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特開2023-134681高初回クーロン効率のリチウムドープケイ素酸化物複合負極材料及びその製造方法
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  • 特開-高初回クーロン効率のリチウムドープケイ素酸化物複合負極材料及びその製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023134681
(43)【公開日】2023-09-27
(54)【発明の名称】高初回クーロン効率のリチウムドープケイ素酸化物複合負極材料及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/48 20100101AFI20230920BHJP
   H01M 4/36 20060101ALI20230920BHJP
   H01M 4/38 20060101ALI20230920BHJP
   C01B 33/02 20060101ALI20230920BHJP
   C01B 33/32 20060101ALI20230920BHJP
【FI】
H01M4/48
H01M4/36 C
H01M4/38 Z
C01B33/02 Z
C01B33/32
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【公開請求】
(21)【出願番号】P 2023116252
(22)【出願日】2023-07-14
(31)【優先権主張番号】202210943730.X
(32)【優先日】2022-08-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】520416026
【氏名又は名称】広東▲凱▼金新能源科技股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Guangdong Kaijin New Energy Technology Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】Room 302, Unit 2, Building 29, No.4, Keji 10th Road, Songshanhu Park, Dongguan, Guangdong, 523000, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】傅 儒生
(72)【発明者】
【氏名】余 徳馨
(72)【発明者】
【氏名】王 勇龍
(72)【発明者】
【氏名】仰 韻霖
(57)【要約】      (修正有)
【課題】比容量が高い新しい高初回クーロン効率のリチウム含有ケイ素酸化物複合負極材料、及びその製造方法を提供する。
【解決手段】複合負極材料は、ナノシリコン、リチウムケイ酸塩及び導電性カーボン層を含み、前記複合負極材料のX線回折パターンにおける2θが24.7±0.2°のLiSi(111)回折ピーク強度をI1とし、X線回折パターンにおける2θが26.8±0.3°のLiSiO(111)回折ピーク強度をI2とすると、I1/I2<0.25であり、X線回折パターンにおける2θが26.8±0.3°のLiSiO(111)回折ピーク面積をA1とし、X線回折パターンにおける2θが28.4±0.3°のSi(111)回折ピーク面積をA2とすると、A2/A1≧1.0である。本発明は、材料が特定の各化合物相の組成比を有することにより、材料が高初回クーロン効率及び高比容量を有することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リチウムドープケイ素酸化物複合負極材料であって、
ナノシリコン、リチウムケイ酸塩及び導電性カーボン層を含み、
前記複合負極材料のX線回折パターンにおける2θが24.7±0.2°のLiSi(111)回折ピーク強度をI1とし、X線回折パターンにおける2θが26.8±0.3°のLiSiO(111)回折ピーク強度をI2とすると、I1/I2<0.25であることを特徴とする、リチウムドープケイ素酸化物複合負極材料。
【請求項2】
前記複合負極材料のX線回折パターンにおける2θが26.8±0.3°のLiSiO(111)回折ピーク面積をA1とし、X線回折パターンにおける2θが28.4±0.3°のSi(111)回折ピーク面積をA2とすると、A2/A1≧1.0であることを特徴とする、請求項1に記載のリチウムドープケイ素酸化物複合負極材料。
【請求項3】
前記リチウムドープケイ素酸化物複合負極材料は、コアシェル構造であり、
前記コアシェル構造は、コア層及びシェル層を含み、
前記コア層は、ナノシリコン及びリチウムケイ酸塩を含み、前記リチウムケイ酸塩は、LiSiO及びLiSiのうちの1種又は2種を含み、
前記シェル層は、コア層の表面に分布する導電性カーボン層を含むことを特徴とする、請求項1に記載のリチウムドープケイ素酸化物複合負極材料。
【請求項4】
前記ナノシリコンは、単体シリコンであり、ナノシリコンの平均粒子サイズは、3-20nmであることを特徴とする、請求項1に記載のリチウムドープケイ素酸化物複合負極材料。
【請求項5】
前記複合負極材料のD50は、2-15μmであり、前記複合負極材料のD90は、5-25μmであることを特徴とする、請求項1に記載のリチウムドープケイ素酸化物複合負極材料。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載のリチウムドープケイ素酸化物複合負極材料の製造方法であって、
ケイ素酸化物SiO、リチウム源及びLiSiO核生成添加剤を固相混合により混合してリチウムプレドープ前駆体を形成するステップS1と、
リチウムプレドープ前駆体を真空又は非酸化雰囲気下で熱処理し、その後、解重合し、篩にかけ、複合粉体を得るステップS2と、
ステップS2で形成された複合粉体に対して不純物除去及び改質処理を行い、リチウムドープケイ素酸化物複合負極材料を得るステップS3と、
を含むことを特徴とする、製造方法。
【請求項7】
各物質は、質量部でケイ素酸化物SiO:100部、リチウム源:5-20部、LiSiO核生成添加剤:0.02-1部であることを特徴とする、請求項6に記載の製造方法。
【請求項8】
前記LiSiO核生成添加剤は、希土類金属酸化物を含むことを特徴とする、請求項6に記載の製造方法。
【請求項9】
前記ケイ素酸化物SiOにおいて、0.7≦x≦1.3であることを特徴とする、請求項6に記載の製造方法。
【請求項10】
前記ケイ素酸化物SiOは、炭素被覆されていないか、或いは
前記ケイ素酸化物SiOは、炭素被覆されており、ここで、炭素被覆されたケイ素酸化物SiOの炭素被覆方式は、気相被覆又は固相被覆のいずれか1種であり、ケイ素酸化物SiOにおける炭素被覆の質量%は、0.1-6%であることを特徴とする、請求項6に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リチウム電池負極材料の技術分野に関し、具体的には、高初回クーロン効率のリチウムドープケイ素酸化物複合負極材料及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン電池は、動作電圧が高く、サイクル寿命が長く、メモリー効果がなく、自己放電が少なく、環境に優しいなどの利点があるため、ポータブル電子製品や電気自動車に広く使用されている。現在、市販のリチウムイオン電池は、主にグラファイト系負極材料を使用しており、その理論比容量はわずか372mAh/gであり、将来のリチウムイオン電池の高エネルギー密度の需要を満たすことができない。既存のSiは、理論容量が4200mAh/gと高いが、その膨張率が300%にも達するため、サイクル性能に影響を及ぼし、市場の促進と応用が制限されている。これに対し、シリコン酸素材料は、サイクル性能がより優れているが、初回クーロン効率が低い。初回充電時に、SEI膜と不可逆物質の形成に20~50%のリチウムが消費される必要があるため、初回クーロン効率が大幅に低下する。
【0003】
ケイ素酸化物材料の初回クーロン効率を改善するための効果的な方法は、予めにリチウムをプレドープすることで、ケイ素酸化物材料における不可逆的なリチウム消費部分を事前に反応させて除去することである。ケイ素酸化物に電気化学的にリチウムを挿入することにより、リチウムシリコン合金、リチウムケイ酸塩及びLiOが形成される。ここで、リチウムケイ酸塩LiO・nSiO(nはモル数である)には、種類が非常に多く、一般的にLiO・2SiO(LiSi)、LiO・SiO(LiSiO)、LiO・2/3SiO(LiSi)及びLiO・1/2SiO(LiSiO)がある。Yasudaらは、Li-Si-O三元系状態図に基づいて熱力学的観点から分析したところ、SiOを連続的にリチウム化するときのリチウムケイ酸塩の相変換はLiSi→LiSiO→LiSiOであり、即ち、高モル数から低モル数への変換であった(Thermodynamic analysis and effect of crystallinity for silicon monoxide negative electrode for lithium ion batteries,J.Power Sources 2016,329,462-472)。さらにリチウムを挿入したら、LiSiOはLi13Si及びLiOに分解した。同文献には、リチウム挿入の深さの増加につれて、リチウムケイ酸塩は、リチウムがリッチでモル数が低いリチウムケイ酸塩へ徐々に変換することが開示されており、LiO及びリチウムケイ酸塩が可逆性を有することを示している。文献Unraveling the Reaction Mechanisms of SiO Anodes for Li-Ion Batteries by Combining in Situ Li and ex Situ Li/29Si Solid-State NMR Spectroscopy.J.Am.Chem.Soc.2019,141(17),7014-7027には、非晶質SiOのリチウム化反応が研究されており、LiSiOはリチウム放出の過程においてLiSiOに変換することができ、充放電過程はリチウム挿入産物(LiSiO及びLiSi)とリチウム放出産物(LiSiO、LiSiO及びSiO)との間の相可逆変換であることが開示されている。文献Solid-State NMR and Electrochemical Dilatometry Study on Li Uptake/Extraction Mechanism in SiO Electrode. J. Electrochem. Soc. 2007, 154(12), A1112-A1117.及び文献Nanosilicon electrodes for lithium-ion batteries: interfacial mechanisms studied by hard and soft X-ray photoelectron spectroscopy.Chem.Mater. 2012,24(6),1107-1115.には、ケイ素酸化物リチウム挿入過程で形成されたLiOは可逆性を有することが開示されている。したがって、リチウムドープケイ素酸化物における初期リチウムケイ酸塩のモル数が低いほど、リチウム挿入過程においてリチウムケイ酸塩が最終相に変換するのに消費されるリチウムが少なく、ケイ素酸化物負極材料の初回クーロン効率の向上に有利である。したがって、リチウムドープケイ素酸化物材料におけるリチウムケイ酸塩の化合物相及び相対含有量は、電気化学的性能と密接に関係している。LiSiOの水溶性が高く、リチウムドープケイ素酸化物は通常水洗による不純物除去を必要とするため、LiSiOは最終的なリチウムドープケイ素酸化物材料に存在しにくく、通常、残留したリチウムケイ酸塩はLiSiO及びLiSiである。従来のリチウムプレドープケイ素酸化物負極材料は、初回クーロン効率がある程度改善されたが、0.8Vカットオフ電位での初回クーロン効率が依然として低く(例えば、≦83.5%)かつ改善できないのに対し、現在の高ニッケル正極材料の初回クーロン効率は90%に達することができる。セルのエネルギー密度をさらに提供するために、リチウムプレドープケイ素酸化物負極材料の0.8V初回クーロン効率はさらに向上する必要がある。
【発明の概要】
【0004】
上記の問題を解決するために、本発明は、特定の化合物相組成比を有し、初回クーロン効率及び比容量が高い新しい高初回クーロン効率のリチウム含有ケイ素酸化物複合負極材料、並びにその製造方法を提供する。具体的な技術的手段は、以下の通りである。
【0005】
本発明の各実施形態において、ナノシリコン、リチウムケイ酸塩及び導電性カーボン層を含み、前記複合負極材料のX線回折パターンにおける2θが24.7±0.2°であるLiSi(111)回折ピーク強度をI1とし、X線回折パターンにおける2θが26.8±0.3°であるLiSiO(111)回折ピーク強度をI2とすると、I1/I2<0.25(例えば、I1/I2<0.24、I1/I2<0.23、I1/I2<0.22、I1/I2<0.21、I1/I2<0.20、I1/I2<0.19、I1/I2<0.18、I1/I2<0.17、I1/I2<0.16、I1/I2<0.15、I1/I2<0.14、I1/I2<0.13、I1/I2<0.12、I1/I2<0.10、I1/I2<0.09、I1/I2<0.08、I1/I2<0.07、I1/I2<0.06、I1/I2<0.05、I1/I2<0.04、I1/I2<0.03、I1/I2<0.02又はI1/I2<0.01)である高初回クーロン効率のリチウムドープケイ素酸化物複合負極材料が提供される。
【0006】
いくつかの実施形態において、前記高初回クーロン効率のリチウムドープケイ素酸化物複合負極材料のX線回折パターンにおける2θが26.8±0.3°であるLiSiO(111)回折ピーク面積をA1とし、X線回折パターンにおける2θが28.4±0.3°であるSi(111)回折ピーク面積をA2とすると、A2/A1≧1.0(例えば、A2/A1≧1.1、A2/A1≧1.2、A2/A1≧1.3、A2/A1≧1.4、A2/A1≧1.5、A2/A1≧1.6、A2/A1≧1.7、A2/A1≧1.8、A2/A1≧1.9、A2/A1≧2.0、A2/A1≧2.1、A2/A1≧2.2、A2/A1≧2.3、A2/A1≧2.4、A2/A1≧2.5、A2/A1≧2.6、A2/A1≧2.7、A2/A1≧2.8、A2/A1≧2.9又はA2/A1≧3.0)である。
【0007】
いくつかの実施形態において、前記リチウムドープケイ素酸化物複合負極材料は、コアシェル構造である。前記コアシェル構造は、コア層及びシェル層を含み、前記コア層は、ナノシリコン及びリチウムケイ酸塩を含み、前記リチウムケイ酸塩は、LiSiO及びLiSiの1種又は2種を含み、前記シェル層は、コア層の表面に均一に分布する導電性カーボン層を含み、任意に耐水塗層をさらに含んでもよい。
【0008】
いくつかの実施形態において、リチウム含有ケイ素酸化物複合負極材料の総質量を100wt%とすると、炭素材料の質量百分率は、0.5-10wt%、例えば、0.6-10wt%、0.7-9wt%、0.8-8wt%、例えば、0.5wt%、0.6wt%、0.7wt%、0.8wt%、0.9wt%、1wt%、2wt%、2.5wt%、5wt%、6wt%、7wt%、8wt%、9wt%又は10wt%などであり、さらに好ましくは2-6wt%である。前記炭素材料は、ケイ素酸化物SiOにおける被覆炭素及び耐水塗層における被覆炭素を含み、耐水塗層の被覆炭素含有量は、複合負極材料の0.5-4wt%、例えば、0.5wt%、0.6wt%、0.7wt%、0.8wt%、0.9wt%、1wt%、2wt%、2.5wt%、3wt%、3.5wt%、4wt%である。
【0009】
いくつかの実施形態において、前記ナノシリコンは、単体シリコンであり、ナノシリコンの平均粒子サイズは、3-20nmである。いくつかの実施形態において、ナノシリコンの平均粒子サイズは、3-10nmである。いくつかの実施形態において、ナノシリコンの平均粒子サイズは、4-8nmである。
【0010】
いくつかの実施形態において、前記高初回クーロン効率のリチウムドープケイ素酸化物複合負極材料のD50は、2-15μmであり、D90は、5-25μmである。
【0011】
本明細書で使用される用語「D50」とは、あるサンプルの粒度分布の累積百分率が50%に達したときの対応する粒子径を指す。その物理的な意味は、この粒子径より大きい粒子が50%を占め、この粒子径より小さい粒子も50%を占めることである。D50は、メジアン径又は中央値の粒子径とも呼ばれる。Dは、粉体粒子の直径を示し、D50は、50%点の累積直径(又は50%通過粒子径)を示す。
【0012】
本明細書で使用される用語「D90」とは、あるサンプルの粒度分布の累積百分率が90%に達したときの対応する粒子径を指す。その物理的な意味は、この粒子径よりも小さい(又は大きい)粒子が90%を占めることである。
【0013】
本発明は、以下のステップS1からS3を含む前記高初回クーロン効率のリチウムドープケイ素酸化物複合負極材料の製造方法をさらに提供する。
S1において、ケイ素酸化物SiO、リチウム源及びLiSiO核生成添加剤を固相混合により混合し、リチウムプレドープ前駆体を形成する。
S2において、リチウムプレドープ前駆体を真空又は非酸化雰囲気下で熱処理し、次に、解重合し、篩にかけ、複合粉体を得る。
S3において、ステップS2で形成された複合粉体に対して不純物除去及び改質処理を行い、リチウムドープケイ素酸化物複合負極材料を得る。
【0014】
いくつかの好ましい実施形態において、本発明は、以下のステップS1からS4を含む前記高初回クーロン効率のリチウムドープケイ素酸化物複合負極材料の製造方法をさらに提供する。
S1において、ケイ素酸化物SiO、リチウム源及びLiSiO核生成添加剤を固相混合により混合し、リチウムプレドープ前駆体を形成する。
S2において、リチウムプレドープ前駆体を真空又は非酸化雰囲気下で熱処理し、次に、解重合し、篩にかけ、複合粉体を得る。
S3において、ステップS2で形成された複合粉体に対して不純物除去及び改質処理を行い、リチウムドープケイ素酸化物複合負極材料中間体を得る。広い意味での理解としては、前記リチウムドープケイ素酸化物複合負極材料中間体は、リチウムドープケイ素酸化物複合負極材料の態様の一つであってもよい。
S4において、ステップS3で形成されたリチウムドープケイ素酸化物複合負極材料中間体に対して表面耐水塗層修飾を行い、リチウムドープケイ素酸化物複合負極材料を得る。
【0015】
さらに、各物質は、質量部でケイ素酸化物SiO:100部、リチウム源:5-20部、LiSiO核生成添加剤:0.02-1部である。
【0016】
さらに、前記ケイ素酸化物SiOにおいて、0.7≦x≦1.3である。
【0017】
さらに、前記ケイ素酸化物SiOは、炭素被覆されていてもよく、炭素被覆されていなくてもよい。選択的に、前記ケイ素酸化物SiOは、炭素被覆されている。例えば、炭素被覆の方式は気相被覆又は固相被覆のいずれか1種であり、ケイ素酸化物SiOにおける炭素被覆の質量%は、0-6%、例えば、0.1-6%、例えば、0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.5%、6%である。
【0018】
さらに、前記気相被覆の有機炭素源ガスは、メタン、エチレン、アセチレン、ベンゼン、トルエン、キシレン、スチレン、フェノールのうちの1種、2種又は2種以上を含む。
【0019】
さらに、気相被覆は、以下のステップを含む。
ケイ素酸化物SiOを回転炉に入れ、保護ガスを導入し、600-1000℃に昇温させ、有機炭素源ガスを導入し、0.5-8h保温した後、冷却し、炭素被覆ケイ素酸化物を得る。
【0020】
さらに、前記固相被覆の炭素源は、アスファルト、ポリエチレン粉末、糖類及び有機酸の1種、2種又は2種以上の混合物である。
【0021】
さらに、固相炭素被覆は、以下のステップを含む。
ケイ素酸化物SiOと炭素源を混合器に入れて混合(混合時間0.5-4h、混合器の回転速度300-1500rpm)し、炭素源含有混合物を得た後、炭素含有混合物を炭化炉に入れて炭化(炭化温度600-1000℃、炭化時間2-8h)した後、冷却して排出し、炭素被覆ケイ素酸化物材料を得る。
【0022】
さらに、前記リチウム源は、水素化リチウム、アルキルリチウム、金属リチウム、水素化アルミニウムリチウム、リチウムアミド、窒化リチウム、炭化リチウム、ケイ化リチウム又は水素化ホウ素リチウムのうちの1種、2種又は2種以上の混合リチウム源を含む。
【0023】
さらに、前記LiSiO核生成添加剤は、希土類金属酸化物を含むか又は希土類金属酸化物である。本発明において、核生成添加剤は、LiSiOの核生成エネルギー障壁を低下させるとともに、LiSiからLiSiOへの変換を促進することができる。これによって、同じ製造プロセスの条件下で、LiSiO核生成添加剤を添加して焼成した後に製造したリチウムドープケイ素酸化物複合負極中のLiSiOの量が多く、LiSiの量が少なくなる。
【0024】
さらに、前記希土類金属酸化物は、元素周期表の原子番号が57-71の15種のランタノイド元素、並びに化学的特性がランタノイド元素と類似するスカンジウム及びイットリウム、合計17種元素の酸化物であり、さらに好ましくは酸化ランタン、酸化セリウム、酸化プラセオジム、酸化ネオジム、酸化サマリウム及び酸化イットリウムのうちの少なくとも1種である。
【0025】
さらに、前記混合時間は0.5-10h、カッター隙間の幅は0.01-0.5cm、混合器の回転速度は800-2500rpmである。
【0026】
さらに、前記熱処理温度は550-900℃、処理時間は2-8hである。さらに、前記熱処理温度は600-800℃、例えば、600℃、650℃、700℃、750℃又は800℃などであり、選択的に、処理時間は2-5h、例えば、2h、3h、4h又は5hである。
【0027】
さらに、前記熱処理は、非酸化雰囲気、さらに好ましくは不活性ガス雰囲気下で行われる。前記不活性ガスは、ヘリウム、アルゴンの少なくとも1種である。
【0028】
さらに、得られた材料のD50は2-15μm、D90は5-25μmである。さらに、D50は3-10μm、D90は9-15μmである。
【0029】
さらに、前記ステップS3の不純物除去及び改質処理は洗浄である。ステップS2で製造された複合粉体を溶液Aに入れて浸漬処理を行う。浸漬により、活性化リチウムはリチウム含有ケイ化物粒子表面から脱離する。前記溶液Aは、アルコール、弱塩基、弱酸、水のうちの1種;又は水と、アルコール、弱塩基、弱酸の少なくとも1種との混合物を含む。
【0030】
さらに、複合粉体を溶液Aに浸漬した後、固液分離を行う。固液分離は、遠心分離、吸引濾過又は加圧濾過により行うことができる。
【0031】
さらに、固液分離後の固体を乾燥処理する。乾燥雰囲気は、空気、真空又は非酸化雰囲気である。乾燥温度は40-150℃、さらに好ましくは40-100℃である。乾燥時間は6-48h、さらに好ましくは6-24hである。
【0032】
さらに、前記ステップS4の耐水塗層は、疎水性ポリマーであってもよく、防水無機物であってもよく、さらに好ましくは炭素塗層である。前記炭素塗層は、気相被覆又は固相被覆のいずれか1種によりコア層の表面に被覆される。耐水塗層被覆は、複合負極材料に対する質量%は0.5-4%である。さらに好ましくは気相被覆である。
【0033】
さらに、耐水塗層が気相被覆された炭素塗層である場合、気相被覆される有機炭素源ガスは、メタン、エチレン、アセチレン、ベンゼン、トルエン、キシレン、スチレン及びフェノールのうちの1種、2種、又は2種以上を含む。気相被覆は、以下のステップを含む。即ち、リチウムドープケイ素酸化物複合負極材料中間体をCVD回転炉に入れ、保護ガスを導入し、600-1000℃に昇温させ、有機炭素源ガスを導入し、0.5-8h保温し、冷却して排出した後、解重合し、篩にかけ、耐水塗層で被覆された高初回クーロン効率のリチウムドープケイ素酸化物複合負極材料を得る。前記保護ガスは、好ましくは窒素ガスである。
【0034】
有益な効果
本発明の有益な効果は、以下の通りである。
本発明では、材料欠陥を回避するためのドーピング元素の最適化や電極シート製造プロセスの最適化、あるいは材料性能を改善するための新しい材料相の探索には焦点を当てることではなく、材料の各化合物相の組成比に着目し、従来のリチウム含有ケイ素酸素複合負極材料と異なる構成(即ち、LiSi(111)回折ピーク強度I1とLiSiO(111)回折ピーク強度I2との比I1/I2<0.25、LiSi(111)回折ピーク面積A2とLiSiO(111)回折ピーク面積A1との比A2/A1≧1.0)を提供する。ケイ素酸化物負極材料は、リチウム挿入過程においてリチウムケイ酸塩を形成し、リチウム挿入量の増加につれて、形成されるリチウムケイ酸塩の化合物相は、順次LiSi、LiSiO及びLiSiOであり、つまり、最初に形成されたLiSiは、引き続きリチウムが挿入されてLiSiO化合物相を形成し、LiSiOは、さらにリチウム挿入によりLiSiO化合物相を形成することができる。したがって、リチウムドープケイ素酸素負極材料におけるリチウムケイ酸塩の化合物相の種類及び相対含有量は、この負極材料の初回クーロン効率と密接に関係している。リチウムドープケイ素酸化物負極材料が水洗による不純物除去を必要とし、LiSiO化合物相の水溶性が非常に高いことで完全に除去されやすいため、リチウムドープケイ素酸化物負極材料におけるLiSi及びLiSiOの相対含有量は、この負極材料の初回クーロン効率と密接に関係している。ケイ素酸化物負極のリチウム挿入反応原理に基づいて、リチウムドープケイ素酸化物負極材料におけるリチウムケイ酸塩の化合物相にはLiSi及びLiSiOがあり、LiSiOの相対含有量が高いほど、複合負極材料の初回クーロン効率は高くなる。そのため、本発明の上記特徴を有するリチウム含有ケイ素酸素複合負極材料は、リチウム挿入過程における不可逆的なリチウムの消費が非常に少ないため、この負極材料は、高初回クーロン効率及び高比容量の特性を有し、0.8V初回クーロン効率が84%以上、可逆比容量が1300mAh/g以上に達することができる。本発明で提供される製造方法は簡単で、環境にやさしく、汚染がなく、工業化大規模生産に適している。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本発明の実施例1-2で製造された材料Xの回折パターンである。
図2】本発明の実施例2-3で製造された材料Xの回折パターンである。
図3】本発明の実施例2-3で製造された材料の走査電子顕微鏡画像である。
図4】本発明の実施例2-3で製造された材料の初回充放電曲線である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、特定の具体的な実施例により本発明の実施形態を説明する。当業者は、本明細書に開示される内容に基づいて本発明の他の利点及び効果を容易に理解することができる。本発明は、他の異なる具体的な実施形態に基づいて実施及び応用することもできる。本明細書における様々な詳細に対しても異なる観点及び応用に応じて本発明の思想から逸脱することなく様々な修飾又は変更を行うことができる。
【0037】
本発明をより理解するために、以下、実施例により本発明をさらに説明するが、本発明の実施形態はこれに限定されない。
【0038】
第1態様では、本発明は、ナノシリコン、リチウムケイ酸塩、導電性カーボン層を含む高初回クーロン効率のリチウムドープケイ素酸化物複合負極材料を提供する。任意に、表面耐水塗層をさらに含んでもよい。前記複合負極材料X線回折パターンにおける2θが24.7±0.2°であるLiSi(111)回折ピーク強度をI1とし、X線回折パターンにおける2θが26.8±0.3°であるLiSiO(111)回折ピーク強度をI2とすると、I1/I2<0.25である。
【0039】
さらに、前記高初回クーロン効率のリチウムドープケイ素酸化物複合負極材料において、複合負極材料X線回折パターンにおける2θが26.8±0.3°であるLiSiO(111)回折ピーク面積をA1とし、X線回折パターンにおける2θが28.4±0.3°であるSi111)回折ピーク面積をA2とすると、A2/A1≧1.0である。
【0040】
本発明の好ましい実施形態として、前記リチウムドープケイ素酸化物複合負極材料はコアシェル構造である。前記コアシェル構造は、コア層及びシェル層を含む。前記コア層は、ナノシリコン及びリチウムケイ酸塩を含む。前記リチウムケイ酸塩は、LiSiO及びLiSiの1種又は2種を含む。前記シェル層は、コア層の表面に均一に分布する導電性カーボン層及び/又は耐水塗層である。
【0041】
例示的な実施形態において、前記複合負極材料のX線回折パターンにおける2θが24.7±0.2°であるLiSi(111)回折ピーク強度をI1とし、X線回折パターンにおける2θが26.8±0.3°であるLiSiO(111)回折ピーク強度をI2とすると、I1/I2<0.25である。
【0042】
さらに、前記ナノシリコンは、単体シリコンであり、ナノシリコンの平均粒子サイズは3-20nm、好ましくは3-10nm、さらに好ましくは4-8nmである。
【0043】
さらに、リチウム含有ケイ素酸化物複合負極材料の総質量を100wt%とすると、炭素材料の質量百分率は、0.5-10wt%、例えば、0.5wt%、1wt%、2wt%、2.5wt%、5wt/%、6wt%、7wt%、8wt%、9wt%又は10wt%など、さらに好ましくは2-6wt%である。さらに、前記高初回クーロン効率のリチウムドープケイ素酸化物複合負極材料は、D50が2-15μm、D90が5-25μmである。
【0044】
第2態様では、本発明は、前記高初回クーロン効率のリチウムドープケイ素酸化物複合負極材料の製造方法を提供する。前記製造方法は、以下のステップを含むが、これらに限定されない。
S1において、ケイ素酸化物SiO、リチウム源及びLiSiO核生成添加剤を固相混合により混合し、均一なリチウムプレドープ前駆体を形成する。
S2において、リチウムプレドープ前駆体を真空又は非酸化雰囲気下で熱処理し、次に解重合し、篩にかけ、複合粉体を得る。
S3において、ステップS2で形成された複合粉体に対して不純物除去及び改質処理を行い、リチウムドープケイ素酸化物複合負極材料中間体を得る。
S4において、ステップS3で形成されたリチウムドープケイ素酸化物複合負極材料中間体に対して表面耐水塗層修飾を行い、リチウムドープケイ素酸化物複合負極材料を得る。
【0045】
さらに、S1ステップにおいて、各物質は、質量部でケイ素酸化物:100部、リチウム源:5-20部、LiSiO核生成添加剤:0.02-1部である。
【0046】
さらに、前記ケイ素酸化物SiOにおいて、0.7≦x≦1.3である。
【0047】
さらに、前記ケイ素酸化物SiOは、炭素被覆されていなくてもよく、炭素被覆されていなくてもよい。炭素被覆の方式は、気相被覆又は固相被覆のいずれか1種であり、ケイ素酸化物SiOにおける炭素被覆の質量%は0-6%である。
【0048】
さらに、前記気相被覆の有機炭素源ガスは、メタン、エチレン、アセチレン、ベンゼン、トルエン、キシレン、スチレン及びフェノールのうちの1種、2種、又は2種以上を含む。
【0049】
さらに、気相被覆は、以下のステップを含む。
ケイ素酸化物を回転炉に入れ、保護ガスを導入し、600-1000℃昇温させ、有機炭素源ガスを導入し、0.5-8h保温した後、冷却し、炭素被覆ケイ素酸化物を得る。
【0050】
さらに、前記固相被覆の炭素源は、アスファルト、ポリエチレン粉末、糖類及び有機酸の1種、2種又は2種以上の混合物である。
【0051】
さらに、固相炭素被覆は、以下のステップを含む。即ち、ケイ素酸化物と炭素源とを混合器に入れて混合(混合時間0.5-4h、混合器の回転速度300-1500rpm)し、炭素源含有混合物を得た後、炭素含有混合物を炭化炉に入れて炭化(炭化温度600-1000℃、炭化時間2-8h)し、冷却して排出し、炭素被覆ケイ素酸化物材料を得る。
【0052】
さらに、前記リチウム源は、水素化リチウム、アルキルリチウム、金属リチウム、水素化アルミニウムリチウム、リチウムアミド、窒化リチウム、炭化リチウム、ケイ化リチウム又は水素化ホウ素リチウムのうちの1種、2種又は2種以上の混合リチウム源を含む
【0053】
さらに、前記LiSiO核生成添加剤は、1種、2種又は2種以上の希土類金属酸化物の混合物である。
【0054】
さらに、前記希土類金属酸化物は、元素周期表の原子番号が57-71の15種のランタノイド元素、並びに化学的特性がランタノイド元素と類似するスカンジウム及びイットリウム、合計17種元素の酸化物であり、さらに好ましくは酸化ランタン、酸化セリウム、酸化プラセオジム、酸化ネオジム、酸化サマリウム及び酸化イットリウムのうちの少なくとも1種である。
【0055】
さらに、前記混合時間は0.5-10h、カッター隙間の幅は0.01-0.5cm、混合器の回転速度は800-2500rpmである。
【0056】
さらに、前記ステップS2の熱処理温度は550-900℃、例えば、550℃、600℃、650℃、700℃、750℃、800℃、850℃又は900℃であり、処理時間は2-8hである。さらに好ましくは、熱処理温度は600-800℃、処理時間は2-5hである。
【0057】
さらに、前記熱処理は、非酸化雰囲気、さらに好ましくは不活性ガス雰囲気下で行われ、前記不活性ガスは、ヘリウム、アルゴンのうちの少なくとも1種を含む。
【0058】
さらに、得られた粉体材料は、D50が2-15μm、D90が5-25μmであり、さらに好ましくはD50が3-10μm、D90が9-15μmである。
【0059】
さらに、前記ステップS3の不純物除去及び改質処理は洗浄である。ステップS2で製造された複合粉体を溶液Aに入れて浸漬処理を行う。浸漬により、活性化リチウムはリチウム含有ケイ化物粒子表面から脱離する。前記溶液Aは、アルコール、弱塩基、弱酸、水のうちの1種;又は水と、アルコール、弱塩基、弱酸の少なくとも1種との混合物を含む。
【0060】
さらに、複合粉体を溶液Aに浸漬した後、固液分離を行う。固液分離は、遠心分離、吸引濾過又は加圧濾過により行うことができる。
【0061】
さらに、固液分離後の固体を乾燥処理する。乾燥雰囲気は、空気、真空又は非酸化雰囲気である。乾燥温度は40-150℃、さらに好ましくは40-100℃である。乾燥時間は6-48h、さらに好ましくは6-24hである。
【0062】
さらに、前記ステップS4の耐水塗層は、疎水性ポリマーであってもよく、防水無機物であってもよく、さらに好ましくは炭素塗層である。前記炭素塗層は、気相被覆又は固相被覆のいずれか1種によりコア層の表面に被覆される。耐水塗層被覆は、複合負極材料に対する質量%は0.5-4%である。さらに好ましくは気相被覆である。
【0063】
さらに、耐水塗層が気相被覆された炭素塗層である場合、気相被覆される有機炭素源ガスは、メタン、エチレン、アセチレン、ベンゼン、トルエン、キシレン、スチレン及びフェノールのうちの1種、2種、又は2種以上を含む。気相被覆は、以下のステップを含む。即ち、リチウムドープケイ素酸化物複合負極材料中間体をCVD回転炉に入れ、保護ガスを導入し、600-1000℃に昇温させ、有機炭素源ガスを導入し、0.5-8h保温し、冷却して排出した後、解重合し、篩にかけ、耐水塗層で被覆された高初回クーロン効率のリチウムドープケイ素酸化物複合負極材料を得る。前記保護ガスは、好ましくは窒素ガスである。
【0064】
第3態様では、本発明は、リチウムイオン電池を提供する。このリチウムイオン電池は、前記第1態様の高初回クーロン効率のリチウムドープケイ素酸化物複合負極材料を含む。
【0065】
比較例1:リチウムドープケイ素酸化物複合負極材料(A2/A1≧1.0、I1/I2>0.25)
S1において、称量D50が4.8μm、D90が8.0μmである、炭素被覆されていないケイ素酸化物粉体SiO0.7:100質量部及びリチウムアミド:20質量部を秤量し、VC混合(混合回転速度600rpm、混合時間2h)し、混合した後、リチウムプレドープ前駆体を得た。
S2において、リチウムプレドープ前駆体を箱型炉において550℃高温熱処理(熱処理の保温時間:4h、熱処理の雰囲気:Arガス)し、降温後に解重合し、篩にかけ、複合粉体を得た。
S3において、ステップ2で製造された複合粉体を洗浄処理(洗浄溶剤:脱イオン水、水対粉体質量比3:1、洗浄時の撹拌速度300rpm、撹拌時間2h)し、次に、吸引濾過により固液分離し、ある程度の含水率を有する泥状材料を得た後、含水材料を真空乾燥オーブンに入れて乾燥(乾燥温度80℃、乾燥時間12h)し、リチウムドープケイ素酸化物複合負極材料中間体を得た。
S4において、前記ステップ3で製造された中間体に対して化学気相堆積を行って炭素を被覆し、中間体をCVD回転炉に入れ、アセチレンを炭素源として導入し、窒素ガスを保護ガスとして導入し、800℃で0.5h堆積し、冷却して排出し,解重合し、400メッシュの篩にかけ、リチウムドープケイ素酸化物複合負極材料を得た。複合負極材料の炭素含有量は0.5%であった。
【0066】
比較例2:リチウムドープケイ素酸化物複合負極材料(A2/A1≧1.0、I1/I2>0.25)
原料製造:D50が2.5μm、D90が5.0μmのケイ素酸化物粉体SiO0.89に対して化学気相堆積を行って炭素を被覆し、SiO0.89粉体をCVD回転炉に入れ、アセチレンを炭素源として導入し、窒素ガスを保護ガスとして導入し、850℃で3.0h堆積し、冷却して排出し、炭素被覆されたケイ素酸化物材料を得た。炭素被覆量は4%であった。
S1において、前記方法で製造された炭素被覆ケイ素酸化物材料100質量部及び水素化リチウム12.5質量部をVC混合(混合時の回転速度400rpm、混合時間:3h)し、混合した後、リチウムプレドープ前駆体を得た。
S2において、リチウムプレドープ前駆体を箱型炉において680℃高温熱処理(熱処理の保温時間:8h、熱処理の雰囲気:Nガス)し、降温後に解重合し、篩にかけ、複合粉体を得た。
S3において、前記ステップ2で製造された複合粉体を洗浄処理(洗浄溶剤:脱イオン水、水対粉体比6:1、洗浄時の撹拌速度500rpm、撹拌時間2h)し、その後、加圧濾過により固液分離し、加圧濾過後に、無水エタノールで3回リンスし、ある程度の含水率を有する泥状材料を得た後、含水材料を送風乾燥オーブンに入れて乾燥(乾燥温度80℃、乾燥時間16h)させ、リチウムドープケイ素酸化物複合負極材料中間体を得た。
S4において、前記ステップ3で製造された中間体に対して化学気相堆積を行って炭素を被覆し、中間体をCVD回転炉に入れ、エチレンを炭素源として導入し、窒素ガスを保護ガスとして導入し、850℃で1h堆積し、冷却して排出し、解重合し、400メッシュの篩にかけ、リチウムドープケイ素酸化物複合負極材料を得た。複合負極材料の炭素含有量は6%であった。
【0067】
比較例3:リチウムドープケイ素酸化物複合負極材料(A2/A1≧1.0、I1/I2>0.25)
原料の製造:D50が10.0μm、D90が25.0μmのケイ素酸化物粉体SiO0.95に対して化学気相堆積を行って炭素を被覆し、SiO0.95粉体をCVD回転炉に入れ、メタンを炭素源として導入し、窒素ガスを保護ガスとして導入し、1000℃で2.0h堆積し、冷却して排出し、炭素被覆されたケイ素酸化物材料を得た。炭素被覆量は3%であった。
S1において、前記方法で製造された炭素被覆ケイ素酸化物材料100質量部及び窒化リチウム5質量部をVC混合(混合時の回転速度400rpm、混合時間:3h)し、混合した後、リチウムプレドープ前駆体を得た。
S2において、リチウムプレドープ前駆体を箱型炉において900℃高温熱処理(熱処理の保温時間:3h、熱処理の雰囲気:Arガス)し、降温後に解重合し、篩にかけ、複合粉体を得た。
S3において、前記ステップ2で製造された複合粉体を洗浄処理(洗浄溶剤:脱イオン水、水対粉体比3:1、洗浄時の撹拌速度500rpm、撹拌時間2h)し、その後、加圧濾過により固液分離し、加圧濾過後に、無水エタノールで3回リンスし、ある程度の含水率を有する泥状材料を得た後、含水材料を送風乾燥オーブンに入れて乾燥(乾燥温度80℃、乾燥時間16h)させ、リチウムドープケイ素酸化物複合負極材料中間体を得た。
S4において、前記ステップ3で製造された中間体に対して化学気相堆積を行って炭素を被覆し、中間体をCVD回転炉に入れ、アセチレンを炭素源として導入し、窒素ガスを保護ガスとして導入し、800℃で1h堆積し、冷却して排出し、解重合し、400メッシュの篩にかけ、リチウムドープケイ素酸化物複合負極材料を得た。複合負極材料の炭素含有量は4.5%であった。
【0068】
比較例4:リチウムドープケイ素酸化物複合負極材料(A2/A1≧1.0、I1/I2>0.25)
原料の製造:D50が6.0μm、D90が10.0μmのケイ素酸化物粉体SiO1.3に対して固相炭素被覆し、SiO1.3粉体と炭素源アスファルトとを質量百分率100:10で秤量し、その後、VC混合(混合回転速度500rpm、混合時間3h)し、均一に混合した後、材料をローラハースキルンに入れて炭化処理(炭化温度900℃、炭化高温保温時間5h)し、冷却して排出し、炭素被覆されたケイ素酸化物材料を得た。炭素被覆量は6%であった。
【0069】
S1において、前記方法で製造された炭素被覆ケイ素酸化物材料100質量部及びアルキルリチウム10.8質量部をVC混合(混合時の回転速度600rpm、混合時間:2h)し、混合した後、リチウムプレドープ前駆体を得た。
S2において、リチウムプレドープ前駆体を箱型炉において800℃高温熱処理(熱処理の保温時間:5h、熱処理の雰囲気:Nガス)し、降温後に解重合し、篩にかけ、複合粉体を得た。
S3において、前記ステップ2で製造された複合粉体を洗浄処理(洗浄溶剤:脱イオン水、水対粉体比6:1、洗浄時の撹拌速度500rpm、撹拌時間2h)し、その後、加圧濾過により固液分離し、ある程度の含水率を有する泥状材料を得た後、含水材料を送風乾燥オーブンに入れて乾燥(乾燥温度80℃、乾燥時間16h)させ、リチウムドープケイ素酸化物複合負極材料中間体を得た。
S4において、前記ステップ3で製造された中間体に対して化学気相堆積を行って炭素を被覆し、中間体をCVD回転炉に入れ、エチレンを炭素源として導入し、窒素ガスを保護ガスとして導入し、850℃で2h堆積し、冷却して排出し、解重合し、400メッシュの篩にかけ、リチウムドープケイ素酸化物複合負極材料を得た。複合負極材料の炭素含有量は10%であった。
【0070】
本比較例1-4で製造されたリチウムドープケイ素酸化物複合負極材料の具体的なプロセスパラメータを表1に示す。
【0071】
表1:比較例1-4の具体的なプロセスパラメータ
【0072】
本比較例1-4で製造されたリチウムドープケイ素酸化物複合負極材料の配合パラメータを表2に示す。
【0073】
表2:比較例1-4の配合パラメータ
【0074】
以下の実施例では、混合時にLiSiO核生成添加剤を追加した以外、対応する比較例と同じ処理ステップ及びパラメータを使用した。核生成添加剤の添加方式及び添加量を表3に示す。
【0075】
表3:実施例1-4の核生成添加剤の添加方式及び添加量
【0076】
比較例5:リチウムドープケイ素酸化物複合負極材料(A2/A1<1.0、I1/I2≧0.25)
原料の製造:D50が2.5μm、D90が5.0μmのケイ素酸化物粉体SiO1.1に対して化学気相堆積を行って炭素を被覆し、SiO1.1粉体をCVD回転炉に入れ、アセチレンを炭素源として導入し、窒素ガスを保護ガスとして導入し、850℃で3.0h堆積し、冷却して排出し、炭素被覆されたケイ素酸化物材料を得た。炭素被覆量は4%であった。
【0077】
S1において、前記方法により製造された炭素被覆ケイ素酸化物材料:100質量部及び水素化リチウム:12質量部を秤量してVC混合(混合回転速度400rpm、混合時間3h)し、混合した後、リチウムプレドープ前駆体を得た。
S2において、リチウムプレドープ前駆体を箱型炉において500℃高温熱処理(熱処理の保温時間:8h、熱処理の雰囲気:Nガス)し、降温後に解重合し、篩にかけ、複合粉体を得た。
S3において、前記ステップ2で製造された複合粉体を洗浄処理(洗浄溶剤:脱イオン水、水対粉体比6:1、洗浄時の撹拌速度500rpm、撹拌時間2h)し、その後、加圧濾過により固液分離し、加圧濾過後に、無水エタノールで3回リンスし、ある程度の含水率を有する泥状材料を得た後、含水材料を送風乾燥オーブンに入れて乾燥(乾燥温度80℃、乾燥時間16h)させ、リチウムドープケイ素酸化物複合負極材料中間体を得た。
S4において、前記ステップ3で製造された中間体に対して化学気相堆積を行って炭素を被覆し、中間体をCVD回転炉に入れ、アセチレンを炭素源として導入し、窒素ガスを保護ガスとして導入し、700℃で0.5h堆積し、冷却して排出し、解重合し、400メッシュの篩にかけ、リチウムドープケイ素酸化物複合負極材料を得た。複合負極材料の炭素含有量は4.5%であった。
【0078】
比較例6:リチウムドープケイ素酸化物複合負極材料(A2/A1<1.0、I1/I2≧0.25)
原料の製造:D50が2.5μm、D90が5.0μmのケイ素酸化物粉体SiO1.0に対して化学気相堆積を行って炭素を被覆し、SiO1.0粉体をCVD回転炉に入れ、アセチレンを炭素源として導入し、窒素ガスを保護ガスとして導入し、850℃で1.5h堆積し、冷却して排出し、炭素被覆されたケイ素酸化物材料を得た。炭素被覆量は3%であった。
【0079】
S1において、前記方法で製造された炭素被覆ケイ素酸化物材料100質量部及びリチウムアミド10質量部をVC混合(混合時の回転速度400rpm、混合時間:3h)し、混合した後、リチウムプレドープ前駆体を得た。
S2において、リチウムプレドープ前駆体を箱型炉において420℃高温熱処理(熱処理の保温時間:16h、熱処理の雰囲気:Nガス)し、降温後に解重合し、篩にかけ、複合粉体を得た。
S3において、前記ステップ2で製造された複合粉体を洗浄処理(洗浄溶剤:脱イオン水、水対粉体比6:1、洗浄時の撹拌速度500rpm、撹拌時間2h)し、その後、加圧濾過により固液分離し、加圧濾過後に、無水エタノールで3回リンスし、ある程度の含水率を有する泥状材料を得た後、含水材料を送風乾燥オーブンに入れて乾燥(乾燥温度80℃、乾燥時間16h)させ、リチウムドープケイ素酸化物複合負極材料中間体を得た。
S4において、前記ステップ3で製造された中間体に対して化学気相堆積を行って炭素を被覆し、中間体をCVD回転炉に入れ、アセチレンを炭素源として導入し、窒素ガスを保護ガスとして導入し、650℃で1h堆積し、冷却して排出し、解重合し、400メッシュの篩にかけ、リチウムドープケイ素酸化物複合負極材料を得た。複合負極材料の炭素含有量は3.5%であった。
【0080】
比較例7:リチウムドープケイ素酸化物複合負極材料(A2/A1<1.0、I1/I2<0.25)
原料製造:D50が2.5μm、D90が5.0μmのケイ素酸化物粉体SiO1.1に対して化学気相堆積を行って炭素を被覆し、SiO1.1粉体をCVD回転炉に入れ、アセチレンを炭素源として導入し、窒素ガスを保護ガスとして導入し、850℃で3.0h堆積し、冷却して排出し、炭素被覆されたケイ素酸化物材料を得た。炭素被覆量は4%であった。
【0081】
S1において、前記方法で製造された炭素被覆ケイ素酸化物材料100質量部及び水素化リチウム12質量部を秤量し、酸化イットリウム、酸化ネオジム及び酸化ランタンを加え、三者の添加質量部は、原料総質量に対する質量%が0.10%、0.10%及び0.20%であり、VC混合(混合回転速度400rpm、混合時間3h)し、混合後に、リチウムプレドープ前駆体を得た。
S2において、リチウムプレドープ前駆体を箱型炉において500℃高温熱処理(熱処理の保温時間:8h、熱処理の雰囲気:Nガス)し、降温後に解重合し、篩にかけ、複合粉体を得た。
S3において、前記ステップ2で製造された複合粉体を洗浄処理(洗浄溶剤:脱イオン水、水対粉体比6:1、洗浄時の撹拌速度500rpm、撹拌時間2h)し、その後、加圧濾過により固液分離し、加圧濾過後に、無水エタノールで3回リンスし、ある程度の含水率を有する泥状材料を得た後、含水材料を送風乾燥オーブンに入れて乾燥(乾燥温度80℃、乾燥時間16h)させ、リチウムドープケイ素酸化物複合負極材料中間体を得た。
S4において、前記ステップ3で製造された中間体に対して化学気相堆積を行って炭素を被覆し、中間体をCVD回転炉に入れ、アセチレンを炭素源として導入し、窒素ガスを保護ガスとして導入し、700℃で0.5h堆積し、冷却して排出し、解重合し、400メッシュの篩にかけ、リチウムドープケイ素酸化物複合負極材料を得た。複合負極材料の炭素含有量は4.5%であった。
【0082】
比較例8:リチウムドープケイ素酸化物複合負極材料(A2/A1<1.0、I1/I2<0.25)
原料製造:D50が2.5μm、D90が5.0μmのケイ素酸化物粉体SiO1.0に対して化学気相堆積を行って炭素を被覆し、SiO1.0粉体をCVD回転炉に入れ、アセチレンを炭素源として導入し、窒素ガスを保護ガスとして導入し、850℃で1.5h堆積し、冷却して排出し、炭素被覆されたケイ素酸化物材料を得た。炭素被覆量は3%であった。
【0083】
S1において、前記方法で製造された炭素被覆ケイ素酸化物材料100質量部及びリチウムアミド10質量部を秤量し、酸化イットリウム、酸化ネオジム及び酸化ランタンを加え、三者の添加質量部は、原料総質量に対する質量%が0.10%、0.30%及び0.30%であり、VC混合(混合回転速度400rpm、混合時間3h)し、混合後に、リチウムプレドープ前駆体を得た。
S2において、リチウムプレドープ前駆体を箱型炉において420℃高温熱処理(熱処理の保温時間:16h、熱処理の雰囲気:Nガス)し、降温後に解重合し、篩にかけ、複合粉体を得た。
S3において、前記ステップ2で製造された複合粉体を洗浄処理(洗浄溶剤:脱イオン水、水対粉体比6:1、洗浄時の撹拌速度500rpm、撹拌時間2h)し、その後、加圧濾過により固液分離し、加圧濾過後に、無水エタノールで3回リンスし、ある程度の含水率を有する泥状材料を得た後、含水材料を送風乾燥オーブンに入れて乾燥(乾燥温度80℃、乾燥時間16h)させ、リチウムドープケイ素酸化物複合負極材料中間体を得た。
S4において、前記ステップ3で製造された中間体に対して化学気相堆積を行って炭素を被覆し、中間体をCVD回転炉に入れ、アセチレンを炭素源として導入し、窒素ガスを保護ガスとして導入し、650℃で1h堆積し、冷却して排出し、解重合し、400メッシュの篩にかけ、リチウムドープケイ素酸化物複合負極材料を得た。複合負極材料の炭素含有量は3.5%であった。
【0084】
製品検出:
試験方法は以下を含む:
1、結晶構造の特性解析:実施例及び比較例で製造されたリチウムドープケイ素酸化物複合負極材料に対して結晶構造を特性解析した。XRD測定は、オランダPANalyticalパナリティカル粉末回折計Xpert3Powderを使用し、測定電圧40KV、測定電流40mA、走査範囲10-90°、走査ステップサイズ0.008°、ステップあたりの走査時間12sであった。
【0085】
前記材料のSi平均粒子サイズの特性解析方法は、X線回折計を用い、2-θ範囲内における10-90°を走査し、その後、2θ範囲における26-30°をフィッティングしてSi(111)ピークの半値幅を得た。Scherrer式によりSi平均粒子サイズを算出した。
【0086】
前記X線回折パターンにおける2θが26.8±0.3°のLiSiO(111)回折ピーク面積はA1、前記X線回折パターンにおける2θが28.4±0.3°のSi(111)回折ピーク面積はA2であり、A2/A1比の値を計算した。
前記ピーク面積の計算では、Jade5.0を用いてXRD結果をフィッティングするステップは、以下の通りである:
S1:2θ範囲を26-30°に設定した。
S2:1回平滑化し、バックグラウンド(Background function and Point Samplingメニューにおける3番目のCubic spline)を選択し、Applyをクリックした。
S3:LiSiOの(111)回折ピーク(2θ=26.8±0.3°)及びSi(111)回折ピーク(2θ=28.4±0.3°)をフィッティングし、算出したピーク面積をそれぞれA1及びA2として記した。
S4:ピーク面積の比A2/A1を算出した。
前記X線回折パターンにおける2θが24.7±0.2°のLiSi(111)回折ピーク強度はI1、前記X線回折パターンにおける2θが26.8±0.3°のLiSiO(111)回折ピーク強度はI2であり、I1/I2比の値を計算した。
前記ピーク強度の計算では、Jade5.0を用いてXRD結果をフィッティングするステップは、以下の通りである;
S1:2θ範囲を23-30°に設定した。
S2:1回平滑化し、バックグラウンド(Background function and Point Samplingメニューにおける3番目のCubic spline)を選択し、Applyをクリックし、次にRemoveをクリックした。
S3:ピークを自動的にマーキングした。
S4:LiSiの(111)回折ピーク(2θ=24.7±0.2°)及びLiSiOの(111)回折ピーク(2θ=26.8±0.3°)のピーク強度をそれぞれI1及びI2として記録した。
S5:ピーク強度の比I1/I2を計算した。
【0087】
2、ボタン型電池の初回充放電性能試験:実施例及び比較例で製造されたリチウムドープケイ素酸化物複合負極材料を活性物質とし、バインダーであるアクリロニトリル多元共重合体の水分散液(LA132,固形分15%)、導電剤(Super-P)と70:10:20の質量比で混合し、適量の水を溶媒として加えてスラリーを調製し、銅箔に塗布し、真空乾燥、ロールプレスし、負極シートを作成した。金属リチウムを対電極とし、1mol/LのLiPF三成分混合溶媒をEC:DMC:EMC=1:1:1(v/v)で混合した電解液を使用し、ポリプロピレン系微多孔質フィルムをセパレーターとし、不活性ガスで満たされたグローブボックスにおいてCR2032型ボタン型電池を組み立てた。ボタン型電池の充放電試験は、武漢市藍電電子股分有限公司の電池試験システムを用いて常温条件で行われた。0.1C定電流で0.01Vまでリチウム挿入した後、0.02C定電流で0.005Vまでリチウム挿入し、最後に0.1C定電流で1.5Vまでリチウム放出し、それぞれ0.8V及び1.5Vまでリチウム放出したときの容量とリチウム挿入容量との比を取り、それぞれ0.8V及び1.5Vでの初回クーロン効率を算出した。
【0088】
他の電池特性検出は、当該分野の一般的な検出方法に従って行われた。結果を表4、表5、表6に示す。
【0089】
表4:比較例1-4で製造されたリチウムドープケイ素酸化物複合負極材料の指標及び電池特性
【0090】
表5:全ての実施例で製造された高初回クーロン効率のリチウムドープケイ素酸化物複合負極材料の指標及び電池特性
【0091】
表6:比較例5-8で製造されたリチウムドープケイ素酸化物複合負極材料の指標及び電池特性
【0092】
表4において、第1群から第4群はそれぞれ比較例1から4で得られた製品のデータである。表5において、第1群から第3群は実施例1で得られた製品のデータであり、第4群から第6群は実施例2で得られた製品のデータであり、第7群から第9群は実施例3で得られた製品のデータであり、第10群から第12群は実施例4で得られた製品のデータである。表6において、第1群から第4群はそれぞれ比較例5-8で得られた製品のデータである。
【0093】
表4、表5、表6の記載、比較例1と実施例1-1~実施例1-3との比較から分かるように、複合負極材料のA2/A1がある程度低下し、I1/I2が大幅に低下し、0.8V容量が向上し、初回クーロン効率が大幅に向上した。比較例2と実施例2-1~実施例2-3との比較から分かるように、0.8V容量が顕著に向上し、初回クーロン効率が大幅に向上した。比較例3と実施例3-1~実施例3-3との比較から分かるように、0.8V容量が向上し、初回クーロン効率が大幅に向上した。比較例4と実施例4-1~実施例4-3との比較から分かるように、実施例4-1~実施例4-3の単一成分又は複合成分酸化物核生成添加剤を使用することにより、材料電池性能のうちの容量及び初回クーロン効率が同時に大幅に向上した。比較例5~比較例8から分かるように、複合負極材料の成分が本発明の開示範囲外であってパラメータがA2/A1<1.0、I1/I2<0.25である場合、材料電池性能のうちの容量及び初回クーロン効率は、いずれも本発明で提供される材料よりも低下し、A2/A1<1.0、I1/I2≧0.25である場合、容量及び初回クーロン効率はさらに低下した。
【0094】
本発明では、特定の製造プロセス、パラメータで特定のパラメータ範囲(I1/I2<0.25,A2/A1≧1.0)を有するリチウムドープケイ素酸化物複合負極材料を製造することにより、初回クーロン効率がより高い複合負極を得ることができ、高エネルギー密度リチウムイオン電池におけるこのような材料の応用に対して推進作用を有する。
【0095】
以上、本発明の好ましい実施形態及び実施例を詳しく説明したが、本発明は上記の実施形態及び実施例に限定されない。当業者であれば、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更を実施することができる。
図1
図2
図3
図4