(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023134683
(43)【公開日】2023-09-27
(54)【発明の名称】パンツ型着用可能物品
(51)【国際特許分類】
A61F 13/49 20060101AFI20230920BHJP
A61F 13/496 20060101ALI20230920BHJP
【FI】
A61F13/49 312Z
A61F13/49 413
A61F13/496
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023116269
(22)【出願日】2023-07-14
(62)【分割の表示】P 2021547094の分割
【原出願日】2020-01-21
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2019/075100
(32)【優先日】2019-02-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【弁理士】
【氏名又は名称】出口 智也
(74)【代理人】
【識別番号】100141830
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 卓久
(74)【代理人】
【識別番号】100152423
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 一真
(74)【代理人】
【識別番号】100196047
【弁理士】
【氏名又は名称】柳本 陽征
(72)【発明者】
【氏名】シチアオ、リー
(72)【発明者】
【氏名】ペイ、ルイチー
(72)【発明者】
【氏名】石原 薫
(72)【発明者】
【氏名】森本 広一
(72)【発明者】
【氏名】ワン、シュエチュン
(72)【発明者】
【氏名】トン、リン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン、アンドリュー、ストラセマイヤー
(72)【発明者】
【氏名】バネッサ、マリー、メレンデス
(72)【発明者】
【氏名】モニカ、レニー、トゥルヌー
(57)【要約】 (修正有)
【課題】改善された伸張性、フィット性、快適性、柔らかさ、通気性を備える着用可能物品を提供する。
【解決手段】着用可能物品において、前側及び後側弾性ベルトの各々が、内側シート、外側シート、かつ横断方向に延びる複数の弾性部材96を含む積層体であり、積層体が、前側及び後側弾性ベルトの側縁部89に隣接する領域で伸張方向に少なくとも約10mmにわたり弾性部材を連続的に結合する弾性接着結合部230、並びに内側及び外側シートを断続的に結合するために、内側及び外側シートのうちの少なくとも1つに横断方向及び長手方向に間隔をあけて適用される別個のパターンを有する接着結合部234を含み、接着結合部が、少なくとも弾性接着結合部の間で横断方向寸法に実質的に沿って、かつ前側及び後側弾性ベルトの遠位縁部と近位縁部との間に長手方向寸法に実質的に沿って延在し、弾性接着結合部及び別個のパターンを有する接着結合部を構成する。
【選択図】
図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向及び横断方向に連続的な着用可能物品であって、前側弾性ベルト領域と、後側弾性ベルト領域と、股部領域と、腰部開口部と、一対の脚部開口部と、を備え、前記股部領域が、前記前側弾性ベルト領域と前記後側弾性ベルト領域との間で長手方向に延在し、
前記前側及び前記後側弾性ベルトの各々が、内側シート、外側シート、及び横断方向に延びる複数の弾性部材、を含む積層体であり、
前記積層体が、前記前側及び後側弾性ベルトの側縁部に隣接する領域で伸張方向に少なくとも約10mmにわたり、前記弾性部材を連続的に結合する弾性接着結合部、並びに前記内側シート及び前記外側シートを断続的に結合するために、前記内側シート及び前記外側シートのうちの少なくとも1つに横断方向及び長手方向に間隔をあけて適用される別個のパターンを有する接着結合部を更に含み、前記別個のパターンを有する接着結合部が、少なくとも、前記弾性接着結合部の間で横断方向寸法に実質的に沿って、かつ前記前側及び後側弾性ベルトの遠位縁部と近位縁部との間で長手方向寸法に実質的に沿って延在し、
前記弾性接着結合部及び前記別個のパターンを有する接着結合部が、同じ接着剤によって設けられ、
前記積層体が、前記側縁部で熱によって結合されてサイドシームを形成し、前記サイドシームが、前記側縁部から約20mm以下の距離で存在し、前記積層体の残りが、熱結合部を含まない、着用可能物品。
【請求項2】
前記弾性部材が、長手方向に約3mm~約18mmのピッチで互いに離間し、前記別個のパターンを有する接着結合部が、横断方向ピッチVG1で互いに離間した横断方向寸法VG2、及び長手方向間隔VG3を有し、VG1が約2mm~約15mmであり、VG2が約0.2mm~約7mmであり、VG3が約3mm以下、好ましくは約2mm以下、なお好ましくは約1mm以下である、請求項1に記載の物品。
【請求項3】
前記腰部開口部からの前記前側及び後側弾性ベルトの前記長手方向寸法の少なくとも10%、好ましくは少なくとも15%かつ70%以下が、上側ギャザー領域を画定する稼働的に弾性の積層体であり、前記上側ギャザー領域が、本明細書の測定法に従って、約11ポイント以下の方向分散値を有する、請求項1又は2に記載の物品。
【請求項4】
各弾性部材が、少なくとも1つの別個のパターンを有する接着結合部によって前記内側シート又は前記外側シートに取り付けられている、請求項1~3のいずれか一項に記載の物品。
【請求項5】
前記別個のパターンを有する接着結合部が、長手方向繰り返し単位を有し、前記長手方向繰り返し単位が、前記長手方向軸線から約0.1~約30度、好ましくは約0.1~約15度の角度で傾いている、請求項1~4のいずれか一項に記載の物品。
【請求項6】
前記長手方向繰り返し単位が、前記横断方向で位置合わせされていない、請求項5に記載の物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ギャザーの改善された規則性を有する弾性ベルトを有するパンツ型着用可能物品に関する。
【背景技術】
【0002】
乳幼児、及び失禁症状のある他の個人は、尿及び他の身体排出物を受容及び収容するおむつなどの吸収性物品を着用する。プルオン型吸収性物品、すなわちパンツ型吸収性物品は、着用者の両脚を脚部開口部に挿入し、物品を下部胴体周囲の位置まで上方に滑らせることにより着用される物品である。パンツ型吸収性物品は、歩くことができてかつ多くの場合トイレトレーニング中である幼児、並びに、動きがより活発になるため、テープ型吸収性物品の適用がより困難な傾向にあるより年少の幼児、また、腰部開口部及び脚部開口部の周囲への柔らかなフィット性を必要とするより年少の乳幼児に使用するために広く普及している。
【0003】
パンツ型物品は、様々な構造をとることができ、腰部開口部の周囲及びその付近は、着用者又は介護者が物品を広げ、物品を着用するために着用者の脚を脚部開口部内に挿入するのを容易にするのに十分な弾性を与える。腰部周囲長及びその近傍の領域は、多くの場合、弾性ベルトと称される。パンツ型物品の1つのタイプの構造は、着用者の股部領域を覆う中央シャーシと、国際公開第2006/17718(A)号に記載されるような腰部開口部及び脚部開口部を画定する別個の弾性ベルトとを有するベルト型パンツである。パンツ型物品の別のタイプの構造は、物品の外側カバーが物品の衣類に面する面全体を完全に覆うように構成された一体型パンツであり、胴体の周囲を伸張するように構成された部分は、弾性ベルト領域とみなされる。
【0004】
パンツ型物品の構造がどのようなものであれ、パンツ型物品は、物品の構造上の制限に基づいて、非常に小さい範囲のサイズ調節又は身体構成調節の範囲のみを提供する。そのため、パンツ型物品は、典型的には、非常に伸張性が高く着用するのに快適であるが、依然として弛み及び漏れに対する十分な保護が提供され得るような信頼性の高いフィット性を有する弾性ベルト領域を提供することにより、サイズ及び構成範囲に適応するように構成される。更に、弾性ベルト領域は、使用時に着用者又は介護者によって最もよく触れられ観察される部分であり得、したがって、弾性ベルト領域の特性は、物品の品質に最も関連付けられるものである。品質として望まれ得るものは、ギャザーの審美的に好ましい規則性によって提供される下着のような外観である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2006/17718(A)号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述に基づいて、適用を容易にするための改善された伸張性、弛みを防止するための改善されたフィット性、改善された快適性及び柔らかさ、並びに皮膚の健康のための改善された通気性を提供する着用可能物品が必要とされている。上述の機能的利益を直感的に伝える、ギャザーの改善された規則性を有する着用可能物品もまた必要とされている。経済的に作製することができるそのような着用可能物品を提供することもまた必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、長手方向及び横断方向に連続的な着用可能物品であって、前側弾性ベルト領域と、後側弾性ベルト領域と、股部領域と、腰部開口部と、一対の脚部開口部と、を備え、股部領域が、前側弾性ベルト領域と後側弾性ベルト領域との間で長手方向に延在し、前側及び後側弾性ベルトの各々が、内側シート、外側シート、横断方向に延びる複数の弾性部材、を含む積層体であり、積層体が、前側及び後側弾性ベルトの側縁部に隣接する領域で伸張方向に少なくとも約10mmにわたり、弾性部材を連続的に結合する弾性接着結合部、並びに内側シート及び外側シートを断続的に結合するために、内側シート及び外側シートのうちの少なくとも1つに横断方向及び長手方向に間隔をあけて適用される別個のパターンを有する接着結合部を更に含み、別個のパターンを有する接着結合部が、少なくとも、弾性接着結合部の間で横断方向寸法に実質的に沿って、かつ前側及び後側弾性ベルトの遠位縁部と近位縁部との間に長手方向寸法に実質的に沿って延在し、弾性接着結合部及び別個のパターンを有する接着結合部が、同じ接着剤によって設けられ、積層体が、側縁部で熱によって結合されてサイドシームを形成し、サイドシームが、側縁部から約20mm以下の距離で存在し、積層体の残りが、熱結合部を含まない、着用可能物品を対象とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本明細書の末尾には、本発明を構成するものとみなされる主題を具体的に特定しかつ個別に特許請求する特許請求の範囲が添付されているが、本発明は、実質的に同一の要素が同様の符号を用いて指定されている添付の図面と以下の説明文を併せ読むことで、より良く理解されるものと考えられる。
【
図1A】本発明の着用可能物品の一実施形態の斜視図である。
【
図1B】物品の前側を示す、収縮状態の本発明の着用可能物品の一実施形態の概略図である。
【
図2】シームが接合されておらず、平らな非収縮状態で衣類に面する面を見せている、本発明による着用可能物品の一実施形態を示す概略平面図である。
【
図3A】弾性部材の位置、弾性接着結合部、及び別個のパターンを有する接着結合部を示す、
図2の実施形態の概略平面図である。
【
図5B】伸張状態の本発明の弾性ベルトの平面図である。
【
図6】「全物品力測定法」に従った、ハンガー型試料保持固定具の一例の概略図である。
【
図7A】「方向分散値」測定法に関係する元の形態及び処理された形態の実施例1の画像である。
【
図7B】「方向分散値」測定法に関係する元の形態及び処理された形態の実施例1の画像である。
【
図7C】「方向分散値」測定法に関係する元の形態及び処理された形態の実施例1の画像である。
【0009】
定義
本明細書で使用する場合、以下の用語は後に指定される意味を有するものとする。
【0010】
「着用可能物品」は、パンツ、テープ式おむつ、失禁者用ブリーフ、女性の生理用衣類などの形態であり得る着用物品を指す。「着用可能物品」は、尿、大便、経血など、身体から排出される様々な排出物を吸収し収容するように構成されてもよい。「着用可能物品」は、国際公開第2011/087503(A)号に開示されるものなど、吸収及び収容機能を提供するための分離可能な使い捨ての吸収性インサートと接合されるように適合可能である、外側カバーとしての役割を果たし得る。
【0011】
「パンツ」とは、予め形成された腰部及び脚部開口部を有する使い捨て吸収性物品を意味する。パンツは、着用者の両脚を脚部開口部に挿入し、着用者の下部胴体の周囲の位置までパンツを滑らせることにより着用され得る。パンツは、通常、「閉じられたおむつ」、「パンツ型おむつ」、「プルオン型おむつ」、「トイレトレーニング用パンツ」、及び「おむつパンツ」とも称される。
【0012】
「長手方向」とは、物品の腰部縁部から反対側の腰部縁部まで実質的に垂直に、及び物品の最大直線寸法に一般に平行に延びる方向を指す。
【0013】
「横断方向」とは、長手方向と垂直な方向を指す。
【0014】
「近位」及び「遠位」とはそれぞれ、物品の長手方向中心に対してより近い又はより遠い位置を意味する。
【0015】
「身体に面する」及び「衣類に面する」とは、それぞれ、要素、又は要素の表面、又は要素の群の相対位置を指す。「身体に面する」とは、要素又は表面が、何らかのその他の要素又は表面よりも、着用中に着用者により近いことを意味する。「衣類に面する」とは、要素又は表面が、何らかのその他の要素又は表面よりも、着用中に着用者からより遠く離れている(すなわち、要素又は表面が、使い捨て吸収性物品の上に着用され得る着用者の衣類に対して近位にある)ことを意味する。
【0016】
「配置される」とは、要素が、ある特定の場所又は位置に置かれていることを指す。
【0017】
「接合された」とは、1つの要素をその他の要素に直接付着させることにより、その要素がその他の要素に直接貼り付けらいる構成、及び要素を中間部材(複数)に付着させ、その中間部材(複数)が更にその他の要素に貼り付けられていることにより、その要素がその他の要素に間接的に貼り付けられる構成を指す。
【0018】
「フィルム」とは、材料の長さ及び幅が材料の厚さを大きく上回るシート状材料を意味する。典型的には、フィルムは約0.5mm以下の厚さを有する。
【0019】
「透水性」及び「不透水性」とは、使い捨て吸収性物品の所期の使用の状況における、材料の浸透性を意味する。具体的には、用語「透水性」とは、層又は層構造体が、押付け圧がない状態で、液体の水、尿、又は合成尿が層又は層構造体の厚さを通過可能な、孔、開口部、及び/又は相互に接続された空隙を有していることを指す。反対に、用語「不透水性」とは、押付け圧がない状態(重力などの自然の力の他に)では、液体の水、尿、又は合成尿が通過することができない厚さの層又は層構造体を指す。この定義による不透水性の層又は層構造体は、水蒸気に対して透過性であってもよい、すなわち、「蒸気透過性」であってもよい。
【0020】
「延伸性」及び「延伸可能な」とは、弛緩状態における構成要素の幅又は長さを延伸又は増大させることができることを意味する。
【0021】
「伸縮性がある」又は「伸縮性を持たせた」とは、構成要素が弾性材から作製された少なくとも一部分を含むことを意味する。
【0022】
「伸長性材料」、「延伸性材料」、又は「伸張性材料」は互換的に使用され、付勢力を加えると、破裂又は破断することなく、EDANA法20.2-89で測定して弛緩した元の長さの少なくとも約110%の伸長した長さまで伸張することができ(すなわち、元の長さよりも10%長く伸張でき)、加えた力を除くと、完全に破裂又は破断することなく、その伸長の約20%未満というわずかな回復を示す材料を指す。そのような伸長性材料が、加えた力を解放した際に、その伸長量の少なくとも40%回復する場合、その伸長性材料は、「弾性」又は「エラストマー性」であるとみなされる。例えば、100mmの初期長さを有する弾性材料は、少なくとも150mmまで延伸することができ、力を取り除くと少なくとも130mmの長さまで収縮する(すなわち、40%の回復を示す)。加えた力を解放した際に、材料の回復が、その伸長量の40%未満である場合、その伸長性材料は、「実質的に非弾性」又は「実質的に非エラストマー性」であるとみなされる。例えば、100mmの初期長さを有する伸長性材料は、少なくとも150mmまで延伸することができ、力を取り除くと少なくとも145mmの長さまで収縮する(すなわち、10%の回復を示す)。
【0023】
物品の「寸法」、「長さ」、「幅」、「ピッチ」、「直径」、「アスペクト比」、「角度」、及び「面積」は、全て、特に指定されない限り、本明細書における「全物品力測定法」に従って物品が完全伸張時周囲長W1まで延伸された状態で、定規又はルーペを利用して測定される。
【0024】
「アートワーク」は、印刷又は他の方法で提供され、色を有する、裸眼への視覚的表示を意味する。印刷は、リソグラフィ、スクリーン印刷、フレキソ印刷、及びグラビアインクジェット印刷技術などの、当業者に周知の様々方法及び装置を含む。
【0025】
本明細書で言及される場合、「色」又は「色づけ」は、白色以外のいずれかの原色、すなわち、黒色、赤色、青色、紫色、オレンジ色、黄色、緑色、及びインディゴ色、並びにそれらの淡色又は混合色のいずれかを含み得る。白色は、CIE L*a*b*表色系に従って、少なくとも94のL*値、0±2に等しいa*値、及び0±2に等しいb*値を有する色として、定義される。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1Aは、本発明の着用可能物品(20)の斜視図であり、
図1Bは、収縮状態の本発明の着用可能物品の前側を示す概略図であり、
図2Aは、シームが接合されておらず、衣類に面する面を示す、平らなその非収縮状態の着用可能物品の概略平面図である。着用可能物品(20)は、長手方向軸線としての役割も果たす長手方向中心線LX、及び横断方向軸線としての役割も果たす横断方向中心線TXを有する。着用可能物品(20)は、身体に面する面、衣類に面する面、前側弾性ベルト(84)、後側弾性ベルト(86)、股部領域(30)、及び前側弾性ベルト(84)と後側弾性ベルト(86)とを接合して、2つの脚部開口部及び腰部開口部を形成するサイドシーム(32)を有する。
【0027】
着用可能物品(20)は、着用者の股部領域(30)を覆う中央シャーシ38、前側弾性ベルト(84)、及び後側弾性ベルト(86)(以下、「前側及び後側弾性ベルト」と称され得る)を備える、
図1A、
図1B、及び
図2のようなベルト型パンツであり得、前側及び後側弾性ベルト(84、86)が、横断方向に延在して腰部開口部を画定する別個の環状弾性ベルト(40)を形成する。ベルト型パンツの場合、別個の環状弾性ベルト(40)はまた、弾性ベルト(40)と称されることがある。
図1A、
図1B、及び
図2のようなベルト型パンツの場合、前側及び後側弾性ベルト(84、86)、並びに中央シャーシ(38)は、接合して脚部開口部を画定する。ベルト型パンツの場合、前側弾性ベルト84は、前側領域(26)であり、後側弾性ベルト(86)は、後側領域(28)であり、残りは、股部領域(30)である。図示されていないが、着用可能物品(20)は、中央シャーシ(38)の外側カバー及び弾性ベルト(40)が共通であるように構成された一体型パンツであってもよい。一体型パンツの場合、サイドシーム(32)の間で横断方向に延在する部分は、それぞれ、前側領域(26)及び後側領域(28)とみなされ、残りは、股部領域(30)である。一体型パンツの場合、前側領域(26)は、前側弾性ベルト(84)とみなされ、後側領域(28)は、後側弾性ベルト(86)とみなされる。
【0028】
中央シャーシ(38)は、トップシート、バックシート、及びトップシートとバックシートとの間に配置された吸収性コア(62)、及び更にバックシートの衣類に面する側を覆うための外側カバー層(42)を含んでもよい。トップシートは、透水性基材であってもよい。バックシートは、不透水性フィルムであってもよい。外側カバー層(42)は、不織布シートであってもよい。中央シャーシ(38)は、中央シャーシ(38)上に配置された身体排出物を吸収及び収容するための吸収性コア(62)、並びに吸収性コア(62)の周辺を囲む吸収性材料不在領域(61)を収容し得る。吸収性材料不在領域(61)は、トップシート及び/又はバックシート及び/又は外側カバー層(42)及び/又は中央シャーシ(38)を構成する他の部分から作製されてもよい。
図2Aに示される実施形態では、中央シャーシ(38)は、左右長手方向に延在する側縁部(48)及び前後横断方向に延在する端縁部(50)の、概ね矩形の形状を有する。吸収性コア(62)は、股部領域の長手方向寸法全体を通して、かつ前側領域(26)に少なくとも部分的に、又は前側及び後側領域(26、28)の両方に少なくとも部分的に延在して、存在し得る。中央シャーシ(38)は、吸収性物品(20)の前側領域(26)に位置する前側腰部パネル(52)、後側領域(28)に位置する後側腰部パネル(54)、前側及び後側腰部パネル(52、54)の間の股部領域(30)に股部パネル(56)を有し得る。前側弾性ベルト(84)の中心は中央シャーシ(38)の前側腰部パネル(52)に接合され、後側弾性ベルト(86)の中心は中央シャーシ(38)の後側腰部パネル(54)に接合され、前側及び後側弾性ベルト(84、86)は各々、中央シャーシ(38)が重ならない左側部パネル及び右側部パネル(82)を有する。中央シャーシは、前側腰部パネル(52)と後側腰部パネル(54)との間に位置する股部パネル(56)を有する。
【0029】
吸収性コア(62)は、吸収性層及び捕捉層を含んでもよい。吸収性層は、超吸収性ポリマーなどの高い保持容量を有する吸収性材料が存在する領域である。吸収性層は、実質的にセルロースを含まなくてもよい。吸収性層の超吸収性ポリマーは、熱可塑性接着材料の繊維層により不動化される第1の材料層と第2の材料層との間に配置されてもよい。第1の材料層及び第2の材料層は、PE、PET及びPPの単成分繊維、サイドバイサイド、コア/シース、又はアイランドインザシー型繊維などの多成分繊維などの合成繊維を含む、不織布繊維ウェブであってもよい。そのような合成繊維は、スパンボンドプロセス又はメルトブロープロセスを介して形成されてもよい。捕捉層は、身体排出物の捕捉及び分配を促進し、トップシートと吸収性層との間に配置され得る。捕捉層は、セルロース繊維を含んでもよい。
【0030】
吸収性層は、吸収性コア(62)に複数配置されてもよい。吸収性層の一部は、チャネル又は複数のチャネルを形成するために吸収性材料を実質的に有さないように構成されてもよい。チャネルは、吸収性コア(62)が、流体で膨潤する際に屈曲することを可能にするのに有用であり得るので、吸収性物品が膨張後に着用者の身体に沿い、物品の弛みを防止する。チャネルはまた、捕捉層内に形成されてもよく、吸収性層のチャネルと厚さ方向に少なくとも部分的に一致するように構成されてもよい。
【0031】
本発明の物品の弾性ベルト(40)は、嵌合力を動的に生成し、着用中に動的に発生する力を分配するように作用する。前側及び後側弾性ベルト(84、86)は、側縁部(89)のみにおいて互いに接合されて、サイドシーム(32)、腰部開口部及び2つの脚部開口部を形成することができる。各脚部開口部は、脚部開口部の周囲に弾性を備えてもよい。脚部開口部周囲の弾性は、前側ベルト(84)、後側ベルト(86)、及び中央シャーシ(38)からの弾性の組み合わせによって提供することができる。
【0032】
バックシート及び外側カバー層(42)の長手方向の長さは、同じであってもよいし、又は異なってもよい。例えば、中央シャーシ(38)が弾性ベルト(40)と重なる場所に外側カバー層(42)がないように、外側カバー層(42)は、バックシートの長さと比較して短い長さを有してもよい。そのような構成により、弾性ベルトは、より良好な通気性を有し得る。更に、このような構成は、コスト削減を提供し得る。バックシート及び外側カバー層(42)の横断方向幅は、同じであってもよいし、又は異なってもよい。例えば、バックシートは、外側カバー層(42)の横断方向幅と比較してより短い横断方向幅を有してもよい。そのような構成により、脚部開口部の一部をなす股部パネル(56)の長手方向側縁部(48)は、より良好な通気性を有し得る。更に、このような構成は、コスト削減を提供し得る。
【0033】
前側弾性ベルト(84)及び後側弾性ベルト(86)は、ベルト(40)に弾性を付与するように構成される。
図1B及び
図2を参照すると、前側ベルト(84)及び後側ベルト(86)は各々積層体を含み得、積層体が、横断方向に延びる複数の弾性部材(96)、内側シート(94)、外側シート(92)、及び外側シート折り畳み部(図示せず)を含み、外側シート折り畳み部が、外側シート材料を前側及び後側ベルトの遠位縁部(88)で折り畳むことにより形成される外側シート材料の延長部であり、ベルト弾性部材(96)が、これらの2つのシートの間に挟まれている。前側弾性ベルト(84)及び後側弾性ベルト(86)は各々、弾性部材(96)、内側シート(94)、外側シート(92)、及び外側シート折り畳み部のみによって作製されてもよい。ベルト弾性部材(96)は横断方向に延在して、前側弾性ベルト(84)及び後側弾性ベルト(86)が接合されると、環状弾性ベルト(40)を提供することができる。弾性部材(96)のうちの少なくともいくつかは、互いに実質的に平行に横断方向に延在する。全ての弾性部材(96)が、互いに実質的に平行に横断方向に延在してもよい。このような物品を経済的に作製することができる。前側及び後側弾性ベルト(84、86)は、各々、横断方向に連続する近位縁部及び遠位縁部を有することができ、近位縁部(90)は、物品の長手方向中心に対して遠位縁部(88)よりも近くに配置される。長手方向の腰部開口部からの前側及び後側弾性ベルトの少なくとも10%、又は少なくとも約15%~約70%以下は、前側及び後側弾性ベルト(84、86)の横断方向寸法LW全体に沿った稼働性弾性の積層体であってもよい。前側及び後側弾性ベルト(84、86)の稼働的に弾性のこれらの領域は、上側ギャザー領域(220)として定義される。
図1B及び
図2を参照すると、前側及び後側弾性ベルト(84、86)は、ある特定の領域から弾性稼働性を除去して非弾性領域(221)を形成するように処理してもよい。前側及び後側弾性ベルト(84、86)の各々の、中央シャーシ(38)の前側及び/又は後側腰部パネル(52、54)と重なる領域から、その弾性稼働性を除去し、非弾性領域(221)を画定してもよい。
【0034】
弾性ベルト領域(40)は、物品の機能及び品質と密接に関連し得る。したがって、弾性ベルト領域(40)を形成する材料及び弾性ベルト領域のギャザープロファイルは、物品の望ましさを提供するために、メーカーによって慎重に選択される。下着の種類の外観及びギャザーの審美的に好ましい規則性は、高品質に関連し得る。柔軟性及びクッション性の感触などの心地よい触感はまた、高品質の感覚を向上させることができる。適用を容易にするための伸張性、弛みを防止するためのフィット性、快適性、及び柔らかさ、並びに皮膚の健康のための通気性は、高機能に関連し得る。上述の機能的効果を直感的に伝える、高度に審美的に好ましいギャザーは、ユーザによる物品の好ましい全体的な使用経験を提供する。ユーザは、着用者又は介護者であってもよい。
【0035】
本発明のギャザーは、長手方向に連続的であるが、しかしながら連続性の方向は、長手方向軸線に完全に一致してもしなくてもよい。ギャザーの方向は、個々のギャザーが連続的である方向であり、個々のギャザーには、横断方向に繰り返す山部及び谷部が並んでいる。本発明の上側ギャザー領域(220)は、本明細書の測定法に従って、約11ポイント以下、又は約9ポイント以下の方向分散値を有し得る。方向分散値によって意味されるものは、画像分析によって分析した際の、各ギャザーのギャザーの方向からの偏差である。方向分散値が低いほど、ギャザーの方向からの個々のギャザーの偏差が少なく、したがって、審美的に好ましい規則性の感覚を提供する。
【0036】
本発明のギャザーの改善された規則性を有する積層体は、当該技術分野において利用可能な任意の方法によって、特に外側シート(92)に対して比較的高い坪量の弾力性のある(lofty)不織布材料を選択することにより、並びに適切なデニール、長手方向ピッチ、及び力で内側シート(94)及び外側シート(92)の一方又は両方に弾性部材(96)を結合することにより作製することができる。弾性部材(96)は、伸張方向に断続的に結合され得る。本発明の積層体は、以下の方法によって好適に設けられ得る。
【0037】
図3Aを参照すると、積層体は、弾性接着結合部(230)と別個のパターンを有する接着結合部(234)との組み合わせを介して、弾性部材(96)を内側シート(94)及び外側シート(92)のうちの少なくとも1つに結合することにより作製することができる。
図3Aでは、前側弾性ベルト(84)は、弾性部材(96)、及び実線で表される弾性接着結合部(230)と共に示される。
図3Aでは、別個のパターンを有する接着結合部(234)は、前側弾性ベルト(84)の右側でのみ表され、サイドシーム(32)は、非接合状態で示される。
【0038】
本明細書における弾性接着結合部(230)によって意味されるものは、弾性部材(96)を接着によって前側及び後側弾性ベルト(84、86)の側縁部(89)に沿って結合する結合部である。弾性接着結合部(230)は、前側及び後側弾性ベルト(84、86)の側縁部(89)に隣接して伸張方向に、サイドシームのために設計された長さを含んで少なくとも約10mm、又は約10mm~約60mmの長さにわたって各弾性部材(96)に連続的に適用され得る。弾性接着結合部(230)は、弾性部材(96)に比較的強い結合を提供し、したがって、弾性部材(96)を積層体内にしっかりと固定するために提供されるものである。固定は、サイドシームによって補助してもよい。側縁部(89)に沿った弾性接着結合部(230)の寸法のある特定の割合又はより高い割合を継ぎ合わせてもよい。サイドシーム(32)は、側縁部から約20mm、又は約15mm、又は約10mm以下の距離に存在するように形成され得る。サイドシームは、熱結合によって形成することができる。サイドシームを除いて、積層体は、熱結合を含まなくてもよい。熱結合によって意味されるものは、少なくとも2つの不織布基材の繊維の形状を変形させるのに十分な熱エネルギーによって設けられる結合である。熱結合は、積層体の両側からの変形を観察することによって、肉眼で識別することができる。すなわち、熱結合は、穴を形成する溶融した繊維を含む、溶融した繊維の正確な鏡像変形を有する。対照的に、弾性接着結合は、積層体の両側に変形を形成しない。理論に束縛されるものではないが、最小限の熱結合を有する積層体は、熱結合を作製するために必要とされる様々な欠点を回避し得ると考えられる。第1に、積層体を形成する基材の広い領域を取り付けるために熱結合を利用するには、基材の組み合わせが、好適な熱結合を形成する必要があるので、そのような組み合わせの選択が制限され得る。第2に、熱結合は、より剛性な溶融領域及び変形領域を設ける場合があり、したがって、基材及び基材によって作製されるギャザーによって提供される柔らかな感触を乱す場合がある。第3に、熱結合によって設けられるそのような変形領域は、積層体全体が低減された強度を有するように設けられる場合があり、この低減された強度は、伸張時に破断するリスクが高くなる場合がある。
【0039】
弾性接着結合部はまた、弾性部材(96)の横断方向寸法を限定的に非稼働化する効果的なプロセスに利用することができる。
図2及び
図3Aを参照すると、弾性部材(96)は、吸収性コア(62)と重なる部分で非稼働化されてもよい。側縁部領域に加えて、弾性接着結合部(230T)は、弾性部材(96)のある特定の横断方向寸法の両側に設けられてもよく、これは非稼働化されるように設計されており、弾性接着結合部(230T)の間の弾性部材の部分が切断され、非稼働化される。弾性部材の非稼働化部分は、図示されていない。そのような非稼働化は、本明細書では腹部カットと称され得、非稼働化領域は非弾性領域(221)と一致してもよい。
【0040】
本明細書における別個のパターンを有する接着結合部(234)によって意味されるものは、内側シート(94)及び外側シート(92)を断続的に結合するために、内側シート(94)及び外側シート(92)のうちの少なくとも1つに横断方向及び長手方向に間隔をあけて適用される結合部である。別個のパターンを有する接着結合部(234)はまた、弾性部材(96)を内側シート(94)及び外側シート(92)のうちの少なくとも1つに結合することができる。別個のパターンを有する接着結合部(234)は、外側シート(92)にのみ設けられてもよい。別個のパターンを有する接着結合部(234)は、内側シート(94)にのみ設けられてもよい。
図3Aを参照すると、別個のパターンを有する接着結合部(234)は、積層体の全領域にパターンで設けられてもよい。別個のパターンを有する接着結合部(234)を積層体の全領域にパターンで設けることにより、別個のパターンを有する接着結合部(234)は、弾性部材(96)が切断される領域で、内側及び外側シート(92、94)の結合部として機能し得る。別個のパターンを有する接着結合部(234)は、側縁部(89)に隣接する領域に設けられてもよく、したがって、弾性接着結合部(230)が設けられる領域が重なっている。あるいは、別個のパターンを有する接着結合部(234)は、弾性接着結合部(230)が設けられていない領域にのみ設けられてもよい。別個のパターンを有する接着結合部(234)は、少なくとも、弾性結合部(230)がない、弾性部材(96)が稼働的に弾性である領域に設けられてもよい。
【0041】
図4Aを参照すると、別個のパターンを有する接着結合部(234)は、伸張方向に延伸された状態で、単一の弾性部材(96)に沿った積層体の厚さ方向に観察され、
図4Aが、外側シート(92)、別個のパターンを有する接着結合部(234)、及び弾性部材(96)のみを表し、別個のパターンを有する接着結合部(234)が、外側シート(92)に設けられる。別個のパターンを有する接着結合部(234)は、横断方向寸法VG2を有し得、長手方向に位置合わせされた連続的なパターンとして設けられ、別個のパターンを有する接着結合部(234)の各長手方向パターンは、横断方向ピッチVG1で互いに離間し、VG1が、約2mm~約15mmであり得、VG2が、約0.2mm~約7mmであり得る。
図3Bを参照すると、別個のパターンを有する接着結合部(234)は、長手方向に位置合わせされた別個の結合部の列であり得る。各別個のパターンを有する接着結合部(234)は、約0.5mm~約10mmの長手方向寸法、及び約3mm以下、又は約2mm以下、又は約1mm以下の長手方向間隔VG3を有し得る。別個のパターンを有する接着結合部(234)を別個の結合部の列で設けることにより、結合部の全体的な面積を減少させることができる。これは、内側及び外側シート材料(92、94)に結合をより剛性に設けることができるという点で、積層体を柔らかな触感に維持するのに有利である。更に、これは、結合のための材料を節約することができる。各別個のパターンを有する接着結合部(234)は、各弾性部材(96)を結合する少なくとも1つの別個の結合部が存在するように、適切な長手方向ピッチで設けられてもよいが、しかしながらこれは必須ではない。むしろ、隣り合った弾性部材(96)が互いに接触しないように、少なくとも1つの別個のパターンを有する接着結合部(234)が、弾性部材(96)の各長手方向に離間して存在することが必須である。少なくとも1つの別個のパターンを有する接着結合部(234)が、各長手方向に離間して弾性部材(96)に存在する限り、弾性接着結合部(230)が、サイドシーム、並びに非弾性領域(221)の外周に沿って弾性部材(96)のしっかりとした結合を提供するという点で、弾性部材(96)がその意図された位置から離れて移動することを防止する。前側弾性ベルト(84)全体又は後側弾性ベルト(86)全体では、別個のパターンを有する接着結合部(234)によって内側シート(94)又は外側シート(92)に結合した弾性部材(96)は存在しなくてもよい。前側弾性ベルト(84)全体又は後側弾性ベルト(86)全体では、弾性部材(96)の少なくとも1~約50%は、別個のパターンを有する接着結合部(234)によって内側シート(94)又は外側シート(92)に結合されてもよい。稼働化された長さに沿った個々の弾性部材(96)では、いくつかの部分は、別個のパターンを有する接着結合部(234)によって結合されてもよく、いくつかの部分は、別個のパターンを有する接着結合部(234)によって結合されないままであってもよい。
【0042】
1つの弾性部材(96)に着目すると、別個のパターンを有する接着結合部(234)は、弾性部材(96)と内側シート(94)との間、又は弾性部材(96)と外側シート(92)との間に断続的な結合を提供することができる。これは、弾性部材(96)の伸張方向のある特定の長さに沿って連続的に設けられる弾性接着結合部(230)とは対照的である。そのため、弾性部材(96)が内側シート(94)及び外側シート(92)のうちの1つに断続的にのみ結合される領域では、横断方向の別個のパターンを有する接着結合部(234)の間の弾性部材(96)の部分は、積層体の任意の他の部分に取り付けられない。
図4Aでは、弾性部材(96)は、外側シート(92)に結合している。
図4Bを参照すると、弾性部材(96)が収縮すると、これによって外側シート(92)の取り付けられていない部分が弾性部材(96)から離れて折り畳まれ、ギャザーの形成が生じる。そのため、弾性接着結合部(230)が適用される領域と比較して、外側シート(92)は、ギャザーの作製においてより少ない制限を有する。
【0043】
理論に束縛されるものではないが、内側シート(94)及び外側シート(92)が、弾性部材(96)に対してより少ない制限を有することにより、改善された規則性のギャザーの作製に寄与すると考えられ、その点で、別個のパターンを有する接着結合部(234)の間に存在する内側及び外側シート材料(92、94)の有意な量が、長手方向に連続的なギャザーを作製するために利用可能である。理論に束縛されるものではないが、また、内側及び外側シート材料(92、94)が、弾性部材(96)に対してより少ない制限を有することにより、弾性部材(96)の伸張性が改善され、適用の容易さを提供することができると考えられる。弾性部材(96)の全てが連続的に結合される弾性接着結合部(230)のみによって作製された弾性ベルトと比較して、本発明の弾性ベルト(40)は、本明細書の測定法に従って、より低い伸張時周囲長力を有し得る。伸張時周囲長力によって意味されるものは、ある特定の伸張レベルでの負荷がかかる力であり、手を挿入し物品を伸張させて開く場合に、着用者又は介護者が感じる、初期伸張経験を模倣すると考えられる。更に、そのような比較的低い伸張時周囲長力にもかかわらず、本発明の弾性ベルト(40)は、本明細書の測定法に従って、好適なフィット時周囲長力を維持することができる。フィット時周囲長力によって意味されるものは、ある特定の伸張レベルでの負荷がかかっていない力であり、物品を着用している間着用者が感じる力を模倣すると考えられる。理論に束縛されるものではないが、また、内側及び外側シート材料(92、94)が、弾性部材(96)に対してより少ない制限を有することにより、全体的な積層体の通気性が改善され、皮膚の健康を向上させることができると考えられる。理論に束縛されるものではないが、また、別個のパターンを有する接着結合部(234)は、弾性ベルト(40)が収縮すると、より高い割合の内側及び外側シート材料(92、94)が、積層体の外側表面を形成するために利用可能であるが、弾性部材(96)は、積層体の厚さの内側に位置し続ける構成を提供すると考えられる。そのため、積層体は、弾力性及び厚さが改善されて設けられ、したがって、着用時に改善された快適性及び柔らかさを付与する。更に、理論に束縛されるものではないが、弾性ベルト(40)が収縮すると、積層体の外側表面を高い規則性で形成するために利用可能な内側及び外側シート材料(92、94)の割合が高いという点で、長手方向により高い剛性を有するように弾性ベルト(40)の身体に面する面を設け、したがって、弛みを防止するための改善されたフィット性に寄与する。なお更に、弾性ベルト(40)が収縮すると弾性部材が、より可視でないという点で、ギャザーの審美的に好ましい規則性を更に向上させる。
【0044】
別個のパターンを有する接着結合部(234)の間の内側及び外側シート材料(92、94)の有意な量を横断方向にギャザー寄せするために利用可能にするためには、VG1は、VG2の約2倍~約20倍、又は約3.5倍~約10倍であり得る。弾性接着結合部(230)及び別個のパターンを有する接着結合部(234)は、同じホットメルト接着によって設けてもよい。
【0045】
図2を参照すると、ベルト型パンツには、前側及び後側ベルト(84、86)の近位縁部(90)に端部シールが設けられて、内側及び外側シート(92、94)を近位縁部(90)で閉じて維持し、したがって弾性部材(96)が接触可能であることを防止することができる。弾性部材(96)のそのような非接触可能性は、物品が年少の着用者用の場合に特に有利であり得る。代替的に又は加えて、近位縁部(90)に最も近く位置する弾性部材(96)は、弾性部材(96)の横断方向寸法に沿って、稼働的に弾性の部分で弾性接着結合部(230)を設けられてもよい。
【0046】
図2を参照すると、弾性部材(96)は、横断方向に互いに平行に延びる複数の弾性ストランド(96)によって作製されてもよく、積層体は、弾性ストランド(96)が約3mm~約18mm、又は約3mm~約12mm、又は約3mm~約7mmの長手方向ピッチを有する領域を有する。上側ギャザー領域(220)の少なくとも一部は、約3mm~約7mmの長手方向ピッチで配置された弾性ストランド(96)を有し得る。理論に束縛されるものではないが、上述のように別個のパターンを有する接着結合部(234)の横断方向ピッチと組み合わせた、弾性ストランド(96)のそのような長手方向ピッチは、内側及び外側シート材料(92、94)の剛性によって提供される材料の適切な長手方向の連続性を提供することにより、改善された規則性のギャザーの作製に寄与すると考えられる。上側ギャザー領域(220)の少なくとも一部分は、一定の長手方向ピッチで配置された弾性ストランド(96)を有し得、一定のピッチが、約1.5mm以下の偏差で約3mm~約18mm、又は約3mm~約12mm、又は約3mm~約7mmである。理論に束縛されるものではないが、弾性ストランド(96)のそのような一定のピッチは、改善された規則性及び連続性のギャザーの作製に寄与すると考えられる。
【0047】
前側及び後側弾性ベルト(84、86)は、連続的な内側及び外側シート材料、並びに連続的な弾性ストランドが物品の横断方向軸線に沿って延び、弾性接着結合部(230)及び別個のパターンを有する接着結合部(234)を介してそれらを結合することにより作製することができる。製造中、連続的な内側及び外側シート材料、並びに連続的な弾性ストランドは、機械方向に移送されてもよく、製造の機械方向が、物品の横断方向軸線TXと一致する。そのような製造プロセスでは、別個のパターンを有する接着結合部(234)は、機械方向を横断して別個に位置合わせされ、製造の機械方向にVG1のピッチによって断続的に離間して設けられる。別個のパターンを有する接着結合部(234)の長手方向パターンは、製造の機械方向を横断して、すなわち物品の長手方向軸線LXと一致してもよいか、又は、特に回転ローラーで結合を適用することにより別個のパターンを有する接着結合部(234)が設けられる場合、プロセスのより良好な制御のためにわずかに傾けられてもよい。別個のパターンを有する接着結合部(234)は、製造の機械方向を横断して、すなわち物品の長手方向軸線LXから、時計回り若しくは反時計回りの方向のいずれかで約0.1~約30度、又は時計回り若しくは反時計回りの方向のいずれかで約0.1~約15度の角度で傾けられてもよい。
【0048】
前側及び後側弾性ベルト(84、86)の全体の引張応力(N/m)は、それぞれ、装填後に物品が弛むのを防止するために、着用中に一定の力を維持しながら、伸張及び適用の容易さなど、本発明の機能的利益を提供するために、プロファイルされることができる。前側弾性ベルト及び後側弾性ベルト(84、86)の弾性が、横断方向に延びる複数の弾性部材(96)によって提供される場合、引張応力は、以下の方法のうちの1つ以上によって調節することができる;1)弾性部材(96)の伸長率、2)弾性部材(96)の密度(dtex)、3)複数の弾性部材(96)の長手方向ピッチ、及び4)弾性部材(96)の横断方向における弾性の有効長さ。伸長率により、「0%の伸長率」とは、弾性部材の元の長さを意味する。弾性部材(96)の一部分がその弾性を除去されている場合、影響を受けていない弾性部材で、弾性を付与する能力のある残りの部分が、「弾性部材の弾性の有効長さ」として定義される。
【0049】
図2を参照すると、前側及び後側弾性ベルト(26、28)は各々、横断方向に広がる4つのゾーンに分割され得、シーム長さLSの割合に対する、遠位縁部(88)から近位縁部(90)のその位置によって画定され得る。
図2の例では、前側領域(26)のベルト側縁部(89)の全長が、前側ベルト(84)であり、後側領域(28)のベルト側縁部(89)のある特定の長さと継ぎ合わされ、これがシーム長さLSを画定する後側ベルト(86)である。シーム長さLSが、サイドシーム(32)の遠位縁部(88)で0%、近位縁部(90)で100%とみなされる場合、ゾーンは、0~25%が腰部ゾーン(102)、25~50%が遠位腹部ゾーン(104)、50~85%が近位腹部ゾーン(106)、及び85~100%が脚部ゾーン(108)などに画定される。遠位縁部(88)から25%に配置された弾性部材が存在する場合、そのような弾性部材は、腰部ゾーン(102)に含まれるものとみなされる。遠位縁部(88)から50%、又は遠位縁部(88)から85%に配置された弾性部材が存在する場合、そのような弾性部材は、近位腹部ゾーン(106)に含まれるものとみなされる。
【0050】
本発明の物品では、前側近位腹部ゾーン(106)の引張応力は、前側腰部ゾーン(102)、前側遠位腹部ゾーン(104)、又は前側脚部ゾーン(108)のいずれかの引張応力よりも高く提供されてもよい。前側近位腹部ゾーン(106)の引張応力は、前側又は後側のいずれかの、任意の他のゾーンの引張応力よりも大きくすることができる。後側遠位腹部ゾーン(104)の引張応力は、後側腰部ゾーン(102)、後側近位腹部ゾーン(106)、又は後側脚部ゾーン(108)の引張応力のいずれかよりも高く提供されてもよい。前側ベルト及び後側ベルトの各々の4つのゾーンを比較すると、引張応力は、前側近位腹部ゾーン(106)、続いて後側遠位腹部ゾーン(104)の順で最大に提供されてもよい。理論に束縛されるものではないが、引張応力に関するゾーンごとのそのようなプロファイリングは、人体、特に月齢36か月未満の幼児の下部胴体によく沿う形状の弾性ベルト(40)を有する本発明の物品を提供し、したがって、弛み防止又は漏れ防止を妥協することなく、着用者に良好なフィット性及び快適性を提供すると考えられる。すなわち、前側近位腹部ゾーン(106)は、着用者の臀部を収容するために、後側近位腹部ゾーン(106)により多くの領域を残すと同時に、物品が着用者の転子に対して固定され得るように、高い引張応力に供される。物品が転子でしっかりと固定される限り、上側ギャザー領域(220)は、比較的低い引張応力で設けられてもよい。理論に束縛されるものではないが、そのような比較的低い引張応力は、ギャザーの改善された規則性、並びに柔らかなフィット性を有する上側ギャザー領域(220)の提供に寄与すると考えられる。
【0051】
ベルト型パンツでは、後側弾性ベルト(86)の長手方向長さLB及び前側弾性ベルト(84)の長手方向長さLFは、同じに設けられてもよいか、又は後側弾性ベルト(86)は、
図2のように、より長い長手方向長さLBを有してもよい。
図1B及び
図2を参照すると、着用可能物品を組み立てて、腰部開口部及び脚部開口部を形成すると、着用可能物品(20)は、前側遠位縁部(88)が後側遠位縁部(88)と位置合わせされるように、横断方向中心線TXに沿って折り畳まれる。前側側縁部(89)もまた、後側側縁部(89)の一部と位置合わせされる。次いで、前側ベルト(84)及び後側ベルト(86)は、前側及び後側側縁部(89)においてシーム(32)で接合される。しかしながら、前側及び後側近位縁部(90)は、互いに位置合わせされなくてもよい。後側近位縁部(90)は、後側側部パネル(82)の近位部分が前側近位縁部(90)を越えて本体(38)の股部パネル(56)に向かって延在するように、横断方向中心線TXに対して前側近位縁部(90)よりも長手方向で近く配置されてもよい。後側側部パネル(82)の近位部分の側縁部は、どこにも接合されず、取り付けされなくてもよい。したがって、後側側部パネル82の近位部分は、
図1Bに示されるような臀部カバー95を提供する。
【0052】
本発明では、内側シート(92)及び外側シート(94)のうちの少なくとも1つは、複数の変形部を更に含み得、変形部が、長手方向に位置合わせされ、横断方向に繰り返される。変形部は、長手方向に位置合わせされる限り、内側シート(92)及び/又は外側シート(94)を作製するための不織布材料への孔、スリット、刻印、エンボス、突出部、又は任意の他の永続的な変形であってもよい。例えば、
図5Aを参照すると、外側シート(92)上の変形部が孔の形態で表されている。各長手方向変形部パターンは、DF1の横断方向ピッチで互いに離間してもよく、VG1がDF1よりも大きいか、又はVG1がDF1の少なくとも約1.5倍若しくは少なくとも約2倍である。理論に束縛されるものではないが、別個のパターンを有する接着結合部(234)と関係して設けられるそのような変形部は、内側シート(92)及び/又は外側シート(94)を寸法VG1内に折り畳み、折り畳み部を長手方向に連続的に作製するために不織布材料を補助する。そのため、ギャザーの規則性が向上する。長手方向変形部パターンは、別個のパターンを有する接着結合部(234)の長手方向パターンと一致してもしなくてもよい。実際に、本発明の発見は、長手方向変形部パターンが別個のパターンを有する接着結合部(234)の長手方向パターンと一致しない場合であっても、ギャザーの規則性をなお向上させることである。長手方向変形部パターンと、別個のパターンを有する接着結合部(234)の長手方向パターンとを一致させる場合には、プロセスの精度が必要とされ得、そのように一致させることを省略してもよい。長手方向変形部パターンが、別個のパターンを有する接着結合部(234)の長手方向パターンと一致しない場合であっても、複数の整数以外の関係でDF1及びVG1を設けることにより、長手方向変形部パターンの大部分は、別個のパターンを有する接着結合部(234)の長手方向パターン内にフィットし、ギャザー形成を補助する。
【0053】
変形部は、長手方向に延在する連続的な線、又は長手方向に位置合わせされ、かつDF2の長手方向ピッチで互いに離間した別個の変形部の列であってもよく、DF2が、
図5AのようにDF1以下である。別個の変形部の列に変形部を設けることにより、変形部によって弱化又は剛化される全体的な面積を減少させることができる。DF2をDF1と同じか又はより小さく設けることにより、上述のように、内側及び外側シート材料(92、94)の長手方向での折り畳みを容易にする。
【0054】
変形部は、外側シート(92)の孔であり得、個々の孔が、約3以下、又は約2.5以下のアスペクト比を有しながら楕円形又は多面体の形状であってもよい。
図5Aを参照すると、個々の孔は、少なくとも約0.4mm、又は約0.4mm~約2.0mmの横断方向寸法APT、及び長手方向寸法APLを有し得、APTが、APLよりも少なくとも約10%大きい。更に、個々の孔は、約5mm以下の長手方向ピッチDF2で互いに離間し、APLは、DF2の50%以下であるか、又はAPLは、DF2の約12%~約30%である。そのようなサイズ、形状、及び間隔の孔は、衣類に面する面上に肉眼で可視であり得、したがって、ギャザーが収縮状態にあっても、ギャザー並びに積層体全体の通気性及び高品質を伴う。更に、DF1よりも大きいVG1を提供することにより、孔は、上述のように折り畳み部上に配置され、したがってギャザーが収縮状態にあるときの孔の可視性を更に向上させる。
図5Bは、伸張状態の本発明の弾性ベルトの平面図であり、一方
図5Cは、収縮状態の同じ弾性ベルトである。
図5B~
図5Cの弾性ベルトでは、VG1は、DF1の約1.5倍である。
図5Cに見ることができるように、そのようなVG1とDF1との関係を提供することにより、孔の長手方向の少なくとも1つの列が、長手方向の様式で連続的に折り畳まれて、長手方向の連続的なギャザーが設けられ、孔が、各ギャザーの山付近に位置する。そのため、通気性並びに通気性の感覚を向上させる。更に、DF1をDF2より幾分大きく設け、個々の孔が上述のような間隔を有することにより、第1の繰り返しパターンは、孔の長手方向配向をとることができる。非弾性領域(221)に長手方向配向で第1の繰り返しパターンの孔を設けることにより、非弾性領域(221)は、上側ギャザー領域(220)と調和して見えて、長手方向に連続的な上側ギャザー領域(220)のギャザーを向上させる。
【0055】
再び
図1Aを参照すると、本発明の物品は、サイドシーム(32)で前側ベルト(84)及び後側ベルト(86)を閉じることにより形成される。サイドシーム(32)は、通常の使用条件に耐えるのに十分な強さである、すなわち、適用時に伸張した場合、又は物品に負荷がかかった後に破損しないことが望ましい。一方、サイドシーム(32)は、使用後に開きやすい、すなわち、着用者から取り外すために長手方向寸法に沿って手で引き裂くことが可能であることも望ましい。理論に束縛されるものではないが、各繰り返し単位が横断方向に直線的に位置合わせされていない長手方向繰り返し単位を有する孔を外側シート(94)に設けることにより、引き裂き線が孔に追従して横断方向に逸脱することなく、積層体全体を、長手方向寸法に沿って容易に引き裂くことができる。
【0056】
本発明の外側シート(92)は、約10gsm~約55gsm、又は約10gsm~約35gsmの坪量を有する不織布であってもよく、約0.8dpf~約6dpfの繊維径を有し得る。繊維径は、業界で使用されるデニール/フィラメント(denier per filament、dpf)単位で記載されており、これはグラム/9,000メートルの長さの繊維である。外側シート(92)不織布は、スパンボンド、スパンレース、カード、又はエアレイドなどのプロセスによって作製することができ、ポリプロピレン(polypropylene、PP)、ポリエチレン(polyethylene、PE)、ポリエチレンフタレート(polyethylene phthalate、PET)、ポリ乳酸/ポリラクチド(polylactic acid/polylactide、PLA)、又は共役繊維(PE/PET、PE/PP、PE/PLAなど)、並びに綿などの天然繊維、又はビスコース若しくはリオセルなどの再生セルロース繊維から作製された繊維及び/又はフィラメントを含み得る。外側シート(92)不織布は、スパンボンド不織布とカード不織布とを組み合わせるなどの、異なるプロセス及び繊維によって作製された不織布を組み合わせた多層体又は複合構造体であってもよい。外側シート(92)不織布は、生分解性材料によって作製されてもよいか、又は再生可能資源に由来してもよい。外側シート(92)の例示的な材料としては、少なくとも約50μm、又は少なくとも約80μm、又は少なくとも約200μmの厚さを有するエアースルーカード不織布が挙げられる。そのような材料は、衣類に面する側に柔らかく弾力性のある(lofty)感触を提供することができる。本発明の外側シート(92)不織布に好適なものは、共心二成分繊維から作製されたエアースルーカード不織布材料、コア偏心二成分フィラメント又はサイドバイサイド二成分フィラメントを通じて作製された捲縮繊維である。本発明の外側シート(92)不織布に好適な材料の非限定的な例としては、Beijing Dayuan Nonwoven Fabric Co.Ltd.又はXiamen Yanjan New Material Co.Ltd.から入手可能なものなどのPE/PET二成分繊維を含む12~45gsmのエアースルーカード不織布基材、及びFibertex又はFitesaから入手可能なものなどのPPモノフィラメント又はPE/PP二成分繊維を含む8~45gsmのスパンメルト不織布基材が挙げられる。
【0057】
本発明の内側シート(94)は、約5gsm~約45gsm、又は約5gsm~約35gsmの坪量を有する不織布であってもよい。内側シート(94)不織布は、約0.5dpf~約4dpfの繊維径を有し得る。内側シート(94)不織布は、スパンボンド、スパンレース、カード、又はエアレイドなどのプロセスによって作製することができ、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンフタレート(PET)、ポリ乳酸/ポリラクチド(PLA)、又は共役繊維(PE/PET、PE/PP、PE/PLAなど)、並びに綿などの天然繊維、又はビスコース若しくはリオセルなどの再生セルロース繊維から作製された繊維及び/又はフィラメントを含み得る。内側シート(94)不織布はまた、スパンボンド不織布とカード不織布との組み合わせなどの、異なるプロセス及び繊維によって作製された不織布を組み合わせた多層体又は複合構造体であってもよい。内側シート(94)不織布は、生分解性材料によって作製されてもよいか、又は再生可能資源に由来してもよい。本発明の内側シート(94)不織布に好適な材料の非限定的な例としては、Beijing Dayuan Nonwoven Fabric Co.Ltd.又はXiamen Yanjan New Material Co.Ltd.から入手可能なものなどのPE/PET二成分ステープル繊維から作製された12~30gsmのエアースルーカード不織布基材、及びFibertex又はFitesaから入手可能なものなどのPPモノフィラメント又はPE/PP二成分繊維を含む8~30gsmのスパンメルト不織布基材が挙げられる。
【0058】
外側シート(92)及び内側シート(94)の坪量は、内側シート(94)の坪量が外側シート(92)の坪量以下であるように調節してもよい。したがって、外側シート(92)は、内側シート(94)がより薄く保たれ、外側シート(92)に沿うと同時に、高品質を伴う柔らかく弾力性のある触感を提供することができ、したがってコストを節約することができる。更に、理論に束縛されるものではないが、そのような坪量の関係を提供することにより、輸送された汗が内側シート(94)に戻るのを防止しながら、皮膚の汗を外側シート(92)に、かつ積層体の外側に効果的に輸送すると考えられる。外側シート(92)及び内側シート(94)の親水性/疎水性は、外側シート(92)の親水性が内側シート(94)の親水性よりも高くなるように調節してもよい。理論に束縛されるものではないが、親水性のそのような勾配は、内側シート(94)から外側シート(92)へ、かつ積層体の外側に皮膚の汗を輸送するのに有利であると考えられる。内側シート(94)不織布は、本質的に疎水性であってもよい。内側シート(94)不織布は、繊維作製プロセスにおいてポリマー樹脂を疎水性溶融添加剤で処理することにより、又は不織布が形成された後に疎水性添加剤を適用することにより、疎水性が提供されてもよい。外側シート(92)不織布は、本質的に疎水性であってもよく、したがって、繊維作製プロセスにおいてポリマー樹脂を親水性溶融添加剤で処理することにより、又は不織布が形成された後に親水性添加剤を適用することにより、内側シート(94)よりも比較的高い親水性が提供されてもよい。
【0059】
上述のように、外側シート(92)は、孔を設けられてもよい。孔は、雌雄型ホットピンプロセス、穴あけプロセス、ウォータージェット及びスクリーンを使用して穴を作製する水流交絡プロセス、並びにこれらの組み合わせによって作製することができる。孔は、米国特許第5,628,097号に記載のように、熱、圧力、又は超音波エネルギー、それに続く漸増的な伸張によって複数の弱化した位置を作製し、その不織布ウェブの弱化した位置での断裂を引き起こすことにより作製することができる。そのような断裂方法は、スパンボンド繊維及びメルトブロー繊維を使用する不織布に特に有用であり得る。孔は、国際公開第2016/73712号に記載のように、3次元、不均質、非位置合わせであってもよく、パターンを形成するものであってもよい。内側シート(94)はまた、通気性のための孔を備えてもよい。内側シート(94)の孔は、外側シート(92)と同じか又は異なるプロセス、サイズ、及び密度で作製されてもよい。孔を提供することにより、内側又は外側シート(92、94)の剛性を変化させることができる。外側シート(92)の長手方向及び横断方向での剛性を調節して、長手方向に連続的な所望のギャザーを設けることができる。
【0060】
本物品の股部領域の衣類に面する側は、上述のように、外側シート(92)に設けられる変形部と同様の可視である変形部を設けてもよい。股部領域、並びに前側及び/又は後側弾性ベルト(84、86)、特に前側及び/又は後側弾性ベルトの非弾性領域(221)の可視である変形部を調和させることにより、物品の一体的な下着のような外観を向上させることができる。
【0061】
全物品力測定法
MTS Criterion C42 running TestWorks4 Software(MTS SYSTEMS(中国)CO.,LTDから入手可能)、又は同等の機器などのコンピュータインターフェースを備える、電気式引張試験機を使用して、力を測定する。試験される試料に対する力が、使用するロードセルの能力の10~90%になるように、ロードセルを選択する。メーカーの指示書に従って機器を較正する。全ての試験は、23±2℃及び50±5%の相対湿度に維持された室内で実施される。
【0062】
引張試験機に、
図6に示されるようなハンガー型の試料保持固定具(300)を装着する。各固定具は、試験中に試料が滑るのを防ぐために、剛性で直線状のゴムでコーティングされた水平バー部分(302)を備える。水平バー部分のバーの外径(ゴムコーティングを含む)は、10.0mmである。水平バー部分(302)の中央軸線は、全試験過程を通して平行で同一垂直面内に保たれるように構成される。標点周囲長は、次式によって決定される。
基準周囲長=2×(H+D+πD/2)
【0063】
式中、Hは水平バー部分(302)間の垂直方向の隙間であり、Dはバーの外径である。
【0064】
機器は、以下の工程をこなすように設定される。
【0065】
【0066】
バーが物品の腰部開口部及び一方の脚部開口部を通過するように、物品(20)の試料を上側の水平バー部分(302)上に挿入する。試験体が下側のバーの上方でぶら下がり、下側のバー(302)に触れなくなるまで、クロスヘッドを持ち上げる。ロードセルの風袋を差し引き、物品を伸張させずに下側のバー(302)を腰部開口部及び他方の脚部開口部に挿通させることができるように、クロスヘッドを下降させる。物品の長手方向中心線LXが上側のバーと下側のバー(302)との間の中間で水平面にあるように、物品を調節する。バー(302)と接触する側部部分の中心は、機器のロードセルと同じ垂直軸線上に位置する。物品を必要に応じて手で適所に保持しつつ、不要な力が加わらないように留意しながら、力が0.05~0.1Nになるまでクロスヘッドをゆっくり持ち上げる。この時点での標点周囲長が初期標点周囲長である。試験を開始し、19.6Nの力が得られるまでクロスヘッドを254mm/分で上方に移動させ、次に、同じ速度でクロスヘッドをすぐに初期標点周囲長に戻す。19.6Nでの最大周囲長、及び試験のセグメントに負荷をかけた間及び負荷をかけない間の最大周囲長の70%における力を記録する。
【0067】
19.6Nでの最大周囲長(mm)を、全伸張時周囲長W1として定義する。全伸張時周囲長(mm)×0.7を、70%伸張時周囲長W2として定義する。70%伸張時周囲長における試験の負荷セグメント中の力(N)を、伸張時周囲長力として定義する。70%伸張時周囲長における試験の負荷を外したセグメント中の力(N)を、フィット時周囲長力として定義する。5つの試料を分析し、それらの平均を計算し、それぞれ、1mm又は0.01N単位で報告する。
【0068】
方向分散値
1.試料の調製
その完全伸張時周囲長W1の65%~90%伸張された状態で試料の弾性ベルト(40)を取り付けることを可能にする適切なサイズを有する硬質プラスチックプレート上に、物品(20)試料を取り付ける。実施例1~2及びA~Cの物品試料の測定には、横断方向に250mmの寸法及び4mmの厚さを有する硬質プラスチックプレートを使用した。
【0069】
2.画像の取得
硬質プラスチックプレート上に取り付けた試料を、非反射性黒色背景プレート上に水平に置く。試料の真上に1050mmの長さで、レンズ(EF24~105mm f/4L IS2 USM)を有するCanonカメラ(CanonEO2 6D Mark2)又は同等物を置く。試料から横断方向に650mm離れて、試料から垂直方向に300mm離して、2つのバーライト(Smart Vision Lights LHF 300又は同等物)を置き、光の面が、水平方向から45±6度の角度に面し、バーライトの長い方の寸法を、試料の長手方向軸線と平行に置く。カメラの焦点距離は、64mmに設定する。画像取得設定は、ISO:400、F:5.0、露光時間:1/160秒、及び取得画像が11画素/mmを有する解像度、である。
【0070】
前側弾性ベルト及び後側弾性ベルトの画像を取得する。
【0071】
3.方向分散値の画像分析
a)上の取得した画像をImageJソフトウェア(バージョン1.52h、National Institute of Health(USA))又は同等物にインポートし、8ビットに変換する。
b)分析領域画像を元の画像から切り取る。分析領域は、腰部開口部に最も近い弾性部材から長手方向に広がり、近位縁部に向かって20mmと測定され、横断方向に200mm広がり、分析領域の中心は、長手方向軸線LXに一致する。実施例1のこの工程によって得た画像は、
図7Aであった。
図7Aの切り取った画像は、上側ギャザー領域(220)を含んでいた。
c)工程b)で得た画像を、ImageJの「Gaussian Blur」フィルタを使用して、8のシグマ(半径)でフィルタリングする。実施例1のこの工程によって得た画像は、
図7Bであった。
d)ImageJ組み込みプラグイン「Directionality」(バージョンV2.2.0)を、工程c)で得た画像に適用する。使用される分析パラメータは、方法:局所勾配配向、Nbins:90、ヒストグラム開始:0である。実施例1のこの工程によって得た画像は、
図7Cであった。この工程では、計算されたギャザー配向分布に対するガウスフィッティングの標準偏差であるパラメータ「分散」によって、画像を説明する。前側弾性ベルト(84)及び後側弾性ベルト(86)の「分散」値を平均して、物品の方向分散値を得る。5つの試料を分析し、それらの平均を計算し、0.01単位で報告する。
【実施例0072】
実施例1~2、A~Cをそのように得、以下に記載の試験を施す。
【0073】
実施例1:構成、弾性プロファイル、及び以下の
図2及び表1の他の特性を有する、専門作業員によって手で作製されたサイズ4(Lサイズ)ベルト型パンツ物品(ロット番号EXP-18-BN3311)。
【0074】
実施例2:構成、弾性プロファイル、及び以下の
図2及び表1の他の特性を有する、実験的機械によって作製した、
図5Bの孔パターンを有する、サイズ4(Lサイズ)ベルト型パンツ物品(ロット番号EXP-19-DZ7410)。
【0075】
実施例A:中国市場で購入したロット番号20190422を有する商品名「Merries」により販売されているサイズ4(Lサイズ)一体型パンツ物品。
【0076】
実施例B:中国市場で購入したロット番号20181004を有する「GooN Super Premium Feather」の商品名により販売されているサイズ4(Lサイズ)一体型パンツ物品。
【0077】
実施例C:中国市場で購入したロット番号20190424Dを有する「Teddy Bear More than thinner」の商品名により販売されているサイズ4(Lサイズ)ベルト型パンツ物品。
【0078】
【表2】
(
*1)表1の「腹部カット」とは、弾性ストランドの横断方向中央領域における弾性の非稼働化を意味し、68%の弾性有効長さを生じる。
【0079】
画像解析
本明細書の「方向分散値」測定法に従って、方向分散値(Directional Dispersion Values、DDV)を測定した。結果を表2に示す。
【0080】
表示及び感触試験
サイズ4(Lサイズ)のパンツおむつを使用している幼児の介護者であり、試験に使用した同様の価格範囲の主要ブランドの混合の使用経験を有する、30人のパネリストを募集した。25~36歳の年齢群の男児及び女児の介護者の数は、ほぼ等しかった。15個の完成した製品試験試料をマネキンに装着して示し、更にパネリストに手で触れさせ、感触を提供した。全ての試験試料は、アートワークを全く含まず提供した。市場から購入した実施例A、B、及びCでは、印刷されたバックシートを除去することによりアートワークを除去し、次いで最終製品を作製するための印刷を有さないものとバックシートを交換して試料を再構築した。試料を再構築するときに、ギャザーの品質を低下させないように注意した。試験試料を1つずつ観察し、触れた後に個々にアンケートに記入するように各回答者に依頼した。アンケートでは、表2に見られるように7つの値があり、各回答者に、「不十分」=0、「十分」=25、「良」=50、「非常に良」=75、及び「優」=100などのスコアである、5つの評価を使用してそれらの値に対して試験試料を評価するように要求した。スコアを平均した。
【0081】
試験した15個の試験試料の中でも、実施例2、A、B、及びCについての情報を以下の表2に抽出する。全ての回答者が全ての製品を評価しておらず、したがって、「基本サイズ」は、回答者の数を示す。
【0082】
【表3】
(
*2)スコア後の実施例番号の印は、90%信頼水準で印をつけられた実施例に対して「統計的に有意により良好」であることを示す。例えば、実施例2の「全体」評価は、実施例A、B、及びCの各々よりも統計的に有意に良好であった。
【0083】
試験結果によれば、本発明のパラメータ的要件を満たす実施例2は、実施例A、B、及びCよりも統計的に有意に高い全体的な支持を有し、また、他の値の全てにおいて統計的に有意により良好又は優れている。本発明の実施例1又は2はまた、適用を容易にするための改善された伸張性、弛みを防止するための改善されたフィット性、改善された快適性及び柔らかさ、並びに皮膚の健康のための改善された通気性を有する。
【0084】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。その代わりに、特に指示がない限り、このような寸法は各々、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味することを意図する。更に、本明細書全体を通して与えられるあらゆる数値範囲は、このような広い数値範囲内に入るあらゆるより狭い数値範囲を含む。
【0085】
相互参照される文書又は関連特許若しくは出願を含む、本明細書に引用される全ての文書は、明示的に除外されるか又は特に限定されない限り、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いかなる文献の引用も、本明細書中で開示又は特許請求される任意の発明に対する先行技術であるとはみなされず、あるいはそれを単独で又は他の任意の参考文献(単数又は複数)と組み合わせたときに、そのようないかなる発明も教示、示唆又は開示するとはみなされない。更に、本文書における用語の任意の意味又は定義が、参照により組み込まれた文書内の同じ用語の任意の意味又は定義と矛盾する場合、本文書においてその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0086】
本発明の特定の実施形態を例示及び説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく様々な他の変更及び修正を行うことができることは当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にある全てのそのような変更及び修正を添付の特許請求の範囲に網羅することが意図される。
長手方向及び横断方向に連続的な着用可能物品であって、前側弾性ベルト領域と、後側弾性ベルト領域と、股部領域と、腰部開口部と、一対の脚部開口部と、を備え、前記股部領域が、前記前側弾性ベルト領域と前記後側弾性ベルト領域との間で長手方向に延在し、
前記前側及び前記後側弾性ベルトの各々が、内側シート、外側シート、及び横断方向に延びる複数の弾性部材、を含む積層体であり、
前記積層体が、前記前側及び後側弾性ベルトの側縁部に隣接する領域で伸張方向に少なくとも約10mmにわたり、前記弾性部材を連続的に結合する弾性接着結合部、並びに前記内側シート及び前記外側シートを断続的に結合するために、前記内側シート及び前記外側シートのうちの少なくとも1つに横断方向及び長手方向に間隔をあけて適用される別個のパターンを有する接着結合部を更に含み、前記別個のパターンを有する接着結合部が、少なくとも、前記弾性接着結合部の間で横断方向寸法に実質的に沿って、かつ前記前側及び後側弾性ベルトの遠位縁部と近位縁部との間で長手方向寸法に実質的に沿って延在し、
前記弾性接着結合部及び前記別個のパターンを有する接着結合部が、同じ接着剤によって設けられ、
前記積層体が、前記側縁部で熱によって結合されてサイドシームを形成し、前記サイドシームが、前記側縁部から約20mm以下の距離で存在し、前記積層体の残りが、熱結合部を含まない、着用可能物品。