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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023134962
(43)【公開日】2023-09-28
(54)【発明の名称】検知装置
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/03 20060101AFI20230921BHJP
   G01S 13/937 20200101ALI20230921BHJP
   G01S 7/40 20060101ALI20230921BHJP
   G01S 13/42 20060101ALI20230921BHJP
【FI】
G01S7/03 240
G01S13/937
G01S7/40 104
G01S13/42
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022039926
(22)【出願日】2022-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】300052246
【氏名又は名称】ニデックエレシス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋爪 崇
(72)【発明者】
【氏名】矢▲崎▼ 誠
(72)【発明者】
【氏名】野尻 大輔
(72)【発明者】
【氏名】中村 祐一
【テーマコード(参考)】
5J070
【Fターム(参考)】
5J070AB24
5J070AC02
5J070AC13
5J070AF05
5J070AK40
5J070BD08
(57)【要約】
【課題】検知機能の低下を抑制できる検知装置を提供する。
【解決手段】船舶1に設けられ、船舶1の前方に位置する所定の範囲を検知する検知装置であって、船舶1の甲板4よりも上方に起立して設けられる構造物に設けられ、且つ構造物の船首3側に位置する箇所に設けられる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
船舶に設けられ、前記船舶の前方に位置する所定の範囲を検知する検知装置であって、
前記船舶の甲板よりも上方に起立して設けられる構造物に設けられ、且つ前記構造物の船首側に位置する箇所に設けられる
ことを特徴とする検知装置。
【請求項2】
前記構造物の上方に位置する箇所に設けられる
ことを特徴とする請求項1に記載の検知装置。
【請求項3】
前記甲板には、マーカが設けられ、
前記マーカを検知して、当該マーカを基準とする所定の範囲である処理範囲の内側にある物体を検知する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の検知装置。
【請求項4】
前記マーカは、前記甲板の船首に接近した位置に設けられる
ことを特徴とする請求項3に記載の検知装置。
【請求項5】
前記検知装置が検知可能な範囲である検知範囲の所定位置から前記マーカが所定値以下で離間していると判定した場合、前記処理範囲を設定する
ことを特徴とする請求項3または請求項4に記載の検知装置。
【請求項6】
前記検知装置が検知可能な範囲である検知範囲の所定位置から前記マーカが所定値以上離間していると判定した場合、報知装置に報知させる
ことを特徴とする請求項3から請求項5のいずれか一項に記載の検知装置。
【請求項7】
前記マーカが検知されない場合、前記報知装置に報知させる
ことを特徴とする請求項6に記載の検知装置。
【請求項8】
検知した前記マーカの認識強度が所定値以下である場合、前記報知装置に報知させる
ことを特徴とする請求項6に記載の検知装置。
【請求項9】
検知した前記マーカの認識強度が所定値以下である場合、前記報知装置に第1報知内容を報知させ
前記報知装置による第1報知内容を報知後に、検知した前記マーカの認識強度が所定値以上である場合、前記報知装置に第2報知内容を報知させる
ことを特徴とする請求項8に記載の検知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、レーダ装置の探知方向の基準である基準方位を補正するレーダ基準方位補正装置を備えるレーダ装置のような検知装置がある(例えば特許文献1)。このような検知装置には、船舶の船首に設けられ、船舶の前方の物体を検知するものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5873676号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のように検知装置が船首に設けられた場合、船舶の航行や離着岸に伴う振動、及び水しぶき等によって検知装置の配置位置のずれや破損、汚れの付着が生じ、検知機能が低下する虞がある。
本発明は、検知機能の低下を抑制できる検知装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、船舶に設けられ、前記船舶の前方に位置する所定の範囲を検知する検知装置であって、前記船舶の甲板よりも上方に起立して設けられる構造物に設けられ、且つ前記構造物の船首側に位置する箇所に設けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、検知機能の低下を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施の形態に係る船舶の側面図である。
図2】船舶の平面図である。
図3】検知装置のブロック図である。
図4】検知装置プロセッサによるカメラのキャリブレーションを示す図である。
図5】カメラのキャリブレーションに係る動作を示すフローチャートである。
図6】ミリ波レーダのキャリブレーションに係る動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る船舶1の側面図である。図2は、船舶1の平面図である。図1、及び図2において、符号FRは、水上を航行可能な状態における船舶1の前方を示し、符号UPは、当該船舶1の上方を示し、符号LHは、当該船舶1の左方を示す。以下の説明において、特に説明がない限り、各方向は、これらの船舶の方向に沿った方向である。
【0009】
図1図2に示すように、船舶1は、船体2と、当該船体2の上面を覆う甲板4とを備える。船体2の平面視で、船舶1の前後方向における略中央には、キャビン6が設けられる。このキャビン6は、図2に示すように、甲板4から所定の高さで上方に突出して形成される、略箱状の構造物である。キャビン6の前方には、操縦室5が設けられる。すなわち、キャビン6の前方側は、所謂船橋として機能する。キャビン6は、当該キャビン6の天面を形成する天井部7を備える。この天井部7は、甲板4よりも上方に位置する。
船体2の後方には、船舶1の推進機関として機能する船外機8が設けられる。本実施の形態では、船舶1には、船体2の後端に一対の船外機8が設けられる。
【0010】
船舶1には、検知装置ユニット10が設けられる。検知装置ユニット10は、所定の検知装置を用いて、船舶1の状態、及び船舶1の周囲に位置する物体や物標を検知するものである。検知装置ユニット10は、カメラ12と、ミリ波レーダ14と、検知装置プロセッサ13(図3)と、検知装置メモリ15(図3)とを備える。
【0011】
カメラ12は、船舶1の前方側を撮影する撮影装置として機能するものである。本実施の形態では、カメラ12は、筐体の前面に2つのレンズが並ぶ、所謂ステレオカメラである。以下、このカメラ12が撮影可能な範囲を撮影範囲A1(図4)という。
ミリ波レーダ14は、ミリ波を船舶1の前方における所定の範囲に照射して、当該船舶1の前方の物標や物体を検知したり、物標や物体との距離を測距したりする電波センサとして機能するものである。以下、ミリ波レーダ14が検知可能な範囲をレーダ検知範囲という。
これらのカメラ12と、ミリ波レーダ14とは、本開示の「検知装置」に相当する。撮影範囲A1と、レーダ検知範囲とは、本開示の「検知範囲」に相当する。
【0012】
カメラ12と、ミリ波レーダ14とは、いずれもキャビン6の天井部7の上面に設けられる。これによって、カメラ12と、ミリ波レーダ14とは、甲板4を含む船体2よりも上方、且つ船体2の船首3よりも後方に配置される。このため、カメラ12と、ミリ波レーダ14とは、撮影範囲A1と、レーダ検知範囲との各々に、船首3を含めることができ、検知装置ユニット10が船首3の状態を検知することができる。
【0013】
キャビン6の天井部7の上面において、カメラ12と、ミリ波レーダ14とは、いずれも前方側に設けられる。これによって、カメラ12と、ミリ波レーダ14とは、甲板4を含む船体2に設けるよりも振動が少なく、波や漂流物が接触する虞が低くなる。このため、カメラ12と、ミリ波レーダ14とは、設置位置の位置ずれや、破損、汚れ等が抑制され、検知機能の低下が抑制される。
本実施の形態では、カメラ12と、ミリ波レーダ14とは、船舶1の左右方向に沿って並べて配置される。
【0014】
本実施の形態では、カメラ12と、ミリ波レーダ14とは、いずれも脚部を介して天井部7に取り付けられる。脚部の各々は、カメラ12のレンズの向かう方向や、とミリ波レーダ14のミリ波の照射方向が調節可能となるようにカメラ12と、ミリ波レーダ14とを支持する。ユーザは、この脚部を操作することで、カメラ12と、ミリ波レーダ14との方向を調整可能である。
【0015】
船舶1の船首3において、甲板4の上面には、マーカボード16と、コーナリフレクタ18とが設けられる。本実施の形態では、マーカボード16と、コーナリフレクタ18とは、船首3の先端に接近した位置である、所謂舳先に配置される。マーカボード16と、コーナリフレクタ18とは、船舶1の左右方向に沿って並べて配置される。
【0016】
マーカボード16は、カメラ12の所謂キャリブレーション用具として機能する板状部材である。マーカボード16は、一方の平面がキャビン6の前面に対向するように配置される。当該平面には、キャリブレーションのターゲットとなるマーカ17が描かれる。本実施の形態では、マーカ17は、所謂チェッカーボードパターンである(図4)。
なお、船舶1は、マーカボード16に限らず、球体や直方体等の立体物やワンド等をキャリブレーション用具として備えてもよい。また、マーカ17は、チェッカーボードパターンに限らず、円や、十字、ARマーカ等、空間上の所定点と対応する特徴点がカメラ12の撮影画像上で点として認識できるものであれば、どのようなものでもよい。
【0017】
コーナリフレクタ18は、当該ミリ波レーダ14の所謂キャリブレーション用具として機能する部材である。このコーナリフレクタ18は、光や電波を所定方向に、所定のRCS(Radar Cross Section)値で反射するものである。すなわち、コーナリフレクタ18は、ミリ波レーダ14から照射されるミリ波を反射可能に形成される。コーナリフレクタ18は、天井部7の前端に対向するように配置される。なお、船舶1には、所定のRCS値や所定の波長等、所定の特性でミリ波を反射するものであれば、コーナリフレクタ18に限らず、どのようなキャリブレーション用具が設けられていてもよい。
マーカ17と、コーナリフレクタ18とは、本開示の「マーカ」に相当する。
【0018】
このように、マーカボード16と、コーナリフレクタ18とが甲板4上に配置されることで、カメラ12と、ミリ波レーダ14と共に、これらのマーカボード16と、コーナリフレクタ18とが船舶1の艤装品として当該船舶1に設けられる。これによって、船舶1では、波による船舶1の揺れや、船舶1の設置状態に関わらず、カメラ12と、ミリ波レーダ14に対する所定の位置に、マーカボード16と、コーナリフレクタ18とが配置される。このため、船舶1では、波による船舶1の揺れや、船舶1の設置状態に関わらず、マーカボード16、またはコーナリフレクタ18を用いて、カメラ12、あるいはミリ波レーダ14のキャリブレーションを行うことができる。
【0019】
また、マーカボード16と、コーナリフレクタ18とは、各々がカメラ12やミリ波レーダ14の検知に好適に用いられるキャリブレーション器具である。このため、検知装置ユニット10は、マスト等の既存の艤装品をマーカとするよりもより確実かつ正確にキャリブレーションを行うことが可能である。
【0020】
さらに、甲板4上において、マーカボード16と、コーナリフレクタ18とは、船首3の先端に接近した位置に配置される。これによって、キャビン6の前方側における甲板4の上面において、マーカボード16と、コーナリフレクタ18とは、カメラ12と、ミリ波レーダ14とから最も離間した位置に配置される。このため、船舶1では、撮影範囲A1と、レーダ検知範囲との各々に、船首3を含めつつ、船舶1の前方側におけるより広い範囲を検知装置ユニット10が処理することができる。
【0021】
図3は、検知装置ユニット10の機能的構成を示すブロック図である。
検知装置ユニット10が備える検知装置プロセッサ13は、CPU(Central Processing Unit)やMPC(Micro Processing Unit)等のプロセッサである。検知装置プロセッサ13は、検知装置メモリ15が記憶する制御プログラム40を読み出して実行することで、図3に示す各機能部を実現する。
なお、この検知装置プロセッサ13は、制御プログラム40を実行可能なプロセッサを備える任意のコンピュータを用いることができる。また、これらの機能部の一部、又は全部を専用のハードウェアによって構成してもよい。
【0022】
検知装置メモリ15は、プログラムやデータを記憶する記憶部である。検知装置メモリ15は、不揮発性の記憶領域を有し、検知装置プロセッサ13の各機能部を実現するための制御プログラム40を格納する。
検知装置メモリ15は、揮発性の記憶領域を備え、各種情報やデータを一時的に記憶する、所謂ワーキングメモリとしても機能する。例えば、検知装置メモリ15には、カメラ12が撮影する画像や、ミリ波レーダ14の検知データ、検知装置プロセッサ13の処理によって生成されるデータや情報が一時的に格納される。
【0023】
本実施の形態では、検知装置プロセッサ13と、検知装置メモリ15とは、カメラ12に一体に設けられる。なおこれに限らず、検知装置プロセッサ13と、検知装置メモリ15とは、ミリ波レーダ14と一体に設けられてもよい。また、船舶1に設けられ、例えば船外機8等の制御を行うプロセッサ、及びメモリが検知装置プロセッサ13、及び検知装置メモリ15の機能を備えてもよい。また例えば、検知装置プロセッサ13と、検知装置メモリ15とは、ユーザが持ち運び可能なタブレット等の端末装置や、船舶1の外部に設置される処理装置等の、船舶1から独立して設けられる装置に設けられてもよい。
【0024】
図3に示すように、検知装置プロセッサ13は、物体認識部19と、検知結果取得部20と、基準位置設定部22と、マーカ検出部24と、検知範囲処理部26と、報知制御部28とを備える。
物体認識部19は、カメラ12の画像やミリ波レーダ14の検知データに基づいて、船舶1の前方における物体や物標、船首3等の認識や、当該物体や物標等と、船舶1との距離の計測等を行う。
検知結果取得部20は、カメラ12が撮影した画像と、ミリ波レーダ14の検知データとを取得する。
【0025】
図4は、検知装置プロセッサ13によるカメラ12のキャリブレーションを示す図である。図4において、符号UPは、画像42における上方を示し、符号LHは、画像42における左方を示す。なお、図4において、T1、T2、T3は、カメラ12によって画像42に撮影された物体であり、Tは、船舶1の前方に位置する他の船舶、T2は、船舶1の前方に位置する陸地、T3は、船舶1の前方に位置する水平線である。
【0026】
基準位置設定部22は、検知結果取得部20が取得した画像と、ミリ波レーダ14の検知データとにレーダ基準点を設定する。
具体的には、図4に示すように、検知結果取得部20が画像の一例である画像42を取得した場合において、基準位置設定部22は、画像42に基準点P1を設定する。この画像42は、カメラ12の撮影範囲A1全体を撮影したものである。すなわち、検知装置プロセッサ13において、撮影範囲A1は、画像42で示されるような矩形の平面として処理される。本実施の形態では、基準位置設定部22は、撮影範囲A1の矩形の外縁を認識し、当該撮影範囲A1の略中央に基準点P1を配置する。換言すれば、撮影範囲A1の上下方向における略中央、且つ撮影範囲A1の左右方向における略中央に配置される。
【0027】
検知結果取得部20がミリ波レーダ14の検知データを取得した場合においても、基準位置設定部22は、当該検知データにレーダ基準点を設定する。この検知データは、ミリ波レーダ14のレーダ検知範囲に相当する。本実施の形態では、基準位置設定部22は、レーダ検知範囲を認識し、当該レーダ検知範囲の所定位置にレーダ基準点を設定する。
【0028】
マーカ検出部24は、検知結果取得部20が取得した画像にマーカ17が撮影されているか否かを判定する。同様に、マーカ検出部24は、検知結果取得部20が取得した検知データにコーナリフレクタ18が検知されているか否かを判定する。
【0029】
検知結果取得部20が画像を取得した場合において、図4に示すように、マーカ検出部24は、画像42にマーカ17が撮像されているか否かを判定する。本実施形態では、マーカ検出部24は、マーカ17を特徴点として検出し、画像42にマーカ17が撮像されていると判定する。本実施形態では、マーカ17は、チェッカーボードパターンであるため、画像にマーカ17が撮像されている場合、当該マーカ17の白黒の四角形の交差点位置がそれぞれマーカ座標、すなわち特徴点としてマーカ検出部24に検出される。
【0030】
検知結果取得部20がミリ波レーダ14の検知データを取得した場合においても、マーカ検出部24は、検知結果取得部20が取得したデータに、コーナリフレクタ18の反射波が記録されているか否かを判定する。コーナリフレクタ18の反射波が記録されている場合、マーカ検出部24は、当該反射波が記録される位置を特徴点として検出し、検知データにコーナリフレクタ18が検知されていると判定する。
【0031】
検知結果取得部20が取得した画像にマーカ17が撮影されていると判定した場合には、マーカ検出部24は、撮影範囲A1における基準点P1とマーカ17との距離を計測し、当該距離が所定値以下であるか否かを判定する。同様に、マーカ検出部24は、検知結果取得部20が取得した検知データにおけるレーダ基準点とコーナリフレクタ18との距離を計測し、当該距離が所定値以下であるか否かを判定する。
【0032】
例えば、図4に示すように、マーカ検出部24は、検知結果取得部20が取得した画像42にマーカ17が撮影されていると判定した場合には、基準点P1とマーカ17とが離間する距離を計測し、当該距離が所定値以下であるか否かを判定する。
【0033】
検知範囲処理部26は、撮影範囲A1における基準点P1とマーカ17との距離が所定値以下であるとマーカ検出部24が判定した場合、撮影範囲A1の内部に、当該基準点P1を基準とする処理範囲B1を設定する。同様に、検知範囲処理部26は、検知データにおけるレーダ基準点とコーナリフレクタ18との距離を計測し、当該距離が所定値以下であるとマーカ検出部24が判定した場合、レーダ検知範囲の内部に、当該レーダ基準点を基準とするレーダ処理範囲を設定する。
【0034】
処理範囲B1と、レーダ処理範囲とは、いずれも船舶1の前方の所定範囲、及び船首3を確実に内側に収め、物体認識部19が検知可能な範囲である。
処理範囲B1と、レーダ処理範囲とは、本開示の「処理範囲」に相当する。
【0035】
図4に示すように、撮影範囲A1における基準点P1とマーカ17とが離間する距離が所定値以下であるとマーカ検出部24が判定した場合、検知範囲処理部26は、撮影範囲A1の内側に、矩形状の処理範囲B1を設定する。この処理範囲B1は、略中央に基準点P1が位置する。
【0036】
検知データにおけるレーダ基準点とコーナリフレクタ18とが離間する距離を計測し、当該距離が所定値以下であるとマーカ検出部24が判定した場合、検知範囲処理部26は、レーダ検知範囲の内側に、レーダ処理範囲を設定する。このレーダ処理範囲の内側の所定位置には、レーダ基準点が位置する。
【0037】
このように設定された処理範囲B1と、レーダ処理範囲とは、いずれも検知装置メモリ15に記憶される。処理範囲B1と、レーダ処理範囲とが検知装置メモリ15に記憶されると、物体認識部19は、当該処理範囲B1と、当該レーダ処理範囲の内側のみで物体や物標、及び船首3等の認識を行う。これによって、船舶1では、カメラ12と、ミリ波レーダ14とのキャリブレーションが行われ、より確実に船舶1の前方、及び船首3の検知ができる。
【0038】
報知制御部28は、画像にマーカ17が撮影されていない、あるいは検知データにコーナリフレクタ18が検知されていない、とマーカ検出部24が判定した場合に、船舶1に設けられる各種の出力装置を介して、ユーザに報知を行う。
同様に、報知制御部28は、基準点P1とマーカ17との距離が所定値以下でない、あるいはレーダ基準点とコーナリフレクタ18との距離が所定値以下でないと判定した場合に、船舶1に設けられる各種の出力装置を介して、ユーザに報知を行う。
【0039】
この報知は、カメラ12のレンズが向かう方向、あるいはミリ波レーダ14のミリ波照射の方向を調整することをユーザに促すものである。
出力装置は、例えば、船舶の所定箇所に設けられる各種の表示装置や、スピーカ等の音声出力装置のような報知装置である。本実施形態では、報知制御部28は、操縦室5に設けられるディスプレイ50に所定の報知を表示させる。
なお、これに限らず、出力装置は、ユーザが持ち運び可能なタブレット等の端末装置に設けられてもよい。
【0040】
これによって、船舶1では、船舶1の前方、及び船首3を検知するために適切でない範囲の検知をカメラ12やミリ波レーダ14が行うことが抑制される。このため、船舶1では、カメラ12と、ミリ波レーダ14とのキャリブレーションが行われ、より確実に船舶1の前方、及び船首3の検知ができる。
【0041】
本実施形態では、カメラ12、及びミリ波レーダ14のキャリブレーションは、船舶1がドックや陸上に配置される場合、あるいは水上で停泊する場合等に行われる。当該キャリブレーションは、汚れの付着や故障等といった、マーカの検知精度の低下を招くような状態にカメラ12、及びミリ波レーダ14がないことがユーザによって確認された上で行われることが望ましい。
なお、カメラ12、及びミリ波レーダ14のキャリブレーションは、船舶1の航行時において、所定の時間が経過する毎に行われてもよい。
【0042】
図5は、カメラ12のキャリブレーションに係る動作を示すフローチャートである。
船舶1において、カメラ12のキャリブレーションを行う場合には、まず、カメラ12が撮影した画像を検知結果取得部20が取得する(ステップSA1)。
【0043】
次いで、検知結果取得部20が取得した画像の所定位置に、基準位置設定部22が基準点P1を設定する(ステップSA2)。
【0044】
次いで、マーカ検出部24は、検知結果取得部20が取得した画像にマーカ17が撮影されているか否かを判定する(ステップSA3)。
【0045】
検知結果取得部20が取得した画像にマーカ17が撮影されていると判定した場合(ステップSA3:YES)、マーカ検出部24は、基準点P1と、マーカ17との距離を計測し、当該距離が所定値以下であるか否かを判定する(ステップSA4)。
【0046】
当該距離が所定値以下であると判定した場合、(ステップSA4:YES)、検知範囲処理部26は、当該基準点P1を基準とする処理範囲B1を設定する。
【0047】
この後、検知範囲処理部26は、処理範囲B1を検知装置メモリ15に記憶させる(ステップSA6)。これによって、カメラ12のキャリブレーションが行われる。
【0048】
ステップSA3において、検知結果取得部20が取得した画像にマーカ17が撮影されていない、とマーカ検出部24が判定した場合(ステップSA3:NO)、報知制御部28は、カメラ12の配置位置や、設置角度の調整をユーザに促す報知を、ディスプレイ50に表示させる。
【0049】
同様に、ステップSA4において、基準点P1とマーカ17との距離が所定値以下でない、とマーカ検出部24が判定した場合(ステップSA3:NO)、報知制御部28は、カメラ12の配置位置や、設置角度の調整をユーザに促す報知を、ディスプレイ50に表示させる。
【0050】
図6は、ミリ波レーダ14のキャリブレーションに係る動作を示すフローチャートである。
船舶1において、ミリ波レーダ14のキャリブレーションを行う場合には、まず、ミリ波レーダ14が検知した検知データを検知結果取得部20が取得する(ステップSB1)。
【0051】
次いで、検知結果取得部20が取得した検知データの所定位置に、基準位置設定部22がレーダ基準点を設定する(ステップSB2)。
【0052】
次いで、マーカ検出部24は、検知結果取得部20が取得した検知データにコーナリフレクタ18が検知されているか否かを判定する(ステップSB3)。
【0053】
検知結果取得部20が取得した検知データにコーナリフレクタ18が検知されていると判定した場合(ステップSB3:YES)、マーカ検出部24は、レーダ基準点と、コーナリフレクタ18との距離を計測し、当該距離が所定値以下であるか否かを判定する(ステップSB4)。
【0054】
当該距離が所定値以下であると判定した場合、(ステップSB4:YES)、検知範囲処理部26は、当該レーダ基準点を基準とするレーダ処理範囲を設定する。
【0055】
この後、検知範囲処理部26は、レーダ処理範囲を検知装置メモリ15に記憶させる(ステップSB6)。これによって、ミリ波レーダ14のキャリブレーションが行われる。
【0056】
ステップSB3において、検知結果取得部20が取得した検知データにコーナリフレクタ18が検知されていない、とマーカ検出部24が判定した場合(ステップSB3:NO)、報知制御部28は、ミリ波レーダ14の配置位置や、設置角度の調整をユーザに促す報知を、ディスプレイ50に表示させる。
【0057】
同様に、ステップSB4において、レーダ基準点とコーナリフレクタ18との距離が所定値以下でない、とマーカ検出部24が判定した場合(ステップSB3:NO)、報知制御部28は、ミリ波レーダ14の配置位置や、設置角度の調整をユーザに促す報知を、ディスプレイ50に表示させる。
【0058】
以上説明したように、本実施形態によれば、船舶1には、船舶1の前方に位置する所定の範囲を検知するカメラ12、及びミリ波レーダ14が設けられる。カメラ12、及びミリ波レーダ14は、船舶1の甲板4よりも上方に起立して設けられるキャビン6に設けられ、且つキャビン6の船首3側に位置する箇所に設けられる。
これによって、カメラ12と、ミリ波レーダ14とは、甲板4を含む船体2に設けるよりも振動が少なく、波や漂流物が接触する虞が低くなる。このため、カメラ12と、ミリ波レーダ14とは、設置位置の位置ずれや、破損、汚れ等が抑制され、検知機能の低下が抑制される。
【0059】
また、本実施形態によれば、カメラ12、及びミリ波レーダ14は、キャビン6の天井部7に設けられる。
これによって、カメラ12と、ミリ波レーダ14とは、甲板4を含む船体2よりも上方、且つ船体2の船首3よりも後方に配置される。このため、カメラ12と、ミリ波レーダ14とは、撮影範囲A1と、レーダ検知範囲との各々に、船首3を含めることができ、検知装置ユニット10が船首3の状態を検知することができる。
【0060】
また、本実施形態によれば、甲板4には、マーカ17、及びコーナリフレクタ18が設けられる。カメラ12、及びミリ波レーダ14は、マーカ17、及びコーナリフレクタ18を検知して、当該マーカ17、及びコーナリフレクタ18を基準とする所定の範囲である処理範囲B1、及びレーダ処理範囲の内側にある物体を検知する。
これによって、船舶1では、波による船舶1の揺れや、船舶1の設置状態に関わらず、カメラ12と、ミリ波レーダ14に対する所定の位置に、マーカボード16と、コーナリフレクタ18とが配置される。このため、船舶1では、波による船舶1の揺れや、船舶1の設置状態に関わらず、マーカボード16、またはコーナリフレクタ18を用いて、カメラ12、あるいはミリ波レーダ14のキャリブレーションを行うことができる。
【0061】
また、本実施形態によれば、マーカ17、及びコーナリフレクタ18は、甲板4の船首3に接近した位置に設けられる。
これによって、キャビン6の前方側における甲板4の上面において、マーカボード16と、コーナリフレクタ18とは、カメラ12と、ミリ波レーダ14とから最も離間した位置に配置される。このため、船舶1では、撮影範囲A1と、レーダ検知範囲との各々に、船首3を含めつつ、船舶1の前方側におけるより広い範囲を検知装置ユニット10が処理することができる。
【0062】
また、本実施形態によれば、基準点P1、及びレーダ基準点からマーカ17、及びコーナリフレクタ18が所定値以下で離間しているとマーカ検出部24が判定した場合、検知範囲処理部26は、処理範囲B1、及びレーダ処理範囲を設定する。
これによって、船舶1では、カメラ12と、ミリ波レーダ14とのキャリブレーションが行われる。このため、カメラ12と、ミリ波レーダ14とは、より確実に船舶1の前方、及び船首3の検知ができる。
【0063】
また、本実施形態によれば、基準点P1、及びレーダ基準点からマーカ17、及びコーナリフレクタ18が所定値以上離間しているとマーカ検出部24が判定した場合、報知制御部28は、ディスプレイ50に報知させる。
これによって、船舶1では、船舶1の前方、及び船首3を検知するために適切でない範囲の検知をカメラ12やミリ波レーダ14が行うことが抑制される。このため、船舶1では、カメラ12と、ミリ波レーダ14とのキャリブレーションが行われ、より確実に船舶1の前方、及び船首3の検知ができる。
【0064】
また、本実施形態によれば、マーカ17、及びコーナリフレクタ18が検知されないとマーカ検出部24が判定した場合、報知制御部28は、ディスプレイ50に報知させる。
これによって、船舶1では、船舶1の前方、及び船首3を検知するために適切でない範囲の検知をカメラ12やミリ波レーダ14が行うことが抑制される。このため、船舶1では、カメラ12と、ミリ波レーダ14とのキャリブレーションが行われ、より確実に船舶1の前方、及び船首3の検知ができる。
【0065】
上述した実施形態は、本発明の一態様を例示したものであって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で任意に変形、及び応用が可能である。
【0066】
例えば、マーカ検出部24は、マーカの認識強度が所定値以上か否かを判定することで、検知装置であるカメラ12、及びミリ波レーダ14の性能を判定してもよい。
具体的には、検知結果取得部20が画像を取得した場合において、マーカ検出部24は、画像42にマーカ17が撮像されているか否かを判定した後に、マーカ17の形状の判定を行ってもよい。この判定では、マーカ検出部24は、検出したマーカ17の形状と、検知装置メモリ15に記憶されたマーカ17の形状とを比較する。そして、これらの形状の一致点が所定数以上である場合、マーカ検出部24は、マーカ17が正常に検知されている、すなわち、カメラ12の性能が正常である、と判定する。
【0067】
一方、検出したマーカ17の形状と、検知装置メモリ15に記憶されたマーカ17の形状との一致点が所定数以下である場合、マーカ検出部24は、マーカ17が正常に検知されていない、すなわち、カメラ12の性能に異常がある、と判定する。当該一致点が所定数以下である場合、カメラ12には、故障や、レンズ等に汚れが付着することによる撮影機能の低下が生じていることが想定される。
カメラ12の性能に異常がある、と判定した場合、報知制御部28は、カメラ12の撮影機能に異常があることを示す報知をディスプレイ50に表示させる。
【0068】
同様に、検知結果取得部20がミリ波レーダ14の検知データを取得した場合において、マーカ検出部24は、検知データにコーナリフレクタ18が検知されているか否かを判定した後に、コーナリフレクタ18から反射された電波強度が所定値以上か否かを判定してもよい。この判定では、マーカ検出部24は、検出した電波強度と、検知装置メモリ15に記憶された電波強度の所定値とを比較する。そして、検出した電波強度が所定値以上である場合、マーカ検出部24は、コーナリフレクタ18が正常に検知されている、すなわち、ミリ波レーダ14の性能が正常である、と判定する。
【0069】
一方、検出した電波強度が所定値以下である場合、マーカ検出部24は、コーナリフレクタ18が正常に検知されていない、すなわち、ミリ波レーダ14の性能に異常がある、と判定する。検出した電波強度が所定値以下である場合、ミリ波レーダ14には、故障や、センサ等に汚れが付着することによる検知機能の低下が生じていることが想定される。
ミリ波レーダ14の性能に異常がある、と判定した場合、報知制御部28は、ミリ波レーダ14の検知機能に異常があることを示す報知をディスプレイ50に表示させる。
【0070】
上述した検出したマーカ17の形状と、検知装置メモリ15に記憶されたマーカ17の形状と形状の一致点数と、コーナリフレクタ18から反射された電波強度とは、本開示の「認識強度」に相当する。また、上述したカメラ12、あるいはミリ波レーダ14の検知機能に異常があることを示す報知は、本開示の「第1報知内容」に相当する。
【0071】
これによって、カメラ12、及びミリ波レーダ14に故障や、汚れが付着することによる機能の低下が生じた場合には、検知装置ユニット10は、ユーザに当該カメラ12、及びミリ波レーダ14の性能低下を報知することができる。このため、検知装置ユニット10は、カメラ12、及びミリ波レーダ14の性能を回復させる処理をユーザに促すことができる。
【0072】
なお、上述したカメラ12、及びミリ波レーダ14の性能の判定は、マーカ検出部24に限らず、検知装置ユニット10が備える他の所定の機能部が実施してもよい。
【0073】
また例えば、検知結果取得部20が画像を取得した場合において、マーカ検出部24は、マーカ17の複数の特徴点を検出し、当該特徴点が所定値以上検出された場合にマーカ検出部24は、マーカ17が正常に検知されていると判定してもよい。
また例えば、検知装置ユニット10は、画像処理部を備え、画像42に撮影されたマーカボード16や物体の輪郭を境界として検出し、当該境界のにじみ具合の強度を画像処理部が判定することでカメラ12、及びミリ波レーダ14の性能の判定を行ってもよい。
【0074】
さらに、マーカ検出部24は、カメラ12、あるいはミリ波レーダ14の機能に異常があることを示す報知を報知制御部28がディスプレイ50に表示させた後に、マーカの認識強度が所定値以上か否かを判定してもよい。
そして、カメラ12、あるいはミリ波レーダ14の性能が正常である、と判定した場合、報知制御部28は、カメラ12、あるいはミリ波レーダ14の性能が正常であることを示す報知をディスプレイ50に表示させてもよい。
これによって、検知装置ユニット10は、汚れふき取り等のユーザによるカメラ12、及びミリ波レーダ14の性能を回復させる処理等によって、カメラ12、及びミリ波レーダ14の性能を回復したことをユーザに報知することができる。このため、検知装置ユニット10は、カメラ12、及びミリ波レーダ14の状態をより詳細にユーザに報知できる。
上述したカメラ12、あるいはミリ波レーダ14の性能が正常であることを示す報知は、本開示の「第2報知内容」に相当する。
【0075】
なお、マーカ検出部24は、カメラ12、あるいはミリ波レーダ14の機能に異常があることを示す報知を報知制御部28がディスプレイ50に表示させた後に、所定の間隔を空けて、マーカの認識強度が所定値以上か否かの判定を複数回実施してもよい。また例えば、マーカ検出部24によるマーカの認識強度が所定値以上か否かの判定は、ユーザがコントローラ等を介して、検知装置ユニット10に実施させてもよい。
【0076】
上述した実施形態では、カメラ12とミリ波レーダ14とは、キャビン6に設けられるとしたが、これに限らず、浮翼やマスト等、甲板4よりも上方に突出する構造物であれば、どのようなものであってもよい。
【0077】
上述した実施形態では、マーカボード16とコーナリフレクタ18とは、甲板4に設けられるとしたが、これに限らず、手すり等、甲板4よりも上方に突出する構造物に設けられてもよい。
【0078】
上述した実施形態では、船舶1は、カメラ12と、ミリ波レーダ14との2つの検知装置を備えるとしたが、これに限らず、船舶1は、1つ、あるいは3つ以上の検知装置を備えてもよい。
【0079】
上述した実施形態では、船舶1は、ミリ波レーダ14を備えるとしたが、これに限らず、超音波レーダや、ライダー(LIDAR:Light Detection and Ranging)等の他の電波センサや光学センサであってもよい。
【0080】
図5図6に示す動作のステップ単位は、動作の理解を容易にするために、主な処理内容に応じて分割したものであり、処理単位の分割の仕方や名称によって、動作が限定されることはない。処理内容に応じて、さらに多くのステップ単位に分割してもよい。また、1つのステップ単位がさらに多くの処理を含むように分割してもよい。また、そのステップの順番は、本開示の趣旨に支障のない範囲で適宜に入れ替えてもよい。
【0081】
検知装置プロセッサ13は、単一のプロセッサにより構成されてもよいし、複数のプロセッサにより構成されてもよい。検知装置プロセッサ13は、対応する機能部を実現するようプログラムされたハードウェアでもよい。すなわち、検知装置プロセッサ13は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)で構成される。
【0082】
検知装置プロセッサ13が実行する制御プログラム40は、可搬型の情報記録媒体に制御プログラム40を記録させた状態で実現することも可能である。情報記録媒体は、ハードディスク等の磁気的記録媒体、CD等の光学的記録媒体、USB(Universal Serial Bus)メモリやSSD(Solid State Drive)等の半導体記憶デバイスが挙げられるが、その他の記録媒体を用いることも可能である。
【0083】
上述した実施形態に記載した方向や各種の数値、及び形状は、特段の断りがない限り、それらの方向や数値、及び形状と同じ作用効果を奏する、所謂均等の範囲を含む。
【0084】
[上記実施の形態によりサポートされる構成]
上記実施の形態は、以下の構成をサポートする。
【0085】
(構成1)船舶に設けられ、前記船舶の前方に位置する所定の範囲を検知する検知装置であって、前記船舶の甲板よりも上方に起立して設けられる構造物に設けられ、且つ前記構造物の船首側に位置する箇所に設けられることを特徴とする検知装置。
この構成によれば、検知装置は、甲板を含む船体に設けるよりも振動が少なく、波や漂流物が接触する虞が低くなる。このため、検知装置は、設置位置の位置ずれや、破損、汚れ等が抑制され、検知機能の低下が抑制される。
【0086】
(構成2)前記構造物の上方に位置する箇所に設けられることを特徴とする構成1に記載の検知装置。
この構成によれば、検知装置は、甲板を含む船体よりも上方、且つ船体の船首よりも後方に配置される。このため、検知装置は、検知範囲の各々に、船首を含めることができ、検知装置が船首3の状態を検知することができる。
【0087】
(構成3)前記甲板には、マーカが設けられ、前記マーカを検知して、当該マーカを基準とする所定の範囲である処理範囲の内側にある物体を検知することを特徴とする構成1または構成2に記載の検知装置。
この構成によれば、船舶では、波による船舶の揺れや、船舶の設置状態に関わらず、検知装置に対する所定の位置に、マーカが配置される。このため、船舶では、波による船舶の揺れや、船舶の設置状態に関わらず、マーカを用いて、検知装置のキャリブレーションを行うことができる。
【0088】
(構成4)前記マーカは、前記甲板の船首に接近した位置に設けられることを特徴とする構成3に記載の検知装置。
この構成によれば、構造物の前方側における甲板の上面において、マーカは、検知装置から最も離間した位置に配置される。このため、船舶では、検知範囲の各々に、船首を含めつつ、船舶の前方側におけるより広い範囲を検知装置が処理することができる。
【0089】
(構成5)前記検知装置が検知可能な範囲である検知範囲の所定位置から前記マーカが所定値以下で離間していると判定した場合、前記処理範囲を設定することを特徴とする構成3または構成4のいずれかに記載の検知装置。
この構成によれば、船舶では、検知装置のキャリブレーションが行われる。このため、検知装置は、より確実に船舶の前方、及び船首の検知ができる。
【0090】
(構成6)前記検知装置が検知可能な範囲である検知範囲の所定位置から前記マーカが所定値以上離間していると判定した場合、報知装置に報知させることを特徴とする構成3から構成5のいずれかに記載の検知装置。
この構成によれば、船舶では、船舶の前方、及び船首を検知するために適切でない範囲の検知を検知装置が行うことが抑制される。このため、船舶では、検知装置のキャリブレーションが行われ、より確実に船舶1の前方、及び船首の検知ができる。
【0091】
(構成7)前記マーカが検知されない場合、前記報知装置に報知させることを特徴とする構成6に記載の検知装置。
この構成によれば、船舶では、船舶の前方、及び船首を検知するために適切でない範囲の検知を検知装置が行うことが抑制される。このため、船舶では、検知装置のキャリブレーションが行われ、より確実に船舶の前方、及び船首の検知ができる。
【0092】
(構成8)検知した前記マーカの認識強度が所定値以下である場合、前記報知装置に報知させることを特徴とする構成6に記載の検知装置。
この構成によれば、故障や、汚れが付着することによる機能の低下が生じた場合には、検知装置は、ユーザに性能低下を報知することができる。このため、検知装置は、当該検知装置の性能を回復させる処理をユーザに促すことができる。
【0093】
(構成9)検知した前記マーカの認識強度が所定値以下である場合、前記報知装置に第1報知内容を報知させ前記報知装置による第1報知内容を報知後に、検知した前記マーカの認識強度が所定値以上である場合、前記報知装置に第2報知内容を報知させることを特徴とする構成8に記載の検知装置。
この構成によれば、検知装置は、汚れふき取り等のユーザによる性能を回復させる処理等によって、性能が回復したことをユーザに報知することができる。このため、検知装置は、当該検知装置の状態をより詳細にユーザに報知できる。
【符号の説明】
【0094】
1 船舶
2 船体
3 船首
4 甲板
6 キャビン
7 天井部
10 検知装置ユニット
12 カメラ(検知装置)
13 検知装置プロセッサ
14 ミリ波レーダ(検知装置)
15 検知装置メモリ
16 マーカボード
17 マーカ
18 コーナリフレクタ(マーカ)
50 ディスプレイ(報知装置)
A1 撮影範囲(検知範囲)
B1 処理範囲
P1 基準点(所定位置)
図1
図2
図3
図4
図5
図6