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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023135183
(43)【公開日】2023-09-28
(54)【発明の名称】送風機、送風機付衣服
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/054 20060101AFI20230921BHJP
   F04D 29/34 20060101ALI20230921BHJP
   A41D 13/002 20060101ALI20230921BHJP
   A41D 13/005 20060101ALI20230921BHJP
   A41D 1/00 20180101ALI20230921BHJP
【FI】
F04D29/054
F04D29/34 J
F04D29/34 N
A41D13/002 105
A41D13/005 103
A41D1/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022040256
(22)【出願日】2022-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】516311674
【氏名又は名称】株式会社チロル
(74)【代理人】
【識別番号】100127764
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 泰州
(72)【発明者】
【氏名】穐吉 俊行
【テーマコード(参考)】
3B011
3B030
3H130
【Fターム(参考)】
3B011AA01
3B011AB01
3B011AC02
3B011AC18
3B030AA03
3B030AB08
3B030AB12
3H130AA13
3H130AB06
3H130AB26
3H130AB52
3H130AC26
3H130BA24C
3H130BA91C
3H130BA95C
3H130CB07
3H130DA02X
3H130DA02Z
3H130DD01Z
3H130DJ06X
3H130EA04C
3H130EA04D
(57)【要約】
【課題】本発明は、羽根車をモータに対して取り付ける際に実行されるネジの締め付けに対する耐久性が向上された新規な送風機、及び前記送風機を備えた送風機付衣服を提供することを目的とする。
【解決手段】 衣服本体(W)内に外気を送り込むための送風機1において、モータ2と羽根車3との連結につき、前記モータ2の回転軸21に取り付けられた雄部材5と前記羽根車3のボス31の中心部を貫通して設けられた雌部33との嵌合、並びに、前記雄部材5の端面に設けられた雄ネジ部(若しくは雌ネジ)52に対するネジ6の螺合によってなされ、 前記ボス31の表面と前記雄部材5の端面とが形成する面一の平坦面に前記ネジ6の座面を面接触させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータと、前記モータの回転軸に連結された羽根車と、前記モータ及び前記羽根車の周囲を囲うガードと、を具備してなり、衣服本体に取り付けられて前記衣服本体内に外気を送り込むための送風機であって、
前記モータと前記羽根車との連結が、前記モータの回転軸に取り付けられた雄部材と前記羽根車のボスの中心部を貫通して設けられた雌部との嵌合、並びに、前記雄部材の端面に設けられた雌ネジ部又は雄ネジ部に対するネジの螺合によってなされ、
前記ボスの表面と前記雄部材の端面とが面一の平坦面を形成してなり、前記平坦面と前記ネジの座面とが面接触してなることを特徴とする送風機。
【請求項2】
請求項1に記載の送風機において、
前記モータと前記羽根車との連結時、前記雄部材に設けられた突起と前記ボスの裏側に設けられた有底の受部とが嵌合する仕組みとなされた送風機。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の送風機が衣服本体に取り付けられたことを特徴とする送風機付衣服。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は衣服本体に取り付けられて前記衣服本体内に外気を送り込むための送風機、及び、前記送風機を備えた送風機付衣服に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、作業服等の衣服(以下、「衣服本体」と称する。)内に外気を供給することによって、前記衣服本体内を冷却する送風機付衣服(冷却衣服)が実用化されている(例えば、下記特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019‐214948号公報
【特許文献2】登録実用新案第3228173号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の送風機付衣服は、衣服本体の適宜箇所に開けられた穴に送風機を装着し、前記送風機を介して衣服本体内に外気を送り込む仕組みとなされている。そして、前記送風機としては、複数枚の羽根を有する羽根車(ファン)をモータ駆動によって回転させるものが一般的であり、安全のために前記羽根車(及びモータ)の周囲がガードにて囲まれた構造となされている。
【0005】
そして、前記送風機付衣服は、前記羽根車の回転によって発生させた空気の流れを、前記ガードを通じて衣服本体内に供給するものであることから、外気中に含まれる埃を前記ガード内に貯めやすいものであった。そのため、前記送風機付衣服を一定期間使用した後には、前記送風機における前記ガード内の誇りを取り除くメンテナンス作業が必要となる。
【0006】
この点につき前記特許文献1に開示された送風機(衣服内冷却用送風機)では、図7に示すように、モータ2の回転軸21に取り付けられた雄部材5と羽根車3のボス31の裏面に設けられた雌部(収容室)35との嵌合、並びに、前記ボス31の中央を貫通する貫通孔36を通じて前記雄部材5と螺合させたネジ6によって前記モータ2と前記羽根車3とが連結される手段を提案している。
【0007】
又、前記特許文献2に開示された送風機(衣服内冷却用送風機)では、図8に示すように、モータ2の回転軸21に取り付けられた雄部材(雄ネジ部)5と羽根車3のボス31の中央部に設けられた雌部(挿通孔)33との嵌合、並びに、前記雄部材5に螺合させたネジ6によって前記モータ2と前記羽根車3とが連結される手段を提案している。
【0008】
即ち、これらの連結手段を採用すれば、羽根車3をモータ2から容易に取り外すことができるようになり、前記羽根車3の羽根32の裏側に付着した埃を取り除くことも容易になる。
【0009】
しかしながら、前記特許文献1に開示されたモータ2と羽根車3との連結手段では、前記ボス31が前記雄部材5と前記ネジ6の座面によって挟まれるため、前記ネジ6の過剰な締め付けによって破損が生じる場合がある。
【0010】
又、前記特許文献1に開示されたモータ2と羽根車3との連結手段においても、前記ネジ6の過剰な締め付けによって、前記雌部33の外周縁に沿って設けられた補強部30に破損が生じる場合がある。
【0011】
本発明は前記技術的課題に鑑みて開発されたものであり、羽根車をモータに対して取り付ける際に実行されるネジの締め付けに対する耐久性が向上された新規な送風機、及び前記送風機を備えた送風機付衣服を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記技術的課題を解決する本発明の送風機は、モータと、前記モータの回転軸に連結された羽根車と、前記モータ及び前記羽根車の周囲を囲うガードと、を具備してなり、衣服本体に取り付けられて前記衣服本体内に外気を送り込むための送風機であって、前記モータと前記羽根車との連結が、前記モータの回転軸に取り付けられた雄部材と前記羽根車のボスの中心部を貫通して設けられた雌部との嵌合、並びに、前記雄部材の端面に設けられた雌ネジ部又は雄ネジ部に対するネジの螺合によってなされ、前記ボスの表面と前記雄部材の端面とが面一の平坦面を形成してなり、前記平坦面と前記ネジの座面とが面接触してなることを特徴とする(以下、「本発明送風機」と称する。)。
【0013】
前記本発明送風機においては、前記モータと前記羽根車との連結時、前記雄部材に設けられた突起と前記ボスの裏側に設けられた有底の受部とが嵌合する仕組みとなされたものが好ましい態様となる。
【0014】
前記技術的課題を解決する本発明の送風機付衣服は、前記本発明送風機が衣服本体に取り付けられたことを特徴とする(以下、「本発明衣服」と称する。)。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、羽根車をモータに対して取り付ける際に行われるネジの締め付けに対する耐久性が向上される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本発明送風機の一実施形態を示す斜視図(a)と、断面状態で示すと共に一部拡大して示す側面図(b)である。
図2図2は、前記本発明送風機の羽根車を正面側から示す斜視図(a)と、前記羽根車を裏面側から示すと共に一部拡大して示す斜視図(b)である。
図3図3は、前記本発明送風機の雄部材を正面側から示す斜視図(a)と、前記雄部材を裏面側から示す斜視図(b)と、前記雄部材をモータに連結した状態を示す斜視図である。
図4図4は、前記本発明送風機のネジを正面側から示す斜視図(a)と、前記ネジを裏面側から示す斜視図(b)である。
図5図5は、前記モータと前記羽根車の連結を示す分解斜視図である。
図6図6は、前記本発明送風機が取り付けられた本発明衣服の一実施例を示す正面図である。
図7図7は、従来のモータと羽根車との連結手段を示す分解斜視図である。
図8図8は、従来のモータと羽根車との他の連結手段を一部拡大して示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照しながら説明するが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。
【0018】
<本発明送風機1>
図1に、本発明送風機1の一実施形態を示す。前記本発明送風機1は、「モータ(2)」と、前記モータ2の回転軸21に連結された「羽根車(3)」と、前記モータ2及び前記羽根車3の周囲を囲う「ガード(4)」と、を具備する。
【0019】
‐モータ2‐
前記モータ2は、ローレンツ力(磁場と電流の相互作用)によって発生する力を利用して回転運動を出力する機械要素を意味する。本実施形態においては、前記モータ2として、コネクタ(C)に接続されたケーブル(図示せず)介して供給される電力により回転軸21を回転させる仕組みのもの(市販の模型用電動モータ)を用いた。なお、前記モータ2の回転軸21の先端には、後述する「雄部材(5)」が取り付けられている。
【0020】
‐羽根車3‐
図2に示すように、前記羽根車3は、ボス31と、前記ボス31の周囲に設けられた複数枚の羽根32と、を具備する。前記ボス31は前記羽根車3の回転中心をなす部材であり、前記羽根32は前記ボス31の回転に伴って回転し、一定方向に向かう空気の流れを発生させる役割を担う。本実施形態においては前記羽根車3として、前記ボス31を中心として放射状に配された七枚の烏帽子型の羽根32を具備してなる七枚羽根ロータを用いた。前記羽根車3には、前記ボス31の中心部を貫通する雌部33が更に設けられている。本実施形態においては、前記ボス31の中心部に略六角形の貫通孔を設けることによって前記雌部33を設けた。又、前記ボス31の裏側には、前記雌部33の対角二箇所から外側に向かって溝を形成することによって有底の受部34が設けられている。前記受部34は有底であることから、前記ボス31の表面側からは確認することができない。
【0021】
‐ガード4‐
前記ガード4は、前記モータ2及び前記羽根車3の周囲を囲うことによって、前記本発明送風機1の使用中の安全性を確保するものである。又、前記ガード4は前記羽根車3の回転によって発生させた空気の流れを通過させ得る構造をなす必要があることから、少なくとも前記羽根車3の羽根32の表裏面に臨む部分には、メッシュ状、網状、或いは格子状などの開き目が設けられる。本実施形態においては、前記ガード4につき、ドーム状のガード本体41、及び、前記ガード本体41の開口部分を覆うガード蓋42の二部材とし、前記ガード本体41と前記ガード蓋42とを螺合させることによって、前記モータ2及び前記羽根車3の周囲を囲う空間が形成される構造とした。なお、前記モータ2は、前記ガード本体41の中央に固定されている。
【0022】
‐雄部材5‐
図3に示すように、前記雄部材5は前記モータ2の回転軸21に取り付けられる。本実施形態においては、前記雄部材5として円盤状の座部50上に六角柱状の雄部材本体51が一体的に設けられてなり、更に、前記雄部材本体51の中心に雄ネジ部52が立設されたものを用いた。なお、前記雄部材本体51の端面形状は前記羽根車3に設けられた雌部33に嵌合し得る寸法となされており、又、前記雄部材本体51の高さは、前記羽根車3のボス31の厚みと同じ寸法となされている。更に、本実施形態における前記雄部材5には、前記雄部材本体51の対角箇所から外側に向かう柱状の爪を設けることによって突起53が設けられている。前記モータ2に対する前記雄部材5の固定は、前記雄部材5の中心軸に沿って設けられた貫通孔54に前記モータ2の回転軸21を押し込むことによってなされる。
【0023】
そして、前記本発明送風機1において前記モータ2と前記羽根車3との連結は、前記雄部材5と前記雌部33との嵌合、並びに、前記雄部材5の端面に設けられた雄ネジ部52に対する「ネジ(6)」の螺合によってなされる。
【0024】
‐ネジ6‐
前記ネジ6は、前記雄部材5と前記雌部33との嵌合状態を維持する役割を担う。図4に示すように、本実施形態においては前記ネジ6として、平坦な座面60の中央に前記雄部材5に設けた雄ネジ部52と螺合し得る雌ネジ部61を有してなるローレットネジを用いた。
【0025】
前記構成を有する本発明送風機1を構築するにあたっては、まず図5に示すように、前記モータ2の回転軸21に取り付けられた前記雄部材5を前記羽根車3のボス31に設けられた雌部33に嵌合させる(本実施形態においては、更に、前記雄部材5に設けられた突起53を前記ボス31の裏側に設けられた受部34に嵌合させる。)。この状態で前記ネジ6を前記雄ネジ部52に締結すれば、前記雄部材5と前記雌部33との嵌合状態が維持されて前記モータ2と前記羽根車3とが連結する。最後に、前記モータ2が固定されている前記ガード本体41に前記ガード蓋42を螺合させれば、前記モータ2及び前記羽根車3の周囲を囲う空間が形成され、もって前記本発明送風機1が構築される。
【0026】
そして、前記本発明送風機1では、前記モータ2と前記羽根車3との連結の際、前記ボス31の表面と前記雄部材5の端面とが面一の平坦面を形成するように前記雄部材本体51の高さ寸法を設定しているから、前記ネジ6を締結した際、前記平坦面と前記ネジ6の座面60とが面接触する(図1(b)の拡大図参照)。
【0027】
これより、前記羽根車3を前記モータ2に対して取り付ける際に行われる前記ネジ6の締め付けに対する耐久性が向上される。
【0028】
又、本実施形態に係る前記本発明送風機1では、前記モータ2と前記羽根車3との連結につき、前記雄部材5と前記雌部33との嵌合のみならず、前記雄部材5に設けられた突起53と前記ボス31の裏側に設けられた有底の受部34との嵌合によってなされているから、前記羽根車3を裏返しの状態で前記モータ2に取り付けることができない。これより、前記羽根車3を前記モータ2に対して正しく取り付けることができる。
【0029】
ところで、本実施形態においては、前記雄部材5を六角柱状とする一方で、前記雌部33につき前記雄部材5を嵌合し得る形状としたが、前記雄部材5及び前記雌部33の形状は特に限定されない。又、前記雄部材5及び前記雌部33の形状をそろえる必要もない。要は、前記雌部33及び前記雄部材5につき、両者を嵌合させれば、前記モータ2の回転軸21と前記羽根車3の回転中心が同一直線状に並ぶような関係とすれば良い。更に、前記突起53や前記受部34についても本発明の必須構成要件ではない。
【0030】
加えて、本実施形態においては、前記雄部材5に雄ネジ部52が設けられていたため、前記ネジ6につき雌ネジ部61が設けられたものを用いたが、前記雄部材5に雌ネジを設け、前記ネジ6として雄ネジが設けられたものを用いても良い。
【0031】
<本発明衣服10>
図6に、前記本発明送風機1を備えた本発明衣服10を示す。前記本発明衣服10は、前記本発明送風機1が衣服本体(W)に取り付けられたものである。前記本発明衣服10は、前記本発明送風機1によって前記衣服本体(W)の外部から内部に向かう空気の流れを発生させることによって、外気を前記衣服本体(W)内に送り込み、もって、前記衣服本体(W)内を冷却するものである。本実施形態においては、前記衣服本体(W)の複数個所(二箇所)に穴をあけ、各穴に前記本発明送風機1を取り付けることによって前記本発明衣服10を構築した。なお、各本発明送風機1を駆動させるための電力については、バッテリー(B)に蓄電された電力がケーブル(L)を通じて供給される仕組みとなされている。
【0032】
なお、本発明は、その精神又は主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形態で実施することができる。そのため、上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には何ら拘束されない。更に、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、すべて本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明は、外気を衣服本体内に供給することによって、前記衣服本体内を冷却する手段として好適に利用される。
【符号の説明】
【0034】
1 本発明送風機(送風機)
2 モータ
21 回転軸
3 羽根車
31 ボス
32 羽根
33 雌部
34 受部
4 ガード
5 雄部材
50 座部
51 雄部材本体
52 雄ネジ部
53 突起
54 貫通孔
6 ネジ
60 座面
61 雌ネジ部
10 本発明衣服(送風機付衣服)

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2022-03-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0005】
そして、前記送風機付衣服は、前記羽根車の回転によって発生させた空気の流れを、前記ガードを通じて衣服本体内に供給するものであることから、外気中に含まれる埃を前記ガード内に貯めやすいものであった。そのため、前記送風機付衣服を一定期間使用した後には、前記送風機における前記ガード内の埃を取り除くメンテナンス作業が必要となる。