IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ハペッラ オイの特許一覧

特開2023-134844呼吸器の健康ケアのための、および呼吸器機能の訓練および改善のための装置
<>
  • 特開-呼吸器の健康ケアのための、および呼吸器機能の訓練および改善のための装置 図1
  • 特開-呼吸器の健康ケアのための、および呼吸器機能の訓練および改善のための装置 図2
  • 特開-呼吸器の健康ケアのための、および呼吸器機能の訓練および改善のための装置 図3a
  • 特開-呼吸器の健康ケアのための、および呼吸器機能の訓練および改善のための装置 図3b
  • 特開-呼吸器の健康ケアのための、および呼吸器機能の訓練および改善のための装置 図4
  • 特開-呼吸器の健康ケアのための、および呼吸器機能の訓練および改善のための装置 図5
  • 特開-呼吸器の健康ケアのための、および呼吸器機能の訓練および改善のための装置 図6
  • 特開-呼吸器の健康ケアのための、および呼吸器機能の訓練および改善のための装置 図7
  • 特開-呼吸器の健康ケアのための、および呼吸器機能の訓練および改善のための装置 図8a
  • 特開-呼吸器の健康ケアのための、および呼吸器機能の訓練および改善のための装置 図8b
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023134844
(43)【公開日】2023-09-27
(54)【発明の名称】呼吸器の健康ケアのための、および呼吸器機能の訓練および改善のための装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 16/16 20060101AFI20230920BHJP
   A61M 16/20 20060101ALI20230920BHJP
   A61M 15/00 20060101ALI20230920BHJP
【FI】
A61M16/16 A
A61M16/20 D
A61M15/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023123720
(22)【出願日】2023-07-28
(62)【分割の表示】P 2019209051の分割
【原出願日】2019-11-19
(31)【優先権主張番号】20185974
(32)【優先日】2018-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ブルートゥース
(71)【出願人】
【識別番号】514213349
【氏名又は名称】ハペッラ オイ
【氏名又は名称原語表記】Hapella Oy
【住所又は居所原語表記】Microkatu 1, P.O. Box 1188 Kuopio Finland
(74)【代理人】
【識別番号】100075557
【弁理士】
【氏名又は名称】西教 圭一郎
(72)【発明者】
【氏名】クロネン,イルポ
(72)【発明者】
【氏名】ナグヒアン,シアマク
(57)【要約】
【課題】 呼吸器の健康ケアのための、および呼吸器機能の訓練および改善のための装置を提供する。
【解決手段】 本発明は、第1流路と、第2流路と、内部容積を有する本体部とを含む装置に関する。内部容積の第1空間は、液体で満たされるように構成されてなり、内部容積の第2空間は、蒸気を受け入れるように配設される。装置は、吸気中、ガス流を内部容積の蒸気空間から第1流路を介して装置の外部に運ぶための手段と、呼気流を装置の外部から第2流路を介して内部容積の第1空間に運ぶための手段とをさらに含む。装置は、気流の流量および温度を測定するための手段と、気流の流量を機械的におよび/または自動的に調整するための手段をさらに含む。本発明は、方法およびシステムにさらに関する。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸気のための第1流路(5)と、
内部容積(3,4)を有する本体部(2)であって、内部容積の第1空間(3)が液体で満たされるように構成されてなる本体部(2)と、
内部容積の第1空間(3)内で形成する蒸気を受け入れるように構成されてなる内部容積の第2空間(4)であって、第1流路(5)が内部容積の第2空間(4)と流れが接続されるように配設される第2空間(5)と、
吸気中に内部容積の蒸気空間(4)から第1流路(5)を介して装置(1)外部にガス流を運ぶための手段(6)と、
液体内に呼気空気を提供するように構成された内部容積の第1空間(3)と流れが接続されるように配設される第2流路(7)と、
装置(1)の外部から第2流路(7)を介して内部容積の第1空間(3)にガス流を運ぶための手段(8)と、を含む装置(1)において、
装置(1)は、
気流の流量および温度を測定するための手段と、
気流の流量を手動でおよび/または自動的に調整するための手段と、
をさらに含むことを特徴とする装置(1)。
【請求項2】
蒸気空間(4)から第1流路(5)を介して装置(1)の外部にガス流を運ぶための手段(6)は、負圧によって閉鎖される弁である第1弁(6)を含む、および/または
装置(1)の外部から第2流路(7)を介して液体空間(3)にガス流を運ぶための手段(8)は、負圧によって閉鎖される弁である第2弁(8)を含むことを特徴とする、請求項1に記載の装置(1)。
【請求項3】
気流の流量および温度を測定するための手段は、
気流の流量を測定するための第1センサと、
気流の温度を測定するための第2センサとを含むことを特徴とする、請求項1に記載の装置(1)。
【請求項4】
測定データの少なくとも一部を送信するための手段をさらに含むことを特徴とする、請求項2または3に記載の装置(1)。
【請求項5】
液体空間(3)内の液体を加熱するための加熱手段(11)、および/または
液体空間(3)内の圧力を増加させるための加圧手段(14)をさらに含むことを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の装置(1)。
【請求項6】
第3流路(9)であって、ガス流を装置(1)の外部から第2流路(7)に運ぶこと、およびガス流を第1流路(5)から装置(1)の外部に運ぶことが第3流路(9)を介してなされるように、第1流路(5)と第2流路(7)とが接続される第3流路(9)をさらに含むことを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載の装置(1)。
【請求項7】
吸気中に得られるエネルギ量、および/または
呼気中に使用されるエネルギ量
を決定するための手段をさらに含むことを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載の装置(1)。
【請求項8】
一回換気量(TV)、
吸気予備量(IRV)、
呼気予備量(ERV)、
残気量(RV)、および/または
全肺気量(LTC)、
心拍数変動
を決定するための手段をさらに含むことを特徴とする、請求項1~7のいずれか1項に記載の装置(1)。
【請求項9】
個人の、
最大吸気圧(MIP)、
最大呼気圧(MEP)、
最大吸気流量(MIF)、および
最大呼気流量(MEF)
を決定するための手段を含むことを特徴とする、請求項1~8のいずれか1項に記載の装置(1)。
【請求項10】
呼気を装置(1)の第2流路(7)を介して液体で満たされた装置(1)の本体部(2)の第1空間(3)に運ぶことと、
呼気によって第1空間(3)内に蒸気を形成することと、
装置(1)の本体部(2)の第2空間(4)内に第1空間(3)で形成された蒸気を受け入れることと、
吸気中にガス流を第2空間(4)から第1流路(5)を介して装置(1)の外部に運ぶこととを含む方法において、
吸気流および呼気流の少なくとも一方の流量および温度を測定することと、
第1流路(5)および第2流路(7)の少なくとも一方の流れ抵抗を調整することとをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項11】
測定から収集されたデータの少なくとも一部を分析することを含み、
分析は、
吸気中に得られるエネルギ量を計算すること、
呼気中に伝達されるエネルギ量を計算すること、
最大吸気圧(MIP)を計算すること、
最大呼気圧(MEP)を計算すること、
最大吸気流量(MIF)を計算すること、および/または
最大呼気流量(MEF)を計算することを含み、
計算された値の少なくとも1つを用いた分析に基づいて、個人に好ましい抵抗ステップを推奨することをさらに含むことを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
測定データおよび/または分析データの少なくとも一部を呼吸クラウドサービスユニット(30)に送信することをさらに含むことを特徴とする、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
吸気用の第1流路(5)と、
内部容積(3,4)を有する本体部(2)であって、内部容積の第1空間(3)が液体で満たされるように構成されてなる本体部(2)と、
内部容積の第1空間(3)内に形成する蒸気を受け入れるように構成されてなる内部空間の第2空間(4)であって、これによって第1流路(5)が内部容積の第2空間(4)と流れが接続されるように配設される第2空間(4)と、
ガス流を内部容積の蒸気空間(4)から第1流路(5)を介して装置(1)の外部に運ぶための手段(6)と、
呼気を液体内に提供するように構成されてなる内部容積の第1空間(3)と流れが接続されるように配設された第2流路(7)と、
呼気流を、装置(1)の外部から第2流路(7)を介して内部容積の第1空間(3)に運び、内部容積(3,4)の圧力を増加させるための手段(8)と、
任意の、ローカルディスプレイ(27)と、
吸気流の流量および温度を測定するための測定手段と、
任意の、呼気流の流量および温度を測定するための測定手段と、
任意の、第1弁(6)および第2弁(8)とを含む、装置(1)を含み、
統合された圧力および気流監視制御ユニットであって、
無線コンポーネントと、
プロセッサ(25)と、
少なくとも1つのメモリコンポーネント(26)とを含む、統合された圧力および気流監視制御ユニットをさらに含むことを特徴とするシステム。
【請求項14】
使用者に推奨を示すためのディスプレイ(27)をさらに含むことを特徴とする、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
健康管理、スポーツ運動、および/または健康(wellbeing)のための、請求項1~8
のいずれか1項に記載の装置の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも第1流路と液体用の液体空間とを含む、呼吸器の健康(wellness)のための、および/または肺機能の訓練および改善のための装置に関する。さらに、本発明は、少なくとも第1流路と液体用の液体空間とを含む、装置内の、空気流および蒸気流と温度とを監視および制御するための方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
呼吸器の問題は未だに世界的規模の、ますます費用のかかる大きな現象である。先進国では、投薬の改善により重度の喘息の発生率が低下してはいるが、非定型喘息の発生率は、おそらく屋内外の空気の質が悪いために増加している。空気中の粒子、二酸化窒素、オゾンは喘息の悪化に影響を与えることが知られている。また、それらが、喘息発症の大きな原因であることも示唆されている。アレルギーまたは劣悪な質の空気のために、気道に痰がたまると、気道感染症にさらされることになる。喘息患者とCOPD患者の場合、痰は、粘液層下の上皮と接触すべき吸入薬物の障壁となる。これは、投薬を無益なものとし、副次的効果さえも減衰させる。
【0003】
喘息および慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの閉塞性肺疾患では、気道の閉塞が、空気流を制限する。喘息においては、アレルギー反応が、気管支上皮の肥厚と内腔の狭小化とにつながる、気管支応答を引き起こし、急性の呼吸問題を発現させる。また、COPDが、肺胞および気管支の慢性炎症によって現れる。炎症は、喘息とCOPDとの双方において、気管支の形態と、胸の運動性とに永続的な変化を引き起こす。粘液の蓄積が、これらの疾患では一般的であり、多くの場合、その排除は、毛様体運動の機能障害によって妨げられる。粘液は、有害な細胞片および刺激成分を保存し、ウイルスおよび細菌の気道感染や悪化にさらす。したがって、特に増悪の際には、適切な粘液の除去に注意することが最も重要である。喘息では、気管支が炎症の結果として閉塞される。COPDでは、長期的な炎症によって症状が引き起こされる。COPDでは、その症状には、息切れおよび気道の粘液などがある。さらにまた、症状は、病気に起因する胸部の筋肉の緊張によって悪化する可能性がある。さらに、急性呼吸器感染症では、患者の気管支が炎症を起こしやすくなる。小さな気道内の圧力勾配により、粘液は、咳によって、排出され易い大きな気道に向かって除去される。咳により粘液が除去され、気道内で粘液を上昇させる。喘息患者では、アレルギー反応が気管支に接触し、気流を遮断する。刺激は、代わりに、気管支への粘液の蓄積を促進する。これにより、患者は気道感染症および肺炎にさらされる。
【0004】
ボトル吹きは、気道から粘液を除去するための数十年前の治療法である。また、蒸気吸入は60年代から上気道のうっ血を緩和するために使用されてきている。ボトルに息を吹き込むとき、患者はホースを通して、水が入ったボトルに息を吹き込む。このような抵抗性の吹き込みは、粘液を取り除き、気管支を開く。次に蒸気の吸入が、気管支に潤いを与え、粘液をより流動的にし、咳をして出しやすくする。
【0005】
肺疾患は、心臓の負荷を増加させ、不整脈(たとえば、心房細動)の発生などの心臓関連疾患を悪化させる。
【0006】
呼吸器疾患のケアは、吸入器またはネブライザの助けを借りて気道に投与される吸入薬に基づいている。また、気道のうっ血を緩和するために蒸気吸入器が使用されている。代わりに煮沸水は、火傷の危険性があるので、蒸気吸入には勧められない。
【発明の概要】
【0007】
本発明の目的は、改良された蒸気吸入器を提供することである。吸入蒸気の温度および気流を監視および制御して、損傷を引き起こすことなく気道に適切なエネルギを提供することが有益である。したがって、本発明に従う装置は、吸気流および蒸気の、流量および温度を測定するための、気流流路に接続されたセンサを有する。一実施形態に従えば、センサは気流流路に統合される。測定パラメータは、使用者の暴露時間を実質的に正確に示す指標を計算するために使用される。測定パラメータは、装置の正しい使用に関する情報を提供するためにも使用できる。記録されたパラメータを保存、分析、および監視して、使用者の進展と、使用者の健康(wellness)トレーニングプログラムとのさらなる分析が可能である。本発明は、呼気および吸気と、吸気プロセスの一部である蒸気吸入とに抵抗した。したがって、これらの方法は相乗効果で働き、呼吸に多くのプラスの効果をもたらすことを可能にする。
【0008】
抵抗に対する吹きつけは、特に肺の下部にある小さな気管支を開き、呼気時に胸部の正圧と気流とを圧縮する外側の肋骨筋を活性化するのに効果的である。その結果、吸入工程では、湿った蒸気が、小さな気管支に届きやすくなり、同時に粘液がより流動性になり、咳でより簡単に除去できるようになる。
【0009】
本発明は、呼気および吸入に対する機械的空気抵抗に基づいている。さらにまた、本発明の機構によって、吸気時に蒸気が気道に流入することが可能になる。したがって、湿気のある蒸気によって運ばれる可能性のある薬物または他の活性剤の効果を、気道の奥深くに送達することが可能である。一実施形態に従えば、呼吸機能を改善するために、逆圧呼吸と蒸気吸入とが組み合わされる。さらに、温熱療法を監視および制御できる。
【0010】
本発明は、呼吸機能を改善するために、医療用途だけでなくスポーツおよび健康(wellbeing)用途にも使用できる。
【0011】
一実施形態に従えば、第1測定パラメータを取得するために、少なくとも、吸気の流量および吸気流の温度が測定される。一実施形態に従えば、第2測定パラメータを取得するために、呼気流の流速および温度も測定される。第1測定パラメータおよび/または第2測定パラメータに基づく少なくとも1つの指標は、気道の温熱療法を監視するために使用することができる。この少なくとも1つの指標は、熱暴露に関する値である。
【0012】
少なくとも1つの指標は、
・吸気中に得られる計算されたエネルギ量、
・呼気中に使用される計算されたエネルギ量、
・一回換気量(TV)、
・吸気予備量(IRV)、
・呼気予備量(ERV)、
・残気量(RV)、
・全肺気量(LTC)、
・心拍数変動
・最大吸気圧(MIP)、
・最大呼気圧(MEP)、
・最大吸気流量(MIF)、および/または
・最大呼気流量(MEF)を、
含むソース日付に基づいて選択可能である。
【0013】
一実施形態に従えば、指標は、
・最大吸気圧(MIP)と、
・最大呼気圧(MEP)と、
・最大吸気流量(MIF)と、
・最大呼気流量(MEF)と、
を含む群に基づいて分析および選択される。
【0014】
温熱療法の暴露は、
・センサを使用して、少なくとも吸気流から、好ましくは吸気流と呼気流とから流量と温度とを測定する、
・センサの出力から、値、すなわち第1指標および/または第2指標を計算する、および・計算された指標に基づいて、最適な温度、通気抵抗、および/または呼吸時間を調整することによって、
制御および監視可能である。
【0015】
したがって、本発明は、たとえば、呼吸器の健康管理、健康(wellbeing)ケア、および/またはスポーツパフォーマンスサービスのための、測定プロセス、データ収集、遷移、および分析方法に関する。
【0016】
本発明に従う装置は、
吸気用の第1流路と、
内部容積を有する本体部であって、内部容積の第1空間が液体で満たされるように構成されてなる本体部と、
内部容積の第1空間で形成される蒸気を受け入れるように配設された内部容積の第2空間であって、第1流路は内部容積の第2空間と流れが接続されるよう配設された第2空間と、
吸気中に、ガス流を、内部容積の蒸気空間から、第1流路を介して装置の外部に運ぶための手段と、
呼気を液体に提供するように構成されてなる内部容積の第1空間と流れが接続されるように配設された第2流路と、
呼気流を、装置の外側から第2流路を介して内部容積の第1空間に運び、内部容積の圧力を増加させる手段と、
気流の流量および温度を測定する手段と
気流の流量を機械的におよび/または自動的に調整する手段と、
を含むことが可能である。
【0017】
本発明はまた、方法およびシステムに関する。
本発明に従う方法は、
呼気を、装置の第2流路を介して、液体で満たされた装置の本体部の第1空間に運ぶ工程と、
呼気により第1空間で蒸気を形成する工程と、
第1空間に形成された蒸気を、装置の本体部の第2空間に受け入れる工程と、
吸気中に、ガス流を、第2空間から第1流路を介して、装置の外側に運ぶ工程と、
吸気流および呼気流の少なくとも一方の流量および温度を測定する工程と、
第1流路および第2流路の少なくとも一方の流れ抵抗を調整する工程とを含むことが可能である。
【0018】
本発明に従う装置および方法は、呼吸力を増強し、気道の粘膜をケアするのに有用である。したがって、呼吸器の健康(wellbeing)を増進し、呼吸器疾患に抵抗するのに役立つ。吸入可能な薬物と並行して本装置を使用すると、本発明に従えば、装置が気道を開き、装置なしの場合よりも、薬物が気道内により深く侵入するので、薬物の消費を減らすことが可能である。
【0019】
本発明に従ったシステムは、
吸気用の第1流路と、
内部容積を有する本体部であって、内部容積の第1空間が液体で満たされるように構成されてなる本体部と、
内部容積の第1空間で形成される蒸気を受け入れるように配設された内容積部の第2空間であって、第1流路は内部容積の第2空間と流れが接続されるよう配設された第2空間と、
吸気中に、気流を、内部容積の蒸気空間から、第1流路を介して装置の外部に運ぶための手段と、
呼気を液体に提供するように構成されてなる内部容積の第1空間と、流れが接続されるように配設された第2流路と、
呼気流を、装置の外側から第2流路を介して内部容積の第1空間に運び、内部容積の圧力を増加させる手段と、
任意の、ローカルディスプレイと、
吸気流の流量および温度を測定する測定手段と、
任意の、呼気流の流量および温度を測定する測定手段と、
任意の、第1弁および第2弁と、
を含むことが可能である。
【0020】
本発明に従うシステムは、
統合された圧力および気流監視制御ユニットであって、
無線コンポーネントと、
プロセッサと、
少なくとも1つのメモリコンポーネントとを含む、統合された圧力および気流監視制御ユニットをさらに含むことができる。
【0021】
吸気時に、横隔膜と外側の肋骨筋とが収縮して、負の胸部圧力と肺への気流とを引き起こす。呼気時に、肋間筋と横隔膜とが弛緩し、内側の肋骨筋が収縮して、正の胸部圧力と肺からの気流とを引き起こす。
【0022】
本発明に従えば、この装置は、子供および高齢者の呼吸器機能のてこ入れにも有用である。加齢と共に、呼吸器の能力は、多くの理由から、たとえば、肋骨の硬化および浅い呼吸などの理由によって、呼吸能力が低下する。喘息の子供たちは、呼吸困難のために身体活動を制限しようとする。このようなことは、彼らを、より少ない活動がさらに悪い呼吸につながる、という負のサイクルにさらすことになる。
【0023】
本発明に従う装置は、呼気時の逆圧が小さな気管支を開き、肺から痰を上昇させる圧力勾配を生成するので、粘液除去に特に有用である。
【0024】
本発明の有利な実施形態では、呼気は、呼吸抵抗調節器を通って水空間に入る。気流が水空間に気泡を作り、水面の面積を増やし、水面の上部に上昇する蒸気を生成する。吸気時に、水空間の空気は逆止弁と呼吸抵抗調節器を通過して肺に入る。空気流路の逆止弁は、気流の方向を制御し、水が水空間から上昇するのを防ぐ。本発明の有利な実施形態では、装置は、装置に空気を出し入れする通気孔を有する。呼気時に、通気孔は過剰な空気を装置から排出し、吸気時に、装置内の空気を排出する。この空気は、水空間の上部の蒸気/空気と混合される。本発明の有利な実施形態では、薬剤などの化学物質が水空間または吸入流路に添加され、そこで気流とともに、肺内部に緩やかに入り込むことができる。
【0025】
一実施形態に従えば、少なくとも、吸気の流量および温度が測定され、この測定値に基づく指標が計算される。この指標は、気道の温熱療法を最適化するために使用できる。
【0026】
指標は、
・吸気中に得られる計算されたエネルギ量、
・呼気中に使用される計算されたエネルギ量、
・一回換気量(TV)、
・吸気予備量(IRV)、
・呼気予備量(ERV)、
・残気量(RV)、
・全肺気量、
・最大吸気圧(MIP)、
・最大呼気圧(MEP)、
・最大吸気流量(MIF)、および/または
・最大呼気流量(MEF)、
を含むソースデータ群に基づいて選択可能である。
【0027】
一実施形態に従えば、計算された指標は、
・最大吸気圧(MIP)、
・最大呼気圧(MEP)、
・最大吸気流量(MIF)、および/または
・最大呼気流量(MEF)、
を含む群に基づいて選択される。
【0028】
吸気流路に追加された薬剤は、吸気で肺にすぐに運ばれるが、水空間に追加された物質は、吸入で肺に運ばれる場所から水空間の上部内に蒸発する。
【0029】
抵抗に対して吐出することは、肺の下部で圧力が大きくなるので、小さな気管支を開く胸部圧力を増加させる。下気管支に蓄積された粘液は、より低い圧力、すなわち、より大きな管に向かって移動し、最後に咳により体外に出る。この現象は、痰をより流動的にする吸入された蒸気によって減衰され、咳が出やすくなる。
【0030】
一実施形態に従えば、少なくとも、呼気流の流量および温度が測定され、この測定値に基づく指標が計算される。この指標は、気道の温熱療法の監視に使用できる。指標は、
・吸気中に得られる計算されたエネルギ量、
・呼気中に使用される計算されたエネルギ量、
・一回換気量(TV)、
・吸気予備量(IRV)、
・呼気予備量(ERV)、
・残気量(RV)、
・全肺気量
・心拍数変動
・最大吸気圧(MIP)、
・最大呼気圧(MEP)、
・最大吸気流量(MIF)、および/または
・最大呼気流量(MEF)、
を含むソースデータ群に基づいて選択できる。
【0031】
一実施形態に従えば、計算された指標は、
・最大吸気圧(MIP)、
・最大呼気圧(MEP)、
・最大吸気流量(MIF)、および/または
・最大呼気流量(MEF)、
を含む群に基づいて選択される。
【0032】
この装置は気道から粘液を除去するので、特に気道への粘液の蓄積に苦しむ人々の肺炎のリスクを軽減する。この装置は、胸部の周りの筋肉と組織とを伸ばすことにより、胸郭に弾力性をもたらすることも知られている。これによって、空気が肺の奥深くに入ることができるので、呼吸が改善される。吸入された蒸気は、気道からの粘液除去において、胸部圧力の増加と相乗作用して働く。
【0033】
一実施形態に従えば、吸気流路および呼気流路内の気流は、センサで測定することができる。得られた信号は、携帯電話などのデータ処理システムに送信され、その携帯電話などは、信号を保存および分析し、情報に変換することができる。この情報は、使用者の、意欲を高める、監視、およびアドバイスに役立つ。この情報は、データプロセッサを介して、ヘルスライブラリなどのデータプールに送信できる。
【0034】
さらに詳しくは、本発明は、吸気のための第1流路(5)と、
内部容積(3,4)を有する本体部(2)であって、内部容積の第1空間(3)が液体で満たされるように構成されてなる本体部(2)と、
内部容積の第1空間(3)内で形成する蒸気を受け入れるように構成されてなる内部容積の第2空間(4)であって、第1流路(5)が内部容積の第2空間(4)と流れが接続されるように配設される第2空間(5)と、
吸気中に内部容積の蒸気空間(4)から第1流路(5)を介して装置(1)外部にガス流を運ぶための手段(6)と、
液体内に呼気空気を提供するように構成された内部容積の第1空間(3)と流れが接続されるように配設される第2流路(7)と、
装置(1)の外部から第2流路(7)を介して内部容積の第1空間(3)にガス流を運ぶための手段(8)と、を含む装置(1)において、
装置(1)は、
気流の流量および温度を測定するための手段と、
気流の流量を手動でおよび/または自動的に調整するための手段と、
をさらに含むことを特徴とする装置(1)である。
【0035】
本発明において、蒸気空間(4)から第1流路(5)を介して装置(1)の外部にガス流を運ぶための手段(6)は、負圧によって閉鎖される弁である第1弁(6)を含む、および/または
装置(1)の外部から第2流路(7)を介して液体空間(3)にガス流を運ぶための手段(8)は、負圧によって閉鎖される弁である第2弁(8)を含むことを特徴とする。
【0036】
本発明において、気流の流量および温度を測定するための手段は、
気流の流量を測定するための第1センサと、
気流の温度を測定するための第2センサとを含むことを特徴とする。
【0037】
本発明において、装置(1)は、測定データの少なくとも一部を送信するための手段をさらに含むことを特徴とする。
【0038】
本発明において、装置(1)は、液体空間(3)内の液体を加熱するための加熱手段(11)、および/または
液体空間(3)内の圧力を増加させるための加圧手段(14)をさらに含むことを特徴とする。
【0039】
本発明において、装置(1)は、第3流路(9)であって、ガス流を装置(1)の外部から第2流路(7)に運ぶこと、およびガス流を第1流路(5)から装置(1)の外部に運ぶことが第3流路(9)を介してなされるように、第1流路(5)と第2流路(7)とが接続される第3流路(9)をさらに含むことを特徴とする。
【0040】
本発明において、装置(1)は、
吸気中に得られるエネルギ量、および/または
呼気中に使用されるエネルギ量
を決定するための手段をさらに含むことを特徴とする。
【0041】
本発明において、装置(1)は、
一回換気量(TV)、
吸気予備量(IRV)、
呼気予備量(ERV)、
残気量(RV)、および/または
全肺気量(LTC)、
心拍数変動
を決定するための手段をさらに含むことを特徴とする。
【0042】
本発明において、装置(1)は、
個人の、
最大吸気圧(MIP)、
最大呼気圧(MEP)、
最大吸気流量(MIF)、および
最大呼気流量(MEF)
を決定するための手段を含むことを特徴とする。
【0043】
本発明は、呼気を装置(1)の第2流路(7)を介して液体で満たされた装置(1)の本体部(2)の第1空間(3)に運ぶことと、
呼気によって第1空間(3)内に蒸気を形成することと、
装置(1)の本体部(2)の第2空間(4)内に第1空間(3)で形成された蒸気を受け入れることと、
吸気中にガス流を第2空間(4)から第1流路(5)を介して装置(1)の外部に運ぶこととを含む方法において、
吸気流および呼気流の少なくとも一方の流量および温度を測定することと、
第1流路(5)および第2流路(7)の少なくとも一方の流れ抵抗を調整することとをさらに含むことを特徴とする方法である。
【0044】
本発明において、方法は、
測定から収集されたデータの少なくとも一部を分析することを含み、
分析は、
吸気中に得られるエネルギ量を計算すること、
呼気中に伝達されるエネルギ量を計算すること、
最大吸気圧(MIP)を計算すること、
最大呼気圧(MEP)を計算すること、
最大吸気流量(MIF)を計算すること、および/または
最大呼気流量(MEF)を計算することを含み、
計算された値の少なくとも1つを用いた分析に基づいて、個人に好ましい抵抗ステップを推奨することをさらに含むことを特徴とする。
【0045】
本発明において、方法は、測定データおよび/または分析データの少なくとも一部を呼吸クラウドサービスユニット(30)に送信することをさらに含むことを特徴とする。
【0046】
本発明は、吸気用の第1流路(5)と、
内部容積(3,4)を有する本体部(2)であって、内部容積の第1空間(3)が液体で満たされるように構成されてなる本体部(2)と、
内部容積の第1空間(3)内に形成する蒸気を受け入れるように構成されてなる内部空間の第2空間(4)であって、これによって第1流路(5)が内部容積の第2空間(4)と流れが接続されるように配設される第2空間(4)と、
ガス流を内部容積の蒸気空間(4)から第1流路(5)を介して装置(1)の外部に運ぶための手段(6)と、
呼気を液体内に提供するように構成されてなる内部容積の第1空間(3)と流れが接続されるように配設された第2流路(7)と、
呼気流を、装置(1)の外部から第2流路(7)を介して内部容積の第1空間(3)に運び、内部容積(3,4)の圧力を増加させるための手段(8)と、
任意の、ローカルディスプレイ(27)と、
吸気流の流量および温度を測定するための測定手段と、
任意の、呼気流の流量および温度を測定するための測定手段と、
任意の、第1弁(6)および第2弁(8)とを含む、装置(1)を含み、
統合された圧力および気流監視制御ユニットであって、
無線コンポーネントと、
プロセッサ(25)と、
少なくとも1つのメモリコンポーネント(26)とを含む、統合された圧力および気流監視制御ユニットをさらに含むことを特徴とするシステムである。
【0047】
本発明において、システムは、使用者に推奨を示すためのディスプレイ(27)をさらに含むことを特徴とする。
【0048】
本発明は、健康管理、スポーツ運動、および/または健康(wellbeing)のための、前
記装置の使用である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
図1】本発明の有利な実施形態に従う装置の斜視図を示す。
図2図1の実施形態に従う装置の縮小断面図を示す。
図3a】さまざまな呼吸工程での流路の機能を示す原理図を示す。
図3b】さまざまな呼吸工程での流路の機能を示す原理図を示す。
図4】装置のさまざまな機能工程で空気の流れを導くための代替の弁配置を示す。
図5】装置内の流路の代替配置を示す。
図6】本発明の他の有利な実施形態に従う装置の縮小断面図を示す。
図7】本発明の第3の有利な実施形態に従う装置の縮小断面図を示す。
図8a】一実施形態に従う、システムのための方法の実施例を示す。
図8b】一実施形態に従う、制御装置の実施例を簡略化したブロック図として示す。
【発明を実施するための形態】
【0050】
以下において、添付の図面を参照して本発明をより詳細に説明する。
【0051】
図1は、本発明の有利な実施形態による装置1の斜視図を示し、図2は、図1の装置を縮小断面図で示す。装置1は、本体部2を含み、本体部2の内部容積には、水などの液体のための液体空間3が設けられている。本体部2は、有利には、使用者が直接熱接触するのを防止するために、および水または液体の温度を維持するために、部分的または全体的に断熱されている。液体空間3の上方では、蒸気空間4が液体空間から上昇する蒸気を閉じ込める。流路5は、空気を蒸気空間4から装置1の使用者に運ぶ。逆止弁6は、空気流路5内の気流方向を制御し、蒸気空間4から使用者への空気の流れを可能にするが、その逆はできない。気流流路5aの端部は、液体空間3に浸らないように液体空間3の上方に配設されている
【0052】
液体空間3および蒸気空間4の容積は、液体空間3に加えられる液体の体積に応じて変化してもよい。液体空間3は、水などの液体の体積であり、蒸気空間は、水蒸気のような蒸気の体積である。本体外層2の一部は、液体空間3内の液体レベル18の視覚的検出を可能にするために透明にすることができる。また、使用者による、液体または/および蒸気の温度の監視を助けるために、温度用ディスプレイおよび装置を備えてもよい。
【0053】
装置1は、水などの液体を通過させて液体空間3に供給することができる蓋部12を備えることもできる。蓋部12は、十分な圧力および温度レベルが、装置1の利用時に本体部内で維持されるように、本体部2に比較的しっかりと固定することが可能である。
【0054】
本体部2は、装置の使用中に空気が流入および流出することを可能にする通気孔19を有する。本体部2または蓋部12には、好ましくは、置換空気弁19が設けられ、それを通して、吸入工程で本体部の内部容積に置換空気を供給することができる。
【0055】
装置1はまた、空気が液体空間3に吹き込まれることを可能にする空気流路7および逆止弁8を有する。逆止弁8は、液体空間から使用者への気流および液体の流れを遮断する。空気流路7aの端部は、液体空間3内の液面18の下に配設されている。
【0056】
装置1はまた、空気流路5,7、およびマウスピース10に接続される空気流路9を有する。マウスピース10は、別個の取り付け可能な部品であるか、または空気流路9に直接一体化することができる。
【0057】
場合によっては、マウスピース10は交換可能であり、装置を使用する人は、それぞれ自分のマウスピース10を持つことができる。
【0058】
装置は、空気流路9に取り付けられた、または統合された呼吸調節装置を有する。呼吸調節装置は、吸気時および呼気時の通気抵抗器として機能する。呼吸調節器は調節可能であるので、呼気時および吸気時の抵抗を使用者が選択可能である。
【0059】
呼吸調整器は、気流流路5,7の両方に個別に実装できる。呼吸調節器は、気流流路を狭くすることにより機能し、それにより、呼気時および吸気時の呼吸抵抗が増加する。
【0060】
一実施形態に従えば、吸気流の流量、蒸気、および吸気流の温度が測定される。したがって、装置1は、好ましくは、吸気流の空気または/および蒸気流量を測定するための第1センサ21、すなわち流量センサと、吸気流の温度を測定するための第2センサ22、すなわち温度センサとを備える。第1センサ21および第2センサ22は、好ましくは、第3流路9に結合して配設される。第1センサ21および/または第2センサ22は、可動センサであってもよく、すなわちセンサ21,22の場所は、そのときのニーズに応じて決定できる。たとえば、センサ21,22は、第1流路5、第2流路7、および/または第3流路9に関連して移動可能に配設することができる。
【0061】
さらに、呼気流の流量および前記呼気流の温度も測定することができる。第1センサ21、すなわち流量センサは、呼気流の流量を測定するために使用することができる。第2センサ22、すなわち温度センサは、呼気流の温度を測定するために使用することができる。
【0062】
第1センサ21および第2センサ22は、第3流路9またはマウスピース10に関連させて配設することができる。したがって、吸気流および呼気流の両方からの流量を測定するのに必要な第1センサ21は1つだけでよい。さらに、吸気流と呼気流との両方から温度を測定するために、第2センサ22が1つだけ必要になる場合がある。これによって、センサ21,22を有する装置1の製造コストが削減され得る。
【0063】
一実施形態に従えば、第1流路5および第2流路7のどちらも、独自の、流量センサおよび/または温度センサを有することができる。これは、測定パラメータが、吸気からか呼気からかを判断する必要がないので、測定パラメータの分析プロセスを助けることが可能である。
【0064】
蒸気がない場合、通常、呼気は暖かく、湿度が高く、吸気よりも多くのCOを含んでいる。これらの変動は、呼吸数を示すために使用できる。気流温度およびその変動を使用して、使用者にとっての装置1の最適気流温度を調整することもできる。
【0065】
気流は、たとえば、その温度または圧力に基づいて検出可能である。温度に基づく気流検出の場合、別個の流量センサ21は、必要がないかもしれない。したがって、コストが削減される可能性がある。一方、これは非常に正確な方法ではない可能性があるので、装置は、装置1の気道5,7,9に取り付けられた気流測定用の別個の流量センサ21を備えることが有利である。
【0066】
したがって、装置1は、好ましくは、吸気流および/または呼気流の流量測定のためのセンサ21を含み、このセンサは、装置1の気道に取り付けられている。気流は、
・気流センサ、
・鼻または口腔鼻サーミスタ、
・鼻腔圧トランスデューサ、または
・COセンサ、
の内の、少なくとも1つを使って測定することが可能である。
【0067】
第1指標(ix)は、好ましくは、センサ21,22からの流量および温度の測定値から計算される。第1指標(ix)は、個人の気道の温熱療法を最適化するために使用できる。第1指標(ix)は、換言すれば、センサ21,22の出力から計算された値であり、最適温度と通気抵抗との調整のために使用することができ、好ましくは、個人の最適な呼吸時間をも調整するために使用できる。最適な温度、通気抵抗、および/または呼吸時間を決定する場合、以前に取得した測定値を調整プロセスの基準値として使用可能である。
【0068】
言い換えれば、少なくとも呼吸時間、たとえば5~15秒、および吸気流の温度、そして好ましくは吸気流の流量も測定され、それらの測定に基づく1つ、2つ、またはそれ以上の指標が計算される。
【0069】
計算された指標は、気道の温熱療法を最適化するために使用できる。一実施形態に従えば、第1指標は、熱暴露の値であり、吸気流から計算することができ、第2指標は呼気流から計算される。
【0070】
少なくとも1つの指標は、
・吸気中に得られる計算されたエネルギ量、
・呼気中に使用される計算されたエネルギ量、
・一回換気量(TV)、
・吸気予備量(IRV)、
・呼気予備量(ERV)、
・残気量(RV)、
・全肺気量(LTC)、
・心拍数変動、
・最大吸気圧(MIP)、
・最大呼気圧(MEP)、
・最大吸気流量(MIF)、および/または
・最大呼気流量(MEF)
を含むソースデータに基づいて選択することができる。
【0071】
一実施形態に従えば、計算された指標は、
・最大吸気圧(MIP)、
・最大呼気圧(MEP)、
・最大吸気流量(MIF)、および/または
・最大呼気流量(MEF)
を含む群に基づいて選択される。
【0072】
一実施形態に従えば、第1指標は、少なくとも総吸気時間(tINtot)および吸気の温度(TIN)の関数として計算される。総吸気時間(tINtot)は、吸気時間tIN1-tINnの所定
数、すなわち吸気の所定数の合計時間について使用された時間である。吸気流の計算温度(TavmaxIN)は、TIN1-TINnの最大測定温度TmaxINの平均値である。
【0073】
したがって、第1指標は、以下の式から計算することができる。
第1指標=TavmaxIN×tINtot
【0074】
第1指標は、蒸気によって気道に伝達されるエネルギを表してもよい。第1指標は、上気道における温熱療法のレベルを推定するときに有用であってもよい。
【0075】
第2指標は、少なくとも総呼気時間(tEXtot)および呼気の温度(TEX)の関数として
計算することができる。総呼気時間(tEXtot)は、呼気時間tEX1-tEXnの所定数に使用される時間、すなわち所定数の呼気の合計時間である。呼気流の計算温度(TavmaxEX)は、TEX1-TEXnの最大測定温度TmaxEXの平均値である。
【0076】
したがって、第2指標は、以下の式から計算することができる。
第2指標=TavmaxEX×tEXtot
【0077】
第2指標は、気道から伝達されるエネルギを示している。第2指標は、特に第1指標と一緒に使用するときに有用であってもよい。
【0078】
総吸気エネルギを表すさらに正確な第1指標を得るために、総吸気空気量を決定することができる。これは、測定された気流と、1回の吸気に使用される時間とに基づいて計算することができる。
【0079】
したがって、第1指標は、好ましくは、
・吸気流の流量を測定すること、
・吸気流の温度を測定すること、
・吸気流の時間を決定すること、
・吸気流と、当該吸気流に使用された時間とを用いることによって総体積を計算すること、
・吸気流の温度から水蒸気密度を決定すること、
・用いた水蒸気密度と、計算された総体積とによって気流中の水分量を計算すること、
・測定された温度における水蒸気の比熱容量を決定すること、および/または
・上述の測定および分析に基づいて、すなわち、熱容量、気流中の水分量および時間に基づいて、吸気中に得られるエネルギ量を計算することによって決定される。
【0080】
以下の例は、指標の計算方法を示している。上述の測定は、個人の吸気流の流量が10l/分であり、気流の温度が60℃であることを示している。さらに、個人の吸気時間は、10秒間である。したがって、気流および時間から計算された総体積は、10l/分×1/6分であり、約1.67lである。温度は60℃であり、蒸気密度は温度に基づいて決定することができ(60℃で130.5mg/l)、したがって、水分量を算出することができる。水蒸気の比熱容量、2.0J/g エネルギを考慮すると、1回の呼吸中に得られるエネルギの最大量は0.783Jである。したがって、上述の10秒間の吸気時間で、設定された気流および吸気期間の総エネルギ量は7.83Jである。
【0081】
エネルギの総量を計算するとき、たとえば、吸気流の温度、吸気および/もしくは呼気に使用される時間、ならびに/または呼気および/もしくは吸気の流れ抵抗は、所定量のエネルギを得るために調整することができる。したがって、好ましくは、本方法は、所定量のエネルギを得るために、少なくとも、吸気流の温度、吸気に使用される時間、ならびに/または吸気の流れ抵抗を調整することを含む。
【0082】
総呼気エネルギを表す正確な第2指標を得るために、総呼気量も計算することができる。これは、測定された気流と1回の呼気に使用された時間とに基づいて算出することができる。
【0083】
したがって、第2指標は、好ましくは、呼気流の流量を測定すること、呼気流の温度を測定すること、呼気流の時間を決定すること、呼気流および当該呼気流の時間を用いて総体積を計算すること、呼気流の温度から水蒸気密度を決定すること、水蒸気密度および総体積を用いて水分量を算出すること、前記温度における水蒸気の比熱容量を決定すること、当該熱容量、気流中の水分量および時間に基づいて呼気中のエネルギ量を算出することによって計算される。
【0084】
本方法は、吸気流の温度を調整すること、吸気に使用される時間を任意に調整すること、呼気のために使用される時間を任意に調整すること、呼気の流れ抵抗を調整すること、ならびに所定量のエネルギを得るために吸気の流れ抵抗を調整することをさらに含んでもよい。
【0085】
少なくとも吸気流の温度が調整されることが好ましい。また、少なくとも呼気の流れ抵抗が調整されることが好ましい。また、少なくとも吸気の流れ抵抗が調整されることが好ましい。
【0086】
一実施形態に従えば、第1指標および第2指標は、気道の監視および調整処理の間に監視する、
・通常の(静かな)呼吸サイクル中に吸気および呼気することができる空気量を表す一回換気量(TV)、
・一回の吸気を超えて強制的に吸気することができる空気量を表す吸気予備量(IRV)、ならびに
・一回の呼気を超えて強制的に呼気することができる空気量を表す呼気予備量(ERV)に基づき計算することができる。
【0087】
また、ERV後に肺中に残っている空気量を表す残気量(RV)、ならびに全肺気量(LTC)(別名、呼吸容量、肺容量、機能的残気量、肺活量、総肺気量)は、第1指標および/または第2指標の計算に使用することができる。
【0088】
一回換気量は、通常の呼吸サイクルの間に取得される、吸気流および/または呼気流の流量測定と、吸気および/または呼気に使用される時間とを用いることによって計算することができる。
【0089】
吸気流の流量と、吸気流の時間とが測定され、空気が強制的に吸気され、一回換気量が既知であるとき、吸気予備量を計算することができる。
【0090】
呼気流の流量と、呼気流の時間とが測定され、空気が強制的に呼気され、一回換気量が既知であるとき、呼気予備量を計算することができる。
【0091】
呼気予備量および全肺気量が決定されると、残気量を計算することができる。
【0092】
一実施形態に従えば、装置1は、測定結果(センサ21,22の出力)を、たとえば、簡略化されたブロック図として図8bに示されている制御装置31に転送するための手段をさらに備える。制御装置31は、プロセッサ25、当該プロセッサ25によって実行されるデータおよびコンピュータコードを格納するためのメモリ26、ディスプレイなどを有するユーザインタフェース27、ならびにキーボードを備える(図には示されていない)。制御装置31は、センサ21,22からの出力を受信するためのセンサインタフェースと、抵抗および/または温度を調整するための調整素子29とをさらに備える。制御装置31の動作のための電力を供給する電源24も備えられる。通信のために、制御装置31は、短距離通信接続および/または長距離通信接続を介して、いくつかの他の装置、たとえばクラウドサービスユニット31と通信することができる通信インターフェース28を備えてもよい。
【0093】
プロセッサ25は、吸気流および/または呼気流の流れ抵抗および温度と、任意に呼吸時間とを調整するために、センサ21,22から得られた測定値を分析するために使用することができる。
【0094】
したがって、温熱療法の暴露は、少なくとも、気流と、吸気空気および/または呼気空気の温度とを測定するセンサ21,22などを用いることによって、少なくとも監視することができる。一実施形態に従えば、温熱療法の暴露は、監視されるだけではなく、呼吸機能を向上するために調整される。
【0095】
装置1は、少なくとも
・吸気流および/または呼気流の流量を測定するための手段、たとえばセンサ21と、
・吸気流および/または呼気流の温度を測定するための手段、たとえばセンサ22と、
・第1流路5および第2流路7のうちの少なくとも1つの流れ抵抗を調整するための手段
と、を含んでいてもよい。
【0096】
システム(図8aおよび図8bに示される)は、少なくとも装置1、制御装置31、および測定のための少なくとも1つのセンサ21,22を含ことが好ましい。一実施形態に従えば、呼吸クラウドサービスユニット30がシステムの一部であってもよい。
【0097】
一実施形態に従えば、システムは、上述の温度測定および/または流量測定からデータを収集するための手段と、収集されたデータを分析し、上述の測定値を用いることによって計算された第1指標(ix)を形成するための手段と、気流の流れ抵抗および/または温度を調整するための調整手段29と、呼吸時間、たとえば8~10秒を決定するための手段とを含む。
【0098】
また、システムは、収集されたデータを分析し、呼気流からの上述の測定値を用いることによって計算された第2指標(id)を形成するための手段を備えてもよい。システムは、上述の測定値を用いることによって計算された値である、第3指標および/または第4指標を形成するために、収集されたデータを分析するための手段をさらに備えてもよい。
【0099】
一実施形態に従えば、全ての指標は、以下のソースデータ群、
・吸気中に得られる計算されたエネルギ量、
・呼気中に使用される研鑽されたエネルギ量、
・一回換気量(TV)、
・吸気予備量(IRV)、
・呼気予備量(ERV)、
・残気量(RV)、
・全肺気量(LTC)、
・心拍数変動、
・最大吸気圧(MIP)、
・最大呼気圧(MEP)、
・最大吸気流量(MIF)、および/または
・最大呼気流量(MEF)
に基づいて選択される。
【0100】
好ましくは、全ての指標は、以下の群、
・吸気中に得られる計算されたエネルギ量、および/または
・呼気中に使用される計算されたエネルギ量、
・最大吸気圧(MIP)、
・最大呼気圧(MEP)、
・最大吸気流量(MIF)、および/または
・最大呼気流量(MEF)
に基づいて選択される。
【0101】
最も好ましくは、全ての指標は、以下の群、
・吸気中に得られる計算されたエネルギ量、および/または
・呼気中に使用される計算されたエネルギ量
に基づいて選択される。
【0102】
したがって、装置1を含むシステムは、少なくとも1つの指標を計算するための手段、たとえば
・吸気中に得られるエネルギ量を計算するための手段、
・呼気中に伝達されるエネルギ量を計算するための手段、
・一回換気量(TV)を計算するための手段、
・吸気予備量(IRV)を計算するための手段、
・呼気予備量(ERV)を計算するための手段、
・残気量(RV)を計算するための手段、
・全肺気量(LTC)を計算するための手段、
・心拍数変動を計算するための手段、
・個人の最大吸気圧(MIP)を計算するための手段、および
・個人の最大呼気圧(MEP)を計算するための手段、
・個人の最大吸気流量(MIF)を計算するための手段、および/または
・個人の最大呼気流量(MEF)を計算するための手段を備えていてもよい。
【0103】
少なくとも1つの指標を計算するための手段は、少なくともプロセッサ25を含んでもよい。
【0104】
これらの値は、個人、すなわち装置の使用者を助け、調整可能な流れ絞り装置、たとえば第1弁6および/または第2弁8の流れ抵抗を調整することによって調整手段29を用いて流れ抵抗を調整するために使用することができる。一実施形態に従えば、調整は、調整手段29を用いて、ディスプレイ27を介して案内された使用者によって手動で、またはたとえばプロセッサ25の制御下で、もしくは遠隔地、たとえば、呼吸クラウドサービスユニット30もしくはソフトウェアアプリケーションから受信した調整情報に基づいて、ならびに装置内もしくは/およびユーザインタフェース内の所定のステップサイズに基づいて自動で実行される。調整手段29を用いた流れ抵抗の調整は、たとえば、装置1の少なくとも1つの弁6,8の位置を制御することによって実装されてもよい。
【0105】
一実施形態に従えば、上述の測定から得られるデータの少なくとも一部は、装置1および/または呼吸クラウドサービスユニット30に格納および分析される。有利には、少なくとも、吸気中に得られる計算されたエネルギ量、呼気中に使用される計算されたエネルギ量、最大吸気圧、最大呼気圧、最大吸気流量、および/または最大呼気流量の履歴データは、使用者の通気抵抗プロファイルを定義するために使用される。さらに、提案された通気抵抗(装置1の推奨弁位置)は、測定(履歴)データと参照データとに基づいて使用者に推奨されてもよい。これは、たとえば、運動期間中に使用者によって使用された抵抗に対する総肺気量データに基づいて定義される。
【0106】
一実施形態に従えば、推奨された通気抵抗を示すデータは、プロセッサ部のメモリコンポーネント26に格納され、ディスプレイ27、たとえば装置1のディスプレイ27に表示される。また、推奨された通気抵抗を示すデータは、ソフトウェアアプリケーション、および/または呼吸トレーニングプログラム用のクラウドサービスデータベースで使用することができる。推奨されたデータを使用することによって、個人(つまり使用者)は、たとえば最も適切な通気抵抗を選択することができる。
【0107】
通気抵抗は、調整手段29を用いて機械的に/手動で調整することができる。たとえば、周辺調整器を使用して機械的に調整することができ、ソフトウェアアプリケーションのユーザインタフェースで選択肢を選択することによって自動で調整することができる。
【0108】
さらに、最大吸気圧MIPおよび最大呼気圧MEPの測定などの測定を使用して、使用者の筋肉圧を評価することができる。さらに、たとえば、上述のMIPおよびMEP値は、肺疾患および心臓疾患の診断および追跡調査に非常に有用である可能性がある。また、吸息筋によって生成される圧力とMIP値との間の不均衡が、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の患者で高炭酸ガスの発生をもたらす可能性がある。
【0109】
したがって、特にMIPおよびMEPは、冠動脈バイパス移植手術後の術後肺合併症の予測に非常に役立つ可能性がある。呼吸器の機械的負荷と呼吸筋の能力との間の不均衡も、患者を人工呼吸器から離れさせのを難しくする原因になり得る。同様に、MIPは、隔離成功の非常に敏感な予測値である可能性がある。
【0110】
本方法は、
吸気流の流量および温度を測定する工程であって、測定が少なくとも1つのセンサ21,22によって実施される工程と、
任意に、吸気流の時間を決定する工程と、
吸気流測定からデータを収集する工程と、
吸気流から上述の測定を用いて計算された第1指標(ix)を形成するために、収集されたデータを分析する工程と、
前記第1指標(ix)を用いることによって以下のパラメータのうちの少なくとも1つを調整する、好ましくは以下のパラメータ
・吸気流の流れ抵抗、
・呼気流の流れ抵抗、および
・吸気流の温度、の全てを調整する工程と、を含んでもよい。
【0111】
一実施形態に従えば、本方法は、
呼気流と呼気流の温度とを測定することと、
呼気流の時間を決定することと、
呼気流量の測定値からデータを収集することと、
呼気流から少なくとも上述の測定を用いることによって計算された第2指標(id)を形成するために、収集されたデータを、任意に吸気流測定のデータとともに分析することと、
前記第2指標(id)と、任意に第1指標(ix)とを用いることによって、以下のパラメータのうちの少なくとも1つ、好ましくは以下のパラメータ
・任意に、吸気流の時間、
・吸気流の流れ抵抗、
・呼気流の流れ抵抗、
・吸気流の温度、および
・任意に、呼気流の時間、の全てを調整することと、をさらに含む。
【0112】
一実施形態に従えば、本方法は、
吸気流の圧力を測定することと、
呼気流の圧力を測定することと、
吸気流の流量を測定することと、
呼気流の流量を測定することと、
最大吸気圧MIP、最大呼気圧MEP、最大吸気流量MIF、および/または最大呼気流量MEFを計算することと、
算出された値のうちの少なくとも1つを、第1指標および/または第2指標として使用することとを含む。
【0113】
上述の測定、分析および調整のおかげで、特に言及されていることのうちで、使用者が通気抵抗を調整し、使用者に合わせられたトレーニングプログラムを選択するのに役立つ。
【0114】
以下において、図1に係る装置の動作は、図3aおよび図3bを参照してケア状況で説明される。装置の液体空間3は、所定の高さレベルまで液体、たとえば水で満たされている。この高さレベルは、有利には、第1流路5の一端5aが液体レベルよりも上であるが、第2液体流路7の一端7aが液体の表面よりも下になるようなものである。液体空間に供給される液体は、たとえば別の加熱装置によって加熱されるか、または温水が建物の温水栓などから液体空間に供給されることが好ましい。液体の目標温度は様々な状況で異なっていてもよいが、呼吸器疾患の治療では、液体温度は沸騰してはならないが、たとえば最大でも60~70度、またはそれよりも低いことが必要である。したがって、加熱段階において液体の温度が目標温度よりも上昇した場合、被治療者が装置1を使用する前に液体を冷却する必要がある可能性がある。
【0115】
液体空間3が適切な量の液体で満たされ、液体の温度が適切になると、治療対策を始めることができる。装置は、ユーザが運動を始める前に温度を追跡することができるように、温度ディスプレイまたは他の温度監視手段を備えている。被治療者は、マウスピース10を口の中に入れて息を吐き始める。したがって、被験者の肺からの空気は、第3流路9に流れ、そこからさらに第2流路7に流れる。実際には、空気は第1流路5にも流れてもよいが、第1流路の第1弁6は、空気が第1流路5にさらに流入するのを防止する位置にある。言い換えれば、第1弁6は、第1流路5を介して蒸気空間4へ空気が流れることを防ぐ。また、第2流路7の第2弁8は、呼気空気を液体空間3内に流入させることができる位置にある。この液体空間3内の液体は、液体空間3に呼気が流れ込むことができるように被験者が息を強く吐かなければならないという効果を有する流れ抵抗をもたらす。このことは治療に役立つことが分かっている。なぜなら、肺の機能に関与する筋肉がより強く働かなければならず、治療を継続するときにこれらの筋肉を強化するからである。さらに、呼気に対して明らかな抵抗力効果が生じる場合、気管支の開きはさらに効果的である。この工程の空気の流れは、図3aの矢印Aで示されている。
【0116】
液体空間3では、呼気は、液体中に泡(細孔)が形成されるという効果を有し、本体の一部、たとえば液体空間3の内部圧力は増加する。その結果、液体空間3における液体の一部は蒸発し、この蒸気は蒸気空間4に上昇するが、液体の温度は液体の蒸発点未満である。液体空間3または蒸気空間4が薬剤を含む場合、吸気蒸気とともに肺への薬剤送達も同様に向上される。呼気の後には、装置1において以下の一連の動作を引き起こす吸気工程が続く。被験者がマウスピース10から自分の肺に空気を吸い込んで吸気を始めると、第1流路5および第2流路7の両方に負圧が形成される。したがって、第2流路7内の第2弁は閉じられ、第2流路7を通って肺への空気の流れを防ぐ。代わりに、第1流路5の第1弁6が開き、空気が蒸気空間4から第1流路5を通って肺に流れる。この吸気空気は、蒸気空間4からの蒸気も同伴する。つまり、装置は蒸気吸気器として機能する。この工程の空気の流れは、図3bの矢印Bで示されている。吸気工程は呼気工程のほぼ直後に続くので、気管支は閉じる時間がなく、このことは実質的に効果的であり、蒸気と、当該蒸気に含まれる可能性のある薬剤とによる肺への進入を促進する。呼気抵抗および吸気抵抗の両方を調整することができる。なぜなら、肺およびそれらを支える筋肉も同様に抵抗吸気で活性化されるからである。
【0117】
上述の工程1において、第1弁6および第2弁8は、背圧弁の一種である自動圧力作動弁であり、これによって、空気流の誘導を所望の制御方法で作動させることができる。装置1では、他の種類の弁を使用することも可能であり、これによって、上述の原理を適用することによって空気流の制御を実装することができる。一例として、手動操作弁を挙げることができる。使用者自身または助手は、必要に応じて弁を調整することができる。その結果、呼気工程では、第1流路5を通る流れが妨げられ、吸気工程では同様の方法で、第2流路7を通る空気の流れが妨げられる。一実施形態では、第1弁6および第2弁8は、第1流路5および第2流路7を交互に閉じることができるシャッタ(たとえば、図4のバッフル16)を備えた単一の弁で置き換えることができる。弁6,8の制御は自動化によっても実施することができ、センサなどは、被験者が息を吐いているか吸っているかを検出し、これに基づいて適切な方法で、弁6,8の操作を制御してもよい。
【0118】
さらに、本出願で開示されている、測定、分析および調整のうちの少なくともいくつかは、気道の温熱療法を最適化するために使用される。
【0119】
図1の装置1では、第1流路5および第2流路7は、一端5b,7bで単一の流路、すなわち第3流路9に接続されている。しかしながら、本発明に従う装置1は、第3流路9が不要であるが、第1流路5および第2流路7の両方がマウスピース10に導かれ、これによって第1流路5の第2端部5bおよび第2流路7の端部7bの両方がマウスピース内にあり、装置を使用する間、被験者はこれらを口に入れる。第1流路5の第2端部5bおよび第2流路7の第2端部7bは、両方の流路の第2端部5b,7bが被験者の口に同時に収まるように、互いに近接しており、有利には、互いに平行に、互いに重なり合って、または互いに斜めに近接している。そのような実装の一例を図5に示す。
【0120】
上述の装置1の動作に関連して、液体は、別のヒータ、たとえば、コーヒーメーカ、またはかんなどによって装置1の外側で加熱されることが述べられた。上述の実施は、液体の加熱装置が装置1自体に設けられるように、または装置の液体空間3内の液体を加熱するために装置1を外部から加熱することができるようにすることができる。図6は、液体を加熱するための液体加熱手段11を備える別の実施形態に係る装置1の縮小断面図を示す。したがって、液体空間3内の液体の加熱は、液体加熱手段11によって実施することができる。液体加熱手段11は、たとえば、加熱抵抗器によって実施することができ、電気は、加熱時間の間に加熱抵抗器に伝えられる。加熱に必要な電気エネルギは、たとえば、本体部の底部2aに設けられた電気エネルギ伝達手段16によって伝えることができ、または装置は、加熱が必要な場合には、たとえば、コンセントもしくはコンバータへ接続される固定電線を備えていてもよい。前記電気エネルギ伝達手段が装置の底部2aに設けられている場合、装置1は、装置の電気エネルギ伝達手段に直接または誘導的に接続可能な対応手段を備えたベース17を備えていてもよい。当業者にとって、そのような電気エネルギ伝達を有線方式または無線方式でどのように実施することができるかは明らかであるので、本明細書においてさらに詳細な説明は必要ではない。
【0121】
有利には、装置1は、たとえば液体空間3を満たすために開閉可能な蓋12も備えている。蓋12または本体部2には、装置1内で圧力が上昇し過ぎることを防ぐことができる安全弁13を設けることもできる。蓋12には開口部を設けることもでき、この開口部を通して、薬剤または別の物質を液体空間内の液体に供給することができる。一方、装置1の内部容積、たとえば本体部の内面には、薬剤を液体空間3に供給することができ、そこから薬剤が徐々に移動する容器などを設けることができる。
【0122】
装置1が上述の種類の液体加熱手段11を備えている場合、特に過度の加熱を避けるために、加熱処理を制御するための制御手段(添付図面には図示せず)を装置1に備えることも必要であってもよい。制御手段を用いて、たとえば、液体の温度を制御することが可能であり、異なる用途のために異なる温度で液体を使用することが可能である。
【0123】
有利な実施形態では、特に、装置を消毒するために加熱手段11を使用することもできる。したがって、液体は、ケア状況よりも高い温度、たとえば沸点(100度)まで加熱される。これによって、不純物の少なくとも一部が浄化され、ケア状況での装置1の使用がより安全になってもよい。消毒工程の間、治療のための装置の使用は、好ましくは防止される。これは、たとえば、第1弁6および第2弁8が、液体空間3および蒸気空間4からマウスピース10への空気の流れを妨げる位置に配置されるように実施されてもよい。
【0124】
装置1は、手洗いもしくは食器洗浄機で食器洗浄液で洗浄することもでき、または超音波洗浄などを使用することもできる。
【0125】
以下では、さらにいくつかの加熱方法を簡単に紹介する。実際にそれらを適用するためには、装置1の構造において、たとえば耐熱性など、様々な加熱方法の要件を考慮する必要がある場合がある。可能な加熱方法の1つは、加熱素子(たとえば電気ストーブのホットプレート)に装置を配置することである。この場合、加熱素子の熱は、本体部の底部を介して液体空間3の液体に伝わる。同様の種類の加熱方法は、液体を加熱するためにキャンプファイヤを使用することである。さらに別の可能性は、電子レンジを使用することであってもよく、装置1は電子レンジ内に配置される。したがって、装置1は電子レンジの動作を妨げる可能性があり、マイクロ波によってほとんど加熱されないような材料を含むべきではない。熱化学現象または超音波液体噴霧器に基づくいくつかの種類の加熱方法も使用することができる。これに関連して、加熱のために装置の底部に配置することができるいわゆるヒートカートリッジに言及する必要がある。ヒートカートリッジは、たとえば、酢酸ナトリウム、鉄粉、生石灰、または塩化アルミニウムの使用に基づいてもよい。
【0126】
場合によっては、装置1の加熱手段は、たとえば電池によって駆動することができ、それによって、装置は、利用可能な電気エネルギの別個の供給源がない状況でも使用することができる。
【0127】
装置1は、たとえばメンテナンスの必要性について装置の使用者に通知する、液体の温度を表示するための他の自動化および制御を提供することもできる。
【0128】
有利な実施形態では、装置1は、治療セッションをメモリに格納するために使用されるので、治療の結果を監視し、ケアの進捗状況を追跡することが可能である。これは、たとえば、ケアがやがて適切に行われたことを確認するためにデータを使用することができる看護スタッフにとって有用である。
【0129】
図7は、装置1のさらに別の有利な実施形態の縮小断面図を示す。この装置は、液体空間3内に広がる圧力を高めるための加圧手段14を含む。これは、たとえば、被介護者が呼気中に装置1に空気を十分に強く吹き込むことができない状況において必要になる場合がある。加圧手段14は、たとえば本体の内部容積内で、たとえば底部2aに向かって、そして底部2aから離れて移動することができるピストン14aなどを含む。この動きは、たとえば、ロッド14bを下方に押すことによって、またはロッド14bを上方に持ち上げることによって生じさせることができる。圧力上昇は、好ましくは液体空間3の液体で生成される必要があり、液体で形成される蒸気は依然として蒸気空間4に入るはずであるので、ピストン14aには、蒸気が蒸気空間4まで上昇することができる流路などが装備されることが有利である。したがって、ピストン14aは完全に封止されていないけれども、ピストン14aは、液体空間3内の圧力を高めるために依然として使用することができる。このような加圧手段14は、たとえば、装置の使用者またはその助手によって使用可能である。必要な圧力レベルは、使用者の感触に応じて設定でき、高すぎる圧力を印加することを回避することができる。
【0130】
いくつかの実施形態では、液体空間3内の圧力を高めるための圧縮機(図示せず)などの外部圧力源を使用することができる。
【0131】
さらに、本願で開示される測定、分析、および調整の少なくともいくつかは、個人の気道の温熱療法を最適化するために使用することができる。
【0132】
図8aは方法の一例を示し、図8bは装置1を含むシステムの一例を示す。
【0133】
一実施形態に従えば、吸気流の空気/蒸気の流量および温度が測定され(81)、そして任意に吸気のために使用される時間が決定される。
【0134】
さらに、本実施態様に従えば、好ましくは、呼気流の流量および温度が測定され、そして任意に、呼気のために使用される時間が決定される。
【0135】
さらに、吸気流および/または呼気流からの、好ましくは両方の気流からの上記測定によるデータが収集され、そして任意に、収集されたデータ、または収集されたデータの少なくとも一部が、ローカルディスプレイ27を用いて使用者に示される(82)。
【0136】
さらに、収集されたデータの少なくとも一部は、送信手段28によって近接装置に送信することができ(83)、ここで送信された呼吸データが処理され(84)、すなわち分析される。任意に、収集されたデータは、ローカルディスプレイ27に表示され(85)、そして任意に、上に開示された測定および分析に基づいて、通気抵抗調整および/または使用者ガイドラインの情報が提供される(86)。
【0137】
さらに、処理されたデータの少なくとも一部は、送信手段28によって呼吸クラウドサービスユニット30に送信することができる。通気抵抗調整および使用者ガイドラインの情報を提供する(87)ことも可能である。収集されたデータは、装置1のディスプレイ27に表示されてもよい。
【0138】
処理されたデータは、たとえば、健康管理(すなわち、健康管理データ)、スポーツ運動(すなわち、スポーツ運動データ)、および/または健康(wellbeing)(すなわち、健康データ)のために使用することができる。たとえば、処理されたデータは、使用者の心拍数変動とともに使用して、パフォーマンスフィードバックを使用者に与えることができる。
【0139】
収集された呼吸データが処理される分析(処理)工程は、少なくとも以下の工程を含むことができる。収集されたデータは、第1指標(ix)を形成するために分析され、第1指標(ix)は、気流からの上述の測定を用いて計算される。通気抵抗は、たとえば第1指標(ix)を用いて調整され、気流の温度は、たとえば第1指標(ix)を用いて調整され、および/または呼吸時間が調整される。
【0140】
一実施形態に従えば、第1指標は以下を含むソースデータ群に基づいて選択される。
・吸気中に得られる計算されたエネルギ量、
・呼気中に使用される計算されたエネルギ量、
・一回換気量(TV)、
・吸気予備量(IRV)、
・呼気予備量(ERV)、
・残気量(RV)、
・全肺気量、
・心拍数変動、
・最大吸気圧(MIP)、
・最大呼気圧(MEP)、
・最大吸気流量(MIF)、および/または
・最大呼気流量(MEF)。
【0141】
呼吸クラウドサービスユニット30(RCS)は、以下の呼吸データの全部または少なくとも一部を格納することができる。
・最大測定温度の平均値、
・全吸気時間、
・最大測定温度の平均値、
・吸気中に得られる計算されたエネルギ量、
・呼気中に伝達される計算されたエネルギ量、
・一回換気量(TV)、
・吸気予備量(IRV)、
・呼気予備量(ERV)、
・残気量(RV)、
・全肺気量(LTC)、
・最大吸気圧(MIP)、
・最大呼気圧(MEP)、
・最大吸気流量(MIF)、および/または
・最大呼気流量(MEF)。
【0142】
さらに、呼吸クラウドサービスユニット30はまた、少なくとも所定の期間、履歴データを維持することができる。呼吸クラウドサービスユニット30はまた、該データを処理および分析するための手段を提供する。
【0143】
システムは、
装置1と、
統合された圧力および気流監視制御ユニット(PAM)と、
を含むことができる。
【0144】
統合された圧力および気流監視制御ユニット(PAM)は、少なくとも、
無線コンポーネントと、
プロセッサ25と、
電源24と、
少なくとも1つのメモリコンポーネント26と、
を含むことができる。
【0145】
呼吸クラウドサービスユニット20、無線コンポーネントなどの送信手段28、および受信データは、
・無線周波数識別(RFID)、
・BT(ブルートゥース)
・無線ローカルアクセスネットワーク(WLAN)、または
・近距離無線通信(NFC)、
に基づくことができるが、代わりに、任意の他の、好ましくは無線技術に基づいてもよい。
【0146】
データを処理するために使用されるプロセッサ25は、たとえば、モバイル機器、タブレット、またはパーソナルコンピュータ(ラップトップコンピュータ)のプロセッサであってもよい。
【0147】
さらに、呼吸アプリケーションを使用して、データを収集し、バイオフィードバックを作成し、および/または関連データを監視してもよい。呼吸アプリケーションは、ワイドエリアネットワークまたは固定ネットワークを使用して、データを、送信手段28を用いて、たとえば呼吸クラウドサービスユニット30の呼吸クラウドコンピューディングユニット(CCU)に送信してもよい。ソフトウェアアプリケーションのユーザインタフェース(UI)を使用して、使用者に瞬時の呼吸フィードバックを提供してもよい。
【0148】
一実施形態に従えば、統合された圧力および気流監視制御ユニット(PAM)は、
吸気流および/または呼気流から、好ましくは両方の気流からデータを取得する手段と、
データストレージと、
収集されたデータを処理するプロセッサ25と、
データを近接無線機器またはローカルネットワークに対して送受信するためのコンポーネントなどの送信手段28と、
を含む。
【0149】
無線システムなどのシステムを介した気流データの送信は、リアルタイムで実行することも、予め定義された期間に基づいて複製することもできる。データは、たとえば、WLANベース局、モバイルシステムベース局(BS)、または固定ネットワークに送信可能である。
【0150】
呼吸クラウドサービスユニット30を使用して、個別の呼吸分析、「テーラーメイド」トレーニング計画、および/または個々のデータおよび統計に基づく使用者向けの健康管理プログラム、および呼吸クラウドサービスユニット30に基づいて、およびそのアプリケーションユーザインタフェース(UI)を用いて生成されるデータモデリングスキームを作成することができる。加えて、呼吸クラウドサービスユニット30は、好ましくは、関連データを健康管理、健康(wellbeing)、および/またはスポーツ運動アプリケーションに転送および受信するためのアプリケーションインタフェース(API)を提供する。
【0151】
呼吸クラウドサービスユニット30は、健康管理システムおよび専門家だけでなくトレーナおよび個人が、分析を収集し、いつでもどこでもリアルタイムで提供できるあつらえた治療およびトレーニングプログラムを定義することができる。
【0152】
また、使用者の生涯のデータおよびプログラムに従って、使用者の呼吸器の健康状態と全体的な健康(wellbeing)およびパフォーマンスとをケアする手段を使用者に提供することも可能である。
【0153】
また、呼吸クラウドサービスユニット30を使用して、検出されたデータを統合することができる。一実施形態に従えば、呼吸CO放出、酸素測定プローブSpO、および心電図(ECG)の変動、心拍数およびその変動データが組み合わされて分析される。さらに、呼吸クラウドサービスユニット30を使用して、検出されたデータを統合し分析することができる。
【0154】
収集され分析されたデータは、異なるパラメータ、たとえば
・呼吸時間、
・気流の変動、
・全肺気量(LTC)、および
・呼吸速度、
を含むことができる。
【0155】
一実施形態に従えば、このデータは、たとえば、装置1および/または呼吸クラウドサービスユニット30において記憶され分析される。
【0156】
気流温度およびその変動は、装置1の最も適切な個々の気流温度を調整するためにも使用可能である。
【0157】
方法は、以下の工程、すなわち
・吸気中に得られた計算されたエネルギ量および/または呼気中に使用された計算されたエネルギ量の履歴データを使用して、使用者の通気抵抗プロファイルを定義する工程
を含むことができる。
【0158】
加えてまたは代替的に、方法は、以下の工程、すなわち
・最大吸気圧(MIP)、最大呼気圧(MEP)、最大吸気流量(MIF)、および最大呼気流量(MEF)の履歴データを使用して、使用者の通気抵抗プロファイルを定義する工程
を含む。
【0159】
加えてまたは代替的に、方法は、以下の工程、すなわち
・一回換気量(TV)、吸気予備量(IRV)、呼気予備量(ERV)、残気量(RV)、および/または全肺気量の履歴データを使用して、使用者の通気抵抗プロファイルを定義する工程
を含む。
【0160】
一実施形態に従えば、本方法は、たとえば履歴データと装置1内の通気抵抗に基づいて定義された参照データとに基づいて、個人(すなわち使用者)に好ましい抵抗ステップを推奨することを含む。
【0161】
システムは、
履歴データを使用してユーザプロファイルを定義する手段、たとえば履歴データを使用して使用者の通気抵抗プロファイルを定義する手段と、
使用者に好ましい値を示す手段、たとえばディスプレイ27などの、使用者に好ましい流れ抵抗ステップを示す手段と
を含むことができ、推奨は、履歴データと、たとえば装置1内の通気抵抗に基づいて定義された参照パラメータデータとに基づく。
【0162】
推奨データを用いて、使用者は、温度および/または気流ステップ調整などの最も適切な調整を選択することができる。
【0163】
最も適切な気流ステップ調整は、調整手段29によって、たとえば
・機械的に、たとえば周辺アジャスタを使用することによって、または
・自動的に、たとえばステップが自動的に調整されるソフトウェアアプリケーションのユーザインタフェースのオプションを選択することによって、
実施可能である。
【0164】
推奨された通気抵抗ステップデータは、装置1のディスプレイ27を使用して記憶および表示可能である。
【0165】
一実施形態に従えば、吸気流の水分率を測定し利用して、抵抗/水分率および温度を調整する。したがって、気道を効率的に開いて保湿することができ、呼吸筋の強化につながり得る。装置1は、調整可能な呼吸抵抗で呼吸筋を訓練する。装置1はまた、温かい分子水蒸気を気道内に生成する。
【0166】
上述の測定および分析に起因して、使用者には将来の治療および運動の計画および推奨が提供されてもよい。この目的のために、ネットワークインフラストラクチャおよびアプリケーションが、好ましくは該計画および推奨を使用者に提供するために用いられる。
【0167】
一実施形態に従えば、統合された圧力および気流監視制御ユニット(PAM)は、吸気流および呼気流を監視し、推奨された個別気流を制御および調整し、データおよびバイオフィードバックの表示をさらに提供する。
【0168】
一実施形態に従えば、一旦測定されたデータが分析されると、迅速なバイオフィードバックのために、装置1のディスプレイ27に局所的に表示され、および/または無線機器アプリケーションを用いて表示され、および/または送信手段28を用いて、たとえば無線システムエアインタフェースを介してバックボーンネットワークに送信される。
【0169】
上記で開示された呼吸データの収集、監視および分析の方法およびシステムは、個別の呼吸データを収集、分析および追跡し、使用者の健康(wellbeing)およびパフォーマン
スを促進する前例のない可能性をもたらし得る。
【0170】
本発明に従う方法およびシステムは、現在の肺機能検査を、より柔軟で、効率的で、正確かつ追跡可能にすることができる。これは、喘息および慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの呼吸障害の時間診断に役立ち得る。またこれは、幅広い使用者への多様な呼吸サービスおよび支援をもたらし、使用者がその健康(wellbeing)を向上させるのに役立ち得る。これは、呼吸を容易に実行し、呼吸状態を追跡し、履歴、参照およびトレーニングデータに基づいて体系的に改善するのに役立ち得る。
【0171】
本発明に従う装置1は、様々な状況で使用して、被験者の呼吸器官の機能を助けることができる。装置1は、たとえば喘息、気道のアレルギー、慢性閉塞性肺疾患、および他の肺疾患、上気道感染症(風邪)などのケアに適している。本発明に従う装置1によって、アスリートは、たとえばその呼吸筋を強化し、肺の機能を向上させ、有害な粘液を除去し、気道を開くことによってパフォーマンスを向上させることもできる。
【0172】
場合によっては、本発明に従う装置1は、動物のケアにも適用することができる。これは装置の構造のいくつかの変更を必要とする場合があるが、動作原理は同じままである。
【0173】
本発明に従う装置1の使用は、疾患のケアのみに限定されるものではなく、装置1はまた、たとえば歌手、音声使用者などの呼吸器官の機能を向上させるために使用することができる。装置は、すべての年齢の人が、たとえば咳および/または風邪のケアの形態として使用することに適しており、とりわけ呼吸機構を同時に強化することができるので、装置は人の全生涯の使用に適している。
【0174】
本発明は、ケアセッションの一例として温かい液体の適用を使用することによって説明されたが、装置1に関して冷たい液体を使用することも可能である。いくつかの治療または対応する状況では、温度が0度未満の液体でも、冷たい液体を使用することが有利であり得る。このような状況では、冷たい蒸気が液体空間から上昇し、吸気工程中に被験者の肺に運ばれる可能性がある。
【0175】
また、空気は、上述の本発明の説明においてガス流の一例として使用されたことに留意すべきであるが、空気に加えて、装置に出入りするガス流もまた薬物から蒸発した成分などの空気以外の他の物質を含んでもよい。
【0176】
本発明は、上記の実施形態に限定されず、添付の特許請求の範囲内で修正することができる。
【符号の説明】
【0177】
1 装置
2 底部2aを有する装置の本体部
3 液体空間
4 蒸気空間
5 第1流路
5a,5b 第1本体流路端部
6 第1弁
7 第2流路
7a,7b 第2流路の端部
8 第2弁
9 第3流路
10 マウスピース
11 液体加熱手段
12 蓋部
13 液体空間
14 加圧手段
14a ピストン
14b ロッド
15 透明部
16 電気エネルギ伝送手段
17 基体
18 液面を示す破線
19 置換空気弁
21 第1センサ
22 第2センサ
24 電源
25 プロセッサ
26 メモリコンポーネント
27 ディスプレイ
28 送信手段
29 調整手段
30 呼吸クラウドサービスユニット
31 制御装置
図1
図2
図3a
図3b
図4
図5
図6
図7
図8a
図8b
【手続補正書】
【提出日】2023-08-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸気のための第1流路(5)と、
内部容積(3,4)を有する本体部(2)であって、内部容積の第1空間(3)が液体で満たされるように構成されてなる本体部(2)と、
内部容積の第1空間(3)内で形成する蒸気を受け入れるように構成されてなる内部容積の第2空間(4)であって、第1流路(5)が内部容積の第2空間(4)と流れが接続されるように配設される第2空間(5)と、
吸気中に内部容積の蒸気空間(4)から第1流路(5)を介して装置(1)外部にガス流を運ぶための第1弁(6)を含む段と
液体内に呼気空気を提供するように構成された内部容積の第1空間(3)と流れが接続されるように配設される第2流路(7)と、
装置(1)の外部から第2流路(7)を介して内部容積の第1空間(3)にガス流を運ぶための第2弁(8)を含む段と、を含む装置(1)において、
装置(1)は、
気流の流量および温度測定を行うための、および好ましくは呼気流の流量および温度の測定も行うための複数のセンサと、
・気流を吸い込むために使用される時間、
・該時間および吸気流の流量を用いて総体積、
・吸気流の温度に基づいて水蒸気密度、
・該水蒸気密度および該総体積に基づいて吸気流中の水分量、
・測定された温度における水蒸気の比熱容量、および
・吸気流中の水分量および測定された温度における水蒸気の比熱容量に基づいて吸気中に得られるエネルギ量、
を決定するための手段と、
損傷を引き起こすことなく気道に適切なエネルギを提供するために、吸気中に得られるエネルギ量に基づいて、気流の流量を手動でまたは自動的に調整するための手段と、
をさらに含むことを特徴とする装置(1)。
【請求項2】
第1弁(6)は、圧によって閉鎖される弁である、および/または
第2弁(8)は、負圧によって閉鎖される弁であることを特徴とする、請求項1に記載の装置(1)。
【請求項3】
気流の流量および温度を測定するための複数のセンサは、
気流の流量を測定するための第1センサと、
気流の温度を測定するための第2センサとを含むことを特徴とする、請求項1に記載の装置(1)。
【請求項4】
測定データの少なくとも一部を送信するための手段をさらに含むことを特徴とする、請求項2または3に記載の装置(1)。
【請求項5】
液体空間(3)内の液体を加熱するための加熱手段(11)、および/または
液体空間(3)内の圧力を増加させるための加圧手段(14)をさらに含むことを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の装置(1)。
【請求項6】
第3流路(9)であって、ガス流を装置(1)の外部から第2流路(7)に運ぶこと、およびガス流を第1流路(5)から装置(1)の外部に運ぶことが第3流路(9)を介してなされるように、第1流路(5)と第2流路(7)とが接続される第3流路(9)をさらに含むことを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載の装置(1)。
【請求項7】
気中に使用されるエネルギ量を決定するための手段をさらに含むことを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載の装置(1)。
【請求項8】
一回換気量(TV)、
吸気予備量(IRV)、
呼気予備量(ERV)、
残気量(RV)
全肺気量(LTC)、および/または
心拍数変動
を決定するための手段をさらに含むことを特徴とする、請求項1~7のいずれか1項に記載の装置(1)。
【請求項9】
個人の、
最大吸気圧(MIP)、
最大呼気圧(MEP)、
最大吸気流量(MIF)、および
最大呼気流量(MEF)
を決定するための手段を含むことを特徴とする、請求項1~8のいずれか1項に記載の装置(1)。
【請求項10】
合された圧力および気流監視制御ユニットであって、
無線コンポーネントと、
プロセッサ(25)と、
少なくとも1つのメモリコンポーネント(26)とを含む、統合された圧力および気流監視制御ユニットをさらに含むことを特徴とする請求項1~9のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項11】
使用者に、推奨温度を含む推奨を示すためのディスプレイ(27)をさらに含むことを特徴とする、請求項10に記載のシステム。