(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023134518
(43)【公開日】2023-09-27
(54)【発明の名称】透過性増強された医薬組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 45/00 20060101AFI20230920BHJP
A61K 31/137 20060101ALI20230920BHJP
A61K 31/5513 20060101ALI20230920BHJP
A61K 31/5517 20060101ALI20230920BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20230920BHJP
A61P 25/22 20060101ALI20230920BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20230920BHJP
A61P 25/24 20060101ALI20230920BHJP
A61P 25/20 20060101ALI20230920BHJP
A61K 47/14 20170101ALI20230920BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20230920BHJP
A61K 47/22 20060101ALI20230920BHJP
A61K 47/46 20060101ALI20230920BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20230920BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20230920BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20230920BHJP
A61K 47/42 20170101ALI20230920BHJP
A61K 47/34 20170101ALI20230920BHJP
【FI】
A61K45/00
A61K31/137
A61K31/5513
A61K31/5517
A61K47/10
A61P25/22
A61P25/00
A61P25/24
A61P25/20
A61K47/14
A61K47/12
A61K47/22
A61K47/46
A61K47/38
A61K47/36
A61K47/32
A61K47/42
A61K47/34
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023104610
(22)【出願日】2023-06-27
(62)【分割の表示】P 2018558225の分割
【原出願日】2017-05-04
(31)【優先権主張番号】62/331,993
(32)【優先日】2016-05-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.プルロニック
2.TRITON
3.BRIJ
4.テフロン
(71)【出願人】
【識別番号】504322976
【氏名又は名称】アクエスティブ セラピューティクス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100097456
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 徹
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー マーク ショベル
(72)【発明者】
【氏名】ステファニー マリー バージャン
(72)【発明者】
【氏名】ステファン ポール ワルガクキ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】増強された活性成分の透過特性を有する医薬組成物を提供する。
【解決手段】医薬組成物であって、ポリマーマトリクス中の医薬活性成分及びアドレナリン受容体相互作用物質を含有する医薬組成物とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬組成物であって:
ポリマーマトリクス;
このポリマーマトリクス中の医薬活性成分;及び
アドレナリン受容体相互作用物質:
を含有する、前記医薬組成物。
【請求項2】
前記医薬組成物が、更に透過エンハンサーを含む、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記アドレナリン受容体相互作用物質が、テルペノイド、テルペン又はセスキテルペン
を含む、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記透過エンハンサーが、ファルネソールを含む、請求項2記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記透過エンハンサーが、ラブラゾルを含む、請求項2記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記透過エンハンサーが、リノール酸を含む、請求項2記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記医薬組成物が、ポリマーマトリクス、このポリマーマトリクス中に含まれる医薬活
性成分を含有する、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記アドレナリン受容体相互作用物質が、フェニルプロパノイドを含む、請求項1~7の
いずれか一項記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記フェニルプロパノイドが、オイゲノールである、請求項8記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記フェニルプロパノイドが、酢酸オイゲノールである、請求項8記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記フェニルプロパノイドが、ケイヒ酸である、請求項8記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記フェニルプロパノイドが、ケイヒ酸エステルである、請求項8記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記フェニルプロパノイドが、ケイヒアルデヒドである、請求項8記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記フェニルプロパノイドが、ヒドロケイヒ酸である、請求項8記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記フェニルプロパノイドが、カビコールである、請求項8記載の医薬組成物。
【請求項16】
前記フェニルプロパノイドが、サフロールである、請求項8記載の医薬組成物。
【請求項17】
前記アドレナリン受容体相互作用物質が、植物抽出物である、請求項1記載の医薬組成
物。
【請求項18】
前記植物抽出物が、クローブ植物の精油抽出物を更に含む、請求項17記載の医薬組成物
。
【請求項19】
前記植物抽出物が、クローブ植物の葉の精油抽出物を更に含む、請求項17記載の医薬組
成物。
【請求項20】
前記植物抽出物が、クローブ植物の花芽の精油抽出物を更に含む、請求項17記載の医薬
組成物。
【請求項21】
前記植物抽出物が、クローブ植物の茎の精油抽出物を更に含む、請求項17記載の医薬組
成物。
【請求項22】
前記植物抽出物が、合成品又は生合成品である、請求項17記載の医薬組成物。
【請求項23】
前記植物抽出物が、40~95%のオイゲノールを更に含む、請求項17記載の医薬組成物。
【請求項24】
前記植物抽出物が、80~95%のオイゲノールを更に含む、請求項17記載の医薬組成物。
【請求項25】
前記医薬活性成分が、エピネフリンである、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項26】
前記医薬活性成分が、ジアゼパムである、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項27】
前記医薬活性成分が、アルプラゾラムである、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項28】
前記ポリマーマトリクスが、ポリマーを含む、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項29】
前記ポリマーが水溶性ポリマーである、請求項28記載の医薬組成物。
【請求項30】
前記ポリマーが、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキ
シエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロー
ス、メチルセルロース及びカルボキシメチルセルロースからなる群から選択されるセルロ
ース系ポリマーを含む、請求項28記載の医薬組成物。
【請求項31】
前記ポリマーが、ポリエチレンオキシドを含む、請求項28記載の医薬組成物。
【請求項32】
前記ポリマーマトリクスが、セルロース系ポリマー、ポリエチレンオキシド及びポリビ
ニルピロリドン、ポリエチレンオキシド及び多糖、ポリエチレンオキシド、ヒドロキシプ
ロピルメチルセルロース及び多糖、又はポリエチレンオキシド、ヒドロキシプロピルメチ
ルセルロース、多糖及びポリビニルピロリドンを含む、請求項28記載の医薬組成物。
【請求項33】
前記ポリマーマトリクスが、プルラン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール
、アルギン酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、キサンタンガム、トラガカントガム
、グアーガム、アカシアゴム、アラビアゴム、ポリアクリル酸、メチルメタクリレートコ
ポリマー、カルボキシビニルコポリマー、デンプン、ゼラチン、エチレンオキシド、プロ
ピレンオキシドコポリマー、コラーゲン、アルブミン、ポリアミノ酸、ポリホスファゼン
、多糖、キチン、キトサン、及びそれらの誘導体の群から選択される少なくとも1種のポ
リマーを含む、請求項28記載の医薬組成物。
【請求項34】
更に安定剤を含有する、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項35】
前記ポリマーマトリクスが、樹状ポリマーを含む、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項36】
前記ポリマーマトリクスが、高分岐ポリマーを含む、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項37】
医薬組成物の製造方法であって:
アドレナリン受容体相互作用物質を、医薬活性成分と配合する工程;及び
アドレナリン受容体相互作用物質及び医薬活性活性成分を含む医薬組成物を形成する工
程:を含む、前記方法。
【請求項38】
装置であって:
ポリマーマトリクス;
このポリマーマトリクス中の医薬活性成分;及び
フェニルプロパノイド及び/又は植物抽出物を含む透過エンハンサー:を含有するある
量の医薬組成物を保持するハウジング;並びに
予め決定された量の医薬組成物を分配する開口部:を備える、前記装置。
【請求項39】
医薬組成物であって:
ポリマーマトリクス;
このポリマーマトリクス中の医薬活性成分;及び
フェニルプロパノイド及び/又は植物抽出物を含む透過エンハンサー:を含有する、前
記医薬組成物。
【請求項40】
前記フェニルプロパノイドが、オイゲノール、酢酸オイゲノール、ケイヒ酸、ケイヒ酸
エステル、ケイヒアルデヒド、ヒドロケイヒ酸、カビコール、又はサフロールである、請
求項39記載の医薬組成物。
【請求項41】
前記植物抽出物が、クローブ植物の精油抽出物を含む、請求項39記載の医薬組成物。
【請求項42】
前記植物抽出物が、クローブ植物の葉の精油抽出物、クローブ植物の花芽の精油抽出物
、又はクローブ植物の茎の精油抽出物を更に含む、請求項17記載の方法。
【請求項43】
前記植物抽出物が、合成品又は生合成品である、請求項17記載の医薬組成物。
【請求項44】
前記植物抽出物が、40~95%のオイゲノールを更に含む、請求項39記載の医薬組成物。
【請求項45】
前記植物抽出物が、80~95%のオイゲノールを更に含む、請求項39記載の医薬組成物。
【請求項46】
前記医薬活性成分が、エピネフリンである、請求項39記載の医薬組成物。
【請求項47】
前記医薬活性成分が、ジアゼパムである、請求項39記載の医薬組成物。
【請求項48】
前記医薬活性成分が、アルプラゾラムである、請求項39記載の医薬組成物。
【請求項49】
前記ポリマーマトリクスが、ポリマーを含む、請求項39記載の医薬組成物。
【請求項50】
前記ポリマーマトリクスが、水溶性ポリマーを含む、請求項39記載の医薬組成物。
【請求項51】
前記ポリマーマトリクスが、ポリエチレンオキシドを含む、請求項39記載の医薬組成物
。
【請求項52】
前記ポリマーマトリクスが、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース
、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピ
ルセルロース、及びカルボキシメチルセルロースの群から選択されるセルロース系ポリマ
ーを含む、請求項39記載の医薬組成物。
【請求項53】
前記ポリマーマトリクスが、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む、請求項39記
載の医薬組成物。
【請求項54】
前記ポリマーマトリクスが、セルロース系ポリマー、ポリエチレンオキシド及びポリビ
ニルピロリドン、ポリエチレンオキシド及び多糖、ポリエチレンオキシド、ヒドロキシプ
ロピルメチルセルロース及び多糖、又はポリエチレンオキシド、ヒドロキシプロピルメチ
ルセルロース、多糖及びポリビニルピロリドンを含む、請求項39記載の医薬組成物。
【請求項55】
前記ポリマーマトリクスが、プルラン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール
、アルギン酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、キサンタンガム、トラガカントガム
、グアーガム、アカシアゴム、アラビアゴム、ポリアクリル酸、メチルメタクリレートコ
ポリマー、カルボキシビニルコポリマー、デンプン、ゼラチン、エチレンオキシド、プロ
ピレンオキシドコポリマー、コラーゲン、アルブミン、ポリアミノ酸、ポリホスファゼン
、多糖、キチン、キトサン、及びそれらの誘導体の群から選択される少なくとも1種のポ
リマーを含む、請求項39記載の医薬組成物。
【請求項56】
更に安定剤を含有する、請求項39記載の医薬組成物。
【請求項57】
前記ポリマーマトリクスが、樹状ポリマーを含む、請求項39記載の医薬組成物。
【請求項58】
前記ポリマーマトリクスが、高分岐ポリマーを含む、請求項39記載の医薬組成物。
【請求項59】
前記医薬組成物が、チュアブル又はゼラチンベースの剤形、スプレー、ガム、ゲル、ク
リーム、錠剤、液剤又はフィルムである、請求項1記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権の主張)
本出願は、米国特許法(35 U.S.C.)第119条(e)項の下で、その全体が引用により本明細
書中に組み込まれている、2016年5月5日に出願された米国特許出願第62/331,993号の優先
権を主張するものである。
【0002】
(技術分野)
本発明は、医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
(背景)
薬物又は医薬などの活性成分は、計画的な様式で、患者へ送達される。フィルムを使用
する経皮的又は経粘膜的な薬物又は医薬の送達は、薬物又は医薬は、有効且つ効率的様式
で、生体膜を透過するか、そうでなければ横断することを必要とすることができる。
【発明の概要】
【0004】
(要約)
概して、医薬組成物は、ポリマーマトリクス、このポリマーマトリクス中の医薬活性成
分、及びアドレナリン受容体相互作用物質を含有することができる。ある実施態様におい
て、本医薬組成物は、更に透過エンハンサーを含むことができる。アドレナリン受容体相
互作用物質は、アドレナリン受容体遮断薬であることができる。本透過エンハンサーはま
た、フラボノイドであるか、又はフラボノイドと組合せて使用されることができる。
【0005】
ある実施態様において、本アドレナリン受容体相互作用物質は、テルペノイド、テルペ
ン又はC3-C22アルコールもしくは酸であることができる。本アドレナリン受容体相互作用
物質は、セスキテルペンであることができる。ある実施態様において、本アドレナリン受
容体相互作用物質は、ファルネソール、リノール酸、アラキドン酸、ドコサヘキサエン酸
、エイコサペンタン酸、又はドコサペンタン酸、又はそれらの組合せを含むことができる
。
【0006】
ある実施態様において、本医薬組成物は、ポリマーマトリクス、このポリマーマトリク
スに含まれている医薬活性成分を更に含有するフィルムであることができる。
【0007】
ある実施態様において、本アドレナリン受容体相互作用物質は、植物抽出物であること
ができる。
【0008】
ある実施態様において、本透過エンハンサーは、植物抽出物であることができる。
【0009】
ある実施態様において、本透過エンハンサーは、フェニルプロパノイドを含むことがで
きる。
【0010】
他の実施態様において、フェニルプロパノイドは、オイゲノールであることができる。
【0011】
ある実施態様において、本医薬組成物は、真菌抽出物を含むことができる。
【0012】
ある実施態様において、本医薬組成物は、飽和又は不飽和のアルコールを含むことがで
きる。
【0013】
ある実施態様において、本アルコールは、ベンジルアルコールであることができる。
【0014】
一部の場合において、フラボノイド、植物抽出物、フェニルプロパノイド、オイゲノー
ル、又は真菌抽出物は、可溶化剤として使用することができる。
【0015】
他の実施態様において、フェニルプロパノイドは、オイゲノールであることができる。
ある実施態様において、フェニルプロパノイドは、酢酸オイゲノールであることができる
。ある実施態様において、フェニルプロパノイドは、ケイヒ酸であることができる。他の
実施態様において、フェニルプロパノイドは、ケイヒ酸エステルであることができる。他
の実施態様において、フェニルプロパノイドは、ケイヒアルデヒドであることができる。
【0016】
他の実施態様において、フェニルプロパノイドは、ヒドロケイヒ酸であることができる
。ある実施態様において、フェニルプロパノイドは、カビコールであることができる。他
の実施態様において、フェニルプロパノイドは、サフロールであることができる。
【0017】
ある実施態様において、本植物抽出物は、クローブ植物の精油抽出物であることができ
る。他の実施態様において、本植物抽出物は、クローブ植物の葉の精油抽出物であること
ができる。本植物抽出物は、クローブ植物の花芽の精油抽出物であることができる。他の
実施態様において、本植物抽出物は、クローブ植物の茎の精油抽出物であることができる
。
【0018】
ある実施態様において、本植物抽出物は、合成されることができる。ある実施態様にお
いて、本植物抽出物は、20~95%のオイゲノールを含み、40~95%のオイゲノールを含み
、且つ60~95%のオイゲノールを含むことができる。ある実施態様において、本植物抽出
物は、80~95%オイゲノールを含むことができる。
【0019】
他の実施態様において、本医薬活性成分は、エピネフリンであることができる。
【0020】
ある実施態様において、本医薬活性成分は、ジアゼパムであることができる。
【0021】
ある実施態様において、本医薬活性成分は、アルプラゾラムであることができる。ある
実施態様において、本ポリマーマトリクスは、ポリマーを含むことができる。ある実施態
様において、本ポリマーは、水溶性ポリマーを含むことができる。
【0022】
ある実施態様において、本ポリマーは、ポリエチレンオキシドであることができる。
【0023】
ある実施態様において、本ポリマーは、セルロース系ポリマーであることができる。あ
る実施態様において、本セルロース系ポリマーは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース
、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピ
ルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース及び/又はカルボキシメ
チルセルロースナトリウムであることができる。
【0024】
ある実施態様において、本ポリマーは、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを含むこ
とができる。
【0025】
ある実施態様において、本ポリマーは、ポリエチレンオキシド及び/又はヒドロキシプ
ロピルメチルセルロースを含むことができる。
【0026】
ある実施態様において、本ポリマーは、ポリエチレンオキシド及び/又はポリビニルピ
ロリドンを含むことができる。
【0027】
ある実施態様において、本ポリマーマトリクスは、ポリエチレンオキシド及び/又は多
糖を含むことができる。
【0028】
ある実施態様において、本ポリマーマトリクスは、ポリエチレンオキシド、ヒドロキシ
プロピルメチルセルロース及び/又は多糖を含むことができる。
【0029】
ある実施態様において、本ポリマーマトリクスは、ポリエチレンオキシド、セルロース
系ポリマー、多糖及び/又はポリビニルピロリドンを含むことができる。
【0030】
ある実施態様において、本ポリマーマトリクスは、以下の群から選択される少なくとも
1つのポリマーを含むことができる:プルラン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアル
コール、アルギン酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、キサンタンガム、トラガカン
トガム、グアーガム、アカシアゴム、アラビアゴム、ポリアクリル酸、メチルメタクリレ
ートコポリマー、カルボキシビニルコポリマー、デンプン、ゼラチン、エチレンオキシド
、プロピレンオキシド、プロピレンオキシドコポリマー、コラーゲン、アルブミン、ポリ
アミノ酸、ポリホスファゼン、多糖、キチン、キトサン、及びそれらの誘導体。
【0031】
ある実施態様において、本医薬組成物は、更に安定剤を含むことができる。安定剤は、
物質の望ましくない酸化を防止することができる抗酸化剤、キレート錯体を形成し、そう
でなければ触媒として作用する微量の金属イオンを失活させることができる金属イオン封
鎖剤、エマルジョンを安定化することができる乳化剤及び界面活性剤、物質を紫外線照射
の有害作用から保護することができる紫外線安定剤、紫外線照射を吸収しそれが組成物を
浸透することを防止する化学物質であるUV吸収剤、それに化学結合を破壊させる代わりに
放射エネルギーを熱として消散することができる消光剤、又は紫外線照射により形成され
るフリーラジカルを排除することができるスカベンジャーを含むことができる。
【0032】
更に別の態様において、本医薬組成物は、親水性サッカリドへのリンケージにより結合
される疎水性アルキル基を有する、好適な無毒の非イオン性アルキル配糖体を、以下から
選択される粘膜送達促進剤と組合せて有する:(a)凝集阻害剤;(b)電荷修飾剤;(c)pH調
節剤;(d)分解酵素阻害剤;(e)粘液溶解剤又は粘膜除去剤;(f)線毛静止剤(ciliostatic
agent);(g)以下から選択される膜透過促進剤:(i)界面活性剤;(ii)胆汁酸塩;(ii)リン
脂質添加剤、混合ミセル、リポソーム、もしくは担体;(iii)アルコール;(iv)エナミン
;(v)一酸化窒素供与化合物;(vi)長鎖両親媒性分子;(vii)小型疎水性浸透エンハンサー
;(viii)ナトリウム又はサリチル酸誘導体;(ix)アセト酢酸のグリセロールエステル;(x
)シクロデキストリン又はβ-シクロデキストリン誘導体;(xi)中鎖脂肪酸;(xii)キレー
ト剤;(xiii)アミノ酸又はそれらの塩;(xiv)N-アセチルアミノ酸又はそれらの塩;(xv)
選択された膜成分の分解性の酵素;(ix)脂肪酸合成のインヒビター;(x)コレステロール
合成のインヒビター;及び、(xi)(i)-(x)に列挙された膜浸透促進剤の任意の組合せ;(h)
上皮ジャンクション生理機能の調整剤;(i)血管拡張剤;(j)選択輸送促進剤;並びに、(k
)それと本化合物が効果的に配合され、会合され、含まれ、封入され又は結合され、増強
された粘膜送達のための化合物の安定化を生じる、安定化送達ビヒクル、担体、粘膜接着
物、支持体又は複合体-形成種であって、ここで経粘膜的な送達促進剤を伴う本化合物の
製剤は、対象の血漿中の本化合物の生物学的利用能の増大を提供する。
【0033】
一般に、医薬組成物の製造方法は、アドレナリン受容体相互作用物質を、医薬活性成分
と配合し、且つアドレナリン受容体相互作用物質及び医薬活性成分を含有する医薬組成物
を形成することを含むことができる。
【0034】
本医薬組成物は、チュアブル又はゼラチンベースの剤形、スプレー、ガム、ゲル、クリ
ーム、錠剤、液体又はフィルムであることができる。
【0035】
一般に、医薬組成物は、装置から分配され得る。この装置は、チュアブル又はゼラチン
ベースの剤形、スプレー、ガム、ゲル、クリーム、錠剤、液体又はフィルムとして、予め
決定された投与量で、医薬組成物を分配することができる。装置は、ポリマーマトリクス
;このポリマーマトリクス中の医薬活性成分;及び、アドレナリン受容体相互作用物質を
含有する、ある量の医薬組成物を保持するハウジング、並びに予め決定された量の医薬組
成物を分配する開口部を備えることができる。本装置はまた、フェニルプロパノイド及び
/又は植物抽出物を含む透過エンハンサーを含有する医薬組成物を分配することができる
。
【0036】
ある実施態様において、医薬組成物は、ポリマーマトリクス、このポリマーマトリクス
中の医薬活性成分;及び、フェニルプロパノイド及び/又は植物抽出物を含む透過エンハ
ンサーを含有することができる。
【0037】
他の態様、実施態様、及び特徴は、以下の説明、図面及び請求項から明らかになるであ
ろう。
【図面の簡単な説明】
【0038】
(図面の簡単な説明)
【
図1】
図1Aに関して、フランツ拡散セル100は、ドナー化合物101、ドナーチャンバー102、膜103、サンプリングポート104、レセプターチャンバー105、撹拌棒106、及びヒーター/サーキュレーター107を備える。
図1Bに関して、医薬組成物は、ポリマーマトリクス200、このポリマーマトリクス中に含まれている医薬活性成分300を含む、フィルム100である。このフィルムは、透過エンハンサー400を含むことができる。
【
図2】
図2A及び2Bに関して、グラフは、組成物からの活性物質の透過を示す。
図2Aに関して、このグラフは、8.00mg/mL酒石酸水素エピネフリン及び4.4mg/mL可溶化されたエピネフリン塩基による、透過された活性物質の平均量、対、時間を示す。
図2Bに関して、このグラフは、8.00mg/mL酒石酸水素塩及び4.4mg/mL可溶化されたエピネフリン塩基による、平均フラックス、対、時間を示す。
【
図3】
図3に関して、このグラフは、濃度の関数としての、酒石酸水素エピネフリンのエクスビボ透過を示す。
【
図4】
図4に関して、このグラフは、溶液のpHの関数としての、酒石酸水素エピネフリンの透過を示す。
【
図5】
図5に関して、このグラフは、時間の関数としての、透過された量として示された、エピネフリンの透過に対するエンハンサーの影響を示す。
【
図6】
図6A及び6Bに関して、これらのグラフは、透過量(μg)、対、時間として示された、ポリマープラットフォームに対するエピネフリンの放出(6A)、及びその放出に対するエンハンサーの作用(6B)を示す。
【
図7】
図7に関して、このグラフは、雄のYucatanミニブタにおける、薬物動態モデルを示す。この試験は、0.3mgエピペン、0.12mgエピネフリンIV及びプラセボフィルムを比較している。
【
図8】
図8に関して、このグラフは、40mgエピネフリンフィルム、対、0.3mgエピペンの濃度プロファイルに対するエンハンサー非存在の影響を示す。
【
図9】
図9に関して、このグラフは、40mgエピネフリンフィルム、対、0.3mgエピペンの濃度プロファイルに対する、エンハンサーA(ラブラゾル)の影響を示す。
【
図10】
図10に関して、このグラフは、2種の40mgエピネフリンフィルム(10-1-1)及び(11-1-1)、対、0.3mgエピペンの濃度プロファイルに対するエンハンサーL(クローブ油)の影響を示す。
【
図11】
図11に関して、このグラフは、40mgエピネフリンフィルム、対、0.3mgエピペンの濃度プロファイルに対するエンハンサーL(クローブ油)及びフィルム寸法(10-1-1薄く大きいフィルム及び11-1-1厚く小さいフィルム)の影響を示す。
【
図12】
図12に関して、このグラフは、0.3mgエピペンに対する、エンハンサーL(クローブ油)のための一定のマトリクスにおけるエピネフリンフィルムの変動する投与量に関する濃度プロファイルを示す。
【
図13】
図13に関して、このグラフは、0.3mgエピペンに対する、エンハンサーL(クローブ油)のための一定のマトリクス中のエピネフリンフィルムの変動する投与量に関する濃度プロファイルを示す。
【
図14】
図14に関して、このグラフは、0.3mgエピペンに対する、エンハンサーA(ラブラゾル)のための一定のマトリクス中のエピネフリンフィルムの変動する投与量に関する濃度プロファイルを示す。
【
図15】
図15に関して、このグラフは、時間の関数としての、透過された量として示された、ジアゼパムの透過に対するエンハンサーの影響を示す。
【
図16】
図16に関して、このグラフは、時間の関数としての平均フラックスを示す(ジアゼパム+エンハンサー)。
【
図17】
図17に関して、このグラフは、40mgエピネフリンフィルム、対、0.3mgエピペンの血漿濃度プロファイルに対する、ファルネソール及びリノール酸と組合せたファルネソールの影響を示す。
【
図18】
図18に関して、このグラフは、40mgエピネフリンフィルム、対、0.3mgエピペンの血漿濃度プロファイルに対する、ファルネソールの影響を示す。
【
図19】
図19に関して、このグラフは、40mgエピネフリンフィルム、対、0.3mgエピペンの血漿濃度プロファイルに対する、リノール酸と組合せたファルネソールの影響を示す。
【
図20】
図20に関して、このグラフは、40mgエピネフリンフィルム、対、0.3mgエピペンの血漿濃度プロファイルに対する、ファルネソール及びリノール酸と組合せたファルネソールの影響を示す。
【
図21】
図21に関して、このグラフは、対数表示での、40mgエピネフリンフィルムの濃度プロファイル(同じく
図22に示した)に対する、エンハンサーL(クローブ油)と組合せたエンハンサーA(ラブラゾル)の影響を示す。
【
図22】
図22に関して、このグラフは、40mgエピネフリンフィルム、対、0.3mgエピペンから収集した平均データの濃度プロファイルに対する、エンハンサーL(クローブ油)と組合せたエンハンサーA(ラブラゾル)の影響を示す。
【
図23】
図23に関して、このグラフは、個別の動物対象として示された、40mgエピネフリンフィルムの濃度プロファイルに対する、エンハンサーL(クローブ油)と組合せたエンハンサーA(ラブラゾル)の影響を示す。
【
図24】
図24Aに関して、このグラフは、アルプラゾラム経口崩壊錠(ODT)の舌下投与後の時間の関数としてのアルプラゾラム血漿濃度を示す。
図24Bに関して、このグラフは、アルプラゾラム医薬組成物フィルムの舌下投与後の時間の関数としてのアルプラゾラム血漿濃度を示す。
図24Cに関して、アルプラゾラム医薬組成物フィルムの舌下投与後の時間の関数としてのアルプラゾラム血漿濃度を示す。
【
図25】
図25Aに関して、このグラフは、アルプラゾラムODT及びアルプラゾラム医薬組成物フィルムの舌下投与後の時間の関数としての平均アルプラゾラム血漿濃度を示す。
図25Bに関して、このグラフは、舌下投与後の時間の関数としてのアルプラゾラム血漿濃度を示す。
図25Cに関して、このグラフは、舌下投与後の時間の関数としてのアルプラゾラム血漿濃度を示す。
【
図26】
図26Aに関して、このグラフは、アルプラゾラムODTの舌下投与後の時間の関数としてのアルプラゾラム血漿濃度を示す。
図26Bに関して、このグラフは、アルプラゾラム医薬組成物フィルムの舌下投与後の時間の関数としてのアルプラゾラム血漿濃度を示す。
図26Cに関して、このグラフは、アルプラゾラム医薬組成物フィルムの舌下投与後の時間の関数としてのアルプラゾラム血漿濃度を示す。
【
図27】
図27Aに関して、このグラフは、アルプラゾラムODT及び医薬組成物フィルムの舌下投与後の時間の関数としての平均アルプラゾラム血漿濃度を示す。
図27Bに関して、このグラフは、アルプラゾラムODT及び医薬組成物フィルムの舌下投与後の時間の関数としての平均アルプラゾラム血漿濃度を示す。
図27Cに関して、このグラフは、アルプラゾラムODT及び医薬組成物フィルムの舌下投与後の時間の関数としてのアルプラゾラム血漿濃度を示す。
【発明を実施するための形態】
【0039】
(詳細な説明)
口腔粘膜などの粘膜表面は、高度に血管形成され、且つ透過性であり、消化器系を通過
することがなく、これにより初回通過代謝を避けるという理由で、増大した生物学的利用
能及び作用の迅速な開始を提供するという事実のために、粘膜表面は、体への薬物送達の
ための都合の良い経路である。特に、口腔組織及び舌下組織は、口腔粘膜の高度に透過性
の領域であり、全身循環への直接のアクセスを有するよう口腔粘膜からの薬物の拡散を可
能にするので、これらの組織は、薬物送達にとって有利な部位を提供する。これはまた、
利便性の増加をもたらし、従って患者のコンプライアンスを増大する。ある種の薬物又は
医薬活性成分に関して、透過エンハンサーは、粘膜障壁を乗り越え、透過性を改善するこ
とを補助することができる。透過エンハンサーは、薬物吸収に有利なように障壁層の浸透
性を可逆的に調整する。透過エンハンサーは、上皮を通る分子の輸送を促進する。吸収プ
ロファイル及びそれらの速度は、非限定的に、フィルムサイズ、薬物負荷、エンハンサー
の種類/負荷、ポリマーマトリクス放出速度及び粘膜滞留時間などの、様々なパラメータ
により制御及び調整され得る。
【0040】
医薬組成物は、医薬活性成分を計画的であつらえられた様式で送達するように設計する
ことができる。しかし、医薬活性成分のインビボにおける、特に対象の口内における、溶
解度及び透過性は、かなり変動し得る。特定のクラスの透過エンハンサーは、医薬活性成
分のインビボにおける取込み及び生物学的利用能を向上することができる。特に、フィル
ムを介して口へ送達される場合、透過エンハンサーは、対象の粘膜を通り血流への医薬活
性成分の透過性を向上することができる。透過エンハンサーは、医薬活性成分の吸収の速
度及び量を、組成物中の他の成分に応じて、5%より多く、10%より多く、20%より多く
、30%より多く、40%より多く、50%より多く、60%より多く、70%より多く、80%より
多く、90%より多く、100%より多く、150%より多く、約200%以上、又は200%未満、15
0%未満、100%未満、90%未満、80%未満、70%未満、60%未満、50%未満、40%未満、
30%未満、20%未満、10%未満、もしくは5%未満、又はこれらの範囲の組合せだけ、向
上することができる。
【0041】
ある実施態様において、医薬組成物は、親水性サッカリドへのリンケージにより結合さ
れた疎水性アルキル基を有する、好適な無毒の、非イオン性アルキル配糖体を、以下から
選択される粘膜送達促進剤と組合せて有する:(a)凝集阻害剤;(b)電荷修飾剤;(c)pH調
節剤;(d)分解酵素阻害剤;(e)粘液溶解剤又は粘膜除去剤;(f)線毛静止剤;(g)以下から
選択される膜浸透促進剤:(i)界面活性剤;(ii)胆汁酸塩;(ii)リン脂質添加剤、混合ミ
セル、リポソーム、もしくは担体;(iii)アルコール;(iv)エナミン;(v)一酸化窒素供与
化合物;(vi)長鎖両親媒性分子;(vii)小型疎水性浸透エンハンサー;(viii)ナトリウム
又はサリチル酸誘導体;(ix)アセト酢酸のグリセロールエステル;(x)シクロデキストリ
ン又はβ-シクロデキストリン誘導体;(xi)中鎖脂肪酸;(xii)キレート剤;(xiii)アミノ
酸又はそれらの塩;(xiv)N-アセチルアミノ酸又はそれらの塩;(xv)選択された膜成分の
分解性の酵素;(ix)脂肪酸合成のインヒビター;(x)コレステロール合成のインヒビター
;及び、(xi)(i)-(x)に列挙された膜浸透促進剤の任意の組合せ;(h)上皮ジャンクション
生理機能の調整剤;(i)血管拡張剤;(j)選択輸送-促進剤;並びに、(k)それと本化合物が
効果的に配合され、会合され、含まれ、封入され又は結合され、増強された粘膜送達のた
めの化合物の安定化を生じる、安定化送達ビヒクル、担体、粘膜接着物、支持体又は複合
体-形成種であって、ここで経粘膜的な送達促進剤を伴う化合物の製剤は、対象の血漿中
の本化合物の生物学的利用能の増大を提供する。浸透エンハンサーは、J. Nicolazzoらの
文献、J. of Controlled Disease, 105 (2005) 1-15に説明されており、これは引用によ
り本明細書中に組み込まれている。口腔粘膜が、治療薬の全身循環への送達のための魅力
的部位である理由は多い。口腔内上皮から内頚静脈への血液の直接ドレナージのために、
肝臓及び腸における初回通過代謝を回避することができる。初回通過効果は、経口投与さ
れた場合の、一部の化合物の生物学的利用能の不良の主な理由となり得る。加えて、口腔
の裏打ちの粘膜は、容易にアクセス可能であり、このことは、剤形は、必要な部位へ適用
され、且つ緊急の場合は容易に除去され得ることを確実にする。しかし、皮膚のように、
口腔内粘膜は、生体異物の吸収に対する障壁として作用し、このことは、この組織を超え
る化合物の透過を妨害することができる。結果的に、安全且つ有効な浸透エンハンサーの
確定は、口腔粘膜薬物送達を向上するための大きな目指す目標となる。
【0042】
化学的浸透エンハンサーは、生体膜を通り同時投与される薬物の透過速度を制御する物
質である。大規模な研究が、浸透エンハンサーが腸管及び経真皮の透過性を変更する方式
のより良い理解を得ることに焦点を当てているが、口腔内及び舌下の浸透増強に係わる機
序に関しては、ほとんどわかっていない。
【0043】
口腔内粘膜は、頬の内側の裏打ち、並びに歯茎と上下唇の間の領域の輪郭を描き、且つ
これは、平均表面積100cm2を有する。口腔内粘膜の表面は、波打つ基底膜(厚さおよそ1~
2μmの細胞外物質の連続層)により、下側の結合組織(固有層及び粘膜下層)から分離され
ている重層扁平上皮からなる。この重層扁平上皮は、基底領域から細胞が脱落する表在領
域へと移るにつれ、サイズ、形状、及び含有物が変化する、細胞の分化している層からな
る。そこにはおよそ40~50の細胞層が存在し、厚さ500~600μmの口腔内粘膜を生じてい
る。
【0044】
構造的に、舌下粘膜は、口腔内粘膜と同等であるが、この上皮の厚さは100~200μmで
ある。この膜も、角質化されず、比較的薄いことで、口腔内粘膜よりもより透過性である
ことが明らかにされている。舌下粘膜への血流は、口腔内粘膜と比べより遅く、1.0ml/mi
n-1/cm-2の桁である。
【0045】
口腔内粘膜の透過性は、皮膚のそれよりも大きいが、腸のそれよりも小さい。透過性の
差異は、各組織の間の構造的差異の結果である。口腔内粘膜の細胞空隙中の組織化された
脂質ラメラの非存在は、皮膚の角質化された上皮と比べ、外来化合物のより大きい透過性
を生じ;他方で、増大した厚さ及び密着結合の欠如は、口腔内粘膜が腸組織よりもより透
過性が低いことを生じる。
【0046】
口腔内粘膜の一次障壁特性は、口腔内上皮の上側1/3~1/4に起因する。研究者らは、表
面上皮を超える、角質化されない口腔粘膜の透過性障壁はまた、膜被覆顆粒から上皮細胞
空隙へ押し出された内容物に帰せられることを知っている。
【0047】
口腔の角質化されない領域の細胞間脂質は、表皮、口蓋、及び歯肉の脂質よりも、より
極性のある性質であり、且つこの脂質の化学的性質の差は、これらの組織間で認められる
透過性の差異に寄与している。結果的に、これは、より効果的障壁を作製する角質化され
た上皮の角質層中に詰められた細胞間脂質の程度がより大きいことのみではなく、その障
壁内に存在する脂質の化学的性質でもあることは明らかである。
【0048】
口腔粘膜内の親水性領域及び親油性領域の存在は、研究者らに、口腔内粘膜傍細胞(細
胞間)を通る及び経細胞(細胞を超える)の2種の薬物輸送経路の存在を仮定させた。
【0049】
口腔内粘膜を通る薬物送達は、上皮及び吸収に利用可能な領域の障壁の性質により限定
されるので、全身循環へ薬物の治療的関連量を送達するためには、様々な増強戦略が必要
である。化学的浸透エンハンサーの使用、プロドラッグ、及び物理的方法を含む様々な方
法を、口腔内粘膜の障壁特性を克服するために利用することができる。
【0050】
化学的浸透エンハンサー、又は吸収プロモーターは、膜の損傷及び/又は毒性の惹起を
伴わずに、同時投与される薬物の膜透過又は吸収の速度を増大するために、医薬製剤に添
加される物質である。化学的浸透エンハンサーの、皮膚、鼻粘膜、及び腸を超える化合物
の送達に対する作用を調べる、多くの研究が存在する。近年、口腔内粘膜の透過性に対す
るこれらの物質の作用に、より多くの注意が払われている。口腔内粘膜を超える透過性は
、受動拡散プロセスであると考えられるので、定常状態フラックス(Jss)は、フィックの
拡散第一法則に従い、ドナーチャンバー濃度(CD)の増加により増加するはずである。
【0051】
界面活性剤及び胆汁酸塩は、インビトロ及びインビボの両方において、様々な化合物の
口腔内粘膜を超えた透過性を増強することが示されている。これらの研究から得られたデ
ータは、透過性の増強は、粘膜の細胞間脂質に対する界面活性剤の作用によるものである
ことを、強力に示唆している。
【0052】
脂肪酸は、数多くの薬物の皮膚を通る透過を増強することが示されており、且つこれは
、示差走査熱量測定及びフーリエ変換赤外線分光法により、細胞間脂質の流動性の増加に
関連することが示されている。
【0053】
加えて、エタノールによる前処理は、腹側舌粘膜を超えるトリチウム水及びアルブミン
の透過性を増強し、且つブタの口腔内粘膜を超えるカフェイン透過性を増強することが示
されている。また、Azone(登録商標)の口腔粘膜を通る化合物の透過性に対する増強作
用のいくつかの報告もある。更に、生体適合性且つ生分解性ポリマーであるキトサンは、
腸及び鼻の粘膜を含む、様々な組織を通る薬物送達を増強することが示されている。
【0054】
経口経粘膜的薬物送達(OTDD)は、全身作用を達成するための、医薬的活性物質の口腔粘
膜を通る投与である。OTDDの透過経路及び予測モデルは、例えばM. Sattarの文献「経口
経粘膜的薬物送達-最新の状況及び今後の見通し(Oral transmucosal drug delivery- Cur
rent status and future prospects)」、Int’l. Journal of Pharmaceutics, 47(2014)
498-506に説明されており、この文献は引用により本明細書中に組み込まれている。OTDD
は、学術界及び産業界の科学者の注意を引き付け続けている。皮膚及び鼻の送達経路と比
べ口腔内の透過経路の限定された特徴決定にもかかわらず、イオン化分子の口腔内上皮を
透過する程度に関する研究者らの理解、並びに口腔を研究するための新たな分析技術の出
現、並びに口腔内及び舌下の透過を予測するインシリコモデルの進行しつつある開発;展
望が、最近促進されている。
【0055】
より広範なクラスの薬物を口腔内粘膜を超えて送達するためには、この組織の障壁能を
低下する可逆的方法が利用されるべきである。この必要条件は、口腔内粘膜の透過性の制
約を安全に変更する浸透エンハンサーの研究を促している。口腔内浸透は、胆汁酸塩、界
面活性剤、脂肪酸及びそれらの誘導体、キレート剤、シクロデキストリン及びキトサンな
どの、様々なクラスの経粘膜的及び経真皮的浸透エンハンサーを使用することにより改善
され得ることが示されている。薬物透過増強のために使用されるこれらの化学物質の中で
、胆汁酸塩が最も一般的である。
【0056】
胆汁酸塩の化合物の口腔内透過に対する増強作用に関するインビトロ研究は、Sevda Se
nelの文献「口腔内経路による薬物透過増強:可能性及び制限(Drug permeation enhancem
ent via buccal route: possibilities and limitations)」、Journal of Controlled Re
lease 72 (2001) 133-144において考察されており、この文献は引用により本明細書中に
組み込まれている。その記事はまた、ジヒドロキシ胆汁酸塩、グリコデオキシコール酸ナ
トリウム(SGDC)及びタウロデオキシコール酸ナトリウム(TDC)及びトリ-ヒドロキシ胆汁酸
塩、グリココール酸ナトリウム(GC)及びタウロコール酸ナトリウム(TC)の、濃度100mMで
の、組織学的作用に関連した透過性の変化を含む、口腔内上皮の透過性に対する作用に関
する最新の研究についても考察している。フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、硫
酸モルヒネは、各々、モデル化合物として使用される。
【0057】
キトサンもまた、動物モデル及びヒト志願者において、小型極性分子及びペプチド/タ
ンパク質薬物の鼻粘膜を通る吸収を促進することが示されている。他の研究は、腸粘膜及
び培養されたCaco-2細胞を超える化合物の浸透に対する増強作用を示している。
【0058】
透過エンハンサーは、植物抽出物であることができる。植物抽出物は、植物材料の蒸留
により抽出された精油又は精油含有組成物であることができる。ある状況において、植物
抽出物は、植物材料から抽出された化合物の合成アナログ(すなわち、有機合成により生
成された化合物)を含むことができる。植物抽出物は、フェニルプロパノイド、例えば、
フェニルアラニン、オイゲノール、酢酸オイゲノール、ケイヒ酸、ケイヒ酸エステル、ケ
イヒアルデヒド、ヒドロケイヒ酸、カビコール、もしくはサフロール、又はそれらの組合
せを含むことができる。植物抽出物は、クローブ植物、例えばクローブ植物の葉、茎又は
花芽の精油抽出物であることができる。クローブ植物は、シジギウム・アロマティクム(S
yzygium aromaticum)である。この植物抽出物は、20~95%のオイゲノールを含み、40~9
5%のオイゲノールを含み、60~95%のオイゲノール、例えば、80~95%のオイゲノール
を含むことができる。この抽出物はまた、5%~15%の酢酸オイゲノールも含むことがで
きる。この抽出物はまた、カリオフィレンを含むことができる。この抽出物はまた、最大
2.1%までのα-フムレンも含むことができる。クローブ精油中により低い濃度で含まれる
他の揮発性化合物は、β-ピネン、リモネン、ファルネソール、ベンズアルデヒド、2-ヘ
プタノン又はヘキサン酸エチルであることができる。他の透過エンハンサーは、薬物の吸
収を改善するために、組成物へ添加されてよい。好適な透過エンハンサーは、天然又は合
成の胆汁酸塩、例えばフシジン酸ナトリウム;グリココール酸又はデオキシコール酸及び
それらの塩など;脂肪酸及び誘導体、例えばラウリン酸ナトリウム、オレイン酸、オレイ
ルアルコール、モノオレイン、又はパルミトイルカルニチンなど;キレート剤、例えばED
TA二ナトリウム、クエン酸ナトリウム及びラウリル硫酸ナトリウム、アゾン、コール酸ナ
トリウム、5-メトキシサリチル酸ナトリウム、ソルビタンラウレート、グリセリルモノラ
ウレート、オクトキシノニル-9、ラウレス-9、ポリソルベート、ステロール、又はグリセ
リド、例えばカプリロカプロイルポリオキシルグリセリド、例えばラブラゾルなどを含む
。透過エンハンサーは、植物抽出物の誘導体及び/又はモノリグノールを含むことができ
る。透過エンハンサーはまた、真菌抽出物であることもできる。
【0059】
植物起源の一部の天然の生成物は、血管拡張作用を有することがわかっている。総説に
ついて、McNeill J.R.及びJurgens, T.M.の文献、Can. J. Physiol. Pharmacol. 84:803-
821 (2006)を参照し、これは引用により本明細書中に組み込まれている。具体的に、オイ
ゲノールの血管弛緩作用が、多くの動物研究において報告されている。例えば、Lahlou,
S.らの文献、J. Cardiovasc. Pharmacol. 43:250-57 (2004)、Damiani, C.E.N.らの文献
、Vascular Pharmacol. 40:59-66 (2003)、Nishijima, H.らの文献、Japanese J. Pharma
col. 79:327-334 (1998)、及びHume W.R.の文献、J. Dent Res. 62(9):1013-15 (1983)を
参照し、これらの各々は引用により本明細書中に組み込まれている。カルシウムチャネル
遮断は、植物精油、又はその主成分オイゲノールにより誘導された血管弛緩の主因である
ことが示唆されている。Interaminense L.R.L.らの文献、Fundamental & Clin. Pharmaco
l. 21: 497-506 (2007)を参照し、これは引用により本明細書中に組み込まれている。
【0060】
脂肪酸は、薬物調製品又は薬物ビヒクル中の不活性成分として使用することができる。
脂肪酸はまた、それらのある種の機能作用及びそれらの生体適合性の性質のために、製剤
成分として使用することもできる。遊離脂質及び複合脂質の一部の両方の脂肪酸は、主要
な代謝燃料(貯蔵及び輸送エネルギー)、全ての膜及び遺伝子調節因子の必須成分である。
総説について、Rustan A.C.及びDrevon, C.A.の文献、Fatty Acids: Structures and Pro
perties, Encyclopedia of Life Sciences (2005)を参照し、これは引用により本明細書
中に組み込まれている。人体で代謝される必須脂肪酸には、二つのファミリーが存在する
:ω-3及びω-6多価不飽和脂肪酸(PUFA)。第一の二重結合がω炭素から三番目と四番目の
炭素原子の間に認められる場合、これらは、ω-3脂肪酸と称される。第一の二重結合が六
番目と七番目の炭素原子の間に認められる場合、これらは、ω-6脂肪酸と称される。PUFA
は更に、炭素原子の付加により及び不飽和化(水素の除去)により、体内において代謝され
る。ω-6脂肪酸であるリノール酸は、γ-リノレン酸、ジホモ-γ-リノレン酸、アラキド
ン酸、アドレン酸、テトラコサテトラエン酸、テトラコサペンタエン酸及びドコサペンタ
エン酸に代謝される。ω-3脂肪酸であるα-リノレン酸は、オクタデカテトラエン酸、エ
イコサテトラエン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサペンタエン酸、テトラコサペ
ンタエン酸、テトラコサヘキサエン酸及びドコサヘキサエン酸(DHA)に代謝される。
【0061】
パルミチン酸、オレイン酸、リノール酸及びエイコサペンタエン酸などの脂肪酸は、Na
+K+-APTaseポンプの活性化に関与する機序を介して、ブタの冠動脈平滑筋細胞の弛緩及び
過分極を誘導すること、及び脂肪酸のシス不飽和度が増大するにつれ、より高い効力を有
することが報告されている。Pomposiello, S.I.らの文献、Hypertension 31:615-20 (199
8)を参照し、これは引用により本明細書中に組み込まれている。興味深いことに、リノー
ル酸の代謝産物であるアラキドン酸に対する肺血管反応は、投与量、動物種、アラキドン
酸投与の様式、及び肺循環の調子(tone)に応じて、血管収縮性又は血管拡張性のいずれか
であることができる。例えば、アラキドン酸は、シクロオキシゲナーゼ-依存性及び-非依
存性の肺血管拡張を引き起こすことが、報告されている。Feddersen, C.O.らの文献、J.
Appl. Physiol. 68(5):1799-808 (1990)参照;並びに、Spannhake, E.W.らの文献、J .Ap
pl. Physiol. 44:397-495 (1978)及びWicks, T.C.らの文献、Circ. Res. 38:167-71 (197
6)を参照し、これらの各々は引用により本明細書中に組み込まれている。
【0062】
多くの研究が、エイコサペンタエン酸(EPA)及びドコサヘキサエン酸(DHA)の、口から摂
取可能型としての投与後の、血管の反応性に対する作用を報告している。いくつかの研究
は、EPA-DHA又はEPA単独は、前腕微小循環における、ノルエピネフリンの血管収縮作用を
抑制し又はアセチルコリンへの血管拡張反応を増強したことを認めた。Chin, J.P.F.らの
文献、Hypertension 21:22-8 (1993)、及びTagawa, H.らの文献、J Cardiovasc Pharmaco
l 33:633-40 (1999)を参照し、その各々は引用により本明細書中に組み込まれている。別
の研究は、EPA及びDHAの両方は、全身の動脈系コンプライアンスを増大し、且つ脈圧及び
総血管抵抗を低下する傾向があることを発見した。Nestel, P.らの文献、Am J. Clin. Nu
tr. 76:326-30 (2002)を参照し、これは引用により本明細書中に組み込まれている。その
一方で、研究は、EPAではなく、DHAが、高脂血症の肥満男性の前腕微小環境において、血
管拡張機序を増強し、且つ収縮反応を減弱したことを発見した。Mori, T.A.らの文献、Ci
rculation 102:1264-69 (2000)を参照し、これは引用により本明細書中に組み込まれてい
る。別の研究は、インビトロにおける分離されたヒト冠状動脈の律動収縮に対するDHAの
血管拡張作用を発見した。Wu, K.-T.らの文献、Chinese J. Physiol. 50(4):164-70 (200
7)を参照し、これは引用により本明細書中に組み込まれている。
【0063】
アドレナリン受容体(又はアドレノレセプター)は、カテコールアミンの、特にノルエピ
ネフリン(ノルアドレナリン)及びエピネフリン(アドレナリン)の標的である、Gタンパク
質-共役受容体のクラスである。エピネフリン(アドレナリン)は、α-及びβ-アドレノレ
セプターの両方と相互作用し、各々、血管収縮及び血管拡張を引き起こす。α受容体は、
エピネフリンに対する感受性が低いが、末梢α1受容体のほうがβ-アドレノレセプターよ
りも多いので、活性化された場合に、これらはβ-アドレノレセプターにより媒介された
血管拡張を無効にする。結果、高いレベルの循環エピネフリンは、血管収縮を引き起こす
。比較的低いレベルの循環エピネフリンでは、β-アドレノレセプター刺激が優位であり
、血管拡張、それに続く末梢血管抵抗の減少を生じる。α1-アドレノレセプターは、平滑
筋収縮、散瞳、皮膚、粘膜及び腹部内臓における血管収縮、並びに胃腸(GI)管及び膀胱の
括約筋収縮に関して知られている。α1-アドレナリン受容体は、Gqタンパク質-共役受容
体スーパーファミリーの一員である。活性化時に、ヘテロ三量体Gタンパク質、Gqは、ホ
スホリパーゼC(PLC)を活性化する。その作用機序は、カルシウムチャネルとの相互作用に
関与し、細胞内カルシウム含量を変化する。総説について、Smith R. S.らの文献、Journ
al of Neurophysiology 102(2): 1103-14 (2009)を参照し、これは引用により本明細書中
に組み込まれている。多くの細胞が、これらの受容体を有する。
【0064】
α1-アドレナリン受容体は、脂肪酸に関する主要受容体であることができる。例えば、
良性前立腺肥大(BPH)の治療に広く使用されるノコギリヤシ果実抽出液(SPE)は、α1-アド
レナリン作動性、ムスカリン作動性及び1,4-ジヒドロピリジン(1,4-DHP)系カルシウムチ
ャネル拮抗性の受容体に結合することが報告されている。Abe M.らの文献、Biol. Pharm.
Bull. 32(4) 646-650 (2009)、及びSuzuki M.らの文献、Acta Pharmacologica Sinica 3
0:271-81 (2009)を参照し、これらの各々は引用により本明細書中に組み込まれている。S
PEは、ラウリン酸、オレイン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸及びリノール酸を含む、様
々な脂肪酸を含んでいる。ラウリン酸及びオレイン酸は、α1-アドレナリン作動性、ムス
カリン作動性及び1,4-DHP系カルシウムチャネル拮抗性の受容体へ、非競合的に結合する
ことができる。
【0065】
ある実施態様において、透過エンハンサーは、アドレナリン受容体相互作用物質である
ことができる。アドレナリン受容体相互作用物質とは、アドレナリン受容体の作用を修飾
する及び/又はそうでなければ変更する化合物又は物質を指す。例えば、アドレナリン受
容体相互作用物質は、それらの結合能の増加又は減少により、受容体の刺激を防止するこ
とができる。このような相互作用物質は、短期作用型又は長期作用型いずれかで提供され
ることができる。ある短期作用型相互作用物質は、迅速に作用することができるが、それ
らの作用は、数時間持続するのみである。ある長期作用型相互作用物質は、より長く作用
することができるが、それらの作用はより長いことができる。この相互作用物質は、例え
ば、1以上の所望の送達及び投与量、活性医薬成分、透過修飾因子、透過エンハンサー、
マトリクス、及び治療される状態などを基に、選択及び/又は設計されることができる。
アドレナリン受容体相互作用物質は、アドレナリン受容体遮断薬であることができる。ア
ドレナリン受容体相互作用物質は、テルペン(例えば、イソプレンの単位に由来する、植
物精油中に発見された揮発性不飽和炭化水素)、又はC3-C22アルコールもしくは酸、好ま
しくはC7-C18アルコールもしくは酸であることができる。ある実施態様において、アドレ
ナリン受容体相互作用物質は、ファルネソール、リノール酸、アラキドン酸、ドコサヘキ
サン酸、エイコサペンタン酸、及び/又はドコサペンタン酸であることができる。この酸
は、カルボン酸、リン酸、硫酸、ヒドロキサム酸、又はそれらの誘導体であることができ
る。この誘導体は、エステル又はアミドであることができる。例えば、アドレナリン受容
体相互作用物質は、脂肪酸又は脂肪族アルコールであることができる。
【0066】
C3-C22アルコール又は酸は、直鎖C3-C22炭化水素、例えば任意に少なくとも1つの二重
結合、少なくとも1つの三重結合、又は少なくとも1つの二重結合と1つの三重結合を含むC
3-C22炭化水素鎖を有するアルコール又は酸であることができ;該炭化水素鎖は、任意にC
1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C1-4アルコキシ、ヒドロキシル、ハロ
、アミノ、ニトロ、シアノ、C3-5シクロアルキル、3-5員のヘテロシクロアルキル、単環
のアリール、5-6員のヘテロアリール、C1-4アルキルカルボニルオキシ、C1-4アルキルオ
キシカルボニル、C1-4アルキルカルボニル、又はホルミルにより置換され;並びに、更に
任意に、-O-、-N(Ra)-、-N(Ra)-C(O)-O-、-O-C(O)-N(Ra)-、-N(Ra)-C(O)-N(Rb)-、又は-O
-C(O)-O-が間に挟まっている。Ra及びRbの各々は、独立して、水素、アルキル、アルケニ
ル、アルキニル、アルコキシ、ヒドロキシルアルキル、ヒドロキシル、又はハロアルキル
である。
【0067】
不飽和度がより高い脂肪酸は、薬物の透過を増強するのに有効な候補である。不飽和脂
肪酸は、飽和脂肪酸よりもより高い増強を示し、且つ増強は、二重結合の数により増大す
る。A. Mittalらの文献、「皮膚浸透エンハンサーとしての脂肪酸の状態-総説(Status of
Fatty Acids as Skin Penetration Enhancers - A Review)」、Current Drug Delivery,
2009, 6, pp. 274-279を参照し、これは引用により本明細書中に組み込まれている。二
重結合の位置もまた、脂肪酸の活性の増強に影響を及ぼす。二重結合の位置の差に起因す
る脂肪酸の物理化学特性の差異は、皮膚浸透エンハンサーとしての、これらの化合物の効
力を決定する可能性が最も高い。二重結合の位置が親水性末端へシフトされるにつれ、皮
膚分布は増加する。偶数位置に二重結合を有する脂肪酸は、奇数位置に二重結合を有する
脂肪酸よりも、角質層及び真皮の両方の構造の乱れ(perturbation)に、より迅速に作用す
ることも、報告されている。鎖内のシス-不飽和は、活性を増加する傾向がある。
【0068】
アドレナリン受容体相互作用物質は、テルペンであることができる。精油中のテルペン
の血圧降下活性が、報告されている。Menezes I.A.らの文献、Z. Naturforsch. 65c:652-
66 (2010)を参照し、これは引用により本明細書中に組み込まれている。ある実施態様に
おいて、透過エンハンサーは、セスキテルペンであることができる。セスキテルペンは、
3つのイソプレン単位からなり、且つ実験式C15H24を有する、テルペンクラスである。モ
ノテルペンのように、セスキテルペンは、非環式であるか、もしくは多くの独自の組合せ
を含む、環を含む。酸化又は転位のような生化学修飾は、関連したセスキテルペノイドを
生成する。
【0069】
アドレナリン受容体相互作用物質は、リノール酸などの、不飽和脂肪酸であることがで
きる。ある実施態様において、透過エンハンサーは、ファルネソールであることができる
。ファルネソールは、非環式セスキテルペンアルコールである、15-炭素有機化合物であ
り、これはピロリン酸ファルネシルの天然の脱リン酸化型である。標準の条件下で、これ
は、無色の液体である。これは、疎水性であり、従って水中に不溶性であるが、油分とは
混和性である。ファルネソールは、シトロネラ、ネロリ、シクラメン、及びゲッカコウな
どの植物の油分から抽出することができる。これは、脊椎動物におけるメバロン酸からの
コレステロールの生合成の中間工程である。これは、繊細な花の香り又は弱いシトラス-
ライムの香りを有し、且つ香水及び香料において使用される。ファルネソールは、原発性
造血細胞に優先して、急性骨髄性白血病芽球及び白血球細胞株を選択的に死滅させること
が、報告されている。Rioja A.らの文献、FEBS Lett 467 (2-3): 291-5 (2000)を参照し
、これは引用により本明細書中に組み込まれている。ファルネシルアナログの血管作動特
性が、報告されている。Roullet, J.-B.らの文献、J. Clin. Invest., 1996, 97:2384-23
90を参照し、これは引用により本明細書中に組み込まれている。ファルネソール及びN-ア
セチル-S-トランス,トランス-ファルネシル-L-システイン(AFC)、ファルネシル化された
タンパク質のカルボキシル末端の合成模倣物の両方は、ラット大動脈輪において血管収縮
を阻害した。
【0070】
本医薬組成物は、チュアブル又はゼラチンベースの剤形、スプレー、ガム、ゲル、クリ
ーム、錠剤、液剤又はフィルムであることができる。本組成物は、例えば、表面に、極微
針又は微小突起などの、テクスチャ(textures)を含むことができる。最近、皮膚透過性の
増大におけるミクロンスケール針の使用は、高分子を含み、特に高分子に関して、経真皮
送達を有意に増加することが示されている。ほとんどの薬物送達研究は、インビトロにお
いて広範な分子及びナノ粒子に対する皮膚透過性を増加することが示されている、中実の
(solid)極微針を強調している。インビボ研究は、オリゴヌクレオチドの送達、インスリ
ンによる血糖値の低下、並びにタンパク質ワクチン及びDNAワクチンからの免疫応答の誘
導を明らかにしている。そのような研究に関して、針アレイは、拡散もしくはイオン導入
法による輸送を増大するため皮膚に孔をあけるために、又は極微針表面コーティングから
皮膚へ薬物を放出する薬物担体として使用される。中空の極微針もまた開発され、且つイ
ンスリンを糖尿病ラットへ微量注入することが示されている。極微針の実際の適用に対処
するためには、極微針破砕強度の皮膚挿入強度に対する比(すなわち、安全域)が、小さい
先端半径及び大きい壁厚を持つ針について最適であることを認めた。ヒト対象の皮膚に挿
入された極微針は、無痛として報告された。まとめると、これらの結果は、極微針は、広
範な可能性のある適用のために治療的化合物を皮膚へ送達する有望な技術を表すことを示
唆している。マイクロ電子産業の道具を使用し、極微針は、広範なサイズ、形状及び材料
で加工されている。極微針は、例えば、最小の侵襲性の様式で封入された薬物を送達する
、ポリマー性の微視的な針であることができるが、他の好適な材料を使用することができ
る。
【0071】
本出願人は、極微針は、特に請求された組成物による、口腔粘膜を通る薬物の送達を増
強するために使用することができることを認めた。極微針は、口腔粘膜中にミクロンサイ
ズの孔を作製し、これは粘膜を超えた薬物の送達を増強することができる。中実、中空、
又は溶解性の極微針は、金属、ポリマー、ガラス及びセラミックを含むが、これらに限定
されるものではない、好適な材料で加工することができる。微細加工プロセスは、フォト
リソグラフィー、シリコンエッチング、レーザー切断、金属電気めっき、金属電解研摩及
び成型を含むことができる。極微針は、組織を前処理するために使用され、且つフィルム
の適用前に取り除かれる固形物であることができる。本出願に説明される薬物負荷された
ポリマーフィルムは、極微針それ自身のマトリクス材料として使用することができる。こ
れらのフィルムは、それらの表面上に加工された極微針又は微小突起を有することができ
、これらはそれを通り薬物が透過することができる粘膜中のマイクロチャネルを形成した
後に溶解するであろう。
【0072】
用語「フィルム」は、長方形、正方形、又は他の望ましい形状を含む、任意の形状の、
フィルム及びシートを含むことができる。フィルムは、任意の望ましい厚さ及びサイズで
あることができる。好ましい実施態様において、フィルムは、使用者に投与、例えば、使
用者の口腔へ配置されることができるような、厚さ及びサイズを有することができる。フ
ィルムは、約0.0025mm~約0.250mmの比較的薄い厚さを有するか、又はフィルムは、約0.2
50mm~約1.0mmのやや厚めの厚さを有することができる。一部のフィルムに関して、厚さ
は、更に比較的大きい、すなわち約1.0mmよりも大きいか、或いは比較的薄い、すなわち
約0.0025mm未満であってよい。フィルムは、単層であるか、又はフィルムは、積層された
もしくは多重キャストフィルムを含む、多層であることができる。透過エンハンサー及び
医薬活性成分は、単独の層中で一緒にされるか、各々が個別の層に含まれるか、或いはそ
うでなければ各々が、同じ剤形の離れた領域中に含まれることができる。ある実施態様に
おいて、ポリマーマトリクスに含まれる医薬活性成分は、マトリクス中に分散されること
ができる。ある実施態様において、ポリマーマトリクス中に含まれる透過エンハンサーは
、マトリクス中に分散されることができる。
【0073】
口腔溶解性フィルムは、3つの主要クラスに収まることができる:即時溶解性、中等度
溶解性及び緩徐溶解性。口腔溶解性フィルムはまた、前記カテゴリーのいずれかの組合せ
を含むことができる。即時溶解性フィルムは、口内で、1秒より長く、5秒より長く、10秒
より長く、20秒より長く、及び30秒未満を含む、約1秒~約30秒で溶解することができる
。中等度溶解性フィルムは、口内で、1分より長く、5分より長く、10分より長く、20分よ
り長く又は30分未満を含む、約1~約30分間で、溶解することができ、並びに緩徐溶解性
フィルムは、口内で30分より長くかけて溶解することができる。一般的傾向として、即時
溶解性フィルムは、低分子量親水性ポリマー(例えば、分子量約1,000~9,000ダルトンを
有するポリマー、又は分子量最大200,000ダルトンを有するポリマー)を含む(又はからな
る)ことができる。対照的に、緩徐溶解性フィルムは一般に、高分子量ポリマー(例えば分
子量数百万を有する)を含む。中等度溶解性フィルムは、即時溶解性フィルムと緩徐溶解
性フィルムの間に収まる傾向がある。
【0074】
中等度溶解性フィルムであるフィルムを使用することが好ましい。中等度溶解性フィル
ムは、かなり迅速に溶解することができるが、粘膜接着の良好なレベルも有する。中等度
溶解性フィルムはまた、柔軟であり、迅速に湿潤可能であり、且つ典型的には使用者にと
って非刺激性である。このような中等度溶解性フィルムは、十分迅速な、最も望ましくは
約1分~約20分の、溶解速度を提供することができる一方で、使用者の口腔内に一旦配置
されたならば、フィルムが容易に取り除かれないような、許容し得る粘膜接着レベルを提
供する。このことは、医薬活性成分の使用者への送達を確実にすることができる。
【0075】
医薬組成物は、1種以上の医薬活性成分を含むことができる。この医薬活性成分は、単
独の医薬成分又は医薬成分の組合せであることができる。医薬活性成分は、抗炎症性鎮痛
薬、ステロイド系抗炎症薬、抗ヒスタミン薬、局所麻酔薬、殺菌剤、消毒薬、血管収縮剤
、止血薬、化学療法薬、抗生物質、角質溶解剤、焼灼薬、抗ウイルス薬、抗リウマチ薬、
高血圧治療薬、気管支拡張薬、抗コリン作用薬、抗不安薬、制吐化合物、ホルモン、ペプ
チド、タンパク質又はワクチンであることができる。本医薬活性成分は、化合物、薬物の
医薬として許容し得る塩、プロドラッグ、誘導体、薬物複合体又は薬物のアナログである
ことができる。用語「プロドラッグ」とは、体内で代謝され、生物学的活性薬物を生成す
ることができる、生物学的に不活性の化合物を指す。
【0076】
一部の実施態様において、2種以上の医薬活性成分が、フィルムに含まれてよい。この
医薬活性成分は、ACE阻害剤、狭心症治療薬、抗-不整脈薬、抗-喘息薬、抗-コレステロー
ル血症薬、鎮痛薬、麻酔薬、抗けいれん薬、抗欝薬、糖尿病治療薬、下痢止め調製品、解
毒薬、抗-ヒスタミン薬、高血圧治療薬、抗炎症薬、抗-脂質薬、抗躁薬、悪心治療薬、卒
中防止薬、抗-甲状腺調製品、アンフェタミン、抗-腫瘍薬、抗ウイルス薬、座瘡治療薬、
アルカロイド、アミノ酸調製品、鎮咳薬、抗-尿路結石薬、抗-ウイルス薬、同化作用調製
品、全身性及び非全身性感染症治療薬、抗-新生物形成薬、パーキンソン治療薬、抗-リウ
マチ薬、食欲増進薬、血液修飾因子、骨代謝調節因子、心臓血管系作用薬、中枢神経刺激
薬、コリンエステラーゼ阻害剤、避妊薬、充血除去剤、栄養補助食品、ドパミン受容体ア
ゴニスト、子宮内膜症管理薬、酵素、勃起障害治療、不妊治療薬、胃腸薬、ホメオパシー
レメディ、ホルモン、高カルシウム血症及び低カルシウム血症管理薬、免疫調節物質、免
疫抑制薬、片頭痛調製品、酔い止め薬、筋弛緩薬、肥満症管理薬、骨粗鬆症用調製品、子
宮収縮薬、副交感神経遮断薬、副交感神経作用薬、プロスタグランジン、精神治療薬、呼
吸器系薬剤、鎮静薬、禁煙補助薬、交感神経遮断薬、振戦治療調製品、尿道系薬剤、血管
拡張薬、緩下薬、制酸薬、イオン交換樹脂、下熱薬、食欲抑制剤、去痰薬、抗-不安薬、
抗-潰瘍薬、抗炎症性物質、冠血管拡張剤、脳血管(cerebral)の拡張薬、末梢血管拡張薬
、向精神薬、興奮剤(stimulants)、高血圧治療薬、血管収縮剤、片頭痛治療薬、抗生物質
、トランキライザー、抗精神病薬、抗-腫瘍薬、抗凝固薬、抗血栓薬、催眠薬、制吐薬、
抗-悪心薬、抗けいれん薬、神経筋作用薬、血糖上昇剤及び降下剤、甲状腺及び抗-甲状腺
調製品、利尿薬、抗痙攣薬、子宮弛緩剤、抗-肥満薬、赤血球形成薬、抗-喘息薬、鎮咳剤
、粘液溶解薬、DNA及び遺伝子改変薬、診断薬、造影剤、色素、又はトレーサー、及びそ
れらの組合せであることができる。
【0077】
例えば、本医薬活性成分は、ブプレノルフィン、ナロキソン、アセトアミノフェン、リ
ルゾール、クロバザム、リザトリプタン、プロポフォール、サリチル酸メチル、サリチル
酸モノグリコール、アスピリン、メフェナム酸、フルフェナム酸、インドメタシン、ジク
ロフェナク、アルクロフェナク、ジクロフェナクナトリウム、イブプロフェン、ケトプロ
フェン、ナプロキセン、プラノプロフェン、フェノプロフェン、スリンダク、フェンクロ
フェナク、クリダナク、フルルビプロフェン、フェンチアザク、ブフェキサマク、ピロキ
シカム、フェニルブタゾン、オキシフェンブタゾン、クロフェゾン、ペンタゾシン、メピ
リゾール、チアラミド塩酸塩、ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、デキサメタゾン、ト
リアムシノロンアセトニド、フルオシノロンアセトニド、酢酸ヒドロコルチゾン、酢酸プ
レドニゾロン、メチルプレドニゾロン、酢酸デキサメタゾン、ベタメタゾン、吉草酸ベタ
メタゾン、フルメタゾン、フルオロメトロン、ベクロメタゾンジプロピオン酸エステル、
フルオシノニド、ジフェンヒドラミン塩酸塩、ジフェンヒドラミンサリチル酸塩、ジフェ
ンヒドラミン、クロルフェニラミン塩酸塩、マレイン酸クロルフェニラミン、塩酸イソチ
ペンジル、塩酸トリペレナミン、塩酸プロメタジン、塩酸メトジラジン、ジブカイン塩酸
塩、ジブカイン、リドカイン塩酸塩、リドカイン、ベンゾカイン、p-ブチルアミノ安息香
酸2-(ジエチルアミノ)エチルエステル塩酸塩、塩酸プロカイン、テトラカイン、塩酸テト
ラカイン、塩酸クロロプロカイン、塩酸オキシプロカイン、メピバカイン、コカイン塩酸
塩、ピペロカイン塩酸塩、ジクロニン、ジクロニン塩酸塩、チメロサール、フェノール、
チモール、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、クロルヘキシジン、ポビドンヨ
ード、塩化セチルピリジニウム、オイゲノール、トリメチルアンモニウムブロミド、ナフ
ァゾリン硝酸塩、塩酸テトラヒドロゾリン、塩酸オキシメタゾリン、フェニレフリン塩酸
塩、トラマゾリン塩酸塩、トロンビン、フィトナジオン、硫酸プロタミン、アミノカプロ
ン酸、トラネキサム酸、カルバゾクロム、カルバゾクロムスルホン酸ナトリウム、ルチン
、ヘスペリジン、スルファミン、スルファチアゾール、スルファジアジン、ホモスルファ
ミン、スルフイソキサゾール、スルフイソミジン、スルファメチゾール、ニトロフラゾン
、ペニシリン、メチシリン、オキサシリン、セファロチン、セファロリジン、エリスロマ
イシン、リンコマイシン、テトラサイクリン、クロルテトラサイクリン、オキシテトラサ
イクリン、メタサイクリン、クロラムフェニコール、カナマイシン、ストレプトマイシン
、ゲンタマイシン、バシトラシン、サイクロセリン、サリチル酸、ポドフィラム樹脂、ポ
ドリフォックス、カンタリジン、クロロ酢酸、硝酸銀、プロテアーゼインヒビター、チミ
ジンキナーゼインヒビター、糖又は糖タンパク質合成阻害剤、構造タンパク質合成阻害剤
、付着及び吸着阻害剤、並びにヌクレオシドアナログ、例えばアシクロビル、ペンシクロ
ビル、バラシクロビル、及びガンシクロビルなど、ヘパリン、インスリン、LHRH、TRH、
インターフェロン、オリゴヌクリド(oligonuclides)、カルシトニン、オクトレオチド、
オメプラゾン、フルオキセチン、エチニルエストラジオール、アミオジピン(amiodipine)
、パロキセチン、エナラプリル、リシノプリル、ロイプロリド、プレバスタチン、ロバス
タチン、ノルエチンドロン、リスペリドン、オランザピン、アルブテロール、ヒドロクロ
ロチアジド、プソイドエフェドリン、ワルファリン、テラゾシン、シサプリド、イプラト
ロピウム、ブスプリオン(busprione)、メチルフェニデート、レボチロキシン、ゾルピデ
ム、レボノルゲストレル、グリブリド、ベナゼプリル、メドロキシプロゲステロン、クロ
ナゼパム、オンダンセトロン、ロサルタン、キナプリル、ニトログリセリン、ミダゾラム
ベルセド、セチリジン、ドキサゾシン、グリピジド、B型肝炎ワクチン、サルメテロール
、スマトリプタン、トリアムシノロンアセトニド、ゴセレリン、ベクロメタゾン、グラニ
ステロン、デソゲストレル、アルプラゾラム、エストラジオール、ニコチン、インターフ
ェロンβ1A、クロモリン、ホシノプリル、ジゴキシン、フルチカゾン、ビソプロロール、
カルシトリル、カプトプリル、ブトルファノール、クロニジン、プレマリン、テストステ
ロン、スマトリプタン、クロトリマゾール、ビサコジル、デキストロメトルファン、ニト
ログリセリン、ナファレリン、ジノプロストン、ニコチン、ビサコジル、ゴセレリン、又
はグラニセトロンであることができる。ある実施態様において、本医薬活性成分は、エピ
ネフリン、ジアゼパムもしくはロラゼパムなどのベンゾジアゼピン、又はアルプラゾラム
である。
【0078】
(エピネフリン、ジアゼパム及びアルプラゾラムの例)
一例において、エピネフリン又はその塩もしくはエステルを含有する組成物は、注射に
より投与されるエピネフリンの、例えばエピペンを用いる、生体送達(biodelivery)プロ
ファイルに類似した生体送達プロファイルを有することができる。エピネフリンは、約0.
01mg~約100mg/用量の量で、例えば、0.1mg、5mg、10mg、20mg、30mg、40mg、50mg、60mg
、70mg、80mg、90mg又は100mg用量で存在することができ、これは0.1mgより多く、5mgよ
り多く、20mgより多く、30mgより多く、40mgより多く、50mgより多く、60mgより多く、70
mgより多く、80mgより多く、90mgより多く、又は100mg未満、90mg未満、80mg未満、70mg
未満、60mg未満、50mg未満、40mg未満、30mg未満、20mg未満、10mg未満又は5mg未満、或
いはそれらの任意の組合せを含む。別の例において、ジアゼパムを含有する組成物は、ジ
アゼパム錠剤又はゲル剤の生体送達プロファイルに類似した、又はより良い生体送達プロ
ファイルを有することができる。ジアゼパム又はその塩は、約0.5mg~約100mg/用量の量
で、例えば、0.5mg、1mg、5mg、10mg、20mg、30mg、40mg、50mg、60mg、70mg、80mg、90m
g又は100mg用量で存在することができ、これは1mgより多く、5mgより多く、20mgより多く
、30mgより多く、40mgより多く、50mgより多く、60mgより多く、70mgより多く、80mgより
多く、90mgより多く、又は100mg未満、90mg未満、80mg未満、70mg未満、60mg未満、50mg
未満、40mg未満、30mg未満、20mg未満、10mg未満、又は5mg未満、或いはそれらの任意の
組合せを含む。
【0079】
別の例において、組成物(例えば、アルプラゾラム、ジアゼパム又はエピネフリンを含
む)は、親水性サッカリドへのリンケージにより結合される疎水性アルキル基を有する、
好適な無毒の非イオン性アルキル配糖体を、以下から選択される粘膜送達促進剤と組合せ
て有することができる:(a)凝集阻害剤;(b)電荷修飾剤;(c)pH調節剤;(d)分解酵素阻害
剤;(e)粘液溶解剤又は粘膜除去剤;(f)線毛静止剤;(g)以下から選択される膜浸透促進
剤:(i)界面活性剤;(ii)胆汁酸塩;(ii)リン脂質添加剤、混合ミセル、リポソーム、も
しくは担体;(iii)アルコール;(iv)エナミン;(v)NO供与化合物;(vi)長鎖両親媒性分子
;(vii)疎水性浸透エンハンサー;(viii)ナトリウム又はサリチル酸誘導体;(ix)アセト
酢酸のグリセロールエステル;(x)シクロデキストリン又はβ-シクロデキストリン誘導体
;(xi)中鎖脂肪酸;(xii)キレート剤;(xiii)アミノ酸又はそれらの塩;(xiv)N-アセチル
アミノ酸又はそれらの塩;(xv)選択された膜成分の分解性の酵素;(ix)脂肪酸合成のイン
ヒビター;(x)コレステロール合成のインヒビター;及び、(xi)(i)-(x)に列挙された膜浸
透促進剤の任意の組合せ;(h)上皮ジャンクション生理機能の調整剤;(i)血管拡張剤;(j
)選択輸送-促進剤;又は、(k)それと本化合物が効果的に配合され、会合され、含まれ、
封入され又は結合され、増強された粘膜送達のための本化合物の安定化を生じる、安定化
送達ビヒクル、担体、粘膜接着物、支持体又は複合体-形成種であって、ここで経粘膜的
な送達-促進剤を伴う本化合物の製剤は、対象の血漿中の本化合物の生物学的利用能の増
大を提供する。この製剤は、ジアゼパムとアルプラゾラムについての他の例におけるもの
と、ほぼ同じ活性医薬成分(API):エンハンサー比を含むことができる。
【0080】
(治療又は補助治療)
てんかん重積症(SE)は、5分間よりも長い発作又は発作間に正常に戻ることのない5分以
内で2回以上の発作の、てんかん発作である。別の以前の定義は、30分間の時間制限を使
用した。ベンゾジアゼピンは、急性発作及びてんかん重積症の治療における最も有効な薬
物の一部である。てんかん重積症の治療に最も一般的に使用されるベンゾジアゼピンは、
ジアゼパム(Valium)、ロラゼパム(Ativan)、又はミダゾラム(Versed)を含む。医薬組成物
(例えば、医薬組成物フィルム)中の医薬活性成分は、アンゲルマン症候群(AS)、小児の良
性ローランド性てんかん(BREC)及び中心側頭棘波を伴う良性ローランド性てんかん(BECTS
)、CDKL5障害、小児期欠神てんかん(CAE)、ミオクローヌス-失立てんかん又はドゥーゼ症
候群、ドラベ症候群、初期ミオクローヌス脳症(EME)、全般性強直間代発作のみを伴うて
んかん(EGTCS)、ミオクローヌス-前投与切除てんかんを伴うてんかん、グルコーストラン
スポーター1欠損症候群、視床下部過誤腫(HH)、点頭発作(ISとも称される)又はウェスト
症候群、弱点性欠神てんかん(JAE)、若年性ミオクローヌスてんかん(JME)、ラフォラ進行
性間代性筋痙攣てんかん(ラフォラ病)、ランドー・クレフナー症候群、レノックス・ガス
トー症候群(LGS)、大田原症候群(OS)、Panayiotopoulos症候群(PS)、PCDH19てんかん、進
行性ミオクローヌスてんかん、ラスムッセン症候群環状20番染色体症候群(RC20)、反射性
てんかん、TBCK-関連知的障害症候群、側頭葉てんかん及び色素失調症を含む発作に関連
し得る神経皮膚症候群、1型神経線維腫症、スタージ・ウェーバー症候群(脳三叉神経領域
血管腫症)、及び結節性硬化症のための、治療又は補助治療であることができる。
【0081】
フィルム及び/又はその成分は、水溶性、水膨潤性又は水不溶性であることができる。
用語「水溶性」とは、水を含むが、これに限定されるものではない、水性溶媒中に少なく
とも部分的に溶解可能である物質を指すことができる。用語「水溶性」は、物質が水性溶
媒中に100%溶解可能であることを、必ずしも意味しなくてよい。用語「水に不溶性」と
は、水を含むが、これに限定されるものではない、水性溶媒中に溶解できない物質を指す
。溶媒は、水を含むか、或いは他の溶媒(好ましくは極性溶媒)をそれら自身で又は水と組
合せて含むことができる。
【0082】
本組成物は、ポリマーマトリクスを含むことができる。任意の所望のポリマーマトリク
スは、経口で溶解可能又は侵食可能であるならば、使用されてよい。この剤形は、容易に
除去されないのに十分な生体接着性を有し、且つ投与される場合にゲル様構造を形成しな
ければならない。これらは、口腔において中等度に溶解することができ、且つ特に医薬活
性成分の送達に適しているが、即時放出型、遅延放出型、制御放出型及び持続放出型の組
成物の全てもまた、意図された様々な実施態様の中にある。
【0083】
(分岐ポリマー)
本医薬組成物フィルムは、様々な構造上のアーキテクチャを持つ高度に分岐した高分子
を含むことができる樹状ポリマーを含むことができる。樹状ポリマーは、デンドリマー、
樹状化されたポリマー(樹状グラフト化されたポリマー)、線状樹状ハイブリッド、マルチ
アーム星型ポリマー、又は高分岐ポリマーを含むことができる。
【0084】
高分岐ポリマーは、それらの構造において不完全性を伴う、高分岐ポリマーである。し
かし、これらは、単工程反応において合成することができ、これは他の樹状構造に勝る利
点であり、従って嵩だかな容積の適用に適している。それらの球状構造は別として、これ
らのポリマーの特性は、豊富な官能基、分子内空洞、低い粘性及び高い溶解度である。樹
状ポリマーは、いくつかの薬物送達適用において使用される。例えば「薬物担体としての
デンドリマー:薬物投与の異なる経路での適用(Dendrimers as Drug Carriers: Applicat
ions in Different Routes of Drug Administration)」、J Pharm Sci, VOL. 97, 2008,
123-143を参照し、これは引用により本明細書中に組み込まれている。
【0085】
樹状ポリマーは、薬物を封入することができる内部空洞を有することができる。高密度
ポリマー鎖により引き起こされる立体障害は、薬物の結晶化を防止することができる。従
って、分岐したポリマーは、ポリマーマトリクス中に結晶性薬物を製剤化するという、追
加の利点を提供することができる。
【0086】
好適な樹状ポリマーの例は、ポリ(エーテル)ベースのデンドロン、デンドリマー、及び
高分岐ポリマー、ポリ(エステル)ベースのデンドロン、デンドリマー及び高分岐ポリマー
、ポリ(チオエーテル)ベースのデンドロン、デンドリマー及び高分岐ポリマー、ポリ(ア
ミノ酸)ベースのデンドロン、デンドリマー及び高分岐ポリマー、ポリ(アリールアルキレ
ンエーテル)ベースのデンドロン、デンドリマー及び高分岐ポリマー、ポリ(アルキレンイ
ミン)ベースのデンドロン、デンドリマー及び高分岐ポリマー、ポリ(アミドアミン)ベー
スのデンドロン、デンドリマー又は高分岐ポリマーを含む。
【0087】
高分岐ポリマーの他の例は、ポリ(アミン)、ポリカーボネート、ポリ(エーテルケトン)
、ポリウレタン、ポリカルボシラン、ポリシロキサン、ポリ(エステルアミン)、ポリ(ス
ルホンアミン)、ポリ(ウレタン尿素)又はポリエーテルポリオール、例えばポリグリセリ
ンなどを含む。
【0088】
フィルムは、少なくとも1種のポリマー、及び任意に他の成分を含有する溶媒の組合せ
により、作製することができる。溶媒は、水、非限定的にエタノール、イソプロパノール
、アセトンを含む極性有機溶媒、又はそれらの任意の組合せであってよい。一部の実施態
様において、溶媒は、塩化メチレンなどの、非極性有機溶媒であってよい。フィルムは、
選択された流涎法又は蒸着(deposition)法及び制御された乾燥プロセスを利用することに
より、調製されてよい。例えば、フィルムは、粘弾性構造を形成するための、湿ったフィ
ルムマトリクスへの熱及び/又は放射線エネルギーの適用を含む、制御された乾燥プロセ
スを通じて調製されてよく、これによりフィルムの内容物の均一性が制御される。制御さ
れた乾燥プロセスは、フィルムの上側もしくはフィルムの下側、又は流涎もしくは蒸着も
しくは押出されたフィルムを支持する基板をまとめて接触させるか、又は乾燥プロセスの
間に同時又は異なる時点で2つ以上の表面を接触させる、空気のみ、熱のみ、もしくは熱
と空気を含むことができる。このようなプロセスの一部は、米国特許第8,765,167号及び
米国特許第8,652,378号に詳細に説明されており、これらは引用により本明細書中に組み
込まれている。或いは、フィルムは、米国特許公報第2005/0037055 A1号に記載されたよ
うに押出されてよく、これは引用により本明細書中に組み込まれている。
【0089】
フィルムに含まれたポリマーは、水溶性、水膨潤性、水不溶性であるか、或いは水溶性
、水膨潤性、水不溶性ポリマーのいずれか1種以上の組合せであってよい。ポリマーは、
セルロース、セルロース誘導体又はガムを含んでよい。有用な水溶性ポリマーの具体例は
、ポリエチレンオキシド、プルラン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシ
エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、カルボキシ
メチルセルロース、ポリビニルアルコール、アルギン酸ナトリウム、ポリエチレングリコ
ール、キサンタンガム、トラガカントガム、グアーガム、アカシアゴム、アラビアゴム、
ポリアクリル酸、メチルメタクリレートコポリマー、カルボキシビニルコポリマー、デン
プン、ゼラチン、及びそれらの組合せを含むが、これらに限定されるものではない。有用
な水不溶性ポリマーの具体例は、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルエチルセルロー
ス、酢酸フタル酸セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、及びそ
れらの組合せを含むが、これらに限定されるものではない。より高用量に関して、より低
用量と比べ、高レベルの粘性を提供するポリマーを混入することが望ましい。
【0090】
本明細書で使用される語句「水溶性ポリマー」及びその変形は、少なくとも部分的に水
に溶解する、及び望ましくは完全に又は主に水に溶解する、或いは水を吸収する、ポリマ
ーを指す。水を吸収するポリマーは、水膨潤性ポリマーと称されることが多い。本発明に
有用な物質は、室温及び他の温度で、例えば室温を超える温度で、水溶性又は水膨潤性で
あってよい。更に、これらの材料は、大気圧より低い圧力で、水溶性又は水膨潤性であっ
てよい。一部の実施態様において、このような水溶性ポリマーから形成されたフィルムは
、体液との接触時に不溶性であるのに十分に水溶性であってよい。
【0091】
フィルムへの混入に有用な他のポリマーは、生分解性ポリマー、コポリマー、ブロック
ポリマー又はそれらの組合せを含む。用語「生分解性」は、物理的にばらばらに破壊され
る物質(すなわち生体侵食性物質)とは対照的に、化学的に分解する物質を含むことが意図
されることは、理解される。フィルムに混入されたポリマーはまた、生分解性又は生体侵
食性の物質の組合せを含むこともできる。なかでも、前記基準に合致する公知の有用なポ
リマー又はポリマークラスは、以下である:ポリ(グリコール酸)(PGA)、ポリ(乳酸)(PLA)
、ポリジオキサン、ポリオキサレート、ポリ(アルファ-エステル)、ポリアンヒドリド、
ポリアセテート、ポリカプロラクトン、ポリ(オルトエステル)、ポリアミノ酸、ポリアミ
ノカーボネート、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリ(アルキルシアノ
アクリレート)、並びにそれらの混合物及びコポリマー。追加の有用なポリマーは、L-及
びD-乳酸のステレオポリマー、ビス(p-カルボキシフェノキシ)プロパン酸及びセバシン酸
のコポリマー、セバシン酸コポリマー、カプロラクトンのコポリマー、ポリ(乳酸)/ポリ(
グリコール酸)/ポリエチレングリコールコポリマー、ポリウレタン及び(ポリ(乳酸))のコ
ポリマー、アルファ-アミノ酸及びカプロン酸のコポリマー、アルファ-ベンジルグルタミ
ン酸エステル及びポリエチレングリコールのコポリマー、コハク酸エステル及びポリ(グ
リコール)のコポリマー、ポリホスファゼン、ポリヒドロキシ-アルカノエート又はそれら
の混合物を含む。ポリマーマトリクスは、1、2、3、4種又はそれよりも多い成分を含むこ
とができる。
【0092】
様々な異なるポリマーを使用してよいが、フィルムに粘膜接着性の特性、並びに望まし
い溶解及び/又は崩壊速度を提供するポリマーを選択することは望ましい。特に、フィル
ムの粘膜組織への接触を維持することが望ましい時間は、組成物に含まれる医薬活性成分
の種類によって決まる。一部の医薬活性成分は、粘膜組織を通る送達にはわずか数分が必
要であるのに対し、他の医薬活性成分は、数時間又はより長い時間さえ必要とすることが
ある。従って一部の実施態様において、前述の1種以上の水溶性ポリマーが、フィルムを
形成するために使用されてよい。しかし他の実施態様において、水溶性ポリマーと、先に
提供されたような水膨潤性、水不溶性及び/又は生分解性のポリマーの組合せを使用する
ことが望ましいことがある。水膨潤性、水不溶性及び/又は生分解性である1種以上のポ
リマーの包含は、水溶性ポリマーのみで形成されたフィルムよりも、より遅い溶解速度又
は崩壊速度を持つフィルムを提供することができる。従って、このフィルムは、最大数時
間など、比較的長い時間、粘膜組織に接着し、このことはある種の医薬活性成分の送達に
とって望ましいものとなる。
【0093】
望ましくは、医薬フィルムの個別のフィルム剤形(dosage)は、好適な厚さの小さいサイ
ズを有することができ、これは、約0.0625~3インチ×約0.0625~3インチの間である。フ
ィルムサイズはまた、少なくとも一つの面において、0.0625インチより大きい、0.5イン
チより大きい、1インチより大きい、2インチより大きい、又は約3インチ、又は3インチよ
り大きい、3インチ未満、2インチ未満、1インチ未満、0.5インチ未満、0.0625インチ未満
であるか、或いは別の面において、0.0625インチより大きい、0.5インチより大きい、1イ
ンチより大きい、2インチより大きい、又は3インチより大きい、約3インチ、3インチ未満
、2インチ未満、1インチ未満、0.5インチ未満、又は0.0625インチ未満であることもでき
る。厚さ、長さ及び幅を含む縦横比は、ポリマーマトリクスの化学特性及び物理特性、活
性医薬成分、用量、エンハンサー、及び関与する他の添加剤、並びに望ましい分配ユニッ
トの寸法を基に、当業者により最適化されることができる。このフィルム剤形は、使用者
の口腔内又は舌下領域内に配置された場合に、良好な接着を有さなければならない。更に
、このフィルム剤形は、穏やかな速度で分散し且つ溶解しなければならず、最も望ましく
は、約1分以内に分散し、且つ約3分以内に溶解する。一部の実施態様において、このフィ
ルム剤形は、約1~約30分、例えば約1~約20分、又は1分間より長く、5分間より長く、7
分間より長く、10分間より長く、12分間より長く、15分間より長く、20分間より長く、30
分間より長く、約30分間、又は30分間未満、20分間未満、15分間未満、12分間未満、10分
間未満、7分間未満、5分間未満、又は1分間未満の速度で、分散及び溶解することが可能
である。舌下の分散速度は、口腔内分散速度よりも短くてよい。
【0094】
例えば、一部の実施態様において、これらのフィルムは、ポリエチレンオキシドを単独
で、又は第二ポリマー成分と組合せて含有することができる。第二ポリマーは、別の水溶
性ポリマー、水膨潤性ポリマー、水不溶性ポリマー、生分解性ポリマー又はそれらの任意
の組合せであってよい。好適な水溶性ポリマーは、先に提供されたものを含むが、これら
に限定されるものではない。一部の実施態様において、水溶性ポリマーは、親水性セルロ
ース系ポリマー、例えばヒドロキシプロピルセルロース及び/又はヒドロキシプロピルメ
チルセルロースなどを含む。一部の実施態様において、1種以上の水膨潤性、水不溶性及
び/又は生分解性ポリマーもまた、ポリエチレンオキシド-ベースのフィルム中に含まれ
てよい。先に提供される水膨潤性、水不溶性又は生分解性ポリマーのいずれかが、利用さ
れてよい。第二ポリマー成分は、ポリマー成分中約0%~約80重量%の量で、より具体的
には約30%~約70重量%、及び更により具体的には約40%~約60重量%の量で利用されて
よく、これは5%より多い、10%より多い、15%より多い、20%より多い、30%より多い
、40%より多い、50%より多い、60%より多い、及び70%より多い、約70%、70%未満、
60%未満、50%未満、40%未満、30%未満、20%未満、10%未満、又は5重量%未満を含
む。
【0095】
添加剤は、これらのフィルム中に含まれてよい。添加剤のクラスの例は、保存剤、抗微
生物薬、賦形剤、滑沢剤、緩衝剤、安定剤、発泡剤、顔料、着色剤、充填剤、増量剤、甘
味剤、香味剤、香料、放出修飾剤、アジュバント、可塑剤、流動促進剤、離型剤、ポリオ
ール、造粒剤、希釈剤、結合剤、緩衝剤、吸収剤、滑剤、接着剤、接着防止剤、酸味剤、
柔軟剤、樹脂、粘滑剤、溶媒、界面活性剤、乳化剤、エラストマー、粘着防止剤、帯電防
止剤及びそれらの混合物を含む。これらの添加剤は、医薬活性成分(複数可)と共に添加さ
れてよい。
【0096】
本明細書で使用される用語「安定剤」は、活性医薬成分、別の賦形剤、又はそれらの組
合せの、凝集又は他の物理的分解、並びに化学的分解を防止することが可能である賦形剤
を意味する。
【0097】
安定剤はまた、先に考察され且つ以下により詳細に考察される、抗酸化剤、金属イオン
封鎖剤、pH調節剤、乳化剤及び/又は界面活性剤、並びに紫外線安定剤として分類されて
もよい。
【0098】
抗酸化剤(すなわち、酸化プロセスを減速し、阻害し、中断し及び/又は停止する、医
薬として適合性のある化合物(複数可)又は組成物(複数可))は、特に以下の物質を含む:
トコフェロール及びそれらのエステル、ゴマ油のセサモール、ベンゾイン樹脂の安息香酸
コニフェリル、ノルジヒドログアイアレチン酸樹脂及びノルジヒドログアヤレト酸(NDGA)
、没食子酸塩(とりわけ、没食子酸メチル、エチル、プロピル、アミル、ブチル、ラウリ
ル)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA/BHT、同じくブチル-p-クレゾール);アスコル
ビン酸並びにその塩及びエステル(例えば、パルミチン酸アスコルビル)、エリソルビン酸
(イソアスコルビン酸)並びにその塩及びエステル、モノチオグリセロール、ナトリウムホ
ルムアルデヒドスルホキシレート、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜
硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸カリウム、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒド
ロキシトルエン(BHT)、プロピオン酸。代表的抗酸化剤は、トコフェロール、例えば、α-
トコフェロール及びそのエステル、ブチル化ヒドロキシトルエン及びブチル化ヒドロキシ
アニソールである。用語「トコフェロール」はまた、トコフェロールのエステルも含む。
公知のトコフェロールは、α-トコフェロールである。用語「α-トコフェロール」は、α
-トコフェロール(例えば、α-酢酸トコフェロール)のエステルを含む。
【0099】
金属イオン封鎖剤(すなわち、活性成分又は別の賦形剤などの別の化合物と、ホスト-ゲ
スト錯体形成中に嵌合することができる任意の化合物;同じく、封鎖剤とも称される)は
、塩化カルシウム、エチレンジアミン四酢酸カルシウム二ナトリウム、グルコノデルタ-
ラクトン、グルコン酸ナトリウム、グルコン酸カリウム、トリポリリン酸ナトリウム、ヘ
キサメタリン酸ナトリウム、及びそれらの組合せを含む。金属イオン封鎖剤はまた、環状
オリゴ糖、例えばシクロデキストリン、シクロマンニン(αリンケージにより1,4位置で連
結された、5以上のα-D-マンノピラノース単位)、シクロガラクチン(βリンケージにより
1,4位置で連結された、5以上のβ-D-ガラクトピラノース単位)、シクロアルトリン(αリ
ンケージにより1,4位置で連結された、5以上のα-D-アルトロピラノース単位)、及びそれ
らの組合せも含む。
【0100】
pH調節剤は、酸(例えば、酒石酸、クエン酸、乳酸、フマル酸、リン酸、アスコルビン
酸、酢酸、コハク酸、アジピン酸及びマレイン酸)、酸性アミノ酸(例えば、グルタミン酸
、アスパラギン酸など)、そのような酸性物質の無機塩(アルカリ金属塩、アルカリ土類金
属塩、アンモニウム塩など)、そのような酸性物質の有機塩基との塩(例えば、塩基性アミ
ノ酸、例えばリジン、アルギニンなど及び同類のもの、メグルミン及び同類のもの)、並
びにそれらの溶媒和物(例えば水和物)を含む。pH調節剤の他の例は、シリカを含む微結晶
性セルロース、アルミノメタケイ酸マグネシウム、リン酸のカルシウム塩(例えば、リン
酸水素カルシウムの無水物又は水和物、炭酸もしくは炭酸水素カルシウム、ナトリウムも
しくはカリウム、及び乳酸カルシウム又はそれらの混合物)、カルボキシメチルセルロー
スのナトリウム及び/又はカルシウム塩、架橋されたカルボキシメチルセルロース(例え
ば、クロスカルメロースナトリウム及び/又はカルシウム)、ポラクリリンカリウム、ア
ルギン酸ナトリウム及び/又はカルシウム、ドクサートナトリウム、ステアリン酸マグネ
シウム、カルシウム、アルミニウム、もしくは亜鉛、パルミチン酸マグネシウム、及びオ
レイン酸マグネシウム、フマル酸ステアリルナトリウム、及びそれらの組合せを含む。
【0101】
乳化剤及び/又は界面活性剤の例は、ポロキサマー又はプルロニック、ポリエチレング
リコール、ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリソルベート、ラウリル硫酸ナ
トリウム、ポリエトキシル化及び水素化されたヒマシ油、アルキルポリオシド、疎水性主
鎖上にグラフト重合された水溶性タンパク質、レシチン、グリセリルモノステアラート、
グリセリルモノステアラート/ポリオキシエチレンステアラート、ケトステアリルアルコ
ール/ラウリル硫酸ナトリウム、カルボマー、リン脂質、(C10-C20)-アルキル及びアルキ
レンカルボキシラート、カルボン酸アルキルエーテル、脂肪族アルコール硫酸塩、脂肪族
アルコールエーテル硫酸塩、アルキルアミド硫酸塩及びスルホン酸塩、脂肪酸アルキルア
ミドポリグリコールエーテル硫酸塩、アルカンスルホン酸塩及びヒドロキシアルカンスル
ホン酸塩、オレフィンスルフォン酸塩、アシルイセチオン酸エステル、α-スルホ脂肪酸
エステル、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルフェノールグリコールエーテルスル
ホン酸塩、スルホコハク酸塩、スルホコハク酸のモノエステル及びジエステル、脂肪族ア
ルコールエーテルリン酸塩、タンパク質/脂肪酸縮合生成物、アルキルモノグリセリド硫
酸塩及びスルホン酸塩、アルキルグリセリドエーテルスルホン酸塩、脂肪酸メチルタウリ
ド、脂肪酸サルコシネート、スルホリシノレート、及びアシルグルタミン酸塩、第四級ア
ンモニウム塩(例えば、ジ-(C10-C24)-アルキル-ジメチルアンモニウムクロリド又はブロ
ミド)、(C10-C24)-アルキル-ジメチルエチルアンモニウムクロリド又はブロミド、(C10-C
24)-アルキル-トリメチルアンモニウムクロリド又はブロミド(例えば、セチルトリメチル
アンモニウムクロリド又はブロミド)、(C10-C24)-アルキル-ジメチルベンジルアンモニウ
ムクロリド又はブロミド(例えば、(C12-C18)-アルキル-ジメチルベンジルアンモニウム塩
化物)、N-(C10-C18)-アルキル-ピリジニウム塩化物又は臭化物(例えば、N-(C12-C16)-ア
ルキル-ピリジニウム塩化物又は臭化物)、N-(C10-C18)-アルキル-イソキノリニウム塩化
物、臭化物又はモノアルキル硫酸塩、N-(C12-C18)-アルキル-ポリオイルアミノホルミル
メチルピリジニウム塩化物、N-(C12-C18)-アルキル-N-メチルモルホリニウム塩化物、臭
化物又はモノアルキル硫酸塩、N-(C12-C18)-アルキル-N-エチルモルホリニウム塩化物、
臭化物又はモノアルキル硫酸塩、(C16-C18)-アルキル-ペンタオキセチルアンモニウムク
ロリド、ジイソブチルフェノキシエトキシエチルジメチルベンジルアンモニウムクロリド
、N,N-ジ-エチルアミノエチルステアリルアミド及び-オレイルアミドの塩酸、酢酸、乳酸
、クエン酸、リン酸との塩、N-アシルアミノエチル-N,N-ジエチル-N-メチルアンモニウム
クロリド、ブロミド又はモノアルキル硫酸塩、並びにN-アシルアミノエチル-N,N-ジエチ
ル-N-ベンジルアンモニウムクロリド、ブロミド又はモノアルキル硫酸塩(前述の「アシル
」は例えばステアリル又はオレイルを表す)、並びにそれらの組合せを含む。
【0102】
紫外線安定剤の例は、UV吸収剤(例えば、ベンゾフェノン)、UV消光剤(すなわち、エネ
ルギーに分解作用をもたらすよりもむしろ、UVエネルギーを熱として消散する任意の化合
物)、スカベンジャー(すなわち、UV放射線への曝露から生じるフリーラジカルを排除する
任意の化合物)、及びそれらの組合せを含む。
【0103】
他の実施態様において、安定剤は、パルミチン酸アスコルビル、アスコルビン酸、アル
ファトコフェロール、ブチル化ヒドロキシトルエン、ブチル化ヒドロキシアニソール、シ
ステインHC1、クエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、メチオニン、クエン酸ナトリ
ウム、アスコルビン酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫
酸水素ナトリウム、没食子酸プロピル、グルタチオン、チオグリセロール、一重項酸素消
光剤、ヒドロキシルラジカルスカベンジャー、ヒドロペルオキシド除去剤、還元剤、金属
キレート剤、洗浄剤、カオトロープ、及びそれらの組合せを含む。「一重項酸素消光剤」
は、アルキルイミダゾール(例えば、ヒスチジン、L-カモシン、ヒスタミン、イミダゾー
ル4-酢酸)、インドール(例えば、トリプトファン及びその誘導体、例えばN-アセチル-5-
メトキシトリプタミン、N-アセチルセロトニン、6-メトキシ-1,2,3,4-テトラヒドロ-ベー
タ-カルボリン)、イオウ-含有アミノ酸(例えば、メチオニン、エチオニン、ジエンコル酸
、ランチオニン、N-ホルミルメチオニン、フェリニン、S-アリルシステイン、S-アミノエ
チル-L-システイン)、フェノール系化合物(例えば、チロシン及びその誘導体)、芳香族酸
(例えば、アスコルビン酸塩、サリチル酸、及びそれらの誘導体)、アジド(例えば、アジ
化ナトリウム)、トコフェロール及び関連ビタミンE誘導体、並びにカロテン及び関連ビタ
ミンA誘導体を含むが、これらに限定されるものではない。「ヒドロキシルラジカルスカ
ベンジャー」は、アジド、ジメチルスルホキシド、ヒスチジン、マンニトール、ショ糖、
グルコース、サリチル酸塩、及びL-システインを含むが、これらに限定されるものではな
い。「ヒドロペルオキシド除去剤」は、カタラーゼ、ピルビン酸塩、グルタチオン、及び
グルタチオンペルオキシダーゼを含むが、これらに限定されるものではない。「還元剤」
は、システイン及びメルカプトエチレンを含むが、これらに限定されるものではない。「
金属キレート剤」は、EDTA、EGTA、o-フェナントロリン、及びクエン酸塩を含むが、これ
らに限定されるものではない。「洗浄剤」は、SDS及びラウロイルサルコシンナトリウム
を含むが、これらに限定されるものではない。「カオトロープ」は、塩化グアニジウム、
イソチオシアネート、尿素、及びホルムアミドを含むが、これらに限定されるものではな
い。本明細書において考察したように、安定剤は、0.0001%~50重量%で存在し、これは
、0.0001%より多い、0.001%より多い、0.01%より多い、0.1%より多い、1%より多い
、5%より多い、10%より多い、20%より多い、30%より多い、40%より多い、50%より
多い、50%未満、40%未満、30%未満、20%未満、10%未満、1%未満、0.1%未満、0.01
%未満、0.001%未満、又は0.0001重量%未満を含む。
【0104】
有用な添加剤は、例えば、ゼラチン、植物(vegetable)タンパク質、例えばヒマワリタ
ンパク質、大豆タンパク質、綿実タンパク質、ピーナツタンパク質、グレープシードタン
パク質など、ホエータンパク質、ホエータンパク質単離体、血液タンパク質、卵タンパク
質、アクリル化タンパク質、水溶性多糖、例えばアルギネート、カラゲナン、グアーガム
、アガーアガー、キサンタンガム、ゲランガム、アラビアゴム及び関連したガム(ガッテ
ィガム、カラヤガム、トラガカントガム)、ペクチンなど、セルロースの水溶性誘導体:
アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース及びヒドロキシアルキルアルキルセ
ルロース、例えばメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセ
ルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロ
キシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロースなど、セルロースエ
ステル及びヒドロキシアルキルセルロースエステル、例えば酢酸フタル酸セルロース(CAP
)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC);カルボキシアルキルセルロース、カル
ボキシアルキルアルキルセルロース、カルボキシアルキルセルロースエステル、例えばカ
ルボキシメチルセルロース及びそれらのアルカリ金属塩;水溶性合成ポリマー、例えばポ
リアクリル酸及びポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸及びポリメタクリル酸エス
テル、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテートフタレート
(PVAP)、ポリビニルピロリドン(PVP)、PVA/酢酸ビニルコポリマー、又はポリクロトン酸
を含むことができ;同じく、フタル酸ゼラチン、コハク酸ゼラチン、架橋ゼラチン、シェ
ラック、デンプンの水溶性化学誘導体、例えば第三級もしくは第四級アミノ基を、望まし
いならば四級化されたジエチルアミノエチル基を有する陽イオン修飾されたアクリレート
及びメタクリレート;又は、他の類似のポリマーも適している。
【0105】
追加成分は、全ての組成物成分の重量を基に、最大約80%の範囲、望ましくは約0.005
%~50%、より望ましくは1%~20%の範囲内であることができ、これは1%より多い、5
%より多い、10%より多い、20%より多い、30%より多い、40%より多い、50%より多い
、60%より多い、70%より多い、約80%、80%より多い、80%未満、70%未満、60%未満
、50%未満、40%未満、30%未満、20%未満、10%未満、5%未満、約3%、又は1%未満
を含む。他の添加剤は、抗-粘着剤、流動化剤及び乳白剤、例えばマグネシウム、アルミ
ニウム、ケイ素、チタンの酸化物などを、望ましいならば全フィルム成分の重量を基に、
濃度範囲約0.005%~約5重量%、及び望ましいならば約0.02%~約2重量%で、含むこと
ができ、これは0.02%より多い、0.2%より多い、0.5%より多い、1%より多い、1.5%よ
り多い、2%より多い、4%より多い、約5%、5%より多い、4%未満、2%未満、1%未満
、0.5%未満、0.2%未満、又は0.02%未満を含む。
【0106】
ある実施態様において、本組成物は、可塑剤を含むことができ、これは、ポリアルキレ
ンオキシド、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレン
-プロピレングリコールなど、低分子量の有機可塑剤、例えばグリセロール、グリセロー
ルモノアセテート、ジアセテートもしくはトリアセテートなど、トリアセチン、ポリソル
ベート、セチルアルコール、プロピレングリコール、糖アルコールソルビトール、ジエチ
ルスルホコハク酸ナトリウム、クエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、植物抽出物、
脂肪酸エステル、脂肪酸、油状物及び同類のものを含むことができ、組成物の重量を基に
、約0.1%~約40%の範囲の、望ましいならば約0.5%~約20%の範囲の濃度で添加され、
これは、0.5%より多い、1%より多い、1.5%より多い、2%より多い、4%より多い、5%
より多い、10%より多い、15%より多い、約20%、20%より多い、20%未満、15%未満、
10%未満、5%未満、4%未満、2%未満、1%未満、又は0.5%未満を含む。それらの水素
化型が望ましい、動物性又は植物性脂肪などのフィルム材料のテクスチュア特性を向上す
るために、化合物が更に添加されてよい。この組成物はまた、製品のテクスチュア特性を
向上するために、化合物を含むこともできる。他の成分は、フィルムの容易な形成及び全
般的品質に寄与する結合剤を含むことができる。結合剤の非限定的例は、デンプン、天然
ゴム、α化デンプン、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、カルボキシ
メチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、ポリアクリルアミド、ポリビニルオキ
サゾリドン、又はポリビニルアルコールを含む。
【0107】
更なる可能性のある添加剤は、活性成分との封入化合物を形成する物質などの、溶解度
増強剤を含む。このような物質は、非常に不溶性及び/又は不安定な活性の特性を改善す
るのに有用であることができる。概して、これらの物質は、疎水性内部空洞及び親水性外
部を伴うドーナツ型の分子である。不溶性及び/又は不安定な医薬活性成分は、疎水性空
洞内に嵌合し、これにより封入複合体を作製し、これは水に溶ける。従って、封入複合体
の形成は、非常に不溶性及び/又は不安定な医薬活性成分の、水への溶解を可能にする。
このような物質の特に望ましい例は、シクロデキストリンであり、これはデンプンから誘
導される環状炭水化物である。しかし他の類似の物質は、本発明の範囲内に収まると考え
られる。
【0108】
好適な着色剤は、食品、医薬品及び化粧品の色(FD&C)、医薬品及び化粧品の色(D&C)、
又は医薬部外品及び化粧品の色(Ext. D&C)を含む。これらの色は、色素、それらの対応す
るレーキ、並びにある種の天然及び誘導された着色剤である。レーキは、水酸化アルミニ
ウム上に吸収された色素である。着色剤の他の例は、公知のアゾ染料、有機もしくは無機
の顔料、又は天然起源の着色剤を含む。無機顔料、例えば酸化物又は鉄もしくはチタン、
これらの酸化物などが、全成分の重量を基に、約0.001~約10%、及び好ましくは約0.5~
約3%の範囲の濃度で添加されることが好ましく、これは0.001%より多い、0.01%より多
い、0.1%より多い、0.5%より多い、1%より多い、2%より多い、5%より多い、約10%
、10%より多い、10%未満、5%未満、2%未満、1%未満、0.5%未満、0.1%未満、0.01
%未満、又は0.001%未満を含む。
【0109】
香料は、天然及び合成の香味のある液体から選択されてよい。このような物質の例示的
なリストは、揮発油、合成香味油、香味のある芳香族、油分、液体、含油樹脂、又は植物
、葉、花、果実、茎から誘導された抽出物、及びそれらの組合せを含む。例の非限定的な
代表的リストは、ミント油、ココア、及びシトラス油、例えばレモン、オレンジ、ライム
及びグレープフルーツなど、並びにリンゴ、ナシ、モモ、ブドウ、イチゴ、ラズベリー、
サクランボ、プラム、パイナップル、アプリコットを含む果実の精油、又は他の果実香料
を含む。他の有用な香味料は、アルデヒド及びエステル、例えばベンズアルデヒド(サク
ランボ、アーモンド)、シトラール、すなわちアルファシトラール(レモン、ライム)、ネ
ラール、すなわち、ベータ-シトラール(レモン、ライム)、デカナール(オレンジ、レモン
)、アルデヒドC-8(シトラスフルーツ)、アルデヒドC-9(シトラスフルーツ)、アルデヒドC
-12(シトラスフルーツ)、トルイルアルデヒド(サクランボ、アーモンド)、2,6-ジメチル
オクタノール(野菜(green)果実)、又は2-ドデセナル(シトラス、マンダリン)、それらの
組合せなどを含む。
【0110】
甘味料は、以下の非限定的リストから選択されてよい:グルコース(コーンシロップ)、
デキストロース、転化糖、フルクトース、及びそれらの組合せ;サッカリン及びその様々
な塩、例えばナトリウム塩;ジペプチドベースの甘味料、例えばアスパルテーム、ネオテ
ーム、アドバンテーム;ジヒドロカルコン化合物、グリチルリチン;ステビア(Stevia Re
baudiana)(ステビオシド);ショ糖の塩素誘導体、例えばスクラロース;糖アルコール、
例えばソルビトール、マンニトール、キシリトール、及び同類のもの。同じく、水素化さ
れたデンプン加水分解物及び合成甘味料3,6-ジヒドロ-6-メチル-1-1-1,2,3-オキサチアジ
ン-4-オン-2,2-二酸化物、特にカリウム塩(アセスルファム-K)、並びにそれらのナトリウ
ム塩及びカルシウム塩、並びに天然の強力な(intensive)甘味料、例えばLo Han Kuoなど
がある。他の甘味料もまた、使用されてよい。
【0111】
消泡剤及び/又は脱泡剤成分も、フィルムで使用されてよい。これらの成分は、フィル
ム-形成組成物からの、捕獲された空気などの、空気の除去を助ける。このような捕獲さ
れた空気は、不均一なフィルムにつながることがある。シメチコーンは、一つの特に有用
な消泡剤及び/又は脱泡剤である。しかし本発明は、そのように限定されず、且つ他の好
適な消泡剤及び/又は脱泡剤が使用されてよい。シメチコーン及び関連物質は、高密度化
目的で利用されてよい。より具体的には、このような物質は、空隙、空気、湿分、及び類
似の望ましくない成分の除去を促進することができ、これによりより濃密なフィルムを、
従ってより均一なフィルムを提供する。この機能を実行する物質又は成分は、高密度化剤
(densification)又は密度上昇物質(densifying agents)と称される。先に説明されたよう
に、捕獲された空気又は望ましくない成分は、不均一なフィルムへつながり得る。
【0112】
先に言及したような、同一出願人による米国特許第7,425,292号及び第8,765,167号に記
載されたいずれか他の任意の成分もまた、本明細書記載のフィルムに含まれ得る。
【0113】
本フィルム組成物は更に、フィルム組成物のpHを制御するために、緩衝液を含むことが
望ましい。緩衝液のいずれか望ましいレベルが、医薬活性成分が組成物から放出される際
に遭遇する望ましいpHレベルを提供するために、フィルム組成物に組み込まれる。この緩
衝液は、医薬活性成分のフィルムからの放出及び/又は体への吸収を制御するのに十分な
量で提供されることが好ましい。一部の実施態様において、緩衝液は、クエン酸ナトリウ
ム、クエン酸、酒石酸水素塩及びそれらの組合せを含んでよい。
【0114】
本明細書記載の医薬フィルムは、任意の所望のプロセスにより形成されてよい。好適な
プロセスは、米国特許第8,652,378号、第7,425,292号及び第7,357,891号に説明されてお
り、これらは引用により本明細書中に組み込まれている。一実施態様において、フィルム
剤形組成物は、湿潤組成物を最初に調製することにより形成され、この湿潤組成物は、ポ
リマー性担体マトリクス及び治療有効量の医薬活性成分を含有する。この湿潤組成物は、
フィルムへ流涎され、その後十分に乾燥され、自立型のフィルム組成物を形成する。この
湿潤組成物は、個々の剤形に注型されるか、又はこれはシートに流涎され、次にこのシー
トは個々の剤形に切断される。
【0115】
本医薬組成物は、粘膜表面に接着することができる。本発明は、口、膣、臓器、又は他
の型の粘膜表面などの、湿った表面を有し且つ体液の影響を受けやすい、体の組織、患部
、又は創傷の局所的治療における、特定の使用を認める。本組成物は、医薬を運搬し、且
つ粘膜表面への塗布及び接着時に、保護層をもたらし、且つ治療部位、周囲の組織、及び
他の体液に医薬を送達する。水溶液又は唾液などの体液中の侵食の制御、並びに送達に付
随した又は連続したフィルムの緩徐で自然な侵食を前提とすると、この組成物は、治療部
位での有効な薬物送達に適した滞留時間を提供する。
【0116】
本組成物の滞留時間は、製剤において使用される水侵食性ポリマーの侵食速度及びそれ
らの各濃度によって決まる。侵食速度は、例えば、異なる溶解度特徴を持つ成分又は化学
的に異なるポリマー、例えばヒドロキシエチルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロ
ースを一緒に混合することにより;低分子量及び中分子量のヒドロキシエチルセルロース
の混合など、同じポリマーの異なる分子量の等級を用いることにより;様々な親油値又は
水溶解度特性の賦形剤又は可塑剤(本質的に不溶性成分を含む)を使用することにより;水
溶性の有機塩及び無機塩を使用することにより;部分架橋のために、ヒドロキシエチルセ
ルロースなどのポリマーと、グリオキサールなどの架橋剤を使用することにより;或いは
、一旦得られたならば、その結晶度もしくは相転移を含むフィルムの物理状態を変更する
ことができる、処置後照射又は硬化により、調節されてよい。これらの戦略は、フィルム
の侵食動態を改変するために、単独で又は組合せて利用されてよい。適用時に、医薬組成
物フィルムは、粘膜表面へ接着し、且つその場に保持される。水の吸収は、この組成物を
柔軟にし、これにより異物の感覚を減らす。この組成物が粘膜表面に置かれる時、薬物の
送達が引き起こされる。滞留時間は、選択された医薬の送達の望ましいタイミング及び担
体の望ましい寿命に応じて、広範に調節され得る。しかし一般に、滞留時間は、約数秒か
ら約数日の間で調整される。好ましくはほとんどの医薬の滞留時間は、約5秒~約24時間
で調節される。より好ましくは、滞留時間は、約5秒~約30分で調節される。薬物送達の
提供に加え、一旦組成物が粘膜表面に接着すると、治療部位の保護も提供し、侵食可能な
包帯として作用する。親油性物質は、崩壊及び溶解を減少するために、侵食性を遅延する
ように、設計することができる。
【0117】
アミラーゼなどの酵素に対し感受性があり、水溶性有機塩及び無機塩のように水中に非
常に溶けやすい賦形剤を添加することにより、本組成物の侵食性の動態を調節することも
、可能である。好適な賦形剤は、塩化物、炭酸、炭酸水素、クエン酸、トリフルオロ酢酸
、安息香酸、リン酸、フッ化物、硫酸、又は酒石酸のナトリウム塩及びカリウム塩を含ん
でよい。添加される量は、侵食動態が、どの程度変更されるか、並びに組成物中の他の成
分の量及び性質に応じて、変動することができる。
【0118】
先に記載された水-ベースのエマルジョンで典型的に使用される乳化剤は、好ましくは
、リノール酸、パルミチン酸、ミリストレイン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、セトレイ
ン酸又はオレイン酸及び水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムから選択される場合、現場
で得られるか、或いはソルビトール及び無水ソルビトールのラウリン酸エステル、パルミ
チン酸エステル、ステアリン酸エステル、もしくはオレイン酸エステル、モノオレエート
、モノステアレート、モノパルミテート、モノラウレートを含むポリオキシエチレン誘導
体、脂肪族アルコール、アルキルフェノール、アリルエーテル、アルキルアリールエーテ
ル、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート及び/又はソルビタンモノ
パルミテートから選択されるかのいずれかである。
【0119】
使用される医薬活性成分の量は、所望の治療強度及びこれらの層の組成物によって決ま
るが、好ましくは医薬成分は、組成物の約0.001%~約99%、より好ましくは約0.003~約
75%、及び最も好ましくは約0.005%~約50重量%を構成し、これは0.005%より多く、0.
05%より多く、0.5%より多く、1%より多く、5%より多く、10%より多く、15%より多
く、20%より多く、30%より多く、約50%、50%より多く、50%未満、30%未満、20%未
満、15%未満、10%未満、5%未満、1%未満、0.5%未満、0.05%未満、又は0.005%未満
を含む。他の成分の量は、薬物又は他の成分に応じて変動してよいが、典型的にはこれら
の成分は、組成物の総重量で、50%を超えず、好ましくは30%を超えず、及び最も好まし
くは15%を超えないよう構成する。
【0120】
フィルムの厚さは、各層の厚さ及び層の数によって、変動してよい。前述のように、層
の厚さ及び量の両方は、侵食動態を変動するために調節されてよい。好ましくは、組成物
が2層のみを有する場合、厚さは、0.005mm~2mm、好ましくは0.01~1mm、及びより好まし
くは0.1~0.5mmの範囲であり、これは、0.1mmより大きい、0.2mmより大きい、約0.5mm、0
.5mmより大きい、0.5mm未満、0.2mm未満、又は0.1mm未満を含む。各層の厚さは、層化さ
れた組成物の全体の厚さの10~90%を変動してよく、好ましくは30~60%を変動し、これ
は、10%より多く、20%より多く、30%より多く、40%より多く、50%より多く、70%よ
り多く、90%より多く、約90%、90%未満、70%未満、50%未満、40%未満、30%未満、
20%未満、又は10%未満を含む。従って、各層の好ましい厚さは、0.01mm~0.9mm、又は0
.03mm~0.5mmを変動してよい。
【0121】
当業者が理解するように、全身送達、例えば経粘膜又は経真皮送達が望ましい場合、治
療部位は、フィルムが、血液、リンパ液、又は他の体液中に望ましい医薬レベルを送達及
び/又は維持することが可能であるような任意の領域を含み得る。典型的には、このよう
な治療部位は、口、耳、眼球、肛門、鼻、及び膣の粘膜組織、並びに皮膚を含む。皮膚が
治療部位として利用される場合、通常、上腕又は大腿部など、動作がフィルムの接着を破
壊しないような比較的大きい領域の皮膚が、好ましい。
【0122】
本医薬組成物はまた、創傷包帯として使用することもできる。洗浄除去することができ
る、物理的、適合可能な、酸素及び水分透過性で、柔軟な障壁の提供により、フィルムは
、創傷を保護するのみではなく、治癒、無菌、瘢痕形成(scarification)を促進するため
、疼痛を緩和するため、又は罹患者の状態を全体的に改善するために、医薬を送達するこ
ともできる。以下に提供される実施例の一部は、皮膚又は創傷への適用に、良く適してい
る。当業者が理解するように、本製剤は、長期間にわたり、乾燥した皮膚上の良好な接着
を維持することを助ける、特異的親水性/吸湿性の賦形剤を混入することを必要とする。
別の本発明の利点は、この様式を利用する場合に、フィルムが、皮膚上で目立つことを望
まない場合、色素又は着色物質の使用は、不要である。他方で、フィルムが目立つことが
望ましい場合、色素又は着色物質を利用することができる。
【0123】
本医薬組成物は、もともと湿潤組織である粘膜組織に接着することができる一方で、皮
膚又は創傷などの、他の表面上でも使用することができる。本医薬フィルムは、皮膚への
適用に先立ち、水、唾液、傷からの排液又は発汗など水性ベースの流体により湿潤されて
いる場合にも、皮膚へ接着することができる。このフィルムは、例えば、水洗い、シャワ
ー、入浴又は洗浄などにより、水との接触が原因でそれが侵食されるまで、皮膚に接着す
ることができる。このフィルムはまた、組織へ著しい損傷を伴わずに、剥がして容易に取
り除くことができる。
【0124】
フランツ拡散セルは、製剤開発において使用される、インビトロ皮膚透過アッセイであ
る。フランツ拡散セル装置(
図1A)は、例えば、動物又はヒト組織の膜により分離された、
2個のチャンバーからなる。被験製品は、上側チャンバーを介して、膜に適用される。下
側チャンバーは、膜を透過する活性量を決定する分析のために、それから試料が一定間隔
で採取される流体を含む。
図1Aに関して、フランツ拡散セル100は、ドナー化合物101、ド
ナーチャンバー102、膜103、サンプリング孔104、レセプターチャンバー105、撹拌棒106
、及びヒーター/サーキュレーター107を備える。
【0125】
図1Bに関して、医薬組成物は、ポリマーマトリクス200、このポリマーマトリクス中に
含まれる医薬活性成分300を含有するフィルム100である。このフィルムは、透過エンハン
サー400を含むことができる。
【0126】
図2A及び2Bに関して、グラフは、組成物からの活性物質の透過を示す。このグラフは、
インサイチュで可溶化されるエピネフリン塩基、対、本質的に可溶性の酒石酸水素エピネ
フリンに関して、有意差は認められないことを示す。酒石酸水素エピネフリンは、加工の
容易さを基に更なる開発のために選択された。フラックスは、時間の関数としての透過量
の勾配として誘導される。定常状態フラックスは、レシーバー媒体の容積により積算され
、且つ透過面積について規準化された、フラックス、対、時間曲線のプラトーから得る。
【0127】
図2Aに関して、このグラフは、8.00mg/mL酒石酸水素エピネフリン及び4.4mg/mL可溶化
されたエピネフリン塩基による、透過した活性物質の平均量、対、時間を示す。
【0128】
図2Bに関して、このグラフは、8.00mg/mL酒石酸水素エピネフリン及び4.4mg/mL可溶化
されたエピネフリン塩基による、平均フラックス、対、時間を示す。
【0129】
図3に関して、このグラフは、濃度の関数としての、酒石酸水素エピネフリンのエクス
ビボ透過を示す。この試験は、濃度4mg/mL、8mg/mL、16mg/mL及び100mg/mLを比較した。
結果は、増加する濃度は、増加した透過を示したこと、及び増強のレベルは、より高い負
荷で減少することを示した。
【0130】
図4に関して、このグラフは、溶液pHの関数としての、酒石酸水素エピネフリンの透過
を示す。酸性条件は、安定性を促進するかどうかを調べた。結果は、酒石酸水素エピネフ
リンpH3緩衝液及び酒石酸水素エピネフリンpH5緩衝液を比較し、且つ酒石酸水素エピネフ
リンpH5緩衝液が、わずかに好ましいことを認めた。
【0131】
図5に関して、このグラフは、時間の関数としての透過量として示された、エピネフリ
ンの透過に対するエンハンサーの影響を示している。ラブラゾル、カプリオール90、Plur
ol Oleique、ラブラフィル、TDM、SGDC、ゲルシレ44/14及びクローブ油を含む、複数のエ
ンハンサーをスクリーニングした。開始までの時間及び定常状態フラックスに対する有意
な影響が達成され、驚くべきことに増強された透過が、クローブ油及びラブラゾルについ
て達成された。
【0132】
図6A及び6Bに関して、これらのグラフは、透過量(μg)、対、時間として示された、ポ
リマープラットフォーム上のエピネフリンの放出及びその放出に対するエンハンサーの作
用を示す。
図6Aは、異なるポリマープラットフォームからのエピネフリン放出を示す。図
6Bは、エピネフリン放出に対するエンハンサーの影響を示す。
【0133】
図7に関して、このグラフは、雄のYucatanミニブタにおける薬物動態モデルを示す。こ
の試験は、0.3mgエピペン、0.12mgエピネフリンIV及びプラセボフィルムを比較する。
【0134】
図8に関して、このグラフは、40mgエピネフリンフィルム、対、0.3mgエピペンの濃度プ
ロファイルに対するエンハンサー無しの影響を示す。
【0135】
図9に関して、このグラフは、40mgエピネフリンフィルム、対、0.3mgエピペンの濃度プ
ロファイルに対するエンハンサーA(ラブラゾル)の影響を示す。
図10に関して、このグラ
フは、2種の40mgエピネフリンフィルム(10-1-1)及び(11-1-1)、対、0.3mgエピペンの濃度
プロファイルに対するエンハンサーL(クローブ油)の影響を示す。
【0136】
図11に関して、このグラフは、40mgエピネフリンフィルム、対、0.3mgエピペンの濃度
プロファイルに対する、エンハンサーL(クローブ油)及びフィルム寸法(10-1-1薄く大きい
フィルム及び11-1-1厚く小さいフィルム)の影響を示す。
【0137】
図12に関して、このグラフは、0.3mgエピペンに対する、エンハンサーL(クローブ油)に
関する一定のマトリクス中のエピネフリンフィルムの投与量の変動に関する、濃度プロフ
ァイルを示す。
【0138】
図13に関して、このグラフは、0.3mgエピペンに対する、エンハンサーL(クローブ油)に
関する一定のマトリクス中のエピネフリンフィルムの投与量の変動に関する、濃度プロフ
ァイルを示す。
【0139】
図14に関して、このグラフは、0.3mgエピペンに対する、エンハンサーA(ラブラゾル)に
関する一定のマトリクス中のエピネフリンフィルムの投与量の変動に関する、濃度プロフ
ァイルを示す。
【0140】
図15に関して、このグラフは、時間の関数としての透過量として示される、ジアゼパム
の透過に対するエンハンサーの影響を示す。
【0141】
図16に関して、このグラフは、時間の関数としての、平均フラックスを示す(ジアゼパ
ム+エンハンサー)。
【0142】
図17に関して、このグラフは、40mgエピネフリンフィルム、対、0.3mgエピペンの血漿
濃度プロファイルに対する、ファルネソール及びリノール酸と組合せたファルネソールの
影響を示す。
【0143】
図18に関して、このグラフは、40mgエピネフリンフィルム、対、0.3mgエピペンの血漿
濃度プロファイルに対する、ファルネソール及びリノール酸と組合せたファルネソールの
影響を示す。
【0144】
図19に関して、このグラフは、40mgエピネフリンフィルム、対、0.3mgエピペンの血漿
濃度プロファイルに対する、リノール酸と組合せたファルネソールの影響を示す。
【0145】
図20に関して、このグラフは、40mgエピネフリンフィルム、対、0.3mgエピペンの血漿
濃度プロファイルに対する、ファルネソール及びリノール酸と組合せたファルネソールの
影響を示す。
【0146】
下記実施例は、医薬組成物、並びに医薬組成物の製造方法及び使用方法、並びに本明細
書記載の装置を例示するために提供される。
【実施例0147】
(実施例)
(実施例1 透過エンハンサー-エピネフリン)
透過の増強を、多数の透過エンハンサーを用い、酒石酸水素エピネフリン濃度16.00mg/
mLにより、試験した。結果は、以下のデータに表されたフラックス増強を示す。100%オ
イゲノール及び100%クローブ油に関して、結果は、定常状態フラックスには有意に早く
到達し、予想外に高められたフラックス増強率(%)を伴ったことを示した。
【0148】
【表1】
1 定常状態フラックスに非常に早い時点で到達した
* 0.3%オイゲノール、対、0.3%クローブ-互いに類似したフラックス速度
【0149】
これらの実施例に関して、クローブ油は、クローブ葉から得た。同様の結果が、クロー
ブ芽及び/又はクローブ茎由来のクローブ油から得られる。このデータを基に、類似の透
過性増強の結果を、エピネフリンに構造的に類似した医薬化合物から予想することができ
る。
【0150】
(実施例2 ジアゼパム溶解度及び透過性)
ジアゼパムは、口腔内領域(頬)に適用され、口腔粘膜を通して拡散し且つ直接血流に浸
入する。ジアゼパムの溶解度はまた、様々な賦形剤を用いて試験した。
図15は、時間の関
数として示された透過量(ug)として示される、ジアゼパムの透過に対するエンハンサーの
影響を示している。
図16は、ジアゼパム及びある種の選択されたエンハンサーの溶液中の
、時間(分)の関数としての、μg/cm*分で示される平均フラックスを示す。
【0151】
以下の賦形剤もまた、溶解度を改善するために試験した。
【0152】
【0153】
下記賦形剤もまた、類似の増強特性のために適用することができる:シナモン葉、バジ
ル、ローリエ、ナツメグ、Kolliphor(登録商標)TPGS、ビタミンE PEGコハク酸エステル、
Kolliphor(登録商標)EL、ポリオキシル35ヒマシ油USP/NF、メントール、N-メチル-2-ピロ
リドン、SLS(SDS)、SDBS、フタル酸ジメチル、ショ糖パルミチン酸エステル(Sisterna PS
750-C)、ショ糖ステアリン酸エステル(Sisterna SP70-C)、CHAPS、オクチルグルコシド、
Triton X 100(オクトキシノール-9)、エチルマルトール(粉末香味料)、Brij 58(セテス-2
0)、ビタミンEトコフェロール、酢酸トコフェロール又はコハク酸トコフェロール、ステ
ロール、植物抽出物、精油又はタラ肝油。
【0154】
下記の結果は、濃度8.00mg/mLを有するジアゼパム溶液において得た。
【0155】
【0156】
(実施例3 全般的透過手法-エクスビボ透過試験プロトコール)
一例において、透過手法は、以下のように実行される。温浴は、37℃に設定し、レシー
バー媒体を、温度を調節するために、水浴中に配置し、脱気を開始する。フランツ拡散セ
ルを、入手し且つ調製する。フランツ拡散セルは、ドナー化合物、ドナーチャンバー、膜
、サンプリング孔、レセプターチャンバー、撹拌棒、及びヒーター/サーキュレーターを
備える。撹拌棒は、フランツ拡散セルに挿入される。組織を、フランツ拡散セルの上に配
置し、且つ組織が、ガラスジョイント上の重なりにより全面を覆うことを確実にする。拡
散セルの最上部を、組織の上に配置し、セルの最上部を、底部とクランプで固定させる。
レセプター媒体約5mLを、レシーバー領域に負荷させ、空気泡がセルの受け部分に捕獲さ
れないことを確実にする。このことは、5mL全てが、レシーバー領域にフィットすること
ができることを確実にする。撹拌を開始し、温度を、約20分間平衡にする。一方で、高速
液体クロマトグラフィー(HPLC)バイアルを、セルの数及び時点別にラベルを付ける。その
後、加熱時に溶液を脱気する際には、空気泡を再度チェックしなければならない。
【0157】
フィルムを試験する場合、以下の次工程を実行することができる:(1)フィルムを秤量
し、拡散領域に合致する(又はより小さい)ようにパンチングし、再度秤量し、パンチング
前及び後の重量を記録する工程;(2)およそ100μLのリン酸緩衝液で、ドナー領域を湿潤
する工程;(3)フィルムをドナー表面上に配置し、400μLのリン酸緩衝液を被せて、且つ
タイマーを始動する工程。
【0158】
溶液試験に関して、以下の工程を実行することができる:(1)マイクロピペットを用い
、溶液500μLを各ドナーセルに分配し、タイマーを始動する工程;(2)以下の時点で、200
μLをサンプリングし(時間=0分、20分、40分、60分、120分、180分、240分、300分、360
分)、且つラベルを付けたHPLCバイアル内に配置し、封をしたバイアルを叩いて、空気が
バイアルの底部に捕獲されないことを確実にする工程;(3)各サンプリング時間に、200μ
Lのレセプター媒体で置き換える(5mLを維持するように)工程;(4)全ての時点が完了した
ら、セルを分解し、全ての物質を適切に廃棄する工程。
【0159】
(実施例4 エクスビボ透過性評価)
エクスビボ透過性評価の例は、以下のようである。
1. 組織を、新たに摘出し、且つ4℃で配送する(例えば一晩)。
2. 組織を、処理し、且つ使用前に最大3週間、-20℃で、凍結する。
3. 組織を、正確な厚さに採皮する(dermatome)。
4. およそ5mLのレシーバー媒体を、レシーバーコンパートメントに添加する。この媒
体は、シンク条件を確実にするように選択する。
5. 組織を、ドナー化合物、ドナーチャンバー、膜、サンプリング孔、レセプターチャ
ンバー、撹拌棒、及びヒーター/サーキュレーターを備える、フランツ拡散セル内に配置
する。
6. およそ0.5mLのドナー溶液を適用し、且つ8mm円形フィルムを、500μLのPBS緩衝液
で湿潤させる。
7. 試料を、所定の間隔で、レシーバーチャンバーから採取し、且つ新鮮な媒体と置き
換える。
【0160】
(実施例5 ドキセピンの経口腔送達)
以下は、ドキセピンの経口腔送達の例証的透過試験である。本試験は、バルセロナ大学
(スペイン)の動物実験倫理委員会及びカタロニア地域自治政府(スペイン)の動物実験委員
会により、承認されたプロトコールの下で実行した。3~4月齢の雌ブタを使用した。ブタ
の頬領域から口腔内粘膜を摘出し、その後直ちにBellvitge Campus(バルセロナ大学、ス
ペイン)の動物施設内で、麻酔用チオペンタールナトリウムの過剰投与量を用い、ブタを
屠殺した。新鮮な口腔内組織を、ハンクス溶液を満たした容器に入れ、病院から実験室へ
移した。残りの組織標本は、凍結防止剤として4%アルブミン及び10%DMSOを含むPBS混合
物の入った容器内で、-80℃で貯蔵した。
【0161】
透過試験のために、ブタの口腔内粘膜を、500±50μmの厚さのシートに切断し、これを
電気採皮刀(GA 630, Aesculap, Tuttlingen, 独国)を用い、拡散障壁に供し(Sudhakarら
の文献、「口腔内生体接着薬物送達-経口効果の低い薬物のための有望な選択肢(Buccal b
ioadhesive drug delivery - A promising option for oral less efficient drugs)」、
Journal of Controlled Release, 114 (2006) 15-40)、且つ適切な小片に外科用鋏で切り
そろえた。下側結合組織の大半は、外科用メスにより除去した。
【0162】
次に膜を、直径9mm(拡散面積0.636cm2)の透過オリフィスを持つ特別にデザインされた
膜ホルダーに搭載した。膜ホルダーを用いて、各ブタの口腔内膜を、ドナーコンパートメ
ント(1.5mL)とレセプターコンパートメント(6mL)の間に搭載し、上皮側は静的フランツ型
拡散セル(Vidra Foc Barcelona, スペイン)のドナーチャンバーに面し、且つ結合組織領
域はレシーバーに面するようにし、泡の発生を防いだ。
【0163】
無限の(infinite)投与量条件は、飽和ドキセピン溶液の100μLをドナー溶液として、レ
セプターチャンバーへ適用し、且つ水の蒸発を防ぐために直ちにパラフィルムにより封止
することにより確実にした。本実験を実行する前に、拡散セルを、全てのセル内の温度が
平衡になるよう(37℃±℃)、水浴中で1時間インキュベーションした。各セルは、小型の
テフロンでコートされた磁気撹拌棒を含み、これは実験中に、レセプターコンパートメン
ト内の流体が、均質に維持されることを確実にするために使用した。
【0164】
シンク条件は、レセプター媒体中のドキセピン飽和濃度を最初に試験することにより、
全ての実験において確実にした。試料(300μL)は、6時間にわたり予め選択された時間間
隔(0.1、0.2、0.3、0.7、1、2、3、4、5及び6時間)で、レセプターコンパートメントの中
心から、注射器により抜き取った。膜の下側に空気が捕獲されるのを避けるために注意し
ながら、取り出した試料容積は、同じ容積の新鮮なレセプター媒体(PBS;pH7.4)により、
直ちに置き換えた。追加の詳細は、A. Gimemoらの文献、「ドキセピンの経口腔送達:透
過及び組織学的評価の研究(Transbuccal delivery of doxepin: Studies on permeation
and histological evaluation)」、International Journal of Pharmaceutics 477 (2014
), 650-654に認めることができ、これは引用により本明細書中に組み込まれている。
【0165】
(実施例6 経口経粘膜的送達)
ブタの口腔粘膜組織は、組織学的特徴が、ヒト口腔粘膜組織に類似している(Heaney TG
、Jones RSの文献、「上皮分化時の成体ブタ肺胞粘膜結合組織の影響の組織学的研究(His
tological investigation of the influence of adult porcine alveolar mucosal conne
ctive tissues on epithelial differentiation)」、Arch Oral Biol 23 (1978) 713-717
;Squier CA、及びCollins Pの文献、「軟部組織付着、上皮下方成長及び表面多孔度の間
の関係(The relationship between soft tissue attachment, epithelial downgrowth an
d surface porosity)」、Journal of Periodontal Research 16 (1981) 434-440)。Lesch
らの文献、「ヒト口腔粘膜及び皮膚の水に対する透過性(The Permeability of Human Ora
l Mucosa and Skin to Water)」、J Dent Res 68 (9), 1345-1349, 1989)は、ブタの口腔
内粘膜の水透過性は、ヒト口腔内粘膜とは有意に異ならないが、口腔底は、ヒト組織の方
が、ブタ組織よりもより透過性であることを報告した。新鮮なブタ組織標本と-80℃で貯
蔵した標本の間の比較は、凍結の結果として、透過性に対し有意な作用はないことを明ら
かにした。ブタの口腔内粘膜吸収を、インビトロ及びインビボの両方において広範な薬物
分子について試験した(例えば、M. Sattarの文献、「経口経粘膜的薬物送達-最新状態及
び今後の展望(Oral transmucosal drug delivery - current status and future prospec
ts)」、International Journal of Pharmaceutics 471 (2014) 498-506の表1を参照し、
これは引用により本明細書中に組み込まれている)。典型的には、インビトロ試験は、ウ
ッシングチャンバー、フランツセル又は類似の拡散装置における、摘出したブタの口腔内
組織の搭載に関与している。この文献に説明されたインビボ試験は、溶液、ゲル又は組成
物としての薬物の、ブタの口腔内粘膜への適用、その後の血漿サンプリングに関与してい
る。
【0166】
Nicolazzoらの文献(「口腔内粘膜の透過性特徴に対する様々なインビトロ条件の作用(
The Effect of Various in Vitro Conditions on the Permeability Characteristics of
the Buccal Mucosa)」、Journal of Pharmaceutical Sciences 92(12) (2002) 2399-241
0)は、モデル親水性分子及び親油性分子としてカフェイン及びエストラジオールを使用
する、ブタの口腔内組織の透過性に対する様々なインビトロ条件の作用を調べた。口腔内
粘膜における薬物透過は、改変したウッシングチャンバーを用いて試験した。比較透過試
験は、完全厚さの上皮組織、新鮮組織及び凍結組織を通して行った。組織完全性は、フル
オレセインイソチオシアネート(FITC)-標識したデキストラン20kDa(FD20)の吸収によりモ
ニタリングし、並びに組織生存度は、MTT(3-[4,5-ジメチルチアゾール-2-イル]-2,5-ジフ
ェニルテトラゾリウムブロミド)生化学アッセイ及び組織学的評価を用いて評価した。口
腔内上皮を通した透過性は、完全厚の口腔内組織と比べ、カフェインについて1.8倍、及
びエストラジオールについて16.7倍より大きかった。両方の化合物に関するフラックス値
は、新鮮及び凍結した口腔内上皮について同等であったが、組織学的評価は、凍結組織に
おける細胞死の徴候を明らかにした。この組織は、MTT生存度アッセイを用い、死後最大1
2時間生存し続けるように見え、このことは組織学的評価によっても確認された。
【0167】
Kulkarniらは、ブタの口腔内組織の障壁特性に対する、上皮及び結合組織の相対寄与を
調べた。インビトロ透過試験は、モデル透過物(permeant)として、アンチピリン、ブスピ
ロン、ブピバカイン及びカフェインで行った。厚さ250、400、500、600、及び700μmの口
腔内粘膜を超えるモデル拡散物(diffusant)の透過性を、決定した。上皮及び結合組織の
障壁機能への相対寄与を描くために、二重層膜モデルを開発した。透過性障壁としての結
合組織領域の相対寄与は、粘膜組織厚の増加により、有意に増加した。上皮はその厚さで
全ての拡散物に関する主要な透過性障壁を表したので、粘膜組織厚およそ500μmを、イン
ビトロ経口腔内透過試験について、著者らは推奨した。著者らはまた、ブタの口腔内粘膜
におけるモデル透過物の同じ群の透過性に対する、数多くの生物学的変数及び実験的変数
の作用を調べた(インビトロモデルとしてのブタの口腔内粘膜:生物学的及び実験的変数
の作用、Kulkarniらの文献、J Pharm Sci. 2010 99(3):1265-77)。有意に、透過物のより
高い透過性が、より厚い頬の領域(250~280μm)と比べ、口唇の裏側のより薄い領域(170
~220μm)について認められた。ブタの口腔内粘膜は、クレブス炭酸水素リンゲル液中で
、4℃で、24時間、その完全性を維持した。上皮を下側の結合組織から分離するための熱
処理は、外科的分離と比べ、その透過性及び完全性の特徴に有害には作用しなかった。
【0168】
追加の詳細は、M. Sattarの文献、「経口経粘膜的薬物送達-最新状態及び今後の展望(O
ral transmucosal drug delivery- current status and future prospects)」、Internat
ional Journal of Pharmaceutics 471 (2014) 498-506に認めることができ、これは引用
により本明細書中に組み込まれている。
【0169】
(実施例7 口腔内粘膜の凍結保存)
ブタの口腔内粘膜の異なる領域は、異なるパターンの透過性を有し、口唇の裏側領域に
おいて、頬の領域と比べ、有意により高い透過性が存在し、その理由は、ブタの口腔内粘
膜において、上皮は、透過性障壁として作用し、頬上皮の厚さは、口唇の裏側領域の厚さ
よりもより大きいからである(Harris及びRobinsonの文献、1992)。例証的透過試験におい
て、同じ領域に由来した新鮮及び凍結したブタの口腔内粘膜を、厚さ500±50μmのシート
に切断し、これらを拡散障壁に供し(Sudhakarらの文献、2006)、電気採皮刀(モデル GA 6
30, Aesculap, Tuttlingen, 独国)を用いて入手し、且つ適切な小片に外科用鋏で切りそ
ろえた。利用した全ての装置は、予め滅菌した。下側結合組織の大半は、外科用メスによ
り除去した。次に膜を、直径9mm(拡散面積0.63cm2)の透過オリフィスを持つ特別にデザイ
ンされた膜ホルダーに搭載した。膜ホルダーを用いて、各ブタの口腔内膜を、ドナーコン
パートメント(1.5mL)とレセプターコンパートメント(6mL)の間に搭載し、上皮側は静的フ
ランツ-型拡散セル(Vidra Foc Barcelona, スペイン)のドナーチャンバーに面し、且つ結
合組織領域はレシーバーに面するようにし、泡の発生を防いだ。実験は、PPを用いて実行
し、これはモデル薬物として、親油性特徴を有し(logP=1.16;n-オクタノール/PBS、pH7
.4)、イオン化され易く(ionisable)(pKa=9.50)、且つMW=259.3g/molを有する(Modamio
らの文献、2000)。
【0170】
無限の投与量条件は、PBS(pH7.4)中のPP飽和溶液(37℃±1℃で、C0=588005±5852μg/
mL、n=6)の300μLをドナー溶液として、レセプターチャンバーへ適用し、且つ水の蒸発
を防ぐために直ちにパラフィルムにより封止することにより確実にした。
【0171】
本実験を実行する前に、拡散セルを、全てのセルの中の温度が平衡になるよう(37℃±1
℃)、水浴中で1時間インキュベーションした。各セルは、小型のテフロンでコートされた
磁気撹拌棒を含み、これは実験中に、レセプターコンパートメント内の流体が、均質に維
持されることを確実にするために使用した。シンク条件は、レセプター媒体中のPP飽和濃
度を最初に試験した後、全ての実験において確実にした。
【0172】
試料(300μL)は、下記の時間間隔で、レセプターコンパートメントの中心から、注射器
により抜き取った:0.25、0.5、1、2、3、4、5及び6時間。皮膚の下側に空気が捕獲され
るのを避けるために注意しながら、取り出した試料容積は、同じ容積の新鮮なレセプター
媒体(PBS;pH7.4)により、直ちに置き換えた。粘膜の単位表面積(cm2)を浸透する薬物(μ
g)の累積量は、除去された試料について補正し、時間(h)に対してプロットした。この拡
散実験は、新鮮な口腔内粘膜について27回及び凍結した口腔内粘膜について22回実行した
。
【0173】
追加の詳細は、S. Amoresの文献、「フランツ拡散セルを使用するエクスビボ薬物浸透
試験におけるブタの口腔内粘膜に関する改善された凍結保存法(An improved cryopreserv
ation method for porcine buccal mucosa in ex vivo drug permeation studies using
Franz diffusion cells)」、European Journal of Pharmaceutical Sciences 60 (2014)
49-54に認めることができる。
【0174】
(実施例8 舌下粘膜区画を超えるキニーネの透過)
ブタ及びヒトの口腔膜は、組成、構造及び透過性の測定値が類似しているので、ブタの
口腔粘膜は、ヒト口腔粘膜の好適なモデルである。ブタの口腔粘膜を超える透過性は、代
謝に結びつけられず、従って組織の生存について重要ではない。
【0175】
ブタの膜を調製するために、ブタの口腔底及び腹側(下側)舌の粘膜を、外科用メスを使
用する鈍的切除により摘出した。摘出した粘膜を、およそ1cmの正方形に切り出し、使用
時まで、アルミ箔上で-20℃で、凍結した(<2週間)。ブタの舌の凍結しなかった腹側表面
について、この粘膜を、摘出の3時間以内に、透過試験において使用した。
【0176】
キニーネに対する膜の透過性を、呼称レセプター容積3.6mL及び拡散面積0.2cm2の、全
てガラス製のフランツ拡散セルを用いて決定した。このセルのフランジは、高性能真空グ
リースにより滑らかにし、膜を、レセプターコンパートメントとドナーコンパートメント
の間に搭載し、粘膜表面を一番上側にした。クランプを使用し、膜を位置に保持し、その
後レセプターコンパートメントに脱気したリン酸緩衝生理食塩水(PBS)pH7.4を満たした。
微小磁気攪拌子を、レセプターコンパートメントに加え、完全セルを、37℃の水浴中に配
置した。この膜を、ドナーコンパートメントに適用されるPBSにより20分間平衡とし、そ
の後ピペットで吸引した。異なるビヒクル中のキニーネ溶液の5μL又はQ/2-HP-β-CD複合
体の飽和溶液の100μLのアリコートを、各ドナーコンパートメントに適用した。舌の腹側
表面を超えるキニーネの透過に対する唾液の作用を決定する試験において、滅菌した唾液
100μLを、ドナーコンパートメントに添加し、その後キニーネ溶液5μLを添加した。
【0177】
2、4、6、8、10及び12時間で、レセプター相は、サンプリング孔から抜き出し、且つ試
料の1mLアリコートを、HPLC自動サンプラーバイアルへ移し、その後37℃で貯蔵した新鮮
なPBSと置き換えた。Q/2-HP-β-CD飽和溶液が関与する試験(無限の投与量が実験の開始時
に適用される)とは別に、それぞれのキニーネ溶液5μLを、最大10時間かけて再度ドナー
相に適用した。これの目的は、投与間の2時間の間隔を基にした仮説使用時有限投薬レジ
メンを表した。少なくとも3回の反復を、各試験について実行した。
【0178】
追加の詳細は、C. Ongの文献、「インビトロにおける舌下粘膜を超えるキニーネの透過
(Permeation of quinine across sublingual mucosa, in vitro)」、International Jour
nal of Pharmaceutics 366 (2009) 58-64に認めることができる。
【0179】
(実施例9 エクスビボ初期試験-APIの形成)
この実施例において、インサイチュで可溶化されたエピネフリン塩基、対、本質的に可
溶性の酒石酸水素エピネフリンの透過を試験し、差異は認められなかった。酒石酸水素エ
ピネフリンは、加工の容易さを基に更なる開発のために選択した。フラックスは、時間の
関数としての透過量の勾配として誘導される。定常状態フラックスは、レシーバー媒体の
容積により積算された、フラックス、対、時間曲線のプラトーから外挿した。
図2Aのグラ
フは、8.00mg/mL酒石酸水素エピネフリン及び4.4mg/mL可溶化されたエピネフリン塩基に
よる、平均透過量、対、時間を示す。
図2Bのグラフは、8.00mg/mL酒石酸水素エピネフリ
ン及び4.4mg/mL可溶化されたエピネフリン塩基による、平均フラックス、対、時間を示す
。
【0180】
【0181】
(実施例10 透過/フラックスに対する濃度依存性)
この試験において、濃度の関数としての、酒石酸水素エピネフリンのエクスビボ透過を
試験した。
図3は、濃度の関数としての、酒石酸水素エピネフリンのエクスビボ透過を示
す。この試験は、濃度4mg/mL、8mg/mL、16mg/mL及び100mg/mLを比較した。結果は、濃度
の増加により透過が増加し、且つ増強のレベルは、より高い負荷で減少することを示した
。本試験は、濃度4mg/mL、8mg/mL、16mg/mL及び100mg/mLを比較した。
【0182】
【0183】
(実施例11 pHの影響)
この実施例において、溶液pHの関数としての、酒石酸水素エピネフリンの透過を試験し
た。この実施例において、酸性条件は、安定性を促進する能力があるかどうかを調べた。
結果は、pH5は、pH3と比べてわずかに好ましいことを示した。調べた濃度範囲の溶液中の
酒石酸水素エピネフリンの固有のpHは、4.5~5である。緩衝液によるpH調節は、不要であ
った。
【0184】
図4は、溶液pHの関数としての、酒石酸水素エピネフリンの透過を示す。酸性条件は、
安定性を促進するかどうかを調べた。結果は、酒石酸水素エピネフリンpH3緩衝液及び酒
石酸水素エピネフリンpH5緩衝液を比較し、且つ酒石酸水素エピネフリンpH5緩衝液が、わ
ずかに好ましいことを認めた。
【0185】
(実施例12 エンハンサーのエピネフリン透過に対する影響)
この実施例において、経粘膜的送達を試験するための、エピネフリンの透過を、透過量
(μg)、対、時間(分)として試験した。以下のエンハンサーを、エピネフリン16.00mg/mL
を含有する溶液において、濃度作用についてスクリーニングした。
図5のグラフは、時間
の関数としてのこれらのエンハンサーの結果を明らかにしている。
【0186】
【0187】
エンハンサーは、粘膜中の様々な障壁に影響を及ぼす機能性を持つよう選択し且つ設計
した。全ての試験したエンハンサーは、経時的に透過量を改善したが、クローブ油及びラ
ブラゾルは、特に有意で予想外の高い透過増強を示した。
【0188】
【0189】
(実施例13 エピネフリン放出に対するエンハンサーの影響)
エピネフリン放出に対するエンハンサー(ラブラゾル及びクローブ油)の影響を決定する
ために、エピネフリン放出プロファイルを試験した。
図6Aは、異なるポリマープラットフ
ォームからのエピネフリン放出を示す。
図6Bは、エピネフリン放出に対するエンハンサー
の影響を示す。これらの結果は、透過量は、約40分後に、およそ3250~4250μgの間に安
定化されたことを示した。試験したエンハンサーは、マトリクスからのエピネフリンの放
出を制限しないことを示した。
【0190】
(実施例14 促進された安定性)
安定剤の負荷の変種を試験した。
【0191】
【0192】
(実施例15 エンハンサーの影響)
雄のYucatanミニブタにおける薬物動態モデルを試験した。
図7のグラフは、雄のYucata
nミニブタにおける薬物動態モデルの結果を示す。この試験は、0.3mgエピペン、0.12mgエ
ピネフリンIV及びプラセボを比較する。
【0193】
エンハンサーを含まない0.3mgエピペン及び40mgエピネフリンフィルムの濃度プロファ
イルに対するエンハンサー無しの影響を、
図8に示す。
【0194】
エンハンサー3%ラブラゾルの影響を、
図9に示し、これは、40mgエピネフリンフィルム
、対、0.3mgエピペンの濃度プロファイルに対するエンハンサーA(ラブラゾル)の影響を示
す。
図10は、2種の40mgエピネフリンフィルム(10-1-1)及び(11-1-1)、対、0.3mgエピペン
の濃度プロファイルに対するエンハンサーL(クローブ油)の影響を示す。
【0195】
加えて、フィルム寸法の影響及びクローブ油(3%)の影響も、
図11に示す。この試験は
、0.30mgエピペン(n=4)、40mgエピネフリンフィルム(10-1-1)(n=5)及び40mgエピネフリ
ンフィルム(11-1-1)(n=5)の比較を実行した。雄のミニブタへの舌下又は筋肉内へのエピ
ネフリン投与後の、濃度、対、時間プロファイルである。
【0196】
試験は、エンハンサーに対するエピネフリンの比を変えて行った。これらの試験はまた
、雄のミニブタへの舌下又は筋肉内へのエピネフリン投与後の、濃度、対、時間プロファ
イルであった。エピネフリン対クローブ油(エンハンサーL)の比の変動は、
図12に示した
結果を生じた。この試験は、0.30mgエピペン(n=4)、40mgエピネフリンフィルム(12-1-1)
(n=5)及び20mgエピネフリンフィルム(13-1-1)(n=5)の比較を実行した。
【0197】
(実施例16)
変動する投与量を、エンハンサーラブラゾル(3%)及びクローブ油(3%)による一定のマ
トリクスで実行し、各々、
図13及び
図14に示した。
図13の試験は、0.30mgエピペン(n=4)
、40mgエピネフリンフィルム(18-1-1)(n=5)及び30mgエピネフリンフィルム(20-1-1)(n=
5)の比較を行った。
図14の試験は、0.30mgエピペン(n=4)、40mgエピネフリンフィルム(1
9-1-1)(n=5)及び30mgエピネフリンフィルム(21-1-1)(n=5)の比較を行った。これらの試
験はまた、雄のミニブタへの舌下又は筋肉内へのエピネフリン投与後の、濃度、対、時間
プロファイルであった。
【0198】
(実施例17)
エンハンサー(ファルネソール)のエピネフリン濃度に対する経時的な影響を決定するた
めに、雄ミニブタにおける薬物動態モデルを試験した。
図17のグラフは、ファルネソール
透過エンハンサーの舌下又は筋肉内投与後の、時間(分)の関数としてのエピネフリン血漿
濃度(ng/mL)を示す。この試験は、0.3mgエピペン(n=3)、30mgエピネフリンフィルム31-1
-1(n=5)及び30mgエピネフリンフィルム32-1-1(n=5)を比較し、各エピネフリンフィルム
は、ファルネソールエンハンサーと共に製剤化されている。この図に示したように、31-1
-1フィルムは、約30~40分から始まりおよそ130分まで、エピネフリン濃度の増強された
安定性を明らかにした。
【0199】
図18のグラフは、
図17と同じ試験から得たが、専ら、0.3mgエピペンを、30mgエピネフ
リンフィルム31-1-1(n=5)に対して比較するデータポイントを示す。
【0200】
図19のグラフは、
図17と同じ試験から得たが、専ら、0.3mgエピペンを、30mgエピネフ
リンフィルム32-1-1(n=5)に対して比較するデータポイントを示す。
【0201】
(実施例18)
図20に関して、このグラフは、舌下又は筋肉内投与後の、経時的な、エピネフリン濃度
に対する、エンハンサー(ファルネソール)の影響を決定するために試験した雄のミニブタ
における薬物動態モデルを示す。エピネフリン血漿濃度(ng/mL)は、エピネフリンフィル
ム中のファルネソール透過エンハンサーの舌下又は筋肉内投与後の、時間(分)の関数とし
て示した。この試験は、5種の30mgエピネフリンフィルム(32-1-1)に対し、3種の0.3mgエ
ピペンからのデータを比較した。このデータは、フィルムが、約20~30分から始まりおよ
そ130分まで、エピネフリン濃度の増強された安定性を有するような、エピネフリンフィ
ルムを示している。
【0202】
(実施例19)
一実施態様において、エピネフリン医薬組成物フィルムは、下記の処方で製造すること
ができる:
【0203】
【0204】
(実施例20)
エピネフリン医薬組成物フィルムは、下記の処方で製造した:
【0205】
【0206】
(実施例21)
別の実施態様において、医薬フィルム組成物は、下記の処方で製造した:
【0207】
【0208】
(実施例22)
別の実施態様において、医薬フィルム組成物は、下記の処方で製造した:
【0209】
【0210】
(実施例23)
図21に関して、このグラフは、舌下又は筋肉内投与後の、経時的エピネフリン血漿濃度
に対する、エンハンサー(6%クローブ油及び6%ラブラゾル)の影響を決定するために試験
した、雄ミニブタにおける薬物動態モデル(対数スケール)を示す。エピネフリン血漿濃度
(ng/mL)は、エピネフリンフィルム中のファルネソール透過エンハンサーの舌下又は筋肉
内投与後の時間(分)の関数として示している。このデータは、フィルムが、正に10分後の
時点から約30分にかけて始まりおよそ100分まで、エピネフリン濃度の増強された安定性
を有するような、エピネフリンフィルムを示す。
【0211】
図22に関して、このグラフは、0.3mgエピペン(菱形データポイントで示す)から収集し
た平均データに対して比較した、
図21に言及したような雄ミニブタにおけるエピネフリン
フィルム製剤の薬物動態モデルを示す。このデータが示すように、0.3mgエピペンの平均
血漿濃度は、0.5~1ng/mLの間にピークがあった。対照的に、エピネフリンフィルム製剤
は、4~4.5ng/mLの間にピークがあった。
【0212】
(実施例24)
図23に関して、このグラフは、7匹の動物モデルにわたる、舌下又は筋肉内投与後の、
経時的エピネフリン濃度に対する、エンハンサー(9%クローブ+3%ラブラゾル)の影響を
決定するために試験した、雄ミニブタにおける薬物動態モデルを示している。全般的ピー
ク濃度には、10~30分の間に到達した。
【0213】
(実施例25 アルプラゾラムデータ)
図24A、
図24B、及び
図24Bに関して、これらのグラフは、経口アルプラゾラム崩壊錠(OD
T)及びアルプラゾラム医薬組成物フィルムの舌下投与時の、経時的(時間)アルプラゾラム
血漿濃度を比較する、雄ミニブタ試験からのデータを表している。
【0214】
図24Aは、アルプラゾラムODT(グループ1)からの平均データを示す。7~12ng/mL間のピ
ーク濃度には、およそ1~8時間で到達した。
【0215】
図24Bは、アルプラゾラム医薬組成物フィルム(グループ2)からの平均データを示す。5n
g/mLより多い、10ng/mLより多い、12ng/mLより多い、15ng/mLより多い、17ng/mLより多い
、17ng/mL未満、15ng/mL未満、12ng/mL未満、10ng/mL未満、5ng/mL未満を含む、5~17ng/
mL間のピーク濃度には、10分より長い、20分より長い、30分より長い、45分より長い、1
時間より長い、1.5時間より長い、2時間より長い、2.5時間より長い、3時間より長い、3.
5時間より長い、又は約4時間、4時間未満、3.5時間未満、3時間未満、2.5時間未満、2時
間未満、1.5時間未満、1時間未満、45分未満、30分未満、又は20分未満を含む、10分~4
時間で到達した。
【0216】
図24Cは、別の雄ミニブタの群(グループ3)からの、アルプラゾラム医薬組成物フィルム
からの平均データを示す。5ng/mLより長い、10ng/mLより長い、12ng/mLより長い、15ng/m
Lより長い、17ng/mLより長い、17ng/mL未満、15ng/mL未満、12ng/mL未満、10ng/mL未満、
5ng/mL未満を含む、5~17ng/mLのピーク濃度には、10分より長い、20分より長い、30分よ
り長い、45分より長い、1時間より長い、1.5時間より長い、2時間より長い、2.5時間より
長い、3時間より長い、3.5時間より長い、及び約4時間、4時間未満、3.5時間未満、3時間
未満、2.5時間未満、2時間未満、1.5時間未満、1時間未満、45分未満、30分未満、又は20
分未満を含む、10分~4時間で到達した。
【0217】
(実施例26)
図25Aに関して、このグラフは、経口アルプラゾラム崩壊錠(ODT)(円形データポイント
で示した)と、アルプラゾラム医薬組成物フィルムによる2群(四角及び三角のデータポイ
ントで示した)の舌下投与後の経時的(時間)アルプラゾラム血漿濃度を比較する、雄ミニ
ブタ試験からのデータを例示している。
【0218】
このグラフが示すように、アルプラゾラム医薬組成物フィルム(両群)からのデータは、
10分より長い、20分より長い、約30分間、30分より長く、30分未満、20分未満、15分未満
、又は10分未満を含む、約30分間以下の治療ウインドウにおける最高およそ15~25mg/mL
の比較的高いアルプラゾラム血漿濃度を得た。
【0219】
図25Bに関して、このグラフは、
図25Aで言及した試験からの個別のデータポイントを示
す。
【0220】
図25Cに関して、このグラフは、0~1時間の
図25Aで言及した試験からの個別のデータポ
イントを示す。
【0221】
図26Aに関して、このグラフは、
図25Cで言及したアルプラゾラムODTに関する個別のデ
ータポイントを示す。
【0222】
図26Bに関して、このグラフは、
図25Cで言及したアルプラゾラム医薬フィルムに関する
個別のデータポイントを示す。
【0223】
図26Cに関して、このグラフは、
図25Cで言及したアルプラゾラム医薬フィルム(第二群)
に関する個別のデータポイントを示す。
【0224】
先に言及したグラフからのデータはまた、以下の表においてもまとめている。
【0225】
【0226】
(実施例27)
図27Aに関して、この図は、経口アルプラゾラム崩壊錠(ODT)(円形データポイントで示
した)と、アルプラゾラム医薬組成物フィルムの2群(四角及び三角のデータポイントで示
した)の舌下投与後の経時的アルプラゾラム血漿濃度を比較する、雄ミニブタ試験からの
平均データを例示している。データが示すように、0.5mgアルプラゾラムODTは、10分より
長い、20分より長い、30分より長い、45分より長い、1時間より長い、1.5時間より長い、
2時間より長い、2.5時間より長い、3時間より長い、3.5時間より長い、又は約4時間、4時
間未満、3.5時間未満、3時間未満、2.5時間未満、2時間未満、1.5時間未満、1時間未満、
45分未満、30分未満、又は20分未満を含む、0~4時間の間に、ピーク濃度の範囲約5~6ng
/mLに到達した。0.5mgアルプラゾラム医薬組成物フィルムは、10分より長い、20分より長
い、30分より長い、45分より長い、1時間より長い、1.5時間より長い、2時間より長い、2
.5時間より長い、3時間より長い、3.5時間より長い、又は約4時間、4時間未満、3.5時間
未満、3時間未満、2.5時間未満、2時間未満、1.5時間未満、1時間未満、45分未満、30分
未満、又は20分未満を含む、0~4時間の間に、ピーク濃度、各々、約7~8ng/mL及び6~7n
g/mLに到達した。
【0227】
図27Bに関して、このグラフは、0~2時間の間の、経口アルプラゾラム崩壊錠(ODT)(円
形データポイントで示した)と、アルプラゾラム医薬組成物フィルムの2群(四角及び三角
のデータポイントで示した)の舌下投与後の経時的なアルプラゾラム血漿濃度の平均デー
タを示す。ODTとは異なり、アルプラゾラム医薬組成物フィルムの治療ウインドウは、10
~15分で始まるのに対し、ODTはおよそ17~20分で始まった。
【0228】
図27Cに関して、このグラフは、ODT(n=4)、0.5mgアルプラゾラム医薬組成物フィルム1
4-1-1(n=5)、及び0.5mgアルプラゾラム医薬組成物フィルム15-1-1(n=5)に関する、
図27
Bで言及されている完全データを図示している。
【0229】
先に言及したグラフからのデータはまた、以下の表においてもまとめている。
【0230】
【0231】
本明細書に列挙した全ての参考文献は、それらの全体が本明細書に参照により組み込ま
れている。他の実施態様は、以下の請求項の範囲内である。