(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023134581
(43)【公開日】2023-09-27
(54)【発明の名称】電力システムアーキテクチャとこれを用いたフォールトトレラントVTOL航空機
(51)【国際特許分類】
B64D 27/24 20060101AFI20230920BHJP
B64C 27/28 20060101ALI20230920BHJP
B64C 27/26 20060101ALI20230920BHJP
【FI】
B64D27/24
B64C27/28
B64C27/26
【審査請求】有
【請求項の数】22
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023111506
(22)【出願日】2023-07-06
(62)【分割の表示】P 2020566669の分割
【原出願日】2019-05-31
(31)【優先権主張番号】62/678,275
(32)【優先日】2018-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】520437526
【氏名又は名称】ジョビー エアロ,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】JOBY AERO,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】弁理士法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】ビヴァート,ジョーベン
(72)【発明者】
【氏名】ストール,アレックス
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン デア ゲースト,マーチン
(72)【発明者】
【氏名】マカフィー,スコット
(72)【発明者】
【氏名】ライアン,ジェイソン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】航空機での使用に適合した電気モータ用のための信頼性を高めた電力システムアーキテクチャを備えた電力システムを提供する。
【解決手段】航空機での使用に適合した電気モータの高信頼性バッテリアーキテクチャを備えた電源システムである。個々のバッテリを使用して、例えば、6以上のモータを備えたシステムのサブセットの2つ以上のモータに電力を供給することができる。各モータは、バッテリの2以上のサブセットから電力を供給され、モータの故障に対応することができる。垂直離着陸モードでモータが故障した場合、適切な姿勢制御を継続し十分な推力を提供するために、動力が他のモータに転用される。モータが故障した場合、故障したモータからオフセットした第2のモータをパワーダウンさせ、姿勢制御を実現することができる。
【選択図】
図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動式の垂直離着陸航空機において、
複数の推進アセンブリであって、それぞれが1つの電気モータを具える推進アセンブリと、
複数のバッテリであって、それぞれが2つ以上の前記電気モータに連結されている複数のバッテリとを具え、
前記電気モータはそれぞれ複数のモータ巻線回路を具え、1つのモータの前記巻線回路のそれぞれが異なるバッテリに連結されていることを特徴とする航空機。
【請求項2】
複数のインバータをさらに具え、前記バッテリのそれぞれが、1つのインバータを介して前記電気モータのそれぞれに連結されている、請求項1に記載の航空機。
【請求項3】
モータ故障時に所望の航空機の姿勢を維持するために、前記バッテリによって前記電気モータに供給される電力を自律的に調整するように適合されたフライト制御システムをさらに具える、請求項1に記載の航空機。
【請求項4】
モータ故障時に所望の航空機の姿勢を維持するために、前記バッテリによって前記電気モータに供給される電力を自律的に調整するように適合されたフライト制御システムをさらに具える、請求項2に記載の航空機。
【請求項5】
バッテリ故障時に所望の航空機の姿勢を維持するために、前記バッテリによって前記電気モータに供給される電力を自律的に調整するように適合されたフライト制御システムをさらに具える、請求項1に記載の航空機。
【請求項6】
バッテリ故障時に所望の航空機の姿勢を維持するために、前記バッテリによって前記電気モータに供給される電力を自律的に調整するように適合されたフライト制御システムをさらに具える、請求項2に記載の航空機。
【請求項7】
前記電気モータのそれぞれが複数のモータ巻線回路を具え、1つのモータの前記複数のモータ巻線回路のうちの前記巻線回路のそれぞれが異なるバッテリに連結されている、請求項1に記載の航空機。
【請求項8】
前記電気モータのそれぞれが複数のモータ巻線回路を具え、1つのモータの前記複数のモータ巻線回路のうちの前記巻線回路のそれぞれが異なるバッテリに連結されている、請求項2に記載の航空機。
【請求項9】
前記電気モータのそれぞれが複数のモータ巻線回路を具え、1つのモータの前記複数のモータ巻線回路のうちの前記巻線回路のそれぞれが異なるバッテリに連結されている、請求項4に記載の航空機。
【請求項10】
前記電気モータのそれぞれが複数のモータ巻線回路を具え、1つのモータの前記複数のモータ巻線回路のうちの前記巻線回路のそれぞれが異なるバッテリに連結されている、請求項6に記載の航空機。
【請求項11】
前記複数のバッテリのそれぞれが、前記航空機の縦軸の左側にある1つまたは複数のモータに連結され、前記複数のバッテリのそれぞれが、前記航空機の縦軸の右側にある1つまたは複数のモータに連結されている、請求項1に記載の航空機。
【請求項12】
前記複数のバッテリのそれぞれが、前記航空機の縦軸の左側にある1つまたは複数のモータに連結され、前記複数のバッテリのそれぞれが、前記航空機の縦軸の右側にある1つまたは複数のモータに連結されている、請求項2に記載の航空機。
【請求項13】
前記複数のバッテリのそれぞれが、前記航空機の縦軸の左側にある1つまたは複数のモータに連結され、前記複数のバッテリのそれぞれが、前記航空機の縦軸の右側にある1つまたは複数のモータに連結されている、請求項7に記載の航空機。。
【請求項14】
前記複数のバッテリのそれぞれが、前記航空機の縦軸の左側にある1つまたは複数のモータに連結され、前記複数のバッテリのそれぞれが、前記航空機の縦軸の右側にある1つまたは複数のモータに連結されている、請求項8に記載の航空機。。
【請求項15】
垂直離着陸航空機の動力および推進システムにおける第1のモータのモータ故障に対応するための方法であって、前記航空機が、
それぞれが1つの電機モータを具える複数の推進アセンブリと、
それぞれが2つ以上の前記電気モータに連結されている複数のバッテリとを具え、
前記電気モータのそれぞれは複数のモータ巻線回路を具え、1つのモータの前記巻線回路のそれぞれは異なるバッテリに結合されており、
前記方法が、
第2のモータの電源を切るステップであって、前記第2のモータは、前記第1のモータに対して前記航空機の縦方向の中心線の反対側にある、ステップと、
必要な推力を維持するために、残りのモータの一部または前部に供給される電力を増大するステップと、を含むことを特徴とする方法。
【請求項16】
前記複数のバッテリのそれぞれが、前記航空機の縦軸の左側にある1つまたは複数のモータに連結され、前記複数のバッテリのそれぞれが、前記航空機の縦軸の右側にある1つまたは複数のモータに連結されている、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]関連出願への相互参照
[0002]本出願は、2018年5月31日にBevirtらに出願された米国仮特許出願番号62/678,275の優先権を主張するものであり、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0004]本発明は、電動飛行、すなわち、航空機に使用される電気モータ用の動力システムに関する。
【図面の簡単な説明】
【0003】
【
図1-1】[0006]
図1A~1Bは、本発明のいくつかの実施形態によるホバー構成のVTOL航空機を示す。
【
図1-2】[0006]
図1C~1Dは、本発明のいくつかの実施形態によるホバー構成のVTOL航空機を示す。
【
図1-3】[0007]
図1E~1Fは、本発明のいくつかの実施形態による前進飛行構成のVTOL航空機を示す。
【
図1-4】[0007]
図1G~1Hは、本発明のいくつかの実施形態による前進飛行構成のVTOL航空機を示す。
【
図1-5】[0008]
図1I~1Kは、本発明のいくつかの実施形態による、前進飛行構成から垂直離着陸構成に移行するVTOL航空機を示す。
【
図2A】[0009]
図2Aは、本発明のいくつかの実施形態による、リングアーキテクチャを有する飛行システムのレイアウトである。
【
図2B】[0010]
図2Bは、本発明のいくつかの実施形態による、リングアーキテクチャのモータ位置を特定するレイアウトである。
【
図2C】[0011]
図2Cは、本発明のいくつかの実施形態による、バッテリ位置のレイアウトである。
【
図3】[0012]
図3は、本発明のいくつかの実施形態による、モータ出力チャートである。
【
図4】[0013]
図4は、本発明のいくつかの実施形態による、故障シナリオのレイアウトである。
【
図5】[0014]
図5は、本発明のいくつかの実施形態による、故障補償レイアウトである。
【
図6】[0015]
図6は、本発明のいくつかの実施形態による、故障補償レイアウトである。
【
図7】[0016]
図7は、本発明のいくつかの実施形態による、電力アーキテクチャのレイアウトである。
【
図8】[0017]
図8は、本発明のいくつかの実施形態による、バッテリ放電チャートである。
【
図9】[0018]
図9は、本発明のいくつかの実施形態による、飛行制御システムアーキテクチャのレイアウトである。
【
図10】[0019]
図10は、本発明のいくつかの実施形態による、飛行制御ソフトウェアアーキテクチャを示す。
【
図11A】[0020]
図11Aは、本発明のいくつかの実施形態による、ダブレットアーキテクチャを備えた飛行電力システムのレイアウトである。
【
図11B】[0021]
図11Bは、本発明のいくつかの実施形態による、ダブレットアーキテクチャを備えた飛行電力システムのレイアウトである。
【
図11C】[0022]
図11Cは、本発明のいくつかの実施形態による、モータ故障を伴うダブレットアーキテクチャを備えた飛行電力システムのレイアウトである。
【
図11D】[0023]
図11Dは、本発明のいくつかの実施形態による、バッテリ故障を伴うダブレットアーキテクチャを備えた飛行電力システムのレイアウトである。
【
図12】[0024]
図12は、本発明のいくつかの実施形態による、ヘキサグラムアーキテクチャを備えた飛行電力システムのレイアウトである。
【
図13】[0025]
図13は、本発明のいくつかの実施形態による、スターアーキテクチャを備えた飛行電力システムのレイアウトである。
【
図14】[0026]
図14は、本発明のいくつかの実施形態による、メッシュアーキテクチャを備えた飛行電力システムのレイアウトである。
【
図15A】[0027]
図15A~Cは、本発明のいくつかの実施形態による、バッテリ故障動作に関する情報を示す。
【
図15B】[0027]
図15A~Cは、本発明のいくつかの実施形態による、バッテリ故障動作に関する情報を示す。
【
図15C】[0027]
図15A~Cは、本発明のいくつかの実施形態による、バッテリ故障動作に関する情報を示す。
【発明を実施するための形態】
【0004】
[0028]概要
[0029]航空機での使用に適合した電気モータ用のための信頼性を高めた電力システムアーキテクチャを備えた電力システムである。個々のバッテリは、例えば6つ以上のモータを有するシステムで2つ以上のモータのサブセットに電力を供給するために利用することができる。各モータは、2つ以上のバッテリサブセットから電力を供給できるため、モータの故障に対応可能である。各モータには2セット以上の巻線があり、各巻線は異なるバッテリで駆動される。前進飛行または垂直離着陸モードにおいて巻線の故障、バッテリの故障、またはモータの故障が生じると、電力経路が自動的に変更されて、適切な姿勢制御を継続し、十分な推力を提供し得る。モータの故障時に、故障したモータからオフセットされた第2のモータの電源を切り、姿勢制御を容易にすることができる。
【0005】
[0030]詳細な説明
[0031]いくつかの態様において、航空機は、離陸時に推力を提供するために、電気モータによって動力供給されるブレードプロペラを利用することがある。このプロペラ/モータユニットは、推進アセンブリと呼ばれることがある。いくつかの態様において、航空機の翼は、プロペラが離着陸のための垂直推力を提供するように、前縁を上向きにして回転することがある。いくつかの態様において、翼のモータ駆動プロペラユニットは、それ自体が固定翼に対して回動し、それによってプロペラは、離着陸のための垂直推力を提供することができる。モータ駆動プロペラユニットの回動により、プロペラと電気モータの両方を回転させることによって推力の方向転換が可能となり、したがって、回転ジョイントの周りまたは回転ジョイントを介したトルク駆動のジンバルまたは他の方法を必要としない。
【0006】
[0032]いくつかの態様において、本発明の実施形態による航空機は、垂直構成に展開されたロータアセンブリからの垂直推力で地面から離陸する。航空機が高度を上げ始めると、前方への加速を開始するために、ロータアセンブリが前方に傾斜し始める。航空機が前進速度を上げると、翼上の気流によって揚力が発生し、ロータの重要性が低下し、垂直推力を使用して高度を維持することが不要になる。航空機が十分な前進速度に達すると、離陸時に垂直推力を提供するために用いられたブレードの一部または全部を、ナセルに沿って収納することができる。いくつかの態様において、垂直離陸および着陸に使用されるすべての推進アセンブリは、前進飛行中にも使用される。推進アセンブリを支持するナセルは窪みを有し、ブレードが窪み内に入れ子になって、切り離されたロータアセンブリの抗力を大幅に低減することができる。
【0007】
[0033]離陸後に航空機は、プロペラを垂直方向の推力方向から、水平方向の推力成分を含む位置まで関節運動させることによって、前進飛行への移行を開始する。航空機が速度を上げて前進し始めると、翼によって揚力が発生するため、ロータからの垂直方向の推力が少なくて済む。プロペラが前方飛行、水平推力、構成へとさらに関節運動するに伴い、航空機はより高速になる。
【0008】
[0034]
図1A~1Dの垂直離陸構成に見られるように、本発明のいくつかの実施形態による第1の垂直構成では、航空機200は固定翼202、203を使用し、これらは垂直離着陸と前進飛行の両方に適合した同じか異なるタイプの推進アセンブリを具える前方掃引翼であり得る。この構成では、推進アセンブリは垂直推進方向に配置される。機体201は、左翼202および右翼203を支持する。翼に沿ったモータ駆動ロータアセンブリ206が、ナセル本体に存在し得る展開機構を使用して前進飛行構成から垂直構成に関節運動するように適合された電動モータおよびプロペラを具え、ナセルを全部または殆ど翼に取り付けられた場所のままでモータおよびプロペラを展開する。いくつかの態様において、プロペラブレードは、ナセル本体に収納して入れ子にすることができる。翼端にあるモータ駆動ロータアセンブリ207は、ピボット軸に沿って前進飛行構成から垂直離着陸構成に展開することができ、ここでナセルと電気モータおよびプロペラは一斉に展開する。翼ごとに1つのミッドスパン推進アセンブリおよび1つの翼端推進アセンブリを示すが、いくつかの態様では、複数のミッドスパン推進アセンブリが存在してもよい。
【0009】
[0035]後方に延びる航空機本体201は、立ち上がる後部スタビライザ204にも取り付けられている。後部スタビライザには、後部推進アセンブリ205が取り付けられている。後部スタビライザの先端にあるモータ駆動ロータアセンブリ207は、ピボット軸に沿って前進飛行構成から垂直離着陸構成に展開することができ、ここでナセルと電気モータおよびプロペラは一斉に展開する。
【0010】
[0036]
図1Dの平面図に見られるように、推進アセンブリは、航空機の重心から異なる距離に、2つの軸に配置されている。垂直離着陸時の姿勢制御は、各位置の推進アセンブリで推力を変化させることによって操作することができる。垂直離着陸時のモータの故障、特に翼の船外推進アセンブリでのモータの故障の状況では、航空機の姿勢は、本書に記載のフォールトトレランス戦略を実施することによって維持することができる。
【0011】
[0037]航空機200は、2つの乗員席が並んでいるとともに、機体201の下に着陸装置が並んでいるのが見える。2つの乗員席が図示されているが、本発明の異なる実施形態では、他の数の乗員を収容することができる。
【0012】
[0038]
図1E~1Hは、前進飛行構成の航空機200を示している。この構成では、推進アセンブリは、水平飛行中に前方推力を提供するように配置される。
図1Hに示すように、モータとプロペラの重心は、前進飛行構成において翼の前縁の前方にあり得る。
図1Gに見られるように、後部スタビライザ204の推進アセンブリ205は、翼の推進アセンブリ206、207とは異なる高さにあり得る。前進飛行中のモータ故障の状況では、航空機の姿勢は、本明細書に記載のフォールトトレランス戦略を実施することによって維持することができる。
【0013】
[0039]いくつかの態様において、翼に取り付けられた推進アセンブリの全部または一部が前進飛行構成で使用されるように適合され、一方で他の翼に取り付けられたプロペラは、通常の前進飛行中に完全に収納されるように適合され得る。航空機200は、右翼203に2つの推進アセンブリを有し、左翼202に2つの推進アセンブリを有し得る。各翼の内側推進アセンブリは、垂直離着陸のために展開位置へと上向きにされ、前進飛行への移行時に収納位置の方へ戻され、次いで前進飛行中にそれらのブレードが収納され、入れ子にされるように適合された翼搭載ロータ206を有し得る。船外推進アセンブリ207が、水平推力構成から垂直推力構成へと一斉に旋回することができる。
【0014】
[0040]同様に、各後部スタビライザ204は、自身に搭載された推進アセンブリを有し、これらは両方とも、垂直離着陸モードおよび移行モード中に使用されるように適合されている。いくつかの態様では、すべての推進アセンブリの設計は同じであり、1つのサブセットが前進飛行のためにメインブレードとともに使用される。いくつかの態様では、すべての推進アセンブリの設計は同じであり、すべてのプロペラが前進飛行に使用される。いくつかの態様では、後部スタビライザ204には異なる数の推進アセンブリユニットが取り付けられ得る。
【0015】
[0041]翼に搭載された推進アセンブリ206、207を駆動するモータ、および後部スタビライザに搭載された推進アセンブリを駆動するモータは、それぞれ2組の巻線を有し得る。いくつかの態様では、両方の巻線セットは飛行中に電力供給される。いくつかの態様では、モータの各巻線は異なるバッテリ回路によって電力供給される。いくつかの態様では、各モータは3組以上の巻線を有し得る。
【0016】
[0042]いくつかの実施形態では、航空機の電気モータは、充電式バッテリによって動力供給される。1つまたは複数の電力バスを駆動する複数のバッテリを使用すると、1つのバッテリに障害が発生した場合の信頼性が向上する。いくつかの実施形態では、バッテリは、パイロットの体重に応じて機体バランスを調整できるように、位置調整可能にラックの本体内に存在する。
図10は、本発明のいくつかの実施形態による6個のバッテリシステムのバッテリ位置レイアウトを示す。
【0017】
[0043]いくつかの実施形態では、
図2Aに示すように、電動垂直離着陸航空機用の高信頼性電力システム10は、リングアーキテクチャ内に6つのモータおよび6つのバッテリを有する。この例示的な構成では、6つのモータおよび6つのバッテリが存在する。各バッテリは2つのモータに電力供給し、各モータは2つのバッテリから電力を受け取る。
図2Bは、6つの推進アセンブリと6つのバッテリを使用する例示的な実施形態における、VTOL航空機の6モータのレイアウトを示す。
図2Cは、6つの推進アセンブリと6つのバッテリを使用する例示的な実施形態における、VTOL航空機の6バッテリのレイアウトを示す。例示的なリング型実施形態では、6つのバッテリおよび6つのモータが存在する。各モータは2つの別個のバッテリで駆動される。バッテリの位置30が異なるため、電力システムアーキテクチャの信頼性とフォールトトレランスも強化される。各バッテリは2つの別個のモータに電力供給する。いくつかの態様では、各モータは2組の巻線で巻かれ、各組の巻線は異なるバッテリから電力を受ける。
図7に関して後述するように、6つのバッテリのそれぞれが2つの電力インバータ31に給電し、合計12の電力インバータを給電する。バッテリの公称電圧は600Vである。6つの推進モータのそれぞれに2組の巻線があり、各モータは2組の巻線に1つずつ、2つのインバータによって電力供給される。1つのモータに電力供給する2つのインバータは、それぞれ異なるバッテリから電力供給される。
【0018】
[0044]例示的な6モータ6バッテリの実施形態10において、第1のモータ11は、第6のバッテリ26および第1のバッテリ21に連結されている。第2のモータ12は、第1のバッテリ21および第2のバッテリ22に連結されている。第3のモータ13は、第2のバッテリ22および第3のバッテリ23に連結されている。第4のモータ14は、第3のバッテリ23および第4のバッテリ24に連結されている。第5のモータ15は、第4のバッテリ24および第5のバッテリ25に連結されている。第6のモータ16は、第5のバッテリ25および第6のバッテリ26に連結されている。公称動作シナリオでは、各バッテリは、連結されている2つのモータ間で均等に配電を分割し、各モータは、連結されている各バッテリから等しい量の電力を受け取る。
【0019】
[0045]本発明の実施形態による電力システムアーキテクチャのフォールトトレラントの態様は、少なくともバッテリの故障、モータの故障、またはモータインバータの故障に耐え、それに対応するように適合されている。
【0020】
[0046]
図3は、6モータの実施形態における単一のモータ40に必要な電力の棒グラフ(各動作モードについての棒ペアを含む)である。青い縦棒(各モードの棒ペアの左側)は、5つの異なる飛行フェーズ(ホバー41、垂直上昇42、垂直下降43、巡航上昇44、および巡航45)のモータごとの公称(通常)動作電力を示している。ホバー、垂直上昇、および垂直下降モードはVTOLモードであり、
図1A~1Dに示すように、モータが垂直推力位置へと回転する。
図1E~1Hに示すように、巡航上昇フェーズと巡航フェーズでは、モータが前進飛行位置にある。後述するように、赤い縦棒(各モードについての棒ペアの右側)は、緊急フェーズ動作を表す。
【0021】
[0047]
図3に示すように、6モータ6バッテリのリングアーキテクチャシステムの例示的な実施形態は、公称状態で、VTOLモードでモータあたり約60kW駆動する。この60kWは、約150kWの最大利用可能電力と比較される。ただし、モータに障害が発生した場合は、以下でさらに説明するように、姿勢と高度の制御を維持するために、より多くの電力が残りのモータに振り向けられることがある。
【0022】
[0048]
図4は、第1のモータが故障する潜在的な故障モード60を示している。モータレイアウト表現に見られるように、第1のモータ11の喪失は、遠位ポートモータでの推力の喪失を表し、これは航空機の姿勢に重大な影響を与えるものである。フライトコンピューターは、少なくとも2つのことを即座に感知し得る。第1は、そのモータが電流の引き込みを停止したことである。第2に、航空機の姿勢に混乱が生じることである。航空機のバランスを維持するために、フライト制御コンピュータは必要に応じて反対側のモータへの電力を低減させる。この例では、
図5に示すように、第4のモータ14への電力が低減される。2つのモータのシャットダウンによる揚力の損失は、残りの4つのモータにより多くの電力をかけより多くの揚力を提供することを必要とする。
図6は、第2、第3、第5、および第6のモータで増加した負荷需要が、バッテリからより多くの電力を分配することによってどのように満たされるかを示す。
図3に戻ると、赤い縦棒は、モータの故障と、反対側のモータのモータのシャットダウンに必要な電力供給を示す。いくつかの態様において、第4のモータのパワーダウンと、第2、第3、第5、および第6のモータへのパワー増加が同時に起こり得る。いくつかの態様において、第4のモータのパワーダウンと第2、第3、第5、および第6のモータへのパワー増加は、連続して行われる。
【0023】
[0049]
図6に示すように、第1のモータ11が故障し、航空機のバランスをとるために第4のモータ14の電源を切ると、第1のバッテリ21は第2のモータ12にのみ電力供給するようになる。同様に、第3のバッテリは第3のモータにのみ電力供給し、第4のバッテリは第5のモータにのみ電力供給し、第6のバッテリは第6のモータにのみ電力供給する。第2のバッテリは第2と第3のモータの両方に電力供給し、第5のバッテリは第5と第6のモータに電力供給する。第4のモータが電力0%で動作しているように示されているが、いくつかの態様ではこのクロスモータは、例えば公称電力の0~20%の範囲の低レベルで動作していてもよい。第1と第6のバッテリは単一のモータにのみ電力供給し、第3と第5のバッテリは主に単一のモータに電力を供給するだけなので、これらのバッテリは第2、第3、第5、第6のモータのそれぞれの巻線に多くの電流61を供給する。第2と第5のバッテリは、隣接するモータ間で均等に分割される。
図6に示す障害シナリオでは、各バッテリが同じ量の電力を出力し得るが、2つのバッテリは電力供給を分割し、4つのモータが1つのモータにのみ電力を供給する(または実質的に供給している)。この緊急モードでのモータの増加した負荷需要は、航空機に搭載されている利用可能なエネルギーを利用するために、バッテリアーキテクチャを通じて共有される。姿勢制御の懸念に対応するために、1つのモータが無効になり、第2のモータの電源がオフにされた、各バッテリは引き続き使用され、電力を供給している。
【0024】
[0050]いくつかの実施形態では、垂直離着陸機は、マルチバッテリシステムの電源リンク障害または完全なモータ障害に耐えるように適合された自律姿勢制御システムを具え、負荷分散によってバッテリの放電レベルをより適切に等しくする。いくつかの態様において、各モータは、複数の相補的な巻線セットで駆動され、各巻線セットは、異なる負荷リンクを使用し、異なるバッテリによって駆動される。
図7は、6モータ6バッテリ航空機の電気システム電力アーキテクチャの例示的な実施形態である。6つのバッテリ201はそれぞれ2つの電力インバータに電力供給し、合計12の電力インバータ202に電力供給する。バッテリの公称電圧は600Vである。6つの推進モータ203はそれぞれ2セットの巻線を有し、各モータが巻線の各セットから1つずつ、2つのインバータによって動力を供給される。1つのモータに電力を供給する2つのインバータは、それぞれ異なるバッテリから電力供給される。バッテリは、モータインバータに電力供給することに加えて、さまざまな飛行モード(垂直離着陸構成、前進飛行構成、およびその間の移行)中にロータを展開および格納するのに使用されるロータ展開機構204(ナセル傾斜アクチュエータ)にも電力を供給する。
【0025】
[0051]フライトコンピュータ205は、6つのモータの12の巻線セットへ電力供給している12個のインバータ202の各々からの電流を監視する。このフライトコンピュータ205はまた、6つのモータの12セットの巻線のそれぞれに供給されるモータ電流を制御することができる。いくつかの実施形態では、バッテリ201はまた、可変ピッチプロペラ206のブレードピッチモータおよび位置エンコーダに電力を供給する。バッテリはまた、飛行機の様々な操縦翼面を配置するために使用される操縦翼面アクチュエータ207に電力を供給する。ブレードピッチモータおよび操縦翼面アクチュエータ207は、DC-DCコンバータ208を介して流れる電力を受け取り、これが例えば電圧を600Vから160Vに降圧する。一連のアビオニクス209が、フライトコンピュータに連結されてもよい。バッテリ充電器210を、バッテリ201を再充電するために使用することができ、このバッテリ充電器は、航空機の外部および地上ベースであってもよい。
【0026】
[0052]モータの故障、またはモータへの電力リンクの故障などの故障の場合、上記のように、様々なバッテリから様々なモータへの配電に対する補償が、自律的に、航空機内で行われ得る。これらの補償は、例えば、パイロットからの入力を必要とせずに行うことができる。
【0027】
[0053]別の故障シナリオでは、モータの単一の巻線が故障する可能性がある。そのようなシナリオでは、反対側のモータがいくらかパワーダウンされ、一方で巻線が1本残っているモータがいくらかパワーアップされる場合がある。バッテリから供給される電力は、さまざまなバッテリの放電を均等にするために緩和され得る。さらに別の障害シナリオでは、1つのバッテリが故障する可能性がある。その場合、クロスモータは10~20%低減され、故障したバッテリ/インバータとともにモータに残った唯一のバッテリが大きな電力を供給し、リングに沿った差動電力がバッテリの放電を分散するために用いられる。リングアーキテクチャでバッテリが完全に故障した場合、それぞれ1つの巻線セットを持つ2つのモータに電力が供給されなくなり、隣接する各モータの残りの巻線セットは、その巻線セットのバッテリからより多くの電力を取ることになる。ここでは、バッテリの放電率を最適に等しくするために、リング周りの電力が差動的に調整される。クロスモータは、適切な放電率を維持するために部分的にパワーダウンされる。
【0028】
[0054]
図8は、4つの飛行モードと、各飛行モードにおけるバッテリ放電率の棒グラフ235を示す。棒グラフの縦軸はバッテリ放電率Cである。バッテリ放電率は正規化された係数であり、放電率1Cは1時間でバッテリを放電する。2Cは30分でバッテリを放電し、放電率3Cは20分でバッテリを放電し、他も同様である。この例示的な実施形態では最大ピーク放電率236は約5Cであり、バッテリの化学的性質の制限によって設定され得る。名目上の飛行モードは、ホバー232、移行233、およびクルーズ234である。クルーズ放電率240は、約1Cであり得る。航空機が着陸に近づくと、航空機は移行モード233に変化し、その移行放電率239は約2Cであり得る。その後、着陸時に航空機はホバーモード232に入り、その放電率は約2.5Cであり得る。モータが故障した場合、航空機は緊急ホバーモード231に入り、クロスモータをパワーダウンさせて姿勢を安定させることができる。このホバーモード放電率237は、3Cを超え得る。
【0029】
[0055]例示的な実施形態では、最大離陸総重量(MGTOW)は4200ポンドであり得る。放電率は地面効果(OGE)から外れており、すべてのバッテリの総エネルギー貯蔵量は150kWhである。緊急ホバーモード231での緊急着陸の場合、緊急ホバー放電率237で高放電率を使用する場合の予想時間は約1分である。
【0030】
[0056]
図9は、本発明のいくつかの実施形態による、高信頼性電動航空機のための飛行制御システムアーキテクチャを示す。例示的な実施形態では、制御システムのフライトコンピュータ111は、ミッションコンピュータ112およびパイロット113から飛行コマンド114を受信する。フライトコンピュータはまた、一連のフライトクリティカルセンサ110からの入力を受信し得る。フライトクリティカルセンサは、三重に冗長であり得る。フライトコンピュータは三重に冗長であり得る。システムは、各アクチュエータ115にボーティングブリッジ116を具え得る。
図10は、本発明のいくつかの実施形態による飛行制御ソフトウェアアーキテクチャを示す。
【0031】
[0057]本発明のいくつかの実施形態では、他のバッテリおよびモータアーキテクチャを用いて、システムのフォールトトレランスをさらに強化することができる。いくつかの態様において、
図11Aに示すように、左翼先端推進アセンブリ121、左翼推進アセンブリ122、右翼推進アセンブリ123、右翼先端推進アセンブリ124、左後部推進アセンブリ125、および右後部推進アセンブリ126の6つの推進アセンブリの電気モータに4つのバッテリを使用するダブレットアーキテクチャ120が用いられる。このダブレットアーキテクチャでは、各バッテリが航空機の縦方向中心線の両側にある1つまたは複数のモータに電力を供給する。最も遠い船外機に電力供給するバッテリを航空機の中心線の反対側にあるモータにリンクさせることにより、バッテリ故障があると航空機全体にその影響を広げ、バッテリ故障による姿勢オフセットの量が低減される。例えば、第1のモータ121でモータ故障が生じると、当該故障を補償するために、第4のモータへの電力が瞬時に減少され得る。しかしながら、残りのモータを用いるダブレットアーキテクチャにおける電力共有の補償体制により、上記開示したリングアーキテクチャと比較して、インバータ最適化システムでのインバータ負荷を低くすることができる。また、残りのモータを用いるダブレットアーキテクチャでの電力共有の補償体制により、リングアーキテクチャと比較して、バッテリ最適化システムでのバッテリ負荷を低くすることができる。
【0032】
[0058]
図11Bは、ダブレットアーキテクチャ120の公称動作条件を示し、ここで4つのバッテリ111、112、113、114はそれぞれ3つの異なるモータのうちの1つの巻線に35KWを供給し、バッテリごとに合計105kWを供給し、モータごとに合計70kWを受け取り、合計420kWを供給する。各モータは3つのバッテリから電力を受け取る。
【0033】
[0059]
図11Cはモータの故障状態を示し、この例は左翼先端推進アセンブリのモータ121である。図示のように、右翼先端のモータ124は、左翼先端モータの損失を相殺するために、電力供給されておらず、もはや電力を消費していない。現在、各バッテリは以前の3つではなく2つのモータに電力を供給しており、各モータは以前の3つではなく2つのバッテリから電力を受け取っている。各バッテリは同じ電力出力レベルで動作することができ、各モータ巻線とそれに関連するインバータも同じ電力レベルで動作することができる。
【0034】
[0060]
図11Dは1つのバッテリの故障状態を示し、この例は第1のバッテリ111である。この状況では、残りの各バッテリは同じ出力レベルを提供するが、航空機の縦方向の中心線の両側で生成される推力のバランスをとるために、異なるモータが異なる出力レベルで動作する。
【0035】
[0061]
図12は、本発明のいくつかの実施形態による、6バッテリ6モータのヘキサグラムアーキテクチャ200を示す。
図12に示すヘキサグラムアーキテクチャでは、リングアーキテクチャと同様に、6つのバッテリそれぞれが2つのモータに電力供給する。各モータは2つのバッテリで駆動される。ただし、第1のバッテリは第1と第3のモータに電力供給し、第2のバッテリは第2と第5のモータに電力供給する。このヘキサグラムアーキテクチャは、第1、第3、および第6モータと、第2、第4、および第5モータを含む2つの別個のリングを作成する。最も遠い船外機に電力供給するバッテリを航空機の中心線の反対側にあるモータに繋げることにより、バッテリ故障があると航空機全体にその影響を広げ、バッテリ故障による姿勢オフセットの量を低減する。例えば、第1のモータでモータ障害が発生した場合でも、障害を補償するために第4のモータへの電力が瞬時に低減され得る。ただし、残りのモータを使用するヘキサゴナルアーキテクチャでの電力共有の補償体制により、リングアーキテクチャと比較して、インバータ最適化システムでのインバータ負荷を低減することができる。また、残りのモータを使用するヘキサゴナルアーキテクチャでの電力共有の補償体制により、リングアーキテクチャと比較して、バッテリ最適化システムでのバッテリ負荷を低減することができる。
図16は、ここで説明するさまざまなモータ・バッテリアーキテクチャにおけるバッテリ障害時のインバータ最適化、バッテリ最適化、およびモータ最適化ソリューションの、インバータ、バッテリ、およびモータの最大負荷を示す。
図16では、他のアーキテクチャのような呼び名とは異なり、ヘキサグラムアーキテクチャは記号で示されている。
【0036】
[0062]
図13および14は、本発明のいくつかの実施形態による6モータ4バッテリシステムを示す。
図13は、4つのバッテリを使用して6つのモータに電力を供給するスターアーキテクチャを示す。各バッテリは3つのモータに連結されている。
図14は、バッテリ4つとモータ6つを具えるメッシュアーキテクチャを示す。
【0037】
[0063]
図16A、16B、および16Cはそれぞれ、モータ故障時に本書で説明するさまざまなモータ・バッテリアーキテクチャ用のインバータ最適化、バッテリ最適化、およびモータ最適化ソリューションにおけるインバータ、バッテリ、およびモータの最大負荷を示す。ヘキサグラムアーキテクチャは、他のアーキテクチャのような呼び名とは対照的に、記号で示されている。図示のように、すべての最適化(インバータ最適化、バッテリ最適化、およびモータ最適化)に関して検討すると、ヘキサグラムアーキテクチャが最良のソリューションを提供する。
【0038】
[0064]上記の説明から明らかなように、本明細書に記載の説明から多種多様な実施形態を構成することができ、当業者には追加の利点および修正が容易に生じるであろう。したがって、そのより広い態様における本発明は、図示され説明されている特定の詳細および例示的な例に限定されない。本明細書に記載の実施形態は、物理的構造、ならびに使用方法を含み得る。したがって、これらの詳細からの逸脱を、出願人の発明全体の意図または範囲から逸脱することなく行うことができる。
【手続補正書】
【提出日】2023-07-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
垂直離着陸航空機の動力および推進システムにおけるモータのモータ故障に対応するための方法であって、前記航空機が、
左翼内側の推進アセンブリおよび左翼外側の推進アセンブリであって、それぞれが1つの電気モータを具える左翼内側推進アセンブリおよび左翼外側推進アセンブリと、
右翼内側の推進アセンブリおよび右翼外側の推進アセンブリであって、それぞれが1つの電気モータを具える右翼内側推進アセンブリおよび右翼外側推進アセンブリと、
それぞれが2つ以上の前記電気モータに連結されている複数のバッテリとを具え、
前記方法が、
すべての前記推進アセンブリを、垂直推力生成モードで動作させるステップと、
1つの特定の推進アセンブリの故障を検出するステップと、
対応する推進アセンブリを公称電力の20%のまでの範囲で動作させるステップであって、当該対応する推進アセンブリが、前記特定の推進アセンブリに対して前記航空機の縦方向の中心線の反対側に対称に配置されているものであるステップと、
必要な推力を維持するために、残りの推進アセンブリの一部または全部に供給される電力を増大するステップと、を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、前記特定の推進アセンブリが、前記航空機の縦方向の中心線に対して当該特定の推進アセンブリと同じ側に配置されている第1のバッテリに接続されているとともに、前記航空機の縦方向の中心線に対して当該特定の推進アセンブリと反対側に配置されている第2のバッテリと接続されており、
前記方法が、さらに、
前記第1のバッテリおよび前記第2のバッテリからの電力を、前記特定の推進アセンブリから残りの推進アセンブリの一部または全部に向けるステップ、を含むことを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法において、前記対応する推進アセンブリが、前記航空機の縦方向の中心線に対して前記特定の推進アセンブリと同じ側に配置されている第1のバッテリに接続されているとともに、前記航空機の縦方向の中心線に対して前記特定の推進アセンブリと同じ側に配置されている第2のバッテリに接続されており、
前記方法が、さらに、
前記第1のバッテリおよび前記第2のバッテリからの電力を、前記対応する推進アセンブリから残りの推進アセンブリの一部または全部へと向けるステップ、を含むことを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法が、さらに、
それぞれのバッテリがほぼ同じ量の電力を供給するように、前記複数のバッテリからの電力供給のバランスをとるステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法において、前記複数のバッテリのうちの第2のグループにある各バッテリが単一の推進アセンブリに電力を供給しているときに、前記複数のバッテリのうちの第1のグループにある各バッテリが、電力を2つの推進アセンブリの間で分配することを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法において、前記電気モータのそれぞれが複数のモータ巻線回路を有し、各電気モータにおける各モータ巻線回路が異なるバッテリに接続されており、前記1つの特定の推進アセンブリの故障を検出するステップが、前記特定の推進アセンブリの前記電気モータにおける1つのモータ巻線回路の故障を検出するステップを含み、
前記方法が、さらに、
前記特定の推進アセンブリの前記モータ巻線回路における他のモータ巻線回路へ供給される電力を増加させるステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法において、前記電気モータのそれぞれが2つのモータ巻線回路を有し、各バッテリが異なる2つの推進アセンブリの電気モータの巻線回路に接続されていることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法において、前記左翼内側の推進アセンブリおよび前記右翼内側の推進アセンブリの電気モータにおけるモータ巻線回路が、異なるバッテリに接続されており、
前記左翼外側の推進アセンブリおよび前記右翼外側の推進アセンブリの電気モータにおけるモータ巻線回路が、異なるバッテリに接続されていることを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項6に記載の方法において、各電気モータにおける前記モータ巻線回路のそれぞれが、個別のインバータに接続されていることを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法において、前記1つの特定の推進アセンブリの故障を検出するステップが、
前記特定の推進アセンブリの前記電気モータが電流の引込を停止したことを検出するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項1に記載の方法において、前記1つの特定の推進アセンブリの故障を検出するステップが、
前記航空機の姿勢の混乱を検出するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項12】
電動式の垂直離着陸航空機において、
左翼内側の推進アセンブリおよび左翼外側の推進アセンブリであって、それぞれが1つの電気モータを具える左翼内側推進アセンブリおよび左翼外側推進アセンブリと、
右翼内側の推進アセンブリおよび右翼外側の推進アセンブリであって、それぞれが1つの電気モータを具える右翼内側推進アセンブリおよび右翼外側推進アセンブリと、
それぞれが2つ以上の前記電気モータに連結されている複数のバッテリと、
モータ故障時に所望の航空機の姿勢を維持するために、前記バッテリによって前記電気モータに供給される電力を自律的に調整するように適合されたフライト制御システムと、を具え、
前記フライト制御システムが、
垂直飛行時における1つの特定の推進アセンブリの故障を検出したときに、
対応する推進アセンブリを公称電力の20%のまでの範囲で動作させるように構成され、当該対応する推進アセンブリが、前記特定の推進アセンブリに対して前記航空機の縦方向の中心線の反対側に対称に配置されているものであり、
必要な推力を維持するために、残りの推進アセンブリの一部または全部に供給される電力を増大するように構成されている、ことを特徴とする航空機。
【請求項13】
請求項12に記載の航空機において、
前記特定の推進アセンブリが、前記航空機の縦方向の中心線に対して当該特定の推進アセンブリと同じ側に配置されている第1のバッテリに接続されているとともに、前記航空機の縦方向の中心線に対して当該特定の推進アセンブリと反対側に配置されている第2のバッテリと接続されており、
前記フライト制御システムが、
垂直飛行時における1つの特定の推進アセンブリの故障を検出したときに、さらに、
前記第1のバッテリおよび前記第2のバッテリからの電力を、前記特定の推進アセンブリから残りの推進アセンブリの一部または全部に向けるように構成されていることを特徴とする航空機。
【請求項14】
請求項12に記載の航空機において、
前記対応する推進アセンブリが、前記航空機の縦方向の中心線に対して前記特定の推進アセンブリと同じ側に配置されている第1のバッテリに接続されているとともに、前記航空機の縦方向の中心線に対して前記特定の推進アセンブリと同じ側に配置されている第2のバッテリに接続されており、
前記フライト制御システムが、
垂直飛行時における1つの特定の推進アセンブリの故障を検出したときに、さらに、
前記第1のバッテリおよび前記第2のバッテリからの電力を、前記対応する推進アセンブリから残りの推進アセンブリの一部または全部へと向けるように構成されていることを特徴とする航空機。
【請求項15】
請求項12に記載の航空機において、
前記フライト制御システムが、
垂直飛行時における1つの特定の推進アセンブリの故障を検出したときに、さらに、
それぞれのバッテリがほぼ同じ量の電力を供給するように、前記複数のバッテリからの電力供給のバランスをとるように構成されていることを特徴とする航空機。
【請求項16】
請求項15に記載の航空機において、
前記複数のバッテリのうちの第2のグループにある各バッテリが単一の推進アセンブリに電力を供給しているときに、前記複数のバッテリのうちの第1のグループにある各バッテリが、電力を2つの推進アセンブリの間で分配するように構成されていることを特徴とする航空機。
【請求項17】
請求項12に記載の航空機において、
前記電気モータのそれぞれが複数のモータ巻線回路を有し、各電気モータにおける各モータ巻線回路が異なるバッテリに接続されており、
前記フライト制御システムが、
前記1つの特定の推進アセンブリの故障を検出する際に、前記特定の推進アセンブリの前記電気モータにおける1つのモータ巻線回路の故障を検出するように構成され、
1つのモータ巻線回路の故障を検出したときに、
前記特定の推進アセンブリの前記モータ巻線回路における他のモータ巻線回路へ供給される電力を増加させるように構成されていることを特徴とする航空機。
【請求項18】
請求項17に記載の航空機において、
前記電気モータのそれぞれが2つのモータ巻線回路を有し、各バッテリが異なる2つの推進アセンブリの電気モータの巻線回路に接続されていることを特徴とする航空機。
【請求項19】
請求項18に記載の航空機において、
前記左翼内側の推進アセンブリおよび前記右翼内側の推進アセンブリの電気モータにおけるモータ巻線回路が、異なるバッテリに接続されており、
前記左翼外側の推進アセンブリおよび前記右翼外側の推進アセンブリの電気モータにおけるモータ巻線回路が、異なるバッテリに接続されていることを特徴とする航空機。
【請求項20】
請求項17に記載の航空機において、
各電気モータにおける前記モータ巻線回路のそれぞれが、個別のインバータに接続されていることを特徴とする航空機。
【請求項21】
請求項12に記載の航空機において、
前記フライト制御システムが、
前記1つの特定の推進アセンブリの故障を検出する際に、前記特定の推進アセンブリの前記電気モータが電流の引込を停止したことを検出するように構成されていることを特徴とする航空機。
【請求項22】
請求項12に記載の航空機において、
前記フライト制御システムが、
前記1つの特定の推進アセンブリの故障を検出する際に、前記航空機の姿勢の混乱を検出するように構成されていることを特徴とする航空機。
【外国語明細書】