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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023134509
(43)【公開日】2023-09-27
(54)【発明の名称】ポリマー材料の調製のための方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 43/34 20060101AFI20230920BHJP
   D04B 1/16 20060101ALI20230920BHJP
   D04B 1/18 20060101ALI20230920BHJP
   D04B 1/22 20060101ALI20230920BHJP
   D01F 1/04 20060101ALI20230920BHJP
   D01F 1/09 20060101ALI20230920BHJP
【FI】
B29C43/34
D04B1/16
D04B1/18
D04B1/22
D01F1/04
D01F1/09
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023103564
(22)【出願日】2023-06-23
(62)【分割の表示】P 2021554655の分割
【原出願日】2020-03-11
(31)【優先権主張番号】1902450
(32)【優先日】2019-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】516100067
【氏名又は名称】サン-ゴバン パフォーマンス プラスティクス フランス
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】デュモン、ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】マオ、ガエタン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ポリマー製品の製造のための方法を提供する。
【解決手段】本開示は、乾燥した編まれたプレフォームから、特に熱可塑性のポリマー材料から製造される少なくとも1つの区画を備える製品を製造するための方法に関する。乾燥したプレフォームは、得られる最終製品の形状に対応する連続的部分の横編みにより、三次元で製造される。プレフォームは、次に型内で加圧下での加熱により圧密化され、次に冷却される。
【効果】本発明による方法は、制御された厚さのポリマー材料製の部分を得ることが可能になるため、特に有利であり、最終製品は結合部を有さず、異なる部分の組み立てを必要としない。本方法では、材料のいかなる損失または落下もない。本発明による方法は、周囲温度において毒性を有する揮発性成分のいかなる放出も伴わない。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマー製品の製造のための方法であって、
a)糸または一組の糸を横編みする工程であって、前記糸または一組の糸が、90体積
%~100体積%のポリマー材料を含む工程と、
b)三次元で、連続的部分として乾燥したプレフォームを製造する工程であって、前記
プレフォームが、得られる最終製品の形状に対応する工程と、
c)加圧下で加熱して、前記90%~100%のポリマー材料の少なくとも融解温度に
到達させることにより、前記プレフォームを圧密化する工程と、
d)前記最終製品を冷却する工程と、を含む方法。
【請求項2】
前記横編みが、直線の横糸を編むことにより実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記最終製品の少なくとも1つの区画が、95体積%~100体積%のポリマー材料を
含む、請求項1および2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
前記ポリマー材料が、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリウレタン
、PMMA、低密度ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエ
ーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)またはそれらの組み
合わせから選択される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記乾燥したプレフォームが、2行/cm~7行/cm、好ましくは3行/cm~6行
/cm、および2列/cm~3列/cm、の密度で製造される、先行請求項のいずれか一
項に記載の方法。
【請求項6】
前記乾燥したプレフォームが、100g/m~1500g/mの、好ましくは50
0g/m~1300g/mの単位面積当たりの重量を有する、先行請求項のいずれか
一項に記載の方法。
【請求項7】
工程b)の後、コンポジット製品を形成しようとするプレフォーム上に、前記ポリマー
材料の乾燥したプレフォームが堆積され、工程c)がさらに、2つの前記プレフォームを
一緒に圧密化させることを含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
工程b)の後、前記ポリマー材料の乾燥したプレフォームが、前に圧密化されたコンポ
ジット部分上に堆積され、工程c)がさらに、前記乾燥したプレフォームを溶融させ、前
記乾燥したプレフォームを圧密化するかまたは前記コンポジット部分に対して一緒に接着
させることを含む、請求項1、2、3、4、5および6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記糸または複数の糸が、前記ポリマーの配合のまたは前記糸の紡糸の工程において添
加された充填剤を含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記充填剤が着色顔料を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記充填剤が静電気消散剤を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
製品の製造のための、三次元で直線方向横糸を編むことによって得られた乾燥したプレ
フォームの使用であって、前記製品が、90体積%~100体積%のポリマー材料を含む
少なくとも1つの区画を備える使用。
【請求項13】
三次元で直線方向横糸を編むことによって得られた乾燥したプレフォームの、90体積
%~100体積%のポリマー材料を含む層のコンポジット製品のコーティングのための使
用。
【請求項14】
三次元で直線方向横糸を編むことによって得られた乾燥したプレフォームの、2つの異
なる物体の組み立てのための使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ポリマー材料の調製および該ポリマー材料から製品を製造する方法に関する
。本開示は、主にポリマー材料から製造される製品の分野に関する。ポリマー材料とは、
特に熱可塑性材料のことを意味する。したがって、本発明は、一般に繊維から製造される
マトリックスおよび補強構造からなるコンポジット製品には関しない。しかしながら、本
発明による製品は、コンポジット製品と組み合わせることができる。
【背景技術】
【0002】
伝統的な方法によれば、ポリマー材料を得るためには、純粋なポリマーのシートを変形
させる(熱成形)か、または型にポリマー材料を注入する(注入)か、が必要である。
【0003】
熱可塑性プラスチック材料の熱成形においては、プレート形の材料を加熱して軟化させ
、型で成形する。それが冷却するとき、材料が硬化し、この形状が維持される。
【0004】
この方法の短所としては、最終形状がスタンピングによって得られなければならないた
め、それをあまり複雑にできないこと、製品の最終的な厚さが変形の形状および方向次第
であり、すなわちそれを調整できないことを意味すること、および、最初のプレートの厚
さがほとんどの場合変形を受ける区画に依存するため、変形を受ける程度が少ない区画で
は余分の厚さが生じがちになること、が挙げられる。
【0005】
注入においては、複雑な三次元形状を得ることが可能となるが、それらを製造するため
の機器が非常に高価となる。
【0006】
この方法の短所としては、小規模または中規模の連続的な製造に適さないこと、および
、長い繊維の使用が不可能であること、が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本発明の実施形態を例示するが、それはこれらの添付の図面に限定されるものではない
【0008】
図1】ポリマー材料を含む複雑な形状の物体の正面図を例示する。
図2】ポリマー材料を含む複雑な形状の物体の側面図を例示する。
図3】コンポジット部分と、ポリマー材料だけで作製された部分とを備えるプレフォームを示す例である。
図4図3のプレフォームから得られた最終製品を示す例である。
図5】ポリマー材料層で被覆されたコンポジット物体を図示する例である。
【0009】
当業者は、図中の要素が単純化および明瞭化のために示されており、必ずしも縮尺どお
りに描かれていないことを理解している。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の考察は、本教示の具体的な実装および実施形態に焦点を合わせるであろう。詳細
な説明は、ある特定の実施形態を説明するのを助けるために提供されており、本開示およ
び本教示の範囲または適用性に対する限定として解釈されるべきではない。他の実施形態
を、本明細書に提供された本開示および本教示に基づいて使用することができることが理
解されるであろう。
【0011】
用語「備える(comprises)」、「備える(comprising)」、「含
む(includes)」、「含む(including)」、「有する(has)」、
「有する(having)」、またはその任意の他の変形は、非排他的包含を含むことを
意図する。例えば、特徴のリストを備える方法、物品、または装置は、必ずしもそれらの
特徴のみに限定されず、そのような方法、物品、または装置に明示的にリスト化されない
かまたは固有ではない他の特徴を含んでもよい。さらに、明示的にそうではないことが述
べられていない限り、「または(or)」は、包含的な「または」を指し、排他的な「ま
たは」を指さない。例えば、条件AまたはBは、以下のいずれか1つによって満たされる
。Aは真(または存在する)かつBは偽(または存在しない)、Aは偽(または存在しな
い)かつBは真(または存在する)、およびAとBの両方が真(または存在する)である
【0012】
また、「1つ(a)」または「1つ(an)」の使用は、本明細書に記載の要素および
構成要素を説明するために用いられる。これは単に便宜上および本発明の範囲の一般的な
意味を与えるために行われる。この説明は、他を意味することが明確でない限り、1つ、
少なくとも1つ、または複数も含む単数形、またはその逆を含むように読む必要がある。
例えば、本明細書で単一の物品が説明される場合、単一の物品の代わりに2つ以上の物品
を使用することができる。同様に、本明細書で複数の物品が説明される場合、それらの2
つ以上の物品に代えて単一の物品が使用され得る。
【0013】
特定の実施形態によると、ポリマー材料を90%~100%(体積ベース)で含みうる
糸を使用して、または、ポリマー材料のみを含みうる糸を使用した場合であっても、従来
技術の編み方法を使用して三次元で乾燥したプレフォームを形成することが可能であるこ
とを見出した。プレフォームは次に、加熱することによって完全に圧密化される。
【0014】
本願明細書に記載される実施形態において、用語「乾燥したプレフォーム」とは、連続
する糸を全般的に編み、糸が絡み合って編み目が連続的な行に配置された状態で得られる
製品を意味する。
【0015】
プレフォームの製造では一般に、糸メッシュ用の糸巻きが必要である。様々な編み技術
を使用して、三次元で、シームレスで、変動し得る局所的表面部分を有する一体的部分を
形成する編み物を得ることができる。
【0016】
特定の編み技術によって、輪編みまたは直線編みを行うことができる。
【0017】
横編み法および縦編み法は明確に異なる。
【0018】
文献US2016/0075061(A1)、US2017/0157865(A1)
およびEP0630735(A2)は、ポリマー材料のマトリックスと、融解点がマトリ
ックスの融解点より高い補強構造と、を含むコンポジット材料に関する。広義には、マト
リックスは、最終製品の体積の50%~85%を占めることができ、補強構造は、最終製
品の体積の15%~50%を占めることができる。EP0630735では、繊維含量に
ついて、例示的な実施形態においては補強構造が50%~80%を占めることができ、ポ
リマー材料がわずか20%~50%を占めるのみである。
【0019】
特定の実施形態によれば、本発明は、ポリマー材料を含み得る製品の製造のための方法
に関する。ある特定の実施形態によれば、本発明による方法は、少なくとも、90体積%
~100体積%のポリマー材料で作製される糸または一組の糸を横編みする工程と、三次
元で、連続的部分として乾燥したプレフォームを製造する工程であって、プレフォームが
、得られる最終製品の形状に対応する工程と、加圧下で加熱して、少なくともポリマー材
料の融解温度に到達させることによりプレフォームを圧密化する工程と、それにより得ら
れた製品を冷却する工程と、を含み得る。
【0020】
ある特定の実施形態によれば、編みは、直線編みまたは輪編み法により行うことができ
る。
【0021】
さらに他の実施形態によれば、プレフォームは、所望の最終の厚さに適する局所的表面
部分を有する単一の(シームレスの)部分を含むのが有利である。
【0022】
さらに他の実施形態によれば、編みは複雑な三次元形状を得ることを可能にする直線編
みによって行うのが有利であり、それは輪編みの場合には当て嵌まらない。
【0023】
特定の実施形態によれば、「ポリマー材料」は、例えばポリカーボネート、ポリプロピ
レン、ポリアミド、ポリウレタン、PMMA、低密度ポリエチレンテレフタレート、ポリ
エーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトンケトン
(PEKK)等の、またはそれらの組み合わせの熱可塑性プラスチック材料を意味するこ
とができる。
【0024】
さらに他の実施形態によれば、特に、最終製品の少なくとも1つの区画において、ポリ
マー材料は、95体積%~100体積%、さらには100100体積%に相当することが
できる。
【0025】
さらに他の実施形態によれば、乾燥したプレフォームは、2行/cm~7行/cm、好
ましくは3行/cm~6行/cm、および2列/cm~3列/cm、の密度によって有利
に製造することができる。
【0026】
さらに他の実施形態によれば、乾燥したプレフォームは、100g/m~1500g
/mの、好ましくは500g/m~1300g/mの単位面積当たりの重量を有す
るのが有利であり得る。
【0027】
ある特定の実施形態によれば、ポリマーは充填剤を含んでもよく、それはポリマーの配
合の、または糸の紡糸の段階で添加することができる。
【0028】
ある特定の実施形態によれば、かかる充填剤は、例えば、着色顔料または静電気消散剤
とすることができる。
【0029】
代替物な実施形態によれば、プレフォームは、最終製品中に特異的な非コンポジット区
画を構成することができ、そこは他のコンポジット材料の区画を含み得る。特異的な非コ
ンポジット区画は、2つの異なる物体を組み立てるための表面コーティングまたはポリマ
ー材料の層を構成することができる。
【0030】
したがって、本発明は有利なことに、オーバーモールド法を置き換え、または塗料のコ
ーティングもしくは接着剤層を形成することを可能にし、または最終的な塗料の塗布前に
表層を構成することができる。
【0031】
ある特定の実施形態によれば、プレフォームは、さらに塗料のコーティングをする必要
なく、直接最終的な色を最終製品の部分に与える先染めされた糸によって製造することが
できる。
【0032】
さらに他の実施形態によれば、本発明はまた、少なくとも1つの区画にてポリマー材料
を90体積%~100体積%、好ましくはポリマー材料を95体積%~100体積%、よ
り好ましくはポリマー材料を100100体積%含む製品の製造のための、三次元での直
線編みによって得られた乾燥したプレフォームの使用に関することができる。
【0033】
本発明による方法は、最終製品の厚さが制御され、それらが継ぎ目を有さない(したが
って、空気力学的なプロファイルの連続性を有する)ため、特に有利である。本方法では
、異なる部材を組み立てる必要がない。本方法では、材料のいかなる損失または落下もな
い。本発明による方法は、周囲温度において毒性を有する揮発性成分のいかなる放出も伴
わない。
【0034】
多くの異なる態様および実施形態が可能である。それらの態様および実施形態のいくつ
かが本明細書に記載される。本明細書を読んだ後、当業者は、それらの態様および実施形
態が例示にすぎず、本発明の範囲を限定しないことを理解するであろう。実施形態は、以
下にリスト化される実施形態のうちのいずれか1つ以上に従い得る。
【0035】
実施形態1.ポリマー製品の製造のための方法であって、
a)糸または一組の糸を横編みする工程であって、糸または一組の糸が、90体積%~1
00体積%のポリマー材料を含む工程と、
b)三次元で、連続的部分として乾燥したプレフォームを製造する工程であって、プレフ
ォームが、得られる最終製品の形状に対応する工程と、
c)加圧下で加熱して、90%~100%のポリマー材料の少なくとも融解温度に到達さ
せることにより、プレフォームを圧密化する工程と、
d)最終製品を冷却する工程と、を含む方法。
【0036】
実施形態2.横編みが、直線の横糸を編むことにより実施される、実施形態1による方
法。
【0037】
実施形態3.最終製品の少なくとも1つの区画が、95体積%~100体積%のポリマ
ー材料を含む、実施形態1および2のいずれか1つによる方法。
【0038】
実施形態4.ポリマー材料が、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリ
ウレタン、PMMA、低密度ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルイミド、ポリエ
ーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)またはそれ
らの組み合わせから選択される、先行実施形態のいずれか1つによる方法。
【0039】
実施形態5.乾燥したプレフォームが、2行/cm~7行/cm、好ましくは3行/c
m~6行/cm、および2列/cm~3列/cm、の密度で製造される、先行実施形態の
いずれか1つによる方法。
【0040】
実施形態6.乾燥したプレフォームが、100g/m~1500g/mの、好まし
くは500g/m~1300g/mの単位面積当たりの重量を有する、先行実施形態
のいずれか1つによる方法。
【0041】
実施形態7.工程b)の後、コンポジット製品を形成しようとするプレフォーム上に、
ポリマー材料の乾燥したプレフォームが堆積され、工程c)がさらに、2つのプレフォー
ムを一緒に圧密化させることを含む、先行実施形態のいずれか1つによる方法。
【0042】
実施形態8.工程b)の後、ポリマー材料の乾燥したプレフォームが、前に圧密化され
たコンポジット部分上に堆積され、工程c)がさらに、乾燥したプレフォームを溶融させ
、乾燥したプレフォームを圧密化するかまたはコンポジット部分に対して一緒に接着させ
ることを含む、実施形態1、2、3、4、5および6のいずれか1つによる方法。
【0043】
実施形態9.糸または一組の糸が、ポリマーの配合のまたは糸の紡糸の工程において添
加された充填剤を含む、先行実施形態のいずれか1つによる方法。
【0044】
実施形態10.充填剤が着色顔料を含む、実施形態9による方法。
【0045】
実施形態11.充填剤が静電気消散剤を含む、実施形態9による方法。
【0046】
実施形態12.製品の製造のための、三次元で直線方向横糸を編むことによって得られ
た乾燥したプレフォームの使用であって、製品が、90体積%~100体積%のポリマー
材料を含む少なくとも1つの区画を備える使用。
【0047】
実施形態13.三次元で直線方向横糸を編むことによって得られた乾燥したプレフォー
ムの、90体積%~100体積%のポリマー材料を含む層のコンポジット製品のコーティ
ングのための使用。
【0048】
実施形態14.三次元で直線方向横糸を編むことによって得られた乾燥したプレフォー
ムの、2つの異なる物体の組み立てのための使用。
【0049】
実施形態15.ポリマー製品の製造のための方法であって、
a)糸または一組の糸を横編みする工程であって、糸または一組の糸が、90体積%~1
00体積%のポリマー材料を含む工程と、
b)三次元で、連続的部分として、得られる最終製品の形状に対応するプレフォームとし
て、乾燥したプレフォームを製造する工程と、
c)加圧下で加熱して、90%~100%のポリマー材料の少なくとも融解温度に到達さ
せることにより、プレフォームを圧密化する工程と、
d)最終製品を冷却する工程と、を含む方法。
【0050】
実施形態16.横編みが、直線の横糸を編むことにより実施される、実施形態15によ
る方法。
【0051】
実施形態17.最終製品の少なくとも1つの区画が、95体積%~100体積%のポリ
マー材料を含む、実施形態15による方法。
【0052】
実施形態18.ポリマー材料が、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリアミド、ポ
リウレタン、PMMA、低密度ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルイミド、ポリ
エーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)またはそ
れらの組み合わせから選択される、実施形態17による方法。
【0053】
実施形態19.乾燥したプレフォームが、2行/cm~7行/cm、好ましくは3行/
cm~6行/cm、および2列/cm~3列/cm、の密度で製造される、実施形態15
による方法。
【0054】
実施形態20.乾燥したプレフォームが、100g/m~1500g/mの、好ま
しくは500g/m~1300g/mの単位面積当たりの重量を有する、実施形態1
5による方法。
【0055】
実施形態21.工程b)の後、コンポジット製品を形成しようとするプレフォーム上に
、ポリマー材料の乾燥したプレフォームが堆積され、工程c)がさらに、2つのプレフォ
ームを一緒に圧密化させることを含む、実施形態15による方法。
【0056】
実施形態22.工程b)の後、ポリマー材料の乾燥したプレフォームが、前に圧密化さ
れたコンポジット部分上に堆積され、工程c)がさらに、乾燥したプレフォームを溶融さ
せ、乾燥したプレフォームを圧密化するかまたはコンポジット部分に対して一緒に接着さ
せることを含む、実施形態15による方法。
【0057】
実施形態23.糸または一組の糸が、ポリマーの配合のまたは糸の紡糸の工程において
添加された充填剤を含む、実施形態15による方法。
【0058】
実施形態24.充填材が着色含量を含む、実施形態15による方法。
【0059】
実施形態25.充填剤が静電気消散剤を含む、実施形態15による方法。
【0060】
実施形態26.製品の製造のための、三次元で直線方向横糸を編むことによって得られ
た乾燥したプレフォームの使用であって、製品が、90体積%~100体積%のポリマー
材料を含む少なくとも1つの区画を備える使用。
【0061】
実施形態27.最終製品の少なくとも1つの区画が、95体積%~100体積%のポリ
マー材料を含む、実施形態26による使用。
【0062】
実施形態28.ポリマー材料が、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリアミド、ポ
リウレタン、PMMA、低密度ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルイミド、ポリ
エーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)またはそ
れらの組み合わせから選択される、実施形態26による使用。
【0063】
実施形態29.乾燥したプレフォームが、2行/cm~7行/cm、好ましくは3行/
cm~6行/cm、および2列/cm~3列/cm、の密度で製造される、実施形態26
による使用。
【0064】
実施形態30.乾燥したプレフォームが、100g/m~1500g/mの、好ま
しくは500g/m~1300g/mの単位面積当たりの重量を有する、実施形態2
6による使用。
【0065】
実施形態31.三次元で直線方向横糸を編むことによって得られた乾燥したプレフォー
ムの、90体積%~100体積%のポリマー材料を含む層のコンポジット製品のコーティ
ングのための使用。
【0066】
実施形態32.最終製品の少なくとも1つの区画が、95体積%~100体積%のポリ
マー材料を含む、実施形態31による使用。
【0067】
実施形態33.ポリマー材料が、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリアミド、ポ
リウレタン、PMMA、低密度ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルイミド、ポリ
エーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)またはそ
れらの組み合わせから選択される、実施形態31による使用。
【0068】
実施形態34.乾燥したプレフォームが、2行/cm~7行/cm、好ましくは3行/
cm~6行/cm、および2列/cm~3列/cm、の密度で製造される、実施形態31
による使用。
【実施例0069】
本明細書に記載の概念は、以下の実施例においてさらに説明されるが、これは、特許請
求の範囲に記載された本発明の範囲を限定しない。
【0070】
実施例1:複雑な、弱くロードした三次元物体
三次元プレフォームを、一体的に、直線横編み法によって編む。糸は、ポリカーボネー
ト繊維から製造する。密度は、4行/cm~6行/cm、および2列/cm~2.8列/
cmである。単位面積当たりの重量は、500g/m~1300g/mである。
【0071】
三次元プレフォームを、鋼製の金型および反型に置き、200℃~250℃の温度に加
熱し、3bar~10barの圧力で加圧する。
【0072】
図1(正面図)および図2(側面図)に図示する最終製品は、その機械的性質の中でも
、1GPa~4GPaのヤング率および40MPa~70MPaの破断強さを有する。
【0073】
本発明により、このタイプの複雑な形状の物体を、厚さを制御することによって得るこ
とができる。最終製品の厚さを制御できるため、本方法は従来の熱成形方法より材料の消
費が少ない。
【0074】
実施例2:「翼型ヴェリーヌ(verrine)」
図3は、三次元プレフォームを、一体的に、直線横編み法によって編む様子を例示する
【0075】
プレフォームは、ポリカーボネート繊維のみを含む区画を有する。密度は、4行/cm
~6行/cm、および2列/cm~2.8列/cmである。この区画の単位面積当たりの
重量は、500g/m~1300g/mである。
【0076】
本プレフォームは、ガラス繊維20体積%~45体積%、およびポリカーボネートを8
0%~55%から構成される他のコンポジット区画を備える。密度は、3.6行/cm~
5行/cm、および2列/cm~2.7列/cmである。この区画の単位面積当たりの重
量は、550g/m~1800g/mである。2つの区画は、縫製または連結するこ
となく、単一の編まれた部分を形成する。2つの区画は互いに伸張し、2つの層の重なり
はない。
【0077】
三次元プレフォームを、可撓性の反型を有する鋼製の金型に置く。全体を200℃~2
50℃の温度で、3bar~10barの圧力下で加熱する。
【0078】
最終製品を図4に示す。適切なポリマーの使用により、純粋なポリマーの区画が変形後
に透明なものとなる。
【0079】
機械的性質は、純粋なポリマーの区画においては、1GPa~4GPaのヤング率およ
び40MPa~70MPaの破断強さであり、コンポジットの区画においては、4GPa
~19GPaのヤング率および50MPa~600MPaの破断強さである。
【0080】
本発明による技術との組み合わせで、適切なポリマーの選択を行うことにより、所望の
厚さを有する形状および所望の透明度が得られる。
【0081】
実施例3:コンポジット本体上の表層
図5aは、第1の編まれた三次元プレフォームを使用し、33体積%~45体積%のガ
ラス繊維および67体積%~55体積%のポリカーボネートから構成される混合繊維を使
用し、製造されたコンポジット製品1を図示する。
【0082】
密度は、3行/cm~6行/cm、および2列/cm~2.8列/cmである。この区
画の単位面積当たりの重量は、600g/m~1500g/mである。繊維2が表面
に存在する。
【0083】
図5bは、ポリマー層3で被覆されたコンポジット製品1を図示する。ポリマー層3は
、第2の編まれた三次元プレフォームを使用し、ポリウレタン系繊維を使用し、得られる
【0084】
密度は、3行/cm~6行/cm、および2列/cm~2.7列/cmである。この区
画の単位面積当たりの重量は、100g/m~200g/mである。
【0085】
2つのプレフォームを、可撓性の反型を有する鋼製の金型に一緒に置く。全体を200
℃~215℃の温度で、1bar~4barの圧力下で加熱する。
【0086】
本発明では、コンポジット物体の表層の修飾が可能である。塗料または他のいかなる表
面処理の追加も容易に行えるため、有利であり得る。純粋なポリマーの層が十分に厚い場
合、それは完全にコンポジットの繊維を被覆し、外部からそれらを隔てることができる。
【0087】
ポリマー材料の選択に応じて、そこに着色顔料を塗布し、すなわち塗料によるコーティ
ングを設けることが可能である。この場合には、例えば、ポリカーボネートまたはPMM
Aがポリマー材料として選択される。
【0088】
本発明はまた、ポリマー材料に静電気消散剤を添加することも可能である、それにより
最終製品に帯電防止層を設けることとなる。
【0089】
実施例4:コンポジット本体に後で設けられる表層
図5aは、コンポジット材料を製造するためのいずれかの技術に従い製造されたコンポ
ジット製品1を図示する。
【0090】
図5bは、ポリマー層3で被覆されたコンポジット製品1を図示する。融解温度がコン
ポジット製品1のマトリックス(例えばPMMA)の融解温度より低い繊維を使用して編
まれた三次元プレフォームを使用して、ポリマー層3を得る。
【0091】
密度は、3~6行/cm、および2~2.7列/cmである。このプレフォームの単位
面積当たりの重量は、100g/m~200g/mである。
【0092】
編まれたプレフォームを、コンポジット製品1に掛ける。三次元プレフォームを、可撓
性の反型を有する鋼製の金型に置く。全体を140~190℃の温度で、1bar~4b
arの圧力下で加熱する。
【0093】
本発明では、コンポジット物体の表層の修飾が可能である。これは、保護層(ニス)、
塗料または他のいかなる表面処理の追加も容易に行えるため、有利であり得る。純粋なポ
リマーの層が十分に厚い場合、それは完全にコンポジットの繊維を被覆し、外部からそれ
らを隔てることができる。
【0094】
ポリマー材料の選択に応じて、そこに着色顔料を塗布し、すなわち塗料によるコーティ
ングを設けることが可能である。この場合には、例えば、ポリカーボネートまたはPMM
Aがポリマー材料として選択される。
【0095】
本発明はまた、ポリマー材料に静電気消散剤を添加することも可能である、それにより
最終製品に帯電防止層を設けることとなる。
【0096】
本発明はこれらの実施例に限定されず、他の機能も、本発明の要旨を逸脱しない範囲で
達成することもできる。
【0097】
上記の一般的な説明または例で説明した機能のすべてが必要なわけではなく、特定の機
能の一部は必要でない場合があり、説明した機能に加えて1つ以上の機能を実施すること
ができることに留意されたい。さらにまた、機能が記載される順序は、必ずしも実施され
る順序ではない。
【0098】
利益、他の利点、および問題に対する解決策は、特定の実施形態に関して上記で説明さ
れている。しかしながら、利益、利点、問題の解決策、および任意の利益、利点、もしく
は解決策が発生またはより顕著になる可能性のある任意の特徴は、いずれかまたはすべて
の特許請求の範囲の重要な、必須の、または本質的な特徴として解釈されるべきではない
【0099】
本明細書に記載された実施形態の明細書および例示は、様々な実施形態の構造の一般的
な理解を提供することを意図する。明細書および例示は、本明細書に記載の構造または方
法を使用する装置およびシステムのすべての要素および特徴の網羅的かつ包括的な説明と
して役立つことを意図するものではない。別個の実施形態はまた、単一の実施形態におい
て組み合わせて提供されてもよく、逆に、簡潔にするために、単一の実施形態の文脈で説
明される様々な特徴もまた、別個にまたは任意の副組み合わせで提供されてもよい。さら
に、範囲で述べられた値への言及は、その範囲内のありとあらゆる値を含む。本明細書を
読んだだけで、多くの他の実施形態が当業者には明らかであり得る。本開示の範囲から逸
脱することなく、構造的置換、論理的置換、または別の変更を行うことができるように、
本開示から他の実施形態が使用され、かつ導出され得る。したがって、本開示は限定的で
はなく、例示的とみなされるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2023-07-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマー製品の製造のための方法であって、
a)糸または一組の糸を横編みする工程であって、前記糸または一組の糸が、90体積%~100体積%のポリマー材料を含む工程と、
b)三次元で、連続的部分として、前記横編みされた糸または一組の糸から乾燥したプレフォームを製造する工程であって、前記プレフォームが、得られる最終製品の形状に対応する工程と、
c)加圧下で加熱して、前記90%~100%のポリマー材料の少なくとも融解温度に到達させることにより、前記プレフォームを圧密化する工程と、
d)前記最終製品を冷却する工程と、を含み、
前記乾燥したプレフォームが、100g/m ~1500g/m の単位面積当たりの重量を有し、
前記乾燥したプレフォームが、3行/cm~6行/cm、および2列/cm~3列/cmの密度で製造される、方法。
【請求項2】
前記横編みが、直線の横糸を編むことにより実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記最終製品の少なくとも1つの区画が、95体積%~100体積%のポリマー材料を含む、請求項1および2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
前記ポリマー材料が、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリウレタン、PMMA、低密度ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)またはそれらの組み合わせから選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
工程b)の後、コンポジット製品を形成しようとするプレフォーム上に、前記ポリマー材料の乾燥したプレフォームが堆積され、工程c)がさらに、2つの前記プレフォームを一緒に圧密化させることを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
工程b)の後、前記ポリマー材料の乾燥したプレフォームが、前に圧密化されたコンポジット部分上に堆積され、工程c)がさらに、前記乾燥したプレフォームを溶融させ、前記乾燥したプレフォームを圧密化するかまたは前記コンポジット部分に対して一緒に接着させることを含む、請求項1、2、3、および4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記糸または複数の糸が、前記ポリマーの配合のまたは前記糸の紡糸の工程において添加された充填剤を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記充填剤が着色顔料を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記充填剤が静電気消散剤を含む、請求項7に記載の方法。
【外国語明細書】