(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023134911
(43)【公開日】2023-09-28
(54)【発明の名称】全芳香族ポリアミドバインダー液及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
C08L 77/10 20060101AFI20230921BHJP
C08G 69/32 20060101ALI20230921BHJP
【FI】
C08L77/10
C08G69/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022039839
(22)【出願日】2022-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000003001
【氏名又は名称】帝人株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100169085
【弁理士】
【氏名又は名称】為山 太郎
(72)【発明者】
【氏名】周 宗揚
(72)【発明者】
【氏名】山口 順久
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 悠介
(72)【発明者】
【氏名】曽根原 悟
(72)【発明者】
【氏名】鳥津 誠二
【テーマコード(参考)】
4J001
4J002
【Fターム(参考)】
4J001DA01
4J001DB01
4J001DB04
4J001DC16
4J001EB36
4J001EB37
4J001EC46
4J001EC67
4J001FA01
4J001FB03
4J001FC03
4J001FC06
4J001GA13
4J001JA07
4J001JA12
4J001JB01
4J001JC08
4J002CL061
4J002GQ00
4J002HA03
(57)【要約】
【課題】得られる全芳香族ポリアミドポリマーの分子量を1万~15万の範囲に制御でき、ポリマーの取り扱いやドープの安定性が高い全芳香族ポリアミドバインダー液(塗工液)を提供する。
【解決手段】植物由来の有機溶媒が、全有機溶媒中25質量%以上、100質量%未満含まれている有機溶媒中で、60~100℃の温度下で全芳香族ポリアミドを重合する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
全芳香族ポリアミドと、有機溶媒とを含む全芳香族ポリアミドバインダー液であって、該有機溶媒中に、植物由来の有機溶媒が25質量%以上、100質量%未満含まれていることを特徴とする全芳香族ポリアミドバインダー液。
【請求項2】
全芳香族ポリアミドの分子量が1万~15万の範囲にある請求項1に記載の全芳香族ポリアミドバインダー液。
【請求項3】
植物由来の有機溶媒がジヒドロレボグルコセノンを含む請求項1又は2に記載の全芳香族ポリアミドバインダー液。
【請求項4】
全芳香族ポリアミドが、下記式(1)~(4)で示されるいずれかの全芳香族ポリアミドである請求項1~3のいずれか1項に記載の全芳香族ポリアミドバインダー液。
(1)コポリパラフェニレン-3,4’-オキシジフェニレン・テレフタルアミド
(2)ポリメタフェニレンイソフタルアミド
(3)コポリパラフェニレン-4,4’-オキシジフェニレン・テレフタルアミド
(4)メタフェニレンテレフタルアミド単位および/またはメタフェニレンイソフタルアミド単位と、パラフェニレンテレフタルアミド単位および/またはパラフェニレンイソフタルアミド単位と、を含む共重合アラミド重合体
【請求項5】
全有機溶媒中の、植物由来の有機溶媒の含有比率が40質量%より大きく、100質量%未満である請求項1~4のいずれか1項に記載の全芳香族ポリアミドバインダー液。
【請求項6】
植物由来の有機溶媒が、全有機溶媒中25質量%以上、100質量%未満含まれている有機溶媒中で、60~100℃の温度下で全芳香族ポリアミドを重合することを特徴とする全芳香族ポリアミドバインダー液の製造方法。
【請求項7】
全芳香族ポリアミドの分子量が1万~15万の範囲にある請求項6に記載の全芳香族ポリアミドバインダー液の製造方法。
【請求項8】
植物由来の有機溶媒がジヒドロレボグルコセノンを含む請求項6又は7に記載の全芳香族ポリアミドバインダー液の製造方法。
【請求項9】
全芳香族ポリアミドが、下記式(1)~(4)で示されるいずれかの全芳香族ポリアミドである請求項6~8のいずれか1項に記載の全芳香族ポリアミドバインダー液の製造方法。
(1)コポリパラフェニレン-3,4’-オキシジフェニレン・テレフタルアミド
(2)ポリメタフェニレンイソフタルアミド
(3)コポリパラフェニレン・4,4’-オキシジフェニレン・テレフタルアミド
(4)メタフェニレンテレフタルアミド単位および/またはメタフェニレンイソフタルアミド単位と、パラフェニレンテレフタルアミド単位および/またはパラフェニレンイソフタルアミド単位と、を含む共重合アラミド重合体
【請求項10】
全有機溶媒中の、植物由来の有機溶媒の含有比率が40質量%より大きく、100質量%未満である請求項6~9のいずれか1項に記載の全芳香族ポリアミドバインダー液の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機溶媒と全芳香族ポリアミドを含むバインダー液及びその製造方法に関するものであり、さらに詳しくは、植物由来の有機溶媒と全芳香族ポリアミドを含むバインダー液及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
有機溶媒であるN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)は、薬の製剤、エレクトロニクスや、樹脂の反応溶剤、洗浄剤などに広く使用されており、ポリマーへの溶解性、溶液の安定性から、全芳香族ポリアミドの溶媒としても使用されている。
【0003】
しかしながら、上記有機溶媒はそのほとんどが化石資源を原料として製造されている。近年、化石資源の枯渇懸念といった資源問題や二酸化炭素濃度の増加による地球温暖化問題が懸念から、化石資源からバイオマス資源への変換する方法が開発・検討されている。ここでバイオマスの定義は「再生可能な、生物由来の有機性資源で化石資源を除いたもの」である。
【0004】
例えば、特許文献1、特許文献2には、セルロースからのレブリン酸エステルを製造する方法が開示されており、特許文献3にはレブリン酸エステルとのアクリルエマルジョンラテックスポリマー溶液について開示されている。
また、特許文献4には、セルロースから得られるレブリン酸エステルを還元的アミノ化させて5-メチル-N-アルキル-2-ピロリドンを製造する方法が開示されている。
【0005】
さらに、非特許文献1には、グルコースからジヒドロレボグルコセノンを製造する方法が開示されており、特許文献5には、ジヒドロレボグルコセノンを溶媒として用いたポリアミドイミドの合成について開示されている。しかしながら、植物由来の有機溶媒と全芳香族ポリアミドの溶液に関しては検討されてきていない。
【0006】
一方、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)などの有機溶媒に対し、規制当局で規制の検討がなされている。従って、製造・使用時の安全性にはこれまでも十分留意されているものの、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)の使用を最小限に抑えるか、もしくは廃止することが望まれている。
【0007】
さらに、近年、非水系二次電池用セパレータの高機能化が進み、セパレータの多孔質層に高い耐熱性が要求されており、その要求を満たすためにさまざまの塗工膜、および塗工膜のための低分子量の繊維が開発されてきた。
【0008】
例えば、特許文献6には、低分子量のポリイミドまたはポリアミドイミドを用いたセパレータ用のバインダー液(塗工液)および塗工膜、それを用いたセパレータが提案されている。また、特許文献7には低分子量の架橋ポリアミドを用いたセパレータ用のバインダー液(塗工液)および塗工膜、それを用いたセパレータが提案されている。さらに、特許文献8にはポリイミダゾール、ポリベンゾイミダゾール(PBI)、ポリケトンを用いたセパレータ用のバインダー液(塗工液)および塗工膜、それを用いたセパレータが提案されている。
【0009】
一方、パラ型全芳香族ポリアミド重合体は、強力、モジュラス、耐熱性等に優れた重合体であり、これらの高機能性を活かしてセパレータ用のバインダー液(塗工液)を得ることが求められていた。
【0010】
しかしながら、一般的な産業用繊維としてのパラ型全芳香族ポリアミド繊維は、結晶化し十分に配向された状態で用いられているが、非水系電池用セパレータ等においては剛直な分子構造による耐熱特性を利用することが目的であり、結晶化や配向よりもむしろポリマーの取扱い性やドープの安定性が重視されてきた。
【0011】
例えば、パラ型全芳香族ポリアミド繊維の構成成分の一つであるポリパラフェニレンテレフタルアミドは重合段階でその溶媒に溶解できなくなり、析出し、その後溶媒に再溶解することはできない。また、低重合品として溶媒に溶解させたとしても、そのドープは不安定でポリマーが析出する可能性があり、取扱い性に劣ることが知られている。
以上のことから、ポリマーの取り扱いやドープの安定性が高いパラ型全芳香族ポリアミドバインダー液(塗工液)を得ることは困難であるとされてきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2019-104694号公報
【特許文献2】国際公開第2003/085071号
【特許文献3】国際公開第2007/094922号
【特許文献4】国際公開第2004/085048号
【特許文献5】国際公開第2017/050541号
【特許文献6】特開2013-206534号公報
【特許文献7】特表2013-536981号公報
【特許文献8】特表2013-532897号公報
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】Chem. Commun.,2014,50,9650「Dihydrolevoglucosenone (Cyrene) as a bio-based alternative for dipolar aprotic solvents」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、前述した背景の通り、ポリマーの取り扱いやドープの安定性が高い全芳香族ポリアミドバインダー液(塗工液)を提供することである。さらに、バインダー液として、植物由来の原料からなる有機溶媒を用いて地球環境内における二酸化炭素の増加を抑制して地球温暖化を防ぐことにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者は、上記の課題を解決するために鋭意検討をおこなった結果、60~100℃の温度下で、植物由来の有機溶媒、およびアミド系極性溶媒を特定量に制御した反応系で、全芳香族ポリアミドを重合し、全芳香族ポリアミドバインダー液(塗工液)とするとき、得られる全芳香族ポリアミドポリマーの分子量を1万~15万の範囲にコントロールでき、バインダー液用途などにおいて好適に使用できるバインダー液が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0016】
すなわち本発明によれば、
1.全芳香族ポリアミドと、有機溶媒とを含む全芳香族ポリアミドバインダー液であって、該有機溶媒中に、植物由来の有機溶媒が25質量%以上、100質量%未満含まれていることを特徴とする全芳香族ポリアミドバインダー液、
2.全芳香族ポリアミドの分子量が1万~15万の範囲にある上記1に記載の全芳香族ポリアミドバインダー液、
3.植物由来の有機溶媒がジヒドロレボグルコセノンを含む上記1又は2に記載の全芳香族ポリアミドバインダー液、
4.全芳香族ポリアミドが、下記式(1)~(4)で示されるいずれかの全芳香族ポリアミドである上記1~3のいずれか1項に記載の全芳香族ポリアミドバインダー液、
(1)コポリパラフェニレン-3,4’-オキシジフェニレン・テレフタルアミド
(2)ポリメタフェニレンイソフタルアミド
(3)コポリパラフェニレン-4,4’-オキシジフェニレン・テレフタルアミド
(4)メタフェニレンテレフタルアミド単位および/またはメタフェニレンイソフタルアミド単位と、パラフェニレンテレフタルアミド単位および/またはパラフェニレンイソフタルアミド単位と、を含む共重合アラミド重合体、
5.全有機溶媒中の、植物由来の有機溶媒の含有比率が40質量%より大きく、100質量%未満である上記1~4のいずれか1項に記載の全芳香族ポリアミドバインダー液、
6.植物由来の有機溶媒が、全有機溶媒中25質量%以上、100質量%未満含まれている有機溶媒中で、60~100℃の温度下で全芳香族ポリアミドを重合することを特徴とする全芳香族ポリアミドバインダー液の製造方法、
7.全芳香族ポリアミドの分子量が1万~15万の範囲にある上記6に記載の全芳香族ポリアミドバインダー液の製造方法、
8.植物由来の有機溶媒がジヒドロレボグルコセノンを含む上記6又は7に記載の全芳香族ポリアミドバインダー液の製造方法、
9.全芳香族ポリアミドが、下記式(1)~(4)で示されるいずれかの全芳香族ポリアミドである上記6~8のいずれか1項に記載の全芳香族ポリアミドバインダー液の製造方法、
(1)コポリパラフェニレン-3,4’-オキシジフェニレン・テレフタルアミド
(2)ポリメタフェニレンイソフタルアミド
(3)コポリパラフェニレン・4,4’-オキシジフェニレン・テレフタルアミド
(4)メタフェニレンテレフタルアミド単位および/またはメタフェニレンイソフタルアミド単位と、パラフェニレンテレフタルアミド単位および/またはパラフェニレンイソフタルアミド単位と、を含む共重合アラミド重合体、
及び、
10.全有機溶媒中の、植物由来の有機溶媒の含有比率が40質量%より大きく、100質量%未満である上記6~9のいずれか1項に記載の全芳香族ポリアミドバインダー液の製造方法、
が提供される。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、得られる全芳香族ポリアミドポリマーの分子量を1万~15万の範囲にコントロールでき、バインダー液用途などにおいて好適に使用できるバインダー液が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明について詳細を説明する。
【0019】
<植物由来の有機溶媒>
本発明における植物由来の有機溶媒とは、植物由来の原料(糖/デンプン系バイオマス、セルロース、ヘミセルロース、リグニン等を含むリグノセルロース系バイオマス)から合成される有機溶媒のことである。植物由来の有機溶媒と化石由来の有機溶媒は、分子量、熱物性(融点、沸点)などの物性に差を生じない。そこで、これらを区別するためには、一般的にバイオマス度が用いられている。
【0020】
バイオマス度とは、放射性炭素(14C、半減期5730年)測定によりバイオマス由来の炭素の含有量を測定した値である。上層大気中で高エネルギー宇宙線によって14Nが14Cに変化され、大気中の二酸化炭素には14Cが一定量含まれている。光合成により二酸化炭素が炭水化物として植物中に固定化されるので、植物中には14Cが同程度含まれている。一方、化石由来の石油には14Cが実質的に存在しないことから植物由来の炭素と化石由来の炭素の区別ができる。バイオマス度の測定方法は一般的にASTM D6866などが知られている。
したがって、本発明の植物由来の有機溶媒もポリマー溶液中の有機溶媒を抽出した後、バイオマス度を測定することで区別できる。
【0021】
また特に限定されるものではないが、本発明における具体的な植物由来の有機溶媒としては、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、グリセリン、ベンジルアルコール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ギ酸、酢酸、3-ヒドロキシプロピオン酸、ブタン酸、3-ヒドロキシブタン酸、乳酸、コハク酸、レブリン酸、グリコール酸、アクリル酸、シュウ酸、ジメチルスルホン、ジメチルスルホキシド、ジエチルエーテル、プロピルエーテル、イソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジイソブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、2,5-ジメチルテトラヒドロフラン、ジヒドロレボグルコセノン、ジホルミルキシロース、γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、δ-バレロラクトン、δ-デカノラクトン、ε-カプロラクトン、ジメチルイソソルビド、アセトン、シクロペンタノン、酢酸エチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸イソプロピル、乳酸ブチル、乳酸イソブチル、乳酸=2-エチルヘキシル、レブリン酸メチル、レブリン酸エチル、レブリン酸プロピル、炭酸プロピル、炭酸ジエチル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ビニルエチレン、1,2-炭酸ブチレン、グリセロール1,2-カルボナート、アセトニトリル、スクシノニトリル、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)、2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、N-エチル-2-ピロリドン(NEP)、1-(2-ヒドロキシエチル)-2-ピロリドン、1-プロピルピロリジン-2-オン、1-イソプロピルピロリジン-2-オン、1-ブチルピロリジン-2-オン、1-イソブチルピロリジン-2-オン、1-ペンチルピロリジン-2-オン、1-イソペンチルピロリジン-2-オン、1-n-オクチル-2-ピロリドンなどのN-アルキル-2-ピロリドン、N-ビニル-2-ピロリドン、1-(2-ヒドロキシエチル)-2-ピロリドン、5-メチル-2-ピロリドン、1、5-ジメチル-2-ピロリドン、5-メチル-N-エチルピロリドン、5-メチル-N-ヒドロキシエチルピロリドン、5-メチル-N-プロピルピロリドン、5-メチル-N-イソプロピルピロリドン、5-メチル-N-ブチルピロリドン、5-メチル-N-イソブチルピロリドン、5-メチル-N-シクロヒキシルピロリドン、5-メチル-N-フェニルピロリドン、N-メチルカプロラクタム、2,6-ルチジンなどが挙げられる。
【0022】
上記植物由来の有機溶媒の中でも、爆発性、可燃性などの物理化学的安全性、全芳香族ポリアミドへの溶解性などの観点から、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、グリセリン、ベンジルアルコール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、酢酸、3-ヒドロキシプロピオン酸、ブタン酸、3-ヒドロキシブタン酸、乳酸、コハク酸、レブリン酸、ジメチルスルホン、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、ジヒドロレボグルコセノン、ジホルミルキシロース、γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、δ-バレロラクトン、δ-デカノラクトン、ε-カプロラクトン、ジメチルイソソルビド、酢酸エチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸イソプロピル、乳酸ブチル、乳酸-2-エチルヘキシル、レブリン酸メチル、レブリン酸エチル、レブリン酸プロピル、炭酸プロピル、炭酸ジエチル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、1,2-炭酸ブチレン、グリセロール1,2-カルボナート、アセトニトリル、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)、2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、N-エチル-2-ピロリドン(NEP)、1-(2-ヒドロキシエチル)-2-ピロリドン、1-プロピルピロリジン-2-オン、1-イソプロピルピロリジン-2-オン、1-ブチルピロリジン-2-オン、1-イソブチルピロリジン-2-オン、1-ペンチルピロリジン-2-オン、1-イソペンチルピロリジン-2-オン、1-n-オクチル-2-ピロリドンなどのN-アルキル-2-ピロリドン、1-(2-ヒドロキシエチル)-2-ピロリドン、5-メチル-2-ピロリドン、1、5-ジメチル-2-ピロリドン、5-メチル-N-エチルピロリドン、5-メチル-N-ヒドロキシエチルピロリドン、5-メチル-N-プロピルピロリドン、5-メチル-N-イソプロピルピロリドン、5-メチル-N-ブチルピロリドン、5-メチル-N-イソブチルピロリドン、5-メチル-N-シクロヒキシルピロリドン、5-メチル-N-フェニルピロリドン、N-メチルカプロラクタム、2,6-ルチジンなどが好ましい。
【0023】
より好ましくは、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、グリセリン、ジメチルスルホン、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、ジヒドロレボグルコセノン、ジホルミルキシロース、γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、δ-バレロラクトン、δ-デカノラクトン、ε-カプロラクトン、ジメチルイソソルビド、酢酸エチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸イソプロピル、乳酸ブチル、乳酸-2-エチルヘキシル、レブリン酸メチル、レブリン酸エチル、レブリン酸プロピル、炭酸プロピル、炭酸ジエチル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、1,2-炭酸ブチレン、グリセロール1,2-カルボナート、アセトニトリル、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)、2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、N-エチル-2-ピロリドン(NEP)、1-(2-ヒドロキシエチル)-2-ピロリドン、1-プロピルピロリジン-2-オン、1-イソプロピルピロリジン-2-オン、1-ブチルピロリジン-2-オン、1-イソブチルピロリジン-2-オン、1-ペンチルピロリジン-2-オン、1-イソペンチルピロリジン-2-オン、1-n-オクチル-2-ピロリドンなどのN-アルキル-2-ピロリドン、1-(2-ヒドロキシエチル)-2-ピロリドン、5-メチル-2-ピロリドン、1、5-ジメチル-2-ピロリドン、5-メチル-N-エチルピロリドン、5-メチル-N-ヒドロキシエチルピロリドン、5-メチル-N-プロピルピロリドン、5-メチル-N-イソプロピルピロリドン、5-メチル-N-ブチルピロリドン、5-メチル-N-イソブチルピロリドン、5-メチル-N-シクロヒキシルピロリドン、5-メチル-N-フェニルピロリドン、N-メチルカプロラクタム、2,6-ルチジンなどが好ましく例示できる。
【0024】
<植物由来の低毒性有機溶媒>
また、本発明における植物由来の有機溶媒の中でも、2-メチルテトラヒドロフラン、ジヒドロレボグルコセノンが好ましく、特に、ジヒドロレボグルコセノンが、溶解している全芳香族ポリアミドの分子量を制御する観点から好ましい。
【0025】
また、ジヒドロレボグルコセノンは、γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、δ-バレロラクトン、ε-カプロラクトン、炭酸エチレン、炭酸プロピレンなどの植物由来の有機溶媒と共に、「化学品の分類及び表示に関する世界調和システム(GHS)」の健康有害性分類において、低毒性の有機溶媒である点からも好ましい。
【0026】
<有機溶媒>
本発明において使用される有機溶媒は、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、tert-ブチルアルコール、1-ペンタノール、2-メトキシエタノール、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、グリセリン、ベンジルアルコール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、3-ヒドロキシプロピオン酸、ブタン酸、3-ヒドロキシブタン酸、乳酸、コハク酸、レブリン酸、グリコール酸、アクリル酸、シュウ酸、炭酸エチル、炭酸プロピル、フロロ炭酸エチル、炭酸ジメチル、炭酸エチルメチル、炭酸ジエチル、1,2-炭酸ブチレン、グリセロール1、2-カルボナート、ジメチルスルホン、エチルメチルスルホン、ジエチルスルホン、ジプロピルスルホン、スルホラン、ジメチルスルフィド、ジエチルスルフィド、ジイソプロピルスルフィド、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド、ジエチルエーテル、プロピルエーテル、イソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジイソブチルエーテル、シクロベンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、2,5-ジメチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジヒドロレボグルコセノン、ジホルミルキシロース、α-アンゲリカラクトン、γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、γ-カプロラクトン、γ-ヘプタノラクトン、γ-オクタノラクトン、γ-ノナラクトン、γ-デカノラクトン、δ-バレロラクトン、δ-ヘキサノラクトン、δ-オクタノラクトン、δ-デカノラクトン、δ-テトラデカノラクトン、ε-カプロラクトン、ε-デカノラクトン、ジメチルイソソルビド、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸tertブチル、酢酸ラウリル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸プロピル、アセト酢酸イソプロピル、アセト酢酸ブチル、アセト酢酸イソブチル、アセト酢酸tertブチル、アセト酢酸ラウリル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸イソプロピル、乳酸ブチル、乳酸イソブチル、乳酸=2-エチルヘキシル、レブリン酸メチル、レブリン酸エチル、レブリン酸プロピル、レブリン酸イソプロピル、レブリン酸ブチル、レブリン酸イソブチル、レブリン酸tertブチル、コハク酸ジメチル、コハク酸ジエチル、アセトニトリル、スクシノニトリル、クメン、リモネン、メチルシクロヘキサン、N-メチルホルムアミド、N-メチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジエチルホルムアミド、N,N-ジプロピルホルムアミド、N,N-ジイソプロピルホルムアミド、N,N-ジブチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)、N,N-ジエチルアセトアミド、N,N-ジプロピルアセトアミド、N,N-ジイソプロピルアセトアミド、N,N-ジブチルアセトアミド、N,N-ジメチルアセトアセトアミド、N,N-ジエチルアセトアセトアミド、3-メトキシーN,N-ジメチルプロパンアミド、3-ブトキシーN,N-ジメチルプロパンアミド、N,N-ジメチルオクタンアミド、N、N-ジメチルデカンアミド、マロンアミド、ピロリジン、2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、N-エチル-2-ピロリドン(NEP)、1-(2-ヒドロキシエチル)-2-ピロリドン、1-プロピルピロリジン-2-オン、N-イソプロピル-2-ピロリドン、1-ブチルピロリジン-2-オン、N-イソブチル-2-ピロリドン、N-tertブチル-2-ピロリドン、1-シクロヒキシル-2-ピロリドン、1-n-オクチル-2-ピロリドンなどのN-アルキル-2-ピロリドン、N-ビニルピロリドン、3-ブロモーN-メチルピロリドン、3-ヒドロキシーn-メチルピロリドン、5-ヒドロキシーN-メチルピロリドン、5-メチル-2-ピロリドン、1、5-ジメチル-2-ピロリドン、5-メチル-N-エチルピロリドン、5-メチル-N-ヒドロキシエチルピロリドン、5-メチル-N-プロピルピロリドン、5-メチル-N-イソプロピルピロリドン、5-メチル-N-ブチルピロリドン、5-メチル-N-イソブチルピロリドン、5-メチル-N-シクロヘキチルピロリドン、5-メチル-N-フェニルピロリドン、5-エチル-2-ピロリドン、5-プロピル-2-ピロリドン、ピペリジン、2、2、6、6-テトラメチルピペリジン、2-ピペリドン、4-ピペリドン、N-メチル-2-ピペリドン、N-メチル-4-ピペリドン、N-エチル-4-ピペリドン、1、3-ジメチル-2-ピペリドン、1、5-ジメチル-2-ピペリドン、1、3-ジメチル-4-ピペリドン、ε-カプロラクタム、N-メチル-ε-カプロラクタム、N-ビニルーε-カプロラクタム、1-メチルイミダゾール、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、N,N-ジメチルプロピレン尿素、テトラメチル尿素、1,1,3,3-テトラメチルグアニジン、ヘキサメチルりん酸トリアミド、モルホリン、4-メチルモルホリン、4-エチルモルホリン、4-プロピルホルホリン、4-ホルミルモルホリン、4-アセチルモルホリン、1、4-ジアセチルピペラジン、N、N-ジメチルグリシン、N、N-ジアセチルグリシン、ピリジン、2-ヒドロキシピリジン、2-メチルピリジン、4-メチルピリジン、3、4-ジメチルピリジン、2、6-ルチジン、1-メチル-2-ピリドン、キノリン、1-メチル-2-キノリン、ピリミジンなどが挙げられる。これらの溶媒は、1種単独であっても、また、2種以上の混合溶媒としても使用することが可能である。なお、用いられる溶媒は、脱水されていることが望ましく、水分率が100ppm未満であることが好ましい。
【0027】
上記有機溶媒の中でも、爆発性、可燃性などの物理化学的安全性、全芳香族ポリアミドへの溶解性などの観点から、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、tert-ブチルアルコール、1-ペンタノール、2-メトキシエタノール、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、グリセリン、ベンジルアルコール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、酢酸、プロピオン酸、3-ヒドロキシプロピオン酸、ブタン酸、3-ヒドロキシブタン酸、乳酸、レブリン酸、炭酸エチル、炭酸プロピル、フロロ炭酸エチル、炭酸ジメチル、、炭酸エチルメチル、炭酸ジエチル、1,2-炭酸ブチレン、グリセロール1、2-カルボナート、ジメチルスルホン、エチルメチルスルホン、ジエチルスルホン、ジプロピルスルホン、ジメチルスルフィド、ジエチルスルフィド、ジイソプロピルスルフィド、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド、ジブチルエーテル、ジイソブチルエーテル、シクロベンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、ジヒドロレボグルコセノン、ジホルミルキシロース、α-アンゲリカラクトン、γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、γ-カプロラクトン、γ-ヘプタノラクトン、γ-オクタノラクトン、γ-ノナラクトン、γ-デカノラクトン、δ-バレロラクトン、δ-ヘキサノラクトン、δ-オクタノラクトン、δ-デカノラクトン、δ-テトラデカノラクトン、ε-カプロラクトン、ε-デカノラクトン、ジメチルイソソルビド、アセトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸tertブチル、酢酸ラウリル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸プロピル、アセト酢酸イソプロピル、アセト酢酸ブチル、アセト酢酸イソブチル、アセト酢酸tertブチル、アセト酢酸ラウリル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸イソプロピル、乳酸ブチル、乳酸イソブチル、乳酸=2-エチルヘキシル、レブリン酸メチル、レブリン酸エチル、レブリン酸プロピル、レブリン酸イソプロピル、レブリン酸ブチル、レブリン酸イソブチル、レブリン酸tertブチル、コハク酸ジメチル、コハク酸ジエチル、アセトニトリル、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジエチルホルムアミド、N,N-ジプロピルホルムアミド、N,N-ジイソプロピルホルムアミド、N,N-ジブチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)、N,N-ジエチルアセトアミド、N,N-ジプロピルアセトアミド、N,N-ジイソプロピルアセトアミド、N,N-ジブチルアセトアミド、N,N-ジメチルアセトアセトアミド、N,N-ジエチルアセトアセトアミド、3-メトキシーN,N-ジメチルプロパンアミド、3-ブトキシーN,N-ジメチルプロパンアミド、N,N-ジメチルオクタンアミド、N、N-ジメチルデカンアミド、マロンアミド、ピロリジン、2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、N-エチル-2-ピロリドン(NEP)、1-(2-ヒドロキシエチル)-2-ピロリドン、1-プロピルピロリジン-2-オン、N-イソプロピル-2-ピロリドン、1-ブチルピロリジン-2-オン、N-イソブチル-2-ピロリドン、N-tertブチル-2-ピロリドン、1-シクロヒキシル-2-ピロリドン、1-n-オクチル-2-ピロリドンなどのN-アルキル-2-ピロリドン、3-ブロモ-n-メチルピロリドン、3-ヒドロキシ-n-メチルピロリドン、5-メチル-2-ピロリドン、1、5-ジメチル-2-ピロリドン、5-メチル-N-エチルピロリドン、5-メチル-N-ヒドロキシエチルピロリドン、5-メチル-N-プロピルピロリドン、5-メチル-N-イソプロピルピロリドン、5-メチル-N-ブチルピロリドン、5-メチル-N-イソブチルピロリドン、5-メチル-N-シクロヘキチルピロリドン、5-メチル-N-フェニルピロリドン、5-エチル-2-ピロリドン、5-プロピル-2-ピロリドン、ピペリジン、2、2、6、6-テトラメチルピペリジン、2-ピペリドン、4-ピペリドン、N-メチル-2-ピペリドン、N-メチル-4-ピペリドン、N-エチル-4-ピペリドン、1、3-ジメチル-2-ピペリドン、1、5-ジメチル-2-ピペリドン、1、3-ジメチル-4-ピペリドン、N-メチル-ε-カプロラクタム、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、N,N-ジメチルプロピレン尿素、1,1,3,3-テトラメチルグアニジン、4-メチルモルホリン、4-エチルモルホリン、4-プロピルホルホリン、4-ホルミルモルホリン、4-アセチルモルホリン、1、4-ジアセチルピペラジン、N、N-ジメチルグリシン、ピリジン、2-メチルピリジン、4-メチルピリジン、3、4-ジメチルピリジン、2、6-ルチジン、1-メチル-2-ピリドン、ピリミジンなどが好ましい。
【0028】
特に好ましくは、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、tert-ブチルアルコール、1-ペンタノール、2-メトキシエタノール、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、グリセリン、炭酸エチル、炭酸プロピル、フロロ炭酸エチル、炭酸ジメチル、炭酸エチルメチル、炭酸ジエチル、1,2-炭酸ブチレン、グリセロール1、2-カルボナート、ジメチルスルホン、エチルメチルスルホン、ジエチルスルホン、ジプロピルスルホン、ジメチルスルフィド、ジエチルスルフィド、ジイソプロピルスルフィド、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、ジヒドロレボグルコセノン、ジホルミルキシロース、γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、γ-カプロラクトン、δ-バレロラクトン、δ-ヘキサノラクトン、ε-カプロラクトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸プロピル、アセト酢酸イソプロピル、アセト酢酸ブチル、アセト酢酸イソブチル、アセト酢酸tertブチル、アセト酢酸ラウリル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸イソプロピル、乳酸ブチル、乳酸イソブチル、乳酸=2-エチルヘキシル、レブリン酸メチル、レブリン酸エチル、レブリン酸プロピル、レブリン酸イソプロピル、レブリン酸ブチル、レブリン酸イソブチル、レブリン酸tertブチル、アセトニトリル、N,N-ジエチルホルムアミド、N,N-ジプロピルホルムアミド、N,N-ジイソプロピルホルムアミド、N,N-ジブチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)、N,N-ジエチルアセトアミド、N,N-ジプロピルアセトアミド、N,N-ジイソプロピルアセトアミド、N,N-ジブチルアセトアミド、N,N-ジメチルアセトアセトアミド、N,N-ジエチルアセトアセトアミド、3-メトキシーN,N-ジメチルプロパンアミド、3-ブトキシーN,N-ジメチルプロパンアミド、N,N-ジメチルオクタンアミド、N、N-ジメチルデカンアミド、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、N-エチル-2-ピロリドン(NEP)、1-(2-ヒドロキシエチル)-2-ピロリドン、1-プロピルピロリジン-2-オン、N-イソプロピル-2-ピロリドン、1-ブチルピロリジン-2-オン、N-イソブチル-2-ピロリドン、N-tertブチル-2-ピロリドン、1-シクロヒキシル-2-ピロリドン、1-n-オクチル-2-ピロリドンなどのN-アルキル-2-ピロリドン、3-ブロモ-n-メチルピロリドン、3-ヒドロキシ-n-メチルピロリドン、5-メチル-2-ピロリドン、1、5-ジメチル-2-ピロリドン、5-メチル-N-エチルピロリドン、5-メチル-N-ヒドロキシエチルピロリドン、5-メチル-N-プロピルピロリドン、5-メチル-N-イソプロピルピロリドン、5-メチル-N-ブチルピロリドン、5-メチル-N-イソブチルピロリドン、5-メチル-N-シクロヘキチルピロリドン、5-メチル-N-フェニルピロリドン、5-エチル-2-ピロリドン、5-プロピル-2-ピロリドン、2、2、6、6-テトラメチルピペリジン、2-ピペリドン、4-ピペリドン、N-メチル-2-ピペリドン、N-メチル-4-ピペリドン、N-エチル-4-ピペリドン、1、3-ジメチル-2-ピペリドン、1、5-ジメチル-2-ピペリドン、1、3-ジメチル-4-ピペリドン、N-メチル-ε-カプロラクタム、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、N,N-ジメチルプロピレン尿素、1,1,3,3-テトラメチルグアニジン、4-メチルモルホリン、4-エチルモルホリン、4-プロピルホルホリン、4-ホルミルモルホリン、4-アセチルモルホリン、1、4-ジアセチルピペラジン、N、N-ジメチルグリシン、ピリジン、2-メチルピリジン、4-メチルピリジン、3、4-ジメチルピリジン、2、6-ルチジン、1-メチル-2-ピリドン、ピリミジンが好ましい。
【0029】
<全芳香族ポリアミド>
本発明における、植物由来の有機溶媒を含む全芳香族ポリアミドバインダー液に用いる全芳香族ポリアミドは、1種または2種以上の2価の芳香族基が、アミド結合により直接連結されたポリマーである。また、芳香族基には、ベンゼン環がパラ位またはメタ位で結合し、これらの2価の芳香族基には、メチル基やエチル基等の低級アルキル基、メトキシ基、クロル基等のハロゲン基、シアノ基等が含まれていてもよい。例えば、ポリパラフェニレンテレフタルアミド、ポリメタフェニレンイソフタルアミド、コポリパラフェニレン・3,4’-オキシジフェニレンテレフタルアミド、コポリパラフェニレン・4,4’-オキシジフェニレンテレフタルアミド、メタフェニレンイソフタルアミド単位とパラフェニレンテレフタルアミド単位の共重合アラミド重合体などが挙げられる。
【0030】
具体的には、本発明における、全芳香族ポリアミドとして、下記(1)~(4)で示されるいずれかの全芳香族ポリアミドが例示される。
(1)コポリパラフェニレン-3,4’-オキシジフェニレン・テレフタルアミド
(2)ポリメタフェニレンイソフタルアミド
(3)コポリパラフェニレン・4,4’-オキシジフェニレン・テレフタルアミド
(4)メタフェニレンテレフタルアミド単位および/またはメタフェニレンイソフタルアミド単位と、パラフェニレンテレフタルアミド単位および/またはパラフェニレンイソフタルアミド単位と、を含む共重合アラミド重合体
【0031】
上記全芳香族ポリアミドの分子量は、1万~15万が好ましい。更に好ましくは1万~10万、より好ましくは2万~10万、特に好ましくは3万~9万である。該分子量が1万より低い場合はバインダー液を用いて作成される樹脂の強度が弱くなる為好ましくない。一方、該分子量が15万より大きい場合、バインダー液の塗工性が悪い為好ましくない。
【0032】
本発明においては、下記の方法を採用することにより、全芳香族ポリアミドの分子量を、1万~15万、更に好ましくは1万~10万、より好ましくは2万~10万、特に好ましくは3万~9万の範囲に制御することができる。
【0033】
<全芳香族ポリアミドの製造方法>
本発明における植物由来の有機溶媒を含む全芳香族ポリアミドバインダー液に用いる全芳香族ポリアミドは、従来公知の方法にしたがって製造することができる。例えば、有機極性アミド系溶媒中で、芳香族ジカルボン酸ジクロライド(以下「酸クロライド」ともいう)成分と芳香族ジアミン成分とを、60~100℃の温度下で溶液重合、または界面重合などにより反応せしめることにより上記分子量を有する全芳香族ポリアミドを得ることができる。
【0034】
[全芳香族ポリアミドの原料]
(芳香族ジカルボン酸ジクロライド成分)
全芳香族ポリアミドの製造において使用される芳香族ジカルボン酸クロライド成分としては、イソフタル酸クロライド、テレフタル酸クロライド、2,5-フランジカルボン酸クロライド等を使用する。またこれらの芳香環にハロゲン、炭素数1~3のアルコキシ基等の置換基を有する誘導体、例えば3-クロロイソフタル酸クロリド、3-メトキシイソフタル酸クロリドなどを用いても構わない。
【0035】
(芳香族ジアミン成分)
全芳香族ポリアミドの製造において使用される芳香族ジアミン成分としては、メタフェニレンジアミン、パラフェニレンジアミン、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,4’-ジアミノジフェニルスルホン、2,5-ビス(アミノメチル)フラン等を使用する。またこれらの芳香環にハロゲン、炭素数1~3のアルコキシ基等の置換基を有する誘導体、例えば2,4-トルイレンジアミン、2,6-トルイレンジアミン、2,4-ジアミノクロロベンゼン、2,6-ジアミノクロロベンゼンなどを用いても構わない。
【0036】
(重合溶媒)
全芳香族ポリアミドの製造において使用される重合溶媒としては、上記の有機溶媒と植物由来の有機溶媒との混合溶媒を使用する。植物由来の有機溶媒の比率は、重合原料の溶解性の観点から、25質量%以上、100質量%未満であることが必要であり、40質量%より大きく、100質量%未満であることが好ましい。植物由来の有機溶媒の比率のさらに好ましい比率は、40質量%より大きく、75質量%未満である。植物由来の有機溶媒の比率が25質量%未満の場合は得られたポリマーの分子量が数十万程度になり、バインダー液として取り扱い性が悪いため好ましくない。一方、植物由来の有機溶媒の比率が100質量%の場合は重合原料が溶解できなく、反応が困難であるため、好ましくない。
【0037】
[その他重合条件等]
生成する全芳香族ポリアミドの溶解性を向上させるため、重合前、途中、終了時のいずれかに、一般に公知の無機塩を適当量添加しても差し支えない。このような無機塩としては、例えば、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カルシウム等のアルカリ金属の塩化物、および塩化マグネシウム、塩化カルシウム等のアルカリ土類金属の塩化物が挙げられる。このうち塩化リチウム、塩化カルシウムが好ましい。
【0038】
また、全芳香族ポリアミドの末端は、封止することもできる。末端封止剤を用いて末端を封止する場合には、例えば、フタル酸クロライドおよびその置換体、アニリンおよびその置換体等を末端封止剤として用いることができる。
また、生成する塩化水素のごとき酸を捕捉するために、脂肪族や芳香族のアミン、第4級アンモニウム塩等を併用することもできる。
【0039】
反応の終了後は、必要に応じて、塩基性の無機化合物、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウム等を添加し、中和反応を実施してもよい。
中和反応後、析出した塩はフィルトレーションのプロセスを経由し除去することが好ましい。
【0040】
上記方法により得られたポリマー溶液は0~110℃で溶液状態を維持するため、そのまま、ポリオレフィン多孔膜への塗工液とすることも可能である。また、本発明で得られた、重合体溶液を貧溶剤中に浸漬し、凝固することで、固形物とすることも可能である。
【0041】
ポリマーの濃度は特に制限されるものではないが、1~30質量%が好ましい。更に好ましくは1~15質量%である。該濃度が1質量%未満の場合には、その後のバインダー液を調整する際にポリマー濃度1質量%以上に調整するのが困難なため好ましくない。一方、該ポリマー濃度が30質量%を超えると重合後のポリマー溶液の粘性が取り扱いにくくなり、ポリマーが溶解しきれずに析出するため好ましくない。
【0042】
[全芳香族ポリアミドバインダー液の製造方法]
上記方法により得られた、重合後の全芳香族ポリアミドは、次いでポリマー溶液のまま、或いは前述の植物由来の有機溶媒やその他の有機溶媒を加えて攪拌、溶解させ、全芳香族ポリアミドバインダー液とする。用いられる溶媒は1種単独であっても、2種以上を混合した混合溶媒であってもよい。
【0043】
この際、植物由来の有機溶媒の比率は、全芳香族ポリアミドの溶解性の観点から、25質量%以上、100質量%未満であることが必要であり、40質量%より大きく、100質量%未満であることが好ましい。植物由来の有機溶媒の比率のさらに好ましい比率は、40質量%より大きく、75質量%未満である。植物由来の有機溶媒の比率が25質量%未満の場合は、得られたバインダー液の取り扱い性が悪いため好ましくない。一方、植物由来の有機溶媒の比率が100質量%の場合は全芳香族ポリアミドが溶解できなくなる場合がある。
【0044】
そして、全芳香族ポリアミドの溶解性を向上させるため、溶解前に、加熱しても差し支えない。加熱温度は30~110℃が好ましく、より好ましくは60~110℃である。加熱温度が30℃未満の場合は全芳香族ポリアミド溶液の溶解性が低い為好ましくない。加熱温度が110℃を超える場合は、全芳香族ポリアミドがゲル化しやすくなる為好ましくない。
【0045】
また全芳香族ポリアミドの溶解性を向上させるため、溶解前に、一般的に公知の無機塩を適当量添加しても差し支えない。このような無機塩としては、例えば、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カルシウム等のアルカリ金属の塩化物、および塩化マグネシウム、塩化カルシウム等のアルカリ土類金属の塩化物が挙げられる。このうち塩化リチウム、塩化カルシウムが好ましい。
【0046】
[無機粒子含有バインダー液の調整]
上記ポリマー溶液に無機粒子を混ぜ合わせて、無機粒子含有ポリマー溶液(バインダー液)としても使用できる。無機粒子としては湿式あるいは乾式シリカ、コロイダルシリカ、珪酸アルミ、酸化チタン、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナ、水酸化アルミニウム、ベーマイト、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、酸化亜鉛、酸化アンチモン、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化錫、酸化ランタン、酸化マグネシウム、炭酸バリウム、炭酸亜鉛、塩基性炭酸塩、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸鉛、硫化亜鉛、マイカ、雲母チタン、タルク、クレー、カオリン、フッ化リチウム及びフッ化カルシウムなどが挙げられる。
【0047】
無機粒子の含有量は重合体100部に対して150~1900部が好ましい。無機粒子の含有量が150部より少ないと、オレフィン膜が収縮する際の収縮応力に抵抗する粒子間の衝突が起こりにくく好ましくない。一方、無機粒子の含有量が1900部を越える場合には無機粒子に対する重合体の量が少なすぎるため、粒子が担持されずに脱落する、所謂粉落ちが発生するため、好ましくない。
【0048】
塗工液のポリマー濃度は4質量%以上10質量%以下が好ましい。ポリマー濃度が4質量%未満の場合にはポリマー量が少なく、粉落ちが発生する恐れがあり好ましくない。一方、ポリマー濃度が10質量%を超える場合にはポリマー溶液の粘度が高くなりすぎて、適切な厚みに塗工することが困難となる為好ましくない。
【0049】
上記ポリマー溶液に疎水系添加剤を加えても良い。疎水系添加剤は公知のフッ素系、有機シリコーン系、オレフィン系の添加剤を使用することができる。これらの内、撥水効果の高いフッ素系の添加剤が好ましい。その添加量は塗工液の溶媒量に対して0.5~10質量パーセントが好ましい。該添加量が10質量パーセントを超えると、凝固速度が著しく低下し、生産性が悪化するため好ましくない。一方、該添加量が0.5質量パーセントより小さい場合には撥水効果が少なく、塗工層に水が侵入し、塗工層の密度を低下させるため、好ましくない。好ましい添加量は1~9質量パーセント、さらに好ましくは2~8質量パーセントである。
【実施例0050】
以下、実施例および比較例により、本発明を詳細に説明するが、本発明の範囲は、以下の実施例及び比較例に制限されるものではない。また、実施例中の各物性は以下の方法により測定した。
【0051】
(1)バインダー液安定性
本発明においてバインダー液の溶液安定性は、目視での確認をした。均一なポリマー溶液を〇、ポリマーが析出もしくは凝固或いは膜が形成したものを△、ポリマーが溶解しないものを×とした。
【0052】
(2)全芳香族ポリアミドの重量平均分子量(Mw)
分子量分布(重量平均分子量(Mw)および分子量多分散度(Mw/Mn)など)測定を、以下の測定条件によりゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定した。
装置名 :高速液体クロマトグラフ LC-20Aシリーズ(株式会社島津製作所)
カラムオーブン :CTO-20A
移動相 :NMP
オートサンプラ :SIL-20AHT
LCワークステーション:LC solution
流量 :0.3ml/分
示差屈折計検出器 :RID-10A
オーブン温度 :60℃
分子量標準試料 :ポリスチレン
【0053】
(3)全芳香族ポリアミドの残留溶媒量
得られた全芳香族ポリアミドの残留溶媒量はメタノール抽出し、GC/MSで定量分析した。全芳香族ポリアミド組成物を5mg採取し、50μLのメタノールを入れ、ガラス管の中に封菅する。ガラス管の周りに日本分析工業(株)製強磁性金属体(パイロホイル)で包み、大日本インキ(株)製高周波加熱装置QUICKER1010を用いて315℃30分間加熱して残留溶媒を抽出した。抽出後のメタノールとサンプルを延伸分離で分離し、抽出後のメタノールをGC/MSにて測定した。
【0054】
<実施例1>
水分率が100ppm以下のN-メチル-2-ピロリドン(NMP)75質量%、ジヒドロレボグルコセノン(商標CYRENE Sigma-Aldrichから入手可能)が25質量%の共溶媒系で、パラフェニレンジアミン1.506g、3,4-ジアミノジフェニルエーテル2.789gを、常温下で反応容器に入れ、窒素雰囲気中で溶解混合した後、攪拌しながらテレフタル酸クロライド5.645gを添加した。引き続き、80℃で60分間重合反応せしめることにより、透明で粘稠なポリマー溶液を得た。続いて、22.5%の水酸化カルシウムのNMPスラリー溶液を9.1g添加し、中和反応を行うことにより重合を終了させ、ポリマー濃度6.0質量%全芳香族ポリアミド全芳香族ポリアミドのバインダー液を得た。
得られたバインダー液中の全芳香族ポリアミドの分子量を、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定したところ、Mw=85986であった。
【0055】
<実施例2>
水分率が100ppm以下のN-メチル-2-ピロリドン(NMP)50質量%、ジヒドロレボグルコセノン(商標CYRENE Sigma-Aldrichから入手可能)が50質量%の共溶媒系で、パラフェニレンジアミン1.506g、3,4-ジアミノジフェニルエーテル2.789gを、常温下で反応容器に入れ、窒素雰囲気中で溶解混合した後、攪拌しながらテレフタル酸クロライド5.645gを添加した。引き続き、80℃で60分間重合反応せしめることにより、透明で粘稠なポリマー溶液を得た。続いて、22.5%の水酸化カルシウムのNMPスラリー溶液を9.1g添加し、中和反応を行うことにより重合を終了させ、ポリマー濃度6.0質量%全芳香族ポリアミド全芳香族ポリアミドのバインダー液を得た。
得られたバインダー液中の全芳香族ポリアミドの分子量を、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定したところ、Mw=59830であった。
【0056】
<実施例3>
水分率が100ppm以下のN-メチル-2-ピロリドン(NMP)25質量%、ジヒドロレボグルコセノン(商標CYRENE Sigma-Aldrichから入手可能)が75質量%の共溶媒系で、パラフェニレンジアミン1.506g、3,4-ジアミノジフェニルエーテル2.789gを、常温下で反応容器に入れ、窒素雰囲気中で溶解混合した後、攪拌しながらテレフタル酸クロライド5.645gを添加した。引き続き、80℃で60分間重合反応せしめることにより、透明で粘稠なポリマー溶液を得た。続いて、22.5%の水酸化カルシウムのNMPスラリー溶液を9.1g添加し、中和反応を行うことにより重合を終了させ、ポリマー濃度6.0質量%全芳香族ポリアミド全芳香族ポリアミドのバインダー液を得た。
得られたバインダー液中の全芳香族ポリアミドの分子量を、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定したところ、Mw=24241であった。
【0057】
<実施例4>
水分率が100ppm以下のN-メチル-2-ピロリドン(NMP)75質量%、ジヒドロレボグルコセノン(商標CYRENE Sigma-Aldrichから入手可能)が25質量%の共溶媒系で、メタフェニレンジアミン2.487gを、常温下で反応容器に入れ、窒素雰囲気中で溶解混合した後、攪拌しながらイソフタル酸クロライド4.669gを添加した。引き続き、80℃で60分間重合反応せしめることにより、透明で粘稠なポリマー溶液を得た。次いで、22.5%の水酸化カルシウムのNMPスラリー溶液を7.574g添加し、中和反応を行うことにより重合を終了させ、ポリマー濃度6.0質量%全芳香族ポリアミド全芳香族ポリアミドのバインダー液を得た。
得られたバインダー液中の全芳香族ポリアミドの分子量を、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定したところ、Mw=37089であった。
【0058】
<実施例5>
実施例4において、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)が50質量%、ジヒドロレボグルコセノン(商標CYRENE Sigma-Aldrichから入手可能)が50質量%の共溶媒系を使用した以外は実施例4と同様に実施し、バインダー液を得た。
得られたバインダー液中の全芳香族ポリアミドの分子量を、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定したところ、Mw=25807であった。
【0059】
<実施例6>
水分率が100ppm以下のN-メチル-2-ピロリドン(NMP)75質量%、ジヒドロレボグルコセノン(商標CYRENE Sigma-Aldrichから入手可能)が25質量%の共溶媒系で、テレフェニレンジアミン0.865g、メタフェニレンジアミン1.622gを、常温下で反応容器に入れ、窒素雰囲気中で溶解混合した後、攪拌しながらテレフタル酸クロライド1.624g、イソフタル酸クロライド3.045gを添加した。引き続き、80℃で60分間重合反応せしめることにより、透明で粘稠なポリマー溶液を得た。次いで、22.5%の水酸化カルシウムのNMPスラリー溶液を7.574g添加し、中和反応を行うことにより重合を終了させ、ポリマー濃度6.0質量%全芳香族ポリアミドポリマー溶液を得た。
得られたバインダー液中の全芳香族ポリアミドの分子量を、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定したところ、Mw=53895であった。
【0060】
<実施例7>
実施例6において、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)が50質量%、ジヒドロレボグルコセノン(商標CYRENE Sigma-Aldrichから入手可能)が50質量%の共溶媒系を使用した以外は実施例6と同様に実施し、バインダー液を得た。
得られたバインダー液中の全芳香族ポリアミドの分子量を、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定したところ、Mw=37501であった。
【0061】
<実施例8>
分率が100ppm以下のN-メチル-2-ピロリドン(NMP)75質量%、ジヒドロレボグルコセノン(商標CYRENE Sigma-Aldrichから入手可能)が25質量%の共溶媒系で、パラフェニレンジアミン1.506g、4,4-ジアミノフェニルエーテル2.789gを、常温下で反応容器に入れ、窒素雰囲気中で溶解混合した後、攪拌しながらテレフタル酸クロライド5.645gを添加した。引き続き、80℃で60分間重合反応せしめることにより、透明で粘稠なポリマー溶液を得た。続いて、22.5%の水酸化カルシウムのNMPスラリー溶液を9.1g添加し、中和反応を行うことにより重合を終了させ、全芳香族ポリアミドのバインダー液を得た。
得られたバインダー液中の全芳香族ポリアミドの分子量を、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定したところ、Mw=99680であった。
【0062】
<実施例9>
実施例8において、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)が50質量%、ジヒドロレボグルコセノン(商標CYRENE Sigma-Aldrichから入手可能)が50質量%の共溶媒系を使用した以外は実施例8と同様に実施し、バインダー液を得た。
得られたバインダー液中の全芳香族ポリアミドの分子量を、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定したところ、Mw=69358であった。
【0063】
<比較例1>
水分率が100ppm以下のジヒドロレボグルコセノン(商標CYRENE Sigma-Aldrichから入手可能)100質量%溶媒系で、パラフェニレンジアミン1.506g、3,4-ジアミノジフェニルエーテル2.789gを、常温下で反応容器に入れ、窒素雰囲気中で溶解混合した後、攪拌しながらテレフタル酸クロライド5.645gを添加した。引き続き、80℃で60分間重合反応せしめることにより、不透明で粘稠なポリマー溶液を得た。続いて、22.5%の水酸化カルシウムのNMPスラリー溶液を9.1g添加し、中和反応を行うことにより重合を終了させ、全芳香族ポリアミドのバインダー液を得た。
得られたバインダー液中の全芳香族ポリアミドの分子量を、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定したところ、Mw=9897であり、分子量が低くてバインダー効果が不十分であった。
【0064】
<比較例2>
水分率が100ppm以下のN-メチル-2-ピロリドン(NMP)75質量%、ジヒドロレボグルコセノン(商標CYRENE Sigma-Aldrichから入手可能)が25質量%の共溶媒系で、パラフェニレンジアミン1.506g、3,4-ジアミノフェニルエーテル2.789gを、常温下で反応容器に入れ、窒素雰囲気中で溶解混合した後、攪拌しながらテレフタル酸クロライド5.645gを添加した。引き続き、氷水浴(0℃)で冷やしながら60分間重合反応せしめることにより、不透明で粘稠なポリマー溶液を得た。続いて、22.5%の水酸化カルシウムのNMPスラリー溶液を9.1g添加し、中和反応を行うことにより重合を終了させ、全芳香族ポリアミドのバインダー液を得た。
得られたバインダー液中の全芳香族ポリアミドの分子量を、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定したところ、Mw=151500であり、分子量が高過ぎて、バインダー液として取り扱いが困難であった。
【0065】
<比較例3>
水分率が100ppm以下のN-メチル-2-ピロリドン(NMP)100質量%の溶媒系で、パラフェニレンジアミン1.506g、3,4-ジアミノジフェニルエーテル2.789gを、常温下で反応容器に入れ、窒素雰囲気中で溶解混合した後、攪拌しながらテレフタル酸クロライド5.645gを添加した。引き続き、80℃で60分間重合反応せしめることにより、不透明で粘稠なポリマー溶液を得た。続いて、22.5%の水酸化カルシウムのNMPスラリー溶液を9.1g添加し、中和反応を行うことにより重合を終了させ、全芳香族ポリアミドのバインダー液を得た。
得られたバインダー液中の全芳香族ポリアミドの分子量を、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定したところ、Mw=700061であり、バインダー液として使用することができなかった。
【0066】
本発明によれば、得られる全芳香族ポリアミドポリマーの分子量を1万~15万の範囲に制御でき、ポリマーの取り扱いやドープの安定性が高い全芳香族ポリアミドバインダー液(塗工液)を提供することができるので、セパレーター、塗工膜等の幅広い用途で環境負荷低減に貢献できる。