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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023013505
(43)【公開日】2023-01-26
(54)【発明の名称】生体情報モニター
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/00 20060101AFI20230119BHJP
   H04B 17/309 20150101ALI20230119BHJP
【FI】
A61B5/00 A
H04B17/309
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021117737
(22)【出願日】2021-07-16
(71)【出願人】
【識別番号】000112602
【氏名又は名称】フクダ電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】河上 裕重
(72)【発明者】
【氏名】武部 慎太郎
(72)【発明者】
【氏名】吉田 直樹
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 秀明
(72)【発明者】
【氏名】坂橋 伸吉
【テーマコード(参考)】
4C117
【Fターム(参考)】
4C117XB03
4C117XE15
4C117XE17
4C117XE37
4C117XG03
4C117XG19
4C117XH02
4C117XH12
4C117XJ13
4C117XJ46
4C117XJ47
(57)【要約】
【課題】受信品質の悪化によってモニタリング中に生体情報が取得できなくなる事態を回避可能な生体情報モニターを提供すること。
【解決手段】セントラルモニターは、複数の生体情報取得端末(ベッドサイドモニター、テレメーター送信機)から無線にて送られた生体情報を復調可能な復調部と、少なくとも復調部が復調する全周波数帯を含む医用テレメーター帯の電界強度を測定する電界強度測定部と、電界強度測定部により測定されている周波数のうち復調部で復調されている周波数の電界強度を希望波の電界強度とし、少なくとも復調部で復調されている周波数を除く周波数の電界強度をノイズの電界強度として、S/N比を取得するS/N比取得部と、S/N比取得部によって得られたS/N比に基づいて警報を出力する警報出力部と、を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の生体情報取得端末から無線にて送られた生体情報を復調可能な復調部と、
少なくとも前記復調部が復調する全周波数帯を含む医用テレメーター帯の電界強度を測定する電界強度測定部と、
前記電界強度測定部により測定されている周波数のうち前記復調部で復調されている周波数の電界強度を希望波の電界強度とし、少なくとも前記復調部で復調されている周波数を除く周波数の電界強度をノイズの電界強度として、S/N比を取得するS/N比取得部と、
前記S/N比取得部によって得られたS/N比に基づいて警報を出力する警報出力部と、
を備える生体情報モニター。
【請求項2】
前記S/N比取得部は、
前記電界強度測定部により測定されている周波数のうち前記復調部で復調されている周波数の電界強度を希望波の電界強度として算出する第1の電界強度算出部と、
少なくとも前記復調部で復調されている周波数を除く周波数の電界強度をノイズの電界強度として算出する第2の電界強度算出部と、
前記希望派の電界強度を前記ノイズの電界強度で減算することで、S/N比を算出するS/N比算出部と、
を備える、
請求項1に記載の生体情報モニター。
【請求項3】
前記生体情報を受信しているチャネルが複数存在する場合、
前記S/N比取得部は、前記生体情報を受信している複数のチャネルのS/N比を取得し、
前記警報出力部は、前記生体情報を受信している前記複数のチャネルそれぞれのS/N比に基づいて、チャネル毎に警報出力を制御する、
請求項1または2に記載の生体情報モニター。
【請求項4】
前記ノイズの電界強度は、前記復調部で復調されている周波数に隣接する周波数の電界強度を除く電界強度である、
請求項1から3のいずれか一項に記載の生体情報モニター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線にて送信された生体情報を受信する生体情報モニターに関し、例えばセントラルモニターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の患者の状態を監視する生体情報モニターとして、医療機関においてナースステーションに設置されるセントラルモニターが知られている。セントラルモニターは、集中治療室や病室などに居る各患者のベッドサイドに設置されたベッドサイドモニターから各患者の生体情報(例えば、心電図、血圧、動脈血酸素飽和度など)を受信してそれを画面に表示する(例えば、特許文献1参照)。また、セントラルモニターは、患者に装着されるテレメーター送信機などから無線にて送信された生体情報を受信して表示することもできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-124903号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、無線にて伝送された生体情報をセントラルモニターが収集して表示するためには、当然ではあるが、無線送信された生体情報をセントラルモニターが正しく復調できなければならない。
【0005】
一般に、病院内におけるベッドサイドモニターやテレメーター送信機(以下、これらを「生体情報取得端末」と呼ぶ)と、セントラルモニターとの無線通信は、セントラルモニターに配設されたアンテナや、廊下の天井裏などに配設されたアンテナを介して行われており、生体情報取得端末の位置や無線伝搬環境によってはセントラルモニターで生体情報を正しく復調できない場合がある。例えば生体情報取得端末がアンテナから遠い位置に存在する場合、又は、アンテナと生体情報取得端末との間に電波を遮断するような障害物が存在する場合、或いは、ノイズによる干渉が生じる場合に、セントラルモニターで生体情報を復調できなくなる可能性がある。
【0006】
無線伝搬環境は、生体情報取得端末の位置や、故障、アンテナの劣化、外来ノイズなどの影響により時々刻々と変化する。よって、セントラルモニターでの生体情報の受信品質が悪くなることがあり、それに気づかずにモニタリングを続けると生体情報の復調が不可能となる事態を招くおそれがある。
【0007】
生体情報のモニタリング中にセントラルモニター側で生体情報を取得できなくなるという事態は、医療上絶対に避けなければならない事態である。
【0008】
本発明は、以上の点を考慮してなされたものであり、受信品質の悪化によってモニタリング中に生体情報が取得できなくなる事態を回避可能な生体情報モニターを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の生体情報モニターの一つの態様は、
複数の生体情報取得端末から無線にて送られた生体情報を復調可能な復調部と、
少なくとも前記復調部が復調する全周波数帯を含む医用テレメーター帯の電界強度を測定する電界強度測定部と、
前記電界強度測定部により測定されている周波数のうち前記復調部で復調されている周波数の電界強度を希望波の電界強度とし、少なくとも前記復調部で復調されている周波数を除く周波数の電界強度をノイズの電界強度として、S/N比を取得するS/N比取得部と、
前記S/N比取得部によって得られたS/N比に基づいて警報を出力する警報出力部と、
を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、受信品質の悪化によってモニタリング中に生体情報が取得できなくなる事態を回避可能な生体情報モニターを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施の形態のセントラルモニターが適用される生体情報モニタリングシステムの概略構成を示す図
図2】実施の形態のセントラルモニターの要部構成を示すブロック図
図3】受信部の構成を示すブロック図
図4】セントラルモニターにおける生体情報の表示例を示す図
図5】セントラルモニターにおける電界強度表示画面の例を示す図
図6】実施の形態によるモニタリングチャネル品質警告動作の説明に供するフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
図1は、本実施の形態のセントラルモニターが適用される生体情報モニタリングシステムの概略構成を示す図である。図1の生体情報モニタリングシステム10は、例えば病院内に配設されている。
【0014】
ナースステーションにはセントラルモニター100が設けられており、セントラルモニター100は、ベッドサイドモニター20(20-1~20-n)又はテレメーター送信機30-1~30-mなどの生体情報取得端末から無線送信された各患者の生体情報をアンテナAN1、AN2-1、AN2-2、AN2-3を介して受信する。
【0015】
アンテナAN1、AN2-1、AN2-2、AN2-3は、セントラルモニター100に直接取り付けられ、又は、セントラルモニター100にケーブルにより接続されている。具体的には、アンテナAN1はセントラルモニター100に直接取り付けられており、アンテナAN2(AN2-1~AN2-3)はケーブル400を介してセントラルモニター100に接続されている。アンテナAN2は、例えば病院の廊下の天井裏などに配設されている。
【0016】
アンテナAN2の構成としては、いわゆる空中線方式が採用されていてもよく、漏洩同軸ケーブル方式が採用されていてもよい。空中線方式はホイップアンテナなどをアンテナとして用いるものであり、アンテナAN2-1~AN2-3間が有線にて接続される。漏洩同軸ケーブル方式は漏洩同軸ケーブルをアンテナAN2-1~AN2-3として用いるものである。アンテナAN1、AN2は、特定小電力無線の規格に準拠したものであればどのような方式であってもよい。また、アンテナの数も図1の例に限定されるものではない。
【0017】
実際上、ベッドサイドモニター20及びテレメーター送信機30(つまり生体情報取得端末)から無線送信された生体情報は、先ず、アンテナAN1又はAN2で受信される。図1の例の場合、テレメーター送信機30-mから送信された生体情報はアンテナAN1で受信され、ベッドサイドモニター20-1、20-n、テレメーター送信機30-1から送信された生体情報は有線接続されたアンテナAN2で受信される。
【0018】
このようにして、ベッドサイドモニター20やテレメーター送信機30などの医療端末から無線送信された生体情報がセントラルモニター100で受信されて収集され、セントラルモニター100に表示される。
【0019】
図2は、本実施の形態によるセントラルモニター100の要部構成を示すブロック図である。
【0020】
セントラルモニター100は、アンテナAN1、AN2で受信した信号を受信部200に入力する。受信部200は、入力信号に所定の無線処理を施すことにより、変調された生体情報を復調する。また、受信部200は、医用テレメーター周波数帯(420MHz~450MHz)の電波の電界強度を測定する機能を有する。受信部200の詳しい構成については後述する。
【0021】
ここで、医用テレメーター周波数帯について簡単に説明しておく。電子情報技術産業協会(JEITA)によって決められた「小電力医用テレメーターの運用規定」によれば、420~450MHzを医用テレメーターの使用周波数帯として規定されている。さらに、420~450MHzの範囲に6つの周波数帯(バンドと言ってもよい)1~6が割り当てられている。各周波数帯1~6には、40、80又は120個のチャネル(「床」又は「生体情報取得端末」と言ってもよい)が割り当て可能である。因みに、各チャネルの間隔は、12.5kHzである。
【0022】
受信部101によって復調された生体情報は、生体情報解析部110に入力される。生体情報解析部110は、生体情報から、生体情報波形を形成したり、最大値、最小値、平均値などを算出する。
【0023】
生体情報解析部110の出力は、表示制御部120及びアラーム制御部130に入力される。表示制御部120は操作部180からの操作信号に基づいて表示を切り替える。表示制御部120は、心電図、SpO2及び血圧等の生体情報を表示部140に表示する。また、表示制御部120は、アラーム制御部130からアラーム出力指示信号を入力すると、表示部140にアラームを表示する。また、アラーム制御部130からのアラーム出力指示信号は、LED(Light Emitting Diode)やスピーカー等からなるアラームインジケーター150にも入力され、光や音でもアラーム出力が行われる。
【0024】
一方、受信部200により測定された電波の電界強度の情報は、表示制御部120に出力される。ここでの電界強度情報とは、例えば、電界強度を、横軸を周波数、縦軸を電力(又は電圧)とした2次元のグラフで表した情報である。この2次元グラフは表示制御部120により表示部140に表示される。
【0025】
また、セントラルモニター100は、制御部170、操作部180及びバーコードリーダー190を有する。制御部170は、操作部180又はバーコードリーダー190から入力された生体情報取得端末識別情報に基づいて、各生体情報取得端末とキャリア周波数の割り当て及び紐付けを行い、周波数割り当て情報を受信部200に出力する。
【0026】
かかる構成に加えて、セントラルモニター100は、S/N比取得部401と、警報出力部402と、を有する。
【0027】
S/N比取得部401は、電界強度測定部250により測定されている周波数のうち復調部240で復調されている周波数の電界強度を希望波(モニタリングチャンネル)の電界強度とし、復調部240で復調されている周波数を除く周波数の電界強度をノイズ(非モニタリングチャンネル)の電界強度として、S/N比を取得する。
【0028】
本実施の形態のS/N取得部401は、モニタリングチャネル電界強度算出部401aと、非モニタリングチャネル電界強度算出部401bと、S/N比算出部401cと、を有する。ここで、モニタリングチャネルとは、生体情報を受信している(生体情報を復調していると言ってもよい)チャネルのことである。
【0029】
モニタリングチャネル電界強度算出部401aは、電界強度測定部250(図3)により測定されている周波数のうち復調部240(図3)で復調されている周波数の電界強度を希望波の電界強度として算出する。
【0030】
非モニタリングチャネル電界強度算出部401bは、少なくとも復調部240(図3)で復調されている周波数を除く周波数の電界強度をノイズの電界強度として算出する。
【0031】
S/N比算出部401cは、モニタリングチャネル電界強度算出部401aにより得られた希望派の電界強度を非モニタリングチャネル電界強度算出部401bにより得られたノイズの受信電界強度で減算することで、S/N比(Signal-to-Noise Ratio)を算出する。
【0032】
なお、モニタリングチャネル電界強度算出部401a及び非モニタリングチャネル電界強度算出部401bで算出する受信電界強度は、パワーであってもよく、電圧値或いは電流値などであってもよい。
【0033】
警報出力部402は、S/N比取得部401によって得られたS/N比に基づいて警報を出力する。具体的には、警報出力部402は、S/N比が所定閾値未満となったときに警報を出力する。警報出力部402は、例えば、LED(Light Emitting Diode)やスピーカー等で構成され、光や音によってS/N比が所定閾値未満となったことを知らせる。また、警報出力部402は、例えば表示部140やアラームインジケーター150を用いて警報を出力してもよい。
【0034】
なお、S/N比取得部401及び警報出力部402の機能は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などにより実現することができる。CPUは、ROMから処理内容に応じたプログラムを読み出してRAMに展開し、展開したプログラムと協働して各要素の動作を集中制御する。本実施の形態の場合、S/N比取得部401及び警報出力部402は、制御部170により制御される。
【0035】
図3は、受信部200の構成を示すブロック図である。
【0036】
受信部200は、各アンテナAN1、AN2で受信された信号をバンドパスフィルター(BPF)210及び増幅器(AMP)220を介して分配器230に入力する。
【0037】
分配器230は、入力した受信信号を復調部240及び電界強度測定部250に出力する。ここで、分配器230は、例えば、アンテナAN1又はアンテナAN2の信号のいずれか一方を選択して復調部240及び電界強度測定部250に出力してもよく、アンテナAN1及びアンテナAN2の信号を合成したものを復調部240及び電界強度測定部250に出力してもよい。
【0038】
分配器230の分配は、例えばユーザーによる操作部180の操作によって制御される。これにより、例えばユーザーがアンテナAN1の受信信号に基づく電界強度を知りたい場合には、分配器230は電界強度測定部250にアンテナAN1の受信信号を出力する。
【0039】
また、分配器230は、復調部240に含まれる各復調回路1~12ごとにアンテナA1、AN2のどの受信信号を分配するかを選択してもよい。例えば、復調回路1に図1のテレメーター送信機30-1が割り当てられている場合を考えると、テレメーター送信機30-1からの信号はアンテナAN1よりもアンテナAN2で大きくなるはずなので、分配器230は復調回路1にアンテナAN2の受信信号を分配するとよい。
【0040】
復調部240は、床数(「チャネル数」或いは「生体情報取得端末数」と言ってもよい)分の復調回路(「受信モジュール」と言ってもよい)を有する。図3の例では、12床分の復調回路1~12を有する。具体的には、各復調回路1~12はそれぞれ入力される信号にそれぞれ異なるキャリア周波数を乗ずることにより生体情報を復調する。例えば復調回路1はキャリア周波数1を、復調回路2はキャリア周波数2を、………、復調回路12はキャリア周波数12を乗じる。
【0041】
復調部240により復調された各床(各生体情報取得端末)の生体情報は、変換回路270により生体情報解析部110(図2)での解析に適したデータに変換される。
【0042】
かかる構成に加えて、本実施の形態のセントラルモニター100の受信部200は、生体情報を復調する復調部240とは別に、電界強度測定部250を有する。電界強度測定部250は、少なくとも復調部240が復調する全復調周波数帯を含む医用テレメーター帯の電界強度を測定する。
【0043】
本実施の形態の電界強度測定部250は、掃引方式により医用テレメーター帯の電界強度を測定する。掃引方式を用いた電界強度測定については、既知の技術なので、ここでは簡単に説明する。電界強度測定部250は、入力信号をミキサーと局部発振器を使用してIF(中間周波数)に変換する。このとき、局部発振器の周波数を自動掃引させながらIFに変換し、狭帯域のIFフィルタを通過した電力値を電界強度情報として出力する。なお、電界強度測定部250は、掃引方式に代えて、FFT方式によって電界強度情報を測定してもよい。
【0044】
電界強度測定部250によって、医用テレメーター帯の電波の電界強度を測定し表示することにより、ユーザーは生体情報取得端末が割り当てられたチャネルの電波環境を把握することができるようになる。
【0045】
分配器230、復調部240及び電界強度測定部250の動作は無線制御部260により制御される。例えば、無線制御部260は、制御部170からの周波数割り当て情報に基づいて、復調回路1~12のどの復調回路を動作させるかを制御する。例えば、ベッドサイドモニター20-1にキャリア周波数1が割り当てられ、ベッドサイドモニター20-nにキャリア周波数2が割り当てられ、テレメーター送信機30-1にキャリア周波数7が割り当てられ、テレメーター送信機30-mにキャリア周波数9が割り当てられた場合には、復調回路1、2、7、9を動作させる。
【0046】
また、無線制御部260は、各復調回路1~12のキャリア周波数1~12を設定することで、各復調回路1~12に床(「チャネル」又は「生体情報取得端末」と言ってもよい)を割り当てる。
【0047】
図4は、セントラルモニター100の表示部140に表示される生体情報の表示例を示す図である。なお、図4の例では、8床分の生体情報が表示されているが、上述した図3の構成によれば、無線での受信に関して最大で12床分の生体情報を表示させることができる。
【0048】
図5は、セントラルモニター100の表示部140に表示される受信電界強度表示画像の例を示す図である。
【0049】
図5の例では、電界強度測定選択領域AR1、電界強度グラフ領域AR2、バンド選択領域AR3、アンテナ選択領域AR4、スキャン開始位置調整領域AR5が表示されている。なお、本実施の形態の場合、表示部140は、タッチパネル構成となっており、ユーザーのタッチ操作に応じた操作信号が制御部170に入力され、操作信号に応じて各種の制御が変更されるようになっている。
【0050】
受信強度測定選択領域AR1には、「スペアナ専用」ボタンが表示される。「スペアナ専用」ボタンがタッチ操作されると、電界強度測定部250による電界強度測定が行われる。加えて、受信強度測定選択領域AR1には、RF-01~RF-12のボタンが表示される。これらのボタンは、復調回路1~12に対応するものであり、例えばRF-01のボタンがタッチ操作されると復調回路1によって電界強度の測定が行われ、例えばRF-02のボタンがタッチ操作されると復調回路2によって電界強度の測定が行われる。
【0051】
つまり、復調回路1~12は、生体情報の復調を行う機能に加えて、電界強度測定部250と同様に医用テレメーター帯の電界強度を測定する機能を有する。つまり、生体情報を復調するためにはミキサーや局部発振器などの電界強度測定部250と同様の構成が必要なので、復調回路1~12はこれらの構成を用いて電界強度も測定できるようになっている。ただし、本実施の形態の生体情報の復調は行わず、電界強度測定専用の電界強度測定部250を有するので、生体情報のモニタリングの状況に関わらず、医用テレメーターの周波数帯の電波状態を測定することができる。
【0052】
電界強度グラフ領域AR2には、各チャネルの電界強度が表示される。図の例の場合、医用テレメーター帯を構成する6つのバンド(1000番台、2000番台、3000番台、4000番台、5000番台、6000番台)のうち、2000番台のバンドの電界強度が表示されている。ユーザーはバンド選択領域AR3のうちの所望のバンドを選択することで、どのバンドの電界強度を測定し表示するかを決定することができる。図の例の場合、各バンドでは120個のチャネル分の電界強度が表示される。
【0053】
ユーザーは、アンテナ選択領域AR4をタッチ操作することで、電界強度を測定するアンテナを選択することができる。例えば「アンテナ1」ボタンをタッチ操作するとアンテナAN1の受信信号の電界強度が測定されて表示され、「アンテナ2」ボタンをタッチ操作するとアンテナAN2の受信信号の電界強度が測定されて表示される。ちなみに、いずれか1つのアンテナを選択する場合に限らず、全ての2つ以上のアンテナを選択して、それらの合成受信信号の電界強度を測定して表示するようにしてもよい。
【0054】
ユーザーは、スキャン開始位置調整領域AR5をタッチ操作することで、電界強度を測定及び表示するスキャン開始位置を調整することができる。ここで、バンド内の全てのチャネルの電界強度をスキャンするためには、機器の性能にもよるが例えば数十秒の時間を要する。従って、単純に周波数の最も小さいチャネルからスキャンを開始した場合であり、注目するチャネルが周波数の高いチャネルであった場合には、その注目チャネルの周辺の電界強度を知るためにはユーザーは長く待たなければならない。
【0055】
ユーザーは、スキャン開始位置調整領域AR5をタッチ操作することで、このような不都合を回避できる。例えば、注目チャネルが2115番のチャネルであった場合、ユーザーは、スキャン開始位置調整領域AR5の中の「110」のボタンをタッチ操作する。この結果、「2110」番のチャネルから順に電界強度の測定及び表示のスキャンが行われるので、ユーザーは注目チャネルである2115番の周辺の電界強度を短時間で知ることができるようになる。
【0056】
図6は、本実施の形態によるS/N比取得部401及び警報出力部402によるモニタリングチャネル品質警告動作の説明に供するフローチャートである。
【0057】
先ず、ステップS1において、制御部170はモニタリングチャネルiと、非モニタリングチャネルjとを設定する。本実施の形態の例では、モニタリングチャネルi=1、2、7、9に設定し、非モニタリングチャネルは、医用テレメーター帯のうちモニタリングチャンネルを除くチャンネルに設定する。さらに好ましくは、非モニタリングチャネルは、医用テレメーター帯のうちモニタリングチャンネル及びその隣接チャンネルを除くチャンネルに設定する
【0058】
続くステップS2では、非モニタリングチャネル電界強度算出部401bが非モニタリングチャネルの電界強度平均値E2を算出する。なお、本実施の形態では、非モニタリングチャネルjの電界強度の平均値を算出するが、1つ以上の非モニタリングチャネルjのうちの1つの非モニタリングチャネルの電界強度を代表値として算出してもよい。ただし、平均値を算出すると、推定ノイズの信頼度が向上する。
【0059】
続くステップS3では、モニタリングチャネル電界強度算出部401aがk番目のモニタリングチャネルの電界強度E1を算出する。本実施の形態の例では、1番目のモニタリングはチャネル1であり、2番目のモニタリングチャネルはチャネル2であり、3番目のモニタリングチャネルはチャネル7であり、4番目のモニタリングチャネルはチャネル9である。よって、ステップS3では、先ず1番目のモニタリングチャネル1の電界強度E1が算出される。
【0060】
続くステップS4では、S/N比算出部401cがS/N比(つまりE1/E2)が所定の閾値Th0未満であるか否か判断し、閾値Th0未満(ステップS4;YES)の場合、ステップS5に移って、警報出力部402が警報を出力する。この警報は、モニタリングチャネル1の品質が低下していることをユーザーに知らせるものである。
【0061】
実際上、無線にて安定した生体情報のモニタリングを実現させるためには、適切な電界強度のS/N比を保つ必要がある。一般に、30dB以上のS/N比が求められる。よって、上記閾値Th0は例えば30dBとされている。
【0062】
続くステップS6では、全てのモニタリングチャネルiのS/N比判定が完了したか否か判断し、完了していない場合にはステップS3に戻る。ステップS3に戻ると、2番目のモニタリングチャネル2の電界強度E1が算出され、続いてステップS4の処理が行われる。このようにして、全てのモニタリングチャネルi=1、2、7、9について個別にS/N比が算出され、警報の要否の判定が行われる。
【0063】
この結果、ユーザー(看護師、ME技師など)は、受信品質の良くないモニタリングチャネルが存在するか否かを知ることができる。
【0064】
以上説明したように、本実施の形態によれば、セントラルモニター100は、複数の生体情報取得端末(ベッドサイドモニター20、テレメーター送信機30)から無線にて送られた生体情報を復調可能な復調部240と、少なくとも復調部240が復調する全周波数帯を含む医用テレメーター帯の電界強度を測定する電界強度測定部250と、電界強度測定部250により測定されている周波数のうち復調部240で復調されている周波数の電界強度を希望波の電界強度とし、少なくとも復調部240で復調されている周波数を除く周波数の電界強度をノイズの電界強度として、S/N比を取得するS/N比取得部401と、S/N比取得部401によって得られたS/N比に基づいて警報を出力する警報出力部402と、を有する。
【0065】
これにより、モニタリング中のチャネルのうち受信品質の悪いチャネルがあることをユーザー(看護師、ME技師など)に知らせることができるようになり、ユーザーに受信品質の悪い機器の点検(場合によっては交換)を促すことができるようになる。この結果、ユーザーは、無線送信部の故障やアンテナ設備の劣化、外来ノイズ等に起因する受信関連トラブルにいち早く気付くことができ、モニタリング中に受信不良に陥ることを防ぐことができる。
【0066】
かくして、電波状況の悪化によってモニタリング中に生体情報が取得できなくなる事態を回避可能な生体情報モニターを実現できる。
【0067】
ちなみに、生体情報モニタリングシステムでは、生体情報取得端末からセントラルモニターに送られる心電図などの生体情報は、途切れなくセントラルモニターに表示や記録されなければならない。これを考慮して、本実施の形態では、モニタリングチャネルに既知信号などを挿入することなく、モニタリングチャネルのS/N比を取得する方法を採用している。つまり、非モニタリングチャネルの受信電界強度は、モニタリングチャネルにも重畳されているノイズ成分に相当するといった考えの下、モニタリングチャネルのS/N比を算出している。このようにすることで、セントラルモニターでモニタリングしている生体情報を途切れさせることなく、モニタリング中のチャネルの品質の低下をユーザーに知らせることができる。
【0068】
上述の実施の形態は、本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【0069】
上述の実施の形態では、電界強度測定部250によって得た電界強度に基づいてS/N比を求める場合について述べたが、復調部240によって電界強度を測定し、その電界強度に基づいてS/N比を求めるようにしてもよい。
【0070】
上述の実施の形態では、本発明をセントラルモニターに適用した場合について述べたが、これに限らず、要は、複数の生体情報取得端末から無線にて送られた複数の生体情報をそれぞれ復調して表示する生体情報モニターに広く適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明は、受信品質の悪化によってモニタリング中に生体情報が取得できなくなる事態を回避することができるといった効果を有し、例えばセントラルモニターに好適である。
【符号の説明】
【0072】
10 生体情報モニタリングシステム
20(20-1~20-n) ベッドサイドモニター
30(30-1~30-m) テレメーター送信機
100 セントラルモニター
110 生体情報解析部
120 表示制御部
130 アラーム制御部
140 表示部
150 アラームインジケーター
170 制御部
180 操作部
190 バーコードリーダー
200 受信部
210 バンドパスフィルター(BPF)
220 増幅器(AMP)
230 分配器
240 復調部
250 電界強度測定部
260 無線制御部
270 変換回路
401 S/N比取得部
401a モニタリングチャネル電界強度算出部
401b 非モニタリングチャネル電界強度算出部
401c S/N比算出部
402 警報出力部
AN1、AN2-1、AN2-2、AN2-3 アンテナ
AR1 電界強度測定選択領域
AR2 電界強度グラフ領域
AR3 バンド選択領域
AR4 アンテナ選択領域
AR5 スキャン開始位置調整領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6