(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023134706
(43)【公開日】2023-09-27
(54)【発明の名称】キャパシタ
(51)【国際特許分類】
H01G 4/33 20060101AFI20230920BHJP
H01G 4/30 20060101ALI20230920BHJP
【FI】
H01G4/33 102
H01G4/30 540
H01G4/30 541
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023116866
(22)【出願日】2023-07-18
(62)【分割の表示】P 2019071138の分割
【原出願日】2019-04-03
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】香川 武史
(72)【発明者】
【氏名】原田 真臣
(72)【発明者】
【氏名】松原 弘
(57)【要約】 (修正有)
【課題】寄生容量の発生を抑えたキャパシタを提供する。
【解決手段】キャパシタ103は、主表面1aを有する基板1と、基板1の主表面1a側に位置する第1電極層21と、第1電極層21の少なくとも一部を覆うように配置された誘電体膜3と、誘電体膜3を挟んで第1電極層21と対向するように誘電体膜3の少なくとも一部を覆うように配置された第2電極層22と、第2電極層22の少なくとも一部を覆うように配置された第1保護膜41と、第2電極層22に電気的に接続されつつ第1保護膜41の主表面1aとは反対側に引き出される第1配線61と、第1配線61の一部を覆うように配置された第1外部電極71と、第1保護膜41の一部を覆うように配置された第2保護膜42と、を備える。主表面1aに垂直な方向から見たとき、第1外部電極71および第1配線61はいずれも第2電極層22の領域A3内に配置されている。
【選択図】
図16
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主表面を有する基板と、
前記基板の前記主表面側に位置する第1電極層と、
前記第1電極層の少なくとも一部を覆うように配置された誘電体膜と、
前記誘電体膜を挟んで前記第1電極層と対向するように前記誘電体膜の少なくとも一部を覆うように配置された第2電極層と、
前記第2電極層の少なくとも一部を覆うように配置された第1保護膜と、
前記第2電極層に電気的に接続されつつ前記第1保護膜の前記主表面とは反対側に引き出される第1配線と、
前記第1配線の一部を覆うように配置された第1外部電極と、
前記第1保護膜の一部を覆うように配置された第2保護膜とを備え、
前記主表面に垂直な方向から見たとき、前記第1外部電極および前記第1配線はいずれも前記第2電極層の領域内に配置されており、
前記第1配線は、前記第2電極層と前記第1保護膜の前記主表面とは反対側の面とを接続する第1配線第1部分と、前記第1配線第1部分のうち前記第1保護膜の前記主表面とは反対側の面にある部分と前記第2保護膜の前記主表面とは反対側の面とを接続する第1配線第2部分とを含み、
前記第1外部電極は、前記第2保護膜の前記主表面とは反対側の面において前記第1配線第2部分の少なくとも一部を覆うように配置されている、キャパシタ。
【請求項2】
前記第1電極層に電気的に接続されつつ前記第1保護膜の前記主表面とは反対側に引き出される第2配線と、
前記第2配線の一部を覆うように配置された第2外部電極とを備え、
前記主表面に垂直な方向から見たとき、前記第2外部電極および前記第2配線はいずれも前記第2電極層の領域外に配置されている、請求項1に記載のキャパシタ。
【請求項3】
前記第2電極層とは異なる領域で前記誘電体膜を挟んで前記第1電極層と対向するように前記誘電体膜の少なくとも一部を覆うように配置された第3電極層と、
前記第3電極層に電気的に接続されつつ前記第1保護膜の前記主表面とは反対側の面に引き出される第3配線と、
前記第3配線の一部を覆うように配置された第3外部電極とを備え、
前記主表面に垂直な方向から見たとき、前記第3外部電極および前記第3配線はいずれも前記第3電極層の領域内に配置されている、請求項1に記載のキャパシタ。
【請求項4】
前記基板は前記主表面に凹部を有し、前記第1電極層、前記誘電体膜、および前記第2電極層の積層部分は、前記凹部の内面に沿って配置された部分を含む、請求項1から3のいずれかに記載のキャパシタ。
【請求項5】
前記第1配線を覆う最外層保護膜を備え、前記第1外部電極の外縁部の少なくとも一部は、前記最外層保護膜によって覆われている、請求項1から4のいずれかに記載のキャパシタ。
【請求項6】
前記第1配線を覆う最外層保護膜を備え、前記第1外部電極と前記最外層保護膜とは、離隔している、請求項1から4のいずれかに記載のキャパシタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャパシタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特開2018-63978号公報(特許文献1)にキャパシタの一例が開示されている。特許文献1に記載されたキャパシタは、MIM(Metal-Insulator-Metal)構造の薄膜コンデンサを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
MIM構造においてキャパシタを構成する2つの電極層に注目し、これをそれぞれ「一方の電極層」、「他方の電極層」と呼ぶこととすると、一方の電極層から配線が引き出されて外部電極に接続される。この引き出した配線および外部電極と、他方の電極層との間で容量結合が起こりうる。このように生じた不所望の容量結合によって、寄生容量が発生する。その結果、本来の設計上の容量値からずれた容量値のキャパシタとなってしまう。
【0005】
そこで、本発明は、寄生容量の発生を抑えたキャパシタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に基づくキャパシタは、主表面を有する基板と、上記基板の上記主表面側に位置する第1電極層と、上記第1電極層の少なくとも一部を覆うように配置された誘電体膜と、上記誘電体膜を挟んで上記第1電極層と対向するように上記誘電体膜の少なくとも一部を覆うように配置された第2電極層と、上記第2電極層の少なくとも一部を覆うように配置された第1保護膜と、上記第2電極層に電気的に接続されつつ上記第1保護膜の上記主表面とは反対側に引き出される第1配線と、上記第1配線の一部を覆うように配置された第1外部電極とを備え、上記主表面に垂直な方向から見たとき、上記第1外部電極および上記第1配線はいずれも上記第2電極層の領域内に配置されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、第1配線と第1電極層との間での容量結合を最小化することができる。したがって、寄生容量の発生を抑えたキャパシタを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明に基づく実施の形態1におけるキャパシタの断面図である。
【
図2】本発明に基づく実施の形態1におけるキャパシタの一部の構成要素のみを抽出した平面図である。
【
図3】本発明に基づく実施の形態1におけるキャパシタの第1の変形例の一部の構成要素のみを抽出した平面図である。
【
図4】本発明に基づく実施の形態1におけるキャパシタの第2の変形例の一部の構成要素のみを抽出した平面図である。
【
図5】本発明に基づく実施の形態1におけるキャパシタの第3の変形例の一部の構成要素のみを抽出した平面図である。
【
図6】本発明に基づく実施の形態1におけるキャパシタの製造方法の第1の工程の説明図である。
【
図7】本発明に基づく実施の形態1におけるキャパシタの製造方法の第2の工程の説明図である。
【
図8】本発明に基づく実施の形態1におけるキャパシタの製造方法の第3の工程の説明図である。
【
図9】本発明に基づく実施の形態1におけるキャパシタの製造方法の第4の工程の説明図である。
【
図10】本発明に基づく実施の形態1におけるキャパシタの製造方法の第5の工程の説明図である。
【
図11】本発明に基づく実施の形態1におけるキャパシタの製造方法の第6の工程の説明図である。
【
図12】本発明に基づく実施の形態1におけるキャパシタの製造方法の第7の工程の説明図である。
【
図13】本発明に基づく実施の形態1におけるキャパシタの製造方法の第8の工程の説明図である。
【
図14】本発明に基づく実施の形態1におけるキャパシタの製造方法の第9の工程の説明図である。
【
図15】本発明に基づく実施の形態2におけるキャパシタの断面図である。
【
図16】本発明に基づく実施の形態3におけるキャパシタの断面図である。
【
図17】本発明に基づく実施の形態3におけるキャパシタの製造方法の第1の工程の説明図である。
【
図18】本発明に基づく実施の形態3におけるキャパシタの製造方法の第2の工程の説明図である。
【
図19】本発明に基づく実施の形態3におけるキャパシタの製造方法の第3の工程の説明図である。
【
図20】本発明に基づく実施の形態3におけるキャパシタの製造方法の第4の工程の説明図である。
【
図21】本発明に基づく実施の形態3におけるキャパシタの製造方法の第5の工程の説明図である。
【
図22】本発明に基づく実施の形態3におけるキャパシタの製造方法の第6の工程の説明図である。
【
図23】本発明に基づく実施の形態3におけるキャパシタの製造方法の第7の工程の説明図である。
【
図24】本発明に基づく実施の形態4におけるキャパシタの断面図である。
【
図25】本発明に基づく実施の形態5におけるキャパシタの断面図である。
【
図26】本発明に基づく実施の形態6におけるキャパシタの断面図である。
【
図27】本発明に基づく実施の形態7におけるキャパシタの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図面において示す寸法比は、必ずしも忠実に現実のとおりを表しているとは限らず、説明の便宜のために寸法比を誇張して示している場合がある。以下の説明において、上または下の概念に言及する際には、絶対的な上または下を意味するとは限らず、図示された姿勢の中での相対的な上または下を意味する場合がある。
【0010】
(実施の形態1)
(構成)
図1~
図2を参照して、本発明に基づく実施の形態1におけるキャパシタについて説明する。本実施の形態におけるキャパシタ101の断面図を
図1に示す。キャパシタ101のうち一部の構成要素のみを抽出して示した平面図を
図2に示す。
【0011】
キャパシタ101は、主表面1aを有する基板1と、基板1の主表面1a側に位置する第1電極層21と、第1電極層21の少なくとも一部を覆うように配置された誘電体膜3と、誘電体膜3を挟んで第1電極層21と対向するように誘電体膜3の少なくとも一部を覆うように配置された第2電極層22と、第2電極層22の少なくとも一部を覆うように配置された第1保護膜41と、第2電極層22に電気的に接続されつつ第1保護膜41の主表面1aとは反対側に引き出される第1配線61と、第1配線61の一部を覆うように配置された第1外部電極71とを備える。主表面1aに垂直な方向から見たとき、第1外部電極71および第1配線61はいずれも第2電極層22の領域A1内に配置されている。
【0012】
キャパシタ101は接続部31を備える。接続部31においては、第1保護膜41に形成された貫通孔を利用して第1配線61が第2電極層22に接続されている。第1保護膜41の上側には、最外層保護膜5が形成されている。キャパシタ101においては、第1外部電極71の少なくとも一部および第2外部電極72の少なくとも一部が最外層保護膜5の開口部から露出している。第1外部電極71の外周付近の一部は最外層保護膜5によって覆われている。第1外部電極71の上面は、最外層保護膜5の上面より低い位置にある。
図2では、説明の便宜のため、最外層保護膜5を取り去った状態で平面視したところを示している。
【0013】
キャパシタ101は、第1配線61とは別に第2配線62を備える。第2配線62は、第1電極層21に対して接続部32で電気的に接続されている。第2配線62の上面の一部を覆うように第2外部電極72が形成されている。第2配線62およびその周辺の構成要素について詳しくは後述する。
【0014】
なお、第1電極層21のことを「下部電極」、第2電極層22のことを「上部電極」とそれぞれ称する場合もある。
【0015】
キャパシタ101の各構成要素の材料の種類については、製造方法の説明と共に後述する。
【0016】
(作用・効果)
本実施の形態におけるキャパシタ101においては、第1電極層21と第2電極層22とが誘電体膜3を挟んで対向している部分により、MIM構造が形成されている。このMIM構造をコンデンサとして利用することができる。第2電極層22には第1配線61を介して第1外部電極71が電気的に接続されている。第1電極層21には第2配線62を介して第2外部電極72が電気的に接続されている。したがって、キャパシタ101に対する電気的接続は、第1外部電極71と第2外部電極72とを利用して行なうことができる。
【0017】
第1配線61は、第2電極層22と同じ電位であるのに対して、第1電極層21とは異なる電位である。したがって、第1配線61と第1電極層21との間の不所望な容量結合が問題となる。しかし、本実施の形態では、第1外部電極71および第1配線61はいずれも第2電極層22の領域A1内に配置されているので、第1外部電極71および第1配線61から主表面1aに垂直な方向を見れば、第1電極層21は直接は見えず、第1電極層21の手前に必ず第2電極層22が存在することになる。したがって、第1配線61と第1電極層21との間での容量結合を最小化することができる。すなわち、寄生容量の発生を抑えたキャパシタを実現することができる。その結果、狙った容量値からのずれを最小化することができる。
【0018】
本実施の形態では、平面図として
図2を示した。
図2では、1つの第1配線61の中に第1外部電極71と接続部31とが配置されている。第1外部電極71は大きな長方形として表れており、接続部31も細長い長方形として表れている。
図2の右半分には第2配線62が示されている。第2配線62の中に第2外部電極72と接続部32とが配置されている。
【0019】
ただし、
図2に示されるレイアウトはあくまで一例である。
図2では基板1の全体を示しているが、この図の左半分に表れている第2電極層22の内部のレイアウトに注目し、さらなる変形例を以下に示す。平面図で見たときの第2電極層22の内部のレイアウトとしては、
図3~
図5にそれぞれ示すようなものであってもよい。
【0020】
図3では、1つの第1外部電極71を挟み込むように2つの接続部31a,31bが配置されている。接続部31a,31bは、長方形の第1外部電極71の2つの短辺にそれぞれ沿うように配置されている。
【0021】
図4では、1つの第1外部電極71を挟み込むように2つの接続部31c,31dが配置されている。接続部31c,31dは、長方形の第1外部電極71の2つの長辺にそれぞれ沿うように配置されている。
【0022】
図5では、第1外部電極71が長方形に切欠きを設けたような形状を有している。第1外部電極71の形状のことをU字形状と表現してもよい。これに対して、接続部31eはT字形状を有している。第1外部電極71の切欠きに、接続部31eの突出部が入り込むように、第1外部電極71および接続部31eが配置されている。
【0023】
(好ましい構成)
再び
図1を参照して説明する。本実施の形態では好ましいことに、キャパシタ101は、第1電極層21に電気的に接続されつつ第1保護膜41の主表面1aとは反対側に引き出される第2配線62と、第2配線62の一部を覆うように配置された第2外部電極72とを備え、主表面1aに垂直な方向から見たとき、第2外部電極72および第2配線62はいずれも第2電極層22の領域A1外に配置されている。この構成を採用することにより、第2外部電極72および第2配線62から主表面1aに垂直な方向を見れば、第2電極層22はなく、第1電極層21が見えることとなる。したがって、第2配線62と第2電極層22との間での容量結合を最小化することができる。その結果、狙った容量値からのずれを最小化することができる。
【0024】
キャパシタ101においては、第1配線61を覆う最外層保護膜5を備え、第1外部電極71の外縁部の少なくとも一部は、最外層保護膜5によって覆われている。この構成を採用することにより、第1外部電極71の剥離を起こりにくくすることができる。以下のいくつかの実施の形態においても同様の構成が採用されている。なお、本実施の形態では、第1外部電極71の外縁部の全てが最外層保護膜5によって覆われている例を示しているが、第1外部電極71の外縁部の一部のみが最外層保護膜5によって覆われている構成であってもよい。
【0025】
(製造方法)
図6~
図14を参照して、本実施の形態で説明したキャパシタ101の製造方法について説明する。キャパシタを製造するためには、複数個のキャパシタに相当する大きなサイズの基板を利用して各工程を一括して行ない、後で個別のサイズに切り分けることによって複数のキャパシタを得るという方法を採ることができる。ここでは、そのような方法を前提として説明する。
【0026】
図6に示すように、基板1の主表面1aを覆うように絶縁膜2を形成する。基板1は半導体基板であってよい。ここでいう半導体基板は、たとえばシリコン基板、ガリウム砒素基板などであってよい。絶縁膜2は、CVD法、PVD法などで形成することができる。絶縁膜2の材料は、たとえばSiO
2、SiN、Al
2O
3などのいずれかであってよい。
基板1は、半導体基板に限らず、たとえばガラス、アルミナなどからなる絶縁性基板であってもよい。基板1が絶縁性基板である場合には絶縁膜2の形成は省略してもよい。
【0027】
図7に示すように、絶縁膜2上に、リフトオフ法、めっき法、エッチング法などを施すことにより、第1電極層21を形成する。第1電極層21の材料はCu、Ag、Au、Al、Ptのいずれかであるか、あるいは、これらのうちから選択される1以上の金属を含む合金であることが好ましい。
【0028】
図8に示すように、基板1の全体にわたって上面を覆うように誘電体膜3を形成する。誘電体膜3の形成には、CVD法、PVD法などを用いることができる。誘電体膜3の材料は、SiO
2、SiN、Al
2O
3、HfO
2、Ta
2O
5などのいずれかであってよい。すなわち、ここで挙げたような酸化物または窒化物であることが好ましい。
【0029】
図9に示すように、誘電体膜3の上側のうち、第1電極層21の上側に該当する領域に、第2電極層22を形成する。第2電極層22の形成には、リフトオフ法、めっき法、エッチング法などを用いることができる。第2電極層22の材料は、たとえばCu、Ag、Au、Al、Ptのいずれかであるか、あるいは、これらのうちから選択される1以上の金属を含む合金であることが好ましい。
【0030】
図10に示すように、誘電体膜3上に、第1電極層21への導通を確保するためのビアをエッチング法により形成する。
図10では、このビアを通じて第1電極層21の一部が露出している。
【0031】
図11に示すように、第1保護膜41を形成する。第1保護膜41の材料は、ポリイミドなどの樹脂材料であることが好ましい。第1保護膜41の下側にSiNなどからなる耐湿膜を配置してもよい。
図11では、第1保護膜41に2つの開口部を設けることにより、接続部31,32が形成されている。
【0032】
図12に示すように、第1配線61および第2配線62を形成する。第1配線61および第2配線62の形成には、リフトオフ法、めっき法、エッチング法などを用いることができる。第1配線61および第2配線62の材料は、たとえばCu、Ag、Au、Al、Ptのいずれかであるか、あるいは、これらのうちから選択される1以上の金属を含む合金であることが好ましい。第1配線61および第2配線62を形成する前に、密着層を形成してもよい。密着層の材料としては、Ti、Crなどのいずれかを採用可能である。
【0033】
図13に示すように、第1外部電極71および第2外部電極72を形成する。第1外部電極71および第2外部電極72の形成には、リフトオフ法、めっき法、エッチング法などを用いることができる。第1外部電極71および第2外部電極72の材料は、たとえばCu、Ni、Ag、Au、Alのいずれかであることが好ましい。第1外部電極71および第2外部電極72の一方または両方を複数種類の材料からなる積層構造としてもよい。第1外部電極71および第2外部電極72の最表面はたとえばAuからなることが好ましい。
【0034】
図14に示すように、最外層保護膜5を形成する。最外層保護膜5の材料は、ソルダーレジストなどの樹脂材料であることが好ましい。
【0035】
バックグラインドを行なうことにより、所望の素子厚さにまで薄くする。その後、ブレードダイシング、ステルスダイシング、プラズマダイシングなどのうちのいずれかの方法により個片化する。すなわち、集合基板から個別のキャパシタのサイズに切り分ける。こうすることにより、
図1に示したキャパシタ101を得ることができる。
【0036】
(実施の形態2)
(構成)
図15を参照して、本発明に基づく実施の形態2におけるキャパシタについて説明する。本実施の形態におけるキャパシタ102の断面図を
図15に示す。
【0037】
キャパシタ102の基本的な構成は、実施の形態1で説明したキャパシタ101と同様であるが、キャパシタ102はさらに以下の構成を備える。
【0038】
キャパシタ102は、第2電極層22とは異なる領域で誘電体膜3を挟んで第1電極層21と対向するように誘電体膜3の少なくとも一部を覆うように配置された第3電極層23と、第3電極層23に電気的に接続されつつ第1保護膜41の主表面1aとは反対側の面に引き出される第3配線63と、第3配線63の一部を覆うように配置された第3外部電極73とを備える。主表面1aに垂直な方向から見たとき、第3外部電極73および第3配線63はいずれも第3電極層23の領域A2内に配置されている。
【0039】
より簡単に説明すると、キャパシタ102においては、1つの第1電極層21の上側を誘電体膜3が覆っており、さらに誘電体膜3の上に2つの電極層が配置されている。これら2つの電極層は、互いに別々の領域をそれぞれ覆うように配置されている。これら2つの電極層は、互いに接していない。これらの配置により、2つの容量の直列接続が実現されている。これを「シリーズ構造」ともいう。
【0040】
キャパシタ102においては、第1外部電極71の少なくとも一部および第3外部電極73の少なくとも一部が最外層保護膜5の開口部から露出している。
【0041】
(作用・効果)
本実施の形態においても、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。すなわち、狙った容量値からのずれを最小化することができる。
【0042】
(実施の形態3)
(構成)
図16を参照して、本発明に基づく実施の形態3におけるキャパシタについて説明する。本実施の形態におけるキャパシタ103の断面図を
図16に示す。
【0043】
キャパシタ103の基本的な構成は、実施の形態1で説明したキャパシタ101と同様であるが、キャパシタ103はさらに以下の構成を備える。
【0044】
キャパシタ103は、第1保護膜41の一部を覆うように配置された第2保護膜42を備える。第1配線61は、第1配線第1部分61aと、第1配線第2部分61bとを含む。第1配線第1部分61aは、第2電極層22と、第1保護膜41の主表面1aとは反対側の面とを接続する。第1配線第2部分61bは、第1配線第1部分61aのうち第1保護膜41の主表面1aとは反対側の面にある部分と、第2保護膜42の主表面1aとは反対側の面とを接続する。第1外部電極71は、第2保護膜42の主表面1aとは反対側の面において第1配線第2部分61bの少なくとも一部を覆うように配置されている。
【0045】
(作用・効果)
本実施の形態においても、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。さらに、本実施の形態では、第1配線61が第1配線第1部分61aと第1配線第2部分61bとを含んでいるので、実施の形態1に比べて第2電極層22と第1配線61との間のコンタクト面積を大きくすることができる。これにより、キャパシタ103では、ESR(等価直列抵抗:Equivalent Series Resistance)を小さくすることができる。
【0046】
本実施の形態では、第1配線61が第1配線第1部分61aと第1配線第2部分61bとを含んで折り返すように配置されているので、第1外部電極71のサイズを大きく設定することができる。第1外部電極71のサイズが大きくなれば、第1外部電極71として露出させる領域の面積を、大きくすることも可能になる。したがって、基板実装性能を向上させることができる。
【0047】
実施の形態1では、第2電極層22の投影領域である領域A1内に第1外部電極71と接続部31とを配置する必要があったので、キャパシタにおいては、外部電極をいかに大きく確保するか、すなわち実装性をいかに良くするかという課題と、第2電極層22と第1配線61との間のコンタクト面積をいかに大きく確保するか、すなわちESRをいかに小さくするかという2つの課題はトレードオフの関係にあった。しかし、実施の形態3では、第1保護膜41と第2保護膜42とで2層構造となっていて、第1配線61が第1配線第1部分61aと第1配線第2部分61bとを含む構造となっているので、上記2つの課題は、必ずしもトレードオフの関係ではなく、それぞれ独立した設計が可能となる。したがって、実装性とESRとを同時に改善することも可能となる。
【0048】
(製造方法)
図17~
図23を参照して、本実施の形態で説明したキャパシタ103の製造方法について説明する。キャパシタ103を製造するためには、複数個のキャパシタに相当する大きなサイズの基板を利用して各工程を一括して行ない、後で個別のサイズに切り分けることによって複数のキャパシタ103を得るという方法を採ることができる。ここでは、そのような方法を前提として説明する。
【0049】
図17に示すように、基板1の主表面1aに絶縁膜2を形成し、さらに第1電極層21を形成し、誘電体膜3を形成する。誘電体膜3に、第1電極層21への導通を確保するためのビアを形成する。このビアはエッチング法により形成することができる。
【0050】
図18に示すように、第1保護膜41を形成する。第1保護膜41の材料は、ポリイミドなどの樹脂材料であることが好ましい。第1保護膜41の下側にSiNなどからなる耐湿膜を配置してもよい。
図18では、第1保護膜41に2つの開口部を設けることにより、接続部31,32が形成されている。
【0051】
図19に示すように、第1配線第1部分61aおよび第2配線第1部分62aを形成する。第1配線第1部分61aおよび第2配線第1部分62aの形成には、リフトオフ法、めっき法、エッチング法などを用いることができる。第1配線第1部分61aおよび第2配線第1部分62aの材料は、たとえばCu、Ag、Au、Al、Ptのいずれかであるか、あるいは、これらのうちから選択される1以上の金属を含む合金であることが好ましい。第1配線第1部分61aおよび第2配線第1部分62aを形成する前に、密着層を形成してもよい。密着層の材料としては、Ti、Crなどのいずれかを採用可能である。
【0052】
図20に示すように、第2保護膜42を形成する。第2保護膜42は、第1保護膜41上において第1配線第1部分61aおよび第2配線第1部分62aをそれぞれ露出させるように開口部を有する。第2保護膜42の材料は、ポリイミド、ソルダーレジストなどの樹脂材料であることが好ましい。
【0053】
図21に示すように、第1配線第2部分61bおよび第2配線第2部分62bを形成する。第1配線第2部分61bおよび第2配線第2部分62bの形成には、リフトオフ法、めっき法、エッチング法などを用いることができる。第1配線第2部分61bおよび第2配線第2部分62bの材料は、たとえばCu、Ag、Au、Al、Ptのいずれかであるか、あるいは、これらのうちから選択される1以上の金属を含む合金であることが好ましい。第1配線第2部分61bおよび第2配線第2部分62bを形成する前に、密着層を形成してもよい。密着層の材料としては、Ti、Crなどのいずれかを採用可能である。
【0054】
図22に示すように、第1外部電極71および第2外部電極72を形成する。第1外部電極71および第2外部電極72の形成には、リフトオフ法、めっき法、エッチング法などを用いることができる。第1外部電極71および第2外部電極72の材料は、たとえばCu、Ni、Ag、Au、Alのいずれかであることが好ましい。第1外部電極71および第2外部電極72の一方または両方を複数種類の材料からなる積層構造としてもよい。第1外部電極71および第2外部電極72の最表面はたとえばAuからなることが好ましい。
【0055】
図23に示すように、最外層保護膜5を形成する。最外層保護膜5の材料は、ソルダーレジストなどの樹脂材料であることが好ましい。
【0056】
バックグラインドを行なうことにより、所望の素子厚さにまで薄くする。その後、ブレードダイシング、ステルスダイシング、プラズマダイシングなどのうちのいずれかの方法により個片化する。すなわち、集合基板から個別のキャパシタのサイズに切り分ける。こうすることにより、
図16に示したキャパシタ103を得ることができる。
【0057】
(実施の形態4)
(構成)
図24を参照して、本発明に基づく実施の形態4におけるキャパシタについて説明する。本実施の形態におけるキャパシタ104の断面図を
図24に示す。
【0058】
キャパシタ104においては、第1配線61は、第1配線第1部分61aと、第1配線第2部分61bとを含む。第3配線63は、第3配線第1部分63aと、第3配線第2部分63bとを含む。すなわち、キャパシタ104においては、2つの容量の直列接続が実現されており、なおかつ、各配線はそれぞれ2つの部分の組合せとなっている。
【0059】
主表面1aに垂直な方向から見たとき、第1外部電極71および第1配線61はいずれも第2電極層22の領域A3内に配置されている。第3外部電極73および第3配線63はいずれも第3電極層23の領域A4内に配置されている。
【0060】
(作用・効果)
本実施の形態におけるキャパシタ104は、2つの容量が直列接続された構造を備えるが、その各々の容量において、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。本実施の形態では、各配線はそれぞれ2つの部分の組合せとなっているので、実施の形態3で述べた効果も得ることができる。
【0061】
(実施の形態5)
(構成)
図25を参照して、本発明に基づく実施の形態5におけるキャパシタについて説明する。本実施の形態におけるキャパシタ105の断面図を
図25に示す。図中左側のMIM構造の部分は、凹部6aと凹部6bとを有する。キャパシタ105は、実施の形態1で示したキャパシタ101において、MIM構造の部分をトレンチ構造としたものに相当する。凹部6bの内部には、第1配線61が入り込んでいる。
【0062】
キャパシタ105においては、基板1は主表面1aに凹部を有し、第1電極層21、誘電体膜3、および第2電極層22の積層部分は、前記凹部の内面に沿って配置された部分を含む。
【0063】
(作用・効果)
本実施の形態では、トレンチ構造を備えることにより、MIM面積を拡大することができ、大容量を得ることができる。
【0064】
(実施の形態6)
(構成)
図26を参照して、本発明に基づく実施の形態6におけるキャパシタについて説明する。本実施の形態におけるキャパシタ106の断面図を
図26に示す。図中左側のMIM構造の部分は、凹部6aと凹部6bとを有する。キャパシタ106は、実施の形態3で示したキャパシタ103において、MIM構造の部分をトレンチ構造としたものに相当する。凹部6bの内部には、第1配線61が入り込んでいる。
【0065】
(作用・効果)
本実施の形態では、実施の形態3と同様の効果を得ることができ、さらにトレンチ構造を備えることにより、MIM面積を拡大することができ、大容量を得ることができる。
【0066】
(実施の形態7)
(構成)
図27を参照して、本発明に基づく実施の形態7におけるキャパシタについて説明する。本実施の形態におけるキャパシタ107の断面図を
図27に示す。キャパシタ107は、基本的な構成においては、実施の形態1で示したキャパシタ101と同様であるが、外部電極とその周囲のレジストとの関係が異なる。キャパシタ101がオーバーレジスト構造を備えるのに対して、キャパシタ107はクリアランスレジスト構造を備える。すなわち、キャパシタ107においては、第1外部電極71および第2外部電極72に対して最外層保護膜5が被さっていない。最外層保護膜5は、第1外部電極71および第2外部電極72から離隔するように配置されている。
【0067】
キャパシタ107は、第1配線61を覆う最外層保護膜5を備え、第1外部電極71と最外層保護膜5とは、離隔している。
【0068】
(作用・効果)
本実施の形態においても、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。本実施の形態におけるキャパシタ107では、クリアランスレジスト構造を備えるので、はんだ濡れ性を良くすることができる。
【0069】
なお、上記実施の形態のうち複数を適宜組み合わせて採用してもよい。
なお、今回開示した上記実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
【符号の説明】
【0070】
1 基板、1a 主表面、2 絶縁膜、3 誘電体膜、5 最外層保護膜、6a,6b 凹部、21 第1電極層、22 第2電極層、31,31a,31b,31c,31d,32 接続部、41 第1保護膜、42 第2保護膜、61 第1配線、61a 第1配線第1部分、61b 第1配線第2部分、62 第2配線、62a 第2配線第1部分、62b 第2配線第2部分、63 第3配線、63a 第3配線第1部分、63b 第3配線第2部分、71 第1外部電極、72 第2外部電極、73 第3外部電極、101,102,103,104,105,106,107 キャパシタ。