(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023135045
(43)【公開日】2023-09-28
(54)【発明の名称】電池劣化対応システム、電池劣化対応装置および携帯端末
(51)【国際特許分類】
H04M 11/00 20060101AFI20230921BHJP
H04M 1/72 20210101ALI20230921BHJP
G06F 1/28 20060101ALI20230921BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20230921BHJP
G01R 31/367 20190101ALI20230921BHJP
G01R 31/392 20190101ALI20230921BHJP
【FI】
H04M11/00 301
H04M1/72
G06F1/28
H02J7/00 Y
G01R31/367
G01R31/392
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022040055
(22)【出願日】2022-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】392026693
【氏名又は名称】株式会社NTTドコモ
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121980
【弁理士】
【氏名又は名称】沖山 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100128107
【弁理士】
【氏名又は名称】深石 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】横山 光一
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 敦
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 俊行
(72)【発明者】
【氏名】横溝 聡子
【テーマコード(参考)】
2G216
5B011
5G503
5K127
5K201
【Fターム(参考)】
2G216BA29
2G216BA33
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2G216CB33
2G216CB35
2G216CC04
5B011DA06
5B011EA05
5B011EA10
5B011GG02
5B011HH06
5B011HH09
5G503AA01
5G503BA02
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5G503DB03
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5K127AA36
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5K127GD15
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5K127KA01
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5K201CB10
5K201EC06
5K201ED05
5K201EE14
5K201FA03
(57)【要約】 (修正有)
【課題】携帯端末の電池の劣化状態を適切に判定し対応する。
【解決手段】サーバ(電池劣化対応装置)10と、内蔵した電池からの電力により稼動する携帯端末20と、運用端末30とを含む電池劣化対応システム1であって、サーバ10は、携帯端末20の電池の電池利用履歴情報を基礎としつつ、機種固有情報並びに同一機種での電池利用履歴情報および不具合関連情報を踏まえて、相関分析又は機械学習によって、電池の劣化状態に対応するための対応ルールを導出する分析学習部12と、対応ルールに基づき電池の劣化状態に対応し(劣化有無の判定、劣化抑止の要否判定等を行い)、その結果を携帯端末20へ送信する劣化判定部(対応部)13と、を備える。携帯端末20は、サーバ10からの上記結果に応じた処理(判定結果の出力、劣化抑止の措置等)を実行するように制御する劣化制御部23を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池劣化対応装置と、内蔵された電池からの供給電力により稼動する携帯端末と、前記携帯端末のサービス運用拠点に設けられた運用端末と、を含んで構成される電池劣化対応システムであって、
前記携帯端末は、前記電池の電池利用履歴情報を前記電池劣化対応装置へ送信する利用履歴送信部、を備え、
前記電池劣化対応装置は、
前記利用履歴送信部からの電池利用履歴情報を受信し、受信された電池利用履歴情報を、前記電池の機種固有情報、並びに同一機種での電池利用履歴情報および前記運用端末からの同一機種での不具合関連情報とともに蓄積する情報管理部と、
前記情報管理部により蓄積された、前記携帯端末の前記電池の電池利用履歴情報を基礎としつつ、前記機種固有情報、並びに同一機種での電池利用履歴情報および不具合関連情報を踏まえて、相関分析又は機械学習によって、前記電池の劣化状態に対応するための対応ルールを導出する分析学習部と、
前記分析学習部により導出された前記対応ルールに基づき、前記電池の劣化状態に対応し、対応結果を前記携帯端末へ送信する対応部と、
を備え、
前記携帯端末は、さらに、
前記電池劣化対応装置からの前記対応結果を受信する結果受信部と、
前記結果受信部により受信された前記対応結果に応じた処理を実行するように制御する劣化制御部と、
を備える、
電池劣化対応システム。
【請求項2】
前記電池劣化対応装置の前記対応部は、前記対応ルールに照らして、前記携帯端末の電池が劣化しているか否かを判定する、
請求項1に記載の電池劣化対応システム。
【請求項3】
前記電池劣化対応装置の前記対応部は、前記対応ルールに照らして、前記携帯端末の電池の劣化を抑止すべきか否かを判定し、判定結果に応じて抑止措置を実行する、
請求項1に記載の電池劣化対応システム。
【請求項4】
内蔵された電池からの供給電力により稼動する携帯端末からの電池利用履歴情報を受信し、受信された電池利用履歴情報を、前記電池の機種固有情報、並びに同一機種での電池利用履歴情報および不具合関連情報とともに蓄積する情報管理部と、
前記情報管理部により蓄積された、前記携帯端末の前記電池の電池利用履歴情報を基礎としつつ、前記機種固有情報、並びに同一機種での電池利用履歴情報および不具合関連情報を踏まえて、相関分析又は機械学習によって、前記電池の劣化状態に対応するための対応ルールを導出する分析学習部と、
前記分析学習部により導出された前記対応ルールに基づき、前記電池の劣化状態に対応し、対応結果を、当該対応結果に応じた処理を実行する前記携帯端末へ送信する対応部と、
を備える電池劣化対応装置。
【請求項5】
内蔵された電池からの供給電力により稼動する携帯端末であって、
前記電池の電池利用履歴情報を電池劣化対応装置へ送信する利用履歴送信部と、
前記電池劣化対応装置において、前記携帯端末の前記電池の電池利用履歴情報を基礎としつつ、前記携帯端末の機種固有情報、並びに同一機種での電池利用履歴情報および不具合関連情報を踏まえて、相関分析又は機械学習によって、前記電池の劣化状態に対応するための対応ルールが導出されて、当該対応ルールに基づいて判定されることで得られた前記電池の劣化状態への対応結果を、前記電池劣化対応装置から受信する結果受信部と、
前記結果受信部により受信された前記対応結果に応じた処理を実行するように制御する劣化制御部と、
を備える携帯端末。
【請求項6】
電池劣化対応装置と、内蔵された電池からの供給電力により稼動する携帯端末と、前記携帯端末のサービス運用拠点に設けられた運用端末と、を含んで構成される電池劣化対応システムであって、
前記携帯端末は、前記電池の電池利用履歴情報を前記電池劣化対応装置へ送信する利用履歴送信部、を備え、
前記電池劣化対応装置は、
前記利用履歴送信部からの電池利用履歴情報を受信し、受信された電池利用履歴情報を、前記電池の機種固有情報、並びに同一機種での電池利用履歴情報および前記運用端末からの同一機種での不具合関連情報とともに蓄積する情報管理部と、
前記情報管理部により蓄積された、前記携帯端末の前記電池の電池利用履歴情報を基礎としつつ、前記機種固有情報、並びに同一機種での電池利用履歴情報および不具合関連情報を踏まえて、相関分析又は機械学習によって、前記電池の劣化状態に対応するための対応ルールを導出する分析学習部と、
前記分析学習部により導出された前記対応ルールを前記携帯端末へ送信する送信部と、
を備え、
前記携帯端末は、さらに、
前記電池劣化対応装置からの前記対応ルールを受信する受信部と、
前記受信部により受信された前記対応ルールに基づき、前記電池の劣化状態に対応する劣化対応部と、
前記劣化対応部による対応結果に応じた処理を実行するように制御する抑止制御部と、
を備える、
電池劣化対応システム。
【請求項7】
前記携帯端末の前記劣化対応部は、前記対応ルールに照らして、前記携帯端末の電池が劣化しているか否かを判定する、
請求項6に記載の電池劣化対応システム。
【請求項8】
前記携帯端末の前記劣化対応部は、前記対応ルールに照らして、前記携帯端末の電池の劣化を抑止すべきか否かを判定し、判定結果に応じて抑止措置を実行する、
請求項6に記載の電池劣化対応システム。
【請求項9】
内蔵された電池からの供給電力により稼動する携帯端末からの電池利用履歴情報を受信し、受信された電池利用履歴情報を、前記電池の機種固有情報、並びに同一機種での電池利用履歴情報および不具合関連情報とともに蓄積する情報管理部と、
前記情報管理部により蓄積された、前記携帯端末の前記電池の電池利用履歴情報を基礎としつつ、前記機種固有情報、並びに同一機種での電池利用履歴情報および不具合関連情報を踏まえて、相関分析又は機械学習によって、前記電池の劣化状態に対応するための対応ルールを導出する分析学習部と、
前記分析学習部により導出された前記対応ルールを、当該対応ルールに基づき劣化状態に対応する前記携帯端末へ送信する送信部と、
を備える電池劣化対応装置。
【請求項10】
内蔵された電池からの供給電力により稼動する携帯端末であって、
前記電池の電池利用履歴情報を電池劣化対応装置へ送信する利用履歴送信部と、
前記電池劣化対応装置において、前記携帯端末の前記電池の電池利用履歴情報を基礎としつつ、前記携帯端末の機種固有情報、並びに同一機種での電池利用履歴情報および不具合関連情報を踏まえて、相関分析又は機械学習によって導出された、前記電池の劣化状態に対応するための対応ルールを、前記電池劣化対応装置から受信する受信部と、
前記受信部により受信された前記対応ルールに応じた処理を実行するように制御する抑止制御部と、
を備える携帯端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電池劣化対応システム、電池劣化対応装置および携帯端末に関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォン等の携帯端末には、搭載された充放電可能な電池の劣化を判定する機能を備えた携帯端末が知られている。また、特許文献1には、充放電可能な電池で稼動する装置における電池利用履歴情報(例えば利用日時、利用時の電池残量等に関する情報)に基づいて、上記電池の劣化を判定する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ある携帯端末の電池が劣化した状態又は劣化しそうで劣化抑止が望まれる状態(以下、これらを「電池の劣化状態」と総称する)は、上記のような当該携帯端末での電池利用履歴情報を主な基礎情報としつつ、当該携帯端末の機種に関する機種固有情報(製造スペック情報)、同一機種での電池利用履歴情報および不具合関連情報(例えば電池交換情報、ユーザからの不具合申告情報など)を総合的に踏まえて判定し対応した方が、判定精度は向上し望ましい。しかしながら、上記のような様々な情報は、携帯端末の次の機種以降の開発時に設計情報としてフィードバックされることは有っても、現行の機種に搭載された電池の劣化状態を判定し対応するためにフィードバックされるといった運用は行われていない。
【0005】
そこで、本開示は、携帯端末での電池利用履歴情報を主な基礎情報としつつ、携帯端末の機種に関する機種固有情報、同一機種での電池利用履歴情報および不具合関連情報を総合的に踏まえて、電池の劣化状態を適切に判定し対応することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る電池劣化対応システムは、電池劣化対応装置と、内蔵された電池からの供給電力により稼動する携帯端末と、前記携帯端末のサービス運用拠点に設けられた運用端末と、を含んで構成される電池劣化対応システムであって、前記携帯端末は、前記電池の電池利用履歴情報を前記電池劣化対応装置へ送信する利用履歴送信部、を備え、前記電池劣化対応装置は、前記利用履歴送信部からの電池利用履歴情報を受信し、受信された電池利用履歴情報を、前記電池の機種固有情報、並びに同一機種での電池利用履歴情報および前記運用端末からの同一機種での不具合関連情報とともに蓄積する情報管理部と、前記情報管理部により蓄積された、前記携帯端末の前記電池の電池利用履歴情報を基礎としつつ、前記機種固有情報、並びに同一機種での電池利用履歴情報および不具合関連情報を踏まえて、相関分析又は機械学習によって、前記電池の劣化状態に対応するための対応ルールを導出する分析学習部と、前記分析学習部により導出された前記対応ルールに基づき、前記電池の劣化状態に対応し、対応結果を前記携帯端末へ送信する対応部と、を備え、前記携帯端末は、さらに、前記電池劣化対応装置からの前記対応結果を受信する結果受信部と、前記結果受信部により受信された前記対応結果に応じた処理を実行するように制御する劣化制御部と、を備える。
【0007】
上記の電池劣化対応システムでは、携帯端末の利用履歴送信部は、自機の電池の電池利用履歴情報を電池劣化対応装置へ送信する。そして、電池劣化対応装置では、情報管理部が、受信された電池利用履歴情報を、上記電池の機種固有情報、並びに同一機種での電池利用履歴情報および運用端末からの同一機種での不具合関連情報とともに蓄積する。さらに、分析学習部が、上記携帯端末の電池の電池利用履歴情報を基礎としつつ、機種固有情報、並びに同一機種での電池利用履歴情報および不具合関連情報を踏まえて、相関分析又は機械学習によって、電池の劣化状態に対応するための対応ルールを導出し、対応部が、導出された対応ルールに基づき、電池の劣化状態に対応し、対応結果を携帯端末へ送信する。
【0008】
ここで導出される「対応ルール」としては、例えば、電池が劣化しているか否かを判定するための劣化判定基準、電池の劣化を抑止すべきか否かを判定するための抑止判定基準、および、抑止判定の判定結果に応じて実行すべき抑止措置の情報などが挙げられる。また、対応部による「電池の劣化状態への対応」としては、例えば、劣化判定基準に照らして電池が劣化しているか否かを判定する処理、抑止判定基準に照らして電池の劣化を抑止すべきか否かを判定し、その判定結果に応じた抑止措置を実行する処理などが挙げられる。そして、携帯端末では、結果受信部が、電池劣化対応装置からの上記対応結果を受信し、劣化制御部が、受信された対応結果に応じた処理を実行するように制御する。
【0009】
以上のように、携帯端末の電池の電池利用履歴情報を主に基礎としつつ、機種固有情報、並びに同一機種での電池利用履歴情報および不具合関連情報を総合的に踏まえて「対応ルール」が導出され、導出された対応ルールに基づき適切に電池の劣化状態を判定し対応することができる。換言すれば、上記のような様々な情報を、現行の機種に搭載された電池の劣化状態を判定し対応するためにフィードバックすることができる。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、携帯端末の電池の電池利用履歴情報を主に基礎としつつ、機種固有情報、並びに同一機種での電池利用履歴情報および不具合関連情報を総合的に踏まえて、電池の劣化状態を適切に判定し対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1実施形態における電池劣化対応システムの構成図である。
【
図2】様々な情報の例およびそれらの相関例を示す図である。
【
図3】第1実施形態における処理内容を示すフロー図である。
【
図4】機械学習イメージおよび携帯端末へのフィードバック例を示す図である。
【
図5】第2実施形態における電池劣化対応システムの構成図である。
【
図6】第2実施形態における処理内容を示すフロー図である。
【
図7】第3実施形態における電池劣化対応システムの構成図である。
【
図8】第3実施形態における処理内容を示すフロー図である。
【
図9】第4実施形態における電池劣化対応システムの構成図である。
【
図10】第4実施形態における処理内容を示すフロー図である。
【
図11】サーバ等のハードウェア構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、本開示に係る様々な実施形態を説明する。以下では、電池劣化対応装置(以下「サーバ」という)が携帯端末の電池の劣化を判定する第1実施形態、携帯端末が自機の電池の劣化を判定する第2実施形態、サーバが携帯端末の電池の劣化抑止要否を判定する第3実施形態、および、携帯端末が自機の電池の劣化抑止要否を判定する第4実施形態を順に説明する。
【0013】
[第1実施形態]
まず、第1実施形態として、サーバが主体となって、携帯端末の電池の電池利用履歴情報を主に基礎としつつ、機種固有情報、並びに同一機種での電池利用履歴情報および不具合関連情報を総合的に踏まえて、電池が劣化しているか否かを判定する態様を説明する。
【0014】
図1に示すように、第1実施形態の電池劣化対応システム1は、サーバ10と、搭載された充放電可能な電池からの供給電力により稼動する携帯端末20と、携帯端末20のサービス運用拠点(例えば、故障・修理受付窓口を備えた店舗等)に設けられた運用端末30と、を含んで構成される。このうち運用端末30は、様々な携帯端末20に関する不具合関連情報(例えば、電池交換情報、ユーザからの不具合申告情報など)を随時、サーバ10へ送信する。
【0015】
サーバ10は、機能ブロックとして、情報管理部11、分析学習部12、および、劣化判定部13を備える。
【0016】
このうち、情報管理部11は、運用端末30からの不具合関連情報を受信して、内蔵した不具合関連情報データベース(DB)11Bへ蓄積するとともに、携帯端末20からの電池利用履歴情報を受信し、受信された電池利用履歴情報を、携帯端末20の機種固有情報、並びに同一機種での電池利用履歴情報および不具合関連情報とともに、内蔵した運用情報データベース(DB)11Aへ蓄積する機能部である。蓄積される上記情報の例およびそれらの相関例は、
図2を用いて後述する。
【0017】
分析学習部12は、詳細は
図4を用いて後述するが、携帯端末20の電池の電池利用履歴情報を主に基礎としつつ、機種固有情報、並びに同一機種での電池利用履歴情報および不具合関連情報を総合的に踏まえて、相関分析又は機械学習によって、電池が劣化しているか否かを判定するための判定基準を導出し、内蔵した判定基準データベース(DB)12Aへ蓄積する機能部である。
【0018】
劣化判定部13は、分析学習部12により導出された判定基準に基づき、電池が劣化しているか否かを判定し、判定結果を携帯端末20へ送信する機能部であり、特許請求の範囲の「対応部」に対応する。
【0019】
一方、携帯端末20は、機能ブロックとして、利用履歴送信部21、劣化判定結果受信部22、および、劣化制御部23を備える。
【0020】
このうち、利用履歴送信部21は、自機(携帯端末20)に搭載された充放電可能な電池の電池利用履歴情報をサーバ10へ送信する機能部である。
【0021】
劣化判定結果受信部22は、サーバ10の劣化判定部13から送信された、電池が劣化しているか否かの判定結果を受信する機能部であり、特許請求の範囲の「結果受信部」に対応する。また、劣化判定結果受信部22は、上記判定結果の受信に先立ち、判定結果の問合せをサーバ10へ送信する機能も有する。
【0022】
劣化制御部23は、後述するような、判定結果に応じた処理を実行するように制御する機能部である。
【0023】
さて、
図2には、様々な情報の例およびそれらの相関例を示す。「機種固有情報」としては、機種ID、機種名などの
図2に示す情報が挙げられ、例えば「14.充電可能温度」は充電可能な温度域を意味し、「17.放電可能温度」は放電可能な温度域を意味する。「15.充電可能電圧」は充電可能な電圧域を意味し、「18.放電可能電圧」は放電可能な電圧域を意味する。このような「機種固有情報」は、市場にて利用されている携帯端末の機種の数だけ(例えば約100件)存在する。
【0024】
また、携帯端末の「電池利用履歴情報」としては、個々の携帯端末を特定するための製造番号、利用日時、利用時の電池温度、電池電圧、電流値、電池容量、電池残量、サイクル数などの情報が挙げられ、例えば「8.サイクル数」は、充放電を何回繰り返したかを示す指標である。このような「電池利用履歴情報」は、個々の携帯端末ごとに収集された電池利用履歴情報の数だけ(例えば約1億件)存在する。
【0025】
また、携帯端末の電池の「不具合関連情報」としては、個々の携帯端末を特定するための製造番号、申告日時、不具合の種類などの情報が挙げられ、例えば「2.申告日時」は、ユーザにより電池の不具合の申告がなされた日時を示し、「3.不具合の種類」は、電池持ち悪化、電池の膨張、電池の焼損などの不具合の種類を示す。
【0026】
上記のうち「機種固有情報」は、同一機種の多数の携帯端末20で共通の情報であるのに対し、「電池利用履歴情報」は、携帯端末1台について多数存在し、「不具合関連情報」は、ユーザによる申告状況に応じて、携帯端末1台について複数存在する場合もあるし、存在しない場合もある。そのため、便宜上、「機種固有情報」、「電池利用履歴情報」および「不具合関連情報」を互いに紐づけるために、
図2に示す「紐づけ情報」が設けられており、運用情報DB11Aに蓄積されている。
【0027】
上記の「紐づけ情報」は、個々の携帯端末とその機種とを紐づけるものであり、個々の携帯端末を特定するための製造番号と、当該携帯端末の機種IDとを対応付けた情報であり、携帯端末の台数分だけ(例えば約1000万件)存在する。このような「紐づけ情報」によって、
図2に実線で示すように、「電池利用履歴情報」および「不具合関連情報」それぞれにおける「1.製造番号」と「紐づけ情報」の「1.製造番号」とが対応付けられ、また、同じ「紐づけ情報」の「2.機種ID」と「機種固有情報」における「1.機種ID」とが対応付けられることで、「機種固有情報」、「電池利用履歴情報」および「不具合関連情報」を互いに紐づけることができる。
【0028】
上記のような情報同士の紐づけによって、携帯端末の同一機種での相関および異なる機種をまたいでの相関を、以下のように見出すことができる。同一機種での相関例としては、
図2の「電池利用履歴情報」の「8.サイクル数」がある所定値を超過すると、「不具合関連情報」の「3.不具合の種類」の「電池持ち悪化」の申告につながる。また、「電池利用履歴情報」の「2.利用日時」および「3.電池温度」から把握される高温(所定温度以上)での利用累積時間がある所定時間を超過すると、「不具合関連情報」の「3.不具合の種類」の「膨張」の申告につながる。一方、異なる機種をまたいでの相関例としては、「機種固有情報」の「14.充電可能温度」が所定温度以下である様々な機種に共通する事象として、「電池利用履歴情報」の「2.利用日時」および「3.電池温度」から把握される高温(所定温度以上)での利用累積時間がある所定時間を超過すると、「不具合関連情報」の「3.不具合の種類」の「焼損」の申告につながる。以上のような例が挙げられる。
【0029】
次に、
図3のフロー図に沿って、第1実施形態における処理内容を説明する。運用端末30は、様々な携帯端末の電池の不具合関連情報が生じれば、当該不具合関連情報をサーバ10へ送信する(ステップP1)。このような運用端末30からの不具合関連情報は、情報管理部11により受信され、不具合関連情報DB11Bへ蓄積される。一方、携帯端末20の利用履歴送信部21が、自機(携帯端末20)に搭載された電池の電池利用履歴情報をサーバ10へ送信する(
図3のステップT1)。サーバ10では、情報管理部11が、上記電池利用履歴情報を受信し、受信された電池利用履歴情報を、携帯端末20の機種固有情報、並びに、同一機種での電池利用履歴情報、および不具合関連情報DB11Bに蓄積された同一機種での不具合関連情報とともに、運用情報DB11Aへ蓄積する(ステップS1)。次に、分析学習部12が、携帯端末20の電池の電池利用履歴情報を主に基礎としつつ、機種固有情報、並びに同一機種での電池利用履歴情報および不具合関連情報を総合的に踏まえて、相関分析又は機械学習によって、電池が劣化しているか否かを判定するための判定基準を導出し、判定基準DB12Aへ蓄積する(ステップS2)。上記判定基準の一例として、
図2の電池利用履歴情報における「電池電圧(V)が基準電圧を下回った場合に劣化していると判定する」といったルールが挙げられる。
【0030】
ステップS2において、分析学習部12は、携帯端末20の電池の電池利用履歴情報を主に基礎としつつ、機種固有情報、並びに同一機種での電池利用履歴情報および不具合関連情報を総合的に踏まえて、相関分析を行うことで、前述した例のような、携帯端末の同一機種での相関、又は、異なる機種をまたいでの相関を見出し、得られた相関情報をもとに、電池が劣化しているか否かを判定するための判定基準を新たに構築する。また、
図4に示すように、機種固有情報、不具合関連情報、および電池利用履歴情報を人口知能へ入力し、携帯端末20の電池の電池利用履歴情報を主に基礎としつつ、機種固有情報、並びに同一機種での電池利用履歴情報および不具合関連情報を総合的に踏まえて、機械学習を行うことで、前述した例のような、携帯端末の同一機種での相関、又は、異なる機種をまたいでの相関を見出し、得られた相関情報をもとに、既に構築済みの判定基準を再構築する。即ち、
図4に示すように、分析学習部12は、個々の携帯端末を特定する製造番号をキーにして、当該携帯端末20に関する機種固有情報、紐づけ情報、当該携帯端末20に関する電池利用履歴情報および同一機種での電池利用履歴情報を説明変数とし、同一機種での不具合関連情報を目的変数として、人口知能へ入力し、携帯端末20の電池の電池利用履歴情報を主に基礎としつつ、機種固有情報、並びに同一機種での電池利用履歴情報および不具合関連情報を総合的に踏まえて機械学習を行う。例えば、分析学習部12は、目的変数Y=1(電池持ち悪化)に寄与する説明変数、目的変数Y=2(膨張)に寄与する説明変数、目的変数Y=0(申告なし)に寄与する説明変数をそれぞれ分析し、得られた分析結果を総合して、電池が劣化しているか否かを判定するための判定基準を導出する。
【0031】
図3へ戻り、その後、例えば携帯端末20の劣化判定結果受信部22から劣化判定結果の問合せ(ステップT2)を受信したことをトリガーとして、劣化判定部13は、携帯端末20の電池が劣化しているか否かを、上記導出された判定基準に照らして判定し(ステップS3)、判定結果を携帯端末20の劣化判定結果受信部22へ送信する(ステップS4)。なお、上記のステップT2における携帯端末20からの問合せは必須事項ではなく、別の事象(例えば予め定められた日時や時刻が到来したことなど)をトリガーとして、劣化判定(ステップS3)を実行してもよい。
【0032】
携帯端末20では、劣化判定結果受信部22が上記判定結果を受信すると(ステップT3)、劣化制御部23が、以下のように、判定結果に応じた処理を実行するように制御する。例えば、判定結果が「劣化している」である場合(ステップT4でYESの場合)、劣化制御部23は、「劣化している」旨の劣化判定結果を出力する(ステップT5)。一方、判定結果が「劣化していない」である場合(ステップT4でNOの場合)、劣化制御部23は、「劣化してない」旨の劣化判定結果を出力する(ステップT6)。なお、ステップT5、T6における「出力」としては、ディスプレイへの表示出力、プリンタへの印刷出力、外部装置へのデータ送信など、様々な形態の出力を含む。
【0033】
以上説明した処理により、携帯端末に関する電池利用履歴情報を主に基礎としつつ、機種固有情報、並びに同一機種での電池利用履歴情報および不具合関連情報を総合的に踏まえて、劣化判定の判定基準が導出され、導出された判定基準に基づき、電池が劣化しているか否かを適切に判定し対応することができる。換言すれば、上記のような様々な情報を、現行の機種に搭載された電池の劣化の判定処理にフィードバックすることができる。
【0034】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態として、携帯端末が、携帯端末に関する電池利用履歴情報を主に基礎としつつ、機種固有情報、並びに同一機種での電池利用履歴情報および不具合関連情報を総合的に踏まえて導出された劣化判定基準をサーバから取得して、自機の電池の劣化を判定する態様を説明する。なお、第1実施形態と重複する事項の説明は、適宜省略する。
【0035】
図5に示すように、第2実施形態の電池劣化対応システム1は、第1実施形態と同様に、サーバ10、携帯端末20および運用端末30を含んで構成され、サーバ10は、機能ブロックとして、情報管理部11、分析学習部12、および、劣化判定基準送信部14を備える。
【0036】
このうち、情報管理部11および分析学習部12は、第1実施形態と同様の機能を有する。劣化判定基準送信部14は、分析学習部12により導出された判定基準を携帯端末20へ送信する機能部であり、特許請求の範囲の「送信部」に対応する。
【0037】
一方、携帯端末20は、機能ブロックとして、利用履歴送信部21、劣化判定基準受信部22A、劣化判定部23A、および、劣化制御部23Bを備える。
【0038】
このうち、利用履歴送信部21は、第1実施形態と同様の機能を有する。劣化判定基準受信部22Aは、サーバ10の劣化判定基準送信部14から送信された判定基準を受信し、内蔵した判定基準DB22Bへ蓄積する機能部であり、特許請求の範囲の「受信部」に対応する。また、劣化判定基準受信部22Aは、上記判定基準の受信に先立ち、判定基準の要求をサーバ10へ送信する機能も有する。
【0039】
劣化判定部23Aは、上記判定基準に基づき、自機の電池が劣化しているか否かを判定する機能部であり、特許請求の範囲の「劣化対応部」に対応する。劣化制御部23Bは、後述するような、判定結果に応じた処理を実行するように制御する機能部である。
【0040】
次に、
図6のフロー図に沿って、第2実施形態における処理内容を説明する。冒頭の携帯端末20からサーバ10への電池利用履歴情報の送信(
図6のステップT1)、運用端末30からサーバ10への不具合関連情報の送信(ステップP1)、携帯端末20に関する電池利用履歴情報を、機種固有情報、並びに、同一機種での電池利用履歴情報および不具合関連情報とともに運用情報DB11Aへ蓄積する処理(ステップS1)、並びに、分析学習部12によって、携帯端末に関する電池利用履歴情報を主に基礎としつつ、機種固有情報、並びに同一機種での電池利用履歴情報および不具合関連情報を総合的に踏まえて、相関分析又は機械学習によって、電池が劣化しているか否かを判定するための判定基準を導出し、判定基準DB12Aへ蓄積する処理(ステップS2)は、第1実施形態と同様である。
【0041】
その後、例えば携帯端末20の劣化判定基準受信部22Aから劣化判定基準の要求(ステップT2A)を受信したことをトリガーとして、劣化判定基準送信部14は、ステップS2で導出された判定基準を劣化判定基準受信部22Aへ送信する(ステップS3A)。なお、上記のステップT2Aにおける携帯端末20からの要求は必須事項ではなく、例えば予め定められた日時や時刻が到来したことなどをトリガーとして、判定基準の送信(ステップS3A)を実行してもよい。
【0042】
携帯端末20では、劣化判定基準受信部22Aが上記の劣化判定基準を受信し(ステップT3A)、判定基準DB22Bに蓄積すると、劣化判定部23Aは、自機(携帯端末20)の電池が劣化しているか否かを、上記判定基準に照らして判定し(ステップT3B)、劣化制御部23Bが、以下のように、判定結果に応じた処理を実行するように制御する。例えば、判定結果が「劣化している」である場合(ステップT4でYESの場合)、劣化制御部23Bは、「劣化している」旨の劣化判定結果を出力する(ステップT5)。一方、判定結果が「劣化していない」である場合(ステップT4でNOの場合)、劣化制御部23Bは、「劣化してない」旨の劣化判定結果を出力する(ステップT6)。
【0043】
以上説明した処理により、サーバ10に代わり、携帯端末20が劣化判定する場合についても、第1実施形態と同様に、携帯端末に関する電池利用履歴情報を主に基礎としつつ、機種固有情報、並びに同一機種での電池利用履歴情報および不具合関連情報を総合的に踏まえて、劣化判定の判定基準が導出され、導出された判定基準に基づき、電池が劣化しているか否かを適切に判定し対応することができる。換言すれば、上記のような様々な情報を、現行の機種に搭載された電池の劣化の判定処理にフィードバックすることができる。
【0044】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態として、サーバが、携帯端末に関する電池利用履歴情報を主に基礎としつつ、機種固有情報、並びに同一機種での電池利用履歴情報および不具合関連情報を総合的に踏まえて導出された抑止判定基準に照らして、携帯端末の電池が劣化しそうで劣化抑止が望まれる状態(劣化抑止を要する状態)にあるか否かを判定する態様を説明する。なお、第1実施形態と重複する事項の説明は、適宜省略する。
【0045】
図7に示すように、第3実施形態の電池劣化対応システム1は、第1実施形態と同様に、サーバ10、携帯端末20および運用端末30を含んで構成され、サーバ10は、機能ブロックとして、情報管理部11、分析学習部12、および、抑止判定部15を備える。
【0046】
このうち、情報管理部11は、第1実施形態と同様の機能を有する。分析学習部12は、携帯端末20に関する電池利用履歴情報を主に基礎としつつ、機種固有情報、並びに同一機種での電池利用履歴情報および不具合関連情報を総合的に踏まえて、相関分析又は機械学習によって、(1)電池の劣化を抑止すべきか否かを判定するための抑止判定基準、および(2)抑止判定の判定結果に応じて実行すべき抑止措置を含んだ劣化抑止ロジックを導出し、内蔵した劣化抑止ロジックデータベース(DB)12Bへ蓄積する機能部である。上記の劣化抑止ロジックの例としては、「
図2の電池利用履歴情報のサイクル数から、所定の基準回数以上繰り返し充放電したと把握される場合に劣化を抑止すべきと判定し、抑止措置として、所定の電圧値まで電池電圧を下げる(又は、電池を利用停止とする)」といったルールや、「
図2の電池利用履歴情報の利用日時および電池温度から、高温(所定温度以上)での利用累積時間がある所定時間を超過したと把握される場合に劣化を抑止すべきと判定し、抑止措置として、所定の電圧値まで電池電圧を下げる」といったルールが挙げられる。
【0047】
第3実施形態の分析学習部12は、携帯端末20に関する電池利用履歴情報を主に基礎としつつ、機種固有情報、並びに同一機種での電池利用履歴情報および不具合関連情報を総合的に踏まえて、相関分析を行うことで、前述した例のような、携帯端末の同一機種での相関、又は、異なる機種をまたいでの相関を見出し、得られた相関情報をもとに、(1)電池の劣化を抑止すべきか否かを判定するための抑止判定基準、および(2)抑止判定の判定結果に応じて実行すべき抑止措置を含んだ「劣化抑止ロジック」を新たに構築する。また、
図4に示すように、分析学習部12は、個々の携帯端末を特定する製造番号をキーにして、当該携帯端末に関する機種固有情報、紐づけ情報、当該携帯端末に関する電池利用履歴情報および同一機種での電池利用履歴情報を説明変数とし、同一機種での不具合関連情報を目的変数として、人口知能へ入力し、携帯端末に関する電池利用履歴情報を主に基礎としつつ、機種固有情報、並びに同一機種での電池利用履歴情報および不具合関連情報を総合的に踏まえて機械学習を行う。例えば、分析学習部12は、目的変数Y=1(電池持ち悪化)に寄与する説明変数、目的変数Y=2(膨張)に寄与する説明変数、目的変数Y=0(申告なし)に寄与する説明変数をそれぞれ分析し、得られた分析結果を総合して、既に構築された(1)電池の劣化を抑止すべきか否かを判定するための抑止判定基準、および(2)抑止判定の判定結果に応じて実行すべき抑止措置を含んだ「劣化抑止ロジック」を再構築する。
【0048】
抑止判定部15は、分析学習部12により導出された劣化抑止ロジックに基づき、電池の劣化を抑止すべきか否かを判定して、その判定結果に応じた抑止措置を定め、上記判定結果および抑止措置情報を携帯端末20へ送信する機能部であり、特許請求の範囲の「対応部」に対応する。
【0049】
一方、携帯端末20は、機能ブロックとして、利用履歴送信部21、抑止判定結果受信部24、および、抑止制御部25を備える。
【0050】
このうち、利用履歴送信部21は、第1実施形態と同様の機能を有する。抑止判定結果受信部24は、サーバ10の抑止判定部15から送信された上記の判定結果および抑止措置情報を受信する機能部であり、特許請求の範囲の「結果受信部」に対応する。また、抑止判定結果受信部24は、上記判定結果等の受信に先立ち、判定結果等の問合せをサーバ10へ送信する機能も有する。
【0051】
抑止制御部25は、後述するような、判定結果に応じた処理を実行するように制御する機能部であり、特許請求の範囲の「劣化制御部」に対応する。
【0052】
次に、
図8のフロー図に沿って、第3実施形態における処理内容を説明する。冒頭の携帯端末20からサーバ10への電池利用履歴情報の送信(
図8のステップT1)、運用端末30からサーバ10への不具合関連情報の送信(ステップP1)、並びに、携帯端末20に関する電池利用履歴情報を、機種固有情報、並びに、同一機種での電池利用履歴情報および不具合関連情報とともに運用情報DB11Aへ蓄積する処理(ステップS1)は、第1実施形態と同様である。次のステップS2では、分析学習部12は、前述したように、携帯端末に関する電池利用履歴情報を主に基礎としつつ、機種固有情報、並びに同一機種での電池利用履歴情報および不具合関連情報を総合的に踏まえて、相関分析又は機械学習によって、(1)電池の劣化を抑止すべきか否かを判定するための抑止判定基準、および(2)抑止判定の判定結果に応じて実行すべき抑止措置を含んだ劣化抑止ロジックを導出し、劣化抑止ロジックDB12Bへ蓄積する(ステップS5)。
【0053】
その後、例えば携帯端末20の抑止判定結果受信部24から抑止判定結果の問合せ(ステップT11)を受信したことをトリガーとして、抑止判定部15は、携帯端末20の電池の劣化を抑止すべきか否かを、上記導出された抑止判定基準に照らして判定し(ステップS6)、判定結果(ここでは、判定結果、および判定結果に応じて実行すべき抑止措置情報を含む)を携帯端末20の抑止判定結果受信部24へ送信する(ステップS7)。なお、上記のステップT11における携帯端末20からの問合せは必須事項ではなく、例えば予め定められた日時や時刻が到来したことなどをトリガーとして、抑止判定(ステップS6)を実行してもよい。
【0054】
携帯端末20では、抑止判定結果受信部24が上記判定結果を受信すると(ステップT12)、抑止制御部25が、以下のように、判定結果に応じた処理を実行するように制御する。例えば、判定結果が「劣化抑止すべき」である場合(ステップT13でYESの場合)、抑止制御部25は、判定結果に応じて実行すべき抑止措置情報に基づき、劣化抑止措置を実行する(ステップT14)。高温(所定温度以上)での利用累積時間がある所定時間を超過したことをもって劣化抑止すべきと判定された場合、抑止措置として、例えば、電池電圧を所定の電圧値まで下げる措置が実行される。一方、判定結果が「劣化抑止すべき」でない場合(ステップT13でNOの場合)、抑止制御部25は、「劣化抑止不要」の旨の判定結果を出力する(ステップT15)。
【0055】
以上説明した処理により、携帯端末に関する電池利用履歴情報を主に基礎としつつ、機種固有情報、並びに同一機種での電池利用履歴情報および不具合関連情報を総合的に踏まえて、前述した劣化抑止ロジックが導出され、導出された劣化抑止ロジックに基づき、電池の劣化を抑止すべきか否かを適切に判定し、同判定結果に応じて適切な抑止措置を実行することができる。換言すれば、上記のような様々な情報を、現行の機種に搭載された電池の劣化抑止の要否判定および抑止措置にフィードバックすることができる。
【0056】
[第4実施形態]
次に、第4実施形態として、携帯端末が、携帯端末に関する電池利用履歴情報を主に基礎としつつ、機種固有情報、並びに同一機種での電池利用履歴情報および不具合関連情報を総合的に踏まえて導出された抑止判定基準などをサーバから取得して、自機の電池の劣化抑止要否を判定し、劣化抑止措置を実行する態様を説明する。なお、第1、第3実施形態と重複する事項の説明は、適宜省略する。
【0057】
図9に示すように、第4実施形態の電池劣化対応システム1は、第1実施形態と同様に、サーバ10、携帯端末20および運用端末30を含んで構成され、サーバ10は、機能ブロックとして、情報管理部11、分析学習部12、および、劣化抑止ロジック送信部16を備える。
【0058】
このうち、情報管理部11および分析学習部12は、第3実施形態と同様の機能を有する。劣化抑止ロジック送信部16は、分析学習部12により導出された劣化抑止ロジック(ここでは、抑止要否の判定結果、および判定結果に応じて実行すべき抑止措置情報を含む)を携帯端末20へ送信する機能部であり、特許請求の範囲の「送信部」に対応する。
【0059】
一方、携帯端末20は、機能ブロックとして、利用履歴送信部21、劣化抑止ロジック受信部24A、抑止判定部25A、および、抑止制御部25Bを備える。
【0060】
このうち、利用履歴送信部21は、第1実施形態と同様の機能を有する。劣化抑止ロジック受信部24Aは、サーバ10の劣化抑止ロジック送信部16から送信された劣化抑止ロジックを受信し、内蔵した劣化抑止ロジックDB24Bへ蓄積する機能部であり、特許請求の範囲の「受信部」に対応する。また、劣化抑止ロジック受信部24Aは、劣化抑止ロジックの受信に先立ち、劣化抑止ロジックの要求をサーバ10へ送信する機能も有する。
【0061】
抑止判定部25Aは、上記抑止判定基準に基づき、自機の電池の劣化を抑止すべきか否かを判定し、必要な抑止措置を定める機能部であり、特許請求の範囲の「劣化対応部」に対応する。抑止制御部25Bは、後述するような、判定結果に応じた処理を実行するように制御する機能部である。
【0062】
次に、
図10のフロー図に沿って、第4実施形態における処理内容を説明する。冒頭の携帯端末20からサーバ10への電池利用履歴情報の送信(
図10のステップT1)、運用端末30からサーバ10への不具合関連情報の送信(ステップP1)、携帯端末20に関する電池利用履歴情報を、機種固有情報、並びに、同一機種での電池利用履歴情報および不具合関連情報とともに運用情報DB11Aへ蓄積する処理(ステップS1)、並びに、分析学習部12によって、携帯端末20に関する電池利用履歴情報を主に基礎としつつ、機種固有情報、並びに同一機種での電池利用履歴情報および不具合関連情報を総合的に踏まえて、相関分析又は機械学習によって、電池の劣化を抑止すべきか否かを判定するための抑止判定基準、および抑止判定の判定結果に応じて実行すべき抑止措置情報を含んだ劣化抑止ロジックを導出し、劣化抑止ロジックDB12Bへ蓄積する処理(ステップS5)は、第3実施形態と同様である。
【0063】
その後、例えば携帯端末20の劣化抑止ロジック受信部24Aから劣化抑止ロジックの要求(ステップT11A)を受信したことをトリガーとして、劣化抑止ロジック送信部16は、ステップS5で導出された劣化抑止ロジックを劣化抑止ロジック受信部24Aへ送信する(ステップS6A)。なお、上記のステップT11Aにおける携帯端末20からの要求は必須事項ではなく、例えば予め定められた日時や時刻が到来したことなどをトリガーとして、劣化抑止ロジックの送信(ステップS6A)を実行してもよい。
【0064】
携帯端末20では、劣化抑止ロジック受信部24Aが上記の劣化抑止ロジックを受信し(ステップT12A)、劣化抑止ロジックDB24Bに蓄積すると、抑止判定部25Aは、自機(携帯端末20)の電池の劣化を抑止すべきか否かを判定し、同判定結果に応じて実行すべき抑止措置を定め(ステップT12B)、抑止制御部25Bが、以下のように、判定結果に応じた処理を実行するように制御する。例えば、判定結果が「劣化抑止すべき」である場合(ステップT13でYESの場合)、抑止制御部25は、判定結果に応じて実行すべき抑止措置情報に基づき、劣化抑止措置を実行する(ステップT14)。高温(所定温度以上)での利用累積時間がある所定時間を超過したことをもって劣化抑止すべきと判定された場合、抑止措置として、例えば、電池電圧を所定の電圧値まで下げる措置が実行される。一方、判定結果が「劣化抑止すべき」でない場合(ステップT13でNOの場合)、抑止制御部25は、「劣化抑止不要」の旨の判定結果を出力する(ステップT15)。
【0065】
以上説明した処理により、サーバ10に代わり、携帯端末20が劣化抑止の要否判定等を行う場合についても、第3実施形態と同様に、携帯端末に関する電池利用履歴情報を主に基礎としつつ、機種固有情報、並びに同一機種での電池利用履歴情報および不具合関連情報を総合的に踏まえて、前述した劣化抑止ロジックが導出され、導出された劣化抑止ロジックに基づき、電池の劣化を抑止すべきか否かを適切に判定し、同判定結果に応じて適切な抑止措置を実行することができる。換言すれば、上記のような様々な情報を、現行の機種に搭載された電池の劣化抑止の要否判定および抑止措置にフィードバックすることができる。
【0066】
(用語の説明、ハードウェア構成(
図11)の説明など)
なお、上記の実施形態、変形例の説明に用いたブロック図は、機能単位のブロックを示している。これらの機能ブロック(構成部)は、ハードウェア及びソフトウェアの少なくとも一方の任意の組み合わせによって実現される。また、各機能ブロックの実現方法は特に限定されない。すなわち、各機能ブロックは、物理的又は論理的に結合した1つの装置を用いて実現されてもよいし、物理的又は論理的に分離した2つ以上の装置を直接的又は間接的に(例えば、有線、無線などを用いて)接続し、これら複数の装置を用いて実現されてもよい。機能ブロックは、上記1つの装置又は上記複数の装置にソフトウェアを組み合わせて実現されてもよい。
【0067】
機能には、判断、決定、判定、計算、算出、処理、導出、調査、探索、確認、受信、送信、出力、アクセス、解決、選択、選定、確立、比較、想定、期待、見做し、報知(broadcasting)、通知(notifying)、通信(communicating)、転送(forwarding)、構成(configuring)、再構成(reconfiguring)、割り当て(allocating、mapping)、割り振り(assigning)などがあるが、これらに限られない。たとえば、送信を機能させる機能ブロック(構成部)は、送信部(transmitting unit)、送信機(transmitter)と呼称される。いずれも、上述したとおり、実現方法は特に限定されない。
【0068】
例えば、本開示の一実施の形態におけるサーバは、本実施形態における処理を行うコンピュータとして機能してもよい。
図11は、本開示の一実施の形態に係るサーバ10のハードウェア構成例を示す図である。上述のサーバ10は、物理的には、プロセッサ1001、メモリ1002、ストレージ1003、通信装置1004、入力装置1005、出力装置1006、バス1007などを含むコンピュータ装置として構成されてもよい。なお、携帯端末20、運用端末30についても、サーバ10のハードウェア構成と同様の構成としてもよい。
【0069】
以下の説明では、「装置」という文言は、回路、デバイス、ユニットなどに読み替えることができる。サーバ10のハードウェア構成は、図に示した各装置を1つ又は複数含むように構成されてもよいし、一部の装置を含まずに構成されてもよい。
【0070】
サーバ10における各機能は、プロセッサ1001、メモリ1002などのハードウェア上に所定のソフトウェア(プログラム)を読み込ませることによって、プロセッサ1001が演算を行い、通信装置1004による通信を制御したり、メモリ1002及びストレージ1003におけるデータの読み出し及び書き込みの少なくとも一方を制御したりすることによって実現される。
【0071】
プロセッサ1001は、例えば、オペレーティングシステムを動作させてコンピュータ全体を制御する。プロセッサ1001は、周辺装置とのインタフェース、制御装置、演算装置、レジスタなどを含む中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)によって構成されてもよい。
【0072】
また、プロセッサ1001は、プログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュール、データなどを、ストレージ1003及び通信装置1004の少なくとも一方からメモリ1002に読み出し、これらに従って各種の処理を実行する。プログラムとしては、上述の実施の形態において説明した動作の少なくとも一部をコンピュータに実行させるプログラムが用いられる。上述の各種処理は、1つのプロセッサ1001によって実行される旨を説明してきたが、2以上のプロセッサ1001により同時又は逐次に実行されてもよい。プロセッサ1001は、1以上のチップによって実装されてもよい。なお、プログラムは、電気通信回線を介してネットワークから送信されても良い。
【0073】
メモリ1002は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、RAM(Random Access Memory)などの少なくとも1つによって構成されてもよい。メモリ1002は、レジスタ、キャッシュ、メインメモリ(主記憶装置)などと呼ばれてもよい。メモリ1002は、本開示の一実施の形態に係る無線通信方法を実施するために実行可能なプログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュールなどを保存することができる。
【0074】
ストレージ1003は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、CD-ROM(Compact Disc ROM)などの光ディスク、ハードディスクドライブ、フレキシブルディスク、光磁気ディスク(例えば、コンパクトディスク、デジタル多用途ディスク、Blu-ray(登録商標)ディスク)、スマートカード、フラッシュメモリ(例えば、カード、スティック、キードライブ)、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気ストリップなどの少なくとも1つによって構成されてもよい。ストレージ1003は、補助記憶装置と呼ばれてもよい。上述の記憶媒体は、例えば、メモリ1002及びストレージ1003の少なくとも一方を含むデータベース、その他の適切な媒体であってもよい。
【0075】
通信装置1004は、有線ネットワーク及び無線ネットワークの少なくとも一方を介してコンピュータ間の通信を行うためのハードウェア(送受信デバイス)であり、例えばネットワークデバイス、ネットワークコントローラ、ネットワークカード、通信モジュールなどともいう。
【0076】
入力装置1005は、外部からの入力を受け付ける入力デバイス(例えば、キーボード、マウス、マイクロフォン、スイッチ、ボタン、センサなど)である。出力装置1006は、外部への出力を実施する出力デバイス(例えば、ディスプレイ、スピーカー、LEDランプなど)である。なお、入力装置1005及び出力装置1006は、一体となった構成(例えば、タッチパネル)であってもよい。また、プロセッサ1001、メモリ1002などの各装置は、情報を通信するためのバス1007によって接続される。バス1007は、単一のバスを用いて構成されてもよいし、装置間ごとに異なるバスを用いて構成されてもよい。
【0077】
本開示において説明した各態様/実施形態は単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよいし、実行に伴って切り替えて用いてもよい。また、所定の情報の通知(例えば、「Xであること」の通知)は、明示的に行うものに限られず、暗黙的(例えば、当該所定の情報の通知を行わない)ことによって行われてもよい。
【0078】
以上、本開示について詳細に説明したが、当業者にとっては、本開示が本開示中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本開示は、請求の範囲の記載により定まる本開示の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本開示の記載は、例示説明を目的とするものであり、本開示に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【0079】
本開示において説明した各態様/実施形態の処理手順、シーケンス、フローチャートなどは、矛盾の無い限り、順序を入れ替えてもよい。例えば、本開示において説明した方法については、例示的な順序を用いて様々なステップの要素を提示しており、提示した特定の順序に限定されない。
【0080】
入出力された情報等は特定の場所(例えば、メモリ)に保存されてもよいし、管理テーブルを用いて管理してもよい。入出力される情報等は、上書き、更新、又は追記され得る。出力された情報等は削除されてもよい。入力された情報等は他の装置へ送信されてもよい。
【0081】
本開示において使用する「に基づいて」という記載は、別段に明記されていない限り、「のみに基づいて」を意味しない。言い換えれば、「に基づいて」という記載は、「のみに基づいて」と「に少なくとも基づいて」の両方を意味する。
【0082】
本開示において、「含む(include)」、「含んでいる(including)」及びそれらの変形が使用されている場合、これらの用語は、用語「備える(comprising)」と同様に、包括的であることが意図される。さらに、本開示において使用されている用語「又は(or)」は、排他的論理和ではないことが意図される。
【0083】
本開示において、例えば、英語でのa, an及びtheのように、翻訳により冠詞が追加された場合、本開示は、これらの冠詞の後に続く名詞が複数形であることを含んでもよい。
【0084】
本開示において、「AとBが異なる」という用語は、「AとBが互いに異なる」ことを意味してもよい。なお、当該用語は、「AとBがそれぞれCと異なる」ことを意味してもよい。「離れる」、「結合される」などの用語も、「異なる」と同様に解釈されてもよい。
【符号の説明】
【0085】
1…電池劣化対応システム、10…サーバ(電池劣化対応装置)、11…情報管理部、12…分析学習部、13…劣化判定部、14…劣化判定基準送信部、15…抑止判定部、16…劣化抑止ロジック送信部、20…携帯端末、21…利用履歴送信部、22…劣化判定結果受信部、22A…劣化判定基準受信部、23…劣化制御部、23A…劣化判定部、23B…劣化制御部、24…抑止判定結果受信部、24A…劣化抑止ロジック受信部、25…抑止制御部、25A…抑止判定部、25B…抑止制御部、30…運用端末、1001…プロセッサ、1002…メモリ、1003…ストレージ、1004…通信装置、1005…入力装置、1006…出力装置、1007…バス。