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特開2023-135095静電容量式レベルスイッチ及び洗浄部
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  • 特開-静電容量式レベルスイッチ及び洗浄部 図1
  • 特開-静電容量式レベルスイッチ及び洗浄部 図2
  • 特開-静電容量式レベルスイッチ及び洗浄部 図3
  • 特開-静電容量式レベルスイッチ及び洗浄部 図4
  • 特開-静電容量式レベルスイッチ及び洗浄部 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023135095
(43)【公開日】2023-09-28
(54)【発明の名称】静電容量式レベルスイッチ及び洗浄部
(51)【国際特許分類】
   G01F 23/263 20220101AFI20230921BHJP
   B08B 5/02 20060101ALI20230921BHJP
   H01H 35/18 20060101ALI20230921BHJP
【FI】
G01F23/263
B08B5/02 Z
H01H35/18 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022040123
(22)【出願日】2022-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111132
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 浩
(72)【発明者】
【氏名】神田 亮輔
【テーマコード(参考)】
2F014
3B116
5G056
【Fターム(参考)】
2F014AA10
2F014AC07
2F014EA00
2F014GA02
3B116AA47
3B116AB51
3B116BB22
3B116BB88
5G056CA01
5G056CD23
5G056CD26
(57)【要約】      (修正有)
【課題】導電体と重錘に粉塵等が付着したことによる誤動作を確実に防止できる静電容量式レベルスイッチ及びこれを構成する洗浄部を提供する。
【解決手段】静電容量式レベルスイッチ1は、バンカ50の上部50aに設けられる設置孔50bにおいて設置され、貯留物の貯留量に基づく静電容量の変化を信号として出力するセンサ本体2と、設置孔50bを介してセンサ本体2からバンカ50の内部50cに垂下される長尺状の導電体3と、この導電体3の下端に取り付けられる重錘4と、上方端5aがセンサ本体2に支持板9を介して取り付けられ、導電体3を内部に挿通させる絶縁性の筒体5と、重錘4を洗浄する洗浄部6を備え、洗浄部6は、筒体5と別体的に配置され、空気を射出するノズル7,7と、このノズル7,7に対して空気を送気する送気部を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯留物を貯留するバンカの上部に設けられる設置孔において設置され、前記貯留物の貯
留量に基づく静電容量の変化を信号として出力するセンサ本体と、前記設置孔を介して前
記センサ本体から前記バンカの内部に垂下される長尺状の導電体と、この導電体の下端に
取り付けられる重錘を備える静電容量式レベルスイッチにおいて、
上方端が前記センサ本体に取り付けられ、前記導電体を内部に挿通させる絶縁性の筒体
と、
前記重錘を洗浄する洗浄部を備え、
この洗浄部は、前記筒体と別体的に配置され、空気を射出するノズルと、このノズルに
対して前記空気を送気する送気部を備えることを特徴とする静電容量式レベルスイッチ。
【請求項2】
前記重錘は、上端面と、下端と、前記上端面と前記下端との間に形成される傾斜面を備
える逆錐体形状又は逆錐台形状をなし、
前記ノズルは、その射出口が、側面視で前記筒体の中心軸に対し傾斜して開口し、前記
空気を前記傾斜面に対して射出するよう構成されることを特徴とする請求項1に記載の静
電容量式レベルスイッチ。
【請求項3】
前記重錘は、前記上端面の外径が、前記筒体の下方端における開口部の内径以上である
ことを特徴とする請求項2に記載の静電容量式レベルスイッチ。
【請求項4】
前記設置孔の上方に配置されて、前記センサ本体を支持する支持板を備え、
前記筒体の前記上方端は、前記支持板を介して前記センサ本体に取り付けられ、
前記支持板は、前記ノズルの基端が挿通されるノズル挿通孔と、前記導電体の上端が挿
通される導電体挿通孔がそれぞれ形成され、
前記筒体の前記上方端は、フランジが形成されて、前記支持板の下面に取り付けられ、
前記ノズルの前記基端は、前記ノズル挿通孔を介して前記支持板の上面から突出し、前
記送気部と接続されることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の静
電容量式レベルスイッチ。
【請求項5】
前記導電体の前記下端と、前記重錘との間に配置され、前記重錘を前記導電体に対して
回動自在に保持する回動部材を備え、
前記重錘は、前記傾斜面に、前記上端面の周方向について凹凸形状をなす凹凸部が形成
され、
前記ノズルは、側面視で前記筒体の前記中心軸に対し傾斜して開口することに加えて、
上下方向視で前記射出口が前記中心軸を中心とする円の接線方向に近づく方向へ傾斜して
開口し、前記空気を前記凹凸部に対して射出するよう構成されることを特徴とする請求項
2又は請求項3に記載の静電容量式レベルスイッチ。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の静電容量式レベルスイッチを構成する洗
浄部。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バンカに貯留される貯留物の量を検知する静電容量式レベルスイッチに係り
、特に、バンカ内に垂下される導電体に付着した不純物を洗浄する洗浄部を備える静電容
量式レベルスイッチ及び洗浄部に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、発電所において、石炭や木質ペレットといった固形の貯留物が貯留されるバンカ
の内部には、貯留物が所定量に達したことを検知するレベルスイッチが設置されている。
このレベルスイッチに貯留物が接触すると、レベルスイッチから信号が出力されて貯留物
を搬送する搬送設備が自動停止し、バンカへの貯留物の受け入れが停止される。
しかし、レベルスイッチに貯留物の粉塵やそのほかの不純物(以下、粉塵等という。)
が付着することで、このレベルスイッチに誤動作が起きることがある。この場合、バンカ
の内部に余裕があるのにも関わらず、搬送設備の自動停止によって貯留物を投入すること
ができなくなるため、緊急でレベルスイッチの清掃工事を行う必要がある。また、粉塵等
の付着を防止するために、定期的に清掃工事を実施していることから、清掃工事費が継続
的に発生している。
このような課題を解決するため、近年、レベルスイッチに付着した粉塵等を、エアーを
噴射して吹き飛ばすことができる静電容量式レベルスイッチに関する技術が開発されてい
る。
【0003】
特許文献1には「静電容量式レベルスイッチ電極」という名称で、に関する考案が開示
されている。
以下、特許文献1に開示された考案について説明する。特許文献1に開示された
考案は、電極棒の外周を、この電極棒の下端部を露出させて被覆する絶縁スリーブ管と、
この絶縁スリーブ管の外周を、この絶縁スリーブ管の下端部を露出させて被覆する保護筒
を備えたレベルスイッチ電極において、保護筒の外周に、下端を開放する周隙を形成して
エアーパージ筒を外被してなり、このエアーパージ筒の上端にエアーパイプを連結したこ
とを特徴とする。
このような構成の考案によれば、絶縁スリーブ管が、電極棒の下端部以外の外周を被覆
するため、電極棒の被覆された外周に粉塵等が付着することが防止される。
また、保護筒の外周においてエアーパイプを介して周隙にエアーが吹き込まれ、エアー
パージ筒の開放された下端からエアーが噴出する。噴出したエアーは、電極棒の下端部と
、絶縁スリーブ管の下端部に到達し、これらに付着した粉塵等を吹き飛ばすという作用を
有する。
したがって、電極棒全体を常に清潔な状態に維持できるため、電極棒の誤動作を防止可
能であるとともに、メンテナンスやランニングコストの負担軽減が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭52-133653号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された考案においては、エアーパージ筒は保護筒を外
被して、一体的に形成されることから、エアーが通過する周隙の通路としての形状は保護
筒の形状に依存する。すなわち、周隙の通路としての形状は、上下方向に直線となる形状
が許容されるのみである。
そのため、電極棒の代わりに、例えば、下端に重錘が吊り下げられるワイヤーといった
導電体が使用される場合では、重錘のサイズや形状によっては、重錘の周面にエアーをま
んべんなく吹き付けることができないおそれがある。この場合、重錘に粉塵等が残存し、
静電容量式レベルスイッチ電極が誤動作を起こすおそれが残っている。
【0006】
本発明は、このような従来の事情に対処してなされたものであり、導電体と、この導電
体に吊り下げられる重錘を備える静電容量式レベルスイッチにおいても、導電体と重錘に
粉塵等が付着したことによる誤動作を確実に防止できる静電容量式レベルスイッチ及びこ
れを構成する洗浄部を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、第1の発明は、貯留物を貯留するバンカの上部に設けられる
設置孔において設置され、貯留物の貯留量に基づく静電容量の変化を信号として出力する
センサ本体と、設置孔を介してセンサ本体からバンカの内部に垂下される長尺状の導電体
と、この導電体の下端に取り付けられる重錘を備える静電容量式レベルスイッチにおいて
、上方端がセンサ本体に取り付けられ、導電体を内部に挿通させる絶縁性の筒体と、重錘
を洗浄する洗浄部を備え、この洗浄部は、筒体と別体的に配置され、空気を射出するノズ
ルと、このノズルに対して空気を送気する送気部を備えることを特徴とする。
【0008】
このような構成の発明において、「設置孔において設置されるセンサ本体」とは、セン
サ本体が、設置孔の上方に設置される場合や、設置孔中に保持部材を用いて保持される場
合をいう。また、「貯留物の貯留量に基づく静電容量の変化を信号として出力する」とは
、バンカの内部での貯留量が増加して、貯留物が重錘に接触すると重錘とバンカ壁との静
電容量が変化するが、この変化した静電容量を検出して信号として出力することをいう。
【0009】
上記構成の発明においては、筒体が導電体を内部に挿通させるため、導電体に貯留物の
粉塵等が付着することが防止される。また、筒体は絶縁性の材質からなることから、筒体
に導電体が挿通されることによって静電容量は変化しない。この導電体として、例えば、
ワイヤーが使用される。
また、重錘を洗浄する洗浄部を備えるため、重錘に付着した粉塵等が除去される。
さらに、洗浄部を構成するノズルは筒体と別体的に配置されるため、ノズルの長さや形
状は筒体の構成とは別途に変更される。
したがって、上記構成の発明においては、ノズルの長さや形状が、例えば、重錘のサイ
ズや形状に応じて変更される。
なお、送気部は、例えば、設置孔の周囲のバンカの上部に配置される。ただし、送気部
の配置位置は、バンカの内部でない限り、特に限定されない。
【0010】
第2の発明は、第1の発明において、重錘は、上端面と、下端と、上端面と下端との間
に形成される傾斜面を備える逆錐体形状又は逆錐台形状をなし、ノズルは、その射出口が
、側面視で筒体の中心軸に対し傾斜して開口し、空気を傾斜面に対して射出するよう構成
されることを特徴とする。
このような構成の発明において、「逆錐体形状又は逆錐台形状」には、傾斜面が側面視
で直線状でなく曲線状であることで、重錘が略逆錐体形状又は略逆錐台形状をなす場合も
含まれる。また、「空気を傾斜面に対して射出する」とは、空気を、傾斜面の傾斜に沿っ
て上下斜め方向から射出する場合と、傾斜面の傾斜に沿わない方向から射出する場合が含
まれる。
上記構成の発明においては、第1の発明の作用に加えて、ノズルの射出口が、空気を傾
斜面に対して射出することから、傾斜面に付着した粉塵等が除去される。また、重錘が逆
錐体形状又は逆錐台形状をなすため、空気が傾斜面に噴射されると、粉塵等がバンカの底
面方向に吹き飛ばされる。
【0011】
第3の発明は、第2の発明において、重錘は、上端面の外径が、筒体の下方端における
開口部の内径以上であることを特徴とする。
このような構成の発明においては、第2の発明の作用に加えて、重錘の上端面の外径が
、筒体の下方端における開口部の内径以上であることから、重錘の上端面によって筒体の
開口部に粉塵等が侵入することが抑制される。
【0012】
第4の発明は、第1乃至第3のいずれかの発明において、設置孔の上方に配置されて、
センサ本体を支持する支持板を備え、筒体の上方端は、支持板を介してセンサ本体に取り
付けられ、支持板は、ノズルの基端が挿通されるノズル挿通孔と、導電体の上端が挿通さ
れる導電体挿通孔がそれぞれ形成され、筒体の上方端は、フランジが形成されて、支持板
の下面に取り付けられ、ノズルの基端は、ノズル挿通孔を介して支持板の上面から突出し
、送気部と接続されることを特徴とする。
このような構成の発明においては、第1乃至第3のいずれかの発明の作用に加えて、支
持板は、センサ本体と、筒体の上方端を支持するとともに、ノズル挿通孔と、導電体挿通
孔がそれぞれ形成されるため、この支持板をバンカの上部に設けられた設置孔の上方に着
脱することで、送気部を除く静電容量式レベルスイッチが、バンカの上部に取り付けまた
は取り外しされる。
【0013】
第5の発明は、第2又は第3の発明において、導電体の下端と、重錘との間に配置され
、重錘を導電体に対して回動自在に保持する回動部材を備え、重錘は、傾斜面に、上端面
の周方向について凹凸形状をなす凹凸部が形成され、ノズルは、側面視で筒体の中心軸に
対し傾斜して開口することに加えて、上下方向視で射出口が中心軸を中心とする円の接線
方向に近づく方向へ傾斜して開口し、空気を凹凸部に対して射出するよう構成されること
を特徴とする。
このような構成の発明においては、第2又は第3の発明の作用に加えて、ノズルが、空
気を凹凸形状をなす凹凸部に対して射出すると、凹凸部が形成されない場合と比較して、
この凹凸部が空気によって圧力を受け易い。加えて、重錘が回動部材によって保持される
ことと、ノズルが上下方向視で射出口が傾斜面の接線方向に近づく方向へ傾斜して開口し
ていることから、凹凸部が空気の圧力を受けると、重錘は、回動部材を中心として一方向
に回動する。
【0014】
第6の発明は、第1乃至第5のいずれかの静電容量式レベルスイッチを構成する洗浄部
であることを特徴とする。
このような構成の発明においては、第1乃至第5のいずれかの発明の作用を発揮させる
【発明の効果】
【0015】
第1の発明によれば、筒体により導電体に粉塵等が付着することが防止されるとともに
、洗浄部により重錘に付着した粉塵等が除去されるため、導電体と重錘に粉塵等が付着す
ることによる誤動作を確実に防止できる。
また、ノズルは筒体と別体的に配置されることによって、ノズルの長さや形状が、例え
ば、重錘のサイズや形状に応じて変更されることにより、重錘の周面に空気をまんべんな
く吹き付けることができる。これにより、重錘に粉塵等が残存することがないから、静電
容量式レベルスイッチが誤動作を起こすおそれがない。
【0016】
第2の発明によれば、第1の発明の効果に加えて、重錘が逆錐体形状又は逆錐台形状を
なすために粉塵等がバンカの底面方向に吹き飛ばされるので、粉塵等が舞い上がって導電
体や重錘に再付着することを防止できる。なお、空気を、傾斜面の傾斜に沿って上下斜め
方向から射出する場合と、傾斜面と直交する方向から射出する場合のいずれにおいても、
上記の効果を発揮可能である。
【0017】
第3の発明によれば、第1又は第2の発明の効果に加えて、重錘の上端面によって筒体
の開口部に粉塵等が侵入することが抑制されるため、筒体に挿通された導電体に粉塵等が
付着することを防止できる。
【0018】
第4の発明によれば、第1乃至第3のいずれかの発明の効果に加えて、支持板を設置孔
の上方に着脱することで、送気部を除く静電容量式レベルスイッチが、バンカの上部に取
り付けまたは取り外しされることから、静電容量式レベルスイッチを導入する際や、メン
テナンスの際の作業手順を簡単なものにすることができる。
【0019】
第5の発明によれば、第2又は第3の発明の効果に加えて、凹凸部が空気の圧力を受け
ると、重錘は、回動部材を中心として一方向に回動するため、重錘の傾斜面に付着した粉
塵等を一層まんべんなく吹き飛ばすことができる。
【0020】
第6の発明によれば、第1乃至第5のいずれかの発明の効果を発揮させることができる
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】実施例に係る静電容量式レベルスイッチを側面視した場合の平面図である。
図2】実施例に係る静電容量式レベルスイッチを構成する洗浄部の構成図である。
図3】実施例に係る静電容量式レベルスイッチを構成する重錘の拡大図である。
図4】実施例に係る静電容量式レベルスイッチを構成するノズルの拡大図である。
図5】(a)は実施例の変形例に係る静電容量式レベルスイッチを構成する重錘及びノズルを側面視した場合の拡大図であり、(b)は(a)におけるA-A線矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例0022】
本発明の実施の形態に係る静電容量式レベルスイッチについて、図1乃至図5を用いて
詳細に説明する。図1は、実施例に係る静電容量式レベルスイッチを側面視した場合の平
面図である。
図1に示すように、実施例に係る静電容量式レベルスイッチ1は、貯留物(図示せず)
を貯留するバンカ50の上部50aに設けられる設置孔50bにおいて設置され、貯留物
の貯留量に基づく静電容量の変化を信号として出力するセンサ本体2と、設置孔50bを
介してセンサ本体2からバンカ50の内部50cに垂下される長尺状の導電体3と、この
導電体3の下端に取り付けられる重錘4を備える。
このうち、センサ本体2は、バンカ50の内部50cでの貯留量が増加して、貯留物が
重錘4に接触すると重錘4とバンカ50との静電容量が変化するが、この変化した静電容
量を検出して信号として出力する。
次に、導電体3は、上部50aと同一電位となる接地電極3aと、ワイヤー3cと、接
地電極3aとワイヤー3cとの間に配置される絶縁部3bを備える。
【0023】
さらに、静電容量式レベルスイッチ1は、絶縁性の筒体5と、重錘4を洗浄する洗浄部
6と、設置孔50bの上方に配置されて、センサ本体2を支持する支持板9を備える。
このうち、洗浄部6は、筒体5と別体的に配置され、空気を射出するノズル7と、この
ノズル7に対して空気を送気する送気部8(図2参照)を備える。
また、支持板9は、上面9aと、下面9bを有する平板であって、設置孔50bの上方
に配置され、ネジSを用いて固定される。さらに、支持板9は、ノズル7の基端、具体
的には長尺部7aの上方の端部が挿通されるノズル挿通孔9c,9cと、導電体3の上端
、具体的には接地電極3aが挿通される導電体挿通孔9dがそれぞれ形成される。
また、筒体5は、上方端5aが支持板9を介してセンサ本体2に取り付けられ、導電体
3を筒体5の内部に挿通させる。具体的には、筒体5は塩化ビニル製の円筒管であって、
その上方端5aはフランジFが形成されて、樹脂製のネジSを用いて支持板9の下面9
bに取り付けられる。なお、本願において、上方とはバンカ50の内部50cから上部5
0aに近づく方向をいい、下方とは上方とは逆に上部50aから遠ざかる方向をいう。
【0024】
さらに、ノズル7は、側面視で、筒体5の中心軸Aについて対称的に一対設けられる
。それぞれのノズル7は、筒体5の中心軸Aに対して平行に配置される長尺部7aと、
この長尺部7aの先端が屈曲した屈曲部7bと、この屈曲部7bの先端に取り付けられる
先端部7cからなる。このうち、長尺部7aの上方の端部であるノズル7の基端は、ノズ
ル挿通孔9c,9cを介して支持板9の上面9aから突出し、直管継手Jを用いて送気
管8aと接続される。そして、2本の送気管8aは、分岐継手Jを用いて、1本の送気
管8bと接続される。
【0025】
次に、洗浄部の構成について、図2を用いて説明する。図2は、実施例に係る静電容量
式レベルスイッチを構成する洗浄部の構成図である。なお、図1で示した構成要素につい
ては、図2においても同一の符号を付して、その説明を省略する。
図2に示すように、洗浄部6は、ノズル7と、送気部8を備え、設置孔50bの周囲の
バンカ50の上部50aに配置される。
送気部8は、圧縮空気を吐出するコンプレッサー8Aと、このコンプレッサー8Aが吐
出した圧縮空気を送気する送気管8a~8cと、送気管8cと送気管8aとの間に設けら
れる電磁弁8Bと、電磁弁8Bの開閉を制御する制御部8Cを備える。
よって、送気部8においては、制御部8Cによって電磁弁8Bが手動または所望の時刻
に開弁し、ノズル7にコンプレッサー8Aからの圧縮空気を送気する。
【0026】
さらに、静電容量式レベルスイッチを構成する重錘の構成について、図3を用いて説明
する。図3は、実施例に係る静電容量式レベルスイッチを構成する重錘の拡大図である。
なお、図1及び図2で示した構成要素については、図3においても同一の符号を付して、
その説明を省略する。
図3に示すように、重錘4は、導電性を有する金属材からなり、円形の上端面4aと、
尖端である下端4bと、上端面4aと下端4bとの間に形成される傾斜面4cを備える逆
円錐体形状をなす。そして、重錘4は、側面視で正三角形状をなすため、下端4bは60
度の角度を有する。
また、ワイヤー3cの下端と、重錘4の上端面4aは、リング部10aと、ネジ部10
bからなるアイボルト10を介して連結される。詳細には、ワイヤー3cの下端はリング
部10aを係止可能にループ状に形成されており、上端面4aの中心はネジ部10bの先
端がねじ込まれている。
【0027】
さらに、重錘4は、上端面4aの外径Dが、筒体5の下方端5bにおける開口部5c
の内径D以上である。
また、下方端5bと、上端面4aの間隔Lは、ゼロより大きく、かつ可能な限り小さく
することが望ましい。間隔Lがゼロの場合、重錘4が貯留物に接触するとき、重錘4が筒
体5を介して支持板9を押し上げることになるためである。
一方、間隔Lが大きいと、筒体5の内部に粉塵等が侵入し易くなるためである。
【0028】
続いて、静電容量式レベルスイッチを構成するノズルの構成について、図4を用いて説
明する。図4は、実施例に係る静電容量式レベルスイッチを構成するノズルの拡大図であ
る。なお、図1乃至図3で示した構成要素については、図4においても同一の符号を付し
て、その説明を省略する。
図4に示すように、ノズル7は、先端部7cの射出口7dが、側面視で筒体5の中心軸
に対し傾斜して開口し、空気(白抜矢印)を傾斜面4cの傾斜に沿って上斜め方向か
ら射出するよう構成される。
上記の構成は、射出口7dが重錘4の上端面4aの高さ位置よりも上方に開口し、かつ
中心軸Aに対する傾斜面4cの傾斜角度θが例えば約30度に設計され、かつノズル
7の長尺部7aに対する屈曲部7bの屈曲角度θが例えば約45度に設計されることに
よる。なお、屈曲角度θが0度の場合とは、長尺部7aと屈曲部7bが同一軸上に存在
すると仮想した場合をいう。
ただし、屈曲角度θの大きさは、必ずしも約45度でなくてもよく、例えば、この大
きさが約90度の場合には、射出口7dが、側面視で筒体5の中心軸Aに対し直交して
開口し、空気を水平方向から傾斜面4cに射出するよう構成される。
また、屈曲角度θの大きさが90度を超えてもよく、この場合には、射出口7dが、
空気を傾斜面4cに対し直交して射出する場合がある。
このように、洗浄部6を構成するノズル7は筒体5と別体的に配置されるため、ノズル
7の長さや形状は筒体5の構成とは別途に変更される。
【0029】
上記構成の静電容量式レベルスイッチ1においては、筒体5が導電体3を内部に挿通さ
せるため、導電体3に粉塵等が付着することが防止される。また、静電容量式レベルスイ
ッチ1においては、重錘4を洗浄する洗浄部6を備えるため、重錘4に付着した粉塵等が
除去される。
また、ノズル7の長さや形状は筒体5の構成とは別途に変更される。具体的には、ノズ
ル7の長尺部7aに対する屈曲部7bの屈曲角度θや、長尺部7a及び屈曲部7bの各
長さが、重錘4の傾斜面4cの傾斜角度θや、傾斜面4cとの位置関係に応じて変更さ
れる。
屈曲角度θがどのように変更されるにしても、静電容量式レベルスイッチ1において
は、ノズル7の射出口7dが、空気を傾斜面4cに射出するよう構成されることから、傾
斜面4cに付着した粉塵等が上端面4aから下端4bに向かう方向に除去される。このと
き、重錘4が逆錐体形状をなすため、下端4bの方向に除去された粉塵等は、バンカ50
の底面方向に吹き飛ばされる。
【0030】
さらに、重錘4の上端面4aの外径Dが、筒体5の下方端5bにおける開口部5cの
内径D以上であることから、重錘4の上端面4aによって筒体5の開口部5cに粉塵等
が侵入することが抑制される。
加えて、支持板9は、センサ本体2を支持するとともに、長尺部7aの上方の端部が挿
通されるノズル挿通孔9c,9cと、接地電極3aが挿通される導電体挿通孔9dがそれ
ぞれ形成されるため、この支持板9をバンカの上部に設けられた設置孔50bの上方に着
脱することで、送気部8を除く静電容量式レベルスイッチ1が、バンカ50の上部50a
に取り付けまたは取り外しされる。
【0031】
以上説明したように、静電容量式レベルスイッチ1によれば、筒体5により導電体3に
粉塵等が付着することが防止されるとともに、洗浄部6により重錘4に付着した粉塵等が
除去されるため、導電体3と重錘4に粉塵等が付着することによる誤動作を確実に防止で
きる。
また、射出口7dの射出方向により傾斜面4cに付着した粉塵等が上端面4aから下端
4bに向かう方向に除去されるので、除去された粉塵等が舞い上がって導電体3や重錘4
に再付着することを防止できる。加えて、重錘4が逆錐体形状をなすために、下端4bの
方向に除去された粉塵等はバンカ50の底面方向に吹き飛ばされることから、上記の再付
着防止効果を一層強く発揮可能である。
【0032】
さらに、ノズル7は筒体5と別体的に配置されることによって、屈曲角度θ等が、例
えば、重錘4の傾斜面4cの傾斜角度θ等に応じて変更されることにより、傾斜面4c
に空気をまんべんなく吹き付けることができる。これにより、重錘4に粉塵等が残存する
ことがないから、静電容量式レベルスイッチ1が誤動作を起こすおそれがない。
加えて、重錘4の上端面4aによって筒体5の開口部5cに粉塵等が侵入することが抑
制されるため、筒体5に挿通された導電体3に粉塵等が付着することを防止できる。
そして、支持板9をバンカの上部に設けられた設置孔50bの上方に着脱することで、
送気部8を除く静電容量式レベルスイッチ1が、バンカ50の上部50aに取り付けまた
は取り外しされることから、静電容量式レベルスイッチ1を導入する際や、メンテナンス
の際の作業手順を簡単なものにすることができる。
【0033】
次に、実施例の変形例に係る静電容量式レベルスイッチについて、図5を用いて詳細に
説明する。図5(a)は実施例の変形例に係る静電容量式レベルスイッチを構成する重錘
及びノズルを側面視した場合の拡大図であり、図5(b)は図5(a)におけるA-A線
矢視断面図である。なお、図1乃至図4で示した構成要素については、図5においても同
一の符号を付して、その説明を省略する。
図5(a)及び図5(b)に示すように、実施例の変形例に係る静電容量式レベルスイ
ッチ1Aは、実施例に係る静電容量式レベルスイッチ1を構成する重錘4及びアイボルト
10の代わりに、それぞれ重錘11及び回動部材12を備える。これ以外の静電容量式レ
ベルスイッチ1Aの構成は、静電容量式レベルスイッチ1の構成と同様である。
【0034】
重錘11は、上端面11aと、平坦面である下端11bと、上端面11aと下端11b
との間に形成される傾斜面11cを備える略逆円錐台形状をなす。そして、重錘11は、
傾斜面11cに、上端面11aの周方向について凹凸形状をなす凹凸部11d(図中斜線
部)が形成される。また、この凹凸部11dは、周期的に変化する正弦波状をなし、傾斜
面11cにおける上端面11a寄りの箇所に形成されている。ただし、凹凸部11dは、
傾斜面11c全体に形成されてもよい。
【0035】
回動部材12は、アイナット13と、ボルト14からなり、ワイヤー3cの下端と、重
錘11との間に配置され、重錘11を導電体3に対して回動自在に保持する。
このうち、アイナット13は、ワイヤー3cのループ状に形成された下端を係止するリ
ング部13aと、このリング部13aの下方に形成される貫通孔13bを備える。
また、ボルト14は、貫通孔13bに係止される頭部14aと、ネジ部14bからなり
、ネジ部14bの先端は重錘11の上端面11aの中心にねじ込まれている。よって、ボ
ルト14は、貫通孔13bの中で、中心軸Aを中心として回動可能である。
【0036】
さらに、図5(b)に示すように、一対のノズル7,7は、それぞれ、側面視で筒体5
の中心軸Aに対し傾斜して開口することに加えて、上下方向視で射出口7d,7dが中
心軸Aを中心とする円Cの接線方向に近づく方向へ傾斜して開口し、空気を凹凸部11
dに対して射出するよう構成される。なお、円Cとは、仮想の円であって、この円Cの半
径は、筒体5の半径よりも大であり、かつ重錘11の上端面11aの最大径と同等以下で
ある。
【0037】
上記構成の静電容量式レベルスイッチ1Aにおいては、重錘11の凹凸部11dが射出
口7dが射出した空気の圧力を受けると、重錘11は、回動部材12のネジ部14bを中
心として一方向(図中矢印方向)に回動する。
したがって、静電容量式レベルスイッチ1Aによれば、重錘11の傾斜面11cに付着
した粉塵等を一層まんべんなく吹き飛ばすことができる。これ以外の静電容量式レベルス
イッチ1Aの作用及び効果は、実施例に係る静電容量式レベルスイッチ1の作用及び効果
とそれぞれ同一である。
【0038】
なお、本発明に係る静電容量式レベルスイッチ1,1Aは、実施例に示すものに限定さ
れない。例えば、導電体3を構成するワイヤー3cの代わりに金属チェーンが使用されて
もよい。また、ノズル7の本数は1本または3本以上であってもよい。
さらに、重錘4は、側面視で二等辺三角形状をなしていてもよく、下端4bが平坦面を
なす逆錘台形状をなしていてもよい。また、重錘4の上端面4aは、多角形状であっても
よい。このほか、凹凸部11dは、上端面11aの周方向について周期的に変化する矩形
波状やギザギザ状に形成されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、バンカに貯留される貯留物の量を検知する静電容量式レベルスイッチ及び洗
浄部として利用可能である。
【符号の説明】
【0040】
1,1A…静電容量式レベルスイッチ 2…センサ本体 3…導電体 3a…接地電極
3b…絶縁部 3c…ワイヤー 4…重錘 4a…上端面 4b…下端 4c…傾斜面
5…筒体 5a…上方端 5b…下方端 5c…開口部 6…洗浄部 7…ノズル 7
a…長尺部 7b…屈曲部 7c…先端部 7d…射出口 8…送気部 8A…コンプレ
ッサー 8B…電磁弁 8C…制御部 8a~8c…送気管 9…支持板 9a…上面
9b…下面 9c…ノズル挿通孔 9d…導電体挿通孔 10…アイボルト 10a…リ
ング部 10b…ネジ部 11…重錘 11a…上端面 11b…下端 11c…傾斜面
11d…凹凸部 12…回動部材 13…アイナット 13a…リング部 13b…貫
通孔 14…ボルト 14a…頭部 14b…ネジ部 50…バンカ 50a…上部 5
0b…設置孔 50c…内部
図1
図2
図3
図4
図5