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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023135017
(43)【公開日】2023-09-28
(54)【発明の名称】発振回路
(51)【国際特許分類】
   H03L 7/099 20060101AFI20230921BHJP
   G06F 1/04 20060101ALI20230921BHJP
【FI】
H03L7/099
G06F1/04 512
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022040014
(22)【出願日】2022-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長尾 圭
【テーマコード(参考)】
5J106
【Fターム(参考)】
5J106AA05
5J106BB08
5J106CC19
5J106CC21
5J106CC46
5J106CC52
5J106GG01
5J106KK02
5J106KK12
(57)【要約】
【課題】発振回路の安定性と高速応答性を両立する。
【解決手段】発振回路100は、第1クロック信号CLK1を生成するように構成された第1オシレータ110と、第2クロック信号CLK2を生成するように構成された第2オシレータ120と、第1クロック信号CLK1の帰還入力を受けて第1クロック信号CLK1及び第2クロック信号CLK2それぞれの位相を基準クロック信号REFCLKに同期するように構成された出力帰還制御部130と、第2クロック信号CLK2の発振周波数を変調するように構成された周波数変調部140と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1クロック信号を生成するように構成された第1オシレータと、
第2クロック信号を生成するように構成された第2オシレータと、
前記第1クロック信号の帰還入力を受けて前記第1クロック信号及び前記第2クロック信号それぞれの位相を基準クロック信号に同期するように構成された出力帰還制御部と、
前記第2クロック信号の発振周波数を変調するように構成された周波数変調部と、
を備える、発振回路。
【請求項2】
第1クロック信号を生成するように構成された第1オシレータと、
第2クロック信号を生成するように構成された第2オシレータと、
前記第1クロック信号及び前記第2クロック信号それぞれの入力を受け付けて帰還クロック信号及び出力クロック信号それぞれを出力するように構成された信号出力部と、
前記帰還クロック信号の帰還入力を受けて前記第1クロック信号及び前記第2クロック信号それぞれの位相を基準クロック信号に同期するように構成された出力帰還制御部と、
前記第1クロック信号及び前記第2クロック信号のうち前記出力クロック信号となる方の発振周波数を変調するように構成された周波数変調部と、
を備える、発振回路。
【請求項3】
前記信号出力部は、
前記第1クロック信号及び前記第2クロック信号の一方を前記帰還クロック信号として選択するように構成された第1マルチプレクサと、
前記第1クロック信号及び前記第2クロック信号の一方を前記出力クロック信号として選択するように構成された第2マルチプレクサと、
前記第1マルチプレクサ及び前記第2マルチプレクサそれぞれの切替制御を行うように構成された切替制御部と、
を含む、請求項2に記載の発振回路。
【請求項4】
第1動作モードにおいて、
前記第1オシレータは、前記第1クロック信号を生成し、
前記第2オシレータは、前記第2クロック信号の生成を停止し、
前記信号出力部は、前記第1クロック信号を前記帰還クロック信号及び前記出力クロック信号として出力し、
前記周波数変調部は、発振周波数の変調を停止する、
請求項2又は3に記載の発振回路。
【請求項5】
第2動作モードにおいて、
前記第1オシレータは、前記第1クロック信号の生成を停止し、
前記第2オシレータは、前記第2クロック信号を生成し、
前記信号出力部は、前記第2クロック信号を前記帰還クロック信号及び前記出力クロック信号として出力し、
前記周波数変調部は、発振周波数の変調を停止する、
請求項2~4のいずれか一項に記載の発振回路。
【請求項6】
第3動作モードにおいて、
前記第1オシレータは、前記第1クロック信号を生成し、
前記第2オシレータは、前記第2クロック信号を生成し、
前記信号出力部は、前記第1クロック信号を前記帰還クロック信号として出力すると共に前記第2クロック信号を前記出力クロック信号として出力し、
前記周波数変調部は、前記第2クロック信号の発振周波数を変調する、
請求項2~5のいずれか一項に記載の発振回路。
【請求項7】
第4動作モードにおいて、
前記第1オシレータは、前記第1クロック信号を生成し、
前記第2オシレータは、前記第2クロック信号を生成し、
前記信号出力部は、第1フェイズでは前記第1クロック信号を前記帰還クロック信号として出力すると共に前記第2クロック信号を前記出力クロック信号として出力し、第2フェイズでは前記第2クロック信号を前記帰還クロック信号として出力すると共に前記第1クロック信号を前記出力クロック信号として出力し、
前記周波数変調部は、前記第1フェイズでは前記第2クロック信号の発振周波数を変調し、前記第2フェイズでは前記第1クロック信号の発振周波数を変調する、
請求項2~6のいずれか一項に記載の発振回路。
【請求項8】
前記第1オシレータ及び前記第2オシレータは、それぞれ、調整粗さの異なる複数の発振周波数パラメータを受け付ける、請求項1~7のいずれか一項に記載の発振回路。
【請求項9】
前記第1クロック信号及び前記第2クロック信号は、それぞれ、前記基準クロック信号の逓倍信号である、請求項1~8のいずれか一項に記載の発振回路。
【請求項10】
前記出力帰還制御部は、フィードバックループを安定化するように構成されたループフィルタを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の発振回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書中に開示されている発明は、発振回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、所望のクロック信号を生成する発振回路が広く利用されている。
【0003】
なお、上記に関連する従来技術の一例としては、特許文献1を挙げることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-111914号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の発振回路では、安定性と高速応答性の両立について、さらなる検討の余地があった。
【0006】
本明細書中に開示されている発明は、本願の発明者により見出された上記課題に鑑み、安定性と高速応答性を両立し得る発振回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
例えば、本明細書中に開示されている発振回路は、第1クロック信号を生成するように構成された第1オシレータと、第2クロック信号を生成するように構成された第2オシレータと、前記第1クロック信号の帰還入力を受けて前記第1クロック信号及び前記第2クロック信号それぞれの位相を基準クロック信号に同期するように構成された出力帰還制御部と、前記第2クロック信号の発振周波数を変調するように構成された周波数変調部と、を備える。
【0008】
また、例えば、本明細書中に開示されている発振回路は、第1クロック信号を生成するように構成された第1オシレータと、第2クロック信号を生成するように構成された第2オシレータと、前記第1クロック信号及び前記第2クロック信号それぞれの入力を受け付けて帰還クロック信号及び出力クロック信号それぞれを出力するように構成された信号出力部と、前記帰還クロック信号の帰還入力を受けて前記第1クロック信号及び前記第2クロック信号それぞれの位相を基準クロック信号に同期するように構成された出力帰還制御部と、前記第1クロック信号及び前記第2クロック信号のうち前記出力クロック信号となる方の発振周波数を変調するように構成された周波数変調部と、を備える。
【0009】
なお、その他の特徴、要素、ステップ、利点、及び、特性については、以下に続く発明を実施するための形態及びこれに関する添付の図面によって、さらに明らかとなる。
【発明の効果】
【0010】
本明細書中に開示されている発明によれば、安定性と高速応答性を両立し得る発振回路を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、発振回路の第1実施形態を示す図である。
図2図2は、発振回路の第2実施形態を示す図である。
図3図3は、発振回路の第1動作モードを示す図である。
図4図4は、発振回路の第2動作モードを示す図である。
図5図5は、発振回路の第3動作モードを示す図である。
図6図6は、発振回路の第4動作モードを示す図である。
図7図7は、発振周波数パラメータの第1例(SSCGオフ)を示す図である。
図8図8は、発振周波数パラメータの第2例(SSCGオン)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<発振回路(第1実施形態)>
図1は、発振回路の第1実施形態を示す図である。本図の電子機器1は、発振回路100と、ロジック200と、不揮発メモリ300と、オシレータ400と、を備える。
【0013】
発振回路100は、いわゆるデジタルPLL[phase locked loop]回路であり、ロジック200から出力される基準クロック信号REFCLKをm逓倍(例えばm=64)して出力する。なお、発振回路100の構成及び動作については、後ほど詳述する。
【0014】
ロジック200は、発振回路100に基準クロック信号REFCLKを出力するとともに、発振回路100との間で各種のレジスタ設定を行う。本図に即して述べると、ロジック200は、セレクタ210と、レジスタ220及び230と、分周器240とを含む。
【0015】
セレクタ210は、外部入力される同期信号SYNCとオシレータ400から出力される発振信号OSCの一方を基準クロック信号REFCLKとして選択する。
【0016】
レジスタ220は、不揮発メモリ300から読み出された各種のレジスタ値(SSCG_ON/OFF、SSCG_MD、SSCG_AP、SSCG_FR、OFF_CODEM、KE、KI、KPI、EXT_DATA_ID)を格納する。
【0017】
レジスタ230は、発振回路100との間でやり取りされる各種のレジスタ値(CODE_OD、DCODIVSEL_ID)を格納する。
【0018】
分周器240は、発振回路100の出力信号(=後述する第2クロック信号CLK2)をn分周(例えばn=1/m、2/m、4/m、又は、8/m)することにより、所望のクロック信号CLKを生成する。
【0019】
不揮発メモリ300は、ロジック200により読み出される先述のレジスタ値を不揮発的に格納する。不揮発メモリ300としては、一度だけデータを書き込むことのできるOTPROM[one time programmable read only memory]などを用いてもよい。
【0020】
オシレータ400は、発振信号OSCを生成してロジック200に出力する。なお、発振信号OSCの発振周波数は、固定値であってもよい。
【0021】
<発振回路>
引き続き、図1を参照しながら、発振回路100の構成及び動作について説明する。本実施形態の発振回路100は、第1オシレータ110と、第2オシレータ120と、出力帰還制御部130と、周波数変調部140と、を備える。
【0022】
第1オシレータ110は、いわゆるDCO[digitally controlled oscillator]の一種であり、周波数変調部140から出力される第1制御信号S1に応じて出力帰還制御用の第1クロック信号CLK1を生成する。なお、第1オシレータ110は、第1制御信号S1に代えて、出力帰還制御部130から制御信号S0の直接入力を受け付けてもよい。
【0023】
第2オシレータ120は、いわゆるDCOの一種であり、周波数変調部140から出力される第2制御信号S2に応じて出力用の第2クロック信号CLK2を生成する。
【0024】
なお、第1クロック信号CLK1及び第2クロック信号CLK2は、それぞれ、基準クロック信号REFCLKの逓倍信号(m逓倍)であってもよい。
【0025】
出力帰還制御部130は、第1クロック信号CLK1の帰還入力を受けて第1クロック信号CLK1及び第2クロック信号CLK2それぞれの位相を基準クロック信号REFCLKに同期するように制御信号S0を生成する。本図に即して述べると、出力帰還制御部130は、分周器131と、逐次比較レジスタ132と、ループフィルタ133と、デコーダ134と、インジェクションウィンドウ生成部135と、を含む。
【0026】
分周器131は、第1クロック信号CLK1を1/mに分周して分周クロック信号S131を生成する。なお、分周器131は、レジスタ230に格納されたレジスタ値DCODIVSEL_IDに応じて逓倍数の設定を行う機能を備えている。
【0027】
逐次比較レジスタ132(いわゆるSAR[successive approximation register])は、セレクタ210から出力される基準クロック信号REFCLKを逐次比較方式で格納する。逐次比較レジスタ132を備える構成であれば、バイナリサーチによる高速起動を実現することが可能となる。より詳細に述べると、周波数の探索をバイナリサーチで行うことにより、通常フィードバックに比べて高速にターゲットの周波数を探索することができる。なお、逐次比較レジスタ132は、レジスタ220に格納されたレジスタ値EXT_DATA_IDに応じてフィードバック制御を行わずに固定値を第1オシレータ110及び第2オシレータ120に対して設定する機能を備えている。
【0028】
ループフィルタ133は、出力帰還制御部130のフィードバックループを安定化して発振を防止するように、分周器131及び逐次比較レジスタ132それぞれの出力信号にローパスフィルタ処理を施す。なお、ループフィルタ133は、基準クロック信号REFCLK及び分周クロック信号S131それぞれの位相を比較して互いの位相差(=誤差)を補正する誤差補正部133aとしての機能も備えている。また、ループフィルタ133は、レジスタ220に格納されたレジスタ値KE、KI及びKPI(各種係数)に応じてPID[proportional-integral-differential]制御を行う機能を備えている。
【0029】
デコーダ134は、ループフィルタ133の出力信号(=誤差補正信号)に応じて、第1オシレータ110及び第2オシレータ120それぞれの発振周波数を設定するための制御信号S0を生成する。なお、制御信号S0は、例えば、第1オシレータ110及び第2オシレータ120それぞれを構成するインバータループの段数切替信号であってもよい。また、デコーダ134は、レジスタ値CODE_ODをレジスタ230に格納する機能も備えている。
【0030】
インジェクションウィンドウ生成部135は、基準クロック信号REFCLKと分周クロック信号S131の入力を受けてインジェクションウィンドウ信号S135を生成し、ループフィルタ133に出力する。なお、インジェクションウィンドウ信号S135は、基準クロック信号REFCLKのエッジ検出期間を設定するためのパルス信号である。
【0031】
周波数変調部140は、出力帰還制御部130から出力される制御信号S0の入力を受けて第1制御信号S1及び第2制御信号S2を出力する。特に、周波数変調部140は、第2クロック信号CLK2の発振周波数を変調(スペクトラム拡散)するように第2制御信号S2を制御する機能を備えている。このような周波数変調を行うことにより、発振回路100からのEMI[electromagnetic interference]ノイズを抑えることができる。
【0032】
また、周波数変調部140は、レジスタ220に格納されたレジスタ値(SSCG_ON/OFF、SSCG_MD、SSCG_AP、SSCG_FR、OFF_CODEM)に応じてスペクトラム拡散処理の内容を任意に調整する機能を備えている。
【0033】
例えば、周波数変調部140は、レジスタ値SSCG_ON/OFFに応じてスペクトラム拡散処理を実施するか否かを切り替える。また、周波数変調部140は、レジスタ値SSCG_MDに応じてスペクトラム拡散処理の方式(例えば、発振周波数及び振幅を周期的に変調するか、発振周波数をランダムに変調するか)を切り替える。また、周波数変調部140は、レジスタ値SSCG_APに応じてスペクトラム拡散処理の振幅強度(例えば±2%、±4%、±8%、±10%)を任意に切り替える。また、周波数変調部140は、レジスタ値SSCG_FRに応じてスペクトラム拡散処理の変調周波数(例えば100Hz、200Hz、500Hz、1kHz、2kHz、5kHz、10kHz、20kHz)を任意に切り替える。また、周波数変調部140は、レジスタ値OFF_CODEMに応じて第1オシレータ110及び第2オシレータ120のオフセットを設定する機能を備えている。
【0034】
このように、本実施形態の発振回路100は、出力帰還制御用の第1オシレータ110と、周波数変調用の第2オシレータ120を並列に備えている。
【0035】
すなわち、出力帰還制御部130は、周波数変調された第2クロック信号CLK2ではなく、周波数変調されていない第1クロック信号CLK1の帰還入力を受けて第1クロック信号CLK1及び第2クロック信号CLK2それぞれの位相を基準クロック信号REFCLKに同期することができる。従って、出力帰還制御部130では、フィードバックループの安定化を最優先としてループフィルタ133の特性(時定数など)を設定することが可能となる。
【0036】
一方、周波数変調部140は、出力帰還制御部130におけるフィードバックループの安定性に配慮することなく、第2クロック信号CLK2の発振周波数を任意に変調することができる。また、第2クロック信号CLK2は、出力帰還制御部130のループフィルタ133を一切経由しないので、周波数変調部140から出力される第2制御信号S2に対して高速に応答することができる。
【0037】
以上より、本実施形態の発振回路100であれば、その安定性と高速応答性を両立することが可能となる。
【0038】
<発振回路(第2実施形態)>
図2は、発振回路の第2実施形態を示す図である。本実施形態の発振回路100は、先出の第1実施形態(図1)を基本としつつ、さらに信号出力部150を備える。そこで、既出の構成要素については図1と同一の符号を付すことにより重複した説明を省略し、以下では、本実施形態の特徴部分について重点的に説明する。
【0039】
信号出力部150は、第1クロック信号CLK1及び第2クロック信号CLK2それぞれの入力を受け付けて帰還クロック信号S11及び出力クロック信号S12それぞれを出力する。本図に即して述べると、信号出力部150は、第1マルチプレクサ151と、第2マルチプレクサ152と、切替制御部153と、を含む。
【0040】
第1マルチプレクサ151は、切替制御部153からの指示により第1クロック信号CLK1及び第2クロック信号CLK2の一方を帰還クロック信号S11として選択する。
【0041】
第2マルチプレクサ152は、切替制御部153からの指示により第1クロック信号CLK1及び第2クロック信号CLK2の一方を出力クロック信号S12として選択する。
【0042】
切替制御部153(いわゆるMUXコントローラ)は、周波数変調部140から出力される切替制御信号S3に応じて第1マルチプレクサ151及び第2マルチプレクサ152それぞれの切替制御を行う。
【0043】
なお、信号出力部150が追加されたことに伴い、分周器131は、第1クロック信号CLK1を直接受け付けるのではなく、帰還クロック信号S11を受け付けるように変更されている。また、分周器240は、第2クロック信号CLK2を直接受け付けるのではなく、出力クロック信号S12を受け付けるように変更されている。さらに、周波数変調部140は、発振周波数の変調対象を第2クロック信号CLK2に固定するのではなく、第1クロック信号CLK1及び第2クロック信号CLK2のうち出力クロック信号S12となる方の発振周波数を変調するように変更されている。
【0044】
本実施形態の発振回路100であれば、第1実施形態(図1)と同様の効果を享受しつつ、先出のレジスタ値SSCG_ON/OFFと、新たに追加したレジスタ値DCDMODE_IDに応じて、複数種類の動作モードを切り替えることができるようになる。
【0045】
<動作モード>
図3は、発振回路100の第1動作モード(SSCG_ON/OFF=0、かつ、DCMODE_ID=0,2又は3)を示す図であり、上から順に、基準クロック信号REFCLK、第1オシレータ110並びに第2オシレータ120それぞれの動作状態(DCO1/DCO2)、帰還クロック信号S11、出力クロック信号S12、及び、出力クロック信号S12の発振周波数イメージが描写されている。
【0046】
第1動作モードにおいて、第1オシレータ110は、オン状態(=使用可能な状態)となり、第1クロック信号CLK1を生成する。第2オシレータ120は、オフ状態(=使用不可能な状態)となり、第2クロック信号CLK2の生成を停止する。信号出力部150は、第1クロック信号CLK1を帰還クロック信号S11及び出力クロック信号S12として出力する。周波数変調部140は、第1クロック信号CLK1及び第2クロック信号CLK2それぞれについて発振周波数の変調を停止する。
【0047】
従って、発振回路100の第1動作モードでは、第1クロック信号CLK1に応じた出力帰還制御により、基準クロック信号REFCLKに同期した出力クロック信号S12として、周波数変調されていない第1クロック信号CLK1が出力される。
【0048】
図4は、発振回路100の第2動作モード(SSCG_ON/OFF=0、かつ、DCMODE_ID=1)を示す図であり、先出の図3と同様、上から順に、基準クロック信号REFCLK、第1オシレータ110並びに第2オシレータ120それぞれの動作状態(DCO1/DCO2)、帰還クロック信号S11、出力クロック信号S12、及び、出力クロック信号S12の発振周波数イメージが描写されている。
【0049】
第2動作モードにおいて、第1オシレータ110は、オフ状態(=使用不可能な状態)となり、第1クロック信号CLK1の生成を停止する。第2オシレータ120は、オン状態(=使用可能な状態)となり、第2クロック信号CLK2を生成する。信号出力部150は、第2クロック信号CLK2を帰還クロック信号S11及び出力クロック信号S12として出力する。周波数変調部140は、第1クロック信号CLK1及び第2クロック信号CLK2それぞれについて発振周波数の変調を停止する。
【0050】
従って、発振回路100の第2動作モードでは、第2クロック信号CLK2に応じた出力帰還制御により、基準クロック信号REFCLKに同期した出力クロック信号S12として、周波数変調されていない第2クロック信号CLK2が出力される。
【0051】
なお、上記の第1動作モード(図3)及び第2動作モード(図4)は、例えば第1オシレータ110及び第2オシレータ120それぞれのテストモードとして理解してもよい。このようなテストモードを実装すれば、例えば、第1オシレータ110及び第2オシレータ120に適切な出力オフセットを与えることにより、第1オシレータ110及び第2オシレータ120それぞれの特性ばらつきをキャンセルすることができる。なお、発振回路100にテストモードが実装される場合、インジェクションウィンドウ信号S135は、第1オシレータ110及び第2オシレータ120に出力されてもよい。
【0052】
図5は、発振回路100の第3動作モード(SSCG_ON/OFF=1、かつ、DCMODE_ID=2)を示す図であり、先出の図3及び図4と同様、上から順に、基準クロック信号REFCLK、第1オシレータ110並びに第2オシレータ120それぞれの動作状態(DCO1/DCO2)、帰還クロック信号S11、出力クロック信号S12、及び、出力クロック信号S12の発振周波数イメージが描写されている。
【0053】
第3動作モードにおいて、第1オシレータ110は、オン状態(=使用可能な状態)となり、第1クロック信号CLK1を生成する。第2オシレータ120は、オン状態(=使用可能な状態)となり、第2クロック信号CLK2を生成する。信号出力部150は、第1クロック信号CLK1を帰還クロック信号S11として出力すると共に、第2クロック信号CLK2を出力クロック信号S12として出力する。周波数変調部140は、第2クロック信号CLK2の発振周波数を変調する。
【0054】
従って、発振回路100の第3動作モードでは、第1クロック信号CLK1に応じた出力帰還制御により、基準クロック信号REFCLKに同期した出力クロック信号S12として、周波数変調された第2クロック信号CLK2が出力される。その結果、先にも述べたように、発振回路100の安定性と高速応答性を両立することが可能となる。
【0055】
図6は、発振回路100の第4動作モード(SSCG_ON/OFF=1、かつ、DCMODE_ID=3)を示す図であり、先出の図3図5と同様、上から順に、基準クロック信号REFCLK、第1オシレータ110並びに第2オシレータ120それぞれの動作状態(DCO1/DCO2)、帰還クロック信号S11、出力クロック信号S12、及び、出力クロック信号S12の発振周波数イメージが描写されている。
【0056】
第4動作モードにおいて、第1オシレータ110は、オン状態(=使用可能な状態)となり、第1クロック信号CLK1を生成する。第2オシレータ120は、オン状態(=使用可能な状態)となり、第2クロック信号CLK2を生成する。
【0057】
信号出力部150は、第1フェイズφ1では、第1クロック信号CLK1を帰還クロック信号S11として出力すると共に、第2クロック信号CLK2を出力クロック信号S12として出力する。また、信号出力部150は、第2フェイズφ2では、第2クロック信号CLK2を帰還クロック信号S11として出力すると共に、第1クロック信号CLK1を出力クロック信号S12として出力する。
【0058】
なお、上記の第1フェイズφ1及び第2フェイズφ2は、それぞれ、周波数変調周期に対応していてもよい。
【0059】
周波数変調部140は、第1フェイズφ1では第2クロック信号CLK2の発振周波数を変調し、第2フェイズφ2では第1クロック信号CLK1の発振周波数を変調する。
【0060】
従って、第4動作モードの第1フェイズφ1では、例えば第1クロック信号CLK1に応じた出力帰還制御により、基準クロック信号REFCLKに同期した出力クロック信号S12として、周波数変調された第2クロック信号CLK2が出力される。また、第4モードの第2フェイズφ2では、例えば第2クロック信号CLK2に応じた出力帰還制御により、基準クロック信号REFCLKに同期した出力クロック信号S12として、周波数変調された第1クロック信号CLK1が出力される。その結果、先の第3動作モード(図5)と同じく、発振回路100の安定性と高速応答性を両立することが可能となる。
【0061】
さらに、発振回路100の第4動作モードでは、周波数変調周期毎に第1オシレータ110及び第2オシレータ120の役割が交互に切り替わる。従って、例えば、或る周期の出力帰還制御で得られた制御信号S0を、次の周期における第1制御信号S1及び第2制御信号S2の生成処理に適用することも可能である。
【0062】
具体的に述べると、第1クロック信号CLK1が出力クロック信号S12として出力される第2フェイズφ2では、直前の第1フェイズφ1で得られた制御信号S0(=第1クロック信号CLK1の出力帰還制御により得られる制御信号S0)に応じて第1制御信号S1(及び第2制御信号S2)を生成してもよい。また、第2クロック信号CLK2が出力クロック信号S12として出力される第1フェイズφ1では、直前の第2フェイズφ2で得られた制御信号S0(=第2クロック信号CLK2の出力帰還制御により得られる制御信号S0)に応じて第2制御信号S2(及び第1制御信号S1)を生成してもよい。
【0063】
このようにすれば、第1オシレータ110及び第2オシレータ120それぞれの特性ばらつきを考慮することなく、第1クロック信号CLK1及び第2クロック信号CLK2それぞれ個別の出力帰還制御を行うことが可能となる。
【0064】
<発振周波数パラメータ>
次に、第1オシレータ110及び第2オシレータ120それぞれの発振周波数パラメータ(=先出の第1制御信号S1及び第2制御信号S2に相当)について説明する。
【0065】
図7は、発振周波数パラメータの第1例(SSCGオフ:周波数変調なし)を示す図であり、粗調整パラメータCOARSE、中調整パラメータMEDIUM、及び、微調整パラメータFINEが描写されている。なお、本図中のハッチング領域は、周波数変調を行わない動作モード(先出の第1動作モード又は第2動作モード)におけるパラメータ設定範囲を示している。
【0066】
例えば、第1オシレータ110及び第2オシレータ120は、それぞれ、粗調整パラメータCOARSE(例えば0~55)に応じて、第1クロック信号CLK1及び第2クロック信号CLK2それぞれの発振周波数を下限値fL(例えば100MHz)から上限値fH(例えば300MHz)まで任意に設定することができる。
【0067】
また、第1オシレータ110及び第2オシレータ120は、それぞれ、中調整パラメータMEDIUM(例えば0~127のうち48~79のみ)に応じて、第1クロック信号CLK1及び第2クロック信号CLK2それぞれの発振周波数を±a%(例えば±5%)の範囲で中調整することができる。
【0068】
また、第1オシレータ110及び第2オシレータ120は、それぞれ、微調整パラメータFINE(例えば0~31)に応じて、第1クロック信号CLK1及び第2クロック信号CLK2それぞれの発振周波数を0%~-x%(例えば0%~-1%)の範囲で微調整することができる。
【0069】
図8は、発振周波数パラメータの第2例(SSCGオン:周波数変調あり)を示す図であり、先出の図7と同じく、粗調整パラメータCOARSE、中調整パラメータMEDIUM、及び、微調整パラメータFINEが描写されている。なお、本図中のハッチング領域は、周波数変調を行う動作モード(先出の第3動作モード又は第4動作モード)におけるパラメータ設定範囲を示している。
【0070】
周波数変調を行う動作モードでは、粗調整パラメータCOARSE(例えば0~55)が無効となり、第1クロック信号CLK1及び第2クロック信号CLK2それぞれの発振周波数(=周波数変調時の中心周波数)が所定の固定値に設定される。
【0071】
一方、第1オシレータ110及び第2オシレータ120は、それぞれ、中調整パラメータMEDIUM(例えば0~127のうち48~79)に応じて、第1クロック信号CLK1及び第2クロック信号CLK2それぞれの発振周波数を±a%(例えば±5%)の範囲で中調整することができる。この点については、先の第1例(図7)と同様である。
【0072】
また、第1オシレータ110及び第2オシレータ120は、それぞれ、中調整パラメータMEDIUM(例えば0~127のうち32~47及び80~95)に応じて、第1クロック信号CLK1及び第2クロック信号CLK2それぞれの発振周波数を±b%(例えば±10%)の範囲でオフセット調整することができる。
【0073】
さらに、第1オシレータ110及び第2オシレータ120は、それぞれ、中調整パラメータMEDIUM(例えば0~127のうち0~31及び96~127)に応じて、第1クロック信号CLK1及び第2クロック信号CLK2それぞれの発振周波数を±c%(例えば±25%)の範囲で周期的(又はランダム)に変調することができる。
【0074】
また、第1オシレータ110及び第2オシレータ120は、それぞれ、微調整パラメータFINE(例えば0~31のうち15~31)に応じて、第1クロック信号CLK1及び第2クロック信号CLK2それぞれの発振周波数を-y%~-x%(例えば-0.5%~-1%)の範囲で微調整することができる。なお、微調整パラメータFINEの15~31だけを使用することにより、桁上げ時の逆転をできるだけ少なくすることができる。
【0075】
上記したように、第1オシレータ110及び第2オシレータ120は、それぞれ、調整粗さの異なる複数の発振周波数パラメータを受け付ける。本構成を採用すれば、第1クロック信号CLK1及び第2クロック信号CLK2それぞれの発振周波数を任意に調整及び変調することが可能となる。
【0076】
<総括>
以下では、上記で説明した種々の実施形態について総括的に述べる。
【0077】
例えば、本明細書中に開示されている発振回路は、第1クロック信号を生成するように構成された第1オシレータと、第2クロック信号を生成するように構成された第2オシレータと、前記第1クロック信号の帰還入力を受けて前記第1クロック信号及び前記第2クロック信号それぞれの位相を基準クロック信号に同期するように構成された出力帰還制御部と、前記第2クロック信号の発振周波数を変調するように構成された周波数変調部と、を備える構成(第1の構成)とされている。
【0078】
また、例えば、本明細書中に開示されている発振回路は、第1クロック信号を生成するように構成された第1オシレータと、第2クロック信号を生成するように構成された第2オシレータと、前記第1クロック信号及び前記第2クロック信号それぞれの入力を受け付けて帰還クロック信号及び出力クロック信号それぞれを出力するように構成された信号出力部と、前記帰還クロック信号の帰還入力を受けて前記第1クロック信号及び前記第2クロック信号それぞれの位相を基準クロック信号に同期するように構成された出力帰還制御部と、前記第1クロック信号及び前記第2クロック信号のうち前記出力クロック信号となる方の発振周波数を変調するように構成された周波数変調部と、を備える構成(第2の構成)とされている。
【0079】
なお、上記第1の構成による発振回路において、前記信号出力部は、前記第1クロック信号及び前記第2クロック信号の一方を前記帰還クロック信号として選択するように構成された第1マルチプレクサと、前記第1クロック信号及び前記第2クロック信号の一方を前記出力クロック信号として選択するように構成された第2マルチプレクサと、前記第1マルチプレクサ及び前記第2マルチプレクサそれぞれの切替制御を行うように構成された切替制御部と、を含む構成(第3の構成)にしてもよい。
【0080】
また、上記第2又は第3の構成による発振回路では、第1動作モードにおいて、前記第1オシレータは、前記第1クロック信号を生成し、前記第2オシレータは、前記第2クロック信号の生成を停止し、前記信号出力部は、前記第1クロック信号を前記帰還クロック信号及び前記出力クロック信号として出力し、前記周波数変調部は、発振周波数の変調を停止する構成(第4の構成)にしてもよい。
【0081】
また、上記第2~第4いずれかの構成による発振回路では、第2動作モードにおいて、前記第1オシレータは、前記第1クロック信号の生成を停止し、前記第2オシレータは、前記第2クロック信号を生成し、前記信号出力部は、前記第2クロック信号を前記帰還クロック信号及び前記出力クロック信号として出力し、前記周波数変調部は、発振周波数の変調を停止する構成(第5の構成)にしてもよい。
【0082】
また、上記第2~第5いずれかの構成による発振回路では、第3動作モードにおいて、前記第1オシレータは、前記第1クロック信号を生成し、前記第2オシレータは、前記第2クロック信号を生成し、前記信号出力部は、前記第1クロック信号を前記帰還クロック信号として出力すると共に前記第2クロック信号を前記出力クロック信号として出力し、前記周波数変調部は、前記第2クロック信号の発振周波数を変調する構成(第6の構成)にしてもよい。
【0083】
上記第2~第6いずれかの構成による発振回路では、第4動作モードにおいて、前記第1オシレータは、前記第1クロック信号を生成し、前記第2オシレータは、前記第2クロック信号を生成し、前記信号出力部は、第1フェイズでは前記第1クロック信号を前記帰還クロック信号として出力すると共に前記第2クロック信号を前記出力クロック信号として出力し、第2フェイズでは前記第2クロック信号を前記帰還クロック信号として出力すると共に前記第1クロック信号を前記出力クロック信号として出力し、前記周波数変調部は、前記第1フェイズでは前記第2クロック信号の発振周波数を変調し、前記第2フェイズでは前記第1クロック信号の発振周波数を変調する構成(第7の構成)にしてもよい。
【0084】
上記第1~第7いずれかの構成による発振回路において、前記第1オシレータ及び前記第2オシレータは、それぞれ、調整粗さの異なる複数の発振周波数パラメータを受け付ける構成(第8の構成)にしてもよい。
【0085】
上記第1~第8いずれかの構成による発振回路において、前記第1クロック信号及び前記第2クロック信号は、それぞれ、前記基準クロック信号の逓倍信号である構成(第9の構成)にしてもよい。
【0086】
上記第1~第9いずれかの構成による発振回路において、前記出力帰還制御部は、フィードバックループを安定化するように構成されたループフィルタを含む構成(第10の構成)にしてもよい。
【0087】
<その他の変形例>
なお、本明細書中に開示されている種々の技術的特徴は、上記実施形態のほか、その技術的創作の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。すなわち、上記実施形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきであり、本発明の技術的範囲は、特許請求の範囲により規定されるものであって、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。
【符号の説明】
【0088】
1 電子機器
100 発振回路(デジタルPLL回路)
110 第1オシレータ
120 第2オシレータ
130 出力帰還制御部
131 分周器
132 逐次比較レジスタ
133 ループフィルタ
133a 誤差補正部
134 デコーダ
135 インジェクションウィンドウ生成部
140 周波数変調部(SSCGコントローラ)
150 信号出力部
151 第1マルチプレクサ
152 第2マルチプレクサ
153 切替制御部(MUXコントローラ)
200 ロジック
210 セレクタ
220、230 レジスタ
240 分周器
300 不揮発メモリ
400 オシレータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8