(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023013459
(43)【公開日】2023-01-26
(54)【発明の名称】型締装置および射出成形機
(51)【国際特許分類】
B29C 45/17 20060101AFI20230119BHJP
B29C 33/22 20060101ALI20230119BHJP
B29C 45/64 20060101ALI20230119BHJP
B29C 33/44 20060101ALI20230119BHJP
B29C 45/40 20060101ALI20230119BHJP
B29C 45/16 20060101ALI20230119BHJP
【FI】
B29C45/17
B29C33/22
B29C45/64
B29C33/44
B29C45/40
B29C45/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021117659
(22)【出願日】2021-07-16
(71)【出願人】
【識別番号】000004215
【氏名又は名称】株式会社日本製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】100097696
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 嘉昭
(74)【代理人】
【識別番号】100147072
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 裕通
(72)【発明者】
【氏名】三谷 聡麻
【テーマコード(参考)】
4F202
4F206
【Fターム(参考)】
4F202CA11
4F202CA30
4F202CB22
4F202CB28
4F202CL01
4F202CM01
4F202CM02
4F206JA07
4F206JB22
4F206JB28
4F206JM06
4F206JN41
4F206JQ82
4F206JT04
4F206JT06
(57)【要約】
【課題】回転盤を備え、エジェクタロッドを任意の箇所から突き出すことができる型締装置を提案する。
【解決手段】可動盤(7)において回転盤(4)は固定盤(5)側の面に設けられ、突出装置(10)はその反対側の面に設けられている。回転盤(4)と可動盤(7)の間に軸受構造体(36)を設ける。軸受構造体(36)は、回転盤(4)の回転中心から半径方向に離間した位置において軸受するようにする。そして、この軸受構造体(36)より半径内側にエジェクタロッド(37)を設けるようにする。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定盤と、
該固定盤に対して近づき離れるように移動する可動盤と、
前記固定盤と前記可動盤のいずれか一方の型盤に設けられて金型が取り付けられるようになっている回転盤と、
前記一方の型盤に設けられて前記金型から成形品を突き出すようになっている突出装置と、を備え、
前記回転盤は前記一方の型盤の、他方の型盤側の面において前記一方の型盤と対向して配置され、軸受構造体を介して回転可能に設けられており、
前記突出装置は前記一方の型盤の、前記他方の型盤と反対側の面に設けられており、
前記軸受構造体は、前記回転盤を回転中心から半径方向に離間した位置において軸受するようになっており、
前記突出装置は前記軸受構造体より半径内側において突き出すエジェクタロッドを備えている、型締装置。
【請求項2】
前記一方の型盤の前記他方の型盤側の面には円柱状の突出部が固定的に設置され、前記回転盤の前記一方の型盤に対向する面には前記突出部を収納する円形状の凹部が形成され、前記軸受構造体は、前記突出部の円周部分と前記凹部の円周部分とにおいて前記一方の型盤と前記回転盤とを接続している、請求項1に記載の型締装置。
【請求項3】
前記突出装置は、前記一方の型盤の前記他方の型盤と反対側の面において、前記軸受構造体より半径内側に設けられている、請求項1または2に記載の型締装置。
【請求項4】
前記突出装置は、全てのエジェクタロッドが前記軸受構造体より半径内側において突き出すようになっている、請求項3に記載の型締装置。
【請求項5】
前記軸受構造体は、内側リングと該内側リングに対して相対的に回転自在な外側リングと前記内側リングと前記外側リングの間に設けられている複数のローラとを備えたクロスローラリングである、請求項1~4のいずれかの項に記載の型締装置。
【請求項6】
前記回転盤と前記一方の型盤のいずれか一方には、他方に対向する面に摩擦低減用板状部材が設けられている、請求項1~5のいずれかの項に記載の型締装置。
【請求項7】
前記一方の型盤は前記可動盤であり、前記他方の型盤は前記固定盤である、請求項1~6のいずれかの項に記載の型締装置。
【請求項8】
金型を型締めする型締装置と、
射出材料を射出する射出装置と、を備えた射出成形機であって、
前記型締装置は、固定盤と、
該固定盤に対して近づき離れるように移動する可動盤と、
前記固定盤と前記可動盤のいずれか一方の型盤に設けられて金型が取り付けられるようになっている回転盤と、
前記一方の型盤に設けられて前記金型から成形品を突き出すようになっている突出装置と、を備え、
前記回転盤は前記一方の型盤の、他方の型盤側の面において前記一方の型盤と対向して配置され、軸受構造体を介して回転可能に設けられており、
前記突出装置は前記一方の型盤の、前記他方の型盤と反対側の面に設けられており、
前記軸受構造体は、前記回転盤を回転中心から半径方向に離間した位置において軸受するようになっており、
前記突出装置は前記軸受構造体より半径内側において突き出すエジェクタロッドを備えている、射出成形機。
【請求項9】
前記一方の型盤の前記他方の型盤側の面には円柱状の突出部が固定的に設置され、前記回転盤の前記一方の型盤に対向する面には前記突出部を収納する円形状の凹部が形成され、前記軸受構造体は、前記突出部の円周部分と前記凹部の円周部分とにおいて前記一方の型盤と前記回転盤とを接続している、請求項8に記載の射出成形機。
【請求項10】
前記突出装置は、前記一方の型盤の前記他方の型盤と反対側の面において、前記軸受構造体より半径内側に設けられている、請求項8または9に記載の射出成形機。
【請求項11】
前記突出装置は、全てのエジェクタロッドが前記軸受構造体より半径内側において突き出すようになっている、請求項10に記載の射出成形機。
【請求項12】
前記軸受構造体は、内側リングと該内側リングに対して相対的に回転自在な外側リングと前記内側リングと前記外側リングの間に設けられている複数のローラとを備えたクロスローラリングである、請求項8~11のいずれかの項に記載の射出成形機。
【請求項13】
前記回転盤と前記一方の型盤のいずれか一方には、他方に対向する面に摩擦低減用板状部材が設けられている、請求項8~12のいずれかの項に記載の射出成形機。
【請求項14】
前記一方の型盤は前記可動盤であり、前記他方の型盤は前記固定盤である、請求項8~13のいずれかの項に記載の射出成形機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金型を回転する回転盤と成形品を突き出す突出装置とを備えた型締装置、および射出成形機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
射出成形機に設けられている型締装置は、固定盤と、この固定盤に対して開閉する可動盤とを備えている。回転盤を備えた射出成形機は、例えば特許文献1に記載されているように、可動盤の一方の面に回転盤が設けられ、複数個の金型つまり回転側金型が取り付けるようになっている。型締めするとこれら複数個の回転側金型のいずれかが固定盤に取り付けられている固定側金型と型締めされる。回転盤の回転位置を変えて型締めすると他の回転側金型が固定側金型と型締めされるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【0004】
回転盤は回転軸を備え、この回転軸が可動盤の中心に空けられている貫通孔に挿入されている。回転盤は前記したように可動盤の一方の面に設けられているが、回転盤を駆動する駆動機構は可動盤の他方の面に設けられている。駆動機構は回転軸を回転して回転盤を回転するようになっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
型締装置は突出装置を備え、成形された成形品を突き出すようになっている。突出装置は可動盤に設けられ、可動盤を貫通しているロッド孔から1本または複数本のエジェクタロッドを突出すようになっている。可動盤に回転盤が設けられている場合、可動盤の中央には回転盤の回転軸が設けられているので、エジェクタロッドを可動盤の中央近傍から、つまり回転盤の中央近傍から突き出すことができない。つまりエジェクタロッドの突出し位置に制約がある、という問題がある。
【0006】
本開示において、回転盤を備え、エジェクタロッドを任意の箇所から突き出すことができる型締装置を提案する。
【0007】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
回転盤と突出装置を、固定盤と可動盤のいずれか一方の型盤に設ける。回転盤はこの一方の型盤の、他方の型盤側の面に設け、突出装置はその反対側の面に設ける。回転盤とこの一方の型盤の間に軸受構造体を設ける。軸受構造体は、回転盤の回転中心から半径方向に離間した位置において軸受するようにする。そして、この軸受構造体より半径内側にエジェクタロッドを設けるようにする。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、エジェクタロッドの突出し位置に制約がなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施の形態に係る射出成形機の側面図である。
【
図2】本実施の形態に係る回転盤と型締装置の一部とを示す正面図である。
【
図3】本実施の形態に係る可動盤と回転盤と突出装置とを示す側面断面図である。
【
図4】本実施の形態に係る回転盤に設けられているクロスローラベアリングを一部断面で示す斜視図である。
【
図5】従来の可動盤と回転盤と突出装置とを示す側面断面図である。
【
図6】第2の実施の形態に係る可動盤と回転盤と突出装置とを示す側面断面図である。
【
図7】第3の実施の形態に係る可動盤と回転盤と突出装置とを示す側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。ただし、以下の実施の形態に限定される訳ではない。説明を明確にするため、以下の記載及び図面は、適宜簡略化されている。各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。また、図面が煩雑にならないように、ハッチングが省略されている部分がある。
【0012】
本実施の形態を説明する。
<射出成形機>
本実施の形態に係る射出成形機1は、
図1に示されているように、金型を型締めする型締装置2と、射出材料を溶融して射出する射出装置3と、型締装置2に設けられている回転盤4と、成形品を突き出す突出装置10と、から概略構成されている。
【0013】
<型締装置>
型締装置2はベッドB上に固定されている固定盤5と、ベッドB上をスライドする型締ハウジング6と、ベッドB上を同様にスライドする可動盤7とを備えている。固定盤5と型締ハウジング6は複数本、例えば4本のタイバー9、9、…によって連結されている。可動盤7は、固定盤5と型締ハウジング6の間でスライド自在になっている。型締ハウジング6と可動盤7の間には型締機構11が設けられている。型締機構11は直圧式の型締機構、つまり型締シリンダから構成してもよいが、本実施の形態においてはトグル機構から構成されている。
【0014】
後で詳しく説明するが本実施の形態に係る回転盤4は可動盤7に設けられている。固定盤5には固定側金型13が取り付けられ、回転盤4には2個の回転側金型14、14が設けられている。
図1において、回転盤4に取り付けられている2個の回転側金型14、14は紙面の手前側と奥側とに設けられており、重なって示されている。2個の回転側金型14、14は、回転盤4の回転位置に応じていずれか1個が固定側金型13と整合するようになっている。型締機構11を駆動すると固定側金型13と、整合している1個の回転側金型14とが型開閉される。
【0015】
同様に後で詳しく説明するが、突出装置10も可動盤7に設けられている。具体的には、可動盤7の回転盤4が設けられている面ではなく、反対側の面に設けられている。突出装置10は回転側金型14、14において成形された成形品を突き出すようになっている。
【0016】
<射出装置>
射出装置3は、加熱シリンダ16と、この加熱シリンダ16に入れられているスクリュ17と、スクリュ17を駆動するスクリュ駆動装置18とから構成されている。加熱シリンダ16はその後端部近傍にホッパ20が、そして先端に射出ノズル22が設けられている。
【0017】
<回転盤>
回転盤4は前記したように可動盤7に設けられている。
図2には、回転盤4に垂直な方向から見た回転盤4と可動盤7とが示されている。回転盤4は、可動盤7に対して滑らかに回転するようになっている。可動盤7の上部には回転盤駆動機構25が設けられている。回転盤4には回転盤4よりわずかに大径のプーリ24が固着されている。
図1、2に示されているように、プーリ24と回転盤駆動機構25との間にベルト26が掛け回されている。回転盤駆動機構25を駆動するとプーリ24と回転盤4とが一体的に回転するようになっている。
【0018】
可動盤7には、
図3に示されているように、その中央部に円柱状に立ち上がった突出部28が形成されている。この突出部28が形成されているのは、可動盤7の固定盤5(
図1参照)側の面である。突出部28の上面に、摩擦低減用板状部材30が設けられている。摩擦低減用板状部材30は、本実施の形態においては、黒鉛を主体とした固形潤滑剤が合金中に均一に分散されて、焼結・形成されているウエアプレート30からなる。
【0019】
突出部28の径は回転盤4の径より小さいが、可動盤7において十分に大きく、突出部28は可動盤7の中央部を大きく占めている。またウエアプレート30の面積も大きくなっている。回転盤4は型締時には金型14からの型締力を受けてわずかに弾性変形し、ウエアプレート30に密着する。突出部28とウエアプレート30は十分に面積が大きいので型締力は可動盤7に適切に作用することになる。
【0020】
このような可動盤7に対して、回転盤4には
図3に示されているように、可動盤7に対向する側において円形状の凹部32が形成されている。可動盤7の突出部28はこの凹部32に収納されるようになっている。このような凹部32が形成されていることによって、回転盤4の円周部分にはフランジ部35が形成されている。
【0021】
回転盤4の凹部32の表面、つまりウエアプレート30と対向している面には、わずかに立ち上がった台部33が形成されている。この台部33とウエアプレート30は、回転盤4の回転時には接触しないように、これらの間にわずかな隙間が確保されている。しかしながら型締時には金型14からの型締力を受けて回転盤4がわずかに弾性変形して台部33とウエアプレート30とが密着する。つまり、上で型締時に回転盤4がウエアプレート30と密着すると説明したが、この台部33においてウエアプレート30と密着することになる。
【0022】
<軸受構造体>
本実施の形態に係る回転盤4は、可動盤7の円柱状の突出部28に対して、そのフランジ部35において軸受構造体36によって回転自在に支持されている。つまり、軸受構造体36は回転盤4の中央近傍ではなく、周辺部分に設けられている。換言すると、軸受構造体36は、回転盤4の回転中心から半径方向に離間した位置において、回転盤4を可動盤7に対して軸受している。したがって、後で説明するようにエジェクタロッド37、37、…の配置に制約がなくなっている。
【0023】
本実施の形態において軸受構造体36は、
図4に示されている、クロスローラリング36から構成されている。クロスローラリング36は、特殊な形状のベアリング部品であり、全体としてリング状になっている。クロスローラリング36は、外輪36aと、一対の内輪36b、36bと、これらの間に入れられている多数のローラ36c、36c、…とから構成されている。ローラ36c、36c、…は円柱状を呈し、外輪36aと一対の内輪36b、36bの間で転動する。したがって、クロスローラリング36は、外輪36aに対して一対の内輪36b、36bが相対的に滑らかに回転するようになっている。
【0024】
図3に示されているように、クロスローラリング36は可動盤7の突出部28に対して、その外周部に設けられている。そして押さえ部材38によって一対の内輪36b、36bが固定されている。一方、クロスローラリング36の外輪36aは、回転盤4の円周部分に設けられている。すなわち、回転盤4のフランジ部35には、大径のプーリ24が設けられており、このフランジ部35とプーリ24とによって、外輪36aが固定されている。したがって、回転盤4は可動盤7に対して滑らかに回転する。
【0025】
<突出装置>
突出装置10は、
図3に示されているように可動盤7の、回転盤4が設けられている面と反対側の面に設けられている。さらに具体的には、回転盤4は可動盤7の中央部に設けられている。回転盤4を駆動する回転盤駆動機構25(
図1、2参照)が突出装置10の配置において妨げにならないからである。
【0026】
突出装置10は、複数本のエジェクタロッド37、37、…を備えている。可動盤7にはエジェクタロッド穴31、31、…が空けられ、そして回転盤4にもエジェクタロッド穴34、34、…が空けられている。エジェクタロッド37、37、…はエジェクタロッド穴31、31、…に入れられている。回転盤4が適切な回転位置にあるとき、エジェクタロッド穴31、31、…とエジェクタロッド穴34、34、…が整合する。突出装置10からエジェクタロッド37、37、…を突き出すと、金型14から成形品を突き出すようになっている。
【0027】
本実施の形態において、これらのエジェクタロッド37、37、…は全て、符号41で示されているように、可動盤7において軸受構造体36より半径方向内側において突き出すようになっている。このように本実施の形態は、回転盤4を軸受している軸受構造体36が回転盤4の円周部分に設けられているので、エジェクタロッド37、37、…の配置において妨げにならず、配置に制約はない。さらに、これらのエジェクタロッド37、37、…のうち、1本のエジェクタロッド37は、
図3において符号40で示されているように回転盤4の回転中心に設けられている。
【0028】
<従来の回転盤>
従来の回転盤71を備えた可動盤72が
図5に示されている。従来の回転盤71はその中央に回転軸74が固着されている。可動盤72には中央に貫通孔75が空けられており、貫通孔75にベアリング77、77を介して回転軸74が入れられている。つまり、これらのベアリング77、77が回転盤71を回転可能に軸受けする軸受構造体になっている。
【0029】
可動盤72の裏面側には、その中央に駆動機構78が設けられ、回転軸74を介して回転盤71を回転するようになっている。回転盤71は、可動盤72の表面に設けられている押さえ部材81によって押さえられ型開時に抜けないようになっている。
【0030】
従来の回転盤71を備えた可動盤72では、このように回転盤71の駆動機構78が中央に配置されている。したがって、突出装置83は、可動盤72の裏面において駆動機構78を避けて配置する必要がある。このように突出装置83を中央に配置できないので、エジェクタロッド84の配置には制約がある。さらに、回転盤71の回転軸74は可動盤72の中央に設けられているので、回転盤71の回転中心から突き出すことはできない。なお、二点鎖線で示されているように、2台目の突出装置83‘を設けるようにすることはできる。そうすると、エジェクタロッド84、84’の配置の自由度は若干大きくなる。しかしながら、複数台の突出装置83、83‘を設けるとコストが大きくなる問題がある。
【0031】
本実施の形態に係る回転盤4(
図3参照)を備えた可動盤7においては、前記したようにエジェクタロッド37、37、…の配置に制約はなく、このような従来の問題を解決している。
【0032】
<第2の実施の形態>
本実施の形態は色々な変形が可能である。
図6には第2の実施の形態に係る可動盤7‘と回転盤4’と突出装置10とが示されている。前実施の形態に係る回転盤4、可動盤7と同様の部品・部材については同じ番号の符号を付して説明を省略する。
【0033】
この第2の実施の形態において、可動盤7’には、円柱状の突出部28‘の周りに段部42が形成されている。この段部42にはウエアプレート43、43が設けられている。一方、回転盤4’には、円形の凹部32の周囲にドーナツ状を呈するスライド部45が形成されている。このスライド部45が段部42のウエアプレート43、43に対して摺動するようになっている。つまり第2の実施の形態において回転盤4‘と可動盤7’とを接続している軸受構造体36‘は、段部42とウエアプレート43、43とスライド部45とからなる滑り軸受から構成されている。これらの軸受構造体36’も回転盤4‘において、その回転中心から半径方向に離間した円周部分に設けられている。したがって、エジェクタロッド37、37、…は、配置する位置に制約はなく、いずれも軸受構造体36’より半径内側において突き出すようになっている。
【0034】
この第2の実施の形態において、可動盤7‘に形成されている段部42には、鍔部47が形成されている。回転盤4’とプーリ24は、この鍔部47を挟み込んでいる。これによって型開時に回転盤4‘が可動盤7’から離間しないようになっている。
【0035】
<第3の実施の形態>
図7には第3の実施の形態に係る可動盤7‘’と回転盤4’‘と突出装置10’‘とが示されている。第1の実施の形態に係る回転盤4、可動盤7、突出装置10と同様の部品・部材については同じ番号の符号を付して説明を省略する。
【0036】
この第3の実施の形態において、回転盤4‘’は、従来の回転盤71(
図5参照)と同様に、回転軸51を備えている。ただし、この回転軸51は中空に形成されている点に特徴がある。可動盤7‘’には中央に貫通孔52が空けられており、回転盤4‘’の回転軸51が入れられている。回転軸51は貫通孔52に対してベアリング54、54を介して回転可能に軸受されている。つまりベアリング54、54は、回転盤4‘’を軸受する軸受構造体36‘’を構成している。後で説明するが、回転軸51の中空の孔はロッド孔55になっており、1本のエジェクタロッド37が突き出されるようになっている。そしてこのロッド孔55は回転盤4‘’の回転中心に設けられている。そうすると軸受構造体36‘’は回転中心から半径方向に離間した位置で軸受している、と言うことができる。
【0037】
この第3の実施の形態において、回転盤4‘’は、押さえ部材56によってその外周部分を押さえられている。そして可動盤7‘’の上にはウエアプレート57が設けられ、回転盤4‘’はこのウエアプレート57に対して滑らかに摺動するようになっている。この実施の形態において、回転軸51つまり回転盤4‘’は、サーボモータ58とプーリ59、59とタイミングベルト60とからなる、駆動機構62によって回転するようになっている。
【0038】
第3の実施の形態では、突出装置10‘’はこの駆動機構62を覆うように可動盤7‘’に設けられている。突出装置10‘’は、複数本のエジェクタロッド37、64、64を備えている。1本のエジェクタロッド37は、ロッド孔55を通って回転盤4‘’の回転中心から突き出すようになっている。つまり軸受構造体36‘’より半径内側から突き出すようになっている。他のエジェクタロッド64、64は、軸受構造体36‘’より半径方向の外側に配置されている。この第3の実施の形態においても、実質的にエジェクタロッド37、64、64の配置に制約はない、と言える。
【0039】
<他の変形例>
本実施の形態はさらに色々な変形が可能である。本実施の第1~3の形態では、回転盤4、4‘、…と突出装置10、10’‘は、いずれも可動盤7、7’、…に設けているように説明した。しかしながら、回転盤4、4‘、…と突出装置10、10’‘は、他の型盤に設けることもできる。具体的には、回転盤4、4‘、…と突出装置10、10’‘とを固定盤5に設けてもよい。つまり回転盤4、4’、…は固定盤5に対して回転するようにする。
【0040】
さらにウエアプレート30等の変形も可能である。本実施の形態に係る回転盤4(
図3参照)において、ウエアプレート30と台部33は回転時において接触せず、型締時に密着するように説明した。しかしながら、回転時において摺動するようになっていてもよい。また、ウエアプレート30は必須の部材ではなく、台部33が形成されていることも必須ではない。
【0041】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は既に述べた実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることはいうまでもない。以上で説明した複数の例は、適宜組み合わせて実施されることもできる。
【符号の説明】
【0042】
1 射出成形機 2 型締装置
3 射出装置 4 回転盤
5 固定盤 6 型締ハウジング
7 可動盤 9 タイバー
10 突出装置 11 型締機構
13 固定側金型 14 回転側金型
16 加熱シリンダ 17 スクリュ
18 スクリュ駆動装置 20 ホッパ
22 射出ノズル 24 プーリ
25 回転盤駆動機構 26 ベルト
28 突出部 30 ウエアプレート
31 エジェクタロッド穴 32 凹部
33 台部 34 エジェクタロッド穴
35 フランジ部 36 クロスローラリング
37 エジェクタロッド 38 押さえ部材
42 段部 43 ウエアプレート
45 スライド部 47 鍔部
51 回転軸 52 貫通孔
54 ベアリング 55 ロッド孔
56 押さえ部材 57 ウエアプレート
58 サーボモータ 59 プーリ
60 タイミングベルト 62 駆動機構
64 エジェクタロッド