(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023135321
(43)【公開日】2023-09-28
(54)【発明の名称】抗菌性組成物、繊維若しくは衣料品、及びフィルム
(51)【国際特許分類】
A01N 31/14 20060101AFI20230921BHJP
A01N 25/34 20060101ALI20230921BHJP
A01P 1/00 20060101ALI20230921BHJP
D01F 1/10 20060101ALI20230921BHJP
D06M 13/144 20060101ALI20230921BHJP
D06M 13/165 20060101ALI20230921BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20230921BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20230921BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20230921BHJP
A61Q 5/00 20060101ALI20230921BHJP
A61Q 11/00 20060101ALI20230921BHJP
A61K 31/045 20060101ALI20230921BHJP
A61P 1/00 20060101ALI20230921BHJP
【FI】
A01N31/14
A01N25/34 B
A01N25/34 A
A01P1/00
D01F1/10
D06M13/144
D06M13/165
A61K47/10
A61K8/34
A61Q19/00
A61Q5/00
A61Q11/00
A61K31/045
A61P1/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022040472
(22)【出願日】2022-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504150461
【氏名又は名称】国立大学法人鳥取大学
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】杉山 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼島 菜穂
(72)【発明者】
【氏名】大▲崎▼ 久美子
(72)【発明者】
【氏名】石原 亨
【テーマコード(参考)】
4C076
4C083
4C206
4H011
4L033
4L035
【Fターム(参考)】
4C076BB01
4C076BB31
4C076CC32
4C076DD37
4C076FF70
4C083AC061
4C083BB48
4C083CC02
4C083CC31
4C083CC41
4C206AA01
4C206CA09
4C206MA01
4C206MA04
4C206MA72
4C206MA83
4C206NA14
4C206ZA66
4H011AA01
4H011AA03
4H011BB03
4H011DA07
4H011DA10
4L033AC10
4L033BA11
4L033BA14
4L035EE11
4L035JJ16
(57)【要約】
【課題】抗菌スペクトルが広い、新たな抗菌性組成物、並びに、その抗菌性組成物を用いた、繊維若しくは衣料品、及びフィルムを提供する。
【解決手段】一般式(1)で表される化合物若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を有効成分として含有する、抗菌性組成物を採用する。一般式(1)中、X
1は、*-OR
1である。R
1は、置換基を有してもよい炭素数1~20の炭化水素基である。X
2は、*-R
2-OHである。R
2は、置換基を有してもよい炭素数1~10の炭化水素基である。*は、ベンゼン環に結合する結合手である。n1及びn2は、それぞれ独立に、1~5の整数であり、2≦n1+n2≦6である。
[化1]
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表される化合物、前記化合物の塩、前記化合物の溶媒和物、及び、前記化合物の塩の溶媒和物からなる群より選択される一種以上を有効成分として含有する、抗菌性組成物。
【化1】
[式(1)中、X
1は、*-OR
1である。R
1は、置換基を有してもよい炭素数1~20の炭化水素基である。X
2は、*-R
2-OHである。R
2は、置換基を有してもよい炭素数1~10の炭化水素基である。*は、ベンゼン環に結合する結合手である。n1及びn2は、それぞれ独立に、1~5の整数であり、2≦n1+n2≦6である。]
【請求項2】
前記一般式(1)で表される化合物は、下記一般式(1A)で表される化合物である、請求項1に記載の抗菌性組成物。
【化2】
[式(1A)中、R
11は、炭素数1~3のアルキレン基又は単結合である。R
12、R
13、R
14は、それぞれ独立に、炭素数1~3のアルキル基又は水素原子である。R
21は、炭素数1~3のアルキレン基である。]
【請求項3】
医薬組成物、日持ち向上用組成物、飲食品組成物、口腔若しくは皮膚衛生品、悪臭発生予防若しくは軽減剤、洗浄用組成物、又は化粧料組成物である、請求項1又は2に記載の抗菌性組成物。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の抗菌性組成物を含む、繊維又は衣料品。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の抗菌性組成物を含む樹脂層を少なくとも備える、フィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗菌性組成物、繊維若しくは衣料品、及びフィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
細菌感染症又は真菌感染症の治療薬として、従来、様々な抗菌性組成物が用いられている。例えば、非特許文献1には、抗菌性を有するクロトリマゾールを含む真菌感染症の治療薬が記載されている。
【0003】
また、食品の品質を保持するための添加物として、抗菌性を有する様々な化合物が用いられている。非特許文献2には、食品添加物として、抗菌性を有する有機酸、ポリリジン等が記載されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】山口英世、神田弥生、岩田和夫、「膜系に作用点をもつ抗真菌剤、とくにClotrimazoleの作用機序および相互の併用効果」、真菌誌、第15巻、第1号、1974年。
【非特許文献2】小磯博昭、「主要な保存料・日持向上剤の抗菌メカニズム-どこまで解明されているか?」、日本食品微生物学会雑誌、第31巻、第2号、2014年。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、多くの微生物種に対する抗菌効果(すなわち、広い抗菌スペクトル)を示す抗菌性組成物が求められている。本明細書において、「抗菌スペクトルが広い」とは、細菌及びカビのいずれにも抗菌性を有することを意味する。
本発明は、抗菌スペクトルが広い、新たな抗菌性組成物、並びに、その抗菌性組成物を用いた、繊維若しくは衣料品、及びフィルムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下の態様を含む。
すなわち、本発明の第1の態様は、下記一般式(1)で表される化合物、前記化合物の塩、前記化合物の溶媒和物、及び、前記化合物の塩の溶媒和物からなる群より選択される一種以上を有効成分として含有する、抗菌性組成物である。
【0007】
【化1】
[式(1)中、X
1は、*-OR
1である。R
1は、置換基を有してもよい炭素数1~20の炭化水素基である。X
2は、*-R
2-OHである。R
2は、置換基を有してもよい炭素数1~10の炭化水素基である。*は、ベンゼン環に結合する結合手である。n1及びn2は、それぞれ独立に、1~5の整数であり、2≦n1+n2≦6である。]
【0008】
本発明の第1の態様において、前記一般式(1)における化合物は、下記一般式(1A)で表される化合物であることが好ましい。
【化2】
[式(1A)中、R
11は、炭素数1~3のアルキレン基又は単結合である。R
12、R
13、R
14は、それぞれ独立に、炭素数1~3のアルキル基又は水素原子である。R
21は、炭素数1~3のアルキレン基である。]
【0009】
本発明の第1の態様において、前記抗菌性組成物は、医薬組成物、日持ち向上用組成物、飲食品組成物、口腔若しくは皮膚衛生品、悪臭発生予防若しくは軽減剤、洗浄用組成物、又は化粧料組成物であってもよい。
【0010】
また、本発明の第2の態様は、第1の態様の抗菌性組成物を含む、繊維又は衣料品である。
【0011】
また、本発明の第3の態様は、第1の態様の抗菌性組成物を含む樹脂層を少なくとも備える、フィルムである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、抗菌スペクトルが広い、新たな抗菌性組成物、並びに、その抗菌性組成物を用いた、繊維若しくは衣料品、及びフィルムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実験例1における、4-[(3-メチル-2-ブテン-1-イル)オキシ]-ベンゼンメタノールの合成スキームを示す図である。
【
図2】実験例1において合成した最終標品に関する、NMRスペクトルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書及び本特許請求の範囲において、「アルキル基」は、特に断りがない限り、直鎖状、分岐鎖状及び環状の1価の飽和炭化水素基を包含する。
「アルキレン基」は、特に断りがない限り、直鎖状、分岐鎖状及び環状の2価の飽和炭化水素基を包含する。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
【0015】
(抗菌性組成物)
本実施形態にかかる抗菌性組成物は、下記一般式(1)で表される化合物、前記化合物の塩、前記化合物の溶媒和物、及び、前記化合物の塩の溶媒和物からなる群より選択される一種以上を有効成分として含有する。
【0016】
【化3】
[式(1)中、X
1は、*-OR
1である。R
1は、置換基を有してもよい炭素数1~20の炭化水素基である。X
2は、*-R
2-OHである。R
2は、置換基を有してもよい炭素数1~10の炭化水素基である。*は、ベンゼン環に結合する結合手である。n1及びn2は、それぞれ独立に、1~5の整数であり、2≦n1+n2≦6である。]
【0017】
本実施形態にかかる抗菌性組成物は、前記有効成分を含有することにより、抗菌性を示す。本明細書において、「抗菌性」とは、微生物を死滅させるか、又は微生物の増殖を抑制する性質を意味する。微生物としては特に限定されないが、例えば、カビ、細菌等が挙げられる。
【0018】
式(1)中、X1におけるR1の炭化水素基としては、炭素数1~20の鎖状炭化水素基、又は、炭素数3~20の脂環式炭化水素基が挙げられる。
R1が鎖状炭化水素基である場合、前記鎖状炭化水素基は、直鎖状であってもよいし、分岐鎖状であってもよい。前記鎖状炭化水素基は、飽和炭化水素基であってもよいし、不飽和炭化水素基であってもよい。前記鎖状炭化水素基の炭素数としては、1~15が好ましく、1~10がより好ましく、2~8が更に好ましく、3~7が特に好ましい。
R1が脂環式炭化水素基である場合、前記脂環式炭化水素基は、多環式基であってもよく、単環式基であってもよい。単環式の脂環式炭化水素基としては、モノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましい。多環式の脂環式炭化水素基としては、ポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましい。
R1における置換基としては、アミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アシル基、アルコキシ基、カルボニル基、ハロゲン原子等が挙げられる。
n1としては、1~3が好ましく、1がより好ましい。
式(1)中、n1が2以上のとき、複数存在するX1は相互に同じでもよく、異なってもよい。
【0019】
X1としては、下記一般式(X1A)で表される基が好ましい。
【0020】
【化4】
[式(1A)中、R
11は、炭素数1~3のアルキレン基又は単結合である。R
12、R
13、R
14は、それぞれ独立に、炭素数1~3のアルキル基又は水素原子である。*は、ベンゼン環に結合する結合手である。]
【0021】
R11としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、-CH2-CH(CH3)-、-CH(CH3)-CH2-、又は単結合が好ましく、メチレン基、エチレン基、又は単結合がより好ましく、メチレン基が更に好ましい。
R12としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基又は水素原子が好ましく、メチル基又は水素原子がより好ましく、水素原子が更に好ましい。
R13及びR14としては、メチル基、エチル基又は水素原子が好ましく、メチル基が好ましい。R13及びR14は、同一であってもよいし、異なるものであってもよい。
【0022】
式(1)中、X2におけるR2の炭化水素基としては、炭素数1~10の鎖状炭化水素基、又は、炭素数3~10の脂環式炭化水素基が挙げられる。
R2における炭化水素基としては、R1における炭化水素基から1個の水素原子を除いたものが挙げられる。R2が鎖状炭化水素基である場合、前記鎖状炭化水素基の炭素数としては、1~8が好ましく、1~5がより好ましく、1~3が更に好ましく、1が特に好ましい。
R2における置換基としては、R1と同様のものが挙げられる。
R2としては、鎖状炭化水素基が好ましく、飽和の鎖状炭化水素基がより好ましい。
n2としては、1~3が好ましく、1がより好ましい。
式(1)中、n2が2以上のとき、複数存在するX2は相互に同じでもよく、異なってもよい。
【0023】
式(1)中、X1及びX2のベンゼン環に対する結合位置は特に限定されない。
n1及びn2がいずれも1である場合、X2は、X1に対して、オルト位であってもよいし、メタ位であってもよいし、パラ位であってもよく、パラ位であることが好ましい。
【0024】
上記一般式(1)で表される化合物としては、下記一般式(1A)で表される化合物が好ましい。
【0025】
【化5】
[式(1A)中、R
11は、炭素数1~3のアルキレン基又は単結合である。R
12、R
13、R
14は、それぞれ独立に、炭素数1~3のアルキル基又は水素原子である。R
21は、炭素数1~3のアルキレン基である。]
【0026】
R11、R12、R13、R14として好ましい基としては、上記一般式(X1A)において上述したものが挙げられる。
【0027】
R21としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、-CH2-CH(CH3)-、又は-CH(CH3)-CH2-が好ましく、メチレン基又はエチレン基がより好ましく、メチレン基が更に好ましい。
【0028】
式(1A)で表される化合物は、ベンゼン環上のふたつの置換基の位置関係は、オルト位であってもよいし、メタ位であってもよいし、パラ位であってもよく、パラ位であることが好ましい。
【0029】
上記一般式(1)で表される化合物としては、下記化学式(1-1)で表される化合物が好ましい。下記化学式(1-1)で表される化合物のCAS番号は、34593-47-0である。下記化学式(1-1)で表される化合物の一般名は、4-[(3-メチル-2-ブテン-1-イル)オキシ]-ベンゼンメタノールである。
【0030】
【0031】
本実施形態にかかる抗菌性組成物が含み得る上記一般式(1)で表される化合物の塩としては、抗菌性組成物が効果を発揮する限り特に制限されず、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、アルミニウム塩、亜鉛塩、マグネシウム塩、コリン塩、アンモニウム塩、塩酸塩、硫酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、燐酸塩、硝酸塩、安息香酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ヒドロキシエタンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、酢酸塩、プロパン酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、グルタル酸塩、アジピン酸塩、酒石酸塩、マレイン酸塩、フマール酸塩、リンゴ酸塩、マンデル酸塩等が挙げられる。
【0032】
本実施形態にかかる抗菌性組成物が含み得る上記一般式(1)で表される化合物又はその塩の溶媒和物としては、抗菌性組成物が効果を発揮する限り特に制限されず、例えば、水和物、有機溶媒和物等が挙げられる。
【0033】
本実施形態にかかる抗菌性組成物が含有する有効成分は、天然物又は合成物のいずれであってもよい。
【0034】
<その他の成分>
本実施形態にかかる抗菌性組成物は、上述の有効成分に加え、その他の成分を含んでもよい。
その他の成分としては、抗菌性組成物が効果を発揮する限り特に制限されず、例えば、後述する、賦形剤、増量剤、結合剤、湿潤化剤、崩壊剤、界面活性化剤、滑沢剤、分散剤、緩衝剤、保存剤、溶解補助剤、防腐剤、矯味矯臭剤、安定化剤、pH調整剤、抗酸化剤、防腐剤、保湿剤、皮膚保護剤、清涼化剤、香料、着色剤、キレート剤、制汗剤、植物抽出成分、動物抽出成分、油性基剤、乳化剤、乳化安定剤、粉末成分、高分子成分、粘着性改良剤、被膜形成剤、保型剤、潤沢剤等が挙げられる。
【0035】
<含有量>
本実施形態にかかる抗菌性組成物に含まれる有効成分の含有量は、抗菌性組成物が効果を発揮する限り特に制限されず、剤型等に応じて適宜調整され、抗菌性組成物の総質量(100質量%)に対して、例えば、0.0001質量%以上50質量%以下であってもよい。
【0036】
<剤型>
本実施形態にかかる抗菌性組成物の剤型は、本発明の効果が奏される限り特に限定されず、例えば、液状、粉末状、顆粒状、錠剤等、いずれの剤型であってもよい。
本実施形態にかかる抗菌性組成物の剤型が液状である場合、本実施形態にかかる抗菌性組成物に含まれる有効成分の含有量は、抗菌性組成物が効果を発揮する限り特に制限されず、抗菌性組成物の総質量(100質量%)に対して、例えば、0.1質量%以上50質量%以下であってもよい。
【0037】
<用途>
本実施形態にかかる抗菌性組成物の用途は、本発明の効果が奏される限り特に限定されず、例えば、医薬組成物、食品組成物、医薬部外品組成物、口腔若しくは皮膚衛生品、悪臭発生予防若しくは軽減剤、洗浄用組成物、化粧料組成物、又は、繊維若しくは衣料品材料等に配合して用いることができる。
【0038】
本実施形態にかかる抗菌性組成物は、細菌、カビ等の微生物に対して、抗菌性を発揮することができる。
本実施形態にかかる抗菌性組成物は、生活環境の対象物に噴霧、塗布することにより、対象物において抗菌性を発揮することができる。
生活環境の対象物としては特に限定されないが、例えば、食器、眼鏡、時計、携帯電話等の生活必需品;机、筆記具等の事務用品;洗面所、台所、浴室、トイレ等の水まわりにおける物品等が挙げられる。
【0039】
上記実施形態の抗菌性組成物は、医薬組成物、日持ち向上用組成物、飲食品組成物、口腔若しくは皮膚衛生品、悪臭発生予防若しくは軽減剤、洗浄用組成物、又は化粧料組成物であってもよい。
【0040】
(医薬組成物)
上記実施形態の抗菌性組成物は、医薬組成物であってもよい。
前記医薬組成物は、有効成分の有効量、及び薬学的に許容される担体を含むものであってもよい。
【0041】
前記医薬組成物は、経口的に投与されるものであってもよい。この場合、前記医薬組成物に含まれ得る薬学的に許容される担体としては、例えば、滅菌水、生理食塩水等の溶媒;ゼラチン、コーンスターチ、トラガントガム、アラビアゴム等の結合剤、結晶性セルロース等の賦形剤;アルギン酸等の膨化剤等が挙げられる。
このような医薬組成物を経口的に摂取することにより、例えば、ヘリコバクター・ピロリ菌の感染により引き起こされる、胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、萎縮性胃炎、胃癌等の予防及び/又は治療に効果を発揮することが可能である。また、ウェルシュ菌、ブドウ球菌、緑膿菌、ベーヨネラ、大腸菌等の腸に存在する悪玉菌により引き起こされる、動脈硬化、肝障害、大腸癌、便秘、下痢、免疫力の低下等の予防及び/又は治療に効果を発揮することが可能である。
【0042】
あるいは、前記医薬組成物は、経皮的に投与されるものであってもよい。この場合、前記医薬組成物に含まれ得る薬学的に許容される担体としては、例えば、油性基剤、乳化剤、乳化安定剤、溶解補助剤、粉末成分、高分子成分、粘着性改良剤、被膜形成剤、保型剤、潤沢剤等が挙げられる。
このような医薬組成物を経皮的に摂取することにより、例えば、ブドウ球菌、レンサ球菌等の感染により引き起こされる皮膚細菌感染症;酵母菌、糸状菌、白癬菌等の感染により引き起こされる皮膚真菌感染症等の予防及び/又は治療に効果を発揮することが可能である。
【0043】
(日持ち向上用組成物)
上記実施形態の抗菌性組成物は、日持ち向上用組成物であってもよい。
前記日持ち向上用組成物は、飲食品等の対象物の内部に含有させてもよいし、外側から塗布や散布により適用してもよい。
【0044】
前記日持ち向上用組成物を添加する飲食品は特に限定されないが、例えば、茶飲料、清涼飲料、牛乳飲料、野菜飲料、酒類、栄養ドリンク等の飲料;畜肉、魚肉、野菜、穀物、乳製品、玉子製品、並びにそれらの加工品等の食材;ソース、スパイス、オイル、ハーブ等の調味料等が挙げられる。
【0045】
本実施態様にかかる日持ち向上用組成物は、通常、飲食品等に添加して用いられ、飲食品における微生物の増殖を抑制することにより、飲食品の変質や腐敗を抑制することが可能である。
【0046】
(飲食品組成物)
上記実施形態の抗菌性組成物は、飲食品組成物であってもよい。
前記飲食品組成物における飲食品としては特に限定されないが、日持ち向上用組成物において例示された飲食品と同様のものが挙げられる。
【0047】
このような飲食品組成物を摂取することにより、前記医薬組成物を経口摂取した場合の効果を発揮することが可能である。
【0048】
(口腔又は皮膚衛生品)
上記実施形態の抗菌性組成物は、口腔又は皮膚衛生品であってもよい。
前記口腔衛生品としては、例えば、歯磨剤、洗口剤、歯肉マッサージクリーム、トローチ剤、タブレット、チューイングガム、デンタルフロスなどが挙げられる。前記口腔衛生組成物は、口腔内の微生物に対して、死滅又は増殖抑制効果を発揮することが可能である。これにより、口腔内を清潔に保持する、口臭を防ぐ、虫歯、歯槽膿漏、歯肉炎等の予防又は治療に効果を発揮することが可能である。
【0049】
前記皮膚衛生品としては、例えば、手拭き、尻拭き、足拭き、全身用等の清拭用ティッシュやタオル、おしぼり、ウェットティッシュ、ボディソープ、ハンドソープ、石鹸、入浴剤、絆創膏、ハンドクリーム等のボディケア製品、洗顔フォーム、洗顔クリーム、にきび予防剤などのスキンケア製品、シェービングクリーム、シェービングローション、シェービングフォーム等が挙げられる。前記皮膚衛生品は、皮膚に付着する微生物に作用して皮膚表面を清潔に保持する、皮膚の炎症反応の抑制に効果を発揮することが可能である。
【0050】
(悪臭発生予防又は軽減剤)
上記実施形態の抗菌性組成物は、悪臭発生予防又は軽減剤であってもよい。
前記悪臭発生予防又は軽減剤としては、例えば、デオドラントスプレー、デオドラントローション、体臭予防剤、排泄物防臭剤、トイレ消臭剤、ペット用消臭剤、消臭シート、衣類用消臭剤、汚泥消臭剤等が挙げられる。前記悪臭発生予防又は軽減剤は、排泄物、分泌物等の有機物に接触している微生物に対して、死滅又は増殖抑制効果を発揮することが可能である。これにより、微生物から発生する悪臭の予防又は軽減に効果を発揮することが可能である。
【0051】
(洗浄用組成物)
上記実施形態の抗菌性組成物は、洗浄用組成物であってもよい。
前記洗浄用組成物としては、例えば、医療器具洗浄用組成物、食器用殺菌洗浄用組成物等の器具洗浄用組成物が挙げられる。前記洗浄用組成物を用いて器具を洗浄することにより、器具に付着する微生物に対して、死滅又は増殖抑制効果を発揮することが可能である。これにより、器具を清潔化することが可能である。
【0052】
(化粧料組成物)
上記実施形態の抗菌性組成物は、化粧料組成物であってもよい。
前記化粧料組成物としては、例えば、乳液、軟膏、クリーム、ローション、化粧水、パック、ファンデーション、フェイスパウダー、頬紅、口紅、マスカラ、アイブロウ、アイライナー、アイシャドー、クレンジング、マニキュア、毛髪化粧料等が挙げられる。前記化粧料組成物は、皮膚表面の微生物、化粧料組成物中に混入した微生物に対して、死滅又は増殖抑制効果を発揮することが可能である。これにより、皮膚表面を清潔に保持することが可能であり、また、化粧料組成物において防腐剤として効果を発揮することが可能である。
【0053】
以上説明した実施形態の各組成物に含まれる、有効成分の有効量は、各組成物が本発明の効果を発揮する限り特に制限されず、当業者が、適宜設定することができる。
また、各組成物の使用方法及び使用量は、各組成物が対象の微生物に対して効果を発揮する限り特に制限されず、当業者であれば、適宜設定可能である。
【0054】
(繊維又は衣料品)
本実施形態にかかる繊維又は衣料品は、上記実施形態にかかる抗菌性組成物を含むものである。
【0055】
前記繊維としては、例えば、綿、麻等の植物繊維;絹、羊毛等の動物繊維;ナイロン、ポリエステル、アクリル、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン等の合成繊維;アセテート、トリアセテート、プロミックス等の半合成繊維;レーヨン、キュプラ、ポリノジック等の再生繊維;ガラス、金属等の無機繊維が挙げられる。
【0056】
前記衣料品としては、例えば、シャツ、ズボン、下着、ソックス、スポーツウェア、帽子、マスク、カーペット、寝具、寝具用カバー、医療用白衣等が挙げられる。
【0057】
前記繊維又は衣料品において、有効成分を成型前の繊維・衣料品の材料に添加して、紡糸してもよい。あるいは、有効成分を、成型後の繊維・衣料品に含浸、噴霧、塗布してもよい。
前記繊維又は衣料品は、微生物に対して、死滅又は増殖抑制効果を発揮することが可能である。これにより、前記繊維・衣料品を清潔に保持することができる。
【0058】
(フィルム)
本実施形態にかかるフィルムは、前記実施形態にかかる抗菌性組成物を含む樹脂層を少なくとも備えるものである。
【0059】
前記樹脂層の材料となる樹脂としては、本発明の効果が奏される限り特に限定されず、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリフェニレン、ポリスチレン、ポリエステル、ポリビニルアルコール、オレフィン、ポリアリレート、ポリエーテル、ポリアルキレンテレフタレート、ポリアクリル酸、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミノビスマレイミド、ビスマレイミド、セルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、エチルセルロース、セルロイド、カルボキシメチルセルロース、エポキシ、メラミン、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン、クレゾール、カゼイン、エポキシ、フェノール、ポリカーボネート、ジアリルフタレート、ポリテトラフルオロエチレン、ポリウレタン、酢酸ビニル、塩化ビニル、シリコーン、ウレア等が挙げられる。
【0060】
本実施形態にかかるフィルムは、抗菌性組成物を含む樹脂層以外の層を備える多層フィルムであってもよい。その他の層としては、例えば、基材層、外層、シーラント層等の当業者に公知の層を挙げることができる(例えば、国際公開第2008/139593号、特開2017-019237号公報)。
【0061】
本実施形態にかかるフィルムが抗菌性組成物を含む樹脂層以外の層を備えている場合、抗菌性組成物を含む樹脂層は、シーラント層であることが好ましい。
抗菌性組成物を含む樹脂層がシーラント層である場合、シーラント層に含まれる有効成分が、フィルムに包装される対象物において、抗菌性を発揮することができる。
【0062】
本実施形態にかかるフィルムにおいて、抗菌性組成物を含有する樹脂層の総質量に対する、前記有効成分の含有量の割合は、フィルムに包装される対象物において、抗菌性が発揮される限り特に限定されないが、例えば、0.0001質量%以上10質量%以下であってもよい。
【0063】
本実施形態にかかるフィルムを備える包装体は、内容物に対して抗菌性を発揮することが可能である。内容物としては、例えば、食料品等を挙げることが可能である。
【0064】
<適用対象菌>
以上説明した実施形態において、抗菌性組成物が抗菌性を発揮する微生物としては、例えば、カビ、細菌等が挙げられる。
【0065】
カビとしては、本実施形態にかかる防除方法が抗菌性を奏するカビである限り特に限定されず、例えば、Aspergillus属、Penicillium属、Cladosporium属、Eurotium属、Mucor属、Scopulariopsis属、Wallemia属、Alternaria属、Fusarium属、Geotrichum属、Phialophora属、Colletotrichum属、Ulocladium属、Phoma属、Arthrinium属、Aureobasidium属、Trichoderma属、Rhizoctonia属、Neurospora属、Arthrinium属、Rhizopus属、Cunninghamella属、Curvularia属等が挙げられる。
これらの中でも、本実施形態にかかる防除方法は、Aspergillus属、Penicillium属及びCladosporium属からなる群より選択される一種以上のカビに対して有用である。
【0066】
細菌としては、本実施形態にかかる防除方法が抗菌性を奏する細菌である限り特に限定されず、例えば、Escherichia属、Staphylococcus属、Streptococcus属、Enterococcus属、Micrococcus属、Corynebacterium属、Bacillus属、Listeria属、Peptococcus属、Peptostreptococcus属、Clostridium属、Eubacterium属、Propionibacterium属、Lactobacillus属、Neisseria属、Branhamella属、Haemophilus属、Bordetella属、Citrobacter属、Salmonella属、Shigella属、Klebsiella属、Enterobacter属、Serratia属、Hafnia属、Proteus属、Morganella属、Providencia属、Yersinia属、Campylobacter属、Vibrio属、Aeromonas属、Pseudomonas属、Xanthomonas属、Acinetobacter属、Flavobacterium属、Brucella属、Legionella属、Veillonella属、Bacteroides属、Fusobacterium属、Mycobacterium属、Actinomyces属、Nocardia属、Treponema属、Leptspira属、Mycoplasma属、Rickettsia属、Chlamydia属等が挙げられる。
これらの中でも、本実施形態にかかる防除方法は、Escherichia属及びStaphylococcus属からなる群より選択される一種以上の細菌に対して有用である。
【実施例0067】
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0068】
[実験例1]
次に示す方法により、上記化学式(1-1)で表される化合物(すなわち、4-[(3-メチル-2-ブテン-1-イル)オキシ]-ベンゼンメタノール)を合成した。合成スキームを
図1に示す。
【0069】
Ar置換した二口フラスコに、4-ヒドロキシベンズアルデヒド(東京化成工業H0198)5gを入れ、そこに脱水アセトン20mL及び炭酸カリウム9.68gを加え、さらに1-クロロ-3-メチル-2-ブテン(東京化成工業C1290)4.28gを加え、室温で20時間撹拌した。
【0070】
次いで、ろ過して得られた固体をアセトンで洗浄し、酢酸エチルに溶解させた。得られた酢酸エチル溶液を硫酸マグネシウムで脱水処理した後、硫酸マグネシウムをろ過で取り除き、エバポレーターで濃縮した。得られた濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、4-(3-メチル-2-ブテニルオキシ)ベンズアルデヒドを1.88g得た。
【0071】
次いで、1.2gの4-(3-メチル-2-ブテニルオキシ)ベンズアルデヒドに、エタノール10.9ml加えた後、5℃下で水素化ホウ素ナトリウムを0.72g加えて5時間撹拌した。
次いで、反応溶液に対して、塩化メチレン及び水を加えて分液操作を行い、塩化メチレン相に再度水を加えて、もう一度分液操作を行った。回収した塩化メチレン相に硫酸マグネシウムを加えて脱水処理した後、硫酸マグネシウムをろ過で取り除いた。得られたろ液をエバポレーターで濃縮することにより、最終標品を0.99g得た。
【0072】
最終標品をNMRにより分析した。分析結果のNMRスペクトルを
図2に示す。分析結果は、以下の通りであった。
4-[(3-メチル-2-ブテン-1-イル)オキシ]ベンゼンメタノール:
1H-NMR(CDCl
3,600MHz):7.27(d,2H,C-2),6.91(d,2H,C-3),5.49(m,1H,CH=),4.60(d,2H,-O-CH
2),4.50(d,2H,CH
2-OH),1.80(brs,3H,trans-CH
3),1.74(brs,3H,cis-CH
3),1.52(m,1H,CH
2-OH)
【0073】
分析の結果、最終標品は、上記化学式(1-1)で表される化合物(すなわち、4-[(3-メチル-2-ブテン-1-イル)オキシ]ベンゼンメタノール)であることが確認された。
【0074】
[実験例2]
実験例1で合成した上記化学式(1-1)で表される化合物(すなわち、4-[(3-メチル-2-ブテン-1-イル)オキシ]ベンゼンメタノール)を用いて、カビに対する抗菌性を評価した。
【0075】
上記化学式(1-1)で表される化合物をメタノールに溶解して、濃度10質量%メタノール溶液を調製し、これを実施例1とした。また、トリアセチン、2,6-ジイソプロピルナフタレンを、それぞれ、濃度10質量%メタノール溶液を調製し、それぞれ、比較例1、比較例2とした。
【0076】
(カビに対する抗菌試験)
<抗菌試験 A-1>
クロコウジカビ(Aspergillus niger)に対する抗菌試験を行った。
ポテトデキストロース寒天培地を12ウェルプレートの各ウェルに2mlずつ滴下し、培地が固化する前に、上述の3種類の濃度10質量%メタノール溶液を滴下した。各培地中の試薬の最終濃度は、6400ppm、3200ppm、1600ppm、800ppm、400ppm、200ppm、100ppmであった。
次いで、固化した寒天に、クロコウジカビの胞子液(菌数1×106cfu/ml)5uLを接種した。プレートに蓋をして、25℃で72時間培養した。また、メタノール5uLを滴下したものを対照として準備した。
【0077】
<抗菌試験 A-2>
アオカビ(Penicillium citrinum)に対する抗菌試験を行った。アオカビの胞子液(菌数1×106cfu/ml)を用意し、クロコウジカビと同様に抗菌試験を行った。
【0078】
クロカビ(Cladosporium sphaerospermum)に対する抗菌試験を行った。クロカビの胞子液(菌数1×106cfu/ml)用意し、クロコウジカビと同様に抗菌試験を行った。
【0079】
(評価方法)
培養後のプレートを目視観察し、菌糸が確認されなかった最低濃度を最小発育阻止濃度として評価した。結果を表1に示す。
【0080】
【0081】
トリアセチン及び2,6-ジイソプロピルナフタレンの最小発育阻止濃度はいずれも、6400ppm超であった。これに対し、上記化学式(1-1)で表される化合物の最小発育阻止濃度は、200~400ppmであった。
以上の結果から、上記化学式(1-1)で表される化合物は、クロコウジカビ、アオカビ、クロカビ等のカビに抗菌性を発揮することが確認された。
【0082】
[実験例3]
実験例1で合成した上記化学式(1-1)で表される化合物を用いて、細菌に対する抗菌性を評価した。
【0083】
(細菌に対する抗菌試験)
<抗菌試験 B-1>
大腸菌(Escherichia coli)に対する抗菌試験を行った。
標準寒天培地を12ウェルプレートの各ウェルに2mlずつ滴下し、培地が固化する前に、実験例2において調製した3種類の濃度10質量%メタノール溶液を滴下した。各培地中の試薬の最終濃度は、実験例2と同様に設定した。
次いで、固化した寒天に、大腸菌の菌液(菌数1×106cfu/ml)5uLを接種した。プレートの蓋をして、35℃で24時間培養した。また、メタノール5uLを滴下したものを対照として準備した。
【0084】
<抗菌試験 B-2>
黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)に対する抗菌試験を行った。黄色ブドウ球菌の菌液(菌数1×106cfu/ml)を用意し、大腸菌と同様に抗菌試験を行った。
【0085】
培養後のプレートを目視観察し、コロニーが確認されなかった最低濃度を最小発育阻止濃度として評価した。
【0086】
【0087】
トリアセチン及び2,6-ジイソプロピルナフタレンの最小発育阻止濃度はいずれも、6400ppm超であった。これに対し、上記化学式(1-1)で表される化合物の最小発育阻止濃度は、400~800ppmであった。
以上の結果から、上記化学式(1-1)で表される化合物は、大腸菌、黄色ブドウ球菌等の細菌に抗菌性を発揮することが確認された。
本発明によれば、抗菌スペクトルが広い、新たな抗菌性組成物、並びに、その抗菌性組成物を用いた、繊維若しくは衣料品、及びフィルムを提供することができる。この抗菌性組成物は、生活空間内の対象物において、細菌、カビ等の微生物の生育を抑制する用途に好適である。