(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023134851
(43)【公開日】2023-09-27
(54)【発明の名称】第VIII因子キメラおよびハイブリッドポリペプチドならびにその使用法
(51)【国際特許分類】
A61K 38/37 20060101AFI20230920BHJP
A61K 47/68 20170101ALI20230920BHJP
A61P 7/04 20060101ALI20230920BHJP
C07K 19/00 20060101ALI20230920BHJP
C07K 16/00 20060101ALN20230920BHJP
C07K 14/755 20060101ALN20230920BHJP
C12N 15/13 20060101ALN20230920BHJP
C12N 15/12 20060101ALN20230920BHJP
C12N 15/62 20060101ALN20230920BHJP
C12N 5/10 20060101ALN20230920BHJP
【FI】
A61K38/37 ZNA
A61K47/68
A61P7/04
C07K19/00
C07K16/00
C07K14/755
C12N15/13
C12N15/12
C12N15/62 Z
C12N5/10
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023124309
(22)【出願日】2023-07-31
(62)【分割の表示】P 2021170188の分割
【原出願日】2012-07-06
(31)【優先権主張番号】61/506,015
(32)【優先日】2011-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】61/522,647
(32)【優先日】2011-08-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】61/541,561
(32)【優先日】2011-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】61/569,158
(32)【優先日】2011-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】61/586,443
(32)【優先日】2012-01-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】61/622,789
(32)【優先日】2012-04-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】61/657,641
(32)【優先日】2012-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】512147244
【氏名又は名称】バイオベラティブ セラピューティクス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ジェニファー エー. ドゥモント
(72)【発明者】
【氏名】スーザン ロー
(72)【発明者】
【氏名】アラン ジェイ. ビトンティ
(72)【発明者】
【氏名】グレン ピアース
(72)【発明者】
【氏名】アルビン ルック
(72)【発明者】
【氏名】ヘイヤン ジャン
(72)【発明者】
【氏名】バイロン マッキンニー
(72)【発明者】
【氏名】マット オットマー
(72)【発明者】
【氏名】ジャーグ ソマー
(72)【発明者】
【氏名】カレン ニューゲント
(72)【発明者】
【氏名】リー リアン
(72)【発明者】
【氏名】ロバート ピーターズ
(57)【要約】
【課題】第VIII因子キメラおよびハイブリッドポリペプチドならびにその使用法を提供すること。
【解決手段】本発明は、第VIII因子(プロセシングされたFVIII、一本鎖FVIII、またはそれらの組み合わせ)を投与する方法、第VIII因子を含むキメラおよびハイブリッドポリペプチドを投与する方法、第VIII因子を含むキメラおよびハイブリッドポリペプチド、そのようなキメラおよびハイブリッドポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、そのようなポリヌクレオチドを含む細胞、ならびにそのような細胞を用いてそのようなキメラおよびハイブリッドポリペプチドを産生する方法を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬学的組成物であって、
(i)第VIII因子(FVIII)部分および第2の部分を含む、キメラポリペプチド、ならびに
(ii)少なくとも1つの薬剤的に許容される賦形剤
を含み、
(1)該キメラポリペプチドの該FVIII部分のうちの約15%~約40%が、一本鎖FVIIIを含み、
(2)該キメラポリペプチドの該FVIII部分のうちの約60%~約85%が、プロセシングされたFVIIIを含み、
該一本鎖FVIIIが、単一ポリペプチド鎖上にFVIII重鎖およびFVIII軽鎖を含み、該プロセシングされたFVIIIが、2つのポリペプチド鎖上にFVIII重鎖およびFVIII軽鎖を含み、
該一本鎖FVIII部分が、配列番号2のアミノ酸20~1457と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含み、
該第2の部分が、配列番号4のアミノ酸21~247と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む、薬学的組成物。
【請求項2】
(a)前記キメラポリペプチドの前記FVIIIのうちの約15%が、一本鎖FVIIIを含み、前記キメラポリペプチドの前記FVIIIのうちの約85%が、プロセシングされたFVIIIを含み、
(b)前記キメラポリペプチドの前記FVIIIのうちの約20%が、一本鎖FVIIIを含み、前記キメラポリペプチドの前記FVIIIのうちの約80%が、プロセシングされたFVIIIを含むか、
(c)前記キメラポリペプチドの前記FVIIIのうちの約25%が、一本鎖FVIIIを含み、前記キメラポリペプチドの前記FVIIIのうちの約75%が、プロセシングされたFVIIIを含むか、
(d)前記キメラポリペプチドの前記FVIIIのうちの約30%が、一本鎖FVIIIを含み、前記キメラポリペプチドの前記FVIIIのうちの約70%が、プロセシングされたFVIIIを含むか、
(e)前記キメラポリペプチドの前記FVIIIのうちの約35%が、一本鎖FVIIIを含み、前記キメラポリペプチドの前記FVIIIのうちの約65%が、プロセシングされたFVIIIを含むか、または
(f)前記キメラポリペプチドの前記FVIIIのうちの約40%が、一本鎖FVIIIを含み、前記キメラポリペプチドの前記FVIIIのうちの約60%が、プロセシングされたFVIIIを含む、
請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項3】
前記キメラポリペプチドが、rFVIIIFc単量体二量体ハイブリッドである、請求項1または2に記載の薬学的組成物。
【請求項4】
該一本鎖FVIIIが、配列番号2のアミノ酸20~1457と同一であるアミノ酸配列を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
【請求項5】
前記rFVIIIFc単量体二量体ハイブリッドが、ヒト胚腎臓293(HEK293)細胞によって産生されたものである、請求項1~4のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
【請求項6】
前記第2の部分が、配列番号4のアミノ酸21~247と同一であるアミノ酸配列を含む、請求項5に記載の薬学的組成物。
【請求項7】
ヒトへの皮下注射または静脈内注射に適している、請求項1~6のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
【請求項8】
血友病Aを有する対象における出血の減少における使用のための、請求項1~7のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
【請求項9】
前記対象における出血エピソードの予防、減少、または処置、前記対象における出血エピソードの予防的処置、前記対象における出血エピソードのオンデマンド治療における使用のための、請求項8に記載の使用のための薬学的組成物。
【請求項10】
前記出血エピソードが、関節血症、筋肉出血、口の出血、出血、筋肉への出血、口腔出血、外傷、頭部外傷(頭部の外傷)、胃腸出血、頭蓋内出血、腹腔内出血、胸腔内出血、骨折、中枢神経系の出血、咽頭後隙の出血、後腹膜腔内出血、または腸腰筋鞘内の出血と関連する、請求項9に記載の使用のための薬学的組成物。
【請求項11】
前記対象が外科手術を必要とする、請求項9に記載の使用のための薬学的組成物。
【請求項12】
前記外科手術が、小手術、大手術、抜歯、扁桃摘出術、鼠径部ヘルニア切開術、滑膜切除術、人工膝関節全置換術、開頭術、骨接合術、外傷外科手術、頭蓋内手術、腹腔内手術、胸腔内手術、緊急手術または関節置換手術である、請求項11に記載の薬学的組成物。
【請求項13】
凍結乾燥されている、請求項1~7のいずれか一項に記載の薬学的組成物、または請求項8~12のいずれか一項に記載の使用のための薬学的組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
電子的に提出された配列表への言及
本出願とともに提出されるASCIIテキストファイルで電子的に提出される配列表(名前:sequencelisting_ascii.txt、サイズ:____バイト、および作成日:____)の内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
発明の分野
本発明は、一般に、止血障害の治療薬の分野に関する。
【背景技術】
【0003】
血友病Aは、FVIII活性の欠損をもたらす第VIII因子(FVIII)遺伝子における突然変異および/または欠失に起因するX連鎖性出血性障害である(非特許文献1(Peyvandi,F.et al.Haemophilia 12:82-89(2006))。この疾患は、突発性出血および外傷後の過剰な出血により特徴付けられる。やがて、筋肉および関節への反復的な出血(幼少期に始まることが多い)が、血友病性関節症および不可逆的な関節損傷をもたらす。この損傷は進行性であり、関節の非常に限定された可動性、筋萎縮症、および慢性痛に至る可能性がある(非特許文献2(Rodriguez-Merchan,E.C.,Semin.Thromb.Hemost.29:87-96(2003))、これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。
【0004】
A2ドメインは、第VIII因子分子の凝血促進活性に必要である。研究では、ブタ第VIII因子がヒト第VIII因子よりも6倍高い凝血促進活性を有することが示されており(非特許文献3(Lollar,P.,and E.T.Parker,J.Biol.Chem.266:12481-12486(1991)))、ヒト第VIII因子とブタ第VIII因子との間の凝固活性の差は、ヒトおよびブタのA2ドメインにおける1つ以上の残基間のアミノ酸配列の差に基づくようである(非特許文献4(Lollar,P.,et al.,J.Biol.Chem.267:23652-23657(1992)))。これらの文献は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0005】
血友病Aの治療は、FVIII活性を正常レベルの1~5%まで回復させて、突発性出血を予防することを目的とする補充療法による(非特許文献5(Mannucci,P.M.,et al.,N.Engl.J.Med.344:1773-1779(2001))、これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。出血エピソードをオンデマンドで治療する、または予防的に治療することによって出血エピソードが起こることを予防するために利用可能な血漿由来および組換えFVIII製品がある。しかしながら、これらの製品の例えば、8~12時間の短い半減期に基づいて、治療レジメンは頻繁な静脈内注射の投与を必要とする。そのような頻繁な投与は、痛みを伴い、かつ不都合である。
死亡率の低下、関節損傷の予防、生活の質の改善は、血漿由来および組換え第VIII因子の開発による重要な成果である。出血からの長期保護は、血友病A患者の治療における別の重要な進歩を示すであろう。しかしながら、これまで長期の止血保護を可能にする製品は開発されていない。したがって、現在の治療法よりも容認でき、長く続き、かつ有効である、第VIII因子欠損症に起因する血友病を治療する改善された方法が必要である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Peyvandi,F.et al.Haemophilia 12:82-89(2006)
【非特許文献2】Rodriguez-Merchan,E.C.,Semin.Thromb.Hemost.29:87-96(2003)
【非特許文献3】Lollar,P.,and E.T.Parker,J.Biol.Chem.266:12481-12486(1991)
【非特許文献4】Lollar,P.,et al.,J.Biol.Chem.267:23652-23657(1992)
【非特許文献5】Mannucci,P.M.,et al.,N.Engl.J.Med.344:1773-1779(2001)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、第VIII因子を投与する方法、第VIII因子を含むキメラポリペプチドおよびそのようなキメラポリペプチドのハイブリッドを投与する方法、第VIII因子を含むキメラポリペプチドおよびそのようなキメラポリペプチドのハイブリッド、そのようなキメラおよびハイブリッドポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、そのようなポリヌクレオチドを含む細胞、ならびにそのような細胞を用いてそのようなキメラおよびハイブリッドポリペプチドを産生する方法を提供する。
【0008】
本発明は、第VIII因子を、それを必要とする対象に投与する方法であって、この対象に、治療用量のキメラ第VIII因子ポリペプチド、例えば、キメラ第VIII因子-Fcポリペプチドを、非第VIII因子部分を含まない、例えば、Fc部分を含まない等価用量の当該第VIII因子(当該第VIII因子部分からなるポリペプチド)に必要とされる投与間隔よりも少なくとも約1.5倍長い投与間隔で投与することを含む、方法を提供する。
【0009】
投与間隔は、等価用量のFc部分等の非第VIII因子部分を含まない当該第VIII因子(当該第VIII因子部分からなるポリペプチド)に必要とされる投与間隔よりも少なくとも約1.5~6倍長いか、1.5~5倍長いか、1.5~4倍長いか、1.5~3倍長いか、または1.5~2倍長くあり得る。投与間隔は、等価用量のFc部分等の非第VIII因子部分を含まない当該第VIII因子(当該第VIII因子部分からなるポリペプチド)に必要とされる投与間隔よりも少なくとも約1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、または6倍長くあり得る。投与間隔は、約5、6、7、8、9、10、11、12、13、もしくは14日ごと、またはそれ以上長くあり得る。
【0010】
投与間隔は、少なくとも約1.5~5、1.5、2、3、4、もしくは5日、またはそれ以上であり得る。
【0011】
本発明はまた、第VIII因子を、それを必要とする対象に投与する方法であって、この対象に、治療用量のキメラ第VIII因子ポリペプチド、例えば、キメラ第VIII因子-Fcポリペプチドを投与して、非第VIII因子部分を含まない、例えば、Fc部分を含まない等価用量の当該第VIII因子(当該第VIII因子部分からなるポリペプチド)により得られる血漿濃度対時間曲線下面積(AUC)よりも少なくとも約1.25倍大きなAUCを得ることを含む、方法も提供する。
【0012】
本発明はまた、第VIII因子を、それを必要とする対象に投与する方法であって、この対象に、第VIII因子およびFcを含む治療用量のポリペプチドを、約3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、もしくは14日ごと、またはそれ以上の投与間隔で投与することを含む、方法も提供する。
【0013】
本発明の方法は、予防的処置またはオンデマンド治療を必要とする対象に対して実施することができる。
【0014】
オンデマンド治療には、出血エピソード、関節血症、筋肉出血、口の出血、出血、筋肉への出血、口腔出血、外傷、頭部外傷(trauma capitis)、胃腸出血、頭蓋内出血、腹腔内出血、胸腔内出血、骨折、中枢神経系の出血、咽頭後隙の出血、後腹膜腔内出血、または腸腰筋鞘(illiopsoas sheath)内の出血に対する治療が含まれる。対象は、外科的予防、手術中管理、または外科手術のための処置を必要とし得る。そのような外科手術には、例えば、小手術、大手術、抜歯、扁桃摘出術、鼠径部ヘルニア切開術、滑膜切除術、人工膝関節全置換術、開頭術、骨接合術、外傷外科手術、頭蓋内手術、腹腔内手術、胸腔内手術、または関節置換手術が含まれる。
【0015】
オンデマンド治療については、当該キメラポリペプチドの投与間隔は、24~36、24~48、24~72、24~96、24~120、24~144、24~168、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、もしくは72時間ごと、またはそれ以上で約1回である。
【0016】
本発明の方法で使用され得る治療用量は、約10~約100IU/kg、より具体的には、約10~20、20~30、30~40、40~50、50~60、60~70、70~80、80~90、または90~100IU/kg、より具体的には、約10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、または100IU/kgである。
【0017】
本発明の方法で使用され得る治療用量は、約10~約150IU/kg、より具体的には、約100~110、110~120、120~130、130~140、140~150IU/kg、より具体的には、約110、115、120、125、130、135、140、145、または150IU/kgである。
【0018】
本発明の方法における対象は、ヒト対象である。投与間隔およびAUCの決定は、単一の対象で、または対象の集団で実施することができる。
【0019】
第VIII因子(またはキメラポリペプチドの第VIII因子部分)は、ヒト第VIII因子である。第VIII因子(またはキメラポリペプチドの第VIII因子部分)は、Bドメインの完全または部分欠失を有し得る。
【0020】
第VIII因子(またはキメラポリペプチドの第VIII因子部分)は、シグナル配列を含まない表2に示される第VIII因子アミノ酸配列(配列番号2のアミノ酸20~1457または配列番号6のアミノ酸4~2351)と少なくとも90%または95%同一であり得る。第VIII因子(またはキメラポリペプチドの第VIII因子部分)は、シグナル配列を含まない表2に示される第VIII因子アミノ酸配列(配列番号2のアミノ酸20~1457または配列番号6のアミノ酸20~2351)と同一であり得る。
【0021】
第VIII因子(またはキメラポリペプチドの第VIII因子部分)は、シグナル配列を含む表2に示される第VIII因子アミノ酸配列(配列番号2のアミノ酸1~1457または配列番号6のアミノ酸1~2351)と少なくとも90%または95%同一であり得る。第VIII因子(またはキメラポリペプチドの第VIII因子部分)は、シグナル配列を含む表2に示される第VIII因子アミノ酸配列(配列番号2のアミノ酸1~1457または配列番号6のアミノ酸1~2351)と同一であり得る。
【0022】
Fc部分(またはキメラポリペプチドのFc部分)は、表2に示されるFcアミノ酸配列(配列番号2のアミノ酸1458~1684または配列番号6のアミノ酸2352~2578)と少なくとも90%または95%同一であり得る。Fc部分(またはキメラポリペプチドのFc部分)は、表2に示されるFcアミノ酸配列(配列番号2のアミノ酸1458~1684または配列番号6のアミノ酸2352~2578)と同一であり得る。
【0023】
キメラポリペプチドは、シグナル配列を含まない表2A(i)に示される第VIII因子およびFcアミノ酸配列(配列番号2のアミノ酸20~1684)と少なくとも90%もしくは95%同一であるか、またはシグナル配列を含む表2A(i)に示される第VIII因子およびFcアミノ酸配列(配列番号2のアミノ酸1~1684)と少なくとも90%もしくは95%同一である配列を含み得る。キメラポリペプチドは、シグナル配列を含まない表2A(i)に示される第VIII因子およびFcアミノ酸配列(配列番号2のアミノ酸20~1684)と同一であるか、またはシグナル配列を含む表2A(i)に示される第VIII因子およびFcアミノ酸配列(配列番号2のアミノ酸1~1684)と同一である配列を含み得る。
【0024】
キメラポリペプチドは、当該キメラポリペプチドと結合した第2のポリペプチドを含むハイブリッドの形態であってよく、当該第2のポリペプチドは、Fcを含むか、またはFcから本質的になる。
【0025】
第2のポリペプチドは、シグナル配列を含まない表2A(ii)に示されるアミノ酸配列(配列番号4のアミノ酸21~247)と少なくとも90%もしくは95%同一であるか、またはシグナル配列を含む表2A(ii)に示されるアミノ酸配列(配列番号4のアミノ酸1~247)と少なくとも90%もしくは95%同一である配列を含み得るか、またはこの配列から本質的になり得る。第2のポリペプチドは、シグナル配列を含まない表2A(ii)に示されるアミノ酸配列(配列番号4のアミノ酸21~247)と同一であるか、またはシグナル配列を含む表2A(ii)に示されるアミノ酸配列(配列番号4のアミノ酸1~247)と同一である配列を含み得るか、またはこの配列から本質的になり得る。
【0026】
キメラポリペプチドまたはハイブリッドは、少なくとも1つの賦形剤を含む薬学的組成物の一部として投与され得る。
【0027】
本発明はまた、上記のキメラおよびハイブリッドポリペプチドそれ自体、それらをコードするポリヌクレオチド、このポリヌクレオチドを含む培養されたヒト胚細胞、そのようなキメラおよびハイブリッドポリペプチドを産生する方法、およびそのような方法によって産生されたポリペプチドも提供する。
【0028】
本発明はまた、第VIII因子部分および第2の部分を含む第VIII因子活性を有するキメラポリペプチドも提供し、この第VIII因子部分は、重鎖を含む第1の鎖および軽鎖を含む第2の鎖の2つの鎖を含むプロセシングされた第VIII因子であり、当該第1の鎖および当該第2の鎖は、金属結合により会合される。例えば、キメラポリペプチドの第VIII因子部分の少なくとも約50%、約60%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または約99%が、プロセシングされた第VIII因子である。
【0029】
加えて、本発明は、第VIII因子活性を有するキメラポリペプチドを含み、第VIII因子部分は、一本鎖第VIII因子である。一態様において、一本鎖第VIII因子は、無傷の細胞内プロセシング部位を含有することができる。一実施形態において、キメラポリペプチドの第VIII因子部分の少なくとも約1%、約5%、約10%、約15%、約20%、または約25%が、一本鎖第VIII因子である。別の実施形態において、キメラポリペプチドの第VIII因子部分の少なくとも約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%、または約99%が、一本鎖第VIII因子である。別の態様において、一本鎖FVIIIは、細胞内プロセシング部位を含有しない。例えば、一本鎖FVIIIは、完全長第VIII因子において、アルギニン1645に対応するアミノ酸位置での置換もしくは突然変異、アルギニン1648に対応するアミノ酸位置での置換もしくは突然変異、またはアルギニン1645およびアルギニン1648に対応するアミノ酸位置での置換もしくは突然変異を含む。アルギニン1645に対応するアミノ酸位置で置換されたアミノ酸は、アルギニン1648に対応するアミノ酸位置で置換されたアミノ酸とは異なるアミノ酸である。ある特定の実施形態において、置換または突然変異は、アルギニン以外のアミノ酸、例えば、アラニンである。
【0030】
幾つかの実施形態において、一本鎖第VIII因子を含むキメラポリペプチドは、第VIII因子活性が発色アッセイによってインビトロで測定される場合、2つのFc部分と、この2つのFc部分のうちの1つと融合するプロセシングされた第VIII因子とからなるキメラポリペプチドに匹敵するレベルで第VIII因子活性を有する。他の実施形態において、一本鎖第VIII因子を含むキメラポリペプチドは、2つのFc部分と、この2つのFc部分のうちの1つと融合するプロセシングされた第VIII因子とからなるキメラポリペプチドに匹敵するインビボでの第VIII因子活性を有する。さらに他の実施形態において、一本鎖第VIII因子を含むキメラポリペプチドは、2つのFc部分と、この2つのFc部分のうちの1つと融合するプロセシングされた第VIII因子とからなるキメラポリペプチドに匹敵する第Xa因子の発生率を有する。ある特定の実施形態において、キメラポリペプチド中の一本鎖第VIII因子は、2つのFc部分とプロセシングされた第VIII因子とからなるキメラポリペプチド中のプロセシングされた第VIII因子に匹敵するレベルで、活性化プロテインCによって不活性化される。なお他の実施形態において、キメラポリペプチド中の一本鎖第VIII因子は、2つのFc部分とプロセシングされた第VIII因子とからなるキメラポリペプチド中のプロセシングされた第VIII因子に匹敵する第IXa因子の相互作用率を有する。さらなる実施形態において、キメラポリペプチド中の一本鎖第VIII因子は、2つのFc部分とプロセシングされた第VIII因子とからなるキメラポリペプチド中のプロセシングされた第VIII因子に匹敵するレベルでフォンウィルブランド因子に結合する。
【0031】
本発明は、第VIII因子活性を有するキメラポリペプチドを含む組成物であって、当該ポリペプチドの少なくとも約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、または約100%が、一本鎖第VIII因子である第VIII因子部分、および第2の部分を含み、当該一本鎖第VIII因子は、シグナル配列を含まない表2に示される第VIII因子アミノ酸配列(配列番号2のアミノ酸20~1457または配列番号6のアミノ酸20~2351)と少なくとも90%または95%同一である、組成物をさらに含む。一実施形態において、第2の部分は、Fcであり得る。別の実施形態において、ポリペプチドは、第2のポリペプチドを含むハイブリッドの形態であり、当該第2のポリペプチドは、Fcから本質的になる。他の実施形態において、ポリペプチドは、当該第VIII因子からなるポリペプチドに対して少なくとも1.5~6倍長い、1.5~5倍長い、1.5~4倍長い、1.5~3倍長い、または1.5~2倍長い半減期を有する。
【0032】
治療上有効量の組成物を投与することを含む、出血性状態を治療する方法も提供される。この治療は、予防的処置またはオンデマンド治療または手術中であり得る。出血凝固障害は、血友病であり得る。一実施形態において、治療される対象は、小児対象である。
【0033】
本発明はまた、対象における出血エピソードを予防、減少、または治療する方法も対象とし、この対象に、有効量の長時間作用型第VIII因子(FVIII)タンパク質を投与することを含み、対象は、血漿中に高レベルのフォンウィルブランド因子(VWF)を発現する。一実施形態において、対象は、血漿中に高レベルのVWFを発現することが特定される。本発明はまた、対象における出血エピソードを予防、減少、または治療する方法も対象とし、この方法には、(a)高レベルのVWFを有する対象を、当該対象の血漿中のVWFレベルを測定することによって特定することであって、少なくとも約100IU/dLのVWFレベルが、高レベルのVWFを有するものとして対象を特定する、対象を特定することと、(b)当該対象に、有効量の長時間作用型FVIIIタンパク質を投与することと、を含む。
【0034】
一実施形態において、対象はヒトである。別の実施形態において、対象は、小児対象である。別の実施形態において、対象は、血友病Aを有する。
【0035】
一実施形態において、高レベルのVWFは、少なくとも約100IU/dLである。別の実施形態において、高レベルのVWFは、約100IU/dL~約200IU/dLである。別の実施形態において、高レベルのVWFは、約110IU/dL、約120IU/dL、約130IU/dL、約140IU/dL、約150IU/dL、約160IU/dL、約170IU/dL、約180IU/dL、約190IU/dL、または約200IU/dLである。
【0036】
一実施形態において、対象は、血清型A、B、またはABを有する。
【0037】
一実施形態において、長時間作用型FVIIIタンパク質は、当該対象において、約20~約40時間の半減期を有する。別の実施形態において、長時間作用型FVIIIタンパク質は、約21時間、22時間、23時間、24時間、25時間、26時間、27時間、28時間、29時間、30時間、31時間、31時間、32時間、33時間、34時間、35時間、36時間、37時間、38時間、39時間、または40時間の半減期を有する。別の実施形態において、長時間作用型FVIIIタンパク質は、約20~約27時間の半減期を有する。別の実施形態において、長時間作用型FVIIIタンパク質は、平均レベルのVWFを有する個人に投与される場合、当該当該長期間作用型FVIIIタンパク質の半減期よりも少なくとも約1.2倍長い半減期を有する。別の実施形態において、長時間作用型FVIIIタンパク質は、平均レベルのVWFを有する個人に投与される場合、当該当該長期間作用型FVIIIタンパク質の半減期よりも少なくとも約約1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、または2.5倍長い半減期を有する。
【0038】
一実施形態において、投与される長時間作用型FVIIIタンパク質の有効量は、少なくとも約20IU/kg、少なくとも約25IU/kg、少なくとも約30IU/kg、少なくとも約35IU/kg、少なくとも約40IU/kg、少なくとも約45IU/kg、少なくとも約50IU/kg、少なくとも約55IU/kg、少なくとも約60IU/kg、少なくとも約65IU/kg、少なくとも約70IU/kg、少なくとも約75IU/kg、少なくとも約80IU/kg、少なくとも約85IU/kg、または少なくとも約90IU/kgである。別の実施形態において、有効量は、少なくとも約65IU/kg~少なくとも約90IU/kgである。別の実施形態において、有効量は、80IU/kgである。
【0039】
一実施形態において、長時間作用型FVIIIタンパク質は、72時間ごとまたはそれ以上で投与される。別の実施形態において、長時間作用型FVIIIタンパク質は、1週間またはそれ以上で約1回投与される。別の実施形態において、長時間作用型FVIIIタンパク質は、10日ごとに約1回、2週間ごとに約1回、15日ごとに約1回、20日ごとに約1回、3週間ごとに約1回、25日ごとに約1回、4週間ごとに約1回、または1ヶ月ごとに約1回投与される。
【0040】
一実施形態において、長時間作用型FVIIIは、80IU/kgの投与量で72時間ごとに1回投与される。さらなる実施形態において、長時間作用型FVIIIは、小児対象に、80IU/kgの投与量で72時間ごとに1回投与される。
【0041】
一実施形態において、長時間作用型FVIIIタンパク質の投与は、出血エピソードの5~20%超、5~15%超、5~10%超、10~20%超、または10~15%超を解消する。一実施形態において、対象において、血漿第VIII因子:Cのトラフレベルは、1~3または3~5IU/dLを超えて維持される。一実施形態において、投与は、対象において、出血エピソードを予防する。別の実施形態において、出血エピソードは、突発的である。別の実施形態において、投与は、出血エピソードの80~100%超、80~90%超、85~90%超、90~100%超、90~95%超、または95~100%超を解消する。
【0042】
一実施形態において、投与は、外科手術を必要とする対象の集団において、恒常性(homeostatis)を維持する。別の実施形態において、長時間作用型FVIIIタンパク質は、外科手術前、その間、またはその後に投与される。別の実施形態において、外科手術は、小手術、大手術、抜歯、扁桃摘出術、鼠径部ヘルニア切開術、滑膜切除術、人工膝関節全置換術、開頭術、骨接合術、外傷外科手術、頭蓋内手術、腹腔内手術、胸腔内手術、または関節置換手術である。別の実施形態において、外科手術は、緊急手術である。
【0043】
一実施形態において、長時間作用型FVIIIタンパク質は、FVIIIからなるポリペプチドよりも長い半減期を有する。別の実施形態において、長時間作用型FVIIIタンパク質は、ペグ化、HES化、またはポリシアル化されている。
【0044】
一実施形態において、長時間作用型FVIIIタンパク質は、FVIII部分および第2の部分を含むキメラタンパク質である。別の実施形態において、第2の部分は、Fc領域、アルブミン、PAS配列、トランスフェリン、CTP(4つのO-グリカンを有するhCGの28アミノ酸C末端ペプチド(CTP))、ポリエチレングリコール(PEG)、ヒドロキシエチルデンプン(HES)、アルブミン結合ポリペプチド、アルブミン結合小分子、またはそれらの2つ以上の組み合わせである。別の実施形態において、第2の部分は、FVIII部分のアミノ末端またはカルボキシ末端と融合している。別の実施形態において、第2の部分は、FVIII部分の2つのアミノ酸間に挿入されている。別の実施形態において、キメラタンパク質は、FVIIIFc単量体二量体ハイブリッドである。別の実施形態において、FVIII部分は、一本鎖である。別の実施形態において、FVIII部分は、重鎖および軽鎖を含む。別の実施形態において、FVIII部分は、完全長第VIII因子、成熟第VIII因子、またはBドメインの完全もしくは部分欠失を有する第VIII因子を含む。別の実施形態において、FVIII部分は、配列番号2のアミノ酸1~1438または配列番号6のアミノ酸1~2332と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。別の実施形態において、FVIII部分は、配列番号2のアミノ酸1~1438または配列番号6のアミノ酸1~2332を含む。別の実施形態において、キメラポリペプチドは、配列番号2のアミノ酸1439~1665または配列番号6のアミノ酸2333~2559と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるFc部分を含む。別の実施形態において、第2の部分は、配列番号2のアミノ酸1439~1665または配列番号6のアミノ酸2333~2559を含む。別の実施形態において、長時間作用型FVIIIのポリペプチドは、少なくとも1つの賦形剤を含む薬学的組成物の一部として投与される。
【0045】
本発明はまた、出血性障害であると診断されている対象を治療する方法であって、正常な対象におけるFVIII-Fcの半減期よりも少なくとも約1.2倍長い半減期は、この対象が長い投与間隔の候補者であることを示す、当該対象におけるFVIII-Fcの半減期を測定することと、有効量のFVIII-Fcポリペプチドを少なくとも3日間の投与間隔で投与することと、を含む、方法も提供する。
【0046】
本発明はまた、出血性障害であると診断されている対象を治療する方法であって、対象に、有効量のFVIII-Fcポリペプチドを少なくとも3日間の投与間隔で投与することであって、当該対象におけるFVIII-Fcの半減期が、平均レベルのVWFを有する対象に投与される場合のFVIII-Fcの半減期よりも少なくとも約1.2倍長い、投与することを含む、方法も提供する。
【0047】
一実施形態において、当該対象におけるFVIII-Fcの血漿半減期は、平均レベルのVWFを有する対象に投与される場合のFVIII-Fcの血漿半減期よりも少なくとも約1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、または2.5倍長い。別の実施形態において、FVIII-Fcの血漿半減期は、20~40時間である。別の実施形態において、長時間作用型FVIIIタンパク質は、約21時間、22時間、23時間、24時間、25時間、26時間、27時間、28時間、29時間、30時間、31時間、31時間、32時間、33時間、34時間、35時間、36時間、37時間、38時間、39時間、または40時間の半減期を有する。別の実施形態において、長時間作用型FVIIIタンパク質は、約20~約27時間の半減期を有する。
【0048】
本発明はまた、出血性障害であると診断されている対象を治療する方法であって、本方法は、当該対象に投与された短時間作用型FVIIIの半減期を測定して、平均レベルのVWFを有する対象における当該短時間作用型FVIIIの半減期よりも少なくとも約1.2倍長い半減期が、この対象が長い投与間隔の候補者であることを示すことと、有効量の長期間作用型FVIII-Fcポリペプチドを少なくとも3日間の投与間隔で投与することと、を含む、方法も提供する。一実施形態において、当該対象における短時間作用型FVIIIの半減期は、平均レベルのVWFを有する対象に投与される場合の短時間作用型FVIIIの半減期よりも少なくとも約1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、または2.5倍長い。
【0049】
一実施形態において、対象はヒトである。別の実施形態において、対象は、小児対象である。別の実施形態において、対象は、血友病Aを有する。別の実施形態において、対象は、血清型A、B、またはABを有する。
【0050】
一実施形態において、長時間作用型FVIII-Fcは、少なくとも約20IU/kg、少なくとも約25IU/kg、少なくとも約30IU/kg、少なくとも約35IU/kg、少なくとも約40IU/kg、少なくとも約45IU/kg、少なくとも約50IU/kg、少なくとも約55IU/kg、少なくとも約60IU/kg、少なくとも約65IU/kg、少なくとも約70IU/kg、少なくとも約75IU/kg、少なくとも約80IU/kg、少なくとも約85IU/kg、または少なくとも約90IU/kgの有効量で投与される。別の実施形態において、有効量は、少なくとも約65IU/kg~少なくとも約90IU/kgである。
【0051】
一実施形態において、有効量のFVIII-Fcタンパク質は、1週間ごとに約1回、10日ごとに約1回、2週間ごとに約1回、15日ごとに約1回、20日ごとに約1回、3週間ごとに約1回、25日ごとに約1回、4週間ごとに約1回、または1ヶ月ごとに約1回投与される。
【0052】
一実施形態において、投与は、出血エピソードの5~20%超、5~15%超、5~10%超、10~20%超、または10~15%超を解消する。一実施形態において、対象において、血漿第VIII因子:Cのトラフレベルは、1~3または3~5IU/dLを超えて維持される。
【0053】
一実施形態において、投与は、対象において、出血エピソードを予防する。一実施形態において、出血エピソードは、突発的である。一実施形態において、投与は、出血エピソードの80~100%超、80~90%超、85~90%超、90~100%超、90~95%超、または95~100%超を解消する。一実施形態において、投与は、外科手術を必要とする対象の集団において、恒常性を維持する。一実施形態において、FVIII-Fcタンパク質は、外科手術前、その間、またはその後に投与される。一実施形態において、外科手術は、小手術、大手術、抜歯、扁桃摘出術、鼠径部ヘルニア切開術、滑膜切除術、人工膝関節全置換術、開頭術、骨接合術、外傷外科手術、頭蓋内手術、腹腔内手術、胸腔内手術、または関節置換手術である。一実施形態において、外科手術は、緊急手術である。
【0054】
一実施形態において、FVIII-Fcタンパク質は、FVIIIからなるポリペプチドよりも長い半減期を有する。一実施形態において、FVIII-Fcタンパク質は、ペグ化、HES化、またはポリシアル化されている。一実施形態において、FVIII-Fcタンパク質は、FVIIIFc単量体二量体ハイブリッドである。一実施形態において、FVIII部分は、一本鎖である。一実施形態において、FVIII部分は、重鎖および軽鎖を含む。一実施形態において、FVIII部分は、完全長第VIII因子、成熟第VIII因子、またはBドメインの完全もしくは部分欠失を有する第VIII因子を含む。一実施形態において、FVIII部分は、配列番号2のアミノ酸1~1438または配列番号6のアミノ酸1~2332と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。一実施形態において、FVIII部分は、配列番号2のアミノ酸1~1438または配列番号6のアミノ酸1~2332を含む。一実施形態において、キメラポリペプチドの第2の部分は、配列番号2のアミノ酸1439~1665または配列番号6のアミノ酸2333~2559と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるFc部分を含む。一実施形態において、第2の部分は、配列番号2のアミノ酸1439~1665または配列番号6のアミノ酸2333~2559を含む。
【0055】
一実施形態において、FVIII-Fcポリペプチドは、少なくとも1つの賦形剤を含む薬学的組成物の一部として投与される。
【0056】
本発明はまた、出血性障害であると診断されている対象が、長時間作用型FVIIIポリペプチドを用いた長い投与間隔の候補者であるかどうかを決定するための方法であって、血漿VWFの発現レベルを測定して、少なくとも100IU/dLのVWF発現レベルが、この対象が長時間作用型FVIIIポリペプチドを用いた長い投与間隔の候補者であることを示すことを含む、方法も提供する。一実施形態において、VWF発現レベルは、少なくとも約110IU/dL、約120IU/dL、約130IU/dL、約140IU/dL、約150IU/dL、約160IU/dL、約170IU/dL、約180IU/dL、約190IU/dL、または約200IU/dLである。
【0057】
本発明はまた、出血性障害であると診断されている対象が、長期間作用型FVIIIのポリペプチドの長い投与間隔の候補者であるかどうかを決定するための方法であって、当該対象におけるFVIII-Fcの半減期を測定して、平均レベルのVWFを有する対象に投与される場合のFVIII-Fcの半減期よりも少なくとも約1.2倍長い半減期が、この対象が長い投与間隔の候補者であることを示すことを含む、方法も提供する。一実施形態において、FVIII-Fcの半減期は、平均レベルのVWFを有する対象に投与される場合のFVIII-Fcの半減期よりも少なくとも約1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、または2.5倍長い。
【0058】
本発明はまた、出血性障害であると診断されている対象が、長期間作用型FVIIIのポリペプチドの長い投与間隔の候補者であるかどうかを決定するための方法であって、当該対象における短時間作用型FVIIIの半減期を測定して、平均レベルのVWFを有する対象に投与される場合の短時間作用型FVIIIの半減期よりも少なくとも約1.2倍長い半減期が、この対象が長い投与間隔の候補者であることを示すことを含む、方法も提供する。一実施形態において、半減期は、平均レベルのVWFを有する対象に投与される場合のFVIII-Fcの半減期よりも少なくとも約1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、または2.5倍長い。
特定の実施形態では、例えば以下が提供される:
(項目1)
第VIII因子を、それを必要とするヒト対象に投与する方法であって、前記対象に、第VIII因子部分および第2の部分を含む治療用量のキメラポリペプチドを、前記第VIII因子部分からなる等価用量のポリペプチドに必要とされる投与間隔よりも少なくとも約1.5倍長い投与間隔で投与することを含み、前記第VIII因子部分は、重鎖を含む第1の鎖および軽鎖を含む第2の鎖の2つの鎖を有するプロセシングされた第VIII因子を含み、前記第1の鎖および前記第2の鎖は、金属結合により会合される、方法。
(項目2)
前記キメラポリペプチドの前記第VIII因子部分の少なくとも約50%、約60%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または約99%が、プロセシングされた第VIII因子である、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記キメラポリペプチドの前記第VIII因子部分の約100%が、プロセシングされた第VIII因子である、項目2に記載の方法。
(項目4)
前記第VIII因子部分は、一本鎖である、一本鎖第VIII因子を含む、項目1または2のいずれか1項に記載の方法。
(項目5)
前記一本鎖第VIII因子は、無傷の細胞内プロセシング部位を含有する、項目4に記載の方法。
(項目6)
前記細胞内プロセシング部位は、完全長第VIII因子の残基1648のアルギニン(配列番号6のアミノ酸20~2351のアルギニン残基1667)に対応する、項目5に記載の方法。
(項目7)
前記キメラポリペプチドの前記第VIII因子部分の少なくとも約1%、約5%、約10%、約15%、約20%、または約25%が、一本鎖第VIII因子である、項目3~6のいずれか1項に記載の方法。
(項目8)
前記キメラポリペプチドの前記第VIII因子部分の約25%が、一本鎖第VIII因子であり、前記キメラポリペプチドの前記第VIII因子部分の約75%が、プロセシングされた第VIII因子である、項目7に記載の方法。
(項目9)
前記キメラポリペプチドの前記第VIII因子部分の約20%が、一本鎖第VIII因子であり、前記キメラポリペプチドの前記第VIII因子部分の約80%が、プロセシングされた第VIII因子である、項目7に記載の方法。
(項目10)
前記キメラポリペプチドの前記第VIII因子部分の約15%が、一本鎖第VIII因子であり、前記キメラポリペプチドの前記第VIII因子部分の約85%が、プロセシングされた第VIII因子である、項目7に記載の方法。
(項目11)
前記キメラポリペプチドの前記第VIII因子部分の約10%が、一本鎖第VIII因子であり、前記キメラポリペプチドの前記第VIII因子部分の約90%が、プロセシングされた第VIII因子である、項目7に記載の方法。
(項目12)
前記キメラポリペプチドの前記第VIII因子部分の約5%が、一本鎖第VIII因子であり、前記キメラポリペプチドの前記第VIII因子部分の約95%が、プロセシングされた第VIII因子である、項目7に記載の方法。
(項目13)
前記キメラポリペプチドの前記第VIII因子部分の約1%が、一本鎖第VIII因子であり、前記キメラポリペプチドの前記第VIII因子部分の約99%が、プロセシングされた第VIII因子である、項目7に記載の方法。
(項目14)
前記キメラポリペプチドの前記第VIII因子部分の少なくとも約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%、または約99%が、一本鎖第VIII因子である、項目3~6のいずれか1項に記載の方法。
(項目15)
前記キメラポリペプチドの前記第VIII因子部分の約30%が、一本鎖第VIII因子であり、前記キメラポリペプチドの前記第VIII因子部分の約70%が、プロセシングされた第VIII因子である、項目14に記載の方法。
(項目16)
前記キメラポリペプチドの前記第VIII因子部分の約40%が、一本鎖第VIII因子であり、前記キメラポリペプチドの前記第VIII因子部分の約60%が、プロセシングされた第VIII因子である、項目14に記載の方法。
(項目17)
前記キメラポリペプチドの前記第VIII因子部分の約50%が、一本鎖第VIII因子であり、前記キメラポリペプチドの前記第VIII因子部分の約50%が、プロセシングされた第VIII因子である、項目14に記載の方法。
(項目18)
前記キメラポリペプチドの前記第VIII因子部分の約60%が、一本鎖第VIII因子であり、前記キメラポリペプチドの前記第VIII因子部分の約40%が、プロセシングされた第VIII因子である、項目14に記載の方法。
(項目19)
前記キメラポリペプチドの前記第VIII因子部分の約70%が、一本鎖第VIII因子であり、前記キメラポリペプチドの前記第VIII因子部分の約30%が、プロセシングされた第VIII因子である、項目14に記載の方法。
(項目20)
前記キメラポリペプチドの前記第VIII因子部分の約80%が、一本鎖第VIII因子であり、前記キメラポリペプチドの前記第VIII因子部分の約20%が、プロセシングされた第VIII因子である、項目14に記載の方法。
(項目21)
前記キメラポリペプチドの前記第VIII因子部分の約85%が、一本鎖第VIII因子であり、前記キメラポリペプチドの前記第VIII因子部分の約15%が、プロセシングされた第VIII因子である、項目14に記載の方法。
(項目22)
前記キメラポリペプチドの前記第VIII因子部分の約90%が、一本鎖第VIII因子であり、前記キメラポリペプチドの前記第VIII因子部分の約10%が、プロセシングされた第VIII因子である、項目14に記載の方法。
(項目23)
前記キメラポリペプチドの前記第VIII因子部分の約95%が、一本鎖第VIII因子であり、前記キメラポリペプチドの前記第VIII因子部分の約5%が、プロセシングされた第VIII因子である、項目14に記載の方法。
(項目24)
前記キメラポリペプチドの前記第VIII因子部分の約99%が、一本鎖第VIII因子であり、前記キメラポリペプチドの前記第VIII因子部分の約1%が、プロセシングされた第VIII因子である、項目14に記載の方法。
(項目25)
前記キメラポリペプチドの前記第VIII因子部分の約100%が、一本鎖第VIII因子である、項目14に記載の方法。
(項目26)
一本鎖第VIII因子を含む前記キメラポリペプチドは、第VIII因子活性が発色アッセイによってインビトロで測定される場合、2つのFc部分と、前記2つのFc部分のうちの1つと融合するプロセシングされた第VIII因子とからなるキメラポリペプチドに匹敵するレベルで、前記第VIII因子活性を有する、項目4~25のいずれか1項に記載の方法。
(項目27)
一本鎖第VIII因子を含む前記キメラポリペプチドは、2つのFc部分と、前記2つのFc部分のうちの1つと融合するプロセシングされた第VIII因子とからなるキメラポリペプチドに匹敵するインビボでの第VIII因子活性を有する、項目4~26のいずれか1項に記載の方法。
(項目28)
一本鎖第VIII因子を含む前記キメラポリペプチドは、2つのFc部分と、前記2つのFc部分のうちの1つと融合するプロセシングされた第VIII因子とからなるキメラポリペプチドに匹敵する第Xa因子の発生率を有する、項目4~27のいずれか1項に記載の方法。
(項目29)
前記キメラポリペプチド中の前記一本鎖第VIII因子は、2つのFc部分とプロセシングされた第VIII因子とからなるキメラポリペプチド中のプロセシングされた第VIII因子に匹敵するレベルで、活性化プロテインCによって不活性化される、項目4~28のいずれか1項に記載の方法。
(項目30)
前記キメラポリペプチド中の前記一本鎖第VIII因子は、2つのFc部分とプロセシングされた第VIII因子とからなるキメラポリペプチド中のプロセシングされた第VIII因子に匹敵する第IXa因子の相互作用率を有する、項目4~29のいずれか1項に記載の方法。
(項目31)
前記キメラポリペプチド中の前記一本鎖第VIII因子は、2つのFc部分とプロセシングされた第VIII因子とからなるキメラポリペプチド中のプロセシングされた第VIII因子に匹敵するレベルでフォンウィルブランド因子に結合する、項目4~30のいずれか1項に記載の方法。
(項目32)
前記キメラポリペプチドは、
前記第VIII因子部分からなるポリペプチドの能力に匹敵するリン脂質ベシクルと相互作用する能力と、
前記第VIII因子部分からなるポリペプチドの能力に匹敵する第X因子を活性化するXアーゼ複合体を形成する能力と、
前記第VIII因子部分からなるポリペプチドの能力に匹敵する5分以内にαトロンビンによって活性化される能力と
前記第VIII因子部分からなるポリペプチドの能力に匹敵する第IXa因子と相互作用する能力と、からなる群から選択される1つ以上の特性を有する、項目1~31のいずれか1項に記載の方法。
(項目33)
前記キメラポリペプチドは、
Kmが第X因子の濃度の一関数として測定される、前記第VIII因子部分からなるポリペプチドのKmの約1、約1.5、または約2の標準偏差以内のKmで第X因子を活性化するXアーゼ複合体を形成することと、
Vmaxが第X因子の濃度の一関数として測定される、前記第VIII因子部分からなるポリペプチドのVmaxの約1、約1.5、または約2の標準偏差以内のVmaxで第X因子を活性化するXアーゼ複合体を形成することと、
Kdが第IXa因子の濃度の一関数として測定される、前記第VIII因子部分からなるポリペプチドのKdの約1、約1.5、または約2の標準偏差以内のKdで第X因子を活性化するXアーゼ複合体を形成することと、
Vmaxが第IXa因子の濃度の一関数として測定される、前記第VIII因子部分からなるポリペプチドのVmaxの約1、約1.5、または約2の標準偏差以内のVmaxで第X因子を活性化するXアーゼ複合体を形成することと、からなる群から選択される1つ以上の特性を有する、項目32に記載の方法。
(項目34)
前記用量は、1IU/kg当たり1.38IU/dLより大きい平均増分回収率(K値)(活性;観察値)を有する、項目1~33のいずれかに記載の方法。
(項目35)
前記用量は、1IU/kg当たり少なくとも約1.5、少なくとも約1.85、または少なくとも約2.46IU/dLの平均増分回収率(K値)(活性;観察値)を有する、項目34に記載の方法。
(項目36)
前記キメラポリペプチドは、前記患者集団または前記対象において、以下からなる群から選択される、1つ以上の薬物動態パラメーターを示す、項目1~35のいずれかに記載の方法:
25IU/kgの前記キメラポリペプチドが投与された前記対象におけるCmax_OBSが、一段階(aPTT)アッセイまたは二段階(発色)アッセイによって測定される場合、前記完全長成熟第VIII因子からなる25IU/kgのポリペプチドが投与された対象におけるCmax_OBSに匹敵すること、
約25IU/kgの前記キメラポリペプチドが投与される場合、一段階(aPTT)アッセイによって測定される、約60.5IU/dLの前記対象におけるCmax_OBS、
約25IU/kgの前記キメラポリペプチドが投与される場合、一段階(aPTT)アッセイによって測定される、約53.1~69IU/dLの前記対象におけるCmax_OBS、
約65IU/kgの前記キメラポリペプチドが投与される場合、一段階(aPTT)アッセイによって測定される、約119IU/dLの前記対象におけるCmax_OBS、
約65IU/kgの前記キメラポリペプチドが投与される場合、一段階(aPTT)アッセイによって測定される、約103~136IU/dLの前記対象におけるCmax_OBS、
約25IU/kgの前記キメラポリペプチドが投与される場合、二段階(発色)アッセイによって測定される、約76.5IU/dLの前記対象におけるCmax_OBS、
約25IU/kgの前記キメラポリペプチドが投与される場合、二段階(発色)アッセイによって測定される、約64.9~90.1IU/dLの前記対象におけるCmax_OBS、
約65IU/kgの前記キメラポリペプチドが投与される場合、二段階(発色)アッセイによって測定される、約182IU/dLの前記対象におけるCmax_OBS、
約65IU/kgの前記キメラポリペプチドが投与される場合、二段階(発色)アッセイによって測定される、約146~227IU/dLの前記対象におけるCmax_OBS、
約2.33±1.08mL/時間/kg以下の前記患者集団における平均クリアランス(CL)(活性)、
約1.8~2.69mL/時間/kgの前記患者集団における平均クリアランス(CL)(活性)、
前記第VIII因子部分からなるポリペプチドのクリアランスの約65%である、前記患者集団における平均クリアランス(CL)(活性)、
約1.22~5.19mL/時間/kgの前記対象における平均クリアランス(CL)(活性)、
前記対象におけるクリアランス(CL)(活性)が、一段階(aPTT)アッセイまたは二段階(発色)アッセイによって測定される場合、前記完全長成熟第VIII因子からなる同じ量のポリペプチドが投与された対象におけるクリアランスよりも0.51、0.52、0.53、0.54、0.55、0.56、0.57、0.58、0.59、0.60、0.61、0.62、0.63、0.64、0.65、0.66、0.67、0.68、0.69、または0.70倍低いこと、
約25IU/kgの前記キメラポリペプチドが投与される場合、一段階(aPTT)アッセイによって測定される、約1.68mL/時間/kgの前記対象におけるクリアランス(CL)(活性)、
約25IU/kgの前記キメラポリペプチドが投与される場合、一段階(aPTT)アッセイによって測定される、約1.31~2.15mL/時間/kgの前記対象におけるクリアランス(CL)(活性)、
約65IU/kgの前記キメラポリペプチドが投与される場合、一段階(aPTT)アッセイによって測定される、約2.32mL/時間/kgの前記対象におけるクリアランス(CL)(活性)、
約65IU/kgの前記キメラポリペプチドが投与される場合、一段階(aPTT)アッセイによって測定される、約1.64~3.29mL/時間/kgの前記対象におけるクリアランス(CL)(活性)、
約25IU/kgの前記キメラポリペプチドが投与される場合、二段階(発色)アッセイによって測定される、約1.49mL/時間/kgの前記対象におけるクリアランス(CL)(活性)、
約25IU/kgの前記キメラポリペプチドが投与される場合、二段階(発色)アッセイによって測定される、約1.16~1.92mL/時間/kgの前記対象におけるクリアランス(CL)(活性)、
約65IU/kgの前記キメラポリペプチドが投与される場合、二段階(発色)アッセイによって測定される、約1.52mL/時間/kgの前記対象におけるクリアランス(CL)(活性)、
約65IU/kgの前記キメラポリペプチドが投与される場合、二段階(発色)アッセイによって測定される、約1.05~2.20mL/時間/kgの前記対象におけるクリアランス(CL)(活性)、
少なくとも約26.3±8.33時間の前記患者集団における平均平均滞留時間(MRT)(活性)、
約25.9~26.5時間の前記患者集団における平均MRT(活性)、
前記第VIII因子部分からなるポリペプチドの平均MRTよりも約1.5倍長い前記患者集団における平均MRT(活性)、
約14~41.3時間の前記対象における平均滞留時間(MRT)(活性)、
前記対象におけるMRTが、一段階(aPTT)アッセイまたは二段階(発色)アッセイによって測定される場合、前記完全長成熟第VIII因子からなる同じ量のポリペプチドが投与された対象におけるMRTよりも少なくとも1.50、1.51、1.52、1.53、1.54、1.55、1.56、1.57、1.58、1.59、1.60、1.61、1.62、1.63、1.64、1.65、1.66、1.67、1.68、1.69、1.70、1.71、1.72、1.73、1.74、1.75、1.76、1.77、1.78、1.79、1.80、1.81、1.82、1.83、1.84、1.85、1.86、1.87、1.88、1.89、または1.90倍高いこと、
一段階(aPTT)アッセイによって測定される場合、約27時間の前記対象におけるMRT(活性)、
一段階(aPTT)アッセイによって測定される、約20.6~35.3時間の前記対象におけるMRT(活性)、
二段階(発色)アッセイによって測定される、約23.9~28.5時間の前記対象におけるMRT(活性)、
二段階(発色)アッセイ二段階(発色)アッセイによって測定される、約19.8~28.9時間の前記対象におけるMRT(活性)、
二段階(発色)アッセイ二段階(発色)アッセイによって測定される、約20.5~39.6時間の前記対象におけるMRT(活性)、
約18.3±5.79時間の前記患者集団における平均t1/2ベータ(活性)、
約18~18.4時間である前記患者集団における平均t1/2ベータ(活性)、
前記第VIII因子部分からなるポリペプチドの平均t1/2ベータよりも約1.5倍長い前記患者集団における平均t1/2ベータ(活性)、
約11~26.4時間の前記対象における平均t1/2ベータ(活性)、
一段階(aPTT)アッセイまたは二段階(発色)アッセイによって測定される場合、前記完全長成熟第VIII因子からなる同じ量のポリペプチドが投与された対象におけるt1/2ベータ(活性)よりも少なくとも1.50、1.51、1.52、1.53、1.54、1.55、1.56、1.57、1.58、1.59、1.60、1.61、1.62、1.63、1.64、1.65、1.66、1.67、1.68、1.69、1.70、1.71、1.72、1.73、1.74、1.75、1.76、1.77、1.78、1.79、1.80、1.81、1.82、1.83、1.84、1.85、1.86、または1.87倍高い前記対象におけるt1/2ベータ(活性)、
一段階(aPTT)アッセイによって測定される、約18.8時間の前記対象におけるt1/2ベータ(活性)、
一段階(aPTT)アッセイによって測定される、約14.3~24.5時間の前記対象におけるt1/2ベータ(活性)、
二段階(発色)アッセイによって測定される、約16.7時間の前記対象におけるt1/2ベータ(活性)、
二段階(発色)アッセイによって測定される、約13.8~20.1時間の前記対象におけるt1/2ベータ(活性)、
二段階(発色)アッセイによって測定される、約19.8時間の前記対象におけるt1/2ベータ(活性)、
二段階(発色)アッセイによって測定される、約14.3~27.5時間の前記対象におけるt1/2ベータ(活性)、
1IU/kg当たり約2.01±0.44IU/dLの前記患者集団における平均増分回収率(K値)(活性;観察値)、
1IU/kg当たり約1.85~2.46IU/dLの前記患者集団における平均増分回収率(K値)(活性;観察値)、
前記第VIII因子部分からなるポリペプチドの平均増分回収率の約90%である前記患者集団における平均増分回収率(K値)(活性;観察値)、
1IU/kg当たり約1.38~2.88IU/dLの前記対象における増分回収率(K値)(活性;観察値)、
一段階(aPTT)アッセイまたは二段階(発色)アッセイによって測定される場合、前記完全長成熟第VIII因子からなるポリペプチドが投与された対象における増分回収率に匹敵する前記対象における増分回収率、
約25IU/kgの前記キメラポリペプチドが投与される場合、一段階(aPTT)アッセイによって測定される、1IU/kg当たり約2.44IU/dLの前記対象における増分回収率、
約25IU/kgの前記キメラポリペプチドが投与される場合、一段階(aPTT)アッセイによって測定される、1IU/kg当たり約2.12~2.81IU/dLの前記対象における増分回収率、
約65IU/kgの前記キメラポリペプチドが投与される場合、一段階(aPTT)アッセイによって測定される、1IU/kg当たり約1.83IU/dLの前記対象における増分回収率、
約65IU/kgの前記キメラポリペプチドが投与される場合、一段階(aPTT)アッセイによって測定される、1IU/kg当たり約1.59~2.10IU/dLの前記対象における増分回収率、
約25IU/kgの前記キメラポリペプチドが投与される場合、二段階(発色)アッセイによって測定される、1IU/kg当たり約3.09IU/dLの前記対象における増分回収率、
約65IU/kgの前記キメラポリペプチドが投与される場合、二段階(発色)アッセイによって測定される、1IU/kg当たり約2.80IU/dLの前記対象における増分回収率、
約25IU/kgの前記キメラポリペプチドが投与される場合、二段階(発色)アッセイによって測定される、1IU/kg当たり約2.61~3.66IU/dLの前記対象における増分回収率、および
約65IU/kgの前記キメラポリペプチドが投与される場合、二段階(発色)アッセイによって測定される、1IU/kg当たり約2.24~3.50IU/dLの前記対象における増分回収率、
約55.1±12.3mL/kgの前記患者集団における平均Vss(活性)、
約45.3~56.1mL/kgの前記患者集団における平均Vss(活性)、
約37.7~79.4mL/kgの前記対象における平均Vss(活性)、
一段階(aPTT)アッセイまたは二段階(発色)アッセイによって測定される場合、前記完全長成熟第VIII因子からなる同じ量のポリペプチドが投与された対象におけるVss(活性)に匹敵する前記対象におけるVss(活性)、
約25IU/kgの前記キメラポリペプチドが投与される場合、一段階(aPTT)アッセイによって測定される、約45.5mL/kgの前記対象におけるVss(活性)、
約25IU/kgの前記キメラポリペプチドが投与される場合、一段階(aPTT)アッセイによって測定される、約39.3~52.5mL/kgの前記対象におけるVss(活性)、
約65IU/kgの前記キメラポリペプチドが投与される場合、一段階(aPTT)アッセイによって測定される、約62.8mL/kgの前記対象におけるVss(活性)、
約65IU/kgの前記キメラポリペプチドが投与される場合、一段階(aPTT)アッセイによって測定される、約55.2~71.5mL/kgの前記対象におけるVss(活性)、
約25IU/kgの前記キメラポリペプチドが投与される場合、二段階(発色)アッセイによって測定される、約35.9mL/kgの前記対象におけるVss(活性)、
約25IU/kgの前記キメラポリペプチドが投与される場合、二段階(発色)アッセイによって測定される、約30.4~42.3mL/kgの前記対象におけるVss(活性)、
約65IU/kgの前記キメラポリペプチドが投与される場合、二段階(発色)アッセイによって測定される、約43.4mL/kgの前記対象におけるVss(活性)、
約65IU/kgの前記キメラポリペプチドが投与される場合、二段階(発色)アッセイによって測定される、約38.2~49.2mL/kgの前記対象におけるVss(活性)、
1IU/kg当たり約49.9±18.2IU*h/dLの前記患者集団における平均AUC/用量(活性)、
1IU/kg当たり約44.8~57.6IU*h/dLの前記患者集団における平均AUC/用量(活性)、および
1IU/kg当たり約19.2~81.7IU*h/dLの前記対象におけるAUC/用量、
一段階(aPTT)アッセイまたは二段階(発色)アッセイによって測定される場合、前記完全長成熟第VIII因子からなる同じ量のポリペプチドが投与された前記対象におけるAUCINFよりも少なくとも1.45 1.46、1.47、1.48、1.49、1.50、1.51、1.52、1.53、1.54、1.55、1.56、1.57、1.58、1.59、1.60、1.61、1.62、1.63、1.64、1.65、1.66、1.67、1.68、1.69、1.70、1.71、1.72、1.73、1.74、1.75、1.76、1.77、1.78、1.79、1.80、1.81、1.82、1.83、1.84、1.85、1.86、1.87、1.88、1.89、1.90倍高い前記対象におけるAUCINF、
約25IU/kgの前記キメラポリペプチドが投与される場合、一段階(aPTT)アッセイによって測定される、1IU/kg当たり約1440±316時間*IU/dLの前記対象におけるAUCINF、
約25IU/kgの前記キメラポリペプチドが投与される場合、一段階(aPTT)アッセイによって測定される、1IU/kg当たり約1160~1880時間*IU/dLの前記対象におけるAUCINF、
約25IU/kgの前記キメラポリペプチドが投与される場合、一段階(aPTT)アッセイによって測定される、1IU/kg当たり約1480時間*IU/dLの前記対象におけるAUCINF、
約65IU/kgの前記キメラポリペプチドが投与される場合、一段階(aPTT)アッセイによって測定される、1IU/kg当たり約2910±1320時間*IU/dLの前記対象におけるAUCINF、
約65IU/kgの前記キメラポリペプチドが投与される場合、一段階(aPTT)アッセイによって測定される、1IU/kg当たり約1980~3970時間*IU/dLの前記対象におけるAUCINF、
約65IU/kgの前記キメラポリペプチドが投与される場合、一段階(aPTT)アッセイによって測定される、1IU/kg当たり約2800時間*IU/dLの前記対象におけるAUCINF、
約25IU/kgの前記キメラポリペプチドが投与される場合、二段階(発色)アッセイによって測定される、1IU/kg当たり約1660時間*IU/dLの前記対象におけるAUCINF、
約25IU/kgの前記キメラポリペプチドが投与される場合、二段階(発色)アッセイによって測定される、1IU/kg当たり約1300~2120時間*IU/dLの前記対象におけるAUCINF、
約65IU/kgの前記キメラポリペプチドが投与される場合、二段階(発色)アッセイによって測定される、1IU/kg当たり約4280時間*IU/dLの前記対象におけるAUCINF、
約65IU/kgの前記キメラポリペプチドが投与される場合、二段階(発色)アッセイによって測定される、1IU/kg当たり約2960~6190時間*IU/dLの前記対象におけるAUCINF。
(項目37)
前記治療用量は、約10~約150、100~110、110~120、120~130、130~140、140~150、110、115、120、125、130、135、140、145、または150IU/kgである、項目1~36のいずれかに記載の方法。
(項目38)
前記投与間隔は、1.5~5、1.5、2、3、4、もしくは5日、またはそれ以上である、項目1~37のいずれかに記載の方法。
(項目39)
第VIII因子活性を有するキメラポリペプチドを含む組成物であって、前記ポリペプチドの少なくとも約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、または約100%が、一本鎖第VIII因子である第VIII因子部分、および第2の部分を含み、前記一本鎖第VIII因子は、シグナル配列を含まない表2に示される第VIII因子アミノ酸配列(配列番号2のアミノ酸20~1457または配列番号6のアミノ酸20~2351)と少なくとも90%または95%同一である、組成物。
(項目40)
前記一本鎖第VIII因子は、シグナル配列を含まない表2に示される第VIII因子アミノ酸配列(配列番号2のアミノ酸20~1457または配列番号6のアミノ酸20~2351)と同一である、項目39に記載の組成物。
(項目41)
第VIII因子活性を有するキメラポリペプチドを含む組成物であって、前記ポリペプチドの少なくとも約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、または約100%が、一本鎖第VIII因子である第VIII因子部分、および第2の部分を含み、前記一本鎖第VIII因子は、シグナル配列を含む表2に示される第VIII因子アミノ酸配列(配列番号2のアミノ酸1~1457または配列番号6のアミノ酸1~2351)と少なくとも90%または95%同一である、組成物。
(項目42)
前記一本鎖第VIII因子は、シグナル配列を含む表2に示される第VIII因子アミノ酸配列(配列番号2のアミノ酸1~1457または配列番号6のアミノ酸1~2351)と同一である、項目41に記載の組成物。
(項目43)
前記第2の部分は、Fc領域、アルブミン、PAS配列、トランスフェリンもしくはCTP(4つのO-グリカンを有するhCGの28アミノ酸C末端ペプチド(CTP))、ポリエチレングリコール(PEG)、ヒドロキシエチルデンプン(HES)、アルブミン結合ポリペプチド、アルブミン結合小分子、またはそれらのいずれかの組み合わせである、項目39~42のいずれかに記載の組成物。
(項目44)
前記第2の部分は、Fc領域である、項目43に記載の組成物。
(項目45)
前記Fcは、表2に示される前記Fcアミノ酸配列(配列番号2のアミノ酸1458~1684または配列番号6のアミノ酸2352~2578)と少なくとも90%または95%同一である、項目44に記載の組成物。
(項目46)
前記Fcは、表2に示される前記Fcアミノ酸配列(配列番号2のアミノ酸1458~1684または配列番号6のアミノ酸2352~2578)と同一である、項目45に記載の組成物。
(項目47)
前記ポリペプチドは、シグナル配列を含まない表2A(i)に示される第VIII因子およびFcアミノ酸配列(配列番号2のアミノ酸20~1684)と少なくとも90%もしくは95%同一であるか、またはシグナル配列を含む表2A(i)に示される第VIII因子およびFcアミノ酸配列(配列番号2のアミノ酸1~1684)と少なくとも90%もしくは95%同一である配列を含む、項目39に記載の組成物。
(項目48)
前記ポリペプチドは、シグナル配列を含まない表2A(i)に示される前記第VIII因子およびFcアミノ酸配列(配列番号2のアミノ酸20~1684)と同一であるか、またはシグナル配列を含む表2A(i)に示される前記第VIII因子およびFcアミノ酸配列(配列番号2のアミノ酸1~1684)と少なくとも90%もしくは95%同一である配列を含む、項目39に記載の組成物。
(項目49)
前記ポリペプチドは、第2のポリペプチドを含むハイブリッドの形態であり、前記第2のポリペプチドは、Fcから本質的になる、項目39~48のいずれかに記載の組成物。(項目50)
前記第2のポリペプチドは、シグナル配列を含まない表2A(ii)に示されるアミノ酸配列(配列番号4のアミノ酸21~247)と少なくとも90%もしくは95%同一であるか、またはシグナル配列を含む表2A(ii)に示されるアミノ酸配列(配列番号4のアミノ酸1~247)と少なくとも90%もしくは95%同一である配列から本質的になる、項目49に記載の組成物。
(項目51)
前記第2のポリペプチドは、シグナル配列を含まない表2A(ii)に示される前記アミノ酸配列(配列番号4のアミノ酸21~247)と同一であるか、またはシグナル配列を含む表2A(ii)に示される前記アミノ酸配列(配列番号4のアミノ酸1~247)と少なくとも90%もしくは95%同一である配列から本質的になる、項目50に記載の組成物。
(項目52)
前記ポリペプチドは、前記第VIII因子からなるポリペプチドに対して少なくとも1.5~6倍長い、1.5~5倍長い、1.5~4倍長い、1.5~3倍長い、または1.5~2倍長い半減期を有する、項目39~51のいずれかに記載の組成物。
(項目53)
前記第VIII因子部分からなるポリペプチドの能力に匹敵するリン脂質ベシクルと相互作用する能力と、
前記第VIII因子部分からなるポリペプチドの能力に匹敵する第X因子を活性化するXアーゼ複合体を形成する能力と、
前記第VIII因子部分からなるポリペプチドの能力に匹敵する5分以内にαトロンビンによって活性化される能力と
前記第VIII因子部分からなるポリペプチドの能力に匹敵する第IXa因子と相互作用する能力と、からなる群から選択される、1、約1.5、または約2つ以上の特性を有する、項目39~52のいずれかに記載の組成物。
(項目54)
前記ポリペプチドの前記第VIII因子部分の約70%、約60%、約50%、約40%、約30%、約20%、約10%、約5%、約4%、約3%、約2%、または約1%が、プロセシングされた第VIII因子である、項目39~53のいずれかに記載の組成物。
(項目55)
一本鎖第VIII因子を含む前記キメラポリペプチドは、2つのFc部分とプロセシングされた第VIII因子とからなるキメラポリペプチドに匹敵する第VIII因子活性を有し、前記プロセシングされた第VIII因子は、前記第VIII因子が発色アッセイによってインビトロで測定される場合、前記2つのFc部分のうちの1つのFcと融合している、項目39~54のいずれか1項に記載の組成物。
(項目56)
一本鎖第VIII因子を含む前記キメラポリペプチドは、プロセシングされた第VIII因子に匹敵する第Xa因子の発生率を有する、項目39~55のいずれか1項に記載の組成物。
(項目57)
一本鎖第VIII因子を含む前記キメラポリペプチドは、2つのFc部分と、前記2つのFc部分のうちの1つと融合するプロセシングされた第VIII因子とからなるキメラポリペプチドに匹敵する第Xa因子の発生率を有する、項目39~56のいずれか1項に記載の組成物。
(項目58)
前記キメラポリペプチド中の前記一本鎖第VIII因子は、2つのFc部分とプロセシングされた第VIII因子とからなるキメラポリペプチド中のプロセシングされた第VIII因子に匹敵する第Xa因子の相互作用率を有する、項目39~57のいずれか1項
に記載の組成物。
(項目59)
前記キメラポリペプチド中の前記一本鎖第VIII因子は、2つのFc部分とプロセシングされた第VIII因子とからなるキメラポリペプチド中のプロセシングされた第VIII因子に匹敵するレベルで、活性化プロテインCによって不活性化される、項目39~58のいずれか1項に記載の組成物。
(項目60)
前記キメラポリペプチド中の前記一本鎖第VIII因子は、2つのFc部分とプロセシングされた第VIII因子とからなるキメラポリペプチド中のプロセシングされた第VIII因子に匹敵するレベルで、フォンウィルブランド因子に結合する、項目39~59のいずれか1項に記載の組成物。
(項目61)
一本鎖第VIII因子を含む前記キメラポリペプチドは、2つのFc部分と、前記2つのFc部分のうちの1つと融合するプロセシングされた第VIII因子とからなるキメラポリペプチドに匹敵するインビボでの第VIII因子活性を有する、項目39~60のいずれか1項に記載の組成物。
(項目62)
前記キメラポリペプチドの前記第VIII因子部分の約30%が、一本鎖第VIII因子であり、前記キメラポリペプチドの前記第VIII因子部分の約70%が、プロセシングされた第VIII因子である、項目39~61のいずれか1項に記載の組成物。
(項目63)
前記キメラポリペプチドの前記第VIII因子部分の約40%が、一本鎖第VIII因子であり、前記キメラポリペプチドの前記第VIII因子部分の約60%が、プロセシングされた第VIII因子である、項目39~61のいずれか1項に記載の組成物。
(項目64)
前記キメラポリペプチドの前記第VIII因子部分の約50%が、一本鎖第VIII因子であり、前記キメラポリペプチドの前記第VIII因子部分の約50%が、プロセシングされた第VIII因子である、項目39~61のいずれか1項に記載の組成物。
(項目65)
前記キメラポリペプチドの前記第VIII因子部分の約60%が、一本鎖第VIII因子であり、前記キメラポリペプチドの前記第VIII因子部分の約40%が、プロセシングされた第VIII因子である、項目39~61のいずれか1項に記載の組成物。
(項目66)
前記キメラポリペプチドの前記第VIII因子部分の約70%が、一本鎖第VIII因子であり、前記キメラポリペプチドの前記第VIII因子部分の約30%が、プロセシングされた第VIII因子である、項目39~61のいずれか1項に記載の組成物。
(項目67)
前記キメラポリペプチドの前記第VIII因子部分の約80%が、一本鎖第VIII因子であり、前記キメラポリペプチドの前記第VIII因子部分の約20%が、プロセシングされた第VIII因子である、項目39~61のいずれか1項に記載の組成物。
(項目68)
前記キメラポリペプチドの前記第VIII因子部分の約90%が、一本鎖第VIII因子であり、前記キメラポリペプチドの前記第VIII因子部分の約10%が、プロセシングされた第VIII因子である、項目39~61のいずれか1項に記載の組成物。
(項目69)
前記キメラポリペプチドの前記第VIII因子部分の約95%が、一本鎖第VIII因子であり、前記キメラポリペプチドの前記第VIII因子部分の約5%が、プロセシングされた第VIII因子である、項目39~61のいずれか1項に記載の組成物。
(項目70)
前記キメラポリペプチドの前記第VIII因子部分の約99%が、一本鎖第VIII因子であり、前記キメラポリペプチドの前記第VIII因子部分の約5%が、プロセシングされた第VIII因子である、項目39~61のいずれか1項に記載の組成物。
(項目71)
前記キメラポリペプチドの前記第VIII因子部分の約100%が、一本鎖第VIII因子である、項目39~61のいずれか1項に記載の組成物。
(項目72)
賦形剤をさらに含む薬学的組成物である、項目39~71のいずれか1項に記載の組成物。
(項目73)
治療上有効量の項目39~72のいずれか1項に記載の組成物を投与することを含む、出血性状態を治療する方法。
(項目74)
前記治療は、予防的処置である、項目73に記載の方法。
(項目75)
前記治療は、オンデマンド治療である、項目73に記載の方法。
(項目76)
前記出血性状態は、出血凝固障害、関節血症、筋肉出血、口の出血、出血、筋肉への出血、口腔出血、外傷、頭部外傷(trauma capitis)、胃腸出血、頭蓋内出血、腹腔内出血、胸腔内出血、骨折、中枢神経系の出血、咽頭後隙の出血、後腹膜腔内出血、および腸腰筋鞘(illiopsoas sheath)内の出血からなる群から選択される、項目73~75のいずれか1項に記載の方法。
(項目77)
前記出血凝固障害は、血友病である、項目76に記載の方法。
(項目78)
前記出血凝固障害は、血友病Aである、項目77に記載の方法。
(項目79)
前記投与は、1%を超えるレベルで、前記患者集団の少なくとも90%において、第VIII因子のトラフレベルを維持する、項目1~38および73~78のいずれか1項に記載の方法。
(項目80)
前記投与は、3%を超えるレベルで、前記集団の少なくとも60%において、第VIII因子のトラフレベルを維持する、項目1~38および73~78のいずれか1項に記載の方法。
(項目81)
1%を超えるレベルで少なくとも1日、2日、または3日間、患者集団において、第VIII因子を維持する方法であって、前記集団に、治療上有効量のrFVIIIFcを投与することを含み、前記治療上有効量は、少なくとも25IU/kgのrFVIIIFcであり、前記集団の少なくとも90%が、少なくとも1%以上の前記第VIII因子のトラフレベルを維持する、方法。
(項目82)
3%を超えるレベルで少なくとも1日、2日、または3日間、患者集団において、第VIII因子を維持する方法であって、前記集団に、治療上有効量のrFVIIIFcを投与することを含み、前記治療上有効量は、少なくとも65IU/kgのrFVIIIFcであり、前記集団の少なくとも90%が、少なくとも3%以上の前記第VIII因子のトラフレベルを維持する、方法。
(項目83)
前記一本鎖第VIII因子は、アルギニン1645に対応するアミノ酸位置での置換または突然変異を含む、項目4~38および73~82のいずれか1項に記載の方法。
(項目84)
前記一本鎖第VIII因子は、アルギニン1648に対応するアミノ酸位置での置換または突然変異を含む、項目4~38および73~83のいずれか1項に記載の方法。
(項目85)
前記一本鎖第VIII因子は、完全長第VIII因子中のアルギニン1645およびアルギニン1648に対応するアミノ酸位置での置換または突然変異を含む、項目4~38および73~84のいずれか1項に記載の方法。
(項目86)
アルギニン1645に対応するアミノ酸位置で置換されたアミノ酸は、アルギニン1648に対応するアミノ酸位置で置換されたアミノ酸とは異なるアミノ酸である、項目85に記載の方法。
(項目87)
前記置換または突然変異は、アルギニン以外のアミノ酸である、項目83~86のいずれか1項に記載の方法。
(項目88)
前記一本鎖FVIIIは、無傷の細胞内プロセシング部位を含む、項目39~72のいずれか1項に記載の組成物。
(項目89)
前記一本鎖第VIII因子は、完全長成熟第VIII因子中のアルギニン1645に対応するアミノ酸位置での置換または突然変異を含む、項目39~72のいずれか1項に記載の組成物。
(項目90)
前記一本鎖第VIII因子は、完全長成熟第VIII因子中のアルギニン1648に対応するアミノ酸位置での置換または突然変異を含む、項目39~72のいずれか1項に記載の組成物。
(項目91)
前記一本鎖第VIII因子は、完全長成熟第VIII因子中のアルギニン1645およびアルギニン1648に対応するアミノ酸位置での置換または突然変異を含む、項目39~72のいずれか1項に記載の組成物。
(項目92)
アルギニン1645に対応するアミノ酸位置で置換されたアミノ酸は、アルギニン1648に対応するアミノ酸位置で置換されたアミノ酸とは異なるアミノ酸である、項目91に記載の組成物。
(項目93)
前記置換または突然変異は、アルギニン以外のアミノ酸である、項目89~92のいずれか1項に記載の組成物。
(項目94)
前記一本鎖第VIII因子は、無傷の細胞内プロセシング部位を含む、項目73~82のいずれか1項に記載の方法。
(項目95)
前記一本鎖第VIII因子は、完全長成熟第VIII因子中のアルギニン1645に対応するアミノ酸位置での置換または突然変異を含む、項目73~82のいずれか1項に記載の方法。
(項目96)
前記一本鎖第VIII因子は、完全長成熟第VIII因子中のアルギニン1648に対応するアミノ酸位置での置換または突然変異を含む、項目73~82のいずれか1項に記載の方法。
(項目97)
前記一本鎖第VIII因子は、完全長成熟第VIII因子中のアルギニン1645およびアルギニン1648に対応するアミノ酸位置での置換または突然変異を含む、項目73~82のいずれか1項に記載の方法。
(項目98)
アルギニン1645に対応するアミノ酸位置で置換されたアミノ酸は、完全長第VIII因子中のアルギニン1648に対応するアミノ酸位置で置換されたアミノ酸とは異なるアミノ酸である、項目97に記載の方法。
(項目99)
前記置換または突然変異は、アルギニン以外のアミノ酸である、項目95~98のいずれか1項に記載の方法。
(項目100)
アルギニン以外のアミノ酸残基は、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、トレオニン、トリプトファン、バリン、アラニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、プロリン、セレノシステイン、セリン、チロシン、ヒスチジン、オルニチン、ピロリシン、またはタウリンからなる群から選択される、項目87または99に記載の方法。
(項目101)
アルギニン以外のアミノ酸残基は、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、トレオニン、トリプトファン、バリン、アラニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、プロリン、セレノシステイン、セリン、チロシン、ヒスチジン、オルニチン、ピロリシン、またはタウリンからなる群から選択される、項目93に記載の組成物。
(項目102)
前記対象は、小児対象である、項目1~38、73~87、または94~100のいずれか1項に記載の方法。
(項目103)
対象に、出血エピソードを予防、減少、または治療する方法であって、前記対象に、有効量の長時間作用型第VIII因子(FVIII)タンパク質を投与することを含み、前記対象は、血漿中に高レベルのフォンウィルブランド因子(VWF)を発現する、方法。(項目104)
前記対象は、血漿中に高レベルのVWFを発現するとして特定されている、項目103に記載の方法。
(項目105)
対象において、出血エピソードを予防、減少、または治療する方法であって、
(a)高レベルのVWFを有する対象を、前記対象の血漿中のVWFレベルを測定することによって特定することであって、少なくとも約100IU/dLのVWFレベルが、高レベルのVWFを有するものとして前記対象を特定する、対象を特定することと、
(b)前記対象に、有効量の長時間作用型FVIIIタンパク質を投与することと、を含む、方法。
(項目106)
前記対象は、ヒトである、項目103~105のいずれかに記載の方法。
(項目107)
前記対象は、小児対象である、項目103~106のいずれかに記載の方法。
(項目108)
前記対象は、血友病Aを有する、項目103~107のいずれかに記載の方法。
(項目109)
前記高レベルのVWFは、少なくとも約100IU/dLである、項目103~108のいずれかに記載の方法。
(項目110)
前記高レベルのVWFは、約100IU/dL~約200IU/dLである、項目103~109のいずれかに記載の方法。
(項目111)
前記高レベルのVWFは、約110IU/dL、約120IU/dL、約130IU/dL、約140IU/dL、約150IU/dL、約160IU/dL、約170IU/dL、約180IU/dL、約190IU/dL、または約200IU/dLである、項目110に記載の方法。
(項目112)
前記対象は、血清型A、B、またはABを有する、項目103~111のいずれかに記載の方法。
(項目113)
前記長期間作用型FVIIIタンパク質は、前記対象において、20時間~約40時間の半減期を有する、項目103~112のいずれかに記載の方法。
(項目114)
前記長期間作用型FVIIIタンパク質は、約21時間、22時間、23時間、24時間、25時間、26時間、27時間、28時間、29時間、30時間、31時間、31時間、32時間、33時間、34時間、35時間、36時間、37時間、38時間、39時間、または40時間の半減期を有する、項目113に記載の方法。
(項目115)
前記長期間作用型FVIIIタンパク質は、約20~約27時間の半減期を有する、項目114に記載の方法。
(項目116)
前記長期間作用型FVIIIタンパク質は、平均レベルのVWFを有する個人に投与される場合の前記前記長期間作用型FVIIIタンパク質の半減期よりも少なくとも約1.2倍高い半減期を有する、項目103~115のいずれかに記載の方法。
(項目117)
前記長期間作用型FVIIIタンパク質は、平均レベルのVWFを有する個人に投与される場合の前記前記長期間作用型FVIIIタンパク質の半減期よりも少なくとも約約1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、または2.5倍高い半減期を有する、項目116に記載の方法。
(項目118)
前記有効量は、少なくとも約20IU/kg、少なくとも約25IU/kg、少なくとも約30IU/kg、少なくとも約35IU/kg、少なくとも約40IU/kg、少なくとも約45IU/kg、少なくとも約50IU/kg、少なくとも約55IU/kg、少なくとも約60IU/kg、少なくとも約65IU/kg、少なくとも約70IU/kg、少なくとも約75IU/kg、少なくとも約80IU/kg、少なくとも約85IU/kg、または少なくとも約90IU/kgである、項目103~117のいずれか1項に記載の方法。
(項目119)
前記有効量は、少なくとも約65IU/kg~少なくとも約90IU/kgである、項目103~118のいずれかに記載の方法。
(項目120)
前記有効量は、80IU/kgである、項目119に記載の方法。
(項目121)
前記長期間作用型FVIIIタンパク質は、72時間ごとまたはそれ以上で投与される、項目103~120のいずれかに記載の方法。
(項目122)
前記長期間作用型FVIIIタンパク質は、1週間またはそれ以上で約1回投与される、項目121に記載の方法。
(項目123)
前記有効量の前記長期間作用型FVIIIタンパク質は、10日ごとに約1回、2週間ごとに約1回、15日ごとに約1回、20日ごとに約1回、3週間ごとに約1回、25日ごとに約1回、4週間ごとに約1回、または1ヶ月ごとに約1回投与される、項目121に記載の方法。
(項目124)
前記長期間作用型FVIIIは、80IU/kgの投与量で72時間ごとに1回投与される、項目121に記載の方法。
(項目125)
前記対象は、小児対象である、項目124に記載の方法。
(項目126)
前記投与は、出血エピソードの5~20%超、5~15%超、5~10%超、10~20%超、または10~15%超を解消する、項目103~125のいずれかに記載の方法。
(項目127)
前記対象において、血漿第VIII因子:Cのトラフレベルは、1~3または3~5IU/dLを超えて維持される、項目103~126のいずれかに記載の方法。
(項目128)
前記投与は、前記対象において、出血エピソードを予防する、項目103~127のいずれかに記載の方法。
(項目129)
前記出血エピソードは、突発的である、項目128に記載の方法。
(項目130)
前記投与は、出血エピソードの80~100%超、80~90%超、85~90%超、90~100%超、90~95%超、または95~100%超を解消する、項目129に記載の方法。
(項目131)
前記投与は、外科手術を必要とする対象の集団において、恒常性(homeostatis)を維持する、項目103~130のいずれかに記載の方法。
(項目132)
前記長時間作用型FVIIIタンパク質は、前記外科手術前、その間、またはその後に投与される、項目103~131のいずれかに記載の方法。
(項目133)
前記外科手術は、小手術、大手術、抜歯、扁桃摘出術、鼠径部ヘルニア切開術、滑膜切除術、人工膝関節全置換術、開頭術、骨接合術、外傷外科手術、頭蓋内手術、腹腔内手術、胸腔内手術、または関節置換手術である、項目132に記載の方法。
(項目134)
前記外科手術は、緊急手術である、項目131~133のいずれかに記載の方法。
(項目135)
前記長期間作用型FVIIIタンパク質は、FVIIIからなるポリペプチドよりも長い半減期を有する、項目103~134のいずれかに記載の方法。
(項目136)
前記長期間作用型FVIIIタンパク質は、ペグ化、HES化、またはポリシアル化されている、項目103~135のいずれかに記載の方法。
(項目137)
前記長期間作用型FVIIIタンパク質は、FVIII部分および第2の部分を含むキメラタンパク質である、項目103~136のいずれかに記載の方法。
(項目138)
前記第2の部分は、Fc領域、アルブミン、PAS配列、トランスフェリンもしくはCTP(4つのO-グリカンを有するhCGの28アミノ酸C末端ペプチド(CTP))、ポリエチレングリコール(PEG)、ヒドロキシエチルデンプン(HES)、アルブミン結合ポリペプチド、アルブミン結合小分子、またはそれらのいずれかの組み合わせである、項目137に記載の方法。
(項目139)
前記第2の部分は、前記FVIII部分のアミノ末端またはカルボキシ末端と融合する、項目137または138に記載の方法。
(項目140)
前記第2の部分は、前記FVIII部分の2つのアミノ酸間に挿入される、項目137または138に記載の方法。
(項目141)
前記キメラタンパク質は、FVIIIFc単量体二量体ハイブリッドである、項目137~140のいずれかに記載の方法。
(項目142)
前記FVIII部分は、一本鎖である、項目141に記載の方法。
(項目143)
前記FVIII部分は、重鎖および軽鎖を含む、項目142に記載の方法。
(項目144)
前記FVIII部分は、完全長第VIII因子、成熟第VIII因子、またはBドメインの完全もしくは部分欠失を有する第VIII因子を含む、項目137~143のいずれかに記載の方法。
(項目145)
前記FVIII部分は、配列番号2のアミノ酸1~1438または配列番号6のアミノ酸1~2332と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む、項目141に記載の方法。
(項目146)
前記FVIII部分は、配列番号2のアミノ酸1~1438または配列番号6のアミノ酸1~2332を含む、項目145に記載の方法。
(項目147)
前記キメラポリペプチドの前記第2の部分は、配列番号2のアミノ酸1439~1665または配列番号6のアミノ酸2333~2559と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるFc部分を含む、項目137~146のいずれかに記載の方法。
(項目148)
前記第2の部分は、配列番号2のアミノ酸1439~1665または配列番号6のアミノ酸2333~2559を含む、項目147に記載の方法。
(項目149)
前記長期間作用型FVIIIのポリペプチドは、少なくとも1つの賦形剤を含む薬学的組成物の一部として投与される、項目103~148のいずれか1項に記載の方法。
(項目150)
出血性障害であると診断されている対象を治療する方法であって、前記対象におけるFVIII-Fcの半減期を測定し、正常な対象におけるFVIII-Fcの半減期よりも少なくとも約1.2倍長い半減期が、前記対象が長い投与間隔の候補者であることを示すことと、有効量のFVIII-Fcポリペプチドを少なくとも3日間の投与間隔で投与することと、を含む、方法。
(項目151)
出血性障害であると診断されている対象を治療する方法であって、対象に、有効量のFVIII-Fcポリペプチドを少なくとも3日間の投与間隔で投与することであって、前記対象におけるFVIII-Fcの半減期が、平均レベルのVWFを有する対象に投与される場合のFVIII-Fcの半減期よりも少なくとも約1.2倍長い、投与することを含む、方法。
(項目152)
前記対象におけるFVIII-Fcの血漿半減期は、平均レベルのVWFを有する対象に投与される場合のFVIII-Fcの血漿半減期よりも少なくとも約1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、または2.5倍長い、項目150または151に記載の方法。
(項目153)
前記FVIII-Fcの血漿半減期は、20~40時間である、項目150~152のいずれかに記載の方法。
(項目154)
前記長期間作用型FVIIIタンパク質は、約21時間、22時間、23時間、24時間、25時間、26時間、27時間、28時間、29時間、30時間、31時間、31時間、32時間、33時間、34時間、35時間、36時間、37時間、38時間、39時間、または40時間の半減期を有する、項目153に記載の方法。
(項目155)
前記長期間作用型FVIIIタンパク質は、約20~約27時間の半減期を有する、項目154に記載の方法。
(項目156)
出血性障害であると診断されている対象を治療する方法であって、前記対象に投与される短時間作用型FVIIIの半減期を測定し、平均レベルのVWFを有する対象における前記短時間作用型FVIIIの半減期よりも少なくとも約1.2倍長い半減期が、前記対象が長い投与間隔の候補者であることを示すことと、有効量の長期間作用型FVIII-Fcポリペプチドを少なくとも3日間の投与間隔で投与することと、を含む、方法。
(項目157)
前記対象における前記短時間作用型FVIIIの半減期は、平均レベルのVWFを有する対象に投与される場合の短時間作用型FVIIIの半減期よりも少なくとも約1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、または2.5倍長い、項目156に記載の方法。
(項目158)
前記対象は、ヒトである、項目150~157のいずれかに記載の方法。
(項目159)
前記対象は、小児対象である、項目150~158のいずれかに記載の方法。
(項目160)
前記対象は、血友病Aを有する、項目150~159のいずれかに記載の方法。
(項目161)
前記対象は、血清型A、B、またはABを有する、項目150~160のいずれかに記載の方法。
(項目162)
前記長期間作用型FVIII-Fcは、少なくとも約20IU/kg、少なくとも約25IU/kg、少なくとも約30IU/kg、少なくとも約35IU/kg、少なくとも約40IU/kg、少なくとも約45IU/kg、少なくとも約50IU/kg、少なくとも約55IU/kg、少なくとも約60IU/kg、少なくとも約65IU/kg、少なくとも約70IU/kg、少なくとも約75IU/kg、少なくとも約80IU/kg、少なくとも約85IU/kg、または少なくとも約90IU/kgの有効量で投与される、項目150~161のいずれかに記載の方法。
(項目163)
前記有効量は、少なくとも約65IU/kg~少なくとも約90IU/kgである、項目150~161のいずれかに記載の方法。
(項目164)
前記有効量の前記FVIII-Fcタンパク質は、1週間ごとに約1回、10日ごとに約1回、2週間ごとに約1回、15日ごとに約1回、20日ごとに約1回、3週間ごとに約1回、25日ごとに約1回、4週間ごとに約1回、または1ヶ月ごとに約1回投与される、項目150~163のいずれかに記載の方法。
(項目165)
前記投与は、出血エピソードの5~20%超、5~15%超、5~10%超、10~20%超、または10~15%超を解消する、項目150~164のいずれかに記載の方法。
(項目166)
前記対象において、血漿第VIII因子:Cのトラフレベルは、1~3または3~5IU/dLを超えて維持される、項目150~165のいずれかに記載の方法。
(項目167)
前記投与は、前記対象における出血エピソードを予防する、項目150~166のいずれかに記載の方法。
(項目168)
前記出血エピソードは、突発的である、項目167に記載の方法。
(項目169)
前記投与は、出血エピソードの80~100%超、80~90%超、85~90%超、90~100%超、90~95%超、または95~100%超を解消する、項目167に記載の方法。
(項目170)
前記投与は、外科手術を必要とする対象の集団において、恒常性を維持する、項目150~169のいずれかに記載の方法。
(項目171)
前記FVIII-Fcタンパク質は、前記外科手術前、その間、またはその後に投与される、求項150~170のいずれかに記載の方法。
(項目172)
前記外科手術は、小手術、大手術、抜歯、扁桃摘出術、鼠径部ヘルニア切開術、滑膜切除術、人工膝関節全置換術、開頭術、骨接合術、外傷外科手術、頭蓋内手術、腹腔内手術、胸腔内手術、または関節置換手術である、項目170または171に記載の方法。
(項目173)
前記外科手術は、緊急手術である、項目170~172のいずれかに記載の方法。
(項目174)
前記FVIII-Fcタンパク質は、FVIIIからなるポリペプチドよりも長い半減期を有する、項目150~173のいずれかに記載の方法。
(項目175)
前記FVIII-Fcタンパク質は、ペグ化、HES化、またはポリシアル化されている、項目150~174のいずれかに記載の方法。
(項目176)
前記FVIII-Fcタンパク質は、FVIIIFc単量体二量体ハイブリッドである、項目174または175に記載の方法。
(項目177)
前記FVIII部分は、一本鎖である、項目172~176のいずれかに記載の方法。(項目178)
前記FVIII部分は、重鎖および軽鎖を含む、項目177に記載の方法。
(項目179)
前記FVIII部分は、完全長第VIII因子、成熟第VIII因子、またはBドメインの完全もしくは部分欠失を有する第VIII因子を含む、項目174~178のいずれかに記載の方法。
(項目180)
前記FVIII部分は、配列番号2のアミノ酸1~1438または配列番号6のアミノ酸1~2332と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む、項目179に記載の方法。
(項目181)
前記FVIII部分は、配列番号2のアミノ酸1~1438または配列番号6のアミノ酸1~2332を含む、項目180に記載の方法。
(項目182)
前記キメラポリペプチドの前記第2の部分は、配列番号2のアミノ酸1439~1665または配列番号6のアミノ酸2333~2559と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるFc部分を含む、項目174~181のいずれかに記載の方法。
(項目183)
前記第2の部分は、配列番号2のアミノ酸1439~1665または配列番号6のアミノ酸2333~2559を含む、項目182に記載の方法。
(項目184)
前記FVIII-Fcポリペプチドは、少なくとも1つの賦形剤を含む薬学的組成物の一部として投与される、項目150~183のいずれかに記載の方法。
(項目185)
出血性障害であると診断されている対象が、長時間作用型FVIIIポリペプチドを用いた長い投与間隔の候補者であるかどうかを決定するための方法であって、血漿VWFの発現レベルを測定し、少なくとも100IU/dLのVWF発現レベルが、前記対象が長時間作用型FVIIIポリペプチドを用いた長い投与間隔の候補者であることを示すことを含む、方法。
(項目186)
前記VWF発現レベルは、少なくとも約110IU/dL、約120IU/dL、約130IU/dL、約140IU/dL、約150IU/dL、約160IU/dL、約170IU/dL、約180IU/dL、約190IU/dL、または約200IU/dLである、項目185に記載の方法。
(項目187)
出血性障害であると診断されている対象が、長時間作用型FVIIIポリペプチドの長い投与間隔の候補者であるかどうかを決定するための方法であって、前記対象におけるFVIII-Fcの半減期を測定し、平均レベルのVWFを有する対象に投与される場合のFVIII-Fcの半減期よりも少なくとも約1.2倍長い半減期が、前記対象が長い投与間隔の候補者であることを示す、方法。
(項目188)
FVIII-Fcの半減期は、平均レベルのVWFを有する対象に投与される場合のFVIII-Fcの半減期よりも少なくとも約1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、または2.5倍長い、項目187に記載の方法。
(項目189)
出血性障害であると診断されている対象が、長時間作用型FVIIIポリペプチドの長い投与間隔の候補者であるかどうかを決定するための方法であって、前記対象における短時間作用型FVIIIの半減期を測定し、平均レベルのVWFを有する対象に投与される場合の短時間作用型FVIIIの半減期よりも少なくとも約1.2倍長い半減期が、前記対象が長い投与間隔の候補者であることを示す、方法。
(項目190)
前記半減期は、平均レベルのVWFを有する対象に投与される場合のFVIII-Fcの半減期よりも少なくとも約1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、または2.5倍長い、項目189に記載の方法。
(項目191)
前記キメラポリペプチドは、Fc部分を含む、項目1~38、73~87、94~100、および102~190のいずれかに記載の方法。
(項目192)
前記投与間隔は、前記第VIII因子部分からなる等価用量のポリペプチドに必要とされる投与間隔よりも少なくとも約1.5~6倍長い、1.5~5倍長い、1.5~4倍長い、1.5~3倍長い、または1.5~2倍長い、項目191に記載の方法。
(項目193)
前記投与間隔は、前記第VIII因子部分からなる等価用量のポリペプチドに必要とされる投与間隔よりも少なくとも約1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、または6倍長い、項目192に記載の方法。
(項目194)
前記キメラポリペプチドの前記投与間隔は、約3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、もしくは14日ごと、またはそれ以上である、項目1~38、73~87、94~100、および102~193のいずれかに記載の方法。
(項目195)
前記対象は、予防的処置を必要とする、項目1~38、73~87、94~100、および102~194のいずれかに記載の方法。
(項目196)
前記対象は、オンデマンドを必要とする、項目1~38、73~87、94~100、および102~193のいずれかに記載の方法。
(項目197)
前記対象は、出血エピソードの治療を必要とする、項目196に記載の方法。
(項目198)
前記対象は、関節血症、筋肉出血、口の出血、出血、筋肉への出血、口腔出血、外傷、頭部外傷、胃腸出血、頭蓋内出血、腹腔内出血、胸腔内出血、骨折、中枢神経系の出血、咽頭後隙の出血、後腹膜腔内出血、または腸腰筋鞘内の出血の治療を必要とする、項目197に記載の方法。
(項目199)
前記対象は、外科的予防、手術中管理、または外科手術のための処置を必要とする、項目196に記載の方法。
(項目200)
前記外科手術は、小手術、大手術、抜歯、扁桃摘出術、鼠径部ヘルニア切開術、滑膜切除術、人工膝関節全置換術、開頭術、骨接合術、外傷外科手術、頭蓋内手術、腹腔内手術、胸腔内手術、または関節置換手術である、項目199に記載の方法。
(項目201)
前記キメラポリペプチドの前記投与間隔は、24~36、24~48、24~72、24~96、24~120、24~144、24~168、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、もしくは72時間ごと、またはそれ以上で約1回である、項目196~200のいずれかに記載の方法。
(項目202)
前記治療用量は、10~100IU/kgである、項目1~38、73~87、94~100、および102~201のいずれかに記載の方法。
(項目203)
前記治療用量は、10~20、20~30、30~40、40~50、50~60、60~70、70~80、80~90、または90~100IU/kgである、項目201に記載の方法。
(項目204)
前記治療用量は、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、または100IU/kgである、項目202に記載の方法。
(項目205)
前記第VIII因子は、ヒト第VIII因子である、項目1~38、73~87、94~100、または102~204のいずれかに記載の方法。
(項目206)
前記第VIII因子は、前記Bドメインの完全または部分欠失を有する、項目1~38、73~87、94~100、および102~205のいずれかに記載の方法。
(項目207)
前記キメラポリペプチドの前記第VIII因子部分は、シグナル配列を含まない表2に示される第VIII因子アミノ酸配列(配列番号2のアミノ酸20~1457、配列番号6のアミノ酸20~2351)と少なくとも90%または95%同一である、項目205に記載の方法。
(項目208)
前記キメラポリペプチドの前記第VIII因子部分は、シグナル配列を含まない表2に示される第VIII因子アミノ酸配列(配列番号2のアミノ酸20~1457または配列番号6のアミノ酸20~2351)と同一である、項目207に記載の方法。
(項目209)
前記キメラポリペプチドの前記第VIII因子部分は、シグナル配列を含む表2に示される第VIII因子アミノ酸配列(配列番号2のアミノ酸1~1457または配列番号6のアミノ酸1~2351)と少なくとも90%または95%同一である、項目205に記載の方法。
(項目210)
前記キメラポリペプチドの前記第VIII因子部分は、シグナル配列を含む表2に示される第VIII因子アミノ酸配列(配列番号2のアミノ酸1~1457または配列番号6のアミノ酸1~2351)と同一である、項目209に記載の方法。
(項目211)
前記キメラポリペプチドの前記第2の部分は、表2に示されるFcアミノ酸配列(配列番号2のアミノ酸1458~1684または配列番号6のアミノ酸2352~2578)と少なくとも90%または95%同一である、項目205または206に記載の方法。
(項目212)
前記キメラポリペプチドの前記第2の部分は、表2に示されるFcアミノ酸配列(配列番号2のアミノ酸1458~1684または配列番号6のアミノ酸2352~2578)と同一である、項目211に記載の方法。
(項目213)
前記キメラポリペプチドは、前記キメラポリペプチドと結合した第2のポリペプチドを含むハイブリッドの形態であり、前記第2のポリペプチドは、Fcから本質的になる、項目1~38、73~87、94~100、および102~212のいずれかに記載の方法。
(項目214)
前記キメラポリペプチドは、シグナル配列を含まない表2A(i)に示される第VIII因子およびFcアミノ酸配列(配列番号2のアミノ酸20~1684)と少なくとも90%もしくは95%同一であるか、またはシグナル配列を含む表2A(i)に示される第VIII因子およびFcアミノ酸配列(配列番号2のアミノ酸1~1684)と少なくとも90%もしくは95%同一である配列を含む、項目213に記載の方法。
(項目215)
前記キメラポリペプチドは、シグナル配列を含まない表2A(i)に示される第VIII因子およびFcアミノ酸配列(配列番号2のアミノ酸20~1684)と同一であるか、またはシグナル配列を含む表2A(i)に示される第VIII因子およびFcアミノ酸配列(配列番号2のアミノ酸1~1684)と同一である配列を含む、項目214に記載の方法。
(項目216)
前記第2のポリペプチドは、シグナル配列を含まない表2A(ii)に示されるアミノ酸配列(配列番号4のアミノ酸21~247)と少なくとも90%もしくは95%同一であるか、またはシグナル配列を含む、表2A(ii)に示されるアミノ酸配列(配列番号4のアミノ酸1~247)と少なくとも90%もしくは95%同一である配列から本質的になる、項目213~215のいずれかに記載の方法。
(項目217)
前記第2のポリペプチドは、シグナル配列を含まない表2A(ii)に示されるアミノ酸配列(配列番号4のアミノ酸21~247)と同一であるか、またはシグナル配列を含む、表2A(ii)に示されるアミノ酸配列(配列番号4のアミノ酸1~247)と同一である配列から本質的になる、項目216に記載の方法。
(項目218)
前記キメラポリペプチドは、少なくとも1つの賦形剤を含む薬学的組成物の一部として投与される、項目1~38、73~87、94~100、および102~217のいずれかに記載の方法。
(項目219)
第VIII因子を、それを必要とするヒト対象に投与する方法であって、前記対象に、第VIII因子部分および第2の部分を含む治療用量のキメラポリペプチドを投与して、前記第VIII因子部分からなる等価用量のポリペプチドによって得られる血漿濃度対時間曲線下面積(AUC)よりも少なくとも約1.25倍大きいAUCを得ることを含む、方法。
(項目220)
前記キメラポリペプチドは、約3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、もしくは14日ごと、またはそれ以上の投与間隔で投与される、項目219に記載の方法。
(項目221)
前記対象は、予防的処置を必要とする、項目219または220に記載の方法。
(項目222)
前記対象は、オンデマンド治療を必要とする、項目219または220に記載の方法。(項目223)
前記対象は、出血エピソードの治療を必要とする、項目219~222のいずれかに記載の方法。
(項目224)
前記対象は、関節血症、筋肉出血、口の出血、出血、筋肉への出血、口腔出血、外傷、頭部外傷、胃腸出血、頭蓋内出血、腹腔内出血、胸腔内出血、骨折、中枢神経系の出血、咽頭後隙の出血、後腹膜腔内出血、または腸腰筋鞘内の出血の治療を必要とする、項目219~222のいずれかに記載の方法。
(項目225)
前記対象は、外科的予防、手術中管理、または外科手術のための処置を必要とする、項目222に記載の方法。
(項目226)
前記外科手術は、小手術、大手術、抜歯、扁桃摘出術、鼠径部ヘルニア切開術、滑膜切除術、人工膝関節全置換術、開頭術、骨接合術、外傷外科手術、頭蓋内手術、腹腔内手術、胸腔内手術、または関節置換手術である、項目225に記載の方法。
(項目227)
前記キメラポリペプチドの前記投与間隔は、24~36、24~48、24~72、24~96、24~120、24~144、24~168、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、もしくは72時間ごと、またはそれ以上で約1回である、項目219~226のいずれかに記載の方法。
(項目228)
前記治療用量は、10~100IU/kgである、項目219~227のいずれかに記載の方法。
(項目229)
前記治療用量は、10~20、20~30、30~40、40~50、50~60、60~70、70~80、80~90、または90~100IU/kgである、項目228に記載の方法。
(項目230)
前記治療用量は、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、または100IU/kgである、項目229に記載の方法。
(項目231)
前記第VIII因子は、ヒト第VIII因子である、項目219~230のいずれかに記載の方法。
(項目232)
前記第VIII因子は、前記Bドメインの完全または部分欠失を有する、項目219~231のいずれかに記載の方法。
(項目233)
前記キメラポリペプチドの前記第VIII因子部分は、シグナル配列を含まない表2に示される第VIII因子アミノ酸配列(配列番号2のアミノ酸20~1457、配列番号6のアミノ酸20~2351)と少なくとも90%または95%同一である、項目231に記載の方法。
(項目234)
前記キメラポリペプチドの前記第VIII因子部分は、シグナル配列を含まない表2に示される第VIII因子アミノ酸配列(配列番号2のアミノ酸20~1457または配列番号6のアミノ酸20~2351)と同一である、項目233に記載の方法。
(項目235)
前記キメラポリペプチドの前記第VIII因子部分は、シグナル配列を含む表2に示される第VIII因子アミノ酸配列(配列番号2のアミノ酸1~1457または配列番号6のアミノ酸1~2351)と少なくとも90%または95%同一である、項目231に記載の方法。
(項目236)
前記キメラポリペプチドの前記第VIII因子部分は、シグナル配列を含む表2に示される第VIII因子アミノ酸配列(配列番号2のアミノ酸1~1457または配列番号6のアミノ酸1~2351)と同一である、項目235に記載の方法。
(項目237)
前記キメラポリペプチドの前記第2の部分は、表2に示されるFcアミノ酸配列(配列番号2のアミノ酸1458~1684または配列番号6のアミノ酸2352~2578)と少なくとも90%または95%同一である、項目231または232に記載の方法。
(項目238)
前記キメラポリペプチドの前記第2の部分は、表2に示されるFcアミノ酸配列(配列番号のアミノ酸1458~1684または配列番号6のアミノ酸2352~2578)と同一である、項目237に記載の方法。
(項目239)
前記キメラポリペプチドは、前記キメラポリペプチドと結合した第2のポリペプチドを含むハイブリッドの形態であり、前記第2のポリペプチドは、Fcから本質的になる、項目219~238のいずれかに記載の方法。
(項目240)
前記キメラポリペプチドは、シグナル配列を含まない表2A(i)に示される第VIII因子およびFcアミノ酸配列(配列番号2のアミノ酸20~1684)と少なくとも90%もしくは95%同一であるか、またはシグナル配列を含む表2A(i)に示される第VIII因子およびFcアミノ酸配列(配列番号2のアミノ酸1~1684)と少なくとも90%もしくは95%同一である配列を含む、項目239に記載の方法。
(項目241)
前記キメラポリペプチドは、シグナル配列を含まない表2A(i)に示される第VIII因子およびFcアミノ酸配列(配列番号2のアミノ酸20~1684)と同一であるか、またはシグナル配列を含む表2A(i)に示される第VIII因子およびFcアミノ酸配列(配列番号2のアミノ酸1~1684)と少なくとも90%もしくは95%同一である配列を含む、項目240に記載の方法。
(項目242)
前記第2のポリペプチドは、シグナル配列を含まない表2A(ii)に示されるアミノ酸配列(配列番号4のアミノ酸21~247)と少なくとも90%もしくは95%同一であるか、またはシグナル配列を含む表2A(ii)に示されるアミノ酸配列(配列番号4のアミノ酸1~247)と少なくとも90%もしくは95%同一である配列から本質的になる、項目239~241のいずれかに記載の方法。
(項目243)
前記第2のポリペプチドは、シグナル配列を含まない表2A(ii)に示されるアミノ酸配列(配列番号4のアミノ酸21~247)と同一であるか、またはシグナル配列を含む表2A(ii)に示されるアミノ酸配列(配列番号4のアミノ酸1~247)と同一である配列から本質的になる、項目242に記載の方法。
(項目244)
前記キメラポリペプチドは、少なくとも1つの賦形剤を含む薬学的組成物の一部として投与される、項目219~243のいずれかに記載の方法。
(項目245)
第VIII因子を、それを必要とする対象に投与する方法であって、
前記対象に、約3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、もしくは14日ごと、またはそれ以上の投与間隔で、第VIII因子およびFcを含む治療用量のポリペプチドを投与することを含む、方法。
(項目246)
前記対象は、予防的処置を必要とする、項目245に記載の方法。
(項目247)
前記治療用量は、10~100IU/kgである、項目245または246に記載の方法。
(項目248)
前記治療用量は、10~20、20~30、30~40、40~50、50~60、60~70、70~80、80~90、または90~100IU/kgである、項目247に記載の方法。
(項目249)
前記治療用量は、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、または100IU/kgである、項目248に記載の方法。
(項目250)
前記第VIII因子は、ヒト第VIII因子である、項目245~249のいずれかに記載の方法。
(項目251)
前記第VIII因子は、前記Bドメインの完全または部分欠失を有する、項目245~250のいずれかに記載の方法。
(項目252)
前記第VIII因子は、シグナル配列を含まない表2に示される第VIII因子アミノ酸配列(配列番号2のアミノ酸20~1457または配列番号6のアミノ酸20~2351)と少なくとも90%または95%同一である、項目250に記載の方法。
(項目253)
前記第VIII因子は、シグナル配列を含まない表2に示される第VIII因子アミノ酸配列(配列番号2のアミノ酸20~1457または配列番号6のアミノ酸20~2351)と同一である、項目252に記載の方法。
(項目254)
前記第VIII因子は、シグナル配列を含む表2に示される第VIII因子アミノ酸配列(配列番号2のアミノ酸1~1457または配列番号6のアミノ酸1~2351)と少なくとも90%または95%同一である、項目250に記載の方法。
(項目255)
前記第VIII因子は、シグナル配列を含む表2に示される第VIII因子アミノ酸配列(配列番号2のアミノ酸1~1457または配列番号6のアミノ酸1~2351)と同一である、項目250に記載の方法。
(項目256)
前記第2の部分は、表2に示されるFcアミノ酸配列(配列番号2のアミノ酸1458~1684または配列番号6のアミノ酸2352~2578)と少なくとも90%または95%同一である、項目250または251に記載の方法。
(項目257)
前記第2の部分は、表2に示されるFcアミノ酸配列(配列番号2のアミノ酸1458~1684または配列番号6のアミノ酸2352~2578)と同一である、項目256に記載の方法。
(項目258)
前記キメラポリペプチドは、前記キメラポリペプチドと結合した第2のポリペプチドを含むハイブリッドの形態である第VIII因子-Fcキメラポリペプチドであり、前記第2のポリペプチドは、Fcから本質的になる、項目245~257のいずれかに記載の方法。
(項目259)
前記キメラポリペプチドは、シグナル配列を含まない表2A(i)に示される第VIII因子およびFcアミノ酸配列(配列番号2のアミノ酸20~1684)と少なくとも90%もしくは95%同一であるか、またはシグナル配列を含む表2A(i)に示される第VIII因子およびFcアミノ酸配列(配列番号2のアミノ酸1~1684)と少なくとも90%もしくは95%同一である配列を含む、項目258に記載の方法。
(項目260)
前記キメラポリペプチドは、シグナル配列を含まない表2A(i)に示される第VIII因子およびFcアミノ酸配列(配列番号2のアミノ酸20~1684)と同一であるか、またはシグナル配列を含む表2A(i)に示される第VIII因子およびFcアミノ酸配列(配列番号2のアミノ酸1~1684)と少なくとも90%もしくは95%同一である配列を含む、項目259に記載の方法。
(項目261)
前記第2のポリペプチドは、シグナル配列を含まない表2A(ii)に示されるアミノ酸配列(配列番号4のアミノ酸21~247)と少なくとも90%もしくは95%同一であるか、またはシグナル配列を含む表2A(ii)に示されるアミノ酸配列(配列番号4のアミノ酸1~247)と少なくとも90%もしくは95%同一である配列から本質的になる、項目258~260のいずれかに記載の方法。
(項目262)
前記第2のポリペプチドは、シグナル配列を含まない表2A(ii)に示されるアミノ酸配列(配列番号4のアミノ酸21~247)と同一であるか、またはシグナル配列を含む表2A(ii)に示されるアミノ酸配列(配列番号4のアミノ酸1~247)と少なくとも90%もしくは95%同一である配列から本質的になる、項目261に記載の方法。(項目263)
前記ポリペプチドは、少なくとも1つの賦形剤を含む薬学的組成物の一部として投与される、項目1~38、73~87、94~100、および102~262のいずれかに記載の方法。
(項目264)
前記キメラポリペプチドは、第VIII因子活性を有する、項目1~38、73~87、94~100、または102~263のいずれか1項に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【
図2】A~B.rFVIIIFc(プロセシングされたまたは一本鎖)の非還元および還元SDS-PAGE分析。C.LC/UVおよびLC/MSによって分析されたrFVIIIFcの構造。D.トロンビン切断後のrFVIIIFcの全イオン電流(TIC)クロマトグラム(LC/MSマップ)。主要な消化産物が示される。E.rFVIIIFcおよびrBDDFVIIIのA2ドメインのデコンボリューション質量スペクトル。トロンビンで切断されたA2ドメイン(S373~R740)ならびに2つの切断産物、S373~Y729およびS373~E720に対応する、主要な産物およびそれらの同族質量が示される。
【
図3】rFVIII-Fcの生化学的特性:A.リン脂質ベシクル濃度の一関数としての第X因子の活性化。B.第FX因子濃度の一関数としての第X因子の活性化。C.第IXa因子濃度の一関数としての第X因子の活性化。
【
図4】活性化プロテインCによる切断後の第X因子の活性化。
【
図5】時間に対する、用量レベルによって分類され、化合物(一段階アッセイ、25IU/kg(A)または65IU/kg(B);および発色アッセイ、25IU/kg(C)または65IU/kg(D))によってグループ分けされた、対時間の観察された群平均FVIII活性(±標準誤差)プロファイル。
【
図6】時間に対する、用量レベルおよび化合物(一段階アッセイ(A)または発色アッセイ(B))によってグループ分けされた、観察された対時間の群平均FVIII活性(±標準誤差)プロファイル。
【
図7】血友病Aマウス尾静脈切断モデルにおける一本鎖FVIII:Fcのインビボ有効性。(A)一本鎖rFVIII:Fcの用量を四角で示し、プロセシングされたrFVIII:Fcの用量を丸で示す。(B)4.6μg/kg、1.38μg/kg、および0.46μg/kgのrFVIIIFcまたはSC rFVIIIFcの尾静脈切断後の生存率(%)。(C)4.6μg/kg(黒丸または逆三角形)、1.38μg/kg(三角またはひし形)、および0.46μg/kg(四角および灰色の丸)のrFVIIIFcまたはSC rFVIIIFcのそれぞれの尾静脈切断後の出血しなかったもののパーセント。
【
図8】研究設計。
図8は、25IU/kg(低用量コホートA)または65IU/kg(高用量コホートB)のいずれかの単回静脈内投与後のADVATE(登録商標)と比較したrFVIIIFcの安全性およびPKを評価するために、用量漸増の逐次的な設計であった、第1/2a相試験の研究設計を示す。
【
図9】一段階(aPTT)および発色アッセイによるrFVIII活性の相関関係。ADVATE(登録商標)(◆)およびrFVIIIFc(□)の注射後のFVIII活性(IU/mL)を測定する一段階凝固(aPTT)と発色アッセイの結果間の相関関係。
【
図10】低用量および高用量のコホートに対する群平均血漿FVIII活性の薬物動態プロファイル。rFVIIIFcまたはADVATE(登録商標)の単回静脈注射後の、血漿FVIII活性(一段階aPTTアッセイ)の対時間曲線を、(A)25IU/kg(低用量のコホート、n=6)、および(B)65IU/kg(高用量のコホート、n=10[ADVATE(登録商標)]、n=9[rFVIIIFc])について示す。表された結果は、群平均±平均の標準誤差(SEM)である。
【
図11】ADVATE(登録商標)またはrFVIIIFcの注射後のFVIII活性のClおよびt
1/2に対するVWF抗原レベルの効果。VWF抗原レベルと、(A)ADVATE(登録商標)(R
2=0.5415およびp=0.0012)およびrFVIIIFc(R
2=0.5492およびp=0.0016)の体重調節されたClと、(B)ADVATE(登録商標)(R
2=0.7923およびp<0.0001)およびrFVIIIFc(R
2=0.6403およびp=0.0003)のt
1/2との間の相関関係。それぞれの点は、個々の対象を表す。
【
図12】ADVATE(登録商標)またはrFVIIIFcの注射後の個々の対象に対するエクスビボ全血ROTEM(登録商標)の結果。血液が、指定された時点で、(A)25IU/kgのADVATE(登録商標)およびrFVIIIFc、ならびに(B)65IU/kgのADVATE(登録商標)およびrFVIIIFcの用量での処置前および処置後の対象からサンプリングされた。凝固時間は、ROTEM(登録商標)機器において、Ca++を用いて開始されたNATEMによって決定された。示される結果は、それぞれの個々のサンプルに対する三重チャンネル読み取りからの平均±標準誤差(SEM)である。
【
図13】トロンビン生成アッセイ(TGA)における活性の比較。(A)SC rFVIIIFcは、rFVIIIFcと比較して、内因性トロンビン生成能(ETP)の低下を示し、(B)は、ピークトロンビンの低下を示した。
【
図14】インビトロROTEMデータ。ナイーブ血友病Aマウスから得られたプールされた全血に添加した異なる濃度のXYNTHA、ADVATE<、およびrFVIIIFcに対するROTEM(NATEM)の結果(平均±標準偏差)。(A)平均凝固時間(CT)(
図14A)、(B)血餅形成時間(CFT)、および(C)アルファ角。
【
図15】エクスビボROTEMデータ。50IU/kgのXYNTHA、ADVATE、またはrFVIIIFcの単回静脈内投与から5分、24、48、72、および96時間後の血友病AマウスからのROTEM(NATEM)の結果(平均±標準偏差)。(A)平均凝固時間(CT)、(B)血餅形成時間(CFT)、および(C)アルファ角。
【
図16A】rFVIIIFcおよび一本鎖(SC)rFVIIIFcとvWFとの相互作用の実時間評価ならびにrFVIIIFcおよびvWFからのSC rFVIIIFcのトロンビンに媒介される放出の実時間評価。(A)vWFに対するrFVIIIFcおよびSC rFVIIIFc親和性の表面プラズモン共鳴(SPR)分析。結合曲線および1:1のフィット相互作用モデルを示す。x軸は、秒単位の時間を示し、y軸は、反応単位(RU)の反応を示す。
【
図16B】rFVIIIFcおよび一本鎖(SC)rFVIIIFcとvWFとの相互作用の実時間評価ならびにrFVIIIFcおよびvWFからのSC rFVIIIFcのトロンビンに媒介される放出の実時間評価。(B)25℃(上)および37℃(下)で、活性化したrFVIIIFc、SC rFVIIIFc、およびBドメイン欠失の、Fc部分を欠くrFVIII(rBDD FVIII)のトロンビンに媒介される放出の基準除算センサーグラム(reference subtracted sensogram)。x軸は、秒単位の時間を示し、y軸は、反応単位(RU)の反応を示す。個々の線は、異なるα-トロンビン濃度での反応を示す。最上の線は、0U/mLのα-トロンビンでの反応であり、それに続くそれぞれの線は、0.005、0.01、0.02、0.04、0.08、0.16、0.31、0.63、1.3、2.5、5、10、および20U/mLの順でα-トロンビン濃度に対して表示される。
【
図16C】rFVIIIFcおよび一本鎖(SC)rFVIIIFcとvWFとの相互作用の実時間評価ならびにrFVIIIFcおよびvWFからのSC rFVIIIFcのトロンビンに媒介される放出の実時間評価。(C)25℃(上)および37℃(下)で、rFVIIIFc、SC rFVIIIFc、およびrBDD FVIIIに対するトロンビンに媒介される放出相の二重の基準除算センサーグラム。x軸は、秒単位の時間を示し、y軸は、反応単位(RU)の反応を示す。個々の線は、異なるα-トロンビン濃度での反応を示す。最上の線は、0U/mLのα-トロンビンでの反応であり、それに続くそれぞれの線は、0.005、0.01、0.02、0.04、0.08、0.16、0.31、0.63、1.3、2.5、5.0、10、および20U/mLの順でα-トロンビン濃度に対して表示される。
【
図16D】rFVIIIFcおよび一本鎖(SC)rFVIIIFcとvWFとの相互作用の実時間評価ならびにrFVIIIFcおよびvWFからのSC rFVIIIFcのトロンビンに媒介される放出の実時間評価。(D)25℃(上)および37℃(下)での、rFVIIIFc、SC rFVIIIFc、およびrBDD FVIIIに対する時間の関数としてのトロンビンに媒介される放出率。x軸は、秒単位の時間を示し、y軸は、反応単位(RU)の反応を示す。個々の線は、異なるα-トロンビン濃度での反応を示す。最上の線は、20U/mLのα-トロンビンでの反応であり、それに続くそれぞれの線は、10、5、2.5、1.3、0.63、0.31、0.16、0.08、0.04、0.02、0.01、および0.005U/mLの順でα-トロンビン濃度に対して表示される。
【
図16E】rFVIIIFcおよび一本鎖(SC)rFVIIIFcとvWFとの相互作用の実時間評価ならびにrFVIIIFcおよびvWFからのSC rFVIIIFcのトロンビンに媒介される放出の実時間評価。(E)25℃(上)および37℃(下)での、rFVIIIFc、SC rFVIIIFc、およびrBDD FVIIIに対するトロンビン濃度の関数としてのトロンビンに媒介されるピークの放出率。EC
50は、半最大有効濃度である。x軸は、U/mLでのα-トロンビン濃度であり、y軸は、RU/秒での最大放出率である。
【発明を実施するための形態】
【0060】
本発明は、現在知られている第VIII因子産物を用いて可能であるものよりもより長い投与間隔および/またはより大きなAUCを用いて、第VIII因子(プロセシングされた、一本鎖、またはそれらの組み合わせ)を用いて血友病Aを治療する方法を提供する。本発明はまた、改善された第VIII因子キメラポリペプチドおよび産生方法も提供する。
【0061】
血友病Aの治療は、FVIII活性を正常レベルの1~5%まで回復させて、突発性出血を予防することを目的とする補充療法による(Mannucci,P.M.et al.,N.Engl.J.Med.344:1773-9(2001)、これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。出血エピソードをオンデマンドで治療するため、または予防的に治療することにより起こる出血エピソードを予防するために利用可能な血漿由来および組換えFVIII製品がある。これらの製品の短半減期(8~12時間)(White G.C.,et al.,Thromb.Haemost.77:660-7(1997)、Morfini,M.,Haemophilia 9(suppl 1):94-99;考察100(2003))に基づいて、治療レジメンでは、一般に、予防のために週に2~3回、オンデマンド治療のために1日に1~3回、頻繁な静脈内投与が必要とされる(Manco-Johnson,M.J.,et al.,N.Engl.J.Med.357:535-544(2007))、これらのそれぞれは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。そのような頻繁な投与は、苦痛を伴い、かつ不都合である。
【0062】
本発明は、第VIII因子を、それを必要とするヒト対象(例えば、ヒト患者)に投与する方法であって、この対象に、治療用量のキメラ第VIII因子ポリペプチド、例えば、キメラ第VIII因子-Fcポリペプチド、またはそのようなポリペプチドのハイブリッドを投与して、非第VIII因子部分を含まない、例えば、Fc部分を含まない等価用量の当該第VIII因子(当該第VIII因子部分からなるポリペプチド)に必要とされる投与間隔よりも少なくとも約1.5倍長い投与間隔で投与することを含む、方法を提供する。本発明はまた、キメラ第VIII因子ポリペプチドを投与することを含む、第VIII因子を、それを必要とするヒト対象に投与する投与間隔を増大する方法も対象とする。
【0063】
投与間隔は、非第VIII因子部分を含まない、例えば、Fc部分を含まない等価用量の当該第VIII因子(当該第VIII因子部分からなるポリペプチド)に必要とされる投与間隔よりも少なくとも約1.5~6倍長いか、1.5~5倍長いか、1.5~4倍長いか、1.5~3倍長いか、または1.5~2倍長くあり得る。投与間隔は、非第VIII因子部分を含まない、例えば、Fc部分を含まない等価用量の当該第VIII因子(当該第VIII因子部分からなるポリペプチド)に必要とされる投与間隔よりも少なくとも約1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、または6倍長くあり得る。投与間隔は、約3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、もしくは14日ごと、またはそれ以上であってよい。
【0064】
投与間隔は、少なくとも約1.5~5、1.5、2、3、4、もしくは5日、またはそれ以上であり得る。
【0065】
本発明はまた、第VIII因子を、それを必要とするヒト対象に投与する方法であって、この対象に、治療用量のキメラ第VIII因子ポリペプチド、例えば、キメラ第VIII因子-Fcポリペプチド、またはそのようなポリペプチドのハイブリッドを投与して、非第VIII因子部分を含まない、例えば、Fc部分を含まない等価用量の当該第VIII因子(当該第VIII因子部分からなるポリペプチド)によって得られる血漿濃度対時間曲線下面積(AUC)よりも少なくとも約1.25倍大きなAUCを得ることを含む、方法も提供する。したがって、本発明は、キメラ第VIII因子ポリペプチドを投与することを含む、それを必要とするヒト患者における第VIII因子活性のAUCを増大させるまたは広げる方法を含む。
【0066】
本発明はまた、第VIII因子を、それを必要とする対象に投与する方法であって、この対象に、第VIII因子およびFcを含む治療用量のポリペプチドを、約3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、もしくは14日ごとまたはそれ以上の投与間隔で投与することを含む、方法も提供する。
【0067】
本発明の方法は、予防的処置またはオンデマンド治療を必要とする対象に対して実施することができる。
【0068】
本明細書で使用される「投与」とは、薬剤的に許容される本発明の第IX因子ポリペプチドを、薬剤的に許容される経路で対象に与えることを意味する。投与の経路は、静脈内、例えば、静脈内注射および静脈内注入であり得る。さらなる投与経路には、例えば、皮下、筋肉内、経口、経鼻、および肺投与が含まれる。キメラポリペプチドおよびハイブリッドタンパク質は、少なくとも1つの賦形剤を含む薬学的組成物の一部として投与されてもよい。
【0069】
本明細書で使用される「血漿濃度対時間曲線下面積」は、薬理学における専門用語と同じであり、投与後の第VIII因子の吸収の速度および程度に基づく。AUCは、特定の時間、例えば、12、18、24、36、48、もしくは72時間にわたって、または曲線の勾配に基づいた外挿を用いて無限大で決定される。本明細書中に特に明記されない限り、AUCは無限大で決定される。AUCの決定は、単一の対象において、または平均を計算する対象の集団において実施することができる。
【0070】
本明細書で使用される第VIII因子の「Bドメイン」は、内部アミノ酸配列同一性およびトロンビンによるタンパク質分解的切断部位、例えば、完全長ヒト第VIII因子の残基Ser741-Arg1648によって定義される当技術分野で公知のBドメインと同じである。他のヒト第VIII因子ドメインは、アミノ酸残基:A1、残基Ala1-Arg372;A2、残基Ser373-Arg740;A3、残基Ser1690-Ile2032;C1、残基Arg2033-Asn2172;C2、残基Ser2173-Tyr2332によって定義される。A3-C1-C2配列は、残基Ser1690-Tyr2332を含む。残りの配列である、残基Glu1649-Arg1689は、通常、第VIII因子軽鎖活性化ペプチドと称される。ブタ、マウス、およびイヌ第VIII因子について、Bドメインを含むドメインのすべてについての境界の位置も当技術分野で公知である。一実施形態において、第VIII因子のBドメインは、欠失している(「Bドメイン欠失第VIII因子」または「BDD FVIII」)。BDD FVIIIの一例は、REFACTO(登録商標)(組換えBDD FVIII)であり、これは、表2A(i)の配列の第VIII因子部分(配列番号2のアミノ酸1~1457または20~1457)と同じ配列を有する。別の実施形態において、Bドメイン欠失第VIII因子は、配列番号2のアルギニン残基773に対応するBドメイン欠失第VIII因子の残基754の、または配列番号6のアルギニン残基1667に対応する完全長第VIII因子の残基1648のアルギニンに対応する、無傷の細胞内プロセシング部位を含有する。別様に示されない限り、いかなる配列番号にも称されない本明細書で使用される配列残基番号は、そのシグナルペプチド配列(19アミノ酸)を含まない第VIII因子配列に対応する。例えば、完全長第VIII因子のS743/Q1638は、19アミノ酸シグナルペプチド配列のため、配列番号6のS762/Q1657に対応する。他の実施形態において、Bドメイン欠失第VIII因子は、完全長第VIII因子において、アルギニン1645に対応するアミノ酸位置での置換もしくは突然変異、アルギニン1648に対応するアミノ酸位置での置換もしくは突然変異、またはアルギニン1645およびアルギニン1648に対応するアミノ酸位置での置換もしくは突然変異を含む。幾つかの実施形態において、アルギニン1645に対応するアミノ酸位置で置換されたアミノ酸は、アルギニン1648に対応するアミノ酸位置で置換されたアミノ酸とは異なるアミノ酸である。ある特定の実施形態において、この置換または突然変異は、アルギニン以外のアミノ酸、例えば、アラニンである。
【0071】
「Bドメイン欠失第VIII因子」は、米国特許第6,316,226号、第6,346,513号、第7,041,635号、第5,789,203号、第6,060,447号、第5,595,886号、第6,228,620号、第5,972,885号、第6,048,720号、第5,543,502号、第5,610,278号、第5,171,844号、第5,112,950号、第4,868,112号、第6,458,563号(これらのそれぞれは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)で開示される完全または部分欠失を有し得る。幾つかの実施形態において、本発明のBドメイン欠失第VIII因子配列は、米国特許第6,316,226号の第4段第4行から第5段第28行および実施例1~5(またはUS第6,346,513号においても)で開示される欠失のうちのいずれか1つを含む。幾つかの実施形態において、本発明のBドメイン欠失第VIII因子は、米国特許第5,789,203号の第2段第26~51行および実施例5~8(またはUS第6,060,447号、US第5,595,886号、およびUS第6,228,620号においても)で開示される欠失を有する。幾つかの実施形態において、Bドメイン欠失第VIII因子は、米国特許第5,972,885号の第1段第25行から第2段第40行;米国特許第6,048,720号の第6段第1~22行および実施例1;米国特許第5,543,502号の第2段第17~46行;米国特許第5,171,844号の第4段第22行から第5段第36行;米国特許第5,112,950号の第2段第55~68行、
図2、および実施例1;米国特許第4,868,112号の第19段第21行および表2;米国特許第7,041,635号の第2段第1行から第3段第19行、第3段第40行から第4段67行、第7段第43行から第8段第26行、第11段第5行から第13段第39行;または米国特許第6,458,563号の第4段第25~53行に記載される欠失を有する。幾つかの実施形態において、Bドメイン欠失第VIII因子は、Bドメインの大部分が欠失しているが、国際公開WO第91/09122号(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に開示されるように、一次翻訳産物の2つのポリペプチド鎖(すなわち、細胞内プロセシング部位)へのインビボタンパク質分解処理に必須であるBドメインのアミノ末端配列を依然として含む。幾つかの実施形態において、Bドメイン欠失第VIII因子は、アミノ酸747~1638の欠失、すなわち、実質的には、Bドメインの完全欠失で構成される。Hoeben R.C.,et
al.J.Biol.Chem.265(13):7318-7323(1990)、これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。Bドメイン欠失第VIII因子はまた、第VIII因子のアミノ酸771~1666またはアミノ酸868~1562の欠失も含み得る。Meulien P.,et al.Protein Eng.2(4):301-6(1988)、これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。本発明の一部であるさらなるBドメイン欠失には、例えば、アミノ酸982~1562または760~1639の欠失(Toole et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.83:5939-5942(1986))、797~1562の欠失(Eaton et al.,Biochemistry 25:8343-8347(1986))、741~1646の欠失(Kaufman(PCT公開出願WO第87/04187号))、747~1560の欠失(Sarver et al.,DNA 6:553-564(1987))、741~1648の欠失(Pasek(PCT出願第88/00831号))、816~1598または741~1689の欠失(Lagner(Behring Inst.Mitt.(1988)No82:16-25、欧州特許第EP295597号))(これらのそれぞれは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)が含まれる。前述の欠失のそれぞれは、任意の第VIII因子配列でなされ得る。
【0072】
一実施形態において、キメラポリペプチド中のBドメイン欠失第VIII因子部分は、金属結合によって接続された(または結合された)2つの鎖にプロセスされ、第1の鎖は重鎖(A1-A2-部分的にB)を含み、第2の鎖は軽鎖(A3-C1-C2)を含む。別の実施形態において、Bドメイン欠失第VIII因子部分は、一本鎖第VIII因子である。一本鎖第VIII因子は、Bドメイン欠失第VIII因子の残基754(配列番号2の残基773)の、または完全長第VIII因子の残基1648(配列番号6の残基1657)のアルギニンに対応する細胞内プロセシング部位を含むことができる。
【0073】
重鎖と軽鎖との間の金属結合は、当技術分野で公知の任意の金属であり得る。例えば、本発明に有用な金属は、二価金属イオンであり得る。重鎖および軽鎖を結合させるために使用することができる金属としては、Ca2+、Mn2+、またはCu2+が挙げられるが、これらに限定されない。Fatouros et al.,Intern.J.Pharm.155(1):121-131(1997)、Wakabayashi et al.,JBC.279(13):12677-12684(2004)。
【0074】
本明細書で使用される「キメラポリペプチド」は、その中に異なる起源由来のポリペプチド少なくとも2つのポリペプチド(またはサブ配列もしくはペプチド)を含むポリペプチドを意味する。キメラポリペプチドは、例えば、異なる遺伝子、異なるcDNA、または異なる動物もしくは他の種等の異なる起源由来の2、3、4、5、6、7、またはそれ以上のポリペプチドを含み得る。キメラポリペプチドは、例えば、異なるサブ配列を連結する1つ以上のリンカーを含み得る。したがって、サブ配列は、単一のキメラポリペプチド内で直接連結され得るか、またはリンカーを介して、間接的に連結され得るか、あるいはそれらの両方であり得る。キメラポリペプチドは、例えば、シグナル配列等のさらなるペプチド、ならびにタンパク質の精製または検出を支援する6HisおよびFLAG等の配列等を含み得る。加えて、キメラポリペプチドは、Nおよび/またはC末端へのアミノ酸またはペプチド付加を有し得る。
【0075】
幾つかの実施形態において、キメラポリペプチドは、第VIII因子部分および非第VIII因子部分を含む。例となる非第VIII因子部分には、例えば、Fc、XTEN、アルブミン、PAS配列、トランスフェリン、CTP(4つのO-グリカンを有するヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)の28アミノ酸C末端ペプチド(CTP))、ポリエチレングリコール(PEG)、ヒドロキシエチルデンプン(HES)、アルブミン結合ポリペプチド、およびアルブミン結合小分子が含まれる。本発明の例となるキメラポリペプチドには、例えば、キメラ第VIII因子-Fcポリペプチド、キメラ第VIII因子-XTENポリペプチド、キメラ第VIII因子-アルブミンポリペプチド、キメラ第VIII因子-PASポリペプチド、キメラ第VIII因子-トランスフェリンポリペプチド、キメラ第VIII因子-CTPポリペプチド、キメラ第VIII因子-PEGポリペプチド、キメラ第VIII因子-HESポリペプチド、キメラ第VIII因子-アルブミン結合ポリペプチドポリペプチド、およびキメラ第VIII因子-アルブミン結合小分子ポリペプチドが含まれる。
【0076】
例となるキメラ第VIII因子-Fcポリペプチドには、例えば、それらのシグナル配列を含むまたは含まない、配列番号2または6(表2)、および配列番号4(表2)のキメラFcポリペプチドが含まれる。
【0077】
キメラポリペプチドは、シグナル配列を含まない表2A(i)に示される第VIII因子およびFcアミノ酸配列(配列番号2のアミノ酸20~1684)と少なくとも90%もしくは95%同一であるか、またはシグナル配列を含む表2A(i)に示される第VIII因子およびFcアミノ酸配列(配列番号2のアミノ酸1~1684)と少なくとも90%もしくは95%同一である配列を含み得、この配列は第VIII因子活性を有する。第VIII因子活性は、活性化部分トロンボプラスチン時間(aPPT)アッセイ、発色アッセイ、または他の既知の方法によって測定することができる。キメラポリペプチドは、シグナル配列を含まない表2A(i)に示される第VIII因子およびFcアミノ酸配列(配列番号2のアミノ酸20~1684)と同一であるか、またはシグナル配列を含む表2A(i)に示される第VIII因子およびFcアミノ酸配列(配列番号2のアミノ酸1~1684)と同一である配列を含み得る。
【0078】
前述のように、例となるキメラポリペプチドには、1つ以上のXTENポリペプチドと融合する第VIII因子が含まれる。Schellenburger et al.,Nat.Biotech.27:1186-90(2009)、これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。XTENポリペプチドを、FVIIIのN末端またはFVIIIのC末端のいずれかと融合し得る。プロテアーゼ部位が、XTEN部分と第VIII因子部分との間に含められて、そのようなプロセシングを可能にさせ得る。XTENポリペプチドには、例えば、WO第2009/023270号、WO第2010/091122号、WO第2007/103515号、US第2010/0189682号、およびUS第2009/0092582号(これらのそれぞれは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に開示されるものが含まれる。
【0079】
前述のように、例となるキメラポリペプチドはまた、1つ以上のアルブミンポリペプチド、アルブミン結合ポリペプチド、またはアルブミン結合小分子と融合する第VIII因子も含む。一実施形態において、アルブミンは、ヒトアルブミンである。アルブミンまたはアルブミン結合タンパク質を、FVIIIのN末端またはFVIIIのC末端のいずれかと融合し得るか、またはFVIII中の2つのアミノ酸間に挿入し得る。本発明に使用され得るアルブミン、例えばその断片の例は、例えば、米国特許第7,592,010号、米国特許第6,686,179号、およびSchulte,Thrombosis Res.124 Suppl.2:S6-S8(2009)(これらのそれぞれは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)で公知である。
【0080】
アルブミン結合ポリペプチドは、細菌アルブミン結合ドメイン、アルブミン結合ペプチド、またはアルブミンと結合することができるアルブミン結合抗体断片を含むことができるが、これらに限定されない。Kraulis et al.,FEBS Lett.378:190-194(1996)およびLinhult et al.,Protein Sci.11:206-213(2002)によって開示される、連鎖球菌プロテインG由来のドメイン3が、細菌アルブミン結合ドメインの一例である。アルブミン結合ペプチドの例には、コア配列DICLPRWGCLW(配列番号7)を有する一連のペプチドが含まれる。例えば、Dennis et al.,J.Biol.Chem.2002,277:35035-35043(2002)を参照のこと。アルブミン結合抗体断片の例は、Muller and Kontermann,Curr.Opin.Mol.Ther.9:319-326(2007)、Rooverset et al.,Cancer Immunol.Immunother.56:303-317(2007)、およびHolt et al.,Prot.Eng.Design Sci.,21:283-288(2008)(これらは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に開示されている。
【0081】
ある種の態様において、本発明の組換えFVIIIポリペプチドは、非ポリペプチド小分子、変異体、またはアルブミンと結合することができるその誘導体に対して少なくとも1つの付着部位を含む。そのようなアルブミン結合部分の例は、Trusselet et al.,Bioconjugate Chem.20:2286-2292(2009)によって開示される、2-(3-マレイミドプロパンアミド)-6-(4-(4-ヨードフェイル)ブタンアミド)ヘキサン酸塩(「Albu」タグ)である。
【0082】
上述のように、例となるキメラポリペプチドはまた、ヒト絨毛性ゴナドトロピン、またはその断片、変異体、もしくは誘導体のC末端ペプチド(CTP)の少なくとも1つのβサブユニットと融合される第VIII因子が含まれる。CTPを、FVIIIのN末端またはFVIIIのC末端のいずれかの第VIII因子と融合し得るか、またはFVIII中の2つのアミノ酸間に挿入し得る。組換えタンパク質と融合される、またはそれに挿入される1つ以上のCTPペプチドは、そのタンパク質のインビボ半減期を増大させることが知られている。例えば、米国特許第5,712,122号を参照されたく、これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。例となるCTPペプチドは、DPRFQDSSSSKAPPPSLPSPSRLPGPSDTPIL(配列番号8)またはSSSSKAPPPSLPSPSRLPGPSDTPILPQ(配列番号9)を含む。例えば、米国特許出願公開US第2009/0087411 A1号を参照されたく、参照により組み込まれる。
【0083】
上述のように、例となるキメラポリペプチドはまた、少なくとも1つのPAS配列、またはその断片、変異体、もしくは誘導体と融合される第VIII因子も含む。PAS配列を、FVIIIのN末端またはFVIIIのC末端のいずれかと融合し得るか、またはFVIII中の2つのアミノ酸間に挿入し得る。本明細書で使用されるPASペプチドまたはPAS配列は、主に、アラニンおよびセリン残基を含むか、または主にアラニン、セリン、およびプロリン残基を含む、生理学的条件下でランダムコイル構造を形成するアミノ酸配列を意味する。したがって、PAS配列は、アラニン、セリン、およびプロリンを含む、本質的にそれらからなる、またはそれらからなる、構成要素、アミノ酸ポリマー、または配列カセットであり、これらはキメラタンパク質において異種部分の一部として使用することができる。アミノ酸ポリマーはまた、アラニン、セリン、およびプロリン以外の残基がPAS配列中の副次成分として添加される場合のランダムコイル構造を形成することもできる。「副次成分」とは、アラニン、セリン、およびプロリン以外のアミノ酸を、ある程度まで、例えば、最大約12%、すなわち、PAS配列の100アミノ酸のうちの約12、最大約10%、最大約9%、最大約8%、約6%、約5%、約4%、約3%、すなわち、約2%、または約1%のアミノ酸をPAS配列中に添加することができるものを意味する。アラニン、セリン、およびプロリンとは異なるアミノ酸は、Arg、Asn、Asp、Cys、Gln、Glu、Gly、His、Ile、Leu、Lys、Met、Phe、Thr、Trp、Tyr、およびValからなる群から選択され得る。生理学的条件下で、PASペプチドは、ランダムコイル構造を形成し、それによって、本発明の組換えタンパク質への増加したインビボおよび/またはインビトロ安定性を媒介することができ、これは凝固促進活性を有する。
【0084】
PASペプチドの非限定例には、ASPAAPAPASPAAPAPSAPA(配列番号10)、AAPASPAPAAPSAPAPAAPS(配列番号11)、APSSPSPSAPSSPSPASPSS(配列番号12)、APSSPSPSAPSSPSPASPS(配列番号13)、SSPSAPSPSSPASPSPSSPA(配列番号14)AASPAAPSAPPAAASPAAPSAPPA(配列番号15)、ASAAAPAAASAAASAPSAAA(配列番号16)、もしくはその任意の変異体、誘導体、断片、またはそれらの組み合わせが含まれる。PAS配列のさらなる例は、米国特許公開第2010/0292130 A1号およびPCT出願公開WO第2008/155134 A1号、欧州出願特許第2173890号より公知である。
【0085】
上述のように、例となるキメラポリペプチドはまた、少なくとも1つのトランスフェリンペプチド、またはその断片、変異体、もしくは誘導体と融合される第VIII因子も含む。少なくとも1つのトランスフェリンペプチドを、FVIIIのN末端またはFVIIIのC末端のいずれかと融合し得るか、またはFVIII中の2つのアミノ酸間に挿入し得る。任意のトランスフェリンを、本発明の組換えFVIIIタンパク質と融合し得るか、またはその中に挿入させ得る。例としては、野生型ヒトTf(Tf)は、遺伝子重複に由来するように思われる、N(約330アミノ酸)およびC(約340アミノ酸)の2つの主要なドメインを有する(グリコシル化からなるものではない)約75KDaの679アミノ酸タンパク質である。GenBankアクセッション番号NM001063、XM002793、M12530、XM039845、XM039847、およびS95936(www.ncbi.nlm.nih.gov)を参照されたく、これらのすべては、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0086】
トランスフェリンは、トランスフェリン受容体(TfR)で媒介されたエンドサイトーシスを通じて鉄を輸送する。鉄がエンドソーム区画に放出され、Tf-TfR複合体が細胞表面に再利用された後、Tfは、鉄輸送の次のサイクルのために細胞外空間に戻って放出される。Tfは、14~17日を超える長い半減期を有する(Li et al.,Trends Pharmacol.Sci.23:206-209(2002))。トランスフェリン融合タンパク質は、半減期の延長、癌療法のための標的送達、プロインスリンの経口送達および持続的活性化について研究されている(Brandsma et al.,Biotechnol.Adv.,29:230-238(2011)、Bai et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 102:7292-7296(2005)、Kim et al.,J.Pharmacol.Exp.Ther.,334:682-692(2010)、Wang et al.,J.Controlled Release 155:386-392(2011))。
【0087】
上述のように、例となるキメラポリペプチドはまた、少なくとも1つのポリエチレングリコール(PEG)部分と融合する第VIII因子も含む。
【0088】
PEG化されたFVIIIは、FVIIIと少なくとも1つのポリエチレングリコール(PEG)分子との間に形成された複合体を指し得る。PEGは、多種多様の分子量および平均分子量の範囲で市販されている。PEGの平均分子量の範囲の典型的な例としては、約200、約300、約400、約600、約1000、約1300~1600、約1450、約2000、約3000、約3000~3750、約3350、約3000~7000、約3500~4500、約5000~7000、約7000~9000、約8000、約10000、約8500~11500、約16000~24000、約35000、約40000、約60000、および約80000ダルトンが挙げられるが、これらに限定されない。これらの平均分子量は、単に例としてのみ提供されるものであり、決して限定することを意味するものではない。
【0089】
本発明の組換えFVIIIタンパク質を、PEG化して、モノまたはポリ(例えば、2~4個の)PEG部分を含めることができる。PEG化は、当技術分野で公知の任意のPEG化反応によって実施され得る。PEG化タンパク質生成物を調製するための方法は、一般に、(i)ポリペプチドを、本発明のペプチドが、1つ以上のPEG基と結合する条件下でポリエチレングリコール(PEGの反応性エステルまたはアルデヒド誘導体)と反応させることと、(ii)反応生成物(複数を含む)を得ることと、を含む。一般に、反応のための最適な反応条件は、公知のパラメーターおよび所望の結果に基づいて個別に決定される。
【0090】
例えば、Malik F et al.,Exp.Hematol.20:1028-35(1992)、Francis,Focus on Growth Factors
3(2):4-10(1992)、欧州特許公開第0401384号、第0154316号、および第0401384号;ならびに国際特許出願公開WO第92/16221号およびWO第95/34326号等の当業者には利用可能な多くのPEG付着方法がある。非限定例として、FVIII変異体は、FVIII中の1つ以上の挿入位置でシステイン置換基を含有することができ、システインは、さらに、PEGポリマーに複合体化され得る。Mei et al.,Blood 116:270-279(2010)および米国特許第7,632,921号を参照されたく、これらは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0091】
上述のように、例となるキメラポリペプチドはまた、少なくとも1つのヒドロキシエチルデンプン(HES)ポリマーと融合する第VIII因子も含む。HESは、天然アミロペクチンの誘導体であり、体内ではアルファ-アミラーゼによって分解される。HESは、有利な生物学的特性を示し、血液用補液剤(blood volume replacement agent)として、診療所における血液希釈療法に使用されている。例えば、Sommermeyer et al.,Krankenhauspharmazie 8:271-278(1987)、およびWeidler et al.,Arzneim.-Forschung/Drug Res.41:494-498(1991)を参照のこと。
【0092】
HESは、主として分子量分布および置換度によって特徴付けられる。HESは、1~300kD、2~200kD、3~100kD、または4~70kDの平均分子量(重量平均)を有する。ヒドロキシルエチルデンプンは、さらに、0.1~3、0.1~2、0.1~0.9、または0.1~0.8のモル置換度と、ヒドロキシルエチル基に関して2~20の範囲でC2:C6置換比と、を示すことができる。約130kDの平均分子量を有するHESは、FreseniusのVoluven(登録商標)である。Voluven(登録商標)は、例えば、血液量減少の治療および予防の治療的適応に補液として使用される人工コロイドである。例えば、上述と同じPEG付着方法等の当業者には利用可能な多くのHES付着方法がある。
【0093】
幾つかの実施形態において、第VIII因子部分を含むキメラポリペプチドは、非第VIII因子部分を含まない同じ第VIII因子部分からなるポリペプチドを超える増加した半減期(t1/2)を有する。増加したt1/2を有するキメラ第VIII因子ポリペプチドは、本明細書中で長時間作用型第VIII因子と称され得る。長時間作用型キメラ第VIII因子ポリペプチドには、例えば、Fcと融合する第VIII因子(例えば、FVIIIFcの単量体二量体ハイブリッド等のハイブリッドの形態でキメラ第VIII因子ポリペプチドを含む;実施例1、
図1、および表2A;ならびに米国特許第7,404,956号および第7,348,004号を参照のこと)、XTENと融合する第VIII因子、およびアルブミンと融合する第VIII因子が含まれる。
【0094】
本明細書で使用される「培養する(Culture)」、「培養すること(to culture)」、および「培養(culturing)」は、細胞増殖または細胞分割を可能にするインビトロ条件下で、細胞をインキュベートするか、または生存状態で細胞を維持することを意味する。本明細書で使用される「培養細胞」は、インビトロで増殖する細胞を意味する。
【0095】
本明細書で使用される「第VIII因子」は、特に明記されない限り、凝血におけるその通常の役割における、機能的第VIII因子ポリペプチドを意味する。したがって、第VIII因子という用語は、機能的な変異体ポリペプチドを含む。第VIII因子タンパク質は、ヒト、ブタ、イヌ、およびネズミ第VIII因子タンパク質であり得る。背景技術の項で記載されるように、完全長ポリペプチドおよびポリヌクレオチド配列が知られており、多くの機能的断片、突然変異体、および修飾バージョンも同様である。ヒト第VIII因子配列の例は、配列番号2または6(表2)においてサブ配列として示される。第VIII因子ポリペプチドには、例えば、完全長第VIII因子、N末端でMetがない完全長第VIII因子、成熟第VIII因子(シグナル配列がない)、N末端でさらなるMetを有する成熟第VIII因子、および/またはBドメインが完全もしくは部分的に欠失した第VIII因子が含まれる。第VIII因子変異体には、部分欠失または完全欠失に関わらず、Bドメイン欠失が含まれる。
【0096】
前述および後述のように、非常に多くの機能的第VIII因子変異体が知られている。加えて、第VIII因子における数百の非機能的突然変異が血友病患者で同定され、これらの突然変異の第VIII因子機能に対する影響は、置換の性質よりも、第VIII因子の3次元構造内のどこにそれらがあるかによるものであることが見出されている(Cutler et al.,Hum.Mutat.19:274-8(2002))、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。加えて、ヒトおよび他の種由来の第VIII因子の比較により、機能に必要とされる可能性がある保存された残基が特定されている(Cameron et al.,Thromb.Haemost.79:317-22(1998)、米国特許US第6,251,632号)、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0097】
ヒト第VIII因子遺伝子が哺乳動物細胞で単離され、発現され(Toole,J.J.,et al.,Nature 312:342-347(1984)、Gitschier,J.,et al.,Nature 312:326-330(1984)、Wood,W.I.,et al.,Nature 312:330-337(1984)、Vehar,G.A.,et al.,Nature 312:337-342(1984)、国際公開WO第87/04187号、WO第88/08035号、WO第88/03558号、米国特許第4,757,006号)(これらのそれぞれは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)、そしてアミノ酸配列がcDNAから推定された。Caponらの米国特許第4,965,199号(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)は、哺乳動物宿主細胞における第VIII因子の産生およびヒト第VIII因子の精製のための組換えDNA法を開示している。CHO(チャイニーズハムスター卵巣)細胞およびBHKC(ベビーハムスター腎臓細胞)におけるヒト第VIII因子発現が報告されている。Bドメインの一部またはすべてを欠失するためにヒト第VIII因子を修飾し(米国特許第4,994,371号および第4,868,112号、これらのそれぞれは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)、ヒト第VIII因子Bドメインのヒト第V因子Bドメインでの置換が実施されている(米国特許第5,004,803号、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。ヒト第VIII因子をコードするcDNA配列および予想されるアミノ酸配列はそれぞれ、米国特許出願公開第2005/0100990号(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)の配列番号1および2で示される。
【0098】
米国特許第5,859,204号、Lollar,J.S.(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)は、抗原性が減少し、かつ免疫反応性が減少した第VIII因子の機能的突然変異を報告している。米国特許第6,376,463号、Lollar,J.S.(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)もまた、免疫反応性が減少した第VIII因子の突然変異を報告している。Saenkoらの米国特許出願公開第2005/0100990号(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)は、第VIII因子のA2ドメインにおける機能的突然変異を報告している。
【0099】
Bドメイン欠失を含む多くの機能的第VIII分子が、以下の特許で開示されている:米国特許第6,316,226号および第6,346,513号、どちらもBaxterに譲渡;米国特許第7,041,635号、In2Genに譲渡;米国特許第5,789,203号、米国特許第6,060,447号、米国特許第5,595,886号、および米国特許第6,228,620号、Chironに譲渡;米国特許第5,972,885号および米国特許第6,048,720号、Biovitrumに譲渡、米国特許第5,543,502号および米国特許第5,610,278号、Novo Nordiskに譲渡;米国特許第5,171,844号、Immuno Agに譲渡;米国特許第5,112,950号、Transgene S.A.に譲渡;米国特許第4,868,112号、Genetics Instituteに譲渡、(これらのそれぞれは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。
【0100】
ブタ第VIII因子配列が公開され(Toole,J.J.,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 83:5939-5942(1986))(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)、ブタ膵臓cDNAライブラリーからの第VIII因子配列のPCR増幅から得られる完全ブタcDNA配列が報告されている(Healey,J.F.et al.,Blood 88:4209-4214(1996)、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。全ドメイン、全サブユニット、および特異的アミノ酸配列の置換を有するハイブリッドヒト/ブタ第VIII因子が、LollarおよびRungeによる米国特許第5,364,771号、ならびに国際公開第93/20093号(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)で開示された。より最近では、ブタ第VIII因子のA1およびA2ドメインのヌクレオチドおよび対応するアミノ酸配列ならびにブタA1および/またはA2ドメインが対応するヒトドメインで置換されたキメラ第VIII因子が国際公開第94/11503号(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)で報告された。米国特許第5,859,204号、Lollar,J.S.も、ブタcDNAおよび推定されたアミノ酸配列を開示する。Emoryに譲渡された米国特許第6,458,563号(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)は、Bドメイン欠失ブタ第VIII因子を開示する。
【0101】
第VIII因子(またはキメラポリペプチドの第VIII因子部分)は、シグナル配列を含まない表2に示される第VIII因子アミノ酸配列(配列番号2のアミノ酸20~1457および配列番号6のアミノ酸20~2351)と少なくとも90%または95%同一であり得、当該第VIII因子部分は、第VIII因子活性を有する。第VIII因子(またはキメラポリペプチドの第VIII因子部分)は、シグナル配列を含まない表2に示される第VIII因子アミノ酸配列(配列番号2のアミノ酸20~1457および配列番号6のアミノ酸20~2351)と同一であり得る。
【0102】
第VIII因子(またはキメラポリペプチドの第VIII因子部分)は、シグナル配列を含む表2に示される第VIII因子アミノ酸配列(配列番号2のアミノ酸1~1457および配列番号6のアミノ酸1~2351)と少なくとも90%または95%同一であり得、当該第VIII因子部分は、第VIII因子活性を有する。第VIII因子(またはキメラポリペプチドの第VIII因子部分)は、シグナル配列を含む表2に示される第VIII因子アミノ酸配列(配列番号2のアミノ酸1~1457および配列番号6のアミノ酸1~2351)と同一であり得る。
【0103】
本明細書で使用される「等価用量」は、国際単位で表されるのと同じ用量の第VIII因子活性を意味し、これは問題のポリペプチドの分子量に無関係である。1国際単位(IU)の第VIII因子活性は、1ミリリットルの正常ヒト血漿中の第VIII因子の量にほぼ相当する。ヨーロッパ薬局方発色基質アッセイおよび一段階凝固アッセイを含む幾つかのアッセイが、第VIII因子活性を測定するために利用可能である。
【0104】
本明細書で使用される「Fc」は、特に明記されない限り、機能的な新生児Fc受容体(FcRn)結合パートナーを意味する。FcRn結合パートナーは、FcRn受容体によって特異的に結合され得、その結果、FcRn受容体によって該FcRn結合パートナーが能動輸送される、任意の分子である。したがって、Fcという用語には、機能的であるIgG Fcの任意の変異体が含まれる。FcRn受容体に結合するIgGのFc部分の領域は、X線結晶学に基づいて、記載されている(Burmeister et al.、Nature 372:379(1994)、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。FcRnとFcの主な接触領域は、CH2ドメインおよびCH3ドメインの接合部付近である。Fc-FcRn接点はすべて、単一Ig重鎖内である。FcRn結合パートナーには、例えば、IgG全体、IgGのFc断片、およびFcRnの完全結合領域を含むIgGの他の断片が含まれる。主な接触部位には、CH2ドメインのアミノ酸残基248、250~257、272、285、288、290~291、308~311、および314、ならびにCH3ドメインのアミノ酸残基385~387、428、および433~436が含まれる。免疫グロブリンもしくは免疫グロブリン断片、または領域のアミノ酸番号付けに対して行う言及はすべて、Kabat et al.1991,Sequences of Proteins of Immunological Interest,U.S.Department of Public Health,Bethesda;MDに基づき、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。(FcRn受容体は、ヒトを含む幾つかの哺乳類種から単離されている。ヒトFcRn、ラットFcRn、およびマウスFcRnの配列が知られている(Story et al.,J.Exp.Med.180:2377(1994)、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。Fcは、免疫グロブリンのヒンジ領域を含むまたは含まない免疫グロブリンのCH2ドメインおよびCH3ドメインを含んでもよい。例となるFc変異体は、国際公開第2004/101740号および第2006/074199号に提供され、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0105】
Fc(またはキメラポリペプチドのFc部分)は、1つ以上の突然変異体、および突然変異体の組み合わせを含有してもよい。
【0106】
Fc(またはキメラポリペプチドのFc部分)は、Oganesyan et al.,Mol.Immunol.46:1750(2009)(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に開示される、M252Y、S254T、T256E、およびその組み合わせ、ならびにVaccaro et al.,Nat.Biotechnol.23:1283(2005)(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に開示される、H433K、N434F、およびその組み合わせ等の増加した半減期を付与する突然変異体、1~2頁の段落[0012]、および米国特許第2009/0264627 A1号の実施例9および10(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に開示される変異体、ならびに米国特許第20090163699 A1号の2頁の段落[0014]~[0021](参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に開示される突然変異体を含んでもよい。
【0107】
Fc(またはキメラポリペプチドのFc部分)はまた、例えば、以下の突然変異体を含んでもよい。部位特異的変異形成等のよく認識される手法に従って、IgGのFc領域を修飾して、FcRnによって結合されるであろう修飾IgGまたはFc断片またはその部分を得ることも可能である。そのような修飾には、FcRn接触部位から遠く離れた修飾、ならびにFcRnへの結合を保持するかまたはさらには増強する接触部位内の修飾が含まれる。例えば、ヒトIgG1 Fc中の以下の1つのアミノ酸残基(Fcy1)が、FcRnに対するFc結合親和性を著しく失うことなく置換され得る:P238A、S239A、K246A、K248A、D249A、M252A、T256A、E258A、T260A、D265A、S267A、H268A、E269A、D270A、E272A、L274A、N276A、Y278A、D280A、V282A、E283A、H285A、N286A、T289A、K290A、R292A、E293A、E294A、Q295A、Y296F、N297A、S298A、Y300F、R301A、V303A、V305A、T307A、L309A、Q311A、D312A、N315A、K317A、E318A、K320A、K322A、S324A、K326A、A327Q、P329A、A330Q、A330S、P331A、P331S、E333A、K334A、T335A、S337A、K338A、K340A、Q342A、R344A、E345A、Q347A、R355A、E356A、M358A、T359A、K360A、N361A、Q362A、Y373A、S375A D376A、A378Q、E380A、E382A、S383A、N384A、Q386A、E388A、N389A、N390A、Y391F、K392A、L398A、S400A、D401A、D413A、K414A、R416A、Q418A、Q419A、N421A、V422A、S424A、E430A、N434A、T437A、Q438A、K439A、S440A、S444A、およびK447A。ここで、例えば、P238Aは、位置番号238で野生型プロリンがアラニンによって置換されたことを示す。アラニンに加えて、他のアミノ酸が、上記に明記される位置で野生型アミノ酸を置換することも可能である。突然変異体を単独でFcに導入して、天然Fcと異なる、100を超えるFcRn結合パートナーを生じることも可能である。さらに、これらの個々の突然変異体のうちの2つ、3つ、またはそれ以上からなる組み合わせを、一緒に導入して、さらに数百のFcRn結合パートナーを生じることも可能である。ある種のこれらの変異は、FcRn結合パートナーに新たな機能性を与えることも可能である。例えば、1つの実施形態は、N297Aを取り込み、高度に保存されたN-グリコシル化部位を取り除く。この突然変異の効果は、免疫原性を減少させ、それによってFcRn結合パートナーの循環半減期を増強すること、ならびにFcRnに対する親和性を損なうことなく、FcyRI、FcyRIIA、FcyRIIB、およびFcyRIIIAと結合することができなくなるようにすることである(Routledge et al.1995,Transplantation 60:847、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる;Friend et al.1999,Transplantation 68:1632、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる;Shields et al.1995,J.Biol.Chem.276:6591、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。さらに、少なくとも3つのヒトFcガンマ受容体が、下部ヒンジ領域、一般にアミノ酸234~237内のIgG上の結合部位を認識するようである。したがって、新しい機能および可能性が減少した免疫原性の別の例は、例えば、ヒトIgG1「ELLG」のアミノ酸233~236をIgG2「PVA」からの対応する配列(1つのアミノ酸欠失を有する)と置換することによって、この領域の突然変異から生じることも可能である。様々なエフェクター機能を媒介するFcyRI、FcyRII、およびFcyRIIIは、そのような突然変異が導入されるとき、IgG1と結合しないことが示されている(Ward and Ghetie,Therapeutic Immunology 2:77(1995)、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる;およびArmour et al.,Eur.J.Immunol.29:2613(1999)、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。上記の突然変異から生じる新たな機能性のさらなる例として、場合によっては、FcRnに対する親和性を、野生型のものより増加させることも可能である。この増加した親和性は、「オン」速度の増加、「オフ」速度の減少、または「オン」速度の増加および「オフ」速度の減少の両方を反映する可能性がある。FcRnに対する増加した親和性を付与すると考えられる突然変異としては、例えば、T256A、T307A、E380A、およびN434Aが含まれる(Shields et al.、J.Biol.Chem.276:6591(2001)、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。
【0108】
Fc(またはキメラポリペプチドのFc部分)は、表2に示されるFcアミノ酸配列(配列番号2のアミノ酸1458~1684または配列番号6のアミノ酸2352~2578)と少なくとも90%または95%同一であり得る。Fc(またはキメラポリペプチドのFc部分)は、表2に示されるFcアミノ酸配列(配列番号2のアミノ酸1458~1684および配列番号6のアミノ酸2352~2578)と同一であり得る。
【0109】
本明細書で使用される「ハイブリッド」ポリペプチドおよびタンパク質は、キメラポリペプチドの第2ポリペプチドとの組み合わせを意味する。ハイブリッド中のキメラポリペプチドおよび第2のポリペプチドは、タンパク質間相互作用、例えば、電荷間相互作用または疎水性相互作用により互いに結合し得る。ハイブリッド中のキメラポリペプチドおよび第2のポリペプチドは、ジスルフィド結合または他の共有結合(複数を含む)により互いに結合し得る。ハイブリッドは、国際公開第2004/101740号および国際公開第2006/074199号(これらのそれぞれは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されている。米国特許第7,404,956号および第7,348,004号も参照されたく、これらのそれぞれは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。第2ポリペプチドは、同一のキメラポリペプチドの第2のコピーであっても、同一でないキメラポリペプチドであってもよい。例えば、
図1、実施例1、および表2を参照のこと。一実施形態において、第2のポリペプチドは、Fcを含むポリペプチドである。別の実施形態において、キメラポリペプチドは、キメラ第VIII因子-Fcポリペプチドであり、第2のポリペプチドは、Fcから本質的になる、例えば、介在するリンカー配列のない、ヒトIgG1の二量体Fcドメインと融合する組換えBドメイン欠失ヒトFVIII(BDD-rFVIII)の1つの分子からなるrFVIIIFc組換え融合タンパク質である実施例1のハイブリッドポリペプチドである。このハイブリッドポリペプチドは、本明細書中では、FVIIIFc単量体Fc融合タンパク質、FVIIIFc単量体ハイブリッド、単量体FVIIIIFcハイブリッド、およびFVIIIFc単量体-二量体と称される。実施例1、
図1、および表2Aを参照のこと。実施例は、このハイブリッドポリペプチドについての前臨床および臨床データを提供する。
【0110】
ハイブリッド中の第2のポリペプチドは、シグナル配列を含まない表2A(ii)に示されるアミノ酸配列(配列番号4のアミノ酸21~247)と少なくとも90%もしくは95%同一であるか、またはシグナル配列を含む表2A(ii)に示されるアミノ酸配列(配列番号4のアミノ酸1~247)と少なくとも90%もしくは95%同一である配列を含み得るか、またはこの配列から本質的になり得る。第2のポリペプチドは、シグナル配列を含まない表2A(ii)に示されるアミノ酸配列(配列番号4のアミノ酸21~247)と同一であるか、またはシグナル配列を含む表2A(ii)に示されるアミノ酸配列(配列番号4のアミノ酸1~247)と同一である配列を含み得るか、またはこの配列から本質的になり得る。
【0111】
図1は、Bドメイン欠失第VIII因子-Fcキメラポリペプチドの構造、およびFcポリペプチドである第2のポリペプチドとの関連を示す略図である。このハイブリッドを得るために、逆転写-ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)によりヒト肝臓ポリA RNA(Clontech)からFVIII特異的ポリマーを用いて、ヒト組換えBドメイン欠失FVIIIのコード配列を得た。FVIII配列は、FVIIIの天然のシグナル配列を含む。Bドメイン欠失は、セリン743(S743;2287bp)からグルタミン1638(Q1638;4969bp)までの、合計2682bpの欠失であった。次いで、RT-PCRによりヒト白血球cDNAライブラリー(Clontech)からFc特異的ポリマーを用いて、ヒト組換えFcのコード配列を得た。Bドメイン欠失FVIII配列が介在するリンカーなしで、Fc配列のN末端に直接融合するように、プライマーを設計した。FVIIIFc DNA配列を、哺乳動物二重発現ベクターpBUDCE4.1(Invitrogen)中にCMVプロモーターの制御下でクローンした。マウスIgkシグナル配列を含む第2の同じFc配列を、RT-PCRにより得、発現ベクターpBUDCE4.1中で第2のプロモーターであるEF1αの下流にクローンした。
【0112】
rFVIIIFc発現ベクターを、Lipofectamine2000トランスフェクション試薬(Invitrogen)を用いてヒト胚腎臓293細胞(HEK293H;Invitrogen)にトランスフェクトした。Zeocin(Invitrogen)での選択により安定なクローン細胞株を生成させた。1つのクローン細胞株である3C4-22を用いて、インビボでの特徴付けのためにFVIIIFcを生成させた。組換えFVIIIFcをBiogen Idec(Cambridge,MA)で産生し、精製した(McCue et al.2009)。上述のトランスフェクション戦略は、3つの生成物、すなわち、単量体rFVIIIFcハイブリッド、二量体rFVIIIFcハイブリッド、および二量体Fcを産出することが予測された。しかしながら、これらの細胞から馴化培地では二量体rFVIIIFcは本質的に検出されなかった。むしろ、馴化培地は、Fcおよび単量体rFVIIIFcを含んだ。二量体rFVIIIFcのサイズは大きすぎて、細胞からの十分な分泌を阻止した可能性がある。この結果は、モノマーの精製を3つのタンパク質すべてが存在する場合よりも複雑にしないので、この結果は有益であった。これらの試験で使用した物質は、約9000IU/mgの比活性を有していた。
【0113】
一実施形態において、本発明のポリペプチドが、高レベルのフォンウィルブランド因子(VWF)を発現する患者に投与される。本明細書で使用される「対象」または「患者」は、ヒト個人を意味する。対象は、現在、出血性障害に苦しんでいる、またはそのような治療を必要とすることが予想される患者であり得る。「対象」は、成人または小児対象を含むことができる。小児対象は、12歳未満の小児患者であり得る。本明細書で使用される「小児科」という用語は、乳児および子供のケアおよび彼らの疾患の治療に対処する科である。一実施形態において、対象は、重篤な血友病Aであると診断されている小児患者である。特定の実施形態において、小児対象は、本発明の長時間作用型第VIII因子ポリペプチドによって治療される。
【0114】
VWFは、様々な形態の分子量が、それぞれの単量体サブユニットについての約230kDaからより大きな分子量の多量体形態における2000万Da超までの間で変動し、かくして公知の最大の可溶性タンパク質を形成する、多量体構造を有する血漿タンパク質である。その血漿濃度は、およそ5~10μg/mL前後(Siedlecki et al.,Blood,vol 88:2939-2950(1996))であり、より小さいサイズの血漿形態は、約500kDaのサイズを持つ二量体に対応する。
【0115】
VWFは、損傷を受けた血管表面に対する血小板の付着、ひいてはフィブリン凝集物の形成機序がその上で展開する血小板血栓の形成が関与しており、一次止血において重要な役割を果たす。より高い分子量の多量体がさらに効率良く内皮下層に対する血小板付着機序を支援することが示唆され、VWF濃縮物の臨床的効能は、より高い分子量のこれらの多量体の濃度に関係付けられている(Metzner et al.,Haemophilia 4:25-32(1998)。
【0116】
したがって、高レベルのVWFを発現する対象は、より低いまたは正常レベルのVWFを発現する対象と比較してあまり頻繁でないFVIIIの投与を必要とするであろう。血漿中のVWFの平均範囲は、約50IU/dL~約200IU/dLである。一実施形態において、血漿中のVWFの平均レベルは、約50IU/dLである。別の実施形態において、少なくとも約100IU/dLの血漿中のVWFレベルは、高VWFレベルであると見なされる。別の実施形態において、血漿中の高レベルのVWFは、約100IU/dL~約200IU/dLである。別の実施形態において、血漿中の高レベルのVWFは、少なくとも約110IU/dL、約120IU/dL、約130IU/dL、約140IU/dL、約150IU/dL、約160IU/dL、約170IU/dL、約180IU/dL、約190IU/dL、または約200IU/dLである。
【0117】
したがって、一実施形態において、少なくとも約100IU/dLの血漿VWFを発現する対象に、長い間隔の投与レジメンで本発明の長時間作用型FVIIIポリペプチドが投与される。一実施形態において、長時間作用型FVIIIポリペプチドは、少なくとも約3日の投与間隔で投与される。別の実施形態において、長時間作用型FVIIIポリペプチドは、1週間ごとに少なくとも約1回、2週間ごとに約1回、15日ごとに約1回、20日ごとに約1回、3週間ごとに約1回、25日ごとに約1回、4週間ごとに約1回、または1ヶ月ごとに約1回の投与間隔で投与される。
【0118】
一実施形態において、対象は、高レベルのVWFを有するものとして以前に特定された。ある特定の実施形態において、O以外の血清型(すなわち、A、B、またはAB)を有する対象は、長時間作用型FVIIIがこれらの対象においてより長い半減期を有するため、長時間作用型FVIIIの頻繁な投与をあまり必要としない。これらの対象において、増加した半減期は、それらの上昇したVWFレベルによるものである。
【0119】
さらに、薬物吸収、分布、代謝、および排せつの時間経過の試験として画定される薬物動態データは、本発明の長時間作用型FVIIIポリペプチドを用いて、より長いまたは短い投与間隔にふさわしい対象の識別子として使用することができる。臨床薬物動態は、個々の患者における薬物の安全性および有効性の治療管理への薬物動態の原則の適用である。臨床薬物動態の主要目的は、患者の薬物療法の有効性を増強することと、その毒性を減少させることと、を含む。薬物濃度とそれらの薬理反応との間の強い相関関係の発生は、臨床医が実際の患者の状況に薬物動態の原則を適用することを可能にする。
【0120】
したがって、一実施形態において、本発明のFVIII-Fcポリペプチドの半減期が、高レベルのVWFを発現する患者を特定するために使用される。FVIII-Fcの半減期の範囲は、約10~約40時間であり、存在するVWFのレベルにおいて少なくとも一部分において異なる。しかしながら、平均して、FVIII-Fcの半減期は、約18時間である。一般に、FVIII-Fcは、平均レベルのVWFを有する個人に投与される場合、FVIII-Fcの半減期と比較して、高レベルのVWFを有する患者において少なくとも約1.2倍の増加した半減期を示す。一実施形態において、FVIII-Fcは、平均レベルのVWFを有する個人に投与される場合、FVIII-Fcの半減期と比較して、少なくとも約1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、または2.5倍の増加した半減期を示す。一実施形態において、高レベルのVWFを発現する対象におけるFVIII-Fcの半減期は、少なくとも約20時間~約40時間である。別の実施形態において、FVIII-Fcの半減期は、少なくとも約21時間、22時間、23時間、24時間、25時間、26時間、27時間、28時間、29時間、30時間、31時間、32時間、33時間、34時間、35時間、36時間、37時間、38時間、39時間、または40時間である。一実施形態において、高レベルのVWFを発現する対象におけるFVIII-Fcの半減期は、約20~約27時間である。したがって、一実施形態において、平均値と比較したFVIII-Fcの増加した半減期は、本発明の長時間作用型FVIIIポリペプチドを用いたより長い投与間隔にふさわしい対象を示す。
【0121】
別の実施形態において、短時間作用型FVIIIポリペプチドの半減期が、高レベルのVWFを発現する患者を特定するために使用される。本明細書で使用される「短時間作用型FVIII」という用語は、半減期延長要素を添加しないFVIIIポリペプチドを指す。一実施形態において、短時間作用型FVIIIポリペプチドは、完全長またはBドメイン欠失FVIIIからなる。短時間作用型FVIIIポリペプチドの例は、Advate(登録商標)およびReFacto(登録商標)である。
【0122】
短時間作用型FVIIIの半減期はまた、VWFレベルに応じて少なくとも一部分において異なるため、短時間作用型FVIIIポリペプチドはまた、本発明の長時間作用型FVIIIポリペプチドのより長い投与間隔にふさわしい患者を特定するために使用することもできる。一実施形態において、短時間作用型FVIIIは、平均レベルのVWFを有する個人に投与される場合の短時間作用型FVIIIの半減期と比較して、高レベルのVWFを発現する個人において少なくとも約1.2倍の増加した半減期を示す。別の実施形態において、短時間作用型FVIIIは、平均レベルのVWFを有する個人に投与される場合の短時間作用型FVIIIの半減期と比較して、高レベルのVWFを発現する個人において少なくとも約1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、または2.5倍の増加した半減期を示す。したがって、個人が短時間作用型FVIIIを投与される場合、少なくとも約1.2倍の半減期を示す個人は、本発明の長時間作用型FVIIIポリペプチドを用いたより長い投与間隔にふさわしい。
【0123】
本明細書で使用される「投与間隔」は、対象に投与される複数回投与間で経過する投与時間を意味する。投与間隔の比較は、単一の対象において、または対象集団において実行することができ、次いで、その集団において得られた平均を計算することができる。
【0124】
キメラ第VIII因子ポリペプチド、例えば、本発明のキメラ第VIII因子-Fcポリペプチド(第VIII因子またはハイブリッドを含むポリペプチド)を投与する場合の投与間隔は、非第VIII因子部分を含まない、例えば、Fc部分を含まない等価用量の当該第VIII因子(当該第VIII因子からなるポリペプチド)に必要とされる投与間隔よりも少なくとも約1.5倍長くあり得る。投与間隔は、非第VIII因子部分を含まない、例えば、Fc部分を含まない等価用量の当該第VIII因子(当該第VIII因子からなるポリペプチド)に必要とされる投与間隔よりも少なくとも約1.5~6倍長いか、1.5~5倍長いか、1.5~4倍長いか、1.5~3倍長いか、または1.5~2倍長くあり得る。投与間隔は、非第VIII因子部分を含まない、例えば、Fc部分を含まない等価用量の当該第VIII因子(当該第VIII因子からなるポリペプチド)に必要とされる投与間隔よりも少なくとも約1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5.5.5、または6倍長くあり得る。投与間隔は、約3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、もしくは14日ごと、またはそれ以上であり得る。投与間隔は、少なくとも約1.5~5、1.5、2、3、4、もしくは5日、またはそれ以上であり得る。オンデマンド治療については、当該キメラポリペプチドまたはハイブリッドの投与間隔は、24~36、24~48、24~72、24~96、24~120、24~144、24~168、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、もしくは72時間ごとまたはそれ以上で約1回である。
【0125】
一実施形態において、有効量は、25~80IU/kg(25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、62、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、もしくは80IU/kg)であり、投与間隔は、3~5、3~6、3~7、3、4、5、6、7、もしくは8日ごとまたはそれ以上で1回、または1週間ごとに3回、または1週間ごとに3回以下である。一実施形態において、有効量は、80IU/kgであり、投与間隔は、3日ごとに1回である。さらなる実施形態において、3日ごとの投与間隔で与えられる80IU/kgの有効量を、小児対象に投与する。別の実施形態において、有効量は、65IU/kgであり、投与間隔は、1週間に1回、または6~7日ごとに1回である。この用量は、必要である限り、繰り返しされ得る(例えば、少なくとも10、20、28、30、40、50、52、または57週間、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10年間)。
【0126】
ある特定の実施形態において、オンデマンド治療のための有効量は、20~50IU/Kg(20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、または50IU/kg)である。オンデマンド治療は、1回の投与または繰り返し投与であり得る。繰り返し投与については、投与間隔は、12~24時間ごと、24~36時間ごと、24~48時間ごと、36~48時間ごと、または48~72時間ごとであり得る。
【0127】
「長時間作用型第VIII因子」は、参照第VIII因子を上回る増加した半減期(本明細書中で、t1/2、t1/2ベータ、排出半減期、およびHLと称される)を有する第VIII因子である。長時間作用型第VIII因子の増加した半減期は、1つ以上の非第VIII因子ポリペプチド、例えば、Fc、XTEN、アルブミン、PAS配列、トランスフェリン、CTP(4つのO-グリカンを有するhCGの28アミノ酸C末端ペプチド(CTP))、ポリエチレングリコール(PEG)、ヒドロキシエチルデンプン(HES)、アルブミン結合ポリペプチド、アルブミン結合小分子等、またはそれらの2つ以上の組み合わせに対する融合によるものであり得る。増加した半減期は、例えば、ペグ化等の1つ以上の修飾によるものであり得る。例となる長時間作用型第VIII因子ポリペプチドには、例えば、Fcを含むキメラ第VIII因子ポリペプチド、XTENを含むキメラ第VIII因子ポリペプチド、およびアルブミンを含むキメラ第VIII因子ポリペプチドが含まれる。さらなる例となる長時間作用型第VIII因子ポリペプチドには、例えば、ペグ化第VIII因子が含まれる。
【0128】
長時間作用型キメラ第VIII因子ポリペプチドの場合、「参照」ポリペプチドは、例えば、Fc部分、XTEN部分、またはアルブミン部分を含まない同じ第VIII因子部分等のキメラポリペプチドの第VIII因子部分から本質的になるポリペプチドである。同様に、修飾第VIII因子の場合、参照ポリペプチドは、修飾されていない同じ第VIII因子、例えば、ペグ化されていない第VIII因子である。
【0129】
幾つかの実施形態において、長時間作用型第VIII因子は、対象に投与される場合に以下の特性のうちの1つ以上を有する:
約14~41.3時間の当該対象における平均滞留時間(MRT)(活性)、
約1.22~5.19mL/時間/kg以下の当該対象におけるクリアランス(CL)(活性)、
約11~26.4時間の当該対象におけるt1/2ベータ(活性)、
1IU/kg当たり約1.38~2.88IU/dLの当該対象における増分回収率(K値)(活性;観察値)、
約37.7~79.4mL/kgの当該対象におけるVss(活性)、および
1IU/kg当たり約19.2~81.7IU*h/dLの当該対象におけるAUC/用量。
【0130】
幾つかの実施形態において、長時間作用型第VIII因子は、患者集団に投与される場合に以下の特性のうちの1つ以上を有する:
1IU/kg当たり1.38IU/dLを超える平均増分回収率(K値)(活性;観察値)、
1IU/kg当たり少なくとも約1.5、少なくとも約1.85、もしくは少なくとも約2.46IU/dLの平均増分回収率(K値)(活性;観察値)、
約2.33±1.08mL/時間/kg以下の当該患者集団における平均クリアランス(CL)(活性)、
約1.8~2.69mL/時間/kgの当該患者集団における平均クリアランス(CL)(活性)、
修飾がなく当該第VIII因子を含むポリペプチドのクリアランスの約65%である当該患者集団における平均クリアランス(CL)(活性)、
少なくとも約26.3±8.33時間の当該患者集団における平均平均滞留時間(MRT)(活性)、
約25.9~26.5時間の当該患者集団における平均MRT(活性)、修飾がなく当該第VIII因子を含むポリペプチドの平均MRTよりも約1.5倍長い当該患者集団における平均MRT(活性)、
約18.3±5.79時間の当該患者集団における平均t1/2ベータ(活性)、
約18~18.4時間である当該患者集団における平均t1/2ベータ(活性)、
修飾がなく当該第VIII因子を含むポリペプチドの平均t1/2ベータよりも約1.5倍長い当該患者集団における平均t1/2ベータ(活性)、
1IU/kg当たり約2.01±0.44IU/dLの当該患者集団における平均増分回収率(K値)(活性;観察値)、
1IU/kg当たり約1.85~2.46IU/dLの当該患者集団における平均増分回収率(K値)(活性;観察値)、
修飾がなく当該第VIII因子を含むポリペプチドの平均増分回収率の約90%である当該患者集団における平均増分回収率(K値)(活性;観察値)、
約55.1±12.3mL/kgの当該患者集団における平均Vss(活性)、
約45.3~56.1mL/kgの当該患者集団における平均Vss(活性)、
1IU/kg当たり約49.9±18.2IU*h/dLの当該患者集団における平均AUC/用量(活性)、
1IU/kg当たり約44.8~57.6IU*h/dLの当該患者集団における平均AUC/用量(活性)。
【0131】
他の実施形態において、長時間作用型第VIII因子は、患者集団に投与される場合に以下の特性のうちの1つ以上を有する:
キメラポリペプチドが投与された当該対象におけるCmax_OBSが、一段階(aPTT)アッセイまたは二段階(発色)アッセイによって測定される場合、完全長成熟第VIII因子からなる同じ量のポリペプチドが投与された対象におけるCmax_OBSに匹敵する、
約25IU/kgのキメラポリペプチドが投与される場合、一段階(aPTT)アッセイによって測定される、約60.5IU/dL、約60.5±1IU/dL、約60.5±2IU/dL、約60.5±3IU/dL、約60.5±4IU/dL、約60.5±5IU/dL、約60.5±6IU/dL、約60.5±7IU/dL、約60.5±8IU/dL、約60.5±9IU/dL、もしくは約60.5±10IU/dLの当該対象におけるCmax_OBS、
約25IU/kgのキメラポリペプチドが投与される場合、一段階(aPTT)アッセイによって測定される、約53.1~69IU/dLの当該対象におけるCmax_OBS、
約65IU/kgのキメラポリペプチドが投与される場合、一段階(aPTT)アッセイによって測定される、約119IU/dL、約119±1IU/dL、約119±2IU/dL、約119±3IU/dL、約119±4IU/dL、約119±5IU/dL、約119±6IU/dL、約119±7IU/dL、約119±8IU/dL、約119±9IU/dL、約119±10IU/dL、約119±11IU/dL、約119±12IU/dL、約119±13IU/dL、約119±14IU/dL、約119±15IU/dL、約119±16IU/dL、約119±17IU/dL、もしくは約119±18IU/dLの当該対象におけるCmax_OBS、
約65IU/kgのキメラポリペプチドが投与される場合、一段階(aPTT)アッセイによって測定される、約103~136IU/dLの当該対象におけるCmax_OBS、
約25IU/kgのキメラポリペプチドが投与される場合、二段階(発色)アッセイによって測定される、約76.5IU/dL、約76.5±1IU/dL、約76.5±2IU/dL、約76.5±3IU/dL、約76.5±4IU/dL、約76.5±5IU/dL、約76.5±6IU/dL、約76.5±7IU/dL、約76.5±8IU/dL、約76.5±9IU/dL、約76.5±10IU/dL、約76.5±11IU/dL、約76.5±12IU/dL、約76.5±13IU/dL、約76.5±14IU/dL、もしくは約76.5±15IU/Dlの当該対象におけるCmax_OBS、
約25IU/kgのキメラポリペプチドが投与される場合、二段階(発色)アッセイによって測定される、約64.9~90.1IU/dLの当該対象におけるCmax_OBS、
約65IU/kgのキメラポリペプチドが投与される場合、二段階(発色)アッセイによって測定される、約182IU/dL、約182±2IU/dL、約182±4IU/dL、約182±6IU/dL、約182±8IU/dL、約182±10IU/dL、約182±12IU/dL、約182±14IU/dL、約182±16IU/dL、約182±18IU/dL、もしくは約182±20IU/dLの当該対象におけるCmax_OBS、または
約65IU/kgのキメラポリペプチドが投与される場合、二段階(発色)アッセイによって測定される、約146~227IU/dL、約146±5IU/dL、約146±10IU/dL、約227±5IU/dL、もしくは約146±10IU/dLの当該対象におけるCmax_OBS。
【0132】
ある特定の実施形態において、長時間作用型第VIII因子は、患者集団に投与される場合に以下の特性のうちの1つ以上を有する:
一段階(aPTT)アッセイまたは二段階(発色)アッセイによって測定される場合、完全長成熟第VIII因子からなる同じ量のポリペプチドが投与された対象におけるt1/2ベータ(活性)よりも少なくとも1.48、1.49、1.50、1.51、1.52、1.53、1.54、1.55、1.56、1.57、1.58、1.59、1.60、1.61、1.62、1.63、1.64、1.65、1.66、1.67、1.68、1.69、1.70、1.71、1.72、1.73、1.74、1.75、1.76、1.77、1.78、1.79、1.80、1.81、1.82、1.83、1.84、1.85、1.86、1.87、1.88、1.89、または1.90倍高い当該対象におけるt1/2ベータ(活性)、
一段階(aPTT)アッセイによって測定される場合、約18.8時間、18.8±1時間、18.8±1時間、18.8±2時間、18.8±3時間、18.8±4時間、18.8±5時間、18.8±6時間、18.8±7時間、18.8±8時間、18.8±9時間、18.8±10時間、もしくは18.8±11時間の当該対象におけるt1/2ベータ(活性)、
一段階(aPTT)アッセイによって測定される場合、約14.3~24.5時間の当該対象におけるt1/2ベータ(活性)、
二段階(発色)アッセイによって測定される場合、約16.7時間、16.7±1時間、16.7±2時間、16.7±3時間、16.7±4時間、16.7±5時間、16.7±6時間、16.7±7時間、16.7±8時間、16.7±9時間、16.7±10時間、もしくは16.7±11時間の当該対象におけるt1/2ベータ(活性)、
二段階(発色)アッセイによって測定される場合、約13.8~20.1時間の当該対象におけるt1/2ベータ(活性)、
二段階(発色)アッセイによって測定される場合、約19.8時間、19.8±1時間、19.8±2時間、19.8±3時間、19.8±4時間、19.8±5時間、19.8±6時間、19.8±7時間、19.8±8時間、19.8±9時間、19.8±10時間、もしくは19.8±11時間の当該対象におけるt1/2ベータ(活性)、または
二段階(発色)アッセイによって測定される場合、約14.3~27.5時間の当該対象におけるt1/2ベータ(活性)。
【0133】
ある特定の実施形態において、長時間作用型第VIII因子は、患者集団に投与される場合に以下の特性のうちの1つ以上を有する:
当該対象におけるクリアランス(CL)(活性)が、一段階(aPTT)アッセイまたは二段階(発色)アッセイによって測定される場合、完全長成熟第VIII因子からなる同じ量のポリペプチドが投与された対象におけるクリアランスよりも0.51、0.52、0.53、0.54、0.55、0.56、0.57、0.58、0.59、0.60、0.61、0.62、0.63、0.64、0.65、0.66、0.67、0.68、0.69、または0.70倍低い、
約25IU/kgのキメラポリペプチドが投与される場合、一段階(aPTT)アッセイによって測定される、約1.68mL/時間/kg、1.68±0.1mL/時間/kg、1.68±0.2mL/時間/kg、1.68±0.3mL/時間/kg、1.68±0.4mL/時間/kg、1.68±0.5mL/時間/kg、1.68±0.6mL/時間/kg、もしくは1.68±0.7mL/時間/kgの当該対象におけるクリアランス(CL)(活性)、
約25IU/kgのキメラポリペプチドが投与される場合、一段階(aPTT)アッセイによって測定される、約1.31~2.15mL/時間/kgの当該対象におけるクリアランス(CL)(活性)、
約65IU/kgのキメラポリペプチドが投与される場合、一段階(aPTT)アッセイによって測定される、約2.32mL/時間/kg、2.32±0.1mL/時間/kg、2.32±0.2mL/時間/kg、2.32±0.3mL/時間/kg、2.32±0.4mL/時間/kg、2.32±0.5mL/時間/kg、2.32±0.6mL/時間/kg、もしくは2.32±0.7mL/時間/kgの当該対象におけるクリアランス(CL)(活性)、約65IU/kgのキメラポリペプチドが投与される場合、一段階(aPTT)アッセイによって測定される、約1.64~3.29mL/時間/kgの当該対象におけるクリアランス(CL)(活性)、
約25IU/kgのキメラポリペプチドが投与される場合、二段階(発色)アッセイによって測定される、約1.49mL/時間/kg、1.49±0.1mL/時間/kg、1.49±0.2mL/時間/kg、1.49±0.3mL/時間/kg、1.49±0.4mL/時間/kg、1.49±0.5mL/時間/kg、1.49±0.6mL/時間/kg、もしくは1.49±0.7mL/時間/kgの当該対象におけるクリアランス(CL)(活性)、
約25IU/kgのキメラポリペプチドが投与される場合、二段階(発色)アッセイによって測定される、約1.16~1.92mL/時間/kgの当該対象におけるクリアランス(CL)(活性)、
約65IU/kgのキメラポリペプチドが投与される場合、二段階(発色)アッセイによって測定される、約1.52mL/時間/kg、1.52±0.1mL/時間/kg、1.52±0.2mL/時間/kg、1.52±0.3mL/時間/kg、1.52±0.4mL/時間/kg、1.52±0.5mL/時間/kg、1.52±0.6mL/時間/kg、もしくは1.52±0.7mL/時間/kgの当該対象におけるクリアランス(CL)(活性)、または
約65IU/kgのキメラポリペプチドが投与される場合、二段階(発色)アッセイによって測定される、約1.05~2.20mL/時間/kgの当該対象におけるクリアランス(CL)(活性)。
【0134】
幾つかの実施形態において、長時間作用型第VIII因子は、患者集団に投与される場合に以下の特性のうちの1つ以上を有する:
当該対象におけるMRTが、一段階(aPTT)アッセイまたは二段階(発色)アッセイによって測定される場合、完全長成熟第VIII因子からなる同じ量のポリペプチドが投与された対象におけるMRTよりも少なくとも1.46、1.47、1.48、1.49、1.50、1.51、1.52、1.53、1.54、1.55、1.56、1.57、1.58、1.59、1.60、1.61、1.62、1.63、1.64、1.65、1.66、1.67、1.68、1.69、1.70、1.71、1.72、1.73、1.74、1.75、1.76、1.77、1.78、1.79、1.80、1.81、1.82、1.83、1.84、1.85、1.86、1.87、1.88、1.89、1.90、1.91、1.92、または1.93倍高い、
一段階(aPTT)アッセイによって測定される、約27時間、27±1時間、27±2時間、27±3時間、27±4時間、27±5時間、27±6時間、27±7時間、27±8時間、27±9時間、もしくは27±10時間の当該対象におけるMRT(活性)、
一段階(aPTT)アッセイによって測定される、約20.6~35.3時間の当該対象におけるMRT(活性)、
二段階(発色)アッセイによって測定される、約23.9~28.5時間の当該対象におけるMRT(活性)、
二段階(発色)アッセイによって測定される、約19.8~28.9時間の当該対象におけるMRT(活性)、または
二段階(発色)アッセイによって測定される、約20.5~39.6時間の当該対象におけるMRT(活性)。
【0135】
他の実施形態において、長時間作用型第VIII因子は、患者集団に投与される場合に以下の特性のうちの1つ以上を有する:
一段階(aPTT)アッセイまたは二段階(発色)アッセイによって測定される場合、完全長成熟第VIII因子からなる同じ量のポリペプチドが投与された対象における増分回収率に匹敵する当該対象における増分回収率、
約25IU/kgのキメラポリペプチドが投与される場合、一段階(aPTT)アッセイによって測定される、1IU/kg当たり約2.44IU/dL、1IU/kg当たり2.44±0.1IU/dL、1IU/kg当たり2.44±0.2IU/dL、1IU/kg当たり2.44±0.3IU/dL、1IU/kg当たり2.44±0.4IU/dL、1IU/kg当たり2.44±0.5IU/dL、1IU/kg当たり2.44±0.6IU/dL、1IU/kg当たり2.44±0.7IU/dL、1IU/kg当たり2.44±0.8IU/dL、1IU/kg当たり2.44±0.9IU/dL、1IU/kg当たり2.44±1.0IU/dL、1IU/kg当たり2.44±1.1IU/dL、もしくは1IU/kg当たり2.44±1.2IU/dLの当該対象における増分回収率、
約25IU/kgのキメラポリペプチドが投与される場合、一段階(aPTT)アッセイによって測定される、1IU/kg当たり約2.12~2.81IU/dLの当該対象における増分回収率、
約65IU/kgのキメラポリペプチドが投与される場合、一段階(aPTT)アッセイによって測定される、1IU/kg当たり約1.83IU/dL、1IU/kg当たり1.83±0.1IU/dL、1IU/kg当たり1.83±0.2IU/dL、1IU/kg当たり1.83±0.3IU/dL、1IU/kg当たり1.83±0.4IU/dL、1IU/kg当たり1.83±0.5IU/dL、1IU/kg当たり1.83±0.6IU/dL、1IU/kg当たり1.83±0.7IU/dL、1IU/kg当たり1.83±0.8IU/dL、1IU/kg当たり1.83±0.9IU/dL、1IU/kg当たり1.83±1.0IU/dL、もしくは1IU/kg当たり1.83±1.1IU/dLの当該対象における増分回収率、
約65IU/kgのキメラポリペプチドが投与される場合、一段階(aPTT)アッセイによって測定される、1IU/kg当たり約1.59~2.10IU/dLの当該対象における増分回収率、
約25IU/kgのキメラポリペプチドが投与される場合、二段階(発色)アッセイによって測定される、1IU/kg当たり約3.09IU/dL、1IU/kg当たり3.09±0.1IU/dL、1IU/kg当たり3.09±0.2IU/dL、1IU/kg当たり3.09±0.3IU/dL、1IU/kg当たり3.09±0.4IU/dL、1IU/kg当たり3.09±0.5IU/dL、1IU/kg当たり3.09±0.6IU/dL、1IU/kg当たり3.09±0.7IU/dL、1IU/kg当たり3.09±0.8IU/dL、1IU/kg当たり3.09±0.9IU/dL、1IU/kg当たり3.09±1.0IU/dL、1IU/kg当たり3.09±1.1IU/dL、1IU/kg当たり3.09±1.2IU/dL、もしくは1IU/kg当たり3.09±1.3IU/dLの当該対象における増分回収率、
約65IU/kgのキメラポリペプチドが投与される場合、二段階(発色)アッセイによって測定される、1IU/kg当たり約2.80IU/dL、1IU/kg当たり2.80±0.1IU/dL、1IU/kg当たり2.80±0.2IU/dL、1IU/kg当たり2.80±0.3IU/dL、1IU/kg当たり2.80±0.4IU/dL、1IU/kg当たり2.80±0.5IU/dL、1IU/kg当たり2.80±0.6IU/dL、1IU/kg当たり2.80±0.7IU/dL、1IU/kg当たり2.80±0.8IU/dL、1IU/kg当たり2.80±0.9IU/dL、1IU/kg当たり2.80±1.0IU/dL、1IU/kg当たり2.80±1.1IU/dL、もしくは1IU/kg当たり2.80±1.2IU/dLの当該対象における増分回収率、
約25IU/kgのキメラポリペプチドが投与される場合、二段階(発色)アッセイによって測定される、1IU/kg当たり約2.61~3.66IU/dLの当該対象における増分回収率、および
約65IU/kgのキメラポリペプチドが投与される場合、二段階(発色)アッセイによって測定される、1IU/kg当たり約2.24~3.50IU/dLの当該対象における増分回収率。
【0136】
さらに他の実施形態において、長時間作用型第VIII因子は、患者集団に投与される場合に以下の特性のうちの1つ以上を有する:
一段階(aPTT)アッセイまたは二段階(発色)アッセイによって測定される場合、完全長成熟第VIII因子からなる同じ量のポリペプチドが投与された対象におけるVss(活性)に匹敵する当該対象におけるVss(活性)、
約25IU/kgのキメラポリペプチドが投与される場合、一段階(aPTT)アッセイによって測定される、約45.5mL/kg、45.5±1mL/kg、45.5±2mL/kg、45.5±3mL/kg、45.5±4mL/kg、45.5±5mL/kg、45.5±6mL/kg、45.5±7mL/kg、45.5±8mL/kg、45.5±9mL/kg、45.5±10mL/kg、もしくは45.5±11mL/kgの当該対象におけるVss(活性)、
約25IU/kgのキメラポリペプチドが投与される場合、一段階(aPTT)アッセイによって測定される、約39.3~52.5mL/kgの当該対象におけるVss(活性)、
約65IU/kgのキメラポリペプチドが投与される場合、一段階(aPTT)アッセイによって測定される、約62.8mL/kg、62.8±1mL/kg、62.8±2mL/kg、62.8±3mL/kg、62.8±4mL/kg、62.8±5mL/kg、62.8±6mL/kg、62.8±7mL/kg、62.8±8mL/kg、62.8±9mL/kg、62.8±10mL/kg、62.8±11mL/kg、62.8±12mL/kg、62.8±13mL/kg、62.8±14mL/kg、62.8±15mL/kg、もしくは62.8±16mL/kgの当該対象におけるVss(活性)、
約65IU/kgのキメラポリペプチドが投与される場合、一段階(aPTT)アッセイによって測定される、約55.2~71.5mL/kgの当該対象におけるVss(活性)、
約25IU/kgのキメラポリペプチドが投与される場合、二段階(発色)アッセイによって測定される、約35.9mL/kg、35.9±1mL/kg、35.9±2mL/kg、35.9±3mL/kg、35.9±4mL/kg、35.9±5mL/kg、35.9±6mL/kg、35.9±7mL/kg、35.9±8mL/kg、35.9±9mL/kg、35.9±10mL/kg、35.9±11mL/kg、35.9±12mL/kg、もしくは35.9±13mL/kgの当該対象におけるVss(活性)、
約25IU/kgのキメラポリペプチドが投与される場合、二段階(発色)アッセイによって測定される、約30.4~42.3mL/kgの当該対象におけるVss(活性)、
約65IU/kgのキメラポリペプチドが投与される場合、二段階(発色)アッセイによって測定される、約43.4mL/kg、43.4±1mL/kg、43.4±2mL/kg、43.4±3mL/kg、43.4±4mL/kg、43.4±5mL/kg、43.4±6mL/kg、43.4±7mL/kg、43.4±8mL/kg、43.4±9mL/kg、43.4±10mL/kg、43.4±11mL/kg、43.4±12mL/kg、43.4±13mL/kg、43.4±14mL/kg、43.4±15mL/kg、もしくは43.4±16mL/kg当該対象におけるVss(活性)、または
約65IU/kgのキメラポリペプチドが投与される場合、二段階(発色)アッセイによって測定される、約38.2~49.2mL/kgの当該対象におけるVss(活性)。
【0137】
さらに他の実施形態において、長時間作用型第VIII因子は、患者集団に投与される場合に以下の特性のうちの1つ以上を有する:
一段階(aPTT)アッセイまたは二段階(発色)アッセイによって測定される場合、完全長成熟第VIII因子からなる同じ量のポリペプチドが投与された対象におけるAUCINFよりも少なくとも1.45 1.46、1.47、1.48、1.49、1.50、1.51、1.52、1.53、1.54、1.55、1.56、1.57、1.58、1.59、1.60、1.61、1.62、1.63、1.64、1.65、1.66、1.67、1.68、1.69、1.70、1.71、1.72、1.73、1.74、1.75、1.76、1.77、1.78、1.79、1.80、1.81、1.82、1.83、1.84、1.85、1.86、1.87、1.88、1.89、1.90倍高い当該対象におけるAUCINF、
約25IU/kgのキメラポリペプチドが投与される場合、一段階(aPTT)アッセイによって測定される、1IU/kg当たり約1440±316時間*IU/dLの当該対象におけるAUCINF、
約25IU/kgのキメラポリペプチドが投与される場合、一段階(aPTT)アッセイによって測定される、1IU/kg当たり約1160~1880時間*IU/dLの当該対象におけるAUCINF、
約25IU/kgのキメラポリペプチドが投与される場合、一段階(aPTT)アッセイによって測定される、1IU/kg当たり約1480時間*IU/dL、1IU/kg当たり1480±100時間*IU/dL、1IU/kg当たり1480±200時間*IU/dL、1IU/kg当たり1480±300時間*IU/dL、1IU/kg当たり1480±400時間*IU/dL、1IU/kg当たり1480±500時間*IU/dL、1IU/kg当たり1480±600時間*IU/dL、1IU/kg当たり1480±700時間*IU/dL、1IU/kg当たり1480±800時間*IU/dL、1IU/kg当たり1480±900時間*IU/dL、もしくは1IU/kg当たり1480±1000時間*IU/dLの当該対象におけるAUCINF、
約65IU/kgのキメラポリペプチドが投与される場合、一段階(aPTT)アッセイによって測定される、1IU/kg当たり約2910±1320時間*IU/dLの当該対象におけるAUCINF、
約65IU/kgのキメラポリペプチドが投与される場合、一段階(aPTT)アッセイによって測定される、1IU/kg当たり約1980~3970時間*IU/dLの当該対象におけるAUCINF、
約65IU/kgのキメラポリペプチドが投与される場合、一段階(aPTT)アッセイによって測定される、1IU/kg当たり約2800時間*IU/dL、1IU/kg当たり2800±100時間*IU/dL、1IU/kg当たり2800±200時間*IU/dL、1IU/kg当たり2800±300時間*IU/dL、1IU/kg当たり2800±400時間*IU/dL、1IU/kg当たり2800±500時間*IU/dL、1IU/kg当たり2800±600時間*IU/dL、1IU/kg当たり2800±700時間*IU/dL、1IU/kg当たり2800±800時間*IU/dL、1IU/kg当たり2800±900時間*IU/dL、もしくは1IU/kg当たり2800±1000時間*IU/dLの当該対象におけるAUCINF、
約25IU/kgのキメラポリペプチドが投与される場合、二段階(発色)アッセイによって測定される、1IU/kg当たり約1660時間*IU/dL、1IU/kg当たり1660±100時間*IU/dL、1IU/kg当たり1660±200時間*IU/dL、1IU/kg当たり1660±300時間*IU/dL、1IU/kg当たり1660±400時間*IU/dL、1IU/kg当たり1660±500時間*IU/dL、1IU/kg当たり1660±600時間*IU/dL、1IU/kg当たり1660±700時間*IU/dL、1IU/kg当たり1660±800時間*IU/dL、1IU/kg当たり1660±900時間*IU/dL、もしくは1IU/kg当たり1660±1000時間*IU/dLの当該対象におけるAUCINF、
約25IU/kgのキメラポリペプチドが投与される場合、二段階(発色)アッセイによって測定される、1IU/kg当たり約1300~2120時間*IU/dLの当該対象におけるAUCINF、
約65IU/kgのキメラポリペプチドが投与される場合、二段階(発色)アッセイによって測定される、1IU/kg当たり約4280時間*IU/dL、1IU/kg当たり4280±100時間*IU/dL、1IU/kg当たり4280±200時間*IU/dL、1IU/kg当たり4280±300時間*IU/dL、1IU/kg当たり4280±400時間*IU/dL、1IU/kg当たり4280±500時間*IU/dL、1IU/kg当たり4280±600時間*IU/dL、1IU/kg当たり4280±700時間*IU/dL、1IU/kg当たり4280±800時間*IU/dL、1IU/kg当たり4280±900時間*IU/dL、1IU/kg当たり4280±1000時間*IU/dL、1IU/kg当たり4280±1100時間*IU/dL、1IU/kg当たり4280±1200時間*IU/dL、1IU/kg当たり4280±1300時間*IU/dL、1IU/kg当たり4280±1400時間*IU/dL、1IU/kg当たり4280±1500時間*IU/dL、もしくは1IU/kg当たり4280±1600時間*IU/dLの当該対象におけるAUCINF、または
約65IU/kgのキメラポリペプチドが投与される場合、二段階(発色)アッセイによって測定される、1IU/kg当たり約2960~6190時間*IU/dLの当該対象におけるAUCINF。
【0138】
本明細書で使用される「オンデマンド治療」は、短期間で行われることを目的とし、出血エピソード等の現状に反応して、または計画された手術等の認識された必要性に対する治療を意味する。オンデマンド治療を必要とし得る状態には、例えば、出血エピソード、関節血症、筋肉出血、口の出血、出血、筋肉への出血、口腔出血、外傷、頭部外傷、胃腸出血、頭蓋内出血、腹腔内出血、胸腔内出血、骨折、中枢神経系の出血、咽頭後隙の出血、後腹膜腔内出血、または腸腰筋鞘内の出血が含まれる。対象は、外科的予防、手術中管理、または外科手術のための処置を必要とし得る。そのような外科手術には、例えば、小手術、大手術、抜歯、扁桃摘出術、鼠径部ヘルニア切開術、滑膜切除術、人工膝関節全置換術、開頭術、骨接合術、外傷外科手術、頭蓋内手術、腹腔内手術、胸腔内手術、または関節置換手術が含まれる。
【0139】
一実施形態において、オンデマンド治療は、単回投与で出血(例えば、突発性出血)の80%超(80%超、81%超、82%超、83%超、84%超、85%超、86%超、87%超、88%超、89%超、90%超、91%超、92%超、93%超、94%超、95%超、96%超、97%超、98%超、99%超、もしくは100%)または80~100%、80~90%、85~90%、90~100%、90~95%、もしくは95~100%を解消する。別の実施形態において、出血エピソードの80%超(81%超、82%超、83%超、84%超、85%超、86%超、87%超、88%超、89%超、90%超、91%超、92%超、93%超、94%超、95%超、96%超、97%超、98%超、もしくは100%)または80~100%、80~90%、85~90%、90~100%、90~95%、もしくは95~100%が、オンデマンド治療後に医師により優または良と評価される。他の実施形態において、出血エピソードの5%超(6%超、7%超、8%超、9%超、10%超、11%超、12%超、13%超、14%超、15%超、16%超、17%超、18%超、19%超、20%超)または5~20%、5~15%、5~10%、10~20%、もしくは10~15%が、オンデマンド治療後に医師により可と評価される。
【0140】
「ポリペプチド」、「ペプチド」、および「タンパク質」は、互換的に使用され、共有結合したアミノ酸残基からなる高分子化合物を指す。
【0141】
「ポリヌクレオチド」および「核酸」は、互換的に使用され、共有結合したヌクレオチド残基からなる高分子化合物を指す。ポリヌクレオチドは、DNA、cDNA、RNA、一本鎖、もしくは二重鎖、ベクター、プラスミド、ファージ、またはウイルスであり得る。ポリヌクレオチドは、表2のポリペプチドをコードする表1にあるものを含む(表1を参照のこと)。ポリヌクレオチドはまた、例えば、表1のポリヌクレオチドの断片、例えば、第VIII因子、Fc、シグナル配列、6His、および表2のポリペプチドの他の断片等の表2のポリペプチドの断片をコードするものも含む。
【0142】
本明細書で使用される「予防的処置」は、対象に長期間にわたって複数回投与で第VIII因子ポリペプチドを投与して、対象の血漿中の第VIII因子活性のレベルを増加させることを意味する。増加したレベルは、突発性出血の発生率を低下させるか、または例えば、不測の損傷の場合に出血を予防するために十分であり得る。予防的処置中に、対象中の血漿タンパク質レベルは、当該対象のベースラインレベルよりも低くならないか、または重篤な血友病を特徴付ける第VIII因子のレベル(<1IU/dL[1%])よりも低くならない。
【0143】
一実施形態において、予防レジメンは、例えば、それぞれの患者についてのPKデータを決定することにより、そして1~3%のFVIII活性のトラフレベルを維持する投与間隔で本発明の第VIII因子を投与することにより、個々の患者に対して「合わされる」。調節は、2ヶ月の期間にわたって2以上の突発性出血エピソードと定義される許容できない出血エピソードを対象が経験する場合に、なされ得る。この場合、調節は、3~5%のトラフレベルを目標とする。別の実施形態において、予防的処置は、出血の予防および制御、出血の持続的制御、出血からの持続的保護、および/または持続的利益が得られる。予防、例えば、持続的保護は、最終測定時点までの増加したAUC(AUC-LAST)および減少したクリアランスにより示すことができ、その結果、短時間作用型FVIIIと比較して増加した終末t1/2となる。予防は、短時間作用型FVIIIに対して、より良好なCmax、より良好なTmax、および/またはより良好な平均滞留時間によって示され得る。幾つかの実施形態において、予防は、注射(例えば、最後の注射)後、約24、36、48、72、または96時間以内(例えば、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、96、87、88、89、90、91、92、93、94、95、または96時間)に、突発性出血エピソードが起こらない。ある特定の実施形態において、予防の結果、1週間に1回の投与で(例えば、65IU/kgで)、30%超(例えば、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、96、87、88、89、もしくは90%、例えば、50%超)の年間出血エピソードの平均的減少となる。本明細書で使用される「治療用量」は、本明細書に記載される、治療の目的を達成する用量を意味する。第VIII因子の必要な投与量の計算は、平均で、体重1kg当たり1IUの第VIII因子が、血漿第VIII因子活性を約2IU/dL上昇させるという経験的知見に基づく。必要な投与量は、次式により決定される:
必要とされる単位量=体重(kg)×所望の第VIII因子上昇(IU/dLまたは正常値の%)×0.5(1IU/dL当たりIU/kg)
【0144】
本発明の方法で使用され得る治療用量は、約10~約100IU/kg、より具体的には、10~20、20~30、30~40、40~50、50~60、60~70、70~80、80~90、または90~100IU/kg、より具体的には、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、または100IU/kgである。
【0145】
本発明の方法で使用され得るさらなる治療用量は、約10~約150IU/kg、より具体的には、約100~110、110~120、120~130、130~140、140~150IU/kg、より具体的には、約110、115、120、125、130、135、140、145、または150IU/kgである。
【0146】
本明細書で使用される「変異体」とは、元のポリヌクレオチドまたはポリペプチドとは異なるが、その基本的な特性、例えば第VIII因子の凝固活性またはFc(FcRn結合)活性を保持する、ポリヌクレオチドまたはポリペプチドを指す。一般的に、変異体は、全体的に非常に類似し、多くの領域で元のポリヌクレオチドまたはポリペプチドと同一である。変異体は、例えば、ポリペプチドおよびポリヌクレオチド断片、元のポリペプチドの欠失、挿入、および修飾された変形を含む。
【0147】
変異体ポリヌクレオチドは、例えば、配列番号1、3、または5中のヌクレオチドコード配列(第VIII因子部分、Fc部分、個別にもしくは一緒に)またはそれに相補的な鎖、本明細書で参照される刊行物および特許に開示されているもの等の公知の突然変異体および組換え型第VIII因子またはFcのヌクレオチドコード配列またはそれに相補的な鎖、配列番号2、4、または6のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列(第VIII因子部分、Fc部分、個別にもしくは一緒に)、ならびに/またはこれらの核酸分子のいずれかのポリヌクレオチド断片(例えば、本明細書に記載されるこれらの断片)と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるヌクレオチド配列を含み得るか、またはこのヌクレオチド配列からなり得る。また、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件または低ストリンジェントな条件下で、これらの核酸分子にハイブリダイズするポリヌクレオチドは、それらが機能的である限り、これらのポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドと同様に、変異体として含まれる。
【0148】
変異体ポリペプチドは、例えば、配列番号2、4、または6に示されるポリペプチド配列(第VIII因子部分、Fc部分、個別にもしくは一緒に)、ならびに/またはこれらのポリペプチドのいずれかのポリペプチド断片(例えば、本明細書に記載されるこれらの断片)と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるアミノ酸配列を含み得るか、またはこのアミノ酸配列からなり得る。
【0149】
参照ヌクレオチド配列と少なくとも、例えば、95%「同一である」ヌクレオチド配列を有する核酸とは、この核酸のヌクレオチド配列は、このヌクレオチド配列が、参照ヌクレオチド配列のそれぞれ100ヌクレオチドにつき最高で5つの点突然変異を含み得ることを除けば、参照配列と同一であることを意図している。言い換えると、参照ヌクレオチド配列と少なくとも95%同一であるヌクレオチド配列を有する核酸を得るためには、参照配列中のヌクレオチドの5%までが欠失しているか、別のヌクレオチドで置換されてもよいか、または参照配列中の全ヌクレオチドの5%までの複数のヌクレオチドが参照配列中に挿入されてもよい。クエリー配列は、例えば、配列番号1または3に示される配列全体、ORF(オープンリーディングフレーム)、または本明細書に記載される、特定される任意の断片であってもよい。
【0150】
実際問題として、任意の特定の核酸分子またはポリペプチドが、本発明のヌクレオチド配列またはポリペプチドと少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるかどうかは、公知のコンピュータプログラムを用いて通常通り決定することができる。グローバル配列アラインメントと称される、クエリー配列(参照または元の配列)と対象配列との間の最良の全体の一致を決定するための方法は、Brutlag et al.,Comp.App Biosci.6:237-245(1990)のアルゴリズムに基づいたFASTDBコンピュータプログラムを用いて決定することができ、これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。配列アラインメントにおいて、クエリーおよび対象配列はともに、DNA配列である。UをTに変換することによって、RNA配列を比較することができる。当該グローバル配列アラインメントの結果は、同一性パーセントで表される。別の実施形態において、同一性パーセントを計算するためのDNA配列のFASTDBアラインメントに使用されるパラメーターは、マトリックス=単一、k-タプル=4、ミスマッチペナルティ=1、結合ペナルティ=30、ランダム化グループ長=0、カットオフスコア=1、ギャップペナルティ=5、ギャップサイズペナルティ 0.05、ウィンドウサイズ=500または対象ヌクレオチド配列の長さのどちらか短い方である。
【0151】
対象配列が、内部欠失のためではなく、5’または3’欠失のためにクエリー配列よりも短い場合、結果に対して手作業で補正を行わなければならない。これは、FASTDBプログラムが、同一性パーセントを計算する場合に、対象配列の5’および3’短縮化を考慮しないためである。5’または3’末端で短縮された対象配列については、クエリー配列と比較して、一致/アラインされない、対象配列の5’および3’であるクエリー配列の塩基数をクエリー配列の総塩基のパーセントとして計算することによって、同一性パーセントが補正される。ヌクレオチドが、一致/アラインされるかどうかは、FASTDB配列アラインメントの結果によって決定される。次いで、このパーセンテージは、特定のパラメーターを用いて上記のFASTDBプログラムによって計算された同一性パーセントから減算され、最終の同一性パーセントスコアをもたらす。この補正されたスコアは、本発明の目的のために使用されるものである。クエリー配列と一致/アラインされない、FASTDBアラインメントによって示される、対象配列の5’および3’塩基の外側の塩基のみが、同一性パーセントスコアの手作業による調節の目的のために計算される。
【0152】
例えば、90塩基の対象配列が、同一性パーセントを決定するために、100塩基のクエリー配列とアラインされる。欠失は、対象配列の5’末端で起こり、したがって、FASTDBアラインメントは、5’末端の最初の10塩基の一致/アラインメントを示さない。10個の不対塩基が、配列の10%(一致しない5’末端および3’末端の塩基の数/クエリー配列中の塩基の総数)であるため、10%が、FASTDBプログラムによって計算された同一性パーセントスコアから減算される。残りの90塩基が、完全に一致した場合、最終の同一性パーセントは、90%である。別の例では、90塩基の対象配列が、100塩基のクエリー配列と比較される。今度は、欠失が内部欠失であるため、クエリーと一致/アラインしない塩基は、対象配列の5’または3’にはない。この場合、FASTDBによって計算された同一性パーセントは、手作業で補正されない。再度、クエリー配列と一致/アラインしない、対象配列の塩基の5’および3’の塩基のみが、手作業で補正される。他の手作業の補正は、本発明の目的のためには行われない。
【0153】
本発明のクエリーアミノ酸配列と少なくとも、例えば、95%「同一である」アミノ酸配列を有するポリペプチドとは、対象ポリペプチド配列がクエリーアミノ酸配列のそれぞれ100アミノ酸につき最高で5個のアミノ酸改変を含み得ることを除けば、対象ポリペプチドのアミノ酸配列が、クエリー配列と同一であることを意図している。言い換えると、クエリーアミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有するポリペプチドを得るためには、対象配列中のアミノ酸残基の5%までが、挿入、欠失、(消失)、または別のアミノ酸で置換されてもよい。参照配列のこれらの改変は、参照アミノ酸配列のアミノまたはカルボキシ末端位置で、あるいは参照配列中の残基間に個々に、または参照配列内の1つ以上の連続基のどちらかに散在する、これらの末端位置の間のどこでも起こり得る。
【0154】
実際問題として、任意の特定のポリペプチドが、例えば、配列番号2(第VIII因子部分、Fc部分、個々にもしくは一緒に)もしくは4のアミノ酸配列、または公知の第VIII因子もしくはFcポリペプチド配列と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるかどうかは、公知のコンピュータプログラムを用いて従来通り決定することができる。一実施形態において、グローバル配列アラインメントと称される、クエリー配列(参照または元の配列)と対象配列との間の最良の全体の一致を決定するための方法は、Brutlag et al.,Comp.App.Biosci.6:237-245(1990)のアルゴリズムに基づいたFASTDBコンピュータプログラムを用いて決定することができ、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。配列アラインメントでは、クエリーおよび対象配列は、両方ともヌクレオチド配列であるか、両方ともアミノ酸配列であるかのいずれかである。当該グローバル配列アラインメントの結果は、同一性パーセントで表される。別の実施形態において、FASTDBアミノ酸アラインメントで使用されるパラメーターは、マトリックス=PAM 0、k-タプル=2、ミスマッチペナルティ=1、結合ペナルティ=20、ランダム化グループ長=0、カットオフスコア=1、ウィンドウサイズ=配列長、ギャップペナルティ=5、ギャップサイズペナルティ=0.05、ウィンドウサイズ=500または対象アミノ酸配列の長さのどちらか短い方である。
【0155】
対象配列が、内部欠失のためではなく、N末端またはC末端欠失のため、クエリー配列よりも短い場合、結果に対して手作業で補正を行わなければならない。これは、FASTDBプログラムが、グローバル同一性パーセントを計算する場合に、対象配列のN末端およびC末端短縮化を考慮しないためである。N末端およびC末端で短縮された対象配列については、クエリー配列と比較して、対応する対象残基と一致/アラインされない、対象配列のN末端およびC末端であるクエリー配列の残基数をクエリー配列の総塩基のパーセントとして計算することによって、同一性パーセントが補正される。残基が、一致/アラインされるかどうかは、FASTDB配列アラインメントの結果によって決定される。次いで、このパーセンテージは、特定のパラメーターを用いて上記のFASTDBプログラムによって計算された同一性パーセントから減算され、最終の同一性パーセントスコアをもたらす。この最終の同一性パーセントスコアは、本発明の目的のために使用されるものである。クエリー配列と一致/アラインされない、対象配列のN末端およびC末端の残基のみが、同一性パーセントスコアを手作業で調節する目的のためのものと見なされる。すなわち、クエリー残基のみが、対象配列の最も遠いN末端およびC末端の残基の外側に位置合わせされる。
【0156】
例えば、90アミノ酸残基の対象配列が、同一性パーセントを決定するために、100残基のクエリー配列とアラインされる。欠失は、対象配列のN末端で起こり、したがって、FASTDBアラインメントは、N末端の最初の10残基の一致/アラインメントを示さない。10個の不対残基が、配列の10%(一致しないN末端およびC末端の残基の数/クエリー配列中の残基の総数)であるため、10%が、FASTDBプログラムによって計算された同一性パーセントスコアから減算される。残りの90残基が、完全に一致した場合、最終同一性パーセントは、90%である。別の例では、90残基の対象配列が、100残基のクエリー配列と比較される。今度は、欠失が内部欠失であるため、クエリーと一致/アラインしない対象配列のN末端およびC末端の残基はない。この場合、FASTDBによって計算された同一性パーセントは、手作業で補正されない。再度、FASTDBアラインメントに示される、クエリー配列と一致/アラインしない、対象配列のN末端およびC末端の外側の残基位置のみが、手作業で補正される。他の手作業の補正は、本発明の目的のためには行われない。
【0157】
ポリヌクレオチド変異体は、コード領域、非コード領域、または両方で改変を含んでもよい。一実施形態において、ポリヌクレオチド変異体は、サイレント置換、付加、または欠失をもたらすが、コード化されたポリペプチドの特性もしくは活性を改変しない改変を含む。別の実施形態において、ヌクレオチド変異体は、遺伝コードの縮重によるサイレント置換によって産生される。他の実施形態において、5~10、1~5、または1~2個のアミノ酸が、任意の組み合わせで置換、欠失、または付加されている変異体。例えば、特定の宿主に対してコドン発現を最適化すること(例えば、大腸菌等の細菌宿主等の他のものにヒトmRNA中のコドンを変化させること)等の様々な理由で、ポリヌクレオチド変異体を産生することができる。
【0158】
天然に存在する変異体は、「対立遺伝子変異体」と呼ばれ、生物体の染色体上の所定の遺伝子座を占める遺伝子の幾つかの代替形態の1つを指す(Genes II,Lewin,B.,ed.,John Wiley&Sons,New York(1985))。これらの対立変異体は、ポリヌクレオチドおよび/またはポリペプチドレベルのいずれかで異なってよく、および本発明に含まれる。あるいは、天然に存在しない変異体は、突然変異誘発技法または直接合成によって産生してもよい。
【0159】
タンパク質工学および組換えDNA技法の公知の方法を用いて、ポリペプチドの特徴を改善または改変するために変異体が作製され得る。例えば、生物学的機能の実質的な損失を伴わずに、分泌されたタンパク質のN末端またはC末端から、1つ以上のアミノ酸を欠失させることができる。Ron et al.,J.Biol.Chem.268:2984-2988(1993)(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)は、3、8、または27のアミノ酸末端アミノ酸残基を欠失後でさえ、ヘパリン結合活性を有する変異体KGFタンパク質を報告した。同様に、インターフェロンガンマは、このタンパク質のカルボキシ末端から8~10アミノ酸残基の欠失後に、最高10倍まで高い活性を示した(Dobeli et al.,J.Biotechnology 7:199-216(1988)、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。
【0160】
さらに、十分な証拠により、変異体は多くの場合、天然に存在するタンパク質のものと類似した生物学的活性を保持することが示される。例えば、Gayleおよび共同研究者(J.Biol.Chem 268:22105-22111(1993)、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)は、ヒトサイトカインIL-1aの大規模な突然変異分析を行った。彼らは、ランダムな突然変異誘発を使用して、分子の全長にわたって、1変異体当たり平均して2.5個のアミノ酸の変化がある、3,500個を超える個々のIL-1a突然変異体を作製した。あらゆる可能なアミノ酸位置で複数の突然変異を調査した。研究者らは、「結合または生物活性」のいずれかにほとんど影響することなく、分子の「大」部分が改変できることを見出した。(要約を参照のこと)。実際、調査した3,500を超えるヌクレオチド配列のうち、わずか23の独自のアミノ酸配列だけが、野生型とは活性が有意に異なるタンパク質を産生した。
【0161】
前述のように、ポリペプチド変異体には、例えば、修飾ポリペプチドが含まれる。修飾としては、例えば、アセチル化、アシル化、ADP-リボシル化、アミド化、フラビンの共有結合、ヘム部分の共有結合、ヌクレオチドまたはヌクレオチド誘導体の共有結合、脂質または脂質誘導体の共有結合、ホスファチジルイノシトールの共有結合、架橋、環化、ジスルフィド結合形成、脱メチル化、共有結合架橋の形成、システインの形成、ピログルタメートの形成、ホルミル化、ガンマ-カルボキシル化、グリコシル化、GPIアンカー形成、ヒドロキシル化、ヨウ素化、メチル化、ミリスチル化、酸化、ペグ化(Mei et al.,Blood 116:270-79(2010)、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)、タンパク質分解プロセシング、リン酸化、プレニル化、ラセミ化、セレノイル化、硫酸化、トランスファーRNAが仲介するタンパク質へのアミノ酸の付加(例えば、アルギニル化)、およびユビキチン化が挙げられる。幾つかの実施形態において、第VIII因子は、任意の都合のよい位置で、修飾される、例えば、ペグ化される。幾つかの実施形態において、第VIII因子は、第VIII因子の表面に露出したアミノ酸で、例えば、操作されたシステインであり得る表面に露出したシステインでペグ化される。上記参照。幾つかの実施形態において、修飾された第VIII因子、例えば、ペグ化第VIII因子は、長時間作用型第VIII因子である。
【0162】
本明細書で使用される「定常状態での分布体積(Vss)」は、薬物が分配される見かけの空間(体積)という、薬理学で用いられるこの用語と同じ意味を有する。Vss=定常状態の血漿濃度で割った体内の薬剤の量。
【0163】
本明細書で範囲について使用される場合、「約」は、その範囲の両端を修飾する。したがって、「約10~20」は、「約10~約20」を意味する。
【0164】
本明細書で使用されるキメラポリペプチドは、プロセシングされた第VIII因子もしくは一本鎖第VIII因子またはその組み合わせを含み得る。本明細書で使用される「プロセシングされた第VIII因子」は、(完全長第VIII因子に対しては)アルギニン1648または(Bドメイン欠失第VIII因子に対しては)アルギニン754で、すなわち、細胞内プロセシング部位で切断される第VIII因子を意味する。細胞内プロセシング部位での切断により、プロセシングされた第VIII因子は、第1の鎖が重鎖であり、第2の鎖が軽鎖である2つのポリペプチド鎖を含む。例えば、プロセシングされた第VIII因子-Fc融合タンパク質(すなわち、Fcと融合する重鎖および軽鎖)は、非還元SDS-PAGE上で、それぞれ約90kDaおよび130kDa、ならびに還元SDS-PAGE上で、それぞれ90kDaおよび105kDaで泳動する。したがって、一実施形態において、キメラポリペプチド中の第VIII因子部分の少なくとも約50%、約60%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、または約100%が、プロセシングされた第VIII因子である。別の実施形態において、キメラポリペプチド中の第VIII因子部分の約50%、約60%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、または約100%が、プロセシングされた第VIII因子である。特定の実施形態において、プロセシングされた第VIII因子を含むキメラポリペプチドは、一本鎖第VIII因子を含むキメラポリペプチドから精製(または単離)され、キメラポリペプチド中の第VIII因子部分の少なくとも約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、または約100%が、プロセシングされた第VIII因子である。
【0165】
本明細書で使用される「一本鎖第VIII因子」、「SC第VIII因子」、または「SCFVIII」は、アルギニン部位(完全長第VIII因子に対しては残基1648(すなわち、配列番号6の残基1667)、またはBドメイン欠失第VIII因子に対しては残基754(すなわち、配列番号2の残基773)で切断されていない第VIII因子を意味する。したがって、本明細書で使用されるキメラポリペプチド中の一本鎖第VIII因子は、一本鎖を含む。一実施形態において、一本鎖第VIII因子は、無傷の細胞内プロセシング部位を含有する。別の実施形態において、本発明の一本鎖第VIII因子は、完全長第VIII因子において、アルギニン1645に対応するアミノ酸位置での置換もしくは突然変異、アルギニン1648に対応するアミノ酸位置での置換もしくは突然変異、またはアルギニン1645およびアルギニン1648に対応するアミノ酸位置での置換もしくは突然変異を含む。他の実施形態において、アルギニン1645に対応するアミノ酸位置で置換されたアミノ酸は、アルギニン1648に対応するアミノ酸位置で置換されたアミノ酸とは異なるアミノ酸である。ある特定の実施形態において、置換または突然変異は、アルギニン以外のアミノ酸、例えば、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、トレオニン、トリプトファン、バリン、アラニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、プロリン、セレノシステイン、セリン、チロシン、ヒスチジン、オルニチン、ピロリシン、またはタウリンである。一本鎖第VIII因子-Fc融合タンパク質は、非還元SDS-PAGE上で約220kDaおよび還元SDS-PAGE上で約195kDaで泳動する。
【0166】
一実施形態において、一本鎖第VIII因子を含むキメラポリペプチドは、プロセシングされた第VIII因子を含むキメラポリペプチドから精製(または単離)され、本明細書で使用されるキメラポリペプチドの第VIII因子部分の少なくとも約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%、または約100%が、一本鎖第VIII因子である。別の実施形態において、キメラポリペプチドの第VIII因子部分の少なくとも約1%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、または約35%が、一本鎖第VIII因子である。他の実施形態において、本明細書で使用されるキメラポリペプチドの第VIII因子部分の約1%~約10%、約5%~約15%、約10%~約20%、約15%~約25%、約20%~約30%、約25%~約35%、約30%~約40%が、一本鎖第VIII因子である。特定の実施形態において、本明細書で使用されるキメラポリペプチドの第VIII因子部分の約1%、約5%、約10%、約15%、約20% 約25%、約30%、約35%が、一本鎖第VIII因子である。他の実施形態において、本明細書で使用されるキメラポリペプチドの第VIII因子部分の約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、または約100%が、一本鎖第VIII因子である。幾つかの実施形態において、キメラポリペプチドの一本鎖第VIII因子とプロセシングされた第VIII因子との比率は、(a)約25%の一本鎖第VIII因子および約75%のプロセシングされた第VIII因子、(b)約20%の一本鎖第VIII因子および約80%のプロセシングされた第VIII因子、(c)約15%の一本鎖第VIII因子および約85%のプロセシングされた第VIII因子、(d)約10%の一本鎖第VIII因子および約90%のプロセシングされた第VIII因子、(e)約5%の一本鎖第VIII因子および約95%のプロセシングされた第VIII因子、(f)約1%の一本鎖第VIII因子および約99%のプロセシングされた第VIII因子、(g)約100%のプロセシングされた第VIII因子、(h)約30%の一本鎖第VIII因子および約70%のプロセシングされた第VIII因子、(i)約35%の一本鎖第VIII因子および約65%のプロセシングされた第VIII因子、または(j)約40%の一本鎖第VIII因子および約60%のプロセシングされた第VIII因子である。他の実施形態において、キメラポリペプチドの一本鎖第VIII因子とプロセシングされた第VIII因子との比率は、(a)約30%の一本鎖第VIII因子および約70%のプロセシングされた第VIII因子、(b)約40%の一本鎖第VIII因子および約60%のプロセシングされた第VIII因子、(c)約50%の一本鎖第VIII因子および約50%のプロセシングされた第VIII因子、(d)約60%の一本鎖第VIII因子および約40%のプロセシングされた第VIII因子、(e)約70%の一本鎖第VIII因子および約30%のプロセシングされた第VIII因子、(f)約80%の一本鎖第VIII因子および約20%のプロセシングされた第VIII因子、(g)約90%の一本鎖第VIII因子および約10%のプロセシングされた第VIII因子、(h)約95%の一本鎖第VIII因子および約5%のプロセシングされた第VIII因子、(i)約99%の一本鎖第VIII因子および約1%のプロセシングされた第VIII因子、または(j)約100%の一本鎖第VIII因子である。
【0167】
本明細書で使用されるキメラポリペプチド中の第VIII因子部分は、第VIII因子活性を有する。第VIII因子活性は、当技術分野であらゆる公知の方法によって測定することができる。例えば、これらの方法のうちの1つが、発色アッセイであり得る。発色アッセイの機構は、血液凝固カスケードの原理に基づき、そこでは活性化第VIII因子は、活性化第IX因子、リン脂質、およびカルシウムイオンの存在下で、第X因子の第Xa因子への変換を加速させる。第Xa因子活性は、第Xa因子に特異的なp-ニトロアニリド(pNA)基質の加水分解によって評価される。405nMで測定されるp-ニトロアニリドの放出の初期速度は、第Xa因子活性に正比例し、ひいては、サンプル中の第VIII因子活性に正比例する。この発色アッセイは、国際血栓止血学会(International Society on Thrombosis and Hemostatsis)(ISTH)の科学的標準化委員会(Scientific and Standardization Committee)(SSC)の第VIII因子および第IX因子の小委員会によって推奨される。1994年以降、発色アッセイはまた、FVIII濃縮物の力価の割り当てのためのヨーロッパ薬局方の参照方法でもある。したがって、一実施形態において、一本鎖第VIII因子を含むキメラポリペプチドは、第VIII因子活性が発色アッセイによってインビトロで測定される場合、プロセシングされた第VIII因子を含むキメラポリペプチド(例えば、2つのFc部分と、2つのFc部分のうちの1つと融合するプロセシングされた第VIII因子とから本質的になるか、またはそれらからなるキメラポリペプチド)に匹敵する第VIII因子活性を有する。
【0168】
別の実施形態において、本発明の一本鎖第VIII因子を含むキメラポリペプチドは、プロセシングされた第VIII因子を含むキメラポリペプチド(例えば、2つのFc部分と、2つのFc部分のうちの1つと融合するプロセシングされた第VIII因子とから本質的になるか、またはそれらからなるキメラポリペプチド)に匹敵する第Xa因子の発生率を有する。
【0169】
第X因子を第Xa因子に活性化するために、活性化第IX因子(第IXa因子)は、Ca2+、膜リン脂質、および第VIII因子の補因子の存在下で、第X因子の1つのアルギニン-イソロイシン結合を加水分解して、第Xa因子を形成する。したがって、第VIII因子と第IX因子との相互作用は、凝固経路において決定的に重要である。ある特定の実施形態において、一本鎖第VIII因子を含むキメラポリペプチドは、プロセシングされた第VIII因子を含むキメラポリペプチド(例えば、2つのFc部分と、2つのFc部分のうちの1つと融合するプロセシングされた第VIII因子とから本質的になるか、またはそれらからなるキメラポリペプチド)に匹敵する割合で第IXa因子と相互作用することができる。
【0170】
加えて、第VIII因子は、循環において不活性であるが、フォンウィルブランド因子と結合する。第VIII因子は、vWFと結合しない場合、急速に分解され、トロンビンの作用によってvWFから放出される。幾つかの実施形態において、一本鎖第VIII因子を含むキメラポリペプチドは、プロセシングされた第VIII因子を含むキメラポリペプチド(例えば、2つのFc部分と、2つのFc部分のうちの1つと融合するプロセシングされた第VIII因子とから本質的になるか、またはそれらからなるキメラポリペプチド)に匹敵するレベルでフォンウィルブランド因子と結合する。
【0171】
第VIII因子は、カルシウムおよびリン脂質の存在下で、活性化プロテインCによって不活性化され得る。活性化プロテインCは、A1ドメイン内のアルギニン336後の第VIII因子の重鎖を切断し、これが第X因子基質の相互作用部位を撹乱し、A2ドメイン内のアルギニン562後を切断し、これがA2ドメインの解離を促進し、第IXa因子を有する相互作用部位を撹乱する。この切断はまた、A2ドメイン(43kDa)を分割し、A2-N(18kDa)およびA2-C(25kDa)ドメインを生成する。したがって、活性化プロテインCは、重鎖中の複数の切断部位を触媒することができる。一実施形態において、一本鎖第VIII因子を含むキメラポリペプチドは、プロセシングされた第VIII因子を含むキメラポリペプチド(例えば、2つのFc部分と、2つのFc部分のうちの1つと融合するプロセシングされた第VIII因子とから本質的になるか、またはそれらからなるキメラポリペプチド)に匹敵するレベルで活性化プロテインCによって不活性化される。
【0172】
他の実施形態において、一本鎖第VIII因子を含むキメラポリペプチドは、プロセシングされた第VIII因子を含むキメラポリペプチド(例えば、2つのFc部分と、2つのFc部分のうちの1つと融合するプロセシングされた第VIII因子とから本質的になるか、またはそれらからなるキメラポリペプチド)に匹敵するインビボの第VIII因子活性を有する。特定の実施形態において、一本鎖第VIII因子を含むキメラポリペプチドは、血友病Aマウス尾静脈切断モデルにおいて、プロセシングされた第VIII因子を含むキメラポリペプチド(例えば、2つのFc部分と、2つのFc部分のうちの1つと融合するプロセシングされた第VIII因子とから本質的になるか、またはそれらからなるキメラポリペプチド)に匹敵するレベルで血友病Aマウスを保護することができる。
【0173】
本明細書で使用される「匹敵する」という用語は、キメラポリペプチドを用いることから得られる比較される割合またはレベルが、基準の割合またはレベルと等しい、実質的に等しい、または同様であることを意味する。本明細書で使用される「同様」という用語は、比較される割合またはレベルが、基準の割合またはレベル(例えば、2つのFc部分と、2つのFc部分のうちの1つと融合するプロセシングされた第VIII因子とから本質的になるか、またはそれらからなるキメラポリペプチドによるFXaの発生率)との10%を超えないまたは15%を超えない差異を有することを意味する。「実質的に等しい」という用語は、比較される割合またはレベルが、基準の割合またはレベルとの0.01%、0.5%、または1%以下の差異を有することを意味する。
【0174】
本発明はさらに、第VIII因子活性を有するキメラポリペプチドを含む組成物を含み、そこでキメラポリペプチドの少なくとも約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約85%、約90%、約95%、または約99%が、一本鎖第VIII因子である第VIII因子部分および第2の部分を含む。別の実施形態において、組成物中のキメラポリペプチドの約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、または約99%が、一本鎖第VIII因子である。他の実施形態において、第2の部分は、Fc、XTEN、アルブミン、PAS配列、トランスフェリンもしくはCTP(4つのO-グリカンを有するhCGの28アミノ酸C末端ペプチド(CTP))、ポリエチレングリコール(PEG)、ヒドロキシエチルデンプン(HES)、アルブミン結合ポリペプチド、アルブミン結合小分子、またはそれらの2つ以上の組み合わせである。さらに他の実施形態において、本発明の組成物は、プロセシングされた第VIII因子を含むキメラポリペプチドおよび一本鎖第VIII因子を含むキメラポリペプチドの組み合わせを含み、(a)キメラポリペプチドの第VIII因子部分の約30%が一本鎖第VIII因子であり、キメラポリペプチドの第VIII因子部分の約70%がプロセシングされた第VIII因子であるか、(b)キメラポリペプチドの第VIII因子部分の約40%が一本鎖第VIII因子であり、キメラポリペプチドの第VIII因子部分の約60%がプロセシングされた第VIII因子であるか、(c)キメラポリペプチドの第VIII因子部分の約50%が一本鎖第VIII因子であり、キメラポリペプチドの第VIII因子部分の約50%がプロセシングされた第VIII因子であるか、(d)キメラポリペプチドの第VIII因子部分の約60%が一本鎖第VIII因子であり、キメラポリペプチドの第VIII因子部分の約40%がプロセシングされた第VIII因子であるか、(e)キメラポリペプチドの第VIII因子部分の約70%が一本鎖第VIII因子であり、キメラポリペプチドの第VIII因子部分の約30%がプロセシングされた第VIII因子であるか、(f)キメラポリペプチドの第VIII因子部分の約80%が一本鎖第VIII因子であり、キメラポリペプチドの第VIII因子部分の約20%がプロセシングされた第VIII因子であるか、(g)キメラポリペプチドの第VIII因子部分の約90%が一本鎖第VIII因子であり、キメラポリペプチドの第VIII因子部分の約10%がプロセシングされた第VIII因子であるか、(h)キメラポリペプチドの第VIII因子部分の約95%が一本鎖第VIII因子であり、キメラポリペプチドの第VIII因子部分の約5%がプロセシングされた第VIII因子であるか、(i)キメラポリペプチドの第VIII因子部分の約99%が一本鎖第VIII因子であり、キメラポリペプチドの第VIII因子部分の約1%がプロセシングされた第VIII因子であるか、または(j)キメラポリペプチドの第VIII因子部分の約100%が一本鎖第VIII因子である。
【0175】
ある特定の実施形態において、本発明の組成物は、第VIII因子活性が発色アッセイによってインビトロで測定される場合、プロセシングされた第VIII因子を含む組成物(例えば、2つのFc部分と、2つのFc部分のうちの1つと融合するプロセシングされた第VIII因子とから本質的になるか、またはそれらからなるキメラポリペプチドを含む組成物)に匹敵する第VIII因子活性を有する。
【0176】
他の実施形態において、本発明の組成物は、プロセシングされた第VIII因子を含む組成物(例えば、2つのFc部分と、2つのFc部分のうちの1つと融合するプロセシングされた第VIII因子とから本質的になるか、またはそれらからなるキメラポリペプチドを含む組成物)に匹敵する第Xa因子の発生率を有する。さらに他の実施形態において、一本鎖第VIII因子を含む組成物は、プロセシングされた第VIII因子を含む組成物(例えば、2つのFc部分と、1つと融合するプロセシングされた第VIII因子とから本質的になるか、またはそれらからなるキメラポリペプチドを含む組成物)に匹敵する割合で第IXa因子と相互作用することができる。さらなる実施形態において、本発明の組成物のキメラポリペプチド中の一本鎖第VIII因子は、組成物(例えば、2つのFc部分と、2つのFc部分のうちの1つと融合するプロセシングされた第VIII因子とから本質的になるか、またはそれらからなるキメラポリペプチドを含む組成物)のキメラポリペプチド中のプロセシングされた第VIII因子に匹敵するレベルで、活性化プロテインCによって不活性化される。特定の実施形態において、一本鎖第VIII因子を含む組成物は、プロセシングされた第VIII因子を含む組成物(例えば、2つのFc部分と、2つのFc部分のうちの1つと融合するプロセシングされた第VIII因子とから本質的になるか、またはそれらからなるキメラポリペプチドを含む組成物)に匹敵するインビボの第VIII因子活性を有する。幾つかの実施形態において、本発明の一本鎖第VIII因子を含む組成物は、血友病Aマウス尾静脈切断モデルにおいて、プロセシングされた第VIII因子を含む組成物(例えば、2つのFc部分と、2つのFc部分のうちの1つと融合するプロセシングされた第VIII因子とから本質的になるか、またはそれらからなるキメラポリペプチドを含む組成物)に匹敵するレベルで血友病Aマウスを保護することができる。
【0177】
本発明はさらに、本発明の組成物を用いてヒト対象における出血性状態を治療するための方法を提供する。例となる方法は、第VIII因子活性を有するキメラポリペプチドを含む治療上有効量の薬学的組成物/製剤を、それを必要とする対象に投与することを含み、キメラポリペプチドの少なくとも約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約85%、約90%、約95%、または約99%が、一本鎖第VIII因子である第VIII因子部分および第2の部分を含む。
【0178】
出血性状態は、血液凝固障害によって引き起こされ得る。血液凝固障害はまた、凝血障害と称され得る。一例において、本開示の薬学的組成物で治療することができる血液凝固障害は、血友病またはフォンウィルブランド病(vWD)である。別例において、本開示の薬学的組成物で治療することができる血液凝固障害は、血友病Aである。
【0179】
幾つかの実施形態において、出血性状態と関連する出血の種類は、関節血症、筋肉出血、口の出血、出血、筋肉への出血、口腔出血、外傷、頭部外傷、胃腸出血、頭蓋内出血、腹腔内出血、胸腔内出血、骨折、中枢神経系の出血、咽頭後隙の出血、後腹膜腔内出血、または腸腰筋鞘内の出血から選択される。
【0180】
他の実施形態において、出血性状態を患っている対象は、例えば、外科的予防または手術中管理を含む、外科手術のための処置を必要とする。一例において、外科手術は、小手術および大手術から選択される。例となる外科的手技には、抜歯、扁桃摘出術、鼠径部ヘルニア切開術、滑膜切除術、開頭術、骨接合術、外傷外科手術、頭蓋内手術、腹腔内手術、胸腔内手術、または関節置換手術(例えば、人工膝関節全置換術、人工股関節置換手術等)、心臓手術、および帝王切開術が含まれる。
【0181】
別例において、対象は、FIXを用いて同時に治療される。本発明の化合物は、FIXaを活性化することができるため、対象へのFIXaの投与前に、FIXaポリペプチドを予め活性化させるために使用され得る。
【0182】
本発明の方法は、予防的処置またはオンデマンド治療を必要とする対象に対して実施することができる。
【0183】
一本鎖第VIII因子の少なくとも30%を含む薬学的組成物は、例えば、局所(例えば、経皮もしくは眼球)、経口、口腔、経鼻、膣内、直腸、または非経口投与を含む、あらゆる適切な投与様式のために製剤化され得る。
【0184】
本明細書で使用される非経口という用語は、皮下、皮内、血管内(例えば、静脈内)、筋肉内、脊髄、頭蓋内、鞘内、眼球内、眼周囲、眼窩内、滑液嚢内、および腹腔内注射、ならびに任意の同様な注射または注入法を含む。組成物はまた、例えば、懸濁液、乳液、徐放性製剤、クリーム剤、ゲル、または粉末であり得る。組成物は、トリグリセリド等の従来の結合剤および担体とともに坐剤として製剤化することができる。
【0185】
一例において、薬学的製剤は、液体製剤、例えば、緩衝等張水溶液である。別例において、薬学的組成物は、生理的または生理的に近いpHを有する。他の例において、水性製剤は、生理的または生理的に近いオスモル濃度および塩分を有する。それは、塩化ナトリウムおよび/または酢酸ナトリウムを含有し得る。幾つかの例において、本発明の組成物は、凍結乾燥される。
【0186】
これまで詳細に本発明を説明してきたが、本発明の理解は、以下の実施例を参照することにより、さらに明確になり、これらは、例示のみの目的で本明細書に含まれ、本発明の限定を限定するものではない。本明細書で言及するすべての特許および刊行物は、参照により明示的に組み込まれる。
【実施例0187】
(実施例1)
rFVIIIFcのクローニング、発現、および精製
すべての分子生物学的手順は、標準的な技術に従って行われた。天然シグナル配列を含むヒトFVIIIのコード配列(Genbankアクセッション番号NM_000132)は、ヒト肝臓ポリA RNAから、逆転写-ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)によって得られた。FVIIIのサイズが大きいため、コード配列は、別々のRT-PCR反応から幾つかのセクションで得られ、一連のPCR反応、制限消化、セリン743(S743)のグルタミン1638(Q1638)への融合を有するBドメイン欠失(BDD)FVIIIコード領域を含有する中間クローニングベクターへのライゲーション、完全長FVIIIのBドメインから2682bpを消去することによって組み立てられた。ヒトIgG1 Fc配列(例えば、GenBankアクセッション番号Y14735)は、白血球cDNAライブラリーからPCRによって得られ、最終発現カセットは、BDD FVIII配列が介在するリンカーなしでFc配列(ヒンジ、CH2およびCH3ドメイン、IgG1配列のD221で開始、EU番号付け)のN末端に直接融合するような方法で作製された。Fc鎖のみの発現のためには、マウスIgκ(カッパ)軽鎖シグナル配列を、合成オリゴヌクレオチドを用いて作製し、PCRを用いてFcコード配列に付加し、このタンパク質生成物の分泌を可能にした。FVIIIFcおよびFc鎖コード配列を、二重発現ベクター、pBudCE4.1(Invitrogen,Carlsbad,CA)にクローン化した。
【0188】
リポフェクタミントランスフェクション試薬(Invitrogen,Carlsbad,CA))を用いて、HEK293H細胞(Invitrogen,Carlsbad,CA)を、pSYN-FVIII-013プラスミドでトランスフェクトし、安定した細胞株がゼオシンで選択された。無血清懸濁培養液中で、細胞は増殖され、FVIIIに特異的な親和性精製ステップ(McCue J.et al.,J.Chromatogr.A.,1216(45):7824-30(2009))、続いて、アニオン交換カラムおよび疎水性相互作用カラムの組み合わせを含む、4つのカラム精製プロセスを用いて、浄化された収穫培地からrFVIIIFcタンパク質が精製された。
【0189】
(実施例2)
生化学的特性決定
プロセシングされた組換えFVIII-Fc(rFVIIIFc)が、2つのポリペプチド鎖として合成され、1664アミノ酸の全鎖長については、一方の鎖がIgG1(226アミノ酸、D221からG456まで延長する、EU番号付け)のFcドメイン(ヒンジ、CH2およびCH3ドメイン)と融合するBDD-FVIII(S743-Q1638融合、1438アミノ酸)からなり、もう一方の鎖が同じFc領域のみ(226アミノ酸)からなる。FVIIIFc/Fc二重発現プラスミドでトランスフェクトされた細胞は、3つの生成物(FVIIIFc二量体、FVIIIFc単量体、およびFc二量体)を分泌することが予期されたが、FVIIIFc単量体およびFc二量体のみが馴化培地中で検出された。非還元および還元SDS-PAGE分析によって、精製されたFVIIIFcが分析された(
図2AおよびB)。非還元SDS-PAGEについては、予測された分子量のFVIIIFc重鎖(HC)および軽鎖二量体Fc融合(LCFc2)と一致する、約90kDaおよび130kDaで泳動するバンドが認められた(
図2A、レーン3)。また、一本鎖FVIIIFc(SC FVIIIFc;HC+LCFc2)について予測された分子量と一致する約220kDaで第3のバンドが検出され、754(完全長配列に対しては1648)位でアルギニン残基は、分泌中切断されない。還元SDS-PAGE分析については、一本鎖Fc、HC、LCFc、およびSC FVIIIFcの予測された分子量と一致する、約25kDa、90kDa、105kDa、および195kDaで泳動する主要なバンドが認められた(
図2B、レーン3)。前駆タンパク質転換酵素サブチリシン/ケキシン(PCSK)型プロテアーゼの成員であるヒトPC5との共トランスフェクションにより、rFVIIIFc生成物の完全プロセシングを生じた(
図2A、B、レーン2)。
【0190】
SDS-PAGE後のrFVIIIFcの幾つかのバッチの密度分析は、予期されるバンドの98%を超える純度を示した。また、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を使用して、存在する凝集度を評価し、すべてのバッチは、0.5%以下の凝集レベルを有することが認められた。
【0191】
rFVIIIFc構造が、トロンビン切断、還元、ならびにLC/UVおよびLC/MSによる分析によってさらに分析された。トロンビンによって(372、740、および795(完全長FVIII配列に対しては、1689に対応する795)位の3つのアルギニン残基での切断によって)生成される4つの第VIII因子断片は、Fc(ピーク1)、軽鎖Fc(ピーク2)、重鎖からA1ドメイン(ピーク3)、および重鎖からA2ドメイン(ピーク4)のタンパク質のセグメントに対応する、UV吸光度によって検出することができる(
図2C)。14アミノ酸Bドメインリンカーおよび約6kDaのa3関連ペプチドは、サイズが小さいため、UV吸光度によって検出されない。
【0192】
HPLC/MSによるrFVIIIFcのトロンビン消化の分析により、4つの主要ドメイン、ならびに約6kDaのa3関連ペプチドの詳細な情報を得、同じ方法を用いて、REFACTO(登録商標)、CHO由来組換えBDD-FVIIIタンパク質(rBDD FVIII)と比較された。FVIIIサンプルは、Tweenの除去のために、Detergent-OUTDTG-100Xカラム(GBioscience,Maryland Heights,MO)を通過させ、トロンビンを用いて完全に消化させ、還元させ、水中アセトニトリル+0.1% ギ酸の勾配を用いて、RP-HPLC-UV(POROS R1/10、Applied Biosystems)またはRP-HPLC-MS(Agilent6210TOF質量分析計に連結されたAgilent1200)のいずれかによって分析された。ペプチド配列はまた、LysCペプチドマッピングを用いて確認され、RP-HPLC/MS(Thermo Finnigan LTQ-XL-ETD)によって分析された。
【0193】
予想されるように、rFVIIIFcの全イオン電流(TIC)クロマトグラム(
図2D)は、UVクロマトグラム(
図2C)と同様であると見られる。期待された6つの生成物のうちの5つは、LC/MSによって検出することができ、これには、プロセシングされたおよび一本鎖イソ型から生成されたa3酸性領域の2つの型、ならびに消化のために使用されたトロンビンを含む。また、さらなる切断型のa3酸性領域が観察され、以下にさらに十分に記載する。rBDD FVIIIは、同様のTICクロマトグラムを得たが、遊離Fc鎖がなく、rFVIIIFc LC-Fcと比較してLCに対する異なる質量を有し、Fc領域の欠失と一致する(データ示さず)。
【0194】
タンパク質の大部にわたるグリコシル化の異種性のため、A1、LC-Fc、およびFc領域に対するデコンボリューション質量スペクトルは複雑であり、そのため、すべての分子イオンの同一性は、構築されていない。しかしながら、Fc領域から3つの主要ピークに対して観察された質量は、IgG分子上に見出されたG0、G1、およびG2イソ型と一致することが見出され、これは、0、1、または2つのガラクトース残基で終了する二分岐オリゴ糖に対応する。a3関連ペプチドおよびA2ドメインのデコンボリューション質量スペクトルは、これらの領域内の翻訳後修飾における異種性がないため、最も信頼のおけるデータを提供し、期待される質量を明確に特定することができる。
【0195】
R1689の切断後、LCから放出された6kDaのN末端ペプチドは、プロセシングされたイソ型由来である場合、a3酸性領域(アミノ酸E1649~R1689)を含み、一本鎖イソ型由来である場合、14アミノ酸切断Bドメインは、a3酸性領域と融合することが予測される。rFVIIIFcおよびrBDD FVIIIは共に、a3領域の型を含有し、SDS-PAGE分析に基づく予想されるレベルと比例することが見出された。加えて、両タンパク質は、他のFVIII製品に関して報告されているように、アミノ酸D1658~R1689に対応するa3領域の切断型を含有したが、これは、rFVIIIFc中よりもrBDD FVIII中により豊富に存在することが見出された。
【0196】
A2ドメインは、3つの可能性のあるチロシン硫酸化部位を含有するが、複雑な異種性をもたらし得るグリコシル化部位は含有せず、したがって、この領域の正確な質量を計算することができる。S373~R740配列の質量と相関するrFVIIIFcのデコンボリューション質量スペクトルにおける第1の予想されるピークに加えて(
図2E)、E720およびY729で切断されたA2ドメインと相関して、FVIII HCの既知の切断に対応する2つのさらなるが特定された。これらの報告された切断型はまた、rBDD FVIII A2のデコンボリューションスペクトルにおいて直接観察された(
図2E)。rFVIIIFcおよびrBDD FVIII A2は共に、Y729で切断された型の同様の相対量を含有したが、rBDD FVIII A2ドメインは、rFVIIIFcにおける同じ型と比較して、E720で切断された著しく高いレベルの型を含有した(
図2E)。
【0197】
rFVIIIFcの一次配列は、リシルエンドペプチダーゼ(Lys-C)の消化によるペプチドマッピング、続いて、紫外線および質量分光法による検出によって確認された。rFVIIIFcから産生された99の理論的なペプチドのうち、全配列の98%に対応する、81が検出された。rFVIIIFcの翻訳後修飾もまた、この方法によって特徴付けられた。FVIIIは、346、718、719、723、1664、および1680位に対応する6つの潜在的なチロシン硫酸化部位を含有する。これらの6つの部位に対応する完全に硫酸化されたペプチドが見出され、質量スペクトルにおける全イオンクロマトグラムの積分によって評価されると、1680位に対応する微量の非硫酸化ペプチドがあり、他の位置に対応する検出可能な非硫酸化ペプチドはなかった。BDD FVIIIはまた、6つの潜在的なNグリコシル化部位を含有し、このうちの4つは、組換えFVIII製品においてグリコシル化されることが報告されている。これと一致して、rFVIIIFcは、グリコシル化される同じ4つの部位を有することが見出され、N239およびN2118は、高マンノース構造体を含有することが見出される一方で、N41およびN1810は、rBDD FVIIIに見出されるものと同様に、より複雑な糖質を含有することが見出された。Fc領域のN結合型グリコシル化は、LC/MSによって、トロンビンマップで見出されるG0、G1、およびG2のイソ型と一致することが見出された。FVIIIは、部分的に占有されたSer741および743でO-グリコシル化部位を有することが報告され、このことは、rFVIIIFcに関する場合にも見出された。
【0198】
共トランスフェクトしたプロセシング酵素を用いないで産生されたrFVIIIFcポリペプチドは、15~25%の一本鎖FVIIIFc(SC FVIIIFc)を示し、R754とE755との間の単一ペプチド結合(完全長FVIIIに対してはR1648/E1649)で、プロセシングされたrFVIIIFcとは異なる。このイソ型は、精製され、上述の生化学アッセイのすべてにおいて特徴付けられ、以下に示されるように、rFVIIIFcに匹敵することが見出された。精製された一本鎖FVIIIFcの活性は、発色アッセイ、ならびに以下に記載される様々な機能アッセイによってrFVIIIFcと同様であることが見出された。
【0199】
発色および一段階aPTTアッセイによるFVIII活性の測定
FVIII活性が、FVIII発色アッセイによって測定された。rFVIIIFcの4つの別々のバッチからの平均比活性度は、発色アッセイによって、9762±449IU/mgであることが見出され、これは、2148±99IU/nmolに相当する。rFVIIIFcの14のバッチからの平均比活性度は、aPTTアッセイによって、8460±699IU/mgであり、発色アッセイによって、9348±1353IU/mgであることが見出され、これはそれぞれ、1861±154および2057±298IU/nmolに相当する。一本鎖FVIII:FcのFVIII活性もまた、発色アッセイによって測定され、完全にプロセシングされたrFVIII:FcまたはrFVIII:Fc DS(約25%の一本鎖rFVIII:Fcを含有する)と比較された。表3Aが示すように、一本鎖rFVIIIFcは、フォンウィルブランド因子(VWF)の存在下および不在下の両方で、発色アッセイによって完全にプロセシングされたFVIIIFcまたはrFVIIIFc DSの第VIII因子活性と比較して、FVIII活性においていかなる有意な差異も示さなかった。表3Bは、一段階活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)アッセイによって測定されるように、SCrFVIIIFcの完全活性がVWFの不在下で観察されたことを示す。
【表3A】
【表3B】
【0200】
一段階凝固アッセイ(APTT)において、SC rFVIIIFcは、血漿が正常なVWFレベルを有する場合、60%の活性の減少を示し、これは、SC rFVIIIFcの活性化における可能性のある役割を示唆している。この観察は、SC rFVIIIFcの凝固活性が先天性FVIII欠損血漿におけるものと同じレベルまで減少した場合に、FVIII/VWF欠乏血漿(表3)までヒトVWFを添加することによってさらに確認された。
【0201】
Xアーゼ複合体の活性
FVIII活性はまた、カルシウムの存在下で、リン脂質表面上での活性化FIXおよびトロンビン活性化REFACTO(登録商標)またはrFVIIIFcタンパク質をインキュベートし、発色または蛍光発生基質の切断によって測定される、FXのFXaへの転換をモニタリングすることによって、Xアーゼ複合体において測定され、これにより、FXaの発生率が決定された。次いで、このアッセイは、それぞれの個々の成分との相互作用を検査するために、その他を一定に維持しながら、アッセイの1つの成分を変化させることによって改変された。
【0202】
FXaの発生率は、合成リン脂質ベシクル(25% ホスファチジルセリン/75% ホスファチジルコリン)を用いて、rFVIIIFc DS、rBDD FVIII、および一本鎖rFVIIIFcに対する異なるリン脂質濃度の一関数として決定された(
図3A)。双方のタンパク質は共に、約156μMのリン脂質でピーク活性を有する同様の活性プロファイルを有することが認められた。
【0203】
次いで、FXaの発生率が、異なるFX濃度の一関数として決定され、KmおよびVmaxが計算された(
図3B)。rFVIIIFc DS、rBDD FVIII、および一本鎖rFVIIIFcに対する活性プロファイルは、同様のKmおよびVmaxを有し、同様であることが見出された(表4)。最後に、FXaの発生率が、異なるFIX濃度の一関数として決定された(
図3C)。この活性プロファイルは、同様のKdおよびVmaxを有し、同様であると思われた(表4)。同様の結果が、リン脂質源として血小板を用いて得られた(未発表データ、2009年6月)。
【表4】
【表5】
【0204】
APCによる不活性化
活性化すると、FVIIIは、活性化プロテインC(APC)による切断、およびA2ドメインの解離によって不活性化される。rFVIIIFcおよびrBDD FVIIIをいずれも、トロンビンによって活性化し、次いで、FXa発生アッセイにおいて決定される異なる時間および活性に対してAPCでインキュベートした(
図4)。トロンビン活性化の不在下では、FXaの発生がほとんど検出されず、トロンビン消化に伴って有意に増加した。90分間のAPCによる処理は、非活性化サンプルと同様である、FXaの発生率の有意な減少をもたらし、これらの結果は、rFVIIIFc DS、rBDD FVIII、および一本鎖rFVIIIFcに対して同様であった。
【0205】
vWFに対する親和性
フォンウィルブランド因子(vWF)とのFVIIIの相互作用を、表面プラズモン共鳴(SPR)技術に基づいて、リアルタイム生体分子相互作用分析(BIAcore)によって測定し、vWFに対するrFVIIIFcおよびrBDD FVIIIの結合動態反応速度を決定した(表6)。Ka(オン速度)およびKd(オフ速度)の動態反応速度パラメーターならびに親和性KD(Kd/Ka)は、同一の条件下で、それぞれのFVIIIの相互作用に対して決定された。rFVIIIFcおよびrBDD FVIIIは共に、それぞれ、1.64±0.37および0.846±0.181nMの、vWFに対して低いnMの結合親和性(KD)を有することが見出された。それらのタンパク質は、親和性において2倍の差をもたらすオン速度の2倍の差を有する、同様のオフ速度を有した。
【表6】
【0206】
表6に示されるように、vWFとのrFVIII:Fc DSまたは一本鎖rFVIIIFcの親和性は、BDD FVIIIのみの親和性よりもほぼ2倍多い、低nM範囲であることが見出された。生理学的濃度では、これは、遊離FVIIIと比較して、vWFで複合されたrFVIIIFc(プロセシングされたまたは一本鎖)のパーセンテージのわずかな減少をもたらすだろうが、インビボ研究は、このわずかに低い親和性にかかわらず、rFVIIIFcの半減期が完全長またはBDD FVIIIを上回って有意に延長することを示し、そのため、これはこの分子の半減期を損なうとは思われない。遊離rFVIIIFcは、FcRn経路を介してより有効に再利用され、そのため、これは、半減期のより長い延長に寄与し得る可能性がある。
【0207】
vWFに対する親和性およびトロンビンで媒介されるvWFからの放出
組換えBドメイン欠失第VIII因子Fc(rFVIIIFc)が、HEK293細胞において発現された。HEK293細胞における生合成中、rFVIIIFcの大部分は、制限タンパク分解によってプロセシングされて、Fc部分が付着するFVIIIの重鎖(HC)およびFVIIIの軽鎖(LC)を生成する。血漿中およびFVIIIの薬物製剤の保存中のHCおよびLCの自発的解離は、FVIII活性の損失の一因となると考えられる。プロセシングされない、生合成されたrFVIIIFcの残りの部分は、プロセシングされたrFVIIIFcと比較して、増大した製造可能性および安定性を提供し得る一本鎖イソ型のrFVIIIFc(SC rFVIIIFc)を形成する。
【0208】
この実施例は、rFVIIIFcとvWFとの相互作用に関して、SC rFVIIIFcとフォンウィルブランド因子(vWF)との相互作用と比較するアッセイを説明する。vWFとの相互作用は、表面プラズモン共鳴(SPR)技術に基づいて、リアルタイム生体分子相互作用分析(BIAcore)によって測定し、vWFに対するrFVIIIFcおよびrBDD FVIIIの動態結合反応速度を決定した(表11および
図16A)。FVIIIを含まないヒト血漿由来vWFは、質量輸送制限を防ぐのに十分低いレベルで、バイオセンサー表面上にアミン結合によって固定化された。rFVIIIFcおよびSC rFVIIIFcを、0.13~5.0nMの濃度で単一サイクルの反応速度モードで順次注入した。センサーグラムデータを、1:1の相互作用モデルに当てはめた。
【0209】
Ka(オン速度)およびKd(オフ速度)の動態反応速度パラメーターならびに親和性KD(Kd/Ka)が、同一の条件下で、それぞれのFVIIIの相互作用に対して決定された。rFVIIIFcおよびrBDD FVIIIは共に、それぞれ、0.34±0.1および0.31±0.1nMのvWFに対して低いnMの結合親和性(KD)を有することが見出された。両方のイソ型はまた、同様のオン速度およびオフ速度を有した。
【表11】
【0210】
次に、rFVIIIFc、SC rFVIIIFc、およびBドメイン欠失のFc部分を欠いているFVIII(rBDD FVIII)のトロンビンに媒介される放出を、25℃および37℃の両方で測定した。ヒトvWFを、バイオセンサー表面上の3つのフロー細胞における同様のレベルでアミン結合によって固定化した。残りのフロー細胞は、参照目的のための空としての役割を果たした。rFVIIIFcおよびSC rFVIIIFcタンパク質を、vWFによって捕捉し、ゆっくりと解離させ、rFVIIIFcおよびSC rFVIIIFcの濃度を調整して、解離相の終点までに等モル量の捕捉レベルを得た。ヒトα-トロンビン溶液を、2倍段階希釈により調製し、0.005~20U/mLの範囲の濃度で適用し、vWFからFVIIIa種のタンパク質分解放出をもたらした。vWFからの活性化したrFVIIIFc、SC rFVIIIFc、およびrBDD FVIIIのトロンビンに媒介される放出を、SPRベースの光バイオセンサーを用いてリアルタイムにおいてモニタリングした(
図16B)。空の参照値の減算後(
図16C)、α-トロンビン濃度の一関数としての放出率が決定された(
図16D)。25℃でrFVIIIFcに対する3.9±0.3U/mLと比較して、SC rFVIIIFcに対するトロンビンの半最大有効濃度(EC
50)は、12±1U/mLであり、37℃でrFVIIIFcに対する4.8±0.2U/mLと比較してSC rFVIIIFcに対して15±1U/mLであった(
図16E)。rFVIIIFcは、25℃で3.9±0.3U/mLおよび3.3±0.3U/mLの値をそれぞれ有し、37℃で4.8±0.2U/mLおよび4.0±0.2U/mLの値をそれぞれ有し、rBDD FVIIIと比較して同様のトロンビンのEC
50値を有した。SC rFVIIIFcは、rFVIIIFcよりも約3倍高いトロンビンのEC
50値を有した。vWFからのトロンビンに媒介される放出の減退は、vWFが存在するaPTTアッセイにおいて観察されたSC rFVIIIFcに対する比活性度の説特異的減少の根底であり得る(表3B)。
【0211】
(実施例3)
第I/IIa相の非盲検、交差、用量増加、多施設、およびヒト初回試験が、重症(<1IU/dL[1%]内因性第VIII因子[FVIII]として定義される)血友病Aを有する対象におけるrFVIIIFcの単回投与の安全性、耐容性、および薬物動態を評価するために設計された。合計約12人の治療歴のある患者を登録し、25または65IU/kgでrFVIIIFcを投与した。スクリーニング(参照比較物質であるADVATE(登録商標)[rFVIII]の初回投与前28日以内に予定)ならびに初回注射前に無FVIII処置で最低4日間(96時間)経過した後、約6人の対象が、ADVATE(登録商標)の単回の25IU/kgの用量投与を受けて、その後、3日間(72時間)薬物動態(PK)プロファイル、次いで、交差試験を受けて、7日間(168時間)PKプロファイリングのためのrFVIIIFcの25IU/kgの単回、非盲検用量投与を受けた。最初の3人の対象は、順次用量投与した。25IU/kgのrFVIIIFcを用量投与した最初の3人の対象に関しては、それぞれの対象は、rFVIIIFcの注射後14日目(336時間)に阻害剤評価を受けた。次の対象(最初の3人の対象のみに関して)の用量投与は、阻害剤試験が完了した時点で行った。3番目の対象が14日間の阻害剤評価を完了した後、残りの3人の対象は25IU/kgで、および6人の対象は65IU/kgで、それぞれの用量群内で少なくとも1日は離して逐次的に、登録を開始した。
【0212】
最後の対象がrFVIIIFcの25IU/kgの用量投与を受けた1週間後に、約6人の異なる対象が、65IU/kgのコホートのために採用された。65IU/kgのコホート中のそれぞれの対象は、ADVATE(登録商標)の単回の65IU/kgの用量投与を受けて、その後、4日間(96時間)PKプロファイリング、次いで、交差試験を受けて、10日間(240時間)プロファイリングのためのrFVIIIFcの65IU/kgの単回、非盲検用量投与を受けた。任意のコホートにおいてrFVIIIFcの初回注射前に出血エピソードが生じた場合には、対象の予備試験FVIII製品を処置のために用いて、PKプロファイルのためのrFVIIIFcの最初の注射を受ける前に、少なくとも4日間の間隔を経過していなければならなかった。
【0213】
すべての対象は、安全のために、rFVIIIFcの25IU/kgまたは65IU/kgの投与後、14日(336時間)および28日の安全性評価期間の間、追跡調査された。すべての対象は、指定された時点で、FVIII活性の分析のための血液サンプルと共に、用量投与前および後に、薬物動態サンプリングを行った。
【0214】
第I/IIa相臨床試験のための薬物動態データは、FVIIIFcに対して以下の結果を示した。FVIIIFcは、ADVATE(登録商標)(完全長rFVIII)と比較して、全身曝露(AUCINF)の約50%増加、クリアランス(Cl)の約50%減少、ならびに排出半減期およびMRTの約50~70%増加を有した。加えて、FVIIIFcは、ADVATE(登録商標)と比較して、C168、TBLP1、TBLP3、およびTBLP5値の増加を示した。
AUCINF
ゼロから無限までの濃度-時間曲線下面積
ベータHL
排出層半減期;t1/2βとも称される
C168
用量投与後約168時間でのベースラインを上回る推定FVIIIFc活性
Cl
クリアランス
MRT
平均滞留時間
TBLP1
FVIIIFc活性がベースラインを上回る約1IU/dLに減少した場合の用量投与後のモデル予測時間
TBLP3
FVIIIFc活性がベースラインを上回る約3IU/dLに減少した場合の用量投与後のモデル予測時間
TBLP5
FVIIIFc活性がベースラインを上回る約5IU/dLに減少した場合の用量投与後のモデル予測時間
【0215】
(実施例4)
組換えBドメイン欠失第VIII因子-Fc(rFVIIIFc)融合タンパク質が、FVIIIの半減期を延長するためのアプローチとして作製された。rFVIIIFcの薬物動態(PK)を、血友病AマウスにおいてrFVIIIと比較した。終末半減期は、rFVIIIと比較してrFVIIIFcに関しては2倍長いことが分かった。半減期の延長に関する根本的機序がFcRnによるrFVIIIFcの保護のためであることを確証するために、FcRnノックアウトおよびヒトFcRnトランスジェニックマウスにおいて、PKを評価した。単回静脈内用量(125IU/kg)を投与して、発色活性アッセイを用いて血漿濃度を測定した。Cmaxは、両マウス株において、rFVIIIFcおよびrFVIII(XYNTHA(登録商標))間で同様であった。しかしながら、rFVIIIFcに関する半減期は、FcRnノックアウトマウスにおいてはrFVIIIのものに匹敵したが、一方、rFVIIIFcに関する半減期は、hFcRnトランスジェニックマウスにおいてはrFVIIIより約2倍長く延長された。これらの結果は、FcRnが、rFVIIIと比較して、rFVIIIFcの半減期延長を媒介するか、またはそれに関与することを確証する。回転血栓弾性測定法(ROTEM(登録商標))により測定される全血の止血は、血友病マウスの出血モデルにおける、ならびに臨床的適用において、凝固因子の効力と相関することが示されているため、ROTEM(登録商標)を用いて血友病AマウスにおけるrFVIIIFcのエクスビボ効力を評価しようとした。血友病Aマウスに、50IU/kgのrFVIIIFc、XYNTHA(登録商標)(FVIII)、またはADVATE(登録商標)(FVIII)の単回静脈内用量投与を施した。用量投与の5分後、血餅形成は、凝固時間(CT)、血餅形成時間(CFT)、およびα角に関して同様であった。しかしながら、rFVIIIFcは、用量投与後72および96時間にCTの有意の改善を示し、そして、CFTおよびα角も、rFVIIIFcのPK延長と一致して、XYNTHA(登録商標)(FVIII)およびADVATE(登録商標)(FVIII)の両方と比較して96時間で改善された。したがって、FVIIIのFc融合物の構築は、増加した半減期、および出血からの長期の保護を提供する潜在能力を有する作用の明示された機序を有する分子を産生する。
【0216】
(実施例5)
この実施例は、25および65IU/kgのFVIII製品で処置された16人の患者からのFVIII活性に関する最終分析結果を示す。実施例3を参照のこと。
【0217】
この実施例において、rFVIIIFcは、ヒトIgG1の二量体Fcドメインと融合する組換えBドメイン欠失ヒトFVIII(BDD-rFVIII)の単一分子からなる組換え融合タンパク質であって、介在するリンカー配列を有さない。このタンパク質構築は、本明細書中では、rFVIIIFcへテロ二量体ハイブリッドタンパク質、FVIIIFc単量体Fc融合タンパク質、FVIIIFc単量体ハイブリッド、単量体FVIIIIFcハイブリッド、およびFVIIIFc単量体-二量体とも称される。実施例1、
図1、および表2Aを参照のこと。
【0218】
rFVIIIFcを用いる前臨床試験は、市販のrFVIII製品と比較して、rFVIII活性の半減期の約2倍の延長を示している。この試験の論理的根拠は、凍結液体製剤中のrFVIIIFcの単回用量投与の安全性および耐容性を評価し、重症血友病A対象におけるPKに関するデータを提供することであった。この試験のために、16人の評価可能対象が、PK評価のために利用可能であった。25(n=6)および65IU/kg/体重(n=10)の公称用量でのrFVIIIFcおよびADVATE(登録商標)の両方の2つの用量の単回投与を、約10分間にわたって静脈内に注入した。血漿PK評価のための血液サンプルを、注入前、ならびに用量投与後10日までに入手した。ADVATE(登録商標)およびrFVIIIFcの両方に関するFVIII活性のPKを、モデル依存的方法を用いて、この試験で特徴付けした。
【0219】
目的
この試験の主目的は、重症血友病Aを有する12歳以上の治療歴のある患者(PTP)における2つの用量のrFVIIIFc(25および65IU/kg)の単回投与の安全性および耐容性を評価することであった。
【0220】
副次目的は、一段階凝固および発色アッセイにおいて、ADVATE(登録商標)と比較して、25または65IU/kgのrFVIIIFcの単回投与後、長時間にわたるFVIIIの薬力学(PD)活性により決定される薬物動態(PK)パラメーターを決定することであった。
【0221】
研究設計(実施例3を参照のこと)
スクリーニング来院時(ADVATE(登録商標)の用量投与前28日以内);注射前(ADVATE(登録商標)の注射)0日目ならびに注射後10および30分ならびに1、3、6、および9時間目に;ADVATE(登録商標)の注射後24時間での1日目に;ADVATE(登録商標)の注射後48時間での2日目に;ADVATE(登録商標)の注射後72時間での3日目に;高用量のADVATE(登録商標)の注射後96時間での4日目に(コホートBのみ)、FVIII活性PK評価のために、血液サンプルを採取した。
【0222】
rFVIIIFcの投与の直前、rFVIIIFcの注射後10および30分ならびに1、3、6、および9時間目のrFVIIIFc注射の当日に;rFVIIIFcの注射後24時間での1日目に;rFVIIIFcの注射後48、72、96、および120時間での2~5日目に;rFVIIIFcの注射後168時間での7日目に;高用量のrFVIIIFcの注射後192、216、および240時間での8、9、および10日目に(コホートBのみ)、FVIII活性PK評価のために、血液サンプルを採取した。rFVIIIFcの注射後672時間での最終試験来院時(rFVIIIFcの注射後28日目)にも、FVIII活性を測定した。
薬物動態モデリングおよび算定
略語
TBLP1=FVIII活性がベースラインを上回る約1IU/dLに減少した場合の用量投与後のモデル予測時間。
TBLP3=FVIII活性がベースラインを上回る約3IU/dLに減少した場合の用量投与後のモデル予測時間。
KV_M=Cmax_M/実用量(IU/kg)
KV_OB=Cmax_OB/実用量(IU/kg)
IVR_M=100×Cmax_M×血漿容積(dL)/総容量(IU);血漿容積(mL)=(23.7×体長(cm))+(9.0×体重(kg))-1709。
IVR_OB=100×Cmax_OB×血漿容積(dL)/総容量(IU);血漿容積(mL)=(23.7×体長(cm))+(9.0×体重(kg))-1709。
【0223】
結果単回用量投与薬物動態(一段階アッセイ)
観察されたFVIII活性は、ADVATE(登録商標)またはrFVIIIFcの短時間IV注入後に急に増加し、平均(±標準偏差)モデル予測Cmax値は、25および65IU/kg用量群に関してそれぞれ、ADVATE(登録商標)に関しては56.6±4.74および121±28.2IU/dLであり、rFVIIIFcに関しては55.6±8.18および108±16.9IU/dLであった。ADVATE(登録商標)およびrFVIIIFcで処置した患者はすべて、FVIII活性の用量依存的な増加を有した。CmaxおよびAUCINFの両方において観察された増加は、評価された用量範囲を上回る用量に比例するよりわずかに低かった。
【0224】
注入終了後、観察FVIII活性の減少は、ベースラインレベルに到達するまで、単一指数関数型崩壊特性を示した。FVIII活性の減少速度は、ADVATE(登録商標)に関するものよりrFVIIIFcに関する方が低く、平均(±標準偏差)モデル予測排出半減期値は、25および65IU/kg用量群に関してそれぞれ、ADVATE(登録商標)に関しては11.9±2.98および10.4±3.03時間、ならびにrFVIIIFcに関しては18.0±3.88および18.4±6.99時間であった。排出半減期値は、両FVIII製品に関して評価された用量範囲全体で用量非依存性であると思われた。
【0225】
総全身FVIII曝露(AUCINFにより評価)は、それぞれ、25および65IU/kgの用量レベルで、ADVATE(登録商標)よりrFVIIIFc投与後に約48%および61%大きかった。平均(±標準偏差)モデル予測AUCINF値は、25および65IU/kg用量群に関してそれぞれ、ADVATE(登録商標)に関しては974±259および1810±606時間*IU/dLであり、rFVIIIFcに関しては1440±316および2910±1320時間*IU/dLであった。
【0226】
排出半減期と同様に、MRTは、ADVATE(登録商標)と比較してrFVIIIFcに関して延長された。平均(±標準偏差)モデル予測MRT値は、25および65IU/kg用量群に関してそれぞれ、ADVATE(登録商標)に関しては17.1±4.29および14.9±4.38時間であり、rFVIIIFcに関しては25.9±5.60および26.5±10.1時間であった。MRT値は、両FVIII製品に関して評価された用量範囲全体で用量非依存性であると思われた。
【0227】
加えて、CLおよびVに関する第1のPKパラメーター値を決定した。rFVIIIFcに関するCL値は、等価用量でのADVATE(登録商標)に関して観察された値の約66%のみを占めるだけであった。平均(±標準偏差)モデル予測CL値は、25および65IU/kg用量群に関してそれぞれ、ADVATE(登録商標)に関しては2.70±0.729および4.08±1.69mL/時間/kgであり、rFVIIIFcに関しては1.80±0.409および2.69±1.25mL/時間/kgであった。V値は、ADVATE(登録商標)とrFVIIIFcとの間で同等であり、平均(±標準偏差)モデル予測V値は、25および65IU/kg用量群に関してそれぞれ、ADVATE(登録商標)に関しては43.9±4.27および56.1±13.4mL/kg、ならびにrFVIIIFcに関しては45.3±7.23および61.6±10.6mL/kgであった。ADVATE(登録商標)およびrFVIIIFcの漸増用量に伴って平均CLおよびV値のわずかな増加が認められたが、限られた用量レベルと相まって65IU/kg用量での標準偏差の増加は、これらのパラメーターの用量依存性の評価を混乱させた。例えば、rFVIIIFc処置群に関するCV%幾何学平均CL値は、23.0%(25IU/kg)から48.6%(65IU/kg)に増加した。
【0228】
第1のPKパラメーターに加えて、第2のPKパラメーター(例えば、K値、IVR等)を決定して、効果のFVIII持続期間を評価した。PK差の証拠も、rFVIIIFcで観察されたが、これは、等価用量で、ADVATE(登録商標)と比較して、TBLP1およびTBLP3値の増加を示した。ADVATE(登録商標)およびrFVIIIFcに関するIVRおよびK値は、同等であると思われた。TBLP1およびTBLP3値のわずかな増加が、ADVATE(登録商標)およびrFVIIIFcの漸増用量に伴って観察された。対照的に、平均IVRおよびK値のわずかな減少が、ADVATE(登録商標)およびrFVIIIFcの漸増用量に伴って認められた。前述のように、これらのパラメーターの用量依存性の評価は、限られた用量レベルにより混乱させられる。
【0229】
平均(±標準偏差)観察TBLP1は、25および65IU/kg用量群に関してそれぞれ、ADVATE(登録商標)に関しては1IU/kg当たり2.88±0.733および2.93±0.848IU/dLであり、rFVIIIFcに関しては1IU/kg当たり4.28±0.873および5.16±2.02IU/dLであった。平均(±標準偏差)観察TBLP3は、25および65IU/kg用量群に関してそれぞれ、ADVATE(登録商標)に関しては1IU/kg当たり2.06±0.527および2.26±0.666IU/dLであり、rFVIIIFcに関しては1IU/kg当たり3.09±0.623および3.93±1.59IU/dLであった。
【0230】
観察Cmax値を用いて算定される平均IVRおよびK値(モデル内のベースラインおよび残留薬物を差し引く)は、一般的に、モデル予測Cmax値を用いて決定される値より大きく、これは、1分画モデルを用いて観察されるピーク活性よりわずかに低い推定値と一致した。平均(±標準偏差)観察K値は、25および65IU/kg用量群に関してそれぞれ、ADVATE(登録商標)に関しては1IU/kg当たり2.57±0.198および2.13±0.598IU/dLであり、rFVIIIFcに関しては1IU/kg当たり2.46±0.330および1.85±0.332IU/dLであった。平均(±標準偏差)観察IVR値は、25および65IU/kg用量群に関してそれぞれ、ADVATE(登録商標)に関しては94.1±15.6および85.8±16.5%であり、rFVIIIFcに関しては89.5±11.9および74.8±6.72%であった。
【0231】
単回用量投与薬物動態(発色アッセイ)
観察FVIII活性は、ADVATE(登録商標)またはrFVIIIFcの短時間IV注入後に急に増加し、平均(±標準偏差)モデル予測Cmax値は、25および65IU/kg用量群に関してそれぞれ、ADVATE(登録商標)に関しては70.2±9.60および157±38.6IU/dLであり、rFVIIIFcに関しては70.3±10.0および158±34.7IU/dLであった。
【0232】
ADVATE(登録商標)およびrFVIIIFcで処置した患者はすべて、FVIII活性の用量依存的な増加を有した。CmaxおよびAUCINFの両方において観察された増加は、評価された用量範囲を上回る用量に比例するよりわずかに低かった。
【0233】
注入終了後、観察FVIII活性の減少は、ベースラインレベルに到達するまで、単一指数関数型崩壊特性を示した。FVIII活性の減少速度は、ADVATE(登録商標)に関するものよりrFVIIIFcに関する方が低く、平均(±標準偏差)モデル予測排出半減期値は、25および65IU/kg用量群に関してそれぞれ、ADVATE(登録商標)に関しては10.7±1.98および10.3±3.27時間、ならびにrFVIIIFcに関しては16.2±2.92および19.0±7.94時間であった。排出半減期値は、両FVIII製品に関して評価された用量範囲全体で用量非依存性であると思われた。
【0234】
総全身FVIII曝露(AUCINFにより評価)は、それぞれ、25および65IU/kgの用量レベルで、ADVATE(登録商標)よりrFVIIIFc投与後に約53%および84%大きかった。平均(±標準偏差)モデル予測AUCINF値は、25および65IU/kg用量群に関してそれぞれ、ADVATE(登録商標)に関しては1080±236および2320±784時間*IU/dLであり、rFVIIIFcに関しては1650±408および4280±1860時間*IU/dLであった。
【0235】
排出半減期と同様に、MRTは、ADVATE(登録商標)と比較してrFVIIIFcに関して延長された。平均(±標準偏差)モデル予測MRT値は、25および65IU/kg用量群に関してそれぞれ、ADVATE(登録商標)に関しては15.3±2.86および14.8±4.72時間であり、rFVIIIFcに関しては23.4±4.22および27.3±11.4時間であった。MRT値は、両FVIII製品に関して評価された用量範囲全体で用量非依存性であると思われた。
【0236】
加えて、CLおよびVに関する第1のPKパラメーター値を決定した。rFVIIIFcに関するCL値は、等価用量でのADVATE(登録商標)に関して観察された値の約58~66%のみを占めるだけであった。平均(±標準偏差)モデル予測CL値は、25および65IU/KG用量群に関してそれぞれ、ADVATE(登録商標)に関しては2.39±0.527および3.21±1.40mL/時間/kgであり、rFVIIIFcに関しては1.57±0.349および1.86±0.970mL/時間/kgであった。V値は、ADVATE(登録商標)とrFVIIIFcとの間で同等であり、平均(±標準偏差)モデル予測V値は、25および65IU/kg用量群に関してそれぞれ、ADVATE(登録商標)に関しては35.8±5.52および43.6±11.2mL/kg、ならびにrFVIIIFcに関しては35.9±6.65および42.7±8.91であった。ADVATE(登録商標)およびrFVIIIFcの漸増用量に伴って平均CLおよびV値の増加が認められたが、限られた用量レベルと相まって65IU/kgでの標準偏差の増加は、これらのパラメーターの用量依存性の評価を混乱させた。
【0237】
第1のPKパラメーターに加えて、第2のPKパラメーター(例えば、K値、IVR等)を決定して、効果のFVIII持続期間を評価した。PK差の証拠も、rFVIIIFcで観察されたが、これは、等価用量で、ADVATE(登録商標)と比較して、TBLP1およびTBLP3値の増加を示す。ADVATE(登録商標)およびrFVIIIFcに関するIVRおよびK値は、同等であると思われた。
【0238】
TBLP1およびTBLP3値のわずかな増加が、ADVATE(登録商標)およびrFVIIIFcの漸増用量に伴って観察された。対照的に、平均IVRおよびK値のわずかな減少が、ADVATE(登録商標)およびrFVIIIFcの漸増用量に伴って認められた。前述のように、これらのパラメーターの用量依存性の評価は、限られた用量レベルにより混乱させられる。
【0239】
平均(±標準偏差)観察TBLP1は、25および65IU/kg用量群に関してそれぞれ、ADVATE(登録商標)に関しては1IU/kg当たり2.70±0.511および3.09±0.978IU/dLであり、rFVIIIFcに関しては1IU/kg当たり4.06±0.798および5.66±2.38IU/dLであった。平均(±標準偏差)観察TBLP3は、25および65IU/kg用量群に関してそれぞれ、ADVATE(登録商標)に関しては1IU/kg当たり1.98±0.377および2.39±0.718IU/dLであり、rFVIIIFcに関しては1IU/kg当たり3.04±0.598および4.44±1.84IU/dLであった。
【0240】
観察Cmax値を用いて算定される平均IVRおよびK値(モデル内のベースラインおよび残留薬物を差し引く)は、一般的に、モデル予測Cmax値を用いて決定される値より大きく、これは、1分画モデルを用いて観察されるピーク活性よりわずかに低い推定値と一致した。平均(±標準偏差)観察K値は、25および65IU/kg用量群に関してそれぞれ、ADVATE(登録商標)に関しては1IU/kg当たり3.08±0.429および2.85±0.721IU/dLであり、rFVIIIFcに関しては1IU/kg当たり3.12±0.451および2.92±0.985IU/dLであった。平均(±標準偏差)観察IVR値は、25および65IU/kg用量群に関してそれぞれ、ADVATE(登録商標)に関しては112±14.5および116±26.9%であり、rFVIIIFcに関しては113±16.3および117±33.6%であった。
【0241】
結論
ADVATE(登録商標)およびrFVIIIFcで処置した患者はすべて、評価された用量範囲全体でCmaxおよびAUCINFの同等の用量依存的な増加を有した。ADVATE(登録商標)およびrFVIIIFc活性のピーク血漿レベルは、注入終了後1時間以内に一般的に観察され、用量投与後数日間、依然として検出可能であった。注入終了後、ベースライン補正FVIII活性の減少は、両製品に関してベースラインレベルに到達するまで、単一指数関数型崩壊特性を示した。排出半減期およびMRTに関するパラメーター値は、両FVIII製品に関して評価された用量範囲全体で用量依存性であると思われた。ADVATE(登録商標)およびrFVIIIFcの漸増用量に伴って平均CLおよびV値のわずかな増加が認められたが、限られた用量レベルと相まって65IU/kgでの対象間変動の増加は、これらのパラメーターの用量依存性の評価を混乱させた。
【0242】
rFVIIIFcおよびADVATE(登録商標)活性PKの比較は、同等の用量でのADVATE(登録商標)と比較して、rFVIIIFcに関して全身性曝露の約48~61%(一段階アッセイ)または53~84%(発色アッセイ)の増加、クリアランスの約30~40%低減、排出半減期およびMRTの両方の約50~80%増加を明示した。PK差の証拠も、rFVIIIFcで観察されたが、これは、等価用量で、ADVATE(登録商標)と比較して、TBLP1およびTBLP3値の増加を実証した。ADVATE(登録商標)およびrFVIIIFcに関するIVRおよびK値は、同等であると思われた。
【0243】
発色アッセイの結果から得られるPKパラメーターは、発色アッセイが、より高い曝露パラメーター(例えば、Cmax、AUCINF等)推定値を生じたことを除いては、一般的に、一段階アッセイからのものと一致した。
【0244】
PKで観察された改善に伴って、rFVIIIFcは、出血からの長期の保護を提供し得、血友病Aを有する個体に対する注射頻度を低くし得る。
【0245】
(実施例6)
rFVIII:Fcのヒトで最初の試験からの暫定PK分析(実施例3)に基づいて、A-LONG試験を計画した。A-LONGは、重症血友病A(<1IU/dL[<1%]内因性FVIIIと定義される)を有する治療歴のある対象における出血の防止および処置における組換え第VIII因子Fc融合(FVIII:Fc)の安全性、薬物動態、および効力の非盲検多施設評価である。
【0246】
約106人の対象を、3つのレジメンのうちの1つに登録する:目的に合わせた予防レジメン(アーム1)、週投与レジメン(アーム2)、およびオンデマンドレジメン(アーム3)。
【0247】
アーム1:目的に合わせた予防レジメン アーム1は、全群およびPK亜群を含む。約66人の対象が登録される。最初のレジメンは、初日に25IU/kg、続いて、その週の4日目に50IU/kgの週2回である。rFVIIIFcに関するPK結果が得られるまで、対象は、この週予防レジメンでrFVIIIFcを投与する。これらの結果に基づいて、それぞれの個人に関して目的に合わせた予防レジメンが確立されるが、この場合、用量および間隔は、1~3%FVIII活性のトラフレベルを保持するように決定される。次いで、それぞれの対象は、その個々の目的に合わせた予防レジメンを試験中ずっと投与される。
【0248】
対象は、試験中ずっとモニタリングされ、継続中の用量および間隔調整がなされる。
調節は、2ヶ月の期間にわたって2以上の突発性出血エピソードと定義される許容できない出血エピソードを対象が経験する場合にのみ見なされるであろう。この場合、調節は、3~5%のトラフレベルを目標とする。
【0249】
アーム2:週投与レジメン
約20人の対象が登録され/無作為化されて、以下のような簡易なrFVIIIFcのPKプロファイリングを受ける:少なくとも96時間の洗い流し;rFVIIIFcの65IU/kgの単回用量投与;0日目にrFVIIIFcで開始して、注射前、ならびに注射開始から10(±2)分、3時間(±15分)、72(±2)時間[3日目]、および96(±2)時間[4日目]を含む、簡易なサンプリング。簡易なPKプロファイリング後、次に、対象に、7日ごとに一定用量65IU/kgのrFVIIIFcを少なくとも28週間、最長52週間投与する。
【0250】
アーム3:オンデマンドレジメン
少なくとも5人の対象における最低10人の大手術を、本試験で評価する。大手術は、全身麻酔および/または呼吸補助を伴う任意の外科的手法(選択的または緊急)と定義され、この場合、主要な体腔を貫通し、露出するか、または身体的もしくは生理学的機能の実質的減損が生じる(例えば、開腹術、開胸術、開頭術、関節置換術、および四肢切断術)。
【0251】
外科手術中の予防のために、対象は、12~24時間ごとに、20~50IU/kgのrFVIIIFcで処置される。外科手術前に、医師は、対象のrFVIIIFcのPKプロファイルを検討し、予定手術の種類ならびに対象の臨床状態に一般的に必要とされる第VIII因子置換の用量投与レジメンを評価する。任意のリハビリ時間を含む外科的処置期間におけるrFVIIIFcの適切な用量投与のための推奨は、これらの因子を考慮に入れる。
【0252】
この試験の主目的は、(a)予防、オンデマンド、および外科的処置レジメンとして施されるrFVIIIFcの安全性および耐容性を評価すること、ならびに(b)予防、オンデマンド、および外科的処置レジメンとして施されるrFVIIIFcの有効性を評価することである。この試験の副次目的は、(a)rFVIIIFcのPKプロファイルを特徴付けし、FVIIIFcのPKを、現行の市販製品であるADVATE(登録商標)と比較すること、(b)FVIIIFcによる個体応答を評価すること、ならびに(c)FVIIIFc消費を評価することである。
主目的
・予防、週、オンデマンド、および外科的処置レジメンとして施されるrFVIIIFcの安全性および耐容性を評価すること
・目的に合わせた予防、オンデマンド、および外科的処置レジメンとして施されるrFVIIIFcの有効性を評価すること
副次目的
・rFVIIIFcのPKプロファイルを特徴付けし、rFVIIIFcのPKを、現行の市販製品であるADVATE(登録商標)と比較すること
・rFVIIIFcによる個体応答を評価すること
・予防レジメンにおける出血を適切に防止し、外科的設定における恒常性を保持し、またはオンデマンド、週ごとの処置、もしくは予防設定における出血エピソードを処置するために必要とされる用量およびスケジュールの範囲を特徴付けること
・rFVIIIFc消費を評価すること(例えば、1人の対象当たりの総年間rFVIIIFc消費量)
【0253】
(実施例7)
臨床的ROTEM(登録商標)評価
実施例7における試験では、一段階活性化部分トランボプラスチン時間(aPTT)アッセイによる血漿FVIII活性の測定に加えて、全血回転血栓弾性測定(ROTEM(登録商標))も調べられて、2人の対象、具体的には、低用量コホート1人および高用量コホート1人におけるrFVIIIFcおよびADVATE(登録商標)によるグローバルな止血の改善を評価した。
【0254】
rFVIIIFcおよびADVATE(登録商標)は、rFVIIIFc処置前に対象の血液中に加えた場合、血餅形成において同等に活性であると思われる。凝固時間(CT)は、正常の約1%~100%の範囲でrFVIIIFcおよびADVATE(登録商標)の用量に関して線状であり、用量応答は、同一対象においてrFVIIIFcとADVATE(登録商標)との間で同等であった。
【0255】
ADVATE(登録商標)およびその後のrFVIIIFcの用量投与後、種々の時点でクエン酸処理全血をサンプリングし、カルシウム再添加後の血餅形成をROTEM(登録商標)によりモニタリングした。ADVATE(登録商標)またはrFVIIIFcの用量投与前の残留物FVIIIレベルによる可変ベースラインCTにもかかわらず、両製品は、注射後30分に、CTを同等のレベルに有効に補正した。加えて、CTの改善は、25IU/kgのrFVIIIFcの注射時および注射後3時間目に、この低用量で用量投与された対象において、ADVATE(登録商標)と比較して良好に持続された。しかしながら、rFVIIIFc対ADVATE(登録商標)の示差的改善は、65IU/kg用量ではあまり容易に感知できなかった。
【0256】
(実施例8)
血友病Aマウスを尾クリップ試験のために使用した。まず、マウスに麻酔をかけ、次いで、4.6μg/kg、1.38μg/kg、または0.46μg/kgのプロセシングされたrFVIIIFc(約75%~85%のプロセシングされたrFVIIIFcを含有する薬剤物質)および精製された一本鎖rFVIIIFcのいずれかを注射した。注射後、尾を先端から切り取り、直ちに管に入れて、血液を採取した。生存における保護のパーセンテージを、表7および
図7に示されるように、プロセシングされたrFVIIIFc(薬剤物質)および一本鎖FVIIIFcに関して測定した。
【表7】
【0257】
表7および
図7に示されるように、一本鎖rFVIIIFcによる生存における保護は、プロセシングされたrFVIIIFc(DS)と同等である。
【0258】
インビトロROTEMによる凝固活性
rFVIIIFcの凝固力価が、一連の濃度にわたって、全血回転血栓弾性測定(ROTEM)でさらに調べられ、rBDD FVIII(Xyntha)および組換え完全長FVIII(rflFVIII;Advate)の両方と比較された。インビトロROTEMのために、rFVIIIタンパク質を、5~6匹の雄血友病Aマウスの大静脈から採取されたクエン酸処理したプール血液に、正常血漿FVIIIレベルの0、0.1、1、10、および100%の最終濃度まで三重に添加した。CaCl
2(NATEM)の添加により凝固を開始し、凝固時間(CT)、血餅形成時間(CFT)、α角、および最大凝固硬度(MCF)が、ROTEMシステム(Pentapharm GmbH,Munich,Germany)において記録された。正常FVIIIレベルの0.1~100%の段階的に増大する用量で血友病Aマウスの血液中に添加される3つのタンパク質に関する凝固時間(CT)、血餅形成時間(CFT)、およびα角を
図14に示す。正常の0.1~100%の広範囲で、rFVIIIFc、rBDD FVIII、およびrflFVIIIの中で、CTおよびCFTは、同等である。α角は、10%で、rFVIIIFcとrBDD FVIIIとの間で唯一有意差がある(p<0.05)。
【0259】
エクスビボROTEMによる凝固活性
ROTEMにより測定して、rFVIIIFcの薬物動態を、血友病Aマウスへの単回静脈注射後、rBDD FVIIIおよびrflFVIIIと比較した。エクスビボROTEMのために、雄血友病Aマウスに、50IU/kgのrFVIIIFc、ADVATE(登録商標)、およびXYNTHA(登録商標)を単回用量で静脈注射し、それぞれの時点(用量投与後5分、24、48、72、および96時間目)で5匹のマウスを殺処分した。大静脈から採取された個々のクエン酸処理した全血が、ROTEMシステム上のNATEMにより直ちに分析され、上述のようにパラメーターが測定された。CT、CFT、およびα角は、用量投与後5分~96時間で採取されたサンプルに関して決定され、
図15に示した。5分で、同様のCT、CFT、およびα角を生じるすべては同等に有効である(
図15A~C)。しかしながら、rFVIIIFcは、rBDD FVIIIおよびrflFVIIIと比較して、72および96時間で、有意に改善された(p<0.05)CTを示し、CFTおよびα角は96時間で示した(
図15A~C)。
【0260】
(実施例9)
組換え因子VIIIFc(rFVIIIFc)は、ヒト免疫グロブリンG1(IgG1)のFcドメインと遺伝的に融合するBドメイン欠失(BDD)rFVIIIからなる。HEK293細胞から分泌される前に、rFVIIIFcの大部分は、FVIII重鎖(HC)および軽鎖(LC+Fc)にプロセシングされる。循環中、rFVIIIFcは、フォンウィルブランド因子(VWF)と複合化され、天然FVIIIと区別できない様式で活性化される時に放出される。HCおよびLCの自発的分離は、血漿中およびFVIIIの薬物製剤の保存中のFVIII活性の損失の一因となると考えられる。ここで、天然FVIIIと比較して、優れた製造可能性および増大した安定性を提供し得る、一本鎖がプロセシングされないイソ型のrFVIIIFc(SC rFVIIIFc)を説明する。
【0261】
SC rFVIIIFcを、プロセシングされないイソ型の画分を含有するrFVIIIFcから精製した。rFVIIIFcと比較して、SC rFVIIIFcは、一段階(aPTT)アッセイによって等価の発色活性を示したが、活性が約60%減少したことを示した(表3A~B)。トロンビン生成アッセイ(TGA)を、(Thrombinoscope(登録商標)による)自動較正トロンボグラムを用いて行なった。トロンビン生成アッセイ(TGA)では、SC rFVIIIFcはまた、rFVIIIFcと比較して、減少したトロンビンの有効性(
図13A)およびピークのトロンビン(
図13B)を示した。しかしながら、表3Bで示されるように、aPTTによるSC rFVIIIFcの完全活性が、vWFの不在下で観察され、a3放出および完全にプロセシングされたFVIIIからの解離と比較して、vWFからの放出が、SC rFVIIIFc中のArg1680切断後のHCへのa3酸性領域の共有結合により遅延され得ることを示唆した。vWFからの遅延した解離は、aPTTアッセイおよびTGAにおいて観察された減少した活性を説明し得、一方、完全活性は、二段階発色アッセイにおいて観察された。vWFの存在下で、活性化の減少率は、FVIIIの活性剤として限られたトロンビンを有する修飾された発色基質アッセイにおいて確認された。
【0262】
SC rFVIIIFcのインビボ機能を、血友病Aマウス尾部静脈切断(TVT)モデルにおいて評価した。血友病A雄マウスを、TVTの48時間前に、rFVIIIFcの薬物製剤またSC rFVIIIFcのいずれかの指示された用量で処置した。尾の再出血および生存を、TVT後12時間まで時間ごとにモニタリングし、最終的な観察を、TVT後24時間目に行なった。SC rFVIIIFcおよびrFVIIIFcは、このモデルにおける等価のインビボ有効性を示し、TVTが注入後48時間目に行われた場合、それぞれ、1.17μg/kgおよび1.23μg/kgのED50を有した(
図7(A))。血友病AマウスにおけるTVT後の24時間目に同等の生存曲線(p≧0.65)(
図7(B))および再出血率(
図7(C))が、それぞれの試験した用量レベルで、SC rFVIIIFcおよびrFVIIIFcに関して観察され、SC rFVIIIFcが、より低い見掛けのaPTT活性にもかかわらず、rFVIIIFcと同様に有効であったことを示した。したがって、vWFの存在下でSC rFVIIIFcのインビトロ活性化の遅延は、インビボ有効性において有意な影響がないように思われる。それ故に、SC rFVIIIFcは、臨床的適用を有する可能性がある新規かつ有効なイソ型のrFVIIIFcを表す。さらなる試験が、このFc融合タンパク質において、増大した製品の安定性を示すために必要とされるであろう。
【0263】
(実施例10)
現行の因子VIII(FVIII)製品は、約8~12時間の半減期(t1/2)を示し、血友病A患者の予防および処置のために頻繁な静脈注射を必要とする。rFVIIIFcは、循環rFVIII半減期を延長するために、ヒトIgG1のFcドメインに共有結合されるFVIIIの単一分子からなる組換え融合タンパク質である。重症血友病Aを有する治療歴のある男性対象におけるこのヒト初回試験は、rFVIIIFcの安全性および薬物動態を調査した。16人の対象が、単回用量のADVATE(登録商標)を25または65IU/kgで投与され、続いて、等用量のrFVIIIFcが投与された。ほとんどの有害事象は、研究薬物とは関連しなかった。研究対象のいずれも、抗FVIIIFc抗体または阻害剤を発生しなかった。用量レベルにわたって、ADVATE(登録商標)と比較して、rFVIIIFcは、1.54~1.71倍長い排除t1/2および平均滞留時間、1.49~1.56倍低いクリアランス、および1.48~1.56倍高い総全身曝露を示した。ADVATE(登録商標)およびrFVIIIFcは、同等の用量依存性のピーク血漿濃度および回復を有した。ベースラインを上回る1%のFVIII活性までの時間は、用量レベルにわたって、ADVATE(登録商標)よりも約1.53~1.68倍長かった。それ故に、rFVIIIFcは、血友病Aを有する患者における長期の止血保護および用量投与のより少ない頻度を達成するような、実行可能な治療的なアプローチを提供し得る。
【0264】
血友病Aは、関節および軟組織への頻繁な突発性および外傷性出血を生じる遺伝性出血性障害である。Mannucci PM,Tuddenham EGD,N Engl J Med,344:1773-1779(2001)。不十分に処置される場合、この出血は、慢性関節症、身体障害、および増加した死亡の危険性を引き起こす。Soucie JM et al.,Blood.96(2):437-442(2000)。
【0265】
血漿由来FVIII(pdFVIII)および組換えヒトFVIII(rFVIII)製品が、出血エピソードの処置(オンデマンド療法)および予防(予防的療法)のために使用される。rFVIIIが、血液媒介病原菌の感染、続いて、HIVおよび肝炎ウイルスを含む血漿製品の広範囲に及ぶ汚染の危険性を軽減するため、およびFVIII製品の適切な供給を保証するために開発された。しかしながら、現行のFVIII製品を用いた止血保護は、約8~12時間の短半減期(t1/2)のため、時間的に制限されており、ほとんどの突発性出血エピソードに対して保護として確立されているレベルの1%を上回るFVIIIレベルを維持するために、ほとんどの患者に対して週に3回または1日おきに予防注射を必要とする。Manco-Johnson et al.,New Engl J Med.357(6):535-44(2007)。
【0266】
多くの研究は、高用量でさえ、オンデマンド療法は、関節症を防止するのに有効ではないことを示している。Aledort L.et al.,J Intern Med.236:391-399(1994)、Petrini P.et al.,Am J Pediatr Hematol Oncol.13:280-287(1991)。第一関節出血後に一次予防を開始した小児が、オンデマンドで治療された小児よりも出血が著しく減り、関節損傷が少なかったことを立証した、予防的療法の有益性は、多くの臨床研究4、6~15およびManco-Johnson et al.,上記において実証されている。
【0267】
オンデマンド治療と比較して、予防的療法はまた、身体障害、入院率、および失われた学習または労働時間を減らし6、16、患者およびその家族の生活の質を向上する17。しかしながら、予防的療法は、小児において、中心静脈アクセス装置の使用を必要とし、感染症、敗血症、および血栓症の危険性を伴う場合がある。加えて、これらの有益性にもかかわらず、予防法の承諾およびコンプライアンスは、1つには不便さおよび侵襲性のため、年齢が上がるに伴って減少する18、19。それ故に、長期の血漿t1/2を有するrFVIII製品は、有効である可能性があり得る。Lillicrap D.,Current Opinion in Hematology 17:393-397(2010)。
【0268】
rFVIIIFcは、ヒトIgG1 Fcドメインと共有結合しているBドメイン欠失rFVIIIの単一分子からなる組換え融合タンパク質である。Fc融合タンパク質の可能性のある利点には、より良好な耐容性および長期の止血保護が含まれ、Fcドメインは、既知の固有の毒性のない天然分子を表す21、22。IgG1 Fcドメインへの付着は、内皮細胞を含む多くの細胞型において発現される新生児Fc受容体(FcRn)への結合を可能にする。FcRn発現は、一生を通じて安定しており、リソソーム分解からのIgG1およびFc融合タンパク質の保護に関与し、それ故に、タンパク質のt1/2を延長する21,23。循環内の多くのタンパク質は、非特異的飲作用を通して血管内皮細胞に内在化し、エンドソームおよびリソソーム分解経路に取り込まれる。
【0269】
Fcタンパク質は、エンドソーム内に常在するFcRnと相互作用する。FcRnを含むエンドソームは、Fc融合タンパク質を原形質膜に直接戻し、pH依存性の様式で循環にそれらを放出し24、それにより、リソソーム分解を回避する。この再生利用アプローチは、治療用生物製剤のt1/2を延長するのに首尾よく使用されており、多くのFc融合ベースの薬物は、臨床用途のために承認されており(例えば、エタネルセプト、ロミプロスチム)、その他は開発中である25、26。
【0270】
rFVIIIFcの前臨床データは、FVIIIが、FcRnにより媒介された天然の防御経路による分解から免れ、そのために、t1/2を延長することができることを示す。血友病Aマウスおよびイヌでは、rFVIIIFcに関する末端血漿t1/2は、rFVIIIが有するよりも約2倍長い27、28。これらのデータに基づいて、血友病Aを有する対象における長期にわたるrFVIIIFc融合タンパク質の安全性およびPKを調査するために、ヒト初回臨床試験を行った。
【0271】
研究設計:重症血友病Aを有する治療歴のある患者における、この非盲検、用量増加、多施設、第1/2a相研究は、ADVATE(登録商標)と比較したrFVIIIFcの安全性およびその薬物動態(PK)(抗血友病因子[組換え型]、血漿/アルブミンを含まない方法、オクトコグアルファ、Baxter Healthcare)を調査した。この研究は、臨床試験実施に関する基準におけるUS CFRおよびICHガイドラインに従って行われた。いかなる試験を行う前にも、加入する治験審査委員会の承認およびすべての対象からの書面によるインフォームドコンセントを得た。研究設計は、逐次的であり、単回用量のADVATE(登録商標)は、25または65IU/kgで投与され、続いて、等用量のrFVIIIFcが投与された(
図8)。両薬物は、約10分間にわたって静脈注射された。2つの用量レベルは、一般的な治療用量範囲を網羅することが期待された。対象は、注射後14および28日目に抗FVIII抗体および阻害剤に対する試験を行うことを含み、安全性分析のためにrFVIIIFcを受容した後28日間追跡された。血漿FVIII活性を、注射前、rFVIIIFc注射後、10および30分、1、3、6、9、24、48、72、96、120、および168時間(7日)目に、対象において測定し、65IU/kgのrFVIIIFcを投与された対象に対しては、192、216、および240時間(10日)にさらなるサンプルを採取した。血漿FVIII活性を、ADVATE(登録商標)処置後、25IU/kg群については、72時間、および65IU/kg群については、96時間までの同じ時点で測定した。
【0272】
対象:男性対象は、重症血友病A(1%未満のFVIII活性レベルと定義される)を有する少なくとも12歳であり、FVIII濃縮物(pdFVIIIまたはrFVIII)に対して少なくとも100の文書化された事前曝露日を有した。マウスまたはハムスタータンパク質への公知の過感受性を有する、スクリーニング時に阻害剤もしくは検出可能な阻害剤力価の使用歴がある対象、または止血もしくは全身性免疫抑制剤に影響を及ぼし得るいずれかの薬剤を服用した対象、またはスクリーニングの30日以内に(肝炎もしくはHIV以外の)活性細菌もしくはウイルス感染を経験した対象は、除外された。対象の遺伝子型が、知られている場合、研究参加時に記録された。
【0273】
処置製品:ヒトrFVIIIFcおよびFcトランス遺伝子を、HEK293細胞に安定にトランスフェクトし、細胞株を、安全性を確保するために、安定性、滅菌性、およびウイルス感染に関して広範に試験を行った。精製薬物製品は、細胞からの合成および分泌中、第2のFc単量体を用いてジスルフィド結合を形成するFc単量体のN末端にそのカルボキシ末端を通して共有結合された単量体Bドメイン欠失FVIIIからなる。rFVIIIFcを、クロマトグラフィーおよびナノ濾過により精製し、市販のrFVIII調製物に対して、一段階および発色凝固アッセイにおいて完全に活性であった。それは、2mLの溶液当たり1000IUを含む冷凍液として供給され、L-ヒスチジン(pH7)、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、スクロース、マンニトール、およびポリソルベート20を用いて製剤化された。注射のために、この製品は、食塩溶液(0.9% NaCl)で希釈された。
【0274】
結果の測定項目:この研究の第1の目的は、安全性であり、身体検査、治療中に発生した有害事象(AE)の報告、抗体の発生、および経時的な実験室モニタリングを通して評価された。第2の目的には、PK分析から得られたパラメーターが含まれた。実験的評価には、プロトロンビン時間、活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)、国際標準比率、D二量体レベル、フォンウィルブランド因子(vWF)抗原、標準的な血液学および血液化学検査、ならびに尿検査が含まれた。
【0275】
FVIII活性を、ヒト血漿に関する世界保健機関(WHO)の第5国際標準品(IS)に対して追跡可能な正常な参照血漿(Precision Biologics CRYOcheck(商標))に対して較正を行った市販の試薬(Dade Actin FSL)を用いて、Siemens BCS-XP分析器上で一段階凝固(aPTT)アッセイによって測定した。aPTTアッセイに加えて、FVIII活性を、ヨーロッパ薬局方の推奨に適合する市販のキット(Aniara BIOPHEN FVIII:C)を用いて、発色基質アッセイ29によって測定した。発色アッセイを、正常なヒト参照血漿(Instrumentation Laboratories ORKE45)に対して較正し、これもまた、WHOの第5ISヒト血漿標準品に対して割り当てられた力価を有した。
【0276】
一段階および発色アッセイに関する定量下限(LLOQ)はそれぞれ、0.5IU/dLおよび0.4IU/dLであった。FVIII阻害剤を、*Nijmegenで修正されたBethesdaアッセイによって測定し、0.6BU/mL未満は、陰性であると見なされた。抗rFVIIIFc抗体を、ビオチンおよびスルホタグ付きrFVIIIFcを使用する、特定の架橋電気化学発光免疫学的アッセイを用いて評価した。アッセイ感度は、代理対照として抗ヒトFVIIIのモノクローナル抗体を用いて、89ng/mLであることが決定された。ADVATE(登録商標)およびrFVIIIFcを用いた注射後のグローバルな止血の改善を評価するために、様々な時点で、それぞれの用量レベルから1人ずつ2人の対象において、予備的な全血回転血栓弾性測定法(ROTEM(登録商標))を行った。
【0277】
薬物動態分析:内因性FVIIIレベルおよびその後の残留遅延を自動的に推定する、ユーザー定義された1分画分布モデルが、ADVATE(登録商標)またはrFVIIIFcの単回投与後の個々の対象の血漿FVIII活性対時間データの分析のために、WinNonLinにおいて使用された。実際のサンプリング時間、用量、および注射期間が、最大活性(Cmax)、t1/2、クリアランス(CL)、定常状態分布容積(Vss)、濃度曲線下面積(時間ゼロから無限まで外挿された[AUCINF])、平均滞留時間(MRT)、および増分回収率を含む、パラメーターの計算のために使用された。
【0278】
25IU/kgまたは65IU/kgの投与レジメン後のFVIII活性-時間プロファイルを確立するための、rFVIIIFc活性-対-時間プロファイルのモンテカルロシミュレーション、モンテカルロシミュレーションを、ADVATE(登録商標)およびrFVIIIFcの集団PKモデルを用いておこなった。試験した集団におけるモデルパラメーター(CL、分配容積)の平均推定値、個人間分散、および残差変動が、この第1/2a相研究において、16人の対象からのADVATE(登録商標)およびrFVIIIFcの一段階(aPTT)凝固アッセイ活性データに基づいて推定された。500人の対象が、それぞれの投与レジメンに関してそれぞれの対象に対して15のサンプリングポイントでシミュレートされた。ADVATE(登録商標)またはrFVIIIFcの異なる投与レジメン後の、異なる時間で、1%および3%以上のFVIII活性を有する集団のパーセンテージが推定された。
【0279】
統計的分析-rFVIIIFcおよびADVATE(登録商標)に対して選択されたPKパラメーターが、変動モデルの分析を用いて比較された。PKパラメーターは、これらの分析に対して対数変換され、対数尺度における推定された平均、平均差、および信頼区間を変換して、元の尺度における、幾何平均推定値、幾何平均比(GMR)、および信頼区間のそれぞれを得た。GMRは、rFVIIIFcのPKパラメーター値対ADVATE(登録商標)のPKパラメーター値の対象間の幾何平均比である。
【0280】
結果
対象分布-19人の対象が、この研究において登録され、16人が、ADVATE(登録商標)およびrFVIIIFcの両方に関してPK評価を受けた。1人の対象は、ADVATE(登録商標)を用いた用量投与後、休薬期間を完了する前に前回の製品を自己投与し、そのため、PK分析から除外されたが、安全性分析には含まれた。3人の対象は、いずれかの研究薬物を受容するまえに研究を中止された:1人は、自発的に中止した、2人目は、ノンコンプライアンスのため、主治医が中止した、もう1人は、研究登録の完了によりスポンサーの要求で中止した。投与された対象のうち、6人の対象は、25IU/kgを受容し、10人の対象は、65IU/kgのADVATE(登録商標)およびrFVIIIFcの両方を受容した。平均年齢は、40.3歳(23~61歳)であった。遺伝子型特定は、7人の対象に関して収集された、イントロン22の逆位が、6人の対象において報告され、フレームシフト異常が1人の対象において報告された。遺伝子型は、9人の対象に関して不明であった。13人の対象は、C型肝炎抗体を有し、そのうちの4人はまた、HIVに対して陽性であった。
【0281】
安全性-44の治療中に発生した有害事象が、治療中およびフォローアップ期間、11人(69%)の対象によって報告された。これには、AdvateまたはrFVIIIFcを投与した日から投与後28日の観察期間までが含まれた。事象の大部分は、軽度であると見なされ、試験の中止をもたらすものはなかった。65IU/kgの用量のrFVIIIFcを受容する間に、1人の対象において、1つの事象である味覚障害が一時的に生じ、これは、rFVIIIFcと関連すると見なされた。
【0282】
1人の対象は、65IU/kgのrFVIIIFcを受容した後、不安発作を経験し、21の有害事象が生じ、これらのうちの19は、軽度として段階付けられ、このうちの2つ(頭痛および羞明)は、中等度と判断された。主治医によりどちらもrFVIIIFcと関連するとは見なされなかった。
【0283】
重篤な出血エピソードは報告されなかった。注射へのアレルギー反応の証拠は検出されなかった。試験したすべての血漿サンプルは、FVIII阻害剤および抗rFVIIIFc抗体に対して陰性であった。注射部位の反応の兆候は、観察されなかった。異常な実験室での値の臨床的に有意な変化は報告されなかった。
【0284】
薬物動態:血漿中のrFVIIIFcに対するaPTTと発色活性との間の相関関係-ADVATE(登録商標)およびrFVIIIFc活性は、市販の試薬および正常なヒト血漿標準に対する較正を用いて同じアッセイにおいて決定された。LLOQを上回る活性を有したサンプルにおいて、一段階凝固アッセイおよび発色アッセイによって得られた結果の間に強い相関関係があった。0.94および0.95の相関係数(ピアソンR
2)がそれぞれ、ADVATE(登録商標)の用量投与後の151のサンプルおよびrFVIIIFcの用量投与後の185のサンプルに対する2つのアッセイ間で観察された。aPTTの結果と比較して、発色FVIII活性は、平均して、ADVATE(登録商標)に関しては、21%高く、rFVIIIFcに関しては32%高かったが、統計的に有意でなかった(
図9)。この観察は、両薬物に対する発色評価による曝露パラメーターのわずかに高い推定をもたらした。発色アッセイにより明らかに高いFVIII回収率は、臨床アッセイにおいて試験された組換えFVIII製品では一般的であり、大部分のその他の販売されているFVIII製品と一致している
30~32。
【0285】
rFVIIIFcに対する改善された薬物動態-第1のPK推定値は、一段階(aPTT)凝固アッセイ活性データから得られた。25または65IU/kgのADVATE(登録商標)を受容した後、等用量のrFVIIIFcを受容した対象において、血漿FVIII活性は、急激に上昇し、用量投与後1時間以内にC
maxに達した。その後の観察FVIII活性の減少は、ベースラインFVIII活性に到達するまで単一指数型崩壊特性を示した(
図10)。C
maxは、用量に対して比例的に増加したが、等用量のADVATE(登録商標)とrFVIIIFcとの間で同等であった(表8)。総曝露(AUC
INF)はまた、用量に対して比例的に増加した。しかしながら、rFVIIIFcのAUC
INFは、25IU/kg(p=0.002)および65IU/kg(p<0.001)でそれぞれ、ADVATE(登録商標)のものよりも1.48および1.56倍長かった(表8)。
【表8】
【0286】
t1/2、MRT、CL、およびVssは、用量から独立しているように思われた(表8)。25IU/kgおよび65IU/kgの両用量群に対するrFVIIIFcの幾何平均t1/2は、18.8時間であった。これは、それぞれ、等価用量で、ADVATE(登録商標)のもの(12.2時間および11.0時間)を上回る、1.54および1.70倍の改善(p<0.001)を表す(表8)。同じ対象内の改善が、ADVATE(登録商標)(25IU/kgに対して17.5時間および65IU/kgに対して15.8時間)と比較して、rFVIIIFcのMRT(両用量群に対して27.0時間)において観察された(p<0.001)。t1/2およびMRTにおける改善と一致して、それぞれ、25IU/kg(p=0.002)および65IU/kg(p<0.001)の用量で、対応する対象内のクリアランスが1.49および1.56倍減少した。ADVATE(登録商標)とrFVIIIFcとの間でVssおよび増分回収率における有意差はなかった。したがって、それぞれの対象内で、rFVIIIFcは、ADVATE(登録商標)と比較して改善されたPKプロファイルを示した。また、ADVATE(登録商標)においてより短い半減期を有する患者は、rFVIIIFcにおいてより短い半減期を有し、ADVATE(登録商標)においてより長い半減期を有する患者は、rFVIIIFcにおいてより長い半減期を有することも観察された。
【0287】
rFVIIIFcの改善されたPKプロファイルは、それぞれ、25IU/kg(p<0.001)および65IU/kg(p<0.001)で、ADVATE(登録商標)を用いるよりも1.53および1.68倍長い、用量投与後の1%FVIII活性への時間の増加をもたらし(データは示さず)、これはrFVIIIFcに対して治療の持続時間が長い可能性があることを示唆している。
【0288】
ADVATE(登録商標)と比較して、rFVIIIFcの有利なPKプロファイルもまた、発色アッセイにおいて測定されたFVIII活性によっても実証され、aPTTアッセイから得られたデータと同等であった(表9)。しかしながら、曝露の推定、すなわち、C
maxおよびAUC
INFは、発色アッセイに基づき、ADVATE(登録商標)およびrFVIIIFcの両方に対する一段階(aPTT)凝固アッセイよりもわずかに高かった。
【表9】
【0289】
フォンウィルブランド因子とrFVIIIFcの動態との間の相関関係-循環中の大部分のFVIIIがVWFと複合しているため
33、およびゲノム規模関連研究は遺伝的決定基のFVIIIレベルが主にVWFレベルに依存していることを特定しているため
34、VWFとrFVIIIFcとの間の関連性を調べた。rFVIIIFcおよびADVATE(登録商標)の両方に関して、VWFレベルとCLおよびt
1/2との間に強い相関関係が観察された。
図10で示されるように、VWFレベルが増加すると、rFVIIIFcおよびADVATE(登録商標)(p=0.0012)のCLが減少した(p=0.0016)。
【0290】
VWFレベルとt1/2との間に逆の関係が観察された。VWFレベルが増加すると、rFVIIIFc(p=0.0003)およびADVATE(登録商標)(p<0.0001)のt1/2が増加した。この相関関係は、rFVIIIFcのFc部分がクリアランスからのFVIIIの保護においてVWFの役割を変えないことを示唆している。
【0291】
全血ROTEM(登録商標)におけるrFVIIIFcの長期のPKの効果-研究薬物の投与前に、それぞれの用量群中の1人の対象から血液に、等用量のrFVIIIFcまたはADVATE(登録商標)を添加し、全血ROTEM(登録商標)によって分析した。凝固時間(CT)は、正常の約1%~100%の範囲で用量に関して線状であり、用量応答は、同じ対象においてrFVIIIFcとADVATE(登録商標)との間で同等であり(データは示さず)、これは、血餅形成において、rFVIIIFcおよびADVATE(登録商標)の同等の力価を示した。
【0292】
ADVATE(登録商標)またはrFVIIIFcの投与前の残留物FVIIIレベルによる可変ベースラインCTにもかかわらず、両製品は、用量投与後30分に、CTを同等のレベルまで有効に補正した(
図12)。CTの改善は、25IU/kgの用量投与から3時間後(
図12A)、および65IU/kgの用量投与から24時間後(
図12B)、ADVATE(登録商標)よりもrFVIIIFcによってより良好に持続した。
【0293】
rFVIIIFcは、両用量で対象によって良好な耐容性を示した。血液学、血液化学、または尿検査のパラメーターにおいて観察された臨床的に有意な変化はなかった。有害事象の大部分は、軽度であり、rFVIIIFcに関連せず、続発症なく消散した。研究中、重篤な有害事象または死亡は生じず、いずれの用量で、対象は、rFVIIIFcに対する中和または結合抗体を発生しなかった。
【0294】
rFVIIIFcは、ADVATE(登録商標)と比較して、有意に改善されたFVIII活性のPKプロファイルを示し、一段階(aPTT)凝固アッセイによって測定して、用量レベルにわたってt1/2およびMRTは、1.54~1.71倍長く、二段階発色アッセイによっては1.59~1.84倍長かった。rFVIIIFcの長期活性は、可能な長期効力を予測し、血友病Aを有する患者の予防的処置における投与レジメンのより少ない頻度を可能にする。
【0295】
この研究から得られたPKパラメーターを採用して、モンテカルロシミュレーションは、等用量のADVATE(登録商標)を受容する患者と比較して、rFVIIIFcを受容する患者のより高いパーセンテージが、1%または3%を上回るFVIIIレベルを持続するであろうと予測する(表10)。例えば、25IU/kgの用量で、71.2%のrFVIIIFc患者に対して12.2%のADVATE(登録商標)患者は、4日目に1%を上回るFVIIIのトラフレベルを有することが予測され、65IU/kgの用量で、66.4%のrFVIIIFc患者に対して11.0%のADVATE(登録商標)患者は、4日目に3%を上回るFVIIIレベルを有することが予測される。より多くの患者における臨床試験が、この第1/2a相研究およびモンテカルロシミュレーションからの結果を確証するために計画されている。
【表10】
【0296】
様々なタンパク質治療薬に関する循環t1/2の延長におけるFc融合技術の成功にもかかわらず、rFVIIIは、大きすぎて、二量体Fc融合物をうまく産生することができないと見なされていた。それ故に、単量体Fc融合タンパク質を作製し、これにより、単一のエフェクター分子が、二量体Fcに共有結合し、細胞内FcRnと結合し、その後、再利用することができる21、22。インビトロ凝固アッセイは、市販の試薬および一般的に使用されるFVIII参照標準品を用いて、凝固アッセイまたは発色アッセイのいずれによっても、Bドメイン欠失または天然FVIIIと比較して、rFVIIIFcに対して比活性の損失がないことを示す(JAD,TL,SCL,et al.,2011年8月に手書き原稿で提出)。加えて、これらの結果は、rFVIIIFcが、一段階アッセイまたは発色法のいずれかによって、臨床的設定において確実に検定され得ることを示す。
【0297】
要約すれば、この第1/2a相臨床試験は、重症血友病Aを有する患者におけるrFVIIIFcの安全性および長期のt1/2を示すための第1の試験である。極めて重要な第3相研究は、血友病Aを有する個人に対して、有効な予防の投与レジメンを確立するために、rFVIIIFcを用いて継続中である。
【0298】
(実施例11)
生合成中、残基R1648で不完全なタンパク質分解によって生じる、新規の一本鎖(SC)イソ型の第VIII因子(FVIII)は、天然FVIIIと比較して、優れた製造可能性および安定性を提供し得る。免疫グロブリンFcドメイン(rFVIIIFc)およびその精製SCの等価物(SC-rFVIIIFc)と融合する単一組換えBドメイン欠失因子VIII分子は、フォンウィルブランド因子(VWF)が欠失している血漿を用いた一段階凝固アッセイにおいて同様の比活性度を示したが、SC-rFVIIIFcは、VWFの存在下で、より低い比活性度を示した。この研究は、VWF結合rFVIIIFc、SC-rFVIIIFc、およびrBDD-FVIII(XYNTHA(登録商標)、REFACTO AF(登録商標))が、VWFからのトロンビンで媒介された放出とは異なるかどうかを決定するために企てられた。
【0299】
等モル量のrFVIIIFc、SC-rFVIIIFc、およびrBDD-FVIIIが、ヒトVWFがアミン結合により固定化された光バイオセンサーチップ上に捕捉された。一連の濃度でヒトα-トロンビンを、チップ表面上に注入し、固定化したVWFからのFVIII放出率を実時間でモニターした。α-トロンビンの半最大有効濃度(EC50)を、それぞれのFVIII種に対して決定した。
【0300】
rFVIIIFcおよびrBDD-FVIIIに対するα-トロンビンEC
50値は、同等であった(それぞれ3.7±0.2U/mLおよび3.2±0.3U/mL)が一方、SC-rFVIIIFcに対するEC
50値は、3倍以上高かった(11.7±0.9U/mL)。rFVIIIFcまたはrBDD-FVIIIのいずれよりもSC-rFVIIIFcがVWFからよりゆっくりと放出されるというこの所見は、VWFがアッセイ血漿サンプル中に存在した場合にのみ、SC-FVIIIFcがより低い見掛けの活性を有した、一段階凝固アッセイ(aPTT)において、rFVIIIFcおよびSC-rFVIIIFcの活性に関して以前に観察された所見と一致する。しかしながら、すべてのサンプルは、マウス出血モデルにおける等価の活性を有し、VWFからのFVIIIの放出におけるトロンビンへのFVIII調製物の反応性は、インビボの有効性とは相関しないことを示した。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
【表2-1】
【表2-2】
【表2-3】
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