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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023134597
(43)【公開日】2023-09-27
(54)【発明の名称】はんだ付け装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/34 20060101AFI20230920BHJP
   B23K 1/008 20060101ALI20230920BHJP
【FI】
H05K3/34 507K
H05K3/34 507J
B23K1/008 C
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023112922
(22)【出願日】2023-07-10
(62)【分割の表示】P 2022556444の分割
【原出願日】2021-08-25
(31)【優先権主張番号】P 2020177089
(32)【優先日】2020-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000199197
【氏名又は名称】千住金属工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100186613
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100211236
【弁理士】
【氏名又は名称】道下 浩治
(72)【発明者】
【氏名】檜山 勉
(57)【要約】      (修正有)
【課題】従来装置よりも、第1プレートの吸込口から気体が均一に吸い込まれるはんだ付け装置を提供する。
【解決手段】はんだ付け装置は、対象物に気体を供給するための送風ユニット300を備え、送風ユニット300は、送風ユニット300の外部の気体を吸い込むための複数の吸込口366が形成された第1プレート368と、複数の吸込口366と対向する板面を有する第2プレート342と、複数のノズル420と、複数の吸込口366から吸い込まれた気体を複数のノズル420に供給するためのファン302とを有し、気体が流れ、複数の吸込口366から延び、ヒータ308及びファン302を通過し、複数のノズル420に至る流路が形成され、板面が拡がる方向において、流路905の一部が、第2プレート342の少なくとも一部を囲んでいる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
はんだ付けを行うためのはんだ付け装置であって、
対象物に気体を供給するための送風ユニットを備え、
前記送風ユニットは、
前記送風ユニットの外部の前記気体を吸い込むための複数の吸込口が形成された第1プレートと、
前記複数の吸込口と対向する板面を有する第2プレートと、
複数のノズルと、
前記複数の吸込口から吸い込まれた前記気体を前記複数のノズルに供給するためのファンと、
を有し、
前記送風ユニットには、前記気体が流れる、前記複数の吸込口から延び、前記ファンを通過し、前記複数のノズルに至る流路が形成され、
前記板面が拡がる方向において、前記第2プレートの内部のある点を中心として90度間隔にある4つの位置に、前記流路の一部が少なくとも位置していて、
前記送風ユニットは、
前記気体を加熱するためのヒータと、
モータと、
前記モータから前記ファンへ回転を伝達するための回転軸と、
をさらに有し、
前記ヒータは、前記モータと前記ファンとの間に配置されている、
はんだ付け装置。
【請求項2】
請求項1に記載のはんだ付け装置において、
前記送風ユニットは、前記第1プレートを含む外部ケースを有し、
前記第2プレートの周端部と前記外部ケースとの間に形成される又は前記第2プレートに形成される開口を通るように、前記流路の一部が形成されている、
はんだ付け装置。
【請求項3】
請求項2に記載のはんだ付け装置において、
前記送風ユニットは、前記第2プレートと対向する壁を有する内部ケース本体をさらに有し、
前記内部ケース本体及び前記第2プレートは、前記内部ケース本体及び前記第2プレートによって囲まれる送風室を画定し、
前記外部ケース、前記内部ケース本体及び前記第2プレートは、前記外部ケース、前記内部ケース本体及び前記第2プレートによって囲まれる吸込室を画定し、
前記壁には、前記送風室と前記吸込室とを連通させるための吸気口が形成され、
前記複数のノズルは、前記送風室の前記気体が供給される供給口を有し、
前記吸込室内に、前記流路の一部である前記複数の吸込口から前記吸気口までの第1流路を形成し、
前記第2プレートと平行な断面において、前記第1流路が、前記送風室を囲むように位置している、
はんだ付け装置。
【請求項4】
請求項3に記載のはんだ付け装置において、
前記送風室内に、前記流路の一部である前記吸気口から前記複数のノズルまでの第2流路を形成している、
はんだ付け装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載のはんだ付け装置において、
前記複数のノズルは、前記送風ユニットの外部に前記気体を噴射するための吹出口を有し、
前記吹出口は、前記吸込口と隣接している、
はんだ付け装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載のはんだ付け装置において、
前記ファンは、前記モータが配置されている側から、軸方向に前記気体を吸気するように構成されている、
はんだ付け装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載のはんだ付け装置において、
前記ヒータは、前記気体を220度以上に加熱する、
はんだ付け装置。
【請求項8】
請求項3又は4に記載のはんだ付け装置において、
前記送風室は、前記ファンを収容し、
前記吸込室は、前記ヒータを収容している、
はんだ付け装置。
【請求項9】
請求項2又は請求項2に従属する請求項3から8のいずれか1項に記載のはんだ付け装置において、
前記対象物の搬送方向に並べられて配置されている互いに隣り合う2つの前記送風ユニットをさらに備え、
前記開口は、四角形の環状の断面形状を備え、前記搬送方向の前後に位置する2つの第1部分と、前記搬送方向の左右に位置する2つの第2部分と、を有し、
前記第1部分の前記搬送方向に延びる幅の長さは、いずれも、前記第2部分の前記搬送方向と直交する方向に延びる幅の長さよりも短い、
はんだ付け装置。
【請求項10】
請求項2又は請求項2に従属する請求項3から9のいずれか1項に記載のはんだ付け装置において、
前記複数の吸込口に含まれる前記開口から遠い吸込口の断面積が、前記開口に近い吸込口の断面積よりも大きい、
はんだ付け装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、はんだ付け装置に関する。
【背景技術】
【0002】
回路基板へ電子部品のはんだ付けをする場合には、リフロー装置や噴流はんだ付け装置等のはんだ付け装置が使用されている。例えば、特許文献1には、ヒーター部を備えるはんだ付け装置が開示されている。ヒーター部は、その図12に示されるように、吸込口が形成されたノズルカバーと、吹き出しノズルと、送風機とを有している。そして、ノズルカバーの吸込口から吸い込まれた気体が、吹き出しノズルから噴射されている。また、このヒーター部では、特許文献1の図10に示されるように、ノズルカバーの吸込口と対向する位置に、四角形の取り付プレートが配置されている。そして、取り付プレートの対向する2辺の近傍に、それぞれの辺に沿って延びる吸込口が形成され、この取り付プレートの吸込口がヒーター部の内部の気体の流路の一部を構成している。このため、ヒーター部の駆動時には、ノズルカバーの吸込口から吸い込まれた気体が、この取り付プレートの吸込口を通過する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5541353号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されているはんだ付け装置では、ノズルカバーの吸込口から吸い込まれた気体は、送風機に向かう過程で、取り付プレートの吸込口を通過する必要がある。そして、ノズルカバーの各吸込口から、取り付プレートの吸込口までの距離に差が生じている。このため、取り付プレートの吸込口に近いノズルカバーの吸込口から吸い込まれる気体の流量が、取り付プレートの吸込口から遠いノズルカバーの吸込口から吸い込まれる気体の流量よりも増加しやすい。その結果、このことに対し何ら対策をしない場合、複数の吸込口から吸い込まれる気体の流量は不均一となる虞がある。
【0005】
そこで、本開示は、従来装置よりも、ノズルカバーの吸込口(第1プレートの吸込口)から気体が均一に吸い込まれるはんだ付け装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係るはんだ付け装置は、はんだ付けを行うためのはんだ付け装置であって、対象物に気体を供給するための送風ユニットを備え、前記送風ユニットは、前記送風ユニットの外部の前記気体を吸い込むための複数の吸込口が形成された第1プレートと、前記複数の吸込口と対向する板面を有する第2プレートと、複数のノズルと、前記複数の吸込口から吸い込まれた前記気体を前記複数のノズルに供給するためのファンと、を有し、前記送風ユニットには、前記気体が流れる、前記複数の吸込口から延び、前記ファンを通過し、前記複数のノズルに至る流路が形成され、前記板面が拡がる方向において、前記流路の一部が、前記第2プレートの少なくとも一部を囲んでいる。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係るはんだ付け装置によれば、従来装置よりも、第1プレートの吸込口から気体が均一に吸い込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の第1実施形態に係るリフロー炉の構造図である。
図2図1で示した送風ユニットの構造図である。
図3図2のA-A矢視図である。
図4A図2のB-B断面図である。
図4B】本開示の別の実施形態に係る送風ユニットの取り付けプレートの部分を示す断面図である。
図5図2のC-C断面図である。
図6図2のE部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。以下で説明する図面において、同一又は相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0010】
[第1実施形態]
(全体構成)
図1は、本開示の第1実施形態に係るリフロー炉100の断面図である。図1を参照すると、リフロー炉100は、本体部101及び基板200を搬送するコンベア102を備える。リフロー炉100は、基板200に電子部品をリフロー方式ではんだ付けするための装置である。リフロー炉100では、ソルダーペーストを介して電子部品が載置された基板200が、入口110から出口112に搬送される間に、電子部品が基板200にはんだ付けされる。なお、リフロー炉100ははんだ付け装置の一例であり、基板200は対象物の一例である。以下、リフロー炉100について詳述する。
【0011】
本体部101は、入口110から近い順に、予備加熱ゾーンA、本加熱ゾーンB及び冷却ゾーンCの3つのゾーンに分けられている。予備加熱ゾーンAには、上下にそれぞれ5つずつの送風ユニット300aが配置されている。予備加熱ゾーンAにおける送風ユニット300aは、基板200に加熱された気体を供給し、一例として、150~180度に基板200を加熱する。これにより、基板200と電子部品は予熱される。すなわち、予備加熱ゾーンAは、基板200や基板200に実装された電子部品等をゆっくり加熱して熱に慣らすための領域である。なお、送風ユニット300aの詳細な構成は後述する。
【0012】
本加熱ゾーンBには、上下にそれぞれ3つずつの送風ユニット300bが配置される。本加熱ゾーンBにおける送風ユニット300bは、基板200に加熱された気体を供給し、一例として、220~260度に基板200を加熱する。これにより、送風ユニット300bは、ソルダーペーストに含まれるはんだを溶融させて、基板200と電子部品とのはんだ付けを行う。すなわち、本加熱ゾーンBは、ソルダーペースト中のはんだ粉末を溶融させてはんだ付けを行う領域である。
【0013】
冷却ゾーンCには、送風ユニット300cが上下に1つずつ配置される。送風ユニット300cは、既知の方法により、冷却された気体を基板200に向かって吹き出し、はんだ付けされた基板200を冷却する。すなわち、冷却ゾーンCは、はんだ付けされた基板200を冷却する領域である。
【0014】
なお、他の実施形態では、リフロー炉100は、上述の構成に限定されず、任意の公知の構成が採用され得る。例えば、本実施形態に係るリフロー炉100の内部は、一例として、窒素で満たされていて、送風ユニット300a,300b,300cは、それぞれ窒素を基板200に向かって噴射できる。しかしながら、他の実施形態では、リフロー炉100の内部は、当業者によって用いられる既知のあらゆる気体で満たされてもよく、送風ユニット300a,300b,300cは、当業者によって用いられるあらゆる気体を噴射してもよい。また、本実施形態に係るリフロー炉100は、一列のコンベア102を備えているが、他の実施形態では、リフロー炉100は、平行に配置された複数のコンベア102を備えてもよい。この場合、各コンベア102は、それぞれ独立して基板200を搬送してもよい。
【0015】
(送風ユニット)
次に、図2を参照して、送風ユニット300a、送風ユニット300b及び送風ユニット300cについて説明する。送風ユニット300a,300b,300cは、供給する気体の温度が異なるだけで、同じ構成を有する。このため、図2図6では、送風ユニット300a,300b,300cを、送風ユニット300と表して説明する。図2は、送風ユニット300の構造図である。また、図3図2のA-A矢視図である。図4A図2のB-B断面図である。図5図2のC-C断面図である。図6は、図2のE部の拡大図である。なお、図2から図5の矢印250は、リフロー炉100における基板200の搬送方向を示している。
【0016】
図2を参照すると、送風ユニット300は、一例として、内部ケース320、外部ケース360、複数のノズル420、ファン302、モータ304、回転軸306、複数のヒータ308及び2つのパンチングメタル310を備える。以下、送風ユニット300の各構成要素について説明する。
【0017】
外部ケース360は、外部ケース本体362及びノズルカバー364を備え、内部ケース320を収容している。そして、外部ケース本体362は、ノズルカバー364によって塞がれる開口を有する略直方体形状の箱体である。ノズルカバー364は、四角形の板状のプレート部(第1プレート)368(図3参照)及びプレート部368から直交して延びる縁部370を有する。縁部370は、外部ケース本体362にはめ込まれて接続されることが可能である。このため、外部ケース本体362及びノズルカバー364は、一体となって、略直方体形状を有する外部ケース360を構成する。そして、外部ケース本体362と後述する内部ケース本体340及び取り付けプレート342とは、外部ケース本体362、内部ケース本体340及び取り付けプレート342によって囲まれる吸込室374を画定している。吸込室374は、後述する複数の吸込口366から吸気口332までの第1流路903を形成する。なお、上述したように、本実施形態では、ノズルカバー364は、縁部370を有しているが、他の実施形態では、ノズルカバー364は、縁部370を有さなくてもよい。この場合には、外部ケース本体362の側壁363がプレート部368まで延びる。
【0018】
プレート部368には、一例として、長穴形状の複数の吸込口366が形成されている(図3参照)。このため、複数の吸込口366は、送風ユニット300の外部と、吸込室374とを連通させる。その結果、送風ユニット300の外部の気体は、複数の吸込口366を介して、吸込室374に吸い込まれることができる。なお、吸込口366の形状は、長穴形状に限られず、丸、多角形又はその他のあらゆる形状であってもよい。また、吸込口366は、プレート部368の任意の位置に形成されてもよい。
【0019】
内部ケース320は、一例として、内部ケース本体340、取り付けプレート342(第2プレート)及び固定プレート343を有する(図2参照)。内部ケース本体340は、取り付けプレート342によって塞がれる開口を有する角形の筒状体である。また、取り付けプレート342は、プレート部368の複数の吸込口366と対向する板面351を有する板状部材である。そして、内部ケース本体340及び取り付けプレート342は、内部ケース本体340及び取り付けプレート342によって囲まれる送風室325を画定している。送風室325は、吸気口332から複数のノズル420までの第2流路904を形成する。より詳細には、内部ケース本体340は、第1壁326、第2壁(壁)328、第1内壁330及び第2内壁331を備える。第1壁326、第2壁328、第1内壁330及び第2内壁331は、それぞれ板状の部材から構成されている。第1壁326は、ファン302の軸方向においてファン302と対向している。第2壁328は、第1壁326と向かい合っていて、第1壁326よりもモータ304側に位置する。そして、第1内壁330は、第1壁326と第2壁328との間を繋いでいる。第2内壁331は、第1壁326と取り付けプレート342との間を繋いでいる。さらに、第2壁328には、吸気口332が形成されていて、第1壁326には、2つの送風口334が形成されている(図2及び図5参照)。また、第1壁326、第2壁328及び第1内壁330によって囲まれた空間が、第1送風室322である。そして、第1壁326、取り付けプレート342及び第2内壁331によって囲まれた空間が、第2送風室324である。別言すると、第1壁326は、送風室325を、第1送風室322と第2送風室324とに分割している。
【0020】
また、第2送風室324には、2つのパンチングメタル310が収容されている。そして、2つのパンチングメタル310は、第1壁326と平行に拡がる。これにより、2つの送風口334から送風された気体は、パンチングメタル310で拡散され、ファン302の軸方向に垂直な平面における各位置で流量が均一になる。その結果、送風ユニット300は、パンチングメタル310を備えない場合よりも、後述する複数のノズル420のそれぞれの供給口422に均一な流量で気体を供給できる。
【0021】
図6に示すように、ノズル420は、送風室325の気体が供給される供給口422と、送風ユニット300の外部に気体を噴射するための吹出口424とを有する筒状体である。そして、ノズル420は、取り付けプレート342に取付けられている。より詳細には、ノズル420は、図6に示されるように本体部426と、本体部426よりも外径が大きい拡径部428とを有している。そして、取り付けプレート342には、ノズル420の取付け用の段差を有する複数の孔344が設けられている。孔344の1段目の開口346の径は拡径部428の外径と対応していて、孔344の2段目の開口348の径は本体部426の外径と対応している。これにより、ノズル420が、取り付けプレート342の1段目の開口346側から挿入されることで、取り付けプレート342を貫通した状態で取り付けプレート342に取付けられている。そして、固定プレート343が、複数のノズル420を、取り付けプレート342に対して押さえつけることによって、複数のノズル420は、取り付けプレート342に固定される。固定プレート343には、ノズル420の位置と対応する位置に孔345が設けられている。このため、送風室325の気体は、孔345を介して、ノズル420の供給口422に供給される。なお、ノズル420の取り付けプレート342に対する取り付け態様として、送風室325の気体が供給口422に供給され得る任意の構成が採用され得る。例えば、複数のノズル420が、孔344を貫通せずに、取り付けプレート342の孔344が設けられている位置に溶接されて、供給口422と孔344とが連通していてもよい。
【0022】
また、複数のノズル420は、外部ケース360のノズルカバー364の対応した位置に設けられている孔372を貫通して、吹出口424は、外部ケース360の外部と連通している(図6参照)。これにより、複数のノズル420の吹出口424は、送風ユニット300の外部に気体を噴射できる。なお、ノズル420のノズルカバー364の取り付け態様として、複数のノズル420の吹出口424が送風ユニット300の外部に気体を噴射できる任意の構成が採用され得る。例えば、複数のノズル420が、孔372を貫通せずに、ノズルカバー364の孔372が設けられている位置に溶接されて、吹出口424と孔372とが連通していてもよい。
【0023】
また、送風ユニット300では、複数のノズル420の吹出口424から吹き出された気体が、基板200(図1参照)と接触することにより、基板200が加熱される。このとき、基板200へ向かって吹き出された気体が基板200に跳ね返され、跳ね返された気体が、吹出口424から基板200へ向かって吹き出された直後の気体と干渉する場合がある。この場合、基板200に跳ね返された気体は、基板200に熱を奪われて温度が低下しているため、吹出口424から吹き出された気体の温度を低下させることや、吹出口424から吹き出す気体の吹出方向を乱してしまうことがあり好ましくない。
【0024】
しかしながら、送風ユニット300では、基板200に跳ね返された気体により、吹出口424から吹き出された直後の気体の温度が低下することや、吹出口424から吹き出す気体の吹出方向が乱れることを低減できる。なぜなら、送風ユニット300では、図3に示されるように、複数のノズル420の吹出口424が、吸込口366と隣接している。このため、基板200に跳ね返された気体は、直ちに吸込口366に吸い込まれる。その結果、跳ね返された気体が、吹出口424から吹き出された気体の温度を低下させることや、吹出口424から吹き出す気体の妨げとなることを低減できる。
【0025】
再び図2を参照する。ファン302は、一例として第1送風室322に収容されたターボファンである。ファン302は、回転を伝達するための回転軸306を介して、外部ケース360の外部に配置されているモータ304と接続されている。別言すると、回転軸306は、吸気口332を通過するようにファン302とモータ304との間を延びている。これにより、モータ304が駆動されると、ファン302は、回転し、遠心方向に気体を送風できる。そして、ファン302の回転によって引き起こされた風が、内部ケース本体340の第1内壁330に当たって、第1内壁330によって流れる向きが変えられ、第1壁326に形成された2つの送風口334から第2送風室324に送風される。そして、第2送風室324の送風された気体は、第2送風室324を通過して、複数のノズル420に供給される。つまり、ファン302が回転することで、複数の吸込口366から複数のノズル420に向かって気体が流れる。このため、ファン302は、複数の吸込口366から吸い込まれた気体を複数のノズル420に供給する機能を有している。
【0026】
また、ヒータ308は、一例として、吸込室374に収容されていて、気体を任意の温度に加熱する機能を有する。特に、送風ユニット300が、本加熱ゾーンBに配置された送風ユニット300bのようにはんだを溶融させるために使用される場合には、ヒータ308は、気体を220度以上に加熱する機能を有することが好ましい。ソルダーペーストに含まれる鉛フリーはんだの融点は、例えば、約217度である。このため、気体を220度以上に加熱する機能を有するヒータ308は、鉛フリーはんだを溶融させることができる温度まで気体を加熱できる。なお、他の実施形態では、ヒータ308は、送風室325の内部等の位置に配置されてもよい。しかしながら、後述するように、ヒータ308は、ヒータ308aのように、モータ304とファン302との間に配置されている方が好ましい。このため、送風ユニット300では、ヒータ308のうちの一部のヒータ308aは、モータ304とファン302との間に配置されている(図2参照)。また、送風ユニット300が送風ユニット300cのように基板200を冷却するために使用される場合には、送風ユニット300は、ヒータ308の代わりに、熱交換器のような気体を冷却するための既知の冷却ユニットを有していてもよい。
【0027】
また、送風ユニット300では、複数の吸込口366から延び、ヒータ308及びファン302を通過し、複数のノズル420に至る流路905が形成されている。なお、上述した第1流路903及び第2流路904は、流路905の一部である。ここで、図4Aを参照すると、板面351が拡がる方向において、流路905の一部が、取り付けプレート342の周端部347、すなわち取り付けプレート342の全体を隙間なく囲んでいる。別言すると、取り付けプレート342の周端部347と外部ケース360との間に形成される開口349を通るように、流路905の一部が形成されている。これにより、送風ユニット300は、複数の吸込口366から気体を均一に吸い込むことができる。その理由について、以下に説明する。
【0028】
送風ユニット300のような、複数の吸込口366が形成されたプレート部368と、複数の吸込口366と対向する板面351を有する取り付けプレート342とを有する送風ユニットでは、各吸込口366から吸い込まれる気体の流量は、各吸込口366から吸い込まれた気体が流れる流路の構成に影響され得る。このため、流路の構成によっては、気体が複数の吸込口366から均一に吸い込まれない虞がある。
【0029】
例えば、特許文献1に開示されているヒーター部のように、四角形の取り付けプレートの対向する2辺の近傍に、それぞれの辺に沿って延びる開口が形成され、開口が、複数の吸込口から吸い込まれた気体の流路となる場合、複数の吸込口から均一に吸い込まれない虞がある。なぜなら、気体は、取り付けプレートに形成された開口と対向し且つこの開口に近い吸込口から吸い込まれやすく、取り付けプレートに形成された2つの開口の中間部分と対向し且つそれぞれの開口から遠い吸込口から吸い込まれにくいからである。つまり、各吸込口から吸い込まれた気体が、各吸込口から開口へ到達するまでの移動距離について、開口から近い吸込口から吸い込まれた気体と開口から遠い吸込口から吸い込まれた気体とで移動距離に差が生じ、各吸込口から吸い込まれる気体の流量は不均一となりやすい。
【0030】
これに対し、送風ユニット300では、流路905の一部が、取り付けプレート342の周端部347、すなわち取り付けプレート342の全体を囲んでいる(図4A参照)。このため、上述した例よりも、開口349の総面積が広く、更に開口349の位置も増えているため、開口349から遠い吸込口366から吸い込まれる気体の総量が増え、各吸込口366から吸い込まれた気体が、各吸込口366から開口349へ到達するまでの移動距離の差が生じにくい。その結果、送風ユニット300は、複数の吸込口366から気体を均一に吸い込むことができる。
【0031】
図4Bは、本開示の別の実施形態に係る送風ユニット301の取り付けプレート342の部分を示す断面図である。図4Bでは、四角形の取り付けプレート342の4辺の近傍に、それぞれの辺に沿って延びる4つの四角形の開口349a,349b,349c,349dが形成され、これらの開口349a,349b,349c,349dを通るように流路905の一部が形成されている。別言すると、取り付けプレート342の板面351が拡がる方向において、流路905の一部が、取り付けプレート342の一部の領域350を囲んでいる。このような場合でも、上述した送風ユニット300と同様に、特許文献1に記載された例よりも、開口349a,349b,349c,349dの総面積が広く、更に開口349a,349b,349c,349dの位置も増えている。その結果、送風ユニット300と同様に、送風ユニット301は、複数の吸込口366から気体を均一に吸い込むことができる。すなわち、送風ユニット301が、特許文献1に記載された例よりも、複数の吸込口366から気体を均一に吸い込むためには、流路905の一部が、取り付けプレート342の少なくとも一部を囲めばよく、必ずしも周端部347を隙間なく囲む必要はない。なお、本明細書において、流路905の一部が、取り付けプレート342の少なくとも一部を囲むとは、取り付けプレート342の少なくとも一部の内部のある点の四方に流路905の一部が少なくとも位置していることを意味し、より詳細には、このある点を中心にとして90度間隔にある4つの位置に、流路905の一部が少なくとも位置していることを意味する。また、送風ユニット301では、一例として、複数のノズル420は、取り付けプレート342の領域350の範囲内に取付けられている。
【0032】
また、送風ユニット300では、上述したように、吸込口366は、任意の形状を有し、プレート部368の任意の位置に配置されてもよい(図3参照)。しかしながら、開口349から遠い吸込口366の断面積が、開口349に近い吸込口366の断面積よりも大きい方が好ましい。別言すると、吸込口366は、ノズルカバー364のプレート部368の中央に近づくにつれて、断面積が増加する方が好ましい。これにより、送風ユニット300では、開口349に近く且つより多くの気体が吸い込まれやすい吸込口366の圧力損失が、開口349から遠い吸込口366よりも増加する。その結果、送風ユニット300が複数の吸込口366から気体を吸い込む際に、複数の吸込口366はバランスよく気体を吸い込める。なお、本明細書では、吸込口366と開口349との間の距離とは、吸込口366と開口349との間の最も近い位置の距離のことをいう。
【0033】
また、図1に示されるように、リフロー炉100では、複数の送風ユニット300は、基板200の搬送方向250に並べられて配置されている。ここで、互いに隣り合う送風ユニット300のそれぞれのノズル420の距離が離れてしまうと、基板200に気体が、長時間、送風ユニット300から供給されない。特に、送風ユニット300が、加熱された気体を基板200に供給する場合、基板200の温度が低下し、好ましくない。これに対し、図4Aに示されるように、送風ユニット300では、一例として、開口349は、四角形の環状の断面形状を備え、搬送方向250の前後に位置する2つの第1部分352と、搬送方向250の左右に位置する2つの第2部分353と、を有する。別言すると、第1部分352は、開口349のうち、搬送方向250と直交する方向に延びる部分であり、第2部分353は、開口349のうち、搬送方向250に延びる部分である。また、第1部分352の搬送方向250に延びる幅L1の長さは、いずれも、第2部分353の搬送方向250と直交する方向に延びる幅L2の長さよりも短い。これにより、リフロー炉100では、開口349の全体の断面積が減少することなく、互いに隣り合う送風ユニット300のそれぞれのノズル420は、互いに長い距離を空けることなく配置され得る。その結果、リフロー炉100は、基板200に気体が供給されない時間を短縮でき、基板200の温度の低下を抑止できる。なお、別の実施形態では、第1部分352の搬送方向250に延びる幅L1の長さと、第2部分353の搬送方向250と直交する方向に延びる幅L2の長さとは、特に限定されていない。例えば、幅L1の長さは、幅L2の長さと等しくてもよく、又は幅L2の長さよりも長くてもよい。
【0034】
また、一般的に送風ユニットにおいて、内部の流路構成が複雑化し、流路が曲がりくねる場合や狭い断面積を有している場合には、流路を流れる気体の圧力損失が増加する。このため、送風ユニットの内部における流路の構成は重要であり、流路構成が複雑化しないように詳細設計が可能な送風ユニットが求められている。
【0035】
上述したように、送風ユニット300は、流路905の一部が、取り付けプレート342の周端部347を囲むことを特徴の一つとしている。このような特徴を備えている送風ユニットに、特許文献1に記載されているヒータ部の流路構成が適用される場合、流路構成が複雑化してしまい好ましくない。その理由を以下に説明する。
【0036】
特許文献1に係るヒータ部では、その図12に示されているように、送風機の直下に位置する熱交換室から送風室に気体が供給されている。また、送風室から、熱交換室の下部に位置する取り付けプレートに取付けられている吹き出しノズルに、気体が供給されている。このため、上記の特徴を備えている送風ユニットに、特許文献1に記載されているヒータ部の流路構成が適用されるためには、取り付けプレートの周端部の周りを流れた気体を送風機の直下に位置する熱交換室に導くための流路が形成される必要がある。このような流路が形成される場合、このような流路と、送風室から吹き出しノズルに気体を導くための流路とは、送風ユニットの内部の空間を互いに取り合い、流路構成が複雑化してしまい、圧力損失が増加してしまう。
【0037】
これに対し、本実施形態に係る送風ユニット300では、取り付けプレート342と平行な断面において、第1流路903が、送風室325を囲むように位置している(図2及び図5参照)。このため、取り付けプレート342の周端部347の周りを通過した気体は、送風室325を囲むように位置している第1流路903を通り、吸気口332まで流れることができる。このような構成では、送風室325を囲むように位置している第1流路903の部分は、直線状などの圧力損失の少ない形状に設計されることができる。つまり、送風ユニット300は、複数の吸込口366から吸気口332までの第1流路903が複雑化しないように詳細設計されることができ、第1流路903が複雑化することにより発生する第1流路903における圧力損失を低減できる。
【0038】
また、はんだ付けに用いられるソルダーペーストには、フラックスが含まれている。はんだ付け時には、フラックスは、加熱されて気化する。このため、リフロー炉100の内部の気体には、気化したフラックスが含まれている。そして、フラックスを含む気体が、送風ユニット300の内部を流れるときに、温度の低い部材と接触すると、フラックスが、冷やされて、粘着性のある固形物として温度の低い部材に固着する虞がある。
【0039】
送風ユニット300では、ファン302は、ヒータ308を収容している吸込室374の下流側に位置する、第1送風室322に収容されている(図2参照)。これにより、吸込室374に吸い込まれた気体が、第1流路903を通り、ヒータ308によって加熱された後に、第1送風室322に収容されているファン302に供給される。すなわち、ヒータ308により加熱された直後の気体が、ファン302と接触する。このため、ファン302と接触する気体は高温であり、送風ユニット300では、気体に含まれるフラックスがファン302に固着することが抑止される。また、送風ユニット300では、ヒータ308のうちの一部のヒータ308aは、モータ304とファン302との間に配置されている(図2参照)。このため、ヒータ308aは、回転軸306に近接でき、回転軸306の周辺の気体をより高温に加熱できる。その結果、フラックスを含む気体が、回転軸306に接触した場合でも、フラックスが、固着する温度まで冷却されず、回転軸306にフラックスが固着することが抑止される。
【0040】
また、ファン302は、モータ304が配置されている側から、軸方向に気体を吸気するように構成されている。これにより、ヒータ308aによって加熱された気体が、モータ304とファン302との間の回転軸306に近接している空間を流れる。このため、回転軸306が加熱された気体によって温められ、フラックスが回転軸306に固着することが抑止される。
【0041】
(動作)
次に、図2を参照しながら、リフロー炉100における送風ユニット300の動作について説明する。送風ユニット300の電源が入れられると、モータ304が駆動しファン302が回転を開始する。そして、ファン302の上流側が負圧となる。その結果、リフロー炉100の内部の気体であって外部ケース360の外部の気体が、吸込口366から外部ケース360の内部に吸込まれる(図1及び図2参照)。次いで、この吸込まれた気体が、外部ケース360の内部で、ヒータ308により加熱される。
【0042】
次いで、ヒータ308に加熱されたこの気体は、吸気口332を介して、内部ケース320の内部に吸気される。次いで、内部ケース320の内部に吸気された気体は、ファン302によって、遠心方向に送風される。その後、ファン302から送風された気体は、第1内壁330に当たって、2つの送風口334から第2送風室324に送風される。次いで、2つの送風口334を通過した気体は、2つのパンチングメタル310で分散されてノズル420の供給口422に供給される。そして、気体は、ノズル420の吹出口424から噴出される。このようにして、送風ユニット300は、基板200に対し熱風を供給できる。その結果、上述したリフロー炉100は、はんだ付けを行うことができる。
【0043】
[付記]
上記の実施の形態の一部または全部は、以下の付記のようにも記載され得るが、以下には限られない。
【0044】
(付記1)
付記1に係るはんだ付け装置は、はんだ付けを行うためのはんだ付け装置であって、対象物に気体を供給するための送風ユニットを備え、前記送風ユニットは、前記送風ユニットの外部の前記気体を吸い込むための複数の吸込口が形成された第1プレートと、前記複数の吸込口と対向する板面を有する第2プレートと、複数のノズルと、前記複数の吸込口から吸い込まれた前記気体を前記複数のノズルに供給するためのファンと、を有し、前記送風ユニットには、前記気体が流れる、前記複数の吸込口から延び、前記ファンを通過し、前記複数のノズルに至る流路が形成され、前記板面が拡がる方向において、前記流路の一部が、前記第2プレートの少なくとも一部を囲んでいる。
【0045】
例えば、四角形の第2プレートの対向する2辺の近傍に、それぞれの辺に沿って延びる開口が形成され、開口が、複数の吸込口から吸い込まれた気体の流路となる場合、複数の吸込口から均一に吸い込まれない虞がある。なぜなら、気体は、第2プレートに形成された開口と対向し且つこの開口に近い吸込口から吸い込まれやすく、第2プレートに形成された2つの開口の中間部分と対向し且つそれぞれの開口から遠い吸込口から吸い込まれにくいからである。つまり、各吸込口から吸い込まれた気体が、各吸込口から開口へ到達するまでの移動距離について、開口から近い吸込口から吸い込まれた気体と開口から遠い吸込口から吸い込まれた気体とで移動距離に差が生じ、各吸込口から吸い込まれる気体の流量は不均一となりやすい。これに対し、付記1に係るはんだ付け装置では、流路の一部が、第2プレートの少なくとも一部を囲んでいる。このため、上述した例よりも、開口の総面積が広く、更に開口の位置も増えているため、開口から近い吸込口から吸い込まれる気体の総量が増え、各吸込口から吸い込まれた気体が、各吸込口から開口へ到達するまでの移動距離の差が生じにくい。その結果、このはんだ付け装置は、複数の吸込口から気体を均一に吸い込むことができる。
【0046】
(付記2)
付記2に係るはんだ付け装置によれば、付記1に記載のはんだ付け装置において、前記送風ユニットは、前記第1プレートを含む外部ケースを有し、前記第2プレートの周端部と前記外部ケースとの間に形成される又は前記第2プレートに形成される開口を通るように、前記流路の一部が形成されている。
【0047】
付記2に係るはんだ付け装置によれば、気体は、第2プレートの周端部と外部ケースとの間又は第2プレートに形成される開口を流れることができる。
【0048】
(付記3)
付記3に係るはんだ付け装置によれば、付記2に記載のはんだ付け装置において、前記送風ユニットは、前記第2プレートと対向する壁を有する内部ケース本体をさらに有し、前記内部ケース本体及び前記第2プレートは、前記内部ケース本体及び前記第2プレートによって囲まれる送風室を画定し、前記外部ケース、前記内部ケース本体及び前記第2プレートは、前記外部ケース、前記内部ケース本体及び前記第2プレートによって囲まれる吸込室を画定し、前記壁には、前記送風室と前記吸込室とを連通させるための吸気口が形成され、前記複数のノズルは、前記送風室の前記気体が供給される供給口を有し、前記吸込室内に、前記流路の一部である前記複数の吸込口から前記吸気口までの第1流路を形成し、前記第2プレートと平行な断面において、前記第1流路が、前記送風室を囲むように位置している。
【0049】
付記3に係るはんだ付け装置では、第2プレートと平行な断面において、第1流路が、送風室を囲むように位置している。このため、第2プレートの周端部の周りを通過した気体は、送風室を囲むように位置している第1流路を通り、吸気口まで流れることができる。このような構成では、送風室を囲むように位置している第1流路の部分は、直線状などの圧力損失の少ない形状に設計されることができる。つまり、このはんだ付け装置は、複数の吸込口から吸気口までの第1流路が複雑化しないように詳細設計されることができ、第1流路が複雑化することにより発生する第1流路における圧力損失を低減できる。
【0050】
(付記4)
付記4に係るはんだ付け装置によれば、付記3に記載のはんだ付け装置において、前記送風室内に、前記流路の一部である前記吸気口から前記複数のノズルまでの第2流路を形成している。
【0051】
付記4に係るはんだ付け装置では、吸気口を通過した気体は、第1流路と異なる第2流路を通って、複数のノズルに供給される。
【0052】
(付記5)
付記5に係るはんだ付け装置によれば、付記1から4のいずれか1つに記載のはんだ付け装置において、前記複数のノズルは、前記送風ユニットの外部に前記気体を噴射するための吹出口を有し、前記吹出口は、前記吸込口と隣接している。
【0053】
複数のノズルの吹出口から吹き出された気体が、基板と接触することにより、基板は加熱される。このとき、基板へ吹き出された気体が基板に跳ね返され、跳ね返された気体が、吹出口から基板へ吹き出された直後の気体と干渉する場合がある。この場合、基板に跳ね返された気体は、基板に熱を奪われて温度が低下しているため、吹出口から吹き出された気体の温度を低下させることや、吹出口から吹き出す気体の吹出方向を乱してしまうことがある。これに対し、付記5に係るはんだ付け装置では、基板に跳ね返された気体により、吹出口から吹き出された直後の気体の温度が低下することや、吹出口から吹き出す気体の吹出方向が乱れることを低減できる。なぜなら、このはんだ付け装置では、複数のノズルの吹出口が、吸込口と隣接している。このため、基板に跳ね返された気体は、直ちに吸込口に吸い込まれる。その結果、跳ね返された気体が、吹出口から吹き出された気体の温度を低下させることや、吹出口から吹き出す気体の妨げとなることを低減できる。
【0054】
(付記6)
付記6に係るはんだ付け装置によれば、付記1から5のいずれか1つに記載のはんだ付け装置において、前記送風ユニットは、前記気体を加熱するためのヒータをさらに有する。
【0055】
付記6に係るはんだ付け装置によれば、対象物に、ヒータで加熱された気体を供給できる。
【0056】
(付記7)
付記7に係るはんだ付け装置によれば、付記6に記載のはんだ付け装置において、前記送風ユニットは、モータと、前記モータから前記ファンへ回転を伝達するための回転軸と、をさらに有し、前記ヒータは、前記モータと前記ファンとの間に配置されている。
【0057】
付記7に係るはんだ付け装置によれば、ヒータは、回転軸に近接でき、回転軸の周辺の気体をより高温に加熱できる。その結果、フラックスを含む気体が、回転軸に接触した場合でも、フラックスが、固着する温度まで冷却されず、回転軸にフラックスが固着することが抑止される。
【0058】
(付記8)
付記8に係るはんだ付け装置によれば、付記7に記載のはんだ付け装置において、前記ファンは、前記モータが配置されている側から、軸方向に前記気体を吸気するように構成されている。
【0059】
付記8に係るはんだ付け装置によれば、ヒータによって加熱された気体が、モータとファンとの間の回転軸に近接している空間を流れる。このため、回転軸が加熱された気体によって温められ、フラックスが回転軸に固着することが抑止される。
【0060】
(付記9)
付記9に係るはんだ付け装置によれば、付記6から8のいずれか1つに記載のはんだ付け装置において、前記ヒータは、前記気体を220度以上に加熱する。
【0061】
付記9に係るはんだ付け装置は、ヒータによって気体を220度以上に加熱された気体をソルダーペーストが塗布された基板に噴射できる。また、ソルダーペーストに含まれる鉛フリーはんだの融点は、約217度である。つまり、このはんだ付け装置は、ヒータによって220度以上に加熱された気体を用いて、ソルダーペーストに含まれる鉛フリーはんだを溶融させることができる。
【0062】
(付記10)
付記10に係るはんだ付け装置によれば、付記3又は4に従属する付記6から9のいずれか1つに記載のはんだ付け装置において、前記送風室は、前記ファンを収容し、前記吸込室は、前記ヒータを収容している。
【0063】
付記10に係るはんだ付け装置によれば、ファンは、ヒータを収容している吸込室の下流側に位置する、送風室に収容されている。これにより、吸込室に収容されているヒータによって加熱された気体が、送風室に収容されているファンに供給される。すなわち、ヒータにより加熱された気体が、ファンと接触する。このため、ファンと接触する気体は高温であり、このはんだ付け装置では、気体に含まれるフラックスがファンに固着することが抑止される。
【0064】
(付記11)
付記11に係るはんだ付け装置によれば、付記2又は付記2に従属する付記3から10のいずれか1つに記載のはんだ付け装置において、前記対象物の搬送方向に並べられて配置されている互いに隣り合う2つの前記送風ユニットをさらに備え、前記開口は、四角形の環状の断面形状を備え、前記搬送方向の前後に位置する2つの第1部分と、前記搬送方向の左右に位置する2つの第2部分と、を有し、前記第1部分の前記搬送方向に延びる幅の長さは、いずれも、前記第2部分の前記搬送方向と直交する方向に延びる幅の長さよりも短い。
【0065】
付記11に係るはんだ付け装置によれば、開口の全体の断面積が減少することなく、互いに隣り合う送風ユニットのそれぞれのノズルは互いに長い距離を空けることなく配置され得る。その結果、このはんだ付け装置は、基板に気体が供給されない時間を短縮できる。
【0066】
(付記12)
付記12に係るはんだ付け装置によれば、付記2又は付記2に従属する付記3から10のいずれか1つに記載のはんだ付け装置において、前記複数の吸込口に含まれる前記開口から遠い吸込口の断面積が、前記開口に近い吸込口の断面積よりも大きい。
【0067】
付記12に係るはんだ付け装置は、複数の吸込口から気体を吸い込む際に、複数の吸込口はバランスよく気体を吸い込める。
【0068】
以上、本発明の実施形態とそれに係る各変形例について説明したが、上述した各例は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではないことは言うまでもない。本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変更、改良することができ、本発明にその等価物は含まれる。また、上述した課題の少なくとも一部を解決できる範囲、または効果の少なくとも一部を奏する範囲において、特許請求の範囲及び明細書に記載された各構成要素の任意の組み合わせ、又は省略が可能である。
【符号の説明】
【0069】
100:リフロー炉
200:基板
300:送風ユニット
302:ファン
304:モータ
306:回転軸
308:ヒータ
320:内部ケース
325:送風室
332:吸気口
334:送風口
340:内部ケース本体
342:取り付けプレート(第2プレート)
347:周端部
360:外部ケース
362:外部ケース本体
364:ノズルカバー
366:吸込口
368:プレート部(第1プレート)
370:縁部
374:吸込室
420:ノズル
422:供給口
424:吹出口
903:第1流路
904:第2流路
905:流路
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2023-07-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
はんだ付けを行うためのはんだ付け装置であって、
対象物に気体を供給するための送風ユニットを備え、
前記送風ユニットは、
前記送風ユニットの外部の前記気体を吸い込むための複数の吸込口が形成された第1プレートと、
前記複数の吸込口と対向する板面を有する第2プレートと、
複数のノズルと、
前記複数の吸込口から吸い込まれた前記気体を前記複数のノズルに供給するためのファンと、
を有し、
前記送風ユニットには、前記気体が流れる、前記複数の吸込口から延び、前記ファンを通過し、前記複数のノズルに至る流路が形成され、
前記板面が拡がる方向において、前記第2プレートの内部のある点を中心として90度間隔にある4つの位置に、前記流路の一部が少なくとも位置していて、
前記送風ユニットは、前記第1プレートを含む外部ケースを有し、
前記送風ユニットは、前記第2プレートと対向する壁を有する内部ケース本体をさらに有し、
前記内部ケース本体及び前記第2プレートは、前記内部ケース本体及び前記第2プレートによって囲まれる送風室を画定し、
前記外部ケース、前記内部ケース本体及び前記第2プレートは、前記外部ケース、前記内部ケース本体及び前記第2プレートによって囲まれる吸込室を画定し、
前記壁には、前記送風室と前記吸込室とを連通させるための吸気口が形成され、
前記送風室には、パンチングメタルが収容されていて、
前記第2プレートの周端部と前記外部ケースとの間に形成される又は前記第2プレートに形成される開口を通るように、前記流路の一部が形成されていて、
前記送風ユニットは、
前記気体を加熱するためのヒータと、
モータと、
前記モータから前記ファンへ回転を伝達するための回転軸と、
をさらに有し、
前記ヒータは、前記モータと前記ファンとの間に配置されている、
はんだ付け装置。
【請求項2】
請求項に記載のはんだ付け装置において、
前記複数のノズルは、前記送風室の前記気体が供給される供給口を有し、
前記吸込室内に、前記流路の一部である前記複数の吸込口から前記吸気口までの第1流路を形成し、
前記第2プレートと平行な断面において、前記第1流路が、前記送風室を囲むように位置している、
はんだ付け装置。
【請求項3】
請求項2に記載のはんだ付け装置において、
前記送風室内に、前記流路の一部である前記吸気口から前記複数のノズルまでの第2流路を形成している、
はんだ付け装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載のはんだ付け装置において、
前記複数のノズルは、前記送風ユニットの外部に前記気体を噴射するための吹出口を有し、
前記吹出口は、前記吸込口と隣接している、
はんだ付け装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載のはんだ付け装置において、
前記ファンは、前記モータが配置されている側から、軸方向に前記気体を吸気するように構成されている、
はんだ付け装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載のはんだ付け装置において、
前記ヒータは、前記気体を220度以上に加熱する、
はんだ付け装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載のはんだ付け装置において、
前記送風室は、前記ファンを収容し、
前記吸込室は、前記ヒータを収容している、
はんだ付け装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載のはんだ付け装置において、
前記対象物の搬送方向に並べられて配置されている互いに隣り合う2つの前記送風ユニットをさらに備え、
前記開口は、前記搬送方向の前後に位置する2つの第1部分と、前記搬送方向の左右に位置する2つの第2部分と、を有し、
前記第1部分の前記搬送方向に延びる幅の長さは、いずれも、前記第2部分の前記搬送方向と直交する方向に延びる幅の長さよりも短い、
はんだ付け装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載のはんだ付け装置において、
前記複数の吸込口に含まれる前記開口から遠い吸込口の断面積が、前記開口に近い吸込口の断面積よりも大きい、
はんだ付け装置。