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特開2023-13504主ロープ交換装置、及び主ロープ交換方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023013504
(43)【公開日】2023-01-26
(54)【発明の名称】主ロープ交換装置、及び主ロープ交換方法
(51)【国際特許分類】
   B66B 7/06 20060101AFI20230119BHJP
   B66B 7/00 20060101ALI20230119BHJP
【FI】
B66B7/06 F
B66B7/00 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021117736
(22)【出願日】2021-07-16
(71)【出願人】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100161171
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 潤一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100188514
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 隆裕
(72)【発明者】
【氏名】竹本 翔勇
【テーマコード(参考)】
3F305
【Fターム(参考)】
3F305BA02
3F305DA11
3F305DA21
(57)【要約】
【課題】主ロープの交換作業における作業者の労力の低減を図ることを目的とする。
【解決手段】主ロープ交換装置1は、機械室121の構造部材に固定された巻取装置10と一対の釣り合い錘ガイドレールに沿うように配置された交換治具30とを備え、複数の主ロープ102のかご101側の一端部を巻取装置10に接続し、複数の主ロープ102の釣り合い錘103側の他端部を交換治具30に接続して配置する。作業者は、機械室121にて、巻取装置10のハンドルに回転力を加えることで複数の主ロープ102を巻き取ることができる。従って、主ロープの交換作業における作業者の労力の低減をすることができる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻取装置を備え、
前記巻取装置は、巻取ドラムと、前記巻取ドラムを回転可能に支持するドラム支持体とを有しており、
前記巻取ドラムは、胴部と、前記胴部の外周面に設けられている主ロープ取付部とを有しており、
前記主ロープ取付部には、エレベーターの主ロープが接続可能であるエレベーターの主ロープ交換装置。
【請求項2】
前記巻取装置は、ハンドルと、前記ハンドルに加えられた回転力を前記巻取ドラムに伝える伝達機構とを有しており、
前記伝達機構は、前記回転力を増幅する倍力機構を有している、
請求項1に記載のエレベーターの主ロープ交換装置。
【請求項3】
前記伝達機構は、ラチェット機構を更に有しており、
前記ラチェット機構は、複数の伝達状態の間で前記伝達機構の伝達状態を切り替え可能に設定することができ、
前記複数の伝達状態は、少なくとも、前記ハンドルが第1方向へ回転するときの前記回転力のみを前記巻取ドラムに伝える第1伝達状態と、前記ハンドルが第2方向へ回転するときの前記回転力のみを前記巻取ドラムに伝える第2伝達状態とである、
請求項2に記載のエレベーターの主ロープ交換装置。
【請求項4】
前記巻取装置は、機械室に設けられた構造部材に前記ドラム支持体を取り付ける固定部材を更に有している、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のエレベーターの主ロープ交換装置。
【請求項5】
前記主ロープ取付部は、前記主ロープが掛かるフック部材からなっている、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のエレベーターの主ロープ交換装置。
【請求項6】
前記主ロープは、連結具を有しており、
前記主ロープ取付部は、前記連結具が通される取付部孔を有している板部材である、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のエレベーターの主ロープ交換装置。
【請求項7】
前記巻取ドラムは、前記ドラム支持体に対して着脱可能である、
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のエレベーターの主ロープ交換装置。
【請求項8】
交換治具を更に備え、
前記交換治具は、交換治具本体と、前記交換治具本体に取り付けられた複数の取り付けロッドとを有し、
前記複数の取り付けロッドには、前記主ロープが取付可能であり、
前記交換治具本体は、一対の釣り合い錘ガイドレールに対してスライド可能なガイド部を有している、
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のエレベーターの主ロープ交換装置。
【請求項9】
昇降路内でかご及び釣り合い錘を吊り下げる主ロープを、請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の主ロープ交換装置を用いて交換するエレベーターの主ロープ交換方法であって、
前記かごを最上階に対応する停止位置に固定するかご固定工程と、
前記かご固定工程の後に、前記釣り合い錘の鉛直下側に錘サポートを配置することによって前記釣り合い錘を前記錘サポートによって受ける釣り合い錘支持工程と、
前記昇降路の上部に設けられている機械室に前記巻取装置を設置する巻取装置設置工程と、
前記釣り合い錘支持工程の後に、前記主ロープを前記釣り合い錘から外す釣り合い錘側主ロープ外し工程と、
前記かご固定工程の後に、前記主ロープを前記かごから外すかご側主ロープ外し工程と、
前記巻取装置設置工程及び前記かご側主ロープ外し工程の後に、前記かごから外した前記主ロープの一端部を前記主ロープ取付部に接続する主ロープ巻取装置接続工程と、
前記釣り合い錘側主ロープ外し工程及び前記主ロープ巻取装置接続工程の後に前記巻取ドラムを回転させることにより前記胴部に前記主ロープを巻き取る巻取工程と、
を備えているエレベーターの主ロープ交換方法。
【請求項10】
前記釣り合い錘側主ロープ外し工程の前に、一対の釣り合い錘ガイドレールの間に交換治具を前記一対の釣り合い錘ガイドレールに対してスライド可能に配置する交換治具配置工程と、
前記釣り合い錘側主ロープ外し工程の後に、前記釣り合い錘から外した前記主ロープの他端部を前記交換治具に接続する主ロープ交換治具接続工程と、
を備え、
前記巻取工程は、主ロープ交換治具接続工程の後に実施される、
請求項9に記載のエレベーターの主ロープ交換方法。
【請求項11】
前記巻取工程の後に、前記かご及び前記釣り合い錘を前記昇降路内に吊り下げる新しい主ロープを前記かご及び前記釣り合い錘に接続して設置する新規主ロープ設置工程を備えている、
請求項9または請求項10に記載のエレベーターの主ロープ交換方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、1対1ローピング方式のエレベーターの主ロープの交換に用いられる主ロープ交換装置、及び主ロープ交換方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、エレベーターの主ロープを交換するために機械室内の作業者が既設主ロープを機械室内で巻き取ることが知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10-203750号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の1対1ローピング方式のエレベーターの主ロープの交換において、機械室での既設主ロープの巻取り作業では、作業者が主ロープを機械室にたぐり上げる必要があるため、作業者にとって主ロープの交換作業は大きな労力が必要であるという問題があった。
【0005】
本開示は、上記のような問題を解決するためになされたものであり、主ロープの交換作業における作業者の労力の低減を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る主ロープ交換装置は、巻取装置を備え、巻取装置は、巻取ドラムと、巻取ドラムを回転可能に支持するドラム支持体とを有しており、巻取ドラムは、胴部と、胴部の外周面に設けられている主ロープ取付部とを有しており、主ロープ取付部には、エレベーターの主ロープが接続可能である。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係る主ロープ交換装置、及び主ロープ交換方法によれば、主ロープの交換作業における作業者の労力の低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1による主ロープ交換装置が適用されるエレベーターを示す側面図である。
図2図1におけるかご及び釣り合い錘と主ロープとの接続部分を示す正面図である。
図3図1のIII-III線に沿った断面図である。
図4】実施の形態1による主ロープ交換装置がエレベーターに設置された状態を示す側面図である。
図5図4の巻取装置を示す斜視図である。
図6図5の巻取装置を示す正面図である。
図7図6のVII-VII線に沿った断面図である。
図8図4の交換治具を示す斜視図である。
図9図8の取り付けロッドを示す斜視図である。
図10】実施の形態1による主ロープ交換方法のフローチャートである。
図11】実施の形態2における巻取ドラム11において図6のVII-VII線に沿った断面図である。
図12】実施の形態3による主ロープ交換装置がエレベーターに設置された状態を示す側面図である。
【0009】
以下、本開示の実施の形態について図面を参照して説明する。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1による主ロープ交換装置が適用されるエレベーター100を示す側面図である。エレベーター100は、乗客が乗ることができるかご101と、釣り合い錘103と、かご101と釣り合い錘103とを繋ぐ複数の主ロープ102と、鉛直方向に沿ってかご101の移動を案内する図示しない一対のかごガイドレールと、鉛直方向に沿って釣り合い錘103の移動を案内する図示しない一対の釣り合い錘ガイドレールとを有している。
【0010】
かご101及び釣り合い錘103は、昇降路110の内部を鉛直方向に移動することができる。図1では、かご101は、最上階122に対応する停止位置に停止している。
【0011】
昇降路110内には、鉛直方向に沿って図示しない一対のかごガイドレールと、図示しない一対の釣り合い錘ガイドレールとが設置されている。
【0012】
昇降路110の上部には、機械室121が設けられている。機械室121の床には、構造部材としての梁であるH型鋼120が配置されている。
【0013】
エレベーター100は、巻上機104と、そらせ車105と、図示しない制御盤とを更に有している。巻上機104は、巻上機104の駆動綱車を有している。機械室121には、巻上機104と、そらせ車105と、制御盤とが配置されている。
【0014】
巻上機104の駆動綱車及びそらせ車105には、複数の主ロープ102が巻き掛けられている。昇降路110内には、かご101及び釣り合い錘103が複数の主ロープ102によって吊り下げられている。
【0015】
各主ロープ102の一端部は、かご101の上部に接続されている。各主ロープ102の他端部は、釣り合い錘103の上部に接続されている。これにより、各主ロープ102によるかご101及び釣り合い錘103の吊り下げ方式が1対1ローピング方式となっている。
【0016】
図2を用いて釣り合い錘103と各主ロープ102との接続について説明する。図2は、図1における釣り合い錘103と1つの主ロープ102との接続部分を示す正面図である。
【0017】
図2の左側の図は、主ロープ102の他端部と固定側連結部材106とが接続された状態を示している。図2の右側の図は、主ロープ102の他端部と固定側連結部材106とから、連結具102cが外れた状態を示している。
【0018】
主ロープ102の他端部には、主ロープ端部部材102aが固定されている。主ロープ端部部材102aの先端は、二股に分かれて形成されている。主ロープ端部部材102aの二股に分かれている先端のそれぞれには、主ロープ連結孔102bが形成されている。
【0019】
各主ロープ連結孔102bには、連結具102cが取り付けられている。本実施の形態1では、連結具102cは、ボルトとナットとである。
【0020】
釣り合い錘103の上部には、複数の固定側連結部材106が設けられている。各固定側連結部材106は、棒状部材である。各固定側連結部材106の一方の端部を固定側連結部106aとする。固定側連結部106aには、固定側連結部連結孔106bが形成されている。
【0021】
各固定側連結部材106の他方の端部は、釣り合い錘103に取り付けられている。
【0022】
図2の左側の図に示される通り、固定側連結部106aと主ロープ端部部材102aとが接続された状態では、固定側連結部106aは、主ロープ端部部材102aの二股に分かれた先端の間に差し込まれている。
【0023】
固定側連結部連結孔106bと主ロープ連結孔102bとには、連結具102cであるボルトが挿入されている。そして、連結具102cであるナットがボルトに締め込まれている。これにより、固定側連結部材106と主ロープ102の他端部とが接続されている。
【0024】
固定側連結部材106と主ロープ102との接続を解除するには、連結具102cであるボルトとナットとを主ロープ端部部材102aから取り外す。これによって、図2の右側の図に示される通り、主ロープ端部部材102aと固定側連結部材106との接続が解除される。
【0025】
かご101と主ロープ102との接続についても、釣り合い錘103と主ロープ102との接続と同様である。即ち、かご101の上部には、複数の固定側連結部材106が設けられている。複数の主ロープ102のそれぞれの一端部と複数の固定側連結部材106それぞれとが接続されている。
【0026】
図1に戻り説明を続ける。巻上機104は、制御盤の制御によって巻上機104の駆動綱車を回転させる。かご101及び釣り合い錘103は、巻上機104の駆動綱車の回転によって、昇降路110内を上下方向へ移動する。かご101及び釣り合い錘103が上下方向に移動するときに、かご101が一対のかごガイドレールに案内され、釣り合い錘103が一対の釣り合い錘ガイドレールに案内される。
【0027】
図3は、図1のIII-III線に沿った断面図である。釣り合い錘103は、昇降路110内に配置されている一対の釣り合い錘ガイドレール115の間に配置されている。
【0028】
釣り合い錘103は、釣り合い錘本体103aと、4つのガイドシュー103bとを有している。釣り合い錘本体103aの上端と下端とには、一対の釣り合い錘ガイドレール115に対応する位置のそれぞれにガイドシュー103bが配置されている。釣り合い錘ガイドレール115に対向する各ガイドシュー103bの側面には、ガイド溝103cが形成されている。
【0029】
各釣り合い錘ガイドレール115には、ガイドシュー103bに対向する面に、凸条115aが形成されている。一対の釣り合い錘ガイドレール115の間に釣り合い錘103が設置された状態では、各ガイド溝103cには、凸条115aが嵌まり込んでいる。
【0030】
一対の釣り合い錘ガイドレール115の間に設置された釣り合い錘103は、ガイド溝103cのそれぞれが凸条115aに沿いながら鉛直方向に移動可能である。
【0031】
釣り合い錘103の上部に配置された複数の固定側連結部材106のそれぞれは、複数の主ロープ102のそれぞれの主ロープ端部部材102aと接続されている。
【0032】
図4は、実施の形態1による主ロープ交換装置1がエレベーター100に設置されている状態を示す側面図である。各主ロープ102が交換されるときには、主ロープ交換装置1がエレベーター100に配置される。主ロープ交換装置1は、巻取装置10と交換治具30とを備えている。
【0033】
巻取装置10は、機械室121に配置されている。巻取装置10は、機械室121内部でH型鋼120に固定されている。巻取装置10には、かご101から外された各主ロープ102のそれぞれの一端部が接続されている。
【0034】
交換治具30は、一対の釣り合い錘ガイドレール115に嵌め込まれて設置されている。交換治具30には、釣り合い錘103から外された各主ロープ102のそれぞれの他端部が接続されている。複数の主ロープ102のそれぞれは、巻上機104の駆動綱車及びそらせ車105から外されている。
【0035】
かご101は、最上階122に対応する停止位置に図示しない固定治具によって固定されている。釣り合い錘103は、昇降路110の下部で錘サポート123によって支持されている。
【0036】
図5は、図4の巻取装置10を示す斜視図である。図6は、図5の巻取装置10を示す正面図である。巻取装置10は、巻取ドラム11と、ドラム支持体16と、伝達機構19と、ハンドル20と、固定部材21とを備えている。
【0037】
巻取ドラム11は、円筒状の胴部12と、胴部12を挟むように配置されている一対の胴部側板13と、胴部12の外周面に設けられている複数の主ロープ取付部としての複数のフック部材14とを有している。
【0038】
巻取ドラム11は、円筒状の胴部12の中心軸線と等しい軸線を有している。巻取ドラム11は、ドラム支持体16に回転可能に支持されている。巻取ドラム11は、ドラム支持体16に対して着脱可能である。
【0039】
図7は、図6のVII-VII線に沿った断面図である。胴部12の形状は、中空の円筒状の形状である。胴部側板13には、貫通孔が形成されている。胴部側板13の貫通孔には、第2支持部22bが挿入されている。
【0040】
一対の胴部側板13のうち、図7に示されている胴部側板13とは別の胴部側板13にも、貫通孔が形成されている。図7に示されている胴部側板13とは別の胴部側板13の貫通孔には、第1支持部22aが挿入されている。
【0041】
一対の胴部側板13に形成された貫通孔のそれぞれは、巻取ドラム11の軸線を中心軸線として形成されている。第1支持部22a、及び第2支持部22bについては後に説明する。なお、胴部12は中空でなくてもよい。
【0042】
複数のフック部材14のそれぞれの形状は、棒状部材がL字型に折り曲げられた形状をしている。複数のフック部材14のそれぞれには、各主ロープ102が1つずつ接続可能である。複数のフック部材14のそれぞれと各主ロープ102との接続は後に説明する。
【0043】
図5及び図6に戻り説明を続ける。ドラム支持体16は、第1側板17aと、第2側板17bと、第1側板17a及び第2側板17bの間に配置されている底板18と、第1側板17aに取り付けられている第1支持部22aと、第2側板17bに取り付けられている第2支持部22bとを有している。
【0044】
第1側板17aと第2側板17bとは、対向して配置されている。第1側板17aと第2側板17bとは、底板18によって接続されている。底板18は、巻取ドラム11の鉛直方向下側に配置されている。
【0045】
第1側板17aの一端は、第1側板固定部17a1である。第1側板固定部17a1は、底板18よりも鉛直方向下側に突出している。第1側板固定部17a1には、複数の第1ねじ孔17a2が設けられている。各第1ねじ孔17a2は、第1側板17aを貫通している。
【0046】
第2側板17bの一端は、第2側板固定部17b1である。第2側板固定部17b1は、底板18よりも鉛直方向下側に突出している。第2側板固定部17b1には、複数の第2ねじ孔17b2が設けられている。各第2ねじ孔17b2は、第2側板17bを貫通している。
【0047】
第1支持部22aは、第1側板17aから第2側板17bに向って第1側板17aの表面から突出して配置されている。第1支持部22aは、第1側板17aに対して回転可能である。第2支持部22bは、第2側板17bから第1側板17aに向って第2側板17bの表面から突出して配置されている。第2支持部22bは、第2側板17bに対して回転可能である。
【0048】
第1側板17aと第2側板17bとの間には、巻取ドラム11が配置されている。第1支持部22aと第2支持部22bとは、巻取ドラム11の軸線に沿って巻取ドラム11を支持している。第1支持部22aと第2支持部22bとは、巻取ドラム11を着脱可能に支持している。
【0049】
第1支持部22aと第2支持部22bとが巻取ドラム11を着脱可能に支持する構成には、適宜な構成を用いることができる。例えば、第2支持部22bが、第2側板17bに図示しないバネ部材を用いて支持されていてもよい。第2支持部22bは、第2側板17bから第1側板17aに向かう方向に、バネ部材の力により常に押されている。
【0050】
第1支持部22aと第2支持部22bとの間に巻取ドラム11を設置する場合、バネ部材の力に抗って第2支持部22bを第1側板17aから第2側板17bに向かう方向に移動させ、巻取ドラム11を設置する。第1支持部22aと第2支持部22bとの間に巻取ドラム11を設置した状態では、巻取ドラム11は、第1支持部22aと第2支持部22bとの間に挟まれて支持されている。
【0051】
第1支持部22aと第2支持部22bとの間に巻取ドラム11が支持されている状態では、第1支持部22a、第2支持部22b、及び巻取ドラム11は、第1側板17a、及び第2側板17bに対して共に巻取ドラム11の軸線回りに回転可能である。
【0052】
第1支持部22aと第2支持部22bとの間に巻取ドラム11が支持されている状態では、少なくとも第1支持部22aと巻取ドラム11とは、巻取ドラム11の軸線回りに共に回転をする。即ち、巻取ドラム11がドラム支持体16に支持されている状態では、少なくとも第1支持部22aと巻取ドラム11とは、相対回転はしない。
【0053】
第1支持部22aが嵌まり込む巻取ドラム11の貫通孔と第1支持部22aとには、両者が互いに引っ掛かる図示しない係合部が形成されている。係合部の構成は、周知な構成を用いることができる。
【0054】
例えば、第1支持部22aの係合部として、棒部材である第1支持部22aの外周に図示しないキーが設けられていてもよい。巻取ドラム11の係合部として、巻取ドラム11の貫通孔の内周に第1支持部22aのキーが嵌り込む図示しないキー溝が形成されていてもよい。
【0055】
ドラム支持体16によって巻取ドラム11が支持された状態では、第1支持部22aのキーと巻取ドラム11のキー溝とが嵌り合う。これにより、第1支持部22aと巻取ドラム11とが巻取ドラム11の軸線回りに共に回転をする。
【0056】
なお、巻取ドラム11を支持する第1支持部22a及び第2支持部22bには、周知な構成を適宜採用することができる。
【0057】
伝達機構19は、第1側板17aに設けられている。伝達機構19は、第1側板17aと一体となっている。伝達機構19は、伝達機構ハウジング19aと、スイッチ19bと、図示しないハンドル受け部と、ハンドル受け部と連結されたラチェット機構19cと、ラチェット機構19cと連結された倍力機構19dと、倍力機構19dと連結された出力軸19eとを有している。
【0058】
ハンドル20は、ハンドル受け部に取り付けることができる。作業者は、ハンドル受け部にハンドル20を取り付けた状態でハンドル20を回転させることで、伝達機構19に回転力を付与することができる。伝達機構19は、ハンドル20に加えられた回転力を巻取ドラム11に伝えることができる。
【0059】
伝達機構ハウジング19aは、第1側板17aと一体となっている。伝達機構ハウジング19aの内部には、ラチェット機構19c、倍力機構19d、及び出力軸19eが配置されている。ハンドル受け部は、伝達機構ハウジング19aの表面に露出している。ハンドル受け部は、ハンドル20を着脱可能に支持することができる。
【0060】
スイッチ19bは、棒状の部材である。スイッチ19bは、伝達機構ハウジング19aの表面に露出している。スイッチ19bの位置は、作業者の操作によって位置があらかじめ決められた3つの設定位置から選択可能になっている。スイッチ19bは、ラチェット機構19cと繋がっている。
【0061】
ラチェット機構19cは、ハンドル20に加えられた回転力を巻取ドラム11に伝達する伝達機構19の状態を3つの伝達状態、すなわち第1伝達状態、第2伝達状態及び第3伝達状態の間で切り替え可能に設定することができる。ラチェット機構19cは、スイッチ19bの位置に応じて伝達機構19の3つの伝達状態を切り替えることができる。
【0062】
伝達機構19の第1伝達状態は、ハンドル20が第1方向に回転するときの回転力のみを巻取ドラム11に伝達する状態である。伝達機構19の第2伝達状態は、ハンドル20が第1方向とは逆の第2方向に回転するときの回転力のみを巻取ドラム11に伝達する状態である。伝達機構19の第3伝達状態は、ハンドル20が第1方向及び第2方向のそれぞれに回転するときのいずれの回転力も巻取ドラム11に伝達する状態である。
【0063】
なお、巻取ドラム11が第1方向に回転するときには、巻取装置10に接続された各主ロープ102が巻取ドラム11に巻き取られる。即ち、伝達機構19を第1伝達状態として、各主ロープ102を巻取ドラム11に巻き取ることができる。
【0064】
逆に、巻取ドラム11が第2方向に回転するときには、巻取装置10に接続された各主ロープ102が巻取ドラム11から送り出される。即ち、伝達機構19を第2伝達状態として、各主ロープ102を巻取ドラム11から送り出すことができる。
【0065】
ラチェット機構19cには、周知な機構を適用することができる。例えば、爪車と爪とを有する機構を適用してもよい。
【0066】
倍力機構19dには、ラチェット機構19cを介してハンドル20の回転力が入力される。倍力機構19dに入力された回転力は、倍力機構19dにより増幅され、出力軸19eに出力される。倍力機構19dには、周知の構成を適宜用いることができる。倍力機構19dは、例えば、複数の歯車の組み合わせから構成されてもよい。
【0067】
出力軸19eには、第1支持部22aが連結されている。出力軸19eが回転することで、第1支持部22aが回転する。第2支持部22bは、第2側板17bに対して自由に回転することができる。従って、出力軸19eが回転することで、第1支持部22aに支持されている巻取ドラム11が回転する。
【0068】
即ち、ハンドル20は、巻取ドラム11に回転力を付与することができる。伝達機構19は、ハンドル20による回転力を巻取ドラム11に伝えることができる。倍力機構19dは、ハンドル20から伝えられた回転力を増幅する。
【0069】
なお、伝達機構19の状態が第1伝達状態である場合は、出力軸19eは、第2方向には回転しない。従って、伝達機構19の状態が第1伝達状態である場合には、巻取ドラム11は、第1方向のみに回転し、第2方向には回転しない。
【0070】
伝達機構19の状態が第2伝達状態である場合は、出力軸19eは、第1方向には回転しない。従って、伝達機構19の状態が第2伝達状態である場合には、巻取ドラム11は、第2方向のみに回転し、第1方向には回転しない。
【0071】
伝達機構19の状態が第3伝達状態である場合は、出力軸19eは、第1方向及び第2方向に回転する。従って、伝達機構19の状態が第3伝達状態である場合には、巻取ドラム11は、第1方向及び第2方向に回転する。
【0072】
固定部材21は、機械室121に設けられた構造部材であるH型鋼120にドラム支持体16を取り付けることができる。固定部材21は、複数の第1ねじ孔17a2、及び複数の第2ねじ孔17b2に捩じ込まれる複数のボルトである。
【0073】
実施の形態1では、4本のボルトを固定部材21としている。しかし、第1ねじ孔17a2の数、第2ねじ孔17b2の数、及びボルトの数は、適宜な数にすることができる。
【0074】
巻取装置10は、H型鋼120の鉛直方向上側に配置されている。底板18は、H型鋼120の上に載るように配置されている。第1側板固定部17a1と第2側板固定部17b1とは、H型鋼120を両側から挟み込むように配置されている。
【0075】
固定部材21である複数のボルトは、複数の第1ねじ孔17a2、及び複数の第2ねじ孔17b2のそれぞれにH型鋼120に向かう方向に捩じ込まれている。複数のボルトのそれぞれの先端は、H型鋼120の側面に押し当てられている。
【0076】
複数のボルトのそれぞれは、複数の第1ねじ孔17a2、及び複数の第2ねじ孔17b2にH型鋼120を挟み込むまで捩じ込まれている。これによって、固定部材21は、H型鋼120に対してドラム支持体16を固定している。従って、固定部材21によって巻取装置10は、H型鋼120上に固定されている。
【0077】
図8は、図4の交換治具30を示す斜視図である。図9は、図8の取り付けロッド33を示す斜視図である。交換治具30は、交換治具本体31と複数の取り付けロッド33とを有している。交換治具本体31は、長方形状の板である。
【0078】
交換治具本体31の長手方向に対向する一対の側面のそれぞれには、ガイド部32が設けられている。ガイド部32は、溝である。交換治具本体31の板厚方向の表面には、複数のロッド用ねじ孔34が設けられている。
【0079】
取り付けロッド33の一方の端部には、ロッド貫通孔33aが形成されている。取り付けロッド33の他方の端部には、ねじ33bが形成されている。
【0080】
複数のロッド用ねじ孔34のそれぞれには、1つずつ取り付けロッド33を捩じ込むことができる。複数の取り付けロッド33のそれぞれは、交換治具本体31に対して着脱可能である。図8では、3本の取り付けロッド33が捩じ込まれている状態が示されている。
【0081】
図4に戻り説明を続ける。かご101から外された複数の主ロープ102のそれぞれの一端部は、各主ロープ102の主ロープ連結孔102bにフック部材14が通されることで、巻取装置10へ接続されている。各主ロープ102の主ロープ連結孔102bは、フック部材14のフック部材に掛かっている。
【0082】
一対の釣り合い錘ガイドレール115の間に交換治具30が配置された状態では、一対のガイド部32である溝のそれぞれには、凸条115aが嵌まり込んでいる。これにより、交換治具30は、一対の釣り合い錘ガイドレール115に対してスライド可能となっている。
【0083】
複数の取り付けロッド33のそれぞれには、各主ロープ102の他端部が取付可能である。釣り合い錘103から外された複数の主ロープ102の主ロープ端部部材102aのそれぞれは、複数の取り付けロッド33のそれぞれとに接続されている。各取り付けロッド33の一方の端部は、対応する各主ロープ端部部材102aの二股に分かれた先端の間に差し込まれている。
【0084】
連結具102cである複数のボルトのそれぞれは、対応する主ロープ連結孔102bとロッド貫通孔33aとに挿入されている。複数のボルトのそれぞれには、連結具102cであるナットがねじ込まれている。これにより、主ロープ端部部材102aと取り付けロッド33とが接続されている。
【0085】
この状態で、作業者は、ハンドル20を回転させて、巻取ドラム11を回転させる。これにより、複数の主ロープ102は、巻取装置10に巻き取られる。
【0086】
次に、実施の形態1における主ロープ交換装置1を用いたエレベーター100の主ロープ102の交換方法について説明をする。図10は、実施の形態1による主ロープ交換方法のフローチャートである。
【0087】
エレベーター100の主ロープ102の交換作業とは、エレベーター100に用いられている既設の複数の主ロープ102を新しい複数の主ロープ102に交換する作業である。
【0088】
<かご固定工程>
ステップS1として、かご固定工程が実施される。かご固定工程は、かご101を最上階122に移動させ、かご101を最上階122に対応する停止位置に固定する工程である。作業者は、エレベーター100を操作してかご101を最上階122へ移動させる。その後、固定治具によって最上階122に対応する停止位置にかご101を固定する。固定治具は、周知な構成を適用できる。
【0089】
<釣り合い錘支持工程>
ステップS2として、釣り合い錘支持工程が実施される。ステップS2の釣り合い錘支持工程は、ステップS1におけるかご固定工程の後で実施される。釣り合い錘支持工程は、釣り合い錘103の下に、錘サポート123を配置する工程である。
【0090】
作業者は、釣り合い錘103の鉛直下側に、錘サポート123を配置する。これにより、釣り合い錘103を錘サポート123によって受ける。
【0091】
<交換治具配置工程>
ステップS3として、交換治具配置工程が実施される。ステップS3の交換治具配置工程は、ステップS2における釣り合い錘支持工程の後で実施される。交換治具配置工程は、一対の釣り合い錘ガイドレール115に対して交換治具30を配置する工程である。
【0092】
作業者は、釣り合い錘103の上側であって、一対の釣り合い錘ガイドレール115の間に交換治具30を配置する。交換治具30の一対のガイド部32である溝と一対の釣り合い錘ガイドレール115のそれぞれに設けられた凸条115aとが嵌め合わされるように交換治具30は、配置される。
【0093】
作業者は、交換治具30を一対の釣り合い錘ガイドレール115に対してスライド可能に配置する。
【0094】
また、作業者は、交換する主ロープ102の本数に基づいて、必要な数の取り付けロッド33を交換治具本体31に取り付ける。
【0095】
<巻取装置設置工程>
ステップS4として、巻取装置設置工程が実施される。ステップS4の巻取装置設置工程は、ステップS3における交換治具配置工程の後で実施される。巻取装置設置工程は、巻取装置10をH型鋼120に取り付ける工程である。
【0096】
作業者は、機械室121のH型鋼120を跨ぐように巻取装置10を配置する。その後、固定部材21である複数のボルトのそれぞれを1つずつ複数の第1ねじ孔17a2及び複数の第2ねじ孔17b2に捩じ込む。なお、固定部材21である複数のボルトのそれぞれは、複数の第1ねじ孔17a2及び複数の第2ねじ孔17b2に既に捩じ込まれていてもよい。
【0097】
複数のボルトのそれぞれをさらに捩じ込むと、複数のボルトのそれぞれの先端がH型鋼120を挟みこむ。これにより、巻取装置10がH型鋼120に固定される。
【0098】
<釣り合い錘側主ロープ外し工程>
ステップS5として、釣り合い錘側主ロープ外し工程が実施される。ステップS5の釣り合い錘側主ロープ外し工程は、ステップS4における巻取り装置設置工程の後で実施される。釣り合い錘側主ロープ外し工程は、釣り合い錘103に接続されている複数の主ロープ102を釣り合い錘103から外す工程である。
【0099】
作業者は、釣り合い錘103上部の各固定側連結部材106に接続されている複数の主ロープ102のそれぞれの他端部を各固定側連結部材106から外す。
【0100】
<主ロープ交換治具接続工程>
ステップS6として、主ロープ交換治具接続工程が実施される。ステップS6の主ロープ交換治具接続工程は、ステップS5における釣り合い錘側主ロープ外し工程の後で実施される。主ロープ交換治具接続工程は、釣り合い錘103から外した各主ロープ102の他端部を交換治具30に接続する工程である。
【0101】
作業者は、釣り合い錘103から外した複数の主ロープ102のそれぞれの他端部にある主ロープ端部部材102aと交換治具30の各取り付けロッド33とを接続する。
【0102】
その後、作業者は、図示しないロープチャックによって各主ロープ102を機械室121に固定する。各主ロープ102がロープチャックによって機械室121に固定されることで、ステップS7のかご側主ロープ外し工程からステップS8の主ロープ巻取装置接続工程までの間、各主ロープ102の落下を防ぐことができる。
【0103】
<かご側主ロープ外し工程>
ステップS7として、かご側主ロープ外し工程が実施される。ステップS7のかご側主ロープ外し工程は、ステップS6における主ロープ交換治具接続工程の後で実施される。かご側主ロープ外し工程は、かご101に接続されている複数の主ロープ102をかご101から外す工程である。
【0104】
作業者は、かご101上部の各固定側連結部材106に接続されている複数の主ロープ102のそれぞれの一端部を各固定側連結部材106から外す。その後、作業者は、複数の主ロープ102のそれぞれを巻上機104の駆動綱車及びそらせ車105から外す。
【0105】
<主ロープ巻取装置接続工程>
ステップS8として、主ロープ巻取装置接続工程が実施される。ステップS8の主ロープ巻取装置接続工程は、ステップS7におけるかご側主ロープ外し工程の後で実施される。主ロープ巻取装置接続工程は、かご101から外した各主ロープ102の一端部を巻取装置10に接続する工程である。
【0106】
作業者は、かご101上部の各固定側連結部材106から取り外された複数の主ロープ102のそれぞれの一端部にある主ロープ端部部材102aの主ロープ連結孔102bを巻取装置10の各フック部材14に1つずつ取り付ける。これによって、巻取装置10に複数の主ロープ102のそれぞれの一端部が取り付けられる。
【0107】
作業者は、巻取装置10に複数の主ロープ102が取り付けられた後に、各主ロープ102を機械室121に固定しているロープチャックを取り外し、複数の主ロープ102の機械室121への固定を解除する。
【0108】
<巻取工程>
ステップS9として、巻取工程が実施される。ステップS9の巻取工程は、ステップS8における主ロープ交換治具接続工程の後で実施される。巻取工程は、巻取装置10に取り付けられた複数の主ロープ102を巻き取る工程である。
【0109】
作業者は、スイッチ19bの位置を設定する。作業者は、スイッチ19bの位置を設定して、伝達機構19の伝達状態を巻取ドラム11が複数の主ロープ102を巻き取る方向にのみ回転する第1伝達状態とする。
【0110】
その後、作業者は、ハンドル20を回転させる。ハンドル20の回転に応じて巻取ドラム11が回転し、複数の主ロープ102のそれぞれは、巻取ドラム11の胴部12に巻き取られる。
【0111】
ラチェット機構19cにより、作業者がハンドル20から手を離しても複数の主ロープ102は、下がらない。作業者は、複数の主ロープ102を全て巻き取る。
【0112】
<新規主ロープ設置工程>
ステップS10として、新規主ロープ設置工程が実施される。ステップS10の新規主ロープ設置工程は、ステップS9における巻取工程の後で実施される。新規主ロープ設置工程は、かご101及び釣り合い錘103を昇降路110内に吊り下げるための新しい複数の主ロープ102を、かご101及び釣り合い錘103に接続して設置する工程である。
【0113】
新しい複数の主ロープ102は、あらかじめ機械室121に準備されている。作業者は、交換治具30から古い複数の主ロープ102の他端部を外し、新しい複数の主ロープ102の他端部にある主ロープ端部部材102aのそれぞれを交換治具30に接続する。
【0114】
作業者は、新しい各主ロープ102をたぐって、交換治具30とともに昇降路110内に降ろす。新しい複数の主ロープ102は、釣り合い錘103に届くまで降ろされる。その後、作業者は、新しい複数の主ロープ102のそれぞれの他端部を交換治具30から外し、新しい複数の主ロープ102のそれぞれの他端部を釣り合い錘103に接続する。
【0115】
作業者は、新しい複数の主ロープ102のそれぞれを巻上機104の駆動綱車及びそらせ車105に巻き掛けて配置する。その後、作業者は、新しい複数の主ロープ102のそれぞれの一端部の主ロープ端部部材102aをかご101に接続する。
<復旧工程>
ステップS11として、復旧工程が実施される。ステップS11の復旧工程は、ステップS9における新主ロープ設置工程の後で実施される。復旧工程は、エレベーター100を通常の通り動作ができるように復旧させる工程である。
【0116】
作業者は、主ロープ交換装置1を撤去する。同時に、作業者は、かご101の位置を固定している固定治具を撤去し、かご101の固定を解除する。さらに、錘サポート123を撤去する。その後、作業者は、エレベーター100が通常の制御状態に戻す。これによって、エレベーター100の主ロープ102の交換作業が終了し、エレベーター100には、通常の動作をさせることができる。
【0117】
実施の形態1の主ロープ交換装置1によれば、巻取装置10を備え、巻取装置10は、巻取ドラム11と、巻取ドラム11を回転可能に支持するドラム支持体16とを有している。また、巻取ドラム11は、胴部12と、胴部の外周面に設けられている主ロープ取付部とを有しており、主ロープ取付部には、エレベーター100の主ロープ102が接続可能である。従って、作業者は、ドラム支持体16に回転可能に支持された巻取ドラム11を回転させることで、主ロープ102を容易に巻き取ることができる。また、エレベーター100から取り外した主ロープ102は、主ロープ取付部を用いて容易に巻取ドラム11に取り付けることができる。よって、主ロープの交換作業における作業者の労力の低減を図ることができる。また、ドラム支持体16に支持された巻取ドラム11を用いて主ロープ102を巻き取るので、従来の主ロープ102をたぐり上げるために必要とされた作業者の人数を削減することができる。
【0118】
実施の形態1の主ロープ交換装置1によれば、巻取装置10は、ハンドル20と、ハンドル20に加えられた回転力を巻取ドラム11に伝える伝達機構19とを有している。また、伝達機構19は、回転力を増幅する倍力機構19dを有している。従って、作業者は、巻取装置10に接続された主ロープ102を倍力機構19dによってより容易に巻取ドラム11に巻き取ることができる。よって、主ロープの交換作業における作業者の労力の低減を図ることができる。
【0119】
実施の形態1の主ロープ交換装置1によれば、伝達機構19は、ラチェット機構19cを更に有している。また、ラチェット機構19cは、複数の伝達状態の間で伝達機構19の伝達状態を切り替え可能に設定することができる。そして、複数の伝達状態は、少なくとも、ハンドル20が第1方向へ回転するときの回転力のみを巻取ドラム11に伝える第1伝達状態と、ハンドル20が第2方向へ回転するときの回転力のみを巻取ドラム11に伝える第2伝達状態とである。従って、例えば、作業者が不用意にハンドル20から手を離してしまった場合でも、巻き取った主ロープ102が自重により落下することを防ぐことができる。よって、主ロープの交換作業における作業者の労力の低減を図ることができる。また、作業者は、主ロープ102を巻き取っている間でもハンドル20から手を離すことができる。よって、主ロープの交換作業における作業者の労力の低減を図ることができる。また、機械室121内の作業者の人数を削減することができる。
【0120】
実施の形態1の主ロープ交換装置1によれば、機械室121に設けたれた構造部材にドラム支持体16を取り付ける固定部材21を更に有している。従って、機械室121内で主ロープ102を巻き取ることができる。これにより、作業者は、作業環境のよい機械室121内で作業をすることができる。よって、主ロープの交換作業における作業者の労力の低減を図ることができる。また、作業者は、固定部材21によって、機械室121内に容易に巻取装置10を設置、固定することができる。よって、主ロープの交換作業における作業者の労力の低減を図ることができる。
【0121】
実施の形態1の主ロープ交換装置1によれば、主ロープ取付部は、エレベーター100の主ロープ102が掛かるフック部材14からなっている。従って、かご101から外した主ロープ102を容易に巻取ドラム11に接続することができる。従って、作業時間の短縮を図ることができる。よって、主ロープの交換作業における作業者の労力の低減を図ることができる。
【0122】
実施の形態1の主ロープ交換装置1によれば、巻取ドラム11はドラム支持体16に対して着脱可能である。従って、作業者は、巻取ドラム11とドラム支持体16とを個別に運ぶことができる。よって、作業時間の短縮を図ることができる。また、主ロープの交換作業における作業者の労力の低減を図ることができる。また、作業者は、古い複数の主ロープ102が巻かれた状態の巻取ドラム11をそのまま運び、更に廃棄することもできる。これにより、古い複数の主ロープ102についての運搬、廃棄といった作業の作業時間を短縮化することができる。また、作業者の労力の低減を図ることができる。
【0123】
実施の形態1の主ロープ交換装置1によれば、交換治具30を更に備え、交換治具30は、交換治具本体31と、交換治具本体31に取り付けられた複数の取り付けロッド33とを有している。また、交換治具本体31は、一対の釣り合い錘ガイドレール115に対してスライド可能なガイド部32を有している。従って、主ロープ102の端部は、一対の釣り合い錘ガイドレール115の間に配置された交換治具30に接続されている。よって、主ロープ102を巻き取る際に、主ロープ102が揺れて昇降路110の壁、及び昇降路110内に配置された他の部材に干渉することを防ぐことができる。よって、エレベーター100、主ロープ102、及び昇降路110の破損を防ぐことができる。また、主ロープ102が昇降路110内の他の部分、及び昇降路110内に配置された他の部材に引っかかることを防ぐことができるため、作業時間の短縮を図ることができる。よって、主ロープの交換作業における作業者の労力の低減を図ることができる。
【0124】
実施の形態1のエレベーターの主ロープ交換方法によれば、昇降路110内でかご101及び釣り合い錘103を吊り下げる主ロープ102を、主ロープ交換装置1を用いて交換する。また、昇降路110の上部に設けられている機械室121に巻取装置10を設置する巻取装置設置工程と、かご固定工程の後に、主ロープ102をかご101から外すかご側主ロープ外し工程とを備えている。また、巻取装置設置工程及びかご側主ロープ外し工程の後に、かご101から外した主ロープ102の一端部を主ロープ取付部に接続する主ロープ巻取装置接続工程とを備えている。また、巻取ドラム11を回転させることにより胴部12に主ロープ102を巻き取る巻取工程とを備えている。従って、作業者は、主ロープ102を主ロープ取付部を用いて容易に巻取ドラム11に取り付けることができる。よって、主ロープの交換作業における作業者の労力の低減を図ることができる。また、作業者は、巻取ドラム11を回転させることで、主ロープ102を容易に巻き取ることができる。よって、主ロープの交換作業における作業者の労力の低減を図ることができる。また、巻取ドラム11を用いて主ロープ102を巻き取るので、従来の主ロープ102をたぐり上げるために必要とされた作業者の人数を削減することができる。また、作業者は、作業環境のよい機械室121内で作業をすることができる。よって、主ロープの交換作業における作業者の労力の低減を図ることができる。
【0125】
実施の形態1のエレベーターの主ロープ交換方法によれば、釣り合い錘側主ロープ外し工程の前に、一対の釣り合い錘ガイドレール115の間に交換治具30を一対の釣り合い錘ガイドレール115に対してスライド可能に配置する交換治具配置工程とを備えている。また、釣り合い錘側主ロープ外し工程の後に、釣り合い錘103から外した主ロープ102の他端部を交換治具30に接続する主ロープ交換治具接続工程を備えている。従って、主ロープ102の他端部は、一対の釣り合い錘ガイドレール115の間に配置された交換治具30に接続されている。よって、主ロープ102を巻き取る際に、主ロープ102が揺れて昇降路110の壁、昇降路110内に配置されている他の部材に干渉することを防ぐことができる。よって、エレベーター100、主ロープ102、及び昇降路110の破損を防ぐことができる。また、主ロープ102が昇降路110内の他の部分、及び昇降路110内に配置された他の部材に引っかかることを防ぐことができるため、作業時間の短縮を図ることができる。よって、主ロープの交換作業における作業者の労力の低減を図ることができる。
【0126】
実施の形態1のエレベーターの主ロープ交換方法によれば、巻取工程の後に、かご101及び釣り合い錘103を昇降路110内に吊り下げる新しい主ロープ102をかご101及び釣り合い錘103に接続して設置する新規主ロープ設置工程を備えている。従って、作業者は、主ロープ交換装置1を使って、古い主ロープ102を巻き取ることができる。よって、主ロープの交換作業における作業者の労力の低減を図ることができる。
【0127】
実施の形態2.
図11は、実施の形態2における巻取ドラム11において図6のVII-VII線に沿った断面図である。実施の形態1では、主ロープ取付部は、フック部材14であった。実施の形態2では、主ロープ取付部は、胴部12の周方向に沿って設けられた板部材15である。
【0128】
板部材15には、板部材15の板厚方向に貫通された取付部孔15aが形成されている。主ロープ102と板部材15との接続には、取付部孔15aを利用することができる。
【0129】
主ロープ102と板部材15とは、主ロープ端部部材102aの二股に分かれた端部を板部材15を挟み込んで配置し、各主ロープ連結孔102bと取付部孔15aとに連結具102cであるボルトを挿入しナットで締め込むことで接続される。
【0130】
即ち、板部材15は、複数の主ロープ102のそれぞれが有している連結具102cが通される取付部孔15aを有している。これにより、主ロープ102と巻取装置10とが接続される。その他の構成は、実施の形態1と同様であるので、説明を省略する。
【0131】
実施の形態2の主ロープ交換装置1によれば、主ロープ102は、連結具102cを有しており、主ロープ取付部は、連結具102cが通される取付部孔15aを有している板部材15である。従って、かご101から外した主ロープ102を容易に巻取ドラム11に接続することができる。従って、作業時間の短縮を図ることができる。よって、主ロープの交換作業における作業者の労力の低減を図ることができる。
【0132】
なお、実施の形態1によれば、主ロープ取付部は、L字型のフック部材14である。実施の形態2によれば、主ロープ取付部は、板部材15である。しかし、これに限られるものではない。主ロープ取付部は、主ロープ端部部材102aを取り付けられる形状を有した部材であればよい。
【0133】
実施の形態3.
図12は、実施の形態3による主ロープ交換装置1がエレベーター100に設置された状態を示す側面図である。実施の形態1によれば、主ロープ102の交換は、巻上機104の動力を使わずに行っていた。実施の形態3では、巻上機104の動力を使って、主ロープ102の交換を行うことができる。
【0134】
巻取装置10に接続された複数の主ロープ102は、巻上機104の駆動綱車及びそらせ車105に掛けられている。この状態で巻上機104を駆動すれば、巻上機104の力によって駆動綱車を介して複数の主ロープ102を移動させることができる。巻上機104の回転方向は、複数の主ロープ102が巻取装置10に巻き取られる方向である。
【0135】
作業者は、巻上機104の動力によって回転する駆動綱車の回転に合わせて、ハンドル20を回転させ、巻取ドラム11に複数の主ロープ102を巻き取る。すなわち、巻上機104の力を借りて、複数の主ロープ102を巻取装置10に巻き取ることができる。
【0136】
さらに、作業者は、巻上機104の力を借りて、複数の主ロープ102を巻取装置10から送り出すことができる。巻上機104の駆動綱車を主ロープ102が巻取装置10から送り出されるように、巻上機104を回転させる。作業者は、巻上機104の動力によって回転する駆動綱車の回転に合わせて、ハンドル20を回転させ、巻取ドラム11に複数の主ロープ102を送り出すことができる。その他の構成は、実施の形態1または実施の形態2と同様であるので、説明を省略する。
【0137】
なお、実施の形態1ないし実施の形態3によれば、主ロープ交換装置1に複数の主ロープ102を接続している。しかし、これに限られるものではない。主ロープ交換装置1に接続される主ロープ102は、1本でもよい。
【0138】
また、実施の形態1ないし実施の形態3によれば、複数の主ロープ102を交換している。しかし、これに限られるものではない。1本の主ロープ102を交換してもよい。
【0139】
また、実施の形態1ないし実施の形態3によれば、巻取ドラム11は、複数の主ロープ取付部としての複数のフック部材14、または複数の主ロープ取付部としての複数の板部材15を有している。しかし、これに限られるものではない。巻取ドラム11は、1つの主ロープ取付部としての1つのフック部材14、または1つの主ロープ取付部としての1つの板部材15を有していてもよい。
【0140】
また、実施の形態1ないし実施の形態3によれば、ガイド部32は、溝である。しかし、これに限られるものではない。例えば、ガイド部32がガイドローラーを有する構成としてもよい。また、ガイド部32を交換治具本体31とは別の部材で形成し、ガイド部32と交換治具本体31とを接続し固定してもよい。
【0141】
また、実施の形態1ないし実施の形態3によれば、新主ロープ設置工程での新しい複数の主ロープ102の準備については特に限定されていない。新しい複数の主ロープ102について、例えば、新しい複数の主ロープ102を新しい巻取ドラム11に巻いた状態として準備しておいてもよい。これにより、新主ロープ設置工程において、古い複数の主ロープ102が巻き取られた巻取ドラム11を巻取装置10から取り外し、新しい複数の主ロープ102が巻かれた巻取ドラム11を巻取装置10に設置してもよい。
【0142】
これにより、新しい複数の主ロープ102を昇降路110内に降ろす際も、巻取装置10を用いて降ろすことができる。これにより、作業者の労力の低減を図ることができる。
【0143】
また、実施の形態1ないし実施の形態3によれば、ステップS4の巻取装置設置工程は、ステップS3における交換治具配置工程の後で実施される。しかし、これに限られるものではない。ステップS4の巻取装置設置工程は、ステップS8の主ロープ巻取装置接続工程の前に実施されればよい。さらに、ステップS1のかご固定工程の前に実施されてもよい。このとき、ステップS5の釣り合い錘側主ロープ外し工程は、ステップS3における交換治具配置工程の後で実施される。
【0144】
また、実施の形態1ないし実施の形態3によれば、ステップS5の釣り合い錘側主ロープ外し工程は、ステップS4の巻取装置設置工程の後で実施される。しかし、これに限られるものではない。ステップS5の釣り合い錘側主ロープ外し工程は、ステップS1のかご固定工程の後、又はステップS2の釣り合い錘支持工程の後で実施されてもよい。
【0145】
また、実施の形態1ないし実施の形態3によれば、ステップS7のかご側主ロープ外し工程は、ステップS6主ロープ交換治具接続工程の後で実施される。しかし、これに限られるものではない。ステップS7のかご側主ロープ外し工程は、ステップS1のかご固定工程の後で実施されてもよい。また、ステップS8の主ロープ巻取装置接続工程は、ステップS4の巻取装置設置工程及びステップS7のかご側主ロープ外し工程の後で実施されるもよい。
【符号の説明】
【0146】
1 主ロープ交換装置、10 巻取装置、11 巻取ドラム、12 胴部、13 胴部側板、14 フック部材(主ロープ取付部)、15 板部材(主ロープ取付部)、15a 取付部孔、16 ドラム支持体、17a 第1側板、17a1 第1側板固定部、17a2 第1ねじ孔、17b 第2側板、17b1 第2側板固定部、17b2 第2ねじ孔、18 底板、19 伝達機構、19a 伝達機構ハウジング、19b スイッチ、19c ラチェット機構、19d 倍力機構、19e 出力軸、20 ハンドル、21 固定部材、22a 第1支持部、22b 第2支持部、30 交換治具、31 交換治具本体、32 ガイド部、33 取り付けロッド、33a ロッド貫通孔、33b ねじ、34 ロッド用ねじ孔、100 エレベーター、101 かご、102 主ロープ、102a 主ロープ端部部材、102b 主ロープ連結孔、102c 連結具、103 釣り合い錘、103a 釣り合い錘本体、103b ガイドシュー、103c ガイド溝、104 巻上機、105 そらせ車、106 固定側連結部材、106a 固定側連結部、106b 固定側連結部連結孔、110 昇降路、115 釣り合い錘ガイドレール、115a 凸条、120 H型鋼(構造部材)、121 機械室、122 最上階、123 錘サポート。
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