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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023134927
(43)【公開日】2023-09-28
(54)【発明の名称】画像読取装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/191 20060101AFI20230921BHJP
   H04N 1/04 20060101ALI20230921BHJP
   H04N 1/10 20060101ALI20230921BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20230921BHJP
   H04N 1/401 20060101ALI20230921BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20230921BHJP
【FI】
H04N1/191
H04N1/12 Z
H04N1/10
G06T1/00 460D
H04N1/401
H04N1/00 567K
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022039866
(22)【出願日】2022-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114971
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修
(72)【発明者】
【氏名】ブゥイ ディン バァン
【テーマコード(参考)】
5B047
5C062
5C072
5C077
【Fターム(参考)】
5B047AA01
5B047BA01
5B047BA02
5B047BB02
5B047DA04
5B047DC01
5C062AA05
5C062AB17
5C062AB30
5C062AB32
5C062AB33
5C062AB40
5C062AB42
5C062AC02
5C062AC11
5C062AC22
5C062AC58
5C062AF07
5C072AA01
5C072BA12
5C072CA02
5C072DA02
5C072DA12
5C072EA04
5C072FB12
5C072MA01
5C072NA01
5C072RA16
5C072UA02
5C072UA13
5C077LL04
5C077MM27
5C077PP06
5C077PP45
5C077PP77
5C077SS01
(57)【要約】
【課題】 黒基準データの更新頻度を適切にしつつ、黒基準データの更新のために生じる画像読取動作の遅延を抑制する画像読取装置を得る。
【解決手段】 黒基準データ取得部51は、(a)イメージセンサーユニット2により読み取られる原稿の枚数をカウントし、(b)前回の黒基準データの取得からの原稿の枚数のカウント値が補正間隔以上になると、黒基準データの取得を実行して黒基準データを更新する。そして、黒基準データ取得部は、温度センサー31により測定されたイメージセンサーユニット2の温度に基づいて、その補正間隔を調整する。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿を光学的に読み取り、前記原稿の画像に対応する画像出力信号を生成するイメージセンサーユニットと、
前記イメージセンサーユニットを移動させる駆動装置と、
シェーディング補正用の黒基準データの取得のために固定されている基準板と、
前記黒基準データの取得のために、前記駆動装置を制御して前記イメージセンサーユニットを移動させ、前記基準板を前記イメージセンサーユニットに読み取らせる黒基準データ取得部と、
前記イメージセンサーユニットの温度を測定する温度センサーとを備え、
前記黒基準データ取得部は、(a)前記イメージセンサーユニットにより読み取られる前記原稿の枚数をカウントし、(b)前回の前記黒基準データの取得からの前記原稿の枚数のカウント値が補正間隔以上になると、前記黒基準データの取得を実行して前記黒基準データを更新し、
前記黒基準データ取得部は、前記温度センサーにより測定された前記イメージセンサーユニットの温度に基づいて、前記補正間隔を調整すること、
を特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
自動原稿送り装置をさらに備え、
前記イメージセンサーユニットは、前記自動原稿送り装置により搬送される原稿を読み取る際に所定の読取位置に配置され、
前記温度センサーは、前記イメージセンサーユニットが前記読取位置に配置された際に接触する位置に固定されており、
前記黒基準データ取得部は、前記温度センサーが前記イメージセンサーユニットに接触しているときに測定された前記温度に基づいて、前記補正間隔を調整すること、
を特徴とする請求項1記載の画像読取装置。
【請求項3】
自動原稿送り装置をさらに備え、
前記補正間隔は、1枚より大きい値であり、
前記原稿は、複数枚のシートからなり、
前記黒基準データ取得部は、前記自動原稿送り装置により連続的に搬送される前記シートが前記イメージセンサーユニットにより連続的に読み取られる際に、前回の前記黒基準データの取得からの前記原稿の枚数のカウント値が補正間隔以上になると、前記シートの紙間で前記黒基準データの取得を実行すること、
を特徴とする請求項1記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記黒基準データ取得部は、前記黒基準データの取得の所要時間が、前記シートの紙間が前記イメージセンサーユニットの読取位置を通過する時間より長い場合、前記黒基準データの取得を実行する際の前記シートの紙間を、前記シートの紙間が前記イメージセンサーユニットの読取位置を通過する時間が、前記黒基準データの取得の所要時間より長くなるように調整し、前記黒基準データの取得を実行する際の前記シートの紙間を、前記黒基準データの取得を実行しない際の前記シートの紙間より長くすることを特徴とする請求項3記載の画像読取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
通常、画像読取装置では、シェーディング補正を行うために、白基準データおよび黒基準データが取得される。
【0003】
ある画像読取装置は、スキャンすべき原稿の紙間時間において、黒基準データを取得している(例えば特許文献1参照)。
【0004】
また、別の画像読取装置では、CIS(Contact Image Sensor)に温度センサーが固定されており、原稿の給紙ごとに、前回の黒基準データの取得時からの温度差が所定閾値以上であるか否かが判定され、前回の黒基準データの取得時からの温度差が所定閾値以上である場合には、黒基準データが再取得されている(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017-163453号公報
【特許文献2】特開2017-163454号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の画像読取装置では、黒基準データの更新が温度差に応じて行われるため、黒基準データの更新頻度が適切になるものの、原稿の1枚ごとに温度差の導出および判定を行う必要があり、黒基準データの更新(温度差の導出および判定といった更新要否判定を含む)のために画像読取動作に遅延が生じてしまう可能性がある。
【0007】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、黒基準データの更新頻度を適切にしつつ、黒基準データの更新のために生じる画像読取動作の遅延を抑制する画像読取装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る画像読取装置は、原稿を光学的に読み取り、前記原稿の画像に対応する画像出力信号を生成するイメージセンサーユニットと、前記イメージセンサーユニットを移動させる駆動装置と、シェーディング補正用の黒基準データの取得のために固定されている基準板と、前記黒基準データの取得のために、前記駆動装置を制御して前記イメージセンサーユニットを移動させ、前記基準板を前記イメージセンサーユニットに読み取らせる黒基準データ取得部と、前記イメージセンサーユニットの温度を測定する温度センサーとを備える。前記黒基準データ取得部は、(a)前記イメージセンサーユニットにより読み取られる前記原稿の枚数をカウントし、(b)前回の前記黒基準データの取得からの前記原稿の枚数のカウント値が補正間隔以上になると、前記黒基準データの取得を実行して前記黒基準データを更新する。そして、前記黒基準データ取得部は、前記温度センサーにより測定された前記イメージセンサーユニットの温度に基づいて、前記補正間隔を調整する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、黒基準データの更新頻度を適切にしつつ、黒基準データの更新のために生じる画像読取動作の遅延を抑制する画像読取装置が得られる。
【0010】
本発明の上記又は他の目的、特徴および優位性は、添付の図面とともに以下の詳細な説明から更に明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の実施の形態に係る画像読取装置の内部構成を示す側面図である。
図2図2は、図1におけるイメージセンサーユニット2の配置位置について説明する図である。
図3図3は、図1に示す画像読取装置の電気的な構成を示すブロック図である。
図4図4は、図1および図3に示す画像読取装置の初期設定処理について説明するフローチャートである。
図5図5は、図1および図3に示す画像読取装置の連続スキャン時の処理について説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0013】
図1は、本発明の実施の形態に係る画像読取装置の内部構成を示す側面図である。図2は、図1におけるイメージセンサーユニット2の配置位置について説明する図である。図1に示す画像読取装置は、スキャナー機、コピー機、ファクシミリ機、複合機などといった装置である。
【0014】
図1に示す画像読取装置は、装置本体1、装置本体1の上面に配置されたコンタクトガラス1a,1b、イメージセンサーユニット2、および原稿カバー3を備える。原稿カバー3は、自動原稿送り装置4を備える。
【0015】
コンタクトガラス1aは、自動原稿送り装置4を使用せずに画像読取を行う場合に原稿を載置される透明な部材である。また、コンタクトガラス1bは、自動原稿送り装置4で原稿を自動的に搬送しつつ原稿画像の画像読取を行う際に、原稿がその上を通過する透明な部材である。
【0016】
イメージセンサーユニット2は、原稿を光学的に読み取り、その原稿の画像に対応する画像出力信号を生成する。
【0017】
例えば図2に示すように、イメージセンサーユニット2は、コンタクトガラス1a(フラッドヘッド)に載置された原稿の画像読取を行う場合、所定の移動範囲において、コンタクトガラス1aの下において駆動装置21によって移動されつつ、原稿の画像を光学的に読み取る。駆動装置21は、副走査方向に沿ってイメージセンサーユニット2を移動させる。
【0018】
また、例えば図2に示すように、イメージセンサーユニット2は、自動原稿送り装置4で原稿を自動的に搬送しつつ原稿画像の画像読取を行う場合、コンタクトガラス1bの下に(ホームポジション)配置され、静止した状態で、原稿の搬送路における所定の画像読取位置を通過する原稿の画像を光学的に読み取る。イメージセンサーユニット2は、1ラインずつ原稿画像を読み取る。
【0019】
また、例えば図1に示すように、装置本体1の筐体内部の天面には、シェーディング補正用の黒基準データ取得のために固定されている基準板1cが配置されており、黒基準データを取得する際には、イメージセンサーユニット2は、基準板1cの下に配置される(ここでは、上述の移動範囲と上述のホームポジションとの間の位置に配置されている)。
【0020】
さらに、装置本体1の筐体内部には、温度センサー31が固定的に配置されている。この温度センサー31は、イメージセンサーユニット2がホームポジションに配置されているときにイメージセンサーユニット2に接触し(つまり、自動原稿送り装置4で原稿を自動的に搬送しつつ連続的に原稿画像の画像読取を行う場合に接触し)、黒基準データ取得時やフラッドヘッド上の原稿画像の読取時には、イメージセンサーユニット2から離間している。このように、温度センサー31はイメージセンサーユニット2には固定されておらず、イメージセンサーユニット2とともに移動しないため、後述のコントローラー41などに電気的に接続するための配線が簡素なものとなる。
【0021】
温度センサー31は、イメージセンサーユニット2に接触しているときにイメージセンサーユニット2の温度を測定する。温度センサー31は、例えばサーミスターである。
【0022】
また、例えば図1に示すように、原稿カバー3は、コンタクトガラス1aに面接触可能で回動自在に設置されている部材であって、原稿をコンタクトガラス1aに密着させるとともに、画像読取時に環境光がコンタクトガラス1a,1bから装置内部へ入射することを防ぐ。また、自動原稿送り装置4は、原稿トレイ11に載置された原稿を1枚ずつ搬送ローラー12,13によって搬送し、コンタクトガラス1b上を通過させ、排出トレイ14に排出する。
【0023】
図3は、図1に示す画像読取装置の電気的な構成を示すブロック図である。
【0024】
例えば図3に示すように、イメージセンサーユニット2は、例えばCISであって、発光ダイオードなどといった光源2a、ラインセンサー2b、および制御IC(Integrated Circuit)2cを備える。制御IC2cは、光源2aを制御して光源2aに光を出射させ、コンタクトガラス1a,1bを介して原稿などに反射した反射光をラインセンサー2bで検出し、反射光の光量に対応する画像出力信号(アナログ信号)を取得し出力する。
【0025】
また、図1に示す画像読取装置は、例えば図3に示すように、コントローラー41およびA/D(Analog-to-Digital)変換器42をさらに備える。
【0026】
A/D変換器42は、イメージセンサーユニット2からの画像出力信号(アナログ信号)をデジタル信号に変換し、デジタル信号としての画像出力信号をコントローラー41に出力する。
【0027】
コントローラー41は、プログラムを実行するプロセッサー、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などを備え、駆動装置21を制御してイメージセンサーユニット2をホームポジションまたは上述の移動範囲で移動させてイメージセンサーユニット2からA/D変換器42を介して画像出力信号を取得し、その画像出力信号に基づいて原稿画像の画像データを生成する。
【0028】
具体的には、イメージセンサーユニット2は、駆動装置21によって、所定可動範囲内で画像読取位置を変更可能となっており、自動原稿送り装置4を使用して画像読取を実行する場合、イメージセンサーユニット2の画像読取位置が、コンタクトガラス1b上の原稿の通過位置とされ、イメージセンサーユニット2は、自動原稿送り装置4により搬送されてくる原稿の画像を、コンタクトガラス1b上を通過するときに、光学的に読み取る。なお、イメージセンサーユニット2は、カラーイメージセンサーでもよい。
【0029】
さらに、コントローラー41は、黒基準データ取得部51および基準電圧設定部52として動作する。
【0030】
黒基準データ取得部51は、黒基準データの取得のために、駆動装置21を制御してイメージセンサーユニット2を移動させ、光源2aを消灯させた状態で基準板1cをイメージセンサーユニット2に読み取らせ、その状態での画像出力信号を読み取り、その画像出力信号の値を黒基準データとして取得する。
【0031】
また、黒基準データ取得部51は、(a)イメージセンサーユニット2により読み取られる原稿の枚数をカウントし、(b)前回の黒基準データの取得からの原稿の枚数のカウント値が補正間隔X以上になると、黒基準データの取得を実行して黒基準データを更新する。
【0032】
さらに、黒基準データ取得部51は、温度センサー31により測定されたイメージセンサーユニット2の温度に基づいて、補正間隔Xを調整する。例えば、前回の黒基準データの更新時の温度からの温度変化が大きいほど、補正間隔Xが短くされる。
【0033】
この実施の形態では、上述のように、温度センサー31は、自動原稿送り装置4により搬送される原稿を連続的に読み取る際の読取位置にイメージセンサーユニット2が配置された際に、イメージセンサーユニット2に接触する位置に固定されている。したがって、自動原稿送り装置4により搬送される原稿を連続的に読み取る際にイメージセンサーユニット2の温度が温度センサー31で測定される。黒基準データ取得部51は、温度センサー31がイメージセンサーユニット2に接触しているときに測定された温度に基づいて、補正間隔Xを調整する。
【0034】
ここで、補正間隔Xは、1枚より大きい値であり、上述の原稿は、複数枚のシートからなり、黒基準データ取得部51は、自動原稿送り装置4により連続的に搬送されるシートがイメージセンサーユニット2により連続的に読み取られる際に、前回の黒基準データの取得からの原稿の枚数のカウント値が補正間隔以上になると、そのシートの紙間で黒基準データの取得を実行する。
【0035】
また、この実施の形態では、黒基準データ取得部51は、黒基準データの取得の所要時間が、上述のシートの紙間がイメージセンサーユニット2の読取位置を通過する時間(以下、紙間通過時間という)より長い場合、黒基準データの取得を実行する際のシートの紙間を、紙間通過時間が黒基準データの取得の所要時間より長くなるように調整し、黒基準データの取得を実行する際のシートの紙間を、黒基準データの取得を実行しない際のシートの紙間より長くする。
【0036】
具体的には、黒基準データ取得部51は、自動原稿送り装置4を制御して原稿シートの紙間の長さを調整する。
【0037】
また、黒基準データ取得部51は、取得した黒基準データをレジスター51aに記憶し、その黒基準データに対応するA/D変換器42の基準電圧Vrefを導出し、基準電圧設定部52に出力する。基準電圧設定部52のD/A(Digital-to-Analog)変換器52aは、その基準電圧Vrefの値(デジタル値)をアナログ信号に変換し、そのアナログ信号をA/D変換器42に供給して、A/D変換器42の基準電圧Vrefをその値に設定する。これにより、シェーディング補正が行われる。
【0038】
次に、上記画像読取装置の動作について説明する。
【0039】
(a)初期設定処理
【0040】
図4は、図1および図3に示す画像読取装置の初期設定処理について説明するフローチャートである。
【0041】
初期設定処理は、上記画像読取装置の起動時やスリープ復帰時に実行され、初期設定処理では、まず、黒基準データ取得部51は、基準電圧設定部52を使用して、A/D変換器42の基準電圧Vrefを所定の初期値Vref1(基準温度でのリファレンス電圧Vref)に設定する(ステップS1)。
【0042】
この状態で、黒基準データ取得部51は、黒基準データを取得する(ステップS2)。ここでは、画像出力信号のレベルのデジタル値V2が黒基準データとして得られる。
【0043】
そして、黒基準データ取得部51は、基準電圧Vrefを次式に従って導出し、基準電圧設定部52を使用して、A/D変換器42に設定する(ステップS3)。
【0044】
Vref=(V2/V1)×Vref1
【0045】
ここで、V1は、基準温度においてA/D変換器42に基準電圧Vref1を設定した際に得られる画像出力信号のレベルのデジタル値である。
【0046】
このとき、黒基準データ取得部51は、駆動装置21でイメージセンサーユニット2をホームポジションに移動させて温度センサー31でイメージセンサーユニット2の温度を測定し、その温度に応じて(例えばその温度と基準温度との差に応じて)、上述の補正間隔Xを初期設定する(ステップS4)。
【0047】
(b)連続スキャン時の処理
【0048】
図5は、図1および図3に示す画像読取装置の連続スキャン時の処理について説明するフローチャートである。
【0049】
原稿画像の読取が実行される際、黒基準データ取得部51は、自動原稿送り装置4を使用した連続スキャン動作が実行されるか否かを判定する(ステップS11)。
【0050】
連続スキャン動作が実行される場合、原稿画像の読取開始後、繰り返し、黒基準データ取得部51は、1枚の原稿シートの読取完了を検出したか否か(ステップS12)、および連続スキャン動作が終了したか否か(ステップS13)を判定する。
【0051】
連続スキャン動作が実行されない場合、および連続スキャン動作が終了した場合には、当該処理は終了される。
【0052】
他方、原稿画像の読取開始後、黒基準データ取得部51は、1枚の原稿シートの読取完了を検出するたびに、スキャン枚数をカウントし(ステップS14)、そのカウント値が上述の補正間隔X以上になっているか否かを判定する(ステップS15)。
【0053】
そのカウント値が上述の補正間隔X以上になっている場合、黒基準データ取得部51は、そのカウント値をゼロにリセットし(ステップS16)、前回の基準電圧補正時からの温度変化が所定値以上であるか否かを判定する(ステップS17)。
【0054】
なお、基準電圧補正時のイメージセンサーユニット2の温度(温度データ)は、図示せぬ記憶装置に記憶され、そのカウント値が上述の補正間隔X以上になっている場合、現時点のイメージセンサーユニット2の温度が測定され、両者の差が上述の温度変化として導出される。
【0055】
前回の基準電圧補正時からの温度変化が所定値以上である場合、黒基準データ取得部51は、上述の場合と同様にして、原稿シートの紙間において、黒基準データの更新を実行し(ステップS18)、更新後の黒基準データに基づいて基準電圧Vrefを新たに導出しA/D変換器42に設定する(ステップS19)。
【0056】
また、黒基準データ取得部51は、上述の温度変化に基づいて、補正間隔Xを更新する(ステップS20)。このとき、その温度変化が大きいほど、補正間隔Xが短くされる。
【0057】
なお、ステップS15において上述のカウント値が上述の補正間隔X以上になっていない場合、およびステップS17において前回の基準電圧補正時からの温度変化が所定値以上ではない場合、ステップS18~S20の処理は実行されず、黒基準データ取得部51は、ステップS12に戻る。また、ステップS20の処理の後、黒基準データ取得部51は、ステップS12に戻る。
【0058】
なお、フラッドヘッドスキャンの場合には、複数の原稿シートの画像読取を行うときでも、(原稿シートの入れ替えのための時間があるため)イメージセンサーユニット2は連続的に動作せず、黒基準データの温度変化が小さいため、黒基準データの更新は行われない。
【0059】
以上のように、上記実施の形態によれば、黒基準データ取得部51は、(a)イメージセンサーユニット2により読み取られる原稿の枚数をカウントし、(b)前回の黒基準データの取得からの原稿の枚数のカウント値が補正間隔以上になると、黒基準データの取得を実行して黒基準データを更新する。そして、黒基準データ取得部は、温度センサー31により測定されたイメージセンサーユニット2の温度に基づいて、その補正間隔を調整する。
【0060】
これにより、イメージセンサーユニット2の温度に応じて調整された補正間隔(複数枚数)ごとに黒基準データの更新が実行され、上述のように原稿の1枚ごとに上述の温度変化の導出および判定は行われない。したがって、黒基準データの更新頻度を適切にしつつ、黒基準データの更新のために生じる画像読取動作の遅延が抑制される。
【0061】
なお、上述の実施の形態に対する様々な変更および修正については、当業者には明らかである。そのような変更および修正は、その主題の趣旨および範囲から離れることなく、かつ、意図された利点を弱めることなく行われてもよい。つまり、そのような変更および修正が請求の範囲に含まれることを意図している。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明は、例えば、画像読取装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0063】
1c 基準板
2 イメージセンサーユニット
4 自動原稿送り装置
21 駆動装置
31 温度センサー
51 黒基準データ取得部
図1
図2
図3
図4
図5