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  • 特開-内燃機関におけるパイプの保持構造 図1
  • 特開-内燃機関におけるパイプの保持構造 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023135277
(43)【公開日】2023-09-28
(54)【発明の名称】内燃機関におけるパイプの保持構造
(51)【国際特許分類】
   F01P 11/04 20060101AFI20230921BHJP
   F16B 7/20 20060101ALI20230921BHJP
【FI】
F01P11/04 D
F01P11/04 C
F16B7/20 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022040405
(22)【出願日】2022-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099966
【弁理士】
【氏名又は名称】西 博幸
(74)【代理人】
【識別番号】100134751
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 隆一
(72)【発明者】
【氏名】松村 浩明
【テーマコード(参考)】
3J039
【Fターム(参考)】
3J039AA03
3J039BB01
3J039FA04
3J039FA12
3J039GA04
(57)【要約】
【課題】一端を接続ポートに挿通してブラケットがボルトで固定されるパイプにおいて、接続をこじれなく行えると共にシール性も向上できる構造を開示する。
【解決手段】冷却水戻りパイプ15の一端部15aに、シール材(Oリング18)が装着されている。冷却水戻りパイプ15の他端部15bにはホース16が接続される。冷却水戻りパイプ15には、上下逆方向に向いた第1ブラケット24と第2ブラケット25とが固定されており、第2ブラケット25はボルト35でシンリダブロック1に固定されている。冷却水戻りパイプ15を接続ポート13に差し込むと、第1ブラケット24に設けた切り開き溝26が、シリンダヘッド2に突設した受け部材(スタッドボルト27)に嵌合する。これにより、冷却水戻りパイプ15は姿勢が保持される。スタッドボルト27は他の部材28をボルト29で固定するに際しての回り止めとしても機能する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パイプと、
前記パイプの一端部が嵌め込まれる接続ポートと、を有し、
前記パイプが有するブラケットは、
前記パイプの近くに配置された受け部材に嵌合して姿勢を保持する保持部と、
前記接続ポートに対する前記パイプの嵌め込みによって前記受け部材に嵌合部と、を備える、
内燃機関におけるパイプの保持構造。
【請求項2】
前記保持部および前記嵌合部を備える第1ブラケットと、
前記パイプの近くの部位にボルトで固定される第2ブラケットと、を有しており、
前記受け部材はスタッドボルト又は他の円形突起であり、前記第1ブラケットの係合部は切り開き溝である、
請求項1の内燃機関におけるパイプの保持構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、車両用等の内燃機関に付随して使用されるパイプの保持構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
エンジンには冷却水等の流体を通すパイプが付属しており、パイプをエンジンの構成部材に固定していることもある。その例として特許文献1には、オイルクーラ用の冷却水が流れるパイプ(チューブ)をミッションケースに固定する構造として、固定用のブラケットを、パイプに固定された第1ブラケットとミッションケースにボルトで固定される第2ブラケットとで構成して、両ブラケットの先端部を互いに重ね合わせ、両ブラケットの重ね合わせ部を、係合爪と係合穴(係り孔)との嵌め合わせによって噛み合わせることが開示されている。
【0003】
特許文献1では、パイプの両端を固定(接続)してから、第1ブラケットをミッションケースにボルトで固定するが、ボルトによる固定前の状態では第1ブラケットと第2ブラケットとは相対姿勢を変え得るため、パイプの一端を固定するボルトの軸心と第1ブラケットを固定するボルトの軸心とが平行でない場合でも、第1ブラケットの固定作業を容易に行える(パイプの一端をボルトで固定するに際して、第1ブラケットをミッションケースから離しておける。)。この場合、係合爪と係合孔との嵌め合わせによって第1ブラケットが第2ブラケットに対して回り止めされているため、ボルトによる第1ブラケットの締結作業も容易に行える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-141026号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
さて、ラジエータによって冷却された冷却水は戻り管路によってウォータポンプに戻されており、この場合、戻り管路を、一端部(下流端部)がウォータポンプの接続ポートに接続された金属製のパイプと、パイプの他端部(上流端部)に接続された可撓性のホースとで構成することが行われている。
【0006】
そして、パイプの一端部はOリングを装着することによって、接続ポートに差し込むだけで接続できるように構成する一方、パイプの中途部に第1ブラケットと第2ブラケットとを固定し、第2ブラケットはエンジン本体にボルトで固定し、第1ブラケットは、エンジン本体に設けた受け部に嵌合させて姿勢保持することが行われており、このように構成すると、パイプは2つのブラケットによって姿勢が保持されているため、ウォータポンプに対するパイプの接続の容易性を確保しつつ、ホースの接続をしっかりと行える。
【0007】
この場合、受け部材としてスタッドボルトを使用することが可能であり、スタッドボルトを使用すると、例えばエアクリーナの本体ケースをエンジン本体にボルトで固定するに際して、本体ケースに設けたブラケット部をスタッドボルトに嵌め込むことにより、スタッドボルトを回り止めに利用して、ボルトによる本体ケースの締結作業を容易に行える。
【0008】
そして、第1ブラケットとスタッドボルトとの嵌合関係として、第1ブラケットに丸穴又は長穴を空けておいて、第1ブラケットをスタッドボルトに嵌め込むことが考えられる
が、この場合は、パイプの一端部の軸心が接続ポートと完全に平行な姿勢であると、接続ポートに対するパイプの差し込みに際して第1ブラケットがスタッドボルトに衝突することになる。
【0009】
従って、パイプの一端部は、当該一端部の軸心を接続ポートの軸心に対して少し傾斜させた状態で接続ポートに差し込むことになるが、かくすると、パイプと接続ポートとの間にこじれが生じて差し込みに手間が掛かったり、Oリングが捲れたり破損したりしてシール不良が発生するおそれがある。
【0010】
本願発明は、このような現状を改善すべく成されたものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願発明は内燃機関におけるパイプの保持構造に係り、
「パイプと、前記パイプの一端部が嵌め込まれる接続ポートと、を有し、前記パイプが有するブラケットは、前記パイプの近くに配置された受け部材に嵌合して姿勢を保持する保持部と、前記接続ポートに対する前記パイプの嵌め込みによって前記受け部材に嵌合部と、を備える」
という構成になっている。
【0012】
本願発明は、様々に具体化できる。その例として請求項2では、
「前記保持部および前記嵌合部を備える第1ブラケットと、前記パイプの近くの部位にボルトで固定される第2ブラケットと、を有しており、前記受け部材はスタッドボルト又は他の円形突起であり、前記第1ブラケットの係合部は切り開き溝である」
という構成になっている。
【発明の効果】
【0013】
本願発明では、パイプを接続ポートに嵌め込むと、第1ブラケットの保持部が受け部材に嵌合して姿勢が保持されるため、パイプの一端部は、接続ポートの一端部と同心の姿勢で嵌め込みできる。従って、パイプの一端部を接続ポートに嵌め込むのに際してこじれが生じることはなくて、パイプの接続作業を軽い力で正確に行えると共に、Oリングのようなガスケットが損傷したりめくり返ったりする不具合は発生せずに所望のシール性を保持できる。
【0014】
請求項2では、第2ブラケットがボルトで固定されているため、パイプの取り付け強度が高いが、受け部材である円形突起がパイプの回り止め(位置決め)になるため、ボルトの固定作業に際しては、一々パイプの姿勢を手で保持しておく必要はなくて、締結作業を迅速に行える。
【0015】
また、請求項2のように円形の受け部材と切り開き溝方式の係合部とを採用すると、受け部材は軸心方向から見て方向性がないため、切り開き溝と受け部材とのクリアランスをできるだけ小さくして、パイプの取り付け精度を向上できる。また、スタッドボルト等の円形突起を他の部材(例えばエアクリーナ)の姿勢保持(ボルトで締結するに際しての回り止め)に併用できる利点もある。円形突起としては例えば圧入式のピンも使用できるが、スタッドボルトを使用すると、第1ブラケットや他の部材をナットで固定できる利点がある。
【0016】
また、請求項2において、第2ブラケットのボルト挿通穴をボルトの外径よりも僅かに大きい円形に設定すると、パイプが僅かでも抜け方向に移動しようとするとその動きがボルトによって阻止されるため、パイプの嵌め込みを容易に行えながら、抜け防止機能に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】パイプをエンジン側面方向から見た斜視図である。
図2】パイプ単体の図で、(A)は平面図、(B)は側面図、(C)は(B)及び(C)のC-C視断面図である。
図3】他の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本願発明の実施形態を図面に基づいて説明する。以下では、方向を特定するために前後・左右の文言を使用するが、前後方向はクランク軸線方向で、左右方向はクランク軸線及び気筒軸線と直交した方向である。前と後ろについては、タイミングチェーンが配置される側を前、ミッションケースが配置される側を後ろとしている。
【0019】
(1).エンジンの概略
本実施形態は、自動車用エンジン(内燃機関)に付属したパイプの接続構造に具体化している。まず、図1,2に示す実施形態を説明する。図1に示すように、エンジンは、シンリダブロック1とその上面に固定されたシリンダヘッド2とを有しており、シリンダヘッド2の上面にはヘッドカバー(図示せず)が固定されている。シリンダヘッド2には、1つの排気出口穴3が開口している。従って、図1は排気側面の方向から見た図である。
【0020】
排気出口穴3の周囲には、スタッドボルト又は六角ボルトがねじ込まれるタップ穴4が開口しており、タップ穴4を使用して、排気ターボ過給機又は触媒ケースが固定される(排気ターボ過給機を固定した場合は、触媒ケースは排気ターボ過給機の出口フランジに固定される。)。
【0021】
シンリダブロック1及びシリンダヘッド2の前面には、1枚のフロントカバー5がボルトの群で固定されている。フロントカバー5とシンリダブロック1及びシリンダヘッド2で囲われた空間に、既述のタイミングチェーンが配置されている。図1において、シンリダブロック1とシリンダヘッド2との境界は太線6で表示し、シンリダブロック1及びシリンダヘッド2とフロントカバー5との境界を太線7で表示している。シンリダブロック1の後面部には、スタータモータのギアが噛合するリングギア8が配置されている。
【0022】
シリンダヘッド2の後部は配水部9になっており、配水部9に、ラジエータ送りポート10や他の冷却水ポート11を設けている。ラジエータ送りポート10の内部には、サーモ弁(図示せず)が配置されている。
【0023】
フロントカバー5のうちシンリダブロック1の上部に位置した部位に、ウォータポンプを構成するポンプハウジング12が、シンリダブロック1の外側にはみ出るように形成されており、ポンプハウンジング12の後面に、後ろ向きに突出した接続ポート13を有するポンプカバー14がフロントカバー5と一体となって形成されている。なお、ポンプカバー14がボルト(図示せず)の群で固定されていてもよい。ウォータポンプは、クランクプーリに巻き掛けした補記駆動ベルトで駆動されるか、又は、電動モータで駆動される。
【0024】
ウォータポンプの接続ポート13には、金属製の冷却水戻りパイプ15が接続されている。冷却水戻りパイプ15は概ね前後長手の姿勢であり、その一端部(下流端部)15aが接続ポート13に差し込みによって接続されており、他端部(上流端部)15bに、可撓性を有するラジエータ戻りホース16が外側から嵌まり込むようになっている。
【0025】
この場合、冷却水戻りパイプ15は、一端部15aが低くて他端部15bが高くなるよ
うに側面視で段違いに形成されている。また、図2(A)に示すように、冷却水戻りパイプ15は、他端部15bに寄った半分強はシンリダブロック1に近接して、一端部15aの側の一部はシンリダブロック1から離れるように平面視でも曲がっている。従って、冷却水戻りパイプ15は、平面視及び側面視でクランク状に曲がっている。
【0026】
従って、冷却水戻りパイプ15は、シンリダブロック1から離れて水平姿勢になった出口側水平状部15cと、シンリダブロック1に近接して水平姿勢になった入口側水平状部15dと、両者を繋ぐ傾斜部15eとを有している。冷却水戻りパイプ15の一端部15aには2つの環状突起17が形成されて、両環状突起17の間に、シール材の一例としてのOリング18を装着している。他方、冷却水戻りパイプ15の他端部には、前後一対の環状突起19を形成しており、他端部に外側から嵌まったラジエータ戻りホース16は、前後の環状突起19の間に位置したホースハンドで縛り保持されている。
【0027】
冷却水戻りパイプ15の入口側水平状部15dには、金属管で逆L形に形成されたヒータ戻りポート20が接続されている。ヒータ戻りポート20には、車内暖房用のヒータコーから排出された冷却水が流れるヒータ戻りホース21(図2(B)参照)が嵌め込まれる。ヒータ戻りポート20の先端部にも、前後一対の環状突起22が形成されている。なお、冷却水戻りパイプ15は、機関が低温のときにラジエータに送られない冷却水をウォータポンプに戻すバイパス管としても機能している。
【0028】
(2).冷却水戻りパイプの固定構造
冷却水戻りパイプ15の入口側水平状部15dには、金属板製で上向きに突出した第1ブラケット24が溶接又はろう付けで固定されて、冷却水戻りパイプ15の出口側水平状部15cには、金属板製で下向きに突出した第2ブラケット25が溶接又はろう付けで固定されている。第1ブラケット24と第2ブラケット25とは、上下逆向きに配置されている。
【0029】
図2(C)に示すように、第1ブラケット24は、その下端部は入口側水平状部15dに重なるように湾曲し、この部位を冷却水戻りパイプ15の入口側水平状部15dにろう付け又は溶接している。更に、第1ブラケット24は、シリンダヘッド2の排気側面に近接した状態で上向きに立ち上がっており、上半部は、前に向けて高くなった前向き傾斜部24aを有している。
【0030】
そして、図2に示すように、前向き傾斜部24aの前端に、係合部の一例として前向きに開口した切り開き溝26を形成している。また、切り開き溝26の開口縁は、上下に広がるテーパ部26aになっている。そして、シリンダヘッド2の吸気側面に、請求項に記載した受け部材の一例として、第1ブラケット24の切り開き溝26が嵌合するスタッドボルト27を突設している。
【0031】
図1に示すように、シリンダヘッド2の後部上方にはエアクリーナの本体ケース(ダーティ室)28が配置されており、本体ケース28の一部が六角ボルト29によってシリンダヘッド2に固定されているが、本体ケース28に、スタッドボルト27に嵌まり込む位置決め穴30を有するブラケット部31が一体に形成されている。なお、本体ケース28とブラケット部31がグロメットを介して連結された別体構造も採用できる。
【0032】
エアクリーナの本体ケース28は、冷却水戻りパイプ15を固定した後に取り付けられる。従って、第1ブラケット24の切り開き溝26がスタッドボルト27に嵌め込まれた状態で、ブラケット部31をスタッドボルト27に嵌め込み、その状態で六角ボルト29をねじ込まれるが、本体ケース28はスタッドボルト27によって回り止めされているため、人手で本体ケース28の姿勢を保持することなく、六角ボルト29をねじ込み操作で
きる。
【0033】
図2(B)に示すように、スタッドボルト27は、シリンダヘッド2に外向き突設した上ボス部32にねじ込まれており、第1ブラケット24は上ボス部32に重なっている。また、六角ボルト29がねじ込まれるタップ穴は、シリンダヘッド2に設けたボス部(図示せず)に形成されている。図2(B)(C)に示すように、第1ブラケット24の内角部には外向きに突出した補強リブ24bを設けている。
【0034】
なお、第1ブラケット24とヒータ戻りポート20とは、ヒータ戻りポート20が外側に位置した状態において側面視ではクロスしている。また、これら第1ブラケット24とヒータ戻りポート20とは、触媒ケースの上方に配置されている。従って、第1ブラケット24とヒータ戻りポート20が触媒ケースの邪魔になることはない。
【0035】
第2ブラケット25は、既述のとおり冷却水戻りパイプ15の傾斜部15eに溶接又はろう付けで固定されており、側面視では、下に行くに従って後ろに向かうように形成している。また、第2ブラケット25は、その上端部は傾斜部15eに部分的に重なるように曲がっており、第2ブラケット25の下端部が、シンリダブロック1に設けた下ボス部34にボルト(六角ボルト)35で固定されている(図1参照)。
【0036】
第2ブラケット25のボルト挿通穴36は円形になっている。第2ブラケット25の長手両側縁にも補強リブ25aを設けている。スタッドボルト27には、ナット37をねじ込むことも可能である。
【0037】
以上の構成において、冷却水戻りパイプ15の一端部15aをウォータポンプの接続ポート13に差し込むと、その差し込み動によって第1ブラケット24の切り開き溝26がスタッドボルト27に嵌まり込む。すなわち、冷却水戻りパイプ15の一端部15aを接続ポート13と同心の姿勢で差し込むと、第1ブラケット24の切り開き溝26がスタッドボルト27に嵌合して、冷却水戻りパイプ15の姿勢が保持される。
【0038】
この場合、第1ブラケット24の先端は先広がりのテーパ部になっているため、切り開き溝26がスタッドボルト27に嵌まり込むように第1ブラケット24の動きがガイドされて、冷却水戻りパイプ15は、その一端部15aを接続ポート13と同心の姿勢に保持される。従って、接続ポート13への冷却水戻りパイプ15の接続を正確に行える。よって、作業を軽い力で軽快に行えると共に、Oリング18の損傷や捲れはなく、高いシール性を保持できる。
【0039】
また、第2ブラケット25のボルト挿通穴36は円形であるため、冷却水戻りパイプ15に接続ポート13から抜ける方向の外力が作用しても、冷却水戻りパイプ15はボルト35によって後退不能に阻止され。従って、接続作業の容易性を保持しつつ、高い抜け防止機能を保持できる。
【0040】
本願発明において、受け部材と係合部の形態は上記の態様の他にも様々に具体化できる。その例を図3に表示している。このうち図3(A)に示す例では、シリンダヘッド2などの部材にL型の受け部材38を固定し、受け部材38に係合穴39を設ける一方、冷却水戻りパイプ15には、係合穴39に嵌入する水平状の係合ロッド40を設けている。
【0041】
また、図3(B)に示す例では、シリンダヘッド2等の部材に平面視U型の受け部材38を設けている一方、冷却水戻りパイプ15には、受け部材38の内部に入り込む上向き係合ロッド40を設けている。この例では、係合ロッド40を他の部材の回り止めに利用できる。
【0042】
更に、本願発明では、受け部材と係合部とは更に様々の組合せを採用できる。また、適用対象であるパイプは冷却水戻りパイプには限らず、空気用のダクトなどにも適用できる。更に、エンジン周りに配置されるパイプに広く適用できる。実施形態では、パイプは接続ポートの内部に挿入されているが、パイプが接続ポートに外側から嵌まる構造にも適用できる。円形突起としては、ソケット穴付きボルトの頭を利用することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本願発明は、エンジン関連パイプの固定構造に具体化できる。従って、産業上利用できる。
【符号の説明】
【0044】
1 シンリダブロック
2 シリンダヘッド
3 排気出口穴
4 タップ穴
5 フロントカバー
6 シリンダブロックとシリンダヘッドの境界
7 シンリダブロック及びシリンダヘッドとフロントカバーとの境界
8 リングギア
9 配水部
10 ラジエータ送りポート
11 冷却水ポート
12 ウォータポンプを構成するポンプハウジング
13 接続ポート
14 ポンプカバー
15 冷却水戻りパイプ
16 ラジエータ戻りホース
17 環状突起
18 Oリング
19 環状突起
20 ヒータ戻りポート
21 ヒータ戻りホース
23 環状突起
24 第1ブラケット
25 第2ブラケット
26 切り開き溝
27 スタッドボルト
28 エアクリーナの本体ケース
29 六角ボルト
30 位置決め穴
31 ブラケット部
32 上ボス部
34 下ボス部
35 第2ブラケットを固定するボルト
36 第2ブラケットのボルト挿通穴
図1
図2
図3