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特開2023-134949ろ布のクリーニング装置、クリーニングシステム及びクリーニング方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023134949
(43)【公開日】2023-09-28
(54)【発明の名称】ろ布のクリーニング装置、クリーニングシステム及びクリーニング方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 46/04 20060101AFI20230921BHJP
   F23J 15/00 20060101ALI20230921BHJP
【FI】
B01D46/04 103
F23J15/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022039901
(22)【出願日】2022-03-15
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 刊行物名及び電子版アドレス:月刊電気現場2022年1月号、https://denkigenba.jp/denkigenba/DG202201、公開日:令和4年1月
(71)【出願人】
【識別番号】000241957
【氏名又は名称】北海道電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100202913
【弁理士】
【氏名又は名称】武山 敦史
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(72)【発明者】
【氏名】西野 孝紘
(72)【発明者】
【氏名】宮田 昌明
(72)【発明者】
【氏名】矢野 絢一
【テーマコード(参考)】
3K070
4D058
【Fターム(参考)】
3K070DA07
3K070DA32
4D058JA04
4D058JB05
4D058JB14
4D058JB25
4D058MA15
4D058MA17
4D058MA25
4D058MA47
4D058MA48
(57)【要約】
【課題】筒状のろ布からダストを十分に払い落とすことが可能なクリーニング装置、クリーニングシステム及びクリーニング方法を提供する。
【解決手段】クリーニング装置10は、内部を空気が流動可能な筒状部材11と、筒状部材11の先端側に配置され、筒状部材11に対して軸周りに回転可能に支持され、筒状部材11の先端面に設けられた開口から内部の空間に空気が供給される回転部材12と、回転部材12の側面部に設けられ、回転部材12の径方向外側に向かって延び、回転部材12の空間に供給された空気を外部に噴射するノズル13と、を備える。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バグフィルタに設けられた筒状のろ布内に挿入可能なクリーニング装置であって、
内部を空気が流動可能な筒状部材と、
前記筒状部材の先端側に配置され、前記筒状部材に対して軸周りに回転可能に支持され、前記筒状部材の先端面に設けられた開口から内部の空間に空気が供給される回転部材と、
前記回転部材の側面部に設けられ、前記回転部材の径方向外側に向かって延び、前記回転部材の前記空間に供給された空気を外部に噴射するノズルと、
を備えるクリーニング装置。
【請求項2】
前記ノズルは、外部に空気が噴射する際の反動で前記回転部材が軸周りに回転するように前記回転部材の径方向に対して傾けて配置されている、
請求項1に記載のクリーニング装置。
【請求項3】
前記回転部材のうちノズルが設けられた部分は、前記回転部材のうち前記筒状部材に支持される部分よりも細く形成され、
前記ノズルは、前記回転部材の側面部から外部に突出するように配置されている、
請求項1又は2に記載のクリーニング装置。
【請求項4】
前記筒状部材に支持され、前記ノズルからの噴流が通過できるように前記回転部材及び前記ノズルを覆い、前記回転部材及び前記ノズルのろ布への接触を防止するケージをさらに備える、
請求項1から3のいずれか1項に記載のクリーニング装置。
【請求項5】
前記ケージは、前記筒状部材に支持され、前記回転部材の基端面を覆う第1の部材と、前記回転部材の先端面を覆う第2の部材と、前記第1の部材及び前記第2の部材のそれぞれの周端部に接続され、前記回転部材の軸方向に延びる複数のスポークと、を備え、
前記ノズルは、前記回転部材が回転している最中に前記ノズルから噴射した空気が各スポークに衝突するように前記回転部材に配置されている、
請求項4に記載のクリーニング装置。
【請求項6】
前記筒状部材の基端側に設けられ、前記筒状部材を吊り下げるワイヤ及び圧縮空気源からの空気を供給するホースが前記筒状部材に接続された部分を覆うカバーをさらに備える、
請求項1から5のいずれか1項に記載のクリーニング装置。
【請求項7】
前記ノズルは、空気を圧縮して膨張させるラバルノズルである、
請求項1から6のいずれか1項に記載のクリーニング装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載のクリーニング装置と、
前記クリーニング装置に接続され、前記クリーニング装置を吊り下げるワイヤと、
前記クリーニング装置に接続され、圧縮空気源からの空気を前記クリーニング装置に供給するホースと、
床面に設置され、前記ワイヤを水平方向に移動可能に吊り下げる架台と、
を備えるクリーニングシステム。
【請求項9】
前記架台に吊り下げられた状態で前記ワイヤに接続され、前記ワイヤの巻き取り及び送り出しを行う電動ホイストを備え、
前記電動ホイストには、前記ワイヤの巻き取り及び送り出しをユーザが操作するためのフットスイッチが接続されている、
請求項8に記載のクリーニングシステム。
【請求項10】
バグフィルタ内に設けられた1本のブローパイプを取り外す第1の取り外し工程と、
前記第1の取り外し工程により露出した筒状のろ布内にクリーニング装置を挿入して空気を噴射することで、ろ布に付着したダストを除去する第1の除去工程と、
前記第1の除去工程でダストが除去されたろ布の列に隣接する1本のブローパイプを取り外す第2の取り外し工程と、
前記第2の取り外し工程で取り外された1本のブローパイプを前記第1の除去工程でダストが除去されたろ布の列の上に装着する装着工程と、
前記第2の取り外し工程により露出した筒状のろ布内に前記クリーニング装置を挿入して空気を噴射することで、ろ布に付着したダストを除去する第2の除去工程と、
を含むクリーニング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ろ布のクリーニング装置、クリーニングシステム及びクリーニング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
火力発電所のボイラから排出される排気ガス中のダストを捕集するのにバグフィルタが用いられている。火力発電所の運転を続けると、バグフィルタに設けられた筒状のろ布がダストにより目詰まりを起こし、ろ布の交換が必要となる。ろ布の交換には多大なコストが掛かるため、その寿命を延ばすための試みがなされている。例えば、特許文献1には、ろ布の内側に挿入された状態で外筒に設けられた一対の噴射孔から空気を噴射することで、噴射の反動で外筒を軸周りに回転させながら筒状のろ布に付着したダストを払い落とすクリーニング装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-125293号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のクリーニング装置では、内筒及び外筒の周壁に噴射孔が設けられ、両者の噴射孔が一致したタイミングで外部に空気を噴射している。このため、流路の圧力損失により空気の噴流の勢いが大幅に削がれてしまい、筒状のろ布に付着したダストを十分に払い落とすことができない、という問題がある。
【0005】
本発明は、このような背景に基づいてなされたものであり、筒状のろ布からダストを十分に払い落とすことが可能なクリーニング装置、クリーニングシステム及びクリーニング方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係るクリーニング装置は、
バグフィルタに設けられた筒状のろ布内に挿入可能なクリーニング装置であって、
内部を空気が流動可能な筒状部材と、
前記筒状部材の先端側に配置され、前記筒状部材に対して軸周りに回転可能に支持され、前記筒状部材の先端面に設けられた開口から内部の空間に空気が供給される回転部材と、
前記回転部材の側面部に設けられ、前記回転部材の径方向外側に向かって延び、前記回転部材の前記空間に供給された空気を外部に噴射するノズルと、
を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、筒状のろ布からダストを十分に払い落とすことが可能なクリーニング装置、クリーニングシステム及びクリーニング方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施の形態に係るバグフィルタの構成を示す概略図である。
図2図1のバグフィルタ内で1本のろ布がバグプレートに取り付けられた様子を示す断面図である。
図3】本発明の実施の形態に係るクリーニングシステムの構成を示す正面図である。
図4】本発明の実施の形態に係るクリーニングシステムの構成を示す斜視図である。
図5】本発明の実施の形態に係るクリーニング装置がワイヤにより吊り下げられた様子を示す断面図である。
図6】本発明の実施の形態に係るクリーニング装置の構成を示す断面図である。
図7】(a)は、図6のクリーニング装置をA-A線で切断した断面図であり、(b)は、ラバルノズルの一例を示す断面図である。
図8】本発明の実施の形態に係るクリーニング装置の基端側を拡大した断面図である。
図9】(a)、(b)は、本発明の実施の形態に係るクリーニングシステムを用いて実行されるダスト除去作業の手順を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態に係るろ布のクリーニング装置、クリーニングシステム及びクリーニング方法を、図面を参照しながら詳細に説明する。各図面においては、同一又は同等の部分に同一の符号を付す。
【0010】
クリーニングシステムは、バグフィルタ内に設けられた筒状のろ布の内側に挿入され、ろ布の内面に向かって至近距離から圧縮空気を噴射することで、ろ布に付着したダストをろ布の外側にふるい落とすシステムである。ダストは、ろ布にガスを通過させた際にろ布により捕集される物質であり、例えば、ガス中に浮遊する微粒子を含む。ダストには、例えば、石炭や石油の燃焼、金属の加熱により発生する煤塵、物の破壊又は堆積物からの飛散により発生する粉塵が含まれる。以下、ダストとして石炭の燃焼により発生する燃焼灰の煤塵を除去する場合を例に説明する。
【0011】
図1は、実施の形態に係るバグフィルタの構成を示す概略図である。理解を容易にするために、図1の左側では火力発電所の通常運転時の様子を、図1の右側では、通常運転時においてろ布に付着したダストを払い落とす瞬間の様子を図示している。バグフィルタは、火力発電所のボイラから排出された燃焼ガス中のダストを集塵し、燃焼ガス中の煤塵濃度を低減させる集塵装置である。
【0012】
バグフィルタの内部には、水平面上に延びるバグプレートが設けられ、バグプレートには、ろ布を装着するための複数の貫通孔が縦横(図1の左右方向及び奥行き方向)に並べて設けられている。バグプレートに装着されたろ布では、外周面から内周面に向かって燃焼ガスが通過し、その際に燃焼ガスに含まれるダストが捕集される。ろ布を通過したクリーンな燃焼ガスは、誘引通風機により吸引され、煙突から外部に排出される。
【0013】
図2は、図1のバグフィルタ内で1本のろ布がバグプレートに取り付けられた様子を示す断面図である。ろ布は、長尺な円筒状のフィルタである。ろ布は、強度を持たせる基布と、基布の両面側に設けられ、ダストを効率よく捕捉する不織布と、を備える。ろ布は、高融点で耐薬品性に優れた樹脂繊維又はガラス繊維で形成されている。樹脂繊維は、例えば、ポリフェニレンサルファイド(Poly Phenylene Sulfide:PPS)、ポリエステル、耐熱ナイロンで形成されている。
【0014】
ろ布は、その内側にリテーナが装着された状態で、バグプレートの貫通孔に取り付けられている。リテーナは、ろ布を筒状に保持する円筒状の部材であり、2つの部材に分割できる。2つの部材が接続された状態では、内側に向かって凹むように継ぎ目部が形成される。リテーナは、耐熱性のある金属材料、例えば、ステンレス鋼で形成されている。
【0015】
図1に戻り、一列に並んでいる複数のろ布の真上には、ブローパイプが平行に延びるように配置されている。ブローパイプには、ろ布に対応する位置に噴出口が設けられ、各ろ布の開口部に向かって高圧のパルス空気を噴射する。火力発電所の運転中にろ布の目詰まりが進行し、ろ布の外面と内面との間での差圧が規定値以上になると、ブローパイプからパルス空気が噴射され、ろ布の外面に付着したダストが払い落とされる。しかしながら、ダストがろ布内部、例えば、基布付近にまで侵入すると、このパルス空気噴射だけではダストを除去できない。このような状態では、ろ布におけるダストの捕捉率が低下し、パルス空気噴射の高頻度化によりろ布自体の劣化が進行するため、火力発電所の運転を一旦停止させ、ろ布を交換するかクリーニングシステムを用いてダストを除去する必要がある。
【0016】
図3は、実施の形態に係るクリーニングシステム1の構成を示す正面図である。クリーニングシステム1は、ろ布の内側に挿入されるクリーニング装置10と、下方にクリーニング装置10を吊り下げるワイヤ2と、ワイヤ2に接続され、ワイヤ2を一定速度で移動させる電動ホイスト3と、バグプレート上に設置され、電動ホイスト3を水平方向に移動可能に吊り下げる架台4と、クリーニング装置10に接続され、クリーニング装置10に圧縮空気を供給するホース5と、ホース5に接続され、ホース5に圧縮空気を供給する圧縮空気源(図示せず)と、を備える。圧縮空気源は、例えば、図1の圧縮空気源とは別体の可搬式の圧縮空気源であり、クリーニングシステム1の組み立て前に作業員によりバグフィルタ内に設置される。
【0017】
ワイヤ2は、その先端部にシャックルが取り付けられ、シャックルは、クリーニング装置10の基端部に設けられたフックに取り付けられる。
【0018】
電動ホイスト3は、ワイヤ2の巻き上げ及び送り出しを行う装置である。電動ホイスト3は、クリーニング装置10を一定速度で移動させることができ、ろ布におけるダストの除去ムラの発生を防止する。電動ホイスト3には、ワイヤ2を巻き上げ及び送り出しのために作業員(ユーザ)の脚で操作可能なフットスイッチ3aが接続されている。フットスイッチ3aによりクリーニング装置10の昇降を操作できるため、作業員は、クリーニング装置10に接続されたホース5をあやす助勢作業に両手を用いることができ、クリーニング装置10の操作を1人で行うことができる。
【0019】
図4は、実施の形態に係るクリーニングシステム1の構成を示す斜視図である。図4では、理解を容易にするため、電動ホイスト3の図示を省略している。架台4は、4本の柱状部材4aと、各柱状部材4aの先端部及び基端部からそれぞれ水平に延び、互いに隣接する柱状部材4aを接続する8本の水平部材4bと、を備える。柱状部材4a及び水平部材4bは、例えば、いずれも単管パイプであり、両者はジョイント金具4cにより互いに固定されている。各柱状部材4aの基端側には、バグプレート(床面)上に設置される設置用プレート4dが固定されている。ろ布のダスト除去時に架台4の移動及び設置の手間を省くには、縦横に分布するブローパイプの全てを覆うように架台4を構成すればよい。
【0020】
互いに対向する一対の水平部材4bには、当該一対の水平部材4bの長手方向に移動可能にブリッジ部材4eが支持されている。ブリッジ部材4eは、当該一対の水平部材4bに垂直な方向に延びている。より詳細に説明すると、一対の水平部材4bには、それぞれパイプトロリー4fが水平部材4bの長手方向に移動可能に設置され、ブリッジ部材4eの両端部には、それぞれリングフック4gが取り付けられている。各パイプトロリー4fのフックにリングフック4gが吊り下げられることで、一対の水平部材4bはブリッジ部材4eを移動可能に支持する。
【0021】
ブリッジ部材4eには、ブリッジ部材4eの長手方向に移動可能に電動ホイスト3が支持されている。より詳細に説明すると、ブリッジ部材4eには、パイプトロリー4fがブリッジ部材4eの長手方向に移動可能に設置され、パイプトロリー4fは、電動ホイスト3の基端部に設けられたフックに取り付けられている。このため、作業員は、電動ホイスト3に吊り下げられたクリーニング装置10を、水平面上の互いに直交する2方向に簡単に移動させることができる。
以上が、クリーニングシステム1の構成である。
【0022】
図5は、実施の形態に係るクリーニング装置10がワイヤ2により吊り下げられた様子を示す断面図である。クリーニング装置10は、作業員が手動で電動ホイスト3を架台4に対して水平方向に移動させることでダスト除去対象のろ布の真上に位置決めされ、その後、作業員が電動ホイスト3のフットスイッチ3aを操作することで、ろ布の内側に挿入した状態でろ布の長手方向に前後に移動させられる。このとき、クリーニング装置10は、ホース5から供給された圧縮空気をノズル13から噴射することで、その反動でノズル13を含む部品をろ布の長手方向に延びる軸周りに回転させつつ、圧縮空気の噴射をろ布の内周全面に衝突させ、ろ布の外周全面に付着したダストを漏れなく吹き飛ばす。
【0023】
図6は、実施の形態に係るクリーニング装置10の構成を示す断面図である。クリーニング装置10は、筒状部材11と、筒状部材11の先端部に回転可能に支持され、筒状部材11から空気が供給される回転部材12と、回転部材12の周面部に設けられた一対のノズル13と、筒状部材11に取り付けられ、回転部材12及びノズル13がろ布に接触することを防止するケージ14と、を備える。
【0024】
筒状部材11は、ワイヤ2により吊り下げられ、内部に空気が流動する直線状の流路を有する部材である。筒状部材11の基端部には、ホース5の端部が接続され、ホース5から圧縮空気が供給される。筒状部材11の先端面には、回転部材12に空気を供給する開口が形成されている。また、筒状部材11の先端部の外周面には、軸受15の内周面が固定されている。
【0025】
回転部材12は、筒状部材11の先端面の開口から供給された空気が流動する流路を有する本体部12aと、本体部12aの基端側に取り付けられ、本体部12aと共に軸受15を上下から挟み込む蓋部12bと、本体部12aの先端側に取り付けられ、本体部12aの先端側から空気が流出しないように本体部12aの先端側を封止するカバー部12cと、を備える。
【0026】
本体部12aは、その基端側に設けられ、軸受15の外周面を取り囲むように軸受15を保持する軸受保持部と、その先端側に設けられ、互いに対向するように配置された一対のノズル13を保持するノズル保持部と、を備える。軸受保持部には、内側に軸受15を収容する円形状の収容部が形成されている。軸受保持部及びノズル保持部は、いずれも円形断面で形成され、内部に空気が流動する直線状の流路を有する。軸受保持部は、軸受15を収容するために比較的大きな径で、ノズル保持部は、回転部材12及びノズル13が通過する円形断面の空間を小さくするため、軸受保持部よりも小さな径で形成されている。
【0027】
蓋部12bは、軸受保持部の上面部に載せた状態で軸受保持部に着脱自在に取り付けられている。具体的に説明すると、本体部12aの軸受保持部の上面部には、複数の雌ねじ孔が設けられ、蓋部12bには、当該雌ねじ孔に対応する複数の貫通孔が形成されている。蓋部12bを軸受保持部の上面部に載せた状態で貫通孔にボルト12dを挿通し、本体部12aの軸受保持部の雌ねじ孔に締め付けることにより、蓋部12bを本体部12aに固定できる。
【0028】
カバー部12cは、円形状の平板と、当該平板の周端部から中心軸方向に突出する円形リングと、を備える。カバー部12cは、例えば、円形リングの内周面が本体部12aの先端部の外周面に接触するように本体部12aに嵌め込まれている。
【0029】
回転部材12は、上記の構成を備えるため、筒状部材11の先端面に設けられた開口から供給された空気が回転部材12の本体部12aの流路に真っ直ぐに流入し、各ノズル13に向けて排出される。このため、筒状部材11から回転部材12に空気を供給する際に圧力損失が発生しにくい。また、回転部材12が筒状部材11の先端側に配置されているため、回転部材12の先端側を基端側よりも細く形成でき、結果として回転部材12の先端側の周面部にノズル13を取り付けてもクリーニング装置10をコンパクトに形成できる。
【0030】
図7(a)は、図6のクリーニング装置10をA-A線で切断した断面図であり、図7(b)は、ラバルノズルの一例を示す断面図である。ノズル13は、噴射される空気の噴射速度を増大させるノズルであり、例えば、ラバルノズルである。ラバルノズルは、図7(b)の一例に示すように中間部にスロートを有するノズルであり、噴出直後の噴流の減衰を大幅に抑制できる。ノズル13は、回転部材12の周面部に形成された貫通孔に取り付けられている。
【0031】
ノズル13は、圧縮空気の噴射により回転部材12に回転力を発生させるように、回転軸に垂直な平面上で回転部材12の径方向に対して傾けられている。ノズル13の中心軸は、回転部材12の径方向を基準にして周方向に回転する向きに、例えば、角度5°~30°の範囲内で傾けられている。回転部材12が回転するとノズル13も一緒に回転するため、ノズル13からろ布の内面全周に噴流を吹き付けることができる。
【0032】
ノズル13からの噴射速度は、ろ布の基布内部に付着したダストの除去を実現でき、かつ圧縮空気の噴射によるろ布の引張強度の低下を抑制し得る程度に設定する。ろ布内部に付着したダストを除去するには、ろ布に到達した時点の空気の噴射速度が200m/s以上であることが好ましい。
【0033】
クリーニング装置10では、ノズル13により噴出流体の断面積を低減できるため、噴流のエネルギー密度が増大し、効率的にダストを除去できる。また、ノズル13によりクリーニング装置10の1台あたりの空気流量が抑制されるため、圧縮空気源の性能によっては複数のクリーニング装置10を同時に接続でき、クリーニング装置10の台数を増加させることができる。これにより複数の作業員が個別のクリーニング装置10を用いて各ろ布におけるダストの除去を行うことができ、バグフィルタ内におけるダスト除去作業の迅速化を実現できる。
【0034】
図6に戻り、ケージ14は、ノズル13からの噴流を妨げないように回転部材12及びノズル13を覆い、回転部材12及びノズル13とろ布との接触を防止する。ケージ14は、ろ布への引っ掛かりを防止するため、先端側及び基端側がそれぞれ窄まるように形成されている。ケージ14は、その基端側に配置される上ガード部材14aと、上ガード部材14aから離れた位置で、その先端側に配置される下ガード部材14bと、上ガード部材14a及び下ガード部材14bを接続する複数のスポーク14cと、上ガード部材14aの基端側に着脱自在に取り付けられ、筒状部材11により支持される円錐部材14dと、を備える。
【0035】
上ガード部材14aは、内部に回転部材12の本体部12aの軸受保持部及び蓋部12bを収容し、回転部材12及びノズル13がろ布に接触しないようにガードする円筒状の部材である。上ガード部材14aは、筒状部材11に支持され、回転部材12の基端面を覆う第1の部材の一例である。
【0036】
下ガード部材14bは、内部に回転部材12のカバー部12cを収容し、回転部材12及びノズル13がろ布に接触しないようにガードする部材である。下ガード部材14bは、その上面部に回転部材12のカバー部12cを収容する凹部を有する。下ガード部材14bは、ろ布への引っ掛かりを防止するために、その下面部に面取りが施されている。下ガード部材14bは、回転部材12の先端面を覆う第2の部材の一例である。
【0037】
スポーク14cは、上ガード部材14aの下面部の円周端と下ガード部材14bの上面部の円周端とを接続する棒状の部材である。スポーク14cの本数は、例えば、8本である。各スポーク14cは、上ガード部材14a及び下ガード部材14bに対して周方向に等間隔で配置されている。スポーク14cは、ろ布への引っ掛かりの要因となり得るため、ノズル13からの噴流が外部に放出可能な範囲で、できるだけ短くすることが好ましい。スポーク14cの長さを短くすることで、ケージ14全体の強度を高めることもできる。
【0038】
スポーク14cは、回転部材12の軸周りに回転しているノズル13が圧縮空気を噴射する際に、ノズル13の周方向の位置がスポーク14cの位置と一致した場合に噴流を一時的に妨げる役割も果たす。ノズル13から噴射される圧縮空気の流れがスポーク14cにより一時的に妨げられることで、ろ布に衝突する噴流に周期的な脈動が発生し、ろ布に対するダストの除去効果を高めることができる。
【0039】
円錐部材14dは、ろ布への引っ掛かりを防止するために、先端側から基端側に向かって徐々に窄まるように形成されている。円錐部材14dは、筒状部材11が挿通された状態で固定される貫通孔を備える。円錐部材14dの先端側には、雄ねじが形成され、上ガード部材14aの基端側には、内面に当該雄ねじに対応する雌ねじ孔が形成されている。このため、円錐部材14dの雄ねじを上ガード部材14aの雌ねじ孔に締め付けることで、両者を固定できる。
【0040】
軸受15は、筒状部材11に回転部材12が吊り下げられた状態で、筒状部材11に対して回転部材12を回転可能に支持する。軸受15の内周面は、筒状部材11の先端側の外周面に固定され、軸受15の外周面は、回転部材12の本体部12aの基端側の内周面に固定されている。軸受15は、アキシャル荷重及びラジアル荷重を両方とも受け止める軸受、例えば、深溝玉軸受であることが好ましい。
【0041】
図8は、実施の形態に係るクリーニング装置10の基端側を拡大した断面図である。クリーニング装置10の筒状部材11には、互いに対向する一対のフック11aが径方向に突出するように設けられ、ワイヤ2の先端側には、ワイヤ2とクリーニング装置10とを連結する連結器具2Aが設けられている。連結器具2Aは、ワイヤ2に接続されるシャックル2aと、シャックル2aの輪に挿通される紐状部材2bと、紐状部材2bの両端部に接続され、各フック11aにそれぞれ取り付けられる一対のシャックル2cと、を備える。紐状部材2b及び一対のシャックル2cのペアは、シャックル2a及びフック11aに対して複数取り付けられてもよい。
【0042】
クリーニング装置10は、その基端側にあるワイヤ2及びホース5との接続箇所を覆う筒状のカバー16を備える。カバー16は、クリーニング装置10がろ布の内部で移動する際に、連結器具2Aを含む接続箇所がリテーナの継ぎ目に引っ掛かることを防止する。カバー16の断面は、例えば、円形状である。カバー16の先端部は、ワイヤ2及びホース5を通過させる開口を備え、ろ布への引っ掛かりを防止するために徐々に窄まるように形成されている。
以上が、クリーニング装置10の構成である。
【0043】
次に、実施の形態に係るクリーニングシステム1を用いたろ布のダスト除去作業の流れを説明する。ろ布のダスト除去作業は、火力発電所のタービンを停止し、バグフィルタ内への燃焼ガスの流入が停止した状態で、作業員がバグフィルタ内に入って行うものとする。
【0044】
まず、図3及び図4に示すように、バグフィルタ内でクリーニングシステム1を組み立てる。具体的には、バグプレート上で架台4を組み立て、組み立てられた架台4のブリッジ部材4eに電動ホイスト3を吊り下げ、電動ホイスト3から延びるワイヤ2にクリーニング装置10を取り付ける。また、圧縮空気源にホース5の一端を接続し、ホース5の他端をクリーニング装置10に接続する。
【0045】
次に、バグフィルタ内のダスト除去対象となる一列に並んだろ布の上にある1本のブローパイプを取り外す。取り外したブローパイプは安全な場所に一時的に保管しておき、その他のブローパイプは、この時点ではそのまま残しておく。これにより作業員がブローパイプ上で作業を行えるため、ブローパイプ全てを一度に取り外す場合と比べると、リテーナの破損防止のためにクッション材を敷き詰める養生作業が不要となり、作業効率が向上する。なお、ブローパイプ上には、異物の落下防止と作業床としての機能性を兼ねてコンパネのような板部材を設置するとよい。
【0046】
次に、ホース5に接続された圧縮空気源を起動し、ホース5からクリーニング装置10への圧縮空気の供給を開始する。クリーニング装置10では、ノズル13から圧縮空気が噴射され、ノズル13が回転部材12の軸周りに回転すると同時に、噴流がスポーク14cに衝突することで噴流に周期的な脈動が発生する。周期的に脈動する噴流がろ布の内面に衝突することによりろ布自体が振動するため、ろ布に付着したダストを効果的に払い落とすことができる。
【0047】
次に、図5に示すように、クリーニング装置10をろ布の真上に移動させてろ布の内側に挿入し、この状態でクリーニング装置10をろ布の内側で一往復させることで、1本ずつろ布に付着したダストを除去する。具体的には、作業員がホース5を両手であやしながら手動で電動ホイスト3を水平方向に移動させ、クリーニング装置10をろ布の真上に移動する。次に、両手でホース5をあやしながら電動ホイスト3のフットスイッチ3aを操作して、クリーニング装置10を一定速度でろ布内に下降させる。その後、クリーニング装置10がろ布の下端に到着した後に移動方向を反転させ、クリーニング装置10を一定速度で上昇させることで、クリーニング装置10をろ布内で一往復させる。必要であれば、クリーニング装置10をろ布内で2往復以上させてもよい。このダストの除去作業は、ブローパイプが取り外され、一列に並んでいるろ布の全てに対して順次実施する。
【0048】
次に、図9(a)及び(b)に示すように、クリーニング装置10をろ布から引き抜いた後、取り外されたブローパイプに隣接しているブローパイプを取り外し、先にダストが除去されたろ布上を覆うように設置する。次に、露出された全てのろ布に対して同様の手順で1本ずつダストを除去する。同様の手順を繰り返すことで、全てのブローパイプを順次取り外し、全てのろ布におけるダストの除去作業を実施する。
【0049】
最後のろ布におけるダストの除去作業が終了すると、圧縮空気源を停止させ、安全な場所に一時的に保管しておいたブローパイプを最後のダスト除去対象となっていた一列に並んでいるろ布の上に設置する。次に、クリーニングシステム1を解体してバグフィルタ内から撤去し、バグフィルタにおけるろ布のダスト除去作業が終了する。
以上が、バグフィルタにおけるろ布のダスト除去作業の流れである。
【0050】
以上説明したように、実施の形態に係るクリーニング装置10は、内部を空気が流動可能な筒状部材11と、筒状部材11に対して軸周りに回転可能に支持され、筒状部材11の開口から内部の空間に空気が供給される回転部材12と、回転部材12の側面部に設けられ、回転部材12の外側に向かって延び、回転部材12に供給された空気を外部に噴射するノズル13と、を備え、ノズル13は、外部に空気が噴射する際の反動で回転部材12が軸周りに回転するように回転部材12の径方向に対して傾けて配置されている。このため、ノズル13を回転部材12の軸周りに回転させながらノズル13からの噴射をろ布の内面全周に衝突させることで、ダスト除去ムラが発生することを防止しつつろ布の内部に侵入したダストを除去できる。このようなダスト除去作業を目詰まりの程度に応じて行うことで、ろ布の寿命を延ばすことができる。
【0051】
本発明は上記実施の形態に限られず、以下に述べる変形も可能である。
【0052】
(変形例)
上記実施の形態では、回転部材12の本体部12aとカバー部12cとが別体であったが、本発明はこれに限られない。両者を予め一体に構成してもよい。
【0053】
上記実施の形態では、本体部12aのノズル保持部が軸受保持部よりも小さな径で形成されていたが、本発明はこれに限られない。軸受15の大きさによっては、ノズル保持部が軸受保持部と同一又は同等の直径を有していてもよい。
【0054】
上記実施の形態では、回転部材12に互いに対向する2つのノズル13が設けられていたが、本発明はこれに限られない。ノズル13の数は任意であり、クリーニング装置10への圧縮空気の流量、回転部材12、ノズル13及びケージ14の大きさを考慮して設定すればよい。
【0055】
上記実施の形態では、ノズル13が外部に空気が噴射する際の反動で回転部材12が軸周りに回転するように回転部材12の径方向に対して傾けて配置されていたが、本発明はこれに限られない。回転部材12を軸周りに回転させる構成は他の手段を用いたものであってもよく、例えば、回転部材12が外部の動力源、例えば、モータにより軸周りに回転するように構成してもよい。この場合、ノズル13を回転部材12の径方向に対して傾けて配置する必要はなく、例えば、ノズル13を回転部材12の径方向に延びるように配置してもよい。
【0056】
上記実施の形態では、上ガード部材14aの上側に円錐部材14dを設けていたが、本発明はこれに限られない。例えば、上ガード部材14a及び円錐部材14dを一体に構成してもよい。
【0057】
上記実施の形態では、ケージ14が上ガード部材14a、下ガード部材14b、スポーク14c及び円錐部材14dを備えていたが、本発明はこれに限られない。ケージ14は、回転部材12及びノズル13がろ布に接触することを防ぐことができれば、いかなる形状であってもよく、例えば、鳥かごのように金属製の線材を回転部材12の軸方向及び周方向に張り巡らせたケージであってもよい。
【0058】
上記実施の形態では、ケージ14を設けていたが、本発明はこれに限られない。回転部材12及びノズル13がろ布の内面に接触しても、ろ布の内面に損傷を与えない場合であれば、ケージ14を省略してもよい。
【0059】
上記実施の形態では、カバー16が筒状であったが、本発明はこれに限られない。例えば、カバー16として径が徐々に小さくなるようなレジューサーを装着してもよい。
【0060】
上記実施の形態では、架台4に電動ホイスト3を吊り下げていたが、本発明はこれに限られない。例えば、バグフィルタの天井に設けた吊りボルトで電動ホイスト3を吊り下げてもよく、バグプレート上に設置したマルチクレーンのようなクレーンで電動ホイスト3を吊り下げてもよい。
【0061】
上記実施の形態では、フットスイッチ3aを用いて電動ホイスト3を操作していたが、本発明はこれに限られない。例えば、電動ホイスト3の操作のために手動式のスイッチ、例えば、ペンダントスイッチを用いてもよい。この場合には、ホース5を両手であやす作業と電動ホイスト3の操作を2人の作業員で分担すればよい。
【0062】
上記実施の形態では、クリーニング装置10を電動ホイスト3で上下させていたが、本発明はこれに限られない。例えば、クリーニングシステム1を簡略化するために、チェーンブロックを用いて手動でクリーニング装置10を上下させるように構成してもよい。
【0063】
上記実施の形態では、多数のろ布が縦横に設置されたバグフィルタにおけるろ布のダスト除去にクリーニングシステム1を適用していたが、本発明はこれに限られない。例えば、ろ過面積が1m程度の小型のバグフィルタにクリーニングシステム1を適用してもよい。
【0064】
上記実施の形態では、ボイラから排出される石炭の燃焼灰を捕集したろ布におけるダスト除去作業にクリーニングシステム1を適用していたが、本発明はこれに限られない。例えば、製鉄所、ゴミ焼却施設、化学プラント、セメント工場、食品工場、産業廃棄物処理施設において排出される各種のダストを捕集したろ布におけるダスト除去作業にクリーニングシステム1を適用してもよい。
【0065】
上記実施の形態は例示であり、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の趣旨を逸脱しない範囲でさまざまな実施の形態が可能である。実施の形態や変形例で記載した構成要素は自由に組み合わせることが可能である。また、特許請求の範囲に記載した発明と均等な発明も本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0066】
1 クリーニングシステム
2 ワイヤ
3 電動ホイスト
3a フットスイッチ
4 架台
5 ホース
10 クリーニング装置
11 筒状部材
12 回転部材
13 ノズル
14 ケージ
14a 上ガード部材
14b 下ガード部材
14c スポーク
15 軸受
16 カバー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2023-06-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係るクリーニング装置は、
バグフィルタに設けられた筒状のろ布内に挿入可能なクリーニング装置であって、
内部を空気が流動可能な筒状部材と、
前記筒状部材の先端側に配置され、前記筒状部材に対して軸周りに回転可能に支持され、前記筒状部材の先端面に設けられた開口から内部の空間に空気が供給される回転部材と、
前記回転部材の側面部に設けられ、前記回転部材の径方向外側に向かって筒状に延び、前記回転部材の前記空間に供給された空気を外部に噴射する複数のノズルと、
を備える。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バグフィルタに設けられた筒状のろ布内に挿入可能なクリーニング装置であって、
内部を空気が流動可能な筒状部材と、
前記筒状部材の先端側に配置され、前記筒状部材に対して軸周りに回転可能に支持され、前記筒状部材の先端面に設けられた開口から内部の空間に空気が供給される回転部材と、
前記回転部材の側面部に設けられ、前記回転部材の径方向外側に向かって筒状に延び、前記回転部材の前記空間に供給された空気を外部に噴射する複数のノズルと、
を備えるクリーニング装置。
【請求項2】
前記ノズルは、外部に空気が噴射する際の反動で前記回転部材が軸周りに回転するように前記回転部材の径方向に対して傾けて配置されている、
請求項1に記載のクリーニング装置。
【請求項3】
前記回転部材のうちノズルが設けられた部分は、前記回転部材のうち前記筒状部材に支持される部分よりも細く形成され、
前記ノズルは、前記回転部材の側面部から外部に突出するように配置されている、
請求項1又は2に記載のクリーニング装置。
【請求項4】
前記筒状部材に支持され、前記ノズルからの噴流が通過できるように前記回転部材及び前記ノズルを覆い、前記回転部材及び前記ノズルのろ布への接触を防止するケージをさらに備える、
請求項1から3のいずれか1項に記載のクリーニング装置。
【請求項5】
前記ケージは、前記回転部材の先端面及び基端面を覆い、ろ布内に挿入された状態でろ布の長手方向に移動可能に形成されている、
請求項4に記載のクリーニング装置。
【請求項6】
前記ケージは、前記ケージの基端側に配置された状態で前記筒状部材により支持され、ケージ側から筒状部材側に向かって徐々に窄まるように形成されている円錐部材を備える、
請求項4又は5に記載のクリーニング装置。
【請求項7】
前記ケージは、前記筒状部材に支持され、前記回転部材の基端面を覆う第1の部材と、前記回転部材の先端面を覆う第2の部材と、前記第1の部材及び前記第2の部材のそれぞれの周端部に接続され、前記回転部材の軸方向に延びる複数のスポークと、を備え、
前記ノズルは、前記回転部材が回転している最中に前記ノズルから噴射した空気が各スポークに衝突するように前記回転部材に配置されている、
請求項4から6のいずれか1項に記載のクリーニング装置。
【請求項8】
前記筒状部材の基端側に設けられ、前記筒状部材を吊り下げるワイヤ及び圧縮空気源からの空気を供給するホースが前記筒状部材に接続された部分を覆うカバーをさらに備える、
請求項1からのいずれか1項に記載のクリーニング装置。
【請求項9】
前記ノズルは、空気を圧縮して膨張させるラバルノズルである、
請求項1からのいずれか1項に記載のクリーニング装置。
【請求項10】
請求項1からのいずれか1項に記載のクリーニング装置と、
前記クリーニング装置に接続され、前記クリーニング装置を吊り下げるワイヤと、
前記クリーニング装置に接続され、圧縮空気源からの空気を前記クリーニング装置に供給するホースと、
床面に設置され、前記ワイヤを水平方向に移動可能に吊り下げる架台と、
を備えるクリーニングシステム。
【請求項11】
前記架台に吊り下げられた状態で前記ワイヤに接続され、前記ワイヤの巻き取り及び送り出しを行う電動ホイストを備え、
前記電動ホイストには、前記ワイヤの巻き取り及び送り出しをユーザが操作するためのフットスイッチが接続されている、
請求項10に記載のクリーニングシステム。
【請求項12】
請求項1から9のいずれか1項に記載のクリーニング装置を用いて実行するクリーニング方法であって、
バグフィルタ内に設けられた1本のブローパイプを取り外す第1の取り外し工程と、
前記第1の取り外し工程により露出した筒状のろ布内に前記クリーニング装置を挿入して空気を噴射することで、ろ布に付着したダストを除去する第1の除去工程と、
前記第1の除去工程でダストが除去されたろ布の列に隣接する1本のブローパイプを取り外す第2の取り外し工程と、
前記第2の取り外し工程で取り外された1本のブローパイプを前記第1の除去工程でダストが除去されたろ布の列の上に装着する装着工程と、
前記第2の取り外し工程により露出した筒状のろ布内に前記クリーニング装置を挿入して空気を噴射することで、ろ布に付着したダストを除去する第2の除去工程と、
を含むクリーニング方法。