(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023134731
(43)【公開日】2023-09-27
(54)【発明の名称】特異的AKT3活性化剤およびその使用
(51)【国際特許分類】
C07D 401/12 20060101AFI20230920BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230920BHJP
A61P 37/06 20060101ALI20230920BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20230920BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20230920BHJP
A61P 7/06 20060101ALI20230920BHJP
A61P 7/00 20060101ALI20230920BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20230920BHJP
A61P 27/16 20060101ALI20230920BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20230920BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20230920BHJP
A61P 25/02 20060101ALI20230920BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20230920BHJP
A61P 21/00 20060101ALI20230920BHJP
A61P 5/14 20060101ALI20230920BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20230920BHJP
A61P 13/12 20060101ALI20230920BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20230920BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20230920BHJP
A61P 21/04 20060101ALI20230920BHJP
A61P 3/04 20060101ALI20230920BHJP
A61P 19/08 20060101ALI20230920BHJP
A61P 17/06 20060101ALI20230920BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20230920BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20230920BHJP
A61K 35/17 20150101ALI20230920BHJP
A61K 31/4709 20060101ALI20230920BHJP
【FI】
C07D401/12 CSP
A61P43/00 107
A61P37/06 ZNA
A61P29/00
A61P19/02
A61P29/00 101
A61P7/06
A61P7/00
A61P1/16
A61P27/16
A61P17/00
A61P9/00
A61P25/02
A61P1/04
A61P21/00
A61P5/14
A61P11/00
A61P13/12
A61P3/10
A61P25/00
A61P21/04
A61P3/04
A61P19/08
A61P17/06
A61P27/02
A61P43/00 121
A61K45/00
A61K35/17
A61K31/4709
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023117317
(22)【出願日】2023-07-19
(62)【分割の表示】P 2020513849の分割
【原出願日】2018-09-06
(31)【優先権主張番号】62/659,870
(32)【優先日】2018-04-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/657,345
(32)【優先日】2018-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/555,141
(32)【優先日】2017-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】508222047
【氏名又は名称】オーガスタ ユニバーシティ リサーチ インスティテュート,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】クレイフ サミール
(72)【発明者】
【氏名】マーチヤン ミカエル
(57)【要約】 (修正有)
【課題】Akt3を選択的に活性化する組成物および方法を提供する。
【解決手段】下記式IVの化合物を含む組成物を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
による化合物、またはその薬学的に許容されるエナンチオマー、塩、もしくは溶媒和物であって、式中、
環A、B、およびCは、独立して、0以上のN原子を含有する6員アリールまたはN含有ヘテロアリール単環式もしくは二環式環系、例えば、フェニル、ピリジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、トリアジン、キノリン、キナゾリン、イソキノリン、ナフタレン、ナフチリジン、インドール、イソインドール、シンノリン、フタラジン、キノキサリン、プテリジン、プリン、およびベンズイミダゾールであり、
R
1は、-(C
1-C
12)-アルキル、-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-(C
3-C
12)-ヘテロシクロアルキル、-O-(C
1-C
12)-アルキル、-O-(C
1-C
12)-アルキル-(C
6-C
20)-アリール、-O-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-S-(C
1-C
12)-アルキル、-S-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-COO-(C
1-C
12)-アルキル、-COO-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-CONH-(C
1-C
12)-アルキル、-CONH-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-CO-(C
1-C
12)-アルキル、-CO-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-N-[(C
1-C
12)-アルキル]
2、-(C
6-C
20)-アリール、-(C
6-C
20)-アリール-(C
1-C
12)-アルキル、-(C
6-C
20)-アリール-O-(C
1-C
12)-アルキル、-(C
3-C
20)-ヘテロアリール、-(C
3-C
20)-ヘテロアリール-(C
1-C
12)-アルキル、-(C
3-C
20)-ヘテロアリール-O-(C
1-C
12)-アルキル、-COOH、-OH、-SH、-SO
3H、-CN、-NH
2、またはハロゲンから選択される1つ以上の置換基によって置換されていてもよい、-(C
1-C
30)-アルキル、-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-(C
3-C
12)-ヘテロシクロアルキル、-(C
6-C
20)-アリール、または-(C
3-C
20)-ヘテロアリール基から選択され、
X、Y、およびZは、独立して、=O、-NH、-S、-N-(C
1-C
30)-アルキル、または-(C
1-C
30)-アリールから選択され、
R
2は、-(C
1-C
30)-アルキル、=O、-OH、-SO
2、-SO、または-SOCH
3から選択され、
R
3は、-(C
1-C
12)-アルキル、-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-(C
3-C
12)-ヘテロシクロアルキル、-O-(C
1-C
12)-アルキル、-O-(C
1-C
12)-アルキル-(C
6-C
20)-アリール、-O-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-S-(C
1-C
12)-アルキル、-S-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-COO-(C
1-C
12)-アルキル、-COO-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-CONH-(C
1-C
12)-アルキル、-CONH-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-CO-(C
1-C
12)-アルキル、-CO-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-N-[(C
1-C
12)-アルキル]
2、-(C
6-C
20)-アリール、-(C
6-C
20)-アリール-(C
1-C
12)-アルキル、-(C
6-C
20)-アリール-O-(C
1-C
12)-アルキル、-(C
3-C
20)-ヘテロアリール、-(C
3-C
20)-ヘテロアリール-(C
1-C
12)-アルキル、-(C
3-C
20)-ヘテロアリール-O-(C
1-C
12)-アルキル、-COOH、-OH、-SH、-SO
3H、-CN、-NH
2、またはハロゲンから選択される1つ以上の置換基によって置換されていてもよい、-(C
1-C
30)-アルキル、-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-(C
3-C
12)-ヘテロシクロアルキル、-(C
6-C
20)-アリール、または-(C
3-C
20)-ヘテロアリール基から選択される、
化合物、またはその薬学的に許容されるエナンチオマー、塩、もしくは溶媒和物。
【請求項2】
式II:
による化合物、またはその薬学的に許容されるエナンチオマー、塩、もしくは溶媒和物であって、式中、
R
1は、-(C
1-C
12)-アルキル、-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-(C
3-C
12)-ヘテロシクロアルキル、-O-(C
1-C
12)-アルキル、-O-(C
1-C
12)-アルキル-(C
6-C
20)-アリール、-O-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-S-(C
1-C
12)-アルキル、-S-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-COO-(C
1-C
12)-アルキル、-COO-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-CONH-(C
1-C
12)-アルキル、-CONH-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-CO-(C
1-C
12)-アルキル、-CO-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-N-[(C
1-C
12)-アルキル]
2、-(C
6-C
20)-アリール、-(C
6-C
20)-アリール-(C
1-C
12)-アルキル、-(C
6-C
20)-アリール-O-(C
1-C
12)-アルキル、-(C
3-C
20)-ヘテロアリール、-(C
3-C
20)-ヘテロアリール-(C
1-C
12)-アルキル、-(C
3-C
20)-ヘテロアリール-O-(C
1-C
12)-アルキル、-COOH、-OH、-SH、-SO
3H、-CN、-NH
2、またはハロゲンから選択される1つ以上の置換基によって置換されていてもよい、-(C
1-C
30)-アルキル、-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-(C
3-C
12)-ヘテロシクロアルキル、-(C
6-C
20)-アリール、または-(C
3-C
20)-ヘテロアリール基から選択され、
X、Y、およびZは、独立して、-O、-NH、-S、-N-(C
1-C
30)-アルキル、または-(C
1-C
30)-アリールから選択され、
R
2は、-(C
1-C
30)-アルキル、=O、-OH、-SO
2、-SO、または-SOCH
3から選択され、
R
3は、-(C
1-C
12)-アルキル、-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-(C
3-C
12)-ヘテロシクロアルキル、-O-(C
1-C
12)-アルキル、-O-(C
1-C
12)-アルキル-(C
6-C
20)-アリール、-O-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-S-(C
1-C
12)-アルキル、-S-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-COO-(C
1-C
12)-アルキル、-COO-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-CONH-(C
1-C
12)-アルキル、-CONH-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-CO-(C
1-C
12)-アルキル、-CO-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-N-[(C
1-C
12)-アルキル]
2、-(C
6-C
20)-アリール、-(C
6-C
20)-アリール-(C
1-C
12)-アルキル、-(C
6-C
20)-アリール-O-(C
1-C
12)-アルキル、-(C
3-C
20)-ヘテロアリール、-(C
3-C
20)-ヘテロアリール-(C
1-C
12)-アルキル、-(C
3-C
20)-ヘテロアリール-O-(C
1-C
12)-アルキル、-COOH、-OH、-SH、-SO
3H、-CN、-NH
2、またはハロゲンから選択される1つ以上の置換基によって置換されていてもよい、-(C
1-C
30)-アルキル、-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-(C
3-C
12)-ヘテロシクロアルキル、-(C
6-C
20)-アリール、または-(C
3-C
20)-ヘテロアリール基から選択される、
化合物、またはその薬学的に許容されるエナンチオマー、塩、もしくは溶媒和物。
【請求項3】
式III:
による化合物、またはその薬学的に許容されるエナンチオマー、塩、もしくは溶媒和物であって、式中、
R
1は、-(C
1-C
12)-アルキル、-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-(C
3-C
12)-ヘテロシクロアルキル、-O-(C
1-C
12)-アルキル、-O-(C
1-C
12)-アルキル-(C
6-C
20)-アリール、-O-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-S-(C
1-C
12)-アルキル、-S-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-COO-(C
1-C
12)-アルキル、-COO-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-CONH-(C
1-C
12)-アルキル、-CONH-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-CO-(C
1-C
12)-アルキル、-CO-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-N-[(C
1-C
12)-アルキル]
2、-(C
6-C
20)-アリール、-(C
6-C
20)-アリール-(C
1-C
12)-アルキル、-(C
6-C
20)-アリール-O-(C
1-C
12)-アルキル、-(C
3-C
20)-ヘテロアリール、-(C
3-C
20)-ヘテロアリール-(C
1-C
12)-アルキル、-(C
3-C
20)-ヘテロアリール-O-(C
1-C
12)-アルキル、-COOH、-OH、-SH、-SO
3H、-CN、-NH
2、またはハロゲンから選択される1つ以上の置換基によって置換されていてもよい、-(C
1-C
30)-アルキル、-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-(C
3-C
12)-ヘテロシクロアルキル、-(C
6-C
20)-アリール、または-(C
3-C
20)-ヘテロアリール基から選択され、
X、Y、およびZは、独立して、-O、-NH、-S、-N-(C
1-C
30)-アルキル、または-(C
1-C
30)-アリールから選択され、
R
2は、-(C
1-C
30)-アルキル、=O、-OH、-SO
2、-SO、または-SOCH
3から選択され、
R
4は、-(C
1-C
12)-アルキル、-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-(C
3-C
12)-ヘテロシクロアルキル、-O-(C
1-C
12)-アルキル、-O-(C
1-C
12)-アルキル-(C
6-C
20)-アリール、-O-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-S-(C
1-C
12)-アルキル、-S-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-COO-(C
1-C
12)-アルキル、-COO-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-CONH-(C
1-C
12)-アルキル、-CONH-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-CO-(C
1-C
12)-アルキル、-CO-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-N-[(C
1-C
12)-アルキル]
2、-(C
6-C
20)-アリール、-(C
6-C
20)-アリール-(C
1-C
12)-アルキル、-(C
6-C
20)-アリール-O-(C
1-C
12)-アルキル、-(C
3-C
20)-ヘテロアリール、-(C
3-C
20)-ヘテロアリール-(C
1-C
12)-アルキル、-(C
3-C
20)-ヘテロアリール-O-(C
1-C
12)-アルキル、-COOH、-OH、-SH、-SO
3H、-CN、-NH
2、またはハロゲンから選択される、
化合物、またはその薬学的に許容されるエナンチオマー、塩、もしくは溶媒和物。
【請求項4】
式IV:
による化合物、またはそのエナンチオマー、多形、もしくは薬学的に許容される塩。
【請求項5】
その必要がある対象において免疫抑制応答を増加させる方法であって、前記対象における前記免疫抑制応答を増加させるのに有効な量でAkt3を選択的に活性化する請求項1~4に記載の化合物のうちのいずれか1つ、またはそのエナンチオマー、多形、もしくは薬学的に許容される塩を、前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項6】
前記対象が、炎症性障害または疾患を有する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
炎症性障害を治療する方法であって、その必要がある対象に、前記対象における免疫抑制応答を誘導、増加、または促進するのに有効な量でAkt3を選択的に活性化する請求項1~4に記載の化合物のうちのいずれか1つ、またはそのエナンチオマー、多形、もしくは薬学的に許容される塩を含む組成物を投与することを含む、方法。
【請求項8】
前記炎症性障害または疾患が、リウマチ性関節炎、全身性エリテマトーデス、円形脱毛症、強直性脊椎炎、抗リン脂質症候群、自己免疫性アジソン病、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性肝炎、自己免疫性内耳疾患、自己免疫性リンパ増殖症候群(ALPS)、自己免疫性血小板減少性紫斑病(ATP)、ベーチェット病、水疱性類天疱瘡、心筋症、セリアックスプルー皮膚炎、慢性疲労症候群免疫不全症候群(CFIDS)、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー、瘢痕性類天疱瘡、寒冷凝集素症、クレスト症候群、クローン病、デゴス病、皮膚筋炎、若年性皮膚筋炎、円板状エリテマトーデス、本態性混合型クリオグロブリン血症、線維筋痛症-線維筋炎、グレーブス病、ギラン・バレー、ハシモト甲状腺炎、特発性肺線維症、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、Iga腎症、インスリン依存性糖尿病(I型)、若年性関節炎、メニエール病、混合性結合組織病、多発性硬化症、重症筋無力症、肥満、尋常性天疱瘡、悪性貧血、結節性多発動脈炎、多発性軟骨炎、多腺性症候群(polyglancular syndromes)、リウマチ性多発筋痛症、多発性筋炎および皮膚筋炎、原発性無ガンマグロブリン血症、原発性胆汁性肝硬変、乾癬、レイノー現象、ライター症候群、リウマチ熱、サルコイドーシス、強皮症、シェーグレン症候群、全身硬直症候群、タカヤス動脈炎、側頭動脈炎/巨細胞性動脈炎、潰瘍性大腸炎、ブドウ膜炎、血管炎、白斑、ならびにウェゲナー肉芽腫症からなる群から選択される、請求項5~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
自己免疫疾患を治療する方法であって、その必要がある対象に、前記対象における免疫抑制応答を誘導、促進、または増強するのに有効な量でAkt3を選択的に阻害する請求項1~4に記載の化合物のうちのいずれか1つ、またはそのエナンチオマー、多形、もしくは薬学的に許容される塩を含む組成物を投与することを含む、方法。
【請求項10】
前記自己免疫疾患が、リウマチ性関節炎、全身性エリテマトーデス、円形脱毛症、自己免疫性アジソン病、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性肝炎、自己免疫性内耳疾患、自己免疫性リンパ増殖症候群(ALPS)、自己免疫性血小板減少性紫斑病(ATP)、クローン病、多発性硬化症、および重症筋無力症からなる群から選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
増加される前記免疫抑制応答が、天然のTreg(nTreg)の免疫抑制機能および通常型T細胞の誘導されたTreg(iTreg)への誘導からなる群から選択される、請求項5~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
nTregの前記免疫抑制機能が、1つ以上の抗炎症性サイトカインの分泌である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記抗炎症性サイトカインが、IL10、TGFβ、またはそれらの組み合わせである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記対象に第2の免疫抑制剤を投与することをさらに含む、請求項5~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記第2の活性剤が、プレドニゾン、ブデソニド、プレドニゾロン、シクロスポリン、タクロリムス、シロリムス、エベロリムス、アザチオプリン、レフルノミド、ミコフェノレート、アバタセプト、アダリムマブ、アナキンラ、セルトリズマブ、エタネルセプト、ゴリムマブ、インフリキシマブ、イキセキズマブ、ナタリズマブ、リツキシマブ、セクキヌマブ、トシリズマブ、ウステキヌマブ、ベドリズマブ、バシリキシマブ、ダクリズマブ、およびムロモナブからなる群から選択される化合物である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
請求項1~4の化合物のうちのいずれか1つが、免疫細胞でのFoxP3の発現を増加させる量で投与される、請求項5~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記免疫細胞が、iTregを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
請求項1~4の化合物のうちのいずれか1つが、iTregの増殖を増加させるのに有効な量で投与される、請求項5~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
請求項1~4の化合物のうちのいずれか1つ、またはそのエナンチオマー、多形、もしくは薬学的に許容される塩と、賦形剤とを含む、医薬組成物。
【請求項20】
請求項1~4の化合物のうちのいずれか1つ、またはそのエナンチオマー、多形、もしくは薬学的に許容される塩が、その必要がある対象に投与される場合、抑制性免疫応答を増加させるのに有効な量である、請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
その必要がある対象において免疫抑制応答を増加させる方法であって、
免疫細胞を、エクスビボで、前記免疫細胞でのFoxP3の発現を増加させるのに有効な量で、請求項1~4の化合物のうちのいずれか1つ、またはそのエナンチオマー、多形、もしくは薬学的に許容される塩と接触させることと、
前記接触させた免疫細胞を前記対象に投与することと
を含む、方法。
【請求項22】
前記免疫細胞が、自己免疫細胞を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記免疫細胞が、T細胞を含む、請求項21または22に記載の方法。
【請求項24】
前記T細胞が、Tregを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記Treg細胞が、iTregを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
対象の免疫細胞でのFoxP3の発現を増加させるために、有効量の請求項1~4の化合物のうちのいずれか1つ、またはそのエナンチオマー、多形、もしくは薬学的に許容される塩を投与することにより、必要とする対象において移植拒絶を阻害または低減するための方法。
【請求項27】
対象の免疫細胞でのFoxP3の発現を増加させるために、有効量の請求項1~4の化合物のうちのいずれか1つ、またはそのエナンチオマー、多形、もしくは薬学的に許容される塩を前記対象に投与することにより、必要とする対象において移植片対宿主病を治療するための方法。
【請求項28】
対象の免疫細胞でのFoxP3の発現を増加させるために、有効量の請求項1~4の化合物のうちのいずれか1つ、またはそのエナンチオマー、多形、もしくは薬学的に許容される塩を前記対象に投与することにより、必要とする対象において慢性感染症を治療するための方法。
【請求項29】
有効量の請求項1~4の化合物のうちのいずれか1つ、またはそのエナンチオマー、多形、もしくは薬学的に許容される塩を対象に投与することにより、必要とする対象において肥満を治療するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年9月7日に出願された米国仮出願第62/555,141号、2018年4月13日に出願された第62/657,345号、および2018年4月19日に出願された第62/659,870号の利益および優先権を主張し、これらはそれらの全体が参照によって組み込まれる。
【0002】
配列表への言及
2018年8月21日に作成され、10.7キロバイトのサイズを有する「064466.070 sequence listing_ST25.txt」と命名されたテキストファイルとして、2018年9月6日に提出された配列表は、37 C.F.R.§1.52(e)(5)に従って参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
発明の分野
本発明は、概して、Akt3活性の選択的活性化のための組成物および方法、ならびに制御性T細胞を調節するためのその使用方法を対象とする。
【背景技術】
【0004】
発明の背景
制御性T細胞(Treg)は、免疫応答を抑制するCD4+T細胞のサブセットであり、自己寛容および免疫恒常性に不可欠なメディエータである(Sakaguchi,et al.,Cell,133,775-787(2008))。Tregの枯渇または不活性化は重度の自己免疫の発生を引き起こし(Sakaguchi,et al.,J.Immunol.,155,1151-1164(1995))、それらの蓄積は抗腫瘍免疫を阻害する(Dannull,et al.,The Journal of clinical investigation,115,3623-3633(2005))。Tregは、転写因子のフォークヘッドボックスファミリーに属する転写因子であるFoxp3の発現を特徴とする。Foxp3は、Tregの発達および機能に必要であるため、Tregの主要調節因子である(Hori,Science,299,1057-1061(2003)、Fontenot,et al.,Nat Immunol.,4(4):330-6(2003).Epub 2003 Mar 3、Khattri,et al.,Nat Immunol.,4(4):337-42(2003).Epub 2003 Mar 3))。
【0005】
総抹消CD4+T細胞の5~10%を構成する胸腺由来のTreg(または天然のTreg(nTreg))、および抹消TGFβ由来のTreg(iTreg)の、2つの主要な種類のTregがある。両種類は、免疫抑制性可溶性因子または細胞接着を伴ういくつかのプロセスにより媒介される免疫抑制の特性を有することが示されている(Bluestone,et al.,Nat Rev Immunol,3,253-257(2003)、Glisic,et al.,Cell and Tissue Research,339,585-595(2010)、Hori,Science,299,1057-1061(2003)、Sakaguchi,Cell,101,455-458(2000)、Sakagushi,et al.,Curr.Top Microbiol.Immunol.,305,51-66(2006)、Sakagushi,et al.,Immunol.,Rev.,212,8-27(2006)、(Schmidt,et al.,Front Immunol.,3:51(2012))。しかしながら、nTregおよびiTregが発達し、次いで、免疫を抑制する非重複性の役割を呈する分子機構は、十分に理解されていない(Dipica,et al.,Immunity,35(1):109-122(2011))。
【0006】
PI3K-Aktシグナル伝達は、多くのプロセスに影響を及ぼし、多くのシグナル伝達経路に重要である。Aktリン酸化およびキナーゼ活性はPI3K活性化により誘導され、これはひいてはいくつかの成長因子受容体、特にTCR、CD28、およびIL-2Rにより誘導される(Parry,et al.,Trends in Immunology,28,161-168(2007))。哺乳動物には、3つの独立した遺伝子によってコードされる3つのAktアイソフォーム、すなわち、Akt1、Akt2、およびAkt3が存在する。インビトロで、これらのアイソフォームは、異なる細胞外インプットが類似のAktシグナル伝達パターンを誘導することができるため、重複する機能を有するように思われる(Franke,Science 1,pe29-(2008))。しかしながら、アイソフォーム特異的ノックアウトは独特の特徴を示し、疾患および生理学的状態におけるそれらの関与は異なる(Boland,et al.,American Journal of Human Genetics,81,292-303(2007)、DeBosch,et al.,J.Biol.Chem,281,32841-32851(2006)、Emamian,et al.,Nat Genet,36,131-137(2004)、Garofalo,et al.,The Journal of clinical investigation,112,197-208(2003)、George,et al.,Science,304,1325-1328(2004)、Nakatani,et al.,The Journal of Biological Chemistry,274,21528-21532(1999)、Tschopp,et al.,Development(Cambridge,England),132,2943-2954(2005)、Yang,et al.,J.Biol.Chem.,278,32124-32131(2003))。
【0007】
研究は、Akt1およびAkt2がTregの転写シグネチャーを負に調節することができ、それによりTreg系列分化に選択的に影響を及ぼすことを示した(Sauer,et al.,Proceedings of the National Academy of Sciences,105,7797-7802(2008a))。加えて、Akt1およびAkt2のアイソフォームの阻害がTGFβ誘導iTregにおけるFoxp3の発現を増加させることが示された(Sauer,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,105,7797-7802(2008b))が、その機構ははっきりしないままであった。別の知見は、Akt2の欠失が不完全なiTh17細胞の分化を引き起こしたが、nTh17細胞の発達を保ったことを示す(Kim,et al.,Nat Immunol.,14(6):611-8(2013) Epub 2013 May 5)。さらに、Akt3は免疫細胞においても発現され、Akt3ノックアウトマウスの脊髄は、野生型マウスと比較して減少した数のFoxp3+制御性T細胞を有する(Tsiperson,et al.,J Immunol.,190(4):1528-39(2013)Epub 2013 Jan 18))。よって、いくつかの研究は、T細胞生物学に対するAktアイソフォームの発現の関連を調査した(Carson,et al.,Annals of the New York Academy of Sciences,1103,167-178(2007)、Crellin,et al.,Blood,109,2014-2022(2007a)、Crellin,et al.,Journal of Immunological Methods,324,92-104(2007b);Haxhinasto,J.Exp.Med.,205,565-574(2008)、Li,et al.,Blood,106,3068-3073(2005)、Patton,et al.,Biochem.Soc.Trans.,35,167-171(2007)、Patton,et al.,J.Immunology 177,6598-6602(2006)、Sauer,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,105,7797-7802(2008b)、Walsh,et al.,J.Clin.Invest.,116,2521-2531.(2006))が、AktアイソフォームがTregの機能および誘導において果たした役割ははっきりしなかった。
【0008】
したがって、本発明の目的は、免疫細胞においてAkt3を選択的に活性化するための化合物および組成物を提供することである。
【0009】
本発明の別の目的は、対象の免疫応答を減少させる方法を提供することである。
【0010】
本発明のまた別の目的は、対象の抑制性免疫応答を増加させる方法を提供することである。
【発明の概要】
【0011】
Akt3を選択的に活性化する組成物および方法が提供される。一実施形態は、式I:
による化合物、またはその薬学的に許容されるエナンチオマー、塩、もしくは溶媒和物を提供し、式中、
環A、B、およびCは、独立して、0以上のN原子を含有する6員アリールまたはN含有ヘテロアリール単環式もしくは二環式環系、例えば、フェニル、ピリジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、トリアジン、キノリン、キナゾリン、イソキノリン、ナフタレン、ナフチリジン、インドール、イソインドール、シンノリン、フタラジン、キノキサリン、プテリジン、プリン、およびベンズイミダゾールであり、
R
1は、-(C
1-C
12)-アルキル、-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-(C
3-C
12)-ヘテロシクロアルキル、-O-(C
1-C
12)-アルキル、-O-(C
1-C
12)-アルキル-(C
6-C
20)-アリール、-O-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-S-(C
1-C
12)-アルキル、-S-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-COO-(C
1-C
12)-アルキル、-COO-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-CONH-(C
1-C
12)-アルキル、-CONH-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-CO-(C
1-C
12)-アルキル、-CO-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-N-[(C
1-C
12)-アルキル]
2、-(C
6-C
20)-アリール、-(C
6-C
20)-アリール-(C
1-C
12)-アルキル、-(C
6-C
20)-アリール-O-(C
1-C
12)-アルキル、-(C
3-C
20)-ヘテロアリール、-(C
3-C
20)-ヘテロアリール-(C
1-C
12)-アルキル、-(C
3-C
20)-ヘテロアリール-O-(C
1-C
12)-アルキル、-COOH、-OH、-SH、-SO
3H、-CN、-NH
2、またはハロゲンから選択される1つ以上の置換基によって置換されていてもよい、-(C
1-C
30)-アルキル、-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-(C
3-C
12)-ヘテロシクロアルキル、-(C
6-C
20)-アリール、または-(C
3-C
20)-ヘテロアリール基から選択され、
X、Y、およびZは、独立して、=O、-NH、-S、-N-(C
1-C
30)-アルキル、または-(C
1-C
30)-アリールから選択され、
R
2は、-(C
1-C
30)-アルキル、=O、-OH、-SO
2、-SO、または-SOCH
3から選択され、
R
3は、-(C
1-C
12)-アルキル、-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-(C
3-C
12)-ヘテロシクロアルキル、-O-(C
1-C
12)-アルキル、-O-(C
1-C
12)-アルキル-(C
6-C
20)-アリール、-O-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-S-(C
1-C
12)-アルキル、-S-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-COO-(C
1-C
12)-アルキル、-COO-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-CONH-(C
1-C
12)-アルキル、-CONH-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-CO-(C
1-C
12)-アルキル、-CO-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-N-[(C
1-C
12)-アルキル]
2、-(C
6-C
20)-アリール、-(C
6-C
20)-アリール-(C
1-C
12)-アルキル、-(C
6-C
20)-アリール-O-(C
1-C
12)-アルキル、-(C
3-C
20)-ヘテロアリール、-(C
3-C
20)-ヘテロアリール-(C
1-C
12)-アルキル、-(C
3-C
20)-ヘテロアリール-O-(C
1-C
12)-アルキル、-COOH、-OH、-SH、-SO
3H、-CN、-NH
2、またはハロゲンから選択される1つ以上の置換基によって置換されていてもよい、-(C
1-C
30)-アルキル、-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-(C
3-C
12)-ヘテロシクロアルキル、-(C
6-C
20)-アリール、または-(C
3-C
20)-ヘテロアリール基から選択される。
【0012】
別の実施形態は、式II:
による化合物、またはその薬学的に許容されるエナンチオマー、塩、もしくは溶媒和物を提供し、式中、
R
1は、-(C
1-C
12)-アルキル、-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-(C
3-C
12)-ヘテロシクロアルキル、-O-(C
1-C
12)-アルキル、-O-(C
1-C
12)-アルキル-(C
6-C
20)-アリール、-O-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-S-(C
1-C
12)-アルキル、-S-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-COO-(C
1-C
12)-アルキル、-COO-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-CONH-(C
1-C
12)-アルキル、-CONH-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-CO-(C
1-C
12)-アルキル、-CO-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-N-[(C
1-C
12)-アルキル]
2、-(C
6-C
20)-アリール、-(C
6-C
20)-アリール-(C
1-C
12)-アルキル、-(C
6-C
20)-アリール-O-(C
1-C
12)-アルキル、-(C
3-C
20)-ヘテロアリール、-(C
3-C
20)-ヘテロアリール-(C
1-C
12)-アルキル、-(C
3-C
20)-ヘテロアリール-O-(C
1-C
12)-アルキル、-COOH、-OH、-SH、-SO
3H、-CN、-NH
2、またはハロゲンから選択される1つ以上の置換基によって置換されていてもよい、-(C
1-C
30)-アルキル、-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-(C
3-C
12)-ヘテロシクロアルキル、-(C
6-C
20)-アリール、または-(C
3-C
20)-ヘテロアリール基から選択され、
X、Y、およびZは、独立して、-O、-NH、-S、-N-(C
1-C
30)-アルキル、または-(C
1-C
30)-アリールから選択され、
R
2は、-(C
1-C
30)-アルキル、-O、-OH、-SO
2、-SO、または-SOCH
3から選択され、
R
3は、-(C
1-C
12)-アルキル、-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-(C
3-C
12)-ヘテロシクロアルキル、-O-(C
1-C
12)-アルキル、-O-(C
1-C
12)-アルキル-(C
6-C
20)-アリール、-O-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-S-(C
1-C
12)-アルキル、-S-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-COO-(C
1-C
12)-アルキル、-COO-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-CONH-(C
1-C
12)-アルキル、-CONH-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-CO-(C
1-C
12)-アルキル、-CO-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-N-[(C
1-C
12)-アルキル]
2、-(C
6-C
20)-アリール、-(C
6-C
20)-アリール-(C
1-C
12)-アルキル、-(C
6-C
20)-アリール-O-(C
1-C
12)-アルキル、-(C
3-C
20)-ヘテロアリール、-(C
3-C
20)-ヘテロアリール-(C
1-C
12)-アルキル、-(C
3-C
20)-ヘテロアリール-O-(C
1-C
12)-アルキル、-COOH、-OH、-SH、-SO
3H、-CN、-NH
2、またはハロゲンから選択される1つ以上の置換基によって置換されていてもよい、-(C
1-C
30)-アルキル、-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-(C
3-C
12)-ヘテロシクロアルキル、-(C
6-C
20)-アリール、または-(C
3-C
20)-ヘテロアリール基から選択される。
【0013】
別の実施形態は、式III:
による化合物、またはその薬学的に許容されるエナンチオマー、塩、もしくは溶媒和物を提供し、式中、
R
1は、-(C
1-C
12)-アルキル、-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-(C
3-C
12)-ヘテロシクロアルキル、-O-(C
1-C
12)-アルキル、-O-(C
1-C
12)-アルキル-(C
6-C
20)-アリール、-O-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-S-(C
1-C
12)-アルキル、-S-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-COO-(C
1-C
12)-アルキル、-COO-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-CONH-(C
1-C
12)-アルキル、-CONH-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-CO-(C
1-C
12)-アルキル、-CO-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-N-[(C
1-C
12)-アルキル]
2、-(C
6-C
20)-アリール、-(C
6-C
20)-アリール-(C
1-C
12)-アルキル、-(C
6-C
20)-アリール-O-(C
1-C
12)-アルキル、-(C
3-C
20)-ヘテロアリール、-(C
3-C
20)-ヘテロアリール-(C
1-C
12)-アルキル、-(C
3-C
20)-ヘテロアリール-O-(C
1-C
12)-アルキル、-COOH、-OH、-SH、-SO
3H、-CN、-NH
2、またはハロゲンから選択される1つ以上の置換基によって置換されていてもよい、-(C
1-C
30)-アルキル、-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-(C
3-C
12)-ヘテロシクロアルキル、-(C
6-C
20)-アリール、または-(C
3-C
20)-ヘテロアリール基から選択され、
X、Y、およびZは、独立して、-O、-NH、-S、-N-(C
1-C
30)-アルキル、または-(C
1-C
30)-アリールから選択され、
R
2は、-(C
1-C
30)-アルキル、=O、-OH、-SO
2、-SO、または-SOCH
3から選択され、
R
4は、-(C
1-C
12)-アルキル、-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-(C
3-C
12)-ヘテロシクロアルキル、-O-(C
1-C
12)-アルキル、-O-(C
1-C
12)-アルキル-(C
6-C
20)-アリール、-O-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-S-(C
1-C
12)-アルキル、-S-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-COO-(C
1-C
12)-アルキル、-COO-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-CONH-(C
1-C
12)-アルキル、-CONH-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-CO-(C
1-C
12)-アルキル、-CO-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-N-[(C
1-C
12)-アルキル]
2、-(C
6-C
20)-アリール、-(C
6-C
20)-アリール-(C
1-C
12)-アルキル、-(C
6-C
20)-アリール-O-(C
1-C
12)-アルキル、-(C
3-C
20)-ヘテロアリール、-(C
3-C
20)-ヘテロアリール-(C
1-C
12)-アルキル、-(C
3-C
20)-ヘテロアリール-O-(C
1-C
12)-アルキル、-COOH、-OH、-SH、-SO
3H、-CN、-NH
2、またはハロゲンから選択される。
【0014】
別の実施形態は、式IV:
による化合物、またはその薬学的に許容されるエナンチオマー、塩、もしくは溶媒和物を提供する。
【0015】
式IVによる化合物(mJJ64Aとも称される)がAkt3を選択的に活性化することが見出された。mJJ64AのIUPAC名称は、4-(m-{[p-(4-ピリジルアミノ)フェニルアミノ]カルボニル}フェニルアミノ)-6-キノリンカルボニトリルである。Akt3は天然のTregの抑制機能および誘導されたTregの極性化を調節するため、式IVの化合物および式I~IIIの関連化合物は、免疫応答の調節に使用することができる。
【0016】
一実施形態は、対象における免疫抑制応答を増加させるのに有効な量でAkt3を選択的に活性化する式I、式II、式III、もしくは式IVによる化合物、またはそのエナンチオマー、多形、もしくは薬学的に許容される塩を含む組成物を対象に投与することを含む、その必要がある対象において免疫抑制応答を増加させる方法を提供する。
【0017】
例えば、その必要がある対象において、免疫抑制応答を増加させる、免疫刺激応答を減少させる、またはそれらの組み合わせの方法が開示される。本方法は典型的には、対象における免疫抑制応答を増加させるもしくは促進する、免疫刺激応答を減少させる、またはそれらの組み合わせに有効な量で、Akt3の生物活性を選択的に活性化する式I、式II、式III、もしくは式IVによる化合物、またはそのエナンチオマー、多形、もしくは薬学的に許容される塩を含む組成物を、対象に投与することを含む。
【0018】
いくつかの実施形態では、増加される免疫抑制応答は、天然のTreg(nTreg)の免疫抑制機能および通常型T細胞の誘導されたTreg(iTreg)への促進からなる群から選択される。nTregの免疫抑制機能は、1つ以上の抗炎症性サイトカインの分泌であり得る。抗炎症性サイトカイン(複数可)は、IL10、TGFβ、またはそれらの組み合わせであり得る。
【0019】
いくつかの実施形態では、対象は自己免疫疾患を有する。したがって、Akt3の生物学的利用能または生物活性を誘導するまたは増加させる有効量の式I、式II、式III、もしくは式IVによる化合物、またはそのエナンチオマー、多形、もしくは薬学的に許容される塩を、その必要がある対象に投与することにより、自己免疫疾患を治療する方法も開示される。
【0020】
Akt3の生物活性のモジュレータおよびその使用方法を含む併用療法も提供される。
【0021】
一実施形態は、対象における免疫抑制応答を増加させるのに有効な量でAkt3を選択的に活性化する有効量の式I、式II、式III、もしくは式IVによる化合物、またはそのエナンチオマー、多形、もしくは薬学的に許容される塩を含む組成物を対象に投与することにより、その必要がある対象において免疫抑制応答を増加させる方法を提供する。対象は、炎症性障害または疾患、例えば自己免疫疾患を有し得る。
【0022】
別の実施形態は、対象における免疫抑制応答を増加させる、誘導する、または促進するのに有効な量でAkt3を選択的に活性化する式I、式II、式III、もしくは式IVによる化合物、またはそのエナンチオマー、多形、もしくは薬学的に許容される塩を含む組成物を投与することにより、その必要がある対象において炎症性障害を治療する方法を提供する。
【0023】
いくつかの実施形態では、炎症性障害または疾患は、リウマチ性関節炎、全身性エリテマトーデス、円形脱毛症、強直性脊椎炎、抗リン脂質症候群、自己免疫性アジソン病、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性肝炎、自己免疫性内耳疾患、自己免疫性リンパ増殖症候群(ALPS)、自己免疫性血小板減少性紫斑病(ATP)、ベーチェット病、水疱性類天疱瘡、心筋症、セリアックスプルー皮膚炎、慢性疲労症候群免疫不全症候群(CFIDS)、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー、瘢痕性類天疱瘡、寒冷凝集素症、クレスト症候群、クローン病、デゴス病、皮膚筋炎、若年性皮膚筋炎、円板状エリテマトーデス、本態性混合型クリオグロブリン血症、線維筋痛症-線維筋炎、グレーブス病、ギラン・バレー、ハシモト甲状腺炎、特発性肺線維症、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、Iga腎症、インスリン依存性糖尿病(I型)、若年性関節炎、メニエール病、混合性結合組織病、多発性硬化症、重症筋無力症、肥満、尋常性天疱瘡、悪性貧血、結節性多発動脈炎、多発性軟骨炎、多腺性症候群(polyglancular syndromes)、リウマチ性多発筋痛症、多発性筋炎および皮膚筋炎、原発性無ガンマグロブリン血症、原発性胆汁性肝硬変、乾癬、レイノー現象、ライター症候群、リウマチ熱、サルコイドーシス、強皮症、シェーグレン症候群、全身硬直症候群、タカヤス動脈炎、側頭動脈炎/巨細胞性動脈炎、潰瘍性大腸炎、ブドウ膜炎、血管炎、白斑、ならびにウェゲナー肉芽腫症からなる群から選択される。
【0024】
別の実施形態は、その必要がある対象に、対象における免疫抑制応答を促進するまたは増強するのに有効な量でAkt3を選択的に阻害する式I、式II、式III、もしくは式IVによる化合物、またはそのエナンチオマー、多形、もしくは薬学的に許容される塩を含む組成物を投与することにより、自己免疫疾患を治療する方法を提供する。
【0025】
例示的な自己免疫疾患には、限定されないが、リウマチ性関節炎、全身性エリテマトーデス、円形脱毛症、自己免疫性アジソン病、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性肝炎、自己免疫性内耳疾患、自己免疫性リンパ増殖症候群(ALPS)、自己免疫性血小板減少性紫斑病(ATP)、クローン病多発性硬化症、および重症筋無力症が含まれる。
【0026】
いくつかの実施形態では、増加される免疫抑制応答は、天然のTreg(nTreg)の免疫抑制機能および通常型T細胞の誘導されたTreg(iTreg)への誘導からなる群から選択される。nTregの免疫抑制機能は、1つ以上の抗炎症性サイトカイン、例えば、IL10、TGFβ、またはそれらの組み合わせの分泌を含み得る。
【0027】
別の実施形態は、第2の免疫抑制剤と組み合わせてまたはそれと交互に、有効量の式I、式II、式III、もしくは式IVによる化合物、またはそのエナンチオマー、多形、もしくは薬学的に許容される塩を含む組成物を投与することにより、その必要のある対象を治療する方法を提供する。例示的な免疫抑制剤には、限定されないが、プレドニゾン、ブデソニド、プレドニゾロン、シクロスポリン、タクロリムス、シロリムス、エベロリムス、アザチオプリン、レフルノミド、ミコフェノレート、アバタセプト、アダリムマブ、アナキンラ、セルトリズマブ、エタネルセプト、ゴリムマブ、インフリキシマブ、イキセキズマブ、ナタリズマブ、リツキシマブ、セクキヌマブ、トシリズマブ、ウステキヌマブ、ベドリズマブ、バシリキシマブ、ダクリズマブ、ムロモナブ、またはそれらの組み合わせが含まれる。
【0028】
いくつかの実施形態では、式I、式II、式III、もしくは式IVによる化合物、またはそのエナンチオマー、多形、もしくは薬学的に許容される塩は、免疫細胞、例えば、限定されないが、iTregおよびnTregなどのTregを含むT細胞でのFoxP3の発現を増加させるのに有効な量で投与される。
【0029】
他の実施形態では、式I、式II、式III、もしくは式IVによる化合物、またはそのエナンチオマー、多形、もしくは薬学的に許容される塩は、iTregおよびnTregの増殖を増加させるのに有効な量で投与される。
【0030】
また別の実施形態は、式I、式II、式III、もしくは式IVによる化合物、またはそのエナンチオマー、多形、もしくは薬学的に許容される塩と、賦形剤と、を含む医薬組成物を提供する。式I、式II、式III、もしくは式IVによる化合物、またはそのエナンチオマー、多形、もしくは薬学的に許容される塩は、典型的には、その必要がある対象に投与される場合、抑制性免疫応答を増加させるのに有効な量である。
【0031】
別の実施形態は、免疫細胞を、エクスビボで、免疫細胞でのFoxP3の発現を増加させるのに有効な量で式I、式II、式III、もしくは式IVによる化合物、またはそのエナンチオマー、多形、もしくは薬学的に許容される塩と接触させること、および接触させた免疫細胞を対象に投与することにより、その必要がある対象において免疫抑制応答を増加させる方法を提供する。一実施形態では、免疫細胞は、自己免疫細胞である。免疫細胞には、限定されないが、nTregおよびiTregを含むT細胞が含まれ得る。
【0032】
別の実施形態は、対象の免疫細胞でのFoxP3の発現を増加させるために、有効量の式I、式II、式III、もしくは式IVによる化合物、またはそのエナンチオマー、多形、もしくは薬学的に許容される塩を対象に投与することにより、その必要がある対象において移植拒絶を阻害または低減するための方法を提供する。いくつかの実施形態では、対象の免疫細胞でのFoxP3の増加は、対象の抑制性免疫応答を促進するまたは増加させることを含む。
【0033】
別の実施形態は、対象の免疫細胞でのFoxP3の発現を増加させるために、有効量の式I、式II、式III、もしくは式IVによる化合物、またはそのエナンチオマー、多形、もしくは薬学的に許容される塩を投与することにより、その必要がある対象において移植片対宿主病を治療するための方法を提供する。
【0034】
別の実施形態は、対象の免疫細胞でのFoxP3の発現を増加させるために、有効量の式I、式II、式III、もしくは式IVによる化合物、またはそのエナンチオマー、多形、もしくは薬学的に許容される塩を投与することにより、その必要がある対象において慢性感染症を治療するための方法を提供する。
[本発明1001]
式I:
による化合物、またはその薬学的に許容されるエナンチオマー、塩、もしくは溶媒和物であって、式中、
環A、B、およびCは、独立して、0以上のN原子を含有する6員アリールまたはN含有ヘテロアリール単環式もしくは二環式環系、例えば、フェニル、ピリジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、トリアジン、キノリン、キナゾリン、イソキノリン、ナフタレン、ナフチリジン、インドール、イソインドール、シンノリン、フタラジン、キノキサリン、プテリジン、プリン、およびベンズイミダゾールであり、
R
1は、-(C
1-C
12)-アルキル、-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-(C
3-C
12)-ヘテロシクロアルキル、-O-(C
1-C
12)-アルキル、-O-(C
1-C
12)-アルキル-(C
6-C
20)-アリール、-O-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-S-(C
1-C
12)-アルキル、-S-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-COO-(C
1-C
12)-アルキル、-COO-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-CONH-(C
1-C
12)-アルキル、-CONH-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-CO-(C
1-C
12)-アルキル、-CO-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-N-[(C
1-C
12)-アルキル]
2、-(C
6-C
20)-アリール、-(C
6-C
20)-アリール-(C
1-C
12)-アルキル、-(C
6-C
20)-アリール-O-(C
1-C
12)-アルキル、-(C
3-C
20)-ヘテロアリール、-(C
3-C
20)-ヘテロアリール-(C
1-C
12)-アルキル、-(C
3-C
20)-ヘテロアリール-O-(C
1-C
12)-アルキル、-COOH、-OH、-SH、-SO
3H、-CN、-NH
2、またはハロゲンから選択される1つ以上の置換基によって置換されていてもよい、-(C
1-C
30)-アルキル、-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-(C
3-C
12)-ヘテロシクロアルキル、-(C
6-C
20)-アリール、または-(C
3-C
20)-ヘテロアリール基から選択され、
X、Y、およびZは、独立して、=O、-NH、-S、-N-(C
1-C
30)-アルキル、または-(C
1-C
30)-アリールから選択され、
R
2は、-(C
1-C
30)-アルキル、=O、-OH、-SO
2、-SO、または-SOCH
3から選択され、
R
3は、-(C
1-C
12)-アルキル、-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-(C
3-C
12)-ヘテロシクロアルキル、-O-(C
1-C
12)-アルキル、-O-(C
1-C
12)-アルキル-(C
6-C
20)-アリール、-O-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-S-(C
1-C
12)-アルキル、-S-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-COO-(C
1-C
12)-アルキル、-COO-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-CONH-(C
1-C
12)-アルキル、-CONH-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-CO-(C
1-C
12)-アルキル、-CO-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-N-[(C
1-C
12)-アルキル]
2、-(C
6-C
20)-アリール、-(C
6-C
20)-アリール-(C
1-C
12)-アルキル、-(C
6-C
20)-アリール-O-(C
1-C
12)-アルキル、-(C
3-C
20)-ヘテロアリール、-(C
3-C
20)-ヘテロアリール-(C
1-C
12)-アルキル、-(C
3-C
20)-ヘテロアリール-O-(C
1-C
12)-アルキル、-COOH、-OH、-SH、-SO
3H、-CN、-NH
2、またはハロゲンから選択される1つ以上の置換基によって置換されていてもよい、-(C
1-C
30)-アルキル、-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-(C
3-C
12)-ヘテロシクロアルキル、-(C
6-C
20)-アリール、または-(C
3-C
20)-ヘテロアリール基から選択される、
化合物、またはその薬学的に許容されるエナンチオマー、塩、もしくは溶媒和物。
[本発明1002]
式II:
による化合物、またはその薬学的に許容されるエナンチオマー、塩、もしくは溶媒和物であって、式中、
R
1は、-(C
1-C
12)-アルキル、-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-(C
3-C
12)-ヘテロシクロアルキル、-O-(C
1-C
12)-アルキル、-O-(C
1-C
12)-アルキル-(C
6-C
20)-アリール、-O-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-S-(C
1-C
12)-アルキル、-S-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-COO-(C
1-C
12)-アルキル、-COO-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-CONH-(C
1-C
12)-アルキル、-CONH-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-CO-(C
1-C
12)-アルキル、-CO-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-N-[(C
1-C
12)-アルキル]
2、-(C
6-C
20)-アリール、-(C
6-C
20)-アリール-(C
1-C
12)-アルキル、-(C
6-C
20)-アリール-O-(C
1-C
12)-アルキル、-(C
3-C
20)-ヘテロアリール、-(C
3-C
20)-ヘテロアリール-(C
1-C
12)-アルキル、-(C
3-C
20)-ヘテロアリール-O-(C
1-C
12)-アルキル、-COOH、-OH、-SH、-SO
3H、-CN、-NH
2、またはハロゲンから選択される1つ以上の置換基によって置換されていてもよい、-(C
1-C
30)-アルキル、-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-(C
3-C
12)-ヘテロシクロアルキル、-(C
6-C
20)-アリール、または-(C
3-C
20)-ヘテロアリール基から選択され、
X、Y、およびZは、独立して、-O、-NH、-S、-N-(C
1-C
30)-アルキル、または-(C
1-C
30)-アリールから選択され、
R
2は、-(C
1-C
30)-アルキル、=O、-OH、-SO
2、-SO、または-SOCH
3から選択され、
R
3は、-(C
1-C
12)-アルキル、-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-(C
3-C
12)-ヘテロシクロアルキル、-O-(C
1-C
12)-アルキル、-O-(C
1-C
12)-アルキル-(C
6-C
20)-アリール、-O-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-S-(C
1-C
12)-アルキル、-S-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-COO-(C
1-C
12)-アルキル、-COO-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-CONH-(C
1-C
12)-アルキル、-CONH-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-CO-(C
1-C
12)-アルキル、-CO-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-N-[(C
1-C
12)-アルキル]
2、-(C
6-C
20)-アリール、-(C
6-C
20)-アリール-(C
1-C
12)-アルキル、-(C
6-C
20)-アリール-O-(C
1-C
12)-アルキル、-(C
3-C
20)-ヘテロアリール、-(C
3-C
20)-ヘテロアリール-(C
1-C
12)-アルキル、-(C
3-C
20)-ヘテロアリール-O-(C
1-C
12)-アルキル、-COOH、-OH、-SH、-SO
3H、-CN、-NH
2、またはハロゲンから選択される1つ以上の置換基によって置換されていてもよい、-(C
1-C
30)-アルキル、-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-(C
3-C
12)-ヘテロシクロアルキル、-(C
6-C
20)-アリール、または-(C
3-C
20)-ヘテロアリール基から選択される、
化合物、またはその薬学的に許容されるエナンチオマー、塩、もしくは溶媒和物。
[本発明1003]
式III:
による化合物、またはその薬学的に許容されるエナンチオマー、塩、もしくは溶媒和物であって、式中、
R
1は、-(C
1-C
12)-アルキル、-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-(C
3-C
12)-ヘテロシクロアルキル、-O-(C
1-C
12)-アルキル、-O-(C
1-C
12)-アルキル-(C
6-C
20)-アリール、-O-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-S-(C
1-C
12)-アルキル、-S-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-COO-(C
1-C
12)-アルキル、-COO-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-CONH-(C
1-C
12)-アルキル、-CONH-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-CO-(C
1-C
12)-アルキル、-CO-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-N-[(C
1-C
12)-アルキル]
2、-(C
6-C
20)-アリール、-(C
6-C
20)-アリール-(C
1-C
12)-アルキル、-(C
6-C
20)-アリール-O-(C
1-C
12)-アルキル、-(C
3-C
20)-ヘテロアリール、-(C
3-C
20)-ヘテロアリール-(C
1-C
12)-アルキル、-(C
3-C
20)-ヘテロアリール-O-(C
1-C
12)-アルキル、-COOH、-OH、-SH、-SO
3H、-CN、-NH
2、またはハロゲンから選択される1つ以上の置換基によって置換されていてもよい、-(C
1-C
30)-アルキル、-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-(C
3-C
12)-ヘテロシクロアルキル、-(C
6-C
20)-アリール、または-(C
3-C
20)-ヘテロアリール基から選択され、
X、Y、およびZは、独立して、-O、-NH、-S、-N-(C
1-C
30)-アルキル、または-(C
1-C
30)-アリールから選択され、
R
2は、-(C
1-C
30)-アルキル、=O、-OH、-SO
2、-SO、または-SOCH
3から選択され、
R
4は、-(C
1-C
12)-アルキル、-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-(C
3-C
12)-ヘテロシクロアルキル、-O-(C
1-C
12)-アルキル、-O-(C
1-C
12)-アルキル-(C
6-C
20)-アリール、-O-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-S-(C
1-C
12)-アルキル、-S-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-COO-(C
1-C
12)-アルキル、-COO-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-CONH-(C
1-C
12)-アルキル、-CONH-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-CO-(C
1-C
12)-アルキル、-CO-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-N-[(C
1-C
12)-アルキル]
2、-(C
6-C
20)-アリール、-(C
6-C
20)-アリール-(C
1-C
12)-アルキル、-(C
6-C
20)-アリール-O-(C
1-C
12)-アルキル、-(C
3-C
20)-ヘテロアリール、-(C
3-C
20)-ヘテロアリール-(C
1-C
12)-アルキル、-(C
3-C
20)-ヘテロアリール-O-(C
1-C
12)-アルキル、-COOH、-OH、-SH、-SO
3H、-CN、-NH
2、またはハロゲンから選択される、
化合物、またはその薬学的に許容されるエナンチオマー、塩、もしくは溶媒和物。
[本発明1004]
式IV:
による化合物、またはそのエナンチオマー、多形、もしくは薬学的に許容される塩。
[本発明1005]
その必要がある対象において免疫抑制応答を増加させる方法であって、前記対象における前記免疫抑制応答を増加させるのに有効な量でAkt3を選択的に活性化する本発明1001~1004の化合物のうちのいずれか1つ、またはそのエナンチオマー、多形、もしくは薬学的に許容される塩を、前記対象に投与することを含む、方法。
[本発明1006]
前記対象が、炎症性障害または疾患を有する、本発明1005の方法。
[本発明1007]
炎症性障害を治療する方法であって、その必要がある対象に、前記対象における免疫抑制応答を誘導、増加、または促進するのに有効な量でAkt3を選択的に活性化する本発明1001~1004の化合物のうちのいずれか1つ、またはそのエナンチオマー、多形、もしくは薬学的に許容される塩を含む組成物を投与することを含む、方法。
[本発明1008]
前記炎症性障害または疾患が、リウマチ性関節炎、全身性エリテマトーデス、円形脱毛症、強直性脊椎炎、抗リン脂質症候群、自己免疫性アジソン病、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性肝炎、自己免疫性内耳疾患、自己免疫性リンパ増殖症候群(ALPS)、自己免疫性血小板減少性紫斑病(ATP)、ベーチェット病、水疱性類天疱瘡、心筋症、セリアックスプルー皮膚炎、慢性疲労症候群免疫不全症候群(CFIDS)、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー、瘢痕性類天疱瘡、寒冷凝集素症、クレスト症候群、クローン病、デゴス病、皮膚筋炎、若年性皮膚筋炎、円板状エリテマトーデス、本態性混合型クリオグロブリン血症、線維筋痛症-線維筋炎、グレーブス病、ギラン・バレー、ハシモト甲状腺炎、特発性肺線維症、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、Iga腎症、インスリン依存性糖尿病(I型)、若年性関節炎、メニエール病、混合性結合組織病、多発性硬化症、重症筋無力症、肥満、尋常性天疱瘡、悪性貧血、結節性多発動脈炎、多発性軟骨炎、多腺性症候群(polyglancular syndromes)、リウマチ性多発筋痛症、多発性筋炎および皮膚筋炎、原発性無ガンマグロブリン血症、原発性胆汁性肝硬変、乾癬、レイノー現象、ライター症候群、リウマチ熱、サルコイドーシス、強皮症、シェーグレン症候群、全身硬直症候群、タカヤス動脈炎、側頭動脈炎/巨細胞性動脈炎、潰瘍性大腸炎、ブドウ膜炎、血管炎、白斑、ならびにウェゲナー肉芽腫症からなる群から選択される、本発明1005~1007のいずれかの方法。
[本発明1009]
自己免疫疾患を治療する方法であって、その必要がある対象に、前記対象における免疫抑制応答を誘導、促進、または増強するのに有効な量でAkt3を選択的に阻害する本発明1001~1004の化合物のうちのいずれか1つ、またはそのエナンチオマー、多形、もしくは薬学的に許容される塩を含む組成物を投与することを含む、方法。
[本発明1010]
前記自己免疫疾患が、リウマチ性関節炎、全身性エリテマトーデス、円形脱毛症、自己免疫性アジソン病、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性肝炎、自己免疫性内耳疾患、自己免疫性リンパ増殖症候群(ALPS)、自己免疫性血小板減少性紫斑病(ATP)、クローン病、多発性硬化症、および重症筋無力症からなる群から選択される、本発明1009の方法。
[本発明1011]
増加される前記免疫抑制応答が、天然のTreg(nTreg)の免疫抑制機能および通常型T細胞の誘導されたTreg(iTreg)への誘導からなる群から選択される、本発明1005~1010のいずれかの方法。
[本発明1012]
nTregの前記免疫抑制機能が、1つ以上の抗炎症性サイトカインの分泌である、本発明1011の方法。
[本発明1013]
前記抗炎症性サイトカインが、IL10、TGFβ、またはそれらの組み合わせである、本発明1012の方法。
[本発明1014]
前記対象に第2の免疫抑制剤を投与することをさらに含む、本発明1005~1013のいずれかの方法。
[本発明1015]
前記第2の活性剤が、プレドニゾン、ブデソニド、プレドニゾロン、シクロスポリン、タクロリムス、シロリムス、エベロリムス、アザチオプリン、レフルノミド、ミコフェノレート、アバタセプト、アダリムマブ、アナキンラ、セルトリズマブ、エタネルセプト、ゴリムマブ、インフリキシマブ、イキセキズマブ、ナタリズマブ、リツキシマブ、セクキヌマブ、トシリズマブ、ウステキヌマブ、ベドリズマブ、バシリキシマブ、ダクリズマブ、およびムロモナブからなる群から選択される化合物である、本発明1014の方法。
[本発明1016]
本発明1001~1004の化合物のうちのいずれか1つが、免疫細胞でのFoxP3の発現を増加させる量で投与される、本発明1005~1015のいずれかの方法。
[本発明1017]
前記免疫細胞が、iTregを含む、本発明1016の方法。
[本発明1018]
本発明1001~1004の化合物のうちのいずれか1つが、iTregの増殖を増加させるのに有効な量で投与される、本発明1005~1017のいずれかの方法。
[本発明1019]
本発明1001~1004の化合物のうちのいずれか1つ、またはそのエナンチオマー、多形、もしくは薬学的に許容される塩と、賦形剤とを含む、医薬組成物。
[本発明1020]
本発明1001~1004の化合物のうちのいずれか1つ、またはそのエナンチオマー、多形、もしくは薬学的に許容される塩が、その必要がある対象に投与される場合、抑制性免疫応答を増加させるのに有効な量である、本発明1019の組成物。
[本発明1021]
その必要がある対象において免疫抑制応答を増加させる方法であって、
免疫細胞を、エクスビボで、前記免疫細胞でのFoxP3の発現を増加させるのに有効な量で、本発明1001~1004の化合物のうちのいずれか1つ、またはそのエナンチオマー、多形、もしくは薬学的に許容される塩と接触させることと、
前記接触させた免疫細胞を前記対象に投与することと
を含む、方法。
[本発明1022]
前記免疫細胞が、自己免疫細胞を含む、本発明1021の方法。
[本発明1023]
前記免疫細胞が、T細胞を含む、本発明1021または1022の方法。
[本発明1024]
前記T細胞が、Tregを含む、本発明1023の方法。
[本発明1025]
前記Treg細胞が、iTregを含む、本発明1024の方法。
[本発明1026]
対象の免疫細胞でのFoxP3の発現を増加させるために、有効量の本発明1001~1004の化合物のうちのいずれか1つ、またはそのエナンチオマー、多形、もしくは薬学的に許容される塩を投与することにより、必要とする対象において移植拒絶を阻害または低減するための方法。
[本発明1027]
対象の免疫細胞でのFoxP3の発現を増加させるために、有効量の本発明1001~1004の化合物のうちのいずれか1つ、またはそのエナンチオマー、多形、もしくは薬学的に許容される塩を前記対象に投与することにより、必要とする対象において移植片対宿主病を治療するための方法。
[本発明1028]
対象の免疫細胞でのFoxP3の発現を増加させるために、有効量の本発明1001~1004の化合物のうちのいずれか1つ、またはそのエナンチオマー、多形、もしくは薬学的に許容される塩を前記対象に投与することにより、必要とする対象において慢性感染症を治療するための方法。
[本発明1029]
有効量の本発明1001~1004の化合物のうちのいずれか1つ、またはそのエナンチオマー、多形、もしくは薬学的に許容される塩を対象に投与することにより、必要とする対象において肥満を治療するための方法。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】式IVの化合物(mJJ64A)の構造を示す。
【
図2-1】
図2A~2Fは、示されるようにmJJ64Aで処置されたFACS選別されたiTregのヒストグラムである。
【
図2-2】
図2Gは、示される量のmJJ64Aで処置されたCD4+Foxp3+T細胞パーセントを示す棒グラフである。
【
図2-3】
図2Hは、示されるようにmJJ64Aで処置された平均蛍光強度(MFI)(CD4+Foxp3細胞)の棒グラフである。
【
図3】
図3AはiTreg誘導におけるFoxp3の発現および示される量のmJJ64Aでの処置を示すウェスタンブロットのオートラジオグラフである。β-アクチンは対照として機能する。
図3Bは、
図3Aの実験の反復である。
【
図4-1】
図4Aは、Tconv(灰色の棒)およびTreg(黒色の棒)細胞におけるAktの3つのアイソフォーム(Akt1、Akt2、およびAkt3)の発現を表す棒グラフである。
図4Bは、TconvおよびTreg細胞におけるAkt1、Akt2、およびAkt3の発現を示すウェスタンブロットである。β-アクチンはローディング対照として機能する。
図4Cは、非刺激または刺激TconvおよびnTreg細胞のAkt1、Akt2、またはAkt3のIPプルダウンにおけるpSer発現を示すウェスタンブロットである。
【
図4-2】
図4Dは、WT(灰色の棒)およびAkt3 KO(黒色の棒)マウスからのTregの抑制活性を示す棒グラフである。X軸は、Tconv対Tregの比率を表す。Y軸は、正規化された増殖のパーセントを表す。
図4Eは、WT、Akt1 KO、Akt2 KO、またはAkt3 KOマウスからのTregにおけるIL-10レベル(pg/ml)を表す棒グラフである。
図4Fは、WT、Akt1 KO、Akt2 KO、またはAkt3 KOマウスからのTregにおけるTGFβレベル(pg/ml)を表す棒グラフである。
【
図5】
図5Aは、PBS(●)、WTナイーブT細胞+PBS(□)、WTナイーブT細胞+WT nTreg(▲)、またはWTナイーブT細胞+Akt3 nTreg(▼)で処置されたRAG大腸炎マウスの生存パーセントを表す線グラフである。
図5Bは、EL4(◆)、PC61+EL4(◇)、PC61+EL4+WT Treg(■)、またはPC61+EL4+Akt3 KO Treg(▲)の養子移植を伴うマウスにおける経時的(日数)な腫瘍体積(mm
3)を表す線グラフである。
【
図6-1】
図6Aは、ThおよびiTreg細胞におけるAkt1、Akt2、およびAkt3の発現を示すウェスタンブロットである。β-アクチンはローティング対照として使用される。
図6Bは、Th(灰色の棒)およびiTreg(黒色の棒)細胞におけるAkt1、Akt2、およびAkt3のRNA発現を表す棒グラフである。
図6Cは、Akt1、Akt2、またはAkt3のIPプルダウン後のThまたはTreg細胞におけるpSer発現を示すウェスタンブロットである。
【
図6-2】
図6Dは、Akt1 KOマウス、Akt2 KOマウス、およびAkt3 KOマウスにおけるTh(灰色の棒)およびiTreg(黒色の棒)細胞のCD4 T細胞集団内のFoxP3
+細胞のパーセントを示す棒グラフである。
図6Eは、Th(WT)+CV(実線)、iTreg(WT)+CV(点線)、およびiTreg(WT)+Akt3 shRNA(破線)におけるTGFβに応答してTconvにおけるFoxP3の誘導を示すヒストグラムである。
【
図7】
図7Aは、対照およびAkt3ノックインTregにおけるAkt3およびFoxP3の発現を示すウェスタンブロッである。β-アクチンはローディング対照として使用される。
図7Bは、FoxP3の発現を示すヒストグラムである。
図7Cは、対照およびAkt3 KI TregにおけるMFI(CD4+FoxP3)を示す棒グラフである。
図7D~Iは、対照およびAkt3 KI TregにおけるIL2およびアクチンの発現を表すヒストグラムを示す。
図7Dおよび
図7Gは、それぞれ、対照およびAkt3 KIにおけるIL2の発現を示す。
図7Eおよび
図7Hは、それぞれ、対照およびAkt3 KIにおけるアクチンの発現を示す。
図7Fおよび
図7Iは、それぞれ、対照およびAkt3 KIのIL2およびアクチンの発現ピークのオーバーレイを示す。
【
図8】対照と比較した、A2780細胞におけるAkt1 pS473、Akt2 pS474、Akt3 pS472、およびAkt pan S473、474、472の発現に対するmJJ64Aの作用を示す棒グラフである。Y軸は、集積密度値を表す。
【
図9A】TGF-βで誘導され、様々な濃度のmJJ64Aで処置された活性化Tconv細胞におけるFoxP3、pAkt3、Akt3、pAkt1、およびAkt1の発現を示すウェスタンブロットである。
【
図9B】TGF-βで誘導され、様々な濃度のmJJ64Aで処置された活性化iTregにおけるRORγtおよびFoxP3の発現を示すヒストグラムである。
【
図9C】様々な濃度のmJJ64Aで処置されたTGF-βで誘導された活性化iTregにおけるFoxP3の発現を示すウェスタンブロットである。
【
図10-1】
図10Aは、TGF-βで誘導され、様々な濃度のmJJ64Aで処置された活性化iTregの増殖を表すヒストグラムを示す。
図10Bは、様々な濃度のmJJ64Aで処置されたiTregの増殖パーセントを示す棒グラフである。X軸は、mJJ64Aの濃度を表す。Y軸は、増殖パーセントを表す。
図10Cは、様々な濃度のmJJ64Aで処置されたiTregの生細胞のパーセントを示す棒グラフである。X軸は処置を表し、Y軸は生細胞のパーセンテージを表す。
【
図10-2】
図10Dは、様々な濃度のmJJ64Aで処置された活性化nTregの増殖を示すヒストグラム一式である。
図10Eは、様々な濃度のmJJ64Aで処置されたnTregの増殖パーセントを示す棒グラフである。X軸は処置を表し、Y軸は増殖パーセントを表す。
図10Fは、様々な濃度のmJJ64Aで処置されたnTregの生細胞のパーセントを示す棒グラフである。X軸は処置を表し、Y軸は生細胞のパーセンテージを表す。
【
図10-3】
図10Gは、様々な濃度のmJJ64Aで処置されたCD4 T細胞の増殖を示すヒストグラム一式である。
図10Hは、様々な濃度のmJJ64Aで処置されたCD4 T細胞の増殖パーセントを示す棒グラフである。X軸は、mJJ64Aの濃度を表す。Y軸は、増殖パーセントを表す。
図10Iは、様々な濃度のmJJ64Aで処置されたCD4 T細胞の生細胞のパーセントを示す棒グラフである。X軸は処置を表し、Y軸は生細胞のパーセンテージを表す。
【
図10-4】
図10Jは、様々な濃度のmJJ64Aで処置されたCD8 T細胞の増殖を示すヒストグラム一式である。
図10Kは、様々な濃度のmJJ64Aで処置されたCD8 T細胞の増殖パーセントを示す棒グラフである。X軸は、mJJ64Aの濃度を表す。Y軸は、増殖パーセントを表す。
図10Lは、様々な濃度のmJJ64Aで処置されたCD8 T細胞の生細胞のパーセントを示す棒グラフである。X軸は処置を表し、Y軸は生細胞のパーセンテージを表す。
【
図11A】未処置およびmJJ64A処置iTregにおけるマウスiTregの抑制機能を示すヒストグラム一式である。iTreg対Tconv細胞の比率は、0:1、0.5:1、1:1、および2:1であった。
【
図11B】Treg:Tconvの比率が0.5:1の未処置(黒色の棒)およびmJJ64A処置(灰色の棒)細胞における増殖パーセントを示す棒グラフである。X軸は実験群を表し、Y軸は増殖パーセントを表す。
【
図11C】Treg:Tconvの比率が1:1の未処置(黒色の棒)およびmJJ64A処置(灰色の棒)細胞における増殖パーセントを示す棒グラフである。X軸は実験群を表し、Y軸は増殖パーセントを表す。
【
図11D】Treg:Tconvの比率が2:1の未処置(黒色の棒)およびmJJ64A処置(灰色の棒)細胞における増殖パーセントを示す棒グラフである。X軸は実験群を表し、Y軸は増殖パーセントを表す。
【
図12-1】
図12Aは、未処置およびmJJ64A処置nTregの抑制機能を示すヒストグラム一式である。nTreg対Tconv細胞の比率は、0:1、0.5:1、1:1、2:1、および3:1である。
【
図12-2】
図12Bは、nTregおよびTconv(0.5:1)の混合物の未処置およびmJJ64A処置nTregにおける増殖細胞パーセントを示す棒グラフである。
図12Cは、nTregおよびTconv(1:1)の混合物の未処置およびmJJ64A処置nTregにおける増殖細胞パーセントを示す棒グラフである。
図12Dは、nTregおよびTconv(2:1)の混合物の未処置およびmJJ64A処置nTregにおける増殖細胞パーセントを示す棒グラフである。
図12Eは、nTregおよびTconv(3:1)の混合物の未処置およびmJJ64A処置nTregにおける増殖細胞パーセントを示す棒グラフである。
図12Fは、様々な濃度のmJJ64Aで処置されたnTregの増殖を示すヒストグラムである。
【
図12-3】
図12Gは、様々な濃度のmJJ64Aで処置されたnTregの増殖パーセントを表す棒グラフである。X軸は処置群を表し、Y軸は増殖パーセントを表す。
図12Hは、様々な濃度のmJJ64Aで処置されたnTregの生細胞パーセントを表す棒グラフである。X軸は処置群を表し、Y軸は増殖パーセントを表す。
【
図13】
図13Aは、様々な濃度のmJJ64Aで処置されたnTreg細胞のFoxP3およびIL10の発現を示すヒストグラム一式である。
図13Bは、様々な濃度のmJJ64Aで処置されたnTregのIL-10
+FoxP3
+細胞のパーセントを表す棒グラフである。
【
図14】
図14Aは、TC-1腫瘍実験の実験方法および処置概要を示す図である。
図14Bは、未処置(▲)およびmJJ64A処置された(◆)TC1腫瘍保有マウスの経時的(日数)な腫瘍体積(cm
3)を示す線グラフである。
【
図15-1】
図15Aは、未処置(黒色の棒)およびmJJ64A処置(灰色の棒)マウスからの腫瘍におけるCD8
+細胞の数/10
6生細胞を表す棒グラフである。
図15Bは、未処置(黒色の棒)およびmJJ64A処置(灰色の棒)マウスからの腫瘍におけるCD4
+細胞の数/10
6生細胞を表す棒グラフである。
図15Cは、未処置(黒色の棒)およびmJJ64A処置(灰色の棒)マウスからの腫瘍におけるFoxP3
+細胞の数/10
6CD4
+細胞を表す棒グラフである。
【
図15-2】
図15Dは、未処置(暗灰色の棒)またはmJJ64A処置(薄灰色の棒)腫瘍保有マウスの脾臓におけるCD8
+、FoxP3
NEG CD4
+、およびTreg細胞の数/10
6生細胞を表す棒グラフである。
図15Eは、未処置(黒色の棒)またはmJJ64A処置(薄灰色の棒)腫瘍なしマウスの脾臓におけるCD8
+、FoxP3
NEG CD4
+、およびTreg細胞の数/10
6生細胞を表す棒グラフである。
【
図16-1】
図16Aは、大腸炎モデルの実験設計の模式図である。
図16Bは、対照(●)、iTreg(■)、mJJ64A+iTreg(▲)、およびmJJ64A(○)処置大腸炎マウスの経時的(注射後の日数)な体重(g)を表す線グラフである。
図16Cは、対照(●)、iTreg(■)、mJJ64A+iTreg(▲)、およびmJJ64A(○)処置大腸炎マウスの経時的(注射後の日数)な正規化された体重を表す線グラフである。
【
図16-2】
図16Dは、未処置(●)、iTreg(青色の丸)、mJJ64A+iTreg(▼)、およびmJJ64A(赤色の丸)処置大腸炎マウスの生存パーセントを示す線グラフである。X軸は時間(日数)を表し、Y軸は生存パーセントを表す。
図16E~Iは、未処置(
図16E)、iTreg処置(
図16F)、JJa処置iTreg(
図16G)、未処置(
図16H)、およびmJJ64A処置(
図16I)大腸炎マウスの代表的な写真である。下の画像は、未処置群の直腸脱を示す。
【
図17-1】
図17Aは、未処置(UT)、iTreg、mJJ64A処置iTreg、mJJ64A、および野生型(WT)マウスからの代表的な結腸を示す写真である。
図17Bは、正常、未処置(UT)、iTreg、mJJ64A、およびmJJ64A+iTregマウスからの結腸の長さおよび重量を表す棒グラフである。X軸は処置群を表し、Y軸は結腸の重量/長さ(mg/mm)を表す。
【
図17-2】
図17C~Jは、WTの正常な結腸(
図17C)、Rag
-/-大腸炎-未処置(
図17D)、WT-正常な結腸(
図17E)、Rag
-/-大腸炎-未処置(
図17F)、Rag
-/-大腸炎iTreg処置(
図17G)、Rag
-/-大腸炎-mJJ64A(10mg/kg)処置(
図17H)、Rag
-/-大腸炎-iTreg処置(
図17I)、およびRag
-/-大腸炎-mJJ64A(10mg/kg)処置(
図17J)からの結腸からの代表的な組織学切片を示す。
【
図18】
図18Aは、WT、UT、iTreg、mJJ64A、およびmJJ64A処置iTreg処置Rag
-/-マウスの脾臓におけるCD4
+T細胞の数/10
6生細胞を示す棒グラフである。X軸は処置群を表し、Y軸はCD4
+細胞の数/10
6生細胞を表す。
図18Bは、WT、UT、iTreg、mJJ64A、およびmJJ64A処置iTreg処置Rag
-/-マウスの脾臓におけるFoxP3
+細胞のパーセント/CD4
+T細胞を示す棒グラフである。X軸は処置群を表し、Y軸はFoxP3
+細胞の数/CD4
+細胞を表す。
図18Cは、WT、UT、iTreg、mJJ64A、およびmJJ64A処置iTreg処置Rag
-/-マウスの脾臓におけるFoxP3
-細胞のパーセント/CD4
+T細胞を示す棒グラフである。X軸は処置群を表し、Y軸はFoxP3
-細胞の数/CD4
+細胞を表す。
図18Dは、WT、UT、iTreg、mJJ64A、およびmJJ64A処置iTreg処置Rag
-/-マウスのリンパ節におけるCD4
+T細胞の数/10
6生細胞を示す棒グラフである。X軸は処置群を表し、Y軸はCD4
+細胞の数/10
6生細胞を表す。
図18Eは、WT、UT、iTreg、mJJ64A、およびmJJ64A処置iTreg処置Rag
-/-マウスのリンパ節におけるFoxP3
+細胞のパーセント/CD4
+T細胞を示す棒グラフである。X軸は処置群を表し、Y軸はFoxP3
+細胞の数/CD4
+細胞を表す。
図18Fは、WT、UT、iTreg、mJJ64A、およびmJJ64A処置iTreg処置Rag
-/-マウスのリンパ節におけるFoxP3
-細胞のパーセント/CD4
+T細胞を示す棒グラフである。X軸は処置群を表し、Y軸はFoxP3
-細胞の数/CD4
+細胞を表す。
【
図19-1】
図19Aは、実験自己免疫性脳脊髄炎(EAE)モデルの誘導の模式図である。
図19Bは、EAEの重症度のスコア化の段階分け基準を示すチャートである。
図19Cは、対照(●)、iTreg(青色の丸)、およびmJJ64A-10(▼)処置マウスの経時的(EAE誘導後の日数)なEAEスコアを示す線グラフである。X軸は時間(日数)を表し、Y軸はEAEスコアを表す。
図19Dは、未処置(・)、iTreg処置(●)、およびmJJ64A-10処置(▼)マウスの経時的(日数)な生存パーセントを示す線グラフである。X軸は時間(日数)を表し、Y軸は生存パーセントを表す。
【
図19-2】
図19Eは、対照(●)、iTreg(◆)、mJJ64A-3(青色の丸)、mJJ64A-6(▼)、およびmJJ64A-10(▲)処置EAEマウスの経時的(EAE誘導後の日数)なEAEスコアを表す線グラフである。X軸は時間(EAE誘導後の日数)を表し、Y軸はEAEスコアを表す。
【
図19-3】
図19Fは、未処置(・)、iTreg(青色の丸)、mJJ64A-3(▼)、mJJ64A-6(▲)、およびmJJ64A-10(◆)処置EAEマウスの経時的(日数)な生存パーセントを表す線グラフである。X軸は時間(日数)を表し、Y軸は生存パーセントを表す。
【
図20-1】
図20A~Cは、UT、iTreg、mJJ64A-3、mJJ64A-6、およびmJJ64A-10処置EAEマウスの脾臓(
図20A)、血液(
図20B)、および脳(
図20C)におけるFoxP3
+細胞のパーセント/CD4
+T細胞を示す棒グラフである。X軸は処置群を表し、Y軸はFoxP3
+細胞の数/CD4
+細胞を表す。
図20D~Fは、UT、iTreg、mJJ64A-3、mJJ64A-6、およびmJJ64A-10処置EAEマウスの脾臓(
図20D)、血液(
図20E)、および脳(
図20F)におけるFoxP3
-細胞のパーセント/CD4
+T細胞を示す棒グラフである。X軸は処置群を表し、Y軸はFoxP3
-細胞の数/CD4
+細胞を表す。
【
図20-2】
図20G~Iは、UT、iTreg、mJJ64A-3、mJJ64A-6、およびmJJ64A-10処置EAEマウスの脾臓(
図20G)、血液(
図20H)、および脳(
図20I)におけるROR
+細胞のパーセント/CD4
+T細胞を示す棒グラフである。X軸は処置群を表し、Y軸はROR
+細胞の数/CD4
+細胞を表す。
【
図21】
図21Aは、様々な濃度のmJJ64Aで処置された細胞における生ヒトiTregのパーセントを示す棒グラフである。X軸は処置群を表し、Y軸は生細胞のパーセントを表す。
図21Bは、様々な濃度のmJJ64Aで処置されたヒトiTregにおけるFoxP3
+CD4
+細胞のパーセントを示す棒グラフである。X軸は処置群を表し、Y軸はFoxP3
+CD4
+細胞を表す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
発明の詳細な説明
I.定義
「~の発現を刺激する」という用語は、正常で健康な対照の発現に影響を及ぼすこと、例えば、正常で健康な対照に対して、発現もしくは活性を誘導すること、または増加した/より大きい発現もしくは活性を誘導することを意味する。
【0037】
「免疫活性化応答」、「免疫応答を活性化すること」、および「免疫刺激応答」という用語は、自然または適応免疫の活性化または効率を開始させる、誘導する、増強する、または増加させる応答を指す。そのような免疫応答には、例えば、レシピエント患者におけるペプチドに対する有益な液性(抗体媒介性)および/または細胞(抗原特異的T細胞またはそれらの分泌産物によって媒介される)応答の発生が含まれる。そのような応答は、免疫原の投与によって誘導される活性応答または抗体もしくはプライムT細胞の投与によって誘導される受動応答であり得る。細胞免疫応答は、抗原特異的CD4+Tヘルパー細胞および/またはCD8+細胞毒性T細胞を活性化するクラスIまたはクラスII MHC分子と関連したポリペプチドエピトープの提示によって誘発される。応答は、単球、マクロファージ、NK細胞、好塩基球、樹状細胞、星状細胞、小膠細胞、好酸球の活性化、好中球または自然免疫の他の成分の活性化または動員も含み得る。細胞媒介性免疫学的応答の存在は、増殖アッセイ(CD4+T細胞)またはCTL(細胞毒性Tリンパ球)アッセイによって決定することができる。免疫原の保護または治療作用への液性および細胞応答の相対的な寄与は、免疫化同系動物からの抗体およびT細胞を別々に単離し、第2の対象における保護または治療作用を測定することによって区別することができる。
【0038】
「抑制性免疫応答」および「免疫抑制応答」という用語は、自然または適応免疫の活性化または効率を低減または防止する応答を指す。
【0039】
本明細書で使用されるとき、「免疫寛容」という用語は、潜在的に有害な免疫応答が防止されるか、抑制されるか、または非有害免疫応答にシフトされる任意の機構を指す(Bach,et al.,N.Eng.J.Med.,347:911-920(2002))。
【0040】
本明細書で使用されるとき、「寛容化ワクチン」という用語は、典型的には、全般的な免疫機能がインタクトなままで、自己反応性Tおよび/またはB細胞応答を減弱するために使用される抗原特異的療法である。
【0041】
「免疫原性物質」または「免疫原」は、任意選択で補助剤と共に、哺乳動物への投与時にそれ自体に対する免疫学的応答を誘導することができる。
【0042】
「免疫細胞」という用語は、好中球、好酸球、好塩基球、単球、マクロファージ、樹状細胞、リンパ球(B細胞、T細胞、およびナチュラルキラー細胞を含む)を含む、自然および獲得免疫系の細胞を指す。
【0043】
本明細書で使用されるとき、「通常型T細胞」とは、αβ T細胞受容体(TCR)ならびに共受容体CD4またはCD8を発現するTリンパ球である。通常型T細胞は、末梢血、リンパ節、および組織に存在する。Roberts and Girardi,“Conventional and Unconventional T Cells”,Clinical and Basic Immunodermatology,pp.85-104,(Gaspari and Tyring(ed.)),Springer London(2008)を参照されたい。
【0044】
本明細書で使用されるとき、「非通常型T細胞」とは、γδ TCRを発現するリンパ球であり、皮膚、消化管、または尿生殖器などの上皮環境に通常存在し得る。非通常型T細胞の別のサブセットは、従来型T細胞の表現型および機能的能力、ならびにナチュラルキラー細胞の特徴(例えば、細胞溶解活性)を有するインバリアントナチュラルキラーT(NKT)細胞である。Roberts and Girardi,“Conventional and Unconventional T Cells”,Clinical and Basic Immunodermatology,pp.85-104,(Gaspari and Tyring(ed.)),Springer London(2008)を参照されたい。
【0045】
本明細書で使用されるとき、「Treg」は、制御性T細胞(複数可)を指す。制御性T細胞は、免疫系を調節し、自己抗原に対する寛容を維持し、自己免疫疾患を抑止し、そうでなければ他の細胞の免疫刺激または活性化応答を抑制する、T細胞の亜集団である。制御性T細胞には多くの形態があり、最もよく理解されているのは、CD4、CD25、およびFoxp3を発現するものである。
【0046】
本明細書で使用されるとき、「天然のTreg」または「nTreg」は、制御性T細胞または胸腺において発達する細胞を指す。
【0047】
本明細書で使用されるとき、「誘導されたTreg」または「iTreg」は、制御性T細胞または胸腺外の成熟CD4+従来型T細胞から発達する細胞を指す。
【0048】
Akt3の「生物活性」は、Akt3ポリペプチドの生物学的機能を指す。生物活性は、ポリペプチドの基底レベルの活性を増加させるかもしくは低減すること、ポリペプチドの基底レベルの結合力、ポリペプチドの量、ポリペプチドのAkt(例えば、Akt1またはAkt2)の1つ以上の他のアイソフォームに対するAkt3の比率を増加させるかもしくは低減すること、ポリペプチドの発現レベルを増加させるかもしくは低減すること(Akt3のmRNA発現を増加させるかもしくは減少させることによるものを含む)、またはそれらの組み合わせにより、増加させるかもしくは低減することができる。例えば、生物学的に利用可能なAkt3ポリペプチドは、キナーゼ活性を有し、Akt3の基質に結合し、それをリン酸化することができるポリペプチドである。生物学的に利用可能ではないAkt3ポリペプチドには、誤った場所に局在化されるか、またはAkt基質に結合し、それをリン酸化することができないAkt3ポリペプチドが含まれる。
【0049】
本明細書で使用されるとき、分子が標的に「特異的に結合する」または「特異的結合を表す」という句は、他の生物製剤の異種集団の存在下で、分子の存在を決定する結合反応を指す。
【0050】
指定されたイムノアッセイ条件下で、指定した分子は、特定の標的に優先的に結合し、試料中に存在する他の生物製剤に有意な量では結合しない。そのような条件下での抗体の標的への特異的結合は、抗体が標的に対するその特異性について選択されることを必要とする。様々なイムノアッセイ形式を使用して、特定のタンパク質と特異的に免疫反応性である抗体を選択することができる。例えば、固相ELISAイムノアッセイは、タンパク質と特異的に免疫反応性であるモノクローナル抗体を選択するために日常的に使用される。例えば、特異的な免疫反応性を決定するために使用され得るイムノアッセイ形式および条件の説明については、Harlow and Lane(1988)Antibodies,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Publications,New Yorkを参照されたい。
【0051】
「オリゴヌクレオチド」および「ポリヌクレオチド」という用語は、一般的に、任意のポリリボヌクレオチドまたはポリデオキシリボヌクレオチドを指し、これらは未修飾RNAもしくはDNA、または修飾RNAもしくはDNAであり得る。よって、例えば、本明細書で使用されるとき、ポリヌクレオチドは、特に、一本鎖および二本鎖DNA、一本鎖および二本鎖領域の混合物であるDNA、一本鎖および二本鎖RNA、ならびに、一本鎖および二本鎖領域の混合物であるRNA、一本鎖もしくはより典型的には二本鎖、または一本鎖および二本鎖領域の混合物であり得るDNAおよびRNAを含むハイブリッド分子を指す。「核酸」または「核酸配列」という用語は、上に定義されるポリヌクレオチドも包含する。
【0052】
加えて、本明細書で使用されるとき、ポリヌクレオチドは、RNAもしくはDNA、またはRNAおよびDNAの両方を含む3本鎖領域を指す。そのような領域の鎖は、同じ分子または異なる分子からであってよい。領域は、分子のうちの1つ以上の全てを含み得るが、より典型的には、分子のうちのいくつかの領域のみを伴う。三重らせん領域の分子のうちの1つはオリゴヌクレオチドであることが多い。
【0053】
本明細書で使用されるとき、ポリヌクレオチドという用語は、1つ以上の修飾塩基を含有する上述のDNAまたはRNAを含む。よって、安定性または他の理由のために修飾された骨格を有するDNAまたはRNAは、その用語が本明細書で意図される「ポリヌクレオチド」である。さらに、2つだけ例を挙げると、普通でない塩基、例えばイノシン、または修飾塩基、例えばトリチル化塩基を含むDNAまたはRNAは、その用語が本明細書で使用されるポリヌクレオチドである。
【0054】
本明細書で使用されるとき、「ポリペプチド」という用語は、修飾(例えば、リン酸化またはグリコシル化)にかかわらず、任意の長さのアミノ酸の鎖を指す。ポリペプチドという用語は、タンパク質およびその断片を含む。ポリペプチドは、「外因性」であり得、それらが細菌細胞によって産生されるヒトポリペプチドなどの、利用される宿主細胞とは「異種」、すなわち、異質であることを意味する。ポリペプチドは、本明細書においてアミノ酸残基配列として開示される。それらの配列は、アミノからカルボキシ末端への方向で左から右へと記載される。標準的な用語体系に従って、アミノ酸残基配列は、以下に示されるように3文字または1文字コードのいずれかで表示される。アラニン(Ala、A)、アルギニン(Arg、R)、アスパラギン(Asn、N)、アスパラギン酸(Asp、D)、システイン(Cys、C)、グルタミン(Gln、Q)、グルタミン酸(Glu、E)、グリシン(Gly、G)、ヒスチジン(His、H)、イソロイシン(Ile、I)、ロイシン(Leu、L)、リジン(Lys、K)、メチオニン(Met、M)、フェニルアラニン(Phe、F)、プロリン(Pro、P)、セリン(Ser、S)、トレオニン(Thr、T)、トリプトファン(Trp、W)、チロシン(Tyr、Y)、およびバリン(Val、V)。
【0055】
「バリアント」という用語は、参照ポリペプチドまたはポリヌクレオチドとは異なるが、本質的な特性を保持するポリペプチドまたはポリヌクレオチドを指す。ポリペプチドの典型的なバリアントは、別の参照ポリペプチドとはアミノ酸配列が異なる。一般的には、相違は、参照ポリペプチドおよびバリアントの配列が全体的には密接に類似しており、多くの領域において同一であるように限定される。バリアントおよび参照ポリペプチドは、アミノ酸配列が1つ以上の修飾(例えば、置換、付加、および/または欠失)によって異なり得る。置換または挿入されたアミノ酸残基は、遺伝子コードによってコードされたものであってもなくてもよい。ポリペプチドのバリアントは、対立遺伝子バリアントなどの天然に発生するものであってもよく、または天然に発生することが知られていないバリアントであってもよい。
【0056】
開示のポリペプチドの構造において修飾および変更を行い、依然としてポリペプチドと類似する特徴を有する分子を得ることができる(例えば、保存的アミノ酸置換)。例えば、ある特定のアミノ酸は、明らかな活性の喪失なしに配列において他のアミノ酸に置換することができる。ポリペプチドの生物学的機能的活性を定義するものがポリペプチドの相互作用能力および性質であるため、ポリペプチド配列においてある特定のアミノ酸配列置換を行い、それにもかかわらず同様の特性を有するポリペプチドを得ることができる。
【0057】
そのような変更を行う際に、アミノ酸の疎水親水度指数が考慮され得る。ポリペプチドに相互作用的な生物学的機能を与える際の疎水親水度アミノ酸指数の重要性は、一般的には当該技術分野で理解されている。ある特定のアミノ酸を、類似する疎水親水度指数またはスコアを有する他のアミノ酸に置換し、依然として類似する生物学的活性を有するポリペプチドをもたらすことができることが知られている。各アミノ酸には、その疎水性および電荷の特徴に基づく疎水親水度指数が割り当てられている。それらの指数は、イソロイシン(+4.5)、バリン(+4.2)、ロイシン(+3.8)、フェニルアラニン(+2.8)、システイン/シスチン(+2.5)、メチオニン(+1.9)、アラニン(+1.8)、グリシン(-0.4)、トレオニン(-0.7)、セリン(-0.8)、トリプトファン(-0.9)、チロシン(-1.3)、プロリン(-1.6)、ヒスチジン(-3.2)、グルタメート(-3.5)、グルタミン(-3.5)、アスパルテート(-3.5)、アスパラギン(-3.5)、リジン(-3.9)、およびアルギニン(-4.5)である。
【0058】
アミノ酸の相対的な疎水親水度の特徴は、得られるポリペプチドの二次構造を決定し、これはひいてはポリペプチドの、酵素、基質、受容体、抗体、抗原、および補因子などの他の分子との相互作用を定義すると考えられる。アミノ酸を類似する疎水親水度指数を有する別のアミノ酸によって置換し、依然として機能的に同等のポリペプチドを得ることができることが当該技術分野で知られている。そのような変更において、その疎水親水度指数が±2以内であるアミノ酸の置換が好ましく、±1以内であるものが特に好ましく、±0.5以内であるものがさらにより特に好ましい。
【0059】
特にそれによって作製される生物学的機能的同等のポリペプチドまたはペプチドを免疫学的実施形態において使用することが意図される場合、親水性に基づく同様のアミノ酸の置換も行うことができる。以下の親水性値がアミノ酸残基に割り当てられている:アルギニン(+3.0)、リジン(+3.0)、アスパルテート(+3.0±1)、グルタメート(+3.0±1)、セリン(+0.3)、アスパラギン(+0.2)、グルタミン(+0.2)、グリシン(0)、プロリン(-0.5±1)、トレオニン(-0.4)、アラニン(-0.5)、ヒスチジン(-0.5)、システイン(-1.0)、メチオニン(-1.3)、バリン(-1.5)、ロイシン(-1.8)、イソロイシン(-1.8)、チロシン(-2.3)、フェニルアラニン(-2.5)、トリプトファン(-3.4)。アミノ酸を類似する親水性値を有する別のものに置換し、依然として生物学的に同等の、特に免疫学的に同等のポリペプチドを得ることができることが理解される。そのような変更において、その親水性値が±2以内であるアミノ酸の置換が好ましく、±1以内であるものが特に好ましく、±0.5以内であるものがさらにより特に好ましい。
【0060】
上で概説されるように、アミノ酸置換は、一般的には、アミノ酸側鎖置換基の相対的類似性、例えば、それらの疎水性、親水性、電荷、サイズなどに基づく。様々な前述の特徴を考慮する例示的な置換は、当業者に周知であり、(元の残基:例示的な置換):(Ala:Gly、Ser)、(Arg:Lys)、(Asn:Gln、His)、(Asp:Glu、Cys、Ser)、(Gln:Asn)、(Glu:Asp)、(Gly:Ala)、(His:Asn、Gln)、(Ile:Leu、Val)、(Leu:Ile、Val)、(Lys:Arg)、(Met:Leu、Tyr)、(Ser:Thr)、(Thr:Ser)、(Trp:Tyr)、(Tyr:Trp、Phe)、および(Val:Ile、Leu)を含む。本開示の実施形態は、よって、上記のようなポリペプチドの機能的または生物学的同等物を企図する。特に、ポリペプチドの実施形態は、目的のポリペプチドと約50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上の配列同一性を有するバリアントを含むことができる。
【0061】
「配列同一性パーセント(%)」という用語は、配列を整列させ、必要に応じてギャップを導入して最大配列同一性パーセントを達成した後の、参照核酸配列中のヌクレオチドまたはアミノ酸と同一である候補配列中のヌクレオチドまたはアミノ酸のパーセンテージとして定義される。配列同一性パーセントを決定する目的のアラインメントは、当該技術分野の技能の範囲内である様々な方法で、例えば、BLAST、BLAST-2、ALIGN、ALIGN-2、またはMegalign(DNASTAR)ソフトウェアなどの公的に入手可能なコンピュータソフトウェアを用いて達成することができる。比較される配列の全長にわたって最大アラインメントを達成するのに必要な任意のアルゴリズムを含む、アラインメントを測定するための適切なパラメータは、既知の方法によって決定することができる。
【0062】
本明細書における目的のために、所与のヌクレオチドまたはアミノ酸配列Cの、所与の核酸配列Dに対する配列同一性%(これは代替的には、所与の配列Dに対してある特定の配列同一性%を有するか、または含む所与の配列Cと表現することができる)は、以下の通り計算され、
100×分数W/Z、
式中、Wは、配列アラインメントプログラムによってそのプログラムのCおよびDのアラインメントにおいて完全な一致として評価されるヌクレオチドまたはアミノ酸の数であり、Zは、Dにおけるヌクレオチドまたはアミノ酸の総数である。配列Cの長さが配列Dの長さとは等しくない場合、C対Dの配列同一性%がD対Cの配列同一性%とは等しくならないことが理解されるであろう。
【0063】
「担体」という用語は、活性成分が組み合わされて適用を容易にする天然もしくは合成の有機もしくは無機の成分を指す。
【0064】
「薬学的に許容される」という用語は、活性成分の生物学的活性の有効性に干渉しない非毒性材料を意味する。
【0065】
「薬学的に許容される担体」という用語は、ヒトまたは他の脊椎動物への投与に適している1つ以上の相溶性の固体もしくは液体充填剤、希釈剤もしくは封入物質を意味する。
【0066】
「有効量」または「治療有効量」という用語は、治療される障害、疾患、または状態に治療を提供するか、またはそうでなければ所望の薬理学的および/もしくは生理学的作用を提供するのに十分な投与量を意味する。正確な投与量は、対象に依存する変数(例えば、年齢、免疫系の健康状態など)、疾患、および行われる治療などの様々な因子に従って変動するであろう。
【0067】
「個体」、「対象」、および「患者」という用語は、本明細書において交換可能に使用され、限定されないが、ヒト、げっ歯類、例えば、マウスおよびラット、ならびに他の実験動物を含む、哺乳動物を指す。
【0068】
II.Akt3を活性化するための組成物
Akt3を選択的に活性化する組成物およびそれらの使用方法が本明細書において提供される。
【0069】
一実施形態は、式I:
の化合物、またはその薬学的に許容されるエナンチオマー、塩、もしくは溶媒和物を提供し、
式中、
環A、B、およびCは、独立して、0以上のN原子を含有する6員アリールまたはN含有ヘテロアリール単環式もしくは二環式環系、例えば、フェニル、ピリジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、トリアジン、キノリン、キナゾリン、イソキノリン、ナフタレン、ナフチリジン、インドール、イソインドール、シンノリン、フタラジン、キノキサリン、プテリジン、プリン、およびベンズイミダゾールであり、
R
1は、-(C
1-C
12)-アルキル、-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-(C
3-C
12)-ヘテロシクロアルキル、-O-(C
1-C
12)-アルキル、-O-(C
1-C
12)-アルキル-(C
6-C
20)-アリール、-O-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-S-(C
1-C
12)-アルキル、-S-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-COO-(C
1-C
12)-アルキル、-COO-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-CONH-(C
1-C
12)-アルキル、-CONH-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-CO-(C
1-C
12)-アルキル、-CO-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-N-[(C
1-C
12)-アルキル]
2、-(C
6-C
20)-アリール、-(C
6-C
20)-アリール-(C
1-C
12)-アルキル、-(C
6-C
20)-アリール-O-(C
1-C
12)-アルキル、-(C
3-C
20)-ヘテロアリール、-(C
3-C
20)-ヘテロアリール-(C
1-C
12)-アルキル、-(C
3-C
20)-ヘテロアリール-O-(C
1-C
12)-アルキル、-COOH、-OH、-SH、-SO
3H、-CN、-NH
2、またはハロゲンから選択される1つ以上の置換基によって置換されていてもよい、-(C
1-C
30)-アルキル、-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-(C
3-C
12)-ヘテロシクロアルキル、-(C
6-C
20)-アリール、または-(C
3-C
20)-ヘテロアリール基から選択され、
X、Y、およびZは、独立して、=O、-NH、-S、-N-(C
1-C
30)-アルキル、または-(C
1-C
30)-アリールから選択され、
R
2は、-(C
1-C
30)-アルキル、=O、-OH、-SO
2、-SO、または-SOCH
3から選択され、
R
3は、-(C
1-C
12)-アルキル、-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-(C
3-C
12)-ヘテロシクロアルキル、-O-(C
1-C
12)-アルキル、-O-(C
1-C
12)-アルキル-(C
6-C
20)-アリール、-O-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-S-(C
1-C
12)-アルキル、-S-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-COO-(C
1-C
12)-アルキル、-COO-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-CONH-(C
1-C
12)-アルキル、-CONH-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-CO-(C
1-C
12)-アルキル、-CO-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-N-[(C
1-C
12)-アルキル]
2、-(C
6-C
20)-アリール、-(C
6-C
20)-アリール-(C
1-C
12)-アルキル、-(C
6-C
20)-アリール-O-(C
1-C
12)-アルキル、-(C
3-C
20)-ヘテロアリール、-(C
3-C
20)-ヘテロアリール-(C
1-C
12)-アルキル、-(C
3-C
20)-ヘテロアリール-O-(C
1-C
12)-アルキル、-COOH、-OH、-SH、-SO
3H、-CN、-NH
2、またはハロゲンから選択される1つ以上の置換基によって置換されていてもよい、-(C
1-C
30)-アルキル、-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-(C
3-C
12)-ヘテロシクロアルキル、-(C
6-C
20)-アリール、または-(C
3-C
20)-ヘテロアリール基から選択される。
【0070】
別の実施形態は、式II:
の化合物、またはその薬学的に許容されるエナンチオマー、塩、もしくは溶媒和物を提供し、
式中、
R
1は、-(C
1-C
12)-アルキル、-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-(C
3-C
12)-ヘテロシクロアルキル、-O-(C
1-C
12)-アルキル、-O-(C
1-C
12)-アルキル-(C
6-C
20)-アリール、-O-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-S-(C
1-C
12)-アルキル、-S-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-COO-(C
1-C
12)-アルキル、-COO-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-CONH-(C
1-C
12)-アルキル、-CONH-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-CO-(C
1-C
12)-アルキル、-CO-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-N-[(C
1-C
12)-アルキル]
2、-(C
6-C
20)-アリール、-(C
6-C
20)-アリール-(C
1-C
12)-アルキル、-(C
6-C
20)-アリール-O-(C
1-C
12)-アルキル、-(C
3-C
20)-ヘテロアリール、-(C
3-C
20)-ヘテロアリール-(C
1-C
12)-アルキル、-(C
3-C
20)-ヘテロアリール-O-(C
1-C
12)-アルキル、-COOH、-OH、-SH、-SO
3H、-CN、-NH
2、またはハロゲンから選択される1つ以上の置換基によって置換されていてもよい、-(C
1-C
30)-アルキル、-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-(C
3-C
12)-ヘテロシクロアルキル、-(C
6-C
20)-アリール、または-(C
3-C
20)-ヘテロアリール基から選択され、
X、Y、およびZは、独立して、-O、-NH、-S、-N-(C
1-C
30)-アルキル、または-(C
1-C
30)-アリールから選択され、
R
2は、-(C
1-C
30)-アルキル、-O、-OH、-SO
2、-SO、または-SOCH
3から選択され、
R
3は、-(C
1-C
12)-アルキル、-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-(C
3-C
12)-ヘテロシクロアルキル、-O-(C
1-C
12)-アルキル、-O-(C
1-C
12)-アルキル-(C
6-C
20)-アリール、-O-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-S-(C
1-C
12)-アルキル、-S-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-COO-(C
1-C
12)-アルキル、-COO-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-CONH-(C
1-C
12)-アルキル、-CONH-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-CO-(C
1-C
12)-アルキル、-CO-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-N-[(C
1-C
12)-アルキル]
2、-(C
6-C
20)-アリール、-(C
6-C
20)-アリール-(C
1-C
12)-アルキル、-(C
6-C
20)-アリール-O-(C
1-C
12)-アルキル、-(C
3-C
20)-ヘテロアリール、-(C
3-C
20)-ヘテロアリール-(C
1-C
12)-アルキル、-(C
3-C
20)-ヘテロアリール-O-(C
1-C
12)-アルキル、-COOH、-OH、-SH、-SO
3H、-CN、-NH
2、またはハロゲンから選択される1つ以上の置換基によって置換されていてもよい、-(C
1-C
30)-アルキル、-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-(C
3-C
12)-ヘテロシクロアルキル、-(C
6-C
20)-アリール、または-(C
3-C
20)-ヘテロアリール基から選択される。
【0071】
別の実施形態は、式III:
の化合物、またはその薬学的に許容されるエナンチオマー、塩、もしくは溶媒和物を提供し、
式中、
R
1は、-(C
1-C
12)-アルキル、-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-(C
3-C
12)-ヘテロシクロアルキル、-O-(C
1-C
12)-アルキル、-O-(C
1-C
12)-アルキル-(C
6-C
20)-アリール、-O-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-S-(C
1-C
12)-アルキル、-S-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-COO-(C
1-C
12)-アルキル、-COO-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-CONH-(C
1-C
12)-アルキル、-CONH-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-CO-(C
1-C
12)-アルキル、-CO-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-N-[(C
1-C
12)-アルキル]
2、-(C
6-C
20)-アリール、-(C
6-C
20)-アリール-(C
1-C
12)-アルキル、-(C
6-C
20)-アリール-O-(C
1-C
12)-アルキル、-(C
3-C
20)-ヘテロアリール、-(C
3-C
20)-ヘテロアリール-(C
1-C
12)-アルキル、-(C
3-C
20)-ヘテロアリール-O-(C
1-C
12)-アルキル、-COOH、-OH、-SH、-SO
3H、-CN、-NH
2、またはハロゲンから選択される1つ以上の置換基によって置換されていてもよい、-(C
1-C
30)-アルキル、-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-(C
3-C
12)-ヘテロシクロアルキル、-(C
6-C
20)-アリール、または-(C
3-C
20)-ヘテロアリール基から選択され、
X、Y、およびZは、独立して、-O、-NH、-S、-N-(C
1-C
30)-アルキル、または-(C
1-C
30)-アリールから選択され、
R
2は、-(C
1-C
30)-アルキル、-O、-OH、-SO
2、-SO、または-SOCH
3から選択され、
R
4は、-(C
1-C
12)-アルキル、-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-(C
3-C
12)-ヘテロシクロアルキル、-O-(C
1-C
12)-アルキル、-O-(C
1-C
12)-アルキル-(C
6-C
20)-アリール、-O-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-S-(C
1-C
12)-アルキル、-S-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-COO-(C
1-C
12)-アルキル、-COO-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-CONH-(C
1-C
12)-アルキル、-CONH-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-CO-(C
1-C
12)-アルキル、-CO-(C
3-C
12)-シクロアルキル、-N-[(C
1-C
12)-アルキル]
2、-(C
6-C
20)-アリール、-(C
6-C
20)-アリール-(C
1-C
12)-アルキル、-(C
6-C
20)-アリール-O-(C
1-C
12)-アルキル、-(C
3-C
20)-ヘテロアリール、-(C
3-C
20)-ヘテロアリール-(C
1-C
12)-アルキル、-(C
3-C
20)-ヘテロアリール-O-(C
1-C
12)-アルキル、-COOH、-OH、-SH、-SO
3H、-CN、-NH
2、またはハロゲンから選択される。
【0072】
また別の実施形態は、式IV:
による化合物、またはその薬学的に許容されるエナンチオマー、塩、もしくは溶媒和物を提供する。
【0073】
mJJ64Aとも呼ばれる式IVの化合物、ならびにそのエナンチオマー、多形、薬学的に許容される塩、および誘導体を使用して、免疫細胞におけるAkt3の生物活性を誘導する、促進する、または増加させることができる。
【0074】
いくつかの実施形態では、Atk3の活性化剤は、式I、式II、式III、または式IVの誘導体である。本明細書で使用されるとき、「誘導体」または「誘導体化」という用語は、式I、式II、式III、もしくは式IV、またはそのエナンチオマー、多形、もしくは薬学的に許容される塩のうちの1つ以上の化学修飾を含む。つまり、「誘導体」は、所与の対象における改善された薬理学的機能的活性および/または挙動応答を誘導することができる式I、式II、式III、または式IVの機能的同等物であってよい。そのような化学修飾の例示は、水素のハロ基、アルキル基、アシル基、またはアミノ基による置換であろう。
【0075】
式I、式II、式III、もしくは式IV、またはそのエナンチオマー、多形、もしくは薬学的に許容される塩の化学修飾は、化合物とその標的との間の水素結合相互作用、電荷相互作用、疎水性相互作用、ファンデルワールス相互作用、または双極子相互作用を増強または低減するかのいずれかであり得る。
【0076】
いくつかの実施形態では、式I、式II、式III、または式IVの化合物は、化合物の機能的同等物であり、所与の対象における改善された薬理学的機能的活性および/または挙動応答を誘導することができる他の誘導体化合物の開発のためのモデル(例えば、テンプレート)として機能し得る。
【0077】
式I、式II、式III、または式IVの化合物は、ラセミ化合物および/またはその光学活性異性体であってよい。この点に関して、化合物のいくつかは、不斉炭素原子を有することができ、したがって、ラセミ混合物または個々の光学異性体(エナンチオマー)のいずれかとして存在することができる。キラル中心を含有する本明細書に記載の化合物は、化合物のすべての可能な立体異性体を含み、2つのエナンチオマーのラセミ混合物を含む組成物、ならびに他のエナンチオマーを実質的に含まない各エナンチオマーを個々に含む組成物が含まれる。よって、例えば、Rエナンチオマーを実質的に含まない化合物のSエナンチオマー、またはSエナンチオマーを実質的に含まないRエナンチオマーを含む組成物が本明細書において企図される。指定の化合物が複数のキラル中心を含む場合、本開示の範囲は、ジアステレオマー間の様々な割合の混合物を含む組成物、ならびに他のジアステレオマーのうちの1つ以上を実質的に含まない1つ以上のジアステレオマーを含む組成物も含む。「実質的に含まない」とは、組成物が25%、15%、10%、8%、5%、3%未満、または1%未満の少ないエナンチオマーまたはジアステレオマー(複数可)を含むことを意味する。
【0078】
RAC-ガンマセリン/トレオニン-タンパク質キナーゼとも称されるAkt3は、ヒトにおいてAkt3遺伝子によってコードされる酵素である。Aktキナーゼは、インスリンおよび成長因子に応答した細胞シグナル伝達の制御因子としても知られ、細胞増殖、分化、アポトーシス、腫瘍発生、ならびにグリコーゲン合成およびグルコース取り込みを含む広範囲の生物学的プロセスに関連する。Akt3は、血小板由来成長因子(PDGF)、インスリン、およびインスリン様成長因子1(IGF1)により刺激されることが示されている。
【0079】
Akt3キナーゼ活性は、様々な下流基質のセリンおよび/またはトレオニンリン酸化を媒介する。Akt3の核酸配列は当該技術分野で知られている。例えば、Genbankアクセッション番号AF124141.1:ホモ・サピエンスタンパク質キナーゼBガンマmRNA、完全cds(参照によりその全体が具体的に組み込まれる)を参照されたく、核酸配列:
を提供する。
【0080】
アミノ酸配列も当該技術分野で知られている。例えば、UniProtKB/Swiss-Protアクセッション番号Q9Y243(Akt3_HUMAN)(参照によりその全体が具体的に組み込まれる)を参照されたく、アミノ酸配列:
を提供する。
【0081】
Akt3のドメイン構造は、Romano,Scientifica,Volume 2013(2013),Article ID 317186,12 pagesに概説され、N末端プレクストリン相同ドメイン(PH)、続いて触媒キナーゼドメイン(KD)、およびC末端制御性疎水性領域を含む。触媒および制御ドメインは両方ともAktタンパク質キナーゼにより媒介される生物学的作用に重要であり、3つのAktアイソフォームの中で最大度の相同性を呈する。PHドメインは、ホスファチジルイノシトール(3,4)二リン酸(PIP2)およびホスファチジルイノシトール(3,4,5)三リン酸(PIP3)などの脂質基質に結合する。ATP結合部位は、p70 S6キナーゼ(S6K)およびp90リボソームS6キナーゼ(RSK)、タンパク質キナーゼA(PKA)、およびタンパク質キナーゼB(PKB)などのAGCキナーゼファミリーの他の成分とかなりの程度の相同性を有する、触媒キナーゼドメインのおよそ中央に位置する。疎水性制御性部分は、AGCキナーゼファミリーの典型的な特徴である。配列番号2に関して、Akt3は、一般的に、以下の分子プロセシングおよび以下に要約されるドメイン構造を有すると考えられている。
【0082】
【0083】
【0084】
【0085】
配列番号2の開始メチオニンは、Akt3機能にとって使い捨て可能である。したがって、いくつかの実施形態では、化合物は、アミノ酸配列
を有するAkt3の発現または生物学的利用能を直接または間接的に阻害する。
【0086】
1つがキナーゼドメイン(配列番号2に関してThr-305)にあり、もう1つがC末端制御領域(配列番号2に関してSer-472)にある2つの特異的部位は、Akt3の完全な活性化のためにリン酸化される必要がある。Akt3のPHドメインとTCL1Aとの間の相互作用は、Akt3のリン酸化および活性化を増強する。IGF-1は、細胞生存を調節する際に役割を果たし得るAkt3の活性化をもたらす。
【0087】
A.製剤
別の実施形態は、式I、II、III、IVによる化合物、またはそのエナンチオマー、多形、もしくは薬学的に許容される塩の製剤、およびそのうちの1つ以上を含む医薬組成物を提供する。一般的に、本明細書で開示される化合物の投与量レベルは、約0.0001mg/体重kg~約1,000mg/kgであり、より好ましくは0.001~500mg/kg、より好ましくは0.01~50mg/体重kgの投与量レベルが哺乳動物に毎日投与される。
【0088】
1.送達ビヒクル
式I、II、III、およびIVの化合物は、対象、好ましくはヒト対象に投与することができ、そこで送達ビヒクルの補助により、または補助なしで、対象の細胞内に取り込まれる。本開示の活性剤に適した送達ビヒクルは、当該技術分野で知られており、特定の活性剤に適するように選択され得る。例えば、いくつかの実施形態では、化合物は、ナノ粒子、微粒子、ミセル、合成リポタンパク質粒子、またはカーボンナノチューブに組み込まれるか、またはそれにより封入される。例えば、組成物は、活性剤(複数可)の制御放出をもたらすポリマー微粒子などのビヒクルに組み込まれ得る。いくつかの実施形態では、薬物(複数可)の放出は、活性剤(複数可)の微粒子の外への拡散、ならびに/または加水分解によるポリマー粒子の分解および/もしくは酵素分解により制御される。適切なポリマーには、エチルセルロースおよび他の天然または合成セルロース誘導体が含まれる。ゆっくり溶解し、水性環境でゲルを形成するポリマー、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロースまたはポリエチレンオキシドも微粒子を含有する薬物の材料として好適であり得る。他のポリマーとしては、限定されないが、ポリ無水物、ポリ(エステル無水物)、ポリヒドロキシ酸、例えば、ポリラクチド(PLA)、ポリグリコリド(PGA)、ポリ(ラクチド-コ-グリコリド)(PLGA)、ポリ-3-ヒドロキシブチレート(PHB)およびそのコポリマー、ポリ-4-ヒドロキシブチレート(P4HB)およびそのコポリマー、ポリカプロラクトンおよびそのコポリマー、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。
【0089】
いくつかの実施形態では、式I、式II、式III、もしくは式IVによる化合物、またはそのエナンチオマー、多形、もしくは薬学的に許容される塩、および第2の治療薬は、同じ粒子に組み込まれ、異なる時間で、および/または異なる時間期間にわたって放出するために製剤化される。例えば、いくつかの実施形態では、薬剤のうちの1つが粒子から完全に放出された後に、第2の薬剤の放出が始まる。他の実施形態では、第1の薬剤の放出、続いて第2の薬剤の放出が始まった後に、第1の薬剤のすべてが放出される。また他の実施形態では、両薬剤が同じ時間期間にわたって、または異なる時間期間にわたって同時に放出される。
【0090】
式I、式II、式III、もしくは式IVによる化合物、またはそのエナンチオマー、多形、もしくは薬学的に許容される塩は、水溶液において不溶性であるかまたは水溶液においてゆっくり溶解するが、酵素分解、胆汁酸のサーファクタント作用、および/または機械的侵食を含む手段によりGI管内で分解することができる材料から調製された送達ビヒクルに組み込まれ得る。本明細書で使用されるとき、「水にゆっくり溶解する」という用語は、30分の期間以内に水に溶解されない材料を指す。好ましい例には、脂肪、脂肪性物質、ワックス、ワックス様物質、およびそれらの混合物が含まれる。好適な脂肪および脂肪性物質には、脂肪性アルコール(ラウリル、ミリスチルステアリル、セチル、またはセトステアリルアルコールなど)、脂肪酸および誘導体が含まれ、限定されないが、脂肪酸エステル、脂肪酸グリセリド(モノ、ジ、およびトリグリセリド)、および水素化脂肪を含む。特定の例としては、限定されないが、水素化植物油、水素化綿実油、水素化ヒマシ油、商品名Sterotex(登録商標)により入手可能な水素化油、ステアリン酸、ココアバター、およびステアリルアルコールが挙げられる。好適なワックスおよびワックス様材料には、天然または合成のワックス、炭化水素、および通常のワックスが含まれる。
【0091】
ワックスの特定の例としては、蜜蝋、糖蝋、ヒマシ蝋、カルナウバ蝋、パラフィン、およびカンデリラ蝋が挙げられる。本明細書で使用されるとき、ワックス様材料は、室温では通常固体であり、約30~300℃の融点を有する任意の材料として定義される。放出点および/または放出期間は上に論じられるように異なり得る。
【0092】
2.医薬組成物
送達ビヒクルを伴うまたは伴わない式I、式II、式III、もしくは式IVによる化合物を含む医薬組成物が提供される。医薬組成物は、非経口(筋肉内、腹腔内、静脈内(IV)、または皮下注射)、経腸、経粘膜(鼻腔、膣、直腸、または舌下)、または経皮(受動的、またはイオン導入もしくは電気穿孔を使用するかのいずれか)投与経路による、または生体内分解性挿入物を使用する投与用に製剤化され得、各投与経路に適切な剤形に製剤化され得る。
【0093】
ある特定の実施形態では、組成物は、例えば、治療される部位(例えば、腫瘍内)への直接的な注射によって、局所投与される。いくつかの実施形態では、組成物は、意図される治療部位のもしくはそれに隣接する(例えば、腫瘍に隣接する)血管組織上の脈管構造内に注射されるか、そうでなければ直接投与される。典型的には、局所投与は、全身投与によって達成することができるものよりも大きい組成物の増加した局在化濃度をもたらす。
【0094】
a.非経口投与のための製剤
式I、式II、式III、もしくは式IVによる化合物、またはそのエナンチオマー、多形、もしくは薬学的に許容される塩、およびその医薬組成物は、非経口注射により水溶液において投与され得る。製剤はまた、懸濁剤または乳剤の形態であり得る。一般的には、有効量の活性剤(複数可)を含む医薬組成物が提供され、任意選択で薬学的に許容される希釈剤、防腐剤、可溶化剤、乳化剤、補助剤、および/または担体を含む。そのような組成物は、希釈剤、滅菌水、様々な緩衝剤含有量(例えば、トリス-HCl、アセテート、ホスフェート)、pH、およびイオン強度の緩衝生理食塩水;ならびに任意選択で添加剤、例えば、洗浄剤および可溶化剤(例えば、ポリソルベート20または80とも称されるTWEEN(登録商標)20、TWEEN(登録商標)80)、抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸、メタ重亜硫酸ナトリウム)、ならびに防腐剤(例えば、チメルソール、ベンジルアルコール)およびバルク化物質(例えば、ラクトース、マンニトール)を含む。非水性溶媒またはビヒクルの例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油およびコーン油などの植物油、ゼラチン、ならびにオレイン酸エチルなどの注射可能な有機エステルである。製剤は、凍結乾燥され、使用直前に再溶解/再懸濁され得る。製剤は、例えば、細菌保持フィルターを通した濾過によって、滅菌剤を組成物に組み込むことによって、組成物を照射することによって、または組成物を加熱することによって、減菌され得る。
【0095】
b.経腸製剤
式I、式II、式III、もしくは式IVによる化合物、またはそのエナンチオマー、多形、もしくは薬学的に許容される塩は、経腸投与のために製剤化され得る。式I、式II、式III、もしくは式IVによる化合物、またはそのエナンチオマー、多形、もしくは薬学的に許容される塩の適切な経口剤形には、錠剤、カプセル、溶液、懸濁液、シロップ、およびロゼンジ剤が含まれる。錠剤は、当該技術分野で周知の圧縮または成形技術を使用して作製され得る。ゼラチンまたは非ゼラチンカプセルは、硬カプセルシェルまたは軟カプセルシェルとして調製することができ、当該技術分野で周知の技術を使用して、液体、固体、および半固体充填材料を封入することができる。
【0096】
製剤は、薬学的に許容される担体を使用して調製され得る。本明細書で一般的に使用されるとき、「担体」は、限定されないが、希釈剤、防腐剤、結合剤、滑沢剤、崩壊剤、膨潤剤、充填剤、安定剤、およびそれらの組み合わせを含む。
【0097】
担体は、可塑剤、色素、着色剤、安定化剤、および滑剤を含み得る、コーティング組成物のすべての成分も含む。遅延放出投与量製剤は、標準の参考文献に記載されるように調製され得る。これらの参考文献は、錠剤およびカプセルを調製するための担体、材料、機器、およびプロセス、ならびに錠剤、カプセル、および顆粒の遅延放出剤形についての情報を提供する。
【0098】
好適なコーティング材料の例としては、限定されないが、酢酸フタル酸セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、および酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのセルロースポリマー、ポリ酢酸ビニルフタレート、アクリル酸ポリマーおよびコポリマー、ならびに商品名Eudragit(登録商標)(Roth Pharma,Westerstadt,Germany)で市販されているメタクリル樹脂、ゼイン、シェラック、および多糖が挙げられる。
【0099】
加えて、コーティング材料は、可塑剤、色素、着色剤、滑剤、安定化剤、ポア形成剤、および界面活性剤などの従来の担体を含有し得る。
【0100】
任意選択の薬学的に許容される賦形剤には、限定されないが、希釈剤、結合剤、滑沢剤、崩壊剤、着色剤、安定剤、および界面活性剤が含まれる。「充填剤」とも称される希釈剤は、典型的には、錠剤の圧縮またはビーズおよび顆粒の形成のために実用的なサイズが提供されるように、固形剤形のかさを増加させるのに必要である。好適な希釈剤には、限定されないが、リン酸二カルシウム二水和物、硫酸カルシウム、ラクトース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、セルロース、微結晶セルロース、カオリン、塩化ナトリウム、乾燥デンプン、加水分解デンプン、アルファ化デンプン、二酸化シリコーン、酸化チタン、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、および粉砂糖が含まれる。
【0101】
結合剤を使用して、固形投与量製剤に凝集性を付与し、よって、錠剤またはビーズもしくは顆粒が剤形の形成後に原形を保つことを確実にする。好適な結合剤の材料としては、限定されないが、デンプン、アルファ化デンプン、ゼラチン、糖類(スクロース、グルコース、デキストロース、ラクトース、およびソルビトールを含む)、ポリエチレングリコール、ワックス、天然および合成ガム、例えば、アカシア、トラガカント、アルギン酸ナトリウム、セルロース(ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、およびビーガムを含む)、および合成ポリマー、例えば、アクリル酸およびメタクリル酸コポリマー、メタクリル酸コポリマー、メタクリル酸メチルコポリマー、メタクリル酸アミノアルキルコポリマー、ポリアクリル酸/ポリメタクリル酸およびポリビニルピロリドンが挙げられる。
【0102】
滑沢剤は、錠剤の製造を容易にするために使用される。好適な滑沢剤の例としては、限定されないが、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、ベヘン酸グリセリル、ポリエチレングリコール、タルク、および鉱油が挙げられる。
【0103】
崩壊剤は、投与後に剤形が崩壊または「壊れる」のを容易にするために使用され、一般的に、限定されないが、デンプン、グリコール酸デンプンナトリウム、カルボキシメチルナトリウムデンプン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、アルファ化デンプン、粘土、セルロース、アルギニン、ガム、または架橋ポリマー、例えば、架橋PVP(GAF Chemical CorpのPolyplasdone(登録商標)XL)を含む。
【0104】
安定剤は、例として、酸化反応を含む薬物の分解反応を阻害または遅延させるために使用される。好適な安定剤としては、限定されないが、抗酸化剤、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、アスコルビン酸、その塩およびエステル、ビタミンE、トコフェノールおよびその塩、二亜硫酸ナトリウムなどの亜硫酸塩、システインおよびその誘導体、クエン酸、没食子酸プロピル、ならびにブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)が挙げられる。
【0105】
カプセル、錠剤、溶液、および懸濁液などの経口剤形は、制御放出用に製剤化されるためである。例えば、1つ以上の化合物および任意選択の1つ以上の追加の活性剤は、ナノ粒子、微粒子、およびそれらの組み合わせに製剤化され、軟ゼラチンもしくは硬ゼラチンまたは非ゼラチンカプセルに封入されるか、または分散媒に分散されて経口懸濁液もしくはシロップを形成することができる。粒子は、薬物から形成され、制御放出ポリマーまたはマトリックスであり得る。あるいは、薬物粒子は、1つ以上の制御放出コーティングでコーティングされた後に、完成した剤形に組み込まれ得る。
【0106】
別の実施形態では、1つ以上の化合物および任意選択の1つ以上の追加の活性剤は、生理学的流体などの水性媒体と接触したときに、ゲル化または乳化するマトリックス材料に分散される。ゲルの場合、マトリックス材料の拡散および/または分解により経時的にゆっくり放出される活性剤を封入しているマトリックスが膨潤する。そのようなマトリックスは、錠剤として、または硬カプセルおよび軟カプセルの充填材料として製剤化され得る。
【0107】
また別の実施形態では、1つ以上の化合物および任意選択の1つ以上の追加の活性剤は、錠剤またはカプセルなどの販売経口剤形に製剤化され、固形剤形は、遅延放出コーティングまたは持続放出コーティングなどの1つ以上の制御放出コーティングでコーティングされる。コーティング(複数可)は、化合物および/または追加の活性剤も含有し得る。
【0108】
持続放出剤形
持続放出製剤は、一般的に、当該技術分野で知られている拡散または浸透圧系として調製される。拡散系は、典型的には、リザーバおよびマトリックスの2種類のデバイスからなり、当該技術分野で周知であり、説明されている。マトリックスデバイスは、一般的に、ゆっくり溶解するポリマー担体を有する薬物を錠剤形態に圧縮することにより調製される。マトリックスデバイスの調製に使用される主な3つの種類の材料は、不溶性プラスチック、親水性ポリマー、および脂肪族化合物である。プラスチック材料としては、限定されないが、アクリル酸メチル-メタクリル酸メチル、ポリ塩化ビニル、およびポリエチレンが挙げられる。親水性ポリマーとしては、限定されないが、セルロースポリマー、例えば、メチルおよびエチルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、例えば、ヒドロキシプロピル-セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、およびCarbopol(登録商標)934、ポリエチレンオキシド、ならびにそれらの混合物が挙げられる。脂肪族化合物としては、限定されないが、様々なワックス、例えば、カルナウバ蝋およびトリステアリン酸グリセリル、ならびに水素化ヒマシ油または水素化植物油を含むワックスタイプの物質、またはそれらの混合物が挙げられる。
【0109】
ある特定の好ましい実施形態では、プラスチック材料は、薬学的に許容されるアクリル系ポリマーであり、限定されないが、アクリル酸およびメタクリル酸コポリマー、メタクリル酸メチル、メタクリル酸メチルコポリマー、メタクリル酸エトキシエチル、メタクリル酸シアノエチル、メタクリル酸アミノアルキルコポリマー、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、メタクリル酸アルキルアミンコポリマー、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリ(メタクリル酸)(無水物)、ポリメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリ(メタクリル酸無水物)、およびメタクリル酸グリシジルコポリマーが含まれる。ある特定の好ましい実施形態では、アクリル系ポリマーは、1つ以上のメタクリル酸アンモニオコポリマーから構成される。メタクリル酸アンモニオコポリマーは、当該技術分野で周知であり、四級アンモニウム基の含有量が低いアクリル酸およびメタクリル酸エステルの完全に重合されたコポリマーとしてNF XVIIに記載されている。
【0110】
1つの好ましい実施形態では、アクリル系ポリマーは、商品名Eudragit(登録商標)でRohm Pharmaから市販されているものなどのアクリル系樹脂ラッカーである。さらなる好ましい実施形態では、アクリル系ポリマーは、それぞれ、商品名Eudragit(登録商標)RL30DおよびEudragit(登録商標)RS30DでRohm Pharmaから市販されている2つのアクリル樹脂の混合物を含む。Eudragit(登録商標)RL30DおよびEudragit(登録商標)RS30Dは、四級アンモニウム基の含有量が低いアクリル酸およびメタクリル酸エステルのコポリマーであり、アンモニウム基対残りの中性(メタ)アクリル酸エステルのモル比は、Eudragit(登録商標)RL30Dにおいては1:20であり、Eudragit(登録商標)RS30Dにおいては1:40である。平均分子量は約150,000である。Edragit(登録商標)S-100およびEudragit(登録商標)L-100も好ましい。コード表示RL(高透過性)およびRS(低透過性)は、これらの薬剤の透過性の特性を指す。Eudragit(登録商標)RL/RS混合物は、水および消化液に不溶性である。しかしながら、多微粒子を含むように形成されたその系は、水溶液および消化液において膨潤可能かつ透過性である。
【0111】
Eudragit(登録商標)RL/RSなどの上述のポリマーは、最終的に所望の溶解プロファイルを有する持続放出製剤を得るために、任意の所望の比率で一緒に混合され得る。望ましい持続放出多微粒子系は、例えば、100%Eudragit(登録商標)RL、50%Eudragit(登録商標)RL、および50%Eudragit(登録商標)RS、ならびに10%Eudragit(登録商標)RLおよび90%Eudragit(登録商標)RSから得ることができる。当業者は、例えばEudragit(登録商標)Lなどの他のアクリル系ポリマーも使用することができることを認識するだろう。
【0112】
あるいは、持続放出製剤は、浸透圧系を使用して、または半透過性コーティングを剤形に適用することにより調製することができる。後者の場合、所望の薬物放出プロファイルは、低浸透性と高浸透性のコーティング材料を適切な割合で組み合わせることにより達成することができる。
【0113】
上述の異なる薬物放出機構を有するデバイスは、単一または複数単位を含む最終剤形において組み合わせることができる。複数単位の例としては、限定されないが、錠剤、ビーズ、または顆粒などを含有する多層錠剤およびカプセルが挙げられる。即時放出部分は、コーティングもしくは圧縮プロセスを使用して即時放出層を持続放出コア上に適用するか、または持続放出および即時放出ビーズを含有するカプセルなどの複数単位系のいずれかの手段により、持続放出系に付加され得る。
【0114】
親水性ポリマーを含有する持続放出錠剤は、直接圧縮、湿式造粒、または乾式造粒プロセスなどの当該技術分野で一般的に知られている技法により調製される。それらの製剤は通常、ポリマー、希釈剤、結合剤、および滑沢剤、ならびに医薬品成分を組み込む。通常の希釈剤には、不活性粉末物質、例えば、デンプン、粉末セルロース、特に結晶および微結晶セルロース、糖類、例えば、フルクトース、マンニトール、およびスクロース、穀物小麦粉、ならびに類似の食用粉末が含まれる。典型的な希釈剤としては、例えば、様々な種類のデンプン、ラクトース、マンニトール、カオリン、リン酸または硫酸カルシウム、無機塩、例えば、塩化ナトリウムおよび粉砂糖が挙げられる。粉末セルロース誘導体も有用である。典型的な錠剤結合剤には、デンプン、ゼラチン、および糖類、例えば、ラクトース、フルクトース、およびグルコースなどの物質が含まれる。アカシア、アルギネート、メチルセルロース、およびポリビニルピロリドンを含む天然および合成ガムも使用することができる。ポリエチレングリコール、親水性ポリマー、エチルセルロース、およびワックスも結合剤として機能し得る。滑沢剤は、錠剤およびパンチが成形型に付着するのを防ぐために錠剤の製剤化に必要である。滑沢剤は、タルク、ステアリン酸マグネシウムおよびカルシウム、ステアリン酸、ならびに水素化植物油などの滑りやすい固体から選択される。
【0115】
ワックス材料を含有する持続放出錠剤は、一般的に、直接混和法、凝固法、および水分散法などの当該技術分野で知られている方法を使用して調製される。凝固法において、薬物はワックス材料と混合され、噴霧凝固されるか、または凝固されスクリーニングされ加工されるかのいずれかである。
【0116】
遅延放出剤形
遅延放出製剤は、胃の酸性環境で不溶性であり、小腸の中性環境で可溶性であるポリマーフィルムを有する固形剤形をコーティングすることにより作製され得る。
【0117】
遅延放出投与量単位は、例えば、薬物または薬物含有組成物を選択したコーティング材料でコーティングすることにより調製され得る。薬物含有組成物は、例えば、カプセルに組み込むための錠剤、「コーティングされたコア」剤形の内部コアとして使用するための錠剤、または錠剤もしくはカプセルのいずれかに組み込むための複数の薬物含有ビーズ、粒子、もしくは顆粒であり得る。好ましいコーティング材料には、生体内分解性、徐々に加水分解性、徐々に水溶性、および/または酵素分解性のポリマーが含まれ、従来の「腸溶」ポリマーであってよい。腸溶ポリマーは、当業者に理解されるように、下部消化管の高pH環境で可溶性となるか、または剤形が消化管を通過するにつれゆっくりと分解するが、酵素分解性ポリマーは、下部消化管、特に結腸に存在する細菌酵素により分解される。遅延放出をもたらす好適なコーティング材料としては、限定されないが、セルロースポリマー、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、酢酸セルロース、酢酸フタル酸セルロース、トリメリト酸酢酸セルロースおよびカルボキシメチルセルロースナトリウム、アクリル酸ポリマーおよびコポリマー(好ましくは、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、および/またはメタクリル酸エチルから形成される)、ならびに商品名Eudragit(登録商標)(Rohm Pharma;Westerstadt,Germany)で市販されている他のメタクリル樹脂(Eudragit(登録商標)L30D-55およびL100-55(pH5.5以上で可溶性)、Eudragit(登録商標)L-100(pH6.0以上で可溶性)、Eudragit(登録商標))S(pH7.0以上で可溶性、高エステル化度の結果として)、ならびにEudragits(登録商標)NE、RL、およびRS(異なる程度の透過性および拡張性を有する水不溶性ポリマー)を含む)、ビニルポリマーおよびコポリマー、例えば、ポリビニルピロリドン、酢酸ビニル、ポリ酢酸ビニルフタレート、酢酸クロトン酸ビニルコポリマー、およびエチレン-酢酸ビニルコポリマー、酵素分解性ポリマー、例えば、アゾポリマー、ペクチン、キトサン、アミロース、およびグアーガム、ゼイン、ならびにシェラックが挙げられる。異なるコーティング材料の組み合わせも使用することができる。異なるポリマーを使用する多層コーティングも適用され得る。
【0118】
特定のコーティング材料の好ましいコーティング重量は、異なる量の様々なコーティング材料で調製された錠剤、ビーズ、および顆粒の個々の放出プロファイルを評価することにより、当業者により容易に決定され得る。これは所望の放出特徴をもたらす材料、方法、および適用形態の組み合わせであり、臨床研究からのみ決定することができる。
【0119】
コーティング組成物は、従来の添加剤、例えば、可塑剤、色素、着色剤、安定化剤、滑剤などを含み得る。可塑剤は通常、コーティングの脆弱性を低減するために存在し、一般的に、ポリマーの乾燥重量に対して約10重量%~50重量%に相当する。典型的な可塑剤の例としては、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、トリアセチン、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、セバシン酸ジブチル、クエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、クエン酸トリエチルアセチル、ヒマシ油、およびアセチル化モノグリセリドが挙げられる。安定化剤は、好ましくは、分散液中の粒子を安定させるために使用される。典型的な安定化剤は、非イオン性乳化剤、例えば、ソルビタンエステル、ポリソルベート、およびポリビニルピロリドンである。滑剤は、フィルム形成および乾燥中の付着作用を低減するために推奨され、一般的に、コーティング溶液のポリマー重量のおよそ25重量%~100重量%のポリマー重量に相当する。有効な滑剤の1つはタルクである。ステアリン酸マグネシウムおよびモノステアリン酸グリセロールなどの他の滑剤も使用することができる。二酸化チタンなどの色素も使用され得る。シリコーン(例えば、シメチコン)などの少量の消泡剤もコーティング組成物に添加され得る。
【0120】
c.肺および粘膜投与のための製剤
活性剤(複数可)およびその組成物は、肺または粘膜投与のために適用され製剤化され得る。投与は、組成物の、肺、鼻腔、経口(舌下、頬側)、膣、または直腸粘膜への送達を含み得る。
【0121】
一実施形態では、化合物は、鼻腔内投与または経口吸入などの肺送達のために製剤化される。気道は、大気と血流との間のガスの交換に関与する構造である。肺は、ガスの交換が起こる肺胞で最終的に終わる枝分かれ構造である。肺胞表面積は、呼吸器系において最も大きく、薬物吸収が生じる場所である。肺胞は、繊毛または粘膜層がない薄い上皮で覆われ、サーファクタントリン脂質を分泌する。気道は、中咽頭および喉頭を含む上気道、続いて下気道を含み、下気道は、気管、続いて気管支および細気管支への分岐を含む。上気道および下気道は誘導気道と呼ばれる。終末細気管支は次に、呼吸細気管支に分かれ、これは次に最終的な呼吸領域の肺胞、または深部肺につながる。深部肺または肺胞は、全身薬物送達のための吸入された治療エアロゾルの主要標的である。
【0122】
低分子量薬物から構成される治療組成物、例えば、喘息を治療するためのベータ-アンドロゲン遮断薬の肺投与が観察された。肺において活性である他の治療薬は、全身投与され、肺吸収により標的化された。鼻腔送達は、次の理由により治療薬の投与の有望な技法と考えられる:鼻は、多数の微絨毛によって上皮表面が覆われているため薬物吸収に利用可能な表面積が大きく、上皮下層は血管が非常に発達しており、鼻からの静脈血は体循環内に直接入り、しがたって、肝臓における初回通過代謝による薬物の損失を回避し、より低い用量、より迅速な治療薬血中濃度の達成、より急速な薬理学活性の開始、より少ない副作用、cm3あたりの高い総血流、多孔質内皮基底膜を提供し、また容易にアクセス可能である。
【0123】
本明細書で使用されるとき、エアロゾルという用語は、推進剤を使用して作り出されるか否かにかかわらず、溶液または懸濁液であり得る粒子の霧状ミストの任意の調製物を指す。エアロゾルは、超音波処理または高圧処理などの標準技法を使用して作り出される。
【0124】
肺用製剤の担体は、乾燥粉末製剤および溶液として投与するためのものに分かれ得る。治療薬を気道に送達するためのエアロゾルは、当該技術分野で知られている。上気道を介した投与に関しては、製剤は、溶液、例えば、水もしくは等張生理食塩水、緩衝もしくは非緩衝溶液に、または懸濁液として、鼻腔内投与に関しては、点滴剤または噴霧剤として製剤化され得る。好ましくは、そのような溶液または懸濁液は、鼻腔分泌に対して等張であり、およそ同じpH、例えば、約pH4.0~約pH7.4、またはpH6.0~pH7.0の範囲のものである。緩衝液は生理学的に適合性があり、単に例として、リン酸緩衝液を含む。例えば、代表的な抗鼻閉薬は、約6.2のpHに緩衝されるといわれている。当業者は、鼻腔および/または上気道投与のための無害な水溶液の好適な生理食塩水含有量およびpHを容易に決定することができる。
【0125】
好ましくは、水溶液は、水、塩および/もしくは緩衝液を含有する生理学的に許容される水溶液、例えば、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、または動物もしくはヒトへの投与に許容される任意の他の水溶液である。そのような溶液は当業者には周知であり、限定されないが、蒸留水、脱イオン水、純水もしくは超純水、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)を含む。他の好適な水性ビヒクルには、限定されないが、リンゲル液および等張塩化ナトリウムが含まれる。水性懸濁液には、懸濁剤、例えば、セルロース誘導体、アルギン酸ナトリウム、ポリビニル-ピロリドン、およびトラガカントガム、ならびに湿潤剤、例えば、レシチンが含まれ得る。水性懸濁液の好適な防腐剤には、エチルおよびn-プロピルp-ヒドロキシベンゾエートが含まれる。
【0126】
別の実施形態では、低毒性有機(すなわち、非水性)クラス3の残留溶媒である溶媒、例えば、エタノール、アセトン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、エチルエーテル、およびプロパノールが製剤に使用され得る。溶媒は、製剤を容易にエアロゾル化するその能力に基づいて選択される。溶媒は、化合物と有害に反応してはならない。化合物を溶解するか、または化合物の懸濁液を形成する適切な溶媒が使用されなければならない。溶媒は、溶液または懸濁液のエアロゾルの形成を可能にするのに十分に揮発性でなければならない。追加の溶媒またはエアロゾル化剤、例えば、フレオンが、溶液または懸濁液の揮発性を増加させるために所望により添加され得る。
【0127】
一実施形態では、組成物は、少量のポリマー、界面活性剤、または当業者に周知の他の賦形剤を含有し得る。この文脈において、「少量」とは、肺における化合物の取り込みに影響を及ぼすかもしくはそれを媒介する可能性がある賦形剤が存在せず、また肺における化合物の取り込みに悪影響を及ぼさない量で存在する存在する賦形剤を意味する。
【0128】
乾燥脂質粉末は、その疎水性の性質により、エタノールに直接分散することができる。クロロホルムなどの有機溶媒中に保存される脂質に関して、所望の量の溶液をバイアルに入れ、クロロホルムが窒素蒸気下で蒸発して、ガラスバイアルの表面上に乾燥した薄いフィルムを形成する。フィルムは、エタノールで再構築されるときに容易に膨潤する。有機溶媒中に脂質分子を完全に分散するために、懸濁液は超音波処理される。再利用可能なPARI LC Jet+ネブライザー(PARI Respiratory Equipment,Monterey,CA)を使用して、脂質の非水性懸濁液を無水エタノール中で調製することもできる。
【0129】
大きい粒径を有する乾燥粉末製剤(「DPF」)は、あまり凝集しない、エアロゾル化が容易、および潜在的に食作用が低いなどの改善された流動性特徴を有する。吸入療法のための乾燥粉末エアロゾルは、一般的に、主に5ミクロン未満の範囲の平均直径で生産されるが、好ましい範囲は、空気動力学径で1~10ミクロンである。大きい「担体」粒子(薬物を含有しない)は、他の可能な利益の中でも効率的なエアロゾル化の達成を補助するために、治療用エアロゾルと共送達されている。
【0130】
ポリマー粒子は、単一および二重乳剤溶媒蒸発、噴霧乾燥、溶媒抽出、溶媒蒸発、相分離、単純および複合コアセルベーション、界面重合、ならびに当業者に周知の他の方法を使用して調製され得る。粒子は、当該技術分野で知られている小球体またはマイクロカプセルを作製するための方法を使用して作製され得る。好ましい製造方法は、噴霧乾燥および凍結乾燥によるものであり、これには界面活性剤を含有する溶液の使用、噴霧して所望のサイズの液滴を形成すること、および溶媒の除去が含まれる。
【0131】
粒子は、深部肺または上気道などの選択された気道領域に局所送達するための適切な材料、表面粗さ、直径、およびタップ密度で製造され得る。例えば、高密度またはより大きい粒子は上気道送達に使用され得る。同様に、同じまたは異なるEGSで提供される異なるサイズの粒子の混合物は、1回の投与で肺の異なる標的領域に投与することができる。
【0132】
肺送達のための製剤は、単層リン脂質ビヒクル、リポソーム、またはリポタンパク質粒子を含む。核酸を含有する製剤およびそのような製剤を作製する方法は当業者に周知である。リポソームは、Avanti Polar Lipids,Inc.(Birmingham,Ala.)を含む様々な供給業者により供給される市販のリン脂質から形成される。一実施形態では、リポソームは、リポソームを標的細胞に指向するために、標的細胞の表面上の受容体に特異的な配位子分子を含み得る。
【0133】
d.経皮
経皮用製剤を調製することもできる。これらは、典型的には、全て標準技術を用いて調製することができる、軟膏、ローション、噴霧剤、またはパッチであろう。経皮用製剤は透過促進剤を含み得る。
【0134】
III.Akt3を選択的に活性化する方法
Akt3を選択的に活性化するための本開示の組成物は、nTregの抑制機能を減少させることによって免疫応答を調節するために使用され得る。いくつかの実施形態では、式I、式II、式III、もしくは式IVによる化合物、またはそのエナンチオマー、多形、もしくは薬学的に許容される塩は、全身投与され得る。他の実施形態では、式I、式II、式III、もしくは式IVによる化合物、またはそのエナンチオマー、多形、もしくは薬学的に許容される塩は、局所または局部投与され得る。例えば、いくつかの実施形態では、式I、式II、式III、もしくは式IVによる化合物、またはそのエナンチオマー、多形、もしくは薬学的に許容される塩を含有する組成物は、調節を必要とする組織または臓器に送達されるか、またはそれを特異的に標的とする。Tregは、組成物をリンパ節に標的化または送達することにより調節することができる。nTregは、組成物を胸腺または脾臓に標的化するかまたは特異的に送達することにより調節することができる。iTregは、組成物を胸腺外の従来型T細胞に標的化するかまたは特異的に送達することにより調節することができる。
【0135】
いくつかのインビボアプローチでは、本明細書で開示される組成物は、対象に治療有効量で投与される。本明細書で使用されるとき、「有効量」または「治療有効量」という用語は、治療される障害の1つ以上の症状を治療する、阻害する、もしくは軽減するか、またはそうでなければ所望の薬理学的および/もしくは生理学的作用を提供するのに十分な投与量を意味する。正確な投与量は、対象依存変数(例えば、年齢、免疫系の健康状態など)、疾患、および行われる治療などの様々な因子に従って変動するであろう。例示的な症状、薬理学的、および生理学的作用は以下により詳細に論じられる。
【0136】
いくつかの実施形態では、対象に対する組成物の作用は対照と比較される。例えば、特定の症状、薬理学的、または生理学的指標に対する組成物の作用は、未治療の対象または治療前の対象の状態と比較され得る。いくつかの実施形態では、症状、薬理学的、または生理学的指標は、治療前、および治療が開始された後に再び1回以上対象において測定される。いくつかの実施形態では、対照は、参照レベル、または治療される疾患もしくは状態を有しない1人以上の対象(例えば、健康な対象)における症状、薬理学的、または生理学的指標の測定に基づいて決定された平均である。いくつかの実施形態では、治療の作用は当該技術分野で知られている従来の治療と比較される。I例えば、治療される疾患ががんである場合、従来の治療は化学療法剤であり得る。
【0137】
いくつかの実施形態では、本明細書で開示される免疫調節組成物は、1つ以上の追加の活性剤と組み合わせて投与される。併用療法は、同じ混合物で一緒に、または別個の混合物で活性剤を投与することを含み得る。したがって、いくつかの実施形態では、医薬組成物は、2つ、3つ、またはそれ以上の活性剤を含む。医薬組成物は、単位剤形と称される薬学的投与量単位として製剤化され得る。そのような製剤は典型的には、有効量の本開示の免疫調節化合物のうちの1つ以上を含む。異なる活性剤は、同じまたは異なる作用機構を有し得る。いくつかの実施形態では、併用は、疾患または障害の治療に対して相加作用をもたらす。いくつかの実施形態では、併用は、疾患または障害の治療に対して相加作用以上をもたらす。
【0138】
好ましくは、本開示の化合物および使用方法は、Akt1、Akt2、またはそれらの組み合わせの活性を増加または減少させることなくAkt3の活性を特異的に活性化する。
【0139】
A.免疫抑制応答の増加および免疫刺激応答の減少
1.治療方法
本開示の化合物、またはそのエナンチオマー、多形、もしくは薬学的に許容される塩は、治療薬として有用である。免疫細胞、好ましくはT細胞を、式I、式II、式III、もしくは式IVによる化合物、またはそのエナンチオマー、多形、もしくは薬学的に許容される塩とインビボまたはエクスビボで接触させて、限定されないが、炎症を含む免疫応答を減少させるかまたは阻害することができる。式I、式II、式III、もしくは式IVによる化合物、またはそのエナンチオマー、多形、もしくは薬学的に許容される塩と接触させたT細胞は、Akt3を発現するかまたはAkt3活性を有し、Foxp3+になる能力を有する任意の免疫細胞であり得る。式I、式II、式III、もしくは式IVによる化合物、またはそのエナンチオマー、多形、もしくは薬学的に許容される塩で治療することができる例示的な免疫細胞には、限定されないが、制御性細胞、例えば、ThI、TcI、Th25 Tc2、Th3、ThI7、Th22、Treg、nTreg、iTreg、およびTrI細胞、ならびに限定されないが、IL-Iβ、TNF-α、TGF-ベータ、IFN-γ、IL-17、IL-ο、IL-23、IL-22、IL-21、およびMMPを含む、炎症分子を分泌するか、または他の細胞にそれらを分泌させる細胞が含まれる。本開示の化合物、またはそのエナンチオマー、多形、もしくは薬学的に許容される塩を使用して、Tregの活性もしくは産生を増加させるもしくは促進するか、TregからIL-10などのサイトカインの産生を増加させるか、Tregの分化を増加させるか、Tregの数を増加させるか、またはTregの生存を増加させることもできる。
【0140】
本開示の化合物、またはそのエナンチオマー、多形、もしくは薬学的に許容される塩を使用して、免疫細胞でFoxP3の発現を増加させることができる。
【0141】
一実施形態は、その必要がある対象において、免疫細胞を、エクスビボで、免疫細胞でのFoxP3の発現を増加させるのに有効な量で本開示の化合物、またはそのエナンチオマー、多形、もしくは薬学的に許容される塩と接触させること、および接触させた免疫細胞を対象に投与することにより、免疫抑制応答を増加させる方法を提供する。一実施形態では、免疫細胞は、自己免疫細胞である。免疫細胞には、限定されないが、TregおよびiTregを含むT細胞が含まれ得る。
【0142】
いくつかの実施形態では、本開示の化合物、またはそのエナンチオマー、多形、もしくは薬学的に許容される塩は、第2の治療薬と組み合わせて投与される。併用療法は免疫調節に有用であり得る。いくつかの実施形態では、本開示の化合物、またはそのエナンチオマー、多形、もしくは薬学的に許容される塩は、炎症促進性薬物の活性を減弱するかもしくは反転させ、かつ/またはそのような薬物の有害作用を制限するために使用され得る。
【0143】
B.炎症応答の治療方法
一実施形態は、炎症の1つ以上の症状を治療または軽減するための方法を提供する。より好ましい実施形態では、式I、式II、式III、もしくは式IVによる組成物、および本開示の方法は、慢性または持続性炎症の治療に有用である。炎症は一般的に、式I、式II、式III、もしくは式IVによる化合物、またはそのエナンチオマー、多形、もしくは薬学的に許容される塩を使用して治療され得る。
【0144】
炎症を含む免疫応答は、対象、好ましくはヒトにおいて、有効量の開示の化合物、またはそのエナンチオマー、多形、もしくは薬学的に許容される塩を投与して、免疫細胞におけるAkt3の生物活性を増加させるもしくは促進すること、炎症部位の炎症促進性分子の量を低減すること、FoxP3の発現を誘導するもしくは増加させること、iTregの増殖を誘発するもしくは増加させること、またはそれらの組み合わせにより阻害されるかまたは低減され得る。例示的な炎症促進性分子としては、限定されないが、IL-lβ、TNF-α、TGF-ベータ、IFN-γ、IL-17、IL-6、IL-23、IL-22、IL-21、およびMMPが挙げられる。
【0145】
式I、式II、式III、もしくは式IVによる化合物、またはそのエナンチオマー、多形、もしくは薬学的に許容される塩は、Tregに免疫応答に対して増強された抑制作用を持たせることができる。Tregは、分化、増殖、活性、ならびに/またはサイトカインの産生および/またはTh1、Th17、Th7、Th22、および/もしくは炎症分子を分泌するかまたは他の細胞にそれを分泌させる他の細胞(限定されないが、IL-Iβ、TNF-α、TGF-ベータ、IFN-γ、IL-17、IL-6、IL-23、IL-22、IL-21、およびMMPを含む)による分泌を抑制することができる。例えば、式I、式II、式III、もしくは式IVによる化合物、またはそのエナンチオマー、多形、もしくは薬学的に許容される塩は、TregにTh1および/もしくはTh17細胞に対する増強された抑制作用を持たせて、それぞれ、産生されるIFN-γおよびIL-17を低減することができる。本開示の化合物、またはそのエナンチオマー、多形、もしくは薬学的に許容される塩は、Tregに直接作用して、IL-10の産生を促進するかまたは増強し、Th1およびTh17の経路を抑制するか、またはTregの数を増加させる。
【0146】
1.治療する疾患
Akt3活性または発現を選択的に増加させる本開示の化合物、またはそのエナンチオマー、多形、もしくは薬学的に許容される塩を含有する組成物を使用して、対象における免疫刺激応答を減少させることができる。いくつかの実施形態では、対象は、限定されないが、自己免疫疾患を含む炎症性疾患を有する。
【0147】
本開示の化合物、またはそのエナンチオマー、多形、もしくは薬学的に許容される塩、あるいは本開示の化合物、またはそのエナンチオマー、多形、もしくは薬学的に許容される塩を含有する組成物を使用して治療することができる代表的な炎症性または自己免疫疾患および障害には、限定されないが、リウマチ性関節炎、全身性エリテマトーデス、円形脱毛症、強直性脊椎炎、抗リン脂質症候群、自己免疫性アジソン病、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性肝炎、自己免疫性内耳疾患、自己免疫性リンパ増殖症候群(ALPS)、自己免疫性血小板減少性紫斑病(ATP)、ベーチェット病、水疱性類天疱瘡、心筋症、セリアックスプルー皮膚炎、慢性疲労症候群免疫不全症候群(CFIDS)、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー、瘢痕性類天疱瘡、寒冷凝集素症、クレスト症候群、クローン病、デゴス病、皮膚筋炎、若年性皮膚筋炎、円板状エリテマトーデス、本態性混合型クリオグロブリン血症、線維筋痛症-線維筋炎、グレーブス病、ギラン・バレー、ハシモト甲状腺炎、特発性肺線維症、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、Iga腎症、インスリン依存性糖尿病(I型)、若年性関節炎、メニエール病、混合性結合組織病、多発性硬化症、重症筋無力症、肥満、尋常性天疱瘡、悪性貧血、結節性多発動脈炎、多発性軟骨炎、多腺性症候群(polyglancular syndromes)、リウマチ性多発筋痛症、多発性筋炎および皮膚筋炎、原発性無ガンマグロブリン血症、原発性胆汁性肝硬変、乾癬、レイノー現象、ライター症候群、リウマチ熱、サルコイドーシス、強皮症、シェーグレン症候群、全身硬直症候群、タカヤス動脈炎、側頭動脈炎/巨細胞性動脈炎、潰瘍性大腸炎、ブドウ膜炎、血管炎、白斑、ならびにウェゲナー肉芽腫症が含まれる。
【0148】
2.併用療法
本開示の化合物、またはそのエナンチオマー、多形、もしくは薬学的に許容される塩およびその組成物は、単独で、または追加の治療薬と組み合わせて使用することができる。本開示の化合物は、追加の治療薬と一緒に、またはそれと交互に投与され得る。追加の治療薬には、限定されないが、免疫抑制剤(例えば、他のリンパ球表面マーカー(例えば、CD40、アルファ-4インテグリン)またはサイトカインに対する抗体)、他の融合タンパク質(例えば、CTLA-4-Ig、アバタセプト(Orencia(登録商標))、TNF-α遮断薬、例えば、TNFR-Ig、エタネルセプト(Enbrel(登録商標)))、インフリキシマブ(Remicade(登録商標))、セルトリズマブ(Cimzia(登録商標))、およびアダリムマブ(Humira(登録商標))、シクロホスファミド(CTX)(すなわち、Endoxan(登録商標)、Cytoxan(登録商標)、Neosar(登録商標)、Procytox(登録商標)、Revimmune(商標))、メトトレキサート(MTX)(すなわち、Rheumatrex(登録商標)、Trexall(登録商標))、ベリムマブ(すなわち、Benlysta(登録商標))、または他の免疫抑制薬(例えば、シクロスポリンA、FK506様化合物、ラパマイシン化合物、またはステロイド)、抗増殖薬、細胞毒性薬、または免疫抑制を補助し得る他の化合物が含まれる。
【0149】
追加の免疫抑制剤には、限定されないが、プレドニゾン、ブデソニド、プレドニゾロン、シクロスポリン、タクロリムス、シロリムス、エベロリムス、アザチオプリン、レフルノミド、ミコフェノレート、アナキンラ、ゴリムマブ、イキセキズマブ、ナタリズマブ、リツキシマブ、セクキヌマブ、トシリズマブ、ウステキヌマブ、ベドリズマブ、バシリキシマブ、ダクリズマブ、ムロモナブ、またはそれらの組み合わせが含まれる。
【0150】
一実施形態は、別の経路を介してT細胞の活性化を阻害または低減するように機能する追加の治療薬を提供する。1つのそのような実施形態では、追加の治療薬は、CTLA-4融合タンパク質、例えば、CTLA-4-Ig(アバタセプト)である。CTLA-4-Ig融合タンパク質は、抗原提示細胞上のCD80/CD86(B7-1/B7-2)への結合に関して、T細胞上の共刺激受容体CD28と競合し、よって、T細胞の活性化を阻害するように機能する。別の実施形態では、追加の治療薬は、ベラタセプトとして知られるCTLA-4-Ig融合タンパク質である。ベラタセプトは、インビボでCD86に対するその結合力を顕著に増加させる2つのアミノ酸置換(L104EおよびA29Y)を含有する。別の実施形態では、追加の治療薬はMaxy-4である。
【0151】
別の実施形態では、第2の治療薬はシクロホスファミド(CTX)である。シトホスファンとしても知られるシクロホスファミド(Endoxan(登録商標)、Cytoxan(登録商標)、Neosar(登録商標)、Procytox(登録商標)、Revimmune(商標))の一般名称)は、オキサゾホリン群からのナイトロジェンマスタードアルキル化剤である。これは、様々な種類のがんおよびいくつかの自己免疫障害を治療するために使用される。別の実施形態では、式Iの化合物、またはそのエナンチオマー、多形、もしくは薬学的に許容される塩およびCTXは、慢性自己免疫疾患または障害、例えば、全身性エリテマトーデス(SLE)を阻害、低減、または治療するために、有効量で共投与される。
【0152】
別の実施形態では、第2の治療薬は優先的に慢性炎症を治療し、それにより治療レジメンは急性および慢性炎症の両方を標的とする。
【0153】
別の実施形態では、式I、式II、式III、もしくは式IV、またはそのエナンチオマー、多形、もしくは薬学的に許容される塩による組成物は、Tregの活性または産生を増加させる化合物と組み合わせて、交互に、または連続して使用される。例示的なTreg増強剤としては、限定されないが、グルココルチコイドフルチカゾン、サルメテロール、IL-12、IFN-γ、およびIL-4に対する抗体、ビタミンD3、およびデキサメタゾン、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。
【0154】
他の炎症促進性分子に対する抗体はまた、式I、式II、式III、もしくは式IVによる本開示の化合物、またはそのエナンチオマー、多形、もしくは薬学的に許容される塩、融合タンパク質、またはその断片と組み合わせて、または交互に使用され得る。好ましい抗体は、IL-6、IL-23、IL-22、またはIL-21に結合する。
【0155】
別の実施形態は、その必要がある対象に、および免疫細胞でのFoxP3の発現を増加させるために、有効量の式I、式II、式III、もしくは式IVによる本開示の化合物、またはそのエナンチオマー、多形、もしくは薬学的に許容される塩を投与することにより、移植拒絶を治療するための方法を提供する。
【0156】
別の実施形態は、その必要がある対象に、免疫細胞でのFoxP3の発現を増加させるために、有効量の式I、式II、式III、もしくは式IVによる本開示の化合物、またはそのエナンチオマー、多形、もしくは薬学的に許容される塩を投与することにより、移植片対宿主病を治療するための方法を提供する。
【0157】
また別の実施形態は、その必要がある対象に、および免疫細胞でのFoxP3の発現を増加させるために、有効量の、本開示の化合物、またはそのエナンチオマー、多形、もしくは薬学的に許容される塩を投与することにより、移植拒絶の阻害または低減を必要とする宿主において移植拒絶を阻害するかまたは低減するための方法を提供する。
【0158】
別の実施形態は、その必要がある対象に、および免疫細胞でのFoxP3の発現を増加させるために、有効量の式I、式II、式III、もしくは式IVによる本開示の化合物、またはそのエナンチオマー、多形、もしくは薬学的に許容される塩を投与することにより、慢性感染を治療するための方法を提供する。
【0159】
一実施形態は、その必要がある対象に、Akt3の活性を増加させるために、有効量の式I、式II、式III、もしくは式IVによる本開示の化合物、またはそのエナンチオマー、多形、もしくは薬学的に許容される塩を投与することにより、肥満を治療するための方法を提供する。任意の1つの理論に拘束されることなく、Akt3が脂肪生成を調節し、Akt3のシグナル伝達の調節不全が脂肪生成、肥満、およびインスリン抵抗性の増加をもたらし得ると考えられる。
【0160】
IV.キット
医療キットも開示される。医療キットは、例えば、本開示の化合物、またはそのエナンチオマー、多形、もしくは薬学的に許容される塩、またはその組成物の投与量供給を含み得る。本開示の化合物、またはそのエナンチオマー、多形、もしくは薬学的に許容される塩、またはその組成物は、単独で、または医薬組成物で供給され得る(例えば、凍結乾燥される)。本開示の化合物、またはそのエナンチオマー、多形、もしくは薬学的に許容される塩、またはその組成物は、単位投与量で、または投与前に希釈されなければならないストックであり得る。いくつかの実施形態では、キットは、薬学的に許容される担体の供給を含む。キットは、活性剤(複数可)または組成物(複数可)の投与のためのデバイス、例えば、注射器および針も含み得る。キットは、上述の使用において本開示の化合物を投与するための印刷された説明書を含み得る。
【実施例0161】
実施例1:mJJ64AはiTregでのFoxP3の発現を著しく増加させる。
結果
データは、mJJ64AがiTregでのFoxP3の発現を著しく増加させ、iTregの増殖をわずかに増加させたことを示す(
図2A~2H)。
【0162】
実施例2:mJJ64Aは、iTregの誘導中に添加される場合、FoxP3の発現を増加させる。
結果
データは、mJJ64AがiTregの誘導中に添加される場合、FoxP3の発現を増加させたことを示す(
図3Aおよび3B)。
【0163】
実施例3:Akt3は、nTregおよびiTregの両方の種類のTregを特異的に調節する。
結果
データは、Akt3がnTregの主要調節因子であることを示す(
図4A~4F)。Akt3 KOマウスからのTregの抑制活性は、阻害性サイトカインIL-10およびTGFβのレベルの減少によるものであった(
図4Eおよび4F)。データは、他のアイソフォームではなくAkt3の不在下において、Tregの抑制活性がインビボで損なわれたことも示す(
図5A~5B)。Akt3 KOマウスからのTregは、RAG大腸炎モデルにおいて抑制活性障害を示した(
図5A)。加えて、Akt3 KOマウスからのTregのTreg枯渇腫瘍保有マウスへの養子移植は、抗腫瘍免疫の抑制障害を示す(
図5B)。
【0164】
データは、Akt3がiTregの主要調節因子であったことも示した(
図6A~6E)。Akt3 RNA、タンパク質、およびAkt3リン酸化は、iTregにおいて上方調製された(
図6A~6C)。Akt3 KOマウスにおいて、Tconv細胞のiTregへの変換は著しく阻害された(
図6D)。加えて、WT Tconv細胞からのAkt3のノックダウンは、TGFβに応答してFoxP3の誘導を抑止した(
図6E)。
【0165】
図7A~Iは、FoxP3の活性化により示されるように、Akt3のノックインがTregを誘導するのに十分であったことを示す。
【0166】
実施例4:mJJ64Aはヒト卵巣がん細胞においてAkt3のリン酸化を増加させる。
結果
データは、mJJ64Aがヒト卵巣がん細胞においてAkt3のリン酸化を著しく増加させたが、Akt1またはAkt2のリン酸化を増加させなかったことを示す(
図8)。
【0167】
実施例5:mJJ64Aは、iTregの誘導中、Tconv細胞においてFoxP3およびAkt3を増強する。
結果
データは、iTregの誘導中、mJJ64A処置がTconv細胞においてFoxP3およびAkt3の発現を増加させたことを示す(
図9A~9B)。
【0168】
実施例6:mJJ64AはiTregおよびnTregの増殖を増加させる。
結果
mJJ64A処置は、iTreg(
図10A~10C)およびnTreg(
図10D~10F)の増殖を増加させたが、非Treg CD4(
図10G~10I)およびCD8(図 10J~10L)T細胞の増殖を増加させなかった。
【0169】
実施例7:mJJ64AはマウスiTregおよびnTregの抑制機能を増加させる。
結果
図11A~11Dは、mJJ64A処置がインビトロでマウスiTreg細胞の抑制機能を増加させたことを示す。mJJ64A処置は、インビトロでマウスnTreg細胞の抑制機能も増加させ、その結合力に影響を及ぼすことなくnTregの増殖を増加させた(
図12A~12H)。
【0170】
実施例8:mJJ64AはnTregによるIL-10の産生を増強する。
結果
データは、mJJ64A処置がnTregによるIL-10の産生増加させたことを示す(
図13A~13B)。
【0171】
実施例9:mJJ64AはTC-1腫瘍成長を増加させ、処置マウスの腫瘍および脾臓においてTregを著しく増加させる。
結果
データは、mJJ64Aで処置されたTC-1腫瘍保有マウスが未処置対照と比較して著しく増加した腫瘍成長を示したことを示す(
図14Aおよび14B)。mJJ64Aは、未処置対照と比較して処置マウスの腫瘍および脾臓においてTregの数も増加させた(
図15Dおよび15E)。CD8
+およびFoxP3
NEG CD4 T細胞の腫瘍浸潤はmJJ64A処置の影響を受けなかった(
図15A~15C)。
【0172】
実施例10:mJJ64Aは実験大腸炎を防ぐ。
結果
データは、mJJ64A処置が実験大腸炎を防いだことを示す(
図16A~16Iおよび
図17A~17J)。加えて、エクスビボでmJJ64Aで処置されたiTregを有するマウスの処置も、実験大腸炎に対する保護をもたらした(
図16A~16Iおよび
図17A~17J)。
【0173】
実施例11:mJJ64AはRag-/-マウスにおいてTregのパーセントを増強する。
結果
データは、Rag-/-マウスをmJJ64Aで処置することにより、未処置Rag-/-マウスと比較したとき、脾臓および腸間膜リンパ節においてTregのパーセントが増加したことを示す(
図18A~F)。
【0174】
実施例12:マウスEAE-モデルにおけるmJJ64Aの有効性
結果
mJJ64Aは、マウスの実験自己免疫性脳脊髄炎(EAE)モデルにおいて、疾患の進行を低減し、生存率を増加させた(
図19A~19F)。加えて、mJJ64A誘導iTregは、未処置対照と比較して、EAEモデルにおいて、疾患の進行を低減し、生存率も増加させた(
図19)。
【0175】
実施例13:mJJ64Aは細胞の生存能に影響を及ぼすことなくiTregの誘導を増加させる。
結果
データは、mJJ64AがヒトiTregを誘導した(
図21B)が、細胞生存能に影響を及ぼさなかったことを示す(
図21A)。
【0176】
配列情報
SEQUENCE LISTING
<110> Augusta University Research Institute, Inc
<120> SPECIFIC AKT3 ACTIVATORS AND USES THEREOF
<150> US 62/555,141
<151> 2017-09-07
<150> US 62/657,345
<151> 2018-04-13
<150> US 62/659,870
<151> 2018-04-19
<160> 3
<170> PatentIn version 3.5
<210> 1
<211> 1708
<212> DNA
<213> Homo sapiens
<400> 1
aggggagtca tcatgagcga tgttaccatt gtgaaggaag gttgggttca gaagagggga 60
gaatatataa aaaactggag gccaagatac ttccttttga agacagatgg ctcattcata 120
ggatataaag agaaacctca agatgtggat ttaccttatc ccctcaacaa cttttcagtg 180
gcaaaatgcc agttaatgaa aacagaacga ccaaagccaa acacatttat aatcagatgt 240
ctccagtgga ctactgttat agagagaaca tttcatgtag atactccaga ggaaagggaa 300
gaatggacag aagctatcca ggctgtagca gacagactgc agaggcaaga agaggagaga 360
atgaattgta gtccaacttc acaaattgat aatataggag aggaagagat ggatgcctct 420
acaacccatc ataaaagaaa gacaatgaat gattttgact atttgaaact actaggtaaa 480
ggcacttttg ggaaagttat tttggttcga gagaaggcaa gtggaaaata ctatgctatg 540
aagattctga agaaagaagt cattattgca aaggatgaag tggcacacac tctaactgaa 600
agcagagtat taaagaacac tagacatccc tttttaacat ccttgaaata ttccttccag 660
acaaaagacc gtttgtgttt tgtgatggaa tatgttaatg ggggcgagct gtttttccat 720
ttgtcgagag agcgggtgtt ctctgaggac cgcacacgtt tctatggtgc agaaattgtc 780
tctgccttgg actatctaca ttccggaaag attgtgtacc gtgatctcaa gttggagaat 840
ctaatgctgg acaaagatgg ccacataaaa attacagatt ttggactttg caaagaaggg 900
atcacagatg cagccaccat gaagacattc tgtggcactc cagaatatct ggcaccagag 960
gtgttagaag ataatgacta tggccgagca gtagactggt ggggcctagg ggttgtcatg 1020
tatgaaatga tgtgtgggag gttacctttc tacaaccagg accatgagaa actttttgaa 1080
ttaatattaa tggaagacat taaatttcct cgaacactct cttcagatgc aaaatcattg 1140
ctttcagggc tcttgataaa ggatccaaat aaacgccttg gtggaggacc agatgatgca 1200
aaagaaatta tgagacacag tttcttctct ggagtaaact ggcaagatgt atatgataaa 1260
aagcttgtac ctccttttaa acctcaagta acatctgaga cagatactag atattttgat 1320
gaagaattta cagctcagac tattacaata acaccacctg aaaaatatga tgaggatggt 1380
atggactgca tggacaatga gaggcggccg catttccctc aattttccta ctctgcaagt 1440
ggacgagaat aagtctcttt cattctgcta cttcactgtc atcttcaatt tattactgaa 1500
aatgattcct ggacatcacc agtcctagct cttacacata gcaggggcac cttccgacat 1560
cccagaccag ccaagggtcc tcacccctcg ccacctttca ccctcatgaa aacacacata 1620
cacgcaaata cactccagtt tttgtttttg catgaaattg tatctcagtc taaggtctca 1680
tgctgttgct gctactgtct tactatta 1708
<210> 2
<211> 479
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<400> 2
Met Ser Asp Val Thr Ile Val Lys Glu Gly Trp Val Gln Lys Arg Gly
1 5 10 15
Glu Tyr Ile Lys Asn Trp Arg Pro Arg Tyr Phe Leu Leu Lys Thr Asp
20 25 30
Gly Ser Phe Ile Gly Tyr Lys Glu Lys Pro Gln Asp Val Asp Leu Pro
35 40 45
Tyr Pro Leu Asn Asn Phe Ser Val Ala Lys Cys Gln Leu Met Lys Thr
50 55 60
Glu Arg Pro Lys Pro Asn Thr Phe Ile Ile Arg Cys Leu Gln Trp Thr
65 70 75 80
Thr Val Ile Glu Arg Thr Phe His Val Asp Thr Pro Glu Glu Arg Glu
85 90 95
Glu Trp Thr Glu Ala Ile Gln Ala Val Ala Asp Arg Leu Gln Arg Gln
100 105 110
Glu Glu Glu Arg Met Asn Cys Ser Pro Thr Ser Gln Ile Asp Asn Ile
115 120 125
Gly Glu Glu Glu Met Asp Ala Ser Thr Thr His His Lys Arg Lys Thr
130 135 140
Met Asn Asp Phe Asp Tyr Leu Lys Leu Leu Gly Lys Gly Thr Phe Gly
145 150 155 160
Lys Val Ile Leu Val Arg Glu Lys Ala Ser Gly Lys Tyr Tyr Ala Met
165 170 175
Lys Ile Leu Lys Lys Glu Val Ile Ile Ala Lys Asp Glu Val Ala His
180 185 190
Thr Leu Thr Glu Ser Arg Val Leu Lys Asn Thr Arg His Pro Phe Leu
195 200 205
Thr Ser Leu Lys Tyr Ser Phe Gln Thr Lys Asp Arg Leu Cys Phe Val
210 215 220
Met Glu Tyr Val Asn Gly Gly Glu Leu Phe Phe His Leu Ser Arg Glu
225 230 235 240
Arg Val Phe Ser Glu Asp Arg Thr Arg Phe Tyr Gly Ala Glu Ile Val
245 250 255
Ser Ala Leu Asp Tyr Leu His Ser Gly Lys Ile Val Tyr Arg Asp Leu
260 265 270
Lys Leu Glu Asn Leu Met Leu Asp Lys Asp Gly His Ile Lys Ile Thr
275 280 285
Asp Phe Gly Leu Cys Lys Glu Gly Ile Thr Asp Ala Ala Thr Met Lys
290 295 300
Thr Phe Cys Gly Thr Pro Glu Tyr Leu Ala Pro Glu Val Leu Glu Asp
305 310 315 320
Asn Asp Tyr Gly Arg Ala Val Asp Trp Trp Gly Leu Gly Val Val Met
325 330 335
Tyr Glu Met Met Cys Gly Arg Leu Pro Phe Tyr Asn Gln Asp His Glu
340 345 350
Lys Leu Phe Glu Leu Ile Leu Met Glu Asp Ile Lys Phe Pro Arg Thr
355 360 365
Leu Ser Ser Asp Ala Lys Ser Leu Leu Ser Gly Leu Leu Ile Lys Asp
370 375 380
Pro Asn Lys Arg Leu Gly Gly Gly Pro Asp Asp Ala Lys Glu Ile Met
385 390 395 400
Arg His Ser Phe Phe Ser Gly Val Asn Trp Gln Asp Val Tyr Asp Lys
405 410 415
Lys Leu Val Pro Pro Phe Lys Pro Gln Val Thr Ser Glu Thr Asp Thr
420 425 430
Arg Tyr Phe Asp Glu Glu Phe Thr Ala Gln Thr Ile Thr Ile Thr Pro
435 440 445
Pro Glu Lys Tyr Asp Glu Asp Gly Met Asp Cys Met Asp Asn Glu Arg
450 455 460
Arg Pro His Phe Pro Gln Phe Ser Tyr Ser Ala Ser Gly Arg Glu
465 470 475
<210> 3
<211> 478
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<400> 3
Ser Asp Val Thr Ile Val Lys Glu Gly Trp Val Gln Lys Arg Gly Glu
1 5 10 15
Tyr Ile Lys Asn Trp Arg Pro Arg Tyr Phe Leu Leu Lys Thr Asp Gly
20 25 30
Ser Phe Ile Gly Tyr Lys Glu Lys Pro Gln Asp Val Asp Leu Pro Tyr
35 40 45
Pro Leu Asn Asn Phe Ser Val Ala Lys Cys Gln Leu Met Lys Thr Glu
50 55 60
Arg Pro Lys Pro Asn Thr Phe Ile Ile Arg Cys Leu Gln Trp Thr Thr
65 70 75 80
Val Ile Glu Arg Thr Phe His Val Asp Thr Pro Glu Glu Arg Glu Glu
85 90 95
Trp Thr Glu Ala Ile Gln Ala Val Ala Asp Arg Leu Gln Arg Gln Glu
100 105 110
Glu Glu Arg Met Asn Cys Ser Pro Thr Ser Gln Ile Asp Asn Ile Gly
115 120 125
Glu Glu Glu Met Asp Ala Ser Thr Thr His His Lys Arg Lys Thr Met
130 135 140
Asn Asp Phe Asp Tyr Leu Lys Leu Leu Gly Lys Gly Thr Phe Gly Lys
145 150 155 160
Val Ile Leu Val Arg Glu Lys Ala Ser Gly Lys Tyr Tyr Ala Met Lys
165 170 175
Ile Leu Lys Lys Glu Val Ile Ile Ala Lys Asp Glu Val Ala His Thr
180 185 190
Leu Thr Glu Ser Arg Val Leu Lys Asn Thr Arg His Pro Phe Leu Thr
195 200 205
Ser Leu Lys Tyr Ser Phe Gln Thr Lys Asp Arg Leu Cys Phe Val Met
210 215 220
Glu Tyr Val Asn Gly Gly Glu Leu Phe Phe His Leu Ser Arg Glu Arg
225 230 235 240
Val Phe Ser Glu Asp Arg Thr Arg Phe Tyr Gly Ala Glu Ile Val Ser
245 250 255
Ala Leu Asp Tyr Leu His Ser Gly Lys Ile Val Tyr Arg Asp Leu Lys
260 265 270
Leu Glu Asn Leu Met Leu Asp Lys Asp Gly His Ile Lys Ile Thr Asp
275 280 285
Phe Gly Leu Cys Lys Glu Gly Ile Thr Asp Ala Ala Thr Met Lys Thr
290 295 300
Phe Cys Gly Thr Pro Glu Tyr Leu Ala Pro Glu Val Leu Glu Asp Asn
305 310 315 320
Asp Tyr Gly Arg Ala Val Asp Trp Trp Gly Leu Gly Val Val Met Tyr
325 330 335
Glu Met Met Cys Gly Arg Leu Pro Phe Tyr Asn Gln Asp His Glu Lys
340 345 350
Leu Phe Glu Leu Ile Leu Met Glu Asp Ile Lys Phe Pro Arg Thr Leu
355 360 365
Ser Ser Asp Ala Lys Ser Leu Leu Ser Gly Leu Leu Ile Lys Asp Pro
370 375 380
Asn Lys Arg Leu Gly Gly Gly Pro Asp Asp Ala Lys Glu Ile Met Arg
385 390 395 400
His Ser Phe Phe Ser Gly Val Asn Trp Gln Asp Val Tyr Asp Lys Lys
405 410 415
Leu Val Pro Pro Phe Lys Pro Gln Val Thr Ser Glu Thr Asp Thr Arg
420 425 430
Tyr Phe Asp Glu Glu Phe Thr Ala Gln Thr Ile Thr Ile Thr Pro Pro
435 440 445
Glu Lys Tyr Asp Glu Asp Gly Met Asp Cys Met Asp Asn Glu Arg Arg
450 455 460
Pro His Phe Pro Gln Phe Ser Tyr Ser Ala Ser Gly Arg Glu
465 470 475