(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023013451
(43)【公開日】2023-01-26
(54)【発明の名称】三方活栓用操作器具
(51)【国際特許分類】
A61M 39/22 20060101AFI20230119BHJP
【FI】
A61M39/22 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021117649
(22)【出願日】2021-07-16
(71)【出願人】
【識別番号】000153030
【氏名又は名称】株式会社ジェイ・エム・エス
(71)【出願人】
【識別番号】000149435
【氏名又は名称】株式会社大塚製薬工場
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中野 きよみ
(72)【発明者】
【氏名】河内 恵太
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 浩幸
(72)【発明者】
【氏名】石橋 直人
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066JJ04
(57)【要約】
【課題】三方活栓を容易にかつ直感的に所望の状態に切り替えることができるようにする。
【解決手段】三方活栓用操作器具1は、三方活栓本体が固定されるハウジング10と、ハウジング10とは別体とされ、コックに係合するコック係合部を有するとともに操作者が把持する把持部33を有する操作部材30とを備えている。ハウジング10には、コックの開閉状態を操作部材30と共働して表示する表示部24a、24bが設けられている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のポートが形成された三方活栓本体及び当該ポートの開閉切替を行うコックを有する三方活栓を操作するための三方活栓用操作器具において、
前記三方活栓本体の少なくとも一部を囲むように形成され、当該三方活栓本体が固定されるハウジングと、
前記ハウジングとは別体とされて前記コックの少なくとも一部を囲むように形成され、前記コックに係合するコック係合部を有するとともに操作者が把持する把持部を有する操作部材とを備え、
前記ハウジングには、前記コックの開閉状態を前記操作部材と共働して表示する表示部が設けられている三方活栓用操作器具。
【請求項2】
請求項1に記載の三方活栓用操作器具において、
前記操作部材は、前記コックの回動中心線周りに回動可能に前記ハウジングに支持されている三方活栓用操作器具。
【請求項3】
請求項2に記載の三方活栓用操作器具において、
前記ハウジングと前記操作部材との一方には、第1係合部が設けられ、
前記ハウジングと前記操作部材との他方には、前記第1係合部に係合し、前記操作部材の前記ハウジングに対する回動範囲が前記コックの開閉切替時の回動範囲と一致するように当該回動範囲を規制するための回動規制部が設けられている三方活栓用操作器具。
【請求項4】
請求項3に記載の三方活栓用操作器具において、
前記回動規制部は、前記操作部材の回動中心線周りに延びる長孔で構成され、
前記第1係合部は、前記長孔に差し込まれる突起で構成されている三方活栓用操作器具。
【請求項5】
請求項2から4のいずれか1つに記載の三方活栓用操作器具において、
前記把持部は、前記操作部材の本体部分から前記回動中心線方向へ膨出するとともに、前記回動中心線と交差する方向に長く延びる形状とされている三方活栓用操作器具。
【請求項6】
請求項5に記載の三方活栓用操作器具において、
前記ハウジングは、前記回動中心線方向に沿って見て、前記操作部材を囲むように延びる周板部を有し、
前記表示部は、前記周板部に設けられている三方活栓用操作器具。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1つに記載の三方活栓用操作器具において、
前記コック係合部は、前記コックにおける互いに離間した複数箇所にそれぞれ嵌合するリブで構成されている三方活栓用操作器具。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1つに記載の三方活栓用操作器具において、
前記ハウジングには、前記三方活栓本体から突出するとともに内部に前記ポートが形成された複数の筒部がそれぞれ嵌合する嵌合部が形成されている三方活栓用操作器具。
【請求項9】
複数のポートが形成された三方活栓本体及び当該ポートの開閉切替を行うコックを有する三方活栓を操作するための三方活栓用操作器具において、
前記三方活栓本体の少なくとも一部を囲むように形成され、当該三方活栓本体が固定されるハウジングと、
前記ハウジングとは別体とされて前記コックの少なくとも一部を囲むように形成され、前記コックに係合するコック係合部を有するとともに操作者が把持する把持部を有し、前記コックの回動中心線周りに回動可能に前記ハウジングに支持される操作部材とを備え、
前記ハウジングと前記操作部材との一方には、第1係合部が設けられ、
前記ハウジングと前記操作部材との他方には、前記第1係合部に係合し、前記操作部材の前記ハウジングに対する回動範囲が前記コックの開閉切替時の回動範囲と一致するように当該回動範囲を規制するための回動規制部が設けられている三方活栓用操作器具。
【請求項10】
請求項9に記載の三方活栓用操作器具において、
前記回動規制部は、前記操作部材の回動中心線周りに延びる長孔で構成され、
前記第1係合部は、前記長孔に差し込まれる突起で構成されている三方活栓用操作器具。
【請求項11】
請求項9から10のいずれか1つに記載の三方活栓用操作器具において、
前記把持部は、前記操作部材の本体部分から前記回動中心線方向へ膨出するとともに、前記回動中心線と交差する方向に長く延びる形状とされている三方活栓用操作器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三方活栓を手で簡単に操作可能にする三方活栓用操作器具に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば食物を口から胃へ送ることが困難になった患者には胃ろうが作られ、栄養剤、流動食などの液状物がカテーテルを介して胃ろうから胃の内部へ導入される。これは経管栄養法などと呼ばれており、具体的には、上記液状物が樹脂製バッグに充填された状態で患者に供給される。患者への投与現場では、バッグを外部から押圧しながら液状物をカテーテルに流し、このカテーテルを介して胃ろうから胃の内部へ導入するが、液状物の食道への逆流や下痢が起こらないように、液状物を半固形化したり、トロミ剤や増粘剤などを加えて液状物の粘度を高めている。従って、手でバッグを直接押圧しながら所定の流量で液状物を残らず押し出すのは難しい場合がある。
【0003】
そこで、例えば特許文献1に開示されているように、液状物が充填されたバッグを空気圧によって押圧する押し出し装置が使用されることがある。押し出し装置は、液状物が充填されたバッグを収容可能な袋状部材と、袋状部材に空気を供給する手動式のポンプと、袋状部材及びポンプの間のチューブに設けられる三方活栓とを備えている。三方活栓の切替操作によって袋状部材とポンプとを連通状態にすることで、ポンプから送られた空気を袋状部材に充填することができ、空気の充填後に三方活栓の切替操作によって袋状部材とポンプとを遮断状態にすることで、袋状部材内に充填された空気の漏れが防止されて空気圧によって液状物が押し出される。また、三方活栓を操作することで、袋状部材を大気開放し、袋状部材内に充填された空気を排出することも可能になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1では、三方活栓の操作により、袋状部材の内部を加圧する連通状態、袋状部材を遮断する遮断状態、袋状部材を大気開放する開放状態の3つの状態に切り替えることができる。三方活栓は、医療現場では一般的に使用されているので、医療従事者が操作するに当たっては特に難しいことではない。
【0006】
しかし、例えば、上述した経管栄養法は、病室で行われるだけではなく、在宅時にも行われることがある。患者の在宅時に経管栄養法を行う場合には、患者自ら、または周囲の介助者などが三方活栓のコックを操作することになるが、三方活栓は医療従事者以外には馴染みがないため、所望の状態に切り替えるためにはどこをどのように操作すればよいのか、直感的に分かりづらいことがある。また、医療従事者以外の者は三方活栓のコックの操作に不慣れであることからコックを回動させる操作が難しく感じることも考えられる。特に、手指が覚束ない高齢者や末梢神経障害を持つ癌患者等にとっては、三方活栓のコックが小さいため、力を入れづらい場合もある。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、三方活栓を容易にかつ直感的に所望の状態に切り替えることができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本開示の第1の側面では、複数のポートが形成された三方活栓本体及び当該ポートの開閉切替を行うコックを有する三方活栓を操作するための三方活栓用操作器具を前提とすることができる。三方活栓用操作器具は、前記三方活栓本体の少なくとも一部を囲むように形成され、当該三方活栓本体が固定されるハウジングと、前記ハウジングとは別体とされて前記コックの少なくとも一部を囲むように形成され、前記コックに係合するコック係合部を有するとともに操作者が把持する把持部を有する操作部材とを備えている。前記ハウジングには、前記コックの開閉状態を前記操作部材と共働して表示する表示部が設けられている。
【0009】
この構成によれば、三方活栓本体が固定されるハウジングが三方活栓本体の少なくとも一部を囲むように形成されているので、操作者は三方活栓本体を持つよりもハウジングを持つ方が容易になる。また、操作部材もコックの少なくとも一部を囲むように形成されているので、操作者はコックを直接持つよりも把持部を持つ方が容易になり、力が入れやすくなる。さらに、把持部があることで、操作者はどこを持てばよいか直感的に把握できる。
【0010】
操作者が把持部を持って操作部材を操作すると、コック係合部がコックに係合しているので、コックも同方向に動く。これによりポートの開閉状態が切り替わる。このとき、ハウジングに表示部があるので、操作部材をどこまで動かすとポートが所望の開閉状態になるか、直感的に把握できる。表示部は、例えば文字、記号、点字等で構成することができる。
【0011】
本開示の第2の側面では、前記操作部材は、前記コックの回動中心線周りに回動可能に前記ハウジングに支持されている。
【0012】
この構成によれば、操作部材の動作をコックの開閉切替時の回動動作と一致させることができるので、操作性がより一層良好になる。
【0013】
本開示の第3の側面では、前記ハウジングと前記操作部材との一方には、第1係合部が設けられ、前記ハウジングと前記操作部材との他方には、前記第1係合部に係合し、前記操作部材の前記ハウジングに対する回動範囲が前記コックの開閉切替時の回動範囲と一致するように当該回動範囲を規制するための回動規制部が設けられている。
【0014】
この構成によれば、操作部材を回動させてコックの開閉切替を行う際、第1係合部が回動規制部と係合するまで操作部材を回動させることで、操作部材の回動範囲がコックの開閉切替時の回動範囲と一致し、それ以上の操作部材の回動が規制される。したがって、操作者は、操作部材を回動が規制されるまで回動させればよく、操作がより一層簡単になる。
【0015】
本開示の第4の側面では、前記回動規制部は、前記操作部材の回動中心線周りに延びる長孔で構成されている。前記第1係合部は、前記長孔に差し込まれる突起で構成されている。
【0016】
この構成によれば、突起と長孔を形成するという簡単な構成でもって操作部材の回動範囲を確実に規制することができる。
【0017】
本開示の第5の側面では、前記把持部は、前記操作部材の本体部分から前記回動中心線方向へ膨出するとともに、前記回動中心線と交差する方向に長く延びる形状とされている。
【0018】
この構成によれば、回動中心線方向へ膨出していることで操作者が把持部を指で把持し易くなる。さらに、把持部が回動中心線と交差する方向に長く延びていることで、指で把持して回動力を作用させるときに指が滑り難くなる。
【0019】
本開示の第6の側面では、前記ハウジングは、前記回動中心線方向に沿って見て、前記操作部材を囲むように延びる周板部を有している。前記表示部は、前記周板部に設けることができる。
【0020】
この構成によれば、ハウジングが周板部を有していることで、当該ハウジングが大きくなり、操作者がハウジングを容易に持つことができる。また、把持部が回動中心線と交差する方向に長く延びる形状であることから、ある方向を指し示すことが可能な形状となっている。よって、周板部に表示部を設けておくことで、コックの開閉状態を操作部材と共働して分かりやすく表示できる。
【0021】
本開示の第7の側面では、前記コック係合部は、前記コックにおける互いに離間した複数箇所にそれぞれ嵌合するリブで構成されている。
【0022】
この構成によれば、リブがコックの複数箇所にそれぞれ係合することで、操作部材をコックに対してしっかりと係合させることができ、操作時のがたつきなどを低減できる。
【0023】
本開示の第8の側面では、前記ハウジングには、前記三方活栓本体から突出するとともに内部に前記ポートが形成された複数の筒部がそれぞれ嵌合する嵌合部が形成されている。
【0024】
この構成によれば、三方活栓本体の複数の筒部がそれぞれハウジングに嵌合することで、三方活栓本体をハウジングにしっかりと固定させることができる。
【発明の効果】
【0025】
以上説明したように、三方活栓本体が固定されるハウジングと、操作者が把持する把持部を有するとともにコックと共に回動する操作部材とを備えており、コックの開閉状態を表示する表示部を設けることや、コックの開閉切替時の回動範囲と一致するように回動範囲を規制する回動規制部を設けることができる。これにより、三方活栓を容易にかつ直感的に所望の状態に切り替えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の実施形態に係る三方活栓用操作器具が取り付けられた経管栄養投与装置の斜視図である。
【
図2】経管栄養投与装置が有する三方活栓の斜視図である。
【
図3】経管栄養投与装置に取り付けられた三方活栓用操作器具の斜視図である。
【
図4】経管栄養投与装置に取り付けられた三方活栓用操作器具の平面図である。
【
図5】経管栄養投与装置に取り付けられたハウジングの斜視図である。
【
図7】
図4におけるVII-VII線断面図である。
【
図8】
図4におけるVIII-VIII線断面図である。
【
図11】変形例1に係る三方活栓用操作器具の平面図である。
【
図12】回動規制用長孔とストッパとの位置関係を示す図である。
【
図14】変形例3に係る三方活栓用操作器具の平面図である。
【
図15】変形例4に係るハウジングの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0028】
図1は、本発明の実施形態に係る三方活栓用操作器具1が取り付けられた経管栄養投与装置100の斜視図である。この実施形態の説明では、三方活栓用操作器具1の説明の前に、経管栄養投与装置100の構造について説明する。経管栄養投与装置100は、経管栄養法を行う際に使用される装置である。経管栄養法は、例えば栄養剤、流動食などの液状物を、カテーテル(図示せず)を介して患者の胃ろうから胃の内部へ導入する栄養投与法である。図示しないが、液状物は樹脂製バッグに予め充填されている。液状物は、一旦胃に導入された後に食道への逆流や下痢が起こらないように、所定の粘度を有している。バッグには、カテーテルの上流端が接続されており、バッグを外部から押圧することで、内部の液状物をカテーテルへ流出させることが可能になっている。
【0029】
経管栄養投与装置100は、上記バッグを収容可能な袋状部材101と、袋状部材101に空気を供給する手動式のポンプ102と、袋状部材101及びポンプ102を接続するための第1、第2チューブ103a、103bと、袋状部材101及びポンプ102の間に設けられる三方活栓104(
図2に示す)とを備えている。袋状部材101は、可撓性を有する樹脂シートなどが組み合わされて例えば2層構造に構成されており、1層目の内部には上記バッグが収容され、2層目は気密構造とされていて2層目の内部には空気の導入が可能になっている。2層目の内部に空気を導入すると、1層目の内部に収容された上記バッグが当該1層目の内部で拘束されているので、2層目の内部の空気圧が上記バッグに対する押圧力として作用するようになっている。
【0030】
第1、第2チューブ103a、103bは柔軟性を有する樹脂材で構成されている。第1チューブ103aの一端部はポンプ102に接続されている。ポンプ103は、従来から周知の手動式の空気ポンプである。また、第2チューブ103bの一端部は袋状部材101における2層目の内部に接続されている。
【0031】
図2に示すように、三方活栓104は、第1チューブ103aの他端部と第2チューブ103bの他端部との間に配設されている。三方活栓104は、従来から周知のものであり、第1~第3ポートP1~P3(
図7及び
図8に示す)が形成された硬質樹脂製の三方活栓本体105及び当該第1~第3ポートP1~P3の開閉切替を行う回動操作可能なコック109を有している。三方活栓本体105には、内部に第1ポートP1が形成された第1筒部106、内部に第2ポートP2が形成された第2筒部107及び内部に第3ポートP3が形成された第3筒部108がそれぞれ異なる方向へ突出するように設けられている。この実施形態では、コック109の回動中心線110方向に沿って見たとき、第1筒部106及び第2筒部107が互いに反対方向へ突出し、第3筒部108は、第1筒部106に対して直交する方向に突出している。従って、図示しないが、第1筒部106の突出方向に延びる第1仮想線と、第2筒部107の突出方向に延びる第2仮想線と、第3筒部108の突出方向に延びる第3仮想線とを想定したとき、第1仮想線と、第2仮想線とは同一直線上に位置付けられ、また、第1仮想線と第3仮想線とは互いに直交し、第2仮想線と第3仮想線とも互いに直交する位置関係となる。
【0032】
第1チューブ103aの他端部は第1筒部106に接続されている。また、第2チューブ103bの他端部は第2筒部107に接続されている。
図1に示す符号111は、第2チューブ103b内の空気圧(袋状部材101内の空気圧)を表示する空気圧表示器である。
【0033】
コック109は、三方活栓本体105の内部に差し込まれる弁部109d(
図7及び
図8に示す)を備えている。弁部109dには、貫通孔109eが形成されており、コック109を回動させることにより、第1筒部106及び第2筒部107を互いに連通させる連通状態、第1筒部106及び第2筒部107を遮断する遮断状態、第2筒部107を大気開放する開放状態などに切り替えることが可能になっている。コック109を90゜正転または反転させることで、連通状態から遮断状態、またはその反対、連通状態から開放状態、またはその反対に切り替えることができる。つまり、コック109の開閉切替時の回動範囲は90゜である。
【0034】
例えば、コック109を上記連通状態にしてポンプ102を作動させると、袋状部材101に空気を充填することができる。充填された空気圧は、空気圧表示器111に表示される。一方、袋状部材101内の空気を抜く場合には、コック109を開放状態にすればよい。また、袋状部材101に空気を充填した後、コック109を遮断状態にしてもよい。
【0035】
図2に示すように、コック109は、三方活栓本体105から外部へ突出した第1~第3レバー部109a、109b、109cを有している。第1~第3レバー部109a、109b、109cは、コック109の回動中心線110方向に沿って見たとき、上記第1~第3筒部106~108と同様に互いに異なる方向へ突出している。一般的な三方活栓104の使用方法では、第1~第3レバー部109a、109b、109cに手で力を加えてコック109を回動させるのであるが、特に高齢者の場合、第1~第3レバー部109a、109b、109cは小さくて力を加えにくいことがある。また、三方活栓104を所望の状態に切り替えるためには、第1~第3レバー部109a、109b、109cが小さいために、どこをどのように操作すればよいのか、直感的に分かりづらいこともある。加えて、化学療法を受けている癌患者は、抗癌剤の副作用による末梢神経障害のため、小さいレバーの操作の際に、手指に痛みを感じることがある。
【0036】
(三方活栓用操作器具1の構成)
本実施形態の三方活栓用操作器具1は、従来の三方活栓104を操作し易くするための器具であり、経管栄養投与装置100に装着して使用される。この実施形態の説明では、三方活栓104のコック109の回動中心線110(
図2に示す)方向に沿って操作者から見たときを平面視とし、三方活栓用操作器具1が経管栄養投与装置100に装着されている時、経管栄養投与装置100から取り外されている時の両方で、そのように平面視を定義する。また、
図7及び
図8に示すように、回動中心線110の一方を上方、他方を下方と定義する。これは説明の便宜を図るための定義であって、三方活栓用操作器具1の使用時の姿勢を限定するものではなく、三方活栓用操作器具1はどのような向きであっても使用可能である。
【0037】
三方活栓用操作器具1は、例えば在宅医療時に使用することができる。経管栄養投与装置100を医療従事者が使用する場合には、三方活栓用操作器具1を経管栄養投与装置100に装着することなく、三方活栓104を直接操作すればよい。医療従事者は三方活栓104の操作に慣れているからである。尚、医療従事者が三方活栓用操作器具1を使用してもよい。
【0038】
三方活栓用操作器具1は、経管栄養投与装置100の三方活栓104に対して着脱可能に構成されており、
図3及び
図4に示すように、ハウジング10と操作部材30とを備えている。
図5にも示すように、ハウジング10は、三方活栓本体105の少なくとも一部を囲むように形成され、当該三方活栓本体105が固定される部材である。一方、操作部材30は、ハウジング10とは別体とされてコック109の少なくとも一部を囲むように形成され、当該コック109を操作するための部材である(
図9及び
図10に示す)。ハウジング10は、例えば樹脂材などによって、ごく一般的な射出成形法等の方法により一体成形されている。操作部材30も同様に樹脂材などによって一体成形されている。ハウジング10、操作部材30はそれぞれ複数のパーツから成っていてもよい。その場合、パーツ同士は溶剤による接着や接着剤、熱融着等でお互いを接続してもよい。ハウジング10と操作部材30とは、同色であってもよいし、異なる色に着色されていてもよい。異なる色に着色されていることで、操作部材30とハウジング10とを容易に区別することができる。また、ハウジング10と操作部材30とは、不透明な樹脂材で構成されている。これにより、内部の三方活栓104がハウジング10や操作部材30をとおしては外部から見えなくなる。操作部材30の把持部33には、更に指当たりを良くするために、柔軟性を持ったゴムやエラストマーなどの素材を、接着や二色成形等の通常の方法、或いは物理的に被せるといった方法により、付加することもできる。
【0039】
ハウジング10は、平面視で厚肉な円形板状をなしている。ハウジング10の外径は、例えば50mm以上または60mm以上に設定することができる。このような外径に設定しておくことで、ハウジング10を片手で包むようにして安定して持つことができる。ハウジング10の中心線(軸線)は、三方活栓104が固定された状態でコック109の回動中心線110上に位置するようになっている。よって、ハウジング10の軸線とコック109の回動中心線110とは一致している。
図6に示すように、ハウジング10の中央部には、当該ハウジング10を厚み方向(軸線方向)に貫通する円形の貫通孔10aが形成されている。この貫通孔10aに三方活栓本体105の回動中心線110方向の端部(下端部)が嵌合するようになっている。
【0040】
ハウジング10には、第1筒部106が配置される第1溝部11、第2筒部107が配置される第2溝部12、第3筒部108が配置される第3溝部13がそれぞれ形成されている。第1筒部106、第3筒部108、第2筒部107はこの順で回動中心線110周りに90°おきに互いに異なる方向へ突出している。すなわち、第1溝部11は、ハウジング10の中央部から第1筒部106の突出方向に沿うようにハウジング10の径方向に延びており、第1溝部11におけるハウジング10の径方向外端部はハウジング10の外周面で開放されている。第1筒部106に接続されている第1チューブ103aは、第1溝部11の外端部から外方へ延びるように配置される。また、第2溝部12は、ハウジング10の中央部から第2筒部107の突出方向に沿うようにハウジング10の径方向に延びており、第2溝部12におけるハウジング10の径方向外端部はハウジング10の外周面で開放されている。第2筒部107に接続されている第2チューブ103bは、第2溝部12の外端部から外方へ延びるように配置される。また、第3溝部13は、ハウジング10の中央部から第3筒部108の突出方向に沿うようにハウジング10の径方向に延びており、第3溝部13におけるハウジング10の径方向外端部はハウジング10の外周面で開放されている。尚、第3溝部13におけるハウジング10の径方向外端部はハウジング10の外周面で開放されていなくてもよい。これにより、ハウジング10の構造を簡略化し、製造効率を向上させることができる。
【0041】
第1~第3溝部11~13は、互いにハウジング10の中央部(貫通孔10aの直上方)において接続されている。また、第1~第3溝部11~13は、ハウジング10の上面で開放されている。したがって、三方活栓本体105は、ハウジング10の上方から第1~第3溝部11~13に収容可能になっている。尚、溝部の数は、3つに限られるものではなく、三方活栓104が有する筒部の数に対応する数であればよい。
【0042】
図6に示すように、第1溝部11の内部には、第1筒部106が嵌合する一対の第1嵌合片(嵌合部)11a、11aが形成されている。第1嵌合片11a、11aは、第1溝部11におけるハウジング10の径方向内側部分の底面から上方へ突出しており、互いに第1溝部11の幅方向に離れている。第1嵌合片11a、11aは、樹脂材が持っている弾性を利用して弾性域内で互いに接離する方向に撓み変形可能となっている。第1嵌合片11a、11aの間隔は、第1筒部106の外径よりも若干狭くなっている。また、第1嵌合片11a、11aの突出方向先端部には、互いに接近する方向に突出する突起11bがそれぞれ形成されている。両突起11bの間隔は、第1筒部106の外径よりも狭くなっている。したがって、第1筒部106を第1溝部11に押し込むようにすることで、第1筒部106が両突起11bに接触して第1嵌合片11a、11aの間隔が広がっていき、やがて第1筒部106が両突起11bを乗り越えて第1嵌合片11a、11aの突起11bよりも下に入る。第1筒部106が突起11bよりも下に入ると、第1嵌合片11a、11aの形状が復元して第1嵌合片11a、11aが第1筒部106を径方向両側から挟持するとともに、突起11bが第1筒部106に対してその上方から係合する。これにより、第1筒部106が第1嵌合片11a、11aに嵌合して第1筒部106の抜けが阻止される。
【0043】
同様に、第2溝部12の内部にも第2嵌合片(嵌合部)12a、12aが形成されている。第2嵌合片12a、12aの突出方向先端部には、互いに接近する方向に突出する突起12bがそれぞれ形成されている。従って、第1筒部106が第1嵌合片11a、11aに嵌合するのと同様に、第2筒部107が第2嵌合片12a、12aに嵌合する。尚、図示しないが、第3溝部13の内部に、第3嵌合片(嵌合部)を設けてもよい。第1嵌合片11a、突起11b、第2嵌合片12a、突起12bは省略することもできるし、いずれか1つまたは2つ以上の嵌合片のみ設けてもよい。また、嵌合片は実施形態に示した第1、第2凹部21、22から離間したリブ状でなく、第1、第2凹部21、22と連続した突起でもよい。
【0044】
ハウジング10には、操作部材30の下側部分の収容が可能な第1~第3凹部21~23が形成されている。第1~第3凹部21~23は上方に開放されており、上方から操作部材30の下側部分を収容することができるようになっている。第1凹部21は、第1溝部11と第3溝部13との間に形成されている。また、第2凹部22は、第2溝部12と第3溝部13との間に形成されている。また、第3凹部23は、第3溝部13が形成された側とは反対側において、第1溝部11と第2溝部12との間に形成されている。尚、凹部の数や形状は、溝部の数に応じて変更することができる。
【0045】
第1凹部21の内側面21aは、ハウジング10の軸線周りに延びる円弧面で構成されており、その円弧面の形成範囲は第1溝部11と第3溝部13との交差角度である90゜の範囲とされている。第2凹部22の内側面22aも、ハウジング10の軸線周りに延びる円弧面で構成されており、その円弧面の形成範囲は第2溝部12と第3溝部13との交差角度である90゜の範囲とされている。第3凹部23の内側面23aも、ハウジング10の軸線周りに延びる円弧面で構成されている。内側面23aの形成範囲は、第1溝部11と第2溝部12とのなす角度である180゜の範囲とされている。
【0046】
第1凹部21の内側面21a、第2凹部22の内側面22a及び第3凹部23の内側面23aは、同一半径の円弧面であり、従って、内側面21a、22a、23aは、同一円周上に配置されることになる。本実施例では内側面21a、22a、23aは、同一円周上に配置されていたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、内側面21a、22aが内側面23aよりも半径の小さな円弧から成っていてもよい。
【0047】
図6に示すように、第1凹部21の内側面21aの上部には、径方向内方へ突出する第1凸部21bが形成されている。また、
図4に示すように、第2凹部22の内側面22aの上部には、径方向内方へ突出する第2凸部22bが形成されている。さらに、
図8に示すように、第3凹部23の内側面23aの上部には、径方向内方へ突出する第3凸部23bが形成されている。複数の第1凸部21b、第2凸部22b及び第3凸部23bを周方向に間隔をあけて設けてもよい。
【0048】
図6に示すように、第1凹部21の底面21c、第2凹部22の底面22c及び第3凹部23の底面23cは、ハウジング10の軸線と直交する方向に延びる平坦面で構成されている。また、底面21c、22c、23cは、全て同じ高さ、即ち同一平面上に位置するように形成されている。底面21c、22c、23cは、全て同じ高さ、即ち同一平面上に位置するように形成されている必要はなく、いずれかの底面或いは全ての底面を省略することができる。また、本実施形態では底面21c、22c、23cは内側面21a、21b、21cと連続して形成されているが、内側面から離間して設けられていてもよい。
【0049】
第3凹部23の底面23cには、回動規制用長孔(回動規制部)23dが形成されている。回動規制用長孔23dは、操作部材30のハウジング10に対する回動範囲が三方活栓104のコック109の開閉切替時の回動範囲と一致するように当該回動範囲を規制するためのものである。すなわち、回動規制用長孔23dは、コック109の回動中心線110と同芯である操作部材30の回動中心線周りに延びる円弧状をなしている。コック109の開閉切替時の回動範囲は上述したように90゜であるため、回動規制用長孔23dの形成範囲は90゜の範囲とされている。回動規制の具体的な機構については後述する。
【0050】
図4に示すように、ハウジング10は、回動中心線110方向に沿って見て、操作部材30を囲むように延びる第1~第3周板部10b、10c、10dを有している。第1周板部10bは、第1溝部11と第3溝部13との間に形成されている。また、第2周板部10cは、第2溝部12と第3溝部13との間に形成されている。また、第3周板部10dは、第3溝部13が形成された側とは反対側において、第1溝部11と第2溝部12との間に形成されている。
【0051】
第1周板部10b及び第3周板部10dには、それぞれ、三方活栓104のコック109の開閉状態を操作部材30と共働して表示するための第1表示部24a及び第2表示部24bが設けられている。第1表示部24aは、コック109の開閉状態が上記連通状態となっていることを表示する部分である。一方、第2表示部24bは、コック109の開閉状態が上記開放状態となっていることを表示する部分である。第1表示部24a及び第2表示部24bの例としては、例えば文字、記号、図形、色彩、模様またはこれらの組み合わせとすることができる。文字、記号、図形、模様の場合、第1周板部10b及び第3周板部10dから突出した凸状部で構成されていてもよいし、凹状部で構成されていてもよい。第1表示部24aと第2表示部24bはハウジング10と一体である必要はなく、例えば、予め成形されたハウジング10に別の表示部形成用のパーツを組み込んでもよいし、ハウジング10の適切な箇所に表示部となるシールを貼ってもよいし、ハウジング10の適切な箇所に印字等を行い、それを表示部とすることもできる。
【0052】
また、
図11に示す変形例1のように、第1表示部24a及び第2表示部24bには、点字が含まれていてもよい。さらに、第1表示部24a及び第2表示部24bは、点字のみで構成されていてもよい。点字を用いることで、視覚障害者であってもコック109の開閉状態を確認することができる。この例では、第1表示部24aを「入」という文字にしており、空気をポンプ102によって袋状部材101に充填することが可能な状態を示している。一方、第2表示部24bを「出」という文字にしており、袋状部材101の内部の空気を排出させることが可能な状態を示している。第1表示部24a及び第2表示部24bの一方を第2周板部10cに設けてもよい。
【0053】
また、第2周板部10cには、操作部材30の操作方向を示すための操作方向指示部24cが設けられている。操作方向指示部24cは、例えば矢印等で構成することができる。操作方向指示部24cを第1周板部10bや第3周板部10dに設けてもよい。尚、操作方向指示部24cは、省略してもよい。
【0054】
次に、
図9や
図10に示す操作部材30について説明する。操作部材30は、外形が略円形の基板部31と、基板部31の周縁部から下方へ突出するとともに周方向に延びる周壁部32と、操作者が把持する把持部33とを有している。基板部31、周壁部32及び把持部33は一体成形されているが、例えば把持部33は別部品として基板部31に取り付けるように構成してもよい。
【0055】
基板部31の中心は、三方活栓104がハウジング10に固定された状態でコック109の回動中心線110上に位置するようになっている。基板部31の外径は、ハウジング10の内側面21a、22a、23aを構成している円弧面の径よりも若干小さく設定されており、平面視で、基板部31の周縁部が内側面21a、22a、23aよりも径方向内方に位置している。
【0056】
操作部材30をハウジング10に取り付けた状態で、周壁部32が第1~第3凹部21~23内に収容されるように、当該周壁部32の下方への突出寸法が設定されている。周壁部32には、当該周壁部32の下端部から上側へ向かって延びる複数のスリット32aが周方向に互いに間隔をあけて形成されている。スリット32aの形成により、周壁部32が周方向に複数に分断されることになるので、径方向への撓み変形(弾性変形)が可能になる。スリット32aは必要に応じて設ければよい。
【0057】
周壁部32の下端部には、径方向外方へ突出して周方向に延びる係合凸部32bが設けられている。係合凸部32bは、スリット32aが形成されていることにより、周方向に互いに間隔をあけて複数形成されることになる。
図8に示すように、係合凸部32bは、第3凸部23bの下方に配置され、当該第3凸部23bに対して下方から係合するようになっている。同様に、係合凸部32bは、第1凸部21b及び第2凸部22bの下方にも配置され、当該第1凸部21b及び第2凸部22bに対して下方から係合するようになっている。操作部材30をハウジング10に取り付ける際には、操作部材30をハウジング10の上方から下方へ移動させて周壁部32の先端部を第1凸部21b、第2凸部22b及び第3凸部23bに押し付ける。すると、周壁部32が径方向内方へ向けて撓み変形し、係合凸部32bが第1凸部21b、第2凸部22b及び第3凸部23bを乗り越える。係合凸部32bが第1凸部21b、第2凸部22b及び第3凸部23bを完全に乗り越えると、周壁部32の形状が復元して、係合凸部32bが第1凸部21b、第2凸部22b及び第3凸部23bに係合した状態になる。
【0058】
これにより、操作部材30がハウジング10から離脱しなくなるとともに、係合凸部32b、第1凸部21b、第2凸部22b及び第3凸部23bが周方向に延びていることにより、操作部材30のハウジング10に対する相対回動が可能になる。つまり、操作部材30は、三方活栓104のコック109の回動中心線110周りに回動可能にハウジング10に支持されている。
【0059】
図10に示すように、基板部31の裏面(下面)には、三方活栓104のコック109に係合する複数のコック係合部34が設けられている。この実施形態では、4つのコック係合部34が基板部31における互いに離間した部位から下方へ突出するリブで構成されており、コック109における互いに離間した複数箇所にそれぞれ嵌合可能な形状となっている。コック係合部34は互いに離間している必要はなく、例えば連続した一つのリブ等から成っていてもよい。コック係合部34は、コック109の第1~第3レバー部109a、109b、109cの側面にそれぞれ当接するように形成されている。これにより、操作部材30の正逆方向の回動力がコック109に確実に伝達されるとともに、操作部材30のコック109に対するガタツキが抑制される。
【0060】
把持部33は、操作部材30の本体部分を構成している基板部31から回動中心線方向(上方)へ向けて膨出するとともに、回動中心線110と交差する方向に長く延びる形状とされている。把持部33の上端部は、ハウジング10の第1~第3周板部10b、10c、10dよりも上方へ突出しており、把持部33を指で摘まんで把持したときに第1~第3周板部10b、10c、10dが邪魔にならないようになっている。把持部33の内部は中空状である。
【0061】
把持部33の長手方向一端部は、平面視で先細に形成された先細形状部33aとされている。この先細形状部33aが第1表示部24aに最も接近した操作部材30の回動位置が上記連通状態であり、また、先細形状部33aが第2表示部24bに最も接近した操作部材30の回動位置が上記開放状態である。したがって、操作部材30と、第1表示部24a及び第2表示部24bとによってコック109の開閉状態を表示することが可能になる。尚、先細形状部33aと第1表示部24aとの周方向の位置が一致した状態(先細形状部33aが第1表示部24aの方を向いた状態)を上記連通状態としてもよいし、先細形状部33aと第2表示部24bとの周方向の位置が一致した状態(先細形状部33aが第2表示部24bの方を向いた状態)を上記開放状態としてもよい。
【0062】
図10に示すように、基板部31には、ストッパ(第1係合部)35が設けられている。ストッパ35は、基板部31の裏面から下方へ突出するとともに、回動規制用長孔23d(
図6に示す)に差し込まれる突起で構成されている。ストッパ35の形状は特に限定されるものではなく、例えば軸状、柱状、筒状、リブ状であってもよい。
【0063】
図12は、回動規制用長孔23dとストッパ35との位置関係を示しており、回動規制用長孔23dにストッパ35が差し込まれた状態を上方から見た図である。操作部材30の回動位置が上記連通状態にある時には、ストッパ35が実線で示す位置となり、一方、操作部材30の回動位置が上記開放状態にある時には、ストッパ35が仮想線で示す位置となるように、ストッパ35の基板部31に対する周方向の位置が設定されている。
【0064】
ストッパ35が実線で示す位置になると、回動規制用長孔23dの長手方向一側の周縁部がストッパ35の側面に係合し、ストッパ35がそれ以上矢印A方向へ移動しなくなる。また、ストッパ35が仮想線で示す位置になると、回動規制用長孔23dの長手方向他側の周縁部がストッパ35の側面に係合し、ストッパ35がそれ以上矢印B方向へ移動しなくなる。回動規制用長孔23dの形成範囲は、コック109の開閉切替時の回動範囲と一致しているので、ストッパ35と回動規制用長孔23dとによって操作部材30の回動範囲を物理的に規制してコック109の開閉切替時の回動範囲と同じにすることができる。
【0065】
また、ストッパ35の断面形状は、回動方向の寸法W1が、回動方向に直交する方向の寸法W2よりも長く設定されている。これにより、A方向やB方向に無理な力が作用したとしても、ストッパ35が折れにくくなる。尚、ストッパ35の断面形状は円形であってもよい。本実施形態のストッパ35はハウジング10に設けられた回動規制用長孔23dに差し込まれる突起で構成されていたが、回動規制用長孔(図示せず)を操作部材30に形成し、ストッパ(図示せず)をハウジング10の底面から回動中心線110に沿った方向に突出するように設けてもよい。
【0066】
(三方活栓用操作器具の使用方法)
三方活栓用操作器具1を三方活栓104に装着する際には、ハウジング10から操作部材30を取り外しておく。その後、三方活栓本体105をハウジング10に収容して固定した後、操作部材30をハウジング10に取り付ける。
【0067】
三方活栓用操作器具1を取り付けた後、袋状部材101に空気を充填する場合には操作部材30の先細形状部33aが第1表示部24aに最も接近するまで、操作部材30を回動させる。その後、ポンプ102を操作することで袋状部材101に空気を充填することができる。
【0068】
一方、袋状部材101の内部の空気を排出する場合には操作部材30の先細形状部33aが第2表示部24bに最も接近するまで、操作部材30を回動させる。これにより、袋状部材101が大気開放されるので、袋状部材101の内部の空気が排出される。
【0069】
(実施形態の作用効果)
以上説明したように、この実施形態によれば、三方活栓本体105が固定されるハウジング10が三方活栓本体105の周囲や筒部106、107、108を囲むように形成されているので、ハウジング10の大きさが三方活栓本体105の大きさよりも大きくなる。よって、操作者は三方活栓本体105を持つよりもハウジング10を持つ方が容易になる。また、操作部材30は、コック109のレバー部109a、109b、109cを囲むように形成されているので、操作者はコック109を直接持つよりも把持部33を持つ方が容易になり、力が入れやすくなる。さらに、把持部33があることで、操作者はどこを持てばよいか直感的に把握できる。
【0070】
操作者が把持部33を持って操作部材30を操作すると、コック係合部34がコック109に係合しているので、コック109も同方向に動く。これにより三方活栓104のポートP1~P3の開閉状態が切り替わる。このとき、ハウジング10に表示部24a、24bがあるので、操作部材30をどこまで動かすとポートP1~P3が所望の開閉状態になるか、直感的に把握できる。したがって、三方活栓104を容易にかつ直感的に所望の状態に切り替えることができる。
【0071】
上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。図示しないが、例えば、回動規制用長孔を操作部材30の基板部31に形成し、ストッパをハウジング10に形成してもよい。
【0072】
また、
図13に示す変形例2のように、操作部材30の把持部33には、延長部36を設けてもよい。延長部36は、把持部33の長手方向に延びる棒状または柱状に形成されている。延長部36を設けることで、操作部材30の回動操作性がより一層良好になる。
【0073】
また、
図14に示す変形例3のように、第1表示部24a及び第2表示部24bを数字にしてもよい。この変形例3では、第2表示部24bが第2周板部10cに設けられている。
【0074】
また、
図15に示す変形例4のように、第3凹部23の内側面23aに回動規制用長孔23eを形成してもよい。この変形例4の回動規制用長孔23eは、内側面23aに開口するスリット状をなしている。変形例4の場合、
図16に示すように、操作部材30の周壁部32から径方向外方へ突出するようにストッパ37を設ければよい。これにより、ストッパ37を回動規制用長孔23eに差し込んで操作部材30の回動範囲を規制することができる。
【0075】
また、変形例4において、図示しないが回動規制用長孔を操作部材30の周壁部32に形成し、ストッパをハウジング10の内側面23aから径方向内方へ突出するように形成して回動規制用長孔に差し込むようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0076】
以上説明したように、本発明に係る三方活栓用操作器具は、例えば経管栄養法で三方活栓を操作する場合に使用できる。
【符号の説明】
【0077】
1 三方活栓用操作器具
10 ハウジング
10b 第1周板部
10c 第2周板部
10d 第3周板部
11a 第1嵌合片(嵌合部)
12a 第2嵌合片(嵌合部)
23d 回動規制用長孔(回動規制部)
24a、24b 第1表示部、第2表示部
30 操作部材
33 把持部
34 コック係合部
35 ストッパ(第1係合部)
104 三方活栓
105 三方活栓本体
106 第1筒部
107 第2筒部
108 第3筒部
109 コック