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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023134903
(43)【公開日】2023-09-28
(54)【発明の名称】地中ケーブルの移動量測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01B 5/04 20060101AFI20230921BHJP
【FI】
G01B5/04 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022039830
(22)【出願日】2022-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000141060
【氏名又は名称】株式会社関電工
(74)【代理人】
【識別番号】100075410
【弁理士】
【氏名又は名称】藤沢 則昭
(74)【代理人】
【識別番号】100135541
【弁理士】
【氏名又は名称】藤沢 昭太郎
(72)【発明者】
【氏名】川島 達也
【テーマコード(参考)】
2F062
【Fターム(参考)】
2F062AA24
2F062BB02
2F062BC01
2F062CC24
2F062EE05
2F062EE25
2F062FF13
2F062GG38
(57)【要約】
【課題】マンホールの蓋を開けずにケーブルの移動量を計測できる装置であって、計測ワイヤをケーブルに直接固定するのを避け、ケーブルを傷つける恐れがなく、ケーブルの移動量を計測できる。
【解決手段】マンホール1から管路3内に導入されているケーブル4の移動量を計測する装置において、ケーブル変位検知装置5と計測ワイヤ6と当該計測ワイヤ6の移動量を計測する計測装置及び当該計測装置による測定値を外部に送信する通信装置を具備した計測通信ボックス7とから成り、ケーブル変位検知装置5は、ケーブル4を支持する回転自在なローラ11を吊るして設けられ、計測ワイヤ6の一端はローラ11と連動して回転するリール16に固定され、当該計測ワイヤ6の他端は通信モジュール7内の計測装置に係止され、計測通信ボックス7において計測装置で計測ワイヤの移動量を測定して、当該測定値を通信装置によりマンホールの外部に送信する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マンホールから管路内に導入されているケーブルの移動量を計測する装置において、
ケーブル変位検知装置と計測ワイヤと当該計測ワイヤの移動量を計測する計測装置及び当該計測装置による測定値を外部に送信する通信装置を具備した計測通信ボックスとが前記マンホール内に設けられ、
前記ケーブル変位検知装置は、前記ケーブルを水平に支持する回転自在なローラをマンホール内に吊るして設けられ、
前記計測ワイヤの一端は前記ローラと連動して回転するリールに固定されて当該リールに巻き回わされ、当該計測ワイヤの他端は前記計測通信ボックス内の計測装置に係止され、
前記計測通信ボックスにおいて前記計測装置で前記計測ワイヤの移動量を測定して、当該測定値を前記通信装置により当該マンホールの外部に送信する構成としたことを特徴とする、地中ケーブルの移動量計測装置。
【請求項2】
マンホールから管路内に導入されているケーブルの移動量を計測する装置において、
ケーブル変位検知装置と当該ケーブル変位検知装置によるケーブルの移動量を計測する計測装置及び当該計測装置による測定値を外部に送信する通信装置を具備した計測通信ボックスとがマンホール内に設けられ、
前記ケーブル変位検知装置は、前記ケーブルを支持する回転自在なローラをマンホール内に水平に吊るして設けられ、前記ローラの回転数を計測するロータリーエンコーダーが設けられ、
前記計測通信ボックスにおいて前記計測装置で前記ロータリーエンコーダーによる回転数からケーブルの移動量を計測して、当該計測値を前記通信装置により当該マンホールの外部に送信する構成とした、地中ケーブルの移動量計測装置。
【請求項3】
前記ケーブル変位検知装置のローラはその両端を支持棒で支持され、当該各支持棒にバネが巻き付けられ、ローラにケーブルが支持された際、各バネの力によって、ローラを一定幅上方に引き上げる力が付勢される構成としたことを特徴とする、請求項1又は2に記載の地中ケーブルの移動量計測装置。
【請求項4】
前記計測通信ボックス内に、前記計測装置による測定値又は計測値を記録、保存する測定記録装置が設けられ、設定された時間毎に前記通信装置から前記測定記録装置に保存された測定値又は計測値データをマンホール外に発信させる制御装置を有することを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載の地中ケーブルの移動量計測装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、地中送電線路のケーブルの移動量をマンホールの蓋を開けずに計測できる測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両走行により、車道下の地中管路がたわんだり、振動することにより、前記管路内のケーブルが移動していく、いわゆる波乗り現象が起きている。この対策としてマンホ-ル内にクリート等のケーブル拘束装置を取り付けているが、これを実施する前に前記波乗り現象等によるケーブルの移動がどの程度生じているかを確認する必要がある。
【0003】
この確認方法としては定期的にマンホールの蓋を開放し、マンホール内に作業員が入り、ケーブルの移動を確認している。その結果を踏まえて対策をするかどうかを決定している。従って、地中ケーブルの移動の有無の確認やケーブル移動量の計測はマンホール内に入っての作業となっている。
【0004】
しかしながら、このような波乗り現象によるケーブル移動は直上での車両走行が要因であるため、マンホールも車道にある場合がほとんどである。従って、これらの作業を実施する際は、管理者の許可、道路使用許可が必要となるだけでなく、作業帯設置、マンホール入孔があるため、手続きや手間がかかるとともに複数の作業員も必要となる。
【0005】
そこで、地中ケーブルの移動量を、マンホールの蓋を開けることなく、計測できる装置が開発された。
【0006】
特許文献1のものはその開発の一つの例である。ケーブル等の長尺な測定対象物に取付けて、測定対象物の移動量を計測する移動量計測装置であり、長尺な測定対象物の近傍に設置される変位センサと、変位センサから滑車を介して所定の方向に引き出されるワイヤセンサと、ワイヤセンサの端部を測定対象物に固定するワイヤ固定手段を備え、ワイヤセンサを、測定対象物に沿うように並行に配置し、前記測定対象物の長手方向の伸長量を、前記ワイヤセンサを介して計測する移動量計測装置であって、前記ワイヤセンサを測定対象物に沿うように並行に配置させるために、変位センサの設置位置と、ワイヤ固定手段によるワイヤセンサの固定位置を調整可能にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第6667172号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献1のものは、ワイヤセンサを測定対象物に沿いうように並行に配置するために、変位センサの設置位置とワイヤ固定手段によるワイヤセンサの固定位置を調整可能にしているとの構成ではあるが、狭いマンホール内でワイヤセンサを測定対象物に沿うように並行に配置すること自体が困難な場合もある。
【0009】
さらに、測定対象物が湾曲している場合は、ワイヤセンサを添わせることが難しい。また、測定対象物が湾曲して移動した場合は、正しい移動値が計測できない。また、ワイヤセンサの先端を測定対象物であるケーブルに固定する際、ケーブル外皮の円周方向への熱収縮により、固定部が不安定になりやすい。また、堅固に取り付けようとするとケーブルへの影響が懸念される等の問題点がある。
【0010】
そこで、この発明は上述の課題を解決するため、マンホールの蓋を開けずにケーブルの移動量を計測できる装置であって、ワイヤセンサをケーブルに直接固定するのを避け、ケーブルを傷つける恐れがないように、ケーブルの移動量を計測できる地中ケーブルの移動量計測装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1の発明は、マンホールから管路内に導入されているケーブルの移動量を計測する装置において、ケーブル変位検知装置と計測ワイヤと当該計測ワイヤの移動量を計測する計測装置及び当該計測装置による測定値を外部に送信する通信装置を具備した計測通信ボックスとが前記マンホール内に設けられ、前記ケーブル変位検知装置は、前記ケーブルを支持する回転自在なローラをマンホール内に水平に吊るして設けられ、前記計測ワイヤの一端は前記ローラと連動して回転するリールに固定されて当該リールに巻き回わされ、当該計測ワイヤの他端は前記通信モジュール内の計測装置に係止され、前記計測通信ボックスにおいて前記計測装置で前記計測ワイヤの移動量を測定して、当該測定値を前記通信装置により当該マンホールの外部に送信する構成とした、地中ケーブルの移動量計測装置とした。
【0012】
また、請求項2の発明は、マンホールから管路内に導入されているケーブルの移動量を計測する装置において、ケーブル変位検知装置と当該ケーブル変位検知装置によるケーブルの移動量を計測する計測装置及び当該計測装置による測定値を外部に送信する通信装置を具備した計測通信ボックスとがマンホール内に設けられ、前記ケーブル変位検知装置は、前記ケーブルを支持する回転自在なローラをマンホール内に水平に吊るして設けられ、前記ローラの回転数を計測するロータリーエンコーダーが設けられ、前記計測通信ボックスにおいて前記計測装置で前記ロータリーエンコーダーによる回転数からケーブルの移動量を計測して、当該計測値を前記通信装置により当該マンホールの外部に送信する構成とした、地中ケーブルの移動量計測装置とした。
【0013】
請求項3の発明は、前記ケーブル変位検知装置のローラはその両端を支持棒で支持され、当該各支持棒にバネが巻き付けられ、ローラにケーブルが支持された際、各バネの力によって、ローラを一定幅上方に引き上げる力が付勢される構成とした、請求項1又は2に記載の地中ケーブルの移動量計測装置とした。
【0014】
請求項4の発明は、前記計測通信ボックス内に、前記計測装置による測定値又は計測値を記録、保存する測定記録装置が設けられ、設定された時間毎に前記通信装置から前記測定記録装置に保存された測定値又は計測値データをマンホール外に発信させる制御装置を有する、請求項1~3のいずれかに記載の地中ケーブルの移動量計測装置とした。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の発明によれば、マンホール内に水平に吊るしたローラにケーブルを載せ、ケーブルの移動に伴ってローラが回転する。このローラの回転に伴って計測ワイヤが伸縮し、その伸縮幅を計測装置で計測することによりケーブルの移動量を測定できる。そして、この測定値を、計測通信ボックスの送信装置を通してマンホール外部に送信し、地上で前記ケーブルの移動量を把握することが出来る。従って、地中ケーブルが波乗り現象等によりケーブルの長手方向に移動することがあるが、当該ケーブルの移動量をマンホールの蓋を開けずに、計測することができる。
【0016】
その際、ケーブルの移動を、当該ケーブルを支持したローラの回転でとらえ、このローラの回転数又は回転角度を計測ワイヤの動きで検出するため、計測ワイヤをケーブルに沿わせる必要がない。また、計測ワイヤの先端をケーブルに固定する必要がない。それ故、特許文献1のものよりマンホール内での設置が容易である。
【0017】
また、請求項2の発明によれば、マンホール内に水平に吊るしたローラにケーブルを載せ、ケーブルの移動に伴って前記ローラが回転する。この回転数をエンタリーコーダーで計測し、これを有線で計測通信ボックスの計測装置に伝達することにより、ケーブルの移動量を測定できる。そして、この測定値を、計測通信ボックスの送信装置を通してマンホール外部に送信し、地上で前記ケーブルの移動量を把握することが出来る。従って、地中ケーブルが波乗り現象等によりケーブルの長手方向に移動することがあるが、当該ケーブルの移動量をマンホールの蓋を開けずに、計測することができる。しかも、ケーブル変位検知装置と通信モジュールとは通信電源ケーブルをマンホール内で這わせて接続でき、マンホール内への取り付けが容易である。
【0018】
また、請求項3の発明によれば、ケーブル変位検知装置はローラをバネを介して水平に吊り下げているため、ケーブルが湾曲していても常にケーブルがローラから浮き上がらず、ケーブルがローラに支持され、ケーブルの移動に伴ってローラが回転するため、ケーブルの移動量の測定値又は計測値が的確に得られる。
【0019】
また、請求項4の発明によれば、ケーブルの移動量の計測値又は測定値が計測装置に記録、保存され、制御装置により設定した任意の期日、時間毎にケーブルの移動量の測定値又は計測値データを自動的に発信することが出来、極めて便利である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】この発明の実施の形態例1の地中ケーブルの移動量測定装置の使用状態を示す概略正面図である。
図2】この発明の実施の形態例1の地中ケーブルの移動量測定装置のケーブル変位検知装置の側面図である。
図3】この発明の実施の形態例1の地中ケーブルの移動量測定装置のケーブル変位検知装置の正面図である。
図4】この発明の実施の形態例1の地中ケーブルの移動量測定装置のケーブル変位検知装置の拡大縦断面図である。
図5】この発明の実施の形態例1の地中ケーブルの移動量測定装置のケーブル変位検知装置の使用状態を示す斜視図である。
図6】この発明の実施の形態例1の地中ケーブルの移動量測定装置の一つの通信モジュールの正面図である。
図7】この発明の実施の形態例1の地中ケーブルの移動量測定装置の他の一つの通信モジュールの正面図である。
図8】この発明の実施の形態例1の地中ケーブルの移動量測定装置に2種類の通信装置を設けた使用状態を示す概略正面図である。
図9】この発明の実施の形態例1の地中ケーブルの移動量測定装置をマンホ-ル内に設置して実際の地中ケーブルの移動量を測定したデータ表図である。
図10】この発明の実施の形態例2の地中ケーブルの移動量測定装置のケーブル変位検知装置の正面図である。
図11】この発明の実施の形態例2の地中ケーブルの移動量測定装置のケーブル変位検知装置と通信モジュールの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(実施の形態例1)
この発明の実施の形態例1の地中ケーブルの移動量測定装置を図1図7に基づいて説明する。
【0022】
この地中ケーブルの移動量測定装置は、図1に示すように、マンホール1内のケーブル接続部2から地中に埋設した管路3内に管路口3aを通して挿入したケーブル4が、いわゆる波乗り現象等によりケーブル1の長手方向に移動する恐れがあるが、その移動量を測定するため設けられている。
【0023】
この地中ケーブルの移動量測定装置は、ケーブル変位検知装置5、計測ワイヤ6及び計測通信ボックス7から成り、いずれもマンホール1内に設けられている。
【0024】
前記ケーブル変位検知装置5は、図2図4に示すように、マンホール1内に取付けられた単管パイプ8に間隔を開けて設けたクランプ金具9、9で上部が支持された2本の支持棒10、10の下部にその両端を支持された水平なローラ11が回転自在に設けられている。前記単管パイプ8は、図示は省略したが、マンホール1内の内壁に突っ張り棒の形でほぼ水平に支持されている。
【0025】
さらに詳細に説明すると、前記2本の支持棒10、10は前記各クランプ金具9が取り付けられた支持体12、12の一側に設けた短パイプ12a、12aに夫々摺動自在に挿入され、各支持棒10の上端ストッパー10aと各短パイプ12aの上端の間の支持棒10にバネ材13が設けられている。これらの各バネ材13は前記ローラ11に前記ケーブル4が乗ると縮み、ケーブル4は各バネ材13に緩衝されてローラ11に支持される。従って、ケーブル4が上方に移動すると各バネ材13の力でローラ11が上がり、ローラ11が常時ケーブル4に接触する構成となっている。
【0026】
また、前記ローラ11は当該ローラ11と一体な回転軸11aが中心を貫通し、当該回転軸11aの突出した両端が前記各支持棒10の下端の軸受体14に回転自在に係止されている。また、当該2本の支持棒12の下端相互をつなぐ水平枠15が設けられている。
【0027】
また、前記回転軸11aの一端は前記一方の軸受け体14を水平に貫通して当該軸受け体14の外側まで突出し、当該突出部外周にリール16が装着され、当該リール16は回転軸11aを介してローラ11と一体に回転する。また、前記ローラ11とリール16の外径は同じものが好ましい。
【0028】
前記計測ワイヤ6の一端は前記ケーブル変位検知装置5のリール16に固定されて数回巻き回され、他端は複数箇所のガイド体を通り、前記計測通信ボックス7の計測装置に導入されている。
【0029】
前記計測通信ボックス7は、図6に示すように、箱を形成している。当該ボックス内に計測装置17を設けている。この計測装置17では前記計測ワイヤ6の他端を巻き付けたボビンを有し、当該ボビンの回転角度又は回転数により計測ワイヤ6の繰り出し又は巻取り長を計測する。また、前記ボビンは計測ワイヤ6を常時巻き付ける軽い張力が掛かっている。また、前記計測通信ボックス7は記録通信装置18及びLTE通信(Long Term Evolution)仕様の通信装置19を内蔵している。そして計測通信ボックス7のボックス表面には前記計測ワイヤ6をボックス内の計測装置17に導くワイヤガイド20が突出している。
【0030】
前記記録通信装置18には前記計測装置17で計測した前記ケーブルの移動量データを設定された測定時刻毎に記録し、当該移動量データを前記LTE通信仕様の通信装置19に送る制御装置(CPU等)を内蔵している。また、当該計測通信ボックス7の記録通信装置18から通信ケーブル21が導出され、その一端がボックスの外に設けたアンテナ22に接続されている。この計測通信ボックス7及びアンテナ22は、図1に示すように、マンホール1の開口部のステップ23の脇に取り付けられる。
【0031】
前記計測装置17において、前記計測ワイヤ6の前記ボビンからの繰り出し又は巻取り長を計測してこれを前記ケーブルの移動量の測定値データとし、前記記録通信装置18で記録、保存される。そして、設定された一定周期毎に前記無線通信装置19から前記測定値データを前記マンホール1の外部に送信できる。これにより地上では、図8に示すように、インターネットを介してパソコン等の端末機器で受信することが出来る。なお、前記無線通信装置19から外部に送信する測定値データの送信時刻や周期は前記制御装置により任意に変更できる。
【0032】
また、前記LTE通信仕様の通信装置19に代えて、特小無線通信仕様の通信装置24を具備した計測通信ボックス7´としてもよい。
【0033】
この計測通信ボックス7´は、図7に示すように、箱を形成している。当該ボックス内に、前記計測ワイヤ6の他端を巻き付けたボビンを有し、当該ボビンの回転角度又は回転数により計測ワイヤ6の繰り出し又は巻取り長を計測する計測装置17を内蔵しており、また、記録通信装置18及びワイファイ等の無線通信装置24を内蔵している。そして計測通信ボックス7´のボックス表面には前記計測ワイヤ6をボックス内のワイヤセンサ17に導くワイヤガイド20が突出している。また、前記無線通信装置24から通信ケーブルを介してボックスの外部に突出したアンテナ25に接続されている。
【0034】
そして当該計測通信ボックス7´は、前記計測通信ボックス7と同様にマンホール1の開口部のステップ23の脇に取り付けられ、図8に示すように。前記無線通信装置24から発せられる電波は、当該マンホール1の周囲に限られる。従って、前記ケーブルの移動量の測定データを取得するには作業者が当該マンホール1の付近の地上に赴き、スマホ等の端末機で受信する構成となっている。
【0035】
図9は当該実施の形態例1の地中ケーブルの移動量測定装置をマンホール内に取り付け、実際にケーブルの移動量を測定した際の測定データを示す。これは2021年11月21日の午前0時から、2021年12月8日の午後12時まで、1日に午前0時と午後12時との2回測定したデータであり、移動距離の単位はmmである。また、データ数値の+はケーブルが管路内方向に移動し、-はケーブルがマンホールの内部方向に移動したことを示す。11月21日の午前0時には管路内方向に移動量が2mmであったものが、12月8日の午後12時には同方向に5mmとなっている。
【0036】
(実施の形態例2)
次に、この発明の実施の形態例2の地中ケーブルの移動量測定装置を図10及び図11に基づいて説明する。
【0037】
この実施の形態例2の地中ケーブルの移動量測定装置はケーブル変位検知装置5が実施の形態例1と異なり、また、計測ワイヤ6がない。他の構成はほぼ同じである。
【0038】
ケーブル変位検知装置26は、図10及び図11に示すように、ローラ11の一方の軸受け体14の外側面にロータリーエンコーダー27を設けたもので、当該ロータリーエンコーダー27でローラ11の回転を検知することにより、通信電源ケーブル28を介して計測通信ボックス7の計測装置17にローラ11の回転数又は回転角度を伝達し、これらの測定値によりケーブルの移動量を計測するものである。他の構成は実施の形態例1と同様である。
【0039】
従って、前記通信電源ケーブル28は緊線する必要はなく、マンホール1内の内壁に這わせてロータリーエンコーダー27と計測通信ボックス7を接続するものである。それ故、計測通信ボックス7や通信電源ケーブル28の取り付けが容易である。
【0040】
なお、上記実施の形態例では計測通信ボックス7及び7´を使用したが、これらに限るものではない。また、上記実施の形態例1及び2では、計測通信ボックス7に制御装置を有する記録通信装置18を設けたが、これらの装置はこの発明の必須要件ではない。
【符号の説明】
【0041】
1 マンホール 2 接続部
3 管路 3a 管路口
4 ケーブル 5 ケーブル変位検知装置
6 計測ワイヤ 7 計測通信ボックス
7´ 計測通信ボックス
8 単管パイプ 9 クランプ
10 支持棒 10a 上端ストッパー
11 ローラ 11a 回転軸
12 支持体 12a 短パイプ
13 バネ材 14 軸受け体
15 水平枠 16 リール
17 計測装置 18 記録通信装置
19 通信装置 20 ワイヤガイド
21 通信ケーブル 22 アンテナ
23 ステップ 24 無線通信装置
25 アンテナ 26 ケーブル変位検知装置
27 ロータリーエンコーダー 28 通信電源ケーブル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11