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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023135239
(43)【公開日】2023-09-28
(54)【発明の名称】混合度判定装置及び混合度判定方法
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/60 20170101AFI20230921BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20230921BHJP
【FI】
G06T7/60 110
G06T7/00 610
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022040347
(22)【出願日】2022-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】515086908
【氏名又は名称】株式会社トヨタプロダクションエンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】100114306
【弁理士】
【氏名又は名称】中辻 史郎
(74)【代理人】
【識別番号】100148655
【弁理士】
【氏名又は名称】諏訪 淳一
(72)【発明者】
【氏名】椛島 治樹
(72)【発明者】
【氏名】石田 雄貴
【テーマコード(参考)】
5L096
【Fターム(参考)】
5L096BA03
5L096DA02
5L096EA03
5L096EA43
5L096FA52
5L096FA59
5L096GA34
5L096GA59
(57)【要約】
【課題】複数種類の粉粒体から構成される混合材料の混合度を正確に判定することを課題とする。
【解決手段】混合度判定装置10は、攪拌装置30の上部の混合材料の上面画像を撮像部20で撮像し、撮像した原画像D0から縮小率の異なる縮小画像D1を生成する。そして、生成された縮小画像D1に基づいてアダプティブスレッショルド手法を用いて二値化画像D2を生成し、二値化画像D2からシャノンインデックスを用いて縮小画像混合度(シャノン・エントロピーS)を算出し、所定の範囲の縮小率の縮小画像混合度の平均を平均混合度として算出するようにした。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種類の粉粒体が混合された混合材料の混合度を判定する混合度判定装置であって、
前記混合材料を撮像した一又は複数の画像を取得する画像取得部と、
前記画像取得部により取得された画像を複数の異なる縮小率で縮小した複数の縮小画像を生成する縮小画像生成部と、
前記縮小画像生成部により生成された複数の縮小画像をそれぞれ二値化して複数の二値画像を生成する二値画像生成部と、
前記二値画像生成部により生成された前記複数の二値画像からそれぞれ混合度を算出する混合度算出部と、
前記混合度算出部により算出された複数の混合度に基づいて、前記混合材料の混合度を判定する混合度判定部と
を備えたことを特徴とする混合度判定装置。
【請求項2】
前記縮小画像生成部は、
前記画像を縮小しない縮小率100%から前記画像の縮小率80%までの複数の縮小画像を生成することを特徴とする請求項1に記載の混合度判定装置。
【請求項3】
前記二値画像生成部は、
アダプティブスレッショルド手法により前記複数の縮小画像を二値化処理して複数の二値画像を生成することを特徴とする請求項1又は2に記載の混合度判定装置。
【請求項4】
前記混合度算出部は、シャノンインデックスを用いて各二値化画像における前記選択粉粒体の混合度を算出することを特徴とする請求項1~3のいずれか一つに記載の混合度判定装置。
【請求項5】
前記混合度判定部は、各二値化画像の混合度を平均化した平均混合度に基づいて、前記混合材料の混合度を判定することを特徴とする請求項1~4のいずれか一つに記載の混合度判定装置。
【請求項6】
前記画像取得部は、
前記混合材料を上方から撮像した上面画像と、前記混合材料を側面から撮像した側面画像とを含む複数の画像を取得することを特徴とする請求項1~5のいずれか一つに記載の混合度判定装置。
【請求項7】
複数種類の粉粒体が混合された混合材料の混合度を判定する混合度判定装置における混合度判定方法であって、
前記混合材料を撮像した一又は複数の画像を取得する画像取得工程と、
前記画像取得工程により取得された画像を複数の異なる縮小率で縮小した複数の縮小画像を生成する縮小画像生成工程と、
前記縮小画像生成工程により生成された複数の縮小画像をそれぞれ二値化して複数の二値画像を生成する二値画像生成工程と、
前記二値画像生成工程により生成された前記複数の二値画像からそれぞれ混合度を算出する混合度算出工程と、
前記混合度算出工程により算出された複数の混合度に基づいて、前記混合材料の混合度を判定する混合度判定工程と
を含むことを特徴とする混合度判定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数種類の粉粒体から構成される混合材料の混合度を正確に判定することができる混合度判定装置及び混合度判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、樹脂成型品を製造する前段階では、樹脂ペレット、着色剤、発泡剤などの複数種類の粉粒体を混合する処理が施される。このため、例えば主材に着色剤を混ぜるような場合に、2種の粉粒体の混ざり具合を定量評価できることが重要となる。
【0003】
このため、複数種類の粉粒体の混合度を求める従来技術が知られている。例えば、非特許文献1には、シャノン・エントロピーを演算し、このシャノン・エントロピーの値を粉粒体の分散具合を示す混合度とする技術が開示されている。
【0004】
また、特許文献1には、混合粉体全体画像における特定粉体の存在確率に基づく混合度を算出し、混合度が所定条件を満たすと混合を終了させる粉体混合システムが開示されている。さらに、特許文献2には、複数種類の粉粒体から構成される混合材料の画像を取得し、取得された画像から混合度を判定する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-58860号公報
【特許文献2】特開2019-60805号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】「シャノン・エントロピーによる粉粒体の混合度の定量評価」 中田洋一ら著、粉体工学会誌、vol.57 No.5 pp296-304 2017年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、カメラで撮像した画像は、該カメラの解像度及び撮影環境などにより画質が不安定となるため、上記の従来技術(非特許文献1、特許文献1及び特許文献2)を用いたとしても、複数種類の粉粒体の状態が正確に画像に表れていない場合には、適正な混合度を求めることができないという問題がある。
【0008】
例えば、黒色の着色剤が半透明の主材に混ぜられた混合材料を上方からカメラで撮影した場合に、混合材料の表面に位置する着色剤の粒は大きく濃く映り、混合材料の内部に位置する着色剤の粒が小さく薄く映る場合がある。このような場合に、単純に混合度を求めたとしても、混合材料の内部に位置する着色剤の粒の状態は反映されない可能性がある。
【0009】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、複数種類の粉粒体から構成される混合材料の混合度を正確に判定することができる混合度判定装置及び混合度判定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明は、複数種類の粉粒体が混合された混合材料の混合度を判定する混合度判定装置であって、前記混合材料を撮像した一又は複数の画像を取得する画像取得部と、前記画像取得部により取得された画像を複数の異なる縮小率で縮小した複数の縮小画像を生成する縮小画像生成部と、前記縮小画像生成部により生成された複数の縮小画像をそれぞれ二値化して複数の二値画像を生成する二値画像生成部と、前記二値画像生成部により生成された前記複数の二値画像からそれぞれ混合度を算出する混合度算出部と、前記混合度算出部により算出された複数の混合度に基づいて、前記混合材料の混合度を判定する混合度判定部とを備えたことを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、上記発明において、前記縮小画像生成部は、前記画像を縮小しない縮小率100%から前記画像の縮小率80%までの複数の縮小画像を生成することを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、上記発明において、前記二値画像生成部は、アダプティブスレッショルド手法により前記複数の縮小画像を二値化処理して複数の二値画像を生成することを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、上記発明において、前記混合度算出部は、シャノンインデックスを用いて各二値化画像における前記選択粉粒体の混合度を算出することを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、上記発明において、前記混合度判定部は、各二値化画像の混合度を平均化した平均混合度に基づいて、前記混合材料の混合度を判定することを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、上記発明において、前記画像取得部は、前記混合材料を上方から撮像した上面画像と、前記混合材料を側面から撮像した側面画像とを含む複数の画像を取得することを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、複数種類の粉粒体が混合された混合材料の混合度を判定する混合度判定装置における混合度判定方法であって、前記混合材料を撮像した一又は複数の画像を取得する画像取得工程と、前記画像取得工程により取得された画像を複数の異なる縮小率で縮小した複数の縮小画像を生成する縮小画像生成工程と、前記縮小画像生成工程により生成された複数の縮小画像をそれぞれ二値化して複数の二値画像を生成する二値画像生成工程と、前記二値画像生成工程により生成された前記複数の二値画像からそれぞれ混合度を算出する混合度算出工程と、前記混合度算出工程により算出された複数の混合度に基づいて、前記混合材料の混合度を判定する混合度判定工程とを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、複数種類の粉粒体から構成される混合材料の混合度を正確に判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、実施形態1に係る混合度判定装置の概要を説明する説明図である。
図2図2は、縮小画像及び二値化画像の生成を説明するための説明図である。
図3図3は、原画像、原画像を含む縮小画像及びアダプティブスレッショルド手法を適用して二値化を行った二値化画像の一例を示す図である。
図4図4は、シャノン・エントロピーの算出を説明するための説明図である。
図5図5は、図1に示した混合度判定装置の処理手順を示すフローチャートである。
図6図6は、変形例を説明するための説明図である。
図7図7は、実施形態2に係る混合度判定装置の概要を説明する説明図である。
図8図8は、図7に示した混合度判定装置の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明に係る混合度判定装置及び混合度判定方法の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0020】
[実施形態1]
<混合度判定システムの概要>
まず、本実施形態1に係る混合度判定装置の概要について説明する。図1は、実施形態1に係る混合度判定装置の概要を説明するための説明図である。図1に示すように、混合度判定装置10は、攪拌装置30において、例えば主材と着色材とを混合し、攪拌装置30の上部に設けられた撮像部20にて混合材料を撮像し、撮像した上面画像に基づいて混合された主材及び着色材の混合度を求めるものである。
【0021】
<混合度判定装置10の構成>
混合度判定装置10は、表示部11、入力部12、記憶部14、制御部15及び撮像部20を有する。表示部11は、各種情報を表示する液晶ディスプレイなどの表示デバイスである。入力部12は、マウスやキーボードなどの入力デバイスである。撮像部20は、カメラなどの撮像デバイスである。
【0022】
記憶部14は、ハードディスク装置や不揮発性メモリなどの記憶デバイスであり、画像データ14aと、縮小画像データ14bと、二値化画像データ14cと、縮小画像混合度データ14dとを記憶する。画像データ14aは、撮像部20で撮像した混合材料の画像データである。縮小画像データ14bは、画像データ14aの解像度を落とした複数の画像データである。二値化画像データ14cは、縮小画像データ14bに二値化処理を行った画像データである。縮小画像混合度データ14dは、各縮小画像に基づいて主材及び着色材との混合度を示すデータである。
【0023】
制御部15は、混合度判定装置10の全体を制御する制御部であり、画像取得処理部15aと、縮小画像生成部15bと、二値化処理部15cと、縮小画像混合度算出部15dと、平均混合度算出部15eと、平均混合度判定部15fとを有する。実際には、これらのプログラムをCPUにロードして実行することにより、画像取得処理部15aと、縮小画像生成部15bと、二値化処理部15cと、縮小画像混合度算出部15dと、平均混合度算出部15eと、平均混合度判定部15fとにそれぞれ対応するプロセスを実行させることになる。
【0024】
画像取得処理部15aは、撮像部20を制御して攪拌装置30内の混合材料の上部表面の上面画像を原画像として高解像度で取得する。具体的には、攪拌装置30の混合材料の上面画像を撮像部20で撮像し、画像データ14aとして記憶部14に記憶する。
【0025】
縮小画像生成部15bは、画像取得処理部15aにおいて取得した高解像度の画像(以下、「原画像」と言う)を含み、原画像の解像度を順次低くした複数の縮小画像を生成する。画像サイズの低減は、例えば、原画像を100%とすると、縮小率を100%から1%ずつ小さくして、例えば原画像の80%のサイズまで小さくする。
【0026】
ここで、縮小率の下限を「80%」とした理由は、縮小すればするほど、縮小時の量子化誤差により縮小画像が粗くなり、表面画像に含まれる特定の着色剤が存在しない扱いとされ、混合度を正確に判定できなくなるためである。この点につき、実験において検証した結果、縮小率の下限が「80%」である場合には、量子化誤差による大きな影響が生じないことを確認した。
【0027】
二値化処理部15cは、各縮小画像に対して白黒に二値化された画像を生成する。二値化処理は、撮像した画像の明度が均一でない場合は、正しく二値化されない可能性が高いので、アダプティブスレッショルド手法を用いて二値化を行う。アダプティブスレッショルド手法は、画像全体の中で任意の大きさの局所領域を設定し、この局所領域ごとに閾値の計算を行って各画像を二値化する。
【0028】
縮小画像混合度算出部15dは、各縮小画像に基づいて二値化された画像における白黒の画素数から二値化画像における混合度を算出する。この混合度は、シャノンインデックスを用いたエントロピーであるシャノン・エントロピーを求めることによって得られる。
【0029】
平均混合度算出部15eは、縮小画像混合度算出部15dで算出された各画像縮小率における混合度に基づいて、混合度の平均値を算出する処理を行う。例えば、画像縮小率が100%から80%まで1%ごとの縮小画像混合度が算出されていたならば、21個の縮小画像混合度を加算し、21で乗算した値を平均混合度として算出する。
【0030】
平均混合度判定部15fは、平均混合度算出部15eにより算出された平均混合度が、所定の閾値より大きいか否かを判定し、所定の閾値より大きい場合は、混合度は良と判定し、所定の閾値より小さい場合は、混合度は不良と判定する。
【0031】
<縮小画像及び二値化画像の生成について>
次に、縮小画像及び二値化画像の生成について説明する。図2は、縮小画像及び二値化画像の生成を説明するための説明図である。図2に示すように、混合度判定装置10は、撮像部20を制御して混合材料の上面画像(原画像D0)を取得する。そして、原画像D0より原画像を含む縮小画像D1を生成する。
【0032】
縮小画像D1の生成には、画像処理に一般的に利用されている画像縮小技術を用いる。そして、混合度判定装置10は、生成した縮小画像D1に基づいて二値化画像D2を生成する。
【0033】
二値化画像D2の生成については、撮像時の影や光の反射などの影響を除去し、材料の色情報のみに適応させるため、アダプティブスレッショルド手法を用いて二値化を行う。アダプティブスレッショルド手法は、画像全体の中で任意の大きさの局所領域を設定し、その領域の中で閾値の計算を行い、その局所領域内の画素は、該閾値で1つ1つの画素を二値化する。そして、この局所領域を画像全領域で走査することで、画像の画素全体の二値化を行う。
【0034】
図3は、原画像D0、原画像を含む縮小画像D1及びアダプティブスレッショルド手法を適用して二値化を行った二値化画像D2の一例を示す図である。図3(a)に示すように、原画像D0では、画像に色むらが存在する。この原画像D0を図3(b)に示すように、縮小画像(100%)(D1-1)を生成し、図3(c)に示すように、アダプティブスレッショルド手法を適用して二値化画像D2-1を生成する。アダプティブスレッショルド手法を行った二値化画像D2-1では、原画像D0の黒の画素部分が抽出されており、アダプティブスレッショルド手法を行うことにより背景色に変化がある画像でも二値化を適切に行うことができる。
【0035】
<混合度算出>
次に、混合度の算出について説明する。図4は、シャノン・エントロピーの算出を説明するための説明図である。混合度は、シャノンインデックスを用いて各二値化画像における粉粒体の混合度を算出する。シャノンインデックスを用いたエントロピー(シャノン・エントロピーS)は、図4に示す式により求める。
【0036】
二値化画像データ14cに基づいて算出するシャノン・エントロピーSは、図4に示すように、攪拌装置30の上部の撮像部20にて撮像された上面画像に基づいて作成された二値化画像D2の判定領域Eを同一のサイズのサブセルESに分割して求める。ここで、MはサブセルESの数、jはサブセルESの呼び番号、Cは判定領域E内の粉粒体種類の呼び番号、pc/jは判定領域E内の粉粒体総数に対するサブセルES内の粉粒体種類の粉粒体数の割合である。pjは判定領域E内の粉粒体総数に対するサブセルES内の粉粒体数の割合である。
【0037】
ここで、(pC/jlnpC/j)の総和は、サブセルES内の混合度を表わし、A=(白画素の割合)×ln(白画素の割合)+(黒画素の割合)×ln(黒画素の割合)として、サブセルES内の混合度が求まる。これにより、シャノン・エントロピーSは、サブセルES内の混合度を示す項にpjを乗算した値をサブセルESごとに求め、求めた値をM個分、総和することによって算出される。
【0038】
<混合度判定装置10の処理手順>
次に混合度判定装置10の処理手順について説明する。図5は、図1に示す混合度判定装置10の処理手順を示すフローチャートである。図5に示すように、混合度判定装置10は、撮像部20を制御し、攪拌装置30の上面画像を撮像し、原画像D0を取得する(ステップS101)。
【0039】
そして、混合度判定装置10は、原画像D0を含み、原画像D0の解像度を順次低くした縮小画像D1を生成し(ステップS102)、生成した縮小画像D1からアダプティブスレッショルド手法を用いた二値化処理を行い(ステップS103)、二値化画像D2を生成する。その後、混合度判定装置10は、シャノンインデックスを用い、二値化画像D2における選択粉粒体の画素数に基づいて、二値化画像D2の縮小画像混合度(シャノン・エントロピーS)を算出する(ステップS104)。
【0040】
そして、混合度判定装置10は、縮小率が所定の縮小率(閾値TH)以下か否かを判定する(ステップS105)。縮小率Aが閾値THより大きい場合は(ステップS105;No)、新たな縮小率AをA=A-Bにて算出し(ステップS106)、ステップS102に移行する。なお、B=1にすることにより縮小率Aを1%ずつ減少させることができる。
【0041】
これに対して、縮小率Aが閾値TH以下の場合は(ステップS105;Yes)、平均混合度の算出を行う(ステップS107)。ここで平均混合度は、各縮小画像に基づいて算出された縮小画像混合度の平均である。
【0042】
そして、混合度判定装置10は、平均混合度の判定を行う(ステップS108)。具体的には、求めた平均混合度が所定の閾値以上の場合には、混合度は良とし、求めた平均混合度が所定の閾値より小さい場合は、混合度は不良と判定し、一連の処理を終了する。
【0043】
上述してきたように、本実施形態1では、混合度判定装置10は、攪拌装置30の上部の混合材料の上面画像を撮像部20で撮像し、撮像した原画像D0から縮小率の異なる縮小画像D1を生成する。そして、生成された縮小画像に基づいてアダプティブスレッショルド手法を用いて二値化画像D2を生成し、二値化画像D2からシャノンインデックスを用いて縮小画像混合度(シャノン・エントロピーS)を算出し、所定の範囲の縮小率の縮小画像混合度の平均を平均混合度として算出するようにしたので、複数種類の材料から構成される混合材料の混合度を安定して判定することができる。
【0044】
<変形例>
なお、本実施形態1では、攪拌装置30内部の混合材料の上面画像を用いて混合度を算出する場合を説明したが、混合装置から出力され平ベルトコンベアで運搬されている混合材料の混合度を判定する場合について説明する。なお、実施形態1と同様の部位については、同一の符号を付すこととして、その詳細な説明は省略する。
【0045】
図6は、変形例を説明するための説明図である。図6に示すように、混合度判定装置40は、混合器50から出力された混合済材料52が、例えば、次工程の生成器に平ベルトコンベア51を用いて搬送される場合に、平ベルトコンベア51を流れる混合済材料52を、撮像部21で撮像し、撮像した画像から混合度を算出する。そして、算出された混合度が所定の閾値より低い場合は、アラームを通知する。
【0046】
<混合度判定装置40の構成>
混合度判定装置40は、表示部11、入力部12、記憶部14、制御部45及び撮像部21を有する。
【0047】
制御部45は、混合度判定装置40の全体を制御する制御部であり、画像取得処理部15aと、縮小画像生成部15bと、二値化処理部15cと縮小画像混合度算出部15dと、平均混合度算出部15eと、平均混合度判定部15fと、アラーム通知部45aとを有する。実際には、これらのプログラムをCPUにロードして実行することにより、画像取得処理部15aと、縮小画像生成部15bと、二値化処理部15cと縮小画像混合度算出部15dと、平均混合度算出部15eと、平均混合度判定部15fと、アラーム通知部45aとにそれぞれ対応するプロセスを実行させることになる。
【0048】
アラーム通知部45aは、撮像部21で撮像された画像に基づいて判定された平均混合度が、所定の混合度より低くなった場合に、アラームを通知する処理を行う。これにより、主材に対する着色材の混合不足により不良品の混入を防ぐとこができる。
【0049】
[実施形態2]
ところで、上記実施形態1では、攪拌装置30内部の混合材料の上部からの上面画像に基づいて混合度を算出する場合を説明したが、攪拌装置30の側面に材料の状況が見える窓を具備した攪拌装置31に上面画像を撮像する撮像部20の他に、側面に可動式の可動式撮像部22を配設し、上面及び側面からの画像に基づき混合度を算出する場合について説明する。なお、実施形態1と同様の部位については、同一の符号を付すこととして、その詳細な説明は省略する。
【0050】
まず、本実施形態2に係る混合度判定装置の概要について説明する。図7は、実施形態2に係る混合度判定装置の概要を説明するための説明図である。図7にしめすように、混合度判定装置60は、攪拌装置31において、例えば主材と着色材とを混合し、攪拌装置31の上部に設けられた撮像部20と、攪拌装置31の側面に設けられた可動式撮像部22にて混合材料を撮像し、撮像した画像に基づいて混合された主材及び着色材の混合度を求めるものである。
【0051】
<混合度判定装置60の構成>
混合度判定装置60は、表示部11、入力部12、記憶部64、制御部65、撮像部20及び可動式撮像部22を有する。
【0052】
可動式撮像部22は、カメラなどの撮像デバイスで、攪拌装置31の側面の窓の上部から下部まで任意の位置の画像を撮像可能なように可動部を具備している。
【0053】
記憶部64は、ハードディスク装置や不揮発性メモリなどの記憶デバイスであり、縮小画像データ14bと、二値化画像データ14cと、縮小画像混合度データ14dと、画像データ64aと、平均混合度データ64bとを記憶する。画像データ64aは、撮像部20にて、攪拌装置31の上部から撮像した上面画像と、可動式撮像部22にて、攪拌装置31の側面の窓から撮像した複数枚の側面画像である。平均混合度データ64bは、撮像部20及び可動式撮像部22で撮像した複数の画像データ64aの、それぞれの画像に基づいて算出した平均混合度のデータである。
【0054】
制御部65は、混合度判定装置60の全体を制御する制御部であり、画像取得処理部15aと、縮小画像生成部15bと、二値化処理部15cと、縮小画像混合度算出部15dと、平均混合度算出部15eと、平均混合度判定部15fと、総合混合度算出部65aと、総合混合度判定部65bとを有する。実際には、これらのプログラムをCPUにロードして実行することにより、画像取得処理部15aと、縮小画像生成部15bと、二値化処理部15cと、縮小画像混合度算出部15dと、平均混合度算出部15eと、平均混合度判定部15fと、総合混合度算出部65aと、総合混合度判定部65bとにそれぞれ対応するプロセスを実行させることになる。
【0055】
総合混合度算出部65aは、撮像部20で撮像した攪拌装置31の上面画像に基づいて算出された平均混合度と、可動式撮像部22で撮像した、例えば、攪拌装置31の側面の窓32の上方の側面画像及び側面の窓32の下方の側面画像に基づいて算出された平均混合度との平均値を算出する処理部である。
【0056】
総合混合度判定部65bは、総合混合度算出部65aにより算出された総合混合度が、所定の閾値より大きいか否かを判定する。総合混合度が予定の閾値より大きい場合は、混合度は良と判定し、所定の閾値より小さい場合は、混合度は不良と判定する。
【0057】
<混合度判定装置60の処理手順>
次に、混合度判定装置60の処理手順について説明する。図8は、図7に示した混合度判定装置の処理手順を示すフローチャートである。図8に示すように、混合度判定装置60は、撮像部20及び可動式撮像部22を制御し、攪拌装置31の上部の上面画像及び側面の複数の側面画像を撮像し、複数の原画像D0を取得する(ステップS201)。
【0058】
そして、混合度判定装置60は、原画像D0を含み、原画像D0の解像度を順次低くした縮小画像D1を生成し(ステップS202)、生成した縮小画像D1からアダプティブスレッショルド手法を用いた二値化処理を行い(ステップS203)、二値化画像D2を生成する。その後、混合度判定装置60は、シャノンインデックスを用い、二値化画像D2における選択粉粒体の画素数に基づいて、二値化画像D2の縮小画像混合度(シャノン・エントロピーS)を算出する(ステップS204)。
【0059】
そして、混合度判定装置60は、縮小率Aが所定の縮小率(閾値TH)以下であるか否かを判定する(ステップS205)。縮小率Aが閾値THより大きい場合は(ステップS205;No)、新たな縮小率AをA=A-Bにて算出し(ステップS206)、ステップS202に移行する。なお、B=1にすることにより縮小率Aを1%ずつ減少させることができる。
【0060】
これに対して、縮小率Aが閾値TH以下である場合は(ステップS205;Yes)、平均混合度の算出を行う(ステップS207)。ここで平均混合度は、各縮小画像に基づいて算出された縮小画像混合度の平均である。
【0061】
そして、混合度判定装置60は、撮像した全ての画像が処理されたか否かを判定する(ステップ;S208)。全ての画像が処理されていない場合は(ステップS208;No)、次の画像を選択する(ステップS209)。その後、ステップS202に移行し次の原画像D0の平均混合度の算出を行う。
【0062】
これに対して、全ての画像の処理が終了した場合は(ステップS208;Yes)、算出された複数の平均混合度に基づいて総合混合度を算出する(ステップS210)。総合混合度は、複数の平均混合度の平均を算出する。また、複数の平均混合度に重みを付加し、加重平均を算出してもよい。
【0063】
その後、混合度判定装置60は、総合混合度の判定を行う(ステップS211)。具体的には、算出された総合混合度が所定の閾値以上の場合は、混合度は良と判定し、総合混合度が所定の閾値より小さい場合は、混合度は不良と判定し、一連の処理を終了する。
【0064】
上述してきたように、本実施形態2では、混合度判定装置60は、攪拌装置31の上部の混合材料の上面画像を撮像部20で撮像し、攪拌装置31の側面の混合材料の側面画像を可動式撮像部22で撮像し、撮像した原画像D0から縮小率の異なる縮小画像D1を生成する。そして、生成された縮小画像に基づいてアダプティブスレッショルド手法を用いて二値化画像D2を生成し、二値化画像D2からシャノンインデックスを用いて縮小画像混合度(シャノン・エントロピーS)を算出し、所定の範囲の縮小率の縮小画像混合度の平均を平均混合度として算出し、複数の平均混合度に基づいて総合混合度を算出するようにしたので、複数種類の材料から構成される混合材料の混合度を安定して判定することができる。
【0065】
なお、上記実施形態1及び実施形態2では、縮小画像を生成し、二値化画像を算出する場合を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、縮小画像を生成せず、原画像から二値化画像を生成し、この二値化画像に基づいて混合度判定を行ってもよい。
【0066】
また、上記実施形態1及び実施形態2では、複数の縮小画像混合度から平均混合度を算出する場合を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、複数の縮小画像混合度の中央値や他のモーメント量等の統計量から混合度を算出してもよい。
【0067】
上記の各実施形態で図示した各構成は機能概略的なものであり、必ずしも物理的に図示の構成をされていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明に係る混合度判定装置及び混合度判定方法は、複数種類の材料から構成される混合材料の混合度を安定して判定する場合に適している。
【符号の説明】
【0069】
10 混合度判定装置
11 表示部
12 入力部
14 記憶部
14a 画像データ
14b 縮小画像データ
14c 混合度データ
14d 縮小画像混合度データ
15 制御部
15a 画像取得処理部
15b 縮小画像生成部
15c 二値化処理部
15d 縮小画像混合度算出部
15e 平均混合度算出部
15f 平均混合度判定部
20、21 撮像部
22 可動式撮像部
30、31 攪拌装置
32 窓
40 混合度判定装置
45 制御部
45a アラーム通知部
50 混合器
51 平ベルトコンベア
52 混合済材料
60 混合度判定装置
64 記憶部
64a 画像データ
64b 平均混合度データ
65 制御部
65a 総合混合度算出部
65b 総合混合度判定部
A 縮小率
D0 原画像
D1 縮小画像
D2 二値化画像
E 判定領域
S サブセル
S シャノン・エントロピー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8