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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023134908
(43)【公開日】2023-09-28
(54)【発明の名称】個装吸収性物品
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/551 20060101AFI20230921BHJP
   A61F 13/15 20060101ALI20230921BHJP
   A61F 13/514 20060101ALI20230921BHJP
   A61F 13/56 20060101ALI20230921BHJP
【FI】
A61F13/551 200
A61F13/15 220
A61F13/514 400
A61F13/56 110
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022039835
(22)【出願日】2022-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 千咲
【テーマコード(参考)】
3B200
【Fターム(参考)】
3B200AA03
3B200DA25
3B200DD09
3B200DF09
(57)【要約】
【課題】吸収性物品が包装シートで包装されてなる個装吸収性物品において、開封前においては吸収性物品の情報を正しく認識でき、且つ使用後の吸収性物品を破棄する際には、吸収性物品に浸み込んだ体液と共に物品の情報が視認されにくい構成を提供する。
【解決手段】包装シートの内面に、吸収性物品を当該吸収性物品の裏面が対向するように配置し、前記包装シートを前記内面側へ折り畳むことによって、前記吸収性物品が個装されてなる、個装吸収性物品であって、前記吸収性物品に、赤系色である第1色の識別マークが付され、前記包装シートに、前記第1色と異なる有彩色である第2色が付され、個装状態で、前記識別マークが、前記包装シートの外側から視認可能であり、前記第2色と、前記識別マークの、前記個装状態での視認された色との色差が4以上である。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装シートの内面に、吸収性物品を当該吸収性物品の裏面が対向するように配置し、前記包装シートを前記内面側へ折り畳むことによって、前記吸収性物品が個装されてなる、個装吸収性物品であって、
前記吸収性物品に、赤系色である第1色の識別マークが付され、
前記包装シートに、前記第1色と異なる有彩色である第2色が付され、
個装状態で、前記識別マークが、前記包装シートの外側から視認可能である、個装吸収性物品。
【請求項2】
前記包装シートが、前記吸収性物品と共に、当該包装シートの第1方向の一端を含む第1領域と、前記一端と反対側の他端を含む第2領域と、前記第1領域と前記第2領域との間の第3領域とを有し、
前記第1領域及び前記第2領域が、前記第1領域が前記第2領域の外面に重なるように折り畳まれており、
前記識別マークが、前記吸収性物品の、前記第1領域に対向する領域及び第3領域に対向する領域の少なくとも一方に付されている、請求項1に記載の個装吸収性物品。
【請求項3】
前記吸収性物品が、裏面側の不透液性のバックシートと、吸収体と、表面側の透液性のトップシートとをこの順で重ねられてなる本体を有し、
前記バックシートが、白系色である、請求項1又は2に記載の個装吸収性物品。
【請求項4】
包装シートの内面に、吸収性物品を当該吸収性物品の裏面が対向するように配置し、前記包装シートを前記内面側へ折り畳むことによって、前記吸収性物品が個装されてなる、個装吸収性物品であって、
前記吸収性物品の裏面にズレ止め部が設けられ、前記包装シートと前記ズレ止め部との間に剥離シートが介在されており、
前記剥離シートに、赤系色である第1色の識別マークが付され、
前記包装シートに、前記第1色と異なる有彩色である第2色が付され、
個装状態で、前記識別マークが、前記包装シートの外側から視認可能である、個装吸収性物品。
【請求項5】
前記包装シートが、前記吸収性物品及び前記剥離シートと共に、当該包装シートの第1方向の一端を含む第1領域と、前記一端と反対側の他端を含む第2領域と、前記第1領域と前記第2領域との間の第3領域とを有し、
前記第1領域及び前記第2領域が、前記第1領域が前記第2領域の外面に重なるように折り畳まれており、
前記識別マークが、前記剥離シートの、前記第1領域に対向する領域に対向する領域及び前記第3領域に対向する領域の少なくとも一方に付されている、請求項4に記載の個装吸収性物品。
【請求項6】
前記剥離シートの少なくとも裏面が白系色である、請求項4又は5に記載の個装吸収性物品。
【請求項7】
前記第2色と、前記識別マークの、前記個装状態での視認された色との色差が4以上である、請求項1から6のいずれか一項に記載の個装吸収性物品。
【請求項8】
前記第2色が緑系色である、請求項1から7のいずれか一項に記載の個装吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、個装吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、生理用ナプキン、パンティライナー、失禁パッド等の吸収性物品は、包装シートによって個別に包装されてなる個装吸収性物品として提供されている。個装吸収性物品において用いられる包装シートは、使用時まで吸収性物品を衛生的に包装しておくという機能を有するばかりでなく、吸収性物品の交換時には、使用済みの吸収性物品を包んで廃棄する際にも利用されている。
【0003】
上述のような使用済みの吸収性物品の廃棄時には、包装シートの材料によっては、吸収性物品内に拡散した若しくは付着した体液が、包装シートを通して透かして見えてしまう場合があり、これを不快に思う使用者も多い。よって、包装シートについて、吸収性物品に拡散した若しくは付着した体液の色、例えば経血の赤色が視認されにくくなるような包装シートの構成が検討されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-127279号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されているような包装シートを用いても、吸収性物品に浸み込んで拡散した体液の領域は、外部からある程度は視認される。ここで、このような拡散した体液の領域と共に、吸収性物品の情報(商品名、ロゴ、製品仕様等の製品情報)が目に入った場合、使用済みの吸収性物品であることの意識が強まる等して、不快感が増すこともある。このような不快感は、使用者にもよるが、例えば、使用済みの吸収性物品を使用者自らが処理しているという意識が強まることにより、或いは自らが使用した後の吸収性物品が意図せず他人の目に触れる可能性があることを想像した時に増長し得る。
【0006】
これに対し、吸収性物品の情報を、そもそも吸収性物品や包装シートに付さないということも考えられる。しかしながら、個装吸収性物品の使用前には、個装吸収性物品を個別に見た時に、物品の情報を直ちに認識したいという要望もある。例えば、異なる種類の複数の個装吸収性物品を状況に応じて使い分けている使用者は、異なる種類の複数の個装吸収性物品を、ポーチ等に入れて持ち歩く場合がある。そのような場合、製品情報を直ちに認識できることは、状況に合わない吸収性物品を使用してしまう可能性を低減するためには重要である。
【0007】
上記に鑑みて、本発明の一態様は、吸収性物品が包装シートで包装されてなる個装吸収性物品において、開封前においては吸収性物品の情報を正しく認識でき、且つ使用後の吸収性物品を破棄する際には、吸収性物品に浸み込んだ体液と共に物品の情報が視認されにくい構成を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第一の態様は、包装シートの内面に、吸収性物品を当該吸収性物品の裏面が対向するように配置し、前記包装シートを前記内面側へ折り畳むことによって、前記吸収性物品が個装されてなる、個装吸収性物品であって、前記吸収性物品に、赤系色である第1色の識別マークが付され、前記包装シートに、前記第1色と異なる有彩色である第2色が付され、個装状態で、前記識別マークが、前記包装シートの外側から視認可能である。
【0009】
上記第一の態様では、吸収性物品に付された第1色の識別マークが、包装シートを通して視認できる。そのため、個装吸収性物品の外部から見た識別マークの色、すなわち識別マークの元の第1色と包装シートの第2色とが重ね合わせられて生じた色が、背景となる包装シートの第2色に対して視認でき、使用者は、識別マークを個装吸収性物品の外部から認識することができる。これにより、使用前(開封前)の状態で個装吸収性物品の種類の識別が容易になるので、複数の異なる種類の個装吸収性物品がポーチ等に入っていても、使用者は、所望の個装吸収性物品を容易に選び取ることができる。
【0010】
また、本態様によれば、吸収性物品に付された識別マークの第1色は赤色系である。そのため、経血のような赤系の体液が吸収性物品に吸収され、拡散すると、吸収性物品内に拡散した体液が吸収性物品の裏面から透けて識別マークと重なることで、識別マークが見えにくく、識別マークに含まれる情報が認識されにくくなる。よって、使用済み吸収性物品における体液の視認と、識別マークによる物品の情報の認識とが同時に起こりにくくなる。吸収性物品内に浸み込んだ体液と、吸収性物品の情報を表す識別マークとが共に目に入りやすい従来の構成では、使用者によっては、使用済みの吸収性物品を見ているという意識が強まって不快感、嫌悪感が増してしまうこともあるが、本態様によれば、そのような不快感、嫌悪感を低減できる。
【0011】
本発明の第二の態様は、前記包装シートが、前記吸収性物品と共に、当該包装シートの第1方向の一端を含む第1領域と、前記一端と反対側の他端を含む第2領域と、前記第1領域と前記第2領域との間の第3領域とを有し、前記第1領域及び前記第2領域が、前記第1領域が前記第2領域の外面に重なるように折り畳まれており、前記識別マークが、前記吸収性物品の、前記第1領域に対向する領域及び第3領域に対向する領域の少なくとも一方に付されている。
【0012】
上記第二の態様によれば、包装シートが、吸収性物品と共に内側に、少なくとも三つ折りに折り畳まれている。このような折り畳みによって、簡単でありながら吸収性物品を外部環境からの保護が可能な包装形式が得られる。
【0013】
また、本態様では、識別マークが、吸収性物品の、包装シートの第1領域に対向する領域及び第3領域に対向する領域の少なくとも一方に付されている。包装シートの第1領域及び第3領域は、包装シートの折り畳みの際の折り位置に関わらず、個装された状態で外部に対して露出する包装シートの領域である。そのため、吸収性物品の、包装シートの第1領域に対向する領域及び第3領域に対向する領域に付された識別マークは、包装シートの折り畳みの際の折り位置に関わらず、外部から包装シートを通して視認できる。よって、使用者は、開封前の個装吸収性物品において容易に識別マークを見つけることができる。そのため、使用前(開封前)に吸収性物品についての情報を直ちに取得して、複数の異なる種類の吸収性物品の中から所望の吸収性物品を容易に識別し、取り出すことができる。
【0014】
本発明の第三の態様では、前記吸収性物品が、裏面側の不透液性のバックシートと、吸収体と、表面側の透液性のトップシートとをこの順で重ねられてなる本体を有し、前記バックシートが、白系色である。
【0015】
上記第三の態様によれば、バックシートが白系色であるので、吸収性物品の裏面に付された赤色系の識別マークは、吸収性物品の裏面の色に対して目立ちやすくなる。また、使用済み吸収性物品において、吸収体に浸み込んだ経血等の赤系色が裏面から見ても維持されるので、吸収性物品の裏面に付された赤色系の識別マークが体液の色と重なり、識別マークが認識されにくくなるという作用を向上できる。
【0016】
本発明の第四の態様は、包装シートの内面に、吸収性物品を当該吸収性物品の裏面が対向するように配置し、前記包装シートを前記内面側へ折り畳むことによって、前記吸収性物品が個装されてなる、個装吸収性物品であって、前記吸収性物品の裏面にズレ止め部が設けられ、前記包装シートと前記ズレ止め部との間に剥離シートが介在されており、前記剥離シートに、赤系色である第1色の識別マークが付され、前記包装シートに、前記第1色と異なる有彩色である第2色が付され、個装状態で、前記識別マークが前記包装シートの外側から視認可能である。
【0017】
上記第四の態様によれば、吸収性物品の裏面にズレ止め部が設けられ、且つズレ止め部を保護するための剥離シートが、包装シートと吸収性物品との間に介在されている個装吸収性物品が提供される。そして、このような吸収性物品の形態であっても、上記第一の態様で得られるものと同様の作用・効果を得ることができる。すなわち、本態様では、剥離シートに第1色の識別マークが付され、この識別マークが、包装シートを通して視認できる。そのため、個装吸収性物品の外部から見た識別マークの色、すなわち識別マークの元の第1色と包装シートの第2色とが重ね合わされて生じた色を、背景となる包装シートの第2色に対して視認でき、使用者は、識別マークを個装吸収性物品の外部から認識することができる。これにより、使用前(開封前)の状態で個装吸収性物品の種類の識別が容易になるので、複数の異なる種類の個装吸収性物品がポーチ等に入っていても、使用者は、所望の個装吸収性物品を容易に選び取ることができる。
【0018】
また、本態様によれば、剥離シートに付された識別マークの第1色は赤色系である。経血のような赤系の体液が吸収性物品に吸収され、拡散すると、吸収性物品に拡散した体液の色が吸収性物品の裏面から透ける。そのような使用済み吸収性物品を、剥離シートが接合されたままの包装シートで包んだ場合、使用済み吸収性物品に吸収された体液が、剥離シートに付された識別マークに重なって見える。そのため、識別マークが見えにくく、識別マークに含まれる情報が認識されにくくなる。よって、使用済み吸収性物品における体液の視認と、識別マークによる物品の情報の認識とが同時に起こりにくくなる。吸収性物品に浸み込んだ体液と、吸収性物品の情報を表す識別マークとが共に目に入りやすい従来の構成では、使用者によっては、使用済みの吸収性物品を見ているという意識が強まって不快感、嫌悪感が増してしまうこともあるが、本態様によれば、そのような不快感、嫌悪感を低減できる。
【0019】
本発明の第五の態様では、前記包装シートが、前記吸収性物品及び前記剥離シートと共に、当該包装シートの第1方向の一端を含む第1領域と、前記一端と反対側の他端を含む第2領域と、前記第1領域と前記第2領域との間の第3領域とを有し、前記第1領域及び前記第2領域が、前記第1領域が前記第2領域の外面に重なるように折り畳まれており、
前記識別マークが、前記剥離シートの、前記第1領域に対向する領域に対向する領域及び前記第3領域に対向する領域の少なくとも一方に付されている。
【0020】
上記第五の態様によれば、包装シートが、吸収性物品及び剥離シートと共に内側に、少なくとも三つ折りに折り畳まれている。このような折り畳みによって、簡単でありながら吸収性物品を外部環境からの保護が可能な包装形式が得られる。
【0021】
また、本態様では、識別マークが、剥離シートの、包装シートの第1領域に対向する領域及び第3領域に対向する領域の少なくとも一方に付されている。包装シートの第1領域及び第3領域は、包装シートの折り畳みの際の折り位置に関わらず、個装された状態で外部に対して露出する包装シートの領域である。そのため、剥離シートの、包装シートの第1領域に対向する領域及び第3領域に対向する領域に付された識別マークは、包装シートの折り畳みの際の折り位置に関わらず、外部から包装シートを通して視認できる。よって、使用者は、開封前の個装吸収性物品において容易に識別マークを見つけることができる。そのため、使用前(開封前)に吸収性物品についての情報を直ちに取得して、複数の異なる種類の吸収性物品の中から所望の吸収性物品を容易に識別し、取り出すことができる。
【0022】
本発明の第六の態様では、前記剥離シートの少なくとも裏面が白系色である。
【0023】
上記第六の態様によれば、剥離シートの少なくとも裏面が白系色であるので、剥離シートの裏面に付された赤色系の識別マークは、剥離シートの色に対して目立ちやすくなる。また、使用済み吸収性物品を、剥離シート付きの包装シートで包んだ場合、使用済み吸収性物品において、吸収された経血等の体液の色が、包装シート及び剥離シートを通して視認されやすくなる。そのため、剥離シートに付された赤色系の識別マークが体液の色と重なって識別マークが認識されにくくなるという作用を向上させることができる。
【0024】
本発明の第七の態様では、前記第2色と、前記識別マークの、前記個装状態での視認された色との色差が4以上である。
【0025】
上記第七の態様によれば、個装吸収性物品の外部から見た識別マークの色、すなわち識別マークの元の第1色と包装シートの第2色とが重ね合わせられて生じた色が、背景となる包装シートの第2色に対して視認されやすくなる。そのため、使用者は、識別マークを個装吸収性物品の外部から認識できるという効果を向上できる。
【0026】
本発明の第八の態様では、前記第2色が緑系色である。
【0027】
上記第八の態様によって、包装シートに付された第2色が緑系であることで、使用済み吸収性物品を包装シートで包み、使用済み吸収性物品を包装シートに透かして見た場合、使用済み吸収性物品に浸み込んだ経血等の赤色が、黒っぽく見える。このため、経血の赤色が視認されにくくなる。さらに、吸収性物品に識別マークが付されている場合は、使用済み吸収性物品において、識別マークは、吸収された経血と重なって視認しづらくなっている上、包装シートで使用済み吸収性物品を包んで使用済み吸収性物品を包装シートに透かして見ると、経血と識別マークとの重なった部分全体が黒っぽく見え、識別マークがさらに視認されにくくなる。また、剥離シートに識別マークが付されている場合、剥離シート付の包装シートで使用済み吸収性物品を包んだ場合に、剥離シートに付された識別マークが使用済み吸収性物品に吸収された経血と重なって視認しづらくなり、使用済み吸収性物品を剥離シート包装シートに透かして見ると、経血と識別マークとの重なった部分全体が黒っぽく見え、識別マークがさらに視認されにくくなる。
【発明の効果】
【0028】
本発明の一態様によれば、吸収性物品が包装シートで包装されてなる個装吸収性物品において、開封前においては吸収性物品の情報を正しく認識でき、且つ使用後の吸収性物品を破棄する場合には、吸収性物品に浸み込んだ体液と共に物品の情報が視認されにくい構成を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】第1実施形態による個装吸収性物品の平面図である。
図2】第1実施形態による個装吸収性物品を展開した状態を包装シートの内面側から見た平面図である。
図3図2に示す個装吸収性物品に含まれる吸収性物品を裏面側から見た平面図である。
図4図3に示す吸収性物品の裏面側に包装シートを重ねた状態を示す図である。
図5】第1実施形態による個装吸収性物品を包装シートの第3領域の側から見た平面図である。
図6】使用済みの吸収性物品を示す図である。
図7】使用済みの吸収性物品を包装シートで包んでいる途中の状態を示す図である。
図8】使用済みの吸収性物品が包装シートで包まれた状態を示す図である。
図9】第2実施形態による個装吸収性物品に含まれる吸収性物品と剥離シートとを、吸収性物品の裏面側から見た平面図である。
図10図9に示す吸収性物品の裏面側に包装シートを重ねた状態を示す図である。
図11】第2実施形態による個装吸収性物品を包装シートの第3領域の側から見た平面図である。
図12】包装シートの変形例を示す図である。
図13】包装シートの別の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、各図面において、特に説明がない限り、同一の又は対応する構成については同一の符号を付して説明を省略する場合がある。また、図面はあくまで模式的なものであり、そのため、例えば識別マークの視認状態(見えやすい、見えにくい等)は、実際の視認状態と相違し得る。
【0031】
[第1実施形態]
図1に、第1実施形態による個装吸収性物品100の平面図を示す。本形態による個装吸収性物品100(吸収性物品の個装体、包装吸収性物品とも言う)では、吸収性物品1が包装シート10で包まれ、内部に収容されている。図2には、第1実施形態による個装吸収性物品100を展開した状態を、吸収性物品1が載置された側(内面側)から見た平面図を示す。図2においては、吸収性物品1は、当該吸収性物品1の裏面側(装着時に下着に対向させる側)が、包装シート10の内面に対向するように配置されていて、吸収性物品1の表面側(装着時に肌に対向させる側)が露出している。図2では、吸収性物品は、部分破断図として示されている。
【0032】
<吸収性物品の基本構成>
本形態において包装シート10によって包装される吸収性物品1は、体液(経血、おりもの、尿等)の排出口に対向させるように装着する、扁平で細長形状の物品であってよい。
【0033】
吸収性物品1の具体例は、生理用ナプキン、パンティライナー(おりものシート)、軽失禁用パッド等であってよい。本形態では、生理用ナプキンを例とする。図2に示すように、吸収性物品1は、透液性のトップシート3と、不透液性のバックシート2と、これらのトップシート3とバックシートとの間に配置された吸収体4とを有する本体8を有する。
【0034】
バックシート2としては、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂シート等の少なくとも遮水性を有するシート材を用いることができる。ポリエチレンシート等に不織布を積層したラミネート不織布や、さらには防水フィルムを介在させて実質的に不透液性を確保した不織布の積層シート等を用いることができる。また、透湿性を有するものが用いられてもよい。
【0035】
トップシート3としては、有孔又は無孔の不織布や多孔性プラスチックシート等が好適に用いられる。不織布を構成する素材繊維としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン、ポリエステル、ポリアミド等の合成繊維、レーヨン、キュプラ等の再生繊維、及びこれらの混紡繊維、並びに綿等の天然繊維を単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0036】
吸収体4は、体液を吸収して保持できる材料であれば限定されないが、綿状パルプと吸水性ポリマーとを含むことが好ましい。吸水性ポリマーとしては、高吸水ポリマー粒状粉(superabsorbent polymer(SAP))、高吸水ポリマー繊維(superabsorbent fiber(SAF))及びこれらの組合せを用いることができる。パルプとしては、木材から得られる化学パルプ、溶解パルプ等のセルロース繊維、レーヨン、アセテート等の人工セルロース繊維からなるものが挙げられる。
【0037】
吸収体4の厚みは、0.5~25mmであってよい。吸収体4は、体液排出口に対応させる領域(体液排出口対応領域)や、体液排出口対応領域より後方の、臀部の溝に対向する領域を、膨出させた構造とすることもできる。吸収体4は、トップシート3及びバックシート2からはみ出さない寸法及び形状を有し、吸収体4の少なくとも前方及び後方の端縁部では、バックシート2とトップシート3との外縁がホットメルト等の接着剤やヒートシール、超音波シール等の接着手段によって接合されている。
【0038】
本体8のバックシート2の裏面には、装着時に吸収性物品1が下着からズレることを防止するためのズレ止め部が形成されていてよい(図1及び図2には図示せず)。ズレ止め部は、粘着性のものであっても非粘着性のものであってもよい。ズレ止め部が粘着性である場合には、ズレ止め部は、例えば粘着剤を塗布することによって形成できる。粘着剤としては、例えば、スチレン系ポリマー、粘着付与剤、可塑剤及びこれらの組合せを主成分とするものが好適に使用される。ズレ止め部が粘着性である場合、包装シート10の内面には、剥離処理(離型処理)が施され、吸収性物品1を包装シート10から取り出した時に。粘着性ズレ止め部が包装シート10に残存しないようにする。
【0039】
本体8の肌側(装着者の肌に対向させる側、内側)の両側部には、図示の例ではトップシート3の両側部に、本体8の長手方向に沿ってサイドシート7、7が設けられていてもよい。サイドシート7、7としては、撥水処理不織布又は親水処理不織布を使用することができる。
【0040】
図2に示すように、吸収性物品1は、本体8の側方にそれぞれ延出するウィングW、Wを有している。但し、本形態における吸収性物品はウィングW、Wのない形態であってもよい。ウィングW、Wを備えている場合、ウィングW、Wは、図2に示すように、サイドシート7とバックシート2との接合により形成されていてよい。また、ウィングW、Wの裏側、すなわちウィングW、Wを構成しているバックシート2の裏面にも、本体8の裏側に設けられるズレ止め部と同様に、粘着性のズレ止め部を設けることができる。これにより、装着時にはウィングW、Wをそれぞれ下着側に折り返して下着に固定させることができる。
【0041】
吸収性物品1の全長は、140~430mmとすることができ、吸収性物品1の幅(ウィングを有する場合にはウィングを除いた本体の幅)は50~130mmとすることができる。
【0042】
<包装シートの基本構成>
包装シート10も、広げた状態で吸収性物品1の形状と同様に細長形状であってよい。本形態の説明では、包装シート10の長手方向D1を第1方向と呼び、第1方向に直交する方向、すなわち包装シート10の横方向D2を第2方向と呼ぶ場合がある。図1に示すように、包装シート10と吸収性物品1とは、両者の長手方向が同じになるように配置され、その後に折り畳まれて、個装吸収性物品とされる。よって、本形態における長手方向D1及び横方向D2は、それぞれ吸収性物品1の長手方向D1及び横方向D2となる。
【0043】
図示の例では、包装シート10は平面視で長方形を有するが、長楕円形等の形状であってもよい。また、包装シート10の平面視形状は、正方形、円形等の細長でない形状であってもよい。
【0044】
包装シート10の寸法は、包装する吸収性物品1の大きさや形状によるが、例えば、包装シート10を完全に広げた状態(折り返しされていない状態、図1)で、長手方向D1の長さ(単に長さと呼ぶ場合がある)は100~460mmとすることができ、横方向D2の長さ(単に幅と呼ぶ場合がある)は70~250mmとすることができる。
【0045】
包装シート10を構成する材料は特に限定されず、所定の色が付されていて、個装吸収性物品100の外側から見た際に、包装シート10の内部の識別マークを透かして視認できるものであれば(後に詳述)限定されず、不織布、樹脂製フィルム、紙等であってよい。
【0046】
包装シート10の材料に不織布を用いた場合、風合い、柔軟性等を向上させることができるという点で好ましい。用いられる不織布としては、メルトブロー不織布、スパンボンド不織布等が好ましく、これらの不織布の層を組み合わせ複数積層させたものを用いることもできる。また、不織布を構成する繊維は、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン、ポリエステル、ナイロン等のポリアミド等であってよい。
【0047】
包装シート10の材料に樹脂製フィルムを用いた場合、包装シート10が破れにくくなる。また、樹脂製フィルムに印刷が施された場合、印刷された文字や模様の輪郭を明瞭にでき、デザインの自由度が上がることから好ましい。包装シート10に樹脂製フィルを用いた場合、用いられる樹脂としては、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン、ポリエステル、ポリビニルアルコール等を挙げることができる。樹脂製フィルムとしては、延伸加工されたものが好ましい。また、樹脂製フィルムは、非通気性フィルムであってもよいし、通気性フィルムであってもよい。
【0048】
包装シート10の材料に紙を用いることで、廃棄の際の環境負担が少なく、天然素材の自然な風合いを付与できる。本明細書において、紙とは、植物繊維その他の繊維を膠着剤で膠着させて平板状にしたものを指す。特に、植物繊維(パルプ)を主原料としたもの、例えば含有繊維のうち植物繊維が50%以上であるもの、好ましくは80%以上であるものを指すことができる。紙に含まれるパルプの種類としては、木材パルプ、非木材パルプ、古紙パルプが含まれていてよく、これらは、機械パルプ、化学パルプのいずれであってもよい。紙には、添加剤が添加されていてもよい。さらに、包装シート10に用いられる具体的な紙の例としては、洋紙、和紙、加工紙、合成紙等の様々な種類の紙が挙げられる。また、従来他の用途で使用されている紙、例えば、新聞用紙、印刷用紙(上質紙を含む)、筆記用紙、図画用紙、包装用紙、薄葉紙、雑種紙等と呼ばれる紙を未加工で又は加工して用いることもできる。なお、紙は、漂白されたものであっても、無漂白のものであってもよい。無漂白の紙は、より自然な風合いが付与される。また、内部が透けて見えにくくなるので、包装された吸収性物品1が見えにくくなるし、また廃棄時に使用済みの吸収性物品を包んだ場合にも使用済み品が見えにくくなるので、好ましい。
【0049】
包装シート10の材料としての紙は、吸収性物品1を包装する際に折り畳みやすく、且つ包装された後の状態を維持しやすくするために、目付の低い薄葉紙とすることができる。薄葉紙は、薄口模造紙、インディアンペーパー、ライスペーパー(タバコ用巻紙等として使用)、グラシン紙、ティシュペーパー、トイレットペーパー、ろ紙等であってもよい。また、抄紙後に加工が施された紙であってもよい。上記加工とは、例えば、クレープ加工、エンボス加工、カレンダー加工、撥水加工(離型加工)、スリット加工、プライ加工、印刷加工等が挙げられる。クレープ加工やエンボス加工を行うことにより、強度及び柔軟性をともに向上できる。なお、包装シート10を撥水加工(離型加工)する場合、例えば、シリコーン系樹脂、パラフィン系樹脂、フッ素樹脂等を含む撥水剤は、包装シート10の外面(吸収性物品1が包装された状態で外部に露出する側)及び外面と反対側の内面の少なくとも一方に塗布されていてよい。
【0050】
包装シート10の材料に紙を用いた場合、その目付は、50~100g/mであってよい。また、紙の厚みは、好ましくは40~200μm、より好ましくは100~200μmとすることができる。
【0051】
1枚の包装シート10は、上述の異なる材料のいずれかを含む単層から構成されていてもよいし、複数層が積層されてなる積層体であってもよい。複数層の各層に含まれる材料は同じであってもよいし、互いに異なっていてもよい。例えば、樹脂フィルムと紙とを積層させてなるシートを用いることができる。
【0052】
<包装構造>
吸収性物品1を包装シート10で包装する場合、包装シート10の内面に吸収性物品1を載置して、三つ折り以上に両者を共に内面側に折り畳み、吸収性物品1が包装シート10内に隠れるようにして包装することができる。
【0053】
図2に示すように、包装シート10は、長手方向D1の一端11を含む第1領域R1と、一端の反対側の他端12を含む第2領域R2とを有し、第1領域R1と第2領域R2との間の領域が第3領域R3となっている。吸収性物品1の包装のために包装シート10を折り畳む際には、第2領域R2を横方向D2に沿った第2折り位置Fx2にて内面側に折り畳み、その後、第1領域R1を横方向D2に沿った第1折り位置Fx1にて内面側に折り畳む。その際、第1領域R1と第2領域R2とが重なるように、より具体的には第2領域R2の外面に第1領域R1が重なるようにし、巻三つ折り(内三つ折り)にする。これにより、図1に示すように折り畳まれ、吸収性物品1が内部に収容された個装吸収性物品100が得られる。
【0054】
なお、第2領域R2を折り畳む前に、第2領域R2を、第2領域R2の他端12と第2折り位置Fx2との間の横方向D2に沿った1以上の折り位置で折っておくことで、四つ折り以上の包装構造も得ることができる。
【0055】
吸収性物品1は、包装シート10の折り畳み前に、吸収性物品1の長手方向が包装シート10の長手方向D1に揃うようにして、包装シート10の内面に載置する。そして、吸収性物品1と包装シート10とを共に折り畳む。折り畳み後には、折り畳み方向に直交する方向の両縁部、すなわち横方向D2の両縁部をシールして、シール部15、15を形成する。シール部15、15は、使用者の通常の力で剥離可能であり、使用者が開封時に第1領域R1を第2領域R2から離すようにして持ち上げた際に剥がれるようになっている。シール部15、15は、ヒートシール、超音波シール、接着剤、又は機械的手法によって形成されていてよい。機械的手法は、例えば、エンボス加工等によって包装シートの表面を変形させて、包装シート同士を係合させる方法である。シール部15、15は、横方向D2の端縁から3~10mmの範囲内に形成されていることが好ましい。
【0056】
図示の例のように吸収性物品1がウィングW、Wを有する場合には、ウィングW、Wを吸収性物品1の表面側(肌側若しくはトップシート3側)に、ウィング折り位置Fy、Fyにてそれぞれ予め折り畳んでおき、その後に上述の第1領域R1及び第2領域R2の折り畳みを行う。
【0057】
このような、包装シート10を一方向に折り畳み、当該折り畳み方向に直交する方向の両縁部をシールする個装の形態は、簡便な手順で吸収性物品を衛生的に収容できるので、好ましい。
【0058】
また、図1に示すように、外側に重ねられた第1領域R1は、第2領域R2に封止テープ18で止着されていてよい。封止テープ18があることで、個装吸収性物品100の使用前の意図せぬ開封を防止できる。また、開封時には、使用者は封止テープ18を持って引っ張ることにより、第1領域R1を第2領域R2から持ち上げて剥がすことができる。さらに、吸収性物品の交換時に使用済みの吸収性物品を廃棄する際に、使用済みの吸収性物品を包装シート10で包む場合には、包装シート10の端部を封止テープ18で止着することもできる。
【0059】
<識別マーク>
図3に、図1に示す吸収性物品1を取り出して裏返した状態の図、すなわち、吸収性物品1をその裏面側から見た平面図を示す。図2に示すように、本形態では、吸収性物品1の裏面に、識別マークMが付されている。
【0060】
識別マークMは、吸収性物品1に関する情報を含み得る。より具体的には、吸収性物品1の製品名、製造会社名、販売会社名、及び製品仕様、すなわち製品長さ、ウィングの有無、ウィングの長さ、厚さ(通常タイプ、スリムタイプ等)、推奨用途(昼用、夜用、多い日用)、装着感(ふんわりタイプ、通気性良)等の情報が含まれるものであってよい。識別マークMを見ることによって、使用者は、吸収性物品1の種類を直ちに判別することができる。具体的には、識別マークMには、文字、記号、符号、絵、及びロゴの1以上が含まれていてよい。なお、識別マークMには、吸収性物品1に関する情報以外の情報、或いは情報を含まない部分が含まれていてもよい。
【0061】
本形態では、識別マークMは、赤系色の第1色21を有する。本明細書において、「赤系色」とは、CIE1976のL色空間のa値が正である色を指し、好ましくは45~98である色を指す。よまた、より好ましくは、第1色21のCIE1976のL色空間のL値は50~97、b値は5~94であってよい。
【0062】
図2に示す例では、識別マークMは、吸収性物品1のバックシート2の裏面に付されている。しかし、吸収性物品1の裏面側から視認できるのであれば、識別マークMはバックシート2の表面、すなわち吸収体4に対向する面に付されていてもよいし、バックシート2の両面に付されていてもよい。
【0063】
識別マークMの付与方法は特に限定されないが、識別マークMは、例えば印刷によって吸収性物品1に着色剤を付着することによって形成されていると好ましい。また、色付きの小片を貼着することによって形成されていてもよい。
【0064】
識別マークMの大きさは特に限定されないが、1つ又は1群と認識される識別マークMが円相当直径10~50mmの範囲で付されていることが好ましい。また、複数又は複数群の識別マークMが、互いに離間して付されていてもよい。なお、例えば識別マークMに文字が含まれる場合、10~40ポイントの大きさであってよい。
【0065】
なお、本形態のように識別マークMが吸収性物品1に直接付されている場合には、吸収性物品1を包装シート10から取り出した後であっても、吸収性物品1の種類が分かるという利点も得られる。
【0066】
本形態においては、吸収性物品1のバックシート2の、少なくとも裏面の色が、白系色であると好ましい。「白系色」とは、無彩色、例えばCIE1976のL色空間のa値及びb値が共に-10~10であり、且つL値(明度)が90~100である。これにより、バックシート2に付される識別マークMを、バックシート2全体の色に対して目立つようにすることができる。そして、個装状態で、識別マークMを包装シート10を通して見たであっても、バックシート2の色の影響を受けにくく、包装シート10の背景色(第2色)に対して、包装シート10を通して見える識別マークMAの第3色23がはっきり見えやすくなる。
【0067】
<個装状態での識別マーク>
図4に、図3の吸収性物品1に包装シート10を重ねた状態を示す。また、図5には、図4の状態から包装シート10及び吸収性物品1を共に折り畳んだ後の状態を、包装シート10の第3領域R3から見た図を示す。図4及び図5に示すように、識別マークMは、包装シート10に透かして視認できる。本明細書において、「視認される」とは、通常の視力・色覚を有する使用者が、通常の方法で、識別マークMに含まれる情報を認識できることを指す。
【0068】
上述のように、識別マークMが赤系色である第1色21であるのに対し、包装シート10には、第1色21と異なる有彩色である第2色22が付されている。この第2色22は、包装シート10に透かして視認される識別マークMの色を第3色23(図4及び図5)とすると、第2色22と第3色23との色差ΔEが4以上であるように設定されることが好ましい。色差ΔEとは、CIE1976のL色空間の色差ΔEであり、ΔE=[(ΔL+(Δa+(Δb1/2 である。包装シート10自体の色(第2色22)と、包装シート10に透かして視認される識別マークMの色(第3色23)との間に、上記のような色差ΔEがあることにより、背景と言える包装シート10の第2色22に対して識別マークMの第3色23が目立つようになるので、使用者は、個装吸収性物品100を直ちに識別できる。よって、例えば、複数の異なる種類の個装吸収性物品がポーチ等に入っている場合であっても、使用者は、使用したい個装吸収性物品を容易に選び取ることができる。
【0069】
また、包装シート10の第2色22(包装シート10を外側から見た色)は、緑系色であってよい。「緑系色」とは、CIE1976のL色空間のa値が負であることを指す。また、第2色22のa値は、-40~-3であると好ましい。さらに、CIE1976のL色空間のL値が50~97、b値が0.2~40であると好ましい。なお、第2色22は、第1色21の補色になるよう、或いは補色から色相角度hの逸脱が30°以内の範囲の色となるように調整することができる。
【0070】
包装シート10の第2色22も、印刷等によって付すことができる。第2色22は、包装シート10に全体的に付されていてもよいし、部分的に付されていてもよい。よって、包装シート10の全領域にベタ印刷されていてもよいし、包装シート10の全領域に網点パターンで印刷されていてもよい。網点パターンの場合には、網点面積率が30~100%であると好ましい。網点面積率が100%の場合にはベタ印刷となる。また、包装シート10における色は、色が付されている領域と付されていない領域とが形成されていることを使用者が見て分かるように、形成されていてもよい。例えば、包装シート10において、シール部15、15が形成される箇所に色を付さないようにすることもできる。さらには、包装シート10においては、第2色22の着色の有無及び/又は色の濃淡によって、模様が描かれていてもよい。
【0071】
包装シート10は、外部から見て第2色22と視認でき、且つ識別マークMと重ね合わせて外部から見た場合に第2色22との色差ΔEが4以上になるのであれば、包装シート10の外面が着色されていてもよいし、内面が着色されていてもよいし、両面が着色されていてもよい。但し、図1図5に示す例のように、外面に着色が施した形態の方が、外部から視認される第2色22、及び第2色22と識別マークMの第1色21とが重ねられて視認される色(第3色23)の調整がしやすいため、好ましい。
【0072】
包装シート10の第2色22は、吸収性物品1に重ねた場合に、少なくとも識別マークMと重なる領域に、好ましくは識別マークMを含む領域に付されていてよい。ここで、識別マークMが付される箇所は特に限定されないが、平面視で、好ましくは本体8の範囲内、より好ましくは吸収体4の範囲内に付されていてよい。また、個装状態で、外側に露出する包装シート10に対向する領域、好ましくは包装シート10の第3領域R3に対向する領域及び第1領域R1に対向する領域の少なくとも一方に付されていることが好ましい。よって、このような識別マークMに対応して、包装シート10の第2色22は、個装状態で、外側に配置される領域(外部に露出する領域)、すなわち第2領域R2のうち第1領域R1と重なり合う領域を除いた領域に付されていると好ましい。
【0073】
本形態では、識別マークMが吸収性物品1に付されていて、この識別マークMが個装吸収性物品100の外部から視認可能となっているので、包装シート10に物品情報等を記す必要がない。そのため、包装シート10が、識別マークの色(第1色)との関係で所定の色(第2色)になっている限りにおいて、包装シート10のデザインの自由度を上げることができる。
【0074】
なお、個装吸収性物品100において、吸収性物品1に付された識別マークMが包装シート10に透かして見やすくできるという観点では、包装シート10を不織布によって構成することが好ましい。その場合、包装シート10の着色は、無色(白色)の不織布に有彩色の印刷を施してもよいし、予め着色された繊維自体を利用して不織布を構成してもよいし、着色された繊維を利用して構成された不織布にさらに印刷を施してもよい。
【0075】
<廃棄時の識別マーク>
次に、図6~8を参照して、廃棄時の識別マークの状態について説明する。図6には、図1図5における吸収性物品1が使用された後の使用済み吸収性物品1'が、丸められた状態を示す。この使用済み吸収性物品1'は、体液が直接付着しているトップシート3が内側になるように、バックシート2が外側になるように丸められている。図6に示す例では、使用済み吸収性物品1'が長手方向D1の端部から丸められているが、使用済み吸収性物品1'は、長手方向D1に複数折り畳まれていてもよい。使用済み吸収性物品1'においては、図6に示すように、体液が、バックシート2側に浸みた体液拡散部分BDとして視認され得る。
【0076】
使用済み吸収性物品1'においては、体液、特に経血の赤系色は、トップシート3を内側にして丸めたり折り畳んだりしたとしても、吸収性物品の裏面から透けて見えることが多い。このような透けて見える体液が、吸収性物品1に付されている識別マークMと共に使用者の目に入った場合、使用者は使用済みの吸収性物品1'を処理している、若しくは手に取っているとの意識が強まってしまい、それにより、使用者の不快感や嫌悪感が増すことがある。これに対し、本形態では、吸収性物品1に付された識別マークMが赤系色であるので、使用済みの吸収性物品1'の裏面に透けて見える経血等の赤系色と重なった場合、識別マークMが視認されにくくなり、識別マークMに含まれる物品の情報が認識され難くなる。これにより、使用済みの吸収性物品1'において、体液と、物品の情報とが同時に使用者自らで認知されることによって、また使用済みの吸収性物品1'が意図せず他人の目に触れた場合に、体液と物品の情報とが同時に認知されるだろうと想像することによって増長し得る不快感、嫌悪感を軽減できる。
【0077】
さらに、多くの使用者は、吸収性物品の交換時には、使用済み吸収性物品1'を、新たに開封した個装吸収性物品から外された包装シート10に包んで廃棄する。図7に、使用済み吸収性物品1'を包装シート10で包もうとしている状態を、図8に、使用済み吸収性物品1'が包装シート10で包まれた状態を示す。
【0078】
図7に示すように、使用済み吸収性物品1'は、包装シート10の内面(封止テープ18が貼着されている面と反対側の面)に配置され、例えば、封止テープ18が設けられている長手方向D1の一端11と反対側の他端12近くに置かれ、他端12側から丸められていく。そして、図8に示すように、包装シート10が使用済み吸収性物品1'に巻き付けられた後、封止テープ18で、包装シート10の長手方向D1の一端11を、包装シート10の他の領域に止着する。これにより、使用済み吸収性物品1'に付着した体液が手に付きにくく、また使用済み吸収性物品1'がコンパクトなサイズになるので、廃棄をスムーズに行うことができる。
【0079】
上述のように、本形態では、包装シート10には第2色22が付されていて、この第2色22は、吸収性物品1が包装シート10包まれている状態で包装シート10に透かして見えるように、好ましくは識別マークMを見た時の色(第3色23)との色差ΔEが4以上となるように、調整されている。そのため、使用済み吸収性物品1'の裏面に浸みて見える経血等の体液の赤系色は、包装シート10が重ねられると、赤系色として視認されない。そのため、特に血液の赤色が苦手な使用者にとっては、使用済み吸収性物品1'を廃棄する際の不快感を低減できる。さらに、包装シート10に付された第2色22が緑系色である場合には、包装シート10を通して見た体液拡散部分BDは、黒っぽく見え、不快感は一層低減される。
【0080】
また、吸収性物品1に付されている識別マークMは、上述のように、裏面から見える体液拡散部分BDと重なって視認されづらくなっている上、体液拡散部分BDと識別マークMとが重なった領域の全体も、上述のような第2色22と第3色23との色差ΔEが4以上となるような第2色22が付された包装シート10を通して見ると、赤系色から逸脱した色となる。よって、識別マークMAは一層視認されにくくなる。また、包装シート10が緑系色、すなわち赤系色の補色の場合には、体液拡散部分BDと識別マークMとが重なった領域の全体が黒っぽく見えるので、識別マークMがさらに視認されにくくなるとともに、使用者の不快感もさらに低減する。
【0081】
なお、使用済み吸収性物品1'を包装シート10で包んで廃棄する際に、体液と物品の情報とが同時に視認されないという観点から特に、包装シート10には物品の情報が付されていないことが好ましい。
【0082】
使用済み吸収性物品1'を廃棄する際においても、吸収性物品1のバックシート2の、少なくとも裏面の色が、上述のように白系色であると、使用済み吸収性物品1'の裏面から見える体液の色が赤系色に維持されるので、識別マークMの第1色21色(赤系色)と重なって、識別マークMを見えづらくするという作用を向上させることができる。
【0083】
[第2実施形態]
図9図11を参照しながら、本発明の第2実施形態による個装吸収性物品200について説明する。第2実施形態による個装吸収性物品200は、第1実施形態による個装吸収性物品100と基本的な構成は同じであるが、吸収性物品1の裏面に配置されたズレ止め部を保護するための剥離シートが設けられているという点、及び上述の識別マークが、吸収性物品1ではなく、剥離シートに付されているという点で異なる。
【0084】
図9は、吸収性物品1を裏面側から見た図であり、第1実施形態による個装吸収性物品100についての説明で参照した図3に対応する図である。図9に示す例では、吸収性物品1の裏面側のズレ止め部9を明示している。さらに、このズレ止め部9を覆うように剥離シート30が配置されている。剥離シート30は、ズレ止め部9に対向する面(表面)に剥離処理(離型処理)が施されたシートである。
【0085】
図9に示す例では、長手方向D1に沿って延在する複数のズレ止め部9、9、9が、横方向D2に離間して並置されているが、ズレ止め部の配置は図示の例に限られない。例えば、横方向D2に沿って延在する複数のズレ止め部が、長手方向D1に離間して並置されていてもよい。
【0086】
本形態では、図9に示すように、剥離シート30の裏面に、識別マークMが付されている。識別マークMは、付されている場所が剥離シート30なっているという点だけで異なり、含まれる情報、付されている大きさ、付される方法、付される箇所等は、第1実施形態において説明した識別マークMと同様であってよい。識別マークMの色も、識別マークMと同様に赤系色である。
【0087】
なお、図9に示す例では、識別マークMは、剥離シート30の裏面に付されているが、剥離シート30が吸収性物品1に重ねられた状態で、識別マークMを視認できるのであれば、剥離シート30の表面に付されていてもよい。但し、着色剤を印刷することによって識別マークMを形成する場合には、ズレ止め部9に着色剤が付着してズレ止めの作用が低下することを防ぐために、識別マークMは剥離シート30の裏面側に付されていることが好ましい。
【0088】
図10に、図9に示す吸収性物品1及び剥離シート30に、包装シート10を重ねた状態を示す。また、図11には、図10の状態から折り畳んで包装した後の状態を、包装シート10の第3領域R3から見た図を示す。第2実施形態における包装シート10は、第1実施形態における包装シートと同様とすることができる。本形態では、図10及び図11に示すように、包装シート10及び及び吸収性物品1に加えて、包装シート10と吸収性物品1との間に配置されている剥離シート30も共に、折り畳む。
【0089】
図10及び図11に示すように、剥離シート30に付された識別マークMは、包装シート10に透かして視認される。本形態でも包装シート10には第2色22が付されており、この第2色22は、包装シート10に透かして識別マークMを視認できるように設定されている。さらに、第2色22は、包装シート10に透かして見える識別マークMの色を第3色23(図10及び図11)とすると、第2色22と第3色23との色差ΔEが4以上であるように設定されていることが好ましい。これにより、個装吸収性物品200を外部から見た時、背景と言える包装シート10の第2色22に対して、透かして視認される識別マークMの第3色23が目立つようになり、使用者が個装吸収性物品200を直ちに識別でき、個装された状態で、第1実施形態による個装吸収性物品100と同様の効果が得られる。
【0090】
本形態における剥離シート30は、包装シート10と剥離不能に接着されていてよい。そのため、吸収性物品の交換時に、新たに開封した吸収性物品から包装シート10を外すと、包装シート10と剥離シート30とが共に外される。よって、使用済み吸収性物品の廃棄時に、使用済み吸収性物品を包装シート10で包む場合には、剥離シート30が内面に接着された状態の包装シート10で、使用済み吸収性物品を包み込む。包み込みの方法は、第1実施形態と同様に(図7及び図8)、行うことができる。
【0091】
使用済み吸収性物品を、剥離シート30付の包装シート10で包んだ場合、剥離シート30に付された赤系色の識別マークMは、使用済み吸収性物品に吸収され拡散されて、裏面から見える体液拡散部分に重なる。そのため、識別マークMが見えにくく、識別マークMに含まれる情報が認識されにくくなる。よって、体液と、吸収性物品の情報とが共に目に入ることを回避でき、第1実施形態と同様に、不快感、嫌悪感を低減できる。
【0092】
さらに、廃棄時にも、所定の第2色22に調整された包装シート10が外側に配置されるので、吸収性物品1に浸みた体液、及び剥離シート30に付された識別マークMは、包装シート10を通して見られる。体液及び識別マークMの色(第3色23)は共に、赤系色から逸脱した色となるので、血液の赤色が苦手な使用者の不快感が低減される。さらに、包装シート10が緑系色である場合には、体液及び識別マークMの色(第3色23)は共に黒っぽくなり、不快感、嫌悪感はさらに低減できる。
【0093】
[包装シートの変形例]
図12及び図13に、包装シート10のデザインが異なる変形例を示す。図12及び図13は、第1実施形態の変形例として示すが、第2実施形態の変形例であってもよい。図12及び図13に示すように、包装シート10は、外部から見て第2色22と視認でき、且つ識別マークMと重ね合わせて外部から見た場合に第2色22との色差ΔEが4以上になるのであれば、網点状の以外のパターンや模様が付されたものであってよい。網点状以外のパターンや模様が付されている包装シート10の場合であっても、着色領域の面積率は、包装シート10の全体の面積に対して30~100%であってよい。
【0094】
例えば、図12に示すように、包装シート10のデザインは、市松模様(チェック状)であってもよい。すなわち、有彩色の着色が施された小部分と、着色のない小部分とが、格子状に配置された模様であってよい。
【0095】
また、図13に示すように、有彩色の着色が施された所定幅を有する線と、着色のない所定幅を有する線とが交互に配置された模様、いわゆるストライプ状のデザインであってもよい。ストライプの方向は、図13に示すように、斜めであってもよいし、長手方向D1に沿っていても、横方向D2に沿っていてもよい。
【0096】
以上、本発明を実施形態に基づき説明したが、本発明はこれらの実施形態によって限定されるものではない。また、上記実施形態は、特許請求の範囲に記載された範囲内において、様々な変更、修正、置換、付加、削除、及び組合せ等が可能であり、それらも本発明の技術的範囲に属する。また、上述の特徴は、任意に組み合わせることもできる。例えば、第2実施形態において、吸収性物品1にも追加的に赤系色の識別マークMを、剥離シート30に付した識別マークMと重ならないように付しておいてもよい。
【符号の説明】
【0097】
1 吸収性物品
3 トップシート
4 吸収体
7 サイドシート
9 ズレ止め部
10 包装シート
11 第1方向(長手方向)の一端
12 第1方向(長手方向)の他端
13 色付き領域
15 シール部
18 封止テープ
21 第1色
22 第2色
23 第3色
30 剥離シート
100、200 個装吸収性物品
、M 識別マーク
D1 包装シートの第1方向(長手方向)
D2 包装シートの第2方向(横方向)
Fx1 第1折り位置
Fx2 第2折り位置
Fy ウィング折り位置
R1 第1領域
R2 第2領域
R3 第3領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13