IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 宇部興産機械株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-角落し吊りビームの落下防止構造 図1
  • 特開-角落し吊りビームの落下防止構造 図2
  • 特開-角落し吊りビームの落下防止構造 図3
  • 特開-角落し吊りビームの落下防止構造 図4
  • 特開-角落し吊りビームの落下防止構造 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023135105
(43)【公開日】2023-09-28
(54)【発明の名称】角落し吊りビームの落下防止構造
(51)【国際特許分類】
   B66C 1/10 20060101AFI20230921BHJP
   B66C 1/36 20060101ALN20230921BHJP
【FI】
B66C1/10 A
B66C1/36 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022040138
(22)【出願日】2022-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】300041192
【氏名又は名称】UBEマシナリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091306
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 友一
(74)【代理人】
【識別番号】100174609
【弁理士】
【氏名又は名称】関 博
(72)【発明者】
【氏名】的場 弘
(72)【発明者】
【氏名】野村 章夫
【テーマコード(参考)】
3F004
【Fターム(参考)】
3F004AA07
3F004AB12
3F004AG10
3F004EA40
3F004KA01
(57)【要約】
【課題】簡易な構成で角落しの落下を確実に防止できる角落し吊りビームの落下防止構造を提供する。
【解決手段】本発明の角落し吊ビームの落下防止構造10は、ビーム本体22に回動自在に取り付けた吊フック40を角落し12に設けた吊金具14に掛止させて前記角落し12を吊り上げる角落し吊りビーム20の落下防止構造において、
前記ビーム本体22から下方の前記角落し12の上面に向けて伸縮する脚部60を設け、
前記脚部60は、前記角落し12の吊り上げ時に伸長して前記上面に接触させて、前記角落し12の取り外し時に縮小して前記吊フック40を取り外す駆動部70を備えたことを特徴としている。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビーム本体に回動自在に取り付けた吊フックを角落しに設けた吊金具に掛止させて前記角落しを吊り上げる角落し吊りビームの落下防止構造において、
前記ビーム本体から下方の前記角落しの上面に向けて伸縮する脚部を設け、
前記脚部は、前記角落しの吊り上げ時に伸長して上面に接触させて前記吊フックの掛止を固定し、前記角落しの取り外し時に縮小して前記吊フックを取り外す駆動部を備えたことを特徴とする角落し吊りビームの落下防止構造。
【請求項2】
ビーム本体に回動自在に取り付けた吊フックを角落しに設けた吊金具に掛止させて前記角落しを吊り上げる角落し吊りビームの落下防止構造において、
前記ビーム本体から下方の前記角落しの上面に向けて傾動する脚部を設け、
前記脚部は、前記角落しの吊り上げ時に開脚して上面に接触させて前記吊フックの掛止を固定し、前記角落しの取り外し時に閉脚して前記吊フックを取り外す駆動部を備えたことを特徴とする角落し吊りビームの落下防止構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、角落しの取り付け又は取り外しの際に用いる角落し吊りビームの落下防止構造に関する。
【背景技術】
【0002】
工業用水の用水路又は発電所などの冷却水を取水する水路には、除塵装置が設置されている。この除塵装置は網状のスクリーンで水路中の塵芥を除去するものであり、海水や河川水路内に設置する構造上、貝や海藻が付着して付着面が腐食する。特に潮位変化する部分に腐食が発生し易い。
このため定期的に除塵装置の上流側の水路に水流を止める角落し(止水ゲート、ゲートともいう)などを設置して、除塵装置の保守点検作業を行っている。除塵装置を設置する水路は、例えば水路幅が4~5メートル、深さが10メートルほどある。このような水路に設置する角落しは止水面(角落しを水路のゲート溝に設置したとき流路を遮断する面)に対して厚さ寸法が小さい平板形状であり、水路の深さ方向に複数分割して1枚当たりの重量を軽量化した構造を採用して着脱作業を容易にしている。
【0003】
角落しを水路に取り付けるときは、角落しの厚さ方向の端面に設けられた2個の吊金具にクレーンのフックを掛止してから吊り上げている。このとき専用の吊りビームを用いて、ビーム本体に設けた特殊なフックで人手を介さないで取り付け又は取り外し作業を行えるようにして吊り上げている。これにより角落しを水路深くに投入した場合でも、水路内に人が立ち入ってフックを外す作業を行わずに地上から容易に着脱できる。
角落しを吊りビームで持ち上げる際、角落しが傾くなどしてワイヤーロープが緩んだ場合に角落しが吊りビームから外れて落下するおそれがあった。
そこで特許文献1に開示の安全装置は、角落しが正規に着座すれば突き棒が作動してフックが外れるように構成している。
しかしながら特許文献1の装置は、角落しに別途、安全装置を設けなければならず、既存の角落しに適用することができない。また安全装置を備えた角落しは装置構成が複雑で個々に製造しなければならずコスト高となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8-53829号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、上記従来技術の問題点に鑑み、簡易な構成で角落しの落下を確実に防止できる角落し吊りビームの落下防止構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するための第1の手段として、ビーム本体に回動自在に取り付けた吊フックを角落しに設けた吊金具に掛止させて前記角落しを吊り上げる角落し吊りビームの落下防止構造において、
前記ビーム本体から下方の前記角落しの上面に向けて伸縮する脚部を設け、
前記脚部は、前記角落しの吊り上げ時に伸長して前記上面に接触させて前記吊フックの掛止を固定し、前記角落しの取り外し時に縮小して前記吊フックを取り外す駆動部を備えたことを特徴とする角落し吊りビームの落下防止構造を提供することにある。
上記第1の手段によれば、ビーム本体から伸長する脚部の簡易な構成で角落しの吊り上げ時において、吊フックから角落しが外れることがなく、角落しの落下を確実に防止できる。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するための第2の手段として、ビーム本体に回動自在に取り付けた吊フックを角落しに設けた吊金具に掛止させて前記角落しを吊り上げる角落し吊りビームの落下防止構造において、
前記ビーム本体から下方の前記角落しの上面に向けて傾動する脚部を設け、
前記脚部は、前記角落しの吊り上げ時に開脚して前記上面に接触させて前記吊フックの掛止を固定し、前記角落しの取り外し時に閉脚して前記吊フックを取り外す駆動部を備えたことを特徴とする角落し吊りビームの落下防止構造を提供することにある。
上記第2の手段によれば、ビーム本体から開脚する脚部の簡易な構成で角落しの吊り上げ時において、吊フックから角落しが外れることがなく、角落しの落下を確実に防止できる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ビーム本体から伸長又は傾動する脚部の簡易な構成で角落しの吊り上げ時において、吊フックから角落しが外れることがなく、角落しの落下を確実に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例1の角落し吊りビームの落下防止構造の構成概略図である。
図2】実施例2の角落し吊りビームの落下防止構造の構成概略図である。
図3】本発明の角落し吊りビームの落下防止構造を用いた角落しの吊り上げ時の説明図である。
図4】本発明の角落し吊ビームの落下防止構造を用いた角落しの取り外し時の説明図である。
図5】角落しが傾いた時の本発明の角落し吊ビームの落下防止構造の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の角落し吊りビームの落下防止構造の実施形態について、図面を参照しながら、以下詳細に説明する。
【0011】
[角落し吊りビームの落下防止構造10]
図1は、実施例1の角落し吊りビームの落下防止構造の構成概略図である。
(吊ビーム20)
吊ビーム20は、ビーム本体22と、吊フック40と、脚部60を有している。
ビーム本体22は角落しの上面と対向して水路に設置するゲート溝間に挿入できる平板状の部材である。ビーム本体22は上面に吊り上げクレーンのクレーンフック、ワイヤーなどを掛止する吊具23を設けている。
吊フック40は、ビーム本体22の下面から垂下して角落しの吊金具14と掛止する部材であり、カウンターウェイト45を有している。
吊フック40は、ビーム本体22の幅方向(長手方向と直交する方向)に沿って軸心をビーム本体22に配置したピン24に軸支されている。吊ビーム20の吊り上げ又は吊り下し方向をX軸とし、ビーム本体22の長手方向をY軸とし、X軸及びY軸に直交する方向をZ軸とした場合、吊フック40はZ軸周りを揺動可能に形成している。吊フック40は上端がピン24に軸支されており、下端を吊金具14と掛止可能な釣針状に形成されている。
【0012】
カウンターウェイト45は、下端がピン24に軸支されており、上端にウェイトを設けている。カウンターウェイト45はピン24の軸回りを吊フック40と連れ回るように揺動可能に構成している。そしてカウンターウェイト45は本体の長手方向に沿った中心線とピン24を通る垂線と間の角度を後述する任意の設定角度に変更可能に構成している。
カウンターウェイト45の設定角度は、掛止時において、ピン24を通る垂線に対して吊フック40が吊金具14に掛止する側と反対側(ビーム本体22の端部側)に傾く角度、本実施形態では一例として45度に設定している。これにより、吊フック40のフックポイントが吊金具に近づく方向に付勢することができる。
一方、取り外し時において、ピン24を通る垂線に対して吊フック40が吊金具14に掛止する側と同じ側(ビーム本体22の中心側)に傾く角度、本実施形態では一例として30度に設定している。これにより、吊フック40のフックポイントが吊金具14から離れる方向に付勢することができる。
【0013】
このような吊フック40はビーム本体22の中心の線対称となる位置、かつ角落し12の吊金具14を通る垂線上に2つ取り付けている。
脚部60は、角落し12の上面と対向するビーム本体22の下面に設けている。図1に示す実施例1の脚部60は、径の異なる大小複数(本実施形態では2つ)の筒体を上下に伸縮可能な構成を採用している。このような脚部60は吊フック40の取付位置付近に設けている。
駆動部70は脚部60と接続し、伸長又は縮小させることができる。駆動部70は、電動モーター、油圧、空気圧のいずれかを駆動源とすることができる。
図2は実施例2の角落し吊りビームの落下防止構造の構成概略図である。実施例2の脚部60Aは、傾動する構造を採用している。その他の構成は図1と同様であり詳細な説明は省略する。実施例2の脚部60Aはビーム本体22の下面に沿って軸心を配置した脚部用ピン62に軸支されている。脚部60Aは開脚したとき、換言すると長手方向が垂直方向に沿って配置されたときに下端が角落し12の上面に接触する長さに設定している。脚部60Aは閉脚したときに長手方向がビーム本体22の下面に沿って配置される。脚部60Aの傾動は駆動部70により実現できる。
【0014】
[作用]
上記構成による本発明の角落し吊ビームの落下防止構造の作用について以下説明する。
(吊り上げ)
図3は本発明の角落し吊りビームの落下防止構造を用いた角落しの吊り上げ時の説明図である。
吊フック40が吊金具14に係止するようにカウンターウェイト45の位置を設定する。一例として図3に示すようにピン24の軸心を通る鉛直線に対して互いのカウンターウェイト45が離れる方向にそれぞれ45度傾ける。
ビーム本体22を降下させると吊フック40の先端が角落し12の吊金具14に接触する。さらに降下させると吊フック40が開く方向に揺動する。その後、吊フック40と連れまわるカウンターウェイト45のモーメントが作用して吊フック40が閉じる方向に揺動して吊金具14に掛止できる。
掛止した後、駆動部70により脚部60を伸長して角落し12の上面に接触させる。これにより角落し12の吊り上げ中に吊フック40の掛止を固定できる。
図5は角落しが傾いた時の本発明の角落し吊ビームの落下防止構造の説明図である。吊り上げ中に角落し12が傾いても脚部60により吊フック40の掛止を固定しているため、吊フック40から吊金具14が外れて角落し12が落下することを確実に防止できる。
【0015】
(取り外し)
図4は本発明の角落し吊ビームの落下防止構造を用いた角落しの取り外し時の説明図である。
吊フック40が吊金具14から離れるようにカウンターウェイト45の位置を設定する。一例として図4に示すようにピン24の軸心を通る鉛直線に対して互いのカウンターウェイト45が近づく方向にそれぞれ30度傾ける。そして角落し12を水路まで移動させる。水路において、角落し12を下降させて既に配置してある角落し12上に配置する。その後、駆動部70により脚部60を縮小すると、吊フック40はカウンターウェイト45によりフックポイントが吊金具14から離れる方向に付勢されているため、吊フック40の掛止が解除、換言すると取り外される。
なお、ビーム本体22を用いて角落し12を水路に吊り下したとき吊り上げクレーンのワイヤーは弛んだ状態にしている。このため、従来のクレーン操作によりビーム本体22を降下させながら吊フック40を取り外す煩わしい作業が必要なくなり、脚部60の縮小という簡単な作業で取り外すことができる。
実施例2の脚部60Aも同様の手順で、角落し12の吊り上げ、取り外し作業を行うことができる。
【0016】
このような本発明によれば、ビーム本体から伸長又は傾動する脚部の簡易な構成で角落しの吊り上げ時において、吊フックから角落しが外れることがなく、角落しの落下を確実に防止できる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明した。しかしながら、本発明は、上記実施形態に何ら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の変更が可能である。
また、本発明は、実施形態において示された組み合わせに限定されることなく、種々の組み合わせによって実施可能である。
【符号の説明】
【0017】
10 角落し吊りビームの落下防止構造
12 角落し
14 吊金具
20 吊りビーム
22 ビーム本体
23 吊具
24 ピン
40 吊フック
45 カウンターウェイト
60,60A 脚部
62 脚部用ピン
70 駆動部
図1
図2
図3
図4
図5