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特開2023-135303地下排水構造の構築方法及び排水構造体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023135303
(43)【公開日】2023-09-28
(54)【発明の名称】地下排水構造の構築方法及び排水構造体
(51)【国際特許分類】
   E02D 17/18 20060101AFI20230921BHJP
   E02B 11/00 20060101ALI20230921BHJP
【FI】
E02D17/18 A
E02B11/00 B
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022040449
(22)【出願日】2022-03-15
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-02-27
(71)【出願人】
【識別番号】510043858
【氏名又は名称】有限会社 アイ・ピー・エムグリーンステージ
(74)【代理人】
【識別番号】100091373
【弁理士】
【氏名又は名称】吉井 剛
(72)【発明者】
【氏名】熊倉 興和
【テーマコード(参考)】
2D044
【Fターム(参考)】
2D044CA03
2D044CA05
2D044CA06
(57)【要約】
【課題】本発明は、従来にない画期的な地下排水構造の構築方法及び排水構造体を提供することを目的とする。
【解決手段】所定長さを有する管状の水分通過部2と、この水分通過部2に立設状態に設けられ、吸収した水分を上下方向に誘導する面状の水分誘導部1とから成る排水構造体Kを地下に埋設する地下排水構造の構築方法であって、施工領域50の所定高さ位置に横架される長尺部材10を介して前記水分誘導部1を吊り下げ立設状態とし、続いて、この吊り下げ立設状態の前記水分誘導部1の周囲に埋設土51を配して前記排水構造体Kを地下に埋設する地下排水構造の構築方法である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定長さを有する管状の水分通過部と、この水分通過部に立設状態に設けられ、吸収した水分を上下方向に誘導する面状の水分誘導部とから成る排水構造体を地下に埋設する地下排水構造の構築方法であって、施工領域の所定高さ位置に横架される長尺部材を介して前記水分誘導部を吊り下げ立設状態とし、続いて、この吊り下げ立設状態の前記水分誘導部の周囲に埋設土を配して前記排水構造体を地下に埋設することを特徴とする地下排水構造の構築方法。
【請求項2】
請求項1記載の地下排水構造の構築方法において、前記水分通過部を施工領域の底に接地することを特徴とする地下排水構造の構築方法。
【請求項3】
請求項1,2いずれか1項に記載の地下排水構造の構築方法において、前記水分通過部を地下水流と直交する状態で配設することを特徴とする地下排水構造の構築方法。
【請求項4】
請求項1~3いずれか1項に記載の地下排水構造の構築方法において、前記水分誘導部の上端部には、前記長尺部材を挿通連設する挿通連設部が設けられていることを特徴とする地下排水構造の構築方法。
【請求項5】
請求項1~4いずれか1項に記載の地下排水構造の構築方法において、前記水分誘導部は、不織布から成る面状基材の表面に通水性シート材を被覆して構成され、また、前記面状基材の上端部を環状に折り返して前記長尺部材を挿通連設する挿通連設部が設けられていることを特徴とする地下排水構造の構築方法。
【請求項6】
請求項5記載の地下排水構造の構築方法において、前記水分通過部は、前記面状基材の下端部を環状に折り返して形成される折り返し部内に周面に通水孔を有する管体が設けられたものであることを特徴とする地下排水構造の構築方法。
【請求項7】
請求項4~6いずれか1項に記載の地下排水構造の構築方法において、前記挿通連設部内には呼び線材が設けられていることを特徴とする地下排水構造の構築方法。
【請求項8】
請求項1~7いずれか1項に記載の地下排水構造の構築方法において、前記長尺部材は、前記施工領域に間隔を介して対設される支承部同士間に横架されるものであることを特徴とする地下排水構造の構築方法。
【請求項9】
請求項1~8いずれか1項に記載の地下排水構造の構築方法において、前記長尺部材は可撓性を有する金属製線材であることを特徴とする地下排水構造の構築方法。
【請求項10】
所定長さを有する管状の水分通過部と、この水分通過部に立設状態に設けられ、吸収した水分を上下方向に誘導する面状の水分誘導部とから成る排水構造体であって、前記水分誘導部の上端部には、施工領域の所定高さ位置に横架される長尺部材に挿通連設する挿通連設部が設けられていることを特徴とする排水構造体。
【請求項11】
請求項10記載の排水構造体において、前記水分誘導部は、不織布から成る面状基材の表面に通水性シート材を被覆して構成され、また、前記面状基材の上端部を環状に折り返して前記長尺部材を挿通連設する挿通連設部が設けられていることを特徴とする排水構造体。
【請求項12】
請求項11記載の排水構造体において、前記水分通過部は、前記面状基材の下端部を環状に折り返して形成される折り返し部内に周面に通水孔を有する管体が設けられたものであることを特徴とする排水構造体。
【請求項13】
所定長さを有する管状の水分通過部と、この水分通過部に立設状態に設けられ、吸収した水分を上下方向に誘導する面状の水分誘導部とから成る排水構造体であって、前記水分誘導部の上端部には、施工領域の所定高さ位置に横架される長尺部材及び該長尺部材に挿通連設する挿通連設部が設けられていることを特徴とする排水構造体。
【請求項14】
所定長さを有する管状の水分通過部と、この水分通過部に立設状態に設けられ、吸収した水分を上下方向に誘導する面状の水分誘導部とから成る排水構造体であって、前記水分誘導部の上端部には、施工領域の所定高さ位置に横架される長尺部材が設けられていることを特徴とする排水構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地下排水構造の構築方法及び排水構造体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、例えばゴルフ場、公園若しくはスポーツ施設などの緑化施設における地下排水構造を構築するためのものとして、特許文献1に開示される排水構造体(以下、従来例)を提案している。
【0003】
この従来例は、所定長さを有する管状の水分通過部と、この水分通過部に立設状態に設けられ、吸収した水分を上下方向に誘導する面状の水分誘導部とから成り、例えば既設の緑化施設における排水の悪い部位に適宜幅の凹溝を掘削し、この凹溝に従来例を挿入配置して埋め戻した状態とすることで、例えば地表面を流れる水分(余剰水)及び該地表面から所定深さ位置の地中を流れる水分(余剰水)を良好に捕捉して土壌中の水分量をコントロール可能な地下排水構造を構築できる。
【0004】
従って、従来例により構築された地下排水構造は、植物(芝生)の植生に適した良好な水分量を維持することができ、しかも、簡易構造故にコスト面にも秀れることになる。
【0005】
しかしながら、従来例は自立しない構造のため施工性に課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4184987号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前述した問題点を解消する、従来にない画期的な地下排水構造の構築方法及び排水構造体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0009】
所定長さを有する管状の水分通過部2と、この水分通過部2に立設状態に設けられ、吸収した水分を上下方向に誘導する面状の水分誘導部1とから成る排水構造体Kを地下に埋設する地下排水構造の構築方法であって、施工領域50の所定高さ位置に横架される長尺部材10を介して前記水分誘導部1を吊り下げ立設状態とし、続いて、この吊り下げ立設状態の前記水分誘導部1の周囲に埋設土51を配して前記排水構造体Kを地下に埋設することを特徴とする地下排水構造の構築方法に係るものである。
【0010】
また、請求項1記載の地下排水構造の構築方法において、前記水分通過部2を施工領域50の底に接地することを特徴とする地下排水構造の構築方法に係るものである。
【0011】
また、請求項1,2いずれか1項に記載の地下排水構造の構築方法において、前記水分通過部2を地下水流と直交する状態で配設することを特徴とする地下排水構造の構築方法に係るものである。
【0012】
また、請求項1~3いずれか1項に記載の地下排水構造の構築方法において、前記水分誘導部1の上端部には、前記長尺部材10を挿通連設する挿通連設部1aが設けられていることを特徴とする地下排水構造の構築方法に係るものである。
【0013】
また、請求項1~4いずれか1項に記載の地下排水構造の構築方法において、前記水分誘導部1は、不織布から成る面状基材1’の表面に通水性シート材1”を被覆して構成され、また、前記面状基材1’の上端部を環状に折り返して前記長尺部材10を挿通連設する挿通連設部1aが設けられていることを特徴とする地下排水構造の構築方法に係るものである。
【0014】
また、請求項5記載の地下排水構造の構築方法において、前記水分通過部2は、前記面状基材1’の下端部を環状に折り返して形成される折り返し部1b内に周面に通水孔2a’を有する管体2aが設けられたものであることを特徴とする地下排水構造の構築方法に係るものである。
【0015】
また、請求項4~6いずれか1項に記載の地下排水構造の構築方法において、前記挿通連設部1a内には呼び線材3が設けられていることを特徴とする地下排水構造の構築方法に係るものである。
【0016】
また、請求項1~7いずれか1項に記載の地下排水構造の構築方法において、前記長尺部材10は、前記施工領域50に間隔を介して対設される支承部11同士間に横架されるものであることを特徴とする地下排水構造の構築方法に係るものである。
【0017】
また、請求項1~8いずれか1項に記載の地下排水構造の構築方法において、前記長尺部材10は可撓性を有する金属製線材であることを特徴とする地下排水構造の構築方法に係るものである。
【0018】
また、所定長さを有する管状の水分通過部2と、この水分通過部2に立設状態に設けられ、吸収した水分を上下方向に誘導する面状の水分誘導部1とから成る排水構造体Kであって、前記水分誘導部1の上端部には、施工領域50の所定高さ位置に横架される長尺部材10に挿通連設する挿通連設部1aが設けられていることを特徴とする排水構造体に係るものである。
【0019】
また、請求項10記載の排水構造体において、前記水分誘導部1は、不織布から成る面状基材1’の表面に通水性シート材1”を被覆して構成され、また、前記面状基材1’の上端部を環状に折り返して前記長尺部材10を挿通連設する挿通連設部1aが設けられていることを特徴とする排水構造体に係るものである。
【0020】
また、請求項11記載の排水構造体において、前記水分通過部2は、前記面状基材1’の下端部を環状に折り返して形成される折り返し部1b内に周面に通水孔2a’を有する管体2aが設けられたものであることを特徴とする排水構造体に係るものである。
【0021】
また、所定長さを有する管状の水分通過部2と、この水分通過部2に立設状態に設けられ、吸収した水分を上下方向に誘導する面状の水分誘導部1とから成る排水構造体Kであって、前記水分誘導部1の上端部には、施工領域50の所定高さ位置に横架される長尺部材10及び該長尺部材10に挿通連設する挿通連設部1aが設けられていることを特徴とする排水構造体に係るものである。
【0022】
また、所定長さを有する管状の水分通過部2と、この水分通過部2に立設状態に設けられ、吸収した水分を上下方向に誘導する面状の水分誘導部1とから成る排水構造体Kであって、前記水分誘導部1の上端部には、施工領域50の所定高さ位置に横架される長尺部材10が設けられていることを特徴とする排水構造体に係るものである。
【発明の効果】
【0023】
本発明は上述のように構成したから、非常に施工性が良いなど、従来にない画期的な地下排水構造の構築方法及び排水構造体となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本実施例に係る排水構造体Kを示す斜視図である。
図2】本実施例に係る排水構造体Kの要部を説明する断面図である。
図3】本実施例に係る排水構造体Kの製造工程説明図である。
図4】本実施例に係る排水構造体Kの要部の説明図である。
図5】本実施例に係る排水構造体Kの要部の説明図である。
図6】本実施例に係る地下排水構造の構築方法の説明図である。
図7】本実施例に係る地下排水構造の構築方法の説明図である。
図8】本実施例に係る地下排水構造の構築方法の説明図である。
図9】本実施例に係る排水構造体Kの機能を説明する断面図である。
図10】本実施例に係る排水構造体Kの機能を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
好適と考える本発明の実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0026】
地下排水構造を構築する場合、施工領域50の所定高さ位置に横架される長尺部材10を介して水分誘導部1を吊り下げ立設状態とし、続いて、この吊り下げ立設状態の水分誘導部1の周囲に埋設土51を配して排水構造体Kを地下に埋設する。
【0027】
従って、埋設土51により埋設する前に排水構造体Kを簡易且つ確実に立設状態とすることができるため非常に施工性が良好となる。
【実施例0028】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0029】
本実施例は、排水構造体Kを地下に埋設する地下排水構造の構築方法である。尚、本実施例では、施工対象となる施工領域50として、地表面に芝生が植生される緑地帯(植生区域)としてのゴルフ場、公園若しくはスポーツ施設(陸上競技場や野球場やサッカー場)などの緑化施設を対象としているが、これに限らず本実施例の特性を発揮する箇所(例えば校庭、グランド、道路、河川敷、堤防、斜面の法尻、新規造成地など)であれば適宜施工し得るものである。
【0030】
具体的には、排水構造体Kは、所定長さを有する管状の水分通過部2と、この水分通過部2に立設状態に設けられ、吸収した水分を上下方向に誘導する面状の水分誘導部1とから成るものである。
【0031】
水分通過部2は、図1,2に図示したように後述する面状基材1’の下端部を環状(環筒状)に折り返して形成される折り返し部1b内に周面に通水孔2a’を有する合成樹脂製の管体2aを設けて構成されている。
【0032】
この水分通過部2の上部にして該水分通過部2の長手方向には同一長さの水分誘導部1が立設状態に設けられている。
【0033】
水分誘導部1は、図1,2に図示したように不織布から成る面状基材1’の表面に合成樹脂製の通水性シート材1”(網状排水材)を被覆して構成され、面状基材1’の上端部を環状(環筒状)に折り返して後述する長尺部材10を挿通連設する挿通連設部1aが設けられている。
【0034】
尚、挿通連設部1aは、一つの環筒状に限らず、複数の環体(輪体)が間隔を介して並設されたような構造でも良い。
【0035】
この本実施例に係る排水構造体Kの具体的な製造工程は次の通りである。
【0036】
先ず、面状基材1’の上端部を環状に折り返して挿通連設部1aを設けるとともに、面状基材1’の下端部に管体2aを配した状態で環状に折り返して折り返し部1bを設け、この面状基材1’の上端部及び下端部における折り返した部位を縫製固定する(図3の(a),(b)参照)。
【0037】
続いて、面状基材1’の表面(全周面)に通水性シート材1”を被覆して縫製固定する(図3の(b),(c)参照)。これにより、下部には水分通過部2が設けられ、この水分通過部2の上部には水分誘導部1が設けられる。
【0038】
続いて、水分誘導部1の上端部に設けられる挿通連設部1aに呼び線材3を挿通連設する(図3の(c)参照)。尚、呼び線材3は、前述した挿通連設部1aを設ける際に連設しても良く、即ち、面状基材1’の上端部に配した状態で該上端部を環状に折り返すことで挿通連設部1a内に設けるようにしても良い。
【0039】
また、この呼び線材3は、図1~3に図示したように麻縄であり、挿通連設部1aに長尺部材10を挿通させるために使用される。
【0040】
具体的には、図4に図示したように呼び線材3の一端部に後述する長尺部材10(ワイヤー)の端部を連結し、続いて、図5に図示したように呼び線材3の他端部を引くことで長尺部材10を挿通連設部1aに貫通させるように挿通連設することができる。
【0041】
尚、呼び線材3素材は麻縄に限られないが、環境に優しい素材が望ましい。
【0042】
また、本実施例では、排水構造体K(水分誘導部1及び水分通過部2)は高さ約40cm、長さ約2mに設定されており、複数の排水構造体Kを並設してフェンス状の地下排水構造Kを構築する構成としているが、施工性や施工条件(施工領域50の状況)を考慮してサイズを適宜変更する。
【0043】
また、本実施例では、前述したように挿通連設部1aに設けた呼び線材3を用いて長尺部材10を挿通連設する構成としているが、水分誘導部1の上端部に長尺部材10が予め設けられた構成(水分誘導部1の挿通連設部1aに長尺部材10を挿通連設させた構成や、水分誘導部1の上端部に長尺部材10を付設した構成)としても良い。この場合、隣接する排水構造体Kの長尺部材10同士を連結して地下排水構造を構築する。
【0044】
以上の構成から成る本実施例に係る排水構造体Kを用いた地下排水構造の構築方法について説明する。
【0045】
先ず、施工領域50を重機等で凹状に掘削する(図6参照)。
【0046】
次に、この施工領域50内に排水構造体Kを配設する。
【0047】
本実施例では、複数の排水構造体Kを格子状、即ち、施工領域50の内壁面に沿わせた状態で並設するとともに、施工領域50の中央に十字状に並設している。尚、この排水構造体Kを配設する位置は、予め行った地盤調査等によって得た情報に基づき水分通過部2を地下水流(水みち)と直交する状態で配設するようにしている。
【0048】
具体的には、施工領域50の適宜位置間に間隔を介して一対の支承部11を設け、一側の支承部11に一端部を連結した長尺部材10の他端部を、複数の排水構造体Kの挿通連設部1aに順次挿通連設させ、この長尺部材10の他端部を他側の支承部11に連結し、緊張装置などを用いて適宜緊張させる。この緊張状態となった長尺部材10は施工領域50の所定高さ位置に横架されて排水構造体Kは一列に吊下げ状態となり、この際、水分通過部2は施工領域50の底に接地状態となる(図7参照)。尚、隣接する水分通過部2同士は図示省略の継合管を介して連結される。符号12は施工領域50の底に差込み状態で立設され吊下げ状態の排水構造体Kの揺動を防止する固定部材である。
【0049】
続いて、この吊り下げ立設状態の水分誘導部1の周囲に埋設土51(掘削した転用土若しくは客土)を配して排水構造体Kを地下に埋設する(図8参照)。
【0050】
この地中に埋設された水分誘導部1は、上端部が地表面位置若しくはその近傍位置まで配され、図9に図示したように地表面の水分及び地表面から所定深さ位置までの地中を流れる水分W(余剰水)を捕捉し、水分通過部2まで誘導する(通水性シート材1”を通過した後、面状基材1’を伝って管体2aまで流下する。)。
【0051】
また、水分誘導部1を構成する面状基材1’は、水分W(余剰水)を伝わせることで水分通過部2まで誘導する誘導機能とともにフィルター機能も発揮し、また、通水性シート材1”は、シルト質の土が面状基材1’へ侵入するのを防止して該面状基材1’の目詰まりを防止する機能を発揮する。
【0052】
また、本実施例は、前述した場合とは反対に、地表面部が乾燥した場合、図10に図示したように水分通過部2に含まれる水分Wが毛細管現象により上昇して該地表面部への水分供給機能が発揮される。
【0053】
また、本実施例は、前述した排水機能・水分供給機能の他、周辺領域からの流水を抑制する機能が発揮される。
【0054】
符号4は、地下排水構造における中央下流側部位に配された排水構造体K(水通過部2)が連設される集水枡部である。
【0055】
本実施例は上述のように構成したから、埋設土51により埋設する前に排水構造体Kを簡易且つ確実に立設状態とすることができるため非常に施工性が良好となり、ひいては排水構造体Kが持つ作用効果を広く普及することができる。
【0056】
また、本実施例は、水分通過部2を施工領域50の底に接地するから、吊下げ状態の排水構造体Kが揺動しにくく良好な施工が行えることになる。
【0057】
また、本実施例は、水分通過部2を地下水流と直交する状態で配設するから、前述した作用効果を確実に奏することができる。
【0058】
また、本実施例は、水分誘導部1の上端部には、長尺部材10を挿通連設する挿通連設部1aが設けられているから、この点においても前述した作用効果を確実に奏することができる。
【0059】
また、本実施例は、水分誘導部1は、不織布から成る面状基材1’の表面に通水性シート材1”を被覆して構成され、面状基材1’の上端部を環状に折り返して長尺部材10を挿通連設する挿通連設部1aが設けられているから、簡易構造にしてコスト安にして量産性に秀れることになる。
【0060】
また、本実施例は、水分通過部2は、面状基材1’の下端部を環状に折り返して形成される折り返し部1b内に周面に通水孔2a’を有する管体2aが設けられたものであるから、この点においても簡易構造にしてコスト安にして量産性に秀れることになる。
【0061】
また、本実施例は、挿通連設部1a内には呼び線材3が設けられているから、より一層施工性が良好となる。
【0062】
また、本実施例は、長尺部材10は、施工領域50に間隔を介して対設される支承部11同士間に横架されるものであるから、この点においても前述した作用効果を確実に奏することができる。
【0063】
また、本実施例は、長尺部材10は可撓性を有する金属製線材であるから、この点においても前述した作用効果を確実に奏することができる。
【0064】
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【符号の説明】
【0065】
K 排水構造体
1 水分誘導部
1’ 面状基材
1” 通水性シート材
1a 挿通連設部
1b 折り返し部
2 水分通過部
2a 管体
2a’ 通水孔
3 呼び線材
10 長尺部材
11 支承部
50 施工領域
51 埋設土
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10