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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023135030
(43)【公開日】2023-09-28
(54)【発明の名称】体温計および通信システム
(51)【国際特許分類】
   H04L 65/1069 20220101AFI20230921BHJP
   A61B 5/01 20060101ALI20230921BHJP
【FI】
H04L65/1069
A61B5/01 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022040034
(22)【出願日】2022-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】507351883
【氏名又は名称】シチズン・システムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 哲也
【テーマコード(参考)】
4C117
【Fターム(参考)】
4C117XB01
4C117XC26
4C117XE23
4C117XG05
4C117XH14
(57)【要約】
【解決手段】ユーザによって押下される単一のボタンと、電源がオフの状態からボタンが1回押下されることによって電源がオンになっている状態である電源オン状態において、予め定められた時間内にボタンが更に1回押下された場合には外部の通信端末との通信処理を開始し、電源オン状態において、ボタンが押下されずに時間が経過した場合には通信処理を開始せずに電源をオフにする制御部とを備える体温計を提供する。制御部は、通信処理中にボタンが更に1回押下された場合には、通信処理を中止して電源をオフにしてもよい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザによって押下される単一のボタンと、
電源がオフの状態から前記ボタンが1回押下されることによって前記電源がオンになっている状態である電源オン状態において、予め定められた時間内に前記ボタンが更に1回押下された場合には外部の通信端末との通信処理を開始し、前記電源オン状態において、前記ボタンが押下されずに前記時間が経過した場合には前記通信処理を開始せずに前記電源をオフにする制御部と
を備える体温計。
【請求項2】
前記制御部は、前記通信処理中に前記ボタンが更に1回押下された場合には、前記通信処理を中止して前記電源をオフにする、
請求項1に記載の体温計。
【請求項3】
前記制御部は、前記通信処理中に前記ボタンが押下されることなく前記通信処理が完了した場合には、前記電源をオフにする、
請求項1または2に記載の体温計。
【請求項4】
前記電源オン状態において、前記ユーザが視認可能な情報を表示し、前記電源がオフになったことに応じて前記情報の表示を終了する表示部を更に備え、
前記制御部は、前記通信処理中には、前記通信処理を開始する前の表示態様とは異なる表示態様で前記情報を前記表示部に表示させる、
請求項2または3に記載の体温計。
【請求項5】
表示部を更に備え、
前記制御部は、前記通信処理中には、前記通信処理中であることを示す情報を前記表示部に表示させる、
請求項2または3に記載の体温計。
【請求項6】
前記制御部は、前記通信処理を開始した後、前記通信端末から応答信号を受信することなく予め定められた時間が経過した場合には、前記通信端末との通信が失敗したことを示す情報を前記表示部に表示させた後、前記電源をオフにする、
請求項4または5に記載の体温計。
【請求項7】
温度測定部と、
前記温度測定部による直近の測定結果を記憶する記憶部と
を更に備え、
前記制御部は、
前記電源オン状態において、前記温度測定部による温度測定中に前記ボタンが押下されることなく測定した温度が確定した場合には、前記温度測定の結果を前記直近の測定結果として前記記憶部に記憶させ、
前記通信処理において、前記通信端末からデータ転送を要求する信号を受信した場合には、前記記憶部に記憶された前記直近の測定結果を前記通信端末に送信することを開始し、前記直近の測定結果の送信が完了したことに応じて、前記電源をオフにする、
請求項1から6の何れか一項に記載の体温計。
【請求項8】
前記通信処理を開始することは、
通信を確立するための信号を前記通信端末に送信することを開始し、これに応じて前記通信端末から応答信号を受信した場合には、前記応答信号に従って、前記通信端末とのペアリング処理および前記通信端末へのデータ転送処理の何れか一方の処理を開始することを含む、
請求項1から7の何れか一項に記載の体温計。
【請求項9】
体温計と、
通信端末と
を備える通信システムであって、
前記体温計は、
ユーザによって押下される単一のボタンと、
電源がオフの状態から前記ボタンが1回押下されることによって前記電源がオンになっている状態である電源オン状態において、予め定められた時間内に前記ボタンが更に1回押下された場合には通信を確立するための信号を前記通信端末に送信することを開始し、前記電源オン状態において、前記ボタンが押下されずに前記時間が経過した場合には前記信号を前記通信端末に送信することを開始せずに前記電源をオフにする制御部と
を有する、
通信システム。
【請求項10】
体温計と、
通信端末と
を備える通信システムであって、
前記通信端末は、ユーザの操作によって、前記体温計との間で異なる複数の通信処理のうちの1つの通信処理を開始可能な状態で待機する待機状態に設定可能であり、
前記体温計は、
ユーザによって押下される単一のボタンと、
電源がオフの状態から前記ボタンが1回押下されることによって前記電源がオンになっている状態である電源オン状態において、前記ボタンが更に1回押下された場合に、前記通信端末の前記待機状態に応じて、前記通信端末との間で前記1つの通信処理を実行する制御部と
を有する、
通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体温計および通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、「看護師1031は体温計103をデータ中継カード109にかざす(S1018)。すると、体温計103とデータ中継カード109との間でNFC規格の無線通信が行われ、体温計103から体温と測定日時情報がデータ中継カード109に転送される。」(段落0057)と記載されている。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1] 特許第6291306号
【発明の概要】
【0003】
本発明の第1の態様においては、体温計を提供する。体温計は、ユーザによって押下される単一のボタンを備えてもよい。体温計は、電源がオフの状態から前記ボタンが1回押下されることによって前記電源がオンになっている状態である電源オン状態において、予め定められた時間内に前記ボタンが更に1回押下された場合には外部の通信端末との通信処理を開始し、前記電源オン状態において、前記ボタンが押下されずに前記時間が経過した場合には前記通信処理を開始せずに前記電源をオフにする制御部を備えてもよい。
【0004】
前記制御部は、前記通信処理中に前記ボタンが更に1回押下された場合には、前記通信処理を中止して前記電源をオフにしてもよい。
【0005】
前記制御部は、前記通信処理中に前記ボタンが押下されることなく前記通信処理が完了した場合には、前記電源をオフにしてもよい。
【0006】
体温計は、前記電源オン状態において、前記ユーザが視認可能な情報を表示し、前記電源がオフになったことに応じて前記情報の表示を終了する表示部を更に備えてもよい。前記制御部は、前記通信処理中には、前記通信処理を開始する前の表示態様とは異なる表示態様で前記情報を前記表示部に表示させてもよい。
【0007】
体温計は、表示部を更に備えてもよい。前記制御部は、前記通信処理中には、前記通信処理中であることを示す情報を前記表示部に表示させてもよい。
【0008】
前記制御部は、前記通信処理を開始した後、前記通信端末から応答信号を受信することなく予め定められた時間が経過した場合には、前記通信端末との通信が失敗したことを示す情報を前記表示部に表示させた後、前記電源をオフにしてもよい。
【0009】
体温計は、温度測定部を更に備えてもよい。体温計は、前記温度測定部による直近の測定結果を記憶する記憶部を更に備えてもよい。前記制御部は、前記電源オン状態において、前記温度測定部による温度測定中に前記ボタンが押下されることなく測定した温度が確定した場合には、前記温度測定の結果を前記直近の測定結果として前記記憶部に記憶させてもよい。前記制御部は、前記通信処理において、前記通信端末からデータ転送を要求する信号を受信した場合には、前記記憶部に記憶された前記直近の測定結果を前記通信端末に送信することを開始し、前記直近の測定結果の送信が完了したことに応じて、前記電源をオフにしてもよい。
【0010】
前記通信処理を開始することは、通信を確立するための信号を前記通信端末に送信することを開始し、これに応じて前記通信端末から応答信号を受信した場合には、前記応答信号に従って、前記通信端末とのペアリング処理および前記通信端末へのデータ転送処理の何れか一方の処理を開始することを含んでもよい。
【0011】
本発明の第2の態様においては、通信システムを提供する。通信システムは、体温計を備えてもよい。通信システムは、通信端末を備えてもよい。前記体温計は、ユーザによって押下される単一のボタンを有してもよい。前記体温計は、電源がオフの状態から前記ボタンが1回押下されることによって前記電源がオンになっている状態である電源オン状態において、予め定められた時間内に前記ボタンが更に1回押下された場合には通信を確立するための信号を前記通信端末に送信することを開始し、前記電源オン状態において、前記ボタンが押下されずに前記時間が経過した場合には前記信号を前記通信端末に送信することを開始せずに前記電源をオフにする制御部を有してもよい。
【0012】
本発明の第3の態様においては、通信システムを提供する。通信システムは、体温計を備えてもよい。通信システムは、通信端末を備えてもよい。前記通信端末は、ユーザの操作によって、前記体温計との間で異なる複数の通信処理のうちの1つの通信処理を開始可能な状態で待機する待機状態に設定可能であってもよい。前記体温計は、ユーザによって押下される単一のボタンを有してもよい。前記体温計は、電源がオフの状態から前記ボタンが1回押下されることによって前記電源がオンになっている状態である電源オン状態において、前記ボタンが更に1回押下された場合に、前記通信端末の前記待機状態に応じて、前記通信端末との間で前記1つの通信処理を実行する制御部を有してもよい。
【0013】
なお、上記の発明の概要は、本発明の特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】通信システム10の一例の概略図である。
図2】体温計100の一例のブロック図である。
図3】通信システム10による通信方法の一例のフロー図である。
図4図3のステップS103のサブルーチンの一例を示す図である。
図5】体温計100の表示部140における一連の表示例を説明する説明図である。
図6】通信端末200の表示部210における一連の表示例を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0016】
図1は、通信システム10の一例の概略図である。通信システム10は、体温計100と、通信端末200とを備える。なお、図1は、体温計100の外部から視認できない内部構成の一例を破線で示す。
【0017】
体温計100および通信端末200は、無線または有線で互いに通信する。一例として、体温計100および通信端末200は、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)、NFC、フェリカ、Wi-Fi(登録商標)などの近距離無線通信規格を用いて互いに無線通信してもよい。なお、体温計100および通信端末200のユーザは、同一人物であっても別人であってもよい。
【0018】
体温計100は、ユーザによって押下される単一のボタン110を備える。体温計100は、ユーザによる当該単一のボタン110の単純な押下操作によって動作する。単純な押下操作とは、ボタン110を押下するという操作を意図しており、ボタン110を押下し続ける時間、すなわち連続押下時間を異ならせるような複雑な操作は意図していない。
【0019】
体温計100は、ユーザの体温を測定する電子体温計である。体温計100は、ユーザが体温を測定した測定結果を記憶しておき、ユーザによるボタン110の押下操作に応じて、当該測定結果を通信端末200に送信する。
【0020】
通信端末200は、ユーザインタフェースを有する通信機器であって、例えばタッチパネル式の表示部210を備えるスマートフォンやタブレット端末であってもよい。通信端末200は、ユーザによるユーザインタフェースの操作に応じて、体温計100との通信を確立させたり、体温計100から受信した測定結果をユーザインタフェース上に表示したりする。
【0021】
このような構成を備える通信システム10は、ユーザが体温計100で体温を測定した測定結果を、体温計100から通信端末200に送信し、通信端末200を使用するユーザが、通信端末200のインタフェースによって当該測定結果を閲覧できるようにする。通信システム10は、体温計100の装置構成を単純化することによって製造コストおよびサイズを小さくし且つユーザの利便性を向上させることに加えて、体温計100が各種の処理を実行している最中にユーザ操作を受け付けることによってユーザ意思を反映させた処理を実行できるようにする。
【0022】
図2は、体温計100の一例のブロック図である。体温計100は、制御部120を備える。本実施形態による体温計100は更に、電源130と、表示部140と、温度測定部150と、記憶部160とを備えてもよい。なお、図2は、信号の流れを黒塗りの矢印で示す。
【0023】
制御部120は、ユーザによるボタン110の押下操作に応じて、ボタン110から信号を入力された場合に、体温計100の各構成の動作を制御する。
【0024】
例えば、制御部120は、電源130がオフの状態、すなわち電源オフ状態において、ボタン110が1回押下されることによってボタン110から信号が入力された場合に、体温計100の各構成に信号を送り、電源130をオンの状態、すなわち電源オン状態に切り替えてもよい。ここで、電源オン状態とは、体温計100の各構成が動作状態であることを意図してもよく、電源オフ状態とは、体温計100の各構成が完全停止状態であることを意図してもよい。または、電源オフ状態とは、各構成が全て完全に停止せず、一部の構成が動作していても、表示部140が消灯し、表示部140が消灯する前の状態よりも、体温計100における消費電流が少ない状態であることを意図してもよい。
【0025】
例えば、制御部120は、電源オフ状態から電源オン状態に切り替えたことに伴って、記憶部160に記憶されているデータを参照し、表示部140に信号を送って当該データに対応する情報を表示させてもよい。
【0026】
制御部120はまた、タイマー121を有してもよい。一例として、制御部120は、電源オン状態に切り替えてから予め定められた時間内、例えば20分以内に、ユーザによるボタン110の押下操作が有るか無いかに応じて、異なる処理を実行してもよい。
【0027】
例えば、制御部120は、当該時間内にボタン110の押下操作が1回有った場合には、通信端末200との通信処理を開始してもよい。また例えば、制御部120は、当該時間内にボタン110の押下操作が1回も無い場合には、電源130に信号を送り、電源オン状態から電源オフ状態に切り替えてもよい。なお、このように電源オフ状態に切り替える処理をオートパワーオフと称する場合がある。
【0028】
電源130は、電力を蓄え、制御部120による制御に従って、電源オン状態であるか電源オフ状態であるかに拘わらず、体温計100の各構成に電力を供給する。電源130は、一例として、ユーザによって取り外し可能な電池であってもよく、取り外し不可能な電池であってもよい。電源130は、交換式の電池であってもよく、充電式の電池であってもよい。なお、体温計100は、電源130を備える代わりに、外部の電源から電力を受給可能であってもよい。
【0029】
表示部140は、例えば、モノクロで表示する液晶パネルであってもよい。表示部140は、電源オン状態において、ユーザが視認可能な情報を表示する。表示部140はまた、電源130がオフになったことに応じて、当該情報の表示を終了する。
【0030】
温度測定部150は、図1に示すように、体温計100の外表面に設けられた温度センサを含み、外表面温度を測定する。温度測定部150は、例えば、ユーザの脇に挟まれた場合に、脇の温度を測定する。温度測定部150は、測定結果を記憶部160に記憶させる。なお、一例として、温度測定部150による測定時間は、例えば10分であってもよい。
【0031】
記憶部160は、温度測定部150による直近の測定結果を記憶する。記憶部160は、直近の測定結果だけでなく、過去の一定期間の測定結果を含む測温履歴を記憶してもよい。記憶部160はまた、温度測定部150による直近の測定結果を、温度測定部150による温度測定が行われた日時と紐付けて記憶してもよい。この場合、例えば、温度測定部150は、制御部120のタイマー121を参照して、直近の測定結果を、測定日時の情報と共に記憶部160に記憶させてもよい。記憶部160はまた、制御部120によって参照される。
【0032】
以上の構成を備える体温計100において、制御部120は、電源オン状態において、予め定められた時間内にボタン110が更に1回押下された場合には外部の通信端末200との通信処理を開始し、電源オン状態において、ボタン110が押下されずに当該時間が経過した場合には当該通信処理を開始せずに電源130をオフにする。
【0033】
本実施形態では、通信端末200は、ユーザの操作によって、体温計100との間で異なる複数の通信処理のうちの1つの通信処理を開始可能な状態で待機する待機状態に設定可能であってもよい。この場合において、本実施形態による体温計100の制御部120はまた、電源オン状態において、ボタン110が更に1回押下された場合に、通信端末200の当該待機状態に応じて、通信端末200との間で当該1つの通信処理を実行する。ここで言う待機状態とは、例えば、ユーザによる通信端末200のユーザインタフェースの操作に基づいて、通信端末200が、ペアリング処理を未だ行っていない体温計とペアリングするためにスタンバイしている状態や、ペアリング済の体温計から測定結果を転送してもらうためにスタンバイしている状態などを意図してもよい。
【0034】
図3は、通信システム10による通信方法の一例のフロー図である。図3のフローは、一例として、ユーザによりボタン110が1回押下されることによって電源130が電源オフ状態から電源オン状態になることで開始する。なお、以下のフローの説明では、フローが終了するまで電源オン状態が維持されていることを前提とし、重複する説明を省略する。
【0035】
体温計100は、電源オン状態に切り替わってから予め定められた時間内に、ボタン110が更に1回押下された場合には(ステップS101:YES)、通信端末200との通信処理を開始する(ステップS103)。体温計100は、ボタン110が押下されずに当該時間が経過した場合には(ステップS101:NO)、通信端末200との通信処理を開始せずに電源130をオフにし(ステップS105)、当該フローを終了する。具体的な一例として、体温計100の制御部120は、タイマー121を用いて、電源オン状態に切り替わった時点から時間計測を開始し、例えば20分以内にボタン110の押下操作に基づく信号が入力されるか否かを判断してもよい。
【0036】
ステップS101において、制御部120は、当該時間内にボタン110が更に1回押される前に、温度測定部150による温度測定が行われた場合には、当該温度測定の測定結果を記憶部160に記憶させる、すなわち、記憶部160に記憶させている温度測定結果を更新する。この場合の更なる具体的な一例として、制御部120は、温度測定部150による温度測定中にボタン110が押下されることなく、測定した温度が確定した場合、例えば如何なるエラーも生じなかった場合、当該温度測定の結果を直近の測定結果として記憶部160に記憶させてもよい。
【0037】
なお、ステップS101において、制御部120は、予め定められた時間内にボタン110が更に1回押される前に、温度測定部150による温度測定が行われなかった場合には、記憶部160に記憶させている温度測定結果を更新しない。また、ステップS101において、制御部120は、予め定められた時間内にボタン110が更に1回押される前に、温度測定部150による温度測定が行われたものの何らかのエラーが生じた場合には、記憶部160に記憶させている温度測定結果を更新しなくてもよい。
【0038】
ステップS103に続けて、体温計100は、通信端末200との通信処理中にボタン110が更に1回押下された場合に(ステップS107:YES)、当該通信処理を中止して電源130をオフにし(ステップS109)、当該フローを終了する。体温計100は、当該通信処理中にボタン110が押下されることなく通信処理が完了した場合には(ステップS107:NO)、電源130をオフにし(ステップS111)、当該フローを終了する。
【0039】
図4は、図3に示すステップS103のサブルーチンの一例を示す図である。図3に示すステップS103の具体的な一例として、通信処理を開始することは、体温計100が、通信を確立するための信号を通信端末200に送信することを開始することを含んでもよい。通信処理を開始することは更に、体温計100が、当該信号の送信を開始したことに応じて通信端末200から応答信号を受信した場合には、当該応答信号に従って、通信端末200とのペアリング処理および通信端末200へのデータ転送処理の何れか一方の処理を開始することを含んでもよい。
【0040】
図4のサブルーチンの一例では、体温計100は、通信を確立するための信号を通信端末200に送信する(ステップS201)。体温計100および通信端末200は、互いにBluetooth(登録商標)通信してもよく、この場合、ステップS201において体温計100は通信端末200に向けてアドバタイズパケットを継続的に送信してもよい。
【0041】
通信端末200は、体温計100から通信を確立するための信号を受信した場合(ステップS201)において、当該体温計100がペアリングされていない場合には(ステップS203:NO)、通信端末200とのペアリング処理の開始を要求する第1信号を当該体温計100に送信する(ステップS205)。通信端末200は、ステップS201において、当該体温計100がペアリングされている場合には(ステップS203:YES)、データ転送を要求する第2信号を当該体温計100に送信する(ステップS207)。
【0042】
体温計100は、通信端末200から第1信号を受信した場合(ステップS205)には、当該通信端末200とのペアリング処理を開始し(ステップS209)、図3のステップS107へと進む。この場合に、図3のステップS107:NOは、当該通信端末200とのペアリング処理中にボタン110が押下されることなく当該通信端末200とのペアリングが完了したことに相当する。
【0043】
体温計100は、通信端末200から第2信号を受信した場合(ステップS207)には、データ転送処理、すなわち、記憶部160に記憶された直近の測定結果を当該通信端末200に送信することを開始し(ステップS209)、図3のステップS107へと進む。この場合に、図3のステップS107:NOは、当該通信端末200への送信処理中にボタン110が押下されることなく、体温計100から当該通信端末200への当該直近の測定結果の送信が完了したことに相当する。
【0044】
なお、記憶部160に記憶されている直近の測定結果には、温度測定部150によって温度測定が行われた日時が紐付けられていてもよく、この場合、制御部120は、記憶部160に記憶された当該直近の測定結果を、当該直近の測定結果と紐付けられた日時と共に通信端末200に送信してもよい。
【0045】
図5は、体温計100の表示部140における一連の表示例を説明する説明図である。図5は、単に説明を目的として、表示部140の表示例140A、140B、140C、140Dのそれぞれに、互いに対応する四角い表示領域141、142、143、144、145、146を破線で示す。また、図5は、同様の目的で、表示部140の表示画面の一部または全体が点滅している状態を、灰色の複数の三角形で示す。なお、図5は、複数の表示例の変化の順を白抜きの矢印で示す。
【0046】
図5の一例では、表示部140は、体温計100が電源オフ状態から電源オン状態に切り替わったことに応じて、表示例140Aを表示する。表示例140Aは、表示部140の表示画面が全点灯している状態を示す。表示例140Aにおいて、表示領域141は測定温度の表示領域であり、表示領域142は記号℃の表示領域であり、表示領域143は記憶部160に記憶されている直近の測定結果が表示されていることを示すための記号MRの表示領域である。表示領域144は、通信端末200との間でペアリング処理されてBluetooth(登録商標)通信が確立されている状態を示すための記号の表示領域である。表示領域145は電源130の電池残量を示すための記号の表示領域であり、表示領域146は予測記号の表示領域である。他の表示例においても同様とし、重複する説明を省略する。
【0047】
表示例140Bは、記憶部160に記憶されている直近の測定結果を点灯により表示領域141に表示している状態を示す。表示例140Cは、測定準備が完了し、記号Lを点灯により表示領域141に表示し且つ記号℃を表示領域142に点滅により表示している状態を示す。一例として、表示部140は、表示例140Aを表示し始めてから2秒経過した時点で表示例140Bを表示し、表示例140Bを表示し始めてから2秒経過した時点で表示例140Cを表示してもよい。
【0048】
表示例140Dは、データ転送処理の実行中であることをユーザに知らせるべく、記憶部160に記憶されている直近の測定結果を表示領域141に点滅により表示していて且つ表示領域142の記号℃等も点滅により表示している状態を示す。当該直近の測定結果は、表示例140Bに示した前回の測定結果であってもよく、表示部140が表示例140Cを表示した後で、温度測定部150により測定されて記憶部160に記憶された測定結果であってもよい。一例として、表示部140は、表示例140A、表示例140Bおよび表示例140Cの何れかを表示している状態で、ユーザによるボタン110の押下操作に応じて制御部120から信号を入力された場合に、表示例140Dを表示してもよい。更に具体的な一例として、ユーザが体温計100のボタン110を押下した後でボタン110を更に1回押下操作しなければ、表示部140は表示例140A、表示例140B、表示例140Cの順に表示を数秒間隔で切り替える。ユーザがこの間にボタン110を更に1回押下操作すれば、表示部140は直ちに表示例140Dに切り替え、すなわち制御部120は直ちに通信処理を開始する。
【0049】
体温計100の制御部120は、通信端末200との通信処理中には、当該通信処理を開始する前の表示態様とは異なる表示態様で、情報を表示部140に表示させてもよい。具体的な一例として、制御部120は、表示部140が表示例140A、表示例140Bおよび表示例140Cの何れかを主に点灯により表示している間に、通信端末200との通信処理を開始したことに応じて、点灯とは異なる表示態様の一例である点滅により表示例140Dを表示させてもよい。これにより、体温計100は、体温計100から通信端末200に向けてデータ転送を開始したこと及びデータ転送中であることをユーザに知らせることができ、表示部140を確認したユーザは、例えば、データ転送処理が終了していないこと認知して、当該処理を中止するためにボタン110を更に1回押下することができる。
【0050】
なお、制御部120は、上述の異なる表示態様を表示例140に表示させることに代えて、当該通信処理中には、当該通信処理中であることを示す情報、例えば転送中であることを表す記号を表示部140に表示させてもよい。なお、一例として、体温計100から通信端末200に向けたデータ転送時間は、例えば最短10秒程度である。
【0051】
図6は、通信端末200の表示部210における一連の表示例を説明する説明図である。図6は、単に説明を目的として、表示部210の表示例210A、210Bのそれぞれに、互いに対応する四角い表示領域211、212、213、214、215を破線で示す。なお、図6は、複数の表示例が相互に切り替え可能であることを白抜きの矢印で示す。
【0052】
表示例210Aは、通信端末200が体温計100から受信する温度測定結果および測定日時の履歴を表示する履歴画面を示す。表示例210Aにおいて、表示領域211は、ユーザのタップ操作を受け付けて、表示例210Aと表示例210Bとの間で表示画面を切り替えるためのアイコンの表示領域である。表示領域213は、ユーザのタップ操作を受け付けて、表示例210Aにおける一覧表示とグラフ表示とを切り替えるための入力フィールドの表示領域である。
【0053】
通信端末200は、体温計100から新たに受信した温度測定結果および測定日時が表示例210Aに示す履歴に含まれている場合には当該履歴を更新しないように構成された履歴画面を表示可能であってもよい。これにより、通信端末200は、不必要に履歴の情報が増えることでユーザ利便性が低下することを防止できる。なお、この場合、通信端末200は、体温計100から新たに受信した当該温度測定結果等を削除してもよい。
【0054】
表示例210Bは、ペアリングが完了しているペアリング済体温計のIDと、ペアリングが完了しておらずアドバタイズパケットが発信されていることが確認された未ペアリング体温計のIDとを区別して表示する機器登録画面を示す。表示例210Bにおいて、表示領域214は、ペアリングが完了しておらずアドバタイズパケットが発信されていることが確認された未ペアリング体温計のIDの表示領域である。表示領域215は、ペアリングが完了しているペアリング済体温計のIDの表示領域である。
【0055】
通信端末200は、未ペアリング体温計のIDの表示領域214をタップ操作されたことに応じて、通信端末200とのペアリング処理を開始させるための応答信号を未ペアリング体温計に送信するように構成された機器登録画面を表示可能であってもよい。より具体的には、通信端末200は、通信を確立するための信号を受信している全ての未ペアリング体温計のIDを表示領域214に一覧表示し、表示領域214上をタップ操作することでユーザによって選択された特定の未ペアリング体温計に向けてペアリング処理を開始することを要求する信号を送信してもよい。
【0056】
通信端末200は、ペアリングが完了しているペアリング済体温計のIDを記憶し、記憶している全てのペアリング済体温計のIDを表示領域215に表示してもよい。通信端末200は、通信を確立するための信号を受信している全てのペアリング済体温計のIDを表示領域215に一覧表示し、表示領域215上をタップ操作することでユーザによって選択された特定のペアリング済体温計に向けてデータ転送処理を開始することを要求する信号を送信してもよい。
【0057】
ここで、本実施形態による体温計100との比較例として、ユーザによって押下される複数のボタンを備えた体温計や、ユーザに対して1つ又は複数のボタンの連続押下時間を異ならせた複雑な押下操作を要求する体温計や、ケースに収容される度に必ず外部端末との通信処理を実行する体温計などが考えられる。しかしながら、体温計に複数のボタンを配置する場合には、体温計の製造コストやサイズが大きくなる。また、体温計がユーザに対して複雑な押下操作を要求する場合には、ユーザ利便性が低下する。また、体温計がケースに収容される度に通信処理を開始する場合には、ユーザの意に反して通信処理が開始される場合があり、ユーザは通信処理を中止させることができない。この場合には、ユーザの意に反して体温計の電池を浪費させてしまい、また、ユーザが必要としていない測定結果がユーザの通信端末に記録されてしまう。
【0058】
これに対して、本実施形態における、単一のボタン110を備える体温計100によれば、電源オン状態において、予め定められた時間内に当該ボタン110が更に1回押下された場合には通信端末200との通信処理を開始し、ボタン110が押下されずに当該時間が経過した場合には当該通信処理を開始せずに電源130をオフにする。
【0059】
本実施形態による体温計100のユーザは、電源オン状態にある体温計100の単一のボタン110を1回押下することにより電源オン状態にした状態で、所定の時間内に当該ボタン110を押下しない、または更に1回押下するだけで、体温計100と通信端末200との通信処理を開始せずに体温計100の電源をオフにすること、および、当該通信処理を開始することの何れかを自由意思で選択できる。すなわち、ユーザは、自身の意思に応じて、ボタン110押下をしないで体温計100を放置することで体温計100をオートパワーオフさせたり、連続押下時間に拘わらずボタン110を1回押下するだけで体温計100の通信処理の開始を選択することができる。このように、体温計100によれば、体温計100の装置構成を単純化することによってサイズを小さくし且つユーザの利便性を向上させることができるだけでなく、ユーザが所定時間内にボタン110を更に1回押下するか否かに応じて異なる処理を実行することによってユーザ意思を反映させることができる。
【0060】
また、体温計100によれば、一例として、通信端末200との通信処理中にボタン110が更に1回押下された場合には、当該通信処理を中止して電源130をオフにし、当該通信処理中にボタン110が押下されることなく通信処理が完了した場合には電源130をオフにする。本実施形態による体温計100のユーザは、自らの意思で又は意思に反して体温計100と通信端末200との通信処理が開始された場合でも、自らの意思で、開始された通信処理を中止することができる。このように、体温計100によれば、通信処理を実行している最中にもユーザ操作を受け付けることによって、ユーザ意思を反映させた処理を実行することができる。これにより、体温計100は、比較例のようにユーザの意に反して体温計の電池を浪費させることやユーザが必要としていない測定結果がユーザの通信端末に記録されてしまうことを防止できる。
【0061】
また、本実施形態による通信システム10によれば、一例として、通信端末200は、ユーザの操作によって、体温計100との間で異なる複数の通信処理のうちの1つの通信処理を開始可能な状態で待機する待機状態に設定可能である。この場合における一例として、体温計100は、電源オン状態において、ボタン110が更に1回押下された場合に、通信端末200の当該待機状態に応じて、通信端末200との間で当該1つの通信処理を実行する。このように、通信システム10によれば、通信端末200側のユーザ操作によって複数の異なる通信処理から一つを設定可能であるため、単一のボタン110を備える体温計100側のユーザ操作を複雑にすることなく、体温計100および通信端末200の間の通信処理の内容にユーザの意思を反映させることができる。例えば、上述した複数の比較例のうち、ケースに収容される度に必ず外部端末との通信処理を実行する体温計では、ユーザが体温計を使い終えてケースに収容するとき、すなわち、ユーザによる体温計のボタン操作とは別の、ユーザによる体温計の取り扱いの際に、外部端末との間で通信が開始される。これに対し、本実施形態による通信システム10によれば、上記の構成を備えることにより、体温計100のユーザ操作の範囲内で、すなわち、体温計100の単一のボタン110操作の範囲内で、体温計100と通信端末200との間の通信処理を開始することができる。
【0062】
以上の複数の実施形態において、体温計100の制御部120は、通信端末200との通信処理中にボタン110が更に1回押下された場合には当該通信処理を中止して電源130をオフにし、当該通信処理中にボタン110が押下されることなく当該通信処理が完了した場合には、電源130をオフにする構成として説明した。これに加えて、制御部120は、当該通信処理を開始した後、通信端末200から応答信号を受信することなく予め定められた時間が経過した場合には、通信端末200との通信が失敗したことを示す情報を表示部140に表示させた後、電源130をオフにしてもよい。
【0063】
より具体的には、制御部120は、タイマー121を用いて、タイムアウトする時間を計測し、当該時間が経過したら通信処理を中止してもよい。当該時間は、一例として、例えば60秒であってもよい。
【0064】
以上の複数の実施形態において、体温計100の制御部120は、ユーザによるボタン110の連続押下時間を考慮しない構成、すなわち連続押下時間に依らず所定時間内に押下された回数およびまたはタイミングに応じて異なる処理を実行する構成として説明した。これに加えて、制御部120は、ユーザによるボタン110の連続押下時間に応じて異なる処理を実行してもよい。
【0065】
例えば、制御部120は、電源オフ状態から電源オン状態に切り替えるための、ユーザによるボタン110の押下操作の連続押下時間が予め定められた時間以上であった場合に、上記の実施形態で説明した処理とは異なる処理を実行してもよい。より具体的な一例として、制御部120は、当該時間が例えば2秒以上であった場合に、表示部140の表示画面を、体温計100から通信端末200へのデータ転送処理の機能を有効にするか無効にするかをユーザが選択するための画面に切り替えてもよい。更に、制御部120は、ユーザがボタン110の押下を止めた時点で表示部140の表示画面に表示させていた内容に応じて、当該機能を有効にするか無効にするかを決定してもよい。これによっても、体温計100は、ユーザの意思を反映した処理を実行することができる。また、体温計100は、当該機能の有効および無効の設定のための専用スイッチを備えないことにより、製造コストおよびサイズが大きくなることを抑止できる。なお、制御部120は、例えば図5の表示例140Bおよび140Cのそれぞれにおいて、表示領域144に表示する記号を点灯させることにより、データ転送処理の機能が有効になっていることをユーザに示し、その一方で、当該記号を消灯させることにより、データ転送処理の機能が無効になっていることをユーザに示してもよい。なお、体温計100は、追加的に、他の任意の機能を有してもよく、例えば防水機能を有してもよい。
【0066】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。また、技術的に矛盾しない範囲において、特定の実施形態について説明した事項を、他の実施形態に適用することができる。また、各構成要素は、名称が同一で、参照符号が異なる他の構成要素と同様の特徴を有してもよい。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0067】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0068】
10 通信システム
100 体温計
110 ボタン
120 制御部
121 タイマー
130 電源
140 表示部
140A、140B、140C、140D 表示例
141、142、143、144、145、146 表示領域
150 温度測定部
160 記憶部
200 通信端末
210 表示部
210A、210B 表示例
211、212、213、214、215 表示領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6