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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023013516
(43)【公開日】2023-01-26
(54)【発明の名称】日陰ネット
(51)【国際特許分類】
   E04H 15/58 20060101AFI20230119BHJP
   E04G 21/28 20060101ALI20230119BHJP
   E04F 10/02 20060101ALI20230119BHJP
【FI】
E04H15/58 Z
E04G21/28 A
E04F10/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021117754
(22)【出願日】2021-07-16
(71)【出願人】
【識別番号】504082025
【氏名又は名称】株式会社イング
(74)【代理人】
【識別番号】100118924
【弁理士】
【氏名又は名称】廣幸 正樹
(72)【発明者】
【氏名】石田 正敏
【テーマコード(参考)】
2E105
2E141
【Fターム(参考)】
2E105DD23
2E105FF22
2E105FF34
2E105GG21
2E141AA01
2E141EE04
2E141EE23
2E141FF03
(57)【要約】
【課題】コンパクトに収納可能であり、且つ、張設後であっても、状況に応じて中間領域だけ位置調節が可能な日陰ネットを提供する。
【解決手段】日陰ネット1は、織物製の矩形のシート2と2本の展張ロープ4と1本の位置調節ロープ6とから構成されている。展張ロープ4は、シート2の4辺のうち1組の対辺に沿って固定されている。位置調節ロープ6は、2本の展張ロープ4の間の中間領域2cに、展張ロープ4と略平行に配置されている。展張ロープ4と位置調節ロープ6は共に、シート2に対して余長を形成するように配置されており、これら余長部分は、足場などの設置対象への接続部4a、6aとなる。展張ロープ4は、シート2の端縁を折り返すように巻き込んで固定されている。位置調節ロープ6は、シート2で袋とじ状に包むようにして固定される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
織物製の矩形のシートと、
両端に余長を設けて前記シートの一組の対辺のそれぞれに沿って固定される一対の展張ロープと、
前記一対の展張ロープの間の中間領域に設けられ、前記展張ロープに対する前記中間領域の相対位置を調節する位置調節ロープと、
前記位置調節ロープを前記シートの展張面から離隔させて前記シートに固定する位置調節ロープ固定部と
を備えたことを特徴とする日陰ネット。
【請求項2】
前記位置調節ロープ固定部は、
前記位置調節ロープを収容する収容部と、
前記展張面から前記位置調節ロープを離隔する離隔部と
から構成されていることを特徴とする請求項1に記載の日陰ネット。
【請求項3】
前記収容部及び前記離隔部は、前記シートの前記中間領域の一部を折り返した部分で前記位置調節ロープを袋綴じ状に綴じ込むように形成されていることを特徴とする請求項2に記載の日陰ネット。
【請求項4】
前記展張ロープは、前記シートの前記対辺に沿って設けられたテープ内に巻き込むようにして固定されていることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の日陰ネット。
【請求項5】
前記展張ロープの余長側には、少なくとも一箇所に伸縮部材が設けられていることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の日陰ネット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設や建築の工事現場において用いられ、特に、屋根や壁工事に用いられる日陰ネットに関する。
【背景技術】
【0002】
屋外の工事現場では、炎天下の作業による健康被害が問題となる。また、日射による疲労が蓄積し、体力が低下した状態で行われる高所作業は非常に危険である。
【0003】
このような点を考慮して、工事現場では様々なタイプの日陰ネットや日除け装置が用いられている。図7は、従来の建築現場用の日除け装置を示す図である。建物101の屋根を覆うように日除けシート100が張設されている。この日除けシート100は、建物101の近傍に組まれた足場102の一部を利用して張設される。このような日除け装置の例が特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7-18874号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の日除け装置は特定の足場102に合わせた専用構造になっている。よって、異なる形の足場に合わせるのは容易ではない。また、大掛かりな装置であるため、搬送も容易ではない。さらに、日差しの変化や資材の搬入などによる環境の変化に合わせた取り扱いについても自由度は低い。
【0006】
そこで、本発明は、コンパクトに収納可能であり、且つ、張設後であっても、状況に応じて中間領域だけ位置調節が可能な日陰ネットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の日陰ネットは、織物製の矩形のシートと、両端に余長を設けて前記シートの一組の対辺のそれぞれに沿って固定される一対の展張ロープと、前記一対の展張ロープの間の中間領域に設けられ、前記展張ロープに対する前記中間領域の相対位置を調節する位置調節ロープと、前記位置調節ロープを前記シートの展張面から離隔させて前記シートに固定する位置調節ロープ固定部とを備えたことを特徴とする。
【0008】
また、本発明の日陰ネットは、上記構成に加えて、前記位置調節ロープ固定部は、前記位置調節ロープを収容する収容部と、前記展張面から前記位置調節ロープを離隔する離隔部とから構成されていることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の日陰ネットは、上記構成に加えて、前記収容部及び前記離隔部は、前記シートの前記中間領域の一部を折り返した部分で前記位置調節ロープを袋綴じ状に綴じ込むように形成されていることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の日陰ネットは、上記構成に加えて、前記展張ロープは、前記シートの前記対辺に沿って設けられたテープ内に巻き込むようにして固定されていることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の日陰ネットは、上記構成に加えて、前記展張ロープの余長側には、少なくとも一箇所に伸縮部材が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
以上のように、本発明によれば、シートが織物製であることにより、風の一部を通過させることができるので、展張ロープへの負荷を軽減できる。また、一部通過する風が熱を持ち去るので、冷却効果が得られる。日光も一部を通過させるので、作業スペースを適度に明るく保つことができる。位置調節ロープは、シートに対して袋綴じ状に綴じ込むように固定されるので、シートに対しては位置調節ロープの張力による負荷が加わることがない。これにより、織物状の目が開くなどといったシートの劣化を防止できる。位置調節ロープは、シートの展張面から離隔した位置で位置調節ロープ固定部によって固定される。これにより、シートの展張面に対して位置調節ロープの相対的な可動域が拡大されるので、たるみ調節や高さ調節などの様々な位置調節を柔軟に行うことができる。
【0013】
また、本発明によれば、上記効果に加えて、収容部とシートの展張面との間の離隔部が緩衝領域として作用する。これにより、シートの展張面に対して収容部が相対的に平行移動を行ったり、ねじれ位置に移行する場合にも、シートの引き攣れを抑え、展張面の歪みを防止することができる。
【0014】
また、本発明によれば、上記効果に加えて、シートの一部を折り返して位置調節ロープ固定部が形成されるので、一対の展張ロープの間の中間領域を継ぎ目なく構成することができ、別部材で組み合わせる場合に比べて耐久性が向上する。また、袋綴じ状に綴じ込むように位置調節ロープを固定するので、加工が容易である。
【0015】
また、本発明によれば、上記効果に加えて、テープ内に巻き込むようにして展張ロープが固定されるので、シートが織物製であっても伸縮が抑えられ、展張ロープの固定状態が安定する。また、テープ内に巻き込むように固定すると、展張ロープはシートに対して長手方向への位置変更が可能になる。これにより、張力によって展張ロープの長手方向に向けて力が作用した場合であっても、長手方向にずれることで力を分散させることができるので、シートの歪みを防止することができる。
【0016】
また、本発明によれば、上記効果に加えて、展張ロープの余長側に伸縮部材が用いられることにより、風による負荷が軽減される。同時に、固定される足場等に対する負荷も軽減される。また、位置調節ロープにより高さを変更する際などに、展張ロープの設置状態の変更を伴わずに調節できる幅が広がる。これにより、現場の状況に応じて変形できる自由度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施の形態に係る日陰ネットの模式図である。
図2図1の日陰ネットの展張ロープ固定部の断面図である。
図3図1の日陰ネットの位置調節ロープ固定部の断面図である。
図4図1の日陰ネットの位置調節ロープ固定部の作用を示し、(a)は位置調節ロープが一方の展張ロープ側へ偏った状態の平面図、(b)は位置調節ロープがねじれた状態の平面図、(c)は(a)の状態の正面図、(d)は(b)の状態の正面図である。
図5図1の日陰ネットの使用状態を示す模式図である。
図6図1の日陰ネットの変形例を示す模式図である。
図7】従来の建築現場の日除け装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態に係る日陰ネットについて図を用いて説明する。
【0019】
図1は、本発明の実施の形態に係る日陰ネット1の模式図である。日陰ネット1は、主として、矩形のシート2、2本の展張ロープ4、1本の位置調節ロープ6から構成されている。シート2は織物製であって、素材には軽量の合成繊維が用いられている。この素材は、遮光率が大きいものが望ましい。この矩形のシート2の四辺のうち1組の対辺を構成する展張ロープ固定部2aにそれぞれ展張ロープ4が固定されている。この展張ロープ4は、後に詳しく述べるが、シート2の辺に沿って設けられたテープ8内に巻き込むようにして固定されている。また、展張ロープ4は、両端をシート2から延ばすように余長を設けて固定されている。この余長は、足場などの固定対象に接続するための接続部4aである。
【0020】
さらに、上記のテープ8上には、複数箇所にハトメ9が設けられている。このハトメ9を用いると、展張ロープ4を用いずにフックやロープ等の固定対象に固定することができる。
【0021】
一方、シート2のうち、2本の展張ロープ4の間の位置調節ロープ固定部2bには、位置調節ロープ6が固定されている。位置調節ロープ6も展張ロープ4と同様に、両端をシート2から延ばすように余長を設けて接続部6aが形成されている。
【0022】
なお、本実施の形態に係る構成では、シート2の略中央に位置調節ロープ固定部2bが設けられている。しかし、位置調節ロープ固定部2bは、シート2のうち、2本の展張ロープ4の間の中間領域2cであれば何れの位置に設けられていても構わない。例えば、非対称な環境で用いられる場合には、位置調節ロープ6が2本の展張ロープ4の何れか一方に偏ったタイプの日陰ネット1が選択される。このような位置調節ロープ6による位置の調節方法については、後に詳しく述べる。
【0023】
本実施の形態に係る日陰ネット1は、織物製のシート2を採用しているので、織物の目を通して風の一部を流すことができる。これにより、日陰ネット1の下方の熱を持ち去ることができるので、空冷効果によって気温の上昇を抑えることができる。また、シート2の目を通して日光の一部を透過させるので、適度な明るさが得られる。これにより、日陰ネット1の下方の視認性が向上する。
【0024】
図2は、展張ロープ固定部2aの断面図である。
【0025】
シート2の端縁が展張ロープ4を巻き込むように折り返され、さらに外側をテープ8で巻き込むように構成されている。折り返されたシート2の重なり部分とテープ8とを合わせて縫製することにより展張ロープ4が固定されている。上述のように、シート2は織物製であるため、展張ロープ4を完全に密着状態で巻き込まなくても、織物の目が展張ロープ4との間に摩擦を生じさせるので、固定状態が安定する。また、展張ロープ4に対しては、摩擦作用以外に縫製等の接合手段が用いられていないので、展張ロープ4に対する負荷の集中を防止できる。これにより、長年の使用によっても、展張ロープ4の劣化を抑えることができる。
【0026】
特に、日陰ネット1(図1参照)の展張時には、展張ロープ4に巻きつけられているシート2のうち、外側部分2dが展張ロープ4を中間領域2c側へ押し付けるような力が生じる。このような作用により、簡易な構成でありながら、使用時に強風に煽られた場合であっても、展張ロープ4に対するシート2のズレを防止することができる。
【0027】
本実施の形態に係る構成では、織物の目と展張ロープ4との間の摩擦を利用するとともに、外側からテープ8で巻き込むように補強されている。これにより、引っ張り強度が向上し、シート2の歪みを防止できる。テープ8の材質には、例えば、ポリエチレン製のテープが適している。
【0028】
図3は、位置調節ロープ固定部の断面図である。
【0029】
図3に見て取れるように、位置調節ロープ6は、シート2の中間領域2cによって袋綴じ状に綴じ込むようにして固定され、周りをテープ8で包むように補強されている。図2に示した展張ロープ4の固定と同様に、シート2同士で形成された重なり部分を縫製により結合された簡易な固定構造となっている。すなわち、位置調節ロープ6に対しても、摩擦作用以外に直接の縫製等の接合手段が用いられていないので、位置調節ロープ6への局所的な負荷の集中を防止でき、耐久性の向上を図ることができる。また、展張ロープ4及び位置調節ロープ6に共通して、シート2に対して縫製を行い、ロープ側にはシート2の接触以外に接合手段を用いないので、ロープの材質に影響されず加工が容易である。
【0030】
ところで、本実施の形態に係る構成では、シート2の中間領域2cの一部を利用して位置調節ロープ固定部2bが形成されている。そして、この位置調節ロープ固定部2bは、縫製により閉じられて位置調節ロープ6を収容する収容部2baを有している。また、位置調節ロープ固定部2bは、縫製により両端を閉じられて区画され、シート2同士を重ね合わせただけの離隔部2bbを有している。ここでは、シート2のうち、上述のような位置調節ロープ固定部2b以外の部分、すなわち、展張される面を展張面2Sとして便宜的に区別することにする。位置調節ロープ固定部2bのうち離隔部2bbは、シート2の展張面2Sから位置調節ロープ6を離隔するために設けられている。図3に示すように、離隔部2bbは、展張面2Sとの境界及び、収容部2baとの境界を縫製するだけの簡易な構成により形成されている。この位置調節ロープ固定部2bの機能については、次の図4を用いて詳しく述べる。
【0031】
図4は位置調節ロープ固定部2bの作用を示す図である。図4(a)は位置調節ロープ6が一方の展張ロープ4側へ偏って配置された状態の平面図、図4(b)は位置調節ロープ6がねじれ配置となった状態の平面図を示している。また、図4(c)は図4(a)の状態の正面図、図4(d)は図4(b)の正面図を示している。ここでは、説明の便宜のため、位置調節ロープ固定部2bを含むシート2、展張ロープ4、及び位置調節ロープ6のみを模式的に示しており、テープ8やハトメ9(図1参照)については図示を省略している。また、位置調節ロープ固定部2bについては、変形状態の形状が理解しやすいように斜線を施して表わしている。
【0032】
図4(a)の状態では、位置調節ロープ6は、展張ロープ4と略平行の姿勢を保ったまま、一方の展張ロープ4側(図4(a)では左側)に偏っている。これにより、斜線を施した位置調節ロープ固定部2bの側面が長方形に表れている。この状態における正面図を示した図4(c)に見て取れるように、位置調節ロープ固定部2bは一方の展張ロープ4側へ傾斜している。位置調節ロープ6は展張ロープ4と略平行な配置となっているので、余長部分の接続部6aは重なって見える。図4(a)、(c)では、図中の左側へ位置調節ロープ6が偏った状態を示しているが、同様に、右側に偏った配置も可能である。このように、本実施の形態に係る構成によれば、位置調節ロープ6の設置可能範囲が広くなる。
【0033】
一方、図4(b)の状態では、位置調節ロープ6は、展張ロープ4に対して傾いて配置されている。両端の接続部6aはそれぞれ逆の展張ロープ4側へ偏るように配置されている。よって、位置調節ロープ固定部2bはねじれており、平面視において2つの三角形と
して表れている。この状態における正面図を示した図4(d)に見て取れるように、位置調節ロープ6の余長側である接続部6aの配置は、それぞれ独立に広い範囲で選択可能である。
【0034】
上述のように、本実施の形態に係る日陰ネット1は、図4(c)、(d)に示すように、位置調節ロープ固定部2bが柔軟に変形できるので、シート2の展張面2Sに歪みなどの影響を与えることなく、固定対象を自由に選択することができる。
【0035】
なお、このような効果を十分に得るためには、図3に示すような位置調節ロープ6に直交する面で切断した断面において、離隔部2bbの長さが位置調節ロープ6の直径以上となるように位置調節ロープ固定部2bを構成するのが望ましい。すなわち、位置調節ロープ6は、シート2の展張面2bから位置調節ロープ6の直径以上の距離をおいて固定される構成が望ましい。
【0036】
図5は、図1の日陰ネット1の使用状態を示す模式図である。
【0037】
ここでは、一例として三角形の屋根50を有する建築物を示している。屋根50の工事においては、建築物を取り囲むように足場51が組まれる。この足場51を支える支柱52を利用して、日陰ネット1が固定される。図5では、展張ロープ4及び位置調節ロープ6の延びる方向に見た様子が示されている。展張ロープ4及び位置調節ロープ6は共に丸印で模式的に表されている。
【0038】
図5の使用状態では、屋根50の形状に合わせて位置調節ロープ6を展張ロープ4よりも高い位置に持ち上げて調節を行っている。これにより、作業空間を圧迫することなく、安全に作業することが可能である。
【0039】
図5では、作業対象である屋根50の形状に合わせて位置調節ロープ6を持ち上げるように調節する例を示した。しかし、このような使用例に限らず、壁面に使用する場合には位置調節ロープ6を展張ロープ4と同一平面内に配置されるように設定し、中間領域2c(図1参照)のたるみを防止することもできる。また、位置調節ロープ6を中心にして一方の展張ロープ4だけを折り返して上下に設定することも可能である。このように、本実施の形態に係る構成によれば、環境に応じて自由にシート2の面を変形できる。
【0040】
図6は、図1の日陰ネット1の変形例を示す模式図である。ここでは、図1と同一の構成については、同一の符号を付して説明を行う。
【0041】
図1の構成とは異なり、図6の展張ロープ4には、両端の接続部4aにゴム紐10(伸縮部材)が含まれる。これにより、足場などに固定される接続部4aにおいて張力方向への力を吸収することができるので、柔軟性が向上する。
【0042】
例えば、図5に示したような使用状態において、さらに位置調節ロープ6を持ち上げる必要が生じた場合など、展張ロープ4の接続部4aを緩めることなく、ゴム紐10の伸長機能を利用して位置を変更することができる。逆に、位置調節ロープ6の高さ位置を下げる必要が生じた場合にも、ゴム紐10の収縮機能を利用して柔軟に位置変更を行うことができる。
【0043】
このように構成されていると、位置調節ロープ6だけを動かして、日照状態の変化や、風向きの変化などに対応させることが可能である。
【0044】
以上に述べてきたような構成は本発明の一例であり、さらに以下のような変形例も含ま
れる。
【0045】
(1)上記の実施の形態では、位置調節ロープ6が展張ロープ4に対して平行に配置される構成を例として示した。しかし、2本の展張ロープ4と交差しないようにシート2の中間領域2cに配置される構成であれば、位置調節ロープ6は展張ロープ4に対して平行でなくても構わない。
【0046】
(2)上記の実施の形態では、位置調節ロープ6はシート2に1本だけ配置された構成を例として示した。しかし、位置調節ロープ6は互いに交差しない配置であれば複数本形成されていても構わない。位置調節ロープ6の本数が増えれば、複雑な形状の対象物に対しても柔軟に変形して適合させることが可能である。
【0047】
(3)上記の実施の形態では、展張ロープ4及び位置調節ロープ6のうち、シート2に対して余長分として形成された接続部4a、6aは、紐状に形成されている構成を例として示した。しかし、これら接続部4a、6aの端部にフックやリング等の接続手段が含まれる構成も本発明に含まれる。
【0048】
(4)上記の実施の形態では、展張ロープ4の余長部分の接続部4aの全てにゴム紐10のような伸縮部材が含まれる構成を例として示した。しかし、全てに伸縮部材が含まれる必要はなく、少なくとも1箇所に用いられていれば、位置調節ロープ6の位置調節に対して柔軟に追従させることができる。
【0049】
(5)上記の実施の形態では、位置調節ロープ固定部2bは、シート2の中間領域2cの一部を折り返して形成された構成を例として示した。しかし、別部材を用いて中間領域2cに結合させるような構成であっても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明の日陰ネットは、矩形のシートに2本の展張ロープと位置調節ロープとを組み合わせたシンプルな構成であり、取り回しや収納が容易なので、工事現場に限らず一般家庭における日除けにも有用である。
【符号の説明】
【0051】
1 日陰ネット
2 シート
2a 展張ロープ固定部(1組の対辺)
2b 位置調節ロープ固定部
2ba 収容部
2bb 離隔部
2c 中間領域
2d 外側部分
2S 展張面
4 展張ロープ
4a 接続部
6 位置調節ロープ
6a 接続部
8 テープ
9 ハトメ
10 ゴム紐(伸縮部材)
50 屋根
51 足場
52 支柱
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7