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特開2023-134488組み換えウイルスレプリコン系及びその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023134488
(43)【公開日】2023-09-27
(54)【発明の名称】組み換えウイルスレプリコン系及びその使用
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/40 20060101AFI20230920BHJP
【FI】
C12N15/40 ZNA
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023101803
(22)【出願日】2023-06-21
(62)【分割の表示】P 2019520535の分割
【原出願日】2017-10-03
(31)【優先権主張番号】62/409,228
(32)【優先日】2016-10-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】514010601
【氏名又は名称】ヤンセン ファーマシューティカルズ,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100093676
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 純子
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100153693
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 耕一
(72)【発明者】
【氏名】カムルド, カート アイバー
(57)【要約】      (修正有)
【課題】目的の分子の産生に好適なウイルスベースの発現系を提供する。
【解決手段】改変レプリコンRNAを含む核酸分子であって、前記改変レプリコンRNAが、改変された、5’-UTRを含み、かつウイルス構造タンパク質をコードする、核酸配列の少なくとも一部を欠いている、核酸分子を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
改変レプリコンRNAを含む核酸分子であって、前記改変レプリコンRNAが、改変された5’-UTRを含み、かつウイルス構造タンパク質をコードする核酸配列の少なくとも一部を欠いている、核酸分子。
【請求項2】
前記改変レプリコンRNAが、改変アルファウイルスレプリコンRNAである、請求項1に記載の核酸分子。
【請求項3】
前記改変アルファウイルスレプリコンRNAが、改変アルファウイルスゲノムを含む、請求項2に記載の核酸分子。
【請求項4】
前記改変された5’-UTRが、1、2、4位、又はこれらの組み合わせにおける1つ以上のヌクレオチド置換を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項5】
前記ヌクレオチド置換のうちの少なくとも1つが、前記改変された5’-UTRの2位におけるヌクレオチド置換である、請求項4に記載の核酸分子。
【請求項6】
前記改変された5’-UTRの2位における前記ヌクレオチド置換が、U->G置換である、請求項5に記載の核酸分子。
【請求項7】
前記改変レプリコンRNAが、ウイルス構造タンパク質をコードする核酸配列の実質的な部分を欠いている、請求項1~6のいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項8】
前記改変アルファウイルスゲノム又はレプリコンRNAが、ウイルス構造タンパク質をコードする核酸配列を含まない、請求項1~7のいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項9】
1つ以上の発現カセットを更に含み、前記発現カセットのそれぞれが、異種核酸配列に操作可能に連結されたプロモーターを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項10】
前記改変レプリコンRNAが、トガウィルス科のアルファウイルス属に属するウイルスの改変ゲノム又はレプリコンRNAを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項11】
前記改変ゲノム又はレプリコンRNAが、VEEV/EEEV群、又はSF群、又はSIN群に属するアルファウイルスのものである、請求項10に記載の核酸分子。
【請求項12】
前記アルファウイルスが、ベネズエラウマ脳炎ウイルス(VEEV)である、請求項10に記載の核酸分子。
【請求項13】
前記改変アルファウイルスゲノム又はレプリコンRNAが、異種調節エレメントに操作可能に連結されている、請求項1~12のいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項14】
改変アルファウイルスゲノム又はレプリコンRNAを含む核酸分子であって、前記核酸分子が、配列番号1の核酸配列と少なくとも80%の配列同一性を示し、前記改変アルファウイルスゲノム又はレプリコンRNAが、前記5’-非翻訳領域(5’-UTR)の2位におけるU->G置換を含み、かつウイルス構造タンパク質をコードする配列の少なくとも一部を欠いている、核酸分子。
【請求項15】
前記核酸分子が、配列番号1の核酸配列と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を示す、請求項14に記載の核酸分子。
【請求項16】
改変アルファウイルスゲノム又はレプリコンRNAを含む核酸分子であって、前記改変アルファウイルスゲノム又はレプリコンRNAが、配列番号2~18のうちの少なくとも1つの核酸配列と少なくとも80%の配列同一性を示す5’-UTR、及び前記5’-UTRの2位におけるU->G置換を含み、前記改変アルファウイルスゲノム又はレプリコンRNAが、ウイルス構造タンパク質をコードする配列の少なくとも一部を欠いている、核酸分子。
【請求項17】
前記改変アルファウイルスゲノム又はレプリコンRNAが、配列番号2~18のうちの少なくとも1つの核酸配列と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を示す5’-UTRを含む、請求項16に記載の核酸分子。
【請求項18】
前記改変アルファウイルスゲノム又はレプリコンRNAが、ウイルス構造タンパク質をコードする核酸配列の実質的な部分を欠いている、請求項14~17のいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項19】
前記改変アルファウイルスゲノム又はレプリコンRNAが、ウイルス構造タンパク質をコードする核酸配列を含まない、請求項14~18のいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項20】
請求項1~19のいずれか一項に記載の核酸分子を含む組み換え細胞。
【請求項21】
前記組み換え細胞が、原核細胞又は真核細胞である、請求項20に記載の組み換え細胞。
【請求項22】
前記組み換え細胞が、動物細胞である、請求項20に記載の組み換え細胞。
【請求項23】
目的のポリペプチドを産生するための方法であって、改変レプリコンRNAを含む核酸分子を含む宿主細胞を培養することを含み、前記改変レプリコンRNAが、改変された5-’UTRを含み、かつウイルス構造タンパク質をコードする核酸配列の少なくとも一部を欠いている、方法。
【請求項24】
前記対象において目的のポリペプチドを産生するための方法であって、改変レプリコンRNAを含む核酸分子を前記対象に投与することを含み、前記改変レプリコンRNAが、改変された5-’UTRを含み、かつウイルス構造タンパク質をコードする核酸配列の少なくとも一部を欠いている、方法。
【請求項25】
前記対象が、ヒト、ウマ、ブタ、霊長類、マウス、ウシ、豚類、ヒツジ、ウサギ、ネコ、イヌ、鳥、魚、ヤギ、ロバ、ハムスター、又はバッファローである、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記改変レプリコンRNAが、改変アルファウイルスレプリコンRNAである、請求項23~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記改変アルファウイルスレプリコンRNAが、改変アルファウイルスゲノムを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記改変された5’-UTRが、1、2、4位、又はこれらの組み合わせにおける1つ以上のヌクレオチド置換を含む、請求項23~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記ヌクレオチド置換のうちの少なくとも1つが、前記改変された5’-UTRの2位におけるヌクレオチド置換である、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記改変された5’-UTRの2位における前記ヌクレオチド置換が、U->G置換である、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記改変レプリコンRNAが、ウイルス構造タンパク質をコードする核酸配列の実質的な部分を欠いている、請求項23~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記改変アルファウイルスゲノム又はレプリコンRNAが、ウイルス構造タンパク質をコードする核酸配列を含まない、請求項23~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
1つ以上の発現カセットを更に含み、前記発現カセットのそれぞれが、異種核酸配列に操作可能に連結されたプロモーターを含む、請求項23~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記改変レプリコンRNAが、トガウィルス科のアルファウイルス属に属するウイルスの改変ゲノム又はレプリコンRNAを含む、請求項23~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記改変ゲノム又はレプリコンRNAが、VEEV/EEEV群、又はSF群、又はSIN群に属するアルファウイルスのものである、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記アルファウイルスが、ベネズエラウマ脳炎ウイルス(VEEV)である、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
前記改変アルファウイルスゲノム又はレプリコンRNAが、異種調節エレメントに操作可能に連結されている、請求項23~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記核酸分子が、改変アルファウイルスゲノム又はレプリコンRNAを含み、前記改変アルファウイルスゲノム又はレプリコンRNAが、配列番号1の核酸配列と少なくとも80%の配列同一性を示す5’-UTR、及び前記5’-UTRの2位におけるU->G置換を含み、前記改変アルファウイルスゲノム又はレプリコンRNAが、ウイルス構造タンパク質をコードする配列の少なくとも一部を欠いている、請求項23又は24に記載の方法。
【請求項39】
前記核酸分子が、配列番号1の核酸配列と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を示す、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記核酸分子が、改変アルファウイルスゲノム又はレプリコンRNAを含み、前記改変アルファウイルスゲノム又はレプリコンRNAが、配列番号2~18のうちの少なくとも1つの核酸配列と少なくとも80%の配列同一性を示す5’-UTR、及び前記5’-UTRの2位におけるU->G置換を含み、前記改変アルファウイルスゲノム又はレプリコンRNAが、ウイルス構造タンパク質をコードする配列の少なくとも一部を欠いている、請求項23又は24に記載の方法。
【請求項41】
前記改変アルファウイルスゲノム又はレプリコンRNAが、配列番号2~18のうちの少なくとも1つの核酸配列と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を示す5’-UTRを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
請求項23~41のいずれか一項に記載の方法によって産生される組み換えポリペプチド。
【請求項43】
請求項42に記載の組み換えポリペプチドと、薬学的に許容される担体とを含む、組成物。
【請求項44】
請求項1~19のいずれか一項に記載の核酸分子と、薬学的に許容される担体とを含む、組成物。
【請求項45】
請求項20~22のいずれか一項に記載の組み換え細胞と、薬学的に許容される担体とを含む、組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2016年10月17日に出願された米国仮特許出願第62/409228号に対して、米国特許法第119条(e)に基づいて優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
配列表の組み込み
【0002】
添付の配列表中の物質は、参照により本出願に組み込まれる。添付の配列リストのテキストファイル、名称SGI011WO_SeqListing.txtは、2017年10月3日に作成され、34KBである。
【0003】
本開示は、改変ウイルスレプリコンを含む核酸分子、及び細胞培養物中又は生体内の好適な宿主細胞における所望の生成物の産生のためのかかる核酸分子の使用を含む、分子生物学の分野に関する。
【背景技術】
【0004】
近年、動物ウイルスのいくつかの異なる群は、相同組み換えによって、又はそれらのゲノムの直接的な編集のいずれかによって、遺伝子操作を受けてきた。DNA及びRNAウイルスの両方の逆遺伝学系の利用可能性は、例えば、ワクチン、発現ベクター、抗腫瘍剤、遺伝子治療ベクター、及び薬物送達ビヒクルとして組み換えウイルスを使用するための新たな観点を生み出した。
【0005】
例えば、多くのウイルスベースの発現ベクターが、培養された組み換え細胞における異種タンパク質の発現のために利用されている。特に、宿主細胞における遺伝子発現のための改変されたウイルスベクターの用途は、拡大し続けている。この点での近年の進展としては、マルチサブユニットタンパク質複合体を産生するための技術及び系の更なる開発、並びに異種タンパク質産生を改善するためのタンパク質修飾酵素の共発現が挙げられる。ウイルス発現ベクター技術に関する他の近年の進歩としては、遺伝子発現を制御するための多くの高度なゲノム編集用途、ウイルスベクターの調製、インビボ遺伝子治療用途、及びワクチン送達ベクターの作成が挙げられる。
【0006】
しかしながら、組み換え発現系において目的の遺伝子を発現させるための、より効率的な方法及び系に対する必要性が依然として存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
このセクションは、本出願の概略的な要約を提供し、その完全な範囲又はその特徴の全てを網羅するものではない。
【0008】
一態様では、改変レプリコンRNAを含む核酸分子が本明細書に開示され、改変レプリコンRNAは、改変された5’-UTRを含み、ウイルス構造タンパク質をコードする核酸配列の少なくとも一部を欠いている。本開示の本態様及び他の態様の様々な実施形態では、本明細書に開示される核酸分子は、以下の特徴のうちの1つ以上を含むことができる。いくつかの実施形態では、改変レプリコンRNAは、改変アルファウイルスレプリコンRNAである。いくつかの実施形態では、改変アルファウイルスレプリコンRNAは、改変アルファウイルスゲノムを含む。いくつかの実施形態では、改変された5’-UTRは、1、2、4位、又はこれらの組み合わせにおける1つ以上のヌクレオチド置換を含む。
いくつかの実施形態では、ヌクレオチド置換のうちの少なくとも1つは、改変された5’-UTRの2位におけるヌクレオチド置換である。いくつかの実施形態では、改変された5’-UTRの2位におけるヌクレオチド置換は、U->G置換である。
【0009】
いくつかの実施形態では、核酸分子は、ウイルス構造タンパク質をコードする核酸配列の実質的な部分を欠いている改変レプリコンRNAを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される改変アルファウイルスゲノム又はレプリコンRNAは、ウイルス構造タンパク質をコードする核酸配列を含まない。
【0010】
本開示の本態様及び他の態様の様々な実施形態では、核酸分子は、1つ以上の発現カセットを更に含み、発現カセットのそれぞれは、異種核酸配列に操作可能に連結されたプロモーターを含む。いくつかの実施形態では、核酸分子は、少なくとも2つ、3つ、4つ、5つ、又は6つの発現カセットを含む。いくつかの実施形態では、発現カセットのうちの少なくとも1つのプロモーターは、26Sサブゲノムプロモーターであるか、又はそれを含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される発現カセットのうちの少なくとも1つの異種核酸配列は、目的の遺伝子(gene of interest、GOI)のコード配列を含む。いくつかの実施形態では、GOIは、治療用ポリペプチド、予防用ポリペプチド、診断用ポリペプチド、栄養補助用ポリペプチド、工業用酵素、及びレポーターポリペプチドからなる群から選択されるポリペプチドをコードする。いくつかの実施形態では、GOIは、抗体、抗原、免疫調節因子、及びサイトカインからなる群から選択されるポリペプチドをコードする。いくつかの特定の実施形態では、GOIのコード配列は、参照コード配列の発現レベルよりも高いレベルで発現するように最適化される。
【0012】
いくつかの実施形態では、核酸分子は、トガウィルス科のアルファウイルス属に属するウイルスの改変ゲノム又はレプリコンRNAを含む改変レプリコンRNAを含む。いくつかの実施形態では、改変ゲノム又はレプリコンRNAは、VEEV/EEEV群、又はSF群、又はSIN群に属するアルファウイルスのものである。いくつかの実施形態では、アルファウイルスは、東部ウマ脳炎ウイルス(Eastern equine encephalitis virus、EEEV)、ベネズエラウマ脳炎ウイルス(Venezuelan equine encephalitis virus
、VEEV)、エバーグレーズウイルス(Everglades virus、EVEV)、ムカンボウ
イルス(Mucambo virus、MUCV)、ピクスナウイルス(Pixuna virus、PIXV)
、ミドルバーグウイルス(Middleburg virus、MIDV)、チクングンヤウイルス(Chikungunya virus、CHIKV)、オニョンニョンウイルス(O'Nyong-Nyong virus、O
NNV)、ロスリバーウイルス(Ross River virus、RRV)、バーマフォレストウイルス(Barmah Forest virus、BF)、ゲタウイルス(Getah virus、GET)、サギ
ヤマウイルス(Sagiyama virus、SAGV)、ベバルウイルス(Bebaru virus、BEBV)、マヤロウイルス(Mayaro virus、MAYV)、ウナウイルス(Una virus、UN
AV)、シンドビスウイルス(Sindbis virus、SINV)、アウラウイルス(Aura virus、AURAV)、ワタロアウイルス(Whataroa virus、WHAV)、ババンキウイルス(Babanki virus、BABV)、キジラガッチウイルス(Kyzylagach virus、KYZ
V)、西部ウマ脳炎ウイルス(Western equine encephalitis virus、WEEV)、ハイランドJウイルス(Highland J virus、HJV)、フォートモルガンウイルス(Fort
Morgan virus、FMV)、ヌドゥム(Ndumu、NDUV)、及びバギークリーク(Buggy Creek)ウイルスからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、アルファウイルスは、ベネズエラウマ脳炎ウイルス(VEEV)である。
【0013】
いくつかの実施形態は、異種調節エレメントに操作可能に連結された改変アルファウイルスゲノム又はレプリコンRNAを含む核酸分子を提供する。いくつかの実施形態では、
異種調節エレメントは、プロモーター配列を含む。いくつかの実施形態では、プロモーター配列は、T7プロモーター配列を含む。いくつかの実施形態では、異種調節エレメントは、転写終結配列を含む。いくつかの実施形態では、転写終結配列は、T7終結配列であるか、又はそれを含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される核酸分子は、改変アルファウイルスゲノム又はレプリコンRNAを含む改変アルファウイルスゲノム又はレプリコンRNAを含み、核酸分子は、配列番号1の核酸配列と少なくとも80%の配列同一性を示し、改変アルファウイルスゲノム又はレプリコンRNAは、5’-非翻訳領域(5'-untranslated region、5’-UTR)の2位におけるU->G置換を含み、かつウイルス構造タンパク
質をコードする配列の少なくとも一部を欠いている。いくつかの実施形態では、核酸分子は、配列番号1の核酸配列と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を示す。
【0015】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される核酸分子は、改変アルファウイルスゲノム又はレプリコンRNAを含み、改変アルファウイルスゲノム又はレプリコンRNAは、配列番号2~18のうちの少なくとも1つの核酸配列と少なくとも80%の配列同一性を示す5’-UTR及び5’-UTRの2位におけるU->G置換を含み、改変アルファウイルスゲノム又はレプリコンRNAは、ウイルス構造タンパク質をコードする配列の少なくとも一部を欠いている。いくつかの実施形態では、改変アルファウイルスゲノム又はレプリコンRNAは、配列番号2~18のうちの少なくとも1つの核酸配列と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を示す5’-UTRを含む。ある特定の実施形態では、改変アルファウイルスゲノム又はレプリコンRNAは、ウイルス構造タンパク質をコードする核酸配列の実質的部分を欠いている。ある特定の実施形態では、改変アルファウイルスゲノム又はレプリコンRNAは、ウイルス構造タンパク質をコードする核酸配列を含まない。
【0016】
一態様では、本明細書に開示されるいくつかの実施形態は、本明細書に記載の核酸分子を含む組み換え細胞に関する。いくつかの実施形態では、組み換え細胞は、原核細胞又は真核細胞である。いくつかの実施形態では、組み換え細胞は、動物細胞である。いくつかの実施形態では、組み換え細胞は、脊椎動物細胞又は無脊椎動物細胞である。いくつかの実施形態では、組み換え細胞は、ウマ肺動脈内皮細胞、ウマ真皮細胞、ベビーハムスター腎臓(baby hamster kidney、BHK)細胞、ウサギ腎細胞、マウス筋細胞、マウス結
合組織細胞、ヒト子宮頸部細胞、ヒト表皮喉頭細胞、チャイニーズハムスター卵巣細胞(Chinese hamster ovary、CHO)、ヒトHEK-293細胞、マウス3T3細胞、ベ
ロ細胞、メイディン・ダービー・イヌ腎臓上皮細胞(Madin-Darby Canine Kidney Epithelial Cell、MDCK)、ニワトリ初代線維芽細胞、HuT78細胞、A549肺細
胞、HeLa細胞、PER.C6(登録商標)細胞、WI-38細胞、MRC-5細胞、FRhL-2、及びCEM T細胞からなる群から選択される。本明細書に開示されるいくつかの実施形態は、本明細書に開示される少なくとも1つの組み換え細胞を含む細胞培養物を提供する。
【0017】
一態様では、いくつかの実施形態は、目的のポリペプチドを産生するための方法であって、改変された5’-UTRを含み、かつウイルス構造タンパク質をコードする核酸配列の少なくとも一部を欠いている核酸分子を含む宿主細胞を培養することを伴う、方法を提供する。いくつかの実施形態では、組み換え細胞は、脊椎動物細胞又は無脊椎動物細胞である。
【0018】
更なる態様では、いくつかの実施形態は、対象において目的のポリペプチドを産生するための方法であって、改変された5’-UTRを含み、かつウイルス構造タンパク質をコードする核酸配列の少なくとも一部を欠いている核酸分子を対象に投与することを伴う、方法を提供する。いくつかの実施形態では、対象は、ヒト、ウマ、ブタ、霊長類、マウス、ウシ、豚類、ヒツジ、ウサギ、ネコ、イヌ、鳥、魚、ヤギ、ロバ、ハムスター、又はバッファローである。
【0019】
本開示による方法の実施形態の実装は、以下の特徴のうちの1つ以上を含むことができる。いくつかの実施形態では、改変レプリコンRNAは、改変アルファウイルスレプリコンRNAである。いくつかの実施形態では、改変アルファウイルスレプリコンRNAは、改変アルファウイルスゲノムを含む。いくつかの実施形態では、改変された5’-UTRは、1、2、4位、又はこれらの組み合わせにおける1つ以上のヌクレオチド置換を含む。いくつかの実施形態では、ヌクレオチド置換のうちの少なくとも1つは、改変された5’-UTRの2位におけるヌクレオチド置換である。いくつかの実施形態では、改変された5’-UTRの2位におけるヌクレオチド置換は、U->G置換である。ある特定の実施形態では、改変レプリコンRNAは、ウイルス構造タンパク質をコードする核酸配列の実質的部分を欠いている。ある特定の実施形態では、改変アルファウイルスゲノム又はレプリコンRNAは、ウイルス構造タンパク質をコードする核酸配列を含まない。
【0020】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の核酸分子は、1つ以上の発現カセットを更に含み、発現カセットのそれぞれは、異種核酸配列に操作可能に連結されたプロモーターを含む。いくつかの実施形態では、核酸分子は、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、又は少なくとも6つの発現カセットを含む。いくつかの実施形態では、発現カセットのうちの少なくとも1つのプロモーターは、26Sサブゲノムプロモーターを含む。いくつかの実施形態では、発現カセットのうちの少なくとも1つのプロモーターは、アルファウイルス26Sサブゲノムプロモーターを含む。好ましくは、プロモーターは、ベネズエラウマ脳炎(VEEV)26Sサブゲノムプロモーターを含む。ある特定の実施形態では、発現カセットのうちの少なくとも1つの異種核酸配列は、目的の遺伝子(GOI)のコード配列を含む。いくつかの特定の実施形態では、GOIのコード配列は、参照コード配列の発現レベルよりも高いレベルで発現するように最適化される。いくつかの実施形態では、異種核酸配列に操作可能に連結されたプロモーターは、異種プロモーター配列を含む。好適な異種プロモーターとしては、脳心筋炎ウイルス(encephalomyocarditis virus、EMCV)、ウシウイルス性下痢ウイルス(Bovine Viral Diarrhea Virus、BVDV)、ポリオウイルス、口蹄疫ウイルス(Foot-and-mouth disease virus、FMD)、エンテロウイルス71、又はC型肝炎ウイルス由来の内部リボ
ソーム進入部位(internal ribosome entry site、IRES)からの調節エレメント
が挙げられるが、これらに限定されない。
【0021】
いくつかの実施形態では、改変レプリコンRNAは、トガウィルス科のアルファウイルス属に属するウイルスの改変ゲノム又はレプリコンRNAを含む。いくつかの実施形態では、改変ゲノム又はレプリコンRNAは、VEEV/EEEV群、SF群、又はSIN群に属するアルファウイルスのものである。いくつかの実施形態では、アルファウイルスは、東部ウマ脳炎ウイルス(EEEV)、ベネズエラウマ脳炎ウイルス(VEEV)、エバーグレーズウイルス(EVEV)、ムカンボウイルス(MUCV)、ピクスナウイルス(PIXV)、ミデルビュルフウイルス(MIDV)、チクングンヤウイルス(CHIKV)、オニョンニョンウイルス(ONNV)、ロスリバーウイルス(RRV)、バルマーフォレストウイルス(BF)、ゲタウイルス(GET)、サギヤマウイルス(SAGV)、ベバルウイルス(BEBV)、マヤロウイルス(MAYV)、ウナウイルス(UNAV)、シンドビスウイルス(SINV)、アラウイルス(AURAV)、ワタロウイルス(WHAV)、バンバンキウイルス(BABV)、キジラガッチウイルス(KYZV)、西部
ウマ脳炎ウイルス(WEEV)、ハイランドジェイウイルス(HJV)、フォートモルガンウイルス(FMV)、ヌドゥム(NDUV)、及びバギークリークウイルスからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、アルファウイルスは、ベネズエラウマ脳炎ウイルス(VEEV)である。
【0022】
いくつかの実施形態では、改変アルファウイルスゲノム又はレプリコンRNAは、異種調節エレメントに操作可能に連結される。いくつかの実施形態では、異種調節エレメントは、プロモーター配列を含む。いくつかの実施形態では、プロモーター配列は、T7プロモーター配列を含む。いくつかの実施形態では、異種調節エレメントは、転写終結配列を含む。いくつかの実施形態では、転写終結配列は、T7終結配列であるか、又はそれを含む。
【0023】
いくつかの実施形態では、核酸分子は、改変アルファウイルスゲノム又はレプリコンRNAを含み、改変アルファウイルスゲノム又はレプリコンRNAは、配列番号1の核酸配列と少なくとも80%の配列同一性を示す5’-UTR及び5’-UTRの2位におけるU->G置換を含み、改変アルファウイルスゲノム又はレプリコンRNAは、ウイルス構造タンパク質をコードする配列の少なくとも一部を欠いている。いくつかの実施形態では、核酸分子は、配列番号1の核酸配列と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を示す。いくつかの実施形態では、核酸分子は、改変アルファウイルスゲノム又はレプリコンRNAを含み、改変アルファウイルスゲノム又はレプリコンRNAは、配列番号2~18のうちの少なくとも1つの核酸配列と少なくとも80%の配列同一性を示す5’-UTR及び5’-UTRの2位におけるU->G置換を含み、改変アルファウイルスゲノム又はレプリコンRNAは、ウイルス構造タンパク質をコードする配列の少なくとも一部を欠いている。いくつかの実施形態では、改変アルファウイルスゲノム又はレプリコンRNAは、配列番号2~18のうちの少なくとも1つの核酸配列と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を示す5’-UTRを含む。
【0024】
更なる態様では、本明細書に開示されるいくつかの実施形態は、本明細書に開示される1つ以上の実施形態による方法によって産生される組み換えポリペプチドを提供する。
【0025】
一態様では、本明細書に開示されるいくつかの実施形態は、本明細書に記載の組み換えポリペプチドを含む組成物に関する。いくつかの実施形態では、組成物は、薬学的に許容される担体を含む医薬組成物である。いくつかの実施形態では、組成物は、予防組成物、栄養補助組成物、医薬組成物、又はこれらの組み合わせである。
【0026】
更なる態様では、本明細書に開示されるいくつかの実施形態は、本明細書に記載の核酸分子を含む組成物に関する。いくつかの実施形態では、組成物は、薬学的に許容される担体を含む医薬組成物である。いくつかの実施形態では、組成物は、予防組成物、栄養補助組成物、医薬組成物、又はこれらの組み合わせである。
【0027】
更に他の態様では、本明細書に開示されるいくつかの実施形態は、本明細書に記載の組み換え細胞を含む組成物に関する。いくつかの実施形態では、組成物は、薬学的に許容される担体を含む医薬組成物である。いくつかの実施形態では、組成物は、予防組成物、栄養補助組成物、医薬組成物、又はこれらの組み合わせである。
【0028】
前述の概要は、例示的なものにすぎず、多少なりとも限定することを意図するものではない。本明細書に記載される例示的な実施形態及び特徴に加えて、本出願の更なる態様、実施形態、目的及び特徴は、図面並びに発明を実施するための形態及び特許請求の範囲か
ら完全に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1A】下記の代表的なアルファウイルスからの、5’非翻訳領域(5’-UTR)の配列アラインメントを示す:アウラウイルス(AURAV;配列番号2)、チクングンヤウイルス(CHIKV、配列番号3)、オニョンニョンウイルス(配列番号4、ONNV)、ベバルウイルス(配列番号5、BEBV)、セムリキ森林ウイルス(配列番号6、Semliki Forest virus、SFV)、マヤロウイルス(配列番号7、MAYV)、ゲタウイルス(配列番号8、GETV)、サギヤマウイルス(配列番号9、SAGV)、ヌドゥムウイルス(配列番号10、NDUV)、ミドルバーグウイルス(配列番号11、MIDV)、東部ウマ脳炎ウイルス(配列番号12、EEEV)、フォートモルガンウイルス(配列番号13、FMV)、バギークリークウイルス(配列番号14、Buggy)、ベネズエラウマ脳炎ウイルス(配列番号15、VEEV)、ワタロアウイルス(配列番号16、WHAV)、シンドビスウイルス(配列番号17、SINV)、及びベバルウイルス(配列番号18、BEBV)。図1Aの配列アラインメントは、プログラムMUSCLE 3.6をデフォルト設定で使用して生成された。本明細書に示される配列アラインメントにおいて、最適なアライメントのためにプログラムMUSCLE 3.6によって作成されるアライメントされた配列におけるダッシュは、間隙、すなわち、その位置におけるヌクレオチドの欠如を表す。以下に詳述するように、この配列比較解析において、いくつかの保存ヌクレオチド残基が同定されている。アスタリスクは、アライメントされた配列間で同一のヌクレオチド残基を特定する。
図1B】所与のアミノ酸を表記する文字のサイズが、モチーフを生成するために使用される異なる配列中の残基の保存に比例する(文字のサイズは、アラインメントされた配列間のその位置における残基の相対頻度を示す)重み付きコンセンサスとしてのコンセンサス配列のグラフ表現を示す。文字のサイズは、ビットで測定された情報コンテンツを反映する。
【0030】
図2】非限定的な例示的なベース一価VEEVレプリコン設計のRep-アルファの構造の概略図を示し、Rep-アルファは、T7プロモーター配列、本明細書に記載されるようなU2->G置換を有するVEEV由来の5’UTR配列、アルファウイルスゲノムの非構造ポリペプチドnsp1、nsp2、nsp3、及びnsp4のコード配列を含む。ベース一価VEEVレプリコンRep-アルファはまた、26Sサブゲノムプロモーター配列、3’UTR配列、T7終結配列、ポリアデニル化配列ポリA、及びレプリコンへの追加成分の挿入を促進するよう遺伝子操作されたいくつかの固有の制限部位を含有する。
【0031】
図3】2つの非限定的な例示的な一価VEEVレプリコン設計の構造を図式的に示し、ここでは、ベクターに操作可能に組み込まれた目的の遺伝子(GOI)は、それぞれ、ベトナム1203HA遺伝子(図3)及び高感度緑色蛍光タンパク質(enhanced green fluorescence protein、eGFP)レポーター遺伝子(図4)であった。
図4】2つの非限定的な例示的な一価VEEVレプリコン設計の構造を図式的に示し、ここでは、ベクターに操作可能に組み込まれた目的の遺伝子(GOI)は、それぞれ、ベトナム1203HA遺伝子(図3)及び高感度緑色蛍光タンパク質(enhanced green fluorescence protein、eGFP)レポーター遺伝子(図4)であった。
【0032】
図5】改変VEEV-HAレプリコンにおける5’UTRの2位におけるU2->G改変が、改変レプリコンの生物活性に影響を及ぼさないことを示す例示的な実験の結果をグラフで要約している。フローサイトメトリー分析(Flow cytometry analysis、FACS)を、インフルエンザ赤血球凝集素HA遺伝子を発現している改変されたU2->G VEEV-HAレプリコンを用いて電気穿孔された細胞上で実施した(レプリコンの構造組織については図3も参照されたい)。野生型VEEV-HAレプリコン(すなわち、2位にU残基を含有する)を対照として使用した。
【0033】
図6】5’UTR中にU2->G改変を保有するアルファウイルスレプリコンからの発現が、任意の特定の目的の遺伝子(GOI)に制限されないことを実証するために実施される例示的フローサイトメトリー分析の結果をグラフで要約する。この実験では、改変アルファウイルスレプリコンは、緑色蛍光タンパク質(green fluorescent protein、GFP)レポーター遺伝子を発現するよう遺伝子操作された(レプリコンの構造組織については図4も参照されたい)。改変VEEV-GFPレプリコンの5’UTRにおけるU2->G改変は、野生型対照レプリコンから検出された発現と比較して、GFP遺伝子の発現を3倍まで向上させることが示された。
【0034】
図7】改変VEEVレプリコンからの赤ホタルレポーター遺伝子の発現を評価する、更に別の例示的フローサイトメトリー分析の結果をグラフで要約する。この実験では、改変VEEV-rFFレプリコンの5’UTRにおけるU2->G改変は、野生型対照レプリコンから検出された発現と比較して、赤ホタル遺伝子の発現を2倍まで向上させることが示された。
【0035】
図8】非限定的な例示的なアルファウイルスゲノム構造及びゲノム発現を模式的に示す(Strauss et al.,Microbiological Reviews,pp.491~562,September 1994から出典)。SINウイルスのゲノム組織が示されている。非構造遺伝子及び構造タンパク質遺伝子の名称が与えられる。遺伝子及びタンパク質の命名法に関しては、上記Strauss et al.,1994に見出すことができる。49SゲノムRNAは、その翻訳されたORFが白抜きのボックスとして示されて、中心に概略的に示されている。小さい黒色のボックスは、保存配列エレメントであり、白抜きのひし形は、漏出オパール終止コドンを示す。非構造ポリタンパク質及びその処理された産物は、上記に示されている。オパールコドンにおける終結は、その複製における主要な機能が、トランスに作用して活性RNAレプリカーゼにおけるポリタンパク質を処理するプロテイナーゼであると考えられるP123を産生する。このプロテイナーゼドメインは、nsP2領域に見出される。オパール終止コドンのリードスルーにより、活性レプリカーゼを形成することができるP1234を産生する。26SサブゲノムmRNAは、構造的ORF及びその翻訳産物を示すために、以下に拡大される。ビリオン中に存在するポリペプチドは、網掛けされている。vcRNAは、ゲノムRNAの負鎖相補体である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本開示の前述及び他の特徴は、添付の図面と併せて以下の説明及び添付の特許請求の範囲からより完全に明らかとなるであろう。これらの図面は、本開示によるいくつかの実施形態のみを示しており、その範囲を限定するものと見なされるべきではないことを理解し、本開示は、添付の図面を使用して、追加の特異性及び詳細を用いて説明される。
【0037】
本開示は、概して、組み換え細胞において、例えばワクチン及び治療用ポリペプチドなどの異種分子を発現するのに好適な、発現可能性に優れたウイルス発現系に関する。例えば、本開示のいくつかの実施形態は、改変された5’非翻訳領域(5’-UTR)を含み、かつ任意選択的に、構造タンパク質をコードするその元々のウイルス配列のうちの少なくとも一部が欠失されている改変レプリコンRNAを含有する発現構造体及びベクターなどの核酸構築物に関する。本開示のいくつかの実施形態によると、異種ポリペプチドをコードする1つ以上の発現カセットを含むウイルスベースの発現ベクターも含まれる。したがって、本明細書に開示される核酸分子のうちの1つ以上を含むように遺伝学的に改変された組み換え細胞、並びにかかる細胞由来の生体材料及び組み換え産物もまた、本出願の
範囲内である。本開示の特定の態様では、本明細書に開示される分子及び/又は組み換え細胞のうちの1つ以上を含む組成物が更に提供される。
【0038】
RNAウイルス(例えば、アルファウイルス)に基づく自己増幅RNA(レプリコン)を、堅牢な発現系として使用することができる。例えば、野生型ウイルス(例えば、アルファウイルス)の5’非翻訳領域(UTR)への改変は、RNA複製及びRNA転写の両方に関与するプロモーターエレメントを含む重要なRNAヌクレオチドの切断を可能にすることができる。5’UTR配列の操作による強化されたウイルス(例えば、アルファウイルス)発現系の開発は、レプリコンプラットフォーム開発における重要な進歩を表す。いかなる特定の理論にも制限されるものではないが、ウイルス発現ベクターとしてアルファウイルスを使用する非限定的な利点は、これらが組み換え宿主細胞中の多量の異種タンパク質の合成を導くことができるという点であると考えられる。具体的には、他の利点の中でも、いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるアルファウイルスレプリコンプラットフォーム系は、アルファウイルスレプリコンから通常発現されるタンパク質の量の最大3倍発現することができる。この改善は、標準的なアルファウイルスレプリコン系に記載された既に自然に高い発現レベルを考慮すると有意であり、この能力を付与する5’UTR変異は、アルファウイルスの複製及び転写に対するほぼ致死的な変異であると考えられた。例えば、治療用単鎖抗体などのポリペプチドは、インビボにおいて高レベルで発現される場合、最も効果的であり得る。加えて、培養物(エクスビボ)中の細胞から精製された組み換え抗体を産生するために、レプリコンRNAからの高タンパク質発現は、抗体産物の全体的な収率を増加させ得る。更に、発現されるタンパク質がワクチン抗原である場合、高レベルの発現は、インビボで最も堅牢な免疫応答を誘導し得る。
【0039】
以下の「発明を実施するための形態」では、その一部を形成する添付図面を参照する。図面において、同様の記号は、文脈がそうでない旨を指示しない限り、典型的には同様の構成要素を特定する。「発明を実施するための形態」、図面、及び特許請求の範囲に記載される例示的な代替物は、限定することを意図するものではない。他の代替物を使用してもよく、本明細書に提示される主題の趣旨又は範囲から逸脱することなく、他の変更が行われてもよい。本明細書に概ね記載され、図面に示されるような態様は、多種多様な異なる構成で配置、置換、組み合わせ、及び設計され得、これらの構成の全てが明示的に企図され、本出願の一部をなすものであることが容易に理解されるであろう。
【0040】
別途定義のない限り、本明細書で使用される技術用語、表記用語、及び他の科学用語、又は用語は、本出願が関連する当業者によって一般的に理解される意味を有することを意図している。いくつかの場合では、一般的に理解される意味を有する用語は、明確にするため及び/又はすぐに参照できるように本明細書に定義され、本明細書におけるそのような定義の包含は、当該技術分野において一般的に理解されるものと実質的な違いを表すと解釈されるべきではない。本明細書に記載又は参照される技術及び手順の多くは、当業者によって従来の方法を使用してよく理解され、一般的に用いられる。
いくつかの定義
【0041】
単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈がそうでない旨を明確に指示しない限り、複数の参照を含む。例えば、用語「細胞」は、1つ以上の細胞を含み、これらの混合物を含む。「A及び/又はB」は、以下の選択肢:「A」、「B」、「A又はB」、並びに「A及びB」の全てを含むように本明細書で使用される。
【0042】
本明細書で使用される場合、用語「約」は、その通常の意味をほぼ有する。近似の程度が文脈から別様に明らかでない場合、「約」は、提供された値のプラス若しくはマイナス10%のいずれかを意味し、又は最も近い有意な数字に丸められていることを意味し、全ての場合において、提供された値を含む。範囲が提供される場合、それらは境界値を含む
【0043】
本明細書で使用される場合、用語「細胞」、「細胞培養物」、「細胞株」、「組み換え宿主細胞」、「レシピエント細胞」、及び「宿主細胞」は、移入の数にかかわらず、初代対象細胞及びその任意の子孫を含む。全ての子孫は、親細胞と全く同一ではないことが理解されるべきである(意図的若しくは予期しない変異、又は環境における差異に起因する)が、このような改変された子孫は、子孫が元々形質転換された細胞と同じ機能を保持する限り、これらの用語に含まれる。
【0044】
本明細書で使用するとき、用語「構築物」は、発現カセット、プラスミド、コスミド、ウイルス、自律複製ポリヌクレオチド分子、ファージ、又は1つ以上の核酸配列が機能的操作方法で連結された核酸分子を含む、ゲノム組み込み又は自律複製が可能な任意の供給源から誘導される、直鎖若しくは円形、一本鎖若しくは二本鎖のDNA又はRNAポリヌクレオチド分子などの任意の組み換え核酸分子を意味するよう意図される。
【0045】
用語「遺伝子」は、タンパク質をコードする、又は機能RNAに転写され得る核酸分子の任意のセグメントを指すために広く使用される。遺伝子は、転写されるが、最終、成熟、及び/又は機能RNA転写物の一部ではない配列を含んでもよく、タンパク質をコードする遺伝子は、転写されるが翻訳されない配列、例えば、5’非翻訳領域、3’非翻訳領域、イントロンなどを更に含んでもよい。更に、遺伝子は、任意に、それらの発現に必要な調節配列を更に含んでもよく、このような配列は、例えば、転写又は翻訳されていない配列であってもよい。遺伝子は、目的の供給源からのクローニング、又は既知の又は予想される配列情報からの合成を含む様々な供給源から得ることができ、所望のパラメータを有するように設計された配列を含んでもよい。
【0046】
用語「異種」は、ポリヌクレオチド、遺伝子、又は核酸分子に関して使用される場合、宿主種に由来しないポリヌクレオチド、遺伝子、又は核酸分子を指す。例えば、本明細書で使用される場合、「異種遺伝子」又は「異種核酸配列」は、導入される宿主生物の種とは異なる種からの遺伝子又は核酸配列を指す。遺伝子調節配列、又は遺伝子配列(例えば、5’非翻訳領域、3’非翻訳領域、ポリA付加配列など)の発現を操作するために使用される補助核酸配列を、又はタンパク質ドメイン若しくはタンパク質局在配列をコードしている核酸配列を参照する場合、「異種」は、調節若しくは補助配列又はタンパク質ドメイン若しくは局在配列をコードする配列が、調節若しくは補助核酸配列又はタンパク質ドメイン若しくは局在化配列をコードする核酸配列がゲノム内に並置されている遺伝子とは異なる供給源からのものであることを意味する。したがって、その天然状態(例えば、遺伝子操作されていない生物のゲノムにおいて)操作可能に連結されていない遺伝子に操作可能に連結されたプロモーターは、本明細書では、プロモーターが、それが連結される遺伝子と同じ種(又は場合によっては、同じ生物)から誘導され得るとしても、「異種プロモーター」と称される。例えば、本明細書に開示されるいくつかの実施形態では、目的の異種遺伝子(GOI)のコード配列は、その天然状態においてEAVレプリコン配列に連結されていない。いくつかの実施形態では、コーディングGOI配列は、別のウイルス、細菌、真菌、ヒト細胞(例えば、腫瘍Ag)、寄生虫(例えば、マラリア)などの別の生物由来である。
【0047】
用語「核酸分子」及び「ポリヌクレオチド」は、本明細書において互換的に使用され、cDNA、ゲノムDNA、合成DNA、及び核酸類似体を含有するDNA又はRNA分子を含む核酸分子を含むRNA分子及びDNA分子の両方を指す。核酸分子は、任意の三次元構造を有することができる。核酸分子は、二本鎖又は一本鎖(例えば、センス鎖又はアンチセンス鎖)であり得る。核酸分子の非限定的な例としては、遺伝子、遺伝子断片、エキソン、イントロン、メッセンジャーRNA(mRNA)、トランスファーRNA、リボ
ソームRNA、siRNA、マイクロRNA、tracrRNA、crRNA、ガイドRNA、リボザイム、cDNA、組み換えポリヌクレオチド、分枝鎖ポリヌクレオチド、核酸プローブ、及び核酸プライマーが挙げられる。核酸分子は、従来の又は改変されたヌクレオチドを含有してもよい。本明細書で使用される場合、用語「ポリヌクレオチド配列」及び「核酸配列」は、ポリヌクレオチド分子の配列を互換的に指す。米国特許法施行規則(37 CFR)第1.822条に記載されるヌクレオチド塩基の命名法が、本明細書で使用される。
【0048】
核酸分子は、約3Kb~約50Kb、例えば、約3Kb~約40Kb、約3Kb~約40Kb、約3Kb~約30Kb、約3Kb~約20Kb、5Kb~約40Kb、約5Kb~約40Kb、約5Kb~約30Kb、約5Kb~約20Kb、又は約10Kb~約50Kb、例えば、約15Kb~約30Kb、約20Kb~約50Kb、約20Kb~約40Kb、約5Kb~約25Kb、若しくは約30Kb~約50Kbである核酸分子が挙げられるが、これらに限定されない任意の長さの核酸分子であり得る。核酸分子は、例えば、50Kb超であってもよい。
【0049】
本開示のポリヌクレオチドは、核酸が別の核酸にハイブリダイズするための核酸の能力、又は転写因子及び/若しくは核酸ポリメラーゼによって認識及び結合されるポリヌクレオチド配列の能力などのいずれかの構造的な属性に対して、「生物学的に活性」であり得る。
【0050】
本明細書で使用される場合、用語「組み換え」又は「遺伝子操作された」核酸分子は、ヒトの介入により改変された核酸分子を指す。非限定的な例として、cDNAは、組み換えDNA分子であり、インビトロポリメラーゼ反応(複数可)によって生成された任意の核酸分子、又はリンカーが取り付けられている任意の核酸分子であるか、又はクローニングベクター若しくは発現ベクターなどのベクターに組み込まれた任意の核酸分子である。非限定的な例として、組み換え核酸分子は、1)例えば、核酸分子の化学的若しくは酵素的技術を用いて(例えば、化学的核酸合成を使用することによって、又は複製、重合、エキソヌクレアーゼ消化、エンドヌクレアーゼ溶解性消化、ライゲーション、逆転写、転写、塩基改変(例えば、メチル化を含む)、又は組み換え(相同及び部位特異的組み換えを含む)に酵素を使用することによって)、インビボで合成又は改変された分子、2)本質的に結合されていない結合ヌクレオチド配列を含む分子、3)天然に生じる核酸分子配列に対して1つ以上のヌクレオチドを欠いているように、分子クローニング技術を用いて遺伝子操作された分子、及び/又は4)天然に生じる核酸配列に対して1つ以上の配列変化又は再配列を有するように、分子クローニング技術を使用して操作されている分子である。非限定的な例として、cDNAは、組み換えDNA分子であり、インビトロポリメラーゼ反応(複数可)によって生成された任意の核酸分子、又はリンカーが取り付けられている任意の核酸分子であるか、又はクローニングベクター若しくは発現ベクターなどのベクターに組み込まれた任意の核酸分子である。
【0051】
本明細書で使用される場合、ウイルス構造ポリペプチドをコードしている核酸配列の「実質的な部分」は、当業者による配列の手動評価によるか、又はBLASTなどのアルゴリズムを用いたコンピュータ自動配列比較及び識別による(例えば、「Basic Local Alignment Search Tool」;Altschul SF et al.,J.Mol.Biol.215:403~410,1993を参照されたい)いずれかで、そのポリペプチドの推定同定を得るために、ウイルス構造ポリペプチドをコードする核酸配列の十分なものを含み得る。一般に、当業者は、既知のタンパク質又は遺伝子に相同なポリペプチド又は核酸配列を同定するために、10個以上の連続するアミノ酸又は30個以上のヌクレオチドの配列が必要であることを認識するであろう。更に、ヌクレオチド配列に関して、15~30個の連続ヌクレオチドを含む遺伝子特異的オリゴ
ヌクレオチドプローブは、遺伝子同定(例えば、サザンハイブリダイゼーション)及び単離(例えば、細菌コロニー又はバクテリオファージのプラークのインサイチューハイブリダイゼーション)に使用することができる。加えて、プライマーを含む特定の核酸断片を得るために、PCRにおける増幅プライマーとして、10~15個の塩基の短いオリゴヌクレオチドを使用してもよい。したがって、ヌクレオチド配列の「実質的な部分」は、配列を含む核酸断片の特定の同定及び/又は単離をもたらすのに十分な配列を含む。本開示は、1つ以上のウイルス構造ポリペプチドをコードする部分的又は完全な核酸配列を欠いている核酸分子を提供する。本明細書に開示される配列の利益を享受する当業者は、当業者に既知の目的のために、開示される配列の全て又は実質的な部分を容易に使用することができる。したがって、本出願は、本明細書に開示される完全な配列、例えば、添付の配列表に記載されるもの、並びに上記に定義されるようなそれらの配列の実質的な部分を含む。
【0052】
当業者には理解されるように、書面による説明を提供するという観点などのありとあらゆる目的のために、本明細書に開示される全ての範囲はまた、任意の及び全ての可能な部分範囲及びそれらの部分範囲の組み合わせを包含する。任意の列挙された範囲は、同じ範囲が、少なくとも等しい半分、3分の1、4分の1、5分の1、10分の1などに分解されることを十分に記述し、かつ可能にすると容易に認識することができる。非限定的な例として、本明細書で説明される各範囲は、下部3分の1、中間3分の1、及び上部3分の1などに容易に分解することができる。当業者には理解されるように、「最大で」、「少なくとも」、「~を超える」、「未満」などの全ての言語は、列挙された数を含み、続いて上述のように部分範囲に分解され得る範囲を指す。最後に、当業者には理解されるように、範囲は、各個々の成員を含む。したがって、例えば、1~3個の物品を有する群は、1、2、又は3個の物品を有する群を指す。同様に、1~5個の物品を有する群は、1、2、3、4、又は5個の物品などを有する群を指す。
【0053】
本明細書で提供される一般的な方法の説明は、例示目的を意図しているにすぎない。他の代替的な方法及び代替物は、本出願を検討する際に当業者には明らかであり、本出願の趣旨及び意図の範囲内に含まれるものである。
アルファウイルス
【0054】
アルファウイルスは、ウイルススパイクタンパク質を含有するエンベロープによって囲まれたヌクレオキャプシド内に封入された正極性の一本鎖RNAゲノムをそれぞれが有する、少なくとも30のメンバーを含むIV群のトガウィルス科の遺伝子的、構造的、及び血清学的に関連するウイルスの属である。現在、アルファウイルス属は、とりわけ、シンドビスウイルス(SIN)、セムリキ森林ウイルス(SFV)、ロスリバーウイルス(RRV)、ベネズエラウマ脳炎ウイルス(VEEV)、及び東部ウマ脳炎ウイルス(EEEV)を含み、これらは全て密接に関連し、哺乳類、げっ歯類、魚類、鳥類種、並びにヒト及びウマなどのより大きな哺乳動物、並びに昆虫などの脊椎動物に感染することが可能である。種と個体との間の伝染は、主に蚊を介して発生し、アルファウイルスを、アルボウイルス又は節足動物媒介ウイルスの集団への寄与体にさせる。具体的には、シンドビスウイルス及びセムリキ森林ウイルスは広く研究されており、これらのウイルスのライフサイクル、複製様式などがよく特徴付けられている。特に、アルファウイルスは、動物細胞において非常に効率的に複製することが示されており、このことは、アルファウイルスをこのような細胞におけるタンパク質及び核酸の産生のためのベクターとして有用にする。
【0055】
アルファウイルス粒子は包まれており、70nmの直径を有し、球状である傾向があり(わずかに多形性であるが)、約40nmのアイソメトリックヌクレオキャプシドを有する。図8は、典型的なアルファウイルスゲノム構造及びゲノム発現を示す(Strauss et al.,Microbiological Reviews,pp.491~
562,September 1994から出典)。アルファウイルスゲノムは、長さ約11~12Kbの正極性の一本鎖RNAであり、5’キャップ、3’ポリAテール、及び酵素機能を有する非構造タンパク質をコードする第1のフレームを有する2つのオープンリーディングフレーム並びにウイルス構造タンパク質(例えば、キャプシドタンパク質C、E1糖タンパク質、E2糖タンパク質、E3タンパク質、及び6Kタンパク質)をコードする第2のフレームを含む。
【0056】
アルファウイルスゲノムの5’の3分の2は、ウイルスRNAの転写及び複製に必要な多数の非構造タンパク質をコードする。これらのタンパク質は、RNAから直接翻訳され、細胞タンパク質と共に、ウイルスゲノム複製及びサブゲノムRNAの転写に不可欠なRNA依存性RNAポリメラーゼを形成する。4つの非構造タンパク質(nsP1~4)は、単一のポリタンパク質として生成され、未使用の複製機構を構成する。ポリタンパク質の処理は、高度に調節された方法で行われ、ゲノム複製中にRNAテンプレートの使用に影響を及ぼすP2/3接合における切断を伴う。この部位は、狭い裂溝の基部に位置し、容易にはアクセスできない。切断されると、nsP3は、nsP2を取り囲むリング構造を形成する。これら2つのタンパク質は、広範囲の界面を有する。nsP2における変異は、脂肪障害のないウイルス又はP2/P3界面領域における温度感受性表現型クラスターを産生する。nsP2の細胞障害のない変異の位置と反対のP3変異は、P2/3の効率的な切断を防止する。これは、次には、ウイルスRNAの産生レベルを変化させるRNA感染性に影響を及ぼし得る。
【0057】
ゲノムの3’の3分の1は、ウイルス粒子を形成するために必要とされる全ての構造タンパク質の翻訳のためのテンプレートとして機能するサブゲノムRNAと、コアヌクレオキャプシドタンパク質Cと、ヘテロ二量体と会合するエンベロープタンパク質P62及びE1とを含む。ウイルス膜にアンカーされた表面糖タンパク質は、受容体認識に関与し、膜融合を介して標的細胞に進入する。サブゲノムRNAは、nsp4タンパク質をコードするRNA配列の3’末端に存在するp26Sサブゲノムプロモーターから転写される。P62のE2及びE3へのタンパク質分解性成熟は、ウイルス表面の変化を引き起こす。E1、E2、及び時にはE3、糖タンパク質「スパイク」は一緒に、E1/E2二量体又はE1/E2/E3三量体を形成し、ここでは、E2は中心から頂点まで延在し、E1は頂点間の空間を満たし、E3は存在する場合は、スパイクの遠位端にある。ウイルスをエンドソームの酸性度に曝露させると、E1はE2から解離してE1ホモ三量体を形成し、このE1ホモ三量体は、細胞及びウイルス膜を一緒に駆動させる融合工程に必要である。アルファウイルスタンパク質E1は、インフルエンザウイルス及びHIVに見られるクラスI融合タンパク質と構造的に異なるクラスIIウイルス融合タンパク質である。E2糖タンパク質は、細胞質ドメインを介してヌクレオキャプシドと相互作用するように機能し、その一方で、そのエクトドメインは細胞受容体の結合に関与する。ほとんどのアルファウイルスは、周辺タンパク質E3を失い、その一方で、セムリキウイルスでは、それはウイルス表面に会合したままである。
【0058】
アルファウイルス複製は、細胞の細胞質内で行われることが報告されている。感染性サイクルの第1の工程では、ゲノムRNAの5’末端は、ゲノムRNAに相補的な負鎖を生成するRNAポリメラーゼ活性を有するポリタンパク質(nsP1~4)に翻訳される。第2の工程では、負鎖は、2つのRNA:(1)翻訳により、他のnspタンパク質を産生し、ウイルスに対するゲノムとして作用する、二次ウイルスのゲノムに対応する正のゲノムRNA、及び(2)感染性粒子を形成するウイルスの構造タンパク質をコードするサブゲノムRNAの産生のためのテンプレートとしてそれぞれ使用される。正のゲノムRNA/サブゲノムRNAの比は、ポリタンパク質のnsp1、nsp2、nsp3及びnsp4へのタンパク質分解性自己切断によって調節される。実際には、ウイルス遺伝子発現は、2つの相で行われる。第1の相では、正のゲノム鎖の主な合成及び負鎖の主な合成が
存在する。第2の相中では、サブゲノムRNAの合成は実質的に排他的であり、したがって大量の構造タンパク質の産生をもたらす。
【0059】
アルファウイルスの5’-非翻訳領域(5’-UTR)の以前の詳細解析は、RNA複製及び転写をサポートするために、最末端の5’ヌクレオチドの絶対的重要性を明らかにしている。具体的には、図1に示されるように、5’UTR配列のヌクレオチド1位及び2位におけるAUジヌクレオチドの保存は、これらのヌクレオチドの重要性を示唆する全てのアルファウイルスの中でも注目される。本明細書で使用するとき、「A1」は、5’UTR(例えば、アルファウイルス5’-UTR)のヌクレオチドの1位における保存ヌクレオチドを指し、「U2」は、5’UTR(例えば、アルファウイルス5’-UTR)のヌクレオチドの2位における保存Uヌクレオチドを指す。更に、ベネズエラウマ脳炎ウイルス(VEEV)については、5’の大部分の3つのヌクレオチド並びにこの配列の直後に見出されるステムループ領域の詳細な解析が行われている。具体的には、5’UTRの2位におけるU残基の維持の重要性は、以前に決定されている(Kulasegaran-Shylini et al.,J.Virol.83:17 p8327~8339,2009a;及びKulasegaran-Shylini et al.J.Virol.83:17 p8327~8339,2009b)。具体的には、5’UTRにおける単一のU2->G変化を含有する(G2)VEE/SINVと表示される完全長感染性クローンからのインビトロ転写RNAは、野生型VEE/SINV感染性クローンからのインビトロ転写RNAと比較して、感染性のほとんど3ログの喪失を示した。この報告は、2位におけるUがRNA複製に重要であり、Gと置き換えることができないことを強く示唆している。しかしながら、本明細書に詳細に記載されるように、5’UTRにおけるU2->Gの変化を有するVEEVレプリコンは、驚くべきことに、かつこの以前の報告と直接矛盾して、完全に堅牢な複製が可能であるだけでなく、2位にU残基を含有する野生型5’UTRと比較して、3倍のVEEVレプリコンの発現可能性をもたらす。
【0060】
ほとんどのRNAウイルスの最末端5’及び3’配列は、高度に拘束され、任意の変異が許容される場合にはわずかであり、ほとんどの改変は、RNA複製のために、大きな損傷を与えるか、又は致死的な結果をもたらす。Kulasegaran Shyliniらは、全てのアルファウイルスを代表するキメラVEEV/SINV感染性クローンのRNA複製に重要な5’ヌクレオチド配列の徹底的な分析を完了した(上記、Kulasegaran Shylini et al.2009a)。この報告は、任意の特定のアルファウイルスの5’末端で生じ得るRNA配列変異の制限を明確に裏付ける多くの研究者によって、25年の過程で行われた分析に組み込まれた。Kulasegaran-Shylini et al.2009bの論文(J.Virol.83:17 p8327~8339,2009)は、5’UTR中のヌクレオチド2位を、U残基からG残基に変化させると(U2->G)と、その感染性クローンRNAの生存率を著しく低下させることを具体的に明言する/示す。すなわち、5’-UTRにおける特異的な変化は、感染性クローンRNAの生物学的活性をほぼ3桁低下させた。本明細書に開示されるように、VEEV(TC-83株)に組み込まれた5’-UTRにおける変化(例えば、U2->Gの変化)は、レプリコンの複製に大きな損傷を与えないだけではなく、レプリコンの生物活性を実際に増加させることができる。例えば、U2->G置換を含むレプリコンは、いくつかの実施形態では、同じタンパク質を発現している野生型レプリコンよりも3倍多くの目的のタンパク質の発現をもたらすことができる。この結果は驚くべきことであり、U2->G変化を保有するレプリコンの生物学的活性の増加は予測されなかった。この改変レプリコンは、ワクチン及び治療用途の両方を支援するために、優れたRNA発現プラットフォームである可能性を有する。
【0061】
5’の大部分の2つのヌクレオチドの保存は、アルファウイルスサブタイプのゲノムRNAの全てにわたって観察されている。保存AUジヌクレオチド(A1及びU2)はまた
、RNA複製には、非常に必要とされることが示されている(上記、Kulasegaran-Shylini et al.2009a及び2009b)。最末端の5’末端にAGジヌクレオチドを保有するアルファウイルスレプリコンRNAが完全に機能的であるだけでなく、生物学的活性の増強を示すことの実証は、驚くべきことであり、本分野の教義には全く反している。
【0062】
本明細書に開示されるように、単遺伝子型又は多遺伝子型アルファウイルス発現系は、例えば、改変された5’-UTRを含有するレプリコンRNAなどの発現/翻訳促進活性を有する改変レプリコンRNAを使用することによって生成することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるウイルス(例えば、アルファウイルス)発現系は、1つ以上のウイルス構造タンパク質のコード領域の一部又は全体を更に欠いている。例えば、アルファウイルス発現系は、ウイルスキャプシドタンパク質C、E1糖タンパク質、E2糖タンパク質、E3タンパク質、及び6Kタンパク質のうちの1つ以上に対するコード配列の一部又は全体を欠いていてもよい。いくつかの実施形態では、ベネズエラウマ脳炎ウイルス(VEEV)5’UTR配列のcDNAコピー中の2位のヌクレオチドの、チミン(T)ヌクレオチドからグアニン(G)ヌクレオチドへの改変(T2->G変位)は、レプリコンRNAに関して、野生型5’UTR配列を有するVEEVレプリコンと比較して、有意に高いタンパク質発現能力を有するレプリコンを与える。
【0063】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される改変レプリコンRNAの発現及び/又は翻訳促進活性のレベルは、対応する未改変レプリコン、例えば、野生型5’UTRを有するレプリコンから検出される発現レベルに対して、少なくとも1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2(2倍)、3、4、5、6、7、8倍以上である。いかなる特定の理論にも束縛されるものではないが、翻訳の向上は、翻訳に利用可能である転写の増加したレベルをもたらす転写の向上に起因する場合があり、及び/又は転写とは無関係であり、例えば、リボソーム結合の増強に起因する場合がある。活性のレベルの増強は、転写物レベル、タンパク質の量、タンパク質活性などが挙げられるが、これらに限定されない、当該技術分野において既知の任意の便利な方法及び技術によって測定することができる(例えば、以下の実施例1、3~5を参照されたい)。
核酸分子
【0064】
一態様では、改変レプリコンRNAを含む新規の核酸分子が本明細書に開示される。例えば、改変レプリコンRNAは、親レプリコンRNAの元々のゲノム領域(例えば、オープンリーディングフレーム(open reading frame、ORF)及び/又は非コード領域(例えば、プロモーター配列))のうちの1つ以上に変異(複数可)、欠失(複数可)、置換(複数可)、及び/又は挿入(複数可)を含み得る。いくつかの実施形態では、改変レプリコンRNAは、改変5’-非翻訳領域(5’-UTR)を含む。いくつかの実施形態では、改変された5’-UTRは、1、2、4位、又はこれらの組み合わせにおける1つ以上のヌクレオチド置換を含む。いくつかの実施形態では、ヌクレオチド置換のうちの少なくとも1つは、改変された5’-UTRの1位におけるヌクレオチド置換である。いくつかの実施形態では、ヌクレオチド置換のうちの少なくとも1つは、改変された5’-UTRの2位におけるヌクレオチド置換である。いくつかの実施形態では、ヌクレオチド置換のうちの少なくとも1つは、改変された5’-UTRの4位におけるヌクレオチド置換である。いくつかの実施形態では、改変された5’-UTRの2位におけるヌクレオチド置換は、U->G置換である。いくつかの実施形態では、改変された5’-UTRの2位におけるヌクレオチド置換は、U->A置換である。いくつかの実施形態では、改変された5’-UTRの2位におけるヌクレオチド置換は、U->C置換である。
【0065】
本明細書で使用される場合、用語「レプリコンRNA」は、許容細胞内でそれ自体の増幅又は自己複製を誘導するために必要な遺伝情報の全てを含有するRNAを指す。RNA
分子は、それ自体の複製を指示するために、1)ポリメラーゼ、レプリカーゼ、又はウイルス若しくは宿主細胞由来タンパク質、核酸、又はリボ核酸と相互作用してRNA増幅プロセスを触媒し得る他のタンパク質をコードし、及び2)サブゲノムレプリコンコード化RNAの複製及び転写に必要なシスに働くRNA配列を含有する。これらの配列は、自己コード化タンパク質、又は非自己コード化細胞由来タンパク質、核酸若しくはリボ核酸タンパク質、又はこれらの構成成分のいずれかの間の複合体への複製プロセス中に結合されてもよい。本開示の目的のために、アルファウイルス由来のレプリコンRNA分子は、典型的には、以下の順序のエレメント:複製のためにシスに必要とされる5’ウイルス又は欠陥干渉RNA配列(複数可)、生物学的に活性なアルファウイルス非構造タンパク質をコードする配列(例えば、nsP1、nsP2、nsP3、及びnsP4)、複製のためにシスに必要とされる3’ウイルス配列、及びポリアデニル酸経路を含有する。更に、レプリコンRNAという用語は、一般に、正極性、又は「メッセージ」センスの分子を指し、レプリコンRNAは、任意の既知の天然に生じるアルファウイルスとは異なる長さであってもよい。本開示のいくつかの実施形態では、レプリコンRNAは、構造ウイルスタンパク質のうちの少なくとも1つの配列を含有しない。構造遺伝子をコードする配列は、異種配列で置換され得る。レプリコンRNAが組み換えアルファウイルス粒子にパッケージ化される場合、それは、粒子形成につながるアルファウイルス構造タンパク質との相互作用を開始する役割を果たす1つ以上の配列、いわゆるパッケージングシグナルを含有しなければならない。
【0066】
本明細書で使用される場合、「サブゲノムRNA」は、それが由来するゲノムRNAよりも小さい長さ又はサイズのRNA分子を指す。アルファウイルスサブゲノムRNAは、その配列がゲノムRNA又はその相補体内に存在する内部プロモーターから転写されるべきである。アルファウイルスサブゲノムRNAの転写は、宿主細胞コード化タンパク質、リボ核酸タンパク質、又はこれらの組み合わせと関連するウイルスコード化ポリメラーゼ(複数可)によって媒介され得る。本開示のいくつかの実施形態では、サブゲノムRNAは、本明細書に開示されるような改変レプリコンRNAから産生され、1つ以上の目的の遺伝子(GOI)をコード又は発現する。天然のサブゲノムプロモーターの代わりに、サブゲノムRNAは、脳心筋炎ウイルス(EMCV)、ウシウイルス性下痢ウイルス(BVDV)、ポリオウイルス、口蹄疫ウイルス(FMD)、エンテロウイルス71、又はC型肝炎ウイルスに由来する内部リボソーム進入部位(IRES)の制御下に置かれてもよい。
【0067】
したがって、いくつかの実施形態では、1つ以上のウイルス構造タンパク質に対するコード配列の一部又は全体は、本明細書に開示される核酸分子中で存在しない、及び/又は改変される。したがって、いくつかの特定の実施形態では、本明細書に開示される改変レプリコンRNAは、改変された5’-UTRを含み、かつ1つ以上のウイルス構造タンパク質をコードする核酸配列の少なくとも一部を欠いており、例えば、ウイルス構造タンパク質をコードする核酸配列の最初の1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個以上のヌクレオチドを欠いている。いくつかの実施形態では、改変アルファウイルスゲノム又はレプリコンRNAは、構造ポリペプチドE1、E2、E3、6K、及びキャプシドタンパク質Cのうちの1つ以上をコードする配列の約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%以上を欠くことができる。いくつかの実施形態では、改変アルファウイルスゲノム又はレプリコンRNAは、構造ポリペプチドE1、E2、E3、6K、及びキャプシドタンパク質Cのうちの1つ以上をコードする配列の実質的な部分又は全配列を欠いている。本明細書で使用される場合、ウイルス構造タンパク質をコードしている核酸配列の「実質的な部分」は、当業者による配列の手動評価によるか、又はBLASTなどのアルゴリズムを用いたコンピュータ自動配列比較及び識別による(例えば、上記、Altschul SF et al.1993を参照されたい)のいずれかで、そのタンパク質の推定同定を得るために、ウイルス構造
タンパク質をコードする核酸配列の十分なものを含む。いくつかの実施形態では、改変アルファウイルスゲノム又はレプリコンRNAは、構造ポリペプチドE1、E2、E3、6K、及びキャプシドタンパク質Cのうちの1つ以上をコードする全配列を欠いている。
【0068】
本出願のいくつかの特定の実施形態では、本明細書に開示される核酸分子は、改変アルファウイルスゲノム又はレプリコンRNAを含む改変アルファウイルスゲノム又はレプリコンRNAを含み、核酸分子は、配列番号1の核酸配列と少なくとも80%の配列同一性を示し、改変アルファウイルスゲノム又はレプリコンRNAは、5’-非翻訳領域(5’-UTR)の2位におけるU->G置換を含み、かつウイルス構造タンパク質をコードする配列の少なくとも一部を欠いている。いくつかの実施形態では、核酸分子は、配列番号1の核酸配列と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を示す。いくつかの実施形態では、核酸分子は、配列番号1の核酸配列と100%の配列同一性を示す。
【0069】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される核酸分子は、改変アルファウイルスゲノム又はレプリコンRNAを含み、改変アルファウイルスゲノム又はレプリコンRNAは、本明細書に開示される少なくとも1つの5’-UTRの核酸配列と少なくとも80%の配列同一性を示す5’-UTR及び5’-UTRの2位におけるU->G置換を含み、改変アルファウイルスゲノム又はレプリコンRNAは、ウイルス構造タンパク質をコードする配列の少なくとも一部を欠いている。いくつかの実施形態では、改変アルファウイルスゲノム又はレプリコンRNAは、配列番号2~18に記載の配列のうちの少なくとも1つと少なくとも80%の配列同一性を示す5’-UTRを含む。いくつかの実施形態では、改変アルファウイルスゲノム又はレプリコンRNAは、配列番号2~18に記載される配列のうちの少なくとも1つと、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を示す5’-UTRを含む。いくつかの実施形態では、改変アルファウイルスゲノム又はレプリコンRNAは、配列表の配列番号2~18に記載の配列のうちの少なくとも1つと100%の配列同一性を示す5’-UTRを含む。
【0070】
本明細書に開示される5’UTRの核酸配列と高度の配列同一性(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%)を有する核酸分子は、本明細書で特定される配列(例えば、配列番号1~18)、又は任意の他のアルファウイルス5’UTR(これらは当該技術分野において既知であり、例えば、GenBank/NCBI登録番号J02363、NC_001547、U38305、L04653、NC_001449、U38304、X04129、NC_003215を有する配列)、及びTR339ゲノム配列(Klimstra et al.,J.Virol.72:7357,1988;McKnight et al.,J.Virol.70:1981,1996)を使用し、ゲノム配列解析、ハイブリダイゼーション及び/又はそれぞれのアルファウイルスゲノムにおいて同定された配列からの縮重プライマー若しくは遺伝子特異的プライマーを用いたPCRにより、同定及び/又は単離することができる。本明細書で使用される場合、「配列同一性」とは、2つの最適にアライメントされたポリヌクレオチドが、例えばヌクレオチドなどの構成要素のアライメントの窓を通して不変である程度を指す。試験配列及び参照配列のアライメントされたセグメントに対する「同一性画分」は、参照配列セグメント内の構成成分の総数、例えば、参照配列全体又は参照配列のより小さい定義された部分によって分割された、2つのアライメントされた配列によって共有される同一の構成要素の数である。
【0071】
本明細書に開示されるいくつかの実施形態は、改変レプリコンRNAを含む核酸分子に関し、改変レプリコンRNAは、例えば、翻訳促進活性を有する5’UTRなどの改変ア
ルファウイルス塩基配列を含む。このような改変レプリコンRNAを使用して、所望の産物をコードする異種核酸配列(例えば、DNA又はcDNA)の発現レベルの向上を達成することができる。いくつかの実施形態では、改変レプリコンRNAを使用して、例えば細胞培養中の細胞であってもよく、又は生体内の細胞であってもよい細胞内に改変レプリコンを導入した後に、所望の産物をコードする異種核酸配列(例えば、DNA又はcDNA)の発現レベルの向上を達成する。
【0072】
加えて、いくつかの実施形態では、核酸分子は、ウイルス操作及び/又は投与の安全性を高めるために、1つ以上の弱毒化変異を含有する改変アルファウイルスゲノム又はレプリコンRNAを含むことができる。本明細書で使用される場合、語句「弱毒化変異」とは、その変異が、置換変異であるか、又はインフレーム欠失あるか、又は挿入変異であるかの当該技術分野における標準的な用語に従って、その宿主において疾患確率の減少をもたらすような変異の観点からのヌクレオチド変異又はコードされたアミノ酸を意味する。弱毒化変異は、アルファウイルスゲノムのコード領域又は非コード領域(例えば、5’-UTR)内にあり得る。当業者に既知のように、語句「弱毒化変異」は、ウイルスに対して致死的である変異又は変異の組み合わせを除外する。更に、当業者であれば、一部の弱毒化変異は、第2のサプレッサ変異の非存在下で致死的であり得ることを理解するであろう。
【0073】
これらの新規核酸分子が構築され、特徴付けられた分子技術及び方法は、本出願の実施例において、より完全に記載される。実施例の項では、ベネズエラウマ脳炎ウイルス(VEEV)が、本明細書に開示される組成物及び方法を例示するために使用されている。
【0074】
いくつかの実施形態では、核酸分子は、組み換え核酸分子である。本明細書で使用される場合、用語「組み換え」は、任意の分子(例えば、DNA、RNA、ポリペプチド)を意味し、すなわち、間接的ではあるが、ヒトの操作からもたらされる。非限定的な例として、cDNAは、組み換えDNA分子であり、インビトロポリメラーゼ反応(複数可)によって生成された任意の核酸分子、又はリンカーが取り付けられている任意の核酸分子であるか、又はクローニングベクター若しくは発現ベクターなどのベクターに組み込まれた任意の核酸分子である。非限定的な例として、組み換え核酸分子は、1)例えば、核酸分子の化学的若しくは酵素的技術を用いて(例えば、化学的核酸合成を使用することによって、又は複製、重合、エキソヌクレアーゼ消化、エンドヌクレアーゼ溶解性消化、ライゲーション、逆転写、転写、塩基改変(例えば、メチル化を含む)、又は組み換え(相同及び部位特異的組み換えを含む)に酵素を使用することによって)、インビボで合成又は改変された分子、2)本質的に結合されていない結合ヌクレオチド配列を含む分子、3)天然に生じるヌクレオチド配列に対して1つ以上のヌクレオチドを欠いているように、分子クローニング技術を用いて遺伝子操作された分子、及び/又は4)天然に生じるヌクレオチド配列に対して1つ以上の配列変化又は再配列を有するように、分子クローニング技術を使用して操作されている分子である。
【0075】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される核酸分子は、組み換えDNA技術(例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅、クローニングなど)又は化学合成を使用して産生される。本明細書に開示される核酸分子としては、天然の核酸分子及びそのホモログが挙げられ、これらには、天然の対立遺伝子変異体、1つ以上のヌクレオチド残基が挿入され、欠失され、及び/又は置換される(このような改変が、本明細書に記載されるような生物活性をもたらすことで所望の特性を提供するような方法で)改変核酸分子が挙げられるが、これらに限定されない。
【0076】
天然に生じる核酸配列の変異体を含む核酸分子は、当業者に既知の数多くの方法を使用して生成することができる(例えば、Sambrookらによる、Molecular
Cloning,A Laboratory Manual,2nd Edition,Cold Spring Harbor Press,Cold Spring Harbor,N.Y.(1989)を参照されたい)。核酸分子の配列は、限定されるものではないが、部位特異的突然変異誘発、変異を誘発するための核酸分子の化学的処理、核酸断片の制限酵素開裂、核酸断片のライゲーション、核酸配列の選択された領域のPCR増幅及び/又は変異誘発、組み換えクローニング、並びに、オリゴヌクレオチド混合物の化学合成及び核酸分子の混合物を「構築する」ための混合物群のライゲーション、並びにこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない、伝統的な突然変異誘発技術及び組み換えDNA技術が挙げられる様々な技術を用いて、その核酸分子の配列が誘導される天然に生じる配列に対して改変され得る。核酸分子ホモログは、核酸分子によってコードされるタンパク質若しくはレプリコンの機能をスクリーニングすることによって、及び/又は野生型遺伝子若しくはその断片とのハイブリダイゼーションによって、又は標的若しくは野生型核酸分子あるいは配列と相同性を有するプライマーを使用するPCRによって、改変された核酸分子の混合物から選択することができる。
【0077】
本明細書に開示される様々な実施形態では、本明細書に開示される核酸分子は、以下の特徴のうちの1つ以上を含むことができる。いくつかの実施形態では、改変レプリコンRNAは、改変アルファウイルスレプリコンRNAである。いくつかの実施形態では、改変アルファウイルスレプリコンRNAは、改変アルファウイルスゲノムを含む。いくつかの実施形態では、改変された5’-UTRは、1、2、4位、又はこれらの組み合わせにおける1つ以上のヌクレオチド置換を含む。ある特定の実施形態では、ヌクレオチド置換のうちの少なくとも1つは、改変された5’-UTRの2位におけるヌクレオチド置換である。いくつかの特定の実施形態では、改変された5’-UTRの2位におけるヌクレオチド置換は、U->G置換である。
【0078】
本明細書に開示されるいくつかの実施形態では、改変アルファウイルスゲノム又はレプリコンRNAは、異種調節エレメントに操作可能に連結される。本明細書で使用するとき、「調節エレメント」、「調節配列」、又は「調節エレメント配列」は、例えば、ポリペプチドコード配列又は機能RNAコード配列などのコード配列の上流(5’)に、その内部に、又は下流(3’)に位置するヌクレオチド配列を指す。コード配列の転写及び/又はコード配列の転写から生じるRNA分子の翻訳は、典型的には、調節エレメントの存在又は非存在によって影響を受ける。これらの調節エレメントは、プロモーター、シス-エレメント、エンハンサー、ターミネーター、又はイントロンを含んでもよい。当業者であれば、本明細書に記載される調節エレメントが、キメラ又はハイブリッド調節発現エレメント内に存在し得ることを理解するであろう。いくつかの実施形態では、異種調節エレメントは、プロモーター配列であるか、又はこれを含む。異種プロモーター配列は、任意の異種プロモーター配列、例えば、SP6プロモーター、T3プロモーター、若しくはT7プロモーター、又はこれらの組み合わせであり得る。いくつかの特定の実施形態では、プロモーター配列は、T7プロモーター配列を含む。
【0079】
更に、いくつかの実施形態では、改変アルファウイルスゲノム又はレプリコンRNAは、1つ以上の異種転写終結シグナル配列を含み得る。本明細書で互換的に使用される用語「転写終結シグナル」、「ターミネーター」、又は「ターミネーター配列」若しくは「転写ターミネーター」は、RNAポリメラーゼに転写を停止させる遺伝子配列の調節部分を指す。異種転写終結シグナル配列は、一般に、任意の異種転写終結シグナル配列、例えば、SP6終結シグナル配列、T3終結シグナル配列、T7終結シグナル配列、又はこれらの変異体であり得る。したがって、本開示のいくつかの実施形態による核酸分子は、SP6終結シグナル配列、T3終結シグナル配列、T7終結シグナル配列、又はこれらの変異体からなる群から選択される1つ以上の異種転写終結シグナル配列のうちの少なくとも1つを含むことができる。いくつかの特定の実施形態では、転写終結配列は、T7終結シグ
ナル配列を含む。
【0080】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される核酸分子は、1つ以上の発現カセットを含むことができる。原則として、本明細書に開示される核酸分子は、任意の個数の発現カセットを含むことができる。いくつかの特定の実施形態では、本明細書に開示される核酸分子は、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、又は少なくとも6つの発現カセットを含むことができる。本明細書で使用される場合、用語「発現カセット」は、コード配列と、インビボ及び/又はエクスビボにおいてレシピエント細胞内のコード配列の適切な転写及び/又は翻訳を指示するのに十分な調節情報とを含有する遺伝物質の構築物を指す。発現カセットは、所望の宿主細胞及び/又は対象に標的化するためにベクターに挿入されてもよい。更に、発現カセットという用語は、用語「発現構築物」と互換的に使用され得る。いくつかの実施形態では、用語「発現カセット」は、例えば、プロモーター及び/又は終結シグナルなどの調節エレメントに、並びに任意に、遺伝子の転写又は翻訳に影響を及ぼす他の核酸配列のいずれか、又はそれらの組み合わせに操作可能に連結された、タンパク質又は機能RNAをコードする遺伝子を含む核酸構築物を指す。
【0081】
本明細書で使用される場合、用語「操作可能に連結された」は、2つ以上の配列間の機能的連結を示す。例えば、目的のポリヌクレオチドと調節配列(例えば、プロモーター)との間の操作可能な連結は、目的のポリヌクレオチドの発現を可能にする機能的連結である。この意味で、用語「操作可能に連結された」は、調節領域が目的のコード配列の転写又は翻訳を調節するのに有効であるように転写される調節領域及びコード配列の位置決めを指す。本明細書に開示されるいくつかの実施形態では、用語「操作可能に連結された」は、制御配列が、ポリペプチドをコードするmRNA、ポリペプチド、及び/又は機能RNAの発現若しくは細胞局在を指示又は調節するように、調節配列がポリペプチド又は機能RNAをコードする配列に対して適切な位置に配置される構成を意味する。したがって、プロモーターが、核酸配列の転写を媒介することができる場合、プロモーターは核酸配列と操作可能に連結している。操作可能に連結されたエレメントは、連続的であっても非連続的であってもよい。
【0082】
2つ以上のDNAの配列を互いに操作可能に連結する基本的な技術は、当業者によく知られており、このような方法は、標準的な分子学的操作のための数多くの文献に記載されている(例えば、Maniatis et al.,「Molecular Cloning:A Laboratory Manual」2nd ed.Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.;及びGibson et al.,Nature Methods
6:343~45,2009を参照されたい)。
【0083】
したがって、本明細書で提供される核酸分子は、例えば、異種核酸配列に操作可能に連結された調節エレメントを含む場合、異種核酸配列の発現に影響を及ぼし得る発現ベクターとして使用することができる。いくつかの実施形態では、異種ヌクレオチド配列は、目的の遺伝子(GOI)のコード配列を含む。いくつかの実施形態では、GOIのコード配列は、参照コード配列の発現レベルよりも高いレベルで発現するように最適化される。いくつかの実施形態では、参照コード配列は、最適化されていない配列である。いくつかの実施形態では、GOIコード配列の最適化は、配列最適化を含むことができる。ヌクレオチド配列の配列最適化に関して、遺伝子コードの縮重は、変更される遺伝子から産生されたポリペプチドのアミノ酸配列を生じさせることなく、異なる塩基で遺伝子のタンパク質コード配列の少なくとも1つの塩基を置換する可能性を提供する。したがって、本出願の核酸分子はまた、遺伝子コードの縮重による置換によって本明細書に開示される任意のポリヌクレオチド配列から変更された任意の塩基配列を有してもよい。コドン使用について
説明する参考文献は、容易に公的に入手可能である。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチド配列変異体は、例えば、特定の宿主の発現を最適化する(例えば、ヒト、ハムスター、マウス、又はサルなどの他の生物によって好ましいものに、アルファウイルスmRNA中のコドン使用を変更する)ために、様々な理由で産生され得る。
【0084】
GOIによりコードされるポリペプチドは、一般に任意のポリペプチドであってよく、例えば、治療用ポリペプチド、予防用ポリペプチド、診断用ポリペプチド、栄養補助用ポリペプチド、又は工業用酵素であり得る。いくつかの実施形態では、GOIは、抗体、抗原、免疫調節因子、及びサイトカインからなる群から選択されるポリペプチドをコードする。
【0085】
いくつかの実施形態では、GOIのコード配列は、所望の特性のために最適化される。いくつかの実施形態では、GOIのコード配列は、参照コード配列の発現レベルよりも高いレベルで発現するように最適化される。
【0086】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される改変ゲノム又はレプリコンRNAは、トガウィルス科のアルファウイルス属に属するウイルス種のゲノム又はレプリコンRNAなどのゲノム又はレプリコンRNAである。いくつかの実施形態では、改変ゲノム又はレプリコンRNAは、VEEV/EEEV群、又はSF群、又はSIN群に属するアルファウイルスのものである(検討用に、例えば、Strauss and Strauss.Microbiol.Rev.58:3 p492~562,1994を参照されたい)。SF群アルファウイルスの非限定的な例としては、セムリキ森林ウイルス、オニョンニョンウイルス、ロスリバーウイルス、ミドルバーグウイルス、チクングンヤウイルス、バーマフォレストウイルス、ゲタウイルス、マヤロウイルス、サギヤマウイルス、ベマルウイルス、及びウナウイルスが挙げられる。SIN群のアルファウイルスの非限定的な例としては、シンドビスウイルス、ガードウッド(Girdwood)S.A.ウイルス、南アフリカアルボウイルス(South African Arbovirus)No.86、オケルボ(Ockelbo)ウイルス、アウラウイルス、ババンキウイルス、ワタロアウイルス、及びキジラガッチウイルスが挙げられる。VEEV/EEEV群アルファウイルスの非限定的な例としては、東部ウマ脳炎ウイルス(EEEV)、ベネズエラウマ脳炎ウイルス(VEEV)、エバーグレーズウイルス(EVEV)、ムカンボウイルス(MUCV)、ピクスナウイルス(PIXV)、ミッドバーグウイルス(MIDV)、チクングンヤウイルス(CHIKV)、オニョンニョンウイルス(ONNV)、ロスリバーウイルスRRV)、バーマフォレストウイルス(BF)、ゲタウイルス(GET)、サギヤマウイルス(SAGV)、ベマルウイルス(BEBV)、マヤロウイルス(MAYV)、及びウナウイルス(UNAV)が挙げられる。
【0087】
アルファウイルス種の非限定的な例としては、アルファウイルスは、東部ウマ脳炎ウイルス(EEEV)、ベネズエラウマ脳炎ウイルス(VEEV)、エバーグレーズウイルス(EVEV)、ムカンボウイルス(MUCV)、ピクスナウイルス(PIXV)、ミドルバーグウイルス(MIDV)、チクングンヤウイルス(CHIKV)、オニョンニョンウイルス(ONNV)、ロスリバーウイルス(RRV)、バーマフォレストウイルス(BF)、ゲタウイルス(GET)、サギヤマウイルス(SAGV)、ベバルウイルス(BEBV)、マヤロウイルス(MAYV)、ウナウイルス(UNAV)、シンドビスウイルス(SINV)、アウラウイルス(AURAV)、ワタロアウイルス(WHAV)、ババンキウイルス(BABV)、キジラガッチウイルス(KYZV)、西部ウマ脳炎ウイルス(WEEV)、ハイランドジェイウイルス(HJV)、フォートモルガンウイルス(FMV)、ヌドゥムウイルス(NDUV)、及びバギークリークウイルスが挙げられる。毒性及び非毒性アルファウイルス株は、両方とも好適である。いくつかの特定の実施形態では、改変ゲノム又はレプリコンRNAは、シンドビスウイルス(SIN)、セムリキ森林ウイル
ス(SFV)、ロスリバーウイルス(RRV)、ベネズエラウマ脳炎ウイルス(VEEV)、又は東部ウマ脳炎ウイルス(EEEV)のものである。いくつかの実施形態では、改変ゲノム又はレプリコンRNAは、ベネズエラウマ脳炎ウイルス(VEEV)のものである。
組み換え細胞
【0088】
一態様では、本明細書に開示されるいくつかの実施形態は、動物細胞、本明細書で提供される核酸分子を動物細胞などの宿主細胞に導入することと、形質転換された細胞を選択又はスクリーニングすることと、を含む、細胞を形質転換する方法に関する。用語「宿主細胞」及び「組み換え宿主細胞」は、本明細書において互換的に使用される。このような用語は、特定の対象細胞だけでなく、そのような細胞の子孫又は可能性のある子孫を指すことが理解される。突然変異又は環境影響のいずれかにより後続世代において特定の改変が生じ得るため、このような子孫は、実際には親細胞と同一でなくてもよいが、本明細書で使用される用語の範囲内になお含まれる。いくつかの実施形態では、核酸分子は、電気穿孔法又は遺伝子銃処置によって宿主細胞に導入される。
【0089】
関連する態様では、いくつかの実施形態は、組み換え宿主細胞、例えば、本明細書に記載の核酸分子を含む組み換え動物細胞に関する。核酸分子は、宿主ゲノムに安定的に組み込まれてもよく、又は安定的若しくは一過的発現のためのミニサークル発現ベクターとして組み換え宿主細胞内に存在してもよい。したがって、本明細書に開示されるいくつかの実施形態では、核酸分子は、エピソームユニットとして組み換え宿主細胞内で維持され、複製される。いくつかの実施形態では、核酸分子は、組み換え細胞のゲノムに安定的に組み込まれる。安定な組み込みは、古典的なランダムゲノム組み換え技術を使用して、又はガイドRNA依存性CRISPR/Cas9、又はDNA誘導エンドヌクレアーゼゲノム編集NgAgo(硬度好塩菌(Natronobacterium gregoryi)のアルゴノート)、若しくはTALENゲノム編集(転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ)の使用などのより正確なゲノム編集技術を用いて、安定な組み込みを完了することができる。いくつかの実施形態では、組み換え宿主細胞中に存在する核酸分子は、安定な発現又は一過性発現のためのミニサークル発現ベクターとして存在する。
【0090】
いくつかの実施形態では、例えば、宿主細胞は、例えば、宿主細胞のゲノムの一部に相同な核酸配列を含む相同組み換えのためのベクターであり得るか、又は目的の遺伝子のいずれか、若しくはそれらの組み合わせの発現のための発現ベクターであり得る、本出願のベクター構築物を用いて遺伝子操作(例えば、形質導入又は形質転換若しくはトランスフェクト)され得る。ベクターは、例えば、プラスミド、ウイルス粒子、ファージなどの形態であり得る。いくつかの実施形態では、目的のポリペプチドを発現させるためのベクターは、例えば、相同組み換えによって宿主への組み込みのために設計することができる。本明細書に記載のポリヌクレオチド配列、例えば、改変アルファウイルスゲノム又はレプリコンRNA、並びに任意選択的に選択マーカー又はレポーター遺伝子を含む核酸分子を用いて、適切な宿主細胞を形質転換することができる。
【0091】
本明細書に開示される方法及び組成物は、原核生物及び真核生物種を含むがこれらに限定されない、任意の種の遺伝子工学のために展開されてもよい。本開示による組成物及び方法を使用して改変される好適な宿主細胞としては、藻類細胞、細菌細胞、不等毛類(heterokonts)、真菌細胞、ツボカビ細胞、微小菌類、微小藻類、及び動物細胞を挙げるこ
とができるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、動物細胞は、無脊椎動物細胞である。いくつかの実施形態では、脊椎動物動物細胞は、哺乳動物細胞である。宿主細胞は、非形成し津転換細胞、又は少なくとも1つの核酸分子で既にトランスフェクトされている細胞のいずれかであり得る。
【0092】
本明細書に開示される方法及び組成物は、例えば、ワクチン、医薬製品、工業製品、化学物質などの製造で使用されるポリペプチドの産生を含む、水産養殖、農業、畜産、及び/又は治療用途及び薬効用途に重要であるか、又は興味深い対象及び/又は宿主細胞と共に使用することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物及び方法は、げっ歯類、マウス、魚類、鳥類、並びにヒト、ウマ、ブタ、サル、及び類人猿などのより大きな哺乳動物などの、アルファウイルスの天然宿主である種からの宿主細胞と共に使用することができる。特に好ましい種は、本出願のいくつかの実施形態では、脊椎動物種及び無脊椎動物種である。原則として、任意の動物種を一般に使用することができ、例えば、ヒト、イヌ、鳥、魚、ウマ、ブタ、霊長類、マウス、ウシ、ブタ、ヒツジ、ウサギ、ネコ、ヤギ、ロバ、ハムスター、又はバッファローであり得る。好適な鳥種の非限定的な例としては、ニワトリ、アヒル、ヤギ、シチメンチョウ、ダチョウ、エミュー、ハクチョウ、クジャク、キジ、ヤマウズラ、及びホロホロチョウが挙げられる。いくつかの特定の実施形態では、魚種は、サケ種である。初代哺乳動物細胞及び連続的/不死化細胞型もまた好適である。好適な動物宿主細胞の非限定的な例としては、ウマ肺動脈内皮細胞、ウマ真皮細胞、ベビーハムスター腎(BHK)細胞、ウサギ腎細胞、マウス筋細胞、マウス結合組織細胞、ヒト子宮頸部細胞、ヒト表皮喉頭細胞、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)、ヒトHEK-293細胞、マウス3T3細胞、ベロ細胞、メイディン・ダービー・イヌ腎臓上皮細胞(MDCK)、ニワトリ初代線維芽細胞、HuT78細胞、A549肺細胞、HeLa細胞、PER.C6(登録商標)細胞、WI-38細胞、MRC-5細胞、FRhL-2、及びCEM T細胞が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、組み換え細胞は、ベビーハムスター腎細胞である。いくつかの実施形態では、ベビーハムスター腎細胞は、BHK-21細胞である。
【0093】
多種多様な上記宿主細胞及び種を形質転換するための技術は、当該技術分野において既知であり、技術文献及び科学文献に記載されている。したがって、本明細書に開示される少なくとも1つの組み換え細胞を含む細胞培養物もまた、本出願の範囲内である。細胞培養物を生成及び維持するのに好適な方法及び系は、当該技術分野において既知である。
ポリペプチドを産生する方法
【0094】
本開示の宿主細胞、例えば原核生物又は真核生物宿主細胞を使用して、本明細書に開示される目的の遺伝子(GOI)のオープンリーディングフレームにコードされたポリペプチドなどの目的の分子を産生(すなわち、発現)することができる。したがって、本出願は、例えば、本開示の宿主細胞を使用して、例えば、ポリペプチドなどの目的の分子を産生するための方法を更に提供し、この方法は、例えば、細胞培養物中の細胞であってもよく、又は生体内の細胞であってもよい。
【0095】
したがって、本明細書に開示されるいくつかの実施形態は、宿主細胞において目的のポリペプチドを産生するための方法を提供する。このような方法は、前述の態様及び実施形態のいずれか1つによる核酸分子を含む組み換え宿主細胞の培養を含む。いくつかの実施形態では、この方法は、目的の分子が産生されるように、好適な培地中で、本発明の宿主細胞(目的の分子をコードする組み換え発現ベクターが導入された)を培養することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、目的の分子を培地又は宿主細胞から単離することを更に含む。
【0096】
別の態様では、いくつかの実施形態は、対象において目的のポリペプチドを産生するための方法に関し、前述の態様及び実施形態のいずれか1つによる核酸分子を対象に投与することを含む。
【0097】
本明細書に開示される方法及び組成物で使用するのに好適な宿主細胞及び/又は対象としては、原核生物種及び真核生物種が挙げられるが、これらに限定されない。本開示によ
る組成物及び方法を使用して改変される好適な宿主細胞としては、藻類細胞、細菌細胞、不等毛類(heterokonts)、真菌細胞、ツボカビ細胞、微小菌類、微小藻類、及び動物細
胞を挙げることができるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、動物細胞は、無脊椎動物細胞である。いくつかの実施形態では、脊椎動物細胞は、哺乳動物細胞である。宿主細胞は、非形質転換細胞、又は少なくとも1つの核酸分子で既にトランスフェクトされている細胞のいずれかであり得る。したがって、前述の態様及び実施形態のいずれか1つによる組み換え細胞の生体試料、バイオマス、及び子孫もまた、本出願の範囲内である。したがって、以下により詳細に記載されるように、本出願のこの態様による方法によって産生されるポリペプチドもまた、本出願の範囲内である。
【0098】
いくつかの実施形態では、組み換え細胞は、動物細胞である。小規模及び大規模での治療用タンパク質の産生は、動物細胞において産生されるタンパク質が、一般的に適切な処理、翻訳後改変を有すると考えられ、したがって生理的条件の治療に十分な活性を有すると考えられるため、医薬産業において重要な開発分野である。原則として、任意の動物種を一般に使用することができ、例えば、ヒト、イヌ、鳥、魚、ウマ、ブタ、霊長類、マウス、ウシ、ブタ、ヒツジ、ウサギ、ネコ、ヤギ、ロバ、ハムスター、又はバッファローであり得る。好適な鳥種の非限定的な例としては、ニワトリ、アヒル、ヤギ、シチメンチョウ、ダチョウ、エミュー、ハクチョウ、クジャク、キジ、ヤマウズラ、及びホロホロチョウが挙げられる。いくつかの特定の実施形態では、魚種は、サケ種である。初代哺乳動物細胞及び連続的/不死化細胞型もまた好適である。好適な動物宿主細胞の非限定的な例としては、ウマ肺動脈内皮細胞、ウマ真皮細胞、ベビーハムスター腎(BHK)細胞、ウサギ腎細胞、マウス筋細胞、マウス結合組織細胞、ヒト子宮頸部細胞、ヒト表皮喉頭細胞、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)、ヒトHEK-293細胞、マウス3T3細胞、ベロ細胞、メイディン・ダービー・イヌ腎臓上皮細胞(MDCK)、ニワトリ初代線維芽細胞、HuT78細胞、A549肺細胞、HeLa細胞、PER.C6(登録商標)細胞、WI-38細胞、MRC-5細胞、FRhL-2、及びCEM T細胞が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、組み換え細胞は、ベビーハムスター腎細胞である。いくつかの実施形態では、ベビーハムスター腎細胞は、BHK-21細胞である。
組み換えポリペプチド
【0099】
本明細書に開示されるいくつかの実施形態は、本明細書に記載される1つ以上の実施形態による方法によって産生される組み換えポリペプチドに関する。本出願の組み換えポリペプチドは、一般に任意の組み換えポリペプチドであってよく、例えば、治療用ポリペプチド、予防用ポリペプチド、診断用ポリペプチド、栄養補助用ポリペプチド、工業用酵素、及びレポーターポリペプチドのうちの1つ以上であり得る。いくつかの実施形態では、組み換えポリペプチドは、抗体、抗原、免疫調節因子、及びサイトカインのうちの1つ以上であり得る。いくつかの実施形態では、目的のポリペプチドは、治療的又は予防的活性を有し得る。
組成物
【0100】
本明細書に開示されるいくつかの実施形態は、本明細書に記載の組み換えポリペプチドのいずれかを含む組成物に関する。組成物は、例えば、薬学的に許容される担体を含む栄養補助用組成物、予防用組成物、医薬組成物、又はこれらの混合物であり得る。いくつかの実施形態では、本出願の組成物は、ワクチンとして使用することができる。
【0101】
本明細書に開示されるいくつかの実施形態は、本明細書に記載の核酸分子のいずれかを含む組成物に関する。組成物は、例えば、薬学的に許容される担体を含む栄養補助用組成物、予防用組成物、医薬組成物、又はこれらの混合物であり得る。いくつかの実施形態では、本出願の組成物は、ワクチンとして使用することができる。
【0102】
本明細書に開示されるいくつかの実施形態は、本明細書に記載の組み換え細胞のいずれかを含む組成物に関する。組成物は、例えば、薬学的に許容される担体を含む栄養補助用組成物、予防用組成物、医薬組成物、又はこれらの混合物であり得る。いくつかの実施形態では、本出願の組成物は、ワクチンとして使用することができる。
【0103】
本明細書で使用される場合、用語「薬学的に許容される担体」は、一般的に安全で非毒性であり、生物学的に望ましくないもの又は別途望ましくないものいずれでもない医薬組成物又は製剤を調製するのに有用である担体を意味し、獣医学的用途並びにヒトの医薬用途に許容される担体を含む。いくつかの実施形態では、薬学的に許容される担体は、水と同じ程度に単純であるが、例えば、生理学的塩濃度の溶液も含み得る。いくつかの実施形態では、薬学的に許容される担体は、安定剤、希釈剤及び緩衝液であってもよく、又はこれらを含んでもよい。好適な安定剤は、例えば、SPGA、炭水化物(乾燥乳、血清アルブミン、若しくはカゼインなど)、又はこれらの分解産物である。好適な緩衝液は、例えば、アルカリ金属リン酸塩である。希釈剤としては、水、水性緩衝液(緩衝生理食塩水など)、アルコール及びポリオール(グリセロールなど)が挙げられる。動物又はヒトへの投与については、本出願による組成物は、とりわけ、噴霧により鼻腔内で、皮内、皮下、経エアロゾルにより経口で、又は筋肉内で投与することができる。
【0104】
本開示で言及された全ての刊行物及び特許出願は、それぞれの個々の刊行物又は特許出願が参照により組み込まれることが具体的かつ個別に示されているかのように、参照により本明細書に組み込まれる。
【0105】
本明細書に引用される任意の参考文献が先行技術を構成することを認めるものではない。参考文献の議論は、著者が主張するものを提示し、本発明者らは、引用文献の正確性及び適切性を課題とする権利を保有している。科学的な雑誌論文、特許文書、及び教科書を含む多数の情報源を本明細書で参照され、この参照は、これらの文書のいずれかが当該技術分野における常識的な一般知識の一部を形成することを認めるものではないことが明確に理解されるであろう。
【0106】
本明細書で提与される一般的な方法の説明は、例示目的を意図しているにすぎない。他の代替的な方法及び代替物は、本開示を検討する際に当業者には明らかであり、本出願の趣旨及び意図の範囲内に含まれるものである。
【実施例0107】
実施例
以下の実施例において、追加の代替物が更に詳細に開示されるが、これらは、特許請求の範囲を限定することを多少なりとも意図するものではない。
実施例1
一般実験手順
インビトロ転写
【0108】
インビトロ転写(In vitro transcription、IVT)反応は、20μlの反応物中で、37℃にて1時間にわたるインキュベーションで、上記のように調製した1μgのDNAテンプレートを使用して行った(NEBカタログ番号E2065S)。次に、供給元によって提供された1単位のDNase Iを、IVT反応物に直接添加し、37℃で更に15分間インキュベートした。次いで、反応物を氷上に置き、製造業者が提案する方法(Qiagenカタログ番号74104)を使用して精製した。次いで、NanoDrop
2000c UV-Vis分光光度計を用いて、精製RNAを定量化した。0.8%アガロースゲル(Life Technologiesカタログ番号G5018-08)を
通して電気泳動によりRNAを可視化し、電気泳動を進める前に、Millennium
RNA Marker(Ambionカタログ番号AM7150)と比較した。
【0109】
50ng/mlのカルバニシリン(Teknova、カタログ番号NC9730116)を補充したLBブロス培地(Teknovaカタログ番号L8000 06)中で増殖させた300mLの飽和大腸菌TransforMax Epi300(Epicentreカタログ番号EC300105)培養物からプラスミドDNAテンプレートを精製した(Qiagenカタログ番号12163)。プラスミドDNAを、Not-I消化(New England Biolabs NEBカタログ番号R3189S)により37℃で1時間線状化した。次いで、線状化テンプレートDNAを再精製し(Zymoカタログ番号D4003)、市販の2ログのDNAラダー(New England Biolabs NEBカタログ番号N3200S)に対して0.8%アガロースゲル(Life
Technologiesカタログ番号G5018-08)によって分析した。インビトロ転写に進む前に、線状DNAテンプレートの予想される断片サイズに対応する単一のバンドの存在を、各試料中で確認した。
トランスフェクション及び分析
【0110】
典型的な細胞トランスフェクション実験では、レプリコンRNAを、4D-Nucleofector(商標)システム(Lonza)のSF細胞株Nucleofector(商標)キットを用いて電気穿孔法によりBHK-21細胞に導入した。0.25%のトリプシンを用いてBHK-21細胞を採取し、冷PBSで1回洗浄した。細胞を、20μLの電気穿孔反応物当たり1×10個細胞の細胞密度でSF緩衝液中に再懸濁させた。3マイクログラムのRNAを、16ウェルのキュベットストリップ内で細胞に3通りで電気穿孔し、室温で10分間インキュベートした。電気穿孔された細胞を、10%ウシ胎児血清を含有するダルベッコ改変イーグル培地を含有するプレートに回収し、続いて標準的な細胞培養条件で16~18時間インキュベートした。
【0111】
レプリコントランスフェクション効率及びタンパク質産生の細胞内分析を、フローサイトメトリーにより実施した。トランスフェクトされたBHK-21細胞を、固定/透過性濃度及び透過処理緩衝液(eBioscience)を用いて固定及び透過処理した。細胞を、R-フィコエリスリン(Innova Biosciences)と結合させた二本鎖RNA産生のための抗体(J2抗dsRNA IgG2Aモノクローナル抗体、English&Scientific Company)と共にインキュベートした。抗原産生を、PE-Cy5と結合させた抗原特異的抗体(Innova Biosciences)(例えば、緑ウミシイタケ、赤ホタル、HA又はRSV-F0(Abeam)に対する抗体)との更なるインキュベーションによって評価した。次いで、細胞を1回洗浄し、FACSAria(商標)融合細胞ソーター(BD Biosciences)又はFACSAria(商標)II細胞ソーター(BD Biosciences)を使用して分析した。補償対照のために、トランスフェクトされたBHK-21細胞の単一色での染色を、試料採取の前に行った。FACSDiva(BD Biosciences)を使用してデータを収集し、FlowJoソフトウェアを使用して更に分析した。初期ゲーティングを、前方散乱プロット及び側方散乱プロットを使用して実施し、死細胞及び破片を除外した。更なるゲーティングを行って、dsRNA(R-PE-陽性)及びタンパク質発現(GFP発現に対してPE-Cy5-陽性又はFITC陽性)の両方に対して陽性であった細胞集団を同定した。周波数及び平均蛍光強度を収集し、構築物の比較及び最適化に利用した。
実施例2
5’-UTR配列の改変
【0112】
この実施例は、VEEVレプリコンRNAベクターでコードされた目的の遺伝子の発現
を向上させるために、5’-UTR配列が改変された実験の結果を記載する。VEEVレプリコンベクターのcDNAコピーを含有するプラスミド上で、部位特異的変異誘発(Site directed mutagenesis、SDM)を行った。SDMプライマーは、5’UTRの2
位のチミン(T)残基をG残基に変化させるように設計した。
【0113】
これらの実験では、それぞれrFFルシフェラーゼ遺伝子、Vietnam 1203インフルエンザ赤血球凝集素遺伝子(hemagglutinin gene、HA)又は緑色蛍光タンパ
ク質(GFP)遺伝子を発現するVEEVレプリコンをテンプレートとして用いて、部位特異的突然変異誘発を行った。野生型VEEV(TC-83株)配列の5’UTR中の2位におけるヌクレオチドTを変化させた。プライマー「VEE5’-T->Gnt2F」及び「VEE5’-T->Gnt2R」を使用して、Agilentからの部位特異的突然変異誘発キットを介して、ヌクレオチド2位の変化を導入した。プライマーは、Agilentのウェブサイトを通して設計された。陽性クローンを同定し、rFF、HA、及びGFPを発現する代表的なクローンが完全に正しいことを配列確認した。
【0114】
アルファ-R-T2Gレプリコンを作製するためのSDMプライマーは、以下のとおりである。
フォワードプライマー:VEE5’T->Gnt2F(配列番号23):cgactcactatagaGaggcggcgcatgag。
リバースプライマー:VEE5’T->Gnt2R(配列番号24):ctcatgcgccgcctCtctatagtgagtcg。
【0115】
VEEVレプリコンcDNAにおけるT2->G変化の配列確認後、線状化プラスミドDNA上でT7 RNAポリメラーゼを使用して、インビトロ転写によりRNAを生成した。インビトロ転写RNAを精製し、電子穿孔されたBHK-21細胞に使用した。複製及びGOI発現の両方を、それぞれ抗dsRNA特異的抗体及びGOI特異的抗体を使用して、FACSによりモニターした。U2->G VEEVレプリコンからの複製効率及びGOI発現を、同じGOIを発現している野生型VEEVレプリコンと直接比較した。赤ホタルレポーター遺伝子を含むアルファ-R-rFF-T2Gレプリコンの配列は、T7プロモーター及び40個のA残基を有するポリAテールと共に、配列表に配列番号19として提供されている。T7プロモーター配列後の、2位における変異ヌクレオチドも示されている。
実施例3
5’UTRにおけるU2->G置換は、改変VEEV-HAレプリコンの生物活性に影響を及ぼさない
【0116】
この実施例は、Vietnam 1203インフルエンザ赤血球凝集素遺伝子(HA)レポーター遺伝子の発現に対する改変アルファウイルスレプリコンの5’UTRにおけるU2->G置換の影響を評価する実験の結果を記載する。
【0117】
5’UTRにおけるU2->G変化を含有するアルファウイルスレプリコンが、実際にタンパク質を発現することができることを実証するために、レプリコンRNAを5’UTR中にU2->G変化を保有するベクターからインビトロで転写した(U2->G VEEV-HA)。発現の陽性対照として、野生型5’UTRを保有するベクターから、RNAをインビトロで転写した(WT VEEV-HA)。ベビーハムスター腎臓(BHK-21)細胞を、U2->G VEEV-HA RNA又は野生型VEEV-HA RNAのいずれかの3μgで電気穿孔した。この比較についてのフローサイトメトリー分析の例を図1に示す。細胞を、HA特異性抗体を用いてFACSにより分析して、発現されたHAタンパク質の存在及び細胞当たりで発現されたHAの相対量(平均蛍光強度、mean fluorescence intensity、MFI)の両方を実証した。U2->G 5’UTRを保有す
るレプリコンRNAからの生物活性は、野生型5’UTRを有するレプリコンから検出された活性と比較して喪失しなかった。
【0118】
この実施例で提示される実験データは、U2->G VEEV-HAレプリコンが、HAタンパク質を発現することができるだけでなく、発現レベルが野生型VEEV-HAレプリコンの発現レベルと同等であることを示している。この結果は、同じU2->G 5’UTR変化を保有するVEEV/SINV感染性クローンが、生物活性におけるほぼ3ログの喪失を有していることを考慮すれば、予想外であり、本発明者らは、U2->G 5’UTR変化を保有するレプリコンの生物活性における減少を全く示さない。
実施例4
5’UTRにおけるU2->G置換は、GFPレポーターの発現を3倍まで向上させる
【0119】
この実施例は、緑色蛍光タンパク質(GFP)レポーター遺伝子の発現に対する改変アルファウイルスレプリコンの5’UTRにおけるU2->G置換の影響を評価する実験の結果を記載する。
【0120】
5’UTRにおけるU2->G変化を含有するアルファウイルスレプリコンからの発現が、任意の特定のGOIに限定されないことを実証するために、GFP遺伝子を発現しているレプリコンベクターを同様の方法で比較した。レプリコンRNAを、5’UTRにおけるU2->G変化を保有するベクターから、インビトロで転写した(U2->G VEEV-GFP)。発現の陽性対照として、野生型5’UTRを保有するベクターから、RNAをインビトロで転写した(WT VEEV-GFP)。BHK細胞を、U2->G VEEV-GFP RNA又は野生型VEEV-GFP RNAのいずれかの3μgで電気穿孔した。この比較についてのフローサイトメトリー分析の例を図2に示す。細胞を、FACSによりGFP発現について分析して、発現されたGFPタンパク質の存在及び細胞当たりで発現されたGFPの相対量(平均蛍光強度、MFI)の両方を実証した。U2->G 5’UTRを保有するレプリコンRNAからの生物活性の喪失がないばかりでなく、U2->G 5’UTR変化は、実際に、野生型5’UTRを有するレプリコンから検出された活性と比較して発現を3倍まで向上させた。
【0121】
今度も、この実施例で提示された実験データは、U2->G 5’UTR変化を保有するレプリコンベクターが、タンパク質(この場合GFP)を発現することができることを示している。おそらく、単純なタンパク質発現よりも更に予想外であったことは、U2->G VEEV-GFPレプリコンが、野生型VEEV-GFPレプリコンの発現よりも3倍以上のGFPを発現したことである。今一度、5’UTRにおけるU2->G変化のために予期された生物活性の予想される損失は実現せず、この結果は、5’UTRにおけるU2->G変化が、実際にGOIレプリコンの発現を有意に向上させることができることを実証した。
実施例5
5’UTRにおけるU2->G置換は、rFFレポーターの発現を2倍まで向上させる。
【0122】
この実施例は、赤ホタル(red Firefly、rFF)レポーター遺伝子の発現に対する改変アルファウイルスレプリコンの5’UTRにおけるU2->G置換の影響を評価する実験の結果を記載する。
【0123】
これらの実験では、5’UTRにおけるU2->G変化を含有するアルファウイルスレプリコンからの発現の別の例として、rFF遺伝子を発現しているレプリコンベクターを同様の方法で比較した。レプリコンRNAを、5’UTRにおけるU2->G変化を保有するベクターから、インビトロで転写した(U2->G VEEV-rFF)。発現の陽
性対照として、野生型5’UTRを保有するベクターから、RNAをインビトロで転写した(WT VEEV-rFF)。BHK細胞を、U2->G VEEV-rFF RNA又は野生型VEEV-rFF RNAのいずれかの3μgで電気穿孔した。ルシフェラーゼタンパク質発現の例を図3示す。この実験では、5’UTRにおいてU2->G変化を保有するように改変されたアルファウイルスレプリコン(U2->GアルファrFF)の能力を、野生型5’UTRを有するアルファウイルスレプリコン(アルファrFF)と比較した。BHK細胞を、レプリコンのいずれかからの等量のインビトロ転写RNAで電気穿孔した後、細胞をrFFルシフェラーゼ発現について分析した。細胞毎に発現されたルシフェラーゼの量(相対発光単位(relative light unit、RLU)として表される)
が提示される。U2->G 5’UTRを保有するレプリコンRNAからの生物活性の喪失がないばかりでなく、U2->G 5’UTR変化は、実際に、野生型5’UTRを有するレプリコンから検出された活性と比較して発現をおよそ2倍まで向上させた。
【0124】
今度も、この実施例で提示された実験データは、U2->G 5’UTR変化を保有するレプリコンベクターが、タンパク質(この場合rFF)を発現することができることを示している。おそらく、単純なタンパク質発現よりも更に予想外であったことは、U2->G VEEV-rFFレプリコンが、野生型VEEV-rFFレプリコンの発現よりも約2倍以上のrFFを発現したことである。今一度、5’UTRにおけるU2->G変化のために予期された生物活性の予想される損失は実現せず、この結果は、5’UTRにおけるU2->G変化が、実際にGOIレプリコンの発現を有意に向上させることができることを実証した。
実施例6
多価のVEEVレプリコンの設計
【0125】
本実施例は、多価VEEVレプリコンを構築及び評価するために実施される実験を記載し、この実験は、続いて、組み換え細胞中の少なくとも2つの異なるポリペプチドの発現のために展開される。いくつかの実験では、多価VEEVレプリコンは、5’から3’の順序で(i)非構造タンパク質媒介増幅に必要とされる5’配列、(ii)VEEV非構造タンパク質をコードするヌクレオチド配列nsP1、nsP2、nsP3、及びnsP4、(iii)それぞれが異種核酸配列に操作可能に連結された少なくとも2つのプロモーターであって、異種核酸配列が、VEEV構造タンパク質遺伝子のうちの1つ又は全てを置換する、少なくとも2つのプロモーター、(iv)非構造的タンパク質媒介増幅に必要な3’配列、及び(v)ポリアデニル酸塩経路を含む。
【0126】
本開示の特定の代替物が開示されてきたが、様々な修正及び組み合わせが可能であり、添付の特許請求の範囲の真の趣旨及び範囲内で想到されることを理解されたい。したがって、本明細書に提示される正確な要約及び開示に限定することを意図するものではない。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【配列表】
2023134488000001.app
【手続補正書】
【提出日】2023-07-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
改変レプリコンRNAを含む核酸分子であって、前記改変レプリコンRNAが、改変された5’-UTRを含み、かつウイルス構造タンパク質をコードする核酸配列の少なくとも一部を欠いている、核酸分子。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0126
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0126】
本開示の特定の代替物が開示されてきたが、様々な修正及び組み合わせが可能であり、添付の特許請求の範囲の真の趣旨及び範囲内で想到されることを理解されたい。したがって、本明細書に提示される正確な要約及び開示に限定することを意図するものではない。

以下に、本願の当初の特許請求の範囲に記載の発明を列挙する。
[発明1]
改変レプリコンRNAを含む核酸分子であって、前記改変レプリコンRNAが、改変された5’-UTRを含み、かつウイルス構造タンパク質をコードする核酸配列の少なくとも一部を欠いている、核酸分子。
[発明2]
前記改変レプリコンRNAが、改変アルファウイルスレプリコンRNAである、発明1に記載の核酸分子。
[発明3]
前記改変アルファウイルスレプリコンRNAが、改変アルファウイルスゲノムを含む、発明2に記載の核酸分子。
[発明4]
前記改変された5’-UTRが、1、2、4位、又はこれらの組み合わせにおける1つ以上のヌクレオチド置換を含む、発明1~3のいずれか一つに記載の核酸分子。
[発明5]
前記ヌクレオチド置換のうちの少なくとも1つが、前記改変された5’-UTRの2位におけるヌクレオチド置換である、発明4に記載の核酸分子。
[発明6]
前記改変された5’-UTRの2位における前記ヌクレオチド置換が、U->G置換である、発明5に記載の核酸分子。
[発明7]
前記改変レプリコンRNAが、ウイルス構造タンパク質をコードする核酸配列の実質的な部分を欠いている、発明1~6のいずれか一つに記載の核酸分子。
[発明8]
前記改変アルファウイルスゲノム又はレプリコンRNAが、ウイルス構造タンパク質をコードする核酸配列を含まない、発明1~7のいずれか一つに記載の核酸分子。
[発明9]
1つ以上の発現カセットを更に含み、前記発現カセットのそれぞれが、異種核酸配列に操作可能に連結されたプロモーターを含む、発明1~8のいずれか一つに記載の核酸分子。
[発明10]
前記改変レプリコンRNAが、トガウィルス科のアルファウイルス属に属するウイルスの改変ゲノム又はレプリコンRNAを含む、発明1~9のいずれか一つに記載の核酸分子。
[発明11]
前記改変ゲノム又はレプリコンRNAが、VEEV/EEEV群、又はSF群、又はSIN群に属するアルファウイルスのものである、発明10に記載の核酸分子。
[発明12]
前記アルファウイルスが、ベネズエラウマ脳炎ウイルス(VEEV)である、発明10に記載の核酸分子。
[発明13]
前記改変アルファウイルスゲノム又はレプリコンRNAが、異種調節エレメントに操作可能に連結されている、発明1~12のいずれか一つに記載の核酸分子。
[発明14]
改変アルファウイルスゲノム又はレプリコンRNAを含む核酸分子であって、前記核酸分子が、配列番号1の核酸配列と少なくとも80%の配列同一性を示し、前記改変アルファウイルスゲノム又はレプリコンRNAが、前記5’-非翻訳領域(5’-UTR)の2位におけるU->G置換を含み、かつウイルス構造タンパク質をコードする配列の少なくとも一部を欠いている、核酸分子。
[発明15]
前記核酸分子が、配列番号1の核酸配列と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を示す、発明14に記載の核酸分子。
[発明16]
改変アルファウイルスゲノム又はレプリコンRNAを含む核酸分子であって、前記改変アルファウイルスゲノム又はレプリコンRNAが、配列番号2~18のうちの少なくとも1つの核酸配列と少なくとも80%の配列同一性を示す5’-UTR、及び前記5’-UTRの2位におけるU->G置換を含み、前記改変アルファウイルスゲノム又はレプリコンRNAが、ウイルス構造タンパク質をコードする配列の少なくとも一部を欠いている、核酸分子。
[発明17]
前記改変アルファウイルスゲノム又はレプリコンRNAが、配列番号2~18のうちの少なくとも1つの核酸配列と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を示す5’-UTRを含む、発明16に記載の核酸分子。
[発明18]
前記改変アルファウイルスゲノム又はレプリコンRNAが、ウイルス構造タンパク質をコードする核酸配列の実質的な部分を欠いている、発明14~17のいずれか一つに記載の核酸分子。
[発明19]
前記改変アルファウイルスゲノム又はレプリコンRNAが、ウイルス構造タンパク質をコードする核酸配列を含まない、発明14~18のいずれか一つに記載の核酸分子。
[発明20]
発明1~19のいずれか一つに記載の核酸分子を含む組み換え細胞。
[発明21]
前記組み換え細胞が、原核細胞又は真核細胞である、発明20に記載の組み換え細胞。
[発明22]
前記組み換え細胞が、動物細胞である、発明20に記載の組み換え細胞。
[発明23]
目的のポリペプチドを産生するための方法であって、改変レプリコンRNAを含む核酸分子を含む宿主細胞を培養することを含み、前記改変レプリコンRNAが、改変された5-’UTRを含み、かつウイルス構造タンパク質をコードする核酸配列の少なくとも一部を欠いている、方法。
[発明24]
前記対象において目的のポリペプチドを産生するための方法であって、改変レプリコンRNAを含む核酸分子を前記対象に投与することを含み、前記改変レプリコンRNAが、改変された5-’UTRを含み、かつウイルス構造タンパク質をコードする核酸配列の少なくとも一部を欠いている、方法。
[発明25]
前記対象が、ヒト、ウマ、ブタ、霊長類、マウス、ウシ、豚類、ヒツジ、ウサギ、ネコ、イヌ、鳥、魚、ヤギ、ロバ、ハムスター、又はバッファローである、発明24に記載の方法。
[発明26]
前記改変レプリコンRNAが、改変アルファウイルスレプリコンRNAである、発明23~25のいずれか一つに記載の方法。
[発明27]
前記改変アルファウイルスレプリコンRNAが、改変アルファウイルスゲノムを含む、発明26に記載の方法。
[発明28]
前記改変された5’-UTRが、1、2、4位、又はこれらの組み合わせにおける1つ以上のヌクレオチド置換を含む、発明23~27のいずれか一つに記載の方法。
[発明29]
前記ヌクレオチド置換のうちの少なくとも1つが、前記改変された5’-UTRの2位におけるヌクレオチド置換である、発明28に記載の方法。
[発明30]
前記改変された5’-UTRの2位における前記ヌクレオチド置換が、U->G置換である、発明29に記載の方法。
[発明31]
前記改変レプリコンRNAが、ウイルス構造タンパク質をコードする核酸配列の実質的な部分を欠いている、発明23~30のいずれか一つに記載の方法。
[発明32]
前記改変アルファウイルスゲノム又はレプリコンRNAが、ウイルス構造タンパク質をコードする核酸配列を含まない、発明23~31のいずれか一つに記載の方法。
[発明33]
1つ以上の発現カセットを更に含み、前記発現カセットのそれぞれが、異種核酸配列に操作可能に連結されたプロモーターを含む、発明23~32のいずれか一つに記載の方法。
[発明34]
前記改変レプリコンRNAが、トガウィルス科のアルファウイルス属に属するウイルスの改変ゲノム又はレプリコンRNAを含む、発明23~33のいずれか一つに記載の方法。
[発明35]
前記改変ゲノム又はレプリコンRNAが、VEEV/EEEV群、又はSF群、又はSIN群に属するアルファウイルスのものである、発明34に記載の方法。
[発明36]
前記アルファウイルスが、ベネズエラウマ脳炎ウイルス(VEEV)である、発明34に記載の方法。
[発明37]
前記改変アルファウイルスゲノム又はレプリコンRNAが、異種調節エレメントに操作可能に連結されている、発明23~36のいずれか一つに記載の方法。
[発明38]
前記核酸分子が、改変アルファウイルスゲノム又はレプリコンRNAを含み、前記改変アルファウイルスゲノム又はレプリコンRNAが、配列番号1の核酸配列と少なくとも80%の配列同一性を示す5’-UTR、及び前記5’-UTRの2位におけるU->G置換を含み、前記改変アルファウイルスゲノム又はレプリコンRNAが、ウイルス構造タンパク質をコードする配列の少なくとも一部を欠いている、発明23又は24に記載の方法。
[発明39]
前記核酸分子が、配列番号1の核酸配列と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を示す、発明38に記載の方法。
[発明40]
前記核酸分子が、改変アルファウイルスゲノム又はレプリコンRNAを含み、前記改変アルファウイルスゲノム又はレプリコンRNAが、配列番号2~18のうちの少なくとも1つの核酸配列と少なくとも80%の配列同一性を示す5’-UTR、及び前記5’-UTRの2位におけるU->G置換を含み、前記改変アルファウイルスゲノム又はレプリコンRNAが、ウイルス構造タンパク質をコードする配列の少なくとも一部を欠いている、発明23又は24に記載の方法。
[発明41]
前記改変アルファウイルスゲノム又はレプリコンRNAが、配列番号2~18のうちの少なくとも1つの核酸配列と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を示す5’-UTRを含む、発明40に記載の方法。
[発明42]
発明23~41のいずれか一つに記載の方法によって産生される組み換えポリペプチド。
[発明43]
発明42に記載の組み換えポリペプチドと、薬学的に許容される担体とを含む、組成物。
[発明44]
発明1~19のいずれか一つに記載の核酸分子と、薬学的に許容される担体とを含む、組成物。
[発明45]
発明20~22のいずれか一つに記載の組み換え細胞と、薬学的に許容される担体とを含む、組成物。
【外国語明細書】