(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023135231
(43)【公開日】2023-09-28
(54)【発明の名称】帳票処理装置、および帳票処理装置における帳票処理方法
(51)【国際特許分類】
B65H 35/04 20060101AFI20230921BHJP
B41J 11/70 20060101ALI20230921BHJP
G07D 11/60 20190101ALI20230921BHJP
【FI】
B65H35/04
B41J11/70
G07D11/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022040335
(22)【出願日】2022-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000001432
【氏名又は名称】グローリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】弁理士法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木村 昭彦
(72)【発明者】
【氏名】池澤 正浩
【テーマコード(参考)】
2C058
3E141
【Fターム(参考)】
2C058AB12
2C058AC04
2C058AD09
2C058AE02
2C058AE12
2C058AF04
2C058AF15
2C058AF51
2C058LA03
2C058LA25
2C058LA36
2C058LB09
2C058LB17
2C058LC06
3E141AA06
3E141FD01
3E141FK04
3E141GA10
3E141LA72
(57)【要約】
【課題】ミシン目が形成されている帳票およびミシン目が形成されていない帳票の両方について良好な切断を実現できる帳票処理装置および帳票処理方法を提供する。
【解決手段】帳票処理装置1では、取込排出口8に投入された帳票の切断位置にミシン目が有るか否かが判別される。取込排出口8に投入された帳票にミシン目があると判別された場合に、切断部材37を切断位置で切断する第1切断処理が実行される。一方、帳票にミシン目がないと判別された場合に、第1切断処理の切断時よりも大きな張力を切断位置に強制的に付与する態様で切断部材37を切断位置に押し付けて帳票Fを切断する第2切断処理が実行される。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
帳票が投入される投入部と、
前記帳票を切断するための切断部材と、
前記投入部に投入された前記帳票の切断位置にミシン目が形成されているか否かを判別し、かつ前記切断位置で前記帳票を切断する切断処理を実行する制御部とを含み、
前記制御部は、前記投入部に投入された前記帳票にミシン目が形成されていると判別された場合に第1切断処理を実行し、前記帳票にミシン目が形成されていないと判別された場合に、前記第1切断処理と異なる態様で前記帳票を切断する第2切断処理を実行する、帳票処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第2切断処理において、前記第1切断処理の切断時よりも大きな張力を前記切断位置に強制的に付与する張力付与処理を実行し、当該強制的な張力が付与された状態で前記帳票を切断する、請求項1に記載の帳票処理装置。
【請求項3】
前記帳票を押圧して前記帳票の前記切断位置に張力を付与するための押圧部材を含み、
前記制御部が、前記第2切断処理において、前記押圧部材を前記帳票に押圧して前記帳票の前記切断位置に張力を付与し、かつ前記押圧部材の押圧によって張力が付与された状態の前記帳票の前記切断位置に前記切断部材を押し付けて前記帳票を切断する、請求項2に記載の帳票処理装置。
【請求項4】
前記帳票に対する前記押圧部材の押圧方向が、前記帳票に対する前記切断部材の押し付け方向と同じ向きである、請求項3に記載の帳票処理装置。
【請求項5】
前記帳票に対する前記押圧部材の押圧方向が、前記帳票に対する前記切断部材の押し付け方向と逆向きである、請求項3に記載の帳票処理装置。
【請求項6】
前記帳票に対し、前記切断部材と反対側に配置されたV字状ガイドであって、前記切断部材の刃渡り方向に沿って延びるV字状面と、前記V字状面の底部に形成されて前記切断部材の刃渡り方向に沿って延びる開口とを有するV字状ガイドをさらに含み、
前記制御部が、前記第2切断処理において、前記切断位置が前記開口に対向している状態で前記切断部材によって前記帳票を前記V字状面に押し付けることにより前記強制的な張力を前記帳票に付与し、その状態から前記切断部材をさらに前記開口に押し入れることにより、前記帳票を切断する、請求項2に記載の帳票処理装置。
【請求項7】
前記切断部材が、第1切断部材と、前記第1切断部材よりも刃先が鋭い第2切断部材とを含み、
前記制御部が、前記第1切断処理において、前記第1切断部材を前記帳票に押し付けてミシン目に沿って当該帳票を切断し、前記第2切断処理において、前記第2切断部材を前記帳票に押し付けて当該帳票を切断する、請求項1に記載の帳票処理装置。
【請求項8】
前記制御部が、前記投入部に投入された前記帳票の種類を特定し、特定した前記帳票の種類に応じて、前記切断位置にミシン目が形成されているか否かを判別する、請求項1~7のいずれか一項に記載の帳票処理装置。
【請求項9】
前記帳票が切断されたか否かを検知するための検知部をさらに含み、
前記制御部が、前記第1切断処理によって前記帳票を切断できなかった場合に、前記第2切断処理を実行して当該帳票を切断する、請求項1~8のいずれか一項に記載の帳票処理装置。
【請求項10】
前記検知部が、前記帳票が切断されたか否かを、前記切断部材に加わる荷重の大きさに基づいて検知する、請求項9に記載の帳票処理装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記帳票にミシン目が形成されているか否かを判別できなかった場合、前記第1切断処理および前記第2切断処理のうち予め定める一方を実行する、請求項1~10のいずれか一項に記載の帳票処理装置。
【請求項12】
前記制御部は、前記帳票にミシン目が形成されているか否かを判別できなかった場合、前記帳票を切断しない、請求項1~10のいずれか一項に記載の帳票処理装置。
【請求項13】
帳票が投入される投入部を含む帳票処理装置における帳票処理方法であって、
前記投入部に投入された前記帳票の切断位置にミシン目が形成されているか否かを判別するミシン目形成判別ステップと、
前記帳票にミシン目が形成されていると判別された場合に、前記切断位置で前記帳票を切断する第1切断ステップと、
前記帳票にミシン目が形成されていないと判別された場合に、前記第1切断ステップと異なる態様で前記切断位置で前記帳票を切断する第2切断ステップとを含む、帳票処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帳票処理装置と、帳票処理装置における帳票処理方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、金融機関に設置されて税金や公共料金等の料金の払込取引を自動的に行う帳票処理装置が開示されている。帳票処理装置が取り扱う帳票は、帳票の長手方向に並ぶ領収書および控えによって構成される。領収書と控えとは、その境界線に形成されたミシン目において分離可能である。利用者が帳票を帳票処理装置の取込排出口に挿入すると、帳票に印刷された金額が読み取られて帳票処理装置の表示操作部に表示される。表示操作部に表示された金額を見た利用者が現金等を投入することによって決済が完了すると、帳票処理装置内では、帳票に領収印が記入される。また、切断部材によって、帳票がミシン目において切断される。切断された帳票のうち、控えは、帳票処理装置内に回収され、領収書は、取込排出口から排出されて利用者に返却される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
金融機関で扱われる帳票には、領収書と控えとの境界線にミシン目が形成されている帳票と、領収書と控えとの境界線にミシン目が形成されていない帳票とがある。しかし、特許文献1に記載の帳票処理装置は、ミシン目が形成されている帳票のみを扱うことを予定した装置であり、ミシン目が形成されている帳票を切断することを予定していない。そのため、特許文献1に記載の帳票処理装置を用いて帳票を処理すると、そもそも帳票を切断できなかったり、帳票を切断できてもその切断面が粗かったりするおそれがある。つまり、前記の帳票処理装置では、ミシン目が形成されていない帳票を綺麗に切断できないおそれがある。
【0005】
一方、特許文献1に記載の帳票処理装置において切断部材の刃先を鋭くすれば、ミシン目が形成されていない帳票を綺麗に切断できると考えられる。しかし、このような帳票処理装置だと、ミシン目が形成された帳票を処理する場合に次のような問題が生じる。すなわち、切断処理において境界線からずれた位置に切断部材の刃先が当接することで、そのずれた位置において帳票が切断される。そして、その位置だけでなく、切断部材の刃先と帳票との当接によって生じる引っ張り力のために、ミシン目においても帳票が切断される。これら2つの位置で帳票が切断される結果、細長い切断片(ゴミ)が発生するおそれがある。つまり、特許文献1に記載の帳票処理装置において切断部材の刃先を鋭くする手法では、ミシン目が形成された帳票を良好に切断できないおそれがある。
【0006】
そのため、ミシン目が形成されている帳票および切断位置にミシン目が形成されていない帳票の両方を良好に切断することが望まれている。
【0007】
本発明は、ミシン目が形成されている帳票およびミシン目が形成されていない帳票の両方を良好に切断できる帳票処理装置および帳票処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、帳票が投入される投入部と、前記帳票を切断するための切断部材と、前記投入部に投入された前記帳票の切断位置にミシン目が形成されているか否かを判別し、かつ前記切断位置で前記帳票を切断する切断処理を実行する制御部とを含み、前記制御部は、前記投入部に投入された前記帳票にミシン目が形成されていると判別された場合に第1切断処理を実行し、前記帳票にミシン目が形成されていないと判別された場合に、前記第1切断処理と異なる態様で前記帳票を切断する第2切断処理を実行する、帳票処理装置を提供する。
【0009】
また、本発明の一実施形態では、前記制御部は、前記第2切断処理において、前記第1切断処理の切断時よりも大きな張力を前記切断位置に強制的に付与する張力付与処理を実行し、当該強制的な張力が付与された状態で前記帳票を切断する。
【0010】
また、本発明の一実施形態では、前記帳票処理装置が、前記帳票を押圧して前記帳票の前記切断位置に張力を付与するための押圧部材をさらに含む。そして、前記制御部が、前記第2切断処理において、前記押圧部材を前記帳票に押圧して前記帳票の前記切断位置に張力を付与し、かつ前記押圧部材の押圧によって張力が付与された状態の前記帳票の前記切断位置に前記切断部材を押し付けて前記帳票を切断する。
【0011】
前記帳票に対する前記押圧部材の押圧方向が、前記帳票に対する前記切断部材の押し付け方向と同じ向きであってもよい。
【0012】
また、前記帳票に対する前記押圧部材の押圧方向が、前記帳票に対する前記切断部材の押し付け方向と反対であってもよい。
【0013】
また、本発明の一実施形態では、前記帳票処理装置が、前記帳票に対し、前記切断部材と反対側に配置されたV字状ガイドであって、前記切断部材の刃渡り方向に沿って延びるV字状面と、前記V字状面の底部に形成されて前記切断部材の刃渡り方向に沿って延びる開口とを有するV字状ガイドをさらに含む。そして、前記制御部が、前記第2切断処理において、前記切断位置が前記開口に対向している状態で前記切断部材によって前記帳票を前記V字状面に押し付けることにより前記強制的な張力を前記帳票に付与し、その状態から前記切断部材をさらに前記開口に押し入れることにより、前記帳票を切断する。
【0014】
また、本発明の一実施形態では、前記切断部材が、第1切断部材と、前記第1切断部材よりも刃先が鋭い第2切断部材とを含む。そして、前記制御部が、前記第1切断処理において、前記第1切断部材を前記帳票に押し付けてミシン目に沿って当該帳票を切断し、前記第2切断処理において、前記第2切断部材を前記帳票に押し付けて当該帳票を切断する。
【0015】
また、本発明の一実施形態では、前記制御部が、前記投入部に投入された前記帳票の種類を特定し、特定した前記帳票の種類に応じて、前記切断位置にミシン目が形成されているか否かを判別する。
【0016】
また、本発明の一実施形態では、前記帳票処理装置が、前記帳票が切断されたか否かを検知するための検知部をさらに含む。そして、前記制御部は、前記第1切断処理によって前記帳票を切断できなかった場合に、前記第2切断処理を実行して当該帳票を切断する。
【0017】
また、本発明の一実施形態では、前記検知部が、前記帳票が切断されたか否かを、前記切断部材に加わる荷重の大きさに基づいて検知する。
【0018】
また、本発明の一実施形態では、前記制御部は、前記帳票にミシン目が形成されているか否かを判別できなかった場合、前記第1切断処理および前記第2切断処理のうち予め定める一方を実行する。
【0019】
また、本発明の一実施形態では、前記制御部は、前記帳票にミシン目が形成されているか否かを判別できなかった場合、前記帳票を切断しない。
【0020】
本発明は、取込口から取り込んだ帳票の切断位置にミシン目が形成されているか否かを判別するミシン目形成判別ステップと、前記帳票にミシン目が形成されていると判別された場合に、前記切断位置で前記帳票を切断する第1切断ステップと、前記帳票にミシン目が形成されていないと判別された場合に、前記第1切断ステップと異なる態様で前記切断位置で前記帳票を切断する第2切断ステップとを含む、帳票処理方法を提供する。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、ミシン目が形成されている帳票およびミシン目が形成されていない帳票の両方を良好に切断できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の一実施形態において用いられる帳票の一例を示す模式図である。
【
図2】領収印等の記入後に分離された状態における前記帳票を示す模式図である。
【
図3A】本発明の一実施形態において用いられる帳票の他の例を示す模式図である。
【
図3B】領収印等の記入後に分離された状態における前記帳票を示す模式図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る帳票処理装置の斜視図である。
【
図5】前記帳票処理装置の内部構造を示す模式的な側面図である。
【
図6】前記帳票処理装置の電気的構成を示すブロック図である。
【
図7】
図6に示す記憶部に記憶されている帳票種類データベースの内容を示す図である。
【
図8】前記帳票処理装置において行われる帳票の取引の流れを示すフローチャートである。
【
図10】
図9に示す切断部材および押圧部材を説明するための模式図である。
【
図11】
図8に示す切断処理の流れを示すフローチャートである。
【
図12】
図11に示す第1切断処理の動作を説明するための模式図である。
【
図13】
図11に示す第2切断処理の動作を説明するための模式図である。
【
図14】他の例の第2切断処理の動作を説明するための模式図である。
【
図15】第1変形例に係る切断部を示す模式図である。
【
図16】第1変形例に係る切断部を用いて実行される第2切断処理の動作を説明するための模式図である。
【
図17】第2変形例に係る切断部を示す模式図である。
【
図18】
図17に示す第1切断部材および第2切断部材を説明するための模式図である。
【
図19】第2変形例に係る切断部を用いて実行される第2切断処理の動作を説明するための模式図である。
【
図20】本発明の一実施形態の第3変形例に係る切断処理の流れを示すフローチャートである。
【
図21】本発明の一実施形態の第4変形例に係る切断処理の流れを示すフローチャートである。
【
図22】本発明の一実施形態の第5変形例に係る切断処理の流れを示すフローチャートである。
【
図23】ミシン目形成ローラを説明するための図である。
【
図24】
図5に示す第1搬送路における取込排出口の周囲の部分の構成を説明するための平面図である。
【
図25】前記第1搬送路における対向領域を右側から見た模式的な図である。
【
図26】前記対向領域を上側から見た模式的な図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下では、本発明の一実施形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1および
図2は、本発明の一実施形態において用いられる帳票Fの一例を示す模式図である。
図3Aおよび
図3Bは、帳票Fの他の例を示す模式図である。帳票Fは、行政機関や販売業者等が発行元として発行する納付書または払込票等である。帳票Fは、税金や公共料金等の料金を納付すべき利用者に郵送等によって届けられたり、納付書または払込票等の電子ファイルを利用者がプリントアウトしたりすることにより、利用者が手元に有するようになる。この帳票Fが、料金の納付のために利用者によって銀行等の金融機関に持ち込まれる。
【0024】
帳票Fの全体は、たとえば長方形状に形成された用紙または紙片である。帳票Fでは、料金の納付後に利用者に返却される領収書F1と、控えF2とが、帳票Fの長手方向LDに並んで配置されている。本実施形態における控えF2は、料金の納付後に金融機関等において保管される納入書F2Aと、料金の納付後に帳票Fの発行元に送付される納入通知書F2Bとを含む。
【0025】
領収書F1、納入書F2Aおよび納入通知書F2Bのそれぞれの表面FAには、それぞれのタイトルTと、納付すべき料金の額つまり納付額等に関する情報Jと、納付額以外の金額が後から記入される記入欄Kと、枠状の押印欄Rとが予め印刷されている。領収書F1において、情報Jは、納付額に関する納付額情報J1と、納付期限の情報J2とを少なくとも含む。図示していないが、情報Jは、利用者の個人情報(氏名や電話番号等)と、個々の帳票Fを特定するための識別情報とをさらに含んでもよい。さらに、情報Jには、文字や数字に限らず、バーコード等のコードJ3が含まれてもよい。コードJ3は、納入通知書F2Bだけに表示されてもよい。
【0026】
記入欄Kは、納付期限が徒過しているときに納付額以外に納付すべき延滞金の金額が記入される延滞金記入欄K1と、利用者が行政機関等によって納付を督促された場合に納付額以外に納付すべき督促料の金額が記入される督促料記入欄K2と、納付額と延滞金と督促料との合計である請求金額が記入される請求金額記入欄K3とを含む。
【0027】
利用者に届いた時点あるいは利用者がプリントアウトした時点における帳票Fは、
図1および
図3Aに示すように、領収書F1と控えF2とが一体化された状態にある。帳票Fには、領収書F1と控えF2との境界線L1(破線参照)が設けられている。控え2Fには、納入書F2Aと納入通知書F2Bとの境界線L2(一点鎖線参照)が設けられている。境界線L1および境界線L2のそれぞれは、帳票Fにおいて長手方向LDと直交する短手方向SDに沿って直線状に延びて、帳票Fを横切っている。
【0028】
利用者が帳票Fを金融機関における有人の窓口に持ち込んだ場合、窓口にて帳票Fを受け取った係員は、延滞金および督促料といった加算額を調べて、納付額情報J1に記載された納付額に加算額を加算して、請求金額を算出する。そして、係員は、帳票Fの延滞金記入欄K1、督促料記入欄K2および請求金額記入欄K3に、該当する金額を記入する(
図2および
図3B参照)。なお、延滞金および督促料が零である場合には、延滞金記入欄K1および督促料記入欄K2に零やハイフンが記入され、請求金額記入欄K3には、納付額と同額の数字が記入される。なお、延滞金および督促料の設定がない場合には、記入欄Kが省略されてもよく、その場合には、納付額そのものが請求金額である。
【0029】
係員は、請求金額記入欄K3に記入した請求金額を利用者に伝える。利用者は、請求金額分の料金を現金等によって支払う。このように決済が完了すると、係員は、
図2および
図3Bに示すように、決済完了の証拠情報である領収印Aを、スタンプ(図示せず)によって帳票Fにおける各押印欄R内に記入する。領収印Aには、料金の支払日等の情報が含まれる。
【0030】
領収印Aの記入等を済ませた係員は、帳票Fを、領収書F1と控えF2とに分離する。係員が領収書F1を利用者に手渡すと、料金の支払いについての利用者と係員との間における取引が完了する。決済が完了しただけでは、取引は未完了であり、決済完了後に領収印Aが記入された領収書F1が利用者に手渡されることによって取引全体が完了する。なお、請求金額が所定金額(たとえば5万円)以上である場合の決済では、係員は、収入印紙(図示せず)を領収書F1に貼り付ける必要がある。ただし、請求金額に係る料金が税金である場合には、所定金額以上の請求金額についての決済であっても、収入印紙の貼り付けは不要である。
【0031】
領収書F1から分離された控えF2は、金融機関によって一旦回収され、その後、納入書F2Aと納入通知書F2Bとに分離されてから、納入書F2Aは、金融機関にて保管され、納入通知書F2Bは、帳票Fの発行元に郵送される。このように、帳票Fは、領収書F1、納入書F2Aおよび納入通知書F2Bという複数の分離片によって構成される。
【0032】
帳票Fには、境界線(切断位置)L1に、短手方向SDに沿って帳票Fを縦断するミシン目Mが形成されている帳票FY(
図1および
図2参照)と、そのようなミシン目が形成されていない帳票FN(
図3Aおよび
図3B参照)とがある。以下、ミシン目Mが形成されている帳票FYを「ミシン目有り帳票FY」といい、ミシン目が形成されていない帳票FNを「ミシン目無し帳票FN」という場合がある。ミシン目有り帳票FYは、ミシン目Mが付された専用紙(ミシン目入り用紙)に前述の情報Jが印刷されて形成されており、この状態で利用者に郵送されてくる。また、ミシン目有り帳票FYにおいてミシン目Mが形成されている境界線L1を境界線LY1といい、ミシン目無し帳票FNにおいてミシン目が形成されていない境界線L1を境界線LN1という場合がある。
【0033】
納付期限が徒過している場合や紛失のために再発行される帳票Fは、汎用プリンタから出力されることが多い。そのような場合だけでなく、メール添付やホームページからのダウンロードにより取得した電子データを、利用者が、汎用プリンタから出力することも考えられる。このような帳票Fは、普通紙(PPC用紙)を用いて形成されており、ミシン目が形成されていないミシン目無し帳票FNである。ミシン目無し帳票FNのサイズは種々考えられるが、汎用プリンタで普通紙を印刷するものであるので、A4サイズおよびB5サイズ等、JIS規格によって定められたサイズである。
図3Aおよび
図3Bの例では、ミシン目無し帳票FNはA4サイズである。もちろん、汎用プリンタで印刷された後に切断されたり他のサイズの普通紙に印刷されたりする等して、ミシン目無し帳票FNのサイズが、JIS規格によって定められたサイズ以外であってもよい。帳票Fの表面FAの内容は、ミシン目有り帳票FYとミシン目無し帳票FNとの間で特段の違いはないので、
図3Aおよび
図3Bでは、それぞれ
図1および
図2と同等の参照符号を付している。
【0034】
ミシン目無し帳票FNにおいて、境界線LN1に沿って切取線である旨を表示する切取表示Bが付されていてもよい。切取表示Bは、
図3Aの例では「キリトリ」という文字であるが、「切り取り線」等の他の文字であってもよい。切取表示Bは、ハサミを模した記号であってもよいし、記号を前記の文字と組み合わせたものであってもよい。
【0035】
ミシン目有り帳票FYが金融機関における有人の窓口に持ち込まれた場合、係員は、領収印Aの記入を済ませた後に、ミシン目有り帳票FYをミシン目Mに沿って切り離し、領収書F1と控えF2とに分離する。一方、ミシン目無し帳票FNが有人の窓口に持ち込まれた場合、係員は、領収印Aの記入を済ませた後に、境界線LN1に沿って、係員がハサミ等で切断したり定規を当てて手で切断したりすることにより、ミシン目無し帳票FNを領収書F1と控えF2とに分離する。
【0036】
図4は、本発明の一実施形態に係る帳票処理装置1の斜視図である。帳票処理装置1は、縦長のボックス形状の装置本体2を含む。装置本体2における正面側の側面である前面3では、上側領域3Aが下側領域3Bよりも後側に一段ずれることにより、上側領域3Aと下側領域3Bとの間には水平に延びる境界領域3Cが形成されている。
【0037】
上側領域3Aの上側部分には、たとえばタッチパネル付きの液晶モニタによって構成された表示操作部4が設けられている。表示操作部4は、様々な情報が表示される表示部としての機能と、利用者によって操作される操作部として機能とを有する。表示部と操作部とは、表示操作部4にまとめられるのでなく、別々に存在してもよい。
【0038】
上側領域3Aにおいて表示操作部4よりも右側の領域には、後側へ窪んだ窪み3Dが形成されている。窪み3Dには、左右に細長いスリット状の発行口5およびカード出入口6と、PINパッド等によって構成された操作部7とが上下に並んで設けられている。上側領域3Aにおいて表示操作部4よりも下側には、帳票Fが投入される投入部の一例として左右に細長いスリット状の取込排出口8と、取込排出口8の下端を縁取って前側へ水平に突出した板状のトレイ9とが設けられている。この実施形態では、最大でA4サイズの帳票Fを投入可能であり、帳票Fの長手方向LDを投入方向として、取込排出口8から帳票Fが取り込まれる。
【0039】
前面3の下側領域3Bの上部においてたとえば右寄りの領域には、左右に細長いスリット状の紙幣投入口10および紙幣出金口11が上下に並んで設けられている。紙幣投入口10および紙幣出金口11は、下側領域3Bと境界領域3Cとに跨って略L字状に折り曲げられたシャッタ12によって一括開閉される。下側領域3Bの上部において紙幣投入口10および紙幣出金口11よりも左側の領域には、硬貨出金口13が設けられ、境界領域3Cにおいて左右方向において硬貨出金口13と同じ位置には、硬貨投入口14が設けられている。硬貨出金口13および硬貨投入口14は、シャッタ12と同様に略L字状に折り曲げられたシャッタ15によって一括開閉される。なお、シャッタ12は、紙幣投入口10だけを開閉するシャッタと、紙幣出金口11だけを開閉するシャッタとに分かれていてもよい。同様に、シャッタ15は、硬貨出金口13だけを開閉するシャッタと、硬貨投入口14だけを開閉するシャッタとに分かれていてもよい。
【0040】
なお、表示操作部4、発行口5、カード出入口6、操作部7、取込排出口8、紙幣投入口10、紙幣出金口11、硬貨出金口13および硬貨投入口14のそれぞれの位置は、利用者にとってアクセスしやすい位置であれば、任意に変更できる。また、紙幣投入口10と紙幣出金口11とが紙幣入出金口としてまとめられてもよいし、硬貨出金口13と硬貨投入口14とが硬貨入出金口としてまとめられてもよい。
【0041】
図5は、帳票処理装置1の上部における内部構造を右側から見た模式図である。
図5における左側は、帳票処理装置1の前側であり、
図5における右側は、帳票処理装置1の後側であり、
図5の紙面に垂直な方向は、帳票処理装置1の左右方向である。以下では、帳票処理装置1の前後方向、左右方向および上下方向を用いて説明を行う。なお、説明の便宜上、
図4にて説明した発行口5、カード出入口6および操作部7等の図示が、
図5では省略されている。帳票処理装置1の装置本体2内の上部には、取込排出口8に投入された帳票Fを処理する帳票処理ユニット20が設けられている。後述するように、帳票処理ユニット20は、取込排出口8に投入された帳票Fに対して、記入や切断(分離)等の処理を施す。
【0042】
帳票処理ユニット20に関連して、装置本体2内には、取込排出口8に投入された帳票Fを搬送するための搬送路21が設けられている。搬送路21は、装置本体2内にて搬送される帳票Fの軌跡に沿って延びるスペースである。搬送路21の幅方向は、左右方向と一致している。搬送路21は、取込排出口8から装置本体2の後面22の手前まで後側へ水平に延びる第1搬送路21Aと、第1搬送路21Aの後端から湾曲した後に下側へ延びる第2搬送路21Bと、第2搬送路21Bの下端から湾曲した後に前側へ延びる第3搬送路21Cとを含む。
【0043】
取込排出口8に投入されて搬送路21内に取り込まれた帳票Fは、第1搬送路21A、第2搬送路21Bおよび第3搬送路21Cにおいて、この順番にて搬送される。そのため、搬送路21では、搬送路21における帳票Fの搬送方向X(以下では、単に「搬送方向X」という。)において、第1搬送路21Aが、取込排出口8に近い上流側に位置し、第3搬送路21Cが、取込排出口8から離れた下流側に位置している。搬送路21内にて搬送される帳票Fは、通常では、帳票Fにおける二辺(
図1に示す上下の二辺)が前後方向と整合した姿勢を保って、前後方向に沿って進行する。
【0044】
帳票処理ユニット20は、帳票Fを搬送路21内にて搬送する搬送部25と、分離された控えF2を回収する回収部26と、帳票Fを搬送路21内に取り込んだり取込排出口8から排出したりする取込排出部27と、帳票Fを切断して分離する切断部28とを含む。帳票処理ユニット20は、帳票Fから画像データを読み取る読取部29と、搬送路21内における帳票Fの姿勢を矯正するアライメント部30と、帳票Fに領収印A等を記入する記入部31と、搬送路21内における帳票Fの通過を検出する検出部32とをさらに含む。
【0045】
搬送部25は、搬送路21の全域に分散して配置された複数の搬送ローラ33を複数含む。各搬送ローラ33は、左右方向に細長く延びる円柱体である。搬送部25は、これらの搬送ローラ33を正逆回転させるモータ(図示せず)も含む。正回転する搬送ローラ33は、この搬送ローラ33の外周面に接触した帳票Fを搬送路21内において搬送方向Xの下流側へ搬送する。逆回転する搬送ローラ33は、この搬送ローラ33の外周面に接触した帳票Fを搬送路21内において搬送方向Xの上流側へ搬送する。搬送ローラ33は、対をなして対向配置されて搬送路21内において接触していてもよい。対になった2つの搬送ローラ33は、その間に帳票Fを挟持した状態にて互いに反対の方向に回転することによって、この帳票Fを搬送路21内において上流側または下流側へ搬送する。なお、後述する他のローラについても、とくに言及がない場合には、搬送ローラ33と同様に構成される。
【0046】
回収部26は、分離後の帳票Fにおける控えF2(
図2参照)等を収納するために装置本体2内に確保されたスペースである。回収部26は、本実施形態では、回収部26Aおよび26Bというように上下に並んで2つ設けられるが、3つ以上設けられてもよいし、1つだけ設けられてもよい。第3搬送路21Cは、2つの分岐路21Dに分岐して、これらの分岐路21Dは、2つ回収部26に1つずつ接続されている。
【0047】
帳票処理ユニット20は、第3搬送路21Cの分岐位置に配置された切換爪34と、切換爪34の向きを変えるソレノイド(図示せず)とを有する切換部35をさらに含む。切換爪34の向きが変わると、第3搬送路21Cにおける控えF2の行き先がどちらかの分岐路21Dに変更される。回収部26に収納された控えF2を取り出せるように、回収部26は、装置本体2に対して着脱可能であってもよい。または、係員は、装置本体2の表面に設けられた扉(図示せず)を開くことによって、装置本体2内の回収部26に外からアクセスできてもよい。
【0048】
取込排出部27は、取込排出口8に投入された帳票Fを第1搬送路21A内に取り込んだり、第1搬送路21A内の帳票Fの全部または一部を取込排出口8に排出したりするための構成である。取込排出部27は、第1搬送路21Aにおいて取込排出口8に隣接した前端部に配置されたセンサと、第1搬送路21Aにおいて取込排出口8に隣接した前端部を上下から挟むように配置された少なくとも一対の取込排出ローラ36と、これらの取込排出ローラ36を正逆回転させるモータ(図示せず)とを含む。
【0049】
切断部28は、帳票Fを境界線L1において切断して分離するための構成である。切断部28は、第1搬送路21Aにおいて取込排出部27よりも搬送方向Xの下流側、つまり後側に配置されている。切断部28は、刃先37Aを有する切断部材37を備えている。切断部材37は、その刃先37Aが第1搬送路21Aを横切れるように、第1搬送路21A(つまり搬送方向X)に対して交差または直交する移動方向Y(
図5では上下方向)に移動可能である。切断部28については、後で詳細に述べる。
【0050】
読取部29は、第1搬送路21Aにおいて切断部28よりも搬送方向Xの下流側に配置され、第1搬送路21Aを左右方向に横切っている。読取部29は、帳票Fの表面FAのイメージを上側から光学的に読み取って帳票Fの画像データを取得するためのものであり、たとえば、CIS(Contact Image Sensor)等のラインセンサによって構成されている。
【0051】
アライメント部30は、帳票Fの姿勢を矯正して斜行状態を解消つまり斜行補正するための構成であり、第1搬送路21Aにおいて搬送方向Xにおける切断部28の周囲に配置されている。アライメント部30は、位置決め部41と、補正ローラ42と、補正ローラ42を回転させるモータ(図示せず)とを含む。
【0052】
位置決め部41は、前後に長手のブロック状に形成されている。位置決め部41において第1搬送路21Aに臨んだ側面は、第1搬送路21A内における帳票Fの進行方向に沿って平坦な寄せ当て面である。補正ローラ42は、前後方向において位置決め部41と同じ位置に配置されて、第1搬送路21Aに臨んでいる。補正ローラ42は、他のローラとは異なり、前後方向に延びる回転軸線(図示せず)まわりに回転する。第1搬送路21A内において搬送される帳票Fは、回転する補正ローラ42に接触することによって、位置決め部41の寄せ当て面に寄せられる。帳票Fが進行方向に対して傾斜した斜行状態にて搬送される場合があるが、この帳票Fが寄せ当て面に寄せられることによって、この帳票Fの姿勢が矯正されて斜行状態が解消する。
【0053】
記入部31は、第1搬送路21Aにおいて読取部29よりも搬送方向Xの下流側、つまり第1搬送路21Aの後端部において、上側から第1搬送路21Aに臨んで配置されている。記入部31の下端面は、帳票Fにおける各押印欄R内に領収印A(
図2および
図3B参照)等を記入するための押印部31Aと、帳票Fにおける所定の領域に文字等を印刷するための印刷ヘッド31Bとが設けられている。押印部31Aには、領収印Aを反転させたものと一致した模様が刻まれている。印刷ヘッド31Bは、ドットインパクトプリンタ等によって構成されている。なお、領収印Aの全体や、領収印Aにおける支払日の日付部分が、印刷ヘッド31Bによって再現されて帳票Fに印刷されてもよく、この場合には押印部31Aが省略される。帳票処理ユニット20は、記入部31を昇降させるアクチュエータ等の駆動部(図示せず)も含む。
【0054】
検出部32は、一例として、搬送方向Xにおける読取部29と記入部31との間に配置されている。検出部32は、たとえばフォトインタラプタであって、第1搬送路21Aを上下に挟んで配置された発光素子32Aおよび受光素子32Bを含む。発光素子32Aと受光素子32Bとの間に帳票Fが存在しない状態では、発光素子32Aによって発光された検知光(図示せず)が受光素子32Bによって受光される。発光素子32Aと受光素子32Bとの間に帳票Fが存在すると、検知光が帳票Fによって遮光される。発光素子32Aと受光素子32Bとの間を帳票Fが通過すると、検知光が再び受光素子32Bに受光される。検出部32は、このような検知光の遮光や受光によって、発光素子32Aと受光素子32Bとの間における帳票Fの通過を検出する。
【0055】
図6は、帳票処理装置1の電気的構成を示すブロック図である。帳票処理装置1の装置本体2内には、帳票処理ユニット20の他に、発行部51と、現金処理部52とが設けられている。発行部51は、レシートを印刷するプリンタ等であり、発行部51としてレーザプリンタやサーマルプリンタを用いることができる。発行部51は、レシートを印刷して発行口5に排出する。つまり、発行部51は、印字された紙片を発行する。現金処理部52は、決済のために、紙幣投入口10や硬貨投入口14に投入された現金を計数して収納したり、釣銭を算出したり、釣銭等の返却用の現金を紙幣出金口11や硬貨出金口13に投出したりする。
【0056】
帳票処理装置1は、制御部55を含む。制御部55は、CPUやROMやRAMやタイマ等を含んだマイクロコンピュータによって構成されている。制御部55には、表示操作部4、操作部7、帳票処理ユニット20、発行部51および現金処理部52のそれぞれが電気的に接続されている。制御部55は、表示操作部4における表示内容を制御したり、利用者等による表示操作部4のタッチパネルや操作部7の操作を受け付けたりする。制御部55は、取引のために、帳票処理ユニット20、発行部51および現金処理部52のそれぞれに対して、それぞれの処理を実行させる。とくに、制御部55と帳票処理ユニット20の読取部29とは、OCR(Optical Character Reader)を構成している。
【0057】
帳票処理装置1は、制御部55に対して電気的に接続される別の部品として、シャッタ用アクチュエータ56と、インターフェース(I/F)部57と、記憶部58とをさらに含む。制御部55は、シャッタ用アクチュエータ56を動作させることによってシャッタ12やシャッタ15を開閉させる。制御部55は、I/F部57を介して、辞書サーバ100と通信できる。帳票処理装置1に関連して、金融機関の建物の外には辞書サーバ100が配置されており、これらは、公衆回線101に接続されている。辞書サーバ100は、帳票Fの様式データを管理する組織(辞書配信センター等)によって保有されている。
【0058】
記憶部58には、様々な情報が記憶されているが、とくに、帳票処理装置1での取り扱い対象となる帳票Fの種類を特定するための帳票種類特定情報が帳票Fの種類毎にまとめられて、帳票種類データベースDBとして記憶されている。
【0059】
図7は、記憶部58に記憶されている帳票種類データベースDBの内容を示す図である。帳票種類データベースDBでは、辞書情報58Aが、番号58Bに対応付けて記憶されている。辞書情報58Aは、読取部29が取得した画像データを制御部55がOCR処理する場合に参照される情報である。帳票種類データベースDBでは、識別情報58Cが、ID番号58Bに対応付けて記憶されている。識別情報58Cは、個々の帳票Fを特定するための情報であり、バーコード等のコードJ3に対応付けられている。識別情報58Cは、データベースDBに存在する全ての帳票Fに割り当てられていてもよいが、
図7の例では、識別情報58Cは、一部の帳票Fにのみ割り当てられている。
【0060】
辞書情報58Aは、帳票Fの画像データに含まれる様々な情報から帳票Fの種類を特定する際に基準となるデータである。辞書情報58Aは、辞書サーバ100に登録されている。辞書情報58Aは、種類毎の帳票Fの様式についての様式情報58Dを含む。様式情報58Dは、取り扱い対象の帳票Fの種類に応じて複数設けられている。様式情報58Dは、対応する種類の帳票Fの項目情報、位置情報および文字情報を含む。項目情報は、帳票Fの形状および大きさや罫線の特徴的なパターンといった、外見上の識別情報を含む。位置情報は、帳票Fにおける文字、数字等の記載位置の位置情報や、帳票Fにおける押印欄Rの位置情報を含む。文字情報は、帳票Fに含まれる、文字、数字等の種類についての情報を含む。
【0061】
辞書情報58Aは、種類毎の帳票Fについての切断情報58Eを含む。切断情報58Eは、ミシン目Mの有無(すなわち、帳票Fの境界線L1にミシン目Mが形成されているか否か)および切断位置(すなわち、帳票Fの境界線L1の位置)を含む。切断情報58Eが、前述した分離片の数(構成枚数)をさらに含んでもよい。
【0062】
対応する辞書情報58AがデータベースDBに存在する帳票Fは、帳票処理装置1での取り扱い対象となる帳票Fである。一方、対応する辞書情報58AがデータベースDBに存在しない帳票Fは、帳票処理装置1での取り扱い対象外の帳票Fである。
【0063】
図6に示すように、制御部55は、I/F部57を介して辞書サーバ100と通信して、辞書サーバ100に記憶された最新の様式データを取得して辞書情報58Aを更新できる。なお、帳票処理装置1と辞書サーバ100とが必ずしも通信可能である必要はなく、辞書サーバ100に登録されている様式データを記憶媒体(USBメモリ等)に書き込んで、所定のタイミングに帳票処理装置1に取り込む運用としてもよい。
【0064】
図8は、帳票処理装置1において行われる帳票Fの取引の流れを示すフローチャートである。以下では、
図1~
図8を参照しながら、帳票処理装置1における帳票処理方法による取引について説明する。帳票F(ミシン目有り帳票FY、ミシン目無し帳票FN)を持参して金融機関にやって来た利用者が、待機状態における帳票処理装置1の表示操作部4にタッチすると、帳票処理装置1の制御部55は、開始画面(図示せず)を表示操作部4に切替表示する。なお、利用者は、帳票Fを持参した利用者自身に限らず、利用者の依頼を受けた金融機関の係員であってもよい。開始画面には、全ての分離片が揃って一体化された状態の帳票Fを、控えF2が先頭となるように挿入すること等を促すメッセージが表示されてもよい。
【0065】
開始画面を見た利用者が、表面FAが上向きになった帳票Fを、控えF2が先頭となるように取込排出口8に投入する。この帳票Fにおいて控えF2側の先端部が一対の取込排出ローラ36の間に挟まると、制御部55は、取込排出ローラ36および搬送ローラ33を正回転させることにより、帳票Fを取込排出口8から装置本体2内の第1搬送路21Aに取り込む(ステップS1)。これにより、取引が開始されて、帳票Fは、前後方向に長手かつ水平な姿勢を維持しながら、控えF2を先頭として第1搬送路21A内において後側へ搬送され、読取部29を通過する。なお、帳票Fが一対の取込排出ローラ36の間に挟まったことを検出するセンサ(図示せず)を設けて、このセンサが帳票Fを検出したことに応じて、制御部55は、この帳票Fを第1搬送路21Aに取り込んでもよい。
【0066】
取込排出口8に投入された帳票Fが読取部29を通過する際に、制御部55は、帳票Fの表面FAの画像データを読取部29によって読み取る(ステップS2)。ステップS2では、制御部55は、OCR処理として、帳票Fから読み取った表面FAの画像データを記憶部58に記憶されたデータベースDBの辞書情報58Aと照合することによって、その画像データに対応する帳票Fの種類を特定する(ステップS3)。制御部55および読取部29は、帳票Fの種類を特定する。制御部55が種類を特定できた帳票Fは、帳票処理装置1において受付可能な帳票Fである。制御部55による帳票Fの特定が、読み取った帳票Fの表面FAの画像データと辞書情報58Aとの照合ではなく、読み取った帳票Fの表面FAのコード情報(バーコード等)と識別情報58Cとの照合によって行われてもよい。
【0067】
また、制御部55は、OCR処理として、帳票Fから読み取った表面FAの画像データに含まれる文字や数字を識別することによって、当該画像データの中から納付額情報J1等を取得する。OCR処理として、帳票Fから読み取った表面FAの画像データに含まれる文字や数字を識別することによって、当該画像データの中から納付額情報J1等を取得する。さらに、制御部55は、特定された帳票Fの種類に基づいて、その帳票Fにミシン目Mが形成されているか否かの情報と、切断位置の情報とを取得する。
【0068】
制御部55が種類を特定できなかった帳票Fは、帳票処理装置1において受付不可能な対象外の帳票Fである。制御部55は、帳票Fの種類を特定できなかった場合には(ステップS4でNO)、警告画面(図示せず)を表示操作部4に切替表示することによって利用者に警告する(ステップS5)。警告画面には、投入された帳票Fについては帳票処理装置1では受付できない旨のメッセージと、この帳票Fをこれから返却する旨のメッセージ等とが表示される。
【0069】
警告後に、制御部55は、搬送ローラ33および取込排出ローラ36等を逆転させることによって、帳票Fを取込排出口8から返却する(ステップS6)。なお、取込排出口8は、帳票Fを取り込むため取込口と、帳票Fを排出するため排出口とに分かれていてもよい。
【0070】
制御部55は、帳票Fの種類を特定できた場合(ステップS4にてYES)、この帳票Fを搬送路21内にて一時保留した状態において、確認画面(図示せず)を表示操作部4に切替表示する(ステップS7)。確認画面には、支払内容の確認を促す旨のメッセージと、請求金額と、請求金額の内訳(納付額、延滞金および督促料)と、様々なタッチキーとが表示される。制御部55は、ステップS2において帳票Fから読み取った納付額情報J1における納付額に基づいて、請求金額およびその内訳を特定する。延滞金および督促料は、所定の計算式に基づいて制御部55によって算出されてもよいし、記憶部58に予め記憶されていて制御部55によって取得されてもよい。なお、延滞が発生していない場合には、延滞金および督促料は、いずれも零である。
【0071】
確認画面に表示されるタッチキーとして、取消キーと、納付書表示キーと、確認キーとが挙げられる。なお、本実施形態において語尾に「キー」と付く名称のものは、全てタッチキーである。利用者が取消キーにタッチすると、制御部55は、取り込んだ帳票Fを取込排出口8から返却することによって今回の取引をキャンセルして(ステップS6)、帳票処理装置1を待機状態にする。利用者が納付書表示キーにタッチすると、制御部55は、ステップS2において読み取った帳票Fの表面FAの画像データそのものを表示操作部4に表示させる。請求金額を確認した利用者が確認キーにタッチすると、制御部55は、入力画面(図示せず)を表示操作部4に切替表示して、利用者を特定するための個人情報(利用者の電話番号等)の入力を受け付ける(ステップS8)。
【0072】
個人情報を入力した利用者が続行キーにタッチすると、制御部55は、決済画面(図示せず)を表示操作部4に切替表示する。利用者が決済画面において決済キーを操作すると、制御部55は、決済処理を実行する(ステップS9)。
【0073】
ただし、支払金額が前述した所定金額(たとえば5万円)以上であって当該支払金額に係る料金が税金でない場合の決済では、前述したように窓口の係員が収入印紙(図示せず)を領収書F1に貼り付ける必要がある。そこで、制御部55は、支払金額が所定金額以上であると判断すると、投入された帳票Fについては帳票処理装置1にて受け付けできない旨の警告画面(図示せず)を表示操作部4に切替表示する。一方、取引の中止が選択された場合には(ステップS10でNO)、制御部55は、帳票Fを返却して終了する。
【0074】
表示操作部に表示された金額を見た利用者が現金等を投入することによって決済処理が完了すると(ステップS10でYES)、制御部55は、今まで搬送路21内にて一時保留していた帳票Fに所定の情報を記入する記入処理を行う(ステップS11)。具体的には、制御部55は、搬送ローラ33を逆転させることによって帳票Fを取込排出口8へ向けて搬送し、その際、アライメント部30によって帳票Fの姿勢を矯正する。そして、制御部55は、第1搬送路21A内での搬送方向Xにおける帳票Fの位置を搬送部25によって調整してから、記入部31を下降させて記入部31の押印部31Aを帳票Fの表面FAに接触させ、表面FAの該当箇所に領収印Aを記入する。
【0075】
このように、決済の完了に応じて、記入部31が決済された金額について領収済である旨の情報である領収印Aを帳票Fの少なくとも一部に記入する。また、制御部55は、記入部31の印刷ヘッド31Bによって、延滞金、督促料および請求金額を、表面FAにおいて該当する記入欄Kに記入する。
【0076】
その後、制御部55は、帳票Fを切断する切断処理(ステップS12)を実行して、帳票Fを、領収書F1と控えF2とに分離する(
図2参照)。この切断処理(ステップS12)については、後で詳細に述べる。控えF2が先頭となるように取り込まれた帳票Fでは、分離後において、領収書F1が控えF2よりも取込排出口8に近くに位置して一対の第1ローラR1によって挟まれていて、控えF2が一対の第2ローラR2によって挟まれている。この状態において、制御部55は、第1ローラR1と、第1ローラR1よりも上流側の搬送ローラ33および取込排出ローラ36とを逆回転させる。これにより、帳票Fにおいて領収印Aが記入された一部である領収書F1は、第1搬送路21A内を前進して取込排出口8から装置本体2の外に排出されて、利用者に返却される(ステップS13)。
【0077】
領収書F1の返却と同じ又はほぼ同じタイミングにおいて、制御部55は、第2ローラR2と、第2ローラR2よりも下流側の搬送ローラ33とを正回転させる(ステップS14)。これにより、控えF2は、第1搬送路21A内を後進し、第2搬送路21Bおよび第3搬送路21Cを順に通過して、装置本体2内の回収部26に回収されるので、今回の帳票Fについての決済による取引が終了する。取引の終了に先立って、制御部55は、今回の取引の内容を示したレシート(図示せず)を発行部51によって発行口5から発行してもよい。
【0078】
なお、利用者が取引したい帳票Fが2枚以上あれば、利用者は、1枚目の帳票Fの領収書F1が返却されたことに応じて、2枚目の帳票Fを1枚目と同じように取込排出口8に挿入すればよい。この場合、制御部55は、2枚目以降の帳票FについてステップS1以降の処理を繰り返す。
【0079】
また、前述の決済処理(ステップS9)では、現金決済を行う場合について説明したが、口座から引き落とす口座決済にて決済できるようになっていてもよい。また、帳票処理装置1が電子マネーを保持する媒体を受け付け可能な構成である場合には、電子マネーを保持する媒体による電子マネー決済にて決済してもよい。さらに、帳票処理装置1がクレジットカードを受け付け可能な構成である場合には、クレジットカードによるクレジット決済にて決済してもよい。
【0080】
図9は、切断部28を示す模式図である。
図9において左側から右側へ向かう方向は、搬送方向Xの下流側である。
図10は、切断部材37および押圧部材38を説明するための模式図である。切断部28は、切断部材37と、押圧部材38と、ホルダ39と、第1アクチュエータ71と、第2アクチュエータ72と、第1ローラR1および第2ローラR2と、第1ローラR1および第2ローラR2を正逆回転させるモータ(図示せず)と、これらを保持するフレーム73とを含む。
図10は、切断部材37および押圧部材38を、搬送方向Xの上流側から見ている。
【0081】
切断部材37は、金属製または樹脂製のカッターであり、第1搬送路21Aに対向する刃先37Aを有している。切断部材37の刃先37Aの断面は、先端が丸まっていて鈍い。切断部材37の刃先37Aの刃渡り方向Zは、左右方向に延びている。切断部材37の左右方向の長さは、第1搬送路21Aの幅方向(左右方向)の全域に亘っている。
図10に示すように、刃先37Aは、搬送方向Xから見て第1搬送路21Aへ突出した山型に形成されている。具体的には、刃先37Aは、刃渡り方向Zにおける中央位置から一方側および他方側に向かうにつれて第1搬送路21Aから徐々に離れている。このような切断部材37の刃先37Aで帳票Fを切断する場合には、帳票Fでは、切断部材37の刃渡り方向Zにおけるいずれかの1つの位置を始点として切断が開始される。切断部材37の刃先37Aは、刃渡り方向Zにおける一方側から他方側に向かうにつれて第1搬送路21Aから徐々に離れていてもよい。
【0082】
切断部材37は、刃先37Aが第1搬送路21Aを横切るように移動方向Y(
図9では上下方向)に移動可能である。待機位置にある切断部材37は、移動方向Yにおける一方側(
図9の上側)へ第1搬送路21Aから離れた位置にある。第1アクチュエータ71は、切断部材37を移動方向Yに沿って移動させる。移動方向Yにおける他方側(
図9の下側)は、切断部材37が帳票Fを切断するために第1搬送路21Aに接近する切断方向Y1である。
【0083】
押圧部材38は、押圧板である。押圧部材38は、切断部材37に対し、搬送方向Xの下流側に配置されている。押圧部材38は、帳票Fを押圧して帳票Fの境界線L1に、強制的な張力を付与するための押圧部材である。押圧部材38は、第1搬送路21Aに対向する先端面38Aを有している。先端面38Aの断面は、第1搬送路21Aと平行な平坦面である。先端面38Aの断面が、平坦面でなく湾曲面(たとえば、断面円弧状や断面楕円弧状)であってもよい。押圧部材38は、金属製であってもよいし、樹脂製であってもよい。先端面38Aは、左右方向に延びており、
図10に示すように搬送方向Xから見て直線状に延びている。押圧部材38の左右方向の長さは、第1搬送路21Aの幅方向の全域に亘っている。
【0084】
押圧部材38は、先端面38Aが第1搬送路21Aを横切るように、移動方向Yに移動可能である。
図9の例では、待機位置にある押圧部材38は、移動方向Yにおける一方側(
図9の上側)へ第1搬送路21Aから離れた位置にある。第2アクチュエータ72は、押圧部材38を移動方向Yに沿って移動させる。移動方向Yにおける他方側(
図9の下側)は、押圧部材38が帳票Fを切断するために第1搬送路21Aに接近する押圧方向である。すなわち、
図9の例では、帳票Fに対する押圧部材38の押圧方向が、帳票Fに対する切断部材37の切断方向Y1(押し付け方向)と同じ向きである。
【0085】
ホルダ39は、切断部材37および押圧部材38を移動方向Yの一方側(
図9の例では上側)から保持するホルダである。第1アクチュエータ71は、たとえば電動モータやボールねじを含み、切断部材37を、移動方向Yに沿ってホルダ39に対して離反するように移動させる。第2アクチュエータ72は、たとえば電動モータやボールねじを含み、押圧部材38を、移動方向Yに沿ってホルダ39に対して接離するように移動させる。また、ホルダ39には、ホルダ39を左右方向に移動させるためのホルダ移動機構(図示せず)が結合されている。
【0086】
第1ローラR1および第2ローラR2のそれぞれは、第1搬送路21Aに沿って少なくとも一対ずつ設けられている。各対における2つの第1ローラR1は、第1搬送路21A内において接触するように互いに対向配置され、各対における2つの第2ローラR2は、第1搬送路21A内において接触するように互いに対向配置されている。なお、第1ローラR1および第2ローラR2のそれぞれは、左右方向から見て重なるように、左右方向に並んで複数配置されていてもよい。第1ローラR1は、搬送方向Xにおいて、第2ローラR2よりも上流側に位置し、切断部材37および押圧部材38は、搬送方向Xにおいて、第1ローラR1と第2ローラR2との間に位置している。
【0087】
フレーム73はV字状ガイドGDを備えている。V字状ガイドGDは、第1搬送路21Aにおいて、第1ローラR1と第2ローラR2との間の移動方向Yにおける他方側(
図9の下側)の領域に配置されている。V字状ガイドGDは、第1搬送路21Aに対し切断方向Y1側から対向するV字状面74を有している。V字状面74は、第1搬送路21Aから離反する方向に凹むV字状をなし、左右方向に(すなわち、切断部材37の刃先37Aの刃渡り方向Zに沿って)延びている。V字状面74と第1搬送路21Aとによって、帳票Fを切断するための断面略三角形状のスペースSが区画されている。
【0088】
V字状面74の底部には、左右方向に(すなわち、切断部材37の刃先37Aの刃渡り方向Zに沿って)延びる開口75が形成されている。開口75は、帳票Fを刃先37Aで切断する際に刃先37Aを逃がすための開口である。V字状面74における、搬送方向Xの上流側の開口端74Aは、搬送方向Xにおいて切断部材37の刃先37Aよりも上流側に位置している。V字状面74における、搬送方向Xの下流側の開口端74Bは、搬送方向Xにおいて切断部材37の刃先37Aよりも下流側に位置している。そのため、刃先37Aが切断方向Y1に移動すると第1搬送路21Aに達し、第1搬送路21Aを横切ってさらに切断方向Y1に移動すると開口75に達する。そして、刃先37Aがさらに下降すると、刃先37Aが開口75の内部に進入する。
【0089】
図11は、切断処理(ステップS12)の流れを示すフローチャートである。制御部55は、第1搬送路21A内を搬送されている帳票Fがミシン目有り帳票FYであるのか、それともミシン目無し帳票FNであるのかを判別する。すなわち、第1搬送路21A内を搬送されている帳票Fの境界線L1(切断位置)にミシン目Mが形成されているか否かを制御部55が判別する(ミシン目形成判別ステップ、ステップS21)。制御部55は、データベースDBを参照して、
図8のステップS3において特定した帳票Fの種類に対応する辞書情報58Aの切断情報58Eを読み出し、特定した帳票Fの境界線L1(切断位置)にミシン目Mが形成されているか否かを判別する。
【0090】
特定した帳票Fにミシン目Mが形成されている場合(ステップS22でYES)、制御部55は、切断部材37のみを用いて帳票Fを切断する第1切断処理(ステップS23)を実行する(第1切断ステップ)。一方、特定した帳票Fがミシン目無し帳票FNである場合、すなわち第1搬送路21A内を搬送される帳票Fにミシン目が形成されていない場合には(ステップS22でNO)、制御部55は、切断部材37および押圧部材38を用いて帳票Fを切断する張力付与処理としての第2切断処理(ステップS24)を実行する(第2切断ステップ)。
【0091】
図12は、第1切断処理(ステップS23)の動作を説明するための模式図である。第1切断処理(ステップS23)では、ミシン目有り帳票FYが切断対象になる。制御部55は、切断部材37および押圧部材38が待機位置に位置している状態で、まず、第1ローラR1、第2ローラR2および搬送ローラ33(
図12では図示せず)を正回転させ、第1搬送路21A内のミシン目有り帳票FYを、
図12(a)に示すように第1ローラR1と第2ローラR2との両方によって挟持された状態にする。そして、ミシン目有り帳票FYのミシン目M(境界線LY1)が、搬送方向Xにおいて切断部材37の刃先37Aと同じ位置に到達すると、制御部55は、第1ローラR1、第2ローラR2および搬送ローラ33の回転を停止させる。
【0092】
また、制御部55は、切断部材37および押圧部材38の左右方向の位置を調整する。具体的には、山型の刃先37Aの下端縁が、第1搬送路21A内のミシン目有り帳票FYの短手方向SD(左右方向)の中央部に一致するように、制御部55がホルダ移動機構を駆動して切断部材37および押圧部材38を第1搬送路21Aの幅方向(左右方向)に移動させる。その後、制御部55は、第1アクチュエータ71を移動方向Yに駆動させる。これによって、待機位置に位置する切断部材37がミシン目有り帳票FYのミシン目M(境界線LY1)へ向けて切断方向Y1へ移動し、
図12(b)に示すように刃先37Aがミシン目有り帳票FYに当接する。そして、この状態から刃先37Aがさらに切断方向Y1へ移動することによって、
図12(c)に示すように刃先37Aがミシン目Mを押し付ける。これにより、ミシン目有り帳票FYが押し切られ、領収書F1と控えF2との2つに分離される。
【0093】
この場合において、ミシン目有り帳票FYにおける切断部材37の刃先37Aの当接位置が、搬送方向Xにおいてミシン目M(境界線LY1)からずれることがある。切断部材37の刃先37Aが鋭くないので、刃先37Aがミシン目有り帳票FYに当接しても、そのずれた位置においてミシン目有り帳票FYが切断されてしまうことはない。そして、切断部材37の刃先37Aとミシン目有り帳票FYとの当接によって生じる引っ張り力によって、ミシン目Mに沿ってミシン目有り帳票FYが2つに切り離される。これにより、搬送方向Xにおいてミシン目Mからずれた位置に刃先37Aが位置している場合でも、ミシン目有り帳票FYを良好に切断できる。
【0094】
図13は、第2切断処理(ステップS24)の動作を説明するための模式図である。第2切断処理(ステップS24)では、ミシン目無し帳票FNが切断対象になる。制御部55は、押圧部材38が待機位置に位置している状態で、第1搬送路21A内のミシン目無し帳票FNを、
図13(a)に示すように第1ローラR1と第2ローラR2との両方によって挟持された状態にする。そして、ミシン目無し帳票FNの境界線LN1が、搬送方向Xにおいて切断部材37の刃先37Aと同じ位置に到達すると、制御部55は、第1ローラR1、第2ローラR2および搬送ローラ33の回転を停止させる。
【0095】
また、制御部55は、切断部材37および押圧部材38の左右方向の位置を調整する。具体的には、山型の刃先37Aの下端縁が、第1搬送路21A内のミシン目無し帳票FNの短手方向SD(左右方向)の中央部に一致するように、制御部55がホルダ移動機構を駆動して切断部材37および押圧部材38を第1搬送路21Aの幅方向(左右方向)に移動させる。その後、制御部55は、第2アクチュエータ72を駆動させる。これによって、待機位置に位置する押圧部材38が切断方向Y1へ移動し、
図13(b)に示すように、先端面38Aがミシン目無し帳票FNに当接する。先端面38Aは、ミシン目無し帳票FNの短手方向SD(左右方向)の全域において当接する。押圧部材38によってミシン目無し帳票FNを押圧することにより、ミシン目無し帳票FNの弛みをなくすことができる。
【0096】
そして、先端面38Aが切断方向Y1にさらに移動させられることにより、ミシン目無し帳票FNにおける当接部分の周囲が引っ張られ、これにより、ミシン目無し帳票FNの境界線LN1に搬送方向Xに沿う強制的な張力が発生する。なお、押圧部材38(の先端面38A)の搬送方向Xの位置は、ミシン目無し帳票FNの境界線LN1に良好に張力が発生するように予め調整されている。
【0097】
この状態で、制御部55は、第1アクチュエータ71を駆動させる。これによって、待機位置に位置する切断部材37がミシン目無し帳票FNの境界線LN1へ向けて切断方向Y1へ移動し、
図13(c)に示すように、刃先37Aがミシン目無し帳票FNに当接する。そして、この状態から刃先37Aがさらに切断方向Y1へ移動することにより、強制的な張力が付与された状態の境界線LN1に刃先37Aが押し付けられ、これにより、境界線LN1に沿ってミシン目無し帳票FNが切断(剪断)される。すなわち、ミシン目無し帳票FNが刃先37Aによって押し切られる。その結果、ミシン目無し帳票FNが領収書F1と控えF2との2つに分離される。この場合、分離後における領収書F1および控えF2の切断面は、たとえば定規を当てて手で切断する場合と同等の切断面である。ゆえに、ミシン目無し帳票FNを境界線LN1に沿って綺麗に切断できる。
【0098】
切断部28を用いた張力付与処理としての第2切断処理(ステップS24)の他の例を、
図14を参照しながら説明する。
図14では、押圧部材38の図示を省略している。第1搬送路21A内のミシン目無し帳票FNを第1ローラR1と第2ローラR2との両方によって挟持された状態にする。そして、ミシン目無し帳票FNの境界線LN1が、搬送方向Xにおいて切断部材37の刃先37Aと同じ位置に到達すると、制御部55は、第1ローラR1および搬送ローラ33の回転を停止させ、かつ第2ローラR2を逆方向に回転させる。これにより、
図14(a)に示すように、ミシン目無し帳票FNにおける境界線LN1を含む領域が移動方向Y(切断方向Y1)に撓む。この領域が、V字状面74に丁度当接する程度まで撓んだ後に、制御部55は、第2ローラR2の逆回転を停止させる。この状態で、制御部55は、第1アクチュエータ71を駆動させる。これによって、待機位置に位置する切断部材37がミシン目無し帳票FNの境界線LN1へ向けて切断方向Y1へ移動し、
図14(b)に示すように、刃先37Aがミシン目無し帳票FNに当接する。この状態から刃先37Aがさらに切断方向Y1へ移動することにより、ミシン目無し帳票FNにおける境界線LN1を含む領域がV字状面74に押し付けられる。これにより、ミシン目無し帳票FNに強制的な張力が付与される。そして、この状態から刃先37Aがさらに切断方向Y1へ移動することにより、切断部材37の刃先37Aが開口75の内部に押し入れられる。これにより、ミシン目無し帳票FNにおいて、刃先37Aとの当接位置と開口端74Aとの間、および刃先37Aとの当接位置と開口端74Bとの間に剪断力が発生し、これにより、ミシン目無し帳票FNが切断(剪断)される。すなわち、ミシン目無し帳票FNが刃先37Aによって押し切られる。
【0099】
開口75の開口幅が狭いので、ミシン目無し帳票FNに強い剪断力を生じさせることができ、これにより、ミシン目無し帳票FNを良好に切断できる。開口75をより狭く調整することにより、さらに強い剪断力を生じさせることも可能である。なお、切断部28を用いた第2切断処理(ステップS24)として
図14の例を採用する場合、押圧部材38および第2アクチュエータ72の構成を廃止してもよい。
【0100】
切断部28に代えて
図15に示す切断部28Aを用いることができる。切断部28Aの構成のうち切断部28と共通する構成については、
図9~
図14の場合と同一の参照符号を
図15において付し、説明を省略する。切断部28Aが切断部28と相違する点は、待機位置にある押圧部材138が、第1搬送路21Aに対し移動方向Yにおける他方側(
図15では下側)に配置されている点である。押圧部材138は、第1搬送路21Aに対向する先端面138Aを有している。押圧部材138は、切断部28の押圧部材38と第1搬送路21Aに関して線対称の構成である。帳票Fに対する押圧部材138の押圧方向Y2が、帳票Fに対する切断部材37の切断方向Y1(押し付け方向)と逆向きである。この場合、押圧部材138を移動させるアクチュエータは、切断部材37を移動させるアクチュエータとは別のアクチュエータである。
【0101】
切断部28Aを用いて張力付与処理としての第2切断処理(ステップS24)を実行する場合について説明する。この場合、
図16(a)に示すように、ミシン目無し帳票FNの境界線LN1が、搬送方向Xにおいて切断部材37の刃先37Aと同じ位置に到達すると、制御部55は、第1ローラR1、第2ローラR2および搬送ローラ33の回転を停止させる。
【0102】
次いで、制御部55は、第2アクチュエータ72を駆動させる。これによって、待機位置に位置する押圧部材138が押圧方向Y2へ移動し、
図16(b)に示すように、先端面138Aがミシン目無し帳票FNに当接する。先端面138Aは、ミシン目無し帳票FNの短手方向SD(左右方向)の全域において当接する。先端面138Aによってミシン目無し帳票FNを押圧することにより、ミシン目無し帳票FNの弛みをなくすことができる。そして、先端面138Aが押圧方向Y2にさらに移動させられることにより、ミシン目無し帳票FNにおける当接部分の周囲が引っ張られ、これにより、ミシン目無し帳票FNの境界線LN1に搬送方向Xに沿う強制的な張力が発生する。
【0103】
この状態で、制御部55は、第1アクチュエータ71を駆動させる。
図16(c)に示すように、刃先37Aがミシン目無し帳票FNに当接し、この状態から刃先37Aがさらに切断方向Y1へ移動することにより、強制的な張力が付与された状態の境界線LN1に刃先37Aが押し付けられ、これにより、境界線LN1に沿ってミシン目無し帳票FNが切断(剪断)される。すなわち、ミシン目無し帳票FNが刃先37Aによって押し切られる。その結果、ミシン目無し帳票FNが領収書F1と控えF2との2つに分離される。この場合も、分離後における領収書F1および控えF2の切断面は、たとえば定規を当てて手で切断する場合と同等の切断面である。
【0104】
切断部28Aを用いて第2切断処理(ステップS24)を実行する場合も、切断部28を用いて第2切断処理(ステップS24)を実行する場合と同等の作用および効果を奏する。それに加え、押圧部材138の押圧方向Y2が、刃先37Aの切断方向Y1と逆向きであるので、ミシン目無し帳票FNに作用する剪断力が大きくなる。これにより、ミシン目無し帳票FNをより一層良好に切断できる。
【0105】
切断部28に代えて
図17に示す切断部28Bを用いることができる。切断部28Bの構成のうち切断部28と共通する構成については、
図9~
図14の場合と同一の参照符号を
図17において付し、説明を省略する。切断部28Bは、切断部材を1つだけ備えているのはなく、切断部材として、第1切断部材237と、第2切断部材238とを備えている。また、切断部28Bは、ホルダ239と、第1アクチュエータ271と、第2アクチュエータ272とをさらに備えている。
【0106】
第1切断部材237は、前述した切断部材37と同じ構成である。第1切断部材237は、丸まった鈍い刃先237Aを有しており、刃先237Aは、搬送方向Xから見て第1搬送路21A側へ突出した山型に形成されている。第1切断部材237として、少なくとも刃先237Aが樹脂製のものを用いてもよい。
【0107】
第2切断部材238は、第1切断部材237の刃先237Aよりも鋭い刃先238Aを有するカッターである。刃先238Aの断面は、刃先237Aよりも尖っている。より具体的には、第2切断部材238はナイフカッターである。第2切断部材238として、少なくとも刃先238Aが金属製のものを用いてもよい。
【0108】
第2切断部材238の刃先238Aの刃渡り方向Zは、左右方向に延びている。第2切断部材238の左右方向の長さは、第1搬送路21Aの幅方向の全域に亘っている。
図18に示すように、刃先238Aは、搬送方向Xから見て第1搬送路21Aへ突出した山型に形成されている。刃先238Aは、刃渡り方向Zにおける中央位置から一方側および他方側に向かうにつれて第1搬送路21Aから徐々に離れている。このような第2切断部材238の刃先238Aで帳票Fを切断する場合には、帳票Fでは、第2切断部材238の刃渡り方向Zにおけるいずれかの1つの位置を始点として切断が開始される。これにより、帳票Fを、破くことなく正確に切断できる。第2切断部材238の刃先238Aは、刃渡り方向Zにおける一方側から他方側に向かうにつれて第1搬送路21Aから徐々に離れていてもよい。
【0109】
ホルダ239は、第1切断部材237および第2切断部材238を移動方向Yの一方側(
図17の例では上側)から保持するホルダである。第1アクチュエータ271は、たとえば電動モータやボールねじを含み、第1切断部材237を、移動方向Yに沿ってホルダ39に対して離反するように移動させる。第2アクチュエータ272は、たとえば電動モータやボールねじを含み、第2切断部材238を、移動方向Yに沿ってホルダ239に対して接離するように移動させる。
【0110】
切断部28Bを用いて実行される第1切断処理(ステップS23)の動作は、切断部28を用いて実行される第1切断処理(ステップS23)の動作と同様である。すなわち、
図12(a)~
図12(c)と同様に、ローラR1,R2を停止させた状態で第1切断部材237によって帳票Fが押し切られ、ミシン目Mに沿ってミシン目有り帳票FYが2つに切り離される。
【0111】
切断部28Bを用いて第2切断処理(ステップS24)を実行する場合について説明する。この場合、
図19(a)に示すように、ミシン目無し帳票FNの境界線LN1が、搬送方向Xにおいて第2切断部材238の刃先238Aと同じ位置に到達すると、制御部55は、第1ローラR1、第2ローラR2および搬送ローラ33の回転を停止させる。また、制御部55は、切断部材37の左右方向の位置を調整する。具体的には、山型の刃先237A,238Aの下端縁が、第1搬送路21A内のミシン目無し帳票FNの短手方向SD(左右方向)の中央部に一致するように、ホルダ239を移動するためのホルダ移動部材を駆動して第1および第2切断部材237,238を第1搬送路21Aの幅方向(左右方向)に移動する。その後、制御部55は、第2アクチュエータ272を駆動させる。これによって、待機位置に位置する第2切断部材238が帳票Fの境界線L1へ向けて切断方向Y1へ移動し、
図19(b)に示すように刃先238Aがミシン目無し帳票FNに当接する。これにより、刃先238Aがミシン目Mを押し切る。これにより、ミシン目無し帳票FNが領収書F1と控えF2との2つに分離される。第2切断部材238の刃先238Aが鋭いのでミシン目無し帳票FNを、境界線LN1において良好に切断できる。
【0112】
ミシン目無し帳票FNにおける第2切断部材238の刃先238Aの当接位置が、境界線LN1から搬送方向Xにずれることがある。ミシン目無し帳票FNの境界線LN1にミシン目Mが形成されていないので、第2切断部材238の刃先238Aが帳票Fに当接しても、そのずれた位置においてミシン目無し帳票FNが切断されるだけである。そのため、細長い切断片(ゴミ)が発生することがない。これにより、搬送方向Xにおいて境界線LN1からずれた位置に刃先237Aがある場合でも、ミシン目無し帳票FNを良好に切断できる。
【0113】
以上により、この実施形態によれば、切断処理(ステップS12)では、切断部材37,237,238を帳票Fの境界線L1に押し付けることにより帳票Fが切断される。ミシン目有り帳票FYは、ミシン目有り帳票FYに適した態様で切断され(第1切断処理(ステップS23))、ミシン目無し帳票FNは、ミシン目無し帳票FNに適した態様で切断される(第2切断処理(ステップS24))。これにより、ミシン目有り帳票FYおよびミシン目無し帳票FNの両方を、帳票処理装置1において良好に切断できる。
【0114】
ところで、ミシン目有り帳票FYに対し第1切断処理(ステップS23)を実行しても、ミシン目有り帳票FYを切断できない場合がある。ミシン目有り帳票FYを切断できない原因として、ミシン目有り帳票FYが湿っていたり、ミシン目有り帳票FYにおけるミシン目Mに形成不良が生じていたりすることが考えられる。ミシン目有り帳票FYを良好に分離できないと、分離後の帳票Fを良好に搬送できず、その結果、エラーが発生することが考えられる。
【0115】
第1切断処理(ステップS23)によってミシン目有り帳票FYが切断できなかった場合、制御部55は、
図20に示すように、第1切断処理(ステップS23)の終了後に第2切断処理(ステップS24)を実行して、その帳票Fのミシン目M(境界線FL1)を切断してもよい。第2切断処理(ステップS24)は第1切断処理(ステップS23)に比べ、帳票Fの切断能力が優れている。そのため、第1切断処理(ステップS23)を実行しても切断できなかったミシン目有り帳票FYであっても、第2切断処理(ステップS24)の実行によって切断できる場合がある。この場合、第2切断処理(ステップS24)によってミシン目有り帳票FYを切断できれば、エラーの発生を抑制できる。
【0116】
第1切断処理(ステップS23)における帳票Fが切断されたか否かの検知は、たとえば、切断部材(切断部材37、第1切断部材237)に加わる荷重の大きさに基づいて検知してもよい。切断部材(切断部材37、第1切断部材237)に荷重センサ301(
図9および
図17に破線にて図示)を設け、第1切断処理(ステップS23)の実行中に、荷重センサ301によって検出される荷重が閾値を超えることで、帳票Fが切断できなかったことを制御部55が検知できる。荷重センサ301が検知部として機能する。この場合、制御部55が第1切断処理(ステップS23)の実行を中止し、次いで、制御部55が第2切断処理(ステップS24)の実行を開始してもよい。
【0117】
また、第1ローラR1および第2ローラR2を駆動するモータの負荷に基づいて、帳票Fが切断されたか否かを検知してもよい。具体的には、領収書F1を取込排出口8へ搬送して控えF2を回収部26に搬送するために、モータ(図示せず)が、第1ローラR1を逆回転させて第2ローラR2を正回転させようとする。そのときにモータが所定以上の負荷を受けた場合に、帳票Fが切断されていないことを検知してもよい。
【0118】
なお、第1切断処理(ステップS23)によってミシン目有り帳票FYを切断できない原因が、切断部材37,237やアクチュエータ71,271の故障にある場合がある。ミシン目形成判別(ステップS21)においてミシン目Mが形成されていると判別された場合であっても(ステップS22でYES)、別途これらの故障検知があった場合、制御部55は、第1切断処理(ステップS23)を実行することなく、第2切断処理(ステップS24)を実行してもよい。
【0119】
また、
図8のステップS3において特定した帳票Fの種類に基づくのではなく、他の手法によって、第1搬送路21A内を搬送される帳票Fにミシン目Mが形成されているか否かを判別してもよい。
【0120】
具体的には、第1搬送路21A内を搬送される帳票Fにミシン目Mが形成されているか否かを検知するミシン目検知センサを配置してもよい。ミシン目検知センサは、たとえば光学センサである。光学センサは、発光素子と受光素子とを含む。光学センサは、帳票Fのミシン目Mを透過して受光素子に受光される検知光の有無に基づいて、第1搬送路21A内を搬送される帳票Fにミシン目Mが形成されているか否かを検知してもよい。
【0121】
また、ミシン目検知センサは、たとえば超音波センサであってもよい。超音波センサは、超音波を発生する発生素子と、この超音波を受信する受信素子とを含む。ミシン目Mを透過した超音波の量は、それ以外の部分を透過した超音波の量よりも多いので、超音波の量の違い基づいて、超音波センサによってミシン目Mを検知できる。
【0122】
また、読取部29によって帳票Fのミシン目Mを検出することで、帳票Fにミシン目Mが形成されているか否かが検知されてもよい。
【0123】
また、帳票Fの厚みに基づいてミシン目Mが形成されているか否かを判別されてもよい。普通紙は厚みが薄く、専用紙(ミシン目形成用紙)は厚みが厚い。そのため、第1搬送路21A内を搬送される帳票Fの厚みを、厚みセンサを用いて測定し、制御部55が、この測定結果に基づいて、第1搬送路21A内を搬送される帳票Fにミシン目Mが形成されているか否かを判別してもよい。この厚みセンサとしては、マイクロ変位センサ、超音波センサ等を例示できる。マイクロ変位センサは、帳票Fに接触して移動するレバーの移動量を測定することによって帳票Fの厚さを測定する。超音波センサは、帳票Fを透過して受信素子に受信される超音波の量から帳票Fの厚さを測定する。
【0124】
ところで、ミシン目形成判別(ステップS21)の結果、ミシン目Mが帳票Fに形成されているか否かを制御部55が判別できない場合がある。このような場合として、帳票Fに対応する辞書情報58Aが存在するものの、切断情報58Eがなかったり切断情報58Eがあってもミシン目Mの有無の情報が無かったりする場合が挙げられる。加えて、前述したセンサの検知によってミシン目形成判別を行う場合には、これらのセンサの故障等が原因で、ミシン目Mが帳票Fに形成されているか否かを判別できないこともある。これらの場合、制御部55は、切断処理(ステップS12)として、第1切断処理(ステップS23)および第2切断処理(ステップS24)のうち所定の一方の処理を実行してもよい。
【0125】
たとえば、
図21の例では、ミシン目形成判別(ステップS21)においてミシン目Mが形成されているか否かを制御部55が判別できなかった場合(ステップS41でNO)、制御部55は、第2切断処理(ステップS24)を実行している。前述のように、第2切断処理(ステップS24)は、第1切断処理(ステップS23)に比べ、帳票Fの切断能力が優れている。ミシン目Mが形成されているか否かを判別できなかった帳票Fに対して第1切断処理(ステップS23)を実行すると、その帳票Fにミシン目Mが形成されている場合に、その帳票Fを良好に切断できないおそれがある。そのため、
図21の例では、ミシン目Mが形成されているか否かを判別できなかった帳票Fに対しては、一律に、第2切断処理(ステップS24)を実行するようにしている。
【0126】
図21の例とは別の例として、ミシン目Mが形成されているか否かを判別できなかった場合に実行される処理として、第1切断処理(ステップS23)および第2切断処理(ステップS24)のいずれかを設定画面(図示せず)において事前に設定できるようになっていてもよい。そして、ミシン目形成判別(ステップS21)においてミシン目Mが形成されているか否かを判別できなかった場合、第1切断処理(ステップS23)および第2切断処理(ステップS24)のうち事前に設定されていた方の切断処理が実行されてもよい。
【0127】
また、さらに別の例として、ミシン目形成判別(ステップS21)においてミシン目Mが形成されているか否かを制御部55が判別できなかった場合、制御部55が帳票Fを切断しなくてもよい。具体的には、
図22に示すように、制御部55は、ミシン目Mが形成されているか否かを判別できなかった場合(ステップS51でNO)、制御部55は、搬送ローラ33および取込排出ローラ36等を逆転させることによって、切断処理を行わないまま、帳票Fを取込排出口8から返却する(ステップS52)。このとき、制御部55は、表示操作部4に、有人の窓口での処理を促すメッセージが記載されたキャンセル画面(図示せず)を表示してもよい(ステップS53)。なお、この例では、ミシン目形成判別(ステップS21)を、切断処理(
図8のステップS12)の開始後ではなく、決済処理(
図8のステップS9)よりも前に行う必要がある。
【0128】
また、制御部55は、
図8のステップS3において帳票Fの表面FAから「キリトリ」等の切取表示Bを読み取り、この切取表示Bから切断位置を特定してもよい。そのため、この帳票Fに対応する辞書情報58Aが存在するものの、切断情報58Eがなかったり切断情報58Eがあってもミシン目Mの有無が無かったりする場合であっても、帳票Fの切断位置を特定可能である。
【0129】
また、切断部28A,28B,28Cにおいて、第1搬送路21Aにおける第1ローラR1の上流側に、
図23に示すミシン目形成ローラ351(
図5に破線にて図示)が配置されていてもよい。ミシン目形成ローラ351は、円筒状のローラ本体352と、ローラ本体352の周面352Aに配置されたミシン目形成部353とを含む。ミシン目形成部353は、左右方向に列状に並んだ多数のミシン目形成歯353Aを備えている。そして、第1搬送路21Aを搬送される帳票Fがミシン目無し帳票FNであると制御部55によって判別された場合には、ミシン目形成ローラ351を、第1ローラR1と同じ方向に回転させて、ミシン目無し帳票FNにミシン目Mを形成する。そして、ミシン目Mが形成されたミシン目無し帳票FNが、切断部28A,28B,28Cを用いて第1切断処理(ステップS23)によって切断される。
【0130】
図24は、第1搬送路21Aにおける取込排出口8の周囲の部分の構成を説明するための平面図である。取込排出口8には、取込排出口8を上下に開閉するシャッタ400が設けられていてもよい。取込排出部27が、取込排出口8に投入された帳票Fの用紙幅を検知する帳票幅検知部401を備えていてもよい。帳票幅検知部401は、第1搬送路21Aにおいて取込排出口8に隣接した前端部に配置されている。帳票幅検知部401は、第1搬送路21Aに配置された複数の搬送路センサ402(この実施形態では5つ)と、トレイ9に配置されたトレイセンサ403とを備えている。第1搬送路21Aとトレイ9とに跨って、帳票Fの搬送方向Xに沿って延びる寄せ当てガイド404が配置されている。
【0131】
複数の搬送路センサ402は、第1搬送路21Aの幅方向(左右方向)に沿って並んだセンサ402A,402B,402C,402D,402Eを備えている。センサ402A,402B,402C,402D,402Eは、寄せ当てガイド404からの距離が異なっている。最も左側のセンサ402Aと寄せ当てガイド404との距離は、取込排出口8に投入可能な最大サイズ(この実施形態ではたとえばA4サイズ)の帳票Fの幅(210mm)よりも大きい。最も右側のセンサ402Eと寄せ当てガイド404との距離は、取込排出口8に投入可能な最小サイズの帳票Fの幅(たとえば89mm)よりも小さい。センサ402A,402B,402C,402D,402Eおよびトレイセンサ403は、たとえばフォトインタラプタである。
【0132】
センサ402A,402B,402C,402D,402Eおよびトレイセンサ403の上方に帳票Fが配置されると、これらのセンサは帳票Fが検知する。制御部55は、いずれのセンサが帳票Fを検知しているかによって、取込排出口8に投入された帳票Fの幅を検知できる。
図24では、取込排出口8にA4サイズの帳票Fが投入される場合を示している。取込排出口8に投入される帳票Fの右端は、寄せ当てガイド404に当てられる。第1搬送路21AにA4サイズの帳票Fが搬送されると、その後、5つの搬送路センサ402のうち、センサ402Aを除くセンサ402B,402C,402D,402Eが、帳票Fを検知する。これにより、制御部55は、A4サイズの帳票Fが投入されたことを検知できる。
【0133】
データベースDBに、A4サイズの帳票に対する辞書情報58Aが存在しない場合がある。この場合、A4サイズの帳票Fが取込排出口8に投入されたことが帳票幅検知部401によって検知されると、制御部55は、投入された帳票Fを取込排出口8から直ちに返却してもよい。この場合、直ちに返却せずに、帳票処理ユニット20の読取部29によってその帳票Fの画像データを取得し、その後に返却してもよい。そして、このとき取得された画像データが、辞書サーバ100に付与されるようになっていてもよい。
【0134】
図25(a)および
図25(b)は、第1搬送路21Aにおける対向領域21Eを右側から見た模式的な図である。
図26(a)~
図26(c)は、対向領域21Eを上側から見た模式的な図である。
図26(a)~
図26(c)では、理解の容易化のため、帳票Fを一点鎖線で示している。
【0135】
図25に示すように、印刷ヘッド31Bは、第1搬送路21A上を、その幅方向(左右方向)に移動する。これにより、帳票Fの短手方向SDに、印刷位置を変更できる。また、第1搬送路21A上において、帳票Fが搬送方向Xに搬送される。これにより、帳票Fの長手方向LDに、印刷位置を変更できる。第1搬送路21Aにおける、印刷ヘッド31Bに対向する対向領域21Eが、第1搬送路21Aにおける他の領域と独立して上下移動可能にする。そして、この対向領域21Eに、電動モータやボールねじを含む構成の昇降機構501が結合されている。
【0136】
また、
図26に示すように、印刷ヘッド31Bには、対向領域21E上で帳票Fを下方に押さえる複数の押さえガイド502が連結されている。複数の押さえガイド502は、印刷ヘッド31Bの右側に配置された右押さえガイド502Aと、印刷ヘッド31Bの左側に配置された左押さえガイド502Bと、左押さえガイド502Bのさらに左側に配置された最左押さえガイド502Cとを備えている。最左押さえガイド502Cは、左押さえガイド502Bに連結されている。右押さえガイド502A、左押さえガイド502Bおよび最左押さえガイド502Cは、印刷ヘッド31Bの移動に伴って、第1搬送路21Aの幅方向(左右方向)に移動する。
【0137】
印刷ヘッド31Bを用いた記入時には、
図25(a)に示すように、対向領域21Eは、第1搬送路21Aにおける他の領域と同じ高さ位置にある。この状態で、対向領域21Eと印刷ヘッド31Bの下面との間隔W1は約0.5mmであり、印刷ヘッド31Bにより帳票Fに文字等を記入可能である。
【0138】
帳票Fの搬送時には、
図25(b)に示すように、対向領域21Eは下位置にある。この状態で、対向領域21Eと印刷ヘッド31Bの下面との間隔W2は約1.5mmである。対向領域21Eと印刷ヘッド31Bとの間に隙間が形成されるので、帳票Fが印刷ヘッド31Bの下面に干渉することに起因する帳票詰まりの発生を回避できる。そのため、帳票Fの搬送中も、対向領域21E上に印刷ヘッド31Bを配置し続けることが可能である。ゆえに、次に述べる左退避領域21Lや右退避領域21Rに印刷ヘッド31Bを配置する必要がないから、左退避領域21Lや右退避領域21Rの左右方向の幅を大きく確保する必要がない。そのため、帳票処理装置1が左右方向に大型化するのを回避できる。
【0139】
図26(a)に示すように、印刷ヘッド31Bが対向領域21E上において、第1搬送路21Aの幅方向(左右方向)の略中央に位置する場合、右押さえガイド502A、印刷ヘッド31B、左押さえガイド502Bおよび最左押さえガイド502Cが、対向領域21Eにおいて帳票Fを下方に押さえる。
【0140】
図26(b)に示すように、印刷ヘッド31Bが対向領域21E上において、第1搬送路21Aの幅方向(左右方向)の右端部に位置する場合、印刷ヘッド31B、左押さえガイド502Bおよび最左押さえガイド502Cが、対向領域21Eにおいて帳票Fを下方に押さえる。このとき、右押さえガイド502Aは、第1搬送路21Aの右端よりも右側に配置された右退避領域21Rに配置される。
【0141】
図26(c)に示すように、印刷ヘッド31Bが対向領域21E上において、第1搬送路21Aの幅方向(左右方向)の左端部に位置する場合、右押さえガイド502Aおよび印刷ヘッド31Bが、対向領域21Eにおいて帳票Fを下方に押さえる。このとき、左押さえガイド502Bおよび最左押さえガイド503Cは、第1搬送路21Aの左端よりも左側に配置された左退避領域21Lに配置される。なお、最左押さえガイド503Cは、左押さえガイド502Bを、その上に重ねて配置可能な重複ガイドであり、
図26(c)では、左押さえガイド502Bは、最左押さえガイド503Cの上に重ねて配置される。
【0142】
このため、印刷ヘッド31Bが、対向領域21E上の左右方向のどの位置にあっても、印刷ヘッド31Bおよび押さえガイド502によって、帳票Fのとくに左右端部を良好に押さえることができる。また、左押さえガイド502Bおよび最左押さえガイド503Cが上下に重複するので、左退避領域21Lの左右方向の幅を大きく確保する必要がない。そのため、帳票処理装置1が左右方向に大型化するのをより一層回避できる。
【0143】
また、押圧部材38,138が、切断部材37に対し、搬送方向Xの下流側でなく、搬送方向Xの上流側に配置されていてもよい。第2切断部材238が、第1切断部材237に対し、搬送方向Xの下流側でなく、搬送方向Xの上流側に配置されていてもよい。
【0144】
また、帳票Fにおける切断位置が、領収書F1と控えF2と境界線L1ではなく、それ以外の位置に形成されていてもよい。
【0145】
また、ミシン目無し帳票FNは、普通紙でなくてもよい。ミシン目無し帳票FNは、たとえば、上質紙、再生紙等であってもよい。ミシン目無し帳票FNは、非加工紙でなく、加工紙であってもよい。
【0146】
本発明は、帳票Fを受け付けて所定の処理を行う帳票処理装置であれば、決済処理を行わないものにも適用できる。たとえば、帳票処理装置1が、帳票Fを受け付け、その受け付けた内容に基づいて所定の申請の手続処理を実行し、手続処理後の帳票を切断して保持するものであってもよい。この場合の帳票Fは、行政機関等が発行する申請書、申告書等である。
【0147】
以上に説明した様々な特徴は、適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0148】
1 :帳票処理装置
8 :取込排出口(投入部)
20 :帳票処理ユニット
28,28A,28B,28C:切断部
29 :読取部
37 :切断部材
37A :刃先
38 :押圧部材
55 :制御部
74 :V字状面
75 :開口
138 :押圧部材
237 :第1切断部材
237A :刃先
238 :第2切断部材
238A :刃先
301 :荷重センサ(検知部)
F :帳票
L1 :境界線(切断位置)
M :ミシン目
Y1 :切断方向(押圧方向)
Y2 :押圧方向
Z :刃渡り方向