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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023134980
(43)【公開日】2023-09-28
(54)【発明の名称】物品把持システム
(51)【国際特許分類】
   G01G 13/28 20060101AFI20230921BHJP
【FI】
G01G13/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022039963
(22)【出願日】2022-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000147833
【氏名又は名称】株式会社イシダ
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100180851
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼口 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100156395
【弁理士】
【氏名又は名称】荒井 寿王
(72)【発明者】
【氏名】竹岡 将史
(72)【発明者】
【氏名】立川 聡
【テーマコード(参考)】
2F046
【Fターム(参考)】
2F046DA07
(57)【要約】
【課題】動作時間を短縮できる物品把持システムを提供する。
【解決手段】物品把持システム1は、容器30に格納された物品群BSから一部の物品Bを把持して排出する物品把持システム1であって、物品Bを把持する把持部21を含む把持ユニット20と、容器30を移動させる容器駆動部31と、容器駆動部31を制御することで、把持部21に把持された物品Bと容器30に格納された物品群BSとが連続する第1状態から、把持部21に把持された物品Bと容器30に格納された物品群BSとが分離する第2状態に遷移させる制御部61と、を備え、制御部61は、物品Bに基づいて、第2状態における容器30と把持部21との距離を制御する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器に格納された物品群から一部の物品を把持して排出する物品把持システムであって、
前記物品を把持する把持部を含む把持ユニットと、
前記把持ユニット及び前記容器の少なくとも一方を移動させる駆動部と、
前記駆動部を制御することで、前記把持部に把持された前記物品と前記容器に格納された前記物品群とが連続する第1状態から、前記把持部に把持された前記物品と前記容器に格納された前記物品群とが分離する第2状態に遷移させる制御部と、を備え、
前記制御部は、前記物品に基づいて、前記第2状態における前記容器と前記把持部との距離を制御する、
物品把持システム。
【請求項2】
前記駆動部は、少なくとも鉛直方向において、前記把持ユニット及び前記容器の少なくとも一方を移動させ、
前記制御部は、前記物品の種類に基づいて、前記第2状態における前記容器と前記把持部との鉛直方向の距離を制御する、
請求項1に記載の物品把持システム。
【請求項3】
前記制御部は、前記物品の種類に基づいて、前記第2状態における前記容器と前記把持部との前記鉛直方向の距離が小さくなるように制御する、
請求項2記載の物品把持システム。
【請求項4】
前記物品の種類ごとに、前記第2状態における前記容器と前記把持部との前記鉛直方向の距離に関する距離情報を記憶する記憶部をさらに備え、
請求項2又は3に記載の物品把持システム。
【請求項5】
前記第2状態における前記物品の前記鉛直方向の長さを検知する検知部をさらに備え、
前記制御部は、前記検知部の検知結果に基づいて、前記第2状態における前記容器と前記把持部との距離を制御する、
請求項2~4の何れか一項に記載の物品把持システム。
【請求項6】
前記駆動部は、水平方向及び鉛直方向において、前記把持部及び前記容器の少なくとも一方を移動させ、
前記制御部は、前記駆動部により前記把持部及び前記容器の少なくとも一方を移動させる移動経路を、少なくとも第1経路と第2経路との間で選択的に変更可能であり、
前記第1経路は、直線経路を含み、
前記第2経路は、曲線経路を含む、
請求項1~5の何れか一項に記載の物品把持システム。
【請求項7】
前記把持ユニットは、複数の前記把持部と、複数の前記把持部のそれぞれにより把持された前記物品の重量値を取得する取得部と、を含み、
前記制御部は、前記取得部により取得された当該重量値に基づいて組合せ計算を行い、予め設定された目標重量値となる前記把持部の組合せを選択し、選択された前記把持部の把持を解除して前記物品を排出させる、請求項1~6の何れか一項に記載の物品把持システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品把持システムに関する。
【背景技術】
【0002】
物品把持システムとして、容器に格納された物品群から一部の物品を把持して排出するシステムが知られている。この種の技術として、例えば特許文献1には、物品群から一部の物品を把持手段(把持部)により把持し、把持された物品の重量を秤量手段により計測し、当該物品を所定場所に投入する装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6-3182号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような物品把持システムでは、通常、容器に対して把持部が一定の経路に沿って相対移動する。そのため、把持部に把持された物品を物品群から分離させる際、物品によっては、把持部及び容器が必要以上に大きく離れることになる場合がある。この場合、把持部の移動量が過大なものとなり、動作時間(動作に要する時間)が余計にかかってしまう可能性がある。
【0005】
本発明は、上記課題の解決のためになされたものであり、動作時間を短縮できる物品把持システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る物品把持システムは、容器に格納された物品群から一部の物品を把持して排出する物品把持システムであって、物品を把持する把持部を含む把持ユニットと、把持ユニット及び容器の少なくとも一方を移動させる駆動部と、駆動部を制御することで、把持部に把持された物品と容器に格納された物品群とが連続する第1状態から、把持部に把持された物品と容器に格納された物品群とが分離する第2状態に遷移させる制御部と、を備え、制御部は、物品に基づいて、第2状態における容器と把持部との距離を制御する。
【0007】
この物品把持システムでは、把持ユニットに把持された物品を物品群から分離させる際、物品に応じて、第2状態における容器と把持部との距離を制御する。例えば物品が長尺な麺等である場合、物品群から物品が分離しにくいため、制御部は、第2状態における容器と把持部との距離が大きくなるように制御する。一方、例えば物品が短尺なペンネ等である場合、物品群から物品が分離し易いため、制御部は、第2状態における容器と把持部との距離が小さくなるように制御する。このように、物品を物品群から分離させるために必要十分な距離となるように把持部及び容器の距離を制御することで、把持部及び容器の少なくとも一方の移動量が過大となることを抑制できる。したがって、動作時間を短縮できる。
【0008】
本発明に係る物品把持システムでは、駆動部は、少なくとも鉛直方向において、把持ユニット及び容器の少なくとも一方を移動させ、制御部は、物品の種類に基づいて、第2状態における容器と把持部との鉛直方向の距離を制御してもよい。これにより、物品の種類に基づいて、容器及び把持部が鉛直方向に必要以上に大きく離れることを抑制できる。
【0009】
本発明に係る物品把持システムでは、制御部は、物品の種類に基づいて、第2状態における容器と把持部との鉛直方向の距離が小さくなるように制御してもよい。これにより、物品に基づいて、容器及び把持部が鉛直方向に必要以上に大きく離れることを抑制できる。
【0010】
本発明に係る物品把持システムは、物品の種類ごとに、第2状態における容器と把持部との鉛直方向の距離に関する距離情報を記憶する記憶部をさらに備えてもよい。この場合、記憶部に記憶された距離情報を利用して、第2状態における容器と把持部との距離を、物品に応じた距離へ制御できる。
【0011】
本発明に係る物品把持システムは、第2状態における物品の鉛直方向の長さを検知する検知部をさらに備え、制御部は、検知部の検知結果に基づいて、第2状態における容器と把持部との距離を制御してもよい。この場合、検知部の検知結果を利用して、第2状態における容器と把持部との距離を、物品に応じた距離へ制御できる。
【0012】
本発明に係る物品把持システムでは、駆動部は、水平方向及び鉛直方向において、把持部及び容器の少なくとも一方を移動させ、制御部は、駆動部により把持部及び容器の少なくとも一方を移動させる移動経路を、少なくとも第1経路と第2経路との間で選択的に変更可能であり、第1経路は、直線経路を含み、第2経路は、曲線経路を含んでもよい。この場合、把持部及び容器の少なくとも一方の移動経路を、例えば物品の種類に応じて第1経路と第2経路との間で切り替えることが可能となる。
【0013】
本発明に係る物品把持システムでは、把持ユニットは、複数の把持部と、複数の把持部のそれぞれにより把持された物品の重量値を取得する取得部と、を含み、制御部は、取得部により取得された当該重量値に基づいて組合せ計算を行い、予め設定された目標重量値となる把持部の組合せを選択し、選択された把持部の把持を解除して物品を排出させてもよい。この場合、組合せ計量を行い、目標重量値の物品を排出可能となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、動作時間を短縮できる物品把持システムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、第1実施形態に係る物品把持システムを示す模式的な正面図である。
図2図2は、図1の搬送装置を示す模式的な斜視図である。
図3図3は、図1の物品把持システムの機能構成を示すブロック図である。
図4図4(a)及び図4(b)は、図1の物品把持システムの動作例を示す模式的な図である。
図5図5(a)及び図5(b)は、図1の物品把持システムの動作例を示す模式的な図である。
図6図6は、図1の物品把持システムの動作例を示す模式的な図である。
図7図7は、図1の物品把持システムの別の動作例を示す模式的な図である。
図8図8は、第2実施形態に係る物品把持システムの分離網を示す斜視図である。
図9図9(a)及び図9(b)は、容器の経路の一例を示す模式的な図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図面の説明において同一要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0017】
[第1実施形態]
まず、図1及び図2を参照して、第1実施形態に係る物品把持システム1の構成について説明する。図1に示される物品把持システム1は、容器30に格納された物品群から一部の物品を把持して排出する。物品把持システム1は、一部の物品の重量が目標重量の範囲内となるように、一部の物品を容器30から取り出し、当該物品を外部に排出する。すなわち、物品把持システム1は、物品群から所定の目標重量の物品を移動させる計量システムである。
【0018】
物品把持システム1により排出される物品は、例えば、物品把持システム1の後工程で袋に包装されたり、或いは、別の容器に収容されて商品として出荷される。物品は、例えば、スパゲティ等の麺類、ペンネ等の糖類を多く含む食品等である。物品は、高い粘性を有する食品でもよい。物品は、加熱された状態で容器に収容され、湯気等を生じている食品でもよい。或いは、物品は、軽量で且つ細かく、舞い上がりやすい食品でもよい。
【0019】
物品把持システム1は、物品を計量するための計量装置120と、計量装置120に隣接するように設けられ、計量された物品を搬送する図示しない搬送装置とを備える。計量装置120は、それぞれ複数の把持部21を含む把持ユニット20と、分離網22と、分離網22を駆動する分離網駆動部23(図2参照)と、物品群が載置される容器30と、容器30を上下方向及び左右方向にそれぞれ移動させる容器駆動部31とを備える。また、物品把持システム1は、把持ユニット20の各部及び容器駆動部31をそれぞれ制御する制御部61(図3参照)を備える。把持ユニット20、分離網22、分離網駆動部23、容器30、及び容器駆動部31は、計量装置120の例えば直方体状の本体フレーム80に取り付けられている。
【0020】
物品把持システム1では、例えば同一の構成を有する2つの把持ユニット20が、左右に並設されている。本実施形態では、把持ユニット20は、本体フレーム80に対して固定的に設けられている。以下の説明において、図1の正面視左側に配置された把持ユニット20は第1把持ユニット20Aと称されることがあり、正面視右側に配置された把持ユニット20は第2把持ユニット20Bと称されることがある。但し、共通する構成及び機能を説明するときには、単に把持ユニット20という名称が用いられる。
【0021】
把持ユニット20において、例えば、左右方向に並ぶ4つの把持部21が、前後方向(図1では、紙面に垂直な方向)に4列並べられている。このように、左右方向に並ぶ把持部21の個数をM、前後方向に並ぶ把持部21の個数をN(M,Nは何れも自然数)とすると、把持ユニット20は、(M×N)個の把持部21が格子点の位置に配列された構成を有する。本実施形態では、把持ユニット20は16個の把持部21を有する。容器30の形状や物品の種類等に応じて、把持ユニット20における把持部21の配列は適宜に変更されてもよい。MとNの両方又は何れか一方が4以外の自然数であってもよい。
【0022】
第1把持ユニット20A及び第2把持ユニット20Bを含めた全体において、左右方向に並ぶ8つの把持部21が、前後方向に4列並べられている。すなわち、計量装置120は、4つ×2台(一対)×4列=計32個(一般化すると(M×2×N)個)の把持部21を備える。
【0023】
以下では、図1における左右方向を水平方向D2と称し、前後方向を前後方向D3と称することがある。また、水平方向D2及び前後方向D3に直交する方向(図1では、上下方向)を鉛直方向D1と称することがある。
【0024】
各把持部21は、例えば複数の把持爪24を有しており、複数の把持爪24を閉じることで物品を把持する。各把持部21は、複数の把持爪24を駆動する把持部駆動部25を含む。把持部駆動部25は、例えば、モータ又は流体圧を駆動源として把持爪24を駆動する。
【0025】
把持ユニット20は、各把持部21に把持された物品の重量値を計量する複数の計量器(不図示)と、計量器から当該重量値を取得する取得部27(図3参照)とを有する。16個((M×N)個)の把持部21に対して、16個((M×N)個)の計量器が設けられている。把持ユニット20は、例えば1枚の板状の連結部材(不図示)を有している。各把持部21と、各計量器とは一体的に組み立てられている。各計量器の天面は、例えば取付金具(不図示)を介して連結部材に固定されている。各計量器の底面には、各把持部21が固定されている。
【0026】
各計量器は、ロードセル等を用いて、静止状態の把持部21が把持している物品の重量値を計測する。各計量器は、各把持部21の把持爪24に把持された物品の質量を算出する質量算出部である。計量器は、計測した物品の重量値に関する情報を取得部27に出力する。取得部27は、把持部21により把持された物品の重量値を取得する。当該重量値は、後述する組合せ計算に用いられる。
【0027】
分離網22は、複数の把持部21のそれぞれに把持された各物品を互いに分離する。図2に示されるように、分離網22は、矩形のマス目状を呈する。分離網22は、矩形枠状を呈する外枠22aと、外枠22aの対向する辺同士を互いに接続する分離部22bとを有する。分離部22bは、外枠22aのうち前後方向D3に対向する辺同士を互いに接続する3つの棒状部材と、外枠22aのうち水平方向D2に対向する辺同士を互いに接続する棒状部材とにより構成されている。これにより、分離部22bは、外枠22aの内部を格子状に16分割している。
【0028】
分離網駆動部23は、分離網22を鉛直方向D1に移動させる。分離網駆動部23は、分離網22に接続され、前後方向D3に延在するビーム41と、ビーム41を鉛直方向D1に移動させるリンク機構42と、リンク機構42を駆動させる駆動部(不図示)とを有する。なお、図2では、第1把持ユニット20A側(図1では左側)の分離網22及び分離網駆動部23のみ図示されており、第2把持ユニット20B側(図1では右側)の分離網22及び分離網駆動部23は図示されていない。ビーム41は、外枠22aの前後方向D3に延びる辺に沿うように分離網22に接続されている。ビーム41は、駆動部の駆動によりリンク機構42を介して鉛直方向D1に移動する。これにより、ビーム41に接続された分離網22が鉛直方向D1に移動する。
【0029】
図1の例では、分離網22は、最も高い位置に移動した状態において、把持爪24の先端(把持爪24における鉛直方向D1の先端)よりも上方に位置している。鉛直方向D1から見て、外枠22a及び分離部22bにより画定された各領域は、配列された複数の把持部21の各位置に対応している。図1に示されるように、分離網22が把持爪24の先端よりも上方に位置している状態では、各領域内には、各把持爪24が位置している。
【0030】
把持部21が物品を把持した状態において、例えば隣り合う把持部21により把持された物品同士が絡まり合うことがある。このとき、分離網駆動部23が分離網22を鉛直方向D1に移動させることにより、分離部22bが絡まり合った物品同士の間を移動する。これにより、分離網22は、複数の把持部21のそれぞれに把持された各物品を分離できる。
【0031】
容器30は、物品群が載置される部材である。容器30は、上方に向けて開放された直方体状の容器である。容器30は、平面視において、複数の把持部21よりも大きく、複数の把持部21を包囲できるような形状及び大きさを有する。容器30は、1つの把持ユニット20に丁度対応する形状及び大きさを有する。容器30は、水平移動及び鉛直移動する容器駆動部31の保持部15に載置されている。容器30は、例えば容器駆動部31により、第1把持ユニット20Aの下方に位置する第1位置と、第2把持ユニット20Bの下方に位置する第2位置との間を移動可能である。第1位置と第2位置とは左右方向に離れており、第1位置に位置する容器30が占有する領域と第2位置に位置する容器30が占有する領域とに重なりはない。
【0032】
また、容器30は、例えば容器駆動部31により、第1把持ユニット20Aにより容器30内の物品群から一部の物品を把持することが可能な第1把持位置と、第2把持ユニット20Bにより容器30内の物品群から一部の物品を把持することが可能な第2把持位置との間を移動可能である。一例として、第1把持位置は、第1位置の上方に位置しており、第1位置よりも第1把持ユニット20Aに近接した位置である。また、一例として、第2把持位置は、第2位置の上方に位置しており、第2位置よりも第2把持ユニット20Bに近接した位置である。第1把持位置と第2把持位置とは左右方向に離れており、第1把持位置に位置する容器30が占有する領域と第2把持位置に位置する容器30が占有する領域とに重なりはない。
【0033】
容器30が第1把持位置に位置する場合、第1把持ユニット20Aの把持部21は、容器30内の物品群から物品を把持可能である。このとき、第2把持ユニット20Bの把持部21は、容器30内の物品群から物品を把持することができない。また容器30が第2把持位置に位置する場合、第2把持ユニット20Bの把持部21は、容器30内の物品群から物品を把持可能である。このとき、第1把持ユニット20Aの把持部21は、容器30内の物品群から物品を把持することができない。
【0034】
容器30の内部に収容される物品群の量が減少すると、人又は機械によって、内部の物品群の量が減少した容器30が、新たな(物品群が多く収容されている)容器30と交換される。なお、容器30が交換される代わりに、物品把持システム1が、容器30に物品を供給するための物品供給機構を備えていてもよい。
【0035】
容器駆動部31は、モータ、流体圧を駆動源として、容器30を鉛直方向D1及び水平方向D2に移動させることで、保持部15に載置された容器30を移動させる。本実施形態では、容器駆動部31は、第1直線経路(直線経路)R11を含む第1経路R10に沿って容器30を移動させる。より具体的には、容器駆動部31は、鉛直方向D1に保持部15を移動させることで、容器30を第2直線経路R12に沿って第1把持位置及び第1位置の間で移動させる。容器駆動部31は、鉛直方向D1に保持部15を移動させることで、容器30を第3直線経路R13に沿って第2把持位置及び第2位置の間で移動させる。容器駆動部31は、水平方向D2に保持部15を移動させることで、容器30を第1直線経路R11に沿って第1位置及び第2位置の間で移動させる。
【0036】
容器駆動部31は、直方体状のフレーム44と、フレーム44に固定された駆動ボックス45と、駆動ボックス45に設けられた平行な2本の第1軸L1及び第2軸L2を中心にそれぞれ揺動可能な第1メインアーム部56A及び第2メインアーム部56Bと、第1メインアーム部56Aの先端及び第2メインアーム部56Bの先端にそれぞれ回動可能に連結された第1サブアーム部57A及び第2サブアーム部57Bとを有する。第1軸L1及び第2軸L2は、前後方向D3に延びる。第1サブアーム部57Aの先端及び第2サブアーム部57Bの先端はそれぞれ保持部15の後端に回動可能に連結されている。これらのリンク機構により、保持部15が支持されている。
【0037】
第1メインアーム部56A及び第2メインアーム部56Bは、それぞれ、駆動ボックス45に収容された別個のモータによって任意の方向を向くように揺動する。第1メインアーム部56A及び第2メインアーム部56Bに対する第1サブアーム部57A及び第2サブアーム部57Bの各回動軸は、第1軸L1及び第2軸L2に平行である。例えば、第2メインアーム部56Bに対する第2サブアーム部57Bの回動角度がロッド58等を介して調整可能となっている。保持部15に対する第1サブアーム部57A及び第2サブアーム部57Bの各回動軸も、第1軸L1及び第2軸L2に平行である。第1軸L1及び第2軸L2の位置を固定点として、第1メインアーム部56A、第1サブアーム部57A、第2メインアーム部56B、第2サブアーム部57B、及び保持部15が六角形のうちの五辺を構成している。容器駆動部31は、これらの構成により2軸パラレルリンク機構を有している。容器駆動部31は、制御部61によって制御されて各アーム部を回動させることで、保持部15を鉛直方向D1及び水平方向D2に移動させる。
【0038】
制御部61の制御により、保持部15は水平な姿勢を維持しつつ、第1位置、第1把持位置、第2位置、第2把持位置に移動自在である。これにより、第1把持ユニット20Aに対する容器30の相対位置、第2把持ユニット20Bに対する容器30の相対位置が調整自在となっている。なお、上記構成に限られず、容器駆動部31が、保持部15を左右方向に移動させる左右移動機構と、保持部15を鉛直方向に移動させる鉛直移動機構とを有してもよい。そのような2軸駆動機構によっても、容器30の位置を調整自在である。
【0039】
容器駆動部31は、保持部15及び容器30を上昇させることで、把持ユニット20に容器30及び物品群を近接させる。保持部15及び容器30を下降させることで、把持ユニット20から容器30及び物品群を離隔させる。容器駆動部31は、容器30に収容された(載置された)物品群に把持爪24を挿入させ、物品を把持した把持爪24を容器30から離す。言い換えれば、第1把持ユニット20A及び第2把持ユニット20Bは、容器30内の物品群に各把持ユニット20の把持爪24を差し込んで物品の一部を把持する。
【0040】
図1に示されるように、物品把持システム1は、1つの排出シュート60を備えている。排出シュート60は、漏斗状の部材である。排出シュート60は、把持ユニット20の下方に配置される。第1把持ユニット20Aと排出シュート60との間には、容器30の第1位置が位置し、第2把持ユニット20Bと排出シュート60との間には、容器30の第2位置が位置する。
【0041】
排出シュート60は、容器30が第2位置に位置するときに、第1把持ユニット20Aの把持部21が把持を解除して落下させる物品を受けて物品把持システム1の外部に排出する。また、排出シュート60は、容器30が第1位置に位置するときに、第2把持ユニット20Bの把持部21が把持を解除して落下させる物品を受けて物品把持システム1の外部に排出する。
【0042】
なお、本実施形態では、1つの排出シュート60を用いているが、これに限定されるものではなく、2つの排出シュートが用いられてもよい。2つの排出シュートは、例えば同一の大きさ及び形状を有すると共に、左右に並設されてもよい。この場合、一例として、一方の排出シュートは、第1把持ユニット20Aの下方に配置され、他方の排出シュートは、第2把持ユニット20Bの下方に配置される。一方の排出シュートは、第1把持ユニット20Aが把持を解除して落下させる物品を受けて物品把持システム1の外部に排出する。他方の排出シュートは、第2把持ユニット20Bが把持を解除して落下させる物品を受けて物品把持システム1の外部に排出する。また、物品把持システム1は、排出シュート60を使用せず、落下した物品を直接外部に排出してもよい。
【0043】
続いて、図3を参照して、本実施形態に係る物品把持システム1の機能構成について説明する。
【0044】
制御部61は、図示を省略するCPUに加えて、ROM、RAM等のメモリを有する。制御部61は、把持部駆動部25、容器駆動部31、及び分離網駆動部23のそれぞれを制御する。制御部61は、把持部駆動部25、容器駆動部31、及び分離網駆動部23のそれぞれに対して通信可能に接続されている。制御部61は、CPUがメモリに記憶されているプログラムを実行することで、把持部駆動部25、容器駆動部31、分離網駆動部23、記憶部62等の物品把持システム1の各種構成の動作の制御や、後述する組合せ計算等を行う。制御部61の各種機能は、ソフトウェアで実現されなくてもよく、ハードウェアで実現されても、ハードウェア及びソフトウェアが協働することで実現されてもよい。
【0045】
制御部61は、容器30を鉛直方向D1に移動させるように容器駆動部31を制御することで、第1状態から、第2状態に遷移させる。第1状態とは、把持部21に把持された物品と容器30に格納された物品群とが連続する状態を言う。第2状態とは、把持部21に把持された物品と容器30に格納された物品群とが分離する状態を言う。
【0046】
図3に示されるように、物品把持システム1は、制御部61に通信可能に接続された記憶部62及び操作部63を備える。記憶部62は、物品の種類ごとに、距離情報を記憶する。距離情報とは、第2状態における容器30と把持部21との鉛直方向D1の距離に関する情報を言う。換言すれば、距離情報は、物品の種類に関する情報に対して紐づけられた第2状態における容器30と把持部21との鉛直方向D1の距離に関する情報である。距離情報は、予めユーザにより操作部63を介して設定されてもよい。当該鉛直方向D1の距離は、一例として、容器駆動部31が容器30を水平方向D2に移動させた際に、把持部21に把持された物品が容器30と干渉しない程度に必要十分な距離である。例えば物品が長尺なスパゲティの麺等である場合、把持部21に把持された物品と容器30に格納された物品群とを分離させるために必要な距離は大きくなる。一方、例えば物品が短尺なペンネ等である場合、把持部21に把持された物品と容器30に格納された物品群とを分離させるために必要な距離は小さくなる。
【0047】
制御部61は、物品に基づいて、第2状態における容器30と把持部21との鉛直方向D1の距離が小さくなるように制御する。本実施形態では、制御部61は、物品の種類と、記憶部62により記憶された距離情報とに基づいて、第2状態における容器30と把持部21との鉛直方向D1の距離を制御する。第2状態における容器30と把持部21との鉛直方向D1の距離は、第1把持位置から第1位置への容器30の移動量(或いは、第2把持位置から第2位置への容器30の移動量)に対応する距離である。容器30と把持部21との鉛直方向D1の距離とは、例えば、容器30が載置された保持部15の上面と、把持部21の把持爪24における鉛直方向D1の先端との距離であってもよい。容器30と把持部21との鉛直方向D1の距離は、特に限定されず、例えば把持爪24において予め設定された所定位置(例えば、把持爪24の先端の位置)と容器30の所定位置(例えば、容器30の底面)との最短距離であってもよい。また、第2状態における容器30と把持部21との鉛直方向D1の距離は、固定値であってもよいし、ユーザにより操作部63を介して変更可能な可変値であってもよい。
【0048】
また、制御部61は、取得部27により取得された物品の重量値に基づいて組合せ計算を行う。組合せ計算は、複数の把持部21のそれぞれにより把持された物品の重量値を足し合わせた結果、その合計値が目標重量値となる重量値の組合せを発見する処理である。
【0049】
まず、制御部61は、各把持部21により把持された物品の各重量値を取得する。続いて、制御部61は、組合せ計算の結果に基づいて、予め設定された目標重量値となる重量値の組合せに対応する把持部21を選択し、選択した把持部21の把持を解除する制御を実施する。このとき、制御部61は、排出シュート60の上方で把持部21による物品の把持を解除することで、排出シュート60から目標重量値の物品を排出させる。
【0050】
なお、「目標重量値となる重量値の組合せ」とは、必ずしも厳密に目標重量値と等しい重量値となる組合せを意味するものではない。「目標重量値となる重量値の組合せ」は、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、目標重量値の近傍となる重量値の組合せを意味する。目標重量値となる重量値の組合せが不可能である場合であって、目標重量値の近傍となる重量値の組合せに対応する把持部21の把持爪24を見つけた場合、制御部61は、当該組合せに対応する把持部21を選択し、選択した把持部21の把持を解除する制御を実施する。当該制御は、例えば、目標重量値となる重量値の組合せに対応する把持部21以外の把持部21により把持された物品の重量値を用いて実施される。
【0051】
本実施形態では、目標重量値の近傍は、目標重量値を含む一定の重量範囲であり、例えば予めユーザにより設定される。例えば、目標重量値の近傍の下限は目標重量値の90%又は95%であり、目標重量値の近傍の上限は目標重量値の110%又は105%である。目標重量値の近傍は、適宜変更され得る。
【0052】
把持部21により把持された物品の重量値が極端に大きい(又は小さい)場合、目標重量値の近傍となる重量値の組合せが不可能であることがある。この場合、制御部61は、当該物品を把持している把持部21の把持を解除することで、物品を再び容器30に投下する制御を実施する。当該制御は、当該物品を把持している把持部21を有する把持ユニット20の下方から容器30が退避する前に実施される。
【0053】
操作部63は、ユーザによる操作を受け付けるための部分である。ユーザは、物品の種類に応じた距離情報、目標重量値に関する情報等を操作部63を介して入力する。操作部63は、例えば、情報をユーザに向けて出力するディスプレイ等の出力部と、ユーザによる入力を受け付けるためのマウス及びキーボード等の入力部とにより構成されてもよい。また、操作部63は、タッチパネル、スマートフォン、タブレット等であってもよい。
【0054】
続いて、図4図7を参照して、本実施形態に係る物品把持システム1の動作について説明する。まず、物品把持システム1により把持して排出される物品Bが、物品B1である場合の物品把持システム1の動作について説明する。
【0055】
図4(a)では、容器30が第2位置に位置している状態が図示されている。また、図4には図示されていないが、図1に示されるように、分離網22は、把持爪24の先端よりも上方に位置している。まず、図4(a)及び図4(b)に示されるように、制御部61は、容器駆動部31を駆動することで、第2位置から第2把持位置へ容器30を移動させて第2把持ユニット20Bに近接させる。つまり、制御部61は、第2位置から第2把持位置まで第3直線経路R13(図1参照)に沿って、容器30を第2把持ユニット20Bに近づくように上方へ移動させる。
【0056】
続いて、制御部61は、把持部駆動部25を制御することで、把持部21の把持爪24により、容器30に格納された物品群BSから一部の物品B1を把持する。このとき、物品把持システム1の状態は、把持部21に把持された物品B1と容器30に格納された物品群BSとが連続する第1状態となっている。
【0057】
続いて、図5(a)に示されるように、制御部61は、容器駆動部31を制御することで、第2把持位置から第2位置へ容器30を移動させて第2把持ユニット20Bから離間させる。つまり、制御部61は、第2把持位置から第2位置まで第3直線経路R13(図1参照)に沿って、容器30を第2把持ユニット20Bから離れるように下方へ移動させる。この結果、制御部61は、第1状態から、第2状態に遷移させる。
【0058】
このとき、制御部61は、物品B1の種類と記憶部62により記憶された距離情報とに基づいて、第2状態における容器30と把持部21との鉛直方向D1の距離A2を制御する。図5(a)の例では、距離A2は、第2状態における物品B1の鉛直方向D1の長さA1よりも長い。距離A2は、後の動作で容器30を水平方向D2に移動させるに際し、把持部21に把持された物品B1と容器30とが干渉しない距離であればよく、距離A2よりも短くてもよい。距離A2は、例えば、物品B1における鉛直方向D1の下端が、容器30の上端から離間するために必要十分な距離である。
【0059】
また、制御部61は、分離網駆動部23を制御することで、分離網22を鉛直方向D1に沿って下方に移動させた後、再び分離網22を鉛直方向D1に沿って上方に移動させて、分離網22を把持爪24の先端よりも上方に戻す。これにより、複数の把持部21のそれぞれに把持された各物品B1を分離する。
【0060】
制御部61が分離網22を下降させるタイミングは、制御部61が容器30を下降させるタイミングよりも遅くてもよく、制御部61が容器30を下降させるタイミングと同時であってもよい。また、下降する分離網22が容器30と干渉しない限りにおいて、制御部61が分離網22を下降させるタイミングは、制御部61が容器30を下降させるタイミングよりも早くてもよい。
【0061】
続いて、制御部61は、取得部27により把持された物品B1の各重量値を取得する。制御部61は、取得部27により取得された物品B1の重量値に基づいて、組合せ計算を実施する。組合せ計算の結果、目標重量値の近傍となる重量値の組合せが不可能である物品B1を把持した把持部21がある場合、制御部61は、物品B1を把持している把持部21の把持を解除する制御を実施する。このとき、容器30は、第2把持ユニット20Bの下方に位置しているため、当該物品B1は、再び容器30に投下される。
【0062】
続いて、図5(b)に示されるように、制御部61は、容器駆動部31を制御することで、容器30を水平方向D2に移動させる。つまり、制御部61は、第2位置から第1位置まで第1直線経路R11(図1参照)に沿って、容器30を水平方向D2に移動させる。この結果、制御部61は、容器30を第2把持ユニット20Bの下方から退避させると共に、第1把持ユニット20Aの下方へ進入させる。
【0063】
続いて、制御部61は、組合せ計算の結果に基づいて、目標重量値となる重量値の組合せに対応する把持部21の把持爪24を選択する。続いて、図6に示されるように、制御部61は、把持部駆動部25を制御することで、選択した把持部21の把持爪24による物品B1の把持を解除して落下させる。落下した物品B1が排出シュート60に投下される結果、物品B1が物品把持システム1の外部に排出される。
【0064】
これと共に、制御部61は、容器駆動部31を駆動することで、第1位置から第1把持位置へ容器30を移動させて第1把持ユニット20Aに近接させる。つまり、制御部61は、第1位置から第1把持位置まで第2直線経路R12(図1参照)に沿って、容器30を第1把持ユニット20Aに近づくように上方へ移動させる。
【0065】
制御部61が容器30を上昇させるタイミングは、特に限定されず、把持部21の把持爪24による物品B1の把持を解除するタイミングよりも遅くてもよく、早くてもよい。また、両タイミングは、同時であってもよい。
【0066】
以上、第2把持ユニット20Bが物品B1を把持して排出するための物品把持システム1の動作について説明した。第1把持ユニット20Aが物品B1を把持して排出する場合、物品把持システム1は、同様の動作を実行すればよい。以上の動作を繰り返すことにより、物品把持システム1は、容器30に格納された物品群BSから一部の物品B1を把持して、物品把持システム1の外部に排出することができる。
【0067】
次に、物品把持システム1により把持して排出される物品Bが、物品B1よりも短尺な物品B2である場合の物品把持システム1の動作について説明する。
【0068】
図7では、制御部61が第1状態から、第2状態に遷移させた後の状態が図示されている。制御部61は、容器駆動部31を制御することで、第2把持位置から第2位置へ容器30を移動させて第2把持ユニット20Bから離間させる。つまり、制御部61は、第2把持位置から第2位置まで第3直線経路R13(図1参照)に沿って、容器30を第2把持ユニット20Bから離れるように下方へ移動させる。この結果、制御部61は、第1状態から、第2状態に遷移させる。
【0069】
このとき、制御部61は、物品B2の種類と記憶部62により記憶された距離情報とに基づいて、第2状態における容器30と把持部21との鉛直方向D1の距離C2を制御する。このとき、制御部61は、物品に基づいて、第2状態における容器30と把持部21との鉛直方向D1の距離が小さくなるように制御する。図7の例では、距離C2は、第2状態における物品B2の鉛直方向D1の長さC1よりも長い。距離C2は、後の動作で容器30を水平方向D2に移動させるに際し、把持部21に把持された物品B2と容器30とが干渉しない距離であればよく、距離C2よりも短くてもよい。距離C2は、例えば、物品B2における鉛直方向D1の下端が、容器30の上端から離間するために必要十分な距離である。
【0070】
図5(a)及び図7に示されるように、物品B2の鉛直方向D1の長さC1は、物品B1の鉛直方向D1の長さA1よりも短い。このため、把持部21が物品B2を把持する場合、制御部61が容器30を第3直線経路R13に沿って移動させるに際し、物品B2が容器30に干渉しないために必要十分な距離は、把持部21が物品B1を把持する場合に比べて小さくなる。この結果、第2状態における容器30と把持部21との距離C2は、距離A2よりも小さくなる。
【0071】
続いて、本実施形態に係る物品把持システム1の作用効果について説明する。
【0072】
本実施形態に係る物品把持システム1では、把持ユニット20に把持された物品Bを物品群BSから分離させる際、物品Bに応じて、第2状態における容器30と把持部21との距離を制御する。例えば物品Bが長尺な麺等の物品B1である場合、物品群BSから物品B1が分離しにくいため、制御部61は、第2状態における容器30と把持部21との距離A2が大きくなるように制御する。一方、例えば物品Bが短尺なペンネ等の物品B2である場合、物品群BSから物品B2が分離し易いため、制御部61は、第2状態における容器30と把持部21との距離C2が小さくなるように制御する。このように、物品Bを物品群BSから分離させるために必要十分な距離となるように把持部21及び容器30の距離を制御することで、容器30の移動量が過大となることを抑制できる。したがって、動作時間を短縮できる。
【0073】
本実施形態に係る物品把持システム1では、容器駆動部31は、鉛直方向D1において、容器30を移動させる。制御部61は、物品Bの種類に基づいて、第2状態における容器30と把持部21との鉛直方向D1の距離を制御する。具体的には、制御部61は、物品Bの種類に基づいて、第2状態における容器30と把持部21との鉛直方向D1の距離が小さくなるように制御する。これにより、物品Bの種類に基づいて、容器30及び把持部21が鉛直方向D1に必要以上に大きく離れることを抑制できる。
【0074】
本実施形態に係る物品把持システム1は、物品Bの種類ごとに、第2状態における容器30と把持部21との鉛直方向D1の距離に関する距離情報を記憶する記憶部62をさらに備える。この場合、記憶部62に記憶された距離情報を利用して、第2状態における容器30と把持部21との距離を、物品Bに応じた距離へ制御できる。
【0075】
本実施形態に係る物品把持システム1では、把持ユニット20は、複数の把持部21と、複数の把持部21のそれぞれにより把持された物品Bの重量値を取得する取得部27と、を含む。制御部61は、取得部27により取得された当該重量値に基づいて組合せ計算を行い、予め設定された目標重量値となる把持部21の組合せを選択し、選択された把持部21の把持を解除して物品Bを排出させる。この場合、組合せ計量を行い、目標重量値の物品を排出可能となる。
【0076】
[第2実施形態]
第2実施形態に係る物品把持システム1Aについて説明する。本実施形態の説明では、第1実施形態の相違点を中心に説明する。
【0077】
図8に示されるように、第2実施形態に係る物品把持システム1Aは、第2状態における物品Bの鉛直方向D1の長さを検知する検知部70を備えている。検知部70は、制御部61に対して通信可能に接続されており、制御部61により制御される。本実施形態では、検知部70は、光Lを出射する光出射部71と、光出射部71からの光Lを検知する光検知部72とを有する。
【0078】
光出射部71は、分離網22の外枠22aのうち、水平方向D2に沿って延びる一対の辺のうち、一方の辺に設けられている。光出射部71は、例えば、レーザダイオードを含む。光出射部71は、光検知部72に向けて、例えばレーザ光を出射する。光検知部72は、分離網22の外枠22aのうち、水平方向D2に沿って延びる一対の辺のうち他方の辺に設けられている。光検知部72は、光出射部71により光Lを出射する方向において、光出射部71と対向する位置に設けられている。光検知部72は、例えば、フォトダイオードを含む。光検知部72は、例えば光出射部71から出射されたレーザ光を検知する。
【0079】
光出射部71により出射された光Lは、分離網22において外枠22a及び分離部22bにより画定された領域を横切った後に、光検知部72に入射する。よって、制御部61は、光検知部72による光Lの検知結果に基づいて、把持部21により把持された物品Bが当該領域内に位置しているか否かを判定できる。
【0080】
続いて、本実施形態に係る物品把持システム1Aの動作について、物品把持システム1の動作との相違点を中心に説明する。
【0081】
物品把持システム1Aにおいても物品把持システム1と同様に、制御部61は、把持部駆動部25を制御することで、把持部21の把持爪24により、容器30に格納された物品群BSから一部の物品Bを把持する。続いて、制御部61は、容器駆動部31を制御することで、容器30を第2把持位置から第2位置まで第3直線経路R13(図1参照)に沿って移動させる。この結果、制御部61は、第1状態から、第2状態に遷移させる。
【0082】
このとき、制御部61は、検知部70を制御することで、第2状態における物品Bの鉛直方向D1の長さの検知を開始する。より具体的には、制御部61は、光出射部71を制御することで、光検知部72に対する光Lの出射を開始する。
【0083】
また、制御部61は、分離網駆動部23を制御することで、分離網22を鉛直方向D1に沿って下方に移動させる。これにより、光出射部71及び光検知部72は、分離網22に伴って下方に移動する。よって、制御部61は、分離網22の鉛直方向D1に沿った移動量と、光検知部72の検知結果とに基づいて、把持部21に把持された物品Bの鉛直方向D1の長さを検知することができる。
【0084】
このとき、制御部61は、検知部70の検知結果に基づいて、第2状態における容器30と把持部21との鉛直方向D1の距離を制御する。一例として、第2状態における容器30と把持部21との鉛直方向D1の距離は、検知部70により検知された物品Bの鉛直方向D1の長さよりも長い。このような動作を実施することによっても、制御部61は、第2状態における容器30と把持部21との鉛直方向D1の距離を、後の動作で容器30を水平方向D2に移動させるに際し、把持部21に把持された物品Bと容器30とが干渉しないために必要十分な距離とすることができる。
【0085】
続いて、本実施形態に係る物品把持システム1Aの作用効果について説明する。本実施形態に係る物品把持システム1Aは、第2状態における物品Bの鉛直方向D1の長さを検知する検知部70をさらに備える。制御部61は、検知部70の検知結果に基づいて、第2状態における容器30と把持部21との距離を制御する。この場合、検知部70の検知結果を利用して、第2状態における容器30と把持部21との距離を、物品Bに応じた距離へ制御できる。
【0086】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0087】
上記実施形態では、制御部61が第1直線経路R11を含む第1経路R10に沿って容器30を移動させる例について説明した。しかし、図9(b)に示されるように、制御部61は、曲線経路R21を含む第2経路R20に沿って容器30を移動させてもよい。また、制御部61は、容器駆動部31により容器30を移動させる移動経路を、第1経路R10と第2経路R20との間で選択的に変更可能であってもよい。制御部61は、例えばユーザにより操作部63を介して予め設定された移動経路に沿って、容器30を移動させてもよい。
【0088】
図9では、容器30の移動経路のみが図示されており、他の構成は省略されている。図9(a)に示されるように、第1経路R10は、第1直線経路R11と、第2直線経路R12と、第3直線経路R13とにより構成されている。これに対し、図9(b)に示されるように、第2経路R20は、曲線経路R21と、第1直線経路R22と、第2直線経路R23と、を有する。第1直線経路R22及び第2直線経路R23は、水平方向D2に互いに離間しており、鉛直方向D1に延びている。曲線経路R21は、第1直線経路R22及び第2直線経路R23の下端同士を曲線的に接続する。
【0089】
本変形例では、第2把持ユニット20Bが容器30に格納された物品群BSから一部の物品Bを把持した後、制御部61は、第2直線経路R23に沿って第2把持位置から第2位置まで容器30を移動させる。続いて、制御部61は、曲線経路R21に沿って第2位置から第1位置まで容器30を移動させる。このとき、制御部61は、第2直線経路R23に沿って第2位置まで移動させた容器30を曲線経路R21に沿って連続的に移動させる。
【0090】
続いて、制御部61は、曲線経路R21に沿って第2位置から第1位置まで容器30を移動させる。続いて、制御部61は、第1直線経路R22に沿って第1位置から第1把持位置まで容器30を移動させる。このとき、制御部61は、曲線経路R21に沿って第1位置まで移動させた容器30を第1直線経路R22に沿って連続的に移動させる。
【0091】
以上説明したように、本変形例では、制御部61は、第1直線経路R22に沿って容器30を第2位置まで移動させた後、第2把持ユニット20Bの把持部21による物品Bの把持を解除して再び物品Bを容器30に投下することなく、曲線経路R21に沿って容器30を第1位置まで移動させる。
【0092】
本変形例に係る物品把持システム1では、容器駆動部31は、水平方向D2及び鉛直方向D1において、容器30を移動させる。制御部61は、容器駆動部31により容器30を移動させる移動経路を、第1経路R10と第2経路R20との間で選択的に変更可能である。第1経路R10は、第1直線経路R11を含み、第2経路R20は、曲線経路R21を含む。この場合、容器30の移動経路を、例えば物品Bの種類に応じて第1経路R10と第2経路R20との間で切り替えることが可能となる。
【0093】
例えば物品Bがスパゲティの麺等である場合、各把持部21により把持される物品Bの量にばらつきが生じ易いため、目標重量値の近傍となる重量値の組合せが不可能である物品Bを把持した把持部21が生じ易い。この場合、把持部21による物品Bの把持を解除して物品Bを再び容器30に投下することが必要となる。このため、制御部61は、第3直線経路R13に沿って容器30を第2位置まで移動させた後、物品Bが容器30に投下されるまで待ってから、第1直線経路R11に沿って容器30を第1位置まで移動させる。
【0094】
一方、例えば物品Bが砂糖等の粒状物である場合、各把持部21により把持される量にばらつきが生じにくいため、目標重量値の近傍となる重量値の組合せが不可能である物品Bを把持した把持部21が生じにくい。この場合、把持部21による物品Bの把持を解除して物品Bを再び容器30に投下する必要がない。このため、制御部61は、第2直線経路R23に沿って容器30を第2位置まで移動させた後、物品Bが容器30に投下されるまで待つことなく(容器30を停止させることなく)、曲線経路R21に沿って容器30を第1位置まで連続的に移動させる。
【0095】
このように、容器30の移動経路を、例えば物品Bの種類に応じて第1経路R10及び第2経路R20の間で切り替えることで、第2位置(或いは、第1位置)における容器30を待機させる時間が過大となることを抑制できる。したがって、動作時間を短縮できる。
【0096】
上記実施形態では、制御部61が容器駆動部31を制御することで、容器30を移動させる例について説明した。しかし、把持ユニット20が鉛直方向D1及び水平方向D2に移動可能に構成されており、制御部61は、把持ユニット20を移動させてもよい。この場合、計量装置120は、把持ユニット20を駆動させるユニット駆動部を備え、制御部61は、ユニット駆動部を制御することで、把持ユニット20を鉛直方向D1及び水平方向D2に移動させてもよい。
【0097】
制御部61が把持ユニット20を移動させる場合、計量器は、例えばセンサ部と、内部制御部とを含んでもよい。この場合、センサ部は、力センサと、加速度センサとを含む。力センサとして、例えば、歪みゲージ式ロードセルが採用される。加速度センサは、例えば、歪みゲージ式ロードセルや、MEMS型の小型加速度センサが採用される。計量器は、物品Bを把持した状態の把持部21がユニット駆動部の駆動に伴い移動させられるとき、センサ部で計測される力及び加速度に基づいて、把持部21が把持している物品Bの質量を測定する。具体的には、計量器は、力センサで計測された力を、加速度センサで計測された加速度で除すことで、把持部21が把持している物品Bの質量を測定する。但し、計量器は、把持部21の移動時に計測される力と加速度とに基づいて物品Bの質量を計量する方式に限定されるものではない。
【0098】
上記実施形態では、検知部70が分離網22に設けられており、分離網22の上下移動に伴って移動する例について説明した。しかし、検知部70は、例えば本体フレーム80に対して固定的に設けられていてもよい。上記実施形態では、検知部70が光出射部71及び光検知部72を有する例について説明した。しかし、検知部70の構成は、上記説明したものに限定されず、種々の変更が可能である。例えば、検知部70は、複数の光出射部71及び複数の光検知部72を有してもよい。また、例えば、検知部70は、ステレオカメラ等の撮像装置であってもよい。この場合、検知部70は、同じタイミング(時点)で撮像されたフレームである2つの視差画像から、被写体までの距離(奥行)を含む3次元情報が関連付けられた距離画像を生成する。制御部61は、検知部70により生成された距離画像に基づいて、第2状態における物品Bの鉛直方向D1の長さを検知することができる。
【符号の説明】
【0099】
1…物品把持システム、20…把持ユニット、21…把持部、27…取得部、30…容器、31…容器駆動部(駆動部)、61…制御部、62…記憶部、70…検知部、A1,C1…長さ、A2,C2…距離、B,B1,B2…物品、BS…物品群、D1…鉛直方向、D2…水平方向、R10…第1経路、R11…第1直線経路(直線経路)、R20…第2経路、R21…曲線経路。
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