(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023135250
(43)【公開日】2023-09-28
(54)【発明の名称】胆汁吸引カテーテル
(51)【国際特許分類】
A61M 1/00 20060101AFI20230921BHJP
A61M 25/00 20060101ALI20230921BHJP
A61M 25/14 20060101ALI20230921BHJP
【FI】
A61M1/00 161
A61M1/00 160
A61M25/00 530
A61M25/14 512
A61M25/14 518
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022040369
(22)【出願日】2022-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】110002837
【氏名又は名称】弁理士法人アスフィ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】黒田 慶太
(72)【発明者】
【氏名】藤井 文都子
【テーマコード(参考)】
4C077
4C267
【Fターム(参考)】
4C077AA15
4C077DD19
4C267AA02
4C267AA03
4C267AA39
4C267BB02
4C267BB09
4C267BB40
4C267CC22
(57)【要約】
【課題】胆管内の胆汁を吸引する際に、胆石によって胆汁の吸引が阻害されにくく、好適に胆汁を吸引することができる胆汁吸引カテーテルを提供する。
【解決手段】長手方向に延在するシャフト2を有する胆汁吸引カテーテルであって、シャフト2は、遠位端に液体吐出口5を有する第1チューブ3と、遠位端に液体吸引口8を有する第2チューブ6とを有し、液体吸引口8は液体吐出口5よりも近位側に位置し、第2チューブ6の遠位側端縁21は、上端が下端よりも近位側に位置し、シャフト2の側面視で、第2チューブ6の遠位側端縁21は、第2チューブ6の内腔と重ならない部分において、遠位側端縁21の上端と下端を結ぶ直線状に形成されており、第2チューブ6の内腔と重なる部分の少なくとも一部において、遠位側端縁21の上端と下端を結ぶ仮想直線よりも近位側および/または遠位側に位置する部分を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
近位側から遠位側へ長手方向に延在するシャフトを有し、胆管に挿入して胆汁を吸引するためのカテーテルであって、
前記シャフトは、遠位端に液体吐出口を有する第1チューブと、前記第1チューブと並んで配置され、遠位端に液体吸引口を有する第2チューブとを有し、
前記液体吸引口は前記液体吐出口よりも近位側に位置し、
前記シャフトは、前記第2チューブが配されている上側と、前記第1チューブが配されている下側を有し、
前記第2チューブの遠位側端縁は、上端が下端よりも近位側に位置し、
前記シャフトの長手方向と上下方向に垂直な方向からの側面視で、前記第2チューブの遠位側端縁は、前記第2チューブの内腔と重ならない部分において、前記遠位側端縁の上端と下端を結ぶ直線状に形成されており、前記第2チューブの内腔と重なる部分の少なくとも一部において、前記遠位側端縁の上端と下端を結ぶ仮想直線よりも近位側および/または遠位側に位置する部分を有する胆汁吸引カテーテル。
【請求項2】
前記シャフトの前記側面視で、前記第2チューブの遠位側端縁は、前記第2チューブの内腔と重なる部分において、前記仮想直線よりも近位側に位置する部分を有し、前記仮想直線よりも遠位側に位置する部分を有しない請求項1に記載の胆汁吸引カテーテル。
【請求項3】
前記シャフトの前記側面視で、前記第2チューブの遠位側端縁は、前記第2チューブの内腔と重なる部分において、前記仮想直線よりも遠位側に位置する部分を有し、前記仮想直線よりも近位側に位置する部分を有しない請求項1に記載の胆汁吸引カテーテル。
【請求項4】
前記シャフトの前記側面視で、前記第2チューブの遠位側端縁は、前記第2チューブの内腔と重なる部分において、前記仮想直線よりも近位側に位置する部分と遠位側に位置する部分を有する請求項1に記載の胆汁吸引カテーテル。
【請求項5】
前記シャフトの長手方向に垂直な断面において、前記第2チューブの内腔の断面積は前記第1チューブの内腔の断面積よりも大きい請求項1~4のいずれか一項に記載の胆汁吸引カテーテル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、胆汁吸引カテーテルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
胆石や腫瘍等によって胆管が閉塞したり、胆管内で胆汁の流れが阻害されることにより、胆汁が胆管内に停滞し、細菌感染を引き起こす場合がある。胆汁の細菌感染は胆管炎を招き、さらに細菌を含んだ胆汁が肝臓を通って全身の血液中に流入すると敗血症を引き起こすおそれがある。このような場合、胆管内から胆汁を排出する処置が必要となり、経皮経肝胆道ドレナージ(PTCD)や内視鏡的胆管ドレナージ(ERBD)などが行われる。
【0003】
胆管内に挿入して用いられるカテーテルとして、例えば特許文献1には、遠位端側が胆管内に挿入されるカテーテルチューブを備える胆管用ドレナージカテーテルであって、カテーテルチューブは、外径が長手方向に沿って実質的に同一である本体部と、本体部の遠位端側に連なり、遠位端側に向かって外径が細くなる第1テーパー部と、第1テーパー部の遠位端側に連なり、外径が長手方向に沿って実質的に同一である細径直胴部と、細径直胴部の遠位端側に連なり、遠位端側に向かって外径が細くなる第2テーパー部とを有し、細径直胴部の外径が本体部の外径の20~80%であり、細径直胴部の長さが30~250mmである胆管用ドレナージカテーテルが開示されている。特許文献2には、所定の医療行為を行う作業用処置具が挿通自在な複数のルーメンが配設された長尺な挿入部と、挿入部の先端から延設され挿入部を案内するガイド部とを具備し、ガイド部の先端面に開口部が形成され、挿入部およびガイド部に流体供給ルーメンが形成された細長医療部材が開示されている。特許文献2には、挿入部の先端にある開口部から胆管内の胆汁を吸引してもよいことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004-329314号公報
【特許文献2】特開2011-251140号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
胆管内の胆汁をカテーテルにより吸引する場合、胆石によって吸引が阻害されないことが求められ、胆石がカテーテルの吸引口を塞いだりしないことが望ましい。本発明は前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、胆管内の胆汁を吸引する際に、胆石によって胆汁の吸引が阻害されにくく、好適に胆汁を吸引することができる胆汁吸引カテーテルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決することができた本発明の胆汁吸引カテーテルとは、近位側から遠位側へ長手方向に延在するシャフトを有し、胆管に挿入して胆汁を吸引するためのカテーテルであって、シャフトは、遠位端に液体吐出口を有する第1チューブと、第1チューブと並んで配置され、遠位端に液体吸引口を有する第2チューブとを有し、液体吸引口は液体吐出口よりも近位側に位置し、シャフトは、第2チューブが配されている上側と、第1チューブが配されている下側を有し、第2チューブの遠位側端縁は、上端が下端よりも近位側に位置し、シャフトの長手方向と上下方向に垂直な方向からの側面視で、第2チューブの遠位側端縁は、第2チューブの内腔と重ならない部分において、遠位側端縁の上端と下端を結ぶ直線状に形成されており、第2チューブの内腔と重なる部分の少なくとも一部において、遠位側端縁の上端と下端を結ぶ仮想直線よりも近位側および/または遠位側に位置する部分を有するところに特徴を有する。
【0007】
本発明の胆汁吸引カテーテルは、液体吐出口から洗浄液を胆管内に吐出することにより、胆管内に溜まった胆汁を希釈して粘度を下げることができる。液体吸引口からは、洗浄液により希釈され粘度が低下した胆汁を吸引しやすくなる。その際、上記のように第2チューブの遠位側端縁が形成されることにより、液体吸引口に胆石が嵌まり込みにくくなり、胆石によって液体吸引口が塞がることが起こりにくくなる。また、胆石が液体吸引口を遠位側から塞ぐように存在しても、胆汁が第2チューブの遠位側端縁の隙間を通って第2チューブの内腔に引き込まれやすくなる。そのため、胆管内に溜まった胆汁を好適に吸引することができる。
【0008】
シャフトの側面視で、第2チューブの遠位側端縁は、第2チューブの内腔と重なる部分において、前記仮想直線よりも近位側に位置する部分を有し、前記仮想直線よりも遠位側に位置する部分を有しないように構成されてもよい。シャフトの側面視で、第2チューブの遠位側端縁は、第2チューブの内腔と重なる部分において、前記仮想直線よりも遠位側に位置する部分を有し、前記仮想直線よりも近位側に位置する部分を有しないように構成されてもよい。シャフトの側面視で、第2チューブの遠位側端縁は、第2チューブの内腔と重なる部分において、前記仮想直線よりも近位側に位置する部分と遠位側に位置する部分を有するように構成されてもよい。
【0009】
シャフトの長手方向に垂直な断面において、第2チューブの内腔の断面積は第1チューブの内腔の断面積よりも大きいことが好ましい。これにより、胆汁を吸引する際に、第2チューブの内腔の詰まりが起こりにくくなる。また、第1チューブの液体吐出口から洗浄液を勢いよく吐出しやすくなり、胆管内のより奥まで洗浄することが容易になる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の胆汁吸引カテーテルによれば、胆石によって液体吸引口が塞がることが起こりにくい。そのため、胆管内に溜まった胆汁を好適に吸引することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施の形態に係る胆汁吸引カテーテルの一例を表し、胆汁吸引カテーテルの全体側面図を表す。
【
図2】
図1に示した胆汁吸引カテーテルの遠位端部の側面図を表す。
【
図3】
図1に示した胆汁吸引カテーテルの遠位端部の斜視図を表す。
【
図4】
図2に示した胆汁吸引カテーテルの遠位端部における第2チューブの側面図を表す。
【
図5】
図4に示した胆汁吸引カテーテルの遠位端部における第2チューブの側面図の補助図を表す。
【
図6】
図4に示した胆汁吸引カテーテルの遠位端部における第2チューブの側面図の変形例を表す。
【
図7】
図4に示した胆汁吸引カテーテルの遠位端部における第2チューブの側面図の変形例を表す。
【
図8】
図1に示した胆汁吸引カテーテルのVIII-VIII断面図を表す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、下記実施の形態に基づき本発明の胆汁吸引カテーテルを具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施の形態によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。なお、各図面において、便宜上、ハッチングや部材符号等を省略する場合もあるが、かかる場合、明細書や他の図面を参照するものとする。また、図面における種々部材の寸法は、本発明の特徴の理解に資することを優先しているため、実際の寸法とは異なる場合がある。
【0013】
図1~
図8を参照して、本発明の実施の形態に係る胆汁吸引カテーテルについて説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る胆汁吸引カテーテルの一例であって、胆汁吸引カテーテルの全体側面図を表し、
図2と
図3はそれぞれ、
図1に示した胆汁吸引カテーテルの遠位端部の側面図と斜視図を表し、
図8は、
図1に示した胆汁吸引カテーテルのVIII-VIII断面図を表す。また、
図4~
図7には、
図2に示した胆汁吸引カテーテルの遠位端部における第2チューブの側面図およびその変形例を示した。
【0014】
胆汁吸引カテーテル1は、胆管に挿入して胆汁を吸引するために用いられるカテーテルである。本発明の胆汁吸引カテーテル1は、胆管内に液体を供給して胆管内を洗浄しながら、胆管内に溜まった胆汁を吸引することができるものである。以下、胆汁吸引カテーテルを単に「カテーテル」と称する。
【0015】
カテーテル1は、長手方向に延在するシャフト2を有する。カテーテル1において、長手方向は、シャフト2の延在方向に基づき定められる。カテーテル1は、長手方向に対する一方側と他方側として、近位側と遠位側を有する。近位側とは、カテーテル1の使用者、つまり術者の手元側の方向を指し、遠位側とは近位側の反対方向、すなわち処置対象側の方向を指す。シャフト2は、長手方向に対する直交方向として、径方向を有する。
図1では、図の右側が近位側に相当し、図の左側が遠位側に相当する。
【0016】
シャフト2は、遠位端に液体吐出口5を有する第1チューブ3と、遠位端に液体吸引口8を有する第2チューブ6とを有する。第1チューブ3と第2チューブ6はそれぞれ長手方向に延在しており、径方向に並んで配置されている。第1チューブ3は、長手方向に延在する内腔として第1ルーメン4を有し、第2チューブ6は、長手方向に延在する内腔として第2ルーメン7を有する。第1チューブ3と第2チューブ6は互いに溶着または接着されて一体化されるか、第1チューブ3と第2チューブ6が保護チューブ9の内腔に配置され、保護チューブ9によって第1チューブ3と第2チューブ6が一体化されていることが好ましい。
【0017】
カテーテル1を使用の際、第1チューブ3の第1ルーメン4には胆管内に供給する液体(洗浄液)が流通し、第1チューブ3の遠位端の液体吐出口5から液体が胆管内に吐出される。従って、第1チューブ3は近位側開口を有し、第1チューブ3の近位側開口に連通して液体供給部が設けられることが好ましい。液体供給部としては、シリンジやポンプ等が挙げられる。
【0018】
胆管内に溜まった胆汁等は、第2チューブ6の遠位端の液体吸引口8から吸引され、第2チューブ6の第2ルーメン7を通って胆管から排出される。従って、第2チューブ6は近位側開口を有し、第2チューブ6の近位側開口に連通して液体吸引部が設けられることが好ましい。液体吸引部としては、シリンジやポンプ等が挙げられる。液体吸引部のシリンジとして、バックロックシリンジを用いてもよい。
【0019】
第1ルーメン4はガイドワイヤルーメンを兼ねることができる。第1ルーメン4がガイドワイヤルーメンを兼ねることにより、シャフト2の外径を小さくすることができる。また、ガイドワイヤを抜去することなく胆汁を吸引したり、胆管内を洗浄することができ、手技の簡素化、手術時間の短縮につながる。
【0020】
シャフト2の近位側にはハブ10が設けられることが好ましい。ハブ10は、第1ルーメン4に連通した供給接続ポート11と第2ルーメン7に連通した吸引接続ポート12を有し、液体供給部がハブ10の供給接続ポート11に接続され、液体吸引部がハブ10の吸引接続ポート12に接続されることが好ましい。ハブ10を設けることにより、カテーテル1の操作性を高めることができる。
【0021】
ハブ10は、ガイドワイヤポート13をさらに有することが好ましい。ガイドワイヤポート13は第1ルーメン4に連通して設けられることが好ましい。この場合、ハブ10の内部で、第1ルーメン4に連通した内部通路が2つに分岐し、分岐した一方が供給接続ポート11につながり、他方がガイドワイヤポート13につながるように構成される。
【0022】
ハブ10は、他の医療用具を挿入することができる補助ポートをさらに有していてもよい。補助ポートは、例えば第2ルーメン7に連通して設けることができる。この場合、ハブ10の内部で、第2ルーメン7に連通した内部通路が2つに分岐し、分岐した一方が吸引接続ポート12につながり、他方が補助ポートにつながる。他の医療用具の例としては細胞診用のブラシ等が挙げられ、これにより、胆汁吸引後に引き続き、細胞診のための検体採取を行うことができる。
【0023】
ハブ10の内部通路には逆止弁が設けられてもよい。例えば、ハブ10の第1ルーメン4と供給接続ポート11とをつなぐ内部通路に逆止弁を設けることにより、供給接続ポート11から第1ルーメン4に向かう一方向に液体を流すことができる。ハブ10の第2ルーメン7と吸引接続ポート12とをつなぐ内部通路に逆止弁を設けることにより、第2ルーメン7から吸引接続ポート12に向かう一方向に液体を流すことができる。
【0024】
図面には示されていないが、シャフト2の近位側には、第1ルーメン4に接続した第1ハブと第2ルーメン7に接続した第2ハブが設けられてもよい。第1ハブおよび/または第2ハブは、ハブの内部で内部通路が2つ以上に分岐し、それぞれの内部通路に連通する2つ以上のポートを備えていてもよい。例えば、第1ルーメン4に接続した第1ハブは、供給接続ポート11を有し、さらにガイドワイヤポート13を備えていてもよい。第2ルーメン7に接続した第2ハブは、吸引接続ポート12を有し、さらに上記に説明した補助ポートを備えていてもよい。第1ハブおよび/または第2ハブの内部通路には逆止弁が設けられてもよい。
【0025】
シャフト2の長手方向の長さは、例えば1500mm以上が好ましく、1800mm以上がより好ましく、また3000mm以下が好ましく、2800mm以下がより好ましい。シャフト2の外径は、例えば1.2mm以上が好ましく、1.3mm以上がより好ましく、1.4mm以上がさらに好ましく、また8.0mm以下が好ましく、7.0mm以下がより好ましく、6.0mm以下がさらに好ましい。シャフト2の外径はさらに小さくてもよく、例えば4.0mm以下、3.6mm以下または3.2mm以下であってもよい。第1ルーメン4と第2ルーメン7の内径は、例えば1.0mm以上が好ましく、1.1mm以上がより好ましく、1.3mm以上がさらに好ましく、また3.5mm以下が好ましく、3.0mm以下がより好ましく、2.5mm以下がさらに好ましい。第1ルーメン4と第2ルーメン7の内径はさらに小さくてもよく、例えば2.2mm以下、2.0mm以下または1.9mm以下であってもよい。
【0026】
シャフト2の長手方向に対する垂直断面において、シャフト2の外縁の形状、第1チューブ3の外縁の形状、第2チューブ6の外縁の形状、第1ルーメン4の形状、第2ルーメン7の形状は特に限定されず、円形、楕円形、長円形、卵形、多角形、不定形等が挙げられる。シャフト2の外縁の形状や第1ルーメン4と第2ルーメン7の形状が円形以外の場合、上記に説明したシャフト2の外径と第1ルーメン4と第2ルーメン7の内径は、長径と短径の平均値を意味する。長径と短径について、シャフト2の外縁を例に取ると、シャフト2の外縁の長径とは、シャフト2の外縁の長軸方向の長さ(外縁の最大径)を意味し、シャフト2の外縁の短径とは、シャフト2の長軸方向に対して垂直方向となる短軸方向の長さのうちの最も長くなる長さを意味する。なお、シャフト2の外縁の形状、第1チューブ3の外縁の形状、第2チューブ6の外縁の形状、第1ルーメン4の形状、第2ルーメン7の形状は、円形、長円形、楕円形または卵形であることが好ましい。
【0027】
シャフト2は、長手方向の全体にわたって外径が略同一に形成されてもよく、長手方向の一部と他部で外径が異なるように形成されてもよい。例えば、シャフト2の外径は、シャフト2の遠位部と近位部で異なっていてもよい。第1チューブ3および/または第2チューブ6の内外径も、シャフト2の遠位部と近位部で異なっていてもよい。
【0028】
実施形態の一つとして、シャフト2の近位部におけるシャフト2の外径は、シャフト2の遠位部におけるシャフト2の外径よりも大きいことが好ましい。この場合、シャフト2は、シャフト2の近位部における第1チューブ3の外径がシャフト2の遠位部における第1チューブ3の外径よりも大きく形成されていてもよく、シャフト2の近位部における第2チューブ6の外径がシャフト2の遠位部における第2チューブ6の外径よりも大きく形成されていてもよく、その両方であってもよい。また、シャフト2は、シャフト2の近位部における保護チューブ9の外径がシャフト2の遠位部における保護チューブ9の外径よりも大きく形成されていてもよく、あるいは、シャフト2の遠位部には保護チューブ9が設けられずにシャフト2の近位部にのみ保護チューブ9が設けられてもよい。このようにシャフト2が構成されることにより、シャフト2の近位部の剛性を確保しながら、シャフト2の遠位部を胆管のより奥まで挿入することが容易になる。
【0029】
シャフト2は、シャフト2の近位部における第1チューブ3の内径がシャフト2の遠位部における第1チューブ3の内径よりも大きく形成されてもよく、シャフト2の近位部における第2チューブ6の内径がシャフト2の遠位部における第2チューブ6の内径よりも大きく形成されていてもよく、その両方であってもよい。このようにシャフト2が構成されることにより、より効果的に洗浄液を吐出したり、胆汁を吸引することができる。
【0030】
第1チューブ3、第2チューブ6、保護チューブ9は、樹脂から構成することができる。樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ナイロン等のポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、PEEK等の芳香族ポリエーテルケトン樹脂、ポリエーテルポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、PTFE、PFA、ETFE等のフッ素系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、シリコーン樹脂等の合成樹脂が挙げられる。
【0031】
第1チューブ3、第2チューブ6、保護チューブ9は、単層から構成されていてもよく、複数層から構成されていてもよい。第1チューブ3、第2チューブ6、保護チューブ9は、長手方向の一部が単層から構成されており、他部が複数層から構成されていてもよい。
【0032】
第1チューブ3、第2チューブ6、保護チューブ9は、補強層を有していてもよい。補強層により、シャフト2の剛性を高めることができる。補強層は、樹脂から構成された内層と外層の間に配置されることが好ましい。
【0033】
補強層は、金属線や繊維等から構成することができる。金属線を構成する素材としては、例えば、ステンレス鋼、チタン、ニッケルチタン合金、コバルトクロム合金、タングステン合金等が挙げられる。なかでも、ステンレス鋼が好ましい。金属線は、単線であってもよいし、撚線であってもよい。繊維としては、例えば、ポリアリレート繊維、アラミド繊維、超高分子量ポリエチレン繊維、PBO繊維、炭素繊維等が挙げられる。繊維は、モノフィラメントであってもよいし、マルチフィラメントであってもよい。
【0034】
補強層の形状は、特に限定されないが、らせん状、網目状、編組状が好ましい。なかでも、補強層によってシャフト2の剛性を効果的に高めることができる点から、補強層の形状は編組状であることがより好ましい。
【0035】
シャフト2は、液体吸引口8が液体吐出口5よりも近位側に位置するように構成される。これにより、液体吐出口5をシャフト2の先端に設けることができ、胆管内のより奥まで挿入し、洗浄・吸引することが容易になる。液体吐出口5は第1チューブ3の遠位端に形成されるため、第1ルーメン4を通って第1チューブ3の遠位端まで運ばれた洗浄液は液体吐出口5から遠位側に吐出され、液体吐出口5よりも遠位側の胆管の内部を洗浄することが可能となる。また、胆汁は比較的粘度が高く、細菌感染した胆汁であればさらに粘度が高くなるところ、液体吐出口5から洗浄液を胆管内に吐出することにより、胆管内に溜まった胆汁が希釈され、粘度を下げることができる。一方、液体吸引口8が液体吐出口5よりも近位側に位置することにより、胆管内に溜まった胆汁の吸引が容易になる。すなわち、液体吸引口8が液体吐出口5よりも近位側に位置することにより、液体吸引口8からは、洗浄液により希釈され粘度が低下した胆汁を吸引しやすくなる。そのため、液体吸引口8から胆汁を吸引することが容易になり、また吸引した胆汁が第2ルーメン7内で詰まりにくくなる。
【0036】
液体吸引口8は液体吐出口5よりも3mm以上近位側に位置することが好ましく、4mm以上がより好ましく、5mm以上がさらに好ましく、また30mm以下が好ましく、20mm以下がより好ましく、15mm以下がさらに好ましい。このように液体吸引口8と液体吐出口5が位置することにより、未希釈の胆汁を吸引することが抑えられ、洗浄液で希釈された胆汁を吸引しやすくなる。また、胆管内の奥に溜まった胆汁を吸引しやすくなり、胆汁の取り残しを少なくすることができる。なお、液体吸引口8と液体吐出口5の離隔距離は、液体吸引口8の遠位端と液体吐出口5の近位端の間の長手方向の離隔距離を計測することにより求める。
【0037】
シャフト2を胆管内に挿入して液体吸引口8から胆汁を吸引する際、液体吸引口8に胆石が嵌まり込んだり、胆石によって液体吸引口8が塞がったりすることが起こらないことが望ましい。そのような観点から、液体吸引口8を形成する第2チューブ6の遠位側端縁21は、シャフト2の側面視で非直線状に形成されている。具体的には、シャフト2において、第2チューブ6が配されている側を上側とし、第1チューブ3が配されている側を下側としたとき、第2チューブ6の遠位側端縁21は上端21Aが下端21Bよりも近位側に位置するように形成されている。その上で、
図4~
図7に示すように、シャフト2の側面視で、第2チューブ6の遠位側端縁21は、第2チューブ6の内腔、すなわち第2ルーメン7と重ならない部分22において、遠位側端縁21の上端21Aと下端21Bを結ぶ直線状に形成されており、第2チューブ6の内腔、すなわち第2ルーメン7と重なる部分23の少なくとも一部において、遠位側端縁21の上端21Aと下端21Bを結ぶ仮想直線24よりも近位側および/または遠位側に位置する部分を有するように形成されている。
図4および
図5では、第2ルーメン7と重なる部分23において、第2チューブ6の遠位側端縁21は、仮想直線24よりも近位側に位置する部分を有するように形成されており、
図6では、第2ルーメン7と重なる部分23において、第2チューブ6の遠位側端縁21は、仮想直線24よりも遠位側に位置する部分を有するように形成されており、
図7では、第2ルーメン7と重なる部分23において、第2チューブ6の遠位側端縁21は、仮想直線24よりも近位側および遠位側に位置する部分を有するように形成されている。
【0038】
なお、シャフト2の側面視とは、シャフト2を長手方向と上下方向に垂直な方向から見たときのシャフト2の平面視を意味する。
図4~
図7では、シャフト2を側面から見た図が示されている。また、シャフト2の側面視で第2チューブ6の遠位側端縁21が第2ルーメン7と重ならない部分22とは、遠位側端縁21の上端部(上端21Aを含む部分)と下端部(下端21Bを含む部分)となり、シャフト2の側面視で第2チューブ6の遠位側端縁21が第2ルーメン7と重なる部分23とは、遠位側端縁21の上端部と下端部の間の部分となる。
【0039】
第2チューブ6の遠位側端縁21が、上端21Aが下端21Bよりも近位側に位置するように形成されることにより、液体吸引口8の大きさを広くとることができ、胆汁を吸引しやすくなる。その上で、第2チューブ6の遠位側端縁21は、上端21Aから下端21Bにかけて遠位側に向かって延在しつつ、第2ルーメン7と重なる部分23の少なくとも一部において、遠位側に突出したり近位側に凹んで形成されているため、液体吸引口8に胆石が嵌まり込みにくくなる。仮に液体吸引口8に胆石が嵌まっても、胆石によって液体吸引口8が完全に塞がることが起こりにくくなる。特に、第2チューブ6の遠位側端縁21は、上端部と下端部が直線状に形成され、その間の部分が、それより遠位側に突出したり近位側に凹んだ非直線状に形成されているため、これら直線状の部分と非直線状の部分の境界付近で遠位側端縁21の延在方向が大きく変わり、胆石が液体吸引口8に嵌まり込んだり、胆石が液体吸引口8を塞ぐことが起こりにくくなる。
【0040】
遠位側端縁21は、第2ルーメン7と重ならない部分22で、上端21Aと下端21Bを結ぶ直線状に形成されるとともに、さらに第2ルーメン7と重なる部分23の一部で、上端21Aと下端21Bを結ぶ直線状に形成されることが好ましい。すなわち、遠位側端縁21は、シャフト2の側面視で第2ルーメン7と重ならない部分22から第2ルーメン7と重なる部分23の一部にかけて、上端21Aと下端21Bを結ぶ直線状に形成されることが好ましい。以下、遠位側端縁21のうち、上端21Aを含む部分と下端21Bを含む部分であって、上端21Aと下端21Bを結ぶ直線状に形成された部分を、「直線縁部」と称する。また、遠位側端縁21のうち、上端21A側の直線縁部と下端21B側の直線縁部の間の部分、すなわち仮想直線24よりも近位側および/または遠位側に位置する部分を、「凹凸縁部」と称する。凹凸縁部は、凹部のみ、凸部のみであってもよい。
【0041】
遠位側端縁21の上端21Aと下端21Bを結ぶ仮想直線24とシャフト2の長手方向とのなす角は、10°以上であることが好ましく、20°以上がより好ましく、また75°以下が好ましく、70°以下がより好ましい。このように遠位側端縁21が形成されることにより、液体吸引口8の大きさを広くとることができ、また液体吸引口8よりも遠位側にある胆汁を吸引しやすくなる。
【0042】
図4および
図5に示すように、シャフト2の側面視において、遠位側端縁21の上端21Aと下端21Bを結ぶ仮想直線24の長さ(具体的には仮想直線24の上端21Aと下端21B間の長さ)をL1とし、遠位側端縁21が仮想直線24と重なる部分、すなわち直線縁部の長さをL2としたとき、L2/L1の値は0.1以上が好ましく、0.2以上がより好ましく、また0.7以下が好ましく、0.6以下がより好ましい。このように遠位側端縁21が形成されることにより、胆石が液体吸引口8に嵌まり込むことが起こりにくくなる。
【0043】
シャフト2の側面視において、凹凸縁部21Zの形状は特に限定されない。凹凸縁部21Zの形状としては、円弧状、楕円形や長円形の一部が切除された形状、多角形の一辺が切除された形状、角が丸まった多角形の一辺が切除された形状、これらを組み合わせた形状等が挙げられる。
【0044】
シャフト2の側面視において、遠位側端縁21の凹凸縁部21Zの両端間の仮想直線24の長さをL3とし、凹凸縁部21Zが仮想直線24から遠位側または近位側に最も離れた地点における仮想直線24からの長さをL4としたとき、L4/L3の値は0.3以上が好ましく、0.5以上がより好ましく、また1.5以下が好ましく、1.2以下がより好ましい。このように遠位側端縁21が形成されることにより、胆石が液体吸引口8に嵌まり込みにくくなる。また、遠位側端縁21が歪みにくくなり、液体吸引口8から好適に胆汁を吸引しやすくなる。なお、長さL3は、遠位側端縁21の上端21Aと下端21Bを結ぶ仮想直線24の長さL1から直線縁部の長さL2を除いた長さに相当する。
【0045】
遠位側端縁21は、直線縁部と凹凸縁部21Zの境界で角をなしていることが好ましい。すなわち、遠位側端縁21は、直線縁部と凹凸縁部21Zの境界で丸まって形成されておらず、折れ曲がって形成されていることが好ましい。このように遠位側端縁21が形成されることにより、胆石が液体吸引口8に嵌まり込みにくくなる。
【0046】
実施形態の一つとして、
図4および
図5に示すように、シャフト2の側面視で、第2チューブ6の遠位側端縁21は、第2ルーメン7と重なる部分23において、仮想直線24よりも近位側に位置する部分を有し、仮想直線24よりも遠位側に位置する部分を有しないことが好ましい。このように遠位側端縁21が形成されることにより、液体吸引口8より遠位側にある胆汁だけでなく、液体吸引口8より近位側にある胆汁も吸引しやすくなる。また、胆石が液体吸引口8を遠位側から塞ぐように存在しても、仮想直線24よりも近位側に凹んだ凹凸縁部21Zの隙間を通って胆汁が第2ルーメン7に引き込まれやすくなる。
【0047】
図6に示すように、シャフト2の側面視で、第2チューブ6の遠位側端縁21は、第2ルーメン7と重なる部分23において、仮想直線24よりも遠位側に位置する部分を有し、仮想直線24よりも近位側に位置する部分を有しないように形成されていてもよい。このように遠位側端縁21が形成されていれば、胆石が液体吸引口8に嵌まり込みにくくなる。また、液体吸引口8から吸引される流れに沿って胆石が遠位側端縁21に当たった際に、胆石が液体吸引口8から離れるようにはじかれやすくなる。
【0048】
図7に示すように、シャフト2の側面視で、第2チューブ6の遠位側端縁21は、第2ルーメン7と重なる部分23において、仮想直線24よりも近位側に位置する部分と遠位側に位置する部分の両方を有するように形成されていてもよい。このように遠位側端縁21が形成されていても、胆石が液体吸引口8に嵌まり込みにくくなる。また、液体吸引口8より遠位側にある胆汁だけでなく、液体吸引口8より近位側にある胆汁も吸引しやすくなる。
【0049】
シャフト2の長手方向に垂直な断面において、第2ルーメン7の断面積は第1ルーメン4の断面積よりも大きいことが好ましい(
図8を参照)。これにより、胆汁を吸引する際に、第2ルーメン7の詰まりが起こりにくくなる。また、第1ルーメン4の液体吐出口5から洗浄液を勢いよく吐出しやすくなり、胆管内のより奥まで洗浄することが容易になる。第2ルーメン7の断面積は、例えば、第1ルーメン4の断面積の1.1倍以上が好ましく、1.2倍以上がより好ましく、また4.0倍以下が好ましく、3.0倍以下がより好ましく、2.5倍以下がさらに好ましい。なお、
図8では、保護チューブ9と第1チューブ3および第2チューブ6の間に隙間が存在しているが、保護チューブ9と第1チューブ3および第2チューブ6の間には隙間が存在しなくてもよい。例えば第1チューブ3と第2チューブ6を保護チューブ9の内腔に配置した後、さらにその外側に熱収縮チューブを被せて熱加工することにより、保護チューブ9と第1チューブ3および第2チューブ6の間に隙間がないように形成することができる。
【0050】
図2および
図3に示すように、液体吸引口8よりも遠位側において、シャフト2は遠位端に向かって外径が小さくなるテーパー部25を有することが好ましい。このようにシャフト2の先端部を形成することにより、胆管内にシャフト2を挿入しやすくなる。テーパー部25は、シャフト2が先細りになるように加工してもよく、テーパー形状を有する別部材をシャフト2の先端に取り付けてもよい。
【0051】
液体吐出口5の外縁、すなわち第1チューブ3の遠位側端縁は、長手方向に対して垂直に延びるように形成されていることが好ましい。また、液体吐出口5の外縁は、面取りされたり、側面視で丸まって形成されていることが好ましい。このように液体吐出口5の外縁が形成されていれば、胆管内にシャフト2を挿入する際に、胆管を傷つけにくくなる。
【0052】
液体吐出口5から吐出する液体、すなわち洗浄液は生理食塩水であることが好ましい。これにより、生理食塩水で胆管内の胆汁を希釈しながら、胆管内の胆汁を液体吸引口8から吸引することができ、胆管内の洗浄を効果的に行うことができる。例えば胆管内に感染胆汁がある場合は、胆管内を洗浄することにより、結石の発生や胆汁のうっ滞を抑えることができる。
【0053】
液体吐出口5からの洗浄液の吐出と液体吸引口8からの胆汁の吸引は、同じタイミングで行ってもよく、異なるタイミングで行ってもよく、また交互に行ってもよい。このように胆管内を洗浄することにより、胆管内の胆汁を効率よく吸引することができ、また胆管内の内圧が過度に高まることを防止できる。そのため、感染胆汁が肝臓を通って全身の血管内に流入することによる敗血症の発生を抑えることができる。
【0054】
洗浄液として生理食塩水を用いることにより、胆汁との比重差により胆汁を効率的に吸引できるという効果も得られる。内視鏡的逆行性胆道膵管造影(ERCP)の際などには患者は主に腹臥位または左側臥位の状態で処置が施されるが、この状態では、胆管の入口は胆管の内部よりも上側に位置することとなる。この状態でカテーテル1を使用し、液体吐出口5から生理食塩水を吐出すると、生理食塩水は胆汁よりも比重が軽いため、生理食塩水を胆管の奥まで流入したとき、生理食塩水が上澄みとして上がってきて、胆汁を生理食塩水と効率的に混合し希釈することができる。そのため、希釈した胆汁を液体吸引口8から吸引することにより、胆管内の胆汁を効率的に除去することができる。
【0055】
液体吐出口5からは造影剤を吐出してもよい。例えば、生理食塩水により胆管内を洗浄した後、引き続き液体吐出口5から造影剤を胆管内に注入することにより、胆管内の画像診断をより行いやすくなる。
【0056】
シャフト2は、X線透視下等での位置を確認しやすくするために、放射線不透過物質を含んでいてもよい。放射線不透過物質としては、例えば、鉛、バリウム、ヨウ素、タングステン、金、白金、イリジウム、白金イリジウム合金、ステンレス、チタン、コバルトクロム合金、パラジウム、タンタル等が挙げられる。例えば、シャフト2の近位端部や遠位端部に放射線不透過マーカーが設けられることが好ましく、これにより、X線透視下で体腔内におけるシャフト2の位置を確認することができる。
【0057】
シャフト2は、外面が親水性ポリマーによりコーティングされていてもよい。これにより、シャフト2を内視鏡の鉗子口から鉗子チャンネルに挿入する際に、鉗子チャンネルへの挿入を容易にすることができる。親水性ポリマーとして、例えば、ポリエチレングリコール、ポリ2-ヒドロキシエチルメタアクリレート、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、メチルビニルエーテル無水マレイン酸共重合体等の無水マレイン酸共重合体等の親水性ポリマーが挙げられる。
【符号の説明】
【0058】
1:胆汁吸引カテーテル
2:シャフト
3:第1チューブ
4:第1ルーメン
5:液体吐出口
6:第2チューブ
7:第2ルーメン(第2チューブの内腔)
8:液体吸引口
9:保護チューブ
10:ハブ
11:供給接続ポート
12:吸引接続ポート
13:ガイドワイヤポート
21:(第2チューブの)遠位側端縁、21A:上端、21B:下端、21Z:凹凸縁部
22:第2チューブの内腔と重ならない部分
23:第2チューブの内腔と重なる部分
24:仮想直線
25:テーパー部