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特開2023-134747機能形成されたトップシートを有する吸収性物品
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023134747
(43)【公開日】2023-09-27
(54)【発明の名称】機能形成されたトップシートを有する吸収性物品
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/511 20060101AFI20230920BHJP
   A61F 13/15 20060101ALI20230920BHJP
【FI】
A61F13/511 300
A61F13/511 200
A61F13/15 352
A61F13/511 100
A61F13/511 500
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023117805
(22)【出願日】2023-07-19
(62)【分割の表示】P 2020568755の分割
【原出願日】2019-06-19
(31)【優先権主張番号】62/687,043
(32)【優先日】2018-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【弁理士】
【氏名又は名称】出口 智也
(74)【代理人】
【識別番号】100141830
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 卓久
(74)【代理人】
【識別番号】100152423
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 一真
(74)【代理人】
【識別番号】100150717
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 和也
(72)【発明者】
【氏名】アルマン、アシュラフ
(72)【発明者】
【氏名】ケリン、アン、アロラ
(72)【発明者】
【氏名】ミサエル、オマー、アビレス
(72)【発明者】
【氏名】レニー、クルス、マーフィー
(72)【発明者】
【氏名】アントニウス、ランベルトゥス、デベーア
(72)【発明者】
【氏名】エイドリアン、グルニエ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン、リー、ハモンズ
(72)【発明者】
【氏名】エマ、リン、サルティニ
(72)【発明者】
【氏名】ポール、トーマス、ワイスマン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】吸収性物品について開示する。
【解決手段】吸収性物品110は、区域の秩序配置を有する、形成された不織布ウェブ材料の部分で形成されたトップシートを含み、各区域は、1つ以上の肉盛領域に隣接する1つ以上の肉薄領域を含み、肉薄領域は第1の平均坪量を有し、肉盛領域は第2の平均坪量を有し、第1の平均坪量は第2の平均坪量よりも小さく、坪量の差は、秩序配置に従ったフィラメントの配置に対応する。肉薄領域は、トップシート上の1つ以上の通路部分の構成内に含まれてもよい。これに代えるか又は組み合わせて、肉薄領域は、トップシートの羽根部分114に沿って延在するヒンジ部分内に含まれてもよい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体透過性トップシート(120)と、液体不透過性バックシート(130)と、前記トップシートと前記バックシートとの間に配置された吸収性構造体(140)と、を備える吸収性物品であって、前記トップシートは、横方向軸と、長手方向軸と、細長い外周縁(128)を有する使用時着用者対向部分(126)と、を有し、
前記トップシートが、フィラメント(122)の集積を含みかつ吸収材対向面(123)と着用者対向面(124)とを有する、形成された不織布ウェブ材料の部分で形成され、前記着用者対向面は、区域(160)の秩序配置を含み、各区域は、1つ以上の肉盛領域(166)に隣接した1つ以上の肉薄領域(163)を含み、
前記肉薄領域が第1の平均坪量を有し、前記肉盛領域が第2の平均坪量を有し、前記第1の平均坪量は前記第2の平均坪量よりも小さく、前記坪量の差は、前記秩序配置に従った前記フィラメントの配置に対応し、
前記肉薄領域が、1つ又は複数の経路を辿る1つ以上の通路部分(164)の構成によって構成され、前記1つ又は複数の経路は、前記長手方向軸に対してほぼ対称的であり、かつ前記長手方向軸上の排出点(112b)をおおよそ取り囲む、吸収性物品。
【請求項2】
前記1つ以上の通路部分(164)の構成が、前記外周縁(128)に近接する経路であって、前記外周縁(128)の内側にあり、前記外周縁の前記内側に前記外周縁と少なくとも部分的にほぼ平行である経路を辿る、請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記肉薄領域と前記肉盛領域とが視覚的に識別可能である、請求項1又は2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記トップシートが、前記吸収材対向面に適用された界面活性剤を有し、それにより、前記界面活性剤が前記着用者対向面に近接するフィラメントよりも前記吸収材対向面に近接するフィラメントにおいてより多くの量で存在する、請求項1~3のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項5】
エルカミド、ステアルアミド、オレアミド、シリコーン、約4~約32個の炭素原子を有する石油系炭化水素、約12~約24個の炭素原子を有する脂肪アルコール、ポリシロキサン化合物、脂肪酸エステル、アルキルエトキシレート、脂肪酸鎖中に約12~約28個の炭素原子を有する脂肪アルコールエーテル、ラノリン及びその誘導体、C12~C28脂肪酸のアセトグリセリド及びエトキシル化グリセリドを含むグリセリド誘導体、脂肪アミド、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される化合物を含む溶融添加剤が、前記フィラメント(122)が紡糸されているポリマー樹脂に添加されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記第2の平均坪量が、前記第1の平均坪量と少なくとも2倍異なっている、請求項1~5のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項7】
前記フィラメントが、紡糸された複合フィラメントである、請求項1~6のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項8】
婦人用衛生パッド又は成人用失禁パッドの形態の吸収性物品であって、液体透過性トップシート(120)と、液体不透過性バックシート(130)と、前記トップシートと前記バックシートとの間に配置された吸収性構造体(140)と、を含み、
前記物品は、前記吸収性構造体を含む中央の長手方向に細長い吸収性部分を有し、該吸収性部分が、前記吸収性部分から反対方向に横方向に延在する、前記吸収性構造体のいずれの部分も実質的に含まない2つの羽根部分(114)によって挟まれ、前記トップシートが前記羽根部分を少なくとも部分的に形成し、
前記トップシートが、フィラメント(122)の集積を含みかつ吸収材対向面(123)と着用者対向面(124)とを有する、形成された不織布ウェブ材料の部分で形成され、前記着用者対向面は、区域(160)の秩序配置を含み、各区域は、1つ以上の肉盛領域(166)に隣接した1つ以上の肉薄領域(163)を含み、
前記肉薄領域が第1の平均坪量を有し、前記肉盛領域が第2の平均坪量を有し、前記第1の平均坪量は前記第2の平均坪量よりも小さく、前記坪量の差は、前記秩序配置に従ったフィラメントの配置に対応し、
前記肉薄領域が、前記羽根部分(114)の1つに沿って概ね長手方向に延在する経路を辿るヒンジ部分(168)によって構成されている、吸収性物品。
【請求項9】
前記肉薄領域と前記肉盛領域とが視覚的に識別可能である、請求項8に記載の吸収性物品。
【請求項10】
前記トップシートが、前記吸収材対向面に適用された界面活性剤を有し、それにより、前記界面活性剤が前記着用者対向面に近接するフィラメントよりも前記吸収材対向面に近接するフィラメントにおいてより多くの量で存在する、請求項8又は9に記載の吸収性物品。
【請求項11】
エルカミド、ステアルアミド、オレアミド、シリコーン、約4~約32個の炭素原子を有する石油系炭化水素、約12~約24個の炭素原子を有する脂肪アルコール、ポリシロキサン化合物、脂肪酸エステル、アルキルエトキシレート、脂肪酸鎖中に約12~約28個の炭素原子を有する脂肪アルコールエーテル、ラノリン及びその誘導体、C12~C28脂肪酸のアセトグリセリド及びエトキシル化グリセリドを含むグリセリド誘導体、脂肪アミド、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される化合物を含む溶融添加剤が、前記フィラメント(122)が紡糸されているポリマー樹脂に添加されている、請求項8~10のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項12】
前記第2の平均坪量が、前記第1の平均坪量と少なくとも2倍異なっている、請求項8~11のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項13】
前記フィラメントが、紡糸された複合フィラメントである、請求項8~12のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項14】
液体透過性トップシート(120)と、液体不透過性バックシート(130)と、前記トップシートと前記バックシートとの間に配置された吸収性構造体(140)と、を備える吸収性物品であって、前記トップシートは、横方向軸と、長手方向軸と、細長い外周縁(128)を有する使用時着用者対向部分(126)と、を有し、
前記トップシートが、フィラメント(122)の集積を含みかつ吸収材対向面(123)と着用者対向表面(124)とを有する、形成された不織布ウェブ材料の部分で形成され、
前記不織布ウェブ材料が、外側受容面(260a)及び内側面(260b)を有する、作業位置(561)を通って機械方向に沿って移動する連続形成ベルト(260)上への紡糸フィラメント(122)の連続堆積によって形成されて、前記形成ベルト(260)の前記受容面(260a)上に堆積されたフィラメントのバット(270)を形成し、前記形成ベルト(260)は、空気流透過性基材ベルト(261)と、前記基材ベルト上に配置された空気流遮断構造(262)の秩序配置と、を含むことにより、前記形成ベルトに、空気流透過性領域(263)及び前記空気流遮断構造と同一の広がりを有する空気流遮断領域(264)の秩序配置を付与し、前記空気流遮断構造(262)は、前記基材ベルト(261)からz方向に外側に延在することで、前記形成ベルト(260)の前記受容面(260a)上にz方向の深さを有し、
前記フィラメントは、前記形成ベルトに接触する前及び接触する際に、概ね前記z方向に沿って前記ベルトにかつ前記ベルトを通って向けられる空気流に同伴され、それにより、前記フィラメントは前記形成ベルト(260)に、前記空気流透過性領域(263)上により大きい第2の平均坪量で、また、前記空気流遮断領域(264)上により小さい第1の平均坪量で集積して、前記空気流透過性部分上に前記バットの肉盛領域(166)を形成するとともに、前記空気流遮断領域上に前記バットの肉薄領域(163)を形成し、 前記バット(270)は、前記形成ベルト上で形成された後、不織布ウェブ材料に統合され、
それにより、前記肉薄領域(163)が、主に、形成された不織布ウェブ材料の前記部分の前記着用者対向表面(124)内に1つ以上のz方向凹部を形成し、前記1つ以上の凹部は、1つ又は複数の経路を辿る1つ以上の通路部分(164)の構成を画定し、前記1つ又は複数の経路は、前記長手方向軸に対してほぼ対称的であり、かつ前記長手方向軸上の排出点(112b)をおおよそ取り囲む、吸収性物品。
【請求項15】
前記統合工程が、押圧工程を含み、前記バットが、圧密ローラー(570)と前記空気流遮断構造(262)のランド面(262a)との間で押圧され、それによって、前記肉薄領域(163)内のフィラメントを塑性変形させる、請求項14に記載の吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、婦人用衛生パッドなどの使い捨て吸収性物品、詳細には、構造的要素が形成されたトップシートを有する物品及びパッドに関する。
【背景技術】
【0002】
婦人用衛生パッド、成人用失禁パッド、及び使い捨ておむつなどの着用可能な使い捨て吸収性物品は、通常、吸収性材料を収容したエンベロープ構造の、着用者に面する外側層として機能するように適合された材料のトップシートを含む。通常、トップシートは、液体身体滲出物が通過し、エンベロープ構造内に収容された吸収性材料に到達し、物品が取り外されて捨てられるときまで、吸収性材料によって吸収及び保持されるように、液体透過性を有するように適合されている。一般に、トップシートは、尿又は月経液などの水性流体を容易に受容し、トップシートを通じて流体をz方向に伝導し、トップシートの下に隣接して配置された吸収性構造体に流体を放出又は脱離する機能を有することが望ましい。
【0003】
コスト効率、着用者の快適性及び機能性を組み合わせた目的のため、多くの現在市販されている吸収性物品のトップシートは、ポリマー樹脂から紡糸されたフィラメントで一部又は全体が形成された不織布ウェブ材料で作製されている。現在知られている多くの技術により、十分な液体透過性、肌に適した柔らかい感触、及び不織布をトップシートを形成するのに適したものとする機械的強度を有する様々な種類の不織布を製造することが可能である。不織布ウェブ材料(「不織布」)は、これらに限定されるものではないが、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミドなどの合成繊維、又はこれらの組み合わせで形成することができる。不織布は、繊維が「連続的」繊維(比較的長い、可変の不定長のもの)、又は短繊維(比較的短く、ほぼ均一な長さに切断された繊維)である、凝集性のある繊維様ウェブを形成する、様々なプロセスを用いて形成することができる。
【0004】
着用者/ユーザーに視覚的に魅力的なトップシートを形成するため、機能的に有益な属性を有する外観をトップシートに付与するため、及び/又は実際に機能的に有益な属性をトップシートに付与するために使用される不織布を製造するための様々な試みがなされてきた。こうした試みは、装飾的な、若しくは機能を示唆するプリントデザインを印刷するか、又は装飾的であるか、装飾的な、機能を示唆するか、若しくは更には実際に機能的である表面のトポグラフィー的形成要素を付与するためのエンボス加工及び/又は接着加工を行うものであった。これらの試みは、フィラメントのバットの形成の下流で一般に生じる変換を伴い、知覚的に印象的な三次元トポグラフィー的形成要素群を付与すること、及び/又は有益な機能性を付与することに関して、その効果は限定的なものであった。したがって、トップシートを製造するために使用される不織布ウェブ材料に三次元構造的形成要素を付与するための費用効率の高い方法には改善の余地がある。更に、不織布トップシートを有する現在市販されている吸収性物品は、排出後の吸収性構造体中への流体の速やかな受容及び移動を与えること、トップシート内の流体保持の回避、及び再湿潤性において改善の余地があった。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、液体透過性トップシートを含む吸収性物品(いくつかの例では、婦人用衛生パッド)であり、トップシートには、フィラメントの配置によって、秩序配置に従って肉盛領域に隣接した肉薄領域を形成する形成要素が形成される。肉薄領域は第1の平均坪量を有し、肉盛領域は第1の平均坪量よりも大きい第2の平均坪量を有し、坪量の差は、秩序配置に従ったフィラメントの配置に対応する。いくつかの例では、肉薄領域は、長手方向軸に沿ってトップシート上の排出点をおおよそ取り囲む1つ以上の通路部分の構成によって構成される。隣接するより高い坪量の肉盛領域を有する通路部分の低坪量の肉薄領域は、分配及び封じ込め機能を果たし、ここで、排出流体が通路部分に沿って移動するとともに、トップシートを通って(下の吸収性構造体へと)z方向に移動することができる一方で、通路部分を越えてx方向及びy方向に沿ってトップシートを横断する流体の移動は、通路部分の外側の肉盛領域によって阻止される。これと組み合わせるか、又は女性用衛生パッドを含む他の例では、弱化領域は、羽根部分に沿ったヒンジ部分によって構成されてもよい。ヒンジ部分は、羽根折り畳み位置/線を視覚的に示すとともに、羽根部分をヒンジ部分に沿って曲げやすくことができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】婦人用衛生パッドの形態の吸収性物品の一例の平面図である。
図2】羽根部分が下に曲げられていることにより、使用時着用者対向表分を示す、図1のパッドの平面図である。
図3】横方向軸に沿った、図1のパッドの概略横断面図である。
図4】パンツの股部分に関連して示される、横方向軸に沿った、図2に示されるように下に折り畳まれた羽根部分を有するパッドの概略横断面図である。
図5A】様々な形状のトップシートの非限定的な例の平面図である。
図5B】様々な形状のトップシートの非限定的な例の平面図である。
図5C】様々な形状のトップシートの非限定的な例の平面図である。
図5D】様々な形状のトップシートの非限定的な例の平面図である。
図6】婦人用衛生パッドの形態の吸収性物品のトップシートの一例の平面図である。
図7】横方向軸に沿った、図6のトップシートの概略横断面図である。
図8図7で「8」として特定された断面の部分の拡大概略図である。
図9図6で「9」として特定されたトップシートの部分の拡大概略図である。
図10図9に示したトップシートの部分の概略横断面図である。
図11】不織布ウェブ材料を製造するための装置の構成の一例の概略側面図である。
図12】ベルトがガイド/駆動ローラーの周りに配置された状態で見える、形成ベルト受容面の部分の一例の概略平面図である。
図13図12で「13」として特定された形成ベルト受容面の部分の拡大概略図である。
図14図13に示した形成ベルトの部分の概略横断面図である。
図15】動作中に形成ベルトに向かうフィラメントの移動及び形成ベルトを通過する空気流の大まかな方向を示す、図14の断面の拡大概略図である。
図16】フィラメントが堆積されてバットが形成された後の、図15に示した形成ベルトの部分上のフィラメントの集積の概略横断面図である。
図17】ベルトから取り外された後の、図16に示した形成ベルトの部分上に形成されたフィラメントのバットの概略横断面図である。
図18】本明細書に記載されるプロセスに従って形成された形成要素の更なる例を有するトップシートの例の概略平面図である。
図19】本明細書に記載されるプロセスに従って形成された形成要素の更なる例を有するトップシートの例の概略平面図である。
図20】一次フィラメント成分に添加された材料の存在を示す、不織布ウェブ材料で形成されたトップシートの例の部分の概略横断面図である。
図21】一次フィラメント成分に添加された材料の存在を示す、不織布ウェブ材料で形成されたトップシートの例の部分の概略横断面図である。
図22】通路部分の構成を有する婦人用衛生パッドの一例の平面図である。
図23A】トップシートの通路部分の構成の例の平面図である。
図23B】トップシートの通路部分の構成の例の平面図である。
図23C】トップシートの通路部分の構成の例の平面図である。
図23D】トップシートの通路部分の構成の例の平面図である。
図23E】トップシートの通路部分の構成の例の平面図である。
図23F】トップシートの通路部分の構成の例の平面図である。
図23G】トップシートの通路部分の構成の例の平面図である。
図23H】トップシートの通路部分の構成の例の平面図である。
図23I】トップシートの通路部分の構成の例の平面図である。
図23J】トップシートの通路部分の構成の例の平面図である。
図23K】トップシートの通路部分の構成の例の平面図である。
図24A】トップシートの通路部分の構成の例の平面図であり、構成が、トップシート上の排出点をおおよそ取り囲むかどうかを判定するための幾何学的基準を示す。
図24B】トップシートの通路部分の構成の例の平面図であり、構成が、トップシート上の排出点をおおよそ取り囲むかどうかを判定するための幾何学的基準を示す。
図24C】トップシートの通路部分の構成の例の平面図であり、構成が、トップシート上の排出点をおおよそ取り囲むかどうかを判定するための幾何学的基準を示す。
図24D】トップシートの通路部分の構成の例の平面図であり、構成が、トップシート上の排出点をおおよそ取り囲むかどうかを判定するための幾何学的基準を示す。
図24E】トップシートの通路部分の構成の例の平面図であり、構成が、トップシート上の排出点をおおよそ取り囲むかどうかを判定するための幾何学的基準を示す。
図25】通路部分及びヒンジ部分の構成を有するトップシートの一例の平面図である。
図26A】別個の低バルク部分、通路部分、及び肉盛領域を有する不織布ウェブ材料の試料の写真のグレースケール複製図である。
図26B】別個の低バルク部分、通路部分、及び肉盛領域を有する不織布ウェブ材料の試料の写真のグレースケール複製図である。
図27図26(A)で特定された区域160の拡大図である。
図28】寸法スケールインジケータが重ねられた、図26Bに示した不織布ウェブ材料試料を製造するために使用される形成ベルトを作製するために使用されるマスクの一部分の画像である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
定義
繊維及び/又はフィラメントで部分的又は全体的に形成された不織布ウェブ材料に関して、「接着部」とは、材料に塗布された接着剤の付着、材料への加熱エネルギーの局所的適用によって生じる熱融着(例えば、加熱された接着ローラー上の画定接着突起部からの熱、又はソノトロードからの超音波振動エネルギーと画定接着突起部を有する接着ローラーとの組み合わせ)、又は(例えば、画定接着突起部を有する接着ローラーによる)z方向の材料への圧力の局所的適用によって生じる塑性変形及び交絡若しくは噛み合いのうちの1つ又は組み合わせによって形成される一体の塊として複数のフィラメント同士が互いに保持されるような材料内の三次元の区域である。接着部は、ウェブ材料の大きな表面と、z方向寸法とによって概ね与えられるx-y平面に沿った2次元プロファイルを有する。接着部が、画定接着突起部を有する接着ローラーの使用によって形成される場合、接着部の2次元プロファイルは、接着突起部の形状を概ね反映する。
【0008】
本明細書で使用するとき、「繊維」とは、5.08cm(2インチ)未満の長さを有する細長い微粒子を意味する。不織布ウェブ製造の分野では、繊維は、一般的に、本質的に不連続なものであると考えられる。繊維の非限定的な例としては、木材パルプ、綿繊維、及び竹繊維などの天然繊維、並びにポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、これらのコポリマー、レーヨン、リヨセル、ガラス繊維、及びポリビニルアルコール繊維などの合成短繊維(フィラメントを短く切断することで製造することができる)が挙げられる。
【0009】
本明細書で使用するとき、「フィラメント」とは、5.08cm(2インチ)以上の長さを有する細長い微粒子を意味する。不織布ウェブ製造の分野では、フィラメントとは一般的に、繊維とは対照的に、フィラメントが用いられる不織布ウェブ材料に対して不定長であるか、かつ/又は本質的に実質的に連続的であると考えられ、フィラメントは無限長のものではあり得ないことが認識されている。フィラメントの非限定的な例としては、メルトブローンフィラメント及び/又はスパンボンドフィラメントが挙げられる。フィラメントに紡糸することができるポリマーの非限定的な例としては、例えば、デンプン、デンプン誘導体、レーヨン及び/又はリヨセルなどのセルロース、及びセルロース誘導体、ヘミセルロース、ヘミセルロース誘導体などの天然ポリマー、並びに、これらに限定されるものではないが、ポリビニルアルコールフィラメント及び/又はポリビニルアルコール誘導体フィラメント、及び熱可塑性ポリマー、例えば、ポリエステル、ナイロン、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン)、並びにこれらのコポリマー、並びに、例えば、ポリ乳酸、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリエステルアミド、及びポリカプロラクトンなどの生分解性又はコンポスタブルな熱可塑性繊維を含む合成ポリマー;バイオソース型又はバイオ由来ポリマー(バイオソース型ポリエチレンなどが挙げられるが、これらに限定されない);並びに再生ポリマー材料(再生PETなどが挙げられるが、これらに限定されない)が挙げられる。紡糸フィラメントは、単成分又は多成分、例えば、二成分であってよい。
【0010】
形成された不織布ウェブ材料の部分の領域の「領域坪量」とは、本明細書に記載される局所坪量測定法を含むが、必ずしもこれに限定されない任意の適当な測定法によって測定される、対象とする領域のグラム単位の重量をその一方の面の表面積で割った値を意味する。
【0011】
不織布ウェブ材料の領域の「示強的性質」には、坪量;x-y平面に沿って位置する材料の単位表面積当たりに存在する全ての繊維及び/又はフィラメントの長さの総計(本明細書では繊維及び/又はフィラメントの「面積密度」と称される);Z方向のキャリパー/厚さ;並びに密度(単位体積当たりの質量)が含まれる。
【0012】
女性用衛生パッド、成人用失禁パッド、又は使い捨ておむつに関して、「横方向」とは、長手方向に垂直な方向、及び着用者の視点から物品の側部から側部にかけての方向を指す。
【0013】
女性用衛生パッド、成人用失禁パッド、又は使い捨ておむつに関して、「長手方向」とは、着用者の視点から、物品の前後又は後側から前側までの方向を指す。
【0014】
材料のウェブの布地に関して「不織布」とは、編まれても織られてもいないが、バットとして配置及び集積され、次いで、交絡、分散結合剤、接着剤の局所的な付着、局所的な熱融着、局所的な塑性変形、及び局所的な圧力の適用によって生じる繊維若しくはフィラメント間の交絡、又はこれらの組み合わせによって形成される個別の接着部のパターンによって材料の凝集した織布ウェブとして一体に統合されて保持された繊維、フィラメント、又はこれらの組み合わせで主として形成された布地又はウェブを意味する。
【0015】
材料の表面に沿って異なる示強的性質の隣接領域をそれぞれ含む、規則的な(繰り返し)パターン若しくは区域の構成を有する、形成された不織布ウェブ材料の部分に関して、又は異なる示強的性質の隣接領域をそれぞれ含む、不規則な(非反復)パターン若しくは区域の構成を有する、形成された不織布ウェブ材料の部分に関して、「秩序配置」とは、フィラメント及び/又は繊維の不規則で無秩序な集積及び分布と対照的に、秩序だった非不規則配列又はパターンとして不織布ウェブ製造の当業者によって認識可能なこうした区域の配置を意味する。本開示に関連する当業者に認識されるように、このような区域の秩序配置は、不織布ウェブ材料内に秩序配置を繰り返し与えるように構成された、不織布ウェブ材料を製造するために用いられる処理工程及び装置によって生じる。不織布ウェブ材料内の区域の秩序配置は、形成ベルト上の形成要素の秩序配置など、形成装置の形成要素の秩序配置を反映し得る。
【0016】
「視覚的に識別可能」とは、印刷された文字媒体を読み取るのに適切と見なされる室内オフィス照明条件下で、20/20の視力を有する通常の観察者の裸眼に対して、約0.5メートル以上の距離から見え、視覚的に検出可能であることを意味する。
【0017】
「区域」とは、少なくとも第1及び第2の隣接する領域を含む不織布ウェブ材料の区域であり、第1及び第2の隣接領域は、坪量、キャリパー、密度(質量/体積)、並びに/又は、繊維及び/若しくはフィラメントの面積密度のうちの1つ又は組み合わせにおいて相違を有する。
【0018】
「領域」とは、区域の他のサブ部分によって画定され、坪量、キャリパー、密度(質量/体積)、並びに/又は繊維及び/若しくはフィラメントの面積密度のうちの1つ又は組み合わせによって他のサブ部分と区別される、「区域」のサブ部分である。
【0019】
フィラメントが比較的少ない数で存在する、不織布材料中の比較的低い坪量の「肉薄領域」の秩序配置は、不織布材料を貫通した孔又は穴の秩序配置と、秩序配置の「肉薄領域」が比較的高い坪量の隣接する肉盛領域の部分間を横断する、ランダムかつ異なる配置を有し、異なる向きを有するフィラメントを有するのに対して、秩序配置の孔又は穴は、隣接する無孔部分間を横断するフィラメントが識別可能かつ一貫して存在していない点で区別される。
【0020】
「個別の」低バルク部分又は「個別の」肉薄領域とは、肉盛領域の連続面積によって(x-y平面内で)完全に囲まれ、x-y平面内の最大寸法が1cm以下である領域を意味する。
【0021】
x-y平面に沿って位置する不織布ウェブ材料又はその部分に関して、「z方向」とは、x-y平面に直交する方向を意味する。x-y平面に沿って位置するベルト移動の作業位置を通って移動する不織布ウェブ材料を製造するために使用される形成ベルトに関して、「z方向」とは、x-y平面に直交する方向を意味する。
【0022】
「液体透過性」及び「液体不透過性」とは、使い捨て吸収性物品の意図される使用との関連での材料の浸透性を指す。具体的には、用語「液体透過性」とは、層又は層状構造が、強制圧力がない状態でその厚さを水、尿、又は合成尿が通過できるような孔、開口部、及び/又は相互に接続された空隙を有していることを指す。逆に、用語「液体不透過性」とは、層又は層状構造の厚さが、(重力などの自然の力の他に)強制圧力がない状態では、水、尿、又は合成尿などの水性液体が通過できないようなものであることを指す。この定義による液体不透過性の層又は層状構造は、液体蒸気に対して透過性であってよい、即ち、「蒸気透過性」であってよい。
【0023】
複数の構成要素で構成された着用可能吸収性物品の構成要素に関して、「着用者対向」構成要素は、物品が着用される際に着用者の皮膚の最も近くに配置される構成要素であり、「外側対向」構成要素は、着用者の皮膚から最も遠くに配置される構成要素である。着用可能吸収性物品のウェブ、シート又はバット構成要素の2つの互いに反対側の主表面に関して、「着用者側」表面とは、物品が着用される際に着用者の皮膚に面する表面であり、反対側の「外側対向」表面とは、着用者の皮膚から遠ざかる方向に面する表面である。
【0024】
吸収性物品
図1~4を参照すると、着用可能吸収性物品は、婦人用衛生パッド110の形態を有することができる。パッド110は、長手方向軸111及び横方向軸112を有し、着用者対向液体透過性トップシート120、外側対向液体不透過性バックシート130、並びにトップシートとバックシートとの間に配置され、トップシートとバックシートとによって封入された吸収性構造体140を含むことができる。成人用失禁パッド、使い捨て吸収性パンツ、及び使い捨ておむつもまた、この一般的構造を含んでもよい点は認識されよう。
【0025】
現在市販されている女性用衛生パッド110の多くは、図に示される羽根部分114のような羽根部分を含む。一部の現在市販されている成人用失禁パッドもまた、同様の配置及び構成の羽根部分を含む。羽根部分114は、長手方向軸111から横方向に離れる方向に延在する、その間に吸収性構造体140の相当な部分又はある量の吸収性材料が存在しないトップシート及びバックシート材料の一方又は両方の部分であってよい。図3及び4を参照すると、羽根部分114は、ユーザーがパッド110をユーザーのパンツの内側に股部分300を覆って配置し、羽根部分114を、パンツの左右の脚部開口部のそれぞれの縁部301a、301bの内側を覆い、各脚部開口部を通って、股部領域のパンツの外側表面の周りに折り重ねて包み込むことができるように設けることができる。羽根部114には、ユーザーが羽根部114をパンツの股部分300の外側表面に接着することができるように接着剤116の付着パッチを設けることができ、これは、着用中にパッドをパンツの内部の定位置に保持し、パンツの脚部開口部の縁部の周囲を滲出物による染みから保護するうえで役立つ。羽根部分114が設けられ、これらの目的で使用される場合、羽根部分は、ほぼ長手方向の羽根折り線115に沿って折れ曲がり、かつ/又は折り畳まれることが求められる(図1及び4を参照)。本明細書の目的では、婦人用衛生パッド110の羽根部分114は、吸収性構造体140の相当部分を含まず、かつその内部に相当量の吸収性材料を含まない部分として識別することができ、この部分は、長手方向軸にほぼ平行な方向から長手方向軸に垂直な方向に向かって外周縁の方向が変化する前方変曲点114bで概ね始まり、外周縁が長手方向軸に近づき、次いで長手方向軸に垂直な方向から長手方向軸に平行な方向に向かって外周縁の方向が変化する後方変曲点114cで概ね終了する、パッドの長手方向軸111から横方向に遠ざかる方向に延在する輪郭形状を有しており、変曲点114b、114cは、羽根部分の外周縁に沿った他のどの点よりも長手方向軸に近い外周縁に沿った2つの点である。例えば図1を参照されたい。羽根部分は、2個の変曲点114b、114cをつなぐ線によってパッドの主要部分からほぼ区別することができる。
【0026】
パッド110の羽根部分114が上記に述べたような使用のために折り畳まれる際、トップシートは、羽根部分114を含まない使用時着用者対向表面126を有する。使用時着用者対向表面126は、外周縁128を有する。他の種類のパッド及びおむつでは、羽根部分114は省略されてもよく、その場合、トップシートの使用時着用者対向表面126及び外周縁128は同一の広がりを有し得る。使用時着用者対向部分126及びその外周縁128を有する可能なトップシートの様々な非限定的な例が、図5A~5Dに示されている。図5A、5B、及び5Dに示唆されるように、提供されることが望ましい物品のスタイルに応じて、外縁部114aを有する羽根部分114は、含まれてもよく、又は省略されてもよい。図5Cに示されるように、使い捨ておむつなどのいくつかの種類の着用可能吸収性物品は、単純な矩形形状を有するトップシート120を有することができる。
【0027】
形成されたトップシート形成要素
次に図6~10を参照すると、婦人用衛生パッドなどの吸収性物品用のトップシート120は、視覚的外観を向上させ、有益な機能性を与えるために特定の形成要素を付与された、形成された不織布ウェブ材料の部分で形成することができる。形成された不織布ウェブ材料の部分で形成されたトップシート120には、通路部分164を画定する1つ以上の肉薄領域163を設けることができる。通路部分164は、使用時着用者対向部分の外周縁128の内側に近接して、外周縁とほぼ平行に配置することができる。図6では連続楕円形又はスタジアムのような形状を画定するものとして示されているが、通路部分164は不連続であってもよく、外周縁128を有するトップシート120の使用中の使用時着用者対向部分126の側部に沿ってのみ、その端部に沿ってのみ、又はその一部若しくは間隔を開けて存在してもよい。
【0028】
トップシートにわたってその縁部への滲出液の移動の可能性を低減する目的で、通路部分164の構成は特定の形成要素を有することが望ましい場合がある。
【0029】
いくつかの例では、存在する通路部分164のいずれの構成も、排出点に近接する領域からトップシートの任意の縁部までの経路に沿って連続的に延在する部分を有さないことが望ましい場合もある。このような通路部分が含まれないようにすることにより、パッドから排出された流体が漏れる可能性を伴う、排出された流体がそのトップシート又はその使用時着用者対向部分126の縁部に移動する通路が形成されることが避けられる。
【0030】
図22及び23A~23Kに示されるような非限定的な例では、通路部分164の構成が、トップシート120及び/又は物品110の長手方向軸111に対してほぼ対称的であることが望ましい場合がある。
【0031】
婦人用衛生パッド及び乳児用おむつのいくつかのタイプ及び/又はサイズなどのいくつかの例では、通路部分164の構成は、(図1で特定されるように)物品の横方向軸112からオフセットした横方向排出点112bを長手方向の中心とすることにより、通路部分164の構成が、横方向軸112を長手方向の中心とせず、横方向軸に対して対称的でもないようにすることが望ましい場合がある。
【0032】
女性用衛生パッドでは、例えば、この構成は、x-y平面内の吸収性構造体の表面積のより大きな割合が、(長手方向軸111に沿って、通路部分164の構成の長手方向寸法の中点に位置する、物品の通常の使用中に流体の排出を最初に受容することが予想される物品上の位置である)予想排出点112bの後方に位置するように、パッドがユーザーのパンツ内に配置されることが好ましい場合に望ましい場合がある。例えば、婦人用衛生パッドのいくつかの種類及びサイズでは、吸収性構造体の表面積のより大きな割合が、トップシート上の予想される排出点112b(排出点112bは、使用/着用中にユーザーの膣開口部に最も近接していると予想されるトップシート上の位置である)の後方に位置することが望ましい場合がある。このような例では、パンツによって定位置に保持される際のユーザーの身体に対するパッドの近接性、解剖学的構造、並びに使用/着用中の一般的な体位及び運動の範囲の結果として、排出された月経液がパッドを通じてしばしば後方に移動することから、吸収性構造体の表面積のより大きな割合が排出点の後方に位置することが好ましい場合がある。通路部分164の構成が、本明細書に記載されるように形成された場合に視覚的に識別可能である場合、それが見える位置は、ユーザーが使用/着用のためにパッドをユーザーのパンツ内に適切に位置決め及び配置する案内をする機能を果たすことができる。いくつかの例では、含まれるいずれの羽根部分114も、図22に非限定的な例として示唆されるように、横方向排出点112bをほぼ長手方向の中心とすることができる。
【0033】
他の例では、通路部分164の構成は、物品の横方向軸112を長手方向の中心とし、いくつかの例では、横方向軸112に対して対称的であることが望ましい場合がある。そのような例では、予想排出点は、長手方向軸111と横方向軸112との交点にあってよい。
【0034】
多くの状況において、1つ以上の通路部分164の構成は、個別に又は組み合わせて、排出点112bをおおよそ取り囲む1つ以上の経路を占めることが望ましい場合がある。図24A~24Cを参照すると、本明細書の目的では、通路部分164の構成の1乃至複数の経路は、排出点112bから出て、排出点からx-y平面内で径方向外向きに延びる、パッド表面に沿ってx-y平面内に引かれた光線が、その中心を排出点112bとする360°の円の周りのおおよそより多くの数の可能な角度位置のいずれかで引かれたときの通路部分164と交差する場合に、排出点112bを「おおよそ取り囲む」。図24A~24Cを参照すると、例示として、角度αは、その中心から延びる任意の光線が通路部分164と交差する円の角度部分を描き、角度βは、その中心から延びる任意の光線が通路部分164と交差しない円の角度部分を描いている。したがって、図24A~24Cに示される通路部分164の構成の例示的な実施例のそれぞれは、角度αの合計が角度βの合計よりも大きい、すなわち、角度αの合計が180度よりも大きいため、排出点112bをおおよそ取り囲んでいる。図24A及び24Bでは、
(α+α)>(β+β)であり、 図24Cでは、
(α+α+α+α)>(β+β+β+β)である。
【0035】
排出点112bを特定し、通路部分164の構成が排出点112をおおよそ取り囲むかどうかを判定する目的で、排出点112bは、長手方向軸111上のどこか又は概ね長手方向軸上の、上記に述べたような通路部分164の構成によっておおよそ取り囲まれ、長手方向軸111に沿ったトップシートの長さの中央3分の1内にある任意の点に位置することができる。説明のため、図24Eを参照すると、角度αが角度βよりも大きいため、排出点112bは通路部分164によっておおよそ取り囲まれており、このような排出点112bは、長さLの中央3分の1(1/3Lm)内の長手方向軸111に沿って特定することができる。
【0036】
この条件は、通路部分164のいくつかの構成では、例えば角度αが角度βよりも小さくなるような軸111に沿った位置112bなどの別の位置が特定される可能性にもかかわらず、点112bのようなかかる排出点が特定され得る任意の例で満たされる。
【0037】
排出点をおおよそ取り囲んでいない通路部分164の構成の一例を図24Dに示す。図24Dに示される構成は、角度αが角度βよりも大きい場合に、排出点が長さLの中央3分の1(1/3Lm)内に特定できないため、排出点をおおよそ取り囲んでいない。図24Dに示す例では、可能な排出点が、図に示されるような長さLの中央3分の1(1/3Lm)の最縁部に特定される場合であっても、角度αは角度βよりも小さい。(図24Dに示す例では、角度αは180度未満である。)
【0038】
上記の説明及び関連する図面より、パッドの長さの中央3分の1内に、通路部分164の構成によっておおよそ取り囲まれる排出点が存在しないことは、通路部分164の構成が、排出された流体を捕捉して流し、吸収を促進し、それにより排出液がトップシートの縁部に向かって外向きに移動するのを防ぐように配置される可能性を低くするものであることが理解されよう。
【0039】
通路部分164の構成の他の非限定的な例を図23A~Kに示す。これらの通路部分は、示されるように同縮尺であり、図に示されるように、パッドの長さの中央3分の1内に位置する排出点をおおよそ取り囲んでいる。
【0040】
通路部分164が物品の吸収性構造体140に重なり(z方向に)、好ましくは、吸収性構造体の上に重なるトップシート上の位置にのみ存在することが望ましい場合がある。これは、通路部分164によって流される任意の流体が、吸収性構造体がz方向の下に位置するトップシート上の位置に沿って確実に流れるようにするためであり、通路部分164は、通路部分164の下面を通じて、その下にある吸収性構造体140による吸収を促進するように適当に配置される。
【0041】
再び図8~10を参照すると、通路部分164は、形成不織布ウェブ材料の部分を形成するフィラメント122が肉盛領域166よりも大幅に少ない量で存在する、トップシート120を形成する形成不織布ウェブ材料の部分の一部であることが分かる。不織布ウェブ材料中のそれぞれの通路部分164及び隣接する肉盛領域166は、以下に記載するプロセスによって形成することができる。
【0042】
図9を参照すると、任意の数の区域160を特定することができる。各区域は、相対的に大幅に大きい繊維及び/又はフィラメント面積密度を有する少なくとも1つの肉盛領域166に隣接した相対的に大幅に小さい繊維及び/又はフィラメント面積密度を有する少なくとも1つの肉薄領域163を含んでいる。肉薄領域163の相対的に小さい繊維及び/又はフィラメント面積密度、並びに肉盛領域166の相対的に大きい繊維及び/又はフィラメント面積密度に対応して、肉薄領域163は、隣接する肉盛領域166よりも比較的低い坪量を有し得る。不織布ウェブ材料は、区域160内の隣接する領域163、166間のこれらの相違が視覚的に認識可能であるよう、以下に記載されるようにして製造することができる。これらの領域及び区域の視覚的認識性は、フィラメント及び/又は繊維の面積密度、ウェブの厚さ/キャリパー、及び/又はウェブの透明度/不透明度における目に見える局所的な差異/変動として顕在化され得る。例えば、観察者は、トップシート120を形成する形成不織布ウェブ材料のある部分の通路部分164を、トップシート120の表面に沿った楕円形状の経路を辿る通路又は溝として認識することができ、通路又は溝は、視覚的に識別可能により低いフィラメント及び/又は繊維面積密度、視覚的に識別可能により低いウェブ厚さ/キャリパー、及び/又は視覚的に識別可能により低いウェブ不透明度(反対に、より高い半透明度)の領域として視覚的に識別可能である。本明細書に記載されるトップシートの形成要素の視覚的識別性及び他の機能的側面を大幅に確保又は向上させるには、フィラメント堆積プロセスを制御し、肉薄領域163と肉盛領域166との間の分布を、これらの平均坪量が少なくとも2倍異なるように制御することが望ましい場合がある。後述するように、肉薄領域と肉盛領域との間のフィラメントの分布は、基材を形成するベルト材料を所定の空気透過性について選択するによって、また、成形真空システムの気流引き込み速度を制御することによって制御することができる。
【0043】
このような通路又は溝は、美的/装飾的及び機能的な目的を果たすことができる。このような形成要素を有する婦人用衛生パッド製品のユーザー/消費者は、パッドの表面にわたり、かつその側部又は端部からの滲出液の流れに対する物理的バリアを与えることによって封じ込め機能を果たす、目に見える通路/溝(それらの間及び/又はそれらを包囲する肉盛領域を有する)を知覚することができる。いくつかの構成では、その間に肉盛領域を有する、又はそれらを取り囲むこのような通路部分の組み合わせは、実際にこのようなバリア機能を果たすことができる。通路部分164は、滲出液がより自由に集まって流れることができる通路を文字通り構成することができ、一方、周囲の肉盛領域166は、通路内の流体がパッドの縁部(外周縁128)に向かって長手方向又は横方向の外側に流れることを阻止する性質を有する物理的バリアを構成することができる。これは、パッドを形成するフィラメント及び/又は繊維が、その表面に沿った水性流体の流れを阻止することができる疎水性表面エネルギー特性を有するポリマー樹脂(疎水性強化溶融添加剤を含む、又は含まない)から紡糸される場合に特に当てはまり得る。
【0044】
上記に述べ、図6及び図23A~23Kに示される非限定的な例のような通路部分164の構成は、女性用衛生パッド用のトップシートばかりでなく、成人用失禁パッド、使い捨て吸収性パンツ、及び使い捨ておむつ用のトップシートにも視覚的訴求及び液体封じ込め機能を与えることができることが理解されよう。
【0045】
図6~8を参照すると、女性用衛生パッド又は成人用失禁パッドのトップシート120を形成する形成不織布ウェブ材料の部分は、羽根折り線115に近接して、内部に形成されたヒンジ部分168を画定する1つ以上の肉薄領域163を含むことができる。ヒンジ部分168は、羽根部分がパッドの主要(中央)部分から遠ざかる方向に延びる、羽根部分114の長手方向長さの任意の部分又はほぼ全体に沿ってほぼ長手方向に延在することができる。ヒンジ部分168は、後述するように、通路部分164を形成することができる方法と同様の方法で形成することができる。通路部分164と同様、ヒンジ部分168は、視覚的に識別可能であるように適合することができ、視覚的に識別可能な区域内に、比較的小さいフィラメント及び/又は繊維の面積密度及び坪量の視覚的に識別可能な肉薄領域、比較的大きいフィラメント及び/又は繊維の面積密度及び坪量の隣接する視覚的に識別可能な肉盛領域を含むことができる。ヒンジ部分は、それに沿って羽根部分がパンツの股部分を包むように折り畳まれることが望ましい線115に近接して長手方向に配置され、また、ヒンジ部分は、フィラメント及び/又は繊維が視覚的に少ない領域及び/又はトップシートの厚さ/キャリパーが視覚的に低減された領域を構成することができるため、ヒンジ部分168は折り畳み位置を視覚的に示す機能を有し得る。加えて、ヒンジ部分168内のフィラメント及び/又は繊維の数が低減されていることにより、ヒンジ部分に沿ったウェブ材料は、周囲の肉盛領域166よりも剛性が低くなり、ヒンジ部分に沿った折り畳みを機能的に促進し、容易とする。
【0046】
羽根用のヒンジ構造を設けることに加えて、又はそれに代えて、ヒンジ部分168の構成をトップシートの他の部分に沿って配置することで、可撓性、快適性、及び/又は身体への適合性を向上させることができる。非限定的な例として図25を参照すると、ヒンジ部分168は、パッドの角部がそれに沿ってより容易に屈曲することを可能とする線又は経路を与え、それにより、着用中にパッドがユーザー/着用者の身体により良好かつ/又はより快適に適合することを可能とする。
【0047】
ヒンジ部分168の特徴として、ヒンジ部分が羽根114を画定する、トップシートの2つの縁部の間に延在する経路又は線をヒンジ部分が辿るか又はこれと平行に延在し、1つ以上の肉薄領域163がそのような経路の大部分を占め、ヒンジ部分168を形成することがあり得ることが理解されよう。
【0048】
他の秩序配置
しかしながら、以下に記載され、参照により本開示に援用する参考文献に記載される形成ベルト製造技術によって与えられる利点は、空気流遮断構造262を、認識可能な、視覚的に識別可能な形状、自然又は人工物、人、動物、架空のキャラクター、擬人化されたキャラクター、装飾的要素、機能的特徴、デザイン、パターン、サイズ、間隔などのイメージの所望の組み合わせの限定されない数の変型に従って、以下に記載されるように、所望の構成のネガを、樹脂硬化光を選択的に遮断するために使用されるマスク上に単純に印刷することにより、形成ベルト260上に形成及び構成することができる点である。したがって、本明細書に記載されるような形成ベルト上に形成された不織布ウェブ材料に通路部分164及びヒンジ部分168を付与するために空気流遮断構造を形成することに加えて、他の機能的特徴、装飾的/鑑賞的特徴、又はこれらの組み合わせを不織布ウェブ材料に付与するために空気流遮断構造を形成ベルト上に設計し、含めることができる点は理解されよう。図18及び19は、2つの可能な非限定的な例を示す。図18及び19に示される例では、肉薄領域163で形成され、ひし形の肉盛領域166のパターンを画定する連続的な低バルク部分164aのパターン275を、1つ以上の通路部分164及び/又はヒンジ部分168と組み合わせて、女性用衛生パッドのトップシートを形成するための形成不織布ウェブ材料の部分上に形成することができる。パターン275などのパターンは、機能的及び/又は装飾的な目的で望ましい場合がある点は理解されるであろう。図18及び19に示される例では、低バルク部分164aのパターン275は、見栄えのよい装飾的外観をトップシートに付与することによって、また、上記に述べた通路部分164と同様に流体通路として機能し得る通路様構造のネットワークを与えることによって、両方の目的を果たすことができ、パッド表面領域にわたる身体滲出液の流れを分配し、その流れをその下の吸収性構造体に排出するように機能する一方で、肉盛領域166は、着用者の皮膚と通路様構造のより低いz方向深さ(及びそれらが運ぶ滲出液)との間の間隔を維持するように機能することができる。低バルク部分164aのパターン275は、以下に記載される方法で、空気流遮断構造の適当な対応するパターンが形成された形成ベルトの使用によって付与することができる。図18及び19に示唆されるように、状況によっては、連続的な低バルク部分の任意のパターン275の構成が、吸収性構造体の縁部を越えて、あるいはトップシートの縁部にまで延在する部分を含まないことにより、滲出液が吸収性構造体によって吸収されにくい、かつ/又はパッドの縁部から流れ出るおそれがある位置に滲出液が流れることを避けることができる。
【0049】
肉薄領域及び肉盛領域の限定されない数の他のパターン275が可能である。図26A、26B及び27の更なる非限定的な例に反映されるように、状況によっては、長手方向及び横方向中央領域内のトップシートが、別個の低バルク部分165のパターン275を含むことが望ましい場合があり、このような別個のパターンは、通路部分のようにトップシートの長さ又は幅の相当部分にわたって連続的なものではなく、また、図18及び19に示唆されるように他の低バルク部分164aと交差又は相互接続するものでもなく、それぞれ別個であり、「海」(肉盛領域166に対応する)の中の「島」(低バルク部分165に対応する)のように、肉盛領域166の連続領域によって完全に囲まれている。いずれの横断通路部分も有さないこのような別個の低バルク部分165のパターンが含まれてもよく、排出点に近接し、かつ/又は長手方向軸111と横方向軸112との交点におけるトップシートの中央領域を占めることができる。画像の横方向中央部分に見える、上下に延在するこのようなパターンの非限定的な例を、図26A及び26Bに示す。このような例では、比較的疎らにフィラメントが用いられている別個の低バルク部分165のそれぞれが、流体がトップシートを通ってz方向に移動する経路としてより良好に機能することができる(トップシートを貫通したドレーン孔のように挙動する)のに対して、周囲の連続的な肉盛領域166は、x-y方向の横方向/長手方向の流れを阻止し、それによってトップシートにわたった排出された流体の拡散を阻止するバリアとして機能することができる。これらの効果は、以下に記載される技術、材料、及び構成により、トップシートを形成するウェブの様々な表面、部分、及び/又は領域の疎水性/親水性特性を操作することによって高めることができる。一般に、女性用衛生パッドの消費者/ユーザーは、排泄された月経液がトップシートを通ってz方向に適切に速やかに下の吸収性材料に移動し、その結果、受容された流体によるトップシートの汚れのx-y寸法が可能な限り小さく、排出点を中心に集中するように構成されたパッドを好むことが分かっている。この視覚的な信号は、排出された流体を吸収性システムが受容し、捕捉し、封じ込めるうえで効果的に機能していることをユーザーに示す。したがって、横方向軸と長手方向軸との交点で、かつ/又はトップシート上の予想される排出点112bに近接した、図18及び19に示されるような連続通路を含まない、図26A及び26Bに非限定的な例として示されるような低バルク部分164aのパターンが好ましい場合がある。理論に束縛されるものではないが、総面積(1つ以上の通路部分164によっておおよそ取り囲まれた領域など)に占める別個の低バルク部分165のパターンは、別個の低バルク部分165が、パターンによって占められる総面積の5%~30%、より好ましくは8%~25%、更により好ましくは10%~22%の割合を占める場合に、z方向に流体を排出するうえで最も効果的であると考えられる。
【0050】
本明細書の目的では、別個の低バルク部分によって占められる総面積の割合(%)は、トップシート材料(以下に記載される)を形成するために使用される形成ベルト260上のx-y平面内の空気流遮断領域264の対応する面積の測定値を反映し、また、この測定値によって決定することができ、この測定値は、(以下に説明する製造方法に従って)形成ベルトを作製するために使用されるマスク上の対応する樹脂硬化領域264a及び/又は樹脂非硬化領域263aによっても反映され得る。加えて、別個の低バルク部分165のパターンによって占められる総面積の割合(%)は、米国特許仮出願第62/842,792及び同第62/842,807号のいずれかに記載のパターン分析試験を用いて、トップシートウェブ自体から直接測定することもできる。別個の低バルク部分165のパターンによって占められる総面積の割合(%)の範囲が、本明細書の「特許請求の範囲」において指定及び/又は記載される場合、このパラグラフで特定される方法のいずれかによって決定され得るような範囲を適用し、包含することが意図される。上記に参照した出願の1つに記載されるパターン分析試験が、特定の状況下でそのような割合(%)を測定するのに不十分であると判明した場合、他の方法のうちの1つ(例えば、形成ベルト上の空気流遮断領域264の面積の測定、又はマスク上の樹脂硬化領域264a及び/又は樹脂非硬化領域263aの面積の測定)を用いることもできる。
【0051】
特定の非限定的な例として、図22を参照すると、通路部分164によって取り囲まれる総面積が、別個の低バルク部分のパターンによって占められる面積の8%~22%を集合的に占める別個の低バルク部分のパターンによって占められる場合、そのトップシートの構成において最適なz方向の流体排出効果が実現され得ると考えられる。
【0052】
別個の低バルク部分のパターンにおいて別個の低バルク部分によって集合的に占められる面積を制御することに加えて、それらの個々のサイズを調節して(以下に記載されるような形成ベルト260の設計により)有益な効果を得ることができる。パターン内の別個の低バルク部分165の大部分又は全てがそれぞれ、少なくとも0.8mmかつ20mm以下、より好ましくは7mm以下の面積を有する場合、トップシートの触覚的柔軟性のユーザー知覚を高めることができる一方で、最適な排液性能及び染み拡散の抑制を維持しつつ、濡れた吸収性構造体に対するユーザーの皮膚の曝露の可能性が最小限に抑えられる。(別個の低バルク部分が円形の形状を有する場合、直前に記載したその範囲は、少なくとも1mmかつ5mm以下、より好ましくは3mm以下の低バルク部分の直径と同等である。)
【0053】
図26A、26B及び27に示唆されるように、トップシートの長手方向及び/又は横方向中央部分を占める別個の低バルク部分165のパターン275は、1つ以上の通路部分164によって部分的又は全体的に包囲されてもよい。1つ以上の通路部分164は、排出点112bをおおよそ取り囲むか、上記に述べたように他の形で機能するように構成することができる。横方向軸と長手方向軸との交点に近接して、かつ/又は交点を中心として、かつ/又はトップシート上の予想排出点112bに存在する低バルク部分のパターンは、本明細書に記載され、図6、22、23A~23K、24A、24B、24C、24E及び25に非限定的な例として示される通路部分164の構成のいずれに含まれてもよい。
【0054】
以下の説明から明らかになるように、ウェブ材料の形成方法及びプロセスは、形成されたウェブ材料の一方のx-y表面が、反対側のx-y面(反対側)よりも、(形成中に形成ベルトに最も近接する側(形成ベルト側)に)明確に画定された肉盛領域の目に見えるz方向の「高さ」を有する大幅に大きい目に見えるトポグラフィーを呈する、「一側性」をもたらす。この一側性は、ウェブ材料がトップシートを形成するために使用されるときに、形成ベルト側が最終製品上で着用者に面することを望ましくする。これにより、トポグラフィーが着用者により見えやすくなり、トポグラフィー的形成要素によって伝達される視覚的及び触覚的な柔軟性信号が高められ、本明細書に記載のトップシートの機能性を高めることができる。
【0055】
吸収性構造体
本明細書で企図される吸収性構造体140は、楕円形状、スタジアム形状、矩形形状、非対称形状、及び砂時計形状を含むがこれらに限定されない、任意の適当なx-y平面の外周縁形状を有することができる。いくつかの例では、吸収性構造体140は、例えば、前方及び後方の端部領域よりも中間領域においてより幅狭の輪郭形状を付与されてもよい。他の例としては、吸収性構造体は、パッドの一方の端部領域により広い部分を有し、パッドの他方の端部のより狭い端部領域に向かってテーパする、テーパ形状を有し得る。吸収性構造体140は、長手方向及び横方向の一方又は両方に沿って変化する剛性を有し得る。
【0056】
吸収性構造体140は、1つ以上の層を有してもよい。特定の実施形態では、第1の吸収性層と第1の吸収性層に隣接する第2の吸収性層とが存在する、2つの吸収性層が存在する。これらの材料は好ましくは圧縮性で、形状適合性があり、着用者の皮膚を刺激せず、尿、及び経血を含む他の特定の身体滲出物などの液体を吸収して保持することが可能である。
【0057】
第1の吸収層は、吸収性材料の第1の層を含んでよく、この層は、85%~100%の超吸収性ポリマー(SAP)、90%~100%のSAP、又は更には95%~100%のSAPなど、100%以下のSAP(吸収性ゲル化材料すなわちAGMとしても知られる)の粒子であってよく、詳細には、指定された範囲及びその範囲内又はその範囲によって規定される全ての範囲内の全ての0.5%刻みの値を含む。第2の吸収層は、吸収性材料の第2の層を含んでよく、この層もやはり、(上記に指定した範囲を含む)100%以下のSAPであってよい。あるいは、第1及び第2の吸収性層のいずれか又は両方は、セルロース、粉砕木材パルプなどの組み合わせをSAPと組み合わせて含んでもよい。いくつかの例では、吸収性構造体は、第1の層と第2の層とを含んでもよく、第1の層(場合により貯蔵層として知られる)は主として流体を吸収及び保持するように設計される。貯蔵層は、SAPの粒子を含んでもよく、セルロース繊維のバット内に分配されたSAPの粒子を含んでもよい。第2の層(場合により捕捉/分配層又は「第2のトップシート」としても知られる)は、トップシートの真下に配置されるように設計され、流体の噴出からのエネルギーを受け取って分散し、流体を貯蔵層全体及び貯蔵層にまで分配するように構成されてもよい。捕捉/分配層は、部分的若しくは全体的にセルロース繊維であってよいフィラメント若しくは繊維のバット又は不織布構造、又はセルロース繊維とポリマー繊維若しくはフィラメントとのブレンドであってもよい。特定の例では、捕捉/分配層は、セルロース繊維のエアレイドバットであってもよい。
【0058】
あるいは、吸収性構造体は、吸収性材料としてセルロース繊維(「エアフェルト」として知られるセルロース繊維材料を含む)で全体が/単独で形成されてもよい。
【0059】
吸収性構造体140はまた、第1の吸収性層及び第2の吸収性層のいずれか又は両方についてキャリア層を含んでもよい。このキャリア層は、不織布ウェブであってよく、これは有孔であってよい。吸収性構造体140はまた、吸収性材料の層を基材材料と少なくとも部分的に接着する熱可塑性接着材料を含んでもよい。
【0060】
吸収性構造体140は、z方向の陥凹部又は吸収性構造体の層のキャリパーの変化によって画定される1つ以上の溝、通路、又はポケットを含むことができる。1つ以上の溝、通路、又はポケットは、トップシートの1つ以上の溝に加えて、又は、1つ以上の溝の代わりに設けられ得る。ポケットは、(上記で指定した範囲を含む)SAPなどの吸収性材料を含まないか又はほぼ含まない吸収性構造内の領域であり得る。吸収性構造体内にSAPなどの吸収性材料を含まないか又はほぼ含まない通路及びポケットに関するその他の形態及び更なる詳細は、米国特許出願公開第2014/0163500号、同第2014/0163506号、及び同第2014/0163511号により詳細に説明されている。
【0061】
吸収性構造体140の構成及び構造は変化してもよい(例えば、吸収性構造体140は、変化するキャリパー区域、親水性勾配、超吸収性勾配、又はより低い平均密度及びより低い平均坪量の捕捉区域を有してもよい)。更に、吸収性構造体140の寸法及び吸収能力も、様々な着用者に適応するように変更されてもよい。しかしながら、吸収性構造体140の総吸収能は、設計負荷、及び生理用ナプキン又は他の任意の使い捨て吸収性物品の意図される用途に適合したものでなければならない。
【0062】
本明細書で企図されるいくつかの形態では、吸収性構造体140は、第1及び第2の吸収性層以外に、複数の多機能層を含むことができる。例えば、吸収性構造体140は、第1及び第2の吸収性層、並びに他の任意の層を内包するのに有用なコアラップ(図示せず)を含むことができる。コアラップは、2つの不織布材料、基材、積層体、フィルム又は他の材料によって形成され得る。コアラップは、単一の材料、基材、積層体、又は、少なくとも部分的にその周りを包む他の材料のみを含み得る。
【0063】
吸収性構造体140は、例えば、コア内に存在し得る任意の超吸収性ゲル化材料又は他の吸収性材料を固定化する助けるために、1つ以上の接着剤を含んでもよい。
【0064】
様々なコア設計を有する比較的多量のSAPを含む吸収性構造体は、米国特許第5,599,335号、欧州特許第1 447 066号、国際公開第95/11652号、米国特許出願公開第2008/0312622(A1)号、及び国際公開第2012/052172号に開示されている。これらの設計は、第1及び第2の超吸収性層を構成するために使用されてもよい。代替的なコアの実施形態は、米国特許第4,610,678号、同第4,673,402号、同第4,888,231号、及び同第4,834,735号にも記載されている。吸収性構造体は、米国特許第5,234,423号及び同第5,147,345号に記載されるような、吸収性貯蔵コアを覆って配置された化学的に剛化された繊維の捕捉/分配コアを含む二重コアシステムを模倣する更なる層を更に含んでもよい。
【0065】
本明細書で企図される超吸収性ポリマーは、一般的には別個の粒子の形態で使用される。このような超吸収性ポリマー粒子は、任意の所望の形状、例えば、球状又は半円球状、立方晶、ロッド様の多面体などであり得る。針及びフレークのような最大寸法/最小寸法の比を有する形状もまた、本明細書での使用のために考慮される。流体吸収性ゲル化材料粒子の凝集体を使用してもよい。
【0066】
流体吸収性ゲル化材料粒子のサイズは、広範囲にわたって変化してもよい。産業衛生の理由のために、約30ミクロンより小さい平均粒径は望ましくない。約2mmよりも大きい最小寸法を有する粒子もまた、吸収性物品においてザラツキ感を生じさせる場合があり、これは消費者の審美的観点から望ましくない。更に、流体吸収の速度は、粒径によって影響を受け得る。より大きい粒子は、非常に低減された吸収速度を有する。流体吸収性ゲル化材料粒子は、好ましくは実質的に全ての粒子に対して約30ミクロン~約2mmの粒径を有する。本明細書で使用するとき、「粒径」とは、個々の粒子の最少寸法の加重平均を意味する。
【0067】
これらの層は、好ましくはエアフェルトを実質的に含まないため、エアフェルトを含み得る混合層とは異なる。本明細書で使用するとき、「エアフェルトを実質的に含まない」とは、5%、3%、1%、又は更には0.5%未満のエアフェルトを意味する。好ましい場合では、吸収性構造体の超吸収性層に測定可能なエアフェルトは存在しない。第1の超吸収性層の場合、好ましくは第1の分配層の上に不連続に配設される。本明細書で使用するとき、「不連続に」又は「不連続パターンで」とは、超吸収性ポリマーが、切断された形状の領域のパターンで第1の分配層に適用されることを意味する。これらの超吸収性ポリマーの領域又は超吸収性ポリマーを含まない領域は、線状ストリップ、非線形ストリップ、円、矩形、三角形、ウェーブ、メッシュ、及びこれらの組み合わせを含み得るが、これらに限定されない。しかしながら、第2の超吸収性層のような第1の超吸収性層は、それぞれの分配層の上に連続したパターンで配設されていてもよい。本明細書で使用するとき、「連続パターン」又は「連続して」とは、材料が、超吸収性担体材料及び/又は隣接した分配層に途切れることなく配設及び/又は固定され、それによりむしろ分配層の全体が超吸収性ポリマーによって被覆される。
【0068】
いくつかの例では、吸収性構造体140は、吸収性連続気泡発泡体材料の層から形成されてもよく、又はこれを含んでもよい。いくつかの例では、発泡体材料は、吸収性連続気泡発泡体材料の少なくとも第1及び第2の副層を含んでもよく、副層は、互いに直接向かい合わせに接触している。このような例では、以下でより詳細に説明する目的のために、着用者に面する副層は、相対的により大きな発泡体材料であってもよく、外方に面する副層は、相対的により小さな気泡発泡体材料であってもよい。
【0069】
連続気泡発泡体材料は、油中水型高内相エマルション(high internal phase emulsion、「HIPE」)の連続油相の重合によって製造される発泡体材料であってもよい。
【0070】
油中水型HIPEは、2つの相を有する。1つの相は、重合されるモノマーと、HIPEの安定化に役立つ乳化剤と、を含む、連続油相である。油相はまた、1つ以上の光開始剤を含んでもよい。モノマー成分は、油相の約80重量%~約99重量%、ある特定の例では約85重量%~約95重量%の量で含まれ得る。油相に可溶性であり、かつ安定な油中水型エマルションの形成に適当な乳化剤成分は、油相の約1重量%~約20重量%の量で油相中に含まれ得る。エマルションは、約20℃~約130℃、ある特定の例では約50℃~約100℃の乳化温度で形成され得る。
【0071】
一般的に、モノマーは、油相の約20重量%~約97重量%の量で含まれてもよく、少なくとも1つの実質的に水不溶性である一官能性アルキルアクリレート又はアルキルメタクリレートを含んでもよい。例えば、この種のモノマーは、エチルヘキシルアクリレート、ブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、ノニルアクリレート、デシルアクリレート、イソデシルアクリレート、テトラデシルアクリレート、ベンジルアクリレート、ノニルフェニルアクリレート、ヘキシルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、ノニルメタクリレート、デシルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、テトラデシルメタクリレート、及びオクタデシルメタクリレートなどのC4~C18アルキルアクリレート及びC2~C18メタクリレートを含み得る。
【0072】
また、油相は、油相の約2重量%~約40重量%、ある特定の例では約10重量%~約30重量%の、実質的に水不溶性である多官能性架橋アルキルアクリレート又はメタクリレートを含んでもよい。この架橋コモノマー又は架橋剤を添加して、得られるHIPE発泡体に強度及び弾性を付与する。この種の架橋モノマーの例は、2つ以上の活性化アクリレート、メタクリレート基、又はこれらの組み合わせを含有するモノマーを含む。この基の非限定的な例としては、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、1,4-ブタンジオールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、1,12-ドデシルジメタクリレート、1,14-テトラデカンジオールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート(2,2-ジメチルプロパンジオールジアクリレート)、ヘキサンジオールアクリレートメタクリレート、グルコースペンタアクリレート、ソルビタンペンタアクリレートなどが挙げられる。架橋剤の他の例は、エチレングリコールアクリレート-メタクリレート及びネオペンチルグリコールアクリレート-メタクリレートなどの、アクリレート部分とメタクリレート部分との混合物を含有する。混合架橋剤中のメタクリレート対アクリレート基の比は、必要に応じて、50:50から任意の他の比まで様々であってもよい。
【0073】
任意の第3の実質的に水不溶性であるコモノマーを、油相の約0重量%~約15重量%、ある特定の例では約2重量%~約8重量%の重量%で油相に添加して、HIPE発泡体の特性を改変することができる。ある特定の場合において、結果として得られるHIPE発泡体に強靱性を付与する、「強靱化」するモノマーが所望され得る。これらとしては、スチレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、イソプレン、及びクロロプレンなどのモノマーが挙げられる。理論に縛られるものではないが、かかるモノマーは、重合中(「硬化」としても知られている)HIPEを安定化させて、より優れた強靱性、引張強度、耐摩耗性などが得られる、より均質かつより良好に形成されたHIPE発泡体をもたらすのに役立つと考えられる。また、モノマーを添加して、米国特許第6,160,028号に開示されているように難燃性を付与することもできる。モノマーを添加して、色(例えば、ビニルフェロセン)を付与し、蛍光特性を付与し、放射線耐性を付与し、放射線に不透明度を付与し(例えば、鉛テトラアクリレート)、電荷を分散させ、入射赤外光を反射し、電波を吸収し、HIPE発泡体ストラット又は気泡壁の表面を湿潤性にし、又はHIPE発泡体における任意の他の所望の特性を付与することができる。場合によっては、これら追加のモノマーは、HIPEのHIPE発泡体への変換プロセス全体を遅延させる場合があるが、望ましい特性を付与すべきである場合は、このトレードオフは必須である。したがって、このようなモノマーを使用して、HIPEの重合速度を減速させることもできる。この種のモノマーの例は、スチレン及び塩化ビニルを含む。
【0074】
油相は、HIPEを安定化させるために、乳化剤を更に含んでもよい。HIPEで使用される乳化剤としては、(a)分岐鎖C16~C24脂肪酸;直鎖不飽和C16~C22脂肪酸;及び直鎖飽和C12~C14脂肪酸のソルビタンモノエステル、例えば、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノミリステート、及びソルビタンモノエステル、ソルビタンモノラウレートジグリセロールモノオレエート(diglycerol monooleate、DGMO)、ポリグリセロールモノイソステアレート(polyglycerol monoisostearate、PGMIS)、及びポリグリセロールモノミリステート(polyglycerol monomyristate、PGMM);(b)分岐鎖C16~C24脂肪酸、直鎖不飽和C16~C22脂肪酸、又は直鎖飽和C12~C14脂肪酸のポリグリセロールモノエステル、例えば、ジグリセロールモノオレエート(例えば、C18:1脂肪酸のジグリセロールモノエステル)、ジグリセロールモノミリステート、ジグリセロールモノイソステアレート、及びジグリセロールモノエステル;(c)分岐鎖C16~C24アルコール、直鎖不飽和C16~C22アルコール、及び直鎖飽和C12~C14アルコールのジグリセロール一脂肪族エーテル、並びにこれら乳化剤の混合物を挙げることができる。米国特許第5,287,207号及び同第5,500,451号を参照のこと。使用することができる別の乳化剤は、コハク酸アルキル、グリセロール、及びトリグリセロールから形成されるコハク酸ポリグリセロール(polyglycerol succinate、PGS)である。
【0075】
このような乳化剤、及びそれらの組み合わせは、それらが、油相の約1重量%~約20重量%、ある特定の例では、約2重量%~約15重量%、ある特定の他の例では、約3重量%~約12重量%を構成するように、油相に添加され得る。ある特定の例では、特に、例えば、約65℃を超えるより高い温度で、気泡サイズ、気泡サイズ分布、及びエマルションの安定性の更なる制御を提供するために、共乳化剤も使用され得る。共乳化剤の例には、ホスファチジルコリン及びホスファチジルコリン含有組成物、脂肪族ベタイン、長鎖C12~C22二価脂肪族四級アンモニウム塩、短鎖C1~C4二価脂肪族四級アンモニウム塩、長鎖C12~C22ジアルコイル(アルケノイル)-2-ヒドロキシエチル、短鎖C1~C4二価脂肪族四級アンモニウム塩、長鎖C12~C22二価脂肪族イミダゾリニウム四級アンモニウム塩、短鎖C1~C4二価脂肪族イミダゾリニウム四級アンモニウム塩、長鎖C12~C22一価脂肪族ベンジル四級アンモニウム塩、長鎖C12~C22ジアルコイル(アルケノイル)-2-アミノエチル、短鎖C1~C4一価脂肪族ベンジル四級アンモニウム塩、短鎖C1~C4モノヒドロキシ脂肪族四級アンモニウム塩が挙げられる。特定の例では、ジタロージメチルアンモニウムメチルサルフェート(ditallow dimethyl ammonium methyl sulfate、DTDMAMS)を補助乳化剤として使用してもよい。
【0076】
含まれる任意の光開始剤は、油相の約0.05重量%~約10重量%、いくつかの例では、約0.2重量%~約10重量%含まれ得る。少量の光開始剤は、HIPE発泡体により良好に光を透過させて、それによりHIPE発泡体のより深部での重合をもたらすことができる。しかしながら、酸素含有環境で重合が行われる場合は、重合を開始させ、かつ酸素阻害に打ち勝つのに十分な光開始剤が存在することが所望され得る。光開始剤は、ラジカル、カチオン、及び重合反応を開始させることができる他の種の生成を伴って、光源に速やかかつ効率的に応答することができる。本開示の想到される範囲内で発泡体の形成に使用するために選択される光開始剤は、約200ナノメートル(nm)~約800nm、ある特定の例では、約250nm~約450nmの波長の紫外線を吸収することができる。光開始剤が油相中に存在する場合、好適な種類の油溶性光開始剤としては、ベンジルケタール、α-ヒドロキシアルキルフェノン、α-アミノアルキルフェノン、及びアシルホスフィンオキシドが挙げられる。光開始剤の例としては、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オンと組み合わせられた2,4,6-[トリメチルベンゾイルジホスフィン]オキシド(これら2つの50:50ブレンドは、Ciba Speciality Chemicals(Ludwigshafen,Germany)によりDAROCUR 4265として販売されている);ベンジルジメチルケタール(Ciba GeigyによりIRGACURE651として販売されている);α-,α-ジメトキシ-α-ヒドロキシアセトフェノン(Ciba Speciality ChemicalsによってDAROCUR1173として販売されている);2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノ-プロパン-1-オン(Ciba Speciality ChemicalsによってIRGACURE907として販売されている)、1-ヒドロキシシクロへキシル-フェニルケトン(Ciba Speciality ChemicalsによってIRGACURE184として販売されている);ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキシド(Ciba Speciality ChemicalsによりIRGACURE819として販売されている);ジエトキシアセトフェノン、及び4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)ケトン(Ciba Speciality ChemicalsによってIRGACURE2959として販売されている);並びにオリゴ[2-ヒドロキシ-2-メチル-1-[4-(1-メチルビニル)フェニル]プロパノン](Lamberti spa(Gallarate,Italy)によってESACURE KIP EMとして販売されている)が挙げられる。
【0077】
HIPEの分散水相は、水を含み、また、開始剤、光開始剤、又は電解質などの1つ以上の成分を含んでもよく、ある特定の例では、この1つ以上の成分は、少なくとも部分的に水溶性である。
【0078】
水相中に含まれる1つの成分は、水溶性電解質であってもよい。水相は、水相の約0.2重量%~約40重量%、ある特定の例では、約2重量%~約20重量%の水溶性電解質を含有し得る。電解質は、主に油溶性であるモノマー、コモノマー、及び架橋剤が水相にも溶解する傾向を最低限に抑える。電解質の例としては、カルシウム又はマグネシウムなどのアルカリ土類金属の塩化物又は硫化物、及びナトリウムなどのアルカリ土類金属の塩化物又は硫化物が挙げられる。かかる電解質は、リン酸塩、ホウ酸塩、及び炭酸塩、並びにこれらの混合物などの無機対イオンを含む、重合中にpHを制御するための緩衝剤を含み得る。水溶性モノマーを水相中で使用してもよく、その例は、アクリル酸及び酢酸ビニルである。
【0079】
水相中に含まれ得る別の成分は、水溶性フリーラジカル開始剤である。開始剤は、油相中に存在する重合性モノマーの合計モル数に基づいて最高約20モル%で存在し得る。ある特定の例では、開始剤は、重合性モノマーの総モルに基づいて約0.001~約10モル%の量で油相中に含まれ得る。好適な開始剤としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、2,2’-アゾビス(N,N’-ジメチレンイソブチルアミジン)ジヒドロクロリド、アゾ開始剤、過硫酸塩-二硫酸塩、過硫酸塩-アスコルビン酸のようなレドックス対、及び他の好適なレドックス開始剤が挙げられる。ある特定の例では、乳化系を妨げる恐れのある早期重合の可能性を低減するために、モノマー相への開始剤の添加は、乳化工程の終わり付近、又は乳化直後に実行されてもよい。
【0080】
光開始剤は、水相中に存在する場合、少なくとも部分的に水溶性であってもよく、油相の約0.05重量%~約10重量%、ある特定の例では、約0.2重量%~約10重量%を構成してもよい。少量の光開始剤は、HIPE発泡体により良好に光を透過させて、それによりHIPE発泡体のより深部での重合をもたらすことができる。しかし、酸素含有環境で重合が行われる場合は、重合を開始させ、かつ酸素阻害に打ち勝つのに十分な光開始剤が存在すべきである。光開始剤は、ラジカル、カチオン、及び重合反応を開始させることができる他の種の生成を伴って、光源に速やかかつ効率的に応答することができる。本開示の想到される範囲内で発泡体の形成で使用するための光開始剤は、約200ナノメートル(nm)~約800nm、ある特定の例では、約200nm~約350nm、及びある特定の例では、約350nm~約450nmの波長の紫外線を吸収することができる。光開始剤が水相中に含まれる場合、好適な種類の水溶性光開始剤としては、ベンゾフェノン、ベンジル、及びチオキサントンが挙げられ得る。光開始剤の例としては、2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]ジサルフェート脱水物、2,2’-アゾビス(1-イミノ-1-ピロリジノ-2-エチルプロパン)ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス[2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド、2,2’-ジカルボキシメトキシジベンザルアセトン、4,4’-ジカルボキシメトキシジベンザルアセトン、4,4’-ジカルボキシメトキシジベンザルシクロヘキサノン、4-ジメチルアミノ-4’-カルボキシメトキシジベンザルアセトン、及び4,4’-ジスルホキシメトキシジベンザルアセトンが挙げられる。他の使用可能な好適な光開始剤は、米国特許第4,824,765号にリストされている。
【0081】
前述の成分に加えて、他の成分がHIPEの水相又は油相のいずれかに含まれてもよい。例としては、酸化防止剤、例えば、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン光安定剤;可塑剤、例えば、フタル酸ジオクチル、セバシン酸ジノニル;難燃剤、例えば、ハロゲン化炭化水素、リン酸塩、ホウ酸塩、無機塩、例えば、三酸化アンチモン又はリン酸アンモニウム又は水酸化マグネシウム;染料及び顔料;蛍光剤;充填剤粒子、例えば、デンプン、二酸化チタン、カーボンブラック、又は炭酸カルシウム;繊維;連鎖移動剤;臭気吸収剤、例えば、活性炭微粒子;溶解ポリマー;溶解オリゴマー;並びに同様物が挙げられる。
【0082】
HIPE発泡体は、HIPEの連続油相を含むモノマーの重合から製造される。ある特定の例では、HIPE発泡体層は、1層以上の副層を有してもよく、均質又は不均質なポリマー連続気泡発泡体のいずれかであってもよい。均質性及び不均質性は、同じHIPE発泡体内の異なる層に関連し、これは均質なHIPE発泡体の場合には類似し、不均質なHIPE発泡体の場合には異なる。不均質なHIPE発泡体は、化学組成、物理的特性、又はその両方に関して異なっている少なくとも2つの異なる副層を含有してもよく、例えば、これらの副層は、発泡体密度、ポリマー組成、比表面積、又は細孔サイズ(気泡サイズとも呼ばれる)のうちの1つ以上に関して異なり得る。例えば、細孔サイズに関して異なる場合のHIPE発泡体では、それぞれの副層の平均細孔サイズは、少なくとも約20%、ある特定の例では、少なくとも約35%、更に他の例では、少なくとも約50%異なってもよい。別の例では、HIPE発泡体層の副層における差が密度に関する場合、層の密度は、少なくとも約20%、ある特定の例では、少なくとも約35%、更に他の例では、少なくとも約50%異なってもよい。例えば、HIPE発泡体の1つの層が0.020g/cmの密度を有する場合、別の層は、少なくとも0.024g/cm又は約0.016g/cm未満、ある特定の例では、少なくとも約0.027g/cm又は約0.013g/cm未満、更に他の例では、少なくとも約0.030g/cm又は約0.010g/cm未満の密度を有し得る。層間の差がHIPE又はHIPE発泡体の化学組成に関する場合、差は、例えば少なくとも約20%、ある特定の例では、少なくとも約35%、また更なる例では、少なくとも約50%の、少なくとも1つのモノマー成分の相対量の差を反映し得る。例えば、HIPE又はHIPE発泡体のうちの1つの副層がその配合中に約10%のスチレンを含む場合、HIPE又はHIPE発泡体の別の副層は、少なくとも約12%、ある特定の例では、少なくとも約15%を構成してもよい。
【0083】
異なるHIPEから形成される別個の副層を有するように構造化されたHIPE発泡体層は、所望の性能特性の範囲を有するHIPE発泡体層を提供することができる。例えば、第1の発泡体副層が、第2の発泡体副層よりも相対的により大きい細孔サイズ又は気泡サイズを有する、第1及び第2の発泡体副層を含むHIPE発泡体は、吸収性物品で使用されるとき、第2の副層よりも迅速に入ってくる流体を吸収することができる。例えば、HIPE発泡体層を使用して女性用衛生パッドの吸収性構造体140を形成するとき、第1の発泡体副層は、第1の発泡体副層と比べて相対的により小さい細孔サイズを有する第2の発泡体副層上に重層化することができ、これは、より大きな毛細管圧を発揮し、第1の発泡体副層から獲得した流体を引き込み、第1の発泡体副層のより多くの流体を獲得する能力を復元させる。HIPE発泡体の細孔サイズは、1~200μmの範囲であってもよく、ある特定の例では、100μm未満であってもよい。2つの主な平行表面を有する本開示のHIPE発泡体層は、約0.5~約10mmの厚さ、ある特定の例では、約2~約10mmの厚さであってもよい。HIPE発泡体層の所望の厚さは、HIPE発泡体層を形成するために使用される材料、HIPEがベルト上に堆積される速度、及び得られたHIPE発泡体層の意図される使用に依存するであろう。
【0084】
本開示のHIPE発泡体層は、好ましくは比較的連続した気泡である。これは、隣接している気泡と実質的に遮られずに連通しているHIPE発泡体層の個々の気泡又は細孔を指す。このように実質的に連続気泡であるHIPE発泡体構造体の気泡は、HIPE発泡体構造体内である気泡から別の気泡へ迅速に流体を移送させるのに十分な大きさの気泡内開口部又は窓部を有する。本開示の目的で、HIPE発泡体は、少なくとも1μmのサイズのHIPE発泡体中の気泡の少なくとも約80%が、少なくとも1つの隣接した気泡と流体連通している場合、「連続気泡」と見なされる。
【0085】
連続気泡であることに加えて、ある特定の例では、HIPE発泡体は、HIPE発泡体に水性液体を吸収させるのに十分に親水性であるように適合されている。いくつかの例では、HIPE発泡体の内面は、重合後にHIPE発泡体内に残存する残留親水化界面活性剤又は塩によって、若しくは本明細書に引用される参考文献に記載されるものなどの選択された後重合HIPE発泡体処理手順によって親水性にされてもよい。
【0086】
ある特定の例では、例えば、それが女性用衛生パッドの吸収性構造体140を形成するために使用されるとき、HIPE発泡体層は、可撓性であり、かつ適切なガラス転移温度(Tg)を呈することができる。Tgは、ポリマーのガラス質状態とゴム質状態との間の遷移の中間点を表す。一般に、使用温度よりも高いTgを有するHIPE発泡体は、強度が高い場合があるが、相対的に剛性でもあり、潜在的に破砕する傾向(脆性)がある。ある特定の例では、相対的に高いTg又は過剰な脆性のいずれかを呈する本開示のHIPE発泡体の領域は、不連続であるだろう。これら不連続の領域も、一般に高い強度を示すので、HIPE発泡体の全体的な強度を損なうことなく低密度で調製することができる。
【0087】
可撓性を必要とする用途を意図するHIPE発泡体は、HIPE発泡体が全体的に、使用中の温度で許容可能な強度を有する限り、可能な限り低いTgを有する少なくとも1つの連続した領域を含むべきである。ある特定の例では、この領域のTgは、およそ周辺温度条件で使用される発泡体については、約40℃未満となり、他の特定の例では、Tgは、約30℃未満となる。使用温度が周辺温度よりも高いか、又は低い適用で使用されるHIPE発泡体に対して、連続領域のTgは、使用温度よりも10℃未満高く、使用温度と同じある特定の例、及び更なる例では、可撓性が所望される使用温度よりも約10℃低くてもよい。したがって、モノマーは、可能な限り低いTgを有する対応するポリマーを提供するように選択される。
【0088】
本開示の想到される範囲内の吸収性構造体及び/又は副層を形成するのに有用なHIPE発泡体、並びにそれらの製造のための材料及び方法としては、参照により本明細書に矛盾しない範囲で本明細書に組み込まれる、米国特許第10,045,890号、同第9,056,412号、同第8,629,192号、同第8,257,787号、同第7,393,878号、同第6,551,295号、同第6,525,106号、同第6,550,960号、同第6,406,648号、同第6,376,565号、同第6,372,953号、同第6,369,121号、同第6,365,642号、同第6,207,724号、同第6,204,298号、同第6,158,144号、同第6,107,538号、同第6,107,356号、同第6,083,211号、同第6,013,589号、同第5,899,893号、同第5,873,869号、同第5,863,958号、同第5,849,805号、同第5,827,909号、同第5,827,253号、同第5,817,704号、同第5,817,081号、同第5,795,921号、同第5,741,581号、同第5,652,194号、同第5,650,222号、同第5,632,737号、同第5,563,179号、同第5,550,167号、同第5,500,451号、同第5,387,207号、同第5,352,711号、同第5,397,316号、同第5,331,015号、同第5,292,777号、同第5,268,224号、同第5,260,345号、同第5,250,576号、同第5,149,720号、同第5,147,345号、及び米国特許出願公開第2005/0197414号、同第2005/0197415号、同第2011/0160326号、同第2011/0159135号、同第2011/0159206号、同第2011/0160321号、同第2011/0160689号、並びに同第62/804864号に記載される発泡体及び方法も挙げられるが、これらに限定されない。
【0089】
HIPE発泡体で形成される吸収性構造体は、パッドの長手方向軸と横方向軸との交点上に位置する予想される放出位置内に配置された少なくとも第1のパターンを含む、1つ以上の貫通穿孔パターンを含むことができる。穿孔は、HIPE発泡体吸収性構造体のz方向深さ全体を貫通して、又は着用者に面する層のみ若しくはその着用者に面する部分に部分的に貫通して、穿孔、切断、ないしは別の方法で形成され得る。本明細書に記載されるように、HIPE発泡体吸収性構造体が、別の材料で形成された介在する捕捉層なしでトップシートと直接接触して配置される場合、貫通穿孔は、HIPE発泡体が毛管現象によって流体を分配及び吸収するのに十分な時間を有するまで、相対的に少量の月経液の急速な排出の分配において、受容し、一時的に保持し、かつ補助するためのリザーバの群として機能し得る。加えて、このような穿孔は、吸収性構造体の曲げ剛性を低下させるのに役立ち、これは、着用者のパッドの快適性を増加させることに役立ち得る。1.0mm~4.0mm、より好ましくは、1.5mm~3.5mmの平均半径又は他の最大寸法を有する穿孔のパターンが含まれてもよい。パターンは、1cm当たり3.0~9.0個の穿孔、より好ましくは1cm当たり4.0~8.0個の穿孔の数値密度で穿孔を含んでもよい。適切な平均サイズ、数値密度、及び穿孔のパターンによって占有される表面積を選択する際に、製造元は、予想される排出位置に近接しかつその付近の位置に吸収性材料を保持する必要がある場合に所望される「リザーバ」の体積のバランスを取ることを望む場合がある。適当な吸収性構造体の例と組み合わせたこのような穿孔の構成に関する更なる詳細は、米国特許第8,211,078号に見出すことができる。
【0090】
HIPE発泡体で形成された吸収性構造体は、通常であり、かつ女性用衛生パッドに対して予想される月経中のパッドの使用/着用の時間、例えば、4~8時間にわたって、トップシートから排出された流体を効果的に引き込む能力を有するように、十分なサイズ、毛管作用、及び親水性度を付与されるべきである。したがって、HIPE発泡体から形成される吸収性構造体140は、標準サイズのパッドに満足のいく吸収性を提供するキャリパーを(湿潤前に)有することが所望される場合がある。当然ながら、相対的に厚いパッドを製造することができるが、着衣の下での快適性及び目立たせないために、可撓性/柔軟性及び薄さの要望を考慮すると、日中使用に望ましくないと見なされる。製造元は、これらの競合する目的のバランスを取る必要がある。したがって、本明細書で企図されるHIPE発泡体吸収性構造体を有する女性用衛生パッドでは、層がその着用者に面する表面積の大部分で、1mm~5mm、又はより好ましくは1.5mm~3.5mm、又は更により好ましくは2.0mm~3.0mmのキャリパーを(湿潤前に)有することが望ましい場合がある(HIPE発泡体層のキャリパーは、拡大/顕微鏡観察及び/又は写真撮影、若しくは他の容易にする技術並びに機器を利用して、有用と思われる範囲で視覚的に測定され得る)。吸収性構造体140が本明細書に記載される2つの副層を含む場合、上部副層は、0.64mm~3.2mm、又は好ましくは0.96mm~2.24mm、又は更により好ましくは1.28mm~1.92mmのキャリパーを(湿潤前に)有することが望ましい場合があり、また下部副層は、0.16mm~0.80mm、又はより好ましくは0.24mm~0.56mm、又は更により好ましくは0.32mm~0.48mmのキャリパーを(湿潤前に)有することが望ましい場合がある。
【0091】
他の例では、吸収性構造体は、紡糸フィラメントの不織布層で形成された不均質な塊であってよく、別個の発泡体片が不織布構造の内部に、不織布構造全体にわたって分散/分配され、別個の発泡体片がフィラメントの部分の周囲に、フィラメントの部分を包囲するように形成される。このような吸収性構造体の例は、米国特許第10,045,890号、同第10,016,779号、同第9,956,586号、同第9,993,836号、同第9,574,058号、米国特許出願公開第2015/0313770号、同第2015/0335498号、同第2015/0374876号、同第2015/0374561号、同第2016/0175787号、同第2016/0287452号、同第2017/0071795号、同第2017/0119587号、同第2017/0119596号、同第2017/0119597号、同第2017/0119588号、同第2017/0119593号、同第2017/0119594号、同第2017/0119595号、同第2017/0199598号、同第2017/0267827号、同第2018/0110660号、同第2017/0119600号、同第2017/0119589号、同第2018/0169832号、同第2018/0168884号、及び同第2018/0318150号に記載されている。
【0092】
吸収性構造体はまた、同様の任意選択的な層を含んでもよい。それらは、繊維状構造体、エアレイドウェブ、湿式ウェブ、高ロフト不織布、ニードルパンチウェブ、水流交絡ウェブ、繊維トウ、織物ウェブ、ニットウェブ、フロック加工されたウェブ、スパンボンドウェブ、層状のスパンボンド/メルトブローンウェブ、カード繊維ウェブ、セルロース繊維及びメルトブローンフィラメントのコフォームウェブ、ステープル繊維及びメルトブローンフィラメントのコフォームウェブ、並びにこれらの層状の組み合わせである層状ウェブからなる群から選択されるウェブであり得る。
【0093】
コア及びシャーシのこれらの任意選択の層は、クレープ状セルロース詰め綿、フラッフ化セルロース繊維、エアレイド(エアフェルト)及びテキスタイル繊維などの材料を含み得る。任意選択の層の材料はまた、例えば、合成繊維又はフィラメント、熱可塑性微粒子、繊維又はフィラメント、トリコンポーネントフィラメント、及び、例えば、以下のポリマーの任意の組み合わせ:ポリエチレン/ポリプロピレン、ポリエチルビニルアセテート/ポリプロピレン、ポリエチレン/ポリエステル、ポリプロピレン/ポリエステル、コポリエステル/ポリエステルなどを有するシース/コアフィラメントなどの複合繊維又はフィラメントなどのフィラメントであり得る。任意選択の層は、上記に記載の材料、それらのコポリマー、及び/又は上記に記載の複数の材料(単独で又は組み合わせて)の任意の組み合わせを含み得る。
【0094】
任意選択の層の材料は、吸収性構造体内における、又は吸収性構造体に対するそれらの機能及び配置に応じて疎水性又は親水性であってよい。
【0095】
任意選択の層の材料は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、それらのコポリマー、及びそれらのブレンドなどのポリマーを含む構成繊維又はフィラメントで形成することができる。フィラメントは、スパンボンドプロセスで形成されてもよい。フィラメントは、メルトブロープロセスで形成されてもよい。繊維又はフィラメントは、セルロース、レーヨン、綿、若しくは他の天然材料、又はポリマー材料と天然材料とのブレンドで形成されるか、これらを含むことができる。繊維又はフィラメントはまた、ポリアクリレートなどの超吸収性材料又は適当な材料のいかなる組み合わせをも含み得る。繊維又はフィラメントは、単成分、複合及び/又は2成分、非円形(例えば、毛管通路繊維)であってもよく、0.1~500マイクロメートルの範囲の主断面寸法(例えば、円形繊維の直径)を有してもよい。不織布前駆体ウェブの構成繊維又はフィラメントは、化学(例えば、ポリエチレン及びポリプロピレン)、(単及び2)成分、デニール(マイクロデニール及び20デニール超)、形状(すなわち、毛管及び円形)などの特徴の点で異なる、異なる種類の混合物でもあり得る。構成繊維又はフィラメントは、約0.1デニール~約100デニールの範囲であってもよい。
【0096】
任意選択の層は、熱可塑性粒子、繊維又はフィラメントを含み得る。材料、具体的には熱可塑性繊維又はフィラメントは、ポリオレフィン、例えば、ポリエチレン及びポリプロピレン、ポリエステル、コポリエステル、並びに前述のいずれかのコポリマーを含む、様々な熱可塑性ポリマーから製造することができる。
【0097】
所望の特性によって、適当な熱可塑性材料としては、例えば、ポリエチレン又はポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリアクリル酸、ポリアミド、ポリスチレンなどから誘導された、界面活性剤で処理した熱可塑性繊維又はシリカで処理した熱可塑性繊維又はフィラメントなど、親水性にされた疎水性繊維が挙げられる。疎水性の熱可塑性繊維又はフィラメントの表面は、例えば、繊維又はフィラメントに界面活性剤をスプレーすることにより、繊維又はフィラメントを界面活性剤に浸すことにより、又は熱可塑性繊維を製造する際にポリマーメルトの一部分として界面活性剤を含むことにより、非イオン性界面活性剤又はアニオン性界面活性剤などの界面活性剤で処理することによって親水性にすることができる。融解し再凝固すると、界面活性剤は熱可塑性繊維又はフィラメントの表面に留まる傾向がある。適当な界面活性剤としては、ICI Americas,Inc.(Wilmington,Delaware)により製造されたBrij76などの非イオン性界面活性剤、及びGlyco Chemical,Inc.(Greenwich,Connecticut)により、Pegosperseの商標で販売される様々な界面活性剤が挙げられる。非イオン性界面活性剤に加えて、アニオン性界面活性剤も使用することができる。これらの界面活性剤は、例えば、熱可塑性繊維又はフィラメント1平方センチメートル当たり約0.2~約1gの濃度で熱可塑性繊維に適用されてもよい。
【0098】
適当な熱可塑性フィラメントは、単一のポリマーから製造してもよく(単成分フィラメント)、又は2種類以上のポリマーから製造してもよい(例えば、複合フィラメント)。本明細書で企図される構造に使用するのに適した複合繊維は、シース/コア配置、偏心シース/コア配置、又はサイドバイサイド配置を有する成分を有する繊維を含み得る。サイドバイサイド又は偏心シース/コア配置は、紡糸後の冷却時に各成分の収縮速度が異なることから生じるカール又は捲縮を紡糸フィラメントに付与する傾向があるため、同軸シース/コア配置よりも好ましい場合がある。これは、捲縮又はカールした構成フィラメントは捲縮/カールしていないフィラメントよりもウェブに大きなロフトを付与し、より高い知覚可能な柔軟性及び快適性の属性をウェブに付与することから、状況によっては好ましい場合がある。そのような状況としては、例えば、完成した不織布ウェブ製品が、さもなくば比較的薄い(低キャリパーの)製品をもたらすであろう比較的低い坪量で製造される場合が挙げられ得る。ポリマー成分は、ポリエチレン/ポリプロピレン、ポリエチルビニルアセテート/ポリプロピレン、ポリエチレン/ポリエステル、ポリプロピレン/ポリエステル、コポリエステル/ポリエステルなどの組み合わせのいずれを含んでもよい。本明細書で使用するのに特に適した複合熱可塑性繊維は、ポリプロピレン又はポリエステルのコアと、より低い温度で溶融するコポリエステル、ポリエチルビニルアセテート又はポリエチレンのシースと、を有するもの(例えば、DANAKLON、CELBOND又はCHISSO複合繊維)である。
【0099】
任意選択の層はまた、一般的に接着には寄与しないが、繊維ウェブの機械的特性を変化させる合成繊維又はフィラメントを含んでもよい。このような合成繊維又はフィラメントは、酢酸セルロース、ポリフッ化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、アクリル(Orlonなど)、ポリ酢酸ビニル、不溶性ポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド(ナイロンなど)、ポリエステル、及びこれらの混合物で形成された繊維又はフィラメントであってよい。これらには、例えば、ポリエステル、例えばポリエチレンテレフタレート(例えば、DACRON及びKODEL)、高融点ポリエステル(例えば、Eastman Chemical Co.により製造されるKODEL431)親水性ナイロン(HYDROFIL)などを挙げることができる。適当な繊維又はフィラメントは、例えば、界面活性剤又はシリカ処理によって親水化疎水性であってもよい。非接合熱可塑性繊維の場合、それらの長さは、これらの繊維に望ましい特定の特性に応じて変化し得る。典型的に、それらは、約0.3~7.5cm、例えば、約0.9~約1.5cmなどの長さを有する。好適な非接合熱可塑性繊維は、約1.5~約35デシテックス、例えば、約14~約20デシテックスなどの範囲のデシテックスを有することができる。
【0100】
親水性を付与するためのトップシートの表面化学の調整
図20を参照すると、本明細書に記載されるようにして形成されたトップシートの機能は、形成された不織布ウェブ材料の選択された位置に親水性材料を加えることによって向上させることができる。いくつかの例では、界面活性剤は、トップシート材料の吸収材対向表面123に選択的に適用することができる。より具体的な例では、界面活性剤、又は界面活性剤を含有する溶液若しくはエマルションを、例えばキスロールコーターの使用、スプレー塗布、印刷技術、又は任意の他の適当な液体付着技術によってトップシート材料の吸収材対向表面に適用して、界面活性剤又は界面活性剤282を含有する溶液若しくはエマルションを材料に付着させることができる。不織布ウェブ材料におけるフィラメント及び/又は繊維の適当な配置、並びにプロセス技術/条件を含む適当な条件下では、トップシート材料の吸収材対向表面123及び通路部分164の下面を占有、画定するフィラメント及び/又は繊維及び/又はそれらの部分が、それらに適用された界面活性剤を有するのに対して、着用者対向表面124、及びその肉盛領域166を占有、画定するフィラメント及び/又は繊維及び/又はそれらの部分は、その着用者対向表面上に塗布された界面活性剤をほとんど又は全く有さないため、界面活性剤は、着用者対向表面に近接するフィラメント上よりも、吸収材対向表面に近接するフィラメント上により多くの量で存在する。結果として得られるトップシートでは、水性流体(液体身体滲出物)は、通路164内へ、及び通路164に沿って流れやすくなり、かつ/又は、別個の低バルク部分165内へ、その底部を通って概ねz方向に沿って流れ込み、吸収性物品のトップシートの下に配置された吸収性材料に達しやすくなり、相対的により多くの疎水性フィラメント及び/又は繊維を有する、肉薄領域163に隣接する肉盛領域166は、着用者対向表面124に沿って、トップシートの使用時着用者対向表面126の外周縁128に向かうx-y平面に沿った水性流体の通過を遅らせるか又は遮断する傾向を有し得る。所望の流体誘導/バリア及び/又は排出効果を改善又は向上させるため、界面活性剤の適用技術及び装置を、トップシートを形成する不織布ウェブ材料の部分の限定又は画定された部分に界面活性剤を選択的に適用するように適合し得る点は理解されるであろう。例えば、界面活性剤は、(材料によって占められるx-y平面に対して)通路部分164のうちの1つ以上の内側に位置する吸収材対向表面123の部分にのみ、又は羽根部分114を含まない吸収材対向表面123の部分にのみ適用することができる。不織布が主にポリプロピレンで形成される場合、非限定的な例では、キスロール装置又は代わりにインクジェット印刷装置によって適用するのに適した界面活性剤には、Pulcra Chemicals/Fashion Chemicals GmbH & Co.(Geretsried,Germany)製の製品であるSTANTEX S6887界面活性剤スピン仕上げ剤が挙げられ得る。
【0101】
図21を参照すると、別の例では、直前に記載したものと同様の効果を得るため、本明細書に記載されるようにして形成された不織布ウェブ材料を、接着により、又は別の方法で、親水性材料で形成されたフィラメント及び/又は繊維の第2の層281と結合して、トップシートの吸収材対向表面を形成することができる。いくつかの例では、この第2の層281は、第2の別に製造されたウェブ材料とすることができる。他の例では、この第2の層281は、同じウェブ製造プロセス中に、肉盛領域166及び通路部分164並びに着用者対向表面124を形成する一次(疎水性)フィラメント及び/又は繊維に堆積されたフィラメント及び/又は繊維の堆積物であってよい。
【0102】
着色
溶融紡糸されるポリマー成分樹脂は、例えば色味剤若しくは顔料分散剤、及び/又は白化剤及び/又は不透明化剤などの着色剤を含むことができる。いくつかの例では、不織布ウェブ材料を形成するフィラメント及び/又は繊維の全てが、色付け又は着色されてよい。あるいは、不織布材料の、又は堆積された紡糸フィラメント及び/又は繊維の第2の層281もまた、色味剤及び/又は顔料分散剤とブレンドされたポリマー樹脂から紡糸されたフィラメント及び/又は繊維を含んでよく、それにより、第1の層280a内のフィラメント及び/又は繊維の色と対照的な色をフィラメント及び/又は繊維に付与することができる。これは、ウェブ材料の肉薄領域163と肉盛領域166との間の繊維及び/又はフィラメントの面積密度及び坪量の変化の秩序配置の視覚的なインパクトを高めるうえで望ましい場合がある(以下の説明を参照)。1つの非限定的な例では、第1の層280aのフィラメント及び/又は繊維は色味剤又は顔料分散剤を含まなくてもよく、一方、第2の層281のフィラメント及び/又は繊維は、1つ以上の色味剤又は顔料分散剤を含んでもよい。別の非限定的な例では、第1の層280aのフィラメント及び/又は繊維は、白化剤及び/又は不透明化剤(例えば、TiOなど)を含んでもよく、第2の層のフィラメント及び/又は繊維は、非白色の顔料分散剤又は色味剤などの着色剤を含んでもよい。色味剤、白化剤、不透明化剤、及び/又は顔料分散剤のこれらの組み合わせ及び他の組み合わせを使用して、ウェブ材料を形成する第1の層と第2の層との間に目に見える色のコントラストを付与することができる点は理解されよう。更に他の例では、吸収性構造体及び/又はバックシートを形成する材料などの下層の材料は、トップシートとの視覚的コントラストを与えるように選択された白化剤、色味剤、又は顔料分散剤を含むことができる。
【0103】
顔料分散剤、白化剤、及び/又は不透明化剤は、押出機への導入前又は導入時に、フィラメント成分樹脂とブレンドするのに適したカラーマスターバッチ製品において、キャリア樹脂中に予め分散させた状態で得ることができる。選択される剤は、通常の溶融紡糸プロセス条件下で溶融、押し出され、フィラメントに紡糸される際にフィラメント成分樹脂中にブレンド及び分散される場合にポリマー樹脂に溶解せず、又は化学的に反応しない固体粉末組成物であることが好ましい。適当な顔料分散剤としては、固体の無機又は有機組成物を挙げることができ、いくつかの例では、固体有機金属組成物であってよい。
【0104】
適当な白色顔料マスターバッチ製品としては、一般的には、固体金属及び/又は有機金属組成物、例えば、アンチモンホワイト、硫酸バリウム、リトポン、クレムニッツホワイト、二酸化チタン(TiO)、及びジンクホワイト(ZnO)が挙げられる。
【0105】
いくつかの例では、完成した形成不織布ウェブ材料280、又はその少なくとも第1の層280aを形成するフィラメントは、青色の顔料分散剤が添加されたポリマー樹脂から紡糸することができる。本発明者らは、フィラメント成分樹脂に添加される青色顔料の適切な濃度は、秩序配置における坪量及びキャリパーの分散の可視性に多大な影響を有し、z方向深さ及び全体的な三次元構造の外観を向上させるものと考える。理論に束縛されるものではないが、本発明者らは、重量%濃度を選択するためにフィラメント樹脂と混合される他の単一の顔料又は顔料の組み合わせが、不織布ウェブ280の見かけの深さの視認性及び/又は三次元構造的形成要素の視認性の向上に同様の効果を有し得ると考える。
【0106】
適当な青色顔料マスターバッチ製品としては、一般的に、固体金属及び/又は有機金属組成物、例えば、ウルトラマリン、ペルシアンブルー、コバルトブルー、セルリアンブルー、エジプシャンブルー、ハンブルー、アズライト、プルシアンブルー、YImMnブルー、及びマンガンブルーも挙げられる。特定の例では、青色のマスターバッチ製品は、ポリプロピレンフィラメント紡糸樹脂の総重量の約0.25%の濃度で混合することができ、マスターバッチ製品は約36重量%の青色顔料組成物を含む。上記に述べたような不織布ウェブ280の見かけの深さの視認性及び/又は三次元構造的形成要素の視認性を高める目的で、全紡糸樹脂ブレンド中の青色顔料物質の有効重量%濃度は、約0.03%~約0.15%、より好ましくは約0.06%~0.12%とすればよいと考えられる。
【0107】
更に別のアプローチでは、紡糸されたフィラメントの色と対照的な非白色のインク又は色を、トップシートの吸収材対向表面となる不織布ウェブ材料の表面に任意の適当な技術によって適用することにより、上記に述べたような視覚的インパクトを高めることができる。
【0108】
トップシート材料の製造プロセス
上記に述べたトップシートを形成することができる形成された不織布ウェブ材料は、例えば、いずれも参照によって本明細書に援用される、米国特許出願公開第2017/0191198号、同第2017/0029994号、同第2017/0029993号、及び同第2017/0027774号、並びに米国特許出願第15/840,455号、同第15/879,474号、同第15/879,477号、同第15/881,910号、同第62/527,216号、同第62/527,224号、同第62/819,729号、及び同第62/819,744号に記載される装置、プロセス、及び材料を使用して形成することができる。
【0109】
形成された不織布ウェブ材料は、特別に適合された形成ベルトを用いて、スパンボンドプロセスで紡糸フィラメントから製造することができる。トップシートは、主にスパンボンドフィラメントで形成するか、又はスパンボンドフィラメントでほぼ全体を形成することができる。トップシートが、スパンボンドされた複合フィラメントで形成される場合、更なるウェブのロフト及び製造効率を実現することができる。複合フィラメントは、サイドバイサイド配置を有するように紡糸することで、異なる樹脂成分の適当な選択によって、冷却時にフィラメントに捲縮又はカールを付与することができる。フィラメントの捲縮又はカールは、得られるウェブのロフトに寄与することができる。
【0110】
トップシート形成プロセスの構成要素
例えば、図11を参照すると、複合フィラメントの形成された不織布ウェブ材料を製造するためのプロセスライン500は、第1のポリマー成分樹脂及び第2のポリマー成分樹脂を別々に溶融及び押し出すために、押出機駆動部531及び533によってそれぞれ駆動される一対の溶融押出機532及び534を含むことができる。第1のポリマー成分樹脂は第1のホッパー536から対応する押出機532に供給することができ、第2のポリマー成分樹脂は第2のホッパー538から対応する押出機534に供給することができる。第1及び第2のポリマー成分樹脂は、押出機532及び534によって溶融し、それぞれのポリマー導管540及び542を通じて、更にフィルター544及び545を通じて溶融ポンプ546及び547に送ることができ、これにより、ポリマーを紡糸パック548内へ、更に紡糸パックを通じて圧送する助けとなる。複合フィラメントの紡糸に使用される紡糸口金を有する紡糸パックは、当該技術分野では周知のものであり、したがって、本明細書で詳細に述べることはしない。
【0111】
一般的に述べると、紡糸パック548は互いに積み重ねられた複数のプレートを含むハウジングを含んでよく、溶融された第1及び第2のポリマー成分樹脂を紡糸口金開口部を通じて別々に案内するための流路を形成するように所定のパターンの開口部が配置されている。紡糸パック548は、1本以上の列に配列された紡糸口金開口部を有することができる。溶融されたポリマー樹脂が紡糸口金開口部を通じて押し出されると、紡糸口金開口部は、個々の溶融ポリマー流122aの下向きのカーテンを放出する。本開示の目的では、紡糸口金は、シース/コア又はサイドバイサイド型の複合フィラメント用の流れを形成するように配置することができる。複合フィラメントは、その特定の特性のために特定の状況で好ましい場合がある。サイドバイサイド又は偏心又は非対称のコア/シース型複合フィラメントは、紡糸フィラメントが異なる成分の異なる冷却収縮率によって付与される螺旋又はカールを有することが望ましい場合に好ましいことがあり、紡糸フィラメントの螺旋又はカールは、不織布ウェブ材料のロフト及び嵩の向上に寄与し得る。コア/シース型複合フィラメントは、それぞれの成分が、有利にバランスを取ることができる異なる属性又は特性を有することが望ましい場合に好ましいことがある。そのような属性又は特性としては、原材料(樹脂)コスト、又は紡糸引張強度、又は表面感触若しくは表面摩擦を挙げることができる。1つの例では、コア成分が主にポリプロピレンであり、シース成分が主にポリエチレンであるようなコア/シース型フィラメントが好ましい場合があり、その場合、ポリプロピレンはその比較的低いコスト及びフィラメントの引張強度に対する寄与のためにコア成分として選択され、ポリエチレンは、比較的低い融点(フィラメント間の熱接着の目的で)、及びポリエチレンがフィラメント表面に付与する比較的低摩擦の絹のような感触のためにシース成分として選択される。
【0112】
上記の記載は複合フィラメントを紡糸することを想定しているが、供給される装置及び材料は、単成分フィラメント、又は2種類よりも多い成分を有する多成分フィラメントを紡糸するように適合、選択、及び構成されてもよい点は理解されよう。
【0113】
紡糸口金は、概ね円形の断面を有する流れ(概ね丸形/円形の断面を有するフィラメントを形成するため)、又は非対称的な多葉形、例えば、3葉形の断面などの概ね非円形の断面(非対称的な多葉形、例えば、3葉形のフィラメントを形成するため)を有する流れを形成するように構成及び適合することができる。多葉形フィラメントは、状況によっては、その表面に沿った流体の流れに対するその効果のため、フィラメント及び不織布の不透明度に対するその効果のため、繊維及び不織布の感触に対するその効果のため、又はこれらの効果の組み合わせのために望ましい場合がある。一般に、3葉形フィラメントなどの多葉形フィラメントで形成された不織布ウェブ材料は、3葉形フィラメントによって多くの光が屈折及び/又は拡散される結果、丸形フィラメントで形成された、その他の点では同等の不織布ウェブ材料よりも高い不透明度を有する。フィラメント表面に沿った流体の流れは、フィラメントの表面がそれぞれ親水性であるか疎水性であるかに応じて、多葉形の断面によってより大きく向上又は阻害され得る。
【0114】
プロセスライン530はまた、ポリマー流122aが紡糸口金から出る位置の下に/に隣接して配置された急冷ブロワ550を含んでもよい。急冷ブロワ550からの空気の温度、速度、及び方向を適宜制御して、ポリマー流を急冷し、ポリマー流を部分的に固化させることができる。急冷空気は、カーテンの一方の側(上流又は下流)、又はカーテンの両側で与え、案内することができる。
【0115】
急冷されたポリマー流122aを受容するようにアテニュエータ552を紡糸口金の下に配置することができる。ポリマーの溶融紡糸においてアテニュエータとして使用されるフィラメントドロー装置又は吸引機は、当該技術分野では周知のものである。本開示のプロセスで使用するのに適したフィラメントドロー装置としては、米国特許第3,802,817号に示されるタイプの線状フィラメントアテニュエータ、又は米国特許第3,692,618号及び同第3,423,266号に示されるタイプのエダクティブガン(eductive gun)を挙げることができ、これらの特許の開示内容は参照により本明細書に援用する。
【0116】
一般に、アテニュエータ552は、細長い垂直通路を含み、これを画定することができ、この通路を通じて、ポリマー流122aが下向きの空気流に同伴されて下方に引かれ、伸長され、断面が細径化されフィラメント122を形成することができる。成形された、少なくとも部分的に小孔が形成された形成ベルト260がアテニュエータ552の下方に配置され、アテニュエータ552の出口開口部から下方に移動する連続フィラメントを受け取る。形成ベルト260は、外側受容面260aと内側面260bとを有する連続ベルトであり、ガイドローラー562の周りを循環する。ガイドローラーの内の1つ以上は、制御された速度で駆動されて、ベルトをアテニュエータの下の作業位置561を通って、x-y平面に沿って、かつ機械方向MDに沿って並進運動させることができる。形成真空システム555を、フィラメントが堆積されるベルト260の作業位置561の下方に配置して、ベルトを通じて空気流の空気を引き込み、それによってベルト表面に向かって、かつベルト表面に対して同伴フィラメントを引き寄せることができる。形成ベルト260は、本明細書ではベルトとして示され、記載されているが、適当な形成表面を有する形成装置は、適当な円筒形成表面を有する回転式ドラムなどの他の形態を有してもよい点は理解されよう。成形された形成ベルトの例の特徴を以下に記載する。
【0117】
プロセスライン500の動作中、ホッパー536及び538にそれぞれ所望の第1及び第2のポリマー成分樹脂を供給することができる。第1及び第2のポリマー成分樹脂は、それぞれの押出機532及び534によって溶融され、それぞれ溶融状態でポリマー導管540及び542を通ってスピンパック548へと押し出すことができる。ラインは、溶融樹脂から固体不純物を濾去するためのフィルター544、545を含んでもよく、ラインはまた、導管内の圧力を増加させ、それによってポリマー成分をスピンパック548へと、またスピンパックを通じて駆動する補助をする補助溶融ポンプ546、547を含むことができる。溶融ポリマー樹脂の温度は、使用されるポリマー及び所望のプロセス条件に合わせて制御及び変化させることができるが、ポリエチレン及びポリプロピレンの一方又は両方が主な成分樹脂である場合には、溶融ポリマー樹脂の温度を約190℃~約240℃の範囲内に制御することができる。
【0118】
トップシートフィラメントの紡糸樹脂配合物
本明細書で企図される複合フィラメントを紡糸するうえで特に適したポリマー樹脂の非限定的な例としては、LyondellBasell(Rotterdam,Netherlands)より入手されるPH835ポリプロピレン、及びDow Chemical Company(Midland,Michigan,USA)より入手されるAspun-6850-Aポリエチレンが挙げられる。ポリプロピレン及びポリエチレンは、それらの熱力学的及び機械的属性と現時点におけるそれらのコストとの組み合わせにより、フィラメントを紡糸するための主なポリマー樹脂構成成分と考えられるが、広範なポリマーが本開示の範囲内での使用に適当であり得る。他の適当な例としては、EXXONMOBIL(Irving,TX)から入手可能なPP3155及びACHIEVE3854製品が挙げられる。
【0119】
潜在的に適当な合成ポリマーの非限定的な例としては、ポリエステル、ナイロン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリオレフィン(ポリプロピレン、ポリエチレン及びポリブチレンなど)、ポリビニルアルコール及びポリビニルアルコール誘導体、ポリアクリル酸ナトリウム(吸収性ゲル材料)、並びにポリエチレン-オクテンなどのポリオレフィンのコポリマー又はプロピレンとエチレンのモノマーブレンドを含むポリマー、並びにポリ乳酸、ポリビニルアルコール、及びポリカプロラクトンなどの生分解性又は堆肥化可能な熱可塑性ポリマーが挙げられる。潜在的に適当な天然ポリマーとしては、デンプン、デンプン誘導体、セルロース及びセルロース誘導体、ヘミセルロース、ヘミセルロース誘導体、キチン、キトサン、ポリイソプレン(シス及びトランス)、ペプチド及びポリヒドロキシアルカノエートが挙げられる。1つの例では、フィラメントを紡糸するための主なポリマー成分は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリ乳酸、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリビニルアルコール、ポリカプロラクトン、スチレンブタジエンスチレンブロックコポリマー、スチレンイソプレンスチレンブロックコポリマー、ポリウレタン、及びこれらの混合物からなる群から選択される熱可塑性ポリマーとすることができる。別の例では、熱可塑性ポリマーは、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリ乳酸、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリビニルアルコール、ポリカプロラクトン、及びこれらの混合物からなる群から選択することができる。あるいは、ポリマーは、バイオポリエチレン又はバイオポリプロピレンなどの生物学的プロセスによって部分的に製造されるモノマーから誘導されたものを含んでもよい。
【0120】
状況によっては、成分樹脂から紡糸された繊維の色、不透明度、柔軟性、親水性/疎水性、及び/又は表面感触(例えば、表面摩擦係数)などの紡糸フィラメントの特性を操作及び/又は強化することが望ましい場合がある。かかる状況では、1つ以上の溶融添加剤を、押出機に供給される樹脂と共に添加することができる。
【0121】
マグネシウム、アルミニウム、ケイ素、及びチタンの酸化物などの無機充填剤を、白化剤、不透明化剤、充填材、又は加工助剤としてポリマー樹脂に添加してもよい。他の無機材料としては、水和ケイ酸マグネシウム、二酸化チタン、炭酸カルシウム、粘土、チョーク、窒化ホウ素、石灰石、珪藻土、雲母ガラス石英、及びセラミックスが挙げられる。
【0122】
トップシートのフィラメントの表面特性の操作
スリップ剤の溶融添加剤を、所望の触覚特性(例えば、柔らか/絹のような/滑らかな感触)に影響を及ぼし、かつ/又は強化するのに十分な量でフィラメントに添加することができる。一部のスリップ剤は、樹脂と溶融ブレンドされた場合、冷却中又は製造後にフィラメント表面に徐々に移動し、それにより、フィラメント表面に潤滑効果を有する薄いコーティングを形成する。スリップ剤は、即効性(fast bloom)のスリップ剤であることが望ましい場合があり、ヒドロキシド、アリール及び置換アリール、ハロゲン、アルコキシ、カルボキシレート、エステル、飽和炭素、アクリレート、酸素、窒素、カルボキシル、硫酸、及びリン酸から選択される1以上の官能基を有する炭化水素であってよい。1つの特定の形態では、スリップ剤は、芳香族又は脂肪族炭化水素油の塩誘導体、特に、カルボン酸、硫酸、及びリン酸の、7~26個の炭素原子、好ましくは、10~22個の炭素原子の鎖長を有する脂肪族飽和又は不飽和酸の金属塩を含む脂肪酸の金属塩である。好適な脂肪酸の例としては、モノカルボン酸、ラウリル酸、ステアリン酸、コハク酸、ステアリル乳酸、乳酸、フタル酸、安息香酸、ヒドロキシステアリン酸、リシノール酸、ナフテン酸、オレイン酸、パルミチン酸、エルカ酸等、並びに対応する硫酸及びリン酸が挙げられる。好適な金属としては、Li、Na、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Cd、Al、Sn、Pb等が挙げられる。代表的な塩としては、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸カルシウム、オレイン酸亜鉛、オレイン酸マグネシウム等、並びに対応する金属高級アルキル硫酸塩及び高級アルキルリン酸の金属エステルが挙げられる。
【0123】
他の例では、スリップ剤は、非イオン性官能化化合物であってよい。好適な官能化化合物としては、(a)鉱油、ナフテン油、パラフィン油などの芳香族又は脂肪族炭化水素油を含む油類;ひまし、トウモロコシ、綿実、オリーブ、ナタネ、ダイズ、ヒマワリ、他の植物及び動物油等などの天然油を含むエステル、アミド、アルコール、及び酸が挙げられる。これらの油類の代表的な官能化誘導体としては、例えば、グリセロールモノステアレート、ペンタエリスリトールモノオレエート等などのモノカルボン酸のポリオールエステル、オレアミド、エルカミド、リノレアミド、及びこれらの混合物などの飽和及び不飽和脂肪酸アミド又はエチレンビス(アミド)、グリコール、Carbwaxのようなポリエーテルポリオール、並びにアジピン酸、セバシン酸等、(b)カルナバワックス、微結晶ワックス、ポリオレフィンワックスなどのワックス、例えば、ポリエチレンワックス、(c)ポリテトラフルオロエチレン、フッ素油、フッ素ワックス等などのフルオロ含有ポリマー、並びに(d)シリコーン油、ポリジメチルシロキサン、アミノ改変ポリジメチルシロキサンを含むシラン及びシリコーンポリマーなどのケイ素化合物などが挙げられる。
【0124】
本開示の目的に有用であり得る脂肪酸アミドは、式:RC(O)NHR(式中、Rは、7~26個の炭素原子、好ましくは10~22個の炭素原子を有する飽和又は不飽和アルキル基であり、R1は、独立して、水素、又は7~26個の炭素原子、好ましくは10~22個の炭素原子を有する飽和又は不飽和アルキル基である)により表される。この構造による化合物としては、例えば、パルミトアミド、ステアルアミド、アラキドアミド、ベヘンアミド、オレアミド、エルカミド、リノレアミド、ステアリル、ステアルアミド、パルミチルパルミトアミド、ステアリルアラキドアミド、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0125】
本開示の目的で有用であり得るエチレンビス(アミド)は、下式により表される。
RC(O)NHCHCHNHC(O)R
(式中、各Rは、独立して、7~26個の炭素原子、好ましくは、10~22個の炭素原子を有する飽和又は不飽和アルキル基である。)この構造による化合物としては、例えば、ステアルアミドエチルステアルアミド、ステアルアミドエチルパルミトアミド、パルミトアミドエチルステアルアミド、エチレンビスステアルアミド、エチレンビスオレアミド、ステアリルエルカミド、エルカミドエチルエルカミド、オレアミドエチルオレアミド、エルカミドエチルオレアミド、オレアミドエチルエルカミド、ステアルアミドエチルエルカミド、エルカミドエチルパルミトアミド、パルミトアミドエチルオレアミド、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0126】
脂肪酸アミドの市販例としては、ポリエチレンにおけるエルカ酸及びステアリン酸の一級アミドの50:50混合物を5%含むAmpacet 10061(Ampacet Corporation,White Plains,New York,USA)、18%酢酸ビニル樹脂と82%ポリエチレンとの配合物におけるエルカ酸及びステアリン酸のアミドの類似する配合物を含むElvax 3170(E.I.du Pont de Nemours and Company/DuPont USA,Wilmington,Delaware,USA)が挙げられる。スリップ剤は、Croda International Plc((Yorkshire,United Kingdom)、Crodamide OR(オレアミド)、Crodamide SR(ステアルアミド)、Crodamide ER(エルカミド)、及びCrodamide BR(ベヘンアミド));及びCrompton(Kemamide S(ステアルアミド)、Kemamide B(ベヘンアミド)、Kemamide O(オレアミド)、Kemamide E(エルカミド)、及びKemamide(N,N’-エチレンビスステアルアミド)からも入手可能である。他の市販のスリップ剤としては、Erucamide ERエルカミドが挙げられる。
【0127】
柔軟性/摩擦係数の低下のための他の適当な溶融添加剤としては、エルカミド、ステアルアミド、オレアミド、及びシリコーン、例えば、ポリジメチルシロキサンが挙げられる。いくつかの具体的な例としては、CRODA International Plc(Yorkshire,United Kingdom)より販売されるCRODAMIDEスリップ及びブロック防止剤、及びAmpacet Corporation(White Plains,New York,USA)より販売されるスリップBOPP剤が挙げられる。ポリプロピレンに特に合わせて作られた柔軟性/摩擦係数溶融添加剤のいくつかの更なる具体例は、Techmer PM Company(Clinton,Tennessee,USA)より入手可能である。
【0128】
本開示の想定する範囲内の不織布ウェブ材料は、スリップ剤/柔軟性溶融添加剤を、独立して、又は表面エネルギー(親水性/疎水性)に影響する他の添加剤と組み合わせて、又はこれらに限定されるものではないが、フィラメントのサイズ、フィラメントの断面形状、フィラメント断面の構成、及び/又はカールしたフィラメントの変例を含む他のフィラメントの特徴の変例と組み合わせて含むことができる。2つ以上のウェブ層、又は異なるフィラメントの2つ以上の堆積層を含む不織布ウェブ材料の例では、添加剤は、1つの層の(他の層ではなく)フィラメントに含まれてもよく、又は異なる添加剤が異なる層のフィラメントに含まれてもよい。
【0129】
本明細書に記載されるように、いくつかの例では、トップシートの吸収材対向表面123に、及び吸収材対向表面123に近接して存在するフィラメントは、親水性の表面エネルギー特性を有することが望ましい場合がある。このような特性をフィラメントに付与するには、フィラメントを本質的にそのような特性を有する1つ以上の樹脂から紡糸すればよく、あるいは、得られる紡糸フィラメントに親水性を付与する溶融添加剤とブレンドした樹脂からフィラメントを紡糸してもよい。あるいは、紡糸後に、フィラメント、バット、又は完成したウェブを、界面活性剤などの材料で処理して、それらに親水性を付与することもできる。これは、トップシートの部分(吸収材対向表面123など)に親水性を選択的に付与してトップシートの流体処理特性に影響を与える目的で望ましい場合がある。
【0130】
これと併せて、着用者対向表面124に存在するフィラメント及び着用者対向表面124に近接して存在するフィラメントを含む、吸収剤対向表面123からより離れた位置でトップシート内に存在するフィラメントを、本質的に疎水性である樹脂から紡糸するか、又はそれに加えて若しくはそれに代えて、得られる紡糸フィラメントを疎水性にするか又は疎水性を高める溶融添加剤とブレンドした樹脂から紡糸することが望ましい場合がある。紡糸されるフィラメントの固有の及び/又は向上した疎水性は、適用される界面活性剤の溶液、エマルション、又は濃縮液の吸収材対向表面から着用者対向表面に向かうz方向への望ましくない移動を防止する助けとなり得、また、トップシートの肉盛領域166内のフィラメントが、トップシートを横切って、x-y平面内の方向に沿ってパッドの外縁部に向かう、水性身体滲出物の移動に対するバリアとして機能する能力を向上させることもできる。フィラメントの疎水性は、フィラメントを紡糸する樹脂に疎水化溶融添加剤を添加することによって向上させることができる。
【0131】
いくつかの例では、疎水化溶融添加剤は、紡糸プロセス中にポリマー溶融物に直接又はマスターバッチとして添加することができる。適当な溶融添加剤としては、例えば、脂質エステル又はポリシロキサンが挙げられ得る。疎水化溶融添加剤が樹脂とブレンドされる場合、得られる紡糸フィラメント中の添加剤は、その外表面にブルームし、表面の部分を被覆するフィルムを形成し、フィブリル、フレーク、粒子、又は低い表面エネルギーを有する他の表面形成要素を形成することができる。
【0132】
任意の適当な疎水化溶融添加剤を用いることができる。疎水化融添加剤の例としては、脂肪酸及び脂肪酸誘導体が挙げられる。脂肪酸は、植物原料、動物原料、及び/又は合成原料に由来してもよい。いくつかの脂肪酸は、C8脂肪酸~C30脂肪酸、又はC12脂肪酸~C22脂肪酸の範囲に及び得る。他の形態では、特に、脂肪酸前駆体の水素化の結果として飽和が生じる場合、実質的に飽和の脂肪酸が使用され得る。脂肪酸誘導体の例としては、脂肪アルコール、脂肪酸エステル、及び脂肪酸アミドが挙げられる。適当な脂肪アルコール(R-OH)としては、C12~C28脂肪酸から誘導されるものが挙げられる。
【0133】
適当な脂肪酸エステルとしては、C12~C28脂肪酸及び短鎖(C1~C8、好ましくはC1~C3)一価アルコールの混合物、好ましくはC12~C22飽和脂肪酸及び短鎖(C1~C8、好ましくはC1~C3)一価アルコールの混合物由来の脂肪酸エステルが挙げられる。疎水化溶融添加剤は、モノ、ジ、及び/又はトリ-脂肪酸エステルの混合物を含んでもよい。1つの例は、下記説明図[1]に示すようなグリセロールとの脂肪酸エステルを骨格として含む。
【0134】
【化1】
式中、R1、R2、及びR3はそれぞれ、11~29個の範囲の炭素原子を有するアルキルエステルである。いくつかの形態では、グリセロールから誘導される脂肪酸エステルは、グリセロールに対して少なくとも1つのアルキル鎖、少なくとも2つ又は3つの鎖を有し、モノ、ジ、又はトリグリセリドを形成する。トリグリセリドの好適な例としては、グリセロールトリベヘネート(thibehenate)、グリセロールトリステアレート、グリセロールトリパルミテート、及びグリセロールトリミリステート、並びにこれらの混合物が挙げられる。トリグリセリド及びジグリセリドの場合、アルキル鎖は、同じ長さでも異なる長さでもよい。例として、1個のアルキルC18鎖と2個のC16アルキル鎖、又は、2個のC18アルキル鎖と1個のC16鎖を有するトリグリセリドが挙げられる。好ましいトリグリセリドは、C14~C22脂肪酸に由来するアルキル鎖を含む。
【0135】
適当な脂肪酸アミドとして、C12~C28脂肪酸(飽和又は不飽和)及び一級又はニ級アミンの混合物から誘導されるものが挙げられる。一級脂肪酸アミドの適当な例としては、下記説明図[2]に示されるように、脂肪酸とアンモニアから誘導されるものが挙げられる。
【0136】
【化2】
式中、Rは、11~27個の範囲の炭素原子数を有する。少なくとも1つのその他の形態では、脂肪酸は、C16脂肪酸~C22脂肪酸の範囲に及び得る。いくつかの好適な例として、エルカミド、オレアミド、及びベヘンアミド(behanamide)が挙げられる。他の適当な疎水化溶融添加剤としては、疎水性シリコーンが挙げられる。更なる適当な疎水化溶融添加剤が、米国特許出願第14/849,630号及び同第14/933,028号に開示されている。別の適当な疎水化溶融添加剤は、Clinton,TennのTechmer PMから、商標名PPM17000 High Load Hydrophobicで入手可能である。疎水化溶融添加剤の1つの具体例は、グリセロールトリステアレートである。本明細書で使用するとき、グリセロールトリステアレートを、主にC18及びC16飽和アルキル鎖長を含む、長鎖トリグリセリドの混合物と定義する。また、様々な不飽和度、及びシス対トランス不飽和結合構成もあり得る。アルキル鎖長は、約C10~約C22の範囲であってよい。不飽和度は、典型的には、アルキル鎖当たり0~約3の範囲の二重結合であろう。シス対トランス不飽和結合構成の割合は、約1:100~約100:1の範囲であってよい。ポリプロピレン及び/又はポリエチレンと共に使用する他の適当な例としては、トリグリセリドは、ステアリン酸又はパルミチン酸のいずれか、又は両方の脂肪酸成分を含み、又はかかるトリグリセリドの混合物である。他の適当な疎水化溶融添加剤は、エルカミド又はポリシロキサンを含んでもよい。
【0137】
本明細書に記載されるように、いくつかの例では、ウェブ材料の構成成分は、フィラメントを親水性にする表面エネルギー特性を有するフィラメントを含むことが望ましい場合がある。記載されるように、状況によっては、トップシートの吸収材対向表面を形成し、吸収材対向表面に近接するフィラメントが、親水性表面を有することが望ましい場合がある。いくつかの例では、これは、フィラメントを紡糸する樹脂に対して親水化溶融添加剤を使用することによって実現することができる。
【0138】
任意の適当な親水化添加剤を使用することができる。いくつかの適当な例としては、商品名がTechmer PPM15560、TPM12713、PPM19913、PPM19441、PPM19914、PPM112221(ポリプロピレン用)、PM19668、PM112222(ポリエチレン用)であるTechmer PM(Clinton,Tennessee)から入手可能な添加剤が挙げられる。更なる例としては、Polyvel Inc.(Hammonton,N.J.,)から入手可能な商品名Polyvel VW351 PP湿潤剤(ポリプロピレン用)、Goulston Technologies Inc.(Monroe,N.C.)から入手可能な商品名Hydrosorb 1001、並びに米国特許出願公開第2012/0077886号並びに米国特許第5,969,026号及び同第4,578,414号に開示されるような親水化添加剤が挙げられる。
【0139】
成核剤が、溶融添加剤と共に含まれてもよい。成核剤は、親水化又は疎水化溶融添加剤のいずれか一方のブルームをより多く又はより速く生じさせるのに役立ち得る。成核剤は、構成樹脂及び親水化又は疎水化溶融添加剤と溶融ブレンドされた場合、成核剤なしで使用される同じ親水化又は疎水化溶融添加剤と比較して、フィラメントの親水化若しくは疎水化効果又は濡れ接触角効果を向上させる(添加剤の種類に応じて)。適当な成核剤としては、ノニトール、トリスアミド、及び/又はソルビトール系成核剤を挙げることができる。具体的な、ただし非限定的な例としては、Milliken & Company(Spartanburg,South Carolina)より販売されるMillad NX 8000又は(新しい商標名の)NX UltraClear GP110Bなどの有機成核剤が挙げられる。有効な無機成核剤の例は、CaCO等、特に、ナノクレイ又はナノスケールミネラル分子である。
【0140】
いくつかの溶融添加剤は、触覚的柔軟性を向上させ、及び/又は表面摩擦係数を低減するだけでなく、表面エネルギーを改変し、それにより二重の役割を果たすことができる。例えば、脂肪酸アミドは、溶融添加剤として使用される場合、表面摩擦を低減する、フィラメントの疎水性を向上させる両方の機能を有し得る。これらの溶融添加剤は、疎水性溶融添加剤において本明細書に列記されている。潜在的に適当な柔軟性強化及び疎水化溶融添加剤の他の非限定的な例は、米国特許出願公開第2017/0258651号に特定されている。
【0141】
製造時、又は後処理において、又は更にはその両方で、本明細書で想到される形成された不織布ウェブ材料を、界面活性剤又は他の剤で処理することによって材料を親水化するか又は疎水化することができる。これは、吸収性物品の構成要素を作製するために使用される不織布ウェブ材料の製造及び変換の分野において周知である。例えば、トップシートに使用される形成された不織布ウェブ材料を界面活性剤又は他の親水性化剤で処理することによって、尿などの水性身体滲出物の受容性及び/又は透過性を高めることができる。他の吸収性物品では、トップシートはその天然の疎水性状態に保たれるか、又は疎水化物質若しくは界面活性剤の添加により更に疎水性を高めることができる。
【0142】
紡糸
ポリマー流122aが紡糸口金から出ると、急冷ブロワ550からの急冷空気の流れが、流れを形成するポリマーを少なくとも部分的に急冷し、特定のポリマーでは、ポリマー中で結晶化を誘導する。必要に応じて結晶化/固化の速度を増加させるため、流れの長さに対してほぼ垂直な方向に急冷空気を誘導するように急冷ブロワを構成することができる。急冷空気は、ポリマー流と接触するときに約0℃~約35℃の温度となるように適宜冷却又は加熱され、約100~約400フィート/分の速度とすることができる。これらの流れは、流れが形成ベルト260に移動し、堆積及び集積される際に流れ同士で接触する際に望ましくない程度で互いに接着又は融合することを防止するように、流れの表面粘着性を低減するために十分に急冷することができる。
【0143】
急冷後、ポリマー流122aは、アテニュエータ552の垂直通路内に引き込まれ、アテニュエータ552によって生成された下向きの空気流に同伴され得る。アテニュエータは、いくつかの例では、紡糸口金の底部の30~60インチ下方に配置することができる。アテニュエータによって生成された空気流は、進入する急冷ポリマー流よりも速い下向き速度で移動する。細径化空気流はポリマー流を同伴し、ポリマー流を下方に引き込むことによってポリマーを伸長してその断面を縮小させ、それによってフィラメント122を形成する。
【0144】
フィラメント122はアテニュエータ552から出ると、アテニュエータ552の下方で作業位置561を通って機械方向MDに沿って移動する上向き部分を有する循環形成ベルト260に対してほぼz方向に下方に移動する。アテニュエータから出た同伴空気は、形成真空システム555によって形成ベルト260の空気透過部分を通じて引き込まれてもよく、フィラメント122は、形成ベルト260の外側受容面260aによってそのz方向の移動が止められ、形成ベルト上に堆積及び集積された後、形成ベルト260と共に機械方向に移動する。形成ベルト260上のフィラメントの堆積及び集積の速度は、形成ベルトが循環される速度、フィラメントが紡糸される速度、又はこれらの組み合わせを制御することによって制御され得ることが理解されよう。以下で更に説明するように、形成ベルト260は、x-y平面内のその全体的な表面積にわたったフィラメントの集積の局所的な速度及び深さに影響する形成要素を有するように構成されてもよく、これにより、フィラメントのバット270、並びに様々な坪量及び/又はフィラメントの面積密度及び/又は厚さ若しくはキャリパーの領域の望ましい秩序配置を有する後続の完成した不織布ウェブ材料280が形成される。
【0145】
状況によっては、不織布ウェブ材料中に異なる組成の別個のフィラメントを含むことが望ましい場合がある。これは、フィラメントを紡糸して形成ベルトに誘導するように構成されたスピンパック、急冷装置、及び細径化装置のうちの1つ以上の組み合わせに対して並列又は直列/連続して配置された異なるポリマー樹脂を搬送する装置を構成することによって実現され得る点は理解されよう。非限定的な1つの例では、不織布ウェブ材料は、異なるレベルの親水性/疎水性を有する異なる組成のフィラメントの層状堆積物を有することが望ましい場合がある。図21を参照すると、特定の例では、疎水性フィラメントが主にトップシート材料の着用者対向表面124に近接して存在するのに対して、親水性フィラメントは、主に吸収材対向表面123に近接して存在することが望ましい場合がある。このような構成を製造するには、フィラメント紡糸装置は、移動する形成ベルト上でバットが機械方向に沿って移動するのに従って、疎水性フィラメントの第1の層280aを紡糸して形成ベルト上に堆積させ、プロセスでこれに続く下流で、疎水性フィラメント上に異なる親水性フィラメントの第2の層281を紡糸して堆積させるように構成することができる点は理解されよう。
【0146】
押圧及び接着
プロセスライン500は、これを通じてバット270を押圧することができるニップ570aを形成する圧密ロール570及び572のような1つ以上の統合装置を更に含んでもよい。必要に応じて、一方又は両方の圧密ロール570、572を加熱して、フィラメントの部分的な軟化及び塑性変形を促進することができる。更に、ニップ570aを通って移動する相互に絡み合った/交差したフィラメント間に一定の接着を誘導するのに十分な熱と圧力の組み合わせをニップ570a内のフィラメントに適用することが望ましい場合がある。
【0147】
押圧は、形成ベルトからのバット270のきれいな除去を促進し、ある程度の接着はこの効果を向上させるだけでなく、機械方向及び/又は横断方向の更なる引張強度を完成材料に付与することができる。圧密ロール570、572は、独立した加熱制御部を有する、一対の表面が滑らかなステンレス鋼製のロールであってよい。一方又は両方の圧密ロールを、電気素子又は高温のオイルの循環によって加熱することができる。圧密ロール間の隙間を例えば油圧制御することで、ニップ570aを通過する際にバットに所望の圧力を加えることができる。1つの例では、形成ベルトのキャリパーが1.4mmであり、スパンボンド不織布が30gsmの坪量を有する場合、圧密ロール570と572との間のニップ隙間は約1.35mm~1.50mmとすることができる。
【0148】
1つの例では、上側圧密ロール570を、バット270の上面の接着フィラメントの溶融を誘導するのに十分な温度に加熱してバットに凝集力及び強度を付与することができ、これにより、一体性を失うことなく、形成ベルト260からのバットの除去が容易となる。例えば、図11に示されるように、ロール570及び572が回転するにしたがって、バットが載った形成ベルト260がロール570と572の間のニップ570aに進入する。加熱されたロール570は、形成ベルト260上の空気流遮断構造262のランド面262a(後述する)によってロールに最も密接に押し付けられた不織布10の部分を加熱して、バット270の上面(すなわち、アテニュエータ側)に近接したフィラメントを必要な程度に変形及び/又は平坦化及び/又は接着することができる。本明細書の記載によって理解されるように、フィラメントがそのように変形された肉薄領域は、形成ベルト260上の空気流遮断構造262のパターンを反映したものとなる。
【0149】
押圧後、押圧されたバットは、形成ベルト260から持ち上げられるか又は分離され、カレンダーロール571、573によって形成された第2のニップ571aを通って案内され得る。カレンダーロール571、573はステンレス鋼製のロールであってよく、一方は、その円筒表面の周囲に隆起した接着突起部の彫刻、又は別の方法で形成されたパターンを有し(接着ローラー)、他方は平滑なロール(アンビルローラー)である。接着ローラー、又は接着ローラー及びアンビルローラーの両方は、フィラメントを加熱して部分的に溶融させ、ニップ内の、接着突起部の径方向最外表面とアンビルローラーとの間でフィラメント同士を互いに融合させるように加熱することができる。接着ローラー上の接着突起部は、完成ウェブ材料280に同様の点接着部のパターンを与える、比較的近い間隔で配置された接着「ピン」の任意の適当な規則的パターンとして構成することができる。接着突起部の径方向最外表面は、ニップ571a内の、接着突起部とアンビルローラーとの間でバットの局所的な高い位置での圧縮をもたらす。これらの表面は、接着ローラーの作業部分の総円筒表面面積の一定の割合(%)に相当する接着ローラーの周囲の累積表面積を有してもよく(接着面積率(%))、これは、接着されるウェブ材料のx-y平面内での表面積の割合(%)に概ね反映される(接着面積率(%))。接着ローラーの接着面積率(%)及び得られるウェブ材料の接着面積率(%)は概ね、3%~30%、6%~20%、又は7%~15%であってよい。熱カレンダーによる点接着部のパターンは、ウェブの凝集性を改善し、形成された不織布ウェブ材料の最終製品への下流の加工及び組み込みにおいて有用な、機械方向及び横断方向の引張強度及び寸法安定性を向上させるように機能し得る。
【0150】
追加的に又は代替的に、いくつかの例では、バットはホットエア接着プロセスによって接着されてもよい。スルーエア熱接着は、状況によっては望ましい場合がある高ロフトの不織布構造を形成するための別の手法となり得る。スルーエア熱接着は、フィラメントバットの表面に高温の空気を適用することを伴う。高温の空気は、不織布の真上に配置されたプレナムの穴を通って流れる。しかしながら、空気は、一般的な熱風オーブンにおけるのと同様に、不織布を通じて押されない。陰圧又は吸引によって、不織布がオーブンを通過する際に不織布を支持する開放コンベヤエプロンを通って空気が引き込まれる。不織布を通って空気が引き込まれることにより、より迅速かつ均一な熱の伝達が可能となり、布の歪みが最小限に抑えられる。従来のスルーエア接着ユニットの使用に代わるものとして、真空をベルトの下で操作してバットを通じて高温の空気を引き込みながら接着ユニットを形成ベルト260の上に配置することが想到され、従来のスルーエア接着ユニットによって行われるものと同様のプロセスが行われる。
【0151】
形成ベルトの製造
形成ベルト260は、それぞれ、スパンボンド不織布ウェブを製造するための本明細書に開示される改良された形成要素及びパターンを含む、米国特許第6,610,173号、同第5,514,523号、同第6,398,910号、又は米国特許出願公開第2013/0199741号に記載される方法及びプロセスに従って製造することができる。’173号、’523号、’910号、及び’741号の開示は、ベルトの基材部材上の硬化樹脂で構成された製紙用ベルトに代表されるベルトについて説明しているが、これらのベルトは、改良を加え、適当な構成とすることで本明細書に記載されるように使用することができる。
【0152】
スパンボンド不織布ウェブを製造するための三次元形成要素及びパターンを有する形成ベルト260は、以下の方法及びプロセスによって、及び/又は、本明細書に教示される構造についての望ましい改良を含む以下の装置で製造することも可能である。すなわち、米国特許第7,799,382号に教示されるロータリースクリーンプロセス、米国特許出願公開第2007/0170610号に教示されるポリマー押出、米国特許第7,105,465号に教示される樹脂系グラフト、米国特許第8,815,057号に教示される穿孔フィルム、米国特許出願公開第2006/0019567号に教示される連続層処理、米国特許第7,005,044号に教示されるポリマー液滴堆積、米国特許第7,014,735号に教示される犠牲材料によるポリマー液滴堆積、米国特許第8,454,800号又は同第8,822,009号に教示される空気透過性フィルム技術、米国特許出願公開第2016/0090692号に教示される多層ベルト構造、米国特許第8,758,569号又は同第8,366,878号に教示されるレーザーエッチング、米国特許出願公開第2014/0272269号に教示される押出メッシュ技術、米国特許出願公開第2008/0199655号に記載される不織布ベルト、並びに米国特許出願公開第2015/0102526(A1)号、又は同第2016/0159007号、又は国際公開第2016/085704号、又は米国特許出願公開第2016/0185041号に教示される相加的製造方法及びプロセス。
【0153】
本開示の目的に有用な種類の、米国特許第5,514,523号の開示に従って製造することができる形成ベルト260の一例が、図12~14に概略的に示されている。’523号特許に教示されるように、基材ベルト材料261の平坦なシートは、液体感光性ポリマー樹脂で予め選択された厚さに完全にコーティングされている。基材ベルト材料261(’523号特許において「補強構造」と呼ばれる)は、空気透過性ワイヤメッシュ若しくはスクリーン材料、織布マット若しくはシート材料、有孔金属若しくはポリマーシート材料、又は本明細書で企図される使用条件下で適当なプロセス寸法安定性及び耐久性、並びに比較的小さい空気通路の間隔及びサイズと組み合わされたz方向の比較的高い空気透過度を提供する任意の他の材料とすることができ、これにより、ベルトに衝突する紡糸フィラメントは、かなりの程度で吹き飛ばされるか又は空気通路に引き込まれるのではなく、ベルトを通じてz方向に移動する空気によってベルト上に集積することになる。所望の空気流遮断構造262の所望のパターン、配置、サイズ、及び形状を画定した、ネガの不透明部分が印刷された、又は別の方法で反映された透明フィルム又はマスクを、液体感光性樹脂上に置く。次に、フィルムを通して樹脂を適当な波長の光に曝露する(例えば紫外線硬化性樹脂には紫外線)。この光への曝露によって、マスクの透明部分(例えば、非印刷部分)の下の樹脂が硬化する。次いで、未硬化の樹脂(マスクの不透明部分の下の)を基材から除去(例えば、溶媒の使用によって)して、例えば、図12に示される空気流遮断構造262のパターンのような所望のパターン及び形状に配置された、基材上に形成された硬化樹脂で形成された固体の空気流遮断構造を残すことができる。任意の所望の装飾的又は機能的形成要素を不織布ウェブ材料に付与するための、空気流遮断構造の他のパターンも形成することができる。空気流遮断構造262は、そこを通ってベルトを通過するz方向の空気流が遮断される形成ベルト260の空気流遮断領域264を形成及び画定する。そこの樹脂が未硬化の状態のままであり、そこから樹脂が除去された基材ベルト材料261の部分は、ベルトを通過するz方向空気の流れを許容する形成ベルト260の空気流透過性領域263を形成及び画定する。樹脂は、空気流遮断構造262が所望のz方向深さを有し、平坦ランド表面262aが概ねx-y平面に沿って延在するような深さ及び方法でベルト上に形成し、硬化させることができる。空気流遮断構造の形成に続いて、空気流遮断構造が形成された基板ベルト材料のシートの端部同士を任意の適当な方法で接合して、連続した形成ベルト260を形成することができる。
【0154】
バット及びウェブの形成
図15~17は、形成ベルト260上に紡糸フィラメントを集積することができる方法を示したものであり、フィラメント集積の位置及び深さは、形成ベルト上の空気流遮断構造262の配置及び深さに影響される。フィラメントは、形成真空システム555(図11を参照)によって下方に動かされて、Z方向にベルトを通じて引き込まれる細径化空気に同伴されるため、フィラメントは、空気が遮断構造262を回り込んで通過する際に空気に追従し、形成ベルトの空気流透過性領域263の上に/を覆って主に堆積される。したがって、フィラメントは、空気流透過性領域263上により大きな深さ及び/又はフィラメントの面積密度及び重量で集積して、ベルト上に集積されたフィラメントのバット270の肉盛領域166を形成する。上記に述べたように、形成ベルト上のフィラメントの集積の度合いは、一般に、ベルトの循環速度及びフィラメントの紡糸速度、又はこれらの組み合わせを制御することによって制御することができる。空気流がベルトに近づくにつれて空気流の乱流及びその結果生じる乱雑さ、並びにベルトの機械方向移動によって、空気流遮断構造262のランド面262a上にわたったフィラメントの集積(スパンとして一般的に連続している)がより少なくなり、それにより、集積の度合いがより低くなり、集積したフィラメントのバット270に肉薄領域163が形成される。この効果は、適切に構成された空気流遮断構造によって形成され得るような、通路部分164を横断するフィラメント122の比較的小さな集積を示す図9に概略的に示されており、また、図16にも示されている。肉薄領域163と肉盛領域166との間のフィラメントの相対的分布、及びその結果生じるそれらの間の相対的坪量は、形成真空システム555によって形成ベルト260を通じて引き込まれる空気流量を調節することによって少なくとも一部調整することができる。一般に、比較的少ない数のフィラメントが空気流遮断構造262のランド表面262a上に集積し、比較的多数のフィラメントが、真空システム555内への空気流量が比較的大きい、空気流透過性領域263上に集積する(その逆も同様)。あるいは、又は形成真空システム555によって引き込まれる空気流量の調節と組み合わせて、肉薄領域163と肉盛領域166との間のフィラメントの相対的分布を、基材を形成するベルト材料261の選択によって制御することもできる。一般に、比較的少ない数のフィラメントが空気流遮断構造262のランド表面262a上に集積し、比較的多数のフィラメントが、基材ベルト材料261の空気透過性、したがって、形成ベルト260の空気流透過性領域263の空気透過性が比較的大きい、空気流透過性領域263上に集積することになる(その逆も同様)。
【0155】
図17に示されるように、圧密ローラー571、572(図11に示される)間での押圧、及びそれに続く形成ベルトからの除去の後、バット270は、形成ベルト上の空気流遮断構造の配置にほぼ一致した肉盛領域166及び肉薄領域163を含む構造を有する。上述のように、肉薄領域163を占めるフィラメント及び/又はその部分は、圧密ローラー570と空気流遮断構造262のランド表面262aとの間での押圧の結果として若干、塑性変形(例えば、平坦化)される場合がある。それに対応して、肉盛領域166を占めるフィラメント及び/又はその部分は、一般に押圧によって変形されないか、又は変形の程度が大幅に小さくなり得るが、これは、押圧中、フィラメントが空気流遮断構造間の空間に配置され、したがって、バットが押圧ニップ270aを通過する際にそれほど緊密に圧密されないためである。
【0156】
上記に述べたような形成ベルト260及びプロセスを使用することで、肉盛領域と肉薄領域との間のバットの繊維及び/又はフィラメント面積密度、及び/又は坪量の差を、2:1、3:1、又は更には4:1以上のレベルで実現することができる。
【0157】
上記の記載及び図より、記載されるプロセスに従って製造された、形成された不織布ウェブ材料は、トップシートの着用者対向表面によって構成される表面の形成要素と、トップシートの吸収材対向表面によって構成される反対側の表面の形成要素との間の相違を意味する「一側性」を示すことも理解されよう。図16及び17を参照すると、例えば、時間的に最初に形成ベルトに到達するフィラメントによって形成されるバット(及びその後の不織布ウェブ材料)の表面(最初の形成表面)は、秩序配置に従って、反対側の表面(すなわち、バットの押圧前に、時間的に最後に形成ベルトに到達するフィラメントによって形成される表面(最後の形成表面))のいずれのトポグラフィー的形成要素及び/又はテクスチャよりも大幅に大きいz方向深さを有するトポグラフィー的形成要素及び/又はテクスチャを示すことが理解されよう。このような一側性の結果として、秩序配置を反映する区域の視覚的識別性は、最初の形成表面(トップシートの着用者対向表面を形成し得る)上で大幅に高くなり得る。したがって、区域及び結果として得られるトポグラフィー/テクスチャ要素の視覚的インパクトは、反対側の最後の形成表面上よりも、最初の形成表面上でより顕著となり得る。これと併せ、また製造方法と併せると、肉薄領域を占めるフィラメントのこれらの部分は、z方向で最後の形成表面に一般的に近い。
【0158】
形成ベルト上へのフィラメントの溶融紡糸/スパンボンドプロセス及び堆積について上記に記載したが、例えば以下の文献に記載されるいわゆる同時形成プロセスを含む他のフィラメント及び/又は繊維の堆積及び坪量分配の方法及びプロセスを用いることも想到される。すなわち、米国特許第9,944,047号、同第8,017,534号、同第5,508,102号、同第4,100,324号、及び米国特許出願公開第2003/0211802号、国際公開第2018/064595(A1)号、及び米国特許出願公開第2018/002848号、同第2017/002486号、同第2017/000695号、同第2017/0342617号、同第2016/0355950号、並びにエアレイド繊維(天然及び/又は合成/ポリマー繊維を含む)で形成されたウェブが、制御及び秩序化されたハイドロエンハンスメント/水流交絡によって改変されたウェブ材料内の繊維位置及び分布を有することで、本明細書で企図される通路部分、ヒンジ部分、肉盛及び肉薄領域の秩序配置、並びに視覚的に識別可能であるように形成することができる形成要素の秩序配置を形成するスパンレース法などの他の方法。
【0159】
フィラメント表面の疎水性と親水性のバランス
上記に述べたように、不織布ウェブを形成するために紡糸及び集積されるフィラメントは、引張強度、触覚的柔軟性(フィラメントの剛性及び表面摩擦係数などの特性に影響される)、親水性/疎水性などを含む、ポリマー樹脂又は樹脂のブレンドがフィラメントに付与する様々な特性、並びにコストに関して選択されたポリマー樹脂又は樹脂のブレンドから押出成形することができる。加えて、フィラメント及び/又は形成された不織布ウェブには、例えば、1つ以上の表面への界面活性剤の適用など、形成後の処理を適用することもできる。
【0160】
これらを紡糸するために使用されるポリマー樹脂に応じて、個々の合成繊維又はフィラメントの表面は、わずかに親水性~高い親水性、わずかに疎水性~高い疎水性、又は中性となり得、これは、繊維/フィラメントが水性流体を引き寄せてその表面に沿って引き込む傾向の程度、又はそのような傾向の欠如に影響する。様々な幾何学的及び/又は空間的配向の多数の繊維/フィラメント表面を含む不織布ウェブ構造内では、凝集体中の個々の繊維表面の親水性又は疎水性の大きさは、構造の多孔性に影響する繊維の統合の程度と併せて、巨視的なレベルでウェブ構造に全体的な親水性、疎水性、ウィッキング、及び吸収特性を付与する。不織布中に組成の異なる繊維又はフィラメントを含めることもまた、影響する。したがって、不織布を形成するために使用される構成繊維又はフィラメントのタイプに応じて、不織布ウェブの巨視的表面は、中性、わずかに親水性~高い親水性、又はわずかに疎水性~高い疎水性となり得、これは、水性流体を引き寄せ、繊維構造内の隙間又は孔を通じて流体を伝導(「ウィック」)し、構造内に流体を保持(すなわち吸収)する不織布の傾向の程度に影響する。
【0161】
全体的な構造としての不織布が、水性流体を反発、あるいは引き寄せる、ウィックする、及び/又は保持する傾向の程度は、繊維/フィラメント材料の組成、繊維の紡糸/加工、ウェブの構造化及び繊維の統合、並びに形成後の処理の選択によって操作することができる。樹脂から紡糸される繊維又はフィラメントの表面の親水性又は疎水性の大きさを改変する添加剤を、ポリマー樹脂とブレンドしてもよい。繊維又はフィラメントの紡糸及び/又は不織布ウェブ材料の形成に続いて、疎水化剤又は親水化剤を繊維又はフィラメント及び/又は不織布の表面に適用することができる。
【0162】
女性用衛生パッドなどの着用可能吸収性物品のトップシート材料として使用するのに適した不織布を設計する際、製造業者は、固有の矛盾に直面する場合がある。一方において、材料は、尿又は経血などの流体の排出を受容し、それをz方向に吸い上げて、トップシートの下に配置された吸収性構造体に通過させるうえで十分な親水性を有し、適当な多孔度を有する必要がある。排出された流体を十分にかつ迅速に受容せず、流体をz方向にその下の吸収性構造体に移動させないトップシートは、流体が物品から漏れて下着、外側の衣類、寝布などを汚すリスクが増大させる。他方で、材料が親水性であり、効果的なウィッキングを与える多孔度を有する場合、不完全な排出及び/又は再湿潤(すなわち、排出された流体の一部の保持及び保有、又は吸収性構造体からの流体の再捕捉)も生じやすい。排出された流体を保持するか又は再湿潤を生じやすいトップシートは、不快な濡れを感じやすく、皮膚の水分過剰を促進し得るため、一般にユーザー/着用者によって好まれない。
【0163】
疎水性及び親水性フィラメント/不織布特性のバランスは、適当な流体捕捉速度と適当な低い再湿潤傾向との間で、本明細書に記載される構造化トップシート材料内で実現できることが分かっている。試作及び消費者試験により、女性用衛生パッドの消費者ユーザーは、例えば、パッドを本明細書に記載される再湿潤測定法を用いて試験した場合に、0.50g以下、より好ましくは0.45g以下、更により好ましくは0.40g以下の最大再湿潤量(流体のグラム数で表される)を示すトップシートで構成されたパッドを最も好むことが分かった。本明細書の目的で測定される再湿潤量は、吸収性構造体/トップシートの組み合わせが、特定の条件下で吸収された流体をトップシートに戻す傾向(またその欠如)を反映するものであり、トップシートが使用条件下でユーザーに不快に濡れて感じる傾向を反映している。例えば、その固有の疎水性を適当な疎水化溶融添加剤の添加によって補うことができるポリマー紡糸樹脂の組み合わせ(例えば、ポリオレフィン、例えば、ポリプロピレン及び/又はポリエチレン)などの本明細書に記載される材料及びトップシート構造化の方法を用いることで、再湿潤の傾向を低減することができる(再湿潤傾向がほとんど又はまったくなくなるまで)。
【0164】
しかしながら、極めて低い再湿潤傾向を有する紡糸フィラメントの不織布で形成されたトップシートは、必然的に極めて疎水性が高く、かつ/又は多孔度が低く、したがって、トップシートを通じたz方向への流体の浸透及び移動が起こりにくい。流体は、このようなトップシートの着用者対向表面に接触すると、流体はトップシートに浸透することなくx-y方向に沿って表面上を転がる傾向があり、流体がユーザーの皮膚と接触したままとなり、不安な濡れた感触を生じるリスク、及び流体がパッドから漏れて周囲の下着、外側衣類などを汚すリスクが増大する。したがって、トップシートの再湿潤傾向が低いことは理論上は望ましいと考えられるが、トップシートが流体を受容してz方向に移動させることを可能とする他の特徴とバランスが取られなければならない。
【0165】
本明細書に記載される界面活性剤の適用と組み合わせることができる、本明細書に記載される肉薄領域及び肉盛領域を含む区域の秩序配置は、このバランスを取る方法を提供する。肉薄領域は、フィラメントが比較的疎らに存在しており、流体がトップシートを通じてz方向に移動する経路を与える。加えて、トップシートウェブの吸収材対向表面(吸収材対向表面は、ウェブの形成時に形成ベルト260から遠ざかる方向に面するウェブの面である)に界面活性剤を適用すると、肉薄領域内の多くのフィラメントがその表面に界面活性剤を有することになることで親水性となるのに対して、肉盛領域166の着用者対向表面のフィラメントは、比較的疎水性に維持される。巨視的レベルでは、肉薄領域は、トップシートの小さな排出口に似た挙動を示し、それを通じて流体がトップシートを通ってz方向に引き込まれる。界面活性剤は、流体がトップシートを通じて移動する速さを調整するため、選択された被覆量のものを選択して適用することができる。
【0166】
しかしながら、過度の疎水性がトップシート内の流体受容及び移動を妨げ得るように、例えば、界面活性剤の過剰な適用によって付与される過剰な親水性は、許容できない再湿潤傾向を付与し得る。試作及び消費者試験により、婦人用衛生パッドの消費者ユーザーは、本明細書に記載される捕捉時間測定方法を用いてパッドを試験した場合に25秒以下の捕捉時間(秒で表される)を示す吸収性構造体及びトップシートで構成されたパッドを最も好むことが分かった。本明細書の目的で測定される捕捉時間は、吸収性構造体/トップシートの組み合わせが特定の条件下で流体を受容して吸収性構造体へとz方向に移送する傾向(又はその欠如)を反映するものである。迅速な捕捉が好ましいが、トップシートの再湿潤傾向を不利に増大させることなく自由に低減することはできない。例えば、固有の及び/又は補われた疎水性を有する繊維の組み合わせのような、本明細書に記載される材料及びトップシート構造化の方法を用いることで、捕捉時間を短縮することができる。消費者ユーザーは、25秒以下、より好ましくは20秒以下、更により好ましくは15秒以下の捕捉時間と、0.50g以下の再湿潤量と間でバランスが取られた吸収性構造体とトップシートとの組み合わせを最も好むことが分かった。
【0167】
実験及び消費者試験によって収集されたデータは、本明細書に記載される材料及び構造との関連で、これらの範囲の下限が存在し得ることを示唆している。実験により、15秒以下の捕捉時間で得られた最低再湿潤量は約0.24gであった。再湿潤量が0.50g以下での最低捕捉時間は約4秒であった。理論に束縛されることを意図するものではないが、これらの組み合わせた値は、本明細書に記載される材料及び構造を用いた適当な実験を行うことによって更に低減され得るものと考えられる。このような最大再湿潤量と最大捕捉時間との機能的な組み合わせは、本明細書に記載される機能的に構造化され、視覚的訴求を有するトップシートを有するパッドに対する消費者の嗜好及び顧客満足度の重要な発見であると考えられる。
【実験例】
【0168】
以下の構成要素を有するプロトタイプ/試料婦人用衛生パッドを作製した。
【0169】
各パッドは、70:30の成分重量比で2つの異なるポリプロピレン樹脂組成物を含むサイドバイサイド型複合スパンボンドフィラメントで形成された不織布ウェブ材料から切り出されたトップシートを有するものとした。約1重量%の二酸化チタンを樹脂組成物にブレンドした。異なる試料の樹脂組成物に、下記表1に示す量でエルカミドを添加した。異なるポリプロピレン成分は冷却時に異なる収縮率を示し、螺旋状に捲縮又はカールした紡糸フィラメントを生じた。紡糸フィラメントに約18μmの平均直径が付与されるように、紡糸及び細径化装置を調整した。紡糸されたフィラメントは、図28に示されるマスクの画像に反映される形状及びサイズの空気流遮断構造が形成された移動する形成ベルト上に堆積させて、図26Bに示される区域の秩序配置を有する不織布を得た。フィラメントの紡糸及び堆積速度を制御して、約32gsmの平均坪量を不織布に付与した。フィラメントの紡糸及び形成ベルト上への堆積に続いて、圧密ローラーを約140℃に加熱して、図11に要素570aとして概略的に示されるニップでバットを押圧した。押圧し、形成ベルトから除去した後、約140~145℃に加熱されたパターン化接着ローラーとアンビル接着ローラーとの間のニップでバットをカレンダー接着した。パターン化接着ローラーは、それぞれ約0.8mmの直径を有する規則的な間隔で配置された円形接着部の規則的なパターン及び単位表面積当たり適当な数密度を付与するように構成して、完成したウェブ製品の総接着面積が片側の面の全表面積のおよそ10%となるようにした。
【0170】
トップシートを、55gsmの坪量を有し、40重量%の1.7デシテックスのビスコース繊維、40重量%の1.7デシテックスのポリエチレン/ポリプロピレン複合繊維、及び20重量%の4.4デシテックスのPET繊維のブレンドからなるカードスパンレース短繊維で形成された2次トップシート/捕捉/分配層上に直接重ねた。
【0171】
2次トップシートに、セルロース繊維、複合ポリマーステープルファイバー、及び吸収性ゲル材料の粒子のブレンドで形成された更なる吸収性構造層を直接重ね、The Procter & Gamble Company in Western Europeより現在販売されている、ALWAYS ULTRA婦人用衛生パッドに見られる吸収性構造体組成物を坪量160gsmでエアレイドした。
【0172】
更なる吸収性構造層に、液体不透過性ポリエチレンフィルムで形成されたバックシートを直接重ねた。バックシートは、その周囲を接着剤によってトップシートに接着し、これにより、トップシートとバックシートとは2次トップシート及び更なる吸収性構造層を含む吸収性構造体を収容するエンベロープを形成した。
【0173】
溶融添加剤の一例と界面活性剤の一例との間の影響及び相互作用、並びに消費者の嗜好を調べる目的で、異なる試料について、トップシートフィラメントをスピンさせるために使用されるポリプロピレン樹脂に、紡糸に先立って様々なレベルのエルカミドを添加し、溶融添加剤として溶融樹脂にブレンドした。異なる試料用の完成したトップシート材料に、示される異なる量の界面活性剤を、インクジェット印刷装置により外側/コア対向表面に適用した。適用した界面活性剤は、Pulcra Chemicals/Fashion Chemicals GmbH & Co(Geretsried,Germany)を代理する米国の販売店より入手したSTANTEX S6887とした。異なる試料について、添加した溶融添加剤の量及び適用した界面活性剤の量を下記表1に示す。
【0174】
各試料について、捕捉時間及び再湿潤量を、以下に記載する捕捉時間及び再湿潤量測定法を用いて測定した。データから、添加される溶融添加剤及び適用される界面活性剤の量を操作することにより、捕捉時間と再湿潤とを組み合わせて操作することができることが分かる。上述のように、消費者試験より、0.50g以下、より好ましくは0.45g以下、更により好ましくは0.40g以下の再湿潤量、及び25秒以下、より好ましくは20秒以下、更により好ましくは15秒以下の捕捉時間を有するパッドが、これらのパラメータの範囲から外れるパッドと比較して消費者に許容されるか又は好まれると結論された。一般に、データは、比較的短い捕捉時間が好ましいものの、トレードオフとして再湿潤量が比較的高くなり、好ましくないことを反映している。本明細書に記載されるようにして形成されたトップシートを含む、本明細書に記載される特徴の操作によって、これらの流体処理特性の許容可能なレベルの適当なバランスが実現された。
【0175】
【表1】
【0176】
試験/測定方法
局所的坪量
形成された不織布ウェブ材料のある領域の局所的坪量は、いくつかの利用可能な技術によって決定することができるが、その領域が適当に大きい場合の単純な代表的方法では、材料の全体の領域から選択された領域を代表するウェブの試料片を切り出す。次に試料片を秤量し、その面積で割ることによって、不織布の局所坪量を1平方メートル当たりのグラム数(gsm)の単位で得る。結果を、選択された領域当たり2つの試料の平均として報告する。
【0177】
マイクロCTによる示強的性質の測定方法
このマイクロCTによる示強的性質の測定方法では、不織布ウェブ材料の試料の視覚的に区別可能な領域内の坪量、厚さ、及び体積密度の値を測定する。この方法は、マイクロCT器具(好適な器具は、Scanco Medical AG(スイス)から入手可能なScanco μCT 50、又はこれに相当する器具である)で得られる3D X線試料画像の分析に基づいたものである。このマイクロCT器具は、遮蔽キャビネットを備えた円錐ビームマイクロトモグラフである。メンテナンスフリーX線管を、焦点の直径が調節可能な線源として使用する。X線ビームは試料を通過し、X線の一部は試料によって減衰される。減衰の程度は、X線が通過しなければならない材料の質量と相関する。透過したX線は継続してデジタル検出器アレイに入射し、試料の2D投射像を生成する。回転させた試料の複数の個別の投射像を収集し、次いでこれらの投射像を単一の3D画像として再構成することによって、試料の3D画像が生成される。器具は、コンピュータで動作するソフトウェアと連動されることで画像の取得を制御し、生データを保存する。次いで、画像解析ソフトウェア(好適な画像解析ソフトウェアは、The Mathworks,Inc.(Natick,MA)から入手可能なMATLAB又はこれに相当するソフトウェアである)を使用して3D画像を分析して、試料内の領域の坪量、厚さ、及び体積密度の示強的性質を測定する。
【0178】
試料の調製
測定用の試料を得るため、1層の対象とする形成された不織布ウェブ材料を作業面上に平らに広げて置き、そこから直径30mmの円形片を打ち抜く。
【0179】
材料が、例えば、トップシート、バックシート不織布、捕捉層、分配層、又は他の構成層などの吸収性物品の層である場合には、吸収性物品を固い平坦面にテープで貼り付けて平面状の形態とする。層を吸収性物品から慎重に分離する。必要に応じて、メス及び/又は低温スプレー(接着剤を実質的に失活させるため)(Control Company(Houston TX)製Cyto-Freeze)を使用して、更なる下層から基材層を除去することにより、材料の縦方向及び横方向の伸長を防止することができる。基材層が物品から除去されたら、上述したように試料の打ち抜きを行う。
【0180】
試料は、分析される区域を含む任意の位置から切断され得る。1つの区域内において、分析を行う領域は、本明細書で定義した秩序配置に付随した領域である。区域は、少なくとも2つの領域を含む。区域及びその領域は、繊維及び/又はフィラメントの面積密度、坪量、不透明度、キャリパー/厚さ、又はz方向のせり上がりの変化により視覚的に識別可能であるか、又は他の方法で認識可能であってよい。同じ基材材料から採取された異なる試料内の領域を分析し、互いに比較することができる。試料を採取する、対象とする形成された不織布ウェブ材料上の位置を選択するとき折れ目、皺、又は破れを避けるように注意を払う必要がある。
【0181】
画像の取得
製造業者の仕様書に従ってマイクロCT装置を準備し較正する。試料を、適切なホルダー内の、25mmの内径を有する低密度材料の2つのリングの間に配置する。これにより、試料の中央部分が水平に置かれ、その上面及び下面に直接隣接する任意の他の材料を有さずに走査することができる。測定値はこの領域で取られなければならない。3D画像の視野はx-y平面内で各辺が約35mmであり、約5000×5000ピクセルの解像度を有し、試料のz方向を完全に含むだけの十分な数の厚さ7マイクロメートルのスライスが集められる。再構成された3D画像解像度は、7マイクロメートルの等方性ボクセルを含む。画像は、更なる低エネルギーフィルターなしに45kVp及び133μAの電源を用いて取得される。これらの電流及び電圧の設定値は、充分なX線が試料を透過して投射データのコントラストが最大となるように最適化することができるが、ひとたび最適化された後は全ての実質的に同様の試料について一定に維持される。積分時間1000ms及び3つの平均で、合計1500枚の投射画像が得られる。これらの投射画像は3D画像に再構成され、16ビットのRAWフォーマットで保存されることで、分析用の完全な検出器出力シグナルを保存する。
【0182】
画像処理
画像解析ソフトウェアに3D画像をロードする。閾値3D画像は、空気によるバックグラウンドシグナルを分離及び除去するが、基材内の試料繊維からのシグナルは維持する。
【0183】
閾値3D画像から2Dの示強的性質の画像が3つ生成される。第1は、坪量の画像である。この画像を生成するには、x-y平面のスライス内の各ボクセルの値を、試料からのシグナルを含む他のz方向のスライス内の対応するボクセルの値の全てと合計する。これにより2D画像が生成され、ここでこの各ピクセルは、試料全体を通じた累積シグナルに等しい値を有する。
【0184】
坪量画像内の生データ値を実際の値に変換するために、坪量較正曲線が生成される。分析される試料と実質的に同様の組成を有し、均一な坪量を有する基材を得る。上記に述べた手順に従ってその較正曲線基材の少なくとも10個の複製試料を得る。質量を0.0001g単位で測定し、試料の面積で割り、g/平方メートル(gsm)に変換することによって、単一層の較正用試料のそれぞれの坪量を正確に測定し、平均を0.01gsm単位で計算する。上記に述べた手順に従って、単一層の較正用試料基材のマイクロCT画像を取得する。上記に述べた手順に従って、マイクロCT画像を処理し、生データ値を含む坪量画像を生成する。この試料の実際の坪量の値は、較正用試料で測定された平均の坪量の値である。次に、2層の較正用基材試料を互いの上に積み重ね、2層の較正用基材のマイクロCT画像を取得する。両方の層を合わせた坪量の生データ画像を生成する。その実際の坪量の値は、較正用試料で測定した平均の坪量の値の2倍に等しい。単一層の較正用基材を積み重ね、全ての層のマイクロCT画像を取得し、実際の坪量の値が層の数に較正用試料で測定した平均の坪量の値を掛けたものに等しい、全ての層の生データの坪量画像を生成する、この手順を繰り返す。合計で少なくとも4つの異なる坪量較正画像が得られる。正確な較正を確実にするには、較正用試料の坪量の値は、分析される元の試料の坪量の値の上下の値を含む必要がある。較正曲線は、4つの較正用試料について実際の坪量の値に対する生データの線形回帰を行うことによって生成される。この線形回帰は少なくとも0.95のR2値を有していなければならず、そうでない場合には較正手順全体を繰り返す。次に、この較正曲線を用いて生データの値を実際の坪量に変換する。
【0185】
第2の示強的性質の2D画像は厚さの画像である。この画像を生成するには、試料の上面と下面を特定し、これらの表面の間の距離を計算して試料の厚さを得る。試料の上面は、最も上のZ方向のスライスから開始し、試料を通じて進みながら各スライスを評価していくことで、試料シグナルが最初に検出されたx-y平面内の全てのピクセル位置についてz方向のボクセルの位置を特定することによって特定される。試料の下面を特定するには、位置特定されるz方向のボクセルが全て、試料シグナルが最後に検出されたx-y平面内の位置である点を除いて同じ手順に従う。上面と下面が特定された時点で、これらを15×15のメディアンフィルターによって平滑化して逸脱繊維からのシグナルを除去する。次いで、x-y平面内のピクセル位置のそれぞれについて上面と下面との間に存在するボクセルの数をカウントすることによって2Dの厚さ画像を生成する。次いで、ボクセル数に7μmスライスの厚さ解像度を掛けることにより、この生の厚さ値を、マイクロメートル単位の実際の距離に変換する。
【0186】
第3の示強的性質の2D画像は、体積密度の画像である。この画像を生成するには、gsm単位の坪量画像内のx-y平面のピクセル値のそれぞれを、マイクロメートル単位の厚さ画像内の対応するピクセルで割る。体積密度画像の単位はg/立方センチメートル(g/cc)である。
【0187】
マイクロCTによる坪量、厚さ、及び体積密度の示強的性質:
分析を行う領域を特定することにより開始する。分析を行う領域は、区域に付随する領域である。区域は、少なくとも2つの領域を含む。区域及びその領域は、繊維及び/又はフィラメントの面積密度、坪量、不透明度、キャリパー/厚さ、又はz方向のせり上がりの変化により視覚的に識別可能であるか、又は他の方法で認識可能であってよい。次に、分析を行う領域の境界を特定する。領域の境界は、試料内の他の領域と比較した場合の示強的性質の差の視覚的な区別によって特定される。例えば、領域の境界は、試料の別の領域と比較した場合の厚さ/キャリパーの差を視覚的に区別することに基づいて特定することができる。いずれの示強的性質を用いても、マイクロCTによる示強的性質の画像のいずれかの物理的試料自体の領域の境界を区別することができる。領域の境界が特定された時点で、楕円形又は円形の「対象領域(region of interest、ROI)」をその領域の内側に描く。ROIは、少なくとも0.1mmの面積を有し、特定された領域を表す示強的性質の値を有する面積を測定するように選択する必要がある。3つの示強的性質の画像のそれぞれから、ROI内の平均の坪量、厚さ、及び体積密度を計算する。これらの値を、その領域の坪量として0.01gsm単位で、厚さとして0.1マイクロメートル単位で、更に体積密度として0.0001g/cc単位で記録する。
【0188】
捕捉時間及び再湿潤量の測定
人工月経液(Artificial Menstrual Fluid、AMF)の調製
人工月経液(AMF)は、脱線維ヒツジ血液、リン酸緩衝生理食塩水、及び粘液成分の混合物から構成される。AMFは、23℃で7.15~8.65センチストークスの粘度を有するように調製される。
【0189】
AMFの粘度は、低粘度回転粘度計(好適な機器は、ULアダプター(Cannon Instrument Co.(State College,US)又は同等品を備えるCannon LV-2020 Rotary Viscometerである)を使用して実施される。粘度範囲のための適切なサイズのスピンドルが選択され、器具は、製造元に従って操作及び較正される。測定は、23℃±1℃及び60rpmで行われる。結果は、0.01センチトークス単位で報告される。
【0190】
AMF調製に必要な試薬としては、38%以上のヘマトクリット値を有する脱線維ヒツジ血液(無菌条件下で採取、Cleveland Scientific,Inc.(Bath,OH)から入手可能、又は同等品)、2%水溶液として調製されるとき、3~4センチストークスの標的粘度を有する胃粘素(粗形態、Sterilized American Laboratories,Inc.(Omaha,NE)から入手可能、又は同等品)、10% v/v乳酸水溶液、10% w/v水酸化カリウム水溶液、リン酸ナトリウム二塩基性無水物(試薬グレード)、塩化ナトリウム(試薬グレード)、リン酸ナトリウム一塩基性一水和物(試薬グレード)及び蒸留水(それぞれVWR International又は同等の供給源から入手可能)が挙げられる。
【0191】
リン酸緩衝生理食塩水は、2つの個々に調製された溶液(溶液A及び溶液B)からなる。1Lの溶液Aを調製するために、1.38±0.005gのリン酸ナトリウム一塩基性一水和物及び8.50±0.005gの塩化ナトリウムを1000mLのメスフラスコに添加し、蒸留水を容器容積まで添加する。完全に混合する。1Lの溶液Bを調製するために、1.42±0.005gのリン酸ナトリウム二塩基性無水物及び8.50±0.005gの塩化ナトリウムを1000mLのメスフラスコに添加し、蒸留水を容器容積まで添加する。完全に混合する。リン酸緩衝生理食塩水を調製するために、450±10mLの溶液Bを1000mLビーカーに加え、撹拌プレート上で低速で撹拌する。較正されたpHプローブ(0.1までの精度)を溶液Bのビーカーに挿入し、撹拌しながら十分な溶液Aを添加して、pHを7.2±0.1にする。
【0192】
粘液成分は、リン酸緩衝生理食塩水、水酸化カリウム水溶液、胃粘素、及び乳酸水溶液の混合物である。粘液成分に添加する胃粘素の量は、調製したAMFの最終粘度に直接影響する。目標粘度範囲(23℃で7.15~8.65センチストークス)内のAMFを得るために必要とされる胃粘素の量を決定するために、粘液成分中に様々な量の胃粘素を有する3バッチのAMFを調製し、次いで、3つの点を通る最小2乗法で線形フィットを行い、濃度対粘度曲線から必要とされる正確な量を内挿する。胃粘素の良い範囲は、通常38~50グラムである。
【0193】
約500mLの粘液成分を調製するために、460±10mLの事前に調製したリン酸緩衝生理水及び7.5±0.5mLの10% w/v水酸化カリウム水溶液を、1000mLの丈夫なガラスビーカーに添加する。このビーカーを撹拌ホットプレート上に配置し、撹拌しながら、温度を45℃±5℃にする。所定量の胃粘素(±0.50g)を秤量し、45℃にされた既に調製された液体に、凝集せずにゆっくりと振り入れる。ビーカーを覆い、混合を継続する。15分にわたって、この混合物の温度を50℃超に、ただし80℃以下にする。この温度範囲を維持しながら、穏やかに撹拌しながら2.5時間加熱し続ける。2.5時間経過後、ビーカーをホットプレートから外し、40℃未満まで冷却する。次に、1.8±0.2mLの10% v/v乳酸水溶液を添加し、十分に混合する。粘液成分混合物を121℃で15分間オートクレーブし、5分間冷却させる。粘液成分の混合物をオートクレーブから取り出し、温度が23℃±1℃に達するまで撹拌する。
【0194】
ヒツジ血液及び粘液成分の温度を23℃±1℃にさせる。500mLのメスシリンダを使用して、事前に調製した粘液成分のバッチ全体の体積を測定し、その体積を1200mLのビーカーに添加する。等量のヒツジ血液をビーカーに添加し、十分に混合する。前述の粘度法を使用して、AMFの粘度が7.15~8.65センチストークスであることを確認する。そうでない場合は、バッチが廃棄され、別のバッチが作製され、必要に応じて粘液構成成分を調節する。
【0195】
認定されたAMFは、即時使用を意図しない限り、4℃で冷蔵する必要がある。AMFは、調製後4℃で最大48時間、気密容器内に貯蔵され得る。試験前に、AMFは、23℃±1℃にする必要がある。試験が完了した後に、いかなる未使用部分も廃棄される。
【0196】
測定
本明細書に記載されるようにして調製された人工月経液(AMF)を充填した吸収性物品について捕捉時間を測定する。
【0197】
既知の体積のAMFを3回導入する。毎回、前の用量が吸収されてから2分後に、次の用量を開始する。各用量が物品によって吸収されるのに要する時間を記録する。捕捉試験に続いて、再湿潤法を行って、圧力下で物品から搾り出される流体の質量を決定する。
【0198】
試験に先立ち、試料女性用衛生パッドを23℃±2℃、及び相対湿度50%±2%で2時間調整し、これらの条件下で全ての試験を実施する。
【0199】
再湿潤試験に使用する拘束重りは、幅64±1mm×長さ83±1mmの接触面を有する平坦な水平底部及び2268±2グラム(5ポンド)の質量を有する。この重りは、試験物品上に4.1kPa(0.60psi)の拘束圧を与える。再湿潤基材は、4インチ×4インチの寸法の2枚の濾紙である。適当な濾紙は、Ahlstrom Grade 989(Ahlstrom-Munksjo North America LLC(Alpharetta,GA)から入手可能)又はその同等物である。
【0200】
以下のように、取得時間の測定を行う。試料を包装材から取り出す。折り畳まれている場合には、静かに広げて皺を全て伸ばす。トップシートを上にして、試料を水平な平面作業表面上に平らに置く。物品の吸収性構造体の中心(長手方向軸と横方向軸との交点)の約1cm上に機械的ピペットの先端部を配置し、1.00mL±0.05mLのAMFを表面上に正確にピペットで置く。流体を、2秒以内に跳ね飛ばさずに分注する。流体が試験試料と接触するとすぐに、0.01秒の精度のタイマーを開始する。流体が捕捉された後(表面に液溜まりが残っていない)、タイマーを停止し、捕捉時間を0.01秒単位で記録する。2分間待つ。同様に、2回目及び3回目のAMFを試験試料にそれぞれ適用し、捕捉時間を0.01秒単位で記録する。第3の用量が捕捉された2分後に再湿潤試験に進む。
【0201】
試験の再湿潤部分を以下のように行う。2枚の濾紙を合わせた乾燥質量を0.0001グラム単位で測定し、「乾燥質量」として記録する。乾燥した濾紙を試料の吸収性構造体の中心(長手方向軸と横方向軸との交点)を覆って静かに置き、濾紙自体もこの点を中心として置く。この中心の上に拘束重りの底部を静かに置き、試料の長手方向に平行に重りの長さ(長辺)を配置する。試料及び濾紙の上に重りを置いたら直ちにタイマーを0.01秒単位で正確にスタートさせる。30秒後、重りを慎重に取り除く。濾紙の質量を0.0001グラム単位で測定し、「湿潤重量」として記録する。濾紙の「湿潤重量」と「乾燥重量」との差として再湿潤量を計算し、0.0001グラム単位で「再湿潤量」として記録する。
【0202】
この手順全体を、5つの実質的に同様の複製物品上で繰り返す。報告される値は、各捕捉時間(1回目、2回目及び3回目)について0.01秒単位の、再湿潤量について0.0001グラム単位の、5つの個々に記録された測定値の平均である。
【0203】
***
本明細書にて開示された寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。その代わりに、特に指示がない限り、このような寸法はそれぞれ、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図されている。例えば、「40mm」と開示された寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。
【0204】
相互参照される又は関連する全ての特許又は特許出願、及び本願が優先権又はその利益を主張する任意の特許出願又は特許を含む、本願に引用される全ての文書は、除外又は限定することを明言しない限りにおいて、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いかなる文献の引用も、本明細書中で開示又は特許請求される任意の発明に対する先行技術であるとはみなされず、あるいはそれを単独で又は他の任意の参考文献(単数又は複数)と組み合わせたときに、そのようないかなる発明も教示、示唆又は開示するとはみなされない。
【0205】
更に、本文書における用語の任意の意味又は定義が、参照により組み込まれた文書内の同じ用語の任意の意味又は定義と矛盾する場合、本文書においてその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0206】
本発明の特定の実施形態を例示及び説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を行うことができる点は当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更及び修正を添付の特許請求の範囲に網羅することが意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23A
図23B
図23C
図23D
図23E
図23F
図23G
図23H
図23I
図23J
図23K
図24A
図24B
図24C
図24D
図24E
図25
図26A
図26B
図27
図28
【手続補正書】
【提出日】2023-07-25
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体透過性トップシート(120)と、液体不透過性バックシート(130)と、前記トップシートと前記バックシートとの間に配置された吸収性構造体(140)と、を備える吸収性物品であって、前記トップシートは、横方向軸と、長手方向軸と、細長い外周縁(128)を有する使用時着用者対向部分(126)と、を有し、
前記トップシートが、フィラメント(122)の集積を含みかつ吸収材対向面(123)と着用者対向面(124)とを有する、形成された不織布ウェブ材料の部分で形成され、前記着用者対向面は、区域(160)の秩序配置を含み、各区域は、1つ以上の肉盛領域(166)に隣接した1つ以上の肉薄領域(163)を含み、
前記肉薄領域が第1の平均坪量を有し、前記肉盛領域が第2の平均坪量を有し、前記第1の平均坪量は前記第2の平均坪量よりも小さく、前記坪量の差は、前記秩序配置に従った前記フィラメントの配置に対応し、
前記肉薄領域が、1つ又は複数の経路を辿る1つ以上の通路部分(164)の構成によって構成され、前記1つ又は複数の経路は、前記長手方向軸に対して対称的であり、かつ前記長手方向軸上の排出点(112b)を取り囲む、吸収性物品。
【請求項2】
前記1つ以上の通路部分(164)の構成が、前記外周縁(128)に近接する経路であって、前記外周縁(128)の内側にあり、前記外周縁の前記内側に前記外周縁と少なくとも部分的に平行である経路を辿る、請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記肉薄領域と前記肉盛領域とが視覚的に識別可能である、請求項1又は2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記トップシートが、前記吸収材対向面に適用された界面活性剤を有し、それにより、前記界面活性剤が前記着用者対向面に近接するフィラメントよりも前記吸収材対向面に近接するフィラメントにおいてより多くの量で存在する、請求項1~3のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項5】
エルカミド、ステアルアミド、オレアミド、シリコーン、4~32個の炭素原子を有する石油系炭化水素、12~24個の炭素原子を有する脂肪アルコール、ポリシロキサン化合物、脂肪酸エステル、アルキルエトキシレート、脂肪酸鎖中に12~28個の炭素原子を有する脂肪アルコールエーテル、ラノリン及びその誘導体、C12~C28脂肪酸のアセトグリセリド及びエトキシル化グリセリドを含むグリセリド誘導体、脂肪アミド、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される化合物を含む溶融添加剤が、前記フィラメント(122)が紡糸されているポリマー樹脂に添加されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記第2の平均坪量が、前記第1の平均坪量と少なくとも2倍異なっている、請求項1~5のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項7】
前記フィラメントが、紡糸された複合フィラメントである、請求項1~6のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項8】
婦人用衛生パッド又は成人用失禁パッドの形態の吸収性物品であって、液体透過性トップシート(120)と、液体不透過性バックシート(130)と、前記トップシートと前記バックシートとの間に配置された吸収性構造体(140)と、を含み、
前記物品は、前記吸収性構造体を含む中央の長手方向に細長い吸収性部分を有し、該吸収性部分が、前記吸収性部分から反対方向に横方向に延在する、前記吸収性構造体のいずれの部分も含まない2つの羽根部分(114)によって挟まれ、前記トップシートが前記羽根部分を少なくとも部分的に形成し、
前記トップシートが、フィラメント(122)の集積を含みかつ吸収材対向面(123)と着用者対向面(124)とを有する、形成された不織布ウェブ材料の部分で形成され、前記着用者対向面は、区域(160)の秩序配置を含み、各区域は、1つ以上の肉盛領域(166)に隣接した1つ以上の肉薄領域(163)を含み、
前記肉薄領域が第1の平均坪量を有し、前記肉盛領域が第2の平均坪量を有し、前記第1の平均坪量は前記第2の平均坪量よりも小さく、前記坪量の差は、前記秩序配置に従った前記フィラメントの配置に対応し、
前記肉薄領域が、前記羽根部分(114)の1つに沿って長手方向に延在する経路を辿るヒンジ部分(168)によって構成されている、吸収性物品。
【請求項9】
前記肉薄領域と前記肉盛領域とが視覚的に識別可能である、請求項8に記載の吸収性物品。
【請求項10】
前記トップシートが、前記吸収材対向面に適用された界面活性剤を有し、それにより、前記界面活性剤が前記着用者対向面に近接するフィラメントよりも前記吸収材対向面に近接するフィラメントにおいてより多くの量で存在する、請求項8又は9に記載の吸収性物品。
【請求項11】
エルカミド、ステアルアミド、オレアミド、シリコーン、4~32個の炭素原子を有する石油系炭化水素、12~24個の炭素原子を有する脂肪アルコール、ポリシロキサン化合物、脂肪酸エステル、アルキルエトキシレート、脂肪酸鎖中に12~28個の炭素原子を有する脂肪アルコールエーテル、ラノリン及びその誘導体、C12~C28脂肪酸のアセトグリセリド及びエトキシル化グリセリドを含むグリセリド誘導体、脂肪アミド、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される化合物を含む溶融添加剤が、前記フィラメント(122)が紡糸されているポリマー樹脂に添加されている、請求項8~10のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項12】
前記第2の平均坪量が、前記第1の平均坪量と少なくとも2倍異なっている、請求項8~11のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項13】
前記フィラメントが、紡糸された複合フィラメントである、請求項8~12のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【外国語明細書】