(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023134769
(43)【公開日】2023-09-27
(54)【発明の名称】改善された光学特性を有する、アイウェア及び他の頭部装着型支持手段のためのレンズ
(51)【国際特許分類】
G02C 7/00 20060101AFI20230920BHJP
G02C 7/02 20060101ALI20230920BHJP
G02B 25/00 20060101ALI20230920BHJP
【FI】
G02C7/00
G02C7/02
G02B25/00
【審査請求】有
【請求項の数】36
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023118410
(22)【出願日】2023-07-20
(62)【分割の表示】P 2021504411の分割
【原出願日】2019-07-26
(31)【優先権主張番号】62/703,850
(32)【優先日】2018-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/734,032
(32)【優先日】2018-09-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500291315
【氏名又は名称】オークリー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ロビンソン,デヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】ベルベイ,ジェイソン
(72)【発明者】
【氏名】マッケイブ,ブロック スコット
(57)【要約】 (修正有)
【課題】一次光学歪曲収差を低減、除去又は最小化することに寄与することにより、向上された軸外光学性能を提供するために、改善された光学構成を有するレンズが提供される。
【解決手段】実施形態は、非矯正用又は矯正用シングル又はデュアルレンズアイウェアにおいて、例えば典型的な装用者の眼の中心軸を形成する前方直視線の経路内でレンズを支持するためのフレームと組み合わせて使用され得る。レンズは、レンズ本体を含む。レンズ本体は、球面、トーリック、円柱又はフリーフォーム形状を有する表面と、フリーフォーム形状を有する別の表面とを含み得る。レンズ厚さは、これらの表面間で画定される。レンズのプリズム屈折力は、特に軸外視角について改善される。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズであって、非矯正用アイウェア又はヘッドギアにおいて、典型的な装用者の片眼の中心軸を形成する前方直視線の経路内で前記レンズを支持するためのフレームと組み合わせて使用するためのレンズであって、
レンズ本体であって、
球面、トーリック、円柱又はフリーフォーム形状を有する前面と、
フリーフォーム形状を有する後面と
を含むレンズ本体
を含み、
レンズ厚さは、前記前面と前記後面との間で画定され、
視軸は、前記片眼及び前記中心軸から、前記後面の水平経線に沿って測定される、前記典型的な装用者の鼻から離れる前記中心軸からの角度で延び、
前記後面の前記水平経線に沿った各点は、前記視軸が、前記後面の前記水平経線に沿った前記各点と交差する位置での前記視軸の角度に関連付けられ、及び
前記レンズのプリズム屈折力は、約30度以下の前記視軸の角度に関連付けられる、前記後面の前記水平経線に沿った点全体を通して約0.23ディオプトリ以下である、レンズ。
【請求項2】
前記レンズ本体上の何れの点における前記レンズ厚さも約2mm以下且つ約1mm以上である、請求項1に記載のレンズ。
【請求項3】
前記レンズ本体上の何れの点における前記レンズ厚さも約1.7mm以下且つ約1.2mm以上である、請求項1に記載のレンズ。
【請求項4】
前記球面、トーリック又は円柱形状は、約4カーブ以上の水平ベースカーブを有する、請求項1に記載のレンズ。
【請求項5】
前記球面、トーリック又は円柱形状は、約6カーブ以上の水平ベースカーブを有する、請求項1に記載のレンズ。
【請求項6】
前記球面、トーリック又は円柱形状は、約8カーブ以上の水平ベースカーブを有する、請求項1に記載のレンズ。
【請求項7】
前記球面、トーリック又は円柱形状は、約10カーブ以上の水平ベースカーブを有する、請求項1に記載のレンズ。
【請求項8】
前記レンズの前記プリズム屈折力は、約40度以下の前記視軸の角度に関連付けられる、前記後面の前記水平経線に沿った点全体を通して約0.35ディオプトリ以下である、請求項1に記載のレンズ。
【請求項9】
前記レンズの前記プリズム屈折力は、約55度以下の前記視軸の角度に関連付けられる、前記後面の前記水平経線に沿った点全体を通して約0.6ディオプトリ以下である、請求項1に記載のレンズ。
【請求項10】
前記レンズの前記プリズム屈折力は、約80度以下の前記視軸の角度に関連付けられる、前記後面の前記水平経線に沿った点全体を通して約0.8ディオプトリ以下である、請求項1に記載のレンズ。
【請求項11】
前記レンズの前記プリズム屈折力は、約30度以下の前記視軸の角度に関連付けられる
、前記後面の前記水平経線に沿った点全体を通して、前記視軸の増大する角度の1度あたり約0.01ディオプトリ以下の平均レートで増大する、請求項1に記載のレンズ。
【請求項12】
前記レンズの前記プリズム屈折力は、約30度~約40度の前記視軸の角度に関連付けられる、前記後面の前記水平経線に沿った点全体を通して、前記視軸の増大する角度の1度あたり約0.01ディオプトリ以下の平均レートで増大する、請求項1に記載のレンズ。
【請求項13】
前記レンズの前記プリズム屈折力は、約40度~約55度の前記視軸の角度に関連付けられる、前記後面の前記水平経線に沿った点全体を通して、前記視軸の増大する角度の1度あたり約0.01ディオプトリ以下の平均レートで増大する、請求項1に記載のレンズ。
【請求項14】
前記レンズの前記プリズム屈折力は、約55度~約80度の前記視軸の角度に関連付けられる、前記後面の前記水平経線に沿った点全体を通して、前記視軸の増大する角度の1度あたり約0.01ディオプトリ以下の平均レートで増大する、請求項1に記載のレンズ。
【請求項15】
装用時の前記レンズの、ディオプトリを単位とする前記プリズム屈折力Pは、約30度~約55度の、度を単位とする前記視軸の角度θに関連付けられる、前記後面の前記水平経線に沿った点全体を通して、関係
【数1】
を満たす、請求項1に記載のレンズ。
【請求項16】
装用時の前記レンズの、ディオプトリを単位とする前記プリズム屈折力Pは、約55度~約90度の、度を単位とする前記視軸の角度θに関連付けられる、前記後面の前記水平経線に沿った点全体を通して、関係
【数2】
を満たす、請求項1に記載のレンズ。
【請求項17】
装用時の前記レンズの、ディオプトリを単位とする前記プリズム屈折力Pは、約30度~約55度の、度を単位とする前記視軸の角度θに関連付けられる、前記後面の前記水平経線に沿った点全体を通して、関係
【数3】
を満たす、請求項1に記載のレンズ。
【請求項18】
装用時の前記レンズの、ディオプトリを単位とする前記プリズム屈折力Pは、約55度~約90度の、度を単位とする前記視軸の角度θに関連付けられる、前記後面の前記水平
経線に沿った点全体を通して、関係
【数4】
を満たす、請求項1に記載のレンズ。
【請求項19】
装用時の前記レンズの、ディオプトリを単位とする前記プリズム屈折力Pは、約30度~約55度の、度を単位とする前記視軸の角度θに関連付けられる、前記後面の前記水平経線に沿った点全体を通して、関係
【数5】
を満たす、請求項1に記載のレンズ。
【請求項20】
装用時の前記レンズの、ディオプトリを単位とする前記プリズム屈折力Pは、約55度~約90度の、度を単位とする前記視軸の角度θに関連付けられる、前記後面の前記水平経線に沿った点全体を通して、関係
【数6】
を満たす、請求項1に記載のレンズ。
【請求項21】
デュアルレンズアイウェアの2つのレンズの一方である、請求項1に記載のレンズ。
【請求項22】
前記レンズは、シングルレンズであり、
前記視軸は、第一の視軸であり、
前記眼は、第一の眼であり、
前記シングルレンズは、前記典型的な装用者の第二の眼の中心軸を形成する前方直視線の経路内で支持されるように構成され、
第二の視軸は、前記第二の眼及び前記第二の眼の前記中心軸から、前記後面の前記水平経線に沿って測定される、前記典型的な装用者の鼻から前記第一の視軸の方向と反対の方向に離れる前記第二の眼の前記中心軸からの角度で延び、
前記後面の前記水平経線に沿った第二の点集合の各点は、前記第二の視軸が前記第二の点集合の前記各点と交差する位置での前記第二の視軸の角度に関連付けられ、及び
前記レンズの前記プリズム屈折力は、約30度以下の前記第二の視軸の角度に関連付けられる、前記第二の点集合の点全体を通して約0.23ディオプトリ以下である、請求項1に記載のレンズ。
【請求項23】
前記レンズ本体は、前記フレームの形状に適合し、且つ前記フレームに固定されるように構成される、請求項1に記載のレンズ。
【請求項24】
請求項1に記載のレンズ及びフレームを含むアイウェア。
【請求項25】
前記フレームは、眼鏡又はゴーグルフレームを含む、請求項24に記載のアイウェア。
【請求項26】
請求項1に記載のレンズを含む保護用ヘッドギア。
【請求項27】
前記レンズ本体は、追加的構造の形状に適合し、且つ前記追加的構造に固定されるように構成され、及び
前記追加的構造は、前記保護用ヘッドギアに固定されるように構成される、請求項26に記載の保護用ヘッドギア。
【請求項28】
前記後面は、変曲領域をさらに含み、及び前記変曲領域におけるプリズム屈折力は、前記変曲領域に隣接する領域におけるプリズム屈折力と実質的に同様である、請求項1に記載のレンズ。
【請求項29】
非矯正用アイウェア又はヘッドギアのためのレンズを設計する方法であって、
前記レンズの初期前面の点メッシュを生成するステップと、
前記初期前面に基づいて、前記レンズのフリーフォーム後面の点メッシュを生成するステップであって、前記フリーフォーム後面の前記点メッシュの点は、前記初期前面の前記点メッシュの点に対応する、ステップと
を含み、前記フリーフォーム後面の前記点メッシュを生成する前記ステップは、
少なくとも典型的な装用者の眼に対する前記レンズの装用位置に基づいて、前記レンズに対する前方視軸を特定するステップと、
前記初期前面上のシード点を特定するステップであって、前記シード点は、その後の反復計算のための出発基準である、ステップと、
前記シード点における初期厚さを割り当てるステップと、
前記フリーフォーム後面上の、前記シード点に対応する第一の点の面法線を計算するステップと、
前記初期厚さと、前記面法線から前記フリーフォーム後面への、前記シード点と交差する光線の屈折とに従って、前記フリーフォーム後面上に前記第一の点を設置するステップと、
前記初期前面の前記点メッシュにおける、前記シード点に隣接する点に対応する、前記フリーフォーム後面上の前記第一の点に隣接する点における面法線を計算するステップと、
前記シード点に隣接する前記点の厚さを、最適化アルゴリズムを使用して計算するステップであって、前記最適化アルゴリズムは、前記フリーフォーム後面上の前記第一の点に隣接する前記点における前記計算された面法線に基づく光線の屈折の計算を含む、ステップと、
前記シード点に隣接する前記点の前記計算された厚さに従って、前記フリーフォーム後面上において、前記第一の点に隣接する点を設置するステップと、
設置された点に隣接する点の面法線及び厚さの反復計算により、前記フリーフォーム後面上に追加的な点を設置するステップと
を含む、方法。
【請求項30】
前記最適化アルゴリズムは、第一に最も均一な光路長のソリューション、第二に可能な最も薄いソリューション及び第三に最も均一な厚さのソリューションを含む優先順位に従う、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前面基準点の漸進的再割当てに基づいて、面法線及び厚さの反復計算によって前記レンズのフリーフォーム前面を生成するステップをさらに含み、前記フリーフォーム前面は、前記初期前面に置き換わる、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
レンズであって、非矯正用アイウェア又はヘッドギアにおいて、典型的な装用者の片眼
の中心軸を形成する前方直視線の経路内で前記レンズを支持するためのフレームと組み合わせて使用するためのレンズであって、
レンズ本体であって、
球面、トーリック、円柱又はフリーフォーム形状を有する前面と、
フリーフォーム形状を有する後面と
を含むレンズ本体
を含み、
前記前面の前記球面、トーリック、円柱又はフリーフォーム形状は、約6カーブ以上の水平ベースカーブを有し、
レンズ厚さは、前記前面と前記後面との間で画定され、
視軸は、前記片眼及び前記中心軸から、前記後面の水平経線に沿って測定される、前記典型的な装用者の鼻から離れる前記中心軸からの角度で延び、
前記後面の前記水平経線に沿った各点は、前記視軸が、前記後面の前記水平経線に沿った前記各点と交差する位置での前記視軸の角度に関連付けられ、及び
前記レンズのプリズム屈折力は、約30度以下の前記視軸の角度に関連付けられる、前記後面の前記水平経線に沿った点全体を通して約0.44ディオプトリ以下である、レンズ。
【請求項33】
前記レンズ本体上の何れの点における前記レンズ厚さも約2mm以下且つ約1mm以上である、請求項32に記載のレンズ。
【請求項34】
前記レンズ本体上の何れの点における前記レンズ厚さも約1.7mm以下且つ約1.2mm以上である、請求項32に記載のレンズ。
【請求項35】
前記球面、トーリック又は円柱形状は、約8カーブ以上の水平ベースカーブを有する、請求項32に記載のレンズ。
【請求項36】
前記前面は、トーリック形状を有する、請求項32に記載のレンズ。
【請求項37】
前記レンズの前記プリズム屈折力は、約40度以下の前記視軸の角度に関連付けられる、前記後面の前記水平経線に沿った点全体を通して約0.64ディオプトリ以下である、請求項32に記載のレンズ。
【請求項38】
前記レンズの前記プリズム屈折力は、約50度以下の前記視軸の角度に関連付けられる、前記後面の前記水平経線に沿った点全体を通して約0.89ディオプトリ以下である、請求項32に記載のレンズ。
【請求項39】
前記レンズの前記プリズム屈折力は、約80度以下の前記視軸の角度に関連付けられる、前記後面の前記水平経線に沿った点全体を通して約1.33ディオプトリ以下である、請求項32に記載のレンズ。
【請求項40】
前記レンズの前記プリズム屈折力は、約30度以下の前記視軸の角度に関連付けられる、前記後面の前記水平経線に沿った点全体を通して、前記視軸の増大する角度の1度あたり約0.018ディオプトリ以下の平均レートで増大する、請求項32に記載のレンズ。
【請求項41】
前記レンズの前記プリズム屈折力は、約30度~約40度の前記視軸の角度に関連付けられる、前記後面の前記水平経線に沿った点全体を通して、前記視軸の増大する角度の1度あたり約0.018ディオプトリ以下の平均レートで増大する、請求項32に記載のレンズ。
【請求項42】
前記レンズの前記プリズム屈折力は、約40度~約50度の前記視軸の角度に関連付けられる、前記後面の前記水平経線に沿った点全体を通して、前記視軸の増大する角度の1度あたり約0.018ディオプトリ以下の平均レートで増大する、請求項32に記載のレンズ。
【請求項43】
前記レンズの前記プリズム屈折力は、約50度~約80度の前記視軸の角度に関連付けられる、前記後面の前記水平経線に沿った点全体を通して、前記視軸の増大する角度の1度あたり約0.018ディオプトリ以下の平均レートで増大する、請求項32に記載のレンズ。
【請求項44】
前記レンズの前記プリズム屈折力は、約30以下の前記視軸の角度に関連付けられる、前記後面の前記水平経線に沿った点全体を通して、前記視軸の増大する角度の1度あたり約0.016ディオプトリ以下の平均レートで増大する、請求項32に記載のレンズ。
【請求項45】
前記レンズの前記プリズム屈折力は、約30~約40度の前記視軸の角度に関連付けられる、前記後面の前記水平経線に沿った点全体を通して、前記視軸の増大する角度の1度あたり約0.016ディオプトリ以下の平均レートで増大する、請求項32に記載のレンズ。
【請求項46】
前記レンズの前記プリズム屈折力は、約40度~約50度の前記視軸の角度に関連付けられる、前記後面の前記水平経線に沿った点全体を通して、前記視軸の増大する角度の1度あたり約0.016ディオプトリ以下の平均レートで増大する、請求項32に記載のレンズ。
【請求項47】
前記レンズの前記プリズム屈折力は、約50度~約80度の前記視軸の角度に関連付けられる、前記後面の前記水平経線に沿った点全体を通して、前記視軸の増大する角度の1度あたり約0.016ディオプトリ以下の平均レートで増大する、請求項32に記載のレンズ。
【請求項48】
前記レンズの前記プリズム屈折力は、約30度以下の前記視軸の角度に関連付けられる、前記後面の前記水平経線に沿った点全体を通して、前記視軸の増大する角度の1度あたり約0.014ディオプトリ以下の平均レートで増大する、請求項32に記載のレンズ。
【請求項49】
前記レンズの前記プリズム屈折力は、約30度~約40度の前記視軸の角度に関連付けられる、前記後面の前記水平経線に沿った点全体を通して、前記視軸の増大する角度の1度あたり約0.014ディオプトリ以下の平均レートで増大する、請求項32に記載のレンズ。
【請求項50】
前記レンズの前記プリズム屈折力は、約40度~約50度の前記視軸の角度に関連付けられる、前記後面の前記水平経線に沿った点全体を通して、前記視軸の増大する角度の1度あたり約0.014ディオプトリ以下の平均レートで増大する、請求項32に記載のレンズ。
【請求項51】
前記レンズの前記プリズム屈折力は、約50度~約80度の前記視軸の角度に関連付けられる、前記後面の前記水平経線に沿った点全体を通して、前記視軸の増大する角度の1度あたり約0.014ディオプトリ以下の平均レートで増大する、請求項32に記載のレンズ。
【請求項52】
装用時の前記レンズの、ディオプトリを単位とする前記プリズム屈折力Pは、約30度~約50度の、度を単位とする前記視軸の角度θに関連付けられる、前記後面の前記水平
経線に沿った点全体を通して、関係
【数7】
を満たす、請求項32に記載のレンズ。
【請求項53】
装用時の前記レンズの、ディオプトリを単位とする前記プリズム屈折力Pは、約50度~約90度の、度を単位とする前記視軸の角度θに関連付けられる、前記後面の前記水平経線に沿った点全体を通して、関係
【数8】
を満たす、請求項32に記載のレンズ。
【請求項54】
装用時の前記レンズの、ディオプトリを単位とする前記プリズム屈折力Pは、約30度~約50度の、度を単位とする前記視軸の角度θに関連付けられる、前記後面の前記水平経線に沿った点全体を通して、関係
【数9】
を満たす、請求項32に記載のレンズ。
【請求項55】
装用時の前記レンズの、ディオプトリを単位とする前記プリズム屈折力Pは、約50度~約90度の、度を単位とする前記視軸の角度θに関連付けられる、前記後面の前記水平経線に沿った点全体を通して、関係
【数10】
を満たす、請求項32に記載のレンズ。
【請求項56】
装用時の前記レンズの、ディオプトリを単位とする前記プリズム屈折力Pは、約30度~約50度の、度を単位とする前記視軸の角度θに関連付けられる、前記後面の前記水平経線に沿った点全体を通して、関係
【数11】
を満たす、請求項32に記載のレンズ。
【請求項57】
装用時の前記レンズの、ディオプトリを単位とする前記プリズム屈折力Pは、約50度~約90度の、度を単位とする前記視軸の角度θに関連付けられる、前記後面の前記水平
経線に沿った点全体を通して、関係
【数12】
を満たす、請求項32に記載のレンズ。
【請求項58】
デュアルレンズアイウェアの2つのレンズの一方である、請求項32に記載のレンズ。
【請求項59】
前記レンズは、シングルレンズであり、
前記視軸は、第一の視軸であり、
前記眼は、第一の眼であり、
前記シングルレンズは、前記典型的な装用者の第二の眼の中心軸を形成する前方直視線の経路内で支持されるように構成され、
第二の視軸は、前記第二の眼及び前記第二の眼の前記中心軸から、前記後面の前記水平経線に沿って測定される、前記典型的な装用者の鼻から前記第一の視軸の方向と反対の方向に離れる前記第二の眼の前記中心軸からの角度で延び、
前記後面の前記水平経線に沿った第二の点集合の各点は、前記第二の視軸が前記第二の点集合の前記各点と交差する位置での前記第二の視軸の角度に関連付けられ、及び
前記レンズの前記プリズム屈折力は、約30度以下の前記第二の視軸の角度に関連付けられる、前記第二の点集合の点全体を通して約0.44ディオプトリ以下である、請求項32に記載のレンズ。
【請求項60】
前記レンズ本体は、前記フレームの形状に適合し、且つ前記フレームに固定されるように構成される、請求項32に記載のレンズ。
【請求項61】
請求項32に記載のレンズ及びフレームを含むアイウェア。
【請求項62】
前記フレームは、眼鏡又はゴーグルフレームを含む、請求項61に記載のアイウェア。
【請求項63】
請求項32に記載のレンズを含む保護用ヘッドギア。
【請求項64】
前記レンズ本体は、追加的構造の形状に適合し、且つ前記追加的構造に固定されるように構成され、及び
前記追加的構造は、前記保護用ヘッドギアに固定されるように構成される、請求項62に記載の保護用ヘッドギア。
【請求項65】
前記後面は、変曲領域をさらに含み、及び前記変曲領域におけるプリズム屈折力は、前記変曲領域に隣接する領域におけるプリズム屈折力と実質的に同様である、請求項32に記載のレンズ。
【請求項66】
レンズであって、非矯正用アイウェア又はヘッドギアにおいて、典型的な装用者の片眼の中心軸を形成する前方直視線の経路内で前記レンズを支持するためのフレームと組み合わせて使用するためのレンズであって、
レンズ本体であって、
球面、トーリック、円柱又はフリーフォーム形状を有する前面と、
フリーフォーム形状を有する後面と
を含むレンズ本体
を含み、
前記前面の前記球面、トーリック、円柱又はフリーフォーム形状は、約8.75カーブ以上の水平ベースカーブを有し、
レンズ厚さは、前記前面と前記後面との間で画定され、
視軸は、前記片眼及び前記中心軸から、前記後面の水平経線に沿って測定される、前記典型的な装用者の鼻から離れる前記中心軸からの角度で延び、
前記後面の前記水平経線に沿った各点は、前記視軸が、前記後面の前記水平経線に沿った前記各点と交差する位置での前記視軸の角度に関連付けられ、及び
前記レンズのプリズム屈折力は、約30度以下の前記視軸の角度に関連付けられる、前記後面の前記水平経線に沿った点全体を通して約0.62ディオプトリ以下である、レンズ。
【請求項67】
前記レンズ本体上の何れの点における前記レンズ厚さも約2mm以下且つ約1mm以上である、請求項66に記載のレンズ。
【請求項68】
前記レンズ本体上の何れの点における前記レンズ厚さも約1.7mm以下且つ約1.2mm以上である、請求項66に記載のレンズ。
【請求項69】
前記レンズの前記プリズム屈折力は、約40度以下の前記視軸の角度に関連付けられる、前記後面の前記水平経線に沿った点全体を通して約0.82ディオプトリ以下である、請求項66に記載のレンズ。
【請求項70】
前記レンズの前記プリズム屈折力は、約50度以下の前記視軸の角度に関連付けられる、前記後面の前記水平経線に沿った点全体を通して約0.9ディオプトリ以下である、請求項66に記載のレンズ。
【請求項71】
前記レンズの前記プリズム屈折力は、約80度以下の前記視軸の角度に関連付けられる、前記後面の前記水平経線に沿った点全体を通して約1.56ディオプトリ以下である、請求項66に記載のレンズ。
【請求項72】
前記レンズの前記プリズム屈折力は、約30度以下の前記視軸の角度に関連付けられる、前記後面の前記水平経線に沿った点全体を通して、前記視軸の増大する角度の1度あたり約0.019ディオプトリ以下の平均レートで増大する、請求項66に記載のレンズ。
【請求項73】
前記レンズの前記プリズム屈折力は、約30度~約40度の前記視軸の角度に関連付けられる、前記後面の前記水平経線に沿った点全体を通して、前記視軸の増大する角度の1度あたり約0.019ディオプトリ以下の平均レートで増大する、請求項66に記載のレンズ。
【請求項74】
前記レンズの前記プリズム屈折力は、約40度~約50度の前記視軸の角度に関連付けられる、前記後面の前記水平経線に沿った点全体を通して、前記視軸の増大する角度の1度あたり約0.019ディオプトリ以下の平均レートで増大する、請求項66に記載のレンズ。
【請求項75】
前記レンズの前記プリズム屈折力は、約50度~約80度の前記視軸の角度に関連付けられる、前記後面の前記水平経線に沿った点全体を通して、前記視軸の増大する角度の1度あたり約0.019ディオプトリ以下の平均レートで増大する、請求項66に記載のレンズ。
【請求項76】
前記レンズの前記プリズム屈折力は、約30度以下の前記視軸の角度に関連付けられる、前記後面の前記水平経線に沿った点全体を通して、前記視軸の増大する角度の1度あた
り約0.015ディオプトリ以下の平均レートで増大する、請求項66に記載のレンズ。
【請求項77】
前記レンズの前記プリズム屈折力は、約30度~約40度の前記視軸の角度に関連付けられる、前記後面の前記水平経線に沿った点全体を通して、前記視軸の増大する角度の1度あたり約0.015ディオプトリ以下の平均レートで増大する、請求項66に記載のレンズ。
【請求項78】
前記レンズの前記プリズム屈折力は、約40度~約50度の前記視軸の角度に関連付けられる、前記後面の前記水平経線に沿った点全体を通して、前記視軸の増大する角度の1度あたり約0.015ディオプトリ以下の平均レートで増大する、請求項66に記載のレンズ。
【請求項79】
前記レンズの前記プリズム屈折力は、約50度~約80度の前記視軸の角度に関連付けられる、前記後面の前記水平経線に沿った点全体を通して、前記視軸の増大する角度の1度あたり約0.015ディオプトリ以下の平均レートで増大する、請求項66に記載のレンズ。
【請求項80】
前記レンズの前記プリズム屈折力は、約30度以下の前記視軸の角度に関連付けられる、前記後面の前記水平経線に沿った点全体を通して、前記視軸の増大する角度の1度あたり約0.011ディオプトリ以下の平均レートで増大する、請求項66に記載のレンズ。
【請求項81】
前記レンズの前記プリズム屈折力は、約30度~約40度の前記視軸の角度に関連付けられる、前記後面の前記水平経線に沿った点全体を通して、前記視軸の増大する角度の1度あたり約0.011ディオプトリ以下の平均レートで増大する、請求項66に記載のレンズ。
【請求項82】
前記レンズの前記プリズム屈折力は、約40度~約50度の前記視軸の角度に関連付けられる、前記後面の前記水平経線に沿った点全体を通して、前記視軸の増大する角度の1度あたり約0.011ディオプトリ以下の平均レートで増大する、請求項66に記載のレンズ。
【請求項83】
前記レンズの前記プリズム屈折力は、約50度~約80度の前記視軸の角度に関連付けられる、前記後面の前記水平経線に沿った点全体を通して、前記視軸の増大する角度の1度あたり約0.011ディオプトリ以下の平均レートで増大する、請求項66に記載のレンズ。
【請求項84】
前記レンズの前記プリズム屈折力は、約30度以下の前記視軸の角度に関連付けられる、前記後面の前記水平経線に沿った点全体を通して、前記視軸の増大する角度の1度あたり約0.008ディオプトリ以下の平均レートで増大する、請求項66に記載のレンズ。
【請求項85】
前記レンズの前記プリズム屈折力は、約30度~約40度の前記視軸の角度に関連付けられる、前記後面の前記水平経線に沿った点全体を通して、前記視軸の増大する角度の1度あたり約0.008ディオプトリ以下の平均レートで増大する、請求項66に記載のレンズ。
【請求項86】
前記レンズの前記プリズム屈折力は、約40度~約50度の前記視軸の角度に関連付けられる、前記後面の前記水平経線に沿った点全体を通して、前記視軸の増大する角度の1度あたり約0.008ディオプトリ以下の平均レートで増大する、請求項66に記載のレンズ。
【請求項87】
前記レンズの前記プリズム屈折力は、約50度~約80度の前記視軸の角度に関連付けられる、前記後面の前記水平経線に沿った点全体を通して、前記視軸の増大する角度の1度あたり約0.008ディオプトリ以下の平均レートで増大する、請求項66に記載のレンズ。
【請求項88】
前記レンズの前記プリズム屈折力は、約30度以下の前記視軸の角度に関連付けられる、前記後面の前記水平経線に沿った点全体を通して、前記視軸の増大する角度の1度あたり約0.004ディオプトリ以下の平均レートで増大する、請求項66に記載のレンズ。
【請求項89】
前記レンズの前記プリズム屈折力は、約30度~約40度の前記視軸の角度に関連付けられる、前記後面の前記水平経線に沿った点全体を通して、前記視軸の増大する角度の1度あたり約0.004ディオプトリ以下の平均レートで増大する、請求項66に記載のレンズ。
【請求項90】
前記レンズの前記プリズム屈折力は、約40度~約50度の前記視軸の角度に関連付けられる、前記後面の前記水平経線に沿った点全体を通して、前記視軸の増大する角度の1度あたり約0.004ディオプトリ以下の平均レートで増大する、請求項66に記載のレンズ。
【請求項91】
前記レンズの前記プリズム屈折力は、約50度~約80度の前記視軸の角度に関連付けられる、前記後面の前記水平経線に沿った点全体を通して、前記視軸の増大する角度の1度あたり約0.004ディオプトリ以下の平均レートで増大する、請求項66に記載のレンズ。
【請求項92】
装用時の前記レンズの、ディオプトリを単位とする前記プリズム屈折力Pは、約30度~約50度の、度を単位とする前記視軸の角度θに関連付けられる、前記後面の前記水平経線に沿った点全体を通して、関係
【数13】
を満たす、請求項66に記載のレンズ。
【請求項93】
装用時の前記レンズの、ディオプトリを単位とする前記プリズム屈折力Pは、約50度~約90度の、度を単位とする前記視軸の角度θに関連付けられる、前記後面の前記水平経線に沿った点全体を通して、関係
【数14】
を満たす、請求項66に記載のレンズ。
【請求項94】
装用時の前記レンズの、ディオプトリを単位とする前記プリズム屈折力Pは、約30度~約50度の、度を単位とする前記視軸の角度θに関連付けられる、前記後面の前記水平経線に沿った点全体を通して、関係
【数15】
を満たす、請求項66に記載のレンズ。
【請求項95】
装用時の前記レンズの、ディオプトリを単位とする前記プリズム屈折力Pは、約50度~約90度の、度を単位とする前記視軸の角度θに関連付けられる、前記後面の前記水平経線に沿った点全体を通して、関係
【数16】
を満たす、請求項66に記載のレンズ。
【請求項96】
装用時の前記レンズの、ディオプトリを単位とする前記プリズム屈折力Pは、約30度~約50度の、度を単位とする前記視軸の角度θに関連付けられる、前記後面の前記水平経線に沿った点全体を通して、関係
【数17】
を満たす、請求項66に記載のレンズ。
【請求項97】
装用時の前記レンズの、ディオプトリを単位とする前記プリズム屈折力Pは、約50度~約90度の、度を単位とする前記視軸の角度θに関連付けられる、前記後面の前記水平経線に沿った点全体を通して、関係
【数18】
を満たす、請求項66に記載のレンズ。
【請求項98】
装用時の前記レンズの、ディオプトリを単位とする前記プリズム屈折力Pは、約30度~約50度の、度を単位とする前記視軸の角度θに関連付けられる、前記後面の前記水平経線に沿った点全体を通して、関係
【数19】
を満たす、請求項66に記載のレンズ。
【請求項99】
装用時の前記レンズの、ディオプトリを単位とする前記プリズム屈折力Pは、約50度~約90度の、度を単位とする前記視軸の角度θに関連付けられる、前記後面の前記水平経線に沿った点全体を通して、関係
【数20】
を満たす、請求項66に記載のレンズ。
【請求項100】
装用時の前記レンズの、ディオプトリを単位とする前記プリズム屈折力Pは、約30度~約50度の、度を単位とする前記視軸の角度θに関連付けられる、前記後面の前記水平経線に沿った点全体を通して、関係
【数21】
を満たす、請求項66に記載のレンズ。
【請求項101】
装用時の前記レンズの、ディオプトリを単位とする前記プリズム屈折力Pは、約50度~約90度の、度を単位とする前記視軸の角度θに関連付けられる、前記後面の前記水平経線に沿った点全体を通して、関係
【数22】
を満たす、請求項66に記載のレンズ。
【請求項102】
デュアルレンズアイウェアの2つのレンズの一方である、請求項66に記載のレンズ。
【請求項103】
前記レンズは、シングルレンズであり、
前記視軸は、第一の視軸であり、
前記眼は、第一の眼であり、
前記シングルレンズは、前記典型的な装用者の第二の眼の中心軸を形成する前方直視線の経路内で支持されるように構成され、
第二の視軸は、前記第二の眼及び前記第二の眼の前記中心軸から、前記後面の前記水平経線に沿って測定される、前記典型的な装用者の鼻から前記第一の視軸の方向と反対の方向に離れる前記第二の眼の前記中心軸からの角度で延び、
前記後面の前記水平経線に沿った第二の点集合の各点は、前記第二の視軸が前記第二の点集合の前記各点と交差する位置での前記第二の視軸の角度に関連付けられ、及び
前記レンズの前記プリズム屈折力は、約30度以下の前記第二の視軸の角度に関連付けられる、前記第二の点集合の点全体を通して約0.62ディオプトリ以下である、請求項66に記載のレンズ。
【請求項104】
前記レンズ本体は、前記フレームの形状に適合し、且つ前記フレームに固定されるように構成される、請求項66に記載のレンズ。
【請求項105】
請求項66に記載のレンズ及びフレームを含むアイウェア。
【請求項106】
前記フレームは、眼鏡又はゴーグルフレームを含む、請求項105に記載のアイウェア。
【請求項107】
請求項66に記載のレンズを含む保護用ヘッドギア。
【請求項108】
前記レンズ本体は、追加的構造の形状に適合し、且つ前記追加的構造に固定されるように構成され、及び
前記追加的構造は、前記保護用ヘッドギアに固定されるように構成される、請求項107に記載の保護用ヘッドギア。
【請求項109】
前記後面は、変曲領域をさらに含み、及び前記変曲領域におけるプリズム屈折力は、前記変曲領域に隣接する領域におけるプリズム屈折力と実質的に同様である、請求項66に記載のレンズ。
【請求項110】
レンズであって、非矯正用アイウェア又はヘッドギアにおいて、典型的な装用者の片眼の中心軸を形成する前方直視線の経路内で前記レンズを支持するためのフレームと組み合わせて使用するためのレンズであって、
レンズ本体であって、
トーリック及びフリーフォーム形状の一方を有する前面と、
前記トーリック及びフリーフォーム形状の他方を有する後面と
を含むレンズ本体
を含み、
視軸は、前記片眼及び前記中心軸から、前記後面の水平経線に沿って測定される、前記典型的な装用者の鼻から離れる前記中心軸からの角度で延び、
前記後面の前記水平経線に沿った各点は、前記視軸が、前記後面の前記水平経線に沿った前記各点と交差する位置での前記視軸の角度に関連付けられ、及び
前記レンズのプリズム屈折力は、約30度以下の前記視軸の角度に関連付けられる、前記後面の前記水平経線に沿った点全体を通して約0.44ディオプトリ以下である、レンズ。
【請求項111】
前記レンズの前記プリズム屈折力は、約40度以下の前記視軸の角度に関連付けられる、前記後面の前記水平経線に沿った点全体を通して約0.64ディオプトリ以下である、請求項110に記載のレンズ。
【請求項112】
前記レンズの前記プリズム屈折力は、約50度以下の前記視軸の角度に関連付けられる、前記後面の前記水平経線に沿った点全体を通して約0.89ディオプトリ以下である、請求項110に記載のレンズ。
【請求項113】
前記レンズの最大及び最小プリズム屈折力間の差は、約30度~約40度の前記視軸の角度に関連付けられる、前記後面の前記水平経線に沿った点の範囲全体を通して約0.18ディオプトリ以下である、請求項110に記載のレンズ。
【請求項114】
前記レンズの最大及び最小プリズム屈折力間の差は、約30度~約50度の前記視軸の角度に関連付けられる、前記後面の前記水平経線に沿った点の範囲全体を通して約0.43ディオプトリ以下である、請求項110に記載のレンズ。
【請求項115】
レンズであって、非矯正用アイウェア又はヘッドギアにおいて、典型的な装用者の片眼の中心軸を形成する前方直視線の経路内で前記レンズを支持するためのフレームと組み合わせて使用するためのレンズであって、
球面、トーリック、円柱又はフリーフォーム形状を有する前面と、
フリーフォーム形状を有する後面と
を含み、
前記前面の前記球面、トーリック、円柱又はフリーフォーム形状は、約6カーブ以上の水平ベースカーブを有し、
視軸は、前記片眼及び前記中心軸から、前記後面の水平経線に沿って測定される、前記典型的な装用者の鼻から離れる前記中心軸からの角度で延び、
前記後面の前記水平経線に沿った各点は、前記視軸が、前記後面の前記水平経線に沿った前記各点と交差する位置での前記視軸の角度に関連付けられ、及び
前記レンズの最大及び最小プリズム屈折力間の差は、約30度~約40度の前記視軸の角度に関連付けられる、前記後面の前記水平経線に沿った点の範囲全体を通して約0.18ディオプトリ以下である、レンズ。
【請求項116】
前記前面は、トーリック形状を有し、且つ約6カーブの水平ベースカーブを有し、及び前記レンズの最大及び最小プリズム屈折力間の差は、約40度以下の前記視軸の角度に関連付けられる、前記後面の前記水平経線に沿った点の範囲全体を通して約0.60ディオプトリ以下である、請求項115に記載のレンズ。
【請求項117】
前記前面の前記球面、トーリック、円柱又はフリーフォーム形状は、約8.75カーブの水平ベースカーブを有し、及び
前記レンズの最大及び最小プリズム屈折力間の差は、約40度以下の前記視軸の角度に関連付けられる、前記後面の前記水平経線に沿った点の範囲全体を通して約0.70ディオプトリ以下である、請求項115に記載のレンズ。
【請求項118】
前記レンズの最大及び最小プリズム屈折力間の差は、約30度~約50度の前記視軸の角度に関連付けられる、前記後面の前記水平経線に沿った点の範囲全体を通して約0.40ディオプトリ以下である、請求項115に記載のレンズ。
【請求項119】
前記前面の前記球面、トーリック、円柱又はフリーフォーム形状は、約6カーブの水平ベースカーブを有する、請求項118に記載のレンズ。
【請求項120】
前記前面は、トーリック形状を有する、請求項119に記載のレンズ。
【請求項121】
前記レンズは、シングルレンズであり、
前記視軸は、第一の視軸であり、
前記眼は、第一の眼であり、
前記シングルレンズは、前記典型的な装用者の第二の眼の中心軸を形成する前方直視線の経路内で支持されるように構成され、
第二の視軸は、前記第二の眼及び前記第二の眼の前記中心軸から、前記後面の前記水平経線に沿って測定される、前記典型的な装用者の鼻から前記第一の視軸の方向と反対の方向に離れる前記第二の眼の前記中心軸からの角度で延び、
前記後面の前記水平経線に沿った第二の点集合の各点は、前記第二の視軸が前記第二の点集合の前記各点と交差する位置での前記第二の視軸の角度に関連付けられ、及び
前記レンズの前記プリズム屈折力は、約30度以下の前記第二の視軸の角度に関連付けられる、前記第二の点集合の点全体を通して約0.44ディオプトリ以下である、請求項120に記載のレンズ。
【請求項122】
前記後面は、変曲領域をさらに含み、及び前記変曲領域におけるプリズム屈折力は、前記変曲領域に隣接する領域におけるプリズム屈折力と実質的に同様である、請求項121に記載のレンズ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、概して、アイウェアのためのレンズに関し、より詳細には、ときにプリズム効果、屈折力、収差又は歪曲とも呼ばれるプリズムシフトの軽減、最小化又は除去をもたらす向上された軸外光学性能を有する、独特に構成されたレンズに関する。このようなレンズは、例えば、激しいスポーツにおいて又はファッションサングラスとして使用され得る。これらのアイウェア設計の実施形態は、様々な機能上の利点、例えば従来のアイウェアと比較して周辺光の遮断を最大化すること、光学的歪曲を軽減すること及び装用者の快適さレベルを増大させることを実現する。
【背景技術】
【0002】
シングルレンズ系では、側方から側方までの全視野範囲及び良好な眼部側方保護が提供されるが、現在の従来技術は、依然として光学歪曲の問題に取り組んでいる。シングルレンズ系において、例えば、装用者の眼から後方レンズ表面へのある線の入射角は、装用者の視線が、前方直視線に対する何れかの角度まで、本明細書で「軸外」方向と呼ばれる方向に移動すると変化する。軸外方向は、例えば、横方向、垂直方向又はそれらの組合せであり得る。その結果、レンズの前方により近い位置に入射する光と、レンズの軸外部分で入射する周辺光との間で屈折が異なることになる。米国特許第4,859,048号明細書の開示は、この場合、レンズ厚さを中間部分から側方縁に向かって薄くすることにより、プリズム歪曲のこの原因に対処しようとする試みの例である。他の例は、米国特許第5,969,789号明細書である。
【0003】
各レンズの側方縁が前方平面から後方に装用者の頭部の側面に沿って湾曲し、ハイカーブシングルレンズ系により実現されるものと同様の側方の包み込みを提供するデュアルレンズ系が開発された。大きく包み込むデュアルレンズ眼鏡は、眼部側方をある程度保護するものの、レンズの曲率により、一般に装用者の視野の角度範囲を通した測定可能なプリズム歪曲収差がもたらされる。これは、特に、高屈折率材料を含むレンズにおいて顕著である。加えて、低プロファイルを保ちながら包み込みを最適化するために、高いベースカーブ曲率(例えば、6カーブ以上)がときに望ましいが、このようなレンズは、旋削加工表面形状を利用しており、軸外視角での比較的高いレベルのプリズム歪曲収差により、これまで光学的に最適でなかった。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
ある実施形態において、レンズであって、非矯正用デュアルレンズアイウェア又はヘッドギアにおいて、典型的な装用者の片眼の中心軸を形成する前方直視線の経路内でレンズを支持するためのフレームと組み合わせて使用するためのレンズは、レンズ本体を含む。ある実施形態において、レンズ本体は、球面、トーリック、円柱又はフリーフォーム形状を有する前面を含む。ある実施形態において、レンズ本体は、フリーフォーム形状を有する後面を含む。ある実施形態において、レンズ厚さは、前面と後面との間で画定される。ある実施形態において、視軸は、片眼及び中心軸から、後面の水平経線に沿って測定される、典型的な装用者の鼻から離れる中心軸からの角度で延びる。ある実施形態において、後面の水平経線に沿った各点は、視軸が、後面の水平経線に沿った各点と交差する位置での視軸の角度に関連付けられる。ある実施形態において、レンズのプリズム屈折力は、約30度以下の視軸の角度に関連付けられる、後面の水平経線に沿った点全体を通して約0.25ディオプトリ以下である。
【0005】
ある実施形態において、レンズであって、非矯正用アイウェア又はヘッドギアにおいて、それぞれ典型的な使用者の左眼の左中心軸及び右眼の右中心軸を形成する左右の正面直視線の経路内でレンズを支持するためのフレームと組み合わせて使用するためのシングルレンズは、レンズ本体を含む。ある実施形態において、レンズ本体は、球面、トーリック、円柱又はフリーフォーム形状を有する前面を含む。ある実施形態において、レンズ本体は、フリーフォーム形状を有する後面を含む。ある実施形態において、レンズ厚さは、前面と後面との間で画定される。ある実施形態において、左視軸は、左眼及び左中心軸から、後面の水平経線に沿って測定される、典型的な装用者の鼻から離れる、左中心軸に対する角度で延びる。ある実施形態において、後面の水平経線に沿った第一の点の各々は、左視角が、後面の水平経線に沿った第一の点の各々と交差する位置での左視軸の角度に関連付けられる。ある実施形態において、シングルレンズのプリズム屈折力は、約30度以下の左視軸の角度に関連付けられる、後面の水平経線に沿った第一の点全体を通して約0.23ディオプトリ以下である。
【0006】
ある実施形態において、非矯正用アイウェア又はヘッドギアのためのレンズを設計する方法は、レンズの初期前面の点メッシュを生成するステップを含む。ある実施形態において、方法は、初期前面に基づいて、レンズのフリーフォーム後面の点メッシュを生成するステップを含む。ある実施形態において、フリーフォーム後面の点メッシュの点は、初期前面の点メッシュの点に対応する。ある実施形態において、方法は、典型的な装用者の眼に対するレンズの装用位置に基づいて、レンズに対する前方視軸を特定するステップを含む。ある実施形態において、方法は、初期前面上のシード点を特定するステップを含む。ある実施形態において、シード点は、その後の反復計算のための出発基準である。ある実施形態において、方法は、シード点における初期厚さを割り当てるステップを含む。ある実施形態において、方法は、フリーフォーム後面上の、シード点に対応する第一の点の面法線を計算するステップを含む。ある実施形態において、方法は、初期厚さと、面法線からフリーフォーム後面への、シード点と交差する光線の屈折に従って、フリーフォーム後面上に第一の点を設置するステップを含む。ある実施形態において、方法は、初期前面の点メッシュにおける、シード点に隣接する点に対応する、フリーフォーム後面上の第一の点に隣接する点における面法線を計算するステップを含む。ある実施形態において、方法は、シード点に隣接する点の厚さを、最適化アルゴリズムを使用して計算するステップを含む。ある実施形態において、最適化アルゴリズムは、フリーフォーム後面上の第一の点に隣接する点における計算された面法線に基づく光線の屈折の計算を含む。ある実施形態において、方法は、シード点に隣接する点の計算された厚さに従って、フリーフォーム後面上において、第一の点に隣接する点を設置するステップを含む。ある実施形態において、方法は、設置された点に隣接する点の面法線及び厚さの反復計算により、フリーフォーム後面上に追加的な点を設置するステップを含む。
【0007】
本発明の実施形態によるレンズを設計する方法も開示される。
【0008】
本発明の他の特徴及び利点は、後述の好ましい実施形態の詳細の説明から、付属の特許請求の範囲及び図面と共に検討されることで明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】例示的な実施形態によるプリズム屈折力測定装置の概略図である。
【
図2】例示的な実施形態によるプリズム屈折力測定装置で使用されるターゲットの概略図である。
【
図3】例示的な実施形態による、アイウェアのためのフリーフォーム面を有するレンズを設計するための一般的手順のフロー図である。
【
図4】例示的な実施形態による、アイウェアのためのレンズのフリーフォーム後面設計を生成するためのフロー図である。
【
図5】例示的な実施形態による、デュアルレンズアイウェアのためのレンズの上面概略図である。
【
図6】例示的な実施形態による、アイウェアのためのシングルレンズの上面概略図である。
【
図7】従来レンズ及びその従来レンズの例示的なフリーフォーム再設計版のプリズム屈折力データのグラフプロットである。
【
図8】従来レンズ及びその従来レンズの例示的なフリーフォーム再設計版のプリズム屈折力データのグラフプロットである。
【
図9】従来レンズ及びその従来レンズの例示的なフリーフォーム再設計版のプリズム屈折力データのグラフプロットである。
【
図10】従来レンズと比較したビジョンシールドのプリズム屈折力データのグラフプロットである。
【
図11】例示的な実施形態による、保護ヘッドギアに取り付けられた例示的なレンズの図である。
【
図12】例示的な実施形態による、デュアルレンズアイウェアのためのレンズの平面概略図である。
【
図13】例示的な実施形態による、アイウェアのためのシングルレンズの平面概略図である。
【
図14】例示的な実施形態による曲面の断面概略図である。
【
図15】例示的な実施形態によるシングルレンズの上面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下では、好ましい実施形態が前及び/又は後面のための「フリーフォーム」形状(例えば、球面、トーリック、平面又は円柱以外の形状)を有するレンズに関して論じられるが、本発明は、フリーフォーム面と旋削加工面との組合せを有するレンズにも応用され得ることを理解されたい。加えて、本開示の実施形態は、本明細書で例示されるものだけでなく、装用位置における多くの正面形状及び向きのレンズにも利用できることを理解されたい。さらに、「実角度光学効果」という用語は、標準的な旋削加工面レンズと比較して、装用者の視点からの光学的歪曲収差を最小化する軸外光線に対する補正を指す。
【0011】
記載されている実施形態及び本明細書中の「1つの実施形態」、「ある実施形態」、「好ましい実施形態」等への言及は、記載されている実施形態が特定の特徴、構造又は特性を含み得ることを示すが、個々の実施形態の全てが必ずしもその特定の特徴、構造又は特性を含むとは限らない。さらに、このような語句は、必ずしも同じ実施形態を指しているとは限らない。さらに、特定の特徴、構造又は特性がある実施形態に関連して記載されている場合、かかる特徴、構造又は特性を、明確に記載されているか否かを問わず、他の実施形態に関して実現することは、当業者の知識内であることが理解される。
【0012】
「レンズ」という用語は、本明細書で使用される限り、光学的構成要素を広く指すために使用される。例えば、眼鏡/サングラスレンズ、ビジョンシールド、バイザ等が「レンズ」又は「アイウェアのためのレンズ」という用語に含まれる。「非矯正用」という用語は、本明細書で使用される限り、処方レンズについて知られる光学的パワーがないことを示す。
【0013】
「下」、「下方」、「下部」、「上方」、「上」、「上部」等の空間的に相対的な用語は、本明細書において、図に示されている1つの要素又は特徴の他の要素又は特徴に対する関係を説明する際に説明しやすさのために使用される。空間的に相対的な用語は、図中に描かれている方位に加えて又はその代わりに、装置の異なる方位も包含するものとする。例えば、装置は、他の方位であり得、本明細書で使用される空間的に相対的な用語も同様に相応に解釈され得る。
【0014】
「およそ」、「約」等の用語は、本明細書において使用される限り、ある数量の値であって、特定の方式に基づいて異なり得る値を示す。その特定の方式に基づいて、「およそ」等の用語は、ある数量の値であって、例えばその値の0~10%以内(例えば、その値の±0.5%、±5%又は±10%)で異なる値を示し得る。
【0015】
「典型的な装用者」、「典型的な使用者」等の用語は、本明細書で使用される限り、平均的使用者全般、人口統計学に基づく平均的使用者又は標準若しくは周知の人体測定データベースに適合する身体的寸法を有する使用者を指し得る。例えば、典型的なアイウェア装用者は、欧州標準(EN)、米国国家規格協会(ANSI)又は人体測定調査に適合する身体的寸法を有する人であり得る。
【0016】
加えて、特定の実施形態は、特定のタイプのアイウェア、例えばシングルレンズ眼鏡、デュアルレンズ眼鏡、リムが一部であるか、全体的であるか若しくは全くない眼鏡、ゴーグル、サングラス、つるのあるアイウェア、つるが一部のみのアイウェア、つるなしのアイウェア等に関して開示されるか又は示され得るが、本開示の実施形態は、何れの種類の頭部装着型支持手段でも使用され得ることを理解されたい。例えば、レンズの実施形態は、ヘッドギア製品、例えば自転車用、スケートボード用、雪用、飛行用、スポーツ用又は他の種類のビジョンシールド付きヘルメット、バイザ、帽子、ヘッドバンド、フェイスマスク、バラクラバ、ブリーチングシールド等、装用者の視野内で1つ又は複数のレンズを支持し得るあらゆる頭部装着型製品に統合されるか又は取り付けられ得る。幾つかの実施形態において、レンズは、頭部装着型製品から取り外し可能であり得、それにより頭部装着製品に損傷を与えることなくレンズを外すか又は交換することができる。
【0017】
本開示の幾つかの方法及びシステムの実施形態は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア又はそれらの何れかの組合せで実装され得る。本開示の実施形態は、1つ又は複数のプロセッサによって読み出され、実行され得る機械可読媒体上に保存された命令としても実装され得る。機械可読媒体としては、機械(例えば、コンピューティングデバイス)により読取り可能な形態の情報を保存又は伝送するための何れのメカニズムも含まれ得る。例えば、機械可読媒体としては、リードオンリメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気ディスク記憶媒体、光記憶媒体、フラッシュメモリデバイス、電気、光、音響又は他の形態の伝搬信号(例えば、搬送波、赤外線信号、デジタル信号など)等が含まれ得る。さらに、ファームウェア、ソフトウェア、ルーチン及び/又は命令は、本明細書中で特定の動作を実行することとして説明され得る。しかしながら、このような説明は、便宜上のものにすぎず、このような動作は、実際には、コンピューティングデバイス、プロセッサ、コントローラ又は他のデバイスがファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、命令等を実行した結果である。
【0018】
アイウェアレンズの数々の改良にかかわらず、卓越した光学品質を有し、光学的歪曲収差を軽減させ、同時に適切な換気、装用者にとっての最大の快適さ及び安全性並びに/又は特定のヘッドギアへの取付けを実現できる構成を提供するレンズが依然として求められている。さらに、基本的に視野の全角度範囲にわたって光を遮断でき、同時にその範囲全体を通して光学的歪曲収差を最小化できる、アイウェアで使用するためのレンズが求められている。
【0019】
しかしながら、このような実施形態をより詳細に説明する前に、本開示が特徴付けられ、実施され得る実施形態における例示的なメトリクスを提示することが有益である。
【0020】
例示的な光学的性能の測定
図1は、例示的なプリズム屈折力測定装置100の概略図である。ある実施形態におい
て、プリズム屈折力測定装置100は、サンプル取付け台102と、コリメート放射ビーム106を出力するように構成されたコリメート放射源104(例えば、レーザ)とを含む。ある実施形態において、サンプル取付け台102は、試験対象物(DUT)108(例えば、レンズ、アイウェア又はバイザ)を支持するように構成される。ある実施形態において、サンプル取付け台102は、調節可能に構成され、調節は、水平軸114、垂直軸112及び前方直視線軸110に沿った又はそれに平行な移動並びに水平軸110、垂直軸112及び前方直視線軸114の周囲の又はそれに対する回転を含む。ある実施形態において、コリメート放射源104は、サンプル取付け台102から構造的に独立しており、それにより、コリメート放射源104は、サンプル取付け台102の調節中に静止したままである。水平軸114及び垂直軸112は、それぞれDUT 108を装用する可能性のある使用者の体を通る正中線に対して垂直及び平行であり、水平軸114及び垂直軸112は、何れも前方直視線軸110に対して垂直であることを理解されたい。また、DUT 108は、レンズの場合、装用者が装用したとき、使用者に面する、一般的に後面と呼ばれる面と、使用者と反対に面する、一般的に前面と呼ばれる面とを有することを理解されたい。
【0021】
ある実施形態において、測定装置100は、測定ターゲット116を含む。測定ターゲット116は、DUT 108の異なる位置及び回転についてDUT 108を通して送信されるコリメートビーム106の偏向を測定することにより、DUT 108のプリズム屈折力を定量化するように構成された同心円マーカ(図示せず)を含む。この実施形態において、測定ターゲット116は、コリメート放射源104に対して固定された位置及び方位を有するように構成される。DUT 108を通して送信されたコリメートビーム106の偏向の測定は、DUT 108のないゼロ偏向状態に関して行われる。
【0022】
図2は、例示的な実施形態による、プリズム屈折力測定装置で使用されるターゲット200の概略図である。ある実施形態において、ターゲット200は、異なる半径を有する同心円マーカ202を含む。ある実施形態において、ターゲット200は、水平軸マーカ204及び垂直軸マーカ204を含み、これらは、同心円マーカ202の中心で交差する。
【0023】
プリズム屈折力(像の変位の原因となる、レンズにより誘導される屈折力)の測定値は、測定値を裏付け、且つ/又は新しいレンズの設計をテストしてから生産を開始するためにコンピュータシミュレーションを通しても計算され得る。他の物理的試験方法、例えばANSI認証試験方法等が使用され得る。
【0024】
下表は、本開示の実施形態に関して説明されている「実角度光学系」形状を有する本発明のレンズと比較した、様々なベースカーブを有する様々な従来レンズの実測及びシミュレーションによるプリズム屈折力を示す。本明細書に記載の従来レンズとしては、幾つかの例において、前方視についてのみ補正され得る従来レンズが含まれる。測定及びシミュレーションは、典型的な使用者の眼に向かって方向付けられ、レンズを通過した光線のずれを定量化する。例えば、表1は、例示的な従来レンズ1(デュアルレンズアイウェアのための4カーブレンズ)について行われ、従来レンズ1により誘導される像の変位を定量化する実測値を示す。「視軸角」と表示されたデータコラムは、水平側方周辺(水平)及び上側周辺(垂直)に向かう、前方直視線に関して測定される軸外視線方向であり、単位は、度である。水平視軸角について、プラスの角度は、測定中の眼に最も近い使用者のこめかみに向かう、例えば右眼が右側のこめかみに向けられるか、左眼が左側のこめかみに向けられるときの視線方向を示す。反対に、マイナスの水平視軸角は、使用者の鼻に向けられる眼の視線方向を示す。本明細書に記載の測定及びシミュレーションは、使用者の右目の視点から行われる。当業者であれば、左眼の測定及びシミューションでは、実質的に対称の顔面構造を有する典型的使用者の場合、実質的に同じであり且つ反転された結果が
得られることがわかるであろう。本明細書中の全ての表中の視軸角は、レンズによって異なるレンズの実視野内にある。例えば、従来レンズ1~4は、測定/シミュレーション中の眼に最も近いこめかみに向かって、レンズを支持するフレームによって視界が遮られるまで、最大約40~55度の可視範囲を有し、ビジョンシールドによれば約105度の眼の周辺限界までの水平視が可能となり得るが、ここでは約90度まで測定した。使用者の鼻に向かう視軸角度(マイナスの角度)の定量化、例えばレンズ2では、使用者の鼻による遮蔽は、考慮されていないが、当業者であれば、使用者の鼻に向かう可視範囲は、レンズを支持するフレームより、鼻による遮蔽によって限定される可能性が高いことがわかるであろう。プリズム屈折力を補正するための、本開示の実施形態で説明されている実角度光学系方式は、同様に又は代わりに、レンズの上下周辺に向かう視角又は何れの軸外角度(例えば、前方直視線に対するゼロ以外の角度の水平及び垂直視角のあらゆる組合せ、すなわちX及びY変位のあらゆる組合せ)にも適用され得ることを理解されたい。表1は、ディオプトリの単位で測定された例示的な従来レンズ1のプリズム屈折力を示し、従来レンズ1により生じる像の水平及び垂直変位は、それぞれプリズム屈折力X及びYとして定量化され、値は、0に近いほど好ましい。従来レンズ1の全体的プリズム屈折力Rは、
【数1】
として計算される。表1は、プリズム屈折力に代わるメトリクスも示し、これは、レンズにより生じる入射光線の角変位の水平成分θ
X及びレンズにより生じる入射光線の角変位の垂直成分θ
Yである。両方とも単位が度であり、値は、0に近いほど好ましい。表1は、レンズにより生じる像の変位を定量化するための第三の代替的メトリクスを示し、これは、装用者から約100ヤード離して置かれた物体の見かけ上の水平変位D
X及び装用者から約100ヤード離して置かれた物体の見かけ上の垂直変位D
Yであり、値は、0に近いほど好ましい。装用者から約100ヤード離して置かれた物体の全体的な見かけ上の変位D
Rは、
【数2】
として計算される。
【0025】
本開示の全てのデータ表は、表1において利用された導出データのための組織的なスキーム、ラベル及び計算を使用する。
【0026】
表2では、表1の原形の従来レンズの測定結果と比較するために、後面において本開示の実施形態を採用した再設計従来レンズ1のシミュレーションが提供される。表2の結果は、レンズの後面に本開示の実角度光学系方式を適用したときの、シミュレーションによる光学性能の顕著な改善(例えば、全体的なプリズム屈折力の減少)を示す。全体的なプリズム屈折力の0.61から0.36ディオプトリへの(約半減)最大の減少は、測定された最大水平視軸角、55度で得られる。
【0027】
表3は、トーリック4×6形状(垂直に約4カーブ、水平に約6カーブ)を有する例示的な従来レンズ2のシミュレーションによるプリズム屈折力を示し、表4は、後面に本開示の実施形態を採用した再設計従来レンズ2のシミュレーションによるプリズム屈折力を示す。従来レンズ1のデータと同様に、再設計従来レンズ2の全体的プリズム屈折力は、原形の従来レンズ2と比較して、測定された最大水平視軸角、50度で0.91から0.
52ディオプトリに減少している。表3は、4×6シングルレンズに基づいているが、デュアルレンズの4×6トーリック設計も同様に最適化されて、より高いベースカーブのレンズのものと同様の改善が実現され得る(例えば、このようなトーリック設計の性能は、8.75カーブのレンズに関する表8に示されるものと同じ又は同様の性能を呈する可能性がある)。
【0028】
より高いベースカーブに関して、表5は、包み込みの程度が大きく、例えば約6.5カーブより大きい、ラップアラウンド型アイウェアのためのシングルレンズである例示的な従来レンズ3の測定されたプリズム屈折力を示し、表6は、ベースカーブが8.75であり、デュアルレンズアイウェアのためのレンズである例示的な従来レンズ4の測定されたプリズム屈折力を示す。表7は、シミュレーションと実測とがよく一致していることを裏付けるために、従来レンズ4のシミュレーションによるプリズム屈折力を示す。本開示の実施形態を従来レンズ4に適用した場合、従来レンズ4のプリズム屈折力は、劇的に低減し、これは、
図8に示されている。
図8は、再設計従来レンズ4の全体的なプリズム屈折力が、原形の従来レンズ4と比較して、測定された最大水平視軸角、50度で1.02から0.21ディオプトリに減少したことを示す。これは、全体的プリズム屈折力の約5分の1への減少である。
【0029】
周辺視忠実度のまた別の改善は、本開示の実施形態を用いて製造された保護用ヘッドギア(例えば、フットボールヘルメット)で使用される実際のフリーフォームビジョンシールドについて測定された。このビジョンシールドは、完全なフリーフォームであり、フリーフォーム前面及び対応するフリーフォーム後面を有し、その結果、本明細書において「実角度光学プロファイル」と呼ばれるものが得られる。ビジョンシールドのプリズム屈折力に関する測定データが表9に示されている。このビジョンシールドでは、90度までの水平視軸角の全てにわたり、0.25ディオプトリ以下である全体的プリズム屈折力に保たれている。
【0030】
【0031】
【0032】
【0033】
【0034】
【0035】
【0036】
【0037】
【0038】
【0039】
実角度光学効果を生成するためのアイウェア用フリーフォームレンズの例示的な設計方法
方法ステップは、対応するフロー図を参照しながら説明する。本願で提供される方法を実行するために、フロー図中の全てのステップが必要であるとは限らないことを理解されたい。さらに、ステップの幾つかは、同時に実行されるか、又はフロー図に示されているものと異なる順序で実行され得る。
【0040】
図3は、例示的な実施形態による、実角度光学効果(本願では「実角度光学系方式」とも呼ばれる)を生成するためのアイウェア用フリーフォームレンズを設計する一般的手順を示す。ある実施形態において、ステップ310で初期前面設計が生成される。初期前面は、支持構造(例えば、アイウェアのフレーム又は保護用ヘッドギア)に適合するように構成され得る。初期前面は、十分なプリズム屈折力低減が行われない旋削加工表面設計及び/又はフリーフォーム設計を含み得る。ある実施形態において、初期前面設計は、点メッシュ又はそれから点メッシュ(例えば、3D計算式の解である点)が導出され得る3D計算式として提供される。点メッシュは、あるピッチ(点同士の中心間距離)を有するように構成され得るため、得られたレンズは、装用者にとって平滑で連続的に見えることを理解されたい。ある実施形態において、点メッシュは、典型的な使用者の眼で認識できない、例えば約10μmより小さいピッチを有するように構成される。初期前面は、旋削加工面又は最初に光学製品の十分なプリズム屈折力低減を生じさせても又はさせなくてもよい他の既存のソリューションを含み得ることを理解されたい。ステップ312では、アイウェア用レンズのフリーフォーム後面設計は、その光学系の装用者の視点からの実角度光学効果を生じさせるために、初期前面設計を考慮した光屈折の計算に基づいて生成される。任意選択によるステップ314では、アイウェア用レンズのためのフリーフォーム前面設計は、後面設計を考慮した光屈折の計算に基づいて生成される。このフリーフォーム前面が初期前面に置き換わり、はるかにより正確な歪曲収差補正が提供され得る。
【0041】
図4は、例示的な実施形態による、装用者の視点から見た実角度光学効果を得るための、アイウェア用レンズのフリーフォーム後面設計を生成する手順を示す。ステップ312(
図3)は、
図4に関して本明細書に記載の手順を含み得ることを理解されたい。ある実施形態において、ステップ410では、初期前面、例えばステップ310(
図3)で特定された初期前面について、装用者の前方直視線に対応する中心軸が特定される。前方直視線軸は、使用者の眼に対する光学系の位置及び使用者の予想される視姿勢に依存し得る。典型的な装用者の眼に対する光学系の予想位置及び予想視姿勢は、アイウェアの種類及び装用者の活動(例えば、フットボールヘルメット、オートバイ用ヘルメット、航空機パイロットのヘルメット、バイク用ヘッドアップ又はゴルフ若しくは釣り用ヘッドダウンディスプレイ)によって異なり得、これらは、試験対象について行われる実測又はコンピュータシミュレーションから導き出され得る。
【0042】
ステップ412において、初期前面のうち、様々な光学的ソリューションに応じた最適化のための部分が特定される。ある実施形態において、光学的問題解決は、中心軸(「全ベクトル前方(all vectors forward)」とも呼ばれる)視ソリューション、軸外視ソリューション及び実視野(FOV)外のソリューションを含み得る。軸外視は、前方視方向と実質的に異なる視線方向、例えばバイザの側方を通して見ることを含む。ある実施形態において、初期前面は、中心部分、移行部分及び側方部分に分割される。移行部分は、中心部分と側方部分とを接続する。ある実施形態において、中心部分は、前方視ソリューションに関連付けられ、側方部分は、軸外視ソリューションに関連付けられ、移行部分は、前方視ソリューションと軸外視ソリューションとの間のスムーズで段階的な移行を提供する。ある実施形態において、前方視ソリューションは、両眼視の検討事項を含み得、軸外ソリューションは、片眼(単眼)視の検討事項を含み得る。ある実施形態において、両眼及び単眼ソリューション間の遷移境界は、軸外視角が大きくなり、片
眼の視線が典型的な装用者の鼻により遮蔽される位置となる場所に置かれ得る(すなわち、この境界において、装用者の見え方は、単眼視となる)。当業者であれば、本明細書の説明は、側方位置又は方向に関するが、本発明の実施形態は、あらゆる軸外方向、例えば垂直軸外方向又は他の非前方/非前方直視線の視線方向(例えば、前方直視線に対する0度以外の水平及び垂直視角のあらゆる組合せ、すなわち水平及び垂直像変位のあらゆる組合せ)における歪曲収差の改善にも等しく適用可能であることがわかるであろう。
【0043】
ステップ414では、初期前面上のシード点が特定される。ある実施形態において、シード点は、フリーフォーム後面上の点を生成するための出発基準点となる。ある実施形態において、初期厚さがシード点に割り当てられる。ある実施形態において、シード点は、初期前面設計(例えば、
図3のステップ310)の点メッシュから選択される。ある実施形態において、シード点は、光学系の水平対称を指す対称面上にある。ある実施形態において、シード点は、中心部分と移行部分の境界又は移行部分と側方部分との境界を指す線上にある。ある実施形態において、シード点は、典型的な装用者の前方直視線が初期前面を通過する位置にある。ある実施形態において、シード点は、点メッシュから選択されず、且つ/又はメッシュ点間のある点であり得る。
【0044】
ステップ416では、シード点での面法線が計算され、第一のフリーフォーム後面点は、シード点における面法線と一致する線上の初期厚さに置かれる。初期前面上の各点がフリーフォーム後面上の対応する点に関連付けられ、フリーフォーム後面上の、第一の後面点以外の点にも面法線及び厚さが割り当てられなければならないことを理解されたい。ステップ418では、第一の後面点に隣接する点について、面法線が計算される。「全ベクトル前方」ソリューションの場合、前面に入射する、装用者の前方視線に平行な光線は、一般に、レンズ厚さ内で前方視線に平行でない方向に屈折し、各光線についての後方面法線は、光線がレンズ後面から射出するときに前方視線と平行に戻されるように計算されることを理解されたい。さらに、「軸外」ソリューションの場合、前面に入射する、装用者の眼に向けられる光線は、一般に、レンズ厚さ内で装用者の眼に向かわない方向に屈折し、各光線に関する後方面法線は、光線がレンズ後面から射出するときに装用者の眼に再び方向付けられるように計算されることを理解されたい。当業者であれば、レンズを通過する光線の経路がその地点におけるレンズ厚さ及び使用される特定のレンズ材料の屈折率に依存し、面法線の計算では厚さ及び材料の屈折率が考慮されることがわかるであろう。例えば、ポリカーボネート製レンズは、典型的に、1.58+/-0.015の屈折率を有する。以下で説明するように、他の材料及び混合材料がレンズに使用され得、それにより計算において異なる屈折率が使用される。ステップ420では、最適化アルゴリズムは、第一の後面点に隣接する点に厚さを割り当て、これらをその少なくとも1つの隣接点に割り当てられた厚さに置く。ある実施形態において、最適化アルゴリズムは、最も均一な光路長のソリューション、可能な限り薄くするソリューション及び最も均一な厚さのソリューションを含む優先順位に従い、それにより、最適化アルゴリズムは、ステップ418で計算されたものと実質的に同様の面法線を出力する。
【0045】
ある実施形態において、レンズは、他の構造、例えば鼻及び/又は頬等の顔の輪郭に適合するようにも設計され得る。他の構造とのレンズの適合には、変曲点、例えばレンズ表面に沿った凹部から凸部への移行が含まれ得る(例えば、
図5の面508及び/又は510、
図6の面612及び/又は614)。「レンズ表面」という語句は、レンズの周囲の一部からそのレンズの周囲の別の部分まで延びる面を指す。「変曲」という用語は、本明細書において、スムーズに変化する表面(表面上に急激な変化又は中断がない)に関して使用され得る。急激に変化する表面の例は、レンズ本体の厚さにおける、90度の急激な旋削部(例えば、キー穴)を有する表面を生成し得るカット又は穴であり得る。急激に変化する表面の他の例は、レンズの鋭角の面取りされていない突出部(フレームと係合するフック)であり得る。
【0046】
図14は、例示的な実施形態による、曲面を有する構造1400の断面図である。ある実施形態において、構造1400の曲面は、面法線1402(面に関して90度)を有し、その向きは、表面の曲率に依存する。変曲点1404は、曲面が凸部から凹部に且つその逆に切り替わる場所を示す。面法線1402の幾つかは、発散するように示され、これは、凸面を示す。面法線の幾つかは、収束するように示され、これは、凹面を示す。2次元表面を有するレンズは、複数の変曲点を含み得る。したがって、ある実施形態において、変曲領域は、線上に又はレンズ表面上(例えば、
図6の面612及び/又は614上)のある領域にわたり分散された変曲点の分布を含み得る。
【0047】
ある実施形態において、変曲領域は、レンズの何れかの部分に生じ得る(例えば、中心部分、側方部分及び/又は移行部分)。すなわち、変曲領域は、全ベクトル前方ソリューション及び/又は軸外ソリューションを有する表面領域に生じ得る。全ベクトル前方ソリューションを有する部分に変曲領域を設計することは、対応する二次表面を作るための実角度光学計算を含み得る(例えば、二次表面は、初期表面又は別の計算された表面に基づいて設計される)。二次表面は、典型的な装用者に、変曲領域が存在しない場合に生じるはずのものと同じ光学的効果を提供するように設計され得る。ある実施形態において、変曲領域の光学計算は、特に変曲領域がレンズのうち、全ベクトル前方ソリューションを有することになる部分にあり、レンズのうち、使用者の視線が前方からわずかに離れた方向(例えば、5°軸外)にあるとき、変曲ゾーンがない場合に典型的な装用者が認識するはずのものと同じ軸外歪曲収差を意図的に生じさせ得る。換言すれば、実際のこの変曲領域の光学的挙動は、変曲領域がないかのようなものとなる。別の方法で説明すれば、計算では、変曲領域におけるプリズム歪曲収差の全てを激減させることができたとしても、そのレンズは、ある程度の意図的な歪曲収差を保持し得る。すなわち、変曲領域での計算は、変曲領域のプリズム屈折力を変曲領域のすぐ外側の(すなわちそれに隣接する)プラズム屈折力とマッチするように行われ得(例えば、プリズム屈折力の急激な変化がない)、それにより、歪曲収差が残っていても、それは、変曲領域を有さないレンズで認識されるものと実質的にマッチする。
【0048】
プリズム屈折力の急激な変化は、レンズの使用者によってより容易に認識されやすい可能性がある。プリズム屈折力の急激な変化を最小化する利点は、使用者がその視線をレンズの1つの領域から他の領域に移す際に突然の歪曲収差の不連続性を認識しないことである。
【0049】
ある実施形態において、変曲領域は、レンズの側方部分で生じ得る。軸外ソリューションを有する領域に変曲領域を設計することは、対応する二次表面を作るための実角度計算を含み得る。二次表面は、軸外ソリューションを、変曲エリアに、それにわたって且つそれを越えて継続させるように設計され得る。ある実施形態において、全ベクトル前方シナリオについて前述したようにプリズム歪曲収差を保持するのではなく、軸外ソリューションを有する変曲領域が引き続きプリズム歪曲収差を最小化する。そのようにする理由は、軸外ソリューションを有する変曲領域が、名目上、変曲領域までの、それにわたる又はそれを越える歪曲収差を含まないからである。
【0050】
ある実施形態において、変曲領域は、レンズの移行部分に生じ得る。全ベクトル前方及び軸外ソリューションの両方を有する部分に変曲領域を設計することは、対応する二次表面を作るための実角度計算を含み得る。変曲領域は、プリズム歪曲収差の保持と、中心部分と側方部分との間のソリューション勾配に対応するプリズム歪曲収差の最小化との間の勾配を含み得る。
【0051】
ある実施形態において、変曲領域は、例えば、レンズのうち、光線入射角が大きく、全
反射状態が生じるエリア(例えば、典型的な装用者の鼻の側面に適合する急峻な形状の表面)において、全ベクトル前方又は軸外ソリューションの何れにも適合しなくてよい。それにもかかわらず、前述の方法ステップによれば、変曲領域の全部又は一部は、所期の光学的効果を、本来であれば従来のレンズ設計で実現できなかった程度までレンズの使用者に提供することができ得る。
【0052】
本開示の実施形態は、初期前面点メッシュをフリーフォーム後面生成のための基礎として使用することによってレンズを設計する方法を提供しているが、当業者であれば、初期後面点メッシュをフリーフォーム前面生成の基礎として使用する、この方法の変形形態も可能であることがわかるであろう。優先順位における特定のソリューションにより高い又はより低い優先順位が与えられるか又はそれが省略され得ることを理解されたい。本明細書に記載の実施形態は、例示であり、限定的ではない。
【0053】
当業者であれば、レンズ設計は、当技術分野で知られている多くの製造方法で実現され得ることがわかるであろう。例えば、光学品質の高いレンズは、予備成形された射出成型レンズブランクから切り出され得る。代わりに、レンズは、その最終的な形状及び大きさに直接成形されて、成形後の切出しステップを不要とし得る。レンズ又はそれからレンズが切り出されるレンズブランクは、射出成型され得、比較的硬質で光学的に容認可能な材料、例えばポリカーボネートを含み得る。レンズとしての使用に適した何れの材料も使用され得、これは、例えば、ポリマー、ポリカーボネート(すなわちPC)、アリルジグリコールカーボネートモノマー(ブランド名CR-39(登録商標)として販売されている)、ガラス(例えば、クラウンガラス、フリントガラス)、ナイロン、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート(すなわちPET)、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートポリエステルフィルム(すなわちBoPETであり、このようなポリエステルフィルムの1つがブランド名MYLAR(登録商標)として販売されている)、アクリル樹脂(例えば、ポリメチルメタクリート、すなわちPMMA)、ウレタン系プレポリマー及び高屈折率ハイブリッド(例えば、Trivex(登録商標)、Tribrid(商標))、高屈折率プラスチック、透明高屈折率モノマー、透明高屈折率ポリマー、ポリマー材料、コポリマー、ドープされた材料、他のあらゆる適当な材料又は材料のあらゆる組合せである。レンズの表面形状は、レンズブランク成形及び研磨プロセスで製作され得、レンズ形状は、ブランクから切り出され得る。上述の製造方法は、例示であり、限定的ではない。
【0054】
アイウェアのための例示的レンズ
アイウェアで使用されるレンズは、典型的に、市場の需要又は規制機関、例えばスポーツ組織により設定される安全基準を満たすように求められる。以下の説明は、主として非矯正用アイウェアに関して行われるが、当業者であれば、同様の技術は、矯正用アイウェアを改良するためにも使用され得ることがわかるであろう。典型的に、材料及び厚さは、アイウェア用レンズの2つの相関する安全パラメータであり、例えば非破砕性の高い材料の場合、非破砕性のより低い他の材料より薄いレンズ形状が可能となり得る。アイウェア用レンズの屈折挙動は、材料及び厚さの選択により影響を受け、それらは、したがって、特に軸外視線方向(例えば、側方視線方向及び他の前方以外の視線方向)におけるプリズム歪曲収差の大きさに影響を与える。アイウェア用レンズの前方視線方向には、典型的に、広い範囲の材料及び厚さにわたり、プリズム歪曲収差がほとんど乃至全くなく、これは、多くの従来レンズが前方視用に開発され、したがって前方視線方向から入る光線は、レンズを通過した後、レンズがない場合の光線と実質的に同じ方向及び位置で出現するからである。しかしながら、装用者の眼に向かい、レンズの軸外視エリアに入射する光線は、より入射角が大きく、それにより、光は、屈折して、レンズがない場合に対応する経路から実質的に逸れる。より薄いレンズを設計することがこの問題の解決策となり得るが、薄型レンズを設計してプリズム屈折力を低減させる能力は、安全基準によって制限され得る
。さらに、薄型レンズは、より柔軟となり、レンズが曲がる際に光学的利点が損なわれ得る。本開示は、軸外視線方向でのプリズム屈折力を低減させながら、様々な法的安全基準に適合する厚さを保持することのできるアイウェア用レンズを提供する。
【0055】
図5は、例示的な実施形態による、デュアルレンズアイウェアで使用されるレンズ500の概略図である。ある実施形態において、レンズ500は、レンズ本体502を含み、典型的な装用者の片眼506の中心軸504を形成する前方直視線の経路内に位置付けるように構成される。レンズ本体500は、当技術分野で一般的に使用されているレンズ材料で生産されるように設計され得、レンズ材料は、所期の用途に基づいて、その光学的及び機械的特性、例えば低/高屈折率(例えば、1.4~1.8)、分散特性、UV減衰及び耐衝撃特性等のために選択される。材料としては、ポリカーボネート、CR-39、Trivex、Tribrid、ガラス及びPMMA等が含まれ得る。ある実施形態において、レンズ本体502は、前面508と後面510とを含む。ある実施形態において、レンズ厚さ514は、前面508と後面510との間で画定される。ある実施形態において、レンズ本体上の何れの点におけるレンズ厚さ514も4mm以下且つ1mm以上である。ある実施形態において、レンズ本体上の何れの点におけるレンズ厚さ514も4mm以下且つ2mm以上である。ある実施形態において、レンズ本体上の何れの点におけるレンズ厚さ514も3.5mm以下且つ2mm以上である。ある実施形態において、レンズ本体上の何れの点におけるレンズ厚さ514も3.5mm以下且つ2.5mm以上である。ある実施形態において、レンズ本体上の何れの点におけるレンズ厚さ514も3mm以下且つ2mm以上である。ある実施形態において、レンズ本体上の何れの点におけるレンズ厚さ514も2mm以下且つ1mm以上である。ある実施形態において、レンズ本体上の何れの点におけるレンズ厚さ514も1.7mm以下且つ1.2mm以上である。当業者であれば、レンズ厚さ514の他の最小及び最大厚さも使用され得ることがわかるであろう。
【0056】
ある実施形態において、視軸512は、眼506及び中心軸504から、後面510の水平経線515(
図12参照)に沿って測定される(例えば、それに追従する)、典型的な装用者の鼻から離れる角度516で延びる。ある実施形態において、水平経線に沿った各点は、視軸512が水平経線515に沿った各点と交差する位置での視軸512の角度に関連付けられる。
【0057】
ある実施形態において、前面508は、旋削表面(例えば、球面、トーリック又は円柱形状)を有し、後面510は、フリーフォーム形状を有する。ある実施形態において、前面508は、フリーフォーム形状を有し、後面510は、旋削加工面を有する。ある実施形態において、前面508及び後面510は、何れもフリーフォーム形状を有する。アイウェア用レンズは、多くの異なるベースカーブを有し得るため、本明細書に記載の実施形態は、レンズの異なるベースカーブに対応する。ある実施形態において、球面、トーリック又は円柱形状を有する表面は、約4カーブ以上の水平ベースカーブを有し得る。ある実施形態において、球面、トーリック又は円柱形状を有する表面は、約6カーブ以上の水平ベースカーブを有し得る。ある実施形態において、球面、トーリック又は円柱形状を有する表面は、約8カーブ以上の水平ベースカーブを有し得る。ある実施形態において、球面、トーリック又は円柱形状を有する表面は、約8.75カーブ以上の水平ベースカーブを有し得る。ある実施形態において、球面、トーリック又は円柱形状を有する表面は、約10カーブ以上の水平ベースカーブを有し得る。当業者であれば、本発明の実施形態は、水平及び/又は垂直方向にゼロ以外の何れのベースカーブを有するレンズにも適用され得ることがわかるであろう。当業者であれば、あるベースカーブを有する旋削加工表面に関して、レンズブランクのベースカーブは、アイウェア又はヘッドギアに取り付けられたときに正確な水平又は垂直線上にないことがあり得ることがさらにわかるであろう。フリーフォーム表面は、明確に画定された1つの値のベースカーブを有していないが、特定の旋削
加工表面に匹敵する平均的表面曲率を有し、旋削加工表面と同様のラップアラウンド特性を提供し得ることを理解されたい。
【0058】
前述のように、レンズ500は、前面508及び後面510として旋削加工表面を有するように設計され得る。本開示の実施形態により提供される補正がなされないと、レンズ500のプリズム屈折力により、視軸512に沿った方向から入射する光線518は、レンズ500を通過した後に視軸512から逸れ得、それがプリズム歪曲収差の原因となり得る(例えば、離れた物体の位置の見かけ上のシフト)。
図5は、光線518の異なる逸脱量を示し、これは、角度の量519により示され、レンズのパラメータ、例えばレンズ厚さ514又はレンズ材料及び他のパラメータに依存する。例えば、1つの逸脱量は、光線518a及び対応する角度519aにより示され、さらなる逸脱量は、光線518b及び対応する角度519bにより示される。しかしながら、本明細書に記載の実施形態は、前面508及び/又は後面510上でフリーフォーム形状を有して、レンズ500のプリズム屈折力が低減される(例えば、光線518の逸脱量が低減される)。表1~9において、本開示の実施形態を利用するレンズでは、従来レンズより低いプリズム屈折力が実現され得ることが示されている。
【0059】
ある実施形態において、前面508及び/又は後面510にフリーフォーム形状を用いるレンズ500のプリズム屈折力は、約30度以下の視軸512の角度に関連付けられる、水平経線515に沿った点全体を通して約0.25ディオプトリ以下である。ある実施形態において、前面508及び/又は後面510にフリーフォーム形状を用いるレンズ500のプリズム屈折力は、約40度以下の視軸512の角度に関連付けられる、水平経線515に沿った点全体を通して約0.35ディオプトリ以下である。ある実施形態において、前面508及び/又は後面510にフリーフォーム形状を用いるレンズ500のプリズム屈折力は、約55度以下の視軸512の角度に関連付けられる、水平経線515に沿った点全体を通して約0.6ディオプトリ以下である。ある実施形態において、前面508及び/又は後面510にフリーフォーム形状を用いるレンズ500のプリズム屈折力は、約80度以下の視軸512の角度に関連付けられる、水平経線515に沿った点全体を通して約0.8ディオプトリ以下である。
【0060】
ある実施形態において、前面508及び/又は後面510にフリーフォーム形状を用いるレンズ500のプリズム屈折力は、約30度以下の視軸512の角度に関連付けられる、水平経線515に沿った点全体を通して、視軸512の増大する角度の1度あたり約0.01ディオプトリ以下の平均レートで増大する。ある実施形態において、前面508及び/又は後面510にフリーフォーム形状を用いるレンズ500のプリズム屈折力は、約30度~約40度の視軸512の角度に関連付けられる、水平経線515に沿った点全体を通して、視軸512の増大する角度の1度あたり約0.01ディオプトリ以下の平均レートで増大する。ある実施形態において、前面508及び/又は後面510にフリーフォーム形状を用いるレンズ500のプリズム屈折力は、約40度~約55度の視軸512の角度に関連付けられる、水平経線515に沿った点全体を通して、視軸512の増大する角度の1度あたり約0.01ディオプトリ以下の平均レートで増大する。ある実施形態において、前面508及び/又は後面510にフリーフォーム形状を用いるレンズ500のプリズム屈折力は、約55度~約80度の視軸512の角度に関連付けられる、水平経線515に沿った点全体を通して、視軸512の増大する角度の1度あたり約0.01ディオプトリ以下の平均レートで増大する。
【0061】
ある実施形態において、前面508及び/又は後面510上にフリーフォーム形状を用いるレンズ500のプリズム屈折力Pは、約30度~約55度の視軸512の角度θに関連付けられる、水平経線515に沿った点全体を通して、関係
【数3】
を満たす。ある実施形態において、前面508及び/又は後面510上にフリーフォーム形状を用いるレンズ500のプリズム屈折力Pは、約55度~約90度の視軸512の角度θに関連付けられる、水平経線515に沿った点全体を通して、関係
【数4】
を満たす。
【0062】
表1~9及び
図7~10に示されるデータによって実証されるように、本開示の実施形態は、レンズ500の光学性能をさらに改善することができる。したがって、ある実施形態において、前面508及び/又は後面510にフリーフォーム形状を用いるレンズ500のプリズム屈折力は、視軸512の増大する角度の1度あたり約0.009以下の平均レートで増大する。ある実施形態において、前面508及び/又は後面510にフリーフォーム形状を用いるレンズ500のプリズム屈折力は、視軸512の増大する角度の1度あたり約0.008以下の平均レートで増大する。
【0063】
上記の実施形態において示唆されているように、計算されたフリーフォーム面を用いてレンズを設計することにより、レンズのプリズム屈折力が、前方直視線に対する視軸の増大する角度の1度あたりのより低いレートで増加するようにすることができる。その結果、ある実施形態において、レンズの最大及び最小プリズム屈折力の差は、ある視角範囲全体を通して、実質的に同様のパラメータを有する従来レンズ(従来レンズは、計算されたフリーフォーム面を有さない点で異なる)と比較してより小さいことができる。
【0064】
表1~9を再び参照すると、例えば、従来レンズ1は、0~30度の水平視線範囲のみを考えたとき、0.04ディオプトリの最小プリズム屈折力(水平0度)及び0.25ディオプトリの最大プリズム屈折力(水平30度)を有することが示されている。換言すれば、従来レンズ1のプリズム屈折力は、水平視線範囲0~30度において0.21ディオプトリだけ変化する(すなわち0.25から0.04)。しかしながら、再設計従来レンズ1(計算されたフリーフォーム面を有する)は、0~30度の水平視線範囲のみを考えたとき、0.02ディオプトリの最小プリズム屈折力(水平0度)及び0.14ディオプトリの最大プリズム屈折力(水平30度)を有することが示されている。換言すれば、再設計従来レンズのプリズム屈折力は、0~30度の水平視線範囲において0.12ディオプトリだけ変化する。したがって、再設計従来レンズ1は、その非フリーフォーム版と比較して顕著な改善を見せる。本開示の実施形態は、ある視角範囲内のプリズム屈折力の全体的上昇を遅らせることができる。
【0065】
ある実施形態において、前面508及び/又は後面510上にフリーフォーム形状を用いるレンズ500の最大及び最小プリズム屈折力間の差は、約30度以下の視軸512の角度に関連付けられる、水平経線515に沿った点の範囲全体を通して約0.20、0.19、0.15、0.12、0.08又は0.04ディオプトリ以下である。ある実施形態において、前面508及び/又は後面510上にフリーフォーム形状を用いるレンズ500の最大及び最小プリズム屈折力間の差は、約40度以下の視軸512の角度に関連付けられる、水平経線515に沿った点の範囲全体を通して約0.32、0.31、0.25、0.20、0.15又は0.10ディオプトリ以下である。ある実施形態において、
前面508及び/又は後面510上にフリーフォーム形状を用いるレンズ500の最大及び最小プリズム屈折力間の差は、約55度以下の視軸512の角度に関連付けられる、水平経線515に沿った点の範囲全体を通して約0.56、0.55、0.45、0.35、0.25、0.15又は0.05ディオプトリ以下である。
【0066】
以上では、レンズ500のプリズム屈折力を全てのベースカーブについて一般的に論じた。しかしながら、表1~9及び
図7~10は、計算されたフリーフォーム面を有さないレンズの光学的性能が、ベースカーブの値が増大するにつれて低下することを示し、例えば、6ベースカーブの従来レンズのプリズム屈折力は、4ベースカーブの従来レンズのそれより劣る(より高い値)。したがって、本開示の実施形態を利用し、特定のベースカーブを有するレンズのプリズム屈折力は、全てのベースカーブについて一般的に論じられたものより低いことができる。
【0067】
6カーブの例:ある実施形態において、前面508及び/又は後面510上において、約6カーブ以上の水平ベースカーブを有するフリーフォーム形状を用いるレンズ500のプリズム屈折力は、約30度以下の視軸512の角度に関連付けられる、水平経線515に沿った点全体を通して約0.44ディオプトリ以下である。ある実施形態において、前面508及び/又は後面510上において、約6カーブ以上の水平ベースカーブを有するフリーフォーム形状を用いるレンズ500のプリズム屈折力は、約40度以下の視軸512の角度に関連付けられる、水平経線515に沿った点全体を通して約0.64ディオプトリ以下である。ある実施形態において、前面508及び/又は後面510上において、約6カーブ以上の水平ベースカーブを有するフリーフォーム形状を用いるレンズ500のプリズム屈折力は、約50度以下の視軸512の角度に関連付けられる、水平経線515に沿った点全体を通して約0.89ディオプトリ以下である。ある実施形態において、前面508及び/又は後面510上において、約6カーブ以上の水平ベースカーブを有するフリーフォーム形状を用いるレンズ500のプリズム屈折力は、約80度以下の視軸512の角度に関連付けられる、水平経線515に沿った点全体を通して約1.33ディオプトリ以下である。
【0068】
ある実施形態において、前面508及び/又は後面510上において、約6カーブ以上の水平ベースカーブを有するフリーフォーム形状を用いるレンズ500のプリズム屈折力は、約30度以下の視軸512の角度に関連付けられる、水平経線515に沿った点全体を通して、視軸512の増大する角度の1度あたり約0.018ディオプトリ以下の平均レートで増大する。ある実施形態において、前面508及び/又は後面510上において、約6カーブ以上の水平ベースカーブを有するフリーフォーム形状を用いるレンズ500のプリズム屈折力は、約30度~約40度の視軸512の角度に関連付けられる、水平経線515に沿った点全体を通して、視軸512の増大する角度の1度あたり約0.018ディオプトリ以下の平均レートで増大する。ある実施形態において、前面508及び/又は後面510上において、約6カーブ以上の水平ベースカーブを有するフリーフォーム形状を用いるレンズ500のプリズム屈折力は、約40度~約50度の視軸512の角度に関連付けられる、水平経線515に沿った点全体を通して、視軸512の増大する角度の1度あたり約0.018ディオプトリ以下の平均レートで増大する。ある実施形態において、前面508及び/又は後面510上において、約6カーブ以上の水平ベースカーブを有するフリーフォーム形状を用いるレンズ500のプリズム屈折力は、約50度~約80度の視軸512の角度に関連付けられる、水平経線515に沿った点全体を通して、視軸512の増大する角度の1度あたり約0.018ディオプトリ以下の平均レートで増大する。
【0069】
ある実施形態において、前面508及び/又は後面510上において、約6カーブ以上の水平ベースカーブを有するフリーフォーム形状を用いるレンズ500のプリズム屈折力
Pは、約30度~約50度の視軸512の角度θに関連付けられる、水平経線515に沿った点全体を通して、関係
【数5】
を満たす。ある実施形態において、前面508及び/又は後面510上において、約6カーブ以上の水平ベースカーブを有するフリーフォーム形状を用いるレンズ500のプリズム屈折力Pは、約50度~約90度の視軸512の角度θに関連付けられる、水平経線515に沿った点全体を通して、関係
【数6】
を満たす。
【0070】
表1~9及び
図7~10に示されるテータにより実証されているように、本開示の実施形態は、レンズ500の光学的性能をさらに改善することができる。ある実施形態において、前面508及び/又は後面510上において、約6カーブ以上の水平ベースカーブを有するフリーフォーム形状を用いるレンズ500のプリズム屈折力は、視軸512の増大する角度の1度あたり約0.016ディオプトリ以下の平均レートで増大する。ある実施形態において、前面508及び/又は後面510上において、約6カーブ以上の水平ベースカーブを有するフリーフォーム形状を用いるレンズ500のプリズム屈折力は、視軸512の増大する角度の1度あたり約0.014ディオプトリ以下の平均レートで増大する。
【0071】
ある実施形態において、前面508及び/又は後面510上において、約6カーブ以上の水平ベースカーブを有するフリーフォーム形状を用いるレンズ500の最大及び最小プリズム屈折力間の差は、約30度以下の視軸512の角度に関連付けられる、水平経線515に沿った点の範囲全体を通して約0.44、0.36、0.28、0.20、0.12又は0.04ディオプトリ以下である。ある実施形態において、前面508及び/又は後面510上において、約6カーブ以上の水平ベースカーブを有するフリーフォーム形状を用いるレンズ500の最大及び最小プリズム屈折力間の差は、約40度以下の視軸512の角度に関連付けられる、水平経線515に沿った点の範囲全体を通して約0.64、0.54、0.44、0.34、0.24、0.14又は0.04ディオプトリ以下である。ある実施形態において、前面508及び/又は後面510上において、約6カーブ以上の水平ベースカーブを有するフリーフォーム形状を用いるレンズ500の最大及び最小プリズム屈折力間の差は、約50度以下の視軸512の角度に関連付けられる、水平経線515に沿った点の範囲全体を通して約0.89、0.70、0.55、0.40、0.25又は0.10ディオプトリ以下である。例えば、表4に示されるように、トーリック4×6形状及びあるフリーフォーム形状後面を有する例示的な実施形態によるレンズの最大及び最小プリズム屈折力間の差は、0~20度の角度に関連付けられる点の範囲全体を通して約0.19以下である。
【0072】
ある実施形態において、前面508及び/又は後面510上において、約6カーブ以上の水平ベースカーブを有するフリーフォーム形状を用いるレンズ500の最大及び最小プリズム屈折力間の差は、約20度~約40度の視軸512の角度に関連付けられる、水平経線515に沿った点の範囲全体を通して約0.35、0.28、0.20、0.12又
は0.04ディオプトリ以下である。ある実施形態において、前面508及び/又は後面510上において、約6カーブ以上の水平ベースカーブを有するフリーフォーム形状を用いるレンズ500の最大及び最小プリズム屈折力間の差は、約30度~約50度の視軸512の角度に関連付けられる、水平経線515に沿った点の範囲全体を通して約0.43、0.36、0.28、0.20、0.12又は0.04ディオプトリ以下である。
【0073】
フリーフォーム面及び旋削加工表面の両方を他の視角範囲及びプリズム屈折力性能と共に使用する実施形態は、本開示の範囲に含まれる。非限定的な例として、ある実施形態において、前面508がトーリック又はフリーフォーム形状を有し、後面510がトーリック及びフリーフォーム形状の他方を有するレンズ500の最大及び最小プリズム屈折力間の差は、約30度以下の視軸512の角度に関連付けられる、水平経線515に沿った点の範囲全体を通して約0.44、0.40、0.36、0.32、0.28、0.24、0.20、0.16、0.12、0.08又は0.04ディオプトリ以下である。ある実施形態において、前面508がトーリック又はフリーフォーム形状を有し、後面510がトーリック及びフリーフォーム形状の他方を有するレンズ500の最大及び最小プリズム屈折力間の差は、約20度~約40度の視軸512の角度に関連付けられる、水平経線515に沿った点の範囲全体を通して約0.35、0.32、0.29、0.26、0.23、0.20、0.17、0.14、0.11、0.08、0.05又は0.02ディオプトリ以下である。
【0074】
8.75カーブの例:表1~9及び
図7~10に関して考え得る実施形態のさらなる例として、表6~8及び
図9のグラフに関するレンズの非限定的な特定の例が提供される。ある実施形態において、前面508及び/又は後面510上において、約8.75カーブ以上の水平ベースカーブを有するフリーフォーム形状を用いるレンズ500のプリズム屈折力は、約30度以下の視軸512の角度に関連付けられる、水平経線515に沿った点全体を通して約0.62ディオプトリ以下である。ある実施形態において、前面508及び/又は後面510上において、約8.75カーブ以上の水平ベースカーブを有するフリーフォーム形状を用いるレンズ500のプリズム屈折力は、約40度以下の視軸512の角度に関連付けられる、水平経線515に沿った点全体を通して約0.82ディオプトリ以下である。ある実施形態において、前面508及び/又は後面510上において、約8.75カーブ以上の水平ベースカーブを有するフリーフォーム形状を用いるレンズ500のプリズム屈折力は、約50度以下の視軸512の角度に関連付けられる、水平経線515に沿った点全体を通して約1.0ディオプトリ以下である。ある実施形態において、前面508及び/又は後面510上において、約8.75カーブ以上の水平ベースカーブを有するフリーフォーム形状を用いるレンズ500のプリズム屈折力は、約80度以下の視軸512の角度に関連付けられる、水平経線515に沿った点全体を通して約1.56ディオプトリ以下である。例えば、表8に示されるように、8.75カーブの水平ベースカーブ及びあるフリーフォーム後面を有する例示的な実施形態によるレンズの最大及び最小プリズム屈折力間の差は、0~25度の角度に関連付けられる点の範囲全体を通して約0.08以下である(この差は、0度の角度の場合のプリズム屈折力0.04を25の角度の場合のプリズム屈折力0.12から引くことにより得られる)。
【0075】
ある実施形態において、前面508及び/又は後面510上において、約8.75カーブ以上の水平ベースカーブを有するフリーフォーム形状を用いるレンズ500の最大及び最小プリズム屈折力間の差は、約30度以下の視軸512の角度に関連付けられる、水平経線515に沿った点の範囲全体を通して約0.56、0.44、0.36、0.28、0.20、0.12又は0.04ディオプトリ以下である。ある実施形態において、前面508及び/又は後面510上において、約8.75カーブ以上の水平ベースカーブを有するフリーフォーム形状を用いるレンズ500の最大及び最小プリズム屈折力間の差は、約40度以下の視軸512の角度に関連付けられる、水平経線515に沿った点の範囲全
体を通して約0.78、0.68、0.54、0.44、0.34、0.24、0.14又は0.04ディオプトリ以下である。ある実施形態において、前面508及び/又は後面510上において、約8.75カーブ以上の水平ベースカーブを有するフリーフォーム形状を用いるレンズ500の最大及び最小プリズム屈折力間の差は、約50度以下の視軸512の角度に関連付けられる、水平経線515に沿った点の範囲全体を通して約0.94、0.80、0.75、0.60、0.45、0.30、0.18又は0.05ディオプトリ以下である。表6~8及び
図10のグラフに基づくレンズの別の非限定的な特定の実施形態において、前面508及び/又は後面510上において、約8.75カーブ以上の水平ベースカーブを有するフリーフォーム形状を用いるレンズ500の最大及び最小プリズム屈折力間の差は、約20度~約40度の視軸512の角度に関連付けられる、水平経線515に沿った点の範囲全体を通して0.39、0.37、0.35、0.33、0.31、0.29、0.27、0.25、0.23、0.21、0.19、0.17、0.15、0.13、0.11、0.09、0.07、0.05、0.03又は0.01ディオプトリ以下である。
【0076】
ある実施形態において、前面508及び/又は後面510上において、約8.75カーブ以上の水平ベースカーブを有するフリーフォーム形状を用いるレンズ500のプリズム屈折力は、約30度以下の視軸512の角度に関連付けられる、水平経線515に沿った点全体を通して、視軸512の増大する角度の1度あたり約0.019ディオプトリ以下の平均レートで増大する。ある実施形態において、前面508及び/又は後面510上において、約8.75カーブ以上の水平ベースカーブを有するフリーフォーム形状を用いるレンズ500のプリズム屈折力は、約30度~約40度の視軸512の角度に関連付けられる、水平経線515に沿った点全体を通して、視軸512の増大する角度の1度あたり約0.019ディオプトリ以下の平均レートで増大する。ある実施形態において、前面508及び/又は後面510上において、約8.75カーブ以上の水平ベースカーブを有するフリーフォーム形状を用いるレンズ500のプリズム屈折力は、約40度~約50度の視軸512の角度に関連付けられる、水平経線515に沿った点全体を通して、視軸512の増大する角度の1度あたり約0.019ディオプトリ以下の平均レートで増大する。ある実施形態において、前面508及び/又は後面510上において、約8.75カーブ以上の水平ベースカーブを有するフリーフォーム形状を用いるレンズ500のプリズム屈折力は、約50度~約80度の視軸512の角度に関連付けられる、水平経線515に沿った点全体を通して、視軸512の増大する角度の1度あたり約0.019ディオプトリ以下の平均レートで増大する。
【0077】
ある実施形態において、前面508及び/又は後面510上において、約8.75カーブ以上の水平ベースカーブを有するフリーフォーム形状を用いるレンズ500のプリズム屈折力Pは、約30度~約50度の視軸512の角度θに関連付けられる、水平経線515に沿った点全体を通して、関係
【数7】
を満たす。ある実施形態において、前面508及び/又は後面510上において、約8.75カーブ以上の水平ベースカーブを有するフリーフォーム形状を用いるレンズ500のプリズム屈折力Pは、約50度~約90度の視軸512の角度θに関連付けられる、水平経線515に沿った点全体を通して、関係
【数8】
を満たす。
【0078】
表1~9及び
図7~10に示されるデータにより実証されるように、本開示の実施形態は、レンズ500の光学的性能をさらに改善できる。ある実施形態において、前面508及び/又は後面510上において、約8.75カーブ以上の水平ベースカーブを有するフリーフォーム形状を用いるレンズ500のプリズム屈折力は、視軸512の増大する角度の1度あたり約0.015ディオプトリ以下の平均レートで増大する。ある実施形態において、前面508及び/又は後面510上において、約8.75カーブ以上の水平ベースカーブを有するフリーフォーム形状を用いるレンズ500のプリズム屈折力は、視軸512の増大する角度の1度あたり約0.011ディオプトリ以下の平均レートで増大する。ある実施形態において、前面508及び/又は後面510上において、約8.75カーブ以上の水平ベースカーブを有するフリーフォーム形状を用いるレンズ500のプリズム屈折力は、視軸512の増大する角度の1度あたり約0.008ディオプトリ以下の平均レートで増大する。ある実施形態において、前面508及び/又は後面510上において、約8.75カーブ以上の水平ベースカーブを有するフリーフォーム形状を用いるレンズ500のプリズム屈折力は、視軸512の増大する角度の1度あたり約0.004ディオプトリ以下の平均レートで増大する。
【0079】
図6は、例示的な実施形態による、非矯正用アイウェアで使用するためのシングルレンズ600の概略図である。ある実施形態において、シングルレンズ600は、レンズ本体602を含み、典型的な装用者の左眼606の前方直視線に対応する左中心軸604及び平均的な装用者の右眼の前方直視線に対応する右中心軸608の経路内に位置付けられるように構成される。レンズ本体602の材料に関する検討事項は、レンズ本体502(
図5)について前述したものと同様である。ある実施形態において、レンズ本体602は、前面612と後面614とを含む。ある実施形態において、レンズ厚さ616は、前面612と後面614との間で画定される。ある実施形態において、レンズ厚さ616は、レンズ本体602上の何れの点においても2mm以下且つ1mm以上である。ある実施形態において、レンズ厚さ616は、1.7mm以下且つ1.2mm以上である。当業者であれば、レンズ厚さ616の他の最小及び最大厚さも使用され得ることがわかるであろう。
【0080】
ある実施形態において、左視軸618は、左眼606及び左中心軸604から後面614の水平経線615(
図13)に沿って測定される(例えば、それに追従する)、典型的な装用者の鼻から離れる角度620で延びる。ある実施形態において、水平経線615に沿った点集合617(
図13)の各点は、左視軸618が点集合617の各点と交差する位置での左視軸618の角度に関連付けられる。
【0081】
ある実施形態において、前面612は、旋削加工表面(例えば、球面、トーリック又は円柱形状)を有し、後面614は、フリーフォーム形状を有する。ある実施形態において、前面612は、フリーフォーム形状を有し、後面614は、旋削加工表面を有する。ある実施形態において、前面612及び後面614は、何れもフリーフォーム形状を有する。アイウェア用レンズは、多数の異なるベースカーブを有し得るため、本明細書に記載の実施形態は、レンズの異なるベースカーブに対応する。ある実施形態において、球面、トーリック又は円柱形状を有する表面は、約4カーブ以上の水平ベースカーブを有し得る。ある実施形態において、球面、トーリック又は円柱形状を有する表面は、約6カーブ以上の水平ベースカーブを有し得る。ある実施形態において、球面、トーリック又は円柱形状
を有する表面は、約8カーブ以上の水平ベースカーブを有し得る。ある実施形態において、球面、トーリック又は円柱形状を有する表面は、約10カーブ以上の水平ベースカーブを有し得る。フリーフォーム表面は、1つの値のベースカーブを有さないが、特定の旋削加工表面に匹敵する平均表面曲率を有し、旋削加工表面と同様のラップアラウンド特性を提供し得ることを理解されたい。
【0082】
ある実施形態において、シングルレンズ600は、フレームに適合し、且つ装用者の頭部にレンズを支持するためのフレームに固定されるように構成される。ある実施形態において、フレームは、眼鏡フレームを含む。フレームは、レンズに直接取り付けられる耳支持部又はシングルレンズ600(又は
図5のレンズ500)を支持するフェースフレームに取り付けられる耳支持部を含み得る(例えば、それぞれリムなし又はリム付き眼鏡)。ある実施形態において、フレームは、保護用ヘッドギア1104(
図11)、例えばスポーツ用ヘルメット、オードバイ用ヘルメット、建設現場用安全帽等を含む。ある実施形態において、フレームは、ゴーグル、例えば雪/スキー用ゴーグル、オートバイ用ゴーグル等を含む。このような実施形態において、ゴーグルは、装用者の頭部にゴーグルをレンズと共に支持するためのストラップを含み得る。ある実施形態において、シングルレンズ600は、追加的構造1102に適合し、且つ追加的構造1102(
図11)に固定されるように構成され、追加的構造1102は、保護用ヘッドギア1104に取り付けられるように構成される。シングルレンズ600は、他の構造物、例えば鼻及び/又は頬等の顔面形状に適合するようにも設計され得る。シングルレンズ600の他の構造への適合には、変曲点、例えば凹部から凸部への移行が含まれ得る。本開示に関して、シングルレンズ600の変曲領域は、変曲点ではなく、変曲線(すなわちある線上の一連の変曲点)であり得る。
【0083】
ある実施形態において、シングルレンズ600は、使用者の顔の輪郭、例えば使用者の鼻又は頬に適合する。ある実施形態において、シングルレンズ600は、慣性モーメント管理のための(例えば、レンズの硬直さを増大又は軽減させるための特徴)、航空力学的管理のため(例えば、抗力又は防曇の問題のために気流を増大、減少又は方向転換させるための特徴)及び/又は審美的目的のための輪郭を含む。適合及び輪郭に関して、シングルレンズ600は、前面612及び後面614上において、変曲領域を有する領域、例えば概して凸形状から概して凹形状に又はその逆にレンズが移行するエリアを含み得る。
【0084】
前述のように、シングルレンズ600は、前面612及び後面614として旋削加工表面を有するように設計され得る。本開示の実施形態による補正が提供されなければ、シングルレンズ600のプリズム屈折力により、左視軸618に沿った方向から入射する光線622は、シングルレンズ600を通過した後、左視軸618から逸れ得、それがプリズム歪曲収差(例えば、離れた物体の位置の見かけ上のシフト)の原因となり得る。同様の逸脱は、右視軸624に沿った方向から入射し、シングルレンズ600を通過した後の光線623についても生じ得る。
図6は、光線622の異なる逸脱量を示し、これは、角度の量625によって示され、パラメータのなかでもレンズパラメータ、例えばレンズ厚さ616又はレンズ材料に依存する。例えば、1つの逸脱量は、光線622a及び対応する角度625aで示され、さらなる逸脱量は、光線622b及び対応する角度625bにより示されている。光線627についても同様に、例示的な逸脱量は、光線623a及び対応する角度627aにより示され、別の例示的な逸脱量は、光線623b及び対応する角度627aにより示されている。しかしながら、本明細書に記載の実施形態は、前面612及び/又は後面614上にフリーフォーム形状を用いて、シングルレンズ600のプリズム屈折力を低減させる。表1~9及び
図7~10には、本開示の実施形態を利用するレンズが、従来レンズより低いプリズム屈折力を実現し得ることが示されている。
【0085】
ある実施形態において、前面612及び/又は後面614上にフリーフォーム形状を用
いるシングルレンズ600のプリズム屈折力は、約30度以下の左視軸618の角度に関連付けられる、点集合617の点全体を通して約0.25ディオプトリ以下である。ある実施形態において、前面612及び/又は後面614上にフリーフォーム形状を用いるシングルレンズ600のプリズム屈折力は、約40度以下の左視軸618の角度に関連付けられる、点集合617の点全体を通して約0.35ディオプトリ以下である。ある実施形態において、前面612及び/又は後面614上にフリーフォーム形状を用いるシングルレンズ600のプリズム屈折力は、約55度以下の左視軸618の角度に関連付けられる、点集合617の点全体を通して約0.6ディオプトリ以下である。ある実施形態において、前面612及び/又は後面614上にフリーフォーム形状を用いるシングルレンズ600のプリズム屈折力は、約80度以下の左視軸618の角度に関連付けられる、点集合617の点全体を通して約0.8ディオプトリ以下である。
【0086】
ある実施形態において、前面612及び/又は後面614上にフリーフォーム形状を用いるシングルレンズ600のプリズム屈折力は、約30度以下の左視軸618の角度に関連付けられる、点集合617の点全体を通して、左視軸618の増大する角度の1度あたり約0.01ディオプトリ以下の平均レートで増大する。ある実施形態において、前面612及び/又は後面614上にフリーフォーム形状を用いるシングルレンズ600のプリズム屈折力は、約30度~約40度の左視軸618の角度に関連付けられる、点集合617の点全体を通して、左視軸618の増大する角度の1度あたり約0.01ディオプトリ以下の平均レートで増大する。ある実施形態において、前面612及び/又は後面614上にフリーフォーム形状を用いるシングルレンズ600のプリズム屈折力は、約40度~約55度の左視軸618の角度に関連付けられる、点集合617の点全体を通して、左視軸618の増大する角度の1度あたり約0.01ディオプトリ以下の平均レートで増大する。ある実施形態において、前面612及び/又は後面614上にフリーフォーム形状を用いるシングルレンズ600のプリズム屈折力は、約80度以下の左視軸618の角度に関連付けられる、点集合617の点全体を通して、左視軸618の増大する角度の1度あたり約0.01ディオプトリ以下の平均レートで増大する。
【0087】
ある実施形態において、前面612及び/又は後面614上にフリーフォーム形状を用いるシングルレンズ600のプリズム屈折力Pは、約30度~約55度の左視軸618の角度θに関連付けられる、点集合617の点全体を通して、関係
【数9】
を満たす。ある実施形態において、前面612及び/又は後面614上にフリーフォーム形状を用いるシングルレンズ600のプリズム屈折力Pは、約55度~約90度の左視軸618の角度θに関連付けられる、点集合617の点全体を通して、関係
【数10】
を満たす。
【0088】
ある実施形態において、右視軸624は、左眼610及び右中心軸608から水平経線615(
図13)に沿って測定される(例えば、それに追従する)、典型的な装用者の鼻から離れる別の角度626で延びる。ある実施形態において、水平経線615に沿った点集合619(
図13)の各点は、右視軸620が点集合619の各点と交差する位置での右視軸620の角度に関連付けられる。右眼610及び右視軸608に関するプリズム屈
折力の検討事項は、同様であり、左視軸604に関する実施形態において前述したプリズム屈折力に対して反転され得ることを理解されたい。
【0089】
さらに、表1~9及び
図7~10は、本開示の実施形態が、レンズ500(
図5)に関して前述した性能の実施形態と同様に、シングルレンズ600の光学的性能をさらに改善でき、本開示の実施形態を利用した、特定のベースカーブを有するレンズのプリズム屈折力が、全てのベースカーブに関して一般的に論じられるものより低いことができることを示す。したがって、当業者であれば、レンズ500の実施形態において前述したプリズム屈折力の特徴は、シングルレンズ600に適用され且つその逆でもあり得ることがわかるであろう。
【0090】
ある実施形態において、シングルレンズ600は、中心部分628及び側方部分630を含む。ある実施形態において、中心部分628は、両眼前方視ソリューション(例えば、全ベクトル前方視)を含む。ある実施形態において、側方部分630は、単眼軸外視ソリューションを含む。ある実施形態において、移行部分632は、中心部分628と側方部分630とを接続する。ある実施形態において、移行部分632は、中心部分628の両眼前方視ソリューションと、側方部分630の単眼軸外視ソリューションとの間のスムーズで段階的な移行を提供する。ある実施形態において、移行部分632は、約5度~約40度の左視軸618の角度間で画定される。ある実施形態において、移行部分632は、約10度~約30度の左視軸618の角度間で画定される。ある実施形態において、移行部分632は、約15度~約20度の左視軸618の角度間で画定される。ある実施形態において、移行部分632は、約5度~約15度の左視軸618の角度間で画定される。ある実施形態において、移行部分632は、約10度~約20度の左視軸618の角度間で画定される。ある実施形態において、移行部分632は、約15度~約25度の左視軸618の角度間で画定される。ある実施形態において、移行部分632は、約20度~約25度の左視軸618の角度間で画定される。当業者であれば、右視軸624の角度に関しても、別の側方部分及び別の移行部分が、移行部分632に関して上述したものと同様の限定を適用して画定できることがわかるであろう。
【0091】
図15は、シングルレンズ600の、ただし
図6に示されるものと異なる断面の概略図である。
図15に示される断面図は、典型的な装用者の顔面(例えば、鼻の輪郭を含む)においてより低い位置に座るものである。ある実施形態において、シングルレンズ600は、1つ又は複数の変曲領域634を含む。1つ又は複数の変曲領域634は、シングルレンズ600において、例えば典型的な装用者の顔の特徴(例えば、鼻梁、頬、眼窩)に適合する輪郭を形成するように設計される。面法線636は、表面のくぼみを示すために引かれている。面法線636は、表面612の凸部について発散し、表面612の凹部について収束する。凸/凹挙動は、シングルレンズ600の何れの面に言及しているかに関し得ることを理解すべきである。例えば、表面612の凸部は、表面614の凹部であり得る。
図15は、参考としてシングルレンズ600を使用しているが、何れのアイウェア用レンズについても(例えば、
図5のレンズ500についても)、変曲点(例えば、変曲領域634)を含む実施形態が想定され得ることを理解すべきである。例えば、シングルレンズ600の変曲領域634に関する特徴は、レンズ500(
図5)にも同様に適用され得る。
【0092】
再び
図6に関して、ある実施形態において、シングルレンズ600の変曲領域は、シングルレンズ600の何れの部分(例えば、中心部分628、側方部分630及び/又は移行部分632)においても生じ得る。すなわち、変曲領域は、全ベクトル前方視ソリューション及び/又は軸外視ソリューションを有するエリアにおいて生じ得る。
【0093】
ある実施形態において、シングルレンズ600は、中心部分628に配置された変曲領
域を含む。変曲領域は、変曲領域のプリズム歪曲収差が変曲領域のすぐ外側の(又はそれに隣接する)プリズム歪曲収差とマッチするように設計され得る。
【0094】
ある実施形態において、シングルレンズ600は、側方部分630に配置された変曲領域を含む。変曲領域は、変曲領域のプリズム歪曲収差が最小化されるように設計され得る。
【0095】
幾つかの実施形態において、シングルレンズ600は、例えば、シングルレンズ600を半分に分割して(例えば、切断又は他に分離して)、左眼レンズと右眼レンズとが製作されるようにすることにより、デュアルレンズソリューションを実現するように改変され得る。また、幾つかの実施形態の特徴が直接的にシングルレンズ又はデュアルレンズアイスウェアに関して論じられているが、シングルレンズ(例えば、シングルレンズ600)に関して本明細書に記載されている全ての実施形態の特徴の何れも、デュアルレンズアイウェア用レンズ(例えば、
図5のレンズ500)に適用可能であり且つその逆でもあり得ることを理解すべきである。
【0096】
本開示の実施形態は、非矯正用アイウェアで使用されるレンズに関するものであるが、当業者であれば、本開示の実施形態により提供される周辺視補正は、意図的な(例えば、処方による)光学パワー及び収差を有する処方レンズにも適用され得ることがわかるであろう。
【0097】
図7は、表1の原形の従来レンズ1(測定)及び表2の例示的なフリーフォーム再設計従来レンズ1(シミュレーション)の全体的なプリズム屈折力を比較するグラフプロットである。値は、0に近いほど好ましい。このシミュレーションは、本開示の実施形態によるフリーフォーム再設計を用いた場合、従来レンズ1の水平視軸角の範囲全体を通して全体的なプリズム屈折力が全般的に低減することを示す。
【0098】
図8は、表3の原形の従来レンズ2(シミュレーション)及び表4の例示的なフリーフォーム再設計従来レンズ2(シミュレーション)の全体的なプリズム屈折力を比較するグラフプロットである。値は、0に近いほど好ましい。従来レンズ1の比較と同様に、ここでも、このシミュレーションは、本開示の実施形態によるフリーフォーム再設計を用いた場合、従来レンズ2の水平視軸角の範囲全体を通して全体的なプリズム屈折力が全般的に低減することを示す。
【0099】
図9は、表6の原形の従来レンズ4(測定)、
図7の原形の従来レンズ4(シミュレーション)及び表8のフリーフォーム再設計従来レンズ4(シミュレーション)の全体的なプリズム屈折力を比較するグラフプロットである。値は、0に近いほど好ましい。このシミュレーションは、本開示の実施形態によるフリーフォーム再設計を用いた場合、従来レンズ4の水平視軸角の範囲全体を通して全体的なプリズム屈折力が全般的に低減することを示す。光学的性能の改善は、従来レンズ1又は2に関するものより約5分の1へのプリズム屈折力の低減を示す従来レンズ4と比較してより顕著である。加えて、ここでは、シミュレーションアルゴリズムの忠誠度が裏付けられており、従来レンズ4のシミュレーション及び測定によるプリズム屈折力がよく一致していることが示されている。
【0100】
図10は、表9の例示的なフリーフォームビジョンシールド(測定)及び表1の原形の従来レンズ1(測定)の全体的なプリズム屈折力を比較するグラフプロットである。値は、0に近いほど好ましい。このグラフは、それが実測を比較するものであり、このビジョンシールドは、本開示の実施形態によるフリーフォーム再設計を有する。ビジョンシールドの全体的なプリズム屈折力は、20~90度において0.13~0.25ディオプトリという低いレートで増大し、その水平視軸角の範囲全体を通して0.25ディオプトリ以
下である。
【0101】
プリズム歪曲収差を評価する際のメトリクスに関して、当業者であれば、本開示の実施形態で言及されているプリズム屈折力が他の均等な点で説明され得ることがわかるであろう。例えば、プリズム屈折力の点で説明されている特徴は、角変位若しくは偏向、装用者からある距離だけ離れた物体の見かけ上の変位又は他の均等なメトリクスでも説明され得、それらの幾つかは、表1~9に示されている。本明細書でプリズム歪曲収差を評価するために使用されるメトリクスは、例示的であり、限定的ではない。
【0102】
当業者であれば、レンズ表面は、様々なベースカーブを有する形状を含み得ることがわかるであろう。例えば、表9及び
図10に示されるビジョンシールドの測定値は、レンズの端間で3~10の範囲の可変ベースカーブを有する。(例えば、視軸角において)左に約25度から右に25度に画定され得る前方視領域は、5.5~10の範囲のベースカーブを有し、10カーブがより中央付近に配置されている。
【0103】
プリズム屈折力性能を含む実施形態は、何れの視角範囲もカバーし得ることを認識すべきであり、本開示は、あらゆる全ての視角範囲を含むが、これは、考え得る範囲の組合せの網羅的な一覧を提供するものではない。例えば、前面508及び/又は後面510上上において、約6以上の水平ベースカーブを有するレンズ500のブリズム屈折力が、約30度~約40度の視軸512の角度に関連付けられる、水平経線515に沿った点全体を通して、視軸512の増大する角度の1度あたり約0.018ディオプトリ以下の平均レートで増大する実施形態が
図5に関して述べられた。ここで、30~40度の水平視範囲が例として挙げられている。例えば、前方直視線により近い、より狭い範囲の軸外視角(例えば、水平に20~40度の範囲)又は軸外視の大部分(例えば、水平に10~90度)をカバーする大きい視角範囲に関する実施形態も想定可能である。このような実施形態において、ある角度範囲のプリズム屈折力性能は、表1~9の値から導き出され得る。
【0104】
異なる角度範囲の例として、
図5及び表6のデータに関する実施形態では、前面508及び/又は後面510上において、約8.75カーブ以上の水平ベースカーブを有するフリーフォーム形状を用いるレンズ500の最大及び最小プリズム屈折力間の差は、約25度~約45度の視軸512の角度に関連付けられる、水平経線515に沿った点の範囲全体を通して約0.40、0.30、0.20、0.10又は0.05ディオプトリ以下である。この実施形態に関して、表6は、約8.75のベースカーブを有する従来レンズの多くの水平視角、例えば水平に25~45度のデータを示す。この従来レンズ及びこの視角範囲に関する最大及び最小間のディオプトリの差は、約0.42ディオプトリである。したがって、本明細書において開示されているディオプトリ改善方法を用いれば、再設計された8.75カーブレンズは、選択された視角範囲(この場合には約25~45度)について0.42未満(例えば、0.40)の最大及び最小値間の何れかのディオプトリ差を有し得る。他の視線角範囲及びプリズム屈折力性能をカバーする、このように導出される他の実施形態も本開示の範囲に含まれる。本明細書で開示されるディオプトリ改善方法を使用することにより、再設計レンズは、ある視角範囲に関して、表1~9により証明されるように、その対応する従来レンズよりも例えば10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%又はそれを超えて良好である、何れかのディオプトリ最大値又はディオプトリ差を有し得る。換言すれば、本明細書では、角度範囲と、ディオプトリ最大値及び最大値最小値間の差との特定の組合せを開示したが、表1~9により証明され、それから直接導出される、視角範囲と、従来レンズに対する視角及びプリズム屈折力の改善との他の組合せも本開示の範囲に含まれる。
【0105】
同様に、実施形態は、特定の形状を有するレンズ表面に関し得る。以下の例示的な実施形態は、トーリック形状に関するものであるが、球面又は円柱形状を有する同様の実施形
態も想定され得ることを認識すべきである。
図6に関して、ある実施形態において、前面612は、トーリック及びフリーフォーム形状の一方を有し、後面614は、トーリック及びフリーフォーム形状の他方を有する。このような実施形態のある例では、シングルレンズ600のプリズム屈折力は、約30度以下の左視軸618の角度に関連付けられる点集合617の点全体を通して約0.44ディオプトリ以下である。このような実施形態の別の例では、シングルレンズ600のプリズム屈折力は、約40度以下の左視軸618の角度に関連付けられる点集合617の点全体を通して約0.64ディオプトリ以下である。このような実施形態のまた別の例では、シングルレンズ600のプリズム屈折力は、約50度以下の左視軸618の角度に関連付けられる点集合617の点全体を通して約0.89ディオプトリ以下である。また、前述のように、フリーフォーム表面と旋削加工表面との両方を他の視角範囲及びプリズム屈折力性能と共に使用する実施形態は、本開示の範囲内である。
【0106】
各種の実施形態は、このように、装用者の眼からレンズの表面への異なる入射角について少なくとも1つのフリーフォーム表面を有するレンズ(本明細書では「実角度光学系」ともいう)を提供する方法を提供する。本明細書に記載されている、装用者の視線とレンズの内面及び外面の特異な構成との間の新規の関係を認識することにより、本開示によってプリズム歪曲収差を最小限にしながら、様々なレンズ設計の何れを使用することも可能となる。例えば、設計者は、装用者の視線に関するレンズの所望の向き及び曲率を選択し得る。向き及び曲率は、広い範囲の傾斜(すなわちレンズの垂直方向の「傾き」)、水平傾斜、ベースカーブの値及び高い包み込み性を実現するパラメータを含む装用者の眼面との近さから選択され得る。したがって、レンズ表面のフリーフォーム形状は、本開示の方法により、プリズム歪曲収差が最小化されるように選択され得る。この改善には、従来レンズに対する多くの利点があり、例えば、これは、異なるスタイルのためのレンズ設計範囲を広げる、装用者の異なる瞳孔間距離に、光学性能をほとんど劣化させずにフィットさせ、且つ幅広いフレーム/ヘッドギア設計にレンズを嵌め込むことが可能となることである。
【0107】
上述の本開示は、水平視軸に関する測定及び補正を説明しているが、当業者であれば、同様の手法を、垂直視軸に関する又は水平及び垂直成分の両方を有する方向若しくは領域における測定及び補正にも使用し得ることがわかるであろう。
【0108】
本開示の実施形態が開示されているが、当業者であれば、本開示は、具体的に開示された実施形態以外に本発明の他の代替的な実施形態及び/又は用途並びにその自明な改変形態及び均等物にも拡張されることを理解するであろう。加えて、実施形態の幾つかの変形形態が図示され、詳細に説明されているが、本開示の範囲に含まれる他の変更形態も本開示に基づいて当業者に容易に明らかになるであろう。実施形態の具体的な特徴及び態様の様々な組み合わせ又は部分的組合せも行われ得、それらも依然として本発明の範囲に含まれることが想定される。開示された実施形態の各種の特徴及び態様を相互に組み合わせるか又は相互に置き換えることにより、開示される本発明の異なる態様を形成し得ることを理解すべきである。したがって、本明細書で開示される本開示の少なくとも一部の範囲は、前述の特に開示された実施形態によって限定されるべきではない。
【手続補正書】
【提出日】2023-08-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズであって、非矯正用アイウェア又はヘッドギアにおいて、典型的な装用者の片眼の中心軸を形成する前方直視線の経路内で前記レンズを支持するためのフレームと組み合わせて使用するためのレンズであって、
レンズ本体であって、
球面、トーリック、円柱又はフリーフォーム形状を有する前面と、
フリーフォーム形状を有する後面と
を含むレンズ本体
を含み、
レンズ厚さは、前記前面と前記後面との間で画定され、
視軸は、前記片眼及び前記中心軸から、前記後面の水平経線に沿って測定される、前記典型的な装用者の鼻から離れる前記中心軸からの角度で延び、
前記後面の前記水平経線に沿った各点は、前記視軸が、前記後面の前記水平経線に沿った前記各点と交差する位置での前記視軸の角度に関連付けられ、
前記レンズのプリズム屈折力Rは、0度~約30度の前記視軸の角度において、前記後面の前記水平経線の各点において約0.23ディオプトリ以下であり、
前記プリズム屈折力Rは、以下の式によって計算され、
【数1】
ここで、Xは水平方向における屈折力であり、Yは垂直方向における屈折力である、レンズ。
【請求項2】
前記レンズ本体上の何れの点における前記レンズ厚さも約2mm以下且つ約1mm以上である、請求項1に記載のレンズ。
【請求項3】
前記球面、トーリック又は円柱形状は、約6カーブ以上の水平ベースカーブを有する、請求項1に記載のレンズ。
【請求項4】
前記球面、トーリック又は円柱形状は、約8カーブ以上の水平ベースカーブを有する、請求項1に記載のレンズ。
【請求項5】
前記レンズの前記プリズム屈折力Rは、約30度~約55度の前記視軸の角度において、前記後面の前記水平経線の各点において約0.6ディオプトリ以下である、請求項1に記載のレンズ。
【請求項6】
前記レンズの前記プリズム屈折力Rは、約30度~約40度の前記視軸の角度に関連付けられる、前記後面の前記水平経線に沿った点全体を通して、前記視軸の増大する角度の1度あたり約0.01ディオプトリ以下の平均レートで増大する、請求項1に記載のレンズ。
【請求項7】
装用時の前記レンズの前記プリズム屈折力RをPとすると、Pは、約30度~約55度の、度を単位とする前記視軸の角度θに関連付けられる、前記後面の前記水平経線に沿った点全体を通して、関係
【数2】
を満たす、請求項1に記載のレンズ。
【請求項8】
デュアルレンズアイウェアの2つのレンズの一方である、請求項1に記載のレンズ。
【請求項9】
前記レンズは、シングルレンズであり、
前記視軸は、第一の視軸であり、
前記片眼は、第一の眼であり、
前記シングルレンズは、前記典型的な装用者の第二の眼の中心軸を形成する前方直視線の経路内で支持されるように構成され、
第二の視軸は、前記第二の眼及び前記第二の眼の前記中心軸から、前記後面の前記水平経線に沿って測定される、前記典型的な装用者の鼻から前記第一の視軸の方向と反対の方向に離れる前記第二の眼の前記中心軸からの角度で延び、
前記後面の前記水平経線に沿った第二の点集合の各点は、前記第二の視軸が前記第二の点集合の前記各点と交差する位置での前記第二の視軸の角度に関連付けられ、
前記レンズの前記プリズム屈折力Rは、0度~約30度の前記第二の視軸の角度であって前記後面の前記水平経線に沿った前記第二の視軸の角度において、前記第二の点集合の各点において約0.23ディオプトリ以下である、請求項1に記載のレンズ。
【請求項10】
前記レンズ本体は、前記フレームの形状に適合し、且つ前記フレームに固定されるように構成される、請求項1に記載のレンズ。
【請求項11】
前記後面は、変曲領域をさらに含み、及び前記変曲領域におけるプリズム屈折力Rは、前記変曲領域に隣接する領域におけるプリズム屈折力Rと実質的に同様である、請求項1に記載のレンズ。
【請求項12】
レンズであって、非矯正用アイウェア又はヘッドギアにおいて、典型的な装用者の片眼の中心軸を形成する前方直視線の経路内で前記レンズを支持するためのフレームと組み合わせて使用するためのレンズであって、
レンズ本体であって、
球面、トーリック、円柱又はフリーフォーム形状を有する前面と、
フリーフォーム形状を有する後面と
を含むレンズ本体
を含み、
前記前面の前記球面、トーリック、円柱又はフリーフォーム形状は、約6カーブ以上の
水平ベースカーブを有し、
レンズ厚さは、前記前面と前記後面との間で画定され、
視軸は、前記片眼及び前記中心軸から、前記後面の水平経線に沿って測定される、前記典型的な装用者の鼻から離れる前記中心軸からの角度で延び、
前記後面の前記水平経線に沿った各点は、前記視軸が、前記後面の前記水平経線に沿った前記各点と交差する位置での前記視軸の角度に関連付けられ、
前記レンズのプリズム屈折力Rは、0度~約30度の前記視軸の角度において、前記後面の前記水平経線の各点において約0.44ディオプトリ以下であり、
前記プリズム屈折力Rは、以下の式によって計算され、
【数3】
ここで、Xは水平方向における屈折力であり、Yは垂直方向における屈折力である、レンズ。
【請求項13】
前記レンズ本体上の何れの点における前記レンズ厚さも約2mm以下且つ約1mm以上である、請求項12に記載のレンズ。
【請求項14】
前記球面、トーリック又は円柱形状は、約8カーブ以上の水平ベースカーブを有する、請求項12に記載のレンズ。
【請求項15】
前記前面は、トーリック形状を有する、請求項12に記載のレンズ。
【請求項16】
前記レンズの前記プリズム屈折力Rは、約30度~約40度の前記視軸の角度において、前記後面の前記水平経線の各点において約0.64ディオプトリ以下である、請求項12に記載のレンズ。
【請求項17】
前記レンズの前記プリズム屈折力は、約30度~約40度の前記視軸の角度に関連付けられる、前記後面の前記水平経線に沿った点全体を通して、前記視軸の増大する角度の1度あたり約0.018ディオプトリ以下の平均レートで増大する、請求項12に記載のレンズ。
【請求項18】
デュアルレンズアイウェアの2つのレンズの一方である、請求項12に記載のレンズ。
【請求項19】
前記レンズは、シングルレンズであり、
前記視軸は、第一の視軸であり、
前記片眼は、第一の眼であり、
前記シングルレンズは、前記典型的な装用者の第二の眼の中心軸を形成する前方直視線の経路内で支持されるように構成され、
第二の視軸は、前記第二の眼及び前記第二の眼の前記中心軸から、前記後面の前記水平経線に沿って測定される、前記典型的な装用者の鼻から前記第一の視軸の方向と反対の方向に離れる前記第二の眼の前記中心軸からの角度で延び、
前記後面の前記水平経線に沿った第二の点集合の各点は、前記第二の視軸が前記第二の点集合の前記各点と交差する位置での前記第二の視軸の角度に関連付けられ、及び
前記レンズの前記プリズム屈折力Rは、0度~約30度の前記第二の視軸の角度において、前記第二の点集合の各点において約0.44ディオプトリ以下である、請求項12に記載のレンズ。
【請求項20】
前記後面は、変曲領域をさらに含み、及び前記変曲領域におけるプリズム屈折力Rは、
前記変曲領域に隣接する領域におけるプリズム屈折力Rと実質的に同様である、請求項12に記載のレンズ。
【請求項21】
レンズであって、非矯正用アイウェア又はヘッドギアにおいて、典型的な装用者の片眼の中心軸を形成する前方直視線の経路内で前記レンズを支持するためのフレームと組み合わせて使用するためのレンズであって、
レンズ本体であって、
球面、トーリック、円柱又はフリーフォーム形状を有する前面と、
フリーフォーム形状を有する後面と
を含むレンズ本体
を含み、
前記前面の前記球面、トーリック、円柱又はフリーフォーム形状は、約8.75カーブ以上の水平ベースカーブを有し、
レンズ厚さは、前記前面と前記後面との間で画定され、
視軸は、前記片眼及び前記中心軸から、前記後面の水平経線に沿って測定される、前記典型的な装用者の鼻から離れる前記中心軸からの角度で延び、
前記後面の前記水平経線に沿った各点は、前記視軸が、前記後面の前記水平経線に沿った前記各点と交差する位置での前記視軸の角度に関連付けられ、
前記レンズのプリズム屈折力Rは、0度~約30度の前記視軸の角度において、前記後面の前記水平経線の各点において約0.62ディオプトリ以下であり、
前記プリズム屈折力Rは、以下の式によって計算され、
【数4】
ここで、Xは水平方向における屈折力であり、Yは垂直方向における屈折力である、レンズ。
【請求項22】
前記レンズの前記プリズム屈折力Rは、約30度~約50度の前記視軸の角度において、前記後面の前記水平経線の各点において約0.9ディオプトリ以下である、請求項21に記載のレンズ。
【請求項23】
前記レンズの前記プリズム屈折力Rは、約30度~約40度の前記視軸の角度に関連付けられる、前記後面の前記水平経線に沿った点全体を通して、前記視軸の増大する角度の1度あたり約0.019ディオプトリ以下の平均レートで増大する、請求項21に記載のレンズ。
【請求項24】
デュアルレンズアイウェアの2つのレンズの一方である、請求項21に記載のレンズ。
【請求項25】
前記レンズ本体は、前記フレームの形状に適合し、且つ前記フレームに固定されるように構成される、請求項21に記載のレンズ。
【請求項26】
請求項21に記載のレンズ及びフレームを含むアイウェア。
【請求項27】
請求項21に記載のレンズを含む保護用ヘッドギア。
【請求項28】
前記レンズ本体は、追加的構造の形状に適合し、且つ前記追加的構造に固定されるように構成され、及び
前記追加的構造は、前記保護用ヘッドギアに固定されるように構成される、請求項27に記載の保護用ヘッドギア。
【請求項29】
レンズであって、非矯正用アイウェア又はヘッドギアにおいて、典型的な装用者の片眼の中心軸を形成する前方直視線の経路内で前記レンズを支持するためのフレームと組み合わせて使用するためのレンズであって、
球面、トーリック、円柱又はフリーフォーム形状を有する前面と、
フリーフォーム形状を有する後面と
を含み、
前記前面の前記球面、トーリック、円柱又はフリーフォーム形状は、約6カーブ以上の水平ベースカーブを有し、
視軸は、前記片眼及び前記中心軸から、前記後面の水平経線に沿って測定される、前記典型的な装用者の鼻から離れる前記中心軸からの角度で延び、
前記後面の前記水平経線に沿った各点は、前記視軸が、前記後面の前記水平経線に沿った前記各点と交差する位置での前記視軸の角度に関連付けられ、
前記レンズの前記プリズム屈折力Rの最大屈折力と最小屈折力との差は、約30度~約40度の前記視軸の角度において、前記後面の前記水平経線に沿った点の範囲において約0.18ディオプトリ以下であり、
前記プリズム屈折力Rは、以下の式によって計算され、
【数5】
ここで、Xは水平方向における屈折力であり、Yは垂直方向における屈折力である、レンズ。
【請求項30】
前記前面は、前記トーリック形状を有し、且つ約6カーブの水平ベースカーブを有し、
前記レンズの前記プリズム屈折力Rの前記最大屈折力と前記最小屈折力との差は、0度~約40度の前記視軸の角度において、前記後面の前記水平経線に沿った点の範囲において約0.60ディオプトリ以下である、請求項29に記載のレンズ。
【請求項31】
前記前面の前記球面、トーリック、円柱又はフリーフォーム形状は、約8.75カーブの水平ベースカーブを有し、
前記レンズの前記プリズム屈折力Rの前記最大屈折力と前記最小屈折力との差は、0度~約40度の前記視軸の角度において、前記後面の前記水平経線に沿った点の範囲において約0.70ディオプトリ以下である、請求項29に記載のレンズ。
【請求項32】
前記レンズの前記プリズム屈折力Rの前記最大屈折力と前記最小屈折力との差は、約30度~約50度の前記視軸の角度において、前記後面の前記水平経線に沿った点の範囲において約0.40ディオプトリ以下である、請求項29に記載のレンズ。
【請求項33】
前記前面の前記球面、トーリック、円柱又はフリーフォーム形状は、約6カーブの水平ベースカーブを有する、請求項32に記載のレンズ。
【請求項34】
前記前面は、トーリック形状を有する、請求項33に記載のレンズ。
【請求項35】
前記レンズは、シングルレンズであり、
前記視軸は、第一の視軸であり、
前記片眼は、第一の眼であり、
前記シングルレンズは、前記典型的な装用者の第二の眼の中心軸を形成する前方直視線の経路内で支持されるように構成され、
第二の視軸は、前記第二の眼及び前記第二の眼の前記中心軸から、前記後面の前記水平
経線に沿って測定される、前記典型的な装用者の鼻から前記第一の視軸の方向と反対の方向に離れる前記第二の眼の前記中心軸からの角度で延び、
前記後面の前記水平経線に沿った第二の点集合の各点は、前記第二の視軸が前記第二の点集合の前記各点と交差する位置での前記第二の視軸の角度に関連付けられ、
前記レンズの前記プリズム屈折力Rは、0度~約30度の前記第二の視軸の角度において、前記第二の点集合の各点において約0.44ディオプトリ以下である、請求項34に記載のレンズ。
【請求項36】
前記後面は、変曲領域をさらに含み、及び前記変曲領域におけるプリズム屈折力Rは、前記変曲領域に隣接する領域におけるプリズム屈折力Rと実質的に同様である、請求項35に記載のレンズ。