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特開2023-135118管理支援装置、方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023135118
(43)【公開日】2023-09-28
(54)【発明の名称】管理支援装置、方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/05 20060101AFI20230921BHJP
【FI】
G05B19/05 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022040161
(22)【出願日】2022-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐久間 敬
【テーマコード(参考)】
5H220
【Fターム(参考)】
5H220AA06
5H220BB12
5H220CC06
5H220CX02
5H220DD04
5H220DD06
5H220JJ12
5H220JJ24
5H220JJ53
(57)【要約】
【課題】生産設備に対する管理に利用可能な、管理単位の情報を自動で生成する。
【解決手段】取得部32が、対象装置を制御するためのプログラムであって、階層構造のファンクションブロックを含んで構成されるプログラムを取得し、生成部34が、取得されたプログラムに含まれる階層構造のファンクションブロックを辿って、予め設定した管理対象の1単位である機構又は機能に対応するファンクションブロックを抽出し、抽出したファンクションブロックの識別情報を、階層構造に基づいて階層化した管理単位構成情報を生成し、出力部36が、生成された管理単位構成情報を出力し、管理部38が、出力された管理単位構成情報と、プログラムによる制御で動作する対象装置において検出されたデータとを対応付けて管理する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象装置を制御するためのプログラムであって、階層構造のファンクションブロックを含んで構成されるプログラムを取得する取得部と、
前記取得部により取得されたプログラムに含まれる前記階層構造のファンクションブロックを辿って、予め設定した管理対象の1単位である機構又は機能に対応するファンクションブロックを抽出し、抽出した前記ファンクションブロックの識別情報を、前記階層構造に基づいて階層化した管理単位構成情報を生成する生成部と、
前記生成部により生成された前記管理単位構成情報を出力する出力部と、
を含む管理支援装置。
【請求項2】
前記生成部は、前記ファンクションブロックの識別情報として、管理対象のファンクションブロックであることを示す識別情報が付与されたファンクションブロックを抽出する請求項1に記載の管理支援装置。
【請求項3】
前記ファンクションブロックの識別情報は、前記ファンクションブロックの定義名、又は、前記ファンクションブロックが前記プログラムでインスタンス化される際の変数名である請求項1又は請求項2に記載の管理支援装置。
【請求項4】
前記出力部は、前記生成部により生成された前記管理単位構成情報に含まれる前記ファンクションブロックの識別情報の各々の順番を、ユーザの指示又は予め定めたルールに基づいて並び替えて出力する請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の管理支援装置。
【請求項5】
前記出力部により出力された前記管理単位構成情報と、前記プログラムによる制御で動作する前記対象装置において検出されたデータとを対応付けて管理する管理部を含む請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の管理支援装置。
【請求項6】
前記管理部は、前記検出されたデータを、前記管理単位構成情報に含まれる、前記データを検出する機能を示すファンクションブロックの識別情報に対応付けて管理する請求項5に記載の管理支援装置。
【請求項7】
前記管理部は、前記検出されたデータと、前記管理単位構成情報とを同一画面上に表示すると共に、前記管理単位構成情報が示す階層構造における、前記データを検出する機能を示すファンクションブロックの識別情報の位置を表示する請求項5又は請求項6に記載の管理支援装置。
【請求項8】
取得部が、対象装置を制御するためのプログラムであって、階層構造のファンクションブロックを含んで構成されるプログラムを取得し、
生成部が、前記取得部により取得されたプログラムに含まれる前記階層構造のファンクションブロックを辿って、予め設定した管理対象の1単位である機構又は機能に対応するファンクションブロックを抽出し、抽出した前記ファンクションブロックの識別情報を、前記階層構造に基づいて階層化した管理単位構成情報を生成し、
出力部が、前記生成部により生成された前記管理単位構成情報を出力する
管理支援方法。
【請求項9】
コンピュータを、
対象装置を制御するためのプログラムであって、階層構造のファンクションブロックを含んで構成されるプログラムを取得する取得部、
前記取得部により取得されたプログラムに含まれる前記階層構造のファンクションブロックを辿って、予め設定した管理対象の1単位である機構又は機能に対応するファンクションブロックを抽出し、抽出した前記ファンクションブロックの識別情報を、前記階層構造に基づいて階層化した管理単位構成情報を生成する生成部、並びに、
前記生成部により生成された前記管理単位構成情報を出力する出力部
として機能させるための管理支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管理支援装置、管理支援方法、及び管理支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、FA(Factory Automation)装置等を含む管理対象の生産設備の状態を確認するために、各装置を制御するコントローラから各種データを取得し、取得した値を画面表示するなどして、生産設備を分析や監視することが行われている。
【0003】
例えば、複数種のプロセス変数に基づいて、監視対象プロセスの状態に異常の予兆が生じている可能性を示す指標を算出するプロセス監視支援装置が提案されている。この装置は、算出した指標に関し、異常の予兆が生じている可能性が高くなることに寄与した割合を示す寄与率を、複数種のプロセス変数毎に算出し、寄与率の値が相対的に大きい一部のプロセス変数に関する情報をユーザ端末の画面に表示するように表示情報を生成する。また、この装置は、プロセス変数に関する情報が表示されたエリアにおけるユーザ端末の選択操作を認識したときに、一又は複数のプロセス変数に関する詳細な情報を表示する表示情報を生成する(特許文献1参照)。
【0004】
また、例えば、プロセス制御される機器、装置、及び計器に接続された入出力接点にそれぞれ付与されたタグ名称によって機器、装置、及び計器を監視する計装監視装置が提案されている。この装置は、複数のタグ名称から所望のタグ名称を検索し、結果を表示するタグ検索機能と、複数のタグ名称のうちの少なくとも一部を登録してタググループとして管理するタググルーピング機能とを備える。また、この装置は、所望のタグ名称が複数のタググループに属する場合には、所望のタグ名称が属する複数のタググループを表す全てのタググループ名称を選択肢として表示する(特許文献2参照)。
【0005】
また、例えば、グラフィック画面の作成や改造を行う監視制御装置が提案されている。この装置は、監視対象の状態を示す信号のうち、入力部によって選択された信号を取得し、信号の名称毎に割り当てられたアイコンIDのうち、取得された信号の名称に対応するアイコンIDを取得する。そして、この装置は、取得されたアイコンIDに対応するシンボルを取得し、取得されたシンボルを表示させる(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2022-25364号公報
【特許文献2】特開2020-21345号公報
【特許文献3】特開2015-4822号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
FA装置等の管理対象の装置に対する分析や監視を行う際には、生産設備のプロセスの流れや装置を構成する機構単位に沿って分析や監視が行えるように、ユーザ自身が管理単位となるプロセスや機構に関する情報を作成する必要があった。人手によりこのような管理単位の情報を作成することは手間であり、特に、管理対象の装置や機構の数が多い場合には、その作業コストは増大する。
【0008】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、生産設備に対する管理に利用可能な、管理単位の情報を自動で生成することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、第1の態様に係る管理支援装置は、対象装置を制御するためのプログラムであって、階層構造のファンクションブロックを含んで構成されるプログラムを取得する取得部と、前記取得部により取得されたプログラムに含まれる前記階層構造のファンクションブロックを辿って、予め設定した管理対象の1単位である機構又は機能に対応するファンクションブロックを抽出し、抽出した前記ファンクションブロックの識別情報を、前記階層構造に基づいて階層化した管理単位構成情報を生成する生成部と、前記生成部により生成された前記管理単位構成情報を出力する出力部と、を含んで構成される。これにより、生産設備に対する管理に利用可能な、管理単位の情報を自動で生成することができる。
【0010】
また、前記生成部は、前記ファンクションブロックの識別情報として、管理対象のファンクションブロックであることを示す識別情報が付与されたファンクションブロックを抽出してもよい。これにより、管理対象のファンクションブロックの抽出が容易になる。
【0011】
また、前記ファンクションブロックの識別情報は、前記ファンクションブロックの定義名、又は、前記ファンクションブロックが前記プログラムでインスタンス化される際の変数名としてもよい。これにより、プログラムの情報をそのまま利用して、管理単位構成情報用の情報を抽出することができる。
【0012】
また、前記出力部は、前記生成部により生成された前記管理単位構成情報に含まれる前記ファンクションブロックの識別情報の各々の順番を、ユーザの指示又は予め定めたルールに基づいて並び替えて出力してもよい。これにより、管理単位構成情報の利用時の利便性が向上する。
【0013】
また、前記管理支援装置は、前記出力部により出力された前記管理単位構成情報と、前記プログラムによる制御で動作する前記対象装置において検出されたデータとを対応付けて管理する管理部を含んで構成されてもよい。これにより、対象装置の分析、監視等の管理が容易になる。
【0014】
また、前記管理部は、前記検出されたデータを、前記管理単位構成情報に含まれる、前記データを検出する機能を示すファンクションブロックの識別情報に対応付けて管理してもよい。これにより、検出されたデータに対して、分析、監視等の管理時にユーザが付加情報を付与する手間が不要となる。
【0015】
また、前記管理部は、前記検出されたデータと、前記管理単位構成情報とを同一画面上に表示すると共に、前記管理単位構成情報が示す階層構造における、前記データを検出する機能を示すファンクションブロックの識別情報の位置を表示してもよい。これにより、分析、監視等の管理が容易になる。
【0016】
また、第2の態様に係る管理支援方法は、取得部が、対象装置を制御するためのプログラムであって、階層構造のファンクションブロックを含んで構成されるプログラムを取得し、生成部が、前記取得部により取得されたプログラムに含まれる前記階層構造のファンクションブロックを辿って、予め設定した管理対象の1単位である機構又は機能に対応するファンクションブロックを抽出し、抽出した前記ファンクションブロックの識別情報を、前記階層構造に基づいて階層化した管理単位構成情報を生成し、出力部が、前記生成部により生成された前記管理単位構成情報を出力する方法である。
【0017】
また、第3の態様に係る管理支援プログラムは、コンピュータを、対象装置を制御するためのプログラムであって、階層構造のファンクションブロックを含んで構成されるプログラムを取得する取得部、前記取得部により取得されたプログラムに含まれる前記階層構造のファンクションブロックを辿って、予め設定した管理対象の1単位である機構又は機能に対応するファンクションブロックを抽出し、抽出した前記ファンクションブロックの識別情報を、前記階層構造に基づいて階層化した管理単位構成情報を生成する生成部、並びに、前記生成部により生成された前記管理単位構成情報を出力する出力部として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る管理支援装置、方法、及びプログラムによれば、生産設備に対する管理に利用可能な、管理単位の情報を自動で生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】管理支援装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図2】管理支援装置の機能構成の例を示すブロック図である。
図3】プログラミング画面の一例を概略的に示す図である。
図4】プログラミング画面の一例を概略的に示す図である。
図5】管理単位構成情報の一例を示す図である。
図6】管理画面の一例を示す図である。
図7】管理画面の他の例を示す図である。
図8】生成処理の流れを示すフローチャートである。
図9】管理処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態の一例を、図面を参照しつつ説明する。なお、各図面において同一又は等価な構成要素及び部分には同一の参照符号を付与している。また、図面の寸法及び比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0021】
まず、本実施形態に係る管理支援装置の構成について説明する。
図1は、本実施形態に係る管理支援装置10のハードウェア構成を示すブロック図である。図1に示すように、管理支援装置10は、CPU(Central Processing Unit)12、メモリ14、記憶装置16、入力装置18、出力装置20、記憶媒体読取装置22、及び通信I/F(Interface)24を有する。各構成は、バス26を介して相互に通信可能に接続されている。
【0022】
記憶装置16には、後述する生成処理及び管理処理を実行するための管理支援プログラムが格納されている。CPU12は、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各構成を制御したりする。すなわち、CPU12は、記憶装置16からプログラムを読み出し、メモリ14を作業領域としてプログラムを実行する。CPU12は、記憶装置16に記憶されているプログラムに従って、上記各構成の制御及び各種の演算処理を行う。
【0023】
メモリ14は、RAM(Random Access Memory)により構成され、作業領域として一時的にプログラム及びデータを記憶する。記憶装置16は、ROM(Read Only Memory)、及びHDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等により構成され、オペレーティングシステムを含む各種プログラム、及び各種データを格納する。
【0024】
入力装置18は、例えば、キーボードやマウス等の、各種の入力を行うための装置である。出力装置20は、例えば、ディスプレイやプリンタ等の、各種の情報を出力するための装置である。出力装置20として、タッチパネルディスプレイを採用することにより、入力装置18として機能させてもよい。
【0025】
記憶媒体読取装置22は、CD(Compact Disc)-ROM、DVD(Digital Versatile Disc)-ROM、ブルーレイディスク、USB(Universal Serial Bus)メモリ等の各種記憶媒体に記憶されたデータの読み込みや、記憶媒体に対するデータの書き込み等を行う。通信I/F24は、他の機器と通信するためのインタフェースであり、例えば、イーサネット(登録商標)、FDDI、Wi-Fi(登録商標)等の規格が用いられる。
【0026】
次に、本実施形態に係る管理支援装置10の機能構成について説明する。図2は、管理支援装置10の機能構成の例を示すブロック図である。図2に示すように、管理支援装置10は、機能構成として、取得部32と、生成部34と、出力部36と、管理部38とを含む。各機能構成は、CPU12が記憶装置16に記憶された管理支援プログラムを読み出し、メモリ14に展開して実行することにより実現される。
【0027】
取得部32は、生産設備を構成する管理対象の装置を制御するためのプログラムであって、階層構造のファンクションブロックを含んで構成されるプログラム(以下、「対象プログラム」ともいう)を取得する。本実施形態では、PLC(Programmable Logic Controller)の国際規格IEC61131-3に準拠したプログラムを対象プログラムとする場合について説明する。
【0028】
図3及び図4を参照して、対象プログラムの一例について説明する。図3及び図4は、PLCのプログラムを作成するためのプログラミングツールの画面(以下、「プログラミング画面」という)50の一例を概略的に示す図である。なお、図3及び図4では、対象プログラムの構成を説明するために必要な一部のみを表している。
【0029】
図3に示すように、プログラミング画面50には、構成表示領域52と、変数表示領域54と、回路表示領域56とが含まれる。構成表示領域52には、プログラムの各セクション、プログラムの作成に使用されるファンクションブロック(以下、「FB」と表記する場合もある)、データ、タスク等が表示される。なお、ファンクションブロックは、プログラム内で繰り返し使用される機能を部品化したものであり、各ファンクションブロックは、生産設備内の装置、装置に含まれる機構、機構が有する機能等に対応する。変数表示領域54には、構成表示領域52で選択されたセクションやファンクションブロックで使用される変数についての名称、データ型等の情報を含む変数テーブルが表示される。回路表示領域56には、構成表示領域52で選択されたセクションやファンクションブロックの回路設計を表すラダー図や各種コメント等が表示される。
【0030】
図3の例では、構成表示領域52において、プログラムの「セクション0」が選択された例を示している(図3の網掛部分)。図3の例では、プログラムのセクション0は、ネジ締位置1及びネジ締位置2という2つの機構の制御処理を行うためのプログラムであることを表している。また、変数テーブルにおける「データ型」の「ネジ締機構_Proc」は、ネジ締位置1及びネジ締位置2の制御処理を行うために、「ネジ締機構_Proc」というファンクションブロックを呼び出すことを表している。
【0031】
図4のプログラミング画面50は、構成表示領域52において、FB「ネジ締機構_Proc」を選択した例を表している(図4の網掛部分)。また、変数表示領域54に示すように、FB「ネジ締機構_Proc」は、処理1、判定1、及び判定2という変数を含んでおり、各変数はそれぞれ、FB「ネジ締処理_Proc」、「異常判定_空締め_Proc」、及び「異常判定_斜め締め_Proc」を呼び出すことを表している。すなわち、プログラムのセクション0は、FB「ネジ締機構_Proc」の下位に、FB「ネジ締処理_Proc」、「異常判定_空締め_Proc」、及び「異常判定_斜め締め_Proc」が属する階層構造となっている。
【0032】
また、プログラムで使用されるファンクションブロックのうち、管理対象の1単位である機構又は機能に対応するファンクションブロックには、管理対象のファンクションブロックであることを示す識別情報が付与されている。図3及び図4の例では、「ネジ締機構」、「ネジ締処理」、「異常判定_空締め」、及び「異常判定_斜め締め」が、各ファンクションブロックの識別情報の一例である。ファンクションブロックの識別情報は、ファンクションブロックの定義名、又は、ファンクションブロックがプログラムでインスタンス化される際の変数名であってよい。また、各識別情報の末尾に付与されている「Proc」が、管理対象のファンクションブロックであることを示す識別情報である。
【0033】
生成部34は、取得部32により取得された対象プログラムに含まれる階層構造のファンクションブロックを辿って、予め設定した管理対象の1単位である機構又は機能に対応するファンクションブロックを抽出する。上記の例では、生成部34は、プログラムのルートから順に、使用されているファンクションブロックを探索し、探索されたファンクションブロックの識別情報に「Proc」が付与されているか否かを判定する。生成部34は、探索されたファンクションブロックに「Proc」が付与されている場合、そのファンクションブロックの識別情報を抽出する。その際、生成部34は、該当のファンクションブロックが、そのファンクションブロックを呼び出すファンクションブロックの下位に属するという階層構造を付与して、識別情報を抽出する。そして、生成部34は、抽出したファンクションブロックの識別情報を、階層構造に基づいて階層化した管理単位構成情報を生成する。
【0034】
例えば、図3及び図4の場合、プログラムのセクション0について、生成部34は、ネジ締位置1について、まず、FB「ネジ締機構_Proc」を抽出する。そして、生成部34は、抽出したFB「ネジ締機構_Proc」が呼び出すFB「ネジ締処理_Proc」を、FB「ネジ締機構_Proc」の下位のファンクションブロックとして抽出する。同様に、生成部34は、FB「異常判定_空締め」及び「異常判定_斜め締め」も、FB「ネジ締機構_Proc」の下位のファンクションブロックとして抽出する。さらに、生成部34は、ネジ締位置2についてもネジ締位置1と同様のファンクションブロックを抽出する。図5に、この例において、生成部34により生成される管理単位構成情報の一例を示す。
【0035】
出力部36は、生成部34により生成された管理単位構成情報を出力する。出力の態様は、表示装置への表示、プリンタによる印字、他システムへの入力等、どのような態様であってもよい。また、出力部36は、生成部34により生成された管理単位構成情報に含まれるファンクションブロックの識別情報の各々の順番を、ユーザの指示又は予め定めたルールに基づいて並び替えて出力してもよい。さらに、出力部36は、生成部34により生成された管理単位構成情報を管理部38へも受け渡す。
【0036】
管理部38は、出力部36により出力された管理単位構成情報と、対象プログラムによる制御で動作する対象装置において検出されたデータとを対応付けて管理する。具体的には、管理部38は、検出されたデータを、管理単位構成情報に含まれる、データを検出する機能を示すファンクションブロックの識別情報に対応付けて管理する。具体的には、管理部38は、検出されたデータと管理単位構成情報とを対応付けた管理画面を、出力装置20の一例であるディスプレイに表示する。
【0037】
例えば、管理部38は、図6に示すような管理画面60を表示する。図6の管理画面60は、管理単位構成情報が表示される管理単位構成情報表示領域62と、データが表示されるデータ表示領域64とを含む。管理単位構成情報表示領域62には、管理単位構成情報に含まれる各管理単位のファンクションブロックの識別情報が、その階層構造が表現された態様で表示される。データ表示領域64には、管理単位構成情報表示領域62で選択された管理単位のファンクションブロックに関連するデータが表示される。この際、管理単位構成情報表示領域62では、選択された管理単位のファンクションブロックの識別情報が、他のファンクションブロックの識別情報とは区別される態様で表示される(図6中の網掛部分)。
【0038】
なお、データ表示領域64に表示されるデータは、検出されたデータをグラフ化したものでもよいし、検出されたデータに対する所定の分析を行った分析結果であってもよい。なお、図6の例では、データ表示領域64には、選択された管理単位のファンクションブロックに関連するデータと共に、付随する情報(図6の例では、しきい値、及びしきい値との差)も表示されている。
【0039】
また、例えば、管理部38は、図7に示すような管理画面70を表示してもよい。図7の管理画面70は、管理単位構成情報に含まれる各機構に相当するファンクションブロックの情報を一覧で表示したものである。図7の例では、各ネジ締位置に対応するネジ締機構について、FB「ネジ締機構」が現在呼び出しているファンクションブロックの情報を表示することで、各機構の稼働状態を表している。また、図7に示す管理画面70に表示されている一覧から所望の管理単位を選択することにより、その管理単位が選択された状態の、図6に示す管理画面60の表示に切り替えるようにしてもよい。
【0040】
次に、本実施形態に係る管理支援装置10の作用について説明する。図8は、管理支援装置10のCPU12により実行される生成処理の流れを示すフローチャートである。また、図9は、管理支援装置10のCPU12により実行される管理処理の流れを示すフローチャートである。CPU12が記憶装置16から管理支援プログラムを読み出して、メモリ14に展開して実行することにより、CPU12が管理支援装置10の各機能構成として機能し、図8に示す生成処理、及び図9に示す管理処理の各々が実行される。なお、生成処理及び管理処理は、開示の技術の管理支援方法の一例である。
【0041】
まず、図8に示す生成処理について説明する。
ステップS10で、取得部32が、対象プログラムを読み込む。次に、ステップS12で、生成部34が、対象プログラムの上位から順に、対象プログラム内で呼び出されるファンクションブロックを選択する。次に、ステップS14で、生成部34が、選択したファンクションブロックの識別情報に、管理対象のファンクションブロックであることを示す識別情報が付与されているか否かを判定することにより、選択したファンクションブロックが管理対象か否かを判定する。選択したファンクションブロックが管理対象の場合には、ステップS16へ移行し、管理対象ではない場合には、ステップS18へ移行する。
【0042】
ステップS16では、生成部34が、選択したファンクションブロックの識別情報を、そのファンクションブロックを呼び出すファンクションブロックの下位に属するという階層構造と共に抽出し、抽出した情報を所定の記憶領域に記憶する。
【0043】
次に、ステップS18で、現在選択しているファンクションブロックが、対象プログラムに含まれる最後のファンクションブロックか否かを判定する。最後のファンクションブロックではない場合には、ステップS12へ戻り、生成部34が、ファンクションブロックの階層構造を辿って、次のファンクションブロックを選択する。一方、最後のファンクションブロックの場合には、ステップS20へ移行し、生成部34が、上記ステップS16で所定の記憶領域に記憶した情報を集約し、管理単位構成情報を生成する。そして、出力部36が、生成された管理単位構成情報を出力し、生成処理は終了する。
【0044】
次に、図9に示す管理処理について説明する。
ステップS30で、管理部38が、管理単位構成情報を読み込む。次に、ステップS32で、対象プログラムによる制御で動作する対象装置において検出されたデータを取得する。次に、ステップS34で、管理部38が、検出されたデータと管理単位構成情報とを対応付けた管理画面を表示し、ステップS32に戻る。
【0045】
以上説明したように、本実施形態に係る管理支援装置は、対象装置を制御するためのプログラムであって、階層構造のファンクションブロックを含んで構成されるプログラムを取得する。また、管理支援装置は、取得されたプログラムに含まれる階層構造のファンクションブロックを辿って、予め設定した管理対象の1単位である機構又は機能に対応するファンクションブロックを抽出する。そして、管理支援装置は、抽出したファンクションブロックの識別情報を、階層構造に基づいて階層化した管理単位構成情報を生成し、出力する。また、管理支援装置は、管理単位構成情報と、プログラムによる制御で動作する対象装置において検出されたデータとを対応付けて管理する。これにより、生産設備に対する管理に利用可能な、管理単位の情報を自動で生成することができる。
【0046】
なお、上記実施形態では、PLCの国際規格IEC61131-3に準拠したプログラムを対象プログラムとする場合について説明したが、これに限定されない。階層構造のファンクションブロックを含んで構成されるプログラムであれば、開示の技術を適用可能である。
【0047】
また、上記実施形態では、管理単位構成情報の生成、及び管理単位構成情報を用いた管理の両方を1つのコンピュータで実現する場合について説明したが、これに限定されない。例えば、取得部、生成部、及び出力部を含む生成装置と、管理部を含む管理装置とをそれぞれ別のコンピュータで実現するようにしてもよい。この場合、管理装置は、生成装置から出力される管理単位構成情報を取得して、管理に用いるようにすればよい。
【0048】
また、上記実施形態でCPUがソフトウェア(プログラム)を読み込んで実行した生成処理及び管理処理を、CPU以外の各種のプロセッサが実行してもよい。この場合のプロセッサとしては、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なPLD(Programmable Logic Device)、及びASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が例示される。また、生成処理及び管理処理を、これらの各種のプロセッサのうちの1つで実行してもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGA、及びCPUとFPGAとの組み合わせ等)で実行してもよい。また、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造は、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路である。
【0049】
また、上記実施形態では、管理支援プログラムが記憶装置に予め記憶(インストール)されている態様を説明したが、これに限定されない。プログラムは、CD-ROM、DVD-ROM、ブルーレイディスク、USBメモリ等の記憶媒体に記憶された形態で提供されてもよい。また、プログラムは、ネットワークを介して外部装置からダウンロードされる形態としてもよい。
【符号の説明】
【0050】
10 管理支援装置
12 CPU
14 メモリ
16 記憶装置
18 入力装置
20 出力装置
22 記憶媒体読取装置
24 通信I/F
26 バス
32 取得部
34 生成部
36 出力部
38 管理部
50 プログラミング画面
52 構成表示領域
54 変数表示領域
56 回路表示領域
60、70 管理画面
62 管理単位構成情報表示領域
64 データ表示領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9