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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023135100
(43)【公開日】2023-09-28
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 17/06 20060101AFI20230921BHJP
   F25D 23/00 20060101ALI20230921BHJP
   F25D 25/00 20060101ALN20230921BHJP
【FI】
F25D17/06 303
F25D23/00 302J
F25D25/00 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022040132
(22)【出願日】2022-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】三井 賀貴
(72)【発明者】
【氏名】上野 真司
(72)【発明者】
【氏名】丹野 洋平
(72)【発明者】
【氏名】上甲 康之
(72)【発明者】
【氏名】額賀 晴樹
【テーマコード(参考)】
3L345
【Fターム(参考)】
3L345AA02
3L345AA12
3L345AA14
3L345AA17
3L345AA24
3L345BB05
3L345CC01
3L345DD70
3L345KK04
3L345KK05
(57)【要約】
【課題】容器の冷却ムラを抑制可能な冷蔵庫を提供する。
【解決手段】冷蔵庫1は、貯蔵空間32の境界を形成する第1壁56を備える下段容器11と、下段容器11を収容し、第1壁56と隙間80を挟んで対向する第2壁101を備える野菜室10と、第1壁56と第2壁101との隙間80の大きさを周囲よりも減少させる凸部81と、隙間80に冷気を流すように配置された吐出口42と、を備え、吐出口42は、凸部81を含む領域の少なくとも一部に向けて第1風量の冷気を吐出する第1吐出口424と、凸部81以外の領域の少なくとも一部に向けて、第1風量よりも少ない第2風量の冷気を吐出する第2吐出口425と、を備える。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯蔵空間の境界を形成する第1壁を備える容器と、
前記容器を収容し、前記第1壁と隙間を挟んで対向する第2壁を備える貯蔵室と、
前記第1壁と前記第2壁との隙間の大きさを周囲よりも減少させる凸部と、
前記隙間に冷気を流すように配置された吐出口と、を備え、
前記吐出口は、
前記凸部を含む領域の少なくとも一部に向けて第1風量の冷気を吐出する第1吐出口と、
前記凸部以外の領域の少なくとも一部に向けて、前記第1風量よりも少ない第2風量の冷気を吐出する第2吐出口と、
を備える
ことを特徴とする冷蔵庫。
【請求項2】
前記凸部は前記容器に備えられ、
前記第1壁は、
前記凸部の外面を形成する第1面と、
前記第1面を含む部材とは離間して配置される部材の面として構成され、前記貯蔵空間に臨む第2面と、
を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記凸部には、前記貯蔵空間の湿度調整を行う湿度調整部材が配置され、
前記湿度調整部材は、
前記第2面に生じた結露水を集める集水部と、
前記貯蔵空間に備えられ、前記集水部に向けて下る傾斜を有する傾斜部と、
少なくとも前記集水部において前記容器の外部と連通する開口と、
少なくとも前記第2面と前記第1面との間に設けられ、前記開口を通じて外部に排出された結露水を前記容器の外部で蒸散させる蒸散部と、
を備える
ことを特徴とする請求項2に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記湿度調整部材は、前記第2面を覆うカバーを備え、
前記集水部は、更に、前記カバーに生じた結露水も集める
ことを特徴とする請求項3に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記容器の上端に形成された開口を閉塞する蓋を備え、
前記蓋は、
前記蓋の端部に形成される複数の前記吐出口と、
前記吐出口に繋がり、冷気を水平方向に沿って流す流路と、
前記流路に冷気を導入する冷気導入口と、
を備え、
前記凸部は、複数の前記吐出口のうち、最も前記冷気導入口に近い前記吐出口の下方に配置される
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の冷蔵庫。
【請求項6】
前記容器の上端に形成された開口を閉塞する蓋を備え、
前記蓋は、
前記蓋の端部に形成される複数の前記吐出口と、
前記吐出口に繋がり、冷気を水平方向に沿って流す流路と、
前記流路に冷気を導入する冷気導入口と、
を備え、
前記流路は、前記冷気導入口に近いほど流路断面積が小さくなるように構成される
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の冷蔵庫。
【請求項7】
前記蓋は、更に、前記蓋又は前記容器の端部に沿って前記蓋又は前記容器の少なくとも一部を囲うように、凹部又は凸部により形成される冷気滞留部を備え
前記吐出口を通じて吐出した冷気は、前記冷気滞留部において滞留した後に、前記冷気滞留部を乗り越えて、前記容器の外側面に沿って鉛直方向に流れる
こと特徴とする請求項6に記載の冷蔵庫。
【請求項8】
貯蔵空間の境界を形成する第1壁を備える容器と、
前記容器を収容し、前記第1壁と隙間を挟んで対向する第2壁を備える貯蔵室と、
前記容器の上端に形成された開口を閉塞する蓋と、
前記隙間に冷気を流すように配置された吐出口と、を備え、
前記蓋は、
前記蓋の端部に形成される複数の前記吐出口と、
前記吐出口に繋がり、冷気を水平方向に沿って流す流路と、
前記流路に冷気を導入する冷気導入口と、
前記蓋又は前記容器の端部に沿って前記蓋又は前記容器の少なくとも一部を囲うように、凹部又は凸部により形成される冷気滞留部と、
を備え、
前記吐出口を通じて吐出した冷気は、前記冷気滞留部において滞留した後に、前記冷気滞留部を乗り越えて、前記容器の外側面に沿って鉛直方向に流れる
ことを特徴とする冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の請求項1には「冷蔵庫本体の貯蔵室に設けられ食品を出し入れ可能な箱体形状の食品収納ケースと、前記食品収納ケースの少なくとも壁面に設けられ、前記貯蔵室内で前記食品収納ケース外部の冷熱を前記食品収納ケース内部に伝達すると共に前記食品収納ケース内の温度変動を抑える熱容量手段と、を備えたことを特徴とする冷凍冷蔵庫。」が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-42632号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
貯蔵室において、容器の外壁面と貯蔵室の内壁面との間に形成される隙間の大きさは、全ての部分で同じにならないことがある。ここでいう隙間の大きさは、例えば、外壁面と内壁面との間の距離(寸法)である。例えば、相対的に寸法が長いところでは冷気は流れ易く、相対的に寸法が短いところでは冷気が流れ難い。これらのような冷気の流れ易さの違いにより、容器に冷却ムラが発生し得る。しかし、特許文献1には、容器内に温度変動を抑える熱容量手段が記載されているが、容器の冷却ムラは考慮されていない。
本開示が解決しようとする課題は、容器の冷却ムラを抑制可能な冷蔵庫の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の冷蔵庫は、貯蔵空間の境界を形成する第1壁を備える容器と、前記容器を収容し、前記第1壁と隙間を挟んで対向する第2壁を備える貯蔵室と、前記第1壁と前記第2壁との隙間の大きさを周囲よりも減少させる凸部と、前記隙間に冷気を流すように配置された吐出口と、を備え、前記吐出口は、前記凸部を含む領域の少なくとも一部に向けて第1風量の冷気を吐出する第1吐出口と、前記凸部以外の領域の少なくとも一部に向けて、前記第1風量よりも少ない第2風量の冷気を吐出する第2吐出口と、を備える。その他の解決手段は発明を実施するための形態において後記する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本開示の冷蔵庫の正面図である。
図2A図1のA-A線断面図である。
図2B図2AのB部拡大図である。
図3】下段容器の後側からの斜視図である。
図4】湿度調整部材を前後方向に切断した断面図である。
図5】下段容器を前側上方から視た図である。
図6】カバーを第2面に取り付けた下段容器の前側からの斜視図である。
図7】カバーを後側から視た図である。
図8】流路形成部材の斜視図である。
図9】野菜室の下方からの正面斜視図である。
図10】下段容器及び上段容器を収容した野菜室の後側からの斜視図である。
図11】流路形成部材を示す下面図である。
図12】別の実施形態に係る下段容器の斜視図である。
図13図12のC-C線断面図である。
図14】別の実施形態に係る下段容器の斜視図である。
図15】別の実施形態に係る下段容器の斜視図であり、図14とは異なる角度で見た斜視図である。
図16】冷気滞留部及び冷気流を説明する上面図である。
図17図16のD-D線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照しながら本開示を実施するための形態(実施形態と称する)を説明する。以下の一の実施形態の説明の中で、適宜、一の実施形態に適用可能な別の実施形態の説明も行う。本開示は以下の実施形態に限られず、異なる実施形態同士を組み合わせたり、本開示の効果を著しく損なわない範囲で任意に変形したりできる。また、同じ部材については同じ符号を付すものとし、重複する説明は省略する。更に、同じ機能を有するものは同じ名称を付すものとする。図示の内容は、あくまで模式的なものであり、図示の都合上、本開示の効果を著しく損なわない範囲で実際の構成から変更したり、図面間で一部の部材の図示を省略したり変形したりすることがある。
【0008】
図1は、本開示の冷蔵庫1の正面図である。冷蔵庫1は、上から順に、冷蔵室(不図示)、左右に配置される製氷室及び急速冷凍室(いずれも不図示)、冷凍室(不図示)、及び野菜室10(図2)を備える。冷蔵室は、冷蔵庫1の左右両端にそれぞれ軸支された扉21,22の回動により、前側(正面側)に露出する。左側に配置された製氷室は、引き出し可能な扉3の引き出しにより、前側に露出する。右側に配置された急速冷凍室は、引き出し可能な扉4の引き出しにより、前側に露出する。冷凍室は、引き出し可能な扉5の引き出しにより、前側に露出する。野菜室10は、引き出し可能な扉6の引き出しにより、前側に露出する。扉6は、野菜室10の前方に形成される開口を閉塞する。野菜室10は例えば0℃以上7℃以下に設定される冷蔵温度帯の貯蔵室である。
【0009】
図2Aは、図1のA-A線断面図である。野菜室10は、箱体7の内側に形成される。冷蔵庫1は、下段容器11(容器の一例)を備え、下段容器11は、野菜室10(貯蔵室の一例)に収容される。下段容器11の上端に開口121が形成され、開口121を通じて、下段容器11に野菜等の食品が収容される。開口121の上端には、上段容器12の左右両端が支持される。上段容器12は、開口121の上端に沿って前後方向に摺動可能である。
【0010】
冷蔵庫1は、いずれも野菜等の食品を貯蔵する貯蔵空間31,32,33を備える。貯蔵空間31,32,33は、いずれも、同じ貯蔵室である野菜室10内に配置される。上段容器12の内部には、貯蔵空間33が形成される。貯蔵空間33は、例えば5℃以上7℃以下に設定される。貯蔵空間33に貯蔵される食品としては、例えば、冷蔵温度帯の中でも比較的高温保存が好ましい野菜(例えばトマト等)が挙げられる。
【0011】
上段容器12の下方であって、下段容器11の内部には、貯蔵空間32が形成される。貯蔵空間32は、流路形成部材40(図8。後記)による冷却対象である貯蔵空間である。従って、貯蔵空間32は、貯蔵空間33よりも低温で、例えば0℃以上2℃以下に設定される。貯蔵空間32に貯蔵される食品としては、例えば、冷蔵温度帯の中でも比較的低温保存が好ましい野菜(例えばレタス等)が挙げられる。
【0012】
上段容器12の前側であって、下段容器11の内部には、貯蔵空間31が形成される。貯蔵空間31は、貯蔵空間32,33の前側に備えられ、貯蔵空間33と同じ温度帯の貯蔵空間である。貯蔵空間31に貯蔵される食品としては、例えば、冷蔵温度帯の中でも比較的高温保存が好ましく、かつ、高さを有する野菜(例えばアスパラガス等)が挙げられる。
【0013】
貯蔵空間31と貯蔵空間32とは、断熱構造を含む仕切り34によって仕切られる。また、貯蔵空間32と貯蔵空間33とは、断熱構造を含む上段容器底面35によって仕切られる。これにより、貯蔵空間32は密閉性がある程度確保され、高湿度に保つことができる。
【0014】
図2Bは、図2AのB部拡大図である。下段容器11は、貯蔵空間32の境界を形成する第1壁56を備える。本開示の例では、第1壁56は、下段容器11の後側の外壁面115(図3)及び湿度調整部材601(後記)の後面611により構成される。野菜室10は第2壁101を備え、第2壁101は、第1壁56と隙間80を挟んで対向する。
【0015】
図3は、下段容器11の後側からの斜視図である。冷蔵庫1は、第1壁56と第2壁101(図2B)との隙間80(図2B)の大きさ(距離。寸法)を周囲よりも減少させる凸部81を備える。凸部81には、本開示の例では、後側に突出し、貯蔵空間32の湿度を調整する湿度調整部材601が配置される。ただし、凸部81は、湿度調整部材601に限定されず、例えば設計上の都合により、下段容器11の例えば後側、左側、右側等から外側に張り出した張り出し部813(図12)等でもよい。
【0016】
凸部81は、例えば、下段容器11に備えられ、下段容器11の左右方向中央部を含む位置に配置される。ただし、凸部81の配置場所は、この位置に限定されない。凸部81の左右方向の幅は、下段容器11の左右方向の幅の例えば50%以下である。
【0017】
第1壁56は、第1面57と第2面58とを備える。第1面57は、凸部81の外面を形成する面である。第2面58(図5)は、第1面57を含むケース65(部材の一例)とは離間して配置される下段容器11の後壁111(部材の一例)の面として構成され、貯蔵空間32に臨む面である。複数の面である第1面57及び第2面58を備えることで、第1面57に沿って流れる冷気の影響を第2面58が影響し難くできる。これにより、詳細は後記するが、第2面58での結露水が多少は発生し得るが、その発生量を抑制できる。更に、詳細は後記するが、凸部81に沿って流れる冷気の風量が大きいため、第1面57及び第2面58を介して貯蔵空間32を冷却することで、貯蔵空間32の冷え過ぎを抑制できる。
【0018】
図4は、湿度調整部材601を前後方向に切断した断面図である。湿度調整部材601は、集水部61と、傾斜部62(図7)と、開口63と、蒸散部64と、ケース65と、カバー70と、を備える。傾斜部62はカバー70に形成される。なお、カバー70は備えられなくてもよく、この場合、傾斜部62は例えば第2面58に形成されてもよい。
【0019】
図5は、下段容器11を前側上方から視た図である。集水部61(図4)は、第2面58に生じた結露水を集めるもので、貯蔵空間32の底面に結露水が溜まらないようにするものである。集水部61は、鉛直方向に対し、前側から後側に向かう傾斜を有する平面によって構成される。詳細は後記するが、集水部61は、更に、カバー70に生じた結露水も集める。
【0020】
第2面58は、下方に向かって窄まる逆台形状を有し、下段容器11の後内壁面の一部に設けられ、残部(例えば後内壁面の左右端)よりも凹んで形成される。上記のように、下段容器11の後側には冷気が流れるため、食品を貯蔵する貯蔵空間32の後壁である第2面58には結露水が生じ易い。そこで、第2面58に生じた結露水は、第2面58の下方に配置された集水部61に集められる。集水部61は、下段容器11の左右方向中央に配置され、後記する開口63を通じて、下段容器11の外部と連通する。
【0021】
図6は、カバー70を第2面58(図5)に取り付けた下段容器11の前側からの斜視図である。カバー70は、下段容器11の後側の内壁面のほぼ全体に取り付けられる。カバー70は、例えば左右方向に延在するスリット71(図7)を備え、スリット71は、前から後に向かって下がる傾斜を有する。この傾斜の後側端部は、集水部61の上方又は第2面58の上方に配置される。これにより、カバー70の表面に結露水が生じた場合でも、その結露水はスリット71を通じて、集水部61に集めることができ、貯蔵空間32内への結露水の落下を抑制できる。
【0022】
図7は、カバー70を後側から視た図である。図7には、参考のため、集水部61が二点鎖線で図示される。カバー70は、図7に示す面と、第2面58(図5)とが対向するように、下段容器11に取り付けられる。カバー70は、第2面58を覆う。
【0023】
上記の傾斜部62は、カバー70の下側左右両端に備えられる。傾斜部62を備えることで、第2面58の中央に配置された集水部61に結露水を集め易くでき、集水部61及び開口63を小さくできる。これに伴い、開口63を通じて結露水を貯蔵空間32の外部に排出する蒸散部64(後記)の左右方向の幅を小さく抑えることができ、湿度調整部材601(凸部81)の左右方向幅も小さく抑えることができる。これにより、下段容器11の後側での冷気の鉛直方向への流通を阻害し難くなり、野菜室10の全体に冷気を行き渡らせ易くできる。
【0024】
傾斜部62は、貯蔵空間32に備えられ、集水部61(図5)に向けて下る傾斜を有する。カバー70を第2面58を覆うように下段容器11に取り付けた場合、傾斜部62を形成する面621の後側端部が第2面58と接触する。これにより、第2面58に生じた結露水が傾斜部62の面621を流れ落ち、集水部61に至る。
【0025】
図4に戻って、湿度調整部材601は開口63を備え、開口63は、少なくとも集水部61において下段容器11の外部と連通するものである。本開示の例では、開口63は、第2面58の下端の内、中央部を含む一部の領域に備えられる。これにより、全域に亘って開口63を形成する場合と比べて開口63を小さくでき、開口63を通じた冷気の流入を抑制し、乾燥を抑制できる。
【0026】
集水部61には、蒸散部64の下端が配置される。蒸散部64は、少なくとも第2面58と第1面57との間(ケース65と後壁111との間)に設けられ、開口63を通じて外部に排出された結露水を下段容器11の外部で蒸散させるものである。蒸散部64は、下端が前側に向かって折り曲げられた板状を有する。蒸散部64は、例えば樹脂繊維を編み込むことで構成され、毛細管現象によって繊維間を結露水が浸透する。
【0027】
集水部61には蒸散部64の一端が配置され、蒸散部64には、傾斜部62(図7)によって案内された結露水が流れ落ちる。結露水は、蒸散部64内を毛細管現象によって浸透し、開口63を通じて下段容器11の外部に排出される。第1面57を構成するケース65は孔651を有する。孔651は、図示の例では円形の穴である。第1面57と第2面58との間に配置される蒸散部64には、孔651を通じて冷気が接触する。これにより、蒸散部64に浸透する結露水が冷気に対して蒸散される。なお、孔651は、例えば、上下方向に延在するスリットでもよい。スリットを備えることで、スリットに沿って冷気を流し易くでき、冷気が流れ難い凸部81においても、流し易くできる。
【0028】
図8は、流路形成部材40の斜視図である。冷蔵庫1は、冷気流を形成する流路が内部に形成された流路形成部材40を備える。流路形成部材40は、貯蔵空間32とは区画される冷気流15を内部に形成する部材である。流路形成部材40は、流路形成部材40を構成する部材(例えば壁)の延在方向と概ね同方向に単一の冷気流15を形成する。即ち、冷気流15は、概ね単一の方向に形成される。ただし、その単一の冷気流15から適宜一部分岐して、例えば下面に形成される吐出口42に向かう別の冷気流15が形成される。また、流路形成部材40は、例えば、野菜室10を区画する壁とは異なる部材によって区画される。ただし、流路形成部材40は、野菜室10を区画する壁を少なくとも一部に含む部材によって区画されてもよい。流路形成部材40は、例えば、ダクト状、管状等により構成される。
【0029】
流路形成部材40は、野菜室10の背面側に備えられる供給口41(図2)に接続される。供給口41は、野菜室10に冷気を供給するものである。供給口41は、例えば、冷蔵庫1に備えられる冷凍サイクル(不図示)を構成する蒸発器(不図示)を収容する室(不図示)に接続される。蒸発器において生成した冷気が供給口41を通じて流路形成部材40に流入する。
【0030】
流路形成部材40は、何れも冷蔵庫1に備えられ、吐出口42と、吐出口42が例えば下面に形成された水平流路部43とを備える。吐出口42は、詳細は図9及び図10を参照して説明するが、隙間80(図2B)に冷気を流すように配置される。吐出口42は、貯蔵空間32(図2A)の上端近傍から下方に向けて冷気を吐出する。従って、吐出口42は、貯蔵空間32の側方(貯蔵空間32の高さ範囲内)に配置される。水平流路部43は、貯蔵空間32の高さ範囲内に配置される。
【0031】
水平流路部43は、水平方向に沿って、かつ下段容器11の外側面に沿って延在するものである。水平流路部43は、図示の例では、下段容器11の外側面(左右側面及び前後側面)のうちの左右後側面に沿って配置される。従って、貯蔵空間32は、3つの側面の外方から冷却される。
【0032】
水平流路部43は、冷気流15(図2)の形成方向で下流端のうち、水平方向が閉塞するように構成される。また、水平流路部43は、野菜室10の後側で左右方向に延在する水平流路部431と、野菜室10の左右それぞれの側で前後方向に延在する水平流路部432とを含む。水平流路部432は、水平流路部431に対し、繋ぎ流路部48によって接続される。
【0033】
流路形成部材40は、更に、案内部44を備える。案内部44は、水平流路部43に野菜室10の外の冷気を案内する。また、案内部44は、野菜室10の後側で、下段容器11及び上段容器12の真上を避ける位置に配置される。案内部44は、供給口41(図3)に接続される開口45を備える。案内部44は、開口45と水平流路部43とを繋ぐ。更に、案内部44は、供給口41から水平流路部43に向かって流路断面積が拡がるように構成される。
【0034】
図9は、野菜室10の下方からの正面斜視図である。破線矢印は吐出された冷気の流れ(冷気流)を示し、破線矢印の長さは風量の大きさを示す。冷蔵庫1は、下段容器11を箱体7の内壁に支持する支持部材60を備え、支持部材60は、例えばスライドレール、ガイドレール(いずれも不図示)等により構成される。
【0035】
冷蔵庫1は、野菜室10の冷気を上記蒸発器(不図示)を収容した室(不図示)に戻す戻り口51,52,53,54を備える。戻り口51,52,53,54は、いずれも、野菜室10の天井面に備えられる。冷気は、戻り口51,52,53,54に向かって流れるときに接触する面を冷却する。
【0036】
戻り口51は、野菜室10の正面側に形成される開口よりもやや奥まった部分で天井面に備えられ、中央よりもやや左側に配置される。戻り口51は、上段容器12(図2A)の前側壁の前側近傍に備えられる。戻り口52も、野菜室10の正面側に形成される開口近傍で天井面に備えられ、左端に配置される。戻り口53は、野菜室10の正面側に形成される開口近傍で天井面に備えられ、右端に配置される。戻り口54も、野菜室10の奥側で天井面に備えられ、左端に配置される。戻り口52,53,54は、いずれも上段容器12(図2A)上方開口部の外に配置される。即ち、戻り口51,52,53,54は、いずれも、貯蔵空間33の鉛直方向投影視で貯蔵空間33とは重ならない位置に配置される。戻り口51,52,53,54は、いずれも戻り風路50に接続され、戻り風路50は、上記室に繋がる。
【0037】
図10は、下段容器11及び上段容器12を収容した野菜室10の後側からの斜視図である。図10では、野菜室10の内部の様子を可視化するために、冷蔵庫1の後側の構造の一部の図示を省略している。また、図10には図示していないが、下段容器11の左右外側面と、野菜室10の左右内側面との間に形成される隙間(不図示)に対しても、隙間の大きさ(面間距離)に応じた風量で吐出口42から冷気が吐出される。
【0038】
上記のように、吐出口42(図8)から、冷気が隙間80に向けて吐出される。隙間80は、隙間801,802を含む。隙間801は、湿度調整部材601と第2壁101(図2B)との間に形成される。隙間802は、湿度調整部材601以外の第1壁56である下段容器11の後側の外壁面115と第2壁101との間に形成される。
【0039】
吐出口42は、下段容器11の外側面に冷気を吐出する。ただし、凸部81の一例である湿度調整部材601の後側に形成される隙間801には冷気が流れにくい。従って、吐出口42は、隙間801に多くの冷気を流す。一方で、凸部81以外の領域の後側に形成される隙間802には、比較的冷気が流れ易い。そこで、吐出口42は、隙間802に少ない冷気を流す。
【0040】
図11は、流路形成部材40を示す下面図である。吐出口42は、第1吐出口424及び第2吐出口425を備える。第1吐出口424は、湿度調整部材601(凸部81の一例)を含む領域の少なくとも一部に向けて、隙間801(図10)を流れるように第1風量の冷気を吐出する。好ましくは、第1吐出口424は、湿度調整部材601を含む領域の全体に向けて、第1風量の冷気を吐出する。第2吐出口425は、湿度調整部材601(凸部81の一例)以外の領域の少なくとも一部に向けて、隙間802(図10)を流れるように、第1風量よりも少ない第2風量の冷気を吐出する。好ましくは、第2吐出口425は、湿度調整部材601以外の領域の全体において冷気が満遍なく隙間802を流れるように、第2風量の冷気を吐出する。第1風量及び第2風量は、単位時間あたりに吐出口42から吐出する冷気の流量である。
【0041】
このようにすること、比較的狭く冷気が流れ難い隙間801では比較的大風量で冷気を流し、比較的広く冷気が流れ易い隙間802では比較的小風量で冷気を流すことができる。これにより、下段容器11の外側から下段容器11の全体を満遍なく冷却でき、下段容器11の冷却ムラを抑制できる。
【0042】
吐出口42を通じた風量の調整は、例えば、吐出口42に形成される開口面積の違いによって行うことができる。例えば、第1風量で冷気を吐出させる場合、第1吐出口424の開口面積を比較的大きくすればよい。一方で、第2風量で冷気を吐出させる場合、第2吐出口425の開口面積を比較的小さくすればよい。なお、ここでいう開口面積の大小は、1つの吐出口42に着目して、その1つの吐出口42の開口面積を大きくしてもよく、同じ開口面積の吐出口42を形成し、第1吐出口424は比較的多数の開口を有し、第2吐出口425は比較的少数の開口を有するようにしてもよい。この場合、開口の総面積が第1吐出口424で比較的大きくなり、第2吐出口425で比較的小さくなる。
【0043】
図12は、別の実施形態に係る下段容器11の斜視図である。太い実線矢印は冷気の流れを示し、図示の簡略化のため、右側の流れのみを示している。図12に示す例では、下段容器11は、下段容器11の左右後側面に、凸部81の一例としての張り出し部813を備える。図12では、右後側面に備えられる張り出し部813のみが図示される。従って、野菜室10の右内側面と張り出し部813との間の隙間801に、上記第1風量で冷気が流れ、それ以外の部分に形成される隙間802には、上記第2風量で冷気が流れる。
【0044】
図12に示す下段容器11を備える冷蔵庫1(図1)は、蓋90を備える。蓋90は、下段容器11の上端に形成された開口121を閉塞する。蓋90は、吐出口42と、流路49と、冷気導入口91とを備える。吐出口42は、蓋90の端部に形成され、複数備えられる。流路49は、吐出口42に繋がり、冷気を水平方向に沿って流すものである。流路49は、本開示の例では、流路形成部材40の内部に形成される。図12の例では、流路形成部材40は、複数の吐出口42に向かって枝分かれ構造を有する。
【0045】
吐出口42は、蓋90の前後方向に延在する軸を中心に左右対称になるように、左右それぞれに複数備えられる。吐出口42は、第1吐出口426及び第2吐出口427を含む。第1吐出口426は、張り出し部813の近傍に配置される隙間801に冷気を流す。第2吐出口427は、張り出し部813以外の部分に配置される隙間802に冷気を流す。冷気導入口91は、流路49に冷気を導入するものであり、本開示の例では、供給口41(図2)に着脱可能に接続される。冷気導入口91は、当該軸上に配置され、それぞれの吐出口42よりも後側に配置される。
【0046】
図13は、図12のC-C線断面図である。吐出口42は、上記各実施形態と同様に、流路形成部材40の下面に形成される。流路形成部材40は、蓋90の端部よりも更に側方に突出して、端部を覆うように配置される。従って、流路49は、板状の蓋90と、所望の流路49になるように成形された例えば樹脂成型物との間に形成される。そして、蓋90の端部と、流路形成部材40の端部との間に形成される吐出口42を通じて、流路49を流れてきた冷気が下方に吐出される。
【0047】
図12に戻って、張り出し部813(凸部81の一例)は、複数の吐出口42のうち、最も冷気導入口91に近い第1吐出口426の下方に配置される。冷気導入口91に近いほど冷気の風圧が強く、吐出口42からの吐出量が多い。一方で、冷気導入口91から遠いほど冷気の風圧が弱く、吐出口42からの吐出量が少ない。そこで、最も冷気導入口91に近い第1吐出口426の下方に張り出し部813を配置することで、張り出し部813と、対向する野菜室10の第2壁101(内壁面)との間の隙間801に、比較的多くの第1風量で冷気を流すことができる。一方で、複数の吐出口42のうち、張り出し部813の上方に配置される第1吐出口426以外の第2吐出口427では、冷気導入口91から比較的遠いため冷気の吐出量が少ない。これにより、下段容器11の外側面と、対向する野菜室10の第2壁101との間の隙間802に、比較的少ない第2風量で冷気を流すことができる。
【0048】
図14は、別の実施形態に係る下段容器11の斜視図である。図15は、別の実施形態に係る下段容器11の斜視図であり、図14とは異なる角度で見た斜視図である。図14に示す例では、凸部81(図12)は備えられない。従って、図14に示す下段容器11を備える冷蔵庫1は、下段容器11と、野菜室10(図2)と、蓋90と、吐出口42とを備える。なお、図14に示す例においても、図12に示す例と同様に凸部81が備えられてもよい。凸部81が備えられる場合、凸部81の部分に上記第1風量で冷気が流れ、凸部81以外の部分では上記第2風量で冷気が流れる。
【0049】
蓋90は、上記図12に示した蓋90に備えられる部材に加えて、更に、冷気滞留部92を備える。冷気滞留部92は、蓋90又は下段容器11の端部に沿って蓋90又は下段容器11の少なくとも一部を囲うように、凹部又は凸部により形成される。図示の例では、冷気滞留部92は、蓋90の端部に沿って、蓋90の例えば左右後の端部を囲うように形成される。また、冷気滞留部92は、蓋90の端部の高さ位置よりも凹んだ凹部により形成される。吐出口42は、冷気滞留部92の上方に配置される。
【0050】
図16は、冷気滞留部92及び冷気流を説明する上面図である。図17は、図16のD-D線断面図である。実線矢印は、流路49に形成される冷気流を表す。冷気滞留部92は、本開示の例では、全ての部分で同じ断面形状(図17)を有する。即ち、冷気滞留部92は、同じ深さ、同じ幅で、蓋90の端部に形成される。
【0051】
図17に示すように、吐出口42を通じて吐出した冷気は、冷気滞留部92において滞留する。しかし、吐出口42からは連続的に冷気が吐出されるため、冷気は、滞留した後に、冷気滞留部92を乗り越えて(溢れさせて)、下段容器11の外側面に沿って鉛直方向に流れる。このようにすることで、連続的に冷気を均一に流し易くできる。
【0052】
図16に示すように、流路形成部材40の内部に形成される流路49は、冷気導入口91に近いほど流路断面積が小さくなるように構成される。即ち、冷気導入口91に近い部分では冷気圧力が大きいため、冷気量が多くなり易い。一方で、冷気導入口91から遠い部分では冷気圧力が低下するため、冷気量が少なくなる。そこで、図16に示すように、冷気導入口91に近い部分では、左右方向に分岐する流路49の断面積が小さくなるように、流路形成部材40が構成される。これにより、冷気を流し難くでき、吐出する冷気量を抑制できる。一方で、冷気導入口91から遠い部分では、左右方向に分岐する流路49の断面積が大きくなるように、流路形成部材40が構成される。これにより、冷気を流し易くでき、冷気の吐出を促進できる。流路49をこのように構成することで、下段容器11に均一に冷気を流し易くでき、下段容器11の冷却ムラを抑制できる。
【0053】
図14図17に示す下段容器11を備える冷蔵庫1について説明すれば、以下のようになる。冷蔵庫1は、貯蔵空間32(図2A)の境界を形成する第1壁56(図2B)を備える下段容器11と、下段容器11を収容し、第1壁56と隙間80(図2B)を挟んで対向する第2壁101を(図2B)備える野菜室10(図2A)と、下段容器11の上端に形成された開口121を閉塞する蓋90と、隙間80に冷気を流すように配置された吐出口42と、を備える。蓋90は、蓋90の端部に形成される複数の吐出口42と、吐出口42に繋がり、冷気を水平方向に沿って流す流路49と、流路49に冷気を導入する冷気導入口91と、蓋90又は下段容器11の端部に沿って蓋90又は下段容器11の少なくとも一部を囲うように、凹部又は凸部により形成される冷気滞留部92とを備える。吐出口42を通じて吐出した冷気は、冷気滞留部92において滞留した後に、冷気滞留部92を乗り越えて、下段容器11の外側面に沿って鉛直方向に流れる。
【符号の説明】
【0054】
1 冷蔵庫
10 野菜室
101 第2壁
11 下段容器(容器)
111 後壁
115 外壁面
12 上段容器
121 開口
15 冷気流
21 扉
22 扉
3 扉
31 貯蔵空間
32 貯蔵空間
33 貯蔵空間
34 仕切り
35 上段容器底面
4 扉
40 流路形成部材
41 供給口
42 吐出口
421 吐出口
422 吐出口
424 第1吐出口
425 第2吐出口
426 第1吐出口
427 第2吐出口
43 水平流路部
431 水平流路部
432 水平流路部
44 案内部
45 開口
48 繋ぎ流路部
49 流路
5 扉
50 戻り風路
51 戻り口
52 戻り口
53 戻り口
54 戻り口
56 第1壁
57 第1面
58 第2面
6 扉
60 支持部材
601 湿度調整部材
61 集水部
611 後面
62 傾斜部
621 面
63 開口
64 蒸散部
65 ケース
651 孔
7 箱体
70 カバー
71 スリット
80 隙間
801 隙間
802 隙間
81 凸部
813 張り出し部
9 蓋
90 蓋
91 冷気導入口
92 冷気滞留部
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17