(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023013467
(43)【公開日】2023-01-26
(54)【発明の名称】ポンプユニット及びポンプ装置
(51)【国際特許分類】
F04B 43/12 20060101AFI20230119BHJP
F04B 43/10 20060101ALI20230119BHJP
【FI】
F04B43/12 J
F04B43/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021117676
(22)【出願日】2021-07-16
(71)【出願人】
【識別番号】599011687
【氏名又は名称】学校法人 中央大学
(74)【代理人】
【識別番号】100141243
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 靖夫
(72)【発明者】
【氏名】中村 太郎
(72)【発明者】
【氏名】熊本 寛也
(72)【発明者】
【氏名】鵜澤 匠吾
【テーマコード(参考)】
3H077
【Fターム(参考)】
3H077AA01
3H077CC04
3H077CC08
3H077CC10
3H077DD09
3H077EE02
3H077FF07
3H077FF45
(57)【要約】
【課題】移送効率を向上可能なポンプユニット及びポンプ装置を提供する。
【解決手段】外筒と、外筒の内周側に設けられ、弾性体より成る内筒と、内筒の軸方向両端部及び前記外筒の軸方向両端部に固定され、内筒の外周と外筒の内周との間の空間を閉空間とする端部部材とを備え、内筒が、閉空間に流体を供給することにより求心方向に向けて膨張し、閉空間から流体を排出することにより収縮し、閉空間が大気圧状態となることで自由状態に復元可能とされたポンプユニットであって、内筒は、自由状態における軸方向断面において、内周側の表面形状に沿う経路長が、両端部間の直線距離よりも長い形状を有する構成とした。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外筒と、前記外筒の内周側に弾性を有する素材により構成された内筒とを備え、
外筒の内周面と内筒の外周面とで区画される閉空間に流体を供給することにより内筒を求心方向に膨張させ、供給した流体を排出することによりその弾性により収縮可能に構成されたポンプユニットであって、
前記内筒は、前記収縮時の自由状態における軸方向断面において、両端部間の内周面に沿う経路長が、両端部間の直線距離よりも長い形状を有することを特徴とするポンプユニット。
【請求項2】
前記内筒は、自由状態において求心方向に膨張する膨出部を備えることを特徴とする請求項1に記載のポンプユニット。
【請求項3】
前記内筒は、自由状態において一方の端部部材を超えて軸方向に突出する突出部を備えることを特徴とする請求項1に記載のポンプユニット。
【請求項4】
前記請求項1乃至請求項3いずれか1項に記載のポンプユニットを備えたポンプ装置であって、
前記ポンプユニットにおける閉空間から強制的に流体を排出可能とする減圧手段と、
を備え、
前記減圧手段は、ポンプユニットの収縮時に閉空間を陰圧とすることを特徴とするポンプ装置。
【請求項5】
前記ポンプユニットを3以上連結してなるポンプ部を備え、
前記ポンプ部は、前記減圧手段により陰圧とされたポンプユニットの上流側に隣接するポンプユニットと、下流側に隣接するポンプユニットとが膨張状態にあることを特徴とする請求項4に記載のポンプ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポンプユニット及びポンプ装置に、関し、特に、蠕動運動を利用して搬送物を移送するポンプ装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、外筒と、外筒の内周面に沿って設けられた内筒と、内筒と外筒との間に加圧用媒体を供給するための通路とを有し、内筒の筒軸心方向の両端部を外筒に保持させるとともに、内筒の軸心線方向に延在され、内筒の変形を拘束する拘束体を内筒の周方向に間隔をあけて複数箇所に設けることで、内筒が加圧用媒体の圧力によって求心方向に膨張可能とされたポンプユニットを複数連結し、連結されたポンプユニットを蠕動運動を模すように膨張、収縮させることにより、内筒の内周側を移送路として搬送物を移送可能とされたポンプ装置が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このようなポンプユニットは、例えば、
図10(a)に示す収縮状態から、
図10(b)に示すように、内筒が膨張したときに、内筒の達することのない空間(デッドスペース)が存在してしまう。このような空間は、搬送物の圧送に寄与せず、搬送物の移送効率の向上に影響を与えている。
そこで、本発明は、上記問題を解決すべく、移送効率を向上可能なポンプユニット及びポンプ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためのポンプユニットの構成として、外筒と、前記外筒の内周側に弾性を有する素材により構成された内筒とを備え、外筒の内周面と内筒の外周面とで区画される閉空間に流体を供給することにより内筒を求心方向に膨張させ、供給した流体を排出することによりその弾性により収縮可能に構成されたポンプユニットであって、前記内筒は、前記収縮時の自由状態における軸方向断面において、両端部間の内周面に沿う経路長が、両端部間の直線距離よりも長い形状を有する構成とした。
本構成によれば、内筒が、両端部間の直線距離よりも、自由状態における軸方向断面において内周側の表面形状に沿う経路長を有することにより、求心方向に膨張しやすくなり、膨張時のデッドスペースを小さくすることができる。その結果、移送効率の向上に寄与することができる。
内筒は、求心方向に膨張する膨出部を備える構成としたり、一方の端部部材を超えて軸方向に突出する突出部を備える構成としても良い。
また、上記課題を解決するためのポンプ装置の構成として、請求項1乃至請求項3いずれか1項に記載のポンプユニットを備えたポンプ装置であって、ポンプユニットにおける閉空間から強制的に流体を排出可能とする減圧手段とを備え、減圧手段は、ポンプユニットの収縮時に閉空間を陰圧とする構成とした。
本構成によれば、内筒内に多くの搬送物を取り込むことができ、移送効率を向上させることができる。
また、ポンプ装置は、ポンプユニットを3以上連結してなるポンプ部を備え、ポンプ部は、減圧手段により陰圧とされたポンプユニットの上流側に隣接するポンプユニットと、下流側に隣接するポンプユニットとを膨張状態としたことにより、上流側及び下流側に隣接するポンプユニットの内筒に負圧を作用させることができ、上流側及び下流側に隣接するポンプユニットに生じるデッドスペースを小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図2】本実施形態に係るポンプユニットの収縮状態を示す図である。
【
図3】本実施形態に係るポンプユニットの膨張状態を示す図である。
【
図5】本実施形態に係る内筒の軸方向平面視及び軸方向断面図である。
【
図6】本実施形態に係るポンプユニット及び従来のポンプユニットの移送率の比較した試験環境及びその結果を示す図である。
【
図8】内筒の他の形態に係るポンプユニットを示す図である。
【
図9】内筒の他の形態に係るポンプユニットの作用を示す図である。
【
図11】ポンプユニットの他の形態を示す図である。
【
図13】流体室を陰圧としたときのポンプユニットの収縮状態を示す図である。
【
図14】ポンプユニットの膨張を積極的に利用したポンプ部の動作の一例を示した図である。
【
図15】ポンプユニットの収縮を積極的に利用したポンプ部の動作の一例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、発明の実施形態を通じて本発明を詳説するが、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明される特徴の組み合わせのすべてが発明の解決手段に必須であるとは限らず、選択的に採用される構成を含むものである。
【0008】
図1は、ポンプ装置の一実施形態を示す概略構成図である。
図1に示すように、ポンプ装置1は、移送対象の搬送物を圧送するポンプ部8(ポンプ)と、ポンプ部8の動作を制御する制御部100とを備える。ポンプ部8は、例えば、移送対象を搬送するために設けられた配管の途中に、配管と一体的に設けられたり、ポンプ部8が配管そのものとなるように設けられる。ポンプ部8は、複数のポンプユニット10を直列に連結して構成され、各ポンプユニット10の動作が制御部100により個別に制御される。
【0009】
制御部100は、作動流体としての圧縮空気を供給する空気供給手段102と、空気供給手段102から各ポンプユニット10への圧縮空気の供給、及びポンプユニット10に供給した圧縮空気を排出を可能とする弁をポンプユニット10の数量分設けたバルブユニット104と、バルブユニット104に設けられた各弁を個別に制御する制御ユニット106と、各弁と各ポンプユニット10との空気の流通を可能にする管108とを備える。なお、以下の説明では、作動流体として圧縮空気として説明するが、これに限定されず、作動流体は、液体や他の気体等であっても良い。
【0010】
制御ユニット106は、演算手段としてのCPU、ROM,RAM等の記憶手段、入出力手段とを含む。記憶手段には、ポンプ部8を構成するポンプユニット10を駆動するためのプログラム等が格納され、CPUが記憶手段に記憶されたプログラムに従った処理を実行することにより、入出力手段を介してバルブユニット104の各弁に、弁を開閉するための信号を出力し、複数のポンプユニット10による蠕動運動を摸したポンプ動作を実行させる。
【0011】
[ポンプユニット10について]
図2は、ポンプユニット10の収縮状態における軸方向平面図及び軸方向断面図である。
図3は、ポンプユニット10の膨張状態における軸方向平面図及び軸方向断面図である。
図2,
図3に示すように、ポンプユニット10は、外筒14と、外筒14の内周側に二重管を形成するように同軸的に配置される内筒12と、内筒12の外周と外筒14の内周との間に形成される空間を閉塞する一対の端部部材16;16とを備える。
【0012】
ポンプユニット10は、端部部材16;16により閉塞され、外筒14の内周と、内筒12の外周との間に形成された空間に圧縮空気を供給することで内筒12を軸方向に膨張可能に構成される。
【0013】
[外筒について]
外筒14は、剛性を有する円筒体として構成される。外筒14を構成する素材には、例えば、金属や樹脂等の素材が利用できる。なお、剛性を有するとは、ポンプユニット10の動作時に、軸方向や半径方向等に実質的に変形しないことをいう。
【0014】
図2,
図3に示すように、外筒14は、円筒状の筒部14Aの両端にフランジ部14Bを備える。フランジ部14Bは、筒部14Aと一体的に形成され、筒部14Aの端部において半径方向外側に向けて同心円状に広がる中空円板状に形成されている。
【0015】
[内筒について]
図2,
図3に示すように、内筒12は、円筒状の筒部12Aと、該筒部12Aの両端にフランジ部12Bを備える。フランジ部12Bは、筒部12Aと一体的に形成され、筒部12Aの端部において半径方向外側に向けて同心円状に広がる中空円板状に形成されている。このフランジ部12Bは、先端(外周部)に、筒部12A側(軸方向内向き)に突出する突起部13が全周にわたり形成されている。
【0016】
内筒12は、気密性及び弾性を有する変形自在な筒状体として構成される。内筒12を構成する素材には、例えば、天然ラテックスゴムやシリコーンゴム等のゴムやエラストマー等の弾性素材が利用できる。
【0017】
内筒12は、円筒状の筒部12Aと、該筒部12Aの両端にフランジ部12Bを備える。フランジ部12Bは、筒部12Aと一体的に形成され、筒部12Aの端部において半径方向外側に向けて同心円状に広がる中空円板状に形成されている。このフランジ部12Bは、先端(外周部)に、筒部12A側(軸方向内向き)に突出する突起部13が全周にわたり形成されている。
【0018】
図4は、本実施形態に係る内筒の外観斜視図を示したものである。また、
図5(a)は、内筒12を軸方向視したときの平面図、
図5(b)は、
図5(a)のA1-A1における軸方向断面図、
図5(c)は、
図5(a)のA2-A2における軸方向断面図である。
【0019】
図4,
図5(a),(b)に示すように、内筒12は、自由状態において筒部12Aが軸方向に膨出する膨出部30を有するように形成されている。膨出部30は、円周方向に複数箇所(本実施形態では4箇所)設けられている。なお、自由状態とは、JIS B 0026に定義されるように、重力だけを受けた状態をいい、他の外力が付加されていないことをいう。
【0020】
図5(b)は、膨出部30の頂部近傍の軸方向断面図である。同図に示すように、膨出部30は、端部部材16;16間において軸方向にはU字状に窪む形状を呈し、半径方向にはV字状に窪んだ状態で軸方向に沿って延長するように形成される。
図5(a)に示すように、筒部12Aは、複数の膨出部30の形成により、隣接する膨出部30の間に、見かけ上、内周側から半径方向外向きに窪む凹部32が複数形成される。
【0021】
図3(c)は、凹部32の底部近傍の軸方向断面図である。
同図に示すように、凹部32は、端部部材16;16間において軸方向に沿って直線状に延長するように形成される。
【0022】
つまり、筒部12Aは、自由状態における軸方向断面において、凹部32の底部近傍の内周側の表面形状に沿う経路長が最も短く、膨出部30の頂部近傍の内周側の表面形状に沿う経路長が最も長く、膨出部30から凹部32に掛けて漸次内周側の表面形状に沿う経路長が短くなるように3次元的に形状が変化するように形成されている。
【0023】
即ち、内筒12は、自由状態における軸方向断面において、内周側の表面形状に沿う経路長が、両端部間の直線距離よりも長い形状を有するように形成されていると言える。なお、両端部間の直線距離とは、例えば、凹部32の底部近傍、換言すれば、端部部材16;16間の軸方向距離である。
【0024】
[端部部材について]
端部部材16;16は、内筒12及び外筒14の両端に配置される。端部部材16;16は、内筒12及び外筒14の両端に固定可能とされるとともに、ポンプユニット10或いはポンプユニット210との連結を可能に構成される。
【0025】
端部部材16;16は、フランジ部16Aと、筒部16Bとを備える。フランジ部16Aは、中空部20を有する平板矩形状に形成される。中空部20は、内筒12の筒部12Aが貫通可能な円孔として設けられる。中空部20の直径は、例えば、内筒12の筒部12Aの外周面に密着するような寸法とすると良い。
【0026】
フランジ部16Aは、軸方向外側の端面16aに、環状に窪む環状溝22を備える。環状溝22は、中空部20と同心円状に形成され、内筒12のフランジ部12Bの先端の突起部13が嵌合可能とされる。また、フランジ部16Aの外側の端面16aは、環状溝22に内筒12の突起部13が嵌合された状態において、内筒12のフランジ部12Bが、該外側の端面16aよりも外側に突出するように形成されている。
【0027】
内筒12は、端部部材16の環状溝22に、フランジ部12Bの突起部13を嵌め合わせることで端部部材16;16に対して所定の位置に取り付けられる。内筒12の端部部材16に対する気密は、端部部材16を介して他のポンプユニット10の端部部材と連結されたり、既存の配管に設けられたフランジと連結されたりすることで、内筒12のフランジ部12Bが端部部材16に押し付けられることにより構成される。
【0028】
筒部16Bは、フランジ部16Aの内側の端面16bから軸方向に円筒状に突出して設けられる。筒部16Bは、中心軸が中空部20と同心とされ、フランジ部16Aと一体的に形成されている。筒部16Bは、外径が外筒14の内周側に摺接して挿入可能な大きさ、内径が中空部20の内径よりも大きな寸法で形成される。
【0029】
外筒14は、端部部材16の筒部16Bが挿入された状態で、フランジ部14Bを端部部材16のフランジ部16Aの内側の端面16bに、図外のボルト等の固定手段により固定される。外筒14は、例えば、外筒14のフランジ部14Bと、端部部材16のフランジ部16Aとの間にパッキンなどを介在させることで、端部部材16との気密性を構成することができる。
【0030】
上述のように、内筒12及び外筒14の両端が端部部材16;16に取り付けられることにより、内筒12の外周及び外筒14の内周の間に形成された空間を閉空間とし、ポンプユニット10における流体室V1が形成される。
【0031】
一方の端部部材16は、流体室V1に流体を供給・排出するための給排孔28を備える。給排孔28は、一端が端部部材16のフランジ部16Aの外周面に開口し、他端がフランジ部16Aの内側の端面16bの内筒12及び外筒14の間に開口する。
【0032】
給排孔28を構成するフランジ部16Aの外周面の開口には、制御部100から延長し、流体室V1への流体の供給、流体室V1から流体を排出するための管108が接続可能とされる。
【0033】
なお、給排孔28は、一方の端部部材16に限定されず、他方の端部部材16にも設け、両方の端部部材16;16から流体室V1に流体を供給・排出するようにしても良い。また、給排孔28は、端部部材16に設けることに限定されず、外筒14に設けて流体室V1に流体を供給・排出するようにしても良く、適宜ポンプユニット10の構成に応じて変更すれば良い。
【0034】
上記構成によれば、ポンプユニット10は、制御部100から給排孔28を介して流体室V1に圧縮空気を供給することにより、
図3(a),(b)に示すように内筒12が軸方向に膨張し、流体室V1に供給された圧縮空気を排出することにより、
図2(a),(b)に示すように収縮する。
【0035】
内筒12は、上述したように、収縮状態において軸方向に膨出した形状(
図2参照)にあることから、流体室V1に圧縮空気を供給することにより、軸線方向に加圧される。圧縮空気によって加圧された内筒12は、膨出部30が優先的に求心方向に膨張することになり、
図3(a),(b)に示すように、内筒12の内周側の空間を閉塞する。
つまり、内筒12は、収縮時の膨出部30が膨張状態に近似するように形成されていることから、
図10(b)に示したように、従来のポンプユニットにおける内筒の膨張時に比べてデッドスペースを小さくすることができる。
【0036】
図6(a)は、移送率の比較試験の試験環境を示す図、
図6(b)は、その試験結果を示す図である。
本実施形態に係るポンプユニット10の効果を検証するために、
図5に示す試験環境においてポンプユニット単体での移送率の試験を行った。移送率の試験では、上記実施形態で説明した形状の内筒と、従来形状として円筒状の内筒のものとを比較した。
試験方法・条件
1.ポンプを収縮させた状態で内部を満たすように試験搬送物(模擬便)を投入する。
2.圧縮空気(70kpa)で印加する。
3.圧縮空気を印加した状態でポンプから排除できた試験搬送物を取り除く。
4.ポンプから排除された試験搬送物の質量を測定して移送率を算出する。
移送率の算出は、(排除した試験搬送物÷投入した試験搬送物)×100
その結果、
図6(b)に示すように、本実施形態の内筒12により構成されたポンプユニット10の方が従来の円筒状の内筒に比べて移送率が大きくなる結果となった。
【0037】
したがって、
図1に示すように、上記実施形態に係るポンプユニット10を複数連結してポンプ部8を構成し、各ポンプユニット10の膨張・収縮を蠕動運動を模すように制御部100により制御することで、搬送効率を向上させることができるのは明らかである。
【0038】
図7は、ポンプユニット10の他の実施形態の斜視図、
図8は、その軸方向平面図及び軸方向断面図である。
膨張時のデッドスペースを小さくするための内筒12の形状は、上記実施形態に限定されない。
例えば、
図7,8に示すように、一部が軸方向に露出するように形成しても良い。本実施形態に係る内筒12は、内筒12は、円錐状の筒部12Aと、該筒部12Aの両端にフランジ部12Bを備える。フランジ部12Bは、筒部12Aと一体的に形成され、筒部12Aの端部において半径方向外側に向けて同心円状に広がる平板環状に形成されている。このフランジ部12Bは、先端(外周部)に、筒部12A側(軸方向内向き)に突出する突起部13が全周にわたり形成されている。
【0039】
筒部12Aは、一方のフランジ部12Bから他方のフランジ部12Bに向けて軸方向に沿い軸方向に近づくように傾斜して延長し、他方のフランジ部12Bを超えた後に、半径方向外側に折り返すようにして軸方向に沿って一方の端部側に向けて延長して平板環状の他方のフランジ部12Bの内周に連続するように形成される。
これにより、内筒12には、フランジ部12Bから外側に露出するように突出する突出部18が形成される。
【0040】
上記構成によれば、本実施形態に係るポンプユニット10は、
図9(a)に示すように、突出部18を移送方向下流側に向けて連結される。そして、この連結により、上流側に隣接するポンプユニット10の突出部18が下流側に隣接するポンプユニット10の内筒12の内周側に侵入可能とされる。
【0041】
したがって、例えば、
図9(b)に示すように、上流側のポンプユニット10を膨張させることにより、このポンプユニット10から下流側に隣接するポンプユニット10へと押し出される。そして、上流側のポンプユニット10の膨張状態を維持したまま、下流側に隣接するポンプユニット10を膨張させると、下流側のポンプユニット10の膨張したときに形成されるデッドスペースが、膨張状態にある上流側のポンプユニット10によって占有されるため、搬送効率を向上させることができる。
【0042】
以上説明したように、ポンプユニット10の形成において、内筒12を、例えば、自由状態において、求心方向に膨張する膨出部を備えるように構成したり、一方の端部部材16を超えて軸方向に突出する突出部を備えるように構成したりすることにより、自由状態における軸方向断面において、内周側の表面形状に沿う経路長が、両端部間の直線距離よりも長くなるように構成することで、搬送効率の向上に寄与させることができる。
【0043】
即ち、内筒12が、自由状態における軸方向断面において、両端部間の直線距離よりも長い、内周側の表面形状に沿う経路長を得られる形状であれば良い。自由状態における軸方向断面において、両端部間の直線距離よりも長い、内周側の表面形状に沿う経路長が得られる形状とは、内筒12の筒部12Aを従来の円筒状としたときの内周面の表面積よりも広い表面積を有していることを意味する。したがって、従来と本実施形態の内筒12の肉厚や素材が同じであれば、従来に比べてより大きく膨張させることができることは明らかである。
【0044】
なお、自由状態における軸方向断面において、内周側の表面形状に沿う経路長が、両端部間の直線距離よりも長くする内筒の形状は、自由状態において、求心方向に膨張する膨出部を備えるように構成したり、一方の端部部材16を超えて軸方向に突出する突出部を備えるように構成したりすることに限定されない。搬送経路となる内筒12の筒部12A(端部部材16;16間)の内周側の表面積が広くなるように、予め形成しておくことにより、ポンプユニット10の膨張時のデッドスペースを小さくすることができる。
【0045】
図11は、ポンプユニットの他の実施形態に係る軸方向断面図及び径方向断面図である。
図12は、弾性体により構成された外筒の軸方向断面図である。
上記実施形態では、外筒14は、剛性を有する実質的に収縮しないものとして説明したが、これに限定されない。外筒14は、内筒12と同様な素材、弾性体により構成されたものであっても良い。
【0046】
以下、本実施形態に係るポンプユニットをポンプユニット10’、外筒を外筒14’として示す。なお、外筒14’を除く、内筒12及び端部部材16;16は、上記実施形態で説明した通りである。
本実施形態に係る外筒14’は、弾性体よりなる筒体として構成される。外筒14’は、例えば、弾性素材と繊維素材とを含んで構成される。
【0047】
図12に示すように、外筒14’は、例えば、半径方向の断面視において弾性素材15Aと、弾性素材15Aに内包される複数の繊維15Bとを備える。弾性素材15Aは、気密性を維持しつつ伸縮を可能とする素材、例えば、天然ラテックスゴムやシリコーンゴム等のゴムやエラストマー等の弾性素材を利用できる。
【0048】
繊維15Bは、弾性素材15A内において例えば、層状の繊維群を構成するように設けられる。繊維15Bは、外筒14’の軸線方向への伸長を拘束するための高速手段として設けられ、外筒14’の軸方向に沿って延長するように配設される。繊維15Bには、例えば、外筒14’の一端側から他端側まで連続して延長する長さを有するものを適用したり、一端側から他端側まで連続する長さに限定されず、外筒14’の軸方向長さよりも短い複数の繊維を軸方向に沿って互いに重複が得られるように分布させて一端側から他端側まで到達するように構成しても良い。
なお、繊維15Bは、外筒14’において必ずしも層状に含まれる必要はなく、弾性素材内に分散して埋設されていても良い。
【0049】
繊維15Bの素材には、軸方向への伸縮変化の小さい、高弾性繊維が好適である。例えば、アラミド繊維、炭素(カーボン)繊維、ガラス繊維、ナイロン、ポリアミド系繊維やポリオレフィン系繊維、金属繊維等の被伸長性を有するものを適宜選択して用いることができる。繊維には、適当なプライマー処理、又は、表面酸化処理を行うことで、接着性を十分に向上させることができるが、好ましくは、弾性素材との接着性に応じて選択すると良い。
【0050】
繊維素材の形態としては、フィラメント、ヤーン(スパン・ヤーン及びフィラメント・ヤーン)、ストランド等のいずれの形態でも用いることができ、さらに、撚りをかけずに収束させた無撚繊維、これらの繊維を複数本撚って作成した繊維を用いることも可能である。繊維の種類にもよるが、二種類以上の素材の異なる繊維や形態の異なる繊維を組み合わせても良い。
【0051】
なお、外筒14’の軸線方向への伸長を拘束するものであれば、その構成は繊維15Bに限定されない。例えば、繊維15Bに代えて、外筒14’を構成する弾性素材により軸方向に延長するリブを一体的に形成し、外筒14’の軸方向への伸長を拘束するようにしても良い。
【0052】
[端部部材への外筒の取り付けについて]
弾性素材により構成された外筒14’は、端部部材16;16に次のように固定される。外筒14’は、内周を端部部材16に設けられた筒部16Bの外周に密着状態で挿入される。次に、外筒14’は、筒部16Bに対して、例えば、カシメ中間部材24及びカシメ部材26等で構成される固定手段により、外筒14’の筒部16Bに端部側が気密状態で固定される。
【0053】
カシメ中間部材24は、端部部材16の筒部16Bに挿入された状態の外筒14’の外周に挿入可能な環状部材として形成される。カシメ中間部材24の内周側は、円筒面として形成され、外筒14’の外周に対して例えば、締り嵌めとなるように内径が設定される。
【0054】
また、カシメ中間部材24の外周側は、内周面に対して漸次肉厚が厚くなる、円錐面(テーパー面)として形成される。カシメ中間部材24は、厚肉側を端部部材16に押し付けるようにして外筒14’の外周に配置される。
【0055】
カシメ部材26は、外筒’14の外周に配置されたカシメ中間部材24に対し、外周側から嵌合可能なな環状部材として形成される。カシメ部材26は、内周側が円錐面(テーパー面)として形成され、カシメ中間部材24の円錐面に対して面接触するように構成される。
【0056】
カシメ部材26は、内周側の円錐面をカシメ中間部材24の円錐面に接触させた状態で、図外のボルト等の締結手段で端部部材16の内側の端面16bに固定される。これにより、カシメ中間部材24が外筒14’に押し付けられ、端部部材16の筒部16Bに外筒14が気密状態で固定される。
【0057】
上述のように、端部部材16;16が、内筒12及び外筒14’の端部に取り付けられることにより、内筒12の外周及び外筒14’の内周の間に形成された空間を閉空間とし、ポンプユニット10’における流体室V1を形成する。
【0058】
そして、ポンプユニット10’は、給排孔28を介して流体室V1に圧縮空気が供給されることにより、
図11(b)に示すように内筒12が半径方向内向き(求心方向)、外筒14’が半径方向外向きに膨張する。外筒14’の膨張は、外筒14’に内包された繊維が外筒14’の軸方向への伸長を拘束するため、半径方向外側に膨張することになる。これにより、ポンプユニット10’は、半径方向外側に膨張するとともに軸方向に収縮する。
【0059】
また、ポンプユニット10’は、
図11(a)に示す膨張状態から流体室V1に供給された圧縮空気を排出することにより、
図11(a)に示すように半径方向に収縮するとともに軸方向に伸長する。
【0060】
ポンプユニット10’は、外筒14’を弾性素材で構成したことにより、膨張時に軸方向に収縮するため、上記実施形態で説明したように外筒14が剛体により構成された場合に比べ、よりデッドスペースをよりなくすことができる。
【0061】
なお、ポンプユニット10’における外筒14’を弾性体により構成する場合、内筒12の求心方向への膨張のしやすさを考慮して、外筒14’の弾性率を設定すると良い。好ましくは、外筒14’の弾性率が内筒12の弾性率よりも大きくなるように設定すると良い。外筒14’の弾性率を内筒12の弾性率よりも大きくすることにより、内筒12の膨張を先に完了させた後に、外筒14’の膨張が完了することになる。これにより、内筒12が膨張した状態で、軸方向に収縮するため、デッドスペースを小さくすることができ、その結果としてポンプ装置の移送効率を向上させることができる。
【0062】
上述したように内筒12は、圧縮空気が流体室V1に供給される前の自由状態では、収縮時の軸方向断面において、両端部間の内周面に沿う経路長が、両端部間の直線距離よりも長い形状を有するように形成されているため、従来のように内筒を円筒状としたときに比べて、見かけ上、移送路が狭くなる。内筒12は、流体室V1が大気開放状態にあるときに変形自在である。「見かけ上、移送路が狭くなる」とは、例えば、搬送物はその流動性によってポンプ部8に達することを考慮すれば、移送路である内筒12はその弾性により伸縮可能であるので、搬送物の流入を実質的に妨げないことから「移送路が狭くなる」ことは「見かけ上」であると見なすことができる。
【0063】
一方で、内筒12の内周側が移送路であることを考慮すれば、収縮した状態であっても、従来のように内筒が円筒状のとき、或いはそれよりも広い方が好ましいことは言うまでもない。このような場合、
図1に示したようなポンプ装置1において、負圧ポンプ等の減圧手段を備える構成とすれば良い。そして、ポンプユニット10を収縮させるときに、減圧手段によって収縮させたり、流体室V1を大気開放し、内筒12を自由状態で収縮させた後に、減圧手段により流体室V1からさらに空気を強制的に排出して、流体室V1が陰圧となるようにポンプユニットを動作させても良い。なお、「収縮した後に」とは、動作における時系列の順序を単に示すものであって、収縮の動作として一時的な停止を必ずしも意味するものではなく、一連の動作として連続的に収縮する意味も含むものである。
【0064】
ポンプユニット10は、流体室V1が陰圧とされると、
図13に示すように、内筒12の膨出部30が優先的に半径方向外向きに変形することになり、求心方向に突出した膨出部30の山の頂部がちょうど半径方向外向きに窪む谷となるように折り返される。
即ち、ポンプユニット10’は、流体室V1が陰圧とされることにより、内筒12の膨出部30が全体的に裏返されたように変形することになり、内筒12が自由状態で収縮したとき、さらには従来のように内筒が円筒状のときよりも移送路を広げることもできる。その結果、内筒12の内周側に多くの搬送物を取り込むことができ、移送効率を向上させることができる。
【0065】
上記実施形態では、内筒12の膨張により、ポンプユニット単体の動作においてデッドスペースを小さくすることについて説明したがこれに限定されない。例えば、ポンプユニットを連結したときの搬送動作を利用してデッドスペースを小さくすることもできる。この場合、少なくとも3つ以上のポンプユニット10を連結してポンプ部8を構成すると良い。
【0066】
図14は、ポンプユニット10の膨張を積極的に利用して搬送物を移送する場合のポンプ部8の動作の一例を示した図である。
図15は、ポンプユニット10の収縮を積極的に利用して搬送物を移送する場合のポンプ部8の動作の一例を示した図である。以下の説明では、
図14,15に示すように、3つのポンプユニット10を連結してポンプ部8が構成されているものとしてポンプ部8の動作を説明する。また、各ポンプユニット10を特定するために、搬送方向上流側からポンプユニット10A,10B、10Cとして示す。
【0067】
まず、
図14に示すように、ポンプユニット10の膨張を積極的に利用して搬送物を移送する場合のポンプ部8の動作について説明する。
図14(a)に示すように、ポンプ部8は、例えば、全てのポンプユニット10A~10Cが収縮した状態を初期状態とされる。このとき搬送物は、その流動性及び自重によってポンプユニット10A~10C内に流入しているものとする。
次に、
図14(b)に示すように、ポンプユニット10Aを膨張させ、ポンプユニット10B;10Cの収縮状態を維持させる。これにより、ポンプユニット10A内の搬送物は、ポンプユニット10Aの内筒12により加圧されて、ほとんどがポンプユニット10Bへと移動する。ポンプユニット10Aの内筒12により加圧された搬送物は、ポンプユニット10Aの上流側にも一部が押し出されようとするものの、ポンプユニット10Aに達した搬送物の重さが壁なって、ポンプユニット10Bへと移動する。
次に、
図14(c)に示すように、ポンプユニット10Aの膨張状態及びポンプユニット10Cの収縮状態を維持したまま、ポンプユニット10Bを膨張させる。これにより、ポンプユニット10B内の搬送物は、ポンプユニット10Aが壁となってポンプユニット10Bの内筒12の加圧により、ポンプユニット10A;10Bの間に生じるデッドスペース分を除いてポンプユニット10Cへと移動する。
次に、
図14(d)に示すように、ポンプユニット10Bの膨張状態を維持したまま、ポンプユニット10Aを収縮させるとともに、ポンプユニット10Cを膨張させる。これにより、ポンプユニット10C内の搬送物は、ポンプユニット10Bが壁となってポンプユニット10Cの内筒12の加圧により、ポンプユニット10B;10Cの間に生じるデッドスペース分を除いてポンプユニット10C外へと移動する。また、ポンプユニット10Aの収縮により、上流側から搬送物がポンプユニット10Aの内筒12内に取り込まれる。
次に、
図14(e)に示すように、ポンプユニット10Aの収縮状態及びポンプユニット10Cの膨張状態を維持したまま、ポンプユニット10Bを収縮させる。これにより、上流側から搬送物がポンプユニット10Aの内筒12内にさらに流入し、ポンプユニット10A内の搬送物がポンプユニット10Bの内筒12内へと取り込まれる。
次に、ポンプユニット10A;10Bの収縮状態を維持したまま、ポンプユニット10Cを収縮させる。これにより、
図14(a)に示した状態となり、搬送物が、上流からポンプユニット10Aに、ポンプユニット10Aからポンプユニット10Bに、ポンプユニット10Bからポンプユニット10Cに移動する。
つまり、
図14(a)~(e)を1サイクルとして搬送物がポンプ部8により加圧されて下流に搬送される。
【0068】
一方、
図15に示すように、ポンプユニット10の収縮を積極的に利用して搬送物を移送する場合のポンプ部8の動作について説明する。この場合、
図1に示すポンプ装置1において、減圧手段を備える構成とされる。
図15(a)に示すように、ポンプ部8は、例えば、ポンプユニット10A;10Bが膨張状態とされ、ポンプユニット10Cが減圧手段により過収縮状態(
図13参照)とされる。
次に、
図15(b)に示すように、ポンプユニット10Bの膨張状態を維持したまま、ポンプユニット10Aを過収縮状態、ポンプユニット10Cを膨張状態とする。ポンプユニット10Aが過収縮状態とされることにより、ポンプユニット10Aの内筒12の内周側が負圧となり、搬送物がポンプユニット10A内に引き込まれる。
次に、
図15(c)に示すように、ポンプユニット10Cの膨張状態を維持したまま、ポンプユニット10Aを膨張、ポンプユニット10Bを過収縮させる。
これにより、搬送物は、ポンプユニット10Aの内筒12内の膨張により加圧され、収縮するポンプユニット10Bの負圧によってポンプユニット10B内へと引き込まれる。ポンプユニット10Bは、減圧手段により過収縮とされるため、ポンプユニット10Aの膨張後のポンプユニット10Bの内筒12の内周側は負圧とされる。この負圧は、膨張状態にあるポンプユニット10Aやポンプユニット10Cの内筒12をポンプユニット10B側に吸引する力として作用し、ポンプユニット10A;10Cのポンプユニット10B側に形成されるデッドスペースを小さくすることができ、膨張状態にあるポンプユニット10Aやポンプユニット10Cに残留する搬送物を少なくすることに寄与する。
【0069】
なお、ポンプ部8を構成するポンプユニット10は、3つに限定されず、それ以上としても良い。上述のように、減圧手段を利用してポンプユニット10を積極的に収縮させて搬送物を移送する場合、減圧手段により過収縮とされるポンプユニット10の上流側及び下流側のポンプユニット10を膨張状態としておくことで、膨張状態にある上流側及び下流側のポンプユニット10のデッドスペースを小さくし、膨張状態にある上流側及び下流側のポンプユニット10に残留する搬送物を少なくすることができる。したがって、膨張状態にある上流側及び下流側のポンプユニット10の間において減圧手段により収縮されるポンプユニット10の数は、いくつであっても良い。
【0070】
また、ポンプユニット10’の外筒14を弾性体により構成して流体室V1を陰圧とする場合、ポンプユニット10’は、流体室V1における陰圧の影響が内筒12よりも小さくなるように、外筒14の弾性率を設定すると良い。
【0071】
以上説明したように、ポンプユニット10は、内筒が、収縮時の自由状態における軸方向断面において、両端部間の内周面に沿う経路長が、両端部間の直線距離よりも長い形状を有するように、自由状態において求心方向に膨張する膨出部を備えるように構成されたり、一方の端部部材を超えて軸方向に突出する突出部を備えるように構成されることにより、膨張時のデッドスペースを小さくすることができる。また、ポンプユニット10が、このような内筒を有する場合、減圧手段を用いて流体室V1を陰圧とすることにより、内筒12を自由状態よりも半径方向外向きに膨張させることにより、求心方向に膨張した内筒12を自由状態に収縮させたときに比べ、搬送物の移送路である内筒12の内周側の空間に対して大きな負圧を作用させることができる。そして、この負圧を利用すべくポンプ部8を3以上のポンプユニット10を連結して構成し、減圧手段により流体室V1が陰圧とされるポンプユニット10(数量は限定されない)の上流側及び下流側に隣接するポンプユニット10を膨張状態とし、この間にあるポンプユニット10減圧手段により流体室V1を陰圧とすれば良い。これにより、膨張状態にある上流側及び下流側に隣接するポンプユニット10のデッドスペースが小さくなり、デッドスペースに含まれる搬送物を少なくし、移送効率を向上させることができる。
【符号の説明】
【0072】
1 ポンプ装置、8 ポンプ部、10 ポンプユニット、12 内筒、14 外筒、
16 端部部材、100 制御部。