(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023134907
(43)【公開日】2023-09-28
(54)【発明の名称】業務分析支援システム、及び業務分析支援方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/063 20230101AFI20230921BHJP
【FI】
G06Q10/06 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022039834
(22)【出願日】2022-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】土屋 良介
(72)【発明者】
【氏名】野尻 周平
(72)【発明者】
【氏名】上馬場 誠
(72)【発明者】
【氏名】山本 晃久
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA06
(57)【要約】 (修正有)
【課題】業務の活動履歴情報から得られる情報の有効な利用を支援する業務分析支援システム及び業務分析支援方法を提供する。
【解決手段】業務分析支援システム1は、業務プロセスに関する情報を含む活動履歴情報111から抽出する業務案件をクラスタリングするプロセスベース案件クラスタリング部120と、業務案件毎の属性情報112に基づき業務案件をクラスタリングする属性ベース案件クラスタリング部130と、プロセスベース案件クラスタリング部120により得られるプロセスベース案件クラスタと、属性ベース案件クラスタリング部130により得られる属性ベース案件クラスタとの間のクラスタ間集合類似度115を算出するクラスタ間集合類似度算出部140と、クラスタ間集合類似度115に基づき、プロセスベース案件クラスタと属性ベース案件クラスタとを関連付けることにより得られる分析結果116を出力する分析結果出力部150と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサ及び記憶装置を有する情報処理装置を用いて構成され、
業務プロセスに関する情報を含む活動履歴情報に基づき、前記活動履歴情報から抽出される業務案件をクラスタリングするプロセスベース案件クラスタリングを行い、
前記業務案件ごとの属性情報に基づき前記業務案件をクラスタリングする属性ベース案件クラスタリングを行い、
プロセスベース案件クラスタリングにより得られるクラスタであるプロセスベース案件クラスタと、前記属性ベース案件クラスタリングにより得られるクラスタである属性ベース案件クラスタとの間の集合類似度を算出し、
前記集合類似度に基づき、前記プロセスベース案件クラスタと属性ベース案件クラスタとを関連付けることにより得られる情報を分析結果として出力する、
業務分析支援システム。
【請求項2】
請求項1に記載の業務分析支援システムであって、
前記分析結果は、前記プロセスベース案件クラスタとの間の前記集合類似度が最大の前記属性ベース案件クラスタ、前記プロセスベース案件クラスタと前記属性ベース案件クラスタとの間の前記集合類似度、前記属性ベース案件クラスタのクラスタリングに用いた属性である代表属性、及び前記属性ベース案件クラスタの前記代表属性の値、のうちの少なくともいずれかを示す情報を含む、
業務分析支援システム。
【請求項3】
請求項1に記載の業務分析支援システムであって、
前記属性情報における属性の抽象度を調整するための情報である調整ルールを記憶し、
前記調整ルールに基づき前記属性情報における属性の抽象度を調整し、調整後の前記属性情報に基づき前記属性ベース案件クラスタリングを行う、
業務分析支援システム。
【請求項4】
請求項3に記載の業務分析支援システムであって、
前記調整ルールは、前記属性情報の調整前の属性の値が取り得る範囲を区分して得られる複数の値域の夫々に調整後の属性を対応づけた情報を含む、
業務分析支援システム。
【請求項5】
請求項1に記載の業務分析支援システムであって、
2つ以上の前記属性ベース案件クラスタを組み合わせることにより得られるクラスタであるクラスタセットを生成し、
前記プロセスベース案件クラスタと前記クラスタセットとの間の集合類似度を算出し、
前記集合類似度に基づき、前記プロセスベース案件クラスタと前記クラスタセットとを関連付けた情報を分析結果として出力する、
業務分析支援システム。
【請求項6】
請求項5に記載の業務分析支援システムであって、
前記クラスタセットは、2つ以上の前記属性ベース案件クラスタの和集合、差集合、及び積集合のうちの少なくともいずれかである、
業務分析支援システム。
【請求項7】
請求項5に記載の業務分析支援システムであって、
前記分析結果は、前記プロセスベース案件クラスタとの間の前記集合類似度が最大の前記クラスタセット、前記プロセスベース案件クラスタと前記クラスタセットとの間の前記集合類似度、前記クラスタセットの生成に用いた前記属性ベース案件クラスタ、前記クラ
スタセットの生成に用いた集合式、前記属性ベース案件クラスタのクラスタリングに用いた属性である代表属性、及び前記属性ベース案件クラスタの前記代表属性の値、のうちの少なくともいずれかを示す情報を含む、
業務分析支援システム。
【請求項8】
請求項1に記載の業務分析支援システムであって、
前記活動履歴情報に基づき、前記プロセスベース案件クラスタ及び前記属性ベース案件クラスタの夫々のプロセスフロー図を生成し、
生成した前記プロセスフロー図を前記分析結果として出力する、
業務分析支援システム。
【請求項9】
請求項5に記載の業務分析支援システムであって、
前記活動履歴情報に基づき、前記プロセスベース案件クラスタ、前記クラスタセット、及び前記クラスタセットの生成に用いた前記属性ベース案件クラスタ、の夫々のプロセスフロー図を生成し、
生成した前記プロセスフロー図を前記分析結果として出力する、
業務分析支援システム。
【請求項10】
請求項1に記載の業務分析支援システムであって、
前記活動履歴情報から抽出される前記業務案件の特徴量をプロットするとともに、前記プロセスベース案件クラスタ及び前記属性ベース案件クラスタの夫々の領域を示す図案を描画したグラフを生成し、
生成した前記グラフを前記分析結果として出力する、
業務分析支援システム。
【請求項11】
請求項5に記載の業務分析支援システムであって、
前記活動履歴情報から抽出される前記業務案件の特徴量をプロットするとともに、前記プロセスベース案件クラスタ及び前記クラスタセットの生成に用いた前記属性ベース案件クラスタの夫々の領域を示す図案を描画したグラフを生成し、
生成した前記グラフを前記分析結果として出力する、
業務分析支援システム。
【請求項12】
請求項10又は11に記載の業務分析支援システムであって、
前記図案は、各クラスタに属する業務案件の特徴量の重心を中心とする円である、
業務分析支援システム。
【請求項13】
プロセッサ及び記憶装置を有する情報処理装置が、
業務プロセスに関する情報を含む活動履歴情報に基づき、前記活動履歴情報から抽出される業務案件をクラスタリングするプロセスベース案件クラスタリングを行うステップ、
前記業務案件ごとの属性情報に基づき前記業務案件をクラスタリングする属性ベース案件クラスタリングを行うステップ、
プロセスベース案件クラスタリングにより得られるクラスタであるプロセスベース案件クラスタと、前記属性ベース案件クラスタリングにより得られるクラスタである属性ベース案件クラスタとの間の集合類似度を算出するステップ、及び、
前記集合類似度に基づき、前記プロセスベース案件クラスタと属性ベース案件クラスタとを関連付けることにより得られる情報を分析結果として出力するステップ、
を実行する、業務分析支援方法。
【請求項14】
請求項13に記載の業務分析支援方法であって、
前記情報処理装置が、
前記属性情報における属性の抽象度を調整するための情報である調整ルールを記憶するステップ、及び、
前記調整ルールに基づき前記属性情報における属性の抽象度を調整し、調整後の前記属性情報に基づき前記属性ベース案件クラスタリングを行うステップ、
を更に実行する、業務分析支援方法。
【請求項15】
請求項13に記載の業務分析支援方法であって、
前記情報処理装置が、
2つ以上の前記属性ベース案件クラスタを組み合わせることにより得られるクラスタであるクラスタセットを生成するステップ、
前記プロセスベース案件クラスタと前記クラスタセットとの間の集合類似度を算出するステップ、及び、
前記集合類似度に基づき、前記プロセスベース案件クラスタと前記クラスタセットとを関連付けた情報を分析結果として出力するステップ、
を更に実行する、業務分析支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、業務分析支援システム、及び業務分析支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ユーザなどの分析対象の行動履歴データを分析し、その時系列の行動パターンを容易に分類して分析することを目的として構成された行動パターン分析装置について記載されている。行動パターン分析装置は、分析対象の行動が検出された時刻を示す時刻情報と、分析対象の状況を特定可能な分類情報とを含む行動履歴データを取得し、取得した行動履歴データを分析し、分析対象に応じたグループ数で行動パターンをグループ化する。また、行動パターン分析装置は、指定された分類情報に基づく行動履歴データを所定の分析期間ごとに抽出し、指定された分類情報ごとの行動パターンを作成し、行動パターンを分析し、分析対象ごとのグループ数を自動的に推定して類似パターン同士をグループ化し、グループ化された行動パターンの代表パターンを生成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
企業や官公庁のような組織においては、業務効率の改善や業務の成功率の向上を図るべく、業務の遂行に際し、過去に行われた業務の履歴情報(以下、「活動履歴情報」と称する。)を分析し利用することが行われている。ここで例えば、業務の進め方についての有用な情報や示唆を活動履歴情報から得るためには、活動履歴情報に含まれている業務のバリエーション(以下、「業務パターン」と称する。)を適切に把握する必要がある。また、得られた情報を分析者等のユーザが有効に活用するためには、把握した業務パターンの意味や由来(どのような観点に基づき特定した業務パターンであるか等)をユーザが容易に確認もしくは類推できることが好ましい。
【0005】
特許文献1に記載の行動パターン分析装置は、分析対象の時系列の行動パターンを容易に分類して分析するために、分析対象の行動履歴データを分析し、分析対象に応じたグループ数で行動パターンをグループ化する。しかし、同文献には、各グループの意味や由来に関する情報を提供する仕組みについてはとくに開示されていない。このため、例えば、分析者等のユーザは、分析結果の利用に際し、他の情報との照合や分析対象者からヒヤリングを行う等してグループの意味や由来を自ら確認もしくは類推する必要がある。
【0006】
本発明は、このような背景に鑑みてなされたものであり、業務の活動履歴情報から得られる情報の有効な利用を支援する業務分析支援システム、及び業務分析支援方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するための本発明の一つは、業務分析支援システムであって、プロセッサ及び記憶装置を有する情報処理装置を用いて構成され、業務プロセスに関する情報を含む活動履歴情報に基づき、前記活動履歴情報から抽出される業務案件をクラスタリングするプロセスベース案件クラスタリングを行い、前記業務案件ごとの属性情報に基づき前記業務案件をクラスタリングする属性ベース案件クラスタリングを行い、プロセスベース案件クラスタリングにより得られるクラスタであるプロセスベース案件クラスタと、前記
属性ベース案件クラスタリングにより得られるクラスタである属性ベース案件クラスタとの間の集合類似度を算出し、前記集合類似度に基づき、前記プロセスベース案件クラスタと属性ベース案件クラスタとを関連付けることにより得られる情報を分析結果として出力する。
【0008】
その他、本願が開示する課題、及びその解決方法は、発明を実施するための形態の欄、及び図面により明らかにされる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、業務の活動履歴情報から得られる情報の有効な利用を支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】業務分析支援システムの主な構成を示すシステムフロー図である。
【
図3】プロセスベース案件クラスタ情報の一例である。
【
図8】業務分析支援処理の一例を説明するフローチャートである。
【
図9】プロセスベース案件クラスタリング処理の一例を説明するフローチャートである。
【
図10】属性ベース案件クラスタリング処理の一例を説明するフローチャートである。
【
図11】クラスタ間集合類似度算出処理の一例を説明するフローチャートである。
【
図12】分析結果出力処理の一例を説明するフローチャートである。
【
図13】第2実施形態の業務分析支援システムの主な構成を説明するシステムフロー図である。
【
図17】第2実施形態の属性ベース案件クラスタリング処理の一例を説明するフローチャートである。
【
図18】属性情報調整処理の一例を説明するフローチャートである。
【
図19】第3実施形態の業務分析支援システムの主な構成を説明するシステムフロー図である。
【
図20】第3実施形態の業務分析支援処理の一例を説明するフローチャートである。
【
図21】クラスタマッチング処理の一例を説明するフローチャートである。
【
図22】第3実施形態の分析結果出力処理を説明するフローチャートである。
【
図24】第4実施形態の分析結果(プロセスフロー図)の一例である。
【
図25】第4実施形態の分析結果(案件プロット図)の一例である。
【
図26】第4実施形態の分析結果出力処理の一例を説明するフローチャートである。
【
図27】業務分析支援システムの構成に用いる情報処理装置(コンピュータ)の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。尚、以下の記載及び図面は、本発明を説明するための例示に過ぎず、説明の明確化のため、適宜、省略及び簡略化がなされている。本発明は、他の種々の形態でも実施することが可能である。とくに限定しない限り、各構成要素は単数でも複数でも構わない。
【0012】
以下の説明において、同一の又は類似する構成について同一の符号を付して重複した説明を省略することがある。また、以下の説明において、符号の前に付した「S」の文字は処理ステップの意味である。また、以下の説明における各種情報(データ)は例示するデータ構造以外の方法で表現もしくは管理してもよい。また、以下の説明において、各種の識別情報について説明する際、「識別子」、「ID」等の表現を適宜用いるが、これらについてはお互いに置換可能である。
【0013】
[第1実施形態]
まず、第1実施形態として示す情報処理システム(以下、「業務分析支援システム1」と称する。)について説明する。
【0014】
業務分析支援システム1は、過去に行われた業務の活動履歴(業務案件ごとの業務プロセス(業務フロー)に関する情報や業務プロセスの遂行結果等を含む)を記憶している。業務分析支援システム1は、活動履歴から抽出される業務の案件(以下、「業務案件」と称する。)を複数のクラスタにクラスタリングする。以下、このように活動履歴に基づき業務案件をクラスタリングすることを「プロセスベース案件クラスタリング」と称する。また、プロセスベース案件クラスタリングにより得られるクラスタのことを「プロセスベース案件クラスタ」と称する。
【0015】
一方、業務分析支援システム1は、業務案件ごとに夫々の属性(業務案件名、業務実施期間(業務開始日、業務終了日)、担当者情報(担当者名、勤続年数等)、顧客情報(会社名、業種等)、タイムスタンプ等)を記憶しており、属性に基づき業務案件を複数のクラスタにクラスタリングする。以下、このように属性に基づき業務案件をクラスタリングすることを「属性ベース案件クラスタリング」と称する。また、属性ベース案件クラスタリングにより得られるクラスタのことを「属性ベース案件クラスタ」と称する。
【0016】
業務分析支援システム1は、プロセスベース案件クラスタリングにより得られるプロセスベース案件クラスタと、属性ベース案件クラスタリングにより得られる属性ベース案件クラスタとの間の集合類似度(以下、「クラスタ間集合類似度」と称する。)を算出し、算出したクラスタ間集合類似度に基づき、プロセスベース案件クラスタと属性ベース案件クラスタとを関連付けることにより得られる情報(以下、「分析結果」と称する。)を生成して業務の分析者等のユーザに提供する。
【0017】
尚、業務分析支援システム1が支援の対象とする業務は必ずしも限定されないが、例えば、企業や官公庁、自治体等の組織における業務について社員や職員等の作業主体によって行われる業務である。尚、作業主体は必ずしも人でなくてもよく、例えば、ロボットや情報処理装置等であってもよい。
【0018】
活動履歴は、例えば、上記のような組織における業務で用いられている各種の情報処理システムから取得される。上記の情報処理システムは、例えば、営業管理システム、旅費精算システム、出退勤管理システム、在庫管理システム、発注管理システム、顧客管理システム、人事管理システム、物流管理システム、経理システム、決算システムである。前述した属性は、上記の情報処理システムにおいて活動履歴とともに管理されていることが多い。
【0019】
以下の説明において、活動履歴に含まれる活動(作業)の種類は有限であり、活動の組み合わせや活動の順序によって業務案件のバリエーション(業務パターン)を構成するものとする。また、活動履歴から抽出される業務案件は、例えば、業務遂行者の熟練度、顧客側の業務プロセス、取り扱う商品や分野、季節や曜日、時代等によって所定のバリエーション(業務パターン)に収束する(分類される)ものとする。また、活動履歴を記録した情報(後述の活動履歴情報111)は、整形やクレンジング等の前処理がなされているものとする。また、上記情報は、前処理により、業務の開始から終了に至る一連の有限な作業が、実際の実行順に基づき一連の業務プロセスとして識別可能な状態になっているものとする。業務プロセス(業務フロー)は、例えば、特開2017-227944号公報に記載されている方法等の公知の技術を用いて取得することができる。
【0020】
図1は、業務分析支援システム1の主な構成を説明するシステムフロー図である。業務分析支援システム1は、一つ以上の情報処理装置(コンピュータ)を用いて構成される。同図に示すように、業務分析支援システム1は、プロセスベース案件クラスタリング部120、属性ベース案件クラスタリング部130、クラスタ間集合類似度算出部140、及び分析結果出力部150の各機能を備える。また、業務分析支援システム1は、記憶部110(同図では省略)を備える。記憶部110は、活動履歴を記録した情報(データ)である活動履歴情報111、属性情報112、プロセスベース案件クラスタに関する情報であるプロセスベース案件クラスタ情報113、属性ベース案件クラスタに関する情報である属性ベース案件クラスタ情報114、クラスタ間集合類似度に関する情報であるクラスタ間集合類似度情報115、及び、分析結果116の各情報(データ)を記憶する。
【0021】
上記機能のうち、プロセスベース案件クラスタリング部120は、活動履歴情報111に基づきプロセスベース案件クラスタ情報113を生成する。
【0022】
図2に活動履歴情報111の一例を示す。例示する活動履歴情報111は、案件ID1111、及び一つ以上の活動1112の各項目を有する複数のレコードで構成される。活動履歴情報111の一つのレコードは、一つの業務案件に対応している。
【0023】
上記項目のうち、案件ID1111には、業務案件の識別子である案件IDが格納される。活動1112の夫々には、当該業務案件の業務の遂行に際して行われる活動(作業)の内容を示す情報が格納される。同図の場合、例えば、案件ID1111が「M001」のレコードは、当該業務案件の実施に際し、活動1112に格納されている各活動(「訪問」、「デモ」、「訪問」、「調査」~「提案」)がこの順序で作業が行われたことを示す。
【0024】
図3にプロセスベース案件クラスタ情報113の一例を示す。例示するプロセスベース案件クラスタ情報113は、プロセスベース案件クラスタID1131、及び一つ以上の案件ID1132の各項目を有する複数のレコードで構成される。プロセスベース案件クラスタ情報113の一つのレコードは、プロセスベース案件クラスタの一つに対応している。
【0025】
上記項目のうち、プロセスベース案件クラスタID1131には、プロセスベース案件クラスタの識別子であるプロセスベース案件クラスタIDが格納される。案件ID1132の夫々には、当該プロセスベース案件クラスタにクラスタリングされた業務案件の案件IDが格納される。同図の場合、例えば、プロセスベース案件クラスタID1131が「X2」のレコードは、当該プロセスベース案件クラスタに、案件IDが「M002」、「M003」が含まれていることを示す。
【0026】
図1に示す属性ベース案件クラスタリング部130は、属性情報112に基づき属性ベース案件クラスタ情報114を生成する。
【0027】
図4に属性情報112の一例を示す。例示する属性情報112は、案件ID1121、作業開始日1122、担当者ID1123、担当者名1124、勤続年数1125、営業先顧客ID1126、会社名1127、及び業種1128の各項目を有する複数のレコードで構成される。属性情報112の一つのレコードは、一つの業務案件に対応している。
【0028】
上記項目のうち、案件ID1121には、業務案件の案件IDが格納される。作業開始日1122、担当者ID1123、担当者名1124、勤続年数1125、営業先顧客ID1126、会社名1127、及び業種1128は、夫々、当該業務案件の属性の一つに対応している。尚、「作業開始日」、「担当者ID」、「担当者名」、「勤続年数」、「営業先顧客ID」、「会社名」、及び「業務」の各項目名は、いずれも属性の識別子(以下、「属性名」と称する。)である。
【0029】
上記項目のうち、作業開始日1122には、当該業務案件の作業開始日が格納される。担当者ID1123には、当該業務案件の担当者の識別子である担当者IDが格納される。担当者名1124には、当該担当者の担当者名が格納される。勤続年数1125には、当該担当者の勤続年数が格納される。営業先顧客ID1126には、当該業務案件の営業先の顧客の識別子である営業先顧客IDが格納される。会社名1127には、当該顧客が所属する会社の会社名1127が格納される。業種1128には、当該会社の業種が格納される。
【0030】
図5に属性ベース案件クラスタ情報114の一例を示す。例示する属性ベース案件クラスタ情報114は、属性ベース案件クラスタID1141、代表属性名1142、代表属性最頻値1143、及び一つ以上の案件ID1144の各項目を有する複数のレコードで構成される。属性ベース案件クラスタ情報114の一つのレコードは、属性ベース案件クラスタの一つに対応している。
【0031】
上記項目のうち、属性ベース案件クラスタID1141には、属性ベース案件クラスタの識別子である属性ベース案件クラスタIDが格納される。代表属性名1142には、属性ベース案件クラスタリング部130がクラスタリングに用いた属性の種類(以下、「代表属性」と称する。)の識別子(以下、「代表属性名」と称する。)が格納される。代表属性最頻値1143には、当該属性ベース案件クラスタへのクラスタリングに用いた代表属性の値(本例では業務案件に登場する当該代表属性の値の最頻値。以下、「代表属性最頻値」と称する。)が格納される。案件ID1144には、当該属性ベース案件クラスタにクラスタリングされる一つ以上の業務案件の案件IDが格納される。同図の例は、「担当者名」を代表属性として業務案件をクラスタリングした場合であり、活動履歴情報111から抽出される業務案件を、代表属性最頻値(「大船三郎」、「日立太郎」、「戸塚次郎」等)ごとの属性ベース案件クラスタにクラスタリングしている。
【0032】
図1に示すクラスタ間集合類似度算出部140は、プロセスベース案件クラスタ情報113と属性ベース案件クラスタ情報114との間のクラスタ間集合類似度を算出し、クラスタ間集合類似度情報115を生成する。
【0033】
図6にクラスタ間集合類似度情報115の一例を示す。同図に示すように、例示するクラスタ間集合類似度情報115は、プロセスベース案件クラスタ(プロセスベース案件クラスタID)と属性ベース案件クラスタ(属性ベース案件クラスタID)の組み合わせごとのクラスタ間集合類似度を含む。
【0034】
図1に示す分析結果出力部150は、クラスタ間集合類似度情報115に基づき、プロセスベース案件クラスタ情報113の各プロセスベース案件クラスタに類似する、属性ベ
ース案件クラスタ情報114の属性ベース案件クラスタを特定し、特定した属性ベース案件クラスタに関する情報(業務案件の内容、代表属性名、代表属性最頻値等)を含む分析結果116を生成して出力する。尚、分析結果出力部150は、例えば、プロセスベース案件クラスタに対して、クラスタ間集合類似度が予め設定された閾値以上の一つ以上の属性ベース案件クラスタやクラスタ間集合類似度が最大の属性ベース案件クラスタを、類似する属性ベース案件クラスタとして特定する。
【0035】
図7に分析結果116の一例を示す。同図に示すように、例示する分析結果116は、プロセスベース案件クラスタのプロセスベース案件クラスタID711と、当該プロセスベース案件クラスタに類似する属性ベース案件クラスタに関する情報712(プロセスベース案件クラスタとのクラスタ間集合類似度、属性ベース案件クラスタID、代表属性名、代表属性最頻値等)を含む。尚、例えば、分析結果出力部150が、分析結果116をユーザインタフェースを介してユーザに提示(表示、印刷等)するようにしてもよい。
【0036】
分析結果出力部150が同図に示すような分析結果116を分析者等のユーザに提供することで、ユーザは、例えば、分析対象業務への知識が十分でない場合でも、活動履歴情報111から特定したクラスタ(業務パターン、業務バリエーション)の意味や由来を容易に確認もしくは類推することができる。そのため、例えば、ユーザは、顧客等の他者に対しクラスタの意味や由来をわかりやすく説明することができる。
【0037】
また、ユーザは、例えば、活動履歴情報111の分析の精度(クラスタの特定が適切か否か等)を評価することができる。また、ユーザは、例えば、業務パターンの粒度感を把握することができ、クラスタ数の設定等、分析時のパラメータの調整を効率よく行うことができる。
【0038】
また、例えば、業務の担当者等のユーザは、例えば、分析結果116を自身が現在担当している業務の進め方を決定する際の参考にすることができる。
【0039】
また、例えば、分析者等のユーザは、分析結果116を業務実施者との間のディスカッションに際し用いることで、業務実施者との間のコミュニケーションを円滑に進めることができる。また、例えば、分析者がコンサルタントで業務実施者が顧客である場合、コンサルテーションの顧客満足度を向上することができる。
【0040】
図8は、業務分析支援システム1が行う処理(以下、「業務分析支援処理S800」と称する。)の一例を説明するフローチャートである。
【0041】
まず、プロセスベース案件クラスタリング部120が、活動履歴情報111に基づきプロセスベース案件クラスタ情報113を生成する処理(以下、「プロセスベース案件クラスタリング処理S811」と称する。)を行う。
【0042】
図9は、プロセスベース案件クラスタリング処理S811の一例を説明するフローチャートである。
【0043】
まず、プロセスベース案件クラスタリング部120は、活動履歴情報111を読み込む(S911)。
【0044】
続いて、プロセスベース案件クラスタリング部120は、活動履歴情報111の各業務案件(各レコード)について、各業務案件の活動系列を構成する活動(作業)の組み合わせや活動の順序に基づき、各業務案件を1つ以上のプロセスベース案件クラスタにクラスタリングする(S912)。
【0045】
続いて、プロセスベース案件クラスタリング部120は、クラスタリングの結果に基づきプロセスベース案件クラスタ情報113を生成する(S913)。
【0046】
図8に戻り、続いて、属性ベース案件クラスタリング部130が、属性情報112に基づき属性ベース案件クラスタ情報114を生成する処理(以下、「属性ベース案件クラスタリング処理S812」と称する。)を行う。
【0047】
図10は、属性ベース案件クラスタリング処理S812の一例を説明するフローチャートである。
【0048】
まず、属性ベース案件クラスタリング部130は、属性情報112を読み込む(S1011)。
【0049】
続いて、属性ベース案件クラスタリング部130は、属性情報112の各業務案件(各レコード)について、各業務案件の属性に基づき、各業務案件を1つ以上の属性ベース案件クラスタにクラスタリングする(S1012)。
【0050】
続いて、属性ベース案件クラスタリング部130は、属性ベース案件クラスタごとに、代表属性名と代表属性最頻値を特定する(S1013)。
【0051】
続いて、属性ベース案件クラスタリング部130は、クラスタリングの結果と、特定した代表属性名及び代表属性最頻値とに基づき、属性ベース案件クラスタ情報114を生成する(S1014)。
【0052】
尚、プロセスベース案件クラスタリング部120や属性ベース案件クラスタリング部130によるクラスタリングの方法は必ずしも限定されないが、例えば、K-meansや混合ガウスモデル等を用いることができる。また、取り扱う次元数が多くなる場合は、例えば、潜在的意味解析(LSI(Latent Semantic Indexing)、LSA(Latent Semantic Analysis))や特異点分解(SVD(Singular Value Decomposition))を用いて次元圧縮を適宜行ってもよい。また、プロセスベース案件クラスタリング部120や属性ベース案件クラスタリング部130は、活動履歴情報111の内容や属性情報112の内容を、例えば、BoW(Bag of Words)、TF-IDF(Term Frequency - Invers Document
Frequency)、Word2Vec(CBOW(Continuous Bag of Word)、Skip-Gram)等を用いて適宜量子化して取り扱う。
【0053】
図8に戻り、続いて、クラスタ間集合類似度算出部140が、プロセスベース案件クラスタ情報113及び属性ベース案件クラスタ情報114に基づき、クラスタ間集合類似度情報を算出する処理(以下、「クラスタ間集合類似度算出処理S813」と称する。)を行う。
【0054】
図11は、クラスタ間集合類似度算出処理S813の一例を説明するフローチャートである。
【0055】
まず、クラスタ間集合類似度算出部140は、プロセスベース案件クラスタ情報113及び属性ベース案件クラスタ情報114を読み込む(S1111)。
【0056】
続いて、クラスタ間集合類似度算出部140は、プロセスベース案件クラスタ情報113の各プロセスベース案件クラスタに所属する業務案件の情報と、属性ベース案件クラスタ情報114の各属性ベース案件クラスタに所属する業務案件の情報(業務案件の内容の
重複度合い等)とに基づき、クラスタ間集合類似度を算出する(S1112)。尚、集合類似度の算出方法は必ずしも限定されないが、例えば、Jaccard係数(Jaccard index)、Dice係数(Dice coefficient)、Simpson係数(Overlap coefficient)等を用いる。尚、クラスタ間(集合間)の過不足が共に小さいことを重要視したい場合には、例えば、Jaccard係
数を用いる。
【0057】
続いて、クラスタ間集合類似度算出部140は、算出したクラスタ間集合類似度に基づきクラスタ間集合類似度情報115を生成する(S1113)。
【0058】
図8に戻り、続いて、分析結果出力部150が、クラスタ間集合類似度情報115に基づき分析結果116を生成して出力する処理(以下、「分析結果出力処理S814」と称する。)を行う。
【0059】
図12は、分析結果出力処理S814の一例を説明するフローチャートである。
【0060】
まず、分析結果出力部150は、プロセスベース案件クラスタごとに、クラスタ間集合類似度が高い順に、クラスタ間集合類似度情報115から、一つ以上の属性ベース案件クラスタ(属性ベース案件クラスタID)とクラスタ間集合類似度を読み込む(S1211)。
【0061】
続いて、分析結果出力部150は、各プロセスベース案件クラスタに類似する属性ベース案件クラスタの代表属性名と代表属性最頻値を、属性ベース案件クラスタ情報114から読み込む(S1212)。
【0062】
続いて、分析結果出力部150は、S1211とS1212で読み込んだ情報に基づき分析結果116を生成して出力する(S1213)。
【0063】
図8に戻り、以上で業務分析支援処理S800は終了する。
【0064】
[第2実施形態]
ところで、属性ベース案件クラスタリングに際しては、例えば、「日時」で表現された値を用いて「季節」で表現した方が都合がよい場合等、業務案件の属性の抽象度が低い(属性の値の粒度が細かい)ためにユーザの利用態様に適した(ニーズに叶った)分析結果116が得られないことがある。そこで、第2実施形態の業務分析支援システム1は、属性情報112の内容を調整した後に属性ベース案件クラスタリングを行う。以下、第1実施形態の業務分析支援システム1とは異なる点を中心として第2実施形態の業務分析支援システム1について説明する。
【0065】
図13は、第2実施形態の業務分析支援システム1の主な構成を説明するシステムフロー図である。同図に示すように、第2実施形態の業務分析支援システム1は、第1実施形態の第2実施形態の業務分析支援システム1が備える各機能に加えて、属性情報調整部160を備える。また、第2実施形態の業務分析支援システム1の記憶部110は、第1実施形態の業務分析支援システム1の記憶部110が記憶する情報に加えて、調整ルール117と属性情報(調整後)112aを記憶する。
【0066】
属性情報調整部160は、調整ルール117に基づき、属性情報112を調整して属性情報(調整後)112aを生成する。
【0067】
図14に調整ルール117の一例を示す。同図に示すように、例示する調整ルール117は、対象属性名1411、対象属性値域_開始1412、対象属性値域_終了1413
、調整後属性名1414、及び調整後属性値1415の各項目を有する複数のレコードで構成される。
【0068】
対象属性名1411には、調整の対象となる属性(以下、「対象属性」と称する。)の属性名(以下、「対象属性名」と称する。)が格納される。対象属性値域_開始1412及び対象属性値域_終了1413は、当該対象属性の値(属性値)の範囲(開始値、終了値)を表す。調整後属性名1414には、当該属性の調整後(抽象化(統合)した後)の属性名(以下、「調整後属性名」と称する。)が格納される。調整後属性値1415には、当該属性の値が、対象属性値域_開始1412及び対象属性値域_終了1413の範囲である場合の調整後の値(以下、「調整後属性値」と称する。)が格納される。
【0069】
図15に調整ルール117の他の一例を示す。同図に示すように、例示する調整ルール117は、3つのテーブル1150,1160,1170を含む。属性情報調整部160は、これら3つのテーブルに基づき、属性情報112を調整して属性情報(調整後)112aを生成する。
【0070】
同図に示すように、テーブル1150は、条件ID(A)1151、対象属性名1152、対象属性値域_開始1153、及び対象属性値域_終了1154の各項目を有する複数のレコードで構成される。また、テーブル1160は、条件ID(B)1161、対象属性名1163、及び対象属性値1164の各項目を有する複数のレコードで構成される。また、テーブル1170は、条件ID(A)1171、条件ID(B)1172、対象属性名1163、及び対象属性値1164の各項目を有する複数のレコードで構成される。
【0071】
テーブル1150は、対象属性名1152「担当者年齢」について属性値の範囲(対象属性値域_開始1153、及び対象属性値域_終了1154)ごとに設定した条件(条件ID(A)1151)を定義した情報を含む。また、テーブル1160は、対象属性名1162「担当者性別」について対象属性値1164「男性」又は「女性」ごとに設定した条件(条件ID(B)1161)を定義した情報を含む。また、テーブル1170は、条件ID(A)1151と条件ID(B)1161の組み合わせごとに、調整後属性名1173及び調整後属性値1174を定義した情報を含む。
【0072】
図16に、属性情報(調整後)112aの一例を示す。同図は
図4に例示した属性情報112を、
図14及び
図15に例示した調整ルール117に基づき調整した場合の一例である。同図において、四季1615及び勤続カテゴリ1616の各項目の項目名は、
図14に示す調整ルール117における調整後属性名1414の値であり、これらの項目の値は
図14に示す調整ルール117における調整後属性値1415の値である。また、担当者層1617の項目名は、
図15に示す調整ルール117における調整後属性名1173の値であり、当該項目の値は
図15に示す調整ルール117における調整後属性値1174の値である。
【0073】
図17は、第2実施形態の業務分析支援システム1が行う属性ベース案件クラスタリング処理S812の一例を説明するフローチャートである。尚、同図に示す属性ベース案件クラスタリング処理S812のうち、S1011、S1012~S1014の処理は、
図10に示した属性ベース案件クラスタリング処理S812の同符号の処理と同様であるので説明を省略する。
【0074】
第2実施形態の属性ベース案件クラスタリング処理S812では、属性ベース案件クラスタリング部130が、S1011の処理の後、属性情報112を調整するか否かを判定し(S1711)、属性情報112を調整する場合は属性情報調整部160がそのための
処理(以下、「属性情報調整処理S1712」と称する。)を行って属性情報(調整後)112aを生成する。属性ベース案件クラスタリング部130は、属性情報(調整後)112aに基づき属性ベース案件クラスタ情報114を生成する(S1012~S1014)。
【0075】
尚、S1711において、属性ベース案件クラスタリング部130は、例えば、調整ルール117が用意されている(記憶部110が記憶している)場合や、ユーザから属性情報112の調整を行う旨の指示を受け付けた場合に(S1711:YES)、属性情報112を調整(属性情報調整処理S1712を実行)する。
【0076】
図18は、
図17の属性情報調整処理S1712の一例を説明するフローチャートである。以下、同図とともに属性情報調整処理S1712について説明する。
【0077】
まず、属性情報調整部160は、記憶部110から属性情報112と調整ルール117を読み込む(S1811~S1812)。
【0078】
続いて、属性情報調整部160は、調整ルール117に従って調整後属性名及び調整後属性値を取得する(S1813)。
【0079】
続いて、属性情報調整部160は、属性情報112に調整ルール117を適用し、調整後属性名及び調整後属性値を取得する(S1814)。
【0080】
続いて、属性情報調整部160は、取得した調整後属性名及び調整後属性値を属性情報に追記して属性情報(調整後)112aを生成する(S1815)。
【0081】
以上のように、第2実施形態の業務分析支援システム1は、属性情報の内容を調整し、調整後の属性情報に基づき属性ベース案件クラスタリングを行うので、分析者等のユーザのニーズに即した分析結果116を提供することができる。
【0082】
[第3実施形態]
第1実施形態及び第2実施形態の業務分析支援システム1では、プロセスベース案件クラスタと属性ベース案件クラスタとの間のクラスタ間集合類似度を一対一の関係で算出してクラスタ間集合類似度情報115を生成した。第3実施形態の業務分析支援システム1は、プロセスベース案件クラスタと2つ以上の属性ベース案件クラスタの組み合わせ(2つ以上の属性ベース案件クラスタの和集合、差集合、及び積集合のうちの少なくともいずれか。以下、「クラスタセット」と称する。)との間の集合類似度を算出する。そして、業務分析支援システム1は、プロセスベース案件クラスタとの間の集合類似度が予め設定された閾値以上の一つ以上のクラスタセットや集合類似度が最大のクラスタセットを、分析結果116としてユーザに提供する。以下、第2実施形態の業務分析支援システム1の構成を基本として第3実施形態の業務分析支援システム1について説明する。以下では、第2実施形態の業務分析支援システム1とは異なる点を中心に説明する。
【0083】
図19は、第3実施形態の業務分析支援システム1の主な構成を説明するシステムフロー図である。同図に示すように、第3実施形態の業務分析支援システム1は、第2実施形態の業務分析支援システム1が備える各機能に加えて、クラスタマッチング部170を備える。クラスタマッチング部170は、プロセスベース案件クラスタ情報113、属性ベース案件クラスタ情報114、及びクラスタ間集合類似度情報115に基づき、プロセスベース案件クラスタとの間の集合類似度が予め設定された閾値以上の一つ以上のクラスタセットや集合類似度が最大のクラスタセットを特定する。第3実施形態の業務分析支援システム1の記憶部110は、第2実施形態の業務分析支援システム1の記憶部110が記
憶する情報に加えて、クラスタマッチング部170により生成されるマッチング済クラスタセット情報118を記憶する。
【0084】
図20は、第3実施形態の業務分析支援システム1が行う業務分析支援処理S800の一例を説明するフローチャートである。同図に示す業務分析支援処理S800のうち、S811~S813の処理は
図8に示した業務分析支援処理S800の同符号の処理と同様である。第3実施形態の業務分析支援処理S800は、S813の処理の後にクラスタマッチング処理S2010が実行され、分析結果出力処理S814において分析結果出力部150がクラスタマッチング処理S2010により取得される情報についても分析結果116として出力する点で、
図8に示した業務分析支援処理S800と異なる。
【0085】
図21は、
図20に示したクラスタマッチング処理S2010の一例を説明するフローチャートである。
【0086】
まず、クラスタマッチング部170は、プロセスベース案件クラスタ情報113と属性ベース案件クラスタ情報114を読み込む(S2111)。
【0087】
続いて、クラスタマッチング部170は、クラスタ間集合類似度情報115を読み込む(S2112)。
【0088】
続いて、クラスタマッチング部170は、2つ以上の属性ベース案件クラスタの組み合わせ(和集合、差集合、積集合)であるクラスタセットを生成する(S2113)。
【0089】
続いて、クラスタマッチング部170は、各プロセスベース案件クラスタとクラスタセットとの間の集合類似度を算出する(S2114)。
【0090】
続いて、クラスタマッチング部170は、プロセスベース案件クラスタごとに、集合類似度が高い順に任意の数のクラスタセット(例えば、集合類似度が予め設定した閾値以上のクラスタセット)をマッチング(抽出、取得)し、各クラスタセットの集合式と集合類似度を、マッチング済みのクラスタセットに関する情報として保持(記憶)する(S2115)。
【0091】
続いて、クラスタマッチング部170は、マッチングした各クラスタセットに含まれる属性ベース案件クラスタの代表属性名と代表属性最頻値を属性ベース案件クラスタ情報114から取得し、取得した代表属性名と代表属性最頻値を保持(記憶)する(S2116)。
【0092】
続いて、クラスタマッチング部170は、保持している情報に基づきマッチング済クラスタセット情報118を生成する(S2127)。
【0093】
尚、例えば、業務分析支援システム1が、クラスタマッチング処理S2010を行うか否かの意志表示をユーザインタフェースを介してユーザから受け付け、クラスタマッチング処理S2010を行う旨の指示をユーザから受け付けた場合にのみ、クラスタマッチング処理S2010を行う(クラスタマッチング部170を機能させる)ようにしてもよい。
【0094】
ところで、例えば、属性の種類が多い場合に上記のクラスタマッチング処理S2010を実行する組み合わせの数が膨大になり、業務分析支援システム1の処理負荷が増大する可能性がある。その場合、業務分析支援システム1が、例えば、以下に示す(1)~(3
)のいずれかの方法でクラスタマッチング処理S2010を行うことにより負荷軽減を図
ることができる。
【0095】
(1)最適化問題として取り扱う方法
例えば、集合類似度を最大化するような目的関数を設定し、所定の制約条件(例えば、「クラスタ数<2~4」)を課す。
【0096】
(2)対象を集合類似度が上位の属性ベース案件クラスタの積集合に限定する方法
例えば、まず、マッチング対象のプロセスベース案件クラスタXを包含し、かつ集合類似度が高い属性ベース案件クラスタ群αを一定数抽出する。続いて、属性ベース案件クラスタ群αに含まれるクラスタ(「クラスタA」とする)を対象として、プロセスベース案件クラスタXとの間の集合類似度の高い順に以下を実行する。即ち、まず属性ベース案件クラスタ群αの中から、差集合「クラスタA-プロセスベース案件クラスタX」との間の集合類似度の最も低いクラスタ(「クラスタB」とする)を特定する。続いて、積集合「クラスタA and クラスタB」とプロセスベース案件クラスタXとの間の集合類似度を算出する。尚、組み合わせる集合の数は例えば予め設定しておく。続いて、プロセスベース案件クラスタXとの間の集合類似度が最も高い積集合を特定する。
【0097】
(3)対象を集合類似度上位の属性ベース案件クラスタを対象とした和集合又は差集合に限定する方法
例えば、まず、マッチング対象のプロセスベース案件クラスタXとの間の集合類似度が高い属性ベース案件クラスタ群αを一定数抽出する。続いて、属性ベース案件クラスタ群αに含まれるクラスタ(「クラスタA」とする)を対象としてプロセスベース案件クラス
タXとの集合類似度の高い順に以下を実行する。即ち、まず属性ベース案件クラスタ群αの中から、差集合「プロセスベース案件クラスタX-クラスタA」との間の集合類似度の最も高いクラスタ(「クラスタB」とする)を特定する。続いて、和集合「クラスタA or クラスタB」とプロセスベース案件クラスタXとの間の集合類似度を算出する。続いて、全ての属性ベース案件クラスタの中から、差集合「(クラスタA or クラスタB)-プロセスベース案件クラスタX」との間の集合類似度の最も高いクラスタ(「クラスタC」とする)を特定する。続いて、差集合「(クラスタA or クラスタB)-ク
ラスタC」とプロセスベース案件クラスタXとの間の集合類似度を算出する。尚、組み合わせる集合の数や和集合又は差集合の数は例えば予め設定しておく。続いて、プロセスベース案件クラスタXとの間の集合類似度が最も高い和集合又は差集合を特定する。
【0098】
図22は、第3実施形態の業務分析支援システム1が行う分析結果出力処理S814の一例を説明するフローチャートである。同図において、S1211~S1212の処理は
図12に示した分析結果出力処理S814の同符号の処理と同様である。
【0099】
図12に示した分析結果出力処理S814とは異なり、第3実施形態の分析結果出力処理S814では、分析結果出力部150が、S1212の処理の後に、ユーザからのクラスタセットの情報の出力要求を受け付けているか否かを判定し(S2211)、出力要求を受け付けている場合(S2211:YES)、マッチング済クラスタセット情報118を読み込む(S2212)。そしてS1213では、分析結果出力部150は、S1212及びS2212で読み込んだ情報に基づき分析結果116を生成して出力する。
【0100】
図23は、第3実施形態の分析結果出力部150が、クラスタ間集合類似度情報115とマッチング済クラスタセット情報118に基づき生成する分析結果116の一例である。同図に示すように、例示する分析結果116は、
図7に示した情報に加えて、集合類似度の最も高い属性ベース案件クラスタセットの情報713を含む。例示する分析結果116は、上記情報713として、プロセスベース案件クラスタとクラスタセットとの間の集合類似度、クラスタセット集合式、属性ベース案件クラスタID、代表属性名、及び代表
属性最頻値を含む。
【0101】
以上のように、第3実施形態の業務分析支援システム1は、プロセスベース案件クラスタとの間の集合類似度の高い属性ベース案件クラスタセットの情報を分析結果116として提供する。そのため、例えば、分析者等のユーザは、活動履歴情報111から特定したクラスタ(業務パターン)の意味や由来をより詳細にもしくは多様な観点から把握することができる。
【0102】
[第4実施形態]
第1乃至第3実施形態の業務分析支援システム1は、
図7や
図23に示す態様で分析結果116を提供した。以下に説明する第4実施形態の業務分析支援システム1は、プロセスベース案件クラスタと属性ベース案件クラスタの関係を、ユーザが視覚的に把握し易い態様で分析結果116を提供する。具体的には、第4実施形態の業務分析支援システム1は、プロセスベース案件クラスタや属性ベース案件クラスタをプロセスフロー図の形式で示した分析結果116を提供する。また、第4実施形態の業務分析支援システム1は、プロセスベース案件クラスタや属性ベース案件クラスタを、夫々を業務案件の特徴量をプロットして表したグラフの形式(以下、「案件プロット図」と称する。)で分析結果116を提供する。
【0103】
図24にプロセスフロー図の一例を示す。この例では、業務分析支援システム1は、
図23に示した分析結果116の内容とともにプロセスフロー
図714を分析結果116として提供している。この例では、業務分析支援システム1は、プロセスベース案件クラスタ「X1」、属性ベース案件クラスタ「A3」、属性ベース案件クラスタ「B2」、及び属性ベース案件クラスタ「A3」と属性ベース案件クラスタ「B2」の積集合のクラスタセット「A3 and B2」の夫々のプロセスフロー図を並べて分析結果116として提供している。
【0104】
分析者等のユーザは、例えば、同図の内容が表示された画面を参照することで、各クラスタの類似性や相違点を横並びで視覚的に把握することができ、各クラスタの意味や由来を容易に知ることができる。
【0105】
図25に案件プロット図の一例を示す。この例では、業務分析支援システム1は、
図23に示した分析結果116の内容とともに案件プロット
図715を分析結果116として提供している。同図は活動履歴情報111から抽出される業務案件の特徴を二次元の特徴量で表したグラフであり、同図における各点(ドット)は各業務案件に対応している。同図に示す円は、夫々、プロセスベース案件クラスタ「X1」、属性ベース案件クラスタ「A3」、及び属性ベース案件クラスタ「B2」を表す。各円の中心は各クラスタに属する業務案件の特徴量の重心に一致している。
【0106】
分析者等のユーザは、例えば、同図の内容が表示された画面を参照することで、各クラスタの関係や各クラスタを構成する業務案件の特徴量の分布を視覚的に把握することができ、各クラスタの意味や由来を容易に知ることができる。
【0107】
図26は、第4実施形態の業務分析支援システム1が行う分析結果出力処理S814の一例を説明するフローチャートである。同図において、S1211~S1212、S2211~S2212、S1213の処理は、
図22に示した分析結果出力処理S814の同符号の処理と同様であるので説明を省略する。
【0108】
図22に示した分析結果出力処理S814とは異なり、第4実施形態の分析結果出力処理S814では、分析結果出力部150が、S1213の処理の後に、プロセスフロー図
の出力要求をユーザから受け付けているか否かを判定する(S2611)。出力要求を受け付けている場合(S2611:YES)、分析結果出力部150は、プロセスフロー図の生成に必要な情報を記憶部110から取得し、取得した情報に基づきプロセスフロー図を生成し、分析結果116として出力する(S2612)。また、分析結果出力部150は、案件プロット図の出力要求をユーザから受け付けているか否かを判定する(S2621)。出力要求を受け付けている場合(S2621:YES)、分析結果出力部150は、案件プロット図の生成に必要な情報を記憶部110から取得し、取得した情報に基づき案件プロット図を生成し、分析結果116として出力する(S2622)。
【0109】
<情報処理装置の例>
図27に、以上の各実施形態で説明した業務分析支援システム1の構成に用いる情報処理装置(コンピュータ)の構成例を示す。例示する情報処理装置10は、プロセッサ11、主記憶装置12、補助記憶装置13、入力装置14、出力装置15、及び通信装置16を備える。尚、例示する情報処理装置10は、その全部又は一部が、例えば、クラウドシステムによって提供される仮想サーバのように、仮想化技術やプロセス空間分離技術等を用いて提供される仮想的な情報処理資源を用いて実現されるものであってもよい。また、情報処理装置10によって提供される機能の全部又は一部は、例えば、クラウドシステムがAPI(Application Program Interface)等を介して提供するサービスによって実現
してもよい。また、業務分析支援システム1は、通信可能に接続された複数の情報処理装置10を用いて構成してもよい。
【0110】
同図において、プロセッサ11は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、M
PU(Micro Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit
)、AI(Artificial Intelligence)チップ等を用いて構成されている。
【0111】
主記憶装置12は、プログラムやデータを記憶する装置であり、例えば、ROM(Read
Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、不揮発性メモリ(NVRAM(Non Volatile RAM))等である。
【0112】
補助記憶装置13は、例えば、SSD(Solid State Drive)、ハードディスクドライ
ブ、光学式記憶装置(CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)等)、ストレージシステム、ICカード、SDカードや光学式記録媒体等の記録媒体の読取/書込装置、クラウドサーバの記憶領域等である。補助記憶装置13には、記録媒体の読取装置や通信装置16を介してプログラムやデータを読み込むことができる。補助記憶装置13に格納(記憶)されているプログラムやデータは主記憶装置12に随時読み込まれる。
【0113】
入力装置14は、外部からの入力を受け付けるインタフェースであり、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル、カードリーダ、ペン入力方式のタブレット、音声入力装置等である。
【0114】
出力装置15は、処理経過や処理結果等の各種情報を出力するインタフェースである。出力装置15は、例えば、上記の各種情報を可視化する表示装置(液晶モニタ、LCD(Liquid Crystal Display)、グラフィックカード等)、上記の各種情報を音声化する装置(音声出力装置(スピーカ等))、上記の各種情報を文字化する装置(印字装置等)である。尚、例えば、情報処理装置10が通信装置16を介して他の装置との間で情報の入力や出力を行う構成としてもよい。
【0115】
入力装置14及び出力装置15は、ユーザとの間で情報の受け付けや情報の提示を行うユーザインタフェースを構成する。
【0116】
通信装置16は、他の装置との間の通信を実現する装置である。通信装置16は、通信ネットワーク等の通信媒体を介して他の装置との間の通信を実現する、有線方式又は無線方式の通信インタフェースであり、例えば、NIC(Network Interface Card)、無線通信モジュール、USBモジュール等である。
【0117】
情報処理装置10には、例えば、オペレーティングシステム、ファイルシステム、DBMS(DataBase Management System)(リレーショナルデータベース、NoSQL等)、KVS(Key-Value Store)等が導入されていてもよい。
【0118】
業務分析支援システム1が備える各機能は、プロセッサ11が、主記憶装置12に格納されているプログラムを読み出して実行することにより、もしくは、業務分析支援システム1を構成するハードウェア(FPGA、ASIC、AIチップ等)によって実現される。業務分析支援システム1は、前述した各種の情報(データ)を、例えば、データベースのテーブルやファイルシステムが管理するファイルとして記憶する。
【0119】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。例えば、上記の実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、上記実施形態の構成の一部について、他の構成の追加や削除、置換をすることが可能である。
【0120】
また、上記の各構成、機能部、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば、集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリやハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、I
Cカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
【0121】
また、以上に説明した各情報処理装置の各種機能部、各種処理部、各種データベースの配置形態は一例に過ぎない。各種機能部、各種処理部、各種データベースの配置形態は、これらの装置が備えるハードウェアやソフトウェアの性能、処理効率、通信効率等の観点から最適な配置形態に変更し得る。
【0122】
また、前述した各種のデータを格納するデータベースの構成(スキーマ(Schema)等)は、リソースの効率的な利用、処理効率向上、アクセス効率向上、検索効率向上等の観点から柔軟に変更し得る。
【符号の説明】
【0123】
1 業務分析支援システム、110 記憶部、111 活動履歴情報、112 属性情報、112a 属性情報(調整後)、113 プロセスベース案件クラスタ情報、114 属性ベース案件クラスタ情報、115 クラスタ間集合類似度情報、116 分析結果、117 調整ルール、118 マッチング済クラスタセット情報、120 プロセスベース案件クラスタリング部、130 属性ベース案件クラスタリング部、140 クラスタ間集合類似度算出部、150 分析結果出力部、160 属性情報調整部、170 クラスタマッチング部、714 プロセスフロー図、715 案件プロット図、S800 業務分析支援処理、S811 プロセスベース案件クラスタリング処理、S812 属性ベース案件クラスタリング処理、S813 クラスタ間集合類似度算出処理、S814 分析結果出力処理、S1712 属性情報調整処理、S2010 クラスタマッチング処理