(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023135054
(43)【公開日】2023-09-28
(54)【発明の名称】アスファルト接着用フィルム、アスファルト系部材、及びアスファルト防水構造
(51)【国際特許分類】
C09J 7/30 20180101AFI20230921BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20230921BHJP
B32B 27/32 20060101ALI20230921BHJP
【FI】
C09J7/30
B32B27/00 M
B32B27/32 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022040066
(22)【出願日】2022-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】591145335
【氏名又は名称】パナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135758
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100116159
【弁理士】
【氏名又は名称】玉城 信一
(72)【発明者】
【氏名】矢嶋 英一
(72)【発明者】
【氏名】大竹 智也
(72)【発明者】
【氏名】馬橋 舞
【テーマコード(参考)】
4F100
4J004
【Fターム(参考)】
4F100AK01A
4F100AK03B
4F100AK42A
4F100AL06B
4F100AM00C
4F100BA02
4F100BA03
4F100BA04
4F100BA07
4F100BA10A
4F100BA10C
4F100BA10D
4F100CB00B
4F100EH46
4F100EJ55
4F100EJ86
4F100GB90
4F100HB00D
4F100JA04B
4F100JK06
4F100JL00B
4F100JL11B
4F100JM01B
4F100YY00B
4J004AA07
4J004AA10
4J004AA18
4J004AB03
4J004CB03
4J004CC02
4J004CD06
4J004CE01
4J004EA01
4J004FA08
(57)【要約】
【課題】低温環境下でも密着性を良好に維持できるアスファルト接着用フィルムを提供する。
【解決手段】プラスチックフィルム上に接着層が形成されてなるアスファルト接着用フィルムであって、前記接着層が変性ポリオレフィン成分を含む、アスファルト接着用フィルムである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチックフィルム上に接着層が形成されてなるアスファルト接着用フィルムであって、前記接着層が変性ポリオレフィン成分を含む、アスファルト接着用フィルム。
【請求項2】
前記変性ポリオレフィン成分は、融点が130℃以下の低融点変性ポリオレフィンを主成分とする請求項1に記載のアスファルト接着用フィルム。
【請求項3】
前記接着層がブロッキング防止剤を含む請求項1又は2に記載のアスファルト接着用フィルム。
【請求項4】
前記ブロッキング防止剤が前記低融点変性ポリオレフィンよりも融点が高い高融点変性ポリオレフィンである請求項3に記載のアスファルト接着用フィルム。
【請求項5】
前記変性ポリオレフィン成分が水系エマルションに由来する請求項1~4のいずれか1項に記載のアスファルト接着用フィルム。
【請求項6】
前記接着層とは反対側の前記プラスチックフィルム上に印刷層が形成されてなる請求項1~5のいずれか1項に記載のアスファルト接着用フィルム。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載のアスファルト接着用フィルムの前記接着層が接着してなるアスファルト系部材。
【請求項8】
請求項7に記載のアスファルト系部材を用いたアスファルト防水構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アスファルト接着用フィルム、該アスファルト接着用フィルムを用いたアスファルト系部材、及び、該アスファルト系部材を用いたアスファルト防水構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、建造物の経年劣化に伴い、屋上部やベランダ部のような屋外設備に対する防水をはじめとした改修工事が増えている。そして、施工性、耐久性、及び漏水に対する信頼性の観点から、防水処理の1つとして、アスファルトルーフィングを用いたアスファルト防水が採用されている。
【0003】
このアスファルトルーフィングは、不織布シートを基材とし、これにアスファルトを含浸して作製される(例えば、特許文献1参照)。しかし、例えば、アスファルトルーフィングを複数使用してこれらを敷き詰める際に、そのまま敷き詰めると隣り合うアスファルトルーフィングの隙間から浸水してしまう。そこで、隣り合うアスファルトルーフィング同士の側部を重ねることで浸水を防止することが行われるが、通常、この側部を重ね合わせる部分にはポリエステルフィルム(PETフィルム)が用いられていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、PETフィルム単独ではアスファルトとの密着性が良くなく、ズレや浮きが生じることがあった。特に冬場はPETフィルムが収縮するため、寒冷地のような冬場の低温環境(例えば、10℃以下)では密着性低下が発生しやすくなる。その結果として浸水が起こりやすく、防水状態を維持できなくなる懸念がある。
【0006】
以上から、本発明は上記に鑑みてなされたものであり、低温環境下でも密着性を良好に維持できるアスファルト接着用フィルムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、下記本発明により上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。すなわち本発明は下記のとおりである。
【0008】
[1] プラスチックフィルム上に接着層が形成されてなるアスファルト接着用フィルムであって、前記接着層が変性ポリオレフィン成分を含む、アスファルト接着用フィルム。
[2] 前記変性ポリオレフィン成分は、融点が130℃以下の低融点変性ポリオレフィンを主成分とする[1]に記載のアスファルト接着用フィルム。
[3] 前記接着層がブロッキング防止剤を含む[1]又は[2]に記載のアスファルト接着用フィルム。
[4] 前記ブロッキング防止剤が前記低融点変性ポリオレフィンよりも融点が高い高融点変性ポリオレフィンである[3]に記載のアスファルト接着用フィルム。
[5] 前記変性ポリオレフィン成分が水系エマルションに由来する[1]~[4]のいずれかに記載のアスファルト接着用フィルム。
[6] 前記接着層とは反対側の前記プラスチックフィルム上に印刷層が形成されてなる[1]~[5]のいずれかに記載のアスファルト接着用フィルム。
[7] [1]~[6]のいずれかに記載のアスファルト接着用フィルムの前記接着層が接着してなるアスファルト系部材。
[8] [7]に記載のアスファルト系部材を用いたアスファルト防水構造。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、低温環境下でも密着性を良好に維持できるアスファルト接着用フィルムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態に係るアスファルト接着用フィルムの層構成の一例を示す概略構成図である。
【
図2】本実施形態に係るアスファルト防水構造の形成の一例を説明する説明図である。
【
図3】本実施形態に係るアスファルト防水構造一例を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態(本実施形態)について説明する。
[アスファルト接着用フィルム]
本実施形態に係るアスファルト接着用フィルムは、プラスチックフィルム上に接着層が形成されてなる。この接着層は変性ポリオレフィン成分を含み、その変性ポリオレフィン成分は、融点が130℃以下の低融点変性ポリオレフィンを主成分とすることが好ましい。
【0012】
本実施形態では、接着層に変性ポリオレフィンを含むため、アスファルトに接着処理する際の加熱で溶けた変性ポリオレフィンがアスファルトの表面の凹凸に入り込んでアンカー効果を発揮しやすくなると推察される。また、変性ポリオレフィンの側鎖の官能基とアスファルト表面とが反応して強固に密着すると推察される。さらに、変性ポリオレフィン成分は、低融点変性ポリオレフィンを主成分とすることが好ましく、これにより低温環境下でも密着性をより良好に維持できると推察される。
【0013】
低融点変性ポリオレフィンの融点は100℃以下であることが好ましく、75~100℃であることがさらに好ましく、75~95℃であることがより好ましく、75~90℃であることがさらに好ましい。本実施形態に係る変性ポリオレフィン成分の融点は、例えば、示差走査熱量測定(DSC)を用いて、昇温速度20℃/minにて昇温し、熱物性を捉えることにより求めることができる。
【0014】
ここで、「変性ポリオレフィン成分」とは、変性ポリオレフィンが1種であればその変性ポリオレフィンを指し、変性ポリオレフィンが複数種あればそれらすべてを指す。
そして、「低融点変性ポリオレフィンを主成分とする」とは、変性ポリオレフィン成分中の低融点変性ポリオレフィン(複数種ある場合はその合計)の質量割合が最も大きいことをいう。
【0015】
変性ポリオレフィンは、ポリオレフィン樹脂が酸変性、塩素化の少なくともいずれかで変性された樹脂であることが好ましい。
【0016】
酸変性成分は、不飽和カルボン酸成分であることが好ましい。不飽和カルボン酸成分は、不飽和カルボン酸やその無水物に由来する成分であることが好ましく、不飽和カルボン酸成分としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、フマル酸、クロトン酸等が挙げられる。なかでも、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸及び無水マレイン酸から選択される少なくとも一種であることが好ましく、マレイン酸及び無水マレイン酸から選択される少なくとも一種であることが特に好ましい。
【0017】
変性ポリオレフィンが塩素化ポリオレフィンである場合、塩素含有率は、塩素化ポリオレフィンの全質量に対して、5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましい。また、塩素含有率は、塩素化ポリオレフィン樹脂の全質量に対して、50質量%以下であることが好ましい。
【0018】
変性ポリオレフィンの主鎖は、末端にカルボキシ基を含有するグラフト鎖を有するものであることが好ましい。かかるグラフト鎖は、変性ポリオレフィンの主鎖に結合する連結基と、連結基の末端にカルボキシ基を有する基である。グラフト鎖を構成する連結基は、炭素数が1~10のアルキレン基であることが好ましい。
【0019】
変性ポリオレフィンとしては、市販品を用いてもよい。市販品としては、例えば、東洋紡社製のハードレンシリーズ、三井化学社製ケミパールシリーズ、住友化学社製ザイクセンシリーズ、ユニチカ社製のアローベースシリーズ等を挙げることができる。
【0020】
接着層には、ブロッキング防止剤を含むことが好ましい。ブロッキング防止剤としては、シリカ等の無機フィラー、アクリル樹脂等の微粒子のポリマービーズ、低融点変性ポリオレフィンよりも融点が高い高融点変性ポリオレフィン等が挙げられるが、ブロッキング抑制の効果とともに、より良好な密着性を得る観点から、高融点変性ポリオレフィンであることが好ましく、融点が135~170℃(好ましくは、135~160℃)の高融点変性ポリオレフィンであることがより好ましい。
【0021】
変性ポリオレフィン成分は、水系エマルション、溶剤に溶解させたポリオレフィン溶液に由来するものを用いることができるが、環境上及び作業性の観点から、水系エマルションに由来するものが好ましい。
【0022】
接着層に含まれる変性ポリオレフィン成分は、60質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましく、100質量%であってもよい。
また、変性ポリオレフィン成分中の低融点変性ポリオレフィンの割合は、60質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましい。高融点変性ポリオレフィンと併用する場合は、低融点変性ポリオレフィンの割合は、97質量%以下であることが好ましく、95質量%以下であることがより好ましい。
【0023】
ブロッキング防止剤はRoll to Rollで製造する際に接着層とそれに接するフィルム面が密着し、剥がれなくなる現象を抑制する材料で、抑制できれば添加量は少ないほうが望ましい。例えば、ブロッキング防止剤が高融点変性ポリオレフィンである場合の当該高融点変性ポリオレフィンは、変性ポリオレフィン成分中、40質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることがさらに好ましい。ブロッキング抑制効果の観点からは、3質量%以上含むことが好ましく、5質量%以上含むことがより好ましい。
【0024】
本実施形態のアスファルト接着用フィルムは、例えば、
図1に示すような構成を有する。すなわち、アスファルト接着用フィルム10は、
図1に示すように、プラスチックフィルム12上で、下面側に接着層14が形成されてなる。
【0025】
接着層14の材質等については既述のとおりであるが、その厚さは、塗工性及び低温環境でもより良好な密着性を得る観点から、0.1~10μmであることが好ましく、0.2~7μmであることがより好ましく、0.6~7μmであることがさらに好ましい。
【0026】
プラスチックフィルム12としては、PENフィルム、PIフィルム、PETフィルム等を用いることが可能であるが、汎用性の観点から、PETフィルムが好ましい。また、作業性や製造効率の観点から、プラスチックフィルムの厚さは、12~250μmであることが好ましく、15~150μmであることがより好ましい。
【0027】
プラスチックフィルム12上に接着層を形成するには、特に制限はないがロールコーター、グラビアコーター、バーコーター、ダイコーターといった方法で塗剤を塗布し、80~150℃程度で乾燥すればよい。
【0028】
本実施形態においては、
図1に示すように、接着層14とは反対側のプラスチックフィルム12上に印刷層16を形成してもよい。印刷は絵柄や着色化(好ましくは黒色化)したものであれば何でも良い。当該印刷層が形成されてなることで、アスファルト接着用フィルムの接着後の表面の外観が均一(貼合時の噛みこみ泡の低減)となり、見栄えを良くすることができる。
【0029】
印刷層16は、例えば、ロールコーター、グラビアコーター、フレキソコーター等を使用してインキ等の着色材料を塗布することで形成することができる。印刷層16の厚さは、隠蔽性の観点から、0.1~100μmであることが好ましく、0.1~10μmであることがより好ましい。
【0030】
接着層の厚みを1μmとしたアスファルト接着用フィルムとアスファルトフェルト430とを用いた下記剥離試験における剥離強度(23℃)は0.2N/cm以上であることが好ましく、0.5N/cm以上であることがより好ましい。23℃における剥離強度が0.2N/cm以上であることで、低温(10℃以下、具体的には5℃程度)でも良好な接着力を維持できる。すなわち、通常は低温になると接着力は低くなるが、23℃においてある程度高い剥離強度があれば、低温となってもその接着力を有効な範囲で維持することができる。
ここで、アスファルトフェルト430とはJIS A 6005(アスファルトルーフィングフェルト)の適合製品であり、市販品を用いることができる。
【0031】
<剥離試験>
150℃に加温したアスファルトフェルト430の15cm×15cmの領域Aの部分に10kgの荷重をかけ、その領域Aの部分を覆うようにアスファルト接着用フィルムを貼り合わせ、その状態のまま1分静置した後、23℃室温下で、領域Aの部分を中心に含む25mm幅の短冊上の試験片を作製し、当該試験片を23℃室温下で1時間静置後、引張速度300mm/min、剥離方向180°ピール(フィルム側折り返し)で剥離強度を測定する。
【0032】
本実施形態のアスファルト接着用フィルムは、例えば、防水用アスファルトといった態様で、アスファルトシート(例えば、後述のアスファルト系部材)同士の重ね合わせやアスファルトシートと樹脂シートとの貼合、既設コンクリート部とアスファルトシートとの貼合のような用途に好適に使用することができる。
【0033】
[アスファルト系部材]
本実施形態に係るアスファルト系部材は、本発明のアスファルト接着用フィルムの接着層が、例えばアスファルト層上に接着してなる。
【0034】
ここで、アスファルト層における「アスファルト」とは、例えば、JIS K 2207:1996で定義されるものであり、ストレートアスファルト40~60、ストレートアスファルト60~80、ストレートアスファルト80~100、ストレートアスファルト100~120、ストレートアスファルト120~150、ストレートアスファルト150~200、等が含まれる。
さらに、舗装設計施工指針の改訂版「舗装設計施工指針(平成十八年版)」に定義される、通常のストレートアスファルトにゴムや熱可塑性エラストマーを改質材として添加したもの、あるいはブローイングなど改質操作を加えた改質アスファルトが含まれる。ポリマー改質アスファルトI型、ポリマー改質アスファルトII型、ポリマー改質アスファルトIII型、ポリマー改質アスファルトIII型-W、ポリマー改質アスファルトIII型-WF、ポリマー改質アスファルトH型、ポリマー改質アスファルトH型-F、セミブローンアスファルトAC-100、硬質アスファルト等が含まれる。アスファルト合材とは、例えば、アスファルト合材協会が規定している材料であり、アスファルトと、骨材(砕石、砂、アスファルト再生骨材等)、フィラー(石粉等)等の添加物とを混合した混合材料である(アスファルト混合物とも呼ばれる。)。
【0035】
アスファルト接着用フィルムの接着層とアスファルト層との接着は、例えば、90~160℃の条件で行うことが好ましい。
【0036】
[アスファルト防水構造]
本実施形態に係るアスファルト防水構造は、本発明のアスファルト系部材を用いた防水構造の一例である。
具体的には、
図2に示すように複数のアスファルト系部材20からなり、1つのアスファルト系部材20の側部が、すでに敷き詰められたアスファルト系部材20の側部に重なるように密着するにように配置され、
図3に示すように、隣り合うアスファルト系部材20の側部が固定されて、アスファルト防水構造とされている。当該構造は、隣り合うアスファルト系部材20の側部を重なっていることで、これらの隙間から浸水が防止されるが、特に、アスファルト接着用フィルム10の接着性が良く、フィルムの収縮が抑制されるため、寒冷地のような冬場の低温環境で重ね合わせ部の密着性低下を防ぐことができる。その結果として浸水が生じにくく、低温環境下でも防水状態を良好に維持することができる。
【0037】
ここで、隣り合うアスファルト系部材20の側部を固定するには、例えば、アスファルト系部材20のアスファルト接着用フィルムが設けられていない側の面に粘着剤層を設けて、当該粘着剤層と、他のアスファルト系部材20のアスファルト接着用フィルム10の上部とを重ねて貼り合わせればよい。
【0038】
なお、粘着剤層を構成する粘着剤としては、慣用の粘着剤を用いることができる。例えば、ブチルゴム、イソプレンゴム、シリコーンゴム等のゴム系粘着剤、アスファルト系粘着剤、アクリル系粘着剤、オレフィン系粘着剤等が挙げられる。これらの粘着剤は、単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【実施例0039】
以下、本発明を下記の実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0040】
[実験例1]
(実施例1)
<アスファルト接着用フィルムの作製>
マグネチックスターラーを備えたガラス製容器に下記原料を秤量し、十分に撹拌してコーティング液を得た。
【0041】
(原料)
低融点変性ポリオレフィン:アローベースSB-1230N(ユニチカ(株)製、ポリオレフィン成分(融点80℃)20質量%、水58質量%、イソプロピルアルコール16質量%)
【0042】
PETフィルム(東レ(株)製ルミラー(登録商標)25S05P、厚さ25μm)のコロナ処理面側にバーコートによって上記コーティング液をコーティングし、120℃、1分間乾燥させた後、厚み1μmの接着層を形成して、アスファルト接着用フィルムを作製した。
【0043】
<剥離試験>
150℃に加温したアスファルトフェルト430(七王工業(株)製)の15cm×15cmの領域Aの部分に10kgの荷重をかけ、その領域Aの部分を覆うようにアスファルト接着用フィルムを貼り合わせ、その状態のまま1分静置した後、23℃室温下で、領域Aの部分を中心に含む25mm幅の短冊上の試験片を作製し、当該試験片を23℃室温下で1時間静置後、引張速度300mm/min、剥離方向180°ピール(フィルム側折り返し)剥離強度を測定(測定温度:23℃)した。
また、作製した試験片を、5℃で1時間静置後、引張速度300mm/min、剥離方向180°ピール(フィルム側折り返し)で剥離力を測定(測定温度:5℃)した。
それぞれの温度における結果を表1に示す。
【0044】
(実施例2)
原料を低融点変性ポリオレフィンであるSB-1205J2(ユニチカ(株)製、ポリオレフィン成分(融点95℃)19質量%、水60質量%、イソプロピルアルコール19質量%)に変更した以外は、実施例1と同様に実験を行った。
【0045】
(実施例3)
<アスファルト接着用フィルムの作製>
原料を下記原料(低融点変性ポリオレフィンと高融点変性ポリオレフィンとの混合物)とした以外は実施例1と同様にしてコーティング液を作製し、アスファルト接着用フィルムを作製した。実施例1と同様にして剥離試験を行った。結果を表1に示す。
【0046】
(原料)
低融点変性ポリオレフィン:アローベースSB-1230N(ユニチカ(株)製、ポリオレフィン成分(融点80℃)20質量%、水58質量%、イソプロピルアルコール16質量%)
高融点変性ポリオレフィン:アローベースYA-6010(ユニチカ(株)製、ポリオレフィン成分(融点145℃)25質量%、水72質量%)
添加割合(質量比)は、低融点変性ポリオレフィン:高融点変性ポリオレフィン=100:10とした。
【0047】
(比較例1)
PETフィルム(東レ(株)製ルミラー(登録商標)25S05P、厚さ25μm)をアスファルト接着用フィルムとし、これを用いて実施例1と同様にして剥離試験を行った。結果を表1に示す。
【0048】
(比較例2)
PETフィルム上にポリウレタンからなる接着層が形成されたフィルム(接着層の厚さが1μmの市販品)をアスファルト接着用フィルムとし、これを用いて実施例1と同様にして剥離試験を行った。結果を表1に示す。
【0049】
(比較例3)
PETフィルム上にポリエステル樹脂からなる接着層が形成されたフィルム(パナック(株)製の商品名:ルミラー50E20ACX、接着層の厚さが1μm)をアスファルト接着用フィルムとし、これを用いて実施例1と同様にして剥離試験を行った。結果を表1に示す。
【0050】
【0051】
[実験例2]
(実施例4~6)
接着層の厚さを下記表2のようにした以外は、実施例3と同様にしてアスファルト接着用フィルムを作製した。実施例1と同様にして剥離試験を行った。結果を表2に示す。
【0052】