(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023134657
(43)【公開日】2023-09-27
(54)【発明の名称】新規抗腫瘍剤
(51)【国際特許分類】
A61K 31/505 20060101AFI20230920BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230920BHJP
A61P 35/04 20060101ALI20230920BHJP
A61P 1/18 20060101ALI20230920BHJP
A61K 31/415 20060101ALI20230920BHJP
A61K 31/4439 20060101ALI20230920BHJP
C07D 239/26 20060101ALN20230920BHJP
C07D 231/12 20060101ALN20230920BHJP
C07D 239/42 20060101ALN20230920BHJP
C07D 401/04 20060101ALN20230920BHJP
【FI】
A61K31/505
A61P35/00
A61P35/04
A61P1/18
A61K31/415
A61K31/4439
C07D239/26
C07D231/12 C
C07D239/42 Z
C07D231/12 B
C07D231/12 D
C07D401/04
C07D231/12 E
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023115386
(22)【出願日】2023-07-13
(62)【分割の表示】P 2020510676の分割
【原出願日】2019-03-15
(31)【優先権主張番号】P 2018059074
(32)【優先日】2018-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】597039984
【氏名又は名称】学校法人 川崎学園
(71)【出願人】
【識別番号】505065984
【氏名又は名称】学校法人 福山大学
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【弁理士】
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100125070
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100121212
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 弥栄子
(74)【代理人】
【識別番号】100174296
【弁理士】
【氏名又は名称】當麻 博文
(74)【代理人】
【識別番号】100137729
【弁理士】
【氏名又は名称】赤井 厚子
(74)【代理人】
【識別番号】100151301
【弁理士】
【氏名又は名称】戸崎 富哉
(72)【発明者】
【氏名】山内 明
(72)【発明者】
【氏名】町支 臣成
(57)【要約】 (修正有)
【課題】抗腫瘍活性および癌転移抑制活性を有する化合物、ならびに当該化合物を有効成分として含有する抗腫瘍剤を提供すること。
【解決手段】式(1):
(式中、環Aは、置換基を有していてもよい5ないし6員環を示し、R
1およびR
4は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、シアノ基、C
1-6アルキル基、ハロゲン化C
1-6アルキル基またはC
1-6アルコキシ基を示し、ベンゼン環Bおよびベンゼン環Cは、それぞれさらに置換基を有していてもよく、ベンゼン環B-C(R
2)(R
3)基およびベンゼン環Cは、それぞれ環Aを構成する別個の隣接した炭素原子に結合している。)で表される化合物またはその塩。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1):
【化1】
(式中、
環Aは、それぞれ、(1)水酸基およびC
6-14アリール基から選ばれる1~3個の置換基を有していてもよいC
1-6アルキル基、(2)C
3-10シクロアルキル基、(3)ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、C
1-6アルキル基およびC
1-6アルコキシ基から選ばれる1~3個の置換基を有していてもよいC
6-14アリール基および(4)5ないし14員芳香族複素環から選ばれる1または2個の置換基を有していてもよい、ピラゾール環またはピリミジン環を示し;
R
1およびR
4は、それぞれ独立して、水素原子、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子、C
1-6アルキル基またはC
1-6アルコキシ基を示し;
ベンゼン環Bは、R
1以外にさらに置換基を有しておらず;
ベンゼン環Cは、R
4以外にさらにハロゲン原子を有していてもよく;
ベンゼン環B-C(R
2)(R
3)基およびベンゼン環Cは、それぞれ環Aを構成する別個の互いに隣接した炭素原子に結合しており;
R
2およびR
3は、それぞれ独立して、水素原子または水酸基を示すか、あるいは、R
2およびR
3は、一緒になってオキソ基またはヒドロキシイミノ基を示す。)
で表される化合物またはその塩を有効成分として含有する抗腫瘍剤。
【請求項2】
R1およびR4が、それぞれ独立して、塩素原子、臭素原子またはメトキシ基である、請求項1に記載の抗腫瘍剤。
【請求項3】
環Aが、メチル基を有していてもよいピラゾール環またはピリミジン環である、請求項1または2に記載の抗腫瘍剤。
【請求項4】
環Aが、(1)水酸基およびC6-14アリール基から選ばれる1~3個の置換基を有していてもよいC1-6アルキル基、(2)C3-10シクロアルキル基、(3)ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、C1-6アルキル基およびC1-6アルコキシ基から選ばれる1~3個の置換基を有していてもよいC6-14アリール基および(4)5ないし14員芳香族複素環から選ばれる1または2個の置換基を有していてもよいピラゾール環であり、ベンゼン環B-C(R2)(R3)基がピラゾール環の4位に結合し、およびベンゼン環Cがピラゾール環の5位に結合している、請求項1または2に記載の抗腫瘍剤。
【請求項5】
R2およびR3が一緒になってオキソ基である、請求項1~4のいずれか1項に記載の抗腫瘍剤。
【請求項6】
R1およびR4が、それぞれ独立して、塩素原子、臭素原子またはメトキシ基であり、環Aが、メチル基を有していてもよいピラゾール環またはピリミジン環であり、かつR2およびR3が一緒になってオキソ基である、請求項1~3および5のいずれか1項に記載の抗腫瘍剤。
【請求項7】
R1およびR4が、それぞれ独立して、塩素原子、臭素原子またはメトキシ基であり、環Aが、(1)水酸基およびC6-14アリール基から選ばれる1~3個の置換基を有していてもよいC1-6アルキル基、(2)C3-10シクロアルキル基、(3)ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、C1-6アルキル基およびC1-6アルコキシ基から選ばれる1~3個の置換基を有していてもよいC6-14アリール基および(4)5ないし14員芳香族複素環から選ばれる1または2個の置換基を有していてもよいピラゾール環であり、ベンゼン環B-C(R2)(R3)基がピラゾール環の4位に結合し、およびベンゼン環Cがピラゾール環の5位に結合しており、かつR2およびR3が一緒になってオキソ基である、請求項1、2、4および5のいずれか1項に記載の抗腫瘍剤。
【請求項8】
式(1)で表される化合物が、4-(4-メトキシベンゾイル)-5-(4-メトキシフェニル)-1-メチルピラゾール、4-(4-ブロモベンゾイル)-5-(4-ブロモフェニル)-1-メチルピラゾール、4-(4-クロロベンゾイル)-5-(4-クロロフェニル)-1-メチルピラゾールまたは5-(4-メトキシベンゾイル)-4-(4-メトキシフェニル)-2-メチルピリミジンである、請求項6に記載の抗腫瘍剤。
【請求項9】
in vitroで10μMでヒト膵癌細胞株BxPC-3の走化性を抑制する、請求項1~8のいずれか1項に記載の抗腫瘍剤。
【請求項10】
in vitroで10μMでヒト膵癌細胞株BxPC-3に対して細胞毒性を有しない、請求項1~9のいずれか1項に記載の抗腫瘍剤。
【請求項11】
式(1):
【化2】
(式中、
環Aは、それぞれ、(1)水酸基およびC
6-14アリール基から選ばれる1~3個の置換基を有していてもよいC
1-6アルキル基、(2)C
3-10シクロアルキル基、(3)ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、C
1-6アルキル基およびC
1-6アルコキシ基から選ばれる1~3個の置換基を有していてもよいC
6-14アリール基および(4)5ないし14員芳香族複素環から選ばれる1または2個の置換基を有していてもよい、ピラゾール環またはピリミジン環を示し;
R
1およびR
4は、それぞれ独立して、水素原子、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子、C
1-6アルキル基またはC
1-6アルコキシ基を示し;
ベンゼン環Bは、R
1以外にさらに置換基を有しておらず;
ベンゼン環Cは、R
4以外にさらにハロゲン原子を有していてもよく;
ベンゼン環B-C(R
2)(R
3)基およびベンゼン環Cは、それぞれ環Aを構成する別個の互いに隣接した炭素原子に結合しており;
R
2およびR
3は、それぞれ独立して、水素原子または水酸基を示すか、あるいは、R
2およびR
3は、一緒になってオキソ基またはヒドロキシイミノ基を示す。)
で表される化合物またはその塩を有効成分として含有する癌転移抑制剤。
【請求項12】
R1およびR4が、それぞれ独立して、塩素原子、臭素原子またはメトキシ基である、請求項11に記載の癌転移抑制剤。
【請求項13】
環Aが、メチル基を有していてもよいピラゾール環またはピリミジン環である、請求項11または12に記載の癌転移抑制剤。
【請求項14】
環Aが、(1)水酸基およびC6-14アリール基から選ばれる1~3個の置換基を有していてもよいC1-6アルキル基、(2)C3-10シクロアルキル基、(3)ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、C1-6アルキル基およびC1-6アルコキシ基から選ばれる1~3個の置換基を有していてもよいC6-14アリール基および(4)5ないし14員芳香族複素環から選ばれる1または2個の置換基を有していてもよいピラゾール環であり、ベンゼン環B-C(R2)(R3)基がピラゾール環の4位に結合し、およびベンゼン環Cがピラゾール環の5位に結合している、請求項11または12に記載の癌転移抑制剤。
【請求項15】
R2およびR3が一緒になってオキソ基である、請求項11~14のいずれか1項に記載の癌転移抑制剤。
【請求項16】
R1およびR4が、それぞれ独立して、塩素原子、臭素原子またはメトキシ基であり、環Aが、メチル基を有していてもよいピラゾール環またはピリミジン環であり、かつR2およびR3が一緒になってオキソ基である、請求項11~13および15のいずれか1項に記載の癌転移抑制剤。
【請求項17】
R1およびR4が、それぞれ独立して、塩素原子、臭素原子またはメトキシ基であり、環Aが、(1)水酸基およびC6-14アリール基から選ばれる1~3個の置換基を有していてもよいC1-6アルキル基、(2)C3-10シクロアルキル基、(3)ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、C1-6アルキル基およびC1-6アルコキシ基から選ばれる1~3個の置換基を有していてもよいC6-14アリール基および(4)5ないし14員芳香族複素環から選ばれる1または2個の置換基を有していてもよいピラゾール環であり、ベンゼン環B-C(R2)(R3)基がピラゾール環の4位に結合し、およびベンゼン環Cがピラゾール環の5位に結合しており、かつR2およびR3が一緒になってオキソ基である、請求項11、12、14および15のいずれか1項に記載の癌転移抑制剤。
【請求項18】
式(1)で表される化合物が、4-(4-メトキシベンゾイル)-5-(4-メトキシフェニル)-1-メチルピラゾール、4-(4-ブロモベンゾイル)-5-(4-ブロモフェニル)-1-メチルピラゾール、4-(4-クロロベンゾイル)-5-(4-クロロフェニル)-1-メチルピラゾールまたは5-(4-メトキシベンゾイル)-4-(4-メトキシフェニル)-2-メチルピリミジンである、請求項16に記載の癌転移抑制剤。
【請求項19】
in vitroで10μMでヒト膵癌細胞株BxPC-3の走化性を抑制する、請求項11~18のいずれか1項に記載の癌転移抑制剤。
【請求項20】
in vitroで10μMでヒト膵癌細胞株BxPC-3に対して細胞毒性を有しない、請求項11~19のいずれか1項に記載の癌転移抑制剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗腫瘍活性および癌転移抑制活性を有する化合物、特にピラゾール誘導体およびピリミジン誘導体、ならびに当該化合物を有効成分として含有する抗腫瘍剤に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、癌治療薬としては細胞増殖に的を絞った薬剤が主流であり、癌細胞の分裂および増殖を抑制することでその効果を発揮する。例えば、膵癌に対する標準治療薬はゲムシタビンであり、これにいくつかの抗癌剤が併用される。近年は、免疫チェックポイント阻害剤が登場し、皮膚癌と肺癌で認可されており、癌細胞が細胞障害を免れる機構を絶ち自身の細胞傷害活性を増すことによりいくつかの癌疾患で効果を上げている。
【0003】
癌は転移を起こすことにより致命的になることが多いが、既存の抗癌剤は細胞増殖阻害をターゲットとしており、癌転移そのものを抑える効果はほとんどない。また、癌転移そのものをターゲットとした癌治療薬は現在、治療薬としては用いられていない。しかしながら、早期・進行癌のいずれにしてもさらなる転移を抑えることができれば、手術によって癌を取り除くことができ、予後の大幅な改善が期待できる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、抗腫瘍活性および癌転移抑制活性を有する化合物、ならびに当該化合物を有効成分として含有する抗腫瘍剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、下記の式(1)で示される化合物が抗腫瘍活性および癌転移抑制活性を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1]式(1):
【0006】
【0007】
(式中、
環Aは、置換基を有していてもよい5ないし6員環を示し、
R1およびR4は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、シアノ基、C1-6アルキル基、ハロゲン化C1-6アルキル基またはC1-6アルコキシ基を示し、
ベンゼン環Bおよびベンゼン環Cは、それぞれさらに置換基を有していてもよく、
ベンゼン環B-C(R2)(R3)基およびベンゼン環Cは、それぞれ環Aを構成する別個の炭素原子に結合しており、
R2およびR3は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、シアノ基、C1-6アルキル基、ハロゲン化C1-6アルキル基またはC1-6アルコキシ基を示すか、あるいはR2およびR3は一緒になってオキソ基またはヒドロキシイミノ基を示す。)
で表される化合物(本明細書中、「化合物(1)」と略記する場合がある)またはその塩。
[1’]式(1):
【0008】
【0009】
(式中、
環Aは、置換基を有していてもよい5ないし6員環を示し、
R1およびR4は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、シアノ基、C1-6アルキル基、ハロゲン化C1-6アルキル基またはC1-6アルコキシ基を示し、
ベンゼン環Bおよびベンゼン環Cは、それぞれさらに置換基を有していてもよく、
ベンゼン環B-C(R2)(R3)基およびベンゼン環Cは、それぞれ環Aを構成する別個の炭素原子に結合しており、
R2およびR3は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、シアノ基、C1-6アルキル基、ハロゲン化C1-6アルキル基またはC1-6アルコキシ基を示すか、あるいはR2およびR3は一緒になってオキソ基を示す。)
で表される化合物(本明細書中、「化合物(1)」と略記する場合がある)またはその塩。
[2]R1およびR4が、それぞれ独立して、塩素原子、臭素原子またはメトキシ基である、[1]または[1’]に記載の化合物。
[3]環Aが、メチル基を有していてもよいピラゾール環またはピリミジン環である、[1]、[1’]または[2]に記載の化合物。
[4]R2およびR3が一緒になってオキソ基である、[1]~[3]および[1’]のいずれか1に記載の化合物。
[5]R1およびR4が、それぞれ独立して、塩素原子、臭素原子またはメトキシ基であり、環Aが、メチル基を有していてもよいピラゾール環またはピリミジン環であり、かつR2およびR3が一緒になってオキソ基である、[1]~[4]および[1’]のいずれか1に記載の化合物。
[6]5-(4-メトキシベンゾイル)-4-(4-メトキシフェニル)-2-メチルピリミジン、4-(4-メトキシベンゾイル)-5-(4-メトキシフェニル)-1-メチルピラゾール、4-(4-ブロモベンゾイル)-5-(4-ブロモフェニル)-1-メチルピラゾールまたは4-(4-クロロベンゾイル)-5-(4-クロロフェニル)-1-メチルピラゾールである、[5]に記載の化合物。
[7]抗腫瘍活性および癌転移抑制活性を有する、[1]~[6]および[1’]のいずれか1に記載の化合物。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、抗腫瘍活性および癌転移抑制活性を有する化合物、特にピラゾール誘導体およびピリミジン誘導体、ならびに当該化合物を有効成分として含有する抗腫瘍剤を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】試験例1で用いたリアルタイム細胞動態解析法(TAXIScan法)を説明する図である。
【
図4】試験例3の結果(体重の変化(移植時を1とする))を示すグラフである。
【
図5】試験例3の結果(転移が見られた個体数)を示すグラフである。
【
図6】試験例3の結果(腫瘍からの蛍光量の比較)を示すグラフである。
【
図7】試験例4の結果(走化性の成分のうち移動の速さの抑制)を示すグラフである。
【
図8】試験例4の結果(走化性の成分のうち方向性の抑制)を示すグラフである。
【
図9】試験例4の結果(走化性の成分のうち移動の速さの抑制)を示すグラフである。
【
図10】試験例4の結果(走化性の成分のうち方向性の抑制)を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本明細書中で用いられる各置換基の定義について詳述する。特記しない限り各置換基は以下の定義を有する。
【0013】
本明細書中、「ハロゲン原子」としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
本明細書中、「C1-6アルキル基」としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、1-エチルプロピル、ヘキシル、イソヘキシル、1,1-ジメチルブチル、2,2-ジメチルブチル、3,3-ジメチルブチル、2-エチルブチルが挙げられる。
本明細書中、「ハロゲン化C1-6アルキル基」としては、例えば、1ないし5個の上記「ハロゲン原子」で置換された上記「C1-6アルキル基」が挙げられる。
本明細書中、「C3-10シクロアルキル基」としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル、ビシクロ[2.2.2]オクチル、ビシクロ[3.2.1]オクチル、アダマンチルが挙げられる。
本明細書中、「C1-6アルコキシ基」としては、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシが挙げられる。
本明細書中、「C6-14アリール基」としては、例えば、フェニル、1-ナフチル、2-ナフチル、1-アントリル、2-アントリル、9-アントリルが挙げられる。
本明細書中、「5ないし14員芳香族複素環基」としては、例えば、環構成原子として炭素原子以外に窒素原子、硫黄原子および酸素原子から選ばれる1ないし4個のヘテロ原子を含有する5ないし14員(好ましくは5ないし10員)の芳香族複素環基が挙げられ、好適な例としては、チエニル、フリル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、1,2,4-オキサジアゾリル、1,3,4-オキサジアゾリル、1,2,4-チアジアゾリル、1,3,4-チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、トリアジニルなどの5ないし6員単環式芳香族複素環基;
ベンゾチオフェニル、ベンゾフラニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾトリアゾリル、イミダゾピリジニル、チエノピリジニル、フロピリジニル、ピロロピリジニル、ピラゾロピリジニル、オキサゾロピリジニル、チアゾロピリジニル、イミダゾピラジニル、イミダゾピリミジニル、チエノピリミジニル、フロピリミジニル、ピロロピリミジニル、ピラゾロピリミジニル、オキサゾロピリミジニル、チアゾロピリミジニル、ピラゾロトリアジニル、ナフト[2,3-b]チエニル、フェノキサチイニル、インドリル、イソインドリル、1H-インダゾリル、プリニル、イソキノリル、キノリル、フタラジニル、ナフチリジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、シンノリニル、カルバゾリル、β-カルボリニル、フェナントリジニル、アクリジニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニルなどの8ないし14員縮合多環式(好ましくは2または3環式)芳香族複素環基が挙げられる。
【0014】
本明細書中、「5ないし6員環」としては、例えば、環構成原子として炭素原子以外に窒素原子、硫黄原子および酸素原子から選ばれる1ないし4個のヘテロ原子を含有する5ないし6員の芳香族または非芳香族複素環が挙げられる。
該「5ないし6員の芳香族複素環」の好適な例としては、チオフェン、フラン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、チアゾール、イソチアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、1,2,4-オキサジアゾール、1,3,4-オキサジアゾール、1,2,4-チアジアゾール、1,3,4-チアジアゾール、トリアゾール、テトラゾール、トリアジンなどが挙げられる。
該「5ないし6員の非芳香族複素環」の好適な例としては、テトラヒドロチオフェン、テトラヒドロフラン、ピロリン、ピロリジン、イミダゾリン、イミダゾリジン、オキサゾリン、オキサゾリジン、ピラゾリン、ピラゾリジン、チアゾリン、チアゾリジン、テトラヒドロイソチアゾール、テトラヒドロオキサゾール、テトラヒドロイソオキサゾール、ピペリジン、ピペラジン、テトラヒドロピリジン、ジヒドロピリジン、ジヒドロチオピラン、テトラヒドロピリミジン、テトラヒドロピリダジン、ジヒドロピラン、テトラヒドロピラン、テトラヒドロチオピラン、モルホリン、チオモルホリンなどが挙げられる。
【0015】
以下に、式(1)中の各記号の定義について詳述する。
【0016】
環Aは、置換基を有していてもよい5ないし6員環を示す。
該「置換基を有していてもよい5ないし6員環」の「5ないし6員環」は、好ましくは5ないし6員の芳香族複素環(例、ピラゾール環、ピリミジン環)であり、より好ましくはピラゾール環またはピリミジン環である。
該「置換基を有していてもよい5ないし6員環」の「5ないし6員環」は、置換可能な位置に1~3個の置換基を有していてもよく、置換基数が2個以上の場合、各置換基は同一であっても異なっていてもよい。該「置換基」は、好ましくはC1-6アルキル基(例、メチル基)であり、より好ましくはメチル基である。
本発明の別の実施態様において、該「置換基」は、好ましくは、置換されていてもよいC1-6アルキル基(例、メチル基、エチル基、イソプロピル基)、置換されていてもよいC3-10シクロアルキル基(例、シクロヘキシル基)、置換されていてもよいC6-14アリール基(例、フェニル、ナフチル)、置換されていてもよい5ないし14員芳香族複素環(例、ピリジル)である。
環Aは、好ましくは、C1-6アルキル基(例、メチル基)から選ばれる1~3個の置換基を有していてもよい5ないし6員の芳香族複素環(例、ピラゾール環、ピリミジン環)であり、より好ましくは、それぞれ1~3個のメチル基を有していてもよいピラゾール環またはピリミジン環である。
本発明の別の実施態様において、環Aは、好ましくは、置換されていてもよいC1-6アルキル基(例、メチル基、エチル基、イソプロピル基)、置換されていてもよいC3-10シクロアルキル基(例、シクロヘキシル基)、置換されていてもよいC6-14アリール基(例、フェニル、ナフチル)および置換されていてもよい5ないし14員芳香族複素環(例、ピリジル)から選ばれる1~3個の置換基を有していてもよい5ないし6員の芳香族複素環(例、ピラゾール環、ピリミジン環)であり、より好ましくは、それぞれ、(1)水酸基およびC6-14アリール基(例、フェニル)から選ばれる1~3個の置換基を有していてもよいC1-6アルキル基(例、メチル基、エチル基、イソプロピル基)、(2)C3-10シクロアルキル基(例、シクロヘキシル基)、(3)ハロゲン原子(例、塩素原子、臭素原子)、シアノ基、ニトロ基、C1-6アルキル基(例、メチル基)およびC1-6アルコキシ基(例、メトキシ基)から選ばれる1~3個の置換基を有していてもよいC6-14アリール基(例、フェニル、ナフチル)および(4)5ないし14員芳香族複素環(例、ピリジル)から選ばれる1~3個の置換基を有していてもよい、ピラゾール環またはピリミジン環である。
【0017】
R1およびR4は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、シアノ基、C1-6アルキル基、ハロゲン化C1-6アルキル基またはC1-6アルコキシ基を示す。
R1およびR4は、好ましくは、それぞれ独立して、ハロゲン原子(例、塩素原子、臭素原子)またはC1-6アルコキシ基(例、メトキシ基)であり、より好ましくは、それぞれ独立して、塩素原子、臭素原子またはメトキシ基である。
本発明の別の実施態様において、R1およびR4は、好ましくは、それぞれ独立して、水素原子、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子(例、塩素原子、臭素原子)、置換されていてもよいC1-6アルキル基(例、メチル基)または置換されていてもよいC1-6アルコキシ基(例、メトキシ基)であり、より好ましくは、それぞれ独立して、水素原子、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子(例、塩素原子、臭素原子)、C1-6アルキル基(例、メチル基)またはC1-6アルコキシ基(例、メトキシ基)である。
【0018】
ベンゼン環Bおよびベンゼン環Cは、それぞれ置換可能な位置にR1およびR4以外にさらに1~4個の置換基を有していてもよい。
ベンゼン環Bおよびベンゼン環Cは、好ましくは、それぞれR1およびR4以外にさらに置換基を有していていない。
本発明の別の実施態様において、ベンゼン環Cは、好ましくは、R4以外にさらにハロゲン原子(例、塩素原子)を有していてもよい。
【0019】
ベンゼン環B-C(R2)(R3)基およびベンゼン環Cは、それぞれ環Aを構成する別個の炭素原子に結合している。
ベンゼン環B-C(R2)(R3)基およびベンゼン環Cは、好ましくは、それぞれ環Aを構成する別個の互いに隣接した炭素原子に結合している。
【0020】
R2およびR3は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、シアノ基、C1-6アルキル基、ハロゲン化C1-6アルキル基またはC1-6アルコキシ基を示すか、あるいはR2およびR3は一緒になってオキソ基を示す。
R2およびR3は、好ましくは一緒になってオキソ基である。
【0021】
本発明の別の実施態様において、R2およびR3は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、シアノ基、C1-6アルキル基、ハロゲン化C1-6アルキル基またはC1-6アルコキシ基を示すか、あるいはR2およびR3は一緒になってオキソ基またはヒドロキシイミノ基を示す。好ましくは、R2およびR3は、それぞれ独立して、水素原子または水酸基であるか、あるいは、R2およびR3は、一緒になってオキソ基またはヒドロキシイミノ基である。
【0022】
化合物(1)の好適な例としては、以下の化合物が挙げられる。
[化合物1-1]
環Aが、C1-6アルキル基(例、メチル基)から選ばれる1~3個の置換基を有していてもよい5ないし6員の芳香族複素環(例、ピラゾール環、ピリミジン環)であり;
R1およびR4が、それぞれ独立して、ハロゲン原子(例、塩素原子、臭素原子)またはC1-6アルコキシ基(例、メトキシ基)であり;
ベンゼン環Bおよびベンゼン環Cが、それぞれR1およびR4以外にさらに置換基を有しておらず;
ベンゼン環B-C(R2)(R3)基およびベンゼン環Cが、それぞれ環Aを構成する別個の互いに隣接した炭素原子に結合しており;
R2およびR3が、一緒になってオキソ基である;
化合物(1)。
【0023】
[化合物1-2]
環Aが、それぞれ1~3個のメチル基を有していてもよいピラゾール環またはピリミジン環であり;
R1およびR4が、それぞれ独立して、塩素原子、臭素原子またはメトキシ基であり;
ベンゼン環Bおよびベンゼン環Cが、それぞれR1およびR4以外にさらに置換基を有しておらず;
ベンゼン環B-C(R2)(R3)基およびベンゼン環Cが、それぞれ環Aを構成する別個の互いに隣接した炭素原子に結合しており;
R2およびR3が、一緒になってオキソ基である;
化合物(1)。
【0024】
[化合物1-3]
5-(4-メトキシベンゾイル)-4-(4-メトキシフェニル)-2-メチルピリミジン、
4-(4-メトキシベンゾイル)-5-(4-メトキシフェニル)-1-メチルピラゾール、
4-(4-ブロモベンゾイル)-5-(4-ブロモフェニル)-1-メチルピラゾール、または
4-(4-クロロベンゾイル)-5-(4-クロロフェニル)-1-メチルピラゾール。
【0025】
[化合物1-4]
環Aが、置換されていてもよいC1-6アルキル基(例、メチル基、エチル基、イソプロピル基)、置換されていてもよいC3-10シクロアルキル基(例、シクロヘキシル基)、置換されていてもよいC6-14アリール基(例、フェニル、ナフチル)および置換されていてもよい5ないし14員芳香族複素環(例、ピリジル)から選ばれる1~3個の置換基を有していてもよい5ないし6員の芳香族複素環(例、ピラゾール環、ピリミジン環)であり;
R1およびR4が、それぞれ独立して、水素原子、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子(例、塩素原子、臭素原子)、置換されていてもよいC1-6アルキル基(例、メチル基)または置換されていてもよいC1-6アルコキシ基(例、メトキシ基)であり;
ベンゼン環Bが、R1以外にさらに置換基を有しておらず;
ベンゼン環Cが、R4以外にさらにハロゲン原子(例、塩素原子)を有していてもよく;
ベンゼン環B-C(R2)(R3)基およびベンゼン環Cが、それぞれ環Aを構成する別個の互いに隣接した炭素原子に結合しており;
R2およびR3が、それぞれ独立して、水素原子または水酸基であるか、あるいは、R2およびR3が、一緒になってオキソ基またはヒドロキシイミノ基である;
化合物(1)。
【0026】
[化合物1-5]
環Aが、それぞれ、(1)水酸基およびC6-14アリール基(例、フェニル)から選ばれる1~3個の置換基を有していてもよいC1-6アルキル基(例、メチル基、エチル基、イソプロピル基)、(2)C3-10シクロアルキル基(例、シクロヘキシル基)、(3)ハロゲン原子(例、塩素原子、臭素原子)、シアノ基、ニトロ基、C1-6アルキル基(例、メチル基)およびC1-6アルコキシ基(例、メトキシ基)から選ばれる1~3個の置換基を有していてもよいC6-14アリール基(例、フェニル、ナフチル)および(4)5ないし14員芳香族複素環(例、ピリジル)から選ばれる1~3個の置換基を有していてもよい、ピラゾール環またはピリミジン環であり;
R1およびR4が、それぞれ独立して、水素原子、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子(例、塩素原子、臭素原子)、C1-6アルキル基(例、メチル基)またはC1-6アルコキシ基(例、メトキシ基)であり;
ベンゼン環Bが、R1以外にさらに置換基を有しておらず;
ベンゼン環Cが、R4以外にさらにハロゲン原子(例、塩素原子)を有していてもよく;
ベンゼン環B-C(R2)(R3)基およびベンゼン環Cが、それぞれ環Aを構成する別個の互いに隣接した炭素原子に結合しており;
R2およびR3が、それぞれ独立して、水素原子または水酸基であるか、あるいは、R2およびR3が、一緒になってオキソ基またはヒドロキシイミノ基である;
化合物(1)。
【0027】
化合物(1)が塩である場合、このような塩としては、例えば、無機塩基との塩、有機塩基との塩、無機酸との塩、有機酸との塩、塩基性または酸性アミノ酸との塩などが挙げられる。
【0028】
無機塩基との塩の好適な例としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩;アルミニウム塩;アンモニウム塩が挙げられる。
【0029】
有機塩基との塩の好適な例としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン[トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン]、tert-ブチルアミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N-ジベンジルエチレンジアミンとの塩が挙げられる。
【0030】
無機酸との塩の好適な例としては、塩化水素、臭化水素、硝酸、硫酸、リン酸との塩が挙げられる。
【0031】
有機酸との塩の好適な例としては、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、フタル酸、フマル酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸との塩が挙げられる。
【0032】
塩基性アミノ酸との塩の好適な例としては、アルギニン、リジン、オルニチンとの塩が挙げられる。
【0033】
酸性アミノ酸との塩の好適な例としては、アスパラギン酸、グルタミン酸との塩が挙げられる。
【0034】
これらの塩のなかでも、薬学的に許容し得る塩が好ましい。薬学的に許容し得る塩としては、化合物内に塩基性官能基を有する場合には、例えば塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸等の無機酸との塩;または酢酸、フタル酸、フマル酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸等の有機酸との塩が挙げられる。また、化合物内に酸性官能基を有する場合には、アルカリ金属塩(例、ナトリウム塩、カリウム塩等)、アルカリ土類金属塩(例、カルシウム塩、マグネシウム塩、バリウム塩等)等の無機塩;アンモニウム塩等が挙げられる。
【0035】
化合物(1)の製造方法について以下に説明する。一例として、環Aがメチル基等を有していてもよいピラゾール環またはピリミジン環であり、ベンゼン環Bおよびベンゼン環Cが、それぞれR1およびR4以外にさらに置換基を有しておらず、ベンゼン環B-C(R2)(R3)基およびベンゼン環Cが、それぞれ環Aを構成する別個の互いに隣接した炭素原子に結合しており、R2およびR3が、それぞれ独立して水素原子または水酸基であるか、あるいはR2およびR3が一緒になってオキソ基またはヒドロキシイミノ基である化合物(1)の製造方法について以下に説明する。
【0036】
【0037】
1) ジベンゾイルメタン(III)の合成
窒素気流中、水素化ナトリウムと安息香酸エステル(I)の無水ベンゼン懸濁液にアセトフェノン(II)の無水ベンゼン溶液を滴下後、加熱還流する。室温まで冷却後、反応液に10%塩酸水溶液を加え、酢酸エチル抽出する。有機層を飽和食塩水で水洗後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去する。残留物をエタノールにて再結晶、あるいはシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、酢酸エチル-ヘキサン流分よりジベンゾイルメタン(III)を得る。
参考文献:T. Choshi, S. Horimoto, C.Y. Wang, H. Nagase, M. Ichikawa, E. Sugino, S. Hibino, Chem. Pharm. Bull., 40, 1047-1049 (1992).
【0038】
2) N,N-ジメチルアミノメチレン-ジベンゾイルメタン(IV)の合成
窒素気流中、ジベンゾイルメタン(III)のジメチルホルムアミドジメチルアセタール溶液を6時間加熱環流する。室温まで冷却後、反応液に水を加え、酢酸エチル抽出する。有機層を飽和食塩水で水洗後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去する。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、酢酸エチル-ヘキサン流分よりN,N-ジメチルアミノメチレン(IV)を得る。
【0039】
3) 5-ベンゾイル-4-フェニル-2-メチルピリミジン(V)の合成
N,N-ジメチルアミノメチレン(IV)、アセトアミジン、および炭酸カリウムのエタノール懸濁液を4時間加熱環流する。室温まで冷却後、反応液に水を加え、酢酸エチル抽出する。有機層を飽和食塩水で水洗後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去する。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、酢酸エチル-ヘキサン流分より油状物の5-ベンゾイル-4-フェニル-2-メチルピリミジン(V)を得る。
【0040】
4) 4-ベンゾイル-5-フェニル-1-メチルピラゾール(VI)の合成
N,N-ジメチルアミノメチレン(IV)、およびメチルヒドラジンのエタノール溶液を室温で12時間撹拌する。反応終了後、エタノールを減圧留去する。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、酢酸エチル-ヘキサン流分より4-ベンゾイル-5-フェニル-1-メチルピラゾール(VI)とその次の流出物として異性体(VII)を得る。
【0041】
化合物(1)は抗腫瘍活性および癌転移抑制活性を有しており、当該化合物(1)を有効成分として含有する抗腫瘍剤は、各種悪性腫瘍(例、膵癌、肺癌、大腸癌、乳癌、卵巣癌、子宮頸癌、前立腺癌、悪性黒色腫、胃癌、肝細胞癌、胆管癌、口腔癌、食道癌、膀胱癌、神経腫瘍、精巣腫瘍、平滑筋肉腫、脂肪肉腫、横紋筋肉腫、悪性線維製組織球腫、軟骨腫、骨肉腫、白血病、リンパ腫、中皮腫)の予防または治療薬として用いることができる。
【0042】
本発明の化合物(1)を有効成分として含有する抗腫瘍剤は、化合物(1)のみを含有するものであってもよいし、薬理学的に許容され得る担体(賦形剤、結合剤、崩壊剤、矯味剤、矯臭剤、乳化剤、希釈剤、溶解補助剤など)を含有してもよい。
本発明の化合物(1)を有効成分として含有する抗腫瘍剤は、医薬製剤の製造法として自体公知の方法(例、日本薬局方記載の方法等)に従って、化合物(1)と薬理学的に許容され得る担体とを混合し、各種剤形(例、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、液剤、乳剤、懸濁剤、注射剤、点滴剤など)に製剤化して得られ、経口的又は非経口的に投与することができる。
【0043】
本発明の化合物(1)を有効成分として含有する抗腫瘍剤における化合物(1)の含有量は、抗腫瘍剤の剤形によって相違するが、通常、抗腫瘍剤全体に対して0.001~100重量%、好ましくは0.01~10重量%、さらに好ましくは0.1~1重量%程度である。
【0044】
本明細書において非経口とは、皮下注射、静脈内注射、筋肉内注射、腹腔内注射、点滴法あるいは局所投与(関節内投与、経皮的投与、経眼的投与、経肺・気管支的投与、経鼻的投与又は経直腸的投与など)などを含むものである。
【0045】
本発明の化合物(1)を有効成分として含有する抗腫瘍剤の投与量は、投与対象、投与ルート、症状によっても異なり得、特に限定されないが、例えば膵癌の成人患者(成人、体重40~80kg、例えば60kg)に経口投与する場合、化合物(1)として、例えば週1回0.1~1000mg/kg体重、好ましくは週1回1~500mg/kg体重、さらに好ましくは週1回10~100mg/kg体重で投与し得る。この量を1日1回~3回に分けて投与し得る。
【実施例0046】
以下、実施例および試験例を用いて本発明をより詳しく説明するが、これらの例は本発明を限定するものではない。
【0047】
実施例1
5-(4-メトキシベンゾイル)-4-(4-メトキシフェニル)-2-メチルピリミジンの合成
1) ジ(4-メトキシベンゾイル)メタンの合成
窒素気流中、水素化ナトリウム(0.84 g, 20.9 mmol)と4-メトキシ安息香酸エチル(3.6 g, 20.0 mmol)の無水ベンゼン(40 mL)懸濁液に4-メトキシアセトフェノン(2.7 g, 18.2 mmol) の無水ベンゼン(10 mL)溶液を滴下後、5時間加熱還流した。室温まで冷却後、反応液に10%塩酸水溶液を加え、酢酸エチル抽出(100 mL×3回)した。有機層を飽和食塩水で水洗後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残留物をエタノールから再結晶しジベンゾイルメタン体(2.83 g, 56%)を得た。
mp 126-127 ℃. 1H-NMR (300 MHz, CDCl3)δ: 2.92 (6H, s), 6.81 (1H, s), 7.29 (4H, d, J = 8.3 Hz), 7.89 (4H, d, J= 8.3 Hz).
【0048】
2) N,N-ジメチルアミノメチレン-ジ(4-メトキシベンゾイル)メタンの合成
窒素気流中、ジ(4-メトキシベンゾイル)メタン(1.0 g, 3.5 mmol)のジメチルホルムアミドジメチルアセタール(6 mL)溶液を5時間加熱環流した。室温まで冷却後、反応液に水を加え、酢酸エチル抽出(50 mL×3回)した。有機層を飽和食塩水で水洗後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(50 g) に付し、酢酸エチル-ヘキサン(70:30 v/v)流分より油状物のN,N-ジメチルアミノメチレン体(1.09 g, 92%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3)δ: 2.94 (6H, br s), 3.83 (6H, s), 5.85 (1H, s), 6.86 (2H, d, J = 8.8 Hz), 6.94 (2H, d, J = 8.8 Hz), 7.18 (2H, d, J = 8.8 Hz), 7.86 (2H, d, J = 8.8 Hz).
【0049】
3) 5-(4-メトキシベンゾイル)-4-(4-メトキシフェニル)-2-メチルピリミジン(以下、「14-53」と略記する場合がある)の合成
N,N-ジメチルアミノメチレン体(2.3 g, 6.78 mmol)、アセトアミジン塩酸塩(0.96 g, 8.13 mmol)、および炭酸カリウム(1.12 g, 8.13 mmol)のエタノール(40 mL)懸濁液を4時間加熱環流した。室温まで冷却後、反応液に水を加え、酢酸エチル抽出(50 mL×3回)した。有機層を飽和食塩水で水洗後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(50 g)に付し、酢酸エチル-ヘキサン(30:70 v/v)流分より油状物の5-(4-メトキシベンゾイル)-4-(4-メトキシフェニル)-2-メチルピリミジン(1.88 g, 83%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3)δ: 2.86 (3H, s), 3.76 (3H, s), 3.83 (3H, s), 6.81 (2H, d, J = 8.7 Hz), 6.82 (2H, d, J = 8.7 Hz), 7.61 (2H, d, J = 8.7 Hz), 7.69 (2H, d, J = 8.7 Hz), 8.65 (1H, s).
【0050】
実施例2
4-(4-メトキシベンゾイル)-5-(4-メトキシフェニル)-1-メチルピラゾール(以下、「14-61」と略記する場合がある。)の合成
N,N-ジメチルアミノメチレン体(380 mg, 1.1 mmol)、およびメチルヒドラジン(72 mg, 1.6 mmol)のエタノール(3 mL)溶液を室温で12時間撹拌した。反応終了後、エタノールを減圧留去した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(20 g)に付し、酢酸エチル-ヘキサン(15:85 v/v)流分より油状物の4-(4-メトキシベンゾイル)-5-(4-メトキシフェニル)-1-メチルピラゾール(137 mg, 38%)とその次の流出物として異性体4-(4-メトキシベンゾイル)-3-(4-メトキシフェニル)-1-メチルピラゾール(109 mg, 30%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3)δ: 3.82 (3H, s), 3.84 (3H, s), 3.85 (3H, s), 6.88 (2H, d, J = 8.6 Hz), 6.96 (2H, d, J = 8.6 Hz), 7.32 (2H, d, J = 8.6 Hz), 7.79 (2H, d, J = 8.6 Hz), 7.83 (1H, s).
【0051】
実施例3
4-(4-ブロモベンゾイル)-5-(4-ブロモフェニル)-1-メチルピラゾールの合成
1) ジ(4-ブロモベンゾイル)メタンの合成
窒素気流中、水素化ナトリウム(1.0 g, 25.1 mmol)と4-ブロモ安息香酸エチル(5.5 g, 24.0 mmol)の無水ベンゼン(40 mL)懸濁液に4-ブロモアセトフェノン(4.3 g, 21.8 mmol)の無水ベンゼン(10 mL)溶液を滴下後、1時間加熱還流した。室温まで冷却後、反応液に10%塩酸水溶液を加え、酢酸エチル抽出(100 mL×3回)した。有機層を飽和食塩水で水洗後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残留物をエタノールから再結晶しジベンゾイルメタン体(4.5 g, 54%)を得た。
mp 195-196 ℃. 1H-NMR (300 MHz, CDCl3)δ: 6.77 (1H, s), 7.63 (4H, d, J= 8.4 Hz), 7.85 (4H, d, J = 8.4 Hz).
【0052】
2) N,N-ジメチルアミノメチレン-ジ(4-ブロモベンゾイル)メタンの合成
窒素気流中、ジ(4-ブロモベンゾイル)メタン(2.5 g, 6.54 mmol)のジメチルホルムアミドジメチルアセタール(15 mL)溶液を6時間加熱環流した。室温まで冷却後、反応液に水を加え、酢酸エチル抽出(100 mL×3回)した。有機層を飽和食塩水で水洗後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(50 g)に付し、酢酸エチル-ヘキサン(40:60 v/v) 流分より油状物のN,N-ジメチルアミノメチレン体(1.66 g, 58%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3)δ: 2.77 (3H, br s), 3.31 (3H, br s), 7.32-7.51 (8H, m), 7.64 (1H, s).
【0053】
3) 4-(4-ブロモベンゾイル)-5-(4-ブロモフェニル)-1-メチルピラゾールの合成
N,N-ジメチルアミノメチレン体(600 mg, 1.4 mmol)、およびメチルヒドラジン(74 mg, 1.6 mmol)のエタノール(4 mL)溶液を室温で2時間撹拌した。反応終了後、エタノールを減圧留去した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(50 g)に付し、酢酸エチル-ヘキサン(15:85 v/v)流分より油状物の4-(4-ブロモベンゾイル)-5-(4-ブロモフェニル)-1-メチルピラゾール(以下、「14-67」と略記する場合がある)(420 mg, 73%)とその次の流出物として異性体4-(4-ブロモベンゾイル)-3-(4-ブロモフェニル)-1-メチルピラゾール(以下、「14-68」と略記する場合がある)(95 mg, 16%)を得た。
4-(4-ブロモベンゾイル)-5-(4-ブロモフェニル)-1-メチルピラゾール:1H-NMR (300 MHz, CDCl3)δ: 3.82 (3H, s), 7.27 (2H, d, J= 8.5 Hz), 7.57 (2H, d, J = 8.5 Hz), 7.61 (2H, d, J = 8.5 Hz), 7.65 (2H, d, J = 8.5 Hz), 7.83 (1H, s).
4-(4-ブロモベンゾイル)-3-(4-ブロモフェニル)-1-メチルピラゾール: 1H-NMR (300 MHz, CDCl3)δ: 3.99 (3H, s), 7.47 (2H, d, J = 8.8 Hz), 7.55 (4H, d, J = 8.8 Hz), 7.64 (2H, d, J = 8.8 Hz), 7.73 (1H, s).
【0054】
4) 4-(4-クロロベンゾイル)-5-(4-クロロフェニル)-1-シクロヘキシルピラゾール(以下、「14-112」と略記する場合がある)の合成
N,N-ジメチルアミノメチレン体(200 mg, 0.57 mmol)、シクロヘキシルヒドラジン塩酸塩(76 mg, 1.09 mmol)、および炭酸カリウム(236 mg, 1.71 mmol)のエタノール(6 mL)溶液を60℃で1時間撹拌した。反応終了後、エタノールを減圧留去した。残留物に水を加え、酢酸エチル抽出(50 mL×3回)した。有機層を飽和食塩水で水洗後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。粗結晶をエタノールにて再結晶し4-(4-クロロベンゾイル)-5-(4-クロロフェニル)-1-シクロヘキシルピラゾール(200 mg, 87%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3)δ: 1.21-1.27 (3H, m), 1.59-2.05 (7H, m), 3.90-3.98 (1H, m), 7.28 (2H, d, J = 8.7 Hz), 7.39 (2H, d, J = 8.9 Hz), 7.45 (2H, d, J = 8.9 Hz), 7.72 (2H, d, J = 8.7 Hz), 7.84 (1H, s).
【0055】
5) 4-クロロフェニル-[5-(4-クロロフェニル)-1-メチルピラゾール-4-イル]メタノール(以下、「14-120」と略記する場合がある)の合成
4-ベンゾイル-5-フェニル-1-メチルピラゾール(VI) (132 mg, 0.40 mmol)、および水素化ほう素ナトリウム (30 mg, 0.79 mmol)のメタノール(5 mL)溶液を室温で3時間撹拌した。反応終了後、メタノールを減圧留去した。残留物に水を加え、酢酸エチル抽出(50 mL×3回)した。有機層を飽和食塩水で水洗後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。粗結晶をメタノールにて再結晶し4-クロロフェニル-[5-(4-クロロフェニル)-1-メチルピラゾール-4-イル]メタノール(118 mg, 89%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6)δ: 3.66 (3H, s), 5.41 (1H, d, J = 4.0 Hz), 5.75 (1H, d, J = 4.0 Hz), 7.23 (2H, d, J = 8.5 Hz), 7.25 (1H, s), 7.29 (2H, d, J = 8.5 Hz), 7.46 (2H, d, J = 7.7 Hz), 7.57 (2H, d, J = 7.7 Hz).
【0056】
6) 4-クロロベンジル-5-(4-クロロフェニル)-1-メチルピラゾール(IX)(以下、「14-121」と略記する場合がある)の合成
4-クロロフェニル-[5-(4-クロロフェニル)-1-メチルピラゾール-4-イル]メタノール(112 mg, 0.34 mmol)のトリフルオロ酢酸(5 mL)溶液に氷冷下トリエチルシラン(62 μL, 0.39 mmol)を滴下後、室温で10分撹拌した。反応終了後、トリフルオロ酢酸を減圧留去した。残留物に水を加え、酢酸エチル抽出(100 mL×3回)した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液および飽和食塩水で水洗後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、酢酸エチル-ヘキサン(20:80 v/v)流分より油状物の4-クロロベンジル-5-(4-クロロフェニル)-1-メチルピラゾール(103 mg, 97%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3)δ: 3.67 (2H, s), 3.75 (3H, s), 7.00 (2H, d, J = 8.5 Hz), 7.16 (2H, d, J = 8.7 Hz), 7.20 (2H, d, J = 8.5 Hz), 7.35 (1H, s), 7.43 (2H, d, J = 8.7 Hz).
【0057】
7) 4-クロロベンゾイル-5-(4-クロロフェニル)-1-メチルピラゾールオキシム(X)(以下、「14-122」と略記する場合がある)の合成
4-ベンゾイル-5-フェニル-1-メチルピラゾール(VI) (65 mg, 0.20 mmol)、塩酸ヒドロキシルアミン(41 mg, 0.59 mmol)および炭酸カリウム(138 mg, 1.0 mmol)のエタノール(3 mL)懸濁液を80℃で5時間加熱撹拌した。室温まで冷却後、反応液に水を加え、酢酸エチル抽出(100 mL×3回)した。有機層を飽和食塩水で水洗後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、酢酸エチル-ヘキサン(30:70 v/v) 流分よりジアステレオマー混合物(1 : 3)として油状物の4-クロロベンゾイル-5-(4-クロロフェニル)-1-メチルピラゾールオキシム(60 mg, 88%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3)δ: 3.72 (3/4H, s), 3.85 (9/4H, s), 7.10-7.38 (8H, m), 7.51 (1/4H, s), 7.76 (3/4H, s).
【0058】
原料(III)と原料(IV)の合成
ジ(4-フルオロベンゾイル)メタン
実施例1の1)の合成法に従い、4-フルオロ安息香酸メチルと4-フルオロアセトフェノンを反応させ目的物を収率52%で得た。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3)δ: 3.88 (2H, s), 7.14 (2H, d, J = 8.7 Hz), 7.17 (2H, d, J = 8.7 Hz), 8.12 (2H, d, J = 8.7 Hz), 8.15 (2H, d, J = 8.7 Hz).
【0059】
N,N-ジメチルアミノメチレン-ジ(4-フルオロベンゾイル)メタン
実施例1の2)の合成法に従い、ジ(4-フルオロベンゾイル)メタンとジメチルホルムアミドジメチルアセタールを反応させ目的物を収率66%で得た。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3)δ: 2.81 (3H, br s), 3.32 (3H, br s),6.88 (4H, t, J = 7.8 Hz), 7.50-7.65 (4H, m), 7.67 (1H, s).
【0060】
ジ(3-クロロベンゾイル)メタン
実施例1の1)の合成法に従い、3-クロロ安息香酸エチルと3-クロロアセトフェノンを反応させ目的物を収率58%で得た。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3)δ: 6.77 (1H, s), 7.44 (2H, t, J = 8.5 Hz), 7.50-7.58 (2H, m), 7.82-7.88 (2H, m),7.94-7.99 (2H, m).
【0061】
N,N-ジメチルアミノメチレン-ジ(3-クロロベンゾイル)メタン
実施例1の2)の合成法に従い、ジ(3-クロロベンゾイル)メタンとジメチルホルムアミドジメチルアセタールを反応させ目的物を収率57%で得た。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3)δ: 2.79 (3H, br s), 3.34 (3H, br s), 7.14 (2H, t, J = 7.8 Hz), 7.25 (2H, d, J = 7.8 Hz), 7.41 (2H, d, J = 7.8 Hz),7.52 (2H, br s), 7.69 (1H, s).
【0062】
ジ(2-クロロベンゾイル)メタン
実施例1の1)の合成法に従い、2-クロロ安息香酸メチルと2-クロロアセトフェノンを反応させ目的物を収率51%で得た。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3)δ: 7.31-7.42 (3H, s), 7.41-7.53 (4H, s),8.02 (2H, d, J = 8.2 Hz).
【0063】
N,N-ジメチルアミノメチレン-ジ(2-クロロベンゾイル)メタン
実施例1の2)の合成法に従い、ジ(2-クロロベンゾイル)メタンとジメチルホルムアミドジメチルアセタールを反応させ目的物を収率48%で得た。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3)δ: 2.78 (3H, br s), 3.30 (3H, br s), 7.20 (4H, d, J = 8.2 Hz), 7.51 (4H, br d, J = 7.9 Hz), 7.64 (1H, s).
【0064】
ジ(4-メチルベンゾイル)メタン
実施例1の1)の合成法に従い、4-メチル安息香酸エチルと4-メチルアセトフェノンを反応させ目的物を収率66%で得た。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3)δ: 6.82 (1H, s), 7.29 (4H, d, J = 8.0 Hz), 7.89 (4H, d, J = 8.0 Hz).
【0065】
N,N-ジメチルアミノメチレン-ジ(4-メチルベンゾイル)メタン
実施例1の2)の合成法に従い、ジ(4-メチルベンゾイル)メタンとジメチルホルムアミドジメチルアセタールを反応させ目的物を収率98%で得た。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3)δ: 2.27 (6H, s), 2.80-3.20 (6H, br s), 7.03 (4H, d, J = 8.2 Hz), 7.53 (4H, d, J = 8.2 Hz), 7.67 (1H, s).
【0066】
ジ(2-メトキシベンゾイル)メタン
実施例1の1)の合成法に従い、2-メトキシ安息香酸エチルと4-フルオロアセトフェノンを反応させ目的物を収率45%で得た。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3)δ: 3.94 (6H, s), 6.92-67.10 (4H, m), 7.31 (1H, s), 7.43-7.52 (2H, m), 7.86-7.94 (2H, m).
【0067】
N,N-ジメチルアミノメチレン-ジ(2-メトキシベンゾイル)メタン
実施例1の2)の合成法に従い、ジ(2-メトキシベンゾイル)メタンとジメチルホルムアミドジメチルアセタールを反応させ目的物を収率51%で得た。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3)δ: 2.92 (3H, br s), 3.44 (3H, br s), 3.67 (6H, s),6.49 (2H, d, J = 8.5 Hz), 6.71 (2H, t, J = 8.5 Hz), 7.10 (2H, t, J = 8.5 Hz), 7.26 (2H, d, J = 8.5 Hz), 7.98 (1H, s).
【0068】
実施例4
4-(4-クロロベンゾイル)-5-(4-クロロフェニル)-1-メチルピラゾールの合成
1) ジ(4-クロロベンゾイル)メタンの合成
窒素気流中、水素化ナトリウム(0.9 g, 22.5 mmol)と4-クロロ安息香酸エチル(4.1 g, 22 mmol)の無水ベンゼン(40 mL)懸濁液に4-クロロアセトフェノン(3.1 g, 20 mmol)の無水ベンゼン(20 mL)溶液を滴下後、3時間加熱還流した。室温まで冷却後、反応液に10%塩酸水溶液を加え、酢酸エチル抽出(100 mL×3回)した。有機層を飽和食塩水で水洗後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残留物をエタノールから再結晶しジベンゾイルメタン体(2.4 g, 41%)を得た。
mp 157.5-159.5 ℃. 1H-NMR (300 MHz, CDCl3)δ: 6.77 (1H, s), 7.48 (4H, d, J= 8.9 Hz), 7.93 (4H, d, J = 8.9 Hz).
【0069】
2) N,N-ジメチルアミノメチレン-ジ(4-クロロベンゾイル)メタンの合成
窒素気流中、ジ(4-クロロベンゾイル)メタン(400 mg, 1.36 mmol)のジメチルホルムアミドジメチルアセタール(10 mL)溶液を室温で4時間撹拌した。室温まで冷却後、反応液に水を加え、酢酸エチル抽出(50 mL×3回)した。有機層を飽和食塩水で水洗後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(50 g)に付し、酢酸エチル-ヘキサン(80:20 v/v)流分より油状物のN,N-ジメチルアミノメチレン体(384 mg, 81%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3)δ: 2.77 (3H, br s), 3.32 (3H, br s), 7.20 (4H, d, J= 8.6 Hz), 7.35-7.60 (4H, m), 7.64 (1H, s).
【0070】
3) 4-(4-クロロベンゾイル)-5-(4-クロロフェニル)-1-メチルピラゾールの合成
N,N-ジメチルアミノメチレン体(380 mg, 1.09 mmol)、およびメチルヒドラジン(50 mg, 1.09 mmol)のエタノール(10 mL)溶液を室温で12時間撹拌した。反応終了後、エタノールを減圧留去した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(20 g)に付し、酢酸エチル-ヘキサン(15:85 v/v) 流分より油状物の4-(4-クロロベンゾイル)-5-(4-クロロフェニル)-1-メチルピラゾール(197 mg, 55%)とその次の流出物として異性体(39 mg, 11%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3)δ: 3.81 (3H, s), 7.33 (2H, d, J= 8.5 Hz), 7.39 (2H, d, J = 8.5 Hz), 7.44 (2H, d, J = 8.5 Hz), 7.61 (2H, d, J = 8.5 Hz), 7.82 (1H, s).
【0071】
実施例5
実施例1の方法に準じて以下のピリミジン誘導体を合成した。
【0072】
1) 5-(4-メチルベンゾイル)-4-(4-メチルフェニル)ピリミジン(以下、「5-106」と略記する場合がある)の合成
実施例1の3)の合成法に従い、N,N-ジメチルアミノメチレン-ジ(4-メチルベンゾイル)メタンとホルムアミジン酢酸塩を反応させ目的物を収率85%で得た。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3)δ: 2.29 (3H, s), 2.36 (3H, s), 7.11 (2H, d, J = 8.0 Hz), 7.17(2H, d, J = 8.0 Hz), 7.54 (2H, d, J = 8.0 Hz), 7.62 (2H, d, J = 8.0 Hz), 8.77 (1H, br s), 9.36 (1H, s).
【0073】
2) 2-アミノ-5-(4-メチルベンゾイル)-4-(4-メチルフェニル)ピリミジン(以下、「5-107」と略記する場合がある)の合成
実施例1の3)の合成法に従い、N,N-ジメチルアミノメチレン-ジ(4-メチルベンゾイル)メタンとグアニジン塩酸塩を反応させ目的物を収率91%で得た。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3)δ: 2.28 (3H, s), 2.35 (3H, s), 5.67 (2H, br s), 7.06 (2H, d, J = 8.0 Hz), 7.13 (2H, d, J = 8.0 Hz), 7.40 (2H, d, J = 8.0 Hz), 7.62 (2H, d, J = 8.0 Hz), 8.45 (1H, s).
【0074】
3) 2-アミノ-5-(4-クロロベンゾイル)-4-(4-クロロフェニル)ピリミジン(以下、「5-102」と略記する場合がある)の合成
実施例1の3)の合成法に従い、N,N-ジメチルアミノメチレン-ジ(4-クロロベンゾイル)メタンとグアニジン塩酸塩を反応させ目的物を収率97%で得た。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3)δ: 5.73 (2H, br s), 7.25 (2H, d, J = 8.4 Hz), 7.30 (2H, d, J = 8.6 Hz), 7.42 (2H, d, J = 8.4 Hz), 7.61 (2H, d, J = 8.6 Hz), 8.53 (1H, s).
【0075】
4) 5-(2-メトキシベンゾイル)-4-(2-メトキシフェニル)-2-メチルピリミジン(以下、「5-109」と略記する場合がある)の合成
実施例1の3)の合成法に従い、N,N-ジメチルアミノメチレン-ジ(2-メトキシベンゾイル)メタンとアセトアミジン塩酸塩を反応させ目的物を収率99%で得た。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3)δ: 2.85 (3H, s), 3.53 (6H, s), 6.51 (1H, d, J = 8.6 Hz), 6.58 (1H, d, J = 8.6 Hz), 6.88 (1H, dt, J = 0.8, 8.0 Hz), 6.93 (1H, dt, J = 0.8, 8.0 Hz), 7.17 (1H, dt, J = 0.8, 8.6 Hz), 7.27 (1H, dt, J = 0.8, 8.6 Hz),7.48 (1H, dd, J = 1.8, 7.6 Hz), 7.56 (1H, dd, J = 1.8, 7.6 Hz), 8.81 (1H, s).
【0076】
5) 5-(2-メトキシベンゾイル)-4-(2-メトキシフェニル)ピリミジン(以下、「5-108」と略記する場合がある)の合成
実施例1の3)の合成法に従い、N,N-ジメチルアミノメチレン-ジ(2-メトキシベンゾイル)メタンとホルムアミジン酢酸塩を反応させ目的物を収率42%で得た。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3)δ: 3.51 (3H, s), 3.55 (3H, s), 6.54 (1H, d, J = 8.5 Hz), 6.58 (1H, d, J = 8.5 Hz), 6.90 (1H, dt, J = 1.0, 7.4 Hz), 6.95 (1H, dt, J = 1.0, 7.4 Hz), 7.17-7.32 (2H, m),7.53 (1H, dd, J = 1.6, 7.2 Hz), 7.61 (1H, dd, J = 1.6, 7.2 Hz), 8.89 (1H, s), 9.34 (1H, s).
【0077】
6) 2-アミノ-5-(2-メトキシベンゾイル)-4-(2-メトキシフェニル)ピリミジン(以下、「5-110」と略記する場合がある)の合成
実施例1の3)の合成法に従い、N,N-ジメチルアミノメチレン-ジ(2-メトキシベンゾイル)メタンとグアニジン塩酸塩を反応させ目的物を収率83%で得た。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3)δ: 3.57 (3H, s), 3.60 (3H, s), 5.55 (2H, br s), 6.52 (1H, d, J = 8.3 Hz), 6.57 (1H, d, J = 7.8 Hz), 6.85 (1H, dt, J = 0.8, 7.8 Hz), 6.92 (1H, dt, J = 0.8, 7.8 Hz), 7.14-7.26 (2H, m),7.38 (1H, dd, J = 1.4, 7.3 Hz), 7.46 (1H, dd, J = 1.4, 7.3 Hz), 8.58 (1H, s).
【0078】
実施例6
実施例4の方法に準じて以下のピラゾール誘導体を合成した。
【0079】
1) 4-ベンゾイル-1-メチル-5-フェニルピラゾール(以下、「14-60」と略記する場合がある)の合成
実施例4の3)の合成法に従い、N,N-ジメチルアミノメチレン-ジベンゾイルメタンとフェニルヒドラジンを反応させ目的物を収率67%で得た。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3)δ: 3.82 (3H, s), 7.30-7.52 (8H, m), 7.75 (2H, d, J = 8.5 Hz), 7.87 (1H, s).
【0080】
2) 4-(4-メチルベンゾイル)-5-(4-メチルフェニル)-1-メチルピラゾール(以下、「14-63」と略記する場合がある)の合成
実施例4の3)の合成法に従い、N,N-ジメチルアミノメチレン-ジ(4-メチルベンゾイル)メタンとメチルヒドラジンを反応させ目的物を収率56%で得た。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3)δ: 2.40 (6H, s), 3.82 (3H, s), 7.20 (2H, d, J = 8.8 Hz), 7.23-7.29 (4H, m), 7.69 (2H, d, J = 8.8 Hz), 7.84 (1H, s).
【0081】
3) 4-(4-メチルベンゾイル)-3-(4-メチルフェニル)-1-メチルピラゾール(以下、「14-64」と略記する場合がある)の合成
実施例4の3)の合成法に従い、N,N-ジメチルアミノメチレン-ジ(4-メチルベンゾイル)メタンとメチルヒドラジンを反応させ異性体として目的物を収率25%で得た。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3)δ: 2.33 (3H, s), 2.39 (3H, s), 3.95 (3H, s), 7.12 (2H, d, J = 8.8 Hz), 7.18 (2H, d, J = 8.8 Hz), 7.54 (2H, d, J = 8.8 Hz), 7.69 (2H, d, J = 8.8 Hz), 7.70 (1H, s).
【0082】
4) 4-(4-フルオロベンゾイル)-5-(4-フルオロフェニル)-1-メチルピラゾール(以下、「14-100F」と略記する場合がある)の合成
実施例4の3)の合成法に従い、N,N-ジメチルアミノメチレン-ジ(4-フルオロベンゾイル)メタンとメチルヒドラジンを反応させ目的物を収率23%で得た。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3)δ: 3.82 (3H, s), 7.08 (2H, dd, J = 8.7, 8.7 Hz), 7.15 (2H, dd, J = 8.7, 8.7 Hz), 7.38 (2H, dd, J = 8.7, 5.6 Hz), 7.80 (2H, d, J = 8.7, 5.6 Hz), 7.84 (1H, s).
【0083】
5) 4-(3-クロロベンゾイル)-5-(3-クロロフェニル)-1-メチルピラゾール(以下、「14-118」と略記する場合がある)の合成
実施例4の3)の合成法に従い、N,N-ジメチルアミノメチレン-ジ(3-クロロベンゾイル)メタンとメチルヒドラジンを反応させ目的物を収率69%で得た。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3)δ: 3.82 (3H, s), 7.20-7.26 (1H, m), 7.29-7.47 (5H, m), 7.59-7.63 (1H, m), 7.66-7.68 (1H, m),7.87 (1H, s).
【0084】
6) 4-(2-クロロベンゾイル)-5-(2-クロロフェニル)-1-メチルピラゾール(以下、「14-119」と略記する場合がある)の合成
実施例4の3)の合成法に従い、N,N-ジメチルアミノメチレン-ジ(2-クロロベンゾイル)メタンとメチルヒドラジンを反応させ目的物を収率57%で得た。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3)δ: 3.68 (3H, s), 7.11-7.39 (8H, m), 7.91 (1H, s).
【0085】
7) 4-(4-クロロベンゾイル)-5-(4-クロロフェニル)ピラゾール(以下、「14-123」と略記する場合がある)の合成
実施例4の3)の合成法に従い、N,N-ジメチルアミノメチレン-ジ(4-クロロベンゾイル)メタンとヒドラジンを反応させ目的物を収率66%で得た。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3)δ: 7.36 (2H, d, J = 8.8 Hz), 7.41 (2H, d, J = 8.8 Hz), 7.59 (2H, d, J = 8.8 Hz), 7.75 (2H, d, J = 8.8 Hz). 7.93 (1H, br s).
【0086】
8) 4-(4-クロロベンゾイル)-5-(4-クロロフェニル)-1-イソプロピルピラゾール(以下、「14-111」と略記する場合がある)の合成
実施例4の4)の合成法に従い、N,N-ジメチルアミノメチレン-ジ(4-クロロベンゾイル)メタンとイソプロピルヒドラジン塩酸塩を反応させ目的物を収率76%で得た。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3)δ: 1.48 (6H, d, J = 6.6 Hz), 4.40 (1H, sep, J = 6.6 Hz), 7.29 (2H, d, J = 8.7 Hz), 7.39 (2H, d, J = 8.7 Hz), 7.45 (2H, d, J = 8.7 Hz), 7.73 (2H, d, J = 8.7 Hz). 7.86 (1H, s).
【0087】
9) 4-(4-クロロベンゾイル)-5-(4-クロロフェニル)-1-(2-ヒドロキシエチル)ピラゾール(以下、「14-113」と略記する場合がある)の合成
実施例4の4)の合成法に従い、N,N-ジメチルアミノメチレン-ジ(4-クロロベンゾイル)メタンと2-ヒドロキシエチルヒドラジン塩酸塩を反応させ目的物を収率85%で得た。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3)δ: 3.13 (1H, t, J = 7.7 Hz), 4.00-4.05 (2H, m), 4.14 (2H, t, J = 4.2 Hz), 7.34 (2H, d, J = 8.6 Hz), 7.39 (2H, d, J = 8.6 Hz), 7.43 (2H, d, J = 8.6 Hz), 7.71 (2H, d, J = 8.6 Hz). 7.87 (1H, s).
【0088】
10) 4-(4-クロロベンゾイル)-5-(4-クロロフェニル)-1-フェニルピラゾール(以下、「14-117」と略記する場合がある)の合成
実施例4の3)の合成法に従い、N,N-ジメチルアミノメチレン-ジ(4-クロロベンゾイル)メタンとフェニルヒドラジンを反応させ目的物を収率98%で得た。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3)δ: 7.20 (2H, d, J = 8.5 Hz), 7.22-7.29 (4H, m), 7.34-7.39 (3H, m),7.42 (2H, d, J = 8.5 Hz), 7.78 (2H, d, J = 8.5 Hz), 8.00 (1H, s).
【0089】
11) 4-(4-クロロベンゾイル)-5-(4-クロロフェニル)-1-(2-ピリジル)ピラゾール(以下、「14-116」と略記する場合がある)の合成
実施例4の4)の合成法に従い、N,N-ジメチルアミノメチレン-ジ(4-クロロベンゾイル)メタンと2-ピリジルヒドラジンを反応させ目的物を収率97%で得た。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3)δ: 7.21-7.31 (5H, m),7.41 (2H, d, J = 8.8 Hz), 7.45 (1H, d, J = 7.9 Hz), 7.85 (2H, d, J = 8.6 Hz), 7.75-7.82 (1H, m), 8.02 (1H, s), 8.38 (1H, dd, J = 5.3, 2.0 Hz).
【0090】
12) 4-(4-クロロベンゾイル)-5-(4-クロロフェニル)-1-(4-メチルフェニル)ピラゾール(以下、「14-129」と略記する場合がある)の合成
実施例4の4)の合成法に従い、N,N-ジメチルアミノメチレン-ジ(4-クロロベンゾイル)メタンと4-メチルフェニルヒドラジン塩酸塩を反応させ目的物を収率29%で得た。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3)δ: 2,36 (3H, s), 7.09-7.13 (4H, m), 7.19 (2H, d, J = 8.7 Hz), 7.26-7.28 (2H, m), 7.42 (2H, d, J = 8.7 Hz), 7.77 (2H, d, J = 8.7 Hz), 7.98 (1H, s).
【0091】
13) 4-(4-クロロベンゾイル)-1,5-ジ(4-クロロフェニル)ピラゾール(以下、「14-130」と略記する場合がある)の合成
実施例4の4)の合成法に従い、N,N-ジメチルアミノメチレン-ジ(4-クロロベンゾイル)メタンと4-クロロフェニルヒドラジン塩酸塩を反応させ目的物を収率29%で得た。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3)δ: 7.18 (2H, d, J = 8.8 Hz), 7.19 (2H, d, J = 8.5 Hz), 7.31 (2H, d, J = 8.5 Hz), 7.33 (2H, d, J = 8.8 Hz), 7.42 (2H, d, J = 8.5 Hz), 7.76 (2H, d, J = 8.5 Hz), 8.00 (1H, s).
【0092】
14) 4-(4-クロロベンゾイル)-5-(4-クロロフェニル)-1-(2-ニトロフェニル)ピラゾール(以下、「14-132」と略記する場合がある)の合成
実施例4の3)の合成法に従い、N,N-ジメチルアミノメチレン-ジ(4-クロロベンゾイル)メタンと2-ニトロフェニルヒドラジン塩酸塩を反応させ目的物を収率36%で得た。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3)δ: 7.25-7.28 (6H, m), 7.42 (2H, d, J = 8.5 Hz), 7.58-7.62 (2H, m), 7.78 (2H, d, J = 8.5 Hz), 8.02 (1H, s).
【0093】
15) 4-(4-クロロベンゾイル)-5-(4-クロロフェニル)-1-(1-ナフチル)ピラゾール(以下、「14-133」と略記する場合がある)の合成
実施例4の4)の合成法に従い、N,N-ジメチルアミノメチレン-ジ(4-クロロベンゾイル)メタンと1-ナフチルヒドラジン塩酸塩を反応させ目的物を収率78%で得た。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3)δ: 7.09 (4H, s), 7.26-7.29 (1H, m), 7.39-7.46 (3H, m), 7.51-7.61 (3H, m), 7.85 (2H, d, J = 8.5 Hz), 7.92 (2H, d, J = 8.1 Hz), 8.14 (1H, s).
【0094】
16) 4-(4-クロロベンゾイル)-5-(4-クロロフェニル)-1-(4-メトキシフェニル)ピラゾール(以下、「14-134」と略記する場合がある)の合成
実施例4の4)の合成法に従い、N,N-ジメチルアミノメチレン-ジ(4-クロロベンゾイル)メタンと4-メトキシフェニルヒドラジン塩酸塩を反応させ目的物を収率36%で得た。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3)δ: 3.82 (3H, s), 6.85 (2H, d, J = 8.8 Hz), 7.16 (2H, d, J = 8.8 Hz), 7.19 (2H, d, J = 8.4 Hz), 7.27 (2H, d, J = 8.4 Hz), 7.42 (2H, d, J = 8.4 Hz), 7.77 (2H, d, J = 8.4 Hz), 7.97 (1H, s).
【0095】
17) 4-(4-クロロベンゾイル)-5-(4-クロロフェニル)-1-(3,4-ジクロロフェニル)ピラゾール(以下、「14-139」と略記する場合がある)の合成
実施例4の4)の合成法に従い、N,N-ジメチルアミノメチレン-ジ(4-クロロベンゾイル)メタンと3,4-ジクロロフェニルヒドラジン塩酸塩を反応させ目的物を収率43%で得た。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3)δ: 6.95 (1H, dd, J = 8.7, 2.3 Hz), 7.21 (2H, d, J = 8.4 Hz), 7.34 (2H, d, J = 8.4 Hz), 7.37 (1H, d, J = 8.7 Hz), 7.43 (2H, d, J = 8.7 Hz), 7.54 (1H, d, J = 2.3 Hz), 7.76 (2H, d, J = 8.7 Hz), 8.00 (1H, s).
【0096】
18) 1-ベンジル-4-(4-クロロベンゾイル)-5-(4-クロロフェニル)ピラゾール(以下、「14-115」と略記する場合がある)の合成
実施例4の4)の合成法に従い、N,N-ジメチルアミノメチレン-ジ(4-クロロベンゾイル)メタンとベンジルヒドラジン塩酸塩を反応させ目的物を収率93%で得た。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3)δ: 4.83 (2H, br s), 7.22 (1H, d, J = 8.4 Hz), 7.33 (2H, d, J = 8.4 Hz), 7.40-7.44 (4H, m), 7.76 (2H, d, J = 8.4 Hz), 7.92 (2H, d, J = 8.4 Hz), 7.76 (2H, d, J = 8.6 Hz), 8.04 (1H, s).
【0097】
19) 4-(4-ブロモベンゾイル)-5-(4-ブロモフェニル)-1-(4-メチルフェニル)ピラゾール(以下、「14-140」と略記する場合がある)の合成
実施例4の4)の合成法に従い、N,N-ジメチルアミノメチレン-ジ(4-ブロモベンゾイル)メタンと4-メチルフェニルヒドラジン塩酸塩を反応させ目的物を収率55%で得た。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3)δ: 2.36 (3H, s), 7.09-7.16 (6H, m), 7.43 (2H, d, J = 8.6 Hz), 7.59 (2H, d, J = 8.6 Hz), 7.70 (2H, d, J = 8.7 Hz), 7.98 (1H, s).
【0098】
20) 4-(4-ブロモベンゾイル)-5-(4-ブロモフェニル)-1-(2-クロロフェニル)ピラゾール(以下、「14-142」と略記する場合がある)の合成
実施例4の4)の合成法に従い、N,N-ジメチルアミノメチレン-ジ(4-ブロモベンゾイル)メタンと2-クロロフェニルヒドラジン塩酸塩を反応させ目的物を収率27%で得た。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3)δ: 7.12 (2H, d, J = 8.7 Hz),7.35-7.44 (6H, m), 7.59 (2H, d, J = 8.7 Hz), 7.71 (2H, d, J = 8.5 Hz), 8.05 (1H, s).
【0099】
21) 4-(4-ブロモベンゾイル)-5-(4-ブロモフェニル)-1-(2-ニトロフェニル)ピラゾール(以下、「14-143」と略記する場合がある)の合成
実施例4の3)の合成法に従い、N,N-ジメチルアミノメチレン-ジ(4-ブロモベンゾイル)メタンと2-ニトロフェニルヒドラジン塩酸塩を反応させ目的物を収率55%で得た。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3)δ: 7.19 (2H, d, J = 8.6 Hz), 7.23-7.29 (1H, m), 7.41 (2H, d, J = 8.3 Hz),7.57-7.62 (4H, m), 7.70 (2H, d, J = 8.3 Hz), 7.97-8.00 (1H, m), 8.01 (1H, s).
【0100】
22) 4-(4-ブロモベンゾイル)-5-(4-ブロモフェニル)-1-(1-ナフチル)ピラゾール(以下、「14-144」と略記する場合がある)の合成
実施例4の4)の合成法に従い、N,N-ジメチルアミノメチレン-ジ(4-ブロモベンゾイル)メタンと1-ナフチルヒドラジン塩酸塩を反応させ目的物を収率30%で得た。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3)δ: 7.02 (2H, d, J = 8.6 Hz), 7.23-7.29 (2H, m), 7.42 (1H, t, J = 7.4 Hz),7.50-7.57 (4H, m), 7.62 (2H, d, J = 8.3 Hz), 7.77 (2H, d, J = 8.3 Hz), 7.93 (2H, d, J = 8.3 Hz), 8.13 (1H, s).
【0101】
23) 4-(4-ブロモベンゾイル)-5-(4-ブロモフェニル)-1-(4-シアノフェニル)ピラゾール(以下、「14-146」と略記する場合がある)の合成
実施例4の4)の合成法に従い、N,N-ジメチルアミノメチレン-ジ(4-ブロモベンゾイル)メタンと4-シアノフェニルヒドラジン塩酸塩を反応させ目的物を収率18%で得た。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3)δ: 7.14 (2H, d, J = 8.3 Hz), 7.39 (2H, d, J = 8.3 Hz), 7.50 (2H, d, J = 8.5 Hz), 7.59 (2H, d, J = 8.5 Hz), 7.65 (2H, d, J = 6.3 Hz), 7.68 (2H, d, J = 6.3 Hz),8.03 (1H, s).
【0102】
25) 1-ベンジル-4-(4-ブロモベンゾイル)-5-(4-ブロモフェニル)ピラゾール(以下、「14-173」と略記する場合がある)の合成
実施例4の4)の合成法に従い、N,N-ジメチルアミノメチレン-ジ(4-ブロモベンゾイル)メタンとベンジルヒドラジン塩酸塩を反応させ目的物を収率36%で得た。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3)δ: 5.24 (2H, s), 7.05-7.08 (2H, m), 7.15 (2H, d, J = 8.4 Hz), 7.29-7.32 (3H, m), 7.53 (2H, d, J = 8.6 Hz), 7.56 (2H, d, J = 8.8 Hz), 7.65 (2H, d, J = 8.8 Hz), 7.89 (1H, s).
【0103】
26) 4-(4-ブロモベンゾイル)-5-(4-ブロモフェニル)-1-(3,4-ジクロロフェニル)ピラゾール(以下、「14-150」と略記する場合がある)の合成
実施例4の4)の合成法に従い、N,N-ジメチルアミノメチレン-ジ(4-ブロモベンゾイル)メタンと3,4-ジクロロフェニルヒドラジン塩酸塩を反応させ目的物を収率45%で得た。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3)δ: 6.95 (1H, dd, J = 8.8, 2.8 Hz), 7.15 (2H, d, J = 8.2 Hz), 7.38 (1H, d, J = 8.8 Hz), 7. 49 (2H, d, J = 8.2 Hz), 7.55 (1H, d, J = 2.8 Hz), 7.59 (2H, d, J = 8.2 Hz), 7.68 (2H, d, J = 8.2 Hz), 8.00 (1H, s).
【0104】
27) 1-(2-クロロフェニル)-4-(4-メチルベンゾイル)-5-(4-メチルフェニル)ピラゾール(以下、「14-153」と略記する場合がある)の合成
実施例4の4)の合成法に従い、N,N-ジメチルアミノメチレン-ジ(4-メチルベンゾイル)メタンと2-クロロフェニルヒドラジン塩酸塩を反応させ目的物を収率55%で得た。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3)δ: 2,33 (3H, s), 2,41 (3H, s), 7.01 (2H, d, J = 8.1 Hz), 7.12 (2H, d, J = 8.0 Hz), 7.22 (2H, d, J = 8.1 Hz), 7.29-7.38 (3H, m), 7.42-7.45 (1H, m), 7.77 (2H, d, J = 8.4 Hz), 8.05 (1H, s).
【0105】
28) 4-(4-メチルベンゾイル)-5-(4-メチルフェニル)-1-(1-ナフチル)ピラゾール(以下、「14-155」と略記する場合がある)の合成
実施例4の4)の合成法に従い、N,N-ジメチルアミノメチレン-ジ(4-メチルベンゾイル)メタンと1-ナフチルヒドラジン塩酸塩を反応させ目的物を収率30%で得た。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3)δ: 2.18 (3H, s), 2.42 (3H, s), 6.88 (2H, d, J = 8.4 Hz), 7.03 (2H, t, J = 8.1 Hz), 7.23-7.29 (3H, m), 7.39 (1H, t, J = 8.1 Hz), 7.49-7.60 (3H, m), 7.82 (2H, d, J = 7.9 Hz), 7.89 (2H, d, J = 7.8 Hz), 8.13 (1H, s).
【0106】
29) 4-(4-メチルベンゾイル)-5-(4-メチルフェニル)-1-(4-メトキシフェニル)ピラゾール(以下、「14-156」と略記する場合がある)の合成
実施例4の4)の合成法に従い、N,N-ジメチルアミノメチレン-ジ(4-メチルベンゾイル)メタンと4-メトキシフェニルヒドラジン塩酸塩を反応させ目的物を収率55%で得た。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3)δ: 2,31 (3H, s), 2,41 (3H, s), 3.80 (3H, s), 6.83 (2H, d, J = 8.7 Hz), 7.07 (2H, d, J = 8.3 Hz), 7.14 (2H, d, J = 8.0 Hz), 7.18 (2H, d, J = 8.7 Hz), 7.22 (2H, d, J = 8.0 Hz), 7.75 (2H, d, J = 8.3 Hz), 7.97 (1H, s).
【0107】
30) 1-(4-シアノシフェニル)-4-(4-メチルベンゾイル)-5-(4-メチルフェニル)ピラゾール(以下、「14-157」と略記する場合がある)の合成
実施例4の4)の合成法に従い、N,N-ジメチルアミノメチレン-ジ(4-メチルベンゾイル)メタンと4-シアノシフェニルヒドラジン塩酸塩を反応させ目的物を収率36%で得た。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3)δ: 2,35 (3H, s), 2,41 (3H, s), 7.14 (4H, s), 7.23 (2H, d, J = 8.7 Hz), 7.40 (2H, d, J = 8.5 Hz), 7.61 (2H, d, J = 8.7 Hz), 7.73 (2H, d, J = 8.5 Hz), 8.03 (1H, s).
【0108】
31) 1-ベンジル-4-(4-メチルベンゾイル)-5-(4-メチルフェニル)ピラゾール(以下、「14-174」と略記する場合がある)の合成
実施例4の4)の合成法に従い、N,N-ジメチルアミノメチレン-ジ(4-メチルベンゾイル)メタンとベンジルヒドラジン塩酸塩を反応させ目的物を収率77%で得た。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3)δ: 2,38 (3H, s), 2,39 (3H, s), 5.29 (2H, s), 7.08-7.11 (2H, m), 7.18-7.21 (6H, m), 7.29-7.32 (3H, m), 7.70 (2H, d, J = 8.6 Hz), 7.92 (1H, s).
【0109】
32) 4-(2-メトキシベンゾイル)-5-(2-メトキシフェニル)-1-(4-メチルフェニル)ピラゾール(以下、「14-162」と略記する場合がある)の合成
実施例4の4)の合成法に従い、N,N-ジメチルアミノメチレン-ジ(2-メトキシベンゾイル)メタンと4-メチルフェニルヒドラジン塩酸塩を反応させ目的物を収率34%で得た。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3)δ: 2,29 (3H, s), 3.45 (3H, s), 3.65 (3H, s), 6.61 (1H, d, J = 8.4 Hz), 6.62 (1H, d, J = 8.4 Hz), 6.74 (1H, t, J = 7.5 Hz), 6.83 (1H, t, J = 7.5 Hz), 6.98 (1H, dd, J = 2.0, 7.5 Hz), 7.04 (2H, d, J = 8.6 Hz), 7.10 (2H, d, J = 8.6 Hz), 7.15-7.18 (1H, m), 7.20-7.23 (1H, m), 7.26-7.29 (1H, m), 8.10 (1H, s).
【0110】
33) 1-(4-クロロフェニル)-4-(2-メトキシベンゾイル)-5-(2-メトキシフェニル)ピラゾール(以下、「14-163」と略記する場合がある)の合成
実施例4の4)の合成法に従い、N,N-ジメチルアミノメチレン-ジ(2-メトキシベンゾイル)メタンと4-クロロフェニルヒドラジン塩酸塩を反応させ目的物を収率41%で得た。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3)δ: 3.45 (3H, s), 3.64 (3H, s), 6.62 (1H, d, J = 8.4 Hz), 6.63 (1H, d, J = 8.4 Hz), 6.75 (1H, dt, J = 7.5, 1.0 Hz), 6.84 (1H, dt, J = 7.5, 1.0 Hz), 7.00 (1H, dd, J = 7.5, 1.7 Hz), 7.14-7.29 (7H, m), 8.11 (1H, s).
【0111】
34) 4-(2-メトキシベンゾイル)-5-(2-メトキシフェニル)-1-(4-メトキシフェニル)ピラゾール(以下、「14-167」と略記する場合がある)の合成
実施例4の4)の合成法に従い、N,N-ジメチルアミノメチレン-ジ(2-メトキシベンゾイル)メタンと4-メトキシフェニルヒドラジン塩酸塩を反応させ目的物を収率48%で得た。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3)δ: 3.47 (3H, s), 3.65 (3H, s), 3.76 (3H, s), 6.60 (1H, d, J = 8.3 Hz), 6.63 (1H, d, J = 8.3 Hz), 6.71-6.78 (3H, m), 6.83 (1H, t, J = 7.5 Hz), 6.98 (1H, dd, J = 7.5, 1.7 Hz), 7.10-7.28 (5H, m), 8.09 (1H, s).
【0112】
35) 1-(4-シアノフェニル)-4-(2-メトキシベンゾイル)-5-(2-メトキシフェニル)ピラゾール(以下、「14-168」と略記する場合がある)の合成
実施例4の4)の合成法に従い、N,N-ジメチルアミノメチレン-ジ(2-メトキシベンゾイル)メタンと4-シアノフェニルヒドラジン塩酸塩を反応させ目的物を収率90%で得た。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3)δ: 3.42 (3H, s), 3.64 (3H, s), 3.76 (3H, s), 6.61-6.64 (2H, m), 6.76 (1H, t, J = 7.5 Hz), 6.84 (1H, t, J = 7.5 Hz), 7.02 (1H, dd, J = 7.5, 1.8 Hz), 7.18-7.25 (2H, m), 7.29-7.34 (3H, m), 7.71 (2H, d, J = 8.7 Hz), 8.15 (1H, s).
【0113】
36) 1-(3,4-ジメチルフェニル)-4-(2-メトキシベンゾイル)-5-(2-メトキシフェニル)ピラゾール(以下、「14-169」と略記する場合がある)の合成
実施例4の4)の合成法に従い、N,N-ジメチルアミノメチレン-ジ(2-メトキシベンゾイル)メタンと3,4-ジメチルフェニルヒドラジン塩酸塩を反応させ目的物を収率48%で得た。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3)δ: 2.16 (3H, s), 2.19 (3H, s), 3.47 (3H, s), 3.65 (3H, s), 6.61 (1H, d, J = 8.3 Hz), 6.63 (1H, d, J = 8.3 Hz), 6.74 (1H, t, J = 7.6 Hz), 6.80-6.87 (2H, m), 6.93-6.99 (2H, m), 7.10-7.29 (4H, m), 8.10 (1H, s).
【0114】
37) 1-(4-ブロモフェニル)-4-(2-メトキシベンゾイル)-5-(2-メトキシフェニル)ピラゾール(以下、「14-170」と略記する場合がある)の合成
実施例4の4)の合成法に従い、N,N-ジメチルアミノメチレン-ジ(2-メトキシベンゾイル)メタンと4-ブロモフェニルヒドラジン塩酸塩を反応させ目的物を収率55%で得た。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3)δ: 3.45 (3H, s), 3.64 (3H, s), 6.62 (1H, d, J = 8.3 Hz), 6.64 (1H, d, J = 8.3 Hz), 6.76 (1H, t, J = 7.7 Hz), 6.84 (1H, t, J = 7.7 Hz), 7.00 (1H, dd, J = 7.7, 1.8 Hz), 7.10 (2H, d, J = 8.8 Hz), 7.18-7.31 (3H, m), 7.38 (2H, d, J = 8.8 Hz), 8.12 (1H, s).
【0115】
38) 1-(3,4-ジクロロフェニル)-4-(2-メトキシベンゾイル)-5-(2-メトキシフェニル)ピラゾール(以下、「14-172」と略記する場合がある)の合成
実施例4の4)の合成法に従い、N,N-ジメチルアミノメチレン-ジ(2-メトキシベンゾイル)メタンと3,4-ジクロロフェニルヒドラジン塩酸塩を反応させ目的物を収率66%で得た。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3)δ: 3.48 (3H, s), 3.64 (3H, s), 6.62 (1H, d, J = 8.6 Hz), 6.65 (1H, d, J = 8.6 Hz), 6.78 (1H, t, J = 7.5 Hz), 6.84 (1H, t, J = 7.5 Hz), 6.97-7.02 (2H, m), 7.19-7.30 (4H, m), 7.47 (1H, d, J = 2.5 Hz), 8.12 (1H, s).
【0116】
39) 1-ベンジル-4-(2-メトキシベンゾイル)-5-(2-メトキシフェニル)ピラゾール(以下、「14-175」と略記する場合がある)の合成
実施例4の4)の合成法に従い、N,N-ジメチルアミノメチレン-ジ(2-メトキシベンゾイル)メタンとベンジルヒドラジン塩酸塩を反応させ目的物を収率75%で得た。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3)δ: 3.57 (3H, s), 3.64 (3H, s), 5.11 (2H, q, J = 8.2 Hz), 6.58 (1H, d, J = 8.2 Hz), 6.68 (1H, d, J = 7.5 Hz), 6.76 (1H, d, J = 7.5 Hz), 6.81 (1H, d, J = 7.5 Hz), 6.95-7.02 (3H, m), 7.13-7.24 (6H, m), 8.04 (1H, s).
【0117】
試験例1
膵癌細胞走化性抑制効果(in vitro)
画像解析に基づいたリアルタイム細胞動態解析法(TAXIScan法)(J Immunol. Methods. 282:1, 2003、J Immunol. Methods. 320:55, 2007、J Immunol. Methods. 404:59, 2014およびBMC cancer.17:234, 2017を参照)(
図1)を用いて、膵癌細胞で走化能・浸潤能を評価する系を構築し、実施例1~4で合成した化合物について膵癌細胞の走化性の抑制効果を評価した。その結果を
図2に示す。
図2から分かるように、実施例1~4で合成した化合物は、膵癌細胞株BxPC-3のウシ胎児血清に対する走化性、特に移動の速さを抑制し、その速さは走化性因子無しの細胞とほぼ同じ速さまで抑制された。
【0118】
試験例2
膵癌細胞増殖抑制効果(in vivo)
1x10
6個のヒト膵癌細胞株BxPC-3を100μLのリン酸緩衝液に懸濁し、5週齢のヌードマウスの背部の皮下に接種した。接種7日後に生着を確認後、マウス1匹あたり1mg(40mg/kg体重に相当)の実施例4で合成した化合物を週1回経口投与した。投与時はジメチルスルホキシドに溶解した化合物30mg/mLをオリーブ油にて1mg/100μLに希釈し、胃ゾンデを用いて強制的に経口投与した。
その結果を
図3に示す。
図3から分かるように、実施例4で合成した化合物は、既存薬のゲムシタビンよりも、ヌードマウスの背部に接種した膵癌細胞株BxPC-3の増大を抑制した。
【0119】
試験例3
膵癌細胞転移抑制効果(in vivo)
ヌードマウス(系統名:BALB/c Ajcl-nu/nu;5-6週齢)にGFPラベル-ヒト膵癌細胞株BxPC-3を皮下移植(200 μl PBS中4.0 x 10
6)した後、増殖した腫瘍組織を切除し、分離した腫瘍から切り出した塊(4mm
3)を別のマウス16匹の膵臓内へ移植した。移植2週間後に4グループに分け(4匹/グループ)、毎週薬物を投与し、毎週体表から蛍光量、腫瘍の個数を計測した。50日(約7週間)後に安楽死させて、開腹し、蛍光量を直接計測した。統計は、ノンパラメトリックな方法を用いて、Kruskal-Wallis testにて有意差を検討し、p<0.05を有意とした。
グループ1:薬剤なし
グループ2:ゲムシタビン(i.p.)
グループ3:実施例4の化合物(ストック溶液:DMSO中100mM)(p.o.)
グループ4:ゲムシタビン(i.p.)+実施例4の化合物(ストック溶液:DMSO中100mM)(p.o.)
その結果(体重の変化(移植時を1とする)、転移が見られた個体数、および腫瘍からの蛍光量の比較)を、それぞれ
図4~6に示す。
図4から分かるように、グループ1(薬剤なし)以外は体重が増加した。
図5から分かるように、グループ1(薬剤なし)は22日後に、グループ2(ゲムシタビン投与)は36日後に転移が観られたが、グループ3(実施例4の化合物投与)およびグループ4(ゲムシタビン+実施例4の化合物投与)は転移が観られなかった。
図6から分かるように、グループ4(ゲムシタビン+実施例4の化合物投与)ではグループ1(薬剤なし)と比べて有意に蛍光量が少なく、腫瘍増大が抑えられた。
【0120】
試験例4
膵癌細胞走化性抑制効果(in vitro)
試験例1と同様にして、実施例5及び実施例6で合成した化合物について膵癌細胞の走化性の抑制効果を評価した。その結果を
図7~10に示す。
図7から分かるように、実施例5及び実施例6で合成した化合物は、膵癌細胞株BxPC-3のウシ胎児血清に対する走化性の成分のうち移動の速さを有意に抑制した。
図8から分かるように、実施例5及び実施例6で合成した化合物は、膵癌細胞株BxPC-3のウシ胎児血清に対する走化性の成分のうち方向性を有意に抑制した。
図9から分かるように、実施例5及び実施例6で合成した化合物は、膵癌細胞株BxPC-3のウシ胎児血清に対する走化性の成分のうち移動の速さを有意に抑制した。
図10から分かるように、実施例5及び実施例6で合成した化合物は、膵癌細胞株BxPC-3のウシ胎児血清に対する走化性の成分のうち方向性を有意に抑制した。
【0121】
国内の膵癌の罹患数は年間約3万3千人(2010年)で全癌の7~9%を占め、死亡者数は年間約3万人(2012年)、全世界の罹患数は毎年約27万7千人で、全癌の2.2%である。5年生存率(全ステージ)は1981~1990年で約7%、2001~2007年で約13%程度と治療成績は向上しつつもいまだに不良である。この間、新薬や手術方法が進歩してきたが、膵癌の克服には程遠い。本発明が臨床応用に至れば、これらの患者の予後を劇的に改善できる効果が期待される。
膵癌のみならず、本発明の基となっているin vitro細胞動態解析法では、肺癌、大腸癌、乳癌細胞、卵巣癌、肉腫系細胞でも走化性アッセイ系を確立しており、今後、これらの癌を含めた広範囲な癌転移抑制効果の評価が可能である。全ての癌罹患数は国内約98万人(2015年推計)、全世界では1400万人(2012年推計)で、死亡者数は国内約37万人(2015年推計)、全世界では年間約820万(2012年推計)である。これらの癌患者の中でも一部で治療効果が期待される。
また、
図2で示された通り、既存薬のゲムシタビンで見られる細胞毒性が少ないことから、臨床応用の際に既存薬よりも副作用が少ないことが期待される。現在、癌治療において副作用により投薬を断念せざるを得ない場合もあるので、治療の中断や中止を避けることができる効果も期待される。