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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023134733
(43)【公開日】2023-09-27
(54)【発明の名称】情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/00 20170101AFI20230920BHJP
【FI】
G06T7/00 650Z
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023117378
(22)【出願日】2023-07-19
(62)【分割の表示】P 2021165416の分割
【原出願日】2017-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001025
【氏名又は名称】弁理士法人レクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野口 貴史
(57)【要約】      (修正有)
【課題】移動体が撮像した複数の画像を種々の用途に用いることが可能なように処理を行う情報処理装置を提供する。
【解決手段】情報処理装置は、移動体が有する撮像装置によって撮像された複数の画像及び複数の画像の各々の撮像時における移動体の移動状態を示す移動状態情報を含む画像データを取得する画像取得部と、複数の画像の各々における移動状態情報に基づいて複数の画像の各々の有用度を評価する画像評価部と、画像評価部による複数の画像の各々の有用度の評価に基づいて、複数の画像の中から少なくとも1つの画像を抽出する画像抽出部と、を有する。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体が有する撮像装置によって撮像された複数の画像及び前記複数の画像の各々の撮像時における前記移動体の移動状態を示す移動状態情報を含む画像データを取得する画像取得部と、
前記複数の画像の各々における前記移動状態情報に基づいて前記複数の画像の各々の有用度を評価する画像評価部と、
前記画像評価部による前記複数の画像の各々の前記有用度の評価に基づいて、前記複数の画像の中から少なくとも1つの画像を抽出する画像抽出部と、を有することを特徴とする情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像に関する情報処理を行う情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年のデジタル撮像技術の普及に伴って、撮像装置は、種々の装置と連携して撮像動作を行うことが可能となっている。例えば、撮像装置は、測位装置と連携することで、画像に撮像地点や撮像方向などの画像情報を付与することができる。これによって、当該撮像装置は、例えば、特定の場所の画像を時系列に沿って表示するスライドショー画像を生成することができる。例えば、特許文献1には、多数蓄積され撮影方向の情報が記録されている不特定多数の画像から同一方向の撮影画像を抽出してスライドショー化する画像表示装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-159895号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、自動車や自転車などの移動体は、撮像装置が搭載されることで、道路上の状況を撮像し、その状況情報を記録する情報媒体として機能することができる。また、例えば、自動車は、その移動体としての特性上、走行可能なあらゆる地点で撮像を行うことができる。
【0005】
一方、特許文献1のように画像を撮像位置または撮像方向に基づいて抽出してスライドショー化する場合、スライドショー画像内には、撮像装置の近傍に存在していた障害物が映り込むなど、不要な情報が多量に入り混んだ画像が混入してしまうという問題が発生し得る。このため、所定用途に対して不要な情報を含んだスライドショー画像が生成される場合があった。
【0006】
本発明は上記した点に鑑みてなされたものであり、移動体が撮像した複数の画像を種々の用途に用いることが可能なように処理を行う情報処理装置を提供することを課題の1つとしている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、移動体が有する撮像装置によって撮像された複数の画像及び複数の画像の各々の撮像時における移動体の移動状態を示す移動状態情報を含む画像データを取得する画像取得部と、複数の画像の各々における移動状態情報に基づいて複数の画像の各々の有用度を評価する画像評価部と、画像評価部による複数の画像の各々の有用度の評価に基づいて、複数の画像の中から少なくとも1つの画像を抽出する画像抽出部と、を有することを特徴としている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1A】実施例1に係る情報処理装置のブロック図である。
図1B】情報処理装置が移動体から取得する画像データの構成例を模式的に示す図である。
図2】実施例1に係る情報処理装置における画像評価部のブロック図である。
図3A】実施例1に係る情報処理装置における画像評価部の評価基準例を示す図である。
図3B】画像評価部による画像の評価例を示す図である。
図4A】実施例1に係る情報処理装置における画像抽出部のブロック図である。
図4B】画像抽出部による画像の抽出例を示す図である。
図5】実施例1に係る情報処理装置による動作フローを示す図である。
図6】実施例2に係る情報処理装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に本発明の実施例について詳細に説明する。
【実施例0010】
図1Aは、実施例1に係る情報処理装置10並びに移動体20及び30の構成を示すブロック図である。本実施例においては、情報処理装置10は、移動体20及び30との間で通信を行い、移動体20及び30から複数の画像を取得する。また、本実施例においては、情報処理装置10は、移動体20及び30から取得した複数の画像の各々に対して情報処理を行う。本実施例においては、情報処理装置10は、サーバである。
【0011】
移動体20及び30の各々は、例えば、撮像装置が搭載された自動車、オートバイ、自転車、電車及び船舶などである。なお、移動体20又は30は、撮像機能を有するスマートフォン又は通信機能付きのデジタルカメラを携帯する歩行者であってもよい。
【0012】
また、情報処理装置10は、移動体20及び30以外の他の移動体に接続され、当該他の移動体から画像を取得してもよい。以下においては、移動体20及び30の各々が自動車などの車両である場合について説明する。
【0013】
まず、移動体20及び30としての車両20及び30について説明する。本実施例においては、車両20及び30には、それぞれ、車両20及び30の周辺を撮像する撮像装置(図示せず)が搭載されている。例えば、当該撮像装置は、車両20及び30の各々に搭載されたドライブレコーダである。撮像装置としてのドライブレコーダは、例えば、車両20又は30の前方の状況を常時撮像する。また、撮像装置に接続された記録媒体には、多数の画像が映像として記録される。
【0014】
また、車両20及び30には、それぞれ、車両20及び30の測位を行う測位装置(図示せず)が搭載されている。例えば、当該測位装置は、GPS(Global Positioning System)受信機を有し、車両20及び30の位置を示す緯度及び経度を算出する。また、当該測位装置は、例えば、車両20及び30の位置変化に基づいて、車両20及び30の移動方向を算出(推定)する。
【0015】
また、車両20及び30には、それぞれ、車両20及び30の走行状態(移動状態)を検出する検出装置(図示せず)が搭載されている。例えば、当該検出装置は、車両20又は30の速度及び加速度を検出する速度センサ及び加速度センサを含む。また、当該検出装置は、車両20又は30の前方に他の車両(移動体)が存在している場合に当該他の車両との車間距離(移動体間距離)を検出する距離センサを含む。例えば、当該検出装置は、ミリ波レーダを有する。
【0016】
次に、情報処理装置10について説明する。情報処理装置10は、車両20及び30から、車両20及び30によって撮像された複数の画像を画像データDTとして取得する画像取得部11を有する。画像データDTは、例えば、各々が1つの画像を含む複数の画像データの集合であってもよいし、複数の画像を含む1つの画像データであってもよい。
【0017】
ここで、図1Bを用いて、画像取得部11が取得する画像データDTの構成について説明する。本実施例においては、画像データDTは、各々が1つの画像IM、IM2、・・・を含む複数の画像データDT1、DT2、・・・からなるデータセットである。画像取得部11は、画像データDT1、DT2、・・・の各々を取得し、複数の画像IM1、IM2、・・・を含む画像群IMを取得する。
【0018】
図1Bに示すように、画像データDTには、画像IM1、IM2、・・・の各々が撮像された地点、方向(方角)、高さ及び日時が、それぞれ撮像地点P、撮像方向D、撮像高さH及び撮像日時Tとして記録されている。また、画像データDTには、画像IM1、IM2、・・・の各々の撮像時における車両20又は30の速度が車両速度(移動速度)Vとして、前走車との距離が車間距離(移動体間距離)Sとして記録されている。
【0019】
本実施例においては、車両20及び30に搭載された撮像装置は、例えば、撮像地点P、撮像方向D、撮像高さH及び撮像日時Tを、画像IM1、IM2、・・・の各々の画像情報として画像IM1、IM2、・・・に付与した画像データDTを生成する。例えば、撮像地点P及び撮像方向Dに関する情報は、車両20及び30の測位装置から取得することができる。撮像高さHは、撮像装置の設置時の初期設定(設置位置設定)に基づいて取得することができる。また、撮像日時Tは、例えば、撮像装置の内蔵時計に基づいて、インターネット時刻を受信することで、又は受信された標準電波やGPS信号によって取得又は補正することができる。
【0020】
また、車両20及び30に搭載された撮像装置は、例えば、車両速度V及び車間距離Sを、画像IM1、IM2、・・・の各々の撮像時における車両20及び30の走行状態情報(移動状態情報)として画像IM1、IM2、・・・に付与した画像データDTを生成する。例えば、車両速度V及び車間距離Sは、車両20及び30の検出装置から取得することができる。
【0021】
車両20及び30の撮像装置は、上記した画像情報及び走行状態情報が付与された画像データDTを生成し、情報処理装置10に送信する。画像取得部11は、この画像データDTを車両20及び30から受信することで、画像IM1、IM2、・・・の各々及びこれらに関する種々の情報を取得する。
【0022】
例えば、図1Bに示すように、画像取得部11は、画像IM1は、日時T1に、地点P1で、方向D1の方向(方角)の状況を撮像した画像であること、及び撮像装置の地面からの高さが高さH1であることを認識することができる。また、画像取得部11は、画像IM1が撮像された際に車両(例えば車両20)が速度V1で走行していたこと、及び前走車が距離S1だけ離れた位置に存在していたことを認識することができる。
【0023】
情報処理装置10は、画像IM1、IM2、・・・の各々の撮像時における車両20又は30の走行状態情報(移動状態情報)に基づいて、画像IM1、IM2、・・・の各々の有用度を評価する画像評価部(以下、単に評価部と称する)12を有する。
【0024】
本実施例においては、評価部12は、画像IM1、IM2、・・・の各々に含まれる撮像障害物(以下、単に障害物と称する)を検出する。本実施例においては、評価部12は、画像内における障害物の占有率の算出を行う。また、本実施例においては、評価部12は、当該検出された障害物に基づいて画像IM1、IM2、・・・の各々の有用度を評価する。
【0025】
情報処理装置10は、評価部12による画像IM1、IM2、・・・の各々の有用度の評価に基づいて、画像IM1、IM2、・・・の各々の中から、少なくとも1つの画像を抽出する画像抽出部(以下、単に抽出部と称する)13を有する。抽出部13は、例えば、画像IM1、IM2、・・・の各々のうち、所定の有用度以上の画像を選択する。
【0026】
情報処理装置10は、抽出部13によって抽出された画像を時系列に沿って並べ替えたアルバムを作成するアルバム作成部14を有する。例えば、アルバム作成部14は、抽出部13によって抽出された少なくとも1つの画像の中から、同一の撮像地点P及び撮像方向Dの画像を時系列に沿って並べ替える。そして、アルバム作成部14は、並べ替えた画像を含むアルバム用の画像データを生成する。
【0027】
また、情報処理装置10は、画像取得部11、評価部12、抽出部13及びアルバム作成部14の処理情報及び処理結果を記憶する記憶部15を有する。また、情報処理装置10は、画像取得部11、評価部12、抽出部13、アルバム作成部14及び記憶部15の処理動作を制御する処理制御部16を有する。
【0028】
図2は、評価部12の詳細構成を示すブロック図である。本実施例においては、評価部12は、画像IM1、IM2、・・・の各々に含まれる障害物に関する情報を取得する障害物情報取得部12Aを有する。障害物情報取得部12Aは、例えば、撮像対象となる被写体(例えば建物や敷地)の撮像を妨げる障害物における種々の方向から見た際の形状などに関する情報を取得する。例えば、障害物は、車両や歩行者など、道路上の他の移動体であり、障害物情報取得部12Aは、障害物情報として、これらの形状を示す情報を取得する。
【0029】
なお、画像の用途によっては、車両が被写体となる場合があってもよい。例えば渋滞や交通量の調査などに画像IM1、IM2、・・・を用いる場合、車両及び車両数は調査対象物であり、被写体である。この場合は、障害物から車両が除かれてもよい。
【0030】
評価部12は、障害物情報取得部12Aによって取得された障害物情報に基づいて画像IM1、IM2、・・・の各々を解析する画像解析部(以下、単に解析部と称する)12Bを有する。
【0031】
本実施例においては、解析部12Bは、画像IM1、IM2、・・・の各々内に含まれる障害物及びその領域を検出する障害物検出部(以下、検出部と称する)12B1を有する。また、解析部12Bは、画像IM1、IM2、・・・の各々において、検出部12B1によって検出された障害物が占める割合である障害物占有率を算出する占有率算出部(以下、単に算出部と称する)12B2を有する。
【0032】
評価部12は、地図情報を取得する地図情報取得部12Cを有する。評価部12は、例えば、地図情報を参照し、撮像地点P毎に撮像された画像に含まれ得る建物や道路、風景などを推測する。また、評価部12は、地図情報に基づいて、撮像地点P毎の道路の法定速度などの道路情報を認識する。
【0033】
また、評価部12は、解析部12Bの解析結果に基づいて画像IM1、IM2、・・・の各々の有用度を判定する有用度判定部12Dを有する。本実施例においては、有用度判定部12Dは、解析部12Bの算出部12B2によって算出された画像IM1、IM2、・・・の各々内の障害物の占有率に基づいて、画像IM1、IM2、・・・の各々の有用度を判定する。
【0034】
また、評価部12の有用度判定部12Dは、画像IM1、IM2、・・・の各々における車両20又は30の走行状態情報(移動状態情報)に基づいて、画像IM1、IM2、・・・の各々の有用度を判定する。具体的には、本実施例においては、有用度判定部12Dは、解析部12Bの解析結果(例えば占有率)と、撮像時に車両20又は30の速度及び車間距離などに基づいて、画像IM1、IM2、・・・の各々の有用度を判定する。
【0035】
図3Aは、評価部12による有用度の評価基準例を示す図である。具体的には、図3Aは、評価部12の有用度判定部12Dによる有用度の判定基準例を示す図である。図3Aに示すように、例えば、有用度判定部12Dは、解析部12Bによって障害物が検出されなかった場合、最も高い有用度SCである有用度Aの画像であると判定する。
【0036】
また、本実施例においては、有用度判定部12Dは、解析部12Bの検出部12B1によって障害物が検出され、かつ算出部12B2によって当該障害物の占有率が所定率以下(例えば5%以下)であると算出された場合、有用度Bの画像であると判定する。例えば、障害物が検出された場合でもその占有率が5%以下であれば全体として有用度SCは高い場合が多いからである。
【0037】
また、有用度判定部12Dは、撮像時の車両速度Vが所定速度以下(例えば10km/h以下)であった場合、有用度Bの画像であると判定する。例えば車両速度Vが10km/h以下の時に撮像された画像は、画像品質が高い場合が多く、比較的有用度SCが高い場合が多いからである。
【0038】
また、有用度判定部12Dは、撮像時の車両速度Vが法定速度の範囲内であった場合、有用度Bの画像であると判定する。例えば、車両20又は30が法定速度付近の速度で走行している場合、車間距離が十分に確保されている場合が多く、障害物が大きく映り込むことが少ない場合が多い。従って、法定速度で走行中の車両20又は30によって撮像された画像は、比較的有用度SCが高い場合が多いからである。
【0039】
また、有用度判定部12Dは、障害物の占有率が6~50%の場合は有用度Cの画像であり、障害物の占有率が51%以上の場合は最も低い有用度SCである有用度Dの画像であると判定する。例えば、障害物の占有率が50%以下であった場合、用途によって有用であるものの比較的有用度SCが低い場合が多いからである。また、障害物の占有率が51%を超えると、その画像は有用ではない場合が多いからである。
【0040】
また、図3Aに示すように、有用度判定部12Dは、撮像時の前走車との車間距離Sが所定距離以下(例えば5m以下)の場合、有用度Dの画像であると判定する。これは、車間距離Sが短い場合の障害物の誤検出を防ぐことによる。例えば、交差点などで前方に車両が存在する状態で停止した場合など、撮像装置のごく近くに障害物が存在している場合を考える。この状況で撮像された画像は、大部分が障害物に隠れており、有用度SCが低い場合が多い。しかし、この画像内には障害物の形状が認識されない場合がある。有用度判定部12Dは、このような状況で撮像された画像に対しても適切に有用度SCを判定することができる。
【0041】
このように、本実施例においては、評価部12は、画像IM1、IM2、・・・の各々の撮像時における車両20又は30の走行状態情報(例えば車両速度Vや車間距離S)に基づいて、また障害物及びその占有率に基づいて、画像IM1、IM2、・・・の各々の評価を行う。
【0042】
なお、評価部12は、画像データDT内に含まれる画像情報及び走行状態情報の各々をパラメータとし、そのパラメータ毎に画像IM1、IM2、・・・の各々の有用レベルを点数化してもよい。また、評価部12は、これらパラメータ毎の有用レベルの点数の合計に基づいて、画像IM1、IM2、・・・の各々の有用度SCを評定してもよい。
【0043】
図3Bは、評価部12による画像IM1、IM2、・・・の各々の評価例を示す図である。図3Bに示すように、本実施例においては、評価部12の解析部12Bは、画像IM1、IM2、・・・の各々に対し、検出部12B1によって障害物OBの検出を行い、算出部12B2によって障害物OBの占有率RTを算出する。そして、有用度判定部12Dは、解析部12Bが検出した障害物OBに基づいて、画像IM1、IM2、・・・の各々の有用度SCを判定する。また、有用度判定部12Dは、車両の走行状態を考慮した有用度SCの判定を行う。
【0044】
例えば、画像IM1の領域内に障害物OBとして車両が検出され、その占有率RTが5%であると算出された場合、有用度判定部12Dは、画像IM1が有用度Bの画像であると判定する。また、例えば、画像IM3の領域内に障害物OBが検出されなかった場合、有用度判定部12Dは、画像IM3が有用度Aの画像であると判定する。一方、画像IM4については、障害物OBは検出されなかったものの、撮像時の車間距離Sが2mであったため、有用度Dと判定される。
【0045】
図4Aは、抽出部13の詳細構成を示すブロック図である。本実施例においては、抽出部13は、画像を抽出する条件を取得する条件である抽出条件を取得する抽出条件取得部13Aを有する。抽出条件取得部13Aは、例えば、画像の抽出を行う際の有用度SCの許容範囲を取得する。
【0046】
また、抽出条件取得部13Aは、抽出条件として、画像IM1、IM2、・・・の各々の画像情報(例えば撮像地点P)の指定を取得する。また、抽出条件取得部13Aは、抽出条件として、交差点名、道路名、建物名などの地図上の場所の指定を取得する。
【0047】
抽出部13は、画像を抽出する際の参照情報として地図情報を取得する地図情報取得部13Bを有する。例えば、抽出条件取得部13Aは、撮像地点Pの指定を取得した場合、又は道路上の特定の場所名の指定を取得した場合、当該指定された撮像地点Pや場所名と地図情報とを比較して、取得した抽出条件(撮像地点P及び撮像方向D)を確定する。
【0048】
抽出部13は、抽出条件取得部13Aが取得した抽出条件に基づいて画像IM1、IM2、・・・の各々の中から、抽出する画像を選択する画像選択部(以下、単に選択部と称する)13Cを有する。また、抽出部13は、選択部13Cによって選択された画像を含む画像データを抽出データとして生成する抽出データ生成部13Dを有する。
【0049】
図4Bは、抽出部13による画像の抽出例を示す図である。なお、図4Bには、画像の抽出条件例及び抽出された画像である抽出画像EIMの例を示している。例えば、有用度SCが有用度A又はBであること、撮像地点Pが地点P1であり、撮像方向Dが方向D1であることを抽出条件として取得した場合、画像IM1、IM3及びIM4が抽出画像EIMとして抽出(選択)される。
【0050】
同様に、抽出部13は、図4Bに示すように、画像IM1、IM2、・・・の各々の画像情報、例えば撮像高さHなどに基づいて、画像IM1、IM2、・・・の各々の中から少なくとも1つの画像を抽出画像EIMとして選択して抽出する。
【0051】
なお、抽出部13は、抽出された画像の個数に基づいて、抽出する際の有用度SCの条件を調節してもよい。例えば、画像選択部13Cは、抽出画像EIMが1つのみであった場合には有用度SCの許容範囲を広げて再度画像を選択してもよい。また、抽出部13は、抽出条件取得部13Aが抽出条件を取得しなかった場合、有用度Aの画像のみを抽出画像EIMとして抽出してもよい。
【0052】
このように、抽出部13は、少なくとも評価部12による画像IM1、IM2、・・・の各々の有用度の評価結果に基づいて、画像IM1、IM2、・・・の各々の中から少なくとも1つの画像を抽出する。
【0053】
なお、アルバム作成部14は、抽出部13が抽出した抽出画像EIMを時系列に沿って並び替えたアルバムを作成する。また、例えば抽出部13が複数の撮像地点P又は撮像方向Dの画像を抽出した場合、アルバム作成部14は、撮像地点P毎又は撮像方向D毎に時系列に沿って画像を並び替えればよい。
【0054】
図5は、情報処理装置10による動作フローを示す図である。まず、本実施例においては、情報処理装置10の画像取得部11は、画像データDTを取得する(ステップS11)。次に、評価部12は、画像データDTに含まれる画像IM1、IM2、・・・の有用度の評価を行う(ステップS12)。
【0055】
続いて、抽出部13は、画像の抽出条件を取得する(ステップS13)。そして、抽出部13は、取得した抽出条件に基づいて画像を抽出する(ステップS14)。次に、アルバム作成部14は、抽出部13によって抽出された抽出画像EIMを並び替える(ステップS15)。また、アルバム作成部14は、並び替えた抽出画像EIMを表示するためのアルバムを作成する(ステップS16)。このように、情報処理装置10は取得された画像IM1、IM2、・・・の各々に対して処理動作を行う。
【0056】
なお、上記した動作フローは一例に過ぎない。例えば、画像取得部11による画像取得(ステップS11)の後、評価部12による画像の評価及び抽出部13による画像抽出(ステップS12~S14)は、同時に行われてもよい。例えば、抽出部13が有用度SC以外の抽出条件を取得した上で画像抽出を行い、この抽出された画像に対して評価を行ってもよい。この場合、抽出部13は評価後の画像に対して再度抽出を行えばよい。
【0057】
また、アルバム作成部14による抽出画像EIMの並び替え(ステップS15)は、例えば、抽出部13による抽出(ステップS14)時に抽出部13が画像の抽出と同時に行ってもよい。すなわち、抽出部13が画像の抽出を行う際に時系列に沿って並び替えてもよい。
【0058】
また、本実施例においては、図3Aに示すように、評価部12が画像IM1、IM2、・・・の各々の画像解析を行い、かつ撮像時の車両20又は30の走行状態を考慮して、画像IM1、IM2、・・・の各々の有用性の評価を行う場合について説明した。しかし、評価部12の評価内容及び評価基準はこれに限定されない。
【0059】
評価部12は、画像IM1、IM2、・・・の各々の撮像時における車両20又は30の走行状態のみに基づいて画像IM1、IM2、・・・の各々の有用性を評価すればよい。例えば、評価部12は、撮像時の車両20又は30の速度V又は車間距離Sのみに基づいて有用度SCの判定基準を定めてもよい。
【0060】
例えば、速度Vが所定値以上の場合は障害物OBが含まれる可能性が小さいため、これを基準として高い有用度SCである有用度Aと判定してもよい。また、停止状態から速度Vが所定値以上増加した場合は発進時でかつ前走車との距離が大きくなることが予想されるため、これを基準として比較的高い有用度Bであると判定してもよい。
【0061】
また、本実施例においては、評価部12は、有用度判定部12Dによって画像IM1、IM2、・・・の有用度SCを4段階で判定(評定)する場合について説明した。しかし、評価部12による画像IM1、IM2、・・・の各々の評価内容はこれに限定されない。評価部12は、少なくとも画像IM1、IM2、・・・の各々の有用度SCを評価すればよい。例えば、評価部12は、上記したような評価基準に基づいて、画像IM1、IM2、・・・の各々が有用性を有するか否か(有用度SCが高いか低いか)のみを判定してもよい。
【0062】
また、本実施例においては、評価部12が画像解析によって障害物OBの占有率RTを算出する算出部12B2と、これに基づいて有用度SCの判定を行う有用度判定部12Dとを有する場合について説明した。しかし、評価部12は、複数の画像IM1、IM2、・・・の各々に含まれる障害物OBを検出し、当該検出した障害物OBに基づいて有用度SCを評価すればよい。例えば、評価部12は、車間距離Sを取得することで、画像解析を行うことなく、また占有率RTの算出を行うことなく障害物OBの検出及び有用度SCの判定を行うことができる。
【0063】
また、図1Bに示した画像データDTの構成は一例に過ぎない。画像データDT内には、複数の画像IM1、IM2、・・・及び当該画像の撮像時における車両20又は30の走行状態を示す走行状態情報が含まれていればよい。例えば、画像データDT内には、撮像高さH及び車両速度Vが含まれていなくてもよい。
【0064】
上記したように、情報処理装置10は、移動体20又は30が有する撮像装置によって撮像された複数の画像IM1、IM2、・・・及び当該複数の画像IM1、IM2、・・・の各々の撮像時における移動体20又は30の移動状態を示す移動状態情報を含む画像データDTを取得する画像取得部11と、当該複数の画像IM1、IM2、・・・の各々における移動状態情報に基づいて当該複数の画像IM1、IM2、・・・の各々の有用度SCを評価する画像評価部12と、画像評価部12による複数の画像IM1、IM2、・・・の各々の有用度SCの評価に基づいて、当該複数の画像IM1、IM2、・・・の中から少なくとも1つの画像EIMを抽出する画像抽出部13と、を有する。
【0065】
従って、情報処理装置10は、移動体20又は30が撮像した画像の各々に対して適切な評価を行い、その評価に基づいて所望の有用な画像を抽出する。従って、移動体20又は30が撮像した複数の画像を種々の用途に用いることが可能なように処理を行う情報処理装置10を提供することができる。
【0066】
また、画像評価部12は、複数の画像IM1、IM2、・・・の各々に含まれる障害物OBを検出し、当該検出した障害物OBに基づいて有用度SCを評価する。従って、移動状態情報に加えて障害物OBの検出に基づいて適切に画像の有用度SCを評価することができる。
【0067】
また、画像評価部12は、複数の画像IM1、IM2、・・・の各々において障害物OBが占める割合である占有率RTを算出する占有率算出部12B2と、障害物OBの占有率RTに基づいて、複数の画像IM1、IM2、・・・の各々の有用度SCを判定する有用度判定部12Dと、を有する。従って、当該複数の画像IM1、IM2、・・・の各々の有用性、すなわち障害物OBを含まない有用な領域が明確なものとなる。また、正確に有用な画像のみを抽出することができる。
【0068】
また、画像データDTには、移動体20又は30の移動状態情報として、当該複数の画像IM1、IM2、・・・の各々の撮像時における移動体20又は30の移動速度Vが含まれる。そして、画像評価部12は、当該移動速度Vに基づいて、当該複数の画像IM1、IM2、・・・の各々の有用度SCを評価する。画像の有用度SCを評価する際に撮像時の移動体20又は30の移動速度Vを考慮することで、適切に画像の有用度SCを評価することができる。
【0069】
また、画像データDTには、移動体20又は30の移動状態情報として、当該複数の画像IM1、IM2、・・・の各々の撮像時において複数の画像IM1、IM2、・・・の各々の撮像方向Dに存在する他の移動体と移動体20又は30との間の移動体間距離Sが含まれる。また、画像評価部12は、移動体間距離Sに基づいて、当該複数の画像IM1、IM2、・・・の各々の有用度SCを評価する。画像の有用度SCを評価する際に撮像時の移動体20又は30の移動体間距離Sを考慮することで、適切に画像の有用度SCを評価することができる。
【0070】
また、画像評価部12は、地図情報を取得する地図情報取得部12Cを有し、有用度判定部12Dは、地図情報に基づいて当該複数の画像IM1、IM2、・・・の各々の有用度SCを判定する。従って、例えば交差点などの有用度SCが高い可能性のある画像についても適切に評価することができる。
【0071】
また、画像データDTには、当該複数の画像IM1、IM2、・・・の各々の撮像地点P及び撮像方向Dが含まれ、画像抽出部13は、撮像地点P及び撮像方向Dに基づいて当該複数の画像IM1、IM2、・・・の中から少なくとも1つの画像EIMを抽出する。従って、例えば同一用途に用いられ得る同一地点及び同一方向の画像のみを抽出することができる。
【0072】
また、画像データDTには、当該複数の画像IM1、IM2、・・・の各々の撮像高さHが含まれ、画像抽出部13は、撮像高さHに基づいて当該複数の画像IM1、IM2、・・・の中から少なくとも1つの画像EIMを抽出する。従って、例えば同一高さから撮像された画像のみを抽出することができる。従って、被写体の時系列変化を定点から観察する用途に用いることができ、例えば被写体の時系列変化を明確に視覚化することができる。
【0073】
また、画像データDTには、当該複数の画像IM1、IM2、・・・の各々の撮像日時Tが含まれ、画像抽出部13は、撮像日時Tに基づいて当該複数の画像IM1、IM2、・・・の中から少なくとも1つの画像EIMを抽出する。従って、例えば所定の時間範囲の画像のみを抽出することができる。
【0074】
また、情報処理装置10は、画像抽出部13によって抽出された少なくとも1つの画像EIMを時系列に沿って並び替えたアルバムを作成するアルバム作成部14を有する。従って、所望の用途に有用な画像を時系列に沿って自動的に並び替えることができる。
【0075】
なお、本実施例においては、情報処理装置10が複数の移動体20及び30から画像を取得してその処理を行うサーバとして機能する場合について説明したが、情報処理装置10はサーバである場合に限定されない。情報処理装置10は、例えば1つの移動体のみから画像を取得及び処理する端末装置として設けられていてもよい。
【実施例0076】
図6は、実施例2に係る情報処理装置10Aのブロック図である。本実施例においては、情報処理装置10Aは、移動体(車両)20に搭載され、移動体20によって撮像された画像に対して種々の処理を行う情報処理端末として機能する。
【0077】
情報処理装置10Aは、移動体20としての車両に搭載された撮像装置21から画像IM1、IM2、・・・を含む画像データDT(例えば図1B参照)を取得する。なお、本実施例においては、移動体20は、測位装置22及び検出装置23を有する。例えば、情報処理装置10Aは、測位装置22から画像情報(例えば撮像地点P及び撮像方向Dなど)を取得し、検出装置23から移動状態情報(例えば移動速度V及び移動体間距離Sなど)を取得してもよい。
【0078】
また、情報処理装置10Aは、送信部17を有する点を除いては、情報処理装置10と同様の構成を有する。情報処理装置10Aは、画像抽出部13によって抽出された少なくとも1つの画像EIM又はアルバム作成部14によって作成されたアルバムを外部に送信する送信部17を有する。
【0079】
また、情報処理装置10Aは、送信部17の処理を除いては、情報処理装置10と同様の処理(例えば図5に示すフローの実行)を行う。例えば、情報処理装置10Aは、図5に示すステップS16の後、送信部17によってアルバム(アルバム用画像)を外部サーバに送信する。
【0080】
情報処理装置10Aが送信部17を有することで、例えば情報処理装置10Aが移動体20に搭載されている場合に、移動体20で撮像した画像のうち、有用な画像のみを外部に配信することができる。例えば、情報処理装置10Aは、移動体20が保有する有用な画像を他の移動体や外部のサーバに提供することができる。従って、移動体20が撮像した複数の画像を種々の用途に用いることが可能なように処理を行う情報処理装置10Aを提供することができる。
【符号の説明】
【0081】
10、10A 情報処理装置
11 画像取得部
12 画像評価部
13 画像抽出部
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6