(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023134735
(43)【公開日】2023-09-27
(54)【発明の名称】強化されたキメラ抗原受容体およびその使用
(51)【国際特許分類】
C12N 15/62 20060101AFI20230920BHJP
C12N 15/12 20060101ALI20230920BHJP
C12N 15/13 20060101ALI20230920BHJP
C12N 15/86 20060101ALI20230920BHJP
C07K 19/00 20060101ALI20230920BHJP
C07K 16/30 20060101ALI20230920BHJP
C07K 14/47 20060101ALI20230920BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20230920BHJP
C12N 5/0783 20100101ALI20230920BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230920BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20230920BHJP
A61P 37/06 20060101ALI20230920BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20230920BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230920BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20230920BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20230920BHJP
A61K 49/00 20060101ALI20230920BHJP
A61K 47/68 20170101ALI20230920BHJP
A61K 35/17 20150101ALI20230920BHJP
A61K 35/28 20150101ALI20230920BHJP
A61K 35/545 20150101ALI20230920BHJP
A61K 35/51 20150101ALI20230920BHJP
A61K 35/14 20150101ALI20230920BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20230920BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20230920BHJP
【FI】
C12N15/62 Z ZNA
C12N15/12
C12N15/13
C12N15/86 Z
C07K19/00
C07K16/30
C07K14/47
C12N5/10
C12N5/0783
A61P35/00
A61P35/02
A61P37/06
A61P29/00
A61P43/00 121
A61K45/00
A61K39/395 E
A61K39/395 T
A61K49/00
A61K47/68
A61K35/17
A61K35/28
A61K35/545
A61K35/51
A61K35/14
A61K48/00
A61K39/395 C
A61K39/395 L
A61P37/04
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023117421
(22)【出願日】2023-07-19
(62)【分割の表示】P 2020503988の分割
【原出願日】2018-07-25
(31)【優先権主張番号】62/536,934
(32)【優先日】2017-07-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500039463
【氏名又は名称】ボード オブ リージェンツ,ザ ユニバーシティ オブ テキサス システム
【氏名又は名称原語表記】BOARD OF REGENTS,THE UNIVERSITY OF TEXAS SYSTEM
【住所又は居所原語表記】210 West 7th Street Austin,Texas 78701 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】ソニー オーン アン
(72)【発明者】
【氏名】エンリ リウ
(72)【発明者】
【氏名】エリザベス シュポール
(72)【発明者】
【氏名】ケイティ レズヴァニ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】免疫細胞療法で使用するための改善されたCARを提供する。
【解決手段】CARのヒンジ領域における切断型EGFRvIII(Ev3)および/またはヒト化scFvを含むキメラ抗原受容体(CAR)が提供される。前記CARを発現する免疫細胞ならびに免疫障害の処置におけるそれらの使用方法がさらに提供される。本発明は、例えば、キメラ抗原受容体(CAR)であって、切断型EGFRvIII(Ev3)を前記CARの前記ヒンジに含み、前記Ev3ヒンジは細胞外ドメインと少なくとも1つの細胞内シグナル伝達ドメインを連結するキメラ抗原受容体(CAR)を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2017年7月25日付で出願された米国特許仮出願第62/536,934号に基づく優先権の利益を主張し、その全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
配列表の援用
289KB(マイクロソフトウィンドウズ(登録商標)で計測)であり、2018年7月23日に生成された、「UTFCP1331WO.txt」という名称のファイルに含まれる配列表は、電子申請によって本願とともに出願され、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
背景
1.分野
本発明は、一般に免疫学および分子生物学の分野に関する。より詳細には、本発明は免疫細胞に対するものなどの強化されたキメラ抗原受容体(CAR)に関する。
【0004】
2.関連技術の説明
癌と診断された患者が利用できる診断および処置の選択肢の技術的進歩にもかかわらず、予後は依然として不良である場合が多く、多くの患者は治癒することができない。免疫療法は、様々な腫瘍と診断された患者に、強力でありながら標的を絞った処置を提供することが期待され、正常な組織に損傷を与えることなく悪性腫瘍細胞を根絶する可能性がある。理論的には、免疫系のT細胞は、腫瘍細胞に特異的なタンパク質パターンを認識し、多様なエフェクター機構によってそれらの破壊を媒介することができる。養子T細胞療法またはNK細胞療法などのキメラ抗原受容体(CAR)を発現する免疫細胞の投与は、患者自身の免疫細胞の腫瘍根絶能力を利用して増幅し、その後、正常な組織に損傷を与えることなく残存腫瘍を効果的に除去するような状態で、これらのエフェクターを患者に戻す試みである。一般に、CARは、ヒンジおよび膜貫通領域を介してT細胞シグナル伝達分子の細胞質ドメインに結合した腫瘍関連抗原(TAA)に特異的な抗体の単鎖可変断片(scFv)を含む。しかし、免疫細胞療法の臨床使用での多くの欠点により、癌の処置におけるこのアプローチの十分な活用が損なわれる。従って、免疫細胞療法で使用するための改善されたCARにはまだ満たされていないニーズがある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
要旨
特定の実施形態では、本開示は、強化されたキメラ抗原受容体、ならびに癌および自己免疫障害を含む疾患および障害の処置のためのそれらの使用方法を提供する。一実施形態では、エンドドメインまたは機能性EGF結合ドメインを含まない、Ev3(またはtEv3)と呼ばれる、切断型EGFRvIIIが提供される。特定の態様では、Ev3は、EGFRの切断型ドメイン1(L1)、切断型ドメイン2(CR1)、ドメイン3(L2)、およびドメイン4(CR2)(
図2Bに示す通り)を含む。一部の態様では、Ev3はCARのヒンジ領域に位置してよく、CAR検出および/またはCAR発現細胞の除去に使用することができる。一部の実施形態では、CARは、ヒト化scFvとEv3ヒンジの両方を含む。もう一つの実施形態では、CARのヒト化抗原結合ドメイン、例えばヒト化単鎖可変断片(scFv)などが提供される。さらなる実施形態は、これらの実施形態の1または複数のCARを発現するT細胞またはNK細胞などの免疫細胞を被験体に投与することにより、免疫関連障害を処置する方法を提供する。
【0006】
もう一つの実施形態では、前記CARのヒンジにEv3を含むキメラ抗原受容体(CAR)が提供され、前記Ev3ヒンジは細胞外ドメインと少なくとも1つの細胞内免疫シグナル伝達ドメインを連結する。一部の態様では、Ev3ヒンジは、EGFRvIIIの膜貫通ドメインおよび非機能性エクトドメインを含む。特定の態様では、Ev3ヒンジはEGFRvIIIエンドドメインを含まない。一部の態様では、EGFRvIIIの非機能性エクトドメインは、上皮成長因子(EGF)との結合能が本質的にない。
【0007】
一部の態様では、Ev3ヒンジは、配列番号2と少なくとも80%、例えば少なくとも81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、または99%の配列同一性をもつアミノ酸配列を含む。一部の態様では、Ev3ヒンジは、配列番号2のアミノ酸配列を含む。
【0008】
Ev3は、配列番号2、
【化1】
(部分ドメイン1-部分ドメイン2-ドメイン3-ドメイン4を含む)を含むか、あるいは、配列番号2に対して少なくとも80%(例えば、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の配列同一性を有することがある。特定の態様では、Ev3には1、2、3、またはそれを超える変更があることがある。
【0009】
一部の態様では、Ev3ヒンジは、配列番号1に対して少なくとも80%、例えば少なくとも81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、または99%などの配列同一性を有するヌクレオチド配列によってコードされる。特定の態様では、Ev3ヒンジは、配列番号1のヌクレオチド配列によってコードされる。
【0010】
特定の態様では、CARの細胞外ドメインは、F(ab’)2、Fab’、Fab、Fv、およびscFvからなる群から選択される抗原結合ドメインを含む。一部の態様では、抗原結合ドメインはscFvを含む。特定の態様では、scFvは、さらにヒト化scFvとして規定される。一部の態様では、ヒト化scFvは、実施形態によるscFvである。
【0011】
一部の態様では、CARの前記抗原結合領域は、1またはそれを超える腫瘍関連抗原に結合する。特定の態様では、1またはそれを超える腫瘍関連抗原は、CD19、CD319(CS1)、ROR1、CD20、癌胎児性抗原、αフェトプロテイン、CA-125、MUC-1、上皮腫瘍抗原、メラノーマ関連抗原、変異p53、変異ras、HER2/Neu、ERBB2、葉酸結合タンパク質、HIV-1エンベロープ糖タンパク質gp120、HIV-1エンベロープ糖タンパク質gp41、GD2、CD5、CD123、CD23、CD30、CD56、c-Met、メソテリン、GD3、HERV-K、IL-11Rα、κ鎖、λ鎖、CSPG4、ERBB2、WT-1、TRAIL/DR4、VEGFR2、CD33、CLL-1およびCD99からなる群から選択される。特定の態様では、1またはそれを超える腫瘍関連抗原は、CD19、CD319、CD123、CD5、ROR1、メソテリン、CD33、CLL-1、および/またはCD99である。一部の態様では、scFvはEGFR結合ドメインを含まない。
【0012】
特定の態様では、少なくとも1つのシグナル伝達ドメインは、CD3ξ、CD28、OX40/CD134、4-1BB/CD137、FcεRIγ、ICOS/CD278、ILRB/CD122、IL-2RG/CD132、DAP12、CD70、CD40、またはそれらの組合せを含む。特定の態様では、少なくとも1つのシグナル伝達ドメインは、DAP12を含む。一部の態様では、CARは、IL-15を含む。特定の一態様では、CARは、CD3ζ、CD28、DAP12、およびIL-15を含む。
【0013】
一部の態様では、CARは自殺遺伝子をさらに含む。特定の態様では、自殺遺伝子は誘導性カスパーゼ9である。
【0014】
一実施形態では、軽鎖可変領域(VL)および重鎖可変領域(VH)を含む単離された抗原特異的ヒト化単鎖可変断片(scFv)が提供され、scFvは、
(a)CD19特異的であり、VLが配列番号7のアミノ酸配列を含み、VHが配列番号8のアミノ酸配列を含む;
(b)CD123特異的であり、VLが配列番号13のアミノ酸配列を含み、VHが配列番号14のアミノ酸配列を含む;
(c)メソテリン特異的であり、VLが配列番号19のアミノ酸配列を含み、VHが配列番号20のアミノ酸配列を含む;
(d)ROR1特異的であり、VLが配列番号25のアミノ酸配列を含み、VHが配列番号26のアミノ酸配列を含む;
(e)CD5特異的であり、VLが配列番号31のアミノ酸配列を含み、VHが配列番号32のアミノ酸配列を含む;
(f)CLL-1特異的であり、VLが配列番号59のアミノ酸配列を含み、VHが配列番号60のアミノ酸配列を含む;
(g)CD99特異的であり、VLが配列番号63のアミノ酸配列を含み、VHが配列番号64のアミノ酸配列を含むか、または
(h)(a)~(g)のいずれか一つのフレームワーク領域に対して90%の配列同一性を有する配列
である。
【0015】
一部の態様では、scFv配列は、配列番号6、12、18、24、または30のフレームワーク領域に対して91、92、93、94、95、96、97、98、または99%の配列同一性を含み、前記配列のCDRに対して100%の配列同一性を含む。特定の態様では、前記配列のCDRは、1、2、または3つの変更を有し得る。
【0016】
一部の態様では、scFvはCD19特異的であり、VLは配列番号7のアミノ酸配列を含み、VHは配列番号8のアミノ酸配列を含む。特定の一態様では、CD19特異的scFvは、配列番号6のアミノ酸配列を含む。特定の態様では、scFvはCD123特異的であり、VLは配列番号13のアミノ酸配列を含み、VHは配列番号14のアミノ酸配列を含む。特定の態様では、CD123特異的scFvは配列番号12のアミノ酸配列を含む。一部の態様では、scFvはメソテリン特異的であり、VLは配列番号19のアミノ酸配列を含み、VHは配列番号20のアミノ酸配列を含む。特定の態様では、メソテリン特異的scFvは配列番号18のアミノ酸配列を含む。一部の態様では、scFvはROR1特異的であり、VLは配列番号25のアミノ酸配列を含み、VHは配列番号26のアミノ酸配列を含む。特定の態様では、ROR1特異的は配列番号24のアミノ酸配列を含む。一部の態様では、scFvはCD5特異的であり、VLは配列番号31のアミノ酸配列を含み、VHは配列番号32のアミノ酸配列を含む。特定の態様では、CD5特異的は配列番号30のアミノ酸配列を含む。
【0017】
一部の態様では、scFvは、配列番号6、12、18、24、または30のアミノ酸配列のフレームワーク領域に対して少なくとも95%、例えば少なくとも96、97、98、または99%などの配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0018】
本明細書では、上記の実施形態の単離されたscFvをコードする単離されたポリヌクレオチドがさらに提供される。一部の態様では、ポリヌクレオチドは、配列番号3、9、15、21、または27を含む。その他の態様では、ポリヌクレオチドは、配列番号3、9、15、21、または27に対して少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、または99%の配列同一性を有する配列を含む。
【0019】
本明細書では、これらの実施形態の単離されたヌクレオチドを含む発現ベクターも提供される。一部の態様では、ベクターはさらにウイルスベクターとして規定される。
【0020】
本明細書では、本実施形態のいずれか1つによるCARをコードするヌクレオチド配列を含む単離された核酸がさらに提供される。
【0021】
また、本明細書では、本実施形態のヒト化scFvおよび/または前記CARのヒンジ領域において切断型EGFRvIII(Ev3)を含むCARを発現するように操作された宿主細胞が提供される。一部の態様では、CARは、本実施形態のいずれか一つによる。一部の態様では、CARをコードするDNAは細胞のゲノムに組み込まれている。
【0022】
一部の態様では、宿主細胞はさらにCAR免疫細胞として規定される。特定の態様では、免疫細胞はT細胞、末梢血リンパ球、NK細胞、インバリアントNK細胞、NKT細胞、または幹細胞である。特定の態様では、免疫細胞はT細胞またはNK細胞である。一部の態様では、幹細胞は間葉系幹細胞(MSC)または人工多能性幹(iPS)細胞である。特定の態様では、免疫細胞はiPS細胞に由来する。一部の態様では、T細胞はCD8+T細胞、CD4+T細胞、またはγδT細胞である。特定の態様では、T細胞は細胞傷害性Tリンパ球(CTL)である。一部の態様では、免疫細胞は同種または自己である。一部の態様では、免疫細胞は末梢血、臍帯血、または骨髄から単離されている。特定の態様では、免疫細胞は、臍帯血から単離されている。特定の態様では、臍帯血は、2またはそれを超える個々の臍帯血ユニットからプールされている。
【0023】
本明細書では、本実施形態のいずれかによる免疫細胞集団を含む薬学的組成物がさらに提供される。また、本明細書では、免疫関連障害における使用のための本実施形態のいずれか一つによる免疫細胞集団を含む組成物が提供される。
【0024】
もう一つの実施形態では、ヒト化scFvおよび/またはEv3ヒンジを含むものなどの本実施形態のいずれか一つの有効量のCAR免疫細胞を投与することを含む、被験体において免疫関連障害を処置する方法が提供される。
【0025】
上記実施形態の一部の態様では、免疫関連障害は、癌、自己免疫障害、移植片対宿主病、同種移植片拒絶反応、または炎症症状である。特定の態様では、免疫関連障害は炎症症状であり、免疫細胞にはグルココルチコイドレセプターの発現が本質的にない。特定の態様では、免疫関連障害は癌である。一部の態様では、免疫細胞は自己または同種である。一部の態様では、癌は固形癌または血液悪性腫瘍である。
【0026】
さらなる態様では、この方法はさらに、少なくとも第2の治療薬を投与することを含む。一部の態様では、少なくとも第2の治療薬は、化学療法、免疫療法、手術、放射線療法、または生物療法を含む。特定の態様では、免疫細胞および/または少なくとも第2の治療薬は、静脈内に、腹腔内に、気管内に、腫瘍内に、筋肉内に、内視鏡的に、病変内に、経皮的に、皮下に、局所的に、または直接注射または灌流によって投与される。
【0027】
一部の態様では、この方法はさらに、抗EGFR抗体を投与することを含む。一部の態様では、抗EGFR抗体はモノクローナル抗体である。特定の態様では、抗EGFR抗体はセツキシマブまたはパニツムマブである。一部の態様では、抗EGFR抗体は、抗体依存性細胞性細胞傷害(ADCC)を介してEv3-CAR免疫細胞を選択的に除去する。特定の態様では、抗EGFR抗体は、検出可能なタグおよび/または細胞傷害性薬物に融合されている。一部の態様では、この方法はさらに、検出可能なタグを画像化し、それによりEv3-CAR免疫細胞を検出することをさらに含む。特定の態様では、抗EGFR抗体は、細胞傷害性薬物に融合されている。一部の態様では、細胞傷害性薬物は、Ev3-CAR免疫細胞において自殺遺伝子の活性化を誘導する。一部の態様では、細胞傷害性薬物はEv3-CAR免疫細胞の除去をもたらす。
【0028】
本発明のその他の目的、特徴および利点は、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。しかし、本発明の精神および範囲内の様々な変更および修正は、この詳細な説明から当業者に明らかになるので、詳細な説明および具体例は、本発明の好ましい実施形態を示してはいるが、例示のためだけに記載されていることを理解されたい。
【0029】
以下の図面は、本明細書の一部を形成し、本発明の特定の態様をさらに実証するために含まれている。本発明は、本明細書に提示される具体的な実施形態の詳細な説明と組み合わせて、1またはそれを超えるこれらの図面を参照することにより、よりよく理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1-1】
図1A~
図1Bは、現在のCARとEv3-CARのデザインの比較を示す図である。
図1Aは、Ev3のストークは、scFvなどによる抗原結合からのシグナルを伝達する統合構造として、ならびに「オフ」スイッチとして機能し、その結果、セツキシマブなどの臨床的にアクセス可能な抗体によって認識されて、CAR陽性免疫細胞を除去することができる。
図1Bは、T細胞の使用など、CARを超える強化として、DAP12をEv3-DAP12 CARのシグナルブースターとして利用して、NK細胞におけるCAR機能の有効性を増加させることができる。
【
図1-2】
図1A~
図1Bは、現在のCARとEv3-CARのデザインの比較を示す図である。
図1Aは、Ev3のストークは、scFvなどによる抗原結合からのシグナルを伝達する統合構造として、ならびに「オフ」スイッチとして機能し、その結果、セツキシマブなどの臨床的にアクセス可能な抗体によって認識されて、CAR陽性免疫細胞を除去することができる。
図1Bは、T細胞の使用など、CARを超える強化として、DAP12をEv3-DAP12 CARのシグナルブースターとして利用して、NK細胞におけるCAR機能の有効性を増加させることができる。
【0031】
【
図2-1】
図2Aは、エンドドメインおよびEGF結合ドメインを含むEGFRと比較したEv3を示す模式図である。
図2Bは、EGFRバリアントおよび断片(fragmets)を示す模式図である。
図2Cは、細胞外ドメインのみを含むEv3の配列である。
【
図2-2】
図2Aは、エンドドメインおよびEGF結合ドメインを含むEGFRと比較したEv3を示す模式図である。
図2Bは、EGFRバリアントおよび断片(fragmets)を示す模式図である。
図2Cは、細胞外ドメインのみを含むEv3の配列である。
【
図2-3】
図2Aは、エンドドメインおよびEGF結合ドメインを含むEGFRと比較したEv3を示す模式図である。
図2Bは、EGFRバリアントおよび断片(fragmets)を示す模式図である。
図2Cは、細胞外ドメインのみを含むEv3の配列である。
【0032】
【
図3-1】
図3A~
図3Eは、抗原CD19(A)、hCD19(B)、CD123(C)、hCD123(D)、およびCD99(E)のレトロウイルスベクターの図である。
図3Fは、他のscFvと置き換えることができるCD19に対するヒト化scFvを使用する、CAR2.0のマップ。
【
図3-2】
図3A~
図3Eは、抗原CD19(A)、hCD19(B)、CD123(C)、hCD123(D)、およびCD99(E)のレトロウイルスベクターの図である。
図3Fは、他のscFvと置き換えることができるCD19に対するヒト化scFvを使用する、CAR2.0のマップ。
【
図3-3】
図3A~
図3Eは、抗原CD19(A)、hCD19(B)、CD123(C)、hCD123(D)、およびCD99(E)のレトロウイルスベクターの図である。
図3Fは、他のscFvと置き換えることができるCD19に対するヒト化scFvを使用する、CAR2.0のマップ。
【
図3-4】
図3A~
図3Eは、抗原CD19(A)、hCD19(B)、CD123(C)、hCD123(D)、およびCD99(E)のレトロウイルスベクターの図である。
図3Fは、他のscFvと置き換えることができるCD19に対するヒト化scFvを使用する、CAR2.0のマップ。
【
図3-5】
図3A~
図3Eは、抗原CD19(A)、hCD19(B)、CD123(C)、hCD123(D)、およびCD99(E)のレトロウイルスベクターの図である。
図3Fは、他のscFvと置き換えることができるCD19に対するヒト化scFvを使用する、CAR2.0のマップ。
【
図3-6】
図3A~
図3Eは、抗原CD19(A)、hCD19(B)、CD123(C)、hCD123(D)、およびCD99(E)のレトロウイルスベクターの図である。
図3Fは、他のscFvと置き換えることができるCD19に対するヒト化scFvを使用する、CAR2.0のマップ。
【0033】
【
図4-1】
図4Aは、Ev3抗体が、CAR19.Ev3.CD28.CD3ζ、CAR19.Ev3.DAP12.CD3ζまたはヒト化CAR19.Ev3.CD3ζ形質導入NK細胞を認識することを示す。
図4Bは、CD19
+Raji腫瘍標的に対するCAR.19形質導入NK細胞の殺傷活性を評価するクロム放出アッセイにおいて、CAR19.Ev3.CD28.DAP12 NK細胞が、複数のエフェクター:標的比でCD19+Raji細胞を死滅させるのにCAR19.IgG1.CD28.CD3z形質導入NK細胞と同じくらい有効であることが示されたことを示す。
【
図4-2】
図4Aは、Ev3抗体が、CAR19.Ev3.CD28.CD3ζ、CAR19.Ev3.DAP12.CD3ζまたはヒト化CAR19.Ev3.CD3ζ形質導入NK細胞を認識することを示す。
図4Bは、CD19
+Raji腫瘍標的に対するCAR.19形質導入NK細胞の殺傷活性を評価するクロム放出アッセイにおいて、CAR19.Ev3.CD28.DAP12 NK細胞が、複数のエフェクター:標的比でCD19+Raji細胞を死滅させるのにCAR19.IgG1.CD28.CD3z形質導入NK細胞と同じくらい有効であることが示されたことを示す。
【0034】
【
図5-1】
図5Aは、CARのヒト化のプラットフォームを示す概略図である。
図5Bは、モノクローナル抗体配列分析を示す。
【
図5-2】
図5Aは、CARのヒト化のプラットフォームを示す概略図である。
図5Bは、モノクローナル抗体配列分析を示す。
【
図5-3】
図5Aは、CARのヒト化のプラットフォームを示す概略図である。
図5Bは、モノクローナル抗体配列分析を示す。
【
図5-4】
図5Aは、CARのヒト化のプラットフォームを示す概略図である。
図5Bは、モノクローナル抗体配列分析を示す。
【
図5-5】
図5Aは、CARのヒト化のプラットフォームを示す概略図である。
図5Bは、モノクローナル抗体配列分析を示す。
【
図5-6】
図5Aは、CARのヒト化のプラットフォームを示す概略図である。
図5Bは、モノクローナル抗体配列分析を示す。
【
図5-7】
図5Aは、CARのヒト化のプラットフォームを示す概略図である。
図5Bは、モノクローナル抗体配列分析を示す。
【0035】
【
図6】
図6は、抗体のアイソタイプ、アロタイプ、およびイディオタイプを表す概略図である。抗体の構造決定因子は、単離され、分析および後続のCDR/フレームワークグラフティングに使用される要素を定義するために描かれている。ヒト免疫グロブリンの5つの主要なアイソタイプは、示されるように(IgG1、2、3、4、IgA1、2)さらに下位分類される。
【0036】
【
図7-1】
図7Aは、V
LおよびV
Hを含むhCD19 scFvおよびmCD19 scFvのアミノ酸配列を示す。CDR領域には下線が引かれている。
図7Bは、配列の同一性または相似性によってそれぞれの種の起源を検証するための、hCD19 scFvおよびmCD19 scFvのBLAST分析を示す。
図7Cは、mCD19 scFvとヒト化CD19 scFvを比較した分析の要約を示す。
【
図7-2】
図7Aは、V
LおよびV
Hを含むhCD19 scFvおよびmCD19 scFvのアミノ酸配列を示す。CDR領域には下線が引かれている。
図7Bは、配列の同一性または相似性によってそれぞれの種の起源を検証するための、hCD19 scFvおよびmCD19 scFvのBLAST分析を示す。
図7Cは、mCD19 scFvとヒト化CD19 scFvを比較した分析の要約を示す。
【
図7-3】
図7Aは、V
LおよびV
Hを含むhCD19 scFvおよびmCD19 scFvのアミノ酸配列を示す。CDR領域には下線が引かれている。
図7Bは、配列の同一性または相似性によってそれぞれの種の起源を検証するための、hCD19 scFvおよびmCD19 scFvのBLAST分析を示す。
図7Cは、mCD19 scFvとヒト化CD19 scFvを比較した分析の要約を示す。
【0037】
【
図8-1】
図8A~
図8D:
図8Aは、3D構造モデリングを示す概略図を示す。
図8B~
図8Dは、ヒトCD19可変軽鎖の3D構造モデリングを示す。完全に自動化されたタンパク質構造相同性モデラーであるSWISS-MODEL
*を使用して、ヒト化V
LおよびV
Hドメインの3次元モデルを生成した(具体例として抗CD19を示す)。構造ファイルは、相同性モデリングのテンプレートとして構造抗体データベースであるSAbDabから、SWISS-MODEL内で自動的にアクセスされるPDB構造ファイルを使用して抽出した。
【
図8-2】
図8A~
図8D:
図8Aは、3D構造モデリングを示す概略図を示す。
図8B~
図8Dは、ヒトCD19可変軽鎖の3D構造モデリングを示す。完全に自動化されたタンパク質構造相同性モデラーであるSWISS-MODEL
*を使用して、ヒト化V
LおよびV
Hドメインの3次元モデルを生成した(具体例として抗CD19を示す)。構造ファイルは、相同性モデリングのテンプレートとして構造抗体データベースであるSAbDabから、SWISS-MODEL内で自動的にアクセスされるPDB構造ファイルを使用して抽出した。
【
図8-3】
図8A~
図8D:
図8Aは、3D構造モデリングを示す概略図を示す。
図8B~
図8Dは、ヒトCD19可変軽鎖の3D構造モデリングを示す。完全に自動化されたタンパク質構造相同性モデラーであるSWISS-MODEL
*を使用して、ヒト化V
LおよびV
Hドメインの3次元モデルを生成した(具体例として抗CD19を示す)。構造ファイルは、相同性モデリングのテンプレートとして構造抗体データベースであるSAbDabから、SWISS-MODEL内で自動的にアクセスされるPDB構造ファイルを使用して抽出した。
【
図8-4】
図8A~
図8D:
図8Aは、3D構造モデリングを示す概略図を示す。
図8B~
図8Dは、ヒトCD19可変軽鎖の3D構造モデリングを示す。完全に自動化されたタンパク質構造相同性モデラーであるSWISS-MODEL
*を使用して、ヒト化V
LおよびV
Hドメインの3次元モデルを生成した(具体例として抗CD19を示す)。構造ファイルは、相同性モデリングのテンプレートとして構造抗体データベースであるSAbDabから、SWISS-MODEL内で自動的にアクセスされるPDB構造ファイルを使用して抽出した。
【
図8-5】
図8A~
図8D:
図8Aは、3D構造モデリングを示す概略図を示す。
図8B~
図8Dは、ヒトCD19可変軽鎖の3D構造モデリングを示す。完全に自動化されたタンパク質構造相同性モデラーであるSWISS-MODEL
*を使用して、ヒト化V
LおよびV
Hドメインの3次元モデルを生成した(具体例として抗CD19を示す)。構造ファイルは、相同性モデリングのテンプレートとして構造抗体データベースであるSAbDabから、SWISS-MODEL内で自動的にアクセスされるPDB構造ファイルを使用して抽出した。
【
図8-6】
図8A~
図8D:
図8Aは、3D構造モデリングを示す概略図を示す。
図8B~
図8Dは、ヒトCD19可変軽鎖の3D構造モデリングを示す。完全に自動化されたタンパク質構造相同性モデラーであるSWISS-MODEL
*を使用して、ヒト化V
LおよびV
Hドメインの3次元モデルを生成した(具体例として抗CD19を示す)。構造ファイルは、相同性モデリングのテンプレートとして構造抗体データベースであるSAbDabから、SWISS-MODEL内で自動的にアクセスされるPDB構造ファイルを使用して抽出した。
【
図8-7】
図8A~
図8D:
図8Aは、3D構造モデリングを示す概略図を示す。
図8B~
図8Dは、ヒトCD19可変軽鎖の3D構造モデリングを示す。完全に自動化されたタンパク質構造相同性モデラーであるSWISS-MODEL
*を使用して、ヒト化V
LおよびV
Hドメインの3次元モデルを生成した(具体例として抗CD19を示す)。構造ファイルは、相同性モデリングのテンプレートとして構造抗体データベースであるSAbDabから、SWISS-MODEL内で自動的にアクセスされるPDB構造ファイルを使用して抽出した。
【
図8-8】
図8A~
図8D:
図8Aは、3D構造モデリングを示す概略図を示す。
図8B~
図8Dは、ヒトCD19可変軽鎖の3D構造モデリングを示す。完全に自動化されたタンパク質構造相同性モデラーであるSWISS-MODEL
*を使用して、ヒト化V
LおよびV
Hドメインの3次元モデルを生成した(具体例として抗CD19を示す)。構造ファイルは、相同性モデリングのテンプレートとして構造抗体データベースであるSAbDabから、SWISS-MODEL内で自動的にアクセスされるPDB構造ファイルを使用して抽出した。
【0038】
【
図9-1】
図9A~
図9Cは、ヒトCD19可変重鎖の3D構造モデリングを示す。
図9Aは、hCD19V
Lドメインの特定の例について、SWISS-MODELで、スコア(GMQE)およびマッチング法(BLASTまたはHHblits)を使用して、最も一致する(構造的に相同な)構造のリストを生成したことを示す。
図9B~
図9Cは、その後、最高のスコア構造(2fgw)を、下のパネルに示されるようにhCD19V
Lドメイン(「標的」)とアラインさせたことを示す。
【
図9-2】
図9A~
図9Cは、ヒトCD19可変重鎖の3D構造モデリングを示す。
図9Aは、hCD19V
Lドメインの特定の例について、SWISS-MODELで、スコア(GMQE)およびマッチング法(BLASTまたはHHblits)を使用して、最も一致する(構造的に相同な)構造のリストを生成したことを示す。
図9B~
図9Cは、その後、最高のスコア構造(2fgw)を、下のパネルに示されるようにhCD19V
Lドメイン(「標的」)とアラインさせたことを示す。
【
図9-3】
図9A~
図9Cは、ヒトCD19可変重鎖の3D構造モデリングを示す。
図9Aは、hCD19V
Lドメインの特定の例について、SWISS-MODELで、スコア(GMQE)およびマッチング法(BLASTまたはHHblits)を使用して、最も一致する(構造的に相同な)構造のリストを生成したことを示す。
図9B~
図9Cは、その後、最高のスコア構造(2fgw)を、下のパネルに示されるようにhCD19V
Lドメイン(「標的」)とアラインさせたことを示す。
【
図9-4】
図9A~
図9Cは、ヒトCD19可変重鎖の3D構造モデリングを示す。
図9Aは、hCD19V
Lドメインの特定の例について、SWISS-MODELで、スコア(GMQE)およびマッチング法(BLASTまたはHHblits)を使用して、最も一致する(構造的に相同な)構造のリストを生成したことを示す。
図9B~
図9Cは、その後、最高のスコア構造(2fgw)を、下のパネルに示されるようにhCD19V
Lドメイン(「標的」)とアラインさせたことを示す。
【
図9-5】
図9A~
図9Cは、ヒトCD19可変重鎖の3D構造モデリングを示す。
図9Aは、hCD19V
Lドメインの特定の例について、SWISS-MODELで、スコア(GMQE)およびマッチング法(BLASTまたはHHblits)を使用して、最も一致する(構造的に相同な)構造のリストを生成したことを示す。
図9B~
図9Cは、その後、最高のスコア構造(2fgw)を、下のパネルに示されるようにhCD19V
Lドメイン(「標的」)とアラインさせたことを示す。
【
図9-6】
図9A~
図9Cは、ヒトCD19可変重鎖の3D構造モデリングを示す。
図9Aは、hCD19V
Lドメインの特定の例について、SWISS-MODELで、スコア(GMQE)およびマッチング法(BLASTまたはHHblits)を使用して、最も一致する(構造的に相同な)構造のリストを生成したことを示す。
図9B~
図9Cは、その後、最高のスコア構造(2fgw)を、下のパネルに示されるようにhCD19V
Lドメイン(「標的」)とアラインさせたことを示す。
【0039】
【
図10-1】
図10Aは、マウス抗体からのCDR領域の同定および単離(左上)、ヒトフレームワーク領域の抜粋(右パネル)、およびヒトフレームワーク/マウスCDRグラフティング(左下)を示す、ヒトフレームワークグラフティングの概略図を示す。CDRおよびフレームワーク領域は、上記のように配列分析から収集される。
図10Bは、特定のIgドメインの「ヒト化度」を列挙するために、T20スコアリングシステムを使用するモノクローナル抗体のベースラインヒト化スコアリングを示す(Gaoら、2013)。対照として、スコアリングおよび比較のために現在市場にある抗体からV
LおよびV
Hドメインを抽出した。示された抗体のヒト化度のスコア(右端の列)はV
LおよびV
Hドメインについて収載される。
図10Cは、商業市場向けに承認された初期の治療用抗体はマウスまたはキメラ抗体(可変マウス領域+ヒト定常領域)であり、後の承認はヒト化またはヒト抗体である傾向があることを示す。ヒト化度スコアは、同じ種類の抗体(マウス、キメラ、ヒト化、またはヒト)に群がる傾向があり、ヒト化度スコアの増加はヒト化度の内容に相関する。
図10Dは、抗体のFDA承認の年までの可変重鎖のヒト化スコアリングを示す。ヒト化度スコアは、同じ種類の抗体(マウス、キメラ、ヒト化、またはヒト)に群がる傾向があり、ヒト化度スコアの増加はヒト化度の内容に相関する。V
Hドメインはサイズが大きいため、ヒト化度スコアが(V
Lと比較して)低くなる傾向がある。
図10Eは、示された抗体のヒト化スコアリングを示す。抗治療抗体応答の頻度は%として示され、評価された患者群の大きさが括弧内に示されている。一般に、ヒトまたはヒト化抗体が多いほど、臨床使用で免疫原性が報告される回数が少なくなる。
図10Fは、hCD19-CAR(配列番号1)およびmCD19-CAR(配列番号3)の可変軽鎖のヒト化スコアリングを示す。
図10Gは、hCD19-CAR(配列番号2)およびmCD19-CAR(配列番号4)の可変重鎖のヒト化スコアリングを示す。
【
図10-2】
図10Aは、マウス抗体からのCDR領域の同定および単離(左上)、ヒトフレームワーク領域の抜粋(右パネル)、およびヒトフレームワーク/マウスCDRグラフティング(左下)を示す、ヒトフレームワークグラフティングの概略図を示す。CDRおよびフレームワーク領域は、上記のように配列分析から収集される。
図10Bは、特定のIgドメインの「ヒト化度」を列挙するために、T20スコアリングシステムを使用するモノクローナル抗体のベースラインヒト化スコアリングを示す(Gaoら、2013)。対照として、スコアリングおよび比較のために現在市場にある抗体からV
LおよびV
Hドメインを抽出した。示された抗体のヒト化度のスコア(右端の列)はV
LおよびV
Hドメインについて収載される。
図10Cは、商業市場向けに承認された初期の治療用抗体はマウスまたはキメラ抗体(可変マウス領域+ヒト定常領域)であり、後の承認はヒト化またはヒト抗体である傾向があることを示す。ヒト化度スコアは、同じ種類の抗体(マウス、キメラ、ヒト化、またはヒト)に群がる傾向があり、ヒト化度スコアの増加はヒト化度の内容に相関する。
図10Dは、抗体のFDA承認の年までの可変重鎖のヒト化スコアリングを示す。ヒト化度スコアは、同じ種類の抗体(マウス、キメラ、ヒト化、またはヒト)に群がる傾向があり、ヒト化度スコアの増加はヒト化度の内容に相関する。V
Hドメインはサイズが大きいため、ヒト化度スコアが(V
Lと比較して)低くなる傾向がある。
図10Eは、示された抗体のヒト化スコアリングを示す。抗治療抗体応答の頻度は%として示され、評価された患者群の大きさが括弧内に示されている。一般に、ヒトまたはヒト化抗体が多いほど、臨床使用で免疫原性が報告される回数が少なくなる。
図10Fは、hCD19-CAR(配列番号1)およびmCD19-CAR(配列番号3)の可変軽鎖のヒト化スコアリングを示す。
図10Gは、hCD19-CAR(配列番号2)およびmCD19-CAR(配列番号4)の可変重鎖のヒト化スコアリングを示す。
【
図10-3】
図10Aは、マウス抗体からのCDR領域の同定および単離(左上)、ヒトフレームワーク領域の抜粋(右パネル)、およびヒトフレームワーク/マウスCDRグラフティング(左下)を示す、ヒトフレームワークグラフティングの概略図を示す。CDRおよびフレームワーク領域は、上記のように配列分析から収集される。
図10Bは、特定のIgドメインの「ヒト化度」を列挙するために、T20スコアリングシステムを使用するモノクローナル抗体のベースラインヒト化スコアリングを示す(Gaoら、2013)。対照として、スコアリングおよび比較のために現在市場にある抗体からV
LおよびV
Hドメインを抽出した。示された抗体のヒト化度のスコア(右端の列)はV
LおよびV
Hドメインについて収載される。
図10Cは、商業市場向けに承認された初期の治療用抗体はマウスまたはキメラ抗体(可変マウス領域+ヒト定常領域)であり、後の承認はヒト化またはヒト抗体である傾向があることを示す。ヒト化度スコアは、同じ種類の抗体(マウス、キメラ、ヒト化、またはヒト)に群がる傾向があり、ヒト化度スコアの増加はヒト化度の内容に相関する。
図10Dは、抗体のFDA承認の年までの可変重鎖のヒト化スコアリングを示す。ヒト化度スコアは、同じ種類の抗体(マウス、キメラ、ヒト化、またはヒト)に群がる傾向があり、ヒト化度スコアの増加はヒト化度の内容に相関する。V
Hドメインはサイズが大きいため、ヒト化度スコアが(V
Lと比較して)低くなる傾向がある。
図10Eは、示された抗体のヒト化スコアリングを示す。抗治療抗体応答の頻度は%として示され、評価された患者群の大きさが括弧内に示されている。一般に、ヒトまたはヒト化抗体が多いほど、臨床使用で免疫原性が報告される回数が少なくなる。
図10Fは、hCD19-CAR(配列番号1)およびmCD19-CAR(配列番号3)の可変軽鎖のヒト化スコアリングを示す。
図10Gは、hCD19-CAR(配列番号2)およびmCD19-CAR(配列番号4)の可変重鎖のヒト化スコアリングを示す。
【
図10-4】
図10Aは、マウス抗体からのCDR領域の同定および単離(左上)、ヒトフレームワーク領域の抜粋(右パネル)、およびヒトフレームワーク/マウスCDRグラフティング(左下)を示す、ヒトフレームワークグラフティングの概略図を示す。CDRおよびフレームワーク領域は、上記のように配列分析から収集される。
図10Bは、特定のIgドメインの「ヒト化度」を列挙するために、T20スコアリングシステムを使用するモノクローナル抗体のベースラインヒト化スコアリングを示す(Gaoら、2013)。対照として、スコアリングおよび比較のために現在市場にある抗体からV
LおよびV
Hドメインを抽出した。示された抗体のヒト化度のスコア(右端の列)はV
LおよびV
Hドメインについて収載される。
図10Cは、商業市場向けに承認された初期の治療用抗体はマウスまたはキメラ抗体(可変マウス領域+ヒト定常領域)であり、後の承認はヒト化またはヒト抗体である傾向があることを示す。ヒト化度スコアは、同じ種類の抗体(マウス、キメラ、ヒト化、またはヒト)に群がる傾向があり、ヒト化度スコアの増加はヒト化度の内容に相関する。
図10Dは、抗体のFDA承認の年までの可変重鎖のヒト化スコアリングを示す。ヒト化度スコアは、同じ種類の抗体(マウス、キメラ、ヒト化、またはヒト)に群がる傾向があり、ヒト化度スコアの増加はヒト化度の内容に相関する。V
Hドメインはサイズが大きいため、ヒト化度スコアが(V
Lと比較して)低くなる傾向がある。
図10Eは、示された抗体のヒト化スコアリングを示す。抗治療抗体応答の頻度は%として示され、評価された患者群の大きさが括弧内に示されている。一般に、ヒトまたはヒト化抗体が多いほど、臨床使用で免疫原性が報告される回数が少なくなる。
図10Fは、hCD19-CAR(配列番号1)およびmCD19-CAR(配列番号3)の可変軽鎖のヒト化スコアリングを示す。
図10Gは、hCD19-CAR(配列番号2)およびmCD19-CAR(配列番号4)の可変重鎖のヒト化スコアリングを示す。
【
図10-5】
図10Aは、マウス抗体からのCDR領域の同定および単離(左上)、ヒトフレームワーク領域の抜粋(右パネル)、およびヒトフレームワーク/マウスCDRグラフティング(左下)を示す、ヒトフレームワークグラフティングの概略図を示す。CDRおよびフレームワーク領域は、上記のように配列分析から収集される。
図10Bは、特定のIgドメインの「ヒト化度」を列挙するために、T20スコアリングシステムを使用するモノクローナル抗体のベースラインヒト化スコアリングを示す(Gaoら、2013)。対照として、スコアリングおよび比較のために現在市場にある抗体からV
LおよびV
Hドメインを抽出した。示された抗体のヒト化度のスコア(右端の列)はV
LおよびV
Hドメインについて収載される。
図10Cは、商業市場向けに承認された初期の治療用抗体はマウスまたはキメラ抗体(可変マウス領域+ヒト定常領域)であり、後の承認はヒト化またはヒト抗体である傾向があることを示す。ヒト化度スコアは、同じ種類の抗体(マウス、キメラ、ヒト化、またはヒト)に群がる傾向があり、ヒト化度スコアの増加はヒト化度の内容に相関する。
図10Dは、抗体のFDA承認の年までの可変重鎖のヒト化スコアリングを示す。ヒト化度スコアは、同じ種類の抗体(マウス、キメラ、ヒト化、またはヒト)に群がる傾向があり、ヒト化度スコアの増加はヒト化度の内容に相関する。V
Hドメインはサイズが大きいため、ヒト化度スコアが(V
Lと比較して)低くなる傾向がある。
図10Eは、示された抗体のヒト化スコアリングを示す。抗治療抗体応答の頻度は%として示され、評価された患者群の大きさが括弧内に示されている。一般に、ヒトまたはヒト化抗体が多いほど、臨床使用で免疫原性が報告される回数が少なくなる。
図10Fは、hCD19-CAR(配列番号1)およびmCD19-CAR(配列番号3)の可変軽鎖のヒト化スコアリングを示す。
図10Gは、hCD19-CAR(配列番号2)およびmCD19-CAR(配列番号4)の可変重鎖のヒト化スコアリングを示す。
【
図10-6】
図10Aは、マウス抗体からのCDR領域の同定および単離(左上)、ヒトフレームワーク領域の抜粋(右パネル)、およびヒトフレームワーク/マウスCDRグラフティング(左下)を示す、ヒトフレームワークグラフティングの概略図を示す。CDRおよびフレームワーク領域は、上記のように配列分析から収集される。
図10Bは、特定のIgドメインの「ヒト化度」を列挙するために、T20スコアリングシステムを使用するモノクローナル抗体のベースラインヒト化スコアリングを示す(Gaoら、2013)。対照として、スコアリングおよび比較のために現在市場にある抗体からV
LおよびV
Hドメインを抽出した。示された抗体のヒト化度のスコア(右端の列)はV
LおよびV
Hドメインについて収載される。
図10Cは、商業市場向けに承認された初期の治療用抗体はマウスまたはキメラ抗体(可変マウス領域+ヒト定常領域)であり、後の承認はヒト化またはヒト抗体である傾向があることを示す。ヒト化度スコアは、同じ種類の抗体(マウス、キメラ、ヒト化、またはヒト)に群がる傾向があり、ヒト化度スコアの増加はヒト化度の内容に相関する。
図10Dは、抗体のFDA承認の年までの可変重鎖のヒト化スコアリングを示す。ヒト化度スコアは、同じ種類の抗体(マウス、キメラ、ヒト化、またはヒト)に群がる傾向があり、ヒト化度スコアの増加はヒト化度の内容に相関する。V
Hドメインはサイズが大きいため、ヒト化度スコアが(V
Lと比較して)低くなる傾向がある。
図10Eは、示された抗体のヒト化スコアリングを示す。抗治療抗体応答の頻度は%として示され、評価された患者群の大きさが括弧内に示されている。一般に、ヒトまたはヒト化抗体が多いほど、臨床使用で免疫原性が報告される回数が少なくなる。
図10Fは、hCD19-CAR(配列番号1)およびmCD19-CAR(配列番号3)の可変軽鎖のヒト化スコアリングを示す。
図10Gは、hCD19-CAR(配列番号2)およびmCD19-CAR(配列番号4)の可変重鎖のヒト化スコアリングを示す。
【
図10-7】
図10Aは、マウス抗体からのCDR領域の同定および単離(左上)、ヒトフレームワーク領域の抜粋(右パネル)、およびヒトフレームワーク/マウスCDRグラフティング(左下)を示す、ヒトフレームワークグラフティングの概略図を示す。CDRおよびフレームワーク領域は、上記のように配列分析から収集される。
図10Bは、特定のIgドメインの「ヒト化度」を列挙するために、T20スコアリングシステムを使用するモノクローナル抗体のベースラインヒト化スコアリングを示す(Gaoら、2013)。対照として、スコアリングおよび比較のために現在市場にある抗体からV
LおよびV
Hドメインを抽出した。示された抗体のヒト化度のスコア(右端の列)はV
LおよびV
Hドメインについて収載される。
図10Cは、商業市場向けに承認された初期の治療用抗体はマウスまたはキメラ抗体(可変マウス領域+ヒト定常領域)であり、後の承認はヒト化またはヒト抗体である傾向があることを示す。ヒト化度スコアは、同じ種類の抗体(マウス、キメラ、ヒト化、またはヒト)に群がる傾向があり、ヒト化度スコアの増加はヒト化度の内容に相関する。
図10Dは、抗体のFDA承認の年までの可変重鎖のヒト化スコアリングを示す。ヒト化度スコアは、同じ種類の抗体(マウス、キメラ、ヒト化、またはヒト)に群がる傾向があり、ヒト化度スコアの増加はヒト化度の内容に相関する。V
Hドメインはサイズが大きいため、ヒト化度スコアが(V
Lと比較して)低くなる傾向がある。
図10Eは、示された抗体のヒト化スコアリングを示す。抗治療抗体応答の頻度は%として示され、評価された患者群の大きさが括弧内に示されている。一般に、ヒトまたはヒト化抗体が多いほど、臨床使用で免疫原性が報告される回数が少なくなる。
図10Fは、hCD19-CAR(配列番号1)およびmCD19-CAR(配列番号3)の可変軽鎖のヒト化スコアリングを示す。
図10Gは、hCD19-CAR(配列番号2)およびmCD19-CAR(配列番号4)の可変重鎖のヒト化スコアリングを示す。
【0040】
【
図11-1】
図11Aは、CD19-CARおよびhCD19-CAR構築物の概略図を示す。
図11Bは、CARの形質導入効率を示す。
図11Cは、K562細胞に対する異なるCAR構築物の細胞傷害性を示す。
図11Dは、Raji細胞に対する異なるCAR構築物の細胞傷害性を示す。
図11Eは、示されたエフェクター:標的比でK562またはRaji細胞に対する対照CD3ζ/IgG1 CARまたはヒト化CD3ζ/IgG1 CARを有する細胞の細胞傷害性アッセイを示す。
【
図11-2】
図11Aは、CD19-CARおよびhCD19-CAR構築物の概略図を示す。
図11Bは、CARの形質導入効率を示す。
図11Cは、K562細胞に対する異なるCAR構築物の細胞傷害性を示す。
図11Dは、Raji細胞に対する異なるCAR構築物の細胞傷害性を示す。
図11Eは、示されたエフェクター:標的比でK562またはRaji細胞に対する対照CD3ζ/IgG1 CARまたはヒト化CD3ζ/IgG1 CARを有する細胞の細胞傷害性アッセイを示す。
【
図11-3】
図11Aは、CD19-CARおよびhCD19-CAR構築物の概略図を示す。
図11Bは、CARの形質導入効率を示す。
図11Cは、K562細胞に対する異なるCAR構築物の細胞傷害性を示す。
図11Dは、Raji細胞に対する異なるCAR構築物の細胞傷害性を示す。
図11Eは、示されたエフェクター:標的比でK562またはRaji細胞に対する対照CD3ζ/IgG1 CARまたはヒト化CD3ζ/IgG1 CARを有する細胞の細胞傷害性アッセイを示す。
【
図11-4】
図11Aは、CD19-CARおよびhCD19-CAR構築物の概略図を示す。
図11Bは、CARの形質導入効率を示す。
図11Cは、K562細胞に対する異なるCAR構築物の細胞傷害性を示す。
図11Dは、Raji細胞に対する異なるCAR構築物の細胞傷害性を示す。
図11Eは、示されたエフェクター:標的比でK562またはRaji細胞に対する対照CD3ζ/IgG1 CARまたはヒト化CD3ζ/IgG1 CARを有する細胞の細胞傷害性アッセイを示す。
【
図11-5】
図11Aは、CD19-CARおよびhCD19-CAR構築物の概略図を示す。
図11Bは、CARの形質導入効率を示す。
図11Cは、K562細胞に対する異なるCAR構築物の細胞傷害性を示す。
図11Dは、Raji細胞に対する異なるCAR構築物の細胞傷害性を示す。
図11Eは、示されたエフェクター:標的比でK562またはRaji細胞に対する対照CD3ζ/IgG1 CARまたはヒト化CD3ζ/IgG1 CARを有する細胞の細胞傷害性アッセイを示す。
【
図11-6】
図11Aは、CD19-CARおよびhCD19-CAR構築物の概略図を示す。
図11Bは、CARの形質導入効率を示す。
図11Cは、K562細胞に対する異なるCAR構築物の細胞傷害性を示す。
図11Dは、Raji細胞に対する異なるCAR構築物の細胞傷害性を示す。
図11Eは、示されたエフェクター:標的比でK562またはRaji細胞に対する対照CD3ζ/IgG1 CARまたはヒト化CD3ζ/IgG1 CARを有する細胞の細胞傷害性アッセイを示す。
【
図11-7】
図11Aは、CD19-CARおよびhCD19-CAR構築物の概略図を示す。
図11Bは、CARの形質導入効率を示す。
図11Cは、K562細胞に対する異なるCAR構築物の細胞傷害性を示す。
図11Dは、Raji細胞に対する異なるCAR構築物の細胞傷害性を示す。
図11Eは、示されたエフェクター:標的比でK562またはRaji細胞に対する対照CD3ζ/IgG1 CARまたはヒト化CD3ζ/IgG1 CARを有する細胞の細胞傷害性アッセイを示す。
【
図11-8】
図11Aは、CD19-CARおよびhCD19-CAR構築物の概略図を示す。
図11Bは、CARの形質導入効率を示す。
図11Cは、K562細胞に対する異なるCAR構築物の細胞傷害性を示す。
図11Dは、Raji細胞に対する異なるCAR構築物の細胞傷害性を示す。
図11Eは、示されたエフェクター:標的比でK562またはRaji細胞に対する対照CD3ζ/IgG1 CARまたはヒト化CD3ζ/IgG1 CARを有する細胞の細胞傷害性アッセイを示す。
【0041】
【
図12-1】
図12Aは、CD319-CAR NK形質導入を示す。
図12Bは、NK細胞の成長曲線を示す。
図12Cは、細胞株でのCD319発現を示す。
図12D~Fは、CD319-CAR NK細胞傷害性アッセイを示す。
図12Gは、K562、MM.1S、およびOPM2を含む示された細胞型に対するCD319-CAR NK細胞を用いる細胞傷害性アッセイを示す。
図12H~Iは、CD319-CAR NK細胞がエフェクター表現型を有することを示す。
【
図12-2】
図12Aは、CD319-CAR NK形質導入を示す。
図12Bは、NK細胞の成長曲線を示す。
図12Cは、細胞株でのCD319発現を示す。
図12D~Fは、CD319-CAR NK細胞傷害性アッセイを示す。
図12Gは、K562、MM.1S、およびOPM2を含む示された細胞型に対するCD319-CAR NK細胞を用いる細胞傷害性アッセイを示す。
図12H~Iは、CD319-CAR NK細胞がエフェクター表現型を有することを示す。
【
図12-3】
図12Aは、CD319-CAR NK形質導入を示す。
図12Bは、NK細胞の成長曲線を示す。
図12Cは、細胞株でのCD319発現を示す。
図12D~Fは、CD319-CAR NK細胞傷害性アッセイを示す。
図12Gは、K562、MM.1S、およびOPM2を含む示された細胞型に対するCD319-CAR NK細胞を用いる細胞傷害性アッセイを示す。
図12H~Iは、CD319-CAR NK細胞がエフェクター表現型を有することを示す。
【
図12-4】
図12Aは、CD319-CAR NK形質導入を示す。
図12Bは、NK細胞の成長曲線を示す。
図12Cは、細胞株でのCD319発現を示す。
図12D~Fは、CD319-CAR NK細胞傷害性アッセイを示す。
図12Gは、K562、MM.1S、およびOPM2を含む示された細胞型に対するCD319-CAR NK細胞を用いる細胞傷害性アッセイを示す。
図12H~Iは、CD319-CAR NK細胞がエフェクター表現型を有することを示す。
【
図12-5】
図12Aは、CD319-CAR NK形質導入を示す。
図12Bは、NK細胞の成長曲線を示す。
図12Cは、細胞株でのCD319発現を示す。
図12D~Fは、CD319-CAR NK細胞傷害性アッセイを示す。
図12Gは、K562、MM.1S、およびOPM2を含む示された細胞型に対するCD319-CAR NK細胞を用いる細胞傷害性アッセイを示す。
図12H~Iは、CD319-CAR NK細胞がエフェクター表現型を有することを示す。
【
図12-6】
図12Aは、CD319-CAR NK形質導入を示す。
図12Bは、NK細胞の成長曲線を示す。
図12Cは、細胞株でのCD319発現を示す。
図12D~Fは、CD319-CAR NK細胞傷害性アッセイを示す。
図12Gは、K562、MM.1S、およびOPM2を含む示された細胞型に対するCD319-CAR NK細胞を用いる細胞傷害性アッセイを示す。
図12H~Iは、CD319-CAR NK細胞がエフェクター表現型を有することを示す。
【
図12-7】
図12Aは、CD319-CAR NK形質導入を示す。
図12Bは、NK細胞の成長曲線を示す。
図12Cは、細胞株でのCD319発現を示す。
図12D~Fは、CD319-CAR NK細胞傷害性アッセイを示す。
図12Gは、K562、MM.1S、およびOPM2を含む示された細胞型に対するCD319-CAR NK細胞を用いる細胞傷害性アッセイを示す。
図12H~Iは、CD319-CAR NK細胞がエフェクター表現型を有することを示す。
【
図12-8】
図12Aは、CD319-CAR NK形質導入を示す。
図12Bは、NK細胞の成長曲線を示す。
図12Cは、細胞株でのCD319発現を示す。
図12D~Fは、CD319-CAR NK細胞傷害性アッセイを示す。
図12Gは、K562、MM.1S、およびOPM2を含む示された細胞型に対するCD319-CAR NK細胞を用いる細胞傷害性アッセイを示す。
図12H~Iは、CD319-CAR NK細胞がエフェクター表現型を有することを示す。
【
図12-9】
図12Aは、CD319-CAR NK形質導入を示す。
図12Bは、NK細胞の成長曲線を示す。
図12Cは、細胞株でのCD319発現を示す。
図12D~Fは、CD319-CAR NK細胞傷害性アッセイを示す。
図12Gは、K562、MM.1S、およびOPM2を含む示された細胞型に対するCD319-CAR NK細胞を用いる細胞傷害性アッセイを示す。
図12H~Iは、CD319-CAR NK細胞がエフェクター表現型を有することを示す。
【
図12-10】
図12Aは、CD319-CAR NK形質導入を示す。
図12Bは、NK細胞の成長曲線を示す。
図12Cは、細胞株でのCD319発現を示す。
図12D~Fは、CD319-CAR NK細胞傷害性アッセイを示す。
図12Gは、K562、MM.1S、およびOPM2を含む示された細胞型に対するCD319-CAR NK細胞を用いる細胞傷害性アッセイを示す。
図12H~Iは、CD319-CAR NK細胞がエフェクター表現型を有することを示す。
【発明を実施するための形態】
【0042】
例示の実施形態の説明
キメラ抗原受容体(CAR)に基づく細胞免疫療法は、癌の処置において、特に白血病およびリンパ腫の処置にかなりの有効性を示している。それにもかかわらず、現在利用可能なCARは、様々な設計上の欠陥を含む可能性がある。CARを使用して標的癌免疫療法のために免疫細胞を再プログラムする最近の臨床結果は、強力な抗腫瘍細胞傷害性を示している。大部分のCAR単鎖可変断片(scFv)モジュールはマウス抗体の誘導体であるため、ヒト抗マウス免疫反応は、このようにして得られたCARの効力を損なう。
【0043】
従って、一部の実施形態では、本開示は、抗原に対してヒト化CAR(hCAR)を操作するプラットフォーム技術を提供する。抗原には、CD19(hCD19CAR)、CD123(hCD123CAR)、メソテリン(hMesoCAR)、ROR1(hROR1CAR)、CD5(hCD5CAR)、CLL-1(hCLL-1CAR)、および/またはCD99(hCD99CAR)ならびに癌または自己免疫障害などの疾患の処置のために標的となり得るその他の抗原が含まれ得る。従って、特定の実施形態では、本開示は、ヒト化CARおよび癌の処置におけるそれらの使用方法をさらに提供する。
【0044】
一部の実施形態では、本開示は、CAR、具体的にはCARのscFvのヒト化のためのプラットフォームを提供する。このプロセスは、実施例1に記載される5つのモジュールコンポーネントに従う。これらには、配列解析、3D構造モデリング、ヒトフレームワークグラフティング、ヒト化スコアリング、および機能分析が含まれ得る。次に、IgGは、ヒト化プロセスに焦点を合わせ、アロタイプ(すなわち、同じアイソタイプのバージョン)の広範な配列変異を利用して、ヒトフレームワークの選択を微調整する(
図2)。
【0045】
最初のステップでは、ヒト重鎖および軽鎖の抗体配列を、GenBankなどの供給源からのローカルデータベースで精選することができる。可変ドメインは、IgBLAST(BLASTの1つのバージョン)を使用してアラインさせて、アロタイプを線引きし、相同性に従って配列を分類することができる。次いで、CDR領域を特定することができ、フレームワーク配列をカタログに登録する(
図1A)。次いで、例えばタンパク質構造相同性モデラー(例えば、SWISS-MODEL)を使用して、3D構造モデリングを実行することができる。
【0046】
一部の実施形態では、免疫細胞は、本明細書に記載されるヒト化scFvでCARを発現するように操作されている。免疫細胞は、NK細胞および/またはT細胞、例えば末梢血、臍帯血、または骨髄由来の浸潤リンパ球に由来するものなどであってよい。本発明のヒト化プラットフォームから誘導されるscFvを含む免疫細胞は、ヒト抗マウス抗体(HAMA)産生の可能性と、遺伝子組み換え免疫細胞療法製品の関連する免疫介在性拒絶反応を軽減することができる。
【0047】
従って、さらなる実施形態は、ヒト化scFvを有するCARを発現する免疫細胞を投与することによって疾患または障害を処置する方法を提供する。これらの方法を使用することにより、免疫拒絶反応が低下し、注入された細胞療法製品の持続性が長くなる。処置することができる例となる被験体としては、CD19+CLL、ALLおよびNHLを有する癌患者;AML、CML.MDSおよびBPDCNをはじめとするCD123陽性悪性腫瘍;子宮頸癌、子宮内膜癌、および頭頚部癌をはじめとするメソテリン陽性癌;CLL(例えば、以前にCAR療法を受けていないかまたはCD19陰性疾患でCD19-CARの後に再発した人)、乳癌、卵巣癌および膵臓癌をはじめとするROR1陽性悪性腫瘍;ALLおよびNHLをはじめとするCD5陽性悪性腫瘍ならびに胸腺癌が挙げられる。
【0048】
さらなる実施形態では、本開示は、切断型EGFRvIIIを含むCARを提供し、該受容体は、細胞質エンドドメインまたは機能性EGF結合ドメインを含まず、本明細書においてEv3と呼ばれる。EGFRvIIIは、多形神経膠芽腫および肺癌などの腫瘍細胞にのみ見出され、上皮細胞などの正常なEGFR発現細胞には見出されないEGFR変異体である。EGFRvIIIは、エクソン2~7の欠失(801塩基対のインフレーム欠失、野生型と比較して267アミノ酸が欠損)をもたらす体細胞変異を有する。EGFRvIIIの欠失は、ドメイン1および2の大部分も網羅し、その結果切断型ドメイン1および切断型ドメイン2がもたらされる。さらに、EGFRvIIIは、余分なグリシン残基(アミノ酸6~273はグリシン残基;すなわちLEEKKGNYVVTDに置き換えられる)を生成するエクソン1とエクソン8との融合の結果として特異的エピトープを有し、これは例えば多形神経膠芽腫の場合には腫瘍特異的抗原を形成する。
【0049】
Ev3(またはtEv3)と呼ばれる、本明細書で提供される切断型EGFRvIIIは、エンドドメインまたは機能性EGF結合ドメインを含まない。具体的には、Ev3細胞外ドメインは、a)シグナル伝達、b)CAR陽性を割り当てるための細胞マーカー、およびc)抗体結合(例えば、セツキシマブとの)による細胞除去のための抗原マーカーのために、膜貫通および細胞内シグナル伝達ドメインを除くCARのストークとして使用することができる。特定の態様では、Ev3は、EGFRの切断型ドメイン1(L1)、切断型ドメイン2(CR1)、ドメイン3(L2)、およびドメイン4(CR2)(
図2Bに示す通り)を含む。Ev3の例となる配列は
図2Cに示される。本発明のEv3は、
図2Cの配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一の配列を含み得る。セツキシマブ結合部位(ドメイン3内)は、Ev3と野生型EGFR細胞外ドメインの両方で保存される。セツキシマブ(および/またはパニツムマブ)結合部位に加えて、Ev3エピトープは、その他の抗体(例えば、MR1、mAb 806、およびDH8.3)の追加の結合部位を提示する。
【0050】
本明細書で提供されるCARは、Ev3を、scFv(すなわち抗原認識ドメイン)とシグナル伝達ドメイン(すなわちCD28およびCD3ζ)を共有結合する抗原安全スイッチを兼ねることができる統合シグナル伝達ヒンジとして使用することができる。Ev3は、インビトロおよびインビボでのCAR免疫細胞の検出も可能にする。その上、Ev3ヒンジは、遺伝的負荷(CAR)の保持を保証する。
【0051】
本明細書で提供されるEv3ヒンジのさらなる態様は、EGFRvIIIに特異的であり、他の組織および細胞、例えば上皮細胞などに存在するEGFRのドメインIIIおよびIVと交差反応しない抗体、例えばMR1などによって標的となるその能力である。セツキシマブおよびパニツムマブは、臨床的に利用可能な抗体であってFDAに承認されているので、CD19、CD123、CD5、ROR1、CD33、CD99、およびメソテリンなどの異なる抗原特異性をもつ各CARのイディオタイプ抗体の規制承認を得る必要がない。Ev3-CARを標的にする能力は、CAR陽性細胞および/または制御された細胞除去を検出するために使用することができる。細胞除去は、サイトカイン放出症候群、神経毒性、および/またはオンターゲットまたはオフ腫瘍活性などの有害事象の場合に望ましいことがある。Ev3はT細胞またはNK細胞などの免疫細胞で標準的に発現しないので、Ev3を強制発現させると、遺伝子組換免疫細胞を特異的にマークすることになる。最後に、Ev3は、シグナル伝達エンドドメイン(細胞質ドメインが除去されるため)またはEGF結合ドメインを含まず、Ev3を含むCARは、細胞の外側または内側のいずれにおいてもEGFシグナル伝達経路(例えば、AR、ARF4、CAV1、CAV3、CBL、CBLB、CBLC、CD44、CDC25A、CRK、CTNNB1、DCN、EGF、GRB14、Grb2、JAK2、MUC1、NCK1、NCK2、PKCα、PLCG1、PLSCR1、PTPN1、PTPN11、PTPN6、PTPRK、SH2D3A、SH3KBP1、SHC1、SOS1、Src、STAT1、STAT3、STAT3、STAT5A、UBC、WAS)に応答またはクロストークしないことになる。従って、特定の態様では、これらの遺伝子産物はいずれも、Ev3-CARSのEv3ヒンジに干渉しないと予想される。特定の態様では、Ev3には1、2、3、またはそれを超える変更があることがある。
【0052】
さらなる態様では、Ev3-CARの機能、有効性、および細胞の持続性は、NK細胞活性化の重要な要素であるDNAX活性化タンパク質12(DAP12)シグナル伝達モジュールをEv3-DAP12-CARに組み込むことによってさらに強化され得る。
【0053】
さらなる実施形態は、本明細書で提供されるCARをT細胞およびNK細胞などの免疫細胞に導入する方法を提供する。CAR-TまたはCAR-NK細胞は、癌の処置などのために被験体に投与されてよい。特に、CAR-TまたはCAR-NK細胞で処置され得る癌には、白血病およびリンパ腫、例えば慢性リンパ性白血病(CLL)、急性リンパ性白血病(ALL)、および非ホジキンリンパ腫(NHL)などが含まれる。
I.定義
【0054】
本明細書において使用される、指定された成分に関して「本質的に含まない」は、指定された成分が意図的に組成物に配合されていないこと、および/または汚染物質としてまたは微量でのみ存在することを意味するために本明細書で使用される。そのため、組成物の意図しない汚染から生じる指定された成分の総量は、0.05%をはるかに下回り、好ましくは0.01%を下回る。最も好ましいのは、指定された成分が標準的な分析方法では検出することができない組成物である。
【0055】
本明細書において使用される場合、「a」または「an」は、1つまたは複数を意味し得る。本明細書の1または複数の請求項において、「含む」という語と併せて使用される場合、「a」または「an」という語は1つまたは複数を意味し得る。
【0056】
請求項における用語「または」の使用は、代替物のみを指すように明示的に示されていない限り、または代替物が相互に排他的でない限り、「および/または」を意味するために使用されるが、本開示は、代替物および「および/または」のみを指す定義を支持する。本明細書において使用される場合、「もう一つの」は、少なくとも第2のまたはそれよりも多くを意味し得る。用語「約」、「実質的に」および「およそ」は、一般に、述べた値のプラスマイナス5%を意味する。
【0057】
用語「外因性」は、細胞または生物のタンパク質、遺伝子、核酸、またはポリヌクレオチドに関連して使用される場合、人工的手段または自然な手段によって細胞または生物に導入されたタンパク質、遺伝子、核酸、またはポリヌクレオチドを指す;あるいは細胞に関連して使用される場合、この用語は、単離されて、その後に人工的手段または自然な手段によって他の細胞または生物に導入された細胞を指す。外因性核酸は、異なる生物または細胞由来のものであってもよいし、あるいはそれは生物または細胞内で自然に生じる核酸の1またはそれを超える追加のコピーであってもよい。外因性細胞は、異なる生物由来であってもよいし、またはそれは同じ生物由来であってもよい。限定されない例として、外因性核酸とは、天然の細胞にある染色体位置とは異なる染色体位置にあるか、そうでなければ自然界に見られるものとは異なる核酸配列が隣接している核酸である。
【0058】
「発現構築物」または「発現カセット」は、転写を指示することができる核酸分子を意味する。発現構築物には、最小でも、1またはそれを超える所望の細胞型、組織または器官での遺伝子発現を指示する、1またはそれを超える転写制御要素(例えばプロモーター、エンハンサーまたはその機能的に等価な構造など)が含まれる。さらなる要素、例えば転写終結シグナルなどが含まれていてもよい。
【0059】
「ベクター」または「構築物」(遺伝子送達系または遺伝子導入「ビヒクル」と呼ばれることもある)とは、インビトロまたはインビボのいずれかで、宿主細胞に送達されるポリヌクレオチドを含む高分子または分子の複合体を指す。
【0060】
一般的な種類のベクターである「プラスミド」は、染色体DNAから独立して複製することができる、染色体DNAとは別の染色体外DNA分子である。場合によっては、それは環状で二重鎖である。
【0061】
本明細書において使用される、用語「患者」または「被験体」とは、生きている哺乳類生物、例えばヒト、サル、ウシ、ヒツジ、ヤギ、イヌ、ネコ、マウス、ラット、モルモット、またはそれらのトランスジェニック種を指す。特定の実施形態では、患者または被験体は霊長類である。ヒト患者の限定されない例は、成人、少年、幼児および胎児である。
【0062】
「免疫障害」、「免疫関連障害」、または「免疫介在性障害」とは、免疫応答が疾患の発症または進行において重要な役割を果たす障害を指す。免疫介在性疾患には、自己免疫障害、同種移植片拒絶、移植片対宿主病ならびに炎症およびアレルギー症状が含まれる。
【0063】
「免疫応答」は、刺激に対するB細胞、またはT細胞、または先天性免疫細胞などの免疫系の細胞の応答である。一実施形態では、応答は特定の抗原に特異的である(「抗原特異的応答」)。
【0064】
用語「腫瘍関連抗原」、「腫瘍抗原」、および「癌細胞抗原」は、本明細書において同義的に使用される。いずれの場合も、これらの用語は癌細胞によって特異的または優先的に発現されるタンパク質、糖タンパク質、または炭水化物を指す。
【0065】
「エピトープ」は、アミノ酸配列の特異性によって決定される、抗体によって認識される抗原の部位である。2つの抗体は、競合結合アッセイで測定されるように、各々が他方の抗原との結合を競合的に抑制(ブロック)する場合、同じエピトープに結合すると言われる。あるいは、一方の抗体の結合を減少または排除する抗原の大部分のアミノ酸変異が他方の結合を減少または排除する場合、2つの抗体は同じエピトープを有する。2つの抗体は、各々が他方の抗原との結合を部分的に抑制する場合、かつ/または一方の抗体の結合を減少または排除する一部のアミノ酸変異が他方の結合を減少または排除する場合、重複するエピトープを有すると言われる。
【0066】
疾患または症状の「処置(treating)」または処置(treatment)は、疾患の徴候または症候を緩和するために、1またはそれを超える薬物を患者に投与することを含み得るプロトコルを実行することを指す。処置の望ましい効果には、疾患の進行速度の低下、疾患状態の改善または緩和、および寛解または予後の改善が含まれる。緩和は、疾患または症状の徴候または症候が現れる前、ならびに出現した後に起こり得る。従って、「処置(treating)」または「処置(treatment)」には、疾患または望ましくない症状の「予防(preventing)」または「予防(prevention)」が含まれ得る。加えて、「処置(Treating)」または「処置(treatment)」は、徴候または症候の完全な緩和を必要とせず、治癒を必要とせず、具体的には患者にわずかな効果しか与えないプロトコルを含む。
【0067】
「有効」という用語は、その用語が本明細書および/または特許請求の範囲で使用されている場合、所望される、期待される、または意図される結果を達成するのに十分であることを意味する。「有効量」、「治療上有効な量」または「薬剤有効量」は、患者または被験体を化合物で処置する状況で使用される場合、疾患を処置または予防するために被験体または患者に投与される場合の化合物の量が、疾患のそのような処置または予防をもたらすために十分な量であることを意味する。
【0068】
「処置(treatment)」または「処置(treating)」には、(1)疾患の病態または総体症状を経験または表示している被験体または患者においてその疾患を抑制すること(例えば、病態および/または総体症状のさらなる進展を停止させること)、(2)疾患の病態または総体症状を経験または表示している被験体または患者においてその疾患を改善すること(例えば、病態および/または総体症状を逆転させること)、および/または(3)疾患の病態または総体症状を経験または表示している被験体または患者において疾患またはその症候の測定可能な減少をもたらすことが含まれる。
【0069】
「予防(prevention)」または「予防(preventing)」には、(1)リスクがある、かつ/または疾患の素因があるかもしれないが、疾患の病態または総体症状の一部または全部をまだ経験または表示していない被験体または患者において疾患の発症を抑制すること、および/または(2)リスクがある、かつ/または疾患の素因があるかもしれないが、疾患の病態または総体症状の一部または全部をまだ経験または表示していない被験体または患者において疾患の病態または総体症状の発症を遅らせることが含まれる。
【0070】
本明細書において使用される、用語「1または複数のフレームワーク領域」とは、CDRの足場として作用する抗体の可変領域の領域を指す。従って、フレームワーク領域は、可変軽鎖および可変重鎖の非CDR配列を含み得る。可変領域のCDRは、Sela-Culangら、2013年(参照によりその全文が本明細書に援用される)に記載されているKabatナンバリングシステムを使用するなど、当技術分野で公知の方法によって決定することができる。Kabat(CITE)により記載されるシステムは、抗体のあらゆる可変領域に適用可能な明確な残基番号付けシステムを提供するだけではなく、3つのCDRを定義する正確な残基境界も提供する。
【0071】
本明細書において一般的に使用される場合、「薬学的に許容され得る」とは、健全な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激作用、アレルギー応答、または合理的な利益/リスク比に見合ったその他の問題または合併症なく、人間および動物の組織、器官、および/または体液と接触して使用するのに適している化合物、材料、組成物、および/または剤形を指す。
【0072】
「薬学的に許容され得る塩」とは、上で定義されるように薬学的に許容され得、所望の薬理活性を有する本明細書に開示される化合物の塩を意味する。そのような塩には、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、および同類のものなどの無機酸で形成された酸付加塩;あるいは、1,2-エタンジスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、2-ナフタレンスルホン酸、3-フェニルプロピオン酸、4,4’-メチレンビス(3-ヒドロキシ-2-エン-1-カルボン酸)、4-メチルビシクロ[2.2.2]オクタ-2-エン-1-カルボン酸、酢酸、脂肪族モノおよびジカルボン酸、脂肪族硫酸、芳香族硫酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、炭酸、桂皮酸、クエン酸、シクロペンタンプロピオン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコへプトン酸、グルコン酸、グルタミン酸、グリコール酸、ヘプタン酸、ヘキサン酸、ヒドロキシナフトエ酸、乳酸、ラウリル硫酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ムコン酸、o-(4-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、シュウ酸、p-クロロベンゼンスルホン酸、フェニル置換アルカン酸、プロピオン酸、p-トルエンスルホン酸、ピルビン酸、サリチル酸、ステアリン酸、コハク酸、酒石酸、ターシャリーブチル酢酸、トリメチル酢酸、および同類のものなどの有機酸で形成された酸付加塩が含まれる。薬学的に許容され得る塩には、存在する酸性プロトンが無機または有機塩基と反応できる場合に形成され得る塩基付加塩も含まれる。許容され得る無機塩基には、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アルミニウムおよび水酸化カルシウムが含まれる。許容され得る有機塩基には、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、N-メチルグルカミンおよび同類のものが含まれる。塩が全体として薬理学的に許容され得る限り、本発明の任意の塩の一部を形成する特定の陰イオンまたは陽イオンは決定的に重要ではないということを認識する必要がある。薬学的に許容され得る塩のさらなる例ならびにその調製および使用方法は、Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties,and Use(P.H.Stahl&C.G.Wermuth eds.,Verlag Helvetica Chimica Acta,2002)に記載されている。
【0073】
「薬学的に許容され得る担体」、「薬物担体」、または単に「担体」は、化学薬品の運搬、送達、および/または輸送に関与する有効成分の薬剤とともに処方される薬学的に許容され得る物質である。薬物担体を使用して薬物の送達および有効性を改善することができ、それには、例えば、薬物バイオアベイラビリティを調節し、薬物代謝を減少させ、かつ/または薬物毒性を低減する制御放出技術が含まれる。一部の薬物担体は、特異的な標的部位への薬物送達の有効性を高めることができる。担体の例としては、リポソーム、ミクロスフェア(例えば、ポリ(乳酸-コ-グリコール酸)製)、アルブミンミクロスフェア、合成ポリマー、ナノファイバー、タンパク質-DNA複合体、タンパク質複合体、赤血球、ウイロソームおよびデンドリマーが挙げられる。
【0074】
本明細書において使用される場合、用語「キメラ抗原受容体(CAR)」は、例えば、人工T細胞受容体、キメラT細胞受容体、またはキメラ免疫受容体を指すことがあり、特定の免疫エフェクター細胞に人工的な特異性をグラフティングする操作された受容体を包含し得る。CARを用いて、モノクローナル抗体の特異性をT細胞に付与し、それにより多数の特異的T細胞を例えば養子細胞療法で用いるために生成することができる。特定の実施形態では、CARは細胞の特異性を例えば腫瘍関連抗原に向ける。一部の実施形態では、CARは、細胞内活性化ドメイン、膜貫通ドメイン、および腫瘍関連抗原結合領域を含む細胞外ドメインを含む。特定の態様では、CARは、膜貫通ドメインおよびエンドドメインのCD3ζに融合した、モノクローナル抗体に由来する単鎖可変断片(scFv)の融合を含む。その他のCAR設計の特異性は、受容体(例えば、ペプチド)のリガンドに由来するか、またはデクチンなどのパターン認識受容体に由来してよい。場合によっては、抗原認識ドメインの間隔を改変して、活性化誘発性細胞死を減少させることができる。場合によっては、CARは、さらなる共刺激シグナル伝達のドメイン、例えばCD3ζ、FcR、CD27、CD28、CD137、DAP10、および/またはOX40を含む。一部の例では、分子をCARと共発現させることができ、それには、共刺激分子、イメージング用のレポーター遺伝子(例えば、ポジトロン放出断層撮影用)、プロドラッグの添加時にT細胞を条件付きで除去する遺伝子産物、ホーミング受容体、ケモカイン、ケモカイン受容体、サイトカイン、およびサイトカイン受容体が含まれる。
【0075】
用語「抗原提示細胞(APC)」とは、免疫系の特定のエフェクター細胞によって認識可能なペプチドMHC複合体の形で1またはそれを超える抗原を提示することができ、それにより提示されている1つまたは複数の抗原に対する有効な細胞性免疫応答を誘導する、細胞のクラスを指す。APCは、マクロファージ、B細胞、内皮細胞、活性化T細胞、および樹状細胞などの無傷の全細胞;あるいは、天然に存在するかまたは合成のその他の分子、例えばβ2-ミクログロブリンと複合体化する精製MHCクラスI分子などであってよい。多くの種類の細胞は、T細胞認識のために、それらの細胞表面に抗原を提示する能力があり得るが、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)応答のためにナイーブT細胞を活性化するのに有効な量の抗原を提示する能力を有するのは樹状細胞のみである。
【0076】
用語「培養」とは、適切な培地での細胞のインビトロ維持、分化、および/または増殖を指す。「濃縮された」とは、全細胞に対して、生物内に存在する組織において見られるよりも大きな割合で存在する細胞を含む組成物を意味する。
【0077】
「抗癌」剤は、例えば、癌細胞の死滅を促進する、癌細胞においてアポトーシスを誘発する、癌細胞の増殖速度を低下させる、転移の発生率または数を低下させる、腫瘍サイズを縮小する、腫瘍増殖を抑制する、腫瘍または癌細胞への血液供給を減少させる、癌細胞または腫瘍に対する免疫応答を促進する、癌の進行を防ぐまたは抑制する、または癌を有する被験体の寿命を延ばすことによって、被験体において癌細胞/腫瘍に悪影響を及ぼすことができる。
【0078】
本明細書において使用される場合、用語「自殺遺伝子」は、死滅のために細胞を選択的に標的化するために使用され得る遺伝子として規定される。
【0079】
ポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチド領域(またはポリペプチドまたはポリペプチド領域)が特定の割合(例えば、80%、85%、90%、または95%)の「配列同一性」または「相同性」をもう一つの配列に対して有するということは、アラインさせると、2つの配列を比較する際に、その塩基(またはアミノ酸)の割合が同じになることを意味する。このアライメントおよび相同性パーセントまたは配列同一性パーセントは、当技術分野で公知のソフトウェアプログラム、例えば、CURRENT PROTOCOLS
IN MOLECULAR BIOLOGY(F.M.Ausubelら編、1987)Supplement 30,section 7.7.18,Table 7.7.1.に記載されているものを使用して決定することができる。好ましくは、デフォルトパラメータをアライメントに使用する。好ましいアライメントプログラムは、BLASTであり、デフォルトパラメータを使用する。特に、好ましいプログラムは、BLASTNおよびBLASTPであり、以下のデフォルトパラメータを使用する:遺伝子コード=標準;フィルター=なし;鎖=両方;カットオフ=60;期待値=10;マトリックス=BLOSUM62;記載=50配列;ソート=ハイスコア;データベース=非冗長、GENBANK+EMBL+DDBJ+PDB+GENBANK CDS翻訳+SwissProtein+SPupdate+PIR。
【0080】
本明細書において使用される場合、用語「切断型(truncated)」とは、全長タンパク質またはタンパク質のドメインよりも短いタンパク質の断片またはタンパク質のドメインを指す。トランケーションは、全長配列の1またはそれを超えるアミノ酸、例えば5、10、15、20、25、30またはそれを超えるアミノ酸の除去によるものであり得る。
II.免疫細胞
【0081】
本開示の特定の実施形態は、Ev3をCARのヒンジとして、かつ/またはヒト化scFvをcARの抗原結合ドメインとして用いてCARを発現する免疫細胞に関する。免疫細胞は、T細胞(例えば、制御性T細胞、CD4+T細胞、CD8+T細胞、またはγδT細胞)、NK細胞、インバリアントNK細胞、NKT細胞、幹細胞(例えば、間葉系幹細胞(MSC)または人工多能性幹(iPSC)細胞)であってよい。一部の実施形態では、細胞は、単球または顆粒球、例えば、骨髄系細胞、マクロファージ、好中球、樹状細胞、マスト細胞、好酸球、および/または好塩基球である。本明細書では、免疫細胞を産生および操作する方法、ならびに養子細胞療法のために細胞を使用および投与する方法も提供され、その場合、細胞は自己または同種であり得る。従って、免疫細胞は、癌細胞を標的にするためなどの免疫療法として使用することができる。
【0082】
免疫細胞は、被験体、特にヒト被験体から単離されたものであり得る。免疫細胞は、関心対象の被験体、例えば特定の疾患または症状を有する疑いのある被験体、特定の疾患または症状の素因を有する疑いのある被験体、または特定の疾患または症状の治療を受けている被験体などから得ることができる。免疫細胞は、被験体に存在する任意の場所から収集することができ、それには、限定されるものではないが、血液、臍帯血、脾臓、胸腺、リンパ節、および骨髄が含まれる。単離された免疫細胞は、直接使用してもよいし、凍結などによって一定期間保存してもよい。
【0083】
免疫細胞は、それらが存在する組織から濃縮/精製されてよく、それには、限定されるものではないが、血液(血液バンクまたは臍帯血バンクによって収集された血液を含む)、脾臓、骨髄、外科手術中に除去および/または曝露された組織、ならびに生検手順によって得られた組織が含まれる。免疫細胞が濃縮、単離、および/または精製される組織/器官は、生体および非生体の被験体から単離されてよく、非生体被験体は臓器提供者である。特定の実施形態では、免疫細胞は、血液、例えば末梢血または臍帯血などから単離される。一部の態様では、臍帯血から単離された免疫細胞は、CD4陽性またはCD8陽性T細胞の抑制によって測定されるような免疫調節能力が強化されている。特定の態様では、免疫細胞は、強化された免疫調節能力のために、プールされた血液、特にプールされた臍帯血から単離される。プールされた血液は、2またはそれを超える供給源、例えば3、4、5、6、7、8、9、10またはそれを超える供給源(例えば、ドナー被験体)などに由来してよい。
【0084】
免疫細胞の集団は、治療を必要とする被験体、または免疫細胞活性の低下に関連する疾患に罹患している被験体から得ることができる。従って、細胞は、治療を必要とする被験体にとって自己となる。あるいは、免疫細胞の集団は、ドナー、好ましくは組織適合性が一致したドナーから得ることができる。免疫細胞集団は、末梢血、臍帯血、骨髄、脾臓、または免疫細胞が前記被験体またはドナーに存在するその他の器官/組織から収集することができる。免疫細胞は、被験体および/またはドナーのプール、例えばプールされた臍帯血などから単離することができる。
【0085】
免疫細胞の集団が被験体とは異なるドナーから得られる場合、得られた細胞は、被験体に導入することができるという点で被験体適合性であるという条件で、ドナーは同種であることが好ましい。同種ドナー細胞は、ヒト白血球抗原(HLA)適合性であってもなくてもよい。
A.T細胞
【0086】
一部の実施形態では、免疫細胞はT細胞である。機能性抗腫瘍エフェクター細胞の誘導、活性化、および増殖のためのいくつかの基本的なアプローチは、この20年間に記載されている。これらには、自己細胞、例えば腫瘍浸潤リンパ球(TIL)など;自己DC、リンパ球、人工抗原提示細胞(APC)またはT細胞リガンドおよび活性化抗体で被覆したビーズを使用してエクスビボで活性化させたT細胞、または標的細胞膜の捕捉によって単離された細胞;抗宿主腫瘍T細胞受容体(TCR)を自然に発現する同種細胞;および「Tボディ」として公知の抗体様腫瘍認識能力を示す腫瘍反応性TCRまたはキメラTCR分子を発現するように遺伝的に再プログラムまたは「リダイレクト」された非腫瘍特異的自己または同種細胞が含まれる。これらのアプローチは、本明細書に記載される方法で使用され得るT細胞の調製および免疫化のための多数のプロトコルを生み出した。
【0087】
一部の実施形態では、T細胞は、血液、骨髄、リンパ、臍帯、またはリンパ器官に由来する。一部の態様では、細胞はヒト細胞である。細胞は、一般に初代細胞、例えば被験体から直接単離された細胞および/または被験体から単離されて凍結された細胞などである。一部の実施形態では、細胞には、T細胞の1またはそれを超えるサブセットまたはその他の細胞型、例えばT細胞集団全体、CD4+細胞、CD8+細胞、およびそれらの亜集団など、例えば機能、活性化状態、成熟度、分化の可能性、増殖、再循環、局在性、および/または持続能、抗原特異性、抗原受容体の種類、特定の器官または区画での存在、マーカーまたはサイトカイン分泌プロファイル、および/または分化の程度によって定義される細胞などが含まれる。処置される被験体に関して、細胞は同種および/または自己であり得る。一部の態様、例えば既製技術などでは、細胞は多能性および/または万能性であり、例えば人工多能性幹細胞(iPSC)などの幹細胞などである。一部の実施形態では、この方法には、本明細書に記載されるように、被験体から細胞を単離し、それらを調製、処理、培養、および/または操作し、凍結保存の前後に同じ患者にそれらを再導入することが含まれる。
【0088】
T細胞(例えば、CD4+および/またはCD8+T細胞)のサブタイプおよび亜集団には、ナイーブT(TN)細胞、エフェクターT細胞(TEFF)、メモリーT細胞およびそのサブタイプ、例えば幹細胞メモリーT(TSCM)、セントラルメモリーT(TCM)、エフェクターメモリーT(TEM)、または最終分化エフェクターメモリーT細胞、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、未熟T細胞、成熟T細胞、ヘルパーT細胞、細胞傷害性T細胞、粘膜関連インバリアントT(MAIT)細胞、天然および適応制御性T(Treg)細胞、ヘルパーT細胞、例えばTH1細胞、TH2細胞、TH3細胞、TH17細胞、TH9細胞、TH22細胞、濾胞性ヘルパーT細胞、α/βT細胞、およびδ/γT細胞がある。
【0089】
一部の実施形態では、1またはそれを超えるT細胞集団は、表面マーカーなどの特定のマーカーに陽性の細胞、または特定のマーカーに陰性の細胞が濃縮されているかまたは枯渇している。場合によっては、そのようなマーカーは、T細胞の特定の集団(例えば、非メモリー細胞)では存在しないかまたは比較的低いレベルで発現するが、T細胞の特定の他の集団(例えば、メモリー細胞)では存在するかまたは比較的高いレベルで発現するマーカーである。
【0090】
一部の実施形態では、T細胞は、非T細胞、例えばB細胞、単球、またはCD14などの他の白血球細胞などで発現するマーカーのネガティブ選択によりPBMC試料から分離される。一部の態様では、CD4+またはCD8+選択ステップを使用してCD4+ヘルパーおよびCD8+細胞傷害性T細胞を分離する。そのようなCD4+およびCD8+集団は、1またはそれを超えるナイーブ、メモリー、および/またはエフェクターT細胞亜集団で発現するかまたは比較的高度に発現するマーカーのポジティブまたはネガティブ選択によって亜集団にさらに選別され得る。
【0091】
一部の実施形態では、CD8+T細胞は、例えばそれぞれの亜集団に関連する表面抗原に基づくポジティブまたはネガティブ選択などにより、ナイーブ、セントラルメモリー、エフェクターメモリー、および/またはセントラルメモリー幹細胞がさらに濃縮または枯渇される一部の実施形態では、セントラルメモリーT(TCM)細胞の濃縮は、有効性を高めるため、例えば投与後の長期生存、増殖、および/または生着を改善するために実行される。これは一部の態様ではそのような亜集団において特に堅牢である。
【0092】
一部の実施形態では、T細胞は自己T細胞である。この方法では、腫瘍試料は患者から得られ、単細胞懸濁液が得られる。単細胞懸濁液は、任意の適切な方法で例えば機械的に(例えば、Miltenyi Biotec、Auburn、Calif.のgentleMACS(商標)解離装置を使用して腫瘍を脱凝集させる)または酵素的に(例えばコラゲナーゼまたはDNアーゼで)得ることができる。腫瘍の酵素消化物の単細胞懸濁液はインターロイキン-2(IL-2)で培養される。
【0093】
培養したT細胞は、プールし、急速に増殖することができる。急速増殖は、約10~約14日間の期間にわたって、抗原特異的T細胞の数の少なくとも約50倍の(例えば、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、または100倍の、またはそれを超える)増加をもたらす。より好ましくは、急速増殖は、約10~約14日間の期間にわたって、少なくとも約200倍の(例えば、200倍、300倍、400倍、500倍、600倍、700倍、800倍、900倍の、またはそれを超える)増加をもたらす。
【0094】
増殖は、当技術分野で公知のいくつかの方法のいずれかによって達成することができる。例えば、T細胞は、フィーダーリンパ球およびインターロイキン-2(IL-2)かインターロイキン-15(IL-15)のいずれかの存在下で非特異的T細胞受容体刺激を用いて急速増殖させることができ、IL-2が好ましい。非特異的T細胞受容体刺激には、およそ30ng/mlのOKT3、マウスモノクローナル抗CD3抗体(Ortho-McNeil(登録商標),Raritan,N.J.から入手可能)が含まれ得る。あるいは、T細胞は、T細胞増殖因子、例えば300IU/mlのIL-2またはIL-15(IL-2が好ましい)の存在下で、必要に応じてベクターから発現させることができる癌の1またはそれを超える抗原(その抗原性部分、例えば1または複数のエピトープ、または細胞を含む)、例えばヒト白血球抗原A2(HLA-A2)結合ペプチドによるインビトロでの末梢血単核細胞(PBMC)の刺激によって急速増殖させることができる。インビトロで誘導されたT細胞は、HLA-A2を発現する抗原提示細胞にパルスされた癌の同じ1または複数の抗原による再刺激によって急速増殖する。あるいは、例えば、照射自己リンパ球または照射HLA-A2+同種リンパ球およびIL-2でT細胞を再刺激することができる。
【0095】
自己T細胞は、自己T細胞の成長および活性化を促進するT細胞増殖因子を発現するように改変することができる。適切なT細胞増殖因子としては、例えば、インターロイキン(IL)-2、IL-7、IL-15、およびIL-12が挙げられる。適切な改変方法は当技術分野で公知である。例えば、Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,3rd ed.,Cold Spring Harbor Press,Cold Spring Harbor,N.Y.2001;およびAusubelら、Current Protocols in Molecular Biology,Greene Publishing Associates and John Wiley&Sons,NY,1994を参照されたい。特定の態様では、改変された自己T細胞はT細胞増殖因子を高レベルで発現する。T細胞増殖因子コード配列、例えばIL-12のコード配列などは、T細胞成長因子コード配列への作動可能な結合が高レベルの発現を促進するプロモーターと同様に、当技術分野で容易に入手可能である。
B.NK細胞
【0096】
一部の実施形態では、免疫細胞はナチュラルキラー(NK)細胞である。NK細胞は、多様な腫瘍細胞、ウイルス感染細胞、ならびに骨髄および胸腺の一部の正常細胞に対して自発的な細胞傷害性を有するリンパ球の亜集団である。NK細胞は、骨髄、リンパ節、脾臓、扁桃腺、および胸腺で分化および成熟する。NK細胞は、ヒトのCD16、CD56、およびCD8などの特定の表面マーカーによって検出することができる。NK細胞は、T細胞抗原受容体、panTマーカーCD3、または表面免疫グロブリンB細胞受容体を発現しない。
【0097】
特定の実施形態では、NK細胞は、当技術分野で周知の方法によってヒト末梢血単核細胞(PBMC)、未刺激白血球除去製品(PBSC)、ヒト胚性幹細胞(hESCs)、人工多能性幹細胞(iPSCs)、骨髄、または臍帯血から誘導される。特に、臍帯CBがNK細胞を誘導するために使用される。特定の態様では、NK細胞は、NK細胞のエクスビボでの増殖について以前に記載された方法によって単離され増殖される(Spanholtzら、2011;Shahら、2013)。この方法では、CB単核細胞をフィコール密度勾配遠心分離によって分離し、バイオリアクターでIL-2および人工抗原提示細胞(aAPC)とともに培養する。7日後、細胞培養からCD3を発現している細胞を全て除去し、さらに7日間再培養する。細胞は再びCD3が枯渇し、CD56+/CD3-細胞またはNK細胞の割合を決定するために特徴付けられる。他の方法では、臍帯CBは、SCF、IL-7、IL-15、およびIL-2を含む培地で培養することによって、CD34+細胞の単離およびCD56+/CD3-細胞への分化によりNK細胞を誘導するために使用される。
C.幹細胞
【0098】
一部の実施形態では、本開示の免疫細胞は、幹細胞、例えば人工多能性幹細胞(PSC)、間葉系幹細胞(MSC)、または造血幹細胞(HSC)であってよい。
【0099】
本明細書において使用される多能性幹細胞は、一般にiPS細胞またはiPSCと略される人工多能性幹(iPS)細胞であってよい。生殖細胞を除いて、どの細胞もiPSCの出発点として使用することができる。例えば、細胞型は、ケラチノサイト、線維芽細胞、造血細胞、間葉系細胞、肝細胞、または胃細胞であり得る。細胞の分化の程度や、細胞が収集される動物の年齢に制限はない;未分化前駆細胞(体性幹細胞を含む)および最終的に分化した成熟細胞でさえ、本明細書に開示される方法において体細胞の供給源として使用することができる。
【0100】
当業者に公知の方法を使用して、体細胞を再プログラムしてiPS細胞を産生することができる。一般に、核再プログラム因子を使用して体細胞から多能性幹細胞を生成する。一部の実施形態では、Klf4、c-Myc、Oct3/4、Sox2、Nanog、およびLin28のうちの少なくとも3つ、または少なくとも4つが使用される。他の実施形態では、Oct3/4、Sox2、c-MycおよびKlf4が使用されるか、またはOct3/4、Sox2、Nanog、およびLin28が使用される。
【0101】
いったん誘導されると、iPSCは多能性を維持するのに十分な培地で培養され得る。特定の実施形態では、規定されていない条件を使用してもよい;例えば、幹細胞を未分化状態に維持するために、線維芽細胞フィーダー細胞でまたは線維芽細胞フィーダー細胞にさらされた培地で多能性細胞を培養することができる。一部の実施形態では、細胞は、フィーダー細胞として、細胞分裂を終わらせるために放射線または抗生物質で処理したマウス胚線維芽細胞の共存下で培養される。あるいは、多能性細胞は、TESR(商標)培地またはE8(商標)/Essential 8(商標)培地などの規定のフィーダー非依存培養系を用いて、本質的に未分化状態で培養および維持することができる。
III.強化されたキメラ抗原受容体
A.切断型EGFRvIII(Ev3)
【0102】
特定の実施形態では、本開示は、抗原結合領域を1または複数の細胞内シグナル伝達ドメインに共有結合させることにより、CARのヒンジまたはストーク領域としてEv3を含む強化されたCARを提供する。抗原結合領域は、マウス抗ヒト抗体などの抗体に由来する抗抗原結合ドメインに由来する単鎖可変断片(scFv)を含み得る。scFvはどんな潜在的抗原も標的化することができる。scFvは、scFvのフレームワーク領域などでヒト化されていてもよい。特定の態様では、検出抗体または除去抗体への接近しやすさ(例えば、ADCC経由)は維持される。
【0103】
Ev3は、配列番号2、
【化2】
(部分ドメイン1-部分ドメイン2-ドメイン3-ドメイン4を含む)を含むか、あるいは、配列番号2に対して少なくとも80%(例えば、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の配列同一性を有することがある。特定の態様では、Ev3には1、2、3、またはそれを超える変更があることがある。
【0104】
一実施形態では、マウス抗ヒトCD19モノクローナル抗体に由来するscFv、膜貫通ドメインを含むEv3ヒンジ、CD28エンドドメイン、およびCD3ζエンドドメインをN末端からC末端まで含むCD19Ev3-CARが提供される。もう一つの実施形態では、CD19Ev3-CARは、hCD19Ev3-CARと呼ばれるヒト化CD19(hCD19)を含む。CARは、DAP12エンドドメインをEv3膜貫通ドメインとCD3ζエンドドメインとの間などにさらに含むことができる(CD19Ev3DAP12-CARまたはhCD19Ev3DAP12-CARなど)。
【0105】
一実施形態では、マウス抗ヒトCD123モノクローナル抗体に由来するscFv、膜貫通ドメインを含むEv3ヒンジ、CD28エンドドメイン、およびCD3ζエンドドメインをN末端からC末端まで含むCD123Ev3-CARが提供される。もう一つの実施形態では、CD123Ev3-CARは、hCD123Ev3-CARと呼ばれるヒト化CD123(hCD123)を含む。CARは、DAP12エンドドメインをEv3膜貫通ドメインとCD3ζエンドドメインとの間などにさらに含むことができる(CD123Ev3DAP12-CARまたはhCD123Ev3DAP12-CARなど)。
【0106】
一実施形態では、マウス抗ヒトメソテリンモノクローナル抗体に由来するscFv、膜貫通ドメインを含むEv3ヒンジ、CD28エンドドメイン、およびCD3ζエンドドメインをN末端からC末端まで含むMesoEv3-CARが提供される。もう一つの実施形態では、MesoEv3-CARは、hMesoEv3-CARと呼ばれるヒト化Meso(hMeso)を含む。CARは、DAP12エンドドメインをEv3膜貫通ドメインとCD3ζエンドドメインとの間などにさらに含むことができる(MesoEv3DAP12-CARまたはhMesoEv3DAP12-CARなど)。
【0107】
一実施形態では、マウス抗ヒトROR1モノクローナル抗体に由来するscFv、膜貫通ドメインを含むEv3ヒンジ、CD28エンドドメイン、およびCD3ζエンドドメインをN末端からC末端まで含むROR1-Ev3-CARが提供される。もう一つの実施形態では、ROR1-Ev3-CARは、hROR1Ev3-CARと呼ばれるヒト化ROR1(hROR1)を含む。CARは、DAP12エンドドメインをEv3膜貫通ドメインとCD3ζエンドドメインとの間などにさらに含むことができる(ROR1-Ev3DAP12-CARまたはhROR1-Ev3DAP12-CARなど)。
【0108】
一実施形態では、マウス抗ヒトCD5モノクローナル抗体に由来するscFv、膜貫通ドメインを含むEv3ヒンジ、CD28エンドドメイン、およびCD3ζエンドドメインをN末端からC末端まで含むCD5Ev3-CARが提供される。もう一つの実施形態では、CD5Ev3-CARは、hCD5Ev3-CARと呼ばれるヒト化CD5(hCD5)を含む。CARは、DAP12エンドドメインをEv3膜貫通ドメインとCD3ζエンドドメインとの間などにさらに含むことができる(CD5Ev3DAP12-CARまたはhCD5Ev3DAP12-CARなど)。
【0109】
一実施形態では、マウス抗ヒトCD99モノクローナル抗体に由来するscFv、膜貫通ドメインを含むEv3ヒンジ、CD28エンドドメイン、およびCD3ζエンドドメインをN末端からC末端まで含むCD99Ev3-CARが提供される。もう一つの実施形態では、CD5Ev3-CARは、hCD99Ev3-CARと呼ばれるヒト化CD99(hCD99)を含む。CARは、DAP12エンドドメインをEv3膜貫通ドメインとCD3ζエンドドメインとの間などにさらに含むことができる(CD99Ev3DAP12-CARまたはhCD99Ev3DAP12-CARなど)。
【0110】
EGFRvIIIは、EGFR遺伝子のエクソン2~7の突然変異の結果である。それにより、受容体には完全なリガンド結合ドメインがないので、突然変異受容体は既知のリガンドと結合することができなくなる。本開示の切断型EGFRvIII、Ev3は、EGFRvIIIの細胞内ドメインまたはエンドドメインの欠失をさらに含む。従って、Ev3は、機能性EGF結合ドメインまたはEGFRvIIIの細胞内シグナル伝達ドメインを含まない。
【0111】
Ev3ヒンジは、配列番号1および/または配列番号2のアミノ酸配列のヌクレオチド配列を含み得る。特定の実施形態では、Ev3ヒンジは、配列番号1または配列番号2と少なくとも80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、または100%の配列同一性を有する。Ev3ヒンジ領域は、配列番号2の断片を含んでよく、または受容体断片のN末端またはC末端に追加のアミノ酸を含んでもよい。Ev3の例となる模式図は
図2に示される。
【0112】
切断型EGFRvIIIをCARのヒンジ領域に含めると、遺伝子積荷の保持が可能になる。Ev3は、安全スイッチおよび/またはインビトロまたはインビボでのCARの検出にも使用することができる。一体化したEv4ヒンジは、検出または細胞除去のために、臨床的にアクセス可能なモノクローナル抗体(例えば、セツキシマブ)などの抗体によって認識されることができる。その上、Ev3は、リガンド結合ドメインを含まない;従って、内因性機能または他の経路とのクロストークはない。Ev3は、CARシグナル伝達にも役割を果たし、腫瘍特異的であり、CAR療法の副作用を最小限に抑えることができる。
B.抗原
【0113】
本明細書で提供されるCARは、疾患または障害の処置において有用な抗原特異性を有し得る。本明細書で提供されるCARは、1を超える抗原、例えば2つの抗原などを含み得る。例となる抗原としては、限定されるものではないが、CD19、CD123、メソテリン、CD5、CD47、CLL-1、CD33、CD99、CLL-1、U5snRNP200、CD200、CS1、BAFF-R、ROR-1、CD99、メソテリン、またはBCMAが挙げられる。
【0114】
本明細書で提供されるヒト化プラットフォームは、任意の所与抗原に対するヒト化CARの開発に使用され得る。ヒト化CARを伴う、例となる抗原としては、限定されるものではないが、CD19、CD123、メソテリン、CD5、CD47、CLL-1、CD33、CD99、U5snRNP200、CD200、CS1、BAFF-R、ROR-1、またはBCMAが挙げられる。
【0115】
一実施形態では、コードされた軽鎖可変領域は、ヒトPH0879生殖系列配列の1、2、3または4つ全てのフレームワーク領域を含む。hCD19のコードされた重鎖可変領域は、ヒトACD43442生殖系列配列の1、2、3または4つ全てのフレームワーク領域を含み得る。
【0116】
一実施形態では、コードされた抗原結合ドメインは、配列番号6、12、18、24、30、58または61のアミノ酸配列の軽鎖および重鎖を含むscFvである。一実施形態では、抗原結合ドメイン(例えば、scFv)は、本明細書に提供される軽鎖可変領域のアミノ酸配列の少なくとも1、2または3の改変(例えば、置換)であるが10、20または30を超えない改変(例えば、置換)を有するアミノ酸配列、または配列番号7、13、19、25、31、59または63のアミノ酸配列と90~99%の同一性を有する配列を含む軽鎖可変領域;ならびに/あるいは配列番号:8、14、20、26、32、60または64の重鎖可変領域のアミノ酸配列の少なくとも1、2または3の改変(例えば、置換)であるが10、20または30を超えない改変(例えば、置換)を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;あるいは配列番号6、12、18、24、30、58または61のアミノ酸配列と90~99%の同一性を有する配列を含む。
【0117】
一部の実施形態では、CD19のヒト化scFvが本明細書で提供される。ヒト化CD19(hCD19)scFvは、配列番号7
【化3】
の可変軽鎖配列および配列番号8
【化4】
の可変重鎖を有し得る。その他の態様では、hCD19 scFvは、配列番号7と少なくとも80%、85%、90%、91%、921%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有するV
Lおよび/または配列番号8と少なくとも80%、85%、90%、91%、921%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有するV
Hを含み得る。hCD19 scFvは、配列番号6と少なくとも80%、85%、90%、91%、921%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み得る。hCD19 scFvは、配列番号3と少なくとも80%、85%、90%、91%、921%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するポリヌクレオチドによってコードされていてよい。hCD19 scFvのV
Lは、配列番号4と少なくとも80%、85%、90%、91%、921%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するポリヌクレオチドによってコードされていてよい。hCD19 scFvのV
Hは、配列番号5と少なくとも80%、85%、90%、91%、921%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するポリヌクレオチドによってコードされていてよい。
【0118】
一部の実施形態では、CD123のヒト化scFvが本明細書で提供される。ヒト化CD123(hCD123)scFvは、配列番号13の可変軽鎖配列と配列番号14の可変重鎖を有し得る。その他の態様では、hCD123 scFvは、配列番号13と少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有するVLおよび/または配列番号14と少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有するVHを含み得る。hCD123 scFvは、配列番号12と少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み得る。hCD123 scFvは、配列番号9と少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するポリヌクレオチドによってコードされていてよい。hCD123 scFvのVLは、配列番号10と少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するポリヌクレオチドによってコードされていてよい。hCD123 scFvのVHは、配列番号11と少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するポリヌクレオチドによってコードされていてよい。
【0119】
一部の実施形態では、メソテリンのヒト化scFvが本明細書で提供される。ヒト化メソテリン(hMeso)scFvは、配列番号19の可変軽鎖配列と配列番号20の可変重鎖を有し得る。その他の態様では、hMeso scFvは、配列番号19と少なくとも80%、85%、90%、91%、921%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有するVLおよび/または配列番号20と少なくとも80%、85%、90%、91%、921%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有するVHを含み得る。hMeso scFvは、配列番号18と少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み得る。hMeso scFvは、配列番号15と少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するポリヌクレオチドによってコードされていてよい。hMeso scFvのVLは、配列番号16と少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するポリヌクレオチドによってコードされていてよい。hMeso scFvのVHは、配列番号17と少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するポリヌクレオチドによってコードされていてよい。
【0120】
一部の実施形態では、ROR1のヒト化scFvが本明細書で提供される。ヒト化ROR1(hROR1)scFvは、配列番号25の可変軽鎖配列と配列番号26の可変重鎖を有し得る。その他の態様では、hROR1 scFvは、配列番号25と少なくとも80%、85%、90%、91%、921%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有するVLおよび/または配列番号26と少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有するVHを含み得る。hROR1 scFvは、配列番号24と少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み得る。hROR1 scFvは、配列番号21と少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するポリヌクレオチドによってコードされていてよい。hROR1 scFvのVLは、配列番号22と少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するポリヌクレオチドによってコードされていてよい。hROR1 scFvのVHは、配列番号23と少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するポリヌクレオチドによってコードされていてよい。
【0121】
一部の実施形態では、CD5のヒト化scFvが本明細書で提供される。ヒト化CD5(hCD5)scFvは、配列番号31の可変軽鎖配列と配列番号32の可変重鎖を有し得る。その他の態様では、hCD5 scFvは、配列番号31と少なくとも80%、85%、90%、91%、921%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有するVLおよび/または配列番号32と少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有するVHを含み得る。hCD5 scFvは、配列番号30と少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み得る。hCD5 scFvは、配列番号27と少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するポリヌクレオチドによってコードされていてよい。hCD5
scFvのVLは、配列番号28と少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するポリヌクレオチドによってコードされていてよい。hCD5 scFvのVHは、配列番号29と少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するポリヌクレオチドによってコードされていてよい。
【0122】
一部の実施形態では、CD99のヒト化scFvが本明細書で提供される。ヒト化CD99(hCD99)scFvは、配列番号63の可変軽鎖配列と配列番号64の可変重鎖を有し得る。その他の態様では、hCD99 scFvは、配列番号63と少なくとも80%、85%、90%、91%、921%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有するVLおよび/または配列番号64と少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有するVHを含み得る。hCD99 scFvは、配列番号61と少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み得る。hCD99 scFvは、配列番号61と少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するポリヌクレオチドによってコードされていてよい。
【0123】
一部の実施形態では、CD99のヒト化scFvが本明細書で提供される。ヒト化CD99(hCD99)scFvは、配列番号59の可変軽鎖配列と配列番号60の可変重鎖を有し得る。その他の態様では、hCD99 scFvは、配列番号59と少なくとも80%、85%、90%、91%、921%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有するVLおよび/または配列番号60と少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有するVHを含み得る。hCD99 scFvは、配列番号58と少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み得る。hCD99 scFvは、配列番号57と少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するポリヌクレオチドによってコードされていてよい。
【0124】
遺伝子操作された抗原受容体の標的とされる抗原の中には、養子細胞療法を介して標的となる疾患、状態、または細胞型の状況で発現する抗原がある。疾患および状態の中には、増殖性、腫瘍性、および悪性の疾患および障害があり、それには、血液癌、免疫系の癌、例えばリンパ腫、白血病、および/または骨髄腫、例えばB、T、および骨髄性白血病、リンパ腫、ならびに多発性骨髄腫を含む癌および腫瘍が含まれる。一部の実施形態では、抗原は、正常または非標的細胞または組織、自己免疫または同種免疫障害に関連する抗原、または病原体特異的抗原と比較して、疾患または状態の細胞、例えば腫瘍または病原細胞で選択的に発現または過剰発現する。その他の実施形態では、抗原は正常細胞で発現し、かつ/または操作された細胞で発現する。
【0125】
任意の適切な抗原が本発明の方法に使用されてよい。例となる抗原としては、限定されるものではないが、感染病原体、自己(auto-/self-)抗原、腫瘍/癌関連抗原、および腫瘍新抗原からの抗原分子が挙げられる。特定の態様では、抗原には、NY-ESO、EGFRvIII、Muc-1、Her2、CA-125、WT-1、Mage-A3、Mage-A4、Mage-A10、TRAIL/DR4、およびCEAが含まれる。
【0126】
腫瘍関連抗原は、前立腺、乳房、結腸直腸、肺、膵臓、腎臓、中皮腫、卵巣、またはメラノーマの癌に由来し得る。例となる腫瘍関連抗原または腫瘍細胞由来抗原としては、MAGE1、3、およびMAGE4;PRAME;BAGE;RAGE、Lage(NY ESO 1としても公知);SAGE;およびHAGEまたはGAGEが挙げられる。腫瘍抗原のこれらの限定されない例は、メラノーマ、肺癌腫、肉腫、および膀胱癌腫などの広範な腫瘍型で発現している。前立腺癌腫瘍関連抗原としては、例えば、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、前立腺特異的抗原(PSA)、前立腺酸ホスファターゼ、NKX3.1、および前立腺の6回膜貫通上皮抗原(STEAP)が挙げられる。
【0127】
その他の腫瘍関連抗原には、Plu-1、HASH-1、HasH-2、CriptoおよびCriptinが含まれる。さらに、腫瘍抗原は、自己ペプチドホルモン、例えば多くの癌の処置に有用な短い10アミノ酸長ペプチドである全長性腺刺激ホルモン放出ホルモンなどであってよい。
【0128】
腫瘍抗原には、HER-2/neu発現などの腫瘍関連抗原発現を特徴とする癌由来の腫瘍抗原が含まれる。関心対象の腫瘍関連抗原には、メラノサイト-メラノーマ系列抗原MART-1/Melan-A、gp100、gp75、mda-7、チロシナーゼおよびチロシナーゼ関連タンパク質などの系列特異的腫瘍抗原が含まれる。実例となる腫瘍関連抗原としては、限定されるものではないが、1またはそれを超える、p53、Ras、c-Myc、細胞質セリン/トレオニンキナーゼ(例えば、A-Raf、B-Raf、C-Raf、サイクリン依存性キナーゼ)、MAGE-A1、MAGE-A2、MAGE-A3、MAGE-A4、MAGE-A6、MAGE-A10、MAGE-A12、MART-1、BAGE、DAM-6、-10、GAGE-1、-2、-8、GAGE-3、-4、-5、-6、-7B、NA88-A、MART-1、MC1R、Gp100、PSA、PSM、チロシナーゼ、TRP-1、TRP-2、ART-4、CAMEL、CEA、Cyp-B、hTERT、hTRT、iCE、MUC1、MUC2、ホスホイノシチド3-キナーゼ(PI3K)、TRK受容体、PRAME、P15、RU1、RU2、SART-1、SART-3、ウィルムス腫瘍抗原(WT1)、AFP、-カテニン/m、カスパーゼ-8/m、CEA、CDK-4/m、ELF2M、GnT-V、G250、HSP70-2M、HST-2、KIAA0205、MUM-1、MUM-2、MUM-3、ミオシン/m、RAGE、SART-2、TRP-2/INT2、707-AP、アネキシンII、CDC27/m、TPI/mbcr-abl、BCR-ABL、インターフェロン制御因子4(IRF4)、ETV6/AML、LDLR/FUT、Pml/RAR、腫瘍関連カルシウムシグナルトランスデューサー1(TACSTD1)TACSTD2、受容体チロシンキナーゼ(例えば、上皮増殖因子受容体(EGFR)(特に、EGFRvIII)、血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)、血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)、細胞質チロシンキナーゼ(例えば、src-ファミリー、syk-ZAP70ファミリー)、インテグリン結合キナーゼ(ILK)、転写のシグナルトランスデューサーおよび活性化因子STAT3、STATS、およびSTATE、低酸素誘導因子(例えば、HIF-1およびHIF-2)、核内因子カッパB(NF-B)、Notch受容体(例えば、Notch1-4)、c-Met、ラパマイシンの哺乳類標的(mTOR)、WNT、細胞外シグナル調節キナーゼ(ERK)、およびそれらの調節サブユニット、PMSA、PR-3、MDM2、メソテリン、腎細胞癌腫-5T4、SM22-α、炭酸脱水酵素I(CAI)およびIX(CAIX)(G250としても公知)、STEAD、TEL/AML1、GD2、プロテイナーゼ3、hTERT、肉腫転座ブレークポイント、EphA2、ML-IAP、EpCAM、ERG(TMPRSS2 ETS融合遺伝子)、NA17、PAX3、ALK、アンドロゲン受容体、サイクリンB1、ポリシアル酸、MYCN、RhoC、GD3、フコシルGM1、メソセリアン(mesothelian)、PSCA、sLe、PLAC1、GM3、BORIS、Tn、GLoboH、NY-BR-1、RGsS、SART3、STn、PAX5、OY-TES1、精子タンパク質17、LCK、HMWMAA、AKAP-4、SSX2、XAGE1、B7H3、レグマイン、TIE2、Page4、MAD-CT-1、FAP、MAD-CT-2、fos関連抗原1、CBX2、CLDN6、SPANX、TPTE、ACTL8、ANKRD30A、CDKN2A、MAD2L1、CTAG1B、SUNC1、LRRN1およびイディオタイプに由来するかまたはそれを含む腫瘍抗原が挙げられる。
【0129】
抗原には、腫瘍細胞で変異した遺伝子、または正常細胞と比較して腫瘍細胞で異なるレベルで転写された遺伝子に由来するエピトープ領域またはエピトープペプチド、例えば、テロメラーゼ酵素、サバイビン、メソテリン、変異ras、bcr/abl再配列、Her2/neu、変異または野生型p53、シトクロムP450 1B1、およびN-アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼ-Vなどの異常発現イントロン配列など;骨髄腫およびB細胞リンパ腫で特有のイディオタイプを生成する免疫グロブリン遺伝子のクローン再編成;ヒトパピローマウイルスタンパク質E6およびE7などの腫瘍ウイルスプロセスに由来するエピトープ領域またはエピトープペプチドを含む腫瘍抗原;エプスタインバーウイルスタンパク質LMP2;腫瘍選択的発現を伴う非変異癌胎児性タンパク質、例えば癌胎児性抗原およびαフェトプロテインなどが含まれ得る。
【0130】
その他の実施形態では、抗原は、ウイルス、真菌、寄生虫、および細菌などの病原性微生物または日和見病原性微生物(本明細書では感染症微生物とも呼ばれる)から入手または誘導される。特定の実施形態では、そのような微生物に由来する抗原には、全長タンパク質が含まれる。
【0131】
その抗原が本明細書に記載の方法での使用に企図される実例となる病原生物には、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、単純ヘルペスウイルス(HSV)、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)、サイトメガロウイルス(CMV)、エプスタイン-バーウイルス(EBV)、インフルエンザA、B、およびC、水疱性口内炎ウイルス(VSV)、水疱性口内炎ウイルス(VSV)、ポリオーマウイルス(例えば、BKウイルスおよびJCウイルス)、アデノウイルス、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)(MRSA)を含むStaphylococcus属の種、および肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)を含むStreptococcus属の種が含まれる。当業者に理解されるように、本明細書に記載される抗原として使用するこれらおよび他の病原性微生物に由来するタンパク質、およびこのタンパク質をコードするヌクレオチド配列は、出版物およびGENBANK(登録商標)、Swiss-Prot(登録商標)、TrEMBL(登録商標)などの公共データベースで特定することができる。
【0132】
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)に由来する抗原には、HIVビリオン構造タンパク質(例えば、gp120、gp41、p17、p24)、プロテアーゼ、逆転写酵素、またはtat、rev、nef、vif、vprおよびvpuにコードされるHIVタンパク質が含まれる。
【0133】
単純ヘルペスウイルス(例えば、HSV1およびHSV2)に由来する抗原としては、限定されるものではないが、HSV後期遺伝子から発現するタンパク質が挙げられる。後期の遺伝子群は、主にビリオン粒子を形成するタンパク質をコードする。そのようなタンパク質には、ウイルスカプシドを形成する(UL)5つのタンパク質:UL6、UL18、UL35、UL38および主要なカプシドタンパク質UL19、UL45、およびUL27が含まれる。これらはそれぞれ本明細書に記載される抗原として使用することができる。本明細書に記載される抗原としての使用が企図されるその他の実例となるHSVタンパク質には、ICP27(H1、H2)、糖タンパク質B(gB)および糖タンパク質D(gD)タンパク質が含まれる。HSVゲノムは少なくとも74個の遺伝子を含み、それぞれが潜在的に抗原として使用され得るタンパク質をコードしている。
【0134】
サイトメガロウイルス(CMV)に由来する抗原には、CMV構造タンパク質、ウイルス複製の前初期および初期段階で発現するウイルス抗原、糖タンパク質IおよびIII、カプシドタンパク質、コートタンパク質、低マトリックスタンパク質pp65(ppUL83)、p52(ppUL44)、IE1および1E2(UL123およびUL122)、UL128-UL150の遺伝子クラスターからのタンパク質産物(Rykmanら、2006)、エンベロープ糖タンパク質B(gB)、gH、gN、およびpp150が含まれる。当業者に理解されるように、本明細書に記載される抗原として使用するためのCMVタンパク質は、GenBank(登録商標)、Swiss-Prot(登録商標)、およびTrEMBL(登録商標)などの公共データベースで特定されてよい。
【0135】
特定の実施形態での使用が企図されるEpstein-Banウイルス(EBV)に由来する抗原には、EBV溶解タンパク質gp350およびgp110、Epstein-Ban核抗原(EBNA)-1、EBNA-2、EBNA-3A、EBNA-3B、EBNA-3C、EBNA-リーダータンパク質(EBNA-LP)および潜伏膜タンパク質(LMP)-1、LMP-2AおよびLMP-2Bを含む潜伏周期感染中に産生されるEBVタンパク質が含まれる。
【0136】
本明細書での使用が企図される呼吸器合胞体ウイルス(RSV)に由来する抗原には、RSVゲノムによってコードされる11のタンパク質、またはその抗原断片:NS1、NS2、N(ヌクレオカプシドタンパク質)、M(マトリックスタンパク質)SH、GおよびF(ウイルスコートタンパク質)、M2(第2のマトリックスタンパク質)、M2-1(伸長因子)、M2-2(転写調節)、RNAポリメラーゼ、およびリンタンパク質Pが含まれる。
【0137】
使用が企図される水疱性口内炎ウイルス(VSV)に由来する抗原には、VSVゲノムによってコードされる5つの主要なタンパク質、およびその抗原断片:巨大タンパク質(L)、糖タンパク質(G)、核タンパク質(N)、リンタンパク質(P)、およびマトリックスタンパク質(M)のいずれか1つが含まれる。
【0138】
特定の実施形態での使用が企図されるインフルエンザウイルスに由来する抗原には、血球凝集素(HA)、ノイラミニダーゼ(NA)、核タンパク質(NP)、マトリックスタンパク質M1およびM2、NS1、NS2(NEP)、PA、PB1、PB1-F2、およびPB2が含まれる。
【0139】
例となるウイルス抗原には、限定されるものではないが、アデノウイルスポリペプチド、アルファウイルスポリペプチド、カリシウイルスポリペプチド(例えば、カリシウイルスカプシド抗原)、コロナウイルスポリペプチド、ジステンパーウイルスポリペプチド、エボラウイルスポリペプチド、エンテロウイルスポリペプチド、フラビウイルスポリペプチド、肝炎ウイルス(AE)ポリペプチド(B型肝炎コアまたは表面抗原、C型肝炎ウイルスE1またはE2糖タンパク質、コア、または非構造タンパク質)、ヘルペスウイルスポリペプチド(単純ヘルペスウイルスまたは水痘帯状疱疹ウイルス糖タンパク質を含む)、感染性腹膜炎ウイルスポリペプチド、白血病ウイルスポリペプチド、マールブルグウイルスポリペプチド、オルトミクソウイルスポリペプチド、パピローマウイルスポリペプチド、パラインフルエンザウイルスポリペプチド(例えば、血球凝集素およびノイラミニダーゼポリペプチド)、パラミクソウイルスポリペプチド、パルボウイルスポリペプチド、ペスチウイルスポリペプチド、ピコルナウイルスポリペプチド(例えば、ポリオウイルスカプシドポリペプチド)、ポックスウイルスポリペプチド(例えば、ワクシニアウイルスポリペプチド)、狂犬病ウイルスポリペプチド(例えば、狂犬病ウイルス糖タンパク質G)、レオウイルスポリペプチド、レトロウイルスポリペプチド、およびロタウイルスポリペプチドも含まれる。
【0140】
特定の実施形態では、抗原は細菌抗原であってよい。特定の実施形態では、関心対象の細菌抗原は、分泌ポリペプチドであってよい。その他の特定の実施形態では、細菌抗原には、細菌の外側細胞表面に露出したポリペプチドの一部または複数の部分を有する抗原が含まれる。
【0141】
使用が企図されるメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)をはじめとするStaphylococcus属の種に由来する抗原には、毒性調節因子、例えばAgr系、SarおよびSae、Arl系、Sarホモログ(Rot、MgrA、SarS、SarR、SarT、SarU、SarV、SarX、SarZおよびTcaR)、Srr系およびTRAPなどが含まれる。抗原として機能し得るその他のStaphylococcusタンパク質には、Clpタンパク質、HtrA、MsrR、アコニターゼ、CcpA、SvrA、Msa、CfvAおよびCfvBが含まれる(例えば、Staphylococcus:Molecular Genetics,2008 Caister Academic Press,Ed.Jodi Lindsayを参照)。黄色ブドウ球菌の2つの種(N315およびMu50)のゲノムが配列決定されており、例えばPATRIC(PATRIC:The VBI PathoSystems Resource Integration Center,Snyderら、2007)で公開されている。当業者に理解されるように、抗原として使用するためのStaphylococcusタンパク質も、GenBank(登録商標)、Swiss-Prot(登録商標)、およびTrEMBL(登録商標)などのその他の公共データベースで特定されてよい。
【0142】
本明細書に記載される特定の実施形態での使用が企図されるStreptococcus pneumoniaeに由来する抗原には、ニューモリシン、PspA、コリン結合タンパク質A(CbpA)、NanA、NanB、SpnHL、PavA、LytA、Pht、およびピリンタンパク質(RrgA;RrgB;RrgC)が含まれる。Streptococcus pneumoniaeの抗原タンパク質も当技術分野で公知であり、一部の実施形態では抗原として使用することができる。Streptococcus pneumoniaeの毒性株の完全なゲノム配列は配列決定されており、当業者に理解されるように、本明細書で使用するS.pneumoniaeタンパク質も、GenBank(登録商標)、Swiss-Prot(登録商標)、およびTrEMBL(登録商標)などのその他の公共データベースで特定されてよい。本開示による抗原の特に関心対象であるタンパク質には、肺炎球菌の表面で露出すると予測される病原性因子およびタンパク質が含まれる。
【0143】
抗原として使用され得る細菌抗原の例としては、限定されるものではないが、Actinomycesポリペプチド、Bacillusポリペプチド、Bacteroidesポリペプチド、Bordetellaポリペプチド、Bartonellaポリペプチド、Borreliaポリペプチド(例えば、B.burgdorferi OspA)、Brucellaポリペプチド、Campylobacterポリペプチド、Capnocytophagaポリペプチド、Chlamydiaポリペプチド、Corynebacteriumポリペプチド、Coxiellaポリペプチド、Dermatophilusポリペプチド、Enterococcusポリペプチド、Ehrlichiaポリペプチド、Escherichiaポリペプチド、Francisellaポリペプチド、Fusobacteriumポリペプチド、Haemobartonellaポリペプチド、Haemophilusポリペプチド(例えば、H.influenzaeB型外膜タンパク質)、Helicobacterポリペプチド、Klebsiellaポリペプチド、L型細菌ポリペプチド、Leptospiraポリペプチド、Listeriaポリペプチド、Mycobacteriaポリペプチド、Mycoplasmaポリペプチド、Neisseriaポリペプチド、Neorickettsiaポリペプチド、Nocardiaポリペプチド、Pasteurellaポリペプチド、Peptococcusポリペプチド、Peptostreptococcusポリペプチド、Pneumococcusポリペプチド(すなわちS.pneumoniaeポリペプチド)(本明細書の記載を参照)、Proteusポリペプチド、Pseudomonasポリペプチド、Rickettsiaポリペプチド、Rochalimaeaポリペプチド、Salmonellaポリペプチド、Shigellaポリペプチド、Staphylococcusポリペプチド、A群streptococcusポリペプチド(例えば、S.pyogenes Mタンパク質)、B群streptococcus(S.agalactiae)ポリペプチド、Treponemaポリペプチド、およびYersiniaポリペプチド(例えば、Y pestis F1およびV抗原)が含まれる。
【0144】
真菌抗原の例としては、限定されるものではないが、Absidiaポリペプチド、Acremoniumポリペプチド、Alternariaポリペプチド、Aspergillusポリペプチド、Basidiobolusポリペプチド、Bipolarisポリペプチド、Blastomycesポリペプチド、Candidaポリペプチド、Coccidioidesポリペプチド、Conidiobolusポリペプチド、Cryptococcusポリペプチド、Curvalariaポリペプチド、Epidermophytonポリペプチド、Exophialaポリペプチド、Geotrichumポリペプチド、Histoplasmaポリペプチド、Madurellaポリペプチド、Malasseziaポリペプチド、Microsporumポリペプチド、Moniliellaポリペプチド、Mortierellaポリペプチド、Mucorポリペプチド、Paecilomycesポリペプチド、Penicilliumポリペプチド、Phialemoniumポリペプチド、Phialophoraポリペプチド、Protothecaポリペプチド、Pseudallescheriaポリペプチド、Pseudomicrodochiumポリペプチド、Pythiumポリペプチド、Rhinosporidiumポリペプチド、Rhizopusポリペプチド、Scolecobasidiumポリペプチド、Sporothrixポリペプチド、Stemphyliumポリペプチド、Trichophytonポリペプチド、Trichosporonポリペプチド、およびXylohyphaポリペプチドが含まれる。
【0145】
原虫寄生虫抗原の例としては、限定されるものではないが、Babesiaポリペプチド、Balantidiumポリペプチド、Besnoitiaポリペプチド、Cryptosporidiumポリペプチド、Eimeriaポリペプチド、Encephalitozoonポリペプチド、Entamoebaポリペプチド、Giardiaポリペプチド、Hammondiaポリペプチド、Hepatozoonポリペプチド、Isosporaポリペプチド、Leishmaniaポリペプチド、Microsporidiaポリペプチド、Neosporaポリペプチド、Nosemaポリペプチド、Pentatrichomonasポリペプチド、Plasmodiumポリペプチドが含まれる。蠕虫寄生虫抗原の例としては、限定されるものではないが、Acanthocheilonemaポリペプチド、Aelurostrongylusポリペプチド、Ancylostomaポリペプチド、Angiostrongylusポリペプチド、Ascarisポリペプチド、Brugiaポリペプチド、Bunostomumポリペプチド、Capillariaポリペプチド、Chabertiaポリペプチド、Cooperiaポリペプチド、Crenosomaポリペプチド、Dictyocaulusポリペプチド、Dioctophymeポリペプチド、Dipetalonemaポリペプチド、Diphyllobothriumポリペプチド、Diplydiumポリペプチド、Dirofilariaポリペプチド、Dracunculusポリペプチド、Enterobiusポリペプチド、Filaroidesポリペプチド、Haemonchusポリペプチド、Lagochilascarisポリペプチド、Loaポリペプチド、Mansonellaポリペプチド、Muelleriusポリペプチド、Nanophyetusポリペプチド、Necatorポリペプチド、Nematodirusポリペプチド、Oesophagostomumポリペプチド、Onchocercaポリペプチド、Opisthorchisポリペプチド、Ostertagiaポリペプチド、Parafilariaポリペプチド、Paragonimusポリペプチド、Parascarisポリペプチド、Physalopteraポリペプチド、Protostrongylusポリペプチド、Setariaポリペプチド、Spirocercaポリペプチド Spirometraポリペプチド、Stephanofilariaポリペプチド、Strongyloidesポリペプチド、Strongylusポリペプチド、Thelaziaポリペプチド、Toxascarisポリペプチド、Toxocaraポリペプチド、Trichinellaポリペプチド、Trichostrongylusポリペプチド、Trichurisポリペプチド、Uncinariaポリペプチド、およびWuchereriaポリペプチド。(例えば、P.falciparum circumsporozoite(PfCSP))、スポロゾイト表面タンパク質2(PfSSP2)、肝臓状態抗原1のカルボキシル末端(PfLSA1 c-term)、および輸出タンパク質1(PfExp-1)、Pneumocystisポリペプチド、Sarcocystisポリペプチド、Schistosomaポリペプチド、Theileriaポリペプチド、Toxoplasmaポリペプチド、およびTrypanosomaポリペプチドが含まれる。
【0146】
外部寄生虫抗原の例としては、限定されるものではないが、ノミ;カタダニおよびヒメダニを含むマダニ;ハエ、例えばユスリカ、カ、スナバエ、ブユ、ウシアブ、のサシバエ、メクラアブ、ツェツェバエ、サシバエ、ハエ幼虫症の原因となるハエおよびブヨ;あり;クモ、シラミ;コダニ;および半翅類の昆虫、例えばトコジラミおよびサシガメなど由来のポリペプチド(抗原ならびにアレルゲンを含む)が含まれる。
C.キメラ抗原受容体
【0147】
一部の実施形態では、CARは、抗原に特異的に結合する細胞外抗原認識ドメインを含む。一部の実施形態では、抗原は細胞の表面に発現したタンパク質である。一部の実施形態では、CARはTCRのようなCARであり、抗原は処理されたペプチド抗原、例えば細胞内タンパク質のペプチド抗原であり、これはTCRのように、主要組織適合複合体(MHC)分子の状況において細胞表面で認識される。
【0148】
一部の実施形態では、キメラ抗原受容体は、a)細胞内シグナル伝達ドメイン、b)ヒンジおよび膜貫通ドメイン、例えばEv3ヒンジなど、およびc)抗原結合領域を含む細胞外ドメインを含む。
【0149】
一部の実施形態では、操作された抗原受容体には活性化または刺激CAR、共刺激CAR(国際公開第2014/055668号参照)、および/または抑制性CAR(iCAR、Fedorovら、2013参照)をはじめとする、キメラ抗原受容体(CAR)が含まれる。CARには一般に、一部の態様ではリンカーおよび/または1またはそれを超える膜貫通ドメインを介して1またはそれを超える細胞内シグナル伝達成分に連結された細胞外抗原(またはリガンド)結合ドメインが含まれる。そのような分子は、一般に、天然の抗原受容体を通るシグナル、共刺激受容体と組み合わせたそのような受容体を通るシグナル、および/または共刺激受容体のみを通るシグナルを模倣するかまたはそれに近似する。
【0150】
本開示の特定の実施形態は、細胞内シグナル伝達ドメイン、膜貫通ドメイン、および1またはそれを超えるシグナル伝達モチーフを含む細胞外ドメインを含む、免疫原性を低下させるためにヒト化されているCAR(hCAR)を含む、抗原特異的CARポリペプチドをコードする核酸をはじめとする核酸の使用に関する。特定の実施形態では、CARは、1またはそれを超える抗原間の共有スペースを含むエピトープを認識し得る。特定の実施形態では、結合領域は、モノクローナル抗体の相補性決定領域、モノクローナル抗体の可変領域、および/またはその抗原結合断片を含み得る。もう一つの実施形態では、その特異性は、受容体に結合するペプチド(例えば、サイトカイン)に由来する。
【0151】
ヒトCAR核酸は、ヒト患者の細胞免疫療法を強化するために使用されるヒト遺伝子であってよいと企図される。特定の実施形態では、本発明は、全長CARcDNAまたはコード領域を含む。抗原結合領域またはドメインは、特定のヒトモノクローナル抗体に由来する単鎖可変断片(scFv)のVHおよびVL鎖の断片、例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,109,304号に記載されるものを含み得る。断片また、ヒト抗原特異的抗体の任意の数の異なる抗原結合ドメインであり得る。より具体的な実施形態では、断片は、ヒト細胞での発現のためのヒトコドン使用に最適化された配列によってコード化された抗原特異的scFvである。
【0152】
配置は、ダイアボディまたは多量体などの多量体であり得る。多量体は、軽鎖および重鎖の可変部分をダイアボディに交差対合することにより形成される可能性が最も高い。構築物のヒンジ部分は、完全に除去されることから、最初のシステインが維持される、セリンよりもプロリンの置換、最初のシステインまでの切断など、複数の代替形を有することができる。Fc部分は除去され得る。安定している、かつ/または二量体化するタンパク質は、この目的に役立ち得る。例えば、ヒト免疫グロブリン由来のCH2またはCH3ドメインなど、Fcドメインの1つだけを使用することがあり得る。二量体化を改善するために改変されたヒト免疫グロブリンのヒンジ、CH2およびCH3領域を使用することもあり得る。免疫グロブリンのヒンジ部分だけを使用することもあり得る。CD8αの部分を使用することもあり得る。
【0153】
一部の実施形態では、CAR核酸は、その他の共刺激受容体、例えば膜貫通ドメインおよび改変されたCD28細胞内シグナル伝達ドメインなどをコードする配列を含む。その他の共刺激受容体としては、限定されるものではないが、1またはそれを超えるCD28、CD27、OX-40(CD134)、DAP10、DAP12、および4-1BB(CD137)が挙げられる。CD3ζによって開始される一次シグナルに加えて、ヒトCARに挿入されたヒト共刺激受容体によって提供される追加シグナルは、NK細胞の完全な活性化に重要であり、インビボでの持続性および養子免疫療法の治療上の成功を改善するのに役立ち得る。CARは、1またはそれを超えるサイトカイン、例えばIL-15などを発現することがある。1またはそれを超えるサイトカインを含めることにより、インビボでの持続性が促進され得る。一部の態様では、CARは、ヒト化scFv、CD3ζ、DAP12、およびIL-15などの抗原結合ドメインを、必要に応じてEv3ヒンジと組み合わせて含む。
【0154】
一部の実施形態では、CARは、特定の抗原(またはマーカーもしくはリガンド)、例えば養子療法の標的となる特定の細胞型で発現する抗原、例えば癌マーカー、および/または減衰反応を誘発することを目的とした抗原、例えば正常または非罹患細胞型で発現する抗原など、に特異的に構築されている。従って、CARは一般にその細胞外部分に1またはそれを超える抗原結合分子、例えば1またはそれを超える抗原結合断片、ドメイン、または部分、あるいは1またはそれを超える抗体可変ドメイン、および/または抗体分子を含む。一部の実施形態では、CARには、抗原結合部分または抗体分子の部分、例えばモノクローナル抗体(mAb)の重鎖可変(VH)および軽鎖可変(VL)鎖由来の単鎖抗体断片(scFv)が含まれる。
【0155】
キメラ抗原受容体の特定の実施形態では、受容体の抗原特異的部分(抗原結合領域を含む細胞外ドメインと呼ばれることもある)は、腫瘍関連抗原または病原体特異的抗原結合ドメインを含む。抗原には、パターン認識受容体、例えばデクチン-1に認識される炭水化物抗原が含まれる。腫瘍関連抗原は、それが腫瘍細胞の細胞表面で発現する限り、どんな種類のものであってもよい。腫瘍関連抗原の例となる実施形態には、CD19、CD319(CS1)、CD20、癌胎児性抗原、αフェトプロテイン、CA-125、MUC-1、CD56、EGFR、c-Met、AKT、Her2、Her3、上皮腫瘍抗原、メラノーマ関連抗原、変異p53、変異rasなどが含まれる。特定の実施形態では、CARはサイトカインと共発現させて、腫瘍関連抗原の量が少ない場合に持続性を改善し得る。例えば、CARは、IL-15と共発現させてよい。
【0156】
キメラ受容体をコードするオープンリーディングフレームの配列は、ゲノムDNA源、cDNA源から得てもよいし、または(例えば、PCRを介して)合成してもよいし、またはそれらの組合せであってもよい。ゲノムDNAのサイズおよびイントロンの数に応じて、イントロンがmRNAを安定化することは見出されているので、cDNAまたはその組合せを使用することが望ましい場合がある。また、mRNAを安定化させるために内因性または外因性の非コード領域を使用することはさらに有利であり得る。
【0157】
キメラ構築物は、裸のDNAとしてまたは適切なベクター中で免疫細胞に導入することができると企図される。裸のDNAを使用するエレクトロポレーションにより、細胞を安定にトランスフェクトする方法は、当技術分野で公知である。裸のDNAとは、一般に、発現に適した配向でプラスミド発現ベクターに含まれるキメラ受容体をコードするDNAを指す。
【0158】
あるいは、ウイルスベクター(例えば、レトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、またはレンチウイルスベクター)を使用して、キメラ構築物を免疫細胞に導入することができる。本開示の方法による使用に適切なベクターは、免疫細胞において非複製的である。例えば、HIV、SV40、EBV、HSV、またはBPVに基づくベクターなど、多数のベクターがウイルスに基づくことが公知であり、そのベクターでは細胞内で維持されるウイルスのコピー数は細胞の生存力を維持するのに十分なほど少ない。
【0159】
一部の態様では、抗原特異的結合、または認識成分は、1またはそれを超える膜貫通および細胞内シグナル伝達ドメインに連結されている。一部の実施形態では、CARには、CARの細胞外ドメインと融合した膜貫通ドメインが含まれる。一実施形態では、CAR中のドメインの1つと自然に関連している膜貫通ドメインが使用される。一部の例では、膜貫通ドメインは、アミノ酸置換によって選択または修飾されて、同じまたは異なる表面膜タンパク質の膜貫通ドメインとのそのようなドメインの結合を回避して、受容体複合体の他のメンバーとの相互作用を最小限に抑える。
【0160】
一部の実施形態では膜貫通ドメインは、天然源または合成源のいずれかに由来する。供給源が天然の場合、ドメインは一部の態様において膜結合タンパク質または膜貫通タンパク質に由来する。膜貫通領域には、T細胞受容体のα、βまたはζ鎖、CD28、CD3ζ、CD3ε、CD3γ、CD3δ、CD45、CD4、CD5、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137、CD154、ICOS/CD278、GITR/CD357、NKG2D、およびDAP分子に由来する(すなわち、少なくとも膜貫通領域を含む)ものが含まれる。あるいは、膜貫通ドメインは、一部の実施形態において合成である。一部の態様では、合成膜貫通ドメインは、主にロイシンおよびバリンなどの疎水性残基を含む。一部の態様では、フェニルアラニン、トリプトファン、バリンのトリプレットは、合成膜貫通ドメインの両端にある。
【0161】
特定の実施形態では、NK細胞などの免疫細胞を遺伝的に改変するための本明細書に開示されるプラットフォーム技術は、(i)エレクトロポレーション装置(例えば、ヌクレオフェクター)を使用する非ウイルス遺伝子導入、(ii)エンドドメイン(例えば、CD28/CD3-ζ、CD137/CD3-ζ、またはその他の組合せ)を介してシグナル伝達するCAR、(iii)抗原認識ドメインを細胞表面に接続する可変長の細胞外ドメインを有するCAR、および、場合によっては、(iv)CAR+免疫細胞を堅牢にかつ数値的に拡大できるようにするK562由来の人工抗原提示細胞(aAPC)(Singhら、2008;Singhら、2011)を含む。
【0162】
一部の実施形態では、CARは、レトロウイルスによって細胞に形質導入されていてよい。レトロウイルスベクターは、pSFG4ベクターであってよい。レトロウイルス導入ベクターpSFG4は、5’LTR、psiパッケージングシーケンス、および3’LTRを含むモロニーマウス白血病ウイルス(MoMLV)由来のウイルス成分を運ぶ、pUC19プラスミド(HindIIIとEcoRI制限酵素部位間の大きな断片[2.63kb])に基づく骨格を含む。LTRはレトロウイルスプロウイルスの両側に見られる長い末端反復配列であり、導入ベクターの場合、目的の遺伝子積荷(本発明者らの例では主にCARおよび関連する遺伝子成分)を囲んでいる。ヌクレオカプシドによるパッケージングの標的部位であるpsiパッケージング配列も、5’LTRとCARコード配列の間に挟まれてシスに組み込まれている。従って、pSFG4導入ベクターの基本構造は、pUC19 配列-5’LTR-psiパッケージング配列-関心の遺伝子積荷-3’LTR-pUC19配列として概説され得る。
D.抗原提示細胞
【0163】
マクロファージ、Bリンパ球、および樹状細胞をはじめとする抗原提示細胞は、特定のMHC分子の発現により区別される。APCは、抗原を内在化し、その抗原の一部を、これらの細胞外膜上のMHC分子とともに再発現する。主要組織適合複合体(MHC)は、複数の遺伝子座を含む大きな遺伝子複合体である。MHCの遺伝子座は、クラスIおよびクラスII MHCと呼ばれる2つの主要なクラスのMHC膜分子をコードする。Tヘルパーリンパ球は一般にMHCクラスII分子に関連する抗原を認識し、T細胞傷害性リンパ球はMHCクラスI分子に関連する抗原を認識する。ヒトではMHCはHLA複合体と呼ばれ、マウスではH-2複合体と呼ばれる。
【0164】
aAPC系は、少なくとも1つの外因性補助分子を含んでよい。任意の適切な数および組合せの補助分子を用いてよい。補助分子は、共刺激分子および接着分子などの補助分子から選択してもよい。例となる共刺激分子には、CD86、CD64(FcγRI)、41BBリガンド、およびIL-21が含まれる。接着分子には、セレクチンなどの炭水化物結合糖タンパク質、インテグリンなどの膜貫通結合糖タンパク質、カドヘリンなどのカルシウム依存性タンパク質、および細胞間接着分子(ICAM)などの単回膜貫通型免疫グロブリン(Ig)スーパーファミリータンパク質などを挙げることができ、これらは、例えば、細胞対細胞、または細胞対マトリックスの接触を促進する。例となる接着分子には、LFA-3およびICAMs、例えばICAM-1が含まれる。共刺激分子および接着分子を含む、例となる補助分子の選択、クローニング、調製、および発現に有用な技法、方法、および試薬。
IV.使用方法
【0165】
一部の実施形態では、本開示は、本開示のCAR(例えば、Ev3ヒンジおよび/またはヒト化scFvを有するCAR)を発現する有効量の免疫細胞を投与することを含む免疫療法のための方法を提供する。一実施形態では、医学的疾患または障害は、免疫応答を誘発する免疫細胞集団の移植によって処置される。本開示の特定の実施形態では、癌または感染は、免疫応答を誘発する免疫細胞集団の移植によって処置される。本明細書では、個体に有効量の抗原特異的細胞療法を投与することを含む、個体において癌を処置するかまたは癌の進行を遅らせる方法が提供される。本発明の方法は、免疫障害、固形癌、血液癌、およびウイルス感染の処置に適用され得る。
【0166】
特定の実施形態では、本明細書で提供されるCARを発現する免疫細胞、例えばNK細胞および/またはT細胞を、前記癌によって発現される抗原に特異的な抗原結合ドメインとともに投与することにより、癌患者を処置するための方法が提供される。例えば、慢性リンパ性白血病(CLL)、B細胞急性リンパ芽球性白血病(ALL)、または非ホジキンリンパ腫(NHL)の被験体をCD19-Ev3-CAR免疫細胞で処置して、癌幹細胞などのCD19-陽性細胞を除去することができる。その他の態様では、被験体は急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、骨髄異形成症候群(MDS)、または形質細胞様樹状細胞白血病(PDCL)を有していてよく、CD123-Ev3-CAR免疫細胞で処置され得る。さらなる態様では、被験体はT細胞白血病およびリンパ腫を有し、CD5-Ev3-CAR免疫細胞で処置されてよい。CLL、乳癌、膵臓癌または肺癌を有する被験体は、ROR1-Ev3-CAR免疫細胞で処置されてよい。子宮頸癌、子宮内膜癌または卵巣癌を有する被験体は、Meso-Ev3-CAR免疫細胞で処置されてよい。
【0167】
多発性骨髄腫(MM)またはその他のCD319を発現する癌の被験体は、CD319-CAR免疫細胞で処置することができる。一部の態様では、アミロイドーシスの患者は、CD319陽性細胞、例えば癌幹細胞などを除去することによって処置される。一部の態様では、意義不明の単クローン性免疫グロブリン血症(MGUS)またはくすぶり型骨髄腫の患者は、CD319-CAR免疫細胞で処置される。自己免疫障害、例えば関節リウマチ、SLE、または自己免疫性溶血性貧血などでCD319陽性細胞を有する被験体は、本実施形態の免疫細胞によって処置され得る。特定の態様では、CD319を発現する癌は、Ev3-CARを発現する免疫細胞をCD319 scFv、CD3ζ、DAP12、およびIL-15とともに投与することによって処置される。
【0168】
一部の実施形態では、本明細書で提供されるEv3 CARを含む細胞は、抗EGFR抗体によって除去および/または検出され得る。例となる抗EGFR抗体としては、限定されるものではないが、セツキシマブ(アービタックス)およびパニツムマブ(ベクティビックス)ならびにバイオ後続品が挙げられる。これらの抗体は両方とも、結腸直腸癌の処置のためにFDAによって承認されている。一部の実施形態では、Ev3-CARを発現する細胞の検出は、検出可能なタグを有する抗EGFR抗体の投与を含む。その他の態様では、Ev3-CARを発現している細胞の除去は、ADCCを誘発する抗EGFR抗体の投与を含む。一部の態様では、抗EGFR抗体は、プロドラッグまたは細胞傷害性薬物、例えば毒素などと融合させてよい。
【0169】
本発明の処置方法が有用な腫瘍には、悪性細胞型、例えば固形腫瘍または血液腫瘍に見出されるものなどが含まれる。例となる固形腫瘍としては、限定されるものではないが、膵臓、結腸、盲腸、胃、脳、頭、頸部、卵巣、腎臓、喉頭、肉腫、肺、膀胱、メラノーマ、前立腺、および乳房からなる群から選択される器官の腫瘍を挙げることができる。例となる血液腫瘍には、骨髄の腫瘍、T細胞またはB細胞の悪性腫瘍、白血病、リンパ腫、芽細胞腫、骨髄腫、および同類のものが含まれる。本明細書で提供される方法を用いて処置され得る癌のさらなる例としては、限定されるものではないが、肺癌(小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺の腺癌、および肺の扁平上皮癌腫を含む)、腹膜の癌、胃(gastricまたはstomach)癌(胃腸癌および胃腸間質癌を含む)、膵臓癌、子宮頸癌、卵巣癌、肝癌、膀胱癌、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜または子宮の癌腫、唾液腺癌、腎臓癌または腎癌、前立腺癌、外陰部癌、甲状腺癌、様々な種類の頭頸部癌、およびメラノーマが挙げられる。
【0170】
癌は具体的には以下の組織型のものである可能性があるが、これらに限定されるものではない:新生物、悪性;癌腫;未分化癌腫;巨細胞および紡錘細胞の癌腫;小細胞癌腫;乳頭癌腫;扁平上皮癌腫;リンパ上皮癌腫;基底細胞癌腫;毛母癌腫;移行上皮癌腫;乳頭移行上皮癌腫;腺癌;悪性ガストリノーマ;胆管細胞癌腫;肝細胞癌腫;肝細胞癌腫と胆管細胞癌腫の併発;索状腺癌;腺様嚢胞癌;腺腫性ポリープの腺癌;腺癌、家族性大腸腺腫症;固形癌腫;悪性カルチノイド腫瘍;細気管支肺胞腺癌;乳頭状腺癌;嫌色素性癌腫;好酸性癌腫;好酸性腺癌;好塩基性癌腫;明細胞腺癌;顆粒細胞癌腫;濾胞腺癌;乳頭状および濾胞状腺癌;非被嚢性硬化性癌腫;副腎皮質癌腫;類内膜(endometroid)癌腫;皮膚付属器癌腫;アポクリン腺癌;皮脂腺癌;耳道腺癌;粘表皮癌腫;嚢胞腺癌;乳頭状嚢胞腺癌;漿液性乳頭状嚢胞腺癌;粘液嚢胞腺癌;粘液腺癌;印環細胞癌腫;浸潤性乳管癌腫;髄様癌腫;小葉癌腫;炎症性癌腫;乳房パジェット病;腺房細胞癌;腺扁平上皮癌腫;扁平上皮化生を伴う腺癌;悪性胸腺腫;悪性卵巣間質腫瘍;悪性莢膜細胞腫;悪性顆粒膜細胞腫;悪性アンドロブラストーマ;セルトリ細胞癌腫;悪性ライディッヒ細胞腫;悪性脂質細胞腫瘍;悪性傍神経節腫;悪性乳房外傍神経節腫;褐色細胞腫;グロムス血管肉腫;悪性メラノーマ;無色素性メラノーマ;表在拡大型メラノーマ;悪性黒子型メラノーマ;末端黒子型メラノーマ;結節性メラノーマ;大色素性母斑の悪性メラノーマ;類上皮細胞メラノーマ;青色母斑、悪性;肉腫;線維肉腫;悪性線維性組織球腫;粘液肉腫;脂肪肉腫;平滑筋肉腫;横紋筋肉腫;胎児性横紋筋肉腫;胞巣状横紋筋肉腫;間質肉腫;悪性混合腫瘍;ミュラー管混合腫瘍;腎芽腫;肝芽腫;癌肉腫;悪性間葉腫;悪性ブレンナー腫瘍;悪性葉状腫瘍;滑膜肉腫;悪性中皮腫;未分化胚細胞腫;胎生期癌;悪性奇形腫;悪性卵巣甲状腺腫;絨毛癌;悪性中腎腫;血管肉腫;血管内皮腫、悪性;カポジ肉腫;悪性血管周皮腫;リンパ管肉腫;骨肉腫;傍骨性骨肉腫;軟骨肉腫;悪性軟骨芽腫;間葉性軟骨肉腫;骨の巨細胞腫;ユーイング肉腫;悪性歯原性腫瘍;エナメル芽細胞歯牙肉腫;悪性エナメル上皮腫;エナメル芽細胞線維肉腫;悪性松果体腫;脊索腫;悪性神経膠腫、上衣腫;星状細胞腫;原形質性星状細胞腫;線維性星状細胞腫;星状芽細胞腫;神経膠芽腫;乏突起膠細胞腫;乏突起膠芽細胞腫;原始神経外肺葉性;小脳肉腫;神経節芽細胞腫;神経芽細胞腫;網膜芽細胞腫;嗅神経原腫瘍;悪性髄膜腫;神経線維肉腫;悪性神経鞘腫;悪性顆粒細胞腫;悪性リンパ腫;ホジキン病;ホジキン側肉芽腫;小リンパ球性悪性リンパ腫;びまん性大細胞型悪性リンパ腫;濾胞性悪性リンパ腫;菌状息肉腫;その他の特定の非ホジキンリンパ腫;B細胞リンパ腫;低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL);小リンパ球性(SL)NHL;中悪性度/濾胞性NHL;中悪性度びまん性NHL;高悪性度免疫芽細胞NHL;高悪性度リンパ芽球性NHL;高悪性度小型非切れ込み核細胞性NHL;巨大病変NHL;マントル細胞リンパ腫;AIDS関連リンパ腫;ヴァルデンストレームマクログロブリン血症;悪性組織球増殖症;多発性骨髄腫;マスト細胞肉腫;免疫増殖性小腸疾患;白血病;リンパ性白血病;形質細胞性白血病;赤白血病;リンパ性肉腫細胞性白血病;骨髄性白血病;好塩基球性白血病;好酸球性白血病;単球性白血病;マスト細胞性白血病;巨核芽球性白血病;骨髄肉腫;毛様細胞性白血病;慢性リンパ性白血病(CLL);急性リンパ芽球性白血病(ALL);急性骨髄性白血病(AML);および慢性骨髄芽球性白血病。
【0171】
特定の実施形態は、白血病の処置方法に関する。白血病は血液または骨髄の癌であり、血液細胞、通常白血球細胞(白血球)の異常な増殖(増殖による産生)を特徴とする。これは、血液腫瘍と呼ばれる疾患の幅広いグループの一部である。白血病は、様々な疾患に及ぶ広義の用語である。白血病は臨床的および病理学的にその急性型と慢性型に分けられる。
【0172】
本開示の特定の実施形態では、免疫細胞は、それを必要とする個体、例えば癌または感染症を患っている個体などに送達される。次いで、細胞は個体の免疫系を強化して、それぞれの癌または病原細胞を攻撃する。場合によっては、個体には、1またはそれを超える用量の免疫細胞が与えられる。個体に2またはそれを超える用量の免疫細胞が与えられる場合には、投与と投与の間の期間は、個体での伝播に十分な時間を確保する必要があり、特定の実施形態では、用量と用量の間の期間は1、2、3、4、5、6、7日、またはそれを超える。
【0173】
本開示の特定の実施形態は、免疫介在性障害を処置または予防する方法を提供する。一実施形態では、被験体は自己免疫疾患を有する。自己免疫疾患の限定されない例としては、円形脱毛症、強直性脊椎炎、抗リン脂質症候群、自己免疫性アジソン病、副腎の自己免疫疾患、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性肝炎、自己免疫性卵巣炎および精巣炎、自己免疫性血小板減少症、ベーチェット病、水疱性類天疱瘡、心筋症、セリアック・スパート(celiac spate)皮膚炎、慢性疲労免疫機能障害症候群(CFIDS)、慢性炎症性脱髄性多発神経障害、チャーグ・ストラウス症候群、瘢痕性類天疱瘡(cicatrical pemphigoid)、CREST症候群、寒冷凝集素病、クローン病、円板状ループス、本態性混合型クリオグロブリン血症、線維筋痛症-線維筋炎、糸球体腎炎、グレーブス病、ギランバレー、橋本甲状腺炎、特発性肺線維症、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、IgA神経障害、若年性関節炎、扁平苔癬、エリテマトーデス(lupus erthematosus)、メニエール病、混合性結合組織病、多発性硬化症、1型または免疫介在性真性糖尿病、重症筋無力症、ネフローゼ症候群(例えば微小変化型、巣状糸球体硬化症、または膜性腎症など)、尋常性天疱瘡、悪性貧血、結節性多発性動脈炎、多発性軟骨炎、多腺性症候群、リウマチ性多発性筋痛、多発性筋炎および皮膚筋炎、原発性無ガンマグロブリン血症、原発性胆汁性肝硬変、乾癬、乾癬の関節炎、レイノー現象、ライター症候群、関節リウマチ、サルコイドーシス、強皮症、シェーグレン症状群、スティフ・マン症候群、全身性エリテマトーデス、エリテマトーデス、潰瘍性大腸炎、ブドウ膜炎、血管炎(例えば結節性多発性動脈炎、高安動脈炎、側頭動脈炎/巨細胞性動脈炎、または疱疹状皮膚炎 脈管炎など)、白斑、およびウェゲナー肉芽腫症が挙げられる。従って、本明細書に開示される方法を使用して処置され得る自己免疫疾患のいくつかの例としては、限定されるものではないが、多発性硬化症、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、I型真性糖尿病、クローン病;潰瘍性大腸炎、重症筋無力症、糸球体腎炎、強直性脊椎炎、脈管炎、または乾癬が挙げられる。被験体は、喘息などのアレルギー障害を有していてもよい。
【0174】
さらにもう一つの実施形態では、被験体は、移植臓器または幹細胞のレシピエントであり、免疫細胞は拒絶を予防および/または処置するために使用される。特定の実施形態では、被験体は、移植片対宿主病を有するかまたは発症するリスクがある。GVHDは、血縁ドナーかまたは非血縁ドナーのいずれかの幹細胞を使用するかまたは含む、あらゆる移植の合併症の可能性がある。GVHDには、急性と慢性の2種類がある。急性GVHDは、移植後最初の3カ月以内に現れる。急性GVHDの徴候には、手および足に赤みを帯びた皮膚の発疹が広がり、皮膚が剥がれたり水疱ができたりして、さらに重症になり得ることが含まれる。急性GVHDは胃および腸に影響を与える可能性もあり、その場合、けいれん、吐き気および下痢が起こる。皮膚および目の黄変(黄疸)は、急性GVHDが肝臓に影響を及ぼしたことを示す。慢性GVHDは、その重症度に応じてランク付けされる。ステージ/グレード1は軽度であり、ステージ/グレード4は重度である。慢性GVHDは、移植の3か月後またはそれ以降に発症する。慢性GVHDの症候は急性GVHDの症状に類似しているが、さらに、慢性GVHDは目の粘液腺、口の唾液腺、および胃の内壁と腸を潤滑する腺にも影響を与える可能性がある。本明細書に開示される免疫細胞の集団のいずれかを利用することができる。移植臓器の例としては、腎臓、肝臓、皮膚、膵臓、肺および/または心臓などの固形臓器移植、あるいは膵島、肝細胞、筋芽細胞、骨髄、または造血またはその他の幹細胞などの細胞移植片が含まれる。移植は、顔の組織などの複合移植であり得る。免疫細胞は、移植前に、移植と同時に、または移植後に投与することができる。一部の実施形態では、免疫細胞は、移植片の前に、例えば移植片の少なくとも1時間、少なくとも12時間、少なくとも1日、少なくとも2日、少なくとも3日、少なくとも4日、少なくとも5日、少なくとも6日、少なくとも1週、少なくとも2週、少なくとも3週、少なくとも4週、または少なくとも1カ月前に投与される。ある特定の、限定されない例では、治療上有効な量の免疫細胞の投与は、移植の3~5日前に行われる。
【0175】
一部の実施形態では、免疫細胞療法の前に、被験体に骨髄非破壊的リンパ球除去化学療法を投与することができる。骨髄非破壊的リンパ球除去化学療法は、任意の適切なそのような治療法であり得、それは任意の適切な経路によって投与され得る。骨髄非破壊的リンパ球除去化学療法は、例えば、特に癌が転移性であり得るメラノーマである場合、シクロホスファミドおよびフルダラビンの投与を含み得る。シクロホスファミドおよびフルダラビンの例となる投与経路は、静脈内である。同様に、任意の適切な用量のシクロホスファミドおよびフルダラビンを投与することができる。特定の態様では、およそ60mg/kgのシクロホスファミドが2日間投与され、その後におよそ25mg/m2のフルダラビンが5日間投与される。
【0176】
特定の実施形態では、免疫細胞の成長および活性化を促進する増殖因子が、免疫細胞と同時に、または免疫細胞に続いて被験体に投与される。免疫細胞増殖因子は、免疫細胞の成長および活性化を促進する任意の適切な増殖因子であってよい。適切な免疫細胞増殖因子の例には、インターロイキン(IL)-2、IL-7、IL-15、およびIL-12が含まれ、これらは単独で使用されてもよいし、多様な組合せ、例えばIL-2とIL-7、IL-2とIL-15、IL-7とIL-15、IL-2、IL-7とIL-15、IL-12とIL-7、IL-12とIL-15、またはIL-12とIL2などで使用されてもよい。
【0177】
治療上有効な量の免疫細胞は、非経口投与、例えば、静脈内、腹腔内、筋肉内、胸骨内、または関節内注射、または注入をはじめとする、多くの経路によって投与することができる。
【0178】
養子細胞療法で使用する免疫細胞の治療上有効な量は、処置される被験体において望ましい効果を達成する量である。例えば、これは、進行を抑制するため、または自己免疫または同種免疫疾患の退縮を引き起こすために必要な、あるいは自己免疫疾患によって引き起こされる症状、例えば疼痛および炎症などを緩和できる免疫細胞の量であり得る。それは、炎症、例えば疼痛、浮腫および体温上昇などに関連する症候を軽減するために必要な量であり得る。また、それは移植された臓器の拒絶反応を減少または防止するために必要な量でもあり得る。
【0179】
免疫細胞集団は、疾患に合った処置計画で投与することができ、例えば1回または2、3回の用量を1日から数日にわたって投与して疾患状態を改善するか、あるいは定期的な用量を長期にわたって投与して疾患の進行を抑制し、疾患の再発を防ぐことができる。製剤に用いられる正確な用量は、投与経路にも依存することになり、疾患または障害の重篤度は、開業医の判断および各患者の状況に従って決定されるべきである。免疫細胞の治療有効量は、処置される被験体、苦痛の重症度と種類、および投与方法に依存することになる。一部の実施形態では、ヒト被験体の処置で使用され得る用量は、少なくとも3.8×104、少なくとも3.8×105、少なくとも3.8×106、少なくとも3.8×107、少なくとも3.8×108、少なくとも3.8×109、または少なくとも3.8×1010の免疫細胞/m2に及ぶ。特定の実施形態では、ヒト被験体の処置で使用される用量は、約3.8×109から約3.8×1010の免疫細胞/m2に及ぶ。さらなる実施形態では、免疫細胞の治療上有効な量は、約5×106細胞/kg体重から約7.5×108細胞/kg体重、例えば約2×107細胞~約5×108細胞/kg体重、または約5×107細胞~約2×108細胞/kg体重で変動し得る。免疫細胞の正確な量は、被験体の年齢、体重、性別、および生理学的症状に基づいて、当業者によって容易に決定される。有効量は、インビトロまたは動物モデルの試験系から得られた用量反応曲線から推定することができる。
【0180】
免疫細胞は、免疫介在性障害の処置のための1またはそれを超えるその他の治療薬と併用して投与されてよい。併用療法には、限定されるものではないが、1またはそれを超える抗菌剤(例えば、抗生物質、抗ウイルス剤および抗真菌剤)、抗腫瘍剤(例えば、フルオロウラシル、メトトレキサート、パクリタキセル、フルダラビン、エトポシド、ドキソルビシン、またはビンクリスチン)、免疫除去剤(例えば、フルダラビン、エトポシド、ドキソルビシン、またはビンクリスチン)、免疫抑制剤(例えば、アザチオプリン、またはグルココルチコイド、例えばデキサメタゾンまたはプレドニゾンなど)、抗炎症剤(例えば、ヒドロコルチゾン、デキサメタゾンまたはプレドニゾンなどのグルココルチコイド、あるいはアセチルサリチル酸、イブプロフェンまたはナプロキセンナトリウムなどの非ステロイド系抗炎症剤)、サイトカイン(例えば、インターロイキン-10またはトランスフォーミング増殖因子β)、ホルモン(例えば、エストロゲン)、またはワクチンが含まれ得る。さらに、限定されるものではないが、カルシニュリン抑制剤(例えば、シクロスポリンおよびタクロリムス);mTOR抑制剤(例えば、ラパマイシン);ミコフェノール酸モフェチル、抗体(例えば、CD3、CD4、CD40、CD154、CD45、IVIG、またはB細胞を認識);化学療法剤(例えば、メトトレキサート、トレオスルファン、ブスルファン);照射;またはケモカイン、インターロイキンまたはそれらの抑制剤(例えば、BAFF、IL-2、抗IL-2R、IL-4、JAKキナーゼ抑制剤)をはじめとする免疫抑制剤または寛容誘発剤を投与することができる。そのような追加の医薬品は、所望の効果に応じて、免疫細胞の投与の前、投与の最中、または投与の後に投与することができる。細胞および薬剤のこの投与は、同じ経路または異なる経路で、同じ部位または異なる部位のいずれかで行うことができる。
B.薬学的組成物
【0181】
本明細書では、免疫細胞(例えば、T細胞またはNK細胞)と薬学的に許容され得る担体を含む薬学的組成物および製剤も提供される。
【0182】
本明細書に記載される薬学的組成物および製剤は、所望の純度を有する有効成分(例えば抗体またはポリペプチドなど)を、凍結乾燥製剤または水溶液の形態の1またはそれを超える随意の薬学的に許容され得る担体と混合することによって調製することができる(Remington’s Pharmaceutical Sciences 22nd
edition、2012)。薬学的に許容され得る担体は、一般に、用いられる投与量および濃度でレシピエントに対して無毒であり、それには、限定されるものではないが、リン酸、クエン酸、およびその他の有機酸などの緩衝液;アスコルビン酸およびメチオニンを含む抗酸化剤;防腐剤(例えばオクタデシルジメチルベンジル塩化アンモニウム;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム;塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチルまたはベンジルアルコール;メチルまたはプロピルパラベンなどのアルキルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;およびm-クレゾール);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;タンパク質、例えば血清アルブミン、ゼラチン、または免疫グロブリンなど;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、またはリジンなどのアミノ酸;単糖類、二糖類、およびグルコース、マンノース、またはデキストリンを含むその他の炭水化物;EDTAなどのキレート剤;スクロース、マンニトール、トレハロースまたはソルビトールなどの糖類;ナトリウムなどの塩形成対イオン;金属錯体(例えばZn-タンパク質錯体);および/またはポリエチレングリコール(PEG)などの非イオン性界面活性剤が含まれる。
C.併用療法
【0183】
特定の実施形態では、本実施形態の組成物および方法は、少なくとも1つの追加の療法と組み合わせた免疫細胞集団を伴う。追加の療法は、放射線療法、手術(例えば、乳腺腫瘍摘出術および乳房切除術)、化学療法、遺伝子療法、DNA療法、ウイルス療法、RNA療法、免疫療法、骨髄移植、ナノ療法、モノクローナル抗体療法、または前述の組み合わせであってよい。追加の療法は、アジュバントまたはネオアジュバント療法の形であってよい。
【0184】
一部の実施形態では、追加の療法は、低分子酵素抑制剤または抗転移剤の投与である。一部の実施形態では、追加の療法は、副作用制限剤(例えば、処置の副作用の発生および/または重症度を低下させることを目的とする薬剤、例えば、抗吐き気剤など)の投与である。一部の実施形態では、追加の療法は放射線療法である。一部の実施形態では、追加の療法は手術である。一部の実施形態では、追加の療法は放射線療法と手術の併用である。一部の実施形態では、追加の療法はガンマ線照射である。一部の実施形態では、追加の療法は、PBK/AKT/mTOR経路、HSP90抑制剤、チューブリン抑制剤、アポトーシス抑制剤、および/または化学防御剤を標的とする療法である。追加の療法は、当技術分野で公知の1またはそれを超える化学療法剤であってよい。
【0185】
免疫細胞療法は、追加の癌療法、例えば免疫チェックポイント療法などと比べて、前に、最中に、後に、または様々な組合せで投与されてよい。投与は、同時から数分から数日から数週間の範囲の間隔で行うことができる。免疫細胞療法が追加の治療薬とは別に患者に提供される実施形態では、一般に、2つの化合物が有利な併用効果を患者になお発揮することが可能なように、各送達の時間の間にかなりの時間が経って期限が過ぎないようにする。そのような場合、互いに約12~24または72時間以内、より具体的には互いに約6~12時間以内に患者に抗体療法および抗癌療法を提供し得ることが企図される。一部の状況では、それぞれの投与の間に数日(2、3、4、5、6または7日)から数週間(1、2、3、4、5、6、7または8週間)が経過する場合には、処置の期間を大幅に延長することが望ましいことがある。
【0186】
様々な組合せを用いることができる。以下の例では、CAR免疫細胞療法は「A」であり、抗癌療法は「B」である。
A/B/A B/A/B B/B/A A/A/B A/B/B B/A/A A/B/B/B B/A/B/B
B/B/B/A B/B/A/B A/A/B/B A/B/A/B A/B/B/A
B/B/A/A
B/A/B/A B/A/A/B A/A/A/B B/A/A/A A/B/A/A
A/A/B/A
【0187】
本実施形態の化合物または療法の患者への投与は、存在する場合は薬剤の毒性を考慮に入れて、そのような化合物の投与のための一般的なプロトコルに従うことになる。そのため、一部の実施形態では、併用療法に起因する毒性を監視するステップがある。
1.化学療法
【0188】
幅広い種類の化学療法剤を、本実施形態に従って使用することができる。用語「化学療法」とは、癌を処置する薬物の使用を指す。「化学療法剤」は、癌の処置の際に投与される化合物または組成物を意味するために使用される。これらの薬剤または薬物は、細胞内の活動モード、例えば、細胞周期に影響を与えるかどうか、およびどの段階で影響を与えるかによって分類される。あるいは、薬剤は、DNAを直接架橋する能力、DNAの間に介入する能力、または核酸合成に影響を与えることにより染色体異常および有糸分裂異常を誘発する能力に基づいて特徴付けられ得る。
【0189】
化学療法剤の例としては、アルキル化剤、例えばチオテパおよびシクロホスファミド(cyclosphosphamide);スルホン酸アルキル、例えばブスルファン、インプロスルファン、およびピポスルファンなど;アジリジン、例えばベンゾドーパ(benzodopa)、カルボコン、メツレドーパ(meturedopa)、およびウレドーパ(uredopa)など;エチレンイミンおよび、アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホルアミド、トリエチレンチオホスホルアミド、およびトリメチルオロメラミン(trimethylolomelamine)を含むメチラメラミン(methylamelamines);アセトゲニン(特にブラタシンおよびブラタシノン);カンプトテシン(合成類似体トポテカンを含む);ブリオスタチン;カリスタチン;CC-1065(そのアドゼレシン、カルゼレシンおよびビゼレシン合成類似体を含む);クリプトフィシン(特にクリプトフィシン1およびクリプトフィシン8);ドラスタチン;デュオカルマイシン(合成類似体、KW-2189およびCB1-TM1を含む);エリュテロビン;パンクラチスタチン;サルコジクチン(sarcodictyin);スポンギスタチン(spongistatin);ナイトロジェンマスタード、例えばクロラムブシル、クロルナファジン、シクロホスファミド、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、塩酸メクロレタミンオキシド、メルファラン、ノベムビシン(novembichin)、フェネステリン、プレドニムスチン、トロフォスファミド、およびウラシルマスタードなど;ニトロソ尿素(nitrosureas)、例えばカルムスチン、クロロゾトシン、ホテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、およびラニムスチンなど;抗生物質、例えばエンジイン抗生物質(例えば、カリチアマイシン、特にカリチアマイシンガンマI(gammalI)およびカリチアマイシンオメガ1(omegaI1))など;ダイネミシンAを含むダイネミシン;ビスホスホネート、例えばクロドロネートなど;エスペラミシン;ならびにネオカルチノスタチンクロモフォアおよび関連する色素タンパク質エンジイン抗生物質クロモフォア、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、アウスラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カルビシン、カルミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ドキソルビシン(モルホリノ-ドキソルビシン、シアノモルホリノ-ドキソルビシン、2-ピロリノ-ドキソルビシンおよびデオキシドキソルビシンを含む)、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシン、例えばマイトマイシンCなど、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポルフィロマイシン(potfiromycin)、ピューロマイシン、ケラマイシン(quelamycin)、ロドルビシン(rodorubicin)、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、およびゾルビシン;代謝拮抗剤、例えばメトトレキサートおよび5-フルオロウラシル(5-FU)など;葉酸類似体、例えばデノプテリン、プテロプテリン、およびトリメトレキサートなど;プリン類似体、例えばフルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリン、およびチオグアニンなど;ピリミジン類似体、例えばアンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、およびフロクスウリジンなど;アンドロゲン、例えばカルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、およびテストラクトンなど;抗副腎剤(anti-adrenals)、例えばミトタンおよびトリロスタンなど;葉酸補充剤、例えばフォリン酸など;アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;エニルウラシル;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトラキサート(edatraxate);デフォファミン(defofamine);デメコルシン;ジアジクオン;エルホルミチン(elformithine);酢酸エリプチニウム;エポチロン;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシ尿素;レンチナン;ロニダイニン;メイタンシノイド、例えばメイタンシンおよびアンサマイトシンなど;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダンモール(mopidanmol);ニトラエリン(nitraerine);ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ロソキサントロン;ポドフィリニック酸;2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK多糖複合体;ラゾキサン;リゾキシン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジクオン;2,2’,2”-トリクロロトリエチルアミン;トリコテセン(特にT-2毒素、ベラクリン(verracurin)A、ロリジンAおよびアングイジン);ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン(gacytosine);アラビノシド(「Ara-C」);シクロホスファミド;タキソイド、例えば、パクリタキセルおよびドセタキセルゲムシタビン;6-チオグアニン;メルカプトプリン;白金配位錯体、例えばシスプラチン、オキサリプラチン、およびカルボプラチンなど;ビンブラスチン;白金;エトポシド(VP-16);イホスファミド;ミトキサントロン;ビンクリスチン;ビノレルビン;ノバントロン;テニポシド;エダトレキサート;ダウノマイシン;アミノプテリン;ゼローダ;イバンドロネート;イリノテカン(例えば、CPT-11);トポイソメラーゼ抑制剤RFS 2000;ジフルオロメチルオルニチン(difluorometlhylornithine)(DMFO);レチノイド、例えばレチノイン酸など;カペシタビン;カルボプラチン、プロカルバジン、プリコマイシン(plicomycin)、ゲムシタビエン(gemcitabien)、ナベルビン、ファルネシル-タンパク質トランスフェラーゼ抑制剤、トランス白金、ならびに上記のいずれかの薬学的に許容され得る塩、酸、または誘導体が含まれる。
2.放射線療法
【0190】
DNA損傷を引き起こし、広範に使用されているその他の因子には、γ線、X線、および/または腫瘍細胞への放射性同位体の指示された送達として一般に公知のものが含まれる。マイクロ波、陽子線照射、およびUV照射などのDNA損傷因子のその他の形態も企図される。これらの因子はすべて、DNA、DNAの前駆体、DNAの複製および修復、ならびに染色体の集合および維持に対する広範囲の損傷に影響を与える可能性が最も高いと思われる。X線の線量範囲は、長期間(3~4週間)に対する50~200レントゲンの一日線量から2000~6000レントゲンの単回線量までの範囲である。放射性同位体の線量範囲は大きく異なり、同位体の半減期、放出される放射線の強度および種類、ならびに新生細胞による取り込みに依存する。
3.免疫療法
【0191】
当業者は、追加の免疫療法が実施形態の方法と組み合わせて、またはそれと併せて使用されてよいことを理解するであろう。癌の処置の状況において、免疫療法は、一般に、癌細胞を標的として破壊することを免疫エフェクター細胞および分子の使用に頼る。リツキシマブ(RITUXAN(登録商標))は、そのような一例である。免疫エフェクターは、例えば、腫瘍細胞の表面上の一部のマーカーに特異的な抗体であり得る。抗体は、単独で治療のエフェクターとして働く場合もあれば、細胞の死滅に実際に影響を及ぼすために他の細胞を動員する場合もある。抗体はまた、薬物または毒素(化学療法薬、放射性核種、リシンA鎖、コレラ毒素、百日咳毒素など)と結合され、標的化剤として働く場合がある。あるいは、エフェクターは、腫瘍細胞標的と直接的または間接的に相互作用する表面分子を保有するリンパ球であってよい。様々なエフェクター細胞には、細胞傷害性T細胞およびNK細胞が含まれる。
【0192】
抗体-薬物複合体(ADC)は、細胞を死滅させる薬物と共有結合しているモノクローナル抗体(MAb)を含み、併用療法で使用されてよい。このアプローチは、抗原標的に対するMAbの高い特異性と非常に強力な細胞傷害性薬を組み合わせ、その結果、濃縮されたレベルの抗原で腫瘍細胞にペイロード(薬物)を送達する「武装した」MAbをもたらす。薬物の標的化送達はまた、正常組織でのその曝露を最小限に抑え、毒性の減少と治療係数の改善をもたらす。例となるADC薬物としては、ADCETRIS(登録商標)(ブレンツキシマブベドチン)およびKADCYLA(登録商標)(トラスツズマブエムタンシンまたはT-DM1)が挙げられる。
【0193】
免疫療法の一態様では、腫瘍細胞は、ターゲティングに適している、すなわち他の細胞の大部分には存在しない、いくつかのマーカーを有していなければならない。多くの腫瘍マーカーが存在し、これらのいずれもが、本実施形態の状況でのターゲティングに好適であり得る。一般的な腫瘍マーカーとしては、CD20、癌胎児抗原、チロシナーゼ(p97)、gp68、TAG-72、HMFG、シアリルルイス抗原、MucA、MucB、PLAP、ラミニン受容体、erb Bおよびp155が挙げられる。免疫療法の代替態様は、抗癌効果と免疫刺激効果を組み合わせることである。免疫刺激分子も存在し、それには、サイトカイン、例えばIL-2、IL-4、IL-12、GM-CSF、γ-IFNなど、ケモカイン、例えばMIP-1、MCP-1、IL-8など、および増殖因子、例えばFLT3リガンドなどが含まれる。
【0194】
免疫療法の例としては、免疫アジュバント、例えば、Mycobacterium bovis、Plasmodium falciparum、ジニトロクロロベンゼン、および芳香族化合物);サイトカイン療法、例えば、インターフェロンα、βおよびγ、IL-1、GM-CSF、およびTNF;遺伝子療法、例えば、TNF、IL-1、IL-2、およびp53;およびモノクローナル抗体、例えば、抗CD20、抗ガングリオシドGM2、および抗p185が含まれる。1またはそれを超える抗癌療法は、本明細書に記載される抗体療法とともに用いることができると企図される。
【0195】
一部の実施形態では、免疫療法は、免疫チェックポイント抑制剤であってよい。免疫チェックポイントは、シグナル(例えば、共刺激分子)を上げるか、シグナルを下げる。免疫チェックポイント遮断によって標的となり得る抑制性免疫チェックポイントには、アデノシンA2A受容体(A2AR)、B7-H3(CD276としても公知)、BおよびTリンパ球アテニュエーター(BTLA)、細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4(CTLA-4、CD152としても公知)、インドールアミン2,3-ジオキシゲナーゼ(IDO)、キラー細胞免疫グロブリン(KIR)、リンパ球活性化遺伝子-3(LAG3)、プログラム死1(PD-1)、T細胞免疫グロブリンドメインおよびムチンドメイン3(TIM-3)およびT細胞活性化のV-ドメインIgサプレッサー(VISTA)が含まれる。特に、免疫チェックポイント抑制剤は、PD-1軸および/またはCTLA-4を標的とする。
【0196】
免疫チェックポイント抑制剤は、小分子などの薬物、リガンドまたは受容体の組換え体、または特にヒト抗体などの抗体であり得る。免疫チェックポイントタンパク質またはその類似体の既知の抑制剤を使用してよく、特に抗体のキメラ化、ヒト化またはヒト型を使用してよい。当業者が知るように、代替および/または同等の名称が、本開示で言及される特定の抗体に使用されていることがある。そのような代替名および/または同等名は、本開示の文脈において交換可能である。例えば、ランブロリズマブはMK-3475およびペンブロリズマブの代替名および同等名でも公知である。
【0197】
一部の実施形態では、PD-1結合アンタゴニストは、PD-1とそのリガンド結合パートナーの結合を抑制する分子である。具体的な態様では、PD-1リガンド結合パートナーは、PDL1および/またはPDL2である。もう一つの実施形態では、PDL1結合アンタゴニストは、PDL1とその結合パートナーの結合を抑制する分子である。具体的な態様では、PDL1結合パートナーは、PD-1および/またはB7-1である。もう一つの実施形態では、PDL2結合アンタゴニストは、PDL2とその結合パートナーの結合を抑制する分子である。具体的な態様では、PDL2結合パートナーはPD-1である。アンタゴニストは、抗体、その抗原結合断片、イムノアドヘシン、融合タンパク質、またはオリゴペプチドであり得る。
【0198】
一部の実施形態では、PD-1結合アンタゴニストは、抗PD-1抗体(例えば、ヒト抗体、ヒト化抗体、またはキメラ抗体)である。一部の実施形態では、抗PD-1抗体は、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、およびCT-011からなる群から選択される。一部の実施形態では、PD-1結合アンタゴニストは、イムノアドヘシン(例えば、定常領域(例えば、免疫グロブリン配列のFc領域)に融合したPDL1またはPDL2の細胞外またはPD-1結合部分を含むイムノアドヘシン)である。一部の実施形態では、PD-1結合アンタゴニストはAMP-224である。MDX-1106-04、MDX-1106、ONO-4538、BMS-936558、およびOPDIVO(登録商標)としても公知のニボルマブは、使用してよい抗PD-1抗体である。MK-3475、Merck 3475、ランブロリズマブ、KEYTRUDA(登録商標)、およびSCH-900475としても公知のペムブロリズマブは、例となる抗PD-1抗体である。hBATまたはhBAT-1としても公知のCT-011は、抗PD-1抗体でもある。B7-DCIgとしても公知のAMP-224は、PDL2-Fc融合可溶性受容体である。
【0199】
本明細書で提供される方法で標的となり得るもう一つの免疫チェックポイントは、CD152としても公知の細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4(CTLA-4)である。ヒトCTLA-4の完全なcDNA配列は、Genbankアクセッション番号L15006を有する。CTLA-4はT細胞の表面に見出され、抗原提示細胞の表面のCD80またはCD86に結合すると「オフ」スイッチとして機能する。CTLA4は、ヘルパーT細胞の表面に発現し、抑制シグナルをT細胞に伝達する免疫グロブリンスーパーファミリーのメンバーである。CTLA4は、T細胞共刺激タンパク質CD28に類似し、両方の分子は、それぞれB7-1およびB7-2と呼ばれる、抗原提示細胞上のCD80およびCD86に結合する。CTLA4は抑制シグナルをT細胞に伝達するが、CD28は刺激シグナルを伝達する。細胞内CTLA4は、制御性T細胞にも見出され、それらの機能に重要であり得る。T細胞受容体およびCD28によるT細胞の活性化は、B7分子の抑制性受容体であるCTLA-4の発現増加につながる。
【0200】
一部の実施形態では、免疫チェックポイント抑制剤は、抗CTLA-4抗体(例えば、ヒト抗体、ヒト化抗体、またはキメラ抗体)、その抗原結合断片、イムノアドヘシン、融合タンパク質、またはオリゴペプチドである。
【0201】
本発明の方法での使用に適切な抗ヒト-CTLA-4抗体(またはそれに由来するVHおよび/またはVLドメイン)は、当技術分野で周知の方法を使用して生成され得る。あるいは、当該分野で認識される抗CTLA-4抗体を使用することができる。例となる抗CTLA-4抗体は、イピリムマブ(10D1、MDX-010、MDX-101、およびYervoy(登録商標)としても公知)またはその抗原結合断片および変異体である。その他の実施形態では、抗体は、イピリムマブの重鎖および軽鎖のCDRまたはVRを含む。従って、一実施形態では、抗体は、イピリムマブのVH領域のCDR1、CDR2、およびCDR3ドメイン、およびイピリムマブのVL領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む。もう一つの実施形態では、抗体は、上記の抗体と同じCTLA-4上のエピトープとの結合について競合し、かつ/または結合する。もう一つの実施形態では、抗体は、上述の抗体と少なくとも約90%の可変領域アミノ酸配列同一性(例えば、イピリムマブと少なくとも約90%、95%、または99%可変領域同一性)を有する。
4.手術
【0202】
癌患者の約60%は何らかの種類の手術を受けることになり、それには予防手術、診断的または病期決定手術、根治手術および緩和手術が含まれる。根治手術には、癌性組織の全部または一部を物理的に除去、切除、および/または破壊する切除術が含まれ、他の療法、例えば本実施形態の処置、化学療法、放射線療法、ホルモン療法、遺伝子療法、免疫療法、および/または代替療法などと併用することができる。腫瘍切除術とは、腫瘍の少なくとも一部の物理的な除去を指す。腫瘍切除術に加えて、手術による処置には、レーザー手術、凍結手術、電気手術、および顕微鏡制御手術(モース術)が含まれる。
【0203】
癌性細胞、組織、または腫瘍の一部または全部を切除すると、体内に空洞が形成されることがある。処置は、灌流、直接注射、または追加の抗癌療法による領域の局所適用によって達成されてよい。そのような処置は、例えば、1、2、3、4、5、6、または7日ごと、あるいは1、2、3、4、および5週ごと、あるいは1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12カ月ごとに繰り返すことができる。これらの処置も同様に様々な投与量のものであってよい。
5.その他の薬剤
【0204】
処置の治療効果を改善するために、その他の薬剤を本実施形態の特定の態様と組み合わせて使用し得ることが企図される。これらの追加の薬剤には、細胞表面受容体およびギャップ結合のアップレギュレーションに影響を及ぼす薬剤、細胞増殖抑制剤および分化剤、細胞接着の抑制剤、アポトーシス誘導物質に対する過剰増殖性細胞の感受性を高める薬剤、またはその他の生物剤が含まれる。ギャップ結合の数を増やすことによる細胞間シグナル伝達の増加は、隣接する過剰増殖性細胞集団に対する抗過剰増殖効果を増加させる。その他の実施形態では、細胞増殖抑制剤または分化剤を本実施形態の特定の態様と組み合わせて使用して、処置の抗過剰増殖効力を改善することができる。細胞間接着の抑制剤は、本実施形態の有効性を改善することが企図される。細胞間接着抑制剤の例は、焦点接着キナーゼ(FAK)抑制剤およびロバスタチンである。さらに、アポトーシスに対する過増殖性細胞の感受性を増加させるその他の薬剤、例えば抗体c225などを、本実施形態の特定の態様と組み合わせて使用して、処置効力を改善することができ得ることが企図される。
V.製造品またはキット
【0205】
免疫細胞を含む製造品またはキットも本明細書において提供される。製造品またはキットは、免疫細胞を使用して個体の癌を処置するかまたは癌の進行を遅らせるため、または癌を有する個体の免疫機能を高めるための説明書を含む添付文書をさらに含むことができる。本明細書に記載される抗原特異的免疫細胞はどれでも製造品またはキットに含められてよい。適切な容器には、例えば、ボトル、バイアル、バッグおよびシリンジが含まれる。容器は、ガラス、プラスチック(例えばポリ塩化ビニルまたはポリオレフィンなど)、または金属合金(例えばステンレス鋼またはハステロイ)などの多様な材料から形成されてよい。一部の実施形態では、容器は製剤を保持し、容器上のラベル、または容器に関連付けられたラベルは、使用方法を示すことができる。製造品またはキットには、その他の緩衝液、希釈剤、フィルター、針、シリンジ、および使用説明書付きの添付文書をはじめとする、商業的およびユーザーの観点から望ましいその他の材料がさらに含まれてよい。一部の実施形態では、製造品には、1またはそれを超える別の薬剤(例えば、化学療法剤、および抗腫瘍剤)がさらに含まれる。1またはそれを超える薬剤に適切な容器には、例えば、ボトル、バイアル、バッグおよびシリンジが含まれる。
VI.実施例
【0206】
以下の実施例は、本発明の好ましい実施形態を実証するために含められる。以下の実施例に開示される技術は、本発明の実践において十分に機能するために発明者によって発見された技術を表し、したがって、その実践に好ましいモードを構成すると見なされ得ることを当業者は理解するべきである。しかし、当業者は、本開示に照らして、多くの変更が開示された特定の実施形態において行われ、それでもなお本発明の精神および範囲から逸脱することなく同様または類似の結果を得ることができることを理解するはずである。
実施例1-切断型EGFRvIII(Ev3)CARの開発
【0207】
Ev3-CARは、Ev3ストークがscFvなどによる抗原結合からのシグナルを変換する統合構造として機能するように設計された。また、「オフ」スイッチは、セツキシマブなどの臨床的にアクセス可能な抗体によってCAR陽性免疫細胞を除去することが認識され得ることを意味する(
図1A)。Ev3-CARは、DAP12シグナル伝達ドメインをさらに含むことができ、Ev3-DAP12-CARと名付けられる。エンドドメインおよびEGF結合ドメインを含むEGFRと比較したEv3を示す模式図が
図2に示される。
【0208】
様々な抗原結合ドメインを有するEv3-CARまたはEv3-DAP12-CARをコードするレトロウイルスベクターは、
図3A~3Dに示されるように生成された。抗原結合ドメインは、マウス抗ヒト抗体に由来するscFvとヒト化scFvの両方であった。ベクターは、CD28およびCD3ζシグナル伝達ドメイン、そして必要に応じてDAP12を含む。ベクターは、自殺遺伝子である誘導性カスパーゼ9も含む。
【0209】
CAR19.Ev3.CD28.CD3ζ、CAR19.Ev3.DAP12.CD3ζまたはヒト化CAR19.Ev3.CD3ζをはじめとするCD19特異的CARをNK細胞に形質導入した(
図4A)。CAR-NK細胞を、CD19
+RajiまたはK562細胞を死滅させる際のその効力について試験した(
図4B)。CAR19-Ev3-CD28-DAP12-CAR NK細胞は、最大の細胞傷害性を有することが観察された。従って、CARのヒンジ領域でDAP12エンドドメインと組み合わせてEv3を使用すると、標的細胞に対して非常に細胞傷害性の高いCARが生成される。
実施例2-ヒト化CARの開発
【0210】
ヒト化CARを産生する際に用いるヒト化scFvを生成するためのプラットフォームを開発した。構造的な制約により、一部の残基は抗原結合により寄与するため、3Dモデリングを使用して、重要である可能性のある相互作用を特定し、ヒト化CARを生成した。以下に詳述する段階的なプロセスは、以前のサイクルを改善するために反復して繰り返され得る。
【0211】
本明細書で提供されるCARヒト化ワークフローは、以下に詳述され、
図5Aに示される5つの基本プロセスモジュールを含む。
【0212】
モジュールIは、モノクローナル抗体(mAb)配列解析を含む。BLASTプログラムを、マウスmAb配列などの開始クエリに対して最も一致する免疫グロブリン(IG)配列の検索に用いた(
図5B)。BLASTは、ヌクレオチド配列とアミノ酸配列を連続(1対1)かまたは並列(バッチ)で解析することができるほか、精選された配列データベースを含む生殖細胞系遺伝子データベースを同時に検索することができるので、最適なマッチング変数(V遺伝子)を取得する可能性が最大になる。参照配列について、生殖細胞系変数(V)、多様性(D)および結合(J)遺伝子のデータベースを使用して、IG
Vドメインフレームワーク領域(FR1-4)および相補性決定領域(CDR)を描写した。各抗体について、可変ドメインを、各々が遺伝子V、D、およびJ遺伝子を含む複数の遺伝子によってコードされている、軽鎖および重鎖について分析した。この研究の焦点は主に、各FRおよびCDR領域の境界を見出し、データベース内の他のIG配列と比較する、定義された領域の状況で変動を比較するV遺伝子にある。
【0213】
ゲノム配列内の個々の変動(すなわち、1,000bpのDNA配列あたり1つの一塩基多型と推定される)により、生殖細胞系列IG配列は数千のアロタイプ(すなわち、対立遺伝子または遺伝子のバージョン)を含む(
図6)。ヒトアロタイプのデータベースを生成し、CARのヒト化に活用した。
【0214】
一例として、マウス抗体(クローンFMC63)から抗ヒトCD19結合ドメインVLおよびVH配列を形質転換するために、CDR移植により特定のヒトアロタイプを使用してヒト化ドメインを誘導した(
図7A)。
図7AのCDR領域には下線が引かれている。
【0215】
フレームワーク配列のソースは、
図7Bに示されるBLAST(Altshulら、1997)分析により確認された。さらに、配列相同性および同一性は容易に定量化され、
図7Cに要約されている。比較として、新規に作成された配列を以前に利用可能な配列と比較し、実質的かつ容易に区別可能な違いがアミノ酸およびヌクレオチドレベルで検出された。
【0216】
モジュールIIは3D構造モデリングで構成された。抗原結合のための重要な残基を特定するために、3D構造を構築して構築物を評価した。SWISS-MODELは、ヒト化mAbの3次元モデルを作成するために使用されたタンパク質構造相同性モデラーである。構造ファイルは、相同性モデリングのテンプレートとして構造抗体データベースであるSAbDabから抽出された。VLおよびVHドメインのCDR領域の3Dコンフォメーションを特徴付ける例として、SWISS-MODEL(Arnoldら、2006;Benkertら、2011)アルゴリズムを使用する相同性モデリングを、以下の一次アミノ酸配列とともに使用した。
【化5】
【0217】
SWISS-MODELテンプレートライブラリー(SMTLバージョン2017-06-28、PDBリリース2017-06-23)を、標的配列hCD19 VLおよびhCD19 VHに一致する進化的関連構造についてBLAST(Altschulら、1997)およびHHBlits(Remmertら、2012)で検索した。
【0218】
全体として、13,535個のテンプレートがhCD19 V
Lで見出され、2fgw.1.Aが最良適合を示し(
図8A)、さらなる解析に使用された。標的配列(hCD19 V
L)をSMTLに含まれる一次アミノ酸配列に対してBLASTで検索した。合計761個のテンプレートが見出された。最初のHHblitsプロファイルを、Remmertらによって概説された手順を使用して構築し、その後、NR20に対してHHblitsを1回反復した。このようにして得たプロファイルを、次にSMTLのすべてのプロファイルに対して検索した。合計12,946個のテンプレートが見出された。
【0219】
全体で、14,631個のテンプレートがhCD19 V
Hに見出され、4uv7.1.Bが最良適合を示し(
図8A)、さらなる解析に使用された。標的配列(hCD19 V
L)をSMTLに含まれる一次アミノ酸配列に対してBLASTで検索した。合計755個のテンプレートが見出された。最初のHHblitsプロファイルを、Remmertらによって概説された手順を使用して構築し、その後、NR20に対してHHblitsを1回反復した。このようにして得たプロファイルを、次にSMTLのすべてのプロファイルに対して検索した。合計13,964個のテンプレートが見出された。
【0220】
テンプレート選択:識別された各テンプレートについて、テンプレートの品質は標的とテンプレートのアライメントの特徴から予測されていた。次に、モデル作成のために最高品質のテンプレートが選択された。
【0221】
モデル構築:ProMod3を使用して、標的とテンプレートのアライメントに基づいてモデルを構築した。標的とテンプレートの間で保存されていた座標は、テンプレートからモデルにコピーされた。断片ライブラリーを使用して挿入および欠失をリモデリングした。次いで、側鎖を再構築した。最後に、結果として得られるモデルのジオメトリを、力場を使用して正規化した。ProMod3によるループモデリングが失敗した場合、PROMOD-IIを用いて代わりのモデルを構築した(Geuxら、1997)。
【0222】
モデル品質の推定:全体および残基ごとのモデル品質は、QMEANスコアリング関数を使用して評価した(Benkertら、2011)。パフォーマンスを改善するために、個々のQMEAN用語の重みは、特にSWISS-MODEL向けにトレーニングされていた。
【0223】
hCD19 VLおよびhCD19 VHの3次元モデルは、CDR残基が水相を露出し、抗原結合特性と一貫してパラトープ表面を形成できたことを示した。
【0224】
モジュールIIIはヒトフレームワークグラフティングで構成された。合成CAR構築プロセスの一環として、堅牢で信頼性の高いCDR移植手法がプラットフォーム技術に含められた。抗原結合配列(CDR)を特定し、カスタム分析アルゴリズム(従来のKabat/IMGTと新規方法の組合せ)を使用して抗体可変ドメインから選択的ヒトフレームワーク配列(重要な残基の相同性および位置に基づいて慎重に精選されたカスタムデータベース)にスプライシングして、堅牢な発現のための全長ヒト化scFvのパネルを作成した。
【0225】
scFvの完全なヒト化は、CARを改変した治療細胞の持続性および生存力を確実にするヒト抗マウス反応性の可能性を減らすと同時に、臨床応用のためにmAbの抗原結合ドメインをCARに組み込むプロセスに不可欠なステップである。本発明のCARヒト化プラットフォームの効力は、発現の特徴付け、機能性の検証、および前臨床試験のための、少なくとも5つの高品質な全長ヒト化CARのパネルの新規作成によって示された。
【0226】
モジュールIVは、ヒト化スコアリングを含む。CARのヒト化プロセスの一環として、スコアリングメトリックを使用して、合成構築物を定量化し、客観的に評価した。T20
1スコアリングアルゴリズムを、
図10Bに収載される一連の市販のおよびFDAに承認されたモノクローナル抗体(mAb)に適用してその有用性を試験した。予想通り、V
LおよびV
H(
図10C)配列は、ヒト化の程度が高くなるほど、より高いスコアを示す。興味深いことに、V
L配列は、対のV
H配列と比較してT20スコアが高くなる傾向がある。
【0227】
相関分析として、FDAに承認された抗体治療薬に関する情報を評価し、パブリックドメインの処方情報から、報告された免疫原性のレベルを患者において観察した。
図10Eに要約されるように、ヒト化のレベルが高いほど、患者において報告された免疫毒性の事例の減少と相関する傾向がある。
【0228】
ヒト化スコアリングの一例として、V
LおよびV
H配列のT20スコアを、hCD19CARと比較したmCD19CARのヒト化プロセスの前後で評価した(
図10F~G)。実際に、より高いT20スコアが、両方の処理された断片(ヒト化V
LおよびV
H)に観察された。ワークフローは反復的であるため、CARヒト化プロセスを使用して、免疫原性が低く、持続性が高く、機能が堅牢なCARを生成することができる。
【0229】
本明細書において開示および特許請求される方法はすべて、本開示に照らして過度の実験を行うことなく作成および実行することができる。本発明の組成物および方法は、好ましい実施形態に関して記載されているが、本発明の概念、精神、および範囲から逸脱することなく、本明細書に記載の方法および本明細書に記載される方法のステップまたはステップの順序に変化が加えられてもよいことは当業者に明らかであろう。より具体的には、同じまたは同様の結果を達成しながら、化学的にも生理学的にも関連する特定の薬剤を本明細書に記載される薬剤の代わりに使用してよいことは明らかであろう。当業者に明らかなそのような類似の置換および改変はすべて、添付される特許請求の範囲によって定義される本発明の精神、範囲および概念内にあるとみなされる。
参考文献
以下の参考文献は、本明細書に記載されたものを補足する例示的な手順またはその他の詳細を提供する限りにおいて、参照により本明細書に具体的に組み込まれる。
【化6】
米国特許第7,109,304号
【0230】
特定の態様では例えば以下の項目が提供される:
(項目1)
キメラ抗原受容体(CAR)であって、切断型EGFRvIII(Ev3)を前記CARの前記ヒンジに含み、前記Ev3ヒンジは細胞外ドメインと少なくとも1つの細胞内シグナル伝達ドメインを連結するキメラ抗原受容体(CAR)。
(項目2)
前記Ev3ヒンジが、EGFRvIIIの膜貫通ドメインおよび非機能性エクトドメインを含む項目1に記載のCAR。
(項目3)
前記Ev3ヒンジが、EGFRvIIIエンドドメインを含まない項目1に記載のCAR。
(項目4)
EGFRvIIIの前記非機能性エクトドメインが上皮成長因子(EGF)と本質的に結合しない項目2に記載のCAR。
(項目5)
前記Ev3ヒンジが、EGFRの切断型ドメイン1、切断型ドメイン2、ドメイン3、およびドメイン4を含む項目1~4のいずれか一項に記載のCAR。
(項目6)
EGFRの前記ドメイン3およびドメイン4が切断型でない項目5に記載のCAR。
(項目7)
前記Ev3ヒンジが、配列番号2と少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む項目1~4のいずれか一項に記載のCAR。
(項目8)
前記Ev3ヒンジが、配列番号2と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む項目1~4のいずれか一項に記載のCAR。
(項目9)
前記Ev3ヒンジが、配列番号2のアミノ酸配列を含む項目1~4のいずれか一項に記載のCAR。
(項目10)
前記Ev3ヒンジが、配列番号1と少なくとも80%の配列同一性を有するヌクレオチド配列によってコードされている項目1~4のいずれか一項に記載のCAR。
(項目11)
前記Ev3ヒンジが、配列番号1と少なくとも95%の配列同一性を有するヌクレオチド配列によってコードされている項目1~4のいずれか一項に記載のCAR。
(項目12)
前記Ev3ヒンジが、配列番号1のヌクレオチド配列によってコードされている項目1~4のいずれか一項に記載のCAR。
(項目13)
前記CARの前記細胞外ドメインが、F(ab’)2、Fab’、Fab、Fv、およびscFvからなる群から選択される抗原結合ドメインを含む項目1に記載のCAR。
(項目14)
前記抗原結合ドメインがscFvを含む項目13に記載のCAR。
(項目15)
前記scFvが、さらにヒト化scFvとして規定される項目14に記載のCAR。
(項目16)
前記CARの前記抗原結合領域が、1またはそれを超える腫瘍関連抗原に結合する項目13~15のいずれか一項に記載のCAR。
(項目17)
前記1またはそれを超える腫瘍関連抗原が、CD19、CD319(CS1)、ROR1、CD20、癌胎児性抗原、αフェトプロテイン、CA-125、MUC-1、上皮腫瘍抗原、メラノーマ関連抗原、変異p53、変異ras、HER2/Neu、ERBB2、葉酸結合タンパク質、HIV-1エンベロープ糖タンパク質gp120、HIV-1エンベロープ糖タンパク質gp41、GD2、CD5、CD123、CD23、CD30、CD56、c-Met、メソテリン、GD3、HERV-K、IL-11Rα、κ鎖、λ鎖、CSPG4、ERBB2、WT-1、TRAIL/DR4、VEGFR2、CD33、CD47、CLL-1、U5snRNP200、CD200、BAFF-R、BCMA、およびCD99からなる群から選択される項目16に記載のCAR。
(項目18)
前記1またはそれを超える腫瘍関連抗原が、CD19、CD319、CD123、CD5、ROR1、CD33、CD99、CLL-1、および/またはメソテリンである、項目16に記載のCAR。
(項目19)
前記scFVがEGFR結合ドメインを含まない項目13~15のいずれか一項に記載のCAR。
(項目20)
前記少なくとも1つのシグナル伝達ドメインが、CD3ξ、CD28、OX40/CD134、4-1BB/CD137、FcεRIγ、ICOS/CD278、ILRB/CD122、IL-2RG/CD132、DAP12、CD70、CD40、またはそれらの組合せを含む項目1に記載のCAR。
(項目21)
前記少なくとも1つのシグナル伝達ドメインがDAP12を含む項目1に記載のCAR。
(項目22)
前記CARがIL-15を含む項目1に記載のCAR。
(項目23)
前記CARがCD3ζ、CD28、DAP12、およびIL-15を含む項目1に記載のCAR。
(項目24)
前記CARが自殺遺伝子をさらに含む項目1に記載のCAR。
(項目25)
前記自殺遺伝子が誘導性カスパーゼ9である項目24に記載のCAR。
(項目26)
軽鎖可変領域(VL)および重鎖可変領域(VH)を含む、単離された抗原特異的ヒト化単鎖可変断片(scFv)であって、前記scFvが、
(a)CD19特異的であり、前記VLが配列番号7のアミノ酸配列を含み、前記VHが配列番号8のアミノ酸配列を含む;
(b)CD123特異的であり、前記VLが配列番号13のアミノ酸配列を含み、前記VHが配列番号14のアミノ酸配列を含む;
(c)メソテリン特異的であり、前記VLが配列番号19のアミノ酸配列を含み、前記VHが配列番号20のアミノ酸配列を含む;
(d)ROR1特異的であり、前記VLが配列番号25のアミノ酸配列を含み、前記VHが配列番号26のアミノ酸配列を含む;
(e)CD5特異的であり、前記VLが配列番号31のアミノ酸配列を含み、前記VHが配列番号32のアミノ酸配列を含む;
(f)CLL-1特異的であり、前記VLが配列番号59のアミノ酸配列を含み、前記VHが配列番号60のアミノ酸配列を含む;
(g)CD99特異的であり、前記VLが配列番号63のアミノ酸配列を含み、前記VHが配列番号64のアミノ酸配列を含むか、または
(h)(a)~(g)のいずれか一つのフレームワーク領域に対して90%の配列同一性を有する配列
であるヒト化単鎖可変断片(scFv)。
(項目27)
前記scFvがCD19特異的であり、前記VLが配列番号7のアミノ酸配列を含み、前記VHが配列番号8のアミノ酸配列を含む項目26に記載のヒト化scFv。
(項目28)
前記CD19特異的scFvが配列番号6のアミノ酸配列を含む項目27に記載のヒト化scFv。
(項目29)
前記scFvがCD123特異的であり、前記VLが配列番号13のアミノ酸配列を含み、前記VHが配列番号14のアミノ酸配列を含む項目26に記載のヒト化scFv。
(項目30)
前記CD123特異的scFvが配列番号12のアミノ酸配列を含む項目29に記載のヒト化scFv。
(項目31)
前記scFvがメソテリン特異的であり、前記VLが配列番号19のアミノ酸配列を含み、前記VHが配列番号20のアミノ酸配列を含む項目26に記載のヒト化scFv。
(項目32)
前記メソテリン特異的scFvが配列番号18のアミノ酸配列を含む項目31に記載のヒト化scFv。
(項目33)
前記scFvがROR1特異的であり、前記VLが配列番号25のアミノ酸配列を含み、前記VHが配列番号26のアミノ酸配列を含む項目26に記載のヒト化scFv。
(項目34)
前記ROR1特異的が配列番号24のアミノ酸配列を含む項目33に記載のヒト化scFv。
(項目35)
前記scFvがCD5特異的であり、前記VLが配列番号31のアミノ酸配列を含み、前記VHが配列番号32のアミノ酸配列を含む項目26に記載のヒト化scFv。
(項目36)
前記CD5特異的が配列番号30のアミノ酸配列を含む項目35に記載のヒト化scFv。
(項目37)
前記scFvがCD99特異的であり、前記VLが配列番号63のアミノ酸配列を含み、前記VHが配列番号64のアミノ酸配列を含む項目26に記載のヒト化scFv。
(項目38)
前記CD99特異的が配列番号62のアミノ酸配列を含む項目35に記載のヒト化scFv。
(項目39)
前記scFvが、配列番号6、12、18、24、または30のアミノ酸配列のフレームワーク領域に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む項目26~38のいずれか一項に記載のヒト化scFv。
(項目40)
前記scFvが、配列番号6、12、18、24、または30のアミノ酸配列のフレームワーク領域に対して少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む項目26~38のいずれか一項に記載のヒト化scFv。
(項目41)
項目26~38のいずれか一項に記載の単離されたヒト化scFvをコードする単離されたポリヌクレオチド。
(項目42)
前記ポリヌクレオチドが、配列番号3、9、15、21、または27を含む項目41に記載の単離されたポリヌクレオチド。
(項目43)
項目41に記載の単離されたポリヌクレオチドを含む発現ベクター。
(項目44)
前記ベクターが、さらにウイルスベクターとして規定される項目43に記載のベクター。
(項目45)
前記ヒト化scFvが、項目26~38のいずれか一項に記載のscFvである項目15に記載のCAR。
(項目46)
項目1~25および45に記載のCARをコードするヌクレオチド配列を含む単離された核酸。
(項目47)
項目26~38のいずれか一項に記載のヒト化scFvおよび/または前記CARの前記ヒンジ領域において切断型EGFRvIII(Ev3)を含むCARを発現するように操作された宿主細胞。
(項目48)
前記CARが、項目1~25のいずれか一項に記載のCARである項目47に記載の細胞。
(項目49)
前記宿主細胞がさらにCAR免疫細胞として規定される項目47に記載の細胞。
(項目50)
前記免疫細胞がT細胞、末梢血リンパ球、NK細胞、インバリアントNK細胞、NKT細胞、または幹細胞である項目49に記載の細胞。
(項目51)
前記免疫細胞がT細胞またはNK細胞である項目49に記載の細胞。
(項目52)
前記幹細胞が間葉系幹細胞(MSC)または人工多能性幹(iPS)細胞である項目50に記載の細胞。
(項目53)
前記免疫細胞がiPS細胞に由来する項目49に記載の細胞。
(項目54)
前記T細胞がCD8+T細胞、CD4+T細胞、またはγδT細胞である項目50に記載の細胞。
(項目55)
前記T細胞が細胞傷害性Tリンパ球(CTL)である項目50に記載の細胞。
(項目56)
前記免疫細胞が同種である項目49に記載の細胞。
(項目57)
前記免疫細胞が自己である項目49に記載の細胞。
(項目58)
前記免疫細胞が末梢血、臍帯血、または骨髄から単離されている項目49に記載の細胞。
(項目59)
前記免疫細胞が臍帯血から単離されている項目49に記載の細胞。
(項目60)
前記臍帯血が2またはそれを超える個々の臍帯血ユニットからプールされている項目59に記載の細胞。
(項目61)
前記CARをコードするDNAが前記細胞の前記ゲノムに組み込まれている項目47に記載の細胞。
(項目62)
項目47~61のいずれか一項に記載の細胞集団を含む薬学的組成物。
(項目63)
免疫関連障害における使用のための、項目47~61のいずれか一項に記載の細胞集団を含む組成物。
(項目64)
有効量の項目47~61のいずれか一項に記載の細胞を前記被験体に投与することを含む、被験体において免疫関連障害を処置する方法。
(項目65)
前記免疫関連障害が、癌、自己免疫障害、移植片対宿主病、同種移植片拒絶反応、または炎症症状である項目64に記載の方法。
(項目66)
前記免疫関連障害が炎症症状であり、前記免疫細胞にはグルココルチコイドレセプターの発現が本質的ない項目64に記載の方法。
(項目67)
前記免疫細胞が自己である項目64に記載の方法。
(項目68)
前記免疫細胞が同種である項目64に記載の方法。
(項目69)
前記免疫関連障害が癌である項目64に記載の方法。
(項目70)
前記癌が固形癌または血液悪性腫瘍である項目69に記載の方法。
(項目71)
少なくとも第2の治療薬を投与することをさらに含む項目64に記載の方法。
(項目72)
前記少なくとも第2の治療薬が化学療法、免疫療法、手術、放射線療法、または生物療法を含む項目71に記載の方法。
(項目73)
前記免疫細胞および/または前記少なくとも第2の治療薬が静脈内に、腹腔内に、気管内に、腫瘍内に、筋肉内に、内視鏡的に、病変内に、経皮的に、皮下に、局所的に、または直接注射または灌流によって投与される項目71に記載の方法。
(項目74)
抗EGFR抗体を投与することをさらに含む項目64に記載の方法。
(項目75)
前記抗EGFR抗体がモノクローナル抗体である項目74に記載の方法。
(項目76)
前記抗EGFR抗体がセツキシマブまたはパニツムマブである項目75に記載の方法。
(項目77)
前記抗EGFR抗体が、抗体依存性細胞性細胞傷害(ADCC)を介してEv3-CAR免疫細胞を選択的に除去する項目74~76のいずれか一項に記載の方法。
(項目78)
前記抗EGFR抗体が、検出可能なタグおよび/または細胞傷害性薬物に融合されている項目74~76のいずれか一項に記載の方法。
(項目79)
前記検出可能なタグを画像化し、それにより前記Ev3-CAR免疫細胞を検出することをさらに含む項目78に記載の方法。
(項目80)
前記抗EGFR抗体が、細胞傷害性薬物に融合されている項目74~76のいずれか一項に記載の方法。
(項目81)
前記細胞傷害性薬物が、前記Ev3-CAR免疫細胞において前記自殺遺伝子の活性化を誘導する項目79に記載の方法。
(項目82)
前記細胞傷害性薬物が、前記Ev3-CAR免疫細胞の前記除去をもたらす項目78に記載の方法。
【配列表】
【外国語明細書】