H3を含む、抗体重鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、標的結合部分(TBM)は、配列番号49のアミノ酸配列を含む抗体重鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、標的結合部分(TBM)は、a)アミノ酸配列RASQSIGSYLA(配列番号68)を含むHVR-L1、アミノ酸配列DASNLETGV(配列番号69)を含むHVR-L2、及び/またはアミノ酸配列YCQQGYYLWT(配列番号70)を含むHVR-L3を含む、抗体軽鎖可変領域、ならびにb)アミノ酸配列FSLSTGGVGVGWI(配列番号65)を含むHVR-H1、アミノ酸配列LALIDWADDKYYSPSLKSRL(配列番号66)を含むHVR-H2、及び/またはアミノ酸配列ARGGSDTVIGDWFAY(配列番号67)を含むHVR-H3を含む、抗体重鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、標的結合部分(TBM)は、配列番号50のアミノ酸配列を含む抗体軽鎖可変領域、及び配列番号49のアミノ酸配列を含む抗体重鎖可変領域を含む。
【0143】
V.ポリペプチド及びポリペプチドライブラリー
本開示の他の態様は、ポリヌクレオチド(例えば、本明細書に記載のポリペプチドのいずれか)及び/または、活性化可能抗体、その活性化可能抗原結合断片、または活性化可能抗体の誘導体を含む、1つ以上の活性化可能結合ポリペプチド(すなわち、1つ以上の活性化可能抗体)のスクリーニング、特定、及び/または選択に有用なポリペプチドのライブラリーに関する。本開示のライブラリーは、本明細書に記載のポリペプチドのうちの1つ以上(例えば、1つ以上の活性化可能結合ポリペプチド)を含有し得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のライブラリーのポリペプチドのうちの1つ以上(すなわち、1つ、いくつか、またはすべて)は、抗原結合ドメイン(複数可)を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のライブラリーのポリペプチドのうちの1つ以上(すなわち、1つ、いくつか、またはすべて)は、完全長抗体軽鎖及び/または重鎖(複数可)を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のライブラリーのポリペプチドのうちの1つ以上(すなわち、1つ、いくつか、またはすべて)は、軽鎖及び/または重鎖Fab断片(複数可)を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のライブラリーのポリペプチドのうちの1つ以上(すなわち、1つ、いくつか、またはすべて)は、単鎖可変断片(複数可)(scFv)を含む。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、細胞表面(例えば、酵母または哺乳動物細胞提示)上で発現される。
【0144】
いくつかの実施形態では、本開示のポリペプチド(例えば、ライブラリー中の)は、(a)第1のペプチド(FP)と、(b)切断可能部分(CM)と、(c)標的結合部分(TBM)と、を含む。いくつかの実施形態では、FPは、本明細書に記載の第1のペプチドのいずれか(例えば、式(XIII):XmCXnCXo(配列番号86)に従うアミノ酸配列を含み、式中、mは2~10であり、nは3~10であり、oは1~10であり、各Xは独立して、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、及びYからなる群から選択されるアミノ酸である、第1のペプチド(FP))である。いくつかの実施形態では、FPは、本明細書に記載の第1のペプチドのいずれか(例えば、式(I):XmCXnCZo(配列番号1)に従うアミノ酸配列を含み、式中、mは2~10であり、nは3~10であり、oは1~10であり、各Xは独立して、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、及びYから選択されるアミノ酸であり、各Zは独立して、D、A、Y、S、T、N、I、L、F、V、H、及びPからなる群から選択されるアミノ酸である、第1のペプチド(FP))である。いくつかの実施形態では、mは3~10である。いくつかの実施形態では、CMは、本明細書に記載の切断可能部分のいずれか(例えば、少なくとも第1のプロテアーゼ切断部位を含む切断可能部分(CM))である。いくつかの実施形態では、TBMは、本明細書に記載の標的結合部分のいずれか(例えば、抗体軽鎖可変領域及び/または抗体重鎖可変領域を含む、標的結合部分(TBM))である。
【0145】
いくつかの実施形態では、抗原結合ドメイン及び/または抗原結合ドメインを含むライブラリーが本明細書に提供され、抗原結合ドメインのうちの少なくとも1つ(例えば、1つ、いくつか、またはすべて)は、本開示のポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、抗原結合ドメインのうちの少なくとも1つ(例えば、1つ、いくつか、またはすべて)は、N末端からC末端にわたり、(a)第1のペプチド(FP)(例えば、式(XIII):XmCXnCXo(配列番号86)に従うアミノ酸配列を含み、式中、mは2~10であり、nは3~10であり、oは1~10であり、各Xは独立して、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、及びYからなる群から選択されるアミノ酸である、第1のペプチド(FP))と、(b)切断可能部分(例えば、少なくとも第1の切断部位を含む切断可能部分(CM))と、(c)抗体軽鎖変領域を含む標的結合部分と、を含むポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、mは3~10である。いくつかの実施形態では、抗原結合ドメインのうちの少なくとも1つ(例えば、1つ、いくつか、またはすべて)は、N末端からC末端にわたり、(a)第1のペプチド(FP)(例えば、式(I):XmCXnCZo(配列番号1)に従うアミノ酸配列を含み、式中、mは2~10であり、nは3~10であり、oは1~10であり、各Xは独立して、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、及びYからなる群から選択されるアミノ酸であり、各Zは、D、A、Y、S、T、N、I、L、F、V、H、及びPからなる群から選択されるアミノ酸である、第1のペプチド(FP))と、(b)切断可能部分(例えば、少なくとも第1の切断部位を含む切断可能部分(CM))と、(c)抗体軽鎖可変領域を含む標的結合部分と、を含むポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、抗原結合ドメインは、抗体重鎖可変領域をさらに含む。いくつかの実施形態では、mは3~10である。いくつかの実施形態では、抗原結合ドメインのうちの少なくとも1つ(例えば、1つ、いくつか、またはすべて)は、N末端からC末端にわたり、(a)第1のペプチド(FP)(例えば、式(XIII):XmCXnCXo(配列番号86)に従うアミノ酸配列を含み、式中、mは2~10であり、nは3~10であり、oは1~10であり、各Xは独立して、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、及びYからなる群から選択されるアミノ酸である、第1のペプチド(FP))と、(b)切断可能部分(例えば、少なくとも第1の切断部位を含む切断可能部分(CM))と、(c)抗体重鎖可変領域を含む標的結合部分と、を含むポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、mは3~10である。いくつかの実施形態では、抗原結合ドメインのうちの少なくとも1つ(例えば、1つ、いくつか、またはすべて)は、N末端からC末端にわたり、(a)第1のペプチド(FP)(例えば、式(I):XmCXnCZo(配列番号1)に従うアミノ酸配列を含み、式中、mは2~10であり、nは3~10であり、oは1~10であり、各Xは独立して、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、及びYからなる群から選択されるアミノ酸であり、各Zは、D、A、Y、S、T、N、I、L、F、V、H、及びPからなる群から選択されるアミノ酸である、第1のペプチド(FP))と、(b)切断可能部分(例えば、少なくとも第1の切断部位を含む切断可能部分(CM))と、(c)抗体重鎖可変領域を含む標的結合部分と、を含むポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、mは3~10である。いくつかの実施形態では、抗原結合ドメインは、抗体軽鎖可変領域をさらに含む。
【0146】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリペプチドのいずれかを含む抗体断片またはscFvが、本明細書にさらに提供される。いくつかの実施形態では、抗体断片またはscFvは、抗体軽鎖可変領域を含む標的結合部分(TBM)を含むポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、抗体断片またはscFvは、抗体重鎖可変領域を含む標的結合部分(TBM)を含むポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、抗体断片またはscFvのライブラリーが本明細書に提供され、抗体断片またはscFvのうちの少なくとも1つは、本明細書に記載のポリペプチドのいずれかを含む。いくつかの実施形態では、抗体断片またはscFvのうちの少なくとも1つ(例えば、1つ、いくつか、またはすべて)は、抗体軽鎖可変領域を含む標的結合部分(TBM)を含むポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、抗体断片またはscFvのうちの少なくとも1つ(例えば、1つ、いくつか、またはすべて)は、抗体重鎖可変領域を含む標的結合部分(TBM)を含むポリペプチドを含む。本明細書に記載の抗体断片及び/またはcFvのうちの1つ以上をそれらの表面上で発現する細胞及び/または細胞のライブラリーが、本明細書にさらに提供される。
【0147】
いくつかの実施形態では、本開示は、本開示のポリペプチドを含む抗体軽鎖に関する。いくつかの実施形態では、抗体軽鎖は、N末端からC末端にかけて、(a)第1のペプチド(FP)(例えば、式(XIII):XmCXnCXo(配列番号86)に従うアミノ酸配列を含み、式中、mは2~10(例えば、3~10)であり、nは3~10であり、oは1~10であり、各Xは独立して、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、及びYからなる群から選択されるアミノ酸である、第1のペプチド(FP))と、(b)切断可能部分(例えば、少なくとも第1の切断部位を含む切断可能部分(CM))と、抗体軽鎖可変領域を含む標的結合部分(TBM)と、を含むポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、mは3~10である。いくつかの実施形態では、抗体軽鎖は、N末端からC末端にかけて、(a)第1のペプチド(FP)(例えば、式(I):XmCXnCZo(配列番号1)に従うアミノ酸配列を含み、式中、mは2~10であり、nは3~10であり、oは1~10であり、各Xは独立して、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、及びYからなる群から選択されるアミノ酸であり、各Zは、D、A、Y、S、T、N、I、L、F、V、H、及びPからなる群から選択されるアミノ酸である、第1のペプチド(FP))と、(b)切断可能部分(例えば、少なくとも第1の切断部位を含む切断可能部分(CM))と、抗体軽鎖可変領域を含む標的結合部分(TBM)と、を含むポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、mは3~10である。いくつかの実施形態では、本開示は、抗体軽鎖を含むライブラリーに関し、ライブラリー中の抗体軽鎖のうちの少なくとも1つ(例えば、1つ、いくつか、またはすべて)は、上記のような抗体軽鎖である。いくつかの実施形態では、本開示は、抗体軽鎖及び抗体重鎖を含むライブラリーに関し、抗体軽鎖は、上記のような抗体軽鎖である。いくつかの実施形態では、抗体重鎖は、当該技術分野において既知の任意の抗体重鎖(本明細書に記載の抗体重鎖のいずれかを含む)である。いくつかの実施形態では、本開示は、抗体を含むライブラリーに関し、抗体のうちの少なくとも1つ(例えば、1つ、いくつか、またはすべて)は、上記のような抗体である。
【0148】
いくつかの実施形態では、本開示は、本開示のポリペプチドを含む抗体重鎖に関する。いくつかの実施形態では、抗体重鎖は、N末端からC末端にかけて、(a)第1のペプチド(FP)(例えば、式(XIII):XmCXnCXo(配列番号86)に従うアミノ酸配列を含み、式中、mは2~10であり、nは3~10であり、oは1~10であり、各Xは独立して、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、及びYからなる群から選択されるアミノ酸である、第1のペプチド(FP))と、(b)切断可能部分(例えば、少なくとも第1の切断部位を含む切断可能部分(CM))と、抗体重鎖可変領域を含む標的結合部分(TBM)と、を含むポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、mは3~10である。いくつかの実施形態では、抗体重鎖は、N末端からC末端にかけて、(a)第1のペプチド(FP)(例えば、式(I):XmCXnCZo(配列番号1)に従うアミノ酸配列を含み、式中、mは2~10であり、nは3~10であり、oは1~10であり、各Xは独立して、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、及びYからなる群から選択されるアミノ酸であり、各Zは、D、A、Y、S、T、N、I、L、F、V、H、及びPからなる群から選択されるアミノ酸である、第1のペプチド(FP))と、(b)切断可能部分(例えば、少なくとも第1の切断部位を含む切断可能部分(CM))と、抗体重鎖可変領域を含む標的結合部分(TBM)と、を含むポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、mは3~10である。いくつかの実施形態では、本開示は、抗体重鎖を含むライブラリーに関し、ライブラリー中の抗体重鎖のうちの少なくとも1つ(例えば、1つ、いくつか、またはすべて)は、上記のような抗体重鎖である。いくつかの実施形態では、本開示は、抗体重鎖及び抗体軽鎖を含むライブラリーに関し、抗体重鎖は、上記のような抗体重鎖である。いくつかの実施形態では、抗体軽鎖は、当該技術分野において既知の任意の抗体軽鎖(本明細書に記載の抗体軽鎖のいずれかを含む)である。いくつかの実施形態では、本開示は、抗体を含むライブラリーに関し、抗体のうちの少なくとも1つ(例えば、1つ、いくつか、またはすべて)は、上記のような抗体である。
【0149】
本開示のポリペプチド(例えば、上記の抗体のいずれか)は、例えば、米国特許第4,816,567号に記載されるような組換え方法及び組成物を使用して産生され得る。いくつかの実施形態では、ポリペプチドのいずれか(例えば、上記の抗体のいずれか)をコードする単離された核酸が提供される。このような核酸は、抗体(例えば、抗体の軽鎖及び/または重鎖)のVLを含むアミノ酸配列及び/またはVHを含むアミノ酸配列をコードすることができる。いくつかの実施形態では、このような核酸を含む1つ以上のベクター(例えば、発現ベクター)が、本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、このような核酸を含む宿主細胞が提供される。1つのこのような実施形態では、宿主細胞は、(1)VLを含む本開示のポリペプチドを含むアミノ酸配列及び/またはVHを含むアミノ酸配列(例えば、活性化可能結合ポリペプチド(すなわち、活性化可能抗体))をコードする核酸を含むベクター、(2)VHを含む本開示のポリペプチドを含むアミノ酸配列及び/またはVLを含むアミノ酸配列(例えば、活性化可能結合ポリペプチド(すなわち、活性化可能抗体))をコードする核酸を含むベクター、(3)VLを含む本開示のポリペプチドを含むアミノ酸をコードする核酸を含む第1のベクター及びVHを含む本開示のポリペプチドを含むアミノ酸(例えば、活性化可能結合ポリペプチド(すなわち、活性化可能抗体))をコードする核酸を含む第2のベクター、または(4)VHを含む本開示のポリペプチドを含むアミノ酸をコードする核酸を含む第1のベクター及びVLを含む本開示のポリペプチドを含むアミノ酸(例えば、活性化可能結合ポリペプチド(すなわち、活性化可能抗体))をコードする核酸を含む第2のベクターを含む(例えば、これらで形質転換されている)。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、真核細胞、例えば、酵母細胞、昆虫細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞またはリンパ系細胞(例えば、Y0、NS0、Sp20細胞)である。いくつかの実施形態では、ポリペプチド(例えば、活性化可能結合ポリペプチド(すなわち、活性化可能抗体))を作製する方法が提供され、本方法は、ポリペプチド(例えば、活性化可能結合ポリペプチド(すなわち、活性化可能抗体))をコードする核酸を含む葯主細胞を、ポリペプチドの発現に好適な条件下で培養することと、任意に、宿主細胞(または宿主細胞培養培地)からポリペプチド(例えば、活性化可能結合ポリペプチド(すなわち、活性化可能抗体))を回収することと、を含む。
【0150】
本開示のポリペプチド(例えば、活性化可能結合ポリペプチド(すなわち、活性化可能抗体))の組換え産生については、例えば上記のようなポリペプチド(例えば、活性化可能結合ポリペプチド(すなわち、活性化可能抗体))をコードする核酸が単離され、さらなるクローニング及び/または宿主細胞における発現のために、1つ以上のベクターに挿入される。このような核酸は、従来の手順を使用して(例えば、ポリペプチド(複数可)をコードする遺伝子に特異的に結合することができるオリゴヌクレオチドプローブを使用することによって)、容易に単離及び配列決定することができる。
【0151】
ポリペプチドコード化(例えば、活性化可能結合ポリペプチド(すなわち、活性化可能抗体)コード化)ベクターのクローニングまたは発現に好適な宿主細胞には、原核細胞または真核細胞が含まれる。例えば、ポリペプチド(例えば、活性化可能結合ポリペプチド(すなわち、活性化可能抗体))は、特にグリコシル化及びFcエフェクター機能が必要とされない場合、細菌中で産生され得る(例えば、(例えば、米国特許第5,648,237号、同第5,789,199号、及び同第5,840,523号を参照されたい:またE.coli中の抗体断片の発現を記載する、Charlton,Methods in Molecular Biology,Vol.248(B.K.C.Lo,ed.,Humana Press,Totowa,NJ,2003),pp.245-254も参照されたい)。発現後に、ポリペプチドは、可溶性分画中の細菌細胞ペーストから単離されてもよく、さらに精製されてもよい。
【0152】
原核微生物に加えて、糸状菌または酵母などの真核微生物は、ポリペプチドコード化(例えば、活性化可能結合ポリペプチド(すなわち、活性化可能抗体)コード化)ベクターのための好適なクローニングまたは発現宿主であり、これらには、そのグリコシル化経路が、「ヒト化され」ており、部分的または完全な人グリコシル化パターンを有するポリペプチドの産生をもたらす、真菌または酵母株が含まれる。Gerngross,Nat.Biotech.22:1409-1414(2004)、及びLi et al.,Nat.Biotech.24:210-215(2006)を参照されたい。
【0153】
グリコシル化ポリペプチドの発現に好適な宿主細胞は、多細胞性生物(無脊椎動物及び脊椎動物)にも由来する。無脊椎動物細胞の例としては、植物及び昆虫細胞が挙げられる。特にSpodoptera frugiperda細胞のトランスフェクションのために、昆虫細胞とともに使用することができる多数のバキュロウイルス株が特定されている。
【0154】
植物細胞培養物もまた、宿主として利用することができる。例えば、米国特許第5,959,177号、同第6,040,498号、同第6,420,548号、同第7,125,978号、及び同第6,417,429号(トランスジェニック植物において抗体を産生するためのPLANTIBODIES(商標)技術を記載する)を参照されたい。
【0155】
脊椎動物細胞も、宿主として使用されてもよい。例えば、懸濁液中で増殖するように適合されている哺乳動物細胞株は、有用であり得る。有用な哺乳動物宿主細胞株の他の例は、SV40によって形質転換されたサル腎臓CV1株(COS-7)、ヒト胎児由来腎臓細胞株(例えば、Graham et al.,J.Gen Virol.36:59(1977)に記載される293または293細胞)、ベビーハムスター腎細胞(BHK)、マウスセルトリ細胞(例えば、Mather,Biol.Reprod.23:243-251(1980)に記載されるTM4細胞)、サル腎細胞(CV1)、アフリカミドリザル腎細胞(VERO-76)、ヒト子宮頚部癌細胞(HELA)、イヌ腎臓細胞(MDCK)、バッファローラット肝細胞(BRL 3A)、ヒト肺細胞(W138)、ヒト肝細胞(Hep G2)、マウス乳腺腫瘍(MMT 060562)、例えば、Mather et al.,Annals N.Y.Acad.Sci.383:44-68(1982)に記載されるTRI細胞、MRC5細胞、及びFS4細胞である。他の有用な哺乳動物宿主細胞としては、DHFR-CHO細胞を含む、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞(Urlaub et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77:4216(1980))、及びY0、NS0ならびにSp2/0などの骨髄腫細胞が挙げられる。抗体産生に好適なある特定の哺乳動物宿主細胞株の概説については、例えば、Yazaki and Wu,Methods in Molecular Biology,Vol.248(B.K.C.Lo,ed.,Humana Press,Totowa,NJ),pp.255-268(2003)を参照されたい。
【0156】
VI.活性化可能結合ペプチド及びそれらの産生
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリヌクレオチド及び/またはポリペプチドライブラリーのいずれかからスクリーニングされ、特定され、及び/または選択された活性化可能結合ポリペプチド(例えば、活性化可能抗体)が、本明細書に提供される。
【0157】
いくつかの実施形態では、本開示の活性化可能抗体は、状況依存性である(例えば、特定の状況(プロテアーゼに富む腫瘍微小環境など)において活性化される(それらの標的にのみ結合することができる))。いくつかの実施形態では、本開示の活性化可能抗体は、より伝統的な非活性化可能抗体よりも改善された安全性を提供する(例えば、毒性の低下を示し、多くの臓器の重量に有意な変化を誘導せず、肝臓病理組織学、血液学、及び/または血液生化学を変化させないなど)。いくつかの実施形態では、本開示の活性化可能抗体は、より伝統的な非活性化可能抗体と比較して、改善された薬物動態特性(例えば、より長いインビボ半減期)を有する。
【0158】
いくつかの実施形態では、本開示の活性化可能結合ポリペプチドは、(a)第1のペプチド(FP)(例えば、マスキング部分)と、(b)切断可能部分と、(c)標的結合部分と、を含む。いくつかの実施形態では、第1のペプチド(FP)は活性化可能結合ドメインの標的結合部分(TBM)に結合し、マスキング部分を欠く対応する結合ポリペプチドの結合と比較して、及び/または親抗体の結合と比較して、活性化可能結合部分のその標的(例えば、ヒトCTLA4またはヒトCD137)への結合を低減または阻害する。いくつかの実施形態では、マスキング部分(MM)は、活性化前に少なくとも約2.0(例えば、少なくとも約2.0、少なくとも約3.0、少なくとも約4.0、少なくとも約5.0、少なくとも約6.0、少なくとも約7.0、少なくとも約8.0、少なくとも約9.0、少なくとも約10、少なくとも約25、少なくとも約50、少なくとも約75、少なくとも約100、少なくとも約150、少なくとも約200、少なくとも約300、少なくとも約400、少なくとも約500など)のマスキング効率を有する。いくつかの実施形態では、マスキング効率は、マスキング部分(MM)を欠くポリペプチドのその標的への結合に対する親和性と比較した、(活性化前の)マスキング部分を含む活性化可能抗体のその標的への結合に対する親和性における差異(例えば、マスキング部分(MM)を欠く親抗体と比較した、(活性化前の)マスキング部分(MM)を含む活性化可能抗体の標的抗原(CTLA4またはCD137など)に対する親和性における差異、または活性化後の活性化可能抗体の標的抗原に対する親和性と比較した、(活性化前の)マスキング部分(MM)を含む活性化可能抗体の標的抗原(CTLA4またはCD137など)に対する親和性における差異)によって測定される。いくつかの実施形態では、マスキング効率は、(活性化前の)マスキング部分(MM)を含む活性化可能抗体の結合のEC50を、親抗体のEC50で除算することによって測定される(例えば、ELISAによってEC50を測定することによって、例えば、実施例3の方法を参照)。いくつかの実施形態では、マスキング効率は、活性化後のマスキング部分(MM)を含む活性化可能抗体のその標的への結合に対する親和性と比較した、活性化前のマスキング部分(MM)を含む活性化可能抗体のその標的への結合に対する親和性における差異(例えば、活性化後の活性化可能抗体と比較した、活性化前の活性化可能抗体の標的抗原に対する親和性における差異)によって測定される。いくつかの実施形態では、マスキング部分(MM)は標的結合部分(TBM)に結合し、活性化可能抗体がその標的(例えば、「不活性な」活性化可能抗体)に結合するのを防ぐ。
【0159】
いくつかの実施形態では、「活性化可能な」結合ポリペプチドは、阻害され、マスキングされ、及び/または切断されていない状態である場合、標的への第1のレベルの結合を示し、阻害されていない、マスキングされていない、及び/または切断されている状態である場合、標的への第2のレベルの結合を示す、結合ポリペプチドを指し、第2のレベルの標的結合は、第1のレベルの標的結合より大きい。いくつかの実施形態では、活性化可能な結合ポリペプチドによる標的へのアクセスは、(例えば、1つ以上のプロテアーゼによる)切断可能部分内での切断後により増大する。
【0160】
いくつかの実施形態では、本開示のポリペプチドは、一般的に、ポリペプチドの活性化前と比較して、ポリペプチドの活性化後(例えば、切断可能部分(CM)内を切断する1つ以上のプロテアーゼでの処理による活性化後、pHの変化(上昇または低下)による活性化後、温度変化(上昇または低下)による活性化後、第2の分子(小分子など)との接触による活性化後など)に、ポリペプチドのその標的(例えば、ヒトCTLA4またはCD137)への結合親和性が少なくとも約2倍(例えば、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3倍、少なくとも約3.5倍、少なくとも約4倍、少なくとも約4.5倍、少なくとも約5倍、少なくとも約5.5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約6.5倍、少なくとも約7倍、少なくとも約7.5倍、少なくとも約8倍、少なくとも約8.5倍、少なくとも約9倍、少なくとも約9.5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約25倍、少なくとも約50倍、少なくとも約75倍、少なくとも約100倍、少なくとも約250倍、少なくとも約500倍、少なくとも約750倍、または少なくとも約1000倍以上)増加する場合、「活性化可能な」結合ポリペプチドであるとみなされる。いくつかの実施形態では、本開示のポリペプチドは、一般的に、ポリペプチドのEC50が、「活性化」後に少なくとも約2倍(例えば、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3倍、少なくとも約3.5倍、少なくとも約4倍、少なくとも約4.5倍、少なくとも約5倍、少なくとも約5.5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約6.5倍、少なくとも約7倍、少なくとも約7.5倍、少なくとも約8倍、少なくとも約8.5倍、少なくとも約9倍、少なくとも約9.5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約25倍、少なくとも約50倍、少なくとも約75倍、少なくとも約100倍、少なくとも約250倍、少なくとも約500倍、少なくとも約750倍、または少なくとも約1000倍以上)減少する場合(例えば、ELISAまたはFACSアッセイによって測定される場合;以下の実施例を参照)、「活性化可能」であるとみなされる。いくつかの実施形態では、本開示のポリペプチドは、一般的に、ポリペプチドのEC50が、切断可能部分内で切断するプロテアーゼでの処理後に少なくとも約2倍減少した場合(例えば、ELISAまたはFACSアッセイによって測定される場合;以下の実施例を参照)、「活性化可能」とみなされる。
【0161】
いくつかの実施形態では、マスキング部分が活性化可能結合ポリペプチドの標的結合部分に結合している場合、活性化可能結合ポリペプチドのその標的に対するKDは、(例えば、活性化可能結合ポリペプチドの「活性化」後(例えば、切断可能部分内で切断するプロテアーゼ処理後)に)マスキング部分が標的結合部分に結合されていない場合よりも、及び/または親抗体の標的に対するKDよりも、約2倍以上(例えば、約2、約2.5、約3、約3.5、約4、約4.5、約5、約5.5、約6、約6.5、約7、約7.5、約8、約8.5、約9、約9.5、約10、約25、約50、約75、約100、約250、約500、約750、または約1000以上)大きい。親和性を測定する方法は当該技術分野で既知であり、例えば、以下の実施例3に記載される方法を含む。
【0162】
いくつかの実施形態では、マスキング部分が活性化可能結合ポリペプチドの標的結合部分に結合している場合、活性化可能結合ポリペプチドのその標的に対するKDは、(例えば、活性化可能結合ポリペプチドの「活性化」後(例えば、切断可能部分内で切断するプロテアーゼ処理後)に)マスキング部分が標的結合部分に結合していない場合と比較して、及び/または親抗体の標的に対するKDと比較して、少なくとも約25%(例えば、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%)減少する。親和性を測定する方法は当該技術分野で既知であり、例えば、以下の実施例3に記載される方法を含む。
【0163】
いくつかの実施形態では、マスキング部分は、活性化可能結合ポリペプチドのその標的への結合を立体的に遮蔽する、及び/または活性化可能結合ポリペプチドのその標的への結合をアロステリックに遮蔽する。いくつかの実施形態では、マスキング部分は、活性化可能結合ポリペプチドの天然結合パートナーのアミノ酸配列を含まない。
【0164】
いくつかの実施形態では、マスキング部分の標的結合部分に対する解離定数は、(活性な活性化型の場合)活性化可能結合ポリペプチドの標的に対する解離定数よりも大きい。いくつかの実施形態では、マスキング部分の標的結合部分に対する解離定数は、(活性化型の場合)活性化可能結合ポリペプチドの標的に対する解離定数よりも約2倍以上(例えば、約2、約2.5、約3、約3.5、約4、約4.5、約5、約5.5、約6、約6.5、約7、約7.5、約8、約8.5、約9、約9.5、約10、約25、約50、約75、約100、約250、約500、約750、または約1000倍以上)大きい。いくつかの実施形態では、マスキング部分の標的結合部分に対する解離定数は、(活性化された場合)活性化可能結合ポリペプチドの標的に対する解離定数にほぼ等しい。いくつかの実施形態では、第1のペプチド(FP)は、標的結合部分(TBM)に結合し、ポリペプチドが活性化(例えば、切断可能部分(CM)内を切断する1つ以上のプロテアーゼでの処理によって活性化、pHの変化(上昇または低下)によって活性化、温度変化(上昇または低下)によって活性化、第2の分子(小分子またはタンパク質リガンドなど)と接触した後に活性化など)された場合のみ、ポリペプチドがその標的に結合することを妨害する。いくつかの実施形態では、活性化は、切断部分内のポリペプチドの切断を誘導する。いくつかの実施形態では、活性化がポリペプチドの立体配座変化(例えば、第1のペプチド(FP)の転置)を誘導することにより、第1のペプチドがポリペプチドのその標的への結合をそれ以上妨げないようにする。
【0165】
本明細書に記載の活性化可能結合ポリペプチド(すなわち、活性化可能抗体)は、さらに修飾されてもよい。いくつかの実施形態では、活性化可能結合ポリペプチドは、追加の分子実体に連結される。追加の分子実体の例には、医薬品、ペプチドまたはタンパク質、検出剤または標識、及び抗体が含まれる。
【0166】
いくつかの実施形態では、本開示の活性化可能結合ポリペプチドは、医薬品に連結される。医薬品の例には、細胞傷害剤または他のがん治療剤、及び放射性同位元素が含まれる。細胞傷害剤の具体例としては、タキソール、サイトカラシンB、グラミシジンD、臭素エチジウム、エメチン、マイトマイシン、エトポシド、テノポシド、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルチシン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ジヒドロキシアントラシンジオン、ミトキサントロン、ミトラマイシン、アクチノマイシンD、1-デヒドロテストステロン、グルココルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロール、ピュロマイシン、及びそれらの類似体または相同体が挙げられる。また、治療剤としては、例えば、代謝拮抗物質(例えば、メトトレキサート、6-メルカプトプリン、6-チオグアニン、シタラビン、5-フルオロウラシルデカルバジン)、アルキル化剤(例えば、メクロレタミン、チオテパクロラムブシル、メルファラン、カルムスチン(BSNU)及びロムスチン(CCNU)、シクロトスファミド、ブスルファン、ジブロモマンニトール、ストレプトゾトシン、マイトマイシンC、及びシス-ジクロロジアミンプラチナ(II)(DDP)シスプラチン)、アントラシクリン(例えば、ダウノルビシン(以前のダウノマイシン)及びドキソルビシン)、抗生物質(例えば、ダクチノマイシン(以前のアクチノマイシン)、ブレオマイシン、ミトラマイシン、及びアントラマイシン(AMC))、ならびに抗有糸分裂剤(例えば、ビンクリスチン及びビンブラスチン)も挙げられる。診断的または治療的に使用するために抗体にコンジュゲートすることができる放射性同位元素の例としては、ヨウ素131、インジウム111、イットリウム90、及びルテチウム177が挙げられるが、これらに限定されない。ポリペプチドを医薬品に連結する方法は、様々なリンカー技術を使用するなどの方法が当該技術分野で知られている。リンカーの種類の例としては、ヒドラゾン、チオエーテル、エステル、ジスルフィド、及びペプチド含有リンカーが挙げられる。治療剤を抗体に連結するためのリンカー及び方法のさらなる考察については、例えば、Saito et al.,Adv.Drug Deliv.Rev.55:199-215(2003)、Trail,et al.,Cancer Immunol.Immunother.52:328-337(2003)、Payne,Cancer Cell 3:207-212(2003)、Allen,Nat.Rev.Cancer 2:750-763(2002)、Pastan and Kreitman,Curr.Opin.Investig.Drugs 3:1089-1091(2002)、Senter and Springer(2001)Adv.Drug Deliv.Rev.53:247-264を参照されたい。
【0167】
CTLA4を標的化する活性化可能結合ポリペプチド
いくつかの実施形態では、本開示は、活性化可能抗CTLA4抗体、活性化可能抗CTLA4抗体の抗原結合断片、及び/または活性化可能抗CTLA4抗体の誘導体を含むヒトCTLA4に結合する活性化可能結合ポリペプチド(すなわち、活性化可能抗体)に関する。いくつかの実施形態では、活性化可能抗体は、(a)N末端からC末端にかけて、マスキング部分(MM)、切断可能部分(CM)、及び標的結合部分(TBM)を含むポリペプチドであって、MMは、式(I):X
mCX
nCZ
o(配列番号1)に従うアミノ酸配列を含み、式中、mは2~10であり、nは3~10であり、oは1~10であり、各Xは独立して、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、及びYからなる群から選択されるアミノ酸であり、各Zは独立して、D、A、Y、S、T、N、I、L、F、V、H、及びPからなる群から選択されるアミノ酸であり、CMは、少なくとも第1の切断部位(例えば、少なくとも第1のプロテアーゼ切断部位)を含み、TBMは、抗体軽鎖可変領域(VL)を含む、ポリペプチドと、(b)抗体重鎖可変領域(VH)と、を含む。いくつかの実施形態では、mは3~10である。いくつかの実施形態では、MMは、CMが切断されていない場合、活性化可能抗体のヒトCTLA4への結合を阻害する。いくつかの実施形態では、活性化可能抗体は、CMが切断されている場合、ヒトCTLA4に結合することができる。いくつかの実施形態では、表Aに列挙されているように、MMは、配列番号72~78から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0168】
いくつかの実施形態では、活性化可能結合ポリペプチドは、HVR、可変領域(VL、VH)、ならびに/または軽鎖及び重鎖(例えば、IgG1、IgG2、IgG4)の特定のアミノ酸配列に関して記載される抗体を含む、本明細書に記載の抗CTLA4抗体のいずれかを含む。いくつかの実施形態では、抗CTLA4抗体は、ヒト抗体である。いくつかの実施形態では、抗CTLA4抗体は、ヒト化抗体、及び/またはキメラ抗体である。
【0169】
いくつかの実施形態では、活性化可能結合ポリペプチドは、a)アミノ酸配列YSISSGYHWSWI(配列番号59)を含むHVR-H1、アミノ酸配列LARIDWDDDKYYSTSLKSRL(配列番号60)を含むHVR-H2、ならびにアミノ酸配列ARSYVYFDY(配列番号61)を含むHVR-H3、及び/またはb)アミノ酸配列RASQSVRGRFLA(配列番号62)を含むHVR-L1、アミノ酸配列DASNRATGI(配列番号63)を含むHVR-L2、ならびにアミノ酸配列YCQQSSSWPPT(配列番号64)を含むHVR-L3を含む。いくつかの実施形態では、活性化可能結合ポリペプチドは、a)配列番号47のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び/またはb)配列番号48のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0170】
いくつかの実施形態では、本開示は、活性型である場合に人CTLA4に結合し(例えば、活性化可能結合ポリペプチドは、切断可能部分における切断(例えば、1つ以上のプロテアーゼによる)後に活性であるが、切断可能部分における切断(例えば、1つ以上のプロテアーゼによる)前に不活性である)、以下の機能的特性:(a)ヒト、カニクイザル、マウス、ラット、及び/またはイヌCTLA4に500nM以下のKDで結合する、(b)ヒトCTLA4に対してアンタゴニスト活性を有する、(c)100nMまでの濃度でヒトPD-1、PD-L1、PD-L2、LAG3、TIM3、B7-H3、CD95、CD120a、OX40、CD40、BTLA、VISTA、ICOS、及び/またはB7-H4に結合しない、(d)サル、マウス、ラット、及び/またはイヌCTLA4と交差反応性である、(e)(例えば、Tregに対する)ADCC効果を誘導する、(f)ヒトPBMCを活性化する(例えば、IL-2及び/またはIFNγの分泌を刺激する)、(g)腫瘍細胞の増殖を阻害することができる、(h)がんに対する治療効果を有する、ならびに(i)ヒトCTLA4のヒトCD80及び/またヒトCD86への結合を阻害する、のうちの少なくとも1つ(例えば、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、少なくとも8つ、またはすべて9つ)を有する、活性化可能結合ポリペプチドに関する。また、ヒトCTLA4への結合に関して、本明細書に記載のCTLA4標的活性化可能結合ポリペプチド及び/または抗CTLA4抗体のうちの1つ以上と交差競合する1つ以上の活性化可能結合ポリペプチドも本明細書に提供される。
【0171】
いくつかの実施形態では、活性化可能結合ポリペプチドは、不活性型である場合、ヒト、カニクイザル、マウス、ラット、及び/またはイヌCTLA4に約500nM以上のKDで結合する。いくつかの実施形態では、活性化可能結合ポリペプチドは、活性型である場合、ヒト、カニクイザル、マウス、ラット、及び/またはイヌCTLA4に約500nM以下(例えば、約500nM以下、約450nM以下、約400nM以下、約350nM以下、約300nM以下、約250nM以下、約200nM以下、約150nM以下、約100nM以下、約90nM以下、約80nM以下、約70nM以下、約60nM以下、約50nM以下、約40nM以下、約30nM以下、約25nM以下、約20nM以下、約10nM以下、約1nM以下、約0.1nM以下など)のKDで結合する。いくつかの実施形態では、活性化可能結合ポリペプチドは、活性型である場合、ヒト、カニクイザル、マウス、ラット、及び/またはイヌCTLA4に約350nM以下のKDで結合する。いくつかの実施形態では、活性化可能結合ポリペプチドは、活性型である場合、ヒトCTLA4に約100nM以下のKDで結合する。いくつかの実施形態では、活性化可能結合ポリペプチドは、活性型である場合、ヒトCTLA4に約50nM以下のKDで結合する。いくつかの実施形態では、活性化可能結合ポリペプチドは、活性型である場合、ヒトCTLA4に約10nM以下のKDで結合する。活性化可能結合ポリペプチドのKDを測定する方法は、例えば、表面プラズモン共鳴、ELISA、等温滴定熱量測定、フィルター結合アッセイ、EMSAなどによるものを含む、当該技術分野で既知の任意の方法を使用して実施することができる。いくつかの実施形態では、KDは、ELISAによって測定される(例えば、以下の実施例3を参照されたい)。
【0172】
いくつかの実施形態では、活性化可能結合ポリペプチドは、不活性型である場合、ヒトCTLA4に対してアンタゴニスト活性を有しない。いくつかの実施形態では、活性化可能結合ポリペプチドは、活性型である場合、ヒトCTLA4に対してアンタゴニスト活性を有する(例えば、ADCC効果を(例えば、Tregsに対して)誘導し、PBMCを(例えば、IL-2及び/またはIFNγ分泌を活性化、誘導、及び/または刺激することによって)活性化し、ヒトCTLA4のヒトCD80及び/またはヒトCD86への結合を遮断するなど)。いくつかの実施形態では、活性化可能結合ポリペプチドは、活性型である場合、ヒトCTLA4の1つ以上の活性を抑制する(例えば、ヒトCTLA4を発現する細胞(例えば、ヒト細胞)が活性化された活性化可能結合ポリペプチドによって接触されると、ヒトCTLA4の1つ以上の活性を抑制する)。
【0173】
いくつかの実施形態では、活性化可能結合ポリペプチドは、不活性型である場合、サル(例えば、カニクイザル)、マウス、ラット、及び/またはイヌCTLA4と交差反応性ではない。いくつかの実施形態では、活性化可能結合ポリペプチドは、活性型である場合、サル(例えば、カニクイザル)、マウス、ラット、及び/またはイヌCTLA4と交差反応性である。いくつかの実施形態では、活性化可能結合ポリペプチドは、活性型である場合、サルCTLA4と交差反応性である。いくつかの実施形態では、活性化可能結合ポリペプチドは、活性型である場合、マウスCTLA4と交差反応性である。いくつかの実施形態では、活性化可能結合ポリペプチドは、活性型である場合、ラットCTLA4と交差反応性である。いくつかの実施形態では、活性化可能結合ポリペプチドは、活性型である場合、イヌCTLA4と交差反応性である。いくつかの実施形態では、活性化可能結合ポリペプチドは、活性型である場合、サル及びマウスCTLA4;サル及びラットCTLA4;サル及びイヌCTLA4;マウス及びラットCTLA4;マウス及びイヌCTLA4;ラット及びイヌCTLA4;サル、マウス、及びラットCTLA4;サル、マウス、及びイヌCTLA4;サル、ラット、及びイヌCTLA4;マウス、ラット、及びイヌCTLA4;またはサル、マウス、ラット、及びイヌCTLA4と交差反応性である。いくつかの実施形態では、活性化可能な結合ポリペプチドは、活性型である場合、約350nM(例えば、約1nM、約10nM、約25nM、約50nM、約75nM、約100nM、約150nM、約200nM、約250nM、約300nM、約350nM)で交差反応性である。交差反応性を測定する方法は当該技術分野で既知であり、表面プラズモン共鳴、ELISA、等温滴定熱量測定、フィルター結合アッセイ、EMSAなどを含むが、これらに限定されない。
【0174】
いくつかの実施形態では、活性化可能結合ポリペプチドは、不活性型である場合、(例えば、Tregなどのヒト細胞に対して)ADCC効果を誘導しない。いくつかの実施形態では、活性化可能結合ポリペプチドは、不活性型である場合、対照結合ポリペプチド(例えば、第1のペプチド(FP)及び切断可能部分(CM)を欠いている親抗体)と比較して(例えば、Tregなどのヒト細胞に対して)ADCC効果を減少させる。いくつかの実施形態では、活性化可能抗体は、活性型である場合、(例えば、Tregなどの人細胞に対して)ADCC効果を誘導する。ADCC効果を測定する方法(例えば、インビトロ法)は当該技術分野で既知であり、以下の実施例4に記載される方法によるものを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、活性化可能結合ポリペプチドは、不活性型である場合、対照(例えば、第1のペプチド(FP)及び切断可能部分(CM)を欠いている親抗体)と比較して約10%未満でADCC効果を誘導する(例えば、約10%未満、約5%未満、約1%未満などでADCC効果を誘導する)。いくつかの実施形態では、活性化可能結合ポリペプチドは、活性型である場合、対照(例えば、アイソタイプ対照)と比較して約10%超でADCC効果を誘導する(例えば、約10%超、約15%超、約20%超、約25%超、約30%超、約35%超、約40%超などでADCC効果を誘導する)。
【0175】
いくつかの実施形態では、活性化可能結合ポリペプチドは、腫瘍細胞増殖(growth)及び/または増殖(proliferation)を阻害することができる。いくつかの実施形態では、腫瘍細胞増殖(growth)及び/または増殖(proliferation)は、活性化可能結合ポリペプチドと接触していない対応する腫瘍細胞と比較して(あるいはアイソタイプ対照抗体と接触している対応する腫瘍細胞と比較して)、活性化可能結合ポリペプチドと接触している場合、少なくとも約5%(例えば、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または少なくとも約99%)で阻害される。いくつかの実施形態では、活性化可能結合ポリペプチドは、対象に活性化可能結合ポリペプチドが投与されると、対象の腫瘍体積を減少させることができる。いくつかの実施形態では、活性化可能結合ポリペプチドは、対象における初期腫瘍体積と比較して(例えば、活性化可能結合ポリペプチドの投与前に、アイソタイプ対照抗体を投与された対象における対応する腫瘍と比較して)、少なくとも約5%(例えば、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または少なくとも約99%)で対象における腫瘍体積を減少させることができる。腫瘍細胞増殖(growth)/増殖(proliferation)、腫瘍体積、及び/または腫瘍阻害をモニターする方法は当該技術分野で既知であり、例えば、以下の実施例4に記載される方法によるものを含む。
【0176】
いくつかの実施形態では、活性化可能結合ポリペプチドは、がんに対して治療効果を有する。いくつかの実施形態では、活性化可能結合ポリペプチドは、がんの1つ以上の徴候または症状を軽減する。いくつかの実施形態では、がんに罹患している対象は、活性化可能結合ポリペプチドを投与されると、部分寛解または完全寛解する。
【0177】
いくつかの実施形態では、本開示は、活性型である場合、ヒトCTLA4への結合に関して、a)配列番号59のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号60のアミノ酸配列を含むHVR-H2、配列番号61のアミノ酸配列を含むHVR-H3、及び/またはb)配列番号62のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号63のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び配列番号54のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む抗体と競合または交差競合する、単離された活性化可能結合ポリペプチドを提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、活性型である場合、ヒトCTLA4への結合に関して、a)配列番号47のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び/またはb)配列番号48のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む抗体と競合または交差競合する、単離された活性化可能結合ポリペプチドを提供する。抗体との結合に関して競合または交差競合する活性化可能結合ポリペプチドの能力は、BIAcore分析、ELISAアッセイ、またはフローサイトメトリーなどの当該技術分野で既知の標準的な結合アッセイを使用して決定することができる。例えば、(例えば、上記の)抗体が飽和条件下でヒトCTLA4に結合することを可能にし、次いで、(活性型である場合の)試験活性化可能結合ポリペプチドのCTLA4に結合する能力を測定することができる。試験活性化可能結合ポリペプチドが抗体と同時にCTLA4に結合することができる場合、試験活性化可能結合ポリペプチドは抗体とは異なるエピトープに結合する。しかしながら、試験活性化可能結合ポリペプチドが同時にCTLA4に結合することができない場合、試験活性化可能結合ポリペプチドは、同じエピトープ、重複するエピトープ、または抗体によって結合されたエピトープに非常に近接するエピトープに結合する。この実験は、ELISA、RIA、FACS、または表面プラズモン共鳴などの様々な方法を使用して実施することができる。
【0178】
いくつかの実施形態では、活性化可能結合ポリペプチドは、(不活性型である場合、)CTLA4と1つ以上のその結合パートナー(例えば、ヒトCTLA4及びヒトCD80、ヒトCTLA4及びヒトCD86)との間の結合を阻害しない。いくつかの実施形態では、活性化可能結合ポリペプチドは、(活性型である場合、)CTLA4と1つ以上のその結合パートナー(例えば、ヒトCTLA4及びヒトCD80、ヒトCTLA4及びヒトCD86)との間の結合を阻害する。いくつかの実施形態では、活性化可能結合ポリペプチドは、CTLA4とそのリガンドとの間の結合をインビトロで阻害する。いくつかの実施形態では、活性化可能結合ポリペプチドは、CTLA4のCD80及び/またはCD86への結合を阻害するための、約500nM以下(例えば、約500nM以下、約400nM以下、約300nM以下、約200nM以下、約100nM以下、約50nM以下、約25nM以下、約10nM以下、約1nM以下など)の半数阻害濃度(IC50)を有する。いくつかの実施形態では、活性化可能結合ポリペプチドは、CTLA4のCD80及び/またはCD86への結合を阻害するための、約100nM以下の半数阻害濃度(IC50)を有する。いくつかの実施形態では、活性化可能結合ポリペプチドは、約100nM以上(例えば、約100nM以上、約500nM以上、約1μM以上、約10μM以上など)の濃度で提供された場合、ヒトCTLA4のCD80及び/またはCD86への結合を完全に阻害する。本明細書で使用される場合、「完全な阻害」または「完全に阻害する」という用語は、第1のタンパク質と第2のタンパク質との間の結合を少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%など)低減する活性化可能結合ポリペプチドの能力を指す。第1のタンパク質(例えば、ヒトCTLA4)及び第2のタンパク質(例えば、ヒトCD80またはヒトCD86)の結合を阻害するポリペプチドの能力を測定する方法は、当該技術分野で既知であり、BIAcore分析、ELISAアッセイ、及びフローサイトメトリーによるものが含まれるが、これらに限定されない。
【0179】
CD137を標的化する活性化可能結合ポリペプチド
いくつかの実施形態では、本開示は、活性化可能抗CD137抗体、活性化可能抗CD137抗体の抗原結合断片、及び/または活性化可能抗CD137抗体の誘導体を含むヒトCD137に結合する活性化可能結合ポリペプチド(すなわち、活性化可能抗体)に関する。いくつかの実施形態では、活性化可能抗体は、(a)N末端からC末端にかけて、マスキング部分(MM)、切断可能部分(CM)、及び標的結合部分(TBM)を含むポリペプチドであって、MMは、式(I):XmCXnCZo(配列番号1)に従うアミノ酸配列を含み、式中、mは2~10であり、nは3~10であり、oは1~10であり、各Xは独立して、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、及びYからなる群から選択されるアミノ酸であり、各Zは独立して、D、A、Y、S、T、N、I、L、F、V、H、及びPからなる群から選択されるアミノ酸であり、CMは、少なくとも第1の切断部位(例えば、少なくとも第1のプロテアーゼ切断部位)を含み、TBMは、抗体軽鎖可変領域(VL)を含む、ポリペプチドと、(b)抗体重鎖可変領域(VH)と、を含む。いくつかの実施形態では、活性化可能抗体は、(a)N末端からC末端にかけて、マスキング部分(MM)、切断可能部分(CM)、及び標的結合部分(TBM)を含むポリペプチドであって、MMは、式(I):XmCXnCZo(配列番号1)に従うアミノ酸配列を含み、式中、mは2~10であり、nは3~10であり、oは1~10であり、各Xは独立して、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、及びYからなる群から選択されるアミノ酸であり、各Zは独立して、D、A、Y、S、T、N、I、L、F、V、H、及びPからなる群から選択されるアミノ酸であり、CMは、少なくとも第1の切断部位(例えば、少なくとも第1のプロテアーゼ切断部位)を含み、TBMは、抗体軽鎖可変領域(VH)を含む、ポリペプチドと、(b)抗体重鎖可変領域(VL)と、を含む。いくつかの実施形態では、活性化可能抗体は、(a)N末端からC末端にかけて、マスキング部分(MM)、切断可能部分(CM)、及び標的結合部分(TBM)を含むポリペプチドであって、MMは、式(I):XmCXnCZo(配列番号1)に従うアミノ酸配列を含み、式中、mは2~10であり、nは3~10であり、oは1~10であり、各Xは独立して、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、及びYからなる群から選択されるアミノ酸であり、各Zは独立して、D、A、Y、S、T、N、I、L、F、V、H、及びPからなる群から選択されるアミノ酸であり、CMは、少なくとも第1の切断部位(例えば、少なくとも第1のプロテアーゼ切断部位)を含み、TBMは、抗体軽鎖可変領域(VL)を含む、ポリペプチドと、抗体重鎖可変領域(VH)と、を含む。いくつかの実施形態では、mは2、3、4、5、6、7、8、9、または10である。いくつかの実施形態では、nは3、4、5、6、7、8、9、または10である。いくつかの実施形態では、oは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10である。
【0180】
いくつかの実施形態では、MMは、CMが切断されていない場合、活性化可能抗体のヒトCD137への結合を阻害する。いくつかの実施形態では、活性化可能抗体は、CMが切断されている場合、ヒトCD137に結合することができる。いくつかの実施形態では、表Bに列挙されているように、MMは、配列番号79~85及び88~94から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0181】
いくつかの実施形態では、活性化可能結合ポリペプチドは、HVR、可変領域(VL、VH)、ならびに/または軽鎖及び重鎖(例えば、IgG1、IgG2、IgG4)の特定のアミノ酸配列に関して記載される抗体を含む、本明細書に記載の抗CD137抗体のいずれかを含む。いくつかの実施形態では、抗CD137抗体は、ヒト抗体である。いくつかの実施形態では、抗CD137抗体は、ヒト化抗体、及び/またはキメラ抗体である。
【0182】
いくつかの実施形態では、活性化可能結合ポリペプチドは、a)アミノ酸配列FSLSTGGVGVGWI(配列番号65)を含むHVR-H1、アミノ酸配列 LALIDWADDKYYSPSLKSRL(配列番号66)を含むHVR-H2、ならびにアミノ酸配列ARGGSDTVIGDWFAY(配列番号67)を含むHVR-H3、及び/またはb)アミノ酸配列RASQSIGSYLA(配列番号68)を含むHVR-L1、アミノ酸配列DASNLETGV(配列番号69)を含むHVR-L2、ならびにアミノ酸配列YCQQGYYLWT(配列番号70)を含むHVR-L3を含む。いくつかの実施形態では、活性化可能結合ポリペプチドは、a)配列番号49のアミノ酸配列もしくは配列番号49の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)の配列同一性を有する配列を含む重鎖可変領域、及び/または配列番号50のアミノ酸配列もしくは配列番号50の配列対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)の配列同一性を有する配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0183】
いくつかの実施形態では、本開示は、活性型である場合に人CD137に結合し(例えば、活性化可能結合ポリペプチドは、切断可能部分における切断(例えば、1つ以上のプロテアーゼによる)後に活性であるが、切断可能部分における切断(例えば、1つ以上のプロテアーゼによる)前に不活性である)、以下の機能的特性:(a)ヒトCD137に500nM以下のKDで結合する、(b)ヒトCD137に対してアンタゴニスト活性を有する、(c)1000nMまでの濃度でヒトOX40、CD40、GITR、及び/またはCD27受容体に結合しない、(d)サル、マウス、ラット、及び/またはイヌCD137と交差反応性である、(e)ADCC効果を誘導しない、(f)腫瘍細胞族色を阻害することができる、(g)がんに対する治療効果を有する、ならびに(h)CD137とCD137Lとの間の結合を阻害する、のうちの少なくとも1つ(例えば、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、またはすべて8つ)を有する、活性化可能結合ポリペプチドに関する。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される活性化可能結合ポリペプチドはまた、CD137とそのリガンドのCD137Lとの間の結合を阻害する、例えば、完全に阻害することができる。また、ヒトCD137への結合に関して、本明細書に記載のCD137標的活性化可能結合ポリペプチド及び/または抗CD137抗体のうちの1つ以上と交差競合する1つ以上の活性化可能結合ポリペプチド抗CD137抗体または抗原結合断片も本明細書に提供される。
【0184】
いくつかの実施形態では、活性化可能結合ポリペプチド(不活性型である場合)は、ヒトCD137に約500nM以上のKDで結合する。いくつかの実施形態では、活性化可能結合ポリペプチド(活性型である場合)は、ヒトCD137に約500nM以下(例えば、約500nM以下、約400nM以下、約300nM以下、約200nM以下、約150nM以下、約100nM以下、約90nM以下、約80nM以下、約75nM以下、約70nM以下、約60nM以下、約50nM以下、約40nM以下、約30nM以下、約25nM以下、約20nM以下、約10nM以下、約1nM以下、約0.1nM以下など)のKDで結合する。いくつかの実施形態では、活性化可能結合ポリペプチドは、ヒトCD137に約100nM以下のKDで結合する。いくつかの実施形態では、活性化可能結合ポリペプチドは、ヒトCD137に約50nM以下のKDで結合する。活性化可能結合ポリペプチドのKDを測定する方法は、例えば、表面プラズモン共鳴、ELISA、等温滴定熱量測定、フィルター結合アッセイ、EMSAなどによるものを含む、当該技術分野で既知の任意の方法を使用して実施することができる。いくつかの実施形態では、KDは、ELISAによって測定される(例えば、以下の実施例5を参照されたい)。
【0185】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の活性化可能結合ポリペプチド(活性型である場合)は、ヒトCD137に対してアゴニスト活性を有する。いくつかの実施形態では、活性化可能結合ポリペプチドは、ヒトCD137を発現する細胞(例えば、ヒト細胞)が、(活性な)活性化可能結合ポリペプチドによって接触されると、ヒトCD137の1つ以上の(例えば、1つ以上、2つ以上、3つ以上など)活性を誘導する。様々なCD137活性が当該技術分野において既知であり、これらには、NF-κB依存性転写の誘導、T細胞増殖の誘導、T細胞生存能の延長、活性化T細胞の共刺激、サイトカイン分泌(IL-2など)の誘導、及び単球活性化の誘導を挙げることができるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、1つ以上のCD137の活性は、CD137のそのリガンドへの結合ではない。CD137活性(例えば、NF-κB依存性転写及び/またはT細胞増殖の誘導など)を測定する方法は、当該技術分野において既知である。いくつかの実施形態では、活性化可能結合ポリペプチドは、ヒトCD137を発現する細胞(例えば、ヒト細胞)中でNF-κB依存性転写を増加させる。いくつかの実施形態では、NF-κB依存性転写は、(活性な)活性化可能結合ポリペプチドと接触されたヒトCD137を発現する細胞(例えば、ヒト細胞)中で、活性化可能結合ポリペプチドと接触されていない対応する細胞(例えば、アイソタイプコントロール抗体と接触された対応する細胞)、または不活性型である場合の活性化可能結合ポリペプチドと接触された対応する細胞と比べて、約10%以上、約20%以上、約30%以上、約40%以上、約50%以上、約60%以上、約70%以上、約80%以上、約90%以上、または約99%以上増加する。いくつかの実施形態では、NF-κB依存性転写は、活性化可能結合ポリペプチドと接触されたヒトCD137を発現する細胞(例えば、ヒト細胞)中で、活性化可能結合ポリペプチドと接触されていない対応する細胞(例えば、アイソタイプコントロール抗体と接触された対応する細胞)、または不活性型である場合の活性化可能結合ポリペプチドと接触された対応する細胞と比べて、約2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、100倍、1000倍以上増加する。
【0186】
いくつかの実施形態では、活性化可能結合ポリペプチド(不活性型である場合)は、サル(例えば、カニクイザル)、マウス、ラット、及び/またはイヌCD137と交差反応性ではない。いくつかの実施形態では、活性化可能結合ポリペプチド(活性型である場合)は、サル(例えば、カニクイザル)、マウス、ラット、及び/またはイヌCD137と交差反応性である。いくつかの実施形態では、活性化可能結合ポリペプチドは、サルCD137と交差反応性である。いくつかの実施形態では、活性化可能結合ポリペプチドは、マウスCD137と交差反応性である。いくつかの実施形態では、活性化可能結合ポリペプチドは、ラットCD137と交差反応性である。いくつかの実施形態では、活性化可能結合ポリペプチドは、イヌCD137と交差反応性である。いくつかの実施形態では、活性化可能結合ポリペプチドは、サル及びマウスCD137;サル及びラットCD137;サル及びイヌCD137;マウス及びラットCD137;マウス及びイヌCD137;ラット及びイヌCD137;サル、マウス、及びラットCD137;サル、マウス、及びイヌCD137;サル、ラット、及びイヌCD137;マウス、ラット、及びイヌCD137;またはサル、マウス、ラット、及びイヌCD137と交差反応性である。いくつかの実施形態では、活性化可能結合ポリペプチドは、約100nM(例えば、約1nM、約10nM、約25nM、約50nM、約75nM、約100nM)で交差反応性である。交差反応性を測定する方法は当該技術分野で既知であり、表面プラズモン共鳴、ELISA、等温滴定熱量測定、フィルター結合アッセイ、EMSAなどを含むが、これらに限定されない。
【0187】
いくつかの実施形態では、活性化可能結合ポリペプチドは、ADCC効果を誘導しない。ADCC効果を測定する方法は、当該技術分野において既知である。いくつかの実施形態では、活性化可能結合ポリペプチド(活性型である場合)は、対照と比較してADCCを約10%を超えてもたらさない(ADCCを約10%超、約5%超、約1%超、約0.1%超、約0.01%超誘導しない)。
【0188】
いくつかの実施形態では、活性化可能結合ポリペプチドは、腫瘍細胞増殖(growth)及び/または増殖(proliferation)を阻害することができる。いくつかの実施形態では、腫瘍細胞増殖(growth)及び/または増殖(proliferation)は、活性化可能結合ポリペプチドと接触していない対応する腫瘍細胞と比較して(あるいはアイソタイプ対照抗体と接触している対応する腫瘍細胞と比較して)、活性化可能結合ポリペプチドと接触している場合、少なくとも約5%(例えば、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または少なくとも約99%)で阻害される。いくつかの実施形態では、活性化可能結合ポリペプチドは、対象に活性化可能結合ポリペプチドが投与されると、対象の腫瘍体積を減少させることができる。いくつかの実施形態では、活性化可能結合ポリペプチドは、対象における初期腫瘍体積と比較して(例えば、活性化可能結合ポリペプチドの投与前に、アイソタイプ対照抗体を投与された対象における対応する腫瘍と比較して)、少なくとも約5%(例えば、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または少なくとも約99%)で対象における腫瘍体積を減少させることができる。腫瘍細胞増殖(growth)/増殖(proliferation)、腫瘍体積、及び/または腫瘍阻害をモニタリングする方法は、当該技術分野において既知である。
【0189】
いくつかの実施形態では、活性化可能結合ポリペプチドは、がんに対して治療効果を有する。いくつかの実施形態では、活性化可能結合ポリペプチドは、がんの1つ以上の徴候または症状を軽減する。いくつかの実施形態では、がんに罹患している対象は、活性化可能結合ポリペプチドを投与されると、部分寛解または完全寛解する。
【0190】
いくつかの実施形態では、本開示は、活性型である場合、ヒトCD137への結合に関して、a)配列番号65のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号66のアミノ酸配列を含むHVR-H2、配列番号67のアミノ酸配列を含むHVR-H3、及び/またはb)配列番号68のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号69のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び配列番号70のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む抗体と競合または交差競合する、単離された活性化可能結合ポリペプチドを提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、活性型である場合、ヒトCD137への結合に関して、a)配列番号49のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び/またはb)配列番号50のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む抗体と競合または交差競合する、単離された活性化可能結合ポリペプチドを提供する。抗体との結合に関して競合または交差競合する活性化可能結合ポリペプチドの能力は、BIAcore分析、ELISAアッセイ、またはフローサイトメトリーなどの当該技術分野で既知の標準的な結合アッセイを使用して決定することができる。例えば、(例えば、上記の)抗体が飽和条件下でヒトCD137に結合することを可能にし、次いで、(活性型である場合の)試験活性化可能結合ポリペプチドのCD137に結合する能力を測定することができる。試験活性化可能結合ポリペプチドが抗体と同時にCD137に結合することができる場合、試験活性化可能結合ポリペプチドは抗体とは異なるエピトープに結合する。しかしながら、試験活性化可能結合ポリペプチドが同時にCD137に結合することができない場合、試験活性化可能結合ポリペプチドは、同じエピトープ、重複するエピトープ、または抗体によって結合されたエピトープに非常に近接するエピトープに結合する。この実験は、ELISA、RIA、FACS、または表面プラズモン共鳴などの様々な方法を使用して実施することができる。
【0191】
いくつかの実施形態では、活性化可能結合ポリペプチド(不活性型である場合)は、CD137とそのリガンド(例えば、ヒトCD137及びヒトCD137L)との間の結合を阻害しない。いくつかの実施形態では、活性化可能結合ポリペプチド(活性型である場合)は、CD137とそのリガンド(例えば、ヒトCD137及びヒトCD137L)との間の結合を阻害する。いくつかの実施形態では、活性化可能結合ポリペプチドは、CD137とそのリガンドとの間の結合をインビトロで阻害する。いくつかの実施形態では、活性化可能結合ポリペプチド(活性型である場合)は、CD137のそのリガンドへの結合を阻害するための、約500nM以下(例えば、約500nM以下、約400nM以下、約300nM以下、約200nM以下、約100nM以下、約50nM以下、約25nM以下、約10nM以下、約1nM以下など)の半数阻害濃度(IC50)を有する。いくつかの実施形態では、活性化可能結合ポリペプチドは、CD137のそのリガンドへの結合を阻害するための、約100nM以下の半数阻害濃度(IC50)を有する。いくつかの実施形態では、活性化可能結合ポリペプチドは、約100nM以上(例えば、約100nM以上、約500nM以上、約1μM以上、約10μM以上など)の濃度で提供された場合、ヒトCD137のそのリガンドへの結合を完全に阻害する。第1のタンパク質(例えば、CD137)及び第2のタンパク質(例えば、CD137L)の結合を阻害するポリペプチドの能力を測定する方法は、当該技術分野で既知であり、BIAcore分析、ELISAアッセイ、及びフローサイトメトリーによるものが含まれるが、これらに限定されない。
【0192】
抗体
いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に記載の抗体(例えば、上記のCTLA4またはCD137抗体)を含む活性化可能結合ポリペプチドに関する。本明細書に記載の抗体(例えば、CTLA4またはCD137抗体)は、IgG、IgM、IgE、IgA、またはIgDなどの任意のクラスであり得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗体(例えば、CTLA4またはCD137抗体)は、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4サブクラスなどのIgGクラスである。本明細書に記載の抗体(例えば、CTLA4またはCD137抗体)は、当該技術分野において既知の方法を使用して、あるクラスまたはサブクラスから別のクラスまたはサブクラスに変換することができる。所望のクラスまたはサブクラスの抗体を産生するための例示的な方法は、本明細書に記載の抗体(例えば、CTLA4またはCD137抗体)の重鎖をコードする核酸及び本明細書に記載の抗体(例えば、CTLA4またはCD137抗体)の軽鎖をコードする核酸を単離し、VH領域をコードする配列を単離し、VH配列を所望のクラスまたはサブクラスの重鎖定常領域をコードする配列に連結し、細胞内で軽鎖遺伝子及び重鎖構築物を発現させ、抗体を回収する工程を含む。
【0193】
抗原結合断片
いくつかの実施形態では、本開示は、抗原結合断片(例えば、本明細書に記載の抗体(例えば、CTLA4またはCD137抗体)の抗原結合断片)を含む活性化可能結合ポリペプチドに関する。
【0194】
抗原結合断片は、本明細書に記載される抗体のいずれかの任意の配列を含み得る。いくつかの実施形態では、抗原結合断片は、(1)本明細書に記載の抗体(例えば、CTLA4またはCD137抗体)の軽鎖、(2)本明細書に記載の抗体(例えば、CTLA4またはCD137抗体)の重鎖、(3)本明細書に記載の抗体(例えば、CTLA4またはCD137抗体)の軽鎖からの可変領域、(4)本明細書に記載の抗体(例えば、CTLA4またはCD137抗体)の重鎖からの可変領域、(5)本明細書に記載の抗体(例えば、CTLA4またはCD137抗体)の1つ以上のHVR(例えば、1、2、3、4、5、もしくは6つのHVR)、または(6)本明細書に記載の抗体(例えば、CTLA4またはCD137抗体)の軽鎖からの3つのHVR及び重鎖からの3つのHVRのアミノ酸配列を含む。
【0195】
いくつかの実施形態では、本開示は、アミノ酸配列YSISSGYHWSWI(配列番号59)を含むHVR-H1、アミノ酸配列LARIDWDDDKYYSTSLKSRL(配列番号60)を含むHVR-H2、及びアミノ酸配列ARSYVYFDY(配列番号61)を含むHVR-H3を含む、重鎖可変領域、ならびに/またはアミノ酸配列RASQSVRGRFLA(配列番号62)を含むHVR-L1、アミノ酸配列DASNRATGI(配列番号63)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列YCQQSSSWPPT(配列番号64)を含むHVR-L3を含む、軽鎖可変領域を含む、(ヒトCTLA4に結合する)抗体の抗原結合断片を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、a)配列番号47のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び/またはb)配列番号48のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、抗体の抗原結合断片を提供する。
【0196】
いくつかの実施形態では、本開示は、アミノ酸配列FSLSTGGVGVGWI(配列番号65)を含むHVR-H1、アミノ酸配列LALIDWADDKYYSPSLKSRL(配列番号66)を含むHVR-H2、及びアミノ酸配列ARGGSDTVIGDWFAY(配列番号67)を含むHVR-H3を含む、重鎖可変領域、ならびに/またはアミノ酸配列RASQSIGSYLA(配列番号68)を含むHVR-L1、アミノ酸配列DASNLETGV(配列番号69)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列YCQQGYYLWT(配列番号70)を含むHVR-L3を含む、軽鎖可変領域を含む、(ヒトCD137に結合する)抗体の抗原結合断片を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、a)配列番号49のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び/またはb)配列番号50のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、抗体の抗原結合断片を提供する。
【0197】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗体(例えば、CTLA4またはCD137抗体)の抗原結合断片は、(i)VL、VH、CL、及びCH1ドメインからなる一価の断片であるFab断片、(ii)ヒンジ領域でジスルフィド架橋によって連結された2つのFab断片を含む二価の断片であるF(ab′)2断片、(iii)VH及びCH1ドメインからなるFd断片、(iv)抗体の単一アームのVL及びVHドメインからなるFv断片、(v)VHドメインからなるdAb断片(Ward et al.,(1989)Nature 341:544-546)、(vi)単離されたCDR、ならびに(vii)抗体のVH領域と連結した抗体のVL領域を含むポリペプチドである一本鎖抗体(scFv)(例えば、Bird et al.(1988)Science 242:423-426、Huston et al.(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:5879-5883を参照)を含む。
【0198】
抗体誘導体
いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に記載の抗体(例えば、CTLA4またはCD137抗体)の誘導体を含む活性化可能結合ポリペプチドを提供する。
【0199】
いくつかの実施形態では、抗体誘導体は、親抗体のアミノ酸配列の修飾に由来し、親抗体のアミノ酸配列の全体的な分子構造を保存する。親抗体鎖の任意の領域、例えばフレームワーク領域、HVR領域、または定常領域のアミノ酸配列を修飾することができる。修飾の種類には、親抗体の1つ以上のアミノ酸の置換、挿入、欠失、またはそれらの組み合わせが含まれる。
【0200】
いくつかの実施形態では、抗体誘導体は、配列番号47~50のいずれかに記載のアミノ酸配列と少なくとも65%、少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一であるVLまたはVH領域を含む。いくつかの実施形態では、抗体誘導体は、配列番号59または65のいずれかに記載のアミノ酸配列と少なくとも65%、少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一であるHVR-H1アミノ酸配列領域を含む。いくつかの実施形態では、抗体誘導体は、配列番号60または66のいずれかに記載のアミノ酸配列と少なくとも65%、少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一であるHVR-H2アミノ酸配列領域を含む。いくつかの実施形態では、抗体誘導体は、配列番号61または67のいずれかに記載のアミノ酸配列と少なくとも65%、少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一であるHVR-H3アミノ酸配列領域を含む。いくつかの実施形態では、抗体誘導体は、配列番号62または68のいずれかに記載のアミノ酸配列と少なくとも65%、少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一であるHVR-L1アミノ酸配列領域を含む。いくつかの実施形態では、抗体誘導体は、配列番号63または69のいずれかに記載のアミノ酸配列と少なくとも65%、少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一であるHVR-L2アミノ酸配列領域を含む。いくつかの実施形態では、抗体誘導体は、配列番号64または70のいずれかに記載のアミノ酸配列と少なくとも65%、少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一であるHVR-L3アミノ酸配列領域を含む。
【0201】
いくつかの特定の実施形態では、誘導体は、本明細書に記載の抗体(例えば、CTLA4またはCD137抗体)のアミノ酸配列に対する1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15個の保存的または非保存的置換、及び/または1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15個の付加及び/または欠失を含む。
【0202】
アミノ酸置換は、保存的置換及び非保存的置換の両方を包含する。「保存的アミノ酸置換」という用語は、2つのアミノ酸が極性、電荷、溶解度、疎水性、親水性、及び/または関連する残基の両親媒性などの特定の物理化学的特性において類似性を有する場合に、1つのアミノ酸を別のアミノ酸で置き換えることを意味する。例えば、典型的には、以下の群:(a)アラニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、プロリン、フェニルアラニン、トリプトファン、及びメチオニンなどの非極性(疎水性)アミノ酸、(b)グリシン、セリン、スレオニン、システイン、チロシン、アスパラギン、及びグルタミンなどの極性中性アミノ酸、(c)アルギニン、リジン、ヒスチジンなどの正に帯電した(塩基性)アミノ酸、(d)アスパラギン酸及びグルタミン酸などの負に帯電した(酸性)アミノ酸のそれぞれの中で置換を行うことができる。
【0203】
修飾は、HVR、フレームワーク領域、または定常領域を含む、抗体のアミノ酸配列の任意の位置でなされ得る。一実施形態では、本開示は、本明細書に記載の抗体(例えば、CTLA4またはCD137抗体)のVH及びVLのHVR配列を含有するが、例示的な抗体のものとは異なるフレームワーク配列を含有する抗体誘導体を提供する。このようなフレームワーク配列は、生殖系列抗体遺伝子配列を含む公開DNAデータベースまたは公開された参考文献から取得することができる。例えば、ヒト重鎖及び軽鎖可変領域遺伝子の生殖系列DNA配列は、Genbankデータベースまたは「VBase」ヒト生殖系列配列データベースで見出すことができる(Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,Fifth Edition,U.S.Department of Health and Human Services,NIH Publication No.91-3242(1991)、Tomlinson et al.,J.Mol.Biol.227:776-798(1992)、及びCox et al.,EurJ.Immunol.24:827-836(1994))。抗体誘導体の構築において使用され得るフレームワーク配列には、本開示の例示的な抗体によって使用されるフレームワーク配列と構造的に類似しているものが含まれる。例えば、例示的な抗体のHVR-H1、HVR-H2、及びHVR-H3配列、ならびにHVR-L1、HVR-L2、及びHVR-L3配列は、フレームワーク配列が由来する生殖細胞系免疫グロブリン遺伝子において見出されるものと同一の配列を有するフレームワーク領域に移植することができるか、あるいはHVR配列は、生殖系列配列と比較して1つ以上の変異を含有するフレームワーク領域に移植することができる。
【0204】
いくつかの実施形態では、抗体誘導体は、本明細書に記載の例示的な抗体(例えば、CTLA4またはCD137抗体)のアミノ酸配列を含むキメラ抗体である。一例では、1つ以上の例示的な抗体からの1つ以上のHVRを、マウスまたはラットなどの非ヒト動物からの抗体からのHVRと組み合わせる。別の例では、キメラ抗体のすべてのHVRは、1つ以上の例示的な抗体に由来する。いくつかの特定の実施形態では、キメラ抗体は、例示的な抗体の重鎖可変領域からの1つ、2つ、もしくは3つのHVR、及び/または軽鎖可変領域からの1つ、2つ、もしくは3つのHVRを含む。キメラ抗体は、当該技術分野で既知の従来的な方法を使用して生成することができる。
【0205】
別の種類の修飾は、VH及び/またはVL鎖のHVR領域内のアミノ酸残基を変異させることである。部位特異的変異誘発またはPCR媒介変異誘発を行って変異(複数可)を導入することができ、抗体結合または他の目的の機能的特性に対する効果を、当該技術分野で既知のインビトロまたはインビボアッセイで評価することができる。典型的には、保存的置換が導入される。変異は、アミノ酸付加及び/または欠失であり得る。さらに、典型的には、HVR領域内の1つ、2つ、3つ、4つ、または5つ以下の残基が変更される。いくつかの実施形態では、抗体誘導体は、重鎖HVR及び/または軽鎖HVRにおいて1つ、2つ、3つ、または4つのアミノ酸置換を含む。別の実施形態では、アミノ酸置換は、抗体中の1つ以上のシステインを別の残基、例えば、これらに限定されないが、アラニンまたはセリンに変更することである。システインは、標準または非標準のシステインであり得る。一実施形態では、抗体誘導体は、例示的な抗体のアミノ酸配列と比較して、重鎖HVR領域に1、2、3、または4つの保存的アミノ酸置換を有する。
【0206】
また、VH及び/またはVL領域内のフレームワーク残基に修飾を加えることもできる。典型的には、そのようなフレームワークバリアントは、抗体の免疫原性を低下させるために作製されている。1つのアプローチは、1つ以上のフレームワーク残基を、対応する生殖系列配列に「復帰変異」させることである。体細胞変異を受けた抗体は、抗体が由来する生殖系列配列とは異なるフレームワーク残基を含有し得る。そのような残基は、抗体フレームワーク配列を、抗体が由来する生殖系列配列と比較することによって特定することができる。フレームワーク領域配列をそれらの生殖系列構成に戻すために、例えば、部位特異的変異誘発またはPCR媒介変異誘発によって、体細胞変異を生殖系列配列に「復帰変異」させることができる。
【0207】
さらに、修飾はまた、例示的な抗体のFc領域内でもなされ、典型的には、抗体の1つ以上の機能的特性、例えば、血清半減期、補体結合、Fc受容体結合、及び/または抗原依存性細胞傷害を変更し得る。一例では、CH1のヒンジ領域は、ヒンジ領域内のシステイン残基の数が変化するように、例えば、増加または減少するように改変される。このアプローチについては、米国特許第5,677,425号にさらに記載されている。CH1のヒンジ領域のシステイン残基の数は、例えば、軽鎖及び重鎖の構築を容易にするため、または抗体の安定性を増加もしくは低下させるために変更される。別の場合では、抗体のFcヒンジ領域が変異して、抗体の生物学的半減期が減少する。
【0208】
さらに、本開示の抗体は、当該技術分野で既知の日常的な実験に従って、その潜在的なグリコシル化部位またはパターンを変更するために改変され得る。別の態様では、本開示は、可変領域におけるグリコシル化のパターンを変化させる、軽鎖または重鎖の可変領域における少なくとも1つの変異を含有する本明細書に記載の抗体(例えば、CTLA4またはCD137抗体)の誘導体を提供する。このような抗体誘導体は、抗原の結合に関して増加した親和性及び/改変された特異性を有し得る。変異は、V領域に新規のグリコシル化部位を追加するか、1つ以上のV領域グリコシル化部位(複数可)の位置を変更するか、または既存のV領域グリコシル化部位を除去し得る。一実施形態では、本開示は、重鎖可変領域のアスパラギンに潜在的なN結合型グリコシル化部位を有する、本明細書に記載の抗体(例えば、CTLA4またはCD137抗体)の誘導体を提供し、1つの重鎖可変領域の潜在的なN結合型グリコシル化部位が除去される。別の実施形態では、本開示は、重鎖可変領域のアスパラギンに潜在的なN結合型グリコシル化部位を有する、本明細書に記載の抗体(例えば、CTLA4またはCD137抗体)の誘導体を提供し、両方の重鎖可変領域の潜在的なN結合型グリコシル化部位が除去される。抗体のグリコシル化パターンを変更する方法は、当該技術分野で既知であり、その開示が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,933,368号に記載されているものなどがある。
【0209】
本開示によって提供される他の抗体誘導体の例には、単鎖抗体、ダイアボディ、ドメイン抗体、ナノボディ、及びユニボディが含まれる。「単鎖抗体」(scFv)は、VHドメインに連結されたVLドメインを含む単一のポリペプチド鎖からなり、VLドメイン及びVHドメインは対合して一価分子を形成する。一本鎖抗体は、当該技術分野で既知の方法に従って調製することができる(例えば、Bird et al.,(1988)Science 242:423-426、及びHuston et al.,(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:5879-5883を参照)。「ダイアボディ」は2つの鎖からなり、各鎖は、短いペプチドリンカーによって接続された同じポリペプチド鎖上の軽鎖可変領域に接続された重鎖可変領域を含み、同じ鎖上の2つの領域は互いに対合しないが、他方の鎖上に相補的ドメインを有し、二重特異性分子を形成する。ダイアボディを調製する方法は、当該技術分野において既知である(例えば、Holliger P.et al.,(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:6444-6448、及びPoljak R.J.et al.,(1994)Structure 2:1121-1123を参照)。ドメイン抗体(dAb)は抗体の小さな機能的結合単位であり、抗体の重鎖または軽鎖のいずれかの可変領域に対応している。ドメイン抗体は、細菌、酵母、及び哺乳動物細胞系においてよく発現する。ドメイン抗体及びその産生方法のさらなる詳細は、当該技術分野で既知である(例えば、米国特許第6,291,158号、同第6,582,915号、同第6,593,081号、同第6,172,197号、同第6,696,245号、欧州特許第0368684号及び同第0616640号、WO05/035572、WO04/101790、WO04/081026、WO04/058821、WO04/003019、及びWO03/002609を参照)。ナノボディは、抗体の重鎖に由来する。ナノボディは、典型的には、単一の可変ドメイン及び2つの定常ドメイン(CH2及びCH3)を含み、元の抗体の抗原結合能力を保持する。ナノボディは、当該技術分野で既知の方法によって調製することができる(例えば、米国特許第6,765,087号、米国特許第6,838,254号、WO06/079372を参照)。ユニボディは、IgG4抗体の1つの軽鎖及び1つの重鎖からなる。ユニボディは、IgG4抗体のヒンジ領域の除去により作製され得る。ユニボディ及びそれらを調製する方法のさらなる詳細は、WO2007/059782に見出すことができる。
【0210】
VII.組成物
他の態様では、本開示は、本明細書に記載のポリペプチド(例えば、活性化可能結合ポリペプチド)のうちの1つ以上を含む組成物を提供する。いくつかの実施形態では、組成物は、ポリペプチド(例えば、活性化可能結合ポリペプチド)及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物である。組成物は、当該技術分野で既知の従来的な方法によって調製することができる。
【0211】
「薬学的に許容される担体」という用語は、ポリペプチド(例えば、活性化可能結合ポリペプチド)の送達のための製剤における使用に好適な任意の不活性物質を指す。担体は、付着防止剤、結合剤、コーティング、崩壊剤、充填剤または希釈剤、保存剤(抗酸化剤、抗菌剤、または抗真菌剤など)、甘味料、吸収遅延剤、湿潤剤、乳化剤、緩衝剤などであり得る。好適な薬学的に許容される担体の例としては、水、エタノール、ポリオール(グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、ブドウ糖、植物油(オリーブオイルなど)、生理食塩水、緩衝液、緩衝生理食塩水、ならびに糖類、多価アルコール、ソルビトール、及び塩化ナトリウムなどの等張剤が挙げられる。
【0212】
組成物は、液体、半固体、及び固体剤形などの任意の好適な形態であり得る。液体剤形の例としては、溶液(例えば、注射及び注入可能な溶液)、マイクロエマルジョン、リポソーム、分散液、または懸濁液が挙げられる。固体剤形の例としては、錠剤、丸剤、カプセル、マイクロカプセル、及び散剤が挙げられる。ポリペプチド(例えば、活性化可能結合ポリペプチド)を送達するのに好適な組成物の特定の形態は、注射もしくは注入のための溶液、懸濁液、または分散液などの滅菌液体である。滅菌溶液は、適切な担体中に必要量のポリペプチド(例えば、活性化可能結合ポリペプチド)を組み込み、続いて滅菌精密濾過することによって調製することができる。分散液は、ポリペプチド(例えば、活性化可能結合ポリペプチド)を、基本的な分散媒及び他の担体を含有する滅菌ビヒクルに組み込むことによって調製される。滅菌液体の調製のための滅菌散剤の場合、調製方法は、活性成分に、その事前に滅菌濾過された溶液からの任意の追加の所望の成分を添加した散剤を得るための、真空乾燥及びフリーズドライ(凍結乾燥)を含む。組成物の様々な剤形は、当該技術分野で既知の従来的な技法によって調製することができる。
【0213】
組成物中に含まれるポリペプチド(例えば、活性化可能結合ポリペプチド)の相対量は、使用される特定のポリペプチド及び担体、剤形、ならびに所望の放出及び薬力学的特性などの多くの要因に応じて異なるであろう。単一剤形中のポリペプチド(例えば、活性化可能結合ポリペプチド)の量は、一般的に治療効果をもたらす量であるが、より少ない量であってもよい。一般的に、この量は、剤形の総重量に対して、約0.01パーセント~約99パーセント、約0.1パーセント~約70パーセント、または約1パーセント~約30パーセントの範囲である。
【0214】
ポリペプチド(例えば、活性化可能結合ポリペプチド)に加えて、1つ以上の追加の治療剤を組成物に含めることができる。追加の治療剤の例は、本明細書において以下に記載される。組成物中に含まれるべき追加の治療剤の好適な量は、当業者によって容易に選択することができ、使用される特定の薬剤及び担体、剤形、ならびに所望の放出及び薬力学的特性などの多くの要因に応じて異なるであろう。単一剤形に含まれる追加の治療剤の量は、一般的に治療効果をもたらす薬剤の量であるが、より少ない量であってもよい。
【0215】
本明細書に記載のポリペプチド(例えば、活性化可能結合ポリペプチド)及び/または組成物(例えば、医薬組成物)のいずれかを、医薬品(例えば、がんの治療またはがんの進行の遅延を必要とする対象においてそれを行う際に使用するための医薬品)の調製において使用することができる。
【0216】
VIII.活性化可能結合ポリペプチド及び医薬組成物の使用
本開示により提供されるポリペプチド(例えば、活性化可能結合ポリペプチド)及び医薬組成物は、治療、診断、または他の目的、例えば、免疫応答の調節、がんの治療、他のがん療法の効果の増強、ワクチン効果の増強、または自己免疫疾患の治療に有用である。したがって、他の態様では、本開示は、ポリペプチド(例えば、活性化可能結合ポリペプチド)またはその医薬組成物を使用する方法を提供する。一態様では、本開示は、哺乳動物における障害を治療する方法を提供し、治療を必要とする哺乳動物に有効量の本開示により提供されるポリペプチド(例えば、活性化可能結合ポリペプチド)またはその組成物を投与することを含む。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、CTLA4(例えば、ヒトCTLA4)またはCD137(例えば、ヒトCD137)に結合する活性化可能結合ポリペプチドであり、哺乳動物はヒトである。いくつかの実施形態では、哺乳動物はヒトである。
【0217】
いくつかの実施形態では、障害はがんである。本開示により提供される方法、使用、または医薬品を用いて、様々ながんを治療または予防することができる。そのようながんの例としては、気管支原性癌(例えば、扁平上皮癌、小細胞癌、大細胞癌、及び腺癌)、肺胞上皮癌、気管支腺腫、軟骨性過誤腫(非がん性)、及び肉腫(がん性)などの肺癌;粘液腫、線維腫、及び横紋筋腫などの心臓癌;骨軟骨腫、コンドロマ、軟骨芽細胞腫、軟骨粘液性線維腫、類骨骨腫、巨細胞腫瘍、軟骨肉腫、多発性骨髄腫、骨肉腫、線維肉腫、悪性線維性組織球腫、ユーイング腫瘍(ユーイング肉腫)、及び細網細胞肉腫などの骨癌;神経膠腫(例えば、多形神経膠芽腫)、退形成性星細胞腫、星状細胞腫、乏突起神経膠腫、髄芽腫、脊索腫、神経鞘腫、上衣腫、髄膜腫、下垂体腺腫、松果体腫、骨腫、血管芽腫、頭蓋咽頭腫、脊索腫、胚細胞腫、奇形腫、類皮嚢胞、及び血管腫などの脳癌;平滑筋腫、類表皮癌、腺癌、平滑筋肉腫、胃腺癌、腸脂肪腫、腸神経線維腫、腸線維腫、大腸ポリープ、及び結腸直腸癌などの消化器系におけるがん;肝細胞腺腫、血管腫、肝細胞癌、線維層板型癌、胆管癌、肝芽腫、及び血管肉腫などの肝臓癌;腎腺癌、腎細胞癌、腎機能亢進症、及び腎盂移行細胞癌などの腎臓癌;膀胱癌;急性リンパ性(リンパ芽球性)白血病、急性骨髄性(骨髄球性、骨髄性、骨髄芽球性、骨髄単球性)白血病、慢性リンパ性白血病(例えば、セザリー症候群及び有毛細胞白血病)、慢性骨髄性(骨髄様、骨髄性、顆粒球性)白血病、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、B細胞リンパ腫、菌状息肉腫、及び骨髄増殖性疾患(真性多血症、骨髄線維症、血小板血症、及び慢性骨髄性白血病などの骨髄増殖性疾患を含む)などの血液癌;基底細胞癌、扁平上皮癌、黒色腫、カポジ肉腫、及びパジェット病などの皮膚癌;頭頸部癌;網膜芽細胞腫及び眼球内黒色腫などの眼に関連するがん;良性前立腺肥大、前立腺癌、及び精巣癌(例えば、精上皮腫、奇形腫、胚性癌腫、及び絨毛癌)などの男性生殖器系癌;乳癌;子宮癌(子宮内膜癌)、子宮頸癌(子宮頸癌腫)、卵巣癌(卵巣癌腫)、外陰癌、膣癌、卵管癌、及び胞状奇胎などの女性生殖器系癌;甲状腺癌(乳頭癌、濾胞癌、未分化癌、または髄様癌を含む);褐色細胞腫(副腎);副甲状腺の非がん性増殖;膵臓癌;ならびに白血病、骨髄腫、非ホジキンリンパ腫、及びホジキンリンパ腫などの血液癌が挙げられる。
【0218】
別の態様では、本開示は、哺乳動物における免疫応答を強化する方法を提供し、哺乳動物に有効量の本開示により提供されるポリペプチド(例えば、活性化可能結合ポリペプチド)またはその組成物を投与することを含む。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、CTLA4(例えば、ヒトCTLA4)またはCD137(例えば、ヒトCD137)に結合する活性化可能結合ポリペプチドであり、哺乳動物はヒトである。用語「免疫応答の強化」またはその文法的バリエーションは、哺乳動物の免疫系の任意の応答を刺激、誘発、増加、改善、または増強することを意味する。免疫応答は、細胞応答(すなわち、細胞傷害性Tリンパ球媒介型などの細胞媒介型)、または体液性応答(すなわち、抗体媒介型)であり得、一次またはニ次免疫応答であり得る。免疫応答の強化の例としては、PBMC及び/またはT細胞の活性化(IL-2及び/またはIFNγなどの1つ以上のサイトカインの分泌の増加を含む)が挙げられる。免疫応答の強化は、細胞傷害性Tリンパ球アッセイ、サイトカインの放出、腫瘍の退縮、腫瘍担持動物の生存、抗体産生、免疫細胞増殖、細胞表面マーカーの発現、及び細胞傷害活性を含むが、これらに限定されない、当業者に既知の多くのインビトロまたはインビボ測定を使用して評価することができる。典型的には、本開示の方法は、未治療の哺乳動物、または引用される方法を使用して治療されていない哺乳動物による免疫応答と比較した場合の、哺乳動物による免疫応答を強化する。
【0219】
治療法の実施において、ポリペプチド(例えば、活性化可能結合ポリペプチド)は、単独療法として単独で投与されてもよく、または1つ以上の追加の治療剤もしくは療法と組み合わせて投与されてもよい。したがって、別の態様では、本開示は、別個の、連続した、または同時投与のための1つ以上の追加の療法または治療剤と組み合わせたポリペプチド(例えば、活性化可能結合ポリペプチド)を含む併用療法を提供する。「追加の治療剤」という用語は、本開示によって提供されるポリペプチド(例えば、活性化可能結合ポリペプチド)以外の任意の治療剤を指し得る。ある特定の態様では、本開示は、哺乳動物におけるがんを治療するための併用療法を提供し、哺乳動物に有効量の本明細書に提供されるポリペプチド(例えば、活性化可能結合ポリペプチド)を1つ以上の追加の治療剤と組み合わせて投与することを含む。さらなる実施形態では、哺乳動物はヒトである。
【0220】
多種多様ながん治療剤は、本開示によって提供されるポリペプチド(例えば、活性化可能結合ポリペプチド)と組み合わせて使用し得る。当業者は、本開示の方法及びポリペプチドと組み合わせて使用することができる他のがん療法の存在及び開発を認識し、本明細書に記載されている療法の形態に制限されないであろう。がんを治療するための併用療法において使用され得る追加の治療剤のカテゴリーの例には、(1)化学療法剤、(2)免疫療法剤、及び(3)ホルモン治療剤が含まれる。いくつかの実施形態では、追加の治療剤は、ウイルス遺伝子治療、免疫チェックポイント阻害剤、標的療法、放射線療法、及び/または化学療法である。
【0221】
「化学療法剤」という用語は、がん細胞の死滅を引き起こす、またはがん細胞の増殖、分裂、修復、及び/または機能を妨害することができる化学的または生物学的物質を指す。化学療法剤の例としては、WO2006/129163、及びUS20060153808に開示されているものが挙げられ、これらの開示は参照により本明細書に組み込まれる。特定の化学療法剤の例としては、(1)クロラムブシル(LEUKERAN)、シクロホスファミド(CYTOXAN)、イホスファミド(IFEX)、塩酸メクロレタミン(MUSTARGEN)、チオテパ(THIOPLEX)、ストレプトゾトシン(ZANOSAR)、カルムスチン(BICNU、GLIADEL WAFER)、ロムスチン(CEENU)、及びダカルバジン(DTIC-DOME)などのアルキル化剤、(2)ドキソルビシン(ADRIAMYCIN)、エピルビシン(ELLENCE、PHARMORUBICIN)、ダウノルビシン(CERUBIDINE、DAUNOXOME)、ネモルビシン、イダルビシン(IDAMYCIN PFS、ZAVEDOS)、ミトキサントロン(DHAD、NOVANTRONE)、ダクチノマイシン(アクチノマイシンD、COSMEGEN)、プリカマイシン(MITHRACIN)、マイトマイシン(MUTAMYCIN)、及びブレオマイシン(BLENOXANE)、酒石酸ビノレルビン(NAVELBINE)、ビンブラスチン(VELBAN)、ビンクリスチン(ONCOVIN)、及びビンデシン(ELDISINE)などの細胞毒性抗生物質を含む、アルカロイドまたは植物ビンカアルカロイド、(3)カペシタビン(XELODA)、シタラビン(CYTOSAR-U)、フルダラビン(FLUDARA)、ゲムシタビン(GEMZAR)、ヒドロキシウレア(HYDRA)、メトトレキサート(FOLEX、MEXATE、TREXALL)、ネララビン(ARRANON)、トリメトレキサート(NEUTREXIN)、及びペメトレキセド(ALIMTA)などの代謝拮抗物質、(4)5-フルオロウラシル(5-FU)、カペシタビン(XELODA)、ラルチトレキセド(TOMUDEX)、テガフール・ウラシル(UFTORAL)、及びゲムシタビン(GEMZAR)などのピリミジンアンタゴニスト、(5)ドセタキセル(TAXOTERE)、パクリタキセル(TAXOL)などのタキサン、(6)シスプラチン(PLATINOL)及びカルボプラチン(PARAPLATIN)、及びオキサリプラチン(ELOXATIN)などのプラチナ剤、(7)イリノテカン(CAMPTOSAR)、トポテカン(HYCAMTIN)、エトポシド(ETOPOPHOS、VEPESSID、TOPOSAR)、及びテニポシド(VUMON)などのトポイソメラーゼ阻害剤、(8)エトポシド(ETOPOPHOS、VEPESSID、TOPOSAR)などのエピポドフィロトキシン(ポドフィロトキシン誘導体)、(9)ロイコボリン(WELLCOVORIN)などの葉酸誘導体、(10)カルムスチン(BiCNU)、ロムスチン(CeeNU)などのニトロソウレア、(11)ゲフィチニブ(IRESSA)、エルロチニブ(TARCEVA)、ボルテゾミブ(VELCADE)、メシル酸イマチニブ(GLEEVEC)、ゲネフィチニブ、ラパチニブ、ソラフェニブ、サリドマイド、スニチニブ(SUTENT)、アキシチニブ、リツキシマブ(RITUXAN、MABTHERA)、トラスツズマブ(HERCEPTIN)、セツキシマブ(ERBITUX)、ベバシズマブ(AVASTIN)、及びラニビズマブ(LUCENTIS)、lym-1(ONCOLYM)、WO2002/053596に記載のインスリン様増殖因子-1受容体(IGF-1R)に対する抗体などの上皮増殖因子受容体(EGFR)、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)、インスリン受容体、インスリン様増殖因子受容体(IGFR)、肝細胞増殖因子受容体(HGFR)、及び血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)を含む、受容体型チロシンキナーゼ、(12)ベバシズマブ(AVASTIN)、スラミン(GERMANIN)、アンジオスタチン、SU5416、サリドマイドなどの血管新生阻害剤、及びマトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤(バチマスタット及びマリマスタットなど)、及びWO2002055106に記載されているもの、ならびに(13)ボルテゾミブ(VELCADE)などのプロテアソーム阻害剤が挙げられる。
【0222】
「免疫療法剤」という用語は、哺乳動物の免疫応答を強化することができる化学的または生物学的物質を指す。免疫療法剤の例としては、カルメット-ゲラン桿菌(BCG);インターフェロンなどのサイトカイン;MyVax個別化免疫療法、Onyvax-P、Oncophage、GRNVAC1、Favld、Provenge、GVAX、Lovaxin C、BiovaxID、GMXX、及びNeuVaxなどのワクチン;ならびにアレムツズマブ(CAMPATH)、ベバシズマブ(AVASTIN)、セツキシマブ(ERBITUX)、ゲムツズナブオゾガミシン(MYLOTARG)、イブリツモマブチウクセタン(ZEVALIN)、パニツムマブ(VECTIBIX)、リツキシマブ(RITUXAN、MABTHERA)、トラスツズマブ(HERCEPTIN)、トシツモマブ(BEXXAR)、イピリムマブ(YERVOY)、トレメリムマブ、CAT-3888、OX40受容体に対するアゴニスト抗体(例えば、WO2009/079335に開示されているもの)、CD40受容体に対するアゴニスト抗体(例えば、WO2003/040170に開示されているもの)、及びTLR-9アゴニスト(例えば、WO2003/015711、WO2004/016805、及びWO2009/022215に開示されているもの)などの抗体が挙げられる。
【0223】
「ホルモン治療剤」という用語は、ホルモンの産生を阻害もしくは排除するか、またはがん性細胞の増殖及び/または生存に対するホルモンの効果を阻害または妨害する、化学的または生物学的物質を指す。本明細書の方法に好適なそのような薬剤の例には、US20070117809に開示されているものが含まれる。特定のホルモン治療剤の例としては、タモキシフェン(NOLVADEX)、トレミフェン(Fareston)、フルベストラント(FASLODEX)、アナストロゾール(ARIMIDEX)、エキセメスタン(AROMASIN)、レトロゾール(FEMARA)、酢酸メゲストロール(MEGACE)、ゴセレリン(ZOLADEX)、及びリュープロイド(LUPRON)が挙げられる。本開示の結合分子はまた、(1)卵巣、睾丸、副腎、及び下垂体などのホルモンの産生に関与する臓器または腺のすべてまたは一部を除去する外科的方法、ならびに(2)標的化されたホルモンの産生を阻害または排除するのに十分な量で患者の臓器または腺に放射線を照射する放射線治療などの非薬物ホルモン療法と組み合わせて使用され得る。
【0224】
いくつかの実施形態では、追加の治療剤は、ポマリスト、レブラミド、レナリドミド、ポマリドミド、サリドマイド、DNAアルキル化白金含有誘導体、シスプラチン、5-フルオロウラシル、シクロホスファミド、抗CD137抗体、抗cTLA4抗体、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体、抗CD20抗体、抗CD40抗体、抗DR5抗体、抗CD1d抗体、抗TIM3抗体、抗SLAMF7抗体、抗KIR受容体抗体、抗OX40抗体、抗HER2抗体、抗ErbB-2抗体、抗EGFR抗体、セツキシマブ、リツキシマブ、トラスツズマブ、ペムブロリズマブ、放射線療法、単回放射線、分割放射線、焦点放射線、全臓器放射線、IL-12、IFNα、GM-CSF、キメラ抗原受容体、養子移入T細胞、抗がんワクチン、及び腫瘍溶解性ウイルスのうちの1つ以上である。
【0225】
また、がんを治療するための併用療法は、結合分子と、腫瘍を除去するための手術との併用も包含する。結合分子は、手術前、手術中、または手術後に哺乳動物に投与され得る。
【0226】
また、がんを治療するための併用療法は、ポリペプチド(例えば、活性化可能結合ポリペプチド)と、電離(電磁)放射線療法(例えば、X線またはガンマ線)及び粒子線放射線療法(例えば、高線形エネルギー放射線)などの放射線療法との併用も包含する。放射線源は、哺乳動物に対して外部でも内部でもあり得る。ポリペプチドは、放射線療法前、放射線療法中、または放射線療法後に哺乳動物に投与され得る。
【0227】
本開示によって提供されるポリペプチド(例えば、活性化可能結合ポリペプチド)及び組成物は、任意の好適な投与の経腸経路または非経口経路を介して投与することができる。投与の「経腸経路」という用語は、胃腸管の任意の部分を介した投与を指す。経腸経路の例としては、経口、粘膜、頬側、及び直腸経路、または胃内経路が挙げられる。投与の「非経口経路」とは、経腸経路以外の投与経路を指す。投与の非経口経路の例としては、静脈内、筋肉内、皮内、腹腔内、腫瘍内、膀胱内、動脈内、髄腔内、嚢内、眼窩内、心臓内、気管内、関節内、嚢下、くも膜下、脊髄内、硬膜外、及び胸骨内、皮下、または局所投与が挙げられる。本開示のポリペプチド(例えば、活性化可能結合ポリペプチド)及び組成物は、経口摂取、経鼻胃管、胃瘻チューブ、注射、注入、埋め込み型注入ポンプ、及び浸透圧ポンプなどの任意の好適な方法を使用して投与することができる。好適な投与経路及び投与方法は、使用されるポリペプチド、所望の吸収速度、使用される特定の製剤または剤形、治療される障害の種類または重篤度、特定の作用部位、及び患者の状態などの多数の要因に応じて異なり得、当業者によって容易に選択することができる。
【0228】
結合分子の「有効量」という用語は、意図された治療目的に有効な量を指し得る。例えば、免疫応答を強化する文脈において、「有効量」は、哺乳動物の免疫系の任意の応答を刺激、誘発、増加、改善、または増強するのに有効である任意の量であり得る。疾患の治療の文脈において、「有効量」は、治療される哺乳動物において任意の望ましいまたは有益な効果を引き起こすのに十分な任意の量であり得る。具体的には、がんの治療において、望ましいまたは有益な効果の例としては、がん細胞のさらなる増殖もしくは転移の阻害、がん細胞の死滅、がんの再発の阻害、がんに関連する疼痛の低減、または哺乳動物の生存能の改善が挙げられる。本明細書に記載のポリペプチド(例えば、活性化可能結合ポリペプチド)の治療有効量は、哺乳動物の体重の約0.001~約500mg/kg、または約0.01~約100mg/kgの範囲であり得る。例えば、量は、哺乳動物の体重の約0.3mg/kg、1mg/kg、3mg/kg、5mg/kg、10mg/kg、50mg/kg、または100mg/kgであり得る。いくつかの実施形態では、本開示のポリペプチド(例えば、活性化可能結合ポリペプチド)の治療有効量は、哺乳動物の体重の約0.01~30mg/kgの範囲である。いくつかの他の実施形態では、本開示のポリペプチド(例えば、活性化可能結合ポリペプチド)の治療有効量は、哺乳動物の体重の約0.05~15mg/kgの範囲である。投与される正確な投与量レベルは、当業者によって容易に決定することができ、例えば、治療される障害の種類及び重篤度、援用される特定のポリペプチド、投与経路、投与時間、治療期間、援用される特定の追加療法、治療される患者の年齢、性別、体重、状態、一般的な健康状態及び以前の病歴、ならびに医療分野でよく知られている要因などの多数の要因に依存する。
【0229】
ポリペプチド(例えば、活性化可能結合ポリペプチド)またはその組成物は、複数回投与されてもよい。単回の投薬の合間の間隔は、例えば、毎日、毎週、毎月、3か月毎、または毎年であり得る。例示的な治療レジメンは、1週間に1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、1か月に1回、3か月に1回、または3~6か月に1回の投与を伴う。本開示のポリペプチド(例えば、活性化可能結合ポリペプチド)の薬物投与法は、以下の投与計画のうちの1つを使用して、静脈内投与を介する1mg/kg体重または3mg/kg体重を含み得る:(i)4週ごとに6回の薬用量、次いで3か月ごと、(ii)3週ごと、(iii)3mg/kg体重を1回、その後1mg/kg体重を3週ごと。
【0230】
IX.キット
別の態様では、本開示のポリヌクレオチドのライブラリーを含むキットが、本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、キットは、例えば、目的の活性化可能結合ポリペプチドを特定するために、ライブラリーを発現、修飾、スクリーニング、ないしは別の方法で使用するための説明書を含む添付文書をさらに含む。いくつかの実施形態では、キットは、例えば、ポリヌクレオチド(例えば、合成ポリヌクレオチド)のうちの1つ以上を保存、移行、投与、ないしは別の方法で使用するための1つ以上の緩衝液をさらに含む。いくつかの実施形態では、キットは、ポリヌクレオチドのうちの1つ以上を保存するための1つ以上の容器をさらに含む。いくつかの実施形態では、キットは、例えば、宿主細胞のポリヌクレオチドのうちの1つ以上でトランスフェクションするための、1つ以上のベクターをさらに含む。
【0231】
別の態様では、本明細書に記載の活性化可能結合ポリペプチド及び/または組成物を含むキットが、本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、キットは、活性化可能結合ポリペプチド及び/または組成物の使用説明書を含む添付文書をさらに含む。いくつかの実施形態では、キットは、例えば、活性化可能結合ポリペプチド及び/または組成物を保存、移行、投与、ないしは別の方法で使用するための1つ以上の緩衝液をさらに含む。いくつかの実施形態では、キットは、活性化可能結合ポリペプチド及び/または組成物を保存もしくは投与するための1つ以上の容器をさらに含む。
【0232】
前述の記述は、当業者が本開示を実践することを可能にするのに十分であるとみなされる。以下の実施例は例証目的でのみ提示され、決して本開示の範囲を限定することを意図していない。実際、本明細書に示され、説明される改変に加えて、本開示の様々な改変が前述の説明から当業者に明らかとなり、添付の特許請求の範囲内に入るであろう。
【実施例0233】
実施例1:活性化可能結合ポリペプチド遺体する自己遮断ペプチドの特定方法
上述したように、活性化可能結合ポリペプチドに対する自己遮断ペプチドを特定するために有用な改善された方法及び生産物の必要性が存在する。したがって、良好な開発可能性を有するマスキング部分を効率的に発見するために設計及び実行されている新しいシステムが本明細書に記載される。このシステムでは、標的抗体断片Fab(
図1)またはscFv(
図2)のいずれかが最初に酵母表面上に提示され、その抗原への結合において機能的であることが確認された。次いで、改良されたペプチドライブラリーを、軽鎖のN末端に直接融合し、酵母表面上に融合タンパク質を提示した酵母ライブラリーを構築した。次いで、酵母ライブラリーは数ラウンドのFACSベースのスクリーニングを受けた:最初に、抗原への低結合を有した酵母クローンを濃縮し、次いで濃縮酵母クローンをプロテアーゼで処理してN末端ペプチドを除去し、抗原への高結合を有するクローンを選択した(
図1及び2)。4~5ラウンドの選別後、プラスミドをこれらのクローンから抽出し、マスキングペプチド配列をDNA配列決定により確認した。
【0234】
優れた開発性を備えた、標的抗体に対するマスキングペプチドを特定する際に強力にする、この新しいシステムに組み込まれたいくつかの固有の特徴がある:
1)ペプチドライブラリーが、任意の外来骨格タンパク質の代わりに標的抗体のN末端に直接融合され、マスキングペプチドが、最終生産物と同じ状況で発見されたことである。これは、偽陽性ペプチド配列との汚染を排除し、それらの下流の特性評価の仕事量を劇的に削減した。
2)プロテアーゼ切断媒介活性化機構が、スクリーニングプロセスに組み込まれたことである。これにより、発見されたペプチドが、活性化の前に抗原結合をマスクしたのみならず、プロテアーゼ切断後には、もはや抗原結合を遮断しないことを保証した。これらは、いかなる活性化可能抗体に対しても良好なマスキングペプチドとして資格を与えるために考慮される前提条件であった。
3)ペプチドライブラリーの改善された設計が利用されたことである。一般的に使用されるランダムペプチドライブラリーとは対照的に、提示ペプチドが制約付きの立体配座を有することを保証するために、1対のシステイン残基がペプチドライブラリーの固定位置に導入された。拘束されたペプチドが、増加した結合親和性及び特異性を呈する傾向があることが観察された(Uchiyama et al.(2005)99(5):448-56)。M及びWなどの化学的に不安定な残基を含む、すべての20個の残基をコードする、広く使用されているNNK(またはNNS)コドンとは対照的に、NHCコドンを、ペプチドライブラリーの一部またはすべてで利用した。NHCコドンは、12個のアミノ酸残基(D、A、Y、S、T、N、I、L、F、V、H、及びP)をコードし、メチオニン、トリプトファン、またはシステインなどの製造プロセスに好ましくない残基を含まない。加えて、NHCコドンの使用は、NNK(またはNNS)コドンと比べて理論的ペプチドライブラリーサイズも劇的に縮小し、したがって、カバレッジが大幅に向上したライブラリーの構築を可能にした。これらのライブラリーは、異なる標的抗体に対して試験する場合、良好に実行された。
【0235】
実施例2:制約付きペプチドライブラリー(CPL)の設計
4つの例示的な制約付きペプチドライブラリー(CPL)を設計した(表1)。
【0236】
それらのコアには、配列Z6CX6CZ2(配列番号55)またはZ6CX8CZ2(配列番号56)があり、2つの固定システイン残基がジスルフィド結合を形成して、ペプチドの立体配座を制約した。合成されたオリゴヌクレオチドでは、ループの内側を除くすべての場所において縮退コドンNHCが適用され、NNKコドンもまたCPL011及びCPL013において援用された。NNKまたはNNSコドンとは対照的に、NHCコドンは12個の残基(表2)をコードし、有意な多様性を包含するが、化学的に不安定な残基であるメチオニン、トリプトファン、及びシステインを欠く。さらに、NNKまたはNNSコドンと比較して減少した理論上の多様性は、より広い網羅範囲を有するライブラリーの構築を可能にした。
【0237】
これらのマスキングペプチド配列に続くのは、2つのプロテアーゼ認識部位:プロテアーゼウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子(uPA)のSGRSA(配列番号13)、ならびにプロテアーゼマトリックスメタロプロテイナーゼ-2(MMP-2)及びマトリックスメタロプロテイナーゼ-9(MMP-9)のPLGLAG(配列番号14)を含有する、インバリアント切断ペプチド配列(SGRSAGGGGSPLGLAGSGGS、配列番号12)であった。これらの認識部位は、標的化剤のインビボ腫瘍細胞特異的活性化において、多くの群によって使用されている(例えば、Ke et al.(1997)J Biol Chem 272(33):20456-62、Gerspach et al.(2006)Cancer Immunol Immunother 55(12):1590-600、及びJiang et al.(2004)Proc Natl Acad Sci USA 101(51):17867-72を参照)。酵母ベースのスクリーニング中に、TEVプロテアーゼの可用性及び特異性により、MMP-9認識配列をタバコエッチウイルス(TEV)プロテアーゼ認識配列(ENLYFQG、配列番号15)に置換した。
【0238】
CPL及びインバリアント切断ペプチドを、酵母表面に提示されたAga2タンパク質に接続しているscFvまたはFabのいずれかの形式で、標的抗体の軽鎖のN末端に融合した。代理TEVプロテアーゼ認識部位の包含は、正しい種類のマスキングペプチド配列を特定する上で重要であった。すなわち、抗原結合はプロテアーゼ切断前に遮断され、抗原結合はプロテアーゼ切断後に可能となる。以下に説明する例は、酵母において最初に示された活性化可能抗体の切断活性化メカニズムが、哺乳動物細胞中で発現された完全なIgG分子において複製されることを示した。
【0239】
実施例3:CTLA4を標的化する活性化可能抗体の構築及び検証
酵母表面の機能的標的抗体の提示
低コピー数のCEN/ARSベースのベクターを使用して、酵母S.cerevisiae中に、誘導性GAL1-10プロモーターの制御下で標的抗体(ヒトCTLA4を標的化する抗体TY21580)を発現させた。scFvの表面提示を、以前に公開された配置(Boder and Wittrup(1997)Nat Biotechnol 15(6):553-7)と同様に、GAL1プロモーターの制御下でそのC末端に融合したAga2タンパク質を介して達成した。Fabについては、それらの表面提示を、GAL1プロモーターの制御下で重鎖(VHとCH1の融合)のN末端に融合したAga2タンパク質によって達成したが、軽鎖(VLとCLの融合)はGAL10プロモーターの制御下であった。Fabを、膜に固定された重鎖との結合によって酵母表面上に提示した。
【0240】
FabまたはscFvの表面提示を、融合親和性タグを認識する抗体で染色することによって検証し、酵母上に提示されたFabまたはscFvの機能を、ビオチン化ヒトCTLA4を使用して調査した。簡潔に言えば、ガラクトース培地での誘導から48時間後、酵母細胞(1×10^6)を採取し、PBSA緩衝液で1回洗浄し、次いで、10nMのビオチン化抗原と室温で1時間インキュベートした。次いで、酵母細胞をPBSA緩衝液で2回洗浄し、PEコンジュゲートストレプトアビジン(1:500希釈)(eBioscience#2-4317-87)と4℃で30分間インキュベートした。次いで、酵母細胞をフローサイトメトリーによって分析した。
図3A~Bに示すように、CTLA4を標的化するFab(
図3A)及びscFv(
図3B)の両方が酵母表面上に正常に提示され、それらの両方がそれらの抗原に強力に結合することが可能であった。
【0241】
CPLを含有する酵母ライブラリーの構築
CPLをコードする合成されたオリゴヌクレオチドを、5サイクルのPCRによって切断ペプチドをコードするオリゴヌクレオチドと融合した。使用したプライマー(Fプライマー及びRプライマー)を、表3に列挙する。PCR反応の組成は、1×PrimeSTAR緩衝液、2.5mMのdNTP、各100μMのFプライマー及びRプライマー、ならびに各100μMのテンプレート1(CPLオリゴヌクレオチド)及びテンプレート2(切断ペプチドをコードするオリゴヌクレオチド)、及び2.5UのPrimeSTAR HS DNAポリメラーゼであった。使用したPCRプログラムは、a)96℃で5分間の1サイクル、2)96℃(15秒)、60℃(15秒)、72℃(6秒)の5サイクル、及び3)72℃で3分間の1サイクルであった。エキソヌクレアーゼIを使用して、ゲル電気泳動によるPCR産物の精製前に、一本鎖DNAを分解した。次いで、精製したPCR産物をBamHI及びKpnIで分解し、同じ2つの制限酵素で分解した細菌フィルターベクターにクローニングした。フィルターベクターでは、CPL及び切断ペプチドを、細菌分泌シグナルペプチドの下流、及びシグナル配列を欠くベータラクタマーゼの上流に配置した。アンピシリンプレート上で選択された機能的なベータラクタマーゼは、CPLと切断ペプチドのインフレーム融合を示し、それによって、合成された縮退オリゴヌクレオチドに導入されたあらゆるフレーム外エラー(N-1またはN-2)を排除した。さらに、いくつかの不完全に折りたたまれた配列もプールから削減した。ライゲーション産物をエレクトロコンピテント細菌細胞に形質転換し、CPLライブラリーの多様性は一般的に5×10^9~1×10^10であった。個々のクローンの配列決定は、非常に高いインフレーム比(多くの場合、ほぼ100%)がこのアプローチによって達成されたことを示した。
【0242】
CPLを含有する酵母ライブラリーを作製するために、プラスミドを細菌ライブラリーから抽出し、CPL及び切断ペプチドをコードするDNA断片のPCR増幅のテンプレートとして使用した。使用したプライマー(PL0009_F及びBL1024_R)を表3に列挙する。増幅されたPCR断片をゲル電気泳動によって精製し、Aga2に融合された標的抗体を発現した線形化されたプラスミドと一緒に、エレクトロコンピテント酵母細胞に形質転換した。PCR断片及びプラスミドの両端の相同配列は、酵母細胞内での効率的な相同組換えを確実にした。構築された酵母ライブラリーの多様性は一般的に1×10^9~2×10^9であった。
【0243】
CTLA4抗体に対するマスキングペプチドのFACSベースのスクリーニング
CPL酵母ライブラリーからの合計1×10^8の酵母細胞を使用して、標的抗体に対するマスキングペプチドをスクリーニングした。MoFlo XDPによる各選別ラウンドについて、ガラクトース培地中で誘導された酵母細胞を採取し、PBSA緩衝液で1回洗浄し、次いで、10nM(後のラウンドで1nMに低下)のビオチン化抗原と室温で1時間インキュベートした。次いで、酵母細胞をPBSA緩衝液で2回洗浄し、PEコンジュゲートストレプトアビジン(1:500希釈)(eBioscience#2-4317-87)と4℃で30分間インキュベートした。PBSA緩衝液でさらに2回洗浄した後、酵母細胞を2~3OD/mLに調整し、選別に供した。
図4に示すように、ラウンド1では、10nMのビオチン化CTLA4-Fcを使用して、弱い結合剤を濃縮した。ラウンド1からの酵母細胞を、グルコース培地中で増殖後、ガラクトース培地中で誘導し、AcTEVプロテアーゼ(6U/OD細胞)(Thermo Fisher Scientific#12575015)を用いて30℃で2時間処理して、強力な結合剤を精製した。第3の選別ラウンドから開始して、ビオチン化CTLA4-Fcの濃度を1nMに低減し、弱い結合剤を収集した。第4のラウンドでは、酵母細胞の画分も並行してAcTEVで処理し、標的抗体のプロテアーゼ切断媒介型活性化を検証した。
図4に示すように、AcTEV切断が、抗原に強力に結合する細胞集団の劇的な増加をもたらしたことは明らかであり、スクリーニング戦略が有効であったことを示唆した。第5の選別ラウンドからの単一クローンを選択培地に播種し、切断媒介型活性化抗原結合のさらなる確認のために個々に増殖させた。
【0244】
図5A~Bに示すように、選択されたCTLA4活性化可能抗体クローンは、scFv(
図5A)またはFab(
図5B)形式のいずれかで、マスキングペプチドの存在下では抗原への結合をほとんど示さなかった。しかしながら、酵母細胞をTEVプロテアーゼで処理してマスキングペプチドを除去すると、抗原への結合が劇的に増加した。選択されたクローンを検証するためのTEVプロテアーゼの適用と合わせて、TEV認識部位を切断ペプチドに組み込むことにより、マスキングペプチド選択の成功率が有意に上昇した。
【0245】
マスキングペプチド配列を特定するために、選択された酵母クローン(Generay #GK2002-200)からシャトルプラスミドを抽出し、コンピテントなE.coli細胞に形質転換した。プラスミドを調製し、マスキングペプチドをコードする領域を配列決定して整列した。予想されたように、これらの配列はいくつかの群に分けることができ、選別ラウンドによって明確な濃縮を示した。マスキングペプチド配列の4つの群を、インバリアント切断ペプチド配列と一緒に表4に列挙する。
【0246】
IgG変換及び発現
潜在的なグリコシル化部位を排除するための表4に列挙されるマスキングペプチドの4つの群、ならびにそれらの2つ(B13192及びB13197)から派生した追加の4つのマスキングペプチド配列(表5)は、IgG1に変換された。
【0247】
重鎖及び軽鎖を哺乳動物発現ベクターpCDNA3.3(Thermo Fisher Scientific、カタログ番号K830001)に別個にクローニングし、マスキングペプチド及びインバリアント切断ペプチドを、酵母表面に提示されたのと同じ様式で軽鎖のN末端に融合した。親CTLA4抗体(TY21580)についてのVH及びVL配列は以下に列挙されている(また、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、代理人整理番号69540-2000540で本明細書と同時出願された「Compositions Comprising Cross-reactive Anti-CTLA4 Antibodies,and Methods of Making and Using the Same」と題するPCT国際出願も参照されたい):
抗CTLA4重鎖可変領域(配列番号47):
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGYSISSGYHWSWIRQAPGKGLEWLARIDWDDDKYYSTSLKSRLTISRDNSKNTLYLQLNSLRAEDTAVYYCARSYVYFDYWGQGTLVTVSS
抗CTLA4軽鎖可変領域(配列番号48):
DIQLTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQSVRGRFLAWYQQKPGKAPKLLIYDASNRATGIPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQSSSWPPTFGQGTKVEIKR.
【0248】
プラスミドの対をHEK293F細胞に一時的にトランスフェクトした。6日後、上清を採取し、遠心分離及び濾過によって清澄化して、IgGを標準のタンパク質A親和性クロマトグラフィー(MabSelect SuRe、GE Healthcare)を用いて精製した。IgGを溶出及び中和し、緩衝液をPB緩衝液(20mMのリン酸ナトリウム、150mMのNaCl、pH7.0)に交換した。タンパク質濃度をUV分光光度法によって決定し、IgG純度を変性、還元、及び非還元条件下で、SDS-PAGEまたはSEC-HPLCによって分析した。重要なことに、HEK293細胞における活性化可能抗体の発現レベルは親抗体と同様であり、タンパク質A樹脂後のそれらの精製収率もまた同様であり、マスキング及び切断ペプチドの存在が哺乳動物細胞における抗体発現に悪影響を及ぼさないことを示唆した。
【0249】
マスキング効率の測定
ForteBio Octet RED96システム(Pall、USA)を使用して、マスキングペプチドの効率を迅速に評価した。簡潔に言えば、活性化可能抗体(及びそれらの親抗体、TY21580)をKB緩衝液(0.02%のTween 20及び0.1%のBSAで補充されたPBS緩衝液)中で30μg/mLに希釈し、並行して抗ヒトIgG捕捉(AHC)バイオセンサー(Pall、USA)によって捕捉した。次いで、センサーを、Hisタグ化CTLA4タンパク質(25nM)と300秒間会合させ、次いで、KB緩衝液中でさらに300秒間解離させた。製造業者のガイドラインに従って、ForteBio Data Analysis 7.1(Pall、USA)を使用して、会合及び解離曲線を1:1のLangmuir結合モデルにフィッティングした。
図6A~Bに示すように、活性化可能抗体で達成された応答は、親抗体の応答よりも有意に低く、マスキングペプチドが抗体のその抗原への結合を効果的に遮断したことを示唆した。しかしながら、4つの活性化可能抗体のうち、TY22401は効果が低く、以下に考察されるELISAアッセイの結果と一致した。
【0250】
組換えヒトCTLA4-FcをPBS中で1μg/mLに希釈し、Maxisorpプレート上に4℃で一晩塗布した。プレートを、3%の無脂肪乳で補充されたPBSを用いて、37℃で1時間遮断した。洗浄後、100μLの3倍段階希釈抗体を各ウェルに添加した。37℃で1時間インキュベートした後、プレートを4回洗浄し、100μLのHRPコンジュゲート抗ヒトIgG(Fab特異的)(1:6000希釈)を各ウェルに添加した。プレートを37℃で1時間インキュベートして、4回洗浄し、次いで、50μLのTMB基質溶液を各ウェルに添加して、プレートを室温でインキュベートした。反応をウェルあたり50μLのH
2SO
4で停止した後、450nmの吸光度を測定した。EC
50を、GraphPad Prism 6ソフトウェアの非対称シグモイド(5パラメータロジスティック方程式)モデルを使用してELISAデータをフィッティングすることによって評価した。活性化可能抗体TY22401、TY22402、及びTY22404の実験を2回実施することにより、これらの活性化可能抗体のそれぞれについて、2つの計算されたマスキング効率を得た。各活性化可能抗体のマスキング効率を、活性化可能抗体の結合のEC
50を、親抗体(TY21580)のEC
50で除算することによって計算した。
図7A~C及び表6に示すように、親抗体と比較して、すべての活性化可能抗体がその抗原への結合の劇的な低下を示し、計算されたマスキング効率は48~2213の範囲であった。マスキング効率における差異は、EC
50値の測定値とデータフィッティングのばらつきに起因する可能性が高く、各活性化可能抗体のマスキング効率は計算された範囲内である可能性が高い(例えば、活性化可能抗体TY22402のマスキング効率は377~2213である)。これらの結果は、CPLから特定された複数のマスキングペプチドが、哺乳動物細胞において、及び完全なIgG分子の一部として発現された場合、それらのマスキング効率を維持したことを示した。
【0251】
マスキングペプチドの除去は、抗体活性を回復する。
精製された活性化可能抗体を、切断配列を認識するプロテアーゼで処理し、次いで、マスキングペプチドの除去がそれらの活性を回復するかどうかを決定するために試験した。例として、20μgのTY22404(0.5mg/mL)を反応緩衝液(50mMのトリスHCl、0.01%のTween 20、pH8.5)中の1μgの組換えヒトuPA(Acrobiosystems、#PLU-H5229)で処理したか、またはTY22404を反応緩衝液(50mMのトリス、150mMのNaCl、5mMのCaCl
2、20
μMのZnCl2、pH7.5)中の5または10単位の組換えヒトMMP-9(BioVision、#7867-500)で処理した。反応は37℃で21時間行った。マスキングペプチドは、SDS-PAGE分析によって軽鎖から除去されていることが確認された
図8A。次いで、マスキング効率を上記のとおりELISAによって測定した。
図8B及び表7に示すように、マスキングペプチドを除去した後、活性化可能抗体は抗原への結合において親抗体と区別がつかなくなった。
【0252】
活性化可能抗体の開発可能性プロファイル
製造目的のために、発見された活性化可能抗体が良好な開発可能性プロファイルを有することが重要である。哺乳動物細胞中に発現した精製された活性化可能抗体を用いていくつかの異なる試験を実施した。活性化可能抗体を、pH5.5の20mMのヒスチジン中で1mg/mLに調整し、抗体品質分析を、Waters 2996 UV検出器を備えたWaters 2695及びTSKgel g3000 SWXLカラム(300mm×7.8mm)(Tosoh Bioscience)を使用した分析サイズ排除クロマトグラフィーを使用して実施した。各アッセイについて、10μgの抗体を注入し、緩衝液(pH7.0の200mMのリン酸ナトリウム)中で0.5mL/分の流速で分画を実施した。
【0253】
3つの加速ストレス試験:活性化可能抗体の50℃で7日間のインキュベーション、活性化可能抗体の40℃で28日間のインキュベーション、及び6サイクルの凍結融解を実施した。凍結融解試験を、100μLの試料(20mMのヒスチジン中1mg/mL、pH5.5)を-80℃で30分間凍結し、続いて室温で60分間融解することによって実施した。
図9A~Cに示すように、すべての活性化可能抗体は安定したままであり、50℃で7日間または40℃で28日間保存した後、ほとんど凝集を示さなかった。6サイクルの凍結融解後、わずかな劣化を示したが、単量体メインピークは95%付近のままであり、これらの活性化可能抗体が、これらの加速ストレス試験下で非常に安定していたことを示した。理論に拘束されることを望むものではないが、活性化可能抗体は大規模な緩衝液最適化プロセスをまだ経ておらず、したがって、活性化可能抗体の安定性は最適化された緩衝液及び賦形剤を用いてさらに改善され得るということは注目に値する。
【0254】
次に、活性化可能抗体を、pH5.5の20mMのヒスチジン中で150mg/mL超に濃縮した(表8)。活性化可能な抗体の沈殿は観察されず、試料の粘度は非常に管理しやすかった。次いで、濃縮された活性化可能抗体を、高分子量(HMW)種の分析のために20mg/mLまたは1mg/mLのいずれかに希釈した。
図10及び表8に示すように、HMW種の明らかな増加は観察されず、これらの活性化可能抗体が、高濃度になるまで、試験された緩衝液中で非常に溶解性及び安定性であったことを示唆した。
【0255】
低pHでの活性化可能抗体の安定性を研究するために、精製された活性化可能抗体(20mMのヒスチジン中10mg/mL、pH5.5)をクエン酸で1mg/mLに滴定し、pHを3.7に調整して、室温で30分及び60分間保持した。その後、試料を1Mのトリス塩基でpH7.0に中和した。活性化可能抗体のマスキング効率を、上記のようにForteBioで測定した。
図11に示すように、マスキング効率は、30または60分間の低pHインキュベーション後も変化しないままであり、マスキングペプチドがその遮断効果を低pHインキュベーション後も保持することを示唆した。
【0256】
まとめると、データは、発見された活性化可能抗体が様々なストレス条件下で安定したままであり、したがって、それらが良好な開発可能性プロファイルを有することを示している。
【0257】
実施例4:CTLA4を標的化する活性化可能抗体のインビトロ及びインビボ特性評価
親抗体TY21580単独では、ヒトT細胞活性化またはヒトPBMC細胞の活性化を刺激しないことが以前に示されている(その全体が参照により本明細書に組み込まれる、代理人整理番号69540-2000540で本明細書と同時出願された「Compositions Comprising Cross-reactive Anti-CTLA4 Antibodies,and Methods of Making and Using the Same」と題するPCT国際出願も参照されたい)。T細胞におけるCTLA-4活性は、第1(TCR/CD3)のシグナル及びB7-CD28/CTLA-4に関与する第2のシグナル関連していることが知られている。一貫して、抗CD3の低濃度では、親抗体TY21580が、ヒトPBMC細胞の活性化を有意に強化することが示された。
【0258】
インビトロ機能的特性評価
ここで、CTLA4を標的化する活性化可能抗体の活性を、ヒトPMBC活性化に対する低濃度の抗CD3抗体の存在下で評価した。ヒトPBMCを、Histopaque-1077(Sigma)を使用した密度勾配遠心分離によって、健康なドナー(#44)の血液から新たに単離した。抗CD3(OKT-3)抗体を96ウェルプレート上に4℃で一晩塗布した。洗浄後、1×10^5の新たに単離したヒトPBMCを各ウェルに添加し、続いて、異なる濃度で試験品を添加した。IL-2の誘導を、ヒトIL-2 ELISA Ready-SET-Go(Invitrogen)キットを使用して刺激から48時間後に測定した。上清中のIFN-γを、ヒトIFN-γ ELISA Ready-SET-Go(Invitrogen)キットを使用して測定した。
図12A~Bに示すように、高濃度で、TY22404はIL-2産生を誘導し、TY22401はIFN-γ産生を誘導した。それにもかかわらず、活性化可能な抗体の活性は、親抗体TY21580の活性よりも有意に低かった。
【0259】
次に、活性化可能抗体の抗体依存性細胞傷害活性を試験し、親抗体TY21580のそれと比較した。ADCCレポーター遺伝子アッセイを使用して、活性化可能抗体のADCC活性を評価した。ヒトCTLA4を過剰発現するHEK293F細胞(HEK293F/hCTLA-4細胞)を標的細胞として使用し、CD16a及びNFAT-Lucを過剰発現するJurkat細胞株(Jurkat/CD16a細胞)をエフェクター細胞として使用した。1×10^5個のJurkat/CD16a細胞及び1×10^4個のHEK293F/hCTLA-4細胞(E:T比10:1)を異なる濃度の抗体と混合した。6時間インキュベートした後、100μLのOne-Glo試薬を細胞に添加し、細胞を10分間溶解した。SpectraMax i3xプレートリーダーを使用して発光測定のために上清を除去した。
図13に示すように、活性化可能抗体は、親抗体TY21580よりも数対数低いADCC活性を示した。TY22401のADCC活性は、TY22402及びTY22404の活性よりも高かった。まとめると、インビトロのデータは、より良好にマスキングされた活性化可能抗体が、より低いADCC活性を有したことを示している。
【0260】
次に、活性化可能抗体の抗腫瘍活性を評価し、MC38結腸直腸腫瘍モデル、CT26結腸直腸腫瘍モデル、H22肝臓腫瘍モデル、及び3LL肺腫瘍モデルを含む複数の同系マウス腫瘍モデルにおいて親抗体TY21580の抗腫瘍活性と比較した。
【0261】
MC38結腸直腸腫瘍モデルにおける抗腫瘍効果
C57BL/6マウス(群あたりn=8、雌、6~8週齢)に、MC38(NTCC-MC38)マウス結腸癌細胞を皮下接種した。腫瘍が定着した場合(70mm3)、治療を、週に2回、腹腔内注射により、アイソタイプ対照抗体、親抗体TY21580、または3つの活性化可能抗体のうちの1つを用いて開始した。腫瘍増殖を週2回モニターし、経時的な平均腫瘍体積±s.e.m.(
図14A)及び個々の腫瘍増殖曲線(
図14B)を評価した。
図14A~Bに示すように、3つすべての活性化可能抗体が、MC38同系マウス腫瘍モデルにおいて親抗体TY21580に匹敵する強力な抗腫瘍活性を示した。
【0262】
CT26結腸直腸腫瘍モデルにおける抗腫瘍効果
BALB/cマウス(群あたりn=8、雌、7~8週齢)に、CT26(Shanghai Institutes for Biological Sciences)マウス結腸癌細胞を皮下接種した。腫瘍が定着した場合(100mm3)、治療を、週に2回、腹腔内注射により、アイソタイプ対照抗体、親抗体TY21580、または3つの活性化可能抗体のうちの1つを5mg/kgで用いて開始した。腫瘍増殖を週2回モニターし、経時的な平均腫瘍体積±s.e.m.として報告した。
図15に示すように、3つすべての活性化可能抗体が、CT26同系マウス腫瘍モデルにおいて親抗体TY21580に匹敵する強力な抗腫瘍活性を示した。
【0263】
H22肝臓腫瘍モデルにおける抗腫瘍効果
BALB/cマウス(群あたりn=8、雌、7~8週齢)に、H22(China Center for Type Culture Collection)マウス肝臓癌細胞を皮下接種した。腫瘍が定着した場合(100mm3)、治療を、週に2回、腹腔内注射により、アイソタイプ対照抗体、親抗体TY21580、または3つの活性化可能抗体のうちの1つを5mg/kgで用いて開始した。腫瘍増殖を週2回モニターし、経時的な平均腫瘍体積±s.e.m.として報告した。
図16に示すように、3つすべての活性化可能抗体が、H22同系マウス腫瘍モデルにおいて親抗体TY21580に匹敵する強力な抗腫瘍活性を示した。
【0264】
3LL肺癌モデルにおける抗腫瘍効果
C57BL/6マウス(群あたりn=10、雌、6~8週齢)に、3LL(JCRB)マウス肺癌細胞を皮下接種した。腫瘍が定着した場合(75mm3)、治療を、週に2回、腹腔内注射により、アイソタイプ対照抗体、親抗体TY21580、または3つの活性化可能抗体のうちの1つを用いて開始した。腫瘍増殖を週2回モニターし、経時的な平均腫瘍体積±s.e.m.(
図17A)及び個々の腫瘍増殖曲線(
図17B)を評価した。
図17A~Bに示すように、3つすべての活性化可能抗体が、3LL同系マウス腫瘍モデルにおいて親抗体TY21580に匹敵する強力な抗腫瘍活性を示した。
【0265】
薬物動態分析
薬物動態研究を、生後約8週間の雌のBALB/cマウスにおいて実行した。1群あたり3匹のマウスに、試験品を10mg/kgで腹腔内注射した。血液試料(試料あたり約50ul)を、投薬から3、6、24、48、96、及び168時間後に採取した。ブランク対照血液を、抗体を投与されていない3匹の未処置の雌のマウスから採取した。各試験抗体の血清濃度をELISAによって測定し、抗ヒトIgG Fcを捕捉に使用し、HRP標識抗ヒトIgG(Fab特異的)抗体(Sigma)を検出に使用した(
図18A~C)。親抗体TY21580について収集された以前のデータと比較して、活性化可能抗体TY22401(
図18A)、TY22402(
図18B)、及びTY22404(
図18C)は、はるかに遅いクリアランス時間及びはるかに長い半減期を有した。TY22401は196時間の半減期を有し、168時間での薬物濃度は約55μg/mLであった。TY22402は134時間の半減期を有し、168時間での薬物濃度は約40μg/mLであった。TY22404は254時間の半減期を有し、168時間での薬物濃度は約45μg/mLであった。比較すると、親抗体TY21580は107時間の半減期を有し、168時間での薬物濃度は約17μg/mLであった。
【0266】
反復投与毒性試験
NODマウスにおける糖尿病発症年齢に対するTY21580の効果を評価しているときに、高投与量のTY21580はNODの動物の死亡につながり得るが、正常なBALB/cマウスでは起こらないことを見出した。ここで、NODマウスモデルを使用して、TY21580の安全性と比較して、活性化可能抗体の安全性を評価した。NODマウス(群あたりn=5、雌、6週齢)を、0、3、7、及び12日目に、腹腔内注射により、50mg/kgでアイソタイプ対照抗体、親抗体TY21580、または3つの活性化可能抗体のうちの1つを用いて治療した。TY21580治療群では、3回目の投薬後に1匹が死亡し、4回目の投薬後に3匹が死亡した。
図19に示すように、アイソタイプ対照または3つの活性化可能抗体のいずれかで治療されたすべての動物は、研究の終了時に生存しており、健康であった。これらのデータは、活性化可能抗体が、マウスにおいて許容できる安全性/毒性プロファイルを有し、かつ、NODマウスにおいて、活性化可能抗体が親抗体TY21580よりもはるかに安全であることを示した。
【0267】
実施例5:CD137を標的化する活性化可能抗体の構築及び検証
ヒトCD137を標的化する活性化可能抗体を、上記実施例3に記載される抗CTLA4活性化可能抗体の開発で使用されたスキームと同様に開発した。親CD137抗体のFab断片(
図20A)またはscFv(
図20B)を、Aga2タンパク質への融合を介して、酵母の表面上に提示させ、それらのCD137に結合する能力を、フローサイトメトリーによって確認した。親CD137抗体(TY21242)についてのVH及びVL配列を以下に列挙する(また、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、PCT国際出願第PCT/CN2017/098332号も参照されたい):
抗CD137重鎖可変領域(配列番号49):
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFSLSTGGVGVGWIRQAPGKGLEWLALIDWADDKYYSPSLKSRLTISRDNSKNTLYLQLNSLRAEDTAVYYCARGGSDTVIGDWFAYWGQGTLVTVSS
抗CD137軽鎖可変領域(配列番号50):
DIQLTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQSIGSYLAWYQQKPGKAPKLLIYDASNLETGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQGYYLWTFGQGTKVEIK.
【0268】
酵母ライブラリーを、軽鎖のN末端に融合されたCPLをもしいて構築し、FACSベースのスクリーニングプロセスに供した。第4または第5の選別ラウンドからの単一クローン(
図21)を選択培地に播種し、切断媒介型活性化抗原結合の確認のために個々に増殖させた。
図22A~Bに示すように、選択されたCD137活性化可能抗体のクローンは、マスキングペプチドの存在下では抗原に対する結合をほとんど示さなかったが、抗原への結合は、酵母細胞がTEVプロテアーゼで処理されて、マスキングペプチドを除去した場合に、劇的に増加した。
【0269】
CTLA4活性化可能抗体で観察されたように、特定されたマスキング配列はいくつかの群に分けることができ、選別ラウンドによって明確な濃縮を示した。マスキングペプチド配列の7つの群を、インバリアント切断ペプチド配列と一緒に表9に列挙する。これらの配列群(TY22594、TY22595、TY22596、TY22598、TY22599)は、2つの固定されたCys残基の間のループにNNKコドンを含有するCPL011ライブラリーに由来していた。興味深いことに、すべてのこれらの配列群には、ループ内に2つ以上のArg残基があり、マスキングペプチドと親抗体のCDRとの間に電荷間相互作用が関与し得ることを示唆している。実際に、VH CDR2及びVH CDR3には負帯電Asp残基がある。
【0270】
次いで、マスキング配列及びインバリアント切断配列を、哺乳動物細胞でIgG4分子が完全に発現された状態で試験した。それらの発現レベルは、親抗体と同様であり、タンパク質A樹脂後のそれらの精製収率もまた同様であり、マスキングペプチド及び切断ペプチドの存在が哺乳動物細胞における抗体発現に悪影響を及ぼさないことを示唆した。
【0271】
次いで、マスキング効率を、フローサイトメトリーによって測定した。簡単に言うと、それらの表面にヒトCD137を提示する酵母細胞をPBSA緩衝液で2回洗浄し、50μL(1×10^6)の細胞を、96ウェルプレートの各ウェルに分配した。次いで、細胞を抗体の3倍の系列希釈物と氷上で1時間インキュベートし、PBSA緩衝液で1回洗浄し、次いで、100μLのPE結合マウス抗ヒトFc(1μg/ml)と氷上で30分間インキュベートした。次いで、フローサイトメトリー(Beckman(登録商標)CytoFlex)による分析の前に、細胞を1回洗浄した。
図23及び表10に示すように、親抗体TY21242と比べて、すべての活性化可能抗体は、細胞表面上のヒトCD137への劇的に減少した結合を示し、計算されたマスキング効率は、TY22596の20倍から、TY22586、TY22595及びTY22599の300倍超までの範囲であった。これらの結果は、酵母上で提示されたCPLライブラリーから特定されたマスキングペプチドが、哺乳動物細胞で発現される場合、それらのマスキング効率を維持することを示した。
【0272】
まとめると、データは、複数の強力なマスキングペプチドが、本明細書に記載の方法を使用して各標的抗体に対して成功裏に発見されることを示した。
【0273】
実施例6:CTLA4を標的化する活性化可能抗体のマスキング効率に及ぼすマスキングペプチド長の効果
2つの活性化可能抗体、TY22402及びTY22404を選択して、マスキングペプチドの長さに対するマスキング効率の依存性を試験し、それらの特定の用途に適合させた。TY22402及びTY22404のマスキングペプチドを、N末端から残基を除去することによって21残基から16または12残基に短縮し、マスキングペプチド中の第1のシステイン残基の前に5または2残基のみを残した(表11)。これらの活性化可能抗体を哺乳動物細胞から発現及び精製して、それらのマスキング効率を実施例3に記載のとおり測定し、親抗体TY21580と比較した。2つの実験からの結果は、第1のシステイン残基の前に2~11残基の範囲の長さを有する異なるマスキングペプチドを使用してこれらの活性化可能抗体を作製し、抗体のマスキング効率を調節することができることを示した(
図24A及び24B;表12及び13)。これは、コアマスキングモチーフがシステインループ及びそのすぐ隣接する残基を含有し、マスキング効率を維持するのに十分であることを示唆すると考えられる。
【0274】
表12は、
図24A中の抗体のマスキング効率を示す。表13は、
図24B中の抗体のマスキング効率を示す。
【0275】
実施例7:CTLA4を標的化する活性化可能抗体のマスキング効率に及ぼす切断ペプチド長の効果
TY22404を選択して、切断ペプチドの長さに対するマスキング効率の依存性を試験し、それらの特定の用途に適合させた。TY22404の切断ペプチドを、様々な長さに短縮した(表14)。活性化可能抗体を哺乳動物細胞から発現及び精製して、それらのマスキング効率を実施例3に記載のとおり測定し、親抗体TY21580と比較した。
図25及び表15に示すように、結果は、5~20残基の範囲の長さを有する異なる切断ペプチドを使用してこれらの活性化可能抗体を作製し、抗体のマスキング効率を調節することができることを示した。マスキングモチーフと切断モチーフとの間の強い相関は顕著であり、TY23291のマスキング効率は、ペプチド長が41~17個のアミノ酸に短縮されている場合、TY22404と比較して少なくとも30倍増強されている。これらの結果は、いくつかの新規マスキングペプチドが設計及び操作され得ることを示す。さらに、マスキングモチーフと切断モチーフとの間のカップリングをさらに探究することができる。
【0276】