(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023135245
(43)【公開日】2023-09-28
(54)【発明の名称】導光装置、表示装置及び表示システム
(51)【国際特許分類】
G02B 27/02 20060101AFI20230921BHJP
G02B 5/32 20060101ALI20230921BHJP
G02B 5/18 20060101ALI20230921BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
G02B5/32
G02B5/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】29
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022040360
(22)【出願日】2022-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112874
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 薫
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 正則
【テーマコード(参考)】
2H199
2H249
【Fターム(参考)】
2H199CA22
2H199CA25
2H199CA27
2H199CA32
2H199CA53
2H199CA66
2H199CA67
2H199CA68
2H199CA86
2H249AA06
2H249AA08
2H249AA12
2H249AA14
2H249AA60
2H249AA62
2H249AA64
2H249CA04
2H249CA05
2H249CA09
2H249CA15
2H249CA22
(57)【要約】
【課題】 表示範囲の中央が暗くなること及び欠けることを抑制できる導光装置を提供すること。
【解決手段】 本技術に係る導光装置は、光源装置から出射された光を眼球に導く導光系を備え、前記導光系は、互いに対向して配置された第1及び第2回折素子を含む光学素子を有し、前記光源装置から出射され前記第1回折素子に所定の入射角で入射された光を前記第1回折素子で反射回折させ、前記第1回折素子で反射回折された光を前記第2回折素子で反射回折させ、前記第2回折素子で反射回折され前記第1回折素子を透過した光を前記眼球に導き、前記第2回折素子がレンズ機能を有し、前記第1及び第2回折素子は、屈折率差と厚さとの積が互いに異なる、導光装置である。
【選択図】
図21
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源装置から出射された光を眼球に導く導光系を備え、
前記導光系は、互いに対向して配置された第1及び第2回折素子を含む光学素子を有し、前記光源装置から出射され前記第1回折素子に所定の入射角で入射された光を前記第1回折素子で反射回折させ、前記第1回折素子を介した光を前記第2回折素子で反射回折させ、前記第2回折素子を介し前記第1回折素子を透過した光を前記眼球に導き、
前記第2回折素子がレンズ機能を有し、
前記第1及び第2回折素子は、屈折率差及び/又は厚さが異なる、導光装置。
【請求項2】
前記第1及び第2回折素子は、屈折率差と厚さとの積が互いに異なる、請求項1に記載の導光装置。
【請求項3】
前記第1回折素子の屈折率差と厚さとの積である第1積が、前記第2回折素子の屈折率差と厚さとの積である第2積よりも大きい、請求項1に記載の導光装置。
【請求項4】
前記第1及び第2回折素子は、屈折率差が異なる、請求項1に記載の導光装置。
【請求項5】
前記第1回折素子は、前記第2回折素子よりも屈折率差が大きい、請求項1に記載の導光装置。
【請求項6】
前記第1及び第2回折素子は、厚さが異なる、請求項1に記載の導光装置。
【請求項7】
前記第2回折素子は、前記第1回折素子よりも厚い、請求項1に記載の導光装置。
【請求項8】
前記第1及び第2回折素子は、屈折率差及び厚さのいずれも異なる、請求項1に記載の導光装置。
【請求項9】
前記第1回折素子は前記第2回折素子よりも屈折率差が大きく、且つ、前記第2回折素子は前記第1回折素子よりも厚い、請求項1に記載の導光装置。
【請求項10】
前記第1及び第2回折素子は厚さが等しく、且つ、前記第1回折素子は前記第2回折素子よりも屈折率差が大きい、請求項1に記載の導光装置。
【請求項11】
前記第1及び第2回折素子は屈折率差が等しく、且つ、前記第2回折素子は前記第1回折素子よりも厚い、請求項1に記載の導光装置。
【請求項12】
前記第1及び第2回折素子の厚さをμm単位としたときに、前記第1積が0.2以上であり、且つ、前記第1回折素子の厚さが1μm以上100μm以下である、請求項3に記載の導光装置。
【請求項13】
前記第1及び第2回折素子の厚さをμm単位としたときに、前記第1積が0.4以上であり、且つ、前記第1回折素子の厚さが2μm以上30μm以下である、請求項3に記載の導光装置。
【請求項14】
前記第1及び第2回折素子の厚さをμm単位としたときに、前記第2積が0.1以下であり、且つ、前記第2回折素子の厚さが1μm以上100μm以下である、請求項3に記載の導光装置。
【請求項15】
前記第1及び第2回折素子の厚さをμm単位としたときに、前記第2積が0.02以下であり、且つ、前記第2回折素子の厚さが10μm以上40μm以下である、請求項3に記載の導光装置。
【請求項16】
前記第2回折素子の光軸と前記第1回折素子の法線とが平行である、請求項1に記載の導光装置。
【請求項17】
前記第2回折素子の光軸と前記第1回折素子の法線とが非平行である、請求項1に記載の導光装置。
【請求項18】
前記第1回折素子に前記所定の入射角で入射された光は、前記光源装置から出射され前記第2回折素子を透過した光である、請求項1に記載の導光装置。
【請求項19】
前記導光系は、前記第1及び第2の回折素子の間に少なくとも一部が配置され、前記光源装置からの光を導光する導光板を更に有し、
前記第1回折素子に前記所定の入射角で入射された光は、前記光源装置から出射され前記導光板で導光された光である、請求項1に記載の導光装置。
【請求項20】
前記第1回折素子は、前記第1回折素子に前記所定の入射角で入射された光を正反射方向に反射回折する、請求項1に記載の導光装置。
【請求項21】
前記第1回折素子は、前記第1回折素子に前記所定の入射角で入射された光を入射方向に反射回折する、請求項1に記載の導光装置。
【請求項22】
前記第1回折素子は、前記第1回折素子に前記所定の入射角で入射された光を正反射方向及び入射方向のいずれとも異なる方向に反射回折する、請求項1に記載の導光装置。
【請求項23】
前記第1及び第2回折素子の少なくとも一方の素子面が曲面である、請求項1に記載の導光装置。
【請求項24】
前記第1及び第2回折素子の少なくとも一方は、ホログラム光学素子である、請求項1に記載の導光装置。
【請求項25】
前記光学素子は、前記眼球に装着される又は埋め込まれる、請求項1に記載の導光装置。
【請求項26】
請求項1に記載の導光装置と、
前記光源装置と、
を備える、表示装置。
【請求項27】
前記光源装置及び前記導光装置が一体的に設けられている、請求項26に記載の表示装置。
【請求項28】
頭部装着型である、請求項26に記載の表示装置。
【請求項29】
請求項26に記載の表示装置と、
前記表示装置を制御する制御装置と、
を備える、表示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、導光装置、表示装置及び表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、外界の光景に画像を重ねて表示する技術に注目が集まっている。当該技術は、拡張現実(AR)技術とも呼ばれる。この技術を利用した製品の一つとして、ヘッドマウントディスプレイが挙げられる。ヘッドマウントディスプレイは、ユーザの頭部に装着して使用される。ヘッドマウントディスプレイを用いた画像表示方法では、例えば外界からの光に加えてヘッドマウントディスプレイからの光がユーザの眼に到達することで、外界の像に当該ディスプレイからの光による画像が重畳されているようにユーザは認識する。
【0003】
例えば、特許文献1では、コントラスト、光利用効率及びシースルー効率を向上させた虚像光学系を有する導光装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1で提案された技術では、表示範囲の中央が暗くなる又は欠けるおそれがある。
【0006】
そこで、本技術は、このような状況に鑑みてなされたものであり、表示範囲の中央が暗くなること及び欠けることを抑制できる導光装置を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本技術は、光源装置から出射された光を眼球に導く導光系を備え、
前記導光系は、互いに対向して配置された第1及び第2回折素子を含む光学素子を有し、前記光源装置から出射され前記第1回折素子に所定の入射角で入射された光を前記第1回折素子で反射回折させ、前記第1回折素子を介した光を前記第2回折素子で反射回折させ、前記第2回折素子を介し前記第1回折素子を透過した光を前記眼球に導き、
前記第2回折素子がレンズ機能を有し、
前記第1及び第2回折素子は、屈折率差及び/又は厚さが異なる、導光装置を提供する。
前記第1及び第2回折素子は、屈折率差と厚さとの積が互いに異なっていてもよい。
前記第1回折素子の屈折率差と厚さとの積である第1積が、前記第2回折素子の屈折率差と厚さとの積である第2積よりも大きくてもよい。
前記第1及び第2回折素子は、屈折率差が異なっていてもよい。
前記第1回折素子は、前記第2回折素子よりも屈折率差が大きくてもよい。
前記第1及び第2回折素子は、厚さが異なっていてもよい。
前記第2回折素子は、前記第1回折素子よりも厚くてもよい。
前記第1及び第2回折素子は、屈折率差及び厚さのいずれも異なっていてもよい。
前記第1回折素子は前記第2回折素子よりも屈折率差が大きく、且つ、前記第2回折素子は前記第1回折素子よりも厚くてもよい。
前記第1及び第2回折素子は厚さが等しく、且つ、前記第1回折素子は前記第2回折素子よりも屈折率差が大きくてもよい。
前記第1及び第2回折素子は屈折率差が等しく、且つ、前記第2回折素子は前記第1回折素子よりも厚くてもよい。
前記第1及び第2回折素子の厚さをμm単位としたときに、前記第1積が0.2以上であり、且つ、前記第1回折素子の厚さが1μm以上100μm以下であってもよい。
前記第1及び第2回折素子の厚さをμm単位としたときに、前記第1積が0.4以上であり、且つ、前記第1回折素子の厚さが2μm以上30μm以下であってもよい。
前記第1及び第2回折素子の厚さをμm単位としたときに、前記第2積が0.1以下であり、且つ、前記第2回折素子の厚さが1μm以上100μm以下であってもよい。
前記第1及び第2回折素子の厚さをμm単位としたときに、前記第2積が0.02以下であり、且つ、前記第2回折素子の厚さが10μm以上40μm以下であってもよい。
前記第2回折素子の光軸と前記第1回折素子の法線とが平行であってもよい。
前記第2回折素子の光軸と前記第1回折素子の法線とが非平行であってもよい。
前記第1回折素子に前記所定の入射角で入射された光は、前記光源装置から出射され前記第2回折素子を透過した光であってもよい。
前記導光系は、前記第1及び第2の回折素子の間に少なくとも一部が配置され、前記光源装置からの光を導光する導光板を更に有し、前記第1回折素子に前記所定の入射角で入射された光は、前記光源装置から出射され前記導光板で導光された光であってもよい。
前記第1回折素子は、前記第1回折素子に前記所定の入射角で入射された光を正反射方向に反射回折してもよい。
前記第1回折素子は、前記第1回折素子に前記所定の入射角で入射された光を入射方向に反射回折してもよい。
前記第1回折素子は、前記第1回折素子に前記所定の入射角で入射された光を正反射方向及び入射方向のいずれとも異なる方向に反射回折してもよい。
前記第1及び第2回折素子の少なくとも一方の素子面が曲面であってもよい。
前記第1及び第2回折素子の少なくとも一方は、ホログラム光学素子であってもよい。
前記光学素子は、前記眼球に装着される又は埋め込まれるものであってもよい。
本技術は、前記導光装置と、
前記光源装置と、
を備える、表示装置も提供する。
の導光装置。
前記表示装置は、前記光源装置及び前記導光装置が一体的に設けられていてもよい。
本技術は、前記表示装置と、
前記表示装置を制御する制御装置と、
を備える、表示システムも提供する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、表示光を光学素子に投射して、光学素子によって当該表示光が網膜に届くことを説明するための図である。
【
図2】
図2は、光学素子に入射された表示光が、光学素子から出射されるまでの経路を説明するための図である。
【
図3】
図3は、網膜上に届く表示光の回折効率の座標を示す図である。
【
図4】
図4は、光学素子に入射された表示光が、光学素子から出射されるまでの経路を説明するための図である。
【
図5】HOEにおけるΔn=0.02のときの入射角度と回折効率との関係を複数の膜厚について示すグラフである。
【
図6】HOEにおけるΔn=0.04のときの入射角度と回折効率との関係を複数の膜厚について示すグラフである。
【
図7】HOEにおけるΔn=0.1のときの入射角度と回折効率との関係を複数の膜厚について示すグラフである。
【
図8】HOEにおけるΔn=0.2のときの入射角度と回折効率との関係を複数の膜厚について示すグラフである。
【
図9】HOEにおける対応入射角範囲が同等の2つのケースの入射角度と回折効率との関係を示すグラフである。
【
図10】HOEにおけるΔn×T=1.0のときの入射角度と回折効率との関係をΔn及びTの複数の組み合わせについて示すグラフである。
【
図11】HOEにおけるΔn×T=0.8のときの入射角度と回折効率との関係をΔn及びTの複数の組み合わせについて示すグラフである。
【
図12】HOEにおけるΔn×T=0.6のときの入射角度と回折効率との関係をΔn及びTの複数の組み合わせについて示すグラフである。
【
図13】HOEにおけるΔn×T=0.4のときの入射角度と回折効率との関係をΔn及びTの複数の組み合わせについて示すグラフである。
【
図14】HOEにおけるΔn×T=0.2のときの入射角度と回折効率との関係をΔn及びTの複数の組み合わせについて示すグラフである。
【
図15】HOEにおけT=10μmのときの入射角度と回折効率との関係を複数のΔnについて示すグラフである。
【
図16】HOEの機能例1について説明するための図である。
【
図17】HOEの機能例2について説明するための図である。
【
図18】HOEの機能例3について説明するための図である。
【
図19】HOEの機能例4について説明するための図である。
【
図20】HOEの機能例5について説明するための図である。
【
図21】本技術の第1実施形態の導光装置の構成例を示す図である。
【
図22】本技術の第2実施形態の導光装置の構成例を示す図である。
【
図23】本技術の第3実施形態の導光装置の構成例を示す図である。
【
図24】本技術の第4実施形態の導光装置の構成例を示す図である。
【
図25】本技術の第5実施形態の導光装置の構成例を示す図である。
【
図26】本技術の第6実施形態の導光装置の構成例を示す図である。
【
図27】本技術の第7実施形態の導光装置の構成例を示す図である。
【
図28】本技術の第8実施形態の導光装置の構成例を示す図である。
【
図29】本技術の第9実施形態の導光装置の構成例を示す図である。
【
図30】本技術の第10実施形態の導光装置の構成例を示す図である。
【
図31】本技術の第11実施形態の導光装置の構成例を示す図である。
【
図32】本技術の第13実施形態の表示システムの機能ブロック図である。
【
図33】
図33A~
図33Fは、偏向HOEの屈折率差と膜厚との積が一定の場合に該屈折率差と該膜厚の異なる組み合わせについて眼球上における回折効率分布を示す図である。
【
図34】
図34A~
図34Fは、レンズHOEの屈折率差と膜厚との積が一定の場合に該屈折率差と該膜厚の異なる組み合わせについて眼球上における回折効率分布を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本技術を実施するための好適な形態について説明する。以下に説明する実施形態は、本技術の代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより本技術の範囲が狭く解釈されることはない。なお、特に断りがない限り、図面において、「上」とは図中の上方向又は上側を意味し、「下」とは、図中の下方向又は下側を意味し、「左」とは図中の左方向又は左側を意味し、「右」とは図中の右方向又は右側を意味する。また、図面を用いた説明においては、同一又は同等の要素又は部材には同一の符号を付し、重複する説明は、特別な事情がない限り、省略する。
【0010】
なお、説明は以下の順序で行う。
1.本技術の概要
2.本技術の詳細
3.第1実施形態の導光装置
4.第2実施形態の導光装置
5.第3実施形態の導光装置
6.第4実施形態の導光装置
7.第5実施形態の導光装置
8.第6実施形態の導光装置
9.第7実施形態の導光装置
10.第8実施形態の導光装置
11.第9実施形態の導光装置
12.第10実施形態の導光装置
13.第11実施形態の導光装置
14.第12実施形態の表示装置
15.第13実施形態の表示システム
【0011】
<1.本技術の概要>
まず、本技術の概要について説明をする。本技術は、導光装置、表示装置及び表示システムに関するものである。
【0012】
例えば、AR(Augmented Reality)表示装置が互いに対向する第1及び第2回折素子を含む光学素子を備える場合、第1回折素子で反射回折した光が、第2回折素子に入射する。第2回折素子で反射回折した光は、再び、第1回折素子に入射する。入射した光は第1回折素子を透過して眼球内に入射する。
【0013】
しかし、第2回折素子で回折した光が、第1回折素子の回折角度と近い角度の場合、再び、第1回折素子に入射した光が回折する。これにより眼球内に入射光が減少するため表示視野の中央が減光または欠けてしまうことがある。以下に詳しく説明する。
【0014】
例えば、画像投射装置からコンタクトレンズ型の光学素子に表示光を投射し、該光学素子にて網膜上に表示光を結像する表示装置が挙げられる。コンタクトレンズ型の光学素子は、偏向HOE(HOE(Holographic Optical Element):ホログラフィック光学素子、以下同じ。)とレンズHOE(HOE(Holographic Optical Element):ホログラフィック光学素子、以下同じ。)との反射型ボリュームホログラムを備える。HOEは入射された光を任意の角度に回折する構造を有することで設計波長に対しては特定の角度にのみに回折効果を有する。
【0015】
図1を用いて説明する。
図1は、5つの表示光(L-A~L-E)をコンタクトレンズ型の光学素子1-100に投射して、該光学素子1-100によって当該表示光が網膜M1に届くことを説明するための図である。
図1Bは、参照符号A-1で示される
図1Aの一部を拡大した図である。5つの表示光(L-A~L-E)は、瞳孔M3付近で一点に集光する(焦点S-100)。なお、参照符号M2は虹彩である。そして、
図1Bに示されるように、光学素子1-100は、第1回折素子としての偏向HOE10-100と、第2回折素子としてのレンズHOE20-100(レンズ機能を有する回折素子)とを含んで構成される。
【0016】
図1Bの参照符号F1~F5に示されるように、偏向HOE10-100の入射角と回折角とを0°とすると、レンズHOE20-100の入射角と集光レンズの光軸とも0°となる。
【0017】
図2を用いて説明する。
図2は、光学素子に入射された表示光が、該光学素子から出射されるまでの経路を説明するための図である。
図2に示される光学素子は、入射光L0の入射側から順(
図2の上側から順に)、保護層700と、レンズHOE20と、偏向HOE10と、保護層600とを備える。
【0018】
図2では、レンズHOE20の回折光のうち光軸成分だけについて述べるが、入射光L0はレンズHOE20を透過し、偏向HOE10に入射し回折する成分(光L1)と透過する成分(光L11)とがある。これは、回折効率が100%でない限り回折しきれなかった光は透過する。
【0019】
ここで、
図2に示されるように、偏向HOE10で回折し(光L1)、レンズHOE20で回折し(光L2)、偏向HOE10に再入射した光L2の透過光L31のみが画像表示光となる。
【0020】
しかし、
図1においては、レンズHOE20-100に入射し、レンズとして集光反射回折した光軸と再入射する偏向HOE10-100の入射角が一致するため、光軸近傍の光線成分は偏向HOEで回折されてしまう(例えば、
図2では光L3)。光軸から離れた角度の集光光線成分は偏向HOEが回折効果を有する角度から外れるため偏向HOEを透過する(例えば、
図2では光L31)。
【0021】
図3を用いて説明する。
図3は、一つの技術例としてのコンタクトレンズ型の光学素子の上の網膜に届く表示光の回折効率の座標を示す図である。
図3に示される参照符号P2は回折効率が高い範囲を示し、参照符号P1は回折しない範囲を示す。ここでレンズHOEの光軸が網膜上の中心窩に相当する。
【0022】
現実的には100%の回折効率は出せないため、レンズHOEの光軸の近傍の一部の光が透過することになる。そして、表示光線のうち網膜に届く光軸近傍の光線が少ないため、表示範囲のうち中央部の表示が暗くなることとなる。
【0023】
表示範囲のうち最も重要な中心窩の表示が暗くなってしまうため、本技術はこれを回避するものである。
【0024】
次に、
図4を用いて説明する。
図4は、光学素子に入射された表示光が、光学素子から出射されるまでの経路を説明するための図である。
【0025】
表示光(画像表示光)として網膜に届く光は、偏向HOE10に再入射した光のうち偏向HOE10を透過した成分のみである(光L31)。画像表示光が網膜に届くまでの概略経路としては、(1)入射光L0の投射→(2)偏向HOE10で回折(光L1)→(3)レンズHOE20で回折(光L2)→(4)偏向HOEを透過(光L31)→(5)網膜に届くことの順である。
【0026】
<2.本技術の詳細>
次に、本技術の詳細について説明をする。
【0027】
(発明者の着想)
発明者は、コンタクトレンズ型又は眼球埋め込み型の光学素子が有する第1回折素子としての偏向HOE及び第2回折素子としてのレンズHOEの各々の屈折率差Δn及び/又は膜厚T(厚さ)を調整することにより、表示範囲の中央が暗くなること及び欠けることを抑制できることを見出した。
【0028】
具体的には、発明者は、HOEの屈折率差Δn及び/又は膜厚Tを変えることにより、HOEの回折特性、すなわち回折効率及び対応入射角範囲を変えることができる点に着目した。ここで、「対応入射角範囲」は、HOEの回折効率が所定値(例えば1~100%の所定値)を超える、該HOEへの光の入射角度の範囲を意味する。「対応入射角範囲」は「有効入射角範囲」と呼んでも差し支えない。
【0029】
(導光装置の基本構成)
本技術に係る導光装置は、光源装置から出射された光を眼球に導く導光系を備える。該導光系は、互いに対向して配置された第1及び第2回折素子(例えば偏向HOE及びレンズHOE)を含む光学素子を有し、光源装置から出射され第1回折素子(例えば偏向HOE)に所定の入射角で入射された光を第1回折素子で反射回折させ、該第1回折素子で反射回折された光を第2回折素子(例えばレンズHOE)で反射回折させ、該第2回折素子で反射回折され該第1回折素子を透過した光を眼球に導く。
【0030】
(HOEの回折特性)
本技術では、屈折率差ΔnとHOEの膜厚Tとの積Δn×Tを指標とする概念に着目し、回折特性について述べる。ここで、回折素子は2種類以上の異なる屈折率領域が交互に配列されることで回折機能を有し、この屈折率の差を屈折率差という。
【0031】
図5は、HOEにおけるΔn(dn)=0.02のときの入射角度と回折効率との関係を複数の膜厚T(hth)について示すグラフである。
図6は、HOEにおけるΔn(dn)=0.04のときの入射角度と回折効率との関係を複数の膜厚T(hth)について示すグラフである。
図7は、HOEにおけるΔn(dn)=0.1のときの入射角度と回折効率との関係を複数の膜厚T(hth)について示すグラフである。
図8は、HOEにおけるΔn(dn)=0.2のときの入射角度と回折効率との関係を複数の膜厚T(hth)について示すグラフである。
図9は、HOEにおける対応入射角範囲が同等の2つのケースの入射角度と回折効率との関係を示すグラフである。
図5~
図9において、HOEに入射される光の波長は、例えば540nmである。
【0032】
図5~
図8の各々から、Δnが一定の場合には、Tが厚いほど対応入射角範囲が狭く且つ回折効率が高くなり、Tが薄いほど対応入射角範囲が広く且つ回折効率が低くなることがわかる。
【0033】
図5~
図8を比較すると、膜厚が一定の場合には、Δnが大きいほど、対応入射角範囲が広くなる傾向にあることがわかる。
【0034】
図9から、対応入射角範囲が同等の場合に、Δn×Tが小さいほど、対応入射角範囲における波形の乱れが少なく、表示への影響が少ないことがわかる。
【0035】
図10は、HOEにおけるΔn×T=1.0のときの入射角度と回折効率との関係をΔn(dn)及びT(hth)の複数の組み合わせについて示すグラフである。
図11は、HOEにおけるΔn×T=0.8のときの入射角度と回折効率との関係をΔn(dn)及びT(hth)の複数の組み合わせについて示すグラフである。
図12は、HOEにおけるΔn×T=0.6のときの入射角度と回折効率との関係をΔn(dn)及びT(hth)の複数の組み合わせについて示すグラフである。
図13は、HOEにおけるΔn×T=0.4のときの入射角度と回折効率との関係をΔn(dn)及びT(hth)の複数の組み合わせについて示すグラフである。
図14は、HOEにおけるΔn×T=0.2のときの入射角度と回折効率との関係をΔn(n)及びT(hth)の複数の組み合わせについて示すグラフである。
図15は、HOEにおけT=10μmのときの入射角度と回折効率との関係を複数のΔn(dn)について示すグラフである。
図10~
図15において、HOEに入射される光の波長は、例えば540nmである。
【0036】
図10~
図14を比較すると、Δn×Tが大きいほど、各膜厚において対応入射角範囲を安定して確保できることがわかる。但し、Δn×Tが0.8μmを超えると回折効率のピーク(最大回折効率)が飽和し、改善効果が得られ難くなる。なお、膜厚が薄いほど対応入射角範囲が広くなるが、膜厚がμmオーダーの場合、膜厚が5μm以下では製造公差が大きく、特性バラつきが大きくなる。
【0037】
図10~
図14から、HOEの回折効率は、Δn×Tに比例することがわかる。
【0038】
図15から、Tが一定の場合、Δnの値が大きいほど、対応入射角範囲が広くなり、且つ、回折効率が高くなることがわかる。
【0039】
以上の考察からわかるように、Δn及び/又はTを調整することによりHOEの回折特性をコントロールすることができる。発明者は、この手法を用いて偏向HOE及びレンズHOEの各々に適した回折特性を付与することにより、表示範囲の中央が暗くなること及び欠けることを抑制することに成功した。
【0040】
具体的には、偏向HOE及びレンズHOEは、屈折率差Δn及び/又は膜厚T(厚さ)が異なることが好ましい。偏向HOE及びレンズHOEは、屈折率差Δnと膜厚T(厚さ)との積Δn×Tが互いに異なることが好ましい。すなわち、偏向HOEの屈折率差Δn1と膜厚T1との積である第1積Δn1×T1及びレンズHOEの屈折率差Δn2と膜厚T2との積である第2積Δn2×T2について、Δn1×T1>Δn2×T2、又は、Δn1×T1<Δn2×T2が成立することが好ましい。
【0041】
画像投射装置からコンタクトレンズ型の光学素子に投射する構成で、眼球は回旋運動することから、偏向HOEは、対応入射角範囲が広く、且つ、回折効率が高いことが好ましい。すなわち、偏向HOEは、Δn1×T1が一定の場合に、Δn1の値が大きく且つT1の値が小さいことが好ましい。偏向HOEに入射される光の入射角度はばらつきが大きく、且つ、回折効率が低いと0次光が増えて悪影響があるためである。
【0042】
画像投射装置から投射され、コンタクトレンズ型光学素子の法線から例えば60°の方向から偏向HOEに入射された光を正反射方向に例えば60°で反射回折する例であって、レンズHOEの光軸と偏向HOEの法線とが平行な例について説明する。
【0043】
図33A~
図33Fは、偏向HOEの屈折率差と膜厚との積が一定(同一)の場合に該屈折率差と該膜厚の異なる組み合わせについて眼球上における回折効率分布を示す図である。
図33A~
図33Fの横軸は導光装置上のY軸方向の位置を示し、縦軸は導光装置上のX軸方向の位置を示す。
図33A~
図33Fにおいて、色が濃い領域ほど回折効率が高く、色が薄い領域ほど回折効率が低いことを示す。
図33A~
図33Fの例では、レンズHOEの膜厚が3μm、屈折率差が0.2に設定されている。
【0044】
図33Aは、膜厚hth=3μm、dn=0.2の組み合わせについての回折効率分布を示す。
図33Bは、膜厚hth=4μm、dn=0.15の組み合わせについての回折効率分布を示す。
図33Cは、膜厚hth=6μm、dn=0.1の組み合わせについての回折効率分布を示す。
図33Dは、膜厚hth=8μm、dn=0.075の組み合わせについての回折効率分布を示す。
図33Eは、膜厚hth=10μm、dn=0.06の組み合わせについての回折効率分布を示す。
図33Fは、膜厚hth=15μm、dn=0.04の組み合わせについての回折効率分布を示す。
【0045】
図33A~
図33Fから分かるように、偏向HOEは、屈折率差Δn1と膜厚T1との積である第1積Δn1×T1が一定の場合に、Δn1が小さいほど(T1が大きいほど)、網膜上における回折効率が高くなる中心窩が広くなる。よって、偏向HOEは、Δn1×T1が一定の場合にはΔn1が相対的に小さいこと(T1が相対的に大きいこと)が好ましい。
【0046】
レンズHOEは、対応入射角範囲が狭いことが好ましい。レンズHOEを光が透過するときの回折が少ない方がよいからである。レンズHOEは、回折効率が低い場合には光利用効率が低くなるだけで表示に影響しないので回折効率が必ずしも高くなくてよい。すなわち、レンズHOEは、Tの値が大きいことが好ましい。
【0047】
画像投射装置から投射され、コンタクトレンズ型光学素子の法線から例えば60°の方向から偏向HOEに入射された光を正反射方向に例えば80°で反射回折する例であって、レンズHOEの光軸と前記偏向HOEの法線とが平行な例について説明する。
【0048】
画像投射装置からの光は最初にレンズHOEを透過して偏向HOEに入射するが、最初にレンズHOEで入射光が回折してしまうと透過する光線の損失となってしまう。そのため、最初にレンズHOEで生じる回折効率は小さいほど好ましく、
図34A~34Fの中心窩領域に生じる回折特性分布が狭いほど好ましい。
図34A~
図34Fは、レンズHOEに最初に入射する光がレンズHOEの屈折率差と膜厚との積が一定(同一)の場合に該屈折率差と該膜厚の異なる組み合わせについて眼球上における回折効率分布を示す図である。
図34A~
図34Fの横軸は導光装置上のY軸方向の位置を示し、縦軸は導光装置上のX軸方向の位置を示す。
図34A~
図34Fにおいて、色が濃い領域ほど回折効率が高く、色が薄い領域ほど回折効率が低いことを示す。
図34A~
図34Fの例では、偏向HOEの膜厚が15μm、屈折率差が0.04に設定されている。
【0049】
図34Aは、膜厚hth=3μm、dn=0.2の組み合わせについての回折効率分布を示す。
図34Bは、膜厚hth=4μm、dn=0.15の組み合わせについての回折効率分布を示す。
図34Cは、膜厚hth=6μm、dn=0.1の組み合わせについての回折効率分布を示す。
図34Dは、膜厚hth=8μm、dn=0.075の組み合わせについての回折効率分布を示す。
図34Eは、膜厚hth=10μm、dn=0.06の組み合わせについての回折効率分布を示す。
図34Fは、膜厚hth=15μm、dn=0.04の組み合わせについての回折効率分布を示す。
【0050】
図34A~
図34Fから分かるように、レンズHOEは、屈折率差Δn2と膜厚T2との積である第2積Δn2×T2が一定の場合に、Δn2が小さいほど(T2が大きいほど)、レンズHOEに最初に入射した光がレンズHOEによって網膜上における中心窩領域に生じる回折効率が高い範囲が狭くなる。よって、レンズHOEは、Δn2×T2が一定の場合にはΔn2が相対的に小さいこと(T2が相対的に大きいこと)が好ましい。
【0051】
偏向HOEの屈折率差Δn1と膜厚T1との積である第1積Δn1×T1が、レンズHOEの屈折率差Δn2と膜厚T2との積である第2積Δn2×T2よりも大きいこと(Δn1×T1>Δn2×T2)が好ましい。これにより、偏向HOEの対応入射角範囲を相対的に広くし、且つ、レンズHOEの対応入射角範囲を相対的に狭くし、且つ、偏向HOEの回折効率を相対的に高くすることができる。
【0052】
偏向HOE及びレンズHOEは、屈折率差が異なっていてもよい。この場合、偏向HOEは、レンズHOEよりも屈折率差が大きいこと(Δn1>Δn2)が好ましい。これにより、偏向HOEの回折効率を相対的に高くすることができる。
【0053】
偏向HOE及びレンズHOEは、膜厚T(厚さ)が異なっていてもよい。この場合、レンズHOEは、偏向HOEよりも厚いこと(T2>T1)が好ましい。これにより、レンズHOEの対応入射角範囲を相対的に狭くすることができる。
【0054】
偏向HOE及びレンズHOEは、屈折率差及び厚さのいずれも異なっていてもよい。この場合、偏向HOEはレンズHOEよりも屈折率差が大きく(Δn1>Δn2)、且つ、レンズHOEは偏向HOEよりも厚いこと(T2>T1)が好ましい。これにより、偏向HOEの回折効率を相対的に高くし、且つ、レンズHOEの対応入射角範囲を相対的に狭くすることができる。
【0055】
偏向HOE及びレンズHOEは厚さが等しく(T1=T2)、且つ、偏向HOEはレンズHOEよりも屈折率差が大きく(Δn1>Δn2)てもよい(
図15参照)。これにより、偏向HOEの回折効率及び対応入射角範囲を相対的に高くすることができる。
【0056】
偏向HOE及びレンズHOEは屈折率差が等しく(Δn1=Δn2)てもよい。この場合、偏向HOE及びレンズHOEは、厚さが異なればよいが、偏向HOEよりもレンズHOEの方が厚いことが好ましい。これにより、偏向HOEの対応入射角範囲を相対的に広げ、且つ、レンズHOEの対応入射角範囲を相対的に狭くすることができる。
【0057】
第1積Δn1×T1が0.2以上であり、且つ、偏向HOEの厚さが1μm以上100μm以下であることが好ましい(
図10~
図14参照)。これにより、偏向HOEについて、特性バラつきを抑制しつつ対応入射角範囲を広げる傾向とすることができる。
【0058】
第1積Δn1×T1が0.4以上であり、且つ、偏向HOEの厚さが2μm以上30μm以下であることがより好ましい(
図10~
図14参照)。これにより、偏向HOEについて、特性バラつきを抑制しつつ、対応入射角範囲を広げることができ且つ回折効率を高くすることができる。
【0059】
Δn2が0.1以下であり、且つ、レンズHOEの厚さが1μm以上100μm以下であることが好ましい。これにより、レンズHOEについて、特性バラつきを抑制しつつ対応入射角範囲を狭くする傾向とすることができる。
【0060】
Δn2が0.05以下(好ましくは0.02以下)であり、且つ、レンズHOEの厚さが10μm以上40μm以下であることがより好ましい。これにより、レンズHOEについて、特性バラつきを抑制しつつ対応入射角範囲を狭くすることができる。
【0061】
ここで、偏向HOEが入射光を正反射方向に回折するものである場合、偏向HOEへの光の入射角度θi、レンズ開口径D、レンズ焦点距離fについて、下記(1)式が成立することが好ましい。
θi≧atan(D/(2f))・・・(1)
【0062】
偏向HOEが入射光を正反射方向に回折するものである場合、偏向HOEへの光の入射角度θi、レンズ開口径D、レンズ焦点距離f、レンズHOEの有する回折角度特性範囲幅ΔθwiLについて、下記(2)式が成立することがより好ましい。
θi≧atan(D/(2f))+ΔθwiL・・・(2)
【0063】
偏向HOEが入射光を正反射方向に回折するものである場合、偏向HOEへの光の入射角度θi、開口径D、レンズ焦点距離f、偏向HOEの有する回折角度特性範囲幅ΔθwiHについて、下記(3)式が成立することがより好ましい。
θi≧atan(D/(2f))+ΔθwiH・・・(3)
【0064】
ここで、偏向HOEが入射光を入射方向に回折するものである場合、偏向HOEへの光の入射角度θi、偏向HOEの偏向回折角度θHi、レンズ焦点距離f、レンズHOEの有する回折角度特性範囲幅ΔθwiLについて、下記(4)式が成立することが好ましい。
θi≧θHi≧atan(D/(2f))・・・(4)
【0065】
偏向HOEが入射光を入射方向に回折するものである場合、偏向HOEへの光の入射角度θi、偏向回折角度θHi、レンズ焦点距離f、レンズHOEの有する回折角度特性範囲幅ΔθwiL、偏向HOEの有する回折角度特性範囲幅ΔθwiHについて、下記(5)式が成立することよりが好ましい。
θi≧θHi+ΔθwiH≧atan(D/(2f))+ΔθwiL・・・(5)
【0066】
(HOEの機能例1)
図16は、HOEの機能例1について説明するための図である。ここでは、
図16右上図に示すように、レンズHOEを透過した投射光線が偏向HOEで正反射方向に回折される。
図16左上図に示すように、偏向HOEで正反射方向に反射回折された光線は、回折効率が100%のレンズHOEに所望の入射光線として入射し、該レンズHOEで所望の回折光線として反射回折され集光される。
図16右下図に示すように、回折効率が1のレンズHOEに偏向HOE側とは逆側から入射された光線は、レンズHOEで回折光線の集光点側とは反対側に拡散するように反射回折される。
【0067】
(HOEの機能例2)
図17は、HOEの機能例2について説明するための図である。ここでは、
図17右上図に示すように、レンズHOEを透過した投射光線が偏向HOEで正反射方向に反射回折される。
図17左上図に示すように、レンズHOEに入射角度θ1(偏向HOEの有する回折角度特性範囲幅内且つレンズHOEの有する回折角度特性範囲幅近傍の入射角)で入射された投射光線(入射光)は、一部がレンズHOEを透過して偏向HOEで正反射方向に反射回折されレンズHOEに再入射され、他部がレンズHOEで回折光として外部に反射回折される。レンズHOEに再入射された光線は、レンズHOEで反射回折され回折光として集光される。すなわち、
図17左上図の例では、入射光の一部がロスしてしまう。
図17右下図の例では、レンズHOEに入射角度θ2(偏向HOEの有する回折角度特性範囲幅内且つレンズHOEの有する回折角度特性範囲幅外のθ1より相当大きい入射角)で入射された投射光線(入射光)は、ほぼ全てがレンズHOEを透過して偏向HOEで正反射方向に反射回折されレンズHOEに再入射される。レンズHOEに再入射された光線は、レンズHOEで反射回折され回折光として集光される。すなわち、
図17右下図の例では、入射光をほとんどロスしない。このように、偏向HOEへの投射光線(入射光)の入射角度を所定値以上(例えば上記(1)~(5)式のθi)とすることにより、入射光のロスを抑制できる。
【0068】
(HOEの機能例3)
図18は、HOEの機能例4について説明するための図である。ここでは、
図18右上図に示すように、レンズHOEを透過した投射光線が偏向HOEで入射方向に反射回折される。
図18左上図に示すように、偏向HOEで入射方向に反射回折された光線は、回折効率が100%のレンズHOEに所望の入射光線として入射し、該レンズHOEで所望の回折光線として反射回折され集光される。
図18右下図に示すように、回折効率が1のレンズHOEに偏向HOE側とは逆側から入射された光線は、レンズHOEで回折光線の集光点側とは反対側に拡散されるように反射回折される。
【0069】
(HOEの機能例4)
図19は、HOEの機能例2について説明するための図である。ここでは、
図19右上図に示すように、レンズHOEを透過した投射光線が偏向HOEで入射方向に反射回折される。
図19左上図に示すように、レンズHOEに入射角度θ1(偏向HOEの有する回折角度特性範囲幅内且つレンズHOEの有する回折角度特性範囲幅近傍の入射角)で入射された投射光線(入射光)は、一部がレンズHOEを透過して偏向HOEで入射方向に反射回折されレンズHOEに再入射され、他部がレンズHOEで回折光として外部に反射回折される。レンズHOEに再入射された光線は、レンズHOEで反射回折され回折光として集光される。すなわち、
図19左上図の例では、入射光の一部がロスしてしまう。
図19右下図の例では、レンズHOEに入射角度θ2(偏向HOEの有する回折角度特性範囲幅内且つレンズHOEの有する回折角度特性範囲幅外のθ1より相当大きい入射角)で入射された投射光線(入射光)は、ほぼ全てがレンズHOEを透過して偏向HOEで入射方向に反射回折されレンズHOEに再入射される。レンズHOEに再入射された光線は、レンズHOEで反射回折され回折光として集光される。すなわち、
図19右下図の例では、入射光をほとんどロスしない。このように、偏向HOEへの投射光線(入射光)の入射角度を所定値以上(例えば上記(1)~(5)式のθi)とすることにより、入射光のロスを抑制できる。
【0070】
(HOEの機能例5)
図20は、HOEの機能例5について説明するための図である。ここでは、
図20右図に示すように、レンズHOEを透過した投射光線が偏向HOEで入射方向に反射回折される。
図20左図に示すように、レンズHOEに入射角度θ3(偏向HOEの有する回折角度特性範囲幅内且つレンズHOEの有する回折角度特性範囲幅内のθ1よりも小さい入射角)で入射された投射光線(入射光)は、一部がレンズHOEを透過して偏向HOEで入射方向に反射回折されレンズHOEに再入射され、他部(相当量)がレンズHOEで回折光として外部に反射回折される。レンズHOEに再入射された光線は、レンズHOEで反射回折され回折光として集光される。すなわち、
図20の例では、入射光の一部を(
図19左上図の例よりも多くを)ロスしてしまう。
【0071】
(本技術に係る導光装置、表示装置及び表示システムの構成、作用及び効果)
本技術に係る導光装置は、例えばコンタクトレンズ型又は眼球埋め込み型の光学素子を含む導光系を備えうる。コンタクトレンズ型の光学素子は、眼球の表面(例えば角膜)に装着される。眼球埋め込み型の光学素子は、眼球(例えば水晶体)に埋め込まれる。本技術に係る表示装置は、導光装置と、該導光装置の導光系のコンタクトレンズ型又は眼球埋め込み型の光学素子に向けて画像光を投射する画像投射装置(光源装置)とを備えうる。表示装置は、頭部装着型でありうる。画像投射装置は、例えば光源及び投射光学系を含んで構成されうる。なお、本技術は、後述する本技術に係る第5実施形態に係る表示装置のように、基板(例えば導光板)を用いることも可能であり、本技術に係る導光装置が実現する構成が特定の構成に限定されるべきではない。
【0072】
本技術では、画像投射装置(光源装置)から第2回折素子(例えばレンズHOE)へ光(光線)を投射する。第2回折素子に入射された光は、例えば、後述する本技術に係る第6実施形態の導光装置又は第7実施形態の導光装置のように第2回折素子(例えばレンズHOE)を透過し、第2回折素子が有するレンズ機能の光軸とは異なる角度で第1回折素子に入射する。第1回折素子に設けられた周期構造体により入射光線が、第2回折素子が有するレンズ機能の光軸とは異なる任意の方向に反射回折され、反射回折された光は第2回折素子に入射する。
【0073】
第2回折素子に設けられた周期構造体により、入射光線が、第2回折素子が有するレンズ機能でコンタクトレンズ面に対して略垂直にレンズ光軸を有して集光(または発散)方向に反射回折されうる。
【0074】
第2回折素子で反射回折された光の光軸成分は、再び、第1回折素子に入射するが、第1回折素子に設けられた周期構造体が有する反射回折作用が生じないため、第2回折素子で反射回折された光の光軸成分は回折せずに透過する。透過した光は眼球内を通過し、網膜に入射する。
【0075】
眼球に入射した光のうち第2回折素子のレンズ光軸上の光は眼球の中心窩に届く。これにより表示像の中心部分の像は光量が低下することがないため、中心窩に対する表示を行うことが可能となる。
【0076】
第2回折素子(例えばレンズHOE)の光軸と第1回折素子(偏向HOE)の法線とが平行であってもよい。
【0077】
第2回折素子(例えばレンズHOE)の光軸と第1回折素子(偏向HOE)の法線とが非平行であってもよい。
【0078】
第1回折素子(例えば偏向HOE)に所定の入射角で入射された光は、光源装置から出射され第2回折素子(例えばレンズHOE)を透過した光であってもよい。
【0079】
導光系は、第1及び第2の回折素子(例えば偏向HOE及びレンズHOE)の間に少なくとも一部が配置され、光源装置からの光を導光する導光板を更に有し、第1回折素子(例えば偏向HOE)に所定の入射角で入射された光は、光源装置から出射され導光板で導光された光であってもよい。
【0080】
第1回折素子(例えば偏向HOE)は、該第1回折素子に所定の入射角で入射された光を正反射方向に反射回折してもよい。
【0081】
第1回折素子(例えば偏向HOE)は、該第1回折素子に所定の入射角で入射された光を入射方向に反射回折してもよい。
【0082】
第1回折素子(例えば偏向HOE)は、記第1回折素子に所定の入射角で入射された光を正反射方向及び入射方向のいずれとも異なる方向に反射回折してもよい。
【0083】
第1及び第2回折素子(例えば偏向HOE及びレンズHOE)の少なくとも一方の素子面が曲面であってもよい。
【0084】
光源装置及び導光装置が一体的に設けられてもよい。例えば第1及び第2回折素子を含む光学素子に自発光型の表示素子が装着されていてもよい。
【0085】
本技術に係る導光装置と該導光装置に光を入射させる光源装置とを含んで、本技術に係る表示装置が構成されうる。
【0086】
本技術に係る表示装置と、該表示装置を制御する制御装置とを含んで、本技術に係る表示システムが構成されうる。
【0087】
以下、本技術を実施するための好適な実施形態について図面を参照しながら、具体的、かつ、詳細に説明する。以下に説明する実施形態は、本技術の代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより本技術の範囲が狭く解釈されることはない。
【0088】
<3.本技術の第1実施形態の導光装置>
本技術に係る第1実施形態の導光装置について、
図21を用いて説明する。
【0089】
図21は、本技術に係る第1実施形態の導光装置の構成例を示す図であり、具体的には、
図21Aは導光装置1-1を示す図であり、
図21Bは、導光装置1-2を示す図である。
【0090】
(導光装置1-1)
導光装置1-1は、互いに対向する第1回折素子10と第2回折素子20とから構成される光学素子を少なくとも備え、導光装置1-1においては、第1回折素子10を透過して、導光装置1-1の外に出射される画像表示光(表示光)L3-1Aに基づいて画像が形成される。導光装置1-1において、第1回折素子10と第2回折素子20とは近接して配されていてもよい。
【0091】
第1回折素子10及び第2回折素子20のそれぞれは、体積型ホログラム光学素子、回折格子光学素子及びメタサーフェイス光学素子のいずれか1つの光学素子でよい。
【0092】
第1回折素子10は、第1回折素子10に、所定の波長を有して、第2回折素子20によるレンズの光軸から外れた所定の入射角度で入射される入射光L0-1Aを、第1回折素子10の入射光L0-1Aが入射される側へ偏向する偏向機能を有して、偏向機能により偏向された第1回折光L1-1Aを出射する。
【0093】
図21Aに示されるように、導光装置1-1の3次元座標系において、第1回折素子10の法線が、該3次元座標系の原点から+z軸方向であり(
図21Aの上方向)、第1回折素子10の上面(
図21Aにおいて上側の面)がx-y平面(紙面の手前側から奥側に向う平面)であり、第1回折素子10に入射される入射光L0-1Aが、+z軸方向(
図21Aの上方向)であって、x-y座標系(紙面の手前側から奥側に向う座標系)の第2象限の範囲内、第3象限の範囲内又は-x軸(当該図の左方向の軸)上の任意の地点から、該3次元座標系の原点に向う光であり、第1回折素子10から出射される第1回折光L1-1Aが、該3次元座標系の原点から、+z軸方向(
図21Aの上方向)であって、x-y座標系(紙面の手前側から奥側に向う座標系)の第1象限の範囲内、第4象限の範囲内、+x軸(当該図の右方向の軸)上、+y軸(当該図の紙面手前側から紙面奥側への方向の軸)上又は-y軸(当該図の紙面奥側から紙面手前側への方向の軸)上の任意の地点に向う光であって、入射光L0-1Aに対して正反射方向に偏向される光である。
【0094】
第2回折素子20は、第2回折素子20に所定の波長を有して所定の入射角度で入射される該第1回折光L1-1Aに対してレンズ機能を有する。レンズ機能とは、光(光線)を集光(凸レンズ)又は発散(凹レンズ)する機能を意味する(レンズ機能に関しては以下同じである。)。
【0095】
そして、第2回折素子20は、第2回折素子20に、所定の波長を有して所定の入射角度で入射される第1回折光L1-1Aを、第2回折素子20の第1回折光L1-1Aが入射される側へ偏向する偏向機能を有して、偏向機能により偏向された第2回折光L2-1Aを出射する。第2回折光L2-1Aは、上述したレンズ機能により集光されて第1回折素子10に再入射する。この時、第1回折素子10はレンズの光軸方向の光に対して偏向する効果を有していないため、第2回折光L2-1Aは、第1回折素子10を透過して、画像表示光L3-1Aとして網膜に届き、レンズ光軸に相当する表示視野中央が暗くなること及び欠けることはない。
【0096】
そして、導光装置1-1においては、入射光L0-1Aの入射角度の方向及び第1回折光L1-1Aの回折角度の方向と、第2回折素子20の光軸の方向とは異なる。
【0097】
(導光装置1-2)
導光装置1-2は、互いに対向する第1回折素子10と第2回折素子20とから構成される光学素子を少なくとも備え、導光装置1-2においては、第1回折素子10を透過して、導光装置1-2の外に出射される画像表示光(表示光)L3-1Bに基づいて画像が形成される。
図21Bに示されるように、導光装置1-2では、第1回折素子10と第2回折素子20とは接して配されている。
【0098】
第1回折素子10は、第1回折素子10に、所定の波長を有して、第2回折素子20によるレンズ機能の光軸から外れた所定の入射角度で入射される入射光L0-1Bを第1回折素子10の入射光L0-1Bが入射される側へ偏向する偏向機能を有して、偏向機能により偏向された第1回折光L1-1Bを出射する。
【0099】
図21Bに示されるように、導光装置1-2の3次元座標系において、第1回折素子10の法線が、該3次元座標系の原点から+z軸方向であり(
図21Bの上方向)、第1回折素子10の上面(
図21Bにおいて上側の面)がx-y平面(紙面の手前側から奥側に向う平面)であり、第1回折素子10に入射される入射光L0-1Bが、+z軸方向(
図21Bの上方向)であって、x-y座標系(紙面の手前側から奥側に向う座標系)の第2象限の範囲内、第3象限の範囲内又は-x軸(当該図の左方向の軸)上の任意の地点から、該3次元座標系の原点に向う光であり、第1回折素子10から出射される第1回折光L1-1Bが、該3次元座標系の原点から、+z軸方向であって、x-y座標系(紙面の手前側から奥側に向う座標系)の第1象限の範囲内、第4象限の範囲内、+x軸(当該図の右方向の軸)上、+y軸(当該図の紙面手前側から紙面奥側への方向の軸)上又は-y軸(当該図の紙面奥側から紙面手前側への方向の軸)上の任意の地点に向う光であって、入射光L0-1Bに対して正反射方向に偏向される光である。
【0100】
第2回折素子20は、第2回折素子20に所定の波長を有して所定の入射角度で入射される第1回折光L1-1Bに対してレンズ機能を有する。
【0101】
そして、第2回折素子20は、第2回折素子20に、所定の波長を有して所定の入射角度で入射される第1回折光L1-1Bを、第2回折素子20の第1回折光L1-1Bが入射される側へ偏向する偏向機能を有して、偏向機能により偏向された第2回折光L2-1Bを出射する。
【0102】
導光装置1-2においては、入射光L0-1Bの入射角度の方向及び第1回折光L1-1Bの回折角度の方向と、第2回折素子20の光軸の方向とが異なる。
【0103】
以上、本技術に係る第1実施形態の導光装置について説明した内容は、特に技術的な矛盾がない限り、後述する本技術に係る第2~第11実施形態の導光装置に適用することができる。
【0104】
<4.本技術の第2実施形態の導光装置>
本技術に係る第2実施形態の導光装置について、
図22を用いて説明する。本技術に係る第2実施形態の導光装置においては、第1回折素子は、第2回折素子によるレンズの光軸から外れた角度で第1回折素子に入射された光を、入射方向に偏向して反射回折する効果を有する。第1回折素子及び第2回折素子は、例えば、体積型HOEが挙げられる。
【0105】
図22は、本技術に係る第2の実施形態の導光装置の構成例を示す図であり、具体的には、
図22は導光装置2を示す図である。
【0106】
(導光装置2)
導光装置2は、互いに対向する第1回折素子10と第2回折素子20とから構成される光学素子を少なくとも備え、導光装置2においては、第1回折素子10を透過して、導光装置2の外に出射される画像表示光(表示光)L3-2に基づいて画像が形成される。導光装置2において、第1回折素子10と第2回折素子20とは近接して配されていてもよいし、
図22では図示されていないが、第1回折素子10と第2回折素子20とが接して配されてもよい。
【0107】
第1回折素子10は、第1回折素子10に、所定の波長を有して、第2回折素子20によるレンズの光軸から外れた所定の入射角度で入射される入射光L0-2を第1回折素子10の入射光L0-2が入射される側へ偏向する偏向機能を有して、偏向機能により偏向された第1回折光L1-2を出射する。
【0108】
図22に示されるように、導光装置2の3次元座標系において、第1回折素子10の法線が、該3次元座標系の原点から+z軸方向であり(
図22の上方向)、第1回折素子10の上面(
図22において上側の面)がx-y平面(紙面の手前側から奥側に向う平面)であり、第1回折素子10に入射される入射光L0-2が、+z軸方向(
図22の上方向)であって、x-y座標系(紙面の手前側から奥側に向う座標系)の第2象限の範囲内、第3象限の範囲内又は-x軸(当該図の左方向の軸)上の任意の地点から、該3次元座標系の原点に向う光であり、第1回折素子10から出射される第1回折光L1-2が、該3次元座標系の原点から、+z軸方向であって、x-y座標系(紙面の手前側から奥側に向う座標系)の第2象限の範囲内、第3象限の範囲内又は-x軸(当該図の左方向の軸)上の任意の地点に向う光であって、入射光L0-2に対して入射方向に偏向される光である。
【0109】
第2回折素子20は、第2回折素子20に所定の波長を有して所定の入射角度で入射される第1回折光L1-2に対してレンズ機能を有する。
【0110】
そして、第2回折素子20は、第2回折素子20に、所定の波長を有して所定の入射角度で入射される第1回折光L1-2を、第2回折素子20の第1回折光L1-2が入射される側へ偏向する偏向機能を有して、偏向機能により偏向された第2回折光L2-2を出射する。
【0111】
そして、導光装置2においては、入射光L0-2の入射角度の方向及び第1回折光L1-2の回折角度の方向と、第2回折素子20の光軸の方向とは異なる。
【0112】
以上、本技術に係る第2実施形態の導光装置について説明した内容は、特に技術的な矛盾がない限り、前述した本技術に係る第1実施形態の導光装置、及び後述する本技術に係る第3~第11実施形態の導光装置に適用することができる。
【0113】
<5.本技術の第3実施形態の導光装置>
本技術に係る第3実施形態の導光装置について、
図23を用いて説明する。本技術に係る第3実施形態の導光装置においては、第2回折素子に入射する光線角度及び第2回折素子が回折する光線角度とは異なる角度に、第1回折素子に入射する光線角度を設けることを特徴の一つとする。これにより第2回折素子を透過して第1回折素子に入射する構成の場合、第2回折素子に入射した光線が集光(凸レンズ効果)または発散(凹レンズ効果)して反射回折する効果を有していないため、第2回折素子の入射光線は透過する。
【0114】
図23は、本技術に係る第3の実施形態の導光装置の構成例を示す図であり、具体的には、
図23Aは導光装置3-1を示す図であり、
図23Bは、導光装置3-2を示す図である。
【0115】
(導光装置3-1)
導光装置3-1は、互いに対向する第1回折素子10と第2回折素子20とから構成される光学素子を少なくとも備え、導光装置3-1においては、第1回折素子10を透過して、導光装置2の外に出射される画像表示光(表示光)L3-3Aに基づいて画像が形成される。導光装置3-1において、第1回折素子10と第2回折素子20とは近接して配されていてもよいし、
図23Aでは図示されていないが、第1回折素子10と第2回折素子20とが接して配されてもよい。
【0116】
第1回折素子10は、第1回折素子10に所定の波長を有して所定の入射角度で入射される入射光L0-3Aを第1回折素子10の入射光L0-3Aが入射される側へ偏向する偏向機能を有して、偏向機能により偏向された第1回折光L1-3Aを出射する。
【0117】
図23Aに示されるように、導光装置3-1の3次元座標系において、第1回折素子10の法線が、該3次元座標系の原点から+z軸方向であり(
図23Aの上方向)、第1回折素子10の上面(
図23Aにおいて上側の面)がx-y平面(紙面の手前側から奥側に向う平面)であり、第1回折素子10に入射される入射光L0-3Aが、+z軸方向(
図23Aの上方向)であって、x-y座標系(紙面の手前側から奥側に向う座標系)の第2象限の範囲内、第3象限の範囲内又は-x軸(当該図の左方向の軸)上の任意の地点から、該3次元座標系の原点に向う光であり、第1回折素子10から出射される第1回折光L1-3Aが、該3次元座標系の原点から、+z軸方向であって、x-y座標系(紙面の手前側から奥側に向う座標系)の第2象限の範囲内、第3象限の範囲内又は-x軸(当該図の左方向の軸)上の任意の地点に向う光であって、入射光L0-3Aに対して、正反射方向及び入射方向のいずれとも異なる方向に偏向される光である。
【0118】
第2回折素子20は、第2回折素子20に所定の波長を有して所定の入射角度で入射される第1回折光L1-3Aに対してレンズ機能を有する。
【0119】
そして、第2回折素子20は、第2回折素子20に、所定の波長を有して所定の入射角度で入射される第1回折光L1-3Aを、第2回折素子20の第1回折光L1-3Aが入射される側へ偏向する偏向機能を有して、偏向機能により偏向された第2回折光L2-3Aを出射する。
【0120】
そして、導光装置3-1においては、入射光L0-3Aの入射角度の方向及び第1回折光L1-3Aの回折角度の方向と、第2回折素子20の光軸の方向とは異なる。
【0121】
(導光装置3-2)
導光装置3-2は、互いに対向する第1回折素子10と第2回折素子20とから構成される光学素子を少なくとも備え、導光装置3-2においては、第1回折素子10を透過して、導光装置3-2の外に出射される画像表示光(表示光)L3-3Bに基づいて画像が形成される。導光装置3-2において、第1回折素子10と第2回折素子20とは近接して配されていてもよいし、
図23Bでは図示されていないが、第1回折素子10と第2回折素子20とが接して配されてもよい。
【0122】
第1回折素子10は、第1回折素子10に所定の波長を有して所定の入射角度で入射される入射光L0-3Bを第1回折素子10の入射光L0-3Bが入射される側へ偏向する偏向機能を有して、偏向機能により偏向された第1回折光L1-3Bを出射する。
【0123】
図23Bに示されるように、導光装置3-2の3次元座標系において、第1回折素子10の法線が、該3次元座標系の原点から+z軸方向であり(
図23Bの上方向)、第1回折素子10の上面(
図23Bにおいて上側の面)がx-y平面(紙面の手前側から奥側に向う平面)であり、第1回折素子10に入射される入射光L0-3Bが、+z軸方向(
図23Bの上方向)であって、x-y座標系(紙面の手前側から奥側に向う座標系)の第2象限の範囲内、第3象限の範囲内又は-x軸(当該図の左方向の軸)上の任意の地点から、該3次元座標系の原点に向う光であり、第1回折素子10から出射される第1回折光L1-3Bが、該3次元座標系の原点から、+z軸方向(
図23Bの上方向)であって、x-y座標系(紙面の手前側から奥側に向う座標系)の第1象限の範囲内、第4象限の範囲内、+x軸(当該図の右方向の軸)上、+y軸(当該図の紙面手前側から紙面奥側への方向の軸)上又は-y軸(当該図の紙面奥側から紙面手前側への方向の軸)上の任意の地点に向う光であって、入射光L0-3Bに対して、入射方向及び正反射方向のいずれとも異なる方向に偏向される光である。
【0124】
第2回折素子20は、第2回折素子20に所定の波長を有して所定の入射角度で入射される第1回折光L1-3Bに対してレンズ機能を有する。
【0125】
そして、第2回折素子20は、第2回折素子20に、所定の波長を有して所定の入射角度で入射される第1回折光L1-3Bを、第2回折素子20の第1回折光L1-3Bが入射される側へ偏向する偏向機能を有して、偏向機能により偏向された第2回折光L2-3Bを出射する。
【0126】
そして、導光装置3-2においては、入射光L0-3Bの入射角度の方向及び第1回折光L1-3Bの回折角度の方向と、第2回折素子20の光軸の方向とは異なる。
【0127】
以上、本技術に係る第3実施形態の導光装置について説明した内容は、特に技術的な矛盾がない限り、前述した本技術に係る第1~第2実施形態の導光装置、及び後述する本技術に係る第4~第11実施形態の導光装置に適用することができる。
【0128】
<6.本技術の第4の実施形態の導光装置>
本技術に係る第4実施形態の導光装置について、
図24を用いて説明する。本技術に係る第4の実施形態の導光装置においては、第2回折素子によるレンズの光軸が第2回折素子に対して垂直から傾いていることを特徴の一つとする。
【0129】
図24は、本技術に係る第4の実施形態の導光装置の構成例を示す図であり、具体的には、
図24Aは導光装置4-1を示す図であり、
図24Bは、導光装置4-2を示す図である。
【0130】
(導光装置4-1)
導光装置4-1は、互いに対向する第1回折素子10と第2回折素子20とから構成される光学素子を少なくとも備え、導光装置4-1においては、第1回折素子10を透過して、導光装置4-1の外に出射される画像表示光(表示光)L3-4Aに基づいて画像が形成される。導光装置4-1において、第1回折素子10と第2回折素子20とは近接して配されていてもよいし、
図24Aでは図示されていないが、第1回折素子10と第2回折素子20とが接して配されてもよい。
【0131】
第1回折素子10は、第1回折素子10に所定の波長を有して所定の入射角度で入射される入射光L0-4Aを第1回折素子10の入射光L0-4Aが入射される側へ偏向する偏向機能を有して、偏向機能により偏向された第1回折光L1-4Aを出射する。
【0132】
図24Aに示されるように、導光装置4-1の3次元座標系において、第1回折素子10の法線が、該3次元座標系の原点から+z軸方向であり(
図24Aの上方向)、第1回折素子10の上面(
図24Aにおいて上側の面)がx-y平面(紙面の手前側から奥側に向う平面)であり、第1回折素子10に入射される入射光L0-4Aが、+z軸方向(
図24Aの上方向)であって、x-y座標系(紙面の手前側から奥側に向う座標系)の第2象限の範囲内、第3象限の範囲内又は-x軸(当該図の左方向の軸)上の任意の地点から、該3次元座標系の原点に向う光であり、第1回折素子10から出射される第1回折光L1-4Aが、該3次元座標系の原点から、+z軸方向であって、x-y座標系(紙面の手前側から奥側に向う座標系)の第2象限の範囲内、第3象限の範囲内又は-x軸(当該図の左方向の軸)上の任意の地点に向う光であって、入射光L0-4Aに対して入射方向に偏向される光である。
【0133】
第2回折素子20は、第2回折素子20に所定の波長を有して所定の入射角度で入射される第1回折光L1-4Aに対してレンズ機能を有する。
【0134】
そして、第2回折素子20は、第2回折素子20に、所定の波長を有して所定の入射角度で入射される第1回折光L1-4Aを、第2回折素子20の第1回折光L1-4Aが入射される側へ偏向する偏向機能を有して、偏向機能により偏向された第2回折光L2-4Aを出射する。
【0135】
導光装置4-1においては、入射光L0-4Aの入射角度の方向及び第1回折光L1-4Aの回折角度の方向と、第2回折素子20の光軸の方向とが異なる。
【0136】
(導光装置4-2)
導光装置4-2は、互いに対向する第1回折素子10と第2回折素子20とから構成される光学素子を少なくとも備え、導光装置4-2においては、第1回折素子10を透過して、導光装置4-2の外に出射される画像表示光(表示光)L3-4Bに基づいて画像が形成される。導光装置4-2において、第1回折素子10と第2回折素子20とは近接して配されていてもよいし、
図24Bでは図示されていないが、第1回折素子10と第2回折素子20とが接して配されてもよい。
【0137】
第1回折素子10は、第1回折素子10に所定の波長を有して所定の入射角度で入射される入射光L0-4Bを第1回折素子10の入射光L0-4Bが入射される側へ偏向する偏向機能を有して、偏向機能により偏向された第1回折光L1-4Bを出射する。
【0138】
図24Bに示されるように、導光装置4-2の3次元座標系において、第1回折素子10の法線が、該3次元座標系の原点から+z軸方向であり(
図24Bの上方向)、第1回折素子10の上面(
図24Bにおいて上側の面)がx-y平面(紙面の手前側から奥側に向う平面)であり、第1回折素子10に入射される入射光L0-4Bが、+z軸方向(
図24Bの上方向)であって、x-y座標系(紙面の手前側から奥側に向う座標系)の第2象限の範囲内、第3象限の範囲内又は-x軸(当該図の左方向の軸)上の任意の地点から、該3次元座標系の原点に向う光であり、第1回折素子10から出射される第1回折光L1-4Bが、該3次元座標系の原点から、+z軸方向(
図24Bの上方向)であって、x-y座標系(紙面の手前側から奥側に向う座標系)の第1象限の範囲内、第4象限の範囲内、+x軸(当該図の右方向の軸)上、+y軸(当該図の紙面手前側から紙面奥側への方向の軸)上又は-y軸(当該図の紙面奥側から紙面手前側への方向の軸)上の任意の地点に向う光であって、入射光L0-4Bに対して正反射方向に偏向される光である。
【0139】
第2回折素子20は、第2回折素子20に所定の波長を有して所定の入射角度で入射される該第1回折光L1-4Bに対してレンズ機能を有する。
【0140】
そして、第2回折素子20は、第2回折素子20に、所定の波長を有して所定の入射角度で入射される第1回折光L1-4Bを、第2回折素子20の第1回折光L1-4Bが入射される側へ偏向する偏向機能を有して、偏向機能により偏向された第2回折光L2-4Bを出射する。
【0141】
導光装置4-2においては、入射光L0-4Bの入射角度の方向及び第1回折光L1-4Bの回折角度の方向と、第2回折素子20の光軸の方向とが異なる。
【0142】
以上、本技術に係る第4実施形態の導光装置について説明した内容は、特に技術的な矛盾がない限り、前述した本技術に係る第1~第3実施形態の導光装置、及び後述する本技術に係る第5~第11実施形態の導光装置に適用することができる。
【0143】
<7.本技術の第5実施形態の導光装置>
本技術に係る第5実施形態の導光装置について、
図25を用いて説明する。本技術に係る第5の実施形態の導光装置においては、第1回折素子に接する基板(例えば導光板、GRINレンズ等)が設けられることを特徴の一つとする。基板(例えば導光板、GRINレンズ等)は、例えば、第1回折素子と第2の光学素子の間に設けられてもよい。基板(例えば導光板、GRINレンズ等)は、第1回折素子に入射する光を導波し、導光した光を第1の光学素子が偏向して反射回折し、第2回折素子でレンズ反射回折する。
【0144】
図25は、本技術に係る第5の実施形態の導光装置の構成例を示す図であり、具体的には、
図25は導光装置5を示す図である。
【0145】
(導光装置5)
導光装置5は、互いに対向する第1回折素子10と第2回折素子20とから構成される光学素子を少なくとも備え、導光装置5においては、第1回折素子10を透過して、導光装置5の外に出射される画像表示光(表示光)L3-5に基づいて画像が形成される。
【0146】
第1回折素子10と第2回折素子20との間には導光板500が設けられ、導光板500内を、光L0-5-1→光L0-5-2→光L05-3の順で反射しながら伝播し、光L05-3が入射光として、第1回折素子10に入射される。
【0147】
第1回折素子10は、第1回折素子10に所定の波長を有して所定の入射角度で入射される入射光L0-5-3を、第1回折素子10の入射光L0-5-3が入射される側へ偏向する偏向機能を有して、偏向機能により偏向された第1回折光L1-5を出射する。
【0148】
図25に示されるように、導光装置5の3次元座標系において、第1回折素子10の法線が、該3次元座標系の原点から+z軸方向であり(
図25の上方向)、第1回折素子10の上面(
図25において上側の面)がx-y平面(紙面の手前側から奥側に向う平面)であり、第1回折素子10に入射される入射光L0-5-3が、+z軸方向(
図25の上方向)であって、x-y座標系(紙面の手前側から奥側に向う座標系)の第2象限の範囲内、第3象限の範囲内又は-x軸(当該図の左方向の軸)上の任意の地点から、該3次元座標系の原点に向う光であり、第1回折素子10から出射される第1回折光L1-5が、該3次元座標系の原点から、+z軸方向であって、x-y座標系(紙面の手前側から奥側に向う座標系)の第2象限の範囲内、第3象限の範囲内又は-x軸(当該図の左方向の軸)上の任意の地点に向う光であって、入射光L0-5-3に対して、正反射方向及び入射方向のいずれとも異なるに偏向される光である。
【0149】
第2回折素子20は、第2回折素子20に所定の波長を有して所定の入射角度で入射される第1回折光L1-5に対してレンズ機能を有する。
【0150】
そして、第2回折素子20は、第2回折素子20に、所定の波長を有して所定の入射角度で入射される第1回折光L1-5を、第2回折素子20の第1回折光L1-5が入射される側へ偏向する偏向機能を有して、偏向機能により偏向された第2回折光L2-5を出射する。
【0151】
導光装置5においては、入射光L0-5-3の入射角度の方向及び第1回折光L1-5の回折角度の方向と、第2回折素子20の光軸の方向とが異なる。
【0152】
以上、本技術に係る第5実施形態の導光装置について説明した内容は、特に技術的な矛盾がない限り、前述した本技術に係る第1~第4実施形態の導光装置、及び後述する本技術に係る第6~第11実施形態の導光装置に適用することができる。
【0153】
<8.本技術の第6実施形態の導光装置>
本技術に係る第6実施形態の導光装置について、
図26を用いて説明する。
【0154】
図26は、本技術に係る第6の実施形態の導光装置の構成例を示す図であり、具体的には、
図26は導光装置6を示す図である。
【0155】
(導光装置6)
導光装置6は、互いに対向する第1回折素子10-1と第2回折素子20-1とから構成される光学素子を少なくとも備え、導光装置6においては、第1回折素子10-1を透過して、導光装置6の外に出射される画像表示光(表示光)L3-6に基づいて画像が形成される。導光装置6において、第1回折素子10-1と第2回折素子20-1とは近接して配されていてもよいし、
図26では図示されていないが、第1回折素子10-1と第2回折素子20-1とが接して配されてもよい。
【0156】
第1回折素子10-1及び第2回折素子20-1のそれぞれは、体積型ホログラム光学素子、回折格子光学素子及びメタサーフェイス光学素子のいずれか1つの光学素子でよい。
【0157】
導光装置6においては、第1回折素子10-1は、第1回折素子10-1の略中心部が、上凸形状T1-6となる曲面形状であり、第2回折素子20-1は、第2回折素子20-1の略中心部が、上凸形状T2-6となる曲面形状である。
【0158】
第1回折素子10-1は、第1回折素子10-1に所定の波長を有して所定の入射角度で入射される入射光L0-6を第1回折素子10の入射光L0-6が入射される側へ偏向する偏向機能を有して、偏向機能により偏向された第1回折光L1-6を出射する。
【0159】
図26に示されるように、導光装置6の3次元座標系において、第1回折素子10-1の法線が、該3次元座標系の原点から+z軸方向であり(
図26の上方向)、第1回折素子10-1の上面(
図26において上側の面)がx-y平面(紙面の手前側から奥側に向う平面)であり(上凸形状T1-6の凸レベルが小さい場合は、左記のとおり、x-y平面は、第1回折素子10の上面であると近似することができるが、凸形状T1-6の凸レベルが大きい場合は、x-y平面は、第1回折素子10-1の上面の領域内における該3次元座標系の原点に接することとなる。)、第1回折素子10-1に入射される入射光L0-6が、+z軸方向(
図26の上方向)であって、x-y座標系(紙面の手前側から奥側に向う座標系)の第2象限の範囲内、第3象限の範囲内又は-x軸(当該図の左方向の軸)上の任意の地点から、該3次元座標系の原点に向う光であり、第1回折素子10-1から出射される第1回折光L1-6が、該3次元座標系の原点から、+z軸方向(
図26の上方向)であって、x-y座標系(紙面の手前側から奥側に向う座標系)の第1象限の範囲内、第4象限の範囲内、+x軸(当該図の右方向の軸)上、+y軸(当該図の紙面手前側から紙面奥側への方向の軸)上又は-y軸(当該図の紙面奥側から紙面手前側への方向の軸)上の任意の地点に向う光であって、入射光L0-6に対して正反射方向に偏向される光である。
【0160】
第2回折素子20-1は、第2回折素子20-1に所定の波長を有して所定の入射角度で入射される第1回折光L1-6に対してレンズ機能を有する。
【0161】
そして、第2回折素子20-1は、第2回折素子20-1に、所定の波長を有して所定の入射角度で入射される第1回折光L1-6を、第2回折素子20-1の第1回折光L1-6が入射される側へ偏向する偏向機能を有して、偏向機能により偏向された第2回折光L2-6を出射する。
【0162】
導光装置6においては、入射光L0-6の入射角度の方向及び第1回折光L1-6の回折角度の方向と、第2回折素子20-1の光軸の方向とが異なる。
【0163】
以上、本技術に係る第6実施形態の導光装置について説明した内容は、特に技術的な矛盾がない限り、前述した本技術に係る第1~第5実施形態の導光装置、及び後述する本技術に係る第7~第11実施形態の導光装置に適用することができる。
【0164】
<9.本技術の第7実施形態の導光装置>
本技術に係る第7実施形態の導光装置について、
図27を用いて説明する。
【0165】
図27は、本技術に係る第7の実施形態の導光装置の構成例を示す図であり、具体的には、
図27は導光装置7を示す図である。
【0166】
(導光装置7)
導光装置7は、互いに対向する第1回折素子10-1と第2回折素子20-1とから構成される光学素子を少なくとも備え、導光装置7においては、第1回折素子10-1を透過して、導光装置7の外に出射される画像表示光(表示光)L3-7に基づいて画像が形成される。導光装置7において、第1回折素子10-1と第2回折素子20-1とは近接して配されていてもよいし、
図27では図示されていないが、第1回折素子10-1と第2回折素子20-1とが接して配されてもよい。
【0167】
導光装置7においては、第1回折素子10-1は、第1回折素子10-1の略中心部が、上凸形状T1-7となる曲面形状であり、第2回折素子20-1は、第2回折素子20-1の略中心部が、上凸形状T2-7となる曲面形状である。
【0168】
第1回折素子10-1は、第1回折素子10-1に所定の波長を有して所定の入射角度で入射される入射光L0-7を第1回折素子10の入射光L0-7が入射される側へ偏向する偏向機能を有して、偏向機能により偏向された第1回折光L1-7を出射する。
【0169】
図27に示されるように、導光装置7の3次元座標系において、第1回折素子10-1の法線が、該3次元座標系の原点から+z軸方向であり(
図27の上方向)、第1回折素子10-1の上面(
図27において上側の面)がx-y平面(紙面の手前側から奥側に向う平面)であり、(上凸形状T1-7の凸レベルが小さい場合は、左記のとおり、x-y平面は、第1回折素子10-1の上面であると近似することができるが、凸形状T1-7の凸レベルが大きい場合は、x-y平面は、第1回折素子10-1の上面の領域内における該3次元座標系の原点に接することとなる。)第1回折素子10-1に入射される入射光L0-7が、+z軸方向(
図27の上方向)であって、x-y座標系(紙面の手前側から奥側に向う座標系)の第2象限の範囲内、第3象限の範囲内又は-x軸(当該図の左方向の軸)上の任意の地点から、該3次元座標系の原点に向う光であり、第1回折素子10-1から出射される第1回折光L1-7が、該3次元座標系の原点から、+z軸方向であって、x-y座標系(紙面の手前側から奥側に向う座標系)の第2象限の範囲内、第3象限の範囲内又は-x軸(当該図の左方向の軸)上の任意の地点に向う光であって、入射光L0-7に対して入射方向に偏向される光である。
【0170】
第2回折素子20-1は、第2回折素子20-1に所定の波長を有して所定の入射角度で入射される第1回折光L1-7に対してレンズ機能を有する。
【0171】
そして、第2回折素子20-1は、第2回折素子20-1に、所定の波長を有して所定の入射角度で入射される第1回折光L1-7を、第2回折素子20-1の第1回折光L1-7が入射される側へ偏向する偏向機能を有して、偏向機能により偏向された第2回折光L2-7を出射する。
【0172】
導光装置7においては、入射光L0-7の入射角度の方向及び第1回折光L1-7の回折角度の方向と、第2回折素子20-1の光軸の方向とが異なる。
【0173】
以上、本技術に係る第7実施形態の導光装置について説明した内容は、特に技術的な矛盾がない限り、前述した本技術に係る第1~第6実施形態の導光装置、及び後述する本技術に係る第8~第11実施形態の導光装置に適用することができる。
【0174】
<10.本技術の第8実施形態の導光装置>
本技術に係る第8実施形態の導光装置について、
図28を用いて説明する。本技術に係る第8実施形態の導光装置においては、第1回折素子が単に光を偏向するだけではなく任意の光学収差(発散または集光効果または波面補正効果)を持たせる、略正反射方向に回折するHOEであり、第2回折素子が第1回折素子からの入射光線(回折光線)を集光または発散する反射型レンズHOEである。
【0175】
図28は、本技術に係る第8の実施形態の導光装置の構成例を示す図であり、具体的には、
図28は導光装置8を示す図である。
【0176】
(導光装置8)
導光装置8は、互いに対向する第1回折素子10と第2回折素子20とから構成される光学素子を少なくとも備え、導光装置8においては、第1回折素子10を透過して、導光装置8の外に出射される画像表示光(表示光)L3-8に基づいて画像が形成される。導光装置8において、第1回折素子10と第2回折素子20とは近接して配されていてもよいし、
図28では図示されていないが、第1回折素子10と第2回折素子20とが接して配されてもよい。
【0177】
第1回折素子10は、第1回折素子10に所定の波長を有して所定の入射角度で入射される入射光L0-8を第1回折素子10の入射光L0-8が入射される側へ偏向する偏向機能を有して、偏向機能により偏向された第1回折光L1-8を出射する。
【0178】
図28に示されるように、導光装置8の3次元座標系において、第1回折素子10の法線が、該3次元座標系の原点から+z軸方向であり(
図28の上方向)、第1回折素子10の上面(
図28において上側の面)がx-y平面(紙面の手前側から奥側に向う平面)であり、第1回折素子10に入射される入射光L0-8が、+z軸方向(
図28の上方向)であって、x-y座標系(紙面の手前側から奥側に向う座標系)の第2象限の範囲内、第3象限の範囲内又は-x軸(当該図の左方向の軸)上の任意の地点から、該3次元座標系の原点に向う光であり、第1回折素子10から出射される第1回折光L1-8が、該3次元座標系の原点から、+z軸方向(
図28の上方向)であって、x-y座標系(紙面の手前側から奥側に向う座標系)の第1象限の範囲内、第4象限の範囲内、+x軸(当該図の右方向の軸)上、+y軸(当該図の紙面手前側から紙面奥側への方向の軸)上又は-y軸(当該図の紙面奥側から紙面手前側への方向の軸)上の任意の地点に向う光であって、入射光L0-8に対して正反射方向に偏向される光である。
【0179】
第2回折素子20は、第2回折素子20に所定の波長を有して所定の入射角度で入射される第1回折光L1-8に対してレンズ機能を有する。
【0180】
そして、第2回折素子20は、第2回折素子20に、所定の波長を有して所定の入射角度で入射される第1回折光L1-8を、第2回折素子20の第1回折光L1-8が入射される側へ偏向する偏向機能を有して、偏向機能により偏向された第2回折光L2-8を出射する。
【0181】
導光装置8においては、入射光L0-8の入射角度の方向及び第1回折光L1-8の回折角度の方向と、第2回折素子20の光軸の方向とが異なる。
【0182】
以上、本技術に係る第8実施形態の導光装置について説明した内容は、特に技術的な矛盾がない限り、前述した本技術に係る第1~第7実施形態の導光装置、及び後述する本技術に係る第9~第11実施形態の導光装置に適用することができる。
【0183】
<11.本技術の第9実施形態の導光装置>
本技術に係る第9実施形態の導光装置について、
図29を用いて説明する。本技術に係る第9実施形態の導光装置においては、第1回折素子が単に光を偏向するだけではなく任意の光学収差(発散または集光効果または波面補正効果)を持たせる、入射方向、又は、入射方向及び正反射方向のいずれとも異なる方向に回折するHOEであり、第2回折素子が第1回折素子からの入射光線(回折光線)を集光または発散する反射型レンズHOEである。
【0184】
図29は、本技術に係る第9の実施形態の導光装置の構成例を示す図であり、具体的には、
図29は導光装置9を示す図である。
【0185】
(導光装置9)
導光装置9は、互いに対向する第1回折素子10と第2回折素子20とから構成される光学素子を少なくとも備え、導光装置9においては、第1回折素子10を透過して、導光装置9の外に出射される画像表示光(表示光)L3-9に基づいて画像が形成される。導光装置9において、第1回折素子10と第2回折素子20とは近接して配されていてもよいし、
図29では図示されていないが、第1回折素子10と第2回折素子20とが接して配されてもよい。
【0186】
第1回折素子10は、第1回折素子10に所定の波長を有して所定の入射角度で入射される入射光L0-9を第1回折素子10の入射光L0-9が入射される側へ偏向する偏向機能を有して、偏向機能により偏向された第1回折光L1-9を出射する。
【0187】
図29に示されるように、導光装置9の3次元座標系において、第1回折素子10の法線が、該3次元座標系の原点から+z軸方向であり(
図29の上方向)、第1回折素子10の上面(
図29において上側の面)がx-y平面(紙面の手前側から奥側に向う平面)であり、第1回折素子10に入射される入射光L0-9が、+z軸方向(
図29の上方向)であって、x-y座標系(紙面の手前側から奥側に向う座標系)の第2象限の範囲内、第3象限の範囲内又は-x軸(当該図の左方向の軸)上の任意の地点から、該3次元座標系の原点に向う光であり、第1回折素子10から出射される第1回折光L1-9が、該3次元座標系の原点から、+z軸方向であって、x-y座標系(紙面の手前側から奥側に向う座標系)の第2象限の範囲内、第3象限の範囲内又は-x軸(当該図の左方向の軸)上の任意の地点に向う光であって、入射光L0-9に対して、正反射方向及び入射方向のいずれとも異なる方向に偏向される光である。
【0188】
第2回折素子20は、第2回折素子20に所定の波長を有して所定の入射角度で入射される第1回折光L1-9に対してレンズ機能を有する。
【0189】
そして、第2回折素子20は、第2回折素子20に、所定の波長を有して所定の入射角度で入射される第1回折光L1-9を、第2回折素子20の第1回折光L1-9が入射される側へ偏向する偏向機能を有して、偏向機能により偏向された第2回折光L2-9を出射する。
【0190】
導光装置9においては、入射光L0-9の入射角度の方向及び第1回折光L1-9の回折角度の方向と、第2回折素子20の光軸の方向とが異なる。
【0191】
以上、本技術に係る第9実施形態の導光装置について説明した内容は、特に技術的な矛盾がない限り、前述した本技術に係る第1~第8実施形態の導光装置、及び後述する本技術に係る第10及び第11実施形態の導光装置に適用することができる。
【0192】
<12.本技術の第10実施形態の導光装置>
本技術に係る第10実施形態の導光装置について、
図30を用いて説明する。本技術に係る第10実施形態の導光装置においては、第2回折素子に入射する光線角度及び第2回折素子が回折する光線角度とは異なる角度に、第1回折素子に入射する光線角度を設けることを特徴の一つとし、さらに、第2回折素子によるレンズの光軸が第2回折素子に対して垂直から傾いていることを特徴の一つとする。これにより第2回折素子を透過して第1回折素子に入射する構成の場合、第2回折素子に入射した光線が集光(凸レンズ)または発散(凹レンズ)して反射回折する効果を有していないため、第2回折素子の入射光線は透過する。
【0193】
図30は、本技術に係る第10実施形態の導光装置の構成例を示す図であり、具体的には、
図30は導光装置12を示す図である。
【0194】
(導光装置12)
導光装置12は、互いに対向する第1回折素子10と第2回折素子20とから構成される光学素子を少なくとも備え、導光装置12においては、第1回折素子10を透過して、導光装置12の外に出射される画像表示光(表示光)L3-12に基づいて画像が形成される。導光装置12において、第1回折素子10と第2回折素子20とは近接して配されていてもよいし、
図30では図示されていないが、第1回折素子10と第2回折素子20とが接して配されてもよい。
【0195】
第1回折素子10は、第1回折素子10に所定の波長を有して所定の入射角度で入射される入射光L0-12を第1回折素子10の入射光L0-12が入射される側へ偏向する偏向機能を有して、偏向機能により偏向された第1回折光L1-12を出射する。
【0196】
図30に示されるように、導光装置12の3次元座標系において、第1回折素子10の法線が、該3次元座標系の原点から+z軸方向であり(
図30の上方向)、第1回折素子10の上面(
図30において上側の面)がx-y平面(紙面の手前側から奥側に向う平面)であり、第1回折素子10に入射される入射光L0-12が、+z軸方向(
図30の上方向)であって、x-y座標系(紙面の手前側から奥側に向う座標系)の第2象限の範囲内、第3象限の範囲内又は-x軸(当該図の左方向の軸)上の任意の地点から、該3次元座標系の原点に向う光であり、第1回折素子10から出射される第1回折光L1-12が、該3次元座標系の原点から、+z軸方向であって、x-y座標系(紙面の手前側から奥側に向う座標系)の第2象限の範囲内、第3象限の範囲内又は-x軸(当該図の左方向の軸)上の任意の地点に向う光であって、入射光L0-12に対して、正反射方向及び入射方向のいずれとも異なる方向に偏向される光である。
【0197】
第2回折素子20は、第2回折素子20に所定の波長を有して所定の入射角度で入射される第1回折光L1-12に対してレンズ機能を有する。
【0198】
そして、第2回折素子20は、第2回折素子20に、所定の波長を有して所定の入射角度で入射される第1回折光L1-12を、第2回折素子20の第1回折光L1-12が入射される側へ偏向する偏向機能を有して、偏向機能により偏向された第2回折光L2-12を出射する。
【0199】
導光装置12においては、入射光L0-12の入射角度の方向及び第1回折光L1-12の回折角度の方向と、第2回折素子20の光軸の方向とが異なる。
【0200】
以上、本技術に係る第10実施形態の導光装置について説明した内容は、特に技術的な矛盾がない限り、前述した本技術に係る第1~第9実施形態の導光装置、及び後述する本技術に係る第11実施形態の導光装置に適用することができる。
【0201】
<13.本技術の第11実施形態の導光装置>
本技術に係る第11実施形態の導光装置について、
図31を用いて説明する。本技術に係る第11実施形態の導光装置においては、第1回折素子の入射及び回折する光線角度を、第2回折素子が有するレンズ機能の光線進行角度よりも大きい(第1回折素子からの第2回折素子への入射角度はFOV/2より大きい。)ことを特徴の一つとする。なお、回折効率低下が発生する領域は、FOVから外すこととする。
【0202】
図31は、本技術に係る第11の実施形態の導光装置の構成例を示す図であり、具体的には、
図31Aは導光装置13-1を示す図であり、
図31Bは、導光装置13-2を示す図である。
【0203】
(導光装置13-1)
導光装置13-1は、互いに対向する第1回折素子10と第2回折素子20とから構成される光学素子を少なくとも備え、導光装置13-1においては、第1回折素子10を透過して、導光装置13-1の外に出射される画像表示光(表示光)L3-13Aに基づいて画像が形成される。導光装置13-1において、第1回折素子10と第2回折素子20とは近接して配されていてもよいし、
図31Aでは図示されていないが、第1回折素子10と第2回折素子20とが接して配されてもよい。
【0204】
第1回折素子10は、第1回折素子10に所定の波長を有して所定の入射角度で入射される入射光L0-13Aを第1回折素子10の入射光L0-13Aが入射される側へ偏向する偏向機能を有して、偏向機能により偏向された第1回折光L1-13Aを出射する。
【0205】
図31Aに示されるように、導光装置13-1の3次元座標系において、第1回折素子10の法線が、該3次元座標系の原点から+z軸方向であり(
図31Aの上方向)、第1回折素子10の上面(
図31Aにおいて上側の面)がx-y平面(紙面の手前側から奥側に向う平面)であり、第1回折素子10に入射される入射光L0-13Aが、+z軸方向(
図31Aの上方向)であって、x-y座標系(紙面の手前側から奥側に向う座標系)の第2象限の範囲内、第3象限の範囲内又は-x軸(当該図の左方向の軸)上の任意の地点から、該3次元座標系の原点に向う光であり、第1回折素子10から出射される第1回折光L1-13Aが、該3次元座標系の原点から、+z軸方向であって、x-y座標系(紙面の手前側から奥側に向う座標系)の第2象限の範囲内、第3象限の範囲内又は-x軸(当該図の左方向の軸)上の任意の地点に向う光であって、入射光L0-13Aに対して、正反射方向及び入射方向のいずれとも異なる方向に偏向される光である。
【0206】
第2回折素子20は、第2回折素子20に所定の波長を有して所定の入射角度で入射される第1回折光L1-13Aに対してレンズ機能を有する。
【0207】
そして、第2回折素子20は、第2回折素子20に、所定の波長を有して所定の入射角度で入射される第1回折光L1-13Aを、第2回折素子20の第1回折光L1-13Aが入射される側へ偏向する偏向機能を有して、偏向機能により偏向された第2回折光L2-13Aを出射する。
【0208】
導光装置13-1においては、入射光L0-13Aの入射角度の方向及び第1回折光L1-13Aの回折角度の方向と、第2回折素子20の光軸の方向とが異なる。
【0209】
(導光装置13-2)
導光装置13-2は、互いに対向する第1回折素子10と第2回折素子20とから構成される光学素子を少なくとも備え、導光装置13-2においては、第1回折素子10を透過して、導光装置13-2の外に出射される画像表示光(表示光)L3-13Bに基づいて画像が形成される。導光装置13-2において、第1回折素子10と第2回折素子20とは近接して配されていてもよいし、
図31Bでは図示されていないが、第1回折素子10と第2回折素子20とが接して配されてもよい。
【0210】
第1回折素子10は、第1回折素子10に所定の波長を有して所定の入射角度で入射される入射光L0-13Bを、第1回折素子10の入射光L0-13Bが入射される側へ偏向する偏向機能を有して、偏向機能により偏向された第1回折光L1-13Bを出射する。
【0211】
図31Bに示されるように、導光装置13-2の3次元座標系において、第1回折素子10の法線が、該3次元座標系の原点から+z軸方向であり(
図31Bの上方向)、第1回折素子10の上面(
図31Bにおいて上側の面)がx-y平面(紙面の手前側から奥側に向う平面)であり、第1回折素子10に入射される入射光L0-13Bが、+z軸方向(
図31Bの上方向)であって、x-y座標系(紙面の手前側から奥側に向う座標系)の第2象限の範囲内、第3象限の範囲内又は-x軸(当該図の左方向の軸)上の任意の地点から、該3次元座標系の原点に向う光であり、第1回折素子10から出射される第1回折光L1-13Bが、該3次元座標系の原点から、+z軸方向(
図31Bの上方向)であって、x-y座標系(紙面の手前側から奥側に向う座標系)の第1象限の範囲内、第4象限の範囲内、+x軸(当該図の右方向の軸)上、+y軸(当該図の紙面手前側から紙面奥側への方向の軸)上又は-y軸(当該図の紙面奥側から紙面手前側への方向の軸)上の任意の地点に向う光であって、入射光L0-13Bに対して正反射方向に偏向される光である。
【0212】
第2回折素子20は、第2回折素子20に所定の波長を有して所定の入射角度で入射される第1回折光L1-13Bに対してレンズ機能を有する。
【0213】
そして、第2回折素子20は、第2回折素子20に、所定の波長を有して所定の入射角度で入射される第1回折光L1-13Bを、第2回折素子20の第1回折光L1-13Bが入射される側へ偏向する偏向機能を有して、偏向機能により偏向された第2回折光L2-13Bを出射する。
【0214】
導光装置13-2においては、入射光L0-13Bの入射角度の方向及び第1回折光L1-13Bの回折角度の方向と、第2回折素子20の光軸の方向とが異なる。
【0215】
以上、本技術に係る第11実施形態の導光装置について説明した内容は、特に技術的な矛盾がない限り、前述した本技術に係る第1~第10実施形態の導光装置に適用することができる。
【0216】
<14.本技術の第12実施形態の表示装置>
本技術に係る第12の実施形態の表示装置は、ユーザの頭部に装着されるフレームと、フレームに取り付けられた光源装置(例えば画像投射装置)と、眼球表面に装着された又は眼球に埋め込まれた光学素子を有する導光系を含む導光装置と、を備え、光源装置から導光装置へ光を出射して、網膜上に画像を表示する表示装置である。
【0217】
上記導光装置は、本技術に係る第1実施形態の導光装置~本技術に係る第11実施形態の導光装置のうちいずれか1つの実施形態の導光装置でよい。
【0218】
上記光源装置は、一例として、複数の画素が2次元に配置された表示素子を有していてもよい。この表示素子は、例えばOLED(Organic light emitting diode)等の光源(画素)がアレイ状に配置された光源アレイを有していてもよいし、光源と該光源からの光により画像を形成する画像形成素子(液晶パネル、デジタルミラーデバイス、走査ミラー)とを有していてもよい。
【0219】
上記光源装置は、表示素子に加えてレンズ、ミラー等を含む光学系を有していてもよい。
【0220】
<15.本技術の第13実施形態の表示システム>
【0221】
以下に、本技術の第15実施形態の表示システム1000について、
図32を参照して説明する。
図32は、表示システム1000の機能を示すブロック図である。表示システム1000は、表示装置(例えば第12実施形態の表示装置)と、制御装置170とを備える。制御装置170は、例えば、信号入力部1000a、信号処理部1000b、駆動部1000c、電力取得部1000d及び電源1000eを含む。
【0222】
信号入力部1000aは、映像信号出力装置(例えばスマートフォン、パソコン、メモリ、撮像装置等)からの映像信号を入力する。
【0223】
信号処理部1000bは、信号入力部1000aを介して入力された映像信号を処理し、表示装置を駆動するための駆動信号(変調信号)を生成する。
【0224】
駆動部1000cは、信号処理部1000bからの駆動信号を表示装置に印加して該表示装置を駆動する。
【0225】
電力取得部1000dは、有線又は無線により電源1000eから電力を取得し、信号入力部1000a、信号処理部1000b、駆動部1000c及び表示装置に電力を振り分ける。
【0226】
電源1000eは、蓄電池(例えば電池、二次電池等)でもよいし、発電源(燃料電池、電磁誘導、エネルギーハーベスト等)であってもよい。
【0227】
なお、本技術に係る実施形態は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。例えば、第1及び第2回折素子の少なくとも一方は、例えばDOE(Diffractive Optical Element)、メタマテリアル光学素子等であってもよい。DOE、メタマテリアル光学素子等に対してもHOEと同様に本技術を適用可能である。第1及び第2回折素子を含む光学素子は、第1及び第2回折素子に加えて、別の回折素子を少なくとも1つ有していてもよい。
【0228】
また、本明細書に記載された効果はあくまでも例示であって限定されるものではなく、また他の効果があってもよい。
【0229】
また、本技術は、以下のような構成を取ることもできる。
(1)光源装置から出射された光を眼球に導く導光系を備え、
前記導光系は、互いに対向して配置された第1及び第2回折素子を含む光学素子を有し、前記光源装置から出射され前記第1回折素子に所定の入射角で入射された光を前記第1回折素子で反射回折させ、前記第1回折素子を介した光を前記第2回折素子で反射回折させ、前記第2回折素子を介し前記第1回折素子を透過した光を前記眼球に導き、
前記第2回折素子がレンズ機能を有し、
前記第1及び第2回折素子は、屈折率差及び/又は厚さが異なる、導光装置。
(2)前記第1及び第2回折素子は、屈折率差と厚さとの積が互いに異なる、請求項1に記載の導光装置。
(3)前記第1回折素子の屈折率差と厚さとの積である第1積が、前記第2回折素子の屈折率差と厚さとの積である第2積よりも大きい、(1)又は(2)に記載の導光装置。
(4)前記第1及び第2回折素子は、屈折率差が異なる、(1)~(3)のいずれか1つに記載の導光装置。
(5)前記第1回折素子は、前記第2回折素子よりも屈折率差が大きい、(1)~(4)のいずれか1つに記載の導光装置。
(6)前記第1及び第2回折素子は、厚さが異なる、(1)~(5)のいずれか1つに記載の導光装置。
(7)前記第2回折素子は、前記第1回折素子よりも厚い、(1)~(6)のいずれか1つに記載の導光装置。
(8)前記第1及び第2回折素子は、屈折率差及び厚さのいずれも異なる、(1)~(7)のいずれか1つに記載の導光装置。
(9)前記第1回折素子は前記第2回折素子よりも屈折率差が大きく、且つ、前記第2回折素子は前記第1回折素子よりも厚い、(1)~(8)のいずれか1つに記載の導光装置。
(10)前記第1及び第2回折素子は厚さが等しく、且つ、前記第1回折素子は前記第2回折素子よりも屈折率差が大きい、(1)~(9)のいずれか1つに記載の導光装置。
(11)前記第1及び第2回折素子は屈折率差が等しく、且つ、前記第2回折素子は前記第1回折素子よりも厚い、(1)~(10)のいずれか1つに記載の導光装置。
(12)前記第1及び第2回折素子の厚さをμm単位としたときに、前記第1積が0.2μm以上であり、且つ、前記第1回折素子の厚さが1μm以上100μm以下である、(1)~(11)のいずれか1つに記載の導光装置。
(13)前記第1及び第2回折素子の厚さをμm単位としたときに、前記第1積が0.4μm以上であり、且つ、前記第1回折素子の厚さが2μm以上30μm以下である、(1)~(12)のいずれか1つに記載の導光装置。
(14)前記第1及び第2回折素子の厚さをμm単位としたときに、前記第2積が0.1μm以下であり、且つ、前記第2回折素子の厚さが1μm以上100μm以下である、(1)~(13)のいずれか1つに記載の導光装置。
(15)前記第1及び第2回折素子の厚さをμm単位としたときに、前記第2積が0.02μm以下であり、且つ、前記第2回折素子の厚さが10μm以上40μm以下である、(1)~(14)のいずれか1つに記載の導光装置。
(16)前記第2回折素子の光軸と前記第1回折素子の法線とが平行である、(1)~(15)のいずれか1つに記載の導光装置。
(17)前記第2回折素子の光軸と前記第1回折素子の法線とが非平行である、(1)~(15)のいずれか1つに記載の導光装置。
(18)前記第1回折素子に前記所定の入射角で入射された光は、前記光源装置から出射され前記第2回折素子を透過した光である、(1)~(17)のいずれか1つに記載の導光装置。
(19)前記導光系は、前記第1及び第2の回折素子の間に少なくとも一部が配置され、前記光源装置からの光を導光する導光板を更に有し、前記第1回折素子に前記所定の入射角で入射された光は、前記光源装置から出射され前記導光板で導光された光である、(1)~(18)のいずれか1つに記載の導光装置。
(20)前記第1回折素子は、前記第1回折素子に前記所定の入射角で入射された光を正反射方向に反射回折する、(1)~(19)のいずれか1つに記載の導光装置。
(21)前記第1回折素子は、前記第1回折素子に前記所定の入射角で入射された光を入射方向に反射回折する、(1)~(19)のいずれか1つに記載の導光装置。
(22)前記第1回折素子は、前記第1回折素子に前記所定の入射角で入射された光を正反射方向及び入射方向のいずれとも異なる方向に反射回折する、(1)~(19)のいずれか1つに記載の導光装置。
(23)前記第1及び第2回折素子の少なくとも一方の素子面が曲面である、(1)~(22)のいずれか1つに記載の導光装置。
(24)前記第1及び第2回折素子の少なくとも一方は、ホログラム光学素子である、(1)~(23)のいずれか1つに記載の導光装置。
(25)前記光学素子は、前記眼球に装着される又は埋め込まれる、(1)~(24)のいずれか1つに記載の導光装置。
(26)(1)~(25)のいずれか1つに記載の導光装置と、
前記光源装置と、
を備える、表示装置。
(27)前記光源装置及び前記導光装置が一体的に設けられている、(26)に記載の表示装置。
(28)頭部装着型である、(26)又は(27)に記載の表示装置。
(29)(26)~(28)のいずれか1つに記載の表示装置と、
前記表示装置を制御する制御装置と、
を備える、表示システム。
【符号の説明】
【0230】
1(1-1、1-2)、2、3(3-1、3-2)、4(4-1、4-2)、5、6、7、8、9、10、11、12、13(13-1、13-2)…導光装置、
10、10-1…第1回折素子、
20、20-1…第2回折素子、
500…導光板、
1000…表示システム