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特開2023-134495水/脂肪分離を伴うゼロエコー時間MR撮像
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  • 特開-水/脂肪分離を伴うゼロエコー時間MR撮像 図1
  • 特開-水/脂肪分離を伴うゼロエコー時間MR撮像 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023134495
(43)【公開日】2023-09-27
(54)【発明の名称】水/脂肪分離を伴うゼロエコー時間MR撮像
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/055 20060101AFI20230920BHJP
【FI】
A61B5/055 311
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023102245
(22)【出願日】2023-06-22
(62)【分割の表示】P 2020567833の分割
【原出願日】2019-05-30
(31)【優先権主張番号】18175926.7
(32)【優先日】2018-06-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】弁理士法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】エガース ホルガー
(72)【発明者】
【氏名】ファン デン ブリンク ヨハン サムエル
(57)【要約】      (修正有)
【課題】水/脂肪分離と組み合わせて無音ゼロエコー時間(ZTE)撮像を可能にすること。
【解決手段】被検体に第1の自己再集束ZTE撮像シーケンスを適用し、第1のシーケンスの勾配エコー信号が第1の繰返し時間TRにおいて第1の数Nだけ取得され、該第1の数Nのラジアルk空間スポークがk空間で第1の閉軌道を形成する。次に前記被検体に第2の自己再集束ZTE撮像シーケンスを適用し、第2のシーケンスの勾配エコー信号が第2の繰返し時間TRにおいて第2の数Nだけ取得され、該第2の数Nのラジアルk空間スポークがk空間で第2の閉軌道を形成し、NはNに等しくなく及び/又はTRがTRに等しくない。前記取得された勾配エコー信号からMR画像を再構成する際に2以上の化学種(水及び脂肪等)の信号寄与は、前記第1及び第2のシーケンスの勾配エコー信号に帰属する異なるエコー時間を利用して分離できる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気共鳴(MR)装置の検査ボリューム内に配置された被検体のMR撮像方法であって、前記方法は、
前記被検体に第1の自己再集束ゼロエコー時間撮像シーケンスを適用するステップであって、第1のシーケンスの勾配エコー信号が第1の繰返し時間TRにおいて第1の数Nのラジアルk空間スポークとして取得され、該第1の数Nのラジアルk空間スポークがk空間において第1の閉軌道を形成する、前記適用するステップと、
前記被検体に第2の自己再集束ゼロエコー時間撮像シーケンスを適用するステップであって、第2のシーケンスの勾配エコー信号が第2の繰返し時間TRにおいて第2の数Nのラジアルk空間スポークとして取得され、該第2の数Nのラジアルk空間スポークがk空間において第2の閉軌道を形成し、NはNと等しくなく及び/又はTRがTRと等しくない、前記適用するステップと、
取得された前記勾配エコー信号からMR画像を再構成するステップと
を有する、方法。
【請求項2】
前記取得された勾配エコー信号に対する2以上の化学種の信号寄与が、前記MR画像を再構成するステップにおいて、前記第1及び第2のシーケンスの勾配エコー信号の各勾配エコー信号に起因する異なるエコー時間を利用して分離される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1及び第2のシーケンスの勾配エコー信号の勾配エコー信号に起因する前記異なるエコー時間が、実効横緩和時間(T )加重MR画像及び/又はT マップを再構成するために利用される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1のゼロエコー時間撮像シーケンスは、
i) 読出し方向を定めるように読出し磁場勾配を設定するステップと、
ii) 前記読出し磁場勾配の存在の下でRFパルスを放射するステップと、
iii) 前記読出し磁場勾配の存在の下でFID信号をラジアルk空間スポークとして取得するステップと
を有するFID取得ループであって、k空間が、繰り返しから繰り返しへの読出し方向の漸進的な変化の下でステップi)からiii)を繰返し時間TRでN回繰り返すことにより前記第1の閉軌道に沿ってサンプリングされるFID取得ループと、これに続く、
iv) 前記読出し方向を定めるように前記読出し磁場勾配を再び設定するステップと、
v) 前記読出し磁場勾配の存在の下で勾配エコー信号をラジアルk空間スポークとして取得するステップと
を有する1以上の勾配エコー取得ループであって、k空間が、当該勾配エコー取得ループにおいて、繰り返しから繰り返しへの読出し方向の漸進的な変化の下でステップiv)及びv)を繰返し時間TRでN回繰り返すことにより前記第1の閉軌道に沿って再びサンプリングされる勾配エコー取得ループと、
を有する、請求項1から3の何れか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記第2のゼロエコー時間撮像シーケンスは、
vi) 読出し方向を定めるように読出し磁場勾配を設定するステップと、
vii) 前記読出し磁場勾配の存在の下でRFパルスを放射するステップと、
viii) 前記読出し磁場勾配の存在の下でFID信号をラジアルk空間スポークとして取得するステップと
を有するFID取得ループであって、k空間が、繰り返しから繰り返しへ読出し方向の漸進的な変化の下でステップvi)からviii)を繰返し時間TRでN回繰り返すことにより前記第2の閉軌道に沿ってサンプリングされるFID取得ループと、これに続く
ix) 前記読出し方向を定めるように前記読出し磁場勾配を再び設定するステップと、
x) 前記読出し磁場勾配の存在の下で、勾配エコー信号をラジアルk空間スポークとして取得するステップと
を有する1以上の勾配エコー取得ループであって、k空間が、繰り返しから繰り返しへの読出し方向の漸進的な変化の下で当該勾配エコー取得ループにおいて、ステップix)およびx)を繰り返し時間TRでN回繰り返すことにより前記第2の閉軌道に沿って再びサンプリングされる勾配エコー取得ループと、
を有する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記被検体に少なくとも1つの他の自己再集束ゼロエコー時間撮像シーケンスを適用するステップであって、他のシーケンスの勾配エコー信号が他の繰り返し時間TRにおいて他の数Nのラジアルk空間スポークとして取得され、該他の数Nのラジアルk空間スポークがk空間において他の閉軌道を形成し、NはN及びNの両方とは異なり及び/又はTRがTR及びTRの両方とは異なる、前記適用するステップと、
前記取得された勾配エコー信号からMR画像を再構成するステップであって、前記勾配エコー信号に対する前記2以上の化学種の信号寄与が、前記第1、前記第2及び前記他のシーケンスの勾配エコー信号のそれぞれの勾配エコー信号に起因する異なるエコー時間を利用して分離される、前記再構成するステップと
を更に有する、請求項1から5の何れか一項に記載の方法。
【請求項7】
、N及び、当てはまる場合は、Nの間の差、並びにTR、TR及び、当てはまる場合は、TRの間の差は、前記第1の、前記第2の及び、当てはまる場合は、前記他のシーケンスの勾配エコー信号に起因するエコー時間の間の差が1ミリ秒のオーダとなるように、決定される、請求項1から6の何れか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の、前記第2の、及び当てはまる場合は、前記他の自己再集束ゼロエコー時間撮像シーケンスの間に生じる動きの補正が、前記取得されたFID信号から導き出される、請求項1から7の何れか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記取得されたFID信号が、前記MR画像の再構成において雑音及び/又はT 加重を低減するために使用される、請求項1から8の何れか一項に記載の方法。
【請求項10】
検査ボリューム内に均一な静磁場を生成するための少なくとも1つの主磁石コイルと、前記検査ボリューム内に異なる空間方向に切り換えられる磁場勾配を生成するための複数の勾配コイルと、前記検査ボリューム内にRFパルスを発生し及び/又は該検査ボリューム内に配置された被検体からMR信号を受信するための少なくとも1つのRFコイルと、RFパルス及び切り換えられる磁場勾配の時間的連続を制御するための制御ユニットと、再構成ユニットと、有する磁気共鳴(MR)装置であって、該MR装置は、
前記被検体に第1の自己再収束ゼロエコー時間撮像シーケンスを適用することであって、第1のシーケンスの勾配エコー信号が第1の繰返し時間TRにおいて第1の数Nのラジアルk空間スポークとして取得され、該第1の数Nのラジアルk空間スポークがk空間において第1の閉軌道を形成する、前記適用することと、
前記被検体に第2の自己再収束ゼロエコー時間撮像シーケンスを適用することであって、第2のシーケンスの勾配エコー信号が第2の繰返し時間TRにおいて第2の数Nのラジアルk空間スポークとして取得され、該第2の数Nのラジアルk空間スポークがk空間において第2の閉軌道を形成し、NがNに等しくない及び/又はTRがTRに等しくない、前記適用することと、
前記取得された勾配エコー信号からMR画像を再構成することとと
を実行する、MR装置。
【請求項11】
磁気共鳴(MR)装置上で実行されるコンピュータプログラムであって、該コンピュータプログラムは、
第1の自己再収束ゼロエコー時間撮像シーケンスを発生する命令であって、第1のシーケンスの勾配エコー信号が第1の繰返し時間TRにおいて第1の数Nのラジアルk空間スポークとして取得され、該第1の数Nのラジアルk空間スポークがk空間において第1の閉軌道を形成する、命令と、
第2の自己再収束ゼロエコー時間撮像シーケンスを発生する命令であって、第2のシーケンスの勾配エコー信号が第2の繰返し時間TRにおいて第2の数Nのラジアルk空間スポークとして取得され、該第2の数Nのラジアルk空間スポークがk空間において第2の閉軌道を形成し、NがNに等しくない及び/又はTRがTRに等しくない、命令と、
前記取得された勾配エコー信号からMR画像を再構成する命令と
を有する、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気共鳴(MR)撮像の分野に関する。本発明は、少なくとも2つの異なる共鳴周波数を有する化学種のMR撮像方法に関する。本発明は、MR装置、およびMR装置上で実行されるコンピュータプログラムにも関する。
【背景技術】
【0002】
2次元または3次元画像を形成するために磁場と核スピンとの間の相互作用を利用する画像形成MR方法は、軟組織の画像化に関して多くの点で他の撮像方法よりも優れており、電離放射線を必要とせず、通常侵襲性ではないので、今日、特に医療診断の分野で広く使用されている。
【0003】
通常、MR法によれば、検査されるべき被検者の身体は、強力で均一な磁場(B磁場)内に配置され、その向きは、同時に、計測の基礎となる座標系の軸(通常はz軸)を規定する。該磁場は、定義された周波数(いわゆるラーモア周波数、またはMR周波数)の交番電磁場(RF場、B場とも呼ばれる)の印加によって励起(スピン共鳴)され得る磁場強度に応じて、個々の核スピンに対して様々なエネルギレベルを生成する。巨視的観点からは、個々の核スピンの分布は全体的な磁化を生成し、該磁化は磁場がz軸に垂直に延在している間に適切な周波数の電磁パルス(RFパルス)の印加により平衡状態から逸脱され得、その結果、磁化がz軸の周りで歳差運動を行う。該歳差運動は、その開口角がフリップ角と呼ばれる円錐の表面を描く。該フリップ角の大きさは、印加された電磁パルスの強度と持続時間に依存する。いわゆる90°パルスの場合、スピンはz軸から横断面(フリップ角90°)まで偏向される。
【0004】
RFパルスの終了後、上記磁化は元の平衡状態まで緩和し、ここで、z方向の磁化は第1の時定数T(スピン格子または縦緩和時間)で増加され、z方向に垂直な方向の磁化は第2の時定数T(スピン/スピンまたは横緩和時間)で緩和する。該磁化の変化は、磁化の変化がz軸に垂直な向きで測定されるようにしてMR装置の検査ボリューム内に配置及び配向された1つ以上の受信RFコイルによって検出できる。当該横方向磁化の減衰は、例えば、90°パルスの印加後に、核スピン(局所的な磁場の不均一性によって誘導される)の、同じ位相を有する秩序状態から全ての位相角が均一に分布する状態(ディフェージング)への遷移を伴う。デフェージングは再収束パルス(例えば、180°パルス)によって補償できる。これにより、受信コイルにエコー信号(スピンエコー)が生成される。
【0005】
身体内で空間分解能を実現するために、3つの主軸に沿って延びる線形磁場勾配が均一磁場に重ね合わされ、スピン共鳴周波数の線形空間依存性をもたらす。この場合、受信コイル内で取得される信号は、身体内の異なる位置に関連付けることができる異なる周波数の成分を含む。RFコイルを介して得られたMR信号データは、空間周波数ドメインに対応し、k空間データと呼ばれる。該k空間データは、通常、異なる位相符号化で取得された複数のラインを含む。各ラインは、複数のサンプルを取得することによってデジタル化される。一群のk空間データは、フーリエ変換または他の適切な再構成アルゴリズムによってMR画像に変換される。
【0006】
骨及び肺などの、横緩和時間が非常に短い組織のMR撮像が、ますます重要になってきている。この目的のためのほとんどすべての既知の方法は、基本的に三次元(3D)ラジアルk空間サンプリングを採用している。いわゆるゼロエコー時間(ZTE)技法では、読出し勾配が、高帯域幅の、従って短いハードRFパルスにより磁気共鳴を励起する前に設定される。このようにして、勾配符号化は、磁気共鳴が励起されると瞬時に開始する。自由誘導減衰(FID)信号の取得は、RFパルスの直後から開始され、その結果、実質的にゼロの‘エコー時間’(TE)となる。取得後、次のRFパルスを印加できる前の次の読み出し勾配の設定には最小限の時間しか必要とされず、従って、非常に短い繰り返し時間(TR)が可能になる。読み出し方向は、k空間の球形ボリュームが必要な程度にサンプリングされるまで、繰り返しから繰り返しへと増加的に変化される。TR期間の間に読出し勾配をオフする必要なしに、ZTE撮像を実質的に無音で実行できる。
【0007】
MR撮像では、水および脂肪のような異なる化学種の全体的な信号に対する相対的な寄与に関する情報を取得して、それらのいくつかの寄与を抑制するか、またはそれらのすべての寄与を別々にまたは一緒に分析することがしばしば望まれる。これらの寄与(寄与度)は、異なるエコー時間で取得された2以上の対応するエコーからの情報が組み合わされる場合に計算され得ることは既知である。これは化学シフト符号化とみなすことができ、該化学シフト符号化では、追加の次元、すなわち化学シフト次元が定義され、わずかに異なるエコー時間で2つの画像を取得することによって符号化される。特に、水/脂肪分離の場合、これらのタイプの実験は、しばしば、ディクソン(Dixon)タイプの測定と呼ばれる。水/脂肪分離は、脂肪および水における水素の歳差運動周波数の差が知られているために可能である。その最も単純な形態では、水および脂肪画像が、「同相」および「異相」データセットの加算または減算のいずれかによって生成される。他の化学シフトを有する他の化学種も、化学シフト符号化に基づいて同様に分離できる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
既知のディクソン型水/脂肪分離技術は、適切な画像化シーケンスによる異なるエコー時間での2以上の画像の取得に依存する。通常のZTE撮像では、エコー時間値がゼロの画像のみを取得する。したがって、既知のDixon技法は、従来のZTE撮像と組み合わせて適用できない。
【0009】
上述のことから、ZTE撮像の改善された方法が必要とされていることが容易に理解される。本発明の目的は、水/脂肪分離と組み合わせて「サイレント(無音)」ZTE撮像を可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、MR装置の検査ボリューム内に配置された被検体のMR撮像方法が開示される。本発明の方法は:
- 前記被検体に第1の自己再集束ゼロエコー時間撮像シーケンスを適用するステップであって、第1のシーケンスの勾配エコー信号が第1の繰り返し時間TRにおいて第1の数Nのラジアルk空間スポーク(輻)として取得され、該第1の数Nのラジアルk空間スポークがk空間において第1の閉軌道を形成する、前記適用するステップと、
- 前記被検体に第2の自己再集束ゼロエコー時間撮像シーケンスを適用するステップであって、第2のシーケンスの勾配エコー信号が第2の繰り返し時間TRにおいて第2の数Nのラジアルk空間スポークとして取得され、該第2の数Nのラジアルk空間スポークがk空間において第2の閉軌道を形成し、NがNとは等しくなく及び/又はTRがTRに等しくない、前記適用するステップと、
- 前記取得された勾配エコー信号からMR画像を再構成するステップと
を含む。
【0011】
勾配エコー信号に対する2つ以上の化学種の信号寄与は、第1および第2のシーケンスの勾配エコー信号のそれぞれの勾配エコー信号に帰属する異なるエコー時間を利用して分離できる。
【0012】
本発明は、米国特許出願公開第2017/0307703号明細書に提案されているような自己再集束ZTE撮像シーケンスを採用する。自己再収束ZTE撮像シーケンスでは、勾配エコー再収束が従来のZTE撮像シーケンスに追加される。従来のZTE撮像におけるのと同様に、読み出し勾配の振幅は一定に保たれ、k空間の完全な球状ボリュームがサンプリングされるまで読み出し勾配の方向的更新のみが繰り返しの間に適用され、その結果、無音三次元ラジアル撮像が得られる。RF励起は、読み出し勾配が存在する状態で短いRFパルスによって達成される。自己再集束ZTE撮像シーケンスは複数の(2以上の)セグメントに編成され、各セグメントは複数のループに分割される。各ループは、複数のラジアルk空間スポークの取得を含む。RF励起は、最初のループ(FID取得ループ)でのみ実行され、後続の第2およびさらなるループ(勾配エコー取得ループ)では実行されない。各ループのラジアルk空間スポークは、k空間において閉じた軌道を累積的に形成する。このようにして、第2およびさらなるループは、第1のループで励起された初期FIDの勾配エコーを形成する。勾配エコーのエコー時間TEは、
TE=(e-1)*N*TR
で与えられ、ここで、TRはラジアル取得の繰り返し時間であり、eはループカウンタであり、Nは各ループで取得されるラジアルk空間スポークの数である。TRは、典型的には短い(ミリ秒のオーダ)。読み出し勾配の振幅は取得を通して一定に保たれるが、読み出し勾配の方向は各TRで更新される。自己再収束ZTE撮像シーケンスが無音のままとなるためには、読出し勾配方向を一度にあまり変えないようにしなければならない。これは、Nを小さくできず、勾配エコーのTEを短くできないことを伴う。他方、ディクソン水/脂肪分離法が堅牢であるためには、エコー間隔は短くなければならない。したがって、本発明により、以下に記載されるマルチ取得戦略の適用が既知の自己再集束ZTE撮像シーケンスの斯かる制限を克服するために提案される。
【0013】
本発明は、自己再集束ZTE撮像シーケンスが、上述の第1および第2の自己再集束ZTE撮像シーケンスを適用することによって繰り返され、その場合において、第2の自己再集束ZTE撮像シーケンスの個々のループで使用されるラジアルk空間スポークの数および/または繰り返し時間(N,TR)が、第1の自己再集束ZTE撮像シーケンスで使用されるラジアルk空間スポークの数および/または繰り返し時間(N,TR)とは異なるようにすることを提案する。ZTE撮像シーケンスの2つの事例で使用されるスポークの数及び/又は繰り返し時間の間の差は、取得された第1系列の勾配エコーの勾配エコー信号に帰属するエコー時間が、取得された第2系列の勾配エコー信号の勾配エコー信号に帰属するエコー時間と異なることを伴う。この差、すなわち、
ΔTE=|N*TR‐N*TR
により与えられる、所謂エコー間隔は、第1および第2のZTE撮像シーケンスでそれぞれ使用されるラジアルk空間スポークの数および/または繰り返し時間値を適切に選択することによって、必要に応じて調整できる。k空間スポークの数および繰り返し時間値が類似するように選択された場合、結果として生じるエコー間隔は1ミリ秒のオーダであり得、これは、それ自体既知のDixon技術によるロバストな水/脂肪分離によく適している。本発明の方法に主に適用可能な、任意のエコー時間でサンプリングされたMR信号からの水/脂肪分離のための技術は、例えば、Eggers他により(Magnetic Resonance in Medicine,65:96-107,2011)に記載されている。
【0014】
本コンテキストにおいて、本発明の方法は、同じk空間位置が2つ以上の異なるエコー時間でサンプリングされることを必要としないことに留意されたい。本発明による第1および第2のZTE撮像シーケンスで使用されるk空間スポークの数が異なるため、取得されるk空間位置は一般に異なる。異なるエコー時間においてサンプリングされるk空間位置の数と分布は、十分な品質のMR画像を再構成するために、個々にまたは集合的に、適切でなければならないだけである。
【0015】
本発明の典型的な実施形態では、化学種の信号寄与度の分離が信号モデルに基づいて実行される。該信号モデルは、取得される勾配エコー信号をそれぞれのエコー時間の関数(異なる数のk空間スポークと繰り返し時間値によって決定される)として理論的に記述する。該信号モデルは、化学種の各々の(未知の)スピン密度および(先験的に分かる)MRスペクトルを少なくとも含む。該信号モデルは、さらに、検査ボリューム内の主磁場の(未知の)空間変動を含んでもよい。主磁場のいかなる不均一性も、取得される勾配エコー信号に位相誤差を生じさせ、これは化学シフトによって誘導される位相オフセットと区別する必要があるからである。化学種の信号寄与が分離されるMR画像を再構成する処理において、取得された勾配エコー信号に最も良く適合する信号モデルの全ての未知のパラメータの値が求められる。
【0016】
水/脂肪分離に加えて、本発明によって提供される短いエコー間隔も、とりわけ、「サイレント」実効横緩和時定数(T )加重画像化および定量化に有利である。
【0017】
本明細書で使用される用語「ラジアルk空間スポーク」は、直線状および湾曲したラジアルk空間スポークの両方をカバーするものであると理解されるべきである。湾曲ラジアルk空間スポークは、勾配エコー信号の取得中における読み出し方向の1回のみ、繰り返し、または連続的な変化を伴う。可能な実施態様において、湾曲ラジアルk空間スポークは、本発明の意味においてk空間内に第1及び/又は第2の閉じた軌道として円を形成できる。
【0018】
本発明は、異なる数のk空間スポーク又は異なる繰り返し時間値を有する2つのZTE撮像シーケンスの適用に限定されない。本発明は、前記被検体に少なくとも1つの他の自己再集束ゼロエコー時間撮像シーケンスを適用するステップであって、他のシーケンスの勾配エコー信号が他の繰り返し時間TRにおいて他の数N(i=3、4、…)のラジアルk空間スポークとして取得され、該他の数Nのラジアルk空間スポークがk空間において他の閉軌道を形成し、NがN及びNの両方とは等しくないステップ;及び前記取得された勾配エコー信号からMR画像を再構成するステップであって、前記勾配エコー信号に対する2つ以上の化学種の信号寄与が、第1、第2及び他のシーケンスの勾配エコー信号のそれぞれの勾配エコー信号に帰属する異なるエコー時間を利用して分離されるステップを有することができる。
【0019】
また、FID信号を取得して、MR画像の再構成を改善するために、例えば、スピン密度および/または主磁場の空間変動を決定するために使用できる。これらは、雑音及び/又はT 重み付けの低減を可能にする。さらに、第1、第2、および、適用可能な場合には、他の自己再集束ZTE撮像シーケンスの間で生じる動きの補正が、FID信号に基づくもの、例えば、FID信号を動き検出または動き補償のためのナビゲータとして使用し得る。
【0020】
これまで説明した本発明の方法は、検査ボリューム内に均一な定常磁場を生成するための少なくとも1つの主磁石コイルと、前記検査ボリューム内で異なる空間方向に切り換えられる磁場勾配を生成するための複数の勾配コイルと、前記検査ボリューム内にRFパルスを発生するための、および/または前記検査ボリューム内に位置する患者の身体からMR信号を受信するための少なくとも1つのRFコイルと、RFパルスおよび切り換えられる磁場勾配の時間的連続を制御するための制御ユニットと、再構成ユニットと、を含むMR装置によって実施できる。本発明の方法は、好ましくは、上記MR装置の再構成ユニット及び/又は制御ユニットの対応するプログラミングによって実施される。
【0021】
本発明の方法は、現在臨床使用されているほとんどのMR装置において有利に実施できる。この目的のためには、本発明の上述の方法ステップを実行するようにMR装置が制御されるコンピュータプログラムを利用することのみが必要である。該コンピュータプログラムは、データ担体上に存在してもよいし、又は前記MR装置の制御ユニットにインストールするためにダウンロードされるようにデータネットワーク内に存在してもよい。
【0022】
添付の図面は、本発明の好ましい実施形態を開示する。しかしながら、図面は例示のみを目的とするものであり、本発明の限定の定義としてデザインされたものではないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、本発明の方法を実施するためのMR装置を概略的に示す。
図2図2は、本発明による繰り返し自己再集束ZTE撮像方法のk空間サンプリングの例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1を参照すると、本発明の方法を実施するために使用できるMR装置1が示されている。この装置は、実質的に均一で時間的に一定の主磁場Bが検査ボリュームを通るz軸に沿って生成されるように、超伝導または抵抗性主磁石コイル2を備える。装置は、さらに、(1次、2次、及び該当する場合は3次)シムコイルの組2´を含み、該組2´の個々のシムコイルを通る電流は、検査ボリューム内のB偏差を最小限に抑えるために制御可能である。
【0025】
磁気共鳴生成および操作システムは、一連のRFパルスおよび切り換えられる磁場勾配を適用して、核磁気スピンを反転または励起し、磁気共鳴を誘導し、磁気共鳴を再集束し、磁気共鳴を操作し、磁気共鳴を空間的におよび他の方法で符号化し、スピンを飽和させ、および同様のものを行ってMR撮像を行う。
【0026】
より具体的には、勾配パルス増幅器3は、検査ボリュームのx、yおよびz軸に沿う全身勾配コイル4、5および6の選択されたものに電流パルスを印加する。デジタルRF周波数送信機7は、送信/受信スイッチ8を介して身体RFコイル9にRFパルスまたはパルスパケットを送信し、RFパルスを検査ボリュームに送信する。典型的なMR撮像シーケンスは、短い持続時間のRFパルスセグメントのパケットから構成され、任意の印加された磁場勾配と一緒になって、核磁気共鳴の選択された操作を達成する。RFパルスは、飽和させ、共鳴を励起させ、磁化を反転させ、共鳴を再集束させ、又は共鳴を操作し、検査ボリューム内に配置された身体10の一部を選択するために使用される。また、MR信号は身体RFコイル9によってピックアップされる。
【0027】
並列撮像によって身体10の限定された領域のMR画像を生成するために、1組のローカルアレイRFコイル11、12、13が、撮像のために選択された領域に隣接して配置される。アレイコイル11、12、13は、身体コイルRF送信によって誘導されるMR信号を受信するために使用できる。
【0028】
結果としてのMR信号は、RF身体コイル9および/またはRFアレイコイル11、12、13によってピックアップされ、好ましくは前置増幅器(図示せず)を含む受信機14によって復調される。受信機14は、送信/受信スイッチ8を介してRFコイル9、11、12および13に接続される。
【0029】
ホストコンピュータ15は、本発明によるZTE撮像シーケンスを生成するために、シムコイル2´を通る電流の流れを並びに勾配パルス増幅器3及び送信機7を制御する。受信機14は、各RF励起パルスに続いて迅速に連続する複数のMRデータラインを受信する。データ取得システム16は、受信信号のアナログ/デジタル変換を実行し、各MRデータラインを更なる処理に適したデジタルフォーマットに変換する。現代のMR装置では、データ取得システム16が、生の画像データの取得に特化された別個のコンピュータである。
【0030】
最終的に、上記デジタル生画像データは、適切な再構成アルゴリズムを適用する再構成プロセッサ17によって画像表現に再構成される。該MR画像は、3次元ボリュームを表す。次いで、該画像は画像メモリに記憶され、そこで、当該画像表現の投影又は他の部分を、例えば、結果として得られるMR画像の人間が読み取り可能な表示を提供するビデオモニタ18を介しての視覚化のための適切なフォーマットに変換するためにアクセスされてもよい。
【0031】
本発明によって適用される「無音」ZTE技術の本質は、「周波数符号化」読み出し磁場勾配がオンされている間にRF励起パルスが送信されることである。読出し磁場勾配はスライス選択勾配としては意図されておらず、これは、十分な励起帯域幅を達成するためにRFパルスが極端に短くなければならないことを意味する(典型的には1μsまたは10μsのオーダ)。代わりに、周波数掃引を伴うRFパルスを適用してもよい。FID信号の読み出しは、読み出し磁場勾配の存在下でのRFパルスの直後の期間の間に行われる。これらの期間も、好ましくは短い(典型的には、100μsまたは1msのオーダ)。読出し磁場勾配は、各励起/読出しサイクルにわたって、両方とも実質的に一定のままである強度および方向を有する。各励起/読み出しサイクルの後、方向は徐々にのみ、例えば、数度(例えば、2°)だけ、変化される。k空間の完全なサンプリングのために、球状ボリュームが十分な密度でカバーされるまで、読み出し磁場方向が変化される。
【0032】
本発明によれば、自己再集束ZTE撮像は、勾配エコー再集束メカニズムによって達成される。パルスシーケンスは、複数の(2つ以上の)セグメントに編成され、各セグメントは複数のループに分割される。各ループは、多数のラジアルk空間スポークの取得を含む。RF励起は、第1のループ(FID取得ループ)の対してのみアクティブであり、その後、後続の第2およびさらなるループ(勾配エコー取得ループ)に対してはオフにされる。各ループのラジアルk空間スポークは、k空間における閉じた軌道を形成する。このようにして、後のループは、初期ループで励起された初期FIDの勾配エコーを形成する。本発明によって採用される自己再集束ZTE撮像シーケンスの詳細に関しては、米国特許出願公開第2017/0307703号明細書を参照されたい。
【0033】
本発明は、自己再集束ZTE撮像シーケンスが第1および第2の自己再集束ZTE撮像シーケンスの適用によって繰り返され、その場合において、第2の自己再集束ZTE撮像シーケンスの個々のループで使用されるラジアルk空間スポークの数および/または繰り返し時間(N,TR)が第1の自己再集束ZTE撮像シーケンスの個々のループで使用されるラジアルk空間スポークの数および/または繰り返し時間(N,TR)とは異なるようにすることを提案する。
【0034】
より詳細には、第1のゼロエコー時間撮像シーケンスは:
i)読み出し方向を定めるように読み出し磁場勾配を設定するステップ;
ii)前記読出し磁場勾配の存在下でRFパルスを放射するステップ;及び
iii)前記読み出し磁場勾配の存在下でFID信号をラジアルk空間スポークとして取得するステップ;
を有するFID取得ループを含む。K空間は、ステップi)からiii)を繰り返し時間TRで、繰り返しから繰り返しへの読出し方向の漸進的な変化の下で繰り返すことにより、第1の閉じた軌道に沿ってサンプリングされる。該FID取得ループの後には1つ以上の勾配エコー取得ループが続き、これら勾配エコー取得ループの各々は:
iv)読み出し方向を定めるように読み出し磁場勾配を再び設定するステップ;及び
v)前記読み出し磁場勾配の存在の下で、勾配エコー信号をラジアルk空間スポークとして取得するステップ;
を有する。K空間は、勾配エコー取得ループにおいて、繰り返しから繰り返しへの読出し方向の漸進的な変化の下で、ステップiv)及びv)を繰り返し時間TRでN回繰り返すことによって、ここでも第1の閉軌道に沿ってサンプリングされる。同様に、後続の第2のゼロエコー時間撮像シーケンスは、以下のステップ、
vi)読み出し方向を定めるように読み出し磁場勾配を設定するステップ;
vii)前記読出し磁場勾配の存在の下でRFパルスを放射するステップ;及び
viii)前記読出し磁場勾配の存在の下でFID信号をラジアルk空間スポークとして取得するステップであって、k空間が、ステップvi)~viii)を繰り返し時間TRで、繰り返しから繰り返しへ読出し方向を徐々に変化させることによって、N回繰り返すことにより第2の閉軌道に沿ってサンプリングされるステップを有するFID取得ループを含む。この第2のゼロエコー時間撮像シーケンスのFID取得ループの後に、それぞれが以下のステップ、
ix)再び読み出し方向を定めるように読み出し磁界勾配を設定するステップ;及び
x)前記読み出し磁場勾配の存在の下で、勾配エコー信号をラジアルk空間スポークとして取得するステップを含む1つまたは複数の勾配エコー取得ループが続く。ここでも、k空間は、繰り返しから繰り返しへの読出し方向の漸進的な変化のもとで、繰り返し時間TRでステップix)およびx)をN回繰り返すことによって、第2の閉軌道に沿い勾配エコー取得ループにおいてサンプリングされる。ZTE撮像シーケンスの該2つの事例で適用されるスポークの数(N,N)の間の差および/または繰り返し時間(TR,TR)間の差は、取得された第1の系列の勾配エコー信号の勾配エコー信号に帰属するエコー時間が、取得された第2の系列の勾配エコー信号の勾配エコー信号に帰属するエコー時間と異なることを伴う。k空間スポークの数(N,N)及び繰り返し時間値(TR,TR)が類似するように選択された場合、結果のエコー間隔は1ミリ秒のオーダになり得、これはDixonアルゴリズムによる強固な水分/脂肪分離によく適している。したがって、MR画像は、勾配エコー信号に対する2つ以上の化学種(例えば、水および脂肪など)の信号寄与が第1および第2のシーケンスの勾配エコー信号の勾配エコー信号にそれぞれ帰属する異なるエコー時間を利用して分離されるような、取得された勾配エコー信号から再構成される。
【0035】
図2は、本発明に従った繰り返し自己再収束ZTE撮像方法によるk空間サンプリングの一例を示す。該図は、セグメント化ラジアル取得の事例を、第1のZTE撮像シーケンスに対してセグメント当たりN=8のk空間スポーク(左図)、および第2のZTE撮像シーケンス対してセグメント当たりN=9のk空間スポーク(右図)で概略的に示す。実線の矢印はFID信号のk空間サンプリングを示し、破線は、それぞれ8回または9回の繰り返し後の勾配エコーとして最初のFID信号を再集束する結果としての累積的な閉じたk空間軌道を示す。N=8およびN=9に対してそれぞれ生成される勾配エコー信号のエコー時間は、この実施形態では、1つの繰り返し時間TR=TR=TRだけ異なる。TRは、強固な水/脂肪分離が可能になるように、1ミリ秒のオーダである。
【0036】
同様に、勾配エコー信号に起因する異なるエコー時間は、TRとTRに異なる値を選択することによって達成できる。たとえば、N=N=8、TR=1.0ms、TR=1.125msとすると、TR=1.0ms、TR=1.125msでそれぞれ生成される勾配エコー信号のエコー時間は、この場合も1ミリ秒だけ異なる。長いTRで自己再収束ZTE撮像シーケンスに対するスポイルを増加させるか、又は読出し磁場勾配強度を減少させることにより、異なる繰り返し時間を得ることができる。いずれの場合も、フリップ角掃引を実施するためにシーケンスの各々にわたって系統的に変化し得るRF励起パルスのフリップ角は、例えばTRの差によるコントラストの差を最小限に抑えるために、2つの自己再集束ZTE撮像シーケンスに対して異なるように選択され得る。
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2023-07-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査ボリューム内に均一な静磁場を生成するための少なくとも1つの主磁石コイルと、前記検査ボリューム内に異なる空間方向に切り換えられる磁場勾配を生成するための複数の勾配コイルと、前記検査ボリューム内にRFパルスを発生し及び/又は該検査ボリューム内に配置された被検体からMR信号を受信するための少なくとも1つのRFコイルと、RFパルス及び切り換えられる磁場勾配の時間的連続を制御するための制御ユニットと、再構成ユニットと、有する磁気共鳴(MR)装置であって、該MR装置は、
前記被検体に第1の自己再収束ゼロエコー時間撮像シーケンスを適用することであって、第1のシーケンスの勾配エコー信号が第1の繰返し時間TRにおいて第1の数Nのラジアルk空間スポークとして取得され、該第1の数Nのラジアルk空間スポークがk空間において第1の閉軌道を形成し、前記第1の自己再集束ゼロエコー時間撮像シーケンスが、
i) 読出し方向を定めるように読出し磁場勾配を設定することと、
ii) 前記読出し磁場勾配の存在の下でRFパルスを放射することと、
iii) 前記読出し磁場勾配の存在の下でFID信号をラジアルk空間スポークとして取得することと
を有するFID取得ループであって、k空間が、繰り返しから繰り返しへの読出し方向の漸進的な変化の下でステップi)からiii)を繰返し時間TR でN 回繰り返すことにより前記第1の閉軌道に沿ってサンプリングされるFID取得ループと、これに続く、
iv) 前記読出し方向を定めるように前記読出し磁場勾配を再び設定することと、
v) 前記読出し磁場勾配の存在の下で勾配エコー信号をラジアルk空間スポークとして取得することと
を有する1以上の勾配エコー取得ループであって、k空間が、当該勾配エコー取得ループにおいて、繰り返しから繰り返しへの読出し方向の漸進的な変化の下でiv)及びv)を繰返し時間TR でN 回繰り返すことにより前記第1の閉軌道に沿って再びサンプリングされる勾配エコー取得ループと、
を有する、前記適用することを実行するMR装置において、前記MR装置がさらに、
前記被検体に第2の自己再収束ゼロエコー時間撮像シーケンスを適用することであって、第2のシーケンスの勾配エコー信号が第2の繰返し時間TRにおいて第2の数Nのラジアルk空間スポークとして取得され、該第2の数Nのラジアルk空間スポークがk空間において第2の閉軌道を形成し、前記第2の自己再集束ゼロエコー時間撮像シーケンスが、
vi) 読出し方向を定めるように読出し磁場勾配を設定することと、
vii) 前記読出し磁場勾配の存在の下でRFパルスを放射することと、
viii) 前記読出し磁場勾配の存在の下でFID信号をラジアルk空間スポークとして取得することと
を有するFID取得ループであって、k空間が、繰り返しから繰り返しへ読出し方向の漸進的な変化の下でvi)からviii)を繰返し時間TR でN 回繰り返すことにより前記第2の閉軌道に沿ってサンプリングされるFID取得ループと、これに続く
ix) 前記読出し方向を定めるように前記読出し磁場勾配を再び設定することと、
x) 前記読出し磁場勾配の存在の下で、勾配エコー信号をラジアルk空間スポークとして取得することと
を有する1以上の勾配エコー取得ループであって、k空間が、繰り返しから繰り返しへの読出し方向の漸進的な変化の下で当該勾配エコー取得ループにおいて、ix)およびx)を繰り返し時間TR でN 回繰り返すことにより前記第2の閉軌道に沿って再びサンプリングされる勾配エコー取得ループと、を有し、はNと等しくなく及び/又はTRがTRと等しくなく、したがって前記第1のシーケンス及び前記第2のシーケンスの勾配エコー信号のそれぞれの前記勾配エコー信号に、異なるエコー時間が帰属し、前記勾配エコーのエコー時間TEは、
TE=(e-1)*N*TR
で与えられ、ここで、TRはラジアル取得の繰り返し時間であり、eはループカウンタであり、Nは各ループで取得されるラジアルk空間スポークの数である、前記適用することと、
前記取得された勾配エコー信号からMR画像を再構成することとと
を実行することを特徴とする、MR装置。
【請求項2】
前記取得された勾配エコー信号に対する2以上の化学種の信号寄与が、前記第1及び第2のシーケンスの勾配エコー信号の各勾配エコー信号に起因する異なるエコー時間を利用して分離される、請求項1に記載のMR装置
【請求項3】
前記第1及び第2のシーケンスの勾配エコー信号の勾配エコー信号に起因する前記異なるエコー時間が、実効横緩和時間(T )加重MR画像及び/又はT マップを再構成するために利用される、請求項1に記載のMR装置
【請求項4】
前記被検体に少なくとも1つの他の自己再集束ゼロエコー時間撮像シーケンスを適用することであって、他のシーケンスの勾配エコー信号が他の繰り返し時間TRにおいて他の数Nのラジアルk空間スポークとして取得され、該他の数Nのラジアルk空間スポークがk空間において他の閉軌道を形成し、NはN及びNの両方とは異なり及び/又はTRがTR及びTRの両方とは異なる、前記適用することと、
前記取得された勾配エコー信号からMR画像を再構成することであって、前記勾配エコー信号に対する前記2以上の化学種の信号寄与が、前記第1、前記第2及び前記他のシーケンスの勾配エコー信号のそれぞれの勾配エコー信号に起因する異なるエコー時間を利用して分離される、前記再構成すること
を更に実行する、請求項1からの何れか一項に記載のMR装置
【請求項5】
、N及び、当てはまる場合は、Nの間の差、並びにTR、TR及び、当てはまる場合は、TRの間の差は、前記第1の、前記第2の及び、当てはまる場合は、前記他のシーケンスの勾配エコー信号に起因するエコー時間の間の差が1ミリ秒のオーダとなるように、決定される、請求項1からの何れか一項に記載のMR装置
【請求項6】
前記第1の、前記第2の、及び当てはまる場合は、前記他の自己再集束ゼロエコー時間撮像シーケンスの間に生じる動きの補正が、前記取得されたFID信号から導き出される、請求項1に記載のMR装置
【請求項7】
前記取得されたFID信号が、前記MR画像の再構成において雑音及び/又はT 加重を低減するために使用される、請求項1に記載のMR装置
【請求項8】
磁気共鳴(MR)装置上で実行されるコンピュータプログラムであって、該コンピュータプログラムは、
第1の自己再収束ゼロエコー時間撮像シーケンスを発生する命令であって、第1のシーケンスの勾配エコー信号が第1の繰返し時間TRにおいて第1の数Nのラジアルk空間スポークとして取得され、該第1の数Nのラジアルk空間スポークがk空間において第1の閉軌道を形成し、前記第1の自己再集束ゼロエコー時間撮像シーケンスが、
i) 読出し方向を定めるように読出し磁場勾配を設定するステップと、
ii) 前記読出し磁場勾配の存在の下でRFパルスを放射するステップと、
iii) 前記読出し磁場勾配の存在の下でFID信号をラジアルk空間スポークとして取得するステップと
を有するFID取得ループであって、k空間が、繰り返しから繰り返しへの読出し方向の漸進的な変化の下でステップi)からiii)を繰返し時間TR でN 回繰り返すことにより前記第1の閉軌道に沿ってサンプリングされるFID取得ループと、これに続く、
iv) 前記読出し方向を定めるように前記読出し磁場勾配を再び設定するステップと、
v) 前記読出し磁場勾配の存在の下で勾配エコー信号をラジアルk空間スポークとして取得するステップと
を有する1以上の勾配エコー取得ループであって、k空間が、当該勾配エコー取得ループにおいて、繰り返しから繰り返しへの読出し方向の漸進的な変化の下でステップiv)及びv)を繰返し時間TR でN 回繰り返すことにより前記第1の閉軌道に沿って再びサンプリングされる勾配エコー取得ループと、
を有する、命令を有する、コンピュータプログラムにおいて、前記コンピュータプログラムがさらに、
第2の自己再収束ゼロエコー時間撮像シーケンスを発生する命令であって、第2のシーケンスの勾配エコー信号が第2の繰返し時間TR2において第2の数N2のラジアルk空間スポークとして取得され、該第2の数N2のラジアルk空間スポークがk空間において第2の閉軌道を形成し、前記第2の自己再集束ゼロエコー時間撮像シーケンスが、
vi) 読出し方向を定めるように読出し磁場勾配を設定するステップと、
vii) 前記読出し磁場勾配の存在の下でRFパルスを放射するステップと、
viii) 前記読出し磁場勾配の存在の下でFID信号をラジアルk空間スポークとして取得するステップと
を有するFID取得ループであって、k空間が、繰り返しから繰り返しへ読出し方向の漸進的な変化の下でステップvi)からviii)を繰返し時間TR でN 回繰り返すことにより前記第2の閉軌道に沿ってサンプリングされるFID取得ループと、これに続く
ix) 前記読出し方向を定めるように前記読出し磁場勾配を再び設定するステップと、
x) 前記読出し磁場勾配の存在の下で、勾配エコー信号をラジアルk空間スポークとして取得するステップと
を有する1以上の勾配エコー取得ループであって、k空間が、繰り返しから繰り返しへの読出し方向の漸進的な変化の下で当該勾配エコー取得ループにおいて、ステップix)およびx)を繰り返し時間TR でN 回繰り返すことにより前記第2の閉軌道に沿って再びサンプリングされる勾配エコー取得ループと、を有し、はNと等しくなく及び/又はTRがTRと等しくなく、したがって前記第1のシーケンス及び前記第2のシーケンスの勾配エコー信号のそれぞれの前記勾配エコー信号に、異なるエコー時間が帰属し、前記勾配エコーのエコー時間TEは、
TE=(e-1)*N*TR
で与えられ、ここで、TRはラジアル取得の繰り返し時間であり、eはループカウンタであり、Nは各ループで取得されるラジアルk空間スポークの数である、命令と、
前記取得された前記勾配エコー信号からMR画像を再構成する命令と
を有することを特徴とする、コンピュータプログラム。
【外国語明細書】