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特開2023-135057電力融通方法、コンピュータプログラム、充放電装置及び電力融通システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023135057
(43)【公開日】2023-09-28
(54)【発明の名称】電力融通方法、コンピュータプログラム、充放電装置及び電力融通システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 1/00 20060101AFI20230921BHJP
   H02J 1/12 20060101ALI20230921BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20230921BHJP
   H02J 7/02 20160101ALI20230921BHJP
   H02J 7/34 20060101ALI20230921BHJP
   H02J 7/35 20060101ALI20230921BHJP
【FI】
H02J1/00 306L
H02J1/12
H02J7/00 302C
H02J7/02 J
H02J7/34 B
H02J7/35 K
H02J1/00 304D
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022040070
(22)【出願日】2022-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】507151526
【氏名又は名称】株式会社GSユアサ
(74)【代理人】
【識別番号】100097113
【弁理士】
【氏名又は名称】堀 城之
(74)【代理人】
【識別番号】100162363
【弁理士】
【氏名又は名称】前島 幸彦
(72)【発明者】
【氏名】山口 友寛
(72)【発明者】
【氏名】松本 剛幸
【テーマコード(参考)】
5G165
5G503
【Fターム(参考)】
5G165DA01
5G165DA07
5G165EA02
5G165EA03
5G165EA04
5G165HA10
5G165HA16
5G165JA07
5G165LA01
5G165LA02
5G503AA01
5G503AA06
5G503BA04
5G503BB01
5G503CA08
5G503DA04
5G503EA05
5G503GB03
5G503GD03
(57)【要約】
【課題】接続された発電源や負荷による、受電量や送電量を考慮して、直流配線経由の電力融通を制御する充放電装置を提供する。
【解決手段】充放電装置1は、受電部13と、送電部14と、電圧変換部11と、融通制御部18と、を備える。融通制御部18は、充放電ルールを補正するための補正量を、直流配線30のグリッド電圧の変動量に基づいて得られる第1電力量と、受電部13による受電量及び/又は送電部14による送電量に基づいて得られる第2電力量と、から算出する。充放電装置1は、補正量で補正した充放電ルールに基づいて充放電を制御する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の充放電装置が接続された直流配線を経由した電力融通を行う電力融通方法であって、
各充放電装置における充放電ルールを補正するための補正量を、前記直流配線のグリッド電圧の変動量に基づいて得られる第1電力量と、当該充放電装置に接続された発電源及び/又は負荷による受電量及び/又は送電量に基づいて得られる第2電力量と、から算出し、
前記補正量で補正した充放電ルールに基づいて当該充放電装置における充放電を制御する、電力融通方法。
【請求項2】
複数の充放電装置が接続された直流配線を経由した電力融通を行うコンピュータに、
各充放電装置における充放電ルールを補正するための補正量を、前記直流配線のグリッド電圧の変動量に基づいて得られる第1電力量と、当該充放電装置に接続された発電源及び/又は負荷による受電量及び/又は送電量に基づいて得られる第2電力量と、から算出する処理と、
前記補正量で補正した充放電ルールに基づいて当該充放電装置における充放電を制御する処理と、を実行させるコンピュータプログラム。
【請求項3】
直流配線を経由した電力融通システムのための充放電装置であって、
発電源からの電力を受電する受電部及び/又は負荷に電力を送電する送電部と、
前記直流配線に接続される電圧変換部と、
充放電ルールを補正するための補正量を、前記直流配線のグリッド電圧の変動量に基づいて得られる第1電力量と、前記受電部による受電量及び/又は前記送電部による送電量に基づいて得られる第2電力量と、から算出する融通制御部と、を備え、
前記補正量で補正した前記充放電ルールに基づいて充放電を制御する、充放電装置。
【請求項4】
受電方向の電力量をプラスとした場合、前記融通制御部は、前記第1電力量が前記第2電力量よりも大きいとき、前記充放電ルールを充電電流が大きくなる方向に補正する前記補正量を算出し、前記第1電力量が前記第2電力量よりも小さいとき、前記充放電ルールを放電電流が大きくなる方向に補正する前記補正量を算出する、請求項3記載の充放電装置。
【請求項5】
前記融通制御部は、当該充放電装置に接続された蓄電装置における蓄電量に基づいて、蓄電補正量を算出し、
前記電圧変換部は、前記蓄電補正量及び前記補正量で補正した前記充放電ルールに基づいて充放電を制御する、請求項3又は4に記載の充放電装置。
【請求項6】
前記電圧変換部が、前記グリッド電圧を検出する、請求項3~請求項5のいずれかに記載の充放電装置。
【請求項7】
請求項3~請求項6のいずれかに記載の充放電装置が共通の前記直流配線に複数台接続された電力融通システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の充放電装置が接続された直流配線を経由した電力融通を行う、電力融通方法、コンピュータプログラム、充放電装置及び電力融通システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、脱炭素化や災害対応を見すえ、太陽光や風力等の再生可能エネルギーを用いた分散型の発電源で発電し、発電された電力をコミュニティで消費するエネルギーシステム(マイクログリッド)が注目されている。マイクログリッドにおける給電方式には、交流給電と直流給電がある。直流給電は、再生可能エネルギーとの親和性が高いとともに設計上の自由度が高く、システムの高効率化・低コスト化が期待できる。
【0003】
直流配線に接続された双方向DC/DCコンバータを、放電用と充電用とに切り換えて、自律的にサイト間で電力融通を行う、直流マイクログリッドに好適な蓄電システムが提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6458891号公報
【特許文献2】特開2021-164247号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のシステムでは、発電源が太陽電池であることを想定している。このシステムの動作例を図9に基づいて説明する。図9(a)に示すように、発電がある日中は、蓄電池のSOC(State of charge)が満充電に近い閾値TH2(例えば、70%)以上であるときに、DC/DCコンバータを放電用の設定とし、蓄電池のSOCが閾値TH2未満であるときに、DC/DCコンバータを充電用の設定とする。発電がない夜間は、蓄電池のSOCが放電終止SOCに近い閾値TH1(例えば、20%)以上であるときに、DC/DCコンバータを放電用の設定とし、蓄電池のSOCが閾値TH1未満であるときに、DC/DCコンバータを充電用の設定とする。図9において、丸印は、システムに含まれる各蓄電池のSOCを表す。
【0006】
発電がない夜間において、SOCが閾値TH1未満となった蓄電池があると、SOCが閾値TH1以上である他の蓄電池から電力融通が実施され、それら蓄電池のSOCがある程度平均化される。しかし、図9(b)に示すように、日中において全ての蓄電池のDC/DCコンバータが充電用の設定である場合、蓄電池間で電力融通が実施されず、システムがダウンする可能性がある。
【0007】
特許文献2のシステムでは、蓄電池のSOCに比例して充電ルールをシフトさせることで、全ての蓄電池のDC/DCコンバータが充電用の設定である場合でも、図9(c)に示すように、電力融通を実施させて蓄電池のSOCがある程度平均化される。
【0008】
しかしながら、直流配線からの電力融通量に対して、あるサイトの蓄電池に接続された負荷に供給する送電量が多い場合、図9(d)に示すように、SOCを平均化しきれず、システムがダウンする場合がある。複数のサイトにおける蓄電池のSOCが等しい場合、各サイトにおける充電ルールのシフト量が等しい。この場合、特許文献2のシステムでは、サイト間で電位差が生まれず、電力が融通されない。その状態で、特定のサイトに負荷が接続されて蓄電池からの電力が消費されると、サイト間で蓄電池のSOC差が生じ、その差が解消されない可能性がある。
【0009】
本発明の一態様は、各充放電装置に接続された発電源や負荷による、受電量や送電量を考慮して、各充放電装置における直流配線経由の電力融通を制御する電力融通方法、コンピュータプログラム、充放電装置及び電力融通システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様に係る、複数の充放電装置が接続された直流配線を経由した電力融通を行う電力融通方法は、各充放電装置における充放電ルールを補正するための補正量を、前記直流配線のグリッド電圧の変動量に基づいて得られる第1電力量と、当該充放電装置に接続された発電源及び/又は負荷による受電量及び/又は送電量に基づいて得られる第2電力量と、から算出し、前記補正量で補正した充放電ルールに基づいて当該充放電装置における充放電を制御する。
この方法は、コンピュータプログラムを実行するコンピュータによって実施されてもよい。コンピュータプログラムは、各充放電装置が備えるプロセッサで実行されてもよいし、一部の処理が外部のコンピュータで実行されてもよい。
【0011】
本発明の一態様に係る、直流配線を経由した電力融通システムのための充放電装置は、発電源からの電力を受電する受電部及び/又は負荷に電力を送電する送電部と、前記直流配線に接続される電圧変換部と、充放電ルールを補正するための補正量を、前記直流配線のグリッド電圧の変動量に基づいて得られる第1電力量と、前記受電部による受電量及び/又は前記送電部による送電量に基づいて得られる第2電力量と、から算出する融通制御部と、を備える。前記充放電装置は、前記補正量で補正した前記充放電ルールに基づいて充放電を制御する。
本発明の一態様に係る電力融通システムは、前記充放電装置が共通の前記直流配線に複数台接続されて構成される。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一態様によれば、直流配線のグリッド電圧と、各充放電装置に接続された発電源や負荷による受電量や送電量とを考慮して、各充放電装置が、他の装置との通信をせずとも、直流配線経由の電力融通を自律的に制御できる。これにより、例えば無電化環境(オフグリッド環境)において、マイクログリッドシステムがダウンする可能性を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】充放電装置の実施の形態の構成を示す図である。
図2】電力融通システムの構成を示す図である。
図3】第1電圧変換部に適用される充放電ルールのコンセプトを示すグラフである。
図4】シフトされた充放電ルールを示すグラフである。
図5】補正量決定部の機能的な構成を示すブロック図である。
図6】補正された充放電ルールを示すグラフである。
図7】平均化制御を説明する図である。
図8】平均化制御を説明する図である。
図9】従来の制御則によるSOCの遷移を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。以下の実施の形態において、同様の機能を示す構成には、同一の符号を付して適宜説明を省略する。
【0015】
本実施の形態の充放電装置1は、図1を参照すると、電力融通端子T1と、蓄電接続端子T2と、受電端子T3と、送電端子T4と、電流センサ16と、蓄電量検出部17と、融通制御部18と、を備える。
【0016】
電力融通端子T1は、直流配線30(DCグリッド)に接続され、直流電力を送受電する端子である。蓄電接続端子T2は、リチウムイオン電池、鉛蓄電池等の蓄電池2に接続された、蓄電池2の充放電用の端子である。蓄電接続端子T2には、キャパシタ、フライホイール等の、蓄電池2以外の蓄電装置が接続されてもよい。受電端子T3は、発電源3によって発電された電力を受電する端子である。送電端子T4は、接続された負荷4(電力負荷)に電力を供給する端子である。
【0017】
充放電装置1は、各サイトに1個配置されて、蓄電接続端子T2に蓄電池2が接続される。充放電装置1は、図2に示すように、共通の直流配線30に複数台が接続され、電力会社の送電網につながっていないオフグリッド型の電力融通システムを構成する。図2には、3台の充放電装置1a、1b、1cが直流配線30に接続されて電力融通システムを構成した例が示されている。充放電装置1aには、蓄電池2a、発電源3a、及び、負荷4aが接続されている。充放電装置1bには、発電源3が接続されておらず、蓄電池2b及び負荷4bが接続されている。充放電装置1cには、負荷4が接続されておらず、蓄電池2c及び発電源3cが接続されている。直流配線30に接続される充放電装置1の台数に制限はない。電力融通システムは、無電化地域や防災地区等の、安定した電源(商用電力系統等)に接続されていないDCマイクログリッドを形成する。
【0018】
図1に示すように、充放電装置1は、第1電圧変換部11と、第2電圧変換部12と、第1電力変換部13と、第2電力変換部14と、DCリンク15と、を備えたオフグリッド型マルチパワーコンディショナである。これらの構成要素は同一の筐体内に収納され、その筐体に端子T1~T4が配置される。第1電圧変換部11、第2電圧変換部12、第1電力変換部13、及び、第2電力変換部14は、DCリンク15を介して接続されている。
【0019】
本実施の形態における第1電圧変換部11は、電力融通端子T1とDCリンク15との間に設けられた、双方向DC/DCコンバータである。第1電圧変換部11は、図3にコンセプトを示す所定の充放電ルールCDC(ドループ特性)に基づいて、直流配線30の電圧(以下、グリッド電圧Vgridと称す)の変動量を考慮した制御(グリッド電圧制御)で電力融通を実施する。本実施の形態における第1電圧変換部11は、グリッド電圧Vgridを検出する機能を有し、検出したグリッド電圧Vgridを融通制御部18に通知する。
【0020】
第2電圧変換部12は、蓄電接続端子T2とDCリンク15との間に設けられた、双方向DC/DCコンバータである。第2電圧変換部12は、DCリンク15のDCリンク電圧一定制御(固定値制御)で蓄電池2を充放電する。第2電圧変換部12は、蓄電池2を充電する際、DCリンク15の直流電圧を蓄電池2の充電に適した電圧に変換して蓄電池2を充電する。第2電圧変換部12は、蓄電池2から放電する際、蓄電池2の直流電圧をDCリンク15の直流電圧に変換して蓄電池2から放電させる。
【0021】
第1電力変換部13は、受電端子T3とDCリンク15との間に設けられている。第1電力変換部13は、受電端子T3に接続された発電源3からの電力を受電する受電部に相当する。第1電力変換部13は、受電端子T3に接続された発電源3によって発電された電力を、DCリンク15の直流電圧に変換して出力する。受電端子T3に接続される発電源3は、太陽電池、風力発電装置、燃料電池等の、電力を発電する装置であればよい。第1電力変換部13は、発電源3から入力される電力を受電量Pinとして検出する機能を有し、検出した受電量Pinを融通制御部18に通知する。
【0022】
発電源3が太陽電池である場合、第1電力変換部13は、例えば、太陽電池によって発電された直流電力を受電する最大電力点追従方式(MPPT:Maximum Power Point Tracking)のDC/DCコンバータで構成される。
【0023】
第2電力変換部14は、送電端子T4とDCリンク15との間に設けられている。第2電力変換部14は、送電端子T4に接続された負荷4に電力を送電する送電部に相当する。第2電力変換部14は、DCリンク15の直流電圧を負荷4に適した電力に変換して負荷4に供給する。第2電力変換部14は、負荷4に供給する電力を送電量Poutとして検出する機能を有し、検出した送電量Poutを融通制御部18に通知する。
【0024】
負荷4が家庭で使用される電気機器である場合、第2電力変換部14は、例えば、DCリンク15の直流電圧を家庭で使用できる交流の電気に変換するパワーコンディショナシステムで構成される。
【0025】
電流センサ16は、蓄電池2が充放電される際の充放電電流を検出して蓄電量検出部17に出力する。
【0026】
蓄電量検出部17は、電流センサ16によって検出された蓄電池2の充放電電流に基づいて、蓄電池2のSOCを算出して融通制御部18に出力する。SOCは、蓄電装置における蓄電量に相当する。蓄電量検出部17は、蓄電池2の充電電流と、放電電流とをそれぞれ積算し、その差分値に基づいてSOCを算出する。代替的に、蓄電量検出部17は、蓄電池2の蓄電量を、蓄電池2の端子電圧等に基づいて検出してもよい。この場合、電流センサ16を用いずに蓄電量が検出される。蓄電量は、SOCに限定はされず、放電可能電気量であってもよい。
【0027】
融通制御部18は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備えたマイクロコンピュータ等の情報処理部である。ROMには制御プログラムが記憶されている。融通制御部18のCPUは、ROMに記憶されている制御プログラムを読み出し、制御プログラムをRAMに展開させることで、蓄電補正量決定部19、補正量決定部20として機能する。
【0028】
第1電圧変換部11は、充放電ルールCDCに基づいて、グリッド電圧制御で充電電流もしくは放電電流を制御する。図3は、第1電圧変換部11に予め設定されている充放電ルールCDCの一例である。
【0029】
図3では、充電方向の電流は正、放電方向の電流は負で表現している。Vは、グリッド電圧Vgridの下限値であり、Vは、グリッド電圧Vgridの上限値である。すなわち、第1電圧変換部11は、V~Vを制御範囲とする。Vは、(V+V)/2で算出される制御範囲の中心値であり、充放電電流がゼロになるオフセット電圧の初期値である。オフセット電圧の初期値は、V~Vの範囲であればよく、図3に示すVに限定されない。
【0030】
図3に示す充放電ルールCDCによると、第1電圧変換部11は、グリッド電圧VgridがVよりも高くなるほど充電量(充電方向の電流)を大きく、グリッド電圧VgridがVよりも低くなるほど放電量(放電方向の電流)を大きくする。第1電圧変換部11のインピーダンスをRとすると、第1電圧変換部11への充電方向の電流iは、以下の式(1)で算出される。
i=(Vgrid-V)/R (1)
共通の直流配線30に複数台の充放電装置1が接続されているシステムでは、グリッド電圧Vgridを制御しつつ、グリッド電圧からの差分で各充放電装置1を制御する。kを任意の自然数とすると、複数台の充放電装置の総合電流Σiは、以下の式(2)で算出される。
Σi=Σ(Vgrid/R-V0k/R) (2)
各充放電装置1の第1電圧変換部11のインピーダンスが全て等しくRである場合、サイト数(充放電装置の数)をNとすると、グリッド電圧Vgridは、以下の式(3)で算出される。
Vgrid=R/N・Σi+1/N・ΣV0k (3)
各充放電装置から直流配線30に流入・流出する電流iの総和はゼロとなる。そのため、式(3)は以下の式(4)に簡略化される。すなわち、グリッド電圧Vgridは、オフセット電圧Vの平均値となる。
Vgrid=1/N・ΣV0k (4)
【0031】
次に、図4に示す充放電ルールについて説明する。図1に示す蓄電補正量決定部19は、算出ないし検出される蓄電池2のSOCと、予め設定されたSOC閾値(例えば、50%)との差分に応じて、蓄電補正量Vxを決定し、決定した蓄電補正量Vxを第1電圧変換部11に通知する。蓄電補正量決定部19は、蓄電池2のSOCがSOC閾値よりも大きい場合、プラスの蓄電補正量Vxを決定し、蓄電池2のSOCがSOC閾値よりも小さい場合、マイナスの蓄電補正量Vxを決定する。融通制御部18は、蓄電補正量Vxを第1電圧変換部11に通知することに代えて、蓄電補正量Vxで補正した充放電ルールに基づいて第1電圧変換部11を制御してもよい。
【0032】
プラス・マイナスの蓄電補正量Vxは、固定値でもよいが、蓄電池2のSOCとSOC閾値との差分が大きいほど大きい値にすることが好適である。例えば、蓄電補正量決定部19は、(蓄電池2のSOC-SOC閾値)に予め設定された係数を乗算することで蓄電補正量Vxを算出する。この場合、蓄電補正量Vxの絶対値は、蓄電池2のSOCとSOC閾値との差分の増加に応じてリニアに増加する。代替的に、蓄電補正量Vxの絶対値は、蓄電池2のSOCとSOC閾値との差分の増加に応じて段階的に増加させてもよい。
【0033】
蓄電補正量決定部19から蓄電補正量Vxを通知された第1電圧変換部11は、図4に示すように、充放電電流がゼロになるオフセット電圧が(V+Vx)になるように充放電ルールCDCを補正する。すなわち、グリッド電圧-充放電電流平面において、グリッド電圧の軸に沿って充放電ルールCDCをシフト(平行移動)する。
【0034】
図4において、CDC’は、接続された蓄電池2aのSOCがSOC閾値よりも大きい充放電装置1aの第1電圧変換部11における、プラスの蓄電補正量Vxで補正された充放電ルールである。CDC’は、接続された蓄電池2bのSOCがSOC閾値よりも小さい充放電装置1bの第1電圧変換部11における、マイナスの蓄電補正量Vxで補正された充放電ルールである。
ここで本発明者らは、図4の充放電ルールを適用する場合、オフセット電圧Vが、充放電装置1に接続された蓄電池2のSOCに比例して増減する(蓄電補正量Vx、Vxで増減する)ことに着眼した。各充放電装置1におけるオフセット電圧(式(4)右辺のパラメータV0k)が、接続された蓄電池2のSOCに比例して増減するならば、グリッド電圧Vgrid(式(4)の左辺)の変動量を把握することで、各サイトに接続された蓄電池2のSOCの平均値を推定できると考えられる。以下、詳しく説明する。
【0035】
図1に示す補正量決定部20には、第1電圧変換部11からグリッド電圧Vgridが、第1電力変換部13から受電量Pinが、第2電力変換部14から送電量Poutがそれぞれ通知される。補正量決定部20は、グリッド電圧Vgrid、受電量Pin、及び、送電量Poutに応じて、補正量Vyを決定し、決定した補正量Vyを第1電圧変換部11に通知する。融通制御部18は、補正量Vyを第1電圧変換部11に通知することに代えて、蓄電補正量Vyで補正した充放電ルールに基づいて第1電圧変換部11を制御してもよい。
【0036】
補正量決定部20は、図5を参照すると、微分演算部21と、全体SOC換算部22と、負担換算部23と、偏差演算部24と、ゲイン乗算部25と、を備える。
【0037】
微分演算部21は、グリッド電圧Vgridを微分することで、グリッド電圧Vgridの変動量(所定時間あたりの変化量)を算出する。各サイトの充放電装置1において、第1電圧変換部11は、追加のハードウェアを必要とすることなく、電力融通端子T1を介してグリッド電圧Vgridの変動量を取得できる。しかし、グリッド電圧Vgridの変動量を求める方法は、これに限定はされない。
【0038】
全体SOC換算部22は、グリッド電圧Vgridの変動量に全体SOC換算値(1/K1)を乗算した値を、電力融通システム全体のSOC変動量として算出する。全体SOC換算値(1/K1)は、グリッド電圧Vgridの制御範囲から決定される値である。例として、グリッド電圧下限値Vが350ボルト[V]、グリッド電圧上限値Vが390V、これら上下限値の差が40Vである場合を考える。グリッド電圧Vgridが350Vのときのシステム全体のSOC平均値は0%と推定でき、グリッド電圧Vgridが390Vのときのシステム全体のSOC平均値は100%と推定できる。ある所定時間内に、グリッド電圧Vgridが、350Vから370Vに変動した場合(20V上昇した場合)、電力融通システム全体のSOC変動量は50(各サイトに接続された蓄電池2のSOCの平均値が0%からSOC50%に上昇)と推定できる。
【0039】
負担換算部23は、電力融通システム全体のSOC変動量に、充放電装置1に接続されている蓄電池2の蓄電容量Bcap(蓄電池の定格容量、又はその時点の蓄電池の満充電容量)を乗算した値を、当該充放電装置1が負担すべき第1電力量Pload(負担すべき電力量)として算出する。このようなシンプルな計算により、各サイトの充放電装置1は、他の装置との通信をせずとも、システム全体のSOC変動に応じて自身が負担すべき電力量を自律的に得ることができる。
【0040】
偏差演算部24は、受電量Pinから送電量Poutを減算した値を当該充放電装置1の第2電力量Pload(自家負荷量)とし、第2電力量Ploadと、第1電力量Ploadとの偏差を算出する。図2に示す充放電装置1bのように、発電源3が接続されていない場合、送電量Poutをマイナス値にした値が第2電力量Ploadとなる。受電量Pin>送電量Poutの場合、第2電力量Ploadはプラスの値となり、受電量Pin<送電量Poutの場合、第2電力量Ploadはマイナスの値となる。こうして、各サイトの充放電装置1は、各サイトにおける受電及び/又は送電の実状を、ほぼリアルタイムに制御(具体的には、充放電ルールの補正量)に反映できる。
【0041】
ゲイン乗算部25は、第2電力量Ploadと、第1電力量Ploadとの偏差にゲインK2を乗算した値を補正量Vyとして算出する。ゲインK2は、充放電ルールCDCの傾きと制御範囲の中心値Vとから決定される値である。
【0042】
第2電力量Ploadと第1電力量Ploadとの偏差がマイナスである場合、第1電力量Ploadよりも第2電力量Ploadが小さい値であることを意味する。この場合、補正量決定部20は、マイナスの補正量Vyを算出する。第2電力量Ploadと第1電力量Ploadとの偏差がプラスである場合、第1電力量Ploadよりも第2電力量Ploadが大きい値であることを意味する。この場合、補正量決定部20は、プラスの補正量Vyを算出する。
【0043】
補正量決定部20から補正量Vyを通知された第1電圧変換部11は、図6に示すように、充放電電流がゼロになるオフセット電圧が(V+Vx+Vy)になるように充放電ルールCDCを補正する。すなわち、第1電圧変換部11は、蓄電補正量Vxで補正した充放電ルールCDC’を、さらに補正量Vyで補正する。第1電圧変換部11は、蓄電補正量Vx及び補正量Vyで補正した充放電ルールCDC’’に基づいて、グリッド電圧制御で直流配線30を経由した充電もしくは放電を制御する。
【0044】
図6において、CDC’’は、第1電力量Ploadよりも第2電力量Ploadが大きい充放電装置1aの第1電圧変換部11における、プラスの補正量Vyで補正された充放電ルールである。図6において、CDC’’は、第1電力量Ploadよりも第2電力量Ploadが小さい充放電装置1bの第1電圧変換部11における、マイナスの補正量Vyで補正された充放電ルールである。
【0045】
例えば、グリッド電圧Vgrid=Vαの場合、充放電装置1aの第1電圧変換部11は、プラスの補正量Vyで補正された充放電ルールCDC’’に基づいて放電電流をIβに制御する。すなわち、第1電力量Ploadよりも第2電力量Ploadが大きい場合、充放電ルールCDCは、放電電流が大きくなる方向に補正される。
【0046】
同様に、グリッド電圧Vgrid=Vαの場合、充放電装置1bの第1電圧変換部11は、マイナスの補正量Vyで補正された充放電ルールCDC’’に基づいて充電電流をIγに制御する。すなわち、第1電力量Ploadよりも第2電力量Ploadが小さい場合、充放電ルールCDCは、充電電流が大きくなる方向に補正される。
【0047】
融通制御部18は、蓄電補正量Vx及び補正量Vyを所定の時間間隔で算出して第1電圧変換部11に通知する。これにより、受電量Pin、送電量Pout、及び、蓄電池のSOCの、時系列での変化に対応することができる。
【0048】
図7は、直流配線30に3台の充放電装置1a、1b、1cを接続した電力融通システムについて行ったシミュレーション結果である。図7(a)に示すように、時刻t0~時刻t1の期間は、充放電装置1a、1b、1cのいずれも第2電力量Pload=0Wとした。時刻t1で、充放電装置1bの第2電力量Ploadを-300Wに、充放電装置1cの第2電力量Ploadを-150Wに遷移させた。時刻t0において、充放電装置1a、1b、1cに接続された蓄電池の蓄電容量は同一であり、SOCをそれぞれ60%、40%、50%に設定した。
【0049】
図7(b)、(c)は、蓄電補正量Vx及び補正量Vyによって補正した充放電ルールCDC’’に基づく平均化制御の例を示す。図7(b)は、直流配線30を経由した電力融通量Pgridの推移を示す。図7(b)においてプラスが充電方向であり、マイナスが放電方向である。図7(c)は、蓄電池のSOCの推移を示す。
【0050】
時刻t0~時刻t1の期間は、電力融通システム全体の負荷量が0Wであるため、充放電装置1a、1b、1cの第1電力量Ploadも0Wで補正量Vy=0となる。従って、時刻t~時刻tの期間は、蓄電補正量Vxのみで補正した充放電ルールCDC’に基づく平均化制御を行っている。図7(b)に示すように、接続された蓄電池のSOCが高い充放電装置1aから、接続された蓄電池のSOCが低い充放電装置1bに、直流配線30を経由して電力融通され、図7(c)に示すように、SOCが徐々に平均値に近づく。
【0051】
時刻t1に、電力融通システム全体の負荷量が-450Wに遷移し、充放電装置1a、1b、1cの第1電力量Ploadは-150Wとなる。充放電装置1aの第2電力量Ploadは、0Wのままであるため、第1電力量Ploadよりも第2電力量Ploadは大きい値となる。従って、充放電装置1aの第1電圧変換部11は、図6に示すように、プラスの補正量Vyで補正された充放電ルールCDC’’に基づいて、図7(b)に示すように、放電方向の電力融通量Pgrid(放電電流)が急速に増加する。充放電装置1bの第2電力量Ploadは、-300Wに遷移するため、第1電力量Ploadよりも第2電力量Ploadは小さい値となる。従って、充放電装置1bの第1電圧変換部11は、図6に示すように、マイナスの補正量Vyで補正された充放電ルールCDC’’に基づいて、図7(b)に示すように、充電方向の電力融通量Pgrid(充電電流)が急速に増加する。
【0052】
蓄電補正量Vx及び補正量Vyによって補正した充放電ルールCDC’’に基づく平均化制御によって、負荷量の遷移があっても、図7(c)に示すように、蓄電池のSOCが平均化され、システムダウンを回避できる。
【0053】
図7(d)、(e)は、蓄電補正量Vxによって補正した充放電ルールCDC’に基づく平均化制御の例を示す。図7(d)は、直流配線30を経由した電力融通量Pgridの推移を示す。図7(d)においてプラスが充電方向であり、マイナスが放電方向である。図7(e)は、蓄電池のSOCの推移を示す。
【0054】
時刻t1に、充放電システム全体の負荷量が-450Wに遷移しても、負荷量の遷移が直ぐには平均化制御に反映されない。従って、図7(d)に示すように、放電電流及び充電電流(充電方向及び放電方向の電力融通量Pgrid)の増加が遅れる。図7(e)に示すように、第2電力量Pload(Pin-Pout)がマイナス、すなわち、負荷4に供給する電力が大きい充放電装置1bのSOCが低下し、システムダウンの可能性が高まる。
【0055】
図8は、直流配線30に3台の充放電装置1a、1b、1cを接続した充放電システムについて行ったシミュレーション結果である。図8(a)に示すように、時刻t0~時刻t1の期間は、充放電装置1a、1b、1cのいずれも第2電力量Pload=0Wとした。時刻t1で、充放電装置1aの第2電力量Ploadは300Wに、充放電装置1cの第2電力量Ploadは150Wに遷移させた。時刻t0において、充放電装置1a、1b、1cに接続された蓄電池の蓄電容量は同一であり、SOCをそれぞれ40%、60%、50%に設定した。
【0056】
図8(b)、(c)は、蓄電補正量Vx及び補正量Vyによって補正した充放電ルールCDC’’に基づく平均化制御の例を示す。図8(b)は、直流配線30を経由した電力融通量Pgridの推移である。図8(b)においてプラスが充電方向であり、マイナスが放電方向である。図8(c)は、蓄電池のSOCの推移を示す。
【0057】
時刻t0~時刻t1の期間は、充放電システム全体の負荷量が0Wであるため、充放電装置1a、1b、1cの第1電力量Ploadも0Wで補正量Vy=0となる。従って、時刻t0~時刻t1の期間は、蓄電補正量Vxのみで補正した充放電ルールCDC’に基づく平均化制御となる。図8(b)に示すように、接続された蓄電池のSOCが高い充放電装置1bから、接続された蓄電池のSOCが低い充放電装置1aに、直流配線30を経由して電力融通され、図8(c)に示すように、SOCが徐々に平均に近づく。
【0058】
時刻t1に、充放電システム全体の負荷量が450Wに遷移し、充放電装置1a、1b、1cの第1電力量Ploadは150Wとなる。充放電装置1aの第2電力量Ploadは、300Wに遷移するため、第1電力量Ploadよりも第2電力量Ploadは大きい値となる。従って、充放電装置1aの第1電圧変換部11は、図6に示すように、プラスの補正量Vyで補正された充放電ルールCDC’’に基づいて充放電電流を制御する。図8(b)に示すように、電力融通量Pgridは、放電方向の電力融通量Pgrid(放電電流)が急速に増加する。充放電装置1bの第2電力量Ploadは、0Wのままであるため、第1電力量Ploadよりも第2電力量Ploadが小さい値となる。従って、充放電装置1bの第1電圧変換部11は、図6に示すように、マイナスの補正量Vyで補正された充放電ルールCDC’’に基づいて充放電電流を制御する。図8(b)に示すように、電力融通量Pgridは、充電方向の電力融通量Pgrid(充電電流)が急速に増加する。
【0059】
蓄電補正量Vx及び補正量Vyによって補正した充放電ルールCDC’’に基づく平均化制御によって、負荷量の遷移があっても、図8(c)に示すように、蓄電池のSOCが平均化され、発電能力を有効に活用できる。すなわち、発電源3の発電能力が抑制されることを極力防ぐことができる。
【0060】
図8(d)、(e)は、蓄電補正量Vxによって補正した充放電ルールCDC’に基づく平均化制御の例を示す。図8(d)は、直流配線30を経由した電力融通量Pgridの推移を示す。図8(d)においてプラスが充電方向であり、マイナスが放電方向である。図8(e)は、蓄電池のSOCの推移を示す。
【0061】
時刻t1に、充放電システム全体の負荷量が-450Wに遷移しても、負荷量の遷移が直ぐには平均化制御に反映されない。従って、図8(d)に示すように、放電電流及び充電電流(充電方向及び放電方向の電力融通量Pgrid)の増加が遅れる。図8(e)に示すように、第2電力量Pload(Pin-Pout)がプラス、すなわち、発電源3から供給される電力が大きい充放電装置1aは、蓄電池のSOCが上昇し、発電源の発電能力が抑制される可能性が高まる。
【0062】
以上説明したように、本実施の形態における融通制御部18は、グリッド電圧Vgridの変動量に基づいて得られる当該充放電装置で負担すべき第1電力量Ploadを算出すると共に、第1電力変換部13での受電量Pinと第2電力変換部14からの送電量Poutとに基づいて第2電力量Ploadを算出する。融通制御部18は、第1電力量Ploadと第2電力量Ploadとの偏差に応じた補正量Vyを算出する。第1電圧変換部11は、補正量Vyで補正した充放電ルールCDC’’に基づいて充放電を制御する。
この構成により、直流配線30のグリッド電圧Vgridと、各充放電装置1a、1b、1cに接続された発電源3や負荷4による受電量や送電量とを考慮して、各充放電装置が、他の装置との通信をせずとも、直流配線30経由の電力融通を自律的に制御できる。負荷4に供給する電力が大きい充放電装置1bに接続された蓄電池2bにおけるSOCの低下を抑制でき、システムダウンのリスクを低減させる。発電源3から供給される電力が大きい充放電装置1aに接続された蓄電池2aのSOCの上昇を抑制でき、発電源の発電能力の抑制を極力防止できる。そのため、電力融通システムを長期的に安定して運用できる。
【0063】
複数のサイトにおける蓄電池のSOCが平均化されることで、それら蓄電池の劣化の進行度合いもある程度平均化される。蓄電池は大きい振幅でSOCが変動すると劣化が進行しやすい。複数のサイトにおける蓄電池が近しいSOCで運用されていると、特定のサイトの蓄電池のみ劣化が進行することが抑制される。そのため、蓄電池の寿命(EOL:End Of Life)がある程度平均化され、システムメンテナンスや各蓄電池の寿命推定の煩雑さを軽減できる。寿命に到達しておらずまだ使える蓄電池が他のサイトにおける蓄電池更新のタイミングで一緒に更新されたり、寿命に到達している蓄電池が使われ続けたりすることを抑制できる。
【0064】
さらに、本実施の形態において、受電方向の電力量はプラスとする。融通制御部18は、第1電力量Ploadが第2電力量Ploadよりも大きい場合、充放電ルールCDCを充電電流が大きくなる方向に補正する補正量Vyを算出する。融通制御部18は、第1電力量Ploadが第2電力量Ploadよりも小さい場合、充放電ルールCDCを放電電流が大きくなる方向に補正する補正量Vyを算出する。
この構成により、負荷4に供給する電力が大きい充放電装置1bに接続された蓄電池におけるSOCの低下を抑制できる。発電源3から供給される電力が大きい充放電装置1aに接続された蓄電池におけるSOCの上昇を抑制できる。
【0065】
さらに、本実施の形態によれば、充放電装置1は、蓄電池2のSOCを蓄電量として検出する蓄電量検出部17を備える。融通制御部18は、SOCに応じた蓄電補正量Vxを算出し、第1電圧変換部11は、蓄電補正量Vx及び補正量Vyで補正した充放電ルールCDC’’に基づいて充放電を制御する。
この構成により、SOCに応じた電力融通を実施できるため、SOCが低い充放電装置1がダウンするリスクを低減でき、電力融通システムを長期的に安定して運用できる。
【0066】
以上、本発明を具体的な実施形態で説明したが、上記実施形態は例であって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更して実施できることは言うまでも無い。
【0067】
充放電装置1において、融通制御部18を第1電圧変換部11と独立して設けることに代えて、融通制御部18の機能の一部または全部が第1電圧変換部11(電圧変換部)に取り込まれてもよい。
充放電装置1において、第1電圧変換部11と、第2電圧変換部12と、第1電力変換部13と、第2電力変換部14を独立して設けることに代えて、物理的に一つの変換部に複数の変換機能を実行させてもよい。
充放電装置1の具体的な構成は、その時点で入手可能なハードウェアに応じてフレキシブルに変更可能である。
【符号の説明】
【0068】
1、1a、1b、1c 充放電装置
2、2a、2b、2c、 蓄電池(蓄電装置)
3、3a、3c 発電源
4、4a、4b 負荷
11 第1電圧変換部(電圧変換部)
12 第2電圧変換部
13 第1電力変換部(受電部)
14 第2電力変換部(送電部)
18 融通制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9