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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023135020
(43)【公開日】2023-09-28
(54)【発明の名称】打球練習機
(51)【国際特許分類】
   A63B 69/40 20060101AFI20230921BHJP
【FI】
A63B69/40 511D
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022040018
(22)【出願日】2022-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】522104635
【氏名又は名称】株式会社ワールド
(74)【代理人】
【識別番号】100076473
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100112900
【弁理士】
【氏名又は名称】江間 路子
(74)【代理人】
【識別番号】100163164
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 敏之
(72)【発明者】
【氏名】戸田 幸男
(57)【要約】
【課題】簡素な構成で、コストを低減することができる打球練習機を提供する。
【解決手段】打球練習機10は、機台20と、リアシューター50と、フロントシューター40と、リアシューター50からフロントシューター40にボールBを移送する移送手段60と、を備える。移送手段60は、回転軸71を有するモータ70と、回転軸71に配設される当接片80と、機台20に軸支され当接片80と当接可能な被当接部91とボールBを保持可能な保持部92とを有するアーム90と、機台20と被当接部91との間に架け渡される付勢部材としてのコイルスプリング100と、を有する。アーム90が、当接片80と被当接部91との、当接、当接解除により、リアシューター50からボールBを受け取り可能な受取位置と、フロントシューター40にボールBを受け渡し可能な受渡位置と、の間を移動可能とされている。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機台と、前記機台に配設されボールを供給するリアシューターと、前記機台に配設され前記リアシューターに対して上下方向において段差を有して配され前記ボールを落下させるフロントシューターと、前記リアシューターから前記フロントシューターに前記ボールを移送する移送手段と、を備える打球練習機であって、
前記移送手段は、
回転軸を有するモータと、前記回転軸に配設される当接片と、前記機台に軸支され前記当接片と当接可能な被当接部と前記ボールを保持可能な保持部とを有するアームと、前記機台と前記被当接部との間に架け渡される付勢部材と、を有し、
前記アームが、前記当接片と前記被当接部との、当接、当接解除により、前記リアシューターから前記ボールを受け取り可能な受取位置と、前記フロントシューターに前記ボールを受け渡し可能な受渡位置と、の間を移動可能とされていることを特徴とする打球練習機。
【請求項2】
前記機台は、前記移送手段を配設可能なベースプレートを備え、
前記ベースプレートは、前記被当接部を挿通可能であるとともに、前記受取位置又は前記受渡位置にあるとき、前記被当接部と当接可能な挿通孔を有し、
前記被当接部が、前記挿通孔に挿通されていることを特徴とする請求項1記載の打球練習機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、野球、ソフトボール、テニス等の練習に用いられる打球練習機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の打球練習機(バッティングマシーン)として、特許文献1に記載されるものがあった。これによれば、打球練習機は、ボールをボール供給位置に順に供給するボール供給源と、ボール供給位置のボールを一個ずつ当該ボール供給位置よりも高位置に設定されたボール受渡位置まで移送するボール移送機構と、ボール受渡位置のボールを受けて当該打球練習機の設置面に対して横方向に転動させ、先端の落下穴から落下させる横通路と、ボール移送機構を駆動する駆動源とを備えていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3114187号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記打球練習機において、ボール移送機構は、モータにより駆動されるチェーンと、このチェーンに間隔を置いて取り付けられてボール供給位置のボールを一個ずつ保持する複数のボール保持部とを備えていた。そして、チェーンは、ベースフレームに立設された二本の支柱の下部及び上部にそれぞれ回転可能に取り付けられたスプロケットに掛けられ上下方向に移動可能とされていた。
【0005】
以上のことより、上記打球練習機では、ボール移送機構の部品点数が多く構成が複雑となり、コストがかかるという問題があった。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑み、簡素な構成で、コストを低減することができる打球練習機を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明では、機台と、前記機台に配設されボールを供給するリアシューターと、前記機台に配設され前記リアシューターに対して上下方向において段差を有して配され前記ボールを落下させるフロントシューターと、前記リアシューターから前記フロントシューターに前記ボールを移送する移送手段と、を備える打球練習機であって、
前記移送手段は、
回転軸を有するモータと、前記回転軸に配設される当接片と、前記機台に軸支され前記当接片と当接可能な被当接部と前記ボールを保持可能な保持部とを有するアームと、前記機台と前記被当接部との間に架け渡される付勢部材と、を有し、
前記アームが、前記当接片と前記被当接部との、当接、当接解除により、前記リアシューターから前記ボールを受け取り可能な受取位置と、前記フロントシューターに前記ボールを受け渡し可能な受渡位置と、の間を移動可能とされている。
【0008】
これによれば、移送手段を、モータと、当接片と、アームと、付勢部材と、いう少ない部品点数で、当接片と被当接部とを、当接させる、当接を解除することにより、簡易な構成で、受取位置と、受渡位置と、の間を移動可能となるので、簡素な構成で、コストを低減することができる。
【0009】
また、前記機台は、前記移送手段を配設可能なベースプレートを備え、
前記ベースプレートは、前記被当接部を挿通可能であるとともに、前記受取位置又は前記受渡位置にあるとき、前記被当接部と当接可能な挿通孔を有し、
前記被当接部が前記挿通孔に挿通されている。
【0010】
これによれば、受取位置又は受渡位置にあるとき、アームが、挿通孔に当接するように設定し、アームの回転を規制して、ボールの受け取り、受け渡しに不具合が生じることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明における一実施形態の打球練習機の正面図である。
図2】同実施形態の右側面図である。
図3】同実施形態の背面図である。
図4図1の部分拡大図である。
図5図2の部分拡大図である。
図6図3の部分拡大図である。
図7】ベースプレートの(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は側面図である。
図8】当接片の(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は側面図である。
図9】アームの(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は側面図である。
図10】アームが受取位置にあるときの概略説明図である。
図11】アームが受渡位置にあるときの概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明における打球練習機の一実施形態を図面に基づいて説明する。以下の説明では、図面に矢印が付される場合には、Fを前、Bを後ろ、Rを右、Lを左、Uを上、Dを下、とする。なお、図7~9は、部品図であるので他の図との方向は整合していない。
【0013】
打球練習機10は、野球のバッティング練習に用いられるもので、概略的には、図1~3に示すように、機台20と、機台20に配設されボールBを供給するリアシューター50と、機台20に配設されリアシューター50に対して上下方向において段差を有して配されボールBを落下させるフロントシューター40と、リアシューター50からフロントシューター40にボールBを移送する移送手段60と、を備えている。
【0014】
機台20は、図1~3等に示すように、本体フレーム21と、フロントフレーム23と、リアフレーム24と、ベースプレート30と、を有している。
【0015】
本体フレーム21は、金属製の角パイプで直方体枠状に形成され、下部の前後左右方向における四隅部分に、キャスター22がそれぞれ取り付けられている。
【0016】
フロントフレーム23は、金属製の角パイプでH字枠状に形成され、本体フレーム21の前側の上面に取り付けられている。
【0017】
リアフレーム24は、金属製の角パイプで上下方向に延びるように形成され、本体フレーム21の後側の上面の左寄りの位置に取り付けられている。
【0018】
ベースプレート30は、金属製で、図1~7に示すように、組み付けられた状態において、前後方向に長尺な矩形状に形成された本体部31と、本体部31の右側から矩形状に突出する突出部35と、を有するT字平板状に形成され、左右の端部が下側に折り曲げられている。
【0019】
突出部35には、組み付けられた状態において、厚さ方向に貫通して左右方向に長い長孔として形成された挿通孔36が形成されている。挿通孔36は、後述するアーム90の被当接部91を挿通可能とされるとともに、アーム90の移動を規制可能とするものである。
【0020】
ベースプレート30は、フロントフレーム23の上端部に、前後方向における中央部分において、左右方向を軸として回動可能、かつ、水平方向に対して前側が下となるように傾斜して取り付けられている。
【0021】
フロントシューター40は、金属製で、図1~5等に示すように、三枚の半円弧板状のガイドプレート41と、三本の円柱状の棒部材42と、を有している。
【0022】
フロントシューター40は、互いに平行となるように棒部材42を配置して、棒部材42を、前後の端部と、中央前寄りの部分において、ガイドプレート41で固定することによって形成される。フロントシューター40は、取付部材45を介して、ベースプレート30の本体部31の前側部分に固定されている。
【0023】
リアシューター50は、金属製で、図1~6等に示すように、四枚の半円弧板状のガイドプレート51と、三本の円柱状の棒部材52と、を有している。
【0024】
リアシューター50は、互いに平行となるように棒部材52を配置して、棒部材52を、前後の端部を含む四か所において、ガイドプレート51で固定することによって形成される。リアシューター50は、取付部材55を介して、ベースプレート30の本体部31の後側部分に固定されるとともに、リアフレーム24の上端部に左右方向を軸として回動可能に取り付けられている。
【0025】
本実施形態では、フロントシューター40、リアシューター50は、後端部40b、50bが前端部40a、50aより高くなるように、換言すれば、前後方向に沿うように、かつ、水平方向に対して前側が下になるように傾斜して配されている。また、フロントシューター40の後端部40bは、リアシューター50の前端部50aと、上下方向において段差を有するように配されている。
【0026】
移送手段60は、図1~6等に示すように、回転軸71を有するモータ70と、回転軸71に配設される当接片80と、機台20に軸支されるアーム90と、機台20と後述する被当接部91との間に架け渡される付勢部材としてのコイルスプリング100と、を有している。
【0027】
モータ70は、図1~6等に示すように、既存の電動式モータが用いられ、図示しない、コントローラ、電源に接続されるとともに、モータブラケット72を介して、ベースプレート30の下面側に取り付けられている。回転軸71が、フロントシューター40、リアシューター50を移動するボールBの進行に沿うように配されている。換言すれば、回転軸71は、前後方向に沿うように、かつ、水平方向に対して前側が下になるように傾斜して、配されている。
【0028】
当接片80は、図1~6、8に示すように、金属製で、組み付けられた状態において、前後方向における、幅が大きく形成された幅広部81と、幅広部81より幅が小さく形成された幅狭部82と、を有する段付き角柱状に形成されている。
【0029】
幅広部81には、割り溝81aが形成され、幅狭部82には、組み付けられた状態において、前後方向に貫通するとともに長孔状に形成された長孔82aが形成されている。
【0030】
割り溝81aに、モータ70の回転軸71が取り付けられる。
【0031】
長孔82aには、長孔82aの軸線を軸として、ローラ83が回動可能に取り付けられ、後述するアーム90の被当接部91と当接可能とされている。
【0032】
アーム90は、金属製で、図1~6、9に示すように、略L字状に形成され、当接片80と当接可能な被当接部91と、ボールBを保持可能な保持部92と、取付ブラケット95に軸支可能な軸部93と、を有している。
【0033】
本実施形態では、保持部92は、断面コの字状の溝形鋼を用いて形成されている。
【0034】
アーム90は、一対の取付ブラケット95を介して、回転軸が、モータ70の回転軸71の軸線と平行となるように、ベースプレート30の突出部35に、回転可能に取り付けられている。また、アーム90は、挿通孔36に被当接部91を挿通させるように配されている。
【0035】
コイルスプリング100は、図1~6に示すように、一端(左端)が機台20に図示しないボルトを介して固定され、他端(右端)がアーム90の被当接部91に固定されている。本実施形態では、コイルスプリング100は、アーム90を後述する受渡位置側に付勢している。
【0036】
移送手段60は、アーム90が、当接片80と被当接部91との、当接、当接解除により、リアシューター50からボールBを受け取り可能な受取位置と、フロントシューター40にボールBを受け渡し可能な受渡位置と、の間を移動可能とされている。
【0037】
上記構成の打球練習機10の使用態様について説明する。
【0038】
図11に参照するように、アーム90を、当接片80と被当接部91の当接が解除された受渡位置にしておき、ボールBをフロントシューター40に複数個並べておく。
【0039】
このとき、並べられた先頭のボールBは、アーム90の保持部92の後端面に当接して、ストップさせられている。また、アーム90が、挿通孔36に当接して、アーム90の回転を規制して、ボールBの受け取り、受け渡しに不具合が生じることを防止している。
【0040】
モータ70を駆動させて回転軸71を時計回りに回転させる。それにともない、回転軸71に取り付けられた当接片80が時計回りに回転し、当接片80がコイルスプリング100の付勢力に抗して被当接部91を右側に押し、アーム90を下側に回転させる。
【0041】
図10に参照するように、アーム90が下側に回転し受取位置まで移動すると、保持部92が、フロントシューター40にある先頭のボールBを内部で保持する。
【0042】
ボールBが、保持部92で保持された後、当接片80と被当接部91の当接が解除され、アーム90が上側に回転し受渡位置まで移動すると、保持部92から、リアシューター50にボールBが移動し、リアシューター50の下端部からボールBが落下する。
【0043】
打者は、落下してくるボールBを、タイミングを見計らってバットでとらえる練習をする。
【0044】
本実施形態の打球練習機10では、機台20と、機台20に配設されボールBを供給するリアシューター50と、機台20に配設されリアシューター50に対して上下方向において段差を有して配されボールBを落下させるフロントシューター40と、リアシューター50からフロントシューター40にボールBを移送する移送手段60と、を備える打球練習機であって、
移送手段60は、
回転軸71を有するモータ70と、回転軸71に配設される当接片80と、機台20に軸支され当接片80と当接可能な被当接部91とボールBを保持可能な保持部92とを有するアーム90と、機台20と被当接部91との間に架け渡される付勢部材としてのコイルスプリング100と、を有し、
アーム90が、当接片80と被当接部91との、当接、当接解除により、リアシューター50からボールBを受け取り可能な受取位置と、フロントシューター40にボールBを受け渡し可能な受渡位置と、の間を移動可能とされている。
【0045】
これによれば、移送手段60を、モータ70と、当接片80と、アーム90と、コイルスプリング100と、いう少ない部品点数で、当接片80と被当接部91とを、当接させる、当接を解除することにより、簡易な構成で、受取位置と、受渡位置と、の間を移動可能となるので、簡素な構成で、コストを低減することができる。
【0046】
また、機台20は、移送手段60を配設可能なベースプレート30を備え、
ベースプレート30は、被当接部91を挿通可能であるとともに、受渡位置にあるとき、被当接部91と当接可能な挿通孔36を有し、
被当接部91が挿通孔36に挿通されている。
【0047】
これによれば、受渡位置にあるとき、アーム90が、挿通孔36に当接するように設定し、アーム90の回転を規制して、ボールBの受け取り、受け渡しに不具合が生じることを防止できる。
【0048】
本発明の打球練習機は上記実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の要旨を逸脱しない限り各種の設計変更等が可能である。
【0049】
例えば、付勢部材としてのコイルスプリング100を、アーム90の受取位置側に付勢するようにする。そして、受取位置にあるときに、被当接部91と挿通孔36を当接させ、当接片80と被当接部91を当接させて、受渡位置に移動し、当接片80と被当接部91の当接を解除させて、受取位置に移動させる構成とすることもできる。
【0050】
また、野球のバッティング練習以外に、ソフトボール、テニス、卓球等の打球練習に用いることができる。
【0051】
また、モータ70は、電動式モータを用いたが、エア駆動等他の駆動方式のモータを用いることができる。
【符号の説明】
【0052】
10 打球練習機
20 機台
30 ベースプレート
32 挿通孔
40 フロントシューター
50 リアシューター
60 移送手段
70モータ
71 回転軸
80 当接片
90 アーム
91 被当接部
92 保持部
100 コイルスプリング
B ボール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11